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うたろうちゃわんや
5 years ago
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1 放射線の基礎知識横浜市立大学付属病院放射線科井上登美夫

2 何故放射線放射能を怖いと感じるのでしょうか? よくわからないので怖い目に見えないので怖いがんになるので怖い

3 放射性物質と放射線電球 : 放射性物質光線 : 放射線光線を出す能力あるいは性質 : 放射能

4 放射能放射線の単位放射性物質放射能 1 秒間に何回放射線を出すか (Bq: ベクレル ) 放射能とは物質が放射線を放出する性質あるいは放射線を放出する能力をいいます放射線を放出する物質を放射性物質といいます電球と光線の関係に例えると電球 = 放射性物質 ( グレイ ) 光 = 放射線放射線 : ガンマ線ベータ線電球が光る強さ = 放射能 ( シーベルト )

5 放射線の種類と透過について中性子線 5

6 放射線放射能の単位シーベルト (Sv) やグレイ (Gy) マイクロ μ 100 万分の1 ミリ m 1000 分の1 μsv/ h = 1 時間当たりの放射線量ベクレル (Bq) とキューリ (Ci) キロ k 1000 倍メガ M 100 万倍 37メガベクレル (MBq)=1 ミリキューリ (mci)

7 放射能放射線の単位の関係放射能 (Bq) 吸収線量 (Gy) 放射線荷重係数 Γ 線 β 線 =1 α 線 =20 実効線量係数組織荷重係数等価線量生殖腺 =0.20 骨髄 =0.12 甲状腺 =0.05 ひばく量 : 実効線量 (Sv)= 全身があびた放射線の生物学的影響

8 実効線量係数体内に取り込まれた放射線量 (Bq) を被ばく線量 (Sv) に換算する係数 : 単位 Sv/Bq 131 I の経口摂取での係数 :2.2x I の吸入摂取での係数 :7.4 x 10-9

9 放射線被ばくのパターン外部被ばく = 体の外から放射線をあびた時の被ばく内部被ばく = 放射性物質を飲んだり吸ったりしたことによる被ばく

10 外部被ばく防護の三原則

11 内部被ばくの摂取経路吸入摂取経口摂取放射性物質はウィルスと違いひとからひとに移って体の中で増えるようなことはありません引用 : U.S. Department of Health & Human Services Radiation Emergency Medical Management

12 半減期とは? 物理的半減期 (Tp) = 放射能の量が半分になる時間生物学的半減期 (Tb) = 体内に取り込まれた物質の半分が ( 生理学的半減期 ) 対外に排泄される時間実効半減期 (Te) = 体内の放射性物質の量が半分 ( 有効半減期 ) に減るために必要な時間放射性物質物理的半減期生物学的実効半減期半減期ヨウ素日 138 日 7 日セシウム年 70 日 70 日外部被ばくで問題内部ひばくで問題

13 私たちは放射線と共に生活しています

14 1 年間に自然に受ける放射線量世界平均 : 2.4 ミリシーベルト ( 日本の平均は年間 1.5 ミリシーベルト )

15 食物 1kg 当たりの自然放射性物質ホウレン草 200 ベクレル米 30 ベクレル魚 100 ベクレル牛肉 100 ベクレルビール 10 ベクレル牛乳 50 ベクレルビールは放射能が少なくて安全??? ( 参考 : 文部科学省パンフレットデータ )

16 私たちは既に放射線と共生しています体重 60kg の日本人の体内の主な放射性物質カリウム40 =4000Bq 炭素 14 = 2500Bq ルビジウム87=500Bq 鉛 210 ボロニウム210=20Bq 半減期 12.8 億年カリウム 40 で年間約 170μSv こどもの尿には 1 リットルに 60 ベクレルのカリウム 40 セシウムはカリウム同様に筋肉に分布 : 筋肉は発がんしにくい

身の体内放射能(ベクレル)レル全身の体内放射能(ベクセシウム -137 の生物学的半減期と体内滞留 1-5 歳 5-10 歳 10-15 歳成人)日数 17

17 身の体内放射能(ベクレル)レル全身の体内放射能(ベクセシウム -137 の生物学的半減期と体内滞留 1-5 歳 5-10 歳歳成人)日数 17 10,000 ベクレルを取りこんだ場合子供のほうが代謝がはやい成人思春期毎日 1 ベクレルを取りこんだ場合子供小児子供のほうが滞留量が少ない全京都大学丹羽先生の御好意による資料

