日英語の否定極性表現の主語 目的語位置における認可の相違についての分析 1 序論 渡辺敏久 本稿では 否定辞の主要部移動により日英語の否定極性項目 (Negative Polarity Items 以下 NPI) の分布の統語的差異を分析する仮説 (Head Movement Analysis: 以

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1 日英語の否定極性表現の主語 目的語位置における認可の相違についての分析 1 序論 渡辺敏久 本稿では 否定辞の主要部移動により日英語の否定極性項目 (Negative Polarity Items 以下 NPI) の分布の統語的差異を分析する仮説 (Head Movement Analysis: 以下 HM 分析 ) を批判的に検討し 否定辞の主要部移動を前提としない分析 (Non Head Movement Analysis: 以下 NonHM 分析 ) の見地から対案を示す 日本語 NPI は英語 NPI と 統語的な分布の差異がある 日本語 NPI は一見 主語位置 目的語位置の双方で現れているように見える 一方英語 NPI は主語位置で決して現れない ( 次節で再度データを見る ) 言語間でこのような差異が生じていることを説明すべく 先行研究では大別して 2 つの仮説が示されている 一つは 1a のような否定辞の主要部移動を前提しない説で (Aoyagi and Ishii, 1994; Kawashima and Kitahara, 1992; Takahashi, 1990; Watanabe, 2004; Kato, 1994; Sohn, 1995; Watanabe, 2014) もう一方が 1b のような否定辞主要部の移動により事実を説明しようと試みる説 (Kishimoto, 2007, 2008, 2013; 岸本, 2010) である 概略の構造を 1 で示す : 1. a. [ TP [ N egp [ VP Subj Obj V] Neg] T] ( Kishimoto 2008: 一部改 ) b. [ TP Subj i [ N egp [ VP t i Obj V] t j ] Neg j -T] ( ibid.) 1b で否定辞の主要部移動を仮定していると述べたが これは理論上重要な帰結をもたらしている 極小主義の理論的枠組み (Chomsky, 1995, 2000, 2001, etc.) では 主要部移動はシンタクス上の影響を及ぼさないものと考えられてきた しかしこれらには異論もある ( 例えば Matsushansky, 2006) 1b の研究はその異論

2 を日本語の見地から経験的に支持し 主要部移動のシンタクスへの影響を主張するものであるという意味で 重要度が高く 検証をするに値する研究である HM 分析は後述する述語 割り切れない 腑に落ちない など NonHM 分析 (1a) で説明することが困難であったデータをも説明できる点を見れば 一見妥当な仮説であるように思える しかし再度そのメカニズムを精査すれば問題点が散見され 結果的に NonHM 分析の方が説明力が高いことが以下で示される 次節以降の内容を具体的に述べておく 2 節で背景知識の NPI について簡単に触れ 3 節で先行研究 (Kishimoto, 2007, 2008; 岸本, 2010 など ) を紹介し その問題点を挙げる 4 節で対案の前提を述べ 5 節で関連する事実の具体的な分析を示す 6 節は研究の結論と 分析の結果理論的に言えること およびその問題点や今後の展望を略述する 2 背景知識 : NPI について序論で 2 つの仮説を提示したが その仮説を検証するのに用いられる現象が NPI である 本節は NPI について概説しておく NPI は吉村 (1999) や van der Wouden (1994) によると 否定文脈にのみ適切に現れることができる表現である ( 吉村 1999: 4) と言われている 1 具体的に のデータを見てみよう : 2. a. John did not read any book. b. *John read any book. 3. a. John did not see anyone. b. *John saw anyone.

