第66回日本消化器外科学会総会抄録集

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2 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P1-1 IGF2BP3 は食道癌培養細胞の放射線アポトーシス抵抗性因子で 573 P1-3 食道癌における HVEM および BTLA 発現の臨床病理学的意義 ある 吉野 敬 1, 本山 悟 1, 丸山起誉幸 1, 佐藤 雄亮 1, 中津 敏允 1, 小川 純一 1 1. 秋田大学医学部附属病院食道外科 右田 和寛 1, 庄 雅之 1, 高山 智燮 1, 松本 壮平 1, 若月 幸平 1, 榎本 浩士 1, 田仲 徹行 1, 中島 祥介 1 1. 奈良県立医科大学医学部消化器 総合外科講座 目的 近年 TNF 受容体 superfamily のひとつである herpes virus entry media- 背景:食道癌に対する放射線療法は著効する患者がいる一方で 全く効果が得られず 手 術治療の機会さえ失う患者もいる. 食道癌に対する個別治療を行う上で 放射線に対す る信頼性の高い感受性マーカーが必須である. 目的:食道癌に対する放射線感受性マーカー 感受性増強因子を探索する. 方法と結果:食道癌培養細胞 (TE5 TE9 TE12 clonea1) を用いて 放射線感受性を MTS assay にて検討したところ TE12 clonea1 は TE5 TE9 と比較し 高い放射線 感受性を示した. また caspase 3/7 assay では TE12 clonea1 でカスパーゼ活性が有 意に高く 放射線アポトーシスが強く誘導された.DNA マイクロアレイで比較解析を 行ったところ TE5 では TE12 clonea1 と比較して IGF2BP3 遺伝子が高発現してい た. RT-PCR にて TE5 TE9 における mrna レベルでの IGF2BP3 高発現を確認し た.TE5 TE9 に対して sirna を導入し RT-PCR にて IGF2BP3 mrna の発現が抑 制されるのを確認した.MTS assay caspase 3/7 assay を施行したところ IGF2BP3 sirna を導入した細胞では negative control と比較して放射線感受性が増強され カ スパーゼ活性が有意に高かった.IGF2BP3 をノックダウンすることにより 放射線アポ トーシスの誘導が促進された. 結語:IGF2BP3 は食道癌培養細胞において放射線アポトーシスを抵抗性因子であること が示唆された. tor(hvem) およびそのリガンドであり Ig superfamily に属する B and T lymphocyte attenuator(btla) と腫瘍との関連が示唆されているが 未だその臨床的意義は不明 である. 今回 ヒト食道癌における HVEM および BTLA 発現の役割を検討した. 方 法 術前未治療食道癌 108 例 (平均 62 歳 男性 89 女性 19) の切除標本を HVEM 特異抗体および BTLA 特異抗体で免疫組織染色を行った.50% 以上の腫瘍細胞が染色 される症例を高発現 50% 未満の症例を低発現とし 臨床病理学的因子ならびに予 後との関連を検討した. 結果 HVEM は高発現 46 例 (42.6%) 低発現 62 例であ り BTLA では高発現 49 例 (45.4%) 低発現 59 例であった. 両者の発現には相関関 係を認めた (P<0.0001).HVEM BTLA 両者ないしはいずれかに発現を認めた高発現 群 56 例 (51.9%) はいずれにも発現を認めなかった低発現群 52 例と比して T 因子 (T1/T2/T3/T4:高発現群 5/7/41/3 vs. 低発現群 19/14/17/2 P=0.0001) および N 因子 (N0/N1/N2/N3/M1LYM:高発現群 9/12/15/14/6 vs. 低発現群 31/11/6/1/3 P<0.0001) ともに進行症例が多かった. 病期においても同様に高発現群は低発現群より有意に 進行症例が多かった (pstagei/ii/iii/iv:高発現群 2/7/40/7 vs. 低発現群 23/11/15/3 P<0.0001). 組織型に関しては高発現群では中低分化型扁平上皮癌が多かった (高分化 型/中分化型/低分化型:高発現群 10/38/8vs. 低発現群 29/19/4 P=0.0002). 高発現群の 腫瘍径は平均 47mm で 低発現群平均 32mm と比し 有意に大きかった (P<0.0001). また 高発現群ではリンパ管侵襲陽性例 静脈侵襲陽性例とも有意に多く認められた (ly:-/+=高発現群 5/51 vs. 低発現群 21/31 P= v:-/+=高発現群 25/31 vs. 低発 現群 41/11 P=0.0003). さらに 全生存率 無再発生存率ともに高発現群で有意に不良で あった (1 3 5 年生存率:高発現群 73% 29% 24% vs. 低発現群 89% 62% 51% P= 年無再発生存率:高発現群 54% 26% 18% vs. 低発現群 79% 57% 50% P=0.0003). 結語 今回初めて ヒト食道癌における HVEM BTLA 発 現の臨床病理学的意義が明らかとなった.HVEM/BTLA 経路は食道癌の増殖 進展に 関与しているものと考えられ 新たな治療標的分子となり得る可能性が示唆された. P1-2 食道癌における mir-200c 発現と臨床病理学的因子の検討 P1-4 食道癌における BMP7 とその antagonist である Noggin 発現 浜野 梨絵 1, 宮田 博志 1, 黒川 幸典 1, 山崎 誠 1, 中島 清一 1, 瀧口 修司 1, 藤原 義之 1, 森 正樹 2, 土岐祐一郎 1 恵 浩一 1, 石神 純也 1, 喜多 芳昭 1, 内門 泰斗 1, 松本 正隆 1, 有上 貴明 1, 上之園芳一 1, 北薗 正樹 1, 上野 真一 1, 夏越 祥次 1 1. 大阪大学大学院消化器外科 2 分野, 2. 大阪大学大学院消化器外科 1 分野 1. 鹿児島大学医学部腫瘍制御学消化器外科 目的 これまでに様々なヒトの癌腫において microrna の発現異常が報告され <は じ め に> TGF-β ス ー パ ー フ ァ ミ リ ー に 属 す る Bone morphogenetic proteins(bmps) と そ の antagonists は (Noggin Follistatin Gremlin1 な ど) 正 常 な幹細胞や悪性腫瘍の幹細胞において自己修復能や differentiation のバランスを保つ のに重要な働きを行っている. 我々は食道癌における BMP7 の発現が予後不良因子で あることを報告した. 今回 食道癌における BMP7 とその antagonist である Noggin の発現を免疫組織学的に評価し その臨床病理学的意義を検討した.<対象と方法>1990 年から 2004 年までの間に当科で治癒切除が行われた食道癌 159 例を対象とした. 抗 BMP7 Noggin 抗体を用い 200 倍に希釈し室温で 24 時間反応させ ABC 法にて可 視化した.Noggin 陽性群は 10% 以上の発現のあるもの 10% 未満を Noggin 陰性群 に分類した.BMP7 の評価に関しては以前報告したように 腫瘍の面積と濃度による分 類した. 面積を 1 (0-29%) 2 (30-59%) 3 (60% 以上) 段階に分類 濃度を 1 (weak) 2 (moderate) 3 (strong) 段階に分類し 各々を掛け合わせスコア化し 6 と 9 点を BMP7 発現陽性群とした.<結果>免疫組織学的に BMP7 Noggin ともに腫瘍の細胞 膜と細胞質にどちらとも発現が認められた.Noggin 陽性例は 104 例 (65%) 陰性例 55 例 BMP7 は陽性 102 例 (64%) 陰性 57 例に分類された.Noggin 発現と BMP7 発現の間に相関を認めた (P<0.005).Noggin 陽性 BMP7 陽性例 76 例 (47%) とそれ 以外で検討すると 深達度 遠隔リンパ節転移 静脈侵襲と有意に関係していた (各々 P<0.05 P<0.01 P<0.05). 多変量解析で独立した予後因子ではなかったが Noggin 陽性 BMP7 陽性例は 5 年生存率が有意に不良であった (P<0.05).<まとめ>BMP7 と Noggin 発現がともに陽性である食道癌患者は他の発現群に比べ 予後を含め臨床的に 悪性度が高いと考えられた. このような細胞集団の解析は癌幹細胞様細胞の解明につな がる可能性がある. microrna の発現量と予後との関連などが多数報告されている また microrna の 中には正常幹細胞の多分化能や自己複製能を制御し 幹細胞の維持に関与することが示 唆されるものがある 今回我々は ヒト幹細胞の制御に関与する microrna が 消化 器癌における化学療法の耐性と関連する可能性について食道癌サンプルを用いて検討を 行なった 方法 対象は 2000 年 5 月 2006 年 12 月に当院で術前化学療法施行後に切除術を 行なった胸腹部原発性食道癌患者 98 名 パラフィン固定後切除標本より RNA を抽 出し 定量的 RT-PCR により mir-200c の発現量を測定した 発現量の中央値で高発 現群 (n=49) と低発現群 ( n=49) とに分け 臨床病理学的因子との関連を検討した 成績 病期 (1/2/3/4) は 高発現群 (1/13/16/19) と低発現群 (5/15/12/17) で差はなかっ たが (P=0.262) 壁深達度 (1/2/3/4) は 高発現群 (2/3/34/10) が低発現群 (11/12/20/6) に比べ有意に高かった (P<0.001) リンパ節転移 (あり/なし) は 両群で差はなかった (高発現群 (38/11) vs. 低発現群 (31/18) P=0.184) が 平均リンパ節転移個数は 高 発現群 (7.59 個) が低発現群 (4.08 個) より多い傾向だった (P=0.245) 化学療法の臨 床的効果 (CR/PR/NC/PD) では 高発現群 (0/17/31/1) は低発現群 (1/31/16/1) に比べ 有意に効果が低く (P=0.009) 組織学的効果 (2/1b/1a/0) も 高発現群 (1/5//29/14) は 低発現群 (8/14/16/11) に比べ有意に効果が低かった (P=0.007) 無再発生存率は 高発 現群で低発現群に比べ低い傾向があり (P=0.083) 全生存率では高発現群が低発現群に 比べ有意に予後不良だった (P=0.037) 結論 mir-200c は食道癌の予後に影響を与える可能性があり さらに化学療法耐性 と関連があると考えられる 第66回 総会

3 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P1-5 食道扁平上皮癌における xct 発現とその意義 飯髙 大介 1, 塩崎 敦 1, 市川 大輔 1, 藤原 斉 1, 小菅 敏幸 1, 氏家 和人 1, 小松 周平 1, 岡本 和真 1, 岸本 光夫 2, 大 英吾 P1-7 食道癌細胞株における抗癌剤感受性と DNA 二本鎖切断の修復に 関する検討 2 剤併用効果について 1. 京都府立医科大学医学部消化器外科学部門, 2. 京都府立医科大学医学部付属病院 病院病理部 迫川 賢士 1, 青木 義朗 1, 濱井 洋一 1, 恵美 学 1, 檜原 淳 1, 岡田 守人 1 1. 広島大学原爆放射線医学研究所腫瘍外科研究分野 背景 xct はナトリウム非依存性シスチン グルタミン酸交換輸送系 Xc の 12 回膜 背景 従来より食道癌に対する標準的化学療法として FP 療法 (CDDP+5FU) が行 貫通型 L 鎖であり 4F2 heavy chain とヘテロ 2 量体を形成することでその機能を発 われてきた. しかしその併用効果に関する科学的根拠を示す in vitro での報告はほと 揮する シスチンを細胞内に グルタミンを細胞外に 1:1 に輸送し 細胞内のグルタチ んどない. 今回われわれは DNA 損傷作用 特に最も重篤な損傷とされる DNA 二本 オン合成を亢進させ レドックス能を高め酸化ストレスから細胞を防御する膜蛋白であ 鎖切断 (DSBs;Double Strand Breaks) に着目し FP 療法の 2 剤併用効果を検討した. る 近年 カポジ肉腫 リンパ腫 前立腺癌 乳癌 膵癌など様々な癌腫との関連が報 方法 食道癌細胞株を用いて DSBs の修復指標である γh2ax と DNA 相同組換 告されている 今回我々は食道扁平上皮癌 (ESCC) における xct 発現の意義を検討 え修復に関わる Rad51 の 2 つの DNA 修復蛋白と抗癌剤感受性との関係を検討し した 対象と方法 当院における 1998 年から 2007 年までの術前未治療の ESCC 49 た. さらに近年 DNA 損傷修復と密接な関わりが報告されている翻訳後修飾の 1 つで 例の切除標本を用い xct 及び Ki67 の発現を免疫組織染色で解析した xct 高発現 ある SUMO(Small Ubiquitin-related Modifier) 化と Rad51 とともに相同組換え修 群 (H 群 29 例) と低発現群 (L 群 20 例) に分類し Ki67 との相関及び臨床病理学的 復機構において重要な役割が明確になってきた癌抑制遺伝子 BRCA2 に関して同様の 因子 予後との関連を検討した 結果 食道扁平上皮癌 49 例全ての核で xct の発現 検討を行った. 実験は代表的な食道扁平上皮癌細胞株である TE11 を用いた. 抗癌剤暴 が認められた 発現強度で 2 群に分けたところ 2 群間で患者年齢 性別に差は認め 露時間は可能な限り実地臨床での投与方法に合わせて CDDP を 1 時間 5FU を 24 なかった TNM 分類では N 因子にて H 群に高度進行例が多く 有意な相関関係を 時間持続暴露とし それぞれ単剤と 2 剤併用とで検討した. 抗癌剤感受性は Colony 認めた (P=0.038) リンパ管浸潤 静脈管浸潤 組織型 病期では 2 群間に有意差を認 Formation Assay を用いて算出し DNA 修復蛋白の kinetics は抗癌剤除去後 時間まで経時的に蛍光免疫染色を行い核内の focus 形成数を観察した. また SiRNA を 用いて SUMO 化の重要な酵素の 1 つである Ubc9 と BRCA2 を knock down し 抗癌剤感受性と Rad51 の kinetics との関係を考察した. 結果 単剤と比較して 有 意に感受性の高かった 2 剤併用で Rad51 は peak 時の focus 形成数が著増していた. 一方 γh2ax の kinetics に明らかな相違は認めなかった. また Ubc9 と BRCA2 を knock down することで DNA 損傷時の Rad51 の focus 形成は抑えられ感受性 が高まる傾向にあったが 単剤使用と比べて 2 剤併用でよりその効果が明らかであっ た. 考察 CDDP と 5FU を 2 剤併用することで Rad51 の関与するゲノム損傷応答 がより深く関わってくる可能性があり さらに SUMO 化および BRCA2 が重要な役 割を果たしていることが推察された. 今後さらに検討を重ねることで食道癌で臨床的に 行われている抗癌剤治療の科学的根拠につながる可能性が示唆された. めなかった Ki67 の免疫染色を xct と同一視野で評価を行ったところ xct 発現と Ki67 の陽性率には正の相関が認められ (R2= P=0.0002) xct の細胞増殖へ の関与が示唆された また 予後との関連では全生存期間で有意差は認めなかったもの の H 群で予後不良の傾向を認めた (Log Rank P=0.060) 多変量解析では T2-3 リ ンパ管侵襲陽性 xct 陽性が独立した予後因子として抽出された (xct 陽性:Hazard ratio %CI p=0.039) 結論 ESCC における xct の発現率 と臨床病理学的因子 予後との相関解析により xct 高発現が ESCC における予後規 定因子となることが示唆された P1-6 食道癌における血清 microrna-21 の発現 P1-8 食道癌に対する根治的化学放射線療法による血液毒性とサイトカ イン ケモカイン遺伝子多型の関連 藏重 淳二 1, 渡邊 雅之 1, 岩槻 政晃 1, 日吉 幸晴 1, 木下 浩一 1, 斎藤 誠哉 1, 蒲原 英伸 1, 馬場 祥史 1, 林 尚子 1, 馬場 秀夫 1 1. 熊本大学大学院消化器外科学 栗林 邦明 1, 本山 悟 1, 三浦 昌朋 2, 比内 雄大 2, 丸山起誉幸 1, 佐藤 雄亮 1, 吉野 敬 1, 中津 敏允 1, 小川 純一 1 1. 秋田大学医学部附属病院食道外科, 2. 秋田大学医学部附属病院薬剤部 背 景 目 的 近 年 蛋 白 質 の 翻 訳 抑 制 に よ り 様 々 な 細 胞 機 能 を 制 御 す る mi- crorna(mir) の存在と その標的遺伝子が発癌あるいは進展転移に関連することが 注目されている microrna は組織内で安定しており 血液 体液 凍結組織 パラ フィン包埋組織などでの microrna の発現が解析され癌との関係が報告されている すでに乳癌 膵癌 大腸癌で血清中の microrna の発現と癌との関連が報告されて いるが 食道扁平上皮癌での報告はまだない 我々は以前 mir-21 が Programmed cell death 4(PDCD4) の発現を制御し食道扁平上皮癌の悪性度を規定する因子である ことを証明した (Hiyoshi et al. Clin Cancer Res 2009 ) 今回我々は 食道扁平上皮癌症 例の血清中の mir-21 の発現をコントロール群と比較検討し また化学療法を効果と mir-21 発現量の変化について検討した 方法 2008 年 6 月から 2010 年 2 月までに 当科で診断された食道扁平上皮癌 52 例を対象とし 定量的 RT-PCR 法を用いて血清 中の mir-21 の発現を 炎症のない胆石患者をコントロール群とし 17 例と比較した また 52 例中 32 例で術前化学療法 (docetaxel 5-FU cisplatin) を施行し その中 より 24 例において化学療法前後での血清中の mir-21 の発現の変化を解析した 結 果 mir-16 を対象として 2 臂臂 Ct 法にて mir-21 の発現を検討したところ 食道癌 症例群において mir-21 はコントロール群と比較し発現が有意に高かった (P=0.007) また 化学療法後で血清中の mir-21 の発現は有意に減少していた (P=0.009) 特に化 学療法著効例 (CR/PR 群) では有意に減少しており (P=0.008) 無効例 (SD/PD 群) で は化学療法前後で発現に有意差がなかった (N.S.) まとめ mir-21 は食道扁平上皮癌症例の血清中に有意に高発現しており また化学 療法の効果によりその変化に差があった 血中の microrna の発現の臨床的意義に関 目的:根治的化学放射線療法 (以下 dcrt と略す) の最大の有害事象は血液毒性であ る この血液毒性のため 十分な dcrt が受けられず抗がん効果が得られない患者が いる一方で 何の有害事象もなく治療を終える患者もいる この個人差の原因を探るべ く 白血球機能に関与しているケモカイン CCL2/MCP-1 の遺伝子多型と白血球減少 との関連について また血小板産生を促進するサイトカイン IL-6 の遺伝子多型と血小 板減少との関連について検討した 方法:当院で食道癌に対し dcrt (5-FU/CDDP+60Gy) が行われた 25 例を対象とし た dcrt 施行中あるいは施行後 3 週間の白血球 (好中球) 減少および血小板減少と CCL2/MCP A>G 多型および IL-6-634C>G 多型の関連について検討した 結果:CCL2/MCP G/G 群 (12 例) では A/G A/A 群 (13 例) と比べ Grade3(白 血球<2,000/mm3 ) 以上の白血球減少がみられた者が有意に多かった (G/G 群: 8 名 A/G A/A 群: 2 名 P= Fisher の直接検定) IL-6-634C/G 群 (11 例) では C/C 群 (14 例) と比べ Grade2(血小板<75,000mm3 ) 以上の血小板減少がみられた者が 有意に多かった (C/G 群: 5 名 C/C 群: 0 名 P= Fisher の直接検定) な お CCL2/MCP A>G 多型および IL-6-634C>G 多型とも両群間の患者背景 dcrt 施行前の白血球および血小板数 投与された 5-FU CDDP の総量 放射線線 量に有意差はなかった 結論:食道癌に対する dcrt の血液毒性が患者遺伝子多型 (CCL2/MCP A>G IL-6-634C>G 多型) によって予測可能である してはいまだ解明されていなことも多く さらなる検討が必要ではあるが 新しい腫瘍 マーカーとして用いられる可能性がある 第66回 総会

4 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 575 P1-9 食道癌における IL-32 の発現と臨床病理学的意義の検討 P2-1 肺癌術後異時性食道転移の一例 辺木 文平 1, 石神 純也 1, 青木 雅也 1, 恵 浩一 1, 内門 泰斗 1, 有上 貴明 1, 喜多 芳昭 1, 尾本 至 1, 上野 真一 1, 夏越 祥次 1 藤田 泉 1, 江口 礼紀 1, 吉利 賢治 1, 竹下 信啓 1, 中本 直樹 1, 根本 慧 1, 吉川 達也 1, 由利 樹生 1, 高橋 学 2 1. 鹿児島大学病院消化器外科 1. 東京都保健医療公社荏原病院外科, 2. 東京都保健医療公社荏原病院病理 はじめに:IL-32 は腸管上皮細胞や T リンパ球 NK 細胞 単球などに存在し MAPK や はじめに 転移性食道腫瘍は極めてまれで 肺がんの食道転移の 1 例を経験したの NFκB を経由して IL-1β TNF-α IL-6 IL-8 を誘導する proinflammatory mediator として認識されるようになった. クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患との関 連についてこれまで多く報告されてきた. 近年 肺癌 膵癌などの癌細胞における発現 で報告する 症例 症例は 69 歳男性で 嚥下障害を主訴に紹介受診となった.5 年前 が報告されており 細胞増殖 浸潤等に密接にかかわっていることが示唆されてきてい しており 上部消化管内視鏡検査施行し全周性の狭窄あるものの 粘膜には有意な所見 に肺がん (Stage Ⅳ T4 N0 M1) に対し VATS 施行し その後化学療法 (CDDP gemzar taxol) 放射線療法を施行していた.2009 年 9 月頃より食道の通過障害自覚 る. 更に 予後因子としての有用性を報告する文献も見られるようになってきている. なく経過観察していた. 徐々に症状悪化し 症状出現から約 7 か月後の上部内視鏡検査 一方で 食道癌における IL-32 の発現とその臨床病理学的意義を検討した報告はみら で 粘膜面の変化出現し 生検で adenocarcinoma 陽性であったため 肺癌異時性食 れない. 今回われわれは食道癌における IL-32 の発現と癌の進展に関して免疫組織学的 道転移の疑いで 右開教開腹胸部食道切除胃管再建術施行した. 術中所見では大動脈浸 に検討し その臨床的意義を検討した. 潤あり 剥離面陽性となった. 病理所見では 粘膜下壁全層に adenocarcinoma の浸 対象と方法:1995 年から 2004 年までの 10 年間に 当科において食道癌根治切除手術 潤を認め肺癌食道転移の診断であった. 術後 放射線療法追加し 現在明らかな再発な を施行した食道癌症例 102 例を対象とした.IL-32 の発現および評価はパラフィン包埋 く外来経過観察中である. まとめ 転移性食道腫瘍は乳癌 肺癌原発にみられるが 比 標本を 抗 IL-32 抗体を一次抗体として反応させ 4 でオーバーナイトした後 ABC 較的稀であり また肺癌の食道転移の多くは同時性で高度進行癌の症例に多く 本症例 法で可視化した. 光学顕微鏡を用いて観察し 400 倍視野で陽性細胞が 60% 以上認め の様に切除し得たものは稀で多少の文献的考察を加え報告する. られるものを IL-32 陽性として評価した. 臨床病理学的因子は食道癌取扱い規約に準じ て記載した. 結果:IL-32 の発現は腫瘍細胞質内に認められ その陽性率は 19%(n=19) であった. 深 達度で有意の関連性を認めた (p<0.05). 脈管侵襲 リンパ節転移 術後無再発生存期間 には有意な相関は見られなかったが IL-32 陽性症例の術後生存率は陰性群と比較して 有意に予後不良であった (p<0.05). 結語:食道癌における IL-32 発現は腫瘍の進展と関連し その陽性症例は有意に予後不 良であった. これには腫瘍自身が発現する IL-32 と腫瘍周囲の炎症細胞を巻き込んだ免 疫抑制状態の関連性が示唆された. P1-10 演題取り下げ P2-2 周術期に脳転移による脳ヘルニアを発症した 1 例 高嶋 美佳 1, 池田真由美 1, 三崎万理子 1, 湊 拓也 1, 山本 洋太 1, 古北 由仁 1, 梶浦耕一郎 1, 武知 浩和 1, 清家 純一 1, 丹黒 章 1 1. 徳島大学病院食道 乳腺甲状腺外科 はじめに 食道癌の脳転移は 1 5% 程度と比較的稀である 遠隔転移の検索としての PET/CT 検査は脳病変の描出に必ずしも有用でない為 実際の臨床では詳細な脳転移が検索され ていない場合も多い さらに 化学療法は脳への移行が乏しいことが知られており 原 発巣に対する化学療法が著効した場合にも 潜在的な脳転移巣への治療効果は期待でき ない可能性がある 今回 術前化学療法が奏効したにもかかわらず 周術期に脳転移に よる脳ヘルニアを発症した症例を経験したので報告する 症例 60 歳代男性 嚥下時違和感の増悪を認め近医受診し 上部消化管内視鏡で胸部食道癌 (Mt Ut Lt SCC ct3n2 M0 stage Ⅲ) と診断され 2010 年 4 月当科に紹介された 術前化学療法 (DFP 療法:DOC25mg/m2 +5-FU370mg )/m2 +CDDP10mg/body) を 2 コース施行し PETCT の評価で著効を認めたため 10 月右開胸開腹食道亜全摘 胸骨 後胃管再建 2 領域郭清術施行した 病理学的所見は低分化扁平上皮癌 CT-pT2N2M0 stage Ⅲ 組織学的効果 Grade2 であった 術後経過は良好であったが 第 7 病日頃 よりせん妄と見当識障害が出現した 第 10 病日に意識障害が出現したため頭部 MRI 施行したところ 右後頭葉 側頭葉に最大 38mm 26mm の腫瘤と両側脳実質に複数 の 3 9mm 大の腫瘤を認め 著明な右半球の脳浮腫と左方への midline sift を伴っ ており 転移性脳腫瘍による脳浮腫 脳ヘルニアと診断した 脳浮腫軽減目的にマンニ トール ステロイド投与を行い 全脳照射を開始した 一時的に意識障害は改善した が 第 11 病日に昏睡状態に陥り永眠された 考察とまとめ 周術期に脳転移による脳ヘルニアを発症した 1 例を経験したので報告した 進行食道 癌においては 化学療法著効例でも薬剤移行の乏しい脳組織への転移に対する配慮が必 要であると考えられ 若干の文献的考察を加えて報告する 第66回 総会

