ラオスの行政(17年度)

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1 諸 外 国 の 行 政 制 度 等 に 関 する 調 査 研 究 No.14 ラオスの 行 政 平 成 18 年 9 月 総 務 省 大 臣 官 房 企 画 課

2 本 報 告 書 は 諸 外 国 の 行 政 制 度 等 に 関 する 調 査 研 究 活 動 の 一 環 として ( 財 ) 行 政 管 理 研 究 センタ ーに 委 嘱 して 実 施 した 調 査 研 究 の 成 果 を 取 りまとめたものであり 本 文 中 の 見 解 にわたる 部 分 は 執 筆 者 のものであって 総 務 省 としての 見 解 を 示 したものではない

3 は じ め に 大 臣 官 房 企 画 課 では 国 際 的 な 視 点 に 立 った 行 政 運 営 の 推 進 を 図 るためには 諸 外 国 の 行 政 制 度 行 政 改 革 等 の 動 向 を 的 確 に 把 握 し 各 種 業 務 に 応 用 可 能 な 形 で 情 報 を 蓄 積 しておくことが 肝 要 である との 基 本 認 識 に 立 ち 外 国 行 政 制 度 等 調 査 研 究 を 実 施 するほか 欧 米 諸 国 を 中 心 に 在 外 公 館 からの 情 報 を 収 集 してきたところである しかし アジア 諸 国 については 我 が 国 と 政 治 経 済 面 で 密 接 な 関 係 が 保 たれてお り これらに 関 する 文 献 資 料 も 少 なくないが 行 政 制 度 については 調 査 研 究 も 相 対 的 に 遅 れており 資 料 等 の 整 備 もいまなお 十 分 とはいえない 状 況 にある このため 当 課 では 平 成 4 年 度 から 東 南 アジア 諸 国 の 行 政 制 度 等 に 関 する 調 査 研 究 を 実 施 し これまでにマレーシア シンガポール タイ インドネシア フィ リピン カンボジア ベトナム 及 びブルネイの 調 査 研 究 を 行 ってきた 平 成 10 年 度 からは 調 査 対 象 をアジア 太 平 洋 地 域 に 拡 大 することとし 調 査 研 究 名 を 諸 外 国 の 行 政 制 度 等 に 関 する 調 査 研 究 と 改 め 韓 国 オーストラリア ニュ ージーランドまで 対 象 国 を 拡 大 してきた 昨 年 度 までのベトナム マレーシアにつづき 本 年 度 は 平 成 16 年 に ASEAN+3 首 脳 会 議 を 初 めて 開 催 し 平 成 17 年 に 我 が 国 との 外 交 関 係 樹 立 50 周 年 を 迎 えたラオ ス 人 民 民 主 共 和 国 を 対 象 として 調 査 研 究 を 実 施 した ラオスは 1975 年 に 人 民 民 主 共 和 国 に 移 行 した 後 中 央 経 済 計 画 体 制 を 敷 いていた が 1980 年 代 半 ばに 旧 ソ 連 の ペレストロイカ に 追 随 する 形 で 市 場 経 済 原 理 に 基 づく 経 済 行 政 改 革 に 着 手 し 始 めた その 後 国 際 援 助 機 関 各 国 及 び 我 が 国 の 援 助 の 下 国 連 の ミレニアム ディベロップメント ゴール を 達 成 すべく 広 範 囲 に わたる 改 革 が 進 行 中 である 政 治 的 にも 1991 年 に 憲 法 が 制 定 され 地 方 分 権 への 取 組 みが 進 められている そのような 状 況 下 で 政 治 行 政 システムの 構 築 と 制 度 化 は 極 めて 重 要 な 課 題 であるが その 現 状 と 課 題 について これまで 日 本 ではあまり 調 査 されてこなかった そこで このような 制 度 構 築 期 に 今 回 の 調 査 研 究 が 行 われ ラオ ス 行 政 の 現 状 と 課 題 について 触 れることができたことは 時 宜 を 得 たものであったと 考 えている 本 調 査 研 究 は 大 六 野 耕 作 明 治 大 学 政 治 経 済 学 部 教 授 を 委 員 長 砂 金 祐 年 常 盤 大 学 コミュニティ 振 興 学 部 専 任 講 師 を 委 員 とし また 委 嘱 先 の( 財 ) 行 政 管 理 研 究 セン ターの 菊 地 端 夫 研 究 員 の 参 加 により 実 施 されたものである 最 後 に 御 協 力 いただいた 関 係 各 位 に 対 し 心 から 御 礼 を 申 し 上 げるとともに 本 報 告 書 がラオス 行 政 の 現 状 等 を 理 解 する 上 で 広 く 活 用 されれば 幸 いである 平 成 18 年 9 月 総 務 省 大 臣 官 房 企 画 課

4 目 次 ラオスのプロフィール... 1 第 1 章 ラオス 概 観 1 地 理 自 然 人 口 民 族 言 語 宗 教 歴 史 経 済 教 育 日 本 との 関 わり... 9 第 2 章 ラオスの 統 治 システム 1 統 治 制 度 の 変 遷 現 行 の 政 治 体 制 ラオス 人 民 革 命 党 国 民 議 会 司 法 検 察 機 関 大 統 領 政 府 閣 僚 第 3 章 ラオスの 行 政 機 構 組 織 1 大 統 領 ( 国 家 主 席 ) 政 府 (Government) 国 有 企 業 (SOE:State Owned Enterprises) 第 4 章 ラオスの 公 務 員 制 度 と 人 事 管 理 1 公 務 員 制 度 公 務 員 研 修 制 度 第 5 章 ラオスの 行 政 改 革 1 行 政 改 革 の 背 景 ガバナンス 行 政 改 革 小 括 :ラオスの 行 政 改 革 主 要 参 考 文 献 付 録 ラオスの 法 令 ( 翻 訳 ) ラオス 人 民 民 主 共 和 国 憲 法 (2003 年 5 月 28 日 改 正 版 ) ラオス 人 民 民 主 共 和 国 公 務 員 に 関 する 首 相 令 (2003 年 第 82 号 )... 87

5 ラオスのプロフィール 国 名 : ラオス 人 民 民 主 共 和 国 (Lao People s Democratic Republic) 首 都 : ビエンチャン(Vientiane) 面 積 : 約 24 万 平 方 km( 日 本 の 本 州 の 面 積 に 相 当 ) 人 口 : 約 560 万 人 (2004 年 ) 民 族 : 低 地 ラオ 族 (タイ 語 族 ) 約 60% その 他 約 50 の 少 数 民 族 による 多 民 族 国 家 言 語 : 公 用 語 はラオ 語 政 治 体 制 : 人 民 民 主 共 和 制 ( 人 民 革 命 党 による 一 党 支 配 ) 国 家 主 席 : カムタイ シーパンドーン 大 統 領 (ラオス 人 民 革 命 党 議 長 ) 国 民 議 会 議 長 : サマーン ヴィニャケート( 党 政 治 局 員 ) 首 相 : ブンニャン ヴォーラチット( 党 政 治 局 員 ) G D P: 約 23 億 1100 万 米 ドル 一 人 当 たり GDP: 約 402 米 ドル(2003/04 年 度 ) 経 済 成 長 率 : 6.5%(2003/04 年 度 ) 通 貨 : キープ(kip) 1 米 ドル=10,800 キープ(2005 年 8 月 現 在 ) ラオス 行 政 地 図 (2000 年 ) ( 出 典 )アジア 経 済 研 究 所 アジア 動 向 年 報

6 第 1 章 ラオス 概 観 1. 地 理 自 然 ラオスはインドシナ 半 島 の 中 心 に 位 置 し 5 ヵ 国 と 国 境 を 接 した 内 陸 国 である 北 に 中 国 ( 国 境 の 長 さ 約 400km) 西 にタイ(1700km) 南 にカンボジア( 約 500km) 東 にベト ナム(2000 km)と 国 境 を 接 している 国 土 面 積 は 約 24 万 平 方 km であり 日 本 の 本 州 と ほぼ 同 じ 面 積 である 国 土 の 80%が 森 林 に 被 われた 高 原 又 は 山 岳 地 帯 であり ラオスの 東 側 ベトナムとの 国 境 線 に 沿 ってほぼ 北 から 南 に 山 脈 が 連 なっている ラオス 西 部 にはメ コン 川 が 流 れ タイとの 国 境 の 一 部 を 構 成 している メコン 川 はラオス 国 内 を 約 1900km にわたって 流 れ ラオス 国 民 の 生 活 様 式 に 大 きな 影 響 を 与 え 生 活 の 基 盤 となっている ラオス 南 部 のチャンパサック 県 内 では 雨 季 には 川 幅 が 14km にも 達 する チャンパサッ ク 県 内 にはラオスとカンボジアの 国 境 にあるメコン 川 唯 一 の 滝 であるコーン パペン (Khone Pha Pheng)の 滝 があり メコン 川 を 使 った 物 資 輸 送 の 最 大 の 難 所 となっている ラオスの 気 候 は 熱 帯 モンスーン 気 候 に 属 し 高 温 多 湿 であり 雨 季 (5 月 ~10 月 )と 乾 季 (11 月 ~4 月 )に 分 かれる 年 間 平 均 気 温 は 約 28 で 乾 季 末 には 最 高 気 温 が 40 前 後 に 達 する 日 も 珍 しくない 北 部 の 山 岳 地 帯 では 1 月 には 最 低 気 温 が 15 程 度 まで 下 がる 年 間 平 均 降 水 量 は 南 部 が 最 も 高 く 3000mm 超 ビエンチャンでは 1500~2000mm 北 部 では 1000~1500mm である ラオスの 時 刻 は グリニッジ 標 準 時 刻 より+7 時 間 であり 日 本 時 間 より-2 時 間 である 2. 人 口 民 族 言 語 宗 教 ラオスの 人 口 は 約 560 万 人 ( 2004 年 )であり 日 本 の 北 海 道 の 人 口 とほぼ 同 等 である 本 州 に 相 当 する 面 積 に 北 海 道 ほどの 人 口 しかいないため 人 口 密 度 は 低 く 約 25 人 / 平 方 km であり 人 口 増 加 率 は 年 2.3%(2003 年 推 計 )である 地 域 別 人 口 では 南 部 のサワナケッ ト 県 が 人 口 約 83 万 人 次 いで 首 都 のビエンチャン 特 別 市 が 人 口 約 65 万 人 を 擁 する ラオ ス 国 民 の 平 均 寿 命 は 2002 年 時 点 で 54.3 歳 であったが 近 年 の 経 済 成 長 に 伴 う 人 間 開 発 指 標 の 上 昇 により 2005 年 時 点 では 約 63 歳 まで 向 上 してきている 特 に 乳 児 死 亡 率 が 0.62% (2005 年 時 点 )まで 低 下 したことが 平 均 寿 命 の 伸 びに 貢 献 している 2003 年 時 点 における - 3 -

7 年 齢 別 人 口 構 成 ( 推 計 )は 15 歳 未 満 が 全 体 の 44.1% 15~29 歳 が 25.4% 30~44 歳 が 16% 45~59 歳 が 8.7% 60 歳 以 上 が 5.8%であり 65 歳 以 上 の 高 齢 者 に 限 っては 3.8% である ラオスは 多 民 族 国 家 であり 50 ほどの 少 数 民 族 で 構 成 されているとされるが 正 確 な 数 については 明 確 ではない そのためラオス 国 内 では 居 住 地 域 別 の 三 分 類 による 呼 称 が 一 般 的 である 全 人 口 の 約 6~7 割 を 占 めるのがラオ ルーム(Lao Loum)と 呼 ばれる 低 地 ラオ 人 であり 平 野 地 方 やメコン 川 流 域 に 居 住 しタイ 語 系 諸 族 の 総 称 である 全 人 口 の 約 2 割 を 占 めるのがラオ トゥン(Lao Theung)と 呼 ばれる 山 腹 ( 中 地 )ラオ 人 であり 山 間 部 中 腹 に 居 住 しモン クメール 語 系 諸 族 の 総 称 である 一 般 的 にラオス 国 内 での 地 位 は 低 い 残 りの 約 1 割 がラオ スーン(Lao Sung)と 呼 ばれる 高 地 ラオ 人 であり ラオス 北 部 の 山 間 地 域 に 居 住 する 少 数 民 族 の 総 称 である チベット ビルマ 語 ミャオ ヤオ 語 を 話 す そのほか 都 市 部 にはベトナム 系 中 国 系 ラオス 人 が 存 在 するが 全 人 口 の 1% 程 度 で ある 特 に 華 僑 ( 中 国 系 ラオス 人 )は 1975 年 のラオス 人 民 革 命 党 によるラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 成 立 で 財 産 が 没 収 されるなどして 海 外 へ 移 民 したケースが 多 い 1991 年 に 制 定 さ れた 憲 法 では 第 3 条 (2003 年 憲 法 第 3 条 以 下 括 弧 内 は 2003 年 憲 法 の 条 名 ) 第 8 条 ( 第 8 条 ) 第 9 条 ( 第 9 条 )において 全 民 族 の 平 等 と 諸 宗 教 文 化 の 尊 重 を 明 記 し 全 民 族 の 融 和 による 国 家 統 一 を 目 指 している ラオス 国 内 には 各 少 数 民 族 による 言 語 が 多 数 存 在 するが 公 用 語 は 憲 法 第 75 条 によって ラオ ルームが 話 すラオ 語 と 規 定 されている そのほか 英 語 フランスによるインドシ ナ 統 治 の 経 緯 と 旧 ソビエト 連 邦 の 影 響 でエリート 層 はフランス 語 そしてロシア 語 を 話 す 者 も 多 い ラオス 国 民 のほとんどは 仏 教 ( 上 座 部 仏 教 )を 信 仰 している 仏 教 はラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 成 立 と 同 時 に 特 別 な 保 護 を 受 けなくなったが 19 世 紀 末 まで 続 いたラーンサーン 王 朝 においては 国 教 とされるなど 現 在 でもラオス 社 会 に 大 きな 影 響 を 及 ぼしている 前 近 代 的 な 濃 密 な 農 村 共 同 体 が 現 在 でも 基 本 的 な 社 会 単 位 として 機 能 していることもあり ラオス 国 民 は 一 般 的 に 政 府 に 対 して 福 祉 サービスをあまり 望 んでないとされている 代 わ って ラオスにおいて 福 祉 を 担 うのは 寺 院 を 中 心 とした 仏 教 であり さらに 寺 院 は 農 村 コ ミュニティーのセンターとしていわば 中 世 欧 州 の 教 会 のような 役 割 を 果 たしている 寺 院 では 貧 困 層 に 対 する 食 事 の 提 供 や 外 国 語 学 習 も 含 めた 土 日 曜 学 校 が 開 催 されてお り 地 域 の 福 祉 コミュニティセンターとしての 機 能 が 付 随 されているとされる そのた - 4 -

