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1 我が国の旅客交通時間価値に関するメタ分析 (2008 年 4 月時点暫定版 ) 加藤浩徳 1 橋元稔典 2 1 東京大学准教授大学院工学系研究科 ( 東京都文京区本郷 7-3-1) 2 東京大学大学院工学系研究科 ( 東京都文京区本郷 7-3-1) 本研究は, 我が国で行われた交通行動の研究成果を用いて, 我が国の旅客交通時間価値の特性についてメタ分析を行うものである. 本研究で使用したデータは,1980 年から 2006 年の間に発表された審査付き論文において, 主に離散選択分析によって交通行動を分析した研究成果であり, メタ分析においては 198 の交通時間評価値を用いた. まず, 都市内交通や都市内交通, 交通目的等の特性別に交通時間価値の統計値を求めて比較を行った. その後, メタ回帰分析によって交通時間価値の算定式を推定した. その結果, 都市間交通の交通時間価値は都市内交通の交通時間価値よりも高いこと, 平日の交通時間価値は休日よりも高いこと,SP データを使用して推定された交通時間価値は RP データを使用した場合よりも低いこと等が明らかとなった. Key Words : value of travel time, meta regression analysis, Japan 1. はじめに 我が国でも, 2000 年頃から交通プロジェクトの費用便益分析が公式に行われるようになり, その後, 実務上の手法としても定着しつつある. 交通プロジェクトによって生じる効果のうち, 交通時間短縮は, 特に大きな割合を占めることが多いため, その経済効果分析に当たっては, 妥当な交通時間価値を定めることが決定的に重要な問題となる. 時間価値の理論概念そのものについては,1960 年代より数多くの研究成果が蓄積されて来ている.Becker 1) の時間配分モデルをベースに,De Serpa 2),Evans 3),Jara-Diaz 4),5) は, 種々の制約条件下における活動の時間価値を定義し, それらの特性を示している. その一方で, 時間価値の計測については, 交通行動分析やデータ収集の技法の発達ともに, アプローチや分析手法が次第に変移していった. 初期の時点では, 集計的なモデルを用いた交通機関分担分析等によって時間価値の計測が行われていた 6),7). その後,1970 年頃より離散選択モデルの開発 8) が進み始めると, 時間配分モデルから得られた理論と整合する時間価値の計測が進められるようになっていった 9)-11). こうした研究蓄積が進む中で, 次第に国単位で交通時間価値を包括的に研究することが, 欧州各国で行われるようになった. 英国が, まず,1987 年に交通時間価値に関する調査 12) を実施した後, オランダ 13), ノルウェー 14), スウェーデン 15), フィンランド 16) において次々と, 大規模な交通時間価値の研究が行われてきている. さらに英国やオランダでは, 同じフレームワークで2 回目の調査も実施されている. これ以外にも, 米国, カナダ, ニュージーランド, アイルランドでも, 交通時間価値の総合的な研究成果が報告されている 17). だが, 各国でそれぞれ異なる交通時間価値の分析が行われていることからも推測される通り, 交通時間価値の特性は, 観測される交通システムの特性に大きく左右される. したがって, 他国において常識とされている特性が, 必ずしも我が国においても当てはまるわけではない. また, 我が国においても, 交通時間価値の実証的な分析の必要が多くの論者から提示されている 18)-21). そこで, 本研究は, 我が国の既往の交通行動分析に関する研究成果を用いて, 旅客交通時間価値の特性を分析することを目的とする. ここで, 本研究は, メタ分析と呼ばれる研究アプローチを採用する. メタ分析とは, 統計的分析のなされた複数の研究を収集し, いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする分析研究手法の1つであり, 疫学, 薬学, 教育心理学等の分野で広く活用されてきている 22)-24). 交通分野においても, 例えば, 交通需要の価格 25),26) 弾力性に関する研究やガソリン需要の価格弾力性等でしばしばメタ分析が使われている. 交通時間価値に関するメタ分析としては,Wardman 17),27),28) が, 英国の交通時間価値を対象としてメタ回帰分析を行っている先行研究がある. 本研究は, 英国での研究を踏襲しつつ, 我が国の交通時間価値の特性を明らかにする. 本研究の構成は, 次の通りである.2. では, まず理論的にみて, 交通時間価値が交通特性や制約状況によってどのような影響を受けるのかを示す.3. では, データ抽出方法を説明し, 次に得られたデータの基礎特性について分析する.4. では, 交通時間価値の基礎特性について単純集計による分析を行う.5. では, 交通時間価値に関するメタ回帰分析を行い, その結果を, 交通時間価値の理論特性を踏まえながら考察する. 最後に,6. で, 本研究から得られた知見をとりまとめ, 今後の我が国の費用便益分析における交通時間価値設定への示唆をまとめる. 1

2 2. 交通時間価値の理論的特性 (1) 交通時間価値の定義と交通特性が交通時間価値に与える影響交通時間価値の定義に関しては, 様々な研究が行われている. ここでは, 一般的に広く使用されているDe Serpa 2) の定式化に沿った交通時間節約価値 (Value of travel time saving) の定義をベースにすることとする. なお, 以下では, 交通時間節約価値を交通時間価値と呼ぶ. まず, 消費者の時間と財に関する効用最大化問題を以下のように定式化する. Max U = U X, T, T, x, t (1) s.t. X, T, Tw, x, t ( ) px c x = wt T + i i w [ ] 0 + Tw + ti xi = T [ ] ˆ for i [ ] w λ (2) μ (3) ti t i κ i (4) ただし, U () : 効用関数, X : 合成財の消費量,T : 余暇活動の消費時間, T w : 業務活動の消費時間, x i : タイプ i の交通の発生頻度, p : 合成財の価格, c i : タイプ i の交通の交通費用, w : 労働賃金率, t i : タイプ i の交通の交通時間, T o : 時間制約, tˆ i : タイプ i の交通交通時間の下限値 ( 以下, 最小交通時間 ), λ, μ, κ i : ラグランジュの未定乗数である. ここで, 交通のタイプとは, 交通目的, 交通手段, 発地 着地の組み合わせ等によって決定される移動形態の種類を指す. すると, タイプ i の交通の1 回あたりの交通時間価値は, * * κ μ U t i i U = (5) * * λ λ λ と表される. ここで, 右肩のアスタリスクは最適値を表す. 交通時間価値は, 式 (5) の第一項にあたる資源としての時間価値と第二項にあたる商品としての時間価値との2つから構成されることとなる. 式 (5) より, 交通時間価値は, まず, 交通のタイプ毎に異なることがわかる. これは, 商品としての時間価値が, タイプ毎に異なることに起因する. 具体的には, 交通目的や交通手段等によって, 交通時間に関する限界効用 U t が異なることが例として挙げられる. つまり, 交 通特性は, 商品としての時間価値 ( ) t i i U λ を通して, 交通時間価値に影響を及ぼしうることがわかる. (2) 制約条件の違いが交通時間価値に与える影響式 (1)~(4) の定式化では, 時間と予算の制約に関して明確な定義を与えなかった. これらの定義は, 交通行動を行う文脈に依存して決まると考えられる. 