-43- 金沢大学附属図書館蔵 苔の衣 翻刻(一) 京都市歴史資料館蔵 苔の衣 本文対照 関本真乃 苔の衣 は鎌倉時代中期に成立したと考えられる作り物語である 諸伝本の本文は 大きく前田家尊経閣本系統 穂久邇文庫本系統の二類に分けられる この両系統間には しばしば長文にわたる異同が見られる 両者の先

Size: px
Start display at page:

Download "-43- 金沢大学附属図書館蔵 苔の衣 翻刻(一) 京都市歴史資料館蔵 苔の衣 本文対照 関本真乃 苔の衣 は鎌倉時代中期に成立したと考えられる作り物語である 諸伝本の本文は 大きく前田家尊経閣本系統 穂久邇文庫本系統の二類に分けられる この両系統間には しばしば長文にわたる異同が見られる 両者の先"

Transcription

1 Title 金沢大学附属図書館蔵 苔の衣 翻刻 ( 一 ) -- 京都市歴史資料館蔵 苔の衣 本文対照 -- Author(s) 関本, 真乃 Citation 京都大学國文學論叢 (2018), 39: Issue Date URL Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

2 -43- 金沢大学附属図書館蔵 苔の衣 翻刻(一) 京都市歴史資料館蔵 苔の衣 本文対照 関本真乃 苔の衣 は鎌倉時代中期に成立したと考えられる作り物語である 諸伝本の本文は 大きく前田家尊経閣本系統 穂久邇文庫本系統の二類に分けられる この両系統間には しばしば長文にわたる異同が見られる 両者の先後 影響関係については 穂久邇文庫本なるものは 前田本系の本文に注釈的敷衍的改作をほどこして生まれた (一)とされたこともあるが 近年では穂久邇文庫本は 本文的にすぐれている点が多いと見られるものの 中には冗長に引き延ばした表現かと疑われるところも少なからずあ り 前田家本系統は穂久邇文庫本系統に比べて 本文節略の傾向が顕著ではあるが 一概に優劣を定めがたいところがある (二)とされる 金沢大学附属図書館蔵本(以下金沢大学本と略称する) 苔ころも は 穂久邇文庫本系統に分類される写本である 穂久邇文庫本系統の本文は穂久邇文庫本 苔の衣 絵巻(三) 秋巻のみが独立した続群書類従本 宇治大納言物語 以外翻刻されたものは見当たらず 穂久邇文庫本系統の詳細を知るためにも 翻刻を掲載することは有意義であると思われる また 金沢大学本は 京都市歴史資料館蔵 苔ころも と 行配り字母ともほぼ一致し 両者の間には何らかの関係があることが想定される 京都市歴史資料館蔵 苔ころも は 各巻末に所持者であった賀茂季鷹が校合事情等を記す それに拠ると 季鷹は寛政十一年(一七九九)から翌年にかけて 苔の衣 を校合し 朱で書き入れを行った さらに季鷹は下巻末に以下のように記す 此物語は江戸に侍りし比犢庫本又は内藤家の本とていとお(ママ)ほく世にちりぼひたるうちにてかひ得たりしを此比きふねの御社に侍りて春の日のつれ〳〵なるまゝに猪苗代法眼の本をかりてあはせ見つゝ一わたり朱をくはへおく物ならしこの 苔の衣 は季鷹が江戸で買い得たもので 牘庫 すなわち磐城平藩の藩主内藤風虎の旧蔵本であるとする 京都市歴史資料館蔵本には季鷹による大量の書き入れが見られるが 金沢大学本にも 朱筆による傍書 見せ消ち訂正 濁点等の書き込みが多く また白色紙片による修正も見られる 両者を比較

3 -44- することで 近世における物語享受の様相を窺うことも可能であろう なお 翻刻は数次にわたって掲載し 解題については次稿を期す 書誌 金沢大学附属図書館蔵(七門二四類五二号) 三巻三冊 近世後期写か 外題 内題とも 苔ころも上(中)(下) 上巻七一丁(遊紙前一丁) 中巻全八六丁(遊紙前一丁) 下巻全一〇四丁(遊紙前一丁) 表紙は原表紙 青色布目に金泥墨で流水紅葉等を描く 右下部に 共三 の打付書 左上部に香色水玉模様の題簽縦九 〇cm 横三 七cmに 苔ころも上(中)(下) と墨書 袋綴 見返本文共紙 楮紙 縦二七 三cm 横二〇 二cm 毎半葉一〇行書き 字高上巻一四 七cm 中巻一五 九cm 下巻一四 八cm 中巻のみ一見別筆に見える 朱筆による書き入れ 白色紙片による修正多し 縦三 八cm 横二 〇cmの朱文長方印 浜田侯少府之図書 縦二 四cm 横二 四cmの朱文方印 小諸文庫 縦六 〇cm 横六 〇cmの朱文方印 第四高等学校図書 背にそれぞれ 苔古呂茂上(中)(下) と墨書 凡例 一 字体は通行のものに統一した 一 本文丁数については 丁のはじめに(一オ)のように示し 改行は で示した 一 見せ消ちは 朱の場合あいう 墨の場合あいうで示した 朱字書き入れは[] 墨字書き入れはゴシック体 紙片の貼付であることは{}で表した ただし 貼付紙片に見せ消ちを意味する記号が書き込まれている場合 {ヒ}のように示した なお貼付られていない大きな紙片の書き入れについては 稿末にまとめて示した 一 判読不能箇所は で表した 一 京都市歴史資料館蔵本との校異箇所は で囲んで示した 一 濁点を表さない や () 等についてはできるだけ忠実に () 等で示した 一 貼付紙片のみがある場合はあいうのように示した 一 貼付紙片が訂正を示していると思われる場合 あいうのように示した 一 貼付紙片のうち 親本の字を真似て書き 本文上部に貼付たものは省略した (一オ)苔ころも上 あふてのこひもあはぬなけきも人の世 [ ]にはさま〳〵おほかる中にこけのころも の御なからひはかりあかぬわかれまて ためしなくあはれなる事はなかりけり こ[ ]のころ権大納言と聞ゆるは後せん ていの御おとうと一世の源[ ]氏と聞えし 二郎たうたいの御おとうとそかし[ ]人 さまな[ ][ ]ともゆへ〳〵しきおはすれはよの 人もあに君の大将よりはい[ゑ][く][ ]ますこし (一ウ)思ひまし聞えたり[ ]きたのかたふたとこ

4 -45- ろ おはす一人はこの大将との三の君三位 の中将と聞え給ひしときよりむこに とり給たりけれはやむ事なきさ まにはおほ[ ][ ]しなからいか成けるにか御心 をとめすあこかれ給ふをたれ[ ][ ][ ]〳〵も くちおしくおほしけるほとにこなか つかさの色の姫[を][ ][ ][ ][宮]君二人もち給ひたり けりあねみやはいまたおさなくよりさい [ ][を]宮にゐ給ふりしかいまはくはんはく殿の (二オ)きたのかた[へ][わ][ ]にてならふ人なくておはす おとゝ宮はかたちなともいますこ[ ]し らうたきさまにものし給ひけれは父 みこもあはれにかなしきものにあつか ひ聞え給ひしほとになにとなきさま にて宮もうせ給ひしのちは心くるし けにて母みやのかたはしに見[ら]聞え給ひ てねんころに聞え給ひけれはこゝろや すきさまにもやとおほしてゆるし給ひ てけり六條のゐんとて一さいのゆつり (二ウ)にてひろくおもしろきところを中つい ちへた{[ ]}[ゐ][ ][ ]てにしひんかしにへたてつくり みかき給ひたるに東の院には[ ][ ]もとよ り大将殿の三の君すみたまはすにしの かたに此君をわたし聞え給ふ人しれぬ かしつきにし給ふを東のかたにはめさま しくよとゝもにおほしけるほとにいとゝ おとゝ君さふ{を}[こ][ ]{[ヽ]}しきいてきたまひけれは いよ〳〵ゆるきなくたのもしきさま[ ][ ][ ]に さへおはするを大将殿のあたりには (三オ)ゆるしなくおほしむつかれはこれそ おさなくよりものし給へはいますこ[を]し としころにもなり給へるになとかく めつらしき事もお[こと]はせさるらんと母 君なとはおほしけるさゑもんのかみさ いしやうの中将なともの〳〵しきさま はらからたちかく人にを[お]とるへくもな くもてなし聞え給へはまことの御心さし いとなけれとやむことなきさまにはたの もしけなり宮の御かたに宰相の中 (三ウ)将なととておなし御はらからと申なから を[お]ろかならぬ御なからひなれとたのもし き人たちそひたる御いきほひには心 ほそけなるを大納言殿の御もてなしそ 人にを[お]とるへくもみえ給はすかくて年 ころになり給ひぬれはあに君九つに なり給へはこのけさらきにけんふくし 給ひて少将と[き]聞ゆ二郎は七になり 給ふわらは殿上なとし給とり〳〵にを [お]ろかならぬ御ありさまよの人めてあへり (四オ)少将はまたしきにあくまてしつまりて みえ給ふをおとゝ君はほこりかにあいきやう つきてみえ給へはみかととうくうなとも おかしきもてあそひくさとそおほしける まことにやくはんはくとの[わ]にはひめ君はおは すれとわか君のおはせさりけるをこゝろ もとなくおほしわたりしほとにたまひ かるはかりのわか君いまたふたはより さまことにひかる源氏のちこおひもこ れほとにはなくやとおほゆる人え給ひて (四ウ)又なくかしつき給ふさまこちたきまてなり 北のかたこゝろうるはしくおはする人に て此大納言殿のうへををろかならすもて なし聞え給[お][ ]へはよのおほえもゆゝしくそ おはするかくてとのゝ姫君八になり 給へはなつ]かたはかまき有てやかてとう くうへとお{[夏]}ほしめす大なこんとのには ひめ君のおはせぬ事をはへなくお[え]ほし て宮の御かたひとりくし聞えていし山へ 参り給ふ八月[ ]はかりの事なれはみちの (五オ)ほとなともいとおもしろしきんたちも みなくし聞え給へりさま〳〵のたひす かたともとり〳〵にをかしくみえ給ふ秋の あはれはみやこのほかにけ[お]にいますこし まさりけりとおほすにあふさかなと こゆるにしかのかすかになくを聞て 思ふ事しるしそあらんをしな[お]

5 -46- へてかひ有とこそ鹿も鳴なれ との給へは かひありと鳴鹿の音のことならはなをかへりこん相坂の関 との給ふをつき[ほ]せすあはれと見給ふみてら (五ウ)にまいりつき給ひぬれは[ゐ]かきねわたりの 山かつともなとはめつらしき見ものとお もひさはくをところにつけたるへたう なとゆへ〳〵しく御つほ[わ][ ]ねしつらひさま〳〵 ひわりこなとをきたるゝころのさまも [お]ものほほそけれはくはんをんの御ちかひ もいとゝおもひやら[心][わ][お]れてあはれなりもろ ともに御まへにさふらひ給ふやう〳〵明 ゆくほとにうみのかたをみわたしたまへは ものはかなきさまの舟とも行ちかひて (六オ)をのかとちは何となくいとなみ[お][ ][ ]あひたり 中〳〵やうかはりて返さまもいそかれ 給はて三日になりぬれはあかつきは 出給はんとてみてらのそうともなとの いとおしけなるにさま〳〵の物なとたふ あやしのしつの[ほ]めまてもおほす事 ことあれはさやうにし給ふを聞にくきま [ま][ ]ていひたていのり奉るへたうめし出て ことにけいめいし馬なとたまはすこよ ひは御まへにゐ給ふあかつきかたにそすこし (六ウ)まとろみ給ふにいひしらすけたかき女鹿 の[房]かたはらにつゐゐてたゝかくはかりそ 二葉よりことなる[ ]花はえたりとも盛の春はみもしはてしを とくなんえならぬ花[て]のえたをたまは ると見て御返事申さんとおほすほ とにへん[ほ]しやうたんしやうさうし女のと よむこゑにうちおとろき給ひ[に][ ]ぬうつゝ にもなをそひたる心ちしてなつかし殿 にかくと[ほ]{[ ]}聞え給へはしるしあるへきに やとかきりなくうれしくおほす中にも (七オ)みもしはてしをと有つらん事をあや しくいかにとおほすそうともに御いのり の事さま〳〵仰せをきて出[お]たまひぬ みちにも御むかへの人〳〵まいりあつま りてわさ[ゐ]となけれとえむなりわかき 人〳〵なんとはあかすをかしと見[お]給へり かへり給ひてはいつしか東の院へおは して日ころの[ ]ものかたりなとし給へと れいの御心とけぬさまにおちしむすほ ほれたるもことはりにわつらはしくおほ (七ウ)されて[わ]その夜はとまり給ひぬけふは内 春宮なとへまいり給ふへけれ[ゐ]はいそき いそきいてたまはらは殿上のきみもくし 給へりと{[へは]}しのほとよりはことにおほきに おはすれは霜月のほとにくゑ[元]んふく とおほしまうくるうへはありし御ゆめ ののち何と[ 服][い]なくなやみわたり給へは 殿はわりなくうれしとおほす事か き[ ][ ]りなしまたしきに御いのりとも おほしをきつかやうなるを大[ ][ ][ ][お]将殿に (八オ)もり聞えてまたいか成御心ちにかと うら山しく思ふものからこゝろやましく おほさる東のゐんにも人のつらさは さる事にて我御すくせ思ひしられ てひとかたならすおもひむすほゝれた まへは大納言殿もうち〳〵の御心さし こそふかくなけれともいまたおさなく より見そめ聞え給へは[を]大かたにはいと やむことなくあはれに思ひ聞え給ふにかく うちとけぬ御けしきをこゝろくるしくお (八ウ)ほす大将殿なとにも中〳〵ありしよりも のうくもてなし給ふをそあひなのわさ やとおほすかくて霜月になりぬれは 殿の姫君の御はかまきとて世の中もい といそかはしけなりやかて春宮に参り [ ]給ひぬれは御てうとなとさま〳〵いまめかしく めつらしから[ ]ん事をとつくし給ふ御はかま は大宮そきせ奉り給ふそのほとのようい なといとこちたし十一なれは大宮をやか てとのへむかへたてまつらせ給ふところ〳〵の (九オ)御とふらひさ