5 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 576 P2-5 右側大動脈弓に合併した胸部食道癌の 1 切除例 P2-3 演題取り下げ 水谷 文俊 1, 河野 弘 1, 木村 充志 1, 米山 文彦 1, 木村 桂子 1, 津金 恭司 1, 家田 純郎 1, 小野 桜子 1, 馬場 卓也 1 1. 名古屋掖済会病院外科 症例は 65 歳の男性で 咽頭の違和感と胸部のつかえ感を主訴に当院を受診した. 上部 消化管内視鏡検査で食道癌と診断した. 入院時の胸部単純 X 線検査で右側大動脈弓を 認め 3D-CT で Edwards Ⅲ B-1 型の右側大動脈弓と診断した. 術前の諸検査から右 側大動脈弓に合併した胸部食道癌と診断して 左開胸開腹食道亜全摘術 胸腔内胃管再 建術を施行した. 術中所見では 下行大動脈に大動脈憩室 (Kommerell 憩室) を認め 同部から左鎖骨下動脈が分岐していた. 動脈管索は大動脈憩室と左肺動脈の間の太い索 状物として認められた. また 食道癌の占拠部位はこの大動脈憩室と左動脈管索が食道 を圧排する部位に一致しており 左気管膜様部に浸潤していたため可及的に切除した. 病理組織学的診断は pt1b SM1 15mm 10mm pt4 AI 60mm 35mm Infα pn2 ly1 v0 pim0 多発癌あり ppm0 pdm0 prm1 pstage Ⅳ a であった. 右側大動脈弓を合併 した食道癌の報告例は稀であり 文献的考察を含めて報告する. P2-4 食道癌 下咽頭癌術後 恥骨筋転移 腰方形筋転移を認めた 1 例 高木 弘誠 1, 河本 和幸 1, 伊藤 雅 P2-6 根治的化学放射線療法後 長期経過観察中に発見された再発食道 癌の 2 例 1 1. 倉敷中央病院外科 今北 智則 1 1. がん 感染症センター東京都立駒込病院外科 はじめに 食道癌の骨格筋転移の報告は極めて稀である 今回我々は 食道癌 下咽 頭癌術後に発生した右恥骨筋転移 左腰方形筋転移の 1 例を経験したので 若干の文 献的考察を加えて報告する 症例 40 歳女性 胸部痛の精査で胸部上部食道癌 下咽頭癌と診断し 術前化学 療法として 5-FU/CDDP 療法 1 クール施行後 2009 年 3 月に下咽頭喉頭食道摘 出 両頚部郭清 胃管再建 気管切開術を施行した 病理結果は食道癌 squamous cell carcinoma(scc) poorly differentiated T3N0M0 stage Ⅱ A 下咽頭癌 SCC moderately differentiated T1N2bM0 stage Ⅳ A の診断となった 術後経過観察を 行っていたが 2010 年 9 月より右恥骨部痛出現 PET-CT にて右恥骨筋転移 左腰方 形筋転移 肺転移 縦隔リンパ節転移を認め 診断ならびに QOL 改善目的に右恥骨筋 転移切除術を施行した 病理結果は SCC poorly differentiated であり 食道癌の 組織と形態的類似性を認めた 第66回 総会 症例 1 :68 歳男性.2006 年 3 月に頚部食道癌に対し他院で 根治的放射線化学療法 (High Dose FP 療法 2 コース RT70Gy) を施行し CR と診断され経過観察されてい た.2009 年 1 月に胸部不快感を主訴に近医受診し 上部消化管内視鏡検査で頚部食道癌 が疑われ 当科紹介受診となった. 当科での上部消化管内視鏡検査では切歯列 19-21cm に CRT 後の瘢痕とそれに伴う狭窄を認め 狭窄部の肛門側になだらかな周堤隆起を 認め 生検で扁平上皮癌が検出された.CT では明らかなリンパ節腫大 遠隔転移も認 めず 精査の結果 頚部食道癌 Ce CT-RT 3 型 T2N0M0 Stage II と診断した. ご本人 の希望が強く 全身化学療法として FAP2 コースを施行したが 治療効果は SD であ り 狭窄症状は改善しなかったため 2009 年 9 月に非開胸食道亜全摘 胸骨後胃管再 建術を施行した. 手術時間 2 時間 53 分 出血量 130g 術後合併症なく術後 20 日目 に退院となった. 病理診断では moderately differentiated squamous cell carcinoma pt3n0m0 Stage II であり 術後 1 年が経過するが無再発生存中である. 症例 2 :70 歳男性.2002 年に進行食道癌に対し他院で 根治的化学放射線療法後 (High Dose FP 療法 2 コース RT 60Gy) を施行し CR と診断され経過観察され ていた.2010 年 4 月に胸部不快感を主訴に近医受診し 上部消化管内視鏡検査で食道 癌の再発が疑われ 当科紹介受診となった. 当院での上部消化管内視鏡検査で切歯列 25-28cm に亜全周性の潰瘍性病変と その周囲に CRT 後の瘢痕を認めた. 生検では扁 平上皮癌を認め CT では No. 107 のリンパ節腫大を認めたが 明らかな遠隔転移は 認めなかった. 胸部食道癌 Ut RT-5b T3N1M0 Stage III と診断し 全身化学療法とし て FAP 療法を 2 コース施行した. 治療効果は SD であり 2010 年 10 月開胸開腹食 道亜全摘 胸骨後胃管再建術を施行した. 術後乳び胸の治療に難渋し 現在入院し 保存的加療中である. まとめ 進行食道癌に対する根治的化学放射線療法 (CRT) で 40-60% の症例で局所 の完全寛解が得られるようになったが CR 例も約半数が再発し その再発症例は 2 年 以内に発症することがほとんどである. 今回我々は根治的 CRT 後 CR を得たが長期 経過観察中に再発を来した症例を経験したので 若干の文献的考察を加え報告する.

6 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P2-7 放射線の関与が疑われた食道癌の 2 例 二宮 卓之 1, 三浦 昭順 1, 了徳寺大郎 1, 加藤 剛 1, 出江 洋介 577 P2-9 食道癌術後の胃管気管瘻に対する治療の工夫 1 1. がん 感染症センター東京都立駒込病院外科 小林 慎 1, 秋山 有史 1, 舩渡 治 1, 高金 明典 1, 入野田 崇 1, 目黒 英二 1, 菅野 将史 1 1. 函館厚生院函館五稜郭病院外科 症例 1:61 歳女性 19 年前に左乳癌で乳房切除術と術後に左前胸壁に計 50Gy の放射 線照射歴がある. 飲酒歴 喫煙歴はない.2009 年 8 月に胸部痛を主訴に近医受診 精査 目的 食道胃管吻合部近傍に発生する気管瘻は 一度発生すると治療に難渋する 経 の結果 頚部食道癌 CeUt Type3 T4(椎体)N0M0 StageIVa と診断した. 化学療法を施 口摂取の制限と胃酸による気管支炎や肺炎を併発し 患者への負担も大きい しかし 行後 原発巣に対し PR が得られたため 2010 年 10 月に非開胸食道亜全摘 後縦隔胃 再手術も難しいため 保存的治療や内視鏡的処置に頼らざるを得ないのが現状である 管再建術を施行した. 切除標本では 頚部食道に 0-IIc 型病変を認め 深達度は T1a-EP 当科ではこれまで 2 例 (3 領域郭清 後縦隔経路挙上胃管の頸部手縫い吻合) の気管瘻 であった. 病理検査では放射線照射範囲に一致した部位に食道壁の強い線維化を伴って おり 病変はこの放射線の影響と思われる線維化を伴った食道壁内に発生した病変で を内視鏡的にそれぞれ異なる方法を用い治療を試みたので報告する 方法と成績 1) アルゴンプラズマ凝固装置 (APC) による粘膜焼灼法:61 歳 男性 術 あった. 後 14 日目に退院 その約 1 ヶ月後に胃管気管瘻を形成 瘻孔は頸部食道胃管吻合部 症例 2:71 歳男性 11 年前に甲状腺癌の既往があり甲状腺全摘術と術後頚部に計 40Gy の肛門側に位置し 内視鏡的クリッピングによる閉鎖を数回にわたり試みた 肉芽形成 の放射線照射歴がある. 甲状腺癌の再発は認めていない.2006 年 9 月に胸痛を主訴に近 によりある程度瘻孔は縮小傾向となったものの瘻孔周囲が瘢痕化し 追加のクリッピが 医受診. 精査の結果 食道癌 CeUt type0-iic T1aN0M0 Stage0 と診断された. 喉頭を 不能となった そこで 瘻孔周囲粘膜を APC で焼灼したところ 急速に肉芽増殖が起 温存するため頚部食道の病変は内視鏡的粘膜切除を行った後 2007 年 3 月に開胸開腹 こり 瘻孔閉鎖に至った 2) 胃管粘膜切開によるフラップ閉鎖法:49 歳 女性 術後 13 食道亜全摘 2 領域郭清 胸骨後経路胃管再建術を施行した. 切除標本は胸部上部食道 日目で退院するも その一週間後に頸部食道胃管吻合部の肛門側の胃管と気管膜様部に から頚部食道にかけて放射線照射の影響と思われる線維化で食道壁の肥厚が目立ち 原 瘻孔形成 内視鏡的クリッピングを試みるが 粘膜面がスリップし単純閉鎖は不能 そ 発巣は強い線維化を背景とした食道壁から発生した扁平上皮癌であった. 病理検査では こで 瘻孔周囲胃管粘膜下層に生食を注入し粘膜挙上し IT ナイフで切開線を入れフ Squamouscell carcinoma type0-2c T1a-MM N0 ly0 v0 IM0 Stage0 であった. まとめ:放射線誘発癌の定義は 酒井らによると第 2 癌が第 1 癌から 5 年以上経過し て発生し 第 2 癌の発生部位が照射野内であり かつ第 1 癌と違う組織型の場合に確 信度が最も高い A-1 とされている. 本 2 症例は放射線照射から 5 年以上経過後の照射 ラップ状としてからクリッピングを施行 これにより瘻孔を閉鎖することに成功した 範囲内に発生した食道癌であることから放射線誘発癌の定義に当てはまり また 病理 く 虚血性変化や静脈うっ血に弱いと考えられるため 本法は安全性に問題がある 今 組織学的にも放射線の影響によると思われる強い線維化が認められる食道壁内に発生し 回の発表では 気管瘻に対する当科の工夫を紹介する また 当科では気管瘻発症の誘因が胃管作成時のステープルの露出であると考え 自動 縫合器ラインの漿膜漿膜縫合に加え 大網を胃管に巻き付けることでステープルライン を被覆する方法を 4 例に試みた しかし 伸展された大網は血流が不安定となりやす た食道癌であった. 今回 われわれは放射線照射が発生に関与したと考えられる食道癌 2 例を経験したので 診断 治療上の問題点も加えて報告する. P2-8 食道癌 ESD 後リンパ節再発 肺転移再発に対し 2 度の Salvage P2-10 食道憩室に伴う良性食道気管支瘻の 1 手術例 手術を施行した一例 宇野 雄祐 1, 小谷 勝祥 1, 山﨑由紀子 1, 佐藤 太一 1, 鈴木 和志 園田 寛道 1, 下村 克己 1, 糸川 嘉樹 1, 池田 純 2, 谷口 史洋 1, 上島 康生 1, 高階謙一郎 2, 塩飽 保博 1 1. 京都第一赤十字病院外科, 2. 京都第一赤十字病院救急部 1 1. 大同病院外科 成人における食道気管支瘻は比較的稀である. 多くは食道癌や肺癌などの悪性腫瘍に続 発し 悪性疾患を伴わない食道気管支瘻は更に稀である. 今回われわれは 食道憩室に 食道癌診断 治療ガイドライン 2007 年版には食道癌 ESD 後に深達度 MM SM1 と 伴う良性食道気管支瘻の 1 手術例を経験したので報告する. 症例は 73 歳 男性.2 週間 診断された症例に対する追加治療の要否についての明確な記載はなく 実臨床において 持続する咳と右側胸部痛のために近医を受診したところ 肺癌を疑われ 精査加療目的 治療戦略に非常に悩むところである 今回我々は胸部食道癌 ESD 後に胃噴門部リンパ で当院へ紹介された. 胸部 CT からは 右 S6 の陳旧性炎症を伴う無気肺と診断した. 節再発 肺転移再発を来たし 2 度の Salvage 手術を施行した一例を経験したので報 気管支鏡検査では肺癌の合併は否定的であり 腫瘍マーカーも正常範囲内であった.CT 告する 症例は 69 歳男性 6 年前に胸部中部食道に 1/3 周性の 0-Ⅱ a 型早期食道癌 で胸部食道が右側へ偏位していること 飲水時の咳きこみがあることから食道病変を疑 に対し内視鏡下粘膜下層切開剥離術 (ESD) を当院消化器科にて施行した 病理組織診 い 上部消化管内視鏡検査を施行した結果 胸部中部食道の憩室様突出と その中心の 断では 腫瘍最大径 32mm 深達度 MM であった HM0 VM0 ly0 v0 であった 小孔が確認された. 腫瘍性病変はみられなかった. 消化管造影検査では 胸部中部食道 ため術後追加治療は行わず経過観察となった ESD より 1 年 9 ヶ月後に胃噴門部リ に憩室を認め 憩室の頂部から気管への造影剤の流出がみられ 良性食道気管支瘻と診 ンパ節再発をきたしため手術を行った リンパ節は胃と一塊となっており リンパ節郭 断した. 絶食のうえ経腸栄養により栄養改善を行ったのちに 手術を施行した. 右第 5 清のみを行うことは困難であり 胸腹部食道切除 2 領域リンパ節郭清 胸腔内胃管再 肋骨床で開胸し 胸腔内全体の癒着を剥離した. 食道 右迷走神経 および右気管支動 建術を施行した 術後補助化学療法として FP 療法を計 3 クール行った 術後 4 年 脈をテーピングし 食道と肺の癒着部を確認した. 癒着部内から食道憩室と瘻孔を合わ 2 ヶ月 (ESD 後 6 年 1 ヶ月) に右肺 S10 に単発転移を認めたため 放射線治療 (トモ セラピー) を計 60Gy 行った 放射線治療は奏功せず 他に新たな病変の出現もみら れなかったため 術後 4 年 10 ヶ月 (ESD 後 6 年 9 ヶ月) に手術 (胸腔鏡下右肺部分 切除術) を施行した 切除標本における放射線治療の組織学的効果判定は Grade 1a で せて露出 テーピングした. 自動縫合器を用いて 食道側で憩室を切離し ついで肺側 あった 術後経過は良好であり 現在は外来にて化学療法なく経過観察中である 考 おり 悪性所見は認められなかった. 本症例では 2 歳時に肺炎の既往があることから 察 深達度 MM SM1 では 10-15% にリンパ節転移の可能性があるため リンパ節 食道が炎症に引き込まれたために憩室を形成し さらに瘻孔を生じたと推測した. で瘻孔を切離した. 術中上部消化管内視鏡検査および気管支鏡検査で異常のないことを 確認し 手術を終えた. 術後経過は良好で 術後の消化管造影検査と胸部 CT では 食 道は正常位置に復していた. 病理組織学的に 摘出した瘻孔は炎症性肉芽で形成されて 郭清を伴う外科手術が必要であるという意見がある一方 大多数を占める転移陰性例に 対する手術の過大侵襲を避けるため 転移リスクの低い脈管侵襲陰性例には経過観察で 良いという意見もあり 治療方針の統一はなされていない しかし 本症例のように脈 管侵襲陰性であっても ESD 後 6 年以上経過して再発する例がある 近年 手術 周 術期管理の進歩から食道癌手術の安全性は高まっており MM 以深の食道癌に対する 基本的な治療方針はリンパ節郭清を伴う外科手術とするべきではないかと考えられた 結語 食道癌に対する ESD の適応を考える上で貴重な症例であると考えられた 第66回 総会

