KASEAA 51(7) (2013)

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1 解説 乳酸発酵と乳酸ポリマー発酵 のメタボリックケミストリー 発酵と言えば微生物 微生物と言えば発酵である そのなかの一つ乳酸発酵は 糖が分解され乳酸が合成される物質変換系であり ヨーグルトや漬物などの製造など われわれの食生活とも密着に関連している この古くから知られる応用微生物技術の一つである乳酸発酵は 近年 ポリ乳酸がバイオマス由来プラスチックとして市場に出回るようになり 再び注目を集めている ポリ乳酸は 乳酸を化学重合させることにより得られる熱可塑性ポリエステルであり 透明で硬質な性質をもつこ とから 使い捨てのコップや 卵パックなどとしてすでに実用化されている ポリ乳酸の工業的生産のためには 原料となる乳酸の効率的合成が鍵となるため 代謝工学 培養工学的手法により乳酸の生産性を高める培養法が活発に研究されている (1) 一方 われわれの研究グループでは 微生物が合成した乳酸を 細胞内で直接重合してポリエステルを合成する新たなシステムを創成した (2) ( 1) この新たなシステムでは 乳酸がCoA 体 ( ラクチルCoA) へと活性化された後 重合酵素の働きにより乳酸ポリマーが合成される ( 2) 本プロセスは 微生物による乳酸発酵と化学的手法によるポリマー合成を一つの細胞内に集積した一体型システムだと言える 本稿では この新しく構築された 乳酸ポリマー発酵 と言うべき発酵生産系について 既存の乳酸発酵や従来の微生物ポリエステル合成系と対比して解説し その特性について 特に物質変換の化学量論に基づいた メタボリックケミストリー の視点から考えたい Metabolic Chemistry of Microbial Production of Lactic Acid and Lactate-based Polyesters Ken ichiro MATSUMT, John Masani NDUK, Seiichi TA- GUCHI, 北海道大学大学院工学研究院, 科学技術振興機構 CREST 乳酸は化学的には C 3 H 6 3 の組成式で表される グル 448 化学と生物 Vol. 51, No. 7, 2013

2 H H sugars 乳酸発酵 glycolysis L-LDH pyruvate 乳酸ポリマー発酵 D-LDH H H 1 細胞内に存在する顆粒が蓄積されたポリマーである H 2 L- 乳酸 heat D- 乳酸 CoA 転移酵素 コースが解糖系を経て乳酸が合成されるまでの代謝経路は複雑であるが 乳酸の組成式がグルコースのちょうど半分であることから ほかの化合物の取り込みや 副産物の生成を伴わずに 1 分子のグルコースから2 分子の乳酸が合成できる 原子の収支バランスが取れているということは 合成の途中で炭素のロスがないことを意味し さらに 酸素の供給も必要ないため 嫌気的な条件で合成可能である これらの性質により 乳酸発酵は非常に効率的なプロセスとなっている C 6 H 12 6 ( グルコース ) 2C 3 H 6 3 ( 乳酸 ) 乳酸を減圧して加熱すると 脱水縮合が起こり乳酸の重合物 ポリ乳酸が得られる しかししだいに重合と脱重合の平衡に達し分子量が上昇しなくなるため この方法では低い分子量のポリ乳酸しか得られない そこで 低分子量のポリ乳酸を一度環状ラクチドへと分解し 改めて重金属触媒を用いて開環重合することにより高分子量のポリ乳酸が合成できる (3) ( 図 2) この合成の際 ピルビン酸などのほかの有機酸が混入していると重合停止の原因となるため モノマーとなる乳酸は高純度に精製されている必要がある また 乳酸には と の光学異性体が存在するが 光学純度が高いモノマーを用いないとポリマーの物理的強度が出ない このように ポリ乳酸は乳酸を重合しただけの単純な構造のように見えるが かなり手間のかかるプロセスで合成されている Sn(ct) 2 L-lactide heat X x x y poly(lactic acid) Lactate-based polyesters (PLLA) Chemoprocess Bioprocess 乳酸はもともと微生物の細胞内で合成されているので それをそのまま重合できれば1ステップでの乳酸ポリマーの合成 すなわち乳酸ポリマー発酵が可能になると考えられる しかし筆者らの知る限り これまでに乳酸ポリマーを生合成する生物の報告例はない これは 乳酸がいわばATP 合成のための老廃物として生成していることを考えれば 自然なことに思われる そこで ポリエステル合成系の人工的な改変により乳酸ポリマーの合成系を構築しようと考えた ここで注目されたのが 微生物が合成するポリヒドロキシアルカン酸 (PHA) と呼ばれるポリエステルである このポリマー 乳酸重合酵素 S-CoA D-lactyl-CoA CoA-SH 2 化学合成では主に 乳酸が原料として用いられる 乳酸ポリマー発酵では 重合酵素の立体特異性により 乳酸のCoA 体のみが重合されキラルポリマーを生じる 化学と生物 Vol. 51, No. 7,

3 グルコース キシロース (C5) Glucose-6-P EMP 経路 Fructose-6-P NADP + NADPH NADP + NADPH 6-P-gluconate Ribulose-5-P (C5) C 2 (C1) PP 経路 Fructose-6-P Xylulose-5-P (C5) (C4) Glyceraldehyde-3-P NAD + NADPH Fructose-6-P Glyceraldehyde-3-P NADH Phosphoenolpyruvate Pyruvate NADP + TCA 回路 NAD+ NADH 乳酸 乳酸 (LA) PCT LA-CoA C 2 NAD + NADH NAD + (C1) NADH LDH Acetyl-CoA Acetyl-P (C2) PhaA Acetoacetyl-CoA (C4) 酢酸 PhaB NADPH NADP + PhaC LPE 3HB-CoA (C4) P(LA-co-3HB) PCT Acetyl-CoA 3-hydroxybutyric acid x y 3-hydroxybutyric acid P(3HB) x 酢酸 酢酸 3 モノマー供給酵素 PhaA, PhaBとともに通常の PHA 合成酵素 (PhaC) を用いると P(3HB) が合成され 乳酸重合活性を獲得したPHA 合成酵素 ( 乳酸重合酵素 LPE) を用いると 乳酸ポリマーも合成される 点線で示したのは CoA 転移酵素 (PCT) が触媒する推定上のCoA 転移反応である LDH 乳酸脱水素酵素 PhaA βケトチオラーゼ PhaB アセトアセチルCoAリダクターゼ PP 経路 ペントースリン酸経路 LA-CoA : ラクチル CoA は たとえば最も典型的なポリヒドロキシブタン酸 (P(3HB)) を例にすると PhaA, PhaB と呼ばれる2つの酵素の働きにより 3HB の CoA 体である 3HB-CoAがモノマーとして合成され 次いで重合酵素により重合されて P(3HB) が合成される ( 3) この経路に基づいて考えると 3HB-CoA と同様に 乳酸のCoA 体であるラクチルCoAが重合できれば 細胞内でポリ乳酸を合成することが可能になると期待される このような考えは 実際複数の研究室で挑戦されていた (4~6) しかし 上述したように 天然ではポリ乳酸合成微生物はいまだ見つかっておらず ラクチルCoAを重合可能な重合酵素はなかなか見つからなかった ところが 筆者らは in vitro 重合系を用いて Pseudomonas sp 由来の重合酵素の変異体がラクチルCoAを基質として認識可能であることを初めて見いだした (2) この酵素は S325T/Q481Kの二重変異体であったことから ST/QK 変異体と呼ばれており 乳酸重合酵素の第一号となった この変異体は 筆者らが約 10 年間にわたり継続し ている重合酵素の進化工学で作成したコレクションの一つであった (7) 数多くの変異体を個別に調べ始めた最初の5 個以内にST/QK 変異体の乳酸重合活性が見つかったのにはたいへん驚いた この乳酸重合酵素の発見により 