直腸癌における壁外浸潤距離の臨床的意義に関する多施設共同研究

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ゆきなかじゅく
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1 直腸癌の壁外浸潤距離に関する臨床的意義プロジェクト研究参加施設愛知県がんセンター中央病院大阪市立大学院医学研究科腫瘍外科大阪大学大学院医学系研究科外科系臨床医学専攻消化器外科学鹿児島大学腫瘍制御学金沢医科大学消化器外科治療学北里大学医学部外科京都大学医学部付属病院九州大学大学院消化器総合外科久留米大学外科国立がんセンター中央病院国立がんセンター東病院埼玉医科大学総合医療センター消化管一般外科埼玉県立がんセンター消化器外科札幌医科大学医学部第一外科四国がんセンター自治医科大学大宮医療センター総合医学第 2 高野病院東京都立駒込病院東京女子医科大学第二外科東京女子医科大学東医療センター東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腫瘍外科学東邦大学医療センター大森病院一般消化器外科奈良県立医科大学消化器総合外科新潟県立がんセンター新潟病院日本医科大学千葉北総病院外科福井大学医学部第一外科防衛医科大学校第一外科北海道大学医学部第一外科新潟大学大学院医歯学総合研究科分子診断病理学国立がんセンター中央病院臨床検査部病理九州大学大学院医学研究院形態機能病理学鹿児島大学大学院腫瘍学講座人体がん病理学分野独協医科大学病理部

2 集積状況 1. 集積症例 1995 年 1 月 1 日 ~1999 年 12 月 31 日までの間に切除された根治度 A の T3, T4 の直腸癌症例 (Rs を除く ) 28 施設から 191 例の症例が集積できたこのうち利用できるデーダは 154 例であった研究目的 1. 壁外浸潤距離の臨床的意義をあきらかにする即ち予後因子として有用か否か? 健存率生存率に影響を及ぼすか?

3 統計学的解析方法 1. 統計学的解析ソフトとして SAS Institute の StatView (ver5), JMP (ver7) を用いすべての臨床病理学的予後因子のコード化を行った 2. 壁外浸潤距離のカットオフ値は ROC 曲線で推測し Odds ratio χ2 値 p 値 Hazards ratio 95%CI を総合的に考慮し決定した 3. 種々の予後因子と再発の有無との関連性にはロジスティック回帰分析を健存時間生存時間を考慮した再発に影響を及ぼす予後因子の推測には Cox 比例ハザードモデルを用いた 4. 健存率生存率の計算には Kaplan Meier 法有意差検定には Logrank test を用いた

4 壁外浸潤距離の測定方法 a) 筋層が断裂していない場合 b) 筋層が断裂している場合縦走筋の最下端から最深浸潤部までの垂直距離 (mm) 断裂縦走筋の両下端から最深浸潤部までの垂直距離 (mm)

5 壁外浸潤距離ヒストグラム 5 4 平均値 :4.9±4.3 mm 3 中央値 :3.8 mm 度数浸潤距離

6 臨床病理学的因子 (154 例 ) 変数カテゴリーコード化症例数 1. 性別女 / 男 (/1) 326/ 腫瘍径 5cm/>5cm (/1) 59/ 占居部位上部 / 下部 (/1) 48/ 肉眼型圧排 / 浸潤 (/1) 921/ 深達度 a1/a2 (/1) 525/529 6.T 因子 T3/T4 (/1) 974/8 7. 組織型高分化 / その他 (/1) 318/ リンパ管侵襲 ly1/ly23 (/1) 715/ 静脈侵襲 v1/v23 (/1) 695/ リンパ節転移無 / 有 (/1) 495/ 側方転移無 / 有 (/1) 943/ 術式肛門温存 / 非温存 (/1) 618/ 側方郭清無 / 有 (/1) 433/ 神経温存有 / 無 (/1) 4/ 化学療法無 / 有 (/1) 553/ 壁外浸潤 Xmm/>Xmm (/1) 154

