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1 SAP リソースの高可用性の実現 オラクル ホワイト ペーパー 2006 年 4 月

2 SAP リソースの高可用性の実現 SAP リソースの高可用性の実現... 3 高可用性を実現する SAP のサポート... 3 Oracle Clusterware... 4 SAPCTL 実装について... 4 サポートされる構成... 4 インストールと管理... 5 SAPCTL を実行するための要件... 5 インストールと構成について... 6 SAP の構成... 6 startsap スクリプトと stopsap スクリプト... 6 ユーザー プロファイル sid<adm>... 7 ユーザー プロファイル ora<sid>... 8 インスタンスのプロファイル : セントラル インスタンス (ASCS) Enqueue とメッセージ サービス... 8 インスタンスのプロファイル : Enqueue Replication インスタンス (ENR)8 インスタンスのプロファイル : アプリケーション サーバー インスタンス (DV)... 9 Oracle Clusterware への登録... 9 管理インタフェース... 9 SAP のレガシー管理インタフェース... 9 機能... 9 使用方法... 9 まとめ... 9 SAPCTL の使用例... 9 付録 1 標準の SAP スクリプトの変更... 9 スクリプト : startsap... 9 スクリプト : stopsap... 9 付録 2 サンプル プロファイル スクリプト Enqueue Service(ASC)9 スクリプト : RAC_ASCS01_oracx スクリプト : RAC_ASCS01_oracx スクリプト : START_ASCS01_oracx スクリプト : START_ASCS01_oracx 付録 3 サンプル プロファイル スクリプト Replication Service(ENR)... 9 スクリプト : RAC_ENR01_oracx スクリプト : RAC_ENR01_oracx スクリプト : START_ENR01_oracx スクリプト : START_ENR01_oracx 付録 4 トラブルシューティングとログ ファイル... 9 付録 5 SAPCTL の部品表... 9 SAP リソースの高可用性の実現 2

3 SAP リソースの高可用性の実現 SAP リソースの高可用性の実現 高可用性の実現は 業務を継続するうえで不可欠な要素です このホワイト ペーパーでは Oracle Clusterware を使用して SAP リソースの高可用性を実現する方法を説明します Oracle Clusterware は Oracle リソースに対して高可用性を提供するだけではなく SAP リソースに対しても高可用性を提供します オラクル社では 容易に SAP リソースの高可用性を管理するために SAP Control(SAPCTL) という Oracle Clusterware ツールを作成しました SAPCTL は Oracle Clusterware と SAP の高可用性コンポーネントのリソース スクリプト 依存性を管理するための使いやすいインタフェースを提供します SAPCTL により SAP Enqueue Service SAP Replication Service SAP Enqueue Service で使用する仮想 IP アドレスを簡単に管理することにより Oracle コマンドライン ツールの機能を統合できます 高可用性を実現する SAP のサポート SAP Enqueue Service により SAP R/3 インスタンスを分散ロック管理できます SAP R/3 の 1 つ以上のインスタンスを SAP インストールで使用する場合 SAP Enqueue Service が使用可能であることが必要です サービス という用語は Enqueue または Replication を提供する SAP プロセスを指します これらのサービスをホスティングするノードは Enqueue Server と Replication Server と呼ばれます SAP では アクティブ / パッシブ方式を使用して Enqueue Service の高可用性を実現します つまり SAP システムには稼働状態の Enqueue Service が必ず 1 つ存在します SAP システムは 異なるノード上の複数のアプリケーション インスタンスで構成されます 障害が発生した場合または計画停止した場合 アクティブな Enqueue Service が実行されるノードで 1 つ以上の SAP Replication Service が実行されます 各 Replication Service により Enqueue Service のロック表のコピーが保存されます 実行時 このコピーは共有メモリー セグメントに保持されます また Enqueue Service をサポートするノードは 通信のための仮想 IP アドレス (VIP) をホスティングします アクティブ ノードで障害が発生した場合 またはこのノードが停止した場合 VIP と Enqueue Service は次のノードにフェイルオーバーします 使用可能なノードでは Replication Service がサポートされます SAP Enqueue Server と Replication Server の各ノード SAP リソースの高可用性の実現 3

