FullDissertation_Fin

Save this PDF as:
 WORD  PNG  TXT  JPG

Size: px
Start display at page:

Download "FullDissertation_Fin"

Transcription

1 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 化 分 析 方 法 論 2010 年 8 月 木 下 裕 介

2 ii

3 概 要 地 球 の 有 限 性 に 対 する 認 識 の 高 まりとともに, 持 続 可 能 社 会 の 実 現 が 重 要 な 課 題 となっている. 持 続 可 能 社 会 のイメージは 依 然 として 不 明 瞭 であるが,この 課 題 に 対 して 持 続 可 能 社 会 の 将 来 像 および, 現 在 からそこに 至 るまでの 道 筋 を 明 確 化 するために, シナリオ が 盛 んに 利 用 されている. 持 続 可 能 社 会 の 将 来 像 を 描 いたシナリオ ( 持 続 可 能 社 会 シナリオ) の 例 としては,IPCC の 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオ,2050 日 本 低 炭 素 社 会 シナリオが 挙 げられる. 一 般 に, 持 続 可 能 社 会 シナリ オは 文 章 として 記 述 され,その 記 述 の 根 拠 付 けのためにしばしばシミュレーションが 利 用 される. 持 続 可 能 社 会 シナリオの 作 成 は, 起 こりうる 様 々な 将 来 を 記 述 することにより 将 来 の 戦 略 を 科 学 的 か つ 合 理 的 に 策 定 するための 有 効 な 手 段 である. その 一 方 で,シナリオを 作 成 するための 研 究, 特 に 計 算 機 を 用 いてシナリオの 作 成 を 支 援 する ための 研 究 は 必 ずしも 十 分 に 行 われているとはいえない. 課 題 のひとつとして,シナリオの 合 理 的 な 理 解 が 困 難 である 点 が 挙 げられる. 例 えば,シナリオ 文 章 中 の 論 理 的 な 部 分 と 論 理 的 でない 部 分, 仮 定 と 事 実 がそれぞれ 区 別 されていない.もうひとつの 課 題 は, 世 界 中 で 作 成 されているシナ リオと,そのシナリオの 記 述 に 利 用 されるシミュレータが 再 利 用 可 能 な 形 式 で 集 積 されていないこと である.そのため,シナリオの 前 提 条 件 を 変 化 させたときの 結 果 が 容 易 に 検 討 できない.この 結 果, 現 状 ではシナリオを 作 成 するサイクルを 実 行 するために 多 くの 人 手 と 時 間 がかかる.これらの 課 題 を 解 決 するために, 本 論 文 では 持 続 可 能 社 会 シナリオの 理 解, 分 析,および 作 成 を 計 算 機 支 援 す るための 方 法 論 を 提 案 する. 第 2 章 では, 既 存 のシナリオ 研 究 に 関 する 文 献 調 査 に 基 づいて, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 作 成 を 支 援 するために 必 要 な 研 究 課 題 を 整 理 する. 第 3 章 では,それらの 課 題 を 解 決 するためのアプローチとして, 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレ ータ (Sustainable Society Scenario Simulator; 3S Simulator) のコンセプトを 提 案 する. 特 に 本 論 文 では,3S Simulator を 実 現 するために,シナリオの 構 造 化 手 法, 動 的 シナリオの 作 成 手 法, 論 理 構 造 分 析 手 法, 既 存 シナリオの what-if 分 析 手 法 という 4 つの 手 法 を 提 案 する. 第 4 章 では, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 化 手 法 を 提 案 する.この 手 法 では,シナリオを 計 算 機 処 理 可 能 な 形 式 で 表 現 するために,シナリオの 論 理 構 造 を 有 向 グラフとして 表 現 する. 第 5 章 では,シナリオの 構 造 化 手 法 に 基 づいて 動 的 シナリオの 作 成 手 法,すなわち,シナリオと シミュレータを 動 的 に 接 続 するための 手 法 を 提 案 する.このような 動 的 シナリオの 作 成 により, 既 存 のシナリオ 上 で 前 提 条 件 を 部 分 的 に 修 正 したときの 様 々なシミュレーションを 実 行 可 能 とする.

4 第 6 章 では,シナリオの 評 価 を 支 援 するために,シナリオの 構 造 化 手 法 に 基 づく 論 理 構 造 分 析 手 法 を 提 案 する.この 手 法 では,シナリオの 結 論 がどのような 前 提 条 件 のもとに 導 出 されているの かを 明 確 化 するために,シナリオの 結 論 を 導 出 する 根 拠 を 定 式 化 する.さらに,シナリオの 信 ぴょう 性 に 関 する 評 価 を 支 援 するために,それらの 根 拠 を 論 理 性 に 基 づいて 区 別 する.すなわち, 論 理 的 に 結 論 を 支 持 する 根 拠 と 論 理 的 に 弱 く 結 論 を 支 持 する 根 拠 の 2 種 類 に 分 類 する. 第 7 章 では, 既 存 のシナリオの 前 提 条 件 を 部 分 的 に 修 正 することによる 派 生 シナリオの 作 成 を 支 援 するために,シナリオの 根 拠 と 動 的 シナリオを 利 用 した what-if 分 析 支 援 手 法 を 提 案 する. 第 8 章 では, 第 4~7 章 で 提 案 する 手 法 を 支 援 するために 構 築 した 支 援 システムを 示 すとともに, 本 論 文 で 提 案 する 方 法 の 有 効 性 と 問 題 点 を 検 証 するために, 既 存 のシナリオとシミュレータを 適 用 した 例 を 示 す.この 実 行 例 では, 既 存 シナリオを 構 造 化 し,シミュレータと 接 続 することによって 動 的 シナリオを 作 成 した. 次 に,シナリオの 論 理 構 造 を 分 析 し,そこでの 分 析 結 果 に 基 づき,what-if 分 析 を 実 行 することによって 派 生 シナリオを 作 成 した. 第 9 章 では, 第 8 章 の 実 行 例 の 結 果 に 基 づいて 本 論 文 が 提 案 する 手 法 の 有 効 性 について 考 察 する. 実 行 例 の 結 果 より,シナリオを 構 造 化 することによって,シナリオの 論 理 構 造 を 明 確 化 するこ とができた. 具 体 的 には,シナリオ 記 述 の 論 理 的 な 部 分 と 論 理 的 に 弱 い 部 分 を 区 別 できた.このう ち 論 理 的 に 弱 い 記 述 は,シナリオとして 現 在 とは 異 なる 将 来 を 描 くために 重 要 な 役 割 を 果 たすもの である.また, 動 的 シナリオを 利 用 した what-if 分 析 によって, 既 存 シナリオから 派 生 シナリオを 容 易 に 作 成 することができた.このように, 既 存 シナリオおよびシミュレータの 再 利 用 に 基 づいて, 元 々 既 存 シナリオ 上 で 描 かれていたものとは 異 なる 将 来 像 が 検 討 可 能 となった.その 一 方 で,シナリオ 構 造 化 手 法, 動 的 シナリオ 作 成 手 法, 論 理 構 造 分 析 手 法 は 一 般 性 を 持 つものの,what-if 分 析 に よって 記 述 可 能 な 将 来 の 幅 は 既 存 のシナリオとシミュレータにより 制 約 を 受 け,その 範 囲 を 超 えるこ とができない.それゆえ,より 幅 広 い 将 来 を 記 述 するためには, 本 研 究 で 提 案 した what-if 分 析 手 法 に 加 えて, 新 規 のシナリオを 作 成 するための 手 法 を 提 案 することが 必 要 である. 第 10 章 では, 本 研 究 の 結 論 と 今 後 の 課 題, 展 望 を 述 べる. 本 研 究 では 持 続 可 能 社 会 シナリオ を 対 象 としてシナリオの 構 造 化 手 法, 分 析 支 援 手 法,および, 派 生 シナリオ 作 成 手 法 を 提 案 し,こ れにより, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 理 解, 分 析,および 作 成 を 計 算 機 支 援 するための 方 法 論 を 提 案 することができた. 今 後 の 課 題 としては, 持 続 可 能 社 会 像 の 描 写 に 向 けて, 新 規 シナリオの 作 成 支 援 手 法 を 提 案 することと,その 作 成 支 援 のために 既 存 の 様 々なシナリオおよびシミュレータをア ーカイブに 集 積 し, 再 利 用 可 能 とすることが 挙 げられる. 本 研 究 の 展 望 として, 本 論 文 で 提 案 した シナリオの 構 造 化 手 法 に 基 づいて 様 々なシナリオおよびシミュレータを 集 積 することにより, 様 々な ステークホルダーがそれらを 共 有 しながら 3S Simulator 上 でシナリオを 作 成 できるため, 今 後 のシ ナリオ 作 成 をより 効 率 化 できると 考 えられる.

5 目 次 i 目 次 1. 序 論 本 研 究 の 背 景 本 研 究 の 目 的 本 論 文 の 構 成 持 続 可 能 社 会 に 向 けたシナリオの 研 究 持 続 可 能 社 会 シナリオ シナリオの 定 義 と 意 義 持 続 可 能 社 会 シナリオの 特 徴 シナリオの 分 類 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオの 例 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 シナリオ 作 成 研 究 フォアキャスティングシナリオ 作 成 手 順 バックキャスティングシナリオ 作 成 手 順 種 々のシナリオ 作 成 技 法 既 存 の 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオの 集 積 持 続 可 能 社 会 シナリオの 評 価 基 準 第 2 章 のまとめ 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータの 構 想 はじめに シナリオ 設 計 設 計 学 シナリオ 設 計 の 定 義 シナリオ 設 計 のための 課 題 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 シナリオ 設 計 支 援 のアプローチ S Simulator の 目 的 S Simulator の 仕 様...44

6 ii 目 次 S Simulator の 意 義 本 研 究 の 位 置 づけ 第 3 章 のまとめ 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 的 記 述 法 シナリオ 構 造 化 のアプローチ Scenario Level Scenario Level ノードの 定 義 Scenario Level リンクの 定 義 Expression Level Expression Level ノードの 定 義 Expression Level リンクの 定 義 Data Level Data Level ノードの 定 義 Data Level リンクの 定 義 レベル 間 の 関 係 Expression Level と Data Level の 関 係 Scenario Level と Expression/Data Level の 関 係 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム システムの 実 現 方 法 システム 構 成 シナリオ 構 造 化 の 手 順 実 行 例 考 察 第 4 章 のまとめ 動 的 シナリオの 作 成 手 法 動 的 シナリオの 定 義 アプローチ シナリオとシミュレータ 間 のデータ 交 換 データ 交 換 の 実 現 方 法 シミュレータの 再 利 用 可 能 化 シナリオとシミュレータの 接 続 手 順 インプリメンテーション...106

7 目 次 iii システム 構 成 実 行 例 (I): シナリオとシミュレータの 接 続 実 行 例 (II): シミュレーションの 再 実 行 考 察 第 5 章 のまとめ シナリオの 論 理 構 造 分 析 手 法 論 理 構 造 分 析 の 目 的 とアプローチ 論 理 構 造 分 析 の 目 的 アプローチ シナリオ 根 拠 の 定 式 化 根 拠 集 合 基 底 論 理 性 指 標 によるシナリオ 評 価 インプリメンテーション システム 構 成 実 行 例 考 察 第 6 章 のまとめ 既 存 シナリオの what-if 分 析 による 派 生 シナリオの 作 成 手 法 what-if 分 析 の 目 的 アプローチ シナリオの 基 本 パターン シナリオのアーカイブ 化 システム 構 成 what-if 分 析 の 手 順 化 第 7 章 のまとめ 実 行 例 : HEV Diffusion Scenario シナリオ 記 述 支 援 システムの 構 成 システムの 実 行 手 順 実 行 例 の 概 要 動 的 シナリオの 作 成 Base Case Scenario の 論 理 構 造 グラフ...161

8 iv 目 次 Base Case Scenario のブロック 分 け Scenario Level Expression Level と Data Level Base Case Scenario の 論 理 構 造 分 析 シナリオ 根 拠 の 抽 出 根 拠 の 論 理 性 とシナリオの 信 ぴょう 性 論 理 性 指 標 のスコア 計 算 what-if 分 析 に 基 づく 派 生 シナリオの 作 成 考 察 シナリオ 設 計 の 課 題 と 提 案 手 法 の 関 係 各 提 案 手 法 の 有 効 性 の 検 証 シナリオ 構 造 化 手 法 の 有 効 性 動 的 シナリオ 作 成 手 法 の 有 効 性 論 理 構 造 分 析 手 法 の 有 効 性 what-if 分 析 支 援 手 法 の 有 効 性 提 案 手 法 によるシナリオ 設 計 支 援 の 限 界 シナリオ 記 述 支 援 システムの 有 効 性 結 論 本 研 究 の 結 論 今 後 の 課 題 本 研 究 の 展 望 謝 辞 参 考 文 献 発 表 論 文...209

9 第 1 章 序 論

10 2 第 1 章 序 論 第 1 章 では, 本 研 究 の 背 景 として 持 続 可 能 社 会 の 実 現 に 向 けたシナリオの 必 要 性 と, 本 研 究 の 目 的 および 方 法 について 述 べる.また, 本 論 文 の 構 成 を 示 す.

11 1.1 本 研 究 の 背 景 本 研 究 の 背 景 18 世 紀 以 降 の 社 会 の 工 業 化 に 伴 い, 人 類 はものづくりを 基 盤 として 様 々な 物 質 的 な 豊 かさを 享 受 してきた. 例 えば, 自 動 車, 携 帯 電 話,パソコン,インターネットの 普 及,24 時 間 営 業 のコンビニエ ンスストアの 出 現 によって,21 世 紀 初 めにおける 消 費 者 の 利 便 性 は 人 類 の 歴 史 上,これまでになく 高 まっていると 言 えるだろう.その 一 方 で,すでに 1970 年 代 初 頭 の 段 階 でローマクラブ[1]が 指 摘 し た 地 球 上 の 成 長 の 限 界 が, 徐 々に 顕 在 化 しつつある.すなわち, 人 間 活 動 を 経 済 的, 生 態 学 的 な 点 で 持 続 させるためには, 世 界 人 口 の 増 加, 食 糧 配 分 の 不 均 衡, 資 源 エネルギー 枯 渇 問 題, 地 球 温 暖 化 といった 種 々の 問 題 を 解 決 する 必 要 がある. 一 般 に,これらの 問 題 は 地 球 環 境 問 題 と 呼 ばれ,その 特 徴 のひとつは 健 全 性 を 維 持 すべき 対 象 物 ( 地 球 そのもの, 地 球 上 の 生 態 系 全 体, 地 域 の 生 態 系, 生 物 の 個 体 など) が 個 人 の 価 値 観 によって 異 なるために 内 在 する 問 題 が 多 様 なこ とである[2][3].もうひとつの 特 徴 は,これらの 問 題 の 間 にはトレード オフ 関 係 が 存 在 するためにそ の 解 決 が 容 易 ではない 点 である. 例 えば, 資 源 枯 渇 問 題 とエネルギー 枯 渇 問 題 間 のトレード オフ 関 係 として, 資 源 をリサイクルするためにはエネルギーを 投 入 しなければならないことが 挙 げられる. そもそも 地 球 環 境 問 題 は 人 類 が 安 全 と 豊 かさを 求 めてきた 結 果 として 生 じた 問 題 であり, 地 球 の 有 限 性 に 起 因 したものであると 吉 川 は 指 摘 している[5].さらに 冨 山 [6]は, 地 球 環 境 問 題 の 根 本 的 な 原 因 は, 製 造 業 の 活 動 によって 構 築 された 大 量 生 産 大 量 消 費 型 の 社 会 システムにあると 指 摘 し ている. 社 会 システムと 地 球 環 境 問 題 に 内 在 する 多 様 な 個 々の 問 題 の 関 係 を 位 置 づけ,それらの 問 題 を 解 決 するための 糸 口 をつかむためには, 少 なくとも, 将 来 起 こりうる 事 象 やその 影 響 を 列 挙 し, それらを 多 角 的 に 検 討 する 必 要 がある[4].そうすることによって, 優 先 的 に 解 決 すべき 問 題 につい て 議 論 することができる. 地 球 環 境 問 題 を 包 括 的 に 解 決 するための 指 針 として,Brundtland Commission は 1987 年 に 出 版 した 報 告 書 Our Common Future の 中 で, 持 続 可 能 な 開 発 (sustainable development) の 概 念 を 提 唱 した[7].その 定 義 は 以 下 のとおりである. Development that meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs. ( 将 来 世 代 のニーズを 満 足 するための 能 力 を 損 なうことなく, 現 在 のニーズを 満 足 させる 開 発 ) この 概 念 には 哲 学 的 な 解 釈 が 含 まれるが,H.E. Daly は 経 済 性 の 観 点 から 持 続 可 能 性 に 関 する 3 つの 条 件 を 提 案 している[8].

12 4 1.1 本 研 究 の 背 景 1. すべての 資 源 利 用 率 を, 最 終 的 に 生 態 系 が 吸 収 しうる 廃 棄 物 水 準 まで 制 限 する. 2. 再 生 可 能 資 源 を, 資 源 を 再 生 する 生 態 系 の 能 力 を 超 えない 水 準 で 利 用 する. 3. 再 生 不 可 能 な 資 源 を, 可 能 な 限 り, 再 生 可 能 な 代 替 資 源 の 開 発 率 を 超 えない 水 準 で 利 用 す る. しかしながら, 持 続 可 能 性 あるいは 持 続 可 能 社 会 のイメージは, 依 然 として 不 明 瞭 である.この 課 題 に 対 して, 持 続 可 能 社 会 の 将 来 像 および, 現 在 からそこに 至 るまでの 道 筋 を 明 確 化 するために, シナリオ が 盛 んに 利 用 されている. 持 続 可 能 社 会 の 将 来 像 を 描 いたシナリオ ( 持 続 可 能 社 会 シ ナリオ) の 例 としては,IPCC の 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオ[9],IEA (International Energy Agency) の World Energy Outlook[10],2050 日 本 低 炭 素 社 会 シナリオ[11]などが 挙 げられる.2100 年 までに 温 室 効 果 ガスが 地 球 温 暖 化 に 与 える 影 響 を 分 析 した IPCC のシナリオ ( 図 参 照 ) に 代 表 され るように, 持 続 可 能 社 会 シナリオは 文 章 として 記 述 され,その 記 述 の 根 拠 付 けのためにしばしばシミ ュレーションが 利 用 される[12]. 持 続 可 能 社 会 シナリオの 作 成 は, 起 こりうる 様 々な 将 来 を 記 述 する ことにより 将 来 の 戦 略 を 科 学 的 かつ 合 理 的 に 策 定 するための 有 効 な 手 段 である. 冨 山 [6]が 指 摘 したように, 地 球 環 境 問 題 には 製 造 業 が 深 く 関 わっていることを 考 慮 すれば, 持 続 可 能 な 製 造 業,あるいはものづくりのあり 方 をシナリオとして 記 述 することはとりわけ 重 要 な 課 題 であ る.この 点 で, 経 済 産 業 省 [13]は 将 来 日 本 にとって 必 要 と 考 えられる 技 術 を 技 術 戦 略 マップとして 列 挙 している.Seliger, et al.[14]は, 製 品 の 使 用 段 階 における 資 源 消 費 を 抑 える 点 に 着 目 して, 持 続 可 能 な 製 造 (sustainable manufacturing) を 実 現 するための 戦 略 を 提 案 している.また, 製 品 の 生 産 者 が 製 品 ライフサイクル 全 体 ( 製 品 の 生 産 から 使 用, 廃 棄 段 階 までを 含 む) の 責 任 を 持 つべきであ るという,いわゆる EPR (Extended Producer Responsibility) の 観 点 から, 使 用 済 み 製 品 の 資 源 循 環 システムの 持 続 可 能 性 に 関 する 研 究 も 行 われている[15][16].しかし,これらは 持 続 可 能 な 製 造 業 を 構 成 するために 不 可 欠 な 要 素 ではあるものの,その 全 体 的 な 将 来 像 は 持 続 可 能 社 会 の 将 来 像 と 同 様 に,いまだ 十 分 に 明 確 化 されているとはいえない.

13 1.1 本 研 究 の 背 景 5 図 1.1.1: 持 続 可 能 社 会 シナリオの 例 (IPCC の SRES)[9] 結 局 のところ, 持 続 可 能 社 会 および 持 続 可 能 な 製 造 業 の 将 来 像 を 明 確 化 するためには, 既 存 の シナリオに 加 えて, 様 々なシナリオを 描 くべきであると 考 えられる.その 一 方 で,シナリオを 作 成 する ための 研 究 は 必 ずしも 十 分 に 行 われているとはいえない. 課 題 のひとつとして,シナリオの 合 理 的 な 理 解 が 困 難 である 点 が 挙 げられる. 例 えば, 文 章 として 記 述 されるシナリオの 論 理 的 な 部 分 と 論 理 的 でない 部 分, 仮 定 と 事 実 がそれぞれ 明 示 的 に 区 別 されていない.それに 加 えて, 世 界 中 で 作 成 されているシナリオと,そのシナリオの 記 述 に 利 用 されるシミュレータが 再 利 用 可 能 な 形 式 で 集 積 さ れていないことも 課 題 のひとつである.そのため,シナリオの 前 提 条 件 を 変 化 させたときの 結 果 が 容 易 に 検 討 できない. 以 上 の 帰 結 として, 現 状 ではシナリオを 科 学 的 または 客 観 的 に 理 解 および 分 析 することができず,さらに,シナリオを 作 成 するためには 多 くの 人 手 と 時 間 がかかるという 問 題 があ る.

14 6 1.2 本 研 究 の 目 的 1.2 本 研 究 の 目 的 本 研 究 では, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するために 必 要 な 行 為 を 持 続 可 能 社 会 シナリオの 設 計 と 名 づける. 本 研 究 の 目 的 は, 持 続 可 能 な 製 造 業 の 姿 の 明 確 化 に 向 けて, 持 続 可 能 社 会 シ ナリオを 設 計 するために 必 要 な 課 題 を 明 らかにし,それらを 計 算 機 支 援 するための 方 法 論 を 提 案 することである. 本 研 究 では, 上 記 のシナリオ 設 計 を 支 援 するためのコンセプトとして 持 続 可 能 社 会 シナリオシミ ュレータ (Sustainable Society Scenario Simulator; 3S Simulator) を 提 案 する. 特 に, 本 論 文 では 3S Simulator を 実 現 するために,シナリオの 表 現 手 法,シナリオとシミュレータを 再 利 用 可 能 化 する ための 手 法,シナリオの 論 理 性 を 評 価 するための 手 法,および, 既 存 シナリオの 展 開 を 支 援 するた めの 手 法 を 提 案 する.すなわち, 本 論 文 では 以 下 の 4 つの 手 法 を 提 案 する. 1. シナリオを 計 算 機 処 理 可 能 とするために, 本 研 究 では 持 続 可 能 社 会 シナリオの 表 現 手 法 を 提 案 する.この 手 法 ではシナリオの 合 理 的 な 理 解 を 支 援 するために,シナリオをノードとリンクから なる 有 向 グラフとして 表 現 し,シナリオ 論 理 構 造 を 明 確 化 する. 2. 上 記 のシナリオ 表 現 手 法 に 基 づいて, 既 存 のシナリオおよびシミュレータの 再 利 用 可 能 にする ための 手 法,すなわち 動 的 シナリオ の 作 成 手 法 を 提 案 する.ここで, 動 的 シナリオ はシナリ オと 付 随 するシミュレータが 接 続 しており,シナリオ 内 でシミュレーション 条 件 を 変 化 させ,シミュ レーションを 実 行 すると,その 結 果 が 動 的 に 反 映 されるシナリオを 指 す. 3. 上 記 のシナリオ 表 現 手 法 に 基 づいて,シナリオの 論 理 性 の 評 価 を 支 援 するための 論 理 構 造 分 析 手 法 を 提 案 する. 具 体 的 には,シナリオの 結 論 の 導 出 に 利 用 される 前 提 条 件 を 明 確 化 する ために, 結 論 を 導 出 する 根 拠 をシナリオ 内 の 概 念 間 の 論 理 関 係 に 基 づき 定 式 化 する. 4. 既 存 シナリオの 展 開 を 支 援 するための 手 法 として, 上 記 のシナリオ 表 現 手 法 に 基 づいて 既 存 の シナリオを what-if 分 析 するための 手 法 を 提 案 する.ここで,what-if 分 析 とは,ある 前 提 条 件 を 変 化 させたときの 結 果 を 検 討 する 手 法 である. さらに, 提 案 した 手 法 の 有 効 性 を 検 証 するために 3S Simulator のプロトタイプを 開 発 し,そのプロ トタイプを 用 いてケーススタディを 実 行 する.

