文京学院大学 保健医療技術学部 紀要 2009
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- しょうじ しのしま
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1 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 紀 要 第 4 巻 2011:19-28 家 族 問 題 の 象 徴 としての 不 登 校 木 附 千 晶 1 青 木 智 子 2 小 川 未 佳 3 斎 藤 学 3 1 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 作 業 療 法 学 科 2 啓 明 大 学 校 自 然 科 学 大 学 公 衆 衛 生 学 科 3 IFF CIAP 相 談 室 要 旨 本 事 例 は, 不 登 校 に 代 表 される 長 男 の 問 題 行 動 と,その 長 男 に 対 する 夫 の 暴 力 を 主 な 主 訴 とし, 個 別 面 接 として 始 めら れたものである. 面 接 が 進 行 するにつれ, 長 男 の 不 登 校 や Cl. と 夫 の 不 登 校 経 験, 原 家 族 との 問 題 が 明 らかにされ,Cl. 夫 長 男 への 各 個 別 面 接 と,これに 並 行 した 月 1 回 の 家 族 面 接 が 設 定 された. 夫 は 機 能 不 全 家 庭 に 育 ち, 妻 もまた 支 配 的 な 母 親 のもとで 永 遠 の 娘 でいるべく,4 人 の 子 どもを 成 しながら 入 籍 を 拒 み, 事 実 婚 を 継 続 している. 面 接 を 通 して 夫 婦 になりきれていない 夫 との 関 係, 母 親 との 心 的 密 着 が 長 男 の 不 登 校 などの 問 題 行 動 に 関 係 することを 自 覚 していく. 次 第 に 親 としての 役 割 の 自 覚 が 芽 生 え, 業 務 として 関 わっていた 子 育 てにも, 親 らしい 養 育 態 度, 感 情 交 流 が 見 られるよ うなった.こうした Cl. の 子 どもとの 関 係 の 変 化 が, 子 どもの 態 度 に 影 響 を 与 え, 長 男 は 登 校 を 始 めるようになった.こ こでは,Cl. の 面 接 の 経 緯,Cl. の 変 容 を 中 心 に 考 察 を 行 う. キーワード 母 娘 関 係, 自 立, 暴 力, 不 登 校 Ⅰ.はじめに クライエント 34 歳 ( 以 下,Cl. と 記 述 )は, 社 会 的 に 承 認 された 夫 婦 となることを 先 延 ばしにし, 事 実 婚 のまま 4 人 の 母 親 となった. 小 学 生 時 代 のフリースクール 仲 間 で あった Cl. とその 夫 は, 共 に 不 登 校 経 験 者 であり, 不 登 校 の 長 男 ( 以 下,IP)に 登 校 刺 激 を 与 えることもない.むしろ, 公 的 教 育 に 批 判 的 感 情 を 持 ち, 積 極 的 に IP をフリースクー ルに 通 学 させている.Cl. は,IP に 年 齢 にそぐわない 行 動 がみられること,また,IP のこうした 行 動 に 対 して 夫 が 暴 力 的 になることを 訴 え, 相 談 に 訪 れた. 本 事 例 は,3 週 間 に 1 回 50 分 の 個 別 面 接 として 開 始 さ れたが, 後 に 不 登 校 問 題 に 象 徴 されるクライエント 自 身 の 実 母 との 葛 藤, 夫 婦 関 係 の 問 題 が 明 らかにされた.このた め,Cl. 夫 identities patient( 以 下 IP と 記 述 注 : 問 題 を 持 つ 子 どもを 意 味 する)3 者 に 対 する 個 別 面 接, 並 行 して 月 1 回 の 精 神 科 医 で 同 相 談 室 顧 問 ( 以 下,SV と 記 述 ) による 家 族 全 員 が 参 加 する 家 族 面 接 が 提 案 され,Cl の 個 別 面 接 開 始 から 約 1 年 後 の 20X1 年 3 月 より 実 施 された. これらの 枠 組 みの 変 更 は Cl. との 面 接 から,1 不 登 校 とい う 症 状 が 示 す 家 族 の 問 題 であること,2 症 状 や 主 訴 を Cl. 個 人 のみの 問 題 としてではなく, 世 代 間 連 鎖 に 由 来 するものであることと 考 え, 家 族 全 体 を 治 療 対 象 とすべ き,と 見 立 てたことが 理 由 である.その 結 果,Cl. は 次 男 ( 第 4 子 )の 出 産 と IP の 登 校 開 始 を 契 機 に, 養 育 態 度 や 公 教 育 についての 認 識 変 容 を 遂 げた. 子 どもをめぐる 心 理 治 療 を 考 えるとき, 渡 辺 (2005).は, 親 子 関 係 の 葛 藤 の 再 燃, 親 自 身 の 生 い 立 ちをめぐる 葛 藤 の パターン, 祖 父 母 の 世 代 からの 未 解 決 の 葛 藤 の 世 代 間 伝 達 などについての 精 神 力 動 的 な 理 解 を 含 む, 幅 広 い 視 点 が 必 19
2 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 紀 要 第 4 巻 2011 要 であるとしている.この 指 摘 からも,3 者 への 個 別 面 接 と 家 族 を 対 象 とした 家 族 面 接 は 有 益 であったといえよう. 本 論 文 は, 子 どもの 問 題 行 動 との 関 わり 方 を 中 心 に, Cl. の 変 容 に 焦 点 を 当 て 考 察 するものであり, 主 に Cl. の 個 別 面 接 の 経 緯 を 主 に 検 討 し, 家 族 面 接 の 流 れは 参 考 に 留 め て 言 及 する.なお, 本 事 例 は 本 人 の 同 意, 相 談 室 の 倫 理 審 査 承 認 を 得 ているが, 本 人 特 定 を 避 けるために 一 部 内 容 に 手 を 加 えたことを 付 記 する. Ⅱ.クライエントとその 家 族 1)クライエント,および 主 訴 クライエント(Cl.):34 歳, 女 性, 大 学 教 員.4 人 の 子 どもの 母 親.セラピスト A が( 以 下,Th. と 記 述 )20X0 年 5 月 より 3 週 間 に 1 回 50 分 の 個 別 面 接 を 実 施 した( 家 族 面 接 開 始 後 は 1 ~ 2 週 間 に 1 回 となる). 主 訴 : 長 男 (IP)の 不 登 校 と 年 齢 に 不 釣 り 合 いな 行 動. 夫 から 長 男 を 含 む 子 どもへの 暴 力. 2) 成 育 歴 父 は 大 企 業 に 勤 務 し 不 在 がちな 父 と, 自 立 した 女 性 に 憧 れつつ 専 業 主 婦 となり, 公 教 育 に 否 定 的 な 母 の 元 で,2 歳 年 下 の 妹,5 歳 下 の 弟 と 共 に 育 つ. 妹 弟 も 共 に 小 中 学 校 時 代 に 不 登 校 を 経 験. 幼 少 期 は 父 の 転 勤 に 伴 い 各 地 を 転 々と し, 小 学 校 入 学 以 前 から 首 都 圏 に 暮 らす. 小 4 時, 母 の 入 院 を 機 に 学 校 を 欠 席 しがちになり, 小 5 の 2 学 期 から 完 全 に 不 登 校 となる. 小 6 からフリースクールに 通 い, 現 在 の 夫 と 知 り 合 う. 夫 ( 契 約 社 員,33 歳 )も 中 学 時 から 不 登 校 であり, 父 親 が 愛 人 と 別 宅 で 生 活 する 機 能 不 全 家 庭 に 育 った. 