感染症の基礎知識

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こうたこのえ
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1 感染症の基礎知識 ~ 利用者と自分を守るために知っておいてほしいこと ~ 1

2 ねらい ( 目指す姿 ) 感染の3 要素がわかる感染経路対策と標準予防策の重要性がわかり確実に行えるノロウイルスインフルエンザの対策がわかる 2

3 今日の話の 3 つのポイント感染の成立には感染源感染経路宿主の3つが必要感染対策として感染経路の対策 ( 特に手洗いを中心とした標準予防策 ) が重要感染性胃腸炎もインフルエンザも症状がなくなっても油断せず手洗いなどを続ける 3

4 本日のメニュー感染症と病原体感染の3 要素感染経路と予防策感染性胃腸炎 ( ノロウイルス等 ) インフルエンザ 4

5 感染症とは病原性微生物 ( 病原体 ) がヒトの体内に侵入し増殖することで症状を引き起こす病気 < 病原体が存在するところ > 水大気土壌病原体は生活空間に多数存在する基本的には外から来る病気 5

6 感染症の根絶ではなく拡大阻止を目指す全ての感染症患者をゼロにすることは出来ないしかし感染症患者を減らすことは出来る! 目標感染拡大の防止感染まん延の防止 6

7 病原性微生物の種類ウイルス細菌真菌マイコプラズマリケッチアクラミジア原虫 7

8 病原体のおよその大きさウイルス細菌真菌ヒト細胞 10nm 0.01μm 100nm 0.1μm 1μm 10μm 100μm 1mm 10 倍 10 倍 10 倍 10 倍 10 倍飛沫 5μm 以上をサージカルマスクで遮断 0.3μm 以上を N95 マスクで遮断 8

9 本日のメニュー感染症と病原体感染の3 要素感染経路と予防策感染性胃腸炎 ( ノロウイルス等 ) インフルエンザ 9

10 感染の 3 要素感染! 感染源宿主感染経路感染には 3 つの要素全てが必要 10

11 感染の 3 要素への対策感染源の排除感染! 宿主の抵抗力の向上宿主感染源感染経路感染経路の遮断 3 つの要素に対策し感染を防ぐ 11

12 感染の 3 要素 ( ノロウイルス ) 感染源ノロウイルス感染! 宿主 ( 対象 ) ヒト接触経口感染感染経路感染には 3 つの要素全てが必要 12

13 感染対策 ( ノロウイルス ) 加熱次亜塩素酸ナトリウム液消毒免疫力を上げる脱水対策宿主ヒト感染源ノロウイルス接触経口感染感染! 手洗い換気マスク手袋感染経路 3 つの要素に対策し感染を防ぐ 13

14 本日のメニュー感染症と病原体感染の3 要素感染経路と予防策感染性胃腸炎 ( ノロウイルス等 ) インフルエンザ 14

15 感染の 3 要素最重要! 感染源宿主感染経路感染経路の遮断 3 つの要素に対策し感染を防ぐ 15

16 感染経路対策の 3 つのポイント施設内職員委託業者設備物品拡げない職員持ち出さない入所者持ち込まない面会者ボランティア入居予定者短期通所サービス利用者高齢者介護施設における感染対策マニュアル p5 を改変 16

17 注意を要する対象者高齢者小児集団生活者調理従事者不特定多数が利用する施設症状を訴えられない症状が分かり難い重症化しやすい集団発生の可能性外部から持ち込まれやすい感染経路の特定が難しい 17

18 感染経路 1. 接触感染経口感染病原体 ( 病原巣 ) と直接間接 ( 水や食物など ) 接触により感染 2. 飛沫感染咳やくしゃみなどにより口から出される粒子 ( 直径 5μm 以上 ) による経気道感染 MRSA 梅毒淋菌腸チフス病原性大腸菌ノロウイルスインフルエンザマイコプラズマ風疹 18

19 19

20 20

21 感染経路 3. 飛沫核感染 ( 空気感染 ) 空気中の飛沫核 ( 直径 5μm 以下 ) を介しての経気道感染結核麻疹水痘 21

22 感染経路対策空気予防策飛沫予防策接触予防策相手に応じて標準予防策相手が誰でも標準予防策がすべての基本 22

23 標準予防策 ( スタンダードプリコーション ) 血液膿尿便血液体液分泌物傷のある皮膚粘膜創傷皮膚 ( キズ ) 嘔吐物唾液痰粘膜感染源として対応 23

24 標準予防策の実際体液分泌物排泄物を扱う際にはケアの前後に手洗いを行うケアの際はマスク手袋ガウンを着用するキットを準備しておくと便利 24

25 < 参考 > 個別の予防策感染経路特徴主な病気対策 ( 職員 ) 接触経口感染飛沫感染空気感染手指食品器具を介して拡がる咳くしゃみ会話などでのしぶきで拡がるしぶきの中の菌やウイルスが空気中に漂い続けるノロウイルス感染症腸管出血性大腸菌感染症 MRSA 感染症インフルエンザ風しん結核麻しん水痘手袋手洗いガウン使用マスクの着用 ( ) うがいの励行原則入院治療高性能マスク (N95 等 ) の着用 ( ) 血液感染汚染血液や体液が針刺し事故等により体内に入り感染 B 型肝炎 C 型肝炎後天性免疫不全症候群手袋着用リキャップ禁止咳などがある場合は患者もサージカルマスクの着用が望ましい 25

