0_2014-目次-知識共創第4号_osa-02-oga

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1 第 4 号 Knowledge Co-Creation Vol.4 (2014.3)

2 Parent-Child Communication in Stimulating Co-Creative Play: Indonesia and Japan JUNAIDY, Deny W., NAGAI Yukari, MORI Shintaro, TANIGUCHI Shunpei, YOSHIDA Toru i

3 Dimensional Frameworks of Islamic and Conventional Banking to Measure Value Co-creation JAVED Amna, MASUDA Hisashi, KOHDA Youji A Method for Ranking Japanese University in terms of Innovation Ho Tu Bao Double servicescapes effect on customers satisfaction - The Chinese tea restaurant case XU Haitao, MASUDA Hisashi, KOHDA Youji ii

4 :05-10:45 JAIST 10:45-11:25 11:25-12:05 JAIST 12:05-13:30 JAIST JAIST JAIST A Method for Ranking Japanese University in terms of Innovation Ho Tu Bao JAIST JAIST Double servicescapes effect on customers satisfaction - The Chinese tea restaurant case XU Haitao, MASUDA Hisashi, KOHDA Youji JAIST JAIST JAIST JAIST 14:35-15:50 16:00-16:20 16:20-16:40 16:40-17:00 17:00-18: :30-10:05 10:05-10:40 Dimensional Frameworks of Islamic and Conventional Banking to Measure Value Co-creation JAIST JAVED Amna, MASUDA Hisashi, KOHDA Youji JAIST 10:40-11:15 JAIST 11:15-12:05 JAIST JAIST 13:30-14:10 JAIST 14:10-14:50 15:00-15:40 15:40-16:20 JUNAIDY, Deny W., NAGAI Yukari, Parent-Child Communication in Stimulating Co-Creative Play: Indonesia and MORI Shintaro, TANIGUCHI Shunpei, Japan YOSHIDA Toru JAIST 16:20-17:00 JAIST

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8 FUJIMOTO Takahiro

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12 知 識 共 創 第 4 号 (2014) アイデア 生 成 現 場 にユーザ 視 点 を 取 り 込 むための 一 方 法 A way of introducing user perspective into generating business idea 和 嶋 雄 一 郎 1), 鷲 田 祐 一 2), 冨 永 直 基 3), 植 田 一 博 1) 4) WAJIMA Yuichiro 1),WASHIDA Yuichi 2),TOMINAGA Naoki 3),UEDA Kazuhiro1) 4) 1) 東 京 大 学 大 学 院 情 報 学 環,2) 一 橋 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科,3) 株 式 会 社 博 報 堂, 4) 科 学 技 術 振 興 機 構 1) Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo, 2) Graduate School of Commerce and Management, Hitotsubashi University, 3) Hakuhodo Inc. 4) CREST, Japan Science and Technology Agency 要 約 製 品 に 関 するアイデアを 生 成 する 際 のユーザ 視 点 の 有 益 性 は 数 多 く 報 告 されている しかし, 情 報 漏 洩 等 のリスクを 考 えると, 企 業 における 製 品 開 発 アイデアの 生 成 に, 常 にユーザを 直 接 参 加 させ ることはできない.そこで 本 研 究 では,アイデアの 生 成 手 法 の 一 つである 未 来 洞 察 手 法 に 着 目 し, 直 接 ユーザをアイデア 生 成 に 参 加 させることなく,ユーザ 視 点 を 取 り 入 れたアイデア 生 成 の 方 法 を 提 案 し その 効 果 を 検 証 した キーワード 知 識 創 造 イノベーション マネジメント ユーザ 視 点 未 来 洞 察 1. はじめに 企 業 が 製 品 開 発 やサービスの 開 発 を 行 う 際 には,それまでに 展 開 されてきているものとは 異 なった, 新 しい 価 値 を 有 した 製 品 やサービスに 結 びつくアイデアを 生 成 することが 求 められる.すなわち,いか にイノベーション (innovation)を 起 こし, 従 来 とは 違 う 新 たな 製 品 やサービスを 開 発 していくかという ことは, 企 業 にとって 大 変 重 要 な 課 題 となっている( 丹 羽, 2006).これまでの 研 究 では,イノベーション は 企 業 の 内 部 の 人 材 ( 専 門 家 や 技 術 者 ),いわゆる 供 給 側 によってもたらされるとされてきた.しかし, 供 給 側 からではなく,ユーザ 側 からも 新 しく 斬 新 なアイデアが 生 成 されることが 明 らかになってきてい る. イノベーションとユーザの 関 係 性 について,(Allen, 1977)は, 技 術 者 と 市 場 (ユーザ) 間 の 情 報 伝 達 者 (ゲートキーパ)の 重 要 性 を 指 摘 している. (Allen, 1977)は, 新 しい 技 術 や 製 品 をユーザに 提 供 するだけ ではなく,ユーザの 要 求 などを 技 術 者 に 伝 えることのできる, 技 術 の 知 識 とユーザ 視 点 を 持 ったゲート キーパという 存 在 がイノベーションをもたらすことを 主 張 している.また,(Von Hippel, 1988)は, 技 術 的 に 斬 新 で,かつ 商 業 的 に 成 功 した 理 化 学 機 器 の 最 初 の 開 発 と 重 要 な 改 良 のアイデアのほとんどは,それ らの 機 器 を 実 際 に 使 用 していたユーザによって 生 み 出 されていることを 突 き 止 めた.(Von Hippel, 1988) は,こういったゲートキーパの 様 な 役 割 を 果 たす 先 進 的 なユーザをリードユーザ(lead user) と 呼 び,ア イデアの 源 泉 が, 製 品 開 発 者 研 究 者 に 代 表 される 供 給 側 ではなくユーザ 側 にある 可 能 性 を 示 した. 加 えて,( 鷲 田, 2005, 鷲 田, 2008)は, 携 帯 電 話 やスポーツ 用 多 目 的 車 などにおいて, 商 品 技 術 の 新 しい 使 い 方 新 しい 価 値 についてのアイデアを 生 活 者 であるユーザが 意 識 的 無 意 識 的 に 創 造 していること を 明 らかにしている. 実 際 にユーザの 視 点 を 取 り 入 れて 新 製 品 の 開 発 を 行 っている 例 も 見 られる.Dellでは,Idea Stormと 呼 ばれるサイトが 運 営 されており,ネットを 利 用 してユーザが 製 品 の 改 良 や 新 しい 製 品 のアイデアを 提 案 できるようになっている. 同 様 に, 無 印 良 品 では,ソファーやポータブルランプなど 一 部 の 新 しい 製 品 が,ユーザによって 提 案 されたアイデアをベースに 開 発 されており,そのデザイン 性 や 性 能 が 高 く 評 価 されている.そのほかにも,adidas, BBC, BMW, Boeing, Ducatiなどが 同 じようにユーザのアイデアを 商 品 開 発 に 利 用 している(Sawhney 2005, Ogawa 2006, Piller 2006, Berthon 2007, Fuchs 2011). これらの 企 業 におけるユーザを 製 品 開 発 に 参 加 させる 取 り 組 みは, 特 定 の 製 品 に 対 して 高 い 興 味 を 持 つユーザや 積 極 的 に 製 品 の 開 発 に 関 わろうとしているユーザ,いわゆるリードユーザを 対 象 にして 行 わ れている.すなわち,リードユーザに 企 業 側 からアプローチし, 技 術 に 関 する 情 報 の 提 供 を 行 って,リ ードユーザを 様 々な 形 でサポートしながらアイデア 生 成 を 行 わせている.つまり,リードユーザに 技 術 Ⅱ1-1

13 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 的 なサポートをすることで,ゲートキーパのような 存 在 にし,アイデア 生 成 を 行 わせる 手 法 だと 解 釈 で きる. このように,ユーザ 視 点 が 新 しく 独 自 性 のあるアイデアをもたらすことを 報 告 した 研 究 は 上 記 にあげ た 例 以 外 にも 数 多 く 存 在 する. 一 方, 専 門 家 や 技 術 者 のアイデアは,ユーザのアイデアに 比 べて, 独 自 性 が 低 くなることが 知 られており(Kristensson, 2004), 多 くの 技 術 者 が 関 わる 企 業 内 での 製 品 アイデア 生 成 では, 独 自 性 が 低 いアイデアが 生 成 される 傾 向 にある.したがって, 企 業 において 独 自 性 の 高 いアイ デアを 生 成 するには,アイデア 生 成 時 にユーザ 視 点 をいかにして 反 映 させるかが 重 要 になってくる.し かし, 企 業 における 製 品 開 発 のためのアイデアを 生 成 する 際 に, 常 にユーザを 直 接 参 加 させるというの は 現 実 的 ではない. そこで 生 成 されたアイデアは,その 企 業 の 今 後 の 方 向 性 を 決 定 づけるような 重 要 なアイデアとなる 可 能 性 があり, 機 密 性 の 高 い 情 報 となり 得 る.このようなアイデアが 社 外 に 流 出 するようなことが 起 これ ば, 企 業 は 大 きな 損 害 を 受 けることになる.ユーザをアイデア 生 成 に 直 接 参 加 させるということは,ユ ーザ 視 点 を 導 入 できるという 利 点 の 裏 に, 情 報 漏 洩 というリスクを 抱 えていると 言 える.それでは,ユ ーザをアイデア 生 成 に 直 接 参 加 させることなく,ユーザ 視 点 を 反 映 したアイデアを 生 成 する 方 法 は 存 在 しないのであろうか.その 可 能 性 を 検 討 するため, 本 研 究 ではアイデアの 生 成 手 法 の 一 つである 未 来 洞 察 手 法 に 着 目 した( 鷲 田, 2007). 未 来 洞 察 手 法 とは,ワークショップ 形 式 で 行 われる 近 未 来 (5~10 年 先 )の 社 会 変 化 を 考 慮 に 入 れたアイデア 生 成 の 手 法 である.この 方 法 は, 生 活 者 像 が 反 映 された 近 未 来 予 兆 のステートメントである 社 会 変 化 シナリオ を 複 数 作 成 すると 同 時 に, 現 在 の 産 業 技 術 視 点 から 考 えられる 発 展 の 可 能 性 を 記 した 技 術 発 展 シナリオ を 複 数 作 成 する.そして,この 社 会 変 化 シ ナリオと 技 術 発 展 シナリオをそれぞれ 掛 け 合 わせて, 未 来 の 社 会 変 化 を 想 定 した 新 しい 事 業 を 強 制 発 想 させる( 社 会 変 化 シナリオと 技 術 発 展 シナリオを 掛 け 合 わせ,そこから 強 制 発 想 してアイデアを 生 成 さ せる 方 法 は,インパクトダイナミクスと 呼 ばれる).( 鷲 田, 2009)らは, 未 来 洞 察 手 法 を 用 いた 実 業 の 発 想 支 援 ワークショップにおいて, 科 学 技 術 の 発 展 と 社 会 変 化 の 関 係 性 を 考 慮 に 入 れたアイデア 生 成 を 行 わせた.その 結 果, 専 門 領 域 同 士 の 相 互 依 存 性 やその 外 部 性 要 素 がうまく 取 り 込 まれたアイデアの 生 成 が 行 われたことを 報 告 している. 本 研 究 では,ユーザをアイデア 生 成 に 直 接 参 加 させることなく,ユーザ 視 点 を 取 り 入 れたアイデア 生 成 を 可 能 にするために,この 未 来 洞 察 手 法 における 技 術 発 展 シナリオ の 作 成 方 法 に 特 に 着 目 した. 未 来 洞 察 手 法 においては, 社 会 変 化 シナリオと 技 術 発 展 シナリオを 用 いたインパクトダイナミクスによ って 事 業 アイデアを 生 成 する.その 際 に 用 いられる 技 術 発 展 シナリオは, 文 字 通 り 技 術 の 発 展 のシ ナリオであるため, 技 術 情 報 を 正 しく 理 解 している( 理 解 できる) 技 術 者 にその 作 成 が 依 頼 されること が 多 かった.そのため, 従 来 の 未 来 洞 察 手 法 では, 技 術 発 展 シナリオは 技 術 者 視 点 で 作 成 されたものが 利 用 されていた.それに 対 して 本 研 究 では, 従 来 の 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオではなく,ユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオを 与 えることを 考 えた. 技 術 情 報 を 正 しく 理 解 でき,かつユーザの 視 点 を 持 つゲ ートキーパやリードユーザが 技 術 発 展 シナリオを 作 成 すれば,ユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオをワーク ショップ 参 加 者 に 提 供 することが 可 能 になる. 技 術 発 展 シナリオにユーザ 視 点 が 反 映 されていれば,イ ンパクトダイナミクスによって 生 成 されるアイデアにもユーザ 視 点 が 反 映 され, 独 自 性 の 高 いアイデア が 生 成 される 可 能 性 があると 考 えられる.また,ワークショップ 実 施 者 側 がまとめる 技 術 発 展 シナリオ はワークショップ 開 催 前 にワークショップ 参 加 者 以 外 によって 作 成 される.この 技 術 発 展 シナリオを 作 成 するにあたり 利 用 される 情 報 は,すべてが 公 開 されている 情 報 であるため,その 情 報 には 機 密 事 項 は 存 在 しない. 加 えて, 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 は,ワークショップに 参 加 することがないため,ワーク ショップにおいて 生 成 されたアイデアに 触 れることはない.つまり, 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 はアイデ ア 生 成 に 関 わる 機 密 事 項 に 一 切 触 れることはない.したがって,この 技 術 発 展 シナリオの 作 成 にユーザ を 参 加 させることに 関 しては, 情 報 漏 洩 というリスクは 存 在 しないことになる.つまり, 未 来 洞 察 手 法 でのインパクトダイナミクスに 使 用 する 技 術 発 展 シナリオをユーザ 視 点 で 作 成 することによって, 情 報 漏 洩 リスクの 回 避 と ユーザ 視 点 の 導 入 を 同 時 に 行 うことが 可 能 になり,その 結 果, 企 業 におけ るアイデア 生 成 においても, 独 自 性 の 高 いアイデアが 生 成 されることが 期 待 できる.そこで 本 研 究 では, 未 来 洞 察 手 法 において,ユーザ 視 点 を 含 む 技 術 発 展 シナリオと 含 まない 技 術 発 展 シナリオとで, 生 成 さ れる 事 業 アイデアの 質 に 差 が 生 じるのかどうかを 分 析 し, 事 業 アイデア 生 成 におけるユーザ 視 点 の 効 果 を 示 す. Ⅱ1-2

14 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 2. ユーザ 視 点 を 導 入 したアイデア 生 成 2.1 未 来 洞 察 手 法 を 用 いたワークショップ 本 研 究 では, 未 来 洞 察 手 法 ( 鷲 田, 2007)を 利 用 してワークショップを 行 い 事 業 アイデアの 生 成 を 行 わせ た.ワークショップには 企 業 から 22 名 が 参 加 し, 2020 年 アジア 向 けスマートシティ 研 究 開 発 ビジョ ニング というタイトルで 開 催 された.ワークショップでは,2020 年 にスマートシティによって 実 現 さ れる 社 会 像 (ビジョン),ビジネスモデル,その 実 現 に 向 けた 課 題 を 考 え,2020 年 のアジアにおけるス マートシティの 新 規 事 業 アイデアを 作 成 した. 参 加 者 は,3~4 名 からなるチームに 分 けられ( 合 計 6 チ ーム),チームを 単 位 として 事 業 アイデアを 生 成 した. 未 来 洞 察 手 法 では, 社 会 変 化 シナリオと 技 術 発 展 シナリオを 用 意 し,それらを 利 用 したインパクトダイナミクスによって 事 業 アイデアを 生 成 する. まずはじめに,ワークショップ 参 加 者 それぞれに 社 会 変 化 シナリオを 作 成 してもらった. 社 会 変 化 シ ナリオとは, 現 在 の 社 会 の 延 長 上 からややはずれた 近 未 来 の 社 会 像 のことで,インパクトダイナミクス による 事 業 アイデア 生 成 の 際 にその 事 業 を 展 開 する 対 象 を 考 えるためのベースとなる. 社 会 変 化 シナリ オは,スキャニングマテリアルと 呼 ばれる, 新 聞 記 事 などをベースにした 様 々な 分 野 の 今 後 の 変 化 の 芽 になるような 情 報 を 集 めたものを 参 考 にして 作 成 された.スキャニングマテリアルとして,ワーク ショップ 実 施 者 側 であらかじめ 選 定 したものを 参 加 者 に 配 布 する. 本 ワークショップでは, 参 加 者 には 事 前 に 実 施 者 側 で 選 定 した 143 個 のスキャニングマテリアルを 配 布 した. 参 加 者 は,すべてのスキャニ ングマテリアルに 目 を 通 し,いくつかのスキャニングマテリアルを 組 み 合 わせて, 個 人 ごとに 2~3 個 の 社 会 変 化 シナリオを 考 えた.さらに, 個 人 で 作 成 した 社 会 変 化 シナリオをワークショップ 時 に 持 ち 寄 って 議 論 を 行 い,チームごとに 3 つにまとめてもらった. 次 に,ワークショップ 参 加 者 全 員 で,チーム ごとに 作 成 した 社 会 変 化 シナリオを 共 有 した.その 社 会 変 化 シナリオの 中 から,ワークショップ 参 加 者 全 員 でインパクトダイナミクスで 使 用 する 社 会 変 化 シナリオを 8 つ 選 んだ. 最 後 に, 選 ばれた 社 会 変 化 シナリオとワークショップ 主 催 側 で 用 意 した 技 術 発 展 シナリオを 用 いたインパクトダイナミクスによ って,2020 年 のスマートシティの 新 規 事 業 ビジョン 策 定,ならびにそのような 新 事 業 が 未 来 社 会 に 及 ぼ す 影 響 についての 事 業 アイデアを 生 成 してもらった.ワークショップ 終 了 時 に,ワークショップ 参 加 者 に 対 して, 今 回 のワークショップについての 事 後 アンケートを 実 施 した. 2.2 ユーザ 視 点 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオ 技 術 発 展 シナリオは, 現 在 提 案 されている 技 術 から 考 えられる 発 展 の 可 能 性 を 記 したもので,インパ クトダイナミクスによってアイデアを 生 成 する 際 に 技 術 的 な 側 面 についてのベースとなる 情 報 を 与 え るものである.この 技 術 発 展 シナリオはワークショップ 実 施 側 で 事 前 に 用 意 され,ワークショップ 当 日 に 参 加 者 に 提 供 される. 技 術 発 展 シナリオは,ワークショップのテーマに 関 連 する 技 術 情 報 を 適 切 に 理 解 できる 人 物 に 作 成 を 依 頼 する. 通 常, 技 術 発 展 シナリオの 作 成 では,はじめにワークショップ 実 施 者 側 が 技 術 情 報 ( 要 素 技 術 )の 選 定 を 行 う. 次 に 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 に 事 業 ジャンルの 抽 出 を 行 ってもらった 後, 技 術 発 展 シナリオの 作 成 を 行 ってもらう. 要 素 技 術 の 選 定 : 技 術 発 展 シナリオを 作 成 する 際 に, 何 もない 状 態 から 技 術 発 展 シナリオを 考 えるこ とは, 作 成 者 に 大 きな 負 担 を 与 えることになる.その 負 担 を 軽 減 するために,あら かじめワークショップ 実 施 者 側 で,ワークショップのテーマに 関 連 する 技 術 情 報 を 選 定 しておき,それを 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 に 与 える. 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 に 与 えられる 技 術 情 報 は, 一 般 に 公 開 されている 技 術 情 報 から,ワークショップの テーマに 関 連 したものを 選 び 出 し,その 中 に 含 まれている 技 術 領 域 を 列 挙 したもの である(これを 要 素 技 術 と 呼 ぶ). 要 素 技 術 は,ワークショップ 実 施 側 の 数 名 でで きるだけ 多 く(100 個 前 後 が 目 安 ) 選 定 し, 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 に 与 えられる. 事 業 ジャンルの 抽 出 : 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 には,まずはじめに, 与 えられた 要 素 技 術 について, 技 術 が 発 展 していく 上 で 関 わり 合 いが 深 くなると 考 えられる 要 素 技 術 を 組 み 合 わせ て 今 後 のサービスや 事 業 を 考 えてもらう. 要 素 技 術 の 組 み 合 わせで 形 作 られるサー ビスあるいは 事 業 を, 以 下 では 事 業 ジャンルと 呼 ぶ. 技 術 発 展 シナリオの 作 成 : 次 に, 事 業 ジャンルごとに 1 つの 技 術 発 展 シナリオを 作 成 してもらう. 事 業 ジャンごとにそこに 含 まれる 要 素 技 術 をもとにして, これらの 要 素 技 術 がこう なっているのだから, 近 い 未 来 はこうなるはずだ. といった 形 で 技 術 発 展 シナリ Ⅱ1-3

15 知 識 共 創 第 4 号 (2014) オを 作 成 してもらう. 技 術 発 展 シナリオは, 背 景, 具 体 的 な 生 活 者 像, 必 要 とする 技 術, 展 開 されるビジネス, フラクチャーポイント(このシナリ オが 成 立 するために 必 要 不 可 欠 なブレイクスルー) の 5 つの 視 点 で 考 えてもらい, それぞれを 1 つの 項 目 として 文 章 化 してもらう. 2.3 ユーザ 視 点 技 術 者 視 点 での 技 術 発 展 シナリオ 作 成 方 法 これまでの 未 来 洞 察 手 法 を 用 いたワークショップでは, 要 素 技 術 を 適 切 に 理 解 できる 技 術 者 に 技 術 発 展 シナリオの 作 成 を 依 頼 していたため, 技 術 視 点 の 技 術 発 展 シナリオを 利 用 していたと 言 える. 本 研 究 では, 技 術 発 展 シナリオにユーザ 視 点 が 取 り 込 まれていれば,インパクトダイナミクスでのアイデア 生 成 過 程 において, 技 術 者 視 点 だけで 作 られた 技 術 発 展 シナリオを 用 いる 場 合 とは 別 の 要 素 が 与 えられ, 結 果 的 に, 生 成 されるアイデアにも 別 の 評 価 がなされると 仮 定 し,ユーザ 視 点 による 技 術 発 展 シナリオ と 技 術 者 視 点 による 技 術 発 展 シナリオのそれぞれによるインパクトダイナミクスの 結 果 を 比 較 した.ユ ーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオの 作 成 は,ユーザの 視 点 を 持 つだけではなく, 要 素 技 術 を 適 切 に 理 解 でき る 人 に 依 頼 する 必 要 がある.そこで,この 条 件 を 満 たす 人 物,いわゆるゲートキーパもしくはリードユ ーザと 思 われる 人 に 作 成 を 依 頼 した. 具 体 的 には,スマートシティに 関 連 する 技 術 を 理 解 することので きるの 知 識 を 持 ち, 加 えて 社 会 とユーザ 動 向 のいずれも 理 解 した 上 で 事 業 主 視 点 をもった 人 ( 経 営 学 と 組 織 論 を 専 門 とする 研 究 者 1 名 )に 技 術 発 展 シナリオの 作 成 を 依 頼 した.これに 対 して, 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオは, 実 際 の 企 業 において ICT の 技 術 者 として 製 品 開 発 を 行 っている 4 名 に 作 成 を 依 頼 した. 以 降, 前 者 をユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオ, 後 者 を 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオと 呼 ぶ. 本 研 究 で 実 施 したワークショップにおいては,ワークショップ 実 施 側 の 3 名 が, 現 在 提 案 されている 近 未 来 に 対 する 技 術 情 報 の 資 料 ( 未 来 工 学 研 究 所 の 2035 年 の 重 要 技 術 )から 関 連 する 85 個 の 要 素 技 術 を 選 定 し,それを 技 術 発 展 シナリオの 作 成 者 に 与 えた. 技 術 発 展 シナリオ 作 成 者 ( 経 営 学 と 組 織 論 を 専 門 とする 研 究 者 ならびに ICT 技 術 者 )には, 与 えられた 要 素 技 術 を 組 み 合 わせて 事 業 ジャンルを 作 成 し てもらった 後, 事 業 ジャンルごとに 技 術 発 展 シナリオを 作 成 してもらった.その 結 果, 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオが 5 つ,ユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオが 6 つ 作 成 された. 本 研 究 では,インパクトダイナミクスで 使 用 する 技 術 発 展 シナリオの 違 いによって,チームを 2 つに 分 けワークショップを 実 施 した.A グループには 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオを,B グループにはユ ーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオを 与 え,インパクトダイナミクスよる 事 業 アイデア 生 成 を 行 わせた(なお, インパクトダイナミクスに 用 いた 社 会 変 化 シナリオは A,B グループともに 同 じものである). 3 評 定 結 果 インパクトダイナミクスによって 生 成 された 事 業 アイデアに 関 しては,A グループは 9 アイデア(チ ーム 当 たり 3 アイデア),B グループは 11 アイデア(チーム 当 たり 3~4 アイデア)が 出 された. 独 自 性, 有 用 性, 実 現 可 能 性 のそれぞれの 評 定 値 の 評 定 者 間 の 一 致 度 を 調 べるために,ケンドールの 一 致 係 数 W を 計 算 したところ, 独 自 性 で 0.246, 有 用 性 で 0.394, 実 現 可 能 性 で という 数 値 が 得 られ,い ずれも 0.1% 水 準 で 有 意 であった.このことから,いずれの 評 定 項 目 においても, 評 定 者 による 評 定 の 違 いはなかったと 言 える. 独 自 性, 有 用 性, 実 現 可 能 性 のそれぞれの 評 定 値 について,グループ 間 で 差 が あるかどうかを 調 べるために U 検 定 を 行 った.その 結 果, 独 自 性 に 関 しては,A グループ(2.44)よりも B グループ(2.98)の 方 が, 評 点 が 有 意 に 高 かった(p=.032*).また 実 現 可 能 性 に 関 しては, 逆 に A グルー プ(3.51)の 方 が B グループ(2.81)よりも 有 意 に 高 かった(p=.003**). この 結 果 は,ユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオに 基 づいて 考 えた B グループのアイデアは 独 自 性 が 高 か ったのに 対 して, 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオに 基 づいて 考 えた A グループのアイデアは 実 現 可 能 性 が 高 かったことを 示 している.この 結 果 から,ユーザ 視 点 が 加 わることでアイデアの 独 自 性 が 高 くなる ということが 示 唆 された. 4. 総 合 考 察 インパクトダイナミクスによる 事 業 アイデア 生 成 に 関 して, 独 自 性 については,A グループよりも B グループの 方 が, 評 定 値 が 有 意 に 高 かったのに 対 して, 実 現 可 能 性 については, 逆 に B グループよりも A グループの 方 が, 評 定 値 が 有 意 に 高 かった.つまり,ユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオに 基 づいて 考 え た B グループのアイデアは 独 自 性 が 高 かったのに 対 して, 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオに 基 づいて 考 えた A グループのアイデアは 実 現 可 能 性 が 高 くなった.このことは, 実 現 可 能 性 にあまり 捉 われずにア イデアをより 独 自 性 の 高 いものにするには,アイデアを 考 える 際 にベースとなる 情 報 にユーザ 視 点 を 導 Ⅱ1-4

16 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 入 することが 効 果 的 なことを 示 唆 している. アイデア 評 定 の 結 果 ならびにアンケート 結 果 の 両 者 より,ユーザ 視 点 で 作 成 された 技 術 発 展 シナリオ を 用 いた 方 が,アイデアが 独 自 性 が 高 く,かつ 面 白 いと 感 じられるものになり, 技 術 者 視 点 で 作 成 され た 技 術 発 展 シナリオを 用 いた 方 が,アイデアの 実 現 可 能 性 が 高 くなる 可 能 性 が 示 唆 された. 4.1 技 術 発 展 シナリオ 作 成 時 の 考 え 方 の 違 い 技 術 発 展 シナリオの 具 体 的 な 生 活 者 像 には, 技 術 者 視 点 とユーザ 視 点 で 大 きな 違 いが 確 認 できた.そ の 違 いは, 技 術 者 視 点 とユーザ 視 点 で 技 術 発 展 シナリオ 作 成 時 の 考 え 方 の 違 いによってもたらされたと 考 えることができる.そこで,その 考 え 方 の 違 いを 明 らかにするため,A グループ,B グループのそれ ぞれの 技 術 発 展 シナリオを 作 成 した,ICT 技 術 者 4 名 と, 経 営 学 と 組 織 論 を 専 門 とする 研 究 者 1 名 に 対 するインタビューを 行 った.インタービュー 時 間 はそれぞれ 120 分 であり, 発 話 は IC レコーダに 記 録 された. 質 問 項 目 は, 以 下 の 2 つである. 質 問 1: 技 術 発 展 シナリオの 作 成 で 重 視 した 点, 工 夫 した 点, 難 しかった 点 質 問 2: 作 成 した 技 術 発 展 シナリオがどの 程 度 ユーザ 視 点 を 反 映 していると 思 うか インタビューの 結 果, 技 術 者 と 研 究 者 において, 顕 著 な 違 いがあったのが, 技 術 発 展 シナリオ 作 成 時 のベースとなる 考 え 方 であった. 質 問 1に 対 して, 技 術 者 は 自 分 の 技 術 に 対 する 知 識 をベースにした, 例 えば,ロボットについてのアイデアを 考 える 場 合, 産 業 用 か 介 護 用 かといった 形 で 領 域 を 決 め,そ のドメインをベースに 考 えた という 発 言 をしている.さらに, 質 問 2 に 対 して 研 究 者 が, A の 技 術 発 展 シナリオ( 技 術 者 の 作 成 した 技 術 発 展 シナリオ)に 対 して 実 際 の 場 面 をイメージしにくい, 技 術 の 詳 細 まで 理 解 できると 現 状 の 技 術 に 流 される といった 指 摘 をしている.また 技 術 者 は, 確 から しさが 重 要, 統 計 的 な 情 報 が 重 要 という 発 言 を 行 っていた.ここでいう 確 からしさというのは, 技 術 の 実 現 可 能 性 や 利 用 可 能 性 のことであり, 未 来 の 事 柄 に 関 する 確 からしさは, 予 算 額 の 大 きいドメ イン, 国 際 的 な 標 準 化 が 進 んでいるドメインに 属 する 事 柄 であるという 点 で 判 断 し,また, 統 計 的 な 数 値 を 確 からしさの 根 拠 とする 傾 向 が 強 いことが 確 認 された. 技 術 者 は, 自 分 が 持 っている 技 術 知 識 やド メインを 発 想 の 出 発 点 としており, 技 術 者 のこのような 考 え 方 は,デルファイ 法 (Gordon, 1964)にみられ るような 線 形 な 未 来 変 化 を 過 程 したものに 近 く, 現 状 の 延 長 としてしか 未 来 を 捉 えられていないと 思 わ れる. 一 方, 研 究 者 は 質 問 1 において 使 用 局 面 をイメージした, 具 体 的 な 社 会 の 状 況 をイメージする 必 要 があった という 発 言 をしている. 研 究 者 はそれが 使 用 される 社 会 や 使 用 局 面 のイメージから 発 想 していることが 確 認 された.これらを 整 理 すると, 技 術 者 的 発 想 は 技 術 やドメインをベースに 考 えるた め,いまある 技 術 ドメインにフォーカスし,その 技 術 がどう 使 えるかという 発 想 になる.そのため, 現 状 とは 異 なるニーズや 社 会 状 況 を 思 い 浮 かべにくい. 一 方,ユーザ 的 発 想 は 現 状 ( 現 実 社 会 )から 考 え るため, 現 状 とは 異 なるニーズや 社 会 状 況 を 考 えることができるという 特 徴 があったと 言 える.こうい った 特 徴 の 影 響 を 受 けたため,ユーザ 視 点 の 技 術 発 展 シナリオを 用 いたグループは 独 自 性 が 高 いアイデ アを, 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオを 用 いたグループは 実 現 可 能 性 が 高 いアイデアを 生 成 したと 考 え られる. 4.2 最 後 に 本 研 究 では,ユーザ 視 点 を 導 入 することで, 議 論 の 方 向 性 やアイデアの 考 え 方 に 影 響 を 与 え,アイデ アの 独 自 性 を 高 める 効 果 があることを 示 唆 した.さらに, 本 研 究 の 手 法 を 用 いれば,ユーザを 直 接 参 加 させる 必 要 がないため, 情 報 漏 洩 というリスクを 抱 えることなく,ユーザ 視 点 を 反 映 したアイデアの 生 成 が 可 能 なことを 示 した. 本 研 究 では, 技 術 発 展 シナリオの 作 成 方 法 の 違 いがアイデア 生 成 にもたらす 影 響 ついて 論 じてきたが, 作 成 された 技 術 発 展 シナリオの 内 容 に 関 する 分 析 は 十 分 であるとはいえない.ユーザ 視 点 と 技 術 者 視 点 の 技 術 発 展 シナリオの 作 成 方 法 に 関 して, 事 業 ジャンルそのものや, 要 素 技 術 を 組 み 合 わせる 際 の 方 法 にどのような 違 いがあるのかを 明 らかにしていくことが 今 後 の 課 題 の 1 つであると 考 えている. 議 論 し ている 事 業 アイデアをどのような 社 会 に 対 して 展 開 することを 想 定 しているのか( 例 えば, 今 の 社 会 を 考 えているのか, 将 来 訪 れると 想 像 した 社 会 を 考 えているのか)によって, 生 成 されるアイデアの 質 が 異 なってくると 考 えられる.さらに, 議 論 の 際 に 利 用 している 情 報 の 種 類 やそのバリエーションなども 生 成 されるアイデアの 質 に 影 響 を 与 えていると 考 えられる. 今 後,アイデア 生 成 時 の 発 話 の 内 容 分 析 を 行 い, 議 論 の 内 容 がアイデア 生 成 にもたらす 影 響 を 明 らかにしていくことが 課 題 である. Ⅱ1-5

17 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 参 考 文 献 Berthon, P.R, McCarthy,I.,and Kates,S.M (2007) When customers get clever : Managerial approaches to dealing with creative consumers, Business Horizons, Vol. 50, No. 1, pp Fuchs, C. and Schreier, M. (2011) Customer empowerment in new product development, Journal of Product Innovation Management, Vol. 28, No. 1, pp Gordon, T. J. and Helmer-Hirschberg, O. (1967) Report on a Long-Range Forecasting Study, RAND Corporation (1964) [Guilford 67] Guilford, J. P.: The nature of human intelligence, New York: McGraw-Hill Kristensson, P., Gustafsson, A., and Archer, T. (2004) Har- nessing the creative potential among users, Journal of Product Innovation Management, Vol. 21, No. 1, pp Lilien, G. L., Morrison, P. D., K. Searls, M. S., and Hip- pel, von E. (2002) Performance assessment of the lead user idea-generation process for new product development, Management Science, Vol. 48, No. 8, pp 文 部 科 学 省 科 学 技 術 政 策 研 究 所, 科 学 技 術 政 策 研 究 所, 未 来 工 学 研 究 所 ( 編 ) (2005) 2035 年 の 科 学 技 術 文 部 科 学 省 デル ファイ 調 査, 未 来 工 学 研 究 所 丹 羽 清 (2006) 技 術 経 営 論, 東 京 : 東 京 大 学 出 版 局 Ogawa, S. and Piller, F. T. (2006) Collective customer commitment: Reducing the risks of new product development, MIT Sloan Management Review, Vol. 47, No. 2, pp Piller, F. T. and Walcher, D. (2006) Toolkits for idea competitions : A novel method to integrate users in new product development, R&D Management, Vol. 36, No. 3, pp Sawhney, M., Verona, G., and Prandelli, E. (2005) Collabo- rating to create : The Internet as a platform for customer engagement in product innovation, Journal of Interactive Marketing, Vol. 19, pp.4 17 Vincenti, W. G. (1990) What engineers know and how they know it, MD: Johns Hopkins University Press von Hippel, E. (1988) The Sources of innovation, NY: Ox-ford University Press von Hippel, E. (1994) Sticky information and the locus of problem solving: Implications for innovation, Management Science, Vol. 40, No. 4, pp Washida, Y. (2005) Collaborative structure between Japanese hightech manufacturers and consumers, Journal of Consumer Marketing, Vol. 22, pp 鷲 田 祐 一 (2007) 未 来 を 洞 察 する, NTT 出 版 鷲 田 祐 一, 植 田 一 博 (2008) イノベーション アイディアを 発 生 させる 需 要 側 ネットワーク 伝 播 構 造 の 研 究, 情 報 処 理 学 会 論 文 誌, Vol. 49, pp 鷲 田 祐 一, 三 石 祥 子, 堀 井 秀 之 (2009) スキャニング 手 法 を 用 いた 社 会 技 術 問 題 シナリオ 作 成 の 試 み, 社 会 技 術 研 究 論 文 集,Vol. 6, pp 連 絡 先 住 所 : 東 京 都 目 黒 区 駒 場 東 京 大 学 名 前 : 和 嶋 雄 一 郎 Ⅱ1-6

18 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングにおける 知 識 共 創 Knowledge Co-creation in Kiken-Yochi-Training for Care Staff and Medical Staff 神 山 資 将 1), 佐 々 木 由 惠 2) KAMIYAMA Motoyuki 1), SASAKI Yoshie 2) 1) 一 般 社 団 法 人 知 識 環 境 研 究 会, 2) 日 本 社 会 事 業 大 学 1) Association Chishiki Kankyo Kenkyukai, 2) Japan College of Social Work 要 約 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ, 看 護 職 と 介 護 職 が 協 働 し, 現 場 の 危 険 状 態 を 解 決 していくため, 知 識 を 共 創 する 方 法 論 として 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニング を 筆 者 らは 提 案, 開 発 している. 本 研 究 では 知 識 共 創 者 (トレーニング 受 講 者 )へのフィードバックプロセスの 手 法 を 開 発 した. 看 護 職 と 介 護 職 の 実 務 者 を 対 象 に 実 験 を 行 った 結 果,フォーカスポイントを 設 定 し 思 考 スキームを 分 析 することに よって, 思 考 スキームの 把 握, 講 評 が 容 易 になることがわかった. キーワード 医 療 介 護 連 携, 危 険 予 知 トレーニング, 思 考 スキーム, 専 門 職 間 コミュニケーション 1. 背 景 と 目 的 医 療 依 存 度 の 高 い 要 介 護 者 の 増 加 に 伴 い, 医 療 サービスと 介 護 サービスの 連 携 が 進 みつつある.しかし, 隣 接 する 領 域 専 門 性 でありながら, 拠 って 立 つ 知 識 基 盤 が 異 なるため, 介 護 職 と 医 療 職 の 間 ではコミュニ ケーションギャップがあり,その 解 消 は 喫 緊 の 課 題 となっている( 神 山 佐 々 木,2011). 本 研 究 では, 医 療 職 の 中 でも 特 に 看 護 職 を 対 象 とする. 看 護 職 と 介 護 職 は 現 場 で 協 働 することが 必 要 であ る.そのためには 観 念 的 な 連 携 教 育 のみならず, 動 的 に 更 新 されていく 現 場 知 を, 専 門 性 を 超 えてスタッフ 間 で 共 有 していく 実 務 的 な 知 識 共 創 の 方 法 論 が 求 められる. 神 山 佐 々 木 (2013)は, 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングを 非 定 型 問 題 が 中 心 となる 医 療 介 護 にお ける 危 険 の 予 知 のための 専 門 職 間 教 育 方 法 論 と 位 置 付 けた. 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングは 看 護 職 と 介 護 職 が 協 働 して, 現 場 で 直 面 する 危 険 状 態 を 解 決 していくため, 互 いの 行 動 やその 背 景 となる 認 知 構 造 をより 深 いレベルで 共 有 し, 危 険 予 知 のスキルを 向 上 させるとともに, 医 療 介 護 連 携 現 場 において 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ 者 との 間 で 知 識 を 共 創 する ための 方 法 論 である. 神 山 佐 々 木 (2013)を 踏 まえ, 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングのフィードバック 方 法 の 開 発 ( 図 1) を 本 研 究 の 目 的 とする. ( 神 山 佐 々 木,2013) 図 1:フィードバックループを 組 み 込 んだ 医 介 連 携 KYT Ⅱ2-1

19 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 本 研 究 で 開 発 を 進 めている 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングは, 実 務 的 な 文 脈 での 超 領 域 的 な 知 識 共 創 の 方 策 であるが, 領 域 を 超 えた 融 合 や 結 合 といった 学 際 研 究 の 視 点 から 見 れば,Kockelmans(1979)がいう 共 通 基 盤 の 形 成 の 方 策 として 考 えることが 可 能 であろう. なお, 本 実 験 被 験 者 ( 受 講 者 )には 研 究 の 主 旨 および 倫 理 的 配 慮 などを 記 述 した 文 書 を 用 い 口 頭 で 説 明 し, 同 意 を 確 認 した. 被 験 者 の 個 人 名 など 個 人 が 特 定 される 内 容 は 記 載 しないよう 処 理 を 行 った. 本 研 究 で 行 った 実 験 の 被 験 者 はすべて 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングの 受 講 者 である. 以 下, 被 験 者 と 表 記 するが, 被 験 者 であるとともに 受 講 者 であることを 付 記 する. 2. 思 考 スキームの 定 義 本 研 究 では, 認 知 構 造 を 表 出 するための 枠 組 みとして 思 考 スキーム を 提 示 する. 思 考 スキームは 事 実 (Fact), 価 値 (Value), 結 論 (Deduction)の 3 要 素 から 成 り 立 つモデルである. 思 考 スキームは 人 間 が 行 っている 精 神 活 動 の 段 階 ( 入 力, 処 理, 出 力 )に 対 応 した 構 成 となっている. 特 に, 価 値 (Value)は 処 理 の 中 で 運 用 される 根 拠 や 法 則 原 則 のみをいう. 人 間 は 記 憶 内 容 の 自 然 変 容 を 行 う. 新 しい 知 識 の 入 力 があ った 際, 既 存 の 認 知 構 造 と 矛 盾 が 少 ない 形 に 体 系 化, 変 容 させ 記 憶 する. 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ 者 がコミュ ニケーションする 場 合, 同 一 の 事 象 に 直 面 したとしても 同 じように 記 憶 することを 期 待 するのは 難 しい. 本 研 究 では 自 然 変 容 を 価 値 による 解 釈 の 結 果 と 考 え, 解 釈 の 基 となった 価 値 を 思 考 スキームによって 強 制 的 に 想 起 させ, 自 らの 認 知 構 造 を 意 図 させることをめざしている. 暗 黙 知 や 経 験 などを 思 考 スキームで 整 理 し, 自 己 の 精 神 活 動 のリフレクションを 行 う.V(Value)で, 行 動 の 判 断 をした 価 値 を 明 確 に 導 出 すること が 促 されるため,より 深 いレベルの 思 考 で なぜそう 判 断 したのか? その 判 断 基 準 は 何 か? どうし て A ではなく,B なのか? という 問 いが 強 制 される. 価 値 を 明 示 することで, 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ 者 と の 間 で 齟 齬 を 最 小 にした 知 識 共 有 が 可 能 となり, 知 識 共 創 が 促 される.このように, 思 考 スキームは 自 己 の 認 知 構 造 を 表 出 させる 強 制 的 想 起 の 枠 組 みという 機 能 も 含 め, 以 下 の 4 つの 機 能 を 持 つ( 図 3). (1) 暗 黙 知 ( 経 験 )を 枠 組 みに 再 編 成 する 思 考 操 作 (2) 枠 組 みに 基 づいた 知 識 共 有 (3) 枠 組 みに 基 づいた 知 識 共 有 によって, 自 らの 認 知 構 造 ( 思 考 スキーム)の 変 容 (4) 変 容 した 認 知 構 造 による 経 験 の 再 定 義 図 3: 思 考 スキームの 機 能 これまでの 実 験 の 観 察 の 中 で, 思 考 スキームの 記 入 の 際, 初 心 者 は 文 字 量 が 多 く 思 考 スキームの 論 理 区 分 がされない 傾 向 にある. 思 考 スキームで 記 述 することに 不 慣 れであるという 理 由 に 加 え, 被 験 者 の 記 述 の 様 子 を 観 察 する 限 り, 経 験 から 一 連 の 作 業 や 行 動 が 強 化 され, 根 拠 があいまいになったストーリ( 物 語 )とし て 記 憶 されていることが 推 測 された. 迅 速 な 判 断 や 反 応 が 要 求 される 医 療 介 護 現 場 のスタッフにとって,ス トーリ 化 は 思 考 を 簡 単 化 するために 必 要 であるといえよう.しかし,ストーリ 化 は 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ 協 Ⅱ2-2

20 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 働 者 とのコミュニケーションを 困 難 にさせる. 本 研 究 では 異 なる 専 門 職 間 での 協 働 とそこでの 知 識 共 創 を 促 進 することを 目 的 としている.よって, 経 験 から 構 成 されたストーリ(およびその 基 盤 となる 認 知 構 造 )を 意 識 的 に 再 検 討 させ, 協 働 しやすい 認 知 構 造 に 変 容 させる 必 要 がある.さらに,これらの 認 知 構 造 の 変 容 は いったん 形 成 されればよいというものではなく, 現 場 の 変 化 に 応 じて 動 的 に 変 容 可 能 なものでなければなら ないだろう. 思 考 スキームは 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングにおいて(1) 暗 黙 知 的 な 経 験, 非 言 及 的 な 認 知 構 造 を 表 出 させ,(2) 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ 者 と 知 識 を 共 有 させ,(3) 認 知 構 造 の 相 対 化 を 意 識 させ, 認 知 構 造 を 変 容 させるためのフィードバックを 行 う 一 連 の 動 的 な 知 識 共 創 のサイクルの 単 位 となる. 思 考 スキームと 類 似 した 記 法 に, 医 療 や 介 護 の 分 野 で 多 く 用 いられている SOAP モデルがある.S (Subjective)と O(Objective)は 入 力 であり,A(Assessment)は S と O に 対 する 判 断 評 価,その 判 断 を 受 けた P(Plan)で 構 成 される.SOAP の 構 成 は 思 考 スキームと 類 似 しているが,SOAP でいう A は 判 断 プロ セスであり, 思 考 スキームが 想 定 する 価 値 よりは 広 い 概 念 もしくは 価 値 を 含 まない 概 念 である( 図 2). 例 えば, 疲 れが 取 れていないようだ という A があるとしよう.これは S および O の 結 果 導 出 された 判 断 ( 結 果 )であるが,この 判 断 ( 結 果 )には, 価 値 を 含 んでいるとはいえない. A(Assessment)は 評 価 ( 判 断 )であり,S と O から 吟 味, 評 価 したもの( 診 断 や 治 療 経 過 に 関 する 結 論 )である と 日 野 原 ら(1980) は 述 べている.このように, 必 ずしも A に 判 断 の 価 値 ( 基 準 )の 記 入 を 求 めていない. 疲 れ は 解 消 す るべきもの という 認 知 構 造 があると 仮 定 すると,この 認 知 構 造 を 共 有 する 者 の 間 では 疲 れが 取 れていないようだ と いう A から, 休 息 を 取 りやすいように, 安 楽 な 姿 勢 にさせる という P が 導 き 出 される( 理 解 される)だろう. 疲 れは 解 消 すべきもの という 認 知 構 造 が 共 有 されていない 者 との 間 では,この P は 理 解 しにくいものとなる.このような 意 味 から,SOAP は 異 なる 価 値 の 者 と 思 考 を 共 有 する 際 にはギャップは 払 しょくさ 図 2:SOAP における 価 値 れないだろう. 3. 実 験 内 容 本 実 験 は 表 1 の 流 れで 進 めた. 表 1: 実 験 の 流 れ 作 業 プロセス 内 容 作 業 の 目 的 1 レクチャー 研 修 に 必 要 となる 事 前 知 識 の 講 義 (メタ 認 知 や 思 考 スキームなど) 2 動 画 視 聴 テーマとなる 場 面 の 動 画 を 視 聴 する. 被 験 者 が 経 験 してきた 暗 黙 的 知 識 を 想 起 してもらう. 3 思 考 スキームシート 記 入 動 画 場 面 について どのように 行 動 するか を 事 実, 価 値, 結 論 で 構 成 される 思 考 スキーム 短 冊 に 記 入 してもらう. 4 グループディスカッション 5~6 名 のディスカッショングループに 分 かれ, 自 らの 短 冊 内 容 を 発 表 し 合 い, 互 いの 思 考 を 共 有 する. 5 ギャップシート 記 入 認 識 した 互 いの 思 考 の 違 いを ギャップシート に 記 入 する.ギャ ップシートの 記 入 は 思 考 の 違 いを 峻 別 することに 目 的 があるのでは なく, 自 他 の 思 考 を 明 確 に 分 離 して 扱 えるように 意 識 させることに ある. 以 上 の 作 業 を 通 じて, 自 他 の 思 考 を 峻 別 し, 整 理 共 有 する. 6 フィードバック 被 験 者 全 員 は 各 自 の 思 考 スキームを 発 表 し,インストラクターは 分 析 とフィードバックを 行 う.フィードバックでは 推 奨 される 危 険 予 知 スキルや 関 連 知 識 をティーチングノートを 用 いて 教 授 する. 本 実 験 ではフィードバックプロセスにおいて 知 識 提 供 を 行 うためのティーチングノートを 開 発 し, 被 験 者 へレクチャーした.さらに, 本 実 験 では 以 下 の 点 を 可 能 とするよう, 実 験 設 計, 分 析 を 行 った. (1) 全 体 思 考 スキームの 共 有 ( 受 講 者 の 責 任 に 基 づいた 発 表 ) (2) 思 考 スキーム 各 要 素 の 分 類 (3)( 講 師 による) 思 考 スキームの 論 理 性 についてのコメント (4)( 講 師 による) 推 奨 思 考 スキームなどのコメント Ⅱ2-3

21 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 4. 実 験 報 告 実 験 は 2013 年 10 月 6 日 および 11 月 9 日 に 株 式 会 社 メディカル プラネット, 千 葉 市 社 会 福 祉 協 議 会 の 協 力 の 下, 介 護 職 と 看 護 職 向 け 危 険 予 知 研 修 として 実 施 した. 被 験 者 は 各 回 30 人 ( 介 護 職 15 人, 看 護 職 15 人 ) である. 事 例 動 画 は 多 人 数 の 利 用 者 がいる 場 所 での 吐 しゃ を 用 いた. 今 回 の 実 験 では,フィードバックで 知 識 提 供 および 推 奨 される 思 考 スキームを 解 説 したティーチングノー トを 用 意 した. 本 論 文 では, 教 育 方 法 論 を 最 適 化 した 実 験 (11 月 9 日 に 千 葉 市 社 会 福 祉 協 議 会 の 協 力 の 下 実 施 分 )の 実 験 結 果 を 対 象 として 分 析 する. 図 4: 全 員 で 共 有 した 思 考 スキームのプロット (2013 年 11 月 9 日 の 実 験 被 験 者 が 全 体 発 表 した 思 考 スキーム) 思 考 スキームの 共 有 および 分 析 のフィードバックの 方 法 として, 本 実 験 では 全 体 の 思 考 スキームを 一 画 面 にプロットした.フィードバックにおいて, 被 験 者 全 員 が 1 人 1 つの 思 考 スキームを 発 表 してもらい,コメ ントする 際 に 被 験 者 に 示 したプロットが 図 4 である. 5. 結 果 5.1 研 修 としての 評 価 コメント 本 実 験 では 被 験 者 へのアンケート 実 施 が 難 しかったため, 研 修 中 および 研 修 後 に 研 修 ( 実 験 )のマイナ ス 点 を 被 験 者 から 聴 取 した. 意 見 の 多 くはフィードバックについての 指 摘 で, 以 下 3 点 に 集 約 された. 全 体 で 共 有 した 思 考 スキームの 表 示 では, 理 解 が 難 しい 研 修 内 容 を, 今 後 の 業 務 にどう 生 かしたらいいのかがわからない どれがよい 思 考 スキームなのかわからない Ⅱ2-4

22 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 1 つは, 思 考 スキームを 一 括 してプロットする 方 法 についての 指 摘 であり,もう 1 つは 学 んだ 内 容 をどの ように 今 後 に 生 かすか,そして, 危 険 予 知 として よい 思 考 スキーム と 悪 い 思 考 スキーム を 明 確 にし てほしいというものだった. 後 半 2 点 は 研 修 中 に 聞 かれた 意 見 で, 研 修 後 には 聞 かれなかった. 5.2 回 収 データ 実 験 で 回 収 した 思 考 スキームは 表 2 の 通 りである. 表 2: 実 験 のデータ 看 護 職 介 護 職 被 験 者 数 ( 有 効 ) 14 名 被 験 者 数 ( 有 効 ) 15 名 思 考 スキーム 回 収 数 57 件 思 考 スキーム 回 収 数 65 件 1 人 当 たりの 記 述 思 考 スキーム 数 4.07 件 1 人 当 たり 記 述 思 考 スキーム 数 4.33 件 6. 分 析 5.1.で 述 べたように, 被 験 者 からの 評 価 コメントの 中 で,フィードバックの 方 法 について 改 善 が 必 要 という 指 摘 があった.フィードバックの 際 に 思 考 スキーム 全 体 の 傾 向 を 把 握 する 方 法 を 探 索 することが 分 析 の 目 的 である. まずは 回 収 した 思 考 スキームすべてを 手 作 業 で 検 討 し,3 要 素 それぞれについて 典 型 的 な 記 述 を 抽 出 した. それを 基 にして, 事 実, 根 拠 ( 価 値 ), 行 動 ( 結 論 )それぞれについてフォーカスする 点 を 設 定 した. 事 実 については, 嘔 吐 行 為 自 体, 吐 物, 利 用 者 の 状 況, 時 間 的 経 過 であった. 根 拠 では, 感 染, 安 楽, 疾 患 特 定, 追 加 的 嘔 吐,いつもと 違 うことであった. 行 動 については, 嘔 吐 ( 行 為 )への 対 応, 事 務 業 務 連 絡, 観 察, 利 用 者 確 認, 移 動, 他 者 確 認, 吐 物 処 理, 安 静 であった.これらのフォーカスに 基 づいて, 思 考 スキームの コーディングを 行 った. 思 考 スキームの 記 述 によっては 1 つの 要 素 に 複 数 のコードを 付 与 した. (1) 事 実 フォーカス 定 義 事 実 着 眼 点 嘔 吐 行 為 中 心 的 な 着 眼 として 嘔 吐 行 為 という 事 象 に 着 目 した 記 述 吐 物 中 心 的 な 着 眼 として 吐 物 に 着 目 した 記 述 吐 物 嘔 吐 嘔 吐 行 為 と 吐 しゃ 物 の 双 方 について 着 目 した 記 述 利 用 者 中 心 的 な 着 眼 として, 嘔 吐 者 本 人, 他 の 利 用 者 を 含 め, 利 用 者 の 状 態 に 着 目 した 記 述 事 後 事 前 嘔 吐 時 点 の 前 か 後 の 状 態 に 着 目 した 記 述 (2) 根 拠 フォーカス 感 染 根 拠 安 楽 根 拠 疾 患 根 拠 嘔 吐 根 拠 異 常 根 拠 (3) 行 動 フォーカス 嘔 吐 対 応 事 務 業 務 観 察 利 用 者 確 認 移 動 他 者 確 認 吐 物 処 理 安 静 定 義 嘔 吐 の 原 因 として 感 染 性 の 疾 病 を 疑 い, 感 染 防 止 を 根 拠 にした 記 述 嘔 吐 者 本 人 のみならず, 他 の 利 用 者 も 含 め, 利 用 者 の 安 楽 の 確 保 と 不 安 の 除 去 を 根 拠 にした 記 述 嘔 吐 の 原 因 疾 患 を 特 定 すること( 特 定 できないこと)を 根 拠 にした 記 述 嘔 吐 行 為 自 体,もしくは 追 加 的 な 嘔 吐 を 根 拠 にした 記 述 日 ごろの 状 態 との 違 いを 根 拠 にした 記 述 定 義 嘔 吐 者 本 人 への 対 応,もしくは 追 加 的 嘔 吐 への 対 応 を 行 動 するとした 記 述 他 のスタッフへの 連 絡 や 病 院 への 連 絡 など, 業 務 上 の 行 動 の 記 述 嘔 吐 者 本 人 の 経 過 観 察, 他 の 利 用 者 の 観 察, 室 内 や 全 体 的 な 状 態 を 観 察 す るという 記 述 嘔 吐 者 本 人 の 気 分 や 状 態 の 確 認,さらにケアを 行 うという 記 述 嘔 吐 者 本 人,もしくは 他 の 利 用 者,その 両 方 を 別 の 場 所 に 移 動 させるとい う 記 述 嘔 吐 者 以 外 の 利 用 者 について 気 分 や 状 態 を 確 認,さらにケアを 行 うという 記 述 吐 しゃ 物 を 処 理 するという 記 述 嘔 吐 者 本 人, 他 の 利 用 者 の 安 楽 の 確 保, 不 安 の 除 去 を 行 うという 記 述 Ⅱ2-5

