知って得する！現役ヘルプデスクが答えるDelphiテクニカルエッセンス 8.0

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1 セッション No.3 知って得する! 現役ヘルプデスクが答える Delphi テクニカルエッセンス 8.0 株式会社ミガロ. RAD 事業部技術支援課 吉原泰介

2 アジェンダ - サポートからの問合せフィードバック - Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? Q2. EXE のサイズを小さくするには? Q3. C/S アプリで 3 階層接続を行うには?

3 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? 質問 Acrobat 等のツールを使わずに Delphi/400 で Excel ファイルを PDF に変換することはできますか? 回答 Excel2007 以降では 実は Excel 自身に PDF エクスポートの機能が実装されています Delphi/400 から この機能を OLE で利用することで Acrobat 等のツールを使わなくても Excel ファイルを PDF に変換することができます

4 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? Excel2007 以降に提供されている PDF 変換機能 Excel2010

5 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? Excel を PDF 変換するサンプルプログラム ダイアログでファイルを設定 Excel の機能を利用して PDF に変換

6 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? OLE から ExportAsFixedFormat 関数で PDF 機能を利用する 呼出パラメータ 1 XlFixedFormatType (XlFixedFormatType) PDF 形式または XPS 形式のどちらで保存するかを指定する 2 Object Filename (OleVariant) 保存ファイルの完全パス 省略した場合 現在のフォルダーに保存される 3 Object Quality (OleVariant) エクスポートされるファイルの品質を指定する 4 Object IncludeDocProperties (OleVariant) 文書のプロパティを含める場合は true それ以外は false

7 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? 呼出パラメータ 5 Object IgnorePrintAreas (OleVariant) 印刷領域を無視する場合は true それ以外は false 6 Object From (OleVariant) エクスポートを開始するページ番号 7 Object To (OleVariant) エクスポートする最終ページ番号 8 Object OpenAfterPublish (OleVariant) 直ちにビューアーで表示する場合は true それ以外は false 9 Object FixedFormatExtClassPtr (OleVariant) IMsoDocExporter インターフェイスの実装へのポインタ

8 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? 変換ボタンの処理 ( ソース ) procedure TForm1.BitBtn1Click(Sender: TObject); var Excel : Variant; WBook : Variant; Wsheet : Variant; ver : Currency; begin try Excel := CreateOleObject( 'Excel.Application' ); Excel.Application.Visible := True; Ver:=StrToFloatdef(Excel.Application.Version,0.0); if Ver<12.0 then begin ShowMessage( Excel2007 以降でしか使えません '); Excel.Quit; Exit; end; //Excelを表示 //Excelバージョンの取得 //Excel2007 以前はエラー

9 Q1. Excel ファイルを PDF に変換するには? 変換ボタンの処理 ( ソース ) WBook:=Excel.Application.WorkBooks; WBook.Open(edtxlsFile.Text); // 画面で設定したExcelを読み込む WSheet := Excel.Application.ActiveSheet; WSheet.ExportAsFixedFormat( //Excel PDF 変換処理 $ , // Type : PDF $ XPS $ edtpdffile.text, // Filename : 変換するファイル名 $ , // Quality : 通常 $ 最小 $ True, // IncludeDocProperties: ドキュメント有効 True, // IgnorePrintAreas : 印刷範囲有効 EmptyParam, // From : 開始ページ EmptyParam, // To : 終了ページ True, // OpenAfterPublish : 作成後表示 EmptyParam ); finally WBook.Close; end; end; Excel.Quit; //Book 終了 //Excel 終了 // FixedFormatExtClassPtr: ポインタ 既存の Excel 処理も簡単に PDF 出力を機能拡張できます!

10 Q2. EXE のサイズを小さくするには? 質問 アプリケーションの EXE のサイズが大きくなってしまったのですが サイズを小さくすることはできますか? 回答 Delphi/400 のアプリケーションは 基本 1 つの EXE に全て必要なモジュールが組み込まれているので 配布が簡単なことが利点ですが サイズも大きくなります しかし EXE に組み込まれたランタイムのパッケージを分離すると EXE のサイズを小さくすることができます

11 Q2. EXE のサイズを小さくするには? Delphi/400 アプリケーションの EXE サイズ Delphi/400 はプログラムをコンパイルすると通常 全てを含んだ 1 つの EXE アプリケーションを生成 クライアント PC たくさんの画面や機能を作りこむとサイズが比例して大きくなります

