資 料 食材の物性に及ぼす影響から見た市販とろみ調整食品の分類 中村愛美 * 1, 吉田智 * 2, 西郊靖子 * 3, 林静子 * 4, 鈴木靖志 * 1 * 1 サラヤ株式会社バイオケミカル研究所 * 2 サラヤ株式会社栄養ケア推進室 * 3 横浜市立大学付属病院リハビリテーション科 * 4 湘

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1 資 料 食材の物性に及ぼす影響から見た市販とろみ調整食品の分類 中村愛美 * 1, 吉田智 *, 西郊靖子 *, 林静子 *, 鈴木靖志 * 1 * 1 サラヤ株式会社バイオケミカル研究所 * サラヤ株式会社栄養ケア推進室 * 横浜市立大学付属病院リハビリテーション科 * 湘南ホスピタル栄養科 目的 デンプン系, グアーガム系, キサンタンガム系およびその他の各種市販とろみ調整食品が緑茶, 牛乳, オレンジジュースおよび味噌汁に与える影響を物性面から解析し, 性能に基づくとろみ調整食品の分類を行うことを目的とした 方法 1 種類のとろみ調整食品を 種類の食材に溶解して調製した各種とろみ液の粘度およびテクスチャーを測定し, とろみ調整食品の機能性を反映する指標として, 粘度力価, 添加時および安定時粘度ばらつき, 初期粘度発現率および付着性を算出した さらにこれらつの指標を用いて主成分分析およびクラスター分析を行った 結果 粘度力価は 種の食材すべてについてグアーガム系が大きかった 添加時および安定時の粘度のばらつきはとろみ調整食品の種類と食材の組合せによって傾向が異なった 初期粘度発現率は食材によって特徴があり, 緑茶ではキサンタンガム系が, オレンジジュースではデンプン系が高い値を示した 付着性は 種の食材すべてについてデンプン系が大きかった つの指標を用いて食材別に主成分分析を行なうと, とろみ成分による分類とは異なる分布を示した 一方, 全食材のつの指標を説明変数にとり, クラスター分析を行った結果, とろみ成分に応じたクラスターが形成された 結論 市販とろみ調整食品が食材の物性に及ぼす影響をもとに分類を行なうと, 各とろみ剤の特徴が食材の種類によって異なることが明らかとなった したがって, とろみを付与する食材や目的に応じて適切な製品を選択することが重要である 栄養学雑誌,Vol.0 No.1 90(01) キーワード : とろみ調整食品, 主成分分析, クラスター分析 Ⅰ. 緒言 嚥下困難者等は, 飲料や食材等の粘度を調整するための製剤, いわゆる とろみ調整食品 を利用する とろみ調整食品を利用することで, 咽頭での飲み込み速度を下げ, 誤嚥を防ぐ 1,) しかし, それらを使用する患者も, 病状は人によって異なることから, 一人一人について適した物性の とろみ を調整することが理想的と考えられている ) アメリカでは,NationalDysphagiaDiet TaskForce が発行した thenationaldysphagiadiet にて, 粘度によってつの区分に分けられている (thin, nectar-like,honey-like,spoon-thick) ) しかし,Garcia らの報告から, 同じ粘度の区分でも, とろみ調整食品によって添加量や粘性状態は異なることが示されている ) 日本でも, とろみ調整食品を添加した後の粘性状態を表す一般的な表現方法として ポタージュ状 や ジャム状 など, 粘度のある食材を目安として用いることが多い しかし, 一口にジャムと言っても様々な物性のジャムが存在し, 各目安について一定の定義や共通認識があるとは言いがたい状況にある さらには, とろみ調整食品の種類によって, 同じ ポタージュ状 であって も粘度の高いもの, テクスチャーが異なるもの, 口当たりが異なるもの等があることも報告されている ~) また, 現在市場にあるとろみ調整食品を主要なとろみ成分の種類に基づいて,つの範疇に分類する方法が一般的に利用されている ここでのとろみ成分は デンプン および 増粘多糖類 であり, 増粘多糖類 の中でも特にグアーガムとキサンタンガムが主要な成分であるが, デンプンを主体としたとろみ調整食品を第 1 世代, グアーガムを主体としたとろみ調整食品を第 世代, キサンタンガムを主体としたとろみ調整食品を第 世代とする分類法も頻繁に使われる,9) しかし, このような分類は製造者側の観点に比重をおいてなされているため, 同一の範疇に分類されるとろみ調整食品であっても実使用に際して適用した食材の物性特徴に及ぼす影響が大きく異なる場合もあると考えられる 特に最近では, 牛乳や濃厚流動食のとろみ付けに特化した製品やお茶のとろみ付けに特化した製品も販売されている このような動向は, 実使用に則した分類がとろみ調整食品を使用する側の観点では重要であることを示している そこで, 各種市販とろみ調整食品が様々な食材の物性に与える特徴を総括的に解析してとろみ調整食品の特徴を機能および性 連絡先 : 鈴木靖志 -00 大阪府柏原市玉手町 -1 サラヤ株式会社バイオケミカル研究所電話 FAX0-9- Copyright THEJAPANESESOCIETYOFNUTRITION ANDDIETETICS 栄養学雑誌 Vol.0 No.1 9~0(01) 9