6 -47- ま〳〵なる中に大納言との よりはことに心ありてみゆる御ふみには かひありてかつく玉もの限りなくちひろの底のためしとやみん との給へはうへの御手なりけりとおほして 御返しには かひ有てかつく玉もに打そふる此大海そ限りしられん その夜にも成ぬれは殿上人かむたちめ参り あつまりていみしけなりしたてられ給へる 姫君の御ありさままことにかきりなくみえ 給ふまつ[ ]さねにこきかひねりつやちのな[が][ ]へ (九ウ)てならぬにうらこきすはうのうはきほそな かそき給へる御たけは三さしの木丁に いくほともまさりたまはす[ ][く]御くしはほそ なかのわきよりいますこしあまりのあふ きのすゑをひろけたるさまして御かほ もふくらかにけちかきものからあなつら はしからすあひきやうつきてみえ給ふを 大宮[い][ ]はあはれにうつくしと見給ふ女はう 廿人わらは四人つゝみな色〳〵をいとなみ つくしたりこゝかしこにいなみたるあり [ゐ](一〇オ)さまもてなしいつれもゆへな[ ]らすみゆ殿 のう[ ][ゑ][か][ ]へも大宮にたいめんし給ふ見そめき こえ給ひしにすこしおと[聞]なひたる事も なくわかくきよけにてとのゝまたなく かしつき奉り給ふもことはりにみえ給ふ かくてことゝもはてぬれは[わ]やう〳〵御あ そひはしまりぬふけゆくにしたかひ てものゝ音もいつれともなくあはれに おもしろし大宮殿上の御あそひなと にとしころ聞なれ給へれと所からにや (一〇ウ)いますこしあはれそふ心ちして権大納 言のわか君くしてまいり給[ゐ]へは人〳〵も 今すこしよういら給ふひやうしとり給ふ ほと[し]にとのゝ御ひはゆつり給へはとはか りうちかしこまりて給は[か]りたまひぬ よういありさまなといとえんなりあな かちにゆつ[ ][ ]り聞え給へはわさとならすそ かきならし給ふはちをとれいの[お]雲に ひゝくはかりなりあかつきちかくなる まゝに物の音と[ ][く][ ]もすみのほりてそゝろ (一一オ)さむきに左のおとゝひやうしとりて あなたうといたし給へるなまめかし き物からいう[ふ]に聞ゆ少将の君はらは殿上 のこきみうちそへ給へるこゑいひしらす らうたくきかまほしきをとのゝうへも あはれに聞給ふかやうのおりにはわか 君のおさなくおはするを心もとなく [を][を]おほさるとのなとはふかくものし給へは 心もとなかるへきほ[わ]とにもあらすかし あけかたになりぬれは人〳〵れいのしな〳〵 (一一ウ)なり大宮にうちにまいらせたまひぬ うへの[ゐ]おほつかなけにとはせ給へは姫君 のうつくしさなと申させ給へはけにこそ 女宮のなきはつれ〳〵なりけれ[ ]あまり 春宮一人は二たひなり[ ]なとかいま一人 さやうにものし給は[こ][い][ ]ぬとたはふれたて まつり給ふ御あそひそこよなき大宮は 四十はかりにそなり給うへはいまひとつそ まさり給へる春宮と聞えしより参り そめたまひてとしころになりたまへは (一二オ)あまたの御かた〳〵さふらひ給へとやんこ となくゆるきなきさまにおもひ聞え 給へるもしるくをのつから宮なと[お][ ]のた はふれにもおき聞え給はぬにとう くうのきら〳〵し{[ ]}くておはしませはかた 〳〵いかてかおろかにはおほしめすへき 左大将殿のおほひ君こきてんとてさ ふらひ給ふをそらう[い]たき事におほし たれといか成にかつねはものゝけにわつ らひ給ひておさ〳〵参り給ふ事もなくて (一二ウ)右大将殿の[を]女御むめつほとてさふらひ給 としころになり給へれとなまめ[う][ ]かしく あくまてしなやかにおはすれといかに そやけちか{[ ]}

7 -48- きさまにはものし給はぬに 御とのゐなともたえ〳〵なれとうへの 御こゝろあまねくてつれ〳〵もはした なからぬほとにもてなしたまひけり かくておなしころ権大納言のわか君 くゑんふくし給とのゝ姫君春宮人 まいり給ふへけれはかた〳〵[へ][ゐ]さしあひたる (一三オ)ほとなれとかたみにおほしやりつゝとふ らひ給ふ春宮の女御まいりその夜に なりぬれはいか成[ゐ]きよらをつくして めつらしきさまにとおほしたれとかきり ある事なれは女房廿人わらはしもつかへ 人四人つゝうるはしきさまなりとのゝ うへもやかてくし聞えて参り給へり うへ大宮なとことにもてなし聞え 給ふ春宮おさなき御心にめつら[を]しく ゆかしくおほさる春宮は此御有様の (一三ウ)めつらしくうつくしさをいとらうたくお ほしたり十二にそならせ給ふあけぬれは おり給ふはゝ宮も三日のほとはさふらひ 給ふ[ ]春宮はいとおさなきさまにてよへ をそく御とのこもりけれは[を][お]日たくるま て御あさいあるを大宮おとろかしきこえ 給ひて御ふみたてまつらせ給ふまつかさ ねのかみこうはいのいまた[ ][ ]ひらけぬえた につけさせ給へり女御はいまたいふかひ なき[ ]さまにものはかなけに御とのこも (一四オ)りたれはかひもあらしとてはゝみやそ 見給ふ御手はふ{[ ]}く〳〵としてゆくさきお もひやられてうつくしけなり大宮の 御くち{[ ]}いれにやとおほゆるにおかしき 今はたゝひるまなまひそ[ ]梅かえのひらけぬ枝にきぬる鶯 女御おとろかし聞えてそゝの[ゐ]かし聞え給へと 何とおほしわきたることもなくてより ふし給ひぬれはかひなしとてうへそ御かへ り事かき給ふむらさきの色もにほひも えならぬに (一四ウ)咲やらぬ梅に木つたふ鶯やひるまのほとはやまはゆかるらん 御つかひのきみこゝろよせあるかたにて ことにもてなし給ふ女はうの御 しやうそく一くたりかつけ給へりゆへあ るさまにもてなして{[ ]}[ゑ]かへり参りぬつゝ ましなから春宮とりて御らんしてうち を[お]き給ふ大みやははゝ宮のとおほすに をかしの色このみの御あ[お]はひやとおほ すおさなき御心にもかきりなくうつくし (一[を]五オ)けにてひゐなことのやうなりし御あり さまをとくあそ[ひ]はまほしく覚しけり かくてちこくに成ぬれは権大納言の少 [ ][も]将の君中将になり給ひぬ左大将殿の きんたちなともしたいのまゝにあかり 給ふさま〳〵このあたりのよろこひとも いと[ ]めてたし殿のうへの御せうとの宮 の中将と聞えしもさいしやうになり 給へりひまなき御いそきともにはかな くとしも暮ぬ春宮つねに女御の御かた (一五ウ)にのみおはしましてあそひ給へはいとゆ くすゑたのもしくみゆそのほと右大将 はかなくわつらひ給ひてうせ給ひぬれは 権大納言右大将内大臣かけたまひいつ しかいとめてたし春もやう〳〵暮て 夏にな{[ ]}[ ]りぬれはとのゝさいゐんのうへ の御さんもむけにちかくなりたるにこの たひはいか成にかつねにわつらはせ給へは とのもしつ心なくおほしなけきて御い のりさま〳〵なりこきてんの女御その (一六オ)ほと御ものゝけにいたくわつらひ給へは うへも此ころは心やすきさまにおほした るにまたいかにとなけかしく覚したり 右大将殿のうへもいとゝ心ゆかすものを おほしむすほゝるゝをかた〳〵心くるしく ちゝおとゝはおほすなとかつれ〳〵なくさ めにおさなき人たにおはせさる[を]らんと くちおしくなんこのものゝ姫君式部卿 の宮のうへに[を]

8 -49- ておはするかきんたち あまたもち給へるを女君一人むかへて (一六ウ)つれ〳〵なくさめにもてなし聞えんと おほしてちゝおとゝにもさやうに申させ 給へははなれぬ御中なれはつれ〳〵なく さめにいとよくいへる事ときこえ給ふ とのゝ此か[侍]たへおはしたるにかくなん思ふと の給へはつねは心よからすのみおもはせ 奉るにさすかに心くるしけにかやうに のたまはん事をいかてかいなといさめ 給ふへきなれはまことにおさ[ ][を]なく人のな きこそつれ〳〵なれたれ〳〵よりもさきに (一[き]七オ)みそめ聞えさせしに今まてさやうの事 のおはせぬこそくちおしけれとのたまへは 御心さしあるかたにはもいまも〳[を]〵出き給ふ めれは御身にはいとめつらしけなくやこれ より後をとりさまにてこよなからん世{[か]} おほえて中〳〵ふ[お]ようなりとうちそむ き給へるをれいのわろきことに心ゆか{[(え)カ]}す のたまひなすとくるしくおほさるこれ もいとあなつらはしからす大きやかにもの 〳〵しきさまにて御かたちあさやかに (一七ウ)らう〳〵しきやうにてけちかきさまやを くれ[お]たまへらん御くしはすこし色めきたる やうにて御そのすそにいますこしたち まさりけりとみゆ五月になりぬれは さゐいんにまち給ふ事此月なれは御い のりかた〳〵そへ給ふいし山[ ]もこゝろことに おほしやりつゝ御いのりの事おほせらる 十日あまりのほとにそのけにてわつら ひ給へはいかに〳〵とお{[ ]}ほすほとにその 日も暮ぬるを大将殿はゆめのこと覚し (一[い]{[ ]}八オ)あはせられていとゝ御こゝろまとひせ られ給ふわりなくなやみあかし給ひて あかつきかたにことなりぬなにのあやめ もみゆましきほとなれとかきりなく此 世のものともみえすむつきの中よりひ かるとはこれをいふにやとなへてならぬ 女君の御ありさまとのはかきりなくうれ しとおほすのちの事もほとなくなり ぬれはこもちの御まへれいのやうにしつ らひふせ奉りて御ゆひなとすゝめ給ふ (一八ウ)日ころなや{[湯いカ]}みたまひし名こりさい〳〵と おはすれはかた〳〵うれしく{[ ]}なとはを ろかなりかくめつらしき御ありさまを とのゝうへ[お]聞給ひてうれしくおほす めつらしき御ありさまをまたしきに こちたきまておほしかしつきたる 三日[の]よは宮のさいしやう五日の夜はこの との七日のよはさきのさいくうし給ふ そ[ ][ ]こゝろことなる春宮の女御の御ときの 折おほしいてゝほそな[ ][ ]かのひほにむ (一九オ)すひつけてかくなん ありそ海[ ][ ][ ]の濱の真砂はかひそなき君か齢の数にをされて 中将そひてま[お]いらせ給ふ御かへりには 数しらぬ濱の真砂もつきぬ也誰[ゐ]にとはまし君か千とせを くはんはく殿のわか君三に成給ふゆ[ ][わ][ ]くすゑ 心もとなくおほすかくて東ゐんには式部 卿の姫君むかへ給ひてまたなくかしつき 給ふことしは八つになり給ひけり御かほは ふくらかにあいきやうつきてまみのわ たりなとわらゝかなるさまそしたまへる (一九ウ)なよらかにらうた{[よカ]}きさまにはみえ給はす 御くしはおほくたもしけにて御たけに {[のカ]}すこしはつれてみゆ中将の君しゝう なとにあまりけとをくも[ほ]てなし給ふをそ 殿はすさましくおほしけるこきてんの 女御の御物のけにわつらひ給ひしはたゝ ならぬ御事なれはうちのおとゝいひしらす うれしく覚して御いのりかねてこちたし うちにもけにかやうなることめつらしく いとあはれにおほされて人めよくもて (二〇オ)なし給ふ日ころもつよくなやみ

