特 集 医療被ばくの Common Sense 6.CT 装置の線量特性 線量指標のピットフォール 村松禎久 1), 野村恵一 1), 藤井啓輔 1, 2), 新井知大 3), 林原良 4) 国立がん研究センター東病院放射線診断科 1), 名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻医用量子科学講座

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1 特 集 医療被ばくの Common Sense 6.CT 装置の線量特性 線量指標のピットフォール 村松禎久 1), 野村恵一 1), 藤井啓輔 1, 2), 新井知大 3), 林原良 4) 国立がん研究センター東病院放射線診断科 1), 名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻医用量子科学講座 2), 国立国際医療研究センター病院放射線診療部門 3), 東芝メディカルシステムズ株式会社 CT 事業部 CT 開発部 4) Dose Characteristics of CT Scanners: The pitfall of Dose Indices 1) Department of Diagnostic Radiology, National Cancer Center Hospital East 2) Department of Radiological Sciences, Nagoya University Graduate School of Medicine 3) Department of Radiology, National Center for Global Health and Medicine 4) CT Systems Division, CT Systems Development Department, Toshiba Medical Systems NICHIDOKU-IHO Vol.61 No (2016) Yoshihisa Muramatsu, Ph.D. 1), Keiichi Nomura, RT 1), Keisuke Fujii, Ph.D. 1, 2), Tomohiro Arai, RT 3), Makoto Hayashibara 4) Summary The computed tomography (CT) safety standard of the International Electrotechnical Commission (IEC), a particular requirement for the basic safety and essential performance of X- ray equipment for CT, specifies that CT scanners display values of the dose index on the console monitor. This paper describes the pitfalls of dose indices such as the volume CT Dose Index (CTDI vol ), Dose Length Product (DLP) and Dose Efficiency (DE). DLP is the product of CTDI vol and the table travel during the entire loading. These dose indices can differ even for CT scans performed using the same scan parameters. For example, when automatic exposure control or wide beam beyond 100mm is used, the dose indices can be different, because the definition and formula described in the CT safety standard change with the versions or editions. The dose indices can also differ among CT scanners because of differences in the material and shape of the bow-tie filter, focus-isocenter distance and so on. The dose indices such as CTDI vol and DLP should be used as a ruler with reference to the Diagnostic Reference Levels CT technologists need to check the version of the CT safety standard with the document attached to each CT scanner. In addition, they should obtain the correct dose information and utilize the dose indices as a means for