微生物細胞内での乳酸ポリマーの発酵生産が可能となったのである ( 図 2) 乳酸重合酵素の発見の経緯については他稿で詳しく紹介しているので (8) ここでは乳酸ポリマー合成経路の特徴を解説する 図 3に最も典型的な乳酸 (LA) ポリマーである P(LA-co-3HB) の生合成経路を示す これは 同一ポリマー鎖内に乳酸ユニットと3HBユニットが共重合されたコポリマーである 乳酸を重合するためには 乳酸をラクチルCoAへと活性化する必要がある ラクチル CoAが Megasphaera elsdenii 由来のCoA 転移酵素 (propionyl-coa transferase ; PCT) により生成すること 450 化学と生物 Vol. 51, No. 7, 2013

4 は古くから知られていた (9) CoA 転移酵素に 何らかのCoA 体と乳酸を加えると CoAが転移されラクチル CoAが合成される CoA 転移酵素を発現した大腸菌の細胞内にラクチルCoAが生成したことは 細胞抽出液の分析により確認できる (2) しかし この際に何が CoA 供与体になっているのかを知ることはできない 大腸菌にはアセチルCoAが比較的高濃度で存在していることが報告されていることから アセチルCoAが CoA 供与体ではないかと推測されるが 直接的な証拠は得られていない 次に ラクチルCoAが乳酸重合酵素により重合されて乳酸ポリマーとなるのだが ここで 非常に重要な条件として 供給される乳酸モノマーは 体である必要がある これは 乳酸重合酵素 ( さらに言えば これまでに知られているすべてのPHA 合成酵素 ) が厳密な 体特異性をもっているためである (10, 11) 通常大量に工業生産されている乳酸は 乳酸であるので 乳酸ポリマーを生合成するためには 大腸菌のような 乳酸生産菌を用いるか あるいは - 乳酸の合成経路を導入する必要がある この性質により 得られる乳酸ポリマーは非常に厳密な - 乳酸ポリマーになる 化学的に重合させる場合でも 原料となるのは乳酸菌が合成した 乳酸 ( または 乳酸 ) なのであるが 重合の過程でのラセミ化が完全には回避できないため 通常数 % の光学異性体が含まれてしまう 微生物合成ではそのような問題がなく 精密なキラルポリマーが合成できる さらに 乳酸に比べて高価 ( 市場価格で - 乳酸の10 倍以上 ) な - 乳酸ポリマーが得られることも メリットの一つである 乳酸ポリマーが生合成されるための2つ目の要請として 3HB-CoAが第二の基質として供給される必要がある 興味深いことに 3HB-CoAが全く供給されない条件にすると 乳酸が生成しているにもかかわらず乳酸ポリマーは合成されず 一方 3HB-CoA の存在下では 共重合体 P(LA-co-3HB) が合成される このことから 乳酸重合酵素は ラクチルCoAを単独で重合することができないと考えられる (10) 4には この代謝経路を用いて合成された P(LA-co-3HB) を示している このポリマーの性質はモノマー組成によって変化するが たとえば30 mol% 程度の乳酸ユニットを含む P(LA-co- 3HB) は 半透明のフィルムに加工でき ポリ乳酸とは異なり軟質である程度の伸張性をもつ したがって 微生物産生乳酸ポリマーは 単に化学合成ポリ乳酸のプロセス変換にとどまらず 新たな材料の生産系としての可能性も有していると言える 上述した性質により P(LA-co-3HB) の合成は乳酸発 4 酵より複雑になる 乳酸ポリマー発酵は 乳酸発酵と以下の点で異なっている 乳酸ポリマー P(LA-co-3HB) の合成には 3HB-CoA を供給する必要がある おそらくCoA 供与体として アセチルCoAの供給も必要である 上記の事情により 乳酸発酵は嫌気条件下で促進されるのに対し P(LA-co-3HB) の合成は好気条件で促進される ポリマーが菌体内に蓄積されるため 菌体増殖が必要 本生産系の特徴の一つは ある程度の好気的条件下で乳酸を合成する必要があることである 過去の研究において ピルビン酸からギ酸およびアセチルCoAを合成するピルビン酸 ギ酸リアーゼ (PFL) を欠損した大腸菌は 競合経路が遮断されることに加え 乳酸脱水素酵素 (LDH) の活性が増大し 好気的な培養条件下でも乳酸を合成することが知られていた (12) 筆者らは Keio Collectionに含まれる pfla 遺伝子変異株を利用して 乳酸ポリマーの合成を行った その結果 遺伝子構築などに用いられるJM109 株と比較して 乳酸ポリマーの合成量および ポリマー中の乳酸分率が向上することがわかった そこで 以降の実験は pfla 欠損変異株を用いて行うこととした では 乳酸ポリマー発酵が 物質変換系として考えた 化学と生物 Vol. 51, No. 7,

5 glucose 3 2 glucose 2 5 P(LA-co-3HB) lactic acid C 2 H 2 例としてグルコース 2 分子から P(LA-co-3HB) 各 1 ユニットと乳酸 1 分子が生成した場合の収支を示す 共重合体のように組成式の異なる複数の分子が合成される場合は 生成物の重量やモル数よりも炭素原子の数を指標にしたほうが物質収支を理解しやすい 構造は模式的なもので 結合距離や角度は正確ではない 際に乳酸発酵とどのように違うのかを考えてみよう ここで ポリマー生合成中の炭素源の消費と ポリマーおよび副生成物の生成量を比較するために 炭素モル濃度 という指標を導入する これは 化合物中に含まれる炭素原子の数に相当する たとえば 乳酸は3つの炭素原子を含むので1モルの乳酸は3 炭素モルである このような尺度を導入するメリットは 複数の化合物が関与する系全体の効率 ( 物質収支 ) を 酸化還元の程度などに依存せず一元的に表示できることである ( 5) まず最初に 乳酸ポリマー合成の基礎となる P(3HB) の合成について検討する 実際の培養結果を 6Aに示す 本条件では 20 g/lのグルコースを加えているので 667 mol/lの炭素が存在すると考える 経時的に培地および菌体をサンプリングし 細胞内に蓄積された P(3HB) と培地中に残存するグルコース濃度と 分泌された乳酸 酢酸の濃度を測定して積み重ねる 図 6Aでは 培養中期に少量の乳酸が合成され その後再吸収されていることがわかる ここで忘れてはならないのはピルビン酸 からアセチル CoA (C 2, CoA 部分を除く ) が合成される際に遊離されるC 2 である ( 図 3) 3HBユニット1 分子当たりC 2 が2 分子発生するはずなので 3HBの半分に相当する炭素モル濃度を加算する 図 6の透明な枠は このように計算されたC 2 の量である ( 実際の測定値ではない ) 青色で示す P(3HB) の炭素量だけを見ると 原料の糖の酸素量に比べて目減りしているように見えるが このC 2 の放出を考慮すると 実際にはそこそこの炭素収率で P(3HB) が合成されていることがわかる それでも 経時的に炭素量の合計が 減少していくということは 補足できていないカーボンフローがあるということである 炭素の減少が大きい期間が菌体の対数増殖期と一致しているので おそらく糖の一部が増殖に使用されたと考えられる このように 炭素量をモニターすると 糖源がどの化合物に変換されているか把握することができる ちなみに 水素原子の数に着目すると グルコース1 分子から1 分子の3HBユニットと2 分子のC 2 が合成されるため 反応前後で水素原子が余ってしまう これはすなわち グルコースから P(3HB) を合成すると還元力が余ることを意味している この余剰の水素原子を処理して解糖系が活発に進むためには 酸素と結合して水を作る必要がある したがって グルコースを炭素源とした P(3HB) の合成は好気的な条件で効率よく進むことになる C 6 H 12 6 ( グルコース ) C 4 H 6 2 (3HBユニット) 2C 2 3H 2 次に CoA 転移酵素を発現させて乳酸ポリマーを合成した際の物質変換を同様に測定する (13) ( 図 6C) 今度は赤色で示したポリマー中の乳酸ユニットの蓄積がグラフに含まれている 本条件では 培養の初期に一部の炭素源が別の経路に流れるが その後はほとんど炭素量の合計が変動せず グルコースがポリマーまたは有機酸に定量的に変換されていることがわかる このグラフで目を引くのは オレンジ色で表示した3-ヒドロキシブタン 452 化学と生物 Vol. 51, No. 7, 2013