15 1.3 本 論 文 の 構 成 本 論 文 の 構 成 本 論 文 は, 全 10 章 から 構 成 される. 第 2 章 以 降 の 内 容 および 各 章 の 関 係 を 図 に 示 す. 第 2 章 では, 既 存 のシナリオ 研 究 に 関 する 文 献 調 査 に 基 づき, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 す る 際 の 課 題 を 整 理 する. 第 3 章 では, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するための 行 為 を シナリオ 設 計 として 定 義 し,シナ リオ 設 計 を 支 援 するために 解 くべき 研 究 課 題 を 設 定 する. 本 研 究 では,シナリオ 設 計 を 支 援 するた めのアプローチとして 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 を 提 案 する.3S Simulator の 構 想 に 基 づいて, 本 研 究 で 解 くべき 課 題 を 明 確 化 する. 第 4 章 では,3S Simulator の 実 現 に 向 けてシナリオを 計 算 機 処 理 可 能 な 表 現 とするための 方 法 として,シナリオの 構 造 的 記 述 法 を 提 案 する.この 手 法 の 有 効 性 を 検 証 するために, シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム を 開 発 し,ケーススタディを 実 行 する. 第 5 章 ~ 第 7 章 では, 第 4 章 で 提 案 するシナリオ 表 現 方 法 に 基 づき, 動 的 シナリオ の 作 成 手 法,シナリオ 論 理 構 造 の 分 析 手 法,およびシナリオの what-if 分 析 手 法 を 提 案 する. 各 章 において, 提 案 する 手 法 の 有 効 性 を 検 証 するためのシステムを 開 発 し, 実 行 例 を 示 す. 第 5 章 では, 既 存 のシナリオとシミュレータを 用 いて 動 的 シナリオ を 作 成 するための 手 法 を 提 案 する. 第 6 章 では,シナリオの 理 解 および 評 価 を 支 援 するために,シナリオの 論 理 構 造 分 析 手 法 を 提 案 する. 第 7 章 では, 既 存 のシナリオを what-if 分 析 することにより,そのシナリオ 内 に 派 生 シナリオを 作 成 するための 手 法 を 提 案 する.この 手 法 のシナリオ 作 成 における 有 効 性 および 問 題 点 を, 実 行 例 に 基 づき 分 析 する. 第 8 章 では, 提 案 する 方 法 論 の 有 効 性 を 検 証 するために,3S Simulator のプロトタイプとしてシ ナリオ 記 述 支 援 システムを 構 築 する.さらにこのシステムを 利 用 して,ケーススタディを 実 行 する.ケ ーススタディでは, 提 案 する 方 法 論 を 既 存 のシナリオである Hybrid Electric Vehicle (HEV) Diffusino Scenario に 適 用 する. 第 9 章 では,ケーススタディの 結 果 に 基 づき, 提 案 する 方 法 論 の 有 効 性 と 課 題 をシナリオ 設 計 支 援 の 観 点 から 考 察 する. 最 後 に, 第 10 章 では 本 研 究 の 結 論, 今 後 の 課 題 および 展 望 を 述 べる.

16 8 1.3 本 論 文 の 構 成 Ch.1 : Introduction Ch. 2: Scenario Research toward a Sustainable Society Stating the purpose of this research and literature review of scenario research Ch. 3: Concept of Sustainable Society Scenario Simulator Defining research tasks Ch. 4: Method for Structuring Sustainable Society Scenarios Ch. 5: Method for Describing Dynamic Scenarios Ch. 8: Case Study Verifying the effectiveness of the methods Making scenarios and associated simulators reusable Ch. 6: Method for Analyzing Logical Structure of Scenarios Methodologies Ch. 9: Discussions Ch. 10: Conclusions Discussing the methods and concluding this research Analyzing logical structure of scenarios Ch. 7: Method for Describing a Subscenario Based on What-if Analysis Executing what-if analyses on existing scenarios 図 1.3.1: 本 論 文 の 構 成

17 第 2 章 持 続 可 能 社 会 に 向 けたシナリオの 研 究

18 10 第 2 章 持 続 可 能 社 会 に 向 けたシナリオの 研 究 第 2 章 では, 既 存 の 持 続 可 能 社 会 に 向 けたシナリオ,および 既 存 のシナリオ 研 究 に 関 する 文 献 調 査 を 行 う.これらの 結 果 から, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するために 解 決 すべき 課 題 を 明 らか にする.

19 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 持 続 可 能 社 会 シナリオ シナリオの 定 義 と 意 義 一 般 的 に 知 られているシナリオは, 映 画 や 劇 における 一 連 の 動 作 や 場 面 の 順 序 を 表 すものであ る.シナリオが 将 来 の 意 思 決 定 のために 利 用 され 始 めたのは 第 二 次 世 界 大 戦 後 であり, 戦 争 の 戦 略 立 案 を 目 的 に 利 用 されたことがその 起 源 とされる[17][18]. 後 者 の 文 脈 では,シナリオは, 将 来 に 関 する 叙 述 的 な 記 述 と 現 在 を 一 連 の 因 果 関 係 によって 関 係 づけたもの と 定 義 される[17][19]. 表 2.1.1: 将 来 推 計 を 表 す 用 語 の 比 較 [12][20] Term projection forecast prediction scenario Descriptions A generic description regarding the future, which includes the concepts of forecast, prediction, and scenario. The projection that is the most likely to occur. A projection that is understood to be the best possible estimate on the basis of special knowledge. A variety of projections describing possible futures. 将 来 の 推 計 (projection) は 表 に 示 すように 予 測 予 報 (forecast), 予 言 (prediction),シ ナリオ (scenario) に 分 類 することができるが ( 表 参 照 ),その 中 でもシナリオの 特 徴 は, 決 し て 将 来 を 予 言 する (predict) ためではなく, 何 が 起 こりうるかを 調 べることが 目 的 である 点 にある [19][21].すなわち,シナリオの 本 質 は 起 こりうる 様 々な 将 来 を 描 くことにある[22]. 図 2.1.1: シナリオの 意 義

20 持 続 可 能 社 会 シナリオ 将 来 の 計 画 を 立 てるためにシナリオが 重 宝 される 理 由 は, 最 も 起 こりうる 単 一 の 将 来 を 想 定 する だけでは 幅 を 持 った 起 こりうる 将 来 に 対 応 することができないからである. 逆 に,シナリオを 使 わず に, 過 去 の 出 来 事 の 外 挿 などによってある 特 定 の 将 来 を 描 くような 予 測 (forecast) は 将 来 の 不 確 実 性 を 扱 うことはできない[23]. 予 測 はむしろ, 推 計 が 一 定 程 度 以 上 の 精 度 で 的 中 することが 見 込 める 事 象, 例 えば 天 気 予 報 などに 適 している.シナリオの 意 図 は, 図 に 示 すように 起 こりうる 様 々な 将 来 を 想 定 し,それらに 対 して 適 切 な 戦 略 を 決 定 することにある[22].そのために,シナリオ の 記 述 には 叙 述 的 な 文 章 とシミュレーションの 両 方 が 利 用 されることが 多 い.そこでは, 戦 略 や 行 動 といった 意 思 決 定 とその 結 果 に 関 する 過 程 を 文 章 により 明 示 することができる.このような 過 程 は, 必 ずしも 数 理 モデルとして 記 述 できるものではない. 結 果 的 に,シナリオの 作 成 およびシナリオの 定 期 的 な 修 正 によって, 将 来 を 望 ましい 状 況 に 近 づけるために 適 切 な 政 策, 戦 略 および 計 画 を 立 てるための 手 助 けができる 持 続 可 能 社 会 シナリオの 特 徴 地 球 環 境 問 題 に 関 するシナリオが 描 かれるようになったのは,1972 年 に 出 版 された Meadows ら による The Limits to Growth [1] 以 降 である.1970 年 代 に 行 われた 将 来 シナリオ 研 究 の 着 目 点 は, 世 界 人 口 および 経 済 と 自 然 資 源 の 制 約 の 関 係 であった.1980 年 代 には, 持 続 可 能 な 発 展 (sustainable development) の 観 点 から 地 球 システムに 関 するシナリオが 描 かれた ( 例 えば, Gallopin, et al.による global scenarios[27]).1990 年 代 では, 地 球 温 暖 化 に 着 目 した IPCC の 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオ[9]が 有 名 である. 本 研 究 では, 上 記 のシナリオのように, 地 球 環 境 問 題 を 含 んだ 持 続 可 能 性 の 観 点 から 社 会 の 将 来 について 議 論 するシナリオを 持 続 可 能 社 会 シナリオ と 呼 ぶ. 持 続 可 能 性 の 定 義 は 必 ずしも 定 まっていないが, 図 に 示 すように 少 なくとも 経 済, 環 境, 社 会 の 3 つの 要 素 を 含 むとされること が 多 い.これまでに 様 々な 持 続 可 能 社 会 シナリオが 描 かれているが,それらには 以 下 の 5 つの 特 徴 がある. 1. シナリオの 表 現 形 式 : 一 般 に 持 続 可 能 社 会 シナリオは, 持 続 可 能 社 会 の 将 来 の 状 況 (ビジョ ン) とそこに 至 るまでの 道 筋 を 文 章 として 記 述 したものである[24][27].そこでは,しばしば 叙 述 的 な 記 述 と 定 量 的 な 分 析 の 両 方 が 利 用 される. 定 量 的 な 分 析 ではシミュレーションが 多 く 用 いられ, 記 述 を 科 学 的 に 根 拠 付 けるために 利 用 される[12][25]. 例 えば,IPCC の 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオ[9]がその 典 型 例 である ( 詳 細 は 節 参 照 ). 2. 複 数 のサブシナリオ: 起 こりうる 複 数 の 将 来 社 会 を 記 述 するために, 持 続 可 能 社 会 シナリオは 個 々の 将 来 社 会 に 対 応 する 複 数 のサブシナリオから 構 成 される[22][24].この 理 由 は, 消 費

21 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 13 者 の 行 動 や 新 たな 技 術 開 発 の 動 向 が 不 明 瞭 なため, 将 来 を 正 確 に 予 期 することができない ためである. 3. 参 考 文 献 の 多 用 : IPCCの 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオ[9]に 見 られるように, 持 続 可 能 社 会 シナ リオの 記 述 では 科 学 的 な 検 証 可 能 性 を 担 保 するために 既 存 の 論 文 を 含 む 多 くの 参 考 文 献 が 引 用 される.IPCC のシナリオでは, 数 千 から 1 万 というオーダーの 参 考 文 献 がシナリオの 記 述 に 利 用 されている. 4. 対 象 問 題 の 多 様 性 : 対 象 とする 問 題 が 広 範 囲 である. 例 えば, 地 球 環 境 の 面 では 環 境 汚 染, 気 候 変 動, 資 源 問 題, 社 会 経 済 的 な 面 では 経 済, 人 口, 技 術 開 発 といった 要 因 が 含 まれる ( 図 参 照 )[24]. 5. 対 象 地 域 の 多 様 性 : 対 象 とする 社 会 のスケールが 様 々である[24].すなわち, 地 球 規 模, 地 域, 国 家, 地 方 自 治 体 など, 様 々なレベルにおける 持 続 可 能 性 の 見 方 が 存 在 する. 例 えば, 地 球 規 模 では 地 球 温 暖 化 の 問 題 が 頻 繁 に 取 り 上 げられる 一 方 で, 地 方 自 治 体 レベルでは 土 地 変 化, 生 物 多 様 性, 土 壌 汚 染 が 問 題 として 挙 げられる. 図 2.1.2: 持 続 可 能 性 の 構 成 要 素 [24] 上 記 の 中 で, 第 一 の 特 徴 は 持 続 可 能 社 会 シナリオの 意 義 にとって 重 要 であり, 単 なるシミュレー ションやゲームとシナリオの 違 いがここにある.ここで,シミュレーションは 将 来 の 異 なる 状 況 を 推 計 する 行 為 であり,そこではしばしば 実 世 界 を 外 挿 して 将 来 を 求 める[28].シミュレーションはモデル として 表 現 されることが 多 い[28].また,ゲームはシミュレーションと 多 くの 点 で 関 連 しているが,ゲー ムは, 競 技 者 が 他 の 競 技 者 やある 基 準 ( 例 えば,タスクを 10 分 以 内 に 完 了 させるなど) を 巡 って

22 持 続 可 能 社 会 シナリオ 競 争 するという 目 的 を 持 った 行 為 である[28].このような 目 的 が 設 定 されたときのシミュレーションは, ゲームと 見 なすことができる[28] 節 で 述 べたように,シナリオは 起 こりうる 複 数 の 将 来 の 状 況 を, 叙 述 的 な 記 述 と 定 量 的 な 分 析 の 両 方 を 利 用 することによって 想 定 する.シナリオにおける 叙 述 的 な 記 述 は, 将 来 に 対 する 定 性 的 な 要 因 を 表 現 する.このような 記 述 は 数 学 的 なモデルで 表 せない 将 来 の 状 況 ( 例 えば, 消 費 者 の 価 値 観, 消 費 者 のふるまいや 法 制 度 ),または 将 来 選 択 しうる 戦 略 や 行 動 などを 扱 う.その 一 方 で,シナリオにおける 定 量 的 な 分 析, 主 にシミュレーションは 記 述 内 容 に 科 学 的 な 厳 密 さを 与 える. この 結 果,シナリオは 様 々な 条 件 のもとで 将 来 を 描 くことができ,さらにシミュレーションに 基 づいて 個 々の 将 来 を 詳 細 に 分 析 することが 可 能 になる.その 一 方 で,シミュレーションやゲームは, 入 力 条 件 がどのような 状 況 を 想 定 して 設 定 したかを 明 示 的 に 表 現 できない 点 でシナリオとは 異 なる.む しろ, 文 章 表 現 を 伴 わない 単 なるシミュレーションは, 感 度 分 析 によって 影 響 の 大 きな 要 因 を 特 定 するために 有 用 である.さらにシミュレーションは, 既 によく 理 解 されている 単 純 な 現 象 やシステム を 短 い 期 間 内 で 予 測 するためにも 適 しているが, 長 期 にわたる 将 来 の 社 会 システムを 正 確 に 予 測 することはほぼ 不 可 能 である シナリオの 分 類 シナリオに 対 しては 様 々な 分 類 方 法 が 提 案 されているが[25][26][29], 多 くの 文 献 に 共 通 した 分 類 基 準 は,(1) 定 性 的 なシナリオと 定 量 的 なシナリオ,(2) フォアキャスティングシナリオ (forecasting scenario) とバックキャスティングシナリオ (backcasting scenario) の 2 点 である.それぞ れについて 以 下 に 示 す. 定 性 的 なシナリオと 定 量 的 なシナリオ 定 性 的 なシナリオは, 数 値 的 な 推 計 よりも 語 句 や 記 号 の 形 式 で 起 こりうる 将 来 を 記 述 するのに 対 して, 定 量 的 なシナリオは 数 値 的 な 情 報 を 図 表 の 形 式 で 表 現 するものである[25]. 定 性 的 なシナリ オと 定 量 的 なシナリオの 長 所 と 短 所 をそれぞれ 表 にまとめる 節 で 述 べたように, 持 続 可 能 社 会 シナリオでは 定 性 的 な 記 述 に 定 量 的 な 情 報 が 組 み 合 わされることが 多 い.その 理 由 は, 表 に 示 した 定 性 的 定 量 的 なシナリオの 短 所 を 他 方 の 長 所 によって 補 完 するためである.す なわち, 定 性 的 定 量 的 な 要 素 を 組 み 合 わせたシナリオは, 叙 述 的 な 文 章 として 記 述 することによ って 人 間 にとっての 理 解 しやすさを 担 保 するとともに,シミュレーション 等 による 数 値 的 な 分 析 によ って 将 来 の 状 況 を 詳 細 に 記 述 できる.

23 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 15 表 2.1.2: 定 性 的, 定 量 的 なシナリオの 比 較 [25] Type Strength Weakness qualitative scenario Qualitative scenarios can easily incorporate opinions of various stakeholders and experts, as well as Qualitative scenarios do not provide detailed or numerical information (e.g., air pollution level). future conditions that are not represented in a numerical form. These scenarios are easy to understand since they are written in a narrative form, rather than solely numerical information and graphs. quantitative scenario Quantitative scenarios are capable In general, mathematical models of in-depth analysis by means of used in quantitative scenarios mathematical models. While such encompass implicit hypotheses. This models can deal with complex may narrow a range of futures that physical phenomena, they provide are described in scenarios. scientific rigor to scenarios. フォアキャスティングシナリオとバックキャスティングシナリオ フォアキャスティングシナリオとバックキャスティングシナリオの 違 いは, 描 写 する 将 来 の 始 点 の 置 き 方 である.フォアキャスティングシナリオは, 現 在 を 始 点 としてある 将 来 までの 道 筋 を 描 く. 一 方 で, バックキャスティングシナリオはある 定 められた 将 来 像 ( 例 えば, 望 ましい 将 来 または 望 ましくない 将 来 ) から 現 在 またはある 将 来 までの 道 筋 を, 図 に 示 すように 時 間 の 流 れとは 逆 方 向 に 描 く [30].それぞれのシナリオの 長 所 と 短 所 を 表 にまとめる. 特 にバックキャスティングは, 対 象 と するシステムが 複 雑 で,かつ 現 在 の 傾 向 や 行 動 そのものが 解 くべき 問 題 の 発 生 要 因 となっている 場 合 に 有 効 な 手 法 である[31][32]. 例 えば,2050 年 に 持 続 可 能 社 会 を 実 現 するために 必 要 な 社 会 変 化 あるいは 政 策 を 検 討 するといった, 長 期 間 で 社 会 に 大 きな 転 換 が 必 要 な 問 題 に 適 している.

24 持 続 可 能 社 会 シナリオ 図 2.1.3: フォアキャスティングとバックキャスティング 表 2.1.3: フォアキャスティング,バックキャスティングシナリオの 比 較 [32][33] Type Strength Weakness forecasting scenario Futures can be described by Described futures are influenced by extrapolating the present situation. the present situation, and it is not guaranteed whether those futures meet a particular goal, which is set up by stakeholders involved. backcasting scenario Futures and pathways from the Backcasting scenarios are more present to them can be described difficult to compose than forecasting free of any constraints including the scenarios since backcasting is present situation. Backcasting recognized as the form of inverse scenarios are thus capable of problem from a mathematical embedding quantum leaps from the perspective. present into described futures 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオの 例 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオシナリオの 例 を 表 に 示 す 節 に 示 した 2 種 類 の 分 類 に したがって 整 理 すると, 定 性 的 定 量 的 な 記 述 を 組 み 合 わせたシナリオが 多 く,フォアキャスティン グに 基 づいて 描 かれたものが 多 い. 表 に 示 したシナリオのうち,IPCC のシナリオ[9], Millennium Assessment (MA) Report[39],2050 日 本 低 炭 素 社 会 シナリオ[11]の 概 要 をそれぞれ 以 下 に 述 べる.

25 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 17 1 表 2.1.4: 持 続 可 能 社 会 シナリオの 例 Scenario name SRES IMAGE scenarios IIASA scenarios Global Environment Outlook Global scenarios World Energy Outlook (WEO) WBCSD Global Scenarios World Water Vision Millennium Assessment (MA) Report Theme Climate change Global environmental change Future environments of Europe Global environment Sustainability of the global system Future energy supply and demand Business and sustainability Freshwater crisis Ecosystem services and human well-being FutMan Scenario Future of manufacturing in Europe Low Carbon Lifestyle Japanese changes by Lifestyle in 2050 introducing IT 2050 Japan LowCarbon Society Scenario Resource/Waste Management System Scenario Japan s greenhouse gas emissions Resource & waste management Type of scenario (qualitative/ quantitative) Type of scenario (forecasting/ backcasting) Number of scenarios combined forecasting 4 scenario families quantitative forecasting 14 scenarios References IPCC (2007)[9] Alcamo, et al. (1996)[35] combined forecasting Approx. 4 scenarios 2 Stigliani, et al. (1989)[36] combined forecasting 4 scenarios UNEP (2002)[34] combined forecasting 6 scenarios Gallopin, et al.(1997)[27] qualitative forecasting 2 scenarios IEA (2009)[10] combined forecasting 3 scenarios WBCSD (1997)[37] combined combined 2 scenarios Cosgrove and Rijsberman (2000)[38] combined forecasting 4 scenarios Findings of the Scenarios WG (2005)[39] qualitative forecasting 4 scenarios Geyer, et al. (2003)[40] qualitative backcasting (future visions only) 4 scenarios Fujimoto (ed) (2007)[41] combined backcasting 2 scenarios Nishioka (ed) (2008)[11] qualitative forecasting 4 scenarios Hashimoto, et al. (2009)[42] 1 Alcamo [25]によるシナリオの 整 理 方 法 を 参 考 に, 筆 者 がシナリオを 追 加 した. 2 IIASA のシナリオ[33]にはいくつかの 異 なるトピックに 関 するシナリオが 描 かれており,トピックごとのシ ナリオの 平 均 値 が 約 4 本 である.

26 持 続 可 能 社 会 シナリオ Special Report on Emissions Scenarios (SRES) IPCC による Special Report on Emissions Scenarios (SRES)[9]は, 地 球 温 暖 化 に 対 する 温 室 効 果 ガスの 影 響 を 分 析 するために, 幅 広 いシナリオを 作 成 している.SRES は A1,A2,B1,B2 の 4 つのシナリオファミリーから 構 成 されているが,それぞれのシナリオファミリーを 特 徴 づける 仮 定 を 他 のサブシナリオと 対 比 的 に 記 述 した ストーリーライン は 表 のとおりである. 各 シナリオファミリ ーに 対 して, 表 に 示 すように 合 計 6 つのモデリンググループによって 合 計 40 本 のシナリオが 作 成 されており, 各 シナリオのシミュレーション 結 果 を 図 のように 導 出 している.これらのシナ リオでは 政 策 の 導 入 による 効 果 を 考 慮 せず, 温 室 効 果 ガスの 排 出 量 とそれによる 気 温 上 昇 を 算 出 している. 例 えば,A1 シナリオファミリーでは, 相 対 的 に 経 済 成 長 速 度 が 速 く, 人 口 増 加 速 度 は 低 く, 技 術 開 発 の 開 発 速 度 は 速 いと 仮 定 している.これらの 仮 定 を 定 量 化 することによって,シミュレ ーション 結 果 を 導 出 している.シミュレーション 結 果 の 気 温 上 昇 はシナリオごとに 異 なるが,どのシ ナリオでも 2000 年 以 降 の 気 温 は 2000 年 に 比 べて 高 くなる. 図 2.1.4: IPCC シナリオのシミュレーション 結 果 [9]

27 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 19 表 2.1.5: SRES における 各 シナリオファミリーのストーリーライン[9] Scenario Family A1 Family A2 Family B1 Family B2 Family Descriptions The A1 storyline and scenario family describes a future world of very rapid economic growth, global population that peaks in mid-century and declines thereafter, and the rapid introduction of new and more efficient technologies. The A2 storyline and scenario family describes a very heterogeneous world. The underlying theme is self reliance and preservation of local identities. Fertility patterns across regions converge very slowly, which results in continuously increasing population. Economic development is primarily regionally oriented and per capita economic growth and technological change more fragmented and slower than other storylines. The B1 storyline and scenario family describes a convergent world with the same global population, that peaks in mid-century and declines thereafter, as in the A1 storyline, but with rapid change in economic structures toward a service and information economy, with reductions in material intensity and the introduction of clean and resource efficient technologies. The emphasis is on global solutions to economic, social and environmental sustainability, including improved equity, but without additional climate initiatives. The B2 storyline and scenario family describes a world in which the emphasis is on local solutions to economic, social and environmental sustainability. It is a world with continuously increasing global population, at a rate lower than A2, intermediate levels of economic development, and less rapid and more diverse technological change than in the B1 and A1 storylines. While the scenario is also oriented towards environmental protection and social equity, it focuses on local and regional levels.

