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1 TMI 中国最新法令情報 (2013 年 11 月号 ) TMI 総合法律事務所東京都港区六本木六本木ヒルズ森タワー 23 階 TEL: +81-(0) chinalaw@tmi.gr.jp 上海市徐匯区淮海中路 1045 号淮海国際広場 2606 室 TEL: +86-(0) 北京市朝陽区朝外大街乙 12 号昆泰国際大厦 2412A 室 TEL:+86-(0) 皆様には日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございますお客様の中国ビジネスのご参考までに TMI 中国最新法令情報をお届けします記事の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたらご遠慮なく弊事務所へご連絡下さいバックナンバーについては弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので併せてご利用下さい (global/legal_info/china/index.html) 目次一. 中国最新法令 1. 中央法規 (1) 単一用途商業プリペイドカードの契約履行保証保険業務の規範化に関する通知 (2) 技術譲渡所得に係る企業所得税減免に関する問題についての公告 (3) 商用暗号製品有効期間管理規定の公布に関する公告 (4) 中華人民共和国消費者権益保護法 (2013 年改正 ) 二. 連載中国企業法実務 / 第五弾 : 各種実務 ( 第 4 回商業賄賂 ) 三. 中国法務の現場より 1.3 中総会を受け外資規制が緩和される見込み 2. 上海自由貿易試験区設置 2 か月を経て 1

2 一. 中国最新法令 (2013 年 10 月中旬 ~2013 年 11 月中旬公布分 ) 1. 中央法規 1 (1) 単一用途商業プリペイドカードの契約履行保証保険業務の規範化に関する通知商務部中国保険監督管理委員会 2013 年 10 月 17 日公布同日施行 1 背景近年中国国内のリテール業旅館業及び飲食業民間サービス業における単一用途商業プリペイドカードの発行及び利用が急増し単一用途商業プリペイドカードはキャッシュ利用の減少一般消費者による支払いの利便性向上消費刺激等の面で積極的な役割を果たしており主に上記の業種における消費者の支払手段としてその普及の勢いが加速している単一用途商業プリペイドカードの発行及び利用を規範化するために国務院弁公庁が 2011 年 5 月 23 日に商業プリペイドカードの管理規範化に関する意見 2 ( 以下意見という本誌 2011 年 6 月号で取り上げた ) を公布しさらに商務部が翌 2012 年 9 月 21 日に単一用途商業プリペイドカード管理弁法 ( 試行 ) 3 ( 以下管理弁法という本誌 2012 年 10 月号で取り上げた ) を公布した意見は商業プリペイドカードの管理に関する全般的な意見でその内容が抽象的なものに留まっているが管理弁法では商業プリペイドカードの定義届出手続発行購入の条件及び制限発行企業の資金管理並びに管理弁法に違反した場合の罰則等を詳細に定めているまた管理弁法ではカード利用者である消費者の権益を保護しカード発行企業の契約履行を確保するために規模等に関する一定の要件をみたすカード発行企業に対し前四半期の発行済みプリペイドカードの残高総額の 20%~40%( 発行企業の類型により異なる ) を商業銀行の専用口座に預託することすなわち収集した資金の第三者保管を要求しているまたかかる第三者保管に代えて保証保険銀行保証状等を利用することも可能とされている今回公布された単一用途商業プリペイドカードの契約履行保証保険業務の規範化に関する通知 ( 以下本通知という ) では商業プリペイドカードの契約履行の保証業務に従事できる保険会社の資質業務管理の強化サービス内容等について詳細に定めカード利用者の権利利益の更なる保護が図られ単一用途商業プリペイドカードに対する行政面の監督管理が一層強化されたといえる 