P-0001 EPA シスプラチンのTE-1細胞増殖抑制作用の相乗効果 P-0002 食道癌術前化学療法中のシンバイオティックス投与によ る有害事象軽減効果についての検討 川崎医科大学 消化器外科 大阪府立成人病センター消化器外科 小郷絢子 窪田寿子 河合昭昌 上野太輔 遠迫孝昭 東田正陽 岡 保夫

Size: px
Start display at page:

Download "P-0001 EPA シスプラチンのTE-1細胞増殖抑制作用の相乗効果 P-0002 食道癌術前化学療法中のシンバイオティックス投与によ る有害事象軽減効果についての検討 川崎医科大学 消化器外科 大阪府立成人病センター消化器外科 小郷絢子 窪田寿子 河合昭昌 上野太輔 遠迫孝昭 東田正陽 岡 保夫"

Transcription

1 一 般 演 題 (ポスター)

2 P-0001 EPA シスプラチンのTE-1細胞増殖抑制作用の相乗効果 P-0002 食道癌術前化学療法中のシンバイオティックス投与によ る有害事象軽減効果についての検討 川崎医科大学 消化器外科 大阪府立成人病センター消化器外科 小郷絢子 窪田寿子 河合昭昌 上野太輔 遠迫孝昭 東田正陽 岡 保夫 松本英男 平井敏弘 本告正明 杉村啓二郎 矢野雅彦 目的 エイコサペンタエン酸 EPA はがん細胞増殖抑制作用 抗炎症作用 を持つことが示唆されている われわれはEPAが食道癌細胞株に対してアポ トーシス誘導および細胞増殖抑制作用を有することを報告した 今回EPAと シスプラチンの細胞増殖に対する併用効果の有無を検証した 方法 以前 の研究で食道癌細胞TE-1の細胞増殖に対するIC50は260μMと決定した この濃度より高濃度になると EPAの作用だけでTE-1の細胞増殖を抑制す るので併用効果を観察しにくい そこで今回はEPA100μM 200μMにシスプ ラチン 30ug/ml を24時間同時添加した場合のTE-1細胞の細胞増殖率 をWST-1によって測定した 結果 EPA単独 100μM 200μM ではTE-1 細胞の細胞増殖を抑制しなかった シスプラチン単独 10ug/ml 20ug/ ml 30ug/ml では50 68 に増殖を抑制していた EPAとシスプラチンを 併用した場合 EPAの濃度依存的に増殖を抑制していた EPA100uM/ シスプラチン20ug/ml 45% EPA100uM/シスプラチン30ug/ml 34% EPA200uM/シスプラチン10ug/ml 47% EPA200uM/シスプラチン20ug/ ml 35% EPA200uM/シスプラチン30ug/ml 25% 考察及び結論 PA はTE-1細胞においてシスプラチンの腫瘍増殖抑制効果を相乗的に抑制し た その作用機序については不明であり 今後検討したいと考えている P-0003 大腸癌術後補助化学療法は 患者の栄養 免疫状態を悪 化させない 目的 進行食道癌に対する標準治療は術前化学療法後の手術である 化 学療法は 骨髄抑制や粘膜障害 感染性合併症などのさまざまな有害事象 を引き起こす 重篤な有害事象は化学療法の減量や中止による治療効果の 低下や 術後合併症の増加につながる可能性があり 有害事象対策は重要 である これまでに我々は食道癌周術期の栄養管理にシンバイオティックを併 用することにより 腸内細菌叢が維持され 排ガスまでの期間の短縮や下痢 の軽減に有用であることを報告してきた Surgery 2012 今回 食道癌術 前化学療法中のシンバイオティックス投与が化学療法の有害事象軽減に有 用であるかどうかを検 討した 方 法 胸 部 食 道 癌にて術 前DCF療 法 5FU:700mg/m2 day1-5 CDDP:70mg/m2 day 1 Doc: 70mg/m2 day 1 予定症例をランダムにシンバイオティックス投与群 Syn群 または ビオフ ェルミン投与群 Bf群 に割り付けた 化学療法開始3日前より化学療法終了 16日後まで Syn群ではプロバイオティックスとしてヤクルトBL整腸薬3包 プレ バイオティックスとしてオリゴメイト15mlを Bf群ではビオフェルミン3gを毎日投 与した 便よりRNAを抽出しPCR法にて各種腸内細菌数を測定した 術前 化学療法1コース中の有害事象発生率と腸内細菌叢の変化を両群間で比較 した 結果 Syn群30例 Bf群31例の登録を行った 両群間で性 年齢 Performance Status 臨床病期に差を認めなかった 白血球減少 好中球 減少は両群間で差を認めなかったが リンパ球減少はSyn群で有意に軽減 されていた P=0.033 口腔粘膜障害は両群間で差を認めなかったが 下 痢 発 熱 性 好中球 減 少 症はSyn群で有 意に軽 減されていた P= day 10のビフィズス 菌 乳 酸 菌 はSyn群 で 有 意 に 多 かった P< P=0.013 考察及び結論 食道癌術前化学療法中のシンバ イオティックス投与は腸内細菌叢を維持し 有害事象を軽減する可能性が示 唆された P-0004 進行再発大腸癌化学療法における宿主栄養状態と治療効 果の関連性の検討 東京女子医科大学東医療センター外科 獨協医科大学第一外科 佐川まさの 吉松和彦 横溝 肇 松本敦夫 中山真緒 岡山幸代 浅香晋一 塩澤俊一 島川 武 勝部隆男 成高義彦 井原啓佑 山口 悟 大友 悠 志田陽介 尾形英生 中島政信 佐々木欣郎 土岡 丘 加藤広行 はじめに 大腸癌術後補助化学療法が術後の栄養 免疫状態に与える影 響について検討する目的で StageⅡ/Ⅲ大腸癌患者について補助化学療法 施行の有無に分け比較した 対象 対象は2006年1月より2008年12月まで に治癒切除を施行したStageⅡ/Ⅲの大腸癌患者115例である 術後補助化 学療法の有無で 施行なし群34例 64歳 と術後補助化学療法有り 群81例 71歳 に分けて栄養 免疫状態の推移をみるとともに あり群 では有害事象発生頻度との関連を検討した 方法 栄養 免疫状態の指 標は Body mass index BMI 血清Albumin値 小野寺式栄養指数 Controlling Nutritional Status CONUT modified Glasgow Prognostic Score 好中球数/リンパ球数比 総リンパ球数を選択し 退院 後の初回外来時 退院後 と1年後の栄養 免疫状態を比較した 有害事象 は消化器症状以外の有害事象と消化器症状に分け 重症度は最高Grade2 以上を有害事象ありとし 退院後の栄養 免疫状態との関連をみた 結果 退院後の両群の栄養 免疫状態に差はなかった 1年後の栄養 免疫状態 は両群ともにBMI CONUTが改善していた p<0.05 有害事象発生頻度 は消化器症状以外では26例 22.6% 消化器症状では10例 8.7% であっ た 有害事象の有無別では 消化器症状以外及び消化器症状の有害事象 ありでもBMIは改善し 有害事象なしでは加えてCONUTの改善もみられた p<0.05 有害事象発生頻度と退院時の栄養 免疫状態に関連はなかった 結語 StageⅡ/Ⅲ大腸癌患者における術後補助化学療法は 栄養 免疫 状態を悪化させることなく施行可能であった 284 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 目的 担癌状態では低栄養を生ずる 低栄養状態ではTNF-αやIL-6等が 関与する免疫反応を介して癌性悪液質となり 癌治療への耐性が低下する 進行癌における宿主栄養状態と生命予後について様々な報告がなされてい るが 進行再発大腸癌において 宿主栄養状態や免疫能と生命予後の関 連性を検討した報告は少ない 方法 2007年から2013年に手術を受けた 進行再発大腸癌患者のうち 切除不能因子を持つ92例を対象とした 栄養 状態 免疫能と化学療法の治療効果および予後との関連を検討した 栄養 状態の指標として血清アルブミン値 Body Mass Index BMI を用い 免 疫能の指標として総リンパ球数 好中球数 granulocytes/lymphocytes比 G/L比 用いた 結果 化学療法施行前の血清アルブミン値と総リンパ球 数は正の相関を示し 好中球数やG/L比は負の相関を示した 栄養状態と 免疫能は強い相関を示した また 血清アルブミン3.5g/dl未満を低栄養群と し それ以外の正常群と比較したところ 全生存期間 OS は正常群の38か 月に対して低栄養群では22か月と有意に短い結果となった p 同様 に無再発生存期間 PFS は正常群の12.9か月に対して低栄養群では10か月 と有意に短い結果となった p=0.018 また 生存期間に対して多変量解析 を行ったところ 体重50kg以下 HR:0.26 p=0.001 と血清アルブミン3.5g/dL 未満 HR:0.22 p=0.048 は独立した予後不良因子であった 考察及び結 論 化学療法の施行前に低栄養の群ではOSやPFSが短かった 忍容性を 保ち 治療効果を保つために 化学療法施行前 施行中の栄養管理が重要 と考えられた

3 P-0005 食道癌に対する放射線化学療法が身体に与える影響 食道癌術前DCF療法における外来からの経腸栄養剤投 与の意義 香川大学医学部附属病院総合内科1 岡山療護センター2 香川大学医学部附属病院臨床栄養部3 信州大学医学部附属病院 消化器外科1 臨床栄養部2 犬飼道雄1 梶谷伸顕2 花房悦世3 北岡陸男3 藤井映子3 鈴木 彰1 石曽根聡1 竹内大輔1 大野康成1 丸山陽子2 宮川眞一1 目的 近年食道癌では放射線化学療法 CRT が優れた治療成績を上げ ている 食道癌は悪液質や通過障害による摂食障害などの問題があり また CRTは長期の治療を必要とするため 食道癌に対してCRTを施行するには 栄養管理や身体管理を適切に行わなければならない 今回我々は 食道癌 に対するCRTが栄養状態や身体状態に与える影響に関する検討を行ったの で報告する 方法 当院で2012年11月から2013年10月に食道癌に対して CRTを施行した13例のうち退院後1か月まで追跡可能であった9人を対象と した 平均年齢は68.3±7.3歳で 男性6人 女性3人であった 再発食道癌 は1人 初発食道癌における進行度は StageⅠ1人 StageⅡ1人 StageⅣa 4人 StageⅣb2人であった StageⅣの6人は全例CRT前より胃瘻栄養を行 った 入院時 CRT終了時 CRT終了1か月後において 体重 L4レベル の大腰筋面積 CRP アルブミンについて検討した 結果 CRTを完遂でき たのは7人で 治療効果判定は CR3人 PR4人 PD2人であった 体重 CRPは有意な変化を認めなかった アルブミンは 入院時3.42±0.61g/dl CRT終了時3.26±0.29g/dl CRT終了1か月後3.58±0.26g/dlで CRT終了 時とCRT終了1か月後に有意差を認めた またL4レベルの大腰筋面積は 入 院 時1739±617cm2 CRT終 了 時1580±529 cm2 CRT終 了1か月後 1575±512 cm2で 入院時とCRT終了時およびCRT終了1か月後に有意差 を認めた 考察及び結論 CRT中栄養状態は維持され 症状改善のため か退院後は有意に改善した しかしPSは保たれていたが 大腰筋面積は入 院時から有意に減少しており リハビリを含めた栄養管理が必要であることが 推察された P-0007 胃癌術後S-1化学療法による筋肉量の変化 目的 以前より術前化学療法における経腸栄養剤投与の有用性が報告さ れているが 有意差を示した報告は少ない 当科では術前化学療法の対象 となる食道がん症例に対して外来で経腸栄養剤を推奨しているが 費用が かさむなどの理由から実際に経腸栄養剤を服用する症例は多くない 経腸 栄養剤服用の現状および術前化学療法や周術期管理に及ぼす効果につい てretrospectiveに検討した 方法 2011年以降cStage II/III食道癌に対 する術前化学療法としてドセタキセル-シスプラチン-5FU療法 DCF療法 を 行った15例を対象とした 手術前に約1本/日以上の経腸栄養剤を服用した のは7例 服用群 8例は服用していなかった 服用なし群 これら2群につ いて 術前栄養評価項目 化学療法関連項目 周術期関連項目について比 較検討を行った 結果 平均年齢 男女比に有意差は認めなかった 経腸 栄養剤は6例でプロシュアが 1例でラコールが服用されていた 術前栄養評 価項目において 外来初診時体重 術前体重について有意差は認めかった 体重減少率については有意差は認めないものの 服用群99.0 服用なし 群93.6 と服用群において体重減少が抑えられる傾向があった p=0.11 ALB値においては外来初診時 術前ともに両群に有意差は認めないものの 減少率では服用群97.9 服用なし群88.8 と有意差を認めた p=0.027 化学療法関連では 有害事象 治療効果に有意差は認めなかった 周術 期関連項目では出血量 手術時間 術後合併症に有意差は認めなかった 術後在院日数については服用群19.6±6.4日に対して服用なし群26.3±11.1日 と服用群において術後在院日数が少ない傾向であったが 有意差は認めな かった p=0.09 結語 単施設 少数例での検討であり 今後の症例の蓄 積が必要と思われるが 外来からの経腸栄養剤の投与により 栄養状態の 保持に寄与できる可能性があると考えられた P-0008 超音波ガイド下内頸静脈アプローチによる皮下埋込型中 心静脈ポート造設術の検討 市立豊中病院外科 JR札幌病院 外科1 札幌医科大学 消化器 総合 乳腺 内分泌外科2 岩澤 卓 今村博司 高田晃宏 広田将司 堂野恵三 永山 稔1 鶴間哲弘1 田山 誠1 田山慶子1 中野正一郎1 平田公一2 目的 我々はこれまでに胃全摘後に体筋肉量が減少することを報告してき た また進行胃癌患者の多くは術後にS-1による補助化学療法を受けている 今回の研究目的は 胃切除後患者についてS-1治療が筋肉量へ与える影響 を明らかにすることである 方法 市立豊中病院で2010年4月から2011年7 月までに胃癌根治術を受けた症例のうち48人を対象とした 16人が補助化 学療法としてS-1を1年間服用していた 男性31人女性17人で 年齢の中央 値は67才であった 37人が幽門側胃切除を受け 11人が胃全摘を受けてい た S-1服用群 S群 と非服用群 C群 との間にこれらの因子に有意差はな かった 筋肉量はCT画像を用い第4腰椎上縁レベルで腸腰筋の左右断面 積の平均値を測定し それぞれ術前 術後6ヶ月 12ヶ月 24ヶ月の値を用い た 結果 全症例の腸腰筋面積平均値は 術前834cm2 6ヶ月後811cm2 12ヶ月後789cm2 24ヶ月後789cm2 であった 術前値に対する比で検討する と 幽門側胃切除後と胃全摘後において 6ヶ月後0.94 vs ヶ月後 0.95 vs 0.86* 24ヶ月後0.94 vs 0.89と12ヶ月後に有意差 *p<0.05 を認めた またS群とC群においては 6ヶ月後0.94 vs ヶ月後0.96 vs 0.86* 24ヶ 月後0.93 vs 0.93と12ヶ月後に有意差 *p<0.05 を認めた さらに12ヶ月後の 比をC群幽門側胃切除 S群幽門側胃切除 C群全摘 S群胃全摘の4群で 比較すると それぞれ * と幽門側胃切除例においてC群 とS群で有意差 *p<0.05 を認めた 考察及び結論 胃全摘例のみならず S-1服用患者においては幽門側胃切除例においても筋肉量の低下が見られ た P-0006 目的 皮下埋込型中心静脈ポート 以下CVポート は 化学療法実施時に 加えて 緩和医療や栄養療法における薬剤投与経路など 必要とされる症 例は増加している 近年のエビデンス研究により 従来の盲目的アプローチ Landmark法 でのCVカテーテル挿入による合併症発症率と比較して 超 音波ガイド下静脈穿刺法の高い穿刺成功率と安全性が確立している 今回 我々は 超音波ガイド下内頸静脈アプローチによるCVポート造設術の有用性 について検討した 方法 当院では平成25年5月より超音波ガイド下静脈穿 刺法を用いたCVポート造設術を導入している 平成24年4月 平成26年3月 に当院でCVポート造設術を施行した249例 Landmark法/超音波ガイド下 静脈穿刺法 119例/130例 を対象とした 結果 CVポート造設術の目的は 化学療法151例 緩和医療 栄養療法98例であった 静脈穿刺部位は Landmark法119例の内訳は鎖骨下静脈109例 内頸静脈10例 超音波ガ イド下穿刺法130例では内頸静脈125例 大腿静脈3例 尺骨皮静脈2例で あった CVポート挿入による合併症は 気胸をLandmark法で鎖骨下静脈 穿刺を行った5例と超音波ガイド下内頸静脈穿刺を行った1例に 動脈穿刺 をLandmark法で鎖骨下静脈穿刺を行った5例に認めた 考察及び結論 超音波ガイド下内頸静脈アプローチの利点は 穿刺血管周囲の構造物や穿 刺針の軌跡を確認しつつ刺入できることである 術者の血管穿刺に対するス トレスが消失し 合併症の軽減 手術時間短縮につながると考えられる 当 院での手術手技をビデオで供覧し 文献的考察をふまえてその有用性につ いて報告する 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