夫 が 中 3 時 に 両 親 は 離 婚. 後, 母 親 の 再 婚 に 伴 い, 夫 は 親 戚 宅 で 生 活 してきた.Cl. によると 夫 は 生 い 立 ちが 複 雑 で 詳 し いことは 聞 いていない. 辛 い 経 験 のせいか 話 したがらない とのこと. Cl. は 高 校 に 入 学 するが, 直 後 に 父 の 仕 事 のため 家 族 で 海 外 転 居. 現 地 のインターナショナルスクールに 通 学.こ の 学 校 に 行 けた 経 験 が Cl. の 後 の 自 信 に 繋 がった. 海 外 転 居 中, 夫 とは 文 通 で 親 交 を 深 め, 大 学 受 験 時 にひとり 帰 国 した 時 から 交 際 が 始 まった. 予 備 校 を 経 て, 看 護 大 学 に 進 学. 大 学 2 年 で 夫 の 子 どもを 中 絶 したことで, 両 親 か ら 交 際 を 禁 じられ,Cl. が 夫 の 部 屋 に 転 がり 込 むかたちで 同 棲 を 始 める. 大 学 卒 業 後 は, 看 護 師 として 1 年 の 病 院 勤 務 を 経 験 し, 出 産 に 伴 い 夫 と 事 実 婚. 数 年 前 まで Cl. の 実 家 の 2 世 帯 住 宅 で 生 活 していたが, 両 親 と 夫 の 関 係 の 悪 化 から 家 を 出 る. 現 在 は,4 人 ( 家 族 面 接 開 始 後 に 出 産 した 1 児 を 含 む)の 子 どもと 夫 との 6 人 で, 実 家 から 徒 歩 数 分 のところにある 借 家 の 一 軒 家 で 生 活. 3) 家 族 構 成 ( 図 1 参 照 ) 夫 :33 歳, 専 門 学 校 を 経 て, 一 時, 父 の 経 営 する 会 社 を 受 け 継 ぐが, 経 営 不 振 で 会 社 を 整 理.その 後, 契 約 社 員 図 1 20
3 家 族 問 題 の 象 徴 としての 不 登 校 として 再 就 職 した. 子 どもが 騒 ぐと 怒 り 出 すなど 暴 力 的 な 側 面 がある. 中 3 時 に 両 親 は 離 婚. 父 はそれ 以 前 から 別 の 女 性 と 同 居 していた. 不 登 校 の 妹 は 高 校 卒 業 資 格 試 験 を 経 て, 海 外 の 大 学 へ 進 学. 海 外 で 結 婚 し 現 地 在 住.Cl. の 個 別 面 接 開 始 から 1 ヶ 月 後 の 20X0 年 6 月 より, 月 1 回 50 分 のセッションとして 個 別 面 接 を 開 始 した. 長 男 (IP):8 歳, 小 学 校 3 年 生. 小 学 校 入 学 以 来 不 登 校 でフリースクールに 通 学 していたが,3 年 生 2 学 期 の 終 業 式 直 前 よりときどき 登 校 するようになる.フリースクール にも, 学 校 にも 行 かない 日 は 近 所 にある Cl. 実 家 で 過 ごす ことが 多 い.20X0 年 7 月 より 週 1 回 の 個 別 面 接 が 実 施 さ れた. 長 女 :5 歳. 保 育 園 児.2011 年 春 より 小 学 校 入 学. 次 女 :2 歳. 保 育 園 児. 次 男 : 出 産 予 定. 4) 見 立 て Cl. は, 母 親 に 反 感 を 持 ち, 母 親 の 言 動 を 否 定 的 にとら えながらも, 入 籍 を 考 えると 母 親 の 顔 が 思 い 出 されて 婚 姻 届 を 提 出 できなかった.このため, 事 実 婚 という 形 を 取 る など, 母 親 から 独 立 できずにいる.IP は 多 くの 場 合, 昼 間 は Cl. 実 家 に 身 を 寄 せているが,このことが Cl. 夫 婦 を いらだたせている.しかしその 一 方 で,IP のこうした 行 動 が,Cl. 夫 婦 と Cl. の 両 親,それぞれの 夫 婦 同 士 の 結 束 を 固 め,お 互 いに 関 係 を 持 たざるを 得 ない 状 態 を 生 じさ せている.つまり, 結 果 として IP の 問 題 行 動 は 不 安 定 な Cl. 夫 婦,Cl. 夫 婦 とその 両 親 ( 主 には Cl. と Cl. の 母 親 )の 関 係 をつなぎ 止 める 役 割 を 果 たしていると 考 えられる. 5) 治 療 方 針 全 てを 先 延 ばしにし, 中 途 半 端 にすることで, 問 題 と の 直 面 化 を 避 け, 精 神 的 な 葛 藤 を 意 図 的 に 自 覚 しないよ うにしている Cl. の 行 動, 思 考 の 修 正 を 図 る.そのことで Cl. が 夫 を 社 会 的 にも 心 理 的 にもパートナーとして 受 け 入 れ, 安 定 した 夫 婦 となれるようにする. 同 時 に IP が 登 校 できるよう 促 す. 具 体 的 には, 以 下 1 ~ 4 を 行 うこととした. 1 Cl. 夫 婦 が 内 縁 関 係 とはいえ, 夫 婦 として 理 想 的 な 関 係 をつくるために 歴 史 を 積 み 上 げてきており,ふたりの 意 志 と 力 で 成 し 遂 げてきたことを 自 覚 できるよう 励 ま し, 称 賛 する. 2 Cl. 夫 婦 が, 問 題 を 抱 えながらも, 自 分 たちは 素 晴 らし い 夫 婦 家 族 をつくってきたと 認 識 できるよう, 夫 婦 家 族 の 出 来 事 を 年 代 史 として 作 成 させる.このことで 家 族 の 歴 史 をより 深 く 意 識 させ, 事 実 婚 という 不 安 定 な 夫 婦 関 係 が IP に 与 えた 影 響 についても 自 覚 を 促 すと 同 時 に, 家 族 という 枠 組 みを 意 識 できるようにする. 3 Cl. 夫 婦 が 安 定 した 家 族 となるまでの 間,IP にとって 頼 れるおとな ( 担 当 セラピスト( 以 下 Th. と 記 述 )) を 用 意 し, 独 立 した 被 治 療 者 として 個 別 面 接 を 行 う. 4 各 Th. の SV である 精 神 科 医 による 月 1 回 の 家 族 面 接 を 実 施 する.これは 家 族 面 接 の 内 容 が 各 個 別 面 接 に 活 用 されること, 家 族 面 接 が 世 代 間 連 鎖 に 由 来 する 家 族 問 題 を 明 らかにすること, 個 別 面 接 の 効 果 を 上 げるこ とを 目 的 とする. ゴール: 安 定 した 夫 婦 関 係 の 構 築.その 結 果 IP の 役 割 が 軽 減 され, 登 校 が 促 されること. Ⅲ.Cl. 面 接 の 経 過 1) Ⅰ 期 : 不 安 定 な 夫 婦 関 係 の 理 解 (#1 ~ 19)20X0 年 3 月 ~ 20X1 年 4 月 注 )なお 面 接 プロセスは,Cl. の 変 容 の 段 階 に 応 じて 期 間 を 分 類 している. 文 中 にある#は, 面 接 回 を 示 す. 数 年 前 まで 2 世 帯 住 宅 で 私 の 両 親 と 生 活 していた. 現 在 は 実 家 から 徒 歩 圏 にある 借 家 で 夫 と 3 人 の 子 ども(8 歳, 5 歳,2 歳 )と 暮 らしている. 長 男 (IP)は 保 育 園 のとき は 嫌 がらずに 通 園 していたが, 小 学 校 入 学 後 まもなく 不 登 校 になった. 今 は 近 県 のフリースクールに 往 復 3 時 間 の 電 車 通 学 させている. 毎 朝, 保 育 園 児 である 長 女, 次 女, 夫 と 家 族 全 員 で 家 を 出 るが,IP はそのまま 実 家 の 母 の 家 に 行 くことが 多 い. 最 近 はフリースクールも 休 みがちなのが 気 になる. 