6 6 各データは ポリマー合成系遺伝子群を導入した組換え大腸菌を培養し 経時的にモニターしたものである 図中のバーの長さは 培地中およびポリマー中の各化合物の炭素原子の量を表している 各図のバルーンは 大腸菌で発現しているポリマー合成系の酵素群を示す A : P(3HB) 生産 B D : P(LA-co-3HB) 生産 酢酸の量はごくわずかのため 図中ではほとんど見えない 化学と生物 Vol. 51, No. 7,

7 酸 (3HB) の生成である これはポリマー中のモノマーユニットではなく 3-ヒドロキシブタン酸が培地中に分泌されていることを意味する この現象はCoA 転移酵素 (PCT) の働きにより説明できる 3HB-CoAがCoA 供与体となりPCTによって何らかの有機酸にCoAが移されると3HBが生成しうる (14) 図 3には可能性の一つとして酢酸にCoA 転移される経路を示している CoA の受容体は複数ありうるが 何が受容体になっているのかを知るのは簡単ではない PCTの基質特異性に基づいて考えれば 乳酸もCoA 受容体になりえるが 3HB が合成される培養後期には乳酸も乳酸ポリマーも合成されていないことから 乳酸が受容体になっている可能性は低いと推定される 一方 酢酸からアセチルCoAが生成する場合は アセチルCoAから3HBが生成するため 代謝経路が回転しうる なぜこの条件で3HBが生産されるのかは明らかではないが 3HBが分泌されるのは培養後期であり この段階ではポリマー蓄積率が上昇していないことから 何らかの理由で細胞内のポリマー蓄積が停止し 重合しきれないモノマーが細胞外に漏れでていると解釈できる ポリマーとして蓄積された乳酸と3HBユニットと 培地中に存在する3HBの合計に相当する炭素量は P(3HB) を生産した場合よりも多い 上述したように 乳酸の合成には 3HBの合成のようなC 2 の遊離を伴わないので その分炭素収率が高くなると考えられる たとえば 例として 乳酸分率が67 mol%( つまり乳酸ユニット2 個に対して3HBユニット1 個を含む ) の P(LA-co-3HB) の物質収支は以下のようになる C 6 H 12 6 ( グルコース ) C 3 H 4 2 ( 乳酸ユニット ) 1 2 C 4H 6 2 (3HB ユニット ) C H 2 前述した P(3HB) の合成と比較すると C 2 の発生が少なくなる分 全体の炭素収率が上昇する ただし 乳酸からラクチルCoAへの活性化に おそらくアセチルCoAがCoA 供与体として必要とされることは注意する必要がある なぜこのことが重要なのかというと 図 3に示すようにCoA 転移酵素がアセチルCoAをCoA 供与体としてラクチルCoAを合成したとすると 合成したラクチルCoAと等モルの酢酸を遊離するはずだからである しかし実際には 培地中に分泌された酢酸量は重合された乳酸ユニットと比較して非常に少量で またほかに乳酸の重合量に匹敵する有機酸が検出されない このことから 仮にアセチルCoAがCoA 供与体であったとしても CoA 転移酵素により遊離された酢酸は細胞内でアセチルCoAへとリサイクルされていることが示唆される このことは 炭素収率の観点から好都合である 次に 乳酸分率のさらなる向上のために 乳酸重合酵素の改良に着手した 乳酸重合酵素は 野生型の酵素に STとQKの2つの変異を加え 高活性化すると同時にラクチルCoAの重合活性を獲得したものである われわれの研究グループでは 過去に別の重合酵素の進化工学的改変 (15) で見いだされた活性向上効果がある変異 (F392S) を 乳酸重合酵素に組み合わせた三重変異体を作成した (16) この新たな乳酸重合酵素 (ST/FS/QK) を用いて P(LA-co-3HB) を合成すると ポリマー中の乳酸分率を向上させることができることを見いだした では この改良型乳酸重合酵素を用いた P(LA-co- 3HB) 