9 -50- 給ふつもり にてたのもしけなくおはするをたれ も〳〵おほしなけくこれを聞給ふにも 右のおとゝの女御とのゝわたりにはいと と御身のほともおもひしられて人めも はつかしくおほさるれはいまは御としの ほとなともねひすき給ひたれは心[ ]や すきさまにうちそひきてはやとおほせ とちゝおとゝの{[ミ]}{[こえ]}御こゝろをきてこたひに ふるめかしくてさやうの事は覚しも[お][こ][い]かけ (二〇ウ)ぬそわりなきやしはすにも成ぬれは こきてんの女御この月なれはうちにも ちゝおとゝもさはきおほした[わ][ ]り右大将 殿は御とふらひにつねにまいり給におと とは大か[ゐ]たにていとみまほしくなさけあり ておほすはつかあまりの{[ヒ]}ほとに女御の 御けしきあれはうちよりも御つかひ ひまなし[ ]さはいへともたのもしき人ゝ たちそひ給へるさまはいと物ゝしくこち たしおきふしなやみ給ふさまあさましく (二一オ)三日もすきゆくをおとゝはおなしさまに のみ物もおほえす覚しなけくうへも なのめにおほさむやはかくて五日といふ くれつかたそからうしてことなりぬまつ なにゝかとおほさるゝにひめ宮にていと らうたけにおはするをおとゝはおなし くはとほいなくおほせとうちにはかくと きかせ給ひて何にてもいとめつらしく うれしくおほす女御の君のあるにも あらておはするをこゝろゆるひなく覚し (二一ウ)けるみすほうのそうともなとはとく参り て御いのりつかうまつる三日ちゝおとゝ五日 右大将七日うちより九日くはんはくとの つかうま[わ]つらせ給ふ日かすふれとも女御は たゝおなしさまにてたのもしけなく 見え給へとさすかにさてのみ過給へは そうともはせう〳〵いとま給はり帰りて いま三四人そさふらふまれ{[ ]}〳〵いきのした にはいひなることはしるく侍へりけるを いかならんにつけてもさて心みはやとのた (二二オ)まへと御さまのあたらしきにかやうにのたま ふおりにはいとゝかきく[を]らされて物も覚え 給はす女君三人おはする中にかたちなと もいとよくものし給へはとのうへもかき りなく思ひ聞え給ふことしそはたちに いまひとつたり給はさりける日ころに たれも〳〵おほしほれてうちやすみた まへるくれつかたつねよりもくるしくした まへは又いかにとおほしさはきてそう な[わ][ ]にくれとめしさはけとまいる程もなく (二二ウ)やかてきえ[わ][ゐ]入給ひぬおとゝうへの御けし きおろかならんやはたゝわれもさきに ともたえ給へとかひなしひえはて給ひ ぬれはふたところなからおなしさまにて おはするを人〳〵ことはりにみたてまつる うちにかくと聞せ給ひてかきりなく あはれにおほさるゝあなかちにとき めき給ふこそおはせさりつれたゝあ{[ ]}[ ]は れにらうたきさまにて御心くせもなく らう〳〵しくうち[く]かたらひてすこし給ふに (二三オ)くちおしからさりつる[ ][を]{[(うから)]}に今はとおほし つゝくるいとあはれなりさるところに 姫君のものはかなくておはすらんと心 くるしくて少将の命婦を御[く]つかひに 奉りて大納言のすけのもとへ御いみの ほとはわた[い]し聞え給ひかひなき事は さる事にて殿うへのおなしさまにて おはするをそさゑもんのかみさいしやう なとはいかなるいき[ ][べ]にかとおほしなけく よろつ何事も此人〳〵そつかうまつり給ふ (二三ウ)かくてあるへきならねは三日すきた まひてそいはかきといふところへわたし 聞え給ふとしの暮なれと此とのには涙そ ひまなきみかともこよひそかしと覚しやうなる[ ][ ][ ][ら][るゝ]

10 -51- にいとゝあはれにてたゝひと りなかめいたし給ふ雪にみちも[ ][ ][ ]みえし かしとふりつもれは なき人の煙やそれと詠れは[ ][ ]雪けの雲もなつかしき哉 とひとりこちて御涙をしのこはせ給[ ][お][ ]ふ いはかきにはたゝ時のほとのけふりにて (二四オ)あかり給ひぬるをまたゆめかとおもひ まとへりかくて御いみの事[い][ ]なと覚し をきつるもいとかなしはかなくとしも かはりても[お]のゝはへなきさまにてむ月 もたちぬ御ほうしにもなりぬれは[え]うち よりもさるへきさまにおほしをきて たか中〳〵かくて[お]{ }[り]し事もに御心さしみゆ るにいとおしくかなしくおほす事{[ ]}{[ カ]}[ほ][ ]よの つねならす右大将には姫君のいまひとつ そひていよ〳〵ひかり給ふをかひありて (二四ウ)おほしかしつくはか[ ]なく月日うつりて やう〳〵ふゆにもなりぬれは女御の御 はてとて内大臣殿にはいそき給ふにも あはれはつきせすまこと[ ]や姫君御いみ過 にしかはそれをたになくさめにとてお とゝむかへ給ひしそかし右大将殿の宮の 御かた此春のほとに御く[ ]はんはたしに 石山えまいり給ふへき御まうけし給ふ このた[わ][ゐ]ひは七日はかりとおほしたりれい のきんたちくし給へりみちのほといと (二五オ)えんにて霞へたつるあふさかのわたり[ ]な とは心にしめたるわかき人〳〵なとは たくひなく思ひた[ ]りまいりつき給ひ ぬれは御てらにはれいの御まうけなに く[ゐ]れなといとなみあひたり心はせとも おかしくみ給ふ海つらもこゝもとなれは わかききんたち女はうともふねにの りてあ[ ][ ]そひあひいくちとせもかくて すくしつへくそ思ひけるとのう[ ]へなとも さま〳〵ものたまはせなとして七日も (二五ウ)ほとなく過ぬれはあかつき出給ひなんと するにへたうのもと[ ][ ][ ]よりおかしきこに わらひつく〳〵くしなとやうの物入てまい[ ][ゐ]ら せたるをところにつけておかしくみ給ふ こにたてまつるものゝうへに 野に出て君かためにと思ふにはわらひを[ ]{[ら]本}るてもあつからぬかな とあるをはかなきことなれとおかしくいひ なしたるものかなとおほしてさうそく ひとくたりつかはすあかつきには御むかへ の人〳〵まいりつとひてそゝのか[ゐ]し聞ゆれは (二六オ)出給ひぬみてらの人〳〵も日ころにならひ てひきかへましくおほえけりかへりて いつしか姫君み給へは此七日のほとに おとなひ給ひていますこしうつくしさ[ ]ま さり給へりきのふにはけふはまさるやう なる御ありさまをかきりなくめつらかに 見給ふうちのおとゝなとにもひさし[ ][ ][ ][ ]く たいめしたまはねは女御の御ことののち をとろへ給へる[お]をあはれにみ給ふきんた ちおほしくおはすれとおさなくより[な][ ][を]比 (二六ウ)女御をはことにおもひ聞え給ひしにかやうに みなし聞え給ひて後つねは心よからす わつらひ給ひてありき[ ]なともおさ〳〵し 給はすそありけるひるつかたになりぬれ [を]は内春宮なとにまいり給ひて夜ふけ てそかへり給ふ東ゐんに[ ][ゐ]おはしにたれは 見えぬさまにまきらはし給ひて宮の 姫君のことこちたくもてなしさたし 給ふを心おさなくと心つきなく[を]おほさ れてことはすくなにてたちたまひぬ (二七オ)をみ{[ ]}こそかゝらめ此姫君をたにすくれて おほしかまへたりかくてとしもはかなく ゆきかへりて姫君五になり給へはことしは はかまきせ奉らんとおほしのたまふにこう ゐんの宮の姫君の[と]はかまきいそき給ふ になま心つきなくてさらは姫君のはかま きは冬つかたとおほしなりぬかゝるほとに とのゝわかきみ七

11 -52- になり給へはわらは殿上 し給ひてやかてくゑんふくし給ふへし とのゝゑりあひたるかた〳〵大事おほく (二七ウ)ある[し]としにこそうちのおとゝはありし女 御の後はよとゝもにわつらひ給ひしを すきにしほとは御なけきにやなとたれも〳〵覚ししほとにあつけにや此ほとは いますこしくるしくし給へとそれにも さはらす左大将殿の東の御かたには御はか まきの事おほしたちたり六月廿日の ほとなりちゝ君そめつらしけな[ ][ ]けれと はかまきせさせ給ふへき大将殿はいと心 ゆきてもおほされぬ事なれはあなか (二八オ)ちにくちいれさせ給ふ事もなきをうへは れいのおほしむつかりて心ひとつにいた ち[ゐ]さたし給ふそのよになりぬれは事 ともおきて給ふはてぬれは人〳〵に かつけ物しな〳〵なりおとゝのわつらひ 給ふには[所][〳〵][ ][ ]ゝかりて御あそひなともなし さいゐんには姫君の御はかまき此事に よりてのひぬるをいかにそやおほし たるけしきもな[ ]くてとのゝおほし をきつるまゝなるを人をみるにもとつ (二[お]八ウ)きせすらうたくおほされけり秋にも 成にけりうちのおとゝの御なやみあつけ にやなと覚したりしかとすこしすゝし き風まちてもいますこしあつけさまさ りてみえ給へはいか成つき事にかときん たちなとは覚しさはく日をへつゝよは り[へ][わ][わ]給へはたのみすくなきをうちなとには あはれにきかせ給ふ大かたの人さまな とすくよかにおはしけれはみかともお ほしなけきたり日ゝにそへてまさり給ひ (二九オ)つゝ大将も大臣もしし給ひてしゆつ けの御いとま申給ふにたれも〳〵覚し {[す]}おとろきたりみかともいかてかとく とはの給ふへき右大将も[ ]もり聞おと ろきてまいり給へりよとゝもにゆるし なく覚し[ゐ]むつかりてれいさまにもお さ〳〵たいめんなとし給ふ事あ[を]{[ ]}りかたか りつるにいかにおほすにか人ゝのけて こなたへと[ ]の給へはつねにおはするかたへ 入給へりまことにむけによは[わ]く成給へる (二九ウ)さまにみえ給へはこれほとになり給ふ [ ][ ]まておほつかなくてすこしけるよと おほすけしきはかりなを[ ][ ][ほ]しひきかけて ゑほししとけなけにひきいれてけう そくにか[ ][ ][ ][ふ]ゝり給ひておはするにものい はまほしけにてこちとの給へはちかく さしより給ひたるに浅ましくをのつから したしきや[お][ ]うになともなくいもうとゝう ちなのる人たにさふらはねはまたもの 申かよはすかたゝになきにいとゝたのもし (三〇オ)きさまにもたのみたてまつりてをろか ならすおもひ聞ゆれと[お]なにとなくそは〳〵 なるやうにてつねにもたいめんなとか たくて心より外にすき侍るををのか ともとへちにはか〳〵し[お]くみえ侍へらねと もそれはいかにしてもよに侍るもの也 あまたの中にいか成ちきりにかこきて むはいまたいとけなきよ[ ]りまことに 人におとらす見なさまほしく思ひ侍し かともそのほいかなはすしてかひなくいのち (三〇ウ)さへみしかくしも侍へりけれは申かた なくこそそののこりの人〳〵もわれ[か]すく せくちおしく侍へりけれは心やすく 心ゆきなるも侍[を]{[ ]}へらねはしきふ卿の うへなとはたうしともかくも覚えたる [ ][ ]かた侍へらす東ゐんに侍らへはいまたい とけなくよりかやうにも申つけたりし かはせう〳〵のとかはおほしもゆるせ かしとおもひ侍へりてさうなくゆつり 侍へりしかと身のするく[ ]せをはしらす (三一オ)あけくれものをのみ思ひむすほゝれ [ ][ ][ ]侍へれは見たまへらるゝたひにむね いたく侍へれといまはそ[ ][ ]

12 -53- れとかく申へき に侍へらすむなしくたちかくれなん のち人[ ][ ]わらはれにあは〳〵しきさまに もてなしたまはてたうしのほとにて たに侍へらはさまなとかへて中〳〵心や すきさま{[らへりカ]}にてのとやかにて侍へりなん さやうにおもひをきてさせ給は[お]んをそ 此よのほかのよろこひと思ひ聞えさす (三一ウ)へきまた姫君の御事はうちおはし ませはさりともとおもひ侍へれとも女 の御身にはか〳〵しき御うしろみなき はいとはかなきものなりこれに侍る をのかことものおもひをこたらん事[お][ ][ ][お]は 見はなち聞はなち給はて覚しうしろ み給へとてをしのこ[お]ひつゝいとくるしけ にの給ふこのとしころうへのゆへに ゆ[ゑ]るしなくひんなきものにおほしつるか いとわつらはしかりつるにいまはなかく (三二オ)うちたのみの給へははつかしきものから いとあはれにて御かへり事聞え給ふ へきかたなけれといとつれなくも見なし て東院の御事はさらにとかく申すに をよはす宮の御事かひなき身なからも 心のをよはんかき[お][ ][お][ ]りはいかてかをろ かにおもひ聞えさせんなとたのもし けに[お]申給へはいとうれしと覚したり 日暮ぬれは我北のかたも宮のうへも これにわたり給へれはわか御かたへわた (三二ウ)り給ひてこ夜はとゝまり給ひぬさす かにおとろ〳〵しくはな[今]くて日にそへて よはりおはするそいかなるへき御さまに か[わ]とあさましき二三日はかくておはす るにたゝおなしさまにてみえ給へは 姫君もこひしくてさいゐんへわたり 給ふうへはしろきうすものゝひとえな よらかなるくれなゐのうつるはか[へ][よ]りな るはかまき給ひて姫君とあそひて はしちかくゐたまへるに殿のおはすれは (三三オ)すこしゐさり入給ひてれいのなに心 もなくらうたきさまにもてなしてお はするさまそともに二三はかりそあ まり給へるほとにていとわかうこめかし けにてあくまてなよひたるけしきそ し給へる姫君はいまたいとけなきほ となれとなまめかしきものからあい きやうつきはつかしけなるけそいまひと しほたちまさりてみえ給ふたゝ今うち より中将いてゝこなたへまいりたまへる (三三ウ)[ゐ]いまたきすいなるへきほとなれはもて なしよういなとなまめかしくおとな〳〵 しくおはするをとのうへめのとひまな くうちえみて見聞え給ふはゝ宮には 姫君にもいとよくおほえ給[ゑ][も]へりしゝう の君はちゝ君にに給へるにやすこしはな〳〵 とあいきやうつきてそおはするかくて 九月にもなりぬれはかせのけしき 心ほそくはたさむきにうちのおとゝの 御心ち此ほとゝなりてはをのつからおきゐ (三四オ)なとし給ふ事もお[お][ ][を]さ〳〵なしかゆなとも はか〳〵しく見いれ給はす十日はかり にもなりぬれはあさましくたのみ すくなくみえ給ふにをのつ[お][ ]からそのしるし もやとぬしもほいふかくおほしたる事 なれは九月十九日しゆつけしたまへるに うへもやかてさまかへ給[す][け]ふわくかたなく としころになり給ひぬれはおなしことゝ いひなからいかてかをろかにも覚されん かきりある事なれは何[お]のしるしもなくて (三四ウ)三日といふにつゐにかきりのさ[ひ]まにな りはて給ひぬうちにもきかせ給ひて 大かたの人からなとおも〳〵しくおはしつる 人なれはさるへき人〳〵もおほしなけく 中にもみかといとあはれに覚さるゝ大 将殿もつねは心ゆかすおほしむつかりし こそわつらはしかりしか大かたにはいと おもひやり有てたのもしかりし御心 とおほせはあ

