術 さらには 歌 の 上 手 さそのものの 比 較 や 競 争 が 可 能 となった 一 方 で インターネットが 広 く 家 庭 に 普 及 して 音 楽 の 情 報 化 が 進 むと 2000 年 代 中 ごろに 登 場 した YouTube などの 共 有 動 画 サービスに 歌 手 本 人

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1 歌 う 行 為 の 再 帰 的 近 代 化 カラオケから 歌 ってみた への 身 体 的 変 容 0. 概 要 本 稿 では 歌 う という 行 為 について その 身 体 性 と 社 会 性 の 両 面 から 考 察 する 具 体 的 には 歌 唱 の 可 能 性 を 生 身 の 人 間 から 引 き 離 したに 見 える VOCALOID の 登 場 が いわゆる 歌 ってみた という 現 象 をかえって 流 行 させることになったのはどういうこ とかを 題 材 として 検 討 する この 現 象 は 日 本 において 歌 う という 行 為 が 再 帰 的 に 近 代 化 する 過 程 を 最 もよく 表 出 していると 思 われるからである 1. カラオケから 歌 ってみた への 社 会 的 変 遷 カラオケは 参 加 人 口 においては 音 楽 鑑 賞 を 市 場 規 模 においてはオーディオレコー ドの 生 産 額 をはるかに 上 回 る 巨 大 な 音 楽 メディアであり 日 本 人 の 娯 楽 の 横 綱 と 言 える 1 そこには 演 奏 家 (パフォーマー)と 聴 き 手 (リスナー) や プロとアマチュ ア といった 明 確 な 境 界 線 は 存 在 せず カラオケは 能 動 的 に 参 加 するもの としての 音 楽 の 受 容 形 態 の 一 形 態 であると 言 える 年 ごろに 誕 生 したカラオケは 当 初 は 飲 み 屋 や 盛 り 場 で 提 供 され 若 者 層 はその 顧 客 層 に 考 慮 されていなかった ところが 80 年 代 末 にカラオケボックスが 全 国 的 に 展 開 されると カラオケその 客 層 に 主 婦 女 性 若 者 などを 引 き 入 れ 1992 年 に 通 信 カラオケが 登 場 したことで ヒットチャート にも 影 響 を 持 つようになった 3 カラオケ ション という 言 葉 があるように 本 来 カ ラオケは 自 分 が 歌 うのを 聴 いてくれ また 自 分 も 彼 が 歌 うのを 聴 くこととなる 仲 間 同 士 での 娯 楽 であった しかし 最 近 は 一 人 カラオケで 歌 って 自 己 完 結 する ひとカラ も 一 般 的 となっている 4 また 採 点 機 能 が 採 用 されたことは 歌 う 行 為 そのものに 大 きな 影 響 を 与 えたと 思 われる 例 えば 株 式 会 社 エクシングの 提 供 する JOYSOUND では 音 程 テクニック 熱 唱 度 安 定 度 リズムの 五 項 目 から 歌 唱 を 分 析 し 百 点 満 点 で 採 点 する 5 これにより 歌 の 技 術 が 客 観 的 基 準 によって 数 量 化 され 歌 唱 の 技 1 烏 賀 陽 弘 道 J ポップとは 何 か 岩 波 書 店 2005 年 頁 2 同 著 カラオケ 秘 史 創 意 工 夫 の 世 界 革 命 新 潮 社 2008 年 9-10 頁 3 同 著 J ポップとは 何 か 岩 波 書 店 2005 年 頁 4 前 川 洋 一 郎 編 著 カラオケ 進 化 論 廣 済 堂 出 版 , 頁 5 カラオケ 採 点 分 析 採 点 3 で 歌 唱 力 アップ 株 式 会 社 エクシング (http://camp.joysound.com/bunseki3/ 閲 覧 日 :2014 年 1 月 31 日 )

