Microsoft Word - japioGAINEN2005文図.doc

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ともあきかつもと
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1 JAPIO,20 周年記念誌概念検索の現状 /15, (japiogainen2005 文図 ) 日立公共システムエンジニアリング六車正道 1 概念検索とは何か? 1975 年 ( 昭和 50 年 ) 頃から実用化されたコンピュータによる特許情報の検索の発展は紙による調査をほぼ過去のものにするに至ったそして今, 検索式を必要としない概念検索が実用の時期を迎えつつある概念検索とは, 技術的説明文を質問として与え, 文中のワードとその出現回数によりデータベース中の各特許と類似度を算出し, 検索回答として類似度の高い順に特許をリストアップするものをいう 1.1 概念検索の原理現在の概念検索はワードの出現頻度を基礎にしているが, ワードの切り出し方とか出れらを合計し, 平方根を出すこれを質問文の有効なワード全体に繰り返すただし, コンピュータの実際の処理は, これと同等であるが, 別の効率的な手段で行なわれるこうして, 質問文中の全ワードで成り立つ座標 ( 空間 ) において1つの特徴タームベクトルが決まる次に, 蓄積されたデータベース中の各特許において, 質問文の各ワードの出現回数を算出し, 各特許の特徴タームベクトルを算出する最後に, 質問文と各特許の特徴タームベクトルを比較し, 近似度を算出し, その高い方, つまり質問文に似ている順にリストアップする現頻度の取扱い方の細部に関しては, システムによって少しずつ異なる図 1-1は, 日立製作所の社内で広く使っているシステムの原理である質問文が与えられる質問文ワード切り出し特徴タームベクトルの算出ワード A 質問文中の数検索対象中の出現特許数の逆数ワード B ワード C 質問文の特徴タームベクトルと, システムがデータベース全体の蓄積状況を参照しながら検索に最適のワード ( 特徴タームともいう ) に質問文を切り離す次に各ワードを重み付けするそのやり方は,1 質問文中のそのワードの出現頻度,2 データベース全体でそのワードを含む特許件数の割合の逆数が使われる次にこれらの数値をベクトル合成し, 質問文を表すただ一つの特徴タームベクトルを算出するベクトル合成とは, 例えば A,B2 つのワードの場合, 各ワードの数値を二乗し, そ対象特許 (1,200 万件 ) 各特許の特徴タームベクトルの算出ワードの有無ワード A 各特許中の数図 1-1 概念検索の原理なお, 上記以外にも, データベースを蓄積するときに各特許の特徴的なワードを切り出して質問文とは関係なくその特許の特徴を決めておく方式とか, 質問文からのワード切り出しを文法的な特長により行なう方式など, 様々のものがある対象各特許の特徴タームベクトルワード C 質問文と対象特許の特徴タームベクトルの比較類似度の算出類似度順の出力ワード B の存在しない特許の例 1

2 存するシステムの機能を比較したものである 2. 概念検索システムの機能比較現在, 特許情報データベースで概念検索が利用できるのは,NRIサイバーパテントデスク, 日立総合特許情報検索システム Shareresearch,PATOLIS,ATMS/ G-Search,RIPWAY/ リコー,HYPA 再現率に大きく影響すると思われるのは, 後で説明するように検索対象フィールドや絞込み検索などであるなお, 各システムの処理方式も重要と思われるが, 公表されていないシステムがあるとか, 分かり難い表現になっているなどの状況であり, 収録しなかった T/ 発明通信社などである表 2-1 は, 現表 2-1 概念検索の機能比較象録対ィールド索対象要約〇〇独自抄録検フシステム A B C D E 収公開公報請求範囲 S61~ S58~ S58~ H5~ S58~ 要約 H5~ 公告公報, 登録公報 S61~ S58~ S58~ H6~ S58~ 〇〇全文フィールトの任意指定〇まとめるこ ( まとめ ( まとめ請求範囲〇とも可能〇〇て指定する ) て指定する ) 特許番号入力の概念検索〇〇検索結果の番号指定の概念検索〇ワードの数不明 10 個 (30 ま 20 個 (40 ま 10 個 ( 数十ま 15 個 (19 まで追加可能 ) で追加可能 ) で追加可能 ) で追加可能 ) ワード質問文の重み付け変更〇〇設定絞込み検索の出願人〇追加変更削除〇〇 IPC 3 桁〇キーワード〇検索結果で指定可能キーワード ; フィールト指定〇発行年月〇 3. 概念検索の性能比較概念検索の結果はシステムが似ていると判断した順にリストアップされるので, 利用者はその上位 50 件程度を見て, 内容的に近い数件の特許をピックアップする 1 位に最も近いものがくるとは限らないまた, 質問文を変更して数回, 検索することが多い表 3-1は技術を指定した概念検索であり, 表 3-2は特許番号を指定してその公知例が探せるか検討したものであるこの中で, シ概ね再現率は高く,6~8 割の再現率を得ているまた, 表 3-2では特許庁での審査引例も概ね検索できているこれらの結果から, 次のようなことが言える 1 再現率は 1 割以下のものから8 割を越すものまで, 様々のものがある 2 概念検索で, 特許審査の引例のような権利的な調査もカバーしうる 3 概念検索は実用になるものがすでに存在するとみてよいステム B,C,E は検索対象がであり, 2

3 表 3-1 生ごみ処理の脱臭関連特許の概念検索表中の数字は順位 n は上位 100 位までに無かったもの網掛けは上位 50 位までシステム A B C D E 関連特許検索対象要約請求範囲要約 + 請求範囲特開平 n n n n n n 特開 n n 49 位 n n 28 位特開 n n n 12 位 n 10 特開位 34 位 n 47 特開 n 27 n 52 特開 n 44 特開 n n n n n n 特開 n 49 特開 n n 37 6 n 20 特開 n 17 特開 n n 13 1 n 2 50 位までのヒット件数 4 件 4 件 7 件 8 件 0 件 8 件質問文 ; 家庭から出る生ゴミを微生物で分解処理する際, 排気を木材チップに通して脱臭する, 木材チップの芳香と微生物で脱臭表 3-2 特開関連特許の短文による概念検索表中の数字は順位 nは上位 100 位までに無かったもの網掛けは 1~50 位のもの -は未収録範囲引例 1~3 は特許庁の審査引例ただし引例 3は, 実際は公告公報システム A B C D E 検索対象要約要約 + 請求範囲関連特許質問文イロハイロハイロハイロハイロハ 1 特開昭 n n n n n n n n n 2 特開平 n n n n n n n n n 3 特開平引例 n n n n n n n n 99 n n 4 特開平 n n n n 84 n n 21 n n 31 n n 11 n 5 特開平 n n n n n n n n n n n n n n n 6 特開平 n n n 3 n n 5 n n 95 n n 6 n n 7 特開平 n n n 40 n n n n n n n n n n n 8 特開平 n n n 32 n n 48 n n n n n n n n 9 特開平 n n n 31 n n 42 n n n n n n n n 10 特開平 n 1 n n 45 n n 1 n n 50 n n 8 n 11 特開平引例 2 n 18 n n 1 84 n 2 n n n n n 1 n 12 特開平 n n n 35 n n n n n n n n n n n 13 特開平 n n n n n n n n n n n n n 13 n 14 特開平 n n n n n n n n n n n n n n n 15 特開平 n n n n n n n n n n n n n n n 16 特開平 n n n n n n n n n n n n 27 n n 17 特開位 n n 13 8 n n n n n n n n 18 特開引例 1 n n n n n 4 30 n 19 特開 n n n n n n n n n n n n 22 n n 20 特開 n n n 30 n n n n n n n 13 n n 21 特開 n n n 73 n 14 n n n n n n 39 n n 50 位までの件数 1 件合計 3 件 12 件 8 件 3 件 10 件関連特許 21 件は情報科学技術協会オンラインユーザグループ (OUG) 特許分科会主査 ( 当時 ) の鈴木弁理士による調査結果質問文イ ; 層状のチタン酸化物を溶液中で振動撹拌することで, 層状から単層状に分離させ, チタニアナノシートが分散した状態の溶液を作るロ ; チタン酸化物のコロイド溶液とカチオン性高分子イオン溶液とに基板を交互に浸漬して, 静電交互作用に基づく溶液からの交互積層法によってチタン酸化物層とポリマー層が交互に積層した超薄膜を製造するハ ; チタン酸化物とポリマーが交互に積層した超薄膜について, 紫外線照射または加熱処理によってポリマーを分解除去してポリマー介在層が存在しない超薄膜を得ること 3