7 カットオフ値を設定するにあたっての統計学的解析の予備知識 1.Χ2 値 1 大きいほどより有意差があり p 値がより低い 2.p 値 1 低いほどより有意差がある 3. オッズ比 (OR) ハザード比 (HR) 1 値が高いほど対象群つまりとコード化したカテゴリーより 1 とコード化したカテゴリーの方が再発や死亡の危険性が高い OR,HR が 1.5 なら対象群の 1.5 倍の再発の危険性がある 4.95% 信頼区間 1 信頼区間に 1 を含まなければ有意差がある 2 しかし信頼区間の幅が広く下限値と上限値の比 L/U 比が低ければ信頼性の精度が低い L/U 比が高ければ信頼性の精度が高い 3L/U 比 1)<.25 : 信頼性の精度が低い 2) : 中等度の信頼性がある 3)>.5 : 信頼性の精度が高い有意差なし有意差があり信頼性が高い有意差はあるが信頼性が低い 5.ROC 曲線 (receiver operating characteristic curve: 受信者動作特性曲線 ) 1 再発の有無やある事象の最も高い陽性率と最も低い偽陽性率を見出し浸潤距離のカットオフ値を推測する

8 全症例

9 全症例における再発に影響する臨床病理学的因子単変量ロジスティック解析 (154 例 ) Chi p value Odds 95%CI 変数カテコリー再発率 square ratio L-U 1. 性別女, 男 35%,35% 腫瘍径 5cm,.5cm 36%,35% 占居部位上部, 下部 29%,39% 肉眼型圧排, 浸潤 34%,46% 深達度 a1,a2 28%,42% < T 因子 T3,T4 34%,41% 組織型高分化, 他 29%,38% リンパ管侵襲 ly1,ly23 28%,5% < 静脈侵襲 v1,v23 32%,4% リンパ節転移無, 有 21%,48% < 側方転移無, 有 3%,74% < 肛門温存術温存, 非温存 29%,43% < 側方郭清無, 有 31%,38% 神経温存有, 無 35%,35% 化学療法無, 有 32%,38% 項目の臨床病理学的因子が再発に関して有意差があり

10 全症例における再発に影響する浸潤距離単変量ロジスティック解析 chi p value Odds 95%CI L/U 浸潤距離再発率 square ratio L-U ratio 1mm, >1mm 21%,38% < mm, >2mm 21%,41% < mm, >3mm 24%,43% < mm, >4mm 26%,46% 46.3 < mm, >5mm 28%,47% < mm, >6mm 3%,47% < mm, >7mm 31%,48% < mm, >8mm 32%,47% mm, >9mm 33%,49% mm, >1mm 34%,48% 浸潤距離を 1mm から 1mm まで検索した結果浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 Odds 比は最大ではないが L/U 比が最大で信頼性が最も高い χ2 値も最大で p 値も最小

11 全症例における再発に影響する浸潤距離単変量ロジスティック解析浸潤距離と OR, 信頼区間浸潤 Odds 95%CI L/U chi 距離 ratio L-U ratio square p value 1mm mm mm mm <.1 6mm <.1 5mm <.1 4mm <.1 3mm <.1 2mm <.1 1mm < Odds ratio 浸潤距離を 1mm から 1mm まで検索した結果浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 Odds 比は最大ではないが L/U 比が最大で信頼性が最も高い χ2 値も最大で p 値も最小

12 再発例における壁外浸潤距離のカットオフ値 ( 全症例 ) 1. 全症例のカットオフ値 True positive fraction (Sensitivity) AUC = False positive fraction (1-Specificity) > 計再発有り (.616) 再発無し (.3796) We used ROC (Receiver operating characteristic) curve to determine the cut off point. Expected cut off point of recurrence is 4.2 mm. chi square 3.82 odds ratio %CI p-value p<.1 再発のカットオフ値は 4.2mm で陽性率が最も高く偽陽性率が最も低率であることが判明した

13 全症例における再発に関する臨床病理学的因子 Cox 比例ハザード解析変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 1. 占居部位 ( 下部 ) 肉眼型 ( 浸潤型 ) 深達度 (a2) 組織型 ( 高以外 ) リンパ管侵襲 (ly23) 静脈侵襲 (v23) リンパ節転移 ( 有 ) 27.3 < 側方転移 ( 有 ) 36.5 < 肛門温存術式 ( 非温存 ) 側方郭清 ( 有 ) 壁外浸潤 (>4mm) < 側方転移リンパ節転移壁外浸潤距離は独立した予後因子であるこの中でも壁外浸潤距離は L/U 比が最大で信頼性が最も高い

14 全症例における局所再発に関する臨床病理学的因子 Cox 比例ハザード解析変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L/U ratio 1. 占居部位 ( 下部 ) 肉眼型 ( 浸潤型 ) 深達度 (a2) 組織型 ( 高以外 ) リンパ管侵襲 (ly23) 静脈侵襲 (v23) リンパ節転移 ( 有 ) 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 側方郭清 ( 有 ) 壁外浸潤 (>4mm) リンパ節転移肉眼型側方転移壁外浸潤距離は独立した予後因子であるこの中でも壁外浸潤距離は L/U 比が最大で信頼性が最も高い