2 術 さらには 歌 の 上 手 さそのものの 比 較 や 競 争 が 可 能 となった 一 方 で インターネットが 広 く 家 庭 に 普 及 して 音 楽 の 情 報 化 が 進 むと 2000 年 代 中 ごろに 登 場 した YouTube などの 共 有 動 画 サービスに 歌 手 本 人 になりきって 歌 っ たり 楽 器 を 演 奏 したりする 動 画 が 投 稿 されるようになった これらは 歌 ってみた と か 弾 いてみた などと 称 され 人 気 の 楽 曲 に 至 ってはその 投 稿 数 がオリジナルを 圧 倒 するほどである 前 者 の 制 作 者 は 歌 い 手 と 呼 ばれるが このような 現 状 から 彼 らを インターネットカラオケマン と 揶 揄 する 言 説 も 生 まれた しかしその 活 動 が 盛 んになったのは ヤマハの 音 声 技 術 とその 応 用 商 品 である 初 音 ミク をはじめとする VOCALOID の 登 場 によるところが 極 めて 大 きい ボカロ P と 呼 ばれる 制 作 者 によって 生 み 出 された ボーカロイド 曲 は もともと 模 倣 が 不 可 能 なこともあって 数 多 の 歌 い 手 によって 個 性 的 に 歌 い 上 げられる それらの 歌 っ てみた は 楽 曲 のヴァリエーションとしてオリジナルと 同 列 に 鑑 賞 され シミュラーク ルの 様 相 を 呈 するこれらの ボーカロイド 曲 は 一 つの 大 きなコンテンツを 構 成 してい る ただし ボーカロイド 曲 もボーカロイドや 歌 い 手 によって 専 門 的 に 歌 われる 聴 くもの ではなく 聴 き 手 もまたこれらの 楽 曲 をカラオケで 歌 ったり それを 歌 ってみた として 公 開 する 歌 うもの でもある 2. 歌 う 身 体 の 分 類 これを 踏 まえて 歌 う という 行 為 を 身 体 論 の 観 点 から 考 察 する 亀 山 佳 明 は 滑 走 する 身 体 の 生 きられた 体 験 を 身 体 の 運 動 図 式 とトポスの 間 を 道 具 が 介 することで 錯 綜 身 体 が 露 呈 する 空 間 性 演 者 を 評 価 する 者 としての 観 客 = 相 対 他 者 および 自 分 を 世 界 のうちにつなぎとめる 絶 対 他 者 を 求 める 対 他 性 転 倒 = 破 滅 の 恐 怖 を 回 避 するところに 自 由 の 実 感 と 自 己 喪 失 への 快 感 が 生 ずる 技 術 性 の 三 つの 点 にお いて 検 討 し これらの 特 徴 を 滑 走 感 覚 と 呼 んだ 6 そこでの 滑 走 の 類 別 に 従 って 空 間 性 と 制 御 性 の 二 つの 軸 から 歌 う 行 為 の 様 相 を 次 の 四 つの 象 限 に 分 類 すること ができる 人 はまず 他 者 によって 歌 われる 曲 につられて 歌 い 出 す しかしつられている 以 上 その 歌 は 自 ら 制 御 できていない やがてメロディーラインに あるいは 調 子 に 乗 っ て 歌 を 上 手 に 歌 えるようになる とはいえそれは 日 常 の 身 体 が 曲 に 歌 わされてい るようなもので まだ 自 分 で 歌 いこなしているとは 言 えない 制 度 としての 旋 律 を 逸 脱 して その 曲 に 自 分 の 節 回 しをつける 遊 びの 身 体 が 発 揮 されて 初 めて それを 歌 い こなしたと 言 えるのである すなわち つられる 乗 る 節 回 す という 手 順 を 踏 んで 歌 唱 は 上 達 していくのであるが 歌 う 者 にはその 間 中 音 を 外 す 予 感 が 常 につきまとう 6 亀 山 佳 明 生 成 する 身 体 の 社 会 学 スポーツ パフォーマンス/フロー 体 験 /リズム 世 界 思 想 社 2012 年 頁

3 これを 図 に 表 せば 次 のように 整 理 できるだろう 制 御 可 能 乗 る 節 回 す ズレ 小 ズレ 大 つられる 外 れる 制 御 不 能 ここにおいて 身 体 の 運 動 図 式 - 道 具 -トポス という 関 係 は 歌 う 身 体 - 歌 唱 - 楽 曲 という 関 係 に 置 き 換 えられている さて 共 同 性 の 身 体 と 超 個 体 性 の 身 体 が 歌 唱 においてはどのように 対 応 す るかも ここで 検 討 しておきたい 共 同 性 の 身 体 は 他 者 との 関 係 において 成 り 立 つ 身 体 性 であり いわば 自 他 と 言 う 社 会 次 元 ( 水 平 )の 関 係 であるのに 対 して 超 個 体 性 の 身 体 は 個 と 全 体 との 間 に 成 り 立 つ 存 在 次 元 ( 垂 直 )の 関 係 7 であるから 前 者 はカラオケという 社 交 的 な 場 において 歌 われる 身 体 後 者 は 歌 ってみた のパフォー マンス 主 体 である 歌 い 手 の 身 体 あるいはそこまで 及 ばない ひとカラ の 身 体 が 相 当 する なおこの 図 式 に VOCALOID を 置 くならば 制 度 身 体 と 超 個 体 性 の 身 体 の 極 に 位 置 することになるであろう 超 個 体 性 の 身 体 VOCALOID 錯 綜 身 体 歌 ってみた ひとカラ カラオケ パフォーマンス 指 向 評 点 指 向 制 度 身 体 7 同 書 53 頁 共 同 性 の 身 体

4 3. ボーカロイドと 歌 い 手 の 相 補 性 歌 ってみた というコンテンツ およびその 歌 い 手 は 先 に 述 べたように VOCALOID 登 場 以 前 から 存 在 した 一 見 相 反 する 二 つの 歌 う 主 体 は 実 は 共 存 共 栄 の 関 係 にある VOCALOID は 歌 唱 を 完 全 な 統 御 の 下 に 置 いたが その 必 定 として 生 きられた 体 験 の 主 体 である 身 体 を 失 った より 正 確 には それは 制 度 身 体 を 完 璧 に 体 現 したがため に 錯 綜 身 体 の 生 じる 余 地 をもはや 残 していない 失 われた 錯 綜 身 体 を 生 身 の 人 間 に 取 り 戻 し 遊 びの 身 体 をそれ 自 体 で 体 現 するものとして またより 多 くの 聴 き 手 が 自 ら 歌 うためのアダプテーションとして 歌 ってみた というコンテンツ そ してその 専 門 家 である 歌 い 手 が 重 要 性 を 帯 びるのである 両 者 は 相 補 的 な 関 係 であ る ボーカロイドは 一 体 化 を 拒 否 する 絶 対 他 者 であり それによって 歌 われた 楽 曲 は 制 作 者 以 外 に 手 の 付 けようのない 規 範 となる 歌 い 手 は 粗 製 の 模 倣 ではなく 個 性 的 な 節 回 しを 目 指 すことによって 相 対 他 者 である 聴 き 手 からそのパフォーマンス への 評 価 を 期 待 する しかし 聴 き 手 もまた 歌 うことによって その 錯 綜 身 体 をもっ て 歌 の 世 界 への 一 体 化 を 図 るのだから 歌 い 手 と 聴 き 手 はその 身 体 が 入 れ 替 わる 遷 移 的 な 関 係 である カラオケの 若 者 層 への 定 着 に 先 立 つ 80 年 代 後 半 自 己 表 現 への 関 心 の 高 まりから 生 まれたバンドブーム 8 以 来 楽 曲 の 作 り 手 や 歌 い 手 と 聴 き 手 との 距 離 は 極 めて 小 さく なっていた そこに VOCALOID が 絶 対 他 者 として 登 場 したのである ボカロ P や 歌 い 手 といった 作 り 手 や 歌 い 手 のあり 方 が 聴 き 手 との 距 離 をますます 縮 めた 一 方 VOCALOID は 絶 対 的 にかけ 離 れた 存 在 として 創 造 の 根 源 としてあり 続 ける ボーカロイド 曲 を 歌 う 身 体 は 一 方 では 自 身 の 歌 唱 を 評 価 する 相 対 他 者 としての 聴 き 手 を 希 求 し 他 方 では 一 体 化 を 拒 絶 する 絶 対 他 者 としての VOCALOID を 浮 上 させる VOCALOID が 歌 わせる ための 制 度 として 形 骸 化 することなく 歌 う 主 体 として 自 主 性 を 保 つことができるのも このように 身 体 の 絶 えざる 交 流 がなされて いるからである 4. ギデンズのモダニティ 論 による 考 察 カラオケから 歌 ってみた への 歌 う 行 為 の 変 容 は ギデンズのモダニティの 論 理 においては 再 帰 的 近 代 化 の 過 程 であると 見 ることができる ギデンズのモダニティ 論 の 根 幹 をなすのは 脱 埋 め 込 み とその 対 概 念 としての 再 埋 め 込 み そして 再 帰 性 という 概 念 である 9 脱 埋 め 込 み とは 社 会 関 係 を 相 8 烏 賀 陽 弘 道 J ポップとは 何 か 岩 波 書 店 2005 年 122 頁 9 岩 波 応 用 倫 理 学 講 義 3 情 報 岩 波 書 店 2005 年 72 頁