4 P-0009 大腸癌化学療法における末梢穿刺中心静脈ポート留置の 安全性と問題点 P-0010 外科医の行うCVポート留置術 橈側皮静脈cut down法の安全性の検討 金沢大学付属病院 消化器 乳腺 移植再生外科 浜松医療センター 消化器外科1 NST2 中村慶史 廣瀬淳史 柄田智也 中沼伸一 岡本浩一 酒井清祥 木下 淳 牧野 勇 林 泰寛 尾山勝信 井口雅史 中川原寿俊 宮下知治 田島秀浩 楯川幸弘 高村博之 二宮 致 北川裕久 藤村 隆 伏田幸夫 太田哲生 大菊正人1 2 池松禎人1 2 平山一久1 2 小笠原隆2 坂田 淳2 杉浦将人2 森田裕之2 丸井志織2 岡本康子2 目的 大腸癌化学療法症例においては 中心静脈ポート 以下CVポート 留置を要する場合が多い 切除不能大腸癌症例に対する化学療法のため のCVポート留置は スムーズな化学療法開始のため早期合併症が少ないこ とが重要である また CVポート留置は特殊な外科手技ではなく 経験の浅 い若手医師でも安全に施行することが必要とされる 以上の点から 当科に おける大腸癌化学療法症例に対するCVポート留置は超音波ガイド下末梢 静脈穿刺法による上腕留置を原則としている 方法 対象は末梢穿刺法に てCVポートを留置し化学療法を施行した大腸癌症例96例で 2008年までの ランドマーク法による鎖骨下穿刺例91例と合併症の発生率を比較検討した 気胸 カテーテル感染 ピンチオフ 位置異常 逸脱 出血 ポート部感染 カテーテル閉塞 血栓症を検討項目とした 結果 末梢静脈穿刺96例中合 併症発生率は15例 16 であり 鎖骨下穿刺における8例 9 と有意差は なかった 末梢静脈穿刺では カテーテル感染4例 4% 位置異常 逸脱2 例 2% 出血1例 1% ポート部感染1例 1% カテーテル閉塞1例 1% 血栓症5例 5% で 鎖骨下穿刺では気胸2例 2 カテーテル感染3例 3 ピンチオフ2例 2 ポート部感染1例 1% であった 血栓症は鎖骨下 穿刺例では認めず 末梢穿刺で多い傾向を認めた p=0.060 考察及び 結論 末梢静脈穿刺法は鎖骨下穿刺法と比較し 早期合併症としての気胸 が発症しえないことから化学療法をスムーズに開始できる利点がある また 若手医師の施行においても安全で 患者 医師ともにストレスが少ないと考え られる しかし 長期的には血栓症のリスクが高い可能性がある 切除不能 大腸癌症例は 担癌状態により血栓のハイリスク症例と考えられ 化学療法 施行中に血栓症を発症すると選択できる薬剤が制限される可能性もあり 問 題点と考えている P-0011 橈側皮静脈カットダウン法による安全で確実な中心静脈 ポート留置術 目的 近年 化学療法の発展や在宅医療の拡がりから皮下埋め込み型中 心静脈カテーテル 以下CVポートと略 の需要が飛躍的に高まっている 当 院では2005年1月よりCVポートを導入したところ安全性 利便性から他科およ び他院からの依頼も増加し最近4年間では年130例を超える留置術を施行し ている 症例数が多いゆえに留置術の安全性を高めるため 当院では2010 年以降中心静脈へのアプローチに橈側皮静脈cut down法を多く施行してき た これまでの症例を検討し 中心静脈へのアプローチ法と合併症との関連 について報告する 方法 当科において2005年1月から2013年12月までに 計867件のCVポート留置術を施行した その内 橈側皮静脈cut down法を 重視し始めた2010年以降の症例564例について 中心静脈へのアプローチ 法と合併症発生率について検討を行った 結果 アプローチ法の内訳は橈 側皮静脈cut down 例 鎖骨下静脈穿刺 例 内頸 静脈穿刺 5 28例 その他 2 15例 であった 合併症は564例中31例 5.5 に発生した 内訳は皮下出血 10例 創部トラブル 9例 カテーテル トラブル 4例 気胸 3例 動脈穿刺 3例 その他 2例であった アプロー チ法別の合併症発生率は橈側皮静脈cut down 11例 2.8 鎖骨下静 脈穿刺 14例 9.9 内頸静脈穿刺 4例 14 その他 2例 7% であり 橈側皮静脈cut down法は有意に合併症発生率が低かった 合併症の中で 重篤になり得る気胸 血胸 動脈穿刺は橈側皮静脈cut down法では発生 しなかった 考察及び結論 橈側皮静脈cut down法は胸郭深部への穿刺 を行わないことで 安全にCVポート留置術が施行できる また 手術手技の 基本操作を活かせるため外科医にとって有用なアプローチ方法である P-0012 pinch offによるcvカテーテル損傷の走査型電子顕微鏡 を用いた解析 NTT東日本札幌病院 外科 公立藤田総合病院 外科1 脳外科2 管理栄養科3 リハビリ科4 消化器科5 三浦 巧 小西和哉 斎藤崇宏 竹本法弘 山田秀久 木暮道彦1 平 敏2 山﨑有理子3 千代田尚志4 木暮敦子5 背景 近年 化学療法や長期的に中心静脈栄養を必要とする症例に対し て 中心静脈ポートを留置する機会が増加しており 鎖骨下静脈穿刺法によ る手技が一般的であるが 気胸や動脈穿刺 ピンチオフといった合併症がし ばしば問題となる 当院では 安全で確実な中心静脈ポートを留置する目的 で 橈側皮静脈カットダウン法による中心静脈ポート留置術を標準術式として いる 目的 当院で行っている橈側皮静脈カットダウン法による中心静脈ポー ト留置術の安全性と有用性を報告する 対象と方法 2009年9月から2014 年7月までに当院で鎖骨下に中心静脈ポートを留置した278例のうち 術前に 造影CTや体表エコーで橈側皮静脈を確認できた252例をカットダウン法の適 応とした 術前に橈側皮静脈が確認できなかった26例は穿刺法を適応とし た カットダウン法は橈側皮静脈が走行している三角胸筋溝 大胸筋と三角 筋の境界 上の皮膚を2.5cm切開し 三角胸筋溝内の橈側皮静脈をpick up し 静脈をカットダウンしてガイドワイヤーとシースを使用しカテーテルを挿入す る 続いて皮下ポケットを作成してカテーテルとポートと接続し大胸筋膜上に ポートを留置する 結果 カットダウン法を適応した252例のうち 術中橈側 皮静脈を確認できず穿刺法に移行した症例は13例 5.2% で成功率は94.8% だった 手術時間の中央値は51分 合併症は6例 2.4% で 内訳はポート感 染4例 ポート反転1例 気胸1例 術中穿刺法に移行した例 で ピンチオフ は認めなった まとめ カットダウン法は穿刺法で散見される気胸の頻度は極 めて低く 動脈穿刺やピンチオフの合併症は皆無であり安全な手技と言える 一方で 手技が安定するまでにやや経験を要するため 若干 手術時間が 長くなるが 直視下に血管を露出し操作するため 超音波ガイド下穿刺法より も経験の浅い術者でも安全に施行可能で有用な術式と考える 286 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 目的 pinch off症候群は鎖骨と第一肋骨によって持続的機械的圧迫を受 けた結果生じるカテ テルの損傷である これらは鎖骨下静脈留置後に被る 損傷のため 術中の取り扱いで偶然生じた損傷なのか判断に迷う場合があ る 今回われわれはpinch off症候群に特有なカテーテルの損傷形態を明ら かにすることを目的とした 方法 40代 女性 21歳当時 プロテインC低下 症による血栓症のため小腸大量切除から短腸症候群となりHPN施行中であ った 両鎖骨下静脈の血栓症もあり感染 閉塞にて頻回にカテーテルを交換 していた 右鎖骨下静脈に留置したアンスロンPUカテーテルが7カ月の間に3 回交換した時期があり ポート使用時の右肩への放散痛で発症し うち2回 は明らかに亀裂を認めた 初回は2年前に 3回目は2カ月前に留置されたも のであった 留置後2カ月目でpinch offとなるものかを東レの協力のもとに 臨床および機械的損傷実験でのカテーテルの断面を走査型電子顕微鏡を 用いて検証した 結果 臨床例 亀裂は5mmの直線状であり その周辺部 ではアンスロンコーティング層が一部剥離していた 亀裂再現実験 ①ディス ポ針による擦過 亀裂上下の端部が一直線上にあり コーティング剥離を認 めなかった ②反復屈曲 環状に断裂した 亀裂の上下にアンスロンコーティ ングのポリマー層のひび割れが複数認められた ③メスによる切創 亀裂断 面に刃面の痕跡が認められた ④鉗子による圧挫 鉗子によるキズが 亀裂 部分のカテーテル表面および その180度反対側 裏側 にも認められた ⑤ 上下より 反復圧迫 長軸方向への亀裂と共に 亀裂部辺縁にはアンスロンコ ーティングのポリマーの剥離が再現された 考察及び結論 pinch offは2カ 月という短期間でも発生し カテーテル長軸方向の亀裂とアンスロンコーティン グの剥離が特徴的な損傷の所見と判明した

5 P-0013 内頸静脈経由の中心静脈カテーテルを安全に挿入するため には左側アプローチに比べ右側アプローチが優先される 上腕留置末梢挿入式中心静脈カテーテル Peripherally Insented central catheter PICC 施行時のカラードップラーの有用性 獨協医科大学 第二外科1 看護部2 増子記念病院 肝臓内科1 東芝medical systems2 石塚 満1 永田 仁1 高木和俊1 岩崎喜実1 渋谷紀介1 篠原真咲2 窪田敬一1 堀田直樹1 秋田紀子2 神崎幸夫2 目 的 Central venous catheter CVC の 穿 刺 部として 内 頸 静 脈 Internal jugular vein; IJV の左右差について検討すること 方法 当科 で2006年4月から2008年9月までの間に 内頸静脈カテーテル IJV catheter; IJVC が挿入された大腸癌患者100人 男/女 50/50 を対象とし 術前に 施行された造影CT画像からIJVC挿入予定部位のスライスを用いて IJVの 左右差を検討した 検討項目はIJVの垂直方向径 水平方向径 皮膚から の距離 内頚動脈 common carotid artery; CCA との位置関係とした 結果 IJVの左右差は 垂直方向径 1.51±0.41 vs 1.13±0.34 P<0.001 水平方向径 1.54±0.36 vs 1.08±0.33 P<0.001 皮膚からの距離 1.74± 0.60 vs 1.87±0.56 P<0.001 Rt. vs Lt., cm, mean ±SD であった IJVと CCAとの位置関係を両者が離れているseparate type 33.5% 接している contact type 49.5% 重なっているoverlap type 17% の3つに分けて検 討 し た とこ ろ separate type 34/33 P=0.881 contact type 54/45 P=0.203 overlap type 12/22 P=0.060 Rt./Lt. で あった 実 際 の IJVC留置におけるincidentを検討したところseparate type 1/34 2.9% contact type 4/54 7.4% overlap type 0/12 0.0% であった 考察 及び結論 動脈穿刺の危険性はoverlap type>contact type>separate typeの順であると予想されたが high risk群でのincidentの増加は実際に は認められなかった 統計学的な有意差は認められないものの overlap typeの比率は左側で高く 右側においては左側に比べて有意に垂直方向 径 水平方向径が大きく 皮膚からの距離が浅いことが明らかとなった これ らのことから Rt.-IJVはLt.-IJVより太く 表層を走行し 動脈からの距離も遠 い傾向があることが明らかとなった IJVCを安全に挿入するためには 左側 よりも右側アプローチが選択されるべきである P-0015 上腕から挿入した末梢静脈挿入式中心静脈カテーテルの 有用性と問題点 目的 中心静脈カテーテル central venous catheter CVC 留置に伴 う機械的合併症 カテーテル関連血流感染症の軽減を考慮すると 上腕 PICC留置が 症状を軽減する可能性がある エコーガイド下にて留置する 方法が多施設で施行されている 今回我々は どのプローブを用いることによ り より安全に初心者でも確実に施行可能になるかを検討した 方法 ボラ ンティアの血管を用いてカラードップラーを使用し可視度も確認した その後 穿刺ガイドがついているプローブでは 穿刺の容易性も検討した穿刺ガイド がついていないプローブでは フルーツを血管と想定して 針の視認性および 想 定 し た 位 置 に 針 が 出 てくる か を 確 認 し た 使 用 機 種 は TOSHIBAAPLIO500を用い 使用したプローブは リニアプローブ 術中用 コンベックスプローブ 高周波コンベックスプローブを用いた 結果 カラード ップラーのFFT解析を用いることにより 静脈の定常波を確認することにより 動脈誤穿刺を回避できることが確認できる 視認性 カラー感度からは リニ アプローブが一番であるが プローブが大きいので上腕で使用するのは や や困難であった 術中用コンベックスプローブは当院でPICC施行時に用いて いるが 穿刺ガイドがついているが短軸方向での穿刺は困難である 高周波 コンベックスプローブは 他のプローブに比較すると描出も簡便であり 小さく 穿刺ガイドも搭載されている フルーツ実験では 自分の考えた位置に針が 描出されなかったので 穿刺ガイドは必要と考えられた 考察及び結論 上 腕PICCが誰でも安全に施行できるようにするには カラードップラーを用いるこ とにより 静脈の定常波を確認した後に穿刺ガイドがついたプローブを用いる ことにより動脈誤穿刺の可能性は軽減されると考えられる P-0016 PICCカテーテルの使用状況と合併症についての検討 立川綜合病院消化器内科 岩手県立中央病院 薬剤部1 栄養管理室2 飯利孝雄 佐藤康子1 高橋秀和1 宮澤 素1 齋藤源太1 瀬川さゆり2 目的 上腕から挿入した末梢静脈挿入式中心静脈カテーテル 以下 PICC の有用性と問題点を検討した 方法 平成23年2月1日から平成26年 7月31日までに当院でPICC挿入を施行した症例を対象とし 診療録をもとに 検討した 全例に日本コヴィディエン社製Argyle-PICCキット ダブルルーメン セルジンガータイプ を使用した PICC挿入はベッドサイドで施行し PICC留 置後に胸部X線を撮影し カテーテルの位置が適切か否かを判定した 穿 刺成功率を調べ 穿刺成功例において留置成功率を調べた 留置に成功し た症例については さらに以下を検討した 1 原疾患 2 施行理由 3 先 端位置および先端位置適正率 4 留置期間 5 合併症 6 抜去理由 結 果 22名39例にPICC挿入が試みられ そのうち 21名31例でPICCが留置 された 患者背景は 年齢は50歳から89歳 中央値76歳であった 穿刺成 功率は87.2% 穿刺成功後の留置成功率は91.2%であった 1 原疾患は悪 性腫瘍が最も多かった 2 施行理由は高カロリー輸液が最も多かった 3 先 端位置は上大静脈が最多であり 先端位置適正率は87.1 であった 4 留 置期間は1日から30日 中央値は8日であった 5 合併症は上腕の腫脹 発 熱が多かった 6 抜去理由は死亡と化学療法の終了が多かった 考察及 び結論 上腕から挿入するPICCは 中心静脈カテーテル 以下 CVC に比 べ患者や術者のストレスが少なく カテーテル挿入が安全に行える利点があ る PICC特有の合併症として 挿入時のカテーテル先端の位置異常 留置 後の静脈炎 上腕の腫脹などがあるが 重篤な合併症は少ない 一方 中 心静脈圧が測定できないこと 急速輸液が困難であること 滴下不良が起き やすいことなどの欠点がある PICCはCVCに完全に代われるものではない が PICCで目的を果たせる病態は多い 患者の病態を考慮して PICCと CVCを適切に使い分けることが重要である P-0014 目的 中心静脈栄養 TPN は経口摂取ができない患者において有効な栄 養方法である TPNを投与するためにはカテーテルを留置する必要があり 2010年4月より成人においても末梢留置型中心静脈カテーテル PICC の使 用が可能となった そこでPICC使用状況と合併症について調査を行ったの で報告する 方法 2013年1月 2014年5月まで岩手県立中央病院 当院 消化器内科においてCVカテーテルを留置した患者の挿入部位 留置期間 抜去理由について調査を行った PICC挿入後の合併症情報は電子カルテ 記載内容にて情報収集を行い 留置期間は当院入院中の留置期間とした 結果 CVカテーテル留置患者は119名であり 留置期間が不明な患者を除 く115名 男性60名 女性55名 再挿入を含む117例で検討を行った CV挿 入ルートは PICCが上腕63件 54 前腕29例 25% の計92例 内頚9例 8% ポート9例 8% 大腿4例 3% 鎖骨下3例 2% であった PICC留 置期間の平均は17.0±11.0日であった PICC挿入後の合併症は複数回答で 発熱 9例 閉塞 7例 腫脹 5例 皮膚トラブル 5例 滴下不良 18例 不整脈 1例 であり 発熱 閉塞 腫脹は有害事象発現時全例で抜去され ていた 合併症発生の中央値は5 12日であった 発熱 閉塞に関しては 挿入部位による差は見られなかったが 腫脹に関しては肘PICCが5例中4例 であった 滴下不良のうち 抜去4例以外はポンプ使用 患者に指導などで 改善した 考察 PICCがCVカテーテル留置ルートとして大部分を占める事 実が明らかとなった PICCは挿入場所により発現する合併症も異なることか ら 十分な経過観察や患者指導が必要であると思われた 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

6 P-0017 経管栄養用チューブ先端位置確認装置の試作 P-0018 病棟における無菌調製の現状と課題 山形市立病院済生館 箕面市立病院 看護局 NST1 薬剤部 NST2 内科 NST3 近畿中央病院 外科4 毛利 渉 近藤 礼 齋藤伸二郎 見戸佐織1 飯田由貴代1 土井聖子1 四宮 聡1 福島裕美2 仲下知佐子2 井端 剛3 小室竜太郎3 飯島正平4 高齢者の増加により 経管栄養用チューブ 以下チューブ を留置する機会 が以前にも増して増加している 従来 チューブは気管への迷入の危険があ るため 気泡音を聴取することなどで適切な位置に留置されていることを確認 されてきた しかしながら 本法は十分な確認ではなく 気管への誤挿入を看 過する場合があることが報告され 最近では胸腹部X線撮影により チュー ブの先端位置を確認する施設が増加している 一方 X線撮影による確認 は ポータブルX線撮影装置の搬送や撮影画像の確認など様々な煩雑さに 加え そもそも原疾患とは無関係な放射線被曝を増加させるといった欠点が ある 今回 X線撮影装置を用いずに チューブ先端位置確認を正確に確 認できる簡便な装置を開発したので報告する 開発したのはチューブに挿入 するガイドワイヤー GW およびその探知機である GWは直径2.2mm 長さ 135cmで 先端に電波発信部 後端にジェネレーターを持ち 先端部から微 弱な電波を発信する 表面はテフロンにてコーティングしてある 探知機は 135mm x 15mm x 25mmのボックス型 205g で 左季肋部に置き 直下に チューブ内に挿入したGW先端の電波発信部が到達すると探知機のLEDが 点灯し チューブ先端位置が確認できる 今後 実用化を目指している P-0019 消化器外科手術症例におけるフレイル評価および栄養指 標との関連 目的 当院では 2005年より当日実施の3時間前程度に設定している締切時 間内にオーダーされたすべての注射薬を薬剤部で無菌調製しており 2014 年度には45810件に達した それ以外の注射薬は病棟で看護師がクリーンベ ンチ内で調製している 病棟における調製の現状について報告する 方法 病棟調製となる注射薬は 締切後オーダー 投与直前に調製が必要なもの などが挙げられる その中からインスリン製剤の投与直前の調製数と 病棟 での調製頻度が多い薬剤投与前後のルートフラッシュや異常時指示薬など の側管投与薬の調製数を 全病棟を対象に2009年4月1日から2013年3月31 日まで5年間を調査し 年平均で算出した 結果 病棟調製は全体で約 24000件であった また インスリン製剤は7404件 側管投与のうちフラッシュ 関連が2184件 解熱鎮痛消炎薬が7741件 中枢神経系用薬が6092件 循 環器官用薬が727件だった 考察および結論 看護師による注射薬の調製 は20000件を超えることが分かった 病棟配置のクリーンベンチ利用について は 緊急時以外は順守を指導しているが 非使用のケースも見られ 意識の 低さ 過信に加え スタッフの少ない時間帯の調製数の多さが主因と考えら れる 急性期病院と言えども適正な注射薬治療を実践するため 質的管理 の観点から適正化を図る必要がある 現行の締切時間の更なる緩和は不可 能であり 可能な限りのオーダー順守のほか 調製不要な製剤への転換 異 常時投与製剤の厳選や適応の検討などが必要である 無菌調製の体制を 取りながら病棟調整時に質が維持できないことはすべての輸液栄養管理の 意義が損なわれかねない 今後は医師 薬剤刺 看護師がさらに連携し 新採用者を重点的にスタッフへの啓発を継続しつつ 適正使用を推進しなく てはならない P-0020 腹囲および大腿周囲長を使った新たな体重推定式の評価 福島県立医科大学会津医療センター附属病院 広島共立病院 回復期リハビリテーション病棟1 内科2 添田暢俊 小林明子 馬場佳子 樫村大樹 久田和子 塚本和久 斎藤拓朗 中尾加代子1 WongToh Yoon2 目的 高齢者では徐々に心身の機能が低下し 日常生活の活動性や自立 度が低下する 外科手術術後の経過にも少なからず影響を及ぼす可能性が あるが 手術を目的とした集団における高齢者脆弱性 以下 フレイル に関 する検討は少ない 今回 消化器外科手術症例におけるフレイルを評価し 栄養状態の指標との関連について検討した 方法 手術を目的として消化 器外科へ入院した36症例 年齢56 89歳 71±8.3歳 男 女 を対 象とし フレイルの頻度と該当項目 栄養状態の指標および大腿四頭筋筋力 開眼 閉眼時の重心動揺軌跡長などとの関連について検討した フレイルの 評価はFreidらの方法に準じ 1 1年間で5kg以上の体重減少 2 主観的 活力低下 最近1ヶ月間の疲労感 3 握力の低下 4 歩行速度の低下 5 活動度の低下の5項目のうち3項目以上該当した場合にフレイルとした 歩 行速度の評価はtime up and go testを用いた 結果 36例中7例 19% をフレイルと判定した 一致項目数は4項目1例 3項目6例 項目別では体重 減少4/7例 疲労感4/7例 握力低下3/7例 歩行速度低下6/7例 活動度 の低下5/7例 血清アルブミンはフレイル症例では非フレイル症例に比して有 意に低値を示した フレイルあり3.7±0.2 g/dl 非フレイル4.0±0.5 g/dl p 0.05 PNIもフレイル症例で低い傾向を認めたが有意差は認めず 年齢 BMI Hb 総リンパ球数 CRP 開眼 閉眼重心動揺軌跡長では2群間に 有意差を認めなかった 考察及び結論 消化器外科の手術対象症例中 19%にフレイルを認め 栄養評価指標では アルブミン値と関連していた フレ イル症例では積極的な栄養介入を要する可能性があると考えられる 288 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 目的 高齢化社会である本邦において寝たきり要介護者が増えている 栄 養評価にほぼ不可欠だと言える体重およびBMIも立位が保てない場合の測 定は難しい 体重推定式について海外ではChumleaらの式 日本において 藤井式 宮澤式 大西らの式などが報告されたが いずれも3つ以上の項目 を使用し 推定式によって男女で必要な項目が異なる場合もある 2011年に 報告されたBuckleyらの式は腹囲および大腿周囲長の2項目だけを使用し 当院で比較評価を行ったので報告する 方法 対象者は当院の回復期リハ ビリテーション病棟に入院された98名 男性48名 女性50名 で 実測体重を 使用し 今まで頻用されていた宮澤の体重推定式およびBuckleyらの体重 推定式 男性 腹囲+1.06 大腿周囲長 女性 腹 囲+1.3 大腿周囲長 との比較検討を行った 結果 平均年齢は79.9±3.0 95%CI 歳で 実測体重は50.9±2.3 kg 範囲 kg であった 宮 澤体重推定式 平均推定体重47.7±1.8 kg 範囲 kg 実測体 重との決定係数R2=0.627 p< 平均予測誤差 MFE 3.1±1.4 kg 二乗平均平方根誤差 RMSE 7.7 kg 平均絶対誤差率 MAPE 10.7% で あった Buckleyらの体重推定式 平均推定体重48.8±2.6 kg 範囲 kg 実測体重との決定係数R2=0.802 p< 平均予測誤差 2.1±1.2 kg 二乗平均平方根誤差6.3 kg 平均絶対誤差率10.4%であった 特に男性の場合 Buckleyらの式 RMSE 6.2 kg MAPE 9.3% は宮澤式 RMSE 9.5 kg MAPE 12.3% に優っていた 考察および結論 腹囲およ び大腿周囲長の2項目のみを使った新たな体重推定式を評価した 使用した 項目数は比較的少なかったが 実測体重との相関および誤差から考えて 他の式に劣ってないことを明らかにした