2 能の点から評価することを試みた 具体的には1 種の市販とろみ調整食品を, 種の食材に添加して各種物性を測定し, 物性値に基づいて, 機能性を反映する複数の指標を定め, 個々の製品の機能特性を客観的に数値化することを試みた また, 多変量解析の手法を適用し, 複数の指標を総合的に解析することにより, 製品の総括的な特徴を基にした分類を行った 食材として緑茶を, たんぱく質と脂質を含みカルシウムの補給源である食材として牛乳を, 有機酸を多く含む食材としてオレンジジュースを, 塩濃度の高い食材として味噌汁を選択した 供試とろみ調整食品とその会社名, 原材料名を表 1に, 供試食材とその会社名, 原材料名, 電気伝導度および ph を表 に示す. 食材の電気伝導度および ph の測定 種類の食材について導電率計 (StandardTDScan0 Ⅱ. 方法 1. 試料本研究では, 代表的な市販とろみ調整食品 1 種類を選択して試験に用いた デンプン系とろみ調整食品 ( デンプン系 ) 種をそれぞれ A,B,C, グアーガム系とろみ調整食品 ( グアーガム系 ) 種をそれぞれ D,E,F, キサンタンガム系とろみ調整食品 ( キサンタンガム系 ) 種をそれぞれ G,H,I,J,K,L, その他 ( 牛乳 濃厚流動食用 ) のとろみ調整食品 ( その他 ) 種をそれぞれ M,N,O と表記する とろみ調整食品の分類は原材料の表示と濃厚流動食に対する適性についての表示から推定した 原材料に増粘多糖類が含まれない場合はデンプン系, デンプンと増粘多糖類の両方が含まれる場合はグアーガム系, デンプンが含まれない場合はキサンタンガム系とし, 濃厚流動食にもとろみがつけられることを特徴としているものはその他に分類した また, 食材は緑茶, 牛乳, オレンジジュースおよび味噌汁を用いた 成分的に特徴の異なる食材を試験することによって, 個々のとろみ調整食品の性能を詳細に検討する目的で選定した すなわち, Tester,Eutechinstruments) を用いて電気伝導度を,pH メーター (TwinpH waterproofcompactph meterb-1, 堀場製作所 ) を用いて ph を測定した. 粘度測定 1) 測定試料の調製法試料の調製および測定時の温度は, 介護現場の実情に則して緑茶では 0 C, 牛乳では 0 C, オレンジジュースでは C, 味噌汁では 0 C とした とろみ調整食品 表 供試食材の原材料, 電気伝導度および ph 食材 緑 牛 茶 乳 オレンジジュース 味噌汁 会社 I 社 ME 社 IZ 社 AS 社 原材料 緑茶, ビタミン C 生乳 オレンジ 米みそ, 風味原料 ( そうだかつお節粉末, かつお節粉末 ), 砂糖, 食塩, 酵母エキス, 調味料 ( アミノ酸等 ) 電気伝導度 (ms/cm) 00,000,000,000 ph... 頻繁にとろみ調整に利用され, 可溶性固形分含量の低い 表 1 供試とろみ調整食品 A~O の原材料 分 類 商品名 会社 原材料 A S 社 加工澱粉, デキストリン デンプン系 B F 社 とうもろこし, マルトデキストリン C K 社 でん粉, デキストリン D FC 社 デキストリン, 増粘多糖類, でん粉 グアーガム系 E N 社 デキストリン, でん粉, 増粘多糖類 F M 社 でん粉 ( 馬鈴薯 ), 増粘多糖類, デキストリン G SA 社 デキストリン, 増粘多糖類 H KU 社 デキストリン, 増粘剤 ( キサンタンガム ), 乳酸 Ca, クエン酸三 Na キサンタンガム系 I J FC 社 L 社 デキストリン, 増粘多糖類,pH 調整剤デキストリン, 増粘多糖類, 塩化カリウム, 甘味料 ( スクラロース ) K NU 社 デキストリン, 増粘多糖類 L N 社 デキストリン, 増粘多糖類, 塩化カリウム M SA 社 デキストリン, 増粘多糖類, 塩化カリウム その他 N A 社 デキストリン, イヌリン, 増粘多糖類, 塩化カリウム O N 社 デキストリン, 増粘多糖類, グルコン酸 Na 0 栄養学雑誌 0

3 市販とろみ調整食品の分類 を添加してから0 分後に下記粘度測定条件にて,000~,00 mpa s となるように各食材への添加量を調整した ( 表 ) この粘度域はプレーンヨーグルトの実測値をもとにしており, 中粘度域に相当する プレーンヨーグルトは, 均一なペースト状であり, 嚥下機能や摂食機能に障害を持つ人のリハビリテーションの初期における訓練食としてよく用いられる,) 食材 90 ml を内径 0 mm の規格瓶に充填し, 恒温槽に静置して温度調整した後, とろみ調整食品の製品ごとに決めた添加量分を加えると同時に, スパーテルを用いて1 秒間に 回転の速さで0 秒間撹拌し, 恒温槽へ戻した 全てのとろみ調整食品と食材の組み合わせについて, 試料は 個ずつ調製し, 物性測定に供した )BL 型回転粘度計による粘度の測定各試料の粘度の経時変化を以下の方法で検討した とろみ調整食品添加直後 (0 分 ), および添加後,,1, 0,0,0, 分用の試料を 個ずつ調製し,B 型回転粘度計 (BL 型, 東機産業 ( 株 )) を用い,1 rpm における0 秒後の指度を読み取り, 換算定数を乗じて見かけの粘度を求めた ローターは,No. および No. を使用した なお,1 個の試料につき測定回数は1 回とした 恒温槽の温度調整は設定温度 ±0. C の範囲で制御し, 室温に置かれた粘度計にて測定を行った 恒温槽の試料を取り出してから 分以内に測定を終了することにより, 測定前後の試料の温度変動を設定温度 ±1 C の範囲内に制御して測定を行った ) 機能性を反映する指標の算出法粘度測定値からとろみ調整食品の機能性を反映する指標として以下の1~ 項目について算出した 1 粘度力価 (mpa s/g): とろみ調整食品の添加量に対する0 分後の粘度を粘度力価とした 添加時粘度ばらつき (%): 個の試料のとろみ調整食品添加 分後の粘度測定値を, 添加 0 分後の粘度測定値で除して,0 を乗じた値から標準偏差を求め, とろみ調整操作による添加時粘度のばらつき の指標とした 安定時粘度ばらつき (%): 個の試料のとろみ調整食品添加 分後の粘度測定値を, 添加 0 分後の粘度測定値で除して,0 を乗じた値から標準偏差を求め とろみ調整操作による安定時粘度のばらつき の指標とした 初期粘度発現率 (%): とろみ調整食品添加 分後の粘度を0 分後の粘度で除して,0 を乗じた値を 粘度発現性 の指標として算出した とろみ調整食品添加後の, より早い段階での粘度発現率を比較する ため, 分後の粘度を用いた. テクスチャー測定テクスチャー特性の測定は厚生労働省が定めた, えん下障害者用食品の許可基準 ) に基づいて行った すなわち, 粘度測定用試料と同様の方法で 個ずつ調製した試料を直径 0 mm の容器に, 高さ 1 mm に充填し, 測定に供した 測定は, レオメーター (SUN RHEO METER CR-00DX(( 株 ) サン科学 )) により, 直径 0 mm のプランジャーを用い, 定速運動方式により圧縮速度 mm/sec, クリアランス mm で行った 得られたテクスチャー記録曲線より, プランジャー面積を考慮し, かたさ (N/m ) および付着エネルギー (J/m ) を算出した 指標 付着性 (J/m N): 一般にとろみ調整食品でとろみをつけた食材においては, かたくなるほど付着エネルギーも大きくなる性質があることから, かたさの因子を除外して べたつき を数値化するため, とろみ調整食品を添加してから0 分後の, 各溶液の付着エネルギーを, かたさ (N/m ) 0 の値で除して,0 N/m あたりの付着エネルギーを求め, 付着性とした. 