8 め 低 所 得 地 域 の 農 家 の 子 供 の 一 部 はラオス 軍 に 入 隊 するか 又 は 僧 侶 になるという 選 択 肢 が 一 般 的 である また ある 地 域 において 住 民 が 舗 装 道 路 を 通 したいと 思 った 場 合 住 民 達 は 地 域 内 の 寺 院 でチャリティーのお 祭 りを 開 催 し 当 該 地 域 外 からも 含 めた 参 加 者 か ら 寄 付 を 集 める 仮 に 必 要 とされる 予 算 の 50%を 集 めることができた 場 合 残 りの 50%に ついては 政 府 が 予 算 を 組 み 事 業 が 行 われるような 仕 組 みとなっている 僧 侶 の 毎 朝 の 托 鉢 に 代 表 されるように ラオス 人 の 多 くは 寺 院 に 寄 付 を 行 うが 現 在 は 寺 院 への 寄 付 は 税 控 除 の 対 象 外 である しかし 福 祉 や 教 育 に 還 元 されない 納 税 よりも 地 域 の 福 祉 向 上 に 役 立 つ 寺 院 への 寄 付 を 選 択 するのは 当 然 の 行 動 ともいえる そのため ラオス 人 民 革 命 党 も 仏 教 との 関 係 を 意 識 しており 党 の 理 念 思 想 と 仏 教 の 思 想 が 一 致 す ると 明 言 し 党 の 勢 力 拡 大 策 として 寺 院 を 利 用 している 側 面 もある 3. 歴 史 ラオスの 歴 史 は ラオ 族 のファ グム 王 が 統 一 王 国 として ラーンサーン( 百 万 の 象 ) 王 国 を 設 立 した 1353 年 まで 遡 る 首 都 は 現 在 のルアンパバーンに 置 かれ 領 土 は 現 在 のラ オスとタイの 東 北 部 まで 広 がっていた 1560 年 にビルマの 侵 攻 を 避 けるためビエンチャン に 遷 都 を 行 っている その 後 18 世 紀 初 頭 に 王 国 内 の 内 紛 からビエンチャン ルアンパバー ン チャンパサックの 3 王 国 に 分 裂 し 1779 年 にシャム 王 国 (トンブリー 王 朝 )( 現 在 の タイ 王 国 )の 属 国 となっている ヨーロッパ 列 強 のアジア 進 出 の 影 響 により 19 世 紀 末 に はフランスがインドシナ 半 島 の 植 民 地 化 に 乗 りだし ラオス 地 域 は 1893 年 にフランスとシ ャム 王 国 の 条 約 によりフランスの 植 民 地 となり 1899 年 にフランス 領 インドシナ 連 邦 に 編 入 された フランス 政 府 にとって 植 民 地 ラオスはすでに 宗 主 国 であったベトナムとシャム 王 国 の 間 の 緩 衝 国 としての 意 味 しかもたず 鉄 道 や 道 路 といったインフラや 近 代 的 な 教 育 制 度 の 整 備 を 行 わず 愚 民 化 政 策 が 取 られた 植 民 地 統 治 にはベトナム 人 が 多 用 された 1945 年 には 日 本 軍 のフランス 領 インドシナ 連 邦 への 進 駐 により ラオス 国 内 にも 日 本 軍 が 進 駐 した 日 本 の 敗 戦 によりラオスは 再 びフランス 領 となったが 1949 年 のフランス ラオス 協 定 によるフランス 連 合 内 の ラオス 王 国 の 樹 立 1953 年 のフランス ラオス 友 好 条 約 によるラオス 王 国 としての 完 全 独 立 を 果 たした 1955 年 に 日 本 との 外 交 関 係 が 成 立 している 独 立 を 果 たしたラオス 王 国 であったが その 後 1949 年 のフランス 連 合 内 の ラ オス 王 国 設 立 の 際 フランス 政 府 側 の 懐 柔 に 応 じた 王 国 政 府 側 穏 健 派 と フランス - 5 -

9 政 府 の 関 与 に 徹 底 抗 戦 する 急 進 派 (パテト ラオ) また どちらにも 関 与 しない 中 立 派 の 三 者 による 内 乱 が 続 いた 1950 年 代 から 1970 年 代 まで 各 派 による 停 戦 調 停 連 合 政 権 樹 立 が 試 みられたがいずれも 一 時 的 であり 各 派 勢 力 が 一 進 一 退 する 形 で 国 内 の 混 乱 は 続 いた 1960 年 代 から 始 まっていた 隣 国 でのベトナム 戦 争 は 1970 年 代 前 半 に 入 るとアメリ カの 劣 勢 が 目 立 つようになり ベトナムやカンボジアで 民 族 解 放 勢 力 が 伸 張 した ラオス 国 内 では 1974 年 に 急 進 派 のパテト ラオ 勢 力 と 親 米 派 の 中 立 派 右 派 による 第 三 次 連 合 政 府 が 成 立 したが 1975 年 4 月 にサイゴンが 陥 落 したことにより 親 米 派 の 中 立 派 右 派 の 政 府 高 官 や 軍 人 が 次 々に 国 外 脱 出 を 図 ったため 連 合 政 府 は 事 実 上 解 体 し 左 派 であるパテ ト ラオ 勢 力 が 全 土 を 制 圧 するようになった 1975 年 12 月 に 王 政 を 廃 止 し 人 民 民 主 共 和 国 への 移 行 が 宣 言 され ラオス 人 民 民 主 共 和 国 が 成 立 することになった 初 代 大 統 領 に はスパヌウォン 愛 国 戦 線 議 長 首 相 にカイソン 人 民 革 命 党 書 記 長 が 就 任 し 人 民 革 命 党 の 党 内 序 列 上 位 者 によって 政 府 の 要 職 が 掌 握 され ラオス 人 民 革 命 党 の 一 党 支 配 が 形 成 され た なお 国 内 の 混 乱 が 続 いていた 1971 年 12 月 に 日 本 を 中 心 とした 援 助 によりナムグム (Nam Ngum)ダムがビエンチャン 北 部 に 完 成 している 発 電 した 電 気 はタイに 送 電 され ラオスの 外 貨 獲 得 手 段 の 一 つとなっている 社 会 主 義 体 制 の 移 行 を 急 いだラオス 政 府 は 銀 行 や 企 業 の 国 有 化 国 営 商 店 網 の 整 備 農 業 の 集 団 化 による 中 央 計 画 経 済 化 を 進 めたが 旧 体 制 下 の 官 僚 や 知 識 階 級 タイ 系 や 華 僑 の 実 業 家 がこぞって 国 外 に 脱 出 し 国 内 に 残 った 旧 体 制 下 の 官 僚 も 反 体 制 分 子 として 再 教 育 キャンプに 収 容 されるなど 国 家 建 設 (Nation Building)に 必 要 な 人 材 が 圧 倒 的 に 不 足 した 1977 年 7 月 にはベトナムと 友 好 協 力 条 約 を 結 び 現 在 にまで 至 るベトナム 共 産 党 との 特 別 な 関 係 を 維 持 している 中 国 とベトナムの 間 で 発 生 した 中 越 紛 争 の 際 にはベ トナムを 支 持 し 中 国 との 関 係 が 悪 化 し 外 交 関 係 は 旧 ソ 連 とベトナム 寄 りに 傾 斜 してい った 1985 年 3 月 に 旧 ソ 連 にゴルバチョフ 政 権 が 誕 生 し ペレストロイカ(Perestroika)を 提 唱 し 政 治 経 済 の 自 由 化 の 流 れが 大 きくなった ラオスでも 1986 年 11 月 にラオス 人 民 革 命 党 の 第 4 回 党 大 会 が 開 催 され チンタカナカーン マイ( 新 思 考 ) 政 策 が 唱 えられ た 同 年 にベトナムで 提 唱 された ドイモイ( 刷 新 ) 政 策 に 追 随 する 形 で 新 経 済 メカ ニズム(NEM:New Economic Mechanism)の 導 入 が 決 定 した その 内 容 は 市 場 原 理 に よる 価 格 決 定 メカニズム 内 外 取 引 の 自 由 化 企 業 や 地 方 行 政 への 自 主 権 の 付 与 経 済 計 画 の 柔 軟 化 対 内 投 資 の 受 け 入 れである 同 時 に 開 放 体 制 に 見 合 った 政 治 行 政 基 盤 の 確 - 6 -

10 立 を 目 指 し 1988 年 の 地 方 選 挙 の 実 施 1989 年 の 最 高 人 民 会 議 の 総 選 挙 が 行 われ 1991 年 8 月 にはラオス 人 民 民 主 共 和 国 憲 法 が 制 定 されている 新 経 済 メカニズム(NEM)では 国 有 企 業 改 革 外 国 資 本 の 導 入 が 進 められ 1988 年 9 月 には 外 国 投 資 法 が 公 布 されている 憲 法 の 制 定 により 西 側 諸 国 との 関 係 が 正 常 化 し 1992 年 2 月 にタイと 友 好 協 力 条 約 の 締 結 7 月 に ASEAN( 東 南 アジア 諸 国 連 合 )にベトナムとともにオブザーバー 参 加 が 実 現 し(そ の 後 1997 年 7 月 に 正 式 加 盟 ) 全 方 位 外 交 へと 歩 みを 進 めている 2004 年 11 月 にはラオ スにおける 初 めての ASEAN サミット( 首 脳 会 議 )が 首 都 ビエンチャンで 開 催 されている 4. 経 済 ラオス 経 済 の 発 展 は 前 述 の 通 り 1986 年 の チンタナカーン マイ( 新 思 考 政 策 ) に よる 開 放 政 策 である 新 経 済 メカニズム(NEM)によって 本 格 的 に 始 まった ラオス 政 府 は 1975 年 以 降 ソビエト 型 の 計 画 経 済 モデルを 模 範 として 産 業 の 国 有 化 を 目 指 し 1978 年 に は 最 初 の 3 ヵ 年 経 済 計 画 が 始 まっている しかし それまでに 続 いた 内 戦 で 国 内 経 済 は 疲 弊 し 経 済 を 担 っていたタイ 系 ラオス 人 華 僑 の 国 外 逃 亡 さらに 国 際 的 な 孤 立 により 計 画 は 農 業 の 集 団 化 にとどまり 集 団 化 自 体 も 頓 挫 している 1986 年 に 開 始 された 新 経 済 メカニズム(NEM)による 開 放 政 策 によって 市 場 原 理 によ る 価 格 決 定 メカニズム 内 外 取 引 の 自 由 化 企 業 や 地 方 行 政 への 自 主 権 の 付 与 経 済 計 画 の 柔 軟 化 対 内 投 資 の 受 け 入 れが 行 われるようになった それまでは 物 資 の 多 くは 国 営 商 店 や 国 営 の 流 通 経 路 からの 実 質 的 な 配 給 制 であったが 新 経 済 メカニズム(NEM)により 水 道 や 電 気 といった 政 府 が 価 格 を 決 める 物 資 以 外 は 市 場 によって 価 格 が 決 定 されるように なり 特 に 都 市 部 に 住 む 国 民 は 商 品 価 格 の 低 下 や 主 に 外 資 の 参 入 による 商 品 バラエティー の 拡 大 により 恩 恵 を 受 けたという その 後 1991 年 から 1995 年 までは 平 均 成 長 率 6.5% 1996 年 から 2000 年 まではアジア 通 貨 危 機 の 影 響 により 300%を 超 えるインフレに 見 舞 わ れたが 2001 年 から 2005 年 までは 平 均 6.3%の 経 済 成 長 を 果 たしている この 間 国 内 総 生 産 のセクター 別 割 合 は 1990 年 に 農 林 水 産 業 が 60.7% 鉱 業 建 設 が 14.4% 商 業 サ ービス 業 が 24.1%であったが 2003 年 には 農 林 水 産 業 が 48.1% 鉱 業 建 設 が 25.7% 商 業 サービス 業 が 25.3%であり 依 然 として 農 林 水 産 業 の 比 率 が 高 い 2004 年 の 主 な 輸 出 品 は 衣 料 品 (27%) 電 力 (22%) 木 材 製 品 (20%)のほか 金 コーヒーなどである 主 な 輸 出 国 は タイ(38%) オーストラリア(16.3%) フランス - 7 -