例えば, 我が国の通勤や通学のように, 多くの場合, 開始時刻が定まっている一方で, 起床時刻も概ね定まっている, という状態を仮定すると, 通勤交通における時間制約は, 起床時刻から業務開始時刻までの間となるであろう. なお, この場合, 余暇時間とは起床してから外出するまでの時間, あるいはそこから朝食等の必要作業時間を取り除いたものと定義できる. また, 休日の余暇目的や私事目的の交通の場合には, 概ね1 日を単位として時間制約を受けていることが予想される. さらに, 都市間業務交通の場合には, 目的地で宿泊することが前提となって,2~3 日程度の時間制約を受けている可能性もある. ここで, 例えば, 消費者の効用関数が, 余暇活動の消費時間に関して限界効用逓減の特性を持つ, つまり, 2 2 U T < 0 と仮定してみよう. この場合, 利用可能な時間から交通時間を指しい引いたものが, 実際に配分される余暇時間となるので, 交通時間が一定である限り, 利用可能時間が短くなるほど, 余暇時間も短くなり, 余暇活動に関する限界効用 μ は増加することになる. その結果, 所得に関する限界効用 λ が一定である限り, 資源としての時間価値 μ λ も増加する. 同様に, 使用可能な金銭的予算の大小によっても, 所得に関する限界効用 λ が変化する. したがって, 制約条件の設定次第では, 資源に関する時間価値 μ λ だけでなく, 商品に関する時間価値 ( ) λ U も変化しうることになる. t i (3) 賃金率が交通時間価値に与える影響式 (1)~(4) の定式化によれば, 最適化の一階の条件の1つから, U μ = + λ w (6) Tw U が成立するので, 式 (5) は式 (7) のように書き換えることができる. 2

3 * κ U Tw U t i U i U = + w (7) * λ λ λ これより, 交通時間価値は, 賃金率が高いほど高くなることがわかる. また, この定式化より, 交通時間価値は, 業務活動の時間によっても影響を受けうることがわかる. 仮に, 業務時間に関して限界効用逓減を仮定するならば, 業務時間が短くなるほど, 所得に関する限界効用が一定である限り, 式 (7) の第一項は大きくなる. (4) 交通時間価値特性に関する実証的アプローチの必要性以上で示したように, 交通時間価値は, 交通特性や当該交通が行われる際の制約状況によって異なりうることがわかる. さらに, 当然だが, 消費者の持つ効用関数の特性にも依存する. そのため, 事例分析を通じたデータの蓄積によって, 交通時間価値の特性を把握するしか方法がないように思われる. 3. 使用データの抽出 我が国では, 土木計画学を中心にして, 交通行動分析の研究が多数行われてきている. 特に 1970 年代後半以降, 非集計行動分析の普及とともに, 交通時間と交通費用とが交通行動に与える影響を, 離散選択行動モデルを用いて分析している研究が増加している. そこで, これらの中から, 以下のプロセスで対象とする論文ならびにデータを抽出する. 第一に, 我が国の消費者の旅客交通行動を対象としていること, 個票データを使用した非集計的なモデルを使用していること, 統計的に未知パラメータを推定する計量経済分析を行っていること, 説明変数に交通時間と交通費用の両方が含まれていること, 論文掲載に何らかの審査 ( ペアレビュー ) が行われていることを基準に, 対象とする論文を, 和文の論文集, ジャーナルから収集した. 具体的に, 論文収集の対象にしたものは, 土木学会論文集, 土木計画学研究 論文集, 交通工学, 都市計画論文集, 運輸政策研究を中心とした 10 種類の論文集, ジャーナルである. この基準にしたがって, 論文を選定した結果,81 論文が抽出された. 第二に, これらの論文の中から, 調査の詳細 ( 例えば, 調査方法, 調査年月日, 調査場所等 ) の記述が明確でないもの, データの詳細 ( 例えば, サンプル数 ) の記述が明確でないもの,t 値が記載されていないもの, 定義が明確でない変数が含まれているもの等を含む論文を取り除いた. 第三に, 残った論文全てに対して, 交通時間と交通費用の t 値を入力し, 各変数のパラメータがゼロである, という帰無仮説が, 少なくとも同時に 90% 有意水準で棄却されないようなモデルを選定した. また, 尤度比についても 0.1 以下となるモデルを削除した. これにより, 推定されたモデルの統計的有意性をある程度反映できるデータとなっているものと考えられる. 最後に, 残ったモデル全てに対して, 交通時間価値を実際に算定した. 次に,GDP デフレーターを用いて, 求められた交通時間価値を 2000 年実質価格へ調整した.GDP デフレーターの値は国民経済計算 ( 内閣府 ) より, 平成 18 年度確報 ( 平成 12 年基準の固定基準年方式, ), 平成 10 年度確報 ( 平成 2 年基準, ) を参照した. その上で, 交通時間価値が上位 2.5% ならびに下位 2.5% のデータをそれぞれ異常値として削除することとした. なお, 下位 2.5% のデータを削除してもなお負値となるデータが残ったため, これらも異常値として削除した. 以上のプロセスを経て, 最終的に 60 論文に含まれる 198 の交通時間価値をデータとして使用することとした. 使用した論文のリストは付録に示されるとおりである. 次に, これらのデータについて, (a) 分析結果に関するデータ : 交通時間および交通費用に関わるパラメータの推定値, 交通時間および交通費用に関わるパラメータの t 値, 尤度比 ;(b) 研究手法に関するデータ : 使用されているモデルの種類, モデルの選択肢集合に含まれる要素, モデルの説明変数およびその数 ;(c) データの特性に関するデータ : パラメータ推定に使用されたサンプル数, 調査実施年月, 季節, 平日 / 休日, 調査対象地域, 調査方法 (SP データ /RP データ, 調査票配布方法 );(d) 移動特性に関するデータ : 利用目的, 利用交通機関, 移動形態 ( 都市内交通 / 都市間交通 );(e) その他のデータ : 研究実施年, 主著者および著者の所属, 調査実施者, 掲載論文, 調査実施年の国民一人当たりの GDP およびその増加率, をそれぞれ収集し, 整理した. 4. 交通時間価値の基礎特性分析 サンプルデータの特性を把握するため, 得られた交通時間価値データについて, その基礎集計を行う. 以下では, 都市内交通と都市間交通とに分類して, それぞれの基礎特性を分析する. (1) 都市内交通の交通時間価値に関する基礎特性分析まず, 都市内交通の交通時間価値の平均値, 標準偏差, 最小値, 25% 点, 中央値,75% 点, 最大値を, 全データ, 3

4 利用交通機関, 交通目的 ( 通勤とその他 ), 平日 / 休日, 季節, 公共交通の移動形態, ならびに使用データの種類別にそれぞれ示したものが, 表 -1 である. これより, 第一に, 全体としては都市内交通の交通時間価値の平均値は 29.8 円 / 分であることがわかる. これは, 2000 年時点での我が国の平均賃金率が, 約 30 円 / 分である (1) ことを勘案すれば, 概ね同程度の数値となっていることがわかる. 第二に, 通勤目的とその他目的との間で交通時間価値を比較すると, 通勤目的で 37.6 円 / 分である一方で, その他目的では 24.1 円 / 分となっている. ちなみに, これらの平均値の差の統計的検定を行ったところ,95% 有意水準で差が確認された. したがって, 通勤目的の交通時間価値は, その他目的の交通時間価値よりも有意に高いことがわかる. 第三に, 都市内交通の交通時間価値を交通機関別に比較をすると, 鉄道利用者とバス利用者では, 交通時間価値の平均値にほとんどが差が見られない一方で, バス利用者の交通時間価値はかなり低い値となっている. なお, バス利用者の交通時間価値のデータ数がかなり少ないことから, 統計的な分析には留意が必要ではあるが, やはり平均値の差の統計的検定を行ったところ, バス利用者の交通時間価値は, 鉄道, 自動車利用者の交通時間価値と比較して 95% 有意水準で差が確認された. 第四に, 都市内交通の交通時間価値を, 平日と休日とで比較すると, 平日の方が休日よりも大きい傾向にあるようだが, 平均値の差には統計的に有意な差が見られなかった. 