7 P-0021 高齢者の栄養管理 特に認知症終末期における高齢患 者へのシルバーケアの実践 病態別NSTへの可能性 まずは糖尿病NST回診から 公立富岡総合病院 外科1 NST2 緩和医療チーム3 医療法人社団圭春会 小張総合病院 栄養科1 外科2 薬剤部3 尾形敏郎1 2 佐藤尚文1 門脇 晋1 津金沢理恵子3 斉藤秀一2 戸塚智恵子2 伊藤ミレイ1 戸邉雅代1 横山武史2 飯塚倫子3 目的 高齢者 特に認知症患者 に対しては 通常の患者と同じような治療 が思わぬ合併症を引き起こす可能性があり 医療行為が本人のQOLを高め るとは限らない 当科では患者が高齢である場合 まず罹患前のADL 認 知症の有無 疾患の重症度 家族背景などを総合的に判断する その上で 時には良性疾患であっても癌の終末期と同様に 人間性を尊重した苦痛を 与えない症状緩和中心の医療を提供している そして このような概念をシル バーケアと呼称し報告してきた 今回は意志決定のできない高齢認知症患者 に関して 栄養療法を中心に当科で実践してきたシルバーケアを紹介したい 方法 対象は意志決定のできない認知症患者 治療開始時に以下の方 針を家族に提示し 理解が得られれば実践に移す 1 CTは初診時に診断 目的に活用するも 以後不必要な検査は極力行わない 2 身体抑制など 人間の尊厳を侵すような行為はしない 3 摂食嚥下困難などの問題により点 滴する場合は 緩和医療学会のガイドラインで示す最小限の補液 4 点滴 経管栄養tubeを自己抜去された場合は 嚥下リハおよび経口摂取のみを可 及的に行う 5 症状緩和のための薬剤は 坐薬 貼付薬 皮下注などを利 用 6 CVC挿入 PEG造設などの侵襲的治療は 終末期医療のガイドライ ンに基づき医療 ケアチームと家族によって適応を決定 結果 看取り 小 康を得られるも自宅退院はできず施設に転院 回復して自宅退院 などの転 帰がある いずれの場合も 本人の苦痛は最小限に抑えられ また家族へも 十分な説明により方針の理解 同意が得られた 考察および結論 患者 は先端医療を享受することを望みながらも 多くは苦痛を感じないで最期を迎 えたいと考えているだろう 超高齢化社会を目前にした医療現場において シ ルバーケアの概念は今後普及が必要と判断したので報告した P-0023 平均寿命以上の患者におけるNSTの役割 目的 当院では2006年1月から全科型NSTとして回診を実施 病態別NST としてまず2013年11月からは 糖尿病NST回診を開始した 今回 糖尿病 NST回診の取り組みと栄養管理状況 今後の課題について報告する 方 法 回診対象は 糖尿病代謝内科にて血糖管理を行っている入院患者全 員 回診時の検討項目としては 身長 体重 栄養状態 Alb Hb値 に加 え インスリン分泌能およびインスリン抵抗性 糖尿病合併症の有無 入院前 の食事内容 摂取状況を確認し エネルギー量を設定 また 1型糖尿病や 糖尿病合併妊婦などのインスリン導入患者に対しては 病院食の炭水化物 量を示し カーボカウントによる血糖管理を実施 結果 2013年11月 2014 年6月までに介入した糖尿病患者133例 男性82名 女性51名 年齢68±15 歳 平均BMI23.1±6.2 介入患者のうち 112例 84 が経口摂取可能で 病院食提供 介入前後の栄養状態は Alb Hb値は 介入前3.1g/dl 12.0g/dl 介入後3.0g/dl 11.6g/dl 血糖管理は 介入後全症例改善しコ ントロール良好 腎機能は 介入前Crea 0.8 mg/dl 介入後Crea 1.1 mg/ dl 投与エネルギー 蛋白質量は 28±6.9kcal/Kg 1.1±0.4g/Kg NPC/N 比141 CKD分類3以上の患者 21名 の投与エネルギー 蛋白質量は 27 ±7.8kcal/Kg 0.8g/Kg NPC/N比182 退院時に栄養指導実施し 外来 へ継続した患者は32例 考察及び結論 食事摂取基準に沿った病院食の 提供では 低タンパク血症になる症例が多く 代謝疾患である糖尿病患者の 病態にあわせたエネルギー タンパク質 NPC/N 炭水化物量の設定が必 要である 今後はさらに病態別NST回診を拡大していき 病院としてのレベ ルアップにつなげたい P-0024 胃瘻造設の是非 医療 社会 国民性から観て 益田地域医療センター医師会病院 栄養管理室1 内視鏡室2 薬剤科3 外科4 内科5 菊名記念病院 内科1 栄養科2 看護部3 薬剤部4 吉部希子1 田中和恵1 田原典子1 永戸ゆうこ1 久保田智勢2 西迫多重3 服部晋司4 狩野稔久5 庭野元孝1 菊地克巳2 柴 敏子2 澤田和子3 田村英樹4 村田 升1 目的 高齢化社会が進行しており 超高齢者に対する適切なエネルギー量 の決定 補助的栄養手段ついては議論されるべき問題であり検討を行った ので報告する 方法 2008年4月から2014年3月に NST介入依頼があった 322 名 男性:145名女性:177名平均年齢:82.2±10.2歳 を対象とした NST 介入効果について 平均寿命 栄養指標 エネルギー充足率 栄養手段 介入理由をパラメーターとして用い単変量解析にて比較検討した 結果 NST介入効果 改善 維持群/増悪 死亡群 は 218名/104名であり 介 入 効 果 は67.7%で あ った 栄 養 指 標 別 検 討 で は 介 入 時 のALB P< ChE P Hb P= で介入効果に有意差を認 めた 平均寿命別 男性:79.4歳女性:85.9歳 のエネルギー充足率別検討で は 以上群では充足率 メジアン 90% による介入効果に有意差を認めず P 未満群では有意差を認めた P しかし 以上群におい ても充足率70%で 充足群と未充足群に有意差を認めた P= 摂取 タンパク量別では 以上群では介入効果に有意差を認めず P 未 満群では有意差を認めた P 介入理由別では 以上群と未満群 では低栄養 P=0.011 と褥瘡 P=0.002 に有意差を認め 食欲不振や体重 減少には有意差を認めなかった 栄養手段別では 以上群では補助的手段 経管 点滴 を行っても介入効果に有意差はなく P= 未満群では 逆に補 助 的 栄 養 手 段を要 する症 例では介 入 効 果 が 低くなっていた P= 考察 平均寿命以上群ではAlb ChE HbはNST介入効 果予測因子となる 以上群での必要エネルギー量はH-B式による算出値の70 が妥当であり 介入理由によっては他因子の影響も受けることが多く 補助 的な栄養手段も有効でないことが多い 季節を過ぎた草木が水や太陽を求 めないように 時として患者の 生命 を尊重した栄養管理を行うことが次世 代のNSTには必要と思われた P-0022 目的 胃瘻造設の現状を探る 方法 2012年4月から2年間 当院で胃瘻 造設した98人 平均77 9歳 男55人 女43人 を分析 結果 科別では 内科43人 平均80 1歳 脳神経外科39人 平均76 6歳 循環器10人 平均79 9歳 心臓血管外科5人 平均64 8歳 外科1人 78歳 疾患 は 肺炎32人 脳出血 血腫22人 脳梗塞16人 心疾患12人 認知症 脳変性疾患7人 脳腫瘍 挫傷4人 腎不全2人 他3人 在院死10人で 死因は 肺炎6人 脳出血2人 心内膜炎1人 敗血症1人 考察及び結 論 高齢者の胃瘻造設が 延命に無効なことは 欧米では浸透し 日本でも 議論中である 欧米では 食べられなくなったら寿命 というコンセンサス 宗教色強い自律尊重 生命の神聖重視の考えが普及しているが 日本では 死 無 の死生観から 延命重視が強い 延命治療の差し控えや中止を前 提に整備されていない日本の現行法では 人工栄養法差し控えによる患者 の生命短縮に対して 医師が刑事責任 刑法202条 自殺関与罪 嘱託殺 人罪 刑法218条 保護責任者遺棄罪 から免責されず 自己決定困難な 成人患者への医療行為の代理決定の規定がなく 決定は家族に委ねられる が その範囲や順序は不明確で 家族間で意見が分かれると 対応は保守 的に流れる 胃瘻 経鼻経管 中心静脈栄養法の3大栄養法の中で 胃瘻 が診療報酬制度 管理 安全面から 断然有利である 2014年1月 国立 国際医療センターが4年間の胃瘻 腸瘻造設患者6万4千人の調査結果をま とめたが 件数は年間9万6千 11万9千人 平均年齢77 4歳 疾患は脳 血管障害と肺炎が多く 在院死11 9 危険因子も分析された 急増する 経口摂取困難な高齢患者は 胃瘻造設しなければ 介護施設に戻れない現 状の中 急性期病院は 胃瘻造設を安全に行う適応を模索中である 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

8 P-0025 内視鏡的胃瘻造設術症例における経管栄養離脱の現状 P-0026 地域在住要介護および要支援者におけるスクリーニング からみたサルコペニアに関する検証 福井総合病院 NST 外科1 看護部2 栄養課3 薬剤課4 リハビリテーション科5 介護老人保健施設御船清流園 泉 俊昌1 表真由美2 清水淳子3 望 貴博4 村松倫子5 矢田順治 目的 2014年度診療報酬改定で内視鏡的胃瘻造設術 PEG は10070点よ 目的 サルコペニアは医療や介護の分野に大きく関わってくる問題である り6070点への減額となり 施設要件を満たさない場合は更に80/100で算定 ただ 臨床における診断には 測定機器等の面から困難な場合が多いが することになった 今回 我々はPEGの現状を把握し診療報酬改定への対応 補助的手段として簡易的スクリーニングの開発も進んでいる そこで本研究 を考えた 方法 2009年5月以後5年間に実施されたPEG418例を 脳神経 の目的は 地域在住の要介護 要支援者に対して スクリーニング結果を用 筋疾患の急性期群 慢性期群 脳神経筋疾患を持たない群 神経疾患なし いたサルコペニア有病率を調査し 各変数との関係を検証することである 群 PEG目的群の4群に分け 入退院経路 入院期間 STの介入率 経 方法 通所リハビリテーション利用中の要介護および要支援者63名 平均年 管栄養離脱率 在院死亡率などを検討した 結果 ①急性期群 104例 齢82.9±7.1歳 である 除外基準として 歩行がADL評価のFIMにて4点未 慢性期群 171例 神経疾患なし群 40例 PEG目的群 103例 の平均年 満 認知機能低下または心身機能低下等により各測定が困難な者とした 齢はそれぞれ 83歳 81歳 86歳 80歳 在院死亡率は3% 11% 30% 4%で サルコペニアに関わる評価として 真田らによる骨格筋量の推定式から あり 他施設からの転入率は全体で70% 他施設への転出率は80%であっ EWGSOPのアルゴリズムを適応させる方法と Ishiiらによるサルコペニアのス た ②急性期群 慢性期群 神経疾患なし群 PEG目的群のST介入率は クリーニングからスコア化する方法を実施した 次にサルコペニアの有無にて それぞれ95% 85% 80% 9% PEGから退院までの日数は83日 46日 55日 2群化し 各変数に統計学的な差があるかを検証した また ROC曲線分析 18日 経管栄養離脱率は11% 1% 5% 0% 全体で3.4 であった ③PEG を用い スコアのcut-off値を求めた なお 統計学的検討には統計ソフト 目的群の98 は慢性期疾患であった ④PEGに経鼻栄養を含めた最近1年 R2.8.1を使用し 有意水準は5 とした 結果 骨格筋量の推定式から サ 間の経管栄養離脱率は23% 34/148 であった 考察及び結論 ①PEGの ルコペニアと判定されたのは男性38 女性52 であった サルコペニアの 70 が他施設からの転入で80 が他施設へ転出していた PEGの適応につ 有無では 各性別でスコアとMNA-SFに有意差を認めた p<0.01および いては地域社会全体でのコンセンサスが必要と思われた ②急性期群 慢 p<0.05 ROC曲 線 分 析の結 果 男性はAUC=0.98 p<0.01 cut-off値 性期群 神経疾患なし群のST介入率は高率でありPEGから退院までの日数 女性はAUC=0.83 p<0.01 cut-off値177.6であった 考察及び結 も十分と思われ 今後経管栄養離脱率の大きな改善は困難と思われた ③ 論 本研究の結果から 地域在住の要介護 要支援者のサルコペニア有病 PEGに経鼻栄養を含めた最近1年間の経管栄養離脱率は23%であり 35 率は高く 先行研究とも一致するものとなった また要介護者等におけるスコ 以上を経口摂取のみに回復させるという施設要件を満たすのはかなり困難と アのcut-off値を用いることで 臨床での活用の幅が拡がるものと思われる 思われた 今後認知症の高齢者などに対しPEGを行わないと云う社会的コン 今後は スクリーニング方法の精度や対象者の問題といった本研究の限界を センサスが形成され PEG数が減少するまで気長に待つしかないと結論され 踏まえた上で さらなる調査 研究が必要である た P-0027 サルコぺニア構造モデルにおける早期段階から変調をきたす 因子の同定 千葉県柏市在住高齢者におけるコホート研究 P-0028 人工股関節形成術を施行した変形性股関節症患者の機能 予後 筋肉量と肥満の観点から 東京大学 高齢社会総合研究機構1 医学系研究科 国際地域保健専攻2 横浜市立大学附属市民総合医療センター 田中友規1 黒田亜希2 飯島勝矢1 渡邉直子 溝部恵美 津戸佐季子 下田隼人 折津英幸 若林秀隆 目的 地域高齢者がサルコぺニアに至る構造モデルを千葉県柏市在住高 齢者1907名の標本から横断的に作成した 生活のひろがり 社会性が口腔 機能や精神状態に影響し 栄養状態の悪化を経てサルコぺニアに至る構造 モデルである しかしながら 予防事業の効率化の観点では より早期段階 から変調をきたす因子の同定が重要であり 縦断的検討が必須である 本 研究の目的は 本構造モデルの1年間追跡における構成因子平均の変化量 を検討し これらの因子を同定することである 方法 対象は千葉県柏市在 住の満65歳以上高齢者を対象とした大規模健康調査 栄養とからだの健康 増進事業 に平成24年度かつ25年度調査に参加した1343名 男性661名 女性682名 平均年齢73.4±5.5歳 である 1年間の縦断検討を各年度調査 時値の多母集団による平均構造分析により実施した 因子平均の1年間追 跡における効果量として標準化された平均偏差を算出した 有意水準は5% 未満をもって有意とした 統計解析はIBM SPSS ver22 AMOS ver22を用 いた 結果 多母集団の平均構造の導入に際し 測定不変モデルが高い 適合度を示し GFI=0.967 AGFI=0.955 RMSEA=0.034 平均構造を導 入した 追跡前後比較により 生活のひろがり 社会性 が効果量-0.99 精神状態の低下 が0.16 口腔機能 は とほぼ同値であったが 低下傾向であった 結論 地域高齢者においては 1年間の追跡にも関ら ず 生活のひろがり 社会性が大きく減少し 精神状態も小程度減少してい た サルコぺニアに至る構造において 生活のひろがり 社会性が最も早期 に減少し 次いで精神状態が減少する因子であることが明らかとなった 本 検討の結果より 地域高齢者のサルコぺニア予防に対する生活のひろがり 社会性に対する介入が重要である可能性がある 290 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 目的 今回変形性股関節症で人工関節形成術 以下THA を施行した患 者の筋肉面積を調査し 筋肉面積 BMIと手術後の機能予後との関連性に ついて検討する 方法 対象は2007年4月から2013年3月までに当院にて変 形性股関節症でTHAを施行し 術前に骨盤CT検査を行った患者148名 CT画像上の第4腰椎レベルの両側大腰筋の筋肉面積をスライスオマティック で測定 今回 基準値が存在しないため 筋肉面積25パーセンタイル以下を 筋肉量減少によるプレサルコペニアとした プレサルコペニアかつBMI25上 の場合をプレサルコペニア肥満とした 筋肉面積 BMIと退院時の腸腰筋筋 力 歩行スピード 退院時移動能力 術後入院期間の関連を検討した 結 果 平均年齢67歳 男性15名 女性133名 対象者の平均BMIは男性 26.0 女性23.6 大腰筋の平均筋肉面積は男性19.59±5.63cm² 女性11.27 ±2.67cm² 筋肉面積の25パーセンタイル値は男性15.38cm² 女性9.72cm² プレサルコペニアは男性4名 女性33名 プレサルコペニア肥満は男性2名 女性5名であった 対象の筋肉面積と退院時の腸腰筋筋力に相関はなかっ た またプレサルコペニアの有無で 術後日数 移動能力 歩行スピードに有 意な差は認めなかった 女性のBMI25以上の肥満群とBMI25未満群を比 較すると 術後入院期間で23.1日 19.3日と肥満群で有意に長く p<0.05 ま た退院時の移動能力では 肥満群の歩行獲得率が73%に比べ非肥満群は 90%とより高い率で歩行を獲得していた p<0.05 考察 肥満の有無が入 院期間や移動能力に影響を及ぼすことが示唆された