12 Q2. EXE のサイズを小さくするには? Delphi/400 アプリケーションの EXE サイズ EXE の中には必要なものが全て含まれていますが コンポーネント情報などが含まれるパッケージ (.bpl ファイル ) を分離することで EXE のサイズを小さくすることもできます メモ情報 bpl ファイルとは Borland Package Library が略された拡張子のファイルになります コンポーネントなどの標準で部品化されたプログラム情報が含まれており Delphi 開発 PC 内にあります 自作することもできますが 基本的には bpl は完成されたものなので 変更されたりはしません XXX.bpl XXX.bpl 分離 XXX.bpl XXX.bpl 通常は EXE 内にパッケージ情報を含めている 分離するとパッケージ分サイズが小さくなる

13 Q2. EXE のサイズを小さくするには? EXE からパッケージを分離する [ プロジェクト オプション ] からパッケージを選択し 実行時パッケージを使って構築 のチェックを入れてコンパイル

14 Q2. EXE のサイズを小さくするには? EXE からパッケージを分離する パッケージを分離すると必要最低限の EXE サイズになります ( パッケージは別途配布が必要です ) クライアント PC XXX.bpl XXX.bpl パッケージ分サイズが大幅に小さくなる

15 Q2. EXE のサイズを小さくするには? パッケージを分離する場合の注意点 小さくなった EXE だけを配布しても 実行すると以下のようなエラーになるので注意 参照エラー XXX.bpl XXX.bpl EXE に含まなくても PC 内にパッケージは必要です

16 Q2. EXE のサイズを小さくするには? 配布が必要なパッケージを調べる EXE で使用している ( 配布が必要な ) パッケージは [ プロジェクト プロジェクト名の情報 ] で確認 XXX.bpl XXX.bpl プロジェクトの情報で この EXE が使用しているパッケージが表示される bpl は自分で作成しないかぎり 変更はないので基本的に 1 度配布すれば OK!

17 Q2. EXE のサイズを小さくするには? こんな場合にサイズが小さいことが有効 EXE の入れ替えが多い場合 クライアント PC サイズが小さければ EXE の入れ替え ( 上書き ) がスムーズにできる! XXX.bpl XXX.bpl EXE がたくさんある場合 ランタイムのパッケージはどの EXE にも組み込まれるので 分離しておくと EXE 毎に無駄な重複がなくなる!

18 質問 C/S アプリケーションで Web のように 3 階層方式で接続を行う仕組みは開発できますか? 回答 Delphi/400 には DataSnap という機能がありますが これを使用することで dbexpress での 3 階層方式での接続アプリケーション開発も可能です 特に V2010 以降は大きく機能追加されており 簡単に仕組みを構築することができます

19 3 階層の接続の仕組みでは どんな効果があるか? PC 毎の環境構築や管理が手間になっている 各 PC は EXE を配布するだけで環境構築なしで使える! クライアントアプリケーションは 画面 サーバアプリケーションは 機能 という作り分けをすれば 機能の変更時にサーバだけで対応 ( モジュール入れ替え ) できる! PC 上でのクライアントアプリケーションの動作負荷が大きい クライアントの負荷をサーバ経由で軽減することができる!

20 C/S アプリケーションでの 2 階層接続の仕組み クライアント PC クライアントアフ リケーション Delphi/400 クライアント PC クライアントから IBM i へ直接接続 IBM i (AS/400) Delphi/400 (CO4XX) クライアントアフ リケーション Delphi/400 DB2/400

21 C/S アプリケーションでの 3 階層接続の仕組み ( アプリケーションの仕組みによって実現する方法 ) クライアント PC アプリケーションサーバ IBM i (AS/400) クライアントアフ リケーション サーハ アフ リケーション Delphi/400 (CO4XX) クライアントアフ リケーション クライアントはサーバへアクセス Delphi/400 サーバから IBM i へ接続 DB2/400

22 DataSnap とは DataSnap は 多層アプリケーション とりわけ多層データベースアプリケーションの開発を可能にする Delphi/400 の技術です DataSnap は V2009 で大幅に機能が再構築され V2010 ではより使いやすく 機能も拡張されました 多層アプリケーションを作成する使いやすいウィザードも用意され 簡単に開発ができるようになりました V2009,V2010 と強化された DataSnap

23 サーバアプリケーションの作り方 クライアント PC クライアントアフ リケーション アプリケーションサーバ サーハ アフ リケーション IBM i (AS/400) Delphi/400 (CO4XX) Delphi/400 DB2/400