13 -54- はれ浅からすおほすうへ のいたくなけき入給へる心くるしけれは (三五オ)なくさめたまはんとてやかてくし聞えて かへり給ひぬ姫君はうちへむかへ聞え 給ふ宮のうへもかへり給ひぬいとゝあま うへも心ほそくおほし入たるをさゑもん のかみさいしやうなとそよろつにつかう まつり給ふ七日〳〵の御ほとけくやうなと そきんたちおほくおはしませはいとた{ [は]}の もしけなりなけく〳〵御法事もすき ぬれは人〳〵ゆきわ[る]かれ給ひぬ大将の御 もとよりさゑもんのもとへ (三五ウ)今はとて別れもくれにけふは又立帰りつゝ物や悲しき しのひかたくて御かへりには 悲しさは別れし暮につきはて[ ][ ]ゝ今はひたすら袖そ朽ぬる 月日ほとなくすきぬれはわすれくさ おふるならひにてのみあるにふるさと のあまうへそつ{[ ]}きせすおほしいりたる 霜月にもなりぬれは五そちはてて とのゝわか君のけんふくとて世の中 さはきあひたりその日にな[わ][ ]りてわらは 殿上に内春宮なとにまいりありき給ふ (三六オ)[ゐ]御くしはゐたけにすこしあまりたるほ とにてきら〳〵とうつ[ ][ ]くしけれ御かほは ふくらかにあいきやうつきたる物からあてになまめかしく見たてまつる人もすゝ ろにみまほしく心ちす[き]るにけたかく ものはつかしけなる物から御もてなし なとすへて此世のものともみえ給はぬを うち春宮もめつらしきよ{ }[さ]のつねに思ひ 聞え給はんやは大みやもあはれにみ聞 え給ふとうくうの御かたへまいりたまへは (三六ウ)これも又うつ[ゐ]くしけにていまはおとなしく もてなし給ふよういなとけたかくもの はつかしけなるさまとり〳〵にうつくし うみ聞え給[ ][ ]ふ[ ]このほとすこしわつらひ 給ふとておもやせ給へるしも[ ][ ]いとゝなま めかしく見え給ふひぬ殿にはさるへき人々 まい[ ]{[ヒ]}りつとひたまひて御事ともはし まりたるきしきおろかならん[ ]やは御 ひきいれはむかし覚え給ふ人とて右の おとゝそつかうまつり給ふ御ことゝもはて (三七オ)ぬれは人〳〵のかつけものみなれいの ことし御あけまさりはよのつねならす かくてこそ見たてまつるへかりけれと いまひときはひかりそひ給ふさるへき むすめもち給ふ人はまたしきにめとま り給[ ]{[ ]}ふ右大将大臣かけ給ふ宮の宰相 中納言にあかり給ひにたり右[ ]のおと とのたらう梅つほの御せうと権大納言と 聞えし右大[ ]将かけ給ふさま〳〵いまめか しき事ともにうちのおとゝのきん達 (三七ウ)みなこもりおはするそいとあはれなる 年も暮ぬれはうちのおとゝのさい院 の姫君の御はかまきにほいなくとまりにし 春のほとにと覚えしいそくきさらき の十日はおほし[歟]かりにとおほしさたまりぬ 女はうのさうそくなとまて心ことにし 給ふ大かたのありさまと覚したりその日 になりぬ人〳〵の御とふらひなととり〳〵に みゆ御こしはとのゝうへゆひ奉り給ふへ けれは殿わたし聞え給ふしつまりぬれは (三{[ヒ]}[ ]八オ)うちみ聞え給ふに姫君の御ありさま すへてこのよの物とも見えたまはす たゝあたりもかゝやくこゝちするをめ つらかにみ給ふ御くしは御こしのほとに りもなかくてゐたけは[ ][よ]かりにそみえ 給ふちいさき御ありさまにひまなく かゝりた[ひ]る御かんさし御かほのふくらか にあいきやうつきてにほひあ[ ]る物から あてになまめかしくらう〳〵しくていか にそやけたかくさい宮もおほしあき (三八ウ)れたり女御をかきりな[ ]きさまと思ひ 聞えさせしかとそれはこめかしくけた かきさ

14 -55- まにて人よりことにみえ給へり これはまたさまことにめつらしき御あり さまありかたくと見給ふかくて事とも はてぬれ[ ]はかへりたまふをあかす思ひ 聞え給ふをはみやは姫君のうつ[ ][ ]くしさ をそ返す〳〵めて聞え給ふかくてかへり 給ひぬれはことの外にのとかなるこゝ ちし給ふ東院にはかくさま〳〵にもて (三九オ)なし給ふにきんたちのひとりもおはせ ぬ事[ ]をわか御すくせくちお しくおほ さるゝまゝに宮の姫君をい{[ ]}[を]かにせん とあたりくるしきまてもてなしかし つき給ふを殿もこゝろえてことにさし 出もし給はねはまろかする事な れはとむつかり給ふされとこうちの おとゝのいまはのをりの給[故]ひしことを おほせは中〳〵見給ふをりよりはこよ なくよついてもみなし聞え給ふかくて (三九ウ)ひとつにおはすれとを[お]のつから姫君 なとの御事をはいかにとこと葉のす ゑにもか[ ]け給はす中将なとのまい り給へるにもことにみいれぬさまに [ゐ]ふしめにおはするを殿はすさましく おほすまことや春宮の女御のわつらは せ給ひしはたゝならぬ御こゝちなりけ れはい[ ]またおさなき御ほとにいかにと うれしきものからあやうくと[を][ふ]のうへ おほさる御かと春宮なとのおほしよろ (四〇オ)こはせ給ふ事かきりなしまさしきに 御いのりひまなし三月廿{た本}[た]日にそ出給ふ 春宮はゆるしかたくおもひきこえ給ふ くはんは[わ][ ]く殿にはまたこと〳〵なし内の おとゝ権大納言なともことにまいりつかう まつり給ふ春宮よりは御使ひまなくて いらせ[ゐ]給へとのみあれはそのほと神わさ なとはてゝそ二三日まいり[ ][ゐ]給ふはゝ宮は 女御の御ありさまのまたなくらうたけ にみえ給ふをうちのおとゝのひめきみ (四〇ウ)おほし出らるゝまことや中将三位した まひしそかしおさなくきよらなる御さ [を]まのよのつねの人ともなくあくまて物 はつかしけなりまみの[ ][る]わたりよき人と ちはかよふにやいとよくありし姫君に おほ[ ]{[ソ]}[ ]え給へはいつれもあなうつくしと うちえみつゝ見たまへり女[ ][ ][ゑ]御は日比なや み給えるけにやすこしおもやせ給へるに しろ[へ]き御そえひそめのほそなかなよ らかにきなし給ひて木丁すこ[ ][ ][ ][ ][よ]しをし (四一オ)やりてそひふし給へる御さままたなく ら[お]うたけにあいきやうつきこめかしくみえ 給ふに御くしいとこ[ ]ちたくて御そのすそ にたりたらぬほとにいとをよりかけ た[ ][ら][ ]るやうにひまなくかゝりて御かんさしな とはたれにもをとり[お]給はしとみ奉る 給ふそゝろにあたりもかゝやくやうなる {[ ]}ことやなをありしほかけの姫君やまさ るらんとおほす御心そ[ほ]にくきこの女御 をこそたくひなき事にのゝしるにな (四一ウ)たくひありかたかりしおもかけわすら れたまはすかし夏にも成ぬれはあつき を人〳〵なけくにみかと何となくわつら[ ]ひ 給ふ事しけゝれは我御世もすゑになる 心ちし給ふをりゐ[お]させ給ふへき御ほい ふかきにつけても春宮の女御わかきみ にておはしまさはいかにめてたからま しとそおほす帥の宮の[ ]うへわつらひ 給ひしもこのほとにうせ給ひてひと りおはするに東院には姫君をあはせ (四二オ)奉らせはやと覚して心[ ]まうけしたまふ うちに大宮そならふ人なくておはします そのしたの女御たちあまたさふらひ給へ とはか〳〵しき事も聞えさめり春宮 には女御の君すきまなくそひたまへは よの人[ ][ ]〳〵のまゝらひにくけなり[ ]さり とてたゝ人なとに思ひゆ[じ][ ]つらんはものす なかるへし此宮は年なともねひすき給へ れ[け][ ]

15 -56- とゆへくちおしからぬ人なりとひた おもひきに覚しなりぬる[ゑ][を][む]をいとゝ姫 (四二ウ)君のせうなこんのめのとつゝきありて いひけれは宮よりも時〳〵けしきたち 給へるに心ゆき給ひて御返しなと聞え たまふ殿にも此よしを聞え給へはいかに も御こゝろにこそとゆるしきこえ給ふ さもあらはふゆつかたなとにもとおほし いそきたり八月になりぬれは女御の 御事う[ ]ち春宮より御いのりともおと ろ〳〵しくあめのしたのひき{[ ヒ]}みちたる をいへはさら也殿には覚しさはく事 (四三オ)を[わ][ ][お]ろかならんやはうちのおとゝ心うせお はする人にてことに御[ ][よ]いのりなとつかう まつり給ふ十日のほとにそのけしき あれは宮〳〵の御つかひ内春宮のはさら にもいはす馬車のをとお[お]とろ〳〵しき まてゆきちかふいたうもなやみ給はて かきり[ ][ ][ ][ ]なきおとこにておはすれは たれも〳〵をろかにおもひ聞え給[お][お]はん やはいつしか御はかしもちてまいりたり 内大宮なとの[ゐ]覚しよろこひたるさま (四三ウ)殿うへにをとらすそみえ給[お][ ][ ]ふ御うふやのき しきありさまよのつねならんやは三日大 殿[ ]五日内大臣殿七日内九日大宮誰も〳〵 いとみかはしたるさまめつらかなりとう くうはいらせ給はんことをこゝろもとなく まちわひさせ給ふ十月一日の比にわか 宮くし聞え給ひてまい[ ][ゐ]り給ふいまひと きはおも〳〵しさそひ給へる御おほえ いはんかたなしわか宮のうつくしさを 大宮みかとかきりなきものともて (四四オ)かしつき聞え給ふ春宮もやむ事なき ものにそ思ひ聞えさせ給ふ霜月にも なりぬれは内のおとゝの東院のひめ 君の御事此ほとゝ覚しいそきたり 内大臣殿はもてはつかしけにおはする 宮をこゝろはやりのまゝにかたはらいたき 事やし出給はんとおほせとさやうの 事のたまふをは人にくゝとひとへにむつ かり給ふもむつかしけれはたゝまかせき こえて見給ふそのよになりぬれは宮の (四四ウ)おほさん事もさすかなれはきんたち くして事ともおこなひてまち給ふさ[ ][ ][ ]うし みもいみしくしたてられ給へりこれも くちおしからぬ[ ][を]そかし御かほはまろらかに ふくよかにてまみのわたりくちつき あいきやうつきてあくまてほこりかに にきはゝしうそみ[ ]ゆる御色そすこし おほつかなき御くしもおほくてたけは か[ ]りそものし給ふ御としは十六になり なり給へは何事もねひと{[ ]}[ ][ ]ゝのひて (四五オ)さかりにみえ給ふいたくふけぬさきに 宮わたり給ふ御としなともおとなひた まへともてなしなまめかしく色におは する人にていかにそおはする御かたち な{イロ[ ]}とはいとよからねとあてやかになよひ 給へりいつしか姫君の御ありさまみ給ふ にくちおしからすみるかひありてそお ほ[を]さるゝほとなくあけぬるもなこり おほくかへり給ひてほとなく御ふみあ るにそはゝうへむねおちゐて御心 (四五ウ)中きたる姫君のいまたふしたまへる ところへもちておはしてそゝのかした まへとおきあかり給はねはひきときて 見給ふに よそにのみ思ひし物を暁の別れはけにそ露けかりける 御[ ][ ]なりイ返しはやかて母うへそかき給ふ おき出る露に暁そほちつ[涙][ ]ゝ我身も共にきえぬへきかな 御使のろくなとめやすきさま[ ][ ]なりい ろめきたるてのいみしく筆きえたる さましたりけるもすきぬれはひるなとも (四六オ)うちかたらひて見給ふにたくひなきには あらねとくちおしからぬそかしかくて とし[を]もかへりぬれは春宮のわか宮 としそひていとうつくしうみえ