9 P-0029 骨格筋量の変化が女性関節リウマチ患者と非関節リウマチボランティアの血 圧 糖 脂質代謝に与える影響- TOMORROW研究による横断 縦断解析- 回復期リハビリテーション病棟におけるサルコぺニアの 現状 脳卒中症例を中心に 大阪市立大学大学院 生活科学研究科 栄養医科学 荒木脳神経外科病院 外科1 内科2 看護部3 リハビリテーション部4 臨床検査部5 NST6 松本佳也 羽生大記 藤井辰義1 渡辺健一2 野村勝彦2 山下美紀枝3 水戸裕香4 西田麻衣子5 井口由香梨6 目的 サルコペニアは 血圧 糖 脂質代謝に影響することが報告されてい る 昨年我々は 関節リウマチ RA 患者において 骨格筋量と脂質代謝が 関連することを横断調査により本学会で報告した 今回我々は 経年的な調 査を含め 骨格筋量と血圧 糖 脂質代謝の関連性を非RAコントロールも 含めて詳細に明らかにすることを目的とした 方法 RA患者と非RAコントロ ールを対象とした前向きコホート研究 TOMORROW研究 に登録された 女性RA患者177名と年齢をマッチングした女性非RAボランティア172名を対 象とした 2010年と2013年においてDEXA法による体組成分析 採血 血 圧測定等各種臨床検査を行った サルコペニアの有無の判定には 四肢骨 格筋量の合計を身長で除した骨格筋指数を用い 真田らの女性5.46kg/m2 をカットオフ値として用いた データは2010年の横断解析と2010年から2013年 までの経年変化を縦断解析した 結果 RA患者において サルコペニア群 は非サルコペニア群よりもLDLコレステロール アポ蛋白B アポ蛋白B/A1比 が有意に高値を示した p < 0.05 骨格筋指数は年齢 BMI RAの疾患 活動性を調整した上でもLDLコレステロール r = アポ蛋白B r = アポ蛋白B/A1比 r = と有 意な負の相 関を示した p < 0.05 経年的な骨格筋指数の変化値は 年齢 BMI 疾患活動性の変化 値を調整した上でもアポ蛋白B アポ蛋白B/A1比 インスリン HOMA-Rの 変化値と有意な負の相関を示した p<0.05 非RAコントロールにおいても同 様の傾向を示した 考察及び結論 骨格筋量の変動は女性RA患者のみな らず 女性非RAコントロールにおいても糖 脂質代謝に影響しうることが示 唆された P-0031 回復期リハビリテーション病棟入院高齢者におけるサル コペニア有症率 AWGSアルゴリズムによる検討 目的 サルコぺニアの概念は まだ不明な点が多い 診断は脳卒中例では 四肢麻痺 ふらつきなどのため歩行速度や握力測定が困難な事が多く 骨 格筋肉量指数SMIが主となる 今回 回復期リハビリテーション 以下リハビ リ 病棟での脳卒中例でSMIを測定し現状を探った 方法 脳卒中後に回 復期リハビリ病棟で加療中した66名 男:女35 31 平均75才 を対象 SMI は生体インピーダンス法InBodyS10で測定し 真田らによる日本人調査をもと に男6.87kg/ 女5.45kg/ 以 下をサルコぺニア群 S群 男6.88~7.77 kg/ 女5.46~6.12 kg/ をサルコぺニア予備軍 PS群 PS群上限値以上 を正常群 N群 と3群に分類 更に体脂肪率を基準にサルコぺニア肥満 以 下S肥満 男30 女35 以上 を抽出した 回復期リハビリ病棟にて1回/月 の割合で計測しSMI 脂肪率 脂肪量などを計測 また入棟前後のFIM計 測で利得を算出した 結果 男性のSMI平均値は6.46 kg/ でS群20人 57 PS群11人 32 N群4人 11 女性のSMI平均値は4.70 kg/ でS 群21人 68 PS軍9人 29 N群1人 3 更にS肥満は12人 26 男: 女5: 7 経過中の筋肉量比 SMI比 脂肪量の変化率は全体で であった 筋量の変動は上肢に比べ下肢筋が多く 特に麻痺側下肢の筋力 低下が目立った S肥満例は重症例が多く 脂肪量の減少に有意差はなかっ た 回復期でのFIM利得は S群で16.38点 PS+N群では22.28点とS群のリ ハビリ効果は低かった 考察 サルコぺニアは脳卒中例の62 予備群を 含むと92 と予想以上に多かった 女性では S肥満と共に男性に比し多く しかも重症例が多かった リハビリにて筋肉量が増加し 脂肪量は減少する 傾向にあった S群はFIM利得も少なく サルコペニア改善には 投与カロリ ーの増加など活動指数の再考 蛋白質やアミノ酸製剤の補給 レジスタンス 運動の強化が必要と考え 今後のリハビリ医療を再構築し 患者ADLの改 善を目指したい P-0032 高齢2型糖尿病患者のサルコぺニアの実態 社会医療法人社団 熊本丸田会 熊本リハビリテーション病院 理学療法科1 歯科2 栄養管理科3 リハビリテーション科4 和歌山県立医科大学大学院医学研究科 糖尿病 内分泌代謝内科学1 和歌山県立医科大学附属病院 病態栄養治療部2 備瀬隆広1 白石 愛2 島津小百合3 吉村芳弘4 眞城 桂1 田中明紀子2 川村雅夫2 石橋達也1 西 理宏2 赤水尚史1 目的 2014年にAsian Working Group for Sarcopenia AWGS におい てアジア人におけるサルコペニアの診断基準が発表された 今後の日本にお けるサルコペニアのエビデンス創出はこの基準を採用することが推奨される 本研究の目的は回復期リハビリテーション病棟入院高齢者におけるサルコペ ニア有症率をAWGSの基準を用いて明らかにし 関連する因子を調査するこ とである 方法 2014年4月から6月に回復期リハビリテーション病棟に入院し た65歳以上の全症例58名 80.76±8.45歳 男性34名 を対象とした 研究デ ザインは横断研究 インピーダンス法 InBodyS10 により骨格筋指数 SMI を算出し SMIと握力がAWGSの基準値 SMI:男性7.0kg/m2 女性5.7kg/ m2 握力:男性<26kg 女性<18kg を下回る者をサルコペニアとした 関連 因子としてADL FIM運動項目 認知機能 FIM認知項目 体組成 栄 養状態 MNA-SFなど 生化学血液検査 Alb Hb CRP Cr などとの関 連性を検討した 結果 SMIは男性6.20±1.36 女性5.11±0.95で性差あり 男性では19名 55.9% 女性では14名 58.3% がサルコペニアに該当した サルコペニアの有無とAC CC BMI 体細胞量 握力 FIM運動 FIM認 知 TEE MNA-SF Alb Hbが年齢と性を調整後も有意な相関を認めた 多変量解析ではFIM認知項目のみ独立して関連を認めた オッズ比 %信頼区間 p<0.01 考察及び結論 回復期リハビリテーショ ン病棟入院患者においてサルコペニア有症率を求めたところ 男性では 55.9% 女性では58.3%がサルコペニアに該当した また 特に認知機能低下 との関連性が示された P-0030 目的 糖尿病はサルコぺニアの原因の一つであり 糖尿病高齢者は健常高 齢者に比べてサルコぺニアの有病率や重症化が進行しやすいと考えられる そこで2型糖尿病患者のサルコぺニアの実態について検討した 方法 対 象はA群 平成22年5月 平成26年2月の間に栄養食事指導実施した2型糖 尿病患者382名 年齢は22歳 88歳 うち65歳以上159名 とB群 平成25 年8月 平成26年3月の間に入院外来通院の高齢2型糖尿病患者54名 年 齢は65歳 85歳 である A群はInBody720にて体組成を測定 B群は体組 成に加えて普通歩行速度 握力 JMS舌圧測定器による最大舌圧 食物摂 取頻度調査FFQgによる身体活動量と栄養摂取量を調査した 比較する健 常高齢者のデータは 谷本 芳美らの 地域高齢者におけるサルコぺニアに 関連する要因の検討 日本公衆衛生雑誌 2013,60 11 : より引用し た 結果 ①2型糖尿病患者A群の補正四肢筋肉量は 男女とも加齢によ る有意な低下が認められた ②2型糖尿病高齢者A群は地域高齢者に比べ て筋肉量は男性のみにおいて 握力と普通歩行速度は男女共に有意な低 下が認められ サルコぺニア有病率も男女共に有意に高値であった ③2型 糖尿病高齢者B群の女性において 握力と舌圧に有意な相関が認められた ④2型糖尿病高齢者B群の男性の握力の強い群は弱い群に比べてエクササ イズ量とインスリン分泌能が有意に高値であった 考察及び結論 2型糖尿 病高齢者は地域高齢者よりサルコぺニアに陥りやすく 女性の2型糖尿病高 齢者がサルコぺニアに陥ると 摂食嚥下障害や栄養摂取量の不足を招きや すいことが考えられる また 男性の2型糖尿病高齢者において 3メッツ以上 の活発な身体活動は筋力とインスリン分泌能の維持に有効であると考えられ る 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

10 P-0033 頭頸部癌患者におけるサルコペニアに関しての検討 第2報 P-0034 生体電気インピーダンス分析 BIA による筋肉量測定の 妥当性評価 市立函館病院 耳鼻咽喉科 神奈川県立がんセンター 胃食道外科1 横浜市立大学 外科治療学2 今野信宏 川邉泰一1 瀬上顕貴1 林 茂也1 青山 徹1 幕内洋介1 佐藤 勉1 大島 貴2 利野 靖2 益田宗孝2 尾形高士1 長 晴彦1 吉川貴己1 頭頚部癌患者では摂食嚥下障害を来すことがおおく 容易に栄養不良に 陥りやすい また 担癌状態では様様なサイトカイン産生や 代謝変化に伴 い 癌悪液質状態を呈する 近年サルコペニアに関しての議論が活発に行 われており がん患者においては常に念頭に置いておかなければならない病 態であるが 頭頸部がん患者に関しての報告は少ない 前回の静脈経腸栄 養学会において 頭頸部癌患者におけるサルコペニアに関しての検討を行っ た 今回は症例を追加し 治療による経過や予後に関しても検討を加えたの で報告する P-0035 食道癌手術症例における術前サルコペニアが術後合併症 に与える影響 目的 最近 癌診療においても体重やBMIのみならず体組成の重要性が 強調されてきている 当科では2011年5月以降 待機的な胃癌手術症例では 生体電気インピーダンス分析 BIA を用いた周術期の体組成測定を行って いる BIAは簡便で検査費用は高価でなく日常診療での筋肉量測定に適し ているが 体型や実質臓器重量の影響を受けるため正確ではないとされる また BIAの信頼性に関するデータは乏しい CTおよびMRIは 筋肉量測 定のゴールド スタンダードとされるが 費用の高さや放射線被爆の問題があ り 使用は制限される 本研究ではBIAによる筋肉量測定の妥当性を評価し た 方法 2011年5月 2013年5月までに当科で根治目的に胃癌手術を施行 された症例を対象とし 術前の筋肉量を測定した 手術入院時に体組成計 MC-180 TANITA を用いてBIAで筋肉量を測定した CT MRIにおけ るL3領域の骨格筋断面積は全身の筋肉量をよく反映するといわれており 画 像解析ソフトsliceOmatic Ver5.0 Tomovision を使用し術前CTのL3領 域の連続2スライスで骨格筋断面積を測定し その平均値を算出し全骨格筋 量の代替値と定めた CTで測定した筋肉量とBIAで測定した除脂肪体重 LBM lean body mass と推 定 筋 肉 量 LBM-推 定 骨 量 との 相 関を Pearsonの積率相関分析を用いて解析した 結果 2011年5月 2013年5 月に314例が手術を施行され CT画像が解析可能であった280例を対象とし た CTで測定した筋肉量とBIAで測定したLBM 推定筋肉量との相関はそ れぞれ LBMでr=0.771 p<0.001 推定筋肉量でr=0.829 p<0.001であり いずれも強い相関を示した 計算により求めた推定筋肉量のほうが LBMよ り強い相関を認めた 考察及び結論 BIAによる筋肉量測定は CTを用い た筋肉量測定に対して 良い代替方法であると言える P-0036 胃切除後の骨格筋面積と腹腔内脂肪面積の変化と特徴に ついて 国立病院機構 大阪医療センター 外科1 栄養サポートチーム2 KKR高松病院 外科1 看護部2 福田泰也1 山本和義1 萩原清貴1 西川和宏1 平尾素宏1 中山 環2 谷川 清2 前田 栄1 原口直紹1 三宅正和1 濱 直樹1 宮本敦史1 池田正孝1 中森正二1 関本貢嗣1 出石邦彦1 小野坂奈津代2 川田英里2 宮武由佳2 山下智麻2 氏部勢子2 目的 各癌腫においてサルコペニアが与える影響についての知見が広がり つつある 今回 我々は食道癌手術症例におけるサルコペニアについて検討 した 方法 対象は 2012年8月から2014年7月までに食道癌に対して根治 術を施行した26例 65歳以上を対象に EWGSOPの基準に従い 術前に 歩行速度 m/s 握力 kg InBody720 Biospace社 によるSMI 骨格筋 量/身長2 値からサルコぺニア有無を判定した サルコぺニア症例と高齢非 サルコぺニア 65歳未満の症例で2群に分け その背景および術後合併症と の関連について検討した 結果 全26例の平均年齢は65.4±9.4歳 男/女 :23/3 65歳以上の症例は15症例で このうちサルコぺニアと判定した症例 は11例 73% この11例 サルコぺニア有群 と残り15例 高齢非サルコぺニ ア症例4例 65歳未満の症例11例: サルコペニア無群 の背景では BMI kg/m2 血清Alb値 総リンパ球数 PNI NLR 好中球/リンパ球数 PLR 血小板数/リンパ球数 および術前摂取カロリー kcal/ibw Kg 摂取蛋白量 g/ibw Kg に差を認めなかったが ASA-PSは有群で悪く p=.02 術前呼吸機能も有群で有意に悪かった 肺活量 一秒量ともに p<.001 術中因子には差を認めなかった 術後合併症は Clavien Dindo 分類でGrade3以上の症例が有群で有意に多く 81.8% vs 33.3% p=.01 このうち無気肺 肺炎などの呼吸器合併症も有群で有意に多かった 63.6% vs 6.7% p<.001 高齢非サルコペニアの4例にはGrade3以上の肺炎を認め なかった 考察及び結論 65歳以上の食道癌手術症例では 高率にサル コペニアを合併しており 術前ASA-PS 呼吸器機能が悪く 重篤な術後合 併症率が有意に高く 特に呼吸器合併症ではその差が顕著であった 術前 にサルコペニアと診断された食道癌手術症例に対しては 積極的な栄養介 入や呼吸器リハビリ エクササイズの導入が望まれる 292 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 目的 近年 Sarcopenia 骨格筋減少症 が注目されるなか Lipopenia 脂 肪減少症 が提唱され 悪性疾患における予後とこれらとの関係が報告され ている 今回 我々は胃全摘術後の筋肉量 脂肪量の体組成変化について 報告する 方法 当院で2009年4月から2013年10月までに胃癌で胃切除が 施行され その後の定期CT撮影が行われている94例 胃全摘35 幽門側胃 切除53 胃部分切除6 を対象に CT画像解析ソフトでL3レベルでの骨格筋 面積 臍レベルの脂肪面積を身長の2乗で割った骨格筋量指標 SMI 全 脂肪指標 AMI 皮下脂肪指標 SAMI 腹腔内脂肪指標 VAMI から 術後6カ月値の術前値との 比を求めた 結果 胃切除6カ月後には術前値 の89.3%と有意な体重減少を示した SMI% AMI% SAMI% VAMI%は それぞれ93.7% 61.1% 65.1% 59.1%と有意に低下した 術式別に幽門側胃 切除 胃全摘では体重は %と有意差を認め 体組成もSMI%は % AMI%は % SAMI%は % VAMI%は %と 胃全摘でより高度な筋肉 脂肪減少を認めた 幽門側胃切 除では術後2年以後で体重増加傾向を示したが 胃全摘では認めなかった 胃全摘後の入院中の食事量変化と術後6カ月の体組成には有意相関は認め なかった 術 後1年 以 内の再 発 群 12例 では再 発なし群 23例 と比 べ SMI%とVAMI%で有意差を認め 担癌状態で骨格筋減少と腹腔内脂肪減 少が高度に起った 考察 体組成からみると幽門側胃切除と胃全摘は全く 異なる術式であった 胃全摘直後のNST介入も大切だが 長期的には入院 中の食事量とは関係ないため 術後CTで大きく変動する腹腔内脂肪測定に より重点症例を選択し 外来NSTでの栄養指導強化が必要である 筋肉量 の減少は早期胃癌胃全摘術後にも発生しており 高齢化社会になり胃全摘 ーSarcopeniaー要介護となる高齢者が増加すると思われ その対策が急が れる

11 P-0037 血液透析患者のFrailtyとPEW サルコペニアの関連 翌日より経口食開始予定手術におけるインスリン切替え 指示の作成と評価 H N メディックさっぽろ東1 H N メディック北広島2 熊本市民病院 代謝内科1 栄養管理技術室2 薬剤課3 神経内科4 角田政隆1 伊藤真理1 斎藤美幸2 池江亮太2 櫨川岩穂1 楊 淑恵1 藤枝典子1 狩場宏美1 園田亮子2 吉田 愛3 橋本洋一郎4 目的 Frailtyは生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が 亢進し 生活機能障害 要介護状態 死亡などの転帰に陥りやすい状態と 考えられている CKD患 者はFrailtyの有 病 率 が 高いとの報 告もある Frailtyは蛋白-エネルギー消耗状態 Protein-energy wasting; PEW やサ ルコペニアとの関連も示唆されているが 今回は血液透析 HD 患者の FrailtyとPEWやサルコペニアとの関 連 またFrailtyに関 連 する因 子の PEWやサルコペニアの有無よる違いを検討した 方法 当院HD患者51名 男 女 比25 26 年 齢68±10歳 透 析 歴143±115月 に 対してFrailty PEW サルコペニアの有無を診断し それぞれの関連を検討した また FrailtyにPEW またはサルコペニアを併発している群 単独で認める群 ど ちらも認めない群で関連する因子を検討した なお FrailtyはTFI Tilburg Frailty Indicator を PEWはISRNM 国際腎臓栄養代謝学会 の診断基 準を サルコペニアはSMI Skeletal muscle mass index; 骨格筋指数 を 用いて診断した 結果 Frailtyは32名 63% PEWは12名 24% サル コペニアは25名 49 であった それぞれの状態に有意な関連はなかった FrailtyとPEWの検討では Frailtyのみを呈したのは23名 45% PEWの みは3名 6% 併発は9名 18% であった Frailtyに関連する因子でPEW の有無により差が出たものは 血清アルブミン p=0.07 とMIS p=0.007 であ った Frailtyとサルコペニアの検討では Frailtyのみは16名 31% サルコ ペニアのみは9名 18% 併発は16名 31% であった 同様に サルコペニ アの有無により差が出たものは SMI p=0.006 と高感度CRP p=0.05 であ った 考察及び結論 FrailtyはPEWやサルコペニアとは異なる概念である が 併発した場合の予後は悪くなることが容易に推測される Frailtyとなっ た状態では栄養状態や炎症状態をなるべく早い段階で改善させることが重 要であると考えられた P-0039 術前のアミノ酸含有流動食の経口摂取が術中低体温に及 ぼす効果 目的 術後早期の経口食開始は栄養管理上も好ましいが 術後にはインスリ ン In 感受性低下とともに食思不安定も予想され In必要量の正確な予測 は難しい 手術翌日にも良好な血糖管理を行うこと そのために患者毎 指 示者毎に標準化された適切な指示を行うこと等を目的に In切替えスケール Sc を作成した 方法 術翌日の目標は 低血糖をきたさずに食前140mg/ dl未満 食後1hr 許容 未満とした Scでは術前治療内容と血 糖状況で症例を層別化し 体格 高齢 腎機能障害 炎症 その他の因子 を考慮して 最終的に8段階のIn投与パターンに振り分けた Inは超速効型 毎食直前と持効型眠前注射を基本とし 食思不振の場合には血糖値と摂食 量に応じて食後投与とした 2日目以降は個別に対応した 対象手術は整形 外科 乳腺外科症例が多く 手術前日入院や外傷緊急手術も含む 小手術 や妊婦 その他医師が不適切と判断した場合にはSc適応から除外した 結 果 まずH25.1-4月に48例で検討した結果 術翌日の血糖 全例平均±SD は朝食前142±40.2 朝食後 1hr 199±41.4 昼食前180±53.2 昼食後215 ±57.1 夕食 前170±51.3 夕食 後211±50.1mg/dlであった Scを修 正し H 月に49例で検討した結果 朝前134±32.3 朝後195±33.4 昼前 159±38.2 昼後199±42.5 夕前151±48.2 夕後199±44.4に改善した 現在 さらに検討中である 考察及び結論 これまでに 種々の術前管理状態の 症例も今回のScである程度管理可能であること 術前管理不良な群では術 後の血糖も不良であること Scの強化は低血糖の増加を伴い限界域がある こと よって個別対応が望ましい例を適切に判別して除外する必要があること 等が示唆された P-0040 高齢者消化管手術に対する術後早期経口補水食導入の 効果に関する検討 手稲渓仁会病院 外科1 栄養部2 看護部3 薬剤部4 東北薬科大学病院 荒木謙太郎1 中村文隆1 寺村紘一1 入江 翠2 田中智美2 島田 文3 芳賀孝史4 児山 香 柴田 近 岩指 元 向田和明 佐藤龍一郎 中村隆司 早坂朋恵 目的 周術期の低体温が術後合併症の増加や入院期間の延長を来すとさ れるが その予防法としてアミノ酸輸液の効果が報告されている 当施設で は2011年8月から腹腔鏡下大腸切除術にERASプロトコールを導入し 術後 早期回復 早期退院を進めてきた 本プロトコールでは 術前の炭水化物負 荷飲料としてにアミノ酸含有の消化態流動食であるペプチーノの経口摂取を 取り入れている アミノ酸の術前の経口投与と術中低体温との関係について 検討した 方法 2011年8月以降にERAS protocolで腹腔鏡下大腸切除 術を受けた173例を対象とした 術前2時間前までアミノ酸含有の消化態流 動食の経口摂取を行い 術中の低体温 36 の有無について後ろ向きに 検討した 対照群は本protocolを導入する以前の従来法で管理された48例 とした 結果 術中低体温はERAS群の49例 28.3 に認められ 従来群 47.9% より有意に減少した p 0.02 両群の手術時間 出血量 術後合 併症に有意差を認めなかったが p 0.05 術後在院日数はERAS群で有意 に減 少した p 考 察 及び 結 論 術 前 経口アミノ酸 摂 取による dietary-induced thermogenesisが 術中の低体温の予防に寄与する可能 性が示唆された P-0038 [背景] 社会の高齢化に伴い高齢者の手術症例が近年増加傾向にあり ま た術後の回復を促進するためERAS enhanced recovery after surgery protocolが導入されてきている 当院消化器外科では消化管手術後の絶食 期間を短縮させることを目的に2010年9月より補助食品を用いた経口補水食 アイソカル アルジネードウォーター 250 ml アバンド 1/2P ブイ クレス 125 ml を術後第1病日より開始し そしてこの経口補水食は消化 管手術のクリニカルパスに組み込まれた [目的] 80歳以上の消化管手術症 例に対して術後第1病日からの経口補水食導入の安全性と有効性について 検討した [対象と方法] 2008年8月から2013年12月まで当院で施行した80歳 以上の消化管手術症例148例を検討し 次に早期経口補水食導入前74例 導入後74例での術後合併症 術後在院期間 転帰について検討した [結 果] 対象全体では 平均年齢は84.5歳 術後在院期間は22.3日 死亡例は4例 2.7% であった 術前の栄養状態は主観的栄養評価において中等度から 高度栄養不良は40症例 27.0% に認められ栄養学的予後指数 PNI は 42.2と低下していた 術後合併症は導入前群で術後創感染 SSI 26例 35.1% 誤嚥性肺炎 9例 12.2% 術後腸管麻痺遅延 6例 8.1% に認め られたのに対し 導 入 後 群ではそれぞれ8例 10.8% 5例 6.8% 3例 4.1% であり導入後群で術後合併症は改善しており特にSSIに対しては有 意に低下した 術後在院期間は導入前群で24.1日 導入後群で20.5日であり 有意差は認めなかったが導入後群で短縮傾向にあった [結語] 80歳以上 の高齢者消化管手術症例において術後1日目からの経口補水食は術後合 併症の発生を改善させ比較的安全に施行された 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