3 4. a. 誰も本を読まなかった b. * 誰も本をよんだ のそれぞれ any book, anyone, 誰も は それぞれ否定文脈にのみ適切にあらわれている そこで上述に従えば これらの語句が NPI であると見なされる 次に言語間の NPI の分布の差について見てみよう 5. と 6. にデータを示す : 5. a. John did not read any book. b. *Anyone did not read the book. 6. a. ケンが何も読まなかった b. 学生が誰も本を読まなかった 5. と 6. の NPI 分布を見比べれば 言語間で明らかな差異が生じている まず 5. は 英語 NPI が目的語位置と主語位置に現れているときの容認性を示している このとき主語位置に NPI が生じた 5b は容認不可能になる 6. は日本語での 5. と同じパターンの分布を示したものだが このときは NPI の目的語位置および主語位置の生起の両方が一見容認可能となっている 本稿では この 5. と 6. の差異がなぜ生じるのかを主に統語的な観点から議論する 次節ではまず先行研究のアプローチを紹介しよう 3 先行研究 : Kishimoto (2007, 2008) の主要部移動による説明 5. と 6. で紹介した NPI 分布の差異を説明すべく Kishimoto (2007, 2008 など ) は 否定辞の主要部移動を仮定し説明を試みている ( くりかえすがこれを HM 分析

4 と略す ) 本節では まず小節 3.1 で HM 分析のあらましを示し 次に小節 3.2 で それが種々の深刻な問題点を含んでいることを示す 3.1 HM 分析の概要 Kishimoto (2007, 2008 など ) の主要なアイデアは 日英語の NPI の分布上の差異をニゲーションの主要部移動の差異として表している部分にある つまり日本語では次の樹形図のようにニゲーション ( ない ) の主要部移動が生じ 構造の最上位にまで上昇する その結果として ニゲーションの作用域内 2 に位置する主語 目的語位置両方の NPI が認可されるとしている 3 : 7. NegP TP Neg i NPI T NegP T t i t i T (Kishimoto 2008:396 一部改 ) 図中で 矢印で表されているのがニゲーションの主要部移動である 4 一方英語 NPI では 5. のように主語位置と目的語位置の生起で容認性に差異がみられた この差異は 英語のニゲーション not が 7. のような移動を生じないと仮定することにより説明できるという 否定主要部の移動の有無は 通時的なファクターによるものとしている (Kishimoto, 2008) つまりもともと語彙的な性質を有していた要素が その性質を失うことにより主要部移動が可能

5 になったものと仮定されている 日本語のニゲーション ない はこれに該当する 一方英語のニゲーション not はもともと語彙的プロパティを有していなかったため 主要部移動をする要素とならない その結果 not は TP より下方にとどまり その上位へ移動してしまった主語 NPI について認可できなくなる ( ニゲーションの影響が及ぶ領域外にあるため ) のである HM 分析は下記のデータにより裏付けられるという : 8. * ジョンが本を読まなくもある 当該分析によると 上例で生じているとりたて詞の も は否定主要部に付加していると考えられている そしてこの複合体が 7 図のように T 主要部へ移動する このとき否定主要部ととりたて詞 および T 主要部はさらに大きな複合体を形成する そして構造上とりたて詞は複合体構造の内部に埋め込まれた形になる その結果として 副詞的普遍化詞は統語上右端部を占有しなければならない (Kishimoto 2008:396) という制約を侵すことになり 非文が生じる 以上のように 例 8. は否定主要部の移動を想定すれば説明できる事実であるという さらに 7. 図に示された派生は機能主要部の ない にかぎって得られるものであるという つまり一部の語彙的な性質を有する ない は 7. 図のような派生を示さないことになる Kishimoto (2007, 2008) はそうした語彙的な ない は述語 割り切れない 腑に落ちない などが該当するものとしている 5 そして主要部の上昇が生じない結果として 主語位置にある NPI が (c 統御領域外に位置するため ) 認可されず 英語データ 5. のような非対称的な NPI の分布が予測される この予測は下記の例により裏付けられるという :

