最終解析と総括報告書

Size: px
Start display at page:

Download "最終解析と総括報告書"

Transcription

1 総括報告書 JCOG0607: 早期胃癌における内視鏡的粘膜切除術の適応拡大に対する第 Ⅱ 相試験 [ 作成年月日 2017 年 12 月 8 日 ] 研究事務局 : 蓮池典明 ( 有床診療所はすいけクリニック ) 小野裕之 ( 静岡県立静岡がんセンター ) 研究代表者 : 朴成和 ( 国立がん研究センター中央病院 ) グループ代表者 : 武藤学 ( 京都大学大学院医学研究科 ) 0. 試験概要 試験の目的 : 胃癌治療ガイドライン ( 第 4 版 2014 年 ) では内視鏡的粘膜切除術 (Endoscopic Mucosal Resection: EMR) の適応外となるような早期胃癌のうち 1) 潰瘍及び潰瘍瘢痕のない 2 cm を超える分化型粘膜内 (T1a) 癌 (UL(-) 群 ) および 2) 潰瘍瘢痕のある 3 cm 以下の分化型粘膜内 (T1a) 癌 (UL(+) 群 ) を対象とした内視鏡的胃粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD) の有効性と安全性を評価する 対象 : 年齢 20 歳以上 75 歳以下 PS0-1 初発かつ単発胃癌 UL(-) 群 : 潰瘍及び潰瘍瘢痕のない 2 cm を超える分化型粘膜内 (T1a) 癌 および UL(+) 群 : 潰瘍もしくは潰瘍瘢痕のある 3 cm 以下の分化型粘膜内 (T1a) 画像上リンパ節転移や遠隔転移を認めない(cT1a N0 M0) ESD にて一括切除可能と判断される 治療の概要 : 対象病変に対して ESD を行い 病理診断の結果から 経過観察 追加外科切除 施設の判断によって選択 のいずれかを選択する Primary endpoint:5 年生存割合 Secondary endpoints:ul(-) 群 UL(+) 群各々の全生存期間 無再発生存期間 5 年胃温存割合 病変一括切除割合 EMR による病理学的治癒切除割合 有害事象発生割合 重篤な有害事象発生割合 予定登録数 :470 人 登録期間 :3 年間 追跡期間 : 登録終了より 5 年 本試験は 旧 JCOG 消化器がん内科グループでコンセプトが提出され 試験開始後に消化器内視鏡グループに移行し 完了した試験である 1. 背景以下に示す技術的ならびに理論的条件をもとに 転移の可能性が極めて低い早期胃癌に対する ESD の適応拡大を評価する試験として計画された 技術的条件 従来 わが国の胃癌に対する内視鏡治療は T1a の胃癌に対して生理食塩水などを粘膜下層に局注して隆起させた後にスネアで絞扼 通電して切除する EMR(endoscopic mucosal resection) が主流であった しかし この EMR 法では 手技上の制約から 一括切除可能な大きさには限界があり 分割切除割合及び局所再発割合が高いという課題があり 胃癌治療ガイドライン ( 第 4 版 2014 年 ) が示す EMR における適応は 2 cm 以下かつ潰瘍所見を認めない病変であった 一方 1997 年に細川らが IT ナイフ (insulation-tipped diathermic knife) を開発したのを契機に 数々の内視鏡用の切開デバイスが開発され 2000 年以降 病変の外側を切開したのちに粘膜下層を剥離し病変を一括切除する内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic submucosal dissection(esd)) が国内に普及した ESD の登場により 2 cm 以上の病変や潰瘍瘢痕を伴うような病変に対しても切除が可能となった また 高周波電源装置 止血鉗子等の改良 ヒアルロン酸ナトリウムによる局注液の開発により 安全性と確実性の向上が得られた その後 レトロスペクティブな検討ではあるが EMR と ESD を比較したデータも示され 腫瘍の大きさによらず ESD は EMR に比べて切除断端陽性割合が低く 高い一括切除割合を示した 1

2 ただし ESD の問題点として 習熟に時間がかかること 出血や穿孔などの合併症が多いことなどが報告された そのため 本試験では 術者として胃癌に対する ESD を 100 例以上経験していることを条件として 研究代表者が指名した医師のみが術者または指導者として ESD 治療を実施できることとした 理論的条件 理論的には リンパ節転移 遠隔転移のない胃癌は 局所切除だけで治癒可能である 胃癌治療ガイドライン ( 第 4 版 2014 年 ) にて EMR の適応とされていた 2 cm 以下かつ潰瘍所見を認めない分化型粘膜癌 以外にも 内視鏡的切除術の適応拡大の可能性について議論がなされてきた Gotoda らは 早期胃癌のリンパ節転移について 外科的切除された単発早期胃癌 3,261 人の検討を行い 従来のガイドラインでの適応病変に加えて 分化型粘膜内癌 脈管侵襲なし 1UL(-) かつ 2 cm 超 2UL(+) かつ 3 cm 以下 の条件を満たす早期胃癌ではリンパ節転移はなく それぞれリンパ節転移割合は10%(0/493) (95%CI.:0~0.6%) 20%(0/488)(95%CI.:0~0.6%) となり いずれも 95% 信頼区間の上限が 1% を超えないことを示した 従来 これらの条件を満たしている病変に対しても 標準治療は外科的切除であったが これらの病変は理論的には転移リスクが極めて低く内視鏡的切除で治癒可能であると考えられた 治療方針の最終決定 リンパ節転移のリスク因子である 深達度や組織型 脈管侵襲などは 内視鏡だけでは正確な診断は困難である 本試験では 対象病変に対して ESD によって得られた検体により病理学的な根治度を判定した上で追加治療の是非を決定することとした 非治癒切除であった場合のうち 病理学的リンパ節転移リスク因子を認める場合にはリンパ節郭清を伴う追加外科切除を行う 一方 分割切除 あるいは水平断端陽性または判定不能となったことが非治癒因子であった場合のみ 施設の判断により経過観察 追加内視鏡的切除 胃切除のいずれかの選択を可能とした すべての ESD 後の追加治療までをプロトコール治療として評価した 2. 目的本試験では 1) 潰瘍や潰瘍瘢痕のない 2 cm を超える分化型粘膜内 (T1a) 癌 (UL(-) 群 ) および 2) 潰瘍瘢痕のある 3 cm 以下の分化型粘膜内 (T1a) 癌 (UL(+) 群 ) を対象として ESD の効果と有効性を検討することを目的とした 3. 試験デザイン エンドポイントと試験デザイン 本試験の対象は外科切除により良好な治癒割合が得られる集団であり ESD にて治癒切除と判定されなかった場合でも そのほとんどが直後に外科切除を追加することによって再発せず治癒する そのため 無再発生存期間や無病生存期間は endpoint として適当ではない また 本試験の対象では 5 年生存割合は原病死よりも他病死の方が大きく影響する ( 原病死 1% あらゆる死亡 5%) ことが予想された 一方 原病死のみをイベントとする cause-specific survival は 統計学的に競合リスクの問題が生じることから 原病死のみの評価ではかえってバイアスが生じる危険性があるとも考えられた 以上より 他病死を含めたすべての死亡をイベントとする全生存期間を評価することとし その 5 年推定値である 5 年生存割合を primary endpoint としたが 生存割合は登録された対象者の性別 年齢の分布によって変化すると考えられた これらを考慮しない限り 試験結果を適切に解釈することが困難と考えられたため 全登録患者の生存期間を主たる解析の対象とし 実際に得られた性別 年齢ごとのサブグループの比に基づいて検定に用いる閾値 期待値を設定することとした 試験開始前の旧 JCOG 消化器がん内科グループの施設に対するアンケート調査から 本試験に登録される対象の年齢分布は 50 歳以下 :5% 51~60 歳 :20% 61~70 歳 :40% 71~75 歳 :35% と予測し また 男女比については静岡がんセンターのデータから男 : 女 =3:1 と予測した それらに基づいて期待 5 年生存割合は約 90% 閾値 5 年生存割合は約 85% と算出した 試験デザインとしては ESD と外科切除は治療の侵襲および術後経過が大きく異なり 同意取得の点からも 2 つの治療をランダム化する第 Ⅲ 相試験を行うことは困難と考えられた 従って 本試験は単アー 2