12 P-0041 食道癌術後早期経腸栄養における低脂質含有栄養剤によ る乳び流出の予防効果 P-0042 食道癌術後患者における脂質炭水化物比の異なる経腸栄 養剤投与が血糖管理に及ぼす影響 新潟大学医歯学総合病院 消化器 一般外科 東北大学病院 移植再建内視鏡外科1 岩手県立中央病院 消化器外科2 諸 和樹 小山 諭 若井俊文 中野 徹1 宮田 剛2 亀井 尚1 阿部薫夫1 桂 一憲1 櫻井 直1 谷山裕亮1 手島 仁1 直島君成1 日景 允1 大内憲明1 目的 周術期栄養管理において早期の経腸栄養 EN 開始が有用とされて いる 当科では食道癌術後でも早期経腸栄養を導入しているが 食道癌手 術の合併症として乳び胸水がを認めることがある 脂質は一般にリンパ経路 で吸収されるため 脂質含有量の多いEN剤は乳び流出 胸水 腹水 を増 悪させるリスクを伴いうる 今回 当科における食道癌術後ENにおける 低 脂質含有栄養剤による乳び胸水の予防効果について検討した 対象と方 法 2002年 2014年6月の期間で 当科で胸部食道癌3領域郭清手術を施 行した 症 例を対 象とし 術 後EN開 始 時に半 消 化 態EN剤 polymeric formula:pf を用いたH群と 低脂質含有栄養剤 elemental diet: ED を 用いたL群の2群に分け 術前栄養状態 投与ENカロリー 体重減少率 EN開始日 排便までの日数 呼吸器管理期間 ICU滞在期間 TPNの併 用状況 合併症の有無 術前後のAlbumin値の差 および乳び胸水出現 の有無などの項目について比較 検討を行った 統計学的分析はMannWhitney検定 χ2検定を用い P 0.05を有意とした 結果 該当症例は 74例であり H群53例 L群21例であり 両群間で男女比に差を認めなかっ た 術前の栄養状態では 両群間でBMI 血清Albumin値に差を認めなか った H群に比し L群で有意に早くEN開始されており P 0.01 投与カロ リーも有意に多かった P 0.01 また L群はH群に比べ 呼吸器管理期間 およびICU滞在期間が有意に短く P 0.05 TPN併用が少なかった P 0.01 乳び流出は6例で認められ 乳び胸水6例 乳び腹水1例 その内訳 はH群5例 L群1例であった 尚 L群での1例は EDからPFに変更した際 に乳び胸水の発症を認めた 結語 胸部食道癌3領域郭清では 手術操 作によりリンパ管損傷を伴いうるため 乳び流出のリスクがあるが 経腸栄養 開始時の際 低脂質含有栄養剤 ED の使用は乳び流出の予防に有用で ある P-0043 アクティグラフを用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術における周 術期身体活動量の評価 目的 周術期に血糖を厳密にコントロールすることは合併症の減少に寄与す ると報告されている 本研究では食道癌術後の患者において低糖質の濃厚 流動食投与が血糖値の安定化や質素バランスに与える影響を無作為前向き 試験で検討した 方法 食道癌患者を封筒法により無作為に低糖質流動 食摂取群 LC群23例 と高糖質流動食摂取群 HC群23例 に選択し腸瘻を 介して投与した LC群とHC群の炭水化物の組成はLC群で100mlあたり8g に対してHC群では13.24g その他の脂質 タンパク質 水分 エネルギー量 の組成は同様である 血糖値はICUではインスリンドリップで80-150mg/dlを 目標にコントロールし 病棟では標準化スライディングスケールに基づいて管理 した 血糖値の変動 インスリンの投与量 血中インスリン値 窒素バランス 白血球 CRP 周術期合併症の有無を比較検討した 結果 術後7日間の 総インスリン投与量はLC群で58±60.3IU HC群で104±163IUであり LC群 で低い傾向があった 窒素バランスはLC群で19.1±5.8 g/dl HC群で16.6± 3.9 g/dlと差がなかった 周術期の合併症についてLC群とHC群で発生率に 差は認めなかった 術後7日間の総エネルギー投与量 経静脈栄養のエネル ギー量は両群で差がなかった 考察及び結論 低糖質流動食の食道癌周 術期における経腸投与は有害事象に差がなく安全に施行できると考える 血 糖値はLC群で低い傾向が有り使用インスリンも減少させる傾向が有るが 窒 素バランスに対しては影響を与えなかった 今回の研究では高カロリー輸液も 併用されていたが今後経腸栄養剤の全投与カロリーに閉める割合が高くな る状況ではさらに低糖質流動食は血糖の安定性に寄与し 安全に施行でき る可能性が有ると考える P-0044 膵癌術前CONUT評価による 周術期成績 予後予測 公益財団法人 仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器外科 一 般外科1 味の素株式会社イノベーション研究所2 東北大学大学院 消化器外科 長塚大毅1 土屋 誉1 本多 博1 及川昌也1 柹田徹也1 小山 淳1 赤澤直也1 菊池直彦1 栗原重一2 柴草哲朗2 元井冬彦 工藤克昌 中川 圭 大沼 忍 長尾宗紀 海野倫明 目的 消化器外科手術における術後回復過程の評価因子として 周術期 の身体活動量を評価したものは少ない 低侵襲手術における従来の術後回 復度の指標は 施設間ごとの治療方針や社会的な事情の影響が大きく より 客観的な指標が求められる 今回 体動の加速度を測定する加速度センサ ーを用いて周術期身体活動量を測定し その推移について検討したため報 告する 方法 対象は 当科にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った症例とし 加速度センサーを用いて周術期の行動を記録した 加速度センサーは 米 国A.M.I.社製の腕時計型小型高感度加速度センサー ロガーであるマイク ロ モーションロガー時計型アクティグラフを用いた 以下アクティグラフ アク ティグラフは 中心周波数帯域が2-3Hz 分解能が0.01Gの高感度加速度セ ンサー ロガーであり 睡眠 覚醒判定や 人間の休止 活動リズムを正確 に検出し 自動計測 記録を行う アクティグラフを非利腕に24時間装着し 周術期の身体活動量を測定した 専用の解析ソフトを用いて平均活動係数 身体活動数の中央値 身体活動係数の標準偏差 体動加速度指数を算出 した 測定期間は術前日から退院日までとした 結果 腹腔鏡下胆嚢摘出 術において 平均身体活動係数 count/min は 術前日で 術当日 は66.37 術後1日目は92.58 術後2日目は 術後3日目は 術後4 日目においては164.77と術前と同等のレベルまで回復していた 身体活動数 の中央値は 術前日で175 術当日は2 術後1日目は37.5 術後2日目は118 術後3日目は150 術後4日目は183と 平均活動係数と同様の推移を示した 考察 アクティグラフを用いた身体活動量の測定は 周術期の回復過程を 客観的 定量的に評価する指標として有用である可能性が示唆された 294 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 背景 Controlling Nutritional Status Score CONUT値 は アルブミン コレステロール リンパ球からなる指標で 低栄養の拾い上げに有用である 一方栄養指標が癌外科治療の周術期成績 予後予測に有用とされる 目 的 膵癌切除の周術期成績 予後予測にCONUT値による評価の有用性を 検討する 方法 年に当科で切除された通常型膵癌208例中 CONUT値算出のデータが欠損していた例を除く204例を解析 カルテ 診 療データベースより 背景臨床因子 年齢 性別 身長 体重 腫瘍因子 腫瘍主座 進行度 栄養評価指標 アルブミン 総コレステロール 総リン パ球 CRP 治療介入 術前治療 術式 手術時間 出血量 を抽出し 合併症発生 術後在院 生存期間との関係を求めた 術前CONUT値か ら 正常 軽度 N群:score=0~4 と中等度 高度異常 H群:score=5~12 の2群に分けて比較した 結果 N群168例とH群36例を比較すると 年齢 性別 腫瘍主座 進行度 術前治療の有無 術式 手術時間 出血量の いずれにも有意差はなかった 合併症発生率はN群 H群で49% vs 61%で 差はないが p=0.15 重症合併症 Clavien分類3B以上 発生率は6% vs 17% p=0.028 術後在院日数は22日 vs 28日 p=0.046 在院死亡率は 1.8% vs 8.3% p=0.035 といずれもH群で不良であった 術後生存期間は N群32.5ヶ月 H群20.3ヶ月であり H群で有意に短かった p=0.044 N群 H群の術後補助療法の開始率は86% 69% p=0.011 補助療法開始まで の期間は38日 52日 p=0.036 であった 考察及び結論 膵癌術前の栄養 評価による層別化は 進行度や治療介入とは独立して周術期成績や治療予 後に関連していた 膵癌の治療成績向上には 術前栄養不良に対する適切 な栄養介入を検討して行く必要があると考えられる

13 P-0045 周術期Synbiotics療法を取り入れたERAS導入による膵 頭十二指腸切除術周術期管理への取り組み 大腸癌周術期における体組成および基礎代謝率の変化の 検討 国立病院機構金沢医療センター 外科1 NST2 磐田市立総合病院 NST 山口 紫1 大西一朗1 2 萱原正都1 中西 香2 小林恵里奈2 田淵勝則2 尾西恵理2 宗石順子2 越田雅代2 正印克夫2 宇野彰晋 宮田美保子 正木銀三 寺田恭子 熱田洋平 はじめに 膵頭十二指腸切除術 以下PD は消化器手術の中でも侵襲が 大きく しばしば周術期管理に難渋する 近年 術後回復能力を強化する包 括的なプロトコールとしてEnhanced recovery after surgery ERAS が注 目されている 当 科 では2012年4月よりPD対 象 症 例に対して 術 前より synbiotics probiotics:bm 1日3g ヤクルト400 1日2本 prebiotics:gfo 1 日3包 を導入し 術後は早期経腸栄養を開始した さらに歯科口腔外科医 による周術期口腔ケア 周術期リハビリテーションを導入した 対象 対象は 2011年4月から2014年3月までに当科で膵頭十二指腸切除術を行った28例 男:女=17:11 で 28例をERAS非施行11例 NE群 施行17例 E群 に分けて検討した 結果 平均年齢は71歳 NE/ E: 72歳/ 71歳 で 75歳 以上の高齢者は11例 39 E/ NE: 5例/ 6例 で 糖尿病や高血圧 心疾 患などの併存疾患合併症例は21例 75 NE/ E: 7例/ 14例 であった 疾 患の内訳は胆管癌 11例 膵癌 9例 乳頭部癌 5例 膵神経内分泌腫瘍 1 例 十二指腸癌1例 胃癌1例であり 両群間に差は認めなかった 平均手 術時間はNE/ E: 734分/ 639分 平均術中出血量は399ml/ 369mlであっ た 術後感染性合併症は7例 25 NE/ E: 6例/ 1例 に認めた 内訳は 尿路感染症 3例 NE/ E: 3例/ 0 肺炎 3例 NE/ E: 3例/ 0 胆管炎 3例 NE/ E: 2例/ 1例 腹腔内膿瘍 1例 NE/E:1例/0 であり NE群の方が 有意に術後感染性合併症の発生頻度が高かった P 0.05 感染の起因菌 としてはNE群でMRSAを2例で検出しているが E群では耐性菌を検出しな かった ドレーン排液培養でもNE群でMRSA を3例で検出しているが E群 では耐性菌を検出しなかった ERAS導入による耐性菌予防の効果が確認 された まとめ PDにおける周術期のsynbiotics 口腔ケア リハビリテーシ ョンの導入及び早期経腸栄養の開始は術後感染性合併症の発生予防に効 果的であると考えられた P-0047 大腸癌術後患者における栄養状態回復遅延に関わる予測 因子の検討 目的 大腸癌の周術期における体組成および基礎代謝の変化について検 討した 方法 平成26年1月 6月に待機的大腸癌手術症例に対し 術前 および術後約1週間後の体重変化 体脂肪率 筋肉量 基礎代謝率等につ きタニタのInner Scan50Vを使用し前向きに検討した 直前まで食事が可能 であり 術後も縫合不全等重篤な合併症を認めず 早期から経口摂取が可 能であった28症例を対象とした 透析症例 術前または術後に長期絶食で あった症例 ADLが不良で立位による体重計測定不能な症例 ストーマ造 設のみ等で切除を施行しない症例は除外した 体重測定時間は術前 術後 とも食後を避け 朝食前を中心とした空腹時とした 解析は統計ソフトを使用 し t検定により行った 結果 年齢は48 88歳 中央値 70歳 男女比は 15:13 PSは0/1で26/2例 術前BMIは 中央値;22.3 腹腔鏡/ 開腹手術は18/10例であった 食事開始は2 6日 中央値 2.5日 術後輸 液期間は3 9日 中央値 4日 術後測定日は6 12日 中央値 7日 であった 術前補正体重 術前体重から摘出標本重量をひいた体重 vs術後体重 P=0.004 術前 術後の除脂肪体重 P<0.01 筋肉量 P=0.01 基礎 代謝率 P<0.01 はともに有意に減少し 体脂肪率は術後に有意に上昇した P=0.004 考察および結論 待機的大腸癌症例は胃切除等に比べると術 後も経口摂取良好な症例が多いが 周術期には筋肉減少を伴う体重減少を 認める 高齢者では術後の全身状態に影響を及ぼす可能性もあるため 可 能な症例は早期からの経口摂取等が望ましいと思われた 症例によっては 基礎代謝率の低下で退院後の体重のリバウンド現象につながる可能性もあ り 肥満症例では過度な体重増加に注意が必要と思われた P-0048 術前絶飲食廃止の試み 河北総合病院 医療法人仙養会北摂総合病院 栄養科1 一般消化器外科2 糖尿病内分泌内科3 麻酔科4 五十嵐裕章 岡本大尚1 高城武嗣2 竹内 徹3 西原 功4 林 正悟1 斎藤彩加1 豊川美代子1 山崎純子1 山下聡子1 石塚恭子1 目的 大腸癌の手術は侵襲的であるほかに 消化管切除となるため多くの 患者で術後一時期栄養状態の悪化が経験され その長期化は入院期間の 延長 医療費の増大を招く可能性がある その防止のため栄養回復遅延が 予想される患者には早期より栄養学的介入をすることが望ましい 今回我々 は大腸癌術後の栄養状態回復遅延に関わる予測因子について検討した 方法 対象は2009年から2013年までに当院で大腸 結腸 直腸 癌の手術 をした186名 男96名 女90名 で 平均年齢は73.5歳 42-95歳 であった リ ンパ節以外の転移を有する者 術前が極端な栄養不良者 術後に重篤な合 併症 大量出血等 を併発した者は除外した 血漿アルブミン Alb 値 BCG 法 を栄養指標とし 術後2週間値が術直前値より低値の場合栄養回復遅延 とした 栄養回復群と回復遅延群 遅延群 間で以下の項目を検討した 性 別 年齢 BMI 術後2週以内の術直前値からのAlb最大減少量 腹腔鏡 使用の有無 癌の位置 結腸か直腸 リンパ節転移の有無 食事再開まで の期間 糖尿病の有無 結果 186名中85名が遅延群であった 2群の比 較では 遅延群でBMIが大きく 22.9±3.3 vs 21.6±3.6 P=0.011 Alb最大 減少量が大きかった 1.06±0.28g/dL vs 0.70±0.30g/dL P<0.001 また 食事再開までの期間 日 が長く 6.96±3.27 vs 6.20±1.31 P 糖尿 病合併例が多かった 32.9 vs 17.8 P=0.026 多変量解析をした結果 年齢75歳以上 Alb最大減少量1.0g/dL以上 が栄養回復遅延を予測する 因子であった 考察及び結論 大腸癌術後の栄養状態回復遅延には 高 齢 術後のAlb減少量が関係しており それらが栄養学的介入の指標となる 可能性がある P-0046 目的 当院での従来の術前経口摂取は各科で多少ばらつきはあるものの 手術前日夕食後から絶食 当日は絶飲食が行われており 長時間に亘る絶 飲食管理が今日まで行われてきた そこで今回 2012年に日本麻酔科学会 から発表された 術前絶飲食ガイドライン に則って 絶飲期間を短縮し患者 に寄与できないか検討した 方法 全科統一として 手術前日0時まで固形 物摂取可 午前手術の場合は 手術当日3時間前までにアルジネードウォータ ー125ml 2p摂取 清澄水も可 手術3時間前以降は絶飲食 午後手術 13 時以降 の場合は 手術当日7時までに食パン1枚 ジャム アルジネードウォー ター125ml 1p摂取 手術3時間前までにアルジネードウォーター125ml 2p摂 取 清澄水も可 手術3時間前以降は絶飲食とした そしてそれらを表にま とめた 術前経口摂取フローチャート を作成 各病棟に周知し 平成25年4 月22日から待機手術患者全員 眼科除く に導入した 尚 消化管狭窄患者 消化管機能障害患者 気道確保困難が予想される患者 緊急手術患者 嚥下障害患者 コンプライアンス不良患者 妊婦などは適応外とした 結 果 平成25年4月22日 平成26年6月30日現在で1205例実施したが 麻酔導 入時の誤嚥等の合併症はなく安全に実施できた 診療科別では整形外科 606件 産婦人科281件 消化器外科214件 泌尿器科54件 呼吸器外科 42件 耳鼻科6件 循環器内科2件となった 平均年齢は59歳であった 男 女比率は男性488名 40.5 女性717名 59.5 となった 考察及び結 論 以前から慣習化されていた術前絶飲食を見直し 待機手術患者全員を 対象とした新たな基準を設けることで より生理的な体液管理が可能となり 患者満足度も向上したと思われる また 誤嚥等の有害事象の発生もなく安 全性も示された 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

