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1 2009 年 度 日 本 語 教 育 学 会 秋 季 大 会 ( 九 州 大 学, )- 研 究 発 表 パネルセッション 第 3 会 場 1- 予 稿 集 中 国 語 母 語 話 者 による 日 本 語 動 詞 の 自 他 の 習 得 中 国 語 母 語 話 者 による 日 本 語 動 詞 の 自 他 の 習 得 杉 村 泰 ( 名 古 屋 大 学 大 学 院 ) 建 石 始 ( 鹿 児 島 県 立 短 期 大 学 ) 庵 功 雄 ( 一 橋 大 学 ) 稲 垣 俊 史 ( 大 阪 府 立 大 学 ) 本 パネルセッションの 趣 旨 中 国 語 母 語 話 者 はその 数 において 日 本 語 教 育 の 過 半 数 を 占 め その 人 たちに 対 する 日 本 語 教 育 は 現 在 の 日 本 語 教 育 における 重 要 なテーマの 一 つである 本 パネルセッションでは 中 国 語 によるプラスの 転 移 とマイナスの 転 移 を 体 系 的 にとらえ 日 本 語 文 法 教 育 の 改 善 を 行 なう 第 一 歩 として 中 国 語 母 語 話 者 による 日 本 語 動 詞 の 自 他 の 習 得 をキーワードとして 行 った 調 査 研 究 の 結 果 を 報 告 する 日 中 両 言 語 における 自 他 の 概 観 建 石 始 ( 鹿 児 島 県 立 短 期 大 学 ) 1.はじめに 本 発 表 では まず 自 動 詞 他 動 詞 の 規 定 にどのようなものがあるかを 概 観 する 次 に 日 本 語 における 自 動 詞 他 動 詞 の 規 定 および その 特 徴 を 観 察 する さらに 中 国 語 に おける 自 動 詞 他 動 詞 の 規 定 および その 特 徴 を 観 察 する 2. 自 動 詞 他 動 詞 とは 自 動 詞 他 動 詞 は 意 味 的 にはある 動 詞 が 他 の 事 物 に 影 響 を 及 ぼすかどうか 形 式 的 に は 目 的 語 を 取 るかどうかで 分 類 される 英 語 などの 多 くの 印 欧 語 では 他 動 詞 は 前 置 詞 を 付 けずに 目 的 語 を 取 ることができるのに 対 して 自 動 詞 は 前 置 詞 を 付 けなければ 補 語 や 目 的 語 を 取 ることができない また 受 身 を 作 ることができるものが 他 動 詞 で 受 身 を 作 る ことができないものが 自 動 詞 とされる そのような 基 準 とは 別 に 自 動 詞 他 動 詞 の 規 定 に 関 して 他 動 性 の 研 究 もよく 取 り 上 げられる ヤコブセン(1989)はプロトタイプ( 原 型 )という 概 念 を 用 いながら 他 動 性 を 規 定 している 他 動 原 型 の 意 味 特 徴 : (a) 関 与 している 事 物 ( 人 物 )が 二 つある すなわち 動 作 主 (agent)と 対 象 物 (object) である (b) 動 作 主 に 意 図 性 がある - 79-

2 (c) 対 象 物 は 変 化 を 被 る (d) 変 化 は 現 実 の 時 間 において 生 じる (ヤコブセン 1989:217) ヤコブセン(1989)は 他 動 原 型 の 意 味 特 徴 として 上 の4つを 指 摘 し それらの 全 てを 兼 ね 備 えたものは 他 動 原 型 に 近 く 当 てはまらない 意 味 特 徴 があるものは 他 動 原 型 から 離 れてい くとしている また 自 発 ( 自 動 ) 原 型 の 意 味 特 徴 として 以 下 のものを 提 示 している 自 発 原 型 の 意 味 特 徴 : (a) 関 与 している 事 物 ( 人 物 )が 一 つある すなわち 対 象 物 (object)である (b) 対 象 物 は 変 化 を 被 る (c) 変 化 は 現 実 の 時 間 において 生 じる (ヤコブセン 1989:239) 他 動 原 型 と 同 様 に これらの 意 味 特 徴 の 全 てを 兼 ね 備 えたものは 自 発 ( 自 動 ) 原 型 に 近 く 当 てはまらない 意 味 特 徴 があるものは 自 発 ( 自 動 ) 原 型 から 離 れていく 3. 日 本 語 の 自 動 詞 他 動 詞 日 本 語 の 自 動 詞 他 動 詞 の 議 論 では 目 的 語 としてヲ 格 が 取 り 上 げられ ヲ 格 を 取 る 動 詞 は 他 動 詞 1 ヲ 格 を 取 らない 動 詞 は 自 動 詞 となる ただし ヲ 格 を 取 る 全 ての 動 詞 が 他 動 詞 というわけではなく 出 る 走 る 通 る といった 起 点 や 経 路 のヲ 格 を 取 る 動 詞 は 自 動 詞 という 位 置 付 けになる また 受 身 に 関 して 直 接 受 身 にできる 動 詞 は 他 動 詞 間 接 受 身 にしかできない 動 詞 および 受 身 にできない 動 詞 を 自 動 詞 とする 研 究 もある 例 えば 三 上 (1953)は 受 身 にな らない 動 詞 を 所 動 詞 受 身 になるものを 能 動 詞 と 呼 び 能 動 詞 の 中 で 直 接 受 身 にならない ものを 自 動 詞 直 接 受 身 になるものを 他 動 詞 としている 日 本 語 の 動 詞 は 和 語 動 詞 と 漢 語 動 詞 に 分 けられ 和 語 動 詞 はさらに 有 対 動 詞 と 無 対 動 詞 に 分 けられる 有 対 動 詞 とは 始 まる 始 める や 燃 える 燃 やす などのよ うに 意 味 形 態 上 対 をなす 動 詞 のことである 2 それに 対 して 無 対 動 詞 は 意 味 形 態 上 対 をなすことはなく 意 志 性 に 関 してもさまざまなタイプがある 3 出 かける 起 きる 意 志 的 自 動 詞 殺 す たたく 意 志 的 他 動 詞 衰 える 晴 れる 非 意 志 的 自 動 詞 帯 びる こぼす 非 意 志 的 他 動 詞 一 方 漢 語 動 詞 は 有 対 無 対 という 区 別 がない 代 わりに 開 始 する 停 止 する のよ うな 自 動 詞 と 他 動 詞 の 両 方 で 使 える 自 他 兼 用 動 詞 外 出 する のような 意 志 的 自 動 詞 殺 害 する のような 意 志 的 他 動 詞 衰 退 する のような 非 意 志 的 自 動 詞 含 有 する のよ うな 非 意 志 的 他 動 詞 などが 存 在 する 4. 