dose optimization. はじめに医療被ばく研究情報ネットワーク (Japan Network for Research and Information on Medical Exposures: J-RIME) から 最新の国内実態調査結果に基づき診断参考レベル (Diagnostic Reference Levels 2015: DRLs 2015) が発行された DRLs 2015は 放射線診療従事者はもとより 医療被ばくに関係する者にとって 被ばくの最適化を図るための基本となる数値である DRLs 2015では 分野別 X 線 CT 検査 : 成人および小児 一般撮影 マンモグラフィ 口内法 X 線撮影 IVR (interventional radiology) および核医学 に規定されている とくにX 線 CT 検査 ( CT 検査 ) による被ばくは 本邦における医療被ばくの約 60% を占めており 1) CT 検査 の被ばくの最適化はたいへん重要である CT 装置は1990 年台後半に多列化された検出器を有するMDCT(multi detector-row CT) が開発され 2005 年前後には64 列 MDCTが各社からリリースされた そして現在は体軸上 160mmの検出器幅を有するADCT (area detector CT) や X 線管と検出器を2 対搭載した DSCT(dual source CT) へと進化してきた また 近年は被ばく低減を可能にするCT-AEC(CT-automatic exposure control) 可動式ビームコリメータ そして逐次近似 ( 応用 ) 再構成などの要素技術も併せて開発された 一方 CT 検査のDRLには CT 装置の線量指標である CTDI vol (volume CT dose index) およびDLP(dose length products) が利用される 2つの線量指標は CT 52(52) 日獨医報第 61 巻第 1 号 52-59(2016)

2 図 1 CT の被ばく形態と単一スキャン時の線量プロファイル 装置の基礎安全および基本性能の規格 (CT 装置の安全規格 ) により スキャン計画前およびスキャン終了後に操作モニターに表示することが義務付けられている また CT 装置の高度化に合わせて 規格の定義は適宜修正が行われてきた しかし 規格が修正されても設置済みの CT 装置に適用される版 ( エディション ) が更新されることは稀である すなわち スキャン条件が一見同じでも 異なる機種やメーカ間だけでなく同じ機種や装置であっても CTDI vol やDLPが異なって表示されるケースが存在する 一般にCT 画像における線量と画質は相反する関係であることが知られており 表示される線量指標のブレは現場を混乱させる要因にもなる 本稿ではこれらの事象を具体的な例を示しながら解説する CT 装置の線量特性に関する基礎知識以後の内容を容易に理解するために CT 装置の線量や特性に関する基礎知識を復習する 1.CT 装置による被ばくの形態と線量指標の概念 CT 装置では 図 1に示すように X 線管装置と対向する扇状の検出器で被写体を中心に回転照射が行われる 回転中心に円柱ファントムを配置して 単一スキャンが行われたとき 体軸上の線量分布 (D 1 (z)) は矩形ではなく山形の形状を呈する 一般的には あるスキャン範囲を単一スキャン後に寝台を一定間隔移動しスキャンを繰 り返す ( 多重スキャン : ノンヘリカルスキャン ) または寝台を連続的に移動させながらX 線を回転照射する ( ヘリカルスキャン ) 図 2は CTピッチファクタ ( ピッチファクタ ) が1.0 すなわち1 回転あたりにX 線ビーム幅 ( ビーム幅 ) と同じ寝台移動間隔でn 回 ( ここでは11 回 ) スキャンが行われたときの体軸上の線量分布 (D 11 (z)) の模式図である CTDIは 原点 ( スキャン範囲の中心 ) を中心にビーム幅分に対する線量分布 (D 11 (z)) の平均値 つまり線量場の高さと数学的に等価である そして DLPは線量分布 (D 11 (z)) の面積に相当する この関係は ヘリカルスキャンにおいても同様に考えることが可能である 2.CT 装置の安全規格 CT 装置の安全規格は IEC 規格ではIEC (IEC 2-44) と表記される IEC 2-44は 1999 年に最初 2) に規格化され 2001 年にIEC 2-44 Ed ) 2002 年にIEC 2-44 Ed ) 2009 年にIEC 2-44 Ed ) そして2012 年にIEC 2-44 Ed ) が発行されている 一方 翻訳版にあたるJIS 規格ではJIS Z (JIS 2-44) と表記される 日本では IEC 2-44 Ed. 2.0の一致規格として 2004 年に初めてJIS 化 ( JIS 2-44: ) ) され 2008 年にIEC 2-44 Ed. 2.1の一致規格であるJIS 2-44: ) が そして2012 年にIEC 2-44 Ed. 3.0の一致規格であるJIS 2-44: ) が発行されている また IEC 2-44 Ed. 3.1は現在 JIS 化作業が進められ 2018 年に発行が予定されている 53(53)