7 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P3-1 胸部食道癌手術における機械的腸管前処置の妥当性についての 578 P3-3 食道切除後胃管気管支瘻の外科治療 検討 古角祐司郎 1, 佐藤 弘 1, 坪佐 恭宏 1 1. 静岡県立静岡がんセンター食道外科 佐々木賢一 1, 久木田和磨 1, 植木 知身 1, 河野 剛 1, 朝倉 光司 2, 木村 希望 3, 澁谷 均 1 1. 市立室蘭総合病院外科, 2. 市立室蘭総合病院耳鼻咽喉科, 3. 市立室蘭総合病院心臓 血管外科 背景 本邦で胸部食道癌手術を行っている主要施設において 術前日からの強力な下 剤投与や浣腸などの機械的腸管前処置 (Mechanical Bowel Preparation:MBP) はルー はじめに 胃管による食道再建を後縦隔経路で施行した際の稀な合併症として胃管気 チンに行われていることが多いが その科学的根拠は乏しい 一方で MBP は患者に 管支瘻が知られている 肺炎が重症化し呼吸不全となりうる重篤な合併症である フィ とってやや負担が大きく 体内の水 電解質バランスを崩したり 脱水や腹痛の原因と ブリン糊やヒストアクリルの瘻孔注入などの非手術治療の成功例の報告もあるが いず なったり また稀ながら腸管穿孔の危険性も報告されている 目的 胸部食道癌手術 れも瘻孔が小さい場合であり 瘻孔がある程度の大きさになると外科治療が必要であ における機械的腸管前処置の妥当性について検討する 対象 方法 当院にて 2005 る 症例 今回われわれは 再建胃管虚血に起因する胃管気管支瘻に対して 食道癌 年 1 月から 2009 年 12 月の間に手術を行った胸部食道癌手術症例 160 例中 術前輸 液を施行したもの 再建臓器に結腸を使用したもの データ不備のあるものを除外した 59 例 当院では以前は食道癌手術症例全例に対してヒマシ油を用いた MBP を施行し ていたが 2008 年 5 月より MBP を廃止した. 食事は MBP 施行群では前日昼までは 常食で夕食は流動食とし MBP 非施行群では前日の夕食は常食から 5 分粥とした 両 群ともに前日 21 時以降は禁飲食とした MBP 施行群 (N=32) MBP 非施行群 (=27) の 2 群に分けて以下の項目について検討した 体重変化量 (入院時体重-手術当日体 重) 術中便失禁の有無 術後初回排便 術後合併症 結果 2 群間において患者背景 (年齢 性別 術前アルブミン値 術前クレアチニン値 入院時体重 BMI) に有意差な し 両群において術当日体重は入院時体重に比べて有意に減少していた (P<0.05) ま た MBP 施行群は MBP 非施行群より体重減少幅は大きかった (MBP 施行 vs MBP 非 施行:-1.1 vs -0.8kg P<0.05) 両群ともに術中便失禁は認めなかった MBP 非施行群 の方が術後初回排便は早かった (MBP 施行 vs MBP 非施行:6 vs 4 病日 P<0.05) 術 後合併症に有意差を認めなかった (MBP 施行 vs MBP 非施行:全合併症 60% vs 63% 腹部合併症 6.7% vs 7.4% p>0.5) 結語 MBP を施行することにより潜在的な脱水 根治術 4 週後に有茎大胸筋弁補填による気管支瘻孔閉鎖術 胃管全摘兼頸部食道瘻造 設術を施行し 良好な経過が得られた症例を経験した 症例は 70 歳男性 Lt-Ae の 食道癌に対して 右開胸腹腔鏡下食道中下部切除 胸腔内食道胃管吻合 胸腹 2 領域 郭清術を施行 術後早期の経過は良好で縫合不全もなく第 6 病日より食事を開始して いたが 第 14 病日に一時的に窒息様の呼吸困難となった その後喀痰排出が多くなり 難治性肺炎へと進展した 第 22 病日に 64 列 MD-CT による virtual bronchoscopy で本症を疑い 気管支鏡検査で右主気管支背側に 10 7 mm の瘻孔を確認し本症と診 断し 手術適応と判断した 肺炎治療後の第 28 病日に PCPS(経皮的心配補助装置) を stand-by し クラッシュ挿管分離左肺換気下に上述の胃管気管支瘻根治術を施行し た PCPS は使用することなく手術は終了し 術直後に抜管 自発呼吸管理とした 経 腸栄養による栄養療法施行後の第 57 病日に胸壁前経路で回結腸再建による食道再建術 を施行した 前胸部の皮膚潰瘍を併発したが保存的に軽快し 第 97 病日に自宅退院し た 考察 本症の外科治療の要点は 胃管 気管支の各修復部に筋弁などを介在させ 隔絶することである 右開胸胃管再建の食道切除後では 広背筋 大網は使用し得ず 有茎大胸筋弁や有茎肋間筋弁が用いられる また 胃管虚血が原因の場合は われわれ の経験した症例のように胃管全摘を余儀なくされ 二期的食道再建術を要する 本症の 傾向をきたしやすい可能性が示唆された 術後合併症の頻度に差を認めないことから 多くは肺炎を併発しており 術中分離肺換気時の低酸素血症が問題になる他 気道の瘻 も 胸部食道癌手術においてルーチンの機械的腸管前処置は必要ないと思われた 孔部位によっては 分離肺換気そのものが困難な場合も想定される よって手術に際し ては PCPS など酸素化装置の stand-by も重要である 術後は気道修復部位の安静の ために 陽圧換気は避けるべきであり 自発呼吸管理が望ましい なお 本症の診断 は 非侵襲的な MD-CT による virtual bronchoscopy で疑い 気管支鏡検査で瘻孔 を確認すると良い P3-2 食道癌術後縫合不全に対し T チューブ挿入により保存的に軽快し た1例 P3-4 食道癌術後乳び胸および乳び腹水に酢酸オクトレオチド皮下持続 投与が有効であった 2 例 二渡 信江 1, 田島 弘 1, 久保 任史 1, 白石 廣照 1, 近藤 康史 1, 高橋 禎人 1, 西 八嗣 1, 八十川要平 1 西村 真樹 1, 柳澤 真司 1, 海保 隆 1, 外川 明 1, 新村 兼康 1, 岡本 亮 1, 小林 壮一 1, 土屋 俊一 1 1. 北里大学北里研究所メディカルセンター病院外科 1. 君津中央病院外科 症例は 59 歳 男性 平成 22 年 5 月頃より 心窩部痛 背部痛出現し前医受診 症例 1 70 歳 男性 現病歴 平成 21 年胃がん検診で噴門部に腫瘤を指摘されたた した 食道癌と診断され 6 月当院紹介受診となった LtMt の Type2 ct3n1m0 め 10 月当院消化器科を受診 上部消化管内視鏡検査にて食道胃接合部および胸部中 cstage Ⅲの診断で 術前化学療法として FP 療法 (5FU 800mg/m2 :day1-5 CDDP 80mg/m2 :day1) を 2 コース施行した 2 コース終了後の評価は PD であった 8 月 右開胸食道亜全摘 2 領域リンパ節郭清 胸骨後胃管再建 腸瘻造設術施行した 術後 4 日目に 頚部発赤 発熱を認め 縫合不全と診断し頚部創を開放してドレナージを 行った その後も発熱 炎症反応高値が続き 術後 6 日目に 胸部 CT 検査で吻合部周 囲の胃管の虚血が疑われた 術後 9 日目 頚部開放創より胃管壊死を認めたため 胃 管の壊死部分を切除した 口側の食道は虚血もなく 食道粘膜が確認できた 術後 10 部食道に病変を認め 生検結果はどちらも扁平上皮癌の診断であった 平成 22 年 1 月手術施行 (胸部中部および腹部食道癌の診断で右開胸開腹食道亜全摘 +3 領域郭清 + 後縦隔胃管再建) 術後経過 第 2 病日から経腸栄養を開始 右胸腔ドレーンの排液 量は ml と多めであったが漿液性であった 術後左反回神経麻痺のために 嚥下評価および試験食摂取で経腸栄養を 2 日間を中断 その後経腸栄養を再開したと ころ右胸腔ドレーンから乳び胸水の排出を認めたため 経腸栄養中止し中心静脈栄養開 始 また酢酸オクトレオチド 300µg/日の持続皮下注入を開始 開始後より速やかに排 日目 頚部の開放創より内視鏡を施行すると 食道胃管吻合部は後壁のみ粘膜の連続を 液量の減少を認め 10 日間の注入後から経口摂取を開始 一時的に排液の増加は認め 認め 約 3/4 周性の縫合不全を認めた また肛門側では 胃管の前壁側の虚血範囲は たが正常は漿液性であったためドレーンを抜去 その後も症状なく 胸部単純レントゲ 2cm 続き それより肛門側では虚血性変化のない胃管を確認できた 胃管と食道の内 腔が確認できたことから 透視下に食道側 3cm 胃管側 8cm に 10mm の T チューブ 症例 2 62 歳 男性 現病歴 平成 21 年 10 月検診で便潜血陽性となり 上部消化管 ン上胸水の貯留を認めず 第 38 病日に退院となった を挿入し 周囲にドレナージ用のペンローズドレーンを留置した 頚部創の感染を認め 内視鏡検査にて胸部中上部食道に 3 型腫瘍を認め 生検で扁平上皮癌の診断であった たため T チューブは間欠的に吸引を行った その後 経腸栄養剤で栄養管理を行い 術前化学療法 FP2 クール施行後 平成 22 年 1 月手術施行 (右開胸開腹食道亜全摘 +3 創傷治癒を促した 頚部の開放創も縮小し 術後 53 日目に 経口より内視鏡を施行す ると 吻合部の虚血は認められず T チューブ挿入部以外の粘膜に虚血性変化を認めな 領域郭清 + 後縦隔胃管再建) 術後経過 第 2 病日から経腸栄養を開始 第 6 病日に経腸栄養開始後に腹部膨満の かった 術後 65 日目に T チューブを抜去した 術後 87 日目に 上部消化管造影を 訴えがあり 第 7 病日に突然両側下腿浮腫を認めた 第 8 病日にエコー下腹腔穿刺に 行い T チューブ抜去部も完全に閉鎖したため 術後 88 日目より経口摂取を開始した て乳び腹水を認めドレナージを開始 中心静脈栄養管理とし 第 15 病日から酢酸オク 食道胃管吻合術後の術後 3/4 周性に及ぶ縫合不全 2cm の胃管虚血に対し T チュー トレオチド 300µg/日の持続皮下注入を開始 翌日より著明な腹水量の減少を認め 第 ブ挿入と栄養管理により保存的に縫合不全を治癒した 1 例を経験したので 報告する 16 病日腹部ドレーンを抜去 第 23 病日から経口摂取を開始 腹部精査にて腹水の増 量見られず 第 33 病日に退院となった 文献的考察を加え報告する 第66回 総会

8 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P3-5 食道癌術後再建腸管狭窄に対して血管吻合を伴う有茎空腸再建を 施行した 1 例 藤森 芳郎 1, 横山 賢司 1, 高須 香吏 1, 篠原 剛 1, 山田 博之 1, 山岸喜代文 1, 西村 博行 1, 大井 啓司 2, 吉田 哲矢 P3-7 腹臥位食道癌切除の有用性と問題点 嶋田 裕 1, 奥村 知之 1, 堀 亮太 1, 吉岡 伊作 1, 澤田 成朗 1, 松井 恒志 1, 吉田 徹 1, 長田 拓哉 1, 魚谷 英之 1, 塚田 一博 1 1. 富山大学大学院消化器 腫瘍 総合外科学 1.JA 長野厚生連北信総合病院外科, 2.JA 長野厚生連北信総合病院心血管外科 <目的> 症例は 74 歳女性 既往歴に気管支喘息あり 現病歴は 2007 年 4 月に胸部中部食道 我々はこれまで数百例の食道切除術を経て小開胸併用胸腔鏡補助下食道切除を行って 癌 胃体上部小弯高分化腺癌 胃前庭部腺腫に対して経食道裂孔食道 胃亜全摘 有茎 きたが 半腹臥位および左側臥位と腹臥位を併用するハイブリッド手術を経て 右結腸後縦隔経路頸部吻合再建を施行した 術後軽度の縫合不全と再建終末回腸の虚血 月以降 10 例に鏡視下腹臥位食道切除を導入したので 導入以前の術式と比較した治療 狭窄が発生した 2010 年 9 月まで計 50 回のブジー拡張を繰り返して来たが限界と判 成績と問題点を明らかとすることを目的とした. 断された 2010 年 9 月に胸骨前経路頸部吻合有茎空腸再建を施行した なお空腸動静 <方法> 2008 年 3 月以降の左側臥位小開胸併用胸部食道癌 25 例 (以下小開胸) 左側臥位腹臥 位併用 (以下ハイブリッド) 食道切除 3 例 腹臥位食道切除 10 例を対象とした. ハイ ブリッド術式では左側臥位で上中縦隔郭清を行い 下縦隔操作を半腹臥位で行った. 腹 臥位では右手挙上左手体側で第 肋間に 4 ポートを挿入し 操作性に応じ追 加ポートを挿入した. 挿管 tube は腹臥位 1 例目では doublelumen tube を使用した が腹臥位 2 例目以降ではすべて singlelumen tube にブロッカーを挿入した. 腹臥位 10 例中 9 例で術前に腹臥位 CT を撮影し 体位やポート位置の参考とした. <結果> 胸部操作時間は小開胸 ハイブリッド 腹臥位でそれぞれ 269 分 321 分 286 分で あった. 胸部出血量は 327ml 230ml 27ml で 胸部リンパ節郭清個数は 20 個 19 個 18 個であった. 胸部操作時間 郭清リンパ節個数には各術式で差を認めなかった が 出血量は腹臥位で有意に減少した. 胸部操作に 7 時間を要した症例で 術後の腹臥 位 CT で縦隔の移動性が悪かったことが推察された. 胸部操作に伴う術後合併症は全例 で呼吸不全はなく小開胸群で肺炎 1 例 無気肺 4 例 反回神経麻痺 2 例 心房細動 1 例を認めたが ハイブリッドでは 0 例 腹臥位では肺炎 1 例 反回神経麻痺 1 例 膿胸 1 例であった. 平均抜管時期は小開胸 0.9 日 ハイブリッドで 1.3 日であったが 腹臥位では 0.5 日と 5 例で手術場での抜管が可能であった. <考察> 脈 (J2 静脈と J3 動脈) は右内胸動静脈と吻合を行った 術後経過は順調で吻合部の合 併症は認めていない 血管吻合再建は血管外科等の専門医師が存在すれば比較的短時間で安全に施行可能であ り 本術式は再建腸管の虚血鬱血循環不全が危惧される症例には積極的に考慮してよい 術式と判断された 腹臥位食道切除は左側臥位食道切除に比し 手術時間の延長やリンパ節郭清個数低下を 来さずに 明らかに出血量の減少が得られ 呼吸管理の必要性が低下する. 術前腹臥位 CT は縦隔の移動性の確認 ポート挿入部位の予測に有用である. 現時点では大きな問 題点は認められていないことから 今後も継続して施行可能な術式であると考えられる. P3-6 悪性高熱を併発した高齢者食道癌の 1 例 P3-8 高齢者食道癌手術の問題点 周術期合併症を中心に 平岩 訓彦 1, 小野 滋司 2, 渋谷慎太郎 2, 壁島 康郎 1, 川久保博文 1, 市東 昌也 3, 掛札 敏裕 2, 大森 泰 1 木村 昌弘 1, 桑原 義之 1, 三井 章 1, 石黒 秀行 1, 小川 了 1, 塩崎みどり 1, 舟橋 整 1, 若杉 健弘 1, 竹山 廣光 1 1. 川崎市立川崎病院外科, 2. 川崎市立川崎病院血管外科, 3. 川崎市立川崎病院消化器 1. 名古屋市立大学大学院消化器外科学分野 外科 高齢者人口の増加に伴い 消化器外科手術症例の年齢層も高齢化している 医療技術 目的 食道癌根治切除術中に悪性高熱を併発し ダントロレン投与にて治療しえた高 周術期管理の進歩により 手術治療も安全に行われるようになり 年齢や術前合併症に 齢者の 1 例を報告する. よる手術適応の制限も少なくなってきている 食道癌においても例外ではなく 手術適 対象と方法 症例は 82 歳男性. 食道癌 (T1bN0M0 StageI) に対して胸腔鏡補助下胸 部食道全摘予定となった. 応症例も拡大しつつある 食道癌のリスクファクターである飲酒 喫煙により術前合併 症を有する症例も多く さらに高齢者においては加齢による臓器予備能の低下は軽視で 結果 プロポフォール 塩化スキサメトニウムで導入後 酸素-空気-セボフルランと きない 今回われわれは 食道癌症例にいて年齢による術前有合併症率の差 年齢およ 硬膜外麻酔で維持された. 手術開始 3 時間後頃から ETCO2 の上昇があったが 気管内 び合併症別の術式の選択 術後合併症の発生率につき検討した 1989 年から 2009 年 分泌物の吸引にて経過観察となった. 約 1 時間後 体温が 39 を超え 急激な体温上 の食道癌患者 405 例のうち 手術を施行した 341 例 (34 歳から 82 歳) を対象とし 昇を認めため悪性高熱症を疑い 吸入麻酔薬を中止とし ダントロレン投与を開始し た 70 歳以上を高齢者群 (A 群) とし 69 歳以下を B 群とした A 群 82 例 (男:女 た. 体温は最高で 40.9 まで上昇したのちに解熱した. 手術については 切除は一旦中 =63:19) B 群 259 例 (男:女=219:40) であった 対象から除外した非手術例は 64 例 あり これを年齢別にみると A 群 27 例 B 群 37 例と 手術症例よりも有意に高齢 者が多かった 術前有合併症率は A 群:79% B 群:47% と有意差を認めた A 群にお 止とし 胸壁前経路胃管再建のみ行い終了とした. 血液検査では GOT 197IU/L GPT 82IU/L LDH 525IU/L CPK 13890IU/L と異常値を認めた. 翌日 悪性高熱の再燃な どがないことを確認して胸腔鏡補助下胸部食道全摘を行った. 以後の治療経過は良好で あり 術後 5 年を経過し 無再発生存中である. 考察 悪性高熱は若年男性で多くみられ 80 歳以上の高齢者の報告はほとんどない. 悪性高熱は早期に治療された場合の予後は良好と報告されている. 本症例では発熱 ETCO2 上昇を認めてから悪性高熱を疑い治療を開始するまでに時間がかかったが 治 療経過は良好であった. ら 術前合併症保有率は年齢とともに増加するものの 高齢者においても比較的安全に 結語 食道癌根治切除術中に悪性高熱を併発し ダントロレン投与にて治療しえた高 食道癌手術を施行できることが明らかになった しかし 感染を中心とした重篤な合併 齢者の 1 例を経験した. 高齢者においても体温 ETCO2 の上昇を認めたときには悪性 症を併発すると 高齢者においては容易に他臓器不全に陥り 集中管理を要する 食道 高熱を疑う必要があり 適切な治療にて食道癌についても長期生存を得ることが可能で 癌は高齢者であっても根治手術を行う場合 手術侵襲を小さくすることは比較的困難な あった. 疾患である 我々は 高齢者や術前合併症を有する症例においては 合併症を含めた術 いてその半数は複数の合併症を有していた 進行度 郭清領域 再建経路 術中出血量 においては両群に差を認めなかったが A 群において手術時間が有意に短かった 合 併症の種類に関しては 術前術後ともに循環器系の合併症が A 群で有意に多かった 縫合不全 肺炎などを契機に重篤な術後合併症をきたし 集中管理を要した症例は A 群:16(20%) B 群:27(10%) と有意差はないものの高齢者群で多かった 今回の検討か 前における全身状態を十分に把握し 術前に可能な限りこれらを立て直すことにより周 術期合併症の発生を少なく出来るものと考えている 他科および他職種の協力を得て 術前の栄養状態を含めた全身状態を可能な限り改善し より安全な周術期管理を目指し ている 第66回 総会

9 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P3-9 腹部食道良性疾患手術後胃排出障害に対する半夏瀉心湯の使用 580 P4-1 術前化学療法を併用した樹状細胞局所投与臨床試験 経験 谷口 英治 1, 吉川 正人 1, 太田喜久子 1, 濵田 哲宏 1, 森山 裕熙 1, 大橋 秀一 1 1. 健保連大阪中央病院外科 はじめに 近年 腹腔鏡下手術の普及により食道裂孔ヘルニアや食道アカラシアなど の腹部食道良性疾患に対する外科治療が施行される機会が増加している これらの手術 藤原 進一 1, 和田 尚 1, 宮田 博志 1, 山崎 誠 1, 中島 清一 1, 瀧口 修司 1, 藤原 義之 1, 森 正樹 1, 土岐祐一郎 1 1. 大阪大学大学院大阪大学消化器外科 (背景) 我々はリンパ節転移を伴う進行食道癌に対して術前 FAP 療法を併用することに より良好な治療成績を得ている. しかし 約半数の非奏功例に対しては さらなる治療 法の開発が求められている. 今回我々は 化学療法の影響を受けた腫瘍細胞の抗原情報 の術後合併症として胃排出障害があり 治療に難渋することも少なくない 一方 半夏 の免疫系に対する伝達促進と それに伴う抗腫瘍免疫の賦活促進を目的として 樹状細 瀉心湯 (以下本剤) は 外科医にとって化学療法の副作用である口内炎や下痢に対する 胞の腫瘍内投与を化学療法に併用する免疫化学療法を考案し 臨床試験を開始した. 治療薬として知られているが 胃排出促進作用を有する胃腸薬としての効能も有してい (対象と方法) リンパ節転移が疑われる食道癌患者の術前化学療法に RI 標識 (InOxine) をした自己樹状細胞の腫瘍内投与を併用することによる安全性及び臨床効果を 評価する. 同時に 投与した樹状細胞の体内動態をシンチグラフィーにて観察する. 樹 状細胞は あらかじめアフェレーシスにて回収した単核球成分より G-CSF IL-4 およ び OK432 PGE2 IFNa にて成熟誘導後 In-Oxine を用いた RI 標識を行い FAP 療法 1 クール 3 日目に原発腫瘍内に内視鏡下に投与する.FAP1 クール及び 2 クール 終了後 CT にて臨床効果を評価した後 根治手術を行う. (結果) 現在までに 5 例が本臨床試験に参加し 全ての症例において重篤な有害事象は 認めなかった. 投与 24 時間後のシンチグラフィーでは すべての症例で投与した原発 る 今回 腹部食道疾患手術後の胃排出障害に対して本剤を内服させたところ著効を示 した症例を経験したので報告する 症例 2009 年 1 月以降に腹腔鏡下手術を施行した腹部食道良性疾患のうち 胃排出 障害を来して本剤を処方した 6 例 胃排出障害としては 食後に胃部膨満感を訴え 朝食前の経口胃透視にて前夜までの食物残渣貯留を認めた症例とした 疾患の内訳は 食道裂孔ヘルニア 3 例 (Nissen 法 2 例 Dor 法 1 例) 食道アカラシア 3 例 (全例 Heller+Dor 法) であり 全例迷走神経後幹は温存されており 食道アカラシア 2 例は 迷走神経前幹を術中に切離されていた 手術から本剤処方までの期間は 3 日 12 ヵ 月で 本剤処方までの間に 3 例は六君子湯 4 例はガスモチン (重複を含む) の処方 を受けていたが胃排出障害の改善を認めなかった 腫瘍内のみにシンチの集積が認められたが 所属リンパ節などへの移行は観察できな かった. 樹状細胞の培養中に添加した KLH に対する DTH 反応は 3 例において認め 結果 本剤内服開始後 1 3 日目に全例胃部膨満症状は改善した 経口胃透視によ た.5 症例全ての症例において FAP 術前化学療法に上乗せするような明らかな臨床効果 る食物残渣貯留も著減ないし消失した 副作用としては 1 例に下腿浮腫が出現し 偽 は認められなかった. (結語) リンパ節転移が疑われる進行食道癌に対して自己樹状細胞 性アルドステロン症の発症を疑い内服を中止した 浮腫はただちに改善した の主腫瘍内投与を化学療法に併用する免疫化学療法の臨床試験を開始した. 本学会にお 考察 腹部食道良性疾患に対する手術の術後に胃排出障害に起因する胃部膨満症状が 発生すると 長期の食事制限が必要となり 術後の QOL を著しく低下させる こう いては 最新の臨床効果 投与樹状細胞の動態 免疫誘導能 免疫組織学的解析などを 報告する. いった傾向は 高齢者で胃が縦隔内に大きく脱出した食道裂孔ヘルニア症例の術後で多 く見られる印象がある 解剖学的に迷走神経前幹 後幹を温存したとしても 過度な牽 引などの術中操作によって鈍麻を来たし胃排出障害が発生するのではないかと推測さ れる 半夏瀉心湯の作用機序に関しては未だ詳細な検討はなされていないが 今回 こ ういった症例に対して本剤が著効を示したことより 迷走神経を介する六君子湯とは異 なったメカニズムでの胃十二指腸運動賦活作用の存在が示唆された P3-10 食道癌における新規アダプター蛋白 XB130 の発現と機能解析 P4-2 進行食道癌における癌細胞 IL-6 発現と予後との関連 小菅 敏幸 1, 塩崎 敦 1, 市川 大輔 1, 藤原 斉 1, 飯高 大介 1, 小松 周平 1, 岡本 和真 1, 園山 輝久 1, 岸本 光夫 2, 大 英吾 1 米田 政幸 1, 藤原 斉 1, 塩崎 敦 1, 藤堂 桃子 1, 梅原 誠司 1, 小松 周平 1, 市川 大輔 1, 岡本 和真 1, 國場 幸均 1, 大 英吾 1 1. 京都府立医科大学医学部消化器外科学部門, 2. 京都府立医科大学医学部付属病院 1. 京都府立医科大学医学部消化器外科学部門 病院病理部 目的 IL-6 を含めた炎症性サイトカインの発現が 癌の進展 予後と深く関連するこ はじめに アダプター蛋白はそれ自体酵素活性を持つことはないが 他の蛋白と とが知られている これまで我々は 進行食道癌に対する術前化学放射線療法 (CRT) 複合体を形成することにより細胞シグナルを伝播することができる蛋白である 近 症例において CRT 終了後の血中 IL-6 が 奏効群に比べ非奏効群において有意に高 年 新規アダプター蛋白 XB130 をエンコードする遺伝子 xb130 がクローニングされ く IL-6 が不良な予後とともに CRT 抵抗性とも関連する可能性を報告した 今回 た XB130 の N 末端には複数のチロシンリン酸化サイトが存在し これらを介して 進行食道癌切除標本の IL-6 免疫染色を行い 癌細胞における IL-6 発現と予後との関 Src homology(sh)2 SH3 ドメインを持つ蛋白と結合することによりその機能を制 御する XB130 はアクチンフィラメント関連蛋白 (actin filament associated protein: AFAP) と構造的相同性を持つが AFAP が細胞骨格に沿って分布するのに対し XB130 は細胞質に存在し両者が異なった機能を持つことが示唆される 現在までに XB130 蛋 行食道癌 45 例のうち Grade3 を除いた 35 例 (術前 CRT 群 ct3/t4: 11/24 例) と 連について検討した 対象と方法 2000 年 2010 年の間 術前 CRT を施行した進 前治療を行っていない進行食道癌 27 例 (術前未治療群 ct3/t4: 26/1 例) を対象とし て 切除標本における癌細胞の IL-6 発現を免疫染色により評価し 術前 CRT の有無 白のヒト甲状腺癌における発現および細胞周期 アポトーシス制御機構が明らかになっ と IL-6 発現との関連 IL-6 発現と予後について検討した 結果 IL-6 陽性率は術前 ているが ヒト消化器癌における発現やその働きは不明である 今回われわれはヒト食 CRT 群で 35% 術前未治療群で 30% と 術前 CRT 群で高かった 生存分析では IL-6 陽性例は陰性例に比べ予後不良であり 術前治療の有無で分けて検討すると 術 前未治療群に比べ (p=0.057) 術前 CRT 群で有意に予後不良であった (p=0.005) 各 群において IL-6 発現と年齢 性別 根治度 病期の間に差を認めなかった 結語 癌細胞における IL-6 発現は CRT 抵抗性とも深く関与することで不良な予後を反映 道癌における XB130 発現および機能解析を行った 方法 結果 ヒト食道扁平上皮癌 細胞株 (TE2 TE5 TE9 TE13 KYSE170) における XB130 蛋白発現をウエスタン ブロット法により確認したところ TE2 TE5 TE9 細胞株において高発現を認めた TE2 TE5 TE9 の蛍光免疫染色により XB130 蛋白がアクチンとは細胞内の分布が異 なることを確認した 続いて XB130 蛋白高発現株 (TE2 TE5 TE9) に対し XB130 特異的 sirna を用いて細胞周期を解析したところ いずれの細胞株においても G1-S する可能性が示唆された 期における細胞周期停止を認めた 一方で 当院における食道扁平上皮癌根治切除検体 52 例の免疫組織染色により ヒト食道癌組織における XB130 発現{核 25 例 細胞質 19 例 (重複含む)}を確認したが 非癌部食道扁平上皮での発現は認めなかった XB130 蛋白の発現と種々の臨床病理学的因子を用いて根治切除後生存に対する単変量および多 変量解析を行った結果 核における XB130 蛋白の発現は独立した予後因子であった まとめ ヒト食道扁平上皮癌細胞株および組織における XB130 蛋白発現およびその 細胞周期制御機構を明らかにした 第66回 総会