統計解析機能性に関する指標 1~を説明変数として主成分分析によるマッピングを行った 本解析には統計解析ソフト 多変量解析 Version1.1 ( 神田公生 ) を使用し, 相関行列による主成分分析を行った ( 信頼度 9%) 第一主成分と第二主成分のスコアによる描画は Excel00 を用いて行った また, 各指標を正規化し, ユークリッド距離 / ウォード法によるクラスター分析を行い, デンドログラムによる分類表示を行った 本解析には統計解析ソフト Rバージョン..1(RFoundation,Vienna,Austria) を使用した 測定値の群間比較に関しては一元配置の分散分析を行い,Tukey の多重比較にて検定し,p< 0.0 を有意差ありと判定した Ⅲ. 結果 1. 食材の電気伝導度および ph 本報で用いた 種類の食材について実測した電気伝導度と ph を表 に示す 緑茶, 牛乳, オレンジジュース, 味噌汁の順に, 電気伝導度は 00,,000,,000,,000 ms/cm,ph は.,.,.0,. であった. 添加量および粘度力価の比較各食材にとろみ調整食品を溶解し, とろみ調整食品添加から0 分後の粘度が,000~,00 mpa s となるように調整した時の溶液 0 ml あたりの添加量 (g) および粘度力価 (mpa s/g) を表 に示す 1 Vol.0 No.1 1

4 表 とろみ調整食品を添加した食材の 0 ml あたりの添加量 (g) と粘度力価 * (mpa s/g) とろみ調整食品 緑 茶 牛 乳 オレンジジュース 味噌汁 添加量 粘度力価 添加量 粘度力価 添加量 粘度力価 添加量 粘度力価 A. 0. 1, ,0 デンプン系 B C , ± 9 c 1,01 ± c ± 1 b 9 ± 9 b D 1., 1.,0 1.,19.1,1 グアーガム系 E F 1. 1.,, ,9, 1. 1.,0,9.1 1.,9,0,9 ± a, ± a, ± 1 a,0 ± a G. 1,. 1,9.,.,0 H. 1,9. 1,9.1,.,1 キサンタンガム系 I J K 1.9.., 1,00 1, ,0 1,9, ,1,9, ,19 1,,1 L. 1,.,01.0,0.,0 1,99 ± b,z,1 ± 9 b,yz,9 ± a,y,1 ± 1 a,yz M. 1,9 1.,01.,. 1, その他 N.0 1,0 1.,9. 1,9.0 1,19 O ,. 1,.1 99 * とろみ調整食品 A~Oの粘度力価は値 (n=) : 値 ± 標準偏差 値の群間比較は一元配置分散分析を行い,Tukey の多重比較により有意差の検定をした 縦列において異なる文字間 (a~c), および横列において異なる文字間 (y,z) に % 水準の有意差があることを示す とろみ調整食品の分類別に粘度力価の高いものから順位づけをすると 種類すべての食材についてグアーガム系, キサンタンガム系, デンプン系の順番となり, 粘度力価に関してはとろみ成分による分類ごとに一定の傾向が見られ, 特に緑茶と牛乳において有意差が認められた オレンジジュースと味噌汁についてはグアーガム系とデンプン系, キサンタンガム系とデンプン系の間に有意差が認められた また, キサンタンガム系のなかで,Iについては, グアーガム系と同程度の高い粘度力価を示した その他の M は牛乳ではグアーガム系と同程度の粘度力価を示したが, 緑茶ではキサンタンガムと同程度, オレンジジュースと味噌汁ではデンプン系よりも高く, キサンタンガム系よりも低い粘度力価を示した Nは, 緑茶, オレンジジュースおよび味噌汁ではデンプン系よりも高く, キサンタンガム系よりも低く, 牛乳ではグアーガム系と同程度の粘度力価を示した Oは, 牛乳ではグアーガム系と同程度で, 緑茶と味噌汁ではデンプン系と同程度の粘度力価を示した とろみ成分による分類別で食材間の粘度力価を比較すると, キサンタンガム系では緑茶が最も低く, オレンジジュースが最も高く, 有意差が認められ, それ以外の食材間での有意差は認められなかった. 粘度安定性とろみ調整食品添加時 ( 分 ) の粘度ばらつきを各とろみ調整食品, および食材について算出した結果を表 に示す % 以上のばらつきを示したのは緑茶ではキサンタンガム系の K, 牛乳ではグアーガム系の Dと E, キサンタンガム系の G~ L, オレンジジュースではデンプン系の Aと C, キサンタンガム系の I 以外, 味噌汁ではキサンタンガム系の G~Iであり, キサンタンガム系のばらつきが大きい傾向が認められた それに対し, その他では M,N,O とも 種類の食材全てにおいて% 未満のばらつきであった とろみ成分分類ごとの値で食材別に比較すると緑茶と味噌汁の添加時粘度ばらつきは全てのとろみ成分分類で% 未満であった 牛乳は添加時ばらつきの大きい順にキサンタンガム系が%, グアーガム系が% およびデンプン系が% であった オレンジジュースは添加時ばらつきの大きい順にデンプン系が 0%, キサンタンガム系が1% およびグアーガム系が % であった 添加時ばらつきは, 牛乳では, デンプン系がキサンタンガム系に対して有意に低い値を示し, キサンタンガム系では牛乳が緑茶と味噌汁に対して有意に高く, オレンジジュースは緑茶に対して有意に高い値を示した 栄養学雑誌