中 国 語 の 自 動 詞 他 動 詞 中 国 語 の 自 動 詞 他 動 詞 は 不 及 物 動 詞 及 物 動 詞 と 呼 ばれる これはある 動 詞 が 他 の 事 物 に 影 響 を 及 ぼさないものは 不 及 物 動 詞 他 の 事 物 に 影 響 を 及 ぼすものは 及 物 動 1 ただし かみつく など ニ 格 を 取 る 一 部 の 動 詞 を 他 動 詞 とする 場 合 もある 2 有 対 動 詞 にどのような 組 み 合 わせがあるかに 関 しては 寺 村 (1982)やJacobsen(1991)に 詳 細 が 述 べら れている 3 早 津 (1995)では 有 対 他 動 詞 は 働 きかけの 結 果 の 状 態 に 注 目 するのに 対 して 無 対 他 動 詞 は 働 きか けの 過 程 の 様 態 に 注 目 することが 指 摘 されている - 80-

3 詞 となり 意 味 的 な 基 準 に 基 づいた 名 称 と 言 える ただし 影 響 を 及 ぼすかどうかの 判 断 は 難 しく どのような 基 準 で 分 類 するかが 問 題 となる 中 国 語 では 補 語 などを 付 けなければ 動 詞 がそのままの 形 で 受 身 にはできないため 受 身 にできるかどうかという 基 準 で 不 及 物 動 詞 と 及 物 動 詞 を 分 類 することはできない (1) 大 家 选 了 小 陈 (みんなが 陳 さんを 選 んだ ) (2)* 小 陈 被 大 家 选 了 ( 陳 さんはみんなに 選 ばれた ) (3) 小 陈 被 大 家 选 上 ( 中 ) 了 ( 陳 さんはみんなに 選 ばれた ) (いずれも 相 原 楊 1990:124) (1)を 受 身 にした(2)は 成 立 せず 上 中 などの 補 語 が 必 要 となる また 目 的 語 の 基 準 もそれほど 有 効 とは 言 えない 英 語 などでは 動 詞 の 直 後 に 目 的 語 が 来 るが 中 国 語 では 目 的 語 とは 言 えないものも 動 詞 の 直 後 に 来 ることができるからである (4) 吃 饭 (ご 飯 を 食 べる) (5) 吃 大 碗 ( 大 きな 碗 で 食 べる) (6) 吃 食 堂 ( 食 堂 で 食 べる) 同 じ 吃 ( 食 べる) という 動 詞 であっても (4)は 目 的 語 が 来 ているが (5)は 道 具 (6)は 場 所 といった 目 的 語 ではないものが 動 詞 の 直 後 に 来 ている さらに 中 国 語 には 主 語 と 動 詞 の 語 順 が 異 なる 存 現 文 と 呼 ばれる 構 文 ( 下 雨 ( 雨 が 降 り 始 める) 来 客 人 了 (お 客 さんが 来 た)など)もあるため 目 的 語 の 基 準 で 分 類 す ることは 難 しい 日 本 語 では 自 動 詞 他 動 詞 の 両 方 で 使 える 兼 用 動 詞 は 開 く 開 始 する など 数 が 限 られるのに 対 して 中 国 語 では 兼 用 動 詞 が 日 本 語 に 比 べると 数 が 多 いという 特 徴 がある また 中 国 語 には 日 本 語 のような 有 対 動 詞 は 存 在 しない 自 動 詞 を 他 動 詞 化 するため には その 前 に 新 たな 動 詞 をもう 一 つ 付 け 加 える (7) 倒 ( 倒 れる) 推 倒 ( 押 し 倒 す) 砍 倒 ( 切 り 倒 す) (8) 干 ( 乾 く) 晒 干 ( 陰 干 しして 乾 かす) 烘 干 ( 火 にかけてかわかす) 主 要 参 考 文 献 相 原 茂 楊 凱 栄 (1990) 自 動 詞 と 他 動 詞 中 国 語 と 日 本 語 国 文 学 解 釈 と 鑑 賞 55-1, 至 文 堂 佐 藤 琢 三 (2005) 自 動 詞 文 と 他 動 詞 文 の 意 味 論 笠 間 書 院 須 賀 一 好 早 津 恵 美 子 編 (1995) 動 詞 の 自 他 ひつじ 書 房 寺 村 秀 夫 (1982) 日 本 語 のシンタクスと 意 味 Ⅰ くろしお 出 版 早 津 恵 美 子 (1995) 有 対 他 動 詞 と 無 対 他 動 詞 の 違 いについて 須 賀 一 好 早 津 恵 美 子 編 (1995) 動 詞 の 自 他 ひつじ 書 房 三 上 章 (1953) 現 代 語 法 序 説 刀 江 書 院 (くろしお 出 版 から 復 刊 (1972 年 )) ウェスリー M ヤコブセン(1989) 他 動 性 とプロトタイプ 論 久 野 暲 柴 谷 方 良 編 日 本 語 学 の 新 展 開 くろしお 出 版 W.M.Jacobsen(1991) The Transitive Structure of Events in Japanese. Tokyo: Kuroshio Publishers - 81-

