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2 はしがき 本集は 学位規則 ( 昭和 28 年 4 月 1 日文部省令第 9 号 ) 第 8 条による公表を目的として 本学において博士 ( 医学 ) の学位を授与した者の論文内容の要旨および審査の結果の要旨を収録したものである

3 第 22 集目 次 ( 平成 18 年度 ) 学位授与番号 氏名論文題名頁 甲第 339 号唐澤紀幸甲第 340 号董凌莉甲第 341 号三秋恒平甲第 342 号米山智子 Hepatic presinusoidal vessels contract in anaphylactic hypotension in rabbits Identification and Characterization of Novel Human Recombinant Monoclonal Fab Fragments Specific for EBV Viral Capsid Antigen Established by Phage Display 日本白色家兎に対する酸化ストレス誘発剤を用いた骨壊死誘発実験 Dietary intake of fatty acids and serum Creactive protein in Japanese 甲第 343 号髙橋知子 FDG 集積度,HRCT 所見, および血清 CEA 値による肺腺癌 (3cm 以下 ) の術後再発予測 13 甲第 344 号若狭稔甲第 345 号川村友美甲第 346 号山田真善 特発性左室収縮機能障害患者におけるアミノ酸代謝異常に関する臨床的検討 非定型抗精神病薬オランザピンとアリピプラゾールの急性投与による家兎海馬における興奮性シナプス伝達およびドーパミン, セロトニン濃度に及ぼす影響について 肝細胞癌を発生した非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) モデルマウス肝における酸化ストレスと抗酸化酵素の発現 甲第 347 号安田廣生ヒアルロン酸およびコラーゲン注入後の皮膚組織反応の検討 26 甲第 348 号闞凱一側肺大線量一回照射による放射線肺障害の実験的検討 30 甲第 349 号清澤 旬 指尖血流脈波のゆらぎ解析による交感神経活動の評価とその応用 33 甲第 350 号林圭アゾキシメタン誘発マウス大腸発癌における柑橘類化合物の発癌抑制効果の研究甲第 351 号三枝誠一郎メタボリックシンドロームを背景とするウイルス性心筋炎におけるアンデジオテシンⅡ 受容体拮抗薬の心筋保護作用の解析 心筋内アディポネクチン発現の意義 甲第 352 号守屋純二 慢性疲労症候群 (Chronic Fatigue Syndrome) のマウスモデル作製と漢方治療有効性の検討 甲第 353 号篠倉千早胎児肺成熟度判定における MRI の有用性に関する研究 45 甲第 354 号廣﨑奈津子 乙第 259 号大黒正志 乙第 260 号中村常之 黄体化未破裂卵胞 (LUF) に対する排卵誘発補助薬としての GCSF の有用性に関する研究 Converting Enzyme Inhibitor Improves Reactive Hyperemia in Elderly Hypertensives with Arteriosclerosis Obliterans Vasculitis induced by immunization with Bacillus Calmette Guerin followed by atypical mycobacterium antigen : a new mouse model for Kawasaki disease

4 学位授与番号 氏名論文題名頁 乙第 261 号古田薫抗酸化剤による紫外線傷害の防御に関する細胞化学的研究 58 乙第 262 号猪飼一徳タキサス天然成分による抗腫瘍活性機序の研究 60

5 氏名 ( 生年月日 ) から唐 さわ澤 のり紀 本籍長野県 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 甲第 339 号 平成 19 年 3 月 22 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 ゆき幸 ( 昭和 46 年 2 月 11 日 ) Hepatic presinusoidal vessels contract in anaphylactic hypotension in rabbits ( ウサギのアナフィラキシー低血圧では前類洞血管が収縮する ) 主 査 土田英昭 副 査 西尾眞友 松原純一 加藤伸郎 学位論文内容の要旨 研究目的アナフィラキシーは即時型過敏症であり, 気管支攣縮, 浮腫, 肺水腫などがみられるが, 最も生命を脅かすものに循環ショックがある このショックによる血圧低下の原因として不整脈, 心筋収縮能低下, 肺高血圧や循環血液量の減少が挙げられるが, 血圧低下の機序にはいまだに不明な点がある 一方, 肝臓の血管収縮が血圧低下に関与することが報告されてきている しかしながらアナフィラキシーショック時の肝血管収縮はイヌ, ラット, モルモットでみられるが, ウサギでの報告は無い また, 摘出灌流肝標本における肝アナフィラキシーモデルでは, アナフィラキシー肝血管収縮部位に種差があることが報告されている すなわち, イヌとモルモットでは有意の肝静脈収縮により肝鬱血が生ずるが, ラットではほぼ選択的な前類洞収縮により肝重量が減少する しかしながら, ウサギについてはアナフィラキシーによる肝血管収縮の有無ならびに肝血管収縮部位については不明である そこで, 本研究はウサギのアナフィラキシーモデルを in vivo と摘出灌流肝標本で作成し,in vivo では体血圧と門脈圧の変化に注目し, 摘出灌流肝では肝血管収縮部位と肝血液量の変動に注目して検討を行った 実験方法 New Zealand 白色家兎 26 羽 ( 体重 2.8kg±0.1kg) を使用した 1In vivoでのアナフィラキシー低血圧時の門脈圧の検討 : 家兎 (n=6) に抗原として卵白アルブミン2.5 mgを完全アジュバントと共に週 1 回, 合計 3 回皮下投与し, 感作した 実験は最終抗原投与 1 週間後に行った 一方, 対照群 (n=5) では完全アジュバントだけ 1

6 を同様に皮下投与した ペントバルビタール麻酔下に門脈, 外頚静脈, 大腿動脈にカテーテルを挿入し, 門脈圧 (Ppv), 体血圧 (Psa), 中心静脈圧 (CVP), 心拍数を測定した アナフィラキシー低血圧は抗原 2.5 mgを静脈内投与して惹起した 2 摘出灌流肝臓での肝アナフィラキシーの検討 : 家兎 (n=9) に1と同様の感作を行い, 最終抗原投与の1 週間後に実験を行った ペントバルビタール麻酔後に開腹し, 肝動脈を結紮後に, 肝臓を摘出した 門脈と下大静脈にカニュレーションをし, 門脈側からヘパリン加希釈自家血液 (Hct 8%) にて定流量 (27±1 ml/min/10g 肝重量 ) で灌流した Ppv, 肝静脈圧 (Phv), 肝重量, 門脈血流量 (Q) を連続的に測定した また, 総胆管にもカニュレーションし胆汁流量を測定した 灌流液に抗原 2.5 mg を投与してアナフィラキシーを惹起した 門脈と肝静脈を同時に閉塞した時に平衡に達する圧である double occlusion pressure(pdo) により肝類洞圧を評価し, それに基づいて, 肝血管抵抗 (Rt) を以下のように前類洞抵抗 (Rpre) と後類洞抵抗 (Rpost) に分けて評価した Rt=(Ppv Phv)/Q Rpre=(Ppv Pdo)/Q Rpost=(Pdo Phv)/Q 結果は平均 ± 標準誤差で示し, 統計学的検討は分散分析を行い,Posthoc testとして Bonferroni 法を用いた 実験成績 1In vivoでは, 抗原投与によりPsaは投与前値 79±2 mmhgから投与後 10 分には40±4 mmhg へと低下し,60 分には65±5 mmhgに回復した Ppvは投与前値 9.5±2.2 cmh 2 Oから投与後 3 分には24.1±3.9 cmh 2 Oに上昇し,10 分に12±1 cmh 2 Oに回復した CVPは抗原投与直後には2.4±0.2から6.1±1.1 cmh 2 Oへと上昇が認められたが, 血圧低下の持続とともに低下した このときPpvの上昇が, 他のパラメーターの変化に比べて最も早く認められた 一方, コントロール群ではこれらの数値に有意の変化はみられなかった 2 摘出灌流肝臓への抗原投与により,Ppvは投与前値 5.4±0.1から6 分後に28.6±2.4 cmh 2 Oと有意に上昇し, 肝血管収縮がみられた 血管収縮時にPdoは2.2±0.2から3.8± 0.2 cmh 2 Oへ上昇した PpvとPdoの圧較差の増加 (3.3±0.1 vs 24.8±2.1 cmh 2 O : 投与前 vs 投与後 ) に比べて,PdoとPhvとの圧較差の増加(1.9±0.1 vs 3.5±0.2 cmh 2 O) はわずかであった このことから,Rpostは投与前のわずか85% だけ上昇したのに対して,Rpreは680% 上昇し, ほぼ選択的な前類洞血管の収縮がみられた 血管収縮と共に, 肝重量は0.2g/10g 肝重量の減少がみられた 総括および結論ウサギにおいてもアナフィラキシー反応時に動脈圧の低下と, 著しい門脈圧の低下が認められた さらに摘出灌流肝の検討から, ウサギの肝アナフィラキシーによる血管収縮は, イヌやモルモットとは異なり, ラットと同様な, ほぼ選択的な前類洞血管の収縮によることが示された またこれに伴い肝内血液が減少することから, 肝重量の低下が認められた これより, ウサギのアナフィラキシー低血圧におけるほぼ選択的な前類洞血管の収縮は, 2

7 腹腔内臓器の鬱血や静脈還流量の低下により, 血圧の低下に関与することが推測される 論文審査結果の要旨 麻酔中は短期間に様々な種類の薬剤を投与することから, しばしばアナフィラキシーショックの起こることが報告されている アナフィラキシーでは抗原に反応して様々な内因性物質が遊離され, これが血圧低下を引き起こす 申請者はこの血圧低下の原因の一端を探るべく, ウサギを用い,in vivo と in vitro の両面から肝血流量の変化を検討した その結果,in vivo の実験で抗原投与後, 門脈圧の著明な上昇に引き続いて体血圧が低下することを明らかにした また,in vitro の実験から, 抗原投与後に前類洞血管抵抗が大きく上昇するのに対し, 後類洞血管抵抗の上昇はわずかに留まることが明らとなった この結果から申請者は, ウサギのアナフィラキシーモデルにおいては, 全身の血圧低下に先立って前類洞血管の強い収縮が起こり, その結果として門脈圧が亢進し, 腹腔内臓器の鬱血が引き起こされ, これが血圧低下の原因になっていることが強く示唆されるとした 今回の結果より, アナフィラキシーの結果として生じる門脈圧上昇は, イヌ, モルモット, ラット, ウサギなどの哺乳類に共通した現象であることが明らかとなった このことは, ヒトでも同様のことが起こる可能性を強く示唆しており, ヒトにおいても門脈圧上昇による腹腔内臓器への血液貯留がアナフィラキシーショックの成因となっている可能性を示しているものと考えられる しかし, ヒトのモデルとしてどの動物が最適かはいまだ明らかになっておらず, 今後の検討課題である 本研究はアナフィラキシーショックの病態生理を解明する上で大きく貢献するだけでなく, 今後の研究発展にも寄与するものと考えられた 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) Acta Physiologica Vol.189, No.1,

8 とう董 りょう凌 り莉 氏名 ( 生年月日 ) (1974 年 5 月 15 日 ) 本 籍 中華人民共和国 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学 位 記 番 号 甲第 340 号 学位授与の日付 平成 19 年 3 月 22 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 Identification and Characterization of Novel Human Recombinant Monoclonal Fab Fragments Specific for EBV Viral Capsid Antigen Established by Phage Display ( ファジーディスプレイ法を用いたEBウイルスカプシド 抗原に対する新規モノクロナールFab 抗体の樹立と その特異性の検討 ) 論文審査委員 主 査 竹上 勉 副 査 梅原久範 伊達孝保 野島孝之 学位論文内容の要旨 研究目的 EB ウイルスは感染症を起こすとともに細胞癌化を引き起こすという両面性をもつウイルスである EB ウイルス関連腫瘍としてバーキットリンパ腫, ホジキン病, 非ホジキン性悪性リンパ腫, 鼻腔咽頭癌など多種類の悪性腫瘍がある こうした EB ウイルスに関わる疾病, 腫瘍化に対して EB ウイルスの検出および治療のために特異性の高い手法の確立は重要なものといえる EB ウイルス関連の腫瘍, 癌細胞において EB ウイルスは latent state あるいは lytic cycles で存在している 本研究の目的は抗 EBVカプシド抗原 VCA (viral capsid antigen) に対する人型 Fab 単クローンを樹立し, その抗体特異性を解析し,EB ウイルス関連腫瘍患者の診断と治療への応用の可能性について検討することである EB ウイルスカプシド抗原 VCA はウイルス粒子の外層にあるカプシド蛋白で, ウイルス増殖時に発現される蛋白であり, 実際に EB ウイルス関連腫瘍患者では抗 VCA 抗体の検出陽性率は健常人より高い ここでは費用面でも安全面でも優れた方法であるファージディスプレイ法 (Phage display) を用いて, 抗体作成を試みた 実験方法 Phage display library の作成のために Marginal zone B cell lymphoma を発症した EB 感染 Sjogren s Syndrome(SS) 患者の骨髄より RNA を抽出しcDNA 合成後, 各々数組 primer を使用して PCR を行い,Heavy chain および Light chain,fd 部分を増幅する そ 4