10 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P4-3 食道癌発生における酸化的 DNA 損傷とその修復酵素に関する 581 研究 P4-5 食道扁平上皮癌における新たな分子標的としての Endothelin B Receptor に関する検討 久保 信英 1, 森田 勝 1, 中ノ子智徳 1, 藤中 良彦 1, 園田 英人 1, 江頭 明典 1, 大賀 丈史 1, 掛地 吉弘 1, 中別府雄作 2, 前原 喜彦 1 田仲 徹行 1, 庄 雅之 1, 高山 智燮 1, 松本 壮平 1, 若月 幸平 1, 榎本 浩士 1, 右田 和寛 1, 中島 祥介 1 1. 九州大学大学院消化器 総合外科学分野, 2. 九州大学生体防御医学研究所 脳機能 1. 奈良県立医科大学附属病院消化器 一般外科 小児外科 制御学分野 背景 様 々 な 内 因 的 外 因 的 酸 化 ス ト レ ス に よ っ て 核 酸 塩 基 グ ア ニ ン の 酸 化 体 で あ る 8hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG) が発生し アデニンと誤塩基対を形成することで transversion 変異を誘発し発癌の原因となる 一方で飲酒 喫煙は食道癌のリスク因子であるが酸化スト レスとの関係については詳細に解析されていない 8-OHdG は DNA glycosylase(ogg1) によ り塩基除去修復される MutYH は酸化アデニンを塩基除去修復する DNA glycosylase である が 酸化ストレスに対して細胞死を誘導する働きもある 対象と方法 1993 年から 2004 年に術前無治療にて食道扁平上皮癌を切除した 109 例を対象に癌部と正常食道 上皮で 8-oxoG OGG1 MutYH の免疫組織化学染色を行い 臨床病理学的因子との関係を検討 した 結果 (1) 正常食道上皮における 8-OHdG の染色強度別 ( ) の重喫煙者 (> 60 pack-years) の割合は 4% 21% 35% と 8-OHdG の発現が高いほど重喫煙者の割合が高かった (P =0.0072) (2) 8-OHdG の染色強度は癌部では平均 4.40 正常食道上皮では平均 3.96 と癌部で染色強度が高 かった (P = ) 一方 OGG1 の発現は癌部では平均が核発現:1.58 細胞質発現:2.40 正常 食道上皮では平均 3.98 と癌部で発現が低かった (P<0.0001) (3) 正常食道上皮では 8-OHdG の染色強度 ( ) が強くなるほど OGG1 の発現も平均 と強くなったが (P = ) この関係は癌部では認められなかった (4) OGG1 が細胞質に強発現する群では 癌が進展している症例 T3/T4 (65.1%) が T1/T2 (34.9%) に比べて多かった (P = ) (5) MutYH は正常食道上皮のほとんど (81%) において低発現であり 癌部で多く (65%) 高発現 しており (P<0.001) 癌への移行部で発現を認めた (6) 染色された MutYH は TUNEL 法で apoptosis と共発現しておらず 平均腫瘍径 4.7cm 以上の症例は MutYH 強発現で 57% 低発現では 31% と強発現群で腫瘍径が大きかった (P=0.0252) (7) MutYH の発現強度別の予後では 5 年生存率が強発現 79.2% 低発現群 46.7% と強発現群で 予後不良であり (P=0.0047) 多変量解析でも独立した予後規定因子であった 背景 Endothelin(ET) は強力な血管収縮作用をもつ生理活性物質として発見され 受容体として ETAR ETBR が同定されている. 近年 ET/ETR の新たな機能として腫 瘍細胞の増殖 脈管新生 アポトーシス抑制 腫瘍免疫抑制等が新たに注目されつつあ る. 対象と方法 術前未治療食道癌 107 例の切除標本を用い ETBR 特異的抗体による 免疫組織染色を行い 腫瘍細胞染色率 50% 以上を高発現群 (H 群) 50% 未満を低発 現群 (L 群) と 2 群に分類し検討した. また腫瘍内脈管新生を CD31 D2-40 により 腫瘍免疫抑制については CD4 CD8 による免疫組織染色により評価し ETBR 発現と の相関を検討した. 結果 ETBR 高発現群 (H 群) は 61 例 低発現群 (L 群) は 46 例であった.ETBR 発現と患者年齢 性別に相関関係は認めなかった. 病理学的因子の検 討では TNM 分類で T N 因子にて H 群に高度進行例が多く 有意な相関関係を認 めた (T N 因子:P= ). リンパ節転移個数の平均値では L 群の 1.9±3.4 個に対し H 群では 4.9±7.1 個と有意に多かった (P=0.016). 病期では癌の進行にとも ない ETBR 発現は高頻度であった (P=0.036). 組織型では H 群で有意に中低分化癌 が多かった (P=0.013). さらに H 群で脈管侵襲 (v ly) 陽性例が多かった (P= ). また ETBR 高発現群において 腫瘍内血管新生をより高度に認めた (P<0.001). また 血管新生と腫瘍の静脈浸潤 (v) の程度に相関関係を認め (P=0.049) 静脈浸潤と 腫瘍の再発に相関関係を認めた (P=0.009). 予後との関連では全生存率/無再発生存率と もに H 群が有意に不良であった (1 3 5 年生存率:高発現群 74% 31% 21% vs. 低発現群 89% 60% 52% P= 年無再発生存率:高発現群 57% 28% 20% vs. 低発現群 78% 56% 49% P=0.002). 結語 食道癌扁平上皮癌にお ける ETBR 発現の臨床病理学的意義が明らかとなった.ETBR の高発現は食道癌の予後 不良因子であり 血管新生 静脈浸潤を介し増殖進展に関与しているものと考えられ 新たな標的分子となり得る可能性が示唆された. 考察 食道癌では酸化的 DNA 損傷が増加し さらに発癌や癌の進展に伴って 酸化的 DNA 損傷を修 復する酵素 には障害が起きている可能性が示唆された P4-4 食道癌細胞株における IFN-γと Prox1 の関係 P4-6 食道癌における mirna 解析と増殖 浸潤 転移メカニズム 赤神 正敏 1, 河田 健二 1, 久保 肇 1, 加藤 滋 1, 高橋 亮 1, 村上 哲平 1, 松末 亮 1, 嶋田 裕 3, 渡辺 剛 2, 坂井 義治 1 竹下 修由 1, 森 幹人 1, 加野 将之 2, 阿久津泰典 1, 羽成 直行 1, 米山 泰生 1, 池田 憲政 1, 遠藤 悟史 1, 宮澤 幸正 1, 松原 久裕 1 1. 京都大学大学院消化管外科学, 2. 日本バプテスト病院, 3. 富山大学医学部外科学第 2 講座 1. 千葉大学大学院先端応用外科学, 2. 鹿島労災病院外科 我々は 手術標本から樹立した食道癌株 KYSE シリーズを用いて 約 30% の細胞株が 部分相補的な標的 mrna の発現を調節し 発生 分化 細胞増殖等の様々な生物学 IFN-γ によってアポトーシスが誘導されることを報告してきた IFN-α/β については p53 の発現誘導を経て増殖抑制効果が認められることは過去報告にあるが IFN-γ につ され ヒト遺伝子の大部分が mirna により制御されており ヒトの疾患における microrna (mirna) は 塩基からなる小さな RNA 分子であり その配列と いては増殖抑制効果は知られるものの その詳細なメカニズムは解明されていない 今 回我々は肝細胞癌株において抗腫瘍効果が期待されるホメオボックス遺伝子 prox1 に 注目して IFN-γ と prox1 との関係性を細胞増殖抑制効果において解析したので報告 する [方法] (1)KYSE シリーズを用いて IFN-γ によるアポトーシスを調べた (2) 食道癌細 胞株に Stat1 のドミナントネガティブを導入し (DN6J) mock 株 (CAG) と比較した (3)IFN-γ による prox1 の発現を RT-PCR と Western blotting で調べた (4)siRNA を用いて prox1 をノックダウンして IFN-γ によるアポトーシスを評価した (5)prox1 を過剰発現させて増殖抑制効果の有無 prox1 の発現誘導の有無を調べた [結果] (1)Tunel assay により IFN-γ によるアポトーシスが確認された (2)IFN-γ によ り CAG はアポトーシスを示したが DN6J は効果を示さなかった (3) IFN-γ により CAG では RT-PCR と Western blotting において prox1 の発現誘導が認められたが DN6J では認められなかった (4) CAG において sirna によって prox1 をノックダ ウンしその細胞では IFN-γ による prox1 の誘導は見られなかった (5)prox1 を過剰 発現させたところ RT-PCR Western blotting にて prox1 の過剰発現が認められ増殖 的プロセスに関与しているとされている 現在までに約 1000 近くの mirna が同定 mirna の発現 機能異常が次々と報告され 注目されてきている 近年 mirna ア レイを用いた網羅的 mirna 発現解析は 様々な癌において行われており 各種の癌 において発現上昇あるいは低下している mirna が多数同定されている しかし 食 道扁平上皮癌における mirna の知見はまだ少なく 食道癌に特異的な mirna の発 現パターンの同定やその機能解析による食道扁平上皮癌の発生 進展のメカニズムの解 明あるいは診断 治療といった臨床応用への寄与が期待されている 本研究では 食道 扁平上皮癌における mirna の発現解析を網羅的に行い この結果をもとに食道扁平 上皮癌の細胞増殖 浸潤 転移等に関与する標的遺伝子の機能解析を行った まず 術 前放射線療法あるいは化学療法が未施行の食道扁平上皮癌切除症例 10 例を対象とし mirna アレイを用いて食道扁平上皮癌における網羅的 mirna 発現プロファイリン グを行った この解析により 癌組織において発現低下した 15 個の mirna を同定 した その中で mir-145 mir-133a mir-133b についてはその標的遺伝子の一つで ある oncogenetic actin-binding protein (FSCN1) の遺伝子発現を制御し 食道癌の 細胞増殖 浸潤能に関与していることは既に報告したが 今回はさらに食道扁平上皮 癌の発生 進展のメカニズムの解明を進めるため 同定された mir-145 mir-133a 抑制効果が認められた mir-133b 以外の mirna にも注目し 数種の食道癌細胞株を用いた標的遺伝子の機 [考察] 食道癌の中には IFN-γ に対して増殖抑制効果を示す細胞株が存在することがわ かった IFN-γ により prox1 の発現誘導が認められた細胞株は増殖抑制効果を示すこ とがかわった また prox1 の過剰発現でも増殖抑制効果を示すことが示された 食道 癌細胞株における IFN-γ の抗腫瘍効果の signal pathway を解明し prox1 の増殖抑 能解析を進め 食道扁平上皮癌の診断 治療といった臨床応用への可能性を検討した 制効果についての可能性を示すことができた 第66回 総会

11 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 582 P4-7 DNA 二重鎖切断に着目した 5-Fluorouracil の作用機序の解明 P4-9 胸部食道癌に対する外科治療と補助療法 青木 義朗 1, 迫川 賢士 1, 檜原 淳 1, 恵美 学 1, 浜井 洋一 1, 岡田 守人 1, 田代 聡 2 山下 継史 1, 片田 夏也 1, 森谷 宏光 1, 根本 昌之 1, 柴田 智隆 1, 三重野浩朗 1, 桜本 信一 1, 菊池 史朗 1, 渡邊 昌彦 1 1. 広島大学原爆放射線医学研究所腫瘍外科研究分野, 2. 広島大学原爆放射線医学研 1. 北里大学東病院消化器外科 究所細胞修復制御学 (背景) 食道扁平上皮癌の集学的治療と外科治療の組み合わせは効果的であることが証 目的 食道癌化学療法の領域では 5-Fluorouracil(5-FU) や cisplatin(cddp) の併 明されてきた われわれは最近の食道癌治療成績を解析し実臨床における問題点 とく 用療法を凌駕するレジメは開発されておらず これらの薬剤における有効な抗癌剤感 に補助療法についての問題点を明らかにした 受性増強因子を同定し 化学療法の治療成績を向上させることが必要である 放射線 おり 切断部位周囲ではリン酸化されたヒストン H2AX(γH2AX) や ゲノム修復で (患者と治療)1996 年から 2007 年までに食道切除術を施行された 244 例の食道癌のう ち 204 例の扁平上皮癌 (cstage 0/I/IIa/IIb/III/IVa; n=1/62/57/12/60/12 UICC 第 6 版) の長期予後の詳細な解析を行った 補助化学療法は FP (5-FU/CDDP) と放射線 40Gy 重要な役割を果たしている RAD51 がゲノム損傷部位にフォーカスを形成する 一 をベースにした 方 5-FU は癌治療において広く使用されている代謝拮抗剤であり 作用機序は DNA (結果)(1) cstage0/i 症例では全て R0 手術が施行された pstage IIa (n=1) pstage IIb (n=13) pstage III (n=1) pstage IVa (n=3) を含んでいたが 予後は極めて良好で 5 年以内に限ると再発した症例は 2 例 再発死した症例はなかった 術後補助療法を受 けた患者は 3 例のみであった (2)cStage IIb 症例は 12 例中 1 例再発死していた 12 例中 10 例が R0 手術施行され そのうち 2 例に補助療法が追加されていた しかし 他病死のため 5 年全生存率は 40% であった (3)cStage IIa/III 症例の 5 年全生存率は ともに約 40% であったが 死亡の 29% が他病死だった R0 手術は 78-89% で施行さ れ 術後補助療法は cstage IIa 症例では 2 例 cstage III 症例では ct3 (ct3.5=ct4 は ほとんど術前補助療法を施行した) 34 例中 7 例受けていた (4)cStageII/III 症例で術 前補助療法を受けた症例 45 例は cstage の高い傾向があったが 5 年全生存率に差はな かった (5) 術前補助療法を受けていない 69 例の cstage II/III 患者で R0 手術が施行 され 術後補助療法を受けた患者は有意に予後不良であった (p<0.0001) cstage II/III with pn0 症例は 22 例中 4 例しか再発はなく 21 例は術後補助療法は受けていない 一方 pn1 症例では 38 例中 18 例が術後補助療法を受け術後補助療法群が有意に予後 不良であった (p=0.028) 患者群年齢が JCOG9204 より 4 歳高かった (6)Stage IVa はすべて M1lymph 症例であったが 5 年全生存率は 25.0% で比較的良好であった R0 手術率が 100% であり患者バイアスが強いと考えられた (結語)cStage0/1 症例および cstageii/iii with pn0 の患者は術後補助療法は必要ない可 能性がある 術前補助療法は downstage および予後改善の可能性を有するが 術後補 や CDDP は DNA 二重鎖切断 (DSBs) などのゲノム損傷を誘導することが知られて RNA への転入による直接作用 TS(thymidylatesynthase) 阻害による DNA 合成阻 害が主とされる しかし 5-FU による DNA 二重鎖切断作用およびその修復機構が どの程度感受性に寄与しているかは 全く不明である そこで今回我々は 5-FU に対 する感受性とゲノム損傷修復の kinetics との関連を検討するために γh2ax フォー カス形成について経時的解析を行った 方法 (1) TE1 および TE11 の 5-FU 感受性 についてコロニーアッセイ法を用いて解析する (2) 5-FU 処理後の γh2ax フォーカ スを蛍光抗体染色法により検出し 経時的に解析する (3) 5-FU の代謝に関わる酵素 (TS OPRT RNR) について 5-FU 処理前後での発現を western-blot 法にて評価す る 結果と考察 (1)TE11 は TE1 に比べ 5-FU 感受性が高かった (2)5-FU 処理 後 TE11 では γh2ax フォーカス陽性細胞は 24Hr 後に上昇のピークとなり 以後減 少したのに対し TE1 では γh2ax フォーカス陽性細胞の明らかな増加を認めなかっ た (3) 2 細胞間の 5-FU 代謝酵素の発現を比較すると TE11 は TE1 に対し RNR が高発現であった 以上の結果より 従来代謝拮抗剤として考えられていた 5-FU でも DNA の二重鎖切断が生じていること RNR の発現の程度により 5-FU の作用機序が 異なり RNR 高発現の際には 5-FU の作用機序として RNA 障害が主となり 5-FU 感受性が低くなることが示唆された 助療法は高齢者に対しては逆に予後不良因子になる可能性が示唆された P4-8 COX-2 発現が食道癌の化学放射線療法感受性に及ぼす影響につ いての検討 P4-10 StageII/III 食道癌に対する治療戦略 特に T3 症例に対する治 岡村 寛子 1, 藤原 斉 1, 塩崎 敦 1, 小松 周平 1, 市川 大輔 1, 岡本 和真 1, 中西 正芳 1, 落合登志哉 1, 國場 幸均 1, 大 英吾 1 道浦 拓 1, 山道 啓吾 2, 向出 裕美 1, 福井 淳一 1, 山田 正法 1, 中井 宏治 1, 井上健太郎 1, 中根 恭司 1, 權 雅憲 1 1. 京都府立医科大学医学部消化器外科学部門 1. 関西医科大学医学部外科学講座, 2. 大阪府済生会泉尾病院外科 背景と目的 COX-2 発現が食道癌の進展 予後と関連することが報告されている はじめに 進行食道癌の治療では 手術単独では限界があり 集学的治療の必要性が が COX-2 発現が化学放射線療法 (CRT) 感受性に及ぼす影響については不明な点が 指摘されている. 欧米では積極的に術前化学放射線療法 (CRT) が施行され 一定の評 多い 今回 術前 CRT を行った食道癌切除標本を用いた免疫染色および食道癌細胞 価が得られている. 本邦では JCOG9907 において cstage II/III 胸部食道癌に対する 5FU+CDDP 術前化学療法 (CT) が切除術後の生存率の改善することが示唆されたが 同時に StageIII 症例では治療成績向上のためにはより強力な化学療法が必要と思われ る結果であった.1997 年以降 進行食道癌の予後の改善を目指し ct3 以上 cn 陽性 症例に対して積極的に術前 CRT を施行し施行してきた.2007 年以後は N 多数症例に 術後補助化学療法を追加する方針に変更し さらに最近では JCOG の結果結果をふま え術前化学療法を導入ぢている. 今回 胸部進行食道癌 cstage II/III の内 特に T3 症 例についていかなる治療法が最適かを検討した. 対象と方法 1998 年 1 月から 2009 年 12 月までに当科で治療を施行した胸部食道癌例の内 cstage II/III は 253 例であ り ct1b:24 ct2:78 ct3:146 ct4:5 例であった.cT2 以下は 5 生率 73% と良好で あるのに対し ct3 では 43% と不良であり 今回 ct3:146 例に限定し検討すること にした. 結果 内訳は Ut:12 Mt:81 Lt:49 で平均年齢 60.7 歳 男女比は 117:17 であった.cN は 0:29 1:36 2:56 3:13 であった. 治療法は一期的手術が 38 術前 CRT が 51 根治 CRT が 33 例で術前 CT12 例 各治療法と臨床学的患者背景には有 意な差は認められなかった. 術前 CRT の奏効率は 92.1 CR 率は 7.8% であった. 根 治 CRT は奏効率 90.9 CR 率 42.4% で両者の奏効率に差はなかったが CR 率は根 治 CRT が良好であった. 術前 CRT の組織学的 CR 率は 27.5% で 原発巣が grade3 でも照射域内にリンパ節転移が残存する症例もあった. 治療法別の成績は 5 生率が手 術単独 56.4 術前 CRT 39.5 根治 CRT 33.6% と手術単独例が良好であった. しかし cn0 症例に限定するとそれぞれ手術単独 74.1 術前 CRT 72.7 根治 CRT 68.6% と 差はなく T2 以下の成績と同等であった. 一方 cn(+) 症例では手術単独 55.2% 術 前 CRT 25.9% 根治 CRT 26.2% と手術単独例が良好であった. これは術前後の化学 療法が奏効していることが示唆される. まとめ N(-) 症例ではいかなる治療法でも良 好な成績であったが N(+) 症例には CRT の効果は期待できず 手術と化学療法の併 用が良いと思われた. 株を用いた抗癌剤 放射線感受性試験を行い COX-2 発現が CRT 感受性に及ぼす影 響について検討した 方法 1) 術前化学放射線療法 (CRT) を施行した ct3/t4 食道 癌の切除標本を用いて COX-2 免疫染色を行い 癌細胞における COX-2 発現と奏効 性および予後との関連を検討した 2) 食道癌細胞株に COX-2 遺伝子を導入し高発現 細胞株を作成した COX-2 発現はアラキドン酸添加による PGE2 ELISA と western blotting 法により確認した 抗癌剤 (5FU CDDP) 感受性を WST-8 assay および放 射線感受性を colony assay を用いて検討した 結果 1) 免疫染色による検討では 組織学的非奏効群は奏効群に比べ癌細胞の COX-2 発現が高い傾向を認めた また 予 後との関連では COX-2 陽性例は陰性例に比べ予後不良の傾向を認めた 2) 食道癌細 胞株 (KYSE170 TE13) より COX-2 高発現細胞株を樹立した 抗癌剤感受性につい ては KYSE170 TE13 の両細胞株とも COX-2 導入株で 5-FU CDDP の感受性の 低下を認め sirna 導入による COX-2 ブロック実験により感受性の回復を確認した 一方 放射線感受性については有意差を認めなかった 結語 癌細胞における COX-2 発現が食道癌の抗癌剤抵抗性に関与する可能性を明らかにした 第66回 総会 療法について