14 P-0049 重症患者における周術期低体温の現状と対策 P-0050 たんぱく質 ビタミン ミネラルを強化した術後食による術 後超早期経口摂取による消化器疾患術後栄養管理 第3報 前橋赤十字病院 NST 秀和総合病院 栄養科1 外科2 田中紗由莉 柴田正幸 伊東七奈子 小林克巳 加藤清司 山崎珠絵1 北島志保1 小早川望1 坂口恵里子1 清水里子1 関 亮太2 小川康介2 真田貴弘2 桑原 博2 中村典明2 五関謹秀2 目的 1990年代 周術期低体温に関する研究が様々な医学雑誌に掲載さ れ 広く知られるようになった 周術期低体温は周術期に36 未満となること と定義されており これを予防することで 出血量 輸血量が減少し 更には 感染症発生率 創傷治癒 在院日数なども有意に改善することが報告され た また近年 注目を浴びているERASプロトコールにおいても周術期の体温 維持が主要なelementsとして組み込まれている 今回 ICU入室の時点で の体温の現状を調査し 手術中に限らず周術期全体でのよりハイレベルな周 術期低体温予防対策構築の一助とすることとした 対象 方法 2013年4 月から9月までの6か月間で手術後にICUへ入室した症例を対象とした ICU 入室時点で 36 未満を低体温と診断 低体温群 し 36 以上であった群 を対照群とした これらについて患者背景 手術時間 出血量 ICU滞在日 数などについて検討した 結果 対象症例は210例 全身麻酔症例の5.6 であった このうち 低体温と診断したのは73例 34.8% で 緊急手術では 51例中23例 45.1% に低体温を認めた 術前の平均体温は 低体温群で 36.2±0.8 対照群で36.8±0.8 で有意差はなく 術前から低体温を認めて いた症例は低体温群13.3 対照群で13.0%であった 年齢 手術時間 出 血量などには有意差はみられなかった ICU滞在期間は 低体温群 8.4± 12.4日 中央値3日 対照群 7.1±11.4日 中央値2日 で有意 P= に 低体温群の方が長い結果であった 考察および結論 温風加温装置をは じめ術中の体温管理が発展した現在でも34.8%の症例で術後の低体温を認 め また緊急手術ではその割合が多くなる傾向であった 術後の体温管理 は術中に比べ注目されてこなかったが 術前から術後にわたる包括的な体温 管理が重要であることが示唆された 今回 当院での周術期の低体温対策 について紹介するとともに課題についても考察したい P-0051 術前経口補水療法と術後の嘔気 嘔吐の関連性について の検討 目的 2006年から術後超早期からの経口摂取を導入しているが 術後に提 供されていた経腸栄養剤は甘く 患者の受け入れ状況は満足のいくものでは なかった さらに病院食の流動食はたんぱく質 ビタミン ミネラルの充足率 が低かった それらを強化したプロミアと糖質のゼリーからなる術後食を開発 し 胃切除例 大腸切除例を対象に術後第1病日からの超早期経口摂取開 始の有用性を報告してきた 2011年からは胃全摘 肝切除 膵頭十二指腸 切除なども含む全ての消化器疾患術後例を対象として 超早期経口摂取開 始による栄養管理を実施している 対象患者の臨床成績から術後食の有用 性を検討し 受け入れ状況に関するアンケートも行った 方法 2011年7月か ら2014年7月に術後超早期経口摂取を行った252症例の消化器疾患術後例 を対象に 術後第1病日より術後食を摂取するプロトコールを組んだ 第1病日 600kcal/たんぱく質20g 第2病日 900kcal/たんぱく質30gの術後食を提供 第3病日 術後食に五分粥を加えた1200kcal/たんぱく質40gの食事 第4病 日 1400kcal/たんぱく65gの五分粥食 第5病日以降 1600kcal/たんぱく質 70gの全粥食を提供 摂取量の推移 臨床経過 血液生化学検査について 検討し アンケートにて受け入れ状況を調査した 結果 ①食事に起因する 合併症はなかった 術後食は②188例 75% が食べられる味であると許容③ 133例 53% が3日間以上継続して食べられる④214例 85% が完遂とした3 日間5割以上の摂取ができた⑤169例 67% が術後超早期の経口摂取に抵 抗感は無かった⑥食開始日の食欲は111例 55% があまりない 全くないと 回答したが完遂率は85%と高かった⑦脱落例は37例 15% でおもな原因は 食思不振との結果であった 考察及び結論 術後食を用いた術後超早期 経口摂取開始による術後栄養管理は ほぼ満足のいく臨床成績が得られ 患者の受け入れ状況 喫食率も良好であった P-0052 糖尿病患者への術前経口補水療法による炭水化物負荷 の安全性と有効性の検討 東邦大学医療センター大森病院 薬剤部1 栄養治療センター2 産婦人科3 麻酔科4 看護部5 神戸掖済会病院 栄養管理部 濱田真紀子1 2 鷲澤尚宏2 長谷川哲也1 高橋賢司3 坂本典昭4 原智津子5 山田さやか5 小畑由紀5 内島知香5 鈴木 敦1 西澤健司1 寺田享志4 森田峰人3 落合亮一4 高橋留佳 勝矢雅子 岡本貴子 吉村治香 目的 術後の嘔気 嘔吐 以下 PONV は患者のQOLを大きく低下し 術 後の早期離床や絶食期間短縮の妨げとなっている 特に腹腔鏡下手術は 手術翌日より食事が開始となるため PONVは患者にとって大きな負担となる ことが考えられる そこで今回 当院産婦人科において腹腔鏡下手術を実施 した患者を対象にPONVに影響があると考えられる因子について後ろ向きカ ルテ調査を行った 方法 当院では周術期管理の一環として術前経口補水 療法 以下 術前ORT を導入しており 2013年8月から産婦人科腹腔鏡下 手術でも実施されている 今回2013年4月 2014年3月に予定産婦人科腹腔 鏡下手術を受けた患者276名を対象に 麻酔科手術記録およびカルテを用 いて 術前ORT導入前後でのPONV発生率について検討を行った また それ以外の要因についても検討を行った 結果 術前ORT導入前は87症例 以下 非ORT群 導入後は189症例 以下 ORT群 であった 手術当日 の嘔気の出現率は ORT群31.7 非ORT群32.2 嘔吐はそれぞれ であり 術前ORT導入前後でPONVの発生率に有意な差は認めら れなかった 術後5日目まで観察期間を延長した場合も同様な結果であった その他 麻酔薬や手術時間など詳細な結果についても報告する 考察及 び結論 周術期回復能力強化プログラム ERAS のプロトコールの一つに周 術期の絶飲食期間短縮が挙げられており 術前ORTはこれまでの輸液療法 に代わり経口補水で術前体液管理を行うことを目的としている しかし今回の カルテ調査から ORT群の中でも輸液療法を併用していた症例が散見され た 過剰な水分投与により腸管麻痺が助長されPONV発生にも影響を与え たと考える これは同時に院内での術前ORTの基本理念が十分浸透してい ないことも示唆され 今後は術前ORTのメリットを最大限に活かせるよう院内 啓発 教育活動を実施していきたい 296 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No 背景 術前に経口補水療法 ORT による炭水化物負荷 CHO を行うこと で 術後のインスリン抵抗性改善やタンパク代謝の改善が報告され 患者の 術前不安感軽減にも寄与するとされる しかし 糖尿病患者 DM の管理に ついては文献が少なく 施設ごとの判断に委ねられていることが多い 目的 当 院 では当 初 投 薬 治 療 中のDMはORT適 応 外としており 月 ~2014.6月に適応外となった患者154名のうち71名 46% がDMであった そ こで ORTによるCHOがDMにも適応するのか また当院で安全に導入でき るのかを検討するため 血糖値への影響や安全性 有効性について検討を 行ったので報告する 方法 対象は整形外科で手術を行うDM インスリン 使用患者を除く 10名とし CHO群にはアイソカルアルジネードウォーター AgW 250ml/200kcal/炭水化物45g を コントロール H2O 群にはミネ ラルウォーターを摂取させ 血糖値やインスリン値 Cペプチド 遊離脂肪酸を 測定した 結果 CHO群ではAgW摂取180分後の血糖値は全例180mg/ dl以下であり安全に投与することができた Cペプチドが有意に上昇していた ことから CHOにより内因性インスリン分泌が促進されていることが確認でき た またCHO群では H2O群と比べ術前術後に遊離脂肪酸の上昇が抑制 される傾向にあった 考察 DMに対してのCHOは 内因性インスリン分泌 が保たれている患者において 血糖値への影響は少なく 安全に投与できる と考える また術前に炭水化物を摂取しエネルギー源を確保しておくことで 体蛋白異化が抑制できる可能性が示唆された 結論 インスリン分泌能が保 持されたDMでは 術前CHOを安全に行うことができた 有効性については さらなる検討が必要である 今回の研究結果をふまえ 当院では内服治療中 の糖尿病患者に対する術前経口補水療法を開始した

15 P-0053 開心術後のASV Adaptive Servo-Ventilation が術後 の回復に与える影響についての検討 開心術及び大血管術後に低リン血症となる患者特性の検 討 前橋赤十字病院 NST 神戸市立医療センター中央市民病院 栄養管理部1 麻酔科2 総合診療科3 春原ひと美 角田あゆみ 安田美菜子 島田理奈 涌沢智子 大澤淳子 伊東七奈子 小林克巳 加藤清司 岩本昌子1 植田浩司2 東別府直紀2 下薗崇宏2 美馬裕之2 西岡弘晶3 目的 近年 ASVによる呼吸理学療法は慢性心不全患者の心機能や予後 を改善するとの報告があり 非薬物療法として注目を集めている 当院では これらを応用し 術後の早期離床の一助として2013年1月から開心術後の呼 吸理学療法にASVを取り入れている 今回 開心術後の呼吸機能改善の 指標として抜管後の酸素投与期間を 全身状態改善の指標として術後経口 摂取確立までの期間を用いて それぞれに与えるASVの効果を検討した 方法 ① 2011年7月から2014年6月までに開心術を施行した133例 ASV未 実施群;62例 ASV実施群;71例 を対象とした ② ASVは術後に一般病棟 へ転出後 各食前及び眠前に30分間 設定:酸素6L/分 PEEP:5cmH2O PS3-10cmH20 装着とした ASV装着時はSemi-Fowler以上の良姿位とし た ③ ASV未実施群とASV実施群の2群間で術後酸素投与期間及び経 口摂取確立期間を比較検討した 結果 ASV未実施群及び実施群間で は 呼吸理学療法に影響が考えられる喫煙患者の割合や糖尿病及び透析 などの全身性の併存症を有する割合には有意差を認めなかった 呼吸理学 療法の指標とした抜管後の酸素投与期間についてはASV未実施群6.4日に 対してASV実施群5.3日と統計学的有意差は認めなかったものの ASV実施 群では短くなる傾向を認めた 一方 全身状態改善の指標とした抜管後から 経口摂取確立までの期間は ASV未実施群では6.2±9.9日であったのに対し てASV実施群では3.9±5.0日と有意差 P=0.018 をもってASV実施群で早期 に経口摂取の確立が可能であった 考察および結論 開心術後にASVを 取り入れたことにより 抜管後の酸素投与期間及び術後の経口摂取確立ま での期間が短縮した 開心術後のASVを用いた呼吸理学療法の実施は 術後回復を早める一助として有用である可能性が示唆された P-0055 高齢大腸癌患者の術前筋肉量とTTRが術後経過に与える 負の影響について 目的 開心術及び大血管術 以下心臓血管術 後 低リン 以下P 血症に なる症例が多いという報告はあるが その発症関連因子の報告は少ない 低P血症の対策を検討するため 心臓血管術後に低P血症となる患者特性 について検討した 方法 平成26年4月1日から6月30日までの心臓血管術 後症例で 術前の身長 体重 術後の血清P値が測定されていた症例を 術後に1度でも血清P値が2.4 /dl未満を呈した群 低下群 と呈さなかった群 非低下群 に分けて 身長 体重 年齢 推算糸球体濾過量 egfr など を比較検討した 腹部大動脈瘤症例 血液透析症例は除外した 結果 低下群32名 男 女 23 9 非低下群14名 男 女 7 7 両群間の平均 血清P値は術後0日目では差はなかった 両群とも術後食事開始後血清P値 が低下したが 1 5日目まで低下群が有意に低く 術後3日目で2.03±0.41 / dlと最も低値を示した p< 食事開始までの期間は低下群が短かった 19.1±6.8 vs 31.8±18.0時間 p<0.01 年齢は低下群が若く 65.8±12.1 vs 74.6±11.6歳 p<0.01 術前のeGFRは低下群で高値 72.7±34.6 vs 51.5± ml/分/1.73m2 p<0.05 であった 身長 体重 心機能 麻酔時間 手術時間 挿管時間 ICU入室期間 ICU退室後の入院期間 術前の食 事中P含有量には有意差がなかった 考察 心臓血管術後に低P血症をき たす患者は 若年で腎機能が保たれていることが多かった 術前の食事中P 含有量に差がなかったことから 術前のP摂取量と術後の低P血症に関係が ないことが示唆された 若年で腎機能がよい症例への心臓血管術後の食事 内容を今後検討する必要がある P-0056 大腸癌手術患者の術前栄養状態と術後在院日数の関係 性に関する解析とその対策 朝日大学歯学部附属村上記念病院 栄養管理室1 NST2 外科3 医療法人仙養会北摂総合病院 栄養科1 一般消化器外科2 糖尿病内分泌内科3 呼吸器内科4 安江裕香1 2 高橋貞子1 2 青木百合1 2 小島孝雄2 久米 真2 3 林 正悟1 高城武嗣2 竹内 徹3 福家良太4 斎藤彩加1 豊川美代子1 山崎純子1 山下聡子1 岡本大尚1 石塚恭子1 目的 高齢化に伴い当院でも待機手術癌患者の約7割が高齢者である 今 回高齢大腸癌患者の体組成及びサルコペニア指数 血液検査を調査し そ れらの因子と術後合併症の有無 術後在院日数との関連を検討したので報 告する 方法 2010年1月から2014年5月までに70歳以上で結腸癌根治術 を施行した66例 男性31名 女性35名 平均年齢77.7±5.4歳 を対象とし 70歳代と80歳代の二群に分けて生体インピーダンス法による体組成とサルコ ペニア指 数 SMI 血 液 検 査 Alb TTR T-cho Ch-E リンパ 球 数 Hb 小野寺の予後因子 PNI surgical site infection SSI の有無 術 後在院日数を比較検討した ②体組成 血液検査 SMI PNIの各因子と SSIの有無 術後在院日数との相関を検討した 体組成 SMIは男女別で調 整して比較検討した 結果 ①男女別体組成では体重 体脂肪量ともに年 齢群間に有意な差は認められなかったが 筋肉量は70歳男性 42.7±3.4kg に対し80歳男性は 39.0±4.6kg 有意に低値を示し 80歳女性も低値を示す 傾向であった 性別に限らず80歳はAlb Ch-E TTR リンパ球数 Hb PNIで有意に低値を示した ②各因子とSSI発生の有無との相関はなかった 70歳男性のCh-E 80歳男性の筋肉量とTTRが術後在院日数と有意な負の 相関を示したが 他の因子は術後在院日数と相関はなかった 女性では相 関を示す因子はなかった 考察及び結論 癌患者は高年齢であるほど栄 養状態の低下傾向をみとめた また80歳以上男性では低栄養に加えて筋肉 量の低下もみられサルコペニアに陥っていることが示唆され それが術後在 院日数の遅延につながっていることが考えられた 術前から筋肉量を重要な パラメーターの一つととらえ 筋肉量に着目した栄養療法と運動リハビリを積 極的に実施することがさらに術後経過を改善させる可能性があると考えられ た P-0054 目的 術前栄養状態が術後在院日数にどのような影響を及ぼすか解析し その結果を踏まえ対策を考察する 方法 当院 大腸癌手術患者100例 平 成24年5月1日 平成26年5月8日 の年齢 性別 BMI 術前Alb CRP WBC CHE Ca GLU 免疫賦活栄養剤内服回数 術式 開腹or腹腔 鏡下 SSI発生率と術後在院日数の関係性を解析した 結果 患者背景 n=100 は 中央値 四分位範囲 /比率 N数 年齢72.5歳 性別 男 性58 女 性42 BMI22kg/ Alb2.9 /dl CRP0.19 /dl WBC8650/μl CHE189 /dl Ca7.8mEq/l GLU116.5 /dl 免疫賦活栄養剤内服 回数3回 0-3 術式開腹30 腹腔鏡下70 SSI発生率6 術後在院日 数13.5日 であった 術前Alb値は術後在院日数と有意な負の相関関 係にあり Cox比例ハザード回帰においても術後在院日数に有意に関連した 独立因子であった 術前Alb値2.7 /dl以下の患者群は2.8 /dl以上の患 者群と比較して術後在院日数は有意に延長し 中央値差で5日間 関連因 子調整後で6日間延長した 術前Alb2.7 /dl以下は 術後在院日数14日間 以上の予測に優れた 考察及び結論 低栄養状態が術後予後に関係する ことは多くの報告で明らかになっているが 当院においても術後在院日数との 相関関係が示された それを受け術前栄養強化システム構築を行った 消 化器手術入院の場合 入院3日目が術日の為 術前栄養改善は困難であっ た そこで内科精査後の自宅退院前に栄養指導を実施し免疫賦活栄養剤 6 日分 を購入 内服することで栄養強化 免疫賦活栄養法 を図った 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.30 No

14栄養・食事アセスメント(2)

14栄養・食事アセスメント(2) 14 5. 栄養 食事アセスメント 2 ④成果 アウトカム outcome の予測 合併症 死亡 5. 栄養 食事 アセスメント 2 率 ケア必要度 平均在院日数などの成果が予測出来 るかどうか 疾患別に検討されている 一般病棟の高 齢患者では総蛋白質 血清アルブミン リンパ球数と 1. 栄養状態の評価 判定の定義と目標 術後合併症併発 一般病棟内科疾患患者ではアルブミ ① 栄養状態の評価 判定 栄養状態が過剰あるいは欠乏

More information

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ 3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライディングスケール法 ( 図 2 2) が多用されてきた スライディングスケール法は簡便で ある程度の血糖コントロールは可能である

More information

課題名

課題名 急性期重度嚥下障害患者に対する完全側臥位法の有効性 研究責任者氏名長尾恭史 岡崎市民病院リハビリテーション室 副主任 共同研究者脳神経内科小林靖歯科口腔外科長尾徹看護局西嶋久美子 西暦 2017 年 6 月 15 日版数 1 目次 1. 実施計画の経緯 ( 背景 )... 1 2. 目的... 1 3. 研究対象者について... 1 3-1 選択基準... 1 3-2 除外基準... 1 3-3 中止基準...

More information

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度 医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度 職員のインフルエンザワクチンの接種率 ワクチン接種率 =C( 自院内にてインフルエンザワクチンを接種した職員数 ) /B( ワクチン接種最終日の職員数 ) 100 年度 ワクチン接種最終日の職員数 ( 人 ) 自院内にてインフルエンザワクチンを接種した職員数 ( 人 ) 職員のインフルエンザワクチンの接種率 (%) 平成 26 年度 151

More information

7 1 2 7 1 15 1 2 (12 7 1 )15 6 42 21 17 15 21 26 16 22 20 20 16 27 14 23 8 19 4 12 6 23 86 / 230) 63 / 356 / 91 / 11.7 22 / 18.4 16 / 17 48 12 PTSD 57 9 97 23 13 20 2 25 2 12 5

More information

減量・コース投与期間短縮の基準

減量・コース投与期間短縮の基準 用法 用量 通常 成人には初回投与量 (1 回量 ) を体表面積に合せて次の基準量とし 朝食後および夕食後の 1 日 2 回 28 日間連日経口投与し その後 14 日間休薬する これを 1 クールとして投与を繰り返す ただし 本剤の投与によると判断される臨床検査値異常 ( 血液検査 肝 腎機能検査 ) および消化器症状が発現せず 安全性に問題がない場合には休薬を短縮できるが その場合でも少なくとも

More information

それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ

それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ 2012 年 3 月 28 日放送 中心静脈関連性血流感染の予防 川崎病院外科総括部長井上善文はじめに中心静脈カテーテルは高カロリー輸液や さまざまな輸液 薬剤の投与 中心静脈圧の測定などの目的で留置されますが その留置に関連した感染症は 名称としては血管内留置カテーテル関連血流感染症 catheter-related bloodstream infection:crbsiですが ここではカテーテル感染と呼ばせていただきます

More information

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に 高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に関節疾患 5 位が骨折 転倒であり 4,5 位はいずれも運動器が関係している 骨粗しょう症のメカニズムの解明

More information

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医 佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生 住所 M T S H 西暦 電話番号 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 家族構成 情報 医療機関名 診療科 住所 電話番号 紹介医 計画策定病院 (A) 連携医療機関 (B) 疾患情報 組織型 遺伝子変異 臨床病期 病理病期 サイズ 手術 有 無 手術日 手術時年齢 手術 有 無 手術日

More information

栄養管理手順について

栄養管理手順について 栄 養 管 理 手 順 について 平 成 27 年 6 月 29 日 管 理 栄 養 士 栄 養 管 理 の 意 義 患 者 様 の 病 気 の 治 癒 回 復 を 支 援 し 手 術 などの 合 併 症 の 予 防 に 貢 献 すること 栄 養 ケア マネジメント 平 成 17 年 に 介 護 保 険 制 度 に 導 入 給 食 の 提 供 者 栄 養 療 法 を 担 う 医 療 チームの 一 員

More information

Microsoft Word 栄マネ加算.doc

Microsoft Word 栄マネ加算.doc 別紙 7 栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について ( 平成 17 年 9 月 7 日老老発第 0907002 号厚生労働省老健局老人保健課長通知 ) 改正前改正後 1 栄養ケア マネジメントの実務等について (1) 栄養ケア マネジメントの体制ア ( 略 ) イ施設長は 医師 管理栄養士 看護師及び介護支援専門員その他の職種が共同して栄養ケア マネジメントを行う体制を整備する

More information

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」 2017 年 2 月 1 日 作成者 : 山田さおり 慢性心不全看護エキスパートナース育成コース 1. 目的江南厚生病院に通院あるいは入院している心不全患者に質の高いケアを提供できるようになるために 看護師が慢性心不全看護分野の知識や技術を習得することを目的とする 2. 対象レベルⅡ 以上で各分野の知識と技術習得を希望する者 ( 今年度は院内スタッフを対象にしています ) 期間中 80% 以上参加できる者

More information

現況解析2 [081027].indd

現況解析2 [081027].indd ビタミン D 製剤使用量と予後 はじめに 2005 年末調査の現況報告において 透析前血清カルシウム濃度 透析前血清リン濃度が望ましい値の範囲内にあった週 3 回の血液透析患者のみを対象に 各種リン吸着薬そしてビタミンD 製剤と生命予後との関係を報告した この報告では ビタミンD 製剤の使用の有無と生命予後との関係が解析されたのみであった そこで 今回の解析では 各種ビタミンD 製剤の使用量と予後との関係を解析した

More information

1)表紙14年v0

1)表紙14年v0 NHO µ 医師が治療により回復が期待できないと判断する 終末期 であると医療チームおよび本人 家族が判断する 患者の意志表明は明確であるか? いいえ はい 意思は文書化されているか? はい 患者には判断能力があるか? 医療チームと患者家族で治療方針を相談する 患者の意思を推量できる場合には それを尊重する はい はい 患者の意思を再確認する はい 合意が得られたか? はい いいえ 倫理委員会などで議論する

More information

フレイルのみかた

フレイルのみかた 1フレイルとは? POINT OF STUDY フレイルの概念 高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し, 不健康を引き起こしやすい状態は Frailty と表現されており 1), 転倒や日常生活の障害, 要介護の発生, 死亡のリスクを増大させる要因となる. これまでは, 虚弱 や 老衰 などの用語で表現されることが多く, 心身が加齢により老いて衰え, 不可逆的な印象を与えることが懸念されてきた.