5 市販とろみ調整食品の分類 表 とろみ調整食品を添加した食材の添加時粘度 ( 分 ) のばらつき * (%) とろみ調整食品 緑茶 牛乳 オレンジジュース 味噌汁 A 9 デンプン系 B C 9 ± ± b 0 ± 0 ± D 1 グアーガム系 E F ± 1 ± ab ± 1 ± G 1 H 1 1 I 19 キサンタンガム系 J 19 K 1 9 L 1 1 ± z ± a,x 1 ± xy ± yz M その他 N O * とろみ調整食品 A~Oの数値は値 (n=) : 値 ± 標準偏差 値の群間比較は一元配置分散分析を行い,Tukey の多重比較により有意差の検定をした 縦列において異なる文字間 (a,b), および横列において異なる文字間 (x,y,z) に% 水準の有意差があることを示す 表 とろみ調整食品を添加した食材の安定時粘度 ( 分 ) のばらつき * (%) とろみ調整食品 緑茶 牛乳 オレンジジュース 味噌汁 A 1 デンプン系 B C ± ± 1 ± 1 ± 1 D グアーガム系 E F 1 1 ± 1 ± 9 ± 1 ± G H I 1 1 キサンタンガム系 J 1 K 1 L ± ± ± ± M その他 N O 1 * とろみ調整食品 A~Oの数値は値 (n=) : 値 ± 標準偏差 Vol.0 No.1

6 安定時 ( 分 ) の粘度ばらつき ( 表 ) は, とろみ成分分類ごとので比べると,% 未満となったのは, 緑茶とオレンジジュースではグアーガム系とキサンタンガム系, 味噌汁ではデンプン系とキサンタンガム系, 緑茶と牛乳ではその他であった とろみ調整食品を単品ごとに比較すると, 種類全ての食材に対して安定時ばらつきが% 未満となったのはグアーガム系の F, キサンタンガム系の L, その他の Nのみであった しかし, 安定時ばらつきは食材間およびとろみ成分分類間に有意差は認められなかった. 初期粘度発現率 種類の食材について初期粘度発現率を表 に示す 初期粘度発現率は, 緑茶においては, キサンタンガム系がデンプン系およびグアーガム系よりも, オレンジジュースにおいてはデンプン系がグアーガム系およびキサンタンガム系よりも有意に高い値を示し, 味噌汁においてはキサンタンガム系がデンプン系に対して有意に低い値を示したが, 牛乳においてはとろみ成分分類間に有意差は認められなかった このように, 初期粘度発現率を基準にしてとろみ成分分類間の性能を比較すると食材による特徴があることが示された また, 各とろみ成分 分類において食材間の初期粘度発現率を比較すると, デンプン系ではオレンジジュースと味噌汁が牛乳に対して有意に高く, グアーガム系では緑茶と味噌汁が牛乳とオレンジジュースに対して有意に高く, キサンタンガム系では全ての食材間に有意差が認められ, 高いほうから緑茶, 味噌汁, オレンジジュース, 牛乳の順であった. 付着性付着性の結果を表 に示す 付着性は, 緑茶, オレンジジュースおよび味噌汁では, キサンタンガム系が低く, デンプン系が高い結果となった その中で, 味噌汁のグアーガム系およびキサンタンガム系がデンプン系よりも低値を示し, 有意差が認められた キサンタンガム系では緑茶が他の食材に対して有意に高い付着性を示した. 多変量解析機能性指標 1~を説明変数とした主成分分析により得られた第一主成分 (PC1) を x 軸, 第二主成分 (PC) を y 軸に取り, 各とろみ調整食品の主成分スコアをもとにしたマッピングを図 1に示す どの食材においても, デンプン系は, 他のとろみ調整食品とは異なる領域にプロットされたが, グアーガム系およびキサンタンガム系は, それぞれにグループ化されなかった 表 とろみ調整食品を添加した食材の初期粘度発現率 * (%) とろみ調整食品 緑茶 牛乳 オレンジジュース 味噌汁 A 0 デンプン系 B C ± 0 b,yz ± 1 z 0 ± a,y 9 ± 1 a,y D 0 9 グアーガム系 E F ± b,y 19 ± 1 z ± b,z 9 ± 1 ab,y G 1 9 H 1 9 I 9 1 キサンタンガム系 J K 19 L 1 ± a,w 1 ± z 9 ± b,y ± b,x M 1 その他 N O * とろみ調整食品 A~Oの数値は値 (n=) : 値 ± 標準偏差 値の群間比較は一元配置分散分析を行い,Tukey の多重比較により有意差の検定をした 縦列において異なる文字間 (a,b), および横列において異なる文字間 (w~z) に% 水準の有意差があることを示す 栄養学雑誌

7 市販とろみ調整食品の分類 表 とろみ調整食品を添加した食材の付着性 *, (J/m N) とろみ調整食品 緑茶 牛乳 オレンジジュース 味噌汁 A デンプン系 B C , 1 ± ± ± 1 9 ± a D グアーガム系 E F , ± ± 1 ± 1 ± b G H I キサンタンガム系 J 0 1 K L 1 1 1, 0 ± y 1 ± z 1 ± z 1 ± 1 b,z M 9 その他 N O * 付着性 :0 N/m あたりの付着エネルギー (J/m N) とろみ調整食品 A~Oの数値は値 (n=) : 値 ± 標準偏差 値の群間比較は一元配置分散分析を行い,Tukey の多重比較により有意差の検定をした 縦列において異なる文字間 (a,b), および横列において異なる文字間 (y,z) に% 水準の有意差があることを示す 緑茶における PC1 と PC の寄与率はそれぞれ.% と.1% であった PC1 は正方向に行くほど粘度力価が低く, 安定時粘度ばらつきが大きく, 付着性が高い,PC は, 正方向に行くほど, 初期粘度発現性が高く, 添加時粘度ばらつきが小さいことを反映する成分である 緑茶の場合, グアーガム系およびキサンタンガム系は, ほぼ軸の中心にプロットされたが, グアーガム系の Fとその他の Oは, 他の製品とは離れた位置にプロットされた Fに関しては, 付着性が極めて低く,Oに関しては, 初期粘度発現性が低いことを反映していた 牛乳における PC1 と PC の寄与率はそれぞれ0.