生産を 同様にモニターするとどのような違いが生じるだろうか 図 6Eにはその培養結果を示す (13) 一見して乳酸ユニットの蓄積率が増大していることがわかる 3HBユニットの蓄積量は逆に減少しているが ポリマーと残留した糖の炭素量を合計するとST/QKを用いた系よりも高くなっている これは 前に述べた理由でC 2 の放出を伴う3HBの合成から 乳酸の合成へとシフトした結果 炭素収率が向上したことに対応する 実際 C 2 の放出分を含めた炭素量はST/QKと比較して大きく変化していない このことから P(LA- co-3hb) の生産では 乳酸分率が高いほうが 炭素収率が高くなるという関係があることがわかる この調子でいくと 乳酸分率をもっと上昇させれば さらに高い炭素収率で乳酸ポリマーが合成できそうに見える しかし 前述したように 3HB-CoAの供給は乳酸ポリマーの生合成に必須であり 3HB-CoA 供給系を弱いものに置き換えると ( 乳酸分率は向上できるが ) ポリマーの合成量が極端に低下してしまう (17) したがって 生産性を維持しつつさらに乳酸分率を上げるためには 何か別の工夫が必要だった 筆者らは乳酸ポリマー生産の炭素源としてキシロースに着目した キシロースは植物組織を構成するセルロース ヘミセルロース リグニンのうち ヘミセルロース 454 化学と生物 Vol. 51, No. 7, 2013

8 の主要構成成分であり 木質系草本系バイオマスの糖化によって得られる (18) 近年 非可食バイオマスの産業利用が活発になり 注目されている炭素源である 既往の研究により 乳酸発酵の炭素源としてキシロースを使用すると ほぼ理論収率に近い生産性を示すことが知られている 一方 P(3HB) の生産においては キシロースを炭素源とできることが古くから報告されていたものの (19) その生産性はグルコースに劣っていたため その後あまり注目されることはなかった われわれは この乳酸の生産性が高く P(3HB) の生産性が低いという性質に着目した P(3HB) の生産性が低いのであれば その分の炭素源が乳酸ユニットに振り向けられる可能性が考えられた では 実際にキシロースを炭素源として P(3HB) および乳酸ポリマーを合成した結果を図 6B, D, Fに示す (20 g/lのグルコースと 20 g/l のキシロースは 糖のモル数は異なるが 炭素のモル数はどちらも 667 mmである ) (13) まず P(3HB) の合成では 過去に報告されていたとおり グルコースと比較するとキシロースからの P(3HB) の生産性が低かった ( 図 6B) 次に P(LA-co- 3HB) を合成すると 期待どおり グルコース培養と比較して 乳酸ユニットの蓄積量が増加し 逆に3HBユニットの合成量は低下した ( 図 6D) さらに この効果はST/FS/QK 変異体と組み合わせることにより相乗効果が得られ その結果 ポリマーとして蓄積された炭素の総量はグルコースより低いものの ポリマー中の乳酸分率は最大で60 mol% に達した この結果は これまでポリマー生産には不利だと考えられていたキシロースが 乳酸ポリマーの合成にはむしろ有利に働くことを示している なぜグルコースとキシロースの間にこのような違いが生じるのであろうか おそらく主要なファクターの一つとなっているのが 解糖系によって得られる還元力の違いである グルコースはペントースリン酸経路 (PP 経路 ) に入ることにより 炭素を一つ失う見返りに NADPHを1 分子生成できる ( 図 3) NADPHはPhaB の補因子となるので NADPHが効率的に合成できることは P(3HB) の合成にとって重要であると考えられる 一方 キシロースはPP 経路でNADPHを合成することができない そのため3HBの合成が不利になり その分乳酸の合成に振り向けられると考えられる また NADPHをほかの経路で賄う必要があり たとえば TCAサイクルに入ってNADPHを生成したと考えると その分の炭素源が失われ トータルの炭素収率が低くなることと符合する ただし NADPHなどの合成 能が高い ( あるいは低い ) ことは 