2 主な内容本通知では商業プリペイドカードの契約履行保証保険業務に従事できる保険会社は以下の要件を具備しなければならないとされているア直近 3 年間の年末平均純資産額が 20 億人民元を下回らないことイ前年度及び直近 4 つの四半期の支払能力充足率が 150% を下回らないことウ全国各省都都市の半分以上をカバーできるサービスネットワーク及び 3 年以上の保 1 商务部中国保险监督管理委员会关于规范单用途商业预付卡履约保证保险业务的通知 ( 商秩函 [2013]881 号 ) 2 国务院办公厅转发人民银行监察部等部门关于规范商业预付卡管理意见的通知 ( 国办发 [2011] 第 25 号 ) 3 单用途商业预付卡管理办法 ( 试行 ) ( 商务部令 [2012] 第 9 号 ) 2

3 証保険業務の経験を有することエ商業プリペイドカードの契約履行保証保険の業務管理リスクコントロール並びに業務規模に相応する契約査定及び損害査定保険金支払いに関する完全なる体制を有することまた本通知では保険会社の損害査定及び保険金支払いについて商業プリペイドカードの契約履行保証保険業務に従事する保険会社に対し保険監督管理部門の指導の下で保険契約の義務を厳格に履行し保険金支払いの延滞不払い又は過少払い理由のない支払拒否等カード利用者の適法な権益への侵害行為を禁止するほか以下のとおり要求しているア業務開始の認可を受けた後に会社のオフィシャルサイトで当該業務の損害査定支払いのフロー基準及び書類等の事項を掲載することイ損害査定支払いに関する事情が発生した後にプリペイドカード残高の権利確認を完了し保険条項に定める支払比率に従ってカード利用者に保険賠償金を支払うことウカード発行企業との日常的なコミュニケーション及び連携を強化しプリペイドカード応急処理体制を構築し損害査定支払いに関する案件を適切に対応すること 4 (2) 技術譲渡所得に係る企業所得税の減免に関する問題についての公告国家税務総局 2013 年 10 月 21 日公布 2013 年 11 月 1 日施行 1 背景技術譲渡所得に係る企業所得税の減免における徴収管理を強化するため国家税務総局が 2009 年に公布した国家税務総局の技術譲渡所得に係る企業所得税の減免に関する問題についての通知 5 ( 国税函 [2009]212 号以下通知という ) における技術譲渡収入の計算に関する問題について同局は技術譲渡所得に係る企業所得税の減免に関する問題についての公告 ( 以下本公告という ) を公布した上記の通知及び本公告における技術譲渡収入の定義及び説明に基づいて算出された技術譲渡所得については企業所得税法及びその実施条例等に基づいて企業所得税の減免を受けることができる 2 主な内容本公告の内容は以下のとおりであるア技術譲渡収入に算入することのできる技術コンサルティング技術サービス及び技術研修収入とは譲渡人が譲受人をしてその譲渡する技術の投入使用及び産業化の実現を習得させるために提供する必要な技術コンサルティング技術サービス及び技術研修によって発生する収入をいい同時に以下の条件を満たさなければならない (a) 技術譲渡契約に定める当該技術譲渡に関連する技術コンサルティング技術サービス及び技術研修であること (b) 技術コンサルティング技術サービス及び技術研修の収入と当該技術譲渡プロジェクトの収入について一括して代金を徴収することイ本公告は 2013 年 11 月 1 日から施行する同日以前に実施された企業所得税の処 4 国家税务总局关于技术转让所得减免企业所得税有关问题的公告 ( 国家税务总局公告 2013 年第 62 号 ) 5 国家税务总局关于技术转让所得减免企业所得税有关问题的通知 ( 国税函 [2009]212 号 ) 3