5 ロ ー カ ル 互 行 為 の 局 所 的 な 脈 絡 から 引 き 離 し 時 空 間 の 無 限 の 拡 がりのなかに 再 構 築 するこ と である 10 これを 補 完 する 再 埋 め 込 み とは 脱 埋 め 込 みを 達 成 した 社 会 関 係 が 時 間 的 空 間 的 に 限 定 された 状 況 のなかで 再 度 充 当 利 用 されたり 作 り 直 されていく こと である 11 規 範 や 価 値 など 近 代 のさまざまな 秩 序 原 理 がその 限 界 を 問 われるような 空 間 である CMC 空 間 すなわち CMC(Computer Mediated Communication)ネットワーク 上 に 出 現 した 社 会 空 間 においては コミュニケーションが 既 存 の 状 況 的 コンテクスト に 依 存 しえない 以 上 コミュニケーションそれ 自 体 の 過 程 を 通 じてそれを 構 築 してゆかねば ならない 12 そこに 立 ち 現 われた VOCALOID もまた その 楽 曲 制 作 と 人 々への 受 容 を 通 じて それまで 楽 曲 を 聴 くだけだった 人 々をも 巻 き 込 み 歌 う という 行 為 とそれ を 通 したコミュニケーションのあり 様 を 問 い 直 した VOCALOID のこのような 特 質 は 行 為 社 会 関 係 システムがつねにそれ 自 身 についての 再 帰 的 モニタリングをおこな い そうして 得 られた 情 報 に 基 づいて 自 らを 再 構 成 していく という 近 代 の 再 帰 性 13という 他 ない 歌 ってみた とは 日 常 空 間 の 社 会 関 係 に 基 づく 相 互 行 為 であるカラオケを その 局 所 的 な 文 脈 から 引 き 離 し 情 報 空 間 とりわけニコニコ 動 画 を 初 めとする 動 画 共 有 コミュニティに 再 構 築 する 脱 埋 め 込 み の 試 みであった また 一 方 では 情 報 空 間 にお いて 再 帰 的 に 制 作 されたボーカロイド 曲 を 日 常 空 間 に 再 埋 め 込 み する 行 為 として 社 交 的 文 脈 においてはカラオケが 個 人 的 体 験 としては ひとカラ ないし 私 的 な 歌 ってみた が 位 置 づけられるだろう この 歌 ってみた が 脱 埋 め 込 み に 失 敗 し 聴 き 手 としての 相 対 他 者 の 目 を 希 求 していることが 見 透 かされたとき その 歌 い 手 は インターネットカラオケマン との 揶 揄 を 免 れえない 5. 結 論 歌 う という 行 為 は つられる 乗 る 節 回 す という 段 階 を 踏 んで 遊 びの 身 体 を 表 出 する 厳 然 たる 制 度 身 体 である VOCALOID は 楽 曲 における 絶 対 他 者 を 復 活 させ 錯 綜 身 体 を 生 きられた 身 体 に 取 り 戻 し 世 界 との 一 体 化 を 図 る 歌 ってみ た をかえって 喚 起 した ボーカロイド 曲 というコンテンツは 情 報 空 間 への 脱 埋 め 込 み と 日 常 空 間 への 再 埋 め 込 み を 通 じて 自 らを 再 帰 的 にモニタリングしつつ 歌 う 行 為 そのものをも 問 い 直 す 機 運 を 秘 めている 10 アンソニー ギデンズ 近 代 とはいかなる 時 代 か? モダニティの 帰 結 松 尾 精 文 小 幡 正 敏 訳 而 立 書 房 1993 年 頁 11 同 書 102 頁 12 岩 波 応 用 倫 理 学 講 義 3 情 報 岩 波 書 店 2005 年 66,70- 頁 13 同 書 73 頁

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