4 Oracle Clusterware Oracle Clusterware は CRS(Cluster Ready Services) として知られ 複数のサーバーを結合させ単一のシステムとして機能させる統合クラスタ管理ソリューションです Oracle Clusterware は Oracle RAC データベースの必須機能で Oracle 以外のアプリケーションもサポートします SAPCTL 実装について このソリューションは Oracle Clusterware を使用して SAP Enqueue Service の高可用性を実現します この実装では Oracle Clusterware のモデル化機能を使用するため 各管理エンティティはリソースとして表されます このソリューションでは Enqueue Service Replication Service VIP Oracle Clusterware に各 1 つずつ 合計 3 つのリソースを使用します Enqueue Service と VIP の管理ポリシーは この 2 つが同じノードで動作するよう構成されます 一方 Replication Service リソースのポリシーでは Replication Service が Enqueue Service と同じノード上で実行されることはありません 障害が発生した場合 Enqueue Service リソースのフェイルオーバー ポリシーによって 現在 Replication Service リソースをホスティングしているノードで Enqueue Service が再起動します その後 Replication Service は 別のノードが使用可能になると そのノードに再配置されます サポートされる構成 Enqueue Service と Replication Service は SAP R/3 をサポートする任意のノードで実行できますが SAP R/3 の構成は 次の 2 つに制限されます Oracle Cluster Registry(OCR) 用の共有ディスクと投票ディスク デバイスを必要とするすべてのソリューション Oracle RAC 環境での SAP の実行を前提としたすべてのソリューション Enqueue Service Replication Service と Oracle データベースの混在環境 Oracle RAC と R/3 を実行する 2 ノード構成の Linux クラスタなど SAP リソースの高可用性の実現 4

5 Oracle RAC 環境と別に Enqueue Service と Replication Service を構成する混在環境 同一クラスタの 2 つのノード上で Oracle RAC を実行し そのクラスタ内の別の 2 つのノード上で R/3 を実行する 4 ノード構成の Linux クラスタなど インストールと管理 SAP インストールで使用している Oracle Database ソフトウェアは デフォルトのオペレーティング システム グループ OSDBA(dba) にインストールする必要があります さらに Oracle Clusterware 所有者 (oracle) だけでなく SAP のユーザー <sid>adm ora<sid> も dba グループに所属することが必要です dba グループは Oracle Clusterware 所有者 (oracle) または <sid> のプライマリ グループでもあります SAP 環境のグループとユーザーの詳細は SAP のドキュメントを参照してください SAPCTL を実行するための要件 SAPCTL の実行環境の条件は 次のとおりです ORA_CRS_HOME 環境変数が Oracle Clusterware のインストール場所を指すように設定されている create remove update の各コマンドは root ユーザーが実行する root ユーザー sapuser ユーザーまたは sapuser のプライマリ グループに属するユーザーが start コマンドと stop コマンドを実行できる status コマンドと config コマンドは 任意のユーザーが実行できる これらの要件は Oracle アクセス権のスキームをデフォルトで定義しています ただし アクセス権のスキームは crs_setperm() コマンドにより変更できます SAP リソースの高可用性の実現 5