4 理に関する業務については納税調整を行わない 6 (3) 商用暗号製品有効期間管理規定の公布に関する公告国家暗号管理局 2013 年 10 月 22 日公布同日施行 1 背景中国における商用暗号化製品に関する主要な法規定としてはこれまでに国務院が 1999 年 10 月 7 日に商用暗号管理条例 7 を公布し国家暗号管理局が 2005 年 12 月 11 日に商用暗号化製品生産管理規定 8 商用暗号化製品販売管理規定 9 及び商用暗号化製品科学研究管理規定年 3 月 24 日に商用暗号化製品使用管理規定 11 及び海外組織又は個人の中国における暗号化製品使用管理規定 12 を公布したこれらの法規定に加え国家暗号管理局は商用暗号の発展を推進し国の重要な情報システムの暗号の安全を確保することを目的に掲げ商用暗号化製品の有効期間に関する商用暗号製品有効期間管理規定 ( 以下本管理規定という ) を新たに公布した本管理規定では商業暗号化製品証書の有効期間について定めている 2 主な内容本管理規定の内容は以下のとおりであるア国家暗号管理委員会弁公室の技術鑑定に合格し国家暗号管理局の製品種類型番審査に合格した製品についてはいずれも 5 年の有効期間を設定するイ上記審査に合格したが有効期間が設定されていない商用暗号化製品については公布日から 3 か月以内に国家暗号管理局において無償で証書を交換するウ管理規定の公布日から 3 か月後に全ての有効期間が設定されていない商用暗号化製品証書は自動的に無効とする (4) 中華人民共和国消費者権益保護法 (2013 年改正 ) 13 全国人民代表大会常務委員会 2013 年 10 月 25 日公布 2014 年 3 月 15 日改正施行 1 背景中国の消費者権益保護法は 1993 年に公布され翌年に施行されて以来 2013 年の今回改正が初めての実質的な大改正となる今回の改正はクーリングオフ制度消費者個人情報の保護立証責任の転換等広範囲にわたり現行の消費者権益保護法に定めのない又は明確に定められていない消費者保護の措置制度を新設しまた消費者が同法の保護措置制度をより利用しやすいように工夫するものである同改正は現行法の公布から 20 年が経過した今日の中国市場における消費慣習及び消費者行動に呼応したものであり多方面から注目期待が 6 国家密码管理局公告第 26 号关于发布商用密码产品有效期管理规定的公告 ( 国家密码管理局公告第 26 号 ) 7 商用密码管理条例 ( 国务院令 [ 第 273 号 ]) 8 商用密码产品生产管理规定 ( 国家密码管理局公告第 5 号 ) 9 商用密码产品销售管理规定 ( 国家密码管理局公告第 6 号 ) 10 商用密码科研管理规定 ( 国家密码管理局公告第 4 号 ) 11 商用密码产品使用管理规定 ( 国家密码管理局公告第 8 号 ) 12 境外组织和个人在华使用密码产品管理办法 ( 国家密码管理局公告第 9 号 ) 13 中华人民共和国消费者权益保护法(2013 修正 ) ( 主席令第 7 号 ) 4

5 寄せられている 2 主な内容アクーリングオフ制度の導入年に当時の国家経済貿易委員会等により公布された一部商品の修理交換返品責任に関する規定 15 ( 中国語で三包規定と略称される ) が適用される商品の範囲は主に家電自転車オートバイ時計等の一部限られた商品であるこれに対して改正後の消費者保護法によれば性質上無条件返品に適さない一部の商品 ( 消費者オーダーメードの商品腐敗しやすい生鮮品オンラインダウンロード又は開封したオーディオ製品コンピュータソフトウェア等のデジタル商品交付した新聞雑誌等 ) を除き商品経営者がインターネットテレビ電話通信等の方式で商品を販売した場合消費者は商品を受け取った日より 7 日以内に理由を説明する必要がなく商品を返品する権利を有するとされている ( 第 25 条 ) イ消費者個人情報の保護中国では包括的な個人情報保護法が存在せず日常商取引における消費者個人情報の流出悪用が頻発しているものの現行の消費者保護法の法体系ではこれらを有効に防止対処できていないこの点について改正後の消費者保護法ではまず経営者が合法正当必要の原則に基づいて消費者の個人情報を使用しその情報収集の目的方法及び範囲を明示した上で消費者の同意を経なければならないとされている ( 第 29 条第 1 項 ) また経営者及びその従業員は収集した消費者の個人情報を秘密として厳格に保持し当該個人情報を漏洩販売し又は違法に他人に提供してはならないとされている ( 同条第 2 