16 -57- たまふ みかとも何となくことにふれて御代の すゑになりぬる心ちし給ふにまうけの 君のおはせさりしかは覚しあつかひ 給ひたりしにいまはこゝろやすけれは ひとへにをりゐさせ給[お]ひなんの御心も うけなりおなしみかとゝ申せと御心 (四六[ま歟]ウ)あまねくてかすならぬしつのおまても おほしはこくみて[を][ ][く]うるはしかりつる御ま つりことをおしみ聞えぬ人なし殿なと[を]も ゆるしたてまつり給はねと物のさとし しけゝれはいかさまにものとかに覚し て四月一日に御くにゆつりありわか宮 [ ]春宮にゐ給ひぬる事をあるへき事 なれとほかにつけてはよの人もめてあ へりみかともおさ〳〵しかるへきほとに おはし[ ][を]ませはこれそいとゝはへ〳〵しく (四七オ)そみえ給ふ女御[え]はやかてきさきにそたちた まふをりゐのみかとは冷泉院とそ[お]聞え さする内のおとゝのさいゐんのうへこの 春のころよりなにとなくわつらひ給へは れいの御事にやとおほすにさはな[ ][ ]くて おとろ〳〵しうはみえたまはぬものから たゝいつとなくなをこゝろほそけに おほしてうちなきなとし給ふをとの[ほ]{[ ]}は いかにおほすならんとあやしくしつ心 なくおほされて御いのりなとはしめ給へは (四七ウ)はか〳〵しきしるしもみえすおなしさま にのみものなとも露みいれたまはすほと ふ[ ]るを殿もおほしなけくせんさいくう にもひめきみの御事を御[ ][ ][ ]こゝちのひ まにはこまやかにかきつゝけ聞え給ふを いか成へ[ ]き御心にかといとあはれにおほ さるいつれも〳〵御心ひろきやうにて はらからなともあまたおはせねはかき りなく思ひ[ ][ ]かはし給ふ御とふらひなとひ まなくこまやかにておほしやるを内の (四八オ)おとゝはありかたしとかしこまり申たまふ 夏もやう〳〵すきぬれと此御心ち只おなし さまなり日ころふるまゝによはけにのみ なりまさり給ふ御心にもきんたちの御 [わ][ ]ことをうしろめたけにおほしつゝ殿にも おり〳〵にわさとな[ ][ ][を]くて聞え給ふ中にも ひめ君の御ことはあさからすおほしいり[ ][ ]つゝ の給ふを殿もよろしくおほされんやは 中将なとはいま[ ]はかひなかるへきほとにも おはせねは何事もおとな〳〵しくさたし (四八ウ)給ふしゝうは十四にもなり給へはたれもお [ ][そ][を]さなかるへきほとにもあらす姫君いまた いはけなかるへきほとなれといとおとな〳〵 しくしつまりつゝかくわつらひ給ふを覚し なけくをみ給ふにもいよ〳〵見すて給 はん事かなしくおほさる東院もをの つからわたり給ふにもいかになとのた[お]まふ こともなくて心ちよけに覚しつゝ宮の 御あつかひなにやかやとし給ふもれいの 事なれと心つきなくつゐに思ひかな[ひ]ひ (四九オ)てやおほされんと心うくそおほさるゝ かくて秋もすきぬれはよはりゆく虫の こゑ〳〵もわか身のうへとの[わ]みおほさる 紅葉をさそふ木からしもことに身にしむ 心ちして此たひはかりにやとおほさる るまゝに姫君も露もかたはら[ ][ ]さらすもて なし給ふこのほとゝなりては御こゝちもむ けによは〳〵しくなりまさりてつねは きえいり〳〵し給ふををろ[わ]た歟[お]かに覚され むやは宮の中納言なとは日ゝに参りて (四九ウ)とふらひ聞え給ふいかにしてせんさいくうに いま一たひたいめんし奉らんとおほしけ るをもり聞給ひていとかなしくおほ さるれは忍ひてわたり給へりかきりな くかなしとおほしたるさまあはれなり ありしにもあらすかけなとのやうにて ふし[ ][ ][ ]給へるをみ給ふに今まておほつかな くてすくしつらんよとか

17 -58- きりなくおほ さるゝいとゝたゆけにおほしなからある かなきかの御さまにも君たちの事を (五〇オ)いとうしろめたけにのたまひていみしく なき給ふ中に中将しゝうなとはおとこ [を]の身なれはいかさまにても心やすきかた も侍へり姫君のいまたいはけなきほと をかひなきわれさへゆきかくれ侍へり なんことをいとかなしくうしろめたく侍る をおとゝなともたゝ今はをろかならす見 え侍へれとおとこはものにこまかならぬ [お]{[ヒ]}[を]ものなれはいかやうにかあら〳〵しきさま にてやさすらへむとなり侍へりなんと (五〇ウ)おもへはかきりあらんみちもやすかるまし きとていみしくなき給ふ御心さしのほと をものしりて侍へれはさりともと思ひ 聞えて侍るをゆめ〳〵はか{[ヒ]}なきさまに なとさすらはせて此人のゆくゑかはらぬさ まに[へ]はくゝませ給へなといとよはけに いひもやらす聞ゆへくもな[わ][ ]くの給ひつゝ くるを聞給ふにをろかにおほされんや はかた[お]みになみたにくらされつゝのたまひ つくすへくもあらねとひめきみの御事は (五一オ)ゆめ〳〵うしろめたくなおもひ聞え給ひそ いかて露おろかにおもひ聞えさすへき たゝわくか[ ][ ][ ]たなく此年比たのもしきかた にもたのみ聞えさせつるにうちすてゝ たちまちにさきたち給はん事いとかなし くとてせきかね給へるにいといたくふけ ぬれはいまはとくかへり給ひねとのた まひなからまたいつかはとおほすにこゝろ ほそくか[ ]なしくてひきとゝめ聞え給ふに かへり給ふへき心ちもしたまはねと誠に (五一ウ)あけかたになりぬれはのり給ふ道すか[ ][ ]らも ありつるおもかけのみたちそひたる心ち していとあはれにおほさるかへり給ひ ていつしか人奉り給ふあくる日よりは いたうくるしさまさり給へはところ〳〵より 御とふらひす[ ]ほうひまなしましておとゝの 御こゝちをろかなららんやは{[ ]}[お]つゐにそのゆふ つかたあさちの露よりもはかなくてき えは[ひ]て給ひぬるをゆめかと覚しあき れ給へはいふかひなきさまに[い]のみなりまさ (五二オ)り給へはかひなくてときもかはりゆくさ てあるへき事ならねはれいのさほうに おさめ給ふとし[を]ころさふらひつきたる 女房きんたちなとはいと物さはかしき[わ][ ]ま てなきのゝしる姫君いはけなき御心ち におほしまとひたるさまみ給ふにそ いとゝもよほさるゝ心ちし給ふ人〳〵の けて火なとともしてほかは又さしより つゝみ給へはいたくあをみやせたまへれと わかくらうたけにてなに心なくふし給へるを (五二ウ)見給ふにゆめの心ちし給ふ御くしはいたく [い]ほそりてたけに二たつはかりやあまり 給ひたらんとみえてひ[ふ]きゆひつゝ枕に うちをかれたりことしそ卅六になり 給ふい[お]またいとわかくおはしけるせん斎 宮はかくと聞給ひてあはれともをろ かにやはおほさるゝひめ君の御事を返す 〳〵のた[お]まひをきしなとおほしいつるに 東院なと御こゝろをきていと[お][お]おとなけ なくおはするを聞をき給へれはまことに (五三オ)[ ]いかてもてなさんとうしろめたくおほ さるゝ三日すきて山の井といふ所に ちゝ宮の御はかありけれはわたし聞え 給ひけりきんたちふたところおとなしく 御ともし給ふいつれもわかすふかくそめ 給へる御その色ともみたてまつる人〳〵 あはれにおほすいたくさえて雪うち ちり風なとふきて世のけしき[夜]物哀 なれはいとゝゆきもやらす[ ]なら山の井へお はしつ[ ]きて見給ふに年へけれは御はかの (五三ウ)あたりもいと物

18 -59- むつかしけにて草おひ しけりたるをわけ入てそほとちかき {[ ]}ほとにおさめ奉り給ふあけかたに成ぬれ はかへり給はんとし[ ][を]給ふにもこれやかき りとまたかきくらされ給ふ中将のいと おとな〳〵しく事ともをきて給ひなから これもえためらひあ[ ][お]へ給はぬを人〳〵も しのひかたく見たてまつるしゝうはいと ほこりかにあいきやうつき心ちよけなる 御さまにいたくなき給へるとみゆるまみの (五四オ)わたりいとよくおほえたりみ給ふも いとかなしかへり給ひてひころおはし つるところいつしかしつらひておはする 心ちいはんかたなし姫君のあるましき まて覚し入たるさまことはりなからいと あやうきか[わ][ ][ふ]なと御めのとゝもいひなくさ めていとかなしく思へり殿は東院へも わたり給はてやかてこの御かたにてなく さめにはよ[ ]るひるわかす御おこなひし給ふ さきのさいくうみやの中納言なともほとけ (五四ウ)くやうし給ひなく〳〵も御いみもすゑに成 ぬれはこれさへ心ほそくなこりおしく覚 さるゝしゝ[を]うのきみはゝうへの御おち兵部 卿と聞え給ひし姫君のさき{[ ]}の斎院に ておはするかおさなくよりこにした まひてまたな[を]くあつかひかしつききこえ 給ひしかは母うへもこれはかり御[ ][ ][ ]心や すく覚したりき中将はいまはおとなしく なり給ひけれは人〳〵あまたけしき たち給ふ中にも宮の中納言梅つほ (五五オ)の御せうとのゑもんのかみなとはこうへ もさやうにと[ ]{[ ]}おほしたりしかといかなる 心にかいつしかさやうにさたまりてゆる きなからんことはわつらはしかりぬへくと おほしてものうけにのみ申給ひしかは のたまひやりたることもなくかくて過る なりけりさるは忍ひたるところ〳〵人 あまたかよ[ ]ひものし給へととりわき物 ものしきさまにみゆる人もいとなし 中宮のひやうゑのないしをそをり〳〵に (五五ウ)つけては心あるさまにおほしたりける 此ほとのたえまもさすかに[ ]くるしく おほして雪かきくらしふる夕暮に をかしきすいし[お][ゐ]んして とはてのみあはぬ絶まを歎くには心そゆきと降くらしける とかゝれたれは日比のたえまもうら めしなからお[を]りからもすくしかたくて ゆきとまる心もしらすとはての[ ][ ]み過る絶まはいかゝうからぬ かきさまなとのゆへなからぬも[ゑ]あはれと み給ふはかなくて御つみも過ぬれは内の (五六オ)[い]{[ ]}おとゝなとはまきるゝかたなくおほす まゝに姫君のいたくおもひ入給ひつるを なくさめなからわれもうちしほれ給ふ さいしやうのめのとにまきらはし聞ゆ 過こきよしなといひをき[う][お]て東院に あまりほとへぬるもさすかにおほさ れてものは{[ ]}して日ころのおほつかな さの事のたまへはまことにはかなき 世のならひは我か身のうへとのみ覚ゆる にいとゝかやうにそちかき事は哀れに (五六ウ)浅からす侍へる中にも姫君のい[ ]たく おもひ給へると聞侍へるなんまことに 心くるしくさやうなる人なともものせ ねはむかへ聞えてそ[ ]うしろみ奉つ[ ]らま ほしくおほえ侍へりしかとゆるしなき やうに覚したり[ ][ヒ]しつゝましさに申も いてゝすき侍をいまはかひ〳〵しく御 うしろみなとも侍へらすとき〳〵わたし 聞えて宮のうへなと[ ][ ][ ]ももろともになく さみ給へかしなとよのつねにてこまやか [ ](五七オ)にの給へはまことにさやうにもとおほし なりてむ[ ]かへ給はんにはほいにていと よくこそ侍らめなとのたまひてかへり 給ひぬ何となくのとやかなるにおこ なひのひしつ{[ タ歟]}

19 -60- かた姫君の御かたへおはし たれは宰相のめのとしゝうなと人二三 人はかりさふらひてむかしの事なと いひ出るにや時もわかすうちしほれつゝ なかめあへり姫君はちいさき丁ひきよ [ひ]せてそれふし給へり年のほとよりも (五七ウ)こよなくおとなひてうへの事なとつき せすおほしなけきたるけにやすこし[ ][ ][ ][ ][ ]お もやせ給へるしもかきりなくみえ給ふ にひ色のほそなか[ ][ ]ひきかさねてきた まへるそ中〳〵なまめかしくさまことな [ ]るせんさいくうより御ふみとてあるを み給へはうすむらさきのしきしにいと こまやかにかき給ひておくつかたに うへをきし垣ほあれにしとこ夏の花を哀れと誰かみさらん 御返[ゑ][お][ ]しとくとそゝのかし聞え給へはいとゝ (五八オ)つゝましけに覚したれと筆なととりまか なひて御つしなるうすにひのしきし とり出てかゝせ奉り給ふ御てなともゆ くすゑおもひやられていとみまほしく うつくし 垣ほあれてとふ人もな[く]き常夏はおきふしことに露そこほるる まち見給ふところには何事につけても さまことなる御ありさまをあはれしおほ さ[と]るひんかしの院にはそのゝちのめ君の 御事を心にかけてのた[ひ]まへはいとめやすしと (五八ウ)おほすに斎宮なともむかへ聞えまほしく の給へと日比の御ありさまこそありかたく も[ ][く]のし給へと人〳〵なとみなしもおなし 心にてもてなすへきにもあらすまことに われなからんあとにそさやうにもゆつり [ ]たてまつらめなとおほしてあとなくて すくるに東の院にはつ[何][ ]ねにさやうに のたまへはたのもしき人なともなきに ほとち[ ]{[ ]}かしといひなからはなれおはする もおほつかなくてこなたへうつろはせ聞え (五九オ)給ふにもさはかりうしろめたくおほしたりし をもさふらふ人〳〵もおとゝもあはれもよ ほさ[と][も]るうへは姫君のあり様めもあやに あさましきまて覚えてとの[ ]ゝ事と なく覚したるもことはりにみ給ふむかへ とり給ふて[わ]のちはかひ〳〵しくつれ〳〵も こよなくまきれ給ふはかりもてなし 給ふを人〳〵はいつまてとなまこゝちつき なくおもふに西の院には中将をそすへ 聞え給たるさてのみひとりすみにて (五九ウ)おはするをいと心くるしく覚したるに 宮の[ ]中納言なとねんころに聞え給へは いかさまにもうへの御はて[ ]すきてさやう にもなとおほしなりぬわかきとちに ておはす[ ][若][ ]るけにやとのゝ三位の中将と ことに聞えかはし給ひてをかし[お]き花 も[み]ち月のあかきはる〳〵なともみす くさすもろ共[よな][とも]にさそひきこえつゝ 覚しかはしたりいまたきいはなるへ き[び][ ]ほとなれとあさましくしつめ給ひ (六〇オ)たる御よういも[ ]てなし露このよの人 ともおほえすめもかゝやきひかるやう なる御かたちはさるものにてはかなく すさみ給[ ]ふきもの{[吹]}ひきものこれこ そとおほつかなるはなきなかにきむと ふえとはわか御心にもはれたれはにや うち聞人もすゝろにものあ[ ][い]はれにて 涙おとさぬはなしましてとのはゝ宮 なとはなまよろしくおはせんたにめつらし さにはをろかにおほされんやい[お]とかはかり (六〇ウ)なる御ありさまをいとうしろめたきまて やすきそらなくあやうくおもひ聞え給ふ うちのおとゝは[ふ]うへの御はてになりぬれは こと〳〵なくいとなみ給ふにもむかしをしの ふ御なみたひまなくおほされつゝ御はて もすきぬるに宮の中納言わたりには ほのめかし給ひしこと人しれす{[の]}このほとゝ 覚しいそきてけしきたちたまへは よとゝもなる