28 持 続 可 能 社 会 シナリオ 表 2.1.6: SRES における 各 シナリオの 設 定 [9] Set SRES Family A1 A2 B1 B2 Total Scenario A1C A1G A1B A1T A2 B1 B2 Group Globally Harmonized Scenarios Other Scenarios Total Scenarios (Different Models (3) (3) (6) (3) (5) (6) (6) (6) Used) Scenario characteristics Population growth low low low low high low medium - GDP growth very very very very high high high high medium high medium - Energy use very very very high high high high high low medium - Land- use low- low- medium/ low low changes medium medium high high medium - Resource availability high high medium medium low low medium - Pace and medium direction of rapid efficiency medium rapid rapid rapid slow technological non- & dynamics coal oil & gas balanced regional change fossils demateria as usual - favoring lization 2050 日 本 低 炭 素 社 会 シナリオ 2050 日 本 低 炭 素 社 会 シナリオはバックキャスティングシナリオであり, 最 初 に 2050 年 の CO2 排 出 量 を 1990 年 比 で 70% 削 減 する 社 会 を 望 ましい 将 来 として 設 定 している[11].そのような 社 会 の 将 来 像 およびそこに 至 る 道 筋 として,2 つのシナリオを 作 成 した( 表 参 照 ).それぞれのシナリオ

29 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 21 で 約 400 の 技 術 リストから,サービスに 係 るエネルギー 需 要 と 低 炭 素 目 標 を 満 足 する 技 術 を 選 択 し た.それぞれのシナリオについて, 技 術 導 入 による CO2 削 減 量 を 積 み 上 げた 結 果,CO2 排 出 量 を 70% 削 減 した 低 炭 素 社 会 が 技 術 の 導 入 によって 実 現 可 能 であることを 示 した. 表 2.1.7: 2050 年 の 日 本 を 表 す 2 つのシナリオ[11] Item Scenario A: Active, quick-changing, and technology oriented society Scenario B: Calmer, slower, and nature oriented society Feature Technology-driven Nature-oriented Community Urban/Personal Decentralized/Community Production Technology breakthrough, Centralized Self-sufficient, Produce locally, system production/recycle consume locally Lifestyle Comfortable and convenient Social and cultural values Economic growth rate 2%/year of GDP per capita growth 1%/year of GDP per capita growth Millennium Assessment (MA) Report Millennium Assessment (MA) Report では, 将 来 の 生 態 系 サービスと 人 間 の 幸 福 (well-being) の 関 係 がシナリオとして 描 かれている[39].ここで 対 象 とする 生 態 系 は, 自 然 林 や 風 景 から 農 業 用 地 や 都 市 まで 様 々なものを 含 む. 一 方 で, 人 間 が 享 受 する 生 態 系 サービスは, 食 料, 水, 気 候 等 である ( 図 参 照 ).MA Report では, 生 態 系 サービスのための 将 来 世 界 を 探 索 するために,4 本 のシナリオが 描 かれている. 各 シナリオの 仮 定 の 概 要 を 表 に 示 す.これらのシナリオの 比 較 から, 国 際 協 力 を 推 進 することが 人 類 全 体 の 幸 福 を 向 上 させるために 有 効 であるものの,コスト が 高 くつく 可 能 性 があるという 結 論 が 導 出 されている.

30 持 続 可 能 社 会 シナリオ 図 2.1.5: 生 態 系 サービスと 人 間 の 幸 福 の 関 係 [39]

31 2.1 持 続 可 能 社 会 シナリオ 23 表 2.1.8: MA Report における 各 シナリオの 設 定 と 評 価 [39] Factors Scenarios Global Orchestration Order from Adapting Mosaic Techno Garden Strength Population growth low high moderate low Nutrition good low in poorer moderate good countries Sanitation good low in poorer moderate good countries Exposure to low high moderate (but with low (but new non-developed strong learning) ecosystems are ecosystems created) Management of high high in richer high high known environmental countries; low in poorer countries risks Monitoring for low low high high unexpected environmental risks Ability to detect high for expected low high high and control outbreaks; low for outbreaks locally unexpected Global high very low low high cooperation to control outbreaks Overall good outlook if assessment optimistic assumptions are met - high risks if assumptions not met poor outlook for good outlook for good outlook if poor countries; substantial risks to wealthy countries if inequalities are not kept within manageable bounds dealing with local problems; technology successful; is low substantial risks risks of from broad-scale manufactured outbreaks until diseases but the cooperation consequences among local could be entities is devastating established

32 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 2.2 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 シナリオ 作 成 研 究 初 期 のシナリオは 政 治 および 軍 事 の 目 的 のために 作 成 されていた[43].シナリオが 企 業 を 含 む 広 い 分 野 で 利 用 されるきっかけとなったのは,1970 年 代 に Royal Dutch Shell が 作 成 した 石 油 危 機 に 関 するシナリオである[44].そこでは, 中 東 の 情 勢 不 安 による 石 油 価 格 が 高 騰 した 場 合 をシナリ オとして 想 定 することによって,Royal Dutch Shell は 石 油 危 機 の 難 局 を 切 り 抜 けることができ, 結 果 的 に 世 界 第 二 位 のメジャーになることができたといわれている. Royal Dutch Shell の 例 のように, 将 来 の 事 業 環 境 に 関 する 複 数 のシナリオを 想 定 し,その 上 で 自 社 の 戦 略 を 策 定 する 手 法 はシナリオプランニングと 呼 ばれる[45][46].シナリオプランニングでは, 図 に 示 すような Shell/Global Business Network (GBN) Matrix が 頻 繁 に 用 いられ, 不 確 実 性 と 重 要 度 がともに 高 い 2 本 の 軸 (キードライバー) の 変 化 に 沿 って 4 つの 将 来 が 描 かれる[22][47]. このマトリックスを 用 いたシナリオ 作 成 アプローチは gold standard of corporate scenario generation と 見 なされるほど, 現 在 最 も 利 用 されている 手 法 のひとつである[48]. Scenario B Key Driver #2 Scenario A Key Driver #1 Scenario C Scenario D 図 2.2.1: Shell/GBN Matrix

33 2.2 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 25 シナリオプランニングの 手 順 は, 以 下 の 4 段 階 からなる[49]. 1. 情 報 収 集 とドライビングフォースの 抽 出 社 会 の 変 化 動 向 をとらえるための 情 報 を 収 集 し,その 中 から 経 営 戦 略 に 影 響 を 与 える 変 化 要 因 (ドライビングフォースまたはドライバー) を 抽 出 する. 2. シナリオ 軸 の 決 定 手 順 1 でリストアップしたドライバーの 中 から, 特 に 重 要 性 が 高 く, 不 確 実 性 が 高 いものを 抽 出 す る.このようなドライバーのことを,キードライビングフォースまたはキードライバーと 呼 ぶ.キードライ バーの 抽 出 では, 必 要 に 応 じて 感 度 分 析 を 実 施 する.キードライバーは 通 常 2 個 抽 出 し,それらを シナリオの 骨 格 とする. 3. シナリオ 作 成 キードライバーの 組 み 合 わせで 複 数 のシナリオを 作 成 する.キードライバーが 2 個 の 場 合 は, 図 のように 4 本 のシナリオを 作 成 する. 4. 先 行 指 標 の 設 定 と 監 視 各 シナリオの 発 生 (unfold) を 示 す 先 行 指 標 (early warning signs) を 選 ぶ. 先 行 指 標 を 監 視 す ることにより, 現 実 の 将 来 がどのシナリオに 接 近 するかを 把 握 し,そのシナリオに 対 応 する 戦 略 を 迅 速 に 実 施 する. 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 する 場 合 には,シナリオプランニングの 手 法 にシミュレーションを 組 み 合 わせることが 多 い.Alcamo[25]は, 定 性 的 な 記 述 と 定 量 的 な 分 析 に 基 づいて 将 来 のシナリ オを 描 くための 手 法 として,story-and-simulation approach を 提 案 している.このアプローチに 基 づ いて,Jäger, et al.[50]はフォアキャスティング 型 の 持 続 可 能 社 会 シナリオ 作 成 プロセスを 提 案 した (2.2.2 節 参 照 ). 一 方 で,2.2.3 節 で 述 べるようにバックキャスティング 型 のアプローチも 提 案 されてい るが[30][32],その 作 成 プロセスはフォアキャスティング 型 に 比 べると 十 分 に 手 順 化 されていない. また,シナリオ 作 成 プロセスで 利 用 できるシナリオ 作 成 技 法 が,Shell/GBN Matrix 以 外 にもいくつ か 提 案 されている (2.2.4 節 参 照 ).それに 加 えて, 既 存 シナリオの 集 積 によってシナリオ 作 成 を 支 援 するというアプローチも 採 られている (2.2.5 節 参 照 ) フォアキャスティングシナリオ 作 成 手 順 Jäger, et al.[50]は,shell/gbn Matrix と story-and-simulation approach を 組 み 合 わせた 持 続 可 能 社 会 シナリオ 作 成 手 法 を 提 案 している.この 手 法 は,IPCC の SRES[9]を 作 成 する 際 に 用 いられた 手 法 と 同 様 である. 図 に 示 すように,シナリオ 作 成 プロセスは 以 下 の 4 段 階 で 構 成 される.

34 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 1. シナリオの 目 的 と 構 成 の 明 確 化 : シナリオで 記 述 すべきテーマ 対 象 や,シナリオに 関 わるステ ークホルダーを 決 定 する. 2. シナリオの 骨 格 の 作 成 : シナリオで 描 かれる 将 来 に 影 響 を 与 える 変 化 要 因 (ドライバー) をリス トアップし,その 中 から 重 要 性 と 不 確 実 性 の 点 でクリティカルなものをキードライバーとして 抽 出 する (キードライバーの 個 数 は, 作 成 者 の 理 解 の 観 点 から 2 個 が 推 奨 される).キードライバー を 軸 として, 図 の 要 領 でシナリオの 骨 格 を 作 成 する. 3. シナリオの 記 述 と 検 討 : 手 順 2 で 作 成 したシナリオの 骨 格 を 詳 細 化 する.その 段 階 では,シミュ レーションを 利 用 した 定 量 的 な 分 析 を 実 施 する.この 分 析 により,シナリオ 内 部 の 矛 盾 を 取 り 除 く. 記 述 したシナリオに 基 づいて, 様 々な 政 策 の 実 行 可 能 性 や 効 果 を 検 討 する. 4. コミュニケーションとアウトリーチ: シナリオに 関 わるすべてのステークホルダーとシナリオの 内 容 を 共 有 し,さらに 内 容 について 議 論 する. 図 2.2.2: シナリオ 作 成 プロセス[50] 上 記 の 手 順 の 中 でも, 将 来 における 各 ドライバーの 傾 向 を 判 断 しなければならない 手 順 2 が 最 も 厄 介 である.そこでは, 各 ドライバーの 過 去 の 傾 向,および 各 ドライバーに 関 連 するデータを 収 集 することによって, 将 来 の 挙 動 について 何 らかの 仮 説 を 立 てる 必 要 がある[51].

35 2.2 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 バックキャスティングシナリオ 作 成 手 順 Robinson[30]は,ある 定 められた 将 来 ( 例 えば, 望 ましい 将 来 または 望 ましくない 将 来 ) から 現 在 までの 道 筋 を 描 く 手 法 として,バックキャスティングシナリオの 作 成 手 順 を 提 案 した.その 手 順 は 以 下 の 1~6 である. 1. シナリオの 目 的 を 決 定 する. 2. シナリオの 目 標 と 制 約 を 設 定 する. 3. 現 在 のシステムを 記 述 する. 4. 外 部 要 因 (exogenous variables) を 特 定 する. 5. シナリオで 記 述 する 将 来 における, 最 終 時 点 と 中 間 時 点 の 将 来 を 分 析 することにより,シナリオ を 記 述 する. 6. シナリオを 社 会, 経 済, 環 境 面 の 影 響 について 分 析 し, 手 順 2 で 設 定 した 目 標 を 満 足 するまで 分 析 を 繰 り 返 す. しかしながら,Robinson[30]は 手 順 に 沿 ったバックキャスティングシナリオ 作 成 の 例 を 示 しておらず, そこで 提 案 された 手 法 の 有 効 性 は 十 分 に 検 証 されていない. これに 対 して, 手 順 の 一 般 化 は 十 分 になされていないものの,バックキャスティングのアプローチ を 実 例 に 適 用 した 試 みは 他 の 研 究 者 によっていくつか 示 されている[52][53][54]. 例 えば,Mander, et al.[53]は,2050 年 までに CO2 を 1990 年 比 で 60% 削 減 させるという 目 標 のもとに,UK における 将 来 のエネルギーシナリオを 描 いた.そこでは,2050 年 の 脱 炭 素 化 エネルギーシステムについて 複 数 の 将 来 像 を 描 き,それらの 個 々の 将 来 像 に 至 る 道 筋 を,2015 年,2030 年 という 2 つの 中 間 地 点 を 描 くことによって 表 現 した.シナリオ 作 成 はワークショップ 形 式 で 行 われ,2015 年 と 2030 年 を 望 ましい 状 態 にするための 政 策 が 技 術 やインフラ 等 の 観 点 から 検 討 された.Mander, et al.[53]による バックキャスティングシナリオの 作 成 手 順 は 以 下 のとおりである ( 図 参 照 ). 1. 将 来 の 目 標 を 設 定 する ( 例 えば,2050 年 の CO2 排 出 量 を 1990 年 比 で 60% 削 減 する). 2. 目 標 を 実 現 するような 望 ましい 将 来 を 複 数 本 想 定 する ( 例 えば,2050 年 に CO2 排 出 量 を 60% 削 減 した 社 会 として,エネルギー 需 要 が 社 会 経 済 の 状 況 に 応 じて 異 なった 4 本 の 将 来 を 描 く. このうちエネルギー 需 要 の 最 も 多 い 将 来 では, 原 子 力 を 大 規 模 に 展 開 することを 想 定 する). 3. 手 順 2 で 設 定 したそれぞれの 将 来 について,その 将 来 を 実 現 するための 中 間 の 将 来 を 現 在 と の 間 にいくつか 想 定 する. 4. 望 ましい 将 来, 現 在, 中 間 の 将 来 の 間 を 接 続 するための 道 筋 を 描 く.

36 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 図 2.2.3: バックキャスティングシナリオの 作 成 イメージ 種 々のシナリオ 作 成 技 法 Bishop, et al.[55]は,シナリオ 作 成 の 際 に 利 用 できる 様 々な 技 法 を 文 献 調 査 に 基 づいて 8 種 類 に 分 類 し,それぞれの 長 所 と 短 所 を 整 理 した ( 表 参 照 ).このうち 3 つの 技 法 について 以 下 に 述 べる. 1 Mander, et al.[53]の 記 述 をもとに 筆 者 が 作 成 した.

37 2.2 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 29 表 2.2.1: シナリオ 作 成 技 法 の 長 所 と 短 所 [55] Technique Advantages Disadvantages 1. Judgment (Genius, visualization, sociodrama, Coates and Jarratt) 2. Baseline (Trend extrapolation, Manoa, systems scenarios, trend impact analysis) 3. Elaboration of fixed scenarios (Incasting, SRI matrix) 4. Event sequences (Probability trees, sociovision, divergence mapping, future mapping) 5. Backcasting (Horizon mission methodology, impact of future technologies) 6. Dimensions of uncertainty (Morphological analysis, field anomaly relaxation, GBN, option development and option evaluation, MORPHOL) 7. Cross-impact analysis (IFS, MIC-PROB-EXPERT) 8. Systems modeling (Sensitivity analysis, dynamic scenarios) Easy to do Taps into intuitive understanding of the future Genius, Coates and Jarratt requires no special training or preparation Visualization, sociodrama can lead to novel insights and revelations Easiest for client/audience to accept because generally expected already Manoa highly elaborated, creative, lots of detail Systems scenarios shows dynamic relationships among scenario elements Trend impact links events with trends Easiest for client/audience participation because scenario kernels/logics are done for them Provides in-depth elaboration of alternative scenarios Tells the story in the usual way, as a series of events If probabilities at each branch point are known, can calculate the probability of end-states Creative because it decreases the tendency to extrapolate the future based on the past and the present; therefore can provide new insights Also results in a sequence of events or breakthroughs Best for considering alternative futures as a function of known uncertainties GBN the right mix of technical sophistication and ease of use for a professional audience OD/OE allows for the calculation of consistency among different combinations of alternatives (scenarios) MORPHOL allows for the reduction of scenario combinations by the exclusion and likelihood of some pairs of alternatives; also allows for calculating the probabilities of different scenarios if the probabilities of the alternatives are known Calculates the final probabilities of alternatives or end-states based on rigorous mathematical procedure SMIC adjusts the matrix of conditional probabilities for consistency with the laws of probability IFS allows for quantitative analysis of alternative future values of important variables Creates the best quantitative representation of continuous variables that describe the future state Difficult to do well Opaque, not transparent Genius, Coates and Jarratt relies on the credibility of the individual Visualization, sociodrama requires some training and experience to do well; clients may resist relaxation or dramatic techniques No alternative scenarios proposed Manoa, systems scenarios futures wheel, cross-impact, and causal models require some training and experience to do well Trend impact requires judgment to estimate impacts, best done with group of experts, perhaps using Delphi Generic scenario kernels/logics might not be relevant to client/audience; therefore less buy-in SRI Matrix many have an intuitive sense of the best-case and worst-case scenarios already; filling in the cells of the matrix with many rows (domains) might become tedious Probability trees, sociovision events/branch points usually do not follow each other in a fixed sequence Divergence mapping events are not always easy to classify according to time horizon Future mapping pre-defined end-states and events might not be relevant to the client/audience Fantastical nature of the mission or end-state might reduce buy-in for client/audience Impact of Future Technologies process for developing signposts and recommendations still opaque Less creative because may not consider some novel developments that are not currently considered uncertain GBN almost impossible to fully characterize the uncertainties of the future with just two dimensions OD/OE, MORPHOL almost impossible to make valid estimates of the compatibility or influence of all alternatives against all other alternatives Almost impossible to validly estimate the conditional probabilities or impacts of all alternatives against the others Difficult to validate the models without complete historical data

38 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 4. Event sequences: Probability trees 確 率 木 (probability tree) は 決 定 木 (decision tree) と 同 じ 表 現 形 式 であるが, 確 率 木 の 枝 は 何 が 起 こりうるのかを 表 すのに 対 して, 決 定 木 の 枝 はどのような 決 定 (decision) を 下 すのかを 表 す. 確 率 木 の 末 端 は, 決 定 の 経 路 によって 生 じる 将 来 の 異 なる 状 況 を 表 す. 個 々の 決 定 に 対 応 するそ れぞれの 枝 に 確 率 を 規 定 することによって, 最 終 状 態 の 生 起 確 率 をそのパス 上 のそれぞれの 枝 に 付 与 された 確 率 の 積 として 計 算 する. 確 率 木 はリスクマネジメントにも 用 いられる. 6. Dimensions of uncertainty: Morphological analysis Morphological analysis は, 将 来 に 影 響 を 与 える 複 数 の 変 化 要 因 をリストアップし,それらの 組 み 合 わせとして 複 数 の 将 来 を 描 く 手 法 である.Shell/GBN Matrix[47]は Morphological analysis の 一 手 法 である.Shell/GBN Matrix ではキードライバーが 2 個 に 限 定 されるが,Morphological analysis では 任 意 個 のキードライバーが 選 択 される[56]. 8. Systems modeling: Dynamic scenarios Dynamic scenario は,シナリオ 作 成 とシステム 分 析 を 組 み 合 わせたものである[57].システム 分 析 では,シナリオのテーマに 関 連 する 要 素 をブレーンストーミングによりリストアップし,それらを 因 果 ネットワーク[58]にマッピングすることによって,シナリオで 記 述 すべき 対 象 システムを 定 義 する. 因 果 ネットワークは, 図 に 示 すようにシステムを 要 素 (ノード) とリンクにより 表 現 する.リンクは, 要 素 間 の 正 および 負 の 因 果 関 係 をそれぞれ positive (+) と negative (-) として 表 現 する.ループ 構 造 は, 要 素 間 の 作 用 が 相 互 に 強 化 されるポジティブフィードバックと, 要 素 間 が 相 互 に 反 作 用 する ネガティブフィードバックの 2 種 類 に 分 類 される. 図 では, 出 生 率 と 人 口 間 のポジティブフィ ードバックと, 人 口 と 死 亡 率 の 間 のネガティブフィードバックが 描 かれている.Dynamic scenario の 作 成 では, 因 果 ネットワークの 各 要 素 に 値 を 設 定 することによって,シナリオを 詳 細 化 し,さらに 文 章 として 記 述 する.しかし,Dynamic scenario では 因 果 ネットワークとシナリオの 記 述 の 間 の 関 係 が 必 ずしも 明 確 でないため,それらの 間 の 妥 当 性 の 検 証 が 容 易 でないという 課 題 がある.

39 2.2 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 31 図 2.2.4: 因 果 ネットワークの 例 [58] 上 記 に 挙 げた 技 法 のほかにも, 事 業 戦 略 を 立 案 するためのツールとして SWOT (Strength, Weakness, Opportunity, Threat) analysis[59]や PEST (Political, Economic, Social, Technological) analysis[46]が 知 られており, 企 業 が 将 来 戦 略 を 考 えるためのシナリオを 作 成 する 際 に 用 いられる. また, 企 業 が 持 続 可 能 なビジネス (sustainable business) を 設 計 するためのシナリオ 作 成 を 支 援 す るために,Kondoh[60]は 因 果 ネットワーク 上 で 持 続 可 能 なビジネスのパターンを 抽 出 し,シナリオ の 骨 格 を 因 果 ネットワークとして 作 成 するというアプローチを 提 案 している 既 存 の 温 室 効 果 ガス 排 出 シナリオの 集 積 国 立 環 境 研 究 所 は,IPCC による SRES[9]の 作 成 のために, 既 存 の 700 種 類 以 上 の 温 室 効 果 ガ ス 排 出 シナリオをデータベース 化 して 一 般 に 公 開 している ( 図 参 照 )[61].ここで 言 うシナリオ とは,ある 指 標 ( 例 えば,CO2 排 出 量 ) に 対 する 時 系 列 のシミュレーション 結 果 を 指 し,それらの 結 果 がシミュレーションの 対 象 地 域 と 利 用 したモデルごとに 整 理 されている.このデータベースにはシ ナリオの 出 典 が 収 録 されているため, 結 果 の 検 証 や 新 規 シナリオ 作 成 のための 参 考 情 報 として 有 用 である.

40 シナリオ 作 成 の 関 連 研 究 図 2.2.5: IPCC Emission Scenario Database[61] その 一 方 で,シナリオの 記 述 に 利 用 されたシミュレータは 公 開 されたアーカイブに 収 集 されてい ないため,シミュレータの 再 利 用 によって,シナリオの 前 提 条 件 を 変 化 させたときの 結 果 を 検 討 する ことはできない.

41 2.3 持 続 可 能 社 会 シナリオの 評 価 基 準 持 続 可 能 社 会 シナリオの 評 価 基 準 持 続 可 能 社 会 シナリオの 評 価 は, 基 本 的 には 参 加 型 のシナリオ 作 成 プロセス[62][63]において, シナリオに 関 係 するステークホルダー 間 の 合 意 に 基 づいて 決 定 される.その 理 由 は,ライフスタイ ルに 代 表 されるように, 持 続 可 能 性 の 評 価 は 個 人 の 価 値 観 によって 異 なるものであって, 絶 対 的 ま たは 科 学 的 に 決 めることができないからである.このように, 必 ずしも 客 観 的 ではなく, 様 々なステ ークホルダー 間 の 合 意 によってシナリオが 評 価 されるという 前 提 のもとで, 良 いシナリオ の 評 価 基 準 がいくつか 提 案 されている[19][62][64].そのうち, 主 なものを 以 下 に 記 す. 信 ぴょう 性 (credibility): 読 み 手 にとってシナリオに 説 得 力 があるか.シナリオの 利 用 者 がシナ リオの 仮 定 やメッセージを 理 解 するためには, 十 分 な 文 書 化 とともにシナリオの 透 明 性 が 必 要 で ある[35].すなわち,シナリオ 文 章 の 論 理 の 筋 道 が 明 瞭 であることが 重 要 である[19][62][64].ま た, 信 ぴょう 性 はシナリオの 内 部 整 合 性 に 依 存 する[35]. 内 部 整 合 性 を 担 保 するにはモデルの 利 用 が 手 段 のひとつであり[35], 現 在 のところ,シミュレーションが 信 ぴょう 性 を 高 めるための 代 表 的 な 手 段 である[12]. 包 括 性 (comprehensiveness): 将 来 の 不 確 実 性 に 対 処 するために, 起 こりうる 様 々な 将 来 がシ ナリオで 描 き 切 れているか[22][62].それと 同 時 に, 持 続 可 能 性 に 関 連 する 様 々な 視 点 を 描 くた めに, 多 重 の 俯 瞰 性 を 持 ったシナリオが 作 成 されるべきである[65]. 創 造 性 (creativity): シナリオが 読 み 手 にとって 興 味 深 いものであり, 将 来 をイメージするために 役 立 つか. 創 造 性 を 持 った 革 新 的 なビジョンを 描 くことができれば, 将 来 の 可 能 性 を 広 げること ができる[62]. 正 当 性 (legitimacy): シナリオの 利 用 者 にとって,その 内 容 およびシナリオの 作 成 プロセスが 公 平 であるか[64]. 関 連 性 (relevance): シナリオの 利 用 者 にとって 十 分 に 興 味 深 く, 意 思 決 定 に 影 響 を 与 えること ができるか[19].

42 第 2 章 のまとめ 2.4 第 2 章 のまとめ 本 章 では, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 特 徴 と, 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオの 例 をいくつか 示 し た.さらに, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 作 成 に 関 連 した 既 存 研 究 について 述 べた. シナリオ 作 成 に 関 連 した 研 究 としては,これまでに 提 案 されたフォアキャスティングシナリオおよ びバックキャスティングシナリオを 作 成 するための 手 順,および,それらのシナリオの 作 成 を 支 援 す るための 手 法 ( 例 えば,morphological analysis や SWOT 分 析 ) を 示 した.これらの 手 順 および 手 法 は, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するために 有 用 である. その 一 方 で,morphological analysis などの 既 存 の 手 法 はシナリオ 作 成 を 部 分 的 に 支 援 するもの の, 体 系 的 にシナリオの 作 成 や 分 析 を 行 うための 研 究 は 十 分 に 行 われていない. 既 存 のシナリオ 作 成 は 基 本 的 に 人 手 に 依 存 したものであり,そのための 計 算 機 支 援 に 関 する 手 法 の 研 究 は 必 ず しも 十 分 に 行 われていない. 本 研 究 では,シナリオの 作 成 や 分 析 をより 合 理 的 かつ 効 率 的 に 実 行 可 能 とするための 計 算 機 支 援 方 法 論 を 提 案 する.そのために, 第 3 章 では 持 続 可 能 社 会 シナリオの 作 成 に 必 要 な 一 連 の 行 為 を シナリオ 設 計 として 定 義 し,シナリオ 設 計 のために 必 要 な 課 題 を 明 らかにし, 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (Sustainable Society Scenario Simulator; 3S Simulator) のコンセプトを 提 案 する.