3 ムの第 II 相試験ではあるものの検証的試験に近い位置付けを持たせることとし 通常の第 II 相試験よりも精度を高く設定した ( 片側 αを 0.05 検出力を 80%) ただし 下記の第 1 回改正内容の箇所に示すように 片側 α0.025 検出力 90% とした 最終解析においては 実際の登録例の性 年齢分布を元に計算し 期待 5 年生存割合は % 閾値 5 年生存割合が % と設定し 解析を行った 内視鏡的深達度 M の分化型胃癌 1UL なしで 2cm を超えるもしくは 2UL ありで 3cm 以下 N0M0 初発かつ単発 20 歳以上 75 歳以下 ESD にて一括切除可能 登録 EMR (ESD) 治癒切除判定規準 以下のいずれかを満たす 分化型優位, M, UL(-), 脈管侵襲 (-), 断端 (-) 分化型優位, M, UL(+), 3cm 以下, 脈管侵襲 (-), 断端 (-) 分化型優位, SM1, 3cm 以下, 脈管侵襲 (-), 断端 (-) 以下のいずれかを満たす 未分化型優位 SM 浸潤部に未分化型成分あり M, UL(+), 3cmを超える SM1, 3cmを超える SM2 以深 脈管侵襲陽性 垂直断端陽性もしくは判定不能 以下のいずれかを満たす 分割切除となった 水平断端陽性もしくは判定不能 4. 試験経過 経過観察 ( 治癒切除判定 ) 追加外科切除 ( 要追加外科切除判定 ) 図 1 スタディシェーマ 施設の判断によって選択 ( 経過観察可能判定 ) 2007 年 6 月より登録が開始された JCOG 消化器内視鏡グループ ( 旧 JCOG 消化器がん内科グループを含む )29 施設から登録があり 2010 年 10 月 ( 全登録期間 :3 年 4 か月 ) に登録を完了 2015 年 10 月に全登録例の追跡期間が終了した プロトコール改正が 1 回 プロトコール改訂が 1 回行われ 内容は以下のとおりである 第 1 回改正 (ver.2.0): 予定登録数の増加ならびに登録期間の延長 (2009/4/23 承認 ) 患者登録が順調であったこと JCOG 胃がん外科グループ ( 現 JCOG 胃がんグループ ) で行われていた JCOG0302( 早期胃癌におけるセンチネルリンパ節生検の妥当性に関する研究 ) が中止されたことから 本試験の結果が内視鏡治療の適応拡大の是非の判断材料となる可能性が高いと考えられた そこで 当初設定されたαを 0.05 から とより厳しくし かつ検出力を当初の 80% 以上から 90% 以上と高めることにより より確かな意思決定の根拠とすることを意図して改正を行った なお 登録例のデータに基づいて男女比と年齢分布から予定登録数の再計算も行い 330 人 470 人とし 登録期間も 2 年 3 年に延長した 第 1 回改訂 (ver.2.1): 外科切除後の術後補助化学療法の追記 (2010/2/9 承認 ) プロトコール 後治療 および 6.5. 後治療 に 追加外科切除後に pstage II(T1N2 を除く ) IIIA IIIB であった場合は S-1 による術後補助化学療法を推奨する や 本試験では T1N2 であった場合も 術後補助化学療法を施行することを推奨する を追加した 3

4 5. 登録状況登録ペースは 当初予測したペースと比べてほぼ予想通りであった 施設毎の患者登録数は 上位 6 施設 ( 静岡県立静岡がんセンター 国立がん研究センター中央病院 石川県立中央病院 国立がん研究センター東病院 大阪府立成人病センター 四国がんセンター ) が登録例の半数以上を占めたが 全施設からの登録があった なお 誤登録や重複登録など 登録上の問題点はなかった 6. 背景因子全登録例の年齢中央値は 65 歳 (40-75 歳 ) で 男性が 8 割を占めた ( 男性 385 名 女性が 85 名 ) また UL(-) 群 263 例 UL(+) 群 207 例が登録された 当初 UL(+) 群の登録数の不足が懸念されたが結果として十分な登録が得られた また UL(-) 群においても同様に 3 cm を超える比較的大きいサイズの病変が 111 例と偏りなく十分な登録が得られた 7. 治療経過プロトコールで規定した治療を完遂した患者は 470 人中 448 人であった 中止となった 22 例のうち 有害事象 ( 術中穿孔 ) に伴う中止例が 1 例 追加外科切除における患者拒否が 13 例 他院での追加外科切除例は 8 例であった なお プロトコール治療期間中の死亡例は認めなかった 8. プロトコール遵守本試験におけるプロトコール逸脱として 開始前検査に関する逸脱が 27 例 /27 件 追加外科切除に関する逸脱が 22 例 /27 件あったが ESD に関連する逸脱はなかった 開始前検査の逸脱は 主に採血項目 (CEA CA19-9 FBS など ) や ECG 等の欠測または期限の不遵守であった また 追加外科切除に関する逸脱は 腹腔鏡 ( 補助 ) 下胃切除を行ったものが 16 件 リンパ節郭清の不遵守が 5 件 期限の不遵守が 6 件であった 腹腔鏡下胃切除に関して 班会議でも逸脱しないよう注意喚起した 全体として有効性や安全性に関しての評価に影響を与える逸脱はなかったと考えられる 9. 安全性登録期間中 年に 2 回のグループ班会議において ESD 施行時間が 2 時間を超えたものを全例ビデオ供覧したところ ESD の適応に問題となる例はなく 長時間かかったことが安全性や有効性に直接的に影響した例も認めなかった また これらのビデオ供覧を通じて グループ内全体の技術向上につながり 試験進捗後半においては前半に比べて長時間かかる例が減少した ESD 後に 1 例 追加外科切除に 2 例 (3 件 ) の Grade 4 の有害事象を認めた ESD 後の 1 例は SIADH に伴う低 Na 血症であり 治療との因果関係はないと考えられた 一方 追加外科切除の 2 例は 術後の一過性脳虚血発作が 1 例 術後膵炎と ARDS が 1 例報告された いずれもプロトコール治療との因果関係ありとされたものの 短期間で回復 軽快した また 予期されない Grade 3 以上の有害事象は認めなかった 留意すべき ESD 関連の合併症として ESD 時の胃穿孔を 12 例 (2.6%) に認めた それらのうち 1 例のみ緊急手術に移行 (Grade 3) となるも その他の 11 例はすべて内視鏡的に穿孔部のクリップ閉鎖を行い保存的に軽快した (Grade 2) 遅発性穿孔は認めなかった また ESD 後出血を 29 例 (6.2%) に認め 内視鏡による止血が可能であったが 3 例のみ輸血を要した (Grade 3) なお Grade 2 以上の穿孔 後出血の因子別のサブグループ解析を追加し 胃穿孔において有意な関連因子は抽出されず ESD 後出血において 腫瘍長径が 3 cm を超えるものが 3 cm 以下のものと比較して頻度が高くなる (p 値 :0.024) 結果を示した 10. 有効性 Primary endpoint である 5 年生存割合は 97.0%(95%C.I: %) であり 非常に良好な結果が得られた 性別 年齢を調整した簡易生命表から得られた一般人口の 5 年生存割合をもとに設定された閾値生存割合 86.1% を 95% 信頼区間の下限 (95.0%) が上回ったことから 帰無仮説が棄却され 有効性が証明された 再発 原病死は 3 例で いずれも ESD で非治癒切除 ( 粘膜下層 (SM) 浸潤癌 ) であり 追加外科切除を行っ 4

5 た後の経過観察中に再発 原病死を来した この 3 例は 追加外科切除時に組織遺残あるいはリンパ節転移 (pn2) が確認されており 初期治療として外科手術を選択したとしても再発の可能性が高いと考えられた なお ESD で治癒切除と判定されたものの中に再発 原病死を認めなかった Secondary endpoints である病変一括切除割合は 99.1%(466/470 例 95%C.I, %) であり 参加施設の ESD を完遂する高い技術的成熟度が示唆された 一方 ESD による病理学的治癒切除割合は 67.5%(317/470 例 ) であり 当初の予測よりも低い結果であった 非治癒切除 152 例のうち 非治癒の理由として 268 項目 ( 重複あり ) が抽出されたが それらのうち深達度や範囲診断の誤りなど 術前内視鏡診断に直接関わるものが 115 項目 (43%) あり 術前診断の精度についての今後の課題が明らかとなった 標準治療である外科切除に対して臓器温存かつ根治性を評価する指標として 5 年胃温存割合を評価した 全登録例 470 例による解析では 5 年胃温存割合は 68.8%(95%CI, %) であり 本対象の標準治療が外科切除であることから ESD を先行することにより約 7 割の胃温存が得られたと解釈できる また 完全治癒切除が得られた 317 例の解析では 5 年胃温存割合は 95.8%(95%CI, %) であったが プロトコール治療完了後の経過観察期間内に 10 例胃切除が施行された それらのうち 9 例が異時性重複癌に対する胃切除であり 完全治癒切除後も内視鏡による経過観察の重要性が示唆された 11. 考察本試験は 本邦初の 早期胃癌に対する ESD の効果と安全性を前向きに検証した多施設共同試験である Primary endpoint の 5 年生存割合は 97.0%(95%C.I: %) であり 非常に良好な結果が得られた 閾値生存割合 86.1% を 95% 信頼区間の下限が上回ったことから 対象に対する ESD は標準治療の外科切除に遜色ない治療オプションとの結論が得られた 本試験の limitation は 外科切除との RCT を行うことを想定していない点である その理由として 急速な国内普及により ESD が本対象においても日常診療で広く行われるようになっていたこと ESD と外科切除とでは患者が負担する侵襲や有害事象に明らかな差異があり ランダム化の実現性が低いことがあげられる 従って 十分なサンプルサイズを設定し 検出力を高めることで 単アームの検証的な試験と位置づけた 技術的評価においては 術者を技術認定した上で 半年ごとの班会議において ESD 困難例や ESD 後の合併症等の事例をビデオ供覧することで Quality control を徹底した 病変一括切除割合は 99.1% であり これらは既報と比較しても本邦の極めて高い技術力を示す結果となった 病理学的治癒切除割合が 67.5% 5 年胃温存割合 68.8% は予測していたよりも低い結果であった しかし 標準治療が外科切除であることから およそ 2/3 で胃切除を回避でき 胃温存の観点から意義深いといえる 一方 ESD で非治癒切除となっても 適切に追加外科切除を行うことでほとんど完治可能であることを示した このように この対象群に対する ESD を一般化するにあたり 約 3 割の追加外科切除が必要となる旨を患者に告知すべきであり その多くが内視鏡診断に関連するものであったことを考慮すると 今後の診断精度の向上が必要であると考えられる 一方 経過観察中に追加外科切除を追加したにもかかわらず 3 例の転移再発 原病死を認めたが pn2 のリンパ節転移を伴っており ESD を行わず外科手術を行っていても再発は避けられなかったと思われる 安全性については ESD の代表的な合併症として穿孔と後出血があるが いずれも頻度は約 3% 6% 程度にとどまった これらのうち 1 例のみ緊急手術に移行したものの ほぼ全例内視鏡処置のみで保存的に経過観察し得た 本試験の対象は 従来の適応病変よりも技術的な困難性から合併症の発生頻度が高くなることを懸念していたものの 予想より少なかったことは 本邦の ESD 技術の高さを示唆するものである ただし 本試験では熟練した内視鏡医あるいはその指導の下で ESD を行った結果を示すものであり 一般化の際には経験の少ない術者が行う対象ではないことを十分に周知する必要がある 12. 結語 5