夫 は, IP が 怒 った 直 後 に 同 じことを 繰 り 返 し たり, 場 にそぐわない 行 動 をしたり, 妹 や 飼 い 猫 に 攻 撃 的 などの 問 題 行 動 だけを 叱 っている という.だが,それは 暴 力 であるように 思 える(# 1). 大 学 時 代 に 妊 娠 し, 中 絶 したことを 両 親 に 知 られ, 交 際 を 禁 じられたために 夫 と 同 棲 を 始 めた. 中 絶 の 経 験 から 罪 滅 ぼし に 産 科 の 看 護 師 になることを 決 めた.8 年 の 病 院 勤 務 後, 大 学 教 員 とな り 現 在 に 至 る(# 2 ~ 5). IP 出 産 時, 出 生 届 と 一 緒 に 婚 姻 届 けを 提 出 するつもり だったが, 直 前 に 母 親 の 顔 が 浮 かび, 入 籍 を 見 送 った. 以 後, 現 在 に 至 るまで 事 実 婚 を 続 けている. 専 業 主 婦 の 母 親 (65 歳 )は, 女 性 は 自 立 すべき という 信 念 の 持 ち 主.その 母 親 の 影 響 なのか 私 も 結 婚 して 夫 の 姓 になることに 抵 抗 が あった. 大 企 業 の 会 社 員 だった 父 は 不 在 がちで, 休 日 は 部 屋 にこもって 寝 ているような 人. 感 情 を 表 情 に 出 さず, 内 に 溜 めるタイプで, 急 に 激 昂 し, 口 を 利 かなくなることも 21
4 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 紀 要 第 4 巻 2011 あった.IP が 母 親 のところにいることが 多 く,そのこと で 夫 とのケンカが 絶 えない. 中 絶 以 来, 夫 は 私 の 両 親 と 折 り 合 いが 悪 く, 同 居 中 も 私 が 板 ばさみになることが 多 かっ た.その 関 係 の 悪 さから 別 居 を 決 めた(# 6 ~ 14). 私 も 小 4 時 から 不 登 校 だった. 母 親 は 登 校 を 促 すどこ ろか, 公 的 教 育 に 否 定 であったため, 不 登 校 をとがめられ た 記 憶 がない.IP も 学 校 に 行 きたくないのなら,フリー スクールで 必 要 なことを 身 に 付 ければいいと 思 う. 夫 も 同 様 の 考 え. 子 どもをうまく 叱 ることが 出 来 ない. 私 はつ い 声 を 荒 げてしまうし, 夫 は 手 を 挙 げたりもする. 子 ども というのは 思 い 通 りにしたくてもならない 存 在. 私 は 子 ど もの 甘 えをなかなか 受 け 入 れられない. 私 の 母 親 もそう だった. 子 どもとの 会 話 は 禁 止 ごとばかりになってしまう (# 15 ~ 19). Th. の 印 象 :Cl. にとって, 子 育 ては 試 練 で, 子 ど もは 思 い 通 りにならない 面 倒 な 存 在 と 捉 えている 様 子. 自 身 も 不 登 校 について 登 校 刺 激 などを 受 けた 経 験 がなく,IP の 不 登 校 に 関 しても 問 題 意 識 を 強 く 抱 いていない. < 家 族 面 接 の 内 容 及 び 個 別 面 接 への SV からの 指 導 > SV より 妻 および 夫 の 原 家 族 の 問 題 や 不 安 定 な 婚 姻 関 係 が 子 どもに 影 響 を 与 えている 可 能 性 が 大 きい として 家 族 面 接 の 導 入 が 指 示 される.1 回 目 の 家 族 面 接 では,IP の 不 登 校,IP が 弟 妹 や 飼 い 猫, 同 世 代 の 友 達 とうまく 関 わ れないこと,Cl. が 入 籍 を 拒 んだ 経 緯 などの 概 要 が,Cl. と 夫 から 語 られた.SV からは,Cl. と 夫 それぞれに 不 登 校 のメリット デメリットを 記 述 せよ という 課 題 が 出 され た. 各 個 別 面 接 では, 不 登 校 に 対 する 考 えや, 気 持 ちを 整 理 し, 親 としての 態 度 の 振 り 返 りができる 機 会 にするよう 助 言 された. 2) Ⅱ 期 : 子 どもとの 関 係 の 洞 察 (#20 ~ 25)20X1 年 5 月 ~ 7 月 不 登 校 のメリットとデメリットを 記 述 する 課 題 は 難 し く,かなり 時 間 がかかった. 私 は, IP は, 不 登 校 によっ てしなければならないことをしなくてすんでいる と 考 え た.しかし, 夫 は 現 実 生 活 に 即 した 不 登 校 のメリット デメリットだけを 話 すのはずるい と 言 った. 夫 は 私 たち 夫 婦 と IP の 問 題 としての 不 登 校 ではなく, 社 会 一 般 的 に 不 登 校 とはどういうものか を 記 述 していた. 同 じ 不 登 校 の 話 をしているのに, 夫 婦 の 認 識 の 違 いに 驚 いた. 不 登 校 について 考 えたことで, 夫 婦 共 に 画 一 化 された 学 校 的 なもの への 嫌 悪 感 があると 再 認 識 した(#20). 子 どもと 意 識 的 に 会 話 するように 心 掛 けてみたが,いつ でも,いつの 間 にか 立 ち 消 えになっていることに 気 づいた. 子 や 飼 い 猫 を 可 愛 さのあまり 思 わず 撫 でることもなかっ た. 子 や 猫 の 世 話 を 業 務 としてこなしてきたのではな いか. 夫 も 家 族 を 誰 がいれば, 何 ができる というマン パワーとしてしか 捉 えていない. 夫 は 遊 園 地 などに 積 極 的 に 子 どもを 連 れて 行 くので, 端 から 見 れば, 積 極 的 に 育 児 に 取 り 組 むお 父 さんに 見 えるだろうが, 特 別 なイベントす るくらいしか 子 どもとの 関 わり 方 が 分 からないのかもしれ ない. 日 常 生 活 の 中 で, 子 どもを 喜 ばせたり, 楽 しませたり, 情 緒 的 な 交 流 を 図 ることはない. 幼 少 期 の 食 事 時 間 が 辛 かった 経 験 から 家 族 全 員 で 食 事 をすることに 夫 はこだわり を 持 っているが, 子 どもたちが 楽 しく 食 事 をする 雰 囲 気 で はない. 夫 の 独 演 会 をみんなが 拝 聴 している 感 じ(# 21). 小 学 校 の 頃, 常 に 他 の 子 と 違 うことをして 目 立 ってい た. 母 親 は 不 在 がちな 父 親 の 権 威 を 利 用 して 子 どもをコン トロールしていた. 不 登 校 の 原 因 は 公 教 育 にある. 家 族 に は 何 も 問 題 はないと 母 親 から 言 われ, 自 分 もそれを 信 じて きた.カウンセリングを 続 けることで,その 信 念 が 崩 れる のが 怖 いのかもしれない(# 22). 中 絶 を 知 った 父 親 が 激 怒 し, 夫 を 罵 倒 したことがあった. 私 はいたたまれなくなり,その 場 を 離 れて 公 園 のベンチで ぼうっと 座 っていた. 今 思 うと, 中 絶 せざるを 得 ない 状 況 をつくった 夫 への 怒 りが, 私 にもあったからこそ, 父 親 と の 間 に 入 って 夫 を 弁 護 できなかった 気 がする. 中 絶 後, 私 が 夫 の 家 に 転 がり 込 むかたちで 同 居 を 始 めたが, 中 絶 した ことで 数 年 間, 夫 を 責 めていた. Cl. が 父 親 に 乗 り 移 り, 夫 を 罵 倒 したのかもしれませんね という 家 族 面 接 での SV の 言 葉 で, IP の 登 校 を 止 めているのは 私 かもしれな い との 思 いがよぎった.