43 第 3 章 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータの 構 想

44 36 第 3 章 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータの 構 想 第 3 章 では, 従 来 提 案 されてきた 設 計 学 の 一 分 野 として,シナリオ 設 計 という 学 問 分 野 を 提 起 す る.その 意 図 は,シナリオ 設 計 の 定 義 に 基 づいて 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するために 必 要 な 研 究 課 題 を 設 定 することにある. 本 章 では,シナリオ 設 計 を 支 援 するためのアプローチとして 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (Sustainable Society Scenario Simulator; 3S Simulator) の 構 想 を 提 案 する. 最 後 に,この 構 想 における 本 研 究 の 位 置 づけを 述 べる.

45 3.1 はじめに はじめに 本 章 では,シナリオ 作 成 にとって 本 質 的 に 必 要 な 操 作 を 整 理 することを 目 的 として, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するために 必 要 な 行 為 を シナリオ 設 計 として 定 義 する.ここで 定 義 するシナリ オ 設 計 のプロセスには, 既 存 の 研 究 で 提 案 されたシナリオ 作 成 手 順 (2.2 節 参 照 ) の 概 念 も 包 含 さ せる. 本 研 究 では, 吉 川 ら[66]によって 提 案 されてきた 設 計 学 の 一 分 野 として,シナリオ 設 計 を 位 置 づける (3.2 節 参 照 ). 次 に,シナリオ 設 計 のために 必 要 な 課 題 を 提 示 する.シナリオ 設 計 を 統 合 的 に 支 援 するための アプローチとして, 本 研 究 では 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (Sustainable Society Scenario Simulator; 3S Simulator) を 提 案 する (3.4 節 参 照 ).3S Simulator の 利 用 によって, 計 算 機 の 利 用 によってシナリオ 作 成 者 の 負 荷 を 軽 減 し,シナリオ 作 成 を 支 援 する.

46 シナリオ 設 計 3.2 シナリオ 設 計 設 計 学 設 計 学 は, 設 計 に 関 する 知 識 を, 対 象 を 離 れて 抽 象 化 することにより 理 論 として 昇 華 させたもの である[66].そこでは, 設 計 は 要 求 を 実 現 する 人 工 物 に 関 する 情 報 ( 属 性 状 態 挙 動 機 能 など) を 段 階 的 に 詳 細 化 しながら 決 定 していく 過 程 と 定 義 される[66]. 設 計 は, 図 のように 表 現 で きるが[67], 具 体 的 に 設 計 を 進 めるためには 次 の 2 種 類 の 知 識 が 必 要 である[66]. 1. 設 計 対 象 物 に 関 する 知 識 : 設 計 対 象 物 そのものに 関 する 知 識, 設 計 対 象 物 のモデルの 表 現, 生 成, 変 更, 利 用 に 関 する 知 識. 2. 設 計 過 程 に 関 する 知 識 : どのように 設 計 を 進 めるかについての 知 識. 図 3.2.1: 設 計 過 程 の 表 現 [67] シナリオ 設 計 の 定 義 本 研 究 では, 設 計 対 象 をシナリオに 絞 り, 吉 川 らの 提 案 した 設 計 学 [66]の 一 分 野 としてシナリオ 設 計 を 位 置 づける.ここでは,シナリオ 設 計 を 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するために 必 要 な 一 連 の 行 為 と 定 義 する.2.3 節 で 述 べたような 良 いシナリオ を 設 計 するためには,シナリオ 設 計 は 以 下 の 条 件 を 満 足 すべきである. 持 続 可 能 社 会 シナリオは 様 々なステークホルダー ( 例 えば, 研 究 者, 政 策 立 案 者, 市 民 など) 間 の 議 論 を 通 して 合 意 を 得 ながら 作 成 されるべきである.これは,ステークホルダーによって 記 述 に 対 する 解 釈 や 評 価 が 異 なることによる. 持 続 可 能 社 会 シナリオの 評 価, 修 正, 改 訂 を 可 能 とするために,シナリオ 記 述 の 根 拠 として 利 用 される 情 報 を 見 える 化 し,それらを 追 跡 可 能 とすべきである. 持 続 可 能 社 会 シナリオでは, 不 確 実 性 に 対 処 するために 起 こりうる 様 々な 将 来 が 描 かれるべき である.

47 3.2 シナリオ 設 計 39 Scenario Suggestion Development Detailing the problem Suggestion Evaluation Development Evaluation Defining the problem to be addressed (e.g., theme) 図 3.2.2: シナリオ 設 計 のサイクル シナリオ 設 計 を 実 行 するためには,(1) シナリオの 表 現 方 法,(2) シナリオの 設 計 プロセスをそ れぞれ 規 定 する 必 要 がある.このうち,シナリオ 設 計 プロセスは 上 記 3 つの 条 件 を 満 足 するように, 武 田 ら[68][69]の 設 計 過 程 モデルなどに 基 づいて 図 のように 定 義 する. 図 において, シナリオで 取 り 組 むべき 課 題 ( 例 えば,2050 年 における 日 本 の 低 炭 素 社 会 像 を 描 くなど) の 設 定 とシナリオ 設 計 の 最 終 アウトプットとしてのシナリオはそれぞれ, 図 の 設 計 仕 様 (design specification) と 設 計 解 (design solution) に 対 応 する. 図 に 示 した 設 計 の 各 サイクルでは, 設 定 したテーマに 関 するある 小 さなトピックについて 記 述 または 修 正 していき,それからシナリオに 記 述 した 内 容 に 対 する 評 価 を 行 う.つまり,シナリオ 設 計 は 記 述 すべきテーマを 設 定 した 後, 提 案 (suggestion), 展 開 (development), 評 価 (evaluation) のサイクルを 繰 り 返 すことによって,シナリオ を 完 成 させるものであると 考 える.このサイクルでは,シナリオ 作 成 者 は 必 要 に 応 じて, 記 述 内 容 に 関 連 した 情 報 の 収 集, 記 述 のためのシミュレータの 構 築 およびシミュレーションの 実 行, 記 述 内 容 およびシミュレーション 結 果 の 検 証 を 行 う.

48 シナリオ 設 計 のための 課 題 3.3 シナリオ 設 計 のための 課 題 2.2 節 で 述 べたように,シナリオ 作 成 に 関 連 して 様 々な 研 究 が 行 われている.しかしながら,3.2.2 節 で 定 義 したシナリオ 設 計 を 実 行 するためにはいくつかの 課 題 がある.この 課 題 は, 以 下 の 4 つの 部 分 課 題 から 構 成 されると 考 える. 1. 論 理 構 造 を 明 確 化 した 形 式 でシナリオを 表 現 すること 既 存 のシナリオの 記 述 は 論 理 構 造 が 明 示 されておらず,シナリオに 含 まれる 論 理 的 な 記 述 と 論 理 的 でない 記 述,あるいは, 仮 定 と 事 実 が 明 確 に 区 別 されていない.このため, 持 続 可 能 社 会 シ ナリオを 合 理 的 に 評 価, 修 正, 改 訂 することが 困 難 である. 一 般 に, 持 続 可 能 社 会 シナリオには 将 来 に 関 する 状 況 を 記 述 するという 性 質 上, 仮 定 や 論 理 的 な 飛 躍 が 不 可 避 的 に 含 まれるものであ る. 2. シナリオとシミュレータを 再 利 用 可 能 とすること 持 続 可 能 社 会 シナリオの 記 述 にはしばしばシミュレータが 利 用 されるが,シナリオはその 記 述 に 利 用 されたシミュレータと 接 続 されていないため, 一 般 に 既 存 のシナリオにおけるシミュレーション の 検 証 および 再 実 行 が 可 能 でない. 3. 新 規 にシナリオを 作 成 すること 現 在 のシナリオ 作 成 手 法 は 十 分 に 形 式 化 されておらず, 人 手 に 大 きく 依 存 している. 例 えば Shell/GBN Matrix が 2 個 のキードライバーに 基 づいて 4 本 のシナリオの 骨 格 を 提 示 するように,シ ナリオ 作 成 を 部 分 的 に 支 援 する 技 法 は 多 数 存 在 するものの,シナリオ 作 成 プロセス 全 体 を 支 援 す るための 手 法 が 存 在 しない. 4. シナリオを 分 析 すること 持 続 可 能 社 会 シナリオを 分 析 するための 手 法 が 十 分 に 形 式 化 されていない.シナリオ 分 析 には, シナリオ 論 理 構 造 の 分 析, 感 度 分 析 や what-if 分 析 が 考 えられる.ここで what-if 分 析 とは,シナリ オの 前 提 条 件 が 変 化 したときの 結 果 を 検 討 する 手 法 である[70]. もうひとつの 重 要 な 課 題 は,2.3 節 に 示 した 包 括 性 と 関 連 して, 持 続 可 能 社 会 の 将 来 像 をシナリ オとして 表 現 する 方 法 が 明 らかでないことである.この 課 題 に 対 して, 梅 田 [65]は 持 続 可 能 性 に 対 するメッセージを 読 み 取 るためには 多 面 的 な 見 方 が 必 要 であると 指 摘 している.すなわち,2.1.4 節 で 示 したような 個 々のシナリオは 持 続 可 能 性 のある 一 面 ( 例 えば, 社 会 全 体 の 産 業 部 門 における 低 炭 素 化 など) のみを 描 くものであって, 持 続 可 能 性 を 俯 瞰 的 に 理 解 するためには, 様 々な 持 続 可 能 社 会 シナリオ 間 の 関 係 を 明 らかにすべきである[65].この 立 場 を 採 ったとき, 持 続 可 能 社 会 シ ナリオの 設 計 における 課 題 として 以 下 の 2 つが 現 れる.

49 3.3 シナリオ 設 計 のための 課 題 シナリオ 間 の 関 係 を 明 らかにすること 持 続 可 能 社 会 像 を 俯 瞰 的 に 表 現 するために, 個 々のシナリオ ( 例 えば, 地 球 温 暖 化 シナリオ, エネルギー 枯 渇 シナリオなど) を 関 係 づけるための 方 法 がない. 6. コンテンツを 集 積 すること IPCC の SRES に 関 連 したシナリオはデータベース 化 されて 一 般 に 公 開 されているものの (2.2.5 節 参 照 ),そこで 利 用 されているシミュレータや,その 他 の 様 々なシナリオとシミュレータは 再 利 用 可 能 な 形 式 で 公 開 されていない. 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 するためには, 課 題 2 で 指 摘 したよう に 既 存 のシナリオおよびシミュレータを 再 利 用 可 能 にする 仕 組 みを 構 築 するとともに, 世 界 中 のシ ナリオ 作 成 者 がコンテンツとして 様 々なシナリオとシミュレータを 利 用 可 能 にすべきである. 次 節 では 以 上 で 挙 げた 6 つの 課 題 を 解 決 するためのアプローチとして, 持 続 可 能 社 会 シナリオ シミュレータの 構 想 を 提 案 する.

50 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 3.4 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 シナリオ 設 計 支 援 のアプローチ シナリオ 設 計 においては, 様 々なステークホルダー 間 の 議 論 に 基 づいて,シナリオの 提 案 展 開 評 価 のプロセスを 実 行 する.このようなシナリオ 設 計 のサイクルを 効 率 よく 回 すためのアプロー チとして, 本 研 究 ではシナリオを 計 算 機 処 理 可 能 とし,かつシナリオにおける 論 理 の 筋 道 を 明 確 化 するために,シナリオを 論 理 構 造 に 基 づいて 構 造 化 する.すなわち, 本 研 究 ではシナリオの 構 造 化 に 基 づいて, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 理 解, 分 析,および 作 成 を 計 算 機 上 で 支 援 する.3.3 節 の 6 つの 課 題 を 解 決 するために,シナリオ 設 計 支 援 のアプローチとして 以 下 の 5 つの 研 究 課 題 を 設 定 する[71]. 1. シナリオの 構 造 化 シナリオを 計 算 機 処 理 可 能 な 形 式 で 表 現 し,かつシナリオの 合 理 的 な 理 解 に 向 けて 論 理 構 造 を 明 確 化 するための 方 法 として,シナリオを 構 造 化 する. 2. シナリオとシミュレータの 接 続 既 存 のシナリオとシミュレータの 再 利 用 を 可 能 とするために,シナリオとシミュレータを 接 続 した 動 的 シナリオ を 作 成 する.ここで, 動 的 シナリオ とは,シナリオと 付 随 するシミュレータが 接 続 し ており,シナリオ 内 でシミュレーション 条 件 を 変 化 させるとシミュレーションが 実 行 され,その 結 果 が 動 的 に 反 映 されるシナリオを 指 す. 3. シナリオの 設 計 支 援 シナリオの 設 計 プロセスを 形 式 化 する.その 設 計 プロセスに 基 づいて,アーカイブ 化 されたシナ リオとシミュレータを 用 いながら, 新 たなシナリオ (フォアキャスティングシナリオ,バックキャスティン グシナリオを 含 む) の 設 計 支 援 を 行 う. 4. シナリオの 分 析 支 援 既 に 作 成 されたシナリオの 分 析 を 支 援 する. 具 体 的 には,シナリオの 論 理 構 造 に 関 する 分 析 と, what-if 分 析 や 感 度 分 析 といったシナリオの 定 量 的 な 分 析 を 支 援 する. 論 理 構 造 分 析 はシナリオに 対 する 評 価 を 支 援 し,what-if 分 析 と 感 度 分 析 は, 既 存 のシナリオを 利 用 した 派 生 シナリオの 作 成 を 支 援 する. 5. シナリオとシミュレータのアーカイブ 化 世 界 各 所 で 作 成 されているシナリオおよびシミュレータをアーカイブとして 集 積 する. 特 に,シミ ュレータがシナリオの 作 成 に 利 用 されている 場 合 には, 上 記 2 で 述 べたようにシナリオとシミュレー タを 接 続 した 状 態 でアーカイブ 化 する.アーカイブの 利 用 により, 既 存 シナリオの 理 解 および 分 析 と, 既 存 のシナリオを 利 用 した 新 規 シナリオ 作 成 を 支 援 する.

51 3.4 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 43 上 記 の 研 究 課 題 は,2.4 節 で 示 した 1~4 の 課 題 を 解 決 する.しかし, 持 続 可 能 社 会 の 俯 瞰 性 を 担 保 するために 重 要 な 5,6 番 目 の 課 題 を 解 決 するためには, 図 に 示 すように 様 々なシナリ オ 間 を 関 係 づけるとともに,コンテンツとして 様 々なシナリオおよびシミュレータを 用 意 する 必 要 があ る.これらの 要 求 に 対 して 本 研 究 では, 研 究 課 題 1 で 述 べたシナリオの 構 造 化 手 法 と, 研 究 課 題 5 として 挙 げたシナリオとシミュレータのアーカイブ 化 の 手 法 をそれぞれ 適 用 する.しかし 本 研 究 では, 実 際 に 様 々なシナリオおよびシミュレータを 作 成 するというアプローチは 採 用 しない. 本 研 究 では むしろ,そのアプローチを 支 援 するための 手 法,すなわち,シナリオとシミュレータの 作 成 支 援 およ びアーカイブ 化 のための 手 法 を 提 案 する. 図 3.4.1: 持 続 可 能 社 会 シナリオの 関 連 づけ[72] 本 研 究 ではこれら 5 つの 研 究 課 題 を 解 決 するための 方 法 論 を 提 案 し,それらを 実 装 したシステ ムとして, 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) を 提 案 する S Simulator の 目 的 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (Sustainable Society Scenario Simulator; 3S Simulator) の 目 的 は, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 理 解, 作 成, 分 析 を 統 合 的 に 計 算 機 上 で 支 援 することである. つまり 3S Simulator の 位 置 づけは,シナリオ 設 計 を 行 うための 知 的 CAD システム である.このシ ステムでは 節 で 提 示 した 研 究 課 題 に 対 応 する 方 法 論 を 実 装 することによって, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 設 計 を 効 率 化 するとともに,シナリオの 質 の 向 上 を 支 援 する.

52 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 3S Simulator で 設 計 対 象 とする 持 続 可 能 社 会 シナリオは, 文 章 形 式 のシナリオとする.その 理 由 は, 現 在 のところ 文 章 が 将 来 の 状 況 を 詳 細 に 記 述 するための 唯 一 の 方 法 だからである. 例 えば, 将 来 の 描 写 として, 経 済 状 況 や 人 々のライフスタイルは, 数 値 情 報 だけでなく 叙 述 的 な 記 述 を 用 い ることによってのみ 表 現 できる.3S Simulator では, 文 章 形 式 のシナリオを 作 成 するために, 既 存 の シナリオおよびシミュレータの 両 方 を 再 利 用 可 能 とする.2.1 節 で 述 べたように, 持 続 可 能 社 会 シナ リオにとってシミュレータは,その 信 ぴょう 性 を 担 保 するために 重 要 な 役 割 を 担 っている S Simulator の 仕 様 3S Simulator の 全 体 構 成 を 図 に 示 す 節 の 研 究 課 題 に 対 応 した 方 法 論 を 実 現 する ために,3S Simulator は 以 下 の 5 つの 要 素 から 構 成 する. シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム: 既 存 シナリオや 新 規 に 作 成 したシナリオの 構 造 的 な 記 述 を 支 援 する. シナリオアーカイブ: 構 造 化 されたシナリオおよびそれに 付 随 するシミュレータを 集 積 する. シナリオ 設 計 支 援 システム: シナリオアーカイブを 利 用 しながら,シナリオの 新 規 作 成 を 支 援 す る. シナリオ 分 析 ツール: シナリオの 論 理 構 造 分 析 と,アーカイブ 化 されたシミュレータを 利 用 した what-if 分 析 や 感 度 分 析 を 可 能 とする. メディエータ: シナリオと,そのシナリオの 記 述 に 利 用 されるシミュレータ 間 のデータ 交 換 を 実 行 することにより,そのシナリオのシミュレーションを 実 行 可 能 とする. 一 般 に,ひとつのシナリオに は 複 数 個 のシミュレータが 関 係 しうる.さらに, 持 続 可 能 社 会 像 を 描 くために 複 数 のシナリオを 関 連 づけるとき,メディエータは 複 数 のシナリオにまたがったシミュレータ 間 の 整 合 性 も 管 理 す る.

53 3.4 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 45 Scenario Document Scenario Design Support System Simulators Scenario Structural Description Support System Simulator Simulator Scenario Archives Structured Scenario Scenario Analysis Tools Mediator Simulation Results 図 3.4.2: 3S Simulator の 構 成 節 の 各 研 究 課 題 と 3S Simulator の 構 成 要 素 の 関 係 は 以 下 のとおりである.シナリオ 構 造 記 述 支 援 システムには,シナリオの 構 造 化 手 法 を 実 装 する ( 研 究 課 題 1).また,シナリオとシミュレー タを 接 続 するために,それらの 間 の 関 係 を 構 造 化 する 手 法 もここで 実 装 する ( 研 究 課 題 2).シナリ オアーカイブには, 既 存 のシナリオとシミュレータをアーカイブ 化 するための 仕 組 みを 実 装 する ( 研 究 課 題 5).シナリオ 設 計 支 援 システムでは, 形 式 化 したシナリオ 設 計 プロセスに 基 づいて 新 規 シナ リオの 作 成 を 支 援 する ( 研 究 課 題 3).シナリオ 分 析 ツールでは,シナリオの 論 理 構 造 分 析,what-if 分 析, 感 度 分 析 の 実 行 を 支 援 する 手 法 を 実 装 する ( 研 究 課 題 4). 最 後 に,メディエータでは 動 的 シナリオにおいて,シナリオに 関 係 するシミュレータを 駆 動 する 機 能 を 実 装 する ( 研 究 課 題 2) S Simulator の 意 義 3S Simulator は 様 々なステークホルダーがシナリオに 基 づいて 持 続 可 能 社 会 像 について 議 論 す るための 環 境 を 提 供 する.システムの 利 用 イメージを 図 に 示 す.ここでは,シナリオを 構 造 化 することによってシナリオの 合 理 的 な 理 解 および 論 理 的 な 分 析 を 支 援 する.それと 同 時 に,シナリ オ 作 成 を 支 援 するために 既 存 の 様 々なシナリオとシミュレータを 利 用 可 能 にする.これら 2 点 は, 主 として 紙 と 鉛 筆 に 頼 る 従 来 のシナリオ 方 法 では 十 分 に 支 援 できていなかった ( 図 参 照 ). 3S Simulator の 想 定 ユーザは,シナリオ 研 究 者, 政 府 地 方 自 治 体 の 政 策 立 案 者, 企 業 の 戦 略 立 案 者,シミュレータの 開 発 者,さらには 一 般 市 民 も 含 まれる.これらのユーザに 対 する 3S

54 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 Simulator の 効 用 は 以 下 のとおりである 1. シナリオ 研 究 者 : 本 研 究 で 提 案 するシナリオ 設 計 の 支 援 手 法 に 基 づいて, 持 続 可 能 社 会 シナ リオを 効 率 的 に 作 成 することができる.このとき,アーカイブ 化 された 様 々なシナリオおよびシミ ュレータが 利 用 可 能 である. 政 策 立 案 者 : 適 切 な 政 策 を 選 択 するために,シナリオ 上 で 様 々な 政 策 の 効 果 を 試 行 錯 誤 的 に 分 析 することができる. 企 業 の 戦 略 立 案 者 : アーカイブ 化 されたシナリオを 調 査, 分 析, 評 価 することによって, 企 業 の 戦 略 を 立 案 することができる. シミュレータの 開 発 者 : 開 発 したシミュレータをアーカイブ 化 することによって, 持 続 可 能 社 会 シ ナリオを 作 成 のためにそのシミュレータを 一 般 に 公 開 することができる. 市 民 : シナリオを 媒 体 として, 将 来 の 望 ましい 社 会 をイメージすることができ, 個 々の 意 見 につ いて 相 互 に 議 論 することができる. 図 3.4.3: 3S Simulator の 利 用 イメージ 1 Umeda[72]を 参 考 に 再 構 成 した.

55 3.4 持 続 可 能 社 会 シナリオシミュレータ (3S Simulator) の 構 想 47 Scenario Under Design Conventional Scenario Designer Using 3S Simulator 図 3.4.4: 既 存 のシナリオ 作 成 と 3S Simulator を 利 用 した 作 成 の 比 較

56 本 研 究 の 位 置 づけ 3.5 本 研 究 の 位 置 づけ 本 研 究 の 最 終 的 な 目 標 は, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 設 計 支 援 するための 方 法 論 を 提 案 し,そ の 方 法 論 を 実 装 したシステムとして 3S Simulator を 提 案 することである. 本 研 究 では,シナリオ 設 計 を 設 計 学 の 一 分 野 として 位 置 づけた.3S Simulator を 用 いたシナリオ 設 計 では, 既 存 研 究 ( 第 2 章 参 照 ) では 十 分 に 体 系 立 てられていなかったシナリオ 作 成 分 析 に 対 して, 論 理 的 な 視 点 を 加 え, さらに 計 算 機 支 援 を 導 入 することによって,それらをより 合 理 的 かつ 効 率 的 に 実 行 することを 目 指 す. 本 研 究 では,3S Simulator が 実 現 すべき 5 つの 研 究 課 題 (3.4.1 節 参 照 ) のうち 研 究 課 題 1,2, 4 を 実 現 するための 手 法 として, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 化 手 法 および 分 析 手 法 を 提 案 する. すなわち, 本 研 究 で 解 決 する 課 題 とそのアプローチは 以 下 のとおりである. 持 続 可 能 社 会 シナリオを 計 算 機 上 で 表 現 および 操 作 するために,シナリオを 構 造 化 するため の 手 法 を 提 案 する.この 手 法 に 基 づきシナリオを 合 理 的 に 理 解 するために,シナリオの 論 理 構 造 を 明 確 化 することによって 論 理 的 な 記 述 と 論 理 的 でない 記 述 を 明 確 に 区 別 する. シナリオとその 記 述 に 利 用 されるシミュレータを 再 利 用 可 能 とするために,シナリオの 構 造 化 手 法 に 基 づいてシナリオとシミュレータを 接 続 した 動 的 シナリオ を 作 成 するための 手 法 を 提 案 す る.そのために,シミュレータをシミュレータ 本 体 とその 入 力 データおよび 出 力 データから 構 成 さ れるものと 定 義 し,シナリオの 記 述 とシミュレータの 入 出 力 データを 関 係 づける. シナリオの 構 造 化 手 法 に 基 づいてシナリオの 評 価 を 支 援 するために, 論 理 構 造 分 析 手 法 を 提 案 する.そのために,シナリオの 結 論 を 導 出 するための 根 拠 を 定 式 化 することによりそれらを 抽 出 する.さらに,それらの 根 拠 に 対 して 結 論 を 論 理 的 に 導 出 する 根 拠 とそうでない 根 拠 を 区 別 する. 既 存 シナリオの 前 提 条 件 を 変 更 した 場 合 の 結 果 を 検 討 可 能 とするために,シナリオの 構 造 化 手 法 に 基 づいて 既 存 のシナリオを what-if 分 析 するための 手 法 を 提 案 する.この 手 法 を 支 援 する ために,what-if 分 析 の 手 順 を 定 義 する.この 手 順 において,what-if 分 析 で 変 更 すべきシナリオ の 前 提 条 件 を 抽 出 するために, 論 理 構 造 分 析 手 法 で 定 式 化 したシナリオの 根 拠 を 利 用 する. 上 記 4 つの 手 法 は 3S Simulator において,シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム,シナリオアーカイブ, シナリオ 分 析 ツールと,メディエータの 一 部 に 対 応 する ( 図 参 照 ). 第 4 章 以 降 で 提 案 する 各 手 法 と 図 に 示 すシステムの 各 要 素 の 関 係 はそれぞれ 以 下 のとおりである. 第 4 章 では,シナリオの 構 造 的 記 述 法 を 提 案 し,この 手 法 をシナリオ 構 造 記 述 支 援 システムとし て 実 装 する.このシステムはシナリオを 構 造 化 する 機 能 を 持 ち,シナリオを 分 析 および 作 成 するた めのワークスペースを 提 供 する.