12 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P4-11 食道癌術前化学療法における FDG-PET による病理組織学的治 583 P5-2 胃大細胞神経内分泌癌 (LCNEC) の 1 切除例 療効果の予測 松本 哲 1, 佐藤 弘 1, 賀川 弘康 1, 新原 正大 1, 坪佐 恭宏 1 腰野 蔵人 1, 古川 健司 1, 桂川 秀雄 1, 古川 達也 1, 松下 典正 1, 山崎希恵子 1, 坂上 聡司 1, 重松 恭祐 1 1. 静岡県立静岡がんセンター食道外科 1. 東京都保健医療公社多摩南部地域病院外科 背景 当院の検討では 術前化学療法のち外科切除を施行した食道癌 84 例を病理 症例は 75 歳 男性 月より近医で高血圧のフォロー中 検診で胃体部後壁中 組織学的効果により Grade(0 1a) 群と Grade(1b 2 3) 群に分けたところ 1 年生 心に潰瘍性病変あり 生検で Group Ⅴを指摘され 当院へ紹介 精査後 非治癒切除 存率 (90.9% vs 100.0%) と 2 年生存率 (62.6% vs 81.8%) でそれぞれ有意差を認めた 因子ないため 6/29 胃全摘術 (Roux-y 再建) 施行 郭清は D2. 術後は 創部感染と術 (p=0.0095) 病理組織学的に Grade(0 1a) 群と Grade(1b 2 3) 群の 2 つの群に分 後 2 週間目に脳梗塞を併発 点滴治療とリハビリを行い 大きな麻痺は残らず 7/30 退 けることが予後と関連していることが示唆された 院 病理の結果は LM(Circ) type5 SE(T4) N3 M0 Stage Ⅲ C で CD56(+) 目的 食道癌術前化学療法における病理組織学的効果が FDG-PET により予測可能か 明らかにすること 方法 術前化学療法前後で FDG-PET を施行し その後外科切除を施行した食道 扁平上皮癌 27 例を対象とした 術前化学療法として 5-FU+cisplatin 2 クール施行 (JCOG9907 レジメン) し その前後で FDG-PET を 1 回ずつ施行して評価を行った 平均年齢 65 歳 (55-77 歳) 占拠部位は Ut:Mt:Lt=2:15:10 Stage はⅡ:Ⅲ=11:16 原 発巣の SUVmax を術前化学療法前後でそれぞれ計測し SUV 減衰率を算出し 病理 Chromogranin A(+) Muc-1(+) MUC-2(+) CK-7(+) CK-20(-) Mib-1 index が 80% で 胃大細胞内分泌癌 (LCNEC) と診断した 胃内分泌細胞癌は全胃癌中 % とされ さらに 胃の LCNEC の症例は少なく 術後の標準的な抗がん剤治 療も統一見解はないが CDDP+CPT11 の有用性が報告されている 今回 CPT-11 の 副作用の下痢により脱水で 脳梗塞の再発を危惧し 術後に TS-1+CDDP を行い 術 後半年 明らかな再発なく 経過している症例を経験したため 文献的考察を加え報告 する 組織学的効果と比較検討した 結果 病理組織学的に Grade(0 1a) 群と Grade(1b 2 3) 群の 2 つの群に分 けた場合 SUV 減衰率に有意差を認めた (p=0.0063) 病理組織学的奏功の判定に SUV 減衰率 (55%:60%:65%:70%) をそれぞれ cutoff 値として感度/特異度を求めると (58.3%/73.3% :50.0%/86.7% :41.7%/86.7% :33.7%/86.7%) であり SUV 減衰率 65% 以 上の場合には特異度 86.7% で Grade(1b 2 3) 群に含まれる 一方 病理組織学的 非奏功の判定に SUV 減衰率 (45%:50%) をそれぞれ cutoff とすると感度/特異度は (66.7%/100% :66.7%/75.0%) であり SUV 減衰率 45% 以下の場合には病理組織学的 効果が低いことが示唆された 結論 FDG-PET は術前化学療法における病理組織学的奏功を予測することができ cutoff 値を低く設定することで病理組織学的非奏功例の判定にも有用である 病理組 織学的効果と予後が関連していることから FDG-PET による病理組織学的効果判定を 行うことで 予後を予測できる可能性がある P5-1 食道胃接合部における大細胞神経内分泌癌の 1 切除例 P5-3 大細胞癌を主体とした複合型胃内分泌細胞癌の 1 例 松村 優 1, 上野 義智 1, 田村 圭 1, 水本 哲也 1, 石田 直樹 1, 伊藤英太郎 1, 今井 良典 1, 清地 秀典 1, 岡田 憲三 1, 梶原 伸介 1 岩崎 健一 1, 稲川 智 1, 宮本 良一 1, 佐野 直樹 1, 久倉 勝治 1, 村田聡一郎 1, 柳沢 和彦 1, 寺島 秀夫 1, 大河内信弘 1 1. 市立宇和島病院外科 1. 筑波大学附属病院消化器外科 症例は 67 歳男性. 胸やけを主訴に近医を受診し 上部 はじめに:胃癌における内分泌細胞癌の報告は少なく なかでも大細胞癌の報告は極めて 消化管内視鏡検査を施行された. 噴門直下に 0 -Ⅱ c 病 まれである さらに 自験例のように大細胞癌に小細胞癌 扁平上皮癌 腺癌が混在す 変を認め 悪性腫瘍の疑いにて当院を紹介となった. る症例の報告は皆無である 非常に希少な症例であり 文献的考察を加えて報告する 当院で再検査を行い生検にて Group Ⅴ tub1>por1 症例:79 歳 男性 慢性腎不全で近医通院中に 体重減少と貧血の進行を指摘された 上 の混合型異型細胞が検出された. 内視鏡所見より深達 部消化管内視鏡検査にて胃体上部小弯側に 2 型の腫瘍を認め 生検で低分化腺癌と診断 度 SM と診断し また腹部造影 CT 検査にてリンパ された CT 検査では遠隔転移は認められず 臨床的進行度 ct3cn1cm0 cstageiib 節#1 の腫大を認める以外に明らかな転移所見はなく と診断され 胃全摘術を施行した 摘出標本では腫瘍は胃体上部小弯に 2 型病変とし ct1bn1m0stage Ⅰ B と診断した. 胃全摘術 R-Y 再 建を施行し 術後は大きな問題なく経過し退院となった. 腫瘍は主に胞体の豊かな大型 の異型細胞から構成され CD56(+) クロモグラニン A(+) シナプトフィジン (+) で あり 大細胞神経内分泌癌 (LCNEC) と診断した. 病理分類は G Less Type0 -Ⅱ c 21 15mm Large cell neuroendocrine carcinoma»tub2 pt3 int INFb ly0 v2 pn1(1/22) ppm0 pdm0 であった. 術後補助化学療法として TS-1 80mg/m2 を 4 投 2 休で施行したが 肝機能異常のため 2 クールで中止し 経過観察を行っている. 現在のところ再発の所見はない. 胃および食道胃接合部における LCNEC は稀な組織 型であり 早期に他臓器転移を来たすため予後不良とされる. 化学療法が有効であった 報告が散見されるが現在のところ化学療法のレジメンは確立されていない. 今までの知 見と合わせて報告する. て認められ 大きさは 7cm 5cm であった 組織学的には 3 つの腫瘍成分が認められ 低分化型神経内分泌癌 (85% 大部分が大細胞癌で残りが小細胞癌) 中分化型扁平上皮 癌 (10%) および高分化型管状腺癌 (5%) の割合であった 低分化型神経内分泌癌の領 域では 好酸性の胞体と大型核を有する腫瘍細胞が主体となり organoid pattern ない し不整胞巣状増殖を呈しており 胞巣中心に広範な凝固壊死がみられるほか 腫瘍のリ ボン状配列 索状配列 および不明瞭なロゼット構造もみられた 免疫組織化学による 検討では Synaptophysin 陽性 Chromogranin-A 陽性 CD56 陽性 MIB-1 index 90% 以上を示した 組織学的進行度は pt3 ly2 v2 pn2(6/23) pstageiiia で あった 術後経過は順調で 術後 15 日目に退院となった 現在無再発生存中である 考察:本症例は 本邦の規約では分類が不可能であり WHO による内分泌腫瘍の分類 に従うと Mixed exocrine-endocrine carcinoma に分類され 非常に特徴的でまれな 病理学的所見を呈していた 本疾患を術前に確定診断することは困難であり 治療法と しては可能な限り外科的な切除が推奨される 予後は一般に不良であり 化学療法に関 しての報告も少なく 今後の症例の蓄積とさらなる検討が必要である 第66回 総会

13 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 584 P5-4 CA19-9 が高値を示した胃神経鞘腫の 1 切除例 P5-6 早期胃癌に合併したサルコイドーシスの 1 例 福地 稔 1, 鈴木 雅貴 1, 矢野間 透 1, 山岸 純子 1, 深澤 孝晴 1, 桐山 真典 1, 櫻井 信司 2, 内藤 浩 1, 桑野 博行 3 村井 俊文 1, 山村 義孝 1, 澤木 康一 1, 稲岡 健一 1, 間下 直樹 1, 福岡 伴樹 1, 三輪 高也 1, 武内 有城 1 1. 社会保険群馬中央総合病院外科, 2. 社会保険群馬中央総合病院病理診断科, 3. 群馬 大学大学院病態総合外科学 1. 名古屋記念病院外科 症例は 78 歳 女性. 近医で胃内視鏡検査を施行され 胃前庭部前壁に粘膜の集中を認 はじめに 胃神経鞘腫は比較的稀な腫瘍で全胃腫瘍の 0.1% 胃良性非上皮性腫瘍の 5% を占めるに過ぎない 腫瘍径が 2cm を越えるものでは悪性例の報告もあるため外 科的切除が望ましいと考えられている 今回 術前 CA19-9 が高値を示し 切除後には 正常値となった胃神経鞘腫の 1 例を経験したので報告する 症例 59 歳男性 既往 歴に胃潰瘍 平成 19 年 10 月 5 日当院内科の CT 検査で胃外型の胃粘膜下腫瘍の診 断され 11 月 8 日当科紹介された 上部消化管内視鏡検査で前庭部後壁大弯側に粘膜 面正常な丘状の隆起を認め 超音波内視鏡検査 (EUS) では腫瘍は胃壁第 4 層に連続し める不整形の陥凹病変を認めた. 生検結果は低分化型腺癌であり 壁深達度は M ~ SM の早期胃癌と診断された. 胃癌の手術目的で当院外科に紹介となった. 触診上頸部 腋窩 鼡径にリンパ節は触知しなかった. 造影 CT では縦隔から肺門部にかけて最大 2cm に及ぶリンパ節腫大と腹腔動脈周囲 腹部大動脈周囲リンパ節腫大を認めた. 悪性 リンパ腫やその他の原因によるリンパ節腫大との鑑別のため術中腹腔内リンパ節生検を 胃癌手術と同時に施行することとした. 術前診断は SM N0 H0 P0 M0 cstage Ⅰ A と 判断した. 手術所見では前庭部の腫瘍は壁外からの触知は不能であった.No8a のリンパ ており低エコーレベルで内部が比較的均一であった 生検結果では胃粘膜下腫瘍の確定 節は赤色で弾性軟であり約 3 2cm と腫大を認めた. 術中迅速病理ではサルコイドーシ 診断が得られなかった 上部消化管造影検査では同部位に約 2cm の半球状の隆起を認 スまたは悪性腫瘍に伴うサルコイド反応と診断された. そのため No16 のリンパ節廓清 めた 本人の都合もあり経過観察となったが 平成 20 年 7 月 4 日上部消化管造影検 は施行せず 術式を幽門側胃切除 (D1+β) 再建はビルロートⅠ法とした. 総合所見は 査では大きさが約 3cm となっており 血液生化学的検査では CA19-9 が 155.2U/ml 胃癌 cm sig>tub2 SM N0 H0 P0 M0 fstage Ⅰ A であった. その後呼吸器内科 と高値を示していた 8 月 14 日 FDG-PET 検査では腫瘍の SUV は 6.0 であり 悪 で精査を行ったところサルコイドーシスの診断基準をみたしたためサルコイド シスと 性が示唆された 平成 20 年 10 月 14 日入院し 10 月 16 日腹腔鏡補助下に幽門側胃 診断された. 術後 1 年現在 無再発生存中である. 切除術を施行した 術後経過は良好で 11 月 3 日に退院した 術後の CA19-9 は正常 今回我々は早期胃癌に合併したサルコイドーシスの 1 例を経験した. 術前の CT では 値となった 病理結果は径 mm の粘膜下腫瘍で組織学的には紡錘形細胞の 腹部大動脈周囲リンパ節腫大 縦隔リンパ節腫大を認め胃癌のリンパ節転移と考えれば 増生を示し 免疫組織学的に S100 蛋白陽性 (c-kit 陰性) の胃神経鞘腫であった 術後 cstage Ⅳとなり一般的には化学療法の適応となる. しかし胃癌治療ガイドライン (第 2 約 2 年間再発を認めていない まとめ 胃粘膜下腫瘍の術前診断は形態的に容易であ 版) によると未分化型 cm SM 癌の場合 pn 2 以上の転移率は 7/252(2.8%) るが 一般的な内視鏡下生検が有効でないため質的診断は困難とされている 本症例は と記載されておりその可能性は低率であるため手術を施行し同時にリンパ節生検を行い 術前に確定診断までには至らなかったが CA19-9 が高値を示し FDG-PET 検査から 結果的にサルコイドーシスの診断にたどりつくことができた. 医学中央雑誌で 胃癌 も悪性の可能性も否定できず手術を施行した 結果的には良性の胃神経鞘腫であり そ サルコイドーシス をキーワードにして 1983 年 1 月から 2010 年 11 月まで検索し の悪性化において腫瘍マーカーとの有意な関連も報告されていない 一方 胃神経鞘腫 (会議録を除く) さらに関連文献を検索した範囲では早期胃癌に合併したサルコイドー シスは 1 例のみであり比較的まれなため若干の文献的考察を加えて報告する. の悪性の頻度は 10 15% と報告されているが 病理学的に良性であっても転移を示 す頻度が 2.7% あることから組織学的悪性度と臨床的悪性度は必ずしも一致していな い 現段階では胃神経鞘腫に対しては腫瘍の大きさや成長の速さ等を検討し 潜在的に 悪性の可能が示唆される場合は外科的切除を考慮することが妥当だと思われる P5-5 胃神経鞘腫の 1 例 P5-7 胃癌の転移との鑑別を要した脾サルコイドーシスの 1 例 斉藤 誠 1, 植田 宏和 三上 城太 1, 川崎健太郎 1, 中山 俊二 1, 金治 新吾 1, 押切 太郎 1, 田中 賢一 1, 藤野 泰宏 1, 富永 正寛 屋島総合病院外科 1. 兵庫県立がんセンター消化器外科 症例は 63 歳 女性. 以前より胃粘膜下腫瘍を指摘されていたが 経過観察されてい た. 平成 22 年 7 月上部内視鏡検査で胃体下部後壁に辺縁がなだらかな隆起性病変を確 はじめに サルコイドーシスは原因不明の疾患であり 皮膚 肺や肺門リンパ節な 認 針生検で GIST を疑われた. 腹部 CT 検査で壁外性に発育している境界明瞭な径約 どに発生することが多いが 脾サルコイドーシスの報告は比較的少ない. また脾腫瘍に 2.3cm 大の腫瘍像を認め 造影にて辺縁は濃染するが内部の造影効果は不均一であった. 以前の CT と比較して増大傾向を認めたため手術治療を選択し 腹腔鏡補助下に腫瘍と 胃壁を含めて局所切除した. 病理組織診断では紡錘形の腫瘍細胞が束状に増殖しており 極一部で核の柵状配列が見られた. 経度の核不整や大小不同が見られたが 核分裂像の 増加や壊死は認めなかった. 免疫組織化学では c-kit(-)cd34(-)vimentin(-)cd117(-) 平滑筋アクチン (-)S-100(+)desmin(-) であり神経由来の腫瘍であり神経鞘腫と診断し た.Ki-67 標識率は約 1% であった. 結論 胃神経鞘腫は非上皮性腫瘍の中でもまれで あり 全胃腫瘍のうち発生率は 0.1% 0.2% とされる. 今回我々はその 1 例を経験し たので 自験例を含む本邦報告 300 例とともに検討し考察を加えて報告する. 悪性腫瘍を合併する場合転移性腫瘍との鑑別を要する. 今回われわれは胃癌の術前検査 にて脾腫瘍を認め 胃癌の転移との鑑別を要した脾サルコイドーシスの 1 例を経験し たので報告する. 症例 症例は 70 歳代女性で 2 年前にぶどう膜炎を発症し サル コイドーシスが疑われ経過観察されていた. 健診の内視鏡検査にて胃癌を指摘され当院 を紹介となった. 透視検査では胃中下部に 3 型胃癌が 内視鏡検査では同部に潰瘍を 伴った陥凹性病変を認め 生検結果は低分化腺癌の診断であった. CT 検査にて縦隔 両側肺門 胃小弯 肝十二指腸間膜 脾門部に腫大リンパ節を認め 脾臓には低吸 収域が多発しており これらは FDG-PET 検査でも集積を認めた. 胃癌の転移 また はサルコイドーシスの可能性が考えられたが画像所見ではその鑑別は困難であった. 2 年前に施行された CT 画像と比較すると 胃小弯を除く腫大リンパ節や脾臓の低吸収 域は既に認めてられており サルコイドーシスの可能性が高いと考えられた. 術前診 断 ct3 cn(+) cm0 にて手術となり 幽門側胃切除 リンパ節 2 群郭清 および 脾臓の針生検を行った. 脾腫瘍は術中エコーにて確認し 良好な視野のもとで生検を 行い止血は容易であった. 病理組織学的検査は por2>tub1>tub2 pt3 INFb ly2 v1 pn3a(8/49) ppm0 pdm0 であり 1 3 4d 6 9 リンパ節が転移陽性で あった. また脾臓針生検の検体においては線維性間質に組織球の小集簇があり 肉芽腫 形成性の炎症所見を呈していた. 脾腫瘍に関して悪性腫瘍に伴うサルコイド反応と全身 性サルコイドーシスを組織学的に鑑別することは困難なことが多いが 本症例は癌浸 潤がみられず既往歴から脾サルコイドーシスであると考えられた. 考察 脾腫瘍に悪 性腫瘍が合併する場合 転移性腫瘍との鑑別が必要であるが画像診断は困難である. 過 去の画像所見と比較し また術中に脾臓の針生検を行うことで悪性腫瘍を否定するこ とができた. 胃癌に合併した脾サルコイドーシスまたは脾臓のサルコイド反応は医中誌 で検索しうる限り会議録を除いて 5 例と稀であり 文献的考察と合わせて報告する. 第66回 総会

