序 JICA は 1996 年 以 降 ベトナム 司 法 省 をカウンター パートとして 法 司 法 制 度 改 革 支 援 事 業 を 行 ってきたが ベトナム 民 法 2005 年 改 正 法 ( 以 下 現 行 法 )の 立 法 時 と 同 様 に 今 回 の 2015 年 民 法 改 正 に

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1 年 ベトナム 民 法 改 正 ドラフトに 対 する JICA 民 法 共 同 研 究 会 見 解 (エグゼクティブ サマリー) JICA 法 司 法 制 度 改 革 支 援 プロジェクト(フェーズ 2) 民 法 共 同 研 究 会

2 序 JICA は 1996 年 以 降 ベトナム 司 法 省 をカウンター パートとして 法 司 法 制 度 改 革 支 援 事 業 を 行 ってきたが ベトナム 民 法 2005 年 改 正 法 ( 以 下 現 行 法 )の 立 法 時 と 同 様 に 今 回 の 2015 年 民 法 改 正 にあたっても ベトナム 司 法 省 を 中 心 とする 民 法 改 正 案 起 草 チーム に 協 力 して 改 正 作 業 を 支 援 してきた 司 法 省 起 草 チームは JICA の 支 援 によって 得 た 日 本 を 含 む 他 の 諸 国 の 民 法 典 民 法 学 の 知 見 に 依 拠 しつつ 独 自 の 判 断 に 基 づいて 民 法 改 正 案 を 立 案 している このほど 2015 年 民 法 改 正 案 が 国 会 に 上 程 された 機 会 に JICA プロジェクト 民 法 共 同 研 究 会 は 2015 年 民 法 改 正 を 支 援 してきた 立 場 から 2014 年 10 月 国 会 に 提 出 された 民 法 改 正 ドラフト( 以 下 ドラフト)と 現 行 法 との 比 較 を 中 心 として 今 回 のベトナム 民 法 改 正 に 対 する 見 解 を 述 べることとした ベトナムは ドイ モイ 政 策 に 基 づいて 1995 年 に 最 初 の 民 法 を 制 定 したが 当 時 のベト ナムの 政 治 経 済 情 勢 から 止 むを 得 なかったとは 言 え 1995 年 民 法 は 市 場 経 済 を 規 律 する 基 本 法 としては 十 分 なものではなかった 2005 年 民 法 改 正 は 市 場 経 済 法 の 観 点 から 見 ると 所 有 権 概 念 や 取 引 安 全 の 保 護 の 点 でなお 課 題 を 残 していた これに 対 して 急 速 に 市 場 経 済 化 していくベトナム 社 会 に 対 応 して 今 回 の 民 法 改 正 は 取 引 主 体 としての 法 主 体 取 引 の 対 象 としての 所 有 権 等 の 財 産 権 の 概 念 円 滑 な 商 品 交 換 を 支 える 取 引 安 全 の 保 護 など の 点 で 大 きな 進 歩 を 示 している ベトナムの 統 治 機 構 や 経 済 社 会 の 発 展 状 況 を 考 慮 する ことなく 他 の 諸 国 の 民 法 を 基 準 にして 単 純 に ドラフトについて 評 価 を 下 すことは 避 け るべきであるが われわれが 見 解 において 指 摘 したいと 願 っているのは このドラフ トによって 市 場 経 済 法 の 法 原 則 の 採 用 がどこまで 進 み なおどのような 課 題 が 残 されてい るのかを 示 すことである この 見 解 が 2015 年 民 法 改 正 の 意 義 について 立 法 関 係 者 をなど 多 くの 人 々の 理 解 を 進 めるために いささかでも 役 に 立 てば 望 外 の 喜 びである なお 本 文 書 は 2015 年 ベ トナム 民 法 改 正 ドラフトに 対 する JICA 民 法 共 同 研 究 会 見 解 の 要 旨 である 第 一 主 要 な 改 革 点 民 法 という 法 