% と.0% であった PC1 は正方向に行くほど粘度力価が高く, 付着性が低い,PC は, 正方向に行くほど初期粘度発現性が高いことを反映する成分である 牛乳においては, 特に PC1 の値で, グアーガム系以外はとろみ成分の分類ごとにグループ化された また, グアーガム系の E は初期粘度発現性が他のグアーガム系と比較して良好であることから,PC の正方向にプロットされ, キサンタンガム系の Iは, 初期粘度発現性が低いことから,PC の負方向にプロットされた オレンジジュースにおける寄与率は PC1 と PC でそれぞれ 0.1% と.% であった PC1 は正方向に行くほど粘度力価が高く, 添加時及び安定時の粘度ばらつきが小さく, 初期粘度発現性が低い,PC は正方向に行くほど付着性が低いことを反映する成分である オレンジジュースにおいては, グアーガム系とキサンタンガム系は比較的近い位置にプロットされたのに対して, デンプン系およびその他の Oは明らかに違う位置にプロットされた また, デンプン系の Bは他のデンプン系と比較して付着性が明らかに高く, 粘度のばらつきが小さいことから, 異なる領域にプロットされた 味噌汁における寄与率は PC1 と PC でそれぞれ.% と.% であった PC1 は正方向に行くほど粘度力価が低く, 初期粘度発現性と付着性が高い成分であり,PC は正方向に行くほど添加時粘度ばらつきが大きく, 安定時粘度ばらつきが小さいことを反映する成分である 味噌汁においては, グアーガム系の Fとキサンタンガム系が近い位置にプロットされたが, これは, 他のグアーガム系と比較して, 付着性が低いことと安定時の粘度のばらつきが小さいことを反映している Vol.0 No.1

8 図 1 とろみ調整食品を添加した食材の物性に関する主成分分析によるマッピング PC1: 第一主成分,PC: 第二主成分 矢線 : 因子負荷量ベクトル 1 粘度力価, 添加時粘度ばらつき, 安 定時粘度ばらつき, 初期粘度発現率, 付着性, はデンプン系 (A,B,C), はキサンタンガム系 (G,H,I,J,K,L), はその他 (M,N,O) のとろみ調整食品を示す 滑 はグアーガム系 (D,E,F), 図 食材の物性からみたとろみ調整食品のクラスター解析による分類 説明変数 : 機能性指標 1~ は図 1 と同じ はデンプン系 (A,B,C), 滑 はグ アーガム系 (D,E,F), はキサンタンガム系 (G,H,I,J,K,L), はその他 (M,N,O) のとろみ調整食品を示す 栄養学雑誌

9 市販とろみ調整食品の分類 さらに, 全ての食材について, 指標 1~の結果を説明変数としてユークリッド距離を算出し, ウォード法にてクラスター解析を行い, とろみ調整食品を分類した結果を図 に示す この場合にはとろみの主要成分に応じたクラスターが形成されているが, 唯一, グアーガム系の Fはその他 ( 牛乳 濃厚流動食用 ) のクラスターに含まれた Ⅳ. 考察 様々な食材に対するとろみの付き方は食材の電気伝導度や ph の影響を受けると考えられる 電気伝導度は電解質の濃度を反映しているが, 今回用いた食材の中でも緑茶と味噌汁では0 倍弱の差があり ( 表 ), この影響を強く受けるタイプのとろみ調整食品やとろみ機能性指標もあると推察される ph も食材によって.0~. と大きな幅があり ( 表 ), とろみのつき方に影響を及ぼす可能性がある 温度の因子に関しては,Garcia ら 1) が, 増粘多糖類を主体としたとろみ調整食品では, 温度による粘度の差はほとんど見られなかったのに対し, デンプンを主体としたとろみ調整食品では, 有意に粘度の差が見られたと報告している したがって, 本報では各食材が提供される実際の温度設定を用い, 温度の影響も加味され, 臨床に則した状況下でのとろみ物性の測定を行った 粘度力価は, どの食材においてもグアーガム系が最大であったが ( 表 ), キサンタンガム系の Iはグアーガム系と同程度であった この理由はいくつか考えられるが, 製品中の増粘多糖類の配合割合が多い可能性や, キサンタンガムの中でも分子量の大きな原料を使用している可能性, またはキサンタンガム以外の増粘多糖類が配合されている可能性等が考えられる Milas らの報告によると ), 分子量.1 ~.0 のキサンタンガムにおいて, 分子量が大きいほど粘度が高くなることが示されている また, キサンタンガム以外の増粘剤を配合している場合, 例えば, キサンタンガムとローカストビーンガムを併用した場合, キサンタンガムの側鎖がローカストビーンガムの主鎖との分子間相互作用を起こすために, 非ニュートン流体かつシュードプラスチックな性質を持つ, 高い粘度の溶液となることが報告されている 1) また, 牛乳においては,M,N,O も, グアーガム系と同程度の粘度力価であった これらのとろみ調整食品は商品特長から見ても特に乳成分と反応して粘度を上昇させる必要があると考えられ, カラギーナンのような増粘多糖類を多く含むことによって, このような特徴を発揮させていると推察される また, 同じとろみ調整食品であっても, 食材が異なれば, 同じ粘度に調整するための添加量が異なり, 最大約.