6 早期胃癌のうち 本試験の対象となる病変 ( 分化型腺癌 UL(-) の場合はサイズを問わず UL(+) の場合は 3 cm 以下 ) に対する ESD は 従来の外科切除に替わる標準治療になり得る これらの結果は既に論文化が終了し 2017 年 2 月に Gastric Cancer に掲載され 近日改訂予定の胃癌治療ガイドラインに反映される予定である 13. 今後の展開本試験は 理論的に転移の極めて少ない早期胃癌のうち 分化型腺癌に対する ESD の適応拡大を検証した 一方 未分化型腺癌についても 我々は 術前診断で 2 cm 以下の未分化型粘膜内癌を対象として同様の臨床試験 (JCOG1009/JCOG1010 未分化型早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の適応拡大に関する非ランダム化検証的試験 ) も行っている 2011 年より JCOG 消化器内視鏡グループおよび JCOG 胃がんグループ共同で開始し 2013 年に登録を完了して 2018 年に最終解析予定である この試験の結果をもって 理論的に転移の極めて少ない早期胃癌に対する内視鏡的局所治療 (=ESD) の評価が完了する 現在 JCOG 消化器内視鏡グループにおいて 外科切除例から得られるリンパ節転移リスクの層別化を行い さらなる適応拡大に向けての条件を議論している 今後は 80 歳以上の高齢者を対象に リスクベネフィットを考慮した適応拡大に関する臨床試験を実施する予定である 6

胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除

胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除 胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除 はじめに 胃がんは胃の粘膜細胞から発生するがんです. 胃の検診や症状が出現し医療機関を受診して発見に至ります. 一般にがんの治療はがんに侵された病巣を切除すること, つまり外科的切除が主体となります. しかし, がんの拡がり ( 進み具合 : 進行度転移 ) によって, その治療方法

More information

1)表紙14年v0

1)表紙14年v0 NHO µ 医師が治療により回復が期待できないと判断する 終末期 であると医療チームおよび本人 家族が判断する 患者の意志表明は明確であるか? いいえ はい 意思は文書化されているか? はい 患者には判断能力があるか? 医療チームと患者家族で治療方針を相談する 患者の意思を推量できる場合には それを尊重する はい はい 患者の意思を再確認する はい 合意が得られたか? はい いいえ 倫理委員会などで議論する

More information

最終解析と総括報告書

最終解析と総括報告書 総括報告書 JCOG9501: 大動脈周囲リンパ節郭清の臨床的意義に関する研究 [ 作成年月日 2017/12/14 ] 研究事務局 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学上部消化管外科 ) 研究代表者 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学上部消化管外科 ) グループ代表者 : 寺島雅典 ( 静岡県立静岡がんセンター胃外科 ) 試験概要 試験の目的 : 大動脈周囲リンパ節に高頻度に転移しうると推測される漿膜下浸潤

More information

手術を支持する根拠とされていた また 非治癒因子が 1 つである患者が減量手術の良い対象と報告された しかしながら それらの報告には PS が良く合併症が少なく腫瘍量が少ない患者に好んで減量手術が行われている selection bias が明らかに存在し 化学療法単独でも か月の予後が

手術を支持する根拠とされていた また 非治癒因子が 1 つである患者が減量手術の良い対象と報告された しかしながら それらの報告には PS が良く合併症が少なく腫瘍量が少ない患者に好んで減量手術が行われている selection bias が明らかに存在し 化学療法単独でも か月の予後が 総括報告書 JCOG0705: 治癒切除不能進行胃癌に対する胃切除術の意義に関するランダム化比較第 III 相試験 [ 2017/08/25 ] 研究事務局 : 藤谷和正 ( 大阪府立急性期総合医療センター外科 ) 研究代表者 : 辻仲利政 ( 市立貝塚病院外科 ) 前胃がんグループ代表者 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学上部消化管外科 ) 胃がんグループ代表者 : 寺島雅典 ( 静岡県立静岡がんセンター胃外科

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 当科にて施行した ESD の 2 症例について 独立行政法人国立病院機構指宿医療センター消化器内科千堂一樹 小野陽平 大重彰彦 ESD( 内視鏡的粘膜下層剥離術 ) とは 近年 消化管領域の早期癌に対する内視鏡的治療は日本を中心に急速に発展してきており 入院日数が短期間で済み身体への負担も軽く出来るため 新しい治療法として注目されてきている 現在 消化管の早期癌に対する内視鏡的治療としては主に以下の

More information

大腸ESD/EMRガイドライン 第56巻04号1598頁

大腸ESD/EMRガイドライン 第56巻04号1598頁 ESD/EMR 1602 日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol. 56 4, Apr. 2014 a b c d Figure 1 LST の病型亜分類 インジゴカルミン散布像で判定する a 顆粒均一型 homogeneous type LST-G Homo b 結節混在型 nodular mixed type LST-G Mix) c 平隆起型 flat-elevated type LST-NG

More information

医療連携ノートとは 手術などの治療を行った病院とかかりつけ医が協力して ( 医療連携 ) 専門的医療と総合的な診療を適切に提供するために使用する患者さん用のノートです 安全で質の高い医療を切れ目なく提供するため 専門医が協力して新潟県共通のものを作成しました 医療連携ノートの内容 1 患者さんの病状

医療連携ノートとは 手術などの治療を行った病院とかかりつけ医が協力して ( 医療連携 ) 専門的医療と総合的な診療を適切に提供するために使用する患者さん用のノートです 安全で質の高い医療を切れ目なく提供するため 専門医が協力して新潟県共通のものを作成しました 医療連携ノートの内容 1 患者さんの病状 内視鏡治療 医療連携ノート ( 胃 ) 病院名 : 医療連携ノートとは 手術などの治療を行った病院とかかりつけ医が協力して ( 医療連携 ) 専門的医療と総合的な診療を適切に提供するために使用する患者さん用のノートです 安全で質の高い医療を切れ目なく提供するため 専門医が協力して新潟県共通のものを作成しました 医療連携ノートの内容 1 患者さんの病状 治療内容等の診療情報 2 今後の診療予定表 3

More information

最終解析と総括報告書

最終解析と総括報告書 総括報告書 JCOG0209: 浸潤性膀胱移行上皮がん (T2-4aN0M0) に対する術前 MVAC 化学療法による予後改善の意義に関する第 III 相試験 [ 作成年月日 ] 2013 年 3 月 15 日研究事務局 : 塚本泰司 舛森直哉研究代表者 : 塚本泰司グループ代表者 : 筧善行 札幌医科大学医学部札幌医科大学医学部香川大学医学部 0. 試験概要 試験の目的 : 浸潤性膀胱癌に対する術前

More information

登録中止となった プロトコール改訂は計 2 回行われ その内容は以下のとおりである 第 1 回 (1999 年 2 月 5 日承認 ): 登録期間を 8 年に延長し 予定登録患者数を 265 名に変更した 第 2 回 (2003 年 12 月 18 日承認 ): 有意水準片側 10% 予定登録患者数

登録中止となった プロトコール改訂は計 2 回行われ その内容は以下のとおりである 第 1 回 (1999 年 2 月 5 日承認 ): 登録期間を 8 年に延長し 予定登録患者数を 265 名に変更した 第 2 回 (2003 年 12 月 18 日承認 ): 有意水準片側 10% 予定登録患者数 総括報告書 JCOG9502: 食道浸潤胃がんの外科治療に関する比較臨床試験 2014 年 9 月 14 日研究事務局 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学 ) 研究代表者 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学 ) グループ代表者 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学 ) 0. 試験概要 試験の目的 : 食道へ浸潤する胃体部がん 噴門がんに対して 左開胸下の切除 郭清を行うことの臨床的意義を明らかにすることを目的とし

More information

消化器センター

消化器センター 食道 Esophagus 食道グループでは 食道がん内視鏡及び外科治療を中心に取り組んでいます 食道がんは 消化器がんの中でも 比較的早い段階でリンパ節や肝臓や肺などの遠隔転移を認め また 周囲には大血管などの重要な臓器に浸潤しやすく 消化器がんの中でも難治のがんです 食道がんの内視鏡的治療 外科治療も日々進歩しており 化学療法 放射線治療 医療スタッフの積極的な関与による集学的治療 チーム医療を推進し

More information

外来在宅化学療法の実際

外来在宅化学療法の実際 平成20年度第1回高知医療センター 地域がん診療連携拠点病院 公開講座 食道がんの放射線 化学療法について 高知医療センター 腫瘍内科 辻 晃仁 がん薬物療法専門医 がん治療認定医 2008.7.19. 高知市 ウエルサンピア高知 レインボーホール 食道の構造 食道がんの進行 食道の内面の粘膜から発生したがんは 大きくなると粘膜下層に広がり さらにその下の筋層に入り込みます もっと大きくなると食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていきます

More information

<4D F736F F D E E968D E528CFB8D5C90AC88F5816A89F1939A A2E727466>

<4D F736F F D E E968D E528CFB8D5C90AC88F5816A89F1939A A2E727466> 第 30 回高度医療評価会議 平成 24 年 3 月 14 日 資料 2-3 高度医療審査の照会事項 ( 山口構成員 ) に対する回答 (1) 高度医療技術名 : ディスポーザブル高周波切開鉗子を用いた内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic Submucosal Dissection:ESD) 日付平成 24 年 3 月 1 日所属 国立がん研究センター東病院氏名土井俊彦 1. 胃あるいは食道における粘膜がんのディスポーザブル高周波切開鉗子を用いた内視鏡的粘膜下層切開剥離術