律 は 市 場 経 済 社 会 において 私 人 間 の 法 律 関 係 を 規 律 する 私 法 の 一 般 法 で ある 民 法 は 私 法 である 点 で 国 家 機 関 の 関 係 や 国 家 と 私 人 との 関 係 を 規 律 する 憲 法 や 各 種 の 行 政 法 などの 公 法 と 区 別 される また 民 法 は 商 法 有 価 証 券 法 などの 特 別 法 が 特 別 の 法 分 野 について 規 定 していない 限 り 私 法 関 係 に 一 般 法 として 適 用 される 現 行 民 法 には まだ 中 央 集 権 的 計 画 経 済 の 国 家 体 制 の 影 響 が 残 っており 私 法 である 民 法 の 規 定 のなかに 公 法 的 規 定 が 混 在 している 所 有 権 などの 権 利 や 取 引 主 体 についても 国 家 について 私 人 と 別 個 の 位 置 付 けをしている 取 引 の 動 的 安 全 ( 善 意 の 第 三 者 の 保 護 ) への 配 慮 も 足 りない これに 対 して ドラフトは かなり 市 場 経 済 法 の 法 原 理 を 取 り 入 れ ており 他 の 諸 国 の 民 法 に 近 づいている しかしなお 検 討 すべき 点 は 残 っている 以 下

3 ドラフトが 提 案 する 主 要 な 具 体 的 な 改 正 を 挙 げる 1. 法 主 体 の 明 確 化 (1) 私 法 における 法 主 体 は 民 事 取 引 の 主 体 であり 所 有 権 などの 権 利 の 主 体 である 取 引 の 相 手 方 にとって 誰 と 取 引 するのか 明 確 であり 権 利 が 誰 に 帰 属 しているのか 明 確 で なければならない そこで 諸 国 の 民 法 では 個 人 と 法 人 に 法 主 体 性 を 認 めている 現 行 法 は 個 人 と 法 人 のほか ベトナムで 社 会 的 単 位 として 事 実 上 活 動 している 世 帯 組 合 に ついて 第 106 条 以 下 で 法 主 体 性 を 認 めている しかし 世 帯 組 合 は 構 成 員 やその 財 産 関 係 など 外 部 から 明 確 でない ドラフトは 世 帯 組 合 を 法 主 体 として 規 定 せず 第 117 条 において 世 帯 組 合 は 代 理 人 あるいは 自 らの 構 成 員 を 通 じて 民 事 関 係 に 参 加 する と 規 定 する ドラフトが 他 の 諸 国 の 民 法 と 同 じく 法 主 体 について 自 然 人 である 個 人 と 法 人 格 を 有 する 法 人 とに 限 って 認 めたことは 取 引 のさいに 要 求 される 取 引 主 体 の 明 確 性 から 評 価 できる (2)しかしながら ベトナム 社 会 に 現 実 に 世 帯 や 組 合 という 社 会 的 活 動 単 位 が 存 在 して いるのであるから 世 帯 組 合 に 法 主 体 性 を 認 めない 場 合 には これらの 社 会 的 単 位 の 法 的 位 置 づけをしておく 必 要 がある 今 後 の 検 討 課 題 である ドラフト 第 234 条 が 規 定 する 家 庭 については 世 帯 との 相 違 が 明 らかに 規 定 されていない なお 法 人 については 現 行 法 およびドラフトの 法 人 の 組 織 運 営 などに 関 してより 詳 細 な 規 定 を 設 けることを 検 討 すべきである 外 国 法 人 に 関 する 規 定 財 団 法 人 に 関 する 規 定 も 検 討 すべきであろう 2. 