第五に, 調査が実施された季節について見てみると, 秋季の交通時間価値の平均値は,95% 有意水準で春季, 夏季の交通時間価値の平均値よりも大きいことがわかった. 第六に, 都市内公共交通の移動形態別の交通時間価値特性を見てみると, 駅等での乗換や待ちの時間価値の平均値が, 乗車時 ( ラインホール ) の交通時間価値の平均値よりも高い傾向にあることがわかる. 平均値の差の統計的検定からも,95% 有意水準で, 待ち時間の時間価値は乗車時の交通時間価値よりも高いことが明らかとなった. 第七に, 分析に使用されたデータによる交通時間価値の違いを比較してみると, 顕示選好 (Revealed Preference: RP) データを使用する場合の方が, 表明選好 (Stated Preference: SP) データを使用する場合よりも高い値となっていることがわかる. 両者の平均値の差の統計的検定を行ったところ,95% 有意水準で差が確認された. なお, 都市内交通の調査実施年と交通時間価値との関係を示したものが, 図 -1 である. これより, 概ね後年になるほど交通時間価値は上昇している傾向にあるように見て取れるが, 単回帰分析を行ったところ, 統計的な有意な結果は得られなかった. (2) 都市間交通の交通時間価値に関する基礎特性分析都市内交通のケースと同様に, 都市間交通の交通時間価値の平均値, 標準偏差, 最小値, 25% 点, 中央値,75% 表 -1 都市内交通の交通時間価値の特性 データ数 平均値 標準偏差 最小値 25% 点 中央値 75% 点 最大値 合計 利用目的 通勤 その他 利用交通機関 鉄道 ( 通勤 ) 鉄道 ( その他 ) 自動車 ( 通勤 ) 自動車 ( その他 ) バス ( 通勤 ) n.a バス ( その他 ) 平日 / 休日 平日 休日 季節 春 (4~6 月 ) 夏 (7~9 月 ) 秋 (10~12 月 ) 冬 (1~3 月 ) 公共交通 全経路 ラインホール アクセス イグレス 乗換 待ち 使用データ SPデータ RPデータ SP+RPデータ 注 1: 表中に示される交通時間価値の単位は円 / 分. 注 2: 各カテゴリーのいずれにも属さないデータがあるため, データ数の合計値が一致しないことがある. 4

5 交通時間価値 ( 円 / 分 ) 調査実施年 ( 年 ) 図 -1 都市内交通の調査実施年と交通時間価値との関係 表 -2 都市間交通の交通時間価値の特性 データ数 平均値 標準偏差 最小値 25% 点 中央値 75% 点 最大値 合計 利用目的 観光 業務 その他 利用交通機関 鉄道 自動車 航空機 その他 平日 / 休日 平日 休日 注 1: 表中に示される交通時間価値の単位は円 / 分. 注 2: 各カテゴリーのいずれにも属さないデータがあるため, データ数の合計値が一致しないことがある. 注 3: 利用交通機関の その他 は, 利用交通機関が複数含まれている交通機関選択モデルが使用されることを示す. 交通時間価値 ( 円 / 分 ) 調査実施年 ( 年 ) 図 -2 都市間交通の調査実施年と交通時間価値との関係 点, 最大値を, 全データ, 利用目的 ( 観光, 業務, その他 ), 利用交通機関, 平日 / 休日別にそれぞれ示したものが, 表 -2 である. これより, 第一に, 全体としては都市間交通の交通時間価値の平均値は 76.4 円 / 分であることがわかる. これは, 2000 年時点での我が国の平均賃金率, 約 30 円 / 分と比較して,2 倍以上の高い値となっている. 第二に, 業務目的, 観光目的, その他目的との間で交通時間価値を比較すると, 業務目的で 円 / 分である一方で, 観光目的で 41.9 円 / 分となっている. ちなみに, これらの平均値の差の統計的検定を行ったところ,95% 有意水準で差が確認された. 第三に, 都市間交通の交通時間価値を交通機関別に比較すると, 航空機利用者の交通時間価値が, 鉄道, 自動車利用者の交通時間価値よりも圧倒的に高いことがわかる. データ数が少ないので, 統計的な分析には留意が必要ではあるが, 平均値の差の統計的検定を行ったところ, 航空機利用者の交通時間価値は, 鉄道, 自動車利用者の交通時間価値と比較して 95% 有意水準で差が確認された. 第四に, 都市間交通の交通時間価値を, 平日と休日とで比較すると, 平日の平均値の方が休日の平均値よりも 95% 有意水準で有意に高いことがわかった. 次に, 都市間交通の調査実施年と交通時間価値との関係を示したものが図 -2 である. 都市内交通のケースと同様に, 調査実施年と交通時間価値との間には, 統計的に有意な関係が見られなかった. 5

6 5. 交通時間価値に関するメタ回帰分析 (1) メタ回帰分析の基本的な考え方と準備以下では, 個々の研究成果から得られた交通時間価値の推定値を従属変数, 各研究成果の特性を独立変数として回帰分析を行う. 本研究は,Stanley 29) の示す手法に従って, メタ回帰分析を行うこととした. 回帰式としては, 式 (8) で示される重回帰式と式 (9) のような指数関数による回帰式 ( 以下,Wardman 式と呼ぶ ) を用いる. 式 (7) はWardman 17) によって提案されたものであり, この式を用いることにより, 推定される交通時間価値が負値となる可能性が少なくなる. VOTT k n = ω + α X + β j Z jk + ε k p i ik i= 1 j= 1 n p α X ik i= 1 j = 1 ik VOTTk = ω exp β jz jk + ε (9) k ここで,VOTT : 交通時間価値の観測値,ω : 定数項, X : 連続型の変数, Z :0 か 1 で表されるダミー変数, ε : 平均 0 の正規分布に従う誤差項を表す. ここで, 各説明変数間の多重共線性を考慮し, 相関係数が大きくなるもの ( 目安は 0.7 とした ) については片方を除外することとする. 使用した説明変数の定義は表 -3 の通りである. (2) 重回帰式の推定結果説明変数を用いて, 全データを使用した場合, 都市内交通データのみを使用した場合, 都市間交通データのみを使用した場合について, 重回帰式の推定結果を示したものが, 表 -4 である. 都市内交通データを用いた場合には, R 2 =0.32 となり推定精度は低い一方で, 都市間交通データを用いた場合には,R 2 =0.74 とかなり高い推定精度が得られた. 全データを用いた分析の結果より, 都市間交通の場合, 通勤あるいは業務目的の場合, 徒歩 自転車がモデルの選択肢集合に含まれる場合には, 交通時間価値は高くなることがわかる. 一方で, バスがモデルの選択肢集合に含まれる場合, 休日の場合,SP データを使用する場合,MNL モデルを使用する場合, 経路選択行動モデルが用いられている場合, 関東圏の場合には, 交通時間価値が低くなる. 次に, 都市内交通のデータを用いた分析結果より, 交通時間価値を増加させるのは, 通勤, 業務目的である場合, 秋季または冬季である場合,RP データが使用されている場合, アクセス交通または待ち時間である場合, 配布調査によって得られたデータを使用する場合, 一人当たり実質 GDP が高い場合である. 一方で, バスがモデルの選択肢集合に含まれる場合, ラインホールの場合には交通時間価値が低くなる. 最後に, 都市間交通のデータを用いた分析結果より, 交通時間価値が高くなるのは, 航空または自動車がモデルの選択肢集合に含まれている場合, 目的地選択行動モデルが用いられている場合である一方で, 交通時間価値が低くなるのは, バスがモデルの選択肢集合に含まれる場合および休日である場合であることがわかる. (3)Wardman 式の分析結果先と同様に,Wardman 式を用いて交通時間価値のパラメータ推定を行った結果を示したものが, 表 -5 である. 都市内交通データを用いた場合には,R 2 =0.32 である一方, 都市間交通データを用いた場合には,R 2 =0.64 となった. 