11 (8.2%) ベトナム(8%) イギリス(6.3%)となっている 主 な 輸 入 品 は タイ 経 由 の 燃 料 (15.6%) 衣 料 用 原 料 (14%) 工 業 製 品 車 両 及 び 部 品 などである 主 な 輸 入 国 は タイ(60.3%) 中 国 (11.8%) ベトナム(11.0%) 韓 国 (1.6%)である 2004 年 の 貿 易 統 計 では 輸 出 が 3 億 8900 万 ドルに 対 して 輸 入 は 6 億 700 万 ドルで 大 幅 な 赤 字 傾 向 が 続 いている 2004 年 の 対 日 貿 易 では 日 本 への 輸 出 が 1700 万 ドル 日 本 からの 輸 入 が 7000 万 ドルとなっており 主 な 輸 出 品 は 木 材 製 品 衣 料 品 手 工 芸 品 で 主 な 輸 入 品 は 車 両 及 び 部 品 衣 料 用 原 料 工 業 製 品 である 外 国 からの 直 接 投 資 はタイからの 投 資 が 圧 倒 的 に 多 く 1988 年 から 2004 年 までの 累 積 投 資 額 に 占 める 割 合 は 43.1% 次 いでアメリカ (16.8%) マレーシア(12.2%) フランス(7.0%) 中 国 (5.3%) ベトナム(4.8% ) 韓 国 (3.6%)と 続 いている 特 に 近 年 は 鉱 業 への 投 資 が 急 激 に 伸 びている 日 本 企 業 の 直 接 投 資 については タイに 進 出 した 工 場 の 下 請 けとしてラオスに 工 場 を 設 置 する 例 が 見 られるが 投 資 環 境 の 未 整 備 により 極 めて 少 ないのが 現 状 である 今 後 は 中 国 やタイ ベトナムといった 隣 国 に 進 出 した 日 本 企 業 が 各 国 のカントリーリスクの 分 散 工 場 の 孫 受 けといった 形 で 進 出 することが 予 想 される ラオスの 国 家 財 政 は 歳 出 が 歳 入 を 上 回 る 大 幅 な 財 政 赤 字 状 態 が 恒 常 的 に 続 いている 2003 年 度 の 歳 入 が 海 外 からの 無 償 援 助 の 一 部 税 収 非 税 収 を 含 めて 3 億 3500 万 ドルで あるのに 対 し 歳 出 は 4 億 6300 万 ドルであり 1 億 2800 万 ドルの 赤 字 である 歳 入 の 約 7 割 を 占 める 税 収 の 内 基 幹 税 収 は 物 品 税 ( 税 収 の 約 20%) 売 上 税 ( 約 19%)であるほ か 木 材 ロイヤリティ( 税 収 の 5.6%)や 水 力 発 電 ロイヤリティ(2.8%) 非 税 収 として 領 空 通 過 料 も 貴 重 な 歳 入 の 一 つになっている 財 政 状 況 が 恒 常 的 な 大 幅 赤 字 であるため ラオスの 社 会 経 済 開 発 には 海 外 からの 援 助 が 大 きな 役 割 を 果 たしている ラオス 外 務 省 の 資 料 によれば 2002 年 度 の 二 国 間 援 助 の 内 供 与 額 が 最 も 多 いのは 日 本 ( 全 供 与 額 の 約 47%) 次 いで 中 国 ( 約 13%) オーストラリア( 約 8%) 旧 宗 主 国 であるフランス( 約 5.8%)となっている 近 年 は 中 国 の 援 助 が 急 激 に 伸 び ており 首 都 ビエンチャンの 目 抜 き 通 りにある 凱 旋 門 前 の 広 場 も ASEAN サミット 直 前 に 中 国 の 援 助 によって 整 備 された 5. 教 育 ラオスの 教 育 制 度 は 保 育 所 幼 稚 園 5 年 制 の 小 学 校 (Primary) 3 年 制 の 中 学 校 (Lower - 8 -

12 Secondary) 3 年 制 の 高 等 学 校 (Upper Secondary) 初 等 技 術 学 校 (Technical First School) 中 等 技 術 学 校 (Technical Secondary School) 専 門 学 校 (Institute) 大 学 であり 大 学 は 12 学 部 を 擁 する 総 合 大 学 であるラオス 国 立 大 学 (National University of Laos)が 国 内 唯 一 の 国 立 大 学 である 2001 年 における 小 学 校 の 就 学 率 は 80.3%で 男 児 が 84.3% 女 児 が 76.3%となってい る 全 体 的 に 学 校 施 設 と 質 の 高 い 教 員 の 不 足 と 山 間 部 の 少 数 民 族 への 教 育 の 普 及 問 題 を 抱 えるが 教 員 についてはラオス 国 立 大 学 に 教 育 学 部 が 設 立 されたことにより 安 定 的 な 供 給 が 確 保 されつつある UNESCO 資 料 によれば 15 歳 以 上 における 2004 年 の 識 字 率 は 68.7%で 男 性 77% 女 性 60.9%である 図 表 年 2004 年 における 各 学 校 数 生 徒 数 教 員 数 学 校 数 ( 校 ) 生 徒 数 ( 人 ) 教 員 数 ( 人 ) 1990 年 2004 年 1990 年 2004 年 1990 年 2004 年 保 育 所 幼 稚 園 ,100 41,600 2,100 3,500 小 学 校 6,316 8, ,000 22,000 28,000 中 学 校 , ,000 7,000 9,000 高 等 学 校 ,000 3,000 5,000 初 等 技 術 学 校 ,400 11, 中 等 技 術 学 校 ,900 24,600 1,100 1,000 専 門 学 校 ,300 18, ,000 大 学 3 3 3,400 10, ( 出 典 )National Statistics Center. (July, 2005). Basic Statistics ( 注 ) 大 学 は 大 学 相 当 レベルの 教 育 機 関 を 含 む 6. 日 本 との 関 わり 日 本 とラオスの 外 交 関 係 は 1955 年 3 月 の 外 交 関 係 樹 立 以 来 特 に 懸 案 事 項 もなく 良 好 な 関 係 を 保 っており 2005 年 には 外 交 関 係 樹 立 50 周 年 の 記 念 レセプション 文 化 行 事 が 両 国 で 行 われた 日 本 の 青 年 海 外 協 力 隊 は 1965 年 に 事 業 を 開 始 しているが 第 1 陣 のう - 9 -

13 ち 10 名 がラオスに 派 遣 されている 1960 年 代 中 期 から 70 年 代 中 期 にかけて 日 本 の 援 助 が 拡 大 し 医 療 農 業 開 発 道 路 や 橋 梁 といったインフラ 整 備 の 支 援 を 行 ってきたが 1975 年 のラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 成 立 によりその 後 約 10 年 間 は 援 助 額 が 減 少 し 1986 年 の 経 済 開 放 政 策 以 降 再 度 積 極 的 な 援 助 が 展 開 されている 現 在 はインフラ 整 備 以 外 にも 保 健 医 療 教 育 人 造 り 行 政 支 援 にまで 援 助 分 野 が 拡 大 してきている 1976 年 からは 文 化 無 償 協 力 案 件 を 実 施 し 文 化 遺 産 保 存 スポーツ 交 流 人 物 交 流 等 の 文 化 交 流 も 拡 大 中 である 2002 年 度 のラオスへの 二 国 間 援 助 のうち 供 与 額 が 最 も 多 いのは 日 本 で 全 供 与 割 合 のほぼ 半 数 を 占 める 援 助 の 事 例 では 首 都 ビエンチ ャンの 空 路 の 入 り 口 であるビエンチャン ワッタイ 空 港 の 国 際 ターミナルが 1999 年 に 日 本 政 府 の 無 償 援 助 によって 完 成 している ラオス 国 内 唯 一 のラオス 国 営 テレビでは 日 本 か らの 援 助 による 道 路 や 橋 梁 人 材 支 援 に 関 するニュースが 頻 繁 に 報 道 されている 政 府 の 援 助 以 外 にもラオス 国 内 で 日 本 の NGO が 8 団 体 (2005 年 11 月 現 在 ) 事 務 所 を 設 け 教 育 保 健 衛 生 農 村 開 発 障 害 者 支 援 の 分 野 で 活 動 している 2004 年 ラオスを 訪 れた 日 本 人 は 20,319 人 ( 外 国 人 訪 問 者 全 体 の 約 2.8%)で タイ ( 約 49 万 人 ) ベトナム( 約 13 万 人 ) アメリカ( 約 37,000 人 ) 中 国 ( 約 33,000 人 ) フランス(27,806 人 ) イギリス(27,402 人 )に 次 ぐ 7 位 である ラオス 在 留 邦 人 は 2004 年 10 月 現 在 で 417 名 であり 政 府 関 係 者 が 231 名 企 業 関 係 者 が 90 名 自 由 業 関 係 者 が 12 名 留 学 生 研 究 者 等 が 40 名 その 他 が 44 名 となっている 日 本 の 政 府 開 発 援 助 に 比 して 日 本 企 業 からラオス 国 内 への 投 資 は 少 なく 2000 年 から 2005 年 9 月 までの 外 国 からの 投 資 総 額 ( 約 27 億 9000 万 US$)に 占 める 日 本 の 割 合 は 0.4% 程 度 ( 約 1000 万 US$)である 日 本 企 業 がラオスへの 投 資 を 躊 躇 する 理 由 としては 不 透 明 な 手 続 き 優 秀 な 人 材 確 保 難 マーケットの 小 ささなどが 挙 げられる 2004 年 には 外 国 投 資 奨 励 法 が 改 正 され 手 続 きの 透 明 性 確 保 やラオス 国 内 の 後 発 地 域 への 進 出 に 対 して 段 階 的 に 優 遇 措 置 が 与 えられた 今 後 は 中 国 やタイ ベトナムといった 隣 国 に 進 出 した 日 本 企 業 が 各 国 のカントリーリスクの 分 散 工 場 の 孫 受 けといった 形 で 進 出 することが 期 待 されている

14 第 2 章 ラオスの 統 治 システム 1. 統 治 制 度 の 変 遷 ラオスの 統 治 制 度 は インドシナ 半 島 諸 国 間 の 力 学 と 域 外 の 外 国 勢 力 の 影 響 を 受 けな がら 様 々に 変 遷 してきた (1)ラオス 国 家 の 成 立 ラオスにおける 近 代 国 家 成 立 の 端 緒 は 14 世 紀 (1353 年 )のファ グム 王 による ラー ンサーン( 百 万 頭 の 象 ) 王 国 の 建 設 に 始 まる シエントーン( 現 在 のルアンパバーン) を 首 都 とした ラーンサーン 王 国 は 山 地 タイ 人 の 一 派 であるラオ 族 が 自 らの 伝 統 的 な 政 治 制 度 と 南 部 上 座 仏 教 を 融 合 させた 国 家 (ムアンと 呼 ばれる)であり その 支 配 権 は 現 在 のラオス 全 域 及 びタイ 東 北 部 に 及 ぶものであった しかし 1560 年 には 隣 国 ビルマか らの 強 い 圧 力 を 受 け 首 都 を 現 在 のビエンチャンに 移 転 1574 年 にはビエンチャンがビル マに 一 時 占 領 される 事 態 に 立 ち 至 った ビルマによる 支 配 は 1603 年 まで 続 いたが この 間 も ラーンサーン 王 国 は 統 一 を 維 持 し 18 世 紀 の 初 めまでは 統 一 王 国 として 存 在 した ところが 18 世 紀 に 入 ると 王 位 継 承 権 をめぐる 争 いから 1707 年 にはビエンチャン 王 国 と ルアンパバーン 王 国 が 分 裂 次 いで 1713 年 にはビエンチャン 王 国 からチャンパサック 王 国 が 分 裂 して ラオス 国 家 は 衰 退 の 途 を 歩 んだ こうした ラオス 国 家 の 衰 退 をいち 早 く 察 知 したシャム 王 国 (トンブリー 王 朝 )( 現 在 のタイ 王 国 )は 1779 年 にこれら 三 王 国 を 支 配 下 に 収 めた また 1788 年 にはビエンチャン 王 国 の 山 岳 部 にあったシエンクワン 地 域 がベ トナムの 影 響 下 に 置 かれることとなった (2) 仏 領 インドシナ 連 邦 のラオス 19 世 紀 の 半 ば 以 降 インドシナ 地 域 の 植 民 地 化 を 進 めていたフランスは 1887 年 現 在 のベトナムとカンボジアを 保 護 国 として 統 括 するインドシナ 総 督 を 置 き いわゆるインド シナ 連 邦 ( 仏 領 インドシナ)を 成 立 させることになる 19 世 紀 も 終 わりに 近 づくと フラ ンスは 植 民 地 支 配 をラオスにまで 拡 大 する 1893 年 には タイ(シャム 王 国 )の 支 配 下 に あったメコン 川 東 部 の 地 域 (ラオス:この 当 時 は ルアンパバーン 王 国 とチャンパサック 王 国 に 分 裂 )を 支 配 下 に 収 め 1899 年 には これらの 地 域 がインドシナ 連 邦 に 編 入 される