項 ) ウ立証責任の転換中国民事訴訟法の理論によれば権利侵害案件における立証責任については原則として侵害を主張する側が損害を立証する必要があるしかしながら消費者は日常的な商取引において商品及びその欠陥に関する情報及び専門知識等が商品を販売する経営者に比べると明らかに劣っており弱者である消費者に商取引中に発生した損害の立証責任を負担させるのは不公平かつ非現実的であると従来から指摘がなされていたこの点について改正後の消費者保護法では経営者が自動車コンピューターテレビ冷蔵庫空調洗濯機等の耐久消費財又は装飾内装等のサービスを提供し消費者が当該商品又はサービスを受けた日から 6 か月以内に瑕疵を発見し紛争が生じた場合経営者が当該瑕疵の不存在についての立証責任を負うと定められている ( 第 23 条第 3 項 ) このように上記の商品又はサービスについて言えば本来なら消費者が負わなければならない立証責任が経営者に転換され消費者はより容易に自己の権利を保護することができると思われる ( 彭涛莊凌云中国弁護士 ) 年の国務院機構改革案により当時の対外貿易経済合作部と共に廃止され現在の商務部が設立された 15 部分商品修理更换退货责任规定 5

6 二. 連載中国企業法実務第五弾 : 各種実務 ( 第 4 回 / 全 6 回 ) 第 1 回 2013 年 8 月号独占禁止法 1( 企業結合 ) 第 2 回 2013 年 9 月号独占禁止法 2( カルテルとリニエンシー ) 第 3 回 2013 年 10 月号価格法第 4 回 2013 年 11 月号商業賄賂第 5 回 2013 年 12 月号フランチャイズ第 6 回 2014 年 1 月号個人情報保護第 4 回商業賄賂 1. 概要中国におけるビジネスでは取引相手にリベートを支払うことはよくあることであり一部の業界ではこのようなリベートの支払いが潜在的なルールとさえ言われているしかし近年中国当局による商業賄賂に対する取締りが厳しくなりつつあり今年に入ってからはグラクソスミスクライン等の外商投資製薬企業の商業賄賂行為に対して調査が行われたことが大きな話題を呼んでおり多くの日本企業及びその現地法人の間でも商業賄賂問題への関心が高まっているようである中国における商業賄賂とは事業者が商品を販売し又は購入するために金品その 16 他の手段により相手側の単位又は個人に対して賄賂を供与する行為をいう 17 近年商業賄賂の手口は巧妙化しつつあり特に贈賄物が多様化しているこれらの変化に対応するため中国最高人民法院最高人民検察院は 2008 年 11 月 20 日に商業賄賂刑事事件の法律適用の若干の問題に関する最高人民法院最高人民検察院の意見 ( 以下商業賄賂刑事事件意見という ) を公布した同意見第 7 条では商業賄賂において授受される金品には金銭物品のみならず建物の内装プリペイド式会員カード商品カード ( 券 ) 旅行費用等金銭に換算できる財産的な利益も含まれこれらによる贈賄額は実際に支払った金額とする旨が明確に定められておりまた第 8 条では銀行カードを受け取った場合収賄者による実際の金員の引出し又は消費があったか否かを問わず一般に当該カードの口座預金額の全額を贈賄額とみなさなければならずまた当該カードにより借越しを行い当該カードの提供者が借越金の返済を行った場合借越金も贈賄額と認定する旨が定められている 18 通常商業賄賂行為に対して工商行政管理機関は不正競争防止法 (1993 年 12 月 1 日施行 ) 商業賄賂行為の禁止に関する暫定規定 (1996 年 11 月 15 日施行 ) 等の法令に基づき情状によって1 万人民元以上 20 万人民元以下の過料を科し違法所得があるときはこれを没収する行政措置を行っているがかかる行為が犯罪を構成した場合には司法機関に引き渡すことになるここで言う単位には企業事業機構機関及び団体等が含まれる 17 商業賄賂行為の禁止に関する暫定規定第 2 条 18 商業賄賂に関する意見第 7 条及び第 8 条 19 商業賄賂行為の禁止に関する暫定規定第 9 条第 1 項 6