26 < 参考 > 防護具ごとの整理 1 必要な個人防護具手指衛生 ( 手洗い ) 実施しなければならない場面血液体液分泌物排泄物汚染物に触れた後手袋を外した後場面を想定して手が目に見えて汚染した場合 ( 血液体液などに触れた ) は手洗いを実施手袋血液体液分泌物排泄物汚染物に触れる場合触れる可能性がある場合オムツ交換口腔ケア陰部洗浄吐物処理血液体液で汚染した場所の清掃気管や口腔内の吸引など 26

27 < 参考 > 防護具ごとの整理 2 必要な個人防護具ガウンエプロン実施しなければならない場面衣類露出した皮膚に血液体液分泌物排泄物が接触する可能性のある場合場面を想定して陰部洗浄尿などを回収オムツ交換吐物処理血液体液で汚染場所の清掃マスクゴーグルフェイスシート血液体液分泌物などの跳ねやしぶきが飛ぶことが予測される処置やケアのとき気管や口腔内の吸引口腔ケア陰部洗浄下痢患者のオムツ交換吐物処理 27

28 < 参考 > 潜伏期と感染性潜伏期 : 感染してから発病するまでの期間感染性 : 他に感染させるか否か症状がなくても感染させることがある潜伏期間感染性期間インフルエンザ 1~3 日発症後 2~5 日間ノロウイルス 1~2(3) 日不顕性 ~1 週間又は 1ヶ月腸管出血性大腸菌感染症 3~5 日 (1 週間以上のこともある ) 発症 ~ 約 1 週間麻疹 10~12 日発症 1~2 日前から解熱後 3 日 28

29 本日のメニュー感染症と病原体感染の3 要素感染経路と予防策感染性胃腸炎 ( ノロウイルス等 ) インフルエンザ 29

30 感染性胃腸炎とは 30

31 ノロウイルスクイズ 31

32 第 1 問 ~ ノロウイルスクイズ ~ 感染したら必ず症状が現れる 32

33 第 1 問答え : 感染しても症状が現れない人もいる ( 不顕性感染 ) 症状がなくても身体の中にウイルスはいるため正しい手洗いをすることが大事 33

34 第 2 問 ~ ノロウイルスクイズ ~ 症状が消失したらすぐ出勤しても良い 34

35 第 2 問答え : 海外のガイドラインでは症状が消失後 48 時間は休職と記載されている症状が消失したあとも長くて4 週間は便へのウイルス排出がある 35

36 感染性胃腸炎の主な原因 ( 参考 ) 細菌腸炎ビブリオ病原性大腸菌サルモネラカンピロバクターウイルスノロロタ腸管アデノ寄生虫クリプトストリジウムアメーバランブル鞭毛虫 36

37 ウイルス性胃腸炎の原因ノロウイルス 30% ロタウイルス 30% 腸管系アデノウイルス 5~10% アストロウイルス 5~10% サポウイルス 5~10% その他 37

38 ノロウイルス感染症 < 大きさ > 約 40nm < 感染経路 > 経口感染 < 潜伏期間 >1~2 日誤嚥窒息脱水に注意! < 症状 > 腹痛悪心嘔吐水様性下痢発熱 < 治療法 > 対症療法 ( 水分補給整腸剤 ) < ウイルス排出期間 >1 週間 ~1 ヶ月止痢剤東京都感染症情報センター 38

39 感染性胃腸炎発生状況 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月相模原市ホームページ 39

40 診断臨床診断が多いノロウイルス迅速キット ( 確実ではない ) RT-PCR 法との陽性一致率 92% 40

41 感染経路 2 ノロウイルス感染者顕性感染者不顕性感染者 1 加熱処理されていない二枚貝ケアする人 3 消毒不十分の汚染水被感染者の手浮遊したウイルス 41

42 感染対策 ( ノロウイルス ) 加熱次亜塩素酸ナトリウム液消毒免疫力を上げる脱水対策宿主ヒト感染源ノロウイルス接触経口感染感染! 手洗い換気マスク手袋感染経路 3 つの要素に対策し感染を防ぐ 42

43 環境整備 ( ノロウイルス感染症 ) (* 別紙参照 ) 次亜塩素酸ナトリウム液を使用する注意点濃度は対象物により異なる冷暗所保存消毒範囲原液濃度にも要注意! 43