57 3.5 本 研 究 の 位 置 づけ 49 第 5 章 では,シナリオとシミュレータの 再 利 用 を 可 能 とするために, 動 的 シナリオの 接 続 手 法 を 提 案 する.ここでは, 既 存 のシミュレータを 利 用 可 能 とするために Simulator Database を 開 発 するととも に,シナリオとシミュレータ 間 でデータ 交 換 を 実 現 するために Dataset Manager を 提 案 する.ここで, Dataset Manager はメディエータの 一 部 としての 位 置 づけであり,メディエータはシナリオに 関 係 す る 複 数 個 のシミュレータの 入 出 力 関 係 を 管 理 するのに 対 して (3.4.3 節 参 照 ), 本 研 究 で 提 案 する Dataset Manager は 1 つのシナリオに 関 係 するシミュレータが 1 個 だけの 場 合 に 限 定 して,シナリオ とシミュレータ 間 のデータ 交 換 を 可 能 にする. 第 6 章 では,シナリオの 論 理 構 造 分 析 を 支 援 するために, 論 理 構 造 分 析 ツールを 開 発 する. 第 7 章 では,what-if 分 析 に 基 づいて 既 存 のシナリオから 派 生 シナリオを 作 成 支 援 するために, what-if 分 析 支 援 ツールを 提 案 する. 同 時 に, 既 存 シナリオを 効 率 的 に 再 利 用 できるようにするた め,Scenario Database も 開 発 する. 図 3.5.1: 本 研 究 で 提 案 するシステムの 構 成

58 第 3 章 のまとめ 3.6 第 3 章 のまとめ 本 章 では, 設 計 学 の 考 え 方 に 基 づいてシナリオ 設 計 を 定 義 し, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 作 成 す るために 必 要 な 課 題 を 整 理 した. 具 体 的 には,シナリオの 表 現 方 法 における 課 題 とシナリオの 設 計 プロセスにおける 課 題 を 指 摘 した.これらの 課 題 を 解 決 し,シナリオ 設 計 を 統 合 的 に 支 援 するため のアプローチとして,3S Simulator のコンセプトを 提 案 した.さらに,3S Simulator のコンセプトにお いて, 本 研 究 で 取 り 組 むべき 課 題 を 設 定 した.すなわち, 本 論 文 では 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 化 手 法,および,その 手 法 に 基 づくシナリオの 分 析 手 法 を 提 案 する.

59 第 4 章 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 的 記 述 法

60 52 第 4 章 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 的 記 述 法 第 4 章 では,シナリオ 設 計 を 計 算 機 支 援 する 基 礎 として,シナリオの 計 算 機 処 理 を 可 能 にするた めの 表 現 手 法 として,シナリオの 構 造 的 記 述 法 を 提 案 する.ここで 提 案 した 手 法 の 有 効 性 を 検 証 するためにシナリオ 構 造 記 述 支 援 システムを 開 発 し,そのシステムを 用 いて 既 存 のシナリオに 対 し て 本 手 法 の 有 効 性 を 検 証 する.

61 4.1 シナリオ 構 造 化 のアプローチ シナリオ 構 造 化 のアプローチ シナリオ 設 計 を 計 算 機 支 援 するためには,まず 持 続 可 能 社 会 シナリオを 計 算 機 上 で 処 理 できる ようにしなければならない.このために, 本 研 究 では 計 算 機 処 理 可 能 なシナリオの 表 現 方 法 として, シナリオを 論 理 構 造 に 基 づいて 構 造 化 する.シナリオの 構 造 化 に 基 づき,シナリオ 文 章 に 記 述 され た 論 理 の 筋 道 を 明 確 化 することによって,シナリオの 合 理 的 な 理 解 が 期 待 できる. 将 来 に 関 する 記 述 を 含 むために 必 然 的 に 仮 定 や 論 理 的 な 飛 躍 を 含 む 持 続 可 能 社 会 シナリオにおいて, 少 なくとも シナリオの 論 理 的 な 部 分 と 論 理 的 でない 部 分 は 明 確 に 区 別 すべきである. 本 手 法 では,シナリオの 計 算 機 処 理 可 能 な 表 現 形 式 として,シナリオの 論 理 構 造 をノードとリンク から 構 成 されるグラフとして 表 現 する.ノードはシナリオの 構 成 要 素,リンクは 2 個 のノード 間 の 関 係 を 表 現 する.ここで,シナリオの 構 成 要 素 には,サブシナリオ,サブシナリオを 構 成 する 文 章,シナリ オの 記 述 を 根 拠 付 けるシミュレーション,シナリオを 構 成 する 語 句 といった 粒 度 の 異 なるものが 存 在 する.これらの 各 視 点 からシナリオを 記 述 するために, 本 研 究 ではシナリオを 構 造 化 するための 4 つのレベル (Scenario,Expression,Data,Word Level) を 設 定 する. Scenario Level: シナリオに 含 まれる 個 々のサブシナリオを 明 確 に 区 別 し,それらサブシナリオ 間 の 関 係 ( 階 層 関 係 など) を 表 現 する. Expression Level: サブシナリオにおける 文 章 ( 節 : 主 語 と 述 語 動 詞 からなる 文 の 要 素 ) の 構 造 を 表 現 する.ここでは, 各 サブシナリオの 記 述 における 論 理 関 係 ( 論 理 的 飛 躍, 矛 盾 を 含 む) を 表 現 する. Data Level: シナリオ 記 述 に 利 用 されるシミュレーション 部 分 を 表 現 する. Word Level: シナリオで 記 述 する 対 象 システムを 表 す 語 句 と 語 句 間 の 関 係 を, 因 果 ネットワーク [58] (2.2.4 節 参 照 ) として 表 現 する. 図 にシナリオ 構 造 化 のイメージを 示 す.Scenario Level では 持 続 可 能 社 会 シナリオを 構 成 する 各 サブシナリオを 表 現 し, 個 々のサブシナリオは Expression Level が 表 現 する 節 の 集 合 ( 叙 述 的 な 文 章 ) と,Data Level が 表 現 するシミュレーション 部 分 の 組 み 合 わせにより 構 成 する.この 組 み 合 わせは, 持 続 可 能 社 会 シナリオがしばしば 叙 述 的 な 文 章 とシミュレーションの 組 み 合 わせに 基 づき 記 述 されることをモデル 化 するものである. 図 の Expression Level と Data Level 間 の 関 係 は, 記 述 される 文 章 とシミュレーションの 関 係 を 表 す. 本 論 文 ではシナリオの 分 析 手 法 を 提 案 す るために,これら 3 つのレベル (Scenario,Expression,Data Level) を 主 な 対 象 とする. Word Level は, 新 たな 持 続 可 能 社 会 シナリオを 設 計 するとき,シナリオの 基 本 構 造 を 整 理 するた めに 利 用 する.すなわち, 本 研 究 では, 新 規 に 持 続 可 能 社 会 シナリオを 設 計 するときには,まずシ

62 シナリオ 構 造 化 のアプローチ ナリオの 基 本 構 造 としてシナリオの 記 述 テーマに 関 する 対 象 システム ( 例 えば, 日 本 における 電 気 自 動 車 の 市 場, 使 用 済 み 携 帯 電 話 の 循 環 など) の 因 果 ネットワークを 作 成 し, 次 にその 因 果 ネット ワークに 基 づいて 持 続 可 能 社 会 シナリオの 叙 述 的 な 文 章 とシミュレーションをそれぞれ 構 成 すると いうアプローチを 想 定 する[75][76].Word Level では, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 叙 述 的 な 文 章 とシ ミュレーションのそれぞれの 要 素 と,シナリオが 記 述 対 象 とするシステムの 対 応 関 係 を 記 述 する. Structured Scenario Sub-scenario A Sub-scenario B Scenario Level (Scenarios/Sub-scenarios) Expression Level (Clauses) Rationalize Data Level (Simulator & Input/Output Data) Word Level (Phrases/Words) Real World & Future World 図 4.1.1: シナリオ 構 造 化 のアプローチ 本 論 文 では, 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオを 対 象 としたシナリオの 表 現 手 法 と 分 析 手 法 を 提 案 するために,4.2 節 以 降 では 3 つの 各 レベル (Scenario,Expression,Data) を 定 義 し,さらにそれら のレベル 間 の 関 係 を 定 義 する.ただし, 新 たなシナリオの 設 計 のために 利 用 する Word Level は 詳 細 に 扱 わない. 図 に 示 したように, 個 々のサブシナリオとその 構 成 要 素 を 表 現 するために, Scenario Level と Expression Level,Scenario Level と Data Level の 間 の 関 係 をそれぞれ 定 義 する. また,シナリオの 記 述 とシミュレーションの 関 係 を 明 確 化 するために,Expression Level と Data Level 間 の 関 係 を 定 義 する.

63 4.2 Scenario Level Scenario Level 持 続 可 能 社 会 シナリオには, 複 数 の 起 こりうる 将 来 を 記 述 するために 複 数 のサブシナリオが 含 ま れることが 多 い (2.1.2 節 参 照 ).Scenario Level では,あるシナリオに 含 まれる 個 々のサブシナリオと サブシナリオ 間 の 関 係 を 表 現 し,さらにサブシナリオの 基 本 構 造 を 表 現 する.そのために,Scenario Level では 2 種 類 のノードと 4 種 類 のリンクを 定 義 する ( 表 参 照 ). 表 4.2.1: Scenario Level のノードとリンクの 定 義 Type Definition scenario A description regarding a certain topic. It represents a whole scenario or a sub-scenario in it. Node scenario_component A constituent element of a scenario node. Scenario_component nodes are classified into 6 types: problem,, simulation, result, discussion, and conclusion. consist_of(a, B) As a relation between scenario and sub-scenario, a scenario node A includes a scenario node B as its constituent element. part_of(a, B) As a relation between sub-scenario and its component, a Link scenario node A includes a scenario_component node B as its constituent element. compare(a, B) A node A is compared with a node B. (A, B) A node A s to a node B Scenario Level ノードの 定 義 2 種 類 のノードのうち scenario ノードは,あるテーマについて 記 述 されたストーリーを 表 し,その テーマに 関 する 結 論 を 必 ず 含 むものとする.1 個 の scenario ノードは,1 つのサブシナリオまたは 複 数 のサブシナリオを 束 ねたシナリオを 表 す ( 図 参 照 ).3.5 節 で 述 べたように, 本 研 究 では 各 サブシナリオを Scenario Database に 格 納 することによって 再 利 用 可 能 とするため, scenario ノー ドに 対 して 表 に 示 す 2 種 類 の 属 性 を 持 たせる.これにより,Scenario Database 上 でサブシナリ オを 検 索 可 能 とする.Scenario Database の 詳 細 は 第 7 章 で 述 べる.

64 Scenario Level 表 4.2.2: scenario ノードの 属 性 ID Attribute Scenario name Definition The ID number of a sub-scenario. The name of a sub-scenario. それに 対 して, scenario_component ノードは scenario ノードの 一 部,つまりサブシナリオの 構 成 要 素 であり, 文 章 のかたまり,またはシミュレーション 部 分 のいずれかを 表 す. 本 研 究 では, 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオ (2.1.4 節 参 照 ) の 調 査 結 果 に 基 づき, scenario_component ノードを 図 に 示 した 以 下 の 6 種 類 に 分 類 する. problem: サブシナリオの 問 題 設 定 : サブシナリオの 前 提 または 仮 定 simulation: サブシナリオの 記 述 に 利 用 されるシミュレーション result: シミュレーションの 結 果 discussion: シミュレーション 結 果 を 含 む,サブシナリオで 導 かれたある 結 果 に 関 する 考 察 conclusion: サブシナリオの 結 論 scenario_component ノードは, 上 記 の 分 類 に 基 づいて 抽 出 する.これら 6 種 類 のうち, simulation はサブシナリオのシミュレーション 部 分 であり,その 他 の 5 種 類 は 文 章 部 分 に 相 当 する. 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオは, 一 般 に 報 告 書 やウェブページの 形 態 で 文 章 として 配 布 され,シ ミュレーション 部 分 (シミュレータの 入 出 力 データ) の 詳 細 は 明 示 されないことが 多 い.これらの 分 類 に 基 づく scenario_component ノードの 抽 出 方 法 は,4.5.1 節 で 述 べる.

65 4.2 Scenario Level 57 scenario sub-scenario scenario A sub-scenario scenario B problem discussion problem discussion conclusion conclusion simulation simulation result result 図 4.2.1: Scenario Level の 表 現 Scenario Level リンクの 定 義 4 種 類 のリンクのうち, consist_of, part_of はシナリオの 階 層 関 係 を 表 現 する.シナリオ-サブ シナリオ 関 係 のような 階 層 関 係 は,2 つの scenario ノードを 接 続 する consist_of リンクにより 表 現 する. 一 方 で, part_of リンクは scenario ノードと scenario_component 間 の 包 含 関 係 を 表 す.シ ナリオ 間 の 関 係 は compare, により 表 現 し,それぞれシナリオ 間 の 比 較 関 係, 参 照 関 係 を 表 すものと 定 義 する. 表 のリンク(A, B)は 始 点 ノード A と 終 点 ノード B を 表 し,リンクは A から B の 方 向 に 向 きを 持 つ.ただし,2 つのノードの 比 較 関 係 を 表 す compare のみ, 接 続 される 2 個 の ノード 間 に 方 向 性 ( 始 点 と 終 点 で 意 味 づけが 異 なる 関 係 ) がないために 双 方 向 のリンクと 定 義 す る. 図 に,World Energy Outlook (WEO) 2004 の Reference Scenario[73]を Scenario Level で 構 造 化 した 例 の 一 部 を 示 す.WEO は International Energy Agency (IEA) が 毎 年 発 行 している 報 告 書 であり,そこでは 過 去 の 様 々なデータに 基 づいて 将 来 のエネルギー 需 給 を 予 測 している. 図 では,Reference Scenario とサブシナリオ,およびサブシナリオとサブサブシナリオの 関 係 が consist_of リンクにより 表 現 されている.また,2 本 のサブサブシナリオ 間 には 対 比 関 係 のあること が compare リンクによって 明 示 されている.サブシナリオの 記 述 と,その 記 述 のために 参 照 してい る 外 部 の 文 献 の 関 係 は リンクにより 明 示 される.

66 Scenario Level Reference Scenario Sub-scenarios of Reference Scenario Sub-sub-scenarios of Reference Scenario Referring to external literature Node scenario scenario_component Link consist_of part_of compare 図 4.2.2: Reference Scenario に 含 まれるサブシナリオの 一 部

67 4.3 Expression Level Expression Level 4.1 節 で 述 べたように,Expression Level ではシナリオ 文 章 の 論 理 構 造 を 理 解 するために, 主 語 と 動 詞 からなる 節 (clause) の 間 の 論 理 構 造 を 表 現 する.Expression Level には, 表 に 示 すよう に 7 種 類 のノードと 7 種 類 のリンクを 定 義 する. 表 4.3.1: Expression Level のノードとリンクの 定 義 Node Link Type Definition problem A motive for creating a scenario, or a problem to be addressed in a scenario. conclusion A conclusion of a scenario. literature A report, an article, a book, another scenario, and other literature red in a scenario. fact A historical or scientific fact. A premise or a introduced to a scenario. derived_fact A consequence deduced from other nodes in a scenario. A derived_fact node derives from other nodes with links. action A strategy, policy, or action, which is taken by stakeholders involved, such as private sector, government, and other individuals. paradox(a, B) The content of a node A is inconsistent with that of a node B. (A, B) A node B is causally deduced from a node A. logical_jump(a, B) A node B is derived from a node A with a leap of logic. equal(a, B) The content of a node A is equal to that of a node B. compare(a, B) A node A is compared with a node B. detail(a, B) A node B is a detailed description of a node A. (A, B) A node A s to a node B. The type of node B is limited to literature or fact Expression Level ノードの 定 義 本 研 究 では,4.2 節 で 述 べたように,シナリオ 文 章 の 論 理 展 開 は(1) シナリオの 問 題 設 定 (problem),(2) シナリオの 前 提 または 仮 定 (),(3) シミュレーション 結 果 (result),(4) シ ナリオの 考 察 (discussion),(5) シナリオの 結 論 (conclusion),の 5 種 類 に 分 類 する.このうち,(1) と(5)は 表 の problem, conclusion ノードの 集 合 としてそれぞれ 表 現 する. 残 りの(2)~(4)に 対 しては, 問 題 設 定 と 結 論 の 間 の 論 理 展 開 を 表 現 するために literature, fact,,

68 Expression Level derived_fact, action の 5 種 類 のノードを 定 義 する.これら 5 種 類 の Expression Level ノードは, シナリオの 合 理 的 な 記 述 のために 表 に 示 すように 次 の 2 つの 基 準 に 従 って 分 類 する. 仮 定 と 事 実 の 区 別 外 因 性 と 内 因 性 の 区 別 それぞれの 区 別 の 意 義 と,5 種 類 の 各 ノードの 定 義 は 以 下 のとおりである. 表 4.3.2: Expression Level ノードの 分 類 Exogenous Endogenous Hypothesis derived_fact action literature Fact fact 仮 定 と 事 実 の 区 別 シナリオの 論 理 展 開 を 記 述 するために 重 要 な 軸 のひとつが, 仮 定 と 事 実 の 区 別 である.この 区 別 は,2.3 節 に 示 した 評 価 基 準 のうち 信 ぴょう 性 (credibility) の 判 断 のために 重 要 である. 本 研 究 では, 表 に 示 すように 事 実 を 表 現 するノードとして fact, 仮 定 を 表 現 するノードとして, derived_fact, action の3 種 類 を 定 義 する. literature ノードが 表 す 参 考 文 献 には, 一 般 に 事 実 と 仮 定 の 両 方 の 記 述 が 含 まれるため, literature は 事 実 と 仮 定 の 両 方 の 要 素 を 含 むノ ードと 考 える.ノードの 信 ぴょう 性 を 表 現 するために,これらのノードのに 対 して 真 理 値 を 割 り 当 てる と, fact ノードの 値 は 真 ( 常 に 正 しい) であるのに 対 して,それ 以 外 の 4 種 類 のノード (, derived_fact, action, literature ) の 値 は 必 ずしも 真 とは 限 らない.これら 4 種 類 のノードの 真 理 値 は, 読 み 手 がノードの 意 味 に 基 づいてその 真 偽 を 判 断 する 必 要 がある. ここで, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 特 徴 のひとつは 参 考 文 献 を 多 用 することであり (2.1.2 節 参 照 ), literature ノードはシナリオ 記 述 の 根 拠 として 何 らかの 外 部 文 献 を 利 用 していることを 明 確 化 する. 図 に,WEO2004 の Reference Scenario[73]を 構 造 化 したときに 現 れる literature ノードの 例 を 示 す.ここでは, 国 連 の 人 口 予 測 という 外 部 文 献 を 参 照 することによって,Reference Scenario で は 人 口 増 加 が 鈍 化 していくという 仮 定 を 置 いている.

69 4.3 Expression Level 61 図 4.3.1: literature ノードの 例 外 因 性 と 内 因 性 の 区 別 シナリオの 論 理 展 開 を 理 解 するためのもうひとつの 軸 として 外 因 的 (exogenous) と 内 因 的 (endogenous) の 区 別 を 導 入 する.この 軸 によって,ある 仮 定 がシナリオ 内 のステークホルダー ( 企 業, 政 府, 個 人 など) にとって 選 択 可 能 な 戦 略, 政 策, 行 動 か ( 内 因 的 か),そうでないか ( 外 因 的 か) を 区 別 する. 表 に 示 す 仮 定 のカテゴリの 中 で 内 因 的 な,すなわち 主 役 となるステークホ ルダーが 選 択 可 能 な 戦 略, 政 策, 行 動 に 対 応 する 概 念 を action ノードとして 表 現 する. 一 般 に, 持 続 可 能 社 会 シナリオは 将 来 のために 選 択 すべき 戦 略, 政 策, 行 動 を 決 定 するためのツールとし て 利 用 されるため,それらの 戦 略 などを action ノードとして 明 確 化 することで, 意 思 決 定 を 手 助 け することができる. 例 えば, 自 動 車 会 社 が 将 来 の 戦 略 として 1 人 乗 りの 電 気 自 動 車 を 開 発 する 場 合, その 戦 略 と 結 果 は 図 のように 表 現 する.この 例 では, 導 出 した 結 果 が 最 大 30%の 自 転 車 ユ ーザが,1 人 乗 りの 電 気 自 動 車 を 購 入 する 可 能 性 がある であり, 想 定 した 戦 略 との 間 に 論 理 的 な 飛 躍 があることから 2 個 のノードは logical_jump リンクにより 接 続 している. 図 4.3.2: action ノードの 例 その 一 方 で, 表 の 事 実 のカテゴリは 将 来 の 戦 略 策 定 と 関 係 がないため, 特 に 外 因 的 と 内 因 的 の 区 別 はせずに,ともに fact ノードにより 表 現 する.ここで, 内 因 的 な 事 実 は,シナリオ 内 のス テークホルダーが 過 去 に 選 択 した 戦 略 や 政 策 を 表 す. 外 因 的 な 仮 定 には, と derived_fact という 2 種 類 のノードを 定 義 する. 特 に, derived_fact ノードは 他 のノードから 因 果 関 係 を 表 す リンクを 用 いて 導 出 される 記 述 で あり,その 真 理 値 は 導 出 元 のノードの 真 理 値 に 依 存 して 決 まるものとする.この 意 味 で, derived_fact はシナリオ 内 で 前 提 や 仮 定 として 置 かれる や, 常 に 真 理 値 を 真 として 扱

70 Expression Level う fact とは 区 別 する. 図 に,WEO 2004 の Reference Scenario[73]の 論 理 構 造 に 現 れる derived_fact ノードの 例 を 示 す.ここでは, 現 在 利 用 されているエネルギー 消 費 型 の 資 本 ストックは, 徐 々に 置 き 換 えられ ていく という 仮 定 から 因 果 関 係 に 基 づいて, 技 術 開 発 の 影 響 の 大 部 分 は, 見 通 し 期 間 の 終 盤 に なるまで 顕 在 化 しない という 結 果 を derived_fact ノードとして 導 いている.この 例 では, 資 本 ストッ クに 関 する 置 換 速 度 が 遅 いことの 真 偽 が derived_fact ノードの 真 偽 と 一 致 する. 図 4.3.3: derived_fact ノードの 例 Expression Level リンクの 定 義 Expression Level のリンクとしては, 表 に 示 すように 導 出 関 係 を 持 つ 4 種 類 のリンクと, 導 出 関 係 を 持 たない 3 種 類 のリンクを 定 義 する.ここで 導 出 関 係 を 持 つリンクとは, 接 続 される 2 個 のノ ード A,B に 対 して,ノードが 表 す 意 味 的 な 面 でどちらかのノードからもう 一 方 のノードを 導 出 するも のである.Scenario Level と 同 様 に,リンク(A, B)は 始 点 ノード A から 終 点 ノード B の 片 方 向 リンクで ある.ただし, compare, equal と paradox では,リンク(A, B)において 接 続 される 2 個 のノード A, B の 間 に 方 向 性 がないため 双 方 向 リンクとする.これらのリンクはそれぞれ,2 個 のノード 間 の 比 較, 等 価, 矛 盾 の 関 係 を 表 現 する. 導 出 関 係 を 持 つ 4 種 類 のリンクは,さらに 論 理 的 な 関 係 を 表 現 する と, 論 理 的 に 弱 い 関 係 を 表 現 する logical_jump, detail, に 分 類 する 節 で 述 べたように, 持 続 可 能 社 会 シナリオには 論 理 的 な 部 分 とそうでない 部 分 が 混 在 しているため,それらを 区 別 することはシナリ オを 理 解 するために 不 可 欠 である. 本 研 究 では, 論 理 的 な 関 係 とは,リンクで 接 続 される 2 個 のノ ード 間 で 真 理 値 が 保 存 される 関 係 であると 定 義 する. 逆 に, 論 理 的 に 弱 い 関 係 を 表 す logical_jump, detail, では,2 個 のノード 間 の 真 理 値 は 保 存 されないものと 定 義 する. 1 論 理 的 に 弱 い (logically weak) 導 出 関 係 には, 非 論 理 的 な (illogical) 導 出 関 係 の 概 念 も 包 含 する. ただし, 非 論 理 的 には 不 合 理 という 意 味 合 いがあり, 表 現 として 強 すぎるために,ここでは logical_jump, detail, を 論 理 的 に 弱 い 導 出 関 係 と 表 現 する.