複 雑 な 所 有 形 態 の 整 理 (1) 現 行 民 法 第 172 条 は 私 人 所 有 共 有 の 外 国 家 所 有 集 団 所 有 政 治 組 織 と 政 治 社 会 組 織 に 属 する 所 有 社 会 組 織 と 社 会 職 業 組 織 に 属 する 所 有 など 様 々な 所 有 形 態 を 認 めている これに 対 して ドラフト 第 206 条 案 2は 全 人 民 所 有 単 独 所 有 共 有 とい う 所 有 形 態 のみを 認 める 商 品 交 換 法 としての 民 法 にあっては 所 有 権 の 内 容 は ある 物 を 自 由 に 使 用 収 益 処 分 できる 権 利 であって 権 利 者 は 他 人 を 介 することなく 物 について 権 利 内 容 を 直 接 実 現 することができ また 誰 に 対 しても 主 張 できる 権 利 だ とされている(これに 対 して 債 権 は 債 務 者 に 対 して 一 定 の 給 付 を 請 求 できる 権 利 とされ 債 務 者 には 主 張 できるが 第 三 者 に 対 しては 主 張 できない 権 利 だ とされている) 所 有 権 がそういう 権 利 だとすれば 所 有 権 者 が 私 人 であろうと 国 家 あるいは 政 治 組 織 であろうと 物 に 対 する 絶 対 的 排 他 的 支 配 権 に 変 わりはないはないから 現 行 民 法 のような 多 様 な 所 有 形 態 を 規 定 すること は 市 場 経 済 法 = 商 品 取 引 法 としては 意 味 がない 市 場 経 済 に 取 引 主 体 として 現 れる 限 り で 私 人 も 国 家 あるいは 政 治 組 織 も 民 法 上 は 同 じく 所 有 物 に 対 する 絶 対 排 他 的 な 支 配 権 者 として 扱 われるからである これに 対 して ドラフト 第 206 条 案 2は 共 有 という 所 有 形 態 を 規 定 する 共 有 の 場

4 合 には 複 数 の 所 有 権 者 ( 共 有 権 者 )が それぞれの 意 思 に 基 づいて 共 有 物 を 勝 手 に 使 用 収 益 処 分 するわけにはいかないから 共 有 物 についてその 権 利 内 容 ( 使 用 収 益 処 分 ) を 実 現 するために 特 別 のルールを 定 める 必 要 がある そこで 単 独 所 有 とは 別 に 共 有 とい う 所 有 形 態 を 認 め 共 有 物 に 関 して 特 別 の 規 定 を 置 くのである (2) 他 方 で ドラフト 第 206 条 案 2は 全 人 民 所 有 という 所 有 形 態 を 認 める 全 人 民 所 有 の 対 象 は 空 域 や 海 域 など もともと 私 的 所 有 の 対 象 とならない 物 か あるいは 国 家 が 管 理 する 公 共 道 路 などの 公 共 財 産 のようである そうだとすれば これらの 物 は 市 場 取 引 の 対 象 とならない 物 として 民 法 の 適 用 外 とするか あるいは 取 引 の 可 能 性 がある 物 であれ ば 国 家 の 単 独 所 有 物 として 取 り 扱 えばよいのであって わざわざ 全 人 民 所 有 という 特 別 の 概 念 を 私 法 である 民 法 に 規 定 する 必 要 はないのではないだろうか 全 人 民 所 有 の 対 象 物 について 誰 が 現 実 に 使 用 収 益 できるのか 誰 が 処 分 を 決 定 できるのか 曖 昧 である 全 人 民 所 有 という 所 有 形 態 は 憲 法 などにおける 政 治 的 概 念 としてはともかく 市 場 取 引 法 としての 民 法 においては 意 味 を 持 たない 法 概 念 であると 思 われる 3. 