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer ( 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > Insulin-like growth factor ( 以下 IGF)

More information

<303491E592B BC92B08AE02E786C73>

<303491E592B BC92B08AE02E786C73> ( 注意 ) : 複数選択 : 単一選択 * 複数治療がある場合は 別シートをご利用下さい 担癌状態の評価 今回の血清採取時 ( 登録時または追跡調査時 ) に担癌状態 ( がんが存在する状態 ) か ( 医師への確認を はい いいえ 前提として下さい ) はい の場合( 複数回答可 ) 手術前 非根治手術後 手術不能 化学療法または放射線治療中 もしくは治療後 ホルモン療法中もしくは治療後 治療後の再燃

More information

アンケート回答 19 施設 ( 順不同 ) 奈良県立医科大学消化器外科順天堂大学下部消化管外科市立函館病院消化器内科調布外科消化器科内科クリニック東京都多摩がん検診センター市立旭川病院消化器病センター山形大学医学部第 2 内科産業医科大学第 1 外科国立がんセンター中央病院内視鏡部福岡大学築柴病院福

アンケート回答 19 施設 ( 順不同 ) 奈良県立医科大学消化器外科順天堂大学下部消化管外科市立函館病院消化器内科調布外科消化器科内科クリニック東京都多摩がん検診センター市立旭川病院消化器病センター山形大学医学部第 2 内科産業医科大学第 1 外科国立がんセンター中央病院内視鏡部福岡大学築柴病院福 内視鏡摘除手技の標準化プロジェクト研究 大腸腫瘍に対する大腸内視鏡治療後の遺残再発と偶発症症例の実態に関する多施設共同研究 ( 後ろ向きアンケート調査 ) 追加アンケート結果 2008 年 7 月 4 日第 69 回大腸癌研究会 アンケート回答 19 施設 ( 順不同 ) 奈良県立医科大学消化器外科順天堂大学下部消化管外科市立函館病院消化器内科調布外科消化器科内科クリニック東京都多摩がん検診センター市立旭川病院消化器病センター山形大学医学部第

More information

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード] 医療者がん研修会 もっと知りたい食道がん治療 2014 年 11 月 20 日 ( 木 ) 食道癌の 放射線治療を もっと知ってみませんか? 広島市立広島市民病院放射線治療科松浦寛司 食道がん治療のアルゴリズム Stage 0 Stage I Stage II, III (T1b-T3) Stage III (T4), IVa Stage IVb 術前化学療法術前化学放射線療法 内視鏡的治療 外科治療

More information

12_モニタリングの実施に関する手順書 

12_モニタリングの実施に関する手順書  12_ モニタリングの実施に関する手順書 静岡県立大学大学院薬食生命科学総合学府薬学研究院薬食研究推進センター版数 :1.0 版作成年月日 :2014 月 8 月 1 日 ( 最終確定 :2015 年 1 月 14 日 ) 1. 目的と適用範囲 本手順書は 当該研究において モニターが モニタリングを適切に実施するための手順 その他必要な事項を定めるものである 2. 実施体制及び責務 2.1 研究責任者の責務研究責任者は

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > platelet derived growth factor (PDGF 血小板由来成長因子)-C,

More information

スライド 1

スライド 1 胃癌の治療選択 早期胃癌 進行胃癌 粘膜癌 粘膜下層癌 1 内視鏡的粘膜切除術 (EMR) あるいは ESD 2 腹腔鏡下手術 3 開腹手術 ESD 腹腔鏡下手術開腹手術 1 開腹手術 2 化学療法 ( 抗がん剤 ) 早期胃癌切除例の半数以上が ESD 施行例となっている ESD の実際 病変を確認事前の陰性生検にニードルナイフにてマーキング (VIO: swift coag 3, 30 W) AIM

More information

がん登録実務について

がん登録実務について 平成 28 年度東京都がん登録説明会資料 2-1 がん登録届出実務について (1) 1. 届出対象 2. 届出候補見つけ出し 3. 診断日 4. 届出票の作成例示 東京都地域がん登録室 1 1. 届出対象 1 原発部位で届出 2 入院 外来を問わず 当該腫瘍に対して 自施設を初診し 診断あるいは治療の対象 ( 経過観察を含む ) となった腫瘍を届出 3 届出対象となった腫瘍を 1 腫瘍 1 届出の形で届出

More information

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し 2012 年 12 月 6 日放送 第 111 回日本皮膚科学会総会 5 教育講演 20-1 皮膚腫瘍の最新疫学データ 筑波大学大学院皮膚科 講師藤澤康弘 はじめに皮膚癌は国立がん研究センターがとりまとめている全国集計データでも年々増加の一途をたどっており なかでも高齢者の患者の増加が目立ちます 日常の皮膚科診療でも遭遇する機会が今後も増え続けることから その発生状況を知っておくことは役に立つと思います

More information

jphc_outcome_d_014.indd

jphc_outcome_d_014.indd 喫煙のがん全体の罹患に与える影響の大きさについて ( 詳細版 ) 1 喫煙のがん全体の罹患に与える影響の大きさについて 本内容は 英文雑誌 Preventive Medicine 2004; 38: 516-522 に発表した内容に準じたものです 2 背景 喫煙とがんとの因果関係は既に確立しています 現在 日本人の大半は喫煙の害を既に認識しており 今後の予防の焦点は喫煙対策に向けられています 喫煙対策を効果的に実施していくためには

More information

最終解析と総括報告書

最終解析と総括報告書 総括報告書 JCOG0602: III 期 /IV 期卵巣癌 卵管癌 腹膜癌に対する手術先行治療 vs. 化学療法先行治療のランダム化比較試験 [2018 年 10 月 1 日 ] 研究事務局 : 恩田貴志 ( 北里大学医学部産婦人科 ) 研究代表者 : 吉川裕之 ( 茨城県立中央病院産婦人科 ) 婦人科腫瘍グループ代表者 : 八重樫伸生 ( 東北大学医学部産科婦人科学講座 ) 0. 試験概要 試験の目的

More information

青焼 1章[15-52].indd

青焼 1章[15-52].indd 1 第 1 章統計の基礎知識 1 1 なぜ統計解析が必要なのか? 人間は自分自身の経験にもとづいて 感覚的にものごとを判断しがちである 例えばある疾患に対する標準治療薬の有効率が 50% であったとする そこに新薬が登場し ある医師がその新薬を 5 人の患者に使ったところ 4 人が有効と判定されたとしたら 多くの医師はこれまでの標準治療薬よりも新薬のほうが有効性が高そうだと感じることだろう しかし

More information

頭頚部がん1部[ ].indd

頭頚部がん1部[ ].indd 1 1 がん化学療法を始める前に がん化学療法を行うときは, その目的を伝え なぜ, 化学療法を行うか について患者の理解と同意を得ること ( インフォームド コンセント ) が必要である. 病理組織, 病期が決定したら治療計画を立てるが, がん化学療法を治療計画に含める場合は以下の場合である. 切除可能であるが, 何らかの理由で手術を行わない場合. これには, 導入として行う場合と放射線療法との併用で化学療法を施行する場合がある.

More information

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医 佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生 住所 M T S H 西暦 電話番号 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 家族構成 情報 医療機関名 診療科 住所 電話番号 紹介医 計画策定病院 (A) 連携医療機関 (B) 疾患情報 組織型 遺伝子変異 臨床病期 病理病期 サイズ 手術 有 無 手術日 手術時年齢 手術 有 無 手術日

More information

JCOG0910総括報告書

JCOG0910総括報告書 総括報告書 JCOG0910: Stage III 治癒切除大腸癌に対する術後補助化学療法としての Capecitabine 療法と S-1 療法とのランダム化第 III 相比較臨床試験 作成日 :2018 年 1 月 9 日研究事務局 : 濱口哲弥 ( 埼玉医科大学国際医療センター ) 研究代表者 : 島田安博 ( 高知医療センター ) グループ代表者 : 島田安博 ( 高知医療センター ) 試験概要

More information

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと StageⅢ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の 予後予測因子および副作用発現の危険因子についての 探索的研究 (JACCRO GC-07AR) についてのご説明 説明 同意文書 作成日 :2014 年 5 月 27 日 施設名 : 東京医科大学八王子医療センター 1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後

More information

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第 胃がんとは 胃がんの発生 進行について胃がんは胃の粘膜から発生し 年月をかけて診断可能な大きさになるといわれています 胃の壁は 粘膜 粘膜下層 筋層 漿膜 ( しょうまく ) にわかれています 胃壁におけるがんの浸潤の程度を深達度と呼びます 粘膜下層までの浸潤でとどまっているものを早期胃がんとし 筋層まで浸潤しているものを 進行がんとしています 早期がんであっても 粘膜下層まで浸潤すると血管やリンパ管から転移していく可能性があります

More information

第 1 回改訂 (2005/2/3 承認 ): 適格規準の病理組織学的悪性度に FNCLCC system の Grade 2 を追加した 対象年齢上限を 60 歳から 65 歳に引き上げた MRI 撮影施設を追加した 第 2 回改訂 (2005/7/5 承認 ): 新規参加施設における放射線治療の

第 1 回改訂 (2005/2/3 承認 ): 適格規準の病理組織学的悪性度に FNCLCC system の Grade 2 を追加した 対象年齢上限を 60 歳から 65 歳に引き上げた MRI 撮影施設を追加した 第 2 回改訂 (2005/7/5 承認 ): 新規参加施設における放射線治療の 総括報告書 ( 主 ) JCOG0304: 高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する Ifosfamide Adriamycin による術前術後補助化学療法の第 Ⅱ 相臨床試験 平成 27 年 8 月 10 日研究事務局 : 田仲和宏 ( 大分大学整形外科 ) 研究代表者 : 岩本幸英 ( 九州大学整形外科 ) グループ代表者 : 岩本幸英 ( 九州大学整形外科 ) 0. 試験概要 試験の目的 : 四肢原発の切除可能