9 れらの PCR 産物をpComb3 Vector に順次組み込み Fab Library を構築し, 回収には M13 helper phage を感染させて行う クローンの選択を行うために EBVVCA 抗原を固相化した ELISA プレートに Fab library の Phage 溶液を4Cycles Panning した 特異的に反応した Phage を大腸菌 XL1 blue に感染させ, 増幅後,M13 Helper phage にて回収し, 可溶性の Fab を得る 遺伝子解析は Big dye terminator for cycle sequencing kit を用いて反応させた後, DNA シークエンサー (ABI 310) にかけ, 配列決定を行う EBVVCA に強く反応した Fab クローンを Immunoaffinity chromatography で精製し, 純度については SDSPAGE で検討する 精製した Fab クローンの特異性は EBVVCA 抗原との反応について ELISA 及び Western blotting の方法で検討する さらに得られた Fab クローンを EBVVCA と mouse monoclonal 抗体との反応系に入れ, 阻害効果を Inhibition ELISA で行う Indirect immunofluorescence assay(ifa) で Fab クローンと EBV 陽性 P3HR1 細胞株との反応, 及び Immunohistochemistry で Fab クローンと 5 例 EBV 陽性悪性リンパ腫患者組織との反応性を検討する Negative control として抗 Rotavirus Fab 抗体を使用する 実験成績 Phage display 法によって EBVVCA に反応する 4 種の単クローン (Fab1, Fab15, Fab16, Fab21) が得られた 得られた 4 種の単クローンの IgG の Germline 遺伝子について調べるために,DNA シークエンサーを用いてヌクレオチド配列決定の検討を行った結果,Fab1, Fab15, Fab16 の Heavy chain は VH4 Subgroup と,Fab21 の Heavy Chain は VH3 Subgroup とホモロジーが高く,Fab1 と Fab21 の Light chain は同一の VH Subgroup とホモロジーが高いものであった 精製した Fab の純度は高く, その分子量は 28KDa であった EBVVCA との結合性を ELISA で検討したところ,2 個のクローン (Fab1 と Fab21) は高親和性であり, 特異的に VCA 抗原と反応性することが認めらた Western blotting で EBVVCA 蛋白との反応性を検討すると,Fab1 では 160KD, 85KD 58KD, 30KD の蛋白,Fab15 では 58KD, 30KD,Fab21 では 160KD, 85KD, 30KD の蛋白との結合が各々認められた EBVVCA と最も親和性の強かった Fab21 と Fab1 については Inhibition ELISA で EBV VCA と Mouse monoclonal antibody との反応を阻害することが確認された IFA による解析では, 得られた4つの Fab クローンの中で Fab1 と Fab21 が EBV 感染陽性 P3HR1 細胞株と反応し, Immunohistochemistry でも Fab1 と Fab21 が 5 例の EBV 感染陽性悪性リンパ腫患者組織と反応することが確認された Negative control として使用した抗 Rotavirus Fab 抗体や EBV 陰性悪性リンパ腫患者脾臓ではその反応性は観察されなかった 総括および結論本研究では 4 個の抗 EBVVCA 人型単クローン Fab 抗体が得られた その中の二つの Fab 5

10 クローン (Fab1 と Fab21) は ELISA, Western blotting, Inhibition ELISA, IFA のそれぞれの方法で高親和性に VCA 抗原と特異的反応することが認められた また Immunohistochemistry で EBV 感染陽性悪性リンパ腫患者組織を染色することが確認された 以上の事実から本研究で得られた人型単クローン Fab 抗体は臨床診断に有用であることが示唆された 更に Fab クローンの DNA シークエンスを行い, その内容を遺伝子レベルで明らかにしたことによって将来 EB ウイルス関連腫瘍患者の治療に応用できる可能性が考えられる 論文審査結果の要旨 ウイルス感染が起点となって生じる発癌の機構には未だ明らかでない点が数多くある EBV による発癌としては, 良く知られるバーキットリンパ腫, 悪性リンパ腫, 鼻腔咽頭癌等の悪性腫瘍, さらにはそれらに加えて胃がんの起因の可能性が指摘されている いずれの場合も癌化の分子機構は不明である 本研究では EBV 感染の早期の診断, 治療への応用を行うために有用と考えられる単クローン抗体の樹立を目指し, 方法としてはファージディスプレイ法を用いて研究を行っている 申請者は以下のような結果を得ている ファージディスプレイ法によって EBV カプシド抗原 VCA に対する単クローン抗体を4 種類得た 含まれる IgG 鎖の配列については DNA ヌクレオチド配列決定法によって確認した 4 種類の単クローン抗体の中で,Fab1 と Fab21 の2 種類は Western blotting 法にて VCA と反応することを示し, また ELISA によって EBVVCA と Mouse monoclonal antibody との反応を阻害することを示し, 単クローン抗体の特異性を明らかにした さらに IFA による解析によって EBV 感染陽性 P3HR1 細胞株と反応することを示し,EBV 特異性を確認した Immunohistochemistry の方法によって Fab1 と Fab21 が5 例の EBV 感染陽性悪性リンパ腫患者組織と反応することを確認し, ここで得られた単クローン抗体が実際に使用できることを明らかにした 以上の結果から申請者は EBV に対して特異性を有する2 種類の単クローン抗体を樹立したとしており, それらを診断, 治療に用いることが可能であるとしている 本研究においては有用な単クローン抗体を得ることに成功しており, 極めて実際的で有用な研究成果であるといえる それらの単クローン抗体は EBV 感染に対して早期の診断のために活用できるものと考えられる さらには, 未だ不明である EBV による癌化のプロセスの解明のためにもこうした単クローン抗体を用いることが考えられる 将来的には治療面への応用の可能性もあるであろう 今後の発展性には大きなものがあると期待される 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 3 号平成 18 年 6

11 み三 あき秋 こう恒 氏名 ( 生年月日 ) 本 籍 長 野 県 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学 位 記 番 号 甲第 341 号 学位授与の日付 平成 19 年 3 月 22 日 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 学位規則第 4 条第 1 項該当 へい平 ( 昭和 45 年 1 月 10 日 ) 日本白色家兎に対する酸化ストレス誘発剤を用いた 骨壊死誘発実験 主 査 松本忠美 副 査 勝田省吾 梅原久範 野島孝之 学位論文内容の要旨 研究目的ステロイド投与が大腿骨頭壊死症を発生させる重要な要因であることは明らかにされている 最終的には骨内の虚血によって発生するという点においては意見の一致をみているが, その詳細な機序については未だ不明であり, 病態解明や予防法の確立が重要な課題となっている 近年動脈硬化などの血管障害をはじめとする様々な疾患の病態に酸化ストレスの関与が報告されており, 当科でも骨壊死と酸化ストレスとの関与に着目して研究を行い, 抗酸化剤でステロイド性骨壊死を抑制できることを明らかにし, さらにラットに酸化ストレス誘発剤を単独で投与することによって骨壊死が生じることを明らかにした 本研究の目的は, ステロイド性骨壊死モデルとして確立されている家兎において, ステロイドの投与ではなく, 酸化ストレス誘発剤を単独で投与することによってステロイド性骨壊死と同部位に骨壊死が発生するかを検討することである 実験方法体重約 3.5kg の雌性日本白色家兎に酸化ストレス誘発剤である Buthionine Sulfoximine( 以下, BSO)500mg/kg を 14 日間連日静脈投与した 10 羽を BSO 群とした また, コントロールとして生理食塩水を 14 日間連日静脈投与した 10 羽を CTR 群とした 投与開始日を 1 日目とし, 投与開始直前, 5 日目, 14 日目に採血を行った 14 日目の採血後に犠牲死として両側の大腿骨を摘出し, 各群において以下の検討を行った 1. 病理組織学的検討各群において HE 染色標本を作製し光学顕微鏡にて大腿骨近位骨幹部における骨壊死発生の有無について検討した 骨壊死の定義は, 病理組織学的定義に基づき判定した 7

12 2. 免疫組織学的検討骨内での酸化ストレスの発生を確認するため, 免疫組織学的に抗 8hydroxy2 deoxyguanosine( 以下, 8OhdG) モノクロール抗体を用いて各群の大腿骨の染色性について検討した 3. 血液生化学的検討抗酸化の指標として還元型グルタチオン ( 以下, GSH) を, 脂質系の指標として総コレステロール ( 以下, Tcho), トリグリセライド ( 以下, TG) を測定した 実験成績 1. CTR 群では, 10 羽全例で骨壊死を認めなかったのに対して, BSO 群は, 10 羽中 3 羽にステロイド性骨壊死の好発部位である大腿骨近位骨幹部に骨壊死を認めた 2. BSO 群では, コントロール群と比較して骨髄造血細胞における 8OHdG の発現が明らかに亢進しており, %PC はコントロール群 7.6±2.8%, BSO 群 16.6±2.5% であり, 統計学的に有意差を認めた (p<0.01) 3. GSH は BSO 群において 5 日目の値は注射前の値と比較して著明に低下しており, 14 日目の値は若干回復していた これはラットで行った壊死誘発実験とほぼ同様な結果であり, また両群間で統計学的に有意差を認めた (p<0.05) Tcho と TG に関して, BSO 群, CTR 群ともに 5 日目, 14 日目の値は投与開始直前の値と比較して値の上昇は認めず, また両群間で統計学的に有意差を認めなかった 総括および結論近年, 生体内酸化ストレスは種々の疾患への関与が報告されている 当科でもこれまでに特発性大腿骨頭壊死症に対する酸化ストレスの関与を研究してきた その発生機序は最終的には骨内の虚血により発症するが, 家兎大腿骨の血管内皮増殖因子 (VEGF) や VEGFmRNA の発現より虚血発作は, ステロイド投与後 3 日前後で生じることが報告されている また, 当科で家兎において生体内酸化ストレスは, ステロイド投与後 3~5 日で大腿骨内に発生することを明らかにし, またステロイド投与家兎に酸化ストレス抑制剤である GSH を投与することによって有意に骨壊死発生を抑制できることを報告した さらにラットに酸化ストレス誘発剤を単独で投与することによって大腿骨頭に壊死を生じたことを報告した 今回, BSO 群の 10 羽中 3 羽にステロイド性骨壊死と同部位に骨壊死を認め, 大腿骨内に酸化ストレスが発生していたことよりステロイド性骨壊死は, ステロイド投与により酸化ストレスが誘発され壊死が発生する可能性が非常に高く, ステロイド性骨壊死の発生には酸化ストレスが重要な役割を果たしていると考えられた また, 将来酸化ストレスを抑制すれば骨壊死を予防できる可能性が示唆された 論文審査結果の要旨 特発性性大腿骨頭壊死症の発生機序はこれまでに様々な説が報告されているが, その詳細は未だ不明である 特発性大腿骨頭壊死症の中でも約半数を占め社会的問題となってい 8

13 るステロイド性大腿骨頭壊死症の病態を解明することは非常に重要な課題である 本研究は, 今までステロイド性骨壊死を再現する良いモデルとして認識されている家兎において, ステロイドではなく, 酸化ストレス誘発剤を投与することによってステロイド性骨壊死モデルと同部位に骨壊死が発生するかどうかを検討している 本研究の結果, 以下の成績が得られたとしている 病理組織学的検討から, 酸化ストレス誘発剤投与家兎 10 羽中 3 羽にステロイド性骨壊死モデルと同部位に骨壊死が発生していた 免疫組織学的検討から, 酸化ストレス誘発剤投与群で明らかに骨髄造血細胞に抗 8OHdG 抗体の発現が亢進し, 大腿骨内に酸化ストレスが発生していた 血液生化学的検討から, 酸化ストレス誘発剤投与によって還元型グルタチオンは有意に低下していた また, 総コレステロール, トリグリセライド値の変化はほとんどなく, 脂質代謝異常は生じていなかった 本実験から, ステロイド性骨壊死の発生機序の重要な原因として酸化ストレスが存在することが明らかとなった 本研究から酸化ストレスを抑制する ( 抗酸化剤を投与する ) ことでステロイド性骨壊死を予防できる可能性が示された 今回得られた知見は, ステロイド性骨壊死の発生機序及び予防法の確立において非常に重要と考えられ, 今後の臨床応用も期待される研究である 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 3 号平成 18 年 9

14 氏名 ( 生年月日 ) よね米 やま山 さと智 こ子 ( 昭和 44 年 4 月 1 日 ) 本 籍 群 馬 県 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学 位 記 番 号 甲第 342 号 学位授与の日付学位授与の要件学位論文題目 平成 19 年 3 月 22 日学位規則第 4 条第 1 項該当 Dietary intake of fatty acids and serum Creactive protein in Japanese. ( 日本人成人男女における各種脂肪酸摂取と血清高感度 CRP) 論文審査委員 主 査 中川秀昭 副 査 勝田省吾 松本正幸 梶波康二 学位論文内容の要旨 研究目的近年急性期の炎症マーカーである高感度 CRP(hsCRP) は動脈硬化性循環器疾患の強い予測因子として注目されている 多価不飽和脂肪酸, 特に n3 脂肪酸がサイトカイン産生による炎症を抑制するとの報告があり, 疫学研究, 臨床試験では長鎖 n3 脂肪酸 ( エイコタペンタエン酸 (EPA)+ ドコサヘキサエン酸 (DHA)) やその前駆体であるαリノレン酸と hscrp との関連をみた研究がなされている しかし一致した見解に至っておらず, またこれら脂肪酸がどのように抗炎症, 抗血栓効果があるのかメカニズムも解っていない 地中海式ダイエットはオレイン酸,n3 脂肪酸, 野菜, 果物, ナッツを多く含み循環器疾患発症予防の点で注目を集めているが, 我が国は地中海地域より冠動脈疾患の死亡率が低く日本食は世界的にも注目を集めている しかし日本食における各種脂肪酸組成が hscrp とどのような関連があるのかについてもほとんど検討がなされていない 本研究は大規模な日本人集団において各種脂肪酸摂取量と hscrp の関連について明らかにするものである 研究方法 年に富山県東部の某企業に勤務する 3560 歳の男女 3017 人 ( 男性 1556 人, 女性 1461 人 ) において hscrp を測定し, 詳細な食事調査を行った 食事調査は妥当性が確認されている自記式食事歴法質問票 (Selfadministered Dietary History Questionnaire(DHQ)) を用いて行った DHQ においては過去 1ヶ月間の 133 種の食品摂取の頻度と量から, 各種栄養素と 7 つの脂肪酸の摂取量をエネルギー比で算出した 解析は 10