6 インストールと構成について このソリューションのインストールは 次の 2 つの手順からなります SAP アプリケーションの適切な構成 SAP Enqueue Service と Replication Service の Oracle Clusterware への登録 SAP の構成 SAP CTL を使用可能にするために必要な構成の変更は 自動化されていません そのため 手動で変更を構成する必要があります ただし 必要な変更は最小限で startsap と stopsap の 2 つのシェル スクリプトのみに影響します この 2 つのスクリプトの変更については このホワイト ペーパーの付録 1 で説明します この他に既存の構成を若干 変更する必要があります すなわち ほぼ同一内容のプロファイルを異なるファイル名で生成します その理由は Oracle Clusterware では VIP が別のノードへフェイルオーバーしてもクラスタ ノードのホスト名が変更されないためです さらに SAP の高可用性エージェント構成では ノード上で実行するプロファイル ファイルとパラメータ ファイルのセットを特定する場合 SAP がホスト名を問合せるか またはクラスタ ノードのホスト名を使用することを考慮する必要があります また Oracle RAC データベースを使用するには プロファイルの追加変更が必要です その構成手順については ホワイト ペーパー Configuring SAP R/3 for use with Oracle RAC を参照してください startsap スクリプトと stopsap スクリプト SAP R/3 アプリケーション インスタンスの起動と停止には SAP の startsap スクリプトと stopsap スクリプトを使用します Oracle Clusterware と対話し スタンドアロンの Enqueue Service と Enqueue Replication Service を SAP の高可用性の実装と併用可能にするために これらのスクリプトを適応させる必要があります Oracle Clusterware との対話の実現に必要な変更は 次のとおり簡単です インスタンス タイプとして ASCS または ENR を指定した SAP アプリケーション インスタンスが正常に起動または停止後 Oracle Clusterware フレームワークに状態変更を通知するパラメータを指定してコマンドを実行します startsap スクリプトと stopsap スクリプトにおけるその他のすべての変更により SAPCTL は ASCS と ENR の 2 つのインスタンス タイプと ダイアログ (D) バッチ(B) ゲートウェイ (GW) スプール(S) 更新(V) などのアプリケーションのその他のインスタンス タイプとを区別できます ASCS は スタンドアロン Enqueue Service のデフォルト名です この ASCS インスタンスには Enqueue Service とメッセージ サービスだけでなく ダイアログの少数のワーク プロセスが含まれています ENR は Enqueue Replication サービス インスタンスのインスタンス名ですが 実際にはレプリケーション プロセスです SAP リソースの高可用性の実現 6

7 付録 1 に startsap スクリプトと stopsap スクリプトの一部を示します 必要な変更内容を強調するために変更箇所は四角い枠で囲みました この例は SAP リリース 620 に基づいており テンプレートとして使用できます ユーザー プロファイル sid<adm> SAP ユーザー ID<adm> のホーム ディレクトリには UNIX 環境で一般に使用されている C シェルと Bourne シェルまたは bash シェルのプロファイル スクリプトが含まれています スクリプトは 4 セットあり 次を目的としています SAP アプリケーションの環境を対象とする 確実に Oracle データベースで必須環境設定を使用する SAP の Java 仮想マシンを対象とする 専用の環境設定が必要な SAP ツールである SAP APO を対象とする 該当するスクリプト セットは.login(csh) または.profile(sh) の実行時に呼び出されます これらのスクリプトに共通する属性は スクリプト名の最後に使用するホスト名です Oracle Clusterware では 任意のホスト名を指定してクラスタ内のすべてのホストで SAP Enqueue Service と SAP Enqueue Replication Service を起動できるため これらのスクリプトをクラスタ内に存在するホストと同様 できるだけ多数の異なる名前でレプリケートする必要があります この作業は 個々のプログラムを実行するすべてのホストで行うことが必要です SAP によると Oracle RAC データベースのホーム ディレクトリも共有クラスタ ファイル システムに存在することが重要な前提です ただし これは 高可用性を実現するために SAP Enqueue Replication のデプロイすべてで必要ではありません ホーム ディレクトリがクラスタ ファイル システムに存在する場合 様々なプロファイル スクリプトへのリンクを異なるホスト名でクラスタ内に作成します 次の例では SAP ソフトウェアは 4 ノード構成のクラスタにインストール済です ノード 2 ノード 3 ノード 4 は 他のクラスタのメンバーです.j2eee プロファイル スクリプトまたは.apo プロファイル スクリプトも Oracle Clusterware で制御する場合 同じ方法で適切なリンクを作成してください このトピックの詳細は このホワイト ペーパーでは説明しません ほとんどの場合 レプリケートされた SAP Enqueue 実装は SAP システムを使用可能にする Oracle RAC 構成に含まれます ユーザー ID が <adm> であるすべてのプロファイルから環境変数 dbs_ora_tnsname を削除します 付録 1 の startsap スクリプトの変更箇所も参照してください 環境変数 dbs_ora_tnsname の設定により データベース接続を選択する後続のすべての設定がオーバーライドされます そのため ロード バランシングと別のデータベース インスタンスへのフェイル SAP リソースの高可用性の実現 7