重回帰式と比べて,Wardman 式の方が, 全体的に推定精度は低下した. まず, 全データを用いた分析の結果より, 交通時間価値が増加するのは, 通勤または業務目的の場合, 航空がモデルの選択肢集合に含まれる場合, 秋季である場合,RP データが使用される場合, アクセス交通である場合であり, 逆に交通時間が減少するのは, バスがモデルの選択肢集合に含まれる場合, ラインホールである場合, 経路選択行動モデルが使用されている場合, 近畿圏である場合, 配布調査によってデータが収集される場合であることがわかる. 次に, 都市内交通のデータを用いた分析結果より, 一人当たり実質 GDP が高いほど交通時間価値は高くなることがわかる. 交通時間価値が増加するのは, 通勤または業務目的の場合, 秋季の場合,RP データである場合, アクセス交通である場合,Probit モデルが使用されている場合である一方で, 交通時間が増加するのは,Nested Logit モデルが使用されている場合, 経路選択行動モデルが使用されている場合, 関東圏である場合である. 最後に, 都市間交通のデータを用いた分析結果より, 交通時間価値が増加するのは, 航空がモデルの選択肢に含まれる場合である一方で, 交通時間価値が減少するのは, バスがモデルの選択肢に含まれる場合, 休日である場合, 秋季である場合,SP データが使用される場合, 経路選択行動モデルが使用される場合である. (8) 6

7 表 -3 交通時間価値のメタ回帰分析において使用する説明変数の変数名とその定義 変数名 定義 都市間交通ダミー 都市間交通を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 通勤目的ダミー 通勤目的を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 業務目的ダミー 業務目的を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 航空選択肢ダミー 航空が選択肢に含まれる交通機関選択モデルによって推定された交通時間価値の とき1, そうでなければ0 自動車選択肢ダミー 自動車が選択肢に含まれる交通機関選択モデルによって推定された交通時間価値 のとき1, そうでなければ0 バス選択肢ダミー バスが選択肢に含まれる交通機関選択モデルによって推定された交通時間価値の とき1, そうでなければ0 徒歩 自転車選択肢ダミー 徒歩 自転車が選択肢に含まれる交通機関選択モデルによって推定された交通時 間価値のとき1, そうでなければ0 休日ダミー 休日を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 秋季ダミー 秋季を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 冬季ダミー 冬季を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 SPデータダミー SPデータに基づいて推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 RPデータダミー RPデータに基づいて推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 ラインホールダミー 公共交通のラインホールを対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 アクセス交通ダミー 公共交通の駅へのアクセスを対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 待ち時間ダミー 公共交通の待ち時間を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 乗換時間ダミー 公共交通の乗換時間を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 MNLダミー MNLモデルを用いて推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 Nested Logit モデルダミー Nested Logitモデルを用いて推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 Probitモデルダミー Probitモデルを用いて推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 経路選択行動ダミー 経路選択行動を対象としたモデルによって推定された交通時間価値のとき1, そうで 目的地選択行動ダミー なければ0 目的地選択行動を対象としたモデルによって推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 関東圏ダミー 関東圏在住者を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 近畿圏ダミー 近畿圏在住者を対象とした交通時間価値のとき1, そうでなければ0 配布調査ダミー 配布調査法によって得られたデータに基づいて推定された交通時間価値のとき1, そうでなければ0 1 人当たり実質 GDP 調査実施年の1 人当たり実質 GDP(10 億円 ) 表 -4 重回帰式による交通時間価値のメタ分析の推定結果 全交通 都市内交通 都市間交通 変数 係数 t 値 係数 t 値 係数 t 値 定数項 都市間交通ダミー 通勤目的ダミー 業務目的ダミー 航空選択肢ダミー 自動車選択肢ダミー バス選択肢ダミー 徒歩 自転車選択肢ダミー 休日ダミー 秋季ダミー 冬季ダミー SPデータダミー RPデータダミー ラインホールダミー アクセス交通ダミー 待ち時間ダミー MNLダミー 経路選択行動ダミー 目的地選択行動ダミー 関東圏ダミー 配布調査ダミー 人当たり実質 GDP N=198, R 2 =0.51 N=144, R 2 =0.32 N=54, R 2 =0.74 7

8 (4) 交通時間価値に影響を与える諸要素に関する考察 (a) 都市間交通の特性による影響全交通データを用いた重回帰式による分析結果によれば, 都市間交通だと交通時間価値が高くなる. これは, 都市間移動者が, 高賃金率の消費者であるためだと思われる. 例えば, 他都市に出張するビジネスマンは, 単独あるいは少人数で現地に赴いて必要な業務を行うわけであるから, それ相応の意思決定権限を持つ, あるいは意思決定を委託されるだけの高い能力を持つ人物であると考えられる. こうした人物は, 高給で雇われている可能性が高い. また, 観光目的の都市間移動者についても, 都市間観光を行うだけの所得や時間に余裕のある消費者であるので, 都市内で余暇を過ごす者と比較すれば, 高所得者である可能性が高い. ただし, 式 (7) で示されたように, 賃金率の高い消費者の交通時間価値は高くなる. (b) 交通目的の特性による影響重回帰式,Wardman 式のいずれを用いた場合についても, 全交通データ, 都市内交通データの両方において, 通勤, 業務目的の場合, 交通時間価値が高くなるとの結果が得られた. これは, いずれの場合も, 利用可能時間の制約が厳しいために, 式 (5) の右辺第一項で示される資源としての時間価値が高くなるためだと考えられる. まず, 通勤の場合には, 我が国では, 出勤時刻が概ね固定的に運用されているために, 起床時刻から出勤時刻までの間が, 独立した制約時間として認識されている可能性が高い. この制約時間が極めて短いことが, 朝の余暇時間に関する限界効用を高めていることが予想される. 一方, 業務交通の場合には, 朝の時間帯ほどではないものの, 業務時間がある程度制約されていると考えられる. そのため, 式 (7) の右辺第一項で示される業務時間に関する限界効用が, 制約の緩い余暇時間に関する限界効用よりも高くなっていることが予想される. (c) 利用交通機関の特性による影響 Wardman 式の全交通データ, 都市間交通データを用いた分析結果より, 航空利用者の交通時間価値は高いなるとの結果が得られた. これは, 航空利用者の賃金率が高いことによるものと思われる. 