7 しかしながら中国刑法上商業賄賂罪という罪名は存在しておらず従来商業賄賂犯罪の範囲に対する認識は様々であったこの問題は商業賄賂刑事事件意見の施行によって解消され商業賄賂犯罪の範囲が以下のとおり明確にされた非国家職員収賄罪 ( 刑法第 163 条 ) 2 非国家職員に対する贈賄罪 ( 刑法第 164 条 ) 3 収賄罪 ( 刑法第 385 条 ) 4 国有単位収賄罪 ( 刑法第 387 条 ) 5 贈賄罪 ( 刑法第 389 条及び第 390 条 ) 6 国有単位に対する贈賄罪 ( 刑法第 391 条 ) 7 紹介賄賂罪 ( 刑法第 392 条 ) 8 単位贈賄罪 ( 刑法第 393 条 ) これによれば商品販売等のために金品その他の手段により相手側の単位又は個人に対して賄賂を供与した場合において犯罪を構成したときには非国家職員に対する贈賄罪贈賄罪等の罪に問われることになる 2. 贈賄犯罪前述のとおり商業賄賂に関しては 8 つの罪名が存在しているが本稿においては日本企業及びその現地法人の間で高い関心が寄せられている贈賄に関する各犯罪 ( 以下贈賄犯罪と総称する ) について取り上げる (1) 贈賄犯罪の定義及び罰則 1 非国家職員に対する贈賄罪不正な利益を図るため会社企業の従業員に金品を供与しその金額が比較的大きい 22 場合は非国家職員に対する贈賄罪に該当する 23 非国家職員に対する贈賄罪を犯した場合は拘留又は 3 年以下の懲役に処され金額が巨額である場合は 3 年以上 10 年以下の懲役に処され罰金が併科される単位が同罪を犯した場合には罰金に処されかつその直接に責任を負う主管者及びその他の直接の責任者が上記の規定により処罰される 24 2 贈賄罪 (a) 経済取引において不正な利益を図るため国の規定に違反して国家職員に対して金品を供与した場合 (b) 国の規定に違反して国家職員に対して金品を供与しその金額が比較的大きい場合又は (c) 国の規定に違反して国家職員に対して各種名義のリベート若しくは手数料を支払った場合は贈賄罪に該当する商業賄賂刑事事件意見第 1 条 21 刑法における国家職員とは国家機関において公務に従事する人員を指し下記人員が国家職員とみなされる 1 国有の会社企業事業機構及び人民団体において公務に従事する人員 2 国家機関国有の会社企業事業機構から非国有の会社企業事業機構社会団体に派遣され公務に従事する人員 3 法令に従い公務に従事するその他の人員 22 (2) の贈賄犯罪の立件基準の1を参照されたい 23 刑法第 164 条 24 刑法第 164 条 25 刑法第 389 条 7

8 贈賄罪を犯した場合は拘留又は 5 年以下の懲役に処され不正な利益を図るために贈賄をしその情状が重大である場合又は国の利益に重大な損失をもたらした場合には 5 年以上 10 年以下の懲役に処され情状が特別に重大である場合は 10 年以上の懲役又は無期懲役に処され財産没収が併科されることがある 26 3 国有単位に対する贈賄罪不正な利益を図るため国家機関国有の会社企業事業単位若しくは人民団体に金品を供与した場合又は国の規定に違反し各種名義のリベート若しくは手数料を支払った場合は国有単位に対する贈賄罪に該当する 27 国有単位に対する贈賄罪を犯した場合は拘留又は 3 年以下の懲役に処され単位が同罪を犯した場合は罰金に処されかつその直接に責任を負う主管者及びその他の直接の責任者が上記の規定により処罰される 28 4 単位贈賄罪単位が不正な利益を図るため贈賄し又は国の規定に違反して国家職員に対してリベート若しくは手数料を支払い情状が重大 29 である場合は単位贈賄罪に該当する 30 単位贈賄罪を犯した場合は単位は罰金に処されかつその直接に責任を負う者が拘留又は 5 年以下の懲役に処される贈賄を行ったことにより取得した違法所得が個人の所有に帰する場合当該個人は刑法第 389 条及び第 390 条の規定 ( 贈賄罪 ) に基づき処罰される 31 (2) 贈賄犯罪の立件基準中国では贈賄犯罪の立件基準について贈賄犯罪立件基準に関する最高人民検察院の規定 (2000 年 12 月 22 日施行 ) 刑事事件における法律の具体的運用の若干の問題に関する最高人民法院最高人民検察院の解釈 (2013 年 1 月 1 日施行 ) 等の法令において以下のとおり定められている 1 非国家職員に対する贈賄罪次に掲げる事由のいずれかに該当する嫌疑がある場合には立件するものとするア単位による贈賄金額が 20 万人民元以上のときイ個人による贈賄金額が 1 万人民元以上のとき 2 贈賄罪次に掲げる事由のいずれかに該当する嫌疑がある場合には立件するものとするア贈賄金額が 1 万人民元以上のときイ贈賄金額が 1 万人民元に満たないが次に掲げる事由のいずれかに該当するとき (a) 不法な利益の取得を図るために贈賄を行ったとき 26 刑法第 390 条 27 刑法第 391 条 28 刑法第 391 条 29 (2) の贈賄犯罪の立件基準の4を参照されたい 30 刑法第 393 条 31 刑法第 393 条 8

9 (b) 3 人以上に対して贈賄を行ったとき (c) 党の指導者司法機関の職員行政機関の取締り担当職員に対して贈賄を行ったとき (d) 国又は社会の利益に重大な損害を与えるに至ったとき強要されたことにより国家職員に金品を供与し不正な利益を取得した者も贈賄罪として刑事責任を追及する 3 国有単位に対する贈賄罪次に掲げる事由のいずれかに該当する嫌疑がある場合には立件するものとするア個人による贈賄金額が 10 万人民元以上単位による贈賄金額が 20 万人民元以上のときイ個人による贈賄金額が 10 万人民元未満単位による贈賄金額が 10 万人民元以上 20 万人民元未満であるが次に掲げる事由のいずれかに該当するとき (a) 不法な利益の取得を図るために贈賄を行ったとき (b) 3 つ以上の単位に対して贈賄を行ったとき (c) 党機関司法機関行政機関に対して贈賄を行ったとき (d) 国又は社会の利益に重大な損害を与えるに至ったとき 4 単位贈賄罪次に掲げる事由のいずれかに該当する嫌疑がある場合には立件するものとするア単位による贈賄金額が 20 万人民元以上のときイ単位が不正な利益を図るために贈賄を行いその金額が 10 万人民元以上 20 万人民元未満であるが次に掲げる事由のいずれかに該当するとき (a) 不法な利益の取得を図るために贈賄を行ったとき (b) 3 人以上に対して贈賄を行ったとき (c) 党の指導者司法機関の職員行政機関の取締り担当職員に対して贈賄を行ったとき (d) 国又は社会の利益に重大な損害を与えるに至ったとき贈賄を行ったことにより取得した違法な所得が個人の所有に帰する場合には個人による贈賄に関する規定に従い立件し当該個人の刑事責任を追及する 3. 商業賄賂行為に対するその他の処罰商業賄賂行為に対する処罰については前述の刑事罰及び工商行政管理機関による処罰のほかにも業種毎に各所管行政機関から処罰に関する規定が公布されている点に留意が必要である例えば医療業界に関しては医療機関に対する管理の強化及び医薬品業界に対する商業賄賂の取締りを図るために 2007 年に医薬品購入販売領域における商業賄賂の不良記録の設置に関する規定 (2007 年 1 月 19 日施行 ) が施行されている同規定では各省ごとに医薬品医療設備等の生産経営企業及びその代理人が医療機関の責任者購買担当者医療従事者に対して金品その他の利益を供与した場合において (a) 贈賄犯罪の判決が下されたとき犯罪の情状が軽微で起訴されなかったとき (b) 規律監察機関から賄賂事件として立件調査されかつ法に従い処分されたとき又は (c) 9

10 贈賄行為により行政機関から行政処罰を受けたときには当該企業の名称をその所在する省の医薬品購入販売領域における商業賄賂の不良記録に記載しなければならずかつその省内の医療機関は当該記録に記載された企業の製品を 2 年間購入してはならない旨が定められているなお中国法ではなく日本法の問題であるが今年日本のある会社の元専務がその中国現地法人のトップを務めていた 2007 年年末に中国の公務員への贈賄を主導したことにより日本において不正競争防止法違反罪 ( 外国公務員への贈賄 ) で略式起訴された事例があるしたがって中国において行った商業賄賂行為に関しても日本において処罰される可能性があることに留意する必要がある 