20 -61- ひとりすみも心くるしくて さるへきさまにをきてつるをさや[お]うに (六一オ)いつしかさたまりてもし思ふににぬよな らはわかため人のためよしなかりぬへき ことかなこゝろにまかせて花もみちに つけてあくかれつるは中〳〵よくこそ 有つれなとおほせとまたあなかちに 心とまるよすかなとはもちたまはねは うちはへものうくおほすへきにはあしく かよひそめ給ひぬ女君のありさまなと みるかひなくはあらすなよ〳〵[ ]とあへかに たゝひとすちにらうたけにて心なん (六一ウ)[ゑ][ ]みなれ給ふまゝになつかしきやうにて 思ふより見まさりしたる心ちし給へは たゝ今はいとめやすき御あそひなり年 月もはかなくゆきかへりつゝ内のおとゝ の姫君も十四になり給ひぬいまたふた 葉よりさまことなりし御さまねひとゝ のひた[ ]るまゝにあたりかゝやくとはかやう の事にやとみゆるをちゝきみなとは いとかなしくおり〳〵につけつゝうへの ことつみ[ ][ ][を][い]{カ}せすいてゝしほたれ給ふたくひ (六二オ)なる御さま世の[ ][ ]{く カ}中にもり聞えて中宮 と此姫君となんかくめてたくものし 給ふなる事とよの人もやう〳〵いふを うちのいろにおはします{ }御こゝろにて ゆかしくおほされつゝ春の花秋の月 とならへ[ ]てみまほしくおほされけれは 女御にまいり給ふへきよし御[ゐ]きそくあ るをちゝおとゝまことさもあらはほいかな ひてう{[ ]}れしかるへきにせんさい宮なと のさはかりありかたくおはす[ ]るを思ひ (六二ウ)しらすかほに中宮なとの御ためひんなか [ ]らん事ありぬへけれあの御あたりに そはゝかられてはか〳〵しき御うしろ みもなからんましかはや中〳〵人わらはれ な{[てや]}らむとおほせはかしこまりてうけひ き給はす月日もはかなくすきて秋 のちもくにくはんはくほかく三位の中将 中納[ ][わ][ ]{[ うち]}言にあかり給けしきたつ人〳〵 おほかれと心とまへきもみえ{[ る]}ぬにいとゝ よの中あはきなくおほされてみるかひ (六三オ)[ぢ]なからん事をねんしすくさんことそ人 のためにもわかために[ ]もいとおしかるへ けれなとおほしつゝけてかく今まてさた [ほ][ ][ ][ ]まり給はぬなるへし八月十日あまりの 月つねよりもくまなくさし出たるに れいのおほしあくかれて内のおとゝの 宰相いさなひくせんとてしのひて さいゐんへわたり給へれは東の院[ ][ ]に おはするよし聞ゆる人あれはもしたつ ねよりつへくやあるとてやをらいりて (六三ウ)見給ふに西の対のかたにものゝねあまた 聞ゆれはおほつかなくて音をしるへに てたつね[ ][ ]つゝおはしてみなみのへいの とにたちよりて聞給ふに人こゑあまた してことひはいつれとなくをかしく ひきあはせたる[ ][ ][お]中にきんのねは すくれてくも井にすみのほりて月の みやこ[ ][ ]の人もきゝおとろくらんかしと 聞こゆるにわか心にもむかしよりしみに しみてことにみゝとゝめつゝ聞たまふに (六四オ)身にしみなつかしくあいきやうつきたる ものからなまめかしくこれやなへて ならすさいしやうなとのおもひあかり [く]たるいもうとならんまことに此ほとに かよひたらんかたりち[ ]{[ヒ]}はしもゆかしさま さりてへいのわきの戸おもふやとをして {[ヒ]}{[とおほ]}見給ふに心やすくあきぬれはうれしく て忍ひつゝみ給ふにえ[ ][ゑ]んに人〳〵二三人 ゐつゝまへなる前栽に虫ともはなちて あそふなりけりみすすこしまきあけて (六四ウ)うちに人あまたゐたりはしにはことひ く人そゐたるすこしをとなひてなま[ ][お][ ]め かしくみゆ宰相の君とそよふめるいつ れとなく見わたし[ ][ ][ ]

21 -62- 給へはゆくゑなからす しもなき中にきんのぬしいつれならん [へ][ ]と見給ふにきんはすこしをりやりて ちいさき木丁によりふし[お][し][ひ]たる人や是 ならんとおほすにかたふきかゝりたる かんさしかみのかゝりよりはしめておも やうひたいつきなとすへてか[ ][ひ]はかりなる (六五オ)人をそゆめの中にもみさりつれと見給[い]ふ 中宮をこそかきりなく世の人も申 われもみたてまつるにまたこれはさまと 成ける人かなとつく〳〵とまもり給ふに [こ]こゝこそとをろか成ところなくあてに なまめかしくらうたく[お]あいきやうつき たゝあたりまてにほひかゝやく心ちする さやけき月の光りもをしけたれぬる にやとそおほゆるかきりな[お]しとみゆる きはの人〳〵もさすかにみつるは露は (六五ウ)かりなすらへなる人のなきかなといと浅 ましきまておほさる[ ][ ]ゝあいきやうこめ かしきさまはしも宮もよもをとり給はし [ ][お]あたりもかゝやくはかりなるまみのわたり なとのなまめかしさやこのよになからんとそ おほさるゝかたはらに火はをしや[お]りてね たる人をみ給へはあいきやうつきほこ りかにてまみのわたりなとさまことに てなまめかしくあてやかなるそをく[お]れて みゆれとこれもさるかたにかひなけに(六六オ)はあら[ ][ ]すにくからぬありさまなりこれや そちの宮のうへならんとそ[ ]をしはかり 聞え給ふもしるく宮なんかへらせ給ふとて御かた[お]へいらせ給へとうへなん申させ給ふに おくのかたより人きていへは何とかうち かたらひつゝすこしえみ給へるにほひ い[ゑ]はんかたなし只こゝもとにて夜もあかし つへくみつゝ立給へるに宰相の君の あしをとすれはかくて見えしといそき たち[お]のき給へとたゝあのほとにたましゐは (六六ウ)入ぬる心ち[ひ]してあるにもあらすひきかへ[ ] 給ひなからたち出給ふにや[し]かて宰相の 中将にいきあひ給へれはなにとなく こゝろのおにゝむねうちさはきてかほ あかむ心ちするをよくしつめてふ[わ][ ][ ]せや の中はなをあかぬよの月にあくかれて くものうへまて[ほ]ももろ共にと思ひ聞えて たつね奉るにいつくのくまにたちか[ ][ ]く れ給ひにけるにかとほゝえみたまへる さまいひしらすな[ゑ][ ]まめかしくみえたまふ (六七オ)御心にくまはならはせ給ひたるにやまた こそしり侍へらねとうちたはふるゝけし き{[ ]}のにくからすあてになまめかしくしつ まり人にはことなるにもありつるを もかけおもひ出られていつしか恋しく おほさるゝそうちつけなるよしのゝおく まてあくかれつる心も立かへりことゝなけ れはもろともにのりくして殿へおはす る道[ ]すからなかめかちにてものおもひ そひぬる心ちするを宰相もあやしく (六七ウ)思ひよらさるたちところいかなりけ るさりつるイにかものゝねをしるへにて立より 給ふにしそさりともまこと[こそ]にはいかて かみ給はんほのかにも見給ひたらん人は いは木なりともよにをたしくはおはせ しなとそこゝろをこりしてお[お][ ][お][ ]ほさるゝ 帰り給ひて打かたらひてをかしき物 の音ともあは[お]せてあそひ給ふかた心 にもありつるおもかけにわすれす 浅ましくさへそおほさるゝさいしやうは (六八オ)おさなくよ[を]り内のおとゝのふえをいと よくふきつたへ給ふるに中納言ならふかた なくふきひゝかしたまへは此きゝ給ふ には手ふれ[ ][ ][ ]にくゝ思ひたるそをかしき あけぬれはさいしやうもかへりた[お]まへるに 思ふ事なくてやすらかなりつる身に 何となくもの思ひそひたる心ちして いみしきみや〳〵といふともあれにを[お]

22 -63- とり たらん人をえてもてあつかはんこそ世に あるかひなく心うかりぬへけれよそなからも (六八ウ)いま一たひみてしか[ ][ ]なと思ひつゝ明ゆく そらをつく〳〵となかめいてゝとみにも { }{ラ}[ ][ ]うこかれぬを大弐のめのとよりきて よへ左大将殿より御ふみ[ ][ ]のさふらひし かは御らんしさせんとてたつね参らせ 給ひし[ ]かともおはしまさぬよし聞せ たまひていとおほつかなけにも[ ][ ]のし 給ひしなとかたるを聞給ふにもいて や何事もものうく{ }そおほゆるれいせい ゐんの女御いとしもすくれ給はねはこ{[ ]}そ (六九オ)とし比になり給ひたれともはへ〳〵しき こと[え]もものし給はていまは里かちにも のし給ふらめこれもいとすくれても聞え ぬをあり〳〵てよすかとたのみたらん こそほいなかるへけれなと思ひつゝけ給ふ 日たかく成ぬれはうち春宮へ参らん とおほしてすこしひきつくろひて殿 の御まへにまいり給へるさまのいとめて たきをれいのさうなくうちえみ[ゐ][ゑ]てそ見 聞え給ふ藤つほへ御ことつけや候らんと(六九ウ){ カ}申給へは故郷の前栽なともこのほとは み所侍るを御らんしはやさせ給はぬ れいの御いとまゆるしかたき御事にやと くるしくこそ侍へれとその給とのには うへも左大将のもとより心もとなけに ものせられたりしをいつとなくいひなし てすくさるゝは人のためまことにいとかひ なしいまのよにはおも〳〵しくよき人に こそいふめれかくつく〳〵と おはせんよりは さやうにものしたまへかしとこまやかに (七〇オ)聞え給ふをいとゝものうくおほされてさは かりものなとものたまはぬをれいのくる しくおほしたるなめりとこゝろえ給ふ にえしゐいても聞え給はす内へまいらすへ きよし院へそうせ[ひ][ゐ][ ]られたりと聞侍へりし かはそのうへにかすならぬ身にてきしろひ 申さんはひんなくこそはあらめとからうし ての給ふけしきのいとむつかしとおほえ たれはいてやいみしきみかとの御むす めなりともこのありさまにてものうく (七〇ウ)おほしたらん事はあちきなかるへしましてたゝ 人のむすめふひ[ ][ ][ ]んなりといふはかりこそあれ よのつねならん人はならひに[ ]つゝおほしたらんこと はりなりましていとすくれてとも聞え[く][ゝ][ ][ ]すなと 御心ひとつにことはり給ふしはしさふらひて たち給[わ]ふうしろよういなといかてかくしも よろつにすくれ給ひけむとつきす見を くり給ひけるこそ[お][と]貼付されていない紙片の内容を以下に示す 五〇ウなとウ五行六二ウくはんはくほかく ウ七行六四オ五行 くたりはしも 六行 おもふやとをして オ[付記]貴重な資料の翻刻をご許可くださった金沢大学附属図書館に御礼申し上げる なお 本稿は科学研究費助成金若手(B) 苔の衣 諸伝本の本文研究及び校本作成 (課題番号16K16774 )の成果によるものである [注](一)今井源衛 王朝物語の終焉 ( 国語と国文学 第四一巻第一〇号 一九五四年一〇月)(二)市古貞治 三角洋一編 鎌倉時代物語集成 第三巻(笠間書院 一九九〇年)

23 -64- (三)麻原美子 苔の衣 絵巻の研究と本文(一)(二) ( 日本女子大学紀要(文学部) 第三六 三七号 一九八七 八八年三月)(せきもとまさの 北海学園大学人文学部講師)

32 伝中院通躬筆 狭衣物語 巻一翻刻(上)青木祐子鈴木幹生勝亦志織近藤さやか千野裕子はじめに本翻刻は 学習院大学文学部日本語日本文学科蔵 伝中なかのいん院通みち躬み筆本 狭衣物語 (913.37/5004 )を翻字したものである 当該写本は全四巻 今回は巻一の約半分を扱った 書誌等は巻一の翻刻終了