3 図 2 多重スキャン時の線量プロファイル 3.CTDIの表記と意味 CTDIの表記は多種多様である また測定に用いられる線量測定用ファントム (CTDIファントム 9) ) は CT 装置の安全規格に規定されている 材質はメタクリル樹脂製で 頭部および小児用は直径 16cm 体幹部用は直径 32cmで奥行は15cmと共通である CTDI : 単一スキャンの線積分線量プロファイルにおいて 積分範囲を- ~ と設定した時のCTDI CTDI 100 : 単一スキャンの線積分線量プロファイルにおいて 積分範囲を-mm~mmと設定した時のCTDI 一般に測定に用いられるペンシルチェンバの有効電離長は100mmで CT 装置の安全規格に規定されている CTDI c :CTDIファントムの中心におけるCTDI CTDI p :CTDIファントムの周囲におけるCTDI CTDI w :CTDI c とCTDI p にそれぞれ係数 (CTDI c : 1/3 CTDI p :2/3) を掛けて重み付けしたCTDI CTDI vol : CTDI w をピッチファクタで除したCTDI ピッチファクタが1.0のときは CTDI w と等価である CTDI air :CTDIファントムなしの回転中心における CTDI DLP:CTDI vol とX 線照射中の患者テーブルの移動量 (L) の積 4. スキャンパラメータとCTDIの関係線量指標に直接影響を与える主要なパラメータは X 線管電圧 ( 管電圧 ) X 線管電流 ( 管電流 ) 回転速度 ピッチファクタおよびビーム幅である 管電圧とCTDIの関係は 管電圧の約 2.5 乗に比例して増加する たとえば 120kVを1.0として正規化すると 80kVとの線量比は Dose ratio: ( 120 ) =0.36 となる また同様に 100kVでは kVでは 1.34となる 管電流は回転速度との積として mas 値と表記し便宜的によく用いられる mas 値とCTDIの関係は 単純な 1 次式で 管電流または回転速度の増減によりCTDIと正比例する ピッチファクタは 体軸上の移動速度である 速度が倍になれば照射時間は半分になることから ピッチファクタとCTDI vol の関係は反比例となる ビーム幅は 同じスキャン範囲を異なるビーム幅でスキャンした場合 ビーム幅が小さいほどCTDIは大きくなる この原因は X 線管焦点サイズに由来する半影効果により ビーム幅が小さいほど線量効率 (dose efficiency: DE) が低下するためである これを一般にオーバービーミングと呼ぶ CT 装置の安全規格においてDE は Z 軸上の幾何学的効率 (geometric efficiency in the Z-axis direction) と表記し 設定ビーム幅に対する回転中心における固定照射時の線量プロファイルの半値幅 (full width at half maximum: FWHM) と定義される 54(54)

4 表 1 胸部単純 CTのCTDI vol の最大値と平均値 Dose index DLP [mgy x cm] Displayed CTDI vol (Max) [mgy] 35.4 Simulated CTDI vol (Average) [mgy] 22.3 Scanner Model: Aquilion 64 (Toshiba) Scanning parameter; 120kV, 0.5s/rot., mm, PF: 0.828, Scanning Range: 300mm, SFOV: Large (400mm). AEC Setting; Volume-EC: Set-SD=13.0, 5-mm-slice, Kernel: FC13.0, Max Current: 600mA, Min.: ma, Phantom: Chest Standards phantom (LSCT-001, Kyoto-kagaku). また 70% 以下となる場合は 操作モニターに表示する ことが規定されている 9) 2) 評価例 11) 人体胸部ファントム (LSCT-001 京都科学 ) を用い て CTDI vol の最大値と平均値を比較する CT 装置は スキャンパラメータと線量指標のピットフォール冒頭で述べたように スキャン条件上は一見すると線量指標に関係しないように見えるが 実際は明らかに異なって表示されるケースがある Aquilion 64( 東芝メディカル V4.40JR007) である Aquilion 64は約 10 年前にリリースされた64DAS(data acquisition system) を有する一般的なMDCT 装置で 逐次近似 ( 応用 ) 再構成法は装備されていない スキャン条件は本 CT 装置における胸部単純 CTの標準的なプロト コールで 管電圧 :120kV 回転速度 :0.5s/rot. ディテ 1.CT-AEC 使用時のCTDI vol 1) 背景 CT-AECは 位置決め撮影画像または180 度前の投影データを基に 被写体のX 線透過度を推定し 主に管電流を自動的に変調する これにより スライス位置間の大小に依存する画質の差 ( スライス位置依存性 ) 被写体間の大小に依存する画質の差 ( 被写体依存性 ) およびスライス断面形状間に依存する画質の差 ( 断面形状依存性 ) を 10) 低減または解消することが可能とされている CT-AEC 使用時のCTDI vol の表記は IEC 2-44 Ed. 3.0の項番 , 2) のヘリカルスキャン注記 2で CTDI vol