4. まとめリベートの支払等民間企業又はその従業員に対する利益供与行為であっても商業贈賄行為として刑事責任を問われる可能性があり業界の慣習だからといって安易にそれに流されることは非常にリスクが高いといえる賄賂犯罪の刑事責任を問われた場合には責任者が懲役又は拘留に処される可能性があり企業イメージの低下もまぬがれないため中国に進出する日本企業は十分な注意を払う必要がある [ 応用編 ] 現地法人による商業賄賂行為の発生を防ぐためには 1 現地法人に対して日本本社又は顧問弁護士による社内調査を行いこれまでの商業賄賂行為の有無等の実態を把握すること 2 贈賄防止マニュアルの作成や外部通報窓口の設置等現地法人のコンプライアンス制度の整備を図ること 3 社内研修等を通じて現地法人に対するコンプライアンス制度の周知徹底を図ること 4 現地法人の会計管理制度の完備及び日本本社による現地法人に対する会計監査の強化等を通じて現地法人の支出に対する管理を強化すること等の対策をとることが考えられる万が一商業賄賂行為が発生した場合の現地法人の経営への影響を極力抑えるために危機対応チームの設置や対応マニュアルの作成等コンプライアンス危機への対応態勢を普段から整えておく必要があると考えるまた現地法人が代理店等を通じて商品を販売している場合代理店等が商業賄賂行為を行ったときには第三者の行為と言っても自社ブランドに悪影響が及ぶおそれがあるため代理店等の取引実態等についても必要に応じて確認しておく必要があるであろう ( 彭涛中国弁護士 ) 10

11 三. 中国法務の現場より 1.3 中総会を受け外資規制が緩和される見込み 11 月 9 日から 12 日にかけて北京にて 3 中総会が開催された 3 中総会とは 5 年に 1 度開かれる中国共産党大会の後 3 回目に開かれる中央委員会総会の略称である 1 回目と 2 回目の総会 (1 中総会 2 中総会 ) においては人事案が話し合われるが 3 中総会は中長期的な政策を決定する極めて重要な会議と位置づけられる今回の 3 中総会では昨年発足した習近平政権の基本方針が打ち出されるとあって内外のマスコミでも大きく報道された今回の 3 中総会において決定された事項の中では一人っ子政策の緩和 ( 夫婦の一方が一人っ子の場合は 2 人目の出産を可能とする ) や国家安全委員会 ( 中国版 NSC) の新設が目を引くが日系企業の中国進出をサポートする立場の私としては自由貿易区の建設を加速する方針に加えてこれまで外資企業の参入が制限されてきた産業への規制緩和方針が決定されたことに注目したい今回の 3 中総会において決定された事項の中では一人っ子政策の緩和 ( 夫婦の一方が一人っ子の場合は 2 人目の出産を可能とする ) や国家安全委員会 ( 中国版 NSC) の新設が目を引くが日系企業の中国進出をサポートする立場の私としては自由貿易区の建設を加速する方針に加えてこれまで外資企業の参入が制限されてきた産業への規制緩和方針が決定されたことに注目したい当該 3 中総会の決定を受けて商務部の瀋丹陽報道官は金融教育文化医療育児介護建築設計会計監査貿易物流電子商取引等のサービス分野並びに鉄鋼化学工業自動車等の一般製造業分野における外資参入制限を緩和する旨を発表した具体的な緩和策については今後の発表を待つ必要があるが登録資本出資比率経営範囲等の規制緩和が予定されているというまた従来中国においては会社の設立増資から清算手続に至るまでそれぞれ内資企業と外資企業に対して異なる法令を適用してきたが瀋報道官によると今後内資企業と外資企業を規律する各法令の統一化を推進するとのことである海外の報道を見ると 3 中総会に対する評価は必ずしも高くない総会後発表された声明においてエネルギーや情報通信等の分野で独占的に事業展開する国有企業は従来どおり主導的な役割を果たす旨が明記されていることから既得権益層に妥協したという批判も見られるしかし 3 中総会において相当範囲の事業分野につき外資参入制限を緩和する基本方針が決定されたことは一定の評価に値すると考える中国が今後も海外からの魅力的な投 11