6 9. a.?* 誰一人学生にその決定が割り切れない ( Kishimoto 2008: 405) b. 彼ら ( に ) は何一つそんな決定が割り切れない ( ibid.) また上記 9. は対立する説である NonHM 分析 ( 後述する ) では説明できない事実であるという (NonHM 分析では否定句の位置関係上 主語位置の NPI は元位置にとどまりすべて認可されるため ) 日本語の否定に関する研究では 主語と目的語にみられる NPI 生起の 非 対称性に着目した研究はほぼ無いと言ってよく 当該研究は稀少と思われるデータを示したという意味で興味深い 上記仮説の問題点前小節では HM 分析の概要について紹介した ここではその問題点について議論する HM 分析は樹形図 7. に見られるように ニゲーションの構造上部への移動をともなう ここで 意味作用を持った要素との相互作用を検討してみよう まず 7. の主語位置 ([SPEC,TP]) に全称量化詞 (ALL) が生じた場合には HM 分析は否定が広い作用域をもち その逆は生じない予測になる しかし下記のデータを観察すればわかるように 実際の作用域関係はその逆である : 10. 全員がそのテストを受けなかった ( よ ) : ALL>NOT, *NOT>ALL (Miyagawa 2001: 299) 上記解釈で 全称が広い読み とは 50 人の学生がいるとして その 50 人の 全員がテストを受けなかったという読みである しかし 全称量化詞はさまざまな要因の影響を受けるので 10. は HM 分析を

7 反証するものたりえないとする向きもあるかもしれない 7 そこで別の数量詞で ある n 人以上 に 主語位置を占有させ再度検討すると 下記の作用域関係 が得られる : 人以上の学生がそのテストを受けなかった ( よ ): MORE>NOT, *NOT>MORE ここでも否定辞でない数量詞 (MORE) が広い読みが得られ 逆の読みは得られないことがわかる ここで MORE が広い読み とは 10 人以上の学生について テストを受けなかったことが真であるような読みである 8 つまり 10. ではない別の事例で検討しても HM 分析の予測する作用域関係と合致しない事実があるということである 本節をまとめると 主要部移動仮説について略述し その問題点を示した ( とくに例 10 と 11) 9 次節以下では この問題点を解決するような分析を示す 4 NonHM 分析による対案 : 前提について本節以下では 上記で示した一連のデータについて 否定の主要部を前提としない分析 ( くりかえすが これを NonHM 分析という ) の観点より説明を試みる 具体的な分析を示す前に 種々の前提を述べておく まず否定句を含んだ統語構造は次のようになるものとする : 12. [ TP [ N e gp [ VP SUBJ [ V OBJ V] ] NEG] T] (Aoyagi and Ishii, 1994; Kawashima and Kitahara, 1992; Takahashi, 1990, etc.) 本節以降の分析では 否定の主要部は移動を生じさせず 作用域は ( その主要部 移動による ) 影響をうけないものとする 次に NPI は下記 13. のような条件のもとで認可される :

8 13. NPI はその移動の着地点で 否定素性によって C 統御されるときに認可される (Kishimoto, 2007, 2008; Hornstein, 1984; Laka, 1990; Klima, 1964; Aoyagi an d Ishii, 1994) ここで C 統御は 関係要素の構造樹形図上の第一分岐を基準とした 標準的な仮定を採用している (Haegeman, 1994: 134) また日本語 NPI の 何も や 誰も は浮遊数量詞 (Floating Quantifiers: FQ) と統語的ふるまいが同一であることより FQ であると前提する 以下に通常の FQ と当該 NPI の類似性を示す : 14. a. ジョンがバナナを昨日 3 本食べた (Aoyagi and Ishii, 1994) b. ジョンがくだものを昨日なにも食べなかった (ibid.) 14a で目的語 バナナを と FQ とされる 3 本 が副詞 昨日 により分離さ れていることが観察できる 同様の関係は 14b のように目的語と NPI の関係に ついても成立する また FQ と NPI のカキマゼ操作も ほぼ同一のふるまいを 示すことが分かっている 10 格を持つ要素と FQ( またそれに相当する NPI) の関係を下記 15. にまとめた : 15. NP-case Q a. banana-o 3-hon b. gakusei-ga dare-mo c. pro dare-mo (Kawashima and Kitahara 1992: 149 一部改 )