32 伝中院通躬筆 狭衣物語 巻一翻刻(上)青木祐子鈴木幹生勝亦志織近藤さやか千野裕子はじめに本翻刻は 学習院大学文学部日本語日本文学科蔵 伝中なかのいん院通みち躬み筆本 狭衣物語 (913.37/5004 )を翻字したものである 当該写本は全四巻 今回は巻一の約半分を扱った 書誌等は巻一の翻刻終了 32 伝中院通躬筆 狭衣物語 巻一翻刻(上)青木祐子鈴木幹生勝亦志織近藤さやか千野裕子はじめに本翻刻は 学習院大学文学部日本語日本文学科蔵 伝中なかのいん院通みち躬み筆本 狭衣物語 (913.37/5004 )を翻字したものである 当該写本は全四巻 今回は巻一の約半分を扱った 書誌等は巻一の翻刻終了時(次号掲載予定)に付す 今回の翻刻の凡例は次の通りである 一 改行は/で示し 半丁ごとに で丁数および表(

More information

Title 風 の 声 の 表 現 : 和 歌 における おと こゑ 試 論 Author(s) 小 山, 順 子 Citation 京 都 大 学 國 文 學 論 叢 (2001), 6: 65-82 Issue Date 2001-06-30 URL http://dx.doi.org/10.14989/137295 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title 世 界 戰 後 の 地 名 考 ( 六 ) Author(s) 瀧 川, 規 一 Citation 地 球 (1933), 20(4): 302-309 Issue Date 1933-10-01 URL http://hdl.handle.net/2433/184205 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

~ ご 再 ~

~ ご 再 ~ Title 經濟法令 Author(s) Citation 經濟論叢 (1925), 20(5): 925-942 Issue Date 1925-05-01 URL http://dx.doi.org/10.14989/128271 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University ~ ご 再

More information

Title 自閉症スペクトラム障害の人の内面の理解 Author(s) 多田, 昌代 Citation 京都大学カウンセリングセンター紀要 (2013), 42: 41-52 Issue Date 2013-03-31 URL http://dx.doi.org/10.14989/185344 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 永 井 荷 風 風 邪 ごゝち 論 Author(s) 浅 井, 航 洋 Citation 歴 史 文 化 社 会 論 講 座 紀 要 (2015), 12: 55-69 Issue Date 2015-02-02 URL http://hdl.handle.net/2433/197401 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title しかし と ところが : 日 本 語 の 逆 接 系 接 続 詞 に 関 す る 一 考 察 Author(s) 北 野, 浩 章 Citation 言 語 学 研 究 (1989), 8: 39-52 Issue Date 1989-12-01 URL http://hdl.handle.net/2433/87947 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Titleモデル 生 態 系 における 安 定 性 および 周 期 性 Author(s) 中 島, 久 男 Citation 物 性 研 究 (1978), 29(5): 245-265 Issue Date 1978-02-20 URL http://hdl.handle.net/2433/89469 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 潜在記憶と知覚的特定性効果 Author(s) 遠藤, 正雄 Citation 京都大学大学院教育学研究科紀要 (2001), 47: 392-402 Issue Date 2001-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/57396 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 壺 型 の 宇 宙 Author(s) 小 南, 一 郎 Citation 東 方 學 報 (1989), 61: 165-221 Issue Date 1989-03-31 URL http://dx.doi.org/10.14989/66695 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 宋 代 の 武 階 Author(s) 梅 原, 郁 Citation 東 方 學 報 (1984), 56: 217-268 Issue Date 1984-03-15 URL http://dx.doi.org/10.14989/66631 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 厨 子 負 ふ 考 ( 上 ) Author(s) 秋 谷, 治 Citation 一 橋 論 叢, 128(3): 257-270 Issue 2002-09-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/10259 Right Hitotsubashi

More information

Title 米 国 の 環 境 政 策 とバイオ エタノール 産 業 の 成 長 Author(s) 野 口, 義 直 Citation 經 濟 論 叢 (2003), 172(5-6): 51-69 Issue Date 2003-11 URL http://dx.doi.org/10.14989/45600 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 電 磁 波 と 健 康 Author(s) 宮 越, 順 二 Citation 生 存 圏 研 究 (2013), 8: 1-10 Issue Date 2013-02-10 URL http://hdl.handle.net/2433/184867 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 漢 代 の 機 械 Author(s) 橋 本, 敬 造 Citation 東 方 學 報 (1974), 46: 189-222 Issue Date 1974-03-30 URL http://dx.doi.org/10.14989/66512 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title < 論文 >1920 年代前期における学生運動の諸相 ( 上 ) : 京都帝国大学社会科学研究会を中心に Author(s) 福家, 崇洋 Citation 京都大学大学文書館研究紀要 (2011), 9: 15-37 Issue Date 2011-02-28 URL http://dx.doi.org/10.14989/139401 Right Type Departmental Bulletin

More information

Title 業 績 集 (1997 年 1 月 1 日 ~12 月 31 日 発 表 分 ) Author(s) Citation 京 都 大 学 医 療 技 術 短 期 大 学 部 紀 要 (1998), 18: 53-71 Issue Date 1998 URL http://hdl.handle.net/2433/49702 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title 業 績 集 (2000 年 1 月 1 日 ~12 月 31 日 発 表 分 ) Author(s) Citation 京 都 大 学 医 療 技 術 短 期 大 学 部 紀 要 (2001), 21: 63-83 Issue Date 2001 URL http://hdl.handle.net/2433/49432 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title 上 代 日 本 語 における 母 音 組 織 と 母 音 交 替 Author(s) 泉 井, 久 之 助 Citation 京 都 大 學 文 學 部 研 究 紀 要 (1956), 4: 989-1020 Issue Date 1956-11-20 URL http://hdl.handle.net/2433/72867 Right Type Departmental Bulletin

More information

Titleベンサムの 功 利 主 義 體 系 Author(s) 山 下, 博 Citation 經 濟 論 叢 (1956), 77(1): 113-136 Issue Date 1956-01 URL http://dx.doi.org/10.14989/132454 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

Title 初期議会の貴族院と華族 Author(s) 佐々木, 克 Citation 人文學報 (1990), 67: 30-49 Issue Date 1990-12 URL http://hdl.handle.net/2433/48342 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 或 る 女 性 の 影 : 周 作 人 の 文 學 的 出 發 Author(s) 森, 雅 子 Citation 中 國 文 學 報 (2005), 69: 79-118 Issue Date 2005-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/177955 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title P&Gの 日 本 市 場 におけるマーケティング 活 動 1972 1985(1) Author(s) ライアン, ジョン Citation 經 濟 論 叢 (1995), 156(1): 30-46 Issue Date 1995-07 URL http://dx.doi.org/10.14989/44997 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title 理学の本当の力はどこにあるのだろうか : 最終講義第三部 Author(s) 山田, 耕作 Citation 物性研究 (2006), 87(3): 347-359 Issue Date 2006-12-20 URL http://hdl.handle.net/2433/110701 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 光 と 影 : ラーキンの 列 車 の 旅 の 詩 Author(s) 宮 内, 弘 Citation 英 文 学 評 論 (1993), 66: 37-59 Issue Date 1993-12 URL http://dx.doi.org/10.14989/revel_66 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

c,-~.=ー

c,-~.=ー Title 本 多 利 明 ノ 經 濟 説 ( 二 ) Author(s) 本 庄, 榮 治 郎 Citation 經 濟 論 叢 (1916), 2(4): 581-591 Issue Date 1916-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/126989 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 統 計 物 理 学 雑 談 ( 対 談 座 談 会 特 集,< 特 集 > 名 古 屋 大 学 ) Author(s) 伏 見, 康 治 Citation 物 性 研 究 (1965), 4(5): 339-359 Issue Date 1965-08-20 URL http://hdl.handle.net/2433/85786 Right Type Departmental Bulletin

More information

Title 伊太利ところどころ ( 三四 ) Author(s) 瀧川, 規一 Citation 地球 (1933), 19(1): 70-77 Issue Date 1933-01-01 URL http://hdl.handle.net/2433/184121 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 月 明 の 中 の 李 白 Author(s) 興 膳, 宏 Citation 中 國 文 學 報 (1992), 44: 60-91 Issue Date 1992-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/177520 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 三 つの 船 Author(s) 蜂 谷, 昭 雄 Citation 英 文 学 評 論 (1972), 29: 85-103 Issue Date 1972-03 URL http://dx.doi.org/10.14989/revel_29 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 組みひもの理論と力学系 Author(s) 松岡, 隆 Citation 物性研究 (1996), 67(1): 1-56 Issue Date 1996-10-20 URL http://hdl.handle.net/2433/95934 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 蝉 ひぐらしを 詠 む 万 葉 歌 と 中 国 文 学 Author(s) 宋, 成 徳 Citation 京 都 大 学 國 文 學 論 叢 (2009), 20: 1-15 Issue Date 2009-02-28 URL http://dx.doi.org/10.14989/137380 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 中 国 中 央 集 権 的 計 画 経 済 体 制 の 形 成 と 第 一 次 五 ヵ 年 計 画 (2) Author(s) 李, 軍 鋒 Citation 經 濟 論 叢 (1997), 160(5-6): 61-82 Issue Date 1997-11 URL http://dx.doi.org/10.14989/45180 Right Type Departmental Bulletin

More information

Title 京 都 大 学 結 核 胸 部 疾 患 研 究 所 年 報 ( 昭 和 54 年 度 ) Author(s) Citation 京 都 大 学 結 核 胸 部 疾 患 研 究 所 紀 要 (1980), 13(1/2) Issue Date 1980-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/52180 Right Type Departmental Bulletin

More information

第三部 著者略歴218 もっと野尻抱影を知りたい人のためのブックガイド219

第三部 著者略歴218 もっと野尻抱影を知りたい人のためのブックガイド219 第一部 10 18 26 30 32 34 36 38 40 42 44 第二部 56 59 61 63 65 67 69 72 74 76 79 81 83 85 87 89 91 93 96 98 100 102 104 106 108 110 113 115 117 119 121 124 127 129 131 第三部 136 146 154 162 167 173 177 186 197

More information

Titleアーノルドの 古 典 主 義 Author(s) 川 田, 周 雄 Citation 英 文 学 評 論 (1963), 13: 32-63 Issue Date 1963-03 URL http://dx.doi.org/10.14989/revel_13 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

Title ハムレット の 悲 劇 性 : その 一 面 Author(s) 岡 田, 洋 一 Citation 英 文 学 評 論 (1963), 14: 1-12 Issue Date 1963-11 URL http://dx.doi.org/10.14989/revel_14 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 漢 代 鬼 神 の 世 界 Author(s) 林, 巳 奈 夫 Citation 東 方 學 報 (1974), 46: 223-306 Issue Date 1974-03-30 URL http://dx.doi.org/10.14989/66511 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

Title 男 女 交 際 コートシップ : 純 潔 の 日 米 比 較 社 会 史 Author(s) デビッド, ノッター Citation 京 都 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 紀 要 (2000), 46: 235-247 Issue Date 2000-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/57366 Right Type Departmental

More information

Title 金瓶梅 の構想 Author(s) 井波, 陵一 Citation 東方學報 (1986), 58: 275-325 Issue Date 1986-03-31 URL http://dx.doi.org/10.14989/66656 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 音 の 傳 承 : 唐 代 における 樂 譜 と 樂 人 Author(s) 中, 純 子 Citation 中 國 文 學 報 (2001), 62: 50-74 Issue Date 2001-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/177871 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 梁 武 の 蓋 天 説 Author(s) 山 田, 慶 兒 Citation 東 方 學 報 (1975), 48: 99-134 Issue Date 1975-12-10 URL http://dx.doi.org/10.14989/66532 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 東アジアにおける国際金融センターの競争 : 東京が国際金融センターになる可能性 Author(s) 鄧, 卓輝 Citation 岩本ゼミナール機関誌 (2008), 12: 79-94 Issue Date 2008-02-19 URL http://hdl.handle.net/2433/57054 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 財 政 と 統 制 経 済 Author(s) 木 村, 元 一 Citation 一 橋 論 叢, 17(1/2): 49-72 Issue 1947-02-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/4716 Right Hitotsubashi

More information

Title 農 業 経 営 複 式 簿 記 の 勘 定 設 定 について Author(s) 阿 部, 亮 耳 Citation 農 業 計 算 学 研 究 (1971), 5: 34-57 Issue Date 1971-03-30 URL http://hdl.handle.net/2433/54389 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 日 本 製 映 像 ソフトの 浸 透 と 台 湾 の 国 家 政 策 Author(s) 羅, 慧 雯 Citation 経 済 論 叢 別 冊 調 査 と 研 究 (2003), 26: 41-61 Issue Date 2003-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/44553 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title 伊 勢 神 宮 神 三 郡 の 戸 田 と 寄 戸 : 和 郡 の 中 世 的 編 成 Author(s) 勝 山, 清 次 Citation 京 都 大 學 文 學 部 研 究 紀 要 (2003), 42: 1-28 Issue Date 2003-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/73109 Right Type Departmental Bulletin

More information

Title 絶 縁 体 スピングラスRb_2Mn(1-x)Cr_xCl_4の 磁 性 ( 修 士 論 文 (1981 年 度 )) Author(s) 楡, 孝 Citation 物 性 研 究 (1982), 38(4): 225-265 Issue Date 1982-07-20 URL http://hdl.handle.net/2433/90762 Right Type Departmental