が変化する場合は 時間によって重み付けした CTDI vol の平均を用いる ことが規定されている しかし IEC 2-44 Ed. 2.1まではとくに規定されていなかったために 製造メーカによっては安全側に立ってスキャン範囲内のCTDI vol の最大値を操作モニターに表示する機種もあり 現在でも実稼働している つまり 全く同じスキャンが行われても CTDI vol の値は異なることになる なお DLPは照射した範囲の全体線量として表示され エディションによる表示の差異はない クタの組み合わせ :64 0.5mm ピッチファクタ: 収集画像再構成範囲(scanning field of view: SFOV):320mm ボウタイフィルタ:M スキャン範囲: 300mm( 肺尖から肺底部 ) 表示スキャン時間:6.8sである CT-AEC(volume-EC) の設定は 設定 SD= mm-slice 再構成関数 FC13 最大管電流 600mA 最小管電流 maで volume-ecは XY 断面とZ 軸方向のサイズと形状に合わせて管電流を変調する いわゆるXYZ-AECである 本 CT 装置は附属文書にて IEC 2-44 Ed. 2.0が適用されていることが記され CTDI vol は最大値が表示される ここでは CTDI vol の平均値を推定するために 同時に表示されるDLPの値からX 線照射中の患者テーブルの移動量 :L を推定して逆算して算出した 表 1は胸部単純 CTのCTDI vol の最大値と平均値の結果である 照射中の範囲 Lは以下のように推定した 表示スキャン時間は照射中の時間 tと等価と仮定すると L [cm]=bw PF t/rs BW: ビーム幅 PF: ピッチファクタ RS: 回転速度 L [cm]=(64 0.5) /0.5=360.3 [mm]= (55)

5 Simulated CTDI vol (mean)= DLP = =22.3 [mgy] L 表示された CTDI vol ( 最大値表示 ) は 35.4mGy に対し 推定された CTDI vol の平均値は 22.3mGy で 約 1.6 倍の 差が見られた とくに 胸部では X 線解剖学的な特徴 により肺尖部から肺底部まで 体軸上のスライス断面の位置におけるサイズと形状が大きく異なり 結果的に管電流も大きく変調する このため CTDI vol の最大値と平均値に大きな差となって現れることになる また 骨盤部を含むスキャンにおいても同様の傾向にある したがって DRLs 2015との比較でデータを収集する際などは 使用するCT 装置の安全規格の適用バージョンを附属文書にて必ず確認する必要がある なお 推定されたCTDI vol の平均値はLSCT-001ファントムの値である LSCTファントムは壮年の成人男性を模擬している DRLs 2015との比較は 実際の患者データから成人胸部では~60kgのデータを統計処理し その平均値と比較しなければならない 2.100mm を超える wide beam を有する CT 装置 1) 背景面検出器を有するADCTの先駆けとしてAquilion ONE ( 東芝メディカルシステムズ ) が2007 年にリリースされた 続いて Brilliance ict( フィリップスエレクトロニクスジャパン ) が2008 年 8 月に またRevolution CT(GEヘルスケア ジャパン ) が2014 年 4 月に国内リリースされた 体軸方向の検出器サイズはAquilion ONE とRevolution CT が160mm Brilliance ictは128mmであり いずれも100mmを超えるwide beamのct 装置である 一方で CTDI vol の基本となるCTDI w の測定は 3. CTDIの表記と意味 (p.54) でも述べたように 100mm の電離長さを有するペンシルチェンバを用いて 単一スキャンを行い測定する 一般的なMDCT 装置のビーム幅である40mm 程度までは 品質管理の精度上 ビーム幅に対するCTDI vol への影響は及ばなかった 以下に IEC 2-44 Ed. 2.0の定義式を示す CTDI 100 = 1 BW D1( z )dz = 1 nt D1( z )dz n: 1 回転あたりに生成されるスライス数 T: 画像スライス厚 しかしながら 100mm を超える wide beam の CT 装置の 開発は CTDIに明らかな動揺を与え 暫定的にIEC 2-44 Ed. 3.0が制定された これによりビーム幅が 100mm 以上の場合のCTDIは ビーム幅に関係なく線積分線量を100mm(10cm) で除した値となった 以下に IEC 2-44 Ed. 3.0の定義式を示す 1 CTDI 100 = min{ BW,100mm} D1( z )dz ところが このIEC 2-44 Ed. 3.0では明らかな矛盾 たとえば ビーム幅 20mm ピッチファクタ1.0で スキャン範囲 160mmのヘリカルスキャンを行うと テーブル移動なしでビーム幅 160mmの単一スキャンを行ったほうがCTDI vol の値が高くなるなどの現象が生じることになった この現象は 4. スキャンパラメータと CTDIの関係 (p.54) で述べた半影効果がもたらすオーバービーミングによる線量効率の変化と相反することを意味する そこで IEC 2-44 Ed. 3.1の修正により 