9 15c で 誰も本を読まない などの格を持つ要素が欠落したときに その代わりとして空の代名詞 (pro) が仮定される 以上本節では 以後の分析で前提となる 否定句を含めた統語構造と NPI 認可の仕方 また NPI が FQ であることについて述べた 次節以降で これまで観察したデータを NonHM 分析の観点から分析する 5 具体的な分析 5.1 日英語の NPI 認可の相違と数量詞についてでは具体的な分析をしよう まず 英語のデータではなぜ NPI 認可の可否に主語と目的語位置で違いが生じるかを論じる : 16. a. *Anyone did not read the book. b. [ TP NPI i T [ N egp Neg [ VP t i V OBJ]]] [EPP] 11 16a で 主語位置にある NPIanyone のために文が容認不可能となっているように思われる これは T と一致操作 (Chomsky, 2000, 2001 など ) がおこなわれた当該の NPI が 移動により [SPEC,TP] に位置することで Neg の影響範囲外 (c 統御関係でない ) となり その結果として認可されないと説明できる 12 同様に考えれば 主語に位置するように見える日本語 NPI も 16. と同じような結果になるはずである しかし 2 節の観察によって そのような主語と目的語の認可の差異は 日本語では消失することが分かっている (17a に再掲している ) そしてこれは次のような派生を仮定すれば説明がつく :

10 17. a. 学生が誰も本を読まなかった b.[ TP NP i-case [ NegP [ VP t i NPI OBJ V]Neg] T] [EPP] 17b で格を持つ要素は英語の派生時と同様に T との一致操作がおこなわれる ( 厳密には一致操作の結果として格が付与される ) そしてまた 16b と同様に [SPEC, TP] まで上昇する しかし例 15. で詳述したように日本語の NPI 誰も 自体は FQ として機能するために格をうける一致操作そのものとは独立し ここでは Neg の領域内にとどまる そのため NPI は適切に認可されることになるのである 以上により日英語に見られる NPI 認可の差は HM 分析でなくとも容易に捉えられることがわかる 次に HM 分析の問題となった 全称量化詞や その他の数量詞と否定辞とのスコープの相互作用について考えよう これらの観察は以下のように NonHM 分析により容易に導出される : 18. a. 全員がそのテストを受けなかった ( よ ): ALL>NOT, *NOT>ALL b.[ TP QP i-case [ NegP [ VP t i OBJ V]Neg] T] [EPP] 例 18a について 数量詞がわの広いスコープは得られるものの その反対の読みは得られないことを 3 節で観察した これは 18b のように 全称量化詞を含む格をもった要素が 一致操作により移動し否定の作用域外に位置した結果であると分析できる の n 人以上 という数量詞を用いた作用域関係も 18b と同一の派生を仮定することにより得られる 以上 本節では 日英語における NPI の認可の相違と ( 普遍 ) 数量詞と否定辞の作用域関係について NonHM 分析の観点より説明した そしてそれらの全