取 引 安 全 の 保 護 取 引 における 善 意 の 第 三 者 保 護 (1)ドラフト 第 158 条 第 1 項 a)は 無 権 代 理 行 為 の 相 手 方 ( 第 三 者 )が 実 際 には 無 権 代 理 人 であった 者 が 代 理 権 を 有 していたと 信 頼 する 根 拠 があり かつ 信 頼 したことに 過 失 が ないときには 本 人 と 相 手 方 との 間 に( 有 権 代 理 と 同 じく) 権 利 義 務 が 発 生 する と 規 定 する 現 行 民 法 にはない 取 引 における 善 意 の 第 三 者 保 護 規 定 である さらに ドラフト 第 145 条 は 無 効 な 民 事 取 引 の 対 象 となった 財 産 を 第 三 者 が 譲 受 けた 場 合 に その 財 産 が 所 有 権 登 録 を 必 要 としないものであるときは 第 三 者 が 善 意 無 過 失 で あることを 要 件 として( 第 1 項 ) その 財 産 が 所 有 権 登 録 を 必 要 とするものであるときは 取 引 が 国 家 機 関 に 登 録 され かつ 当 該 財 産 が 不 法 に 所 有 者 の 意 思 によらずに 処 分 されたこ とを 第 三 者 が 知 りえなかったことを 要 件 として( 第 2 項 ) 第 三 者 が 財 産 を 取 得 すると 規 定 し ている 無 効 な 取 引 などによって 権 利 を 取 得 していない 者 から 財 産 を 譲 り 受 けた 善 意 の 第 三 者 保 護 については 現 行 民 法 第 138 条 は 登 記 を 要 しない 動 産 について 善 意 取 得 を 規 定 する が 不 動 産 については 規 定 はない 現 行 民 法 は 真 実 の 権 利 者 を 尊 重 するという 静 的 安 全 を 優 先 しているが 市 場 経 済 法 としての 他 の 諸 国 の 民 法 は 円 滑 な 市 場 取 引 を 確 保 するために 善 意 無 過 失 の 取 引 の 相 手 方 ( 第 三 者 )の 信 頼 を 保 護 するという 動 的 安 全 を 優 先 している 今 回 のドラフトの 善 意 の 第 三 者 保 護 制 度 の 導 入 は 市 場 経 済 法 のあり 方 として 高 く 評 価 される (2)ドラフト 第 158 条 第 1 項 a)は 無 権 代 理 行 為 における 相 手 方 ( 第 三 者 ) 保 護 の 要 件 を 定 めるが 他 方 で ドラフト 第 157 条 は 代 理 権 ゆ 越 のほか およそ 代 理 権 授 与 がなか った 場 合 を 広 く 無 権 代 理 としている そこで 本 人 の 全 く 与 り 知 らないところで 代 理 権 の ない 者 ( 無 権 代 理 人 )が 代 理 権 を 持 っているように 振 舞 い 相 手 方 が 代 理 権 があるものと 信 頼 して 取 引 をした 場 合 には 本 人 は 何 ら 関 わりがなかったにもかかわらず ドラフト 第 158 条 第 1 項 a)により 権 利 義 務 を 負 わされることになるのである 動 的 安 全 を 優 先 する

5 こと( 第 三 者 保 護 )は 他 面 で 静 的 安 全 を 害 すること( 本 人 の 権 利 の 侵 害 )である ドラフト が 第 三 者 保 護 を 図 っている 要 件 について 例 えば 日 本 民 法 の 無 権 代 理 の 規 定 と 比 べて さ らに 検 討 を 要 するように 思 われる また ドラフト 第 158 条 第 1 項 b)は 第 三 者 が 本 人 に 対 して 無 権 代 理 行 為 を 承 諾 するか 否 かの 回 答 を 求 め 本 人 が 合 理 的 期 間 に 回 答 しないとき は 民 事 取 引 が 成 立 すると 規 定 する この 規 定 も 第 157 条 の 無 権 代 理 の 定 義 が 広 いことを 考 慮 すると 本 人 が 回 答 しない 場 合 には 承 諾 を 拒 否 したものとみなすことも 一 つの 選 択 と して 検 討 すべきであろう 無 権 利 者 から 財 産 を 譲 り 受 けた 善 意 の 第 三 者 に 関 するドラフト 第 184 条 についても ど のように 動 的 安 全 の 保 護 の 要 件 を 構 成 するかを 慎 重 に 検 討 することが 必 要 である 今 回 ド ラフト 第 145 条 第 2 項 が 登 記 を 要 する 動 産 不 動 産 について 善 意 者 保 護 