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1 第 2 回ユニバーサルデザインフード試食会 日本介護食品協議会 日本介護食品協議会は, 去る平成 24 年 5 月 15 日 ( 火 ), キユーピー テストキッチンにおいて, 第 2 回目のユニバーサルデザインフード試食会を実施した. 本試食会は, 第 1 回目の平成 22 年度より技術調査事業として技術委員会が主体となり企画 運営を行っている. 大きな目的としては, 会員企業相互に各社のユニバーサルデザインフード商品への理解を深めること, さらには, 現在, 市販用 業務用として多数流通しているユニバーサルデザインフード商品について, 申請された区分と官能的な評価の相関を確認するといった点を含めており, 現状非公開で実施している. 以下, 今回の結果を順に見てみる. 試食会計画について 2010 年 10 月に実施した第 1 回ユニバーサルデザインフード商品試食会 ( 以下,UDF 試食会と略す ) では, 区分 1 ~ 4 を対象に味覚, 食感 物性 ( かたさ ) について官能評価を行った. これによ り, 各社の UDF 商品に対する理解が一層深まったため, 定期的に実施することが望ましいとの声を受け, 第 2 回についても引き続き実施を計画した. 一方, 昨年度の実施において, 区分 1 ~ 4 すべてを対象としたことから調査対象が約 50アイテムと多数に上ったこと, また, 評価項目を複数設定したことからやや精度を欠いた結果となった. このため, 評価後のデータ解析についても若干抽象的なものとなってしまい課題が残った. そこで今回は, 昨年度の反省点を踏まえ, 商品数が最も多い区分 3 に限定して実施することとした. さらに, 官能指標としてコントロールサンプルを作成し用いることで評価の精度を上げるよう工夫し, 解析データがより有用となるよう配慮した. また, 官能評価の結果と区分申請時の物性データの解析を加えることで, これらの差についても参照できるようにし, 各々の UDF 商品への理解をより深められるように工夫した. 12( 1072 )

2 実施方法 日時: 平成 24 年 5 月 15 日 ( 火 ) 場所: キユーピー テストキッチン 参加人数 :40 名 ( 技術委員会委員および各社開発に携わる者 ) 評価内容: 1 評価項目 かたさ のみ1 項目, その他の項目は, フリーコメントで記入 2 評価方法 かたさ のコントロールサンプル * を 0 点とし,- 3 点 ~+ 3 点までの 7 段階 (0.5 刻み, 13 段階 ) で点数付けし, 後はフリーコメントとして評価する. * UDF 区分 3 のほぼ中央の かたさ のゼリー : かたさ 11,600 N/ m2 ( 三栄源エフ エフ アイ にて作製 ) <コントロールサンプルの調製方法およびレシピ > 調製方法に記載の数字は, 表 1の原料名に対応する. ⑴ 水を撹拌しながら 1 ~ 3,5 の粉体混合物を添加し,80,10 分間撹拌溶解する. ⑵ 予め少量の湯で溶解した 6 と, 4, 7 を添加する (ph3.7に調整). ⑶ 蒸発水を補正後, 容器に充填する. ⑷85,30 分間殺菌後, 水冷する. 表 1 ゼリーレシピ 原料名 配合量 1 グラニュー糖 サンサポート R G サンサポート R K S(F) クエン酸 ( 無水 ) クエン酸三ナトリウム 乳酸カルシウム グレープエッセンス No イオン交換水 86.4 合計 サンサポート R G 1016 キサンタンガム 29.7% グァーガム 17.6% カラギナン 12.1% ローカストビーンガム 12.1% デキストリン 28.5% サンサポート R K S(F) ジェランガム 42 % クエン酸三ナトリウム 10 % デキストリン 48 % < 物性測定 > 試料を直径 40mm, 高さ15mmの容器に高さ15 mm になるように充填する. 直径 20mm, 高さ 8 mmの樹脂製プランジャーを使 用し, 圧縮速度 10mm / 秒で, クリアランス 5 mmま で押し込む. 測定温度 :20± 2 測定機器 : テクスチャーアナライザー TA-XT plus 15 mm 40 mm 10 mm/ 5 mm 図 1 かたさ測定方法 Vol.91,No.11 ( 1073 )13