15 こととなる しかし ベトナムの 場 合 とは 異 なり フランスは ラオスの 開 発 にはほとん ど 興 味 を 示 さなかった 道 路 の 整 備 鉄 道 の 建 設 などのインフラ 整 備 はもちろん 国 家 の 基 盤 となる 教 育 制 度 の 確 立 にも 意 を 用 いなかった 現 在 にまで 続 く 人 材 不 足 の 遠 因 の 一 つは こうしたフランスによる 愚 民 化 政 策 にあるといっても 過 言 ではない また ラオス の 統 治 には フランス 統 治 下 で 教 育 を 受 けたベトナム 人 が 用 いられ ラオス 人 が 要 職 につ くことはなかった (3)ラオスの 独 立 1941 年 仏 領 インドシナ 連 邦 への 進 駐 を 開 始 した 日 本 軍 は 1945 年 4 月 にはルアンパ バーンに 到 達 し ルアンパバーン 王 国 のシー サバン ウォン 王 にフランスからの 独 立 を 宣 言 させた しかし 同 年 8 月 15 日 日 本 が 連 合 国 に 降 伏 すると フランスが 再 びインド シナ 支 配 に 乗 り 出 し 1946 年 今 度 はフランス 政 府 の 支 援 の 下 にシー サバン ウォン 王 が 王 国 政 府 を 樹 立 することになる 1947 年 5 月 には 憲 法 が 制 定 され まがりなりにも ラ オスは 立 憲 君 主 国 となる しかし ラオス 国 内 の 民 族 勢 力 は 王 国 政 府 の 下 で 漸 進 的 な 独 立 を 図 ろうとする 穏 健 派 と 対 仏 徹 底 抗 戦 を 主 張 する 急 進 派 とに 分 裂 する このうち スパ ヌウォン 王 子 をリーダーとする 急 進 派 は ベトミン インドシナ 共 産 党 に 指 導 されながら 1950 年 8 月 ネオ ラオ イッサラ( 自 由 ラオス 戦 線 )を 結 成 し その 闘 争 部 隊 であるパ テト ラオが 反 仏 闘 争 を 繰 り 広 げることとなった これに 対 して フランスの 支 配 下 で 漸 進 的 な 独 立 を 探 っていたプーマーを 中 心 とする 穏 健 派 は 1953 年 10 月 ラオス 王 国 政 府 とフランス 政 府 との 間 で 友 好 連 合 条 約 を 締 結 させることに 成 功 し ラオス 王 国 の 完 全 独 立 を 勝 ち 取 った (4)ラオスの 内 戦 とラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 成 立 独 立 後 も 民 族 派 内 の 対 立 は 絶 えず 王 国 政 府 派 中 立 派 パテト ラオ 間 の 対 立 が 続 い ていた しかし 1954 年 に 締 結 されたジュネーブ 協 定 ラオス 条 項 によって ベトミン 軍 と フランス 軍 のラオス 撤 退 パテト ラオのラオス 北 部 二 州 への 移 動 国 際 休 戦 監 視 委 員 会 の 設 置 が 実 現 し 長 年 にわたるフランスのラオス 支 配 に 終 止 符 が 打 たれた 1957 年 11 月 には 王 国 政 府 の 首 相 で 中 立 派 のスワンナプーマ 王 子 と 異 母 兄 弟 でパテト ラオ 議 長 の スパヌウォン 王 子 との 間 で 連 合 政 府 ( 第 一 次 )を 組 織 すること 合 意 された しかし パテト ラオを 警 戒 する 右 派 勢 力 はスワンナプーマ 王 子 を 排 除 し 1958 年 8 月 にプイ サナニコー

16 ン 右 派 内 閣 を 成 立 させた 1960 年 8 月 には 中 立 派 のコン レ 大 尉 が 右 派 政 権 に 対 する クーデタを 起 こし その 結 果 中 立 派 のスワンナプーマ 王 子 による 内 閣 が 成 立 した しか し スワンナプーマ 王 子 は 連 合 政 府 の 中 に 左 派 =パテト ラオ 勢 力 を 取 り 込 もうと 企 てたこ とから 右 派 の 反 乱 を 招 き ラオスは 再 び 混 乱 に 陥 った 1961 年 5 月 ラオス 内 戦 の 拡 大 を 懸 念 したアメリカ ソ 連 イギリスの 呼 びかけで 左 派 中 立 派 右 派 の 三 派 間 で 停 戦 が 実 現 し 第 二 次 連 合 政 府 が 成 立 した 7 月 には ラオスに 関 する 14 カ 国 会 議 が 開 催 され 第 二 次 ジュネーブ 協 定 も 締 結 された しかし 1964 年 スワンナプーマ 王 子 が 一 部 中 立 派 と 右 派 との 統 合 を 図 ったため パテト ラオはこれを 激 しく 非 難 1965 年 以 降 パテト ラオと 政 府 軍 との 戦 闘 が 繰 り 広 げられることとなる パテト ラオの 軍 事 的 優 勢 が 明 らか になると 1972 年 10 月 にはビエンチャンで 和 平 会 談 が 開 催 され 1973 年 には ラオスに おける 平 和 の 回 復 及 び 民 族 和 解 に 関 する 協 定 が 調 印 された 1974 年 3 月 には スワンナ プーマ 王 子 を 首 班 とする 第 3 次 連 合 政 府 が 成 立 し 一 時 的 な 政 治 的 安 定 がもたらされたが 1975 年 4 月 のサイゴン 陥 落 を 契 機 に 親 米 派 であった 中 立 派 や 右 派 が 国 外 に 脱 出 を 図 った ため 第 三 次 連 合 政 権 は 事 実 上 崩 壊 し パテト ラオ 主 導 の 政 権 が 残 されることとなった こうした 状 況 を 踏 まえ 1975 年 12 月 に 開 催 された 初 めての 全 国 人 民 代 表 会 議 では シー サバン ウォンの 後 継 であるワッタナ 王 の 退 位 が 宣 言 されるとともに 王 制 の 廃 止 とラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 成 立 が 宣 言 された 新 政 府 の 大 統 領 には スパヌウォン 愛 国 戦 線 議 長 首 相 にはカイソン 人 民 革 命 党 書 記 長 が 就 任 した 2. 現 行 の 政 治 体 制 ラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 政 治 体 制 は 現 在 でも 基 本 的 には ラオス 人 民 革 命 党 の 一 党 支 配 を 基 本 とした 人 民 民 主 共 和 制 を 採 用 している ラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 成 立 当 初 は マルクス レーニン 主 義 を 掲 げる ラオス 人 民 革 命 党 の 指 導 の 下 ソビエト 型 共 産 主 義 国 家 の 建 設 を 目 指 していた しかし 共 産 主 義 政 権 の 誕 生 とともに これを 忌 避 する 旧 体 制 下 の 政 府 官 僚 知 識 階 級 タイ 系 華 人 系 実 業 家 など 優 秀 な 人 材 が 数 多 く 国 外 脱 出 を 図 ったために ラオスの 政 治 行 政 経 済 は 大 きな 混 乱 に 陥 った また 大 量 の 難 民 の 流 入 共 産 主 義 の 浸 透 を 警 戒 するタイが 国 境 封 鎖 を 図 ったことや 西 側 からの 援 助 がなくなったことも 混 乱 に 拍 車 をかけた こうした 状 況 の 下 で 開 かれた 1978 年 第 2 期 第 7 回 党 大 会 では 社 会 主 義 経 済 体 制 移 行 を

17 遅 らせ 市 場 経 済 原 理 を 活 用 する 新 経 済 政 策 が 採 用 されたが 経 済 の 停 滞 と 混 乱 を 解 消 するには 至 らず 1983 年 には 一 旦 社 会 主 義 化 路 線 に 回 帰 する しかし ソビエトで 見 られたペレストロイカの 流 れや 隣 国 ベトナムが 採 用 したドイモイ 政 策 等 に 触 発 され 1986 年 の ラオス 人 民 革 命 党 の 第 4 期 党 大 会 では チンタナカーン マイ( 新 思 考 政 策 ) が 提 唱 され 同 時 に 市 場 原 理 を 基 本 とした 新 経 済 メカニズム(NEM: New Economic Mechanism)の 導 入 とこれを 支 える 政 治 行 政 制 度 の 確 立 と 社 会 改 革 が 新 たな 国 家 目 標 と してかかげられるに 至 った これ 以 降 ラオスは ASEAN 諸 国 (ラオスは 1997 年 7 月 加 盟 ) 資 本 主 義 諸 国 国 際 機 関 との 連 携 を 深 め 市 場 原 理 に 基 づく 経 済 体 制 を 支 える 社 会 経 済 政 治 行 政 制 度 の 整 備 を 精 力 的 に 進 めている こうした 動 きを 決 定 づけたのは 1991 年 社 会 主 義 政 権 下 で 初 めて 制 定 された ラオス 人 民 民 主 共 和 国 憲 法 である(2003 年 5 月 改 正 : 別 添 資 料 参 照 ) 確 かに その 第 3 条 に は 多 数 の 民 族 から 構 成 される 人 民 の 主 権 者 たる 権 利 は ラオス 人 民 革 命 党 を 中 核 とする 政 治 体 制 の 機 能 を 通 じて 行 使 され 保 障 される と 規 定 しており 社 会 主 義 政 党 による 一 党 支 配 体 制 は 依 然 として 維 持 されている しかし 国 民 の 基 本 的 人 権 の 保 障 ( 第 2 章 ) 立 法 権 行 政 権 司 法 権 の 分 離 ( 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 8 章 )も 明 確 に 規 定 され そ れぞれの 権 限 や 任 務 についても 明 確 な 定 義 づけが 行 われている また 地 方 行 政 制 度 ( 第 7 章 )も 明 確 に 憲 法 の 中 に 位 置 づけられている もちろん 国 民 議 会 議 員 の 圧 倒 的 多 数 がラオス 人 民 革 命 党 の 党 員 ( 最 近 では 非 党 員 の 数 も 増 えつつある)であり 大 統 領 首 相 副 首 相 外 相 内 相 といった 主 要 ポストは 党 の 政 治 局 員 によって 占 められ その 他 の 大 臣 ポストも 党 中 央 委 員 でなければ 就 任 できな いなど 党 の 優 位 性 は 明 らかである 県 知 事 郡 長 村 長 なども 各 地 方 レベルの 党 委 員 会 の 書 記 長 を 兼 任 している また 党 大 会 で 採 択 された 方 針 や 計 画 が 行 政 機 関 を 通 じて 確 実 に 実 施 されることは 言 うまでもないが 各 省 庁 で 独 自 に 立 案 される 政 策 についても 各 省 庁 の 大 臣 ( 党 の 政 治 局 員 あるいは 中 央 委 員 )と 党 幹 部 との 事 前 調 整 が 必 要 となる しかし 最 近 では 党 との 調 整 を 経 た 法 案 が 国 民 議 会 によって 否 決 あるいは 修 正 を 受 ける 場 合 も 出 ている 地 方 行 政 機 関 は 国 の 出 先 機 関 であり 地 方 行 政 機 関 の 職 員 も 全 て 国 家 公 務 員 である チ ンタナカーン マイ( 新 思 考 政 策 ) が 提 唱 されて 以 降 地 方 行 政 機 関 にある 程 度 の 自 治 権 を 認 めた 時 期 もあったが 中 央 と 地 方 の 交 通 通 信 環 境 が 脆 弱 で 法 制 的 にも 明 確 な 中 央 - 地 方 関 係 が 不 明 確 であったために 憲 法 では 中 央 の 地 方 機 関 に 対 する 厳 格 な 管 理 が 明 記 さ