71 4.3 Expression Level 63 表 4.3.3: Expression Level リンクの 分 類 Links to semantically extend a node to another node Links not to semantically extend Logical Logically weak a node to another node logical_jump compare detail equal paradox 論 理 的 な 導 出 関 係 を 表 現 する リンクの 定 義 は 以 下 のとおりである. リンク (A, B)リンクは, 図 で 示 したように 2 つの 事 象 A,B 間 における 因 果 的 な 関 係 を 表 す ( 図 参 照 ).この 例 では, の 記 述 が 真 であれば derived_fact ノードの 記 述 も 真 となる. 逆 に, の 記 述 が 偽 であれば, derived_fact ノードの 記 述 も 偽 である. 図 4.3.4: の 定 義 一 方 で, logical_jump, detail と リンクは 論 理 的 に 弱 い 導 出 関 係 を 表 現 する. 各 リンク の 定 義 は 以 下 のとおりである. logical_jump リンク logical_jump(a, B)リンクは,ノード A の 記 述 から 論 理 的 飛 躍 によってノード B を 導 出 する 関 係 を 表 現 する.WEO 2004 の Reference Scenario[73]から 抽 出 した 例 を 図 に 示 す.この 例 では,2 つの 仮 定 から 論 理 的 な 飛 躍 によって 1 つの 結 論 を 導 いている.すなわち, 電 力 とガス 市 場 の 改 革 は 前 進 するが,その 改 革 速 度 は 国 によって 異 なる, エネルギー 貿 易 の 自 由 化 と,エネルギーの 補 助 金 に 関 する 改 革 も 進 展 するだろう という 仮 定 から, これらの 政 策 は,OECD 諸 国 で 最 も 着 実 に 実 行 される という 結 論 を 得 ている.この 結 論 を 得 るためには OECD 諸 国 と 他 の 国 々の 間 の 比 較 がされていると 考 えられるが,その 記 述 が 明 示 されていない. 論 理 的 飛 躍 は,このように 暗 黙 的 な 前 提 を 利 用 した 導 出 関 係 を 表 す.

72 Expression Level 図 4.3.5: logical_jump リンクの 例 detail リンク detail(a, B)リンクは,ノード A がノード B に 向 かって 詳 細 化 または 定 量 化 される 関 係 を 表 現 する. WEO 2004 の Reference Scenario[73]から 抽 出 した 例 を 図 に 示 す.この 例 では, 今 後 20 年 間 にわたり,GDP の 成 長 率 が 全 地 域 で 次 第 に 減 速 していく という 仮 定 を 詳 細 化 して, 成 長 率 は 2002 年 ~2010 年 の 3.7%から,2020 年 代 には 2.7%に 落 ち 込 む という 仮 定 を 導 出 している. 図 4.3.6: detail リンクの 例 リンク (A, B)リンクは,ノード A がノード B を 参 照 する 関 係 を 表 現 する. リンクは,シナリオ 記 述 の 根 拠 として, 外 部 の 文 献 や 事 実 といったシナリオの 外 部 で 定 められる 情 報 を 参 照 していること を 明 確 化 する.この 明 確 化 のために, 本 研 究 では (A, B)のノード B は literature または fact ノードに 限 定 する ( 図 参 照 ). 図 の 例 では,ノード A が,ノード B が literature であり, 参 考 文 献 の 記 述 をもとに 仮 定 が 導 出 される 関 係 を 表 している.ただし, (A, B) はノード B の 記 述 からノード A の 記 述 を 導 出 するという 関 係 を 表 すことから,ノード 間 の 意 味 的 な 方 向 はノード B からノード A であり, 元 々の 定 義 による 表 記 上 の 矢 印 の 向 き ( 図 参 照 ) と は 逆 になる 点 に 注 意 が 必 要 である.

73 4.3 Expression Level 65 図 4.3.7: リンクの 定 義 以 上 で 示 した logical_jump と detail リンクの 違 いは, 図 に 示 すように 2 個 のノードが 持 つ 意 味 の 相 対 的 な 関 係 である. detail リンクは 導 出 元 から 導 出 先 のノードに 向 かって 記 述 を 詳 細 化 するのに 対 して, logical_jump リンクは 詳 細 化 せずに 新 たな 情 報 を 導 出 する.この 点 で, logical_jump リンクよりも detail(a, B) リンクの 方 が, 接 続 されたノード A とノード B の 間 の 意 味 の 関 連 性 が 強 いといえる. 逆 に, logical_jump(a, B) リンクの 場 合,ノード A とノード B の 間 の 意 味 の 関 連 性 は 相 対 的 に 弱 い.このように, 意 味 の 観 点 からノード 間 の 関 連 性 を 区 別 することも, 読 み 手 がシナリオを 合 理 的 に 理 解 するための 手 助 けとなるだろう. リンクは,シナリオ 外 部 の 情 報 を 参 照 することによって 新 たな 情 報 を 導 出 する 点 が logical_jump および detail リンクと 異 なる ( 図 参 照 ). 逆 に, logical_jump, detail リンクはシナリオの 内 部 で 設 定 された 問 題 や 仮 定 から, 新 たな 仮 定 や 結 論 を 導 出 する 場 合 に 用 いる. 図 4.3.8: logical_jump と detail リンクの 違 い

74 Expression Level 図 4.3.9: リンクと logical_jump, detail リンクの 違 い 表 に 示 した 7 種 類 のリンク(A, B)を 論 理 性 の 観 点 から 区 別 すると, 接 続 された 2 つのノード A,B 間 で 論 理 的 な 真 理 値 が 保 持 されるものは と equal のみである.それ 以 外 のリンク で 接 続 されるノード 間 では 真 理 値 は 保 存 されず,すなわち 論 理 的 な 演 算 を 行 うことはできない. 本 研 究 では,リンクと 真 理 値 の 関 係 をシナリオの 論 理 構 造 分 析 のために 利 用 する. 論 理 構 造 分 析 手 法 の 詳 細 は 第 6 章 で 述 べる.

75 4.4 Data Level Data Level Data Level では, 持 続 可 能 社 会 シナリオの 記 述 の 根 拠 として 利 用 されるシミュレーション 部 分 を モデル 化 する. 一 般 にシナリオのシミュレーションに 関 しては,シミュレータの 入 力 データがシナリ オの 記 述 によって 決 定 され, 結 果 として 得 られるシミュレータの 出 力 結 果 がシナリオ 上 に 記 載 される. このことから,Data Level ではシナリオのシミュレーション 部 分 を,シナリオの 記 述 に 利 用 されるシミ ュレータとシミュレータの 入 出 力 データ 間 の 関 係 として 表 現 する.この 関 係 は, 図 に 示 すよう に, 大 きく 分 けてシミュレータ, 入 力 データ, 出 力 データという 3 つの 要 素 を 導 入 することによって 表 現 する.そのために,Data Level では 表 に 示 す 4 種 類 のノードと 2 種 類 のリンクを 定 義 する. ノードとリンクの 定 義 の 詳 細 を,それぞれ 以 下 に 述 べる. 図 4.4.1: シミュレータの 入 出 力 データのモデル 化 表 4.4.1: Data Level のノードとリンクの 定 義 Type Definition simulator A simulator used for describing a scenario. dataset A set of input or output data of a simulator, represented as a sequence of Node datumlist nodes. datumlist A set of datum nodes at a given time in a time series. datum Each individual input or output data, consisting of three elements: label, value, and unit. input(a, B) The data of a node A ( dataset ) is inputted into a node B ( simulator ). Link output(a, B) The output data of a node B ( dataset ) is outputted from a node A ( simulator ).

76 Data Level Data Level ノードの 定 義 シミュレータと 入 出 力 データの 関 係 を 表 現 するために,シミュレータを 表 す 要 素 として simulator, 入 出 力 データを 表 す 要 素 として dataset, datumlist, datum の 3 種 類 のノードを 定 義 する ( 図 参 照 ).3.5 節 で 述 べたように, 本 研 究 ではシミュレータを Simulator Database に 格 納 して 再 利 用 可 能 とするために, simulator ノードに 対 して 表 に 示 す 2 種 類 の 属 性 を 持 たせる.これら の 属 性 により,Simulator Database 上 でシミュレータの 検 索 を 可 能 とする.Simulator Database の 詳 細 は 第 5 章 で 述 べる. 表 4.4.2: simulator ノードの 属 性 ID Attribute Simulator name Definition The ID number of a simulator. The name of a simulator. 表 4.4.3: 日 本 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 推 移 [74] CO2 CO2 Year emissions CO2 per Capita emissions CO2 per Capita Year (million (tons-co2eq/person) (million (tons-co2eq/person) tons-co2eq) tons-co2eq) , , , , , , , , , , , , , , , , , , , dataset, datumlist, datum ノードはそれぞれ,シミュレータに 入 力 ( 出 力 ) されるデータの 集 合, 時 系 列 データのある 時 間 におけるデータ 一 組, 個 々のデータを 表 す. 日 本 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 データ ( 表 参 照 ) を 構 造 化 したときの 例 を 図 に 示 す.この 例 では, dataset は 1990~2008 年 の CO2 排 出 量 の 総 量 と 一 人 当 たり CO2 排 出 量 の 時 系 列, datumlist は 1990 年 の CO2 排 出 量 11 億 トン, 一 人 当 たり CO2 排 出 量 9.25 トン, datum は 年 : 1990 (-) や CO2

77 4.4 Data Level 69 排 出 量 : 11 ( 億 トン) を 表 す. 図 に 示 すように, dataset, datumlist, datum は 階 層 関 係 を 構 成 し, datum は,データ 名, 値, 単 位 ( 例 えば,CO2 排 出 量,11, 億 トン) の 3 つの 属 性 から 構 成 する. dataset datumlist datum Label: Year, value: 1990, unit: - datum Label: CO2 emissions, value: 1,143, unit: million tons-co2eq datum Label: CO2 per Capita, value: 9.25, unit: tons-co2eq/person datumlist datumlist datum Label: Year, value: 1991, unit: - datum Label: CO2 emissions, value: 1,153, unit: million tons-co2eq datum Label: CO2 per Capita, value: 9.29, unit: tons-co2eq/person datum Label: Year, value: 2008, unit: - datum Label: CO2 emissions, value: 1,214, unit: million tons-co2eq datum Label: CO2 per Capita, value: 9.51, unit: tons-co2eq/person 図 4.4.2: シミュレータの 入 出 力 データの 構 造 化 Data Level リンクの 定 義 リンク(A, B) は 始 点 ノード A から 終 点 ノード Bへの 片 方 向 リンクである. input, output リンク は,それぞれデータとシミュレータ 間 の 入 力 または 出 力 の 関 係 を 表 現 する ( 図 参 照 ). 本 研 究 では, input, output リンクで 接 続 される 関 係 は 論 理 的 な 関 係 であると 定 義 する.すなわち, Expressin Level リンク (4.3.2 節 参 照 ) で 定 義 した, equal リンクと 同 様 に,シミュレータ

78 Data Level の 入 力 データと 出 力 データの 間 では, 真 理 値 が 保 存 されると 考 える.この 理 由 は,シミュレータに 埋 め 込 まれている 数 理 モデルによって, 入 力 データと 出 力 データが 論 理 的 に 整 合 していると 考 えるか らである.

79 4.5 レベル 間 の 関 係 レベル 間 の 関 係 本 節 では,4.2~4.4 節 で 定 義 した 3 つの 各 レベル 間 の 関 係 を 定 義 する. 以 下 では,(1) Expression Level と Data Level 間 の 関 係,(2) Scenario Level と Expression Level および Scenario Level と Data Level の 関 係 をそれぞれ 定 義 する Expression Level と Data Level の 関 係 シナリオの 文 章 とシミュレーション 部 分 の 関 係 を 明 示 的 に 記 述 するために,Expression Level と Data Level の 間 を 接 続 する 3 種 類 のリンクを 図 のように 定 義 する.それぞれのリンク(A,B) は,ノード A と B の 意 味 づけが 異 なり 両 者 は 交 換 可 能 でないため,ノード A からノード B に 向 かう 片 方 向 リンクである. 図 4.5.1: シナリオ 文 章 とシミュレータの 関 係 づけ 表 4.5.1: Expression Level と Data Level 間 のリンク Type data_extraction(a, B) data_detail(a, B) result_export(a, B) Definition Input data described in a node A (Expression Level) is extracted and transferred to a node B ( datum ). A description of a node A (Expression Level) is quantified as input data, which is represented as a node B ( datum ). Output data of a node A ( dataset ) is exported to a node B (Expression Level).

80 レベル 間 の 関 係 持 続 可 能 社 会 シナリオでは, 経 験 的 にすべての 入 力 データがシナリオ 上 で 明 示 的 に 記 述 される わけではないため,その 区 別 のためにシナリオ 文 章 とシミュレータの 個 々の 入 力 データの 関 係 を 2 種 類 のリンク ( data_extraction または data_detail ) により 表 す.つまり, data_extraction はシナ リオ 文 章 上 に 入 力 データ 明 示 される 場 合, data_detail はシナリオの 文 章 から 入 力 データが 非 明 示 的 に 定 量 化 される 場 合 に 用 いる.これらのリンク(A, B) において,ノード A はシナリオの 記 述 を 表 す Expression Level のノード,ノード B はシミュレータの 個 々の 入 力 データを 表 す Data Level の datum ノードとする ( 表 参 照 ). その 一 方 で result_export リンクは, 出 力 データがシナリオ 上 でシミュレーション 結 果 が 引 用 され ている 関 係 を 表 す. 経 験 的 に,シナリオの 文 章 上 ではシミュレータの 個 々の 出 力 データが 言 及 され るよりもむしろ, 一 連 の 時 系 列 データがグラフや 表 形 式 で 記 述 されることが 多 い.そのため, result_export(a, B) のノード B は Data Level の dataset ノードと 定 義 する ( 表 参 照 ).これは, data_extraction, data_detail の 接 続 先 が datum ノードを 対 象 としていた 点 と 異 なる.ただし,ノ ード A は 同 様 に,シナリオの 記 述 を 表 す Expression Level のノードである. 例 として, 図 に CO2 Emissions Scenarios in Japan のサブシナリオである A1-Reference Scenario[77]を 構 造 化 したときの,Expression Level と Data Level の 関 係 を 示 す.A1-Reference Scenario[77]は IPCC の A1 シナリオ[9]と 関 連 したシナリオであり, 日 本 の 経 済 が 世 界 の 市 場 原 理 シ ステムにシフトすると 想 定 した 場 合 の 日 本 における CO2 排 出 量 を 見 積 もっている.このサブシナリ オでは,シナリオの 記 述 を 根 拠 付 けるために,AIM/Enduse [Japan] Model を 用 いたシミュレーション が 行 われている. 図 において,シミュレータの 入 力 データの 集 合 (I)にはガソリン 価 格 や 天 然 ガスの 価 格 が 含 まれており,それらの 値 の 設 定 に 関 連 しているシナリオ 文 章 のうち, 仮 定 (II)は data_detail で, 仮 定 (III)は data_extraction でそれぞれ 接 続 されている. 仮 定 (II)の 記 述 は In the energy industry, price competition will intensify in line with reductions in the cost of electricity following deregulation. であり,この 記 述 を 定 量 化 することによって, 入 力 データ(I)のエネルギー 価 格 が 定 め られている.その 一 方 で, 仮 定 (III)は 表 に 示 すひとつの 表 全 体 であり,ここに 明 示 されている 入 力 データの 値 が, 入 力 データ(I)で 使 われている.このように,シナリオの 文 章 にはすべての 入 力 データの 値 が 明 示 的 に 記 述 されているわけではなく, data_detail と data_extraction の 2 種 類 のリ ンクはどのような 入 力 データの 値 が 明 示 的 に 決 定 されているか,または 暗 黙 的 に 決 定 されているか を 区 別 する.シナリオとシミュレータの 出 力 データ 間 の 関 係 を 表 す result_export リンクは,シミュレ ータの 出 力 データ(IV)に 基 づいて,シナリオ 文 章 中 で 図 の 結 果 (V)が 提 示 されている 関 係 を 表 している. 表 の 3 種 類 のリンクを 論 理 性 の 観 点 から 区 別 すると, data_extraction で 接 続 されたシナリ

81 4.5 レベル 間 の 関 係 73 オの 記 述 は 入 力 データそのものを 含 むため,Expression Level のノードと Data Level の datum ノー ドで 表 される 入 力 データの 間 には 論 理 的 な 関 係,すなわち 論 理 的 な 真 理 値 が 保 存 される 関 係 があ ると 解 釈 することができる.その 一 方 で, data_detail リンクで 接 続 された Expression Level のノード には 入 力 データの 値 が 含 まれず,その 値 は 暗 黙 的 に 決 定 されるため, data_detail リンクは 論 理 的 に 弱 い 関 係,すなわち 論 理 的 な 真 理 値 が 保 存 されない 関 係 と 定 義 する.また, result_export で 接 続 されたシナリオの 記 述 は 出 力 データを 含 むため, data_extraction と 同 様 に,シナリオの 記 述 を 表 す Expression Level のノード ( 例 えば, 図 のノード(V)) と 出 力 データを 表 す Data Level の dataset ノード(IV) の 間 では 真 理 値 が 保 存 されていると 解 釈 できる. 意 味 的 には, 出 力 データを 表 す dataset ノードがシミュレーション 結 果 を 表 す Expression Level のノードを 導 出 するため,その Expression Level のノードは 必 ず derived_fact ノードに 分 類 する.これらの 論 理 性 と 表 で 定 義 した 3 種 類 のリンクの 関 係 は,シナリオの 論 理 構 造 分 析 に 利 用 する ( 第 6 章 参 照 ). (II) Hypothesis: Energy price competition will intensify (III) Hypothesis: Energy service demand In the energy industry, price Time saved by outsourcing Moreover, the population and Transportation networks will be Also, employment opportunities will Table 8. Energy service demand data_detail data_detail data_detail data_detail data_detail data_extraction data_detail dataset AIM_Enduse_to_ Japan_A1 (input) input simulator AIM_Enduse_to_ Japan_A1 output data_extraction dataset AIM_Enduse_to_ Japan_A1 (output) (I) Input Dataset (incl. gasoline price, natural gas price) result_export result_export result_export (IV) Output Dataset result_export derived_fact Table 9. CO2 emissions of derived_fact Fig.4. CO2 emission profiles derived_fact Fig. 5. Population, GDP (V) Simulation Results 図 4.5.2: A1-Reference Scenario の Expression Level と Data Level の 関 係 づけ

82 レベル 間 の 関 係 表 4.5.2: A1 シナリオに 対 するシミュレーション 入 力 条 件 [77] Catagory Item Unit Value General Economic growth rate %/year Population million Industrial Crude steel 10,000t 8,887 7,886 Cement 10,000t 8,398 8,667 Ethylene 10,000t Paper and paperboads 10,000t 3,052 2,891 Share of tertiary industry % Residential Households million Heating service per household (2000=100) Cooling service per household (2000=100) Information appliances per household (2000=100) Fuel cell cogeneration million kw Commercial Floor space million m 2 1,804 1,957 Fuel cell cogeneration million kw Transportation Passenger transportation million 1,387 1,402 pass.-km Fuel cell vehicles % 0 0 Freight transportation million t-km Power generation Nuclear power plants MW 53,248 53,819 図 4.5.3: CO2 排 出 量 に 関 するシミュレーション 結 果 [77]

83 4.5 レベル 間 の 関 係 Scenario Level と Expression/Data Level の 関 係 Scenario Level と Expression/Data Level の 間 の 関 係 づけの 目 的 は,Expression Level と Data Level の 論 理 構 造 に 基 づいて, 持 続 可 能 社 会 シナリオを 6 種 類 (problem,,simulation, result,discussion,conclusion) の scenario_component ノードに 分 類 することである.ただし, 分 類 する 対 象 のシナリオの 単 位 は 1 本 のサブシナリオとする.これは 1 個 の scenario ノードに 相 当 し,p. 57 の 図 の 例 でいえばサブシナリオ A またはサブシナリオ B に 相 当 する.この 分 類 に よって, 図 に 示 すようにシナリオを 意 味 のかたまりで 区 切 って 理 解 することが 可 能 となる. problem problem fact simulation dataset simulator dataset result derived_fact derived_fact discussion derived_fact conclusion conclusion conclusion Node problem conclusion literature fact derived_fact action dataset simulator Link paradox logical_jump equal compare detail input output data_extraction data_detail result_export 図 4.5.4: Scenario Level と Expression/Data Level の 関 係 づけ サブシナリオを 6 種 類 の scenario_component ノードに 分 類 するためのアルゴリズムを, 既 存 の 持 続 可 能 社 会 シナリオを Expression Level および Data Level で 構 造 化 した 結 果 に 基 づいて 抽 出 する.その 結 果 として 得 られたアルゴリズムを 図 に 示 す.このアルゴリズムに 沿 って scenario_compoenent ノードと,Expression Level または Data Level のノードを 関 係 づける.これら のノード 間 の 関 係 づけには, 表 に 定 義 する include リンクを 用 いる.

84 レベル 間 の 関 係 Structured Scenario (sub-scenario) Step 1 Extract simulation component as a whole set of Data Level nodes. Step 2 Extract result component をas a set of derived_fact nodes that are connected with result_export links. Step 3 Extract conclusion component as a set of conclusion nodes Step 4 Extract discussion component as a set of Expression Level nodes that are included in the connected sub-graphs between nodes of conclusion component and result component. Step 5 Extract component as Expression Level nodes that are included in rationale set 1, but not included in discussion component. Step 7 Make sure that the user assigns Expression Level nodes that do not belong to any components to appropriate components based on the meanings of descriptions in nodes. Step 6 Extract problem component as a set of problem nodes, and other Expression Level nodes that are reachable to problem nodes 2 but must not be included in other components. Done 図 4.5.5: Expression/Data Level の 分 類 アルゴリズム 12 表 4.5.3: Scenario Level と Expression/Data Level 間 のリンク Type include(a, B) Definition A scenario_component node A includes a node B in Expression or Data Level. 1 根 拠 集 合 は,サブシナリオに 含 まれる conclusion ノード (Expression Level) を 導 出 する 役 割 を 持 つ Expression Level のノード 集 合 と 定 義 する. 根 拠 集 合 は,6.2 節 で 定 式 化 する. 2 problem ノードに 到 達 可 能 な (reachable) Expression Level のノードとは, problem ノードを 直 接 的 または 間 接 的 に 導 出 するノードである.さらに,それらのノードと 意 味 的 に 等 しいノード ( equal リンクで 接 続 されるノード) も 含 める. 本 研 究 では, 導 出 関 係 は 表 に 示 す 4 種 類 のリンク (,, logical_jump, detail ) のいずれかにより 表 現 する.

85 4.5 レベル 間 の 関 係 77 図 の 分 類 アルゴリズムを CO2 Emissions Scenarios in Japan の A1-Reference Scenario[77] に 適 用 したときの 結 果 を 図 4.5.6, 図 に 示 す.ここで, 図 は 分 類 アルゴリズム ( 図 参 照 ) の 7 つのステップのうち 1~6 つ 目 のステップに 基 づいてコンポーネントを 機 械 的 に 分 類 した 結 果 であり, 図 はさらに 7 つ 目 のステップ (どのコンポーネントにも 属 していないノードを 筆 者 が 意 味 に 基 づいて 分 類 する) を 実 行 した 結 果 である.(A) ~ (E) の 各 ブロックは, scenario_component ノードの problem,,simulation,result,conclusion にそれぞれ 対 応 する. 図 と 図 の 比 較 からわかるように,この 例 ではブロック(A)において ノード(a) のみ 筆 者 が 意 味 に 基 づいて problem コンポーネントに 分 類 したが,それ 以 外 の(B)~(E) のブロックは,Expression Level と Data Level の 論 理 構 造 に 基 づいて 機 械 的 に 分 類 した. ここで,ノード(a)は From these results, consideration was given to the causal relationship between Japan s growth pattern and the significance of measures to control greenhouse gases. であり, この 記 述 が 図 でシナリオの 問 題 設 定 を 表 すノード(b) The authors also estimated Japan s future CO2 emissions for each narrative scenario using the AIM/Enduse [Japan] model. から 論 理 的 飛 躍 により 導 出 されている.この 関 係 から,ノード(a)はシナリオ 全 体 の 見 通 しを 語 ったものであり, シナリオの 問 題 設 定 に 関 わる problem コンポーネントに 属 すると 判 断 した. 結 果 として,A1-Reference Scenario に 含 まれる Expression Level と Data Level の 合 計 ノードに 対 して 97% (37 個 のうち 36 個 ) のノードを 機 械 的 にいずれかのコンポーネントに 分 類 することがで きた.なお,ここで 例 として 取 り 上 げた A1-Reference Scenario には,discussion を 表 す scenario_component ノードと include リンクで 関 連 づけられる Expression Level のノードは 存 在 し ない.