8 オーバーはできません Oracle RAC データベースを使用した SAP 構成手順の詳細は 次の Web サイトにあるホワイト ペーパー Configuring SAP R/3 for use with Oracle RAC を参照してください ユーザー プロファイル ora<sid> SAP では 管理用に特別な Oracle データベース ユーザーが作成されます このユーザーは SAP インストールでは ora<sid> と呼ばれます ユーザー ora <sid> は SAP システムに属するデータベースの Oracle ソフトウェアの所有者です このユーザー アカウントでは SAP ユーザー アカウント <sid> adm に対しても同様にプロファイルの変更が必要です この変更については 前述のユーザー プロファイル <sid>adm のセクションを参照してください インスタンスのプロファイル : セントラル インスタンス (ASCS) Enqueue とメッセージ サービス これらのプロファイルに必要な変更については 付録 2 を参照してください スタンドアロンの Enqueue Service で使用するプロファイルを このサービスが実行されるクラスタ内の実際のノードに適応させる必要があります ノード名は ファイル名の一部です そのため 適切な名前でファイルのコピーを作成することが必要です インスタンスのプロファイルと start コマンドを保持するディレクトリは 共有クラスタ ファイル システムに存在する必要があります デフォルト パスは /usr/sap/<sid>/sys/profile です 付録 2 に 2 ノード構成のクラスタに存在するスタンドアロンの Enqueue Service の例を示します インスタンスのプロファイル : Enqueue Replication インスタンス (ENR) これらのプロファイルに必要な変更については 付録 3 を参照してください Enqueue Replication インスタンスには 他のすべての SAP インスタンスと同様 インスタンスと起動プロファイルがあります これらのプロファイルに必要な変更は このホワイト ペーパーで説明するスタンドアロンの Enqueue Service インスタンスの変更と同じです クラスタ内のすべてのノードについて ファイル名の最後の部分がホスト名と一致する必要があり さらにインスタンス プロファイルでは 付録 3 に示すようにパラメータの一部を変更することも必要になります 付録 3 に 2 ノード構成のクラスタに存在するスタンドアロンの Enqueue Replication インスタンスの例を示します SAP リソースの高可用性の実現 8