%(O の場合 ) も異なることが示された ( 表 ) 高橋らは, 溶液中の糖がかたさを増大させ, 酸がかたさを低下させることを報告しており 1), 食材中の成分がかたさやその他の物性に影響を及ぼすことが知られている 今回使用した 種類の食材は糖や酸だけでなく, タンパク質濃度, 脂質濃度, 電気伝導度,pH なども異なることから, これらの要因が粘度力価に影響を及ぼしていると考えられる とろみ調整食品添加から 分後の粘度のばらつきはとろみ調整食品や食材の性質にも影響を受けるが, とろみ調整食品の投入方法と混ぜ方などが特に強く影響していると考えられる 逆に 分後でのばらつきについては, とろみ調整食品の種類や, とろみ調整食品を添加する食材の性質に依存する部分が大きいと考えられる 例えば, Hamlet らは, デンプンを主体としたとろみ調整食品をリンゴジュースに添加してから0 分以上経過しても, 粘度が上昇し続けると報告している 1) このような性質は粘度発現性のばらつきに影響するものと考えられる とろみ調整をするたびに粘度がばらつくような商品は実用上, 非常に扱いにくく, 目的とした粘度の溶液を提供できていない可能性も高く, 極端な場合には事故につながる可能性も否定できない 緑茶に関しては, デンプン系では, 安定時粘度のばらつきが, グアーガム系およびキサンタンガム系より大きい傾向にあった ( 表 ) Sopade らの報告によると, デンプン, グアーガムおよびキサンタンガムを主体としたとろみ調整食品で比較すると, キサンタンガム系が最も水の吸収量が多く, 拡散速度定数は増粘多糖類を主成分としたとろみ調整食品の方が, デンプンを主体としたとろみ調整食品より高いことを示している 1) デンプン系は, 吸水量が少なく, 拡散速度定数が低いうえに, 添加量も多く必要なことから安定的に粘度を発現させるのが難しいと考えられる 牛乳に関しては, デンプン系の添加時粘度ばらつきは, グアーガム系およびキサンタンガム系のとろみ調整食品と比較して小さいことが示されたが ( 表 ), デンプン系に関してだけ見ると緑茶と牛乳は同程度にばらついていることから, グアーガム系およびキサンタンガム系の牛乳との相性が緑茶との相性よりも悪いことを反映していると考えられる グアーガム系の中では,Fのばらつきが添加時および安定時とも小さかった ( 表, 表 ) F はグアーガム系であるが, 本研究における物性特徴を基にしたクラスター解析ではその他のクラスターに分類さ Vol.0 No.1

10 れることから, グアーガム以外の増粘多糖類の配合が物性特徴に大きな影響を及ぼしている可能性があると推察される グアーガムと相乗効果を発揮する増粘多糖類としてキサンタンガムがあげられる この 種類の増粘多糖類を併用すると, 溶液中で安定な構造となり, 相乗的に粘度が高まることが知られており 1), 製品中の増粘多糖類の割合を低くすることが可能である 仮に少ない増粘多糖類を溶液に膨潤させていると考えると粘度発現性のばらつきは小さくなることが容易に推測できる 本実験では,Fは全ての食材について, 添加時および安定時とも粘度のばらつきが% 未満の値を示したので, 調製ごとのばらつきの少ない製品といえる 初期粘度発現率は, 緑茶では高く, 味噌汁, オレンジジュース, 牛乳の順に低下する傾向が見られ, 特に緑茶のキサンタンガム系が高かった ( 表 ) Garcia ら ) は, オレンジジュースや牛乳において, デンプン主体のとろみ調整食品で調整した溶液が最も粘度が高かったと報告しており, その理由として, 牛乳には, とろみ調整食品との相互作用が見られるようなミネラルや他の成分が含まれているために, 溶液の粘度が高くなったと推察している 可溶性成分の少ない緑茶のような食材は, とろみ成分の膨潤を阻害する成分も少ないため粘度が出やすく, 逆に牛乳のように様々な成分が含まれている食材はとろみ成分の性能発現に影響を及ぼすことが知られているが, それに加えてとろみ調整食品中のとろみ成分が膨潤しにくく, 初期粘度発現率が低下すると考えられる オレンジジュースでの初期粘度発現率はデンプン系が高い値を示した Garcia ら 1) のデータではオレンジジュースのデンプン系の粘度は 分後から0 分後の間に0% 程度上昇することから, 最初の 分の間に0% 程度まで粘度が発現していると考えられる 我々の結果は 分で0 分の粘度の0% を発現していることから,~ 分という初期段階での粘度発現率は Garcia らの結果と同等レベルと考えられる 味噌汁では, デンプン系およびグアーガム系の初期粘度発現率が高い傾向にあった Sho ら 19) によると, キサンタンガムは,0.00 M 以上の NaCl 溶液中では, ダブルへリックス構造がほとんど崩れ, 粘度に影響が見られる 味噌汁は緑茶と比べて塩濃度の高い溶液であり, 電気伝導度は高かった したがって, 味噌汁中では増粘多糖類の構造も崩れやすい環境にあると推察される このような分子構造上の不安定化が初期粘度発現率に影響している可能性があると考えられる 付着性は高いほうからデンプン系, グアーガム系, キサンタンガム系の順であったが, 例外としてグアーガム系 Fはキサンタンガム系よりも低い付着性を示した ( 表 ) Fは原材料表示からの推定ではグアーガム系であるが, 添加時および安定時のばらつきも小さく, グアーガム以外の増粘剤として, 例えばキサンタンガムなどが配合されている可能性が考えられる これらの増粘剤を併用することで, 溶液の粘弾性に変化が見られ 0), 付着性にも影響を及ぼしたと考えられる また, 付着性はデンプン系の中で,Aと Cは比較的似た挙動を示し, 緑茶と味噌汁で高い傾向があり,Bは緑茶が最も低く, オレンジジュースと味噌汁で高い傾向を示した ( 表 ) Bは, Aと Cよりも粘度測定時の目盛りが安定するのに時間がかかったことからチクソトロピー性が高いと考えられ, また, 溶かす際に最もダマになりにくかった 特にオレンジジュースにおいて,Aと Cで添加時および安定時の粘度のばらつきが大きくなっているが,Bはばらつきがきわめて小さくなっていることからも,Aと Cより膨潤しやすいことが示唆される このように,Bの膨潤度合いが大きいことが, 牛乳, オレンジジュースおよび味噌汁の付着性を高くしている可能性も考えられる 高橋ら 1,) は, かたさを N/m にそろえた場合の付着性は, 水溶液の場合, キサンタンガム系が有意に小さく, 次にデンプン系が小さく, グアーガム系が最も大きいと報告している 今回の結果では, グアーガム系の方がデンプン系よりも付着性は低く, 特に味噌汁ではデンプン系の付着性はグアーガム系およびキサンタンガム系よりも有意に高い結果となった 高橋らは水溶液を用いて付着性を測定しているが, 