15 すべて男女別に行った 各種脂肪酸摂取量を5 分位に分け, 共分散分析を用いて年齢, 飲酒, 喫煙, 身体活動量等を調整した hscrp の平均値を算出し比較した また長鎖 n3 脂肪酸の摂取量の違いにおけるオレイン酸, リノール酸,αリノレン酸と hscrp との関連をみるために, 長鎖 n3 脂肪酸 (EPA+DHA) の低摂取群, 中程度摂取群, 高摂取群の3 群に分けて hscrp に関する重回帰分析を行った hscrp は正規分布をとらなかったので対数変換した値を用いた また感染症による炎症の除外のため hscrp10mg/l 以上のものを除外して分析した 研究成績対象者の平均年齢は男女とも 47 歳, 平均 BMI は男性 23.5kg/m 2, 女性 22.7kg/m 2,hsCRP の幾何平均値は男性 0.43mg/L, 女性 0.27mg/L であった 総脂肪摂取量は男性 20.8%E, 女性 27.0%E で男性より女性で大きい値をとった (p<0.001) また特に摂取量の多い脂肪酸ではオレイン酸が男性 6.1%E, 女性 7.8%E, リノール酸が男性 4.6%E, 女性 5.8%E で男性より女性で大きい値をとった (p<0.001) 各種脂肪酸摂取を5 分位に分けときの hscrp の幾何平均値は女性でオレイン酸 (p=0.008),α リノレン酸 (p=0.026) で摂取エネルギー比が高いほど有意に低い傾向を認めた 長鎖 n3 脂肪酸 (EPA+DHA) の摂取量に関して 3 群に分けて hscrp と主な脂肪酸との関連を見たところ, 男性では長鎖 n3 脂肪酸の中程度摂取群でオレイン酸 (P=0.009) およびリノール酸 (p=0.021) と統計学的に有意な負の関連を示した また女性では長鎖 n3 脂肪酸の中程度摂取群でオレイン酸 (p=0.028), リノール酸 (p=0.009),α リノレン酸 (p=0.018) と最も強い負の関連を示した 総括および結論今回我々は hscrp との関連が明らかになっていないオレイン酸, または炎症作用が報告されているアラキドン酸の前駆体であるリノール酸, そして抗炎症作用のあるエイコタペンタエン酸の前駆体であるαリノレン酸について焦点を絞って検討し日本人で摂取の多い長鎖 n3 脂肪酸 (EPA+DHA) の中程度摂取群において hscrp はオレイン酸, リノール酸, αリノレン酸で特に強い負の関連を示す傾向があることを明らかにした δ5 desaturase とδ6 desaturase によりαリノレン酸は EPA に伸張し抗炎症作用のある PGE 3 に, リノール酸はアラキドン酸に伸張し炎症作用のある PGE 2 とLTE 4 を産生し, オレイン酸は EPA の疑似体のエイコサトリエン酸に伸張し抗炎症作用に働くとされている これらの伸張は競合するので各々の脂肪酸の摂取比率により抗炎症, 炎症作用が決まるとされているがメカニズム等は完全に解っていない 我々の結果は魚に多く含まれる EPA や DHA の日本人の平均的な摂取がオレイン酸, リノール酸,αリノレン酸の抗炎症作用を有効に働かせることを示唆したものであり, 循環器疾患予防のための脂肪摂取のあり方に新たな知見を提供するものである 論文審査結果の要旨 炎症指標である血清 CRP の軽微な上昇は, 動脈硬化による循環器疾患発症の独立した危険因子として最近確立されてきており, 血清高感度 CRP の測定がなされるようになった 11

16 血清高感度 CRP に影響する要因としては性, 年齢, 肥満度, 喫煙などが指摘されているが, 栄養学的要因については明らかではない 特に脂質の摂取状況が独特で, 低い心筋梗塞発症率が世界的に注目されている日本人での検討が十分ではなかった 本研究は, 妥当性の確立した厳密な栄養調査を大規模な日本人集団で実施して血清高感度 CRP と脂肪酸摂取との関連を検討しており, わが国では大変貴重な大規模疫学データと言える また, 日本人を代表するデータとして国際的にも価値が高いと考えられる 本研究では, 諸外国に比べて日本人摂取量が多い長鎖 n3 脂肪酸 (EPA および DHA) による交互作用が検討されている この脂肪酸は魚介類からの摂取が中心のものである その結果, 長鎖 n3 脂肪酸の摂取が中等量の群で, オレイン酸, リノール酸,αリノレン酸と高感度 CRP との負の関連が最も強いことが分かった この摂取量は欧米に比べればなお高い摂取量であり, 欧米での魚介類摂取増加を勧めるとともに, わが国では現在の摂取量を維持することで, 一価不飽和脂肪酸, 多価不飽和脂肪酸による抗炎症作用が効果的になるという仮説を提唱するものである これが本論文の新知見の部分であり, 今後の循環器疾患予防研究に一石を投じることになろう ただしこれらの脂肪酸摂取が動脈硬化の進展および動脈硬化性循環器疾患の発症にどう関わっていくかを見る縦断的疫学研究が今後必要である 本研究は, 疫学研究としての規模の大きさ, 質の高い栄養調査方法, また新たな知見が評価され, 日本疫学会の official journal である Journal of Epidemiology に掲載された また, わが国での循環器疾患予防のための食事の取り方への新たな提言となる可能性も高く, 公衆衛生学的意義も高い 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) Journal of Epidemiology Vol.17, No.3,

17 氏名 ( 生年月日 ) たか髙 はし橋 とも知 本籍長野県 こ子 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号甲第 343 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 平成 19 年 3 月 22 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 ( 昭和 51 年 4 月 21 日 ) FDG 集積度,HRCT 所見, および血清 CEA 値による肺腺癌 (3cm 以下 ) の術後再発予測 論文審査委員 主査利波久雄副査栂博久勝田省吾佐川元保 学位論文内容の要旨 研究目的小型肺癌発見の増加に伴い, 肺癌の縮小手術適応に対する議論がされている すなわち非浸潤性肺癌を術前に予測することができれば, 縮小手術の標準化を進めることが可能になり, さらには術前あるいは術後化学療法の併用を考慮するうえでの一助となるとも考えられる このような考えから, 術前画像所見による原発巣の浸潤性評価の試みが行われている その一つとして,high resolution computed tomography(hrct) 上の原発巣の groundglass opacity(ggo) の割合が浸潤性や術後予後と相関すると報告されている 一方 18 F fluorodeoxyglucose(fdg) を用いた positron emission tomography(pet) は, 生体の糖代謝を画像化する方法であり, 肺腺癌では原発巣の FDG 集積度は生物学的悪性度を反映すると報告されている また, 血清 carcinoembryonic antigen(cea) 値も肺腺癌の予後予測因子としての有用性が検討されており, 術前血清 CEA 高値の症例では術後予後が悪いと報告されている 本研究の目的は, 術前画像診断 ( 原発巣の FDG 集積度と HRCT 所見 ), および血清 CEA 値により肺腺癌 (3cm 以下 ) の術後再発を予測しうるか否かを明らかにすることである 実験方法対象は, 術前に FDG PET および HRCT 検査, 血清 CEA 値測定が行われた肺腺癌 (3cm 以下 ) 標準手術症例 75 例である 本研究は術前評価に用いることを考慮して TNM 分類で用いられている腫瘍径 (3cm) を基準として腫瘍径 3cm 以下の症例を対象とした FDG PET は 3 機種を用い,FDG 静注 40~60 分後より撮像開始し全例に吸収補正を施行した 原発巣の FDG 集積度は, 視覚的に縦隔の血中濃度を基準として,FDG 低集積度群と 13

18 FDG 高集積度群の 2 群に分類した HRCT は 2 機種を用い, 肺野全体を helical mode(10mm 厚 ) にて撮像し, 病変部分を thin section(2mm 厚 ) にて追加撮像した HRCT 上の原発巣における GGO の割合は, 腫瘍断面の最大径と GGO 以外の腫瘍部分の最大径を用いて半定量的に計測し,GGO 割合 50% を基準として solid pattern と GGO pattern の 2 群に分類した 血清 CEA 値は,20ng/ml を基準値として 20ng/ml 未満と 20ng/ml 以上の 2 群に分類した 以上の方法を用いて, 手術標本における病理組織学的浸潤性 ( 血管浸襲 リンパ管浸襲 胸膜浸潤 ) については術前画像所見および血清 CEA 値との関連を Fisher s exact test で検討した 術後再発は, 術後から再発診断までの期間を無再発生存期間と設定し, 術前画像所見および血清 CEA 値と術後再発との関連を KaplanMeier 法 (log rank test) で検討した さらに HRCT 上の solid pattern 群に限定して, 術後再発に関与する因子として, 年齢 (65 歳未満,65 歳以上 ) 性別 術前血清 CEA 値 病理病期分類 (I 期,II III 期 ) FDG 集積度を選択し Cox 比例ハザードモデルによる多変量解析を行った 加えて HRCT 上の solid pattern 群で FDG 集積度と血清 CEA 値を組み合わせた場合の術後再発について検討した 実験成績 1. 原発巣の FDG 集積度浸潤性は,FDG 低集積度群では 16.2%(6/37),FDG 高集積度群では 68.6%(24/35) で認められ,FDG 高集積度群では有意に浸潤性を認める症例が多かった (p<0.0001) 術後再発は,FDG 低集積度群では 5.3%(2/38),FDG 高集積度群では 37.8%(14/37) で認められ,FDG 高集積度群は有意に術後再発率が高かった (p=0.0006) 2. 原発巣の HRCT 所見浸潤性は,GGO pattern 群では 0%(0/13),solid pattern 群では 50.8%(30/59) で認められ,solid pattern 群では有意に浸潤性を認める症例が多かった (p<0.0001) 術後再発は,GGO pattern 群では 0%(0/13),solid pattern 群では 25.8%(16/62) で認められ,solid pattern 群は有意に術後再発率が高かった (p=0.0359) 3. 術前血清 CEA 値浸潤性は, 血清 CEA 値 20ng/ml 未満の群では 37.3%(25/67),20ng/ml 以上の群では 100.0%(5/5) で認められ, 血清 CEA 値 20ng/ml 以上の群では有意に浸潤性を認める症例が多かった (p=0.010) 術後再発は, 血清 CEA 値 20ng/ml 未満の群では 17.1%(12/70),20ng/ml 以上の群では 80.0%(4/5) で認められ, 血清 CEA 値 20ng/ml 以上の群は有意に術後再発率が高かった (p=0.0002) 4.Solid pattern 群に限定した場合の解析結果 GGO pattern 群では浸潤性および術後再発が共に認められなかったため solid pattern 群 (62 例 ) に限定した場合の検討を行った 浸潤性は,FDG 低集積度群では 24.0%(6/25),FDG 高集積度群では 70.6%(24/34) で認められ,FDG 高集積度群では有意に浸潤性を認める症例が多かった (p=0.001) 術後再発は,FDG 低集積度群では 7.7%(2/26),FDG 高集積度群では 38.9%(14/36) 14

19 で認められ,FDG 高集積度群は有意に術後再発率が高かった (p=0.0079) 術後再発に関与する主要因子について多変量解析を行ったところ, 病理病期分類 (p=0.040) と FDG 集積度 (p=0.040) のみが独立した術後再発予測因子であった 原発巣の FDG 集積度と血清 CEA 値を組み合わせて検討を行ったところ,solid pattern でなおかつ FDG 高集積度の症例において, 血清 CEA 値 20ng/ml 未満の群では 32.3%(10/31),20ng/ml 以上の群では 80.0%(4/5) で術後再発が認められ, 血清 CEA 値 20ng/ml 以上の群は有意に術後再発率が高かった (p=0.0461) 総括および結論原発巣の FDG 集積度 HRCT 所見, 血清 CEA 値と病理組織学的浸潤性および術後再発との間には, 有意な関連が認められた HRCT 上 GGO pattern を呈した症例では術後再発が認められず, 強い予後良好の所見と考えられた HRCT 上 solid pattern を呈した症例では,FDG 集積度が独立して重要な術後再発予測因子であることが判明した さらに, 血清 CEA 値 20ng/ml 以上は強い予後不良の所見であった 以上より, 肺腺癌 (3cm 以下 ) において原発巣の FDG 集積度,HRCT 所見, および血清 CEA 値を組み合わせることにより, 術後再発をより高い精度で予測できることが判明した 論文審査結果の要旨 胸部 CT 検診の普及や日常臨床での胸部 CT 検査に伴い, 小型肺癌が多く発見されるようになった しかし病期分類 Ⅰ 期にもかかわらず術後早期に再発し予後の悪い症例も散見され, 病期分類のみでは肺癌の予後因子として十分とは言えないことが指摘されている このような考えから術前画像所見による浸潤性評価や術後予後予測の試みがされているが, 複数の検査結果を組み合わせた検討は少ない そこで, 術前画像診断 ( 原発巣の FDG 集積度と HRCT 所見 ), および術前血清 CEA 値により肺腺癌 (3cm 以下 ) の術後再発を予測しうるか否かを明らかにすることを目的として以下の研究を行った 対象は, 術前に FDG PET および HRCT 検査を施行し血清 CEA 値測定が行われた肺腺癌 (3cm 以下 ) 標準手術症例 75 例である 原発巣の FDG 集積度は視覚的に縦隔の血中濃度を基準として FDG 低集積度群と FDG 高集積度群の 2 群した HRCT 上の原発巣における GGO の割合は半定量的計測により 50% を基準として solid pattern と GGO pattern の 2 群に分類した 血清 CEA 値は,20ng/ml を基準値として 20ng/ml 未満と 20ng/ml 以上の 2 群に分類した 以上を単独または組み合わせて病理組織学的浸潤性および術後再発との関連を統計学的に検討した 本研究により得られた結果は以下のとおりである 1. 原発巣の FDG 集積度 HRCT 所見, 血清 CEA 値と病理組織学的浸潤性および術後再発との間には有意な関連が認められた すなわち FDG 高集積度 solid pattern 血清 CEA 値 20ng/ml 以上の群ではそれぞれ有意に浸潤性を認める症例が多く, 術後再発率も高かった 2. GGO pattern 群では病理組織学的浸潤性および術後再発が認められず, 強い予後良好の所見であることが示された 15