4 中 国 語 話 者 による 漢 語 サ 変 動 詞 の 自 他 の 習 得 庵 功 雄 ( 一 橋 大 学 ) 1.はじめに 中 国 語 話 者 の 日 本 語 習 得 に 漢 語 の 知 識 が 関 係 していることは 十 分 に 考 えられる 本 発 表 ではアンケート 調 査 によって 得 られたデータをもとに, 漢 語 サ 変 動 詞 の 自 他 の 習 得 に 関 連 する 一 要 因 について 報 告 する 2. 調 査 の 概 要 アンケートの 概 要 は 次 の 通 りである < 被 調 査 者 > 母 語 話 者 : 日 本 国 内 の 大 学 生 大 学 院 生 26 人 非 母 語 話 者 : 中 国 黒 竜 江 大 学 の 大 学 生, 大 学 院 生 初 級 : 同 2 年 生 (48 人 ) 1, 中 級 : 同 3 年 生 (49 人 ), 上 級 : 同 4 年 生 (48 人 ) 超 級 : 同 大 学 院 生 (26 人 ) < 被 調 査 語 > 日 中 で 同 音 同 義 になる 動 名 詞 (=サ 変 動 詞 になれる 名 詞 小 林 2004)を 調 査 対 象 とした 同 音 同 義 語 を 対 象 としたのは 既 習 未 習 の 別 による 差 異 を 捨 象 するためである < 回 答 形 式 > 調 査 文 の( )に し され させ のいずれかを 入 れて 回 答 する( 複 数 回 答 可 ) 3. 調 査 の 結 果 ここでは 調 査 の 結 果 を 報 告 するが,その 際 重 要 な 区 別 になるのが, 非 対 格 自 動 詞 (ほぼ 非 意 志 的 自 動 詞 に 相 当 )と 非 能 格 自 動 詞 (ほぼ 意 志 的 自 動 詞 に 相 当 )の 区 別 である 3-1. 非 対 格 自 動 詞 ( 非 意 志 的 自 動 詞 ) まず 一 致 する のように 動 名 詞 +する が 非 対 格 自 動 詞 の 場 合 ( 以 下, 非 対 格 自 動 詞 の 場 合 と 略 称 する 非 能 格 自 動 詞, 他 動 詞 の 場 合 も 同 様 )を 考 察 するが,この 場 合 は される の 許 容 度 に 差 が 見 られる すなわち, 次 ページの( 表 1)の(02) 一 致 か ら(88) 増 大 までは 母 語 話 者 も 学 習 者 も される を 回 答 していないのに 対 し,(71) 分 裂 から(11) 開 通 までは 超 級 においても される が 回 答 されている 3-2. 非 能 格 自 動 詞 ( 意 志 的 自 動 詞 ) これに 対 し, 前 進 のような 非 能 格 自 動 詞 の 場 合 は, 次 ページの( 表 2)からわかる ように, 全 体 的 には する は 習 得 されやすいと 言 える 1 1 年 生 を 調 査 対 象 から 外 したのは 調 査 時 点 で 受 身 と 使 役 が 未 習 であったためである - 82-

5 3-3. 他 動 詞 吸 収 のような 他 動 詞 の 場 合 も, 次 々ページの( 表 3)からわかるように, 全 体 とし ては する の 習 得 率 は 高 いと 言 える ちなみに,この 3-1~3-3 の 結 果 は, 中 国 国 内 の 別 の 大 学 で 行 った 調 査 に 基 づく 庵 (2008)の 調 査 結 果 を 補 強 するものでもある ( 表 1) 非 対 格 自 動 詞 例 文 母 語 (26 人 ) 初 級 (2 年 48 人 ) 中 級 (3 年 49 人 ) 上 級 (4 年 48 人 ) 超 級 ( 院 26 人 ) し され させ し され させ し され させ し され させ し され させ (02) 事 故 の 経 過 は 彼 の 証 言 と 一 致 (_)てい ます (27) 電 車 は 時 間 通 りに 発 車 (_)ました (43) 外 で 歩 かないと 足 が 退 化 (_)ます (45)パソコンの 売 り 上 げが 停 滞 (_)ていま す (59) 彼 は 急 に 沈 黙 (_)ました (64) 彼 は 失 業 (_)ました (79) 地 球 の 温 度 はこの10 年 で1 度 上 昇 (_) ました (82)この 道 路 では5 年 間 で 事 故 が 激 増 (_) ました (88) 戦 争 の 危 機 が 増 大 (_)ました (14)ガンの 治 療 法 は 日 に 日 に 進 歩 (_)てい ます (74) 首 相 の 発 言 に 失 望 (_)ました (71) 自 民 党 は 政 策 をめぐって 分 裂 (_)まし た (21)この 機 械 の 導 入 で 仕 事 の 量 が 減 少 (_) ました (85)パーティは 順 調 に 進 行 (_)ました (51)この10 年 間 日 本 では 経 済 的 格 差 が 拡 大 (_)ました (29)この 分 野 は 急 速 に 発 展 (_)ました (34) 彼 女 の 踊 りを 見 て 強 く 感 動 (_)まし た (76) 彼 のおかげで 問 題 は 簡 単 に 解 決 (_)ま した (11) 家 の 近 くに 長 いトンネルが 開 通 (_)まし た 記 号 の 見 方 :80% 以 上 が 回 答 :50% 以 上 80% 未 満 が 回 答 :30% 以 上 50% 未 満 が 回 答 無 印 :30% 未 満 が 回 答 (すべて 複 数 回 答 可 ) ( 表 2) 非 能 格 自 動 詞 例 文 母 語 (26 人 ) 初 級 (2 年 48 人 ) 中 級 (3 年 49 人 ) 上 級 (4 年 48 人 ) 超 級 ( 院 26 人 ) し され させ し され させ し され させ し され させ し され させ (18) 軍 隊 はゆっくり 前 進 (_)ていました (24) 彼 女 は 彼 としっかり 握 手 (_)ました (57) 彼 は10 分 で 全 ての 問 題 に 解 答 (_)まし た (63) 私 は 彼 女 の 意 見 に 賛 成 (_)ます (67) 彼 らは 退 職 後 オーストラリアに 移 民 (_) ました (75) 私 は6 時 から2 時 間 ほど 外 出 (_)ました (69) 彼 女 は 親 に 反 抗 (_)て 家 出 しました (09) 犯 人 は 拳 銃 で 武 装 (_)ていました (13) 子 どもたちが 正 門 の 前 に 集 合 (_)てい ます (72)A 国 はB 国 に 降 伏 (_)ました 3-4. 非 対 格 自 動 詞 の 他 動 詞 形 発 展 のような 非 対 格 自 動 詞 に 対 応 する 他 動 詞 形 は(a)(b)からわかるように, する ではなく, させる になる (a) 日 本 の 経 済 が 発 展 した (b) 首 相 が 日 本 の 経 済 を 発 展 させた(* 発 展 した) - 83-