航空サービスは, 鉄道や長距離バスと比較して, 同一 OD 間での運賃が高い一方で所要時間が短い. こうした交通機関が使用可能なのは, 移動に対する支払意思額の高い高賃金率の労働者であると予想される. (d) 選択肢集合の設定による影響交通機関モデルの選択肢集合に特定の交通機関が含まれることによる影響は, モデル内で, 選択肢間共通の交通時間と交通費用のパラメータが使用されることによって, 当該交通機関の持つ交通時間特性が全体に波及することにあると思われる. 例えば, 重回帰式を用いる場合の都市間交通データおよび Wardman 式を用いる場合の全交通データ, 都市間交通データの分析結果より, 航空が選択肢に含まれる場合, 交通時間価値が高くなるとの結果が得られている. これは, 航空利用者の交通時間価値が高いことが, 全モード共通の交通時間価値に影響を与えているためと思われる. 同様に, バスが選択肢集合に含まれる交通機関選択モデルを使用した場合には, いずれのモデルにおいても, 交通時間価値が低くなるとの結果が得られている. これは, バス利用者が主に高齢者や学生のような賃金率の低い者であるために, バス利用の交通時間価値が低いことが影響していると思われる. また, 重回帰式により全交通データで分析した結果より, 徒歩 自転車が選択肢集合に含まれる交通機関選択モデルを使用した場合に, 交通時間価値が高くなるという結果が得られている. これは, 徒歩や自転車の利用は, 肉体的負担が高いために, 式 (5) の右辺第二項に当 表 -5 Wardman 式による交通時間価値のメタ分析の推定結果 全交通 都市内交通 都市間交通 変数 係数 t 値 係数 t 値 係数 t 値 定数項 通勤目的ダミー 業務目的ダミー 航空選択肢ダミー バス選択肢ダミー 休日ダミー 秋季ダミー SPデータダミー RPデータダミー ラインホールダミー アクセス交通ダミー Nested Logitモデルダミー Probitモデルダミー 経路選択行動ダミー 関東圏ダミー 近畿圏ダミー 配布調査ダミー 人当たり実質 GDP N=198, R 2 =0.38 N=144, R 2 =0.32 N=54, R 2 =0.64 8

9 たる商品としての時間価値が大きくなることが原因だと思われる. (e) 休日の特性による影響重回帰式を用いる場合の全交通データ, 都市内交通データおよび Wardman 式を用いる場合の都市内交通データによる分析結果より, 休日だと交通時間価値が低くなるという結果が得られた. これは, 休日の方が平日よりも, 利用可能時間の制約が緩いために, 式 (5) の右辺第一項にあたる資源としての時間価値が低くなるためだと思われる. (f) 季節による影響季節が交通時間価値に与える影響のメカニズムは, 都市内交通と都市内交通とで異なるものと予想される. そこで, これらを個別に考察する. まず, 都市内交通に着目すると, 重回帰式,Wardman 式のいずれを用いた場合でも, 都市内交通の秋季では, 交通時間価値は高くなるという結果が得られた. また, 都市内交通の冬季についてみると, 重回帰式の結果によれば, やはり交通時間価値は高くなるという結果が得られている. これは, 秋 冬季が, 一年間のうちで比較的生活パターンが安定的な時期であるため, 時間配分だけでなくスケジュール制約が交通時間価値に反映されているためである可能性がある. 例えば, 自宅出発時刻や会社への出勤時刻が安定的な状況下では, スケジュール遅延あるいは早着に対する忌避が強くなることが予想される. こうした状況では, 所要時間の限界的な変化に対する効用の変化分が, 単なる配分時間の影響だけでなく, スケジュールによる影響も受けている可能性が高い. 次に, 都市間交通に着目すると,Wardman 式を用いる場合の秋季では, 交通時間価値は低くなるという結果が得られている. これは, 秋季が, 季節的に観光シーズンであり, 観光交通が他の目的の交通より卓越していることと, 観光目的交通の交通時間価値が, 業務目的交通の交通時間価値より低いことが原因であると予想される. つまり, 秋季には, 交通時間価値の低い観光交通が多いため, 交通時間価値が低くなるのだと考えられる. (g) データ収集方法による影響全体として,SP 調査によって得られたデータを使用すると交通時間価値が低くなり,RP 調査によって得られたデータを使用すると交通時間価値が高くなる, という結果が得られた. これは, 第一に,SP 調査によるバイアスが影響していると考えられる.SP 調査では, 被験者に対して, 交通費用や交通時間に関する情報が直接提供されることが多い. ここで, 被験者が, 交通費用が高くなるような政策が導入されないよう戦略的に回答を行ったり ( 一種の政策操縦バイアス ), あるいは交通費用を他の特性要素よりも過度に重要視したりすると, 所得に関する限界効用が高くなるバイアスが生じ, 結果として交通時間価値が低く推定される可能性がある. 第二に,RP データでは, 人々の現実の支払負担状況が, 分析結果に影響を与えている可能性も指摘できる. 例えば, 我が国では, 多くの企業が通勤手当を支給しているため, 通勤者が, 計算上の交通費用よりも実質的に少ない金額しか負担していないケースが多い. その場合には, 消費者の交通費用に関する感度が低くなる ( あるいは, 交通費用にかかるパラメータの絶対値が小さくなる ) ために, 交通時間価値が高く推定されることになる. なお, 配布調査法が, 一部のモデルに影響を与えるという結果も得られているが, これらの原因については不明である. (h) 移動形態による影響まず, 重回帰式による都市内交通データを用いた場合と,Wardman 式による全交通データを用いた場合で, ラインホールの交通時間価値は低くなるとの結果が得られた. これは, 鉄道や飛行機等に乗車していると, 移動しなくて良かったり, 着席できたりすることによって, 肉体的な負担が低くなるために, 式 (5) の右辺第二項に当たる商品としての時間価値が低くなっているためだと思われる. 次に, 主に都市内交通において, アクセス交通および待ち時間で交通時間価値が高くなるという結果が得られた. これは, アクセス交通時の疲労等の身体的要因や, 駅で列車を待っている間のイライラ感等による心理的要因によって, 商品としての時間価値が高くなることによるためと思われる. (i) モデルの特性による影響まず, 重回帰式,Wardman 式いずれの場合も, 経路選択行動モデルを用いて推定された交通時間価値は低くなることが示された. 原因は定かではないが, この結果は, 交通経路を選択する場合には, そうでない選択の場合よりも, 交通時間の感度 ( あるいはパラメータ値の絶対値 ) が小さく推定される一方で, 交通費用の感度 ( あるいはパラメータ値の絶対値 ) が大きく推定されることを意味する. したがって, 消費者は, 経路選択の場合には, 交通時間よりも交通費用をより強く意識すると解釈できるであろう. 同様に, 重回帰式を用いた場合, 都市間交通で目的地選択モデルが使用されるときには交通時間価値が高くなるという結果が得られているが, 原因は定かではない. また, 重回帰式を用いる場合, 交通全体データによる分析結果より,MNL モデルだと交通時間価値が低くなること, Wardman 式による都市内交通データを用いた分析結果より,Nested Logit モデルが使用される場合には, 交通時間価値が低くなる一方で,Probit モデルが使用される場合には, 交通時間価値が高くなるという結果が得られている. これらの原因は不明であり, さらなる研究による原因究明が必要だと考えられる. (j) 一人当たり GDP による影響一人当たり GDP が増加するほど, 交通時間価値は高くなるという結果が得られた. これは, 所得が多くなるほど, 所得制約は緩和されるので, 消費者によって認知される所得に関する限界効用が低下し, 交通時間価値は増加するためである. 9