20 3. solid pattern 群では FDG 集積度が独立して重要な術後再発予測因子であることが示された 4. 血清 CEA 値 20ng/ml 以上は強い予後不良の所見であることが示された 本研究により, 肺腺癌 (3cm 以下 ) において原発巣の FDG 集積度,HRCT 所見, および血清 CEA 値を組み合わせることにより, 術後再発をより高い精度で予測できることが判明した この結果は, 臨床において適切な治療法の選択, 特に縮小手術や術前術後化学療法の適応の決定に大きく寄与するものと考えられる 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 3 号平成 18 年 16

21 氏名 ( 生年月日 ) わか若 さ狭 本籍石川県 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 甲第 344 号 平成 19 年 3 月 22 日 みのる稔 ( 昭和 51 年 12 月 21 日 ) 学位規則第 4 条第 1 項該当 特発性左室収縮機能障害患者におけるアミノ酸代謝異常に関する臨床的検討 論文審査委員 主査梶波康二副査松井忍高橋弘昭伊達孝保 学位論文内容の要旨 研究目的左室収縮機能障害は左室の収縮能が徐々にあるいは急速に障害される疾患であり, その克服には, 左室収縮機能障害の原因の多くを占める拡張型心筋症の病態解明が重要である 拡張型心筋症の責任遺伝子座が同定されたものは数少なく, またミトコンドリア遺伝子異常, 脂肪酸代謝異常, アミノ酸代謝異常など, 代謝異常が原因と考えられる症例が散見されるが, 系統だった検討はなされていない そこで本研究では, アミノ酸代謝異常が成人発症の特発性拡張型心筋症を呈するとの仮説を検証することを目的に, 左室収縮機能障害患者の尿中アミノ酸およびその代謝物 24 種を測定し臨床像との相互関係を検討した 実験方法 1. 対象対象は 2005 年 4 月から 2006 年 3 月までに金沢医科大学病院循環器内科に通院または入院し, 心エコー検査で左室駆出率が 45% 以下, 心筋血流シンチグラム ( 99m TcMIBI) で左室駆出率が 45% 以下, 左室造影検査で全周性の壁運動低下のいずれかを満たす左室収縮機能障害を指摘された患者連続 23 例 ( 男性 18 例, 女性 5 例, 平均年齢 61±17 歳 ) である 心筋疾患を有する対照群として肥大型心筋症患者 13 例 ( 男性 12 例, 女性 1 例, 平均年齢 67±13 歳 ), 正常対照群として 33 例 ( 男 20 例, 女 13 例, 平均年齢 56±5 歳 ) と比較した 二次性心筋症は対象から除外した 随時尿を 10ml 採取し常温で保存 ガスクロマトグラフ 質量分析計 コンピューター (GC/MS/COM) システムを用いてアミノ酸およびその代謝物計 24 種を安定同位体希釈法により測定し, これをクレアチニン濃度で補正した 対数変換処理によって求めたコントロール値 (200 例 ) をもとに, 測定値の異常度をコントロール値の標準偏差 (SD) を指標 17

22 に表し, 平均 +2SD 以上を異常値とした 実験成績左室収縮機能障害患者 23 例中 11 例に, 肥大型心筋症患者 13 例中 5 例に, 正常対照患者 33 例中 8 例に尿中アミノ酸およびその代謝物の高値をそれぞれ認めた このうち,3 methylglutaconate の高値 (3methylglutaconic aciduria) を認めた3 例においては, 再検査でも異常値が確認された これら 3 例の発症年齢はそれぞれ 44,55,70 歳と成人以降の発症であり, 心不全重症度はいずれも NYHAⅡ 度程度に留まっていた また平均 71 歳時の心エコー検査 M モードでの左室駆出率は 55±16%, 左室拡張末期径 56±12mm,BNP36 ±13pg/ml で,1 例に心房細動を合併したが, 心室性期外収縮 (Lown 分類 grade3 以上 ) の合併は認めなかった 一方,3methylglutaconic aciduria を認めない左室収縮機能障害患者では, 同じく平均 67 歳時の左室駆出率 40±18%,BNP244±310pg/ml, 左室拡張末期径 62±10mm で,6 例に心房細動を,7 例に心室性期外収縮 (Lown 分類 grade3 以上 ) を合併した 以上より 3methylglutaconic aciduria を認めた 3 例では左室機能障害は比較的軽度にとどまると考えられた 総括および結論左室収縮機能障害を認める 23 例中 3 例に 3methylglutaconic aciduria を認め, 正常対照群に比べ有意に高頻度であった また臨床的には, 比較的軽症の左室機能障害に留まる可能性が示唆された 以上より, 原因不明の左室収縮機能障害を呈する心筋症患者の中にアミノ酸代謝異常が少なからず存在する可能性を示唆され, 今後の心筋症診断と治療に有用な成果と考えられた 論文審査結果の要旨 本研究は, アミノ酸代謝異常が成人発症の特発性拡張型心筋症を呈するとの仮説を検証することを目的に, 左室収縮機能障害患者の尿中アミノ酸およびその代謝物 24 種を測定し, 臨床像との相互関係を検討したものである その結果, 原因不明の左室収縮機能障害患者 23 例中 3 例にアミノ酸代謝異常が認められ, 心筋症の病因論に新たな展開をもたらす有用な成果と考えられた 今後これらの患者において, 遺伝子解析を含めた検討を加えることで新しい疾患概念にもつながることが期待される内容である 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 3 号平成 18 年 18

23 氏名 ( 生年月日 ) かわ川 むら村 とも友 本籍岩手県 み美 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 甲第 345 号 平成 19 年 3 月 22 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 ( 昭和 52 年 8 月 26 日 ) 非定型抗精神病薬オランザピンとアリピプラゾールの 急性投与による家兎海馬における興奮性シナプス伝達 およびドーパミン, セロトニン濃度に及ぼす影響につ いて 主 査 地引逸亀 副 査 飯塚秀明 松井 真 加藤伸郎 学位論文内容の要旨 研究目的近年の精神科臨床において, 統合失調症の薬物療法に非定型抗精神病薬が広く用いられるようになってきている 非定型抗精神病薬は, 幻覚と妄想といった陽性症状に対する効果に加えて, 意欲低下, 社会的な引きこもりなどの陰性症状, 注意障害と記憶障害などの認知機能障害に対しても有効であるとされている 非定型抗精神病薬は共通して dopamine (DA)D2 受容体遮断作用とそれ以上に強力な serotonin(5ht)2a 受容体遮断作用を有し, serotonindopamine antagonist(sda) と呼ばれる 特に非定型抗精神病薬のうちの olanzapine は D2 以外の他の DA 受容体あるいは, muscarine 受容体など多数の受容体への作用を有することから MARTA(multiacting receptor targeted agent) と呼ばれる Olanzapine は主に前頭前野の DA 活動を賦活することにより統合失調症の陰性症状と認知障害を改善すると考えられている 一方, 新規の非定型抗精神病薬である aripiprazole は, D2 受容体部分作動薬である 5HT2A 受容体拮抗作用を有し, 5HT1A 受容体部分作動薬としての性格も有している Aripiprazole は統合失調症で DA 過剰活動状態にある中脳辺縁系では D2 受容体への拮抗作用により陽性症状を抑制し, DA 活動の低下した前頭前野では D2 受容体作動薬として働いて陰性症状を改善する可能性が推測され, これまでの非定型抗精神病薬とは作用機序が異なっていると考えられる その他の非定型抗精神病薬による陰性症状および認知機能障害の改善作用の機序として, 前頭前野における NmethylDaspartate(NMDA) 受容体の活性化が考えられており, in vitro ではラットの前頭前野スライスで, clozapine, olanzapine, risperidone などにつ 19

24 いて, この NMDA 受容体を介した興奮性シナプス伝達の増強作用が観察されている 本研究ではこの非定型抗精神病薬の陰性症状または認知機能障害の改善効果のメカニズムを探る目的で, MARTA の代表である olanzapine と, D2 受容体部分作動薬である aripiprazole について, 特に認知機能と関係の深い海馬における興奮性シナプス伝達および DA, 5HT の細胞外濃度に及ぼす影響を研究した 実験方法体重 kg の家兎 30 羽を用い, 家兎の一側海馬歯状回に, ガイドカニューレに記録電極を組み合わせたものを, 同側貫通路に刺激電極を植え込み, 慢性条件下で実験をおこなった Olanzapine と aripiprazole の両実験とも最初に対照記録として, 一定強度の単発刺激を行い, 集合スパイク (PS) と集合 EPSP からなる貫通路 歯状回反応波を 60 分間記録した 次に溶媒のみを腹腔内投与したコントロール群 5 例, olanzapine 10, 20mg/kg, aripiprazole 10, 20, 40mg/kg をそれぞれ腹腔内へ投与した olanzapine 投与群, aripiprazole 投与群それぞれ 10 例と 15 例とで, 反応波をそれぞれ 60 分間記録後, 貫通路に弱いテタヌス刺激を加え, さらに 60 分間反応波を記録して海馬歯状回における長期増強現象 (longterm potentiation, LTP) の発現の有無を観察した DA, 5HT 濃度の測定については, まず脳内微小透析用のマイクロプローブをガイドカニューレに挿入し, 人工脳脊髄液を灌流し, まず DA, 5HT 濃度基線安定のための期間を設けた その後 PS と EPSP の記録開始と同時に並行して実験開始から終了まで 180 分間, マイクロプローブから継時的に海馬歯状回での細胞外灌流液を 5 分ごとに 10μl ずつ採取した 全ての実験は, 金沢医科大学動物実験指針 に基づいて行った 反応波の PS, EPSP と DA, 5HT 濃度の統計学的解析は, それぞれの値の時間経過とそれぞれの群間での有意差について ANOVA とそれに続く Scheffe 法による多重比較を用いて検討した 実験成績 Olanzapine と aripiprazole の両方とも, どの用量の投与群でも投与後で単発刺激による貫通路 歯状回反応波の興奮性シナプス伝達の変化は見られなかったが, テタヌス刺激による LTP の発現が抑制された 一方, DA 濃度は olanzapine 10 mg /kg の投与では有意な変化を認めなかったが, 20mg/kg の投与後で有意に上昇した Aripiprazole ではどの投与群でも DA 濃度は変化しなかった 5HT 濃度は olanzapine も aripiprazole も, どの用量の投与群でも変化しなかった 総括および結論 Olanzapine は DA の増加を生じ, これが統合失調症の陰性症状や認知機能障害の改善と関係する可能性がある 一方, aripiprazole は興奮性シナプス伝達の増強も DA の増加も起こさず, その臨床効果にはこれらとは別な機序が関係すると考えられる なお, 本実験における LTP の発現の抑制はむしろ, 薬物の副作用としての陰性症状や認知機能障害類似の症状の誘発と関係するかもしれない 20