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 第 21 回京都乳癌コンセンサス会議 テーマ HER2 陰性再発乳癌の抗がん薬治療 アンケート集計結果 1 回答いただいた御施設 (50 音順 ) 大阪赤十字病院 大津赤十字病院 加藤乳腺クリニック 関西医科大学附属枚方病院 菅典道クリニック 京都医療センター 京都市立病院 京都第一赤十字病院 京都大学医学部附属病院 倉敷中央病院 公立八鹿病院 沢井記念乳腺クリニック 滋賀県立成人病センター 静岡県立がんセンター

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 神谷綾子 論文審査担当者 主査北川昌伸副査田中真二 石川俊平 論文題目 Prognostic value of tropomyosin-related kinases A, B, and C in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 神谷綾子 論文審査担当者 主査北川昌伸副査田中真二 石川俊平 論文題目 Prognostic value of tropomyosin-related kinases A, B, and C in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 神谷綾子 論文審査担当者 主査北川昌伸副査田中真二 石川俊平 論文題目 Prognostic value of tropomyosin-related kinases A, B, and C in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > Trk 受容体は腫瘍の成長において重要な役割を果たし 癌治療の重要なターゲットと考えられている 我々は胃癌における

More information

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日施行 目次 1. 目的...1 2. 研究機関の長の責務...1 3. 研究責任者の責務...1 4. モニタリング担当者の責務...1 5. 監査担当者の責務...2 6. 多施設共同研究におけるモニタリング及び監査の実施について...2

More information

胃 ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けられる患者さんへ

胃 ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けられる患者さんへ 入院当日 このパンフレットを忘れずに持参してくださいね! 兵庫医科大学病院消化管内科 内視鏡センター 0 目 次 胃 ESD( 内視鏡的粘膜下層剥離術 ) にあたって 1. 胃がんの治療方法 2 2. ESD( 内視鏡的粘膜下層剥離術 ) とは? 2 3. 内視鏡治療の対象 3 4. 治療中に伴うリスク ( 偶発症 ) 4 5. ESDの手順 5 手術準備 ~ 当日の流れ 1. 手術当日の注意 6

More information

「             」  説明および同意書

「             」  説明および同意書 EDP( エトポシド + ドキソルビシン + シスプラチン ) 療法 説明および同意書 四国がんセンター泌尿器科 患者氏名 ( ) さん 御本人さんのみへの説明でよろしいですか? ( 同席者の氏名をすべて記載 ) ( ( はい ) ) < 病名 > 副腎がん 転移部位 ( ) < 治療 > EDP 療法 (E: エトポシド D: ドキソルビシン P: シスプラチン ) < 治療開始予定日 > 平成

More information

Microsoft Word - JCOG9906総括報告書081215_m KN【福田加筆】

Microsoft Word - JCOG9906総括報告書081215_m KN【福田加筆】 総括報告書 (Clinical Summary Report) 2008 年 10 月 23 日 JCOG9906: stage II,III 進行食道がんに対する放射線化学療法同時併用療法の第 II 相臨床試験 消化器がん内科グループ代表者静岡県立静岡がんセンター朴成和研究代表者国立がんセンター東病院大津敦研究事務局国立がんセンター中央病院加藤健愛知県がんセンター中央病院室圭 1. 試験経過切除可能な食道癌に対しては

More information

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k 各位 2018 年 5 月 21 日 ヘムライブラ の 2 本の第 III 相国際共同治験の成績を世界血友病連盟 (WFH)2018 世界大会で発表 中外製薬株式会社 ( 本社 : 東京 代表取締役社長 CEO: 小坂達朗 ) は 血友病 A 治療薬ヘムライブラ [ 一般名 : エミシズマブ ( 遺伝子組換え )] について 第 III 相国際共同治験である HAVEN 3 試験 (NCT02847637)

More information

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同 限局性前立腺がんに対する治療 手術療法 放射線療法 2017 年 1 月 ( 第 11 版 ) 奈良県立医科大学泌尿器科 1 限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する

More information

Microsoft PowerPoint - 【資料3】届出マニュアル改訂について

Microsoft PowerPoint - 【資料3】届出マニュアル改訂について 国立がん研究センターがん対策情報センター National Cancer Center Center for Cancer Control and Information Services 全国がん登録届出マニュアル 2016 2017 改訂版の発行について 国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター 柴田亜希子 1 国立がん研究センターがん対策情報センター National

More information

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃 日付 時限 4 月 6 日 1 食道腫瘍の病理 GIO: 食道腫瘍の病理学的所見を理解する SBO: 1. 食道の構造を説明できる 内 容 2. 食道の良性上皮性腫瘍の分類と病理所見を説明できる 3. 食道の悪性上皮性腫瘍の分類と病理所見 ( 肉眼所見 組織所見 ) を説明できる 4. バレット食道 バレット腺癌について説明できる 5. 食道の非上皮性腫瘍を良性病変と悪性病変と分けて説明できる 4

More information

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2 ロスバスタチン錠 mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロスバスタチンは HMG-CoA 還元酵素を競合的に阻害することにより HMG-CoA のメバロン酸への変更を減少させ コレステロール生合成における早期の律速段階を抑制する高コレステロール血症治療剤である 今回 ロスバスタチン錠 mg TCK とクレストール 錠 mg の生物学的同等性を検討するため

More information

埼玉医科大学倫理委員会

埼玉医科大学倫理委員会 全国大腸癌肝転移登録事業および登録情報に基づく研究 研究計画書 研究責任者 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 石橋敬一郎 Version 1.0 2017 年 10 月 31 日 0 1. 研究の名称 全国大腸癌肝転移登録事業および登録情報に基づく研究 2. 研究組織について研究代表者 : 大腸癌研究会大腸癌肝転移データベース合同委員会委員長高橋慶一がん 感染症センター都立駒込病院外科副委員長山本雅一東京女子医科大学消化器外科研究事務局

More information

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な 各種がん 101 がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください なるべく早く受診しましょう 受診 受診のきっかけや 気になっていること 症状など 何でも担当医に伝えてください

More information

大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けられる患者さんへ

大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を受けられる患者さんへ 入院当日 このパンフレットを忘れずに持参してくださいね! 兵庫医科大学病院消化管内科 内視鏡センター 0 目 次 大腸 ESD( 内視鏡的粘膜下層剥離術 ) にあたって 1. 大腸がんの治療方法 2 2. 大腸がんの内視鏡治療の対象 3 3. 内視鏡治療の種類 4 4. 大腸 ESDの適応病変 5 5. 大腸 ESDの手順 6 6. 治療に伴うリスク ( 偶発症 ) 7 7. 病理組織検査 8 手術準備

More information

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性 2018 年 12 月 19 日放送 急性胆管炎 胆嚢炎診療ガイドライン 2018 国際医療福祉大学消化器外科教授吉田雅博ガイドラインの作成経過急性胆道感染症 ( 急性胆管炎 急性胆囊炎 ) は急性期に適切な対処が必要であり 特に 急性胆管炎 なかでも重症急性胆管炎では急性期に適切な診療が行われないと早期に死亡に至ることもあります これに対し 2005 年に出版されたガイドライン初版によって世界に向けて診断基準

More information

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 目次 はじめに第一章診断横断的なメタ認知モデルに関する研究動向 1. 診断横断的な観点から心理的症状のメカニズムを検討する重要性 2 2. 反復思考 (RNT) 研究の歴史的経緯 4 3. RNT の高まりを予測することが期待されるメタ認知モデル

More information

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法 31 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 岡本真知 倉澤佳奈 ( 病理形態研究グループ 指導教員 : 覚道健一 ) 目的今回 いくつかの臓器の癌取り扱い規約を比較検討した結果 臓器ごとに異なっている点があることがわかった その中でも 細胞診を行っていく上で検体数が多く 診断する機会も多い婦人科臓器である子宮 卵巣の癌取り扱い規約について今回はその中から進行期分類の相違点を重点的に調べたので報告する

More information

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or 33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano

More information

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 ;II-231) 1 医療上の必要性の基準に該当しないと考えられた品目 本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル

More information

患者さんへの説明書

患者さんへの説明書 難治性 Clostridium difficile 関連下痢症 腸炎に対する糞便細菌叢移植 につきまして 1. はじめに本研究は 臨床試験のなかでも 医師主導臨床試験 に該当する試験になります 医師主導臨床試験とは医療現場でのニーズが高い医薬品や医療機器 治療法を医師が自ら医療機関の倫理委員会などに申請し 承認を受けることにより実施が可能となった試験です 本試験は滋賀医科大学消化器内科が主体となり臨床試験の計画

More information

様式1

様式1 胃カルチノイド RindiⅢ 型 (Neuroendocrine Tumor Grade 1,2; NET G1,2) の リンパ節転移危険因子に関する多施設共同後ろ向き研究 に関する研究計画書 申請者 ( 実施責任者 ) 所属 埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科 氏名 持木彫人 1. 背景, 意義, 目的近年の上部消化管内視鏡検査の普及に伴い 日常診療で無症状の小さな胃カルチノイドを発見する機会が増加している

More information

1 早期癌 表在癌の病態 食道癌は消化器癌の中でも予後不良の癌の代表であったが診断および集学的治療の進歩により予後が向上してきた. 特に早期癌の状態で発見できれば, その予後は大いに期待できるのみならず, 標準治療であるリンパ節郭清を伴う胸部食道切除に比し, 身体への侵襲が極めて小さい内視鏡的治療に