かつて 父 親 に 乗 り 移 って 怒 りを 表 現 したように, 今 は IP に 乗 り 移 って,IP を 学 校 に 行 か せないことで 私 自 身 が 学 校 や 公 教 育 と 距 離 を 置 いているの かも 知 れない(# 23).IP は 最 近 一 度 だけ, 登 校 をほのめ かしたが,その 後 は 全 く 話 題 にしない.Cl. と 夫 の 間 でも 話 をしていない. 新 学 期 が 目 前 なので, 夫 と 相 談 すべきと 考 えている(# 24). 夫 は これまでは 自 分 が 暴 力 や 怒 りを 抑 えていたのでな く, 子 どもが 静 かだったから 怒 らなくてすんだだけ と 言 うが, 私 にはそう 見 えない. 夫 は, 思 いを 言 語 化 できない 人 間 は 社 会 で 生 き 残 れないと 考 えているようで, 明 瞭 な 説 明 に 執 着 し, 子 どもにも 強 要 している. 子 どもの 気 持 ちを 察 したり, 親 の 側 が 子 どもの 気 持 ちを 引 き 出 すことに 抵 抗 があるようだ. 子 どもへの 暴 力 を 止 めたときなどに, 夫 が 私 に 暴 力 をふるうこともある. 妊 娠 中 の 最 近 も 暴 力 があっ て,IP が ママは 妊 婦 なのにね と 慰 めてくれた(# 25). Th. の 印 象 : Cl. には 人 間 は 思 い 通 りに 他 者 が 動 か 22
5 家 族 問 題 の 象 徴 としての 不 登 校 ないと 怒 りだすもの という 考 えがあり, 夫 が 突 然, 激 昂 したり, 子 どもに 対 して 年 齢 にそぐわない 期 待 ( 合 理 的 に 説 明 するなど)を 爆 発 させることに 疑 問 を 感 じていない. 夫 の 暴 力 が Cl. に 向 けられることもあると 初 めて 語 ったが, 重 要 なこととは 認 識 しておらず, 危 機 感 もない. 暴 力 の 程 度 を 尋 ねても, 結 構 な 痛 さだったが,どこを 叩 かれたの かわからない. 蹴 られてはいないから 身 体 の 上 の 方 だった ように 思 う と 答 えるのみだった. < 家 族 面 接 の 内 容 及 び 個 別 面 接 への SV からの 指 導 > 家 族 面 接 では, 中 絶 から 同 居 ( 事 実 婚 )に 至 るまでの 経 緯 から,SV が お 互 いの 強 い 意 志 を 非 常 に 感 じる 結 婚. この 結 婚,そして 夫 婦 関 係 を 誇 りに 思 っていい と 繰 り 返 し 強 調 した.また,IP は 不 安 定 な 夫 婦 関 係 の かすがい でもあり,そのために 不 登 校 という 問 題 行 動 が 生 じている 可 能 性 が 高 いことも 指 摘 した. さらに,1 中 絶 から 同 居 に 至 る 一 連 の 出 来 事 を 家 族 の 創 生 期 ととらえることを 提 案 し, 妻 が 中 絶 した 日 と, 妻 が 夫 と 同 居 をはじめた 日 を 明 確 にして, 夫 婦 になったことを きちんとふたりの 歴 史 に 刻 む.このことで 戸 籍 という 縛 り のない 夫 婦 関 係 について 自 覚 的 にさせる.2 中 絶 した 日 を 入 り とし,たとえば 家 族 で 卵 を 孕 むものを 必 ず 食 卓 に 乗 せて 出 産 を 連 想 させる 儀 式 を 行 い, 同 居 を 始 めた 日 を 明 け として,その 家 族 イベントを 終 了 させることを 提 案 した.このように 子 どもの 誕 生 日 や 重 要 な 節 目 を 祝 うな ど, 夫 婦 家 族 としての 記 念 行 事 を 行 い, 各 個 別 面 接 では, 記 念 日 を 年 表 化 ( 家 族 誕 生 の 歴 史 物 語 の 記 述 )し, 年 代 史 をつくるよう 助 言 した.これらは, 不 登 校 という 問 題 行 動 で, 不 安 定 な 事 実 婚 状 態 の 夫 婦 関 係 を 安 定 させようとして いる IP の 変 容 を 期 待 すると 共 に,Cl. の 夫 婦 という 人 間 関 係 に 親 としての 自 覚 を 促 す 目 的 を 有 している. 3) Ⅲ 期 : 登 校 にまつわる 葛 藤 (#26 ~ 30)20X1 年 8 月 ~ 10 月 理 由 は 分 からないが, 家 族 の 年 代 史 をつくることに 抵 抗 がある. 次 男 が 甘 えたり, 泣 くことが 増 えた.それによっ て,しばらく 止 んでいた 夫 から 子 どもへの 暴 力 がまた 頻 繁 になった. 夫 は 自 分 の 思 い 通 りに 何 でもしたい 人.それが うまくいかないと 怒 る. 表 面 には 表 さないが, 内 心 では 不 愉 快 に 思 っており,その 怒 りを 急 に 爆 発 させる.そういう ところは 私 の 父 親 と 似 ているかもしれない(# 26). 長 女 に 対 し,とくに 感 情 的 になってしまう.なぜか 長 女 が 泣 いたり, 笑 ったりすると, 涙 や 笑 顔 を 武 器 にして 私 を コントロールしようとしているようで, 戦 いを 挑 まれてい るように 感 じる. 気 を 引 くために 泣 いている 気 がしてし まって, 長 女 が 謝 るまでとことん 追 い 詰 めてしまう. 思 え ば, 私 も 母 親 から あなたは 小 さい 頃 から 私 と 張 り 合 って いる と 言 われたことがある. 私 もそんな 感 じなのだろう か. 母 親 が 否 定 し 続 け, 私 から 取 り 上 げてきた 女 性 らし さ を 前 面 に 出 している 感 じがするから 長 女 の 振 るまいが 嫌 なのか,それとも 同 性 である 娘 くらいには 私 の 気 持 ち を 理 解 して 欲 しい という 期 待 があるからなのか. 私 が 幼 い 頃,ピンクやフリルを 母 親 に 否 定 され, 母 親 の 期 待 に 沿 っ たものを 選 んでいたことが 思 い 出 された.(#27) 早 起 きが 苦 手 な IP が, 私 が 声 をかけると 起 きるように なった( 注 : 登 校 刺 激 の 一 部 ).IP は 今 も 突 然,かんしゃ くを 起 こすことがあるが,その 後, 謝 ったり, 怒 ったりし ながら なんで 自 分 は 怒 っちゃうんだろう と 自 問 自 答 し ている. 夫 は, IP がうまく 起 き 上 がらないときに 怒 りが 出 るので 自 分 は 起 こさない と 言 うので, 私 だけが 声 かけ をしている. 最 近, 夫 は 泥 んこになって 遊 ぶ 次 女 を 見 守 る 私 の 母 親 や,IP のフリースクールのお 祭 りで 子 どもの 遊 びに 付 き 合 っているおとなを 見 て 多 くのおとなは 子 ども が 手 のかかることをしていても 平 気 なんだ 自 分 が 子 ど もの 時 もあんなふうに 遊 んだ などと 呟 くなど,たまに 自 分 の 子 ども 時 代 と 関 連 付 けた 話 をするようになった. 相 変 わらず 子 どもが 泣 いたりすると 怒 るが, 私 が また 怒 って いる と 注 意 すると 止 むことも 増 えた(# 28). 私 も, 長 女 の 話 に 付 き 合 えるようになり, 他 の 子 どもた ちがべたべたすることにも 嫌 な 感 じが 薄 れてきた.そう なってきた 自 分 が 嬉 しい.とくに 私 の 顔 色 をうかがう 雰 囲 気 が 強 かった 長 女 が 猫 は 人 間 より 早 く 死 んじゃうんだよ ね など, 泣 きながら 話 してくれるようになったのが 嬉 し い. 私 は 子 どもを 産 んだ 時 も, 肌 の 色 は? 