25 論文審査結果の要旨 申請者らの研究グループは本実験と同様な家兎海馬の慢性実験で, 非定型抗精神病薬の代表的薬物である clozapine が, 単発刺激による貫通路 歯状回反応波の興奮性シナプス伝達の増強を惹き起こし, しかもその増強が NMDA 受容体介在性の現象であることを報告している さらに microdialysis と呼ばれる手法を導入して, その興奮性シナプス伝達の増強に伴って DA の海馬歯状回の細胞外濃度の増加がみられることを見出し, これらの現象が非定型抗精神病薬の臨床効果の特徴である統合失調症の陰性症状や認知障害の改善効果と関係する可能性を提唱している 本研究はこれらの現象が非定型抗精神病薬の共通の性質として, clozapine のみならず他の非定型抗精神病薬にもみられるかどうかを調べたもので, 申請者らの研究グループの非定型抗精神病薬の薬理, 特に統合失調症における陰性症状や認知障害の改善効果のメカニズムに関する精神薬理学的研究の一環である 本研究の背景には, このような抗精神病薬の薬理作用に関する研究が, 幻覚や妄想よりも統合失調症の社会復帰を妨げる最も主要な要因で, しかもまだよく分かっていない陰性症状や認知障害の病態メカニズムの解明につながることを期待する意図がある 本研究では非定型抗精神病薬として特に MARTA の代表である olanzapine や, 本邦で最近市販され, 今までにない D2 受容体部分作動薬としての性質を有する新規の薬物である aripiprazole を対象とした これらの薬物に関する過去の薬理学的研究はまだ極めて少なく, したがって申請者の今回の研究の目的は精神医学的研究として有意義かつ合理的なものということができる 実験方法における海馬の field potential の記録に関する電気生理学手法については, 申請者らの研究グループは過去に同様な手法による研究成果を多くの国際誌に発表しており問題はない microdialysis による DA や5HT の細胞外濃度の測定方法についても, 本実験に先立ちマイクロプローブから人工脳脊髄液を灌流し, 7~8 時間の濃度の基線の安定のための期間を設けるなど信頼に値する 統計解析についても問題はない 論文全体の構成はもとより考察における論旨の構成や, その内容とくに結果の解釈に必要な文献考察においても過不足なく述べられている 本研究の主要な所見は海馬歯状回で olanzapine が興奮性シナプス伝達の増強は起こさないが, 用量依存性に DA の増加を生じたことである これと類似した海馬での所見は過去に1 編しか見られず priority は高い おそらくその DA の増加は olanzapine の持つ統合失調症の陰性症状や認知機能障害の改善と関係すると思われる また本所見から興奮性シナプス伝達の増強と DA の増加が別々の独立した現象である可能性が示唆された 一方, aripiprazole は興奮性シナプス伝達の増強も DA の増加も起こさず, その臨床効果にはこれらとは別な機序が関係すると考えられ, その薬理作用の特異性が確かめられた なお, 本研究における抗精神病薬による LTP の発現の抑制は, 過去に申請者らの研究グループが定型抗精神病薬の haloperidol を初め, risperidone や zotepine の非定型抗精神病薬でも報告している現象であるが, olanzapine や aripiprazole による報告は本研究が初めてである LTP は記憶や学習のエングラムとして認知機能のメカニズムに関係すると考えられている また抗精神病薬によって陰性症状や認知機能障害に類似した症状が誘発されることが知られていることから, おそらく LTP の発現の抑制はそのような抗精神病薬の副作用との関係を示唆して有意義と 21

26 思われる 結論すると本研究は olanzapine や aripiprazole の海馬における興奮性シナプス伝達や, DA および5HT の細胞外濃度への影響の有無を明らかにしたが, 本研究は非定型抗精神病薬の臨床薬理や統合失調症の病態の解明に寄与して有意義と思われる 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 4 号平成 18 年 22

27 氏名 ( 生年月日 ) やま山 だ田 まさ真 本籍大阪府 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 甲第 346 号 平成 19 年 3 月 22 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 よし善 ( 昭和 53 年 2 月 9 日 ) 肝細胞癌を発生した非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) モデルマウス肝における酸化ストレスと抗酸化酵素 の発現 主 査 髙瀬修二郎 副 査 田中卓二 梶波康二 竹上 勉 学位論文内容の要旨 研究目的飲酒歴がないにもかかわらずアルコール性肝炎と類似の肝組織像を示す非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis: NASH) は肝硬変に進展し, 一部には肝癌を合併する病態として注目されている 申請者は NASH の発生と進展に対する酸化ストレスの関与を明らかにするために, 脂肪肝を自然発症する Fatty Liver Shionogi(FLS) マウスと,NASH 類似の肝組織像を呈した FLSob マウスの肝臓について, 網羅的遺伝子解析によって酸化ストレス関連遺伝子の分析を行った また, 肝細胞癌を発生した FLSob マウス肝における非癌部と癌部の酸化ストレスと抗酸化酵素の発現状況を検討した 実験方法 1. 実験動物 :FLS マウスと,C57BLob マウスの ob 遺伝子を導入した FLSob マウス各 10 匹を 40 週間飼育して, 肝組織の変化および発癌状況を観察した 2.Gene Chip による網羅的遺伝子発現解析 :FLS および FLSob の非癌部肝臓から total RNA を抽出し,cDNA を合成, さらに biotin で蛍光標識した crna を作成した 次で断片化した crna を Mouse Genome microarray とハイビリダイズさせ,GeneChip Scanner 3000 でスキャンし,Gene Spring GX により遺伝子発現解析を行った 3. 酸化ストレスと抗酸化酵素の免疫組織化学染色 : 酸化ストレスの指標として 8 hydroxydeoxyguanosine(8ohdg),4hydroxynoneral(4hne),3nitrotyrosine(3 NT), チトクローム P450 2E1(CYP2E1) を, 一方抗酸化酵素の指標として MnSOD と, Cu/ZnSOD,catalase を, それぞれに対する抗体を用いた LSAB 法により肝組織を染色した 23

28 4. 抗酸化酵素遺伝子の RTPCR,Real time PCR:FLSob 肝の非癌部および癌部から抽出した RNA について,MnSOD,Cu/ZnSOD および catalase の mrna を TaqMan プローブ法による Real time PCR で定量的に測定した 5. 抗酸化酵素の Western blot:flsob 肝の非癌部と癌部について,MnSOD,Cu/ZnSOD および catalase の蛋白量を enhanced chemiluminesence(ecl) キットで測定した 実験成績 1. マウスの飼育状況と肝組織所見 : 飼育 40 週後の平均体重は FLS が 39.1g,FLSob が 66.0g で, 明らかな差がみられた 肝組織所見についてみると,FLS では少量の脂肪沈着を散在性に認めるのみであった 一方,FLSob 10 匹中 4 匹に合計 6 個の結節を認め, いずれも充実性で, 索状に配列した高分化型肝癌であった 非癌部では肝細胞の大滴性脂肪沈着, 肝細胞壊死および肝細胞周囲の線維化が認められた 2. 網羅的遺伝子発現解析による酸化ストレス関連遺伝子の発現状況 : 非癌部肝組織について,Gene Chip により 45,101 個の遺伝子を網羅的に解析したが,Gene Spring GX で検索し得た酸化ストレス関連遺伝子は 49 個であった これらのうち,FLSob において FLS より 2 倍以上の発現亢進が認められたのは, アポトーシスの過程で働く Casp3, グルタチオン代謝に関与する Gpx7 と Mpo, ミトコンドリア内に局在しイソクエン酸をオキサロコハク酸に変換する Idh1, 抗酸化酵素 Sod1, およびアラキドン酸から prostaglandinh を合成するのに重要な酵素である Ptgs2 の 6 個で,Ptgs2 遺伝子の発現が最も強かった 3.FLSob マウス肝の癌部と非癌部における酸化ストレスの発現 :8OHdG は非癌部では核に強く染色されたが, 癌部では細胞質がびまん性に染色されただけであった 4HNE と 3NT は非癌部では細胞質内に顆粒状に染色されが, 癌部では染色されなかった CYP2E1 は非癌部の小葉中心部肝細胞に強く染色されたが, 癌部では染色されなかった 4.FLSob マウス肝の癌部と非癌部における抗酸化酵素の発現 :MnSOD は非癌部の小葉中心部肝細胞に顆粒状に染色され, 癌部では腫瘍全体に強い染色が認められた Cu/Zn SOD は非癌部の小葉中心部の細胞質と, 癌部の細胞質に染色され,catalase も細胞質に染色性を認めたが, 癌部と非癌部における染色程度の差はなかった Real time PCR による遺伝子発現では,MnSOD は癌部において非癌部の 1.73 倍, Cu/ZnSOD は 1.34 倍,catalase は 1.21 倍で, 特に MnSOD の発現は推計学的にも有意に高かった Western blot による蛋白量では,MnSOD は癌部では非癌部の 1.8 倍と推計学的にも有意に高く,Cu/ZnSOD および catalase は癌部の方が高い傾向がみられた 総括および結論 NASH の病態追求のために使用した FLSob マウスは肥満, 高脂血症, 糖尿病を伴い, 肝組織では著明な脂肪化に加え, 肝細胞壊死, 肝細胞周囲性線維化を認めることから, よりヒトに類似した NASH 実験モデルとなりうると考えられた FLSob 肝の網羅的遺伝子発現の検索において 6 個の酸化ストレス関連遺伝子の亢進が確認され, これらのうち最も亢進していた Ptgs2 発現は, 肝の強い炎症性変化と肝星細胞 24

29 の活性化を介した肝線維化に反映されていると考えられた FLSob 肝の免疫組織化学染色による検討では, 酸化ストレスは非癌部で強く検出され, 癌部ではほとんどみられなかったのに対し, 抗酸化酵素は癌部で強く検出された また, 抗酸化酵素の遺伝子量, 蛋白量はともに非癌部に比べ癌部で多く発現していた 以上のごとく,NASH 動物実験モデル FLSob マウスにおいて高発現を示す酸化ストレス関連遺伝子が明らかとなり, さらに, この実験モデルで発生する肝細胞癌は, 抗酸化酵素を強く発現して酸化ストレスを消去している可能性が示唆された 論文審査結果の要旨 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の発症と進展には酸化ストレスが重要な役割を果たしているが, 肝発癌の過程では酸化ストレスによる細胞障害を回避する機序が作動している可能性が考えられる そこで, 肝癌を発生した NASH 実験モデルマウス肝における酸化ストレスと抗酸化酵素の発現状況を明らかにすることを目的とした研究である 実験方法は,Fatty liver shionogi(fls) マウスと FLSob マウスを 40 週間飼育し,Gene Chip により肝の網羅的遺伝子発現解析を行っている さらに, 肝癌を認めた FLSob マウス肝について, 癌部と非癌部における酸化ストレスと抗酸化酵素の発現状況を検討している 実験の結果, 以下の成績が得られたとしている 1.FLS マウス肝では脂肪滴を認めるのみであったが,FLSob マウスでは NASH 類似の肝組織像を呈し,10 匹中 4 匹に高分化型肝細胞癌を認めた 2.FLSob マウス肝における 45,101 個の網羅的遺伝子発現解析のうち酸化ストレス関連遺伝子は 49 個で, そのうち 6 個が高発現しており, 特に Ptgs2 遺伝子の発現が顕著であった 3. 非癌部では酸化ストレスマーカーが強く発現していたが, 癌部ではほとんど検出されなかった 一方, 癌部での抗酸化酵素は強く発現しており, 特に MnSOD の有意に高い発現を認めた 以上のごとく,NASH の病態追求のために使用した FLSob マウスは, よりヒトに類似した NASH 実験モデルとなりうることが示された また,FLSob マウス肝の網羅的遺伝子発現の検索によって亢進している酸化ストレス関連遺伝子が確認された さらに,FLSob マウス肝に発生した肝細胞癌では, 抗酸化酵素の高発現によって酸化ストレスを消去する機構が作動し, 酸化ストレスによる細胞障害を防御していると考えられた 本研究の論旨は,NASH の発症, 病態, 進展の要因を理解するうえにおいて, きわめて示唆に富むものと評価された 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 4 号平成 18 年 25

30 氏名 ( 生年月日 ) やす安 だ田 ひろ廣 お生 ( 昭和 51 年 6 月 5 日 ) 本籍福岡県 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号学位授与の日付学位授与の要件学位論文題目 甲第 347 号平成 19 年 3 月 22 日学位規則第 4 条第 1 項該当ヒアルロン酸およびコラーゲン注入後の皮膚組織反応の 検討 論文審査委員 主 査 川上重彦 副 査 勝田省吾 望月 隆 田中卓二 学位論文内容の要旨 研究目的近年, 皮膚軟部組織の浅い陥凹性瘢痕や加齢による皺などに対する治療の一つとして注入療法が用いられている 主な注入剤 ( 以下 Filler と称す ) としては, 真皮細胞外マトリックスの構成成分であるヒアルロン酸製剤やコラーゲンなどがある これら Filler は注入部位で永久に保持されるわけではなく, 組織内で徐々に分解 吸収されるため, 臨床的には3~6ヵ月間の効果しかない Filler についての臨床的知見は多く報告されているが, 注入による組織反応やその分解 吸収過程についての報告は少ない そこで今回, 本邦で一般的に用いられている非動物性安定化ヒアルロン酸と牛真皮由来架橋コラーゲンを用い, 注入後の組織反応を比較検討した 実験方法 1.Filler Fillerとしては, 馬連鎖球菌より生合成されたヒアルロン酸製剤であるQmed 社製非動物性安定化ヒアルロン酸 (Restylane および,Restylane Perlane ) と, 牛の真皮から誘導された Type,コラーゲンから成る Inamed 社製牛真皮由来架橋コラーゲン (Zyplast ) の3 種を用いた 2. 実験動物と方法実験には 3kg 前後の日本産白色家兎 72 羽を用いた ヒアルロン酸群 (41 羽 ) とコラーゲン群 (31 羽 ) の2 群に分け, ヒアルロン酸群は右耳に Restylane を 2 ヵ所, 左耳には Restylane Perlane を 2 ヵ所, それぞれ 0.1ml を, コラーゲン群は Zyplast を両耳各 2 ヵ所, 計 4 ヵ所, それぞれに各 0.1ml を耳介耳孔面に注入した 注入は軟骨膜上の皮下に行った Filler 注入後 3 日目,7 日目,14 日目,21 日目,30 日目,60 日目,90 日 26