6 この 現 象 に 関 しても( 他 の 場 合 と 同 じく) 母 語 話 者 にはほとんどゆれが 見 られないのに 対 し,( 表 4)からわかるように, 学 習 者 にはかなりのゆれが 見 られる ( 表 3) 他 動 詞 例 文 母 語 (26 人 ) 初 級 (2 年 48 人 ) 中 級 (3 年 49 人 ) 上 級 (4 年 48 人 ) 超 級 ( 院 26 人 ) し され させ し され させ し され させ し され させ し され させ (03)この 布 は 水 をよく(_)ます (25) 日 本 は 中 東 の 産 油 国 から 石 油 を 輸 入 (_)ています (30) 彼 女 は 多 くの 国 を 訪 ねて 切 手 を 収 集 (_)ました (36) 彼 女 が 何 も 言 わないということは その 案 に 反 対 だということを 意 味 (_)ます (46)A 国 は 外 国 からの 攻 撃 を 警 戒 (_)てい ます (56) 彼 は 自 分 の 行 為 を 反 省 (_)ています (90) 彼 女 は 新 しい 本 を 出 版 (_)ました (10)あの 赤 い 高 級 車 は 彼 が 操 作 (_)ていま す (15)この 短 期 アルバイトをした 人 には1 日 5 千 円 を 支 給 (_)ます (84)この 本 は 苦 労 して 購 入 (_)ました ( 表 4) 非 対 格 自 動 詞 の 他 動 詞 形 例 文 母 語 (26 人 ) 初 級 (2 年 48 人 ) 中 級 (3 年 49 人 ) 上 級 (4 年 48 人 ) 超 級 ( 院 26 人 ) し され させ し され させ し され させ し され させ し され させ (20) 彼 はこの 国 の 経 済 を 発 展 (_)ました (58) 彼 は 新 しい 連 立 政 権 を 誕 生 (_)ました (01) 彼 は 自 動 車 事 故 で 女 性 を 死 亡 (_)まし た (83) 首 相 は 戦 後 政 治 を 安 定 (_)ました (35) 政 府 は 失 政 で 経 済 を 混 乱 (_)ました (48)その 工 場 は 環 境 を 悪 化 (_)ました (07) 子 どもたちがこまを 回 転 (_)て 遊 んでい ます (54) 彼 はその 政 党 を 分 裂 (_)ました (68) 彼 女 は 容 器 を 熱 して 中 の 水 の 温 度 を 上 昇 (_)ました (93) 政 府 は 国 債 をたくさん 発 行 して 借 金 を 増 大 (_)ました 4. 考 察 今 回 の 調 査 の 結 果, 日 本 語 と 中 国 語 の 漢 語 には 非 対 格 性 に 関 するずれがあることが 示 唆 された ( 表 1)で 学 習 者 が される を 選 択 する 傾 向 が 高 いものとほとんど され る を 選 択 しないものがあるが,この 基 準 がどのようなものであるかは 完 全 には 明 らかに なっていない ただし 中 国 語 文 法 で 自 然 被 動 文 ( 大 河 内 1974)と 呼 ばれる 次 のような 被 などの 受 動 マーカーを 伴 わない 文 の 存 在 が 関 連 していることが 考 えられる (c) 門 推 開 了 (ドアガ 押 シアケラレタ)( 訳 文 とも 木 村 (1981)より) 今 後 は 既 習 未 習 の 場 合 を 考 慮 に 入 れた 上 で, 日 中 同 形 同 義 語 以 外 についても 考 察 対 象 を 広 げることが 必 要 である 参 考 文 献 庵 功 雄 (2008) 漢 語 サ 変 動 詞 の 自 他 に 関 する 一 考 察 一 橋 大 学 留 学 生 センター 紀 要 11 大 河 内 康 憲 (1974) 被 動 が 成 立 する 基 礎 中 国 語 学 220 木 村 英 樹 (1981) 被 動 と 結 果 日 本 語 と 中 国 語 の 対 照 研 究 5, 日 本 語 と 中 国 語 対 照 研 究 会 小 林 英 樹 (2004) 現 代 日 本 語 の 漢 語 動 名 詞 の 研 究 ひつじ 書 房 - 84-

7 コーパスから 見 た 中 国 語 学 習 者 の 自 他 に 関 する 運 用 上 の 問 題 点 杉 村 泰 ( 名 古 屋 大 学 大 学 院 ) 1. 魯 東 会 話 コーパス 科 学 研 究 費 補 助 金 ( 基 盤 研 究 (C))( 課 題 番 号 ) 中 国 語 話 者 のための 日 本 語 教 育 文 法 の 開 発 と 学 習 者 中 間 言 語 コーパスの 構 築 魯 東 大 学 日 本 語 学 科 の 日 本 人 教 師 1 人 と 中 国 人 学 生 の 会 話 収 集 データ:2006 年 6-7 月 (1 年 生 59 人 2 年 生 28 人 3 年 生 20 人 4 年 生 27 人 ) 2007 年 6-7 月 (1 年 生 30 人 2 年 生 55 人 3 年 生 26 人 ) 2007 年 12 月 (2 年 生 56 人 3 年 生 50 人 4 年 生 54 人 ) 音 声 + 文 字 化 資 料 の 公 開 (2010 年 4 月 の 予 定 ) 以 下 は 2007 年 6-7 月 のデータに 基 づく 2. 