指 は 何 本? など 看 護 師 目 線 で 観 察 していて, 情 緒 的 に 感 じることが 少 なかった. 感 情 を 口 に 出 すのは 恥 ずかしいと 思 っていたの だと 思 う.しかし, 第 4 子 の 出 産 を 目 前 に 控 え, 出 産 で 家 族 と 離 れるのはさみしい と 口 にした. 夫 からは 以 前 はそんなことを 言 わなかった と 指 摘 された.(# 29 ~ 30) Th. の 印 象 : 子 どもの 子 どもらしい 振 る 舞 い にイラ イラすることが 減 り, 母 親 との 関 わりを 求 める 子 どもに 応 えることができるようになってきた.また, 夫 の 言 動 の 問 題 点 を 問 題 点 として 捉 えはじめるようになり, 今 まで は そういうもの と 棚 上 げにしてきた 夫 の 言 動 への 疑 問 や,そのときにわき 上 がる 感 情 を 感 じ 始 めている. < 家 族 面 接 の 内 容 及 び 個 別 面 接 への SV からの 指 導 > 家 族 面 接 では 入 籍 しない=パートタイム 夫 婦 =いつ 別 れるのか 油 断 できない 関 係 であり,そうした 関 係 では, 23
6 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 紀 要 第 4 巻 2011 子 どものかすがい(=つなぎ 役 )としての 負 担 は 大 きいと SV が 説 明. 同 時 に 夫 婦 関 係 の 安 定 が 子 どもを 楽 にする との 方 向 性 を 示 し, 各 個 別 面 接 においては, 夫 婦 がお 互 いに 役 割 分 担 をしながら, 共 に 子 育 てをしている という 感 覚 を 持 ち,お 互 いの 感 情 にも 注 目 をはじめた 夫 婦 関 係 の 変 化 を 定 着 させるよう 指 示 が 出 される. 4) Ⅳ 期 :Cl. の 子 どもへの 関 わりの 変 化 と IP の 行 動 変 化 (#31 ~ 35)20X1 年 11 月 ~ 20X2 年 3 月 1 月 前 に 第 4 子 次 男 ( 出 産 にともない,1 月 半 ほど 面 接 は 中 断 ).IP は 次 男 の 面 倒 を 見 たがり, 何 かと 手 伝 って くれる. 先 日 は 留 守 番 を 頼 むと, 搾 乳 した 母 乳 を 飲 ませて くれていた.こんなことは 初 めて. 困 った 行 動 は, 寝 てい る 次 男 の 耳 元 で 奇 声 を 上 げること.ただ,その 様 子 を 見 て いると 悪 気 はなく, 次 男 が 目 を 覚 ましたら 一 緒 に 遊 びた いと 思 っている 様 子. 先 日, 学 校 に 行 く 用 事 があり, 行 き たくなく 渋 っていたら,IP が 一 緒 に 行 ってやるよ と, 次 男 を 抱 っこひもで 抱 っこし, 一 緒 に 学 校 に 行 った.その 後, 大 掃 除 や 終 業 式 のときは 1 人 で 登 校 した(# 31). 私 の 母 親 は 駄 目 な 部 分 を 受 け 止 められない 人. 褒 めても プレッシャーを 与 えてくる.たとえば, 私 が 本 を 読 んで 泣 いている 時 に, 人 の 気 持 ちがわかるのね と 言 う 母 の 褒 め 言 葉 の 奥 には, そういう 優 しい 人 でなければならない という 雰 囲 気 を 感 じる.こういう 母 親 の 態 度 が 私 の 不 登 校 の 原 因 だったのかもしれない. 学 校 に 行 けば 100%できる ことばかりではなく,できないこともある.でも, 母 親 が ダメな 部 分 を 受 け 止 めてくれないので 失 敗 できない と 思 って,しんどかったのではないか.その 思 いがあって 学 校 に 行 けなかったような 気 がする.もしかしたら, 今,IP も 同 じ 気 持 ちなのかもしれない. 私 が 駄 目 なところがあっ ていい, 失 敗 してもいいんだ と 思 えて,そのメッセージ を IP に 伝 えられれば 登 校 できるようになるのではないか (# 32). 年 が 変 わったが,IP は 引 き 続 き 登 校 している. 授 業 に ついて 行 けず, 不 安 そうでもある(IP 担 当 Th. より, 教 科 によってかなりのつまずきがあり, 全 く 授 業 を 理 解 して いない.このままだと 再 び 不 登 校 になるかもしれない と の 話 を 聞 いた Cl. 担 当 Th. が,どの 程 度, 授 業 について 担 任 に 確 認 することを 助 言. 後 に Cl. は 担 任 と 補 習 について 話 しあった). 補 習 は 可 能 なようだが, 具 体 的 な 話 し 合 い をしていない. 夫 は 自 分 が 勉 強 を 見 る と 言 うが, 実 現 できるのか. SV に 提 案 された, 卵 を 孕 んだものを 食 べるという 家 族 の 儀 式 は 無 事 に 終 了 できそう. 年 代 史 も 少 し 書 き 始 めた. IP が 社 会 科 見 学 で 道 を 間 違 えて, 担 任 が 何 やってるんだ, バカヤロー と 叫 んだらしい.IP は 信 じられる? あん な 先 生 の 態 度 はおかしいよ そのままにしておく 校 長 が 変 だ! と 怒 っている. 私 もいらだち,つい もう 学 校 に 行 かなくていい, 少 なくとも 今 の 学 校 は 行 かなくていい と 言 ってしまったが,IP は 友 達 ができたし.そうは 言 っ ても と, 行 きたそうなそぶりを 見 せた. 今 までの 私 の 子 育 ては, こうすべき にとらわれ 過 ぎ ていた.しかし, 初 めて 次 男 を ただ 無 条 件 に 可 愛 い と 思 えるようになった. 今 までは, 子 どもに 泣 かれると 私 の 時 間 が 奪 われる と 感 じたが, 次 男 に 対 しては,そうい う 気 持 ちにならない.また, 子 どもに 限 らず, 今 までは 相 手 が 不 機 嫌 になると 思 考 停 止 になって,そのままにしてい たが, 最 近 は 怒 る 夫 に ちょっと 待 って と, 考 える 時 間 をくれるよう 伝 えられるようになってきた(# 33 ~ 34). 年 代 史 を 書 いていたら, 夫 から 自 分 ( 夫 )を 好 きになっ たことが 認 められないのか と 責 められた. 夫 は 怒 って 雪 の 中 に 年 代 史 を 捨 てた( 後 に 夫 が 回 収 ). 早 く 面 接 で 振 り 返 りができるように 年 代 史 を 仕 上 げたい. 年 代 史 を 書 くこ との 難 しさを 感 じている.これまで 私 たち 夫 婦 はなにをし てきたのだろう. IP がまた 登 校 しぶりをはじめた.いじめと, 担 任 の 先 生 とのトラブルが 原 因.これまでの 担 任 の 対 応 には IP も 自 分 も 失 望 しているので, 話 合 いに 行 く 気 持 ちにもなれな い.ただ,IP は 担 任 の 勧 めで 学 校 のスクールカウンセラー ( 以 下,SC と 記 述 )と 会 い, 一 緒 に 将 棋 をして 好 感 を 持 っ ている 様 子. 私 には SC は 学 校 側 の 人 という 思 いがあり, 信 用 しきれない 部 分 がある. 不 登 校 だった 自 分 の 受 けた 教 育 相 談 で, 相 談 員 の 対 応 に 傷 ついた 体 験 が 影 響 しているの だと 思 う.しかし,そうした 体 験, 思 いが 私 にあることを きちんと SC に 話 し, だから IP を 傷 つける 関 わりはしな いで 欲 しい と 釘 を 刺 してからであれば, 担 任 でなく SC を 経 由 して 学 校 とつながることを 考 えてもいい(# 35). Th. の 印 象 : 自 身 の 不 登 校 について 新 たな 発 見 をし,さ らに IP の 不 登 校 とも 結 びつけて 考 えられるようになって きた. 面 接 を 通 して 自 分 と IP の 問 題 を 区 別 でき, 自 分 の 気 は 進 まなくとも,IP が 学 校 に 行 きたいのであれば,な んとかしてあげたい と, 親 の 立 場 で 動 く 意 思 も 現 れはじ めた.その 根 底 には, 長 年, 回 避 し 続 けてきた 母 親 との 葛 藤 を 見 つめ 直 そうとし 始 めたことで, 母 親 の 受 け 売 りでは ない 新 たな 公 教 育 への 視 点 を 模 索 しはじめたことがあ ると 考 えられる.また, 卵 を 孕 んだものを 食 べる とい う 家 族 儀 式 を 執 り 行 い, 年 代 史 に 取 り 組 むことで, 夫 婦 が 家 族 という 枠 組 みを 意 識 し 始 めたせいか, 夫 婦 仲 は 良 くな 24