31 目,120 日目,150 日目,180 日目に注入部位を 1~2 cm角の正方形に切り出し, 半割したパラフィン封入標本として実験に供した 尚, 本研究は金沢医科大学動物実験指針に基づいて行った 3. 評価方法 1) 肉眼的評価注入前および注入直後から以後標本作製日まで1 週間毎に全ての注入部位を一定距離で撮影し, その肉眼的変化を観察した 2) 組織学的評価ヒアルロン酸群に対しては, 組織染色としてヘマトキシリン エオジン染色 (H E),Alcian blue 染色 (Alb),Azan 染色 (Azan), 免疫染色として RAM11( 抗ウサギマクロファージ抗体 ) 染色を行い, コラーゲン群は組織染色として HE 染色と Azan 染色, 免疫染色として RAM11 染色,MMP1(matrix metalloproteinase:mm P) 染色,MMP2 染色を行い, これらを評価した 3) 注入隆起部の画像解析作製した HE 染色標本から弱拡大像を撮影し, 光顕画像解析ソフト (Sinple Digitizer) を用いて隆起部組織の厚さを計測し, その推移を観察した 実験成績 1. 肉眼所見注入後 7 日目, 全ての群において局所に発赤を主とする炎症反応所見が認められたが, ヒアルロン酸群においては 14 日目以降, 発赤は軽減傾向を認め, 局所反応の消退が認められた その後 30 日 ~60 日目頃 Restylane 群において肉眼的隆起の消失が観察された Zyplast 群においては, 全観察期間において隆起が観察され, 一部では局所の炎症所見が長期に認められた 2. 隆起値の推移 1)Restylane 群および Restylane Perlane 群両群共に注入後 3 日目 ~14 日目にかけて隆起は有意に増加を示し, 以後 21~30 日目頃まではその値は維持された その後 60 日目 ~90 日目以降から減少に転じる推移が見られた また両群間には明らかな有意差を認めなかった 2)Zyplast 群注入後 3 日目 ~60 日目まで隆起値に明らかな変動は見られず, 同 90 日目以降に有意な増加が認められたが, 全体的に隆起値は最終観察時 (180 日目 ) まで維持され, 他の2 群と明らかに異なる経過を示した 3. 病理組織学的所見 1) ヒアルロン酸群 (Restylane,Restylane Perlane ) Restylane および Restylane Perlane の両群における病理組織学的反応には明らかな差を認めなかったので, 以下に Restylane の組織像について示す 注入 3 日目では, ヒアルロン酸の周囲に好酸球を主とする急性炎症細胞浸潤が観察された, その後同 14 日 ~30 日目には炎症細胞浸潤は消失し, ヒアルロン酸は組織内に保持され安定した状態を示した 同,60 日目より線維性組織がヒアルロン酸辺縁 27

32 より内部に進入する像が観察され, 徐々にヒアルロン酸を取り囲むようにマクロファージや異物巨細胞も認められるようになった 同時にヒアルロン酸の吸収も徐々に進行し, 同,180 日目の時点で, 注入されたヒアルロン酸の大部分は吸収された 2) コラーゲン群 (Zyplast ) 注入 3 日目では注入コラーゲンは皮下に好酸性の無構造な組織として存在し, 周囲にリンパ球を主とした細胞浸潤と血管拡張を認めるのみであった 同,7 日目以降, 辺縁部にマクロファージを, また, 内部に侵入する新生血管も認めるようになった 14 日目以降では線維芽細胞の遊走も認めるようになった 同,30 日目以降には注入コラーゲン内部にもマクロファージを認め, 同,120 日目までは主にリンパ球と線維芽細胞を主とした細胞浸潤が認められた また, この時期に異物巨細胞が観察される検体があり, このような炎症細胞浸潤の明らかな検体においては MMP1 の発現が認められた しかし,MMP2 に関しては全検体において認められなかった 注入後 150 日目以降になると, 好酸球, マクロファージ, 形質細胞, などの多彩な細胞浸潤と異物巨細胞を認めた しかし, 同,180 日目でも注入コラーゲンは残存し, 強い組織反応を示していた 総括および結論臨床的に有用な Filler の条件としては, 生体適合性があり生体内に長期間安定した状態で存在することや, その後徐々に吸収され正常組織に復元されていく必要がある 自験例において使用したヒアルロン酸 (Restylane および Restylane Perlane ) は, コラーゲン (Zyplast ) に比して, その組織反応の点で生体適合性は高い また, その吸収過程においても線維化は軽度で, 最終的には注入部位は正常耳介組織に近い状態まで再構築されたことから, 非炎症性で安定した吸収を示す Filler であった しかしながら, コラーゲンに比べて, その隆起の持続期間が短く, 長期間の安定性は得られない製剤ともいえる 他方, 牛真皮由来コラーゲンはヒアルロン酸製剤よりも早くから臨床応用された製剤で, 本邦でも認可された製剤である しかし, 今回の実験で明らかなように, その組織反応はヒアルロン酸製剤に比し強く, 注入早期から多彩な細胞浸潤を示し, 最終的には肉芽形成や異所性石灰化も見られたことから安定した吸収性には疑問が残り, 繰り返し注入するには注意を要すると思われた 論文審査結果の要旨 近年, 形成外科 美容外科領域において, 皮膚軟部組織の浅い陥凹性瘢痕や加齢による皺などに対する治療の一つとして注入療法が用いられ, 現在まで様々な製剤が使用されている 本研究は本邦で使用されているコラーゲン製剤ならびにヒアルロン酸製剤を用い, 局所での生体組織反応を比較検討したものである その結果, 以下の成績が得られている 1. ヒアルロン酸製剤は注入 14 日目頃までに注入時よりも膨隆する傾向が見られた しかし, 以後ヒアルロン酸製剤は減少傾向を示し最終観察時にはほぼ隆起は消失していた コラーゲン製剤は注入時から隆起に大きな増減はなく, ほぼ横ばいの推移を示し, 28

33 最終観察時にも隆起は観察された 2. ヒアルロン酸製剤は注入直後, 好酸球を主とする急性炎症細胞浸潤が見られたが, それらは早期に終息した その後, 安定した状態が見られたが, 注入後 60 日頃から主にマクロファージによるヒアルロン酸の分解 吸収が進行した 最終的には, ヒアルロン酸製剤はほぼ完全に吸収され, 線維化は軽度でほぼ正常組織に近い状態にまで復元された 3. コラーゲン製剤は, 注入早期から, リンパ球, 好酸球, 好中球, マクロファージなどの多彩な炎症細胞浸潤および, 注入コラーゲン内部への線維芽細胞の遊走が経時的に増加する傾向が見られた また, コラーゲン群は, ヒアルロン酸群では見られなかった注入部内部への血管新生も認められた 最終的にはコラーゲン群は, 周囲の瘢痕化と肉芽形成がみられた 4. コラーゲン群における MMP1 の発現は高度の炎症細胞浸潤を伴った生物活性の強い肉芽組織においてのみ認められ,MMP2 に関しては全検体中に認められなかった このことから, コラーゲンの分解には, マクロファージや異物巨細胞による貪食作用が主に関与していると推察された 以上の結果から, ヒアルロン酸製剤はコラーゲン製剤に比し組織反応が軽微な点でより理想的製剤に近いと結論している 形成外科 美容外科領域において使用される Filler についてこれまで臨床的な知見は多く報告されているが, 注入後の製剤が皮膚組織内でどのように反応しているかについて実験的に検討した報告は少ない 本研究結果はこれらの製剤の臨床的な知見と対応しており, この臨床経験が病理組織学的に裏付けられたことになり, 医学的に意義のある研究と考えられる 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 4 号平成 18 年 29

34 かん氏名 ( 生年月日 ) 闞 かい凱 (1973 年 6 月 24 日 ) 本 籍 中華人民共和国 学位の種類 博士 ( 医学 ) 学位記番号 甲第 348 号 学位授与の日付 平成 19 年 3 月 22 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 一側肺大線量一回照射による放射線肺障害の実験的検討 論文審査委員 主査利波久雄副査栂博久勝田省吾佐久間勉 学位論文内容の要旨 研究目的胸部放射線治療によって引き起こされる放射線肺障害は最も重大な有害事象である 肺がんに対する定位放射線治療が最近注目されているが, 大線量を照射した後に生じる肺組織の炎症反応や線維化過程はまだ十分に解明されていない 一側肺に大線量を照射後に生じる肺障害を病理組織学的に線量別, 部位別, 経時的に検討した実験報告はまだない 本研究の目的は, 日本白色家兎を用い, 一側肺に大線量の放射線を一回で照射した動物モデルを作製し, 線量別, 部位別, 経時的な肺障害の変化を比較検討することによって, 放射線肺障害の発生修復過程を解明する事にある 実験方法日本白色家兎 ( 平均 2.5kg, 雄 ) 計 65 羽を用いた 全例, 静脈麻酔した後, 全身をシェルで固定して CT シミュレータで照射計画を行った 右肺全体を照射範囲とし, 照射野は 4 4cm に設定して 4MVX 線前後対向 2 門で照射を行った 5 羽は非照射コントロール群とし,30 羽は 10Gy(10Gy 照射群 ),30 羽は 20Gy(20Gy 照射群 ) の放射線をそれぞれ右肺に一回で照射した 照射後 1,2,4,8,16,24 週で各照射群 5 羽ずつ犠牲死させた 切除肺を中性ホルマリンで固定後, 病理組織学的検索 (HE 染色, 鍍銀染色, 免疫染色 ) を行った HE 染色組織では好中球, リンパ球,II 型肺胞上皮細胞及びマクロファージの数値をカウントした 鍍銀染色組織では染色された領域の面積比率を計算した 免疫染色組織ではコラーゲン III と微小血管密度で染色された領域の面積比率を計算した 各染色では照射群 ( 右肺 ) を上部, 中部, 下部に大別し, 非照射群 ( 左肺 ) とそれぞれ比較した 結果は平均値 ± 標準誤差で算出した 統計解析ソフトは SPSS II for windows を使用し, 10Gy 照射群と 20Gy 照射群との有意差には unpaired ttest, 照射群の部位別での有意差には ANOVA を用いた すべての結果は p<.05 を有意とした 30

35 実験成績 1.10Gy 照射群,20Gy 照射群はいずれもすべての染色において, 上部, 中部, 下部の部位別での有意差は認めなかった 2.10Gy 照射群の照射肺では好中球, リンパ球, マクロファージはいずれも 16 週にピークを示した 一方,20Gy 照射群の照射肺ではリンパ球は 2 週, 好中球およびマクロファージは 8 週にそれぞれピークを示した 両線量群照射肺では, ピーク時期の細胞数が, 好中球, リンパ球, マクロファージともにほぼ同じレベルであった 好中球, リンパ球は両照射群の照射肺, 非照射肺ともに 24 週の時点で同じレベルまで減少したが, コントロール群と比べて依然高い値を示していた 3.II 型肺胞上皮細胞数は両照射群の照射肺で, 照射後に増加した 10Gy 照射群の照射肺では 24 週まで増加し続けたが,20Gy 照射群の照射肺では 16 週にピーク値を示し, 24 週では非照射肺と同じレベルに減少した 両照射群とも非照射肺には有意な変化は認めなかった 4. 微小血管密度で染色された領域の面積比率は 10Gy 照射群の照射肺が 1 週でピーク値を示し,2 週以降減少した 2 週から 16 週の間では有意な変化がなく,24 週では漸増した 一方,20Gy 照射群の照射肺では 1 週で急増してピーク値を示し,2 週以降減少し, 16 週から増加し,24 週で再び減少した 20Gy 照射群の照射肺は 10Gy 照射群の照射肺に比べて 16 週で有意に高く,24 週では逆に低かった (p<.05) 20Gy 照射群の非照射肺では 16 週以降漸増傾向を示し,24 週の時点で非照射肺の方が照射肺より有意に高かった (p<.05) 5. 鍍銀染色で染色された領域は照射後増加し,16 週以降で 20Gy 照射群の方が 10Gy 照射群より有意に高かった (p<.05) 10Gy 照射群は 8 週以降,20Gy 照射群は 4 週以降でそれぞれ非照射群に比し有意に高かった (p<.05) 非照射群には有意な変化はみられなかった コラーゲン III は照射後増加し,20Gy 線量群の方が 10Gy 照射群より 4 週以降で有意に高かった (p<.05) 10Gy 照射群は 8 週以降,20Gy 照射群は 2 週以降で, 非照射群に比し有意に高かった (p<.05) 非照射群には有意な変化はみられなかった 総括および結論 1. 炎症反応の指標である好中球, リンパ球, マクロファージは, いずれも 20Gy 照射群の方が 10Gy 照射群より早期に増加した 一方, ピークでの細胞数は両照射群間でいずれも有意差がみられず,10Gy20Gy 間では炎症の程度は照射線量にあまり依存しないことが示された 2. 好中球, リンパ球は非照射肺においても照射後, 経時的な変化がありその成因として out of field 現象が考えられた 3. 肺組織修復の指標である肺胞 II 型上皮は,20Gy 照射群の方が 10Gy 照射群より早期に増加し,16 週より減少して 24 週で非照射肺と同レベルまで低下した 一方,10Gy 照射群では 24 週まで増加し続けた このことから 20Gy 照射群の方が早期に修復を開始し 24 週までに修復が終了するのに対して,10Gy 照射群では 24 週まで修復が継続していると考えられた 4. 線維化の指標である鍍銀染色所見とコラーゲン III は両照射群ともに増加し,20Gy 照射群の方が有意に高かった このことから肺線維化の程度は 10Gy20Gy 間では照射線 31