自 他 の 誤 用 (6 例 ) 自 動 詞 を 使 ったほうがいいときに 他 動 詞 を 使 ってしまう しかし 他 動 詞 を 使 っても 格 助 詞 は を ではなく が を 使 う( 例 4~5) (1) 先 生 がゆたゆたした 歩 い 方 を 見 ると いつも 感 動 されました( 感 動 しました) (2 年 0532) (2) 私 は もう 多 分 自 分 の 夢 自 分 の 夢 は 実 現 する 時 に んー 頑 張 って 続 いて( 続 けて)います (2 年 0501) (3) ほかの 町 に 生 んで 生 んだ 生 んだ 生 んだ( 生 まれた) 学 生 と 私 の[ 普 通 话 ]は あのう 良 くないです (2 年 05015) (4) 最 初 の 頃 は まずは 研 究 室 で 研 究 して あのう あんまり 口 が 開 けなかった( 開 か なかった)んですけど (3 年 0416) (5) もし 大 連 で 仕 事 が 見 つけなかったら( 見 つからなかったら) 煙 台 煙 台 で 仕 事 をしたい (3 年 0422) (6) ( 泥 棒 に 財 布 を 盗 られて) 彼 は 元 だけ 残 しました( 残 っていました) (3 年 0440) 3. 格 助 詞 の 誤 用 に を 使 うべきときに を を 使 い を を 使 うべきときに が を 使 う 誤 用 が 多 い ( 学 習 者 : に を が ) * が を(23 例 ) (7) 毎 日 勉 強 します 映 画 が( を) 見 ます (1 年 0682) (8) いろいろな 映 画 が( を) 見 ました 例 えばスリラー 映 画 が( を) 見 ます (1 年 0685) (9) 私 は 以 前 は このにがいて あ にがいるの 新 聞 が( を) 見 ました (2 年 0501) (10) んー 私 は 以 前 に 高 高 校 時 代 のとき んーいつもいつも 勉 強 して かのもとは 接 す - 85-

8 ることができない でも 大 学 に 入 って 入 ってから いろいろなものが( を) 見 て いろいろなことが( を)やって 自 分 の 性 格 はだんだん 変 わっています (2 年 05017) (11) 高 校 のとき いろいろな 科 目 が( を) 習 います はい 大 学 に 主 な 科 目 が( を) 習 いますので 自 分 はとても 嬉 しいです (1 年 0696) (12) 私 は 今 年 は 日 本 語 が( を) 勉 強 します はい バスケットボールが( を) 勉 強 します コンピューターが 二 回 二 回 二 回 のテストが( を) 受 け 受 けます (1 年 0698) その 上 に んー 私 は んー 韓 国 語 が( を) 勉 強 している (2 年 05014) (13) 簡 単 の 単 語 が( を) 覚 え 覚 えることができます (2 年 05014) (14) あ なつみや 夏 休 みで 勉 強 あー 勉 強 することが( を) 続 けています (2 年 05012) (15) 今 成 績 が( を) 知 りませんよ (2 年 0519) (16) 将 来 私 は 勉 強 日 本 語 を 使 う 仕 事 をすることが( を) 望 む 望 み 望 みますよ (2 年 0519) (17) 一 年 生 の 時 二 年 生 のはじめの 時 はい いろいろなことが( を) 考 えると 書 く ことができませんでしたね 授 業 に 受 けると いろいろなことが( を) 書 くにでき ます (2 年 05026) (18) 土 川 先 生 は 犬 の 肉 が( を) 食 べませんでした (2 年 0535) (19) 男 の あの 服 は 割 り 割 引 が( を)します しています ( 中 略 ) 割 引 があり ますので うーん たぶんその 時 買 ったほうがいいです (2 年 0537) (20) 先 生 先 生 は 私 私 に 二 年 生 のかん 感 想 かん 感 想 が( を) 質 問 しま し ました (2 年 0542) (21) 二 組 の 学 生 は ある 人 が 携 帯 電 話 が( を) あー 落 としました 例 えば さ ん さん あの 二 人 の 人 は 携 帯 電 話 を 落 としました (3 年 0440) (22) 彼 はバスでの 乗 った 時 財 布 が( を) 泥 棒 に 泥 棒 に 盗 られました (3 年 0440) なぜ が が 使 われるのか? 学 習 者 は Nが と 言 ってから 適 当 な 述 語 を 探 す つまり 動 詞 文 も ~は~が~だ 構 文 を 基 礎 にして Nについて 言 えば Vである と 言 ってしまう * が に(7 例 ) (23) いろいろ 友 達 が( に) 会 いました ( 中 略 )それに 井 上 先 生 が( に) 会 いて とても 幸 いです (1 年 0696) (24) 一 級 テストが( に) 合 格 したいです (2 年 0519) (25) 私 は 一 級 試 験 が( に) 合 格 した 後 で 必 ず 試 験 を 必 ずガイドになるために 勉 強 しな くて 勉 強 します(2 年 0526) (26) 日 本 語 の1 級 能 力 試 験 が( に) 合 格 と あの 合 格 できれば よかったと 思 います (2 年 0555) (27) 残 念 ながら 一 級 テストが( に) 合 格 しなかったです (3 年 0413) (28) いつもいろいろ 間 違 ったことが( に) 気 が 付 きました (2 年 0532) - 86-