を 新 たに 導 入 した ことは 高 く 評 価 されるが その 前 提 となるのは これらの 財 産 についての 登 記 制 度 が 整 備 されていることである 信 頼 できる 登 記 制 度 が 整 備 されていないところに 善 意 者 保 護 が 持 ち 込 まれるならば 真 の 権 利 者 が 害 され 静 的 安 全 が 損 なわれるだけではなく 登 記 制 度 そ のものに 対 する 信 頼 が 失 われることによって 動 的 安 全 つまり 取 引 における 信 頼 関 係 が 損 なわれてしまうことになる ベトナム 経 済 の 発 展 にとって 不 可 欠 な 金 融 投 資 を 受 けるに あたっても 抵 当 権 などの 物 的 担 保 権 公 示 のための 登 記 制 度 の 整 備 は 緊 急 の 課 題 である 4. 時 効 を 実 体 法 上 の 権 利 得 喪 原 因 に 位 置 づけ 権 利 享 受 時 効 と 義 務 免 除 時 効 の2 種 とした 現 行 法 第 155 条 は 権 利 享 受 時 効 義 務 免 除 時 効 提 訴 時 効 非 訟 事 件 処 理 請 求 時 効 の 4 種 類 の 時 効 を 認 めているのに 対 して ドラフト 第 164 条 第 2 項 は 訴 訟 手 続 きの 期 間 制 限 としての 提 訴 時 効 と 非 訟 事 件 処 理 請 求 時 効 とを 廃 止 し 実 体 法 上 の 権 利 の 得 喪 原 因 とし ての 権 利 享 受 時 効 と 義 務 免 除 時 効 と 2 種 類 の 時 効 を 認 めている 時 効 という 制 度 は 時 間 の 経 過 によって 物 の 占 有 者 が 占 有 物 の 所 有 権 を 取 得 したり(その 結 果 真 の 所 有 者 が 所 有 権 を 失 う) 債 権 などの 請 求 権 の 請 求 ができなくなる 制 度 だが 時 効 という 制 度 の 存 在 理 由 は 何 か 時 効 はどのように 法 的 に 位 置 づけられるのか 古 くから 議 論 されている 時 効 を 訴 訟 手 続 制 度 ととらえる 法 系 と 一 定 の 時 間 経 過 が 権 利 の 取 得 や 消 滅 現 となるとして 時 効 を 実 体 法 制 度 ととらえる 法 系 があるが 実 体 法 と 訴 訟 手 続 法 とを 明 確 に 分 離 している 近 代 民 法 では 時 効 を 実 体 法 制 度 として 構 成 する 例 が 多 い ドラフト 第 164 条 第 2 項 は グロー バル スタンダードに 近 い 考 え 方 をとっていると 言 えるであろう 第 二 さらに 検 討 すべき 課 題 1. 民 法 典 編 別 における 物 権 編 と 債 権 編 ドラフトは 民 法 典 の 編 別 について 案 2として 第 2 編 物 権 第 3 編 債 権 という 題 をつけ( 案 1 は 所 有 権 及 びその 他 の 各 物 権 義 務 及 び 契 約 ) 物 権 編 のもとに 所 有 権 のほか その 他 の 物 権 として 地 役 権 享 用 権 地 上 権 先 取 特 権 を 規 定 する 現 行 法 第 2 編 は 財 産 及 び 所 有 権 と 題 され ドラフトが 規 定 するその 他 の 物 権 について 規 定 してい ない 物 権 は 先 に 述 べたように 物 に 対 する 権 利 と 構 成 され 排 他 的 絶 対 的 な 権 利 とさ