86 レベル 間 の 関 係 (A) problem literature fact Accordingly, the Working Group equal fact With the Kyoto Protocol due to fact However, since many aspects (a) Unsorted node fact fact Four alternative scenario families fact It is thought desirable to hold (b) problem node logical_jump fact Furthermore, as a preliminary step problem In order to estimate future detail problem The authors also estimated Japan s equal problem Using AIM/Enduse [Japan], we estima (B) logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump In terms of lifestyles, active detail logical_jump in other words, there will be equal In vestments are targeted to An estimation of the energy service detail equal detail In the energy industry, price Time saved by outsourcing Moreover, the population and Transportation networks will be Also, employment opportunities will a. Reference case (fixed tech Table 8. Energy service demand data_detail data_detail data_detail data_detail data_detail data_detail data_extraction data_extraction data_detail dataset AIM_Enduse_to_ Japan_A1 (input) input simulator AIM_Enduse_to_ Japan_A1 output dataset AIM_Enduse_to_ Japan_A1 (output) (C) simulation (D) result (E) conclusion derived_fact Table 9. CO2 emissions of logical_jump result_export result_export result_export derived_fact Fig.4. CO2 emission profiles logical_jump derived_fact Fig. 5. Population, GDP logical_jump logical_jump result_export conclusion CO2 emissions will be largest, conclusion Although the economic scale conclusion Energy intensity drops dramatically conclusion Coal and oil would also likely conclusion In transportation terms, the develo conclusion Furthermore, this scenario offers 図 4.5.6: A1-Reference Scenario における Expression/Data Level の 分 類 (1)

87 4.5 レベル 間 の 関 係 79 (A) problem fact Accordingly, the Working Group fact With the Kyoto Protocol due to fact However, since many aspects literature equal fact fact Four alternative scenario families fact It is thought desirable to hold logical_jump fact Furthermore, as a preliminary step problem In order to estimate future detail problem The authors also estimated Japan s equal problem Using AIM/Enduse [Japan], we estima (B) logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump logical_jump In terms of lifestyles, active detail logical_jump in other words, there will be equal In vestments are targeted to An estimation of the energy service detail equal detail In the energy industry, price Time saved by outsourcing Moreover, the population and Transportation networks will be Also, employment opportunities will a. Reference case (fixed tech Table 8. Energy service demand data_detail data_detail data_detail data_detail data_detail data_extraction data_extraction data_extraction data_detail dataset AIM_Enduse_to_ Japan_A1 (input) input simulator AIM_Enduse_to_ Japan_A1 output dataset AIM_Enduse_to_ Japan_A1 (output) (C) simulation (D) result (E) conclusion derived_fact Table 9. CO2 emissions of logical_jump result_export result_export result_export derived_fact Fig.4. CO2 emission profiles logical_jump derived_fact Fig. 5. Population, GDP logical_jump logical_jump result_export conclusion CO2 emissions will be largest, conclusion Although the economic scale conclusion Energy intensity drops dramatically conclusion Coal and oil would also likely conclusion In transportation terms, the develo conclusion Furthermore, this scenario offers 図 4.5.7: A1-Reference Scenario における Expression/Data Level の 分 類 (2)

88 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 4.6 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 前 節 までで 述 べた 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 的 記 述 法 の 有 効 性 を 検 証 するために,シナリオ の 構 造 化 を 支 援 するシステムとして シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム を 構 築 する.このシステムは, シナリオを 計 算 機 上 で 表 現 するためのものであり,3S Simulator ( 図 参 照 ) の 基 幹 をなすもの である. 本 節 では, 実 行 例 を 通 してシナリオ 構 造 化 手 法 とシステムの 両 方 について 有 効 性 を 検 証 し, それと 同 時 に 問 題 点 を 抽 出 する システムの 実 現 方 法 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システムの 要 求 機 能 は 以 下 の 2 つである. ユーザによる 持 続 可 能 社 会 シナリオの 構 造 化 を 支 援 する.すなわち,ユーザがシナリオの Scenario,Expression,Data Level とそれらの 間 の 関 係 をそれぞれ 構 造 的 に 記 述 することを 支 援 する. 構 造 化 したシナリオをユーザが 理 解 しやすい 形 式 で 表 示 する. ひとつめの 機 能 を 実 現 するために, 本 研 究 ではシナリオの 論 理 構 造 に 関 する 情 報 を, 文 書 に 様 々な 情 報 を 属 性 として 持 たせることができる XML (extensible Markup Language)[78] を 用 いて 記 述 する.すなわち,4.2~4.5 節 で 定 義 したノードとリンクの 種 類 を XML タグとして 付 与 することに よって,シナリオ 文 章,シミュレータの 入 出 力 データをそれぞれ 構 造 化 する.ふたつめの 機 能 は, 構 造 化 したシナリオをグラフとして 表 示 することによって 実 現 する.なお,シナリオ 構 造 記 述 支 援 シ ステムを 含 めて 3S Simulator の 開 発 言 語 には Visual C#を 用 いる システム 構 成 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システムは, 図 に 示 すようにシナリオ 構 造 化 支 援 ツールとシナリオ 視 覚 化 ツールという 2 つのツールから 構 成 する. 各 ツールの 機 能 は 以 下 のとおりである.

89 4.6 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 81 Describing a New Scenario Document Existing Scenario Input Input Scenario Structuring Support Tool XML Document Simulator XSL Logical Structure Graph HTML Document Elements List Simulator Scenario Visualization Tool Using an Existing Scenario 図 4.6.1: シナリオ 構 造 記 述 支 援 システムの 構 成 シナリオ 構 造 化 支 援 ツール シナリオ 構 造 化 支 援 ツールには, 以 下 の 3 つの 機 能 を 持 たせる. 1. 元 々のシナリオ 文 章 に 対 して,シナリオの 構 造 情 報 として Scenario Level および Expression Level のノードとリンクの 種 類 を 表 す XML タグをユーザが 付 加 することによって,シナリオ 文 章 の 構 造 化 を 支 援 する 節 で 定 義 した Data Level のノードとリンクに 基 づいて,ユーザがシミュレータの 入 出 力 デー タを 図 に 示 すような 形 式 で 構 造 化 することを 支 援 する.ただし, 入 出 力 データを 作 成 す るためには,その 前 段 階 でシミュレータを 再 利 用 可 能 とする 必 要 があり,この 機 能 は 図 に 示 した Dataset Manager と Simulator Database によって 実 現 する[79].Dataset Manager と Simulator Database についての 詳 細 は 第 5 章 で 述 べる. 3. Scenario Level の scenario_component ノードと,Expression Level のノードおよび Data Level のノードの 関 係 づけをそれぞれ 支 援 する. シナリオを 構 造 化 するとき,Expression Level のノードの 種 類 を 決 定 する 操 作 はユーザがシナリ オ 構 造 化 支 援 ツール 上 で 行 い ( 例 は 図 参 照 ),Scenario Level のノードとリンクの 作 成, Expression Level のリンクの 作 成,レベル 間 リンクの 作 成 はユーザがシナリオ 視 覚 化 ツールの 論 理 構 造 グラフ 上 で 行 う.Data Level のノードとリンクは,ユーザが Dataset Manager と Simulator

90 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム Database を 操 作 することによって,シナリオ 構 造 化 支 援 ツールが 自 動 的 に 作 成 する. シナリオ 視 覚 化 ツール シナリオ 視 覚 化 ツールは,シナリオ 論 理 構 造 の 表 示 および 論 理 構 造 の 構 成 要 素 を 分 析 可 能 と するために, 論 理 構 造 グラフ,HTML 文 書, 要 素 リストの 生 成 という 3 つのサブツールから 構 成 する. 論 理 構 造 グラフは,ノードとリンクの 関 係 に 基 づいて,シナリオをグラフとして 表 現 する.HTML 文 書 は,シナリオ 文 章 をノードの 種 類 に 応 じて 色 分 けされた 状 態 で 表 示 する.XML 形 式 で 表 される 構 造 化 シナリオから HTML 文 書 への 変 換 には,XSL (extensible Stylesheet Language)[78] を 用 いる. この 表 示 により,ユーザが 元 のシナリオ 文 章 とタグ 付 け 情 報 の 対 応 関 係 を 理 解 しやすくする. 要 素 リストは, 構 造 化 されたシナリオからノードとリンクをそれぞれの 種 類 ごとに 抽 出 するツールであり, シナリオの 論 理 構 造 の 分 析 を 支 援 する シナリオ 構 造 化 の 手 順 既 存 のあるサブシナリオがシミュレータを 利 用 して 記 述 されているとき,サブシナリオを Scenario, Expression,Data Level で 構 造 化 する 手 順 は 以 下 のとおりである. 1. サブシナリオの 基 本 構 造 を Scenario Level で 記 述 する.ここでは,ユーザが 論 理 構 造 グラフ 上 でサブシナリオ 全 体 を 表 す scenario ノードを 作 成 し,そのノードの 属 性 としてシナリオ 名 を 記 入 する ( 表 参 照 ).さらに,シナリオ 構 造 化 支 援 ツールが scenario ノードの 構 成 要 素 と して 6 種 類 の scenario_component ノード (problem,, simulation, result, discussion,conclusion) を 作 成 する. 2. ユーザがサブシナリオの 文 章 を Expression Level で 構 造 化 する.すなわち,シナリオ 構 造 化 支 援 ツール 上 でシナリオ 文 章 の 節 ごとにユーザが Expression Level のノードを 決 定 するとともに, 論 理 構 造 グラフ 上 で Expression Level のリンクを 決 定 する. 3. ユーザが Dataset Manager と Simulator Database を 利 用 してシミュレータとその 入 出 力 データ の 関 係 を 定 義 することによって,シナリオ 構 造 化 支 援 ツールが Data Level におけるノードとリン クを 作 成 する.ユーザがシミュレータの 入 出 力 データを 設 定 する 操 作 と 並 行 して,シナリオの 記 述 と 入 出 力 データの 関 係 を 明 確 化 するために,ユーザが 論 理 構 造 グラフ 上 で Expression と Data Level 間 のリンクを 決 定 する ( 詳 細 は 5.4 節 参 照 ). 4. 図 の 分 類 アルゴリズムに 基 づいて,システムがサブシナリオを 構 成 する Expression Level と Data Level のノードを scenario_component ノードのいずれかに 分 類 する.その 後,ユ ーザがシステムによって 分 類 されなかった Expression Level と Data Level のノードを,それらの

91 4.6 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 83 意 味 に 基 づいて scenario_component ノードのいずれかに 分 類 する. なお,シミュレータを 利 用 していないサブシナリオを 構 造 化 する 場 合 は, 上 記 手 順 のうち 手 順 2 の 全 部 と, 手 順 3 の Expression と Data Level 間 のリンク 付 けをスキップする 実 行 例 システムの 有 効 性 を 検 証 するために,4.6.2 節 で 述 べたシナリオ 構 造 化 支 援 ツール, 因 果 ネット ワーク 構 築 ツールとシナリオ 視 覚 化 ツールを 既 存 のシナリオに 適 用 したときの 実 行 例 を 示 す.ここ では, 既 存 のシナリオである CO2 Emissions Scenarios in Japan の A1-Reference Scenario[77]をシ ナリオ 構 造 化 支 援 ツールにより 構 造 化 する 例 を 示 す.A1-Reference Scenario では, 記 述 を 根 拠 付 けるために AIM/Enduse [Japan] というシミュレーションモデルが 利 用 されている. 以 下 では,(1) 既 存 シナリオ (A1-Reference Scenario) の 構 造 化,(2) シナリオ 視 覚 化 ツールの HTML 表 示,(3) シ ナリオ 視 覚 化 ツールの 要 素 リストの 実 行 例 をそれぞれ 示 す. (1) 既 存 シナリオ (A1-Reference Scenario) の 構 造 化 A1-Reference Scenario の 構 造 化 を 節 の 既 存 シナリオ 構 造 化 手 順 1~4 に 沿 って 実 行 する. 1. Scenario Level のノードとリンクの 作 成 ユーザが, 論 理 構 造 グラフ 上 でサブシナリオのタイトルとして A1-Reference Scenario と 入 力 する ことにより, 図 に 示 すようにシナリオ 構 造 化 支 援 ツールがそのタイトルを scenario ノードの 属 性 として 保 持 する.さらに, scenario ノードの 下 に,6 種 類 の scenario_component ノードを 作 成 す る. 図 において, 水 色 の scenario ノードはサブシナリオ 全 体 を 表 し, 緑 色 の scenario_compoenent ノードはサブシナリオの 構 成 要 素 を 表 す.

92 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム Node scenario scenario_component Link consist_of part_of compare 図 4.6.2: 論 理 構 造 グラフの 実 行 例 (1): Scenario Level 2. Expression Level のノードとリンクの 作 成 A1-Reference Scenario の Expression Level における 構 造 化 の 結 果 として,シナリオ 構 造 化 支 援 ツールの 実 行 画 面 を 図 に 示 す.Expression Level では 個 々の 節 を XML のタグで 囲 むことに よって,シナリオ 文 章 を 節 単 位 で 構 造 化 する.シナリオを 構 造 化 する 際 には,ユーザが 適 切 なノー ドの 種 類 をツール 上 で 選 択 する. 構 造 化 の 結 果,ノードの 種 類 を XML タグの 属 性 として 保 持 させ, シナリオ 構 造 化 支 援 ツールがその 種 類 に 応 じて 色 分 けをする. 例 えば, 図 の 赤 色 の 部 分 は, Expression Level で 歴 史 的 科 学 的 な 事 実 を 表 す fact ノードを 表 している.その 後,ユーザが Expression Level のノード 間 の 関 係 をを 表 すリンクを, 論 理 構 造 グラフ 上 で 作 成 する.

93 4.6 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 85 Text with the XML tag indicating a fact node 図 4.6.3: シナリオ 構 造 化 支 援 ツールの 実 行 例 (2): Expression Level Node types to structure the scenario 3. Data Level のノードとリンクの 作 成 Data Level において,シミュレータの 入 出 力 データを 構 造 化 するためには,ユーザが Dataset Manager と Simulator Database を 用 いて 入 出 力 データを 設 定 し,Dataset Manager がそれらのデー タを 構 造 化 してシナリオ 構 造 化 支 援 ツールに 記 述 する ( 図 参 照 ).Dataset Manager と Simulator Database についての 詳 細 は 5.3 節 で 述 べる. 入 出 力 データの 構 造 は, 図 に 示 すよ うな 記 述 方 法 を 実 現 するために, 図 に 示 すように dataset,datumlist,datum を 表 す XML タグ を 入 れ 子 構 造 とする. 最 終 的 に, 論 理 構 造 グラフが dataset ノードと simulator ノードを 図 の ように 作 成 する.ユーザが 入 出 力 データを 設 定 するのと 並 行 して,Expression Level と Data Level のノード 間 の 関 係 を 表 すリンクを 論 理 構 造 グラフ 上 で 作 成 する.

94 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 図 4.6.4: シナリオ 構 造 化 支 援 ツールの 実 行 例 (1): Data Level 図 4.6.5: 論 理 構 造 グラフの 実 行 例 (2): Data Level 図 に,サブシナリオの Expression Level と Data Level の 論 理 構 造 グラフを 示 す.ここで, Expression Level と Data Level の 論 理 構 造 グラフを 同 じフィールド 上 で 表 現 する 理 由 は, 本 研 究 で はシナリオは 叙 述 的 な 記 述 とシミュレーションの 組 み 合 わせによって 表 現 されるという 立 場 をとり,そ れらのシナリオの 結 論 を 導 出 するための 役 割 を 明 確 化 することにある. 図 のグラフからは,シ ナリオ 文 章 として 記 述 された 複 数 の ノードから, data_detail または data_extraction リ ンクを 通 してシミュレータの 入 力 データ 値 が 決 定 されていることがわかる. 例 えば, 図 で 述 べ たようにエネルギー 価 格 が 設 定 されている.シミュレーションの 結 果 は, result_export を 通 してシ ナリオ 文 章 上 でグラフ ( 図 で A1-Reference とラベル 付 けされた 線 ) または 表 として 表 現 され, その 結 果 に 基 づいて 複 数 の conclusion ノードが 導 出 されている.このようにリンクで 表 されるノード 間 の 関 係 をたどることによって,この 実 行 例 では,すべてのシナリオの 結 論 はシミュレータの 結 果 に 基 づいて 導 かれていることが 明 示 される. また,いくつかの 結 論 は logical_jump リンクで 接 続 されていることからわかるように, 論 理 的 な 飛 躍 とともに 導 出 されている.さらに,シミュレータの 入 力 データを 設 定 するために 用 いられている 前 提 条 件 ( 例 えば,エネルギー 価 格 ) を 明 示 している. 入 力 データがどのような 前 提 に 基 づいて 設 定 されているかを 理 解 することは,シナリオの 結 論 がもっともらしいかどうかを 議 論 するために 必 要

95 4.6 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム 87 不 可 欠 である. 図 4.6.6: 論 理 構 造 グラフの 実 行 例 (3): Expression Level と Data Level 4. scenario_component ノードへの 分 類 Scenario Level において,Expression Level ノードの scenario_component ノードへの 分 類 と include リンクによるそれらのノード 間 の 関 係 づけは,シナリオ 構 造 化 支 援 ツールが 図 のア ルゴリズムに 従 って 行 う.A1-Reference Scenario[77]に 分 類 アルゴリズムを 適 用 した 結 果 は 節 で 示 したとおりであり,Scenario Level における 論 理 構 造 グラフを 図 に 示 す.ただし, A1-Reference Scenario の 分 類 アルゴリズムを 適 用 した 結 果 によると,discussion の 中 身 は 空 であ る.

96 シナリオ 構 造 記 述 支 援 システム Node scenario scenario_component Link consist_of part_of compare 図 4.6.7: 論 理 構 造 グラフの 実 行 例 (4): scenario_component ノードへの 分 類 (2) シナリオ 視 覚 化 ツール: HTML 表 示 A1-Reference Scenario[77]の Expression Level における 構 造 化 シナリオを HTML 表 示 したときの 例 を 図 に 示 す.この 表 示 では 図 のように 構 造 情 報 を 表 す XML タグがないために,ユ ーザがより 効 果 的 にシナリオ 文 章 とノードの 種 類 ( fact, など) の 関 係 を 理 解 すること ができる.

_念3)医療2009_夏.indd

_念3)医療2009_夏.indd Evaluation of the Social Benefits of the Regional Medical System Based on Land Price Information -A Hedonic Valuation of the Sense of Relief Provided by Health Care Facilities- Takuma Sugahara Ph.D. Abstract

More information

Otto Friedrich Bollnow,~

Otto Friedrich Bollnow,~ Summary: In the modern society the development of children s cheerful feeling is gradually declined. The change of society for example, a low birth rate and nuclear family tendency affects children s lives.

More information

2

2 2011 8 6 2011 5 7 [1] 1 2 i ii iii i 3 [2] 4 5 ii 6 7 iii 8 [3] 9 10 11 cf. Abstracts in English In terms of democracy, the patience and the kindness Tohoku people have shown will be dealt with as an exception.

More information

100320表紙.pdf

100320表紙.pdf P P 名 古 屋 大 学 環 境 方 針 Nagoya University Environmental Policy 制 定 2005 年 8 月 1 日 名 古 屋 大 学 総 長 平 野 眞 一 2005.Aug.1st President of Nagoya University Shin-ichi

More information

Safe harbor statement under the Private Securities Litigation Reform Act of 1995: This presentation may contain forward-looking statements that involv

Safe harbor statement under the Private Securities Litigation Reform Act of 1995: This presentation may contain forward-looking statements that involv /mokamoto @mitsuhiro in/mitsuhiro Safe harbor statement under the Private Securities Litigation Reform Act of 1995: This presentation may contain forward-looking statements that involve risks, uncertainties,

More information

- March

- March Grzegorz W. Ko odko TIGER - March - March - March - March - March - March - March - March - March Economist - March - March Economist - March PlanEcon - March - March - March - March - March

More information

A Contrastive Study of Japanese and Korean by Analyzing Mistranslation from Japanese into Korean Yukitoshi YUTANI Japanese, Korean, contrastive study, mistranslation, Japanese-Korean dictionary It is already

More information

MRI | 所報 | 分権経営の進展下におけるグループ・マネジメント

MRI  | 所報 | 分権経営の進展下におけるグループ・マネジメント JOURNAL OF MITSUBISHI RESEARCH INSTITUTE No. 35 1999 (03)3277-0003 FAX (03)3277-0520 E-mailprd@mri.co.jp 76 Research Paper Group Management in the Development of Decentralized Management Satoshi Komatsubara,

More information

The Indirect Support to Faculty Advisers of die Individual Learning Support System for Underachieving Student The Indirect Support to Faculty Advisers of the Individual Learning Support System for Underachieving

More information

01_舘野.indd

01_舘野.indd 論 文 Hospitality in the Tourism Industry: Present Conditions and Problems Kazuko TATENO and Ryozo MATSUMOTO Abstract The meaning and usage of hospitality varies according to different fields of study and

More information

[2] 1. 2. 2 2. 1, [3] 2. 2 [4] 2. 3 BABOK BABOK(Business Analysis Body of Knowledge) BABOK IIBA(International Institute of Business Analysis) BABOK 7

[2] 1. 2. 2 2. 1, [3] 2. 2 [4] 2. 3 BABOK BABOK(Business Analysis Body of Knowledge) BABOK IIBA(International Institute of Business Analysis) BABOK 7 32 (2015 ) [2] Projects of the short term increase at present. In order to let projects complete without rework and delays, it is important that request for proposals (RFP) are written by reflecting precisely

More information

When creating an interactive case scenario of a problem that may occur in the educational field, it becomes especially difficult to assume a clear obj

When creating an interactive case scenario of a problem that may occur in the educational field, it becomes especially difficult to assume a clear obj PBL PBL Education of Teacher Training Using Interactive Case Scenario Takeo Moriwaki (Faculty of Education, Mie University) Yasuhiko Yamada (Faculty of Education, Mie University) Chikako Nezu (Faculty

More information

SPSS

SPSS The aging of residents who moved suburban new town in young is progressing. However, such residents tend to consider the service life of their houses only in terms of the time they will be occupying it.