18 れた( 第 63 条 ) しかし 現 実 には 県 知 事 はかなりの 自 由 裁 量 権 を 行 使 しており 閣 僚 の 中 にも 県 知 事 への 転 出 を 望 むものが 少 なくない ラオスのように 近 代 的 な 国 家 機 構 の 定 着 を 図 る 必 要 のある 国 では むしろ 国 家 への 中 央 集 権 化 が 行 政 改 革 の 柱 の 一 つとなって いる 3.ラオス 人 民 革 命 党 ラオス 人 民 革 命 党 の 起 源 は 1930 年 ベトナムのホーチミンによって 設 立 されたインド シナ 共 産 党 にまで 遡 ることができる 1951 年 2 月 インドシナ 共 産 党 は 第 2 回 党 大 会 を 開 らき ベトナム ラオス カンボジアが それぞれ 独 自 に 革 命 党 を 建 設 する 決 定 を 行 った ラオスでは 1953 年 ラオス 人 民 党 が 結 成 され 後 にラオス 人 民 共 和 国 の 大 統 領 となるカ イソーン ポムヴィハーンを 党 中 央 委 員 会 書 記 長 ( 党 最 高 位 )に 選 出 した 1956 年 には ネオ ラオ イッサラ( 自 由 ラオス 戦 線 )に 代 わる 大 衆 組 織 としてラオス 愛 国 戦 線 (パテ ト ラオ)が 設 立 され この 組 織 が 反 仏 闘 争 をリードした 1972 年 2 月 には 第 2 回 全 国 代 表 者 大 会 がホアパン 県 で 開 催 され 党 名 をラオス 人 民 革 命 党 に 変 更 するとともに 党 最 高 位 である 党 書 記 長 にカイソーン ポムヴィハーンを 選 出 した ラオス 人 民 共 和 国 設 立 後 は 1982 年 1986 年 に 党 大 会 が 開 催 され いずれもカイソーン が 党 最 高 位 の 書 記 長 に 選 出 されている 1991 年 の 第 5 回 全 国 代 表 者 大 会 では 党 中 央 書 記 局 を 廃 止 して 現 在 の 組 織 である 党 中 央 執 行 委 員 会 を 設 置 し この 委 員 長 にカイソーンを 選 出 している 1992 年 2 月 のカイソーン 委 員 長 死 去 に 伴 い 現 在 の 大 統 領 であるカムタイ シーパンドンが 新 たに 委 員 長 に 選 出 された 1996 年 2001 年 の 全 国 代 表 者 大 会 においても カムタイ シーパンドンが 党 中 央 執 行 委 員 会 委 員 長 に 選 出 されている 党 の 最 高 意 思 決 定 機 関 は 党 全 国 代 表 者 大 会 ( 党 大 会 )であるが この 党 大 会 で 党 中 央 政 治 局 員 党 中 央 執 行 委 員 会 委 員 党 中 央 執 行 委 員 会 委 員 長 各 種 委 員 会 の 委 員 長 委 員 を 選 出 する( 各 種 委 員 会 については 組 織 図 を 参 照 ) こうした 組 織 は 基 本 的 には 中 央 レベ ル 県 レベル 郡 レベル 基 層 レベル( 村 )にまで 広 がっている 前 節 で 見 たように ラオスでは 人 民 革 命 党 の 指 導 部 と 国 家 機 関 の 要 職 が 同 一 人 物 によっ て 担 われる 兼 任 体 制 がとられており 党 の 意 向 が 国 家 の 施 策 に 正 確 に 反 映 される 体 制 をと っている たとえば 2003 年 現 在 では 国 民 議 会 議 長 国 民 議 会 常 務 委 員 会 大 統 領 副 大 統 領 首 相 副 首 相 国 防 大 臣 などのポジションが 党 中 央 政 治 局 員 に 占 められており

19 他 の 国 家 機 関 の 長 もその 多 くが 党 中 央 執 行 委 員 会 委 員 である 1996 年 には 9 名 であった 党 中 央 政 治 局 員 は 2001 年 の 党 大 会 で 11 名 に また 中 央 執 行 委 員 会 委 員 も 49 名 から 53 名 に 増 員 されている 4. 国 民 議 会 1991 年 のラオス 人 民 民 主 共 和 国 憲 法 第 39 条 (2003 年 憲 法 第 52 条 )によれば 国 民 議 会 は 立 法 機 関 であるとともに 国 家 の 基 本 的 問 題 について 決 定 を 下 す 権 利 を 有 し 行 政 機 関 及 び 司 法 機 関 の 活 動 を 監 督 する 機 関 とされている 国 民 議 会 は 以 下 のような 権 限 及 び 義 務 を 有 している (1) 憲 法 の 改 正 (2) 法 案 の 審 議 承 認 改 正 廃 止 (3) 租 税 その 他 課 徴 金 の 決 定 廃 止 (4) 国 家 の 計 画 及 び 予 算 の 審 議 承 認 (5) 国 民 議 会 常 務 委 員 会 の 提 案 に 基 づく 大 統 領 副 大 統 領 の 選 出 罷 免 (6) 大 統 領 の 提 案 に 基 づく 首 相 以 下 閣 僚 等 の 任 命 罷 免 (7) 国 民 議 会 常 務 委 員 会 の 提 案 に 基 づく 最 高 人 民 裁 裁 判 所 長 官 人 民 検 事 総 長 の 選 出 罷 免 (8) 首 相 の 提 案 に 基 づく 政 府 各 機 関 県 特 別 市 の 創 設 廃 止 (9) 大 赦 の 決 定 (10) 外 国 との 条 約 協 定 の 批 准 廃 棄 (11) 宣 戦 布 告 及 び 平 和 条 約 の 締 結 (12) 憲 法 及 び 法 律 の 監 視 (13) 法 律 の 定 めるその 他 の 権 限 と 義 務 の 履 行 ラオス 国 民 議 会 は 定 員 109 名 (2005 年 現 在 )の 一 院 制 議 会 で 国 民 議 会 議 員 国 民 議 会 議 長 副 議 長 国 民 議 会 常 務 委 員 会 国 民 議 会 専 門 委 員 会 国 民 議 会 事 務 局 から 構 成 され る 会 議 の 種 類 は 初 会 (わが 国 の 特 別 国 会 に 該 当 ) 常 会 ( 年 2 回 開 催 ) 臨 時 会 及 び 特 別 会 ( 参 議 院 の 緊 急 集 会 に 近 い)に 分 けられる 初 会 は 国 民 議 会 議 員 選 挙 から 60 日 以 内 に 開 かれ 国 民 議 会 議 長 ( 国 民 議 会 常 務 委 員 会 委 員 長 を 兼 ねる) 国 民 議 会 副 議 長 ( 国 民 議 会 常 務 委 員 会 副 委 員 長 を 兼 ねる) 専 門 委 員 会

20 大 統 領 副 大 統 領 首 相 以 下 の 閣 僚 を 選 出 あるいは 承 認 する 常 会 は 年 に 2 回 開 催 され 予 算 案 各 種 法 案 を 審 議 する 臨 時 会 は 緊 急 性 の 高 い 政 策 課 題 を 審 議 するため 国 民 議 会 常 務 委 員 会 大 統 領 首 相 又 は 国 民 議 会 議 員 の 4 分 の 1 の 要 請 があった 場 合 に 召 集 され る 特 別 会 は 戦 争 等 の 緊 急 かつ 国 家 に 重 大 な 影 響 を 与 える 事 態 が 生 じた 場 合 に 開 かれる ( 召 集 の 条 件 は 臨 時 会 に 同 じ) 国 民 議 会 議 員 は 首 相 閣 僚 以 下 政 府 委 員 最 高 人 民 裁 判 所 長 官 及 び 人 民 検 事 総 長 に 質 問 する 権 利 を 有 し 国 民 議 会 開 催 中 の 不 逮 捕 特 権 を 有 している 国 民 議 会 議 員 選 挙 の 選 挙 権 は 18 歳 被 選 挙 権 は 21 歳 であり 男 女 平 等 普 通 選 挙 の 原 則 が 守 られている 選 挙 区 は 県 特 別 市 特 別 区 の 3 つからなり 議 員 定 数 配 分 は 選 挙 区 の 人 口 による 比 例 配 分 を 基 本 としながら 選 挙 区 の 政 治 経 済 社 会 国 防 上 の 重 要 性 を 考 慮 しながら 決 定 されて いる 党 国 の 機 関 大 衆 組 織 は 各 機 関 の 代 表 者 名 簿 を 選 挙 委 員 会 に 提 出 することができ る 選 挙 方 法 は 候 補 者 の 名 簿 の 中 から 選 挙 区 ごとに 定 められた 定 数 分 だけ 候 補 者 名 に 印 をつける 方 法 いわゆる 大 選 挙 区 完 全 連 記 制 がとられている 5. 司 法 検 察 機 関 ラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 裁 判 制 度 は 2 審 制 であり 第 1 審 は 県 人 民 裁 判 所 特 別 市 人 民 裁 判 所 郡 人 民 裁 判 所 軍 事 裁 判 所 から 構 成 され 最 高 人 民 裁 判 所 が 最 終 審 となる 最 高 人 民 裁 判 所 長 官 の 任 期 は 5 年 で 国 会 の 議 決 によって 任 免 される 最 高 人 民 裁 判 所 副 長 官 及 び 下 級 審 の 裁 判 官 は 国 民 議 会 常 任 理 事 会 によって 任 免 される ラオスの 場 合 我 が 国 に 見 られるような 徹 底 した 司 法 機 関 の 独 立 は 存 在 しないが 審 理 判 決 においては 裁 判 官 の 独 立 が 認 められている 現 在 16 の 県 ビエンチャン 市 サイソムブーン 特 別 区 の 18 ヵ 所 に 県 人 民 裁 判 所 及 び 特 別 市 人 民 裁 判 所 が 設 置 されている また 郡 人 民 裁 判 所 は 全 国 300 ヵ 所 に 設 置 され 訴 訟 額 が 50 万 キープに 満 たない 民 事 事 件 最 高 刑 が 2 年 未 満 の 禁 固 刑 である 刑 事 事 件 を 管 轄 している 人 民 裁 判 所 の 機 構 に 対 応 する 形 で 人 民 検 察 庁 が 置 かれ 政 府 機 関 大 衆 組 織 社 会 団 体 企 業 公 務 員 国 民 の 法 令 遵 守 を 監 督 するとともに 公 訴 を 行 うこととなっている 人 民 検 察 庁 は 下 級 の 県 人 民 検 察 庁 特 別 市 人 民 検 察 庁 郡 人 民 検 察 庁 軍 事 人 民 検 察 庁 と 上 級 の 最 高 人 民 検 察 庁 から 構 成 される 最 高 人 民 検 察 庁 の 長 官 である 人 民 検 事 総 長 は 国 民 議 会 常 任 委 員 会 の 推 薦 に 基 づいて 国 民 議 会 が 任 免 し 人 民 検 事 次 長 は 国 民 議 会 常 務 委 員 会

21 が 任 免 する 下 級 の 検 察 庁 の 検 事 副 検 事 は 人 民 検 事 総 長 によって 任 免 されることにな っている ラオスでは わが 国 のような 組 織 化 された 弁 護 士 制 度 は まだ 確 立 していない 弁 護 士 の 資 格 は 大 学 で 法 律 を 5 年 以 専 攻 し 学 位 を 修 得 した 者 各 級 の 裁 判 所 裁 判 官 を 引 退 した もの 検 事 を 引 退 した 者 に 対 して 法 務 省 によって 与 えられている 1989 年 には ラオス 弁 護 士 会 が 誕 生 した 6. 大 統 領 政 府 閣 僚 大 統 領 は ラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 元 首 であり 国 の 内 外 においてラオス 人 民 を 代 表 す る(1991 年 2003 年 憲 法 第 65 条 ) 大 統 領 は 国 民 議 会 出 席 議 員 の 3 分 の 2 以 上 の 得 票 を 得 た 者 が 選 出 され 任 期 は 5 年 大 統 領 は 自 らの 任 務 を 補 佐 するものとして 副 大 統 領 を 置 くことができ 副 大 統 領 は 国 民 議 会 出 席 者 の 2 分 の 1 以 上 の 得 票 によって 選 出 される しかし 実 際 には ラオス 人 民 革 命 党 党 中 央 執 行 委 員 会 委 員 長 (カムタイ シーパンド ン)が 大 統 領 に 党 中 央 政 治 局 員 (チューマリー サイニャソーン: 党 内 序 列 3 位 )が 副 大 統 領 に 就 任 しており 事 実 上 党 がラオスの 政 治 組 織 を 掌 握 している 大 統 領 の 権 限 義 務 には 次 のようなものが 含 まれる (1) 国 民 議 会 が 承 認 した 憲 法 及 び 法 律 を 公 布 する (2) 国 民 議 会 常 任 理 事 会 の 提 案 に 基 づき 大 統 領 布 告 及 び 大 統 領 令 を 発 する (3) 首 相 以 下 閣 僚 を 任 命 又 は 罷 免 し 国 民 議 会 に 提 案 して 審 議 承 認 を 得 る (4) 首 相 の 提 案 に 基 づき 県 知 事 市 長 を 任 命 配 置 転 換 又 は 罷 免 する (5) 首 相 の 提 案 に 基 づき 国 防 治 安 維 持 軍 の 将 官 の 昇 格 又 は 降 格 を 決 定 する (6) 人 民 軍 の 総 司 令 官 を 務 める (7) 必 要 に 応 じ 閣 議 を 主 宰 する (8) 国 家 黄 金 勲 章 功 績 勲 章 勝 利 勲 章 及 び 国 家 最 高 名 誉 称 号 の 授 与 を 決 定 する (9) 恩 赦 を 決 定 する (10) 総 動 員 又 は 一 部 の 動 員 を 決 定 する 全 国 又 は 一 地 方 の 非 常 事 態 を 決 定 する (11) 外 国 との 間 で 署 名 した 条 約 協 定 の 批 准 又 は 廃 棄 を 宣 言 する (12) 外 国 派 遣 のラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 全 権 代 表 を 任 命 又 は 召 還 する ラオス 人 民 民 主 共 和 国 に 派 遣 された 外 国 の 全 権 代 表 を 接 授 する