15 全症例における遠隔再発に関する臨床病理学的因子 Cox 比例ハザード解析変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 1. 占居部位 ( 下部 ) 肉眼型 ( 浸潤型 ) 深達度 (a2) 組織型 ( 高以外 ) リンパ管侵襲 (ly23) 静脈侵襲 (v23) 1.5E リンパ節転移 ( 有 ) < 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 側方郭清 ( 有 ) 壁外浸潤 (>4mm) リンパ管侵襲リンパ節転移側方転移壁外浸潤距離は独立した予後因子であるこの中でも壁外浸潤距離は L/U 比が最大で信頼性が最も高い

16 stage 2

17 TNM stage 2 における再発に影響する臨床病理学的因子 - 単変量ロジスティック解析 - chi p value Odds 95%CI 変数再発率 square L-U 1. 性別女, 男 21%, 21% 腫瘍径 5cm,>5cm 21%, 21% 占居部位上部, 下部 19%, 22% 肉眼型圧排, 浸潤 19%, 33% 深達度 a1, a2 15%, 28% T 因子 T3, T4 19%, 41% 組織型高分化, 他 18%, 22% リンパ管侵襲 ly1,ly23 18%, 36% 静脈侵襲 v1, v23 17%, 3% 肛門温存術温存, 非温存 17%, 25% 側方郭清無, 有 22%, 19% 神経温存有, 無 21%, 21% 化学療法無, 有 21%, 2% 項目の臨床病理学的因子が再発に関して有意差があり

18 TNM stage 2 における再発に影響する浸潤距離 - 単変量ロジスティック解析 - chi p value dds 95%CI L/U 浸潤距離再発率 square ratio L-U ratio 1mm, >1mm 1%, 23% mm, >2mm 11%, 26% mm,>3mm 15%, 27% mm,>4mm 15%, 3% 16.3 < mm,>5mm 16%, 32% < mm,>6mm 17%, 32% mm,>7mm 18%, 31% mm,>8mm 2%, 26% mm,>9mm 2%, 26% mm,>1mm 21%, 2% 壁外浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 χ2 値が最大で p 値も最小 Odds 比は最大ではないが L/U 比が高く信頼性が高い

19 stage 2 症例における再発に影響する浸潤距離単変量ロジスティック解析浸潤距離と OR, 信頼区間浸潤 Odds 95%CI L/U chi 距離 ratio L-U ratio square p value 1mm mm mm mm mm mm <.1 4mm <.1 3mm mm mm Odds ratio 壁外浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 χ2 値が最大で p 値も最小 Odds 比は最大ではないが L/U 比が高く信頼性が高い

20 1. 再発例における壁外浸潤距離のカットオフ値 (TNM stage 2) stage 2 のカットオフ値 True positive fraction (Sensitivity) AUC = False positive fraction (1-Specificity) > 計再発有り (.549) 再発無し (.3282) We used ROC (Receiver operating characteristic) curve to determine the cut off point. Expected cut off point of recurrence is 4.2 mm. chi square 5.99 odds ratio %CI p-value p=.144

21 TNM stage 2 における再発に影響する浸潤距離 - 多変量 Cox 比例ハザード解析 - 変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 1. 肉眼型 ( 浸潤型 ) 深達度 (a2) T 因子 (T4) リンパ管侵襲 (ly23) 静脈侵襲 (v23) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 壁外浸潤 (>4mm) 壁外浸潤距離は χ2 値が最大 p 値も最小で独立した予後因子であるまた L/U 比も高く信頼性が高い

22 健存率 1 TNM stage 2a (T3) 87% 85% 4mm 1 TNM stage 2b (T4) 87% 8% 4mm 71% 71% >4mm % 32% >4mm Logrank χ2= , p= 月 Logrank χ2=7.528, p= 月 1 5 TNM stage 2a (T3) 91% 82% 83% 74% 4mm >4mm Logrank χ2=7.3672, p= 月生存率 1 5 TNM stage 2b (T4) 87% 78% 4mm 47% 18% >4mm Logrank χ2=8.135, p= 月