9 * を が(6 例 ) 中 国 語 では V+S/O となる (29) 雪 を 雪 を( が) 降 ったとき 一 緒 に 雪 合 戦 をしました (1 年 0689) (30) 友 達 を 友 達 を( が)できます できます (1 年 0602) (31) 日 本 語 の 日 本 語 の 勉 強 の 中 でいろいろの 問 題 を( が)ありました (2 年 0518) (32) それから 作 文 特 に 一 級 テスト はい いろいろな 困 難 を( が)あります (2 年 0518) (33) 私 は 本 本 来 本 来 私 は 私 は 歴 史 歴 史 を( が) 歴 史 が 好 きです (2 年 05018) (34) だから お 金 を( が)ほしい と 言 いました (3 年 0440) * を に(19 例 ) 中 国 語 では V+O となるものが 多 い (35) でも 私 はたくさん 友 達 友 達 を 友 達 を たくさんの 友 達 を( に) 会 いました (1 年 0687) (36) 両 親 を( に) 両 親 に 会 って うん ふるさと 夏 休 み 夏 休 みは 嬉 しい (1 年 0601) (37) 優 しい 先 生 先 生 を 先 生 を 優 しい 先 生 を( に) 会 います (1 年 0602) (38) えーと 面 白 くて たくさん 友 達 を( に) 会 い 会 いました (1 年 0605) (39) 私 の 目 標 は 英 語 の 六 級 と 日 本 語 の 一 級 のために を( に) 合 格 したいです (2 年 05014) (40) 日 本 語 の 能 力 1 級 能 力 試 験 を( に) 合 格 すればいい (2 年 0537) (41) 1 級 のりょくテストを( に) 合 格 するつもりです (2 年 0547) (42) 来 学 期 の 目 標 は1 級 能 力 試 験 を( に) 合 格 したいと 思 います (2 年 0548) (43) ただ 一 級 の 試 験 を( に) 合 格 するために 頑 張 りました (3 年 0447) (44) この 夏 休 みは はい 私 は 私 は 山 山 を( に)のぼ 登 ります (1 年 0684) (45) 私 たちは 黄 山 黄 山 を( に) 登 るつもりです (2 年 0551) (46) 土 曜 日 と 日 曜 日 は 私 はバスケットボールを( に) 行 きたいですが (1 年 0683) (47) 大 学 の 外 国 語 外 国 語 大 学 を( に) 行 きたいです (2 年 0509) (48) あ 以 前 は んー 船 を( に) 乗 ります (2 年 0503) (49) 土 川 先 生 は ボート ボートを( に) 一 緒 に のりま 乗 りました (2 年 0551) (50) いろいろな 活 動 を( に) 参 加 しようと 思 います (1 年 0609) (51) 私 は 日 本 の 会 社 を 入 日 本 日 本 の 会 社 を( に) 入 社 した (2 年 05018) (52) 私 は 日 本 語 を を 専 攻 として 日 本 語 の 翻 訳 を( に)なりたいです (2 年 05014) (53) もし 東 京 へ 行 ったら そこで 東 京 東 京 で ある 大 学 の 先 生 にな なることがで きから あ そこで あ 日 本 人 を( に) 日 本 人 に 中 国 語 を 教 えたいです (3 年 0426) * に を(2 例 ) (54) 私 の 目 標 は 例 え 私 の 日 本 語 の 勉 強 に( を) 一 生 懸 命 にします わ 去 年 去 年 私 の 私 の 日 本 語 の 成 績 は 悪 かったです はい それで 来 年 私 私 は 日 本 語 を 一 生 に 一 生 勉 勉 日 本 語 を 勉 強 しなければなりません (1 年 0688) (55) 母 に( を)てつだ 手 伝 い て 手 伝 います (2 年 0539) - 87-

10 第 二 言 語 習 得 理 論 から 見 た 中 国 語 母 語 話 者 の 自 他 の 習 得 稲 垣 俊 史 ( 大 阪 府 立 大 学 ) 1.はじめに 動 詞 の 自 他 の 交 替 はどの 言 語 にでも 存 在 する 普 遍 的 特 性 と 考 えられるが,その 形 態 的 現 れは 言 語 間 で 異 なる 例 えば, 日 本 語 では 接 辞 を 介 して 他 動 詞 から 自 動 詞 への 派 生 (1a,b), 自 動 詞 から 他 動 詞 への 派 生 (1c,d), 語 根 から 両 方 向 への 派 生 (1e,f) のいずれもが 見 られる のに 対 し, 英 語 では 接 辞 を 伴 わないゼロ 派 生 (2) が 普 通 である: (1) a. 泥 棒 が 窓 を 割 った (war-u) b. 窓 が 割 れた (war-e-ru) c. 敵 が 船 を 沈 めた (sizum-e-u) d. 船 が 沈 んだ (sizum-u) e. 料 理 人 がバターを 溶 かした (tok-as-u) f. バターが 溶 けた (tok-e-ru) (2) a. The thief broke the window. (break) b. The window broke. (break) c. The enemy sank the ship. (sink) d. The ship sank. (sink) e. The cook melted the butter. (melt) f. The butter melted. (melt) 言 い 換 えれば,どの 言 語 にも 普 遍 的 語 彙 概 念 構 造 [x CAUSE [y BECOME predicate]] が 存 在 しており, 外 項 x と 内 項 y の 両 方 が 現 れたものが 他 動 詞 で, 外 項 x が 抑 制 され 内 項 y の みが 現 れたものが 自 動 詞 である 言 語 間 で 異 なるのは,この 自 他 動 詞 の 派 生 が 形 態 上 どの ように 反 映 されるか(されないか)である この 観 点 から 見 て, 動 詞 の 自 他 は, 言 語 習 得 における 普 遍 性 と 個 別 性 がどのように 影 響 し 合 うかを 検 証 する 格 好 の 現 象 であると 言 える 本 発 表 では,まず, 最 近 の 動 詞 の 自 他 の 習 得 に 関 する 重 要 な 二 研 究 日 本 語 の 第 一 言 語 習 得 を 調 査 した Murasugi, Hashimoto, & Fuji (2007) と 英 語,スペイ 語,トルコ 語 の 第 二 言 語 習 得 を 比 較 調 査 した Montrul (1997, 2000) を 概 観 し, 自 他 動 詞 習 得 研 究 の 背 景 を 提 示 す る 次 に, 中 国 語 と 日 本 語 の 自 他 交 替 の 現 れの 違 いも 踏 まえ, 中 国 語 話 者 による 日 本 語 の 自 他 の 習 得 に 関 する 予 測 を 提 示 し,さらに, 中 国 語 話 者 による 日 本 語 動 詞 の 自 他 の 習 得 デ ータが, 第 二 言 語 習 得 理 論 にどのような 示 唆 をもたらすかを 考 察 し, 今 後 の 調 査 研 究 の 方 向 性 を 示 す 2. 