プロダクションノート バルジャー 密 告 者 は 許 さねえ コノリー 密 告 じゃない 協 定 だ バルジャー 俺 とクソFBIが 協 定 だと? コノリー 違 う あんたと 俺 だよ 互 いに 利 用 し 助 け 合 うんだ ボストン 一 の 犯 罪 王 として 悪 名 をとどろかせたジェームズ

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1 ブラック スキャンダル パイレーツ オブ カリビアン/ 呪 われた 海 賊 たち ネバーランド スウィーニー トッド フリート 街 の 悪 魔 の 理 髪 師 で3 度 のオスカーにノミネートされたジョニー デップが 悪 名 高 き 実 在 のギャング ジェームズ バルジャーを 演 じ る 監 督 は クレイジー ハート のスコット クーパー アンサンブルキャストとして FBI 捜 査 官 ジョン コノリー 役 に 華 麗 なるギャツビー ゼロ ダーク サーティ のジョエ ル エドガートン バルジャーの 弟 で 州 議 会 上 院 議 員 として 権 勢 を 振 るうビリー バルジャー 役 に イミテーション ゲ ーム/エニグマと 天 才 数 学 者 の 秘 密 でオスカー 候 補 になったベネディクト カンバーバッチ バルジャーの 腹 心 ス ティーヴン フレミ 役 に アルゴ のロリー コクレイン バルジャーの 手 先 ケヴィン ウィークス 役 にTVシリーズ FARGO /ファーゴ のジェシー プレモンス FBIの 主 任 捜 査 官 チャールズ マグワイア 役 に ラブ アゲイン TVシリーズ ザ フォロイング のケビン ベーコンがそれぞれ 扮 する 1970 年 代 のサウス ボストン FBI 捜 査 官 のジョン コノリー(エドガートン)はアイルランド 系 ギャングのジミー バルジ ャー(デップ)を 口 説 き FBIの 協 力 者 にする その 目 的 は 共 通 の 敵 であるイタリアン マフィアを 壊 滅 させることだっ た しかし この 禁 断 の 密 約 は 収 拾 のつかない 事 態 を 招 く バルジャーは 警 察 当 局 の 追 及 を 逃 れて 権 力 を 拡 大 し ボストンきっての 恐 怖 の 犯 罪 王 に そしてアメリカ 史 上 もっとも 危 険 なギャングにのしあがっていく 監 督 スコット クーパー 脚 本 マーク マルーク ジェズ バターワース 原 作 ディック レイア ジェラード オニール 製 作 ジョン レッシャー ブライアン オリバー スコット クーパー パトリック マコーミック タイラー トンプソン 製 作 総 指 揮 ブレット ラトナー ジェイムズ パッカー ピーター マルーク レイ マルーク クリストファー ウッドロウ ブレッ ト グランスタッフ ゲイリー グランスタッフ フィル ハント コンプトン ロス 脇 を 固 める 共 演 陣 は ジミー バルジャーお 抱 えの 殺 し 屋 マルトラーノ 役 に ドラフト デイ のW アール ブラウン バルジャーとコノリーの 密 約 に 加 わるFBI 捜 査 官 ジョン モリス 役 に エンド オブ ウォッチ のデイビッド ハーバー バ ルジャーの 一 人 息 子 の 母 親 で 恋 人 のリンジー シル 役 に フィフティ シェイズ オブ グレイ のダコタ ジョンソン ジョ ン コノリーの 妻 マリアン 役 に 8 月 の 家 族 たち のジュリアンヌ ニコルソン 連 邦 検 察 官 フレッド ワイシャック 役 に ボ ーン レガシー のコリー ストール ブライアン ハロラン 役 に ブルージャスミン のピーター サースガード FBI 捜 査 官 ロバート フィッツパトリック 役 にTVシリーズ Parks and Recreation のアダム スコット スティーヴン フレミの 義 理 の 娘 にして 愛 人 でもあるデボラ ハッセー 役 に マレフィセント のジュノー テンプル 撮 影 マサノブ タカヤナギ( 世 界 にひとつのプレイブック ファーナス/ 訣 別 の 朝 ) 美 術 ステファニア セッラ ( グレート ビューティー/ 追 憶 のローマ ) 編 集 デイビッド ローゼンブルーム( インサイダー でオスカーにノミネ ート) 衣 装 カシア ワリッカ=メイモン( フォックスキャッチャー ) 音 楽 トム ホルケンボルフ( マッドマックス 怒 り のデス ロード バットマン vs スーパーマン ジャスティスの 誕 生 ) ワーナー ブラザース 映 画 提 供 クロス クリーク ピクチャーズ ラットパック=デューン エンターテイメント 提 携 ク ロス クリーク ピクチャーズ 制 作 ル グリスビ プロダクションズ フリー ステート ピクチャーズ ヘッド ギア フィル ムズ 共 同 制 作 スコット クーパー 作 品 原 題 Black Mass 配 給 ワーナー ブラザース 映 画 (ワーナー ブラザー ス エンターテイメント カンパニー) 公 式 サイト:

2 プロダクションノート バルジャー 密 告 者 は 許 さねえ コノリー 密 告 じゃない 協 定 だ バルジャー 俺 とクソFBIが 協 定 だと? コノリー 違 う あんたと 俺 だよ 互 いに 利 用 し 助 け 合 うんだ ボストン 一 の 犯 罪 王 として 悪 名 をとどろかせたジェームズ バルジャー バルジャーは2011 年 に 逮 捕 されるま で 10 年 あまりFBIに 追 われ ウサマ ビンラディンに 次 ぐ 最 重 要 指 名 手 配 者 だった しかし 皮 肉 なことに バルジャ ーがここまで 勢 力 を 拡 大 できたのはFBIの 教 唆 と 幇 助 があってこそだった 本 作 が 描 くのは 極 悪 非 道 なギャングとしてならしたバルジャーがFBI 捜 査 官 のジョン コノリーと 交 わした 密 約 によ り 何 のとがめも 受 けずに 犯 罪 帝 国 を 築 いていくさまだ コノリーは 野 心 に 駆 り 立 てられ バルジャーに 捜 査 の 手 が 及 ばぬように 計 らい 増 え 続 ける 死 体 の 数 に 目 をつぶる 監 督 と 製 作 を 兼 ねるスコット クーパーが 説 明 する ジョン コノリー バルジャー バルジャーの 弟 のビリーは 幼 な じみなんだ 3 人 ともサウス ボストンの 通 称 サウシー の 一 角 で 育 った 僕 がこのストーリーに 惹 かれたのは その 3 人 の 因 縁 なんだ バルジャーとビリーは 似 ても 似 つかぬ 兄 弟 だし ジョン コノリーは 兄 弟 の 実 力 を 分 かっていて 昔 から2 人 をあがめてきた 最 終 的 にバルジャーが 地 元 で 大 暴 れするのを 許 すことになるのも バルジャーの 歓 心 を 買 いたかったからさ 子 供 のころ 遊 び 場 でいじめられていたのを 助 けてもらったときから ずっとバルジャーに 気 に 入 られたいと 思 ってきたんだ コノリーはニューヨーク マフィアの 逮 捕 をきっかけにFBI 内 で 評 価 を 上 げるが 一 方 のバルジャーは 違 う 方 面 で 名 をとどろかせていた 権 力 闘 争 を 繰 り 返 してきたバルジャーは 地 元 のギャング 集 団 ウィンターヒル ギャングのトップ に 上 り 詰 める バルジャーを 恐 れる 者 もいたが 多 くの 住 民 にとって 彼 はロビン フッドのような 存 在 だった 直 接 的 間 接 的 に 地 元 サウシーに 貢 献 していたからだ ジェームズ バルジャーを 演 じるジョニー デップが 指 摘 する サウシーは 昔 も 今 も 住 民 同 士 の 結 束 が 非 常 に 強 いんだ 地 元 の 人 たちは ジミー に 対 して 大 きな 恩 を 感 じていた バルジャーはファースト ネームの 愛 称 ジミー と 呼 ばれるのを 好 んだという 子 供 のころからジミーに 憧 れ 目 標 にする 人 も 多 かったんだ ジミーは 何 をするにも 自 分 の 流 儀 を 通 し たいてい 勝 利 をおさめる しかも 圧 倒 的 なカリスマ 性 があった 人 を 惹 きつけてやまない 独 特 の 魅 力 があり 誰 もがジミーと 仲 良 くなりたいと 思 う この 人 をもっと 知 りたい 理 解 したいと 思 わせるような 求 心 力 を 備 えていたんだ ジェームズ バルジャーはじつに 興 味 深 い 人 物 だね その 原 動 力 はどこから 来 るのか 知 りたいと 思 っ たよ ジョン コノリー 役 のジョエル エドガートンは 言 う ジョンにとってバルジャーはアウトローであり 地 元 の 星 でもある んじゃないかな 個 人 的 な 縁 も 深 い ジョンは 地 元 の 