23 遠隔再発率 1 TNM stage 2a (T3) Logrank χ2=9.2369, p=.24 1 TNM stage 2b (T4) Logrank χ2=8.4711, p=.36 65% >4mm 5 18% 18% >4mm 8% 8% 4mm 月 5 14% 4mm 7% 月局所再発率 1 TNM stage 2a (T3) Logrank χ2=4.3331, p= TNM stage 2b (T4) Logrank χ2=2.6158, p= % 1% 4% 5% 月 >4mm 4mm 5 29% >4mm 7% 4mm 月

24 stage 3b

25 TNM stage 3b における再発に影響する臨床病理学的因子 - 単変量ロジスティック解析 - 再発率 chi p value Odds 95%CI square ratio L/U 性別女, 男 37%,41% 腫瘍径 5cm,>5mm 4%,39% 占居部位上部, 下部 28%,48% 肉眼型圧排, 浸潤 38%,57% 深達度 a1,a2 38%,41% T 因子 T3,T4 41%,25% 組織型高分化, その他 36%,41% リンパ管侵襲 ly1,ly23 39%,42% 静脈侵襲 v1,v23 41%,37% 側方転移無, 有 35%,73% 肛門温存術温存, 非温存 31%,52% 側方郭清無, 有 34%,44% 神経温存有, 無 4%,33% 化学療法無, 有 38%,41% 項目で有意差あり

26 TNM stage 3b における再発に影響する浸潤距離 - 単変量ロジスティック解析 - chi p value Odds 95%CI L/U 浸潤距離再発率 square ratio L-U ratio 1mm, >1mm 25%,42% mm, >2mm 24%,44% mm, >3mm 28%,46% mm, >4mm 32%,47% mm, >5mm 35%,47% mm, >6mm 38%,44% mm, >7mm 38%,44% mm, >8mm 38%,47% mm, >9mm 38%,5% mm, >1mm 39%,48% 壁外浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 χ2 値は最大ではなく Odds 比も最大ではない p 値も最小ではないが L/U 比が最も高く信頼性が最も高い

27 TNM stage 3b における再発に影響する浸潤距離 - 単変量ロジスティック解析 - 浸潤距離と OR, 信頼区間浸潤 Odds 95%CI L/U chi p value 距離 ratio L-U ratio square ratio 1mm mm mm mm mm mm mm mm mm mm Odds ratio 壁外浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 χ2 値は最大ではなく Odds 比も最大ではない p 値も最小ではないが L/U 比が最も高く信頼性が最も高い

28 再発例における壁外浸潤距離のカットオフ値 (TNM stage 3b) 1. True positive fraction (Sensitivity) AUC = False positive fraction (1-Specificity) > 計再発有り (.6934) 再発無し (.5192) We used ROC (Receiver operating characteristic) curve to determine the cut off point. Expected cut off point of recurrence is 3.6 mm. chi square 3.37 odds ratio %CI p-value p=.665 n.s. 有意差が無いのでモデルとしては不適そこで stage 3b & 3c をまとめてカットオフ値を求めたのが次のスライド

29 再発例における壁外浸潤距離のカットオフ値 (TNM stage 3b & 3c: リンパ節転移陽性例 ) True positive fraction (Sensitivity) AUC = False positive fraction (1-Specificity) > 計 We used ROC (Receiver operating characteristic) curve to determine the cut off point. Expected cut off point of recurrence is 4.2 mm. chi square odds ratio %CI p-value p=.1 再発有り (.6217) 再発無し (.4486) Stage 3b, 3c をリンパ節転移症例としてまとめるとこのモデルは有用である

30 TNM stage 3b における再発に影響する臨床病理学的因子 - 多変量 Cox 比例ハザード解析変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 占居部位 ( 下部 ) 肉眼型 ( 浸潤型 ) 側方転移 ( 有 ) < 肛門温存術式 ( 非温存 ) 側方郭清 ( 有 ) 壁外浸潤 (>4mm) 健存率 TNM stage 3b 7% 66% 55% 5% 4mm >4mm 1 5 生存率 TNM stage 3b 78% 68% 4mm 66% 52% >4mm 再発に関して側方転移とともに最も信頼性の高い独立した予後因子であった健存率生存率に関しても有意差がある Logrank χ2=9.3975, p=.22 Logrank χ2=5.7961, p= 月月

31 TNM stage 3b における遠隔再発に影響する臨床病理学的因子 - 多変量 Cox 比例ハザード解析 - 変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 占居部位 ( 下部 ) 肉眼型 ( 浸潤型 ) 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 側方郭清 ( 有 ) 壁外浸潤 (>4mm) 遠隔再発率 TNM stage 3b Logrank χ2=5.762, p=.164 遠隔再発に関しても側方転移とともに最も信頼性の高い独立した予後因子であった 5 33% 36% >4mm 21% 24% 4mm 月遠隔再発率も有意差がある