必ずしもNADPHの細胞内濃度が高い ( あるいは低い ) ことを意味しない 実際筆者らは ポリマー合成中の大腸菌のNADPH/ NADP レベルを測定したが グルコース キシロースを炭素源とした培養において 大きな違いはなかった (13) このことから 細胞内のNADPHのレベルはある一定の値に制御されているが 酸化還元反応を仲介する回数には差が生じると考えられる 逆に言うと ポリマーを分析することにより 間接的にNADPHなどの補因子の回転数を知ることができると言える つまり ポリマー中の乳酸ユニットが1 分子生成することは NADHが1 分子消費されたことを意味し また同様に 3HBユニットが1 分子生成することは NADPHが1 分子消費されたことを意味する したがって キシロースを炭素源とした方がグルコースを用いた培養と比較して 結果的にポリマー生産系におけるNADPHの回転数が減少し 逆にNADHの回転数が増加したと推定できる 乳酸ポリマー発酵は 再生可能なバイオマスを一段階の発酵プロセスで乳酸ポリマーへと変換する 合成されたポリマーは 非常に高い光学純度をもち プラスチック材料として利用できる 本発酵系は ラクチルCoA への活性化 ほかのモノマー基質との共重合など さまざまな因子がかかわり合う複雑な代謝経路となる 今後 メタボローム解析的な手法により測定される細胞内の代謝中間体の情報を組み合わせれば 本合成系に関する理解がさらに深まるだろう 炭素収率だけに着目すると 乳酸分率が高いほうが理論収率は向上するが 材料の観点から見ると これら分率の異なる共重合体はそれぞれ異なる物性を示すことから モノマー組成が制御されたさまざまなポリマーを合成し その材料特性を知ることが必要である このシステムをうまくコントロールし 組成の制御と生産性を両立させるためには どのような代謝経路および酵素を用いればよいか それを探索するのも今後の重要検討課題である 謝辞 電子顕微鏡写真を提供頂いた明治大学農学研究科 若林愛子氏 佐藤道夫博士 前田理久博士に感謝申し上げます 本研究の一部は JST CREST 研究領域 二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出 の支援により行われました 化学と生物 Vol. 51, No. 7,

9 1) M. A. Abdel-Rahman, Y. Tashiro, T. Zendo, K. Hanada, K. Shibata & K. Sonomoto : Appl. Environ. Microbiol.,, 1892 (2011). 2) S. Taguchi, M. Yamada, K. Matsumoto, K. Tajima, Y. Satoh, M. Munekata, K. hno, K. Kohda, T. Shimamura, H. Kambe et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA,, (2008). 3) R. Auras, B. Harte & S. Selke : Macromol. Biosci.,, 835 (2004). 4) W. Yuan, Y. Jia, J. M. Tian, K. D. Snell, U. Muh, A. J. Sinskey, R. H. Lambalot, C. T. Walsh & J. Stubbe : Arch. Biochem. Biophys.,, 87 (2001). 5) H. E. Valentin & A. Steinbüchel : Appl. Microbiol. Biotechnol.,, 699 (1994). 6) S. Zhang, T. Yasuo, R. W. Lenz & S. Goodwin : Biomacromolecules,, 244 (2000). 7) S. Taguchi & Y. Doi : Macromol. Biosci.,, 145 (2004). 