7 家 族 問 題 の 象 徴 としての 不 登 校 る 傾 向 にある. < 家 族 面 接 の 内 容 及 び 個 別 面 接 への SV からの 指 導 > この 時 期 から IP も 家 族 面 接 に 参 加.SV が IP に 学 校 に 行 きたいと 思 っているのだろう. 取 り 立 てて 登 校 できな い 理 由 が 無 いのであれば, 不 必 要 な 不 登 校 はしない 方 がい い と 伝 える. 同 時 に,Cl. と 夫 には 子 どもの 自 主 性 を 尊 重 する と 言 われても, 子 どもは 学 校 に 行 く, 行 かない というようなことは 決 められない.こうした 重 要 な 判 断 を 子 どもに 押 しつけるのは, 親 役 割 を 放 棄 していることであ り, 子 どもにとって 残 酷 なことである と 指 摘 した. 各 個 別 面 接 では, 親 が 上 手 に 子 どもの 背 を 押 して 挙 げられるよ うな 援 助 と, 現 在 の 夫 婦 仲 の 良 さをきちんと 定 着 させるよ う 指 示 される. Ⅴ. 考 察 1) 原 家 族 母 娘 問 題 Cl. の 説 明 によれば, 夫 婦 は 各 原 家 族 から 強 い 影 響 を 受 けており,とくに Cl. が 母 から 継 承 した 文 化 ( 価 値 観 / 公 教 育 否 定 )は IP. にまで 影 響 を 及 ぼしている.Cl. が 夫 や 子 どもに 対 して 感 情 をともなう 関 わりができないのは, 長 年 Cl.が, 感 情 や 思 いを 封 印 することで 家 族 間 のもめご とや 葛 藤 を 顕 在 化 させないようにしてきたからである.も し, 今,ここ でわき 起 こってくる 感 情 を 実 感 してしま うと, 今 まで 封 じ 込 めてきた 両 親 (とくに 母 親 )に 対 する 怒 りや, 母 親 の 唱 える 公 教 育 否 定 への 疑 問, 原 家 族 内 での 葛 藤,さらには 日 々の 夫 とのやりとりの 中 で 感 じているは ずの 感 情 も 感 じてしまうようになり,さまざまな 問 題 と 向 き 合 う 必 要 が 生 じてしまう.Cl. は, 無 意 識 にそれを 避 け ようとし, 子 どもに 対 しても, いつか 可 愛 がればいい と, 感 情 が 動 かされるような 交 流 のある 親 子 関 係 の 構 築 を 棚 上 げしている 可 能 性 がある.このように 情 緒 的 な 関 わりを 棚 上 げにし, 感 情 を 封 印 しておけば, 正 式 な 婚 姻 関 係 や,す べてを 先 延 ばしにていることから 生 じる 罪 悪 感 も, 夫 の 暴 力 的 な 部 分 ( 夫 が 原 家 族 から 受 け 継 いだ)への 怒 りや 恐 怖 も 感 じずにすみ, 家 族 の 中 にあるさまざまな 問 題 を 顕 在 化 させずにすむのである. たとえば,Cl. は 面 接 中 に 夫 にどこを 殴 られたか 覚 え ていない と 述 べており,そのときの 恐 怖 や 怒 りを 抑 圧 し ている.しかし,こうした 夫 婦 の 狭 間 にいる IP は, 家 族 内 緊 張 の 緩 衝 剤 の 役 割 を 担 っている. 両 親 のいさかいを 目 にした IP は Cl. に 赤 ちゃんがいるのにお 父 さん 殴 った ね と 声 をかけ,Cl. が 私 が 悪 かったから と 答 え るやりとりが 幾 度 も 繰 り 返 される(Ⅱ 期 ). 本 事 例 は, 社 会 経 済 的 自 立 を 果 たした 娘 (Cl.)が, 娘 を 引 き 留 める 母 によって 実 家 を 離 れて 家 を 出 ることの 困 難 さ( 結 婚 への 戸 惑 い)を 感 じざる 得 ない 昨 今 の 親 子 関 係,とくに 母 娘 関 係 の 問 題 も 含 んでいることだろう( 信 田 2008). 母 は 自 らの 存 在 意 義 を 固 辞 するため, 常 に 娘 をコ ントロールし, 娘 は 母 を 捨 てて 嫁 ぐことができない.しか し, 木 附 青 木 小 川 斎 藤 (2011)は すでに 子 をなし た Cl. は,IP の 不 登 校 などの 問 題 行 動 を 前 に,もはや 永 遠 に 母 の 娘 ではいることはできず, 自 らが 母 親 として 子 ども を 守 る 必 要 がある.Cl. は 面 接 を 通 して,IP の 問 題 が, 実 は 自 分 自 身 の 問 題 であると 自 覚 していかざるを 得 ない と 指 摘 する.この Cl.の 状 態 は 母 親 は 娘 を 近 くに 置 いて おきたい 欲 望 と, 成 人 させたい 欲 望 の 両 方 を 持 ち,この アンビバレンスが 娘 に 不 安 を 感 じさせ, 娘 には 母 親 と 同 一 化 しながらも 逃 げ 出 したいという 強 い 情 緒 的 葛 藤 が 存 在 す る (Chodorow 1978)に 合 致 する.また, 母 親 との 近 い 関 係 は 娘 の 自 立 を 妨 げ, 共 依 存 的 なネガティブな 面 が 存 在 する( 北 村 2008).との 指 摘 にも 当 てはまる. 斎 藤 (1995, 2004,2008)はこれを 母 の 支 配 と 呼 んだが,Cl. はま さに 母 の 支 配 という 呪 縛 のなかにいたのだろう. 母 娘 の 世 代 間 伝 達 の 調 査 を 行 った 水 元 (2010)は, 子 ど もを 思 い 通 りに 育 てたいという 支 配 欲 求, 自 我 境 界 の 曖 昧 さが 母 から 娘 に 伝 えられることを 明 らかにしているが, 本 事 例 でも Cl. は, 子 どもを 思 い 通 りにしたい (# 15 ~ 19)と 語 り, 同 時 に, 長 女 への 感 情 的 な 自 分 を 振 り 返 り, 長 女 が 自 分 をコントロールすべく 泣 く, 笑 うなどの 感 情 を 用 い, 戦 いを 挑 まれているかのように 感 じている.そして, 母 親 の あなたは 小 さい 頃 から 私 と 張 り 合 っている とい う 言 葉 や, 母 親 から 否 定 され 続 けてきた 女 性 らしさを 回 顧 しつつ, 一 方 で, 娘 に 自 分 を 理 解 して 欲 しいとも 望 んでい る(#27). 子 どもを 思 い 通 りにするのは 困 難 である, 自 らの 感 情 に 目 を 向 けると 母 親 と 自 分, 自 分 と 子 (とくに 娘 ) との 自 我 境 界 の 曖 昧 さに 気 付 いてしまう.それを 回 避 する ために, 重 大 な 決 定 や 情 緒 的 な 交 流 は 封 じ 込 められていた のではないだろうか. 2) 親 としての 自 覚 と 事 実 婚 現 在 も 継 続 中 であるこのケースは, 数 々の 秘 められた 思 い 葛 藤 や,なんとなく 通 り 過 ぎてきた 日 常 生 活 の 問 題 点 が 面 接 で 明 らかになり, 意 識 化 され,Cl. が 変 化 し,その 変 化 が IP にも 影 響 を 与 えた. 業 務 としての 子 育 てではな く, 子 どもと 感 情 豊 かなやり 取 りができるようになった Cl. は, 親 としての 心 配 から IP に 朝 起 きるように 声 をかけ, 学 校 の 担 任 教 師 や SC とも 積 極 的 に 関 係 を 持 ち 始 めた. 若 25