12 資先であり続けるためには一層の外資規制緩和が不可欠であることに中国政府も異論はないはずである上記基本方針を受けた今後の具体的な施策立法について期待を持ちながら注視していきたい ( 野中信孝弁護士 ) 2. 上海自由貿易試験区設置 2 か月を経て 9 月 29 日に中国 ( 上海 ) 自由貿易試験区が設置されてから 2 か月が経過した 11 月 28 日に中国及び外国の記者を集めて記者会見がなされこの 2 か月の成績と傾向が明らかにされた 11 月 22 日までに同試験区内で設立された企業の数は 1434 社その内外資企業は 38 社であった設立された企業の内大多数は内資の中小企業であり同試験区には外資に対する規制緩和として世界中の注目が集まっているとはいえ外資企業の設立数はそれほど多いわけではない 32 他方金融業務への規制緩和への期待から金融機関は続々と同試験区に進出をしており中国系銀行が 9 行外資系銀行が 12 行 ( 内 3 行は日系のメガバンク ) 既に支店設立の認可を得ているとされ業界によっては外資の関心も高いといえる 33 なお同試験区では最低登録資本金 ( 有限責任会社の場合 3 万元 ) の規制が外されているがこの 2 か月間で実際に登録された企業 ( 内外資企業を含む ) の内登録資本金が最小だったのは 3 万元であり登録資本金の平均は内資企業でも 2,500 万元近く外資企業では 1,500 万米ドル近くに及んでいることから規制緩和により実体のない会社が濫設されるという弊害は目立っていないようであるところで行政手続の簡素化効率化を謳い外資企業でも 4 日間で設立登記が完了するというふれこみであるが物理的に大勢が会社設立手続に押し寄せるという現状に新しい制度も応えることができず受付までに長い待ち時間が生じている 11 月 28 日になされた公告によれば同日午後 3 時現在企業名称事前確認 ( いわゆる社名の仮登記 ) は 12 月 5 日の予約まで会社の新設は 12 月 20 日の予約まで埋まっておりこの傾向はしばらく続くものと思われる 2013 年版のネガティブリストが公布運用されてまだ間もないのに既により一層の規制緩和を目指して 2014 年版のネガティブリストの起草が進められるとともに各種細則の制定が準備されており今後も自由貿易試験区の動きからは目が離せないが試験区との文字通りまずやってみてやりながら不具合を直していくという中国で従来 32 なお報道によれば同試験区とほぼ同じ範囲を管轄していた上海総合保税区において昨年設立された外資企業は 164 社であり月平均 14 社程度となるので今回 2 か月で 38 社という設立企業数は以前と比べて格段に増えたというわけではないといえる 33 写真は中国系の銀行の支店 (11 月 27 日に筆者が撮影 ) 真新しい看板を付けているが写真と反対側の柱には外高橋支行と書いた看板が残っており特に中国系の銀行は既存の支店が看板を付け替えたというのが現状のようである 12

13 から各種分野で行われる政策推進方式であることには変わりないため同試験区に既に所在する企業やこれから進出予定の企業は一定の不確実性や不安定性について留意した上で自由貿易試験区とともに落ち着いて歩んでいくという姿勢がよいものと思われる ( 山根基宏弁護士 ) TMI 中国最新法令情報 2013 年 11 月号発行 :TMI 総合法律事務所監修 : 何連明外国法事務弁護士編集主幹 : 山根基宏今村俊太郎弁護士発行日 :2013 年 11 月 30 日 13

消費者金融会社試験管理弁法(意見募集稿）

消費者金融会社試験管理弁法(意見募集稿） 20090602-3 中国法令調査報告書消費者金融会社試験管理弁法 ( 意見募集稿 ) 報告日 :2009 年 6 月 2 日管理番号 :20090602-3 今回のご報告のポイント本弁法 ( 意見募集稿 ) は消費者金融会社 ( 中国内の消費者向けローン会社 ) の設立条件や業務の範囲などを定めたものであり外国金融機関が消費者金融会社の投資者 ( 主要投資者一般投資者 ) となりうることが明らかにされている