22 (13) 法 律 の 定 めるその 他 の 権 限 を 行 使 し 義 務 を 履 行 する ラオス 政 府 は ラオスの 政 治 経 済 文 化 社 会 国 防 治 安 及 び 外 交 等 の 分 野 で 国 の 施 策 を 一 元 的 に 管 理 する 行 政 機 関 と 位 置 づけられている(1991 年 憲 法 56 条 2003 年 憲 法 第 69 条 ) ラオス 政 府 は 首 相 副 首 相 各 省 大 臣 各 省 と 同 格 の 国 家 機 関 の 長 によっ て 構 成 され 任 期 は 大 統 領 と 同 じく 5 年 である(1991 年 憲 法 第 58 条 2003 年 憲 法 第 71 条 ) ラオス 政 府 の 権 限 及 び 義 務 には 以 下 のようなものが 含 まれる (1) 憲 法 法 律 国 民 議 会 決 議 並 びに 大 統 領 布 告 及 び 大 統 領 令 を 実 施 する (2) 国 民 議 会 に 法 案 を 提 出 し 大 統 領 に 大 統 領 布 告 案 及 び 大 統 領 令 案 を 提 出 する (3) 社 会 経 済 開 発 にかかる 国 家 政 策 上 重 要 な 計 画 及 び 国 家 予 算 年 次 計 画 を 策 定 し 国 民 議 会 に 提 案 して 審 議 承 認 を 得 る (4) 社 会 経 済 運 営 科 学 技 術 国 防 治 安 及 び 外 交 に 関 する 政 令 及 び 決 定 を 発 する (5) 下 部 行 政 機 関 及 び 地 方 行 政 機 関 の 活 動 を 組 織 指 導 及 び 監 督 する (6) 国 防 治 安 維 持 軍 の 活 動 を 組 織 監 督 する (7) 外 国 との 間 で 条 約 及 び 協 定 に 署 名 し 署 名 された 条 約 及 び 協 定 の 実 施 を 指 導 する (8) 省 庁 省 庁 と 同 格 の 機 関 政 府 付 属 機 関 及 び 地 方 行 政 機 関 の 法 律 に 反 する 規 則 及 び 命 令 の 実 施 を 停 止 又 はこれを 廃 棄 する (9) 法 律 の 定 めるその 他 の 権 限 を 行 使 し 義 務 を 履 行 する 現 在 ラオス 政 府 には 国 防 省 外 務 省 財 務 省 公 安 省 情 報 文 化 省 教 育 省 労 働 社 会 福 祉 省 商 業 省 工 業 手 工 業 省 通 信 運 輸 郵 政 建 設 省 保 健 省 法 務 省 農 林 省 の 13 の 省 庁 と 省 庁 と 同 格 とされる 3 つの 機 関 ( 首 相 府 計 画 投 資 委 員 会 ラオス 中 央 銀 行 )が 設 置 されている( 政 府 閣 僚 については 表 を 参 照 ) 首 相 は ラオス 政 府 の 首 長 であり 国 民 議 会 の 承 認 を 経 て 大 統 領 が 任 命 する 首 相 は 政 府 を 代 表 して 各 省 庁 省 庁 と 同 格 の 国 家 機 関 その 他 政 府 付 属 機 関 県 知 事 等 の 業 務 を 指 揮 監 督 し 各 省 の 副 大 臣 省 庁 と 同 格 の 機 関 副 長 副 知 事 副 市 長 郡 長 などを 任 命 異 動 解 任 する 権 限 を 有 している また 首 相 は 閣 僚 会 議 を 月 1 回 召 集 し 閣 僚 会 議 の 議 長 を 務 める 閣 僚 会 議 の 開 催 には 閣 僚 の 3 分 の 2 以 上 の 出 席 を 必 要 とし 議 決 は 出 席 閣 僚 の 過 半 数 をもって 行 われる 但 し 緊 急 の 場 合 には 首 相 又 は 閣 僚 の 3 分 の1の 要 請 によって 臨 時 閣 僚 会 議 が 開 催 されるこ とがある こうした 閣 僚 会 議 では 1 社 会 経 済 開 発 戦 略 計 画 2 年 次 予 算 補 正 予 算

23 法 律 案 大 統 領 令 案 大 統 領 布 告 案 首 相 令 案 4 省 庁 省 庁 と 同 格 の 国 家 機 関 の 新 設 廃 止 改 編 5 県 特 別 市 特 別 区 等 の 新 設 廃 止 改 編 及 び 区 画 の 変 更 他 の 議 題 が 討 議 される 図 表 2-1 政 府 閣 僚 名 簿 (2004 年 12 月 時 点 ) 役 職 氏 名 党 職 首 相 Bounnyuang Vorachith 政 治 局 員 副 首 相 Asang Laoly 政 治 局 員 副 首 相 兼 計 画 投 資 委 員 会 長 Thongloun Sisoulith 副 首 相 Bouasone Bouphavanh 政 治 局 員 副 首 相 兼 外 務 大 臣 Somsavat Lengsavad 国 防 大 臣 Dounangchay Phichit 政 治 局 員 教 育 大 臣 Phimmasone Leuangkhamma 情 報 文 化 大 臣 Phandouangchit Vongsa 公 安 大 臣 Soutchay Thammasith 労 働 社 会 福 祉 大 臣 Somphanh Phengkhammy 商 業 大 臣 Soulivong Daravong 工 業 手 工 業 大 臣 Onneua Phommachanh 通 信 運 輸 郵 便 建 設 大 臣 Bouathong Vonglokham 財 務 大 臣 Chansy Phosikham 保 健 大 臣 Ponemek Dalaroy 法 務 大 臣 Kham Ouane Boupha 農 林 大 臣 Siane Saphangthong ラオス 中 央 銀 行 総 裁 Phoumi Thipphavone ( 出 典 )アジア 経 済 研 究 所 アジア 動 向 年 報 2005 国 民 議 会 常 務 委 員 会 又 は 国 民 議 会 議 員 の 4 分 の 1 以 上 の 申 し 立 てにより 政 府 又 は 政 府 閣 僚 に 対 する 不 信 任 決 議 案 を 提 出 することができ 国 民 議 会 の 過 半 数 によって 不 信 任 決 議 案 を 可 決 することができる 不 信 任 決 議 案 が 可 決 された 場 合 大 統 領 は 国 民 議 会 に 再 審 議 を 求 めることができる 再 審 議 によっても 信 任 が 得 られない 場 合 には 政 府 は 総 辞 職 しな ければならないことになっている

24 図 表 2-2 ラオス 政 治 の 権 力 関 係 政 府 組 織 党 組 織 国 民 議 会 大 統 領 ( 国 家 主 席 ) 党 中 央 執 行 委 員 会 首 相 党 主 席 最 高 人 民 裁 判 所 最 高 人 民 検 察 庁 省 及 び 同 等 機 関 首 相 府 党 中 央 事 務 局 党 中 央 付 属 機 関 党 大 衆 組 織 県 知 事 県 党 執 行 委 員 会 県 人 民 裁 判 所 県 人 民 検 察 庁 省 の 県 支 部 局 県 事 務 局 県 党 付 属 機 関 県 党 大 衆 組 織 郡 長 郡 党 執 行 委 員 会 郡 人 民 裁 判 所 郡 人 民 検 察 庁 省 の 郡 支 部 局 郡 事 務 局 郡 党 付 属 機 関 郡 大 衆 組 織 村 長 基 礎 党 委 員 会 人 民 ( 出 典 )UNDP and SDC. (1997). Organization of the Government of Lao PDR より 作 成

25 第 3 章 ラオスの 行 政 機 構 組 織 1. 大 統 領 ( 国 家 主 席 ) 大 統 領 は ラオスの 国 家 元 首 であり 多 民 族 で 構 成 される 内 外 のラオス 国 民 の 代 表 であ るとされる その 選 出 は 国 民 議 会 の 出 席 議 員 の 3 分 の 2 以 上 の 賛 成 により 選 出 され 任 期 は 国 民 議 会 議 員 と 同 様 の 5 年 となっている 現 在 の 大 統 領 はカムタイ シーパンドーン 氏 で ラオス 人 民 革 命 党 の 議 長 でもある(2006 年 3 月 22 日 の 日 経 新 聞 朝 刊 によれば 21 日 ラオス 人 民 革 命 党 はカムタイ 議 長 が 引 退 したと 発 表 し 4 月 23 日 に 開 催 される 国 民 議 会 選 挙 を 機 に 大 統 領 から 退 く 見 通 しであると 報 道 している) 1991 年 憲 法 では 大 統 領 の 権 限 は 第 53 条 に 規 定 (P.18 参 照 )されている 2003 年 の 憲 法 改 正 では 大 統 領 令 を 公 布 すること 最 高 人 民 裁 判 所 長 官 の 推 薦 に 基 づき 副 長 官 を 任 命 又 は 罷 免 し 人 民 検 事 総 長 の 推 薦 に 基 づき 人 民 検 事 次 長 を 任 命 又 は 罷 免 する の 2 項 目 が 追 加 された いずれも 1991 年 憲 法 では 大 統 領 の 権 限 とはされておらず 最 高 人 民 裁 判 所 副 長 官 人 民 検 事 次 長 の 任 命 権 罷 免 権 は 国 民 議 会 の 常 務 委 員 会 の 権 限 とさ れていた 今 回 の 憲 法 改 正 により 大 統 領 の 権 限 が 強 化 されることになったことは 注 目 さ れる 大 統 領 府 は ビエンチャンの 目 抜 き 通 りの 突 き 当 たりに 位 置 し アメリカのホワイトハ ウスを 思 わせる 造 りの 建 物 となっている 大 統 領 府 内 には 大 統 領 執 務 室 組 織 行 政 応 接 部 研 究 部 儀 典 部 の 4 つの 部 が 存 在 する 2. 政 府 (Government) ラオス 憲 法 では 政 府 は 国 家 の 執 行 機 関 (Executive Branch)であり 首 相 副 首 相 閣 僚 および 省 庁 と 同 格 の 委 員 会 の 委 員 長 より 構 成 されると 定 めている 各 長 の 任 期 は 国 民 議 会 と 同 じ 5 年 となっている 1991 年 憲 法 では 政 府 の 権 限 及 び 義 務 は 第 57 条 に 規 定 (P.19 参 照 )している 2003 年 の 憲 法 改 正 では 政 府 の 業 績 を 国 民 議 会 閉 会 中 の 場 合 には 国 民 議 会 常 任 委 員 会 又 は 大 統 領 に 報 告 する 義 務 が 追 加 された

26 (1) 首 相 内 閣 首 相 は 政 府 の 長 であり 国 民 議 会 の 承 認 を 得 て 大 統 領 によって 任 命 される その 権 限 は 政 府 の 任 務 を 指 導 統 制 し 政 府 を 代 表 して 省 庁 省 庁 と 同 格 の 機 関 その 他 政 府 付 属 機 関 の 任 務 を 指 導 し 県 知 事 及 び 市 長 の 任 務 を 指 導 することである 首 相 は 副 大 臣 省 庁 と 同 格 の 委 員 会 の 副 委 員 長 副 知 事 副 市 長 及 び 郡 長 を 任 命 する 権 限 をもち 副 首 相 は 首 相 の 職 務 を 補 佐 する 現 在 の 首 相 はブンニャン ヴォーラチット 氏 で 党 政 治 局 員 である 2003 年 の 憲 法 第 74 条 では 内 閣 に 対 する 不 信 任 決 議 について 国 民 議 会 常 任 委 員 会 又 は 全 国 民 議 会 議 員 の 4 分 の 1 による 提 案 がなされたとき 国 民 議 会 は 政 府 に 対 する 不 信 任 決 議 案 または 首 相 以 下 閣 僚 等 に 対 する 不 信 任 決 議 案 を 可 決 することができる と 定 めてい る この 不 信 任 決 議 に 対 して 大 統 領 は 24 時 間 以 内 に 決 議 案 を 国 民 議 会 に 差 し 戻 し 再 審 議 を 求 める 権 利 を 有 する 再 審 議 は 最 初 の 決 議 より 48 時 間 以 内 に 行 わなければならず 国 民 議 会 で 再 決 議 された 場 合 政 府 又 は 不 信 任 された 閣 僚 は 辞 職 しなければならない ラオスの 政 治 過 程 の 複 雑 さについてしばしば 指 摘 されてきたのは ラオス 人 民 革 命 党 の 序 列 と 政 府 閣 僚 の 序 列 が 一 致 しないことであった 党 の 実 質 的 な 最 高 機 関 は 9~11 名 ( 時 期 によって 前 後 )によって 構 成 される 政 治 局 員 であり 序 列 1 位 の 党 議 長 は 大 統 領 序 列 2 位 が 国 民 議 会 議 長 を 務 めているが 序 列 3 位 4 位 の 者 が 必 ずしも 首 相 になるわけでは ない そのため 時 には 政 府 各 部 門 の 長 たる 大 臣 の 指 示 が 党 内 序 列 では 上 に 位 置 する 地 方 の 県 知 事 に 徹 底 されない 場 合 があった こういった 知 事 はラオス 国 内 では Super CEO と 称 される 2003 年 憲 法 によって 大 統 領 の 権 限 が 強 化 されてからは 副 大 統 領 が 党 内 序 列 3 位 首 都 のビエンチャン 特 別 市 の 市 長 が 序 列 4 位 現 在 の 首 相 のブンニャン ヴォーラチ ット 氏 は 序 列 5 位 となっている (2) 中 央 省 庁 機 関 ラオスには 現 在 首 相 府 以 下 14 の 省 庁 と 計 画 投 資 委 員 会 とラオス 中 央 銀 行 の 2 つ の 省 庁 と 同 格 の 機 関 が 存 在 する 現 在 の 省 庁 機 構 図 は 図 表 3-1 のとおりであり 各 省 庁 の 設 置 は 法 律 ではなく 首 相 令 に 基 づいている 1995 年 に 政 府 一 般 の 権 限 や 作 用 を 規 定 した 政 府 法 (Law on Government)が 成 立 しているが 2003 年 5 月 に 改 正 が 行 われ 中 央 政 府 と 県 知 事 との 調 整 会 議 の 法 定 化 緊 急 閣 議 の 法 定 化 内 閣 官 房 機 能 の 強 化 が 行 われてい る この 間 いくつかの 省 庁 が 再 編 され 現 在 の 商 業 省 は 以 前 は 商 業 観 光 省 (Ministry of