8 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 紀 要 第 4 巻 2011 本 山 下 下 舞 (2009)は, 不 登 校 の 児 童 生 徒 に 会 えるか どうかに 関 わらず, 家 族 内 の 関 係 に 焦 点 を 当 てることで, 家 族 それぞれが 具 体 的 な 対 応 を 捉 えやすく, 家 族 全 体 の 変 化 が 感 じられやすいとしているが,Cl. の 面 接 を 通 した 家 族 関 係 の 整 理 は,IP の 不 登 校 に 対 して 有 意 義 であったと 考 えられる. Cl. は 先 日, 第 四 子 ( 次 男 )を 出 産 したが,IP はこの 子 を 可 愛 がり, 積 極 的 に 子 育 ての 手 伝 いをしているという. 小 学 校 の 訪 問 に Cl. が 躊 躇 していると, 次 男 を 抱 きかかえ 誇 らしげに Cl. に 同 行 している.このような 行 動 はかつて IP に 見 られず,むしろ 妹 弟 に 対 して 攻 撃 的 でもあった. Cl. を 中 心 とした 登 校 刺 激 と,この 学 校 訪 問 を 機 に,IP は 少 しずつ 登 校 するようになった. 登 校 だけでなく 家 庭 生 活 の 面 でも 行 動 変 容 が 生 じている. 母 親 の 情 緒 的 な 振 る 舞 い が, 子 どもにも 影 響 を 与 えたのだろう. 家 族 力 動 の 観 点 から 見 れば, 子 どもの 問 題 行 動 は, 家 族 の 問 題 を 象 徴 するものとされる.IP の 不 登 校 は, 世 代 間 伝 承 の 問 題 だけでなく, 事 実 婚 という 不 安 定 な 夫 婦 のかす がいとして 機 能 し,さらには Cl. 家 族 とその 実 家 をつなぎ 止 める 役 割 も 担 っている. 五 十 嵐 荻 原 (2004)は, 在 宅 を 希 望 する 不 登 校 ( 本 事 例 では,IP は 愛 着 対 象 でもあ る 祖 母 の 家 で 過 ごすことが 多 いが)では, 母 への 安 心 依 存 不 信 拒 否, 父 母 への 分 離 不 安 との 高 い 相 関 にあることから 親 を 困 らせることと, 親 への 否 定 的 な 愛 着 表 情 が 結 びついていること,さらにはその 背 景 に 安 心 感 を 伴 う 愛 着 関 係 の 確 立 についての 欲 求 にあることが 推 測 で きる としている. 本 事 例 は,Cl. のみならず, 夫 もまた, 妹 弟 すべてが 不 登 校 であり, 夫 婦 共 に 親 への 愛 着 の 問 題 を 抱 えつつ, 解 決 に 至 らないまま, 自 らが 親 になっている 点 にも 注 目 すべきなのかもしれない. 今 後,さらに Cl. が, 長 年, 封 印 してきた 自 らの 感 情 へ の 洞 察 を 深 めることで, 原 家 族 間 の 問 題,とくに 実 母 との 葛 藤 と 向 き 合 えるようになるだろう. 後 に, 実 母 との 精 神 的 別 離 が 進 み, 実 母 が Cl.に 行 ってきた こうすべき に 縛 られた 子 育 てとは 違 う 情 緒 的 な 関 わりを 持 つことが 増 えれば, 子 どもの 自 主 性 を 重 んじる 名 目 で 逃 れ 続 けて 来 た 親 の 責 任 の 遂 行 も 可 能 になり,それができないことの 裏 返 しとして 何 でも 禁 止 として, 子 どもをコントロー ルしようとする 傾 向 も 弱 まっていく.それはさらに, 子 ど もたちとの 情 緒 的 な 交 流 を 盛 んにしていくはずである.し かし, 一 方 で 棚 上 げしてきた 夫 との 問 題, 夫 自 身 が 抱 える 問 題 が 顕 在 化 し, 夫 婦 は 新 たな 危 機 に 直 面 化 し,その 夫 婦 の 混 乱 ( 安 心 できない 夫 婦 の 関 係 )が 再 び 不 登 校 などの 問 題 行 動 を 子 どもにもたらす 可 能 性 が 懸 念 される. Ⅵ. 結 語 本 事 例 では, 家 族 年 代 史 の 作 成 が Cl. のみならず 家 族 の 変 容 に 大 きな 役 割 を 果 たしている. 未 入 籍 のまま, 夫 婦 がそれぞれ 異 なる 名 字 を 持 つ ことは, 社 会 的 に 容 認 され た 夫 婦 であるとはいいがたく,いわばいつでも 別 れられる 不 安 定 な 関 係 でもある. 家 族 の 年 代 史 作 成 により 夫 婦 の 歴 史 を 振 り 返 り, 様 々なイベントを 妻 夫 がどう 認 識 してい るかを 語 ることは,ナラティブという 視 点 からも 効 果 的 で あった.また,この 作 業 は, 何 をどう 語 るのか,その 考 え はどこからくるのかに 思 いを 巡 らせることになり,ひいて は, 原 家 族 との 問 題 に 直 面 させることになった. 自 分 のストーリーを 語 ることは, 体 験 を 語 りなおすこと であり, 現 在 という 紙 の 上 に 歴 史 を 書 き 上 げることであ る. 語 り 直 しとはセラピストが 知 らなかったことに 反 応 し て, 語 り 手 が 記 述 し 直 し, 説 明 しなおすことである. 両 者 は 影 響 しあいながら 共 に 進 化 するが, 経 験 とその 記 述 もま た 同 時 に 進 化 を 遂 げる, 語 り 直 しと 言 っても,それは 単 に, セラピストがそれまでに 見 聞 きしたことを 語 ることではな い.セラピストは, 以 前 あったのと 同 一 の 業 者 やストーリー を 浮 かび 上 がらせるのではなく, いまだ 語 られていない 鉱 脈 を 探 るのである. 人 の 記 憶 には 想 像 性 が 秘 められてい る. 新 しい 物 語 作 品 と 新 しい 歴 史 がそこから 作 り 出 される (Mcnamee & Gergen 1992). 本 事 例 でも, 年 代 史 の 作 成 が 語 られていない Cl. の 母 娘 の 問 題 を 明 らかにし,それらが 婚 姻 関 係 にまで 影 響 を 与 え ていることが 示 された.Cl. は 年 代 史 作 成 に 困 難 さを 感 じ ていたが,これは 問 題 の 顕 在 化 を 恐 れたためでもあろう. さらには,この 作 業 を 通 して Cl. は 育 児 や 結 婚 についての 自 分 の 姿 を 振 り 返 ることになる.このプロセスを 経 て, 初 めて 情 緒 的 な 交 流 のない 子 どもとの 関 わりを 認 識 するので ある. 不 安 定 な 婚 姻 において,IP はそれを 安 定 化 する 役 割 を 担 っている. 安 定 に 必 要 なのは 不 登 校 という 問 題 行 動 であ り,IP の 問 題 行 動 が 自 身 に 由 来 することを 知 ること, 感 じることで,IP の 問 題 は 消 失 しつつある. 本 事 例 はいま だ 継 続 している 事 例 であり, 後 に Cl. IP がどのような 変 容 を 遂 げるかは, 次 いで 報 告 したいと 考 える. 引 用 文 献 1) Chodorow, N The reproduction of mothering. University of California Press( 大 塚 光 子, 大 内 管 子 訳, 母 親 業 の 再 生 産,1981, 新 曜 社 ) 26