1 早期癌 表在癌の病態 食道癌は消化器癌の中でも予後不良の癌の代表であったが診断および集学的治療の進歩により予後が向上してきた. 特に早期癌の状態で発見できれば, その予後は大いに期待できるのみならず, 標準治療であるリンパ節郭清を伴う胸部食道切除に比し, 身体への侵襲が極めて小さい内視鏡的治療に 1 早期癌 表在癌の病態 食道癌は消化器癌の中でも予後不良の癌の代表であったが診断および集学的治療の進歩により予後が向上してきた. 特に早期癌の状態で発見できれば, その予後は大いに期待できるのみならず, 標準治療であるリンパ節郭清を伴う胸部食道切除に比し, 身体への侵襲が極めて小さい内視鏡的治療により治癒せしめることが可能となった. しかしながら, 同じ連続する上部消化管である胃とは癌の進展 進行が異なり,

More information

<4D F736F F D20288E518D6C8E9197BF AA82F18C9F90668F64935F8EF390668AA98FA791CE8FDB8ED282CC90DD92E882C982C282A282C AD8F6F94C5817A2E646F6378>

<4D F736F F D20288E518D6C8E9197BF AA82F18C9F90668F64935F8EF390668AA98FA791CE8FDB8ED282CC90DD92E882C982C282A282C AD8F6F94C5817A2E646F6378> がん検診重点受診勧奨対象者の設定について 1. がん検診における受診勧奨の背景 国のがん対策推進基本計画の目標である 75 歳未満のがん死亡率減少を達成するためには タバコ対策を柱とした一次予防の推進に加えて 二次予防としてのがん検診の受診率向上が必要である がん検診の受診勧奨として 市町村の広報誌による受診勧奨が広く行われてきた しかしながら 個人を特定しない受診勧奨が受診率向上につながるという科学的根拠はない

More information

<4D F736F F D20454D FC797E1936F985E E C5816A837D836A B2E646F6378>

<4D F736F F D20454D FC797E1936F985E E C5816A837D836A B2E646F6378> 全国胃癌登録 EMR/ESD 症例登録システム ランタイム版 操作マニュアル 1 初期設定 2 2 MENU 画面 2 3 EMR/ESD 症例入力画面 3 4 エクセル書き出し項目 6 5 EMR/ESD 症例登録システムの機能 7 6 システム条件 8 1 1 初期設定 アイコンをダブルクリックすると下記の画面が最初に表示されます フィールドが赤く選択された項目が必須入力項目です 病院名他を入力し

More information

Microsoft Word - 03 大腸がんパス(H30.6更新).doc

Microsoft Word - 03 大腸がんパス(H30.6更新).doc 地域連携手帳 ( 京都府統一版 ) 名前 ( ふりがな ) ( ) 生 明 大 昭 平 大腸がん地域連携手帳 ( 京都府統一版 ) 目次 地域連携手帳とは 1 連携手帳を用いた診療の流れ 2 連携手帳の使い方について 3 連携手帳使用に係る説明書 同意書 4 わたしのプロフィール 6 氏名 医療機関等 既往歴 アレルギー 内服薬等 手術記録 その他特記事項( 連携時 ) 診察 検査予定表 10 特記事項

More information

スライド 1

スライド 1 厚生労働科学研究費補助金 ( 医療技術実用化総合研究事業 ) 高悪性度骨軟部腫瘍に対するカフェイン併用化学療法の臨床使用確認試験 研究代表者 : 土屋弘行金沢大学大学院医学系研究科 医薬保健学域医学類がん医科学専攻機能再建学講座 ( 整形外科 ) 高悪性度骨軟部腫瘍に対して有効とされる薬剤は限られており ( アドリアマイシン イホマイド シスプラチン メソトレキセート ) 現在はこれらの薬剤を組み合わせた治療が試みられているが

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 (ICD10: C81 85, C96 ICD O M: 9590 9729, 9750 9759) 治癒モデルの推定結果が不安定であったため 治癒モデルの結果を示していない 203 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 71 68 50 53 52 45 47 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 43 38 41 76

More information

untitled

untitled *当院では食道がんの進行度と患者さんの全身状態を考慮して 消化器 内科医 放射線治療医 薬物療法医 食道外科医とカンファレンスを 行い その総意に基づいて最も妥当と思われる治療法を勧めています 治療法は科学的根拠に基づいた標準治療を行っていますが 手術前化 学放射線療法や化学放射線療法後遺残に対するサルベージ手術などま だ研究段階にある治療にも対応しています *食道がんの代表的な治療法には内視鏡治療

More information

χ 嶋 寺 伸 一 図 図 初発年齢 歳未満の乳児期発症例が最も多く しだ いに減少した 嵌頓時月齢 嵌頓は2 か月以下の2 例に発生し うち8 例に緊急手術が行われた その月齢は生後 か月に小さな peak を 8か月に大きな peak を認め 乳児期においてほぼ二峰性 のグラフを示した 表2 図2 嵌頓に関わる因子の検討 性別 男 女 患側 R L B 初発年齢 か月 手術時年齢 か月 手術時体重

More information

150800247.indd

150800247.indd ヘリコバクター ピロリ ピロリ菌 感染症について 消化器内科 藤澤 聖 1983 年に胃の粘膜からピロリ菌が発見されて以来様々な研究がなされ ピロリ菌と胃の関係や 種々の病気との関連について明らかになってきました ピロリ菌が胃に感染すると長い年月をかけて 萎縮性胃炎 腸上皮化生という状態を惹き起こし そこから大部分の胃癌が発生すると言われてい ます また胃潰瘍 十二指腸潰瘍や胃 MALT リンパ腫など胃腸疾患のみならず

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ (ICD10: C91 C95 ICD O M: 9740 9749, 9800 9999) 全体のデータにおける 治癒モデルの結果が不安定であるため 治癒モデルの結果を示していない 219 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 52 52 53 31 29 31 26 23 25 1993 1997 1998 01 02 06 02 06 (Period 法 ) 21 17 55 54

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 28( 平成 2) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者および外来患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります

More information

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate 15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrated adenocarcinoma defined by Mäkinen in Dukes B colorectal

More information

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する 大阪府立病院機構医療事故公表基準 1 公表の目的この基準は 府立 5 病院における医療事故の公表に関する取り扱いについて必要な事項を定めるものとする 病院職員は 次に掲げる公表の意義を正しく認識し 医療事故防止に努めるものとする (1) 病院職員が事故原因の分析や再発防止への取組みなどの情報を共有化し 医療における安全管理の徹底を図るため 自発的に医療事故を公表していくことが求められていること (2)

More information

ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1, 子宮癌肉腫の組織成分が予後に与える影響 主研究責任者氏名 : 松尾高司 所属 : 南カリフォルニア大学産婦人科婦人科腫瘍部門 職名 : Assistant Professor 主研究者連絡先 : Koji Matsuo, MD, PhD, Assistant Professor Division of Gynecologic Oncology, Department of Obstetrics and

More information

0. 試験概要 0.1. シェーマ 手術 対象 StageⅢ 結腸癌 *1 直腸 S 状部癌治癒切除症例 (CurA) PS 歳以上 8 週間以内 文書による説明と同意の取得 登録とランダム化割付割付調整因子 N 因子 *2 (N1/N1 以外 ) 施設 レジメン(mFOLFOX6/X

0. 試験概要 0.1. シェーマ 手術 対象 StageⅢ 結腸癌 *1 直腸 S 状部癌治癒切除症例 (CurA) PS 歳以上 8 週間以内 文書による説明と同意の取得 登録とランダム化割付割付調整因子 N 因子 *2 (N1/N1 以外 ) 施設 レジメン(mFOLFOX6/X JFMC47-1202-C3(ACHIEVE Trial) 研究課題 StageIII 結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としての mfolfox6 療法または XELOX 療法における 5-FU 系抗がん剤およびオキサリプラチンの至適投与期間に関するランダム化第 III 相比較臨床試験 ACHIEVE Trial (Adjuvant Chemotherapy for colon cancer

More information

速報 海外で行われた CLASSIC 試験 国内で行われた J-CLASSIC-PII 試験および胃癌術後補助化学療法におけるオキサリプラチン併用療法に関する日本胃癌学会ガイドライン委員会のコメント 試験名 :CLASSIC 試験文献 : Adjuvant capecitabine and oxal

速報 海外で行われた CLASSIC 試験 国内で行われた J-CLASSIC-PII 試験および胃癌術後補助化学療法におけるオキサリプラチン併用療法に関する日本胃癌学会ガイドライン委員会のコメント 試験名 :CLASSIC 試験文献 : Adjuvant capecitabine and oxal 速報 海外で行われた CLASSIC 試験 国内で行われた J-CLASSIC-PII 試験および胃癌術後補助化学療法におけるオキサリプラチン併用療法に関する日本胃癌学会ガイドライン委員会のコメント 試験名 :CLASSIC 試験文献 : Adjuvant capecitabine and oxaliplatin for gastric cancer after D2 gastrectomy (CLASSIC):

More information

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2 自治医科大学人を対象とした医学系研究に関するモニタリング及び監査の標準業務手順書 ver.1.0(2015 年 5 月 15 日 ) 1. 目的等 1) 目的 (1) 本手順書は 自治医科大学の教職員が 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 ( 平成 26 年文部科学省 厚生労働省告示第 3 号 ) 及び指針告示に伴う通知ならびにガイダンス ( 以下 指針 指針告示に伴う通知及びガイダンスを合わせて

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で 151 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 82 76 79 61 60 53 52 51 46 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 44 40 43 Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本でパクリタキセル カルボプラチン併用療法が標準治療となった時期と一致する 0 1 2 3 4 5

More information

心房細動1章[ ].indd

心房細動1章[ ].indd 1 心房細動は, 循環器医のみならず一般臨床医も遭遇することの多い不整脈で, 明らかな基礎疾患を持たない例にも発症し, その有病率は加齢とともに増加する. 動悸などにより QOL が低下するのみならず, しばしば心機能低下, 血栓塞栓症を引き起こす原因となり, 日常診療上最も重要な不整脈のひとつである. 1 [A] 米国の一般人口における心房細動の有病率については,4 つの疫学調査をまとめた Feinberg