4 4. 概念検索の使いこなし概念検索は 6~8 割の再現率の検索も可能であるところが, 概念検索は漏れを気にしない参考程度の検索に使うものとか, 逆に思いついたワードを2,3 個入力するだけで必要な特許を探せるという言い方をされることがあるこのような間違った理解は, 概念検索システムが文章を入力して [ 実行 ] ボタンをクリックするだけという, 操作が簡単であるが故に, 数回使っただけで概念検索を理解したと誤解する状況になっているものと推察される以下, 上手な利用法について考察する 4.1 質問文として請求範囲は概ね不適当表 4-1は, 質問文として短文を使った場合と, ある特許の請求範囲や要約, としたときのヒットした件数である質問文が短文の場合に比べて, 請求範囲, 要約, を質問文にした場合のヒット件数は非常に少ない表 4-1 特開 ( 生ごみ処理の脱臭 ) の関連特許の概念検索上位 50 位までのヒット件数元の特許を除く 1Bシステムによるヒット件数 2Cシステムによるヒット件数対象質問短文 54 字第 1 請求範囲 216 字要約 311 字 10,800 字 6 件請求範囲要約対象質問短文 54 字第 1 請求範囲 216 字要約 311 字 10,800 字 7 件請求範囲抄録短文 ; 家庭から出る生ゴミを微生物で分解処理する際, 排気を木材チップに通して脱臭する, 木材チップの芳香と微生物で脱臭第 1 請求範囲 ; タンク状の脱臭機本体と上記脱臭機本体の内部を上方の脱臭室と下方の要処理ガス導入室とに仕切る仕切材であって後記充填材の通過を許容せずガス及び水分の通過のみを許容する仕切材と前記要処理ガス導入室に要処理ガスを導入する導入手段と前記脱臭室からの処理済ガスを排気する排気手段と前記要処理ガス ( 以下, 省略 ) 表 4-2 ワードとその重み付けの質問文による相違質問文中の出現回数 (2 回 ) 脱臭, 微生物, 木材, チップ (1 ) 家庭, 生, ゴミ, 分解, 排気, 芳香質問文 : 短文 (6 回 ) ガス, 脱臭 (5 ) 導入 (3 ) 仕切, 充填 (2 ) 通過, 排気, 許容 (1 ) タンク, 木片, 生, ゴミ, 活性, 汚泥質問文 ; 第 1 請求範囲表 4-2 は, 質問文が短文と請求範囲の場合を比較検討したものである探したい技術は充填などが重要ワードと判断されて, それらに偏った結果が上位にリストアップされる表 4-1 下の短文に書いてあるとおりであるこの文をワードに分解してシステムが理解する概念は表 4-2 左のようなものであるこれに対し, 第 1 請求範囲を分解して得られるワードは, 同表右である請求範囲を質問文にした場合は, ガス, 脱臭, 導入, 仕切, 探したい技術とだいぶ異なることが理解されようなお, この請求範囲の書き方は多くの特許で見られる一般的な書き方であるこのように, 請求範囲では探したい技術に関するワードが多く使われるとは限らず, 概念検索の質問文としては不適当なことが多い 4