9 家 族 問 題 の 象 徴 としての 不 登 校 2) 北 村 琴 美,2008, 過 去 および 現 在 の 母 娘 関 係 と 成 人 女 性 の 心 理 的 適 応 性 愛 着 感 情 と 抑 うつ 傾 向, 自 尊 感 情 との 関 連, 心 理 学 研 究 79, ) 木 附 千 晶, 青 木 智 子, 小 川 未 佳, 田 中 淳 一, 斎 藤 学, 2011, 母 の 語 られない 思 いが 子 どもの 行 動 として 表 れ たケース,Family Child Therapy,NO.5, ) 信 田 さよ 子,2008, 母 が 重 くてたまらない 墓 守 娘 の 嘆 き, 春 秋 社 5) Mcnamee. S, & Gergen K.J,1992, Therapy as Social Construction. Sage Publications Ltd( 野 口 裕 二, 野 村 直 樹 訳,ナラティヴ セラピー, 社 会 構 成 主 義 の 実 践, 金 剛 出 版 ) 6) 水 元 深 喜,2010, 青 年 期 から 成 人 期 の 移 行 期 における 母 娘 関 係 の 世 代 間 変 化 と 世 代 間 伝 達, 家 族 心 理 学 研 究, 24-2,p ) 五 十 嵐 哲 也 荻 原 久 子,2004, 中 学 生 の 不 登 校 傾 向 と 幼 少 期 の 父 親 および 母 親 への 愛 着 との 関 連, 教 育 心 理 学 研 究,52, ) 斎 藤 学,1995, 家 族 という 名 の 孤 独, 講 談 社 9) 斎 藤 学,2004,インナーマザー あなたを 責 めつづ ける 心 の 中 の お 母 さん, 講 談 社 10) 若 本 純 子 山 下 みどり 下 舞 久 恵,2009, 国 内 におけ る 不 登 校 研 究 の 概 観 年 の 雑 誌 論 文 記 事 に 見 られる 研 究 動 向 の 検 討 と 不 登 校 児 者 をとりまく 教 師 家 族 に 焦 点 をあてた 概 観, 鹿 児 島 純 心 女 子 大 学 大 学 院 人 間 科 学 研 究 科 紀 要 4, ) 渡 辺 久 子,2005, 母 子 臨 床 と 世 代 間 伝 達, 金 剛 出 版 参 考 文 献 1) クロエ マダネス 著, 竹 前 ルリ 穂 積 由 利 子 訳,1966 変 化 への 戦 略 暴 力 から 愛 へ, 誠 信 書 房 2) ジョナサン H ピンカス, 田 口 俊 樹 訳,2002, 脳 が 殺 す 連 続 殺 人 犯 : 前 頭 葉 の 秘 密 光 文 社 3) J スウィガート, 斎 藤 学 監 訳,1995,バッド マザー の 神 話, 誠 信 書 房 4) マーチン H タイチャー, 友 田 明 美 訳,2006,いや されない 傷 児 童 虐 待 と 傷 ついていく 脳, 診 断 と 治 療 社 5) ロビン カー=モース,メレディス S ワイリー, 朝 野 富 三, 庄 司 修 也 訳,2000, 育 児 質 からの 亡 霊, 毎 日 新 聞 社 6) 斎 藤 学,2008, 家 族 神 話 があなたをしばる~ 元 気 になるための 家 族 療 法, 日 本 放 送 出 版 協 会 27
10 文 京 学 院 大 学 保 健 医 療 技 術 学 部 紀 要 第 4 巻 2011 The Child's School Refusal is a Sign of the Family Problem Chiaki Kizuki 1, Tomoko Aoki 2, Mika Ogawa 3, Satoru Saito 3 1 Department of Occupational Therapy, Faculty of Health Science Technology, Bunkyo Gakuin University 2 Department of Public Health College of Natural Sciences Keimyung University 3 IFF CIAP Counseling Center Abstract This case study concerns a mother unconscious of her problems and the negative behavior of her child, which might be reflecting these problems. Mein problems are the husband being violent against the child's refusal in going to school. The aim of the therapy was to make the parents of their respective families. In order to achieve this goal, the events during their married life together, like the child's birth etc., were examined and revalued. By doing this, she came to understand her roles as a parent and started to realize that problems with the school and relationship are because of her own mother's influence and thought of public education and her own childhood experience. It also becomes clear during the therapy process that the child's behavior was linked to her problems. When she recognizes her own belief, finally the child's school problems are expected to cease to exist. In this paper, we will try to analyze 1)case process, 2) how to change Cl. Key words- Mother-daughter relationship, Independent, Violent, Refusal school Bunkyo Jounal of Health Science Techology vol.4:
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Ⅰ 調 査 の 概 要 Ⅱ 札 幌 の 子 どもの 学 力 学 習 意 欲 等 について Ⅲ 学 力 調 査 の 結 果 概 要 及 び 改 善 の 方 向 等 について Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果
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