14 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 585 P5-8 若年者に発症した G-CSF 産生胃癌の 1 例 P5-10 骨 軟骨化生を伴った胃悪性腫瘍の一例 青松 直撥 1 2, 甲斐 康之 1 3, 李 千萬 1 3, 川口 学永 1, 加藤 保之 1 1. 大阪医療刑務所外科, 2. 大阪市立大学大学院腫瘍外科学, 3. 大阪大学大学院医学系 武居 友子 1, 平岩 訓彦 1, 壁島 康郎 1, 川久保博文 1, 大森 泰 1, 入江 理恵 2, 杉浦 仁 2 研究科外科学講座 1. 川崎市立川崎病院外科, 2. 川崎市立川崎病院 病理 症例は 75 歳 男性. 貧血による意識消失発作で受診し 上部消化管内視鏡検査で胃体 はじめに 悪性腫瘍において 明らかな感染徴候がないにもかかわらず 白血球 の異常増多を示すことがある. その一因は 腫瘍自体が産生する granulocyte-colony 上部小彎に出血を伴う 2 型進行胃癌を認めた. 生検結果は por+sig であった. 造影 CT 検査では 胃小弯側に腫瘍内に明瞭な石灰化を伴う 11cm 大の腫瘍を認めた. 明ら stimulating factor(以下 G-CSF) によるものと考えられ G-CSF 産生腫瘍として報 告される. 本邦での報告例は 24 例と非常にまれ (会議録を除く 年までの医 学中央雑誌にて検索) であり 通常の胃癌に比べ 予後不良とされている. 本症例は最 かな他臓器浸潤 リンパ節転移 遠隔転移は認めず 胃癌 MU Less ctype2 ct3(ss) 若年の報告であり 大変貴重であると思われたため 若干の文献的考察を加え 報告す などの後腹膜臓器へ広範囲に浸潤していたため 試験開腹術で終了した. 手術施行の 3 る. 症例 27 歳男性. 現病歴 1 週間前からタール便 吐血を認め 前医にて胃癌と 診断され 精査加療目的に入院となる. 入院時現症 発熱は認めず 眼瞼結膜に貧血を 認めた. 腹部は平坦 軟で圧痛は認めず 体表リンパ節の腫大は認めなかった. 入院時 検査所見 採血検査にて WBC 44000/µL と著明に上昇し Hb 9.3g/dl と貧血を認め た. 腫瘍マーカーの上昇は認めなった. 上部内視鏡検査にて噴門部に直径 5cm 大の潰 瘍形成を伴う 2 型腫瘍を認めた. 易出血性であり 生検では Group5 であった. 腹部 造影 CT 検査では 噴門部から弓隆部に内腔に膨隆する腫瘤がみられたが 明らかな 遠隔転移は認めなかった.PET 検査にて胃噴門部直下の腫瘤に一致して FDG の高度集 積を認めた. また 脾臓 脊椎 肋骨 胸骨および上肢 下肢骨にびまん性に FDG の 集積がみられた. 感染症は否定的であったが 白血球の異常高値を認め G-CSF 産生 胃癌を疑った. 血清 G-CSF を測定したところ 344pg/µL と高値を認めた. 入院後経 過 吐血が持続するため 準緊急にて胃全摘術 (D2) Roux-enY 再建術を施行した. 術 cn0 ch0 cp0 cm0 cstageiia と診断し 胃全摘術の方針で開腹術を施行した. 術中所見では 高度の腹膜播種を認め 原発巣は胃小弯側から壁外へ大きく進展し 膵 週間前に施行した CT 検査の所見と比較して 明らかに進行した術中所見であり 増 殖速度が非常に速い腫瘍であると考えられた. 術後は腫瘍からの出血が持続し 頻回に 輸血を実施したが 術後 14 日目に原発巣からの多量の出血により死亡した. 剖検所見では 胃体部小弯に壁外に大きく発育する 15 10cm の腫瘤を認めた. 腫瘤部 は非常に固く骨様で メスでの切離は不可能であった. 組織像では 癌細胞が間質の 線維成分増生を伴い浸潤性に増生する像とともに 広範に骨 類骨 軟骨形成を認め た. 軟骨様となっている細胞には異型性が強い核を有するものも目立ち 肉腫様に見 える部分も認められた. 免疫組織染色では軟骨組織の一部と癌組織でサイトケラチン (AE1/AE3) が陽性 軟骨組織は S-100 陽性であった. 以上より診断としては ①骨 軟骨化生を伴う胃癌 ②骨形成を伴う真性胃癌肉腫 (軟骨肉腫 + 低分化癌) が考えられ たが 現状では確定診断が得られず精査中である. 核の異型性を認める軟骨組織を肉腫と診断した場合 診断は真性胃癌肉腫となるが 骨 後病理組織学的検査にて G-CSF 免疫染色が陽性であり G-CSF 産生胃癌 (U Less 組織を伴う癌肉腫の報告例は検索した限りでは認められなかった. また 軟骨組織を軟 type mm tub2>pap pt2(mp) INFα ly2 v1 pn1 ppm0 pdm0 pstage Ⅱ A) と診断された. 術後 白血球 5800/µL GCSF 31.1 pg/µl と基準値まで 低下を認めた. また PET 検査では 脾臓 骨のびまん性の FDG 集積は術前に比べ明 らかな改善を認めた. 術後経過は概ね良好であり 補助化学療法として TS-1 内服を開 始し 経過観察中である. 骨化生と診断した場合 診断は骨 軟骨化生を伴う胃癌となるが こちらも同様の報告 P5-9 胃原発 Granulocyte Colony-Stimulating Factor(GCSF) 産生性 腫瘍の一例 P6-1 胃切除後の再建法手技とその成績 切除 郭清 術後フォローアッ 高野 奈緒 1, 矢野 博雅 1, 田中 晴祥 1, 下山 理史 1, 中山 裕史 1, 初野 剛 1, 片岡 政人 1, 近藤 建 1 菅野 仁士 1, 山下 直行 1, 新井 洋紀 1, 宮下 正夫 2, 加藤 俊二 2, 藤田 逸郎 2, 金沢 義一 2, 櫻澤 信行 2, 小野寺浩之 2, 内田 英二 2 1. 名古屋医療センター外科 1. 慈山会医学研究所付属坪井病院外科, 2. 日本医科大学附属病院消化器外科 症例は 60 歳女性. 平成 20 年 8 月頃より上記あり 全身倦怠感 食思不振出現 1 ヶ 胃切除後の再建は切除 郭清にある程度規定される. 郭清基本プラン (A)MPN0 まで 月に 4kg の体重減少を認め 9 月 7 日当院 消化器内科紹介受診 上部消化管内視鏡 D1+β 迷走神経温存 (B)SS 以深 N(+) は門脈系をランドマークとした D2. 幽門 側胃切除 1) 1997 からの CDH による B-I 後壁から Hemi-Double Stapling(HDS) に移行. HDS は追加切除ができないので術前により入念な NBI 拡大観察 マッピ ングが必要.(外科医より mm 単位で断端と勝負している内視鏡治療医の協力を得て開 始) 2) 中結腸 A の左で結腸後 Roux-en Y. 吊り上げ空腸管膜切開は stasis を予防のた め最小限に. 吊り上げ空腸を波型鉗子 2 回で閉鎖 埋没し縫合器 3 個で代替 過剰請 求なく施行. R-Y の利点 1) 主要血管と吻合部の接触なし.2) 局所再発時も経口摂取 可能.3)T4 残胃癌に BI より対処しやすい. R-Y の欠点 術後 胆道にアプローチし難 い. 胆摘と Y 脚まで 30cm として小腸ファイバーを容易に (胃切後の胆石は約 15%. 総胆管結石は殆どない 2002 胃癌学会ワーク). 噴門側胃切除 現在 対象は U 領域 限局の病変のみ.2001 から残胃前壁漿膜筋層切開噴門形成術 (手術 月) による 再建. 空腸間置 ダブルトラクトに比べ内視鏡所見の改善あり. 噴切後の残胃癌は分化 型が多く空腸間置群に進行例が多いとの報告 (上西ら 胃と腸 ) の通 り 本法施行後の残胃癌 10 病変は全て ESD で対処可能. 胃全摘 (A) (B) とも結 腸前 Roux-en Y(B は脾摘を併施). 幽切 R-Y 噴切などの手技を提示する. にて胃体中部に径 5cm の隆起性病変を認め 生検結果は低分化型腺癌であり胃癌と診 断 精査中に貧血の進行と 38 台後半の発熱を認めるようになり 10 月 2 日緊急入 院となった. 初診より 1 ヵ月後の間に腫瘍径は 10cm ほどに増大し 白血球数及び血 小板数の上昇を認めた. また 入院時より左下肢の腫脹と疼痛を認め 造影 CT にて左 外腸骨静脈から大腿静脈にかけての血栓症と診断された. 画像上遠隔転移はなく 明 らかな感染源を認めないことより腫瘍に伴う一連の全身性の反応であると判断し 下 大静脈フィルターを留置の上 全身麻酔下に開腹幽門側胃切除術を施行した. 全身状 態を考慮し郭清は D0 に留めた. 手術診断は L Gre st2(ss) sh0 sp0 sm0 sstageii であり 明らかな肝転移 腹膜播種 腹水は認めなかった. 胃体下部前壁の腫 瘍は進達度は SS であったが#6LN と考えられる壁外の 10cm ほどの腫瘍は横行結腸 間膜と膵被膜への浸潤を認めた. 病理診断は por1+sig ss pm(-) dm(-) ly3 v1 n1 StageII であったが 通常の sig より極めて異型が強く 腫瘍細胞間に好中球浸潤 が目立ち 腫瘍細胞胞体内にも好中球が取り込まれていることより免疫染色を施行した ところ抗 GCSF 抗体陽性であり GCSF 産生性腫瘍と診断した. は検索した限り認められなかった. 骨 軟骨化生を伴った胃悪性腫瘍は 今までに報告 例をみない極めて稀な疾患であると思われ 若干の文献的考察を加えて報告する. プの観点から 術後経過は良好であり 白血球数も正常範囲内となり 第 23 病日退院となったが 第 38 病日に腹壁腫瘤を自覚 同部位の自潰と発熱を主訴に救急外来を受診 血液検査上 白血球増多を認め 自潰部排液細胞診陽性 再発と診断. 抗生剤を投与しながら TS-1 内服を開始するが手術より 2 ヵ月で肝転移出現 75 日目に多臓器不全にて永眠され た.GCSF 産生性腫瘍は非常に稀であり 原発巣として多いものは肺 膀胱があげられ るが 消化器原発は更に少なく 胃癌での報告例はわれわれの調べうる範囲では 4 例 であった. 進行癌の状態で発見されることがほとんどで きわめて進行が急速で予後不 良であり 標準的治療は確立されていない. 今回我々は免疫染色を用いた診断をし得た が 術前からの診断や治療方針の選択と決定など課題が多く 本症例の経験を踏まえ若 干の文献的考察を加え報告する. 第66回 総会

15 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P6-2 胃全摘術後 pouch roux-eny 再建の評価と内視鏡所見 586 P6-4 自動縫合器による幽門側胃切除後 Roux-en Y 再建は標準術式と なりえるか 相田 貞継 1, 磯崎 正典 1, 佃 玄紀 1, 松尾 海 1, 野垣 航二 1, 保母 貴宏 1, 有馬 秀英 1, 横山 登 1, 清水 浩二 1, 熊谷 一秀 1 1. 昭和大学附属豊洲病院外科 小林 大介 1, 小寺 泰弘 1, 藤原 道隆 1, 小池 聖彦 1, 中山 吾郎 1, 大橋 紀文 1, 中尾 昭公 1 1. 名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学 (はじめに) 当科では 胃全摘後の標準再建法として 術後食事摂取量の増加や逆流性食 道炎の予防を期待して pouch Roux-enY(以下 pouch RY) を 1997 年以降一貫して採 用してきた そしてそれ以前の空腸間置法 pouch 空腸間置よりも良好な術後 QOL を外来診察にて実感していた 今回は pouch RY 再建の評価を control として空腸間 置再建と比較し検討したので報告する また pouch RY 再建の内視鏡所見についても 検討し報告する (対象 方法)pouch RY 再建 119 例 (平均年齢 66.5 才 男女比 85/34 fstage Ⅰ a 24 例 fstage Ⅰ b 14 例 fstage Ⅱ 18 例 fstage Ⅲ a 18 例 fstage Ⅲ b 21 例 fstage 24 Ⅳ例) と 1997 年以前の空腸間置再建 69 例 (平均年齢 60.6 才 男女比 50/19 fstage Ⅰ a 22 例 fstage Ⅰ b 6 例 fstage Ⅱ 8 例 fstage Ⅲ a 12 例 fstage Ⅲ b 8 例 fstage 13 Ⅳ例) を対象とした pouch RY 再建は pouch 長 12-15cm の食道 側 pouch で 空腸間置再建は 40cm 長の空腸を end-to-end で主に再建した QOL 評価は外来診療録により術後体重の推移 ダンピング徴候 一回食事摂取量 食道逆流 症状などを検討した 119 例の pouch RY うち 31 例につき内視鏡所見の確認ができ た のべ 106 症例であった (結果) 一回食事摂取量は術前の 6 割以上 とするのが pouch RY で 87% 空腸間置 再建で 49% ダンピング症状ほとんどなし が pouch RY で 80% 空腸間置再建で 59% であり 一回食事量 ダンピング症状については pouch RY が有利な傾向に見ら れた 逆流性食道炎について pouch RY は ほとんどなしが 75% であり ほぼ満足 できる結果であった 内視鏡所見は 逆流性食道炎所見とパウチ内残渣の程度に注目した 逆流性食道炎はロ サンゼルス分類で全例 31 例 grade N であった パウチ内残渣は 残渣なし 少量の 残渣 (+1) が 9 割を占めた (結語) 胃全摘後 pouch RY 再建の術後 QOL 評価は比較的満足のいくものであり 特 に食道逆流の訴えはごく少なく満足度も高く標準術式になりうる <背景>胃癌に対する幽門側胃切除後の再建法は Billroth Ⅰ (B1) 法が conventional な 手技として施行されてきた. しかし 器械吻合法の進歩や腹腔鏡手術の普及に伴い胃切 除後の再建法は多様性を見せている. 当科では現在 開腹幽門側胃切除術 (ODG) 後の 再建法に自動縫合器による Roux-en Y (RY) 再建を適用しており良好な成績を得ている. 今回これらの症例を従来の B1 再建と比較し ODG における RY 再建は標準術式とな りえるかを検討した.<対象と方法>当科の方針として ODG の再建は手縫いもしくは自 動吻合機による B1 再建を原則的に行っていたが 2005 年より自動縫合器による胃大彎 空腸側側吻合の RY 再建を行うようになった.Y 脚も自動縫合器による空腸空腸側側吻 合としている. 対象は 1996 年から 2008 年までに当科で ODG を施行した 223 例で そのうち B1:140 例 RY:83 例であった. この 2 群について手術時間 出血量 合併症 在院日数 術後栄養機能評価として術前と術後 6 か月の血清 Alb 値を比較した. また 術後初回の残胃内視鏡検査について RGB classification による評価を行いそれぞれ比較 した.<結果>手術時間中央値は B1:180 分 RY:221 分で有意に RY が延長していた. 出 血量中央値は B1:210ml RY:381ml であり有意に RY で多い結果であった. 合併症は B1 に 35 例 (25%) 認めており 主な内訳は縫合不全 6 例 吻合部狭窄 4 例 吻合部出 血 1 例 吻合部潰瘍 1 例 胃内容停滞 2 例 腹腔内膿瘍 5 例 腸閉塞 5 例 胆嚢炎 1 例であった.RY は 25 例 (30%) に認めるものの 縫合不全 吻合部狭窄 出血の症例は なかった. 主な内訳は stasis 3 例 腹腔内膿瘍 3 例 腸閉塞 1 例 胆嚢炎 1 例であっ た. 術後在院日数の中央値は B1:22 日 RY:14 日であり有意に RY で短縮していた.Alb 値の術前/術後の比較は平均値で B1:4.07/4.06 (n=30) RY:3.80/3.87 (n=71) であり両群 とも術前術後で差は認めなかった. 術後残胃内視鏡検査結果を検索し得たのは B1:50 例 RY:36 例であり術後経過期間の中央値は B1:679 日 RY:561 日であった.gastritis Grade0/1 2 3 の比率は B1:3/47 RY:19/17 であり bile reflux Grade0/1 の比率は B1:38/12 RY:34/2 であり伴に RY で頻度が低かった.<考察>ODG における RY 再建 は B1 再建に比べ手術時間 出血量とも上回っているものの吻合に関連する合併症は少 なく 信頼のおける手技であると思われた. また RY 再建は術後の残胃炎 胆汁逆流に ついても予防的に働くことが示された. 以上より ODG 後の RY 再建は標準術式として の feasibility を満たしていることが示唆された. P6-3 糖尿病症例における胃全摘 Roux-en-Y 再建術後長期経過におけ る HbA1c の推移 P6-5 当科における噴門側胃切除術 空腸 pouch 間置法と細径胃管再 鷲澤 尚宏 1, 大嶋 陽幸 2, 木村 和孝 2, 名波 竜規 2, 鈴木 隆 2, 谷島 聡 2, 山﨑 有浩 2, 島田 英昭 2, 金子 弘真 2 小西 栄 1, 生方 英幸 1, 田渕 崇伸 1, 長田 大志 1, 中地 健 1, 竹村 晃 1, 春日 照彦 1, 本橋 行 1, 片野 素信 1, 田渕 崇文 1 1. 東邦大学医療センター大森病院栄養治療センター, 2. 東邦大学医療センター大森 1. 東京医科大学茨城医療センター消化器外科 病院消化器センター 外科 目的 上部消化管手術の中でも胃切除術や胃全摘術後には摂食量の減少や消化管吸収 能の低下から 体重減少や血糖値の低下をみることが多い 同時に消化管ホルモンの分 建法の比較検討 胃上部早期胃癌に対しては 根治性のみならず術後 QOL の向上を目的として様々な 再建術式が開発されているが 未だ標準術式として確立されていない 目的 我々は 噴門側胃切除術の吻合に逆流予防及び貯留能を期待して空腸 pouch 間置法を その後 泌変化も影響するといわれており 手術によって耐糖能障害が改善する可能性も指摘さ 停滞対策として細径胃管再建法を行ってきた 今回はこの両者を比較検討したので報告 れている 今回 胃全摘術前後での変化を調査した 方法 2004 年から 2007 年に当 する 方法 対象は 1999 年 1 月から 2010 年 3 月までの当科で行った噴門側胃切除 院で胃癌に対して行った胃全摘術 Roux-en-Y 再建の症例のうち HbA1c が 6.1% 以 上の 24 例 (年齢 67±9 歳 男性 18 例 女性 6 例 進行度Ⅰ A 18 例 Ⅱ B 5 例 Ⅱ A 1 例) の無再発期間を対象に 術前術後の HbA1c の推移を後ろ向きに調査した 測 定方法は高速液体クロマトグラフィ (HPLC) 法で 術前は 1 回測定値 術後は周術期 の影響がない 6 カ月以上 最長 4 年間の平均値とした 化学療法症例は除外し 合 併症発生症例も除外した 対象症例全例について前後の平均値を比較検討し Paired t-test Wilcoxon t-test を用いて推計学的に検討した 成績 腎症等の合併症症例は存 在しなかった BMI は前後で有意に低下し これは HbA1c の上昇群低下群で差がな かった 術前は 平均 6.71% であった HbA1c は 術後には 5.88% へと低下し 24 例中 21 例が改善し その変化値は % であった 改善例と増悪例では体重変 動には差がなかった 術前インスリン使用症例は 6 例であったが 術後も変わらず 6 例であった 悪化した 3 例を詳細に検討すると 術前の HbA1c が大きいほど悪化す る数値が大きい傾向を認めた 結論 胃全摘術 Roux-en-Y 再建によって耐糖能は改 善する傾向を示したが 悪化する症例においては その値が大きく変化する傾向を示 し コントロール困難症例が含まれることも示された 胃全摘 Ruox-en-Y 再建術が糖 尿病を改善するという報告や インスリン抵抗性を改善するという報告がされているた め 食事摂取量の減少に加え GLP1 の上昇など消化管ホルモンの変化による耐糖能の 改善も示唆される 第66回 総会 術の空腸 pouch 間置法 (4 例) と細径胃管再建法 (4 例) 適応は術前診断 T1a または T1b N0 の Stage Ⅰ A 症例で 病変から切除線まで 2cm 以上あるものとした 検討 項目は 手術侵襲要素として手術時間 出血量 在院日数 周術期の術後合併症 術後 在院期間と 1 年後の術後愁訴 退院時の食事摂取量と体重 栄養指標因子による栄養状 態 内視鏡および造影所見とした 成績 患者背景は年齢で胃管群が高齢であったが 性差に有意差なく 深達度も両群に T2 症例を 1 例含んでいた 手術侵襲要因では 手 術時間は pouch 間置法が 4 時間 46 分と 胃管再建法の 3 時間 33 分より長かった 出血量 術後在院日数は Pouch 群が多い傾向があるも有意差は無かった 周術期の 術後合併症では Pouch 群にイレウスと膵液瘻を 胃管群に吻合部狭窄と肺炎をそれぞ れ 1 例ずつ認めたが 発生頻度に有意差は無かった 術後愁訴は Pouch 群で周術期 75% 1 年後では 100% の消化器症状を認めた 胃管群ではいずれも 25% であった 食事摂取量 栄養状態の評価では 退院時の食事摂取量に差はなかったが 1 年後の体 重と血清アルブミン値で胃管群が高値を示した 術後愁訴は pouch 間置法で経過観察 できた 4 例全例に術後 1 年以上の長期にわたり嘔気 腹満感を認め いずれも内視鏡 検査で残渣の貯留及び逆流所見を認めた 一方 胃管再建法では経過観察できた 3 例 とも内視鏡検査で残渣の停滞を認めず 長期の愁訴はなかった 結論 細径胃管再建 法は 手技的に容易でかつ術後 QOL の向上に寄与する術式であると考えられた

16 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 587 P6-6 噴門側胃切除における胃管食道吻合再建の検討 P6-8 噴門側胃切除術後二重空腸嚢再建の有用性 伊地知正賢 1, 原田 庸寛 1, 冨樫 順一 1, 日下 浩二 1, 柴崎 正幸 1, 万代 恭嗣 1 1. 社会保険中央総合病院外科 野口 琢矢 1, 久保 宣博 1, 藍澤 哲也 1, 松永 宗倫 1, 坂口 健 1, 野口 剛 2 1. 大分県厚生連鶴見病院外科, 2. 大分大学医学部付属病院地域医療学センター外科系 背景 噴門側胃切除後に胃管食道吻合で再建した症例の短期 長期成績を検討する 背景 噴門側胃切除術後の再建方法として 食物貯留能の維持や 小胃症状 ダンピ 長期成績については特に逆流性食道炎に注目して 同時期に空腸間置 空腸嚢間置で再 ング症状の発症予防の観点から 二重空腸嚢間置術が多くの施設で行われるようになっ 建した症例と比較検討した 方法 年に当科において胃癌および接合部 てきている. 方法 当院での再建方法の特徴は以下の通りである. ①食道と二重空腸嚢 癌に対し噴門側胃切除後に胃管食道吻合を行った 9 例を対象とし 短期的な手術成績 の間に単空腸を作成することで逆流防止弁構造を造設し より確実に逆流性食道炎を防 と 長期的な follow up においては 逆流症状の有無 内視鏡検査での逆流性食道炎の 止する. すなわち 7-10cm のシングル空腸およびこれに続く 7-10cm の二重空腸嚢の移 有無 程度について検討し 同時期にその他の再建を行った 19 症例 (空腸間置 7 例 行部に形成される弁様構造と シングル空腸の蠕動運動により逆流を防止し さらに二 空腸嚢間置 12 例) と比較した 結果 胃管食道吻合を行った全 9 例の背景は 年齢 重空腸嚢によって胃内圧の緩衝を図ることができる. ②食物貯留能を維持するため 二 77(61-79) 歳 男性 7 例 女性 2 例 早期癌 4 例 進行癌 5 例でそのうち接合部癌が 3 例であった 胆石症合併の 3 例に胆摘を併施した 手術時間は 284( ) 分で 同時期の空腸間置例 378( ) 分 空腸嚢間置例 337( ) 分と比べ有意に短 く 術中出血量は 440( )g で 同時期の空腸間置例 630( )g 空腸嚢間 置 518( )g に比べて有意に少ない結果であった 術後合併症は 縫合不全を 1 例 吻合部狭窄を 2 例認め 術後在院期間は 24(12-32) 日であった 空腸嚢間置群は 合併症を 4 例に認め (縫合不全 1 例 菌血症 1 例 創感染 1 例 突然の心肺停止で の死亡 1 例) 術後在院期間は 23(4-108) 日 空腸間置群は合併症なく 術後在院期間 は 20(14-32) 日であった 胃管食道吻合症例の術後観察期間は 23(5-44) ヶ月で 問診 により逆流症状があると答えたのは 2 例 (22%) であった 内視鏡検査における逆流性 食道炎は 3 例に認め 2 例は接合部癌でロサンゼルス分類 GradeC GradeA であり 前者は深い潰瘍を形成し PPI 内服により軽快した 残りの 1 例は体上中部の進行癌 で胃管がやや短くなった症例で GradeM であるものの症状が強く 2 度の中心静脈 栄養目的の入院を要した 空腸間置例では逆流症状を 1 例 (14%) に認め 逆流性食道 炎は 1 例もなく 空腸嚢間置例では逆流症状を 11 例中 9 例 (82%) に認め 3 例に逆 流性食道炎を認めた (GradeM2 例 GradeA1 例) 結語 噴門側胃切除後の胃管食 重空腸嚢および残胃の吻合口を最大限とする. すなわち腸間膜が十分に伸展するように 犠牲腸管を長めにとる. ③食物の停滞を少なくするため 二重空腸嚢は長すぎないよう に作成する. 対象 本法を施行した症例は 25 例であり その内訳は早期胃癌 17 例 進行胃癌 3 例 GIST 3 例 バレット食道癌 1 例 難治性胃潰瘍 1 例であった. 結果 男性 21 例 女性 4 例 平均年齢は 70.4 歳 (50-90 歳) であった. 手技はやや煩雑とな るが 平均手術時間は 208 分であった. 術後合併症は 食道空腸吻合部の狭窄 1 例 腸 閉塞 2 例 軽度の肺炎 2 例 脳梗塞 1 例であった. 現在まで PPI 服用経験者は 5 例 だが 逆流性食道炎は 1 例も認められなかった. 食事摂取状況は 全例で 7 割以上を 摂取しており良好であった. なお 間置するシングル空腸や二重空腸嚢の長さは患者の 体格を参考として決定しているが 二重空腸嚢は長過ぎない方が 食物残渣の量や停滞 感などにおいて良好であると考えられた. また空腸の太さも食物貯留能や逆流防止にお いて重要な要因と考えられた. 結語 現在まで良好な QOL が得られていると考えら れた. 今後 二重空腸嚢の形態や食事摂取状況の変化 QOL の変化など長期的なフォ ローが必要である. 道吻合は 他の再建術式に比べて手技が簡便であるが 胃管が十分に長く確保でき 腹 部食道が長く残る症例に適応すべきと考えられた P6-7 神経温存噴門側胃切除術後における再建法と術後障害に関する臨 P6-9 胃全摘後空腸パウチ再建症例の長期成績の検討 床的検討 北谷 純也 1, 岩橋 誠 1, 中森 幹人 1, 中村 公紀 1, 尾島 敏康 1, 飯田 武 1, 勝田 将裕 1, 俊明 1, 早田 啓治 1, 山上 裕機 1 市村龍之助 1, 森田 高行 1, 藤田 美芳 1, 岡村 圭祐 1, 山口 晃司 1, 福島 正之 1, 佐藤 彰記 1 1. 北海道消化器科病院外科 1. 和歌山県立医科大学医学部外科学第二教室 はじめに 胃全摘術では機能廃絶による術後障害により 多くの症例で術後 QOL が 目的:我々は U 領域早期胃癌に対し 機能温存を目的とした噴門側胃切除術 (PG) を行っ 長期間損なわれる. われわれは胃全摘後の消化管再建法として 機能再建を目的に 1996 ている PG 後の再建法は 以前は空腸嚢間置を行っていたが pouch の異常拡張や排 年 8 月より空腸パウチ間置法 (JPI) 並びに空腸パウチ Roux-Y 法 (JPRY) を実施して 出遅延を多くの症例で認めたため 現在では食道残胃吻合 (esophagogastrostomy:eg きた. 今回当術式の術後 5 年までの長期成績につき検討した. 対象 1996 年 8 月 2009 年 12 月に当施設で行った胃全摘パウチ再建症例 191 例 (JPI64 例 JPRY127 例). 方法 カルテ調査による集計. 愁訴については ほとんどない 時々ある しばしば ある の 3 段階評価を行った. 再建手技 パウチ長 18 15cm(過長によるパウチ屈 曲回避) JPI 導管長 5cm JPRY ではパウチ本体部を結腸間膜に縫合固定しパウチ屈曲 を予防.1997 年 12 月よりパウチ鬱滞改善目的にパウチ作成時犠牲腸管を設け 空腸辺 縁動静脈に伴走する自律神経を温存.2000 年 11 月パウチ前面で食道吻合 (それまでは 側面) さらに噴門形成を付加. 結果 晩期合併症:入院治療を要したパウチ拡張は 2 例 (1.0%) 保存療法で軽快. 腹腔鏡下手術においてパウチの腸間膜と後腹膜との間隙に小 腸が嵌入する内ヘルニアを 2 例 (1.0%) 認めた. 初期の 1 症例 (0.5%) で Y 脚屈曲によ る通過障害を発症し再手術を行った. パウチ切除を要する合併症はなかった. 術後 QOL: 同期間の RY 再建症例 (76 例) と比較検討 (Mann-Whitney 検定/ Fisher の直接確立 計算法). 術後/術前体重比は JPI 群 JPRY 群とも術後 5 年時まで概ね良好で JPRY では 2 年時まで有意差を認めた (2 年時 RY84.3±10.0% JPI90.1±7.0%(p=0.0537) JPRY93.3±6.6%(p=0.0010) 5 年時 RY85.5±16.4% JPI90.5±6.4% JPRY94.0±9.0%). 早期ダンピング症状有症状率は術後 1 年時まで JPRY 群が良好な傾向を示したが (1 年時 RY12.1% JPI7.5% JPRY2.5%(p=0.0573)) 5 年時には RY 群においても軽快 した. 逆流症状 (中等症以上) 有症状率は術後 2 年時まで JPI 群 JPRY 群とも有意に 良好であったが (1 年時 RY27.3% JPI4.0%(p=0.0057) JPRY6.8%(p=0.0101) 2 年 時 RY26.3% JPI2.7%(p=0.0141) JPRY2.0%(p=0.0047)) 5 年時には RY 群でも改 善した.JPI JPRY とも噴門形成付加症例で逆流症状が更に低率であった. 結語 胃全 法) あるいは空腸間置 (jejunal interposition:ji 法) を施行している 今回 これらの 再建法における術後障害 特に逆流性食道炎や排泄遅延に関する症状の有無や栄養状態 について比較検討した 対象と方法:2002 年 1 月から 2007 年 12 月までに U 領域胃 癌症例に対し当科で PG を施行し 3 年以上の経過観察ができた 46 例を対象とした 術後 1 年目 3 年目における各種症状の有無 体重変化 Alb 値の変動および内視鏡所 見を比較検討した 結果:再建法は EG 法が 30 例 (stage Ⅰ A:22 例 Ⅰ B:4 例 Ⅱ:4 例) JI 法は 16 例 (stage Ⅰ A:13 例 Ⅰ B:2 例 Ⅱ:1 例) に施行されていた 術中出 血量は EG 群で平均 232ml JI 群で 375ml と JI 群で多い傾向にあり また術後入院 期間は EG 群の 15.4 日に対し JI 群で 21.8 日と長かった (p=0.024) 逆流症状を認 めた症例は 術後 1 年では EG 群で 33% と JI 群の 12% に比して多い傾向にあり 一方排泄遅延症状は EG 群で 23% JI 群で 56% と JI 群で多かった (p=0.046) 術 後 3 年では 逆流症状は EG 群で 20% まで減少するも 依然高い傾向にあったが 排 泄遅延症状は JI 群で 18% まで減少し 長期的にみれば良好な結果となった 内視鏡 所見では 逆流性食道炎 (LA 分類 A 以上) を認めた症例は EG 群で 21% JI 群で 6% と EG 群で高い傾向にあり 残胃の食物残渣は EG 群で 14% JI 群で 50% の症 例で認められ症状と相関を示した 術前と比較した体重変動は 1 年後では EG 群の 89.8% に比して JI 群では 85.4% と低い傾向にあったが 3 年後ではそれぞれ 88.9% 88.2% と両群間で差は認めなかった また Alb 値も両群間で差を認めなかった 考 察:いずれの再建法においても特徴的な術後障害を認めた EG 群では逆流症例が多く JI 群ではうっ滞症状が多くみられたが 3 年の経過で見れば EG 法 JI 法ともに有症 状例は減少する傾向にあり 機能温存を目的とした噴門側胃切除術は術後の QOL 向 上に貢献できる可能性が示唆された 第66回 総会 摘後空腸パウチ再建では パウチ作成 固定時の手術操作の工夫でパウチ鬱滞 異常拡 張などの晩期障害を回避できる. 当術式は機能再建により術後障害の軽減が期待でき 長期間にわたり良好な QOL を維持できる有用な術式であると考えられる.