32 TNM stage 3b における局所再発に影響する臨床病理学的因子 - 多変量 Cox 比例ハザード解析 - 変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 占居部位 ( 下部 ) 肉眼型 ( 浸潤型 ) 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 側方郭清 ( 有 ) 壁外浸潤 (>4mm) 局所再発率 TNM stage 3b Logrank χ2=1.6627, p= % 17% 11% 12% 月 >4mm 4mm 局所再発に関しては側方転移術式が独立した予後因子であるが信頼性は低い壁外浸潤距離は独立した予後因子にはならなかった

33 stage 3c

34 TNM stage 3c における再発に影響する臨床病理学的因子 - 単変量ロジスティック解析 - 再発率 chi p value Odds 95%CI square ratio L-U 性別女, 男 6%,61% 腫瘍径 5cm,>5mm 63%,59% 占居部位上部, 下部 56%,64% 肉眼型圧排, 浸潤 61%,59% 深達度 a1,a2 55%,64% T 因子 T3,T4 61%,58% 組織型高分化, その他 56%,62% リンパ管侵襲 ly1,ly23 53%,66% 静脈侵襲 v1,v23 62%,59% 側方転移無, 有 51%,75% 肛門温存術温存, 非温存 55%,68% 側方郭清無, 有 58%,62% 神経温存有, 無 61%,5% 化学療法無, 有 59%,61% 項目で有意差あり

35 TNM stage 3c における再発に影響する浸潤距離 - 単変量ロジスティック解析 - chi p value Odds 95%CI L/U 浸潤距離再発率 square ratio L-U ratio 1mm, >1mm 71%,6% mm, >2mm 53%,63% mm, >3mm 52%,65% mm, >4mm 51%,68% mm, >5mm 52%,72% mm, >6mm 54%,72% mm, >7mm 54%,75% mm, >8mm 56%,76% mm, >9mm 57%,75% mm, >1mm 57%,8% 壁外浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 χ2 値は最大ではなく Odds 比も最大ではない p 値も最小ではないが L/U 比が最も高く信頼性が最も高い

36 TNM stage 3c における再発に影響する浸潤距離 - 単変量ロジスティック解析 - 浸潤距離と OR, 信頼区間浸潤 Odds 95%CI L/U chi 距離 ratio L-U ratio square p value 1mm mm mm mm mm mm mm mm mm mm Odds ratio 壁外浸潤距離のカットオッフ値が 4mm の場合 χ2 値は最大ではなく Odds 比も最大ではない p 値も最小ではないが L/U 比が最も高く信頼性が最も高い

37 TNM stage 3c における再発に影響する臨床病理学的因子 - 多変量 Cox 比例ハザード解析 - 変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 壁外浸潤 (>4mm) 健存率 TNM stage 3c 5% 44% 4mm 33% 3% >4mm Logrank χ2=6.4316, p= 月再発に関しては信頼性の高い独立した予後因子になる健存率生存率も有意な差がある 1 5 生存率 TNM stage 3c 67% 43% 41% 29% 4mm >4mm Logrank χ2=1.575, p= 月

38 TNM stage 3c における遠隔再発に影響する臨床病理学的因子 - 多変量 Cox 比例ハザード解析 - 変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 壁外浸潤 (>4mm) 遠隔再発率 TNM stage 3c Logrank χ2=4.3436, p= % 47% >4mm 33% 35% 4mm 遠隔再発に関しては側方転移のみが独立した予後因子になった壁外浸潤距離は独立した因子にはならなかったが遠隔再発率は有意差を認めた月

39 TNM stage 3c における局所再発に影響する臨床病理学的因子 - 多変量 Cox 比例ハザード解析 - 変数 chi p value Hazard 95%CI L/U square ratio L-U ratio 側方転移 ( 有 ) 肛門温存術式 ( 非温存 ) 壁外浸潤 (>4mm) 局所再発率 TNM stage 3c Logrank χ2=2.5974, p=.17 局所再発に関しては術式のみが独立因子であった壁外浸潤は独立因子にはならず局所再発率も有意差がなかった 5 34% 39% >4mm 3% 4mm 21% 月局所再発の症例数が少ないことあるいは stage 3c それ自体が局所再発の危険因子と思われる