10 (k) 地域による影響まず, 重回帰式による全交通データを用いた分析でも,Wardman 式による都市内交通データを用いた分析でも, 関東圏在住者の交通時間価値が低くなる結果が得られている. 同様に,Wardman 式による全交通データを用いた分析では, 近畿圏在住者の交通時間価値が低くなる結果が得られている. 関東圏在住者の方が, それ以外の地域在住者よりも賃金率が高いことが予想されるので, むしろ交通時間価値は高くなると期待されることから, 意外な結果といえるであろう. 6. まとめ 本研究では, 我が国で行われた交通行動の研究成果を用いて, 我が国の旅客交通時間価値の特性についてメタ分析を行った. 本研究で使用したデータは,1980 年から 2006 年の間に発表された審査付き論文において, 主に離散選択分析によって交通行動を分析した研究成果であり, 最終的に 198 の交通時間評価値を用いた. まず, 対象とした研究で使用された手法や基礎データの時系列的な特性を分析し, 次に, 都市内交通や都市内交通, 交通目的等の特性別に交通時間価値の統計値を求めて比較を行った. その後, メタ回帰分析によって交通時間価値の算定式を推定した. その結果, 都市間交通の交通時間価値は都市内交通の交通時間価値よりも高いこと, 通勤 業務目的交通の交通時間価値はそれ以外の目的の交通よりも高くなること, 航空利用者の交通時間価値は, 他の交通機関利用者よりも高くなること, 平日の交通時間価値は休日よりも高いこと,SP データを使用して推定された交通時間価値は RP データを使用した場合よりも低いこと, 等が明らかとなった. また, それらの原因を, 交通時間価値の理論的な背景から考察した. これらの成果は, 今後の我が国における交通時間価値の検討に寄与できるものと思われる. 推定精度に依然として問題は残るものの, 本研究で推定された回帰モデルを活用することよって, 個別のデータを収集することなく, 交通時間価値の概算値をある程度得られるようになった. また, モデルの特性やデータ収集方法の特性が, 交通時間価値に与える影響を把握できたことにより, 今後, 新たなモデルが新たなデータを用いて推定されるときに, その結果を, 既存のモデルの特性と比較し, 客観的に評価することに使用することもできるであろう. なお, 本研究の成果によれば, 交通時間価値は, 都市間 / 都市内, 休日 / 平日, 交通目的, 交通の行われる時期等によってある程度異なる数値が設定されるべきと考えられる. こうしたより緻密な交通時間価値の設定により, より現実に即した交通時間節減の便益評価が可能になるものと期待される. 本研究の取り組みをもとに, 英国やオランダ等の国々のように, 交通時間価値に関する本格的な調査研究が継続的に行われることを強く期待したい. 最後に, 本研究に残された課題は, 次の通りである. 単純集計やメタ回帰分析による分析を行うためのデータセットを作成するために, 本研究では数多くの研究を網羅的に収集した. そして, それらの研究の中から, 分析に堪えうるだけの信頼性の高い研究のみを厳選して分析対象とすることに努めた. しかし, それぞれの研究で分析に用いられたデータの信頼性は各研究者に委ねざるを得ない上に, 研究が妥当な方法で行われたかをメタ分析者が厳密に判断するのは困難であり, 掲載された論文のみからによって研究の信頼性の全てを保障することは不可能である. また, 同一のデータが重複して使用されている研究が複数あるケースもあり, その際に利用されたデータ自体の偏りがメタ回帰分析の分析結果に影響を及ぼす可能性も懸念される. また, 今回の分析結果によれば, 交通行動モデルの設定やデータの特性, 調査方法などの研究手法に関する条件が, 交通時間価値に対してかなり強い説明力を持つことが明らかになった. ところが, 実務的な観点から見れば, これらは必ずしも重要な要件ではない. 今後, 実務において, 大規模かつ詳細な調査を行うことなく, 簡便に交通時間価値を得るための算定式を得るためには, このようなモデルの特性に依存しない算定式であることが望ましい. 最後に, 本研究のようなメタ分析は, 我が国の土木計画学を中心とする交通行動分析の蓄積があったからこそ実行可能であったといえる. その意味では, 土木計画学のこれまでの取り組みが今回の研究成果へと結実できたわけだが, さらに確固たるメタ分析を実行するためには. 今後とも研究成果の蓄積を継続していく必要があることが言うまでもない. 謝辞 : 本研究におけるデータ収集にあたり,( 株 ) 企画開発の早崎詩生氏, 東京大学大学院工学系研究科の中尾浩一郎氏に大変お世話になった. また, 屋井鉄雄先生 ( 東京工業大学 ), 藤井聡先生 ( 東京工業大学 ), 羽藤英二先生 ( 東京大学 ) には, 新道路研究会における発表において貴重な意見をいただいた. なお, 本研究は, 科学研究費補助金 ( 研究課題名 : 旅行者の交通時間価値に関する総合的研究 ; 研究代表者 : 加藤浩徳 ) の補助を受けて行われたものである. ここに深く感謝する次第である. 10

11 付録メタ分析に使用した論文 本研究のメタ分析において使用した論文は以下の通りである. 1) 杉恵頼寧 : 非集計型ロジットモデルによる短期交通政策の評価, 都市計画学術研究発表会論文集,No.15,pp , ) 杉恵頼寧 : 通勤交通手段の選択構造に関する一考察, 都市計画学術研究論文集,No.19,pp31-36, ) 折田仁典, 清水浩志郎, 栗田亨 : 交通過疎地域における交通手段選択行動に関する考察, 都市計画学術研究論文集, No.19,pp.25-30, ) 杉恵頼寧, 山本英信 : 計算値と調査値のサービス指標を用いた非集計ロジットモデルの適用性の比較, 都市計画学術研究論文集,No.21,pp , ) 木下瑞夫, 山田晴利, 田島透 : バスのサービス水準向上が需要に及ぼす効果の分析, 土木計画学研究 論文集,No.3, pp , ) 森地茂, 田村亨, 屋井鉄雄, 兵藤哲朗 : 観光交通量予測モデルの事後的分析, 土木計画学研究 論文集,No.4, pp , ) 鈴木聡, 原田昇, 太田勝敏 : 意識データを用いた非集計モデルの改良に関する分析, 土木計画学研究 論文集,No.4, pp , ) 肥田野登, 篠原穣 : 鉄道サービスの質的評価に基づいた都市通勤輸送におけるハイグレードカーの導入可能性に関する研究, 土木学会論文集,No.413/IV-12,pp.57-66, ) 藤原章正, 杉恵頼寧 : 選好意識データに基づく交通手段選択モデルの信頼性, 土木計画学研究 論文集,No.8,pp.49-56, ) 森地茂, 兵藤哲朗, 島村喜一 : 首都圏深夜交通の実態分析とその政策課題, 土木計画学研究 論文集, No.9,pp.85-92, ) 森地茂, 兵藤哲朗, 岡本直久 : 時間軸を考慮した観光周遊行動に関する研究, 土木計画学研究 論文集,No.10,pp.63-70, ) 藤原章正, 杉恵頼寧 : 選好意識データの安定性と信頼性, 都市計画論文集,No.25,pp , ) 川上洋司尾崎俊秀, 本多義明 : 地方都市鉄道活性化のための潜在需要分析, 都市計画論文集,No.27,pp , ) 杉恵頼寧, 藤原章正 : 交通機関選好意識の 2 時点パネル分析, 都市計画論文集,No.28,pp.79-84, ) 屋井鉄雄, 岩倉成志, 伊東誠 : 鉄道ネットワークの需要と余剰の推計法について, 土木計画学研究 論文集,No.11, pp.81-88, ) 古市正彦,Frank S. Koppelman: 国際航空旅客需要に関する統合型予測モデルの開発, 土木計画学研究 論文集,No.11, pp , ) 杉惠頼寧, 藤原章正, 山根啓典 : 選好意識パネルデータに潜在する消耗バイアスの修正, 土木計画学研究 論文集,No.11, pp , ) 家田仁, 加藤浩徳 : 大都市郊外駅へのアクセス交通における自転車利用者行動の分析, 都市計画論文集,No.30, pp , ) 吉田朗, 原田昇 : 鉄道の路線 駅 