11 てに満足な説明を与えることができた 特殊な述語 腑に落ちない 割りきれない などについてこの小節では Kishimoto (2007, 2008) の分析で検証されたデータである 腑に落ちない 割りきれない などのデータについて詳細に見てゆこう 例 9. を下記に再掲するが NPI の認可について主語 目的語で非対称が生じている : 19. a.?* 誰一人学生にその決定が割り切れない b. 彼ら ( に ) は何一つそんな決定が割り切れない これは HM 分析から容易に導出されるが NonHM 分析では問題となることが指 摘されている しかしこれは 詳細な VP の構造を仮定することにより HM 分 析でなくとも説明は可能である 具体的に次のような構造を仮定する : 20. [ TP SUBJ-ni [ VP t S UB J -n i [ V OBJ-ga [ V V(warikire-) neg(nai)]]]] (Watanabe 2014: 295) 上記で 与格をもつ主語は [SPEC, TP] に 主格をもつ補語は VP 内にあるものとする (Kishimoto 2008) 図 20. では V に否定主要部 ない が付加された構造を想定している こうすることで NPI 認可の領域は V プライム投射内になり [SPEC, VP] を含むそれより上位への NPI 認可は不可能となる 繰り返すが NonHM 分析でも 19. のデータは説明できる ただしこの他に説明可能な仮説が存在する可能性もあるので それらを含め今後さらなる検討を要する 15 6 結論 本稿では 否定辞の主要部移動により日英語の否定極性項目の分布の統語的差

12 異を分析する仮説 (HM 分析 ) を批判的に検討し その対案として否定辞の主要部移動を前提としない分析 (NonHM 分析 ) を示すことを試みた 結果として 現象の言語間の差異 (2 節で述べた ) は NonHM 分析でも捉えることが可能であり また HM 分析で捉えるのが困難であった数量詞の分析を考慮に入れれば やはり従来的な説である NonHM 分析が妥当であるという結論に達した 普遍文法の見地からこの結果について考察すると HM 分析の理論的帰結は主要部移動をシンタクス上の影響を及ぼすものとみなしたが この結論は本稿の分析をみるかぎり再考を要するものであるといえる つまり主要部移動のシンタクスへの影響が存在すると理論上主張する必要は 少なくも日本語ではないということである 従来的に存在すると主張されていたものが 分析を通し存在する必要がないと分かった点で理論的な意味を有しているものと筆者は考えている ( 言語普遍的な シンタクスにおける主要部移動の有無についてはさらなる研究を要する ) ただし Watanabe (2014) でも言及したように 一部の述語 ( 本稿の例 9. など ) の分析についてはいまだそのメカニズムが十分に解明されていない またとりたて詞をふくむ例 8. についても詳細は措いたままである そこで今後の研究では これらの分析についてより詳しい調査をおこなう予定である 謝辞本稿は Watanabe (2014) の内容を一部変更し かつ執筆言語を日本語に変更したものである HM 分析が継続し研究されていること (Kishimoto, 2013) を考慮に入れ その仮説を再度検討し あらたな問題が加えられている ( 注 4, 9, および本文の例 11 を参照 ) 本稿執筆にあたり田中裕幸 浅田壽男両先生をはじめとする言コミセミナーの先生方とクラスメート諸氏の有益なコメントを頂いた 心より感謝申し上げる なお本研究は 2012~2014 年度にまたがるものであり その一部について本学の 大学院博士課程後期課程研究奨励金 の助成を受けている