3 3 評価アイテム 各社が持ち寄った UDF25 品 (15 社 ) を対象に 実施. 評価に供した商品リストを以下に示す ( 順 不同 ). 表 2 商品リスト 商品 メーカー 主食 A フードケア 主食 B キユーピー 主食 C 和光堂 主食 D タカキヘルスケアフーズ 主食 E 和光堂 おかずA クリニコ おかずB マルハチ村松 おかずC 日東ベスト おかずD 日東ベスト おかずE キユーピー おかずF マルハチ村松 おかずG 白十字 おかずH 白十字 おかずI 明治 おかずJ ヤヨイ食品 おかずK ヤヨイ食品 おかず L ニチレイフーズ デザートA 明治 デザートB ハウス食品 デザートC ハウス食品 デザートD 味の素冷凍食品 デザートE 味の素冷凍食品 デザートF カセイ食品 デザートG マルハニチロ食品 デザートH マルハニチロ食品 4 解析 評価後, 商品毎に官能評価結果をまとめ,UDF マークの登録申請時に協議会に提出している か たさ の物性値と比較し, 解析を実施する. 解析 ソフトは,JMP9(SAS institute Japan) を用い た. 1 官能評価データ解析 実施結果 まず, 各商品を主食, おかず, デザートの 3 領 域に分類し, それぞれの商品について, 官能評価 の平均値, 標準偏差を算出した. この結果, コントロールと比較して, かた い と感じた商品は 7 品, やわらかい と感じ た商品は 18 品であり, 約 7 割がコントロールよ り, やわらかい ことがわかった. また, コン トロールの評点より, 絶対値が 1 以上離れている 表 3 官能評価の平均値, 標準偏差 商品 平均値 標準偏差 備考 主食 A * 粒 主食 B * 粒 主食 C * 粒 主食 D 主食 E おかずA おかずB おかずC * おかずD おかずE * 具材 おかずF おかずG * 具材 おかずH * 具材 おかずI * 具材 おかずJ * おかずK * おかず L デザートA * デザートB デザートC デザートD デザートE デザートF デザートG デザートH ( 1074 )

4 図 2 官能評価の平均値と標準偏差 商品 ( 表 3 および 印 ) は 9 品であり, 6 割強は, コントロールと同程度の かたさ と評価された. さらに, 図 2より, 主食, おかず領域は, 評点の分布が広いのに対して, デザート領域は, 評点の分布がやや狭く, やわらかい 方向へシフトしていた. 一方, 標準偏差を見ると, 評点のばらつきが大きい ( 標準偏差 > 1,* 印 ) 商品は, 主食, おかず領域であり, デザート領域の評点ばらつきは小さかった. 特に, 複数の具材が入っているもの, 粒状感があるものは, 喫食箇所により, かたさ が異なるため, ばらつきが大きかったと思われ る. 2 物性値と官能評点の比較 かたさ の物性値について, 官能評点との乖離度を比較するため, 物性値の補正を行った. 補正方法は以下の通りである. かたさ の物性値は, 協議会提出の値を用いた. コントロール物性値を 0 点, 最大値の物性値を 3 点, 最小値の物性値を- 3 点と定義して商品の物性補正値 (- 3 ~+ 3 ) を算出した. 商品の物性補正値 = (( 商品物性値 )-( コントロール物性値 )) /(( 最大値 or 最小値物性値 * )-( コントロール物性値 )) Vol.91,No.11 ( 1075 )15

5 商品 * コントロール < 商品, の場合は最大値, コントロール > 商品, の場合は最小値を用 いる 表 5 物性補正値と官能評点の比較 かたさ の物性値 (N/ m2 ) 表 4 各物性値 かたさ の物性値(N/ m2 ) コントロールサンプル 11,600 最小値 0 最大値 20,000 物性補正値 官能評点 主食 A 2, 主食 B 2, 主食 C 3, * 主食 D 4, 主食 E 2, * おかずA 13, おかずB 16, おかずC 15, * おかずD 8, おかずE おかずF 11, おかずG * おかずH * おかずI * おかずJ 12, おかずK 13, おかず L 14, デザートA 6, デザートB 5, デザートC 5, デザートD 9, デザートE 3, デザートF 6, デザートG 6, デザートH 7, 差 物性補正値と官能評点の比較を表 5, 図 3に示す. 官能評点との差は, 官能評点が物性補正値より大きい場合 ( 官能評価の方が かたく 感じる ) は, 正の値, 小さい場合 ( 官能評価の方が やわらかく 感じる) は, 負の値とした. この結果, 物性補正値より官能評点の方が大きい ( かたく 感じる ) 商品は18 品, 官能評点が小さい ( やわらかく 感じる ) 商品は 7 品であった. 主食, デザート領域は, 官能評価の方が かたく 感じる商品がほとんどであったのに対して, おかず領域は, 同数であった. おかず領域は, 温めて喫食するものが多く, 測定時と比較して, 物性が やわらかく なっているためと考えられる. また, デザート領域は, 官能評点と物性補正値との差が小さいのに対し, 主食, おかず領域は, 差が大きい商品が散見される. 特に, 差が2 以上ある商品 ( 表 5,* 印 ) は, 主食では, 固形物, おかずでは, 複数の具材が入っているものが多かった. 3 相関解析次に官能評点と かたさ の物性値との相関性を確認した. 以下に結果を示す ( 表 6 ). まず, 全サンプル (n=25) で相関性を確認したが, 相関係数が低く, 有意差も見られなかった ( 図 4 参照 ). そこで, 各領域で群分けして相関性を確認した. 表 6 官能評点と かたさ の物性値との相関性相関係数 p 値 n 数全サンプル 主食 おかず おかず ( 具材入りを除く ) デザート ( 1076 )