結節交通手段の選択を含む総合的な交通手段選択モデルの研究, 土木学会論文集 Ⅳ, No.542/Ⅳ-32,pp.19-31, ) 屋井鉄雄, 中川隆広, 石塚順一 : シミュレーション法による構造化プロビットモデルの推定特性, 土木学会論文集 Ⅳ,No.604/ Ⅳ-41,pp.11-21, ) 小林潔司, 福山敬, 秀島栄三, 藤井信行 : 過疎地域におけるバスサービスの最適維持方策に関する研究, 土木学会論文集 Ⅳ,No.611/Ⅳ-42,pp.45-56, ) 家田仁, 加藤浩徳, 城石典明, 梅崎昌彦, 石丸浩司 : 東京圏鉄道旅客流動予測システムの開発とその適用 乗降駅選択及び経路, 列車種別選択モデル, 土木計画学研究 論文集,Vol.13,pp , ) 溝上章志, 柿本竜治 : 系列相関を持つ複数データを用いた離散型選択モデルの実用的推定法, 土木学会論文集 Ⅳ, No.618/Ⅳ-43,pp.53-60, ) 山本俊行, 藤井聡, 吉田洋, 北村隆一 : 世帯構成員間の関係に基づいた自家用車利用確率を考慮した交通機関選択モデルの構築, 土木計画学研究 論文集,No.13,pp , ) 佐々木邦明, 岡崎真人, 河上省吾 :SP RP および態度データを用いた意思決定者の嗜好に基づく交通機関選択モデル, 土木計画学研究 論文集,No.13,pp , ) 森川高行, 佐々木邦明, 東力也 : 観光系道路網整備評価のための休日周遊行動モデル分析, 土木計画学研究 論文集, No.12,pp , ) 関宏志, 西井和夫, 田中厚, 森川健 : 甲府市 P&BR 社会実験における ED/SP データを融合した通勤手段選択モデル, 土木計画学研究 論文集,No.16,pp , ) 清水哲夫, 屋井鉄雄 :Mixed Logit Model とプロビットモデルの推定特性に関する比較分析, 土木計画学研究 論文集,No.16, pp , ) 兵藤哲朗, 章翔 :Mixed Logit モデルの汎用性に着目した特性比較分析, 土木学会論文集 Ⅳ, No.660/Ⅳ-49,pp.89-99, ) 北村隆一, 酒井弘, 山本俊行 : 複雑な内生抽出法に基づく標本への離散選択モデルの適用, 土木学会論文集 Ⅳ,No.667/ Ⅳ-50,pp ,

12 31) 内山久雄, 日比野直彦 : アクセス交通を考慮した首都圏鉄道計面への GIS の適用, 運輸政策研究,Vol.2,No.4,pp.12-20, ) 福田大輔, 森地茂 : 選択行動間の相互依存性に着目した観光交通行動分析, 土木計画学研究 論文集, Vol.18, pp , ) 加藤浩徳, 芝海潤, 林淳, 石田東生 : 都市鉄道駅における乗継利便性向上施策の評価手法に関する研究, 運輸政策研究, Vol.3, No.2,pp.9-20, ) 武藤雅威, 内山久雄 : 休日の旅客動向に基づく幹線鉄道のサービス方策に関する研究, 土木計画学研究 論文集,No.17, pp , ) 中川大, 松中亮治, 芦澤宗治, 青山吉隆 : 都市内交通シミュレーションを用いたパッケージ施策の便益計測に関する研究, 都市計画論文集,Vol.36,pp , ) 山口耕平, 青山吉隆, 中川大, 松中亮治, 西尾健司 : ライフサイクル環境負荷を考慮した LRT 整備の評価に関する研究, 土木計画学研究 論文集, Vol.18, No.4, pp , ) 青野貞康, 室町泰徳, 原田昇, 太田勝敏 : コンピュータベース調査による交通行動データ収集手法の開発, 土木計画学研究 論文集,Vol.18,No.1,pp , ) 武藤雅威, 内山久雄 : 新幹線と航空の競合時代を反映した国内旅客幹線交通の現状と展望, 運輸政策研究,Vol.4,No.1, pp.2-7, ) 屋井鉄雄, 清水哲夫, 坂井康一, 小林亜紀子 : 非 IIA 型選択モデルの選択肢集合とパラメータ特性, 土木学会論文集 Ⅳ, No.702/Ⅳ-55,pp.3-13, ) 加藤浩徳, 家田仁, 中嶋義全 : 料金支払方法間の価格感度の差違に関する実証的分析 - 都市鉄道経路選択行動を対象に -, 土木学会論文集,No.695/IV-54,pp , ) 佐藤寛之, 青山吉隆, 中川大, 松中亮治, 白柳博章 : 都市公共交通ターミナルにおける乗換抵抗の要因分析と低減効果による便益計測に関する研究, 土木計画学研究 論文集,Vol.19 No.4,pp , ) 荒川英司, 井上晋一 : 利用者の視点からみた鉄道線区重要度評価とその適用に関する事例研究, 土木計画学研究 論文集, Vol.19,No.4,pp , ) 村上岳司, 原田昇, 太田勝敏 :SP 調査における所要時間信頼性の表現形式が選択に与える影響, 土木計画学研究 論文集, Vol.20,No.3,pp , ) 加藤浩徳, 中嶋義全, 今井誠 : 事前購入型チケットの特性及び経路選択行動を考慮した都市鉄道の運賃支払方法選択に関する基礎的分析, 土木計画学研究 論文集,Vol.19, No.3,pp , ) 枦元淳平, 塚井誠人, 奥村誠 : 複数経路を考慮した鉄道 航空ネットワークの評価, 土木計画学研究 論文集,Vol.20,No.1, pp , ) 烏頭尾昌宏, 徳永幸之 : 学生の居住地 交通手段保有遷移を考慮した TDM パッケージ施策評価, 都市計画論文集, No.38-3,pp , ) 加藤浩徳, 金子雄一郎, 井上真志 : 交通プロジェクトの利用者便益評価における OD 間代表一般化費用に関する諸問題 ロジットモデルを用いる場合のケーススタディ, 運輸政策研究,Vol.6,No.1,pp.23-38, ) 花岡伸也 : 複数空港システムにおける機能分担の評価 首都圏複数空港を事例として, 運輸政策研究,Vol.5,No.4, pp.2-13, ) 花岡伸也 : 複数空港選択におけるフライト時間とアクセス時間の関係, 交通学研究 2002 年研究年報,pp.41-50, ) 大橋忠宏, 宅間文夫, 土谷和之, 山口勝弘, 堀健一 : ネットワークを考慮した航空旅客市場での空港拡張の効果 : 羽田空港を例として, 土木学会論文集,No.772/IV-65,pp , ) 佐々木邦明 :Stated Choice と態度指標を総合した意識構造のモデル化とその比較検証, 土木学会論文集 Ⅳ, No.765/Ⅳ -64,pp.29-38, ) 張峻屹, 杉恵頼寧, 藤原章正 : 横断的及び縦断的異質性を考慮した交通選択行動ダイナミックスの表現, 土木学会論文集 Ⅳ, No.765/Ⅳ-64,pp.3-15, ) 神田佑亮, 泉典宏, 山口浩孝, 藤原章正 : 通勤時の TDM パッケージ施策導入時の効果予測手法に関する研究, 土木計画学研究 論文集,Vol.21,No.2,pp , ) 加藤浩徳, 小野田恵一, 家田仁 : 都市鉄道の経路選択行動における最小知覚差の計測ならびにその交通需要に与える影響, 運輸政策研究,Vol.7,No.2,pp.2-9, ) 金子雄一郎 : 大都市圏における鉄道運賃の問題と改善方策 運賃共通化の検討を中心として, 運輸政策研究,Vol.7, No.2,pp.10-19, ) 森川高行, 永松良崇, 三古展弘 : 新交通システム需要予測の事後評価 ピーチライナーを例として, 運輸政策研究,Vol.7, No.2,pp.20-29, ) 武藤雅威, 柴田宗典, 日比野直彦, 内山久雄 : 主観的意識に着目した休日の幹線交通機関選択行動に関する研究, 運輸政策研究,Vol.6,No.4,pp.02-11, ) 村上直樹, 枦元淳平, 奥村誠, 塚井誠人 : 地方空港アクセスが広域的利用に与える影響, 土木計画学研究論文集,Vol.22, pp , ) 加藤浩徳, 小野田恵一, 木全正樹 : 交通時間と交通時間節約価値との関係に関する分析一観光目的の都市間幹線交通を事例として一, 運輸政策研究,Vol.9,No.2,pp.02-14, ) 綾城本祐, 久保田勤, 小島建太, 齊原潤 : 羽田空港アクセス交通需要予測モデルの構築と改善施策の検討に関する調査研究, 運輸政策研究,Vol.9,No.3,pp.2-13,