40 壁外浸潤距離と従来の深達度健存率の比較 TNM stage 2a & 2b 浸潤距離 % 68% 85% 68% Logrank χ2= , p<.1 4mm >4mm 月 1 5 a1, a2 85% 84% 73% 71% a1 a2 a1, a2 よりも 4mm でカテゴリー化した方がより有意差がある Logrank χ2= , p= 月

41 壁外浸潤距離と従来の深達度遠隔再発率の比較 TNM stage 2a & 2b 1 5 浸潤距離 Logrank χ2=2.9313, p<.1 23% 23% 8% 8% 月 >4mm 4mm a1, a2 よりも 4mm でカテゴリー化した方がより有意差がある 1 5 a1, a2 Logrank χ2=12.399, p=.4 2% 2% 9% 9% 月 a2 a1

42 壁外浸潤距離と従来の深達度局所再発率の比較 TNM stage 2a & 2b 1 5 浸潤距離 Logrank χ2=7.4692, p=.63 11% 11% 4% 5% 月 >4mm 4mm a1, a2 よりも 4mm でカテゴリー化した方がより有意差がある 1 5 a1, a2 Logrank χ2=5.6811, p=.171 1% 1% 4% 5% 月 a2 a1

43 壁外浸潤距離と従来の深達度 - 健存率の比較 - 1 浸潤距離 7% 66% 4mm TNM stage 3b 1 a1, a2 64% 59% a1 5 55% 5% >4mm 5 61% 56% a2 Logrank χ2=9.3975, p= 月 Logrank χ2=.888, p= 月 1 浸潤距離 TNM stage 3c 1 a1, a2 5 5% 44% 33% 3% 4mm >4mm 5 46% 41% 37% 33% a1 a2 Logrank χ2=6.4316, p= 月 Logrank χ2=2.399, p= 月

44 壁外浸潤距離と従来の深達度 - 遠隔再発率の比較 - 1 浸潤距離 Logrank χ2=5.762, p=.164 TNM stage 3b 1 a1, a2 Logrank χ2=.466, p= % 36% 22% 24% >4mm 4mm 月浸潤距離 Logrank χ2=4.3436, p= TNM stage 3c 1 28% 31% 26% 29% a1, a2 a2 a 月 Logrank χ2=1.4144, p= % 47% >4mm 33% 35% 4mm 月 5 43% 44% a2 36% 39% a 月

45 壁外浸潤距離と従来の深達度 - 局所再発率の比較浸潤距離 Logrank χ2=1.6627, p= % 17% 11% 12% 月浸潤距離 TNM stage 3b >4mm 4mm TNM stage 3c a1, a2 Logrank χ2=.2149, p= % 17% 12% 12% a1 a 月 a1, a2 Logrank χ2=.2644, p= % 39% >4mm 3% 4mm 21% 月 5 35% 3% a2 33% a1 24% 月

46 壁外浸潤距離と従来の深達度局所再発率の比較 TNM stage 3b & 3c 1 5 Logrank 浸潤距離 χ2=4.8856, p= % 25% 14% 17% >4mm 月 4mm 1 5 a1, a2 Logrank χ2=.1592, p= % 21% a2 17% 22% a 月

47 結果 1. 壁外浸潤距離の平均値は 4.9mm 中央値は 3.8mm であった 2.ROC 曲線による期待される壁外浸潤距離のカットオフ値は 4mm であり全再発の Odds Ratio,p 値は 4mm でそれぞれ最高値最低値を示した 3.Cox 比例ハザードモデルの結果壁外浸潤距離が 4mm を超える場合はリンパ節転移側方転移と共に全再発遠隔再発局所再発に関連する独立した重要な因子であった 4.TNM stage ではいずれの stage(2a,2b,3b,3c) でも 4mm を超える場合には再発に関連する独立した因子であり健存率生存率は有意に低率であった stage 3b, 3c の検討では検討症例数が少なくなるため遠隔再発率には有意な傾向を認めたものの局所再発に関しては有意な差は認められなかった 5. 従来の深達度診断 a1, a2 による健存率局所再発率遠隔再発率を stage 別で検討するといずれの stage でも 4mm のカットオフ値で検討した場合の方が χ2 値が高値 p 値が低値で予後をより良く反映していた

48 結論壁外浸潤距離の程度はカットオフ値を 4mm で設定すると再発や健存率生存率を予測する予後因子となりうる

Chapter 1 Epidemiological Terminology

Chapter 1 Epidemiological Terminology Appendix Real examples of statistical analysis 検定偶然を超えた差なら有意差という P