More information

心房細動1章[ ].indd

心房細動1章[ ].indd 1 心房細動は, 循環器医のみならず一般臨床医も遭遇することの多い不整脈で, 明らかな基礎疾患を持たない例にも発症し, その有病率は加齢とともに増加する. 動悸などにより QOL が低下するのみならず, しばしば心機能低下, 血栓塞栓症を引き起こす原因となり, 日常診療上最も重要な不整脈のひとつである. 1 [A] 米国の一般人口における心房細動の有病率については,4 つの疫学調査をまとめた Feinberg

More information

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」 周術期看護エキスパートナース育成計画 作成者 : 高橋育代 1. 目的江南厚生病院に通院あるいは入院している手術を受ける患者に質の高いケアを提供できるようになるために 看護師が周術期看護分野の知識や技術を習得することを目的とする 2. 対象者 1) レベル Ⅱ 以上で手術看護分野の知識と技術習得を希望する者 2) 期間中 80% 以上参加できる者 3. 教育期間 時間 1 年間の継続教育とする 10

More information

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム 平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チームの介入による下部尿路機能の回復のための包括的排尿ケアについて評価する ( 新 ) 排尿自立指導料 [

More information

「             」  説明および同意書

「             」  説明および同意書 EDP( エトポシド + ドキソルビシン + シスプラチン ) 療法 説明および同意書 四国がんセンター泌尿器科 患者氏名 ( ) さん 御本人さんのみへの説明でよろしいですか? ( 同席者の氏名をすべて記載 ) ( ( はい ) ) < 病名 > 副腎がん 転移部位 ( ) < 治療 > EDP 療法 (E: エトポシド D: ドキソルビシン P: シスプラチン ) < 治療開始予定日 > 平成

More information

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症 2009 年 4 月 27 日放送 糖尿病診療における早期からの厳格血糖コントロールの重要性 東京大学大学院医学系研究科糖尿病 代謝内科教授門脇孝先生 平成 19 年糖尿病実態調査わが国では 生活習慣の欧米化により糖尿病患者の数が急増しており 2007 年度の糖尿病実態調査では 糖尿病が強く疑われる方は 890 万人 糖尿病の可能性が否定できない方は 1,320 万人と推定されました 両者を合計すると

More information

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M 図 1 調査前年 1 年間の ART 実施周期数別施設数 図 4 ART 治療周期数別自己注射の導入施設数と導入率 図 2 自己注射の導入施設数と導入率 図 5 施設の自己注射の使用目的 図 3 導入していない理由 図 6 製剤種類別自己注射の導入施設数と施設率 図 7 リコンビナント FSH を自己注射された症例の治療成績は, 通院による注射症例と比較し, 差があるか 図 10 リコンビナント FSH

More information

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2 ロスバスタチン錠 mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロスバスタチンは HMG-CoA 還元酵素を競合的に阻害することにより HMG-CoA のメバロン酸への変更を減少させ コレステロール生合成における早期の律速段階を抑制する高コレステロール血症治療剤である 今回 ロスバスタチン錠 mg TCK とクレストール 錠 mg の生物学的同等性を検討するため

More information

スライド 1

スライド 1 感染と CRP 感染と CRP メニュー 1.Sepsis 1 診断的 価値 Intensive Care Med 2002 2 重症度 3 治療効果 予後判定 判定 Crit Care 2011 Infection 2008 2.ICU Patients 3.VAP Crit Care 2006 Chest 2003 Crit Care Med 2002 Heart & Lung 2011

More information

頭頚部がん1部[ ].indd

頭頚部がん1部[ ].indd 1 1 がん化学療法を始める前に がん化学療法を行うときは, その目的を伝え なぜ, 化学療法を行うか について患者の理解と同意を得ること ( インフォームド コンセント ) が必要である. 病理組織, 病期が決定したら治療計画を立てるが, がん化学療法を治療計画に含める場合は以下の場合である. 切除可能であるが, 何らかの理由で手術を行わない場合. これには, 導入として行う場合と放射線療法との併用で化学療法を施行する場合がある.

More information

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問 フェキソフェナジン塩酸塩錠 6mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにフェキソフェナジン塩酸塩は 第二世代抗ヒスタミン薬の一つであり 抗原抗体反応に伴って起こる肥満細胞からのヒスタミンなどのケミカルメディエーターの遊離を抑制すると共に ヒスタミンの H1 作用に拮抗することにより アレルギー症状を緩和する 今回 フェキソフェナジン塩酸塩錠 6mg

More information

づけられますが 最大の特徴は 緒言の中の 基本姿勢 でも述べられていますように 欧米のガイドラインを踏襲したものでなく 日本の臨床現場に則して 活用しやすい実際的な勧告が行われていることにあります 特に予防抗菌薬の投与期間に関しては 細かい術式に分類し さらに宿主側の感染リスクも考慮した上で きめ細

づけられますが 最大の特徴は 緒言の中の 基本姿勢 でも述べられていますように 欧米のガイドラインを踏襲したものでなく 日本の臨床現場に則して 活用しやすい実際的な勧告が行われていることにあります 特に予防抗菌薬の投与期間に関しては 細かい術式に分類し さらに宿主側の感染リスクも考慮した上で きめ細 2016 年 4 月 13 日放送 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドラインのポイント 帝京大学外科教授福島亮治はじめにこのたび 日本化学療法学会と日本外科感染症学会が合同で作成した 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン が公開されました この領域における これまでのわが国のガイドラインといえば 日本感染症学会 日本化学療法学会共同編集の 2001 年の抗菌薬使用の手引き 2005

More information

29-28

29-28 医学研究に関する情報公開および研究協力へのお願い 福井大学医学部附属病院第一外科では 医学系研究倫理審査委員会の承認を得て 下記の医学研究を実施しています こうした研究では 対象となる方に関して既に存在する試料や情報 あるいは今後の情報や記録などを調査しますが 対象となる方にとって新たな負担や制限が加わることは一切ありません このような研究では 国が定めた倫理指針に基づき 対象となる方お一人ずつから直接同意を得るかわりに

More information

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx 薬物療法専門薬剤師の申請 及び症例サマリーに関する Q&A 注意 : 本 Q&A の番号は独立したものであり 医療薬学会 HP にある 薬物療法専門薬剤師制度の Q&A の番号と関連性はありません 薬物療法専門薬剤師認定制度の目的 幅広い領域の薬物療法 高い水準の知識 技術及び臨床能力を駆使 他の医療従事者と協働して薬物療法を実践 患者に最大限の利益をもたらす 国民の保健 医療 福祉に貢献することを目的

More information

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 第 3 章保健指導対象者の選定と階層化 (1) 保健指導対象者の選定と階層化の基準 1) 基本的考え方生活習慣病の予防を期待できる内臓脂肪症候群 ( メタボリックシンドローム ) の選定及び階層化や 生活習慣病の有病者 予備群を適切に減少させることができたかを的確に評価するために 保健指導対象者の選定及び階層化の標準的な数値基準が必要となる 2) 具体的な選定 階層化の基準 1 内臓脂肪型肥満を伴う場合の選定内臓脂肪蓄積の程度を判定するため

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり, 高齢者の人口は全人口の約 25% を占め, 介護の問題なども含め, 高齢化は深刻な問題である. 平均寿命の延伸とともに,100

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 (ICD10: C81 85, C96 ICD O M: 9590 9729, 9750 9759) 治癒モデルの推定結果が不安定であったため 治癒モデルの結果を示していない 203 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 71 68 50 53 52 45 47 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 43 38 41 76

More information

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル 1mg は 1 カプセル中ロペラミド塩酸塩 1 mg を含有し消化管から吸収されて作用を発現する このことから

More information

既定の事実です 急性高血糖が感染防御機能に及ぼす影響を表 1 に総括しました 好中球の貧食能障害に関しては ほぼ一致した結果が得られています しかしながら その他の事項に関しては 未だ相反する研究結果が存在し 完全な統一見解が得られていない部分があります 好中球は生体内に侵入してきた細菌 真菌類を貧

既定の事実です 急性高血糖が感染防御機能に及ぼす影響を表 1 に総括しました 好中球の貧食能障害に関しては ほぼ一致した結果が得られています しかしながら その他の事項に関しては 未だ相反する研究結果が存在し 完全な統一見解が得られていない部分があります 好中球は生体内に侵入してきた細菌 真菌類を貧 2012 年 8 月 22 放送 感染と栄養 筑波大学大学院外科学教授寺島秀夫はじめに本日のテーマは 感染と栄養 ですが 最近のトピックとして厳密な血糖管理を行っていてもその背景に過剰エネルギー投与 overfeeding が存在すると 感染が助長されるという新たな知見が明らかとなり 高血糖と感染助長の基本概念はパラダイムシフトの時期を迎えています そこで この問題にフォーカスを絞り 解説したいと思います

More information

旗影会H29年度研究報告概要集.indb

旗影会H29年度研究報告概要集.indb 高齢者のサルコペニア対策におけるタマゴ摂取の意義 京都女子大学家政学部食物栄養学科 教授田中清 緒言ロコモティブシンドローム ( 以下ロコモ ) は加齢に伴う運動器障害であり 要介護 要支援の重要な原因 健康寿命短縮の大きな要因である ロコモの構成疾患のうち 骨粗鬆症については治療薬が多数開発され 栄養面からの研究も多数存在するが 変形性関節症 サルコペニアに関しては研究報告が乏しい サルコペニアは

More information

1625 O-056 循環器集中治療における経腸栄養パスの導入 1626 O-275 回リハ病棟における栄養状態改善と在宅復帰率 ADLとの関連について 1627 S5-04 高齢者に対する周術期栄養学的リスクマネジメント- 術前外来と高齢者総合的機能評価 (CGA) について 1628 P-099

1625 O-056 循環器集中治療における経腸栄養パスの導入 1626 O-275 回リハ病棟における栄養状態改善と在宅復帰率 ADLとの関連について 1627 S5-04 高齢者に対する周術期栄養学的リスクマネジメント- 術前外来と高齢者総合的機能評価 (CGA) について 1628 P-099 1601 P-0082 栄養評価法としてのSGAの信頼性 ~CONUT 法との比較 ~ 1602 P-0711 回復期リハビリテーション病棟における栄養介入と効果について 1603 P-0961 胃癌胃全摘術時の腸瘻造設症例の検討 1604 SS2-08 小児短腸症の周術期 ~ 遠隔期における漢方製剤の使用経験 1605 O-207 慢性閉塞性肺疾患患者における経時的変化の検討 1606 P-1131

More information

<5461726F2D3038303232315F97CC8EFB8F91814596BE8DD78F9192CA926D>

<5461726F2D3038303232315F97CC8EFB8F91814596BE8DD78F9192CA926D> 保 発 第 0305002 号 平 成 20 年 3 月 5 日 地 方 社 会 事 務 局 長 都 道 府 県 知 事 殿 厚 生 労 働 省 局 長 医 療 費 の 内 容 の 分 かる 領 収 証 の 交 付 について の 一 部 改 正 について 標 記 については 診 療 報 酬 の 算 定 方 法 ( 平 成 20 年 厚 生 労 働 省 告 示 第 59 号 )が 制 定 され 同 告

More information

4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った ダウン症児童生徒の肥満予防に関する基礎的検討 ~ 身体活動量の測定をとおして ~ 学校教育専攻学校教育専修修教 09-003 伊藤由紀子 Ⅰ 研究の目的近年, 生活習慣の変化に伴い小児肥満も増加傾向を示し, 小児肥満の 70~80% は成人期に移行するとされ, 肥満は生活習慣病を引き起こす要因のひとつであるとされている したがって, 早期からの肥満予防支援の必要性が強く求められており, 現在では幼児期からの取り組みが有効であると認識されてきている

More information

000-はじめに.indd

000-はじめに.indd 2 リハビリテーション看護 (1) 概要 ア 看護部の理念 方針 理念 患者様とともにリハビリテーションのゴール 目標 を目指し できるかぎりの自立を支援 し 安全で質の高い看護を提供します 方針 1 人間の生命 人間としての尊厳および権利を尊重した看護サービスを提供します 2 リハビリテーション看護の専門性を発揮し 患者様の日常生活行動の獲得に向けて 見守る 待つ ともに考える 姿勢を持ってかかわり

More information

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12 患者背景同意取得時から試験開始までの状況について記入 性別 男 女 年齢生年月日 歳 西暦年月日 身長. cm 体重. kg 腹囲. cm 糖尿病罹病期間 西暦年月 ~ 現在 喫煙 合併症 あり なし飲酒 あり

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 第 3 回佐賀糖尿病療養指導士認定研修会 糖尿病の食事療法指導と支援聴き取りの方法 佐賀大学医学部附属病院古賀茜 2016.6.5 佐賀大学 糖尿病の食事療法とは 糖尿病の食事療法糖尿病治療に従事する医療スタッフとして 糖尿病治療の基本であり 出発点 第 1 2 の目的 そして意義 糖尿病患者が 健常者と同様の日常生活を営むのに必要な栄養素を摂取し 糖尿病の代謝異常を是正 合併症予防の発症や進展を抑制すること

More information

第 15 回 先 端 医 療 センター 再 生 医 療 審 査 委 員 会 審 査 結 果 日 時 : 平 成 20 年 2 月 26 日 ( 火 )16:00~ 場 所 : 先 端 医 療 センター4 階 大 会 議 室 委 員 長 : 山 岡 義 生 委 員 : 井 上 明 大 内 ますみ 大 田 清 志 守 殿 貞 夫 神 田 勉 玉 岡 かおる 永 井 謙 一 西 田 芳 矢 村 上 雅 義

More information

H29_第40集_大和証券_研究業績_C本文_p indd

H29_第40集_大和証券_研究業績_C本文_p indd 慢性腎臓病 (CKD) における危険因子としての食後高血糖の検討 独立行政法人国立病院機構千葉東病院臨床研究部 糖尿病研究室長関直人 はじめに 1. 研究の背景慢性腎臓病 (CKD) は 動脈硬化 腎機能低下 末期腎不全 心血管イベントなどの危険因子であることが報告されている (1) 一方で食後高血糖もまた 動脈硬化 心血管イベントの危険因子であることが報告されている (2) 食後高血糖の検出には持続血糖モニタリング

More information

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難 褥瘡発生率 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難であり 発症予防がより重要となることから 関連知識の蓄積 予防の計画 予防の実施にかかる総合力を評価します 平成 25 年度 0.04% (109/257,938)

More information

表紙69-5,6_v10.eps

表紙69-5,6_v10.eps 2 1 6 宇佐美 眞 他 に対応する管理を行う3 4 癌と栄養代謝 悪液質 cachexia とその前段階の前悪液質 precachexia は 図2に示す体重減少と BMI の変化 サルコペニア の有無 食欲不振と代謝変化によって定義されている3 悪液質は 腫瘍の種類と存在部位により極めて多様な 病態を呈するが その病態は図3の様に 代謝変化臓器 として骨格筋減少 サルコペニア が中心におかれて理

More information

Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL 1 入院 4 1- Ⅰ リハビリ実施単位数 単価 4 1 患者 1 人 1 日あたりのリハビリ単位数 年別 4 2 疾患別リハビリ単位数 年別 ( 脳血管 運動器 廃用 ) 4 3 スタッフ配置数 4 1- Ⅱ 退院患者 5 1 疾患別患者数 5 2 年齢 性別構成

More information

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用 販売しようとする機能性表示食品の科学的根拠等に関する基本情報 ( 一般消費者向け ) 商品名蹴脂粒食品の区分 加工食品 ( サプリメント形状 その他 ) 生鮮食品機能性関与成分名キトグルカン ( エノキタケ抽出物 ) 表示しようとする機能性本品はキトグルカン ( エノキタケ抽出物 ) を配合しており 体脂肪 ( 内臓脂肪 ) を減少させる働きがあります 体脂肪が気になる方 肥満気味の方に適しています

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 証 券 コード:7749 Ⅰ. 業 績 の 推 移 売 上 高 ( 百 万 円 ) 営 業 経 常 利 益 ( 百 万 円 ) 1 1, 8, 1,31 1,339 3,41 3,219 11,62 3,399 11,574 3,168 11,926 2,995 5, 4, 3, 6, 3,13 2,828 3,93 2,786 2,62 4, 1, 24/3 25/3 26/3 27/3 28/3

More information

クリニカルパスの 普及・体制の現状と課題

クリニカルパスの 普及・体制の現状と課題 クリニカルパスの普及 体制の現状と課題 ~ 第 17 回 (H29 年 ) アンケート結果から ~ 本クリニカルパス学会 広報委員会 調査目的 クリニカルパスの日本における現状と動向を把握する 現場が求めている情報 支援を理解し 今後の学会としての活動に示唆を得る 特定調査は 院内で集計しているパスに関する データとし パス使用率等のクリニカルイン ディケーターについて調査した 1 < 対象 > 日本クリニカルパス学会の法人会員

More information

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の 認定看護師 21 分野 1 万 7,443 人に専門性を発揮し 高齢者や長期療養者の生活を支える 公益社団法人日本看護協会 ( 会長 坂本すが 会員数 70 万人 ) は このたび 第 24 回認定看護師認定審査 を実施しました 審査に合格した 1,626 人が新たに認定され 認定看護師は 1 万 7,443 人となりました (5 ページ参照 ) 認定看護師は 高度化し専門分化が進む医療の現場において

More information

宗像市国保医療課 御中

宗像市国保医療課 御中 平成 20 年度 特定保健指導 積極的支援 アクアドームプログラム報告書 1 1. はじめに 標準的な健診 保健指導プログラム ( 確 定版 ) ( 平成 19 年 4 月厚生労働省健康 局 ) に 医療制度改革大綱 ( 平成 17 年 12 月 1 日政府 与党医療改革協議会 ) を踏まえ 生活習慣病予防の徹底 を図るため 平成 20 年 4 月から 高齢者の医療の確保に関する法律により 医療保険者に対して

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ (ICD10: C91 C95 ICD O M: 9740 9749, 9800 9999) 全体のデータにおける 治癒モデルの結果が不安定であるため 治癒モデルの結果を示していない 219 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 52 52 53 31 29 31 26 23 25 1993 1997 1998 01 02 06 02 06 (Period 法 ) 21 17 55 54

More information

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ 2014 年 12 月 3 日放送 高齢者肺炎の診療マネジメント 大分大学呼吸器 感染症内科教授門田淳一はじめに今回は高齢者肺炎の診療マネジメントについて考えてみたいと思います およそ 4 人に 1 人が 65 歳以上である超高齢社会の我が国において 高齢者肺炎は日常診療において最も頻繁に遭遇する疾患の一つです 我が国の死因の第 3 位は肺炎ですが そのうち約 96% は65 歳以上の高齢者が占めています

More information

当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸

当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸 当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸言 > 近年 透析患者数は毎年 1 万人ずつ増加しているといわれており 2008 年度におけるわが国の透析患者数は

More information

外来在宅化学療法の実際

外来在宅化学療法の実際 平成20年度第1回高知医療センター 地域がん診療連携拠点病院 公開講座 食道がんの放射線 化学療法について 高知医療センター 腫瘍内科 辻 晃仁 がん薬物療法専門医 がん治療認定医 2008.7.19. 高知市 ウエルサンピア高知 レインボーホール 食道の構造 食道がんの進行 食道の内面の粘膜から発生したがんは 大きくなると粘膜下層に広がり さらにその下の筋層に入り込みます もっと大きくなると食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていきます

More information

<5461726F2D874491E682528FCD2091E6825490DF8169939C94419561816A2E>

<5461726F2D874491E682528FCD2091E6825490DF8169939C94419561816A2E> 第 5 節 糖 尿 病 の 医 療 体 制 1 現 状 (1) 罹 患 死 亡 の 状 況 北 海 道 では 糖 尿 病 が 強 く 疑 われる 者 は40~74 歳 の 男 性 で183,372 人 ( 14.8% ) 女 性 で98,903 人 (7.1%)で 合 計 282,275 人 と 推 計 され 糖 尿 病 の 可 能 性 が 否 定 で きない 者 は 男 性 で144,963 人

More information

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1 3 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 性別 年齢別人数 性別 年齢 集計 男性 40 歳代 1 50 歳代 5 男性計 37 女性 40 歳代 15 50 歳代 6 女性計 77 総計 114 女性 50 歳代 54% 性別 年齢別調査人数 男性 50 歳代 % 男性 40

More information

1章A_責了.indd

1章A_責了.indd Ⅰ 章 赤 血 球 系 骨 髄 増 殖 性 疾 患 A 鉄 欠 乏 性 貧 血 Q 1 病 態, 診 断, 治 療 指 針 は? l 血 鉄 図 1 鉄 の 体 内 動 態 2 A. 鉄 欠 乏 性 貧 血 表 1 鉄 摂 取 量 の 年 次 推 移 ( 一 人 一 日 あたり) 年 鉄 摂 取 量 (mg) 1975 1980 10.8 10.4 1985 10.8 1990 11.1 1995