我々は食材を用いており, 使用した溶液の特性が付着性の発現に影響している可能性が考えられる また, 高橋らはとろみ調整食品添加から0 分後に付着性を測定しているが, 我々はとろみ調整食品添加から0 分後に測定している 特にデンプンは添加後の経過時間, 溶液の種類および調製温度によって膨潤状態が異なる可能性があり, 付着性の傾向に差がみられた可能性があると推察される 今回の測定結果を元に算出したつの指標を説明変数として, 食材別に主成分分析を行ったところ, どの食材においても, デンプン系は, 他のとろみ調整食品と大きく異なる位置にプロットされたが, グアーガム系およびキサンタンガム系では, とろみ成分分類に応じてはグループ化されなかった ( 図 1) しかし, 全ての食材についてつの指標を説明変数としてクラスター分析を行うと, とろみ調整食品 Fを除き, とろみの主要成分別に明確なクラスターを形成した ( 図 ) すなわち, 総括的に物性特徴を統計処理すると, とろみ成分による分類分けに応じたクラスターが形成されることが確認された これらの結果より, 全体的な物性評価ではとろみ成分に 栄養学雑誌

11 市販とろみ調整食品の分類 よってグループ化が可能であるが, 食材別のマッピングは異なっており, とろみを付与する食材や目的によって, 適切なとろみ調整食品を選択することが必要と考えられる Ⅴ. 結論 市販とろみ調整食品が食材の物性に及ぼす影響をもとに分類を行なうと, 各とろみ剤の特徴が食材の種類によって異なることが明らかとなった したがって, とろみを付与する食材や目的に応じて適切な製品を選択することが重要である 利益相反利益相反に相当する事項はない 文 献 1) O Gara,J.A.:Dietaryadjustmentsandnutritionaltherapyduringtreatmentfororal-pharyngealdysphagia, Dysphagia,,09 1(1990) ) Kuhlemeier,K.V.,Palmer,J.B.,Rosenberg,D.:Efect ofliquidbolusconsistencyanddeliverymethodonaspirationandpharyngealretentionindysphagiapatients, Dysphagia,1,9 1(001) ) Penman,J.P.,Thomson,M.:Areviewofthetextured dietsdevelopedforthemanagementofdysphagia,j. Hum.Nutr.Diet.,,1 0(199) ) NationalDysphagiaTaskForce:Nationaldysphagia diet:standardizationforoptimalcare(00) American DieteticAssociation,Chicago,IL ) Garcia,J.M.,Chambers,E.,Mata,Z.,etal.:Viscosity measurementsofnectar-andhoney-thickliquids:product, liquid,andtimecomparisons,dysphagia,0, (00) ) Mata,Z.,Chambers,E.,Garcia,J.M.,etal.:Sensory characteristicsofbeveragespreparedwithcommercial thickenersusedfordysphagiadiets,j.am.diet.asoc.,,9 (00) ) 出戸綾子, 江頭文江, 栢下淳 : キサンタンガム系の市販とろみ調整食品の使用方法に関する研究 液体に添加する場合, 日本摂食 嚥下リハビリテーション学会誌,1,19 0(00) ) 大越ひろ : トロミ調整食品の基礎知識と使うときに気 をつけたいこと, 臨牀看護,,0 (009) 9) 出戸綾子, 山縣誉志江, 栢下淳 : 各種市販トロミ調整食品の物性に及ぼす温度の影響, 県立広島大学人間文化学部紀要,,9 (00) ) 尾本和彦 : 小児の摂食障害 脳発達障害児の摂食指導における食物調理の重要性, 臨床栄養,, 1(199) ) 厚生労働省医薬食品局食品安全部長 : 特別用途食品の表示許可等について, 食安発第 001 号, 平成 1 年 月 1 日 1) Garcia,J.M.,Chambers,E.,Mata,Z.,etal.:Serving temperatureviscositymeasurementsofnectar-andhoneythickliquids,dysphagia,, (00) ) Milas,M.,Rinaudo,M.,Tinland,B.:Theviscosity dependenceonconcentration,molecularweightand shearrateofxanthansolution,polym.bul.,1,1 1 (19) 1) Casas,J.A.,Garcia-Ochoa,F.:Viscosityofsolutionsof xanathan/locustbeangum mixtures,j.sci.foodagric., 9, 1(1999) 1) 高橋智子, 丸山彰子, 大越ひろ : 嚥下補助食品としての増粘剤の利便性について テクスチャー特性及び官能評価からの検討, 栄養学雑誌,, (199) 1) Hamlet,S.,Choi,J.,Zormeier,M.,etal.:Normaladult swalowingofliquidandviscousmaterial:scintigraphic dataon bolustransitand oropharyngealresidues, Dysphagia,,1 (199) 1) Sopade,P.A.,Liang,S.,Haley,P.J.,etal.:Moisture absorptioncharacteristicsoffoodthickenersusedforthe