23 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 6.1 事 実 要 素 の 分 析 事 実 については, 両 職 とも 利 用 者 への 着 目 が 最 も 多 い( 図 5). 次 いで, 嘔 吐 行 為 への 着 目 がある.また, 事 前 事 後 の 視 点 でいえば, 両 職 ともに 嘔 吐 後 の 視 点 が 多 いが, 事 前 の 視 点 も 3 割 ほどあった( 図 6). 事 実 の 認 知 について 両 職 でどのような 傾 向 があるか, 数 量 化 III 類 とクラスター 分 析 を 行 った( 図 7). 両 職 ともに 嘔 吐 行 為 と 事 前 事 後 の 距 離 が 近 い. 介 護 職 は 次 いで 吐 物 嘔 吐 行 為 と 利 用 者 着 目 が 近 い 一 方, 看 護 職 は 吐 物 と 吐 物 嘔 吐 行 為 が 近 い 傾 向 にある. ( 介 護 職 :n=67, 看 護 職 :n=77) ( 介 護 職 :n=65, 看 護 職 :n=57) 図 5: 事 実 の 着 眼 点 図 6: 事 前 事 後 の 着 眼 図 7: 事 実 の 数 量 化 III 類,クラスター 分 析 (ウォード 法 ) 6.2 行 動 要 素 の 分 析 行 動 の 認 知 の 度 数 分 布 ( 図 8)は, 嘔 吐 者 本 人 の 状 態 確 認 が 最 も 多 い. 看 護 職 では 次 いで 吐 物 処 理 が 多 い. 一 方, 介 護 職 は 観 察 や 利 用 者 移 動 が 多 くなっている. 行 動 の 認 知 のクラスター 分 析 ( 図 9)では, 介 護 職 は 事 務 と 安 静 が 最 も 近 い 関 係 にあり, 看 護 職 では 事 務 と 移 動 が 近 い 距 離 にある. 介 護 職 は 次 いで 利 用 者 確 認, 他 者 確 認 が 近 い. Ⅱ2-6

24 知 識 共 創 第 4 号 (2014) ( 介 護 職 :n=90, 看 護 職 :n=80) 図 8: 行 動 の 度 数 分 布 図 9: 行 動 の 数 量 化 III 類,クラスター 分 析 (ウォード 法 ) 6.3 根 拠 要 素 の 分 析 根 拠 の 記 述 についても, 量 的 には 両 職 での 大 きな 差 異 はないといえる.ただし, 疾 患 を 特 定 すること,ま たはそれをめざすことを 根 拠 とした 記 述 は 看 護 職 よりは 介 護 職 に 多 いこと,さらに, 感 染 予 防 を 根 拠 とした のは 介 護 職 に 多 いことが 指 摘 できる( 図 10). 根 拠 の 認 知 のクラスター 分 析 ( 図 11)によれば, 両 職 とも 安 楽 と 嘔 吐 が 最 も 近 い 距 離 にある. 介 護 職 では 疾 患 根 拠 と 異 常 根 拠 が 次 いで 近 い 距 離 にあるが, 看 護 職 では 疾 患 と 異 常 根 拠 は 遠 い 距 離 にある. Ⅱ2-7

25 知 識 共 創 第 4 号 (2014) ( 介 護 職 :n=72, 看 護 職 :n=60) 図 10: 根 拠 の 度 数 分 布 図 11: 根 拠 の 数 量 化 III 類,クラスター 分 析 (ウォード 法 ) 6.4 思 考 スキーム 内 要 素 関 係 性 の 分 析 思 考 スキームを 構 成 する 3 要 素 ( 事 実, 根 拠, 行 動 ) 内 の 関 係 について 数 量 化 III 類 ( 図 12),クラスタ ー 分 析 ( 図 13,14)を 行 った. 図 13 の 結 果 から, 看 護 職 の 典 型 的 な 思 考 スキームがいくつか 見 出 された.3 要 素 ( 事 実 + 根 拠 + 行 動 )が 含 まれるものとして, 利 用 者 着 目 + 疾 患 根 拠 + 利 用 者 確 認 ( 図 13 中 のア)と 吐 物 嘔 吐 + 感 染 根 拠 + 吐 物 処 理 ( 図 13 中 のイ)がある.これらは 論 理 的 にも 妥 当 なものである. 他 にも, 思 考 スキームの 部 分 が 論 理 的 に 示 されているものがある. 例 えば, 嘔 吐 根 拠 + 嘔 吐 対 応 ( 根 拠 と 行 動 の 組 合 せ) や 利 用 者 着 目 + 異 常 根 拠 ( 事 実 と 根 拠 の 組 合 せ) である.また, 看 護 職 のデンドログラムでは 比 較 的 近 い 距 離 の 関 係 が 多 いといえる. 図 14 の 介 護 職 のデンドログラムでは, 嘔 吐 行 為, 事 前 事 後 という 事 実 同 士 の 要 素 が 最 も 近 い 距 離 にあり, 次 いで 感 染 根 拠 と 移 動 という 根 拠 と 行 動 の 要 素 が 近 い 関 係 にある. Ⅱ2-8

26 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 12: 事 実 根 拠 行 動 の 数 量 化 III 類 ア イ 図 13: 看 護 職 の 思 考 スキームのクラスター(ウォード 法 ) 図 14: 介 護 職 の 思 考 スキームのクラスター(ウォード 法 ) 同 じ 根 拠 であっても 両 職 で 行 動 が 異 なるものも 多 い. 例 えば, 感 染 根 拠 の 場 合, 看 護 職 は 吐 物 処 理 を 行 動 に 挙 げるが, 介 護 職 は 移 動 を 挙 げている. 同 じように, 事 実 が 吐 物 であっても, 看 護 職 は 観 察 を 行 動 に 挙 げ るが, 介 護 職 は 吐 物 処 理 を 挙 げた. 両 職 で 共 通 の 思 考 スキームも 把 握 できた. 例 えば, 疾 患 根 拠 の 場 合, 両 職 ともに 利 用 者 確 認 という 行 動 を Ⅱ2-9

27 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 挙 げた. 事 実, 根 拠, 行 動 すべてがそろった 構 成 があったのは, 看 護 職 の 思 考 スキームで 2 つ 見 出 せた. 一 方, 介 護 職 は 部 分 的 な 構 成 や 根 拠 を 欠 いた 構 成 が 主 であった.また, 介 護 職 の 思 考 スキームは 看 護 職 に 比 べクラス ター 分 析 で 遠 い 距 離 になる 傾 向 にあった. このような 違 いは SOAP に 親 近 感 がある 看 護 職 の 方 が 思 考 スキーム 記 法 に 馴 染 みやすかったということが 影 響 を 与 えたのかもしれない.また, 介 護 職 の 教 育 ( 入 職 ) 体 系 は 看 護 職 の 教 育 体 系 に 比 べ 多 様 性 があり, スキルが 均 質 でないこと, 看 護 職 の 方 が 概 念 の 言 語 化 共 通 化 が 進 んでいることが 思 考 スキームの 表 出 に 影 響 を 与 えたものと 考 えられる. ただし, 看 護 職 と 介 護 職 で 思 考 スキームの 要 素 の 想 起 に 大 きな 差 異 はないと 考 えられ, 両 職 の 違 いは 思 考 スキーム 要 素 間 の 関 連 性 の 想 起 にあるといっていいだろう. 7. 示 唆 5.1.で 述 べた, 被 験 者 の 意 見 にあったように, 被 験 者 が 各 自 1 つ 思 考 スキームを 発 表 し, 一 括 プロットする 方 法 では, 教 育 するポイントの 指 摘 が 難 しい 上, 被 験 者 がそのプロットをどのように 理 解 してよいのかがわ からず, 理 解 度 が 低 くなるという 問 題 点 があった. 本 研 究 で 行 った 思 考 スキームの 分 析 では, 探 索 的 に 思 考 スキームの 傾 向 を 把 握 できた.このように 思 考 ス キームを 被 験 者 からすべてテキストデータで 回 収 でき,その 場 で 分 析 できれば, 講 師 は 被 験 者 と 思 考 スキー ムの 共 有 とコメント, 知 識 提 供 など 効 果 的 に 行 えるだろう. 特 に,これまでのトレーニング 実 施 要 領 では 講 師 が 典 型 的 な 思 考 スキームを 把 握 するのが 難 しく,コメントや 評 価 に 困 難 な 点 があった.ある 程 度 のデータ 化 と 指 標 化 が 可 能 になれば,フィードバックの 教 育 効 果 は 高 まると 思 われる. 8. 展 開 今 回 の 研 究 のように, 被 験 者 の 思 考 スキームをすべてテキストデータで 回 収 し,フォーカスに 基 づいたコ ーディング,クラスター 分 析 などの 前 処 理 を 行 った 上 でフィードバックをその 場 で 行 うことが 望 ましい.し かし, 現 状 の 医 療 介 護 連 携 危 険 予 知 トレーニングの 実 施 要 領 で 採 用 しているシート 記 入 などの 方 法 では 対 応 できない. 解 決 策 として 2 つの 方 向 性 がある.1 つは, 被 験 者 がデバイスなどを 利 用 して 思 考 スキームを 入 力 する 環 境 を 開 発 することである.すべての 思 考 スキームをテキストデータで 回 収 することで,クラスター 分 析 の 処 理 も 半 自 動 的 に 実 施 可 能 となる.もう 1 つは, 付 箋 などに 思 考 スキームを 記 入 してもらい,フォー カスの 枠 組 みで 付 箋 を 模 造 紙 などにプロットし,フィードバックする 方 法 である.これであれば, 電 子 機 器 などの 支 援 を 受 けずに 現 状 の 実 施 要 領 でフィードバックを 行 える. 今 後,フィードバックおよびプロットの 方 法 を 開 発 するとともに, 思 考 スキームの 表 出 支 援 の 開 発 を 進 め, 異 なる 認 知 構 造 を 持 つ 者 の 間 で 知 識 共 創 を 促 す 環 境 の 開 発 を 進 めたい. 参 考 文 献 Kockelmans, J.J.(1979) Why interdisciplinarity. In J. J. Kockelmans (Ed.), Interdisciplinarity and higher education (pp ). University Park and London: The Pennsylvania State University Press. 日 野 原 重 明, 岩 井 郁 子, 片 田 範 子, 林 茂, 季 羽 倭 文 子 (1980) POS の 基 礎 と 実 践 : 看 護 記 録 の 刷 新 をめざして 医 学 書 院 神 山 資 将, 佐 々 木 由 惠 (2011) 医 療 的 ケアにおける 介 護 職 の 不 安 と 葛 藤 に 対 する 一 考 察 : 高 齢 者 ケア 施 設 における 医 療 的 ケアの 実 態 および 不 安 葛 藤 に 関 する 調 査 から 第 19 回 日 本 介 護 福 祉 学 会 大 会 自 由 研 究 口 頭 発 表,2011( 平 成 23) 年 9 月 4 日 ( 大 妻 女 子 大 学 ) 神 山 資 将, 佐 々 木 由 惠 (2013) KBM に 基 づいた, 医 療 介 護 職 間 の 危 険 予 知 トレーニング 知 識 共 創, 第 3 号 アレン F.レプコ( 著 ), 光 藤 宏 行, 大 沼 夏 子, 阿 部 宏 美, 金 子 研 太, 石 川 勝 彦 ( 訳 )(2013) 学 際 研 究 :プロセス と 理 論 九 州 大 学 出 版 会 佐 々 木 由 惠, 神 山 資 将 (2014) 思 考 スキームに 基 づいた 医 療 介 護 職 間 の 危 険 予 知 トレーニング 臨 床 老 年 看 護 日 総 研 出 版,2014 年 1 月 2 月 号,pp 連 絡 先 住 所 : 東 京 都 千 代 田 区 鍛 冶 町 一 般 社 団 法 人 知 識 環 境 研 究 会 名 前 : 神 山 資 将 Ⅱ2-10

28 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォームの 開 発 における 専 門 家 の 役 割 The Role of Experts in Developing Platforms for Community Knowledge Management 敷 田 麻 実 1), 梅 本 勝 博 2) SHIKIDA Asami 1), UMEMOTO Katuhiro 2) 1), 2) 1) 北 海 道 大 学 観 光 学 高 等 研 究 センター, 2) 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 知 識 科 学 研 究 科 1) Hokkaido University Center for Advanced Tourism Studies, 2) Japan Advanced Institute of Science and Technology 要 約 人 口 減 少 と 高 齢 化 で 衰 退 しつつある 地 域 では, 地 域 開 発 のための 地 域 づくりではなく, 地 域 の 多 様 な 課 題 解 決 のための 地 域 づくりが 積 極 的 に 推 進 されている.また 従 来, 地 域 課 題 を 解 決 する 能 力 が 不 足 する 地 域 のために, 専 門 家 が 地 域 づくりを 支 援 することも 多 かった.しかし, 地 域 づくりが 地 域 開 発 から 地 域 再 生 に 変 化 してきたことで, 専 門 家 による 個 人 的 な 知 識 や 技 能 の 支 援 から, 効 果 的 地 域 づく りのための 地 域 側 の 能 力 向 上 が 必 要 とされている.また, 従 来 の 地 域 共 同 体 に 依 拠 した 地 域 づくりから, プラットフォームを 活 用 したチームによる 地 域 づくりや, 地 域 マネジメント 型 地 域 づくりへの 移 行 も 見 られる.そのために, 専 門 家 や 地 域 が 地 域 づくりに 関 する 社 会 的 ナレッジマネジメントを 必 要 とするよ うになってきた.そこでこの 研 究 では, 専 門 家 の 役 割 を, 地 域 づくりのナレッジマネジメントの 推 進 と 知 識 創 造 としたうえで,それを 実 現 するプラットフォーム 構 築 と 専 門 家 の 役 割 について 考 察 し, 地 域 ナ レッジマネジメント プラットフォームを 担 う 専 門 家 の 機 能 と 特 性 について 提 案 した. キーワード 地 域 マネジメント, 地 域 ナレッジマネジメント,プラットフォーム, 専 門 家 1.はじめに 都 市 への 人 口 移 動 や 少 子 化 による 人 口 減 少,グローバリゼーションや 大 都 市 経 済 の 拡 大 による 地 域 経 済 の 縮 小 によって, 国 内 の 地 方 の 地 域 1) では 地 域 社 会 の 衰 退 が 起 きている.また 都 市 部 でも, 郊 外 と 言 われる 都 市 周 辺 部 や 地 方 都 市 では 人 口 減 少 が 続 き( 矢 作,2009), 国 土 の52%を 占 める 過 疎 地 に 比 較 すればまだ 深 刻 な 状 況 ではないが, 都 市 部 でも 進 行 する 高 齢 化 の 影 響 で, 地 域 の 維 持 そのものが 地 域 課 題 となっている. このような 地 域 課 題 に 対 しては, 都 道 府 県 や 国 主 導 の 政 策 と 支 援 の 下 で, 市 町 村 などの 基 礎 自 治 体 が 専 ら 対 応 してきた.そして,1980 年 代 の 地 域 振 興 から,1990 年 代 以 降 の 地 域 活 性 化,さらに 2000 年 代 以 降 の 地 域 再 生 と, 呼 び 方 は 変 化 したが, 課 題 解 決 のために 各 自 治 体 は 対 策 を 講 じて きた.また, 特 定 非 営 利 活 動 推 進 法,いわゆる NPO 法 が 施 行 された 1999 年 以 降 は, 自 治 体 の 動 きと 並 行 して, 住 民 主 体 の 活 動 としての 地 域 づくり 2) や まちづくり 3) が 各 地 で 進 められてきた. 地 域 づ くりに 関 する 図 書 の 出 版 が 1990 年 代 以 降 に 増 加 してきたことからも, 近 年 の 地 域 づくりの 拡 大 がわか る( 小 田 切,2013). 現 在 の 地 域 づくりは, 地 域 の 経 済 的 な 活 性 化 を 目 的 として, 各 自 治 体 が 1990 年 頃 まで 行 ってきた 地 域 振 興 とは 異 なる.それは, 望 ましい 地 域 社 会 の 実 現 を 目 指 して 地 域 課 題 を 解 決 するための,いわば 社 会 的 な 活 動 として 行 われている.さらに, 自 治 体 職 員 やコンサルタント,また 大 学 の 研 究 者 などが 仕 事 として 専 ら 行 ってきた 地 域 づくりに, 地 域 住 民 など, 自 治 体 関 係 者 以 外 の 参 加 が 増 加 した.1990 年 代 以 降, 情 報 公 開 制 度 の 整 備 や 住 民 参 加 条 例 の 制 定 などが 進 み, 地 域 づくりへの 参 加 機 会 が 増 加 した ことを 坪 郷 ほか(2006)が 指 摘 している. そして, 地 域 づくり 活 動 の 拡 大 によって, 参 加 者 である 住 民 の 専 門 家 化 が 進 み 始 め, 地 域 づく り 専 門 家 4) と 呼 べる 存 在 も 生 まれている. 例 えば, 兵 庫 県 豊 岡 市 のコウノトリによる 地 域 づくりでは 5), そのテーマに 詳 しい 地 域 住 民 が 専 門 家 になっている 6).このように, 自 治 体 職 員 やコンサルタント, 大 学 の 研 究 者 などが 主 だった 地 域 づくり 専 門 家 が 多 様 化 した. 齋 藤 ほか(2011)はこうした 存 在 を 地 域 公 共 人 材 だと 説 明 している. 同 時 に,NPO 法 による 法 人 化 が 可 能 になったこともあり, 組 織 を 基 盤 とした 活 動 が 増 加 した.また キ ーパーソン と 呼 ばれる 地 域 づくりを 主 体 的 に 推 進 する 存 在 に 期 待 する 主 張 もあり, 地 域 づくり 組 織 を Ⅱ3-1

29 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 主 導 する リーダー の 存 在 が 重 視 されるようになった( 藤 澤,2003).ただし, 地 域 づくりの 目 的 が 地 域 振 興 から 地 域 維 持 に 移 行 する 中 で, 地 域 を 牽 引 するリーダーではなく, 個 人 のエンパワーメントや 地 域 のケーパビリティの 向 上 を 実 現 するリーダーに 期 待 が 高 まっている( 森 山 (2005)など).つまり, 強 いリーダー ではなく, 地 域 づくり 活 動 をマネジメントするリーダーが 期 待 されている. また, 地 域 内 の 人 と 人, 人 と 組 織 間 の 結 びつき も 変 化 し, 地 縁 や 血 縁 による 従 来 の 共 同 体 の 解 体 が 指 摘 されるようになった( 鈴 木 電 通 消 費 者 研 究 センター(2007)ほか 多 数 ).そしてアクター 同 士 の 従 来 の 結 びつきから,ソーシャルネットワークサービスなどの,インターネットを 介 した 現 代 的 ネッ トワークが 地 域 づくりでも 活 用 されている.それは, 従 来 の 地 域 づくり 組 織 やリーダーのあり 方 を 見 直 すことにもつながった.そして, 強 固 な 組 織 を 形 成 して 誰 かが 中 心 になる 地 域 づくりではなく,アクタ ーが 自 由 につながり 活 動 を 進 める, プラットフォーム 型 地 域 づくり 7) が 注 目 され 始 めている. 以 上 のように, 地 域 づくりの 形 態 が 変 化 するに 従 い, 地 域 づくりに 関 与 する 専 門 家 やリーダー,キー パーソンの 役 割 に 変 化 が 見 られるようになった.それは, 多 様 な 関 係 者 の 参 加 を 促 進 しながら, 地 域 づ くり 活 動 を 効 果 的 に 推 進 するために 組 織 を 有 効 活 用 する 従 来 の 地 域 振 興 型 から, 地 域 マネジメント 型 8) の 地 域 づくりへの 移 行 の 結 果 であった.そのため,リーダーやキーパーソンも 含 め, 地 域 づくりに 有 効 な 知 識 の 創 造 や 専 門 的 知 識 の 効 果 的 活 用,つまり 地 域 における ナレッジマネジメント が 専 門 家 にと って 重 要 になってきている. しかし,こうした 新 たな 専 門 家 像 についての 考 察 はほとんどない. 川 原 (2011)による, 地 域 づく り 専 門 家 の 職 能 拡 大 の 指 摘, 敷 田 (2010)の 地 域 づくりにおける 専 門 家 にかんする 研 究 などの 考 察 は 見 られるが,まだ 個 人 としての 専 門 家 の 資 質 やふるまいを 議 論 したものにとどまっている. そこで 本 研 究 では, 後 述 するように, 地 域 ナレッジマネジメントを 推 進 するための 地 域 づくり 専 門 家 の 役 割 を, 地 域 づくりにおける 知 識 提 供 からプラットフォームによる 社 会 的 な 知 識 創 造 としたうえで, 専 門 家 個 人 の 知 識 を 直 接 活 用 して 地 域 づくりを 推 進 するのではなく, 組 織 的 な 知 識 活 用 を 基 盤 とした 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォーム を 構 築 する 役 割 を 果 たす 可 能 性 について 考 察 する. なお, 本 研 究 で 言 及 する 専 門 家 とは,ある 分 野 で 卓 越 した 知 識 や 技 術 技 能 を 持 ち( 場 合 によっ てはそれらを 総 合 化 体 系 化 し),それを 表 現 することができる 存 在 を 指 す 9).また 専 門 家 に 言 及 する 場 合, 研 究 者 と 専 門 家 が 混 用 されることも 多 い(チェンバース (2000)などでも 見 られる)ため, 本 研 究 では, 研 究 者 10) は 大 学 や 研 究 機 関 の 職 業 的 研 究 者 のような 科 学 研 究 に 従 事 する 者 を 指 し, 専 門 家 は 研 究 者 を 含 めたより 広 い 概 念 であると 整 理 した 11). また 本 研 究 では 地 域 を, 一 定 の 地 理 的 広 がりを 持 つ 土 地 や 空 間 と,そこに 居 住 滞 在 する 地 域 住 民 の 総 体 だとして 使 用 した 12).これは 社 会 学 で 用 いられる 地 域 社 会 や 地 域 コミュニティ とほぼ 同 じ 意 味 である.さらに 地 域 づくり とは, 地 域 関 係 者 が 望 ましいと 思 う 地 域 の 状 態 を 実 現 するため に, 行 政 だけでなく, 地 域 住 民 や NPO 企 業 など 多 様 な 地 域 内 外 の 関 係 者 が 主 体 的 に 参 加 して 問 題 を 解 決 するプロセスであるとした. 2. 地 域 づくりにおける 専 門 家 の 背 景 条 件 の 分 析 2.1 地 域 づくりにおける 知 識 と 専 門 家 地 域 づくりの 専 門 家 について 言 及 した 坂 井 (2011)は, 専 門 的 技 術 を 地 域 づくり 活 動 に 提 供 するのが 専 門 家 だと 述 べているが, 専 門 家 がコーディネートやファシリテーターなどの 職 務 も 担 っていると 述 べて いる. 確 かに, 延 藤 (2013)が 指 摘 するように, コミュニティデザイン が 地 域 づくりで 普 及 し 13), 人 のつながり や 関 わりを 促 進 する 専 門 家 への 期 待 も 増 加 した. また, 敷 田 (2010)が 指 摘 するように, 地 域 づくり 現 場 では 住 民 ら 関 係 者 の 理 解 を 得 るために, 大 学 の 地 域 づくり 研 究 者 や 都 市 計 画 関 係 者 を 含 む, 前 述 した 地 域 づくり 専 門 家 が 必 要 とされてきた 14). 地 域 で 不 足 しているまちづくりに 関 する 専 門 知 識 や 技 能 を 地 域 側 が 必 要 とするからである. しかし 近 年 は, 専 門 知 識 や 技 能 を 持 つだけではなく, コーディネーター ができる 地 域 づくり 専 門 家 が 求 められ 始 めている. 従 来 の 知 識, 特 に 体 系 化 された 形 式 知 15) を 豊 富 に 持 つだけでは, 多 様 な 解 が 存 在 する 地 域 づくりを 推 進 できないからである.また, 特 定 の 専 門 家 の 持 つ 知 識 だけでは, 多 様 な 地 域 課 題 に 応 えられないからでもある. さらに, 専 門 家 の 持 つ 知 識 とは 別 に, 地 域 側 が 持 つ 知 識 や 技 能 が 再 評 価 されている. 開 発 協 力 分 野 16) では, 派 遣 される 専 門 家 の 知 識 が 途 上 国 の 人 々の 知 識 より 優 れているという 保 証 はないと 斉 藤 (2002)が 主 張 している.ポラニー(2002)や 野 中 (2000)が 指 摘 したように, 土 着 の 知 は 重 要 であり,むしろ 専 Ⅱ3-2

30 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 門 家 の 持 つ 知 識 と 土 着 の 知 識 の 融 合 が 重 視 されている.こうした 地 域 づくり 現 場 の 知 は, 中 村 (1992)が 述 べている 臨 床 の 知 だと 考 えられ, 専 門 家 が 持 つ 体 系 的 な 知 とは 別 に 評 価 する 必 要 がある. 以 上 のように, 地 域 づくりにおいて 専 門 家 の 持 つ 専 門 的 知 識 や 技 能 だけが, 地 域 づくりに 有 効 なので はなく,むしろ 専 門 家 が 知 識 についての 認 識 を 明 確 にしたうえで, 知 識 の 有 効 活 用 のための マネジャ ー になることが 地 域 づくりでは 重 要 である. 2.2 地 域 づくりの 科 学 的 アプローチの 重 要 性 と 限 界 地 域 課 題 の 総 合 的 な 解 決 を 必 要 とする 地 域 づくりでは, 言 語 化 しにくい アートな 解 決 ( 辻,2006) への 理 解 は 重 要 だが, 一 方 で 直 感 だけで 地 域 づくりを 推 進 することは, 合 理 的 な 判 断 や 選 択 肢 を 提 示 する 専 門 家 の 役 割 の 否 定 でもある. 医 療 分 野 では 専 門 家 の 経 験 主 義 (Experience Based Medicine)や 主 張 主 義 (Opinion Based Medicine)が 批 判 されているが( 赤 津,2008), 地 域 づくりでも 同 様 なことが 指 摘 できる. また, 佐 々 木 (2004)は, 自 治 体 職 員 が 持 つ 専 門 知 が 実 際 には 現 場 の 執 務 知 識 であり, 専 門 知 識 と 認 めることができないと 指 摘 している. 日 々の 地 域 づくり 活 動 の 経 験 は 重 要 だが, 実 際 には 手 続 きに 関 する 暗 黙 知 の 習 得 が 多 い.それを 一 般 化 することができなければ, 地 域 づくりに 活 かすことは 難 し いと 考 えられる.そのため, 専 門 家 に 求 められるのは, 多 数 の 事 例 から 帰 納 的 に 法 則 性 や 規 則 性 を 推 論 する 科 学 的 なアプローチである. 地 域 づくりにおける 直 観 主 義 や 経 験 主 義 に 対 して 佐 藤 ほか(1999)は, 地 域 づくりには 科 学 的 な 分 析 と 目 標 設 定, 解 決 プロセスが 必 要 だと 述 べている.しかし, 医 療 分 野 で 1990 年 代 以 降 強 調 されている EBM(Evidence Based Medicine) 17) のような, 科 学 的 な 根 拠 に 基 づく 判 断 による 地 域 づくりへの 評 価 は 少 ない.その 理 由 として, 地 域 づくりにおいて 定 量 的 なデータの 蓄 積 が 少 ないこと, 地 域 づくりの 事 象 の 因 果 関 係 が 複 雑 で 分 析 しにくいことが 考 えられる.しかし, 地 域 づくりが 普 及 し 社 会 的 影 響 が 大 きい 現 在, 津 田 (2013)が 医 療 分 野 で 指 摘 しているような 疫 学 的 な 分 析 手 法 を 導 入 することは 地 域 づくりの 効 果 的 な 推 進 のために 重 要 である. その 一 方 で,こうした 科 学 性 の 追 求 は, 当 事 者 である 専 門 家 個 人 が, 自 らの 成 果 の 市 場 性 を 高 めにく いというジレンマを 生 ずる. 専 門 家 が 地 域 づくりで 科 学 的 な 分 析 や 評 価 を 試 みても,それがそのまま 市 場 価 値 を 持 つことは 少 ない. 科 学 的 な 分 析 よりも, 現 実 に 地 域 が 望 ましい 状 況 になることが 成 果 として 優 先 されるからである.それは, 科 学 的 成 果 は 芸 術 作 品 に 比 べ 市 場 での 交 換 価 値 が 低 いという 池 内 (2012)の 指 摘 と 一 致 する.つまり, 地 域 づくりを 科 学 として 捉 えて 推 進 することは, 専 門 家 にとっては 成 果 の 市 場 性 に 問 題 があると 考 えられる.しかし, 地 域 づくりをデザインプロセスとして 捉 え, 地 域 づ くりを 専 門 家 の 作 品 として 表 現 することができれば, 専 門 家 が 次 の 依 頼 を 得 るための 実 績 にもつな がる 18). 2.3 専 門 家 と 地 域 づくり 実 践 者 の 融 合 地 域 づくりにおける 専 門 家 についての 新 たな 提 案 として, 佐 藤 (2009)による レジデント 型 研 究 機 関 がある.レジデント 型 研 究 機 関 では, レジデント 型 研 究 員 が 地 域 に 定 住 したうえで, 研 究 しながら 地 域 関 係 者 と 協 働 して 地 域 づくりを 担 うことを 想 定 している.この 提 案 では, 専 門 家 による 地 域 への 知 識 伝 授 ではなく, 土 着 の 知 と 科 学 的 な 知 を 融 合 する 知 識 創 造 を 推 奨 している. もともと 地 域 には 特 定 のテーマを 持 った 研 究 指 向 のある 専 門 家 は 存 在 していた. 例 をあげれば, 在 野 のものづくり 実 践 者 や 発 明 家 であろう.こうした 人 々は, 広 い 意 味 で 専 門 家 だと 考 えることができる. しかし, 生 活 の 場 での 研 究 には 限 界 があり, 職 業 的 専 門 家 ( 研 究 者 )になることでステータスも 高 め, 雇 用 も 得 られる.つまり, 都 市 に 出 て 大 学 などで 研 究 に 専 念 する 方 が 研 究 者 として 有 利 である.そのため に 就 業 機 会 が 多 い 都 市 に 研 究 者 が 集 中 すると 考 えられる.つまりレジデント 型 研 究 員 とは,もともと 地 域 で 研 究 していた 研 究 者 が 専 業 化 して 地 域 にいなくなったので, 都 市 から 地 方 の 地 域 に 研 究 者 が 滞 在 し て 地 域 づくりを 支 援 すればよいという 提 案 である. しかし,レジデント 型 研 究 では, 外 部 者 である 専 門 家 がどこまで 関 わるのかという 地 域 づくりへの 関 与 の 正 当 性 の 問 題 を 考 慮 しなくてはならない. 専 門 家 の 信 念 や 理 想 実 現 が 地 域 づくりで 優 先 されれ ば, 地 域 の 主 体 性 は 無 視 されがちだからである.それを 防 ぐには, 地 域 で 活 動 するレジデント 型 研 究 員 が, 自 らの 専 門 性 の 限 界 を 克 服 するための 専 門 性 の 拡 大,つまり ゆるやかな 専 門 性 ( 敷 田,2010)を 持 つ 必 要 がある. 佐 久 間 (2011)も 地 域 づくりでは 自 らの 専 門 性 以 外 の 弱 い 専 門 性 が 必 要 だと 述 べて Ⅱ3-3

31 知 識 共 創 第 4 号 (2014) いる.それは, 専 門 家 は 変 化 せず, 地 域 側 だけが 変 化 する, 一 方 的 なキャパシティビルディングではな い, 協 働 で 地 域 づくりを 進 めるアプローチである. 佐 藤 (2009)は,レジデント 型 研 究 員 による 新 たな 知 識 創 造 を 推 奨 するが, 専 門 知 識 や 技 能 を 保 有 する ことに 立 脚 する 専 門 家 が 地 域 の 主 体 性 を 尊 重 しながら 知 識 創 造 を 進 めるには, 今 までの 地 域 づくりにお ける 専 門 家 の 役 割 を 変 更 しなければならないだろう.それは, 専 門 家 が 研 究 者 として 専 門 分 野 の 知 識 創 造 をするだけではなく, 知 識 創 造 プロセス 推 進 の 役 割 を 果 たすことである. 3. 地 域 プラットフォームを 構 築 する 専 門 家 の 提 案 3.1 地 域 づくりにおけるプラットフォームの 必 要 性 都 市 化 による 都 市 への 人 口 移 動 と 人 口 減 少 によって, 地 域 の 地 域 づくり 専 門 家 が 減 少 したため, 地 域 づくり 活 動 自 体 の 維 持 が 難 しくなっている.また 地 域 社 会 の 人 口 減 少 だけではなく, 高 度 経 済 成 長 期 以 降 の 社 会 変 化 も 影 響 している( 敷 田 ほか,2012). 特 に 大 都 市 圏 に 顕 著 な 傾 向 であるが, 地 方 でも 既 に 人 口 集 中 地 区 への 更 なる 人 口 集 中 によって 都 市 化 が 進 み, 地 域 共 同 体 が 弱 体 化 したために, 従 来 の 地 域 共 同 体 に 依 拠 した 地 域 づくりが 難 しくなっている. もちろん, 地 域 共 同 体 自 体 を 再 生 する 選 択 も 可 能 だが, 地 域 共 同 体 やそのソーシャルキャピタルに 依 拠 した コモンズ はもはや 維 持 できないと 湯 本 (2011)は 主 張 している. 鈴 木 電 通 消 費 者 研 究 セン ター(2007)も, 失 われた 共 同 体 に 対 する 郷 愁 が 理 由 の 再 生 には 無 理 があり, 共 同 体 ではなく 共 同 性 を 求 めるべきだと 主 張 している.そこで 地 域 おこし 協 力 隊 などの 地 域 外 からの 支 援 受 け 入 れが 進 め られている( 矢 崎 ほか,2012).また, 敷 田 (2009)も 地 域 づくりにおける よそ 者 の 役 割 を 評 価 し, 地 域 が 地 域 外 からの 支 援 者 を 主 体 的 に 活 用 する 重 要 性 を 強 調 している. 一 方,こうした 社 会 状 況 の 変 化 を 踏 まえ,プラットフォームのような 開 放 的 な 地 域 づくり への 希 求 もある.それは, 共 同 性 に 依 拠 した 共 同 体 主 体 の 地 域 づくりではなく, 地 域 内 外 のアクターの 関 係 性 が 適 度 で,かつ 地 域 外 からの 参 加 もできる 地 域 づくりである.そして, 今 までの 地 域 共 同 体 をベースに 考 えてきた 地 域 づくりではなく, 地 域 課 題 の 解 決 のために, 地 域 外 との 関 係 の 再 構 築 と 地 域 内 外 のアク ターが 自 由 に 参 加 するプラットフォーム 構 築 が 提 案 されている. 例 えば 内 田 (2011)は, 地 域 づくり 市 民 事 業 における 中 間 支 援 (インターメディエイション)の 仕 組 みと して ブースター 19) という 概 念 を 提 唱 し,アクター 同 士 のマッチングやプラットフォームの 形 成 が 支 援 であると 述 べている.さらに, 敷 田 ほか(2009)や 敷 田 ほか(2012)による 地 域 内 外 のアクターをつなぐ 中 間 システム の 提 案 もある. しかし,こうした 地 域 プラットフォームにおけるアクター, 特 に 従 来 の 専 門 家 がどのように 地 域 づく りに 貢 献 するかについてはあまり 考 察 されてこなかった. 確 かに 齋 藤 ほか(2011)による 地 域 公 共 人 材 の 提 案 もあるが,あくまで 専 門 家 個 人 の 役 割 で,チームや 組 織 としての 検 討 は 少 なかった. 田 中 (2010) は, 地 域 社 会 学 でコミュニティや 共 同 体 の 衰 退 を 盛 んに 議 論 してきたが, 新 たな 共 同 性 の 形 成 や 創 造 を 研 究 対 象 にしてこなかったと 批 判 している. そこで, 以 上 のような 指 摘 をもとに, 地 域 プラットフォームにおける 専 門 家 の 新 たな 役 割 を 次 に 検 討 したい. 特 に 専 門 家 個 人 の 能 力 ではなく, 専 門 家 が 地 域 プラットフォームで 専 門 知 識 依 存 からどのよう に 離 脱 できるかについて 言 及 する. 3.2 社 会 プラットフォームの 地 域 への 応 用 前 述 した 地 域 プラットフォームについての 早 い 時 期 の 先 行 研 究 としては, 丸 田 (2004)の 指 摘 がある. 丸 田 は,まとめ 役 としての 地 域 リーダーの 役 割 を 否 定 し, 調 査 した 地 域 活 動 の 事 例 に 共 通 していた 知 識 生 産 プラットフォーム を 提 案 している.また, 海 野 (2009)は マネジメントプラットフォーム で 地 域 づくりの 連 携 や 調 整 を 図 ることができると 主 張 している. 他 にも, 森 藤 ほか(2009)による 地 域 プ ラットフォーム の 提 案 があるが,この 場 合 には 地 域 の 情 報 基 盤 構 築 を 指 している. この プラットフォーム とは, 基 盤 や 土 台 を 指 す 言 葉 である. 浜 野 (2003)は,もともとハードウ エアの 意 味 で 使 われていたプラットフォームが, 情 報 通 信 技 術 の 発 達 で 特 定 の 内 容 を 形 にする 技 術 とい う 意 味 で 使 われるようになったと 述 べている.つまり,あるものを 組 み 立 てるためのプロトコルと,そ の 働 きの 総 称 がプラットフォームである. 末 松 (2002)は,よく 利 用 される 部 品 を プラットフォーム とし,それにモジュールを 加 えていく 製 造 方 式 をモジュール インターフェース 方 式 と 呼 んでいる. またビジネス 分 野 では, 複 数 のアクターで 業 務 を 担 ったり, 異 業 種 間 の 協 働 で 仕 事 を 進 めたりする 機 Ⅱ3-4

32 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 会 が 増 えたことで, 共 通 の 活 動 基 盤 であるプラットフォームが 必 要 になった 20). 國 領 (1999)は,プラ ットフォーム 方 式 が 一 般 化 したのは, 生 産 形 態 や 素 材, 必 要 な 知 識 が 多 様 になり, 個 人 では 対 応 できな くなったからだと 述 べている.プラットフォームという 共 通 基 盤 を 持 つことで, 多 様 な 部 品 を 体 系 的 に まとめていくことや, 組 み 合 わせの 自 由 を 活 かして 生 産 効 率 を 上 げることできる. 関 連 する 思 考 として, 部 品 をインターフェースでどのようにつなぐかという 設 計 思 想 に 従 って( 藤 本 2003),パーツであるモジュールを 組 み 合 わせて 完 成 させるアーキテクチャ 型 のプロジェクト 設 計 ( 例 えば 藤 本 ほか(2009) 参 照 )も 重 視 されている.こうしたプロトコルを 重 視 した 多 様 なアクターに よる 知 識 の 生 産 や, 価 値 創 造 を 目 指 す オープンソース の 考 え 方 も,Linux や Wikipedia として 実 現 している 21). 一 方, 齋 藤 村 上 (2004)が オープン ナレッジ プラットフォーム と 呼 ぶ 知 識 創 造 の 場 を 提 案 している. 知 識 創 造 やナレッジマネジメントを 提 唱 した 野 中 紺 野 (1999)は, 場 22) 自 体 をプラッ トフォーム( 基 盤 )と 呼 び,そこで 知 識 創 造 が 進 み, 新 たな 価 値 が 生 み 出 されると 述 べている. 國 領 (2004) は,プラットフォームとは 個 人 や 企 業 がネットワークで 価 値 を 生 み 出 す 場 であり,ネットワークから 生 ずる 外 部 性 を 内 部 化 する 場 であると 述 べている. また, 経 営 学 におけるこれまでの プラットフォーム 論 を 総 括 して 整 理 した 根 来 足 代 (2011)は, 地 域 づくりなどを 含 む 社 会 プラットフォーム 論 に 研 究 を 拡 張 すべきであると 主 張 している 23). 地 域 プラットフォームは, 社 会 プラットフォームのひとつだと 考 えられる.そこで, 地 域 におけるプラット フォームの 役 割 や 意 味, 効 果 について 議 論 する. 4. 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォームを 構 築 する 新 たな 専 門 家 の 提 案 以 上 で 整 理 してきたように, 地 域 づくりでは, 社 会 構 造 の 変 化 に 対 応 した 新 たな 仕 組 みを 必 要 として おり,その 中 核 は 中 間 システムやプラットフォームとして 議 論 されている.このようなオープンでかつ 一 定 の 結 びつきを 組 み 込 んだ 仕 組 みが 求 められている 現 在, 地 域 づくり 専 門 家 がこうした 仕 組 みにどう 関 わるかは 重 要 な 課 題 である.しかし 前 述 したように,プラットフォームのような 組 織 的 な 地 域 づくり に, 専 門 家 個 人 がどのような 役 割 を 果 たせるかについて 議 論 されることは 少 なかった.それは, 専 門 家 個 人 が 知 識 や 技 能 を 提 供 する 役 割 が 重 視 され, 専 門 家 がプラットフォームのような 仕 組 みを 構 築 するこ とを 十 分 考 察 しなかったからである.そこで, 専 門 家 が 地 域 づくりで 知 識 をマネジメントする 地 域 ナレ ッジマネジメント プラットフォームを 提 案 したい. もちろん 従 来 も, 地 域 づくりにおける 専 門 家 によるナレッジマネジメントについての 提 案 はあった. それは 専 門 家 による 知 識 や 技 能 をより 効 果 的 に 活 用 するために, 分 野 の 違 う 専 門 家 がチームで 地 域 づく りを 支 援 する 方 法 である. 多 様 な 知 識 の 活 用 を 進 めることができれば,この 方 法 は 効 果 的 である.しか し, 専 門 家 によるチームは,ともすれば 異 なる 専 門 知 識 を 持 つ 専 門 家 による 分 業 になりがちである. 専 門 性 を 重 視 するあまり 総 合 的 な 判 断 を 避 けて, 判 断 を 分 担 してしまう 問 題 点 が, 米 国 の 医 療 分 野 で 指 摘 されているが( 岩 田,2003), 同 様 のことは 地 域 づくりでも 起 こりうる.また 専 門 家 間 で 地 域 についての 情 報 が 共 有 されず, 地 域 についての 専 門 家 チームの 基 本 認 識 に 齟 齬 を 生 ずる 可 能 性 もある. 一 方, 地 域 ナレッジマネジメントでは, 専 門 家 は 自 らの 知 識 だけではなく, 地 域 にある 実 践 的 な 知 識 との 相 互 作 用 や 地 域 内 アクター 同 士 の 知 識 の 相 互 作 用 による, 地 域 課 題 の 解 決 のための 新 たな 知 識 創 造 を 支 援 する. 実 際 の 地 域 課 題 はよく 整 理 されたものではなく, 一 般 に 複 合 的 であり,また 個 別 解 決 が 不 可 能 なものが 多 い.また 地 域 課 題 は 状 況 によって 変 化 し,それに 対 応 して 柔 軟 に 課 題 を 解 決 することが 求 められる.つまり 特 定 の 地 域 課 題 の 解 決 ではなく, 連 続 して 地 域 課 題 を 解 決 する 仕 組 みを 構 築 できれ ば, 地 域 で 持 続 的 に 課 題 解 決 ができる.このような 連 続 性 を 実 現 するプロセスは, 藤 本 (2003)が 創 造 的 能 力 構 築 と 呼 んでおり,それを 地 域 づくりで 組 織 的 に 進 める 選 択 肢 がある. それは 地 域 づくり 専 門 家 の 特 定 の 専 門 性 に 依 存 した 知 識 創 造 ではなく,ナレッジマネジメント プラ ットフォームを 専 門 家 として 用 意 することで, 多 様 な 知 識 からの 知 識 創 造 を 進 める 選 択 である.その 場 合, 地 域 づくり 専 門 家 の 役 割 は, 従 来 の 直 接 的 な 地 域 課 題 解 決 から, 地 域 課 題 の 解 決 のための 基 盤 造 成 に 変 化 する. 地 域 再 生 プロセスを 観 察 した Krebs and Holley(2006)は,まず 特 定 の 課 題 や 専 門 についての 小 グル ープが 自 発 的 に 形 成 され, 次 にそのグループ 同 士 が 地 域 で 結 びつくと 主 張 している.そこで, 専 門 家 が 知 識 創 造 のための 小 グループの 形 成 をまず 主 導 し, 形 成 された 小 グループ 間 を 接 続 する 役 割 を 負 う.つ まりプラットフォームの 開 設 者 として, 自 発 的 専 門 家 グループの 発 生 を 促 進 し,さらに 各 グループをネ Ⅱ3-5

33 知 識 共 創 第 4 号 (2014) ットワークするのが 専 門 家 の 新 たな 役 割 である.そして, 地 域 づくり 専 門 家 が 各 リーダーの ファシリ テーション を 担 うことで, 知 識 創 造 プロセスを 刺 激 できる.それは,ある 地 域 課 題 の 解 決 のために 異 なる 性 質 の 活 動 をつなぐ 専 門 家 であり, 通 訳 型 リーダー (ゾッリ ヒーリー,2013)だと 考 えるこ とができる. こうした 多 様 な 参 加 者 による 新 たな 知 識 創 造 は, 集 合 知 による 課 題 解 決 として 提 案 されている( 石 川,2011). 一 般 に 集 合 知 とは, 多 数 の 多 様 な 意 見 の 集 約 のように 考 えられているが, 西 垣 (2008)は, 個 人 の 経 験 に 基 づくミクロレベルの 知 と 専 門 家 によるマクロレベルの 知 の 中 間 に 集 合 知 が 位 置 づけら れると 述 べている. 地 域 づくりでは, 前 者 は 地 域 の 実 践 者 の 知 であり, 後 者 は 外 部 の 専 門 家 の 知 だと 考 えられる. 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォームは,このような 性 質 の 異 なる 知 識 の 相 互 作 用 を 誘 発 する 場 である. この 集 合 知 の 形 成 は, 多 数 の 参 加 者 による 人 気 投 票 のような 決 定 方 法 だと 思 われがちだが, 西 垣 (2013)は 一 度 の 投 票 で 決 めるのではなく, 参 加 するアクターの 議 論 を 通 して 決 定 すべきだとしている. また 集 合 知 では, 知 識 体 系 が 形 成 されるまでのプロセスがより 重 要 だとしている. 地 域 づくりでも, 多 様 なアクターで 構 成 される 複 数 のグループで 議 論 した 結 果 を 比 較 して 対 応 を 決 めることができれば 効 果 的 だと 考 えられる. その 際 に 専 門 家 の 果 たす 役 割 は, 専 門 知 の 提 供 ではなく,また 専 門 知 を 活 用 した 知 識 創 造 でもない, 集 合 知 形 成 のためのオープンプラットフォームの 開 設 者 となることである.それは,Horlings(2012)が 述 べる vital space for action であり,またConger and Pearce(2003)が 主 張 するshared leadership でもある. 最 後 に, 地 域 づくり 専 門 家 が 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォームを 構 築 する 理 由 を 整 理 し たい.その 理 由 として,まず 地 域 づくり 専 門 家 が 持 つ 専 門 性 の 拡 張 可 能 性 を 指 摘 できる.ある 専 門 分 野 の 知 識 創 造 プロセスを 理 解 している 専 門 家 は, 他 の 分 野 にそれを 拡 張 しやすいからである. ただし, 地 域 づくり 専 門 家 が 自 分 の 専 門 性 を 中 心 に プラットフォームを 形 成 すれば, 従 来 のやり 方 と 同 じ である.むしろ,いったん 自 らの 専 門 性 を 否 定 す ることで, 多 様 な 専 門 性 を 相 対 化 し, 地 域 の 課 題 解 決 にとって 必 要 な, 他 の 専 門 家 の 専 門 性 を 動 員 する ことが 可 能 になる. また 地 域 づくり 専 門 家 が,このプラットフォーム 開 設 によって, 自 らの 専 門 性 にダイナミックな 知 的 刺 激 を 受 けられるという 可 能 性 もある.それは,プラット フォームを 開 設 するコストを 十 分 補 い, 自 らが 新 たな 知 識 創 造 の 場 を 持 てるという 魅 力 になると 思 われる. それは 個 人 ナレッジマネジメントの 社 会 化 でもある ( 梅 本,2012). ただし, 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォ ームでは, 地 域 の 事 情 や 課 題 を 十 分 理 解 したうえで, 多 様 な 専 門 知 識 による 問 題 解 決 システムを 創 り 出 す 必 要 がある.また 開 設 者 である 地 域 づくり 専 門 家 が, 地 域 に 問 いかけ ることで,それまで 明 確 ではなかった 地 域 課 題 を 言 語 化 し,それを 解 決 するためのアクタ 図 1 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォー ム(KMP)と 地 域 および 専 門 家 の 関 係 ーグループを 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォ ーム 上 で 構 築 する( 図 1). 図 2 地 域 KMPの 構 築 プロセス そして, 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォー ムの 構 築 プロセスとしては,1 地 域 づくり 専 門 家 が 自 ら の 専 門 知 識 を 活 かすために, 他 分 野 の 専 門 家 と 協 働 する,2そのために 他 分 野 の 知 識 を 翻 訳 や 定 形 化 し て 共 有 しようとする,3それを 効 果 的 に 進 めるために 専 門 家 がナレッジマネジメント プラットフォー ムを 用 意 する,というプロセスが 想 定 される( 図 2). 以 上 のように 本 研 究 では, 地 域 づくり 専 門 家 の 役 割 は, 専 門 知 識 を 利 用 した 地 域 づくりの 支 援 ではな Ⅱ3-6