17 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 588 P6-10 噴門側胃切除術の術後 QOL に対する検討 P7-2 胃癌大腸転移に対する切除手術例の検討 松山 歩 1, 山本 学 1, 吉永 敬士 1, 筒井 信一 1, 石田 照佳 1 西川 和宏 1, 岩瀬 和裕 1, 青野 豊一 1, 吉田 洋 1, 野村 昌哉 1, 玉川 浩司 1, 松田 宙 1, 高橋 剛 1, 出口 貴司 1, 田中 康博 1 田 英司 1, 山下 洋市 1, 1. 広島赤十字 原爆病院外科 1. 大阪府立急性期 総合医療センター消化器一般外科 背景 機能温存を考慮した噴門側胃切除術の有用性については明らかになってはいな 緒言 胃癌大腸転移は比較的まれである 胃癌大腸転移に対して大腸切除を 5 例に い. 目的 噴門側胃切除術を施行した症例について 胃癌 11 例における根治度と 胃 施行したので報告する 粘膜下腫瘍 2 例を加えた計 13 例における術後 QOL を評価した. 対象 方法 当院に 症例 大腸切除を施行した胃癌大腸転移 5 例である 年齢は 59-78(平均 70) 歳 おいては術前診断で深達度が MP 以浅で #7 リンパ節以遠にリンパ節転移のない U 男 1 例女 4 例 前胃癌手術は幽門側胃切除 2 例 胃全摘 3 例であった 胃癌の進 領域胃癌を噴門側胃切除の適応としている. この適応のもとに施行した噴門側胃切除術 行度は Stage Ⅱ 1 例 Stage Ⅲ A 2 例 Stage Ⅳ 2 例 全例 T3 で N0/1:2/3 例 P0/1:4/1 例 CY0/1:4/1 例であった 胃癌術後化学療法は全例に施行し レジメンは UFT 5 DFER TS-1 PTX/TS-1 5-FU/PTX/CDDP 各 1 例であった 成績 胃癌手術から大腸手術までの期間は (平均 1102) 日であった 大腸転 移発見契機は 便潜血陽性や CEA 上昇の外来検査発見 2 例 便秘やイレウス症状によ るもの 2 例 小腸イレウス癒着剥離術術中発見 1 例であった 術前診断は 胃癌大腸 転移 2 例 大腸癌 2 例 他 1 例であった 大腸転移部位は横行結腸 3 例 上行結腸 1 例 直腸 1 例で 術式は 横行結腸部分切除 3 例 回盲部切除 1 例 ハルトマン手術 1 例であった 併存転移部位は 肝 1 例 リンパ節 2 例 腹膜 3 例で 腹腔細胞診は 施行 2 例中 1 例で陽性であった 病理所見では 腹膜転移を認める 2 例では漿膜面中 心の腫瘍であり 明らかに腹膜播種からの転移と思われた 他 3 例では びまん性浸 胃癌 11 例について根治度を検討した. また 胃粘膜下腫瘍 2 例を加えた噴門側胃切除 施行計 13 例について 術後体重変化 逆流性食道炎 吻合部狭窄 ダンピング症状の評 価を行った. 噴門側胃切除術は両側迷走神経を切離し 幽門形成術を加えている. 結果 (胃癌 11 例について) 平均年齢 67.3(57-75) 歳 平均観察期間 40.5(9-70) ヶ月. 術後診 断 Stage IA/IIA/IIIA=9/1/1 例であった. 全例根治度 R0 で 現在まで再発を認めてい ない. 術後体重は 1 ヶ月から 1 年までに最低体重となり 術前体重比は 83.2±9.0% で あった. また 術後 1 年の術前体重比は 87.9±8.0% であるが 10 人中 6 人が 90% を 超えていた.(全 13 例について) 術後最低体重の術前体重比は 84.9±11.5% であり 術 後 1 年の術前体重比は 88.5±12.5% で 12 人中 7 人が 90% を超えていた.LosAngels 分類 C 以上の逆流性食道炎を 2 例に認めたが 内服により軽快している. 内視鏡的拡 張術を必要とする吻合部狭窄を 2 例に認めた. ダンピング症状の訴えはなかった. ま 潤が著明であることや脈管リンパ管侵襲著明であること また腫瘍が大きいことから とめ 胃癌において噴門側胃切除術は 根治度について 胃全摘術と同等以上の結果が 転移経路の判定は困難であった 大腸術後化学療法は全例に施行し レジメンは TS-1 得られていた. また これまでの報告によれば 胃全摘術は術後 3 年かけて術前体重の を 2 例 TS-1/DTX 5-FU/PTX 5-FU を各 1 例ずつ施行した 転帰は 平均観察期 約 90% に回復するが 噴門側胃切除術後の体重回復は胃全摘術より早い傾向にあっ 間が (251) 日と短いが 肝転移併存の 1 例は術後 8 カ月で死亡 腹膜転移併存 た. 他疾患を加えた術後 QOL についても重篤なものはなく 許容できる範囲であった. 結語 機能温存を考慮した噴門側胃切除術は有用な術式と考えられた. の 2 例は担癌生存中 他 2 例は 1 例が再発生存中で 1 例は無再発生存中である 結語 大腸切除を施行した胃癌大腸転移 5 例を経験した 長期生存例も認められるこ とから胃癌大腸転移に対する切除手術は化学療法との併施により生存期間の延長が期待 できる P7-1 切除不能胃癌に対する Induction chemotherapy および Surgical intervention の有用性の検討 齊藤 正昭 1, 清崎 浩一 1, 千葉 文博 1, 高田 理 1, 吉田 卓義 1, 小西 文雄 1 1. 自治医科大学附属さいたま医療センター一般 消化器外科 目的 非治癒因子を有する切除不能胃癌や再発胃癌に対する S-1+CDDP 併用化学療 法はエビデンスのある治療法として確立しており その高い奏功率により Induction chemotherapy としての応用も期待される 当センターでは非治癒因子 (BulkyN2 も 含む) を有する高度進行胃癌に対して S-1+CDDP 併用療法を導入化学療法として 行っている 今回我々は 高度進行胃癌に対しての S-1+CDDP 併用療法の導入化学療 法としての可能性について検討した 対象と方法 自治医科大学附属さいたま医療センターで経験した非治癒因子を有する P7-3 StageIV 胃癌に対する治療の現状と方向性 大島 貴 1, 国崎 主税 1, 小坂 隆司 1, 長谷川慎一 1, 五代 天偉 1, 藤井 正一 1, 佐藤 勉 2, 利野 靖 2, 益田 宗孝 2, 今田 敏夫 2 1. 横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, 2. 横浜市立大学医学 部外科治療学 目的 Stage Ⅳ胃癌に対する治療の現状と方向性について検討した 方法 対象は 1991 年 4 月-2009 年 8 月に治療した Stage Ⅳ胃癌 242 例 内訳は 1991 年 4 月-1999 年 6 月に外科治療 + 術後新規抗癌剤以前の抗癌剤を投与した 88 例 1999 年 7 月-2005 年 9 月に外科治療 + 術後新規抗癌剤の逐次投与した 67 例 2006 年 4 月-2009 年 8 月に術前化学療法 S-1+Docetaxel をさらに追加した 32 例 および切除不能胃癌に対して新規抗癌剤の逐次投与した 55 例で 治療成績を比較検 討した また Stage Ⅳ胃癌に対し集学的治療を施行した場合の Trastuzumab 投与の 意義を検討するため 治療後 5 年以上経過した術後新規抗癌剤投与 67 症例に対し ToGA 試験に基づいて Her2 の免疫染色および FISH を施行し Her2 陽性症例と陰 胃癌症例のうち 経口摂取または薬剤の経管的投与が可能で 1st line 化学療法として S-1/CDDP 療法を施行した症例 58 例を対象とした 導入化学療法として S-1+CDDP 併用療法 (SPIRITS regimen) を施行し 各サイクル 後の評価で奏功と判断され R0 手術が可能と判断した症例は外科切除術とし それ 成績 術後新規抗癌剤以前の抗癌剤投与症例の MST 314 日 1 生率 47% 2 生 以外の症例は化学療法を継続する方針とした 導入化学療法としての奏効率 奏功後 率 19% と比較して 術後新規抗癌剤投与症例の MST 635 日 1 生率 66% 2 生率 Surgical intervention 群での全生存期間 手術移行率 根治切除率 病理学的効果 42% は有意に良好であった 新規抗癌剤を使用した症例において 非治癒因子が一つ 術後合併症発生率について検討を行った の症例と二つ以上の症例の累積生存率には明らかな有意差を認め 二つ以上では切除不 性症例の生存率を比較検討した 結果 非治癒因子の内訳は CY1 P1 38% T4 21% N3 16% M1 25% であった 能症例と有意差を認めず外科治療の意義はなかった 外科治療 + 術後新規抗癌剤の逐 導入化学療法の奏功割合は 52% であった 外科手術移行率は 58 例中 16 例 (27.6%) 次投与に S-1+Docetaxel の術前化学療法を追加した症例では術前評価で 31% に PR で うち根治切除率は 16 例中 13 例 (81.2%) であった 導入化学療法が奏功しなかっ を認め 観察期間は不十分ながら 生存率でも術後新規抗癌剤投与のみの症例と比較し た Non-Responder 群 (28 例) 奏功した Responder 群 (30 例) うち外科手術を行っ て良好な傾向を認めた 術後新規抗癌剤投与症例における Her2 陽性症例は 22% で HER2 陽性症例と陰性症例の生存率には有意差を認めなかった 結論 Stage Ⅳ胃癌に対する治療の現状では 非治癒因子が一つとなる症例に対して た Surgical intervention 群 (13 例) での全生存期間は有意に Responder 群で良好で (P=0.029) Surgical intervention 群ではさらに改善する傾向がみられた (p=0.061) 手術移行例 13 例における術後合併症は腹腔内膿瘍 1 例のみであった 考察 切除不能胃癌に対する Induction chemotherapy および Surgical intervention 外科治療を施行し術後新規抗癌剤の逐次投与を併用した集学的治療が有用であった 今 後の方向性では 外科治療 + 術後新規抗癌剤の逐次投与に術前化学療法の追加による が有用である可能性が示唆された 今後は症例数の蓄積 長期予後についての検討を要 治療成績の向上が期待された またこれらの集学的治療を行った Her2 陽性症例の治 すると考えられる 療成績は陰性症例と比較して不良ではなく Trastuzumab 投与の意義については今後 の前向き比較試験が必要であると考えられた 第66回 総会

18 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 589 P7-4 当院における胃癌緩和手術症例の検討 P7-6 非切除進行胃癌に対する治療 浅海 吉傑 1, 宮永 太門 1, 伊藤 誉 1, 澤田幸一郎 1, 平能 康充 1, 林田 有市 1, 前田 一也 1, 道傳 研司 1, 服部 昌和 1, 橋爪 泰夫 1 帆北 修一 1, 中馬 豊 1, 奥村 浩 1, 高取 寛之 1, 上木原貴仁 1, 野村 秀洋 1, 石沢 隆 1, 愛甲 孝 1, 吉井 紘興 2, 夏越 祥次 3 1. 福井県立病院外科 がん医療センター 1. 慈愛会今村病院外科, 2. 吉井胃腸科肛門科外科, 3. 鹿児島大学病院消化器外科 目的 緩和手術は胃癌治療ガイドラインには切除不能症例における出血 狭窄症状を 当院で 2005 年 7 月 2010 年 10 月に加療した非切除胃癌について検討したので報告 改善するために行う手術と定義されているが 胃癌術後の再発による通過障害に対し症 する. 状緩和目的に手術治療を選択する場合がある. その際全身状態やその有効性について画 (対象)250 例の胃癌加療例中 初診時非切除胃癌症例 (残胃癌 再発胃癌を除く)45 例 像を含め検討し治療を選択する場合が多い. 今回は当院における胃癌術後再発に対す を対象として検討した. る緩和手術症例についてまとめその効果などについてまとめ報告する. 方法 対象は 2004 年 2 月 2010 年 11 月までに胃癌術後再発による通過障害を認めた症例に対し 手術治療を行った 11 例. それぞれの症例について術式 術前から術後の PS や経口摂 たが統計学的には証明されなかった. 進行程度では stage II 1 例 (PS4 81 歳) stage IIIa 1 例 (食道浸潤胃癌 77 歳) stageiv 43 例であった. 経過中胃切除を 7 例 バイパス術を 5 例 ステントを 6 例 試験開腹 術を 5 例 人工肛門造設術を 1 例に対して施行した. 基本的に全身化学療法は TXL/TS1 療法を第一選択 CDDP/CPT11 を第二選択とした. (結果) 化学療法 1 コース未満の 8 例の予後は 0-2 月と非常に不良であった (stageii でステント留置症例は 7 月). 化学療法を 1 コース以上施行できた 29 例では 13 例に おいて 12 月以上の生存が得られ 最長 61 月の症例も経験した. 化学療法を 1 コース以上施行できた 29 例中 生存期間 12 月未満の症例は 腹膜播 種 DIC が多く 12 月以上の症例では リンパ節転移が多い傾向であった. バイパス術施行例の平均生存期間は 8 月 ステント留置例では 13 月とややステント 留置例の良尾が良好であった. 化学療法後胃切除が施行出来た 7 例 (根治切除 5 例 非根治切除 2 例) の予後は 8-63M と良好であった. (考察) 非切除進行胃癌症例では 1 コース以上の化学療法ができた症例においては予後 が期待できる可能性があった. 経口摂取不能例に対するバイパス術とステント術では 侵襲の程度を考慮するとスタント留置がやや良好と思われた. 化学療法施行後根治切除 のできた症例の予後は良好であった. P7-5 根治切除不能胃癌に対する緩和手術の意義についての検討 P7-7 胃癌術後リンパ節転移再発に対する治療:4 症例の検討 榎本 浩士 1, 高山 智燮 1, 松本 壮平 1, 若月 幸平 1, 田仲 徹行 1, 右田 和寛 1, 中島 祥介 1 藍澤喜久雄 1, 大場 崇旦 1, 松下 明正 1, 熊木 俊成 取経過 退院の可否診断から緩和手術日までの日数とその後の生存期間との関係などに ついてまとめた. 結果 症例の男女比は 7:4 で平均年齢は 59.1 歳であった. 術式別では人工肛門造設が 8 例 バイパス術が 2 例 十二指腸瘻造設が 1 例であった. 人工肛門の部位では回腸 1 例 盲腸 2 例 横行結腸 2 例 S 状結腸 3 例であった.PS の変化は特に認めず悪化し た症例は認めなかったが改善した症例もなかった. 経口摂取は 9 例で改善を認めた. 手 術により経口摂取可能となり退院した症例は 5 例に認めた. 術後の生存期間は 日で もっとも短い術後 43 日目に死亡した症例は診断より緩和手術までの期間が 399 日と 11 例中 2 番目に短い期間の症例であった. 術後 1 年以上生存した症例は 3 例存 在したが診断から手術までの期間が 1000 日以上の症例が 2 例含まれていた. 診断から 手術日まで 500 日以上群と以下群でその後の生存期間に差があるか統計学的に検討し たが有意差は認めなかった. 考察 当院における緩和手術症例について検討した. 診断 から再発 緩和手術までの期間が長い症例は緩和手術の効果がみられる傾向がうかがえ 1 1. 長野県厚生連長野松代総合病院外科 1. 奈良県立医科大学医学部消化器 総合外科講座 目的 再発胃癌に対する治療は化学療法が中心で 手術療法が選択されることは少 はじめに 非治癒因子を有する胃癌症例に対して行う手術として緩和手術と減量手術 ない 今回 胃癌術後リンパ節転移再発を来した 4 症例を供覧し その治療法につい が行われている 目的 出血や狭窄 低栄養 疼痛などを有する患者に対して施行し ての検討を行った 症例 1)66 歳男性 噴門部胃癌に対して胃全摘術 D1 郭清を た緩和手術の治療成績を retrospective に解析して安全性 臨床的意義について検討を 行った P0H0MPN1CY0:Stage Ⅱ A で術後 S- 1 投与を行っていたが 13 か月目に 行った 対象と方法 2000 年から 2009 年に当科で手術を施行した根治切除不能胃癌 腹部大動脈周囲リンパ節 (No. 16) 転移再発を来した 以後 paclitaxel CDDP さ 症例 81 例を対象として術式 術後経過 予後について検討した 結果 術式の内訳 らに CPT-11 を加えたレジメンによる化学療法を継続しているが 転移巣は SD で再 は 減量手術 6 例 緩和手術 66 例 (原発巣切除 55 例 バイパス術 11 例) 試験開 発から 2 年 6 か月の現在まで生存中である 2)76 歳男性 胃下部の 3 型胃癌に対 腹のみ 9 例 (D 群) であった 年齢の中央値は減量手術/緩和手術 (原発巣切除)/緩和 し 幽門側胃切除術 D2 郭清を行った No. 8a 9 が一塊のいわゆる Bulky N2 で PH0SSN3bCY0:Stage Ⅲ B であった 組織型は内分泌細胞癌で 術後 S-1/CDDP 療 法を計 10 コース行い その後は S-1 単剤で経過観察していたが 術後 1 年 9 か月目 に No. 16 転移再発が認められた 以後 CPT-11/CDDP/5-FU 療法を行ったところ 治療開始後 4 か月目の CT で CR となった 現在も CPT-11 /CDDP 療法を継続して おり 再発から 1 年 9 か月増悪なく生存中である 3)80 歳男性 胃体下部の 1 型胃 癌に対し 幽門側胃切除術 D2 郭清を行った P0H0SSN3aCY0:Stage Ⅲ B で術後 S-1 投与を行っていたが Grade 2 の食欲不振のため中止した 術後 10 か月目の CT 検査で No. 16 転移再発がみられたが 他臓器への転移 腹水貯留も認められなかっ 手術 (バイパス術)/試験開腹:71 歳 (51-84 歳)/67 歳 (47-87 歳)/64 歳 (52-77 歳)/66 歳 (49-66 歳) であった 術後生存期間中央値は減量手術/緩和手術 (原発巣切除)/緩和手 術 (バイパス術)/試験開腹:13.3 か月/10.0 か月/10.4 か月/8.4 か月 術後経口摂取可能 期間の中央値は減量手術/緩和手術 (原発巣切除)/緩和手術 (バイパス術)/試験開腹:13.3 か月/8.4 か月/7.0 か月/7.3 か月であり 術後合併症は 2 例 (33.3%)/18 例 (32.7%)/0/0 例であった 術後化学療法が減量手術では 5 例 (83.3%) 緩和手術 (原発巣切除) では 46 例 (83.7%) 緩和手術 (バイパス術) では 7 例 (63.6%) 試験開腹では 7 例 (77.8%) に施行されていた 2 年以上の生存は 12 例認められ 減量手術では 2 例 (33.3%) 緩 和手術 (原発巣切除) では 9 例 (16.4%) 緩和手術 (バイパス術) では 1 例 (9.0%) 試 験開腹では 0 例であり 全例化学療法が長期間施行されていた 減量手術や緩和手術 としての胃切除は 術後合併症が 30% 程度とバイパス術に比べて多かったが 2 年以 上の生存はバイパス術では 1 例のみであった 結果 緩和手術としての原発巣切除 たため 手術療法として腹部大動脈周囲リンパ節郭清術を行った 郭清リンパ節個数は は バイパス術に比べて生存期間 経口摂取可能期間を改善はしていなかった しか 12 個 転移リンパ節個数は 6 個であった 再発に対する手術後 10 か月の現在 増悪 はみられず外来化学療法にて経過観察中である 4)38 歳男性 胃体中部大弯の 3 型胃 癌に対して幽門側胃切除術 D2 郭清を行った P0H0MPN0CY0:Stage Ⅰ B で 術 後 1 年間の S-1 投与を行ったが 2 年目の CT 検査で脾門部リンパ節転移再発が認め し 2 年以上の生存が 16.4% に認められたため 十分に適応を吟味すれば臨床的意義 られた 手術療法として膵尾部 脾切除術 残胃全摘術 腹部大動脈周囲リンパ節郭清 のある選択肢であると考えられた 術を行った No d の郭清リンパ節個数は 22 個 転移リンパ節個数は 5 個で あった 再手術後 3 か月の現在 S-1/CDDP 療法を行い経過観察中である 結語 胃 癌術後リンパ節転移再発例に対する化学療法では 2 次治療以降の薬剤選択が重要で 癌の生物学的特性を考慮することも必要である また リンパ節転移再発が限局してい ると判定される場合や技術的に切除可能とされる場合には手術療法も集学的治療の一手 段として選択されるべきと考える 第66回 総会