24 サーバアプリケーションの作り方 1 メニューの [ ファイル 新規作成 その他 ] から DataSnapServer を選択

25 サーバアプリケーションの作り方 2 DataSnapServer の構成を選択して OK サーバ上でどのように実行するかを選択します サーバに常駐で起動させる場合はサービスアプリケーションを使います 接続通信の設定標準は TCP/IP を使います HTTP 経由での通信も可能です

26 サーバアプリケーションの作り方 3 選択した構成によってモジュールが生成 Unit 画面 (VCL フォームアプリケーション時のみ ) ServerMethodsUnit サーバが提供する機能 ServerContainerUnit 通信を制御する機能 ( データモジュール )

27 サーバアプリケーションの作り方 4 ServerMethods に次のコンポーネントを配置 SQLConnection SQLQuery DataSetProvider SQLConnection SQLQuery 今回は IBM i への接続と SQL 発行をサーバアプリケーションの機能として ServerMethods に実装します DataSetProvider

28 サーバアプリケーションの作り方 5 SQLConnection コンポーネントの設定 ConnectionName プロパティを CO400CONNECTION に設定 接続名 Params プロパティを設定 ユーサ ーハ スワート 接続名 ライフ ラリ名

29 サーバアプリケーションの作り方 6 SQLQuery コンポーネントの設定 SQLConnection プロパティを SQLConnection1 に設定

30 サーバアプリケーションの作り方 7 DataSetProvider コンポーネントの設定 DataSet プロパティを SQLQuery1 に設定 Option プロパティの poallowcommandtext を True に設定

31 サーバアプリケーションの作り方 8 完成したらコンパイルして アプリケーションサーバ上で起動 クライアント PC アプリケーションサーバ サーハ アフ リケーション IBM i (AS/400) Delphi/400 (CO4XX) Delphi/400 DB2/400

32 クライアントアプリケーションの作り方 クライアント PC クライアントアフ リケーション アプリケーションサーバ サーハ アフ リケーション IBM i (AS/400) Delphi/400 (CO4XX) Delphi/400 DB2/400

33 クライアントアプリケーションの作り方 1 メニューの [ ファイル 新規作成 VCL フォームアプリケーション ] を選択

34 クライアントアプリケーションの作り方 2 フォームに次のコンポーネントを配置 SQLConnection DSProviderConnection ClientDataSet DataSource DBGrid 今回はサーバアプリケーションを利用して IBM i に接続せずにデータを表示する機能を実装します

35 クライアントアプリケーションの作り方 3 SQLConnection コンポーネントの設定 ConnectionName プロパティを DATASNAPCONNECTION に設定 アプリケーションサーバ名 LoginPromptプロパティを False に設定 Paramsプロパティを設定 使用するポートデフォルト :211

36 クライアントアプリケーションの作り方 4 DSProviderConnection コンポーネントの設定 ServerClassName プロパティを TServerMethods1 に入力設定 SQLConnection プロパティを SQLConnection1 に設定

37 クライアントアプリケーションの作り方 5 ClientDataSet コンポーネントの設定 2RemoteServer を設定していると ProviderName プロパティが選択できるので DataSetProvider1 を設定 サーバアプリケーションが起動している必要があります CommandText プロパティに実行する SQL を設定例 )SELECT * FROM CUSTOMER 1RemoteServer プロパティに DSProviderConnection1 を設定

38 クライアントアプリケーションの作り方 6 DataSource コンポーネントの設定 DataSet プロパティを ClientDataSet1 に設定

39 クライアントアプリケーションの作り方 7 DBGrid コンポーネントの設定 DataSource プロパティを DataSource 1 に設定

40 クライアントアプリケーションの作り方 8 データの接続 ( サーバアプリケーションへ接続 ) IBM i に接続する設定はありませんが IBM i の情報を取得して表示することに成功! ClientDataSet コンポーネントの Active プロパティを True に設定するとデータが表示

41 3 階層によってクライアントが EXE だけで IBM i へ接続完成 クライアント PC クライアントアフ リケーション アプリケーションサーバ サーハ アフ リケーション IBM i (AS/400) Delphi/400 (CO4XX) Delphi/400 DB2/400

42 2 階層と 3 階層のメリット デメリット 2 階層 3 階層 Native 接続やセッションなど Delphi/400 の機能をフル活用できる クライアント PC 毎に IBM i への接続の環境構築が必要 基本 dbexpress で SQL 中心の処理になる Native などは作りこみが必要 クライアント PC 毎に IBM i への接続の環境構築が不要 2 階層より劣る点もありますが Web ブラウザよりも自由な C/S 画面を使いつつ PC 管理も軽減できます

43 ご清聴ありがとうございました