13 注 1 英語の NPI が if 文の条件節など 否定辞を伴わない環境でも生起することはよく知られている (Progovac, 1994; Kishimoto, 2008 など参照 ) これらの理論的分析については本稿の内容の範囲をこえるものであり 扱わない 2 意味作用をもつ数量詞や否定辞 ( かりに とする ) などがその作用を及ぼす範囲 ( 作用域 scope は の c 統御する節の集合であると定義される May (1985) などを参照されたい 3 Kishimoto (2007, 2008 など ) においては NPI が否定環境のみで生起することは 否定主要部などにより構造上 c 統御されることで表現されている 4 Kishimoto (2013) では TP の上位に機能投射があると仮定し ニゲーションはその位置へ ( 複合主要部として ) 移動するものとしている 本稿では説明の簡略化のため Kishimoto (2008) の構造を採用している 5 語彙的な ない の統語上の判別方法は紙幅の関係でここでは割愛する 略述すると動詞 ほしい おもう などへの当該述語の埋め込みにより判別されるものとしている (Kishimoto 2008: ) 6 また Kishimoto (2008: Appendix) も参照されたい 7 Kishimoto (2007: 268) を参照されたい しかし当該論文はその作用域に影響を与える 要因 がいかなるものかについて具体的に言及していない 8 例 11. は 特別な状況を付帯させることにより両方の読みが得られると前提する向きもある ( 片岡, 2006) 9 Watanabe (2014) では Kishimoto (2008) に特有な技術的解決法についても その問題点を指摘した また本稿の脚注 4. も参照されたい 10 詳細なデータについては Aoyagi and Ishii (1994) を参照されたい 11 [EPP] 素性はある統語対象の移動を誘発する素性である (Chomsky, 1995, 2000) 12 目的語位置の NPI は認可領域に位置するので 当然認可される ( 図示は紙幅の関係で割愛する ) 13 本稿では 移動の結果生じるとされる 移動した要素のコピー や 移動した要素の痕跡 は極小主義 (Chomsky, 1995) の概念に基づき 作用域関係や統語計算に影響を及ぼさないものと仮定している 14 日本語の否定辞にとりたて詞をつけた例 8. のようなデータについては PF での下降 Merger(Aoyagi, 2006) を仮定することで説明が可能であるように思われる しかしこの分析については不明な部分もあり さらに研究を要する そこで 今後の研究でさらに詳細な分析を提示する予定である また本稿では下記のような 存在量化を否定する意味解釈以外の意味をもつ しか のようなデータは扱っていない これについてはさらなる調査を要する i. a. ジョンにしかそのデータが観察できない b. * ジョンにしかそのデータが観察できる 15 Watanabe (2014) では 20. の妥当性を 数量詞を用いたデータにより検証している ( その検証の一部で 仮説の予測とデータの間に合致していない部分が観察されている ) 詳細は当該の研究を参照されたい

14 参考文献 Aoyagi, H. (2006). On predicate focus constructions in Korean and Japanese. Harvard Studies in Korean Linguistics, 11, Aoyagi, H. and T. Ishii. (1994). On NPI licensing in Japanese. In N. Akatsuka (ed.) Japanese / Korean Linguistics 4, CSLI Publications. Chomsky, N. (1995). The Minimalist program. Cambridge, Mass.: MIT Press. Chomsky, N. (2000). Minimalist inquiries: The framework. In R. Martin, D. Michaels and J. Uriagereka (eds.), Step by Step: Essays on Minimalist Syntax in Honor of Howard Lasnik, Cambridge, Mass.: MIT Press. Haegeman, L. (1994). Introduction to government and binding theory 2nd edition. Oxford: Blackwell. Hornstein, N. (1984). Logic as grammar. Cambridge, Mass.: MIT Press. 片岡喜代子. (2006). 日本語否定文の構造 : かき混ぜ文と否定呼応表現 くろしお出版 : 東京 Kato,Y. (1994). Negative polarity and movement. MIT Working Papers in Linguistics, 24, Kawashima, R. and H. Kitahara. (1992). Licensing of negative porality items and checking theory. The Third Annual Meeting of the Formal Linguistic Society of Midamerica (FLSMⅢ ), Bloomington, IN: Indiana University Linguistic Club. Kishimoto, H. (2007). Negative scope and head raising in Japanese. Lingua, 117, Kishimoto, H. (2008). On the variability of negative scope in Japanese. Journal of Linguistics, 44, 岸本秀樹 (2010). 否定辞移動と否定の作用域 否定と言語理論 加藤泰彦, 吉村あき子, 今仁生美 ( 編 ), 東京 : 開拓社.

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...C...{ ren

...C...{ ren 15 2010. 2 41 1 1 2 Ura 1999 1a 1b 1c 42 2a 2b 2c P P Takezawa 1987 Tada 1992, 1993 Zushi 1995 Ura 1999 Hiraiwa 2001 Tada 1992 Agr AgrOP-Spec Ura 1999 Hiraiwa 2001 TP-Spec Kuno 1973 2 3, 4 3a 3b 3c 3d

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