18 放射線による人体への影響急性障害皮膚障害脱毛造血臓器機能不全不妊晩発障害白内障がん, 白血病ある線量を超えない限り起こらない障害線量に関係なく 10 年後にある確率で起こるかもしれない障害

19 ある線量を超えない限り起こらない障害 ( 確定的影響 ) 白内障不妊皮膚損傷造血器障害等 : 細胞死によって起こる細胞死の数があるレベルに達するまでは生存している細胞が組織臓器の機能を代償し個体の障害として現れないある線量を超えると確実に影響が現れ線量が大きいほど障害の程度も重くなるしきい値以下に被ばく線量を制限することによって確実に防ぐことができる重篤度

20 放射線被ばくによる発がん LNT 仮説 =Linear No Threshhold : 線量とがんの発生確率が直線関係で閾値なし理論的には突然変異細胞の誘発がたとえ一個であったとしてもその個体に発がんの発現の可能性があるとする仮説があります 100- ミリシーベルト = 10 万マイクロシーベルト以下は証拠なし 100 ミリシーベルトで 0.5% 増加と推定 (10 年後の話 )

21 局所の被ばく急性放射線障害全身の被ばく一般人の線量限度年間 1 ミリシーベルト緊急時の被ばく限度 100 ミリシーベルト

22 各検査における被ばく線量骨シンチは7 億 4 千万ベクレルのテクネシウムを静脈注射しています 22

23 急性放射線症全身被ばく後数分数時間から数か月後に起こる症状の総称多くの組織や臓器の障害短時間で 1000 ミリシーベルトを超える被ばくで起こる

24 短時間の放射線被ばくの量と障害血管神経の障害消化管の障害血液を作る機能の障害精神的ケアが必要治療が必要 ( ミリシーベルト )

25 モニター結果をどのように受け止めるか

27 横浜市消防隊の出動 (3 月 22 日 ~24 日 ) 実際の被ばく測定結果最大 0.23mSv 最小 0.007mSv

28 医療従事者は当院の放射線科医や循環器内科医は年間 5~15 ミリシーベルトの全身被ばくが記録される先生もいます < 線量計で管理されています >

29 神奈川県のモニタリング 5 マイクロシーベルト / 時 = 年間約 50 ミリシーベルト弱職業人の年間の被ばく制限レベル原発事故後 3 月の空中放射線量被ばくによる健康被害がでる 20 分の 1 以下

30 放射性物質と集積の多い臓器ヨウ素 131 (I-131) = 甲状腺セシウム 137 (Cs-137) = 全身 / 筋肉ストロンチウム 90 (Sr-90) = 骨

31 乳児が水道水を用いたミルクを飲むのを控えるようにと通達子供達への影響は大人より 3 倍程度高い乳児の指標である飲料水 100 ベクレル /kg 1 回 200 ml 1 日 5 回飲んだ 1 日 1000 ml: 体内に約 100 ベクレルの放射性ヨウ素が乳児体内 1 年間飲んだとしてベクレル ( 約 1μCi) 約ベクレルの放射性ヨードが体内に入った状態でも子供達に甲状腺癌発生の増加した事実はありません ( 日本核医学会ホームページより )

32 食品における預託実効線量人体に取り込まれた放射性物質は体外に排泄されることと物理的に放射能が少なくなることで時間とともに減っていきます食品を食べて取り込まれた放射性物質によって長い期間にわたり受ける内部被ばくを評価する基準として 50 年間 ( お子さんは 70 年間 ) に受ける線量を最初の 1 年間で受けた ( 預託 ) として計算される線量 32

それでは牛肉で計算してみましょう 3200 ベクレルのセシウム -137 を含む牛肉毎日 100g 1 年間摂取すると預託実効線量の式にあてはめてみます 0.001 100(g) 365( 日 ) 1.