6 れているので 公 示 ( 登 記 引 渡 )が 必 要 である 債 務 者 に 対 する 相 対 的 ( 対 人 的 )な 給 付 請 求 権 と 構 成 される 債 権 と 区 別 されている 物 権 と 債 権 とでは 権 利 の 性 質 が 異 なるので それぞれ 別 の 編 別 のもとに 規 定 するほうが 体 系 的 に 見 て 分 かりやすい 編 の 題 もドラフト の 案 2のほうが 分 かりやすいのではないかと 思 われる 日 本 民 法 ドイツ 民 法 など 民 法 典 の 編 別 でパンデクテン 方 式 といわれる 方 法 をとる 民 法 典 の 物 権 編 には ドラフトが 規 定 する 物 権 のほか 留 置 権 のほか 抵 当 権 などの 債 権 担 保 権 も 規 定 されている これらの 債 権 担 保 権 が 第 三 者 に 対 して 主 張 でき 優 先 弁 済 権 を 付 与 されているからである ところが ドラフトは 先 取 特 権 は 物 権 編 のもとに 規 定 している が 留 置 権 抵 当 権 などは 現 行 法 にしたがって 債 権 編 のもとに 規 定 している 債 権 担 保 に 関 わる 権 利 だということで 債 権 担 保 権 を 債 権 編 に 規 定 するとすれば 先 取 特 権 も 債 権 編 に 規 定 しなければ 体 系 的 に 説 明 がつきにくい 2. 過 失 責 任 原 則 の 明 確 化 と 無 過 失 責 任 の 慎 重 な 導 入 近 代 民 法 の 基 本 原 則 の 一 つに 過 失 責 任 の 原 則 がある 注 意 義 務 を 果 たして 行 動 している 限 り 他 人 に 損 害 を 与 えることがあるとしても 法 律 上 の 責 任 を 問 われないとすることによ って 個 人 の 活 動 の 自 由 を 保 障 し 市 民 の 創 意 工 夫 に 満 ちた 自 由 な 活 動 によって 活 性 化 し た 社 会 を 発 展 させようというものである ドラフト 第 374 条 以 下 は 契 約 不 履 行 責 任 を 規 定 するにあたって 故 意 過 失 の( 免 責 の) 立 証 責 任 を 義 務 違 反 者 ( 債 務 者 )に 課 し 第 376 条 第 386 条 は 故 意 過 失 の 免 責 立 証 責 任 を 不 法 行 為 の 加 害 者 にも 課 している ドラフトは 一 応 過 失 責 任 をとっていると 言 える が 義 務 概 念 不 可 抗 力 概 念 などが 曖 昧 であるほか 無 過 失 であることの 立 証 責 任 を 行 為 者 ( 債 務 者 加 害 者 )に 課 している 点 で 他 の 諸 国 の 民 法 に 比 べて 過 失 責 任 原 則 が 明 確 でな い 義 務 概 念 などを 明 確 にするとともに 立 証 責 任 転 換 の 理 論 的 根 拠 などについても 検 討 することが 望 まれる しかしながら 20 世 紀 以 降 現 代 科 学 技 術 の 進 歩 により 巨 大 な 化 学 工 業 が 発 展 し 予 想 もしない 大 規 模 事 故 による 深 刻 な 被 害 の 多 発 に 直 面 して 過 失 責 任 は 批 判 にさらされ 特 別 法 によって 無 過 失 責 任 の 導 入 が 図 られるようになった ドラフトは 例 えば 第 622 条 にお いて 高 度 危 険 施 設 による 損 害 についての 無 過 失 責 任 を 規 定 し 第 622 条 において 環 境 汚 染 に 対 する 賠 償 責 任 を 規 定 する しかし 高 度 危 険 施 設 環 境 汚 染 などの 概 念 が 明 確 でなく 無 過 失 責 任 が 無 制 限 に 拡 大 し 社 会 的 に 大 きな 損 害 賠 償 費 用 を 負 担 しなければならなくな るおそれがある 他 の 諸 国 においても 新 たな 危 険 から 生 ずる 損 失 を 社 会 的 にどのような 方 法 で( 損 害 賠 償 制 度 か) どのように 配 分 するのか 現 在 研 究 が 進 められ 新 しい 制 度 ( 原 子 力 損 害 賠 償 法 )も 取 り 入 れられているところである ドラフトにおいても 基 本 的 な 損 害 賠 償 の 理 論 から 再 検 討 することが 望 まれる

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