9 インスタンスのプロファイル : アプリケーション サーバー インスタンス (DV) ダイアログ インスタンスまたはダイアログ インスタンスと新インスタンスとして構成された AP アプリケーションには Oracle Clusterware の保護機能が適用されます ただし これらのインスタンスはクラスタ ノードで実行しなければならないという制限があります この制限は 3 層構造には適用されません そのため このホワイト ペーパーでは 完全な構成については説明しません さらに SAPCTL ではインスタンス タイプが認識されないため 完全な構成は 現在 SAPCTL 実装の一部ではありません したがって 残りのアプリケーション サーバー プロファイルは 変更されません Oracle Clusterware への登録 Oracle Clusterware への登録と後続のリソース管理は SAPCTL を使用して実行されます 次に このユーティリティの概要を説明します SAPCTL の使用例は まとめ の後に記述します 管理インタフェース Enqueue Service と Replication Service VIP リソースの管理は SAPCTL を使用して実行する必要があります このコマンドライン インタフェースは Oracle Clusterware が管理する環境で任意の数のインストールを管理できます SAP のレガシー管理インタフェース SAPCTL や SAP Enqueue Service と Replication Service を管理する一般的なツールに加え startsap スクリプトと stopsap スクリプトも管理ツールとして使用できます ただし オラクルでは一度に 1 つのみの管理インタフェースを使用することをお薦めします 前述したように これらのスクリプトを Oracle Clusterware と対話させるには簡単な変更が必要です SAP システムを管理するためのサード パーティ製ソフトウェアの場合は通常 さらに構成で変更が必要です 機能 SAPCTL の使用例は まとめ の後に記述します SAPCTL が実行する内容は 次のとおりです SAP の高可用性サブシステムの Oracle Clusterware 構成の更新 SAP の高可用性サブシステムの Oracle Clusterware 構成の作成と削除 Oracle Clusterware でラップされた SAP の高可用性サブシステムを 1 つのサブシステムまたは個別のコンポーネントとして起動する処理 Oracle Clusterware が保護する SAP の高可用性サブシステムを 1 つのサブシステムまたは個別のコンポーネントとして停止する処理 SAP の高可用性サブシステム全体の状態 ( ステータス ) ならびにそのサブシステムを構成するコンポーネントの状態 ( ステータス ) の問合せ SAP リソースの高可用性の実現 9

10 SAP の高可用性サブシステムの構成の問合せ 使用方法 sapctl <command> [<object>] -sapsid <SAP_SID> [options] Command: start stop status config create remove update Objects: all enqueue replication NOTE: Create, remove, and update commands work on all objects only. For detailed help about each command and object and its options, run the following command: sapctl <command> -h < オブジェクト > all: 指定された SAP SID のソリューションに関連付けられたすべてのリソースを含みます enqueue: Enqueue Service を参照してください replication: Replication Service を参照してください < コマンド > start オブジェクトに関連付けられたリソースを起動します stop オブジェクトに関連付けられたリソースを停止します status オブジェクトに関連付けられたリソースの現在の状態またはステータスを表示します この中には crs_stat で報告されるリソース状態の処理済み出力も含まれます config オブジェクトに関連付けられたリソースの構成を表示します この中には 次の情報が含まれます - Oracle Clusterware ホームの場所 - SAP Enqueue Service のリソース識別子 - SAP Replication Service のリソース識別子 - SAP スクリプトの格納場所 - SAP ホーム - ホスティング メンバー - パブリック ネットワーク インタフェース - ネットマスク - 仮想 IP アドレス SAP リソースの高可用性の実現 10

11 create SAP の高可用性サブシステムの Oracle Clusterware リソースを作成します このコマンドは 単一オブジェクト all に対してのみサポートされます また この操作により VIP リソースの作成が必要なため このコマンドは root ユーザーとして実行する必要があります サポートされるパラメータ スイッチは 次のとおりです パラメータ -sapsid -if< アダプタ名 > -nm < ネットマスク > -ip<ip アドレス > 内容 SAP インスタンスの SID パブリック ネットワーク アダプタの名前パブリック ネットワーク インタフェースのネットワーク マスク新規の IP アドレス -u <sap ユーザー > SAP ユーザー <sid>adm -n < ノード 1 ノード 2 ノード (n)> クラスタ内のノードのリスト -s < パス > SAP インストールのホーム ディレクトリ -e <EnqInst> Enqueue Service の識別子 -r<repinst> Replication Service の識別子 VIP リソースは root ユーザーを所有者とするリソースとして作成され 他のリソースは SAP ユーザーを所有者とするリソースとして作成されます 生成された Oracle Clusterware のすべてのアクション スクリプトは SAP ユーザーが所有します remove Oracle Clusterware リソースと SAP の高可用性サブシステムの Oracle Clusterware アクション スクリプトを削除します このオペランドは 単一オブジェクト all に対してのみサポートされます この操作により VIP リソースの削除が必要なため このコマンドは root ユーザーとして実行する必要があります update SAP の高可用性サブシステムの構成を更新します このオペランドは 単一オブジェクト all に対してのみサポートされます サポートされるオプションは 次のとおりです パラメータ -v<ip アドレス > -a < ノード 1 ノード 2 ノード (n)> -d< ノード 1 ノード 2 ノード (n)> 内容 Enqueue Service で使用する VIP の VIP 値を更新します SAPCTL の Oracle Clusterware リソースの配置候補として 1 つ以上のノード名を追加します このオプションによって インストール後にノードをクラスタに追加できます SAPCTL の Oracle Clusterware リソースの配置候補である名前を 1 つ以上削除します このオプションにより インストール後にノードをクラスタから削除できます SAP リソースの高可用性の実現 11