managementofswalowingdysfunctions,eur.foodres. Technol.,, 0(00) 1) Casas,J.A.,Mohedano,A.F.,Garcia-Ochoa,F.:Viscosityofguargum andxanthan/guargum mixturesolutions,j.sci.foodagric.,0,1 1(000) 19) Sho,T.,Sato,T.,Norisuye,T.:Viscositybehaviourand persistencelengthofsodium xanthaninaqueoussodium chloride,biophys.chem.,,0 (19) 0) Schorsh,C.,Garnier,C.,Doublier,J.L.:Viscoelastic propertiesofxanthan/galactomannanmixtures:comparisonofguargum withlocustbeangum,carbohydr. Polym.,,1 1(199) 1) 高橋智子, 大須賀彰子, 川野亜紀, 他 : リング法を用いた粘稠液状食品の簡便な物性評価の有効性 機器測定による物性評価との関係, 栄養学雑誌,,1 1 (00) ) 高橋智子, 大越ひろ : 粘稠な液状食品の飲み込み特性と力学的特性の関係, 日本家政学会誌,0, 9(1999) ( 受付 : 平成 年 月 1 日, 受理 : 平成 年 1 月 19 日 ) 9 Vol.0 No.1 9

12 Research&FieldNote CategorizationofCommercialThickenersontheBasisoftheir E fectsonthephysicalpropertiesoffoods MegumiNakamura* 1,SatoshiYoshida*,YasukoNishioka*, ShizukoHayashi* andyasushia.suzuki* 1 * 1 BiochemicalLaboratory,SarayaCo.Ltd. * NutritionPromotingSection,SarayaCo.Ltd. * RehabilitationDepartment,YokohamaCityUniversityHospital * NutritionDepartment,ShonanHospital ABSTRACT Objective: Toanalyzethephysicalpropertiesofgreentea,milk,orangejuice,andmisosoupthickened withstarch-based,guargum-based,xanthangum-based,andotherthickenersandcategorizethese thickenersbasedontheirefectsonthephysicalpropertiesoffoods. Methods: Thickenedsolutionswerepreparedbydissolving1typesofthickenersintofoods,andtheir viscositiesandtexturesweremeasured. Fiveindexes viscosity,viscosityvariancesatand minaftertheadditionofthickeners,initialviscosityincreaserate(vis-ir),andadhesiveness were calculatedfrom themeasuredvalues. Principlecomponentanalysis(PCA)andclusteranalysis (CLA)wereperformedusingtheseindexes. Results: Theviscosityofeachfoodwashigherwithguargum-basedthickenersthanwithother thickeners. Viscosityvariancesweredependentonthefood/thickenercombination. Vis-IRvarieddependingonthefoodtype. Greentea,forexample,hadahighervis-IRforxanthangumbasedthickeners,whileorangejuicehadahighervis-IRforstarch-basedthickeners. Adhesivenesswasgreatestforstarch-basedthickenersregardlessofthefoodtype. Thedistributionof thickenersbasedonthepcaofeachofthefoodsdidnotmatchtheirclassificationbasedon thickeningingredients. However,theCLAobtainedusingtheindexesofalthefoodsas explanatoryvariablesshowedthatthethickenersclusteredaccordingtotheirthickening ingredients. Conclusion: Categorizationofcommercialthickenersbasedontheirefectsonthephysicalpropertiesof foodsvariesdependingonthefoodtype. Therefore,itisimportanttoselectthickenersappropriateforaparticularfoodtypeandpurpose. Jpn.J.Nutr.Diet.,0(1)9~0(01) Keywords:thickeners,principlecomponentanalysis,clusteranalysis 0 0