More information

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or 33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano

More information

P001~017 1-1.indd

P001~017 1-1.indd 1 クリアランスギャップの理論 透析量の質的管理法 クリアランスギャップ の基礎 はじめに標準化透析量 : Kt /V は, 尿素窒素クリアランス : K(mL/min), 透析時間 : t(min),urea 分布容積 体液量 (ml) から構成される指標であり, 慢性維持透析患者の長期予後規定因子であることが広く認識されている 1-3). しかし, 一方で Kt /V はバスキュラーアクセス (VA)

More information

003-00個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

003-00個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用) 平 成 28 年 度 地 方 税 制 改 正 ( 税 負 担 軽 減 措 置 等 ) 要 望 事 項 ( 新 設 拡 充 延 長 その 他 ) No 3 府 省 庁 名 厚 生 労 働 省 対 象 税 目 要 望 項 目 名 要 望 内 容 ( 概 要 ) 個 人 住 民 税 法 人 住 民 税 事 業 税 不 動 産 取 得 税 固 定 資 産 税 事 業 所 税 その 他 ( ) 個 人 の 健

More information

能登における脳卒中地域連携

能登における脳卒中地域連携 データベース解析 Ver. 5.1 (2008 年 ~2015 年 ) 2018 年 1 月 能登脳卒中地域連携協議会パス管理病院管理局 ( 恵寿総合病院 ) Email:nntk@keiju.co.jp 1 はじめに 日頃から 能登脳卒中地域連携協議会の活動にご理解ご協力を賜り 誠に有難うございます 本協議会では発足当初から 脳卒中地域連携パスの全症例登録を目標とし パスから抽出したデータをデータベース化する事業を行なってきました

More information

Microsoft Word - cjs63B9_ docx

Microsoft Word - cjs63B9_ docx 日本人の年齢別推算糸球体濾過量 (egfr) の検討 ~ 協会けんぽ東京支部 76 万人の健診データから ~ 渋谷区医師会 望星新宿南口クリニック院長高橋俊雅 協会けんぽ東京支部保健グループ岡本康子 尾川朋子 目的 企画総務グループ馬場武彦 概要 推算糸球体濾過量 (egfr) は 慢性腎臓病 (CKD) の診断 治療に広く利用さ れているが 個々人の egfr を比較できる年齢別 egfr( 標準値

More information

認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 集 中 ケア 新 生 児 集 中 ケア A 242-00 呼 吸 ケアチーム 加 算 150 点 呼 吸 ケアチームの 設 置 救 急 看 護 小 児 救 急 看 護 慢 性 呼 吸 器 疾 患 看 護 急 性 重 症 患 者 看 護 A 247 認 知 症

認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 集 中 ケア 新 生 児 集 中 ケア A 242-00 呼 吸 ケアチーム 加 算 150 点 呼 吸 ケアチームの 設 置 救 急 看 護 小 児 救 急 看 護 慢 性 呼 吸 器 疾 患 看 護 急 性 重 症 患 者 看 護 A 247 認 知 症 認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 A 226-02 診 療 加 算 400 点 (1 日 につき) 専 従 の 常 勤 看 護 師 専 従 の チームの 設 置 乳 A 230-04 精 神 科 リエゾンチーム 加 算 300 点 精 神 科 リエゾンチームの 設 置 認 知 症 看 護 老 人 看 護 A 233-02 栄 養 サポートチーム 加 算 100 点 専 従 または 栄 養 管

More information

2017年度患者さん満足度調査結果(入院)

2017年度患者さん満足度調査結果(入院) 2017 年度患者さん満足度調査結果 ( 入院 ) 質問項目 問 1. 入院されている方の性別とご年齢を教えてください問 2. 今回入院された診療科はどちらですか?( 主な診療科を1つチェックしてください ) 問 3. 入院中に受けた診療内容はどちらですか?( 当てはまる項目すべてにチェックしてください ) 問 4. 当院ヘのご入院は何回目ですか? 問 5. 職員の対応 ( 接遇 マナー ) についてはいかがでしたか?

More information

untitled

untitled 1 日目 10 月 27 日 木 第 1 会場 国際会議室 開会の辞 12 15 12 20 ランチョンセミナー 1 12 20 13 10 共催 大鵬薬品工業株式会社 LS- 1 座長 齊藤 博昭 鳥取大学医学部 病態制御外科学分野 今度どうなる 胃癌の術後補助化学療法 小寺 泰弘 名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学 主題 1 高齢者進行胃癌に対する治療戦略 定型か縮小か 13 20 14

More information

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな 7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいになると予想される 医療ニーズに応じて適切に医療資源を投入することが 効果的 効率的な入院医療の提供にとって重要

More information

図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病 大阪 転倒転落の要因と分析 B 福岡メディカル研究会 座長 株式会社メディカルクリエイト表パートナー 遠山 峰輝 : 北山 后子 はじめに 背景と目的 社会の変化とともに医療界の事故がマスコミなどにより大き 今回 転倒 転落 を選択した理由は 患者の自発行 く取りざたされるようになってきた 訴訟も年々増加の傾向に 動による転倒転落が 占めるという理由 そして患者に与え ある 昨年より厚生労働省も各施設に安全管理委員会の設置

More information

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % % 第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 2016 28 1,326 13.6% 2 528 40.0% 172 13.0% 2016 28 134 1.4% 9 10 1995 7 2015 27 14.8 5.5 10 25 75 2040 2015 27 1.4 9 75 PCI PCI 10 DPC 99.9% 98.6% 60 26 流出 クロス表 流出 検索条件 大分類 : 心疾患 年齢区分 :

More information

仙台市のエイズ・性感染症の現状       資料4

仙台市のエイズ・性感染症の現状       資料4 のエイズ 性 感 染 症 の 現 状 資 料 1 (1) HIV エイズ 発 生 動 向 1 HIV 感 染 者 とエイズ 患 者 報 告 数 年 次 推 移 の 比 較 ( 概 要 ) の 状 況 HIV 感 染 者 数 は, 平 成 年 に 小 さなピークがあり,その 後 はいずれも 増 加 の 傾 向 を 示 していた が,ここ 数 年 は 横 ばい 傾 向 である 平 成 年 の HIV 感

More information

<5461726F2D817995DB94AD303330358D8691E6328D86817A96BE8DD78F91>

<5461726F2D817995DB94AD303330358D8691E6328D86817A96BE8DD78F91> 診 療 明 細 書 患 者 番 号 受 診 科 入 院 / 入 院 外 保 険 氏 名 受 診 日 部 項 目 名 点 数 回 数 診 療 明 細 書 ( 記 載 例 ) 入 院 保 険 患 者 番 号 氏 名 様 受 診 科 受 診 日 YYYY/MM/DD 部 項 目 名 点 数 回 数 医 学 管 理 * 薬 剤 管 理 指 導 料 ( 救 命 救 急 入 院 料 等 算 定 患 者 ) 430

More information

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 大腸がん 消化器内科 造血幹細胞移植 造血器腫瘍 骨髄不全 血液 腫瘍内科 大腸がん 早期胃がん 肝臓がん ( 一部 ) 前立腺がん 腎細胞がん 副腎がん腎盂尿管がん 膀胱がん 食道がん子宮体がん 外科泌尿器科婦人科 胸腔鏡下手術 肺がん 呼吸器外科 気道狭窄 閉塞病変に対する気管支鏡下レーザー治療 肺がん 呼吸器外科 定位放射線治療 原発性肺がん 転移性肺がん 原発性肝がん

More information

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専 がんに対する診療機能 各領域の専門医に加え 認定看護師 専門 認定薬剤師等とともにチーム医療を展開しており 標準的かつ良質 適切な医療の提供に努め 又 他の医療機関との連携を推進しております 平成 29 年 9 月 1 日現在 1. 肺がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 1 腫瘍外科 ( 外科 ) 6 3 開胸 胸腔鏡下 定位 ありありなしなしなしなし なしなしなしありなしなし 2.

More information

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄 2. 栄養管理計画のすすめ方 2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄養管理計画 ) 食事を提供する対象者の性 年齢階級 身体特性 ( 身長と体重,

More information

対象と方法 本研究は 大阪医科大学倫理委員会で承認を受け 対象患者から同意を得た 対象は ASA 分類 1 もしくは 2 の下肢人工関節置換術が予定された患者で 術前に DVT の存在しない THA64 例 TKA80 例とした DVT の評価は 下肢静脈エコーを用いて 術前 術 3 日後 術 7

対象と方法 本研究は 大阪医科大学倫理委員会で承認を受け 対象患者から同意を得た 対象は ASA 分類 1 もしくは 2 の下肢人工関節置換術が予定された患者で 術前に DVT の存在しない THA64 例 TKA80 例とした DVT の評価は 下肢静脈エコーを用いて 術前 術 3 日後 術 7 ( 様式甲 5) 氏 名 下山雄一郎 ( ふりがな ) ( しもやまゆういちろう ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲 第 号 学位審査年月日 平成 24 年 6 月 9 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Perioperative risk factors for deep vein thrombosis 学位論文題名 after total hip arthroplasty

More information

目次

目次 政 府 管 掌 健 康 保 険 における 分 析 手 法 等 に 関 する 調 査 研 究 ( 概 要 ) 医 療 経 済 研 究 機 構 では 社 会 保 険 庁 より 委 託 を 受 け 政 府 管 掌 健 康 保 険 における 分 析 手 法 等 に 関 する 調 査 研 究 を 実 施 した 調 査 研 究 の 主 なポイントは 以 下 の 通 り Ⅰ. 調 査 研 究 の 背 景 と 目

More information

膵臓癌について

膵臓癌について 胆 膵領域の悪性腫瘍 ~ 外科の立場から ~ 尾道市立市民病院外科 村田年弘 膵臓癌について 2009 年の死亡数が多い部位は順に 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 男性 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3 位 女性 肺 胃 結腸 膵臓 乳房 結腸と直腸を合わせた大腸は1 位 男女計 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3 位 年々 膵臓癌の罹患患者は増加している

More information

虎ノ門医学セミナー

虎ノ門医学セミナー 2017 年 1 月 5 日放送 高齢者の糖尿病治療の進め方 東京都健康長寿医療センター理事長井藤英喜 わが国は 65 歳以上の高齢者の人口が 26% を超えるという超高齢社会を迎えております 糖尿病は加齢と共に その頻度が増加する疾患です 従いまして 高齢化の進行したわが国では 高齢者糖尿病の患者数 全糖尿病患者にしめる高齢者糖尿病の比率も ともに高くなってきております 2012 年の厚生労働省健康栄養調査結果を用いて各年代の糖尿病患者数を推計しますと

More information

各論_1章〜7章.indd

各論_1章〜7章.indd 第 7 章 健 康 指 標 分 野 ( 糖 尿 病 循 環 器 疾 患 がん COPD) 1 推 進 の 方 向 糖 尿 病 (1) 糖 尿 病 の 発 症 を 予 防 するための 生 活 習 慣 の 改 善 あらゆる 機 会 に 多 様 な 伝 達 手 段 を 使 って 県 民 に 糖 尿 病 の 正 しい 知 識 や 糖 尿 病 発 症 予 防 のため の 生 活 習 慣 の 改 善 について

More information

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習 ABC-123 臨床試験進行または再発胃癌患者に対するプラセボを対照薬とした無作為化二重盲検比較試験症例報告書 治験実施計画書番号 P123-31-V01 被験者識別コード 割付番号 治験実施医療機関名 ご自分の医療機関 お名前を記載して下さい 症例報告書記載者名 症例報告書記載者名 治験責任医師 ( 署名又は記名 押印 ) 治験責任医師記載内容確認完了日 印 2 0 年 月 日 1 症例報告書の記入における注意点

More information

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに吸収され 体内でもほとんど代謝を受けない頻脈性不整脈 ( 心室性 ) に優れた有効性をもつ不整脈治療剤である

More information

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他 CONTENTS 1 2 3 4 5 6 7 8 2008 8 980-8574 1 1 T E L 022 717 7000 T E L 022 717 7131 FAX 022 717 7132 SPECIAL 1 TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います

More information

パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会

パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会 パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会の進行とともに更なる増加が予想される エビデンスに基づく治療やデバイス使用 合併症の治療により心不全の予後は改善しているが

More information

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd インスリン非使用 2 型糖尿病患者における自己血糖測定の血糖コントロールへの影響 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 目黒周 はじめに現在わが国では簡易血糖測定器を用いた自己血糖測定 (Self monitoring of blood glucose 以下 SMBG) はインスリン治療を行っていない糖尿病患者において保険適用になっておらず ほとんど行われていない 非インスリン投与 2 型糖尿病患者におけるSMBGの意義は現在でも一致した見解が得られていないが

More information

~ 副腎に腫瘍がある といわれたら ~ 副腎腫瘍? そもそも 副腎って何? 小さいけれど働き者の 副腎 副腎は 左右の腎臓の上にある臓器です 副腎皮質ホルモンやカテコラミンと呼ばれる 生命や血圧を維持するために欠かせない 重要なホルモンを分泌している大切な臓器です 副腎 副腎 NEXT ホルモンって 何? 全身を調整する大切な ホルモン 特定の臓器 ( 内分泌臓器 ) から血液の中に出てくる物質をホルモンと呼びます

More information

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2 11 1 長期にわたる大量飲酒が 引き起こす影響 脳への影響 アルコールは 脳の神経細胞に影響を及ぼし その結果 脳が縮んでいきます 脳に対 するアルコールの影響は 未成年者で特に強いことが知られています 写真B 写真A 正常な脳のCT 写真C 写真D アルコール 依 存 症 患者の脳の 正常な脳のCT Aに比べてやや CT Aとほぼ同じ高さの位置の 低い位置の断面 断面 脳の外側に溝ができ 中央

More information

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規 論文の内容の要旨 論文題目アンジオテンシン受容体拮抗薬テルミサルタンの メタボリックシンドロームに対する効果の検討 指導教員門脇孝教授 東京大学大学院医学系研究科 平成 19 年 4 月入学 医学博士課程 内科学専攻 氏名廣瀬理沙 要旨 背景 目的 わが国の死因の第二位と第三位を占める心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を引き起こす基盤となる病態として 過剰なエネルギー摂取と運動不足などの生活習慣により内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満を中心に

More information

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73> がんに対する診療機能 各領域の専門医に加え 認定看護師 専門 認定薬剤師等とともにチーム医療を展開しており 標準的かつ良質 適切な医療の提供に努め 又 他の医療機関との連携を推進しております. 肺がん 当該疾患の診療を担当している 医師数 当該疾患を専門としてい 腫瘍内科 4 4 2 腫瘍外科 ( 外科 ) 5 4 3 腫瘍放射線科 実績実績実績 開胸 治療の実施 (: 実施可 / : 実施不可 )

More information

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial ( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial Hyperglycemia-Induced Pathological Changes Induced by Intermittent

More information

ン投与を組み合わせた膵島移植手術法を新たに樹立しました 移植後の膵島に十分な栄養血管が構築されるまでの間 移植膵島をしっかりと休めることで 生着率が改善することが明らかとなりました ( 図 1) この新規の膵島移植手術法は 極めてシンプルかつ現実的な治療法であり 臨床現場での今後の普及が期待されます

ン投与を組み合わせた膵島移植手術法を新たに樹立しました 移植後の膵島に十分な栄養血管が構築されるまでの間 移植膵島をしっかりと休めることで 生着率が改善することが明らかとなりました ( 図 1) この新規の膵島移植手術法は 極めてシンプルかつ現実的な治療法であり 臨床現場での今後の普及が期待されます 報道機関各位 平成 25 年 12 月 12 日 東北大学未来科学技術共同研究センター (NICHe) 東北大学大学院医学系研究科 短期間の絶食とインスリン投与が膵島移植の効果を増大する - 糖尿病治療のための細胞移植の成績向上へ向けて - 研究概要 東北大学未来科学技術共同研究センター ( 大学院医学系研究科兼務 ) の後藤昌史教授 大学院医学系研究科先進外科の大内憲明教授および神保琢也医注 1

More information

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc 2 糖尿病の症状がは っきりしている人 尿糖が出ると多尿となり 身体から水分が失われ 口渇 多飲などが現れます ブドウ糖が利用されないため 自分自身の身体(筋肉や脂肪)を少しずつ使い始めるので 疲れ やすくなり 食べているのにやせてきます 3 昏睡状態で緊急入院 する人 著しい高血糖を伴う脱水症や血液が酸性になること(ケトアシドーシス)により 頭痛 吐き気 腹痛などが出現し すみやかに治療しなければ数日のうちに昏睡状態に陥ります

More information

第1 総 括 的 事 項

第1 総 括 的 事 項 障害程度等級表級別じん臓機能障害 1 級じん臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの 2 級 3 級じん臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの 4 級じん臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの 5 級 6 級 一身体障害認定基準 1 等級表 1 級に該当する障害は じん臓機能検査において 内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/

More information

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値 モンテルカストチュアブル錠 5mg TCK の生物学的同等性試験 ( 口中溶解後 水なし投与 ) バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにモンテルカストナトリウムは アレルギーのメディエーターの 1 つであるロイコトリエン (LT) の受容体の内 cyslt1 受容体を遮断する抗アレルギー薬である 今回 モンテルカストチュアブル錠 5mg TCK とキプレス チュアブル錠 5mg の生物学的同等性を検討するため

More information

がん登録実務について

がん登録実務について 平成 28 年度東京都がん登録説明会資料 2-1 がん登録届出実務について (1) 1. 届出対象 2. 届出候補見つけ出し 3. 診断日 4. 届出票の作成例示 東京都地域がん登録室 1 1. 届出対象 1 原発部位で届出 2 入院 外来を問わず 当該腫瘍に対して 自施設を初診し 診断あるいは治療の対象 ( 経過観察を含む ) となった腫瘍を届出 3 届出対象となった腫瘍を 1 腫瘍 1 届出の形で届出

More information

受付番号 演題番号 演題タイトル 1501 P-0866 集中調製用の経腸栄養バッグ300mL 使用の評価 アンケート調査報告 1502 O-222 胃瘻のケアに携わる患者家族の心理に関する質的研究 1503 O-014 NST 活動における画像検査の意義 ~CT 検査施行の有無は栄養状態悪化の予測

受付番号 演題番号 演題タイトル 1501 P-0866 集中調製用の経腸栄養バッグ300mL 使用の評価 アンケート調査報告 1502 O-222 胃瘻のケアに携わる患者家族の心理に関する質的研究 1503 O-014 NST 活動における画像検査の意義 ~CT 検査施行の有無は栄養状態悪化の予測 受付番号 演題番号 演題タイトル 1501 P-0866 集中調製用の経腸栄養バッグ300mL 使用の評価 アンケート調査報告 1502 O-222 胃瘻のケアに携わる患者家族の心理に関する質的研究 1503 O-014 NST 活動における画像検査の意義 ~CT 検査施行の有無は栄養状態悪化の予測因子となるか~ 1504 O-060 急性期治療期間における疾患別の 血清レベルでの銅と亜鉛の変化 1505

More information

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた 助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 という題目で ファイザーヘ ルスリサーチ振興財団より助成をいただきました 本日はその結果を報告したいと思います

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 27( 平成 19) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります 登録項目の内容院内がん登録を行うにあたって

More information

Microsoft Word - CDDP+VNR患者用パンフレット doc

Microsoft Word - CDDP+VNR患者用パンフレット doc シスプラチン ( シスプラチン注 )+ ビノレルビン ( ロゼウス注 ) 併用療法を受けられるさま 四国がんセンター呼吸器科 2011.7.29 改訂 私たちは Ⅰ 化学療法に対する不安を軽減し安心して治療に望めるように お手伝いします Ⅱ 化学療法治療中の身体的 精神的苦痛を軽減し最良の状態で 治療が受けられるようにお手伝いします Ⅲ 化学療法後の副作用が最小限になるようにお手伝いします 化学療法をうける方へ

More information

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例 行為の侵襲性(行為の難易度)特定行為について ( 基本的な考え方 ) のイメージ 資料 3-2 特定行為 については 医行為の侵襲性や難易度が高いもの (B1) 医行為を実施するにあたり 詳細な身体所見の把握 実施すべき医行為及びその適時性の判断などが必要であり 実施者に高度な判断能力が求められる ( 判断の難易度が高い ) もの (B2) が想定されるのではないか B1: 特定の医行為 ( 特定行為

More information

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを シプロフロキサシン錠 mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを有し 上気道感染症 尿路感染症 皮膚感染症などに有効なニューキノロン系の合成抗菌剤である シプロキサン 錠

More information

2

2 2008 No.236 2 4 5 6 7 9 8 11 10 12 [ ESSAY ] MY HOBBY IS RADIO PROGRAMS PRODUCTION 13 85 81 82 83 84 90 85 86 87 88 90 89 91 92 メタボ対策にもってこい 特定健診 特定健診 異常値を早期発見し 早期治療 へ導くための健診でした 異常値になる前にそのリスク対象者を発見して 生活習慣を改善し健康へ導くための健診です

More information