36 量に依存することが示された 5. 微小血管密度は 10Gy 照射群では非照射肺も照射肺と同様の経時的変化を示した 一方,20Gy 照射群では 16 週以降, 照射肺では減少に転じたのに対して非照射肺では漸増していた この 20Gy 照射後の非照射肺における経時的変化は, 照射肺の血管内皮の修復能力低下に対する健常肺の代償作用を反映している可能性が示された 6. 病理組織学上, 照射肺の上部, 中部, 下部での有意差は認めなかった 7. 今回の研究によって, 一側肺大線量照射後の放射線肺障害の線量別, 経時的な変化が明らかになった 非照射肺においても照射後に明確な経時的変化がみられた事から, 肺がん放射線治療に際し, 照射野外の肺組織の状態や機能に対して十分留意する必要性がある 今回の実験結果は, 肺がん定位放射線治療によって生じる放射性肺障害の研究のための基礎データとして活用できる 論文審査結果の要旨 胸部放射線治療によって引き起こされる放射線肺障害は最も重大な有害事象である 肺がんに対する定位放射線治療も最近注目されている 大線量を照射した後に生じる肺組織の炎症反応や線維化過程はまだ十分に解明されていない 一側肺に大線量を照射後に生じる肺障害を病理組織学的に線量別, 部位別, 経時的に検討した実験報告はまだない 本論文では, 一側肺に大線量の放射線を一回で照射した日本白色家兎動物モデルを作製し, 線量別, 部位別, 経時的な肺障害の変化を比較検討することによって, 放射線肺障害の発生修復過程を解明した 本研究により申請者は以下の結果を得ている 1.10Gy と 20Gy との間では肺組織の炎症の程度は照射線量に依存しないことが示された 2. 非照射肺においても好中球, リンパ球の経時的な変化があり, その成因として out of field 現象が考えられた 3.10Gy と 20Gy との間では高照射線量群の方が早期に修復を開始すると考えられた 4.10Gy と 20Gy との間では肺線維化の程度は照射線量に依存することが示された 5. 非照射肺における経時的変化は, 照射肺の血管内皮の修復能力低下に対する健常肺の代償作用と考えられた 以上より, 一側肺大線量照射後の放射線肺障害の線量別, 経時的な変化が明らかになった 非照射肺においても照射後に明確な経時的変化がみられた事から, 肺がん放射線治療に際し, 照射野外の肺組織の状態や機能に対して十分留意する必要性がある 今回の結果は, 肺がん定位放射線治療によって生じる放射性肺障害の研究のための基礎データとして活用できると認められた 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 4 号平成 18 年 32

37 氏名 ( 生年月日 ) きよ清 さわ澤 本籍長野県 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号甲第 349 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 平成 19 年 3 月 22 日 じゅん旬 ( 昭和 50 年 8 月 4 日 ) 学位規則第 4 条第 1 項該当 指尖血流脈波のゆらぎ解析による交感神経活動の評価と その応用 主 査 松原純一 副 査 梶波康二 芝本利重 松井 忍 学位論文内容の要旨 研究目的指尖血流は心臓の自律神経 ( 交感及び副交感神経 ) と指尖の血管平滑筋の交感神経の活性 ( 血管平滑筋には副交感神経支配はないとされる ) によってゆらぎが生じていると言われている そこで指尖血流をレーザードプラ皮膚血流計で測定し, そのゆらぎを高速フーリエ変換 ( 以下 FFT) ソフトでスペクトル解析し以下の研究を行った 1. 手掌多汗症 レイノー症候群 カウザルギーに対して行った胸腔鏡下胸部交感神経焼灼術 ( 以下 ETS) 時の指尖血流脈波のゆらぎ変化を検討した 2. 心不全患者は内因性カテコラミンにより交感神経の活性が高いことが推察され, 心不全時の指尖血流脈波のゆらぎを解析し, ゆらぎ変化が心不全の重症度の指標となるかを検討した 実験方法生体の心拍 血圧などの周期現象の基本的リズムのほとんどは中枢神経回路によって形成されるが, 一見極めて規則正しい周期リズム (f) に思われる周期現象の中にもゆらぎが存在する この為, 生体の心拍 血圧 指尖血流などの周期現象のゆらぎを FFT により周波数解析を行うと, 各周波数成分 LF 成分 ; Low frequency = 交感神経と副交感神経の活性を表す :0.04~0.15Hz, と HF 成分 ; High frequency = 副交感神経の活性を表す : Hz が表されるとされ, さらに,LF 成分 HF 成分のパワー比 (LF/HF) は交感神経の活性を表すとされている 対象は健常者 15 例, 手掌多汗症 レイノー症候群 カウザルギーに対して ETS を施行した 14 例 25 肢と慢性心不全急性増悪にて入院加療となった 47 例に関して検討した 測定方法は, 安静仰臥位で, 被検者の第 2 指手掌側にレーザードプラ皮膚血流計プロー 33

38 ブを装着し, 指尖血流脈波のシグナルをレーザードプラ皮膚血流計にて測定し, 指尖血流脈波のゆらぎスペクトルを FFT ソフトでスペクトル解析した 実験成績 1. 健常者 15 例で指尖血流脈波のゆらぎ測定を 2 回 (1 回目の測定日から翌日以降の別の日 ) 行い, 再現性があることを確認した 2.ETS の術前と術後の指尖血流量だけの評価では, 術後に血流は増加するものが多くを占めるが, 中には不変なもの, 一部には低下しているものもあった 平均値は術前 0.87 ±0.4 で術後 0.96±0.4 で有意差は認めなかった この為, より交感神経活性を評価するために指尖血流脈波のゆらぎを FFT によりスペクトル解析すると,ETS 前後の LF/HF の安静仰臥位 3 分間の最大活性, 即ち交感神経活性は, 術前 8.31±6.6, 術後 5.34±4.3 で, p<0.05 で有意に低下していた さらに我々はこの交感神経活性の変化を ETS の術中評価に応用できるか否か検討した 交感神経節を焼灼すると交感神経は刺激されるため, 指尖の血管は収縮しその結果血流は低下した 刺激している間のスペクトル解析の結果である LF/HF は上昇した しかし焼灼を繰り返すうちに交感神経が除神経化されるため,LF/HF の上昇反応は低下したままとなった この事は, 対象とした交感神経の完全な焼灼を意味し ETS の成功を意味すると考えた この術中モニターを使用した全例において症状は改善または, 消失しており短期有効率は 100% である 3. 慢性心不全急性増悪患者 47 例の指尖血流のゆらぎを測定した まず,NYHA 分類とゆらぎの LF/HF の最大活性は, 相関係数 R=0.351,p<0.05 で有意な正の相関関係が得られた 次に, 慢性心不全患者の中でも心エコー上の左室駆出率が 40% 以下の重篤な 23 例に関して BNP 濃度と LF/HF の最大活性の関係は, 相関係数 R=0.378,p<0.05 で有意な正の相関関係が得られた さらに, 心不全の保存的加療の前後で LF/HF を比較したところ, 加療前の平均が ±11.35, 加療後の平均が 7.04 ±5.35 で,p< 0.05 で有意な低下がみられた 総括および結論手掌多汗症 レイノー症候群 カウザルギーに対する ETS 施行患者 14 例 25 肢と, 慢性心不全急性増悪患者 47 例の指尖血流脈波を測定し, 指尖血流脈波のゆらぎを FFT によるスペクトル解析した ETS 施行後, 交感神経活性を表すとされる指尖血流脈派の LF/HF の最大活性は有意に低下していた この事から,LF/HF の測定は, 低侵襲な方法で交感神経遮断効果の指標となる事が判明した さらに, 従来 ETS 施行時には, 指尖血流の変化 ( 反応性の低下 ) を術中のモニターとしていたが, 指尖血流脈波の LF/HF を測定し, 焼灼時の LF/HF の上昇反応の消失をもって交感神経遮断の成功とすることで, 目的とする交感神経の完全な焼灼を意味し,ETS の成功を意味すると考えられ, 術中評価と手術の効果判定に成り得た 次に慢性心不全急性増悪患者におけるゆらぎ測定に関しては,LF/HF の最大活性は NYHA 分類と相関し, 左室駆出率が 40% 以下の症例では BNP と LF/HF の最大活性は相関した また, 保存的加療後に LF/HF の最大活性は有意に低下した この事から, 心不全患 34

39 者の LF/HF の測定は, 心不全状態での内因性交感神経の活性を表す一つの指標となることが示唆された 論文審査結果の要旨 本研究は, レーザードプラ皮膚血流計を用いて, 指尖血流脈波のゆらぎを測定しスペクトル解析し, 交感神経活性を表すとされる LF/HF を求めることで末梢交感神経活動を評価したものである まず, 手掌多汗症 レイノー症候群 カウザルギーの治療法として施行される胸腔鏡下胸部交感神経焼灼術 (ETS) における治療効果判定 術中モニターとして応用できるか否か検討し, 次に交感神経活性が高いことが推察される心不全患者の指尖血流脈波のゆらぎを解析し, ゆらぎ変化が心不全の治療効果 重症度の指標となるかを検討したものである 本研究により得られた成績は以下の通りである 1.ETS 施行後, 交感神経活性を表すとされる指尖血流脈派の LF/HF の最大活性は有意に低下していた この事から, 指尖血流脈波の LF/HF の測定は低侵襲な方法で交感神経遮断効果の指標となり得た 2. 従来 ETS 施行時には, 指尖血流の変化 ( 低下 ) を術中のモニターとしていたが, 指尖血流脈波の LF/HF を測定し, 焼灼時の LF/HF の上昇が血流の低下と一致し, LF/HF の上昇消失をもって交感神経遮断の成功とすることで, 術中評価と手術の効果判定に成り得た 3. 心不全患者の LF/HF の最大活性と NYHA 分類の重症度は有意な正の相関関係が得られた 4. 慢性心不全症例の中でも左室駆出率 (EF) が 40% 以下の症例に関して BNP 濃度と LF /HF を検討したところ有意な正の相関関係が得られた 5. 保存的加療後に指尖血流脈波の LF/HF の最大活性は有意に低下しており心不全状態の改善を反映することが示唆された 従来,ETS の際には指尖血流量のみを治療効果判定 術中評価として用いてきたが, 本研究は, レーザードプラ皮膚血流計を用いて指尖血流脈波のゆらぎ測定を行うことは, 交感神経節の除神経化をより的確に表し, モニター方法として有用であることを示した新しい報告である また, 慢性心不全急性増悪時の指尖血流脈波のゆらぎ測定は, 心不全状態における交感神経活動を示す一つの方法になり得る可能性を示している ETS 症例ならびに慢性心不全急性増悪症例における指尖血流脈波のゆらぎ測定により, 末梢交感神経活動の評価を可能にし, 治療効果ならびに重症度判定に有用であることを明らかにした初めての報告である 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 3 号平成 18 年 35

40 氏名 ( 生年月日 ) はやし林 けい圭 本籍広島県 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号甲第 350 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 平成 19 年 3 月 22 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 ( 昭和 52 年 9 月 3 日 ) アゾキシメタン誘発マウス大腸発癌における 柑橘類化合物の発癌抑制効果の研究 主 査 高島茂樹 副 査 高瀬修二郎 田中卓二 伊達孝保 学位論文内容の要旨研究目的近年, 大腸癌患者は増加の一途をたどっており, 癌死亡率も大腸癌は肺癌, 胃癌に次いで第 3 位を占めている 日本人における大腸癌患者の増加要因として, 高脂肪食に代表される食事の欧米化や運動不足などライフスタイルの変化が疫学研究や動物実験の結果から示唆されている このような現状から大腸癌対策として, 発癌機構の解明とともに, 癌予防の観点から大腸癌の発生要因や増加要因の究明, 更には食品成分や合成化合物 ( 薬剤 ) などを用いた発癌抑制の研究も極めて重要と考えられる 本研究では, 柑橘類化合物 auraptene(aur) の発癌阻止因子としての可能性を探ることを目的に, 実験を行った AUR の大腸発癌抑制作用はラットを用いた実験で既に指摘されているが, 本研究では遺伝子情報が豊富なマウスを用いて azoxymethane(aom) 誘発大腸発癌における AUR の発癌抑制効果について検討し, ヒトへの応用を目指した基礎的資料を得ようとした 実験方法実験動物として,5 週齢の雌性 C57BLSK/J マウス 30 匹を使用した 被験物質としての auraptene はミカン科の常緑樹 ( 柑橘類 ) の果実の果皮に多く含まれる物質で, クマリン類の一種であるが, 抽出が困難であるため, 本実験では化学合成したものを用いた 大腸発癌物質として AOM を使用した 基礎飼料としては CRF1( オリエンタル酵母, 京都 ) を使用した マウスは,1 週間の検疫の後, 以下の4 群に分けた : 第 1 群 (10 匹 ):AOM に AUR 付加投与 (AUR/AOM) 群, 第 2 群 (10 匹 ):AOM 投与群, 第 3 群 (5 匹 ):AUR 投与群, 第 4 群 (5 匹 ): 無処置群 AUR は 250 ppm の濃度で基礎食 CRF1 に混じ, 実験期間中投与した 第 1,2 群では実験開始後 1,2,3 週目に AOM を 10 mg/kg 体重, 腹腔内注射した また, 第 1,3 群には AUR 含有飼料を実験終了の第 10 週まで投与した 実験期間中, 摂餌量と体重を週 3 回測定した 実験は 10 週で終了し, 全数犠牲死させた 解剖時には採血後, 36