12 まとめ このホワイト ペーパーでは Oracle Clusterware を使用して SAP Enqueue Service と SAP Replication Service を保護する方法を説明しました Oracle Clusterware は SAP サービスを障害から保護する手段を提供します Oracle Clusterware の詳細は Oracle Technology Network にあるリンク を参照してください Oracle における SAP を重点的に扱っているホワイト ペーパーは 次の URL で公開されています Oracle RAC データベースを使用して SAP を構成する手順の詳細は 次の Web サイトにあるメディア ライブラリ内のホワイト ペーパー Configuring SAP R/3 for use with Oracle RAC を参照してください SAP リソースの高可用性の実現 12

13 SAPCTL の使用例 ここに示す例は 次の手順が完了していることが前提です Oracle Clusterware のインストール Oracle RAC のインストール SAP および SAPCTL パッケージのインストール Oracle Clusterware ホームに対応する ORA_CRS_HOME 環境変数の設定 SAP インストールに関して必要な情報は次のとおりです 必須情報内容典型的な例 SAP_SID interface 保護が必要な SAP サービスを含む SAP インスタンスの名前パブリック ネットワーク インタフェースの名前 RAC eth0 netmask IP ネットワークのネットマスク IP address パブリック ネットワーク インタフェースにバインドされる新しい IP アドレス user SAP ユーザー <sid>adm racadm hosting_members SAP サービスを実行できるノードの一覧 sapnode1sapnode2 saphome SAP ユーザー <sid>adm のホーム ディレクトリ /saphome/racadm enqueue_instance SAP Enqueue Srvice の名前 ASCS01 replication_instance SAP Replication Srvice の名前 ENR01 SAP リソースの高可用性の実現 13

14 SAPCTL ユーティリティ Oracle Clusterware による保護を SAP リソースに対して有効にする この場合 SAP ユーザー racadm が所有する SAP システム RAC の SAP セントラル インスタンスが保護され 次のノード リスト oracx1 oracx2 oracw1 oracw2 から ASCS01 という SAP Enqueue Service と ENR01 という Replication Service を個別のノードで実行できます をサブネットとする新しい仮想 IP アドレス が eth0 ネットワーク アダプタにロードされます このコマンドを実行すると アプリケーション VIP エンキュー リソース レプリケーション リソースの Oracle Clusterware の 3 つのリソースが作成されます これらのリソースは スクリプトにより自動的に起動されません Oracle Clusterware によって保護された SAP インスタンスの確認 この場合 Oracle Clusterware によって保護されているのは RAC という 1 つの SAP インスタンスのみです 標準の SAP スクリプトの変更 サンプルの SAP スクリプトは このホワイト ペーパーの付録 1 の説明に従って変更してください 標準の SAP スクリプトを変更し これらのスクリプトが Oracle Clusterware で動作できるようにする必要があります 付録 1 標準の SAP スクリプトの変更 を参照してください Oracle Clusterware が保護する SAP リソースを起動する前に この手順を完了することが必要です SAP リソースの高可用性の実現 14