More information

Title 入学時における助産婦学生の受胎可能期に関する認識調査 Author(s) 菅沼, 美奈子 ; 石川, 裕子 Citation 京都大学医療技術短期大学部紀要 (1988), 8: 40-49 Issue Date 1988 URL http://hdl.handle.net/2433/49671 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title< 第 二 章 > 森 を 育 てて 海 を 想 う Author(s) ニコル, C.W. Citation 時 計 台 対 話 集 会 (2006), 2: 33-50 Issue Date 2006-09-15 URL http://hdl.handle.net/2433/176925 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 幼 児 の 自 己 調 整 機 能 の 注 意 ならびに 認 知 的 メカニズム : 自 己 制 御 と 自 己 主 張 の 二 側 面 からの 検 討 Author(s) 鈴 木, 亜 由 美 Citation 京 都 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 紀 要 (2003), 49: 338-349 Issue Date 2003-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/57482

More information

Title 文 化 としての 農 業 文 化 としての 食 料 (1) : ブラシカ (Brussica L.)を 中 心 として Author(s) 末 原, 達 郎 Citation 京 都 大 学 生 物 資 源 経 済 研 究 (2005), 10: 1-13 Issue Date 2005-03 URL http://hdl.handle.net/2433/54304 Right Type

More information

Title 幸 田 成 友 の 経 済 史 研 究 とその 資 料 - 一 橋 大 学 付 属 図 書 館 所 蔵 幸 田 文 庫 を 中 心 に - Author(s) 高 橋, 菜 奈 子 Citation 経 済 資 料 研 究 (2003), 33: 29-43 Issue Date 2003-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/79852 Right

More information

Title ハッピーエンドと悲劇 : 公子ホムブルク の多義性について Author(s) 加藤, 丈雄 Citation 研究報告 (1988), 3: 1-16 Issue Date 1988-10 URL http://hdl.handle.net/2433/134378 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 文 治 の 国 地 頭 をめぐる 源 頼 朝 と 北 条 時 政 の 相 剋 Author(s) 大 山, 喬 平 Citation 京 都 大 學 文 學 部 研 究 紀 要 (1982), 21: 1-54 Issue Date 1982-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/73014 Right Type Departmental Bulletin

More information

Title 片 子 に 関 する 試 論 : 河 合 隼 雄 片 側 人 間 の 悲 劇 と 片 子 の 子 ども 性 を 手 掛 かりに Author(s) 西 浦, 太 郎 Citation 京 都 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 紀 要 (2011), 57: 167-180 Issue Date 2011-04-25 URL http://hdl.handle.net/2433/139728

More information

~

~ Title 変 動 社 会 における 中 国 の 独 学 試 験 制 度 の 変 容 Author(s) 高, 益 民 Citation 京 都 大 学 生 涯 教 育 学 図 書 館 情 報 学 研 究 (2006), 5: 7-18 Issue Date 2006-03-31 URL http://hdl.handle.net/2433/43885 Right Type Departmental

More information

Title SrCu_2(BO_3)_2に 対 する 直 交 ダイマー ハイゼンベルグ スピン 系 の 理 論 ( 博 士 論 文 解 説 ) Author(s) 宮 原, 慎 Citation 物 性 研 究 (2002), 77(6): 1041-1062 Issue Date 2002-03-20 URL http://hdl.handle.net/2433/97191 Right Type

More information

Title 防 衛 廳 費 の 性 格 について Author(s) 島, 恭 彦 Citation 經 濟 論 叢 (1955), 76(1): 458-479 Issue Date 1955-07 URL http://dx.doi.org/10.14989/132431 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

Title 我が国の資産担保証券市場の現状と今後の展望 Author(s) 舟橋, 悠紀 Citation 岩本ゼミナール機関誌 (2002), 6: 58-72 Issue Date 2002-03-25 URL http://hdl.handle.net/2433/56904 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 第 五 議 会 における 天 皇 の 影 呪 縛 の 構 造 の 進 行 状 況 Author(s) 飛 鳥 井, 雅 道 Citation 人 文 學 報 (1990), 67: 1-29 Issue Date 1990-12 URL http://hdl.handle.net/2433/48341 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

唱 歌 集 の 中 の 外 国 曲 : 小 学 校 唱 歌 集 を 中 心 として Title (2) Author(s) 櫻 井, 雅 人 Citation 言 語 文 化, 42: 3-13 Issue 2005-12-25 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/15504

More information

第 六 三 号 2016 京 都 大 学 人 文 科 学 研 究 所 ISSN X

第 六 三 号 2016 京 都 大 学 人 文 科 学 研 究 所 ISSN X Title 人 文 第 63 号 Author(s) Citation 人 文 (2016), 63: 1-61 Issue Date 2016-06-30 URL http://hdl.handle.net/2433/216023 Right Type Article Textversion publisher Kyoto University 第 六 三 号 2016 京 都 大 学 人 文 科

More information

Title 二三細菌の化學的成分 Author(s) 明石, 修三 ; 伊丹, 二三雄 Citation 化学研究所講演集 (1944), 13: 1-16 Issue Date 1944-03-20 URL http://hdl.handle.net/2433/73754 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

Titleヘレネ 伝 説 の 研 究 Author(s) 津 田, 賀 子 Citation 西 洋 古 典 論 集 (1980), 1: 1-21 Issue Date 1980-03-20 URL http://hdl.handle.net/2433/68546 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

Title 現代フランス語にみる épithète の機能について Author(s) 中居, 慶子 Citation 仏文研究 (1976), 3: 33-53 Issue Date 1976-06-30 URL http://dx.doi.org/10.14989/137605 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title[ 書 評 ] 芳 村 弘 道 編 十 抄 詩 夾 注 名 賢 十 抄 詩 Author(s) 金, 程 宇 Citation 中 國 文 學 報 (2011), 80: 127-141 Issue Date 2011-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/201525 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 産 業 化 の 理 論 としてのマーケティング Author(s) 山 下, 裕 子 Citation 一 橋 論 叢, 113(4): 379-398 Issue 1995-04-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/12225 Right

More information

Title アレキサンドリア 四 重 奏 の 構 成 Author(s) 井 上, 義 夫 Citation 一 橋 論 叢, 88(6): 811-828 Issue 1982-12-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/12988 Right

More information

Title 静 脩 Vol. 40 No. 1 (2003.5) [ 全 文 ] Author(s) Citation 静 脩 (2003), 40(1) Issue Date 2003-05 URL http://hdl.handle.net/2433/66046 Right Type Others Textversion publisher Kyoto University e

More information

Title 石 油 と 輸 送 問 題 Author(s) 橋 本, 仁 蔵 Citation 一 橋 論 叢, 48(2): 146-165 Issue 1962-08-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/3329 Right Hitotsubashi

More information

Title 幕 末 の 財 政 紊 亂 について( 上 ) - 幕 末 特 有 の 新 經 費 續 出 を 中 心 として - Author(s) 大 山, 敷 太 郎 Citation 經 濟 論 叢 (1932), 35(1): 105-122 Issue Date 1932-07-01 URL http://dx.doi.org/10.14989/130198 Right Type Departmental

More information

Title だ が 使 われるとき Author(s) 三 枝, 令 子 Citation 一 橋 大 学 留 学 生 センター 紀 要, 4: 3-17 Issue 2001-07-31 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/8580 Right Hitotsubashi

More information

Title 頸管粘液栓の自己観察について Author(s) 菅沼, 美奈子 ; 増井, 伸子 ; 川井, 浩 Citation 京都大学医療技術短期大学部紀要 (1981), 1: 68-79 Issue Date 1981 URL http://hdl.handle.net/2433/49244 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 中 國 造 園 史 における 初 期 的 風 格 と 江 南 庭 園 遺 構 Author(s) 田 中, 淡 Citation 東 方 學 報 (1990), 62: 125-164 Issue Date 1990-03-31 URL http://dx.doi.org/10.14989/66718 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 米国におけるビデオ ゲーム産業の形成と急激な崩壊 現代ビデオ ゲーム産業の形成過程 (1) Author(s) 藤田, 直樹 Citation 經濟論叢 (1998), 162(5-6): 54-71 Issue Date 1998-11 URL http://dx.doi.org/10.14989/45249 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title ミューラー管嚢腫に開口した精管開口異常の 1 例 Author(s) 三浦, 猛 ; 高橋, 剛 Citation 泌尿器科紀要 (1982), 28(2): 173-176 Issue Date 1982-02 URL http://hdl.handle.net/2433/123036 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 進化経済学と複雑系 異質性の処理と巨視的ミクロ経済理論の可能性 Author(s) 有賀, 裕二 Citation 經濟論叢 (1999), 164(5): 74-99 Issue Date 1999-11 URL http://dx.doi.org/10.14989/45313 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Titleアーネスト ヘミングウェイ : 人 と 作 品 Author(s) 斎 藤, 忠 利 Citation 一 橋 論 叢, 49(4): 540-558 Issue 1963-04-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/3240 Right Hitotsubashi

More information

Title マソヌイの 子 マース 対 訳 Author(s) 蜂 谷, 昭 雄 Citation 英 文 学 評 論 (1979), 40: [1]-62 Issue Date 1979-01 URL http://dx.doi.org/10.14989/revel_40 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto

More information

牧 民 官 の 時 代 : 近 世 中 後 期 における 牧 民 忠 告 の 展 開 Title と 領 主 思 想 Author(s) 小 川, 和 也 Citation 一 橋 論 叢, 134(4): 636-656 Issue 2005-10-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/15565

More information

Title 風 に 運 ばれる 音 : 李 白 の 詩 にみえる 音 樂 のイメージ Author(s) 中, 純 子 Citation 中 國 文 學 報 (2010), 79: 1-24 Issue Date 2010-04 URL http://dx.doi.org/10.14989/191186 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 癒しとイヤラシのポルノグラフィー : 代々木忠監督作品をめぐって Author(s) 田中, 雅一 Citation 人文學報 (2007), 94: 101-147 Issue Date 2007-02 URL http://hdl.handle.net/2433/71062 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information

Title 高麗における軍令權の構造とその變質 Author(s) 矢木, 毅 Citation 東方學報 (1998), 70: 291-327 Issue Date 1998-03-27 URL http://dx.doi.org/10.14989/66795 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 誘 惑 する 葡 萄 : The Faerie Queene 第 2 巻 の 語 りと 悦 Author(s) 水 野, 眞 理 Citation 英 文 学 評 論 (1993), 65: [1]-19 Issue Date 1993-03 URL http://dx.doi.org/10.14989/revel_65 Right Type Departmental Bulletin

More information

Title 陸賈 新語 の研究 Author(s) 宮崎, 市定 Citation 京都大學文學部研究紀要 (1965), 9: 85-136 Issue Date 1965-03-20 URL http://hdl.handle.net/2433/72930 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

More information

Title 自閉症スペクトラム障害の精神分析的アプローチ : Tustinの仕事をめぐって Author(s) 多田, 昌代 Citation 京都大学カウンセリングセンター紀要 (2012), 41: 35-46 Issue Date 2012-03 URL http://dx.doi.org/10.14989/156357 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Title< 資 料 > 日 本 産 広 葉 樹 材 の 解 剖 学 的 記 載 II Author(s) 伊 東, 隆 夫 Citation 木 材 研 究 資 料 (1996), 32: 66-176 Issue Date 1996-12-20 URL http://hdl.handle.net/2433/51425 Right Type Departmental Bulletin Paper

More information

Titleヤマト 運 輸 の 情 報 経 営 Author(s) 小 松, 美 枝 Citation 一 橋 論 叢, 112(2): 334-353 Issue 1994-08-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/12304 Right Hitotsubashi

More information

社 会 科 学 と 人 間 疎 外 : とくにパッペンハイムの 著 作 にふ Title れつつ Author(s) 高 島, 善 哉 Citation 一 橋 論 叢, 46(1): 1-18 Issue 1961-07-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/3461

More information

Titleバラッドの 中 のジョン ヘンリー Author(s) 桜 井, 雅 人 Citation 一 橋 論 叢, 88(1): 111-125 Issue 1982-07-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/13035 Right Hitotsubashi

More information

Title 大雑書考 多神世界の媒介 Author(s) 横山, 俊夫 Citation 人文學報 = The Zinbun Gakuhō : Journal (2002), 86: 25-79 Issue Date 2002-03 URL http://dx.doi.org/10.14989/48595 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion

More information

Title 椰 子 の 實 : 詩 と 科 学 Author(s) 山 本, 和 平 Citation 一 橋 論 叢, 61(2): 143-154 Issue 1969-02-01 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/10086/2534 Right Hitotsubashi

More information

Title 資 料 編 2 [ 第 2 編 : 百 年 の 出 来 事 ] 第 5 章 : 戦 時 体 制 Author(s) 京 都 大 学 百 年 史 編 集 委 員 会 Citation 京 都 大 学 百 年 史 : 資 料 編 ; 2 (2000): 375-488 Issue Date 2000-10-30 URL http://hdl.handle.net/2433/152912 Right

More information

Title 師 受 考 - 抱 朴 子 内 篇 によせて - ( 創 立 五 十 周 年 記 念 論 集 ) Author(s) 吉 川, 忠 夫 Citation 東 方 學 報 (1980), 52: 285-315 Issue Date 1980-03-15 URL http://dx.doi.org/10.14989/66587 Right Type Departmental Bulletin

More information

45

45 国 際 資 料 室 における 来 室 状 況 の 分 析 : 院 生 チューターの Title 役 割 を 中 心 に Author(s) 井 村, 倫 子 Citation 一 橋 大 学 留 学 生 センター 紀 要, 7: 45-59 Issue 2004-07-20 Date Type Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL

More information

Titleマックス ミルネルとロマン 主 義 文 学 史 サタン 篇 Author(s) 宇 多, 直 久 Citation 仏 文 研 究 (2009), 40: 31-52 Issue Date 2009-10-15 URL http://dx.doi.org/10.14989/138005 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher

More information