動 詞 の 自 他 の 第 一 言 語 習 得 研 究 Murasugi, Hashimoto, and Fuji (2007) Murasugi, Hashimoto, and Fuji (2007) は, 日 本 語 の 第 一 言 語 習 得 における 動 詞 の 自 他 の 誤 用 や 発 達 段 階 を 生 成 文 法 の 枠 組 みで 説 明 しようと 試 みた 日 本 人 の 子 供 二 人 の 縦 断 的 デー タ (Akkun (1;9-7;0), Sumihare (1;11-6;0)) が 分 析 対 象 となった その 結 果 から Murasugi らは, 使 役 接 辞 がゼロの 段 階 が 存 在 すると 提 案 し,その 段 階 で 自 動 詞 を 他 動 詞 の 文 脈 に 使 用 する 誤 用 (3a,b) や, 他 動 詞 を 自 動 詞 の 文 脈 に 使 用 する 誤 用 (3c,d) が 現 れることを 示 した (3) a. これ あいとく(あけとく)からさ (A: 4;5) b. かあちゃんたいたい( 鯉 のぼり)あがって(あげて) (S: 2;2) c. ぬいた(ぬけた) ここ (S: 2;1) d. あけん(あかん(=あかない)) あけん(あかん) (S: 2;1) Murasugi らは, 普 遍 的 な 自 他 交 替 の 語 彙 統 語 構 造 は 早 期 に 習 得 されるが, 時 間 がかかるの - 88-

11 は 個 々の 動 詞 の 形 と 使 役 接 辞 の 様 々な 語 彙 的 現 れを 学 習 することである,と 結 論 づけた 3. 動 詞 の 自 他 の 第 二 言 語 習 得 研 究 Montrul (1997, 2000) Montrul (1997, 2000) は 英 語,スペイン 語,トルコ 語 の 自 他 の 交 替 の 第 二 言 語 習 得 を 調 査 した スペイン 語 は,(4) のように 他 動 詞 に 反 使 役 再 帰 接 語 se を 付 けて 自 動 詞 を 派 生 する 言 語 である (romper 割 る se romper 割 れる ) 一 方,トルコ 語 は, 反 使 役 接 辞 と 使 役 接 辞 の 両 方 を 持 つ 日 本 語 型 の 言 語 である (5): (4) a. El ladrón rompió la ventana. the thief broke the window b. La ventana se rompió. the window self broke c. El enemigo hundió el barco. the enemy sank the boat d. El barco se hundió. the boat self sank (5) a. Hırız pencere-yi kır-mış. 泥 棒 窓 を 割 っ た b. Pencere kır-ıl-mış. 窓 割 れ た c. Düşman gemi-yi bat-ır-mış. 敵 船 を 沈 め た d. Gemi bat-mış. 船 沈 ん だ 文 法 性 判 断 タスクを 用 いて 中 級 レベルの 英 語 話 者,スペイン 語 話 者,トルコ 語 話 者 を 調 査 したところ, 母 語 の 自 他 交 替 の 形 態 的 現 れが 第 二 言 語 習 得 に 影 響 を 及 ぼすことを 示 す 証 拠 が 得 られた 例 えば,スペイン 語 話 者 は, 母 語 の 影 響 で (cf. (4b)) 英 語 の The window broke のようなゼロ 派 生 自 動 詞 文 を 容 認 しない 傾 向 にあることや, 逆 に, 英 語 話 者 は,ス ペイン 語 の 自 動 詞 文 (4b) における se の 必 要 性 をトルコ 語 話 者 ほど 認 識 しておらず,se の ない 文 を 誤 って 容 認 する 傾 向 があることが 示 された 一 方 で, 母 語 習 得 にも 見 られる 非 対 格 動 詞 の 他 動 詞 化 の 誤 り (*The magician disappeared the rabbit) などは, 母 語 に 関 わらず 起 こった この 結 果 から Montrul は, 自 他 交 替 の 語 彙 統 語 構 造 は 普 遍 文 法 の 一 部 で 第 二 言 語 習 得 者 も 利 用 できるのに 対 し, 形 態 レベルでは 母 語 の 影 響 が 強 く 現 れると 結 論 づけた 4. 中 国 語 話 者 による 日 本 語 の 動 詞 の 自 他 の 習 得 張 (2009) によると, 中 国 語 の 対 をなす 自 他 動 詞 には, 他 動 詞 の 方 が 行 為 の 様 態 を 表 す 動 詞 と 結 びついた 複 合 動 詞 ( 打 破, 推 倒 )として 現 れるもの (6a,b) と, 英 語 のように 自 他 同 形 ( 開, 停 止 )(つまりゼロ 派 生 )のもの (6c,d) がある (6) a. 