19 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 P7-8 過去 37 年の胃癌手術症例の臨床病理学的特徴の変遷と新たな治 療戦略 石本 武史 1, 市川 大輔 1, 小松 周平 1, 岡本 和真 1, 塩崎 敦 1, 藤原 斉 1, 落合登志哉 1, 國場 幸均 1, 園山 輝久 1, 大 英吾 P7-10 胃癌 S-1 術後補助化学療法中の再発症例の検討 藤田 淳也 1, 永井 健一 1, 川西 賢秀 1, 清水 潤三 1, 池田 公正 1, 赤木 謙三 1, 岩澤 卓 1, 堂野 恵三 1, 北田 昌之 1, 島野 高志 1 1. 市立豊中病院外科 1. 京都府立医科大学医学部消化器外科学部門 背景 ACTS-GC 試験の結果が報告されて以来 本邦においては Stage II III 胃癌 はじめに 近年 内視鏡技術の発達 検診の普及による胃癌の早期発見や手術 化学 に対する術後補助化学療法として 1 年間の S-1 投与が標準治療として行われるように 療法などの治療技術の進歩により胃癌の治療成績は著しく改善してきた 早期癌の発見 なった その後 3 年が経過し S-1 補助化学療法後に再発を来す症例の問題が顕在化 率増加や高齢者の占める割合の増加など胃癌全体の疫学にも変化を認めている 今回 しつつある 今回当施設において術後 S-1 補助化学療法中に再発を認めた症例に対し 我々は当院の過去 37 年の胃癌手術症例の臨床病理学的特徴の変遷について調べた て検討を行った 対象と方法 1970 年から 2006 年の胃癌手術症例 2284 例を前期群 ( 年)1651 例と後期群 ( 年)633 例に分類し解析した 対象と方法 2007 年 2010 年の間に治癒切除を受けた StageII-III(胃癌取り扱い規 約 13 版) 症例 113 例の中で 術後 S-1 補助化学療法が施行された 70 例を対象とし 結果 1) 前期群と後期群の臨床病理学的因子の比較では 性別 若年者 (<40 歳) リ た 70 例の進行度は 13 版 pstageii:32 例 (sm n2:3 例 mp n1:9 例 ss n1:14 ンパ管侵襲 組織型では有意差を認めなかったが 後期群で 高齢者 ( 80 歳) U 領 例 se n0:6 例) IIIA:28 例 (mp n2:1 例 ss n2:14 例 se n1:12 例 si n0:1 域胃癌 静脈侵襲 T2 以浅 Stage Ⅱ未満 根治度 AB の症例が有意に高い結果であっ 例) IIIB:10 例 (se n0:10 例) 観察期間の中央値は 682 日 た 特に U 領域胃癌の割合は前期群で 17.3% であるのに対し後期群では 22.4% と 結果 6 例に再発を認めたがいずれも S-1 アジュバント投与中の再発であった 組織 増加を認めた 高齢者の占める割合に関しては 型は tub:4 例 por:2 例 Stage II:2 例 IIIA:4 例 術後再発までの中央値は 270 日 と 4 つの期間においてそれぞれ 3.0% 3.9% 5.1% 8.8% と経 ( 日) 初再発部位はリンパ節 3 例 肝:2 例 骨 2 例 胸膜 1 例であった 二 時的に増加傾向であった また 手術関連死亡 再発率は後期群で有意に低下してい 次治療化学療法として CPT11+CDDP:3 例 S-1+CDDP:2 例 CPT11:1 例を行った た 2) 各期間別の予後の解析では 単変量解析で深達度 リンパ管侵襲 静脈侵襲 リ が 画像診断での効果判定にて PR が得られた症例は無かった 4 例に対して三次治療 ンパ節転移 Stage 根治度が両群で有意な予後因子であった 後期群で M 領域 女 化学療法を行った 6 例全例が死亡しており 術後生存期間は中央値 518 日 ( 性 未分化型 根治度 C の胃癌の治療成績の改善を認めた 一方 U 領域 40 歳以下 日) 再発化療後の生存期間は中央値 313 日 ( 日) であった 結語 術後補助化 の胃癌の治療成績の改善傾向が少なかった 学療法中の再発例に対しては進行再発胃癌初回治療例に比べ治療に抵抗性で予後が不良 考察 近年増加傾向にある高齢者胃癌において治療成績は向上しており 80 歳未満と であると考えられた StageIIIA 以上の高度進行胃癌に対してはより強力な補助化学療 比較しても治療成績に有意差を認めなかったことより慎重な耐術能評価 術後管理のも 法の開発と S-1 投与後再発の二次治療に際しての有効な薬剤選択の検討が重要と考え とで高齢者に対しても安全に手術を行えると考えられる 一方 U 領域胃癌は近年増 られる 加傾向を認めるが 治療成績は依然悪く 胃癌治療成績向上のターゲットとして新たな 治療戦略を立てる必要がある P7-9 大動脈周囲リンパ節転移のみを有する M1 胃癌の治療法に関する 考察 P8-1 食道癌同時性異時性胃癌に対する幽門洞切除 胃管間置による食 道再建 (山岸胃管再建) 症例の検討 服部 憲史 1, 伊藤 誠二 1, 三澤 一成 1, 伊藤 友一 1, 清水 泰博 1, 佐野 力 1, 金光 幸秀 1, 小森 康司 1, 千田 嘉毅 1, 石黒 成治 1 佐藤 優 1, 矢島 和人 1, 神田 達夫 1, 石川 卓 1, 小杉 伸一 1, 多田 哲也 2, 鈴木 力 3, 畠山 勝義 1 1. 愛知県がんセンター中央病院消化器外科 1. 新潟大学医学部消化器 一般外科学分野, 2. 立川綜合病院消化器センター外科, 3. 新潟大学医学部保健学科 目的 胃癌取扱い規約第 14 版においては 大動脈周囲リンパ節転移は M1 に分類 され 胃癌治療ガイドライン第 3 版においては化学慮法や緩和療法が推奨治療とさ 背景 食道癌患者では同時性もしくは異時性に胃癌の合併を認める症例があり 治療 れている 一方 大動脈周囲リンパ節転移を有する胃癌に対しても術前化学療法と手 法の選択に苦慮することがある. 胃管間置術による食道再建は山岸らの食道バイパス術 術を組み合わせた治療開発が行われており 比較的良好な成績が報告されている 今 を原型とし 羽生らにより早期胃癌合併例へ応用され山岸型胃管変法として報告されて 回 CT にて大動脈周囲リンパ節 (16a2/b1) 転移のみを有する M1 胃癌の治療成績を いる. 当科では食道癌胃癌の重複癌症例でかつ胃癌が幽門部に限局する場合には 同術 比較検討し その治療戦略について考察した 対象と方法 2000 年 1 月から 2007 式を積極的に施行してきた. 年 12 月までに当院で治療が行われた胃癌症例のうち CT にて大動脈周囲リンパ節 対象 方法 切除後の最終形が山岸型胃管となった食道癌胃癌重複癌 5 名 (男性 4 名 (16a2/b1) 転移のみの因子で M1 とされた 40 例を対象とし 治療開始時の治療戦略別 女性 1 名) が対象. 年齢の中央値は 65 歳 (範囲:57-83 歳) であった. 食道癌と胃癌は同 に分類して治療成績を比較した 結果 治療開始時に根治を目指した治療を行った症 時性が 3 名 異時性が 2 名であった. 術式は同時性症例では一期的に食道切除と幽門 例 (C 群:n=22) の内訳は 術前補助化学療法 + 外科手術:8 例 外科手術先行:14 例 洞切除後 右胃大網動静脈による大弯側体部有茎胃管間置 空腸による Roux-en Y 再 であった 化学療法単独を含む姑息的治療を行った症例 (P 群:n=18) の内訳は 化学 建を行った. 異時性症例では食道切除 胃管再建後であるため胃管の血管茎を温存した 療法単独:12 例 姑息手術 + 化学療法:6 例であった 年齢 性差 腫瘍の局在部位 胃管前庭部切除および空腸による Roux-en Y 再建を行った. 同術式の手術成績 安全 肉眼型 大きさ 組織型などの背景因子において両群間に有意差は認められなかった が C 群では PS:0 の症例が多い傾向にあった C 群における術式は 胃全摘術:14/22 性 遠隔成績を検討した. 結果 異時性症例では初回の食道切除から胃管切除までの期間はそれぞれ か 例 (64%) 幽門側胃切除術 5/22 例 (23%) 試験開腹術および審査腹腔鏡検査 3/22 例 月であった. 手術時間は同時性症例でそれぞれ 分であり 異時性症例で (14%) で 合併切除臓器は 膵臓:4/22 例 (18%) 脾臓:12/22 例 (55%) 横行結腸:1/22 例 (5%) であった 手術合併症は C 群:8/22 例 (36%) P 群:1/6 例 (17%) に認め 在院死亡は 両群とも認められなかった 開腹時 N3 以外の非治癒因子を認めた症例 は C 群:5/22 例 (22%) P 群:2/6 例 (33%) であった 全体の MST 5 年生存率は それぞれ 18 ヶ月 16.7% であった C 群と P 群を比較すると MST 5 年生存率は それぞれ C 群:20.3 ヶ月 29% P 群:10.3 ヶ月 0% で C 群が有意に良好であった (p=0.029) 開腹時 非治癒因子を認めた症例を除いた C 群の MST 5 年生存率は それぞれ 25.4 ヶ月 30.6% であった まとめ 大動脈周囲リンパ節転移のみによる M1 症例は化学療法単独で 5 年生存を得ることは困難であるが 根治を目指し化学療 法と切除を組み合わせることにより 他に非治癒因子を認めない症例においては 5 年 生存率 30.6% と M1 胃癌としては比較的良好な予後が得られる可能性がある はそれぞれ 分であった. 出血量の中央値は 310ml(範囲: ml) で輸血 第66回 総会 を要した症例は認めなかった. 術後在院日数は同時性症例で 日 異時性症 例では 日であった. 術後合併症は同時性症例で食道胃吻合の縫合不全を 1 名 呼吸不全を 1 名に認めたが いずれも保存的に軽快した. 胃癌の深達度は m 癌が 1 名 sm 癌が 3 名 mp が 1 名で いずれも脈管侵襲は認めなかった. 生存期間中央値 は 14 か月 (範囲:6-60 か月) で 現在のところ全症例で胃癌の再発を認めていない. 結語 山岸型胃管の手術治療成績は良好で安全性は保たれている. 胃癌の再発も認め ないことから 同術式は食道癌患者でかつ幽門部に限局しリンパ節転移の可能性の少な い胃癌併存例においては有用な術式であると考えられた. 症例の蓄積と長期治療成績の 結果が待たれる.

20 第 66 回総会 2011 年 7 月 一般演題 ミニオーラル 第 1 日目 591 P8-2 当教室における残胃癌手術症例の検討 P8-4 当院における残胃癌手術症例の臨床的検討 須田 健 1, 高木 融 1, 片柳 創 1, 星野 澄人 1, 黄司 博展 1, 伊藤 一成 1, 福澤 麻理 2, 河合 隆 2, 土田 明彦 1, 青木 達哉 1 髙山由理子 1, 間﨑 武郎 1, 黒川 友晴 1, 蛯澤記代子 1, 間遠 一成 1, 大亀 浩久 1, 増田 英樹 1, 高山 忠利 1 1. 東京医科大学病院消化器外科 小児外科, 2. 東京医科大学病院内視鏡センター 1. 日本大学医学部消化器外科学分野 (目的) 平均寿命が延長し 術前術後の検査や術後管理や成績等の向上とともに残胃癌 はじめに の発見が近年増加している 当教室における手術施行された残胃癌の臨床病理学的特徴 近年残胃癌症例が増加している その背景に胃癌に対する胃切除例の増加 消化性潰瘍 を検討した 手術の減少 早期胃癌症例の増加 胃切除後長期生存例の増加などが原因として考えら (対象)1988 年 4 月 2010 年 11 月までに当教室において加療された残胃癌 70 例中 初回手術で幽門側を切除されている 66 例であり そのうち残胃癌対して開腹手術施行 された 46 症例について検討した (結果) 初回の手術時の再建方法で Billroth-Ⅰ法 (以下 I 群) Billroth-Ⅱ法 (以下 II 群) にわけて検討した 男性 42 例 女性 4 例であった 残胃癌と診断された年齢は 歳 (平均 69.9 歳) であった I 群は 30 例 II 群は 16 例であった 初回疾患は I 群が良性 3 例 悪性 27 例であり II 群が良性 15 例 悪性 1 例であった 初回手術 から残胃癌発見までの期間は 1 55 年であった 占居部位は非断端部が 21 例 (II 群 1 例) 吻合部が 18 例 (II 群 14 例) 縫合部が 7 例 (II 群 1 例) であった 肉眼型は 0 型が 19 例 (II 群 5 例) 1 型が 5 例 (II 群 0 例) 2 型が 7 例 (II 群 3 例) 3 型が 11 例 (II 群 6 例) 4 型が 4 例 (II 群 2 例) であった 残胃癌の組織型は分化型が 20 例 (II 群 5 例) 未分化型が 26 例 (II 群 11 例) であった 切除は 42 例で可能であっ た 進行度は早期癌が 16 例 (II 群 5 例) 進行癌が 27 例 (II 群 10 例) 不明が 3 例 (II 群 1 例) であった リンパ節郭清された症例は 39 例 (II 群 15 例) で 転移のあっ た症例は 11 例 (II 群 7 例) であり そのうち 8 例 (II 群 5 例) が未分化型であった リンパ節転移陽性例の深達度は SS が 5 例 (II 群 1 例) SE が 4 例 (II 群 4 例) SI が 2 例 (II 群 2 例) であった (結語) II 群は圧倒的に良性症例に多かった また組織型では未分化型が多く リンパ節 転移も多く見られた II 群の場合は 初回手術が良性群のこともあり 初回手術でリン パ節郭清されていない可能性も高いと思われる II 群の手術をする場合には リンパ 節転移も念頭におき手術を施行するべきと思われた れる 目的 残胃癌の臨床的特徴を把握するために 当院で経験した残胃癌手術症例を検討した 方法 2002 年 1 月から 2010 年 12 月までの間 当院にて手術を施行した残胃癌の症例 18 例を対象とした 術後の 5 年生存率 性 年齢 主訴の有無 初回手術の良悪性 初 回手術の再建法 癌が出現するまでの期間 残胃癌に対する手術法 組織型 深達度 リンパ節転移の有無などの臨床病理学的項目について検討した 生存率の検討には Kaplan-Meier 法を用い グループ間の検定には log-rank test を用いた P <0.05 を有 意差ありとした 成績 残胃癌症例の 50% 生存期間は 820 日であった 男女比は 16:2 と男性に多く 平均年 齢は 68 歳と高齢であった 発見の動機として自覚症状を認めたものは 9 例であった 胃切除術の原因となった疾患は 良性が 10 例 悪性が 8 例であった 初回手術時の再 建法は Billroth-Ⅰ法が 11 例 Billroth-Ⅱ法が 6 例であった 1 例は部分切除のみの症 例であった 癌が出現するまでの期間の平均は 26 年 3 カ月であった 残胃癌に対する 手術法は 残胃全摘術が 16 例 幽門側胃切除術が 1 例に施行され 1 例は単開腹の みであった 全摘症例の 11 例は他臓器合併切除術を必要とした 手術時間は平均 273 分 術中出血は平均 987g であった 組織型は分化型腺癌が 8 例 未分化型腺癌が 10 例であった 深達度は T1 2 症例が 9 例 T3 4 症例が 9 例であった リンパ節転移 を認めたものは 7 例 転移を認めなかったものは 11 例であった 断端陽性例は 6 例 陰性例は 11 例であった 初回手術の良悪性 組織型 深達度 リンパ節転移 断端陽性 の有無は生存率に関して有意差を認めなかった 初回手術が良性であるものに比べ悪性 のものは有意に再発までの期間が短かった (P <0.001) 結論 初回手術時の胃粘膜の状態によって癌発生までの期間が規定されると考えられた P8-3 当院における残胃の癌切除症例の検討 P8-5 当科における残胃癌の臨床病理学的検討 鍋谷 雅史 1, 伊藤 英人 1, 三田 一仁 1, 福本 将人 1, 村林 亮 1, 浅川 英輝 1, 小泉 和也 1, 林 剛 1, 東納 重隆 2, 岡本 茂 3 白石 廣照 1, 二渡 信江 1, 田島 弘 1, 久保 任史 1, 近藤 康史 1, 高橋 禎人 1, 西 八嗣 1, 八十川要平 1 1. 誠馨会新東京病院外科, 2. 誠馨会新東京病院消化器科, 3. 誠馨会新東京病院病理 1. 北里大学北里研究所メディカルセンター病院外科 [はじめに]2004 年 11 月から 2010 年 10 月までの当院における残胃の癌切除症例 26 目的 残胃癌の臨床的特徴を明らかにする. 方法 当科において経験した残胃癌 20 例について検討を行った 例につき臨病理学的検討を行った. 結果 平均年齢は 74.6(±9.7) 歳 男女比は 4:1 で [結果] 同時期の当院での胃癌切除全 540 例に対して 残胃の癌は 26 例であり 4.8% の 割合を占めていた 男女比は 22 例:4 例 平均年齢は 73.2 歳であった 初回病変は良 性疾患 (B 群):悪性疾患 (M 群)=14 例:12 例であった 初回手術の術式は 幽門側胃切 除 B-Ⅰ再建 12 例 幽門側胃切除 B-Ⅱ再建 10 例 噴門側胃切除 4 例であった 介在 期間は 0.5 年から 53 年 (平均 24.5 年) であった 発生部位は吻合部 14 例 非断端 部 12 例であった 病理組織学的分類では 分化型 13 例 未分化型 13 例であった 術式は 残胃全摘のみ 9 例 残胃全摘 + 他臓器合併切除 11 例 残胃部分切除 2 例 ESD4 例であった 深達度は si が 6 例 se が 6 例 ss が 4 例 mp が 1 例 m が 9 例であった リンパ節転移は 10 例に認められた 術後化学療法を 11 例に行 い 無治療が 15 例であった 転帰は 生存 12 例 死亡 13 例 不明が 1 例であっ た 全 26 例の 1 年生存率は 67.2% 3 年生存率は 47.1% であった MST は 33.8 カ月であった B 群と M 群の比較を行ったところ 介在期間 (B 群:M 群=37.2 年:9.6 年 P<0.001) については有意差を認めたが 発生部位 病理組織 生存期間では有意 あった. 初回病変は 胃癌が 12 例 (60%) 良性潰瘍が 8 例 (40%) であった. 再建法 は BillrothI 法 (B-I) が 12 例 (60%) BillrothII 法 (B-II) が 8 例 (40%) であった. 介 在期間は胃癌群で平均 15.6(±9.6) 年 潰瘍群で平均 39.2(±6.6) 年であった.(p<0.05) また B-I 群で平均 21.8(±15.6) 年 B-II 群で平均 42.7(±7.8) 年であった. (p<0.05) 組 織型においては Poorly dif. が 9 例 (45%) Signet ring 4 例 (20%) well dif. 3 例 (15%) papillary 1 例 (5%) mucinous 1 例 (5%) で組織学的にも悪性度が高いこ とが示されたが 初回病変 再建術式による差は認めなかった. 5 年生存率も Stage I (100%) II (0%) III (0%) IV (20%) で通常胃癌よりも予後不良であることが示され たが 初回病変 再建術式による差は認めなかった. 結語 我々の検討では 初回病 変 再建術式により介在期間に差を認めたが 組織型 予後に影響は無いと考えられた. 差を認めなかった 予後に関する検討では 年齢 性別 合併切除の有無 発生部位 病理組織 深達度 リンパ節転移の有無 脈管侵襲の有無 腫瘍径 5cm 以上 術後化 学療法の有無では有意差を認めなかった 有意差は認められないが 合併切除群 リ ンパ節転移を有する群 深達度 SI 群における 3 年生存率はそれぞれ 35.0% 38.1% 22.2% であった [結語]B 群では M 群と比較して 有意に介在期間が長く それぞれの群での介在期間 を考慮した経過観察が必要と思われた 予後に関する検討では 明らかな予後規定因子 は認められなかった 残胃の癌切除症例の予後は初発胃癌と比較して良好とは言えず 早期発見 早期治療の必要があると思われた 第66回 総会

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