33 それでは牛肉で計算してみましょう 3200 ベクレルのセシウム -137 を含む牛肉毎日 100g 1 年間摂取すると預託実効線量の式にあてはめてみます (g) 365( 日 ) (msv/bq) 3200(Bq/kg) g=>kg 1 日の摂取量実効線量係数測定放射能濃度 X f1( 市場希釈係数 =1)X f2( 調理などによる減少補正 =1) =1.52 msv 日本人の一年間の自然被ばくと同程度の被ばく 33

34 ホ - ルボディカウンタによる内部ひばく測定福島県立医大 : 緊急被ばく医療班

35 放射線があたると体の中で起こること抗酸化物質が瞬時にヒドロキシラジカルを捕まえて無害な水に変えてしまいます水の分子をイオン化しヒドロキシラジカルを作る捕まらなかったごく一部のヒドロキシラジカルが遺伝子を傷つけます DNA 修復酵素がん抑制遺伝子 P53 ががんの発生を防御します

36 がん発生への道のり少しずつ遺伝子が傷つき突然変異ができていく細胞内の防御免疫細胞の防御防御を逃れるとがんとして発症する

37 がんになる要因と放射線の関係放射線も発がん要因のひとつにすぎない抗酸化物質グルタチオンビタミン C DNA 修復酵素 P53( 遺伝子の守護神 ) タバコアルコール動物性脂肪化学物質排気ガス炎症など免疫細胞

38 放射線防護規制の国際的枠組み放射線の影響と安全の研究研究成果統計資料 UNSCEAR ( 原子力放射線に関する国連科学委員会 ) UNSCAER 報告を科学的根拠防護の原則を勧告 ICRP ( 国際放射線防護委員会 ) 防護管理の具体的基準 ( 国際基本安全基準 :BSS) IAEA ( 国際原子力機関 ) 国際機関 WHO 国際学会企業基準 ISO 国内の規制医療法障害防止法

39 放射線防護の原則 1. 正当化の原則便益 > 害 2. 防護の最適化の原則経済的及び社会的な要因を考慮して, 合理的に達成できる限り低く保たれるべきである (as low as reasonably achievable : ALARA). 3. 線量限度適用の原則患者の医療被ばくを除く全ての計画被ばくが対象

40 ICRP による放射線被ばくの分類 1. 職業被ばく ( 作業者 ) 2. 医療被ばく ( 患者 ) 3. 公衆被ばく ( 公衆 ) 上記の 3 つの分類に分けられる被ばく線量は, 各々が独立したものと考え, 積算はしない.

41 ICRP 放射線防護基準 =>3 つの状況に分けている 1. 計画被ばく状況 ( 平常時 ) 職業人の被ばく公衆の被ばく医療被ばく 100mSV/ 5 年 1mSV/ 1 年上限なし 2. 緊急被ばく状況 ( 事故テロ ) 緊急措置や命救助に従事する々 = mSV 般の々 =20mSV 100mSV/ 年間 3. 現存被ばく状況 ( 事故後の回復復旧時 ) 般の々 =1mSV 20mSV/ 年間

42 放射線ひばくの制限一般公衆の 1 年間の被ばく 1 ミリシーベルト / 年職業人の1 年間の被ばく 50 ミリシーベルト / 年 ( 但し 5 年間で平均 20 ミリシーベルト / 年 ) 緊急時の職業人被ばく 100 ミリシーベルト /1 回今回の東電職員 250 ミリシーベルト /1 回治療を必要とする急性放射線症 1000 ミリシーベルト /1 回

43 本医学放射線学会の認識線量限度と総称する規制値は各種の施策を実するための防護量であり影響量とは区別されなければならない今回の福島の事故で予測される線量率では今後 100 万規模の前向き研究を実施したとしても疫学上影響を検出することは難しいと考えられている本のがん死が 30% に及ぶ現代においては 100mSv 以下の低線量の影響は実証困難なさな影響であるといえる ( 原災害に伴う放射線被ばくに関する基本的考え 2011 年 6 2 社団法本医学放射線学会 HP より )

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<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C CF88F589EF816993DE97C789EF8FEA816A2E B8CDD8AB B83685D> 資料 1 食品中の放射性物質による健康影響について平成 24 年 10 月食品安全委員会 1 放射線放射性物質について 2 放射線とは物質を通過する高速の粒子高いエネルギーの電磁波ガンマ (γ) 線 / エックス (X) 線ガンマ線はエックス線と同様の電磁波物質を透過する力がアルファ線やベータ線に比べて強いベータ (β) 線電子の流れ薄いアルミニウム板で遮ることができるアルファ (α)