8) K. Matsumoto & S. Taguchi : Curr. pin. Biotechnol., (2013)doi : /j.copbio ) K. K. Tung & W. A. Wood : J. Bacteriol.,, 1462 (1975). 10) M. Yamada, K. Matsumoto, T. Nakai & S. Taguchi : Biomacromolecules,, 677 (2009). 11) K. Tajima, Y. Satoh, T. Satoh, R. Itoh, X. R. Han, S. Taguchi, T. Kakuchi & M. Munekata : Macromolecules,, 1985 (2009). 12) J. Zhu & K. Shimizu : Appl. Microbiol. Biotechnol.,, 367 (2004). 13) J. M. Nduko, K. Matsumoto, T. oi & S. Taguchi : Metab. Eng.,, 159 (2013). 14) K. Matsumoto, T. kei, I. Honma, T. oi, H. Aoki & S. Taguchi : Appl. Microbiol. Biotechnol.,, 205 (2013). 15) S. Taguchi, H. Nakamura, T. Hiraishi, I. Yamato & Y. Doi : J. Biochem.,, 801 (2002). 16) M. Yamada, K. Matsumoto, K. Shimizu, S. Uramoto, T. Nakai, F. Shozui & S. Taguchi : Biomacromolecules,, 815 (2010). 17) F. Shozui, K. Matsumoto, R. Motohashi, J. A. Sun, T. Satoh, T. Kakuchi & S. Taguchi : Polym. Degrad. Stab.,, 499 (2011). 18) E. M. Rubin : Nature,, 841 (2008). 19) S. Y. Lee : Bioprocess Eng.,, 397 (1998). (Ken ichiro MATSUMT) 略歴 1997 年東京大学工学部化学生命工学科卒業 /2002 年同大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻修了 /2002 年理化学研究所博士研究員 /2003 年同基礎科学特別研究員 /2005 年東京理科大学基礎工学部助手 /2007 年北海道大学工学部助教 /2012 年同大学准教授 同年より科学技術振興機構さきがけ研究者 ( 兼任 ) 現在に至る 研究テーマと抱負 大学における研究 教育活動と家族サービスの両立 趣味 生物システムを利用した合成化学 (John Masani NDUK) 略歴 2005 年 Egarton 大学食品科学技術学部 ( ケニア ) 卒業 /2008 年より国費留学生として北海道大学大学院総合化学院博士前期 後期課程に在籍 現在に至る 研究テーマと抱負 乳酸ベースポリマーの微生物合成 将来の夢はケニアで教授になること 趣味 サッカー 旅行 (Seiichi TAGUCHI) 略歴 1989 年東京大学大学院工学系研究科工業化学専攻博士課程 2 年中退 工学博士 (1991 年取得 ( 東大 ))/1989 年東京理科大学基礎工学部生物工学科助手 /1999 年理化学研究所高分子化学研究室先任研究員 /2002 年明治大学農学部農芸化学科助教授 /2004 年北海道大学大学院工学研究院教授 ( 理化学研究所バイオマス工学研究プログラム客員主管研究員兼任 )/2012 年科学技術振興機構の CREST 研究員代表 研究テーマと抱負 微生物プラットフォームを利用した新規有用物質生産 自然免疫分子 ( 抗菌ペプチド ) の作用機構と応用展開 趣味 自転車での遠出 駄洒落 456 化学と生物 Vol. 51, No. 7, 2013

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