以下に示すようにビーム幅 40mmを境に場合分けがされた a) ビーム幅が40mm 以下の場合 IEC 2-44 Ed. 2.0の定義式に従う b) ビーム幅が40mmを超える場合 CTDI 100 = 1 BW Re f D1( z )dz * : k = CTDI airbw CTDI air Re f 2) 評価例実際に各定義式に従って ビーム幅に対するCTDI w の変化を検証する CT 装置は Aquilion ONE Vision( 東芝メディカルシステムズ V6.0SP0010J) である Aquilion ONE Visionは320DAS 最大ビーム幅 160mmを有するADCT 装置である 本ソフトウェアのバージョンでは 附属文書によりIEC 2-44 Ed. 3.0が適用されていることが記されている ここでは 定義式の違いによる差を表現するために 単一スキャンによるCTDI w の測定を行った スキャン条件は 管電圧 :120kV 管電流:200mA 回転速度:1.0s/ rot.(200mas) SFOV:400mm ボウタイフィルタ:L とした 各ビーム幅に対するCTDI air の測定は IEC 2-44 Ed. 3.1で積分範囲はビーム幅 +40mm 以上と規定されている 有効電離長 100mmのペンシルチェンバで k * 56(56)

6 図 3 CT 装置の安全規格の各エディションにおけるビーム幅に対する CTDI w Tube voltage: 120kV, Bow-tie filter: Large. も測定は可能ではあるが ロングチェンバを用いることで効率的な測定が可能である 今回は有効電離長 300mmのType 30017(PTW) を使用し CTDI air を測定した 測定結果を図 3に示す 横軸はビーム幅 縦軸は 100mAsあたりのCTDI w の値である ビーム幅 160mm における各定義式における数値は IEC 2-44 Ed. 2.0で 13.2 mgy/100mas IEC 2-44 Ed. 3.0で21.1 mgy/100mas そしてIEC 2-44 Ed. 3.1では16.2 mgy/100masと大きく異なった この傾向は ビーム幅が100mmからエディションごとにCTDI w が明らかに異なることが見てとれる また IEC 2-44 Ed. 3.0で問題となったオーバービーミングに対する矛盾は IEC 2-44 Ed. 3.1において解消されている 100mmを超えるwide beamのct 装置は 冠動脈 CT 検査をはじめ 小児の撮影や脳造影還流検査 (CT-perfusion) にたいへん有用である しかし一方で ビーム幅が広い= 被ばく線量が高いという固定観念に惑わされることも起こり得る 使用するCT 装置の線量特性を正しい知識を持って判断することが必要である 3. その他ここまで述べてきた以外にも 従来からスキャン条件が同一でも線量指標が異なることがよく知られている ここでは 代表的なボウタイフィルタとX 線管焦点 - 回 転中心間距離 (focus-isocenter distance: FID) による影響について述べる 1) ボウタイフィルタボウタイフィルタは X 線管の放射口 コリメータ前に取り付ける付加フィルタの1つである 図 4はボウタイフィルタの模式図と実写真の例である 形状が蝶ネクタイの外形に似ていることから命名されている ボウタイフィルタは 被写体を透過したX 線強度分布と線質を均質化する重要な役割から 各製造メーカともに被写体サイズにマッチした複数のフィルタが用意されている ただし 材質や形状 厚みなど 線量指標に関係する詳細な情報は公開されていない 図 5は3 機種のMDCT 装置を使用し 管電圧 120kV におけるX 線スペクトルを測定した例である CT 装置は Discovery 7HD(GEヘルスケア ジャパン AW4.5_02.113_CTT_5.X) Aquilion ONE( 東芝メディカルシステムズ V4.74JR004) SOMATOM Definition flash( シーメンス ジャパン Syngo CT 2012B VA44A) である 測定はCT 装置のX 線管装置を 90 度の回転位置に固定し スペクトルアナライザ (XR- 100CR AMETEK) を用いて直接測定した 横軸は光子エネルギー 縦軸は光子強度である 3 機種のエネルギースペクトルは明らかに異なり おのずから実効エネルギーも異なっている すなわち ボウタイフィルタを透過したX 線とCTDIファントムとの相互作用 ( 減弱 散 57(57)

7 図 4 ボウタイフィルタの模式図と写真 図 5 MDCT 装置のエネルギースペクトルの測定例 乱 ) は異なり 線量指標の数値に影響を与えることになる 2)X 線管焦点 FID 一般のCT 検査が診療に欠かせない一方で CT 装置は放射線治療計画やIVRの手技などにも広く臨床応用されてきた 放射線治療計画で正しく線量分布を得るためには 被写体をSFOVから欠かすことはあってはならない またIVR 時の穿刺手技においては アプローチを容易にするためには広い空間が要求される これらの理由により 広いボア径が要求され 結果的にFCD(focus-to- centre distance) が長くなる 表 2は 文献 12 13から各社の代表的な64 列 MDCT 装置とボア径の大きい いわゆるワイドボアCT 装置のFID と体幹部 CTDIファントムの100mAsあたりのCTDI w を比較したものである 4 社ともにワイドボアCT 装置の FIDは大きく 相反するようにCTDI w の数値も小さい いわゆる距離の逆二乗側が線量指標に影響を与える おわりに本稿では CT 装置の操作モニターに表示される線量指標のピットフォールについて記述した スキャン条件が一見同じでも 線量指標は大きく異なるケースが存在する 主なケースとして CT-AEC 時のCTDI vol や 100mmを超えるwide beamを有するct 装置がある 両者とも CT 装置の安全規格のエディションが異なるた 58(58)