5 ただし, 請求範囲の文章を概念検索に利用することも出来る 1つは, 請求範囲からキーワードを抜き出して, 概念検索の質問文に利用する場合であるもう1つは, 請求範囲の文章が不要ワードの繰返しが少なく, 概念検索に適したものになっているケースである化学材料分野では, 概念検索に適した請求範囲になっているものがときどき見られる 4.2 質問文は 40~80 文字の短文が最良質問文が短文ならヒットが多いが, 要約やでは少ない例えば, ハイブリッドカーにおいて, 地図情報やナビゲーションシステムの情報により, バッテリの充放電を最適化して長寿命化を図る (57 文字 ) 程度の短文の場合がうまくいくようであるしかし, 例えば安価なハイブリッドカーと言う短文は, 短すぎて技術的課題が分かり難く不適当である数百字以上の文章になると, 利用者の探したい技術とシステムが重要と判断したワードに食い違いが起きるものと推察される 4.3 質問文のその他の工夫 (1) 概念検索の質問文は, 具体的な表現が適している特許データベースの利用経験のある人は特許の検索だから上位概念のワードが良いのでは? と考える向きも多いと思われるが, そうではない (2) 質問として, いくつかのキーワードを入力することもシステム的には同じだが, 実務的には, 文法的には少々不正確でいいので 40~80 文字くらいの文章を作り, これに, 重要なワードを数個追加するのが上手な質問である (3) 概念検索では, 実務上は, 同義語についてはそれほど気を使う必要はないこれは, 概念検索においては, 他のワードが同義語と同じ役割をしてくれることが期待できるためであるつまり概念検索では複数のワードが互いに意味を補いあっており, いくつかのワードがなくても似た概念になるためと推察されるしかし, 主要なワードの多くを除くと, 違う概念の検索になってしまう (4) 質問文に, 技術的説明文に加えて目的や効果などを入れることも上手な質問文である (5) 質問において重要なワードは2,3 度繰り返して書くことで重み付けを大きくできる (6) キーワード,IPC, 出願人, または発行年などで絞り込んだものを対象に概念検索を行なうことで, 非常に的の絞れた結果を得ることができる (7) 質問文は, 新しく知ったワードを追加するなどして数回作り直すことが重要である 4.4 検索対象は長い方が良い表 4-1 から分かるように, 検索の対象は要約とか請求範囲などよりも, 全体の方が再現率が高いこの理由は, 要約や請求範囲ではその特許の中心課題が簡単に書かれているのに対し, では重要事項は繰返し書かれているためと思われるさらに, 中心課題でなかった場合でも, 長いのどこかに質問文のワードが一定の頻度以上存在すればヒットになることも理由の一つと思われる 4.5 検索対象を熟知した人は簡単に使える質問文作成のノウハウは以上のようにいくつかあるが, 検索式作成ほど難しいものではない一方, 検索の対象技術を知らない人は, 5

6 それを理解し最適の質問の作成に時間がかかるこれに対し, 検索対象を熟知した研究者や特許エンジニアは, すでに質問事項が頭に入っており, 質問文作成時間はほぼゼロであるしたがって, 概念検索はエンドユーザに適している研究者などのエンドユーザの利用では, 簡単に短時間で行なえることから, アイデア発想支援ツールとしての利用とか, 特許出願前の簡単な検索などに役立つと考えられる概念検索は関連特許を広く集めるよりも, ピンポイント的にマトを絞った検索に適しているまた, かなりの再現率が期待できるこ 5. 概念検索の利用図 5-1 は十数時間にわたる手めくりや検索式による調査と 1~2 時間程度で行なった概念検索の再現率を比較したものである比較的短時間で, 実用になる程度の再現率を得ている調査に慣れた人検索式と手めくり約 15 時間 50 件調査に不慣れな特許技術者概念検索 1~2 時間件件図 5-1 検索式方式と概念検索の比較対象 48 テーマ件数は一定評価以上の合計明らかに概念検索に不向きな質問文を使い, ヒット 0 件だった 6 テーマを含む出典 ; 発明協会発行発明 2003 年 4 月号とや審査引例の特許を検索できることから考えると, 審査請求前の調査や他者特許の公知例を探すような検索においても役立つことが考えられるなお, 概念検索は簡単に実用になるレベルになっているが, これだけで全ての調査を行うことは出来ないと考える概念検索がうまくいかない場合や究極の再現率を求めるような調査においては, 検索式の利用や外国特許の検索など様々の手法を組み合わせて行なうべきである 6. 終わりに概念検索は既に実用になる時期に来ている再現率 100 % 50 概念検索検索式による検索と思われ, 利用目的や使い方によっては既存の検索法に勝る成果を上げる可能性がある一方, 文章の品詞や係り受けを利用した概念検索の研究も進められており, 今後, 長年 0 初心者中級者熟練者図 5-2 習熟度別の再現率のイメージ図 5-2 は, 検索式による検索と概念検索の再現率のイメージ図である概念検索は情月をかけて発展するものと思われるしかしその間, 完璧なシステムの出現を待つだけでなく, 使い方を工夫して上手に使っていく姿勢も大切と考える報検索に不慣れな人もわずかの事項に気をつければ再現率を上げられることを示している 6

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