13 注 (1) 厚生労働省統計情報部 賃金センサス ( 平成 14 年賃金構造基本統計調査 ) の所定内給与ならびに事業所規模 30 人以上の常用労働者一人平均月間労働時間数の調査産業合計値をもとに 2000 年時点の平均賃金率を計算すると, 男性では 37.3 円 / 分, 女性では 27.9 円 / 分となる. 参考文献 1) Becker, G. S. : A theory of the allocation of time, Economic Journal, Vol.75, pp , ) De Serpa, A.: A theory of the economics of time, Economic Journal, Vol.81, pp , ) Evans, A. W.: A general theory of the allocation of time, Scotish Journal of Political Economy, Vo.19, pp.1-17, ) Jara-Diaz, S. D.: Allocation and valuation of travel-time savings, Handbook of Transport Modelling, Hensher, D. A. and Button, K. J. eds., Elsevier Science Ltd, pp , ) Jara-Diaz, S. D.: On the goods-activities technical relations in the time allocation theory, Transporation, Vol.30, pp , ) Beesley, M. E.: The value of time spent in traveling: Some new evidence, Economica, Vol.32, pp , ) Quarmby, D. A.: Choice of travel mode for the journey to work, Journal of Transport Economics and Policy, Vol.1, pp , ) McFadden, D. L.: Conditional logit analysis of qualitative choice behavior, In Zarembka, Paul (ed.) Frontiers in Econometrics, Academic Press, New York, ) Train, K. and McFadden, D.: The goods/leisure tradeoff and disaggregate work trip mode choice models, Transportation Research, Vol.12, pp , ) Truong, T. P. and Hensher,D. A.: Measurement of travel times values and opportunity cost from a discrete-choice model, Economic Journal, Vol. 95, pp , ) Bates, J. J.: Measuring travel time values with a discrete choice model: A note, Economic Journal, Vol.97, pp , ) The MVA Consultancy, Institute of Transport Studies at Leeds University, Transport Studies Unit at Oxford University : Value of Travel Time Savings, Policy Journals, Newbury, Berks, ) Hague Consulting Group: The Nethoerland s Value of Time Study: Final Report, Report to Dienst Veerkeerskunde, Rijkswaterstaat, The Hague, ) Ramjerdi, F., Rand, L. and Saelensminde, K.: The Norwegian Value of Time Study: Some Preliminary Results, Institute of Transport Economics, Oslo, Norway, ) Alger, S., Dillenm J. L. and Widlert, S.: The National Swedish Value of Time Study, Paper presented at the PTRC Internatinal Conferenceon the Value of Time, ) Pursula, M. and Kurri, J.: Value of Time Research in Finland, Paper presented at PTRC International Conference on the Value of Time, ) Wardman, M.: The value of travel time A review of British evidence, Journal of Transport Economics and Policy, Vol.32, pp , ) 金本良嗣 : プロジェクト評価定着に向けての課題, エコノミックス,No.3, pp.64-69, ) 加藤浩徳 : 交通事業の費用便益分析の現状と課題, 運輸と経済, 第 64 巻第 1 号,pp.27-35, ) 上田孝行 : 道路事業の評価に関する研究課題と今後の展望, 交通工学,Vol.43,No.1,pp.6-14, ) 円山琢也 : 交通需要予測モデルと利用者便益評価 : 体系化と課題の整理,Vol.43,No.1,pp.40-48, ) Kulinskaya, E., Morgenthaler, S. and Staudte, R. G.: Meta Analysis: A Guide to Calibrating and Combining Statistical Evidence, John Wiley & Sons, ) Hunterm J. E. and Schmidt, F. L.: Methods of Meta-Analysis: Correcting Erro and Bias in Research Findings, Sage Publishers, ) 丹後俊郎 : メタ アナリシス入門 : エビデンスの統合をめざす統計手法, 朝倉書店, ) Kremers, H., Nijkamp, P. and Rietveld, P.: A meta-analysis of price elasticities of transport demand in a general equilibrium framework, Economic Modeling, Vol.19, pp , ) Espey, M.: Gasonline demand revisited: an international meta-analysis of elasticities, Energy Economics, Vol. 20, pp , ) Wardman, M.: A review of British evidence on time and service quality valuation, Transportation Research, Vol.37E, pp , ) Wardman, M.: Public transport values of time, Transport Policy, Vol.11, pp , ) Stanley, T.D. and Jarrell, S. B.: Meta-regression analysis: a quantitative method of literature surveys, Journal of Economic Surveys, Vol.3, pp ,