8 Type Manufacture Scanner model Standard CT Wide Bore CT 表 2 ワイドボア CT 装置の焦点 -FID と CTDI w Number of slices GE LightSpeed VCT XT Focus-isocenter distance [mm] Philips Brilliance CT Average * : 5.63 Siemens SOMATOM Definition AS CTDIw of body phantom [mgy/100mas] 8.63 Toshiba Aquilion GE LightSpeed Xtra Philips Brilliance CT Big Bore Average * : Not available Siemens SOMATOM Sensation Open Toshiba Aquilion LB Average * : 9.39 Average * : 8.87 * : Average value is computed except for Philips めに定義や算出式が違うことが原因である また従来から知られているように ボウタイフィルタの形状や材質 およびX 線管焦点 -FIDが原因で差異が生じることもある DRLs 2015において CT 検査ではCT 装置の線量指標 ( CTDI vol DLP) が ものさし として使用される 使用するCT 装置の附属文書から CT 装置の安全規格のどのエディションが適用されているか必ず確認をする必要がある その上で CT 装置の正しい線量情報を取得して 最適化の手段として活用されることが望まれる 謝辞 CTDI air の測定に際し 助言をいだだきました古畑優氏 ( アクロバイオ ) に感謝を申し上げます またエネルギースペクトルの測定に際し 助言をいただきました黒田武弘氏 ( 東洋メディック ) に感謝を申し上げます 参考文献 1) 赤羽恵一 : 医療被ばくの現状.Innervision 25: 46-49, ) IEC : 1999, Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for computed tomography, ) I EC Ed. 2.0 : , Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for computed tomography, ) I EC Ed. 2.1: , Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for computed tomography, ) I EC Ed. 3.0 : , Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for computed tomography, ) I EC Ed. 3.1: 2 012, Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for computed tomography, ) JIS Z Ed. 2.0: 2004, 医用 X 線 CT 装置 基礎安全及び基本性能, ) JIS Z Ed. 2.1: 2008, 医用 X 線 CT 装置 基礎安全及び基本性能, ) JIS Z Ed. 3.0: 2012, 医用 X 線 CT 装置 基礎安全及び基本性能, ) Muramatsu Y, Ikeda S, Osawa K, et al: Performance evaluation for CT-AEC (CT automatic exposure control) systems. Nihon Hoshasen Gijutsu Gakkai Zasshi 63: , ) Muramatsu Y, Tsuda Y, Nakamura Y, et al: The development and use of a chest phantom for optimizing scanning techniques on a variety of low-dose helical computed tomography devices. J Comput Assist Tomogr 27: , ) The ImPACT Group: Comparative specifications (CEP08027): 64 slice CT scanners ) The ImPACT Group: Comparative specifications (CEP08029): Wide bore CT scanners (59)