15 構成の確認 保護された SAP インスタンスの構成値は config パラメータを使用して確認できます Oracle Clusterware によって保護された SAP リソースのステータスの確認 SAP サービスを保護する Oracle Clusterware のリソースのステータスを確認するには status コマンドを使用します Oracle Clusterware によって保護された SAP リソースの起動 このコマンドを使用して Enqueue Service または Replication Service を起動できます ただし 最初に Enqueue Service を起動する必要があります 起動後のステータスの確認 リソースの起動には 多少時間がかかります そのため リソースによっては 起動中に オフライン中 というメッセージが表示されることがあります SAP リソースの高可用性の実現 15

16 Enqueue Service( および関連する VIP) の停止 stop コマンドを使用して Enqueue Service を停止できます その場合 関連する VIP も停止します Enqueue Service( および関連する VIP) の起動 start コマンドを使用して Enqueue Service を起動できます その場合 関連する VIP も起動されます Config の変更 update コマンドを使用すると SAP service が保護する Oracle Clusterware を実行できるノードを変更できます これらのコマンドは ノードの追加または削除 あるいは仮想 IP リソースの IP アドレスの変更にも使用できます Oracle Clusterware で管理されたすべての SAP リソースの停止 Oracle Clusterware のすべてのリソースを 'enqueue' または 'replication' で置き換えることにより これらすべてのリソースを停止させる選択ができますが 最初に Replication Service を停止させることが必要です 停止後のステータスの確認 SAP リソースの高可用性の実現 16

17 Oracle Clusterware のすべてのリソースが停止すると オフライン というマークが付けられます Oracle Clusterware による SAP リソースの保護取消し Oracle Clusterware による単一のリソースの保護取消しはできません SAP インスタンス内のすべてのリソースの保護を 1 回の操作で取り消す必要があります このコマンドは root ユーザーとして実行することが必要です SAP リソースの高可用性の実現 17

18 付録 1 標準の SAP スクリプトの変更 Oracle Clusterware が保護するリソースを起動する前に 次の 2 つのスクリプトを変更する必要があります スクリプト名 startsap stopsap 格納場所 /usr/sap/<sid>/sys/exe/run /usr/sap/<sid>/sys/exe/run これらの変更前に 元のスクリプトのコピーを作成する必要があります これらのスクリプトを変更する前に 元の startsap スクリプトと stopsap スクリプトのコピーを作成する必要があります 元のスクリプトは startsap.orig と stopsap.orig にコピーしてください スクリプト : startsap 格納場所 : /usr/sap/<sid>/sys/exe/run ディレクトリ この行を削除 : この行を追加 : SAP リソースの高可用性の実現 18

19 この行を追加: この行を削除: この行を追加: この行を削除: この行を追加: SAP リソースの高可用性の実現 19 Oracle Corporation 発行 Providing High Availability for SAP Resources の翻訳版です

20 この行を削除 : この行を追加 : この行を追加 : SAP リソースの高可用性の実現 20

21 スクリプト: stopsap 格納場所: /usr/sap/<sid>/sys/exe/run ディレクトリ この行を追加: この行を削除: この行を追加: この行を削除: この行を追加: SAP リソースの高可用性の実現 21 Oracle Corporation 発行 Providing High Availability for SAP Resources の翻訳版です

22 この行を追加 : SAP リソースの高可用性の実現 22

23 付録 2 サンプル プロファイル スクリプト Enqueue Service (ASC) 次に 2 ノード構成のクラスタに存在するスタンドアロンの Enqueue Service のプロファイル スクリプトの例を示します この例では oracx1 と oracx2 がクラスタ ノードのホスト名です スクリプト名 RAC_ASCS01_oracx1 RAC_ASCS01_oracx2 START_ASCS01_oracx1 START_ASCS01_oracx2 格納場所 /usr/sap/rac/sys/profile /usr/sap/rac/sys/profile /usr/sap/rac/sys/profile /usr/sap/rac/sys/profile スクリプト : RAC_ASCS01_oracx1 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ スクリプト : RAC_ASCS01_oracx2 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ スクリプト : START_ASCS01_oracx1 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ SAP リソースの高可用性の実現 23

24 SAP リソースの高可用性の実現 24

25 スクリプト : START_ASCS01_oracx2 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ SAP リソースの高可用性の実現 25