More information

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」 周術期看護エキスパートナース育成計画 作成者 : 高橋育代 1. 目的江南厚生病院に通院あるいは入院している手術を受ける患者に質の高いケアを提供できるようになるために 看護師が周術期看護分野の知識や技術を習得することを目的とする 2. 対象者 1) レベル Ⅱ 以上で手術看護分野の知識と技術習得を希望する者 2) 期間中 80% 以上参加できる者 3. 教育期間 時間 1 年間の継続教育とする 10

More information

総括報告書 JCOG9907: 臨床病期 II 期および III 期胸部食道がんに対する 5-FU+ シスプラチン術前補助化学療法と術後補助化学療法のランダム化比較試験 2013 年 9 月 19 日作成研究事務局 : 安藤暢敏 ( 東京歯科大学市川総合病院外科 ) 研究代表者 : 安藤暢敏 ( 東

総括報告書 JCOG9907: 臨床病期 II 期および III 期胸部食道がんに対する 5-FU+ シスプラチン術前補助化学療法と術後補助化学療法のランダム化比較試験 2013 年 9 月 19 日作成研究事務局 : 安藤暢敏 ( 東京歯科大学市川総合病院外科 ) 研究代表者 : 安藤暢敏 ( 東 総括報告書 JCOG9907: 臨床病期 II 期および III 期胸部食道がんに対する 5-FU+ シスプラチン術前補助化学療法と術後補助化学療法のランダム化比較試験 2013 年 9 月 19 日作成研究事務局 : 安藤暢敏 ( 東京歯科大学市川総合病院外科 ) 研究代表者 : 安藤暢敏 ( 東京歯科大学市川総合病院外科 ) グループ代表者 : 安藤暢敏 ( 東京歯科大学市川総合病院外科 ) 0.

More information

3. 胃がんの診断について胃透視や上部消化管内視鏡検査により病変を検出するとともに病変の範囲や深さを詳細に観察し 内視鏡検査で採取します生検標本を病理組織学的に診断します 拡大内視鏡検査によりさらに詳細に観察したり 超音波内視鏡検査により病変の深さを観察します また 腹部超音波検査や CT 検査など

3. 胃がんの診断について胃透視や上部消化管内視鏡検査により病変を検出するとともに病変の範囲や深さを詳細に観察し 内視鏡検査で採取します生検標本を病理組織学的に診断します 拡大内視鏡検査によりさらに詳細に観察したり 超音波内視鏡検査により病変の深さを観察します また 腹部超音波検査や CT 検査など 胃がんの予防 ~ ピロリ菌の除菌 ~ 大学病院総合診療内科 今枝博之 1. はじめに我が国における胃がんの死亡率は徐々に減少していますが 年間罹患数は約 11 万人とすべてのがんの約 20% を占め 年間死亡数は約 5 万人といまだに多くみられます 近年 胃に棲息するヘリコバクター ピロリ ( ピロリ菌 ) が胃がんの原因として明らかとなり ピロリ菌の除菌による胃の発がん予防の有用性が報告されています

More information

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル 1mg は 1 カプセル中ロペラミド塩酸塩 1 mg を含有し消化管から吸収されて作用を発現する このことから

More information

34-1(見本英3)

34-1(見本英3) 総説北里医学 2015; 45: 1-9 早期胃癌に対する内視鏡治療の現況と将来展望 田邉聡 北里大学医学部新世紀医療開発センター先端医療領域開発部門 低侵襲光学治療学 早期胃癌に対する内視鏡治療の進歩は目覚ましく, 特に 1990 年代後半に開発された内視鏡的粘膜下層剥離術 (endoscopic submucosal dissection: ESD) により内視鏡治療の適応も拡大され, 早期胃癌の

More information

<4D F736F F D CB48D655F94928D95445F90488E9690DB8EE68AEE8F802E646F63>

<4D F736F F D CB48D655F94928D95445F90488E9690DB8EE68AEE8F802E646F63> 日本人の食事摂取基準 ( 概要 )( 抜粋 ) 1 策定の目的食事摂取基準は 健康な個人または集団を対象として 国民の健康の維持 増進 エネルギー 栄養素欠乏症の予防 生活習慣病の予防 過剰摂取による健康障害の予防を目的とし エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである 2 策定方針 設定指標 食事摂取基準 (Dietary Reference Intakes) として エネルギーについては

More information

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 大腸がん 消化器内科 造血幹細胞移植 造血器腫瘍 骨髄不全 血液 腫瘍内科 大腸がん 早期胃がん 肝臓がん ( 一部 ) 前立腺がん 腎細胞がん 副腎がん腎盂尿管がん 膀胱がん 食道がん子宮体がん 外科泌尿器科婦人科 胸腔鏡下手術 肺がん 呼吸器外科 気道狭窄 閉塞病変に対する気管支鏡下レーザー治療 肺がん 呼吸器外科 定位放射線治療 原発性肺がん 転移性肺がん 原発性肝がん

More information

ていない 委員長より委員について当事者および COI 確認を行い 臨床研究法の委員会構成要件を満たしていることが確認された 疾患専門家の技術専門員は 早期がんもしくは疑いの患者に対して プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡というものを使って 生体内で腫瘍 非腫瘍を鑑別する病理診断に近いことができるかと

ていない 委員長より委員について当事者および COI 確認を行い 臨床研究法の委員会構成要件を満たしていることが確認された 疾患専門家の技術専門員は 早期がんもしくは疑いの患者に対して プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡というものを使って 生体内で腫瘍 非腫瘍を鑑別する病理診断に近いことができるかと 平成 30 年度第 3 回国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院臨床研究審査委員会会議記録の概要 開催日時 開催場所 出席委員名 ( 敬称略 五十音順 ) 1 医学 医療 2 法律 生命倫理 3 一般の立場下線は外部委員 配布資料 (ipad/ 紙媒体 ) 2018 年 8 月 23 日 ( 木 )17:00~18:44 国立がん研究センター築地キャンパス : 新研究棟セミナールーム B 1

More information

スライド 1

スライド 1 平成 25 年 9 月 7 日 第 1 回岐阜県がん情報センター県民公開講座 進歩する胃がんの治療 岐阜県立多治見病院消化器内科 佐野仁 胃がんの現状 胃がんの診断 胃がんの治療 内視鏡治療 外科的治療 本日の内容 がん拠点病院としての取り組み 癌連携パスについて 胃がんの現状 胃がんの診断 胃がんの治療 内視鏡治療 外科的治療 本日の内容 がん拠点病院としての取り組み 癌連携パスについて 胃がん死亡率の推移

More information

スライド 1

スライド 1 平成 29 年 5 月 18 日 ( 木 ) 地域がん診療連携拠点病院 (K-net) 乳がんの 放射線治療 広島市立広島市民病院放射線治療科廣川淳一 本日の内容 乳がんにおける放射線治療の役割 乳房温存術後の放射線治療 放射線治療の副作用 最近のトピックス 放射線治療の役割 根治的放射線治療 体内にあるがん細胞を根絶することが目的 緩和的放射線治療 がんによる身体症状を緩和することが目的 乳がんの放射線治療

More information

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 - 平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 - 23 45 113 265 358 597 977 585 71 3,034 平成 28 年度 - 31 53 123 272 369 657 963 550 67 3,085 平成 27 年度 - 16

More information

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として 第 2 部 CTD の概要 一般名 : エソメプラゾールマグネシウム水和物 版番号 : 2.2 緒言 ネキシウム カプセル ネキシウム 懸濁用顆粒分包 本資料に記載された情報に係る権利はアストラゼネカ株式会社に帰属します 弊社の事前の承諾なく本資料の内容を他に開示することは禁じられています D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体

More information

II.大腸腫瘍に対する内視鏡的治療―ポリペクトミーからEMR,ESDまで― 第66巻10号0941頁

II.大腸腫瘍に対する内視鏡的治療―ポリペクトミーからEMR,ESDまで― 第66巻10号0941頁 66 I 1 942 日本大腸肛門病会誌 年間 1-10 号 第 66 巻第 10 号 a 2013 年 10 月 樫田博史 b d c e 図 1 ポリペクトミーの 1 例 a S 状結腸 10mm の Ip ポリープ 茎部が太い b 留置スネアを基部にかけ c 結紮した d 頭部寄りの茎部にスネアをかけて e 切離した する目的で 逆に接触面積を広くする方がよい を保持する e 切除が早すぎると出血しやすく

More information

第13回がん政策サミット 2016秋

第13回がん政策サミット 2016秋 第 13 回がん政策サミット 2016 秋 大腸がんの治療 大腸癌研究会会長光仁会第一病院院長杉原健一 右 大腸とは 横行結腸 左 上行結腸 下行結腸 結 腸 S 状結腸 盲腸 肛門 直腸 直 腸 大腸がん ってどんな病気? 粘膜粘膜下層固有筋層漿膜下層漿膜 粘膜から発生したがん細胞 徐々に大きく 深くなっていく 内視鏡で見た大腸がん 大腸がんとは 早期大腸がん Ip Isp Is IIa IIb

More information

43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料

43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料 2011 4 追加資料 TURBT 2 生検および TURBT 検体のチェックリストおよび記載例 検体の属性 検体の種類 腎盂生検 尿管生検 膀胱生検 TURBT 特定困難 側性 ( 腎盂および尿管 ) 右 左 特定困難 組織学的所見 組織型 尿路上皮異形成 尿路上皮内癌 非浸潤性乳頭状尿路上皮癌 浸潤性尿路上皮癌 尿路上皮癌, 特殊型 扁平上皮癌 扁平上皮癌, 特殊型 腺癌 腺癌, 亜型 ( 亜型名を記載