44 本日のメニュー感染症と病原体感染の3 要素感染経路と予防策感染性胃腸炎 ( ノロウイルス等 ) インフルエンザ 44

45 インフルエンザ 45

46 インフルエンザクイズ 46

47 第 1 問 ~ インフルエンザクイズ ~ インフルエンザワクチンを接種すると 2~3 日で予防効果が現れる 47

48 第 1 問答え : 予防接種 11~12 月までに! 接種後 2 週間後から5か月くらいまで効果が期待できる 65 歳以上または一定の障害がある60 ~64 歳の人は一部助成あり 48

49 第 2 問 ~ インフルエンザクイズ ~ インフルエンザにかかったあと熱が下がって 2 日くらい経てば普段どおりの生活でよい 49

50 第 2 問答え : インフルエンザ発症前日 ~ 発症後 3~7 日間は鼻やのどからウイルスを排出していると言われるこの期間はマスクをつけておく方が万全 50

51 風邪と季節性インフルエンザの違い病原体が違う流行するのは A B 型風邪ライノウイルスコロナウイルスアデノウイルス RS ウイルスインフルエンザインフルエンザウイルス A 型 B 型 C 型風邪局所的症状 ( 鼻水のどの痛み ) 発熱はあっても微熱 (38 度以下 ) 程度症状が違うインフルエンザ比較的急速に始まる 38 度以上の発熱咳のどの痛み頭痛全身倦怠感関節痛肺炎脳症など重い合併症風邪冬夏季節の変わり目一年を通して流行時期が違うインフルエンザ 1~2 月がピーク 4~5 月頃まで散発的に流行することも 51

52 感染対策 ( インフルエンザウイルス ) 免疫力を上げる予防接種抗インフルエンザ薬宿主ヒト感染源インフルエンザウイルス飛沫接触感染感染! マスク換気咳エチケット感染経路 3 つの要素に対策し感染を防ぐ 52

53 インフルエンザの流行状況インフルエンザ定点当たり報告数 ( 人 ) 週 5 週 9 週 13 週 17 週 21 週 25 週 29 週 33 週 37 週 41 週 45 週 49 週 53 週 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月週 25 年 26 年 27 年 28 年 29 年主に日本では1 月から2 月に流行のピークを迎えるが 53 地域によっても若干異なる

54 インフルエンザの経過感染経路咳した場合の飛沫は秒速 50~120m 患者の気道分泌液の中にあるウイルスが咳とともに空気中に飛沫として放出されるこの飛沫を上気道肺から吸入して感染します症状経過症状期 (3~4 日 ) 上気道肺でウイルスが増殖潜伏期 (1~3 日 ) 高齢者などのハイリスク患者では肺炎をおこすことがある高熱悪寒倦怠感などの全身症状 54

55 インフルエンザの治療早めに医師に相談を! 抗インフルエンザウイルス薬 ( 現在 4 種類 ) オセルタミビル ( タミフル ( 経口薬 )) ザナミビル ( リレンザ ( 吸入薬 )) ラニナミビル ( イナビル ( 吸入薬 )) ペラミビル ( ラピアクタ ( 点滴 )) 抗インフルエンザウイルス薬の効果 * 発症後 48 時間以内に投与することが効果的 * 発熱期間が 1~2 日短縮 * ウイルスの排出が減り他人にうつす機会が減るという報告もある水分補給も重要! 55

56 インフルエンザを防ぐポイント予防接種 ( 平成 27 年から4 価 ) 手洗いマスクの着用免疫力を高める十分な湿度を保つ (50~60%) 人ごみや繁華街への外出を控える 56

57 家族がインフルエンザにかかったら? 患者をできるだけ家族とは別の個室で静養させる看護した後は手洗いうがいを徹底する患者だけでなく看護する方もマスクを着用する 57

58 チラシも効果的です 58

59 今年の流行状況を知りましょう! 今気をつけるべき疾患をピックアップ! 59

60 今年の流行状況を知りましょう! 60

61 まとめ 61

62 ねらい ( 目指す姿 ) 感染の3 要素がわかる感染経路対策と標準予防策の重要性がわかり確実に行えるノロウイルスインフルエンザの対策がわかる 62

63 今日の話の 3 つのポイント感染の成立には感染源感染経路宿主の3つが必要感染対策として感染経路の対策 ( 特に手洗いを中心とした標準予防策 ) が重要感染性胃腸炎もインフルエンザも症状がなくなっても油断せず手洗いなどを続ける 63

講義資料（1）

講義資料（1）感染症の基礎知識 ~ 利用者と自分を守るために知っておいてほしいこと ~ 平成 28 年 9 月相模原市保健所疾病対策課医師稲村匡紀 1 ねらい ( 目指す姿 ) 感染の3 要素がわかる感染経路対策と標準予防策の重要性がわかり確実に行えるノロウイルスインフルエンザの対策がわかる 2 今日の話の 3 つのポイント感染の成立には感染源感染経路宿主の3つが必要感染対策として感染経路の対策