26 付録 3 サンプル プロファイル スクリプト Replication Service(ENR) 次に 2 ノード構成のクラスタに存在するスタンドアロンの Replication Service のプロファイル スクリプトの例を示します この例では oracx1 と oracx2 がクラスタ ノードのホスト名です スクリプト名 RAC_ENR01_oracx1 RAC_ENR01_oracx2 START_ENR01_oracx1 START_ENR01_oracx2 格納場所 /usr/sap/rac/sys/profile /usr/sap/rac/sys/profile /usr/sap/rac/sys/profile /usr/sap/rac/sys/profile スクリプト : RAC_ENR01_oracx1 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ スクリプト : RAC_ENR01_oracx2 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ SAP リソースの高可用性の実現 26

27 スクリプト : START_ENR01_oracx1 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ スクリプト : START_ENR01_oracx2 格納場所 : /usr/sap/rac/sys/profile ディレクトリ SAP リソースの高可用性の実現 27

28 付録 4 トラブルシューティングとログ ファイル このセクションでは Oracle Clusterware と SAP R/3 コマンドを理解していることが前提です このセクションの説明に従って ログ ファイルを確認することにより SAPCTL のトラブルシューティングが可能です SAPCTL が実行する処理のログは次のとおりです 実行されたコマンドを確認することもできます /usr/sap/${sap_sid}/sapctl.log このログ ファイルを確認しても問題が解決しない場合 次のログ ファイルを調べて リソース処理が正しく実行されない原因を確認してください /usr/sap/${sap_sid}/crs.log 次のファイルを調べると VIP リソースに関する問題のトラブルシューティングが実行できます ${ORA_CRS_HOME}/log/<hostname>/racg/sap.${SAP_SID}.vip.log vip.log file だけでなく CRSD ログ ファイルの内容も調べることができます ${ORA_CRS_HOME}/log/<hostname>/crsd/crsd.log SAP リソースの高可用性の実現 28

29 付録 5 SAPCTL の部品表 このセクションでは SAPCTL の部品表 (BOM) を説明します 解凍後の tar ファイルの構成は 次のとおりです./bin/sapctl: 利便性を高めるための bin/sapctl.pl を実行するシェル スクリプトです./bin/sapctl.pl: Perl ベースの SAPCTL 管理ユーティリティが実装されています./doc/sapctl.doc: このドキュメントのコピーです./templates/crssapactions.pl.sbs: SAPCTL の内部で使用する Perl によるアクション スクリプトのテンプレートです./templates/sap2crs.sbs: SAPCTL 内部で使用する CRS のプロキシ スクリプトのテンプレートです./templates/sapwrap.sbs: SAPCTL 内部で使用するアクション スクリプト ラッパーのテンプレートです SAP リソースの高可用性の実現 29

30 SAP リソースの高可用性の実現 2006 年 4 月バージョン 1.0 著者 : David Austin Mark Bauer Andrey Gusev Kurt Broeg Rajiv Jayaraman 寄稿者 : Philip Newlan Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA U.S.A. 海外からのお問合せ窓口 : 電話 : ファックス : Copyright 2006, Oracle. 無断転載を禁ず この文書はあくまで参考資料であり 掲載されている情報は予告なしに変更されることがあります オラクル社は 本ドキュメントの無謬性を保証しません また 本ドキュメントは 法律で明示的または暗黙的に記載されているかどうかに関係なく 商品性または特定の目的に対する適合性に関する暗黙の保証や条件を含む一切の保証または条件に制約されません オラクル社は 本書の内容に関していかなる保証もいたしません また 本書により 契約上の直接的および間接的義務も発生しません 本書は 事前の書面による承諾を得ることなく 電子的または物理的に いかなる形式や方法によっても再生または伝送することはできません Oracle JD Edwards PeopleSoft は Oracle Corporation および関連会社の登録商標です 他の製品名は それぞれの所有者の商標です

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