27 Commerce and Tourism)であったが 観 光 行 政 がラオス 観 光 局 (Lao National Tourism Authority)として 首 相 府 内 の 準 省 庁 へ 分 離 している 公 安 省 は 以 前 は 内 務 省 (Ministry of Interior)と 呼 ばれていたが 名 称 が 変 更 になっている( 実 質 的 な 変 化 については 不 明 ) 近 年 の 行 政 再 編 の 特 徴 は 2 つあり 首 相 府 内 の 準 省 庁 レベル 機 関 の 強 化 と 省 庁 間 の 重 複 の 是 正 である 首 相 府 内 には 確 認 できるだけで 国 家 会 計 検 査 院 (SAO:State Audit Organization) 国 家 査 察 庁 (SIA:State Inspection Agency) 科 学 技 術 環 境 庁 (STEA: Science, Technology and Environment Agency ) 行 政 公 務 員 府 (PACSA : Public Administration and Civil Service Authority) 業 務 向 上 室 (Business Promotion Office) が 直 轄 組 織 として 置 かれており( 国 家 会 計 検 査 院 長 は 大 臣 同 等 レベル) 政 府 が 重 視 する 環 境 保 護 科 学 技 術 行 政 管 理 の 改 善 によるガバナンス 向 上 などの 取 り 組 み 体 制 が 強 化 され ている 省 庁 間 の 任 務 重 複 は 例 えば 国 家 会 計 検 査 院 と 国 家 査 察 庁 の 機 能 については 財 務 省 内 にも 査 察 局 (Department of Inspection)が 存 在 し IT の 促 進 については 科 学 技 術 環 境 庁 のほかに 情 報 文 化 省 と 通 信 運 輸 郵 便 建 設 省 の 郵 便 通 信 局 (Posts and Telecommunication Department)があり それぞれがばらばらに 国 内 のインターネット 業 者 に 対 して 業 務 許 可 を 出 しているということがある このような 省 庁 間 の 任 務 の 重 複 が 顕 著 になった 場 合 の 是 正 措 置 として それが 政 府 の 重 点 分 野 の 場 合 は 首 相 府 内 の 機 関 の 権 限 を 強 化 させる 方 法 と 大 臣 ( 政 治 )レベルで 調 整 を 行 う 方 法 がある

28 図 表 3-1 省 庁 機 構 図 国 家 主 席 ( 大 統 領 ) 政 府 首 相 副 首 相 国 防 省 (Ministry of National Defence) 公 安 省 (Ministry of Public Security) 計 画 投 資 委 員 会 (Committee of Planning and Investment) 労 働 社 会 福 祉 省 (Ministry of Labour and Social Welfare) 首 相 府 (Prime Minister Office) 外 務 省 (Ministry of Foreign Affairs) 商 業 省 (Ministry of Commerce) 財 務 省 (Ministry of Finance) 工 業 手 工 業 省 (Ministry of Industry and Handicraft) 農 林 省 (Ministry of Agriculture and Forestry) 法 務 省 (Ministry of Justice) 情 報 文 化 省 (Ministry of Information and Culture) 教 育 省 (Ministry of Education) 通 信 運 輸 郵 便 建 設 省 (Ministry of Communication, Transportation, Posts and Construction 保 健 省 (Ministry of Public Health) ラオス 中 央 銀 行 (State Bank of Lao) ( 出 典 )アジア 経 済 研 究 所 アジア 経 済 動 向 年 報 2005 財 団 法 人 自 治 体 国 際 化 協 会 CLAIR REPORT ラオスの 行 政 制 度 (196) ( 2000 年 3 月 ) UNDP and SDC. (1997). Organization of the Government of Lao PDR より 作 成 ( 注 ) 国 防 省 を 除 く

29 (3) 地 方 行 政 組 織 (a) 地 方 行 政 制 度 の 変 遷 ラオスには 現 在 地 方 自 治 体 は 存 在 せず 国 家 公 務 員 の 身 分 を 有 する 県 知 事 や 郡 長 職 員 によって 地 方 行 政 が 実 施 されている 1975 年 の 人 民 民 主 共 和 国 成 立 以 前 は 前 近 代 的 な 自 治 が 行 われていたが 中 央 計 画 経 済 体 制 の 確 立 により 中 央 集 権 化 が 行 われ 中 央 政 府 の 下 部 機 構 としての 地 方 行 政 の 位 置 づけが 明 確 化 された 1986 年 の 新 経 済 メカニズム (NEM:New Economic Mechanism)の 導 入 により 地 方 に 財 政 管 理 に 関 する 大 幅 な 権 限 を 与 え 地 方 分 権 が 実 施 されたが かえって 経 済 開 発 の 不 均 衡 を 招 いてしまった 南 部 の 裕 福 な 県 は 独 自 に 税 収 を 確 保 し 地 方 からの 納 付 金 が 減 少 して 国 家 歳 入 が 大 幅 に 減 少 した うえ 各 県 の 公 務 員 と 行 政 組 織 が 肥 大 し 地 方 放 任 状 態 を 招 いた そのため 1991 年 憲 法 では 地 方 行 政 レベルでの 選 挙 を 廃 止 することにより 行 過 ぎた 地 方 分 権 を 再 集 権 化 し 地 方 分 権 と 中 央 集 権 の 均 衡 を 図 ろうとしている その 後 1994 年 より UNDP( 国 連 開 発 計 画 )が 主 導 するガバナンス 行 政 改 革 (GPAR:Governance and Public Administration Reform)により 再 び 地 方 分 権 化 が 進 められている 1991 年 憲 法 では 地 方 行 政 は 県 (Province)と 県 相 当 の 特 別 市 (Municipality) 郡 (District) 及 び 村 (Village)からなり 三 層 制 となっていた 県 には 県 知 事 特 別 市 には 市 長 郡 には 郡 長 村 には 村 長 が 置 かれていた 2003 年 の 憲 法 改 正 では 三 層 制 が 維 持 されたが 以 下 のように 分 類 が 変 更 されたうえ 自 治 体 ( 準 郡 ) 長 の 権 限 が 郡 長 以 下 村 長 以 上 のポ ストとして 規 定 された 地 方 行 政 の 構 造 は 三 層 制 を 維 持 しつつも 自 治 体 ( 準 郡 ) 長 の 権 限 を 明 確 化 することにより 地 方 分 権 を 進 める 意 図 があると 思 われる なお 県 知 事 から 準 郡 長 までは 政 府 による 指 名 選 出 であり 村 長 は 選 挙 によって 選 出 される ただし 村 長 は 公 務 員 の 資 格 は 有 していない 図 表 3-2 憲 法 における 地 方 行 政 の 位 置 づけの 変 化 1991 年 憲 法 2003 年 憲 法 県 (Province) 特 別 市 (Municipality) 県 (Province) 特 別 市 (City) 郡 (District) 村 (Village) 郡 (District) 自 治 体 ( 準 郡 )(Municipality) 村 (Village)

30 2003 年 の 憲 法 改 正 に 応 じて 地 方 行 政 法 (Law on Local Administration)が 同 年 10 月 に 国 民 議 会 で 成 立 し 比 較 的 人 口 規 模 が 大 きい 地 域 では 市 町 村 が 都 市 インフラを 提 供 する ことが 可 能 となった(ただし 施 行 のための 首 相 令 は まだ 公 布 されていない) また 県 レベルと 郡 レベルの 業 務 の 重 複 解 消 のため ルアンパバーン 県 で 試 行 的 に 制 度 改 革 が 実 施 される 予 定 となっている (b) 中 央 地 方 関 係 地 方 の 行 政 機 関 と 中 央 省 庁 との 関 係 は 各 省 庁 の 支 部 機 関 が 各 県 にそれぞれ 存 在 し 県 や 郡 事 務 所 は 各 省 庁 機 関 の 支 部 機 関 の 集 合 体 という 位 置 づけである 県 庁 独 自 の 組 織 が 本 庁 郡 事 務 所 に 同 居 する 形 で 存 在 しているが 規 模 は 小 さい 例 えば 省 庁 同 等 レベルの 計 画 投 資 委 員 会 は 各 県 に 県 計 画 投 資 部 (PPID:Provincial Planning and Investment Department) 各 郡 に 4~5 名 から 構 成 される 県 計 画 投 資 事 務 所 (PPIO:Provincial Planning and Investment Office)が 設 置 されている 県 計 画 投 資 部 が 県 下 の 事 務 所 の 調 整 機 能 を 有 するが 人 事 権 は 計 画 投 資 委 員 会 が 持 っている 図 表 3-3 中 央 地 方 関 係 概 念 図 首 相 財 務 省 労 働 社 会 福 祉 省 農 林 省 保 健 省 教 育 省 県 レベル 知 事 内 閣 による 調 整 県 財 務 部 県 労 働 社 会 福 祉 部 県 農 林 部 県 保 健 部 県 教 育 部 郡 レベル 郡 財 務 事 務 所 郡 労 働 社 会 事 務 所 郡 農 林 事 務 所 郡 長 内 閣 による 調 整 郡 保 健 事 務 所 郡 教 育 事 務 所 村 レベル 村 長 による 調 整 健 康 センター 学 校

31 ( 出 典 )UNDP and SDC. (1997). Organization of the Government of Lao PDR より 作 成 (c) 地 方 行 政 区 分 2004 年 時 点 でラオスには 16 の 県 1 つの 特 別 市 (ビエンチャン 特 別 市 ) 1 つの 特 別 区 の 計 18 の 県 レベルの 地 方 行 政 組 織 があり 各 県 内 には 合 計 141 の 郡 10,574 の 村 が 存 在 する 以 下 がラオスの 県 特 別 市 の 区 分 であるが 18 のサイソンブーン 特 別 区 については 数 年 以 内 に 二 分 割 し それぞれ 隣 接 する 県 が 吸 収 する 予 定 となっている 図 表 3-4 ラオスの 県 区 分 1ビエンチャン 特 別 市 2ポンサリー 県 ( 県 庁 所 在 地 :ポンサリー) 3ルアンナムター 県 (ルタンナムター) 4ウドムサイ 県 (サイ) 5ボケオ 県 (フアイサーイ) 6ルアンパバ ーン 県 (ルアンパバーン) 7フアパン 県 (サムヌア) 8サイニャブリー 県 (サイニャブ リー) 9シェンクアン 県 (ペーク) 10ビエンチャン 県 (ビエンカム) 11ボリカムサイ 県 (パクサン) 12カムアン 県 (タケーク) 13サワンナケート 県 (カンタブリー) 14サラワ ン 県 (サラワン) 15セコーン 県 (ラマーム) 16チャンパーサック 県 (パクセー) 17アッ タプー 県 (サマッキーサイ) 18サイソンブーン 特 別 区 (サイソンブーン) ( 出 典 )National Statistics Center. (2004). Basic Statistics

32 各 県 内 の 郡 及 び 村 の 数 は 以 下 のとおりである 郡 数 は 20 年 間 で 約 20% 増 加 し 村 数 は 同 期 間 で 約 10% 減 少 している 図 表 3-5 郡 数 の 変 遷 (1985~2004 年 ) ビエンチャン 特 別 市 ポンサリー 県 ルアンナムター 県 ウドムサイ 県 ボケオ 県 ルアンパバーン 県 フアパン 県 サイニャブリー 県 シェンクアン 県 ビエンチャン 県 ボリカムサイ 県 カムアン 県 サワンナケート 県 サラワン 県 セコーン 県 チャンパーサック 県 アッタプー 県 サイソンブーン 特 別 区 合 計 図 表 3-6 村 数 の 変 遷 (1985~2004 年 ) ビエンチャン ポンサリー ルアンナムター ウドムサイ 883 1, ボケオ ルアンパバーン 1,205 1,228 1,222 1,176 1, フアパン サイニャブリー シェンクアン ビエンチャン ボリカムサイ カムアン サワンナケート 1,522 1,606 1,560 1,543 1,545 1,543 1,543 1,542 1,546 14サラワン セコーン チャンパーサック アッタプー サイソンブーン 合 計 11,512 11,779 11,640 11,386 11,373 10,873 10,868 10,752 10,