41 血糖値, 総コレステロール値, 中性脂肪値を測定し, 解剖後, 結腸長を, さらに, 大腸癌前駆病変である異型陰窩巣 (ACF), 変異 βカテニン蓄積陰窩巣 (BCAC) の発生個数を解析した 加えて, 背景粘膜,ACF,BCAC における細胞増殖 (PCNA 標識率 ), アポトーシス ( ssdna 法 ) についても免疫組織化学的に解析した 実験成績摂餌量の推移を検討した結果, マウス 1 日当たりの飼料摂餌量は AUR 単独投与群で実験開始後 3,4 週時に他群に比べ多かったが,02,510 週時では群間に有意の差を認めなかった 実験終了時の平均体重 (g) は,AUR/AOM 群 :20.9±0.8,AOM 群 :21.5±0.5,AUR 群 :22.4±0.5, 無処置群 20.7±0.5 と群間に有意の差はみられなかった 平均結腸長 (c m) も,AUR/AOM 群 :8.5±0.3,AOM 群 :8.6±0.5,AUR 群 :8.8±0.6, 無処置群 :8.5±0. 5 と群間に有意差をみなかった 血清学的検査でも平均血糖値 (mg/dl) が AUR/AOM 群 :20 5.2±30.6,AOM 群 :210.2±36.0,AUR 群 :244.5±26.6, 無処置群 238.8±39.7, 平均総コレステロール値 (mg/dl) が AUR/AOM 群 :75.4±8.9,AOM 群 :71.7±5.9,AUR 群 :87±8. 2, 無処置群 70.4±7.3, 平均中性脂肪値 (mg/dl) が AUR/AOM 群 :28.4±10.2,AOM 群 :2 9.1±9.3,AUR 群 :33.5±4.4, 無処置群 :22.4±7.1 といずれも群間に有意差はみられなかった 一方,ACF は,AUR/AOM 群,AOM 群のみに発し, マウス結腸あたりの平均発生個数は,AOM 群 (58.8±6.8) に比べ AUR/AOM 群 (29.1±8.2) で有意 (P<0.001) に減少していた また,4 crypts 以上の大型 ACF 発生個数についても AOM 群 (21.9±2.5) にくらべ AUR /AOM 群 (7.5±4.1) で, 有意 (P<0.001) に減少していた さらに,BCAC も AUR/AOM 群,A OM 群のみに発し, その発生個数は AOM 群 (14.1±4.0 個 ) に比べ AUR/AOM 群 (7.3±4.0) で有意 (P<0.01) に低値であった PCNA 標識率は, 背景粘膜および ACF において有意な差はみられなかったが,BCAC では AOM 群 (36.1±4.3%) に比べ,AUR/AOM 群 (26.2±4.3%) で有意 (P<0.001) に減少していた 一方, アポトーシス係数は背景粘膜では有意な差がみられなかったが,ACF では AOM 群 (0.89±0.2%) に比べ,AUR/AOM 群 (1.46±0.3%) で有意 (P<0.001) に増加し,BCAC においても AOM 群 (0.69±0.1%) に比べ,AUR/AOM 群 (2.14 ±0.2%) で有意 (P<0.001) に増加していた 総括および結論 AUR 混餌投与は, 大腸発癌に関与すると考えられている総コレステロール値, 中性脂肪値に影響しなかったが, 大腸癌の前癌性病変として知られる ACF,BCAC の発生を有意に抑制した AUR は解毒酵素グルタチオンSトランスフェラーゼ, キノン還元酵素を活性化することにより発癌抑制効果を示すといわれているが, 本研究ではアポトーシスや細胞増殖に影響し, 大腸前癌性病変である ACF,BCAC の発生が抑制されたと考えられる 論文審査結果の要旨 近年, ライフスタイルの変化により, 本邦における大腸癌の発生率は漸増傾向にあり, その対策は極めて重要な課題となっている 癌予防の観点からみれば, 大腸癌の発生要因 37

42 や増加要因の究明とともに, 食品成分や薬剤などを用いた発癌抑制研究も極めて重要である 本研究は, 柑橘類の果実果皮に含まれるクマリン系化合物の auraptene(aur) について, 遺伝子情報が豊富なマウスを用い, 化学発癌物質である azoxymethane(aom) 誘発マウス大腸癌モデルにて,AUR の付加投与が癌発生過程でみられる大腸癌前駆病変である異型陰窩巣 (ACF), 変異 βカテニン蓄積陰窩巣 (BCAC) の発生率に如何なる影響を及ぼすかを検討したものである また, そのメカニズム解析のため正常粘膜,ACF,BCAC における細胞増殖活性とアポトーシス係数を免疫組織学的にそれぞれ proliferating cell nuclear antigen(pcna) 標識率,single stranded DNA(ssDNA) 陽性率を測定し, 解析している その結果,ACF は,AOM 投与群のみに発生し, その発生個数は,AOM 単独投与群に比べ, AUR 付加投与群で有意に減少しており, その抑制率は 51% であった また, 大腸癌の発生に密接に関連する大型 ACF(4 個以上の異型陰窩 ) の発生個数についても, 単独投与群に比べ,AUR 付加投与群では, 有意に減少し, その抑制率は 66% であった BCAC も同様に,AOM 投与群のみに発生したが, その発生個数は単独投与群に比べ,AUR 付加投与群で有意に低値であり, その抑制率は 49% であった PCNA 標識率は, 正常粘膜において群間に有意差を認めず,ACF でも AOM 単独投与群と AOM に AUR 付加した群の間に有意な差を認めなかったが,BCAC では AOM 単独投与群に比べ,AOM に AUR 付加した群で有意に減少していた 一方, アポトーシス係数は, 正常粘膜で群間に有意の差をみなかったが,ACF と BCAC では AOM 単独投与群に比べ,AOM に AUR 付加した群で有意に増加していた 以上の結果より, 柑橘由来化合物の AUR は AOM 誘発大腸発癌前駆病変 ACF,BCAC の発生を有意に抑制することが判明し, その機構として AUR はアポトーシスや細胞増殖に影響し, 前癌性病変の発生とその growth が抑制されたと考えられた ラットを用いた実験では本化合物が肝細胞癌, 大腸癌などの発生を抑制すること, その機構として, 解毒酵素誘導などが指摘されているが, 遺伝子情報が豊富なマウスを用いての報告はみられない 本研究の結果は, ヒトへの応用を目指した大腸癌予防のための有用な基礎的成果を提示したものであり, 今後, アポトーシス誘導の機構解析とともに, ノックアウトマウス等の遺伝子改変マウスを用いた AUR の発癌抑制機構の詳細な解析が期待される 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 4 号平成 18 年 38

43 氏名 ( 生年月日 ) さえ三 ぐさ枝 せいいちろう誠一郎 本籍長野県 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位記番号甲第 351 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目 論文審査委員 平成 17 年 3 月 22 日 学位規則第 4 条第 1 項該当 ( 昭和 52 年 5 月 21 日 ) メタボリックシンドロームを背景とするウイルス性心筋炎 におけるアンデジオテシンⅡ 受容体拮抗薬の心筋保護作用 の解析 心筋内アディポネクチン発現の意義 主 査 神田享勉 副 査 梶波康二 勝田省吾 松井 忍 学位論文内容の要旨 研究目的アンジオテンシンⅡは, アンジオテンシンⅡタイプ 1 受容体を介してレニン アンジオテンシン系に関与し, 病態生理学的に心血管病変に対する増悪因子である アンジオテンシンⅡタイプ1 受容体拮抗薬 (AngiotensinⅡ tyape1 receptor blocker: ARB) が心筋障害を改善することは, 明らかになってきている さらに,ARB の有効な作用として, アディポネクチンの分泌亢進が報告されている 一方, アディポネクチンは, 脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一種であり, 抗炎症効果 抗動脈硬化作用 インスリン抵抗性改善効果に関与していると言われている また, アディポネクチンの分泌が低下することによりメタボリックシンドロームが進展することが最近明らかになってきた メタボリックシンドロームにおける心筋炎に対する ARB の心筋保護作用を解明するため, メタボリックシンドロームモデルであるKKAyマウスにウイルス性心筋炎を発症させ ARB であるカンデサルタンを投与し, 心筋内アディポネクチンの発現と共に, 心筋障害の改善度を解析した 実験方法 KKAyマウスを1ウイルス接種 6 日前から 10mg/kg/day のカンデサルタンを投与する前投与群 (n=12),2 ウイルス接種と同時に 10mg/kg/day のカンデサルタンを投与する同時投与群 (n=8),3 賦活剤を投与したコントロール群 (n=12) としてランダムに分け, それぞれのマウスをウイルス接種後 7 日間観察した マウス脳心筋炎ウイルス (Encepharomyocarditits virus: EMC ウイルス ) を 500 plaque forming units/ マウスを腹腔内に投与して, 急性ウイルス性心筋炎を誘導させた 接種後 日目の体重, 39

44 心重量, 心重量 / 体重の比の解析をおこなった また, 病理学的評価として, 心筋壊死の範囲および炎症細胞浸潤の程度を検討した また, 血中アディポネクチン濃度をELISA 法にて測定し, 心筋細胞内のアディポネクチンのmRNAの発現量を検討した 同時に, アディポネクチンの転写促進因子である Peroxisome proliferatorsactivated receptor (PPAR)γ mrna,ccaat enhancer binding proteins(c/ebp)αのmrnaの発現量も検討した 炎症性サイトカインについても検討を行い,Tumor necrosis factor (TNF) αのmrna とその転写促進因子である Nuclear factor(nf)κbのmrnaの発現量を測定した 統計処理については,ANOVA 法を用いて, コントロール群, 前投与群, 接種同時投与群の間でそれぞれ比較検討を行った また,mRNAの発現量については, 正常マウスの発現量と比較検討を行った 実験成績ウイルス接種後第 4 日目において, コントロール群と比較して前投与群において心筋壊死の範囲の縮小を認め, 同時に心重量の低下, 心重量 / 体重比も有意な減少 (P<0.01 ) を認めた 加えて, 同日の心筋内アディポネクチン発現量が亢進していた また, 血中アディポネクチン濃度に関しても,EMCウイルスを感染させ急性ウイルス性心筋炎を発症させたマウスは, 接種前と比較し全群において低下していたが, コントロール群と前投与群 接種同時投与群と比較して有意に上昇していた 一方, 心筋内 TNF αのmrna の発現量,NFκB のmRNAの発現量は, 前投与群 接種同時投与群においてコントロール群と比較し, 有意に減少していた 心筋内アディポネクチン mrna 発現量は, 前投与群 接種同時投与群において有意に亢進していたが,PPAR γ mrnaの発現量には, 各群とも有意差は認めなかった しかし,C/EBPαに関しては, 前投与群に関しては, コントロール群と比較し有意に上昇していた 免疫染色に関しては,TNF αについては, コントロール群に蛋白発現が認められた また, アディポネクチンについては, 前投与群 接種同時投与群に蛋白発現が認められた 総括および結論カンデサルタン前投与は, 心筋におけるアディポネクチン mrna の発現を亢進させ, さらに, 炎症性サイトカインである TNF αのmrna の発現を減弱させた また, 血中アディポネクチン濃度も増加していた その結果として, 心筋炎に伴う心筋壊死および細胞浸潤の軽減も認めた これらのデータに基づき,ARB はウイルス性心筋炎を発症したメタボリックシンドロームモデルである KKAy マウスにおいて, 心筋内アディポネクチンの発現を亢進させることにより, 心筋保護作用を発揮する可能性が示唆された 論文審査結果の要旨 アンジオテンシンⅡタイプ1 受容体拮抗薬 ( 以下 ARB) は高血圧症のみならず, 心筋障害を改善することが報告されている さらに,ARB は, アディポネクチンの血液濃度を亢進するとされる アディポネクチンは, 脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインであり, 抗炎症効果 抗動脈硬化作用 インスリン抵抗性改善効果に関与している, アディ 40

45 ポネクチンの分泌低下がメタボリックシンドロームを進展させることが最近明らかになった そこで申請者は,ARB がメタボリックシンドロームにおける心筋障害をどういうメカニズムで抑制するかを心筋内アディポネクチン発現を通して解析しようと試みた メタボリックシンドロームのマウスモデルであるKKAyマウスに EMC ウイルスを用いて心筋炎を発症させ,ARB であるカンデサルタンを投与し, 心筋内アディポネクチンの発現と共に心筋障害の改善度を解析している KKAyマウスを1ウイルス接種 6 日前から投与する前投与群,2ウイルス接種と同時に投与開始する同時投与群,3 賦活剤のみを投与するコントロール群の3 群としてウイルス接種後 7 日間観察した コントロール群に比し, 前投与群, 同時投与群において心筋障害は軽減し, 心筋内アディポネクチン発現量の亢進と血中アディポネクチン濃度の上昇を認めた また, 心筋障害促進因子である TNFαの心筋内発現, その転写因子 NFκB のmRNA 発現はともに, 前投与群 接種同時投与群有意に抑制されていた アディポネクチンの転写因子 PPARγmRNA 発現には, 有意差は認めなかったがもう 1 つの転写因子 C/EBPαは, 前投与群 同時投与群ともに亢進していた 以上から, 申請者は, メタボリックシンドロームを合併したウイルス性心筋炎において,ARB は心筋内アディポネクチンの発現を亢進させることで, 心筋保護作用を発揮するという結論にいたった 審査の過程で,ARB が心筋障害改善する際に, どこまで心筋内アディポネクチンが関与しているのか, また同時投与と感染然投与の明らかな違いは何か,ARB の心筋内直接作用との関連はなど, 課題が残された 今回の研究は, アンジオテンシンⅡタイプ1 受容体拮抗薬の心筋障害抑制機序に関する, 新しい考え方を提示するものであり, 今後の循環器疾患とメタボリックシンドロームとの関連において, 価値があると評価された 以上により, 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認められる ( 主論文公表誌 ) 金沢医科大学雑誌第 31 巻第 4 号平成 18 年 41

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