More information

202

202 201 Presenteeism 202 203 204 Table 1. Name Elements of Work Productivity Targeted Populations Measurement items of Presenteeism (Number of Items) Reliability Validity α α 205 α ä 206 Table 2. Factors of

More information

13生活環境研究報告.indd

13生活環境研究報告.indd Objective: To clarify the historical changes of the duties system of school dieticians, based on the literature related to school lunches and school dieticians Method: We classified the literature on school

More information

,

, , The Big Change of Life Insurance Companies in Japan Hisayoshi TAKEDA Although the most important role of the life insurance system is to secure economic life of the insureds and their

More information

Research on productivity improvement of business operations for manufacturing, distribution and health-care industries. The research on product and facility life cycle design and management is performed

More information

PowerPoint Presentation

PowerPoint Presentation Safe harbor statement under the Private Securities Litigation Reform Act of 1995: This presentation may contain forward-looking statements that involve risks, uncertainties, and assumptions. If any such

More information

Microsoft Word - RM最前線2014-14.doc

Microsoft Word - RM最前線2014-14.doc 2014 No.14 IPCC 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル 第 5 次 評 価 報 告 書 第 2 作 業 部 会 報 告 書 の 公 表 2014 年 3 月 25~29 日 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネル( 以 下 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change) 第 38 回 総 会 および 第 2 作 業

More information

NO.80 2012.9.30 3

NO.80 2012.9.30 3 Fukuoka Women s University NO.80 2O12.9.30 CONTENTS 2 2 3 3 4 6 7 8 8 8 9 10 11 11 11 12 NO.80 2012.9.30 3 4 Fukuoka Women s University NO.80 2012.9.30 5 My Life in Japan Widchayapon SASISAKULPON (Ing)

More information

YUHO

YUHO -1- -2- -3- -4- -5- -6- -7- -8- -9- -10- -11- -12- -13- -14- -15- -16- -17- -18- -19- -20- -21- -22- -23- -24- -25- -26- -27- -28- -29- -30- -31- -32- -33- -34- -35- -36- -37- -38- -39- -40- -41- -42-

More information

NIES ASEAN4.. NIES.....EU.. ASEAN4 NIES

NIES ASEAN4.. NIES.....EU.. ASEAN4 NIES NIES ASEAN4.. NIES.....EU.. ASEAN4 NIES NIES ASEAN4 EU NIES ASEAN4 EU On-line UN Comtrade Database NIES NIES.AEAN4..EU.NIESASEAN4 NIES NIES ASEAN4. EU NIES ASEAN4. TPS: Toyota Production System.... Dunning

More information

041-057_’¼Œì

041-057_’¼Œì 542012 4157 Nishino Toshiaki The purpose of this paper is to analyze the present conditions of the mountain villages of Japan in the early 21 st century. The revolution of fuel sources from a predominance

More information

The Japanese economy in FY2015 suffered from sluggish growth in individual consumption, while the foreign exchange market remained unstable with high volatility. Even in such an economic environment, MSF

More information

評論・社会科学 87号(よこ)(P)/1.小林

評論・社会科学 87号(よこ)(P)/1.小林 ! 1 2 1978 1984 3 1984 1992 4 1992 5 1 2007 1 25 2006 GDP 10.7 20 9407 2005 0.3 2006 11 13 2007 9.6 " 1 10 1000 2! 2002 " 3 1 1 1970 1949 1978 4 1978 1984 5 1984 1992 1992 1 1 2 1978 1984 2 1 1978 1984

More information

Table 1 Utilization of Data for River Water Table 2 Utilization of Data for Groundwater Quality Analysis5,6,9,10,13,14) Quality Analysis5-13) Fig. 1 G

Table 1 Utilization of Data for River Water Table 2 Utilization of Data for Groundwater Quality Analysis5,6,9,10,13,14) Quality Analysis5-13) Fig. 1 G Key Words: river water quality, groundwater quality, manpower development, sewerage Table 1 Utilization of Data for River Water Table 2 Utilization of Data for Groundwater Quality Analysis5,6,9,10,13,14)

More information

DOUSHISYA-sports_R12339(高解像度).pdf

DOUSHISYA-sports_R12339(高解像度).pdf Doshisha Journal of Health & Sports Science, 4, 41-50 2012 41 A Case Study of the Comprehensive community sports clubs that People with Disability Participate in. Motoaki Fujita In this study, the interview

More information

情意要因が英語の読解力と会話力に及ぼす影響-JGSS-2008 のデータから-

情意要因が英語の読解力と会話力に及ぼす影響-JGSS-2008 のデータから- JGSS-2008 The Influence of Affective Factors on English Reading and Conversation Proficiency among Japanese from the Data of JGSS-2008 Kaoru KOISO Faculty of Business Administration Osaka University of

More information

Housing Purchase by Single Women in Tokyo Yoshilehl YUI* Recently some single women purchase their houses and the number of houses owned by single women are increasing in Tokyo. And their housing demands

More information

The Key Questions about Today's "Experience Loss": Focusing on Provision Issues Gerald ARGENTON These last years, the educational discourse has been focusing on the "experience loss" problem and its consequences.

More information

2 [] [4] (Preference Model) 2. 2.. [8] 8km/l 3cc 3 c 29 52

2 [] [4] (Preference Model) 2. 2.. [8] 8km/l 3cc 3 c 29 52 Transactions of the Operations Research Society of Japan 29 52-9 ( 26 7 9 ; 28 8 3 ) 25 9 5 :,,,. [5,6,9] SD (Semantic Differential Method) 5 AHP(Analytic Hierarchy Process) 2 [] [4] (Preference Model)

More information

WASEDA RILAS JOURNAL 1Q84 book1 book3 2009 10 770 2013 4 1 100 2008 35 2011 100 9 2000 2003 200 1.0 2008 2.0 2009 100 One Piece 52 250 1.5 2010 2.5 20

WASEDA RILAS JOURNAL 1Q84 book1 book3 2009 10 770 2013 4 1 100 2008 35 2011 100 9 2000 2003 200 1.0 2008 2.0 2009 100 One Piece 52 250 1.5 2010 2.5 20 WASEDA RILAS JOURNAL NO. 1 (2013. 10) The change in the subculture, literature and mentality of the youth in East Asian cities Manga, animation, light novel, cosplay and Murakami Haruki Takumasa SENNO

More information

GNH Gross National Happiness Criteria living standard cultural diversity emotional well being health education time use eco-system community vitality

GNH Gross National Happiness Criteria living standard cultural diversity emotional well being health education time use eco-system community vitality GNH Gross National Happiness Criteria living standard cultural diversity emotional well being health education time use eco-system community vitality good governance Dimensions and Indicators of GNH The

More information

揃 24 1681 0 20 40 60 80 100 0 21 42 63 84 Lag [hour] Lag [day] 35

揃 24 1681 0 20 40 60 80 100 0 21 42 63 84 Lag [hour] Lag [day] 35 Forecasting Model for Electricity Consumption in Residential House Based on Time Series Analysis * ** *** Shuhei Kondo Nobayasi Masamori Shuichi Hokoi ( 2015 7 3 2015 12 11 ) After the experience of electric

More information

design.indd

design.indd http://cocacola.co.jp/positively/report.html http://cocacola.co.jp/study/hello/ http://cocacola.co.jp/positively/ http://cocacola.co.jp/products/ http://cocacola.co.jp/study/ WEB 1 index Coca-Cola Sustainability

More information

昭和恐慌期における長野県下農業・農村と産業組合の展開過程

昭和恐慌期における長野県下農業・農村と産業組合の展開過程 No. 3, 169-180 (2002) The Family in Modern Japan: its Past, Present and Future An Essay at Restoring Love as the Basis of Family Ties YAMANE Naoko Nihon University, Graduate School of Social and Cultural

More information

syllabus_guideline.xls

syllabus_guideline.xls 千 葉 大 学 普 遍 教 育 科 目 等 シラバス 入 力 ファイル 教 員 氏 名 授 業 科 目 名 授 業 コード 期 別 曜 日 時 限 小 林 聡 子 ジャパニーズスタディーズ26 ( 提 出 先 ) 263-8522 千 葉 市 稲 毛 区 弥 生 町 1-33 千 葉 大 学 学 務 G15N62601 (Tel)043-290-3613 前 期 Mailでの 送 付 先 ( 返 信

More information

Title 出 産 に 関 わる 里 帰 りと 養 育 性 形 成 Author(s) 小 林, 由 希 子 ; 陳, 省 仁 Citation 北 海 道 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 院 紀 要, 106: 119-134 Issue Date 2008-12-18 DOI 10.14943/b.edu.106.119 Doc URLhttp://hdl.handle.net/2115/35078

More information

卒業論文はMS-Word により作成して下さい

卒業論文はMS-Word により作成して下さい () 2007 2006 KO-MA KO-MA 2006 6 2007 6 KO-MA KO-MA 256 :117:139 8 40 i 23 50 2008 3 8 NPO 7 KO-MA( KO-MA ) 1) (1945-) KO-MA KO-MA AD 2007 1 29 2007 6 13 20 KO-MA 2006 6 KO-MA KO-MA ii KJ 11 KO-MA iii KO-MA

More information

untitled

untitled 総 研 大 文 化 科 学 研 究 第 8 号 (2012) 117 ......... : ; : : : : ; : 118 総 研 大 文 化 科 学 研 究 第 8 号 (2012) 堀 田 モノに 執 着 しないという 幻 想, National Statistical Office of Mongolia, 総 研 大 文 化 科 学 研 究 第 8 号 (2012) 119 E A B

More information

ABSTRACT The Social Function of Boys' Secondary Schools in Modern Japan: From the Perspectives of Repeating and Withdrawal TERASAKI, Satomi (Graduate School, Ochanomizu University) 1-4-29-13-212, Miyamaedaira,

More information

„h‹¤.05.07

„h‹¤.05.07 Japanese Civilian Control in the Cold War Era Takeo MIYAMOTO In European and American democratic countries, the predominance of politics over military, i.e. civilian control, has been assumed as an axiom.

More information

Title 社 会 化 教 育 における 公 民 的 資 質 : 法 教 育 における 憲 法 的 価 値 原 理 ( fulltext ) Author(s) 中 平, 一 義 Citation 学 校 教 育 学 研 究 論 集 (21): 113-126 Issue Date 2010-03 URL http://hdl.handle.net/2309/107543 Publisher 東 京

More information

02[021-046]小山・池田(責)岩.indd

02[021-046]小山・池田(責)岩.indd Developing a Japanese Enryo-Sasshi Communication Scale: Revising a Trial Version of a Scale Based on Results of a Pilot Survey KOYAMA Shinji and IKEDA Yutaka Toward exploring Japanese Enryo-Sasshi communication

More information

阿部Doc

阿部Doc Bulletin of Osaka University of Pharmaceutical Sciences 1 (2007) Articles Medical Reform and Medical Service Market for Restructuring of the Community Medical System Isao ABE Osaka University of Pharmaceutical

More information

産業構造におけるスポーツ産業の範囲に関する研究Ⅰ

産業構造におけるスポーツ産業の範囲に関する研究Ⅰ Abstract This study is emphasizes that the sports industry holds big weight with the economy of our country but tends to be disregarded The study sees it us a peculiar industry which has ports of both

More information

p _08森.qxd

p _08森.qxd Foster care is a system to provide a new home and family to an abused child or to a child with no parents. Most foster children are youngsters who could not deepen the sense of attachment and relationship

More information

,, 2024 2024 Web ,, ID ID. ID. ID. ID. must ID. ID. . ... BETWEENNo., - ESPNo. Works Impact of the Recruitment System of New Graduates as Temporary Staff on Transition from College to Work Naoyuki

More information

ABSTRACT The "After War Phenomena" of the Japanese Literature after the War: Has It Really Come to an End? When we consider past theses concerning criticism and arguments about the theme of "Japanese Literature

More information

SpecimenOTKozGo indd

SpecimenOTKozGo indd TM The Kozuka Gothic TM typeface family is composed of six weights that cover various uses ranging from body text composition to headline compositions. This typeface family is now available in OpenType

More information

46

46 The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol. 16, No. 1, PP 45-56, 2012 Factors Related to Career Continuation among Nurses Raising Children Mayumi Iwashita 1) Masayo Takada

More information

2 except for a female subordinate in work. Using personal name with SAN/KUN will make the distance with speech partner closer than using titles. Last

2 except for a female subordinate in work. Using personal name with SAN/KUN will make the distance with speech partner closer than using titles. Last 1 北陸大学 紀要 第33号 2009 pp. 173 186 原著論文 バーチャル世界における呼びかけ語の コミュニケーション機能 ポライトネス理論の観点からの考察 劉 艶 The Communication Function of Vocative Terms in Virtual Communication: from the Viewpoint of Politeness Theory Yan

More information

宮本/宮本

宮本/宮本 SO EU Montana State University Japan Natural Legacies Keynote Speech Environmental Policies in Japan Past, Present, Future SO SO SO SO SO NO SO ppm BOD ppm ppm cm SO ppm ppm SOppm ppm H Weidner H.Weidner

More information

learning of life long , Community Centers and Lifelong Learning: Contemporary Challenges in Lifelong Education and Learning IIDA Tetsuya : In Japan, great importance is being placed on

More information

NINJAL Research Papers No.8

NINJAL Research Papers No.8 (NINJAL Research Papers) 8: 177 196 (2014) ISSN: 2186-134X print/2186-1358 online 177 3 3 3 1940 3 late adoption real time 3 apparent time * 1. 1 2 3 1.1 3 1 1953 * 2014 3 18 2014 5 13 109 NINJAL 2012

More information

Repatriation and International Development Assistance: Is the Relief-Development Continuum Becoming in the Chronic Political Emergencies? KOIZUMI Koichi In the 1990's the main focus of the global refugee

More information

- Principles for a Telecommunications management network 2.0 2001 11 27 THE TELECOMMUNICATION TECHNOLOGY COMMITTEE 2 JT-M3010 ...19...20...20...20...20...21...22...23...24 3 JT-M3010 ...26...28...29...34...34...35...35...37...37...37...37...37

More information

By Kenji Kinoshita, I taru Fukuda, Taiji Ota A Study on the Use of Overseas Construction Materials There are not few things which are superior in the price and the aspect of the quality to a domestic

More information

Table 1. Assumed performance of a water electrol ysis plant. Fig. 1. Structure of a proposed power generation system utilizing waste heat from factori

Table 1. Assumed performance of a water electrol ysis plant. Fig. 1. Structure of a proposed power generation system utilizing waste heat from factori Proposal and Characteristics Evaluation of a Power Generation System Utilizing Waste Heat from Factories for Load Leveling Pyong Sik Pak, Member, Takashi Arima, Non-member (Osaka University) In this paper,

More information

2 146

2 146 28 2004 pp. 145 159 1 Received October 29, 2004 In 1999, North Korea reversed the negative economic growth of the 90s, and displayed a positive trend which, although weak, was maintained at 1.8% in 2003.

More information

% 95% 2002, 2004, Dunkel 1986, p.100 1

% 95% 2002, 2004, Dunkel 1986, p.100 1 Blended Learning 要 旨 / Moodle Blended Learning Moodle キーワード:Blended Learning Moodle 1 2008 Moodle e Blended Learning 2009.. 1994 2005 1 2 93% 95% 2002, 2004, 2011 2011 1 Dunkel 1986, p.100 1 Blended Learning

More information

untitled

untitled A Consideration on Studies of English Literature in Japan This paper attempts to formulate the significance of English literary studies in present-day Japan, and to carve out new horizons of them. First,

More information

Comparative Study of Media Use Capacity for 8th Grade Students Yoshiro Kawakami Hirohisa Suzuki The world is experiencing a variety of changes resulting from the widespread diffusion of information technology.

More information

123-099_Y05…X…`…‘…“†[…h…•

123-099_Y05…X…`…‘…“†[…h…• 1. 2 1993 2001 2 1 2 1 2 1 99 2009. 1982 250 251 1991 112 115 1988 75 2004 132 2006 73 3 100 3 4 1. 2. 3. 4. 5. 6.. 3.1 1991 2002 2004 3 4 101 2009 3 4 4 5 1 5 6 1 102 5 6 3.2 2 7 8 2 X Y Z Z X 103 2009

More information

39-3/2.論説:藤井・戸前・山本・井上

39-3/2.論説:藤井・戸前・山本・井上 Porter a b!! a b JIS cm cm OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM NTT OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM OEM a b VolNo Porter, M. E. (1990a) The Competitive Advantage of Nations

More information

PDCA

PDCA PDCA / / -- -- -- -- -- -- % % --- --- - No.--- --- --- A B C D + + + + + + + + + A B C D........................ --- OJT PDCA Eliminate Combine ECRS Rearrange Simplify -- - BKC IT BKC BKC APU -- :

More information

™…

™… Review The Secret to Healthy Long Life Decrease in Oxidative and Mental Stress My motto is Health is not all. But nothing can be done without health. Health is the most important requisite for all human

More information

<31322D899C8CA982D982A95F985F95B65F2E696E6464>

<31322D899C8CA982D982A95F985F95B65F2E696E6464> SUMMARY Japan is one of the most earthquakeprone country in the world, and has repeatedly experienced serious major damages. No matter how serious the impact of earthquake disasters, each and every time,

More information

WASEDA RILAS JOURNAL

WASEDA RILAS JOURNAL 27 200 WASEDA RILAS JOURNAL NO. 1 (2013. 10) WASEDA RILAS JOURNAL 28 199 29 198 WASEDA RILAS JOURNAL 30 197 31 196 WASEDA RILAS JOURNAL 32 195 1 3 12 6 23 No 1 3 0 13 3 4 3 2 7 0 5 1 6 6 3 12 0 47 23 12

More information

Transformation and Various Aspects of Community Popular Education in Tokyo in Meiji Era Takeo Matsuda The purpose of this paper is to examine the variety and transformation of community popular education

More information

R R S K K S K S K S K S K S Study of Samuhara Belief : Transformation from Protection against Injuries to Protection against Bullets WATANABE Kazuhiro Samuhara, which is a group of letters like unfamiliar

More information

11塩田勉.indd

11塩田勉.indd 論 文 藤 枝 静 男 田 紳 有 楽 塩 田 勉 Fujieda Shizuo, DenshinYuraku The Horizon of Impostors Mystic Vision SHIODA Tsutomu Abstract Fujieda Shizuo wrote a novel dealing with his private life with realistic description

More information

W W - W. m - km. km..c - mm. km. ,,. m/, -,, -,/m - -. - - W- kw - -. - / / - - - k rated output powerwww WWW kw kw kw kw k m/w W. m kw W m/ W - m m mw. m m kw kw W. m m W W kw kg kw kg kw kg kw, kg k

More information

<30372D985F95B62D8E52967B8C4F8E7190E690B62E706466>

<30372D985F95B62D8E52967B8C4F8E7190E690B62E706466> 312013 95 Changes and Restructuring of Social Issues of the Urban Underclass Area with Increasing Welfare Needs in Kotobuki, Yokohama Kahoruko YAMAMOTO This paper explains social changes and restructuring

More information

:. SPSS

:. SPSS Title 被 服 製 作 に 関 する 知 識 と 技 能 の 実 態 : 帰 国 生 と 一 般 生 と の 比 較 ( fulltext ) Author(s) 山 崎, 真 澄 ; 池 﨑, 喜 美 惠 Citation 東 京 学 芸 大 学 紀 要. 総 合 教 育 科 学 系, 64(2): 175-182 Issue Date 2013-02-28 URL http://hdl.handle.net/2309/132633

More information

(2) IPP Independent Power Producers IPP 1995 NCC(New Common Carrier NCC NTT NTT NCC NTT NTT IPP 2. IPP 2.1 1995 4 (3) [1] [2] IPP [2] IPP IPP [1] [2]

(2) IPP Independent Power Producers IPP 1995 NCC(New Common Carrier NCC NTT NTT NCC NTT NTT IPP 2. IPP 2.1 1995 4 (3) [1] [2] IPP [2] IPP IPP [1] [2] / 1995 Grid Access Model 1. (1) 22 1998 12 11 2000-1- (2) IPP Independent Power Producers IPP 1995 NCC(New Common Carrier NCC NTT NTT NCC NTT NTT IPP 2. IPP 2.1 1995 4 (3) [1] [2] IPP [2] IPP IPP [1] [2]

More information

金/金

金/金 IMF IMF M&A IMF IMF Gerchenkron Gerchenkron unbalanced growth Gerchenkron Johnson development state Hirschman IMF OECD IMF IMF GDP crony capitalism Krugman IMF capital market-based financial system bank-centered

More information

24_ChenGuang_final.indd

24_ChenGuang_final.indd Abstract If rapid economic development is sure to bring hierarchical consumption (M. Ozawa), the solution can only be to give property to all of the people in the country. In China, economic development

More information

*.E....... 139--161 (..).R

*.E....... 139--161 (..).R A Preliminary Study of Internationalization at the Local Level: The Case of Aikawa Town in Kanagawa Prefecture, Japan FUKUSHIMA Tomoko and FUJISHIRO Masahito In recent years, as foreign residents increase

More information

エンタープライズサーチ・エンジンQ u i c k S o l u t i o n ® の開発

エンタープライズサーチ・エンジンQ u i c k S o l u t i o n ® の開発 Development of Enterprise Search Engine QuickSolution by Yoshinori Takenami, Masahiro Kishida and Yasuo Tanabe As document digitization and information sharing increase in enterprises, the volume of information

More information

2 2 1 2 1 2 1 2 2 Web Web Web Web 1 1,,,,,, Web, Web - i -

2 2 1 2 1 2 1 2 2 Web Web Web Web 1 1,,,,,, Web, Web - i - 2015 Future University Hakodate 2015 System Information Science Practice Group Report Project Name Improvement of Environment for Learning Mathematics at FUN C (PR ) Group Name GroupC (PR) /Project No.

More information

March IT PR March March p p p PR March Vol. March p p p SN March SN PR PR March Potential Needs of Specialized Foster Parents for Abused Children: Analyzinga questionnaire survey on foster parents needs

More information

109 Summary The purpose of this paper is to make clear two points. The first one is the history of understandings of the environmental benefits from agriculture in Japan. In 1971 the first comment on the

More information

untitled

untitled Bloomberg ARES Price Book-value Ratio J BA A * 201226 20 2241214 1 J 25 90 90 () 15 10090 10090 () 147 A A B B A A B B A A B ToSTNet 2 2-3 2 4-6 191 9 192 11 1 p16 H20.12 H20.11 H20.10 H20.3 H19.11

More information

October October October October Geoffrey M. White, White October Edward Relph,, Place and Placelessness, Pion limited October Geoffrey M. White,, National subjects September and Pearl Harbor, American

More information

Bodenheimer, Thomas S., and Kevin Grumbach (1998) Understanding Health Policy: A Clinical Approach, 2nd ed. Appleton & Lange. The Present State of Managed Care and the Feasibility of its Application to

More information

12021108_07.indd

12021108_07.indd 雯 A Study of Japanese Time Adverbs Focusing on Adverbs that Express Immediacy Wen - Shun CAIANG Tamkang University of Taiwan This study focuses on adverbs that express immediacy : sugu, sikyuu, tadachini,

More information

2010 No Campus News 01

2010 No Campus News 01 No.46 2010 3 Yokohama National University 2010 No.46 2 8 10 12 12 14 Campus News 01 Campus News 02 03 Campus News Campus News 04 05 Campus News Campus News 06 07 Campus News Campus News 08 09 Campus News

More information

untitled

untitled Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism IATA 996 9 96 96 1180 11 11 80 80 27231 27 27231 231 H19.12.5 10 200612 20076 200710 20076 20086 11 20061192008630 12 20088 20045 13 113 20084

More information

特集_02-03.Q3C

特集_02-03.Q3C 2-3 A Development of Experimental Environments "SIOS" and "VM Nebula" for Reproducing Internet Security Incidents MIWA Shinsuke and OHNO Hiroyuki Security incidents are growing significantly on a daily

More information

Perspective-Taking Perspective-Taking.... Vol. No.

Perspective-Taking Perspective-Taking.... Vol. No. Nurses Thinking Process in Understanding Patients Unconscious Denial Tomoko Hayashi Key Words putting oneself in the patient s place, perspective-taking, misunderstand patient s perspective, modifying

More information

<82E682B15F8FBC88E48D828BB42E696E6464>

<82E682B15F8FBC88E48D828BB42E696E6464> See Boundary space and human consciousness from holy place and monster s distribution MATSUI Koichi TAKAHASHI Seiichi Amami Oshima has created own unique culture, which is based on Ryukyu culture and also

More information

ABSTRACT The movement to increase the adult literacy rate in Nepal has been growing since democratization in 1990. In recent years, about 300,000 peop

ABSTRACT The movement to increase the adult literacy rate in Nepal has been growing since democratization in 1990. In recent years, about 300,000 peop Case Study Adult Literacy Education as an Entry Point for Community Empowerment The Evolution of Self-Help Group Activities in Rural Nepal Chizu SATO Masamine JIMBA, MD, PhD, MPH Izumi MURAKAMI, MPH Massachusetts

More information

-March N ~......... : National Statistical Office,n.d., Population & Housing Census Whole Kingdom National Statistical Office,, Population & Housing C

-March N ~......... : National Statistical Office,n.d., Population & Housing Census Whole Kingdom National Statistical Office,, Population & Housing C joint family : -March N ~......... : National Statistical Office,n.d., Population & Housing Census Whole Kingdom National Statistical Office,, Population & Housing Census Whole Kingdom National Statistical

More information

II

II No. 19 January 19 2013 19 Regionalism at the 19 th National Assembly Elections Focusing on the Yeongnam and Honam Region Yasurou Mori As the biggest issue of contemporary politics at South Korea, there

More information

9 1, , , 2002, 1998, 1988,

9 1, , , 2002, 1998, 1988, J. Japan Soc. Hydrol. & Water Resour. Vol. 20, No.1, Jan. 2007 pp. 34-46 Dushmanta, Srikantha, 2004 "basin wide integrated flood management strategy" IV.2.50 9 1,893 333 3 528 109 54, 1987 50 9, 2002,

More information

Microsoft Word - ??? ????????? ????? 2013.docx

Microsoft Word - ??? ????????? ????? 2013.docx @ィーィェィケィャi@@ @@pbィ 050605a05@07ィ 050605a@070200 pbィ 050605a05@07ィ 050605a@070200@ィーィィu05@0208 1215181418 12 1216121419 171210 1918181811 19181719101411 1513 191815181611 19181319101411 18121819191418 1919151811

More information

Possibility of Literary Criticism as Practical Science Kenji Hashimoto At the end of the 20th century, the Japanese social system underwent a period of great change. At this time, the Japanese people were

More information

untitled

untitled SATO Kentaro Milk and its by-products are naturally nutritious food, and people in ancient Japan enjoyed tasting them as foods, drinks, or medicines. On the other hand, milk and its by-products were closely

More information

6 1Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfarepp73-86 2015, 10 372-0831 2020-1 2015 5 29 2015 7 9 : : : 1 A B C D E 4 A B A B A B A ] AB C D E 4 8 73 17 2 22 750 1 2 26 2 16 17 32

More information