33 ( 出 典 )National Statistics Center. (July, 2005). Basic Statistics 国 有 企 業 (SOE:State Owned Enterprises) ラオスでは 1975 年 に 社 会 主 義 体 制 に 移 行 した 際 に 当 時 の 民 間 企 業 のほとんどを 国 有 化 した 経 緯 があり 国 内 には 国 有 企 業 (SOE)が 数 多 く 存 在 していた その 数 は 資 料 により 幅 があるが IMF(2002 年 )によると 1989 年 頃 までは 約 640 の 国 有 企 業 が 存 在 し 非 農 業 就 労 人 口 の 10%にあたる 16,000 人 を 雇 用 していたとされる 1986 年 から 始 まった 新 経 済 メカニズム(NEM)により 本 格 的 に 国 有 企 業 (SOE) 改 革 が 始 まり 初 期 には 独 立 採 算 制 へ 移 行 が 行 われた その 後 本 格 的 な 民 営 化 や 合 併 合 弁 が 実 施 され 2005 年 段 階 では 147 社 にまで 数 が 減 ってきている 現 在 では SOE の 従 業 員 は 全 雇 用 者 の 1% 工 業 生 産 の 15%を 占 めるに 過 ぎなくなっている 次 表 は 財 務 省 国 有 財 産 管 理 局 (Department of State Assets Management)から 入 手 し た 現 在 の 国 有 企 業 (SOE)の 一 覧 であり 中 央 省 庁 所 管 と 県 所 管 に 分 かれる( 同 じ 企 業 名 が 複 数 出 ているが これは 同 様 の 企 業 を 異 なる 省 庁 県 が 有 しているためと 思 われる) 国 有 企 業 (SOE) 改 革 以 前 の 業 種 は 全 体 の 4 分 の 3 が 製 造 業 残 りが 建 設 電 気 鉱 業 が 占 めていたが 現 在 の 業 種 は 建 設 通 信 貿 易 銀 行 観 光 食 品 製 造 と 多 岐 に 渡 る 外 資 系 企 業 の 出 資 を 受 けている 国 有 企 業 (SOE) 以 外 のほとんどは 国 の 100% 出 資 であり 年 度 は 政 府 の 歳 入 のうち 国 有 企 業 (SOE)からの 配 当 が 約 865 億 キープ( 約 865 万 米 ドル)となっている

34 図 表 3-7 国 有 企 業 一 覧 (2005 年 ) 整 理 番 号 企 業 名 政 府 出 資 比 率 中 央 省 庁 所 管 国 有 企 業 (SOE) 1 Lao State Fuel Company 100% 2 Electricite Du Laos 100% 3 Capital Water Supply State Enterprise 100% 4 Enterprise des Postes Lao 100% 5 Lao Airlines Co ltd 100% 6 Enterprise of Telecommunications Lao 100% 7 Agriculture Industry Development Import-Export 100% 8 Lao Brewery Co., Ltd. 50% 9 Lao Soft Drink Co., Ltd 30% 10 Lao Insurance Co ltd 49% 11 Lao Telecommunication Enterprise 51% 12 Lao Tobacco Co ltd 47% 13 Lao-Asia Telecom State Enterprise 100% 14 Bank for Foreign Trade of Lao 100% 15 Lao Development Bank 100% 16 PHOUDOI DEVELOPMENT GROUP 100% 17 Agricultural Promotion Bank 100% 18 DAFI State Enterprise 100% 19 Societe Lao Import-Export 100% 20 Vientiane Capital Trading State Co., 100% 21 Lao State Materials Company 100% 22 LanXang Development and Service Im-Ex 100% 23 Lao International Trading and Service 100% 24 Education Printing Enterprise 100% 25 Education Equipment Production Factory 100% 26 Agricultural and Irrigation Enterprise 100% 27 Lao Concrete Co ltd 100% 28 Lao Cotton ltd 100% 29 Barite Mining State Enterprise 100% 30 State Printing Enterprise 100% 31 Pharmaceutical Factory N.2 100% 32 Pharmacy Factory N.3 Enterprise 100% 33 Lao Lottery Enterprise 100% 34 Noum Lao Printing House 100% 35 State Employment Enterprise 100% 36 Lao Transport Engineering Consult 100% 37 Road No.8 Construction Enterprise 100% 38 Survey Design and Material Testing 100% 39 River Transportation Enterprise 100% 40 Communication Construction 100% 41 River Work Survey Design and Construction 100% 42 South Road-Bridge No13 Co Ltd 100% 43 Diplomatic Services Bureau 100% 44 Vientiane Petroleum State Enterprise 100% 45 Lao Air State Company 100% 46 Lao-Singapore Construction Co., Ltd. 40% 47 Lao Diethelm Tourism Co ltd 25% 48 Inter-Lao Tourism 49% 49 BO-BAIKAL 50% 50 Lao Tourism Company 100%

35 整 理 番 号 企 業 名 政 府 出 資 比 率 各 県 所 管 国 有 企 業 (SOE) 51 State Bus Company 100% 52 Nakhonelouang Printing 100% 53 Vientiane Municipality Road and Bridge C.S.E 100% 54 State Food Stuff Enterprise 100% 55 Lane Xang Labour State Company 100% 56 Saysomboun Development Tourism 100% 57 Gravel Company 100% 58 SayKong Tourism 100% 59 State Security Services Enterprise 100% 60 Northern Transportation 20% 61 Thongpong Central Technical Service 20% 62 Weighting Service Enterprise 10% 63 Lane Xang Hotel Enterprise 30% 64 Khounta Timber Processing COLTD 40% 65 Mekong Commerce Building Co.LTD 30% 66 Lao-Viet Construction 50% 67 Vientiane Pharmaceutical Import-Export Co.LTD 40% 68 Lao Water Supply Enterprise 100% 69 Houapanh Trade Import-Export Company 100% 70 Huaphan Water Supply 100% 71 Foods Import-Export Trade Enterprise 100% 72 Import-Export Trade Enterprise 100% 73 Road-Bridge Provincial Enterprise 100% 74 Boten Salt Processing Factory Enterprise 100% 75 Import-Export Trade Enterprise 100% 76 Foods Enterprise 100% 77 Lao Water Supply Enterprise 100% 78 Provincial Road-Bridge Enterprise 100% 79 Provincial Irrigation Enterprise 100% 80 Sayaboury Guest House Enterprise 100% 81 Essence Factory Enterprise 100% 82 Say Nam Houng Tourism Company 100% 83 Bokeo Water Supply Enterprise 100% 84 Provincial Irrigation Enterprise 100% 85 Road-Bridge Construction Enterprise 100% 86 Provincial Trade Enterprise 100% 87 North Mixed Enterprise 51% 88 Oudomxay Water Supply Enterprise 100% 89 Irrigation Rehabilitation and Construction Company 100% 90 Road-Bridge Company 100% 91 Provincial Printing 100% 92 Luangprabang Water Supply Company 100% 93 Luangprabang Maintenance Road-Bridge N.1 100% 94 S.A.R.L Souvannaphoum 0% 95 Luang Prabang Travel 100% 96 Phousy Hotel 30% 97 Irrigation Construction Company 100% 98 Pansea Phouvao Hotel 0% 99 Cereal and Food Company 100% 100 Rural Development Road-Bridge Construction 100%

36 整 理 番 号 企 業 名 政 府 出 資 比 率 各 県 所 管 国 有 企 業 (SOE) 101 Xiengkeo Luangprabang Hotel 0% 102 Phouphieng Development Enterprise 100% 103 Development Trade Enterprise 100% 104 Lao Water Supply Enterprise 100% 105 Vientiane Province Road-Bridge Company 100% 106 Road-Bridge No.10 Company 100% 107 Rural Road-Bridge Company 100% 108 Irrigation Design, Survey Company 100% 109 Irrigation Rehabilitation and Construction Company 100% 110 Vientiane Water Supply Company 100% 111 Vientiane Foods Enterprise 100% 112 Special Zone Development Enterprise 100% 113 Phoubia Import-Export Trade Enterprise 100% 114 Provincial Foods Enterprise 100% 115 Rural Development Enterprise 100% 116 Irrigation Enterprise 100% 117 Bolikhamxay Road-Bridge and Irrigation Construction 100% 118 Bolikhamxay Water Supply Enterprise 100% 119 Provincial Trade Enterprise 100% 120 Khammuane Water Supply 100% 121 Khammouane Design and Construction 100% 122 Thakhek Chalk Factory 100% 123 Communication Rehabilitation and Construction 100% 124 Import-Export Production Promotion Enterprise 100% 125 Provincial Road-Bridge Enterprise 100% 126 Printing Enterprise 100% 127 Lao-Korean Tin Co, Ltd 73% 128 Provincial Printing Enterprise 100% 129 Provincial Foods Enterprise 100% 130 Lao Water Supply Enterprise 100% 131 Gypsum Mining Enterprise 100% 132 Wood Processing Division 100% 133 Savannakhet Irrigation Construction State Enterprise 100% 134 Provincial Foods Enterprise 100% 135 Provincial Irrigation Rehabilitation and Construction 100% 136 Bridge No 1 Company 100% 137 Champasack Road Rehabilitation and Construction 100% 138 Champasack Distr. Agricultural Machinery 100% 139 Completed Systemic Road-Bridge Construction Co. 100% 140 Champasack Water Supply Company 100% 141 Champasack natural Fertilizer Factory 100% 142 CBF Pharmacy Factory 100% 143 Saravane Water Supply 100% 144 Road-Bridge Construction Enterprise 100% 145 State Trade Enterprise 100% 146 Water Supply Enterprise 100% 147 Import-Export Trade Enterprise 100% 148 Attapue Water Supply Enterprise 100% 149 Irrigation, Design, Survey Enterprise 100%

37 第 4 章 ラオスの 公 務 員 制 度 と 人 事 管 理 1. 公 務 員 制 度 (1) 公 務 員 制 度 の 歴 史 概 観 ラオスの 歴 史 は ラーンサーン 王 国 が 設 立 された 1353 年 にまで 遡 ることができるが 1893 年 にフランスの 植 民 地 となるまでは 近 代 的 な 公 務 員 制 度 は 存 在 しなかった 現 在 の 公 務 員 にあたる 人 々が 行 う 業 務 もごく 限 られたものであり 王 国 を 維 持 するための 税 の 徴 収 が 最 大 の 仕 事 であった 王 国 内 には 第 2 の 国 王 と 呼 ばれる 側 近 が 常 駐 し 王 国 内 政 治 への 助 言 や 国 王 の 指 示 を 伝 える 役 割 を 果 たしていた 国 王 ファミリーから 選 ばれた 複 数 の 王 子 が 内 閣 を 構 成 し 現 在 の 執 政 部 門 にあたる 仕 事 を 担 当 していた その 下 に 古 代 高 級 官 僚 (mandarin)が 位 置 し 裁 判 会 計 税 徴 収 の 業 務 を 担 っていた 1893 年 から 1954 年 までのフランス 植 民 地 時 代 植 民 地 統 治 は 多 くのベトナム 人 によっ て 担 われた この 時 代 ラオス 国 内 に 約 2%しか 居 住 していなかったベトナム 人 が 植 民 地 政 府 の 公 務 員 の 約 4 割 を 占 め その 上 に 数 百 名 のフランス 人 が 植 民 地 政 策 を 取 り 仕 切 ってい た 植 民 地 時 代 が 長 引 くにつれ 徐 々にラオス 人 が 下 級 レベル 公 務 員 を 占 めるようになった が 依 然 として 中 堅 レベル 公 務 員 はベトナム 人 が 大 半 であった 1953 年 に 独 立 を 果 たしたラオス 王 国 は その 後 1975 年 のラオス 人 民 民 主 共 和 国 成 立 ま で 親 仏 親 米 派 中 立 派 パテト ラオを 中 心 とする 急 進 左 派 による 内 戦 が 散 発 的 に 続 き 国 内 は 混 乱 状 態 となった 推 測 では 1960 年 頃 の 公 務 員 数 は 約 8000 人 ほどであり フラン ス 人 とベトナム 人 のアドバイザーや 専 門 家 が 150 人 から 200 人 程 度 含 まれていたという 隣 国 のベトナムで 戦 争 が 始 まるとアメリカがラオスに 進 駐 し 事 実 上 の 間 接 統 治 が 続 いた ため 王 国 政 府 とその 行 政 機 構 は 実 質 的 な 権 限 を 有 していなかった 1975 年 ラオス 人 民 革 命 党 の 一 党 支 配 によるラオス 人 民 民 主 共 和 国 が 成 立 した 政 府 は 社 会 主 義 路 線 を 採 ったが 共 和 国 成 立 前 後 医 師 技 術 者 高 級 官 僚 教 師 といった 知 識 階 級 が 約 30 万 人 も 国 外 に 逃 亡 し 政 府 活 動 を 担 う 官 僚 機 構 が 圧 倒 的 に 不 足 する 事 態 が 起 こ った 新 体 制 に 残 った 公 務 員 の 多 くも 再 教 育 キャンプに 送 られたとされる ラオス 政 府 は 社 会 主 義 体 制 を 維 持 するために 必 要 な 官 僚 機 構 を 旧 ソ 連 を 中 心 とする 社 会 主 義 諸 国 に 候 補 者 を 送 り 教 育 を 受 けさせることによって 養 成 する 方 法 をとった 1983 年 には 1 万 人 以 上 のラオス 人 が 社 会 主 義 諸 国 で 官 僚 養 成 教 育 を 受 けていたという

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