小 偸 打 破 窗 戸 了 泥 棒 が 窓 を 割 った b. 窗 戸 破 了 窓 が 割 れた c. 窗 戸 破 了 窓 が 割 れた d. 我 開 門 了 私 はドアを 開 けた すなわち, 中 国 語 はゼロ 派 生 (6c,d) を 有 する 点 で 英 語 に 似 ているが, 他 動 詞 が 複 合 動 詞 化 する 点 で 英 語 と 異 なる また, 複 合 動 詞 の 前 半 に 起 こる 様 態 動 詞 は 様 々で( 打, 推, 砍, 丟, 踢 ), 自 他 動 詞 の 対 応 が 一 対 多 になる( 倒 推 倒, 砍 倒, 踢 倒 ) 点 も 中 国 語 の 特 徴 と 言 える さて,これまでの 自 他 動 詞 の 第 一, 第 二 言 語 習 得 研 究 と 中 国 語 の 自 他 動 詞 の 特 性 を 踏 ま えて, 中 国 語 話 者 による 日 本 語 の 自 他 動 詞 の 習 得 に 関 してどのようなことが 予 測 できるで あろうか まず, 中 国 語 話 者 にとって 困 難 なのは, 日 本 語 の 自 他 動 詞 の 様 々な 語 彙 的 形 - 89-

12 態 的 現 れを 学 ぶことであろう 日 本 語 の 自 他 動 詞 の 派 生 のパターンは 多 様 で 複 雑 であり (Jacobsen,1992), 個 々の 動 詞 の 形 と 使 役 接 辞 を 学 習 するのはたやすいことではないと 思 わ れる 第 一 言 語 習 得 でも 見 られる 自 動 詞 形 と 他 動 詞 形 を 混 乱 した 誤 り (cf. (3)) が 起 こるこ とが 予 測 される また 母 語 の 転 移 は 形 態 レベルで 起 きる (Montrul, 2000) ことを 考 慮 すれば, 母 語 に 使 役 接 辞 を 持 たない 中 国 語 話 者 にとって 日 本 語 の 自 他 動 詞 の 正 しい 形 を 学 ぶのは 一 層 困 難 であると 考 えられる さらに, 中 国 語 が 複 合 動 詞 で 他 動 詞 を 作 るオプション( 打 破 推 倒 )を 持 つことから, 日 本 語 の( 行 為 の 様 態 動 詞 を 伴 わない) 他 動 詞 ( 割 る, 倒 す)の 習 得 が 自 動 詞 に 比 べ 困 難 である 可 能 性 がある ただし, 日 本 語 にも 存 在 する 複 合 動 詞 ( 打 ち 破 る, 押 し 倒 す)の 習 得 に 関 しては, 中 国 語 からの 正 の 転 移 が 考 えられる 最 後 に, 中 国 語 のゼロ 派 生 (6c,d) に 関 して, 実 は 日 本 語 にもサ 変 動 詞 で 同 様 の 現 象 が 見 られる( 車 が 停 止 した/ 車 を 停 止 した) そうであれば,サ 変 動 詞 の 自 他 に 関 しては, 中 国 語 話 者 は 母 語 の 正 の 転 移 により 問 題 なく 習 得 できるはずである ただし,サ 変 動 詞 が 自 他 交 替 可 能 であるかどうかは, 派 生 接 辞 が 付 かないため, 出 来 事 が 動 作 主 なしで 自 然 発 生 す ると 認 識 できるかどうかなどの 意 味 的 認 知 的 要 因 により 決 定 される( 影 山 1996) この ような 微 妙 な 要 因 が 働 くとすると, 中 国 語 と 日 本 語 で 対 応 する 動 詞 であっても, 両 言 語 間 で 自 他 交 替 の 可 能 性 が 一 致 しない 場 合 が 考 えられ,ズレがある 場 合 は 逆 に 習 得 を 困 難 にす る 可 能 性 もある 中 国 語 話 者 による 日 本 語 の 動 詞 の 自 他 の 習 得 研 究 は, 動 詞 の 自 他 交 替 の 第 二 言 語 習 得 に おける 普 遍 性 と 母 語 の 影 響 を 考 える 上 で 貴 重 なデータを 提 供 し, 第 二 言 語 習 得 理 論 の 進 展 に 貢 献 できると 言 える 今 後, 上 で 提 示 した 予 測 や 他 の 側 面 をさらに 検 証 していく 研 究 が 必 要 とされる 参 考 文 献 張 麟 声 (2009). 日 中 両 語 の 自 他 動 詞 の 対 照 研 究 第 12 回 中 国 語 話 者 のための 日 本 語 教 育 研 究 会. Jacobsen, W. M. (1992). The transitive structure of events in Japanese. Tokyo: Kurosio Publishers. 影 山 太 郎 (1996). 動 詞 意 味 論 言 語 と 認 知 の 接 点 大 修 館. Montrul, S. (1997). Transitivity alternations in L2 acquisition: A crosslinguistic study of English, Spanish, and Turkish. Unpublished doctoral dissertation, McGill University, Montreal. Montrul, S. (2000). Transitivity alternations in L2 acquisition: Toward a modular view of transfer. Studies in Second Language Acquisition, 22, Murasugi, K., Hashimoto, T., & Fuji, C. (2007). VP-shell analysis for the acquisition of Japanese intransitive verbs, transitive verbs, and causatives. Linguistics, 45,

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