More information

FOLFOXに関しては 1990 年代終わり頃から2000 年にかけて 2つの臨床試験が実施された そのひとつであるStageⅡ/Ⅲ 結腸癌症例を対象とした5-FU/LV(de Gramont 法 ) とFOLFOX4のRCTであるMOSAIC では 5 年 DFS(67.4% vs. 73.3%

FOLFOXに関しては 1990 年代終わり頃から2000 年にかけて 2つの臨床試験が実施された そのひとつであるStageⅡ/Ⅲ 結腸癌症例を対象とした5-FU/LV(de Gramont 法 ) とFOLFOX4のRCTであるMOSAIC では 5 年 DFS(67.4% vs. 73.3% 研究課題 : 再発危険因子を有する Stage II 大腸癌に対する UFT/LV 療法の臨 床的有用性に関する研究に関する計画書 研究実施責任者埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科傍島潤 1. 背景と根拠 1.1 対象疾患の背景本邦では大腸癌罹患率が年々漸増しており 2020 年には大腸癌罹患数は約 15 万人に達し 胃癌 肺癌を抜いてがん死因の第 1 位になると推測されている 大腸癌に対しては外科的切除が第一選択肢と考えられており

More information

内視鏡摘除手技の標準化プロジェクト研究会 第 67 回大腸癌研究会,2007 年 7 月 5 日 ( 木曜日 ), 神戸 大腸内視鏡治療の局所遺残再発 偶発症に関するアンケート 2004 年 1 月 2005 年 12 月 (2 年間 )

内視鏡摘除手技の標準化プロジェクト研究会 第 67 回大腸癌研究会,2007 年 7 月 5 日 ( 木曜日 ), 神戸 大腸内視鏡治療の局所遺残再発 偶発症に関するアンケート 2004 年 1 月 2005 年 12 月 (2 年間 ) 内視鏡摘除手技の標準化プロジェクト研究会 第 67 回大腸癌研究会,2007 年 7 月 5 日 ( 木曜日 ), 神戸 大腸内視鏡治療の局所遺残再発 偶発症に関するアンケート 2004 年 1 月 2005 年 12 月 (2 年間 ) アンケート回答協力施設 107 施設 (2 施設無記名 ) 札幌医大 1 内 札幌厚生病院消化器科 焼津市立総合病院 チクバ外科胃腸科肛門科病院 福岡歯科大学医科歯科総合病院

More information

らに本検査により 術中に腹膜再発リスク患者の高感度判定が可能となったため 現在 2017 年 4 月より 大阪市立大学医学部附属病院において 胃癌手術中の判定に基づいて術中に腹膜再発予防的治療を行う臨 床試験を開始しています 図 1. 胃癌の腹膜転移経路と手術中診断法 胃粘膜上皮で発生した癌細胞が胃

らに本検査により 術中に腹膜再発リスク患者の高感度判定が可能となったため 現在 2017 年 4 月より 大阪市立大学医学部附属病院において 胃癌手術中の判定に基づいて術中に腹膜再発予防的治療を行う臨 床試験を開始しています 図 1. 胃癌の腹膜転移経路と手術中診断法 胃粘膜上皮で発生した癌細胞が胃 プレスリリース 大阪科学 大学記者クラブ御中 がん再発ストップへ! 2017 年 7 月 25 日 大阪市立大学 胃癌の腹膜転移予測に有用な術中診断法を開発 腹膜転移リスク患者に術中予防的治療の臨床試験を開始 < 概要 > 大阪市立大学医学研究科癌分子病態制御学 腫瘍外科学 難治がん TR センター副センター長の八代正和 ( やしろまさかず ) 准教授 三木友一朗 ( みきゆういちろう ) 博士課程大学院生

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 27( 平成 19) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります 登録項目の内容院内がん登録を行うにあたって

More information

この PDF では 大腸がんの治療方針を考えるお手伝いをします 大腸がんの治療法には 主に内視鏡的治療 外科療法 放射線療法 化学療法があります が 可能となる治療選択肢は がんの状態やあなた自身の状態によって変わります あなたのご自身の状態を知ることは大切です 不明なことは医師に相談しましょう 2

この PDF では 大腸がんの治療方針を考えるお手伝いをします 大腸がんの治療法には 主に内視鏡的治療 外科療法 放射線療法 化学療法があります が 可能となる治療選択肢は がんの状態やあなた自身の状態によって変わります あなたのご自身の状態を知ることは大切です 不明なことは医師に相談しましょう 2 がんがどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望まし いかについて解説します 健康診断の結果などをご用意ください 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから治療を受けられる方が 納得して治療を受けられるようお手伝いをします 現在治療を受けている患者さんやご家族の方を対象に 病気とつき あっていくためのポイントを整理します がんの治療が終了した方を対象に

More information

第1号様式

第1号様式 研究番号 758 号承認日 2017 年 8 月 9 日研究実施予定期間承認日 ~ 2020 年 6 月 30 日 1. 研究課題名 RIFTOS MKI:Radioactive Iodine refractory asymptomatic patients in differentiated Thyroid cancer an Observational Study to assess the use

More information

和歌山県地域がん登録事業報告書

和歌山県地域がん登録事業報告書 和歌山県地域がん登録事業の概要 和歌山県地域がん登録事業については 本県全域のがん罹患の実態を把握する唯一の方法であり 本県のがん対策推進の基礎資料として活用するため 実施主体である和歌山県と登録実務を担っている和歌山県立医科大学附属病院腫瘍センターがん登録室 ( 和歌山県地域がん登録室 ) が連携を図りながら 平成 23 年度から開始されたところである 当該事業の実施方法については 概ね図 Aのとおり

More information

スライド 1

スライド 1 感染と CRP 感染と CRP メニュー 1.Sepsis 1 診断的 価値 Intensive Care Med 2002 2 重症度 3 治療効果 予後判定 判定 Crit Care 2011 Infection 2008 2.ICU Patients 3.VAP Crit Care 2006 Chest 2003 Crit Care Med 2002 Heart & Lung 2011

More information

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ 2012 年 12 月 5 日放送 尿路感染症 産業医科大学泌尿器科学教授松本哲朗はじめに感染症の分野では 抗菌薬に対する耐性菌の話題が大きな問題点であり 耐性菌を増やさないための感染制御と適正な抗菌薬の使用が必要です 抗菌薬は 使用すれば必ず耐性菌が出現し 増加していきます 新規抗菌薬の開発と耐性菌の増加は 永遠に続く いたちごっこ でしょう しかし 近年 抗菌薬の開発は世界的に鈍化していますので

More information

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業) 厚生労働科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) 分担研究報告書 健康寿命の全国推移の算定 評価に関する研究 評価方法の作成と適用の試み 研究分担者橋本修二藤田保健衛生大学医学部衛生学講座 教授 研究要旨健康寿命の推移について 平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加 ( 健康日本 21( 第二次 ) の目標 ) の達成状況の評価方法を開発 提案することを目的とした 本年度は

More information

EBNと疫学

EBNと疫学 推定と検定 57 ( 復習 ) 記述統計と推測統計 統計解析は大きく 2 つに分けられる 記述統計 推測統計 記述統計 観察集団の特性を示すもの 代表値 ( 平均値や中央値 ) や ばらつきの指標 ( 標準偏差など ) 図表を効果的に使う 推測統計 観察集団のデータから母集団の特性を 推定 する 平均 / 分散 / 係数値などの推定 ( 点推定 ) 点推定値のばらつきを調べる ( 区間推定 ) 検定統計量を用いた検定

More information

課題名

課題名 急性期重度嚥下障害患者に対する完全側臥位法の有効性 研究責任者氏名長尾恭史 岡崎市民病院リハビリテーション室 副主任 共同研究者脳神経内科小林靖歯科口腔外科長尾徹看護局西嶋久美子 西暦 2017 年 6 月 15 日版数 1 目次 1. 実施計画の経緯 ( 背景 )... 1 2. 目的... 1 3. 研究対象者について... 1 3-1 選択基準... 1 3-2 除外基準... 1 3-3 中止基準...

More information

データの取り扱いについて (原則)

データの取り扱いについて (原則) 中医協費 - 3 2 5. 1. 2 3 データの取り扱いについて 福田参考人提出資料 1. 総論 1 費用効果分析で扱うデータ 費用や効果を積算する際は 様々なデータを取り扱う データを取り扱う際の考え方を整理しておく必要がある (1) 評価対象の医療技術及び比較対照の医療技術の 費用 と 効果 を別々に積算する 費用効果分析の手順 (2) 評価対象の医療技術と比較対照の医療技術との増分費用効果比の評価を行う

More information

【座長】先進医療総括報告書(旧告示B53金大131)

【座長】先進医療総括報告書(旧告示B53金大131) 平成 30 年 12 月 12 日 131I-MIBG を用いた内照射療法 ( 旧告示 53) の総括報告書に関する評価について 先進医療評価委員会座長山口俊晴 金沢大学附属病から提出のあった総括報告書について 先進医療評価委員会で評価を行い その結果を以下のとおりとりまとめたので報告いたします 1. 先進医療の概要等先進医療の名称 :131I-MIBG を用いた内照射療法 適応症等 : 難治性褐色細胞腫

More information

Microsoft Word - 第14回定例会_平田様_final .doc

Microsoft Word - 第14回定例会_平田様_final .doc クロスオーバー実験のデザインと解析 - テレメトリー法によ る QT/QTc 試験の実データを用いた検討 - II. クロスオーバー実験の統計解析 4) 有意差検定と信頼区間方式の解析の比較 平田篤由 薬理統計グループ安全性薬理チーム 要約 : ヒトの QT/QTc 評価試験における判断基準は,QTc 間隔の 95% 信頼区間の上限が 10ms を越えるかどうかである. 一方, 非臨床試験のイヌを用いたテレメトリー

More information