6 図 3 物性補正値と官能評点の比較 この結果, 主食領域 (n= 5 ) は, 負の相関が見られたが, 有意確率が大きく, ばらつきが見られた. これは,n 数が少ない影響が出ていると思われる ( 図 5 参照 ). おかず領域 (n=12) は, 相関係数が低く, 有意差も見られなかったが, 複数の具材が入っている商品を除くと (n= 8 ), 有意差は見られなかったが, 相関係数は高く, 有意確率も小さくなった ( 図 6 参照 ). デザート領域 (n= 8 ) は, 正の相関があり, 有意傾向 (P<0.1) が見られ, 正の相関が見られた ( 図 7 参照 ). 4フリーコメント評価より主食, おかずでは具材がある不均一な商品において具材がかたい, 残るといったコメントが多くを占めた. また, コントロールが均一なゼリーであったこともあり, 系の違いによる評価の難しさ も散見された. 一方, 具材のないおかずやデザートは概ね均一な物性であったため, コントロールとも比較しやすく かたさ については評価しやすかったようであった. 特にデザートは, やわらかい, 口の中で溶けるというやわらかさに関する表現が比較的多く見られた. また, 均一な商品では単にかたさだけでなく UDF では規格化されていないざらつき, 繊維感, べたつきなどかたさ以外の評価についてもコメントが多かった. その他には, 冷凍食品に対して解凍が不十分なサンプルもあったため, 解凍状態に関するコメントが多かった. また, 食感や風味など素材の特徴を残しつつ, やわらかく調理できている商品に対して好意的なコメントが多く寄せられた. Vol.91,No.11 ( 1077 )17

7 図 4 物性と官能評点 ( 全サンプル ) 考察 1 官能評価データ解析ゼリー系の比較的均一な食感の商品は, 官能評点のばらつきは小さく, 複数の具材が入ったり, 粒状の食感があるヘテロな食感の商品は, 官能評点のばらつきが大きかった. これらの商品の官能評価のばらつきを少なくするには, 商品の最もかたい部分を評価する等, 事前のすり合せが重要である. また, 今回は, コントロールサンプルをゼリーとして, 区分 3 の かたさ 中央値とすることにより, 官能評点のばらつきが小さくすることがで きたと考えられる. さらに, 精度を上げるためには, 複数のコントロールサンプル ( 最大値, 最小値のサンプル ) を置く, ゼリー以外の商品に近い食感のサンプルを置く等の工夫が必要である. 2 物性値と官能評点の比較物性補正値と官能評価の乖離は, 喫食時と物性測定時の温度の差による かたさ の違い, ヘテロな商品における官能評価のばらつきの 2 点が主に影響していると思われる. 喫食時の物性をどのように把握するかは, 今後の課題と言える. 3 相関解析デザート領域は, 物性値と官能評点の相関性が見られた. また, おかず領域は, 複数の具材が 18( 1078 )

8 図 5 物性と官能評点 ( 主食領域 ) 図 6 物性と官能評点 ( おかず領域 ) Vol.91,No.11 ( 1079 )19

9 図 7 物性と官能評点 ( デザート領域 ) 入っている商品を除くと, 相関性が向上した. したがって,2で述べた物性補正値と官能評価の乖離要因のうち, 喫食時との物性測定時の温度は, 相関性にあまり影響しておらず, ヘテロな商品の官能評点のばらつきが, 相関性に大きく影響していることが示唆された. 4フリーコメント官能評点の解析結果と同様にフリーコメントからも不均一な商品への評価の難しさが読み取れた. 均一な商品ではコントロールと比較をしやすかったためか, かたさ 以外の物性についてもコメントを多く得られたことから見ても, 今後, 同様の試食会を開催する場合は不均一な商品に対するコントロールサンプルの調製が課題である. また, 評価が難しいながらも商品によっては かたさ などについて同様のコメントを複数得られているものも多く, 被験者がある程度の水準以上であれば, 各社間で共通した認識があると思 われる. 今後の展開今回の UDF 区分 3 の商品の官能評価実施により, コントロールサンプルを置くことで, 官能評価が精度アップをすることがわかった. 今後, 評価時は, 本手法を用いることが良いと思われる. また, ヘテロな食感の商品は, 官能評点のばらつきが大きく, 物性値との相関性も低いことがわかり, 評価方法に工夫が必要と思われる. 協議会では, 本試食会を, 協議会会員相互においてユニバーサルデザインフードに対する理解を深め, また, 各社の商品開発に資する有効な手段としてとらえ, 今後も技術委員会の研究事業として継続して取り組んで行くこととしている. 20( 1080 )

2 ( 178 9)

2 ( 178 9) ( 1,876.58 km2) 98 ( 11 ) ( 21 ) 4 17 (8 9 ) 28 6 1? H25.12 11,998 489.5 H26.12 13,392 111.6% 565.5 115.5% H27.12 13,828 103.3% 476.8 84.3% H25.12 84 4.5 H26.12 132 157.1% 5 111.1% H27.12 95 72.0 2.56

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