34 知 識 共 創 第 4 号 (2014) く, 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォーム の 開 設 であることを 示 唆 した. 地 域 づくり 専 門 家 は, 自 らの 専 門 性 の 活 用 だけではなく, 集 合 知 形 成 を 促 進 する 地 域 ナレッジマネジメント 推 進 のため のナレッジリーダーとしても 重 要 である. 個 人 の 専 門 性 も 重 要 だが, 複 数 の 意 見 の 異 なる 多 様 な 専 門 家 の 判 断 から 集 合 知 を 形 成 する, 地 域 ナレッジマネジャーとしての 専 門 家 が 現 在 の 地 域 では 求 められてい る. もちろん, 地 域 ナレッジマネジメント プラットフォームは, 具 体 的 な 制 度 や 機 関 ではなく, 現 在 は バーチャルな 場 であることが 多 い.しかし, 前 述 の 佐 藤 (2009)が 提 案 するレジデント 型 研 究 機 関 の 提 案 も 見 られる 現 在,バーチャルな 場 からの 実 体 化 が 進 められていると 考 えられる. 今 後, 地 域 ナレッジマ ネジメント プラットフォームの 議 論 が, 情 報 通 信 技 術 による 知 識 活 用 などの 物 理 的 なプラットフォー ムの 議 論 から,より 具 体 的 な 地 域 ナレッジマネジメントに 移 行 することが 望 まれる. 注 1) 宮 町 (2011)によれば, 地 域 とは 地 域 住 民 や 地 域 社 会 の 短 縮 語 として 使 われている.なお, 地 域 は 都 市 非 都 市 を 問 わず に 存 在 するが, 本 研 究 では 主 に 大 都 市 圏 以 外 の 地 域 を 念 頭 において 論 じた.その 理 由 は, 地 域 づくりが, 繁 栄 する 都 市 に 対 して, 衰 退 しつつある 地 方 の 市 町 村 の 活 性 化 や 再 生 を 目 的 とする 場 合 が 多 いからである.そのため 本 研 究 は 都 市 の 地 域 づくりにも 適 用 できると 考 えられる. 2) 岡 田 (2005)は 地 域 づくりが 使 われ 始 めたのは 1980 年 頃 だとしている. 一 方, 佐 藤 ほか(1999)は まちづくり が 使 わ れ 始 めたのは 1970 年 代 からだと 述 べている. 3) 最 近 は 地 域 づくり よりも まちづくり が 一 般 的 に 使 用 されているが, 本 研 究 では, まち が 一 般 的 には 商 店 街 な どのような 市 街 地 と 理 解 されやすいという 考 え 方 ( 吉 田 ほか,2005)に 従 い, 地 域 振 興 や 地 域 活 性 化, 地 域 再 生 も 含 め た 総 称 として 地 域 づくり とした. 4) 瀬 沼 ほか(2013)は,こうした まちづくりの 専 門 家 を,アドバイザーやコンサルタントのような 知 識 を 持 った 人 だと 説 明 している. 5) 豊 岡 市 にとって,コウノトリの 野 生 復 帰 は 地 域 づくり であると 菊 地 (2006)が 述 べている. 6)ここで 言 う テーマ とは, 例 えば 映 画 による 地 域 づくりや 町 並 み 再 生 による 地 域 づくりのように,ある 特 定 の 事 象 が 対 象 となり,それを 核 に 活 動 が 進 むことである. 関 連 して, 地 域 におけるテーマ 性 については, 三 舩 ほか(まちづく りコラボレーション)(2009)を 参 照 のこと. 7) 本 研 究 では,こうしたプラットフォームを 複 数 のアクターが 参 加 し,コミュニケーションや 交 流 することで, 相 互 に 影 響 し 合 って 何 らかのものや 価 値 を 生 み 出 す 仕 組 みと 場 と 改 めて 定 義 して 議 論 する. 8)ここでは 地 域 マネジメント としたが, 地 域 経 営 としても 内 容 は 同 じである. 9) 専 門 家 について 明 確 に 定 義 した 文 献 は 少 ない.これは 専 門 家 のイメージが 既 に 共 有 されているので,あえて 説 明 す る 必 要 性 が 少 ないからであろう.なお,コンセンサス 会 議 について 言 及 した 若 松 (2010)の 専 門 家 の 定 義 では, 専 門 家 を 非 常 に 広 い 意 味 で 用 い,テーマについて 明 確 な 意 見 を 持 つ 人 も 専 門 家 であると 述 べている.また, 佐 藤 (2010)は 専 門 職 として 成 立 している 専 門 家 の 特 徴 をあげ, 専 門 家 とは specialist ではなく professionalだと 述 べている. 10) 研 究 者 の 定 義 については, 例 えば 酒 井 (2006)が 議 論 している. 11) 本 研 究 では, 研 究 者 と 専 門 家 は 類 似 するが, 一 般 的 なイメージとして, 研 究 者 も 専 門 家 だと 考 えられる 場 合 が 多 いことから,より 広 い 概 念 である 専 門 家 を 採 用 した. 専 門 家 と 同 義 の 使 われ 方 をする 用 語 である 研 究 者 は, 問 題 の 分 析 や 調 査 も 範 疇 に 入 れ, 科 学 的 な 知 識 を 持 って 何 らかの 問 題 を 分 析 し, 解 決 策 を 提 案 する 者 である.つまり, 研 究 者 は 一 般 的 に 課 題 を 見 出 して 解 決 策 を 提 案 し, 専 門 家 はそれを 具 体 的 に 解 決 にまで 導 く. 12) 本 研 究 では, 住 民 を 地 方 自 治 法 第 10 条 で 定 められた 市 町 村 の 区 域 内 に 住 所 を 有 する 者 だけではなく, 地 域 社 会 に 一 定 期 間 居 住 する 者 を 指 す, 広 い 意 味 で 用 いている. 13) 同 様 な 提 案 には 筧 (2013)の ソーシャルデザイン などがある. 14)この 場 合, 専 門 家 の 専 門 知 識 や 技 能 などの 専 門 性 を 活 用 する 以 外 に, 地 域 側 が 専 門 家 の 権 威 や 周 知 度 を 利 用 することもある.しかしその 際 も, 専 門 家 が 持 つ 専 門 的 知 識 に 対 する 基 本 的 ニーズはあると 考 えられる. 15) 形 式 知 や 暗 黙 知 については, 野 中 竹 内 (1996)などを 参 考 に, 知 識 科 学 分 野 の 整 理 に 従 って 使 用 した. 16)ここでは 開 発 協 力 と 表 記 したが, 主 に 途 上 国 支 援 を 対 象 とした 国 際 協 力 や 開 発 援 助 と 呼 ばれる 分 野 である. 17)EBMは1990 年 代 から 提 唱 され 始 めた 医 学 や 医 療 の 新 しいあり 方 である.その 創 始 は,Evidence-based Medicine Working Group(1992)による 提 案 だと 言 われている. 岩 田 (2011)は,それを 経 験 主 義 ではなく, 過 去 の 事 例 を, 今 後 の 事 象 に 帰 納 的 に 当 てはめることだと 説 明 している.その 際 に, 科 学 的 根 拠 に 基 づく 判 断 を 重 視 するが, 過 去 のエビデンスが 量 的 に 十 分 ないと 判 断 が 不 確 かなものになるという 課 題 も 持 っていると 指 摘 している. 18) 地 域 づくりを 専 門 家 の 作 品 として 表 現 すること 自 体 を 否 定 しているのではない. 地 域 づくり 専 門 家 に 対 する 専 門 性 の 評 価 が 低 い 現 在,それは 選 択 肢 のひとつだと 考 えられる. 19)ブースターにはタイプの 違 いがあり, 伝 統 的 なブースターと NPO のような 新 しいブースターの 連 携 が 重 要 であると 内 田 (2011)は 述 べている. 20)その 背 景 には, 製 品 生 産 による 価 値 創 造 より, 知 識 の 創 造 が 価 値 創 造 につながる 現 代 社 会 の 現 状 がある( 野 中 紺 野, 1999). Ⅱ3-7

35 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 21)オープンソースとは, 仕 様 を 公 開 してその 改 変 を 認 める 代 わりに, 得 られた 利 益 を 全 体 に 還 元 させる 仕 組 みである( 関 口 2004). 22) 野 中 紺 野 (1999)は, 共 有 された 文 脈 あるいは 知 識 創 造 や 活 用, 知 識 資 産 記 憶 の 基 盤 (プラットフォーム)にな るような 物 理 的 仮 想 的 心 的 な 場 所 を 母 体 とする 関 係 性 を 場 と 定 義 している. 23)ただし, 根 来 足 代 (2011)による 社 会 プラットフォームについての 言 及 では 社 会 における 価 値 創 造 をプラットフ ォーム 概 念 から 論 ずる とあるだけで, 具 体 的 な 示 唆 や 考 察 はない. 参 考 文 献 赤 津 晴 子 (2008) アメリカの 医 学 教 育 :そのシステムとメカニズム ピッツバーグ 大 学 医 学 部 教 員 日 記, 日 本 評 論 社, 197p. チェンバース=ロバート(2000) 参 加 型 開 発 と 国 際 協 力 変 わるのはわたしたち, 明 石 書 店, 573p. Conger, J. and Pearce, C(2003)Shared Leadership: Reframing the Hows and Whys of Leadership, SAGE Publications, Inc, 344p. 延 藤 安 弘 (2013) まち 再 生 の 述 語 集, 岩 波 新 書, 210p. Evidence-Based Medicine Working Group.(1992)Evidence-Based Medicine : A New Approach to Teaching the Practice of Medicine, JAMA(Journal of American Medical Association), 268(17), pp 藤 本 隆 宏 (2003) 能 力 構 築 競 争 - 日 本 の 自 動 車 産 業 はなぜ 強 いのか, 中 央 公 論 新 社, 406p. 藤 本 隆 宏 ほか(2009) 日 本 型 プロセス 産 業 ものづくり 経 営 学 による 競 争 力 分 析, 藤 本 隆 宏 桑 嶋 健 一 編, 有 斐 閣, 494p. 藤 澤 研 二 (2003) コミュニティ 力 の 時 代 : 市 町 村 合 併 を 超 えて, 水 曜 社, 286p. 浜 野 保 樹 (2003) 表 現 のビジネス-コンテント 制 作 論, 東 京 大 学 出 版 会, 322p. Horlings, L. (2012)Value-oriented leadership in the Netherlands, Leadership and change in sustainable regional development, Routledge, pp 池 内 了 (2012) 科 学 と 人 間 の 不 協 和 音, 角 川 書 店, 224p. 石 川 博 (2011) 集 合 知 の 作 り 方 活 かし 方 - 多 様 性 とソーシャルメディアの 視 点 から, 共 立 出 版, 222p. 岩 田 健 太 郎 (2003) 悪 魔 の 味 方 米 国 医 療 の 現 場 から, 克 誠 堂 出 版, 289p. 岩 田 健 太 郎 (2011) 患 者 様 が 医 療 を 壊 す, 新 潮 社, 202p. 筧 裕 介 (2013) ソーシャルデザイン 実 践 ガイド 地 域 の 課 題 を 解 決 する7つのステップ, 英 治 出 版, 349p. 川 原 晋 (2011) まちづくり 市 民 事 業 の 形 成 プロセスと 各 担 い 手 の 役 割 市 民 とともに 行 動 する 専 門 家 としての 職 能 拡 張 を, まちづくり 市 民 事 業 新 しい 公 共 による 地 域 再 生, 佐 藤 滋 編, 学 芸 出 版 社, 京 都 市, pp 菊 地 直 樹 (2006) 蘇 るコウノトリ 野 生 復 帰 から 地 域 再 生 へ, 東 京 大 学 出 版 会, 263p. 國 領 二 郎 (1999) オープン アーキテクチャ 戦 略 ネットワーク 時 代 の 協 働 モデル, ダイヤモンド 社, 241p. 國 領 二 郎 (2004) オープン ソリューション 社 会 の 構 想, 日 本 経 済 新 聞 社, 235p. Krebs, V. and Holley, J.(2006)Building Smart Communities through Network Weaving, Building Networks ( pp.1-18 [ ] 丸 田 一 (2004) 地 域 情 報 化 の 最 前 線 自 前 主 義 のすすめ, 岩 波 書 店, 229p. 三 舩 康 道 ほか(まちづくりコラボレーション)(2009) まちづくりキーワード 事 典 第 三 版, 学 芸 出 版 社, 286p. 森 藤 義 雄 堀 幸 雄 今 井 慈 郎 (2009) まちづくり を 目 指 す 地 域 プラットフォームの 設 計 と 課 題, 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告, 3, pp.1-6. 森 山 奈 美 (2005) まちづくりリーダーとは, エリアマネジメント 地 区 組 織 による 計 画 と 管 理 運 営, 小 林 重 敬 編, 学 芸 出 版 社, pp 宮 町 良 弘 (2011) 場 所 への 好 奇 心 から 地 域 の 活 性 化 へ, はじめての 地 域 学 地 域 が 映 し 出 す 社 会 と 経 済, 地 域 学 研 究 会 編,ミネルヴァ 書 房,pp.3-1. 中 村 雄 二 郎 (1992) 臨 床 の 知 とは 何 か, 岩 波 書 店, 229p. 根 来 龍 之 足 代 訓 史 (2011) 経 営 学 におけるプラットフォーム 論 の 系 譜 と 今 後 の 展 望, 早 稲 田 大 学 IT 研 究 所 ワーキ ングペーパーシリーズ, 39, pp 西 垣 通 (2008) 続 基 礎 情 報 学 生 命 的 組 織 のために, NTT 出 版, 219p. 西 垣 通 (2013) 集 合 知 とは 何 か - ネット 時 代 の 知 のゆくえ, 中 央 公 論 社, 220p. 野 中 郁 次 郎 (2000) 第 2 章 知 識 創 造 企 業, ナレッジ マネジメント, Harvard Business Review 編,ダイヤモンド 社, pp 野 中 郁 次 郎 紺 野 登 (1999) 知 識 経 営 のすすめ ナレッジマネジメントとその 時 代, 筑 摩 書 房, 238p. 野 中 郁 次 郎 竹 内 弘 高 (1996) 知 識 創 造 企 業, 梅 本 勝 博 編, 東 洋 経 済 新 報 社, 401p. 小 田 切 徳 美 (2013) 農 山 村 再 生 の 戦 略 と 政 策 - 総 括 と 展 望, 農 山 村 再 生 に 挑 む 理 論 から 実 践 まで, 小 田 切 徳 美 編, 岩 波 書 店, pp 岡 田 知 弘 (2005) 地 域 づくりの 経 済 学 入 門, 自 治 体 研 究 社, 280p. ポラニー=マイケル(2002) 暗 黙 知 の 次 元, 紀 伊 国 屋 書 店, 146p. 斎 藤 文 彦 (2002) 第 1 章 開 発 と 参 加 開 発 観 の 変 遷 と 参 加 の 登 場, 参 加 型 開 発 貧 しい 人 々が 主 役 になる 開 発 へ 向 けて-, 斎 藤 文 彦 編, 日 本 評 論 社, pp 斎 藤 文 彦 ほか(2011) 持 続 可 能 な 地 域 実 現 と 協 働 型 ガバナンス 日 米 英 の 事 例 比 較 を 通 じて, 斎 藤 文 彦 白 石 克 孝 新 Ⅱ3-8

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37 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 連 絡 先 住 所 : 北 海 道 札 幌 市 北 区 北 17 条 西 8 北 海 道 大 学 観 光 学 高 等 研 究 センター 名 前 : 敷 田 麻 実 Ⅱ3-10

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40 知 識 共 創 第 4 号 (2014) ユーザ 状 態 の 多 様 性 に 応 じた 動 物 園 散 策 ナビゲーションシステムの 研 究 A Research for Development of Zoo Navigation System Adapted to Various User States 山 本 紘 之 1), 永 井 由 佳 里 1), 森 田 純 哉 1), 木 原 宏 典 2) CHISHIKI Taro 1),KYOSO Hanako 2),ISHIKAWA Nomiko1) 3) 1) 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学,2)みまっしドットコム 1) Japan Advanced Institute of Science and Technology, 2)Mimassi Dot Com 要 約 近 年,ナビゲーションシステムの 開 発 研 究 において, 多 様 化 するユーザの 状 態 への 対 応 が 望 まれている.モバイル 端 末 が 普 及 し, 徒 歩 や 車 椅 子, 自 転 車 といった 自 動 車 以 外 での 移 動 において,ナ ビゲーションシステムを 利 用 する 機 会 が 増 加 した.しかし, 既 存 のナビゲーションシステムには,シス テムがユーザに 積 極 的 に 情 報 を 提 供 してくれるものは 一 般 的 ではない.そのため 観 光 地 など 土 地 勘 が 働 かない 場 所 を 散 策 する 際 に, 自 分 に 必 要 な 情 報 を 効 率 的 に 得 られない. 特 に, 車 椅 子 ユーザは 目 的 地 に 多 目 的 トイレや 休 憩 所 が 用 意 されているかといった 必 要 な 情 報 を 重 視 するため,その 情 報 を 得 ら れないがゆえに 散 策 意 欲 を 抑 制 させてしまうことに 繋 がる. 満 足 度 の 高 い 散 策 には, 個 々のユーザ 状 態 に 応 じたナビゲーションシステムの 仕 組 みが 求 められると 考 える. キーワード モバイル 端 末 ナビゲーションシステム 散 策 1. はじめに 1.1. 研 究 の 背 景 近 年,ナビゲーションシステムの 開 発 研 究 において, 多 様 化 するユーザの 状 態 への 対 応 が 望 まれて いる. 今 日,モバイル 端 末 が 急 速 に 普 及 し,スマートフォンなどの PDA 機 能 付 き 携 帯 電 話 が 出 現 して からは,Google マップ 等 を 利 用 した 高 解 像 度 地 図 画 像 が 取 得 可 能 となり, 様 々なシーンにおいて 進 路 情 報 をユーザに 提 示 する 高 度 なナビゲーションシステムが 開 発 可 能 となった.これにより, 徒 歩 や 車 椅 子, 自 転 車 といった 自 動 車 以 外 による 移 動 においても, 気 軽 にナビゲーションシステムを 利 用 する 機 会 が 増 加 した. 企 業 においても, 自 転 車 や 車 椅 子 など, 特 定 の 移 動 手 段 や 利 用 者 を 対 象 としたナビゲーション システムの 開 発 を 進 めている.また,ナビゲーションシステムの 情 報 表 示 手 法 についても, 移 動 手 段 や 利 用 者 に 応 じた 新 たなものが 提 案 されている ナビゲーションシステムとは, 利 用 者 が 指 定 した 目 的 地 への 移 動 を 支 援 するだけでなく, 利 用 者 の こ うしたい という 欲 求 を 満 たすための 候 補 地 を 提 示 し, 目 的 地 の 決 定 を 支 援 するシステムのことをいう. しかし, 既 存 のナビゲーションシステムは, 各 々の 移 動 手 段 に 特 化 したものは 存 在 するが,どのような 移 動 手 段 であっても 同 様 に 使 うことができないため, 移 動 手 段 に 応 じて 使 用 するシステムを 切 り 替 えな くてはならない.また, 既 存 のナビゲーションシステムはユーザに 対 して 固 定 的 な 対 応 をとるため,ユ ーザ 自 身 が 求 める 情 報 は 提 供 するが,ユーザを 考 慮 した 情 報 をシステムから 動 的 に 提 供 してくれるもの は 一 般 的 ではない.そのため 観 光 地 など 土 地 勘 が 働 かない 場 所 を 散 策 する 際 に, 自 分 に 必 要 な 情 報 を 効 率 的 に 得 られない. 国 土 交 通 省 の 調 査 によると, 車 椅 子 ユーザは 目 的 地 に 多 目 的 トイレや 休 憩 所 が 用 意 されているかといった 必 要 な 情 報 を 重 視 するため,その 情 報 を 得 られないがゆえに 散 策 満 足 度 を 減 退 させてしまうことに 繋 がる. 満 足 度 の 高 い 散 策 には,ユーザの 移 動 手 段 に 関 わらず 同 様 のシステム を 使 うことができ, 個 々のユーザ 状 態 に 応 じて 提 供 する 情 報 を 柔 軟 に 変 更 し,ユーザが 欲 しいと 思 われ る 情 報 をシステムが 事 前 に 予 測 し,なおかつそういった 情 報 をユーザ 自 身 の 操 作 を 必 要 とせず 動 的 に 提 供 するような, 多 様 的 な 対 応 をするナビゲーションシステムの 仕 組 みが 求 められると 考 える. 既 存 のナビゲーションシステムは, 利 用 者 の 状 態 に 応 じて 目 的 志 向 型 ナビゲーションシステムと, 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムの 2 タイプに 分 類 することが 出 来 る. 目 的 志 向 型 ナビゲーショ ンシステムとは,Google マップアプリや, 車 載 ナビゲーションなどを 始 めとする, 既 存 の 多 くのナビゲ ーションシステムのことを 指 す. 目 的 志 向 型 ナビゲーションシステムでは, 利 用 者 は 目 的 地 まで 最 短 で 効 率 的 に 移 動 することを 望 んでいるため, 目 的 地 検 索 機 能 や 目 的 地 までの 経 路 表 示 機 能 など, 目 的 地 ま Ⅲ1-1

41 知 識 共 創 第 4 号 (2014) で 素 早 く 正 確 に 移 動 するといった, 移 動 の 効 率 を 重 視 した 支 援 をコンセプトに 開 発 されている.それに 対 し, 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムとは, 利 用 者 の 移 動 の 効 率 については 重 視 せず, 移 動 の 過 程 で 得 られる 体 験 や, 利 用 者 の 散 策 満 足 度 を 高 めるための 支 援 機 能 を 搭 載 させたナビゲーションシステム のことを 指 す. 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムでは, 利 用 者 は 特 に 目 的 地 に 関 する 具 体 的 な 欲 求 を 持 っていないが, 潜 在 的 な 欲 求 を 持 っていると 想 定 している. 利 用 者 は 明 示 的 な 欲 求 を 持 っていないた め,ナビゲーションシステムを 利 用 することで 得 られる 楽 しい 体 験 を 望 んでいるため,そういった 利 用 者 の 満 足 度 を 向 上 させることを 重 視 した 支 援 をコンセプトに 開 発 されている. 目 的 志 向 型 ナビゲー ションシステムについては, 開 発 のコンセプトや 支 援 機 能 については 既 に 確 立 されてしまっているが, 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムについてはあまり 議 論 されておらず, 今 後 の 発 展 が 大 いに 期 待 され る 分 野 である.そのため, 既 存 のナビゲーションシステムにはない, 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステ ムのための 支 援 機 能 に 関 しては, 新 たな 側 面 からのアプローチが 必 要 になると 考 える. 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムを 開 発 するために 鍵 となるのが, 利 用 者 がナビゲーションシステム を 利 用 することで,いかに 散 策 の 満 足 度 を 高 めることができるか,ということである. 利 用 者 はナビゲ ーションシステムを 利 用 することで 得 られる 体 験 に 期 待 している.しかし, 既 存 のナビゲーションシス テムには, 利 用 者 の 散 策 の 満 足 度 を 高 めるための 支 援 機 能 といったものは 提 案 されていない 移 動 手 段 の 多 様 性 と 利 用 者 の 状 態 既 存 のナビゲーションシステムは, 徒 歩 ユーザを 対 象 としたナビゲーションシステム, 車 椅 子 ユーザ を 対 象 としたナビゲーションシステムといった, 特 定 のユーザを 対 象 とした 個 別 対 応 のナビゲーション システムは 存 在 するが, 一 つのシステムであらゆるユーザに 対 応 する, 多 様 性 対 応 のナビゲーションシ ステムに 関 してはあまり 議 論 されていない. 個 別 対 応 ナビゲーションシステムは, 対 象 とする 利 用 者 の 移 動 手 段 のみに 特 化 したシステム 構 成 にすれば 良 いため,シンプルで 強 力 な 支 援 機 能 を 搭 載 させたナビ ゲーションシステムを 開 発 することが 可 能 である.また, 利 用 者 が 自 身 の 好 みに 近 づくようカスタマイ ズすることも 容 易 である.しかし,その 反 面, 対 象 としない 利 用 者 の 利 用 を 想 定 していないため, 柔 軟 な 対 応 ができない. 従 って, 個 別 対 応 のナビゲーションシステムには, 対 象 者 以 外 にとっては 使 いにく く,あまり 役 に 立 たないナビゲーションシステムとなってしまうという 欠 点 がある. 多 様 性 対 応 のナビ ゲーションシステムは,あらゆる 利 用 者 が 等 しく 同 じように 使 うことを 想 定 したシステム 構 成 にする. そのため, 利 用 者 の 移 動 手 段 に 依 存 せず, 柔 軟 で 対 応 をさせることが 可 能 である. 多 様 性 対 応 ナビゲー ションシステムは, 利 用 者 にとって 痒 いところに 手 が 届 くナビゲーションシステムとして 期 待 できるが, その 反 面, 利 用 者 の 移 動 手 段 を 判 別 できず, 的 外 れな 対 応 をしてしまう 恐 れがある. 多 様 性 対 応 ナビゲ ーションシステムを 構 築 するためには, 利 用 者 の 移 動 手 段 を 間 違 わない, 賢 いナビゲーションシステム を 開 発 する 必 要 がある. また,ナビゲーションシステムの 利 用 者 は 画 面 を 見 る, 移 動 する, ボタンを 押 す といっ たいくつかの 状 態 に 分 類 することができる. 既 存 のナビゲーションシステムは, 利 用 者 の 状 態 は 利 用 者 自 身 が 判 断 する. 利 用 者 は 利 用 者 の 状 態 に 適 した 情 報 を 得 るために,システムを 操 作 し, 自 身 にとって 最 適 だと 思 われる 情 報 を 自 分 で 考 え, 取 得 する.しかし,このような 情 報 取 得 手 法 では, 利 用 者 自 身 に よるシステム 操 作 が 多 く 必 要 であり, 利 用 者 にとって 理 想 の 環 境 を 実 現 するためには,かなり 手 間 がか かり, 利 用 者 に 煩 雑 さを 感 じさせてしまう 恐 れがある. 利 用 者 の 状 態 をシステムが 判 断 し,その 状 態 に 最 適 な 情 報 をシステムが 動 的 に 提 供 するような 情 報 表 示 手 法 があれば, 利 用 者 にとって 理 想 の 環 境 を 容 易 に 実 現 することが 期 待 できる 気 遣 いするナビゲーションシステム 利 用 者 の 散 策 満 足 度 を 向 上 させる 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムを 実 装 するための 重 要 な 要 素 は 以 下 の 二 点 である. 一 点 目 は, 利 用 者 の 移 動 手 段 に 依 存 しない 多 様 性 対 応 のナビゲーションシステム であることである. 二 点 目 は, 利 用 者 の 状 態 に 適 した 支 援 をシステムが 判 断 し, 動 的 に 行 うことである. 本 研 究 では, 以 上 の 二 点 に 着 目 した 支 援 機 能 を 気 遣 い 機 能 と 定 義 し, 気 遣 い をシステムとして 実 装 することが, 利 用 者 の 散 策 満 足 度 を 向 上 させるための 要 素 であると 考 え,その 可 能 性 について 考 察 していく. Ⅲ1-2

42 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 1.4. 本 研 究 の 目 的 本 研 究 では, 利 用 者 の 散 策 満 足 度 を 向 上 させるためのナビゲーションシステムを 提 案 する. 提 案 ナビ ゲーションシステムは,ユーザの 移 動 手 段 に 依 存 せず,あらゆる 利 用 者 が 同 様 に 使 いやすいシステムで あるための 気 遣 い 機 能 を 三 点 搭 載 させている.また, 提 案 ナビゲーションシステムの 有 効 性 につい て 検 討 するために, 発 見 期 待 型 ナビゲーションシステムを 利 用 する 場 所 の 代 表 例 として, 動 物 園 を 設 定 し, 評 価 を 行 う. 2. 提 案 システムについて 2.1 自 由 散 策 移 動 支 援 機 能 自 由 散 策 移 動 支 援 機 能 とは,ユーザに 快 適 な 移 動 環 境 を 提 供 する 移 動 支 援 機 能 である. 提 案 ナビゲー ションシステムは,ユーザの 移 動 手 段 に 左 右 されず, 等 しく 使 いやすいシステムである 必 要 がある.そ のため, 従 来 のシステムのように,ユーザが 任 意 で 操 作 する 必 要 が 出 てくると,ユーザに 煩 雑 さを 感 じ させてしまう.とりわけ, 車 椅 子 ユーザにとっては 負 担 が 大 きい.そのため,ユーザの 移 動 速 度 からユ ーザ 状 態 を 判 別 し,ユーザの 状 態 に 最 も 適 した 情 報 に 自 動 で 切 り 替 える 機 能 を 実 装 した. 2.2 ユーザに 応 じた 情 報 表 示 機 能 ユーザに 応 じた 情 報 表 示 機 能 とは,ユーザの 移 動 手 段 を 自 動 で 判 別 し, 移 動 手 段 に 適 した 情 報 を 表 示 する 移 動 支 援 機 能 である. 予 備 調 査 により, 車 椅 子 ユーザにとって 多 目 的 トイレや 休 憩 場 所 がどこにあ るのかといった 情 報 は 非 常 に 重 要 だといったことが 分 かっている.しかし, 徒 歩 ユーザにとってそれら の 情 報 はそれほど 有 用 ではない.むしろ,そういった 情 報 がナビゲーション 画 面 上 に 表 示 されると 余 計 な 情 報 となってしまう 恐 れがある.そこで,ユーザ 移 動 速 度,センサ 機 能 から 移 動 手 段 を 判 別 し, その 移 動 手 段 に 必 要 な 情 報 のみを 表 示 させる 機 能 を 実 装 した. 2.3 動 物 園 散 策 クイズ 機 能 動 物 園 散 策 クイズ 機 能 とは, 散 策 場 所 である 動 物 園 についてより 深 く 学 ぶことを 目 的 とした 目 的 地 決 定 支 援 機 能 である. 動 物 園 などの 観 光 施 設 には, 利 用 者 が 想 定 しているよりもずっと 多 くの 情 報 が 提 供 されている.そこで,そういったあらかじめ 用 意 してある 情 報 を 利 用 したクイズゲームを 搭 載 させるこ とで, 利 用 者 は 答 えを 探 す 為 に 動 物 園 内 を 隅 々まで 散 策 してもらう 狙 いと, 動 物 について 学 ぶという 付 加 価 値 の 提 供 を 目 的 としている. 図 1: 提 案 ナビゲーションシステムの 構 成 3. 実 験 3.1 参 加 者 実 験 には 健 常 な 歩 行 の 大 学 院 生 12 名 が 参 加 した.12 名 の 参 加 者 は 歩 行 グループ 6 名, 車 椅 子 グルー プ 6 名 の 2 つのグループに 分 類 し, 実 験 を 行 った. 3.1 実 験 手 続 き 被 験 者 には 開 発 したナビゲーションシステムと, 比 較 対 象 である Google Map アプリそれぞれを 使 い, いしかわ 動 物 園 内 を 自 由 に 散 策 してもらった. 散 策 の 移 動 手 段 は 徒 歩,あるいは 車 椅 子 とした. 被 験 者 には 動 物 園 を 2 周 してもらい 1 周 目 と 2 周 目 で 開 発 アプリと Google Map アプリを 使 い 分 けてもらった. 実 験 結 果 に 偏 りが 出 ないようにカウンターバランスを 考 慮 し, 被 験 者 ごとに 開 発 したシステムと Google Ⅲ1-3

43 知 識 共 創 第 4 号 (2014) Map を 使 う 順 番 は 逆 になるよう 設 定 した. 実 験 中 は 被 験 者 に 同 行 し, 被 験 者 の 散 策 時 間, 散 策 距 離 を 測 定 した. 実 験 が 終 了 した 後 にはシステムを 評 価 してもらうために, 被 験 者 に 対 してアンケート 評 価 を 実 施 した. 表 1: 実 験 条 件 図 2: 実 験 風 景 4. 結 果 4.1 提 案 システムと 散 策 満 足 度 の 相 関 徒 歩 グループでは, 多 くの 被 験 者 は, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 時 の 方 が,Google マッ プアプリを 利 用 した 時 よりも 散 策 時 間 と 散 策 距 離 が 延 びた. 特 に, 被 験 者 3 は 動 物 園 内 に 設 置 してある クイズを 全 て 遊 ぼうと, 園 内 を 隅 々まで 散 策 しようとしたため,Google マップアプリ 利 用 時 よりも 散 策 時 間 と 散 策 距 離 が 大 幅 に 延 びた. 操 作 回 数 については, 全 てのユーザが 提 案 システム 利 用 時 の 方 が, Google マップアプリ 利 用 時 よりも 操 作 頻 度 が 少 なかった.また,システムを 利 用 した 時 の 動 物 園 散 策 の 満 足 度 を 調 査 したところ, 徒 歩 グループでは, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 時 の 方 が,Google マップアプリを 利 用 した 時 よりも 散 策 の 満 足 度 が 高 いと 感 じた 被 験 者 が 多 かった. 各 機 能 の 評 価 につい ては, 位 置 情 報 に 応 じた 動 物 施 設 情 報 の 評 価 が 高 く, 必 要 であると 感 じた 被 験 者 が 多 かった. 反 対 に, 尺 度 の 動 的 変 化 機 能 の 評 価 が 低 く, 必 要 ないと 感 じた 被 験 者 が 多 かった. 車 椅 子 グループでは,ほぼ 全 ての 被 験 者 は, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 時 の 方 が,Google マップアプリを 利 用 した 時 よ りも 散 策 時 間 と 散 策 距 離 が 延 びた.しかし, 徒 歩 グループほど 顕 著 に 散 策 時 間 と 散 策 距 離 に 差 は 見 られ なかった. 操 作 回 数 については, 徒 歩 グループと 同 様 に, 全 てのユーザが 提 案 システム 利 用 時 の 方 が, Google マップアプリ 利 用 時 よりも 操 作 頻 度 が 少 なかった. 散 策 満 足 度 に 関 しては, 車 椅 子 グループでも 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 時 の 方 が,Google マップアプリを 利 用 した 時 よりも 散 策 の 満 足 度 が 高 かった. 各 機 能 の 評 価 については, 位 置 情 報 に 応 じた 動 物 施 設 情 報 の 表 示 機 能 が 最 も 評 価 が 高 く, 必 要 であると 感 じた 被 験 者 が 多 かった. 反 対 に, 尺 度 の 動 的 変 化 機 能 が 最 も 評 価 が 低 く, 必 要 ない と 感 じた 被 験 者 が 多 かった. 徒 歩 グループ, 車 椅 子 グループ 共 に, 提 案 システムを 利 用 したら 散 策 時 間 が 延 びた.そこで,2 つの システムでの 散 策 時 間 の 差 と, 提 案 システムを 利 用 した 場 合 の 散 策 満 足 度 とで 相 関 を 取 ると, 提 案 シス テムを 利 用 した 散 策 時 間 が 長 い 被 験 者 は 散 策 の 満 足 度 が 高 くなるという 相 関 を 得 ることができた. Ⅲ1-4

44 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 3: 散 策 時 間 の 差 と 散 策 満 足 度 の 相 関 4.1 分 析 徒 歩 グループと 車 椅 子 グループそれぞれで, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 場 合 の 散 策 と Google マップアプリを 利 用 した 場 合 の 散 策 で 分 析 をしたところ, 散 策 時 間 に 関 しては, 徒 歩 グループ, 車 椅 子 グループ 共 に, 提 案 ナビゲーションシステムによって 散 策 時 間 が 増 加 した. 散 策 距 離 についても 同 様 に, 徒 歩 グループ, 車 椅 子 グループ 共 に, 提 案 ナビゲーションシステムによって 散 策 距 離 が 増 加 し た. 端 末 の 操 作 回 数 については, 徒 歩 グループ, 車 椅 子 グループともに, 提 案 ナビゲーションシステム によって 端 末 の 操 作 回 数 が 減 少 した. 図 4: 散 策 時 間 の 平 均 値 図 5: 散 策 距 離 の 平 均 値 Ⅲ1-5

45 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 6: 端 末 操 作 回 数 の 平 均 値 5. 考 察 実 験 結 果 およびアンケート 結 果 から, 考 察 について 述 べる. 全 ての 被 験 者 に 当 てはまったわけではないが, 実 験 結 果 から, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 し た 場 合 と Google マップアプリとでは, 徒 歩 での 移 動, 車 椅 子 での 移 動 ともに, 移 動 提 案 ナビゲーショ ンシステムを 利 用 した 場 合 の 方 が, 散 策 時 間, 散 策 距 離 が 延 びる 傾 向 があることが 分 かった. 特 に 徒 歩 での 移 動 においてはそれが 顕 著 に 見 られた.これは, 提 案 ナビゲーションシステムには 動 物 園 散 策 の 満 足 度 向 上 クイズ 機 能 を 始 めとした, 動 物 園 散 策 の 満 足 度 を 高 める 付 加 価 値 を 多 数 提 供 していることが 理 由 だと 考 えられる.また, 徒 歩 での 移 動 ほど, 車 椅 子 での 移 動 で 散 策 時 間, 散 策 距 離 に 差 が 出 なかった のは, 車 椅 子 での 移 動 は 徒 歩 での 移 動 と 比 べると 負 担 が 大 きく, 例 えクイズで 遊 べるからといって,わ ざわざ 園 内 を 余 計 に 散 策 しようとする 意 欲 の 向 上 には 繋 がらなかったことが 原 因 だと 考 えられる.シス テムの 操 作 回 数 については, 全 ての 被 験 者 が 提 案 システムを 利 用 した 場 合 の 方 が,Google マップアプリ を 利 用 していた 時 よりも 操 作 回 数 が 少 なくなる 傾 向 があることが 分 かった.これは,Google マップアプ リがユーザによる 任 意 の 操 作 主 体 のシステムを 想 定 しているのに 対 し, 提 案 システムでは 端 末 側 の 自 動 操 作 主 体 のシステムを 想 定 して 設 計 しており,ユーザが 操 作 するのはボタン 押 下 時 のみであることが 理 由 であると 考 えられる.また,アンケート 結 果 から, 提 案 ナビゲーションシステムと Google マップア プリでは, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 場 合 の 方 が 満 足 度 の 高 い 散 策 ができていることが 分 かった. 搭 載 機 能 の 中 では, 特 に 位 置 情 報 に 応 じた 動 物 施 設 情 報 の 表 示 機 能 と 動 物 園 散 策 の 満 足 度 向 上 クイズ 機 能 を 評 価 しているユーザが 多 かった. 尺 度 の 動 的 変 化 機 能 は, 想 定 したほど 高 い 評 価 を 得 る ことができなかった.これは, 実 験 地 として 設 定 したいしかわ 動 物 園 周 辺 の 電 波 環 境 が 悪 く, 尺 度 の 変 わるタイミングがユーザの 移 動 状 況 と 数 テンポずれてしまうことが 原 因 と 考 えられる. 以 上 のことから, 地 図 尺 度 を 動 的 に 切 り 替 えるには,ユーザの 移 動 状 況 とのシビアなタイミングが 求 められることが 分 か った. 測 定 した 被 験 者 ごとの 散 策 距 離 と 散 策 時 間,システム 操 作 回 数 とアンケート 評 価 を 比 べると, 徒 歩 で の 移 動 においては 散 策 満 足 度 の 高 い 被 験 者 は, 散 策 時 間 と 散 策 距 離 が 長 くなることが 分 かった. 以 上 の ことから, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 した 動 物 園 散 策 は,ユーザに 高 い 満 足 度 を 与 えることが 実 証 できた.しかし, 車 椅 子 での 移 動 においては, 散 策 満 足 度 の 高 い 被 験 者 は, 散 策 時 間 と 散 策 距 離 が 長 くなる 傾 向 は 見 られるが, 徒 歩 ほど 顕 著 に 結 果 には 出 なかった.これは, 移 動 に 大 きな 負 担 がかかる 車 椅 子 ユーザにとって,クイズで 遊 べる, 動 物 について 学 べるといった 付 加 価 値 の 提 供 は, 散 策 の 満 足 度 を 高 める 決 定 的 な 要 因 にはなり 得 ないからだと 考 えられる. 以 上 のことから, 車 椅 子 ユーザの 散 策 満 足 度 を 高 めるためには, 提 案 ナビゲーションシステムに 実 装 させた 気 遣 い 機 能 の 他 に, 新 たな 側 面 からのアプローチを 考 案 し,ナビゲーションシステムを 設 計 しなおす 必 要 がある. Ⅲ1-6

46 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 6. まとめ 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 することで,ナビゲーションシステム 利 用 者 の 散 策 満 足 度 を 高 め ることができると 判 明 した. 本 ナビゲーションのシステム 構 成 を 応 用 することで, 観 光 地 でのユーザの 体 験 をより 素 晴 らしいものにすることが 期 待 できる.これは, 長 期 的 に 考 えると, 観 光 客 の 増 加 つなが り, 地 域 活 性 に 貢 献 できると 考 えられる.また, 提 案 ナビゲーションシステムを 利 用 すると, 端 末 の 操 作 回 数 を 減 らすことができる.これは, 特 に 車 椅 子 利 用 者 に 対 する 負 担 を 大 幅 に 減 らすことができ, 車 椅 子 利 用 者 の 散 策 の 不 安 を 軽 減 し, 散 策 を 楽 しむ 余 裕 がなかった 利 用 者 に 散 策 そのものを 集 中 して 楽 し む 可 能 性 が 示 された.これにより, 車 椅 子 利 用 者 の 散 策 範 囲 を 広 げ, 観 光 地 の 訪 問 者 層 を 拡 げることに つながると 考 えられる.また, 端 末 の 操 作 回 数 が 減 るということは, 端 末 操 作 に 意 識 が 向 く 頻 度 が 減 る ということである.そのため, 近 年 問 題 になっている, 歩 きスマホによる 事 故 の 防 止 にも 一 定 の 効 果 が 期 待 できる. 提 案 ナビゲーションシステムは,ナビゲーションシステム 利 用 者 の 散 策 満 足 度 を 高 めるシステムとし て, 一 定 の 効 果 があることが 分 かった.しかし, 車 椅 子 利 用 者 に 対 しては, 徒 歩 ユーザほど 顕 著 に 効 果 がなかった.これでは,あらゆる 利 用 者 にとって 使 いやすいナビゲーションシステムとして 不 十 分 であ ると 考 える.そのため, 車 椅 子 利 用 者 に 対 する 散 策 満 足 度 を 高 めるための,より 効 果 がある 要 因 につい て 考 える 必 要 がある.また, 本 研 究 では, 移 動 手 段 に 関 しても 徒 歩 と 車 椅 子 のみを 想 定 して 実 施 した. そのため, 自 転 車 などその 他 の 移 動 手 段 を 利 用 しているユーザや,ベビーカーを 利 用 している 親 子 連 れ など,あらゆる 利 用 者 が 利 用 することを 想 定 する 必 要 があると 考 えられる. 参 考 文 献 徳 田 英 隼, 伊 藤 昌 毅, 高 汐 一 紀, 徳 田 英 幸 (2006) 潜 在 的 欲 求 を 引 き 出 す 発 見 志 向 ナビゲーションシステムの 構 築 DICOMO 後 藤 順 久 (2012) 駅 バリアフリー 地 図 情 報 の 提 供 システムの 構 築 日 本 福 祉 大 学 社 会 福 祉 論 集 第 126 号,pp 宮 下 浩 一, 寺 田 努, 田 中 宏 平, 西 尾 章 治 郎 (2009) 目 的 予 測 型 カーナビゲーションシステムのためのマップマッチン グ 手 法 情 報 処 理 学 会 論 文 誌 Vol.50,pp Sven Kratz,Ivo Brodien,Michael Rohs.(2010).Semi-Automatic Zooming for Mobile MapNavigation,In proceedings of the 12th international conference on Human computer interactionwith mobile devices and services,pp 連 絡 先 住 所 : 石 川 県 能 美 市 旭 台 1-1 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 名 前 : 山 本 紘 之 Ⅲ1-7

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48 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 情 報 化 とサービス 化 の 複 合 傾 向 としての 脱 工 業 化 Deindustrialization as a compound tendency of informatizaition and servicization 西 部 忠 NISHIBE Makoto 北 海 道 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 Graduate School of Economics, Hokkaido University 要 約 脱 工 業 化 は, 先 進 諸 国 で 1970 年 代 以 降 観 察 される, 産 業 の 中 心 が 第 二 次 産 業 から 第 三 次 産 業 へシフトする 傾 向 である. 情 報 化 とサービス 化 の 複 合 傾 向 としての 脱 工 業 化 には,サービスと 情 報 の 生 産 に 工 業 化 の 少 品 種 大 量 生 産 の 論 理 を 適 用 することで, 規 模 の 経 済 によるコスト 削 減 と 効 率 性 を 追 求 する 量 的 側 面 ( 工 業 化 の 論 理 の 徹 底 )と, 情 報 創 造 により 情 報 やサービスの 高 品 質 と 多 様 性 を 追 求 する 質 的 側 面 ( 工 業 化 の 論 理 の 超 出 )の 二 側 面 がある. 脱 工 業 化 は 前 者 から 後 者 へと 転 換 する.この 移 行 プロセスで 情 報 化 を 通 じたサービス 化 が 生 じる. 複 製 子 と 相 互 作 用 子 の 概 念 を 導 入 すると,a) 物 財 と 情 報 財 の 生 産 = 設 計 情 報 ( 複 製 子 )の 物 的 媒 体 ( 相 互 作 用 子 )への 複 製,b)イノベーシ ョン= 設 計 情 報 ( 複 製 子 )の 人 為 変 異,c) 情 報 化 = 物 的 媒 体 の 設 計 情 報 に 対 する 相 対 的 減 少 傾 向 が 理 解 できる. 知 を 認 知 次 元 と 解 釈 次 元 で 分 類 して 情 報 知 識 データを 区 別 すると, 知 の 存 在 様 態 の 中 に 工 業 化 と 脱 工 業 化 の 転 換 プロセスを 描 きうる.サービス 生 産 ではサービスの 供 給 者 と 需 要 者 の 協 同 的 相 互 行 為 を 通 じて 複 製 子 に 一 定 の 変 異 を 伴 うサービス イノベーションが 発 生 するので, 新 たな 価 値 創 造 が 絶 えず 生 成 する.サービス サイエンスは 知 のスト ック 次 元 を 欠 くサービス 一 元 論 であり, 工 業 化 の 論 理 や 脱 工 業 化 における 知 識 共 創 を 因 果 関 係 として 説 明 しえない. キーワード 脱 工 業 化, 情 報 化,サービス 化, 知 識,サービス サイエンス, 価 値 共 同 創 造 1. 脱 工 業 化 とサービス 化 1.1 工 業 化 と 脱 工 業 化 1970 年 代 以 降, 先 進 国 で 急 速 に 進 んでいる 脱 工 業 化 とは 情 報 化 (informatization)とサービス 化 (servicization)という 二 つの 異 なる 傾 向 が 複 合 的 に 同 時 進 行 する 事 象 が 生 み 出 す 傾 向 であると 捉 えることで, 脱 工 業 化 の 意 味 をより 深 く 理 解 し,その 広 範 な 社 会 文 化 的 な 影 響 を 考 察 することができる 1). 図 1: 産 業 別 就 業 者 構 成 比 の 推 移 ( 日 本 銀 行 明 治 以 降 本 邦 主 要 経 済 統 計, 総 務 省 労 働 力 調 査 ) 脱 工 業 化 とは, 産 業 構 造 の 中 心 が 雇 用 付 加 価 値 において 第 二 次 産 業 から 第 三 次 産 業 へシフトすることである. 日 本 の 産 業 別 就 業 者 構 成 比 は 1879 年 から 1995 年 まで 図 1 のように 推 移 した. 第 一 次 産 業 と 第 三 次 産 業 の 就 業 者 構 成 比 は 1940 年 代 の 戦 争 混 乱 期 を 除 いて 一 貫 した 低 下 傾 向 と 上 昇 傾 向 にあるが,1970 年 代 以 降 の 脱 工 業 化 では, 第 二 次 産 業 の 就 業 者 構 成 比 が 低 下 していることが 明 確 に 読 み 取 れる. 1.2 脱 工 業 化 の 二 つの 形 態 脱 工 業 化 には 実 は 二 つの 形 態 がある. 一 つは, 工 業 化 を 徹 底 する 脱 工 業 化 であり,サービスと 情 報 の 生 産 に 工 業 化 における 少 品 種 大 量 生 産 の 論 理 を 適 用 して, 規 模 の 経 済 によるコスト 削 減 と 効 率 性 を 追 求 する 量 的 形 態 ( 情 報,サ ービスの 大 量 生 産 )である.もう 一 つは, 工 業 化 の 論 理 を 超 え 出 る 脱 工 業 化 であり, 情 報 創 造 により 情 報 やサービスの 高 品 質 と 多 様 性 を 追 求 する 質 的 形 態 ( 情 報,サービスの 多 品 種 生 産 とイノベーション)である. 脱 工 業 化 は, 前 者 から Ⅲ2-1

49 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 始 まり,やがて 後 者 へと 移 行 していくことが 観 察 される.これら 二 つの 形 態 のメカニズムについては 後 で 詳 述 する. 2. 情 報 化 とは 何 か 2.1 ICT 進 化 と 情 報 進 化 1980 年 代 以 降 の 現 代 経 済 社 会 の 特 徴 は 高 度 情 報 化 にあるとされてきた.ここで 情 報 化 とは,コンピュータの 高 速 演 算 処 理 を 利 用 する 計 算, 事 務, 工 作, 管 理 作 業 の 効 率 化 や 自 動 化 を 意 味 し,コンピュータ 産 業 を 中 心 とする 情 報 技 術 の 発 展 普 及 により 実 現 されると 考 えられてきた.まず,1970 年 代 後 半 から 80 年 代 にかけて, 大 学, 企 業 等 のオフ ィスや 工 場 で 情 報 の 大 量 高 速 処 理 を 行 うことができるコンピュータが 導 入 され, 事 務 作 業 や 生 産 ラインの 自 動 化 が 進 められた.いわゆる OA や FA の 時 代 である.80 年 代 後 半 以 降, 技 術 革 新 によってパーソナル コンピュータが 安 価 で 高 性 能 になり, 家 庭, 教 育 機 関 で 広 く 普 及 して 計 算 事 務,ワープロ,パソコン 通 信,ゲーム 等 に 使 われるようになった が,パソコン 普 及 率 は 1995 年 前 半 まで 10% 台 に 止 まっており( 図 2),この 時 点 までパソコンは 一 部 のマニアが 使 用 す る 機 器 にすぎずなかったことがわかる. 先 の 意 味 での 情 報 化 はオフィスや 工 場 以 外 ではさほど 進 展 しなかった. 図 2:パソコン 普 及 率 ( 資 料 ) 内 閣 府 調 査 図 3:インターネット 利 用 者 人 口 人 口 普 及 率 等 ( 資 料 ) 総 務 省 通 信 利 用 動 向 調 査 1990 年 代 後 半 にインターネットが 一 般 ユーザの 間 で 急 速 に 普 及 し 始 め,2000 年 代 に 入 ると 光 ファイバーの 技 術 革 新 による 通 信 帯 域 の 爆 発 や 無 線 通 信 (WiFi)の 急 速 な 普 及 と 相 俟 ってインターネット 利 用 者 は 急 拡 大 した( 図 2).パソコ ン 普 及 率 はそれとともに 急 上 昇 したことがわかる ( 図 3) 2).10 年 程 前 までさかんに 用 いられた 情 報 技 術 (IT: Information Technology) という 略 語 が 情 報 伝 達 ないし 情 報 通 信 を 加 えた 情 報 通 信 技 術 (ICT: Information and Communication Technology) という 語 に 取 って 替 わられ,2000 年 代 後 半 から 広 く 使 用 されるようになった.これは,イ ンターネット 関 連 技 術 と 通 信 環 境 の 発 展 により,コンピュータ 単 体 による 情 報 処 理 より,コンピュータ 間 の 情 報 通 信 やコ ンピュータ ネットワーキングが 重 視 されるようになり, 最 終 的 にはコンピュータ ネットワークを 介 した 人 間, 企 業, 消 費 者 といった 各 種 主 体 間 のコミュニケーション(P2P,B2B,B2C 等 )が 強 く 意 識 されるようになったことを 物 語 る.IT を ICT に 変 え, 情 報 化 を 通 したサービス 化 を 可 能 にしたのがインターネットである 3). 情 報 化 の 重 点 はこうして 1990 年 代 後 半 に 脱 工 業 化 の 量 的 側 面 を 体 現 する OA や FA から,その 質 的 側 面 を 体 現 するインターネットと ICT へ 移 行 したのである. 2.2 情 報 化 と 脱 工 業 化 :ICT 進 化 と 情 報 進 化 情 報 化 は 当 初, 情 報 処 理 と 情 報 通 信 の 技 術 発 達 として 観 察 された.まず 高 速 大 量 の 情 報 処 理 ができるパーソナ ル コンピュータが 廉 価 になり,OS の 標 準 化 競 争 が 進 んだ.さらに 高 速 大 量 のデジタル 情 報 の 双 方 向 電 送 を 自 律 分 散 的 に 行 うインターネットが 急 速 に 普 及 し, 高 速 回 線, 無 線 といった 通 信 環 境 が 整 備 され,また,モバイル 型 端 末 とそ のための 新 しいソフトウェアやサービスが 次 々に 登 場 した.このように 情 報 処 理 装 置 であるハードウェアの 能 力 が 向 上 するとともに,プラットフォーム ソフトウェアの 標 準 化 が 進 み,その 上 で 利 用 されるアプリケーション ソフトウェアは 多 様 かつ 低 廉 になり,だれもがより 簡 単 に 利 用 できるようになった.さらに, 通 信 環 境 が 整 備 されると,インターネットのよう な 多 数 のコンピュータを 相 互 接 続 するネットワークの 形 成 が 進 行 した.このコンピュータのネットワーク 化 は 分 散 的 な 情 報 の 収 集 処 理 蓄 積 検 索 を 可 能 にし,われわれが 獲 得 しうる 情 報 の 質 と 量 を 格 段 に 高 めた.このように,ハードウェ アとソフトウェア 両 面 でのイノベーションが 互 いに 相 手 を 促 進 する いたちごっこ によって 情 報 化 を 進 めてきた. これは 旧 技 術 から 新 技 術 への 単 発 的 な 転 換 ではない.ある 一 つの 変 化 が 次 の 変 化 を 生 み,それがさらに 次 の 変 化 を 生 むように, 玉 突 き 的 に 新 たな 変 化 を 生 成 する 連 鎖 が 繰 り 返 される.こうしたダイナミックな 過 程 で 多 様 な 技 術 から 一 Ⅲ2-2

50 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 定 のものが 生 き 残 り,それを 基 盤 として 新 しいハードウェアやソフトウェアが 生 まれてくる.イノベーションにより 変 異 が 絶 えず 生 み 出 されると 同 時 に, 淘 汰 と 選 択 を 伴 う 分 岐 が 生 じる.ハードウェアとソフトウェアにおける 標 準 化 競 争 は, 新 たなハードウェアやソフトウェアの 多 くが 次 第 に 淘 汰 されていくネガティブ フィードバックのプロセスである.しかもハー ドウェアとソフトウェアの 単 なる 量 的 な 拡 大, 成 長, 普 及 だけではなく, 標 準 化, 階 層 化, 分 散 化,ネットワーク 化,オー プン 化 といった 質 的 変 化 やトレンドの 形 成 も 同 時 に 生 じている.そこでは,ハードウェアとソフトウェアは 互 いに 影 響 を 与 えあい, 双 方 向 的 な 因 果 関 係 のループを 形 成 することによって 共 進 化 する.ネットワーク 的 な 性 質 を 持 つ 多 くのハ ードウェアやソフトウェアの 場 合, 普 及 率 が 高 いとより 多 くのソフトが 利 用 でき,より 多 くのユーザと 接 続 できるため,ユ ーザの 利 便 性 が 高 まる.そのため,ある 普 及 率 を 超 えると, 普 及 率 が 加 速 度 的 に 増 加 するポジティブ フィードバック が 働 く.こうした ネットワーク 外 部 効 果 を 通 じて 一 定 のハードやソフトがデファクト スタンダードになる. 以 上 のプロセスでは, 競 争 や 淘 汰 によるネガティブ フィードバックとネットワーク 外 部 効 果 によるポジティブ フィー ドバックが 同 時 に 存 在 している.これは, 初 期 時 点 のわずかなゆらぎが 指 数 的 に 増 幅 するため, 予 想 できない 経 路 を 辿 る 複 雑 系 が 成 立 する 条 件 である.ネットワーク 外 部 性 を 伴 う 標 準 化 競 争 が 起 こると, 経 済 システムは 自 己 組 織 性 や 複 雑 性 を 示 し, 不 可 逆 時 間 の 中 で 特 異 な 進 化 を 遂 げていく.システムの 帰 結 は 予 め 予 想 できない. 偶 然 的 な 要 因 によ って 事 態 の 推 移 は 枝 分 かれし, 各 経 路 に 依 存 して 物 事 が 次 々に 決 まっていくという 経 路 依 存 性 が 見 られる(Arthur 1994).こうしたプロセスは 短 期 の 急 激 な 変 革 ではなく, 長 期 の 漸 進 的 かつ 不 可 逆 的 な 変 化 である.それゆえ,ここで は 一 般 に 使 われる 情 報 通 信 技 術 (ICT) 革 命 に 代 えて, 情 報 通 信 技 術 (ICT) 進 化 という 用 語 を 使 いたい. 狭 義 の 情 報 化 は,このように 1980 年 代 以 降 急 激 に 進 んだハードウェアとソフトウェアの 両 面 での 情 報 技 術 の 革 新 とその 社 会 への 普 及,すなわち,いま 見 た ICT 進 化 を 指 す.これは 経 済 やそれ 以 外 にも 大 きな 波 及 効 果 をもたらす.ゆえに 広 義 の 情 報 化 は,ICT 進 化 による 脱 工 業 化 の 促 進 や, 経 済 社 会 の 構 造 制 度 と 人 々の 生 活 意 識 の 変 化 をも 含 む. 技 術 面 における ICT 進 化 は 経 済 に 大 きな 影 響 を 与 えた.まず, 知 識 基 盤 経 済 (Knowledge-Based Economy)(OECD 1996)が 到 来 した.ハードウェアとソフトウェアの 巨 大 な 情 報 関 連 産 業 とメガ 市 場 はサービス 産 業 に 続 く 第 四 次 産 業 となった. 金 融 市 場 ( 銀 行, 株 式, 保 険, 為 替 )ではネット 上 の 各 種 の 商 品 やサービスが 開 発 され, 取 引 や 販 売 が 拡 大 した. 特 に 先 物,オプション,スワップなどデリバティブ 型 金 融 商 品 の 革 新 と 普 及 が 著 しい. 金 融 商 品 の 情 報 化 はこうし て 脱 工 業 化 にますます 拍 車 をかける.こうして, 創 造 階 級 (Florida 2002,2005)という 新 たな 知 的 階 層 が 誕 生 した. ICT 進 化 はまた 情 報 のモノからの 分 離 と 自 立 化 を 加 速 することで, 生 活 様 式 や 社 会 意 識 を 変 えた. 紙,レコード,カ セットテープ,CD,DVD など 物 理 的 媒 体 に 複 製 された 書 籍, 雑 誌, 音 楽, 映 画,ゲームといった 情 報 商 品 はインター ネット 上 のデジタル コンテンツとして 電 子 的 に 販 売 されるようになり,もはや 物 理 的 メディアを 必 要 としなくなった. 人 々は Twitter でニュースを 聞 きコメントをつぶやきあい,Facebook で 友 人 捜 し, 近 況 報 告, 写 真 展 示, 意 見 交 換 を 行 い,ネット 上 で 一 日 のかなりの 時 間 を 過 ごしている.ネットでの 交 流 やヴァーチャル コミュニティがかなりのリアリティを 持 ち 始 めている.ICT 進 化 は 市 場 産 業 構 造 へのマクロ 的 な 影 響 を 引 き 起 こしただけではなく,ミクロ 的 にも 大 きな 波 及 効 果 を 各 方 面 へもたらした. 企 業 組 織 や 企 業 統 治, 経 営 戦 略 や 雇 用 形 態, 電 子 商 取 引 や 電 子 貨 幣, 金 融 市 場 や 金 融 商 品 といった 経 済 の 組 織 や 制 度 の 変 化 が 挙 げられる. 人 々の 生 活, 職 業, 意 識, 交 流 に 関 わる 社 会 文 化 や 政 治 や 政 府 のあり 方 が 大 きく 変 化 してきた( 池 田 1997,1999, 須 藤 2003, 出 口 2003).ICT 進 化 と,それが 引 き 金 となって 生 じた 経 済, 社 会, 文 化 における 変 化 や 新 たなトレンドを 情 報 進 化 と 呼 ぶならば,それは 以 下 のように 整 理 できる. 1) 情 報 処 理 通 信 技 術 の 発 展 とネットワーク 化 (ICT 進 化 ) 2) 情 報 の 自 立 化 と 情 報 関 連 市 場 の 拡 大 3) ハードとソフト 両 面 における 情 報 産 業 の 拡 大 4) 金 融 市 場 の 拡 大 変 容 や 金 融 商 品 の 革 新 普 及 5) 企 業 組 織 企 業 統 治 や 経 営 戦 略, 雇 用 形 態 の 変 化 6) 電 子 商 取 引 や 電 子 貨 幣 によるオンライン 経 済 の 成 立 7) 個 人 の 生 活 や 意 識 の 変 化 とそれに 伴 うコミュニティや 文 化 の 変 化 8) 政 府 政 治 のあり 方 の 変 化 1)の ICT 進 化 が 2) 8)の 変 化 を 引 き 起 こした. 2) 6)が 経 済,7)が 生 活 文 化,8)が 政 治 に 関 わる 変 化 である. 経 済 の 変 化 のうち,2) 4)が 情 報 の 産 業, 市 場, 商 品 のマクロ 変 化,5)は 企 業 雇 用,6)は 取 引 貨 幣 のミクロ 変 化 である 4). このように 情 報 化 とは ICT 進 化 が 時 間 をかけて 経 済, 社 会, 文 化, 政 治 に 大 きな 変 容 をもたらす 情 報 進 化 を 指 す. 3. 情 報 知 識 データの 相 互 連 関 と 知 の 存 在 様 態 ここでは 情 報 進 化 の 意 味 をより 深 く 考 察 するため, 情 報, 知 識,データを 知 の 部 分 集 合 として 明 確 に 定 義 し, 相 互 関 連 について 議 論 する. 工 業 化 を 実 現 する 機 械 による 自 動 化 は,これら 態 様 間 のダイナミックな 変 換 として 把 握 できる. 3.1 情 報 知 識 データ Ⅲ2-3

51 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 情 報 (information) とは, 特 定 の 物 理 的 非 物 理 的 対 象 についての 数 量 的 非 数 量 的 な 記 号 (コード) 信 号 (シグ ナル)もしくは 現 象 のパターンである.より 一 般 的 に 言 えば, 言 語 化 ないし 数 量 化 でき, 明 示 的 かつ 形 式 的 に 表 現 でき れば,コンピュータにより 処 理 可 能 である. 人 間 の 技 能 や 熟 練 を 理 解 するには, 情 報 理 論 における 情 報 の 定 義 を 広 げ, 情 報 が 人 間 のメッセージを 伝 達 する 記 号 のような 人 工 的 信 号 だけでなく, 明 示 的 な 意 図 の 表 現 や 伝 達 を 伴 わない 自 然 現 象 のパターンを 含 むと 考 える 必 要 がある. 情 報 は 知 識 に 比 べて 断 片 的 部 分 的 な 性 格 を 刻 印 されている. デー タ(data) とは, 一 定 の 目 的 や 意 図 のもとで 収 集 集 約 され, 所 定 のフォーマットに 従 って 分 類 配 列 された 情 報,つまり 明 確 にパターン 化 されている 記 号 や 信 号 であり, 情 報 の 部 分 集 合 である. 例 えば,プログラムにとってのデータとは, すでにプログラムでどのように 使 われるかが 決 められているフォーマット 化 された 情 報 であり,そういう 性 質 を 持 ってい るため 生 命 にとって 意 味 を 持 つ 5).これに 対 して, 知 識 (knowledge) とは, 一 定 の 概 念 ルールに 基 づいて 抽 象 化 パターン 化 された 情 報 やデータが 特 定 の 観 点 や 価 値 によって 分 類 統 合 された 体 系 のことである. 知 識 は, 全 ての 情 報 やデータから 人 間 が 人 為 的 に 取 捨 選 択 し, 主 観 的 かつ 能 動 的 に 再 構 成 したものである.よって, 主 体 の 認 知 枠,ヴ ィジョン, 世 界 観 による 世 界 や 環 境 に 関 する 解 釈 を 含 む. 知 識 は 非 明 示 的 ないし 暗 黙 的 なものを 含 むが, 情 報 やデー タを 全 体 状 況 やグローバルな 文 脈 のなかに 配 置 し, 意 義 づける 点 において 全 体 的 統 合 的 構 成 的 な 側 面 を 持 つ. 知 識 の 多 くは 記 号 化 ないし 言 語 化 された 情 報 よりなる.それは, 自 然 に 関 する 科 学 技 術 だけでなく, 社 会 にかんす る 科 学 技 術 も 含 む.しかも, 科 学 だけでなく, 宗 教 やイデオロギー, 社 会 的 慣 習 や 常 識, 迷 信 や 寓 話, 個 人 的 な 技 能 習 慣 など 実 に 多 くのものを 含 んでいる.そのほとんどは If-Then ルールの 形 式 で 表 せる 6). 制 度 とは, 多 くの 人 が 実 際 にそれに 従 って 行 為 しているような 共 有 された If-Then ルールの 束 である( 西 部 吉 田 他 2010 第 4 章 ). 3.2 知 の 存 在 様 態 : 認 知 的 次 元 と 解 釈 的 次 元 ここでは, 知 の 存 在 様 態 を< 明 示 的 暗 黙 的 >の 認 知 的 (perceptive) 次 元 と< 統 合 的 部 分 的 >の 解 釈 的 (interpretive) 次 元 の 二 軸 で 分 類 する( 図 4). 前 者 が 主 体 の 認 知 行 為 のプロセス, 後 者 が 主 体 の 解 釈 表 現 のプロセ スに 関 わる. 認 知 と 解 釈 の 二 次 元 は 主 体 が 行 為 し 表 現 するための 主 観 的 要 素 として 主 体 内 部 で 同 時 に 働 いている. 任 意 の 知 は 二 次 元 平 面 上 のどこかに 位 置 づけられ, 認 知 と 解 釈 を 経 て 利 用 記 憶 再 現 される. 図 4: 知 の 存 在 様 態 認 知 的 次 元 では, どうするか についての 実 践 知 (knowing how)に 対 応 する 暗 黙 的 知 ( 暗 黙 的 情 報 ないし 暗 黙 的 知 識 )が 下 方 に, なんであるか についての 理 論 知 (knowing that)に 対 応 する 明 示 的 知 ( 明 示 的 情 報 ないし 明 示 的 知 識 )が 上 方 に 位 置 する(Polanyi, M. 1958).この 次 元 は, 主 体 が 知 に 基 づいて 行 為 する 際,どの 程 度 意 識 に 依 存 する かを 示 す. 他 方, 解 釈 的 次 元 では, 断 片 的 な 内 容 や 意 味 を 持 つ 部 分 的 知 が 左 方 向 に, 主 体 がそうした 部 分 的 な 情 報 を 一 定 の 関 心 や 焦 点 的 意 識 によって 収 集 して 関 連 づけ, 階 層 的 に 構 造 化 した 統 合 的 知 が 右 方 向 に 位 置 する. この 次 元 は 主 体 が 知 を 表 現 する 際,どういう 形 態 を 取 るかを 示 している. 情 報 と 知 識 の 違 いは, 体 系 的 なまとまりや 統 合 性 の 有 無 にある. 解 釈 的 次 元 である< 統 合 的 - 部 分 的 >という 軸 に 沿 って, 右 側 に 統 合 知 としての 知 識 が, 左 側 に 部 分 知 としての 情 報 が 位 置 づけられる. 知 識 と 情 報 は< 明 示 的 - 暗 黙 的 >という 軸 でそれぞれ 二 分 される. 知 識 には 科 学 やテクノロジーのような 明 示 的 知 識 と 世 界 観 やヴィジョンのような 暗 黙 的 知 識 が 含 まれ, 情 報 にはデータ 統 計 技 術 レシピのような 明 示 的 情 報 と 現 場 情 報, 技 能, 熟 練 のような 暗 黙 的 情 報 が 含 まれる. 情 報 財 の 場 合,フロー スト ックいずれの 形 態 にせよ, 明 示 知 としての 明 示 的 な 知 識 ないし 情 報 (データを 含 む)がその 客 観 的 存 在 様 式 である. Ⅲ2-4

52 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 工 業 化 のロジックを 体 現 する 機 械 とは, 職 人 の 暗 黙 的 技 能 を 多 数 の 小 機 能 を 果 たすモジュールへ 分 解 し,その 組 み 合 わせと 階 層 構 造 の 構 築 によって 職 人 と 同 等 な 仕 事 を 再 現 するための 設 計 情 報 を 創 り 出 し,それを 基 に 構 成 され た 技 術 体 系 である.つまり, 機 械 は, 技 能 熟 練 (かんやこつを 含 む)における 暗 黙 的 情 報 を 細 分 化 して 認 知 的 次 元 上 で 明 示 的 情 報 へと 変 換 し( 小 工 程 への 分 解 ),さらに, 解 釈 的 次 元 上 でそうした 個 々の 明 示 的 情 報 を 組 み 合 わせて 明 示 的 知 識 であるテクノロジーへと 一 貫 して 再 構 成 統 合 する( 諸 工 程 の 連 続 化 ).つまり,それは 暗 黙 的 情 報 の 明 示 的 情 報 への 変 換 ( 上 方 変 換 )と 明 示 的 情 報 の 明 示 的 知 識 へ 変 換 ( 右 方 変 換 )の 合 成 変 換 ( 図 4 の 赤 の )である. 4. 情 報 財 の3つの 特 徴 とその 帰 結 情 報 財 は 物 財 と 比 較 して, 以 下 のような3つの 特 徴 を 持 っている.ここでは, 情 報 財 のそうした 特 徴 からいかなる 帰 結 が 生 じるかを 考 える. 4.1 固 定 資 本 としての 情 報 財 : 人 的 資 本 蓄 積 による 情 報 財 創 造 の 爆 発 物 財 は 耐 久 財 でも 物 理 的 摩 損 が 不 可 避 だが, 情 報 やデータは 非 劣 化 的 複 製 が 半 永 久 的 に 可 能 である.この 点 で, 情 報 財 は 減 耗 期 間 が 非 常 に 長 い 土 地 や 建 物 などの 固 定 資 本 に 似 ている.だが, 科 学 の 進 歩 や 流 行 モードの 変 転 に より 古 い 知 識 は 新 しい 知 識 に 置 き 換 わるので,その 減 耗 は 社 会 的, 文 化 的 に 決 定 される 7). 自 動 車 のような 物 財 の 開 発 生 産 には 土 地, 工 場 建 物, 機 械 設 備 等 の 大 規 模 かつ 高 価 な 固 定 資 本 や 大 量 の 原 材 料, 仕 掛 品 在 庫, 労 働 力 が 必 要 だが, 情 報 財 の 開 発 生 産 には 物 的 資 本 としてコンピュータ 関 連 設 備 とソフトウェア, 人 的 資 本 として 知 識 や 技 能 熟 練, 社 会 インフラとしてインターネットがあれば 足 りる.したがって, 物 財 の 新 製 品 新 技 術 の 開 発 に 必 要 な R&D 費 用 に 比 べて, 情 報 創 造 の 費 用 はずっと 少 なくてすむ. 個 人 が 自 らの 心 身 に 知 識 や 技 能 熟 練 を 体 化 して 人 的 資 本 を 蓄 積 していれば,インターネット 上 から 膨 大 な 情 報 財 を 利 用 することで, 情 報 財 の 創 造 が 可 能 になる. 個 人 ないしは 小 集 団 の 活 動 による 情 報 のイノベーションは 容 易 かつ 迅 速 に 進 むので, 情 報 財 の 種 類 は 爆 発 的 に 増 大 する. 情 報 財 では 量 ではなく, 他 の 情 報 との 質 的 差 異,すなわち 種 類 だけが 重 要 である. 情 報 財 はその 種 類 が 多 く, 質 が 高 いことが 人 間 の 幸 福 に 結 び 付 く. 人 々は 膨 大 な 種 類 の 情 報 財 から 自 分 に 必 要 な 情 報, 興 味 関 心 のある 情 報 を 選 択 して 需 要 する. 情 報 は 非 競 合 的 だから, 他 の 人 が 何 度 も 使 える. 電 子 書 籍 は 低 費 用 でサーバ 上 に 保 存 できるので, 希 にしか 売 れない 本 でも 在 庫 費 用 を 掛 けずに 販 売 できる. 売 上 高 の 相 対 頻 度 分 布 のロングテールに 位 置 するマイナ ー 情 報 の 生 存 可 能 性 の 増 大 は, 新 たな 情 報 の 創 造 を 刺 激 する.その 結 果, 厳 しい 競 争 環 境 でも 適 応 力 の 弱 い 情 報 が 淘 汰 されずに 増 殖 できるようになると, 情 報 財 の 種 類 が 爆 発 し,やがて 情 報 が 希 少 でない 桃 源 郷 へ 突 入 する. 自 由 財 としての 情 報 の 価 格 はゼロに 近 づく. 既 にインターネットによって 無 料 で 多 くの 情 報 が 入 手 可 能 になっている. 4.2 収 穫 逓 増 による 情 報 財 の 価 格 低 下 : 貨 幣 制 約 の 低 下 と 時 間 制 約 の 増 大 ICT 進 化 が 情 報 財 の 生 産 費 用 ( 複 製 費 用 )と 流 通 費 用 ( 輸 送 販 売 費 用 )を 急 激 に 低 下 させたため,それらの 開 発 費 用 ( 創 造 費 用 )に 対 する 割 合 は 物 財 と 比 較 してずっと 低 くなった. いま, 情 報 財 の 販 売 量 が q, 総 費 用 が c (q), 単 位 あたり 生 産 費 用 と 流 通 費 用 が 一 定 で 各 々c 1, c 2, 開 発 費 用 が D と すれば, 情 報 財 の 総 費 用 c (q), 限 界 費 用 c' (q), 平 均 費 用 c (q) / q はそれぞれ 以 下 の3つの 式 で 表 される. c (q) = (c 1 + c 2 ) q + D c' (q) = c 1 + c 2 c (q) / q = c 1 + c 2 + D / q 情 報 財 の 限 界 費 用 c 1 + c 2 は 一 定 で 極 めて 小 さく, 開 発 費 用 D が 一 定 で 大 きいとすれば, 平 均 費 用 c (q) / q は 販 売 量 q に 反 比 例 して 急 速 に 低 下 する.よって,q の 増 加 につれ 平 均 費 用 は 限 界 費 用 に 近 づき, 定 価 販 売 時 の 利 益 率 は 逓 増 する. 情 報 財 の 収 穫 逓 増 は 主 に 平 均 費 用 の 逓 減 による. 書 籍 電 子 化 のようなメディア 革 新 では, 情 報 創 造 費 用 D に 対 する 複 製 費 用 c' (q)が 低 くなるため, 巨 大 マーケットやヒット 商 品 を 目 指 すコンテンツ 開 発 競 争 が 激 化 していく. このように, 情 報 財 の 収 穫 逓 増 効 果 により, 情 報 が 安 価 大 量 に 生 産 ( 複 製 )されると, 情 報 財 の 平 均 費 用 の 低 下 に 伴 う 価 格 低 下 が 起 こり, 価 格 は 最 終 的 にはほぼゼロに 近 づく. 人 々の 物 財 需 要 が 飽 和 すれば, 人 々は 情 報 財 の 創 造 と 利 用 により 大 きな 価 値 を 見 出 す. 情 報 は 差 異 が 重 要 なので,その 多 種 多 様 性 が 求 められる. 情 報 はコミュニケーショ ンや 共 有 感 覚 に 基 づく 一 体 感 や 喜 びを 与 える.ローカルやパーソナルな 情 報 は 知 識 として 普 遍 性 や 体 系 性 を 持 たな いものの, 個 人 やコミュニティの 固 有 性 を 表 現 し 形 成 するものとして 高 い 価 値 を 持 つ. 多 種 類 の 情 報 財 が 存 在 すると,その 選 択 や 利 用 に 時 間 がかかる.それゆえ, 音 楽 を 聴 き, 映 画 を 見,ゲームをする 等, 情 報 財 を 消 費 するのに 必 要 な 時 間 が 主 要 な 制 約 条 件 になる.だが, 人 間 は 時 間 の 有 限 性 と 情 報 の 収 集, 認 知, 理 解 の 限 界 を 乗 り 越 えられないし, 言 語 や 文 化 などフォーマットの 違 いも 消 せない. 情 報 財 はユーザが 属 する 文 化, コミュニティ,ユーザの 価 値 や 関 心 といったローカルな 環 境 条 件 により 自 然 に 選 別 される. 情 報 財 の 市 場 拡 大 はこうし た 時 間 やコミュニティの 制 約 を 強 く 受 ける. 他 方 で, 情 報 財 が 非 常 に 安 価 になれば,ユーザの 貨 幣 所 得 は 情 報 を 利 用 するための 有 効 な 制 約 条 件 ではなくなる. 人 々は 予 算 制 約 よりも, 自 由 時 間 や 寿 命 のような 時 間 制 約 を 強 く 意 識 する ようになる.こうして, 消 費 ( 利 用 ) 時 間 を 費 用 と 考 える 見 方 や 個 人 の 幸 福 および 社 会 的 評 判 により 価 値 を 決 定 する 方 Ⅲ2-5

53 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 式 が 重 視 されると, 人 々の 生 活 意 識 やクリエイティビティに 関 する 価 値 観 も 変 化 するだろう. 時 間 の 希 少 性 の 参 照 点 が が 物 財 生 産 時 間 から 情 報 財 享 受 創 造 時 間 へ 移 ると, 自 由 時 間 は 労 働 に 対 する 余 暇 というより 人 的 資 本 蓄 積 や 情 報 創 造 のための 時 間 と 認 識 されてくる.こうして, 人 的 資 本 投 資 の 目 的 も 将 来 所 得 の 増 大 から 情 報 創 造 の 多 様 性 拡 大 へと 転 換 する. 教 育 学 習 で 蓄 積 される 知 識 技 能 はただ 所 得 増 大 のためではなく,より 多 くの 種 類 の 情 報 財 を 享 受 創 造 し, 各 個 人 が 選 択 するライフスタイルと 価 値 観 の 下 で 自 由 に 生 きるために 必 要 なのである.このような 知 識 共 創 社 会 では, 自 由 な 情 報 創 造 が 可 能 な 労 働 環 境 (SOHO,コワーキング 等 )や 自 由 な 価 値 創 造 に 必 要 な 自 由 時 間 を 提 供 する 経 済 政 策 (ベーシックインカム 等 )が 求 められるであろう. 実 際, 脱 工 業 化 の 下 では, 第 三 次 産 業 部 門 の 雇 用 と 付 加 価 値 は 他 の 産 業 部 門 に 比 較 して 増 大 するので, 第 三 次 産 業 および 全 産 業 の 労 働 生 産 性 が 上 昇 する.その 結 果, 一 日 の 労 働 時 間 が 低 下 し, 長 い 自 由 時 間 を 享 受 できる.こ こから 全 般 的 賃 金 低 下 と 失 業 者 の 増 大 が 帰 結 するにしても, 物 価 が 名 目 賃 金 と 同 率 で 低 下 するならば 実 質 賃 金 は 変 わらず, 物 質 的 な 生 活 水 準 は 維 持 される.こうして 作 り 出 された 自 由 時 間 と 情 報 化 によって 創 造 される 多 様 な 情 報 を 利 用 し,さらにより 多 様 な 情 報 を 創 造 することで, 情 報 の 多 種 多 様 性 を 拡 大 しうる. 知 的 財 産 権 制 度 の 下 では,こうして 創 造 した 情 報 のイノベーションから 追 加 所 得 を 得 られる. 創 造 した 情 報 がどの 程 度 の 所 得 を 稼 ぐかは,コピーの 印 刷, ソフトのダウンロード 等 においてその 情 報 が 何 回 複 製 利 用 されたかによって 決 まるであろう.この 種 の 所 得 は, 企 業 が 革 新 的 新 製 品 の 販 売 から 得 られる 超 過 利 潤 に 似 ている.こうした 状 況 では 情 報 の 価 値 は 限 界 費 用 のような 供 給 要 因 ではなく,ユーザ 側 の 需 要 要 因,すなわち 貨 幣 所 得 ではなく 自 由 時 間 の 制 約 下 での 嗜 好 で 決 まる.これは 単 純 化 すれば, 情 報 財 の 価 値 は, 各 ユーザが 当 該 情 報 の 享 受 に 費 やした 利 用 時 間 ないし 利 用 回 数 の 合 計 によって 決 定 さ れることを 意 味 する 世 紀 の 古 典 派 経 済 学 は, 物 的 生 産 物 の 価 値 が 供 給 側 で 生 産 ( 複 製 )に 必 要 な 労 働 時 間 により 決 定 されるとする 労 働 価 値 説 (Labour Theory of Value) を 唱 えた. 同 じ 時 間 が 制 約 条 件 ではあるが, 需 要 側 の 利 用 時 間 により 情 報 価 値 が 決 定 されるという 21 世 紀 の 価 値 原 理 は 利 用 価 値 説 (Utility Theory of Value) と 呼 びうる. 4.3 純 粋 公 共 財 としての 情 報 財 : 情 報 知 識 のクリエイティブ コモンズとディストピア 個 人 がある 財 の 便 益 を 享 受 すると, 他 人 が 同 時 にその 便 益 を 享 受 できない 時, 競 合 的 (rivalrous) だという.これは 財 の 物 的 特 性 によって 決 まる.また, 財 の 便 益 を 享 受 する 個 人 から 対 価 を 徴 収 することが 可 能 な 時, 排 除 的 (excludable) だという.これは 財 の 物 的 特 性 と 法 律 体 系 によって 決 まる. 食 料, 自 動 車, 電 化 製 品 などほとんどの 物 財 は 競 合 的 かつ 排 除 的 な 私 的 財 である. 公 園 や 映 画 館 は 多 くの 人 が 一 度 に 利 用 できるが, 料 金 所 を 設 置 することがで きるので, 非 競 合 的 で 排 除 的 なクラブ 財 である. 情 報 財 は, 複 製 流 通 費 用 がきわめて 小 さいという 条 件 の 下 では, 空 気 と 同 じく 非 競 合 的 かつ 非 排 除 的 な 純 粋 公 共 財 である 7) (Arrow 1962, Stiglitz 1999). 情 報 財 の 複 製 が 技 術 的 に 可 能 でも, 知 的 財 産 権 を 設 定 して 利 用 料 金 を 徴 収 したり,コピーガード 技 術 により 複 製 費 用 を 高 めたりすることができるので,それをを 競 合 的 かつ 排 除 的 な 私 的 財 にすることができる.だが, 国 家 による 法 律 制 定 や 摘 発 だけでは 違 法 コピーを 防 ぐことはできないし,コピーガード 技 術 の 導 入 は,それを 解 除 する 技 術 商 品 を 誘 発 するため,イノベーションのいたちごっこが 起 きる.このように 情 報 財 の 私 的 財 化 は 完 全 ではない. むしろ,コピーライトこそ 情 報 財 の 創 造 と 共 有 を 阻 害 する 元 凶 だと 主 張 する 人 々はコピーレフトを 唱 えた. 新 しいソフ トウェアの 実 行 複 製 改 変 を 自 由 に 行 うことを 許 す GPL(General Public License: 一 般 公 衆 利 用 許 諾 契 約 書 )に 基 づ いたフリー/オープン ソフトウェアが 多 く 開 発 されている. 知 的 財 産 権 に 関 する 国 際 国 内 法 制 度 は 現 在 強 化 されつ つあるので, 特 許 や 著 作 権 の 有 効 期 限 の 撤 廃 短 縮,コピーレフトなど 有 効 領 域 の 拡 大 を 進 められれば, 情 報 の 利 用 価 値 説 が 有 効 に 働 く 制 度 的 条 件 が 整 い, 知 のクリエイティブ コモンズと 真 の 多 様 性 を 享 受 できるようになろう. 物 財 における 原 料 や 労 働 のための 生 産 費 用 は 相 対 的 に 高 いので, 規 模 の 経 済 による 平 均 費 用 の 逓 減 だけでは 価 格 はあまり 下 がらない.よって 需 要 側 に 予 算 制 約 がかかり, 貨 幣 的 な 有 効 需 要 原 理 が 働 いた. 他 方, 情 報 財 の 複 製 費 用 は 低 いので 大 量 安 価 な 供 給 が 可 能 だが, 需 要 側 に 時 間 認 知 能 力 の 制 約 や 社 会 的 文 化 的 選 別 フィルタがかかる ので, 認 知 的 な 有 効 需 要 原 理 が 働 く.また, 高 付 加 価 値 の 情 報 財 を 創 造 する 人 々は 知 識 情 報 が 体 化 された 人 的 資 本 を 所 有 する 創 造 階 級 を 形 成 する.その 一 方 で, 人 的 資 本 を 持 たない 人 々はコンピュータ プログラムでは 容 易 に 実 行 できないが 人 間 にとっては 比 較 的 単 純 な 作 業, 例 えば, 状 況 把 握,データ 収 集 入 力, 人 物 認 証, 電 話 での 応 答 を 低 賃 金 請 負 労 働 で 行 う.こうした 労 働 者 の 大 量 発 生 が 階 級 分 化 を 伴 うディストピアを 生 む 可 能 性 も 高 い. 5. 情 報 生 産 と 情 報 創 造 5.1 人 工 物 としての 商 品 : 複 製 子 と 相 互 作 用 子 脱 工 業 化 を 通 じて 明 らかになったのは 以 下 のことである. 物 的 な 製 造 ないし 生 産 とは, 鉄,アルミニウム,ガラ ス,ゴムのような 異 種 類 の 素 材 的 媒 体 の 上 に 事 前 に 与 えられている 製 品 情 報 を 物 理 的 に 再 現 すること,すなわち, ( 物 財 ) 生 産 = 既 定 の 設 計 情 報 の 複 製 ( 転 写 )である. 多 様 な 物 財 の 新 結 合 である 発 明 やイノベーションは 設 計 情 報 を 修 正 し 追 加 するので,( 物 財 ) 設 計 = 既 定 の 設 計 情 報 の 部 分 修 正 + 新 規 の 設 計 情 報 の 追 加 である. このように, 商 品 を 含 むすべての 人 工 物 は, 設 計 情 報 が 何 らかの 物 的 媒 体 の 上 に 構 築 再 現 されたものと 理 解 でき Ⅲ2-6

54 知 識 共 創 第 4 号 (2014) る.この 点 を 概 念 化 すれば, 商 品 の 設 計 情 報 や 技 術 知 識 が 複 製 子 (replicator), 商 品 の 物 的 媒 体 が 相 互 作 用 子 (interactor) である. 複 製 子 とは 相 互 作 用 子 の 特 性 を 決 定 する 情 報 ないし 知 識 の 基 礎 単 位 である.それは 社 会 経 済 進 化 において 創 造 変 更 複 製 保 存 伝 播 される. 相 互 作 用 子 は 複 製 子 の 乗 り 物 ないし 媒 体 である. 生 産 は 複 製 子 の 複 製 保 存 伝 播 に,イノベーション(innovation)は 複 製 子 の 創 造 変 更 ( 人 為 変 異 (artificial mutation))に 相 当 すると 理 解 できる. 工 業 化 の 時 代 にもこうした 原 理 は 存 在 していたが,それほど 自 明 ではなかった.というのも, 自 動 車 のよう な 工 業 製 品 の 場 合, 鉄,アルミ,ガラス,ゴムのような 物 的 素 材 ( 相 互 作 用 子 )に 要 する 単 位 生 産 費 用 が 設 計 情 報 ( 複 製 子 )に 要 する 単 位 開 発 費 用 に 対 する 割 合 は, 電 子 書 籍 のコンテンツの 単 位 複 製 費 用 がその 単 位 開 発 費 用 に 対 す る 割 合 よりずっと 大 きい.このため 複 製 子 として 設 計 情 報 の 重 要 性 は 認 知 されにくい.こうした 原 理 が 観 察 理 解 可 能 になるのは, 電 子 書 籍 のように 脱 工 業 化 を 通 じて 商 品 の 相 互 作 用 子 が 素 材 価 値 として 極 小 化 した 結 果 である( 図 5). 図 5: 人 工 物 としての 商 品 : 脱 工 業 化 による 相 互 作 用 子 の 相 対 的 減 少 複 製 子 ( 設 計 情 報 ) 相 互 作 用 子 ( 物 的 素 材 ) 自 動 車 書 籍 電 子 書 籍 マハルプ(Machlup 1962)を 初 めとする 多 くの 人 々が 小 説 の 執 筆, 音 楽 の 作 曲,ゲームソフトの 開 発, 新 惑 星 の 発 見 のような 活 動 を 情 報 や 知 識 の 製 造 生 産 として 語 ってきた.だが,それらは イノベーション 創 造 なのである.な ぜなら,これは 複 製 子 のコピーとしての 伝 播 ではなく,その 変 異 を 伴 う 新 複 製 子 の 創 造 であるからだ. 通 常, 人 々がソ フトウェア プログラミング, 映 画 撮 影,テレビ 放 送 は 情 報 生 産 であり,ソフトウェア プログラム, 映 画,テレビ 番 組 は 情 報 生 産 物 であると 考 えるのは, 工 業 化 における 物 財 の 生 産, 製 造 の 見 方 を 脱 工 業 化 における 情 報 財 にも 同 じよ うに 適 用 し, 生 産 という 用 語 を 使 用 し 続 けることによって, 複 製 子 としての 情 報 と 相 互 作 用 子 としての 素 材 を 区 別 でき なくなってしてしまうからである.これは 概 念 の 誤 用 に 他 ならない. 自 動 車 の 生 産 と 同 じ 意 味 での 情 報 の 生 産 とは, 本 の 印 刷,ソフトウェアのコピー 等, 物 的 素 材 への 情 報 の 複 製 のことである. 5.2 脱 工 業 化 における 情 報 財 の 生 産 と 創 造 工 業 化 時 代 における 物 財 生 産 は 多 くの 原 料,エネルギー, 労 働 を 必 要 とするので, 生 産 費 用 が 大 きくなるのに 対 し, 脱 工 業 化 における 情 報 財 の 生 産 費 用 ( 複 製 費 用 )は 劇 的 に 低 下 する. 情 報 財 が 固 定 資 本 の 性 質 を 持 つため 規 模 の 経 済 が 働 くとともに, 一 般 に 情 報 商 品 の 生 産 ( 複 製 )は 物 的 生 産 物 の 生 産 より 少 量 の 資 源 しか 必 要 としないからである. さらに, 情 報 のデジタル 化, 記 録, 複 製 のためのハイテク 技 術 の 開 発,および, 急 速 な 端 末 やインターネットの 普 及 の おかげで, 情 報 生 産 産 業 は 製 造 業 より 大 きな 規 模 の 経 済 の 利 用 が 可 能 になった.これまで 情 報 生 産 はその 最 終 生 産 物 を CD や DVD のパッケージとして 顧 客 に 販 売 してきたので, 物 的 生 産 と 同 じように 考 えられてきた. ところが,インターネット 等 ICT は 複 製 子 である 情 報 をその 物 的 媒 体 からほぼ 切 り 離 すことを 可 能 にした. 何 百 万 種 類 の 本, 音 楽, 写 真, 映 画 をインターネット 上 のファイルサーバに 保 存 しておき, 顧 客 にダウンロードさせればよい.ユ ーザはサーバにアクセスし,すべてのコンテンツの 中 から 気 に 入 ったものを 選 択 すれば,それをダウンロードして 直 ち に 利 用 することができる.その 後 でも,すべての 情 報 は 元 のまま 残 っている.したがって, 情 報 生 産 企 業 ないしプロバ イダーはパッケージや 輸 送 とともに 物 的 在 庫 や 販 売 店 舗 にかかるすべての 費 用 を 節 約 することができる. 他 方,ユー ザは 情 報 財 を 物 財 のように 所 有 することなく, 情 報 利 用 から 文 字, 音 声, 映 像 サービスを 享 受 することができるようにな る.こうして,ユーザの 最 終 目 的 はサービスにあることが 明 らかになる. 6. サービス 化 とは 何 か 6.1 イノベーションを 伴 う 工 業 化 によるサービス 商 品 の 生 産 物 商 品 への 置 換 と 残 存 18 世 紀 後 半 にイギリスで 工 業 革 命 (Industrial Revolution) が 始 まり, 綿 工 業 など 繊 維 製 造 業 を 中 心 として 各 種 の 機 械 が 発 明 され,それらが 大 規 模 工 場 に 導 入 されて 大 量 生 産 が 確 立 した. 機 械 の 発 明 普 及 はまず 綿 布 生 産 分 野 か ら 始 まり, 綿 糸 生 産 分 野, 動 力 分 野 といった 川 上 工 程 へと 波 及 していった.このように,19 世 紀 以 降, 機 械 化 による 大 量 生 産 と 単 位 費 用 削 減 を 可 能 にする 生 産 技 術 におけるプロセス イノベーションが 工 業 全 般 へと 拡 大 し, 労 働 者 階 級 の 生 活 水 準 の 向 上 による 需 要 の 増 大 に 支 えられて, 経 済 全 体 がマクロ 的 に 成 長 していった. こうした 工 業 化 の 過 程 で, 鎧 作 りのような 時 代 遅 れなサービスが 廃 れる 一 方 で, 裁 縫 や 仕 立 等 の 多 くのサービスは 機 械 制 大 工 業 の 成 立 により 大 量 生 産 される 製 造 物 ( 例 えば, 衣 料 品 )によって 取 って 代 わられた.さらに, 建 築, 塗 装, Ⅲ2-7

55 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 靴 製 造, 鍛 冶 といった 技 能 や 熟 練 が 機 械 と 単 純 労 働 の 組 み 合 わせである 工 業 技 術 へと 還 元 される 過 程 で, 生 産 サー ビスは 次 第 に 新 たな 工 業 製 品 へと 置 き 換 えられていった. 工 業 化 に 伴 って,サービス 商 品 の 多 くは 工 業 生 産 物 商 品 に 代 替 された.これは, 工 業 化 におけるプロセス/プロダクツ イノベーションがサービス 商 品 を 工 業 生 産 物 商 品 へ 置 換 していく 傾 向 である.そうした 新 たな 工 業 製 品 で 容 易 に 代 替 し 難 いものは,その 後 もサービス 商 品 として 残 存 した. 例 えば, 人 間 との 直 接 的 なコンタクトやコミュニケーションを 伴 う 理 容, 美 容, 家 事, 食 事, 小 売 等 のサービスは 近 年 ま で 中 世 と 同 じく, 職 人 や 手 工 業 者 が 労 働 者 を 雇 用 せずに 家 族 労 働 で 自 家 生 産 する 単 純 商 品 であり 続 けた. サービスとは, 技 能 熟 練 経 験 を 伴 う 知 識 や 情 報 ( 複 製 子 )を 相 互 作 用 子 である 人 間 や 動 物 の 脳 身 体 上 に 転 写 複 製 することにより,それらが 物 や 人 に 対 して 発 揮 する 何 らかの 機 能 ( 表 現 型 的 特 性 )である. 情 報 化 は,それまで 人 間 や 動 物 という 生 物 的 媒 体 にしか 転 写 できなかった 技 能 や 熟 練 等 に 関 する 設 計 情 報 を 計 算 機 械 やロボット( 自 動 制 御 工 作 機 械,アンドロイド 等 )という 物 的 媒 体 へと 転 写 可 能 な 科 学 技 術 上 の 進 歩 をもたらすことにより, 新 たな 次 元 のサ ービス 化 を 実 現 したのである. 例 えば, 情 報 化 を 通 じたサービス 化 はクラウド コンピューティングにおいて 見 られる. そこでユーザはインターネット 上 のサービスという 形 態 でハードウェアやソフトウェアのようなコンピュータ 資 源 を 利 用 す る.ユーザはリモートサービスに 自 分 自 身 のデータ,ソフトウェア,コンピューティングを 委 ね, 自 分 のコンピュータにア プリケーションを 持 ったり, 自 分 のデータを 保 存 したりすることなく,インターネット 上 で 必 要 なリモートサービスだけを 消 費 ( 利 用 )する.ユーザの 究 極 的 な 目 的 は 情 報 の 所 有 ではなく,その 利 用 享 受 にあるのだから, 自 分 自 身 のコンピュ ータを 所 有 する 必 要 すらない.こうした 情 報 化 を 通 したサービス 化 の 傾 向 は, 情 報 化 が 進 めば 進 むほど 強 まる. 例 え ば,コンピュータが 自 動 制 御 するオートドライブ 自 動 車 や 自 動 製 造 する3Dプリンタはすでに 実 用 化 されており, 多 目 的 ヒューマノイド 型 ロボットは 食 事, 掃 除, 洗 濯 だけでなく 育 児 や 介 護 といった 家 事 労 働 のサービスを 提 供 する. 情 報 化 を 通 したサービス 化 は, 第 三 次 産 業 だけではなく, 第 一 次 産 業 や 第 二 次 産 業 でも 進 行 しつつある. 工 業 化 では 設 計 情 報 は 原 料 や 機 械 のような 物 的 媒 体 に 転 写 され, 生 産 過 程 を 通 じて 物 的 製 造 物 として 実 現 された が, 脱 工 業 化 では 設 計 情 報 はそうした 物 的 媒 体 から 相 対 的 に 切 り 離 されている.インターネットのようなコンピュータ ネットワーク 上 で 文 字 写 真 動 画 情 報 を 利 用 できる 限 り,そうした 情 報 を 複 製 所 有 する 必 要 もない.それゆえ, 複 製 子 である 情 報 は 細 胞 を 持 たないウィルスのように 相 互 作 用 子 なしで 存 在 し, 自 ら 伝 播 しうる.3D プリンタがさらに 発 展 するならば, 必 要 な 情 報 をインターネット 上 で 利 用 するだけで, 自 分 が 望 むサービスを 実 現 する 物 的 生 産 物 ( 例 えば, ナイフや 食 器 )を 作 れるであろう.DIY が 高 度 化 するこのシナリオは 現 代 の 脱 工 業 化 の 行 き 先 を 示 している. 6.2 脱 工 業 化 の 二 側 面 工 業 製 品 では, 生 産 を 担 当 する 個 別 企 業 が 新 技 術 による 生 産 コストの 減 価 分 を 超 過 利 潤 ( 準 レント)として 取 得 する プロセス イノベーションや, 新 商 品 が 新 しい 市 場 を 開 拓 するプロダクツ イノベーションが 促 進 された.これにより, 一 般 に 工 業 製 品 の 労 働 生 産 性 が 向 上 し, 費 用 と 価 格 が 低 下 するとともに, 製 品 の 多 様 性 が 創 出 された.イノベーション を 情 報 という 視 点 から 見 れば,プロセス イノベーションとは, 工 業 製 品 の 設 計 情 報 のうち 技 術 情 報 の 新 たな 創 造 であ り,プロダクツ イノベーションとは, 工 業 製 品 の 設 計 情 報 のうち 機 能 特 性 情 報 の 新 たな 創 造 である.これは, 工 業 化 におけるイノベーションの 中 にすでに 情 報 化 という 要 素 が 含 まれていることを 意 味 する.ここから, 脱 工 業 化 には, 二 つの 方 向 があることがわかる. 第 一 の 脱 工 業 化 は, 標 準 化 合 理 化 という 工 業 化 におけるプロセス イノベーションの 手 法 をサービスや 情 報 へ 可 能 な 限 り 応 用 することによりサービス 商 品 と 情 報 商 品 の 少 品 種 大 量 生 産 を 図 り, 規 模 の 経 済 によるコスト 削 減 を 目 指 す. それは 第 二 次 産 業 における 工 業 化 のロジックに 基 づきサービスや 情 報 に 関 する 所 定 の 設 計 情 報 の 転 写 技 術 を 改 善 し, 第 三 次 産 業 における 迅 速 大 量 な 複 製 を 可 能 にするプロセス イノベーションである.これがサービス 化 と 情 報 化 の 量 的 側 面 である.さらに, 工 業 化 のロジックを 越 えて,サービス 商 品 や 情 報 商 品 の 品 質 向 上, 内 容 拡 充,さらに 既 成 の サービスや 情 報 の 新 結 合 や 新 たなサービスや 情 報 の 開 発 と 創 造 へ 向 かう.それは 設 計 情 報 そのものの 修 正 や 改 変 を 帰 結 するような 第 三 次 産 業 におけるプロダクツ イノベーションであり,サービス 商 品 や 情 報 商 品 の 品 質 を 向 上 し, 機 能 やデザインを 多 様 化 する.これが,サービス 化 と 情 報 化 における 質 的 側 面 である.サービス 産 業 で,プロセス イノ ベーションやプロダクツ イノベーションが 促 進 されれば, 価 格 が 下 がるだけでなく, 既 存 の 種 類 のサービスの 質 的 向 上 や 新 たな 種 類 のサービス 提 供 が 行 われる.これは 脱 工 業 化 におけるサービス イノベーションであり, 工 業 化 におけ るプロダクツ イノベーションに 対 応 するものだ. こう 見 てくると, 脱 工 業 化 は, 工 業 化 の 論 理 の 非 工 業 部 門 への 徹 底 としての 量 的 側 面 と, 非 工 業 部 門 における 工 業 化 の 論 理 からの 脱 却 としての 質 的 側 面 をともに 含 むことがわかる.つまり,それはサービス 化 と 情 報 化 を 量 質 の 両 側 面 で 同 時 に 進 める 傾 向 である.したがって,サービス 化 と 情 報 化 は 相 互 に 影 響 を 与 えながら 進 行 する 共 進 化 プロセス である.ファーストフードやコンビニエンスストアの 場 合 のように,ICTを 利 用 する 情 報 化 によりサービスの 大 量 生 産 大 量 消 費 が 進 むが,やがてサービス 内 容 の 質 的 向 上 や 多 様 化 へと 転 換 する.この 脱 工 業 化 の 質 的 側 面 は, 既 成 の 製 品 技 術 を 背 後 で 支 えるパラダイムやヴィジョンへひとたび 潜 り 込 み,そこで 製 品 技 術 の 差 異 を 鋭 敏 に 認 知 しうるかん やこつを 体 得 しながら, 新 たなパラダイムやヴィジョンに 結 実 しうる 現 場 情 報 を 集 め, 技 能 や 熟 練 を 伴 う 職 人 技 を 磨 くこ Ⅲ2-8

56 知 識 共 創 第 4 号 (2014) とによって, 製 品 技 術 の 質 的 向 上 や 多 様 化 を 一 歩 先 へ 進 めることである.それは 図 4 では, 明 示 的 知 識 から 暗 黙 的 知 識 への 遡 行 ( 下 方 への)と 暗 黙 的 知 識 の 暗 黙 的 情 報 への 移 行 ( 左 方 への)の 合 成 変 換 ( 青 色 の )となる 9). 6.3 おわりに:サービス サイエンスの 短 所 と 本 稿 の 視 点 の 長 所 最 後 に,2004 年 に 米 国 IBM アルマデン 研 究 所 で 誕 生 したサービス サイエンス(Service Sciences, Management and Engineering の 略 )と 本 稿 の 関 係 を 考 察 する.サービス サイエンスが 世 界 的 に 注 目 されたのは, 情 報 系 企 業 でサービ ス 事 業 の 割 合 が 大 きくなっため,サービス 産 業 を 含 む 全 産 業 の 本 質 的 特 徴 を 洞 察 することが 企 業 組 織 やビジネスモ デルを 比 較 検 討 する 上 でも 不 可 欠 だと 考 えられるようになったからであろう. 伝 統 的 経 済 学 はこれまで 物 財 を 中 心 とし た 財 支 配 論 理 に 基 づき, 有 形 物 ( 製 造 物 )の 生 産 と 交 換 や 内 在 的 価 値 に 基 づく 市 場 取 引 に 焦 点 を 当 てきた.これに 対 して,サービス サイエンスは,サービス 支 配 論 理 に 基 づき, 無 形 物, 価 値 共 同 創 造, 関 係 を 考 察 しようとしている (Vargo, Lusch 2004,Vargo, Akaka 2009). 財 支 配 論 理 は,サービスが 財 への 付 加 価 値 ( 例 えば,アフターサービス)ないし 特 殊 な 財 (すなわち 無 形 生 産 物 )で あり, 物 財 にない 無 形 性 異 質 性 不 可 分 離 性 消 滅 性 といった 諸 特 徴 を 持 つと 考 える.だが,サービス 支 配 論 理 では,サービスが 価 値 創 造 の 中 心 であり, 財 はサービスを 供 給 する 中 間 的 役 割 を 果 たすものでしかない. サービ ス は 社 会 経 済 的 交 換 の 基 礎 を 表 現 するプロセスとして 単 数 形 (service)で 表 される.サービスは 常 にサービスと 交 換 され,すべての 経 済 はサービス 経 済 である. 企 業 は 価 値 を 創 造 配 達 するのではなく, 価 値 を 提 案 し,サービスを 価 値 実 現 のためのインプットとして 提 供 できるだけであり, 価 値 は 常 に 顧 客 とともに 共 同 創 造 される.だから 受 益 者 ( 顧 客 な ど)が 供 給 者 ( 企 業 や 政 府 など)のサービス 資 源 を 自 分 自 身 の 他 の 資 源 と 統 合 できた 時, 価 値 は 初 めて 共 同 創 造 され るのである. 例 えば, 自 動 車 メーカーは 自 動 車 という 製 品 を サービス 資 源 として 顧 客 に 提 供 する.サービス 受 益 者 と しての 顧 客 は, 自 動 車 教 習 所 で 運 転 を 習 い, 眼 鏡 をかけて 免 許 を 取 得 するなど, 自 動 車 を 運 転 する 能 力 や 資 格 を 持 ち, 自 動 車 のタンクにガソリンを 入 れる 必 要 がある.また, 政 府 が 一 般 道 路 や 高 速 道 路, 信 号, 歩 道,ガードレール 等 を 整 備 していなければ, 自 動 車 は 走 れない.そうした 他 のサービス システムからの 資 源 を 自 動 車 と 統 合 することで 初 めて 自 由 な 高 速 移 動 という 利 便 性 や 快 適 さの 価 値 が 創 造 される. 無 論, 自 動 車 をガレージに 飾 ることで 自 らの 所 有 欲 を 満 たすことも, 人 に 見 せびらかすことで 優 越 感 に 浸 ることもできる.それぞれが 一 つの 価 値 創 造 であり,それは 顧 客 の 欲 望 や 価 値 観 といった 文 脈 に 大 きく 依 存 している. このように,サービス サイエンスは 財 支 配 論 理 から 脱 するには 有 効 である.それはサービス 支 配 論 理 を 徹 底 すること で, 財 は 共 同 価 値 創 造 のためのサービスという 過 程 関 係 のための 手 段 にすぎず,サービス フローが 絶 えず 相 互 作 用 してダイナミックな 社 会 経 済 の 過 程 関 係 を 生 成 していると 指 摘 しうる 10).ただし, 本 稿 とは 財 支 配 論 理 批 判 に 共 通 する 部 分 があるにせよ,その 視 点 は 異 なる. 本 稿 は 情 報 化 を 重 視 し, 情 報 化 の 傾 向 に 情 報 の 利 用 価 値 説 を 読 み 取 ることで, 労 働 や 生 産 を 中 心 化 する 従 来 の 価 値. 価 格 論 を 批 判 しているからである. サービス サイエンスはまた 別 の 問 題 を 抱 えている.( 図 5)では, 商 品 は 設 計 情 報 ( 複 製 子 )が 有 形 物 ( 相 互 作 用 子 ) 上 に 転 写 ( 生 産 )された 人 工 物 であると 考 えた.この 図 式 にサービスを 加 えるならば, 知 識 情 報 ( 複 製 子 )は 動 因, 物 財 ( 相 互 作 用 子 )は 媒 体,サービスは 相 互 作 用 子 における 複 製 子 の 発 現 結 果 であり, 知 識 情 報 や 物 財 というストック とサービスというフローが 媒 介 的 な 因 果 関 係 を 通 じて 進 化 過 程 を 進 めると 捉 えられる.この 枠 組 みから, 物 財 生 産 とは 異 なるサービス 生 産 における 価 値 創 造 の 意 味 をサービス サイエンスとほぼ 同 じように 説 明 できる. 例 えば, 小 売 サー ビスでは, 相 互 作 用 子 ( 人 間,ロボット)による 複 製 子 (マニュアル, 技 能 熟 練 )の 複 製 ( 転 写 )の 結 果 であるサービス 生 産 はサービス 消 費 ( 享 受 )と 同 時 に 現 場 ( 売 り 場 )で 行 われるため, 複 製 子 の 正 確 な 複 製 は 不 可 能 である.そこでは, サービスの 供 給 者 と 需 要 者 の 協 同 的 相 互 行 為 を 通 じて 複 製 子 に 一 定 の 変 異 を 伴 うサービス イノベーションが 発 生 す るので, 新 たな 価 値 創 造 が 絶 えず 生 成 するのである. 本 稿 はさらに, 情 報 化 を 物 的 媒 体 の 軽 薄 短 小 化 と 理 解 し, 情 報 化 を 通 じたサービス 化 のメカニズムを 因 果 的 に 説 明 した.また, 脱 工 業 化 には 工 業 化 の 論 理 の 徹 底 である 量 的 側 面 と その 超 克 である 質 的 側 面 があり, 後 者 の 側 面 が 商 品 の 品 質 向 上 や 情 報 知 識 の 多 様 化 を 伴 う 知 識 の 共 同 創 造 にお ける 豊 かさへつながると 指 摘 した. 本 稿 のもう 一 つの 利 点 は, 知 の 存 在 様 態 ( 図 4)を 認 知 次 元 と 解 釈 次 元 で 分 類 して 情 報 知 識 データを 明 確 に 定 義 した 上 で, 工 業 化 と 脱 工 業 化 のダイナミックな 転 換 方 向 を 図 式 化 した 点 にある.これ に 対 し,サービス サイエンスは 知 のストック 次 元 を 欠 くサービス 一 元 論 であるため,サービスのダイナミックな 相 互 作 用 として 価 値 共 同 創 造 を 描 写 しているものの, 複 製 子 と 相 互 作 用 子 という 概 念 を 使 う 本 稿 のように, 工 業 化 の 論 理 や 脱 工 業 化 における 知 識 の 共 同 創 造 を 因 果 関 係 として 説 明 しえないのである. 注 (1) deindustrialization は 脱 工 業 化 ではなく 脱 産 業 化 と 訳 されることも 多 い.industry は, 工 業 を 指 すとともに, 第 一 次 産 業 ( 農 業 漁 業 ), 第 二 次 産 業 ( 製 造 業, 建 設 業 など 工 業 ), 第 三 次 産 業 (サービス 業, 情 報 関 連 業 )などの 各 産 業 部 門 や 産 業 部 門 全 体 を 指 す.ここでの industrialization は 工 業,とりわけ 製 造 業 における 工 場 制 機 械 工 業 の 発 展 のことであるので, 工 業 化 と 訳 すのがより 適 切 である. 工 業 化 の 論 理 とは 規 格 化, 標 準 化, 合 理 化 による 少 品 種 大 量 生 産 にあり,イノベーションもそうした 論 理 を 可 能 にするプロセスとプロダクツを 開 発 する 傾 向 が 強 くなる. 例 えば, 機 械 やベルトコンベアがその 代 表 例 である. 以 上 を 鑑 みて,ここでは deindustrialization の 訳 語 を 脱 工 業 化 とする. Ⅲ2-9

57 知 識 共 創 第 4 号 (2014) (2) 図 2から, 日 本 のインターネット 利 用 者 数 と 人 口 普 及 率 は 1997 年 に 1155 万 人,9.2%にすぎなかったが,2011 年 には 9610 万 人,79.1%にも 達 した.1990 年 代 後 半 から 2000 年 代 初 めにかけてほぼ 同 時 にパソコンとインターネットが 急 速 に 普 及 したのが 見 て 取 れる.インターネットの 人 口 普 及 率 を 年 齢 別 でみると,13 歳 から 40 歳 代 までは 90%を 超 えている.これは,タブレット 型 端 末 が 普 及 したり, 携 帯 電 話 がスマートフォンに 取 って 替 わられたりするなどポータブルな 情 報 端 末 が 普 及 し,だれもがどこでもネットに 接 続 できるようなインターネット 社 会 が 確 立 した 結 果 であろう. (3) インターネットと 市 場 は 自 律 協 調 型 分 散 ネットワークであり, 不 安 定 性 を 抱 えながらも, 頑 強 性, 新 規 性, 創 発 性 を 示 す 自 己 組 織 的 秩 序 を 形 成 する.このことが 脱 工 業 化 とグローバリゼーションに 対 して 持 つ 意 味 については 拙 著 ( 西 部 2011)を 参 照 されたい. (4) ここで,ミクロ 変 化 は 個 人 や 企 業 のような 主 体 レベルの 変 化 であり,マクロ 変 化 は 主 体 の 行 動 の 結 果 として 産 業 や 市 場 で 生 じる 帰 結 やパターン のレベルの 変 化 である.こうしたミクロ マクロの 意 味 は, 標 準 的 なミクロ 経 済 学 やマクロ 経 済 学 のそれと 異 なる.マクロ 経 済 学 は 経 済 全 体 の 集 計 量 と して 貨 幣 を 扱 うが, 産 業 レベルの 構 造, 市 場, 商 品 を 扱 わない.それらは 産 業 組 織 論 など 応 用 ミクロ 経 済 学 が 扱 うトピックであると 考 えられている. (5) 経 済 学 におけるデータとは, 技 術 ( 生 産 関 数 ), 嗜 好 ( 効 用 関 数 ), 資 源 の 初 期 賦 存 量 などの 与 件 を 指 す.ここではそのような 一 般 には 観 察 不 可 能 な 関 係 ( 関 数 )ではなくて,むしろ 経 験 的 で 観 察 可 能 な 情 報 のうち 分 類 整 理 されたものを 意 味 する. 例 えば,さまざまな 財 サービスについ ての 価 格, 需 要 量, 供 給 量 などのミクロ 的 統 計,GDP やその 成 長 率,インフレーション, 失 業 率 などのマクロ 的 統 計 などがここでのデータである. (6) 他 人 の 所 有 物 であるならば, 盗 むな 人 であるならば, 殺 すな というような If-Then ルールの 集 合 が 規 範 倫 理 や 社 会 制 度 を 形 成 する. また, 自 分 が 貨 幣 を 持 っていて,その 所 定 の 分 量 を 相 手 に 手 渡 せば, 自 分 のほしい 商 品 を 手 に 入 れることができる 自 由 な 市 場 経 済 では, 個 人 は 自 由 に 売 買 や 取 引 を 行 うことができる,ただし, 人 間 や 臓 器 など 一 定 のモノや 個 人 情 報 は 売 買 の 対 象 にしてはならない 6 ヶ 月 以 内 に 2 度 の 不 渡 り 手 形 を 出 すと, 銀 行 取 引 停 止 の 処 分 となり, 事 実 所 の 倒 産 を 意 味 する などのルールの 束 が 貨 幣 や 市 場 の 制 度 を 形 成 している. (7) 情 報 財 はそれ 自 体 で 固 有 の 価 値 を 持 つのではなく, 情 報 財 に 代 替 的 な 情 報 財,その 情 報 財 を 利 用 するのに 必 要 な 補 完 財 ( 物 財 ),および 人 間 に 体 化 された 技 能 熟 練 としての 人 的 資 本 等,それが 置 かれた 周 辺 環 境 との 関 係 でその 価 値 が 決 まる.ライターという 物 財 は, 火 の 利 用 という サービス の 提 供 を 目 的 とする, 火 起 こしのための 他 の 方 法 ( 凸 レンズや 火 打 ち 石 等 )に 対 する 代 替 案 であり, 火 をおこす 機 能 やメカニズムのため の 設 計 情 報,すなわち,<If then ルール>の 束 である 知 識 (コンテンツ)が, 金 属,プラスティック,ガス 等 が 組 み 合 わせられた 物 理 的 材 料 (メ ディア)の 上 に 複 製 された 情 報 財 とみることもできる. 情 報 財 は 文 化 的 背 景 の 社 会 文 脈 が 変 化 すると 価 値 的 劣 化 を 起 こす. (8) ただし, 相 場 より 安 い 不 動 産 情 報 など 競 合 的 な 情 報 もある.これは 仲 介 業 が 利 益 を 得 るために 一 回 使 うと 価 値 を 失 う 情 報 である. (9) ボブ ローソンは, 脱 工 業 化 を 経 済 の 発 展 に 伴 い 産 業 構 造 の 中 心 がサービス 産 業 を 初 めとする 第 三 次 産 業 へと 移 動 し, 付 加 価 値 ( 所 得 )や 雇 用 の 相 対 的 割 合 が 増 加 することと 定 義 した(Rowrhorn=Wells 1987). 脱 工 業 化 をサービス 産 業 化 ととらえ, 量 的 に 定 義 することは 必 要 である.だが, 脱 工 業 化 の 量 的 定 義 だけでは, 脱 工 業 化 の 中 に 存 在 する, 二 つの 質 的 に 異 なる 傾 向 の 存 在 を 認 識 し 説 明 することはできない.ある 一 つの 傾 向 を 質 的 に 異 なる 二 つの 傾 向 の 混 合 として 説 明 するには, 抽 象 的 な 次 元 で 二 つの 傾 向 を 作 り 出 す 異 なる 原 理 に 遡 って 考 察 しなければならない. (10) 藤 本 の 広 義 のものづくり ( 藤 本 2012)は 設 計 情 報 という 予 め 構 築 された 構 造 情 報 機 能 情 報 を 有 形 無 形 の 媒 体 (メディア)に 作 り 込 み, 製 品 を 顧 客 に 送 り 届 けることで, 開 発 から 生 産, 販 売, 消 費 までの 設 計 情 報 のスムーズなフローを 形 成 することが 生 産 性 向 上 の 鍵 であると 述 べ, 生 産 者 の 視 点 を 強 調 する.さらに,メディアが 有 形 物 と 無 形 物 の 双 方 を 含 むことを 認 め, 有 形 物 としての もの= 実 体 を 出 発 点 にして 媒 体 が 無 形 物 である サービス の 場 合 を 派 生 的 に 考 える.これに 対 して,サービス サイエンスは, 顧 客 とともに 価 値 を 共 同 で 創 造 する 点 を 強 調 する. 広 義 のもの づくりは, 現 場 における 創 意 工 夫 や 改 善 は 生 産 工 程 やその 相 互 調 整 を 円 滑 にし, 品 質 管 理 は 生 産 現 場 における 品 質 を 向 上 させるので,そこでは ある 意 味 で 価 値 の 共 同 創 造 が 生 じている.しかし, 現 場 はあくまで 開 発, 生 産, 購 買 というような 企 業 サイドに 限 られ, 顧 客 サイドにはない. 燃 費 や 安 全 性 で 優 れているなど 高 性 能 の 自 動 車 という 製 品 を 顧 客 が 他 のサービス 資 源 と 統 合 して 価 値 を 創 造 するプロセスまでは 考 えにくい.これは,あく までも 財 支 配 論 理 の 延 長 線 上 でサービスを 考 え, 価 値 創 造 は 設 計 情 報 ( 開 発 )+ 現 場 能 力 ( 生 産 販 売 ) で 与 えられるとされるからである.サー ビス 支 配 論 理 のサービス 受 益 者 ( 顧 客 )が 自 ら 決 定 し, 関 与 する 価 値 共 同 創 造 を 考 えるには,サービスがモノ= 実 体 ではなく, 社 会 経 済 交 換 の 基 礎 を 表 現 する 過 程 であり, 価 値 創 造 は 関 係 と ネットワーク に 依 存 し, 財 はサービス 提 供 のための 導 管 だと 見 る 視 点 が 必 要 である. 参 考 文 献 池 田 信 夫 (1997) 情 報 通 信 革 命 と 日 本 企 業 NTT 出 版 (1999) インターネット 資 本 主 義 革 命 NTT 出 版 須 藤 修 (2003) グローバルネットワークと 新 たな 社 会 編 成 原 理 須 藤 出 口 編 著 デジタル 社 会 の 編 成 原 理 NTT 出 版 出 口 弘 (2003) 組 織 発 行 貨 幣 がデジタル 経 済 で 果 たす 役 割 須 藤 出 口 編 著 デジタル 社 会 の 編 成 原 理 NTT 出 版 西 部 忠 (2011) 資 本 主 義 はどこへ 向 かうのか NHK 出 版 社 吉 田 雅 明 他 編 著 (2010) 進 化 経 済 学 基 礎 日 本 経 済 評 論 社 藤 本 隆 宏 (2012) ものづくりからの 復 活 日 本 経 済 新 聞 社 Arrow, K. J. (1962) Economic Welfare and the Allocation of Resources for Inventions, in Nelson, R. R. ed., The Rate and Direction of Inventive Activity: Economic and Social Factors, Princeton University Press. Arthur, W. B. (1994) Increasing Returns and Path Dependency in the Economy, University of Michigan Press.( 有 賀 裕 二 訳 収 穫 逓 増 と 経 路 依 存 多 賀 出 版,2003) (2009) The Nature of Technology, Free Press.( 有 賀 裕 二 監 修, 日 暮 雅 道 訳 テクノロジーとイノベーション 進 化 みすず 書 房,2011) Clark. C., (1940) Conditions of Economic Progress, Macmillan. ( 金 融 經 濟 研 究 會 譯 經 濟 的 進 歩 の 諸 條 件 日 本 評 論 社,1945) Florida. R. (2002) The Rise of the Creative Class, Basic Books( 井 上 典 夫 訳 クリエイティブ 資 本 論 ダイヤモンド 社,2008) (2005) The Flight of the Creative Class, Harper Business( 井 上 訳 クリエイティブ クラスの 世 紀 ダイヤモンド 社,2007) Machlup, F. (1962) The Production and Distribution of Knowledge in the United States, Princeton University Press.( 高 橋 達 男 木 田 宏 監 訳, 知 識 産 業 産 業 能 率 短 期 大 学 出 版 部,1969) OECD (1996) The Knowledge-Based Economy, General Distribution, (96)102. Polanyi, M. (1958) Personal Knowledge, Chicago University Press.( 長 尾 史 郎 訳 個 人 的 知 識 ハーベスト 社,1985) (1966) The Tacit Dimension, Routledge & Kegan Paul.( 佐 藤 敬 三 訳 暗 黙 知 の 次 元 紀 伊 国 屋 書 店,1980) Rowrhorn, R. E., Wells, J. R. (1987) De-Industrialization Foreign Trade, Cambridge University Press Stiglitz, J. E. (1999) Knowledge as a Global Public Good. In Inge Kaul, Isabelle Grunberg and Marc A. Stern, eds., Global Public Goods: International Cooperation in the 21 st Century, Oxford University Press. Vargo, S. L. and Lusch, R. F. (2004) Evolving to a New Dominant Logic for Marketing, Journal of Marketing, and Akaka, M. A. (2009) Service-Dominant Logic as a Foundation for Service Science: Clarifications Service Science 1(1), pp 連 絡 先 住 所 : 北 海 道 札 幌 市 北 区 北 9 条 7 丁 目 北 海 道 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 名 前 : 西 部 忠 Ⅲ2-10

58 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 知 識 共 創 の 自 分 ごと 化 への 影 響 分 析 : 九 谷 陶 芸 村 まつりにおける 社 会 実 験 An analysis of the effect of knowledge co-creation to self knowledge processing: Social experiment in Kutani pottery festival ホークァンバック, 川 崎 隆 史, 白 肌 邦 生,ダムヒョウチ HO Q. Bach,KAWASAKI Takafumi,SHIRAHADA Kunio,DAM H. Chi 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 Japan Advanced Institute of Science and Technology, 要 約 本 研 究 は,サービス 価 値 の 測 定 における 自 分 ごと 化 という 概 念 の 重 要 性 を 分 析 する. 自 分 ごと 化 とは,サービスが 自 分 に 関 係 すると 認 識 し, 価 値 共 創 に 積 極 参 加 することである. 本 研 究 で は, 知 識 共 創 がこの 概 念 に 影 響 を 与 えているという 仮 説 に 基 づいて, 九 谷 焼 の 祭 り 来 場 者 を 対 象 に,オ ーガニックフードを 九 谷 焼 食 器 で 食 事 するという 体 験 型 サービスの 社 会 実 験 で 得 たデータに 根 付 く 分 析 をした.その 結 果 から, 自 分 ごと 化 が 来 場 者 の 満 足 度 を 向 上 させることと, 知 識 共 創 は 経 験 価 値 には 影 響 を 及 ばさないが 自 分 ごと 化 の 促 進 に 影 響 を 及 ぼしていることを 示 唆 する. キーワード 知 識 共 創 社 会 実 験 自 分 ごと 化 1. 背 景 成 熟 した 現 代 経 済 においては,サービスが 重 要 な 役 割 を 果 たすようになった.サービスの 特 徴 の 1 つ として 無 形 性 が 挙 げられるように,サービスとは 保 存 が 効 かず,その 場 で 供 給 者 と 消 費 者 の 価 値 共 創 に よって, 生 産 され 消 費 されるものである( 蒲 生, 2008).そして,サービスは 供 給 者 と 消 費 者 の 間 で 価 値 が 共 創 されるプロセスであり, 消 費 者 が 価 値 共 創 に 積 極 参 加 することによって, 供 給 者 の 生 産 性 が 高 まる (Fitzsimmons, 1985)とともに, 消 費 者 の 満 足 度 も 高 まる(Czepiel, 1990). しかし,サービス 価 値 に 関 する 測 定 方 法 は,これまで 消 費 者 の 積 極 参 加 の 観 点 からは, 十 分 に 研 究 さ れて 来 なかった.サービス 価 値 に 関 する 測 定 方 法 の 研 究 として 代 表 的 なものに,サービスにおいて 得 ら れた 経 験 を 価 値 として 測 定 する 経 験 価 値 がある(Schmitt, 1999). 経 験 価 値 とは, 消 費 者 が 企 業 やブランド との 接 点 において, 実 際 に 肌 で 何 かを 感 じることで 消 費 者 の 感 性 や 感 覚 に 訴 え 掛 ける 価 値 のことである. しかしながら, 提 唱 されている 経 験 価 値 に 関 する 5 つのモジュールについては, 解 釈 が 難 しい 点 が 多 く, その 活 用 方 法 についても, 十 分 に 明 確 にされていない( 長 澤 大 津, 2010). この 経 験 価 値 を 知 識 科 学 の 視 点 から 捉 え 直 すと, 経 験 価 値 とは 外 部 からの 形 式 知 として, 何 らかの 刺 激 を 受 け 取 ったことに 対 する 消 費 者 の 反 応 をサービス 価 値 として 評 価 しようとする 試 みであると 見 な すことができる.すなわち, 形 式 知 を 受 け 取 り, 暗 黙 知 として 解 釈 したものを 測 定 するのである.この ことは, 形 式 知 を 暗 黙 知 へと 変 換 する 知 識 の 内 面 化 プロセス(Nonaka and Takeuchi, 1995)が,サービス 価 値 を 測 定 する 上 で 重 要 であることを 示 唆 する. 知 識 の 内 面 化 を 促 進 する 観 点 から 考 えると, 流 れている 情 報 を 自 分 と 関 係 しているものと 認 識 する 自 分 ごと 化 の 概 念 ( 日 本 新 聞 協 会 広 告 委 員 会, 2013)が,サービス 価 値 の 測 定 において 重 要 な 指 標 と 成 り 得 る. 自 分 ごと 化 は, 広 告 の 分 野 から 派 生 した 概 念 であり, 情 報 化 社 会 において, 氾 濫 する 情 報 を 如 何 に 消 費 者 に 受 け 止 めてもらえるかについて 分 析 する 上 で 提 案 された 概 念 である( 博 報 堂 DY グル ープエンゲージメント 研 究 会, 2009). サービスにおける 自 分 ごと 化 とは, 価 値 共 創 を 担 う 消 費 者 が,サービスが 自 分 に 関 係 するという 認 識 によって, 知 識 の 内 面 化 を 促 進 し, 価 値 共 創 に 積 極 参 加 するようになって, 価 値 共 創 の 質 が 向 上 す ることである.また,サービスの 自 分 ごと 化 においては, 価 値 共 創 における 知 識 の 内 面 化 を 促 進 す ることが 重 要 であるため, 供 給 者 と 消 費 者 の 間 での 知 識 共 創 が 重 要 となる.したがって, 知 識 共 創 が 自 分 ごと 化 に 与 える 影 響 を 明 らかにすることを 本 研 究 の 目 的 とする.そして, 自 分 ごと 化 が 価 値 の 向 上 にどのように 貢 献 するのかを 分 析 するために, 経 験 価 値 との 比 較 という 視 点 から, 消 費 者 満 足 度 と Ⅲ3-1

59 知 識 共 創 第 4 号 (2014) の 関 連 性 について 分 析 する. 2. 社 会 実 験 2.1 実 施 フィールド 研 究 対 象 として, 石 川 県 の 伝 統 工 芸 である 九 谷 焼 の 祭 りを 取 り 上 げる. 地 域 産 品 を 中 心 とする 祭 りは, 来 場 者 に 当 該 商 品 の 購 入 機 会 の 提 供 だけでなく,その 地 域 や 当 該 商 品 について 深 く 理 解 してもらう 重 要 な 役 割 も 果 たす.これまでの 多 くの 地 域 産 品 に 関 する 祭 りは, 来 場 者 が 受 動 的 に 産 品 を 購 入 する Goods Dominant-Logic の 形 式 であった(Vargo and Lusch, 2004).しかし, 祭 りをサービス 空 間 と 捉 えると, 来 場 者 の 満 足 度 を 高 めるために,サービスに 関 する 使 用 価 値 及 び 使 用 プロセスを 高 めることが 重 要 である (Bitner, 1992). 具 体 的 には,2013 年 11 月 2 日 から 4 日 の 3 日 間 に, 石 川 県 能 美 市 で 開 催 された 九 谷 陶 芸 村 まつりに おいて, 祭 り 主 催 者 及 び 九 谷 焼 陶 器 と 食 事 をそれぞれ 提 供 する 供 給 者 の 協 力 を 得 て, 社 会 実 験 としての 体 験 型 サービスを 提 供 するブースを 運 営 した. 九 谷 陶 芸 村 は 九 谷 焼 問 屋 が 集 結 した 団 地 であり, 九 谷 焼 に 関 する 美 術 館 や 資 料 館 がある.また, 毎 年 5 月 には 春 の 九 谷 茶 碗 まつりを 開 催 し,11 月 には 秋 の 九 谷 陶 芸 村 まつりを 開 催 する. 今 回 の 社 会 実 験 のブースは, 地 元 のオーガニックフードに 九 谷 焼 の 食 器 を 用 いて, 料 理 メニューと 食 器 の 選 択 という 参 加 体 験 を 通 じて, 食 事 をするというものである.ブースを 運 営 するために,2013 年 2 月 から 継 続 的 に 九 谷 陶 芸 村 事 業 者 とともに 九 谷 陶 芸 村 活 性 化 フォーラム を 開 催 してきた.これまで, 九 谷 陶 芸 村 活 性 化 フォーラムは 3 回 開 かれており,このオーガニックフードのレストランを 運 営 すると いう 企 画 は,その 中 で 議 論 されてきたものである. 2.2 知 識 共 創 のためのサービスデザイン 次 に, 体 験 型 サービスにおける 知 識 共 創 のためのサービスデザインについて 記 述 する. 今 回, 食 事 体 験 を 提 供 するにあたり, 石 川 県 の 個 人 事 業 である niginigi と こくう の 2 つのケータリング 事 業 者 から 協 力 を 得 た.1 日 目 と 2 日 目 は,オーガニックフードを 中 心 とした 弁 当 のケータリングをしている 事 業 者 である niginigi が 担 当 し,3 日 目 は, 金 沢 市 のパン 屋 であり,イベント 時 にケータリングもし ている こくう がサービスを 提 供 した. 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 の 学 生 及 び 教 員 も 各 日 数 名 補 助 に 回 った. 今 回,ケータリング 事 業 者 の 彼 らには 地 元 のオーガニックフードを 中 心 とした 2 種 類 の 食 事 メニューを 用 意 するように 要 請 した. 食 事 体 験 には, 主 に 4 つのフェーズがある.それは,(i) 料 理 メニュー 選 択,(ii) 九 谷 焼 食 器 選 択,(iii) 盛 り 付 け 観 賞,(iv) 食 事 である. 第 1 フェーズの 料 理 メニュー 選 択 とは,それぞれのケータリング 事 業 者 が 用 意 した 2 種 類 の 料 理 メニューの 中 から, 来 場 者 が 気 に 入 った 方 を 選 択 する 段 階 である. niginigi は 和 風 メニューとエスニック 風 メニューのワンプレートランチを, こくう はサンドイッチとキッシ ュのそれぞれのランチメニューを 用 意 し, 来 場 者 に 選 んでもらった. 次 に, 九 谷 焼 食 器 選 択 では, 九 谷 陶 芸 村 内 の 各 店 舗 から 提 供 してもらった 10 種 類 の 食 器 の 中 から, 来 場 者 にどの 食 器 で 食 事 をしたいのかを 選 択 してもらう. 食 器 の 選 定 は, 事 前 にケータリング 事 業 者 と 九 谷 陶 芸 村 店 舗 事 業 者 が 集 まった 会 合 で, 協 議 の 上 で 決 定 した.そして, 選 択 した 九 谷 焼 の 食 器 に 選 択 した 料 理 メニューを 盛 り 付 ける 段 階 を 来 場 者 が 観 賞 し,その 後,テーブルに 移 動 して 食 事 を 楽 しんでも らう. 場 所 は, 九 谷 焼 資 料 館 2 階 の 和 室 を 利 用 した. 3. 効 果 検 証 方 法 3.1 対 象 本 研 究 では,このサービスを 体 験 した 来 場 者 に 対 して, 質 問 紙 調 査 を 実 施 した. 質 問 紙 は, 延 べ 3 日 間 で 約 200 枚 配 布 し,111 枚 を 回 収 した. 質 問 紙 の 内 容 は, 来 場 者 のプロフィールを 表 す フェイス 項 目, 食 事 体 験 における 満 足 度, 使 用 価 値 及 び 空 間 要 素 に 関 する 経 験 価 値, 認 識 変 化 及 び 積 極 性 に 関 する 自 分 ごと 化, 自 分 ごと 化 に 影 響 する 他 者 との 知 識 共 創 の 5 つのパートで 構 成 されて おり,これで 得 られた 来 場 者 の 属 性 に 関 するデータに 基 づいて 分 析 する. 3.2 質 問 内 容 まず,フェイス 項 目 では, 年 齢 性 別 九 谷 焼 食 器 での 食 事 体 験 日 常 でのオーガニックフード 意 識 Ⅲ3-2

60 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 九 谷 焼 の 所 持 について 質 問 している. 年 齢 は, 何 十 代 であるかの 自 由 記 述 式 である. 性 別 は 男 性 か 女 性 か, 九 谷 焼 食 器 での 食 事 体 験 と 九 谷 焼 の 所 持 ははいかいいえか,の 選 択 式 である. 日 常 でのオーガニッ クフード 意 識 は,あてはまらない ややあてはまらない どちらともいえない ややあてはまる あて はまる,のリッカート 式 である. 次 は, 満 足 度 項 目 である. 満 足 度 項 目 は, 料 理 メニュー 選 択 満 足 度 食 器 選 択 満 足 度 食 事 満 足 度 の 3 つの 質 問 で 構 成 され, 全 てあてはまらないからあてはまるまでの 5 つの 選 択 肢 でのリッカート 式 であ る.サービスプロセスの 中 で, 盛 り 付 け 観 賞 は 来 場 者 や 供 給 者 の 状 況 によって 省 略 される 恐 れがあった ために 質 問 紙 から 除 外 した. 残 りの 3 つのフェーズそれぞれの 満 足 度 を 測 定 することにより,サービス 全 体 の 満 足 度 として 評 価 する. 具 体 的 には, 料 理 メニュー 選 択 満 足 度 は オーガニックフードを 意 識 し ながら 料 理 メニューを 選 ぶのは 楽 しかったですか, 食 器 選 択 満 足 度 は 料 理 メニューに 合 う 九 谷 焼 食 器 を 選 ぶのは 楽 しかったですか, 食 事 満 足 度 は 九 谷 焼 食 器 で 食 事 をするのは 楽 しかったですか と いう 質 問 をした. 経 験 価 値 は,Schmitt によると SENSE FEEL THINK RELATE ACT の 5 つのモジュールがある. 質 問 はこのモジュールに 合 わせて 5 つ 設 定 した.そして,これらの 質 問 に 対 して,あてはまらないから あてはまるまでのリッカート 式 によって 調 査 した.まず,SENSE とは, 感 覚 的 経 験 価 値 のことであり, 五 感 に 働 き 掛 ける 刺 激 による 経 験 を 指 す. 例 えば, 臭 いを 嗅 いで 臭 いと 感 じることなどがある. 本 研 究 では, 食 事 体 験 を 提 供 するので, 味 覚 による 食 事 の 美 味 しさについて 質 問 した. 具 体 的 には, 美 味 し く 食 べることができましたか という 質 問 である. FEEL とは, 情 緒 的 経 験 価 値 のことであり, 感 情 的 な 経 験 を 指 す. 例 えば, 感 動 的 な 体 験 をすること などが 挙 げられる. 本 研 究 では, 店 舗 内 雰 囲 気 の 心 地 良 さについて 質 問 する. 具 体 的 には, 店 舗 内 の 雰 囲 気 は 心 地 良 かったですか である. 店 舗 の 雰 囲 気 を 改 善 するために,スピーカーを 用 意 して, 落 ち 着 いた 雰 囲 気 の BGM を 流 すことや, 接 客 態 度 の 改 善 などに 努 めた.THINK は, 創 造 的 認 知 的 経 験 価 値 である.これは, 知 性 や 好 奇 心 に 訴 え 掛 ける 経 験 のことであり, 例 えば,どのようにしてそのサービ スが 提 供 され 得 るかを 考 えさせることなどがある. 本 研 究 では, 料 理 メニュー 及 び 食 器 選 択 における 創 造 性 について 質 問 する. 具 体 的 には, メニュー 選 択 や 食 事 体 験 の 中 で 創 造 性 を 掻 き 立 てられましたか という 質 問 をした. RELATE は, 準 拠 集 団 や 文 化 との 関 連 付 けことで, 特 定 の 文 化 や 集 団 の 一 員 であるという 感 覚 を 指 し, 例 えば, 友 人 と 一 緒 に 参 加 したことによる 連 帯 感 がある.ここでは, 他 者 との 体 験 共 有 という 形 で 質 問 した. 具 体 的 に, この 体 験 を 誰 か( 友 人 スタッフ SNS 等 )と 分 かち 合 えましたか という 質 問 を した.ACT とは, 肉 体 的 経 験 価 値 とライフスタイルへの 影 響 のことである.これは, 新 たなライフスタ イルの 発 見 などのことであり, 健 康 に 好 影 響 があることを 知 って, 新 しく 何 かを 習 慣 的 に 食 べ 始 めるこ とが 例 に 挙 げられる. 本 研 究 では, 九 谷 焼 という 特 別 な 食 器 を 用 いての 食 事 体 験 について 質 問 した. 具 体 的 な 質 問 は オーガニックフードを 九 谷 焼 食 器 で 食 べるのは 楽 しかったですか である. そして, 自 分 ごと 化 に 関 しては, 料 理 メニューの 認 識 変 化 食 器 の 認 識 変 化 厚 生 の 質 向 上 知 的 好 奇 心 刺 激 の 4 つの 質 問 を 設 定 し, 他 と 同 様 にリッカート 式 を 用 いた. 料 理 メニューや 食 器 に 対 する 認 識 が 変 化 し,その 結 果 として,その 認 識 変 化 が 自 分 に 厚 生 の 質 向 上 の 価 値 をもたらすと 認 識 する. 或 いは, より 深 く 料 理 メニューや 食 器 について 知 りたいと 思 うようになる,つまり,サービスに 積 極 参 加 するよ うになることについて 質 問 している. 具 体 的 な 質 問 内 容 は,それぞれ 料 理 メニューの 認 識 変 化 が オー ガニックフードに 対 する 認 識 は 変 わりましたか, 食 器 の 認 識 変 化 が 九 谷 焼 に 対 する 認 識 は 変 わりま したか, 厚 生 の 質 向 上 が これらの 認 識 が 変 わったことであなたの 生 活 が 豊 かになると 思 いますか, 知 的 好 奇 心 刺 激 が 九 谷 焼 のことをもっと 知 りたいと 思 いましたか である. 知 識 共 創 は,スタッフとの 知 識 共 創 資 料 との 知 識 共 創 料 理 メニューとの 知 識 共 創 食 器 との 知 識 共 創 の 4 つについて,リッカート 式 で 質 問 した. 今 回 の 社 会 実 験 においては, 知 識 共 創 を 各 要 素 とのイ ンタラクションが 食 事 体 験 にとって 参 考 となったと 感 じたかという 視 点 から 質 問 している.また, 資 料 との 知 識 共 創 とは, 今 回 の 体 験 型 サービスに 関 する 情 報 を, 図 表 を 交 えて 記 述 した A0 サイズのポスタ ーを 壁 に 展 示 し, 加 えて, 質 問 紙 の 裏 面 にも 同 様 の 物 を 縮 小 コピーした. 資 料 とは,この 2 つの 資 料 を 指 す. 具 体 的 な 質 問 内 容 は,スタッフとの 知 識 共 創 が スタッフとの 会 話 はメニュー 選 択 や 食 事 体 験 をする 上 で 参 考 になりましたか, 資 料 との 知 識 共 創 が ポスターはメニュー 選 択 や 食 事 体 験 をする 上 で 参 考 になりましたか, 料 理 メニューとの 知 識 共 創 は オーガニックフードを 意 識 することはメニュー 選 択 Ⅲ3-3

61 知 識 共 創 第 4 号 (2014) や 食 事 体 験 をする 上 で 参 考 になりましたか, 食 器 との 知 識 共 創 が 九 谷 焼 食 器 に 触 れることはメニュ ー 選 択 や 食 事 体 験 をする 上 で 参 考 になりましたか である. 3.3 分 析 方 法 本 研 究 は, 自 分 ごと 化 というこれまでに 十 分 に 研 究 されていなかった 概 念 に 関 する 探 索 的 な 研 究 であ るため,データ 分 析 の 手 法 には,クラメールの 連 関 係 数 を 用 いた(Cramer, 1999).これは,データにおけ る 属 性 同 士 の 相 関 関 係 を 分 析 する 手 法 である.これにより, 各 質 問 について,その 他 全 ての 質 問 との 相 関 関 係 を 分 析 し, 相 関 行 列 を 作 った. 更 に, 結 果 の 解 釈 を 容 易 にするために, 相 関 行 列 をグラフとして 可 視 化 する( 宮 川,1997). 閾 値 は, 重 要 な 関 係 性 を 重 点 的 に 見 るために,0.5 に 設 定 した. 属 性 の 関 係 性 を 同 時 に 可 視 化 することにより, 探 索 的 に 各 属 性 間 の 関 係 性 や 位 置 付 けを 見 ることがで きる.そのことにより,データに 根 付 く 基 礎 的 な 分 析 を 実 施 した. 更 に 図 において, 各 属 性 に 同 じ 色 付 けをすることにより, 視 覚 的 に 質 問 パート 毎 の 概 念 をまとまりとして 認 識 できる.また, 設 定 した 質 問 内 容 の 妥 当 性 について 議 論 する 上 でも 有 効 である. 設 定 した 閾 値 よりも 高 い 関 係 性 を 示 すことができな かった 質 問 は, 図 示 されない.これは, 設 定 した 質 問 が, 調 査 しようとした 概 念 を 正 しく 反 映 していな いことを 示 唆 しており, 質 問 文 章 や 仮 説 の 再 設 定 を 促 す. 4. 結 果 と 考 察 4.1 社 会 実 験 の 結 果 分 析 結 果 を, 図 1 に 示 す.フェイス 項 目 は 黒 色, 満 足 度 は 赤 色, 経 験 価 値 は 青 色, 自 分 ごと 化 は 緑 色, 知 識 共 創 は 紫 色 の 枠 で 表 現 している.そして, 計 算 の 閾 値 を 0.5 に 設 定 した 結 果,21 の 質 問 の 内,17 の 質 問 が 他 の 質 問 と 一 定 の 相 関 関 係 にあることを 明 らかにした. 相 関 関 係 が 見 られなかったのは, 経 験 価 値 における FEEL THINK RELATE の 3 つの 属 性 と, 知 識 共 創 における 資 料 との 知 識 共 創 の 属 性 であ る. 図 1: 体 験 型 サービスにおける 属 性 の 相 関 行 列 グラフ 化 モデル Ⅲ3-4

62 知 識 共 創 第 4 号 (2014) FEEL 属 性 が 観 測 されなかったことは, 来 場 者 が 食 事 体 験 を 通 じて, 感 情 的 な 経 験 をすることが 少 な かったことを 意 味 する.このことから, 店 舗 内 の 雰 囲 気 を 食 事 体 験 に 合 わせた 情 緒 的 な 設 計 をすること ができていなかったことが 示 唆 される. 今 回,BGM の 選 曲 について 十 分 に 議 論 できなかったことに 加 え, 会 場 となる 和 室 も 第 1 候 補 としていた 場 所 ではなかった.その 結 果 として, 満 足 度 に 好 影 響 を 与 え るサービス 空 間 設 計 ができていなかったことが 分 析 結 果 から 明 らかになった. THINK 属 性 が 観 測 されなかったことは, 料 理 メニューや 食 器 の 選 択 において, 来 場 者 は 創 造 性 を 喚 起 されなかったことを 意 味 する.これが 観 測 されなかった 理 由 として, 料 理 メニュー 選 択 や 食 器 選 択 にお いて, 選 択 に 没 入 させる 仕 掛 け 作 りが 不 足 していたことが 挙 げられる.もう 1 つの 理 由 として, メニ ュー 選 択 や 食 事 体 験 の 中 で 創 造 性 を 掻 き 立 てられましたか という 質 問 が,ダブルバーレル 質 問 となっ ていた 可 能 性 が 考 えられる. RELATE 属 性 が 観 測 されなかったことも, 来 場 者 が 体 験 型 サービスに 強 く 没 入 できなかったことを 示 唆 している.その 理 由 は, 今 回 の 体 験 型 サービスにおいて, 明 確 に 体 験 の 共 有 を 意 図 したサービスプロ セスを 設 計 しなかったからであると 考 えられる. 知 識 共 創 の 属 性 が 確 認 されたのに 対 し,RELATE 属 性 が 観 測 されなかったことは, 知 識 共 創 が 経 験 の 共 有 であると 見 なされなかったことを 意 味 する.おっし て, 今 回 の 社 会 実 験 では,RELATE 属 性 と 満 足 度 の 関 係 性 は 確 認 されなかった. 資 料 との 知 識 共 創 属 性 が 観 測 されなかったことは, 店 舗 内 の 壁 に 展 示 したポスターや 質 問 紙 の 裏 に 記 載 した 資 料 が, 十 分 にこの 体 験 型 サービスを 説 明 したものではなかったことを 意 味 している. 今 回 の 社 会 実 験 において, 知 識 共 創 が 満 足 度 と 関 係 性 していると 確 認 されたのは, 料 理 メニューとの 知 識 共 創 属 性 だけであるが, 食 器 との 知 識 共 創 属 性 とスタッフとの 知 識 共 創 属 性 は 確 認 されたため,ここから 知 識 共 創 属 性 同 士 の 関 係 性 や 知 識 共 創 属 性 と 他 の 質 問 との 関 係 性 が 示 唆 される. 4.2 自 分 ごと 化 に 関 する 考 察 図 1 から,フェイス 項 目 満 足 度 経 験 価 値 自 分 ごと 化 知 識 共 創 のそれぞれ 5 つのパートが 集 合 的 に 観 測 された.このことから,5 つのパートについて 設 定 した 質 問 が,それぞれの 概 念 を 一 定 の 割 合 で 表 現 できていると 言 える.また, 図 の 中 央 にある 赤 い 枠 の 満 足 度 のパートを 境 に, 左 側 にフェイス 項 目 と 経 験 価 値 のパート 群, 右 側 に 知 識 共 創 と 自 分 ごと 化 パート 群 に 分 かれていることが 図 から 確 認 でき る.これは, 大 きく 分 けて 2 つの 要 因 が,それぞれ 満 足 度 に 影 響 を 及 ぼしていることを 表 す. それぞれの 要 因 について 見 ていくと, 左 側 のパート 群 の 1 つである 経 験 価 値 パートにおいては,ACT 属 性 が 最 も 他 の 属 性 に 強 く 影 響 を 及 ぼしており, 重 要 な 属 性 であることがわかる.これは, 今 回 の 体 験 型 サービスが, 来 場 者 にライフスタイルの 変 化 という 経 験 を 提 供 したことを 示 唆 する.そして,この ACT 属 性 は 九 谷 焼 陶 器 の 所 持 や 九 谷 焼 食 器 での 食 器 体 験 の 有 無 が 関 係 している.これは,これまでにそ のような 体 験 がなかった 人 が, 初 めて 食 事 体 験 をしたことでライフスタイルの 変 化 という 経 験 を 獲 得 し, それが 満 足 度 に 繋 がっていることを 示 唆 する. 図 1 は,ACT 属 性 及 び SENSE 属 性 の 経 験 価 値 パートやフェイス 項 目 パートが 知 識 共 創 パートや 自 分 ごと 化 パートのどの 属 性 とも 関 係 していないことを 示 している.このことは, 知 識 共 創 や 自 分 ごと 化 は, 来 場 者 の 特 徴 に 依 存 せず, 経 験 価 値 からも 影 響 を 受 けないことを 示 唆 する. 図 1 から, 自 分 ごと 化 は 知 識 共 創 と 満 足 度 に 関 係 していることが 示 唆 される.そして, 分 析 の 結 果 から, 自 分 ごと 化 は 知 識 共 創 か ら 影 響 を 受 けて, 満 足 度 に 影 響 を 与 えていることが 示 唆 された. 具 体 的 に 見 ていくと, 自 分 ごと 化 パートでは, 厚 生 の 質 向 上 属 性 が 最 も 強 く 他 の 属 性 に 影 響 を 及 ぼし ている. 逆 に, 知 的 好 奇 心 刺 激 属 性 は, 食 器 の 認 識 変 化 としか 関 係 性 を 持 たない.これは, 質 問 で 九 谷 焼 に 関 する 知 的 好 奇 心 が 刺 激 されたかどうかを 聞 いていたからである.そして, 図 からは 食 器 と 料 理 メ ニューの 認 識 変 化 が 厚 生 の 質 向 上 と 関 係 していることが 確 認 された.これは, 九 谷 焼 やオーガニックフ ードに 対 する 認 識 が, 自 分 の 生 活 と 関 係 するという 認 識 に 変 化 したことを 示 唆 している. 知 識 共 創 パートの 中 で 最 も 強 い 影 響 力 を 持 っているのは, 料 理 メニューとの 知 識 共 創 属 性 であった. 一 方 で,スタッフとの 知 識 共 創 属 性 は, 食 器 との 知 識 共 創 属 性 とだけ 関 係 性 を 示 した.これは,スタッ フとの 知 識 共 創 が 盛 んになされることによって, 食 器 に 関 する 知 識 や 興 味 が 高 まり, 食 器 との 知 識 共 創 が 強 まったのだと 考 えられる. 最 終 的 には,スタッフや 食 器 との 知 識 共 創 は, 他 のパートにある 属 性 に あまり 影 響 を 与 えないが, 直 接 的 にも 間 接 的 にも 料 理 メニューとの 知 識 共 創 に 関 係 し, 料 理 メニューと の 知 識 共 創 は, 満 足 度 や 自 分 ごと 化 とも 強 い 関 係 性 を 持 っている. 料 理 メニューとの 知 識 共 創 属 性 は, 食 事 満 足 度 属 性 に 対 して, 直 接 的 な 関 係 性, 厚 生 の 質 向 上 を 介 し Ⅲ3-5

63 知 識 共 創 第 4 号 (2014) た 関 係 性, 料 理 メニューの 認 識 変 化 属 性 を 介 した 関 係 性 の 3 種 類 の 関 係 性 を 持 っている.この 中 でも, 料 理 メニューの 認 識 変 化 属 性 を 介 したものが, 最 も 関 係 性 が 強 い.このことは,スタッフとの 会 話 や 食 器 を 選 択 する 過 程 を 通 じて, 料 理 メニューの 選 択 において, 知 識 共 創 が 促 進 され, 料 理 メニューに 関 す る 認 識 の 変 化,すなわち, 料 理 メニューに 対 する 知 識 の 内 面 化 を 促 進 することが, 来 場 者 の 満 足 度 向 上 に 繋 がっていることを 示 唆 する. 5. まとめ 本 研 究 では, 自 分 ごと 化 が 祭 り 来 場 者 の 満 足 度 向 上 に 貢 献 していることを, 量 的 分 析 手 法 を 用 い て 明 らかにした.そして, 自 分 ごと 化 と 経 験 価 値 を 比 較 した 結 果, 今 回 の 社 会 実 験 においては, 自 分 ごと 化 の 方 がより 満 足 度 向 上 に 貢 献 することがわかった. 更 に,サービスにおける 知 識 共 創 は, 経 験 価 値 には 影 響 を 及 ばさないが, 自 分 ごと 化 の 促 進 に 影 響 を 及 ぼしていることを 示 した.これは, 自 分 ごと 化 において, 知 識 の 内 面 化 の 促 進 が 重 要 であることを 示 唆 している. 参 考 文 献 Bernd Schmitt (1999) Experiential marketing: A new framework for design and Communications, Design Management Journal, 10(2), pp Harald Cramer (1999) Mathematical methods of statistics, Princeton University Press. Ikujiro Nonaka, Hirotaka Takeuchi (1995) The knowledge-creating company: How Japanese companies create the dynamics of innovation, Oxford University Press. James Fitzsimmons (1985) Consumer participation and productivity in service operations, Interfaces, 15(3), pp John A. Czepiel (1990) Service encounters and service relationships: Implications for research, Journal of Business Research, 20(1), pp Mary J. Bitner (1992) Servicescapes: The impact of physical surroundings on customers and employees, Journal of Marketing, 56, pp Stephen L. Vargo, Robert F. Lusch (2004) Evolving to a new dominant logic for marketing, Journal of Marketing, 5(1), pp 長 澤 伸 也 大 津 真 一 (2010) 経 験 価 値 モジュール(SEM)の 再 考 早 稲 田 国 際 経 営 研 究 41, pp 日 本 新 聞 協 会 広 告 委 員 会 (2013) 脳 から 見 た 新 聞 広 告 Ⅱ 記 憶 のカギは 自 分 ごと 化 ドライバー. 博 報 堂 DY グループエンゲージメント 研 究 会 (2009) 自 分 ごと 化 だと 人 は 動 く. 宮 川 雅 巳 (1997) グラフィカルモデリング 朝 倉 書 店. 連 絡 先 住 所 : 石 川 県 能 美 市 旭 台 町 1-1 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 名 前 :ホーバック Ⅲ3-6

64 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 身 体 動 作 と 心 拍 数 による 読 書 中 の 熱 中 状 態 観 測 手 法 の 構 築 Devising Objective Measures of Absorption in Reading Based on Bodily Movements and Heart Rates 布 山 美 慕 1), 日 高 昇 平 2), 諏 訪 正 樹 1) FUYAMA Miho 1),HIDAKA Shohei 2),SUWA Masaki 1) 1) 慶 應 義 塾 大 学,2) 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 1) Keio University,2) Japan Advanced Institute of Science and Technology 要 約 読 書 行 為 は 読 者 とテキスト 間 での 知 識 共 創 過 程 であり, 読 書 中 の 熱 中 状 態 では 活 発 な 知 識 共 創 が 行 われていると 考 えられる. 本 研 究 は 読 書 中 の 熱 中 状 態 の 客 観 的 連 続 的 な 観 測 手 法 構 築 を 目 的 とし て, 読 者 の 映 像 と 心 拍 データを 取 得 し, 主 観 的 な 熱 中 度 合 いと 心 拍 R-R 間 隔 および 心 拍 の 時 系 列 データ から 推 定 したフラクタル 次 元 との 相 関 を 分 析 した.その 結 果, 主 観 的 熱 中 度 合 いと 心 拍 R-R 間 隔 の 間 に 負 の 相 関 があり,いくつかの 熱 中 時 に 読 者 が 緊 張 状 態 であることが 示 唆 された.さらに, 心 拍 R-R 間 隔 とは 別 作 品 で, 主 観 的 熱 中 度 合 いと 心 拍 のフラクタル 次 元 の 間 に 正 の 相 関 があり,フラクタル 次 元 も 別 の 熱 中 状 態 の 指 標 となりうることが 示 された. キーワード 読 書, 熱 中, 生 体 計 測 1. 背 景 1.1. 物 語 読 書 における 知 識 共 創 と 熱 中 過 程 小 説 など 物 語 を 対 象 とする 読 書 行 為 は, 読 者 がテキストから 情 報 を 受 け 取 り, 読 者 の 有 する 記 憶 知 識 を 参 照 しつつ, 読 者 固 有 の 物 語 世 界 の 記 憶 知 識 を 創 り 上 げていく 過 程 だと 考 えることができる.つ まり 読 者 とテキスト 間 で 起 こる 知 識 共 創 の 過 程 だと 捉 えられる.ここで 知 識 とは 記 憶 の 中 でも 意 味 関 係 によって 構 造 化 され 色 々な 状 況 に 応 じて 適 切 に 利 用 できる 情 報 のことを 指 す( 安 西,2011). 読 者 は, 読 み 初 めには 読 書 前 の 記 憶 や 知 識 を 多 用 しながらテキスト 情 報 を 処 理 して 内 容 理 解 等 を 行 う が, 読 み 進 めるにつれて 物 語 世 界 についての 記 憶 知 識 を 構 築 し これを 参 照 することでより 円 滑 にテ キスト 情 報 を 処 理 していく(1). 図 1はこの 過 程 を 表 す. 読 み 初 めの 段 階 では, 読 者 は 入 力 されたテキス ト 情 報 を 既 存 の 記 憶 や 知 識 を 利 用 して 処 理 し,その 結 果 イメージや 内 容 理 解, 感 情 等 が 意 識 される( 図 中 上 段 ).この 際 利 用 された 記 憶 や 知 識 はテキスト 情 報 に 対 応 する 想 起 パターンに 従 って 再 構 成 され, 物 語 世 界 に 関 する 記 憶 知 識 として 構 築 されていく( 図 中 の about this narrative の 領 域 ). 読 み 進 めるに つれて, 読 書 以 前 の 読 者 の 記 憶 知 識 に 加 え,この 物 語 世 界 に 関 する 記 憶 知 識 も 参 照 される( 図 中 中 段 ).やがて, 読 書 以 前 の 記 憶 知 識 の 利 用 が 減 り, 主 として 物 語 世 界 の 記 憶 知 識 の 参 照 に 移 行 する ( 図 中 下 段 ).このように 物 語 世 界 の 知 識 は 読 み 進 めるに 従 って 徐 々に 構 築 利 用 されていく. この 時 構 築 される 物 語 世 界 の 知 識 は 物 語 内 での 論 理 動 機 事 象 について 一 貫 性 を 持 ち, narrative realism として 判 定 されることで 現 実 感 の 要 因 となるとされる(Busselle & Bilandzic,2008). Narrative realism の 考 え 方 は, external realism と 呼 ばれる 物 語 内 容 がどの 程 度 現 実 世 界 と 矛 盾 しないか の 判 定 基 準 と 対 比 して 考 えられ, 読 者 が 現 実 世 界 の 生 活 で 用 いている 知 識 とは 異 なる 知 識 に 基 づいて 物 語 を 経 験 していることを 示 唆 する.さらに, 読 書 による 多 様 な 経 験 は, 読 者 の 読 書 外 での 日 常 生 活 の 事 象 に 対 するものの 見 方 をも 変 えうる. 例 えば, 他 者 の 行 動 に 対 する 理 解 が 深 まったり, 現 実 世 界 で 用 いる 推 論 過 程 が 変 化 したり, 出 来 事 に 対 して 抱 く 感 情 が 変 化 する.これは 共 創 した 新 しい 知 識 体 系 を 読 者 が 物 語 外 でも 用 いていることを 示 しているのではないだろうか. 読 書 とはこのように, 読 者 がテキストと その 度 ごとに 新 しい 知 識 体 系 を 編 み, 自 らの 知 識 体 系 を 多 様 化 させていく 過 程 だと 考 えることができる. 特 に 本 研 究 が 読 書 対 象 を 物 語 に 限 定 する 理 由 は, 説 明 文 や 論 文 など 論 理 的 理 解 のみで 処 理 可 能 な 対 象 よ りも, 読 者 側 の 積 極 的 創 造 行 為 が 必 要 とされ, 多 様 な 共 創 が 起 こると 考 えるからである.さらに, 物 語 読 書 は, 読 者 自 身 とは 異 なる 登 場 人 物 等 の 視 点 で 物 語 世 界 を 構 築 することで, 読 者 既 存 の 知 識 体 系 をい ったん 棚 上 げし,より 制 約 の 少 ない 状 態 で 共 創 が 行 われる 可 能 性 を 持 つ. Ⅲ4-1

65 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 1: 読 書 中 の 知 識 の 変 化 本 論 では, 読 書 過 程 における 読 者 の 熱 中 状 態 に 注 目 する.なぜなら, 読 者 は 熱 中 状 態 においてより 活 発 に 知 識 共 創 を 行 うと 考 えることができ, 熱 中 状 態 がどのような 状 態 で,どのように 変 化 するのかを 調 べることで, 読 者 が 物 語 世 界 の 知 識 を 共 創 しながら 多 様 な 経 験 をする 過 程 の 解 明 に 繋 がると 考 えるから である. 読 者 が 熱 中 状 態 において 活 発 な 知 識 共 創 を 行 うと 考 える 理 由 は 次 の 通 りである. 上 述 のように 読 者 が 徐 々に 物 語 世 界 の 知 識 や 記 憶 を 構 築 し, 読 み 進 む 際 にその 情 報 を 参 照 するにつれて, 読 者 の 注 意 は 物 語 世 界 に 集 中 する.さらに 参 照 対 象 の 情 報 が 物 語 固 有 のものになることから, 意 識 にあらわれる 感 情 やイメージ, 内 容 理 解 が 読 書 時 以 外 とは 異 質 なものに 感 じられることが 予 想 される.つまり, 読 者 に 読 書 特 有 の 没 入 感 や 強 い 感 情 の 喚 起 が 起 こる.この 現 象 は 一 般 的 に 読 書 への 熱 中 として 感 じられる 状 態 と 考 えられる.また, 先 行 研 究 によって 熱 中 の 多 寡 とその 後 の 読 者 の 信 念 の 変 化 に 相 関 があるともされ ており(Green & Brock,2000), 知 識 体 系 が 読 書 によって 変 化 する 程 度 が 熱 中 状 態 と 関 連 がある 可 能 性 が ある.つまり, 熱 中 状 態 において, 読 者 の 意 識 状 態 が 変 化 するとともに, 読 者 とテキスト 間 でより 活 発 な 知 識 共 創 が 行 われ, 読 者 自 身 の 知 識 体 系 を 変 えうる 経 験 となっていることが 示 唆 される. 従 って, 読 書 時 に 次 第 に 起 こる 熱 中 状 態 は, 読 者 の 物 語 世 界 の 知 識 の 連 続 的 な 変 化 に 伴 うものと 考 えられ,この 熱 中 状 態 の 連 続 的 な 変 化 の 過 程 を 明 らかにすることが 読 者 の 知 識 共 創 過 程 の 解 明 に 繋 がりうる(2). 本 研 究 では,この 課 題 を 達 成 するために 熱 中 状 態 の 客 観 的 連 続 的 な 観 測 手 法 の 確 立 を 目 指 す 先 行 研 究 とその 課 題 これまで 読 書 への 熱 中 を 扱 った 先 行 研 究 では, 主 として 質 問 紙 を 用 いた 読 者 の 主 観 的 体 験 の 評 価 が 行 われてきた. 例 えば Green らは, 熱 中 状 態 を 物 語 への 感 情 的 な 没 入 感 や 周 囲 への 注 意 への 減 少, 鮮 明 な イメージなどとして 捉 え,これらを 質 問 項 目 として 作 成 し 読 書 後 に 7 件 法 で 測 定 している(Green & Brock, 2000). 読 者 の 主 観 的 経 験 を 質 問 紙 によって 捉 える 手 法 は 有 用 であるが, 質 問 紙 の 項 目 が 研 究 者 達 の 主 観 的 な 経 験 によって 作 成 されており 客 観 的 観 測 手 法 としては 偏 りがある 可 能 性 がある.また, 質 問 紙 を 用 いた 手 法 では, 多 くとも 読 書 前 後 や 中 断 時 のいくつかのタイミングでしか 観 測 を 行 うことができず, 読 者 の 熱 中 状 態 の 変 化 を 連 続 的 に 測 定 することはできない. 読 書 中 の 読 者 の 状 態 をより 客 観 的 な 手 法 で 観 測 した 研 究 としては Nell の 読 書 中 の 筋 電 位 や 心 拍, 皮 膚 電 位, 呼 吸 数 の 生 体 計 測 を 行 った 実 験 がある(Nell,1988). 生 体 計 測 という 客 観 的 観 測 によって 読 書 状 態 を 分 析 している 点 は 興 味 深 いが,この 実 験 は 熱 中 状 態 に 注 目 したものではなく 読 書 中 とそれ 以 外 での 読 者 の 状 態 比 較 にとどまっている.また 実 験 室 での 短 いテキストを 用 いた 実 験 のため, 熱 中 状 態 の 変 化 は 測 定 されていないと 考 えられる. 以 上 から, 現 在 熱 中 状 態 の 変 化 を 客 観 的 連 続 的 に 捉 えることのできる 観 測 手 法 は 存 在 せず,この 確 立 が 必 要 である. Ⅲ4-2

66 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 2: 読 書 中 における 熱 中 状 態 を 含 む 主 観 的 経 験 と 身 体 状 態 の 関 係 2. 本 研 究 のアプローチ 2.1. 本 研 究 のアプローチ 本 研 究 は 読 書 中 の 読 者 の 熱 中 状 態 を 客 観 的 連 続 的 に 観 測 する 方 法 の 構 築 を 目 的 とする. 本 研 究 では, 読 書 中 の 読 者 の 主 観 的 経 験 と 身 体 状 態 の 関 係 を 図 2 のように 考 える. 読 者 が 熱 中 してい ると 感 じる 感 覚 は 図 2 中 の 主 観 的 経 験 の 熱 中 感 忘 我 感 としてあらわれる. 先 行 研 究 では,この 主 観 的 経 験 である 熱 中 感 忘 我 感 を, 同 じく 主 観 的 経 験 であるイメージや 内 容 理 解, 感 情 等 の 状 態 と 関 係 があ るとしてこれを 質 問 紙 で 測 定 してきた. 本 論 では, 主 観 的 経 験 と 相 関 関 係 が 推 測 される 客 観 的 に 測 定 可 能 な 身 体 状 態 の 変 数 に 注 目 し,これらと 主 観 的 な 熱 中 感 覚 との 相 関 を 分 析 する.これによって 主 観 的 な 熱 中 感 覚 に 相 関 する 客 観 的 な 指 標 を 選 出 構 成 する. また, 読 書 中 の 熱 中 状 態 の 変 化 を 測 定 するためにはある 程 度 長 さのある 物 語 を 読 書 する 必 要 がある. さらに, 熱 中 状 態 は 微 妙 な 条 件 で 変 化 する 可 能 性 があることから, 出 来 る 限 り 実 験 条 件 を 日 常 的 な 読 書 条 件 に 近 づけることが 望 ましい. これらの 要 請 を 考 慮 し, 本 研 究 では, 被 験 者 が 長 編 作 品 を 自 室 で 読 むという 自 然 な 読 書 条 件 に 近 い 条 件 下 で, 読 み 初 めから 読 み 終 りまで 読 者 の 状 態 を 観 測 する. 具 体 的 には, 映 像, 心 拍 数, 加 速 度 の 記 録 を 行 う. 映 像 から 動 作 を 書 き 出 して 各 時 点 での 主 観 的 熱 中 度 合 いを 動 作 内 容 を 根 拠 に 評 価 し,それ 以 外 の 客 観 的 データとの 相 関 を 分 析 することで, 熱 中 状 態 の 客 観 的 観 測 手 法 の 構 築 を 試 みる. 本 論 では 加 速 度 は 1 作 品 のデータのみ 取 得 し 心 拍 数 分 析 の 補 助 に 用 いたため, 以 下 では 映 像 と 心 拍 数 について 述 べる. 客 観 的 データとして 映 像 と 心 拍 数 を 選 んだ 理 由 は 3 つある.1つめは, 映 像 と 心 拍 数 から 読 書 中 の 連 続 的 な 情 報 を 得 ることができるからである.これによって 読 書 状 態 の 変 化 を 捉 えることができ,また 各 データ 間 の 相 関 を 分 析 して, 各 指 標 を 解 釈 することが 可 能 となる.2つめは,これらのデータは 簡 易 な 装 置 によって, 読 者 の 自 然 な 読 書 状 態 にほとんど 影 響 することなく 取 得 できることである. 変 化 しやす いことが 懸 念 される 熱 中 状 態 を 客 観 的 指 標 によって 捉 えるための 第 一 歩 としてこの 条 件 は 必 須 である. 3 つめは, 以 下 に 示 すように,これらのデータから 複 数 の 分 析 を 行 うことで 読 者 についての 豊 富 な 情 報 を 取 得 しうることである.まず 映 像 データには 動 作 や 表 情, 外 乱 となる 周 囲 の 音 などの 状 況 が 記 録 され る.これらは 読 書 後 に 読 書 体 験 を 想 起 して 主 観 的 な 熱 中 度 合 いを 評 価 するのに 最 も 有 効 なデータである. 具 体 的 な 分 析 方 法 としては, 映 像 から 主 な 動 作 内 容 ( 手 や 足 の 動 きや 本 の 位 置 など)を 書 き 出 し 読 者 の 主 観 的 熱 中 度 合 いと 関 連 させて 解 釈 を 行 う. 布 山 らは 以 前 の 研 究 において 主 観 的 熱 中 度 合 いと 動 作 の 関 連 性 について 予 備 的 な 結 果 を 得 ており,これと 齟 齬 の 無 い 形 で 解 釈 を 行 うことが 可 能 である( 布 山 & 諏 訪,2013). 次 に 心 拍 数 データは, 一 般 的 にその 心 拍 R-R 間 隔 のゆらぎが 自 律 神 経 の 働 きを 反 映 する とされている.ここで R-R 間 隔 とは 心 拍 のピークから 次 のピークまでの 時 間 のことをさす.つまり 心 拍 数 の 分 析 から 読 者 の 緊 張 /リラックス 状 態 の 変 化 を 連 続 的 に 測 定 することができる.さらに, 上 記 の 自 律 神 経 の 働 きを 求 めるためには 線 形 分 析 が 行 われるが, 本 研 究 ではこれに 加 えて 心 拍 R-R 間 隔 の 非 線 形 分 析 も 行 う.ゆらぎ 成 分 のうち 超 低 周 波 と 呼 ばれる 周 期 25 秒 以 上 のゆらぎについては 線 形 分 析 では 解 釈 できない.しかし 本 研 究 で 扱 う 熱 中 状 態 は 物 語 知 識 の 構 築 に 伴 うものであり,25 秒 よりも 長 期 にわたる 変 化 にも 状 態 が 反 映 されることが 予 想 される. 非 線 形 分 析 はこの 超 低 周 波 成 分 のゆらぎや 線 形 では 見 出 Ⅲ4-3

67 知 識 共 創 第 4 号 (2014) せない 心 拍 データが 有 する 生 体 情 報 の 分 析 を 目 的 とする. 具 体 的 には, 非 線 形 分 析 として 日 高 ら(Hidaka & Kashyap,2013)の 計 算 方 法 を 用 いて, 心 拍 R-R 間 隔 のフラクタル 次 元 推 定 を 行 う. 生 体 が 有 するカ オスの 重 要 性 についてはホメオカオスなどとして 主 張 されており( 金 子 & 津 田,1996), 先 の 超 低 周 波 成 分 を 含 む 心 拍 のカオス 性 も 多 くの 先 行 研 究 で 確 認 されている. 例 えば, 若 年 者 に 比 べ 高 齢 者 では, 脈 拍 のカオス 性 が 弱 くなり, 周 期 的 なパターンを 示 すとされる( 青 柳,2005).ただし,フラクタル 次 元 は, 一 般 的 に 系 の 複 雑 性 を 示 すと 解 釈 できるが, 読 書 中 の 心 拍 時 系 列 の 次 元 の 変 化 がどのような 生 体 活 動 の 複 雑 性 を 示 しているのかは 不 明 である. 日 高 らの 計 算 方 法 を 用 いれば, 次 元 の 時 系 列 データを 得 ることができるので,このデータと 他 の 取 得 データとの 相 関 から 解 釈 を 行 う.つまり 心 拍 の 分 析 からは 自 律 神 経 の 働 きに 加 えて 種 々の 読 者 の 心 的 身 体 的 状 態 の 情 報 を 得 られる 可 能 性 がある. さらに, 本 研 究 は 被 験 者 を 第 1 著 者 1 名 とする.この 理 由 は,まず, 熱 中 状 態 を 経 験 していた 被 験 者 本 人 が 客 観 的 データの 分 析 や 相 関 の 考 察 を 行 うことで, 熱 中 状 態 という 客 観 的 には 捉 えにくい 状 態 を 反 映 した 観 測 手 法 の 確 立 が 容 易 になる.つまり, 構 成 的 に 観 測 手 法 を 確 立 する 上 では, 被 験 者 本 人 の 主 観 と 分 析 者 の 客 観 を1 人 が 兼 ねることが 効 率 的 である.ただし, 無 論 客 観 的 データの 分 析 や 相 関 分 析 自 体 の 客 観 性 再 現 性 は 確 保 して 行 う.また, 読 書 行 為 は 人 によって 様 々であるため, 分 析 段 階 で 第 2, 第 3 著 者 および 他 の 研 究 者 との 議 論 を 重 ね, 第 1 著 者 に 限 定 された 熱 中 状 態 の 定 義 観 測 方 法 とならない ように 注 意 する.さらに, 具 体 的 な 実 験 方 法 に 関 連 して, 主 観 的 熱 中 度 合 いの 評 価 を 被 験 者 自 身 が 行 う 必 要 があり,その 負 荷 が 大 きいことも 実 際 的 な 理 由 である. 今 後 本 研 究 によって 観 測 手 法 の 提 示 を 行 っ た 後 には, 実 験 方 法 を 工 夫 し 著 者 以 外 での 複 数 人 を 被 験 者 とした 実 験 によって 手 法 の 有 効 性 確 認 も 検 討 する. 3. 実 験 分 析 方 法 3.1. 被 験 者 被 験 者 は 第 1 著 者 1 名 とした. 理 由 は 2.1.に 述 べた 通 りである 読 書 対 象 日 本 の 現 代 の 長 編 (300 ページ 前 後 )の 7 作 品 を 読 書 対 象 とした. 芥 川 賞 もしくは 直 木 賞 受 賞 作 家 の 作 品 を 選 んだ( 表 1 参 照 ). 表 1: 読 書 対 象 の 文 学 作 品 と 読 書 日 時 データ No 書 名 書 籍 情 報 ページ 数 読 書 日 読 書 を 行 った 時 間 1 季 節 の 記 憶 保 坂 和 志,1996, 講 談 社 /10/19 8 時 12 時 半 2 永 遠 の 出 口 森 絵 都,2003, 集 英 社 /11/11 8 時 半 11 時 半 3 ほかならぬ 人 へ 白 石 一 文,2009, 祥 伝 社 /11/20 8 時 半 11 時 半 4 鐘 楼 弔 堂 京 極 夏 彦,2013, 集 英 社 /11/25 8 時 半 14 時 5 孤 独 の 歌 声 天 童 荒 太,1994, 新 潮 社 /12/2 8 時 半 12 時 半 6 猫 を 抱 いて 象 と 泳 ぐ 小 川 洋 子,2009, 文 藝 春 秋 /12/5 8 時 半 12 時 半 7 ルート 225 藤 野 千 夜,2002, 理 論 社 /12/8 9 時 10 時 半 3.3. 読 書 方 法 被 験 者 の 自 室 で, 普 段 読 書 をしているのと 同 じ 環 境 ( 机, 椅 子 )で 読 書 を 行 った. 飲 食 を 含 む 休 憩 も 自 由 にとり 行 動 は 制 限 しなかった.ただし,1 日 に 1 つの 作 品 を 午 前 中 から 読 み 初 めお 昼 過 ぎに 読 み 終 わるようにした.これは 測 定 する 心 拍 数 に 概 日 周 期 がありこの 影 響 を 少 なくするためである. 読 書 時 間 は 表 1 の 通 りである. Ⅲ4-4

68 知識共創第 4 号 (2014) 図 3 2 台のカメラ映像のキャプチャ 3.4.データ取得方法 読書映像 Web カメラ2台をそれぞれ被験者の左前と右前に設置した カメラは広角 120 度であり 被験者が読 書中に向きを変えるなど多少動いても 2台のカメラによって被験者の上半身を撮影することができた また近距離から撮影しており被験者の表情も確認可能であった 図3参照 カメラは小型のため被験 者が読書中に気になることはなく 自然な読書を妨げることはなかった 心拍 R-R 間隔 Polar 社製コードレス心拍計 RS800CX を用いて心拍 R-R 間隔を測定した 胸に巻き付けたバンド上に 小型センサを設置して測定するものであり 被験者が読書中に気になることはなく 自然な読書を妨げ ることはなかった 加速度 ユニオンツール社製ウェアラブルセンサ mybeat を用いて加速度を測定した 測定装置は左胸に付け 被験者が読書中に気になることはなく 自然な読書を妨げることはなかった 測定範囲は X Y Z 軸 それぞれ±4G 精度は静止状態の 3 軸合計絶対値に対して±0.1G である 3.5.分析方法 読書映像に基づく主観的熱中度合いの評価方法 読書映像をもとに 読書中各時点での主観的熱中度合いを評価する まず 映像から被験者の読書中の動作を状態とイベントに分けて書き出す 動作の状態とは 例えば 本を立てかけている 足を組んでいる などの 30 秒以上維持された身体状態のことを指す 動作 のイベントとは 例えば 右手が頬に触れた などの 30 秒以下で終了する動作事象を指す これら動 作内容を全読書期間にわたって調べ 個別場面ではなく読書中読者が行った動作内容に対して 熱中度 合いの評価を -2,-1,0,+1,+2 の 5 件法で行う 例えば 右手が頬に触れた という動作内容の熱中度 合いを 5 件法で+1 と点数付けした場合 右手が頬に触れた というイベントが起こっていた時点の熱 中度合いは全て 1 と評価されることになる 評価は映像や読んでいた内容を確認し読書時の内観を思 い出しながら被験者が行う この評価方法によって 読書中の各時点に熱中していたか否かの主観的評 価を映像中の動作内容に関連づけて行い 主観的評価に動作内容という一定の根拠を持たせることがで きる この手法は熱中していたという主観的体験を完全に反映するものではないが そもそも主観的体 験を完全に外化することはできないため 現時点での妥当な評価として扱う また この評価は 布山 らの 読む速度の安定性変化と動作内容の関係から熱中時に起こりやすい動作を調べた先行研究と齟齬 の無いものとしている 布山 & 諏訪 2013 ただし本論中ではデータ No.1 No.5 の分析は主観的熱 中度合いの評価を動作状態と動作イベントを区別しない簡易形式で行った これはより簡易な評価方法 であるが No.6 と No.7 で両分析結果を比較したところ 齟齬が無かったため本論では同等の評価とし て扱う Ⅲ4-5

69 知 識 共 創 第 4 号 (2014) R-R R-R 心 拍 R-R 間 隔 の 分 析 方 法 R-R 心 拍 R-R 間 隔 データは, 心 拍 R-R 間 隔 変 動 係 数 とフラクタル 次 元 推 定 の2つの 方 法 で 分 析 を 行 った. CV 1つめの 心 拍 R-R 間 隔 変 動 係 数 (Coefficient of Variation for the R-R Interval, 以 下 CVR-R とする)は CV 心 拍 R-R 間 隔 のゆらぎの 大 きさを 算 出 する. 算 出 式 は 式 (3-1)の 通 りである ( R R 100 ) CV R R = ( R R 100 ) 100 式 (1) (3-1) CV CVR-R は 心 拍 のゆらぎの 大 きさであり, 一 般 的 にゆらぎが 大 きいほど 副 交 感 神 経 の 働 きが 強 くなりリ ラックスしているとされ, 小 さいほど 交 感 神 経 の 働 きが 強 くなり 緊 張 状 態 にあるとされる.CVR-R と 主 観 的 熱 中 度 合 いの 相 関 を 分 析 することで, 読 者 の 自 律 神 経 の 変 化 と 熱 中 状 態 の 関 係 を 調 べる. 2つめのフラクタル 次 元 の 推 定 は 日 高 らの 計 算 方 法 で 行 う(Hidaka & Kashyap,2013). 心 拍 数 のカ オス 性 とその 解 釈 の 可 能 性 については 2.1. 本 研 究 のアプローチで 述 べた 通 りである. 心 拍 データの 非 線 CV 形 分 析 はいくつかの 手 法 が 提 案 されており,フラクタル 次 元 の 計 算 方 法 としては 相 関 次 元 や 容 量 次 元 の 計 算 が 行 われてきた( 日 本 自 律 神 経 学 会 編,2007). しかし, 相 関 次 元 や 容 量 次 元 の 推 定 は,ノイズに 対 する 堅 牢 性 が 低 い(Hidaka & kashyap,2013). 日 高 らの 計 算 方 法 を 用 いることで, 各 時 点 のフラク CV タル 次 元 ( 点 次 元 と 呼 ばれる)を 推 定 することが 可 能 となる.したがって,その 他 の 取 得 データと 時 系 6 列 の 相 関 を 分 析 することができ, 読 者 の 状 態 変 化 の 解 釈 に 使 用 できる 可 能 性 がある. R-R R 加 速 度 データの 計 算 方 法 CV 加 速 度 データは 心 拍 R-R 間 隔 分 析 時 に 補 助 的 に 使 用 する. 3 軸 で 取 得 された 加 速 度 データの 絶 対 値 (2 乗 和 平 方 根 )を 計 算 し 動 作 量 とする. [ 2007] 4. 実 験 結 果 4.1. 主 観 的 熱 中 度 合 い CVR-R フラクタル 次 元 間 の 相 関 係 数 [ 2013] 6.1 動 作 内 容 をもとに 評 価 した 主 観 的 熱 中 度 合 い, 心 拍 R-R 間 隔 変 動 係 数 (CVR-R),フラクタル 次 元 の 推 定 結 果 の 3 つの 時 系 列 データ 間 の 相 関 係 数 を 算 出 した. 結 果 は 表 2 の 通 りである. 主 観 的 熱 中 度 合 いは R-R 心 拍 をもとにした 他 2 データよりもデータ 数 (Hidaka が 少 なかったため( Kashyap, 主 観 的 CV熱 中 度 合 いのデータ 数 は 1 作 品 に 620 1,306 in 点 preparation, 心 拍 R-R 間 隔 およびフラクタル 次 元 のデータ 数 は 8,125 12,650 点. 表 2のデータ 点 No1 数 参 照 ), 次 の 評 価 対 象 の 動 作 が 行 わ れ る ま で は そ の 熱 中 度 合 い が 継 0.33 No No 続 す る も の と し て 補 完 し た.ま た, CV 心 拍 データは 休 憩 時 も 連 続 して 取 得 しており, 心 拍 をもとにした 2 データは 算 出 過 程 の 都 合 PDF2 上 休 憩 時 の データを 含 めて 算 出 したのち, 休 憩 時 のデータを 除 去 し, 読 書 期 間 における 各 相 関 係 数 を 計 算 した. 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 0.2 以 上 のときに 相 関 有 りと 判 断 すると, 熱 中 度 合 いと CVR-R の 間 では 2 作 品 のデー 20 CV [ 2007] 表 2: 各 分 析 結 果 間 の 相 関 係 数 猫 を 抱 い0 季 節 の 記 永 遠 の 出 ほかなら 孤 独 の 歌 ルート 書 籍 名 書 楼 弔 堂 て 象 と 泳 憶 口 ぬ 人 へ 声 225 ぐ データ No データ 点 数 ( 心 拍 R-R 間 隔 フラクタ [ 2013] 12,530 8,481 8,125 14, ,650 13,114 6,295 ル 次 元 ) 熱 中 度 合 いと CVR-R の 相 関 係 数 熱 中 度 合 いとフラ クタル 次 元 の 相 関 係 数 CVR-R とフラクタル 次 元 の 相 関 係 数 Ⅲ4-6

70 知 識 共 創 第 4 号 (2014) タで 負 の 相 関, 熱 中 度 合 いとフラクタル 次 元 間 では 2 作 品 のデータで 正 の 相 関,CVR-R とフラクタル 次 元 間 では 全 作 品 のデータで 負 の 相 関 が 見 られた. 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 0.2 以 上 のデータについては 表 2 上 で 赤 く 背 景 色 を 付 けている. 各 データ 間 の 相 関 の 詳 細 について で 述 べる 主 観 的 熱 中 度 合 いと CVR-R の 相 関 関 係 動 作 内 容 をもとに 評 価 した 主 観 的 熱 中 度 合 いと CVR-R の 間 には 負 の 相 関 関 係 が 見 られた.-0.2 以 下 の 相 関 は 2 作 品 のデータでのみ 見 られたが,その 他 の 作 品 のデータでもグラフ 上 で 負 の 相 関 傾 向 が 確 認 できた. 代 表 としてデータ No.6 書 籍 名 猫 を 抱 いて 象 と 泳 ぐ のデータを 図 4 に 示 す.グラフ 上 でグ レーに 抜 かれている 期 間 は 休 憩 時 を 示 し, 以 降 のグラフでも 同 様 である.このデータにおける 熱 中 度 合 いと CVR-R 間 の 相 関 係 数 は と 絶 対 値 は 大 きくないが,グラフを 見 ると 片 方 のデータが 増 加 する 際 にもう 片 方 のデータが 減 少 していく 傾 向 が 見 られる.データの 細 かい 揺 れのために 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 小 さいものの, 全 体 として 負 の 相 関 があることが 確 認 できる 主 観 的 熱 中 度 合 いとフラクタル 次 元 の 相 関 関 係 動 作 内 容 をもとにした 主 観 的 熱 中 度 合 いとフラクタル 次 元 の 推 定 結 果 の 間 には 正 の 相 関 が 見 られた. 0.2 以 上 の 相 関 は 2 作 品 のデータでのみ 見 られたが,その 他 の 作 品 のデータでもグラフ 上 で 正 の 相 関 傾 向 が 確 認 できた. 代 表 としてデータ No.6 書 籍 名 猫 を 抱 いて 象 と 泳 ぐ のデータを 図 5 に 示 す.この データにおける 熱 中 度 合 いとフラクタル 次 元 間 の 相 関 係 数 は と 絶 対 値 は 大 きくないが,グラフを 見 ると 片 方 のデータが 増 加 する 際 にもう 片 方 のデータも 増 加 する 傾 向 が 見 られる.データの 細 かい 揺 れ のために 相 関 係 数 の 絶 対 値 が 小 さいものの, 全 体 として 正 の 相 関 が 確 認 できる. 4.4.CVR-R とフラクタル 次 元 の 相 関 関 係 CVR-R とフラクタル 次 元 の 間 には 負 の 相 関 関 係 が 見 られた.これは 4.2.,4.3.の 結 果 からも 示 唆 され ることであるが, 全 作 品 のデータ 間 で-0.2 以 下 の 負 の 相 関 が 確 認 された. 代 表 としてデータ No.6 書 籍 名 猫 を 抱 いて 象 と 泳 ぐ のデータを 図 6 に 示 す. 休 憩 時 に 大 きく 値 が 変 動 するためわかりにくいが, 負 の 相 関 が 確 認 できる 加 速 度 データと 心 拍 データの 相 関 CVR-R とフラクタル 次 元 のデータが, 立 ち 上 がる 等 の 大 きな 動 作 をしている 休 憩 時 に 大 きく 変 動 して おり, 動 作 によって 心 拍 数 が 変 化 したために CVR-R とフラクタル 次 元 に 影 響 を 与 えたことが 示 唆 され た.さらに, 本 論 の 主 観 的 熱 中 度 合 いの 評 価 は 動 作 内 容 に 基 づいており, 主 観 的 熱 中 度 合 いと 心 拍 数 の 分 析 結 果 の 相 関 が, 熱 中 状 態 の 変 化 ではなく 動 作 量 の 変 化 に 基 づく 可 能 性 が 考 えられた.そこで 読 者 の 動 作 量 と CVR-R およびフラクタル 次 元 の 関 係 を 調 べるため,データ No.7 の 実 験 時 に 被 験 者 の 胸 に 加 速 度 計 をつけ 身 体 動 作 の 大 きさを 測 定 した.その 結 果, 読 書 中 の 動 作 量 の 急 増 が 心 拍 数 に 影 響 し,CVR-R やフラクタル 次 元 の 大 きな 変 化 に 影 響 していることがわかった. 図 7 は 加 速 度 と CVR-R の 関 係 を 示 し ている. 休 憩 以 外 の 読 書 時 にも 大 きな 動 作 と 同 タイミングで CVR-R が 変 動 していることがわかる. 一 方 動 作 量 の 増 減 と 無 関 係 な CVR-R の 変 化 も 見 られ, 心 拍 数 データの 変 化 の 全 てが 動 作 量 由 来 ではない ことが 確 認 された. 5. 議 論 5.1. 考 察 測 定 した 客 観 的 データである 心 拍 数 の 2 種 類 の 分 析 結 果 と 主 観 的 熱 中 度 合 いの 間 には 相 関 が 見 られた. 1 つめの 分 析 結 果 の CVR-R は 副 交 感 神 経 の 働 きをあらわす 指 標 であるから, 主 観 的 熱 中 度 合 いとの 間 の 弱 い 負 の 相 関 は 熱 中 時 に 交 感 神 経 が 優 位 であり, 読 者 が 緊 張 状 態 の 傾 向 にあることを 示 唆 する.CVR-R とフラクタル 次 元 間 の 強 い 負 の 相 関 はフラクタル 次 元 が 反 対 に 交 感 神 経 の 働 きを 反 映 していることを 示 唆 し, 熱 中 状 態 とフラクタル 次 元 間 の 正 の 相 関 は,3 者 間 の 関 係 から 明 らかであるが,やはり 熱 中 時 に 交 感 神 経 優 位 であることを 示 す. さらに,CVR-R とフラクタル 次 元,どちらがより 主 観 的 熱 中 度 合 いを 反 映 しているか 検 討 すると, 作 品 によって2つの 指 標 と 熱 中 度 合 い 間 の 相 関 係 数 の 絶 対 値 やグラフの 相 関 傾 向 が 異 なることがわかる. Ⅲ4-7

71 知 識 共 創 第 4 号 (2014) これは, 同 じ 心 拍 数 の 分 析 結 果 であっても CVR-R とフラクタル 次 元 が 異 なる 情 報 を 有 していることを 示 唆 し,もしこの 違 いが 熱 中 状 態 に 関 係 しているならば, 熱 中 状 態 の 内 容 が 作 品 によって 異 なる 可 能 性 を 意 味 する. また, 動 作 量 と 心 拍 数 の 変 化 間 にも 相 関 があることがわかったため, 今 後 は 加 速 度 の 心 拍 数 への 影 響 を 見 積 もり,CVR-R やフラクタル 次 元 の 変 動 のうち 動 作 量 に 依 存 するものをできるだけ 区 別 して 分 析 す る 必 要 がある. 以 上 をまとめると, 本 研 究 によって,これまで 数 点 でしか 測 定 できなかった 主 観 的 熱 中 度 合 いを 連 続 的 に 測 定 することが 可 能 となり, 客 観 的 に 観 測 可 能 な 心 拍 数 の 分 析 結 果 との 相 関 を 見 出 し, 熱 中 状 態 の 客 観 的 連 続 的 な 観 測 手 法 の 構 築 方 法 を 示 した. 読 者 の 動 作 量 に 依 存 して 変 動 している 部 分 はあるが, 主 観 的 熱 中 度 合 いと CVR-R,フラクタル 次 元 の 間 には 有 意 な 相 関 関 係 が 存 在 し,CVR-R とフラクタル 次 元 はともに 熱 中 状 態 の 客 観 的 指 標 となりうる 可 能 性 が 高 い さらにこの 2 つの 変 数 は 熱 中 状 態 の 別 の 側 面 の 指 標 である 可 能 性 を 有 する.また, 現 状 の 分 析 で CVR-R と 主 観 的 熱 中 度 合 いが 負 の 相 関 傾 向 を 有 することから, 少 なくともある 熱 中 状 態 では 読 者 が 緊 張 状 態 にあることが 示 唆 された 今 後 の 課 題 5.1.の 考 察 を 踏 まえ 次 の 2 つの 課 題 が 考 えられる. 1 つめは, 熱 中 状 態 の 内 容 の 分 類 である. 考 察 の 結 果, 熱 中 状 態 の 内 容 が 作 品 ごとに 違 い,それが CVR-R とフラクタル 次 元 に 異 なる 形 で 現 れている 可 能 性 があった. 現 在 の 主 観 的 な 熱 中 度 合 いの 評 価 にはそれ が どのような 熱 中 状 態 であったのかという 情 報 は 含 まれない. 例 えば, 恐 怖 のような 強 い 感 情 を 感 じるような 熱 中 状 態 であったのか, 早 く 次 が 知 りたいと 思 うような 熱 中 状 態 であったのかで 読 者 の 身 体 的 状 態 は 異 なりうるが, 現 在 の 評 価 方 法 ではこの 熱 中 内 容 の 違 いは 主 観 的 熱 中 度 合 いの 評 価 値 にはあら われない.もし CVR-R とフラクタル 次 元 がそれぞれ 別 の 熱 中 内 容 を 反 映 している 部 分 があるならば, CVR-R とフラクタル 次 元 はそれぞれ 別 の 熱 中 状 態 の 指 標 となりうるだろう.この 熱 中 内 容 の 種 類 の 違 い については, 図 2 の 読 書 モデルにおいて, 感 情 イメージ 内 容 理 解 から 物 語 世 界 の 構 築 が 行 われ,そ れが 熱 中 状 態 に 繋 がるとしているが,この 感 情 イメージ 内 容 理 解 の 部 分 が 作 品 ごとに 異 なるためで あると 解 釈 できる.これを 検 証 するためには, 読 書 中 の 感 情 イメージ 内 容 理 解 の 外 化 を 行 い 各 種 変 数 との 関 係 を 分 析 することが 有 用 だと 考 えられる. 外 化 手 法 としては, 例 えば, 読 書 後 に 再 読 し 発 話 プ ロトコル 法 を 用 いることができる( 推 論 過 程 については(Trabasso & Magliano,1996)などが 参 考 にな る).より 簡 易 的 には, 作 品 データのテキスト 内 容 を 分 析 し, 特 定 の 感 情 やイメージを 喚 起 すると 考 え られる 単 語 とこれらデータ 間 の 相 関 関 係 を 調 べることも 可 能 である.この 熱 中 状 態 の 分 類 は 次 の 2 つめ の 課 題 である CVR-R とフラクタル 次 元 以 外 の 変 数 による 熱 中 状 態 の 観 測 を 検 討 する 際 にも 必 要 となる. 2 つめは, 心 拍 数 以 外 の 客 観 的 に 観 測 可 能 な 変 数 の 観 測 を 行 い, 熱 中 状 態 の 別 の 側 面 を 明 らかにする ことである. 本 論 によって, 主 観 的 熱 中 状 態 を 時 系 列 で 捉 え,それ 以 外 の 客 観 的 指 標 と 比 較 する 手 法 の 有 効 性 が 示 された. 心 拍 数 の 分 析 はその 一 つであるが, 現 在 はこの 分 析 からは 自 律 神 経 の 働 き 以 外 につ いては 言 及 できない.さらに 熱 中 状 態 についての 仮 説 を 立 てた 上 で, 対 応 する 客 観 的 に 測 定 可 能 な 別 の 変 数 の 測 定 を 行 って, 熱 中 状 態 の 別 の 指 標 を 見 つけ, 徐 々に 熱 中 状 態 がどのような 心 的 身 体 的 状 態 な のか 明 らかにすることが 必 要 である.また, 熱 中 度 合 いと 相 関 があるとわかったフラクタル 次 元 につい ては,その 解 釈 を 明 確 にするため 他 のデータの 測 定 結 果 と 総 合 して 考 察 をすすめることが 有 用 である. 現 在, 熱 中 状 態 に 関 連 する 変 数 を 見 付 ける 為 に, 我 々は 動 作 パターンや 体 表 面 温 度 の 測 定, 加 速 度 の 微 細 な 変 化 の 分 析 を 検 討 している. 客 観 的 に 観 測 解 釈 可 能 な 複 数 の 変 数 を 観 測 し, 主 観 的 熱 中 度 合 いを 含 めそれらの 間 の 相 関 を 分 析 することで, 熱 中 状 態 の 側 面 をより 明 らかにすることが 可 能 となるであろ う. Ⅲ4-8

72 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 3:データ No.6 主 観 的 熱 中 度 合 いと CVR-R の 相 関 図 4:データ No.6 主 観 的 熱 中 度 合 いとフラクタル 次 元 の 相 関 図 5:データ No.6 CVR-R とフラクタル 次 元 の 相 関 Ⅲ4-9

73 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 図 6:データ No.7 CVR-R と 加 速 度 の 相 関 注 (1) ただし,ここでテキスト 情 報 の 処 理 として 扱 っているのは 単 語 や 統 語 構 造 の 処 理 を 含 まない. 文 章 理 解 能 力 が 十 分 な 読 者 では,これらの 処 理 に 用 いる 知 識 は 読 書 以 前 と 以 降 で 変 化 することはほとんど 無 いと 考 えられる. (2) 徐 々にではなく 1 ページ 目 からのめりこむような 熱 中 状 態 も 存 在 する.これはその 書 物 の 読 書 以 前 に 有 する 他 の 物 語 読 書 の 際 に 得 た 知 識 の 利 用 などによって 物 語 世 界 に 一 気 に 没 入 するものであると 考 えられるが 本 論 では 扱 わない. 参 考 文 献 青 柳 直 子, 山 本 義 春 (2005) 心 拍 変 動 長 周 期 ゆらぎの 機 序. 時 間 生 物 学,11(2),pp.2-8. 安 西 祐 一 郎 (2011) 心 と 脳 認 知 科 学 入 門 岩 波 書 店. Busselle,R.& Bilandzic,H.(2008) Fictionality and Perceived Realism in Experiencing Stories: A Model of Narrative Comprehension and Engagement. Communication Theory.18,pp 布 山 美 慕 諏 訪 正 樹 (2013) 読 書 中 の 映 像 分 析 による 熱 中 状 態 変 遷 の 観 察. 人 工 知 能 学 会 第 16 回 身 体 知 研 究 会,SKL-16-06, pp ( Green,M.C., & Brock,T.C.(2000) The role of transportation in the persuasiveness of public narratives. Journal of Personality and Social Psychology,79,pp 金 子 邦 彦, 津 田 一 郎 複 雑 系 のカオス 的 シナリオ 朝 倉 書 店. Nell.V.(1988).The Psychology of Reading for Pleasure: Needs and Gratification 日 本 自 律 神 経 学 会 編 (2007) 自 律 神 経 機 能 検 査 第 4 版 文 光 堂. Shohei Hidaka, Neeraj Kashyap.(2013) On the Estimation of Pointwise Dimension, arxiv: v3. ( Trabasso,T.,Magliano,J.P.(1996). Conscious understanding during comprehension. Discourse Processes,21(3), 連 絡 先 住 所 : 神 奈 川 県 藤 沢 市 遠 藤 5322 慶 應 義 塾 大 学 名 前 : 布 山 美 慕 Ⅲ4-10

74 Applying a Method of First Person s View to Study on Proficiency of Music Performance 1) 1) 1) 1) TAYANAGI Emiko 1), KEIJI Hirata 1), TAKEGAWA Yoshinari 1), TSUBAKIMOTO Mio 1) 1) 1) Future University Hakodate (1) (2) (3) 1., 2001, 2013, 2013, 1993, 2013 (1) (2) (3) (Takegawa et al, 2013) 2013 narrative

75 2.1 D

76 reflection-in-practice!

77 constructivism ,

78 1, ,

79 Ø Ø Ø Ø Ø 5-6

80 知識共創第 4 号 (2014) 䝫䜲䞁䝖䠍䠖Ꮫ 䛾Ꮫ ᪉ 䛾ᑛ㔜 Ꮫ ᪉ Ꮫ ᪉ Ꮫ ᪉ ẚ! ᕫỴᐃ ᕫỴᐃ ᕫỴᐃ 䛷䛾! 䝯䝍ㄆ 䝫䜲䞁䝖䠏䠖! 䛾 ㄒ䜢! 䜑䛯ẚ ẚ! 㐩 䛔䛴䜒ᡴ㘽䝭䝇䜢䛧 䛶䛔䛯 ᡭ䛾䛣䛾 㡢 䛿䠈 ๓䛾ᕥ ᡭ䛾 㡢䜢 䛟䛣䛸 䛷䝭䝇䛧䛺䛟䛺䛳䛯 ㄒ 䝫䜲䞁䝖䠎䠖! 䛸䛾ඹ 䛾ᚿ 䝫䞊䝖䝣䜷䝸䜸 図 3 学習方略の物語化 一人称記述 による熟達化支援サイクル 竹川他 2014 図 4 学習方略の一人称記述のためのシート 被験者による記述例 竹川他 2014 昨日よりも上手く弾くことができた 今日はそれほど難しく思わなくなった などの表現は各人 に頻出しており これらは一見 客観的に自分を観察した記述であるかのように見える しかし筆者ら の過去の研究では 打鍵ミス数や演奏速度などからは 実際には前日の方が上手く弾けているのに 本 人はそう感じておらず 自己の進捗度について誤認をしているケースが少なからず見出されている こ のことは 自己省察とは被験者自身の思い込みや希望的観測をも含んだ主観であることが多く その意 味ではこれらはすべて一人称の物語記述なのである これは 曲のリズムを身体が覚え始めたためだと思う という記述は それが具体的にどういう事 象を伴っていてそう思えるのかは 本人もまだ上手く説明できないような状況なのだが 直観的にそう 感じられたという主観的かつ直観的な表現による まさに一人称物語記述である もっと後になってか ら振り返れば より分析的に説明し直すことができる可能性が十分あることが 試行実験での被験者た ちの記述内容の変化からも示唆された Ⅲ5-7

81 !! "!#$%&! "!'(#) yes/no 2008 semi-structured 5-8

82 2 5 2 participant observer:!! 5 4.2, 2001;,

83 (5), , , J.,, E. 1993, (5), , , U D :, D. (2001) (5), , ( ) pp (5), 688, [ ] 2014-MUS-102(7), 1-8, Takegawa, Y., Tayanagi, E., Tsubakimoto, M. & Hirata, K. (2013). Evaluation of a Piano Learning Support System Focusing on the Learning Process. In. Jan Herrington et al. (Eds.), Proceedings of World Conference on Educational Multimedia, Hypermedia and Telecommunications 2013 (pp ). Chesapeake, VA: AACE., [ ] 2013-MUS-98(7), 1-8, [ ] 2014-MUS-102(8), 1-8, : 17(3), , , ,

84 An expressive pause in a story-telling performance and synchronization of eyeblinks among audience 1) 1) NOMURA Ryota 1) OKADA Takeshi 1) 1) 1) The University of Tokyo,2014 reliability msec Nakano et al., 2009) 1. 1 N da, Ravasz, Brechet, Vicsek, & Barab si, 2000; Richardson, Marsh, Isenhower, Goodman, & Schmidt, 2007 Nakano, Yamamoto, Kitajo, Takahashi, & Kitazawa, 2009, 2014 Nakano et al., 2009; Nakano, Kato, Morito, Itoi, & Kitazawa, 2013 Hall, 1945 Nakano et al., 2009, 2014 fmri Nakano et al., 2013 reliability Mainen & Sejnowski, Ⅲ6-1

85 2, N da et al., msec Nakano & Kitazawa, 2010; Nakano, Kato, & Kitazawa, Leder et al., 2004 Zwaan & Radvansky, 1998 Hatano and Inagaki, 1986, , 2007a 2 3, , 2007a 250 msec 30min Ⅲ6-2

86 M = 22.56, SD = , PC Dell, Optilex 990, CPU Ⅲ6-3

87 3.40GHz, 8.00GB 58cm (H) 24.6(V)cm 11.3(H) 10.7(V)deg 5 6m EMR-AT VOXER, nac 60Hz onset onset onset IBI 100 msec ELAN4.5.1 Max Planck Institute for Psycholinguistics, Nijmegen 33.4Hz onset offset onset onset IBI, Inter Blink Interval out of attention Nakano & Kitazawa, msec 1 200msec Nakano et al., 2010;, 2014 z Hz Hz Ⅲ6-4

88 3.2 z 1 A :28 23:30 A 23:31 23:32 23:34 B 23:37 23:38 23:39 23:41 23:43 C 23:45 23:47 23:49 23:50 Note. 5 : 3.3 B C 10 Ⅲ6-5

89 1 4 B C z z 250msec A B C Time (250 msec /bin) A B C 250msec 30 min 1 sec 2014 Nakano et al., 2009 Nakano et al., C Ⅲ6-6

90 250msec Nakano & Kitazawa, 2010, Nakano et al., 2011 Nakano & Kitazawa, 2010 Sanches, 1975, msec Nakano & Kitazawa, , 2014 Zwaan & Radvansky, 1998, 2007b Levy & Fenley, msec Ⅲ6-7

91 (1) 12J08089 (2) Hall, A. (1945). The origin and purposes of blinking. The British Journal of Ophthalmology, 29(9), Hatano, G. & Inagaki, K. (1986). In H. Stevenson W., H., Azuma, K., Hakuta (Eds), Child Development and Education in Japan. A Series of Books in Psychology. (pp ). New York: Freeman. Levy, S. G. & Fenley Jr, W. F. (1979). Audience size and likelihood and intensity of response during a humorous movie. Bulletin of the Psychonomic Society, 13(6), Mainen, Z. F., & Sejnowski, T. J. (1995). Reliability of spike timing in neocortical neurons. Science, 268(5216), (2002). (1996) 3, 42, (2007a), 14(4), (2007b) 24, (2014) 21(2), Nakano, T., Kato, N., & Kitazawa, S. (2011). Lack of eyeblink entrainments in autism spectrum disorders. Neuropsychologia, 49(9), Nakano, T., Kato, M., Morito, Y., Itoi, S., & Kitazawa, S. (2013). Blink-related momentary activation of the default mode network while viewing videos. Proceedings of the National Academy of Sciences, 110(2), Nakano, T., & Kitazawa S. (2010). Eyeblink entrainment at breakpoints of speech. Experimental Brain Research, 205, Nakano, T., Yamamoto, Y., Kitajo, K., Takahashi, T., & Kitazawa, S. (2009). Synchronization of spontaneous eyeblinks while viewing video stories. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 276(1673), Néda, Z., Ravasz, E., Brechet, Y., Vicsek, T., & Barabási, A. L. (2000). Self-organizing processes: The sound of many hands clapping. Nature, 403(6772), Richardson, M. J., Marsh, K. L., Isenhower, R. W., Goodman, J. R., & Schmidt, R. C. (2007). Rocking together: Dynamics of intentional and unintentional interpersonal coordination. Human movement science, 26(6), Sanches, M. (1975). Falling words: an analysis of a Japanese Rakugo performance. In Mary Sanches and Ben G. Blount (Eds.) Sociocultural Dimensions of Language Use. New York: Academic Press Ⅲ6-8

92 Parent-Child Communication in Stimulating Co-Creative Play: Indonesia and Japan JUNAIDY, Deny W. 1), NAGAI Yukari 1), MORI Shintaro 1), TANIGUCHI Shunpei 1), YOSHIDA Toru 1) {denywilly, ynagai, morishin, 1) Japan Advanced Institute of Science and Technology Abstract : This study focused on parent-child interaction, specifically, communication in stimulating co-creative play. The findings indicate that indulging in role-taking behavior (i.e., taking over a task for their child) gave parents a feeling of contentment as they performed the role of loving parents. At the same time, the behavior satisfied the child s desire for dependency. In this study, the parents (providers) and children (recipients) co-created value during creative play activities. Stronger role-taking behavior by the parents offered the children an apprentice-like experience that allowed them to acquire a formative skill (i.e., craftsmanship), whereas weaker role-taking behavior stimulated the children s exploratory thinking (creativity). Keywords Parent-child communication, Co-creative play, Global collaboration 1. Introduction Previous literature has identified the qualities of parent behavior linked to positive child developmental outcomes such as affection (warmth, care), responsiveness (sensitivity), encouragement (scaffolding, autonomy support), and teaching (language and literacy support, cognitive stimulation) (Wooldridge, 2012; Petgill & Deater-Deckard, 2004; Caspi, 2004). Parent-child attachment relationships in Asian countries are also considered valuable, as they affect the children s social development in their next phase of maturity (Zevalkink et al., 2008). The unique interdependent relationship between Asian parents and their children is an indigenous concept characterized by motivation to be guided by others (Bornstein, 1993). In this research, we explore phenomena that can be clearly recognized as intimate expressions during role-taking behavior, acts of devotion, and habits of demonstrable affection that contribute to children s development of creative and formative skills. Specifically, we investigate communication during a parent-child creative play activity in Indonesia, a country with 500 living languages, and Japan. 2. Related Works 2.1 Recent Studies on Parent-Child Interaction Communication contributes to human interaction and learning. Parent-child interaction provides resources for the child s individual development, while at the same time, it may also implies constraints for each other's need fulfillment (Trommsdorff, 2006). Recent studies on parent-child interaction supporting a creative environment have focused on technology, such as electronic toys or interaction devices, that supports a remote communication system (Woolridge, 2012; Yarosh, 2013). Few studies have sought to clarify the important role of caregivers in a child s play experience (Singer & Singer, 2005; Yoshida, 2013). Lizuka et al. s (2012) study on factors related to co-creativity in human-to-human non-verbal interaction focused on the information system. However, none of the above studies have discussed the indigenous Asian characteristics of interaction and communication to stimulate co-creative play; therefore, we explore this aspect of communication in two Asian countries, Indonesia and Japan. 2.2 Indigenous Asian Concept of Parenting In Asian culture, individuals are not always required to be independent and autonomous; rather, interdependence is emphasized (Markus & Kitayama, 1991). This unique interdependent relationship is an indigenous concept that is characterized by motivation to be guided by others (Bornstein, 1993). The behavioral pattern is typically found in mother-child relationships characterized by role-taking behavior: one person is the requester, and the other is the provider (Lebra, 1976). In Indonesian culture, a care-giver always considers three principles of child nurturance: asih (showing affection), asah (stimulating potentials), and asuh (fulfilling needs) (Geertz, 1961; Koentjaraningrat, 1987; Hakim, 2012; Thontowi, 2012). These principles are internalized to children s character and incorporate spoiled behavior called kolokan in Indonesian. Similarly, in Japanese, amae Ⅲ7-1

93 refers to inappropriate behavior or requests made with an expectation of acceptance by the person to whom they are directed (Yamaguchi et al., 2006). This behavior tends to be reciprocal, depicting interdependence rather than dependence in the roles of the requester and provider (Rothbaum et al., 2007). When it takes the form of role-taking, such behavior mimics the over-protective and over-indulgent interaction and attitudes of parents toward children that might provide resources or imply constraints on the child s development. In this research, we focus on recognizably intimate behavior, that is, habits of demonstrable affection that contribute to parent-child co-creative play. The joy, satisfaction, and happiness individuals attained from subjective well-being in this particular research may provide insights for future collective studies on transformative research service (Anderson et al., 2012). 3. Research Aim We aim to identify the differences in intimate expressions and acts of devotion in parent-child communication by stimulating co-creative play and co-creation of value. 4. Study Design 4.1 Method We conducted three experiments in each of three local craft villages in Indonesia and one village in Japan. The three experiments are as follows: - Experiment A: Making a Japanese ceramic whistle ( 陶 笛 ) to observe children s formative play skills (craftsmanship) - Experiment B: Making a musical instrument that produces three tones to observe group work and parent-child communication - Experiment C: Making a musical instrument that produces sound as a result of the player s body action observing children s exploratory thinking and parent-child communication We aim to gather data on the following: (1) Children s formative play skills (craftsmanship) (2) Parent-child communication structures To investigate (1) Children s formative play skills, we analyzed the results of Experiments A and C, focusing on evaluations of the object (ceramic whistle) and activity. We considered the task completion time, accomplishment, accuracy, functionality, and uniqueness (non-similarity). Then, to explore (2) Parent-child communication structures, we analyzed data from Experiments B and C, focusing on the intimate cross-communication that occurred in the form of role-taking behavior. Network Analysis was employed to evaluate the content and number of utterances in communication. The data on the object and activity were evaluated by six experts in craft and design. The data on parent-child communication structure were transcribed and analyzed through text and network analyses. Out-Degree Centrality (ODC) scoring was used to describe the role of intimate expressions and acts of devotion in parent-child communication to stimulate co-creative play. 4.2 Participants The Indonesian participants comprised 15 children from three different regions. The Japanese participants comprised 4 children from one region. The gender of the subjects was random, and the age range was 7 to 12 years. Each child was paired with one of his/her parents (i.e., mother or father). Thus, the total number of participants included 19 children and 19 parents. All the participants lived near the local craft village in their region, and most did not know each other. 4.3 Procedure Each experiment (A, B, and C) was conducted separately in each town and was completed within a period of one hour. The parents sat next to their children at a U-shaped table. The children were asked to complete three tasks on their own, but the parents were allowed to assist if the child needed help. The participants were free to communicate with each other. Two video cameras were set up to record their interactions. - Experiment A: The children were asked to make a Japanese whistle by replicating a sample, with video guidance available. - Experiment B: The children were divided into two groups to create a single musical instrument through collaborative work. - Experiment C: The children each made their own instrument. Ⅲ7-2

94 The objects made by the children (Experiments A and C) and recorded activities were evaluated as the assessment of the children s formative play skills. The evaluation employed a three-point Likert-scale and was rated by six experts in craft and design. Next, the parent-child communication structures were analyzed using Network Analysis derived from video transcription that covered the communication between five children and their parents (pair, inter-, and cross-communication) in each town. The number of utterances in communication was counted using Pajek 2.05 and based on 2D layers in the Y direction. 4.4 Definition and Types of Communication In this study, communication is defined as conveying messages, ideas, or feelings through verbal communication (i.e., talking, teasing, joking, etc.). The following types of communication were analyzed: - Child-Child (C-C) communication (bi-directional) - Parent-Child (P-C/C-P) communication (bi-directional) - OtherParent-OtherChild (Parent(x)-Child(y)) communication and vice versa (multi-directional/ cross-communication) The following types of communication were excluded from the analysis: - Communication/instructions given by the facilitator, parent-parent communication, children s self-communication (i.e., singing, mumbling, screaming, yelling, or talking to oneself), and communication with unexpected guests. 5. Communication and Creative Play 5.1 Experiments in Indonesia Experiment A. Making a Japanese ceramic whistle (individual task) Our observations in the activity evaluation showed that 87% of the Indonesian parents engaged in strong role-taking behavior by offering direct and close guidance throughout the experiment. These parents took over the task given to their children (See Fig. 1). During the parents role-taking behavior, the children acted passively; however, afterward, they followed their parents example to remake their own whistle independently. On average, the children demonstrated quicker progress when they remade the Japanese whistle. They received positive evaluations on their accomplishment and accuracy, with an average score of 6.16 points on proportion and an average completion time of 00:21:10 (See Table 1). Fig 1: Experiment A. Making a Japanese ceramic whistle ( 陶 笛 ) Experiment B. Making a three-tone musical instrument (group task) The children had a difficult time staying focused in the group task. Sometimes they worked together, and at other times, one child would suddenly begin to work independently. Seventy-three percent of the parents exhibited role-taking behavior during this task and gave many instructions to the children. The role-taking behavior, which is also known as spoiling behavior, was a strong trend. Instead of allowing the children to act independently, the parents acted as partners to teach the children step by step. The parents and children made quick decisions, and most of them seemed to make things that were familiar using the materials they were given (See Fig. 2). For example, they produced musical instruments that were closely associated with the tubular character of the PVC pipe. The data of Experiment B were evaluated in terms of the communication contents. Both the parents and children showed intense communication, including P-C/C-P communication and P(x)-C(y) Ⅲ7-3

95 communication or vice versa, as indicated by the higher ODC score ( 33 and 56; shown by a single asterisk; See Fig. 3). The intense communication consisted of 13.4% utterances showing affection, 81.1% utterances stimulating potentials, and 5.5% utterances off-topic (i.e., jokes, side talk) (See Tables 5b and 6). Fig 2: Experiment B. Making a musical instrument that produces three tones Experiment C. Making a body-action musical instrument (individual task) As mentioned, 87% of the Indonesian parents performed role-taking behavior. These parents guided their children as if they were co-workers completing a task in tandem. The parents gave strict orders to the children to pay attention to their instructions. Both the parents and children tended to make quick decisions without spending too much time discussing the assignment. They appeared curious about the given materials; however, they put aside the main question to focus on completing the assigned task. Their quick decisions could be easily recognized in their work, as they only applied familiar shapes to the aluminum pipe by bending and pulling straight or backward. They did not seem to discuss the objective of the task, which was to produce an instrument that would make sounds as a result of the player s body movement. This corresponded to lower scores in the evaluation of the use of materials, movement, and non-similarity, as compared to the scores of the Japanese children (See Table 2). The parents and children once again showed intense communication, including P-C/C-P communication and P(x)-C(y) communication or vice versa, as indicated by the higher ODC score ( 33 and 56; shown by a single asterisk; See, Fig. 3). The intense communication consisted of 9.5% utterances showing affection, 64.7% utterances stimulating potentials, and 25.8% utterances off-topic (See Tables 5b and 6). Fig 3: Experiment C. Making a musical instrument that produces sound as a result of the player s body action Ⅲ7-4

96 5.2 Experiments in Japan Experiment A. Making a Japanese ceramic whistle (individual task) The Japanese children tended to accomplish the task slower, with an average completion time 00:26:40. No Japanese parents performed role-taking behavior; all the children made the whistle by themselves. Therefore, the children did not have an apprentice-like learning experience during the experiment. All the children completed the entire process independently. They received lower evaluation scores in the accomplishment and accuracy assessment (See Table 1). Fig 4: Experiment A. Making a Japanese ceramic whistle ( 陶 笛 ) Experiment B. Making a three-tone musical instrument (group task) The children focused well to complete the given task. All the group members spent time exploring and discussing how to produce a three-tone instrument. The children did trial-and-error by creating different kinds of shapes and models to identify clear sounds. It took time for them to obtain the best tones from the created form. Their careful quest to produce a three-tone instrument showed a systematic process. Meanwhile, the parents engaged in very limited role-taking behavior, intervening only if the activity looked difficult or harmful to the children. Finally, each group produced a musical instrument that clearly produced three tones. The parents and children showed intense communication; however, very little cross-communication (OtherParent to OtherChild) occurred. The communication consisted of 0% utterances showing affection, 100% utterances stimulating potentials, and 0% utterances off-topic (See Tables 5b and 6). Parents communication directed toward their children had a constant ODC score of This means each parent consistently communicated bi-directionally with her child and within the group (shown by double asterisks; See Table 4 and Fig. 9a, b). Fig 5: Experiment B. Making a musical instrument that produces three tones Experiment C. Making a body-action musical instrument (individual task) The children focused well on completing the assignment. Each child considered how to produce good pitch by exploring various body actions. They did not make quick decisions, and they explored the issue of body action. In addition, the children tested several different models they made. Besides focusing on tones, they paid attention to body movement. The object and activity of Experiment C were given high evaluations on the use of materials, movement, and non-similarity, as shown in Table 2. The parents and children engaged in intense communication that consisted of 0% utterances showing affection, 83.4% utterances stimulating potentials, and 16.7% utterances Ⅲ7-5

97 off-topic (See Tables 5b and 6). Most of the communication was P-C/C-P communication, and a small amount was P(x)-C(y) communication or vice versa, as indicated by the high ODC score (shown by a single asterisk; See Table 4 and Figure 9a, b). Fig 6: Experiment C. Making a musical instrument that produces sound as a result of the player s body action 5.3 Object and Activity Evaluation in Experiments A and C Table 1: Experiment A. Making a Japanese ceramic whistle Accomplishment and Accuracy Location Completion Proportion Process Function Amount (Average) (1-10) (1-10) (0/1) Giriloyo, ID 2 0:22: Kasongan, ID 2.2 0:17: Mas, ID 1.6 0:26: Nomi, JP 2.8 0:26: Table 2: Experiment C. Making a body-action musical instrument Idea Exploration Location Material (n) (1-10) Movement (1-10) Sound (n) (1-10) Non-Similarity (1-10) Giriloyo, ID Kasongan, ID Mas, ID Nomi, JP Table 3: Assessment of Formative play (above); assesment for Activity evaluation through video analysis (below) Ⅲ7-6

98 Video analysis on the activity evaluation showed that 87% of the Indonesian parents engaged in strong role-taking behavior by offering direct and close guidance throughout the experiment A and C. Indonesian parents took over the task given to their children. During parents role-taking behavior, children tended to act passively, as if a young learner or apprentice receive a guidance. However, after the parents had showed the whole process, children tried to mimic the whole process by copying the example given by the parent. At the end, children remade their own whistle independently. These parents guided their children as if they were co-workers completing a task in tandem. The activity evaluation demonstrated that 87% of Indonesian parent participants performed a strong role-taking behavior as if they were co-workers by making it in tandem. The object evaluation demonstrated that Indonesian Children had average positive evaluation on Proportion with 6,16 point, average quicker completion time 00:21:10 and a slight lower evaluation on Process with 7,13 point. The strength that has been performed by Indonesian children in accomplishment and accuracy in related with Proportion and Time Completion (see, Table 1, the red square box). This ability likely has been fostered since childhood stage that shapes Indonesian children in the craft villages become inter-dependence and maintain consistently the rigid practice of craftsmanship as a consistent belief. A rule was set up, when a parent took over the task given to the children over 1 minute is considered as a role taking behavior. Video analysis on the activity evaluation of Japanese parent and child showed that no Japanese parents performed role-taking behavior; all the children made the whistle by themselves. Therefore, the children did not have an apprentice-like learning experience during the experiment. Each child considered how to produce good pitch by exploring various body actions. They did not make quick decisions, and they explored the issue of body action. In addition, the children tested several different models they have made. The object evaluation demonstrated that Japanese Children had average lower evaluation on Proportion with 5,42 point, and slower completion time 00:26:40. The positive evaluation is the number of whistle made (but less precise) and a slight higher evaluation on Process with 7,18 point (which is not significantly higher compared to Indonesian Children). The strength that has been performed by Indonesian children in the accomplishment and accuracy is related with Proportion and Time Completion (see, Table 1, the red square). This showed that Japanese children tended to perform lower object evaluation related to the craftsmanship skill. The strength that performed by Japanese children is positive evaluation of idea exploration in Experiment C. mainly in number of material, movement and non-smiliarity (see, Table 2, the red dotted square). The parent-child relationship in Javanese Indonesain ethnic has been studied and stressed in the principles of child nurturance. The attention and affection is quite often noticed as overly intervene to the children personal lives. However, this concept of nurturance have facilitated the establishment of a unique Javanese Indonesian child-parent attachment relationship: a Javanese child s (i) sense of indebtedness, and (ii) affectional dependency on their parents. For Javanese Indonesians, these two factors of attachment and indebtedness are important to form a strong child-parent bond. Ultimately, the key to creating conducive circumstance to a child as a learner is to building a trust for facilitating the children s growth. The feeling of trust and intimacy as a father-son relationship in education is useful for character building (Hakim, 2012). 6. Communication Network Analysis Communication network analysis focuses on ties, for example, people, groups of people and organizations. These ties combine to form networks, which we will learn to analyze. The individual is not the basic social unit, therefore individual communication is not an aggregrate of individuals and their characteristics, but a structure of interpersonal ties. Therefore, to understand of creative thought and beliefs of individuals we observe the creative learning process of children in traditional craft villages that internalized and deeply rooted in action and attitudes. This will portray how interpersonal viewpoint is formed in childhood. In this study, verbalisation is defined as conveying ideas through verbal communication (i.e., utterances) during engagement in a thinking process of creative playing. The conceptual process was videotaped and the verbalisation was transcribed and sorted by its context. Utterances were transcribed according to the content substance. The following types of utterances were taken into account: Utterances concerning conceptualisation. Utterances concerning reflection-in-action or reflection-on-action. The following types of utterances were excluded: Instructions and utterances given by the researchers or other parties. Post-design utterances (i.e., general technical process, previously-made artifact). Repetitive contents. Ⅲ7-7

99 Extraction: Utterances were extracted when regarded as non-essential information. Alternate similar word is applied for clarity and readibilty. Similiar repeated utterances are removed. Interjections or exclamations are omitted (i.e., hum, oh, wow, well, yeah, etc.). Unnecessary phrases, prepositions and conjunctions are omitted (i.e., you know, well, all right, etc.). Following is an example of the communication network, P refers as to Parent ; C refer to as Child. Number of communication correlate with the size of the communication, and direction of the communication provide information of interelation ties (see, Figure 7).. Figure 7: An example of Parent-Child communication network The following types of communication were divided into 3 types of communication. - Child-Child (C-C) communication (bi-directional) - Parent-Child (P-C/C-P) communication (bi-directional) - OtherParent-OtherChild (Parent(x)-Child(y)) communication and vice versa (multi-directional/ cross-communication). The structure of communication of parent-child network would depict the role and ties among parent and child. This portrays how familiar viewpoint in conservative viewpoint is formed in childhood. Parent-child interaction that contribute in facilitating children s development of formative skills (i.e., craftsmanship) might be explored from the communication network. Thus, the communication network analysis might uncover the rigid practice of craftsmanship as a consistent belief among people in traditional rura area. Generally known that tacit experience is characterized with a complex mix of long history of various practices of culture, religion, that formed as a system value that followed and preserved consistently. As a rigid practice of applying this system value, it becomes a consistent beliefs among people in village area. This system value is a commitment to particular beliefs, such as belief to create a proper form; belief to maintain perfect balance; belief to create a standard dimension according to their understanding of beauty towards culture and religion and within quasi-parental nature. This internalization becomes unique experiences to every young apprentice. That reside in the unconscious mind and highly personal, internalised and deeply rooted in action and attitudes (see, Figure 8). Ⅲ7-8

100 Figure 8: A typical knowledge transfer from master craftsman to young apprentice that performed as quasi-parental relation. In this research, parent-child verbal communication that occurred during the experiments was the key point to identify interpersonal ties. The events of Experiments B and C were analyzed. We collected and implemented a method to obtain the number utterances representing C-C, P-C/C-P, and P(x)-C(y) (or vice versa) communication. The number of utterances in P-C/C-P communication were transcribed and translated into English and plotted on network graphs using Pajek 2.05, based on 2D layers in the Y direction. The nodes on the left Y-axis represent the children, and the nodes on the right Y-axis, their parents. Each communication network represents the location where the research was conducted. The type of communication structure and its degree of gregariousness were easily identified. For example, Figure 9a (for Experiment B) shows that the Indonesian parent-child communication networks performed 100% strong cross-communication (OtherParent-OtherChildren), which included inter-group communication. In contrast, the Japanese parents engaged in little cross-communication that occurred only within the group, and only one such interaction was recorded between a child and a parent from a different group. Figure 9b shows that 80% of the Indonesian parents and children, respectively, engaged in cross-communication. Meanwhile, only 50% of the Japanese parents and children engaged in cross-communication, and these interactions took place only within the same group. The content of parent-child cross-communication suggests a pattern of nurturing and parenting that is unique to each country. Cross-communications were grouped by objective utterances that later confirmed as a property. Primarily, parent-child cross-communication related to the context of co-creative play. Most of the utterances stimulated potentials or showed affection. Parent-child cross-communication mainly consisted of utterances stimulating potentials, for example, Pull this out to make it tidy and Apply some glue on this part. Some country differences were found in the collected utterances. For example, the Indonesian parent-child utterances included top-down commands, as if the child were a younger co-worker. This experience resembled an apprentice-like experience in which the child was treated as a young craftsman apprentice by their senior (parent). In contrast, such commands were not found in the Japanese parent-child communication. Their utterances stimulating potentials took the form of an exploratory question-answer discussion: for example, What about the balloon? What happens if you put it in? and Ah, perhaps you opened it too much. Ⅲ7-9

101 Fig 9a: Parent-child communication networks in Experiment B (Red arc represents cross-communication of OtherParent-OtherChild (P(x)-C(y) or vice versa)) Figure 9b: Parent-child communication networks in Experiment C (Red arc represents cross-communication of OtherParent-OtherChild Table 4: ODC scores representing gregariousness behavior Giriloyo, Indonesia Kasongan, Indonesia Mas, Indonesia Nomi, Japan Exp. B Exp. C Exp. B Exp. C Exp. B Exp. C Exp. B Exp. C C C C C C P * 0.56* * 0.56* 0.28** 0.14** P2 0.33* * * 0.56* 0.28** 0.14** P3 0.33* * 0.56* 0.56* 0.44* 0.28** 0.28** P4 0.33* * 0.44* 0.56* 0.56* 0.28** 0.28** P * 0.33* * 0.56* - - Particip ant Table 5a: Parent-child utterances in cross-communication in Experiments B and C (Indonesia) Showing Affection Stimulating Potentials Off-Topic Shall I help you? Please don't cry. All right, that's enough. Well, work until it s dry. Don t get mad. Do not get angry. That s not good. Bond it first, bond it first, there. Boys should be handy. Don t be shy. What makes you shy? That s OK. Be crammed and pressed. You look like A with a bigger body. Shall we Shall we help him? Cut it right away! Feels like a midget! Let s help, what a pity, watch out for your hand. Follow this, stab! stab! Feels like being shot. Don t fight. Just request one only. Apply some glue on this part. You are reckless! Help out, help each other out, together, [you] Telephone whoa what a strange Pull this out to make it tidy. need to cooperate. telephone look. Be slow, so your hand won t get tired. Scissors. Put the scissors on here! That one is for making a call. Please be careful, dear Let me help you. Do it the same way. Do it. Snake! It s a snake yayy Etc. Roll it up. Roll that one up. Create a hanging chime. The round part looks like a stickhead. Flip it, flip it, great. Etc. Etc. Ⅲ7-10

102 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 外 国 語 使 用 における 客 体 的 自 覚 と 適 応 行 動 の 低 下 Declining of objective self-awareness and adaptive behavior in second language use 馬 思 維, 橋 本 敬, 金 野 武 司 MA Siwei,HASHIMOTO Takashi,KONNO Takeshi 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 科 学 Japan Advanced Institute of Science and Technology 要 約 外 国 語 使 用 時 は 感 情 の 喚 起 が 弱 くなると 言 われている.これを 客 体 的 自 覚 の 理 論 にあてはめれ ば, 外 国 語 使 用 時 は 客 体 的 自 覚 を 持 ちにくいことが 原 因 で 感 情 の 喚 起 が 弱 まり,それを 修 復 しようとす る 適 応 行 動 も 表 出 しにくくなると 考 えることができる. 本 研 究 では, 一 筆 書 きパズルと 理 想 自 己 を 意 識 させる 提 示 文 を 用 い, 外 国 語 使 用 時 にネガティブ 感 情 が 弱 まる 実 験 を 行 った. 結 果, 外 国 語 使 用 時 には 客 体 的 自 覚 が 弱 くなり,それに 伴 って 適 応 行 動 が 表 出 しにくくなることを 示 した. キーワード 外 国 語 使 用 ネガティブ 感 情 客 体 的 自 覚 適 応 行 動 1. はじめに 今 日, 多 くの 人 が 研 究 やビジネスの 場 で 外 国 語 を 使 用 している. 私 たちが 外 国 語 を 使 用 している 時 は 母 語 を 使 用 している 時 と 同 じように 反 省 し, 自 分 の 振 る 舞 いを 改 善 して, 適 応 行 動 をとることができ るのだろうか? 外 国 語 は 一 般 的 に 母 語 よりも 感 情 的 には 中 立 に 学 習 されている.そのため, 外 国 語 のほ うが 母 語 より 恥 ずかしいことについて 話 しやすく, 母 語 で 話 すと 恥 ずかしいような 言 葉 を 外 国 語 に 置 き 換 えて 話 すというコードスイッチングの 現 象 が 見 られる(Bond & Lai, 1986).また,タブー 用 語 や 人 を 罵 る 言 葉 を 使 うことに 関 して, 話 す 言 葉 が 流 暢 なほど 恥 ずかしいと 感 じ, 流 暢 ではないほど(すなわち, 第 二 言 語, 第 三 言 語 ほど) 恥 ずかしくないと 感 じる(Dewaele, 2004).つまり, 意 味 を 完 全 に 理 解 してい るときは 外 国 語 のほうが 母 語 より 感 情 の 喚 起 が 弱 いと 考 えられる. 実 際 に, 外 国 語 使 用 時 は 恥 ずかしさ や 罪 悪 感 などの 感 情 の 喚 起 が 弱 くなることが 実 証 されている(Caldwell-Harris & Ayçiçeği-Dinn, 2009). 一 般 に, 恥 ずかしさや 罪 悪 感 などのネガティブ 感 情 は, 理 想 自 己 を 意 識 して,それに 叶 わない 現 実 の 自 己 とのギャップを 感 じることで 喚 起 される(Tangney & Tracy, 2012).ネガティブ 感 情 の 喚 起 の 要 因 とし て, 自 分 自 身 への 注 目 がある.ジェームズは 主 体 としての 自 分 を 主 我 (I), 客 体 としての 自 己 を 客 我 (Me) と 分 けた.ゲームなど 何 かを 夢 中 に 行 っているときには,ほぼ 主 我 だけが 働 いている 状 態 で, 客 体 とし ての 自 己 を 反 省 的 に 振 り 返 ったり 考 えたりはしない. 反 省 をするのは,この 客 我 に 対 して 注 意 が 向 けら れているときである( 北 村 大 坪, 2012).この 客 我 に 注 意 を 向 けることを 客 体 的 自 覚 (objective self-awareness)と 呼 ぶ. 客 体 的 自 覚 理 論 (Duval & Wicklund, 1972)によると, 客 体 的 自 覚 を 行 うと, 本 来 の 自 己 のあるべき 基 準 に 目 が 向 き,たいていはその 基 準 に 到 達 していない 自 己 を 意 識 し,ネガティブな 感 情 が 引 き 起 こされる.このネガティブ 感 情 は 自 己 の 状 態 を 向 上 させて 基 準 に 叶 うように 変 えていく 動 機 付 けとなる.ネガティブ 感 情 が 喚 起 されると, 理 想 自 己 を 下 回 っている 現 実 自 己 の 状 態 を 向 上 させ 基 準 に 叶 うように 変 えていくよう 対 処 するのである.これは 適 応 行 動 と 呼 ばれる.また, 理 想 自 己 と 現 実 自 己 のギャップが 縮 められない 場 合,あるいは, 理 想 自 己 を 意 識 させる 刺 激 が 不 必 要 または 永 久 的 なも のである 場 合 は, 理 想 自 己 から 目 をそらし 適 応 行 動 を 取 らなくなる(Duval & Wicklund, 1972). 客 体 的 自 覚 の 強 さによって 理 想 自 己 を 叶 えるための 行 動 が 異 なることを 示 した 実 験 がある. Vallacher(1978)は, 鏡 や 自 分 の 声 の 録 音 を 聞 かせることで 参 加 者 の 客 体 的 自 覚 の 促 進 を 統 制 しながら, 一 筆 書 きパズルを 解 かせる 実 験 を 行 なった.この 実 験 では 理 想 とする 基 準 を 意 識 させるため, 用 意 され たパズルが 通 常 の 能 力 で 十 分 に 解 けるという 教 示 ( 能 力 帰 属 群 )と,パズルが 解 けるかどうかは 運 次 第 だという 教 示 ( 運 帰 属 群 )が 行 なわれた. 実 際 に 用 意 されたパズルで 一 筆 書 き 可 能 だったのは 15 問 の うち 3 問 だけだった( 参 加 者 はこれを 知 らなかった). 実 験 の 結 果, 鏡 などにより 客 体 的 自 覚 を 促 進 さ れた 場 合 には, 能 力 帰 属 群 の 方 は 解 けないはずのパズルを 解 けたと 答 える 数 が 有 意 に 多 くなった. 一 方, Ⅲ8-1

103 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 客 体 的 自 覚 の 促 進 がない 場 合 には 能 力 帰 属 群 も 運 帰 属 群 も 解 けないはずのパズルを 解 けると 答 えた 数 に 違 いは 無 かった.この 結 果 は, 客 体 的 自 覚 が 促 進 されていると, 課 題 の 解 決 を 能 力 の 有 無 に 帰 属 して いる 群 では, 自 分 にパズルを 解 く 能 力 があることを 示 す 行 動 (この 場 合 の 適 応 行 動 )として, 解 けない 問 題 でも 解 けたと 答 える 傾 向 が 強 くなることを 示 している.つまり, 客 体 的 自 覚 の 促 進 は, 理 想 とする 自 己 の 基 準 を 明 確 化 し,その 基 準 に 到 達 するための 何 らかの 適 応 行 動 を 引 き 起 こすと 考 えられる. 外 国 語 使 用 時 にネガティブ 感 情 喚 起 が 弱 いのであれば, 客 体 的 自 覚 理 論 にのっとると, 理 想 の 自 分 に 叶 うための 行 動 は 十 分 に 動 機 づけされなくなると 予 想 される.そして, 外 国 語 使 用 時 にネガティブ 感 情 の 喚 起 が 弱 くなるのは, 外 国 語 使 用 時 に 客 体 的 自 覚 が 弱 いことが 原 因 のひとつであると 予 想 することが できる.これらの 予 想 に 基 づき, 本 研 究 では, 外 国 語 使 用 時 にネガティブ 感 情 が 弱 くなるような 実 験 パ ラダイムを 構 築 し, 外 国 語 使 用 時 に 適 応 行 動 が 起 こりにくくなるかどうか, 客 体 的 自 覚 が 弱 くなるかど うかを 検 証 することを 目 的 とする. 本 論 文 は 以 下 のように 構 成 されている.まず,2 節 で 本 研 究 で 実 施 した 実 験 について,その 設 定, 参 加 者,マテリアル, 手 続 きの 順 に 説 明 する. 次 に,3 節 で 実 験 結 果 について 報 告 する.まず 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 よりネガティブ 感 情 の 喚 起 が 弱 まることを 確 認 する.そして, 客 体 的 自 覚, 適 応 行 動 に ついて, 外 国 語 使 用 時 と 母 語 使 用 時,および, 理 想 自 己 を 意 識 させた 場 合 とさせない 場 合 の 違 いを 示 す. また, 各 要 因 間 の 相 関 についても 記 す.4 節 では,これらの 実 験 結 果 について, 客 体 的 自 覚 理 論 にのっ とりながら 考 察 する.そして, 外 国 語 使 用 時 に 客 体 的 自 覚 が 弱 まる 原 因 についても 議 論 する. 最 後 に, 5 節 で 本 論 文 の 結 論 を 述 べる. 2. 実 験 2.1 実 験 の 設 定 先 行 研 究 (Vallacher, 1978)を 参 考 にして 実 験 を 構 築 した. 客 体 的 自 覚 を 促 進 する 要 因 として, 先 行 研 究 で 用 いられた 鏡 や 自 分 の 発 した 声 の 録 音 を 聞 くことに 代 えて, 我 々の 実 験 では 実 験 中 の 言 語 ( 参 加 者 と の 会 話 および 実 験 の 説 明 書 の 提 示 )を 母 語 あるいは 外 国 語 にした.また, 理 想 自 己 の 基 準 として,パズ ルが 容 易 に 解 けるものであることを 認 識 させる 提 示 文 ( 今 から 出 題 する 一 筆 書 きパズルは, 通 常 の 集 中 力 で 十 分 に 解 くことができます.14 歳 ~15 歳 の 中 学 生 が 取 り 組 んだ 際 の 正 解 率 (パズルが 一 筆 書 き 可 能 かどうかを 正 確 に 判 断 できる 率 )は89.2%です. )を 用 意 した. この 実 験 では, 母 語 使 用 時 よりも 外 国 語 使 用 時 のほうが 客 体 的 自 覚 が 弱 まり,ネガティブ 感 情 の 喚 起 も 弱 くなることが 予 想 される.また,それに 伴 ってネガティブ 感 情 に 動 機 づけられる 適 応 行 動 も 出 にく くなることが 予 想 される.また 提 示 文 ありの 条 件 では, 提 示 文 なしの 条 件 より 外 国 語 使 用 時 と 母 語 使 用 時 の 客 体 的 自 覚 の 強 さ,ネガティブ 感 情 の 強 さ, 適 応 行 動 にそれぞれ 大 きな 違 いが 生 じるのではないか と 考 えられる. 2.2 実 験 の 参 加 者 実 験 には 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 の 大 学 院 生 43 名 が 参 加 した.43 人 のうち 3 人 はパズルが 一 筆 書 き 可 能 かどうかを 判 断 するアルゴリズムを 知 っていたので, 分 析 から 除 外 した. 実 験 参 加 者 40 人 は, 20 代 の 大 学 院 生 37 人,30 代 の 大 学 院 生 3 人 であった. 実 験 には 日 本 人 学 生 と 中 国 人 学 生 が 参 加 した. 中 国 人 留 学 生 の 母 語 は 中 国 語 で, 英 語 を 外 国 語 とした. 英 語 の 平 均 学 習 年 数 は 年 で, 最 長 20 年, 最 短 6 年 であった. 日 本 人 学 生 の 母 語 は 日 本 語 で, 英 語 を 外 国 語 とした. 英 語 の 平 均 学 習 年 数 は 12.3 年 で, 最 長 16 年, 最 短 10 年 であった. 参 加 者 を, 外 国 語 理 想 自 己 の 提 示 文 あり, 外 国 語 理 想 自 己 の 提 示 文 なし, 母 語 理 想 自 己 の 提 示 文 あり, 外 国 語 理 想 自 己 の 提 示 文 なしの,4 つの 群 に 分 け, 言 語 条 件 ( 母 語 と 外 国 語 )と 提 示 文 の 条 件 ( 提 示 文 ありとなし)の 2 2 条 件 で 参 加 者 間 計 画 の 実 験 を 行 なった ( 表 1). Ⅲ8-2

104 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 4 グループ (1グループ 10 人 ) 外 国 語 母 語 表 1:40 名 の 実 験 参 加 者 のグループ 分 け 理 想 自 己 の 提 示 文 あり 理 想 自 己 の 提 示 文 なし 日 本 人 5 人 中 国 人 5 人 ( 女 性 2 人 ) 日 本 人 5 人 中 国 人 5 人 ( 女 性 3 人 ) 日 本 人 5 人 中 国 人 5 人 ( 女 性 2 人 ) 日 本 人 5 人 中 国 人 5 人 ( 女 性 2 人 ) 2.3 マテリアル 図 1のような 一 筆 書 きパズル20 問 を 用 意 した.このうち, 解 ける 問 題 は14 問, 解 けない 問 題 は6 問 だっ た.これをA4 用 紙 2 枚 に10 個 ずつランダムに 配 置 した. 被 験 者 が 解 いたパズルの 並 びの 順 番 は 全 部 同 じ で, 解 けないパズルは2 番,3 番,11 番,13 番,16 番,18 番 だった. 実 験 者 には 解 答 用 紙 1 枚 が 配 られた. この 解 答 用 紙 には1~20の 番 号 がついている 空 欄 があった. 参 加 者 には 解 けるものには を, 解 けない ものには を,そして 分 からない 場 合 には をそれぞれ 記 入 するよう 指 示 した. 図 1: 出 題 したパズルの 例 出 題 したパズルには 難 易 度 の 高 いものを 含 めて, 制 限 時 間 ( 後 述 ) 内 に 解 くことができないものを 用 意 した( 課 題 の 難 易 度 は 予 備 実 験 を 行 なって 調 整 した). 参 加 者 にとっては, 分 からないものに をつけ たり 無 解 答 ( 空 欄 にして 解 答 しない)にすれば, 正 解 率 が 上 がることもない.もし, 提 示 文 にある 中 学 生 の 正 解 率 を 意 識 して 正 解 率 を 上 げようとするならば, 参 加 者 は や 無 解 答 ではなく や を 多 くつけ るようになるのではないかと 考 えられる( や をつければ1/2の 確 率 で 正 解 できる).よって, 本 課 題 での 参 加 者 の 適 応 行 動 は, や を 多 く 付 けるかどうかで 判 断 した.しかし,1/2の 確 率 でしか 正 解 しな いので, 適 応 行 動 をとったからといって 必 ず 正 解 率 が 大 きく 上 がるわけではない. 参 加 者 はパズル 課 題 の 後 にアンケートに 答 えた.アンケートは 客 体 的 自 覚 を 測 る3 項 目 9 問,ネガティブ 感 情 を 測 る2 問 から 構 成 された. 客 体 的 自 覚 の 測 定 には Situational Self-Awareness 尺 度 (Govern & Marsch, 2001)を 用 いた.こ の 尺 度 は 私 的 自 覚, 公 的 自 覚, 周 囲 の 自 覚 の3 項 目 9 問 から 構 成 され, 解 答 は7 段 階 リッカート 尺 度 を 用 いた. 今 回 の 実 験 では, 周 囲 の 自 覚 に 関 する 操 作 は 行 われなかったので, 周 囲 の 自 覚 は 分 析 から 外 した. 客 体 的 自 覚 を 測 る 質 問 紙 項 目 私 的 自 覚 に 関 わる 質 問 項 目 Q1-1. 今, 私 は 自 分 を 取 り 巻 く 周 囲 の 環 境 を 強 く 意 識 しています. Q1-2. 今, 私 は 自 分 の 内 面 の 感 情 を 意 識 しています. Q1-3. 今, 私 は 自 分 を 表 現 する 仕 方 について 意 識 しています. 公 的 自 覚 に 関 わる 質 問 項 目 Q1-4. 今, 私 は 他 人 にどう 見 られているか 意 識 しています. Q1-5. 今, 私 は 周 囲 で 何 が 起 こっているか 意 識 しています. Q1-6. 今, 私 は 自 分 の 人 生 について 熟 考 しています. 周 囲 の 自 覚 に 関 わる 質 問 項 目 Q1-7. 今, 私 は 他 人 が 自 分 をどう 考 えているか 気 にしています. Q1-8. 今, 私 は 自 分 のこころの 奥 の 考 えを 意 識 しています. Q1-9. 今, 私 は 周 囲 の 環 境 を 取 り 巻 くすべてのものを 意 識 しています. ネガティブ 感 情 の 測 定 には 以 下 の2つの 質 問 を 用 いた. 解 答 は5 段 階 リッカート 尺 度 を 用 いた. Ⅲ8-3

105 知 識 共 創 第 4 号 (2014) ネガティブ 感 情 を 測 る 質 問 紙 項 目 Q2-1.この 課 題 ではプレッシャーを 感 じましたか? Q2-2. 一 筆 書 き 可 能 なパズルを 解 くことができなかったら 恥 ずかしいですか? これに 加 えて, 提 示 文 が 提 示 された 条 件 では, 理 想 自 己 に 関 する 見 方 についての 質 問 として 以 下 の2つ を 用 いた. 解 答 は5 段 階 のリッカート 尺 度 を 用 いた. Q3-1. 中 学 生 の 正 解 率 は 高 いと 思 いますか? Q3-2. 中 学 生 の 正 解 率 を 意 識 していましたか? 母 語 で 実 験 を 行 う 参 加 者 に 対 しては, 実 験 同 意 書 とインストラクションは 母 語 で 提 示 し, 外 国 語 で 実 験 を 行 う 参 加 者 に 対 しては, 実 験 同 意 書 とインストラクションは 外 国 語 で 提 示 した. 実 験 が 終 了 した 後 インストラクションについて 内 容 をすべて 母 語 で 説 明 してもらった.アンケートはすべて 日 本 語 を 使 用 した. 2.4 手 続 き 参 加 者 はまず 母 語 もしくは 外 国 語 で 書 かれた 実 験 の 説 明 書 を 読 んだ. 実 験 の 説 明 書 は 参 加 者 にとって の 外 国 語 でも 理 解 してもらうため, 簡 単 な 言 葉 を 用 いて 書 かれていた. 提 示 文 は 実 験 説 明 書 の 最 後 に 書 かれていた. 実 験 者 は 口 頭 で 説 明 の 意 味 を 理 解 できましたか? と 聞 き, 分 からないところについて 説 明 した. 被 験 者 に 理 解 してもらうために 説 明 の 中 で 主 に 確 認 したのは, 解 答 のルール, 制 限 時 間, 理 想 自 己 の 提 示 として 書 かれている 中 学 生 の 正 解 率 である. 課 題 に 取 り 組 む 前 に 解 けるものには を, 解 けないものには を,そして 分 からない 場 合 には をそれぞれ 記 入 するということを 理 解 してい ますか, 制 限 時 間 は10 分 です, 全 部 のインストラクションを 理 解 できましたね ということを 実 験 参 加 者 に 言 うことによって, 理 解 できたかどうか 確 認 した. 理 解 できなかった 被 験 者 はいなかった. 参 加 者 がインストラクションの 意 味 を 理 解 したことを 確 認 した 後 で,パズルが 描 かれた 用 紙 と 解 答 用 紙 1 枚 が 渡 された. 準 備 ができ 次 第, 参 加 者 は 課 題 に 取 り 組 んだ. 課 題 中,パズルを 指 やペンの 反 対 側 の 先 でなぞることは 許 されたが, 紙 に 書 き 込 むことは 許 されなかった. 本 実 験 は 限 られた 時 間 で 解 ける かどうかはっきり 分 からないパズルをいかに 分 類 するかを 見 るものである. 紙 に 書 いてしまうとパズル が 一 筆 書 き 可 能 かどうか 確 実 に 判 断 できる 可 能 性 が 高 くなり, 適 応 行 動 の 変 化 は 観 察 しにくくなると 思 われる. 参 加 者 が 課 題 に 取 り 組 んでいる 間, 実 験 者 は 部 屋 の 外 に 出 ていた. 部 屋 には 残 り 時 間 を 示 す 時 計 が 置 かれており, 制 限 時 間 でアラームが 鳴 るとともに 実 験 者 が 部 屋 の 中 に 入 り 課 題 に 取 り 組 むことを やめさせた. 課 題 終 了 後, 参 加 者 はアンケートに 答 えた.その 後, 外 国 語 条 件 の 参 加 者 には 実 験 説 明 書 の 内 容 をす べて 口 頭 で 母 語 に 訳 しもらい, 実 験 者 はそれを 録 音 した. 実 験 説 明 書 は 簡 単 な 文 章 で 作 られたため, 意 味 を 理 解 できなかった 人 や 訳 せなかった 人 はいなかった. 最 後 に, 提 示 文 の 提 示 を 受 けた 人 には, 中 学 生 の 正 解 率 が 事 実 ではないことを 伝 えるデブリーフィングが 行 なわれた.すべての 参 加 者 はその 内 容 に ついて 了 承 した. 3. 結 果 3.1 ネガティブ 感 情 ネガティブ 感 情 に 関 わる2つの 質 問 一 筆 書 きパズルの 課 題 でプレッシャーを 感 じましたか 解 け るはずのパズルが 解 けなかったら 恥 ずかしいですか についての 分 析 を 行 なった. 結 果,ネガティブ 感 情 のいずれの 質 問 でも 交 互 作 用 があり, 単 純 主 効 果 は 提 示 文 ありの 条 件 での 母 語 と 外 国 語 の 間 の 有 意 な 効 果, 母 語 の 条 件 での 提 示 文 ありとなしの 間 の 有 意 な 効 果 が 確 認 された(プレッシャー: 交 互 作 用 F (1,36) = 10.21, p =.0028, 提 示 文 ありでの 言 語 F (1,36) = 15.81, p <.001, 母 語 における 提 示 文 F (1,36) = 8.36, p =.0062( 図 2), 恥 ずかしさ: 交 互 作 用 F (1,36) = 6.62, p =.015, 提 示 文 ありでの 言 語 F (1,36) = 6.16, p =.017, 母 語 における 提 示 文 F (1,36) = 10.94, p =.0020( 図 3)).この 結 果 は, 外 国 語 使 用 時 は 恥 ずか しさの 喚 起 は 母 語 使 用 時 より 有 意 に 弱 くなることを 示 している.したがって, 外 国 語 使 用 時 はネガティ ブ 感 情 が 弱 まるという 先 行 研 究 (Caldwell-Harris & Ayçiçeği-Dinn, 2009)が 再 現 された. Ⅲ8-4

106 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 5 n=10 外 国 語 プ レ ッ シ ャ ー の 強 さ 母 語 1 提 示 文 あり 提 示 文 なし 図 2:プレッシャーの 強 さ.エラーバーは 標 準 誤 差 恥 ず か し さ n=10 n=10 外 国 語 母 語 1 提 示 文 あり 提 示 文 なし 図 3: 恥 ずかしさ.エラーバーは 標 準 誤 差 3.2 適 応 行 動 の 変 化 参 加 者 の 適 応 行 動 として, 解 答 数 ( か を 付 けて 解 答 した 数 ), 正 解 率 (20 問 のパズルの 内 一 筆 書 き 可 能 かどうかを 正 確 に 判 断 できた 率 )を 分 析 した. 結 果, 解 答 数 において, 言 語 要 因 についての 主 効 果 が 確 認 された( 解 答 数 : 交 互 作 用 F (1,36) = 0.10, n.s., 言 語 F (1,36) = 7.86,p =.0078., 提 示 文 F (1,36) = 0.87, n.s.,( 図 4).この 結 果 は, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 より 解 答 数 が 有 意 に 減 ること 示 している. 正 解 率 において,どの 要 因 においても 主 効 果 は 確 認 できなかった( 正 解 率 : 交 互 作 用 F (1,36) = 0.17, n.s., 言 語 F (1,36) = 1.362, n.s., 提 示 文 F (1,36) = 0.316, n.s.,( 図 5).この 結 果 は, 外 国 語 使 用 時 も 母 語 使 用 時 も 正 解 率 は 変 わらないことを 示 している. Ⅲ8-5

107 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 20 n=10 外 国 語 解 答 数 母 語 5 0 提 示 文 あり 提 示 文 なし 図 4: 解 答 数.エラーバーは 標 準 誤 差 正 解 率 n=10 n=10 外 国 語 母 語 提 示 文 あり 提 示 文 なし 図 5: 正 解 率.エラーバーは 標 準 誤 差 3.3 客 体 的 自 覚 Situational Self-Awareness 尺 度 (Govern & Marsch, 2001)のアンケート 項 目 から 客 体 的 自 覚 の 強 さを 示 す データが 得 られた. 客 体 的 自 覚 (ここでは 私 的 自 覚 と 公 的 自 覚 の 平 均 を 用 いた)は 言 語 要 因 において 主 効 果 が 確 認 された( 交 互 作 用 F (1,36) =1.40, n.s., 言 語 F (1,36) = 4.37, p =.044, 提 示 文 F (1,36) = 0.22, n.s. ( 図 6)).この 結 果 は, 外 国 語 使 用 時 の 客 体 的 自 覚 は 母 語 使 用 時 より 有 意 に 弱 くなることを 示 してい る. 客 体 的 自 覚 n=10 n=10 外 国 語 母 語 2 1 提 示 文 あり 提 示 文 なし 図 6: 客 体 的 自 覚.エラーバーは 標 準 誤 差 3.4 理 想 自 己 に 対 する 意 識 理 想 自 己 を 提 示 した 群 において, 中 学 生 の 正 解 率 は 高 いと 思 いますか という 質 問 に 対 して, 外 国 Ⅲ8-6

108 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 語 使 用 時 も 母 語 使 用 時 も 中 学 生 の 正 解 率 は 高 いと 感 じていた(t (18) = 0.418, n.s.( 図 7)). 一 方, 正 解 率 を 意 識 していましたか? という 質 問 に 対 しては, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 より 中 学 生 の 正 解 率 に 対 する 意 識 は 有 意 に 弱 かった(t (18) = 3.042, p < 0.01( 図 8)). 中 学 生 の 正 解 率 に 対 す る 考 え n=10 図 7: 中 学 生 の 正 解 率 に 対 する 考 え. エラーバーは 標 準 誤 差 外 国 語 母 語 中 学 生 の 正 解 率 に 対 す る 意 識 n=10 図 8: 中 学 生 の 正 解 率 に 対 する 意 識. エラーバーは 標 準 誤 差 外 国 語 母 語 3.5 各 結 果 の 間 の 相 関 について ここまでの 結 果 は, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 に 比 べて 客 体 的 自 覚 が 弱 く,ネガティブ 感 情 の 喚 起 も 弱 いことを 示 している.また, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 より, 解 答 数 ( か を 付 けた 数 )が 少 なく なることが 確 認 された. 最 後 に, 客 体 的 自 覚,ネガティブ 感 情, 適 応 行 動 の3 者 間 の 関 係 を 調 べるために 相 関 分 析 を 行 なった. 客 体 的 自 覚 とネガティブ 感 情 の 間 には, 参 加 者 全 体 での 有 意 な 相 関 は 表 われなかった( 客 体 的 自 覚 プ レッシャー:r (38) = 0.22, n.s., 客 体 的 自 覚, 恥 ずかしさ:r (38) = 0.18, n.s.).しかし,ネガティブ 感 情 の 分 散 分 析 で 有 意 な 単 純 主 効 果 があった 提 示 文 あり 条 件 では, 客 体 的 自 覚 とプレッシャーに 有 意 な 正 の 相 関 が 確 認 された( 客 体 的 自 覚 プレッシャー:r (18) = 0.47, p =.036). 客 体 的 自 覚 と 恥 ずかしさは 弱 い 相 関 が 確 認 された( 客 体 的 自 覚 恥 ずかしさ:r (18) = 0.38, p =.096).これは, 提 示 文 によって 言 語 間 でのネガティブ 感 情 の 喚 起 に 差 が 生 じている 状 態 であれば, 客 体 的 自 覚 の 強 さはネガティブ 感 情 の 喚 起 の 強 さと 相 関 することを 示 している. 客 体 的 自 覚 は 不 正 解 数 ( 解 答 したパズルの 中 で, 解 き 間 違 えた 数 )との 間 に 有 意 な 相 関 があった( 客 体 的 自 覚 不 正 解 数 :r (38) =.400, p =.011).これは, 客 体 的 自 覚 の 高 まりが 解 答 数 の 増 加 としての 適 応 行 動 を 促 したとき,パズルの 難 易 度 の 高 さによって,それが 結 果 的 には 不 正 解 数 の 増 加 となって 現 れ Ⅲ8-7

109 知 識 共 創 第 4 号 (2014) たと 考 えることができる.しかし,ネガティブ 感 情 と 適 応 行 動 ( 解 答 数 あるいは 不 正 解 数 )の 間 には 有 意 な 相 関 が 確 認 されなかった.これについては 次 節 で 議 論 する. 4. 考 察 4.1 客 体 的 自 覚 理 論 から 見 て 提 示 文 がある 群 において, 母 語 使 用 時 はネガティブ 感 情 であるプレッシャーを 強 く 感 じるが, 外 国 語 使 用 時 はプレッシャーをあまり 感 じていない.プレッシャーを 感 じる 原 因 は 中 学 生 より 高 い 正 解 率 を 取 る 理 想 の 自 己 に 叶 わないかもしれない 現 実 の 自 己 を 意 識 したためと 考 えられる. 中 学 生 の 正 解 率 を 意 識 すれば,パズル 課 題 で 自 分 が 解 いたパズルの 数 と 比 較 して 解 けている 数 が 少 ないと 中 学 生 の 正 解 率 に 達 することができないので,ネガティブな 感 情 が 喚 起 されると 考 えられる.そのためプレッシャーを 強 く 感 じるのだろう. 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 より 解 答 数 は 有 意 に 少 なかった. 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 より 適 応 行 動 が 起 こりにくいということである. と が 正 しくつけられていると 正 解 率 は 上 がる.しかし, か が 解 答 欄 に 記 入 されていないと 正 解 率 が 上 がる 可 能 性 はない.したがって, 本 論 では 解 答 欄 に か を つけて 解 答 する 行 動 を 適 応 行 動 とした. 母 語 使 用 時 は と を 多 くつけていたが, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 ほど 多 くつけなかった. 母 語 使 用 時 は 積 極 的 に 正 解 率 をあげる 行 動 をしたが, 外 国 語 使 用 時 は 正 解 率 をあげる 行 動 は 母 語 使 用 時 より 積 極 的 ではなかったということである. 外 国 語 使 用 時 には 正 解 率 を あげようとする 動 機 が 低 くなっていたのではないかと 考 えられる.しかし,パズルを 解 けていない 状 態 で か を 付 けても 1/2 の 確 率 でしか 正 解 しないので, 最 終 的 に 正 解 率 を 大 きく 上 げることはできなか ったと 考 えられる. 一 般 に, 外 国 語 使 用 を 使 用 しているときは 認 知 負 荷 が 大 きい. 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 より 思 考 力 が 低 い( 高 野, 2013)ので,その 思 考 力 低 下 が, 母 語 使 用 時 に 解 答 数 が 多 く 外 国 語 使 用 時 に 解 答 数 が 少 ない 原 因 だと 考 えるかもしれない. 外 国 語 使 用 時 は 外 国 語 使 用 に 思 考 を 使 い, 一 筆 書 きパズルを 解 くことに 使 える 思 考 リソースが 少 なくなり,パズルを 解 くスピードが 落 ち, 解 答 数 が 少 なくなるというロジック である.そこで, 不 正 解 数 ( 解 いたパズルの 中 で 正 しく 置 けていない 数 )に 注 目 してみると 母 語 使 用 時 のほうが 外 国 語 使 用 時 より 有 意 に 多 かった.もし, 外 国 語 使 用 時 に 認 知 負 荷 が 働 いていれば, 外 国 語 使 用 時 のほうが 母 語 使 用 時 より 不 正 解 数 が 少 ないことはないだろう. 母 語 使 用 時 は 外 国 語 使 用 時 より 適 応 行 動 が 起 こりやすいため, 一 筆 書 きパズルが 解 けるか 解 けないかはっきりと 分 からないという 状 況 にあ るとき,より 高 い 正 解 率 を 得 るという 理 想 自 己 に 近 づくための 適 応 行 動 として, か をつけた.この とき, 参 加 者 はパズルをしっかりと 解 いて 判 断 したのではなく, 分 からない 状 況 で か かを 付 けたの で, 解 答 数 は 増 えるが 不 正 解 数 も 同 時 に 増 えたと 考 えられる. 以 上 の 2 点 から, 外 国 語 使 用 時 と 母 語 使 用 時 の 適 応 行 動 の 違 いを 生 起 したのは,それぞれの 言 葉 によって 喚 起 される 感 情 の 違 いにあると 言 える. 外 国 語 使 用 時 の 客 体 的 自 覚 は 母 語 使 用 時 より 低 いという 結 果 が 得 られた. 外 国 語 使 用 時 は 客 体 的 自 覚 が 有 意 に 弱 いということである.さらに 客 体 的 自 覚 に 含 まれる 私 的 自 覚 と 公 的 自 覚 を 個 別 に 検 定 をした. 外 国 語 使 用 時 に 私 的 自 覚 が 低 くなる 傾 向 があり, 公 的 自 覚 は 有 意 に 低 かった. 私 的 自 覚 は 他 者 からは 見 えないその 人 の 内 的 な 思 考 や 感 情, 自 分 自 身 の 価 値 観 である. 本 課 題 では, 自 分 はどれくらいのパズル を 正 しく 判 断 すればいいのかということ 意 識 することに 当 たると 考 えられる. 公 的 自 覚 はひと 目 を 気 に するなど 自 分 の 振 る 舞 いが 適 切 であるかどうかを 気 にかける 状 態 である. 本 課 題 では, 解 答 したパズル が 正 しくないということを 実 験 者 に 見 られたら 恥 ずかしいことや, 解 答 用 紙 に 空 欄 があることを 実 験 者 に 見 られることを 気 にする 状 態 であると 考 えられる. 空 欄 は, 時 間 内 に 課 題 を 完 成 できていないと 判 断 され, 大 学 院 生 であるにもかかわらずパズルを 解 く 能 力 は 中 学 生 以 下 であるだろうと 実 験 者 に 思 われる. これらのことに 対 する 意 識 は 外 国 語 使 用 の 方 が 弱 くなるということである. 客 体 的 自 覚 により 理 想 自 己 を 意 識 するようになる. 客 体 的 自 覚 が 弱 くなるということは 理 想 自 己 と 現 実 自 己 を 照 らし 合 わせ, 反 省 する 能 力 が 下 がるということである. 本 実 験 の 提 示 文 が 示 された 群 におい て, 理 想 自 己 は 中 学 生 の 正 解 率 を 超 えること である. 外 国 語 使 用 時 に 客 体 的 自 覚 が 弱 まれば, 理 想 自 己 をうまく 認 識 できず, 現 実 自 己 を 理 想 自 己 に 照 らす 自 省 の 能 力 が 下 がるということである.つまり, 客 体 的 自 覚 が 通 常 に 行 われると 中 学 生 より 高 い 正 解 率 を 連 想 させる 中 学 生 の 正 解 率 を 意 識 するはず である. 外 国 語 使 用 時 も 母 語 使 用 時 も 中 学 生 の 正 解 率 は 同 じくらいに 高 いと 思 っているにも 関 わらず, 外 国 語 使 用 時 は 中 学 生 の 正 解 率 に 対 してあまり 意 識 してなかったようである.つまり, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 と 同 じように 理 想 自 己 としての 基 準 を 把 握 しながらも, 母 語 使 用 時 ほどにはそこに 意 識 が 向 Ⅲ8-8

110 知 識 共 創 第 4 号 (2014) いていない 可 能 性 が 示 唆 される.この 客 体 的 自 覚 の 強 さは, 提 示 文 がある 条 件 で,ネガティブ 感 情 の 喚 起 の 強 さと 有 意 に 相 関 していた.これはまた, 外 国 語 使 用 時 にはプレッシャーや 恥 ずかしさをあまり 感 じていなかったことと 整 合 的 である.なぜなら, 前 述 と 同 様 に 外 国 語 使 用 条 件 の 参 加 者 が 母 語 使 用 条 件 の 参 加 者 ほどにはプレッシャーや 恥 ずかしさを 強 く 感 じなかったのは, 中 学 生 より 高 い 正 解 率 を 取 ると いう 理 想 の 自 己 に 叶 わない 現 実 の 自 己 を 意 識 しなかったためではないかと 考 えられるからである. 理 想 自 己 と 現 実 自 己 のギャップを 強 く 意 識 するとより 強 いネガティブ 感 情 が 喚 起 されるだろう. 4.2 相 関 客 体 的 自 覚 理 論 に 基 づくと, 客 体 的 自 覚 が 強 まることで 理 想 自 己 と 現 実 自 己 のギャップを 認 識 してネ ガティブ 感 情 が 喚 起 されるはずである. 提 示 文 がないときは 客 体 的 自 覚 とプレッシャーの 間 には 相 関 が なかった. 提 示 文 があるときは 客 体 的 自 覚 とプレッシャーとの 相 関 は 有 意 であり, 恥 ずかしさとは 相 関 している 傾 向 にあった. 外 国 語 使 用 時 は 客 体 的 自 覚 が 弱 くなることで, 喚 起 されるネガティブ 感 情 も 弱 くなると 考 えられる. 客 体 的 自 覚 の 相 関 の 中 でも 特 に 大 きく 相 関 していたのが, 公 的 自 覚 である. 公 的 自 覚 は 他 人 が 自 分 をどういうふうに 見 ているのかを 気 にしているものである.この 公 的 自 覚 がネガティ ブ 感 情 であるプレッシャーと 相 関 しているということは, 中 学 生 より 高 い 正 解 率 を 取 ることができない ということを 実 験 者 に 見 られたら 嫌 だということを 気 にして,プレッシャーを 感 じたと 考 えられる. 以 上 のことから, 外 国 語 使 用 か 母 語 使 用 かにより 生 じた 客 体 的 自 覚 とネガティブ 感 情 の 喚 起 の 強 弱 は, 適 応 行 動 として 現 れると 考 えられる.ここでの 適 応 行 動 とは 解 答 数 ( か を 付 けた 数 )のことである. しかし,ネガティブ 感 情 と 適 応 行 動 の 間 には, 提 示 文 ありの 条 件 においても 有 意 な 相 関 は 確 認 されなか った.この 原 因 を 詳 しく 分 析 してみると, 外 国 語 使 用 時 の 参 加 者 の 中 に,プレッシャーをほとんど 感 じ ていないのにも 関 わらず, 解 答 数 が 多 くかつ 正 解 率 の 高 い 参 加 者 が 4 人 いた.この 4 人 は 解 答 数 18 以 上, 不 正 解 数 3 以 下 の 両 方 の 条 件 を 満 たした 参 加 者 である.4 人 の 解 答 数 と 不 正 解 数 の 平 均 はそれぞれ 2.75 と だった. 不 正 解 数 はかなり 低 く 解 答 数 は 高 い.この 4 人 を 除 いて 相 関 分 析 を 行 なうと,ネ ガティブ 感 情 であるプレッシャーと 解 答 数 の 間 に 有 意 な 相 関 が 現 れた(r (14) = 0.535, p =.033).した がって, 客 体 的 自 覚 理 論 の 予 想 する 結 果 の 通 りになる. 一 方 これは, 我 々の 実 験 でパズルを 解 く 能 力 を 事 前 にうまくスクリーニングできていなかった 可 能 性 を 意 味 する.4 人 は 不 正 解 数 はかなり 低 く 解 答 数 は 高 い 人 たちで,アルゴリズムを 知 っている 参 加 者 の 行 動 にかなり 近 い 行 動 をとっていた.もし,パズ ルを 解 くことに 難 しさを 感 じる 人 たちで 条 件 を 揃 えることができれば,ネガティブ 感 情 と 適 応 行 動 の 相 関 関 係 が 観 測 できると 予 想 される. 4.3 客 体 的 自 覚 が 弱 まる 原 因 と 言 語 の 役 割 本 研 究 では, 外 国 語 使 用 時 に 感 情 の 喚 起 が 弱 くなり,その 原 因 は 客 体 的 自 覚 が 弱 まることであると 議 論 してきた. 客 体 的 自 覚 は 自 分 が 自 分 自 身 について 考 えることである. 外 国 語 使 用 時 に 客 体 的 自 覚 が 弱 まる 原 因 としては, 自 分 自 身 について 考 える 能 力 が 低 下 したと 考 えることができる. 外 国 語 副 作 用 が 原 因 で, 自 分 自 身 を 考 える 認 知 的 プロセスが 充 分 に 働 かないということである( 高 野, 2013). 例 えば,ある 文 を 外 国 語 で 提 示 されたとき,その 文 の 字 義 通 りの 意 味 は 理 解 できるが,その 提 示 が 自 分 自 身 にとって どんな 意 義 を 持 つかという 深 いレベルの 意 味 を 考 える 思 考 能 力 が, 外 国 語 使 用 の 副 作 用 により 低 下 する かもしれない. 本 研 究 では, 言 語 は 意 味 を 伝 えるだけではなく, 人 の 感 情 の 喚 起 や 行 動 と 関 係 しており, 気 づかない うちに 私 たちの 行 動 に 影 響 をしていることの 一 端 を 明 らかにした. 人 は, 客 体 的 自 覚 を 持 つことによっ て 自 分 の 行 動 が 適 切 かどうか 反 省 を 行 う.この 自 覚 を 人 が 持 つことで, 社 会 的 生 活 の 中 で 不 適 切 な 行 為 があるとネガティブな 感 情 が 喚 起 される.したがって, 客 体 的 自 覚 を 持 つことは 道 徳 的 協 調 的 行 動 を 促 し, 社 会 を 円 滑 にすることに 貢 献 していると 考 えられる. 本 研 究 に 限 らず, 一 般 的 に 外 国 語 使 用 は 適 応 的 ではないと 考 えられる. 人 間 は 本 来 一 つしか 言 語 を 持 っておらず,そのような 環 境 において 進 化 し てきたため,これはやむを 得 ない 面 がある. 一 方,ごく 近 代 になってグローバル 化 とともに 第 二 言 語 を 使 う 人 が 増 えてきている.いくつもの 言 語 を 習 得 し 使 用 することが, 意 思 疎 通 だけではなく, 感 情 や 行 動, 社 会 性 へ 与 える 影 響 を 認 識 し,うまく 対 応 していくべきである. 5. 結 論 本 研 究 では, 客 体 的 自 覚 を 促 進 低 下 させる 要 因 として 言 語 要 因 ( 母 語 と 外 国 語 )に 代 えた 実 験 を 行 Ⅲ8-9

111 知 識 共 創 第 4 号 (2014) なった.その 結 果, 外 国 語 使 用 時 にネガティブ 感 情 が 弱 くなるという 先 行 研 究 の 結 果 が 確 認 でき, 外 国 語 使 用 時 は 母 語 使 用 時 に 比 べて 客 体 的 自 覚 が 弱 くなり, 適 応 行 動 が 起 こりにくくなったことを 示 した. これは, 客 体 的 自 覚 理 論 が 外 国 語 使 用 でも 成 り 立 ち, 使 用 言 語 が 客 体 的 自 覚 に 影 響 することを 明 らかに したものである. 外 国 語 使 用 時 に 客 体 的 自 覚 が 弱 まる 原 因 については 今 後 明 らかにしていきたい. 言 語 使 用 は 意 味 の 理 解 や 文 化 の 理 解 にとどまらず, 無 意 識 のうちに 私 たちの 感 情 喚 起, 行 動, 思 考 と いった 暗 黙 的 な 部 分 にも 影 響 を 与 えている. 本 研 究 の 結 果 より, 普 段 外 国 語 を 使 用 して 生 活 をしている 人 は,より 理 想 自 己 に 近 づくために 理 想 自 己 の 基 準 を 強 く 意 識 することを 心 がける 必 要 があることが 分 かる. 当 事 者 本 人 がそれを 心 がける 必 要 があるだけでなく, 教 育 の 場 などで 外 国 語 使 用 者 と 関 わる 他 者 も 気 をつけるべきである,たとえば, 教 師 が 留 学 生 に 正 しい 行 動 や 考 え 方 を 知 らせたり, 会 社 で 上 司 が 外 国 人 の 部 下 に 指 示 を 出 したりする 場 合 では, 外 国 語 使 用 者 に 理 想 自 己 を 強 く 意 識 してもらうようなコ ミュニケーションを 工 夫 する 必 要 があると 考 えられる.このような 外 国 語 使 用 によって 起 こる 現 象 をよ り 幅 広 くかつ 詳 細 に 明 らかにし, 場 合 によってはそのための 対 策 を 採 ることが,グローバル 化 した 現 代 社 会 で 有 効 だろう. 参 考 文 献 Ayçiçegi-Dinn, A., & Caldwell-Harris, C. L. (2009) Emotion-memory effects in bilingual speakers: A levels-of-processing approach. Bilingualism: Language and Cognition, 12(3), Bond, M. H., & Lai, T. M. (1986) Embarrassment and code-switching into a second language. The Journal of Social Psychology, 126(2), Dewaele, J. M. (2004) The emotional force of swearwords and taboo words in the speech of multilinguals. Journal of Multilingual and Multicultural Development, 25(2-3), Duval, S., & Wicklund, R. A. (1972) A Theory of Objective Self Awareness. Academic Press. Govern, J. M., & Marsch, L. A. (2001) Development and validation of the situational self-awareness scale. Consciousness and Cognition, 10(3), Tangney, J. P., & Tracy, J. L. (2012) Self-consious emotions. In Leary, M. R. & Tangney, J. P. (Eds.), Handbook of Self and Identity, Second Edition. (pp ). Guilford Press. Vallacher, R. R. (1978) Objective self awareness and the perception of others. Personality and Social Psychology Bulletin, 4(1), 北 村 英 哉 大 坪 庸 介 (2012) 社 会 心 理 学, 有 斐 閣 アルマ. 高 野 陽 太 郎 (2013) 外 国 語 副 作 用 : 外 国 語 の 使 用 に 寄 進 する 思 考 力 の 一 時 的 な 低 下 電 子 情 報 通 信 学 会 技 術 研 究 報 告 113(354), 連 絡 先 住 所 : 石 川 県 能 美 市 旭 台 1-1 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 知 識 科 学 研 究 科 名 前 : 橋 本 敬 Ⅲ8-10

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114 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 状 況 適 応 型 サービスのための 気 づき プラットフォームの 提 案 Awareness Platform for Physical and Adaptive Intelligent Services 内 平 直 志, 金 井 秀 明, 平 石 邦 彦 UCHIHIRA Naoshi, KANAI Hideaki, HIRAISHI Kunihiko jaist.ac.jp, jaist.ac.jp 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 Japan Advanced Institute of Science and Technology, 要 約 サービスにおけるサービス 提 供 者 の 気 づき は,サービスの 質 と 効 率 の 向 上 に 極 めて 重 要 な 役 割 を 果 たしている.しかしながら, 従 来 の 気 づき(アウェアネス) の 研 究 は, 事 故 防 止 のための ヒューマンファクタや 協 調 作 業 を 促 進 するグループウェアに 関 するものであり,サービス 提 供 者 の 気 づき の 誘 発 収 集 活 用 を 総 合 的 に 検 討 したものは 少 なく, 未 開 拓 な 部 分 が 大 きい. 本 稿 では, 従 来 のアウェアネスに 関 する 研 究 成 果 も 総 合 的 に 検 討 し,サービスの 質 と 効 率 を 向 上 する 気 づき の 研 究 課 題 を 整 理 し,サービス 科 学 の 研 究 基 盤 としての 気 づきプラットフォーム の 提 案 を 試 みる. キーワード 気 づき アウェアネス 音 声 つぶやき 組 織 学 習 サービスサイエンス 1. はじめに 看 護 や 介 護 や 接 客 などの 状 況 適 応 型 のサービスにおいて,ケアスタッフなどのサービス 提 供 者 の 気 づき は 極 めて 重 要 な 役 割 を 果 している.ここで, 状 況 適 応 とは, 患 者 や 要 介 護 者 などのサービス 需 要 者 の 状 態 やサービスを 提 供 する 環 境 の 変 化 に 応 じて, 適 切 なサービスを 提 供 することである( 竹 中,2008). 良 い 気 づきによって, 状 況 変 化 に 適 切 に 対 応 でき, 質 の 高 いサービスが 提 供 できる. 特 に, 複 数 のスタッフの 協 働 でサービスを 提 供 する 場 合,スタッフ 間 の 気 づき の 共 有 が 重 要 となる( 図 1). 従 来 から,ヒューマンファクタ 分 野 では 状 況 アウェアネス(Situation Awareness)の 研 究 は 精 力 的 に 行 われ てきたが,サービスの 質 の 向 上 のために 気 づき を 収 集 し,グループで 共 有 し 活 用 する 視 点 はなかっ た.また,グループウェアで 研 究 されてきたアウェアネス(Collaboration Awareness/General/Social Awareness)は, 協 調 作 業 を 促 進 するために, 他 のスタッフの 状 況 を 気 づかせること( 気 づき 誘 発 )が 目 的 であり,サービス 需 要 者 の 状 況 に 関 する 気 づきではなかった. 本 研 究 では,これらの 関 連 するアウェ アネス 研 究 の 成 果 を 取 り 込 みつつ, 状 況 適 応 型 サービスのための 気 づき を 支 援 するモデル, 手 法, ツールを 気 づきプラットフォーム として 構 築 し, 整 備 することで, 看 護 や 介 護 を 含 む 様 々な 状 況 適 応 型 サービスの 質 を 高 め,サービス 科 学 の 発 展 に 貢 献 することを 目 指 す. 患 者 要 介 護 者 (サービス 需 要 者 ) 気 づき ( 含 む 観 察 ) ヘルスケアスタッフ (サービス 提 供 者 ) アセスメント 状 況 変 化 処 置 選 択 協 働 気 づきの 共 有 観 察 評 価 図 1: 看 護 や 介 護 サービスにおける 気 づき 2. 気 づきに 関 する 先 行 研 究 (1) 状 況 アウェアネス(Situation Awareness) 状 況 アウェアネスは, 事 故 防 止 のためのヒューマンファクタとして 研 究 されてきた.Endsley による 状 況 アウェアネスの 定 義 は, ある 時 空 間 環 境 の 中 での 要 素 の 認 識,その 要 素 の 意 味 の 理 解, 近 未 Ⅳ3-1

115 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 来 におけるその 要 素 の 状 態 の 予 測 である(Endsley,2012).また, 状 況 アウェアネスには,3つのレ ベル( 現 状 の 認 識, 現 状 の 理 解, 将 来 の 予 測 )があるとしている.ここでは, 人 間 の 認 知 的 な 限 界 を 前 提 として,いかに 適 切 なインタフェースを 設 計 し, 情 報 提 供 を 行 うかが 研 究 の 課 題 である. 看 護 や 介 護 サービスにおいても, 患 者 や 要 介 護 者 の 状 況 アウェアネスに 関 する 検 討 は 重 要 である. (2)コンテキストアウェアネス(Context Awareness) コンテキストアウェアネスは,ユビキタスコンピューティングの 重 要 な 要 素 であり, 人,モノ, 環 境 などの 場 所 を 含 む 状 況 の 変 化 をセンサや 計 算 機 で 自 動 的 に 検 出 し, 活 用 することである. 人 間 が 持 っ ている 気 づき の 能 力 を,センサや 計 算 機 で 代 替 することで, 自 動 化 や 人 間 を 支 援 することができる. 病 院 におけるコンテキストアウェアシステムもいくつか 提 案 されている(Bricon-Souf,2007).たと えば, 人 や 薬 やベッドに 無 線 タグを 付 けることで, 不 適 切 な 組 み 合 わせを 排 除 することができる. 筆 者 の 一 人 が 取 り 組 んできたアウェアグループホームプロジェクトでは,カメラや RFID マットで 高 齢 者 の 見 守 り 支 援 を 行 った( 國 藤,2009).また, 忘 れ 物 や 危 険 な 場 所 を 認 知 症 の 高 齢 者 に 伝 える 実 験 システムを 開 発 した(Kanai,2007) (3) 協 調 / 一 般 /ソーシャルアウェアネス(Collaboration/General/Social Awareness) 計 算 機 (グループウェア)を 使 った 分 散 協 調 作 業 の 支 援 では, 協 調 / 一 般 /ソーシャルアウェアネス の 研 究 が 行 われている.これは,グループウェアで 欠 けている 他 のメンバーの 存 在 感 や 臨 場 感 の 気 づき を 補 完 し, 協 調 作 業 の 連 携 を 潤 滑 にする 技 術 である(Dourish,1992).ヘルスケア 分 野 では,インタラクテ ィブな 共 有 ディスプレイを 用 いたアウェアネスによる 手 術 室 の 協 調 作 業 支 援 などの 研 究 (Bardram,2006) はあるが,プロトタイプレベルである. 上 記 の 先 行 研 究 では, 主 にセンサ 情 報 やユーザインタフェース 技 術 により, 人 モノ 環 境 に 関 する 気 づきの 誘 発 支 援 を 行 っているが,サービス 提 供 者 自 身 の 様 々な 気 づきを 収 集 し, 関 係 者 で 共 有 するこ とを 支 援 するという 視 点 は 弱 かった. 本 研 究 は, 人 間 の 五 感 による 人 間 センサ の 重 要 性 に 注 目 し, 気 づきの 誘 発 だけでなく, 気 づきの 収 集 と 活 用 を 総 合 的 に 支 援 する 点 が 特 徴 である. 3. 音 声 つぶやきによる 気 づき の 収 集 と 活 用 筆 者 らは, 最 近 技 術 的 に 大 きく 進 展 している 音 声 インタフェースを 使 い, 看 護 や 介 護 サービスにおけ る 気 づきをその 場 で 簡 単 に 収 集 し,スタッフ 間 で 活 用 する 音 声 つぶやきシステムを 産 学 連 携 プロジェク ト( 注 1)で 開 発 してきた( 内 平,2013) ( 社 会 技 術 研 究 開 発 事 業,2013).ここでは,これまでに 開 発 した 音 声 つぶやきシステムの 概 要 および 課 題 について 説 明 する.ケアスタッフはアプリを 組 み 込 んだ 市 販 のス マートフォンとボタン 付 きヘッドセットを 装 着 し, 患 者 や 要 介 護 者 に 関 する 気 づきや 連 絡 したいことを, ヘッドセットのボタン1つの 操 作 で 音 声 メッセージ( 以 下, 音 声 つぶやき)として 現 場 で 入 力 する. 音 声 つぶやきシステムの 特 徴 は, 音 声 つぶやきを 必 要 な 相 手 に 適 切 なタイミングで 配 信 する 点 である.こ こで, 誰 にいつ 配 信 するかは,その 場 で 指 定 する 必 要 はなく( 直 接 指 定 することも 可 能 だが, 通 常 はケ アサービス 中 にスマホを 操 作 することは 難 しい),サーバ 側 で,つぶやき 内 容 と 発 話 時 のセンサ 情 報 と 業 務 情 報 から 自 動 的 に 計 算 する.このサーバ 側 の 自 動 配 信 機 構 を つぶやき 交 換 機 と 名 付 けた( 図 2). 医 師 検 査 はもう 少 し 時 間 かかり そうです さん に 注 意 して 経 過 観 察 廊 下 さんの 転 倒 に 注 意 音 声 つぶやき 交 換 機 これから 迎 えに 行 きます 連 携 部 屋 必 要 な 相 手 に 適 切 なタイミングで 適 切 な 形 式 で 配 信 検 査 室 進 捗 把 握 インチャージ 蓄 積 閲 覧 記 録 引 継 ぎ ステーション 図 2: 音 声 つぶやきシステムの 活 用 イメージ Ⅳ3-2

116 知 識 共 創 第 4 号 (2014) つぶやき 交 換 機 の 仕 組 みを 図 3 に 示 す. 送 り 手 が 発 話 した 生 音 声 に, 発 話 内 容 のキーワード, 発 話 時 の 位 置, 加 速 度, 業 務 などをセンサ 情 報 や 業 務 情 報 を, 状 況 タグとして 生 音 声 に 注 記 する.ここで, 屋 内 位 置 測 位 は,Bluetooth を 使 う.つぶやき 交 換 機 は, 状 況 タグを 用 いて,つぶやきを 分 類 し,ルールに 基 づき 生 音 声 を 必 要 な 人 に 適 切 なタイミングで 配 信 する. つぶやき つぶやき 送 り 手 ( 話 す) タ グ 付 け 生 音 声 + 状 況 タグ キーワード 位 置 時 間 行 動 生 音 声 重 要 度 業 務 分 類 配 信 センサ 情 報 業 務 情 報 ( 音 声, 位 置 加 速 度 ) ( 業 務 システム) つぶやきの 送 り 手 や 受 け 手 の 状 況 情 報 つぶやき 図 3: 音 声 つぶやき 交 換 機 の 構 成 受 け 手 ( 聞 く) ここで, 音 声 認 識 は 配 信 制 御 のための 状 況 タグ 生 成 (キーワード 抽 出 )のために 使 われる. 近 年, 看 護 介 護 情 報 入 力 端 末 で 利 用 可 能 になってきた 音 声 認 識 による 音 声 のテキスト 化 では, 認 識 されたテキ ストの 修 正 作 業 が 不 可 欠 であった.しかし, 業 務 中 の 修 正 作 業 は 負 担 が 大 きい. 音 声 つぶやきシステム では, 最 終 的 には 生 音 声 で 相 手 に 伝 わるため,つぶやき 時 の 確 認 修 正 作 業 は 不 要 になる. 図 4 はつぶ やき 交 換 機 の 自 動 分 類 配 信 の 例 である.ベッドサイドで 要 介 護 者 に 関 するあるつぶやき( 入 浴 時 の 予 定 )は 浴 室 のスタッフとの 連 携 のために 配 信 し,あるつぶやき( 食 事 の 変 更 )は 記 録 し, 引 継 ぎ 時 に 共 有 される.さらに, 音 声 つぶやきシステムを 使 うことで,ケアスタッフのつぶやきと 動 線 のログがデー タベースに 蓄 積 される.このログを 分 析 することで, 業 務 手 順 改 善 や 教 育,あるいは 機 材 の 空 間 的 配 置 変 更 などに 活 用 できる( 平 林,2013). 筆 者 らは, 上 記 の 音 声 つぶやきシステムを 介 護 施 設 で 試 行 評 価 し,1 準 リアルタイムのスタッフ 間 連 携 向 上,2 日 々のケアに 役 立 つ 記 録 の 質 と 量 の 向 上,3 蓄 積 されたつぶやきの 可 視 化 による 業 務 改 善 会 議 での 振 り 返 り 活 性 化,の3つの 価 値 を 創 造 できることを 定 性 的 に 確 認 した. 入 浴 予 定 の 連 絡 自 動 分 類 配 信 部 屋 食 事 の 変 更 の 希 望 自 動 分 類 配 信 連 携 のための 連 絡 浴 室 引 き 継 ぎのための 記 録 スタッフステーション 図 4:つぶやき 交 換 機 による 自 動 分 類 配 信 の 例 この 音 声 つぶやきシステムは, 看 護 介 護 サービスの 質 と 効 率 の 向 上 に 不 可 欠 な 気 づきの 収 集 と 活 用 を 支 援 する 今 までにない 新 しい 道 具 である.しかし,つぶやき 方 法 および 活 用 方 法 ( 道 具 の 使 い 方 )が, 個 人 の 経 験 や 性 格 によってバラバラな 点 が 課 題 であった.また, 収 集 する 気 づき 自 体 をいかに 誘 発 する かに 関 しては 研 究 対 象 外 であった. 一 方, 気 づきの 誘 発 に 関 しては, 筆 者 の 一 人 が 文 部 科 学 省 知 的 クラ スター 創 成 事 業 として 独 立 に 行 っていた( 國 藤,2009).ここでは, 位 置 情 報 アウェアネスを 用 いた 高 齢 者 支 援 システムを 開 発 したが,センサ 情 報 から 直 接 的 に 気 づきのトリガを 与 える 単 純 気 づき 誘 発 であり, 過 去 の 気 づきからの 組 織 としての 学 習 機 能 は 課 題 であった. 気 づきに 関 する 上 記 の 研 究 課 題 に 取 り 組 み, その 成 果 を 既 開 発 の 音 声 つぶやきシステムに 統 合 し, 体 系 化 することで, 発 展 性 のある 気 づきプラット フォームを 構 築 できる. Ⅳ3-3

117 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 4. 気 づき プラットフォームの 提 案 本 研 究 では, 筆 者 らがこれまで 研 究 開 発 してきた 音 声 やセンサによる 看 護 介 護 分 野 の 気 づき/アウ ェアネス 支 援 技 術 をベースに,それを 有 効 に 使 いこなすための 気 づき 誘 発 気 づき 収 集 気 づき 活 用 に 関 する 要 素 技 術 を 新 規 に 開 発 統 合 し, 医 療 介 護 サービスを 含 む 行 動 型 サービスのための 気 づきプラットフォーム の 構 築 を 提 案 する( 図 5). 具 体 的 には, 既 開 発 の 音 声 つぶやきシステムを 用 いて, 関 連 研 究 者 の 協 力 も 得 ながら, 以 下 の6 項 目 を 研 究 開 発 することを 計 画 している( 図 6). 文 部 科 学 省 知 的 ク ラ ス ター 創 成 事 業 の 対 象 気 づき 誘 発 単 純 気 づき 誘 発 高 度 気 づき 誘 発 気 づき 収 集 気 づき 収 集 ( 音 声 ) 気 づき 収 集 ( 他 メディア) 気 づき 体 系 化 本 提 案 の 研 究 対 象 気 づき 活 用 気 づき 可 視 化 共 有 気 づき マイニング 気 づき 組 織 学 習 図 5: 既 存 の 研 究 と 今 回 の 提 案 J S T サー ビ ス 科 学 プ ロ ジ ェ ク ト の 対 象 (1) 気 づき 体 系 化 看 護 介 護 における 気 づきを 体 系 化, 標 準 化 するために, 気 づきに 至 るプロセスの 可 視 化 構 造 化,および 気 づきを 支 援 する 構 造 化 知 識 コンテンツの 開 発 を 行 う. 構 造 化 知 識 コンテンツに 関 しては, 医 療 分 野 における 構 造 化 された 知 識 体 系 ( 水 流,2013)が1つのベースになる.また, ヘルスケアにおける 気 づきの 体 系 化 に 関 しては,Kuziemsky らの 実 証 研 究 (Kuziemsky,2011)が 参 考 になる.ここでは, 患 者,チームメンバー, 意 思 決 定, 環 境 の4つの 気 づきのタイプを 示 し ている. (2) 気 づきマイニング 気 づきと 各 種 センサ 情 報 を 時 系 列 で 関 連 付 け, 気 づき 組 織 学 習 および 誘 発 に 有 効 な 情 報 を 提 示 する 気 づき 分 析 可 視 化 ツールを 開 発 する. 具 体 的 には, 複 数 スタッフの 動 線 の 可 視 化 と 気 づ きキーワードを 可 視 化 し,スタッフのふるまいを 表 現 するビヘイビアモデルの 機 械 学 習 に 基 づ いた 要 注 意 行 動 の 自 動 抽 出 や 個 人 別 行 動 特 徴 量 の 算 出 などの 機 能 を 開 発 する. (3) 気 づき 組 織 学 習 気 づきを 共 有 するだけでなく, 有 効 な 気 づき 方 を 組 織 として 学 習 するための 知 識 共 有. 継 承 創 造 の 仕 組 み(モデル,ツール, 手 順 )を 開 発 する.ここでは, 知 識 創 造 に 関 する 基 本 モデル(S ECIモデル)をベースにしつつ, 気 づきの 特 性 を 反 映 した 表 出 化 および 内 面 化 のモデルを 構 築 する. 具 体 的 には, 音 声 つぶやきシステムに 組 み 込 んだシンプルで 適 切 な 気 づきの 相 互 指 摘 機 能 (SNSの いいね! 機 能 )を 通 じて,どのようにスタッフ 間 の 知 識 の 共 有 継 承 創 造 が 行 われ, 組 織 学 習 が 行 われるかを 分 析 する.このモデルに 基 づき, 気 づきによる 知 識 共 有 継 承 創 造 を 支 援 するツールおよび 手 法 (ツールを 活 用 して 気 づき 方 をスタッフが 内 面 化 する ための 手 順 など)を 開 発 する. (4) 高 度 気 づき 誘 発 気 づきマイニングの 分 析 結 果 に 基 づき, 最 適 なタイミング, 適 切 な 情 報 量 で 気 づきのきっかけ を 与 えるモデルとシステムを 開 発 する.すなわち, 先 行 研 究 では 主 にセンサ 情 報 から 直 接 的 な 気 づきのトリガを 与 えたが, 高 度 気 づき 誘 発 では, 気 づきマイニングによる 過 去 のパターンの 機 械 学 習 および 組 織 学 習 の 結 果 に 基 づき,より 状 況 に 適 した 気 づきのきっかけを 与 える. (5) 気 づき 支 援 システム 既 存 技 術 に 上 記 開 発 技 術 を 気 づき 支 援 システムとして 統 合 し, 病 院 や 介 護 施 設 などの 実 フィー ルドおよび 実 フィールドを 模 擬 した 仮 想 フィールドで 試 行 評 価 し, 有 効 性 を 定 量 的, 定 性 的 に Ⅳ3-4

118 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 検 証 する. (6) 他 分 野 展 開 とプラットフォーム 化 気 づき 支 援 システムを 他 分 野 ( 店 舗 やアミューズメント 施 設 )で 試 行 評 価 するとともに, 気 づ き 支 援 システムを 汎 化 した 気 づきプラットフォームを 構 築 する. (6) 他 分 野 展 開 とプラットフォーム 化 (5) 気 づき 支 援 システム 試 行 評 価 (3) 気 づき 組 織 学 習 (4) 高 度 気 づき 誘 発 (1) 気 づき 体 系 化 (2) 気 づき マイニング 気 づき 誘 発 気 づき 収 集 気 づき 活 用 スマート 音 声 つぶやきシステム( 既 開 発 ) 図 6: 気 づきプラットフォーム 研 究 開 発 項 目 複 数 分 野 での 試 行 評 価 の 結 果 を 分 析 することで, 気 づき 支 援 システムの 汎 用 モデルを 検 討 する.ここ で,JST の 問 題 解 決 型 サービス 科 学 研 究 開 発 プログラムで 提 唱 している サービス 価 値 共 創 構 造 モ デル ( 図 7)をベースに, 気 づき 内 容 はコンテンツであり, 気 づきの 誘 発 収 集 活 用 を 支 援 する 機 能 はチャネルと 位 置 づける.これまでも,コンテンツとしての 気 づきの 重 要 性 は 認 識 されてい たが,チャネルとしての 気 づきの 誘 発 収 集 活 用 支 援 機 能 はあまり 検 討 されてこなかった.このコン テンツを 分 離 したチャネルはサービスの プラットフォーム と 位 置 付 けられる. 本 研 究 では, 気 づき 支 援 システムの 分 野 非 依 存 部 分 を, 気 づきプラットフォーム 呼 び,それを 構 成 するモデル,ツール, 手 法 を 整 備 する.それは, サービスの 気 づき 学 の 研 究 基 盤 として 活 用 できるものを 目 指 す. コンテキスト 2 コンテキスト n スキル ノウハウ 評 価 学 習 サービスプロバイダ 経 験 価 値 コンテンツ チャネル コスト 交 換 価 値 リターン コンテキスト サービスレシーバ 利 用 価 値 事 前 期 待 顧 客 満 足 時 間 図 7:サービス 価 値 共 創 構 造 モデル( 村 上,2013) 5. おわりに サービスの 質 と 効 率 の 向 上 に 極 めて 需 要 なサービス 提 供 者 の 気 づき を 誘 発 し,それを 収 集 し,サ ービス 提 供 者 間 で 活 用 するための 気 づきプラットフォームを 提 案 し, 研 究 開 発 のアプローチを 示 した. 気 づきプラットフォームは, 医 療 や 看 護 だけでなく, 様 々なサービスにも 適 用 可 能 である.これは, 気 づき を 核 にした 組 織 におけるサービス 知 識 の 共 創 の 枠 組 みと 考 えることができる. 具 体 的 な 研 究 開 発 の 実 施 はこれからであるが,シーズ 提 案 として 本 知 識 共 創 シンポジウムで 有 益 な 議 論 を 期 待 する. 注 (1) ( 独 ) 科 学 技 術 振 興 機 構 問 題 解 決 型 サービス 科 学 研 究 開 発 プログラム 音 声 つぶやきによる 医 療 介 護 サービス 空 間 のコミュニケーション 革 新 プロジェクト(メンバーは, 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学, 東 芝, 清 水 建 設, 岡 山 大 学 な ど) 研 究 期 間 2010/ /9 ( 詳 しくは, Ⅳ3-5

119 知 識 共 創 第 4 号 (2014) 参 考 文 献 竹 中 毅, 内 藤 耕, 上 田 完 次 (2008). 価 値 共 創 に 向 けたサービス 研 究 戦 略 情 報 処 理 学 会 論 文 誌 49(4), pp Endsley, Mica R. (2012) Designing for situation awareness: An approach to user-centered design. CRC Press. 内 平 直 志 (2013) 音 声 つぶやきによる 看 護 介 護 サービスの 記 録 連 携 支 援 人 工 知 能 学 会 誌 28(5), pp 平 林 裕 治, 内 平 直 志, 鳥 居 健 太 郎 (2013) 音 声 つぶやきによる 介 護 サービスの 可 視 化 と 改 善 情 報 処 理 学 会 デジタルプラ クティス 4,(3), pp 國 藤 進, 杉 原 太 郎, 三 浦 元 喜, 藤 波 努, 金 井 秀 明, 伊 藤 禎 宣, 劉 曦, 高 塚 亮 三, 中 田 豊 久, 加 藤 直 孝, 山 口 聖 哉, 小 柴 等 (2009) アウェア 技 術 を 駆 使 した 見 守 り 中 心 の 介 護 支 援 システムの 研 究 情 報 処 理 学 会 論 文 誌 50(12), pp Kanai, H., Nakada, T., Tsuruma, G., Kunifuji, S. (2007). An aware-environment enhanced group home: AwareRium. In Advances in Hybrid Information Technology, pp Springer. Bolchini, C., Curino, C. A., Quintarelli, E., Schreiber, F. A., & Tanca, L. (2007). A data-oriented survey of context models. ACM Sigmod Record, 36(4), pp Bricon-Souf, N., Newman, C. R. (2007). Context awareness in health care: A review. International journal of medical informatics, 76(1), pp Dourish, P., Bly, S. (1992). Portholes: supporting awareness in a distributed work group. In Proceedings of the ACM SIGCHI conference on Human factors in computing systems, pp Bardram, J. E., Hansen, T. R., Soegaard, M. (2006). AwareMedia: a shared interactive display supporting social, temporal, and spatial awareness in surgery. In Proceedings of the ACM 20th anniversary conference on Computer supported cooperative work pp 社 会 技 術 研 究 開 発 事 業 (2013) 平 成 24 年 度 研 究 開 発 実 績 報 告 書 音 声 つぶやきによる 医 療 介 護 サービス 空 間 のコミュニ ケーション 革 新 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 ( Feb, 24] 水 流 聡 子 飯 塚 悦 功 棟 近 雅 彦 監 修,PCAPS 研 究 会 編 著 (2013) 医 療 の 質 安 全 保 証 に 向 けた 臨 床 知 識 の 構 造 化 (4) 患 者 状 態 適 応 型 パス PCAPS の 活 用 と 臨 床 分 析 日 本 規 格 協 会. Kuziemsky, Craig E., Lara Varpio. (2011). A model of awareness to enhance our understanding of interprofessional collaborative care delivery and health information system design to support it. International journal of medical informatics 80(8), pp.e150-e160. 村 上 輝 康 (2013) いかにサービス 学 は 日 本 産 業 に 貢 献 するか サービス 学 会 第 一 回 国 内 大 会 特 別 講 演 資 料. 連 絡 先 住 所 : 石 川 県 能 美 市 旭 台 1-1 北 陸 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 知 識 科 学 研 究 科 名 前 : 内 平 直 志 Ⅳ3-6

120 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) A Design Intention Representation Method of Education Program for Fostering Meta-thinking Skills CHEN Wei 1),CUI Liang 2), TANAKA Koji 2), MATSUDA Noriyuki 3), IKEDA Mitsuru 1) 2) 1) School of Knowledge Science, JAIST, 2) Research Center for Service Science, JAIST, 3) Faculty of Systems Engineering, Wakayama University Abstract The design intentions of the education for fostering the skills to solve the authentic, contextual and social problems are sometimes implicit and difficult to represent appropriately. It is caused by the variety of the factors implicated in the learning design and the complexity of the relationship among those factors. In this paper, we developed an ontology-based representation framework for clarifying and representing the design intentions for supporting the knowledge co-creation and sharing among the learning designers towards the education of meta-thinking for solving the problems which do not always have a clearly correct or universal answer in nursing service. Keywords Nursing Service Education, Education Design Supporting, Meta-thinking Skills 1. Introduction For the purpose of linking the learning theories and educational practices to improve instruction through the analysis of learning needs and systematic development of learning materials, the research field of instructional design has been developed for nearly 70 years and many theoretical frameworks, for instance, ADDIE Model (Gagné et al., 2004), Gagné's Theory of Instruction (Gagné, 1985), and ARCS Model (Keller, 2009) have been proposed. Along with social progress towards the age of Knowledge Society, the educational philosophy is shifting to one which emphasizes on lifelong and self-directed learning for acquiring the competences such as higher-order thinking skills, which are essential in the societal context (Reigeluth, 2009). To keep up with the changes in the present age, it is necessary for us to rethink the design of learning activities and content, and even the method of design. Within this context, the concept of "Learning Design" is introduced as an approach of making design processes more explicit and sharable to enable teachers to develop more effective learning environments and interventions for learners and help make the intended design more explicit and hence sharable with other teachers and learners (Conole, 2012). Agostinho (2009) categorized the commonly used learning design languages into four main types: pedagogical patterns, generic learning designs, contextualized learning design instantiations, and executable runnable versions. In order to support the representation of learning design as a result and to provide a mechanism for interpreting and discussing the designs as a process, the various types of learning design languages have been created. Because the learning design is a messy, creative and iterative process, and practitioners think about design at a number of levels and oscillate between the different factors involved in their decision making (Conole, 2012), it is a challenge to clarify and represent the design intention behind the outcomes of design process. In addition, towards the spread of social constructivism view of learning and education, because the focus of learning is transferring from knowing facts and procedures to acquiring the knowledge and skills to solve the authentic, contextual and social problems which do not always have a clearly correct or universal answer. The characteristics of those problems are that i) the problem can be formulated or defined from various perspectives; ii) the solution to the problem is not unique and the criteria for choosing a better solution are implicit or situation-dependent. For acquiring the knowledge and skills to solve those problems, some learning strategies, such as Project-based Learning (Krajcik & Blumenfeld, 2006), Discovery Learning (Ito, 2005), Case-based Learning (Williams, 1992) and Dialogic Learning (Renshaw, 2004) have been proposed. Those strategies are all based on the belief of scaffolding the learning rather than teaching, which means that because learning is regarded as triggering by the interaction with environment such as communication with other people or involve in the social activities, the way we could help learner to Ⅳ4-1

121 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) develop him/herself is to provide a learning environment. Because the implementation and refinement of scaffolding style education still depend heavily on the specialized and empirical knowledge of the learning design practitioners, it is a crucial issue to establish a methodology of learning design for acquiring the knowledge and skills to solve the authentic, contextual and social problems in order to satisfy the needs and expectations of today's learner. In this research, by using a constructive approach of creating a framework that consists of various correlated levels of design representation, we aim to clarify the necessary requirements in learning design intention representation for supporting the knowledge co-creation and sharing among the learning designers towards the education of meta-thinking for solving the problems which do not always have a clearly correct or universal answer in nursing service. 2. Education Program for Promoting Meta-thinking Skills 2.1 What are Meta-thinking Skills? In this research, we focus on the education for fostering the meta-thinking skills of nurses. In medical service, nurses always have a conflicting standpoint between doctors and patients because of the responsibility of their profession. This standpoint provides nurses a neutral viewpoint to review medical service for both considering about the rationality from medicine as a science and respecting the needs from patients because of humanity. However, it is difficult to balance them proficiently, because it requires some high level capabilities, such as understanding the patients frame of mind and concept of values from observation, conducting medical acts in consideration of those minds and values, communicating with doctors for conveying patients needs in a convincing way, and etc. Moreover, the conflicts caused by or within the different positions are actually common in the medical practice. Within this context, although reflection (or reflective thinking) is deep ingrained in the education of nursing procession, it is extremely difficult for nurses to reflect their own thinking concurrently with deducing the other's thought to understand the essence of conflict from a higher-level position, and furthermore to utilize the experience of conflicts and confrontations to enhance their capabilities. For the purpose of clarifying the objectives of education, the actions (ACT) related to the thinking capability we aim to educate are summarized as follows: ACT1. Thinking on problems solving; ACT2. Reflecting on one s own thinking; ACT3. Deducing other s thought; Base-level ACT1: Thinking on Problems Solving ACT2: Reflecting on One s Own Thinking ACT3: Deducing Other s Thought ACT4: Understanding and Integrating Conflict between One s Own Thinking and Other s Thought Fig 1: What are meta-thinking skills? ACT4. Understanding and integrating conflict between one s own thinking and other s thought; In fact, the actions described above occur simultaneously in nurses daily work. The relationships among these actions are shown in Fig 1. ACT1 is the action of thinking on problem solving while facing the problem. When ACT1 is ongoing, ACT2 and ACT3 also emerge in mind on the analysis of the situation occurs in the problem. Based on the thinking result of ACT2 and ACT3, ACT4: Understanding and integrating conflict between one s own thinking and other s thought is conducted. The processes of ACT2 and ACT3 are defined as base-level and the process of ACT4 is define as meta-level, because all of ACT2, ACT3 and ACT4 are the actions of thinking and the thinking of ACT4 is engaged by regarding the thinking of ACT2 and ACT3 as targets. In this research, we use the terminology meta-thinking to refer to the concept more detailed than metacognition which is a rather broad and complex concept which consists of many components (Sannomiya, 2008; Tarricone, 2011). In other words, meta-thinking is defined as the thinking that can monitor the one s own cognitive status of on understanding and integrating conflict between one s own thinking and other s thought (ACT4), and can control the one s own thinking for a positive direction to enhance the performance of the action (ACT4). In the next section, the author will introduce the education program for fostering these meta-thinking skills. 2.2 Knowledge Building Method (KBM) Workshop in Nursing Service Education For the purpose of fostering the meta-thinking skills of nurses, we design an education program named Knowledge Building Method (KBM) Workshop (Cui et al, 2011). The workshop had been conducted in several collaborative medical institutions (left of Fig 2). The fundamental design of KBM Workshop is presented in Fig 2 (right of Fig 2). The education program consists of five fundamental parts: lecture on Target at Meta-level Simultaneous Ⅳ4-2

122 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) case-writing, case-writing practice, case reviewing, discussion stage, and lecture on meta-thinking skills and isomorphism basis. Although this fundamental design appears insignificant, we have designed an elaborate structure for this education program in which there are numerous structuring learning goals for the purpose of supporting the learners to achieve the educational objectives. Lecture on Casewriting Acquirement of Preliminary Knowledge on Case-writing and Dicussion Lecture Case Writing Practice Case-writing Practice Case Reviewing Practice on Thinking Verbalization by Using Reflection Case-writing Supporting Tools Receiving Coaching on Reflection Thinking for Capturing Essence of Problem Discussion Stage Collaborative Learning on Reflective Thinking of Viewing a Problem from a Multiple of Perspectives Case Reviewing Discussion Lecture on Metathinking Skill and Isomorphism Basic Realization of Utilizing Social Interaction as Resources for Enhancing One s Own Thinking Fig 2. Knowledge Building Method (KBM) Workshop (Left: pictures of workshop conduction; right: foundational design of workshop) Knowledge Description Phase (A) Line Cognitive Conflict Phase (C) Tag (B) Logical Structure The mother felt guilty that she could do nothing for her baby. And she wanted to hug her baby. (D) 31 Policy While understanding the feeling of the family, the safety and treatment of the patient were given first priority. (E) 35 Policy Respect the mother s hope while closely monitoring and minimizing life-threatening factors. Conflicting between two different viewpoints Decision While understanding the feeling of the family, the safety and treatment of the patient were given first priority. Only until the safety of baby is secured, the mother would be allowed to hug the baby It is important that medical staff look after the best interest of the baby to prepare the baby for surgery under the best conditions. Given that the baby might die during the operation because of the difficulty of the surgery, it was necessary for the staff to encourage family time with the baby. However, holding their baby in their arms does not always palliate the parents anxiety or tension. Nevertheless, considering the tie that parents, especially mothers, establish with their baby, assisting the mother in holding her baby close to her body to make her feel emotionally close to her baby may provide the mother with psychological support. However, this creates a conflict that requires attention. Fig 3. A Part of Practical Case Written by Using Reflective Writing Supporting Tool (left: Knowledge Description Phase; right: Cognitive Conflict Phase) For the purpose of facilitating the learning of thinking skills, especially for promoting the reflection on the process of thinking which is always quite difficult for the novice to be conscious of, we have developed a reflective case-writing supporting tool named Sizhi. The tool is designed to support the learner verbalizing the result of thinking in an easy-to-reflect representation by the functions of the case-writing phases, the reference representation and the tag representation (Chen et al, 2011). The tool consists of three case-writing phases: Knowledge Description Phase, Cognitive Conflict Phase and Knowledge Building Phase. In Knowledge Description Phase, the learners write down what had happened on practical cases in the sub-phase named Scene and reflect on what themselves had thought on the cases and represent those thinking in the sub-phase named Self-reflection (left of Fig 3). In Cognitive Conflict Phase, the learners reflect the cases from a completely different perspective and represent those different thought in the sub-phase named Other s thought. And they compare and analyze these two perspectives to understand the essence of conflicting and express the result in the sub-phase named Conflict (right of Fig 3). Based on the reflections in former two phases, the learners continue to consider the ideas how to solve the conflicting, what the lesson had been learned from the case and what shall be considered if the similar cases happened. They represent those ideas in Knowledge Building Phase. In the tool, the basic function for supporting the thinking verbalization is called Line (A of Fig 3) which includes Statement, Tag, No. of line, and Reference. Statement is the content of thinking. Ⅳ4-3

123 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) In order to help the learner to reflect and represent the thinking logically, the functions of reference and tag representation are created. The logical structure of thinking is represented by the No. of line and Reference (B of Fig 3). And Tag (C of Fig 3) is designed as an indicator for learners to clarify and represent what role a component of thinking plays in the logical structure. For example, as shown in left of Fig 3, a statement only until the safety of baby is secured, the mother would be allowed to hug the baby is labelled with a tag Decision and references with Line No. 5 and No. 6. It means the nurse made the decision based on Guess of The mother felt guilty that she could do nothing for her baby. And she wanted to hug her baby and Policy of While understanding the feeling of the family, the safety and treatment of the patient were given first priority. In fact, Fig 3 shows a part of the practical case written by using the tool. In the sub-phase Scene, the nurse (the author of case) described an actual story of her hard decision on the conflicting of allowing the mother to hug the new-born baby who is in danger, or refusing the mother s request in consideration of the baby s safety. Because the nurse in the case had refused the mother and the baby passed away in final, the nurse felt very distressed for considering that it will be better if allowing the mother to hug the baby. Therefore, the memory on Thinking on Problem Solving (ACT1 in Fig 1) is evoked and verbalized in Scene. In the sub-phases Self-reflection and Other s thought, by using Tag and Logical structure of the tool, the nurse clarified her thought when she made the decision and considered about the optional decision of allow the mother to hug her baby. The thinking of Reflecting on One s Own Thinking (ACT2 in Fig 1) and Deducing Other s Thought (ACT3 in Fig 1) is triggered. In the sub-phase Conflict, she clarified and represented two hidden believes (tagged Policy ) behind the conflicting which are while understanding the feeling of the family, the safety and treatment of patient were given first priority (D of Fig 3) and respect the mother s hope while closely monitoring and minimizing life-threatening factors (E of Fig 3). After considering about other optional decision, the nurse realized that both of decisions can possibly lead to the bad result and felt released from the regret. The thinking of Understanding and integrating conflict between one s own thinking and other s thought (ACT4 in Fig 1) is elicited. In summary, by using the reflective case-writing supporting tool, the novice learners are expected to be able to verbalize and clarify the results of thinking. Moreover, it is also helpful to raise the learner attentions on the process of thinking through reviewing the results of thinking (Chen et al, 2012). In the next chapter, the designed educational scaffolding for fostering the meta-thinking skills named Isomorphism, the activities that support the learners to understand the scaffolding, and the design intentions of those activities will be described. 3. Learning Design Intentions behind Education Program Based on the brief introduction on the meaning of meta-thinking skills and the education program for fostering those skills in chapter two, the intentions of the conducted activities in the education program will be elaborated on in this chapter. 3.1 Learning Design Intention behind Relationship between Case-writing and Discussion In the case-writing, the learners verbalize their thinking into cases by using the reflective case-writing supporting tool, which provides them a perspective to reflect the thinking in consideration of logical relationships of each constituent. But it is difficult for learners to direct their own thinking consciously to a positive direction, because normally they are focusing on generating the content when writing cases. In contrast, in discussion, the learners can ask other people questions or receive the questions from other people. These questions may trigger a better discussion point or a dissenting view which is useful for deepening the discussion. In fact, it is difficult for the learners in discussion to be aware of the situation of discussion from a higher perspective, because they are focusing on expressing their own viewpoints or understanding others viewpoints. In order to utilize the experience of learning in case-writing and learning in discussion for fostering the meta-thinking skill, the educational scaffolding named isomorphism is designed. The concept of isomorphism is originated from mathematics. It is desribed as a correspondence (relation) between objects or systems of objects expressing the equality of their structures in some sense (Hazewinkel, 2001). In this research, isomorphism is defined as regarding thinking by oneself in case-writing and thinking as a group in discussion as the same structure. This scaffolding helps the learners to construct a mental model on fostering meta-thinking skill by utilizing social interactions. It means that if the learners understood the isomorphism of self and group thinking, assimilating the Ⅳ4-4

124 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) directing questions from discussion to use them for directing their own thinking when thinking by themselves and viewing the discussion from a higher perspective exactly as reflecting on the writing. In order to help learners to understand this scaffolding for fostering the meta-thinking skills, the education scene Case Reviewing for bridging the experience of the case-writing and discussion is designed. 3.2 Learning Design Intention behind Case Reviewing Case reviewing is generally regarded as a series of activities (such as correcting the cases written by learners and commenting on the contents of modification) to promote the skills which are directly related to the case-writing, such as the skill of verbalizing one s own thinking logically or merely considered as a part of education program for improving the quality of case. With regard to KBM Workshop, besides the improvement of thinking verbalization skill mentioned above, two extra skills have been considered as the learning outcome of the case reviewing. Learning design intention behind case reviewing: Monitoring of Self s Thinking The first one is a program dependence skill named Monitoring of Self s Thinking which means the skill of observation and analysis of one s own thinking condition from a higher level. In the case reviewing, the instructor gives comments on the cases. These given comments are not merely about the correction of the mistakes or inappropriate logical expressions in the case but also include the contents which are intended to raise the self-awareness of the thinking style problems which possibly lead to the mistakes or inappropriateness in the case. Therefore, through receiving these well-designed comments from the instructor, the learners awareness on the higher-level reflection to analyze the conditions of their own thinking for discovering the inappropriateness of thinking style can be promoted. Therefore, the learning goal can realize inappropriateness of one s own thinking style from reflection on one s own thinking process can be achieved. And it is in an effort to acquire the skill of Monitoring of Self s Thinking and plays a role of base for the learning the universal and transformational skills. Learning design intention behind case reviewing: Control of Self s Thinking The second one is the program dependence skill of Control of Self s Thinking which means the skill of direction of one s own thinking. Besides the comments for raising self-awareness of the thinking style problems, the guiding questions such as How about creating another decision in an ideal viewpoint and using insight to estimate the possible result are also provided. The purpose of providing those questions is for giving the learners some examples on how to direct the thinking to a positive direction. The reason why listening to the reviewing on other s case is an effective learning chance is because when the learners receive comments from the instructor, even though the comments are created under the consideration of learners motivation, the learners may still feel nervous. So it is possible to cause the learner to lose sign of the comments which are related to the learning on the skill of Control of Self s Thinking. By contrast, when the learners listen to the reviewing on others cases, they can view the comments from a relatively objective perspective, and it is helpful for them to realize the necessity of directing their own thinking by asking themselves those questions. Therefore, the learning goal of can realize necessity of directing one s own thinking to prevent thinking inappropriately can be achieved by the learning strategy discovery learning from experience of coaching on verbalization when the instructor gives comments on others case. This goal is one of steps for acquiring the skill of Control of Self s Thinking. In summary, we have used lots of words to express some of the design intentions of the case reviewing activity in KBM Workshop in this chapter, which indicates that the design intentions of education program for fostering meta-thinking skill are extremely implicit and difficult to express verbally. In the next chapter, the representation framework for representing these implicit design intentions will be introduced. 4. Learning Design Intention Representation Framework The design intentions of education for fostering the higher-order thinking skill, especially meta-thinking skill as we discussed in chapter three are extremely implicit and difficult to express verbally, because the interrelated factors and their relationship behind the designed artifacts (such as textbooks, learning programs, learning supporting tools, even the prompts performed in educational practice) are various and experience-base. In order to reduce the implicitness of design intentions, we create a learning design representation form to represent the variety of interrelated factors and the complexity of the relationship of these factors behind the designed artifact. Ⅳ4-5

125 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) 4.1 Basic Representation Frame: Learning Unit An example of the basic element in the representation form is shown in Fig 4. The whole of the box in the figure is called Learning Unit. Learning unit is created as a frame for integrating the concepts related to the design of the education program, including Object of Learning, Attainment Level of Learning, Learning Goal, and Learning Strategy. The fourth row of the box represents learning goal that is the core concept in learning unit. It states the goal which the learning unit aims to. The content in the first two rows in the box represents the Object of Learning which means what kind of skill, knowledge or attitude is expected to acquire. And the contents in the third row indicate the attainment level of learning on the object of learning. In the scale for representing the attainment level of learning, three levels cognitive, associative, autonomous are defined as follows. These concepts are borrowed from three stages of skill acquisitions which are summarized by Anderson, J. (2009). Cognitive level: Knowing fundamental knowledge or knowledge on how to practice skill. Associative level: Understanding knowledge or skill through learning experience and being able to perform tasks related to knowledge or skill with aid of scaffolding. Autonomous level: Applying knowledge or skill on appropriate situation without scaffolding. The example shown in Fig 4 represents that the learners are expected to achieve the learning goal can verbalize the result of thinking with a conflict included two policies which can reflect the essence of viewpoints from two conflicted sides by the learning strategy coaching on thinking verbalization through case reviewing. Moreover, this learning 28 Skill Program Dependence goal is not independent but a part of Object of Learning Base-level Thinking Verbalization and Thinking continuous process of the learning which Cognitive Lv2 Cognitive Lv3 Attainment Level regards the program dependence skill of Goal: can verbalize result of thinking with a Base-level thinking verbalization and conflict included the two policies that can Learning Goal thinking as the object. It implies that this reflect essence of two sides viewpoints skill is intended to be acquired gradually Strategy: coaching on thinking within the program through several steps. verbalization through case reviewing Learning Strategy Moreover, acquiring this program dependence skill is not the final goal of Fig 4. Representation Form of Education Program Design learning but a base for acquiring the skills which are universal and transformational. 4.2 Framework for Representing Learning Design Intention: Educational Plan In order to explain how to represent the design intentions of education program for fostering meta-thinking skill, the educational plan related to the scene of case reviewing for the learners who attend KBM Workshop for the second time is indicated in Fig 5. In the figure, the symbol of box (A~G) means Learning Unit and the line between the boxes represents the relationship among the learning units. Furthermore, the horizontal axis in the figure represents the education scenes in chronological order, and the vertical axis represents the means-ends relationship of learning unit. To be specific, three symbol boxes within the frame with a blue dotted line in Fig 4 indicate three different learning goals which are intended to be attained during the case reviewing. Representation of learning design intention behind E-D and E-C: Provide a Discovery Learning Environment The box marked with E (abbreviated as Learning Unit E in the following passage and other boxes will be abbreviated in the same way) represents the same learning unit indicated in Fig 5. The experience from the process of learning in Learning Unit E also provides a discovery learning environment (represented by the red lines marked with J and K ) for the learning goals described in the boxes marked with D and C. The meaning of provide a discovery learning environment is that the experience from the process of learning within Learning Unit E is also instructive for achieving the implicit and indescribable learning goals which are related to the different skills. In detail, Learning Unit D represents that the learners are expected to achieve the learning goal can realize inappropriateness of one s own thinking style from reflection on one s own thinking process by the learning strategy discovery learning from the experience of coaching on verbalization when the instructor gives comments on reviewing one s own case. And Learning Unit C represents that the learning are expected to achieve the learning goal can realize necessity of directing one s own thinking to prevent thinking inappropriately by the learning strategy Ⅳ4-6

126 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) (A) 24 5 discovery learning from experience of coaching on verbalization when the instructor gives comments on others case. These two learning units actually represent the learning on two other skills being considered as the learning outcome of case reviewing, which has been discussed in chapter three. (G) Attitude Knowledge Provide a Knowledge-base Preliminary Provide a Knowledge-base Preliminary Isomorphism of Self and Group Thinking Cognitive Lv1 Goal: can realize value of isomorphism of self and group thinking for discoverying inappropriateness in one s own thinking Strategy: experiential learning on observation in case-writing stage and discussion stage during previous workshop (B) Program Dependence Program Dependence Meta-thinking Skill Basic Cognitive Lv1 Goal: can understand meaning of metathinking Strategy: lecture on meta-thinking skill basic during previous workshop Learning Experience from Participation of Previous Workshop (H) (I) (C) Meta-skill Program Dependence Monitoring of Thinking (Self) Cognitive Lv1 Cognitive Lv2 Goal: can realize inappropriateness of one s own thinking style from reflection on one s own thinking processes Strategy: discovery learning from experience of coaching on verbalization when reviewing one s own case 28 Meta-skill Control of Thinking (Self) Initial State Cognitive Lv1 Goal: can realize necessity of directing one s own thinking to prevent thinking inappropriately Skill Program Dependence Strategy: discovery learning from experience of coaching on verbalization when reviewing others case (D) (E) Program Dependence Base-level Thinking Verbalization and Thinking Cognitive Lv2 Cognitive Lv3 Goal: can verbalize result of thinking with a conflict included two policies that can reflect essence of two sides viewpoints Strategy: coaching on thinking verbalization through case reviewing Case Reviewing (J) (M) (L) Experience-base Promotion (K) (F) 54 Experience-base Promotion Meta-skill Control of Thinking (Group) Initial State Cognitive Lv1 Goal: can realize facilitating questions from other people which have guided discussion to positive directions Provide an Environment for Discovery Learning Program Dependence Strategy: discovery learning from experience of discussing on one s own case Discussion Stage 24 Attitude Program Dependence Isomorphism of Self and Group Thinking Cognitive Lv1 Cognitive Lv2 Goal: can realize value of isomorphism for assimilating others questions to direct one s own thinking Strategy: experiential learning on observation in case-writing stage and discussion stage Explanatory Note Line: Relationship of Learning Unit Provide an Environment for Discovery Learning Provide a Knowledge-base Preliminary Experience-base Promotion Fig 5. An Example of Educational Plan from Design of KBM Workshop (N) Lecture on Meta-thinking Skill and Isomorphism Basic In addition to these three learning units (C, D and E) that are directly concerned with the learning during the case reviewing, there are also several other relationships among these three learning units and others. In order to explain the complexity of the relationships, a typical example is briefly introduced in the following paragraphs. Representation of learning design intention behind B-C and A-G: Provide Knowledge-based Preliminary As illustrated in Fig 5, Learning Unit B and C are connected by the green line marked with I, which means that the learning experience on the achieved learning goal can understand the meaning of meta-thinking from the participation of previous workshop provides a knowledge-based preliminary to the learning described in Learning Unit C. Similarly, Learning Unit F is also promoted by the experience from Learning Unit C. Representation of learning design intention behind C-F, C-G and F-G: Experience-base Promotion Moreover, the achievement of the learning goal can realize value of isomorphism for assimilating others questions to direct one s own thinking described in Learning G is supported by the experience from Learning Unit C, F. One of the major differences between the relationship Experience-base Promotion and Providing a Discovery Learning Environment is that the former emphasizes the effect of the experience and the latter emphasize the effect which comes from the learning activities occurring simultaneously within the same education scene. In order to reduce the ambiguity of representation and provide a framework to support the knowledge co-creation on learning design among designers, we have developed an ontology-based representation framework for clarifying and representing the implicit design intentions. 5. Ontology-based Representation Framework for Clarifying Design Intention Theoretically, ontology is defined as formal, explicit specification of a shared conceptualization Ⅳ4-7

127 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) (Gruber, 1993). It is widely used in knowledge engineering, artificial intelligence and computer science; in applications related to areas such as knowledge management, natural language processing, e-commerce, intelligent information integration, bio-informatics, education (Gómez-Pérez et al., 2004). In ontology, we can define the meaning of terms and the relationship between them in order to provide common vocabularies of an area for a conceptual framework that can be used for representing the knowledge. In this research, the author uses the Hozo ontology editor (Hozo Ontology Editor) to build the ontology-based representation framework for clarifying the design intention of education program. The most significant feature of Hozo ontology editor is that it provides a function to support users to build ontologies being aware to distinguish role concept from basic concept (Mizoguchi, et al, 2007). This feature is quite practical to explore and represent the essence of the concept which is always easily-confused. 51 Meta-skill Program Dependence 28 Skill Program Dependence Base-level Thinking Verbalization and Thinking Cognitive Lv2 Cognitive Lv3 Goal: can verbalize result of thinking with a conflict included two policies that can reflect essence of two sides viewpoints Strategy: coaching on thinking verbalization through case reviewing Monitoring of Thinking (Self) Cognitive Lv1 Cognitive Lv2 Goal: can realize inappropriateness of one s own thinking style from reflection on one s own thinking processes Strategy: discovery learning from experience of coaching on verbalization when reviewing one s own case Case Reviewing Provide an Environment for Discovery Learning Case Reviewing Fig 6. An Example of Provide an Environment for Discovery Learning Relationship between Learning Units In order to explain how to use the ontology to clarify and structure the concepts related to learning design for representing the design intention, a concrete example is demonstrated in Fig 6 and Fig 7. Fig 6 indicates an example of Provide an Environment for Discovery Learning relationship between two learning units. The representation form of Education Scene is modified from the style of horizontal axis in Fig 5 to style of being a part of Learning Unit (on the button) for representing the relationship between learning units clearly. The learning unit on the left side (same to Learning Unit E in Fig 5) integrates the learning on the skill of base-level thinking verbalization and thinking in the scene of case reviewing through instructor s coaching on thinking verbalization. And the learning unit on the right side (same for Learning Unit D in Fig 5) integrates the learning on the skill of Monitoring of Self s Thinking in the scene of case reviewing through the discovery learning from the experience of coaching on verbalization when the instructor gives the comments on one s own case. Because the learning goal of discovery learning is linked to several different skills, the appropriate explicit prompts are necessary for facilitating the learning on the implicit goals or for inhibiting the obstructive factor to learning. The ontology in Fig 7 is created for representing the learning unit (the learning unit on the right side in Fig 6) which uses the discovery learning as the learning strategy. The A (within the frame in dotted line) in Fig 7 represents the concepts related to the learning goal. The B means a collection of education scene (one scene or a group of scene). The C represents the learning strategy which is used in the learning unit and D means the source learning unit which provides the discovery learning environment. The E represents the education strategy which is necessary to facilitate the learning. Because it is crucial to represent that during what kind of activity the learning by using discovery learning strategy can be triggered, in the ontology-based framework, the concept of learning activity is defined as an attitude (c-3 in Fig 7) to the concept learning strategy. Moreover, because the characteristic of the discovery learning is that the target of learning is implicit to the learner, the object of learning in the learning unit which provides the learning environment must differ from the object of learning in the learning unit being provided. In the framework, this characteristic is represented by the different relationship (R3 in Fig 7) between the attitude learning object (a-2) to the concept learning goal and the attitude learning object (d-3) in the concept source learning unit. Ⅳ4-8

128 Knowledge Co-Creation Volume 4 (2014) (A) (B) (C) (D) (E) a-1 a-2 a-3 b-1 c-1 c-2 c-3 d-1 d-2 d-4 d-5 e-1 e-2 e-3 e-5 d-3 e-4 R1 R2 R3 Fig 7. Ontology of Discovery Learning Strategy Utilization Learning Unit 6. Conclusion and Future Work In this paper, the author addresses the necessity of establishing a methodology of learning design for supporting the acquirement of the knowledge and skills to solve the authentic, contextual and social problems in order to satisfy the needs and expectations of today's learner. As a step to achieve this common goal in the field of learning design, we focus on how to clarify and represent the design intentions for supporting the knowledge co-creation and sharing among the learning designers towards the education of meta-thinking for solving the problems which do not always have a clearly correct or universal answer in nursing service. For the purpose of reducing the implicitness of design intentions which caused by the variety of interrelated factors and the complexity of the relationship of these factors behind the designed artifact, an ontology-based framework is constructed. In the future, we will develop a learning design intention representation tool that is embedded the ontology-base framework to put the representation method into practical use. And we will also conduct experimental trials in collaboration with the learning designers for evaluating the effectiveness of the framework and tool. Furthermore, we will continue to research on the method of learning assessment, which is essential to enhance the quality of learning in education program. Reference Agostinho, S. (2009). Learning design representations to document, model, and share teaching practice. Handbook of Learning Design and Learning Objects: Issues, Applications, and Technologies, 1, Anderson, J. R. (2009). Cognitive Psychology and its Implications. Worth Publishers. Conole, G. (2012). Designing for learning in an open world (Vol. 4). Springer. Chen, W., Fujii, M., Cui, L., Ikeda, M., Seta, K., & Matsuda, N. (2011). Sizhi: Self-Dialogue Training through Reflective Case-Writing for Medical Service Education. In A. F. Mohd Ayub, B. Chang, K. Leelawong, F.-Y. Yu, T. Hirashima, & G. Biswas (Eds.), (pp ). Presented at the Workshop Proceedings of the 19th International Conference on Computers in Education, Chiang Mai, Thailand. Chen, W., Fujii, M., Cui, L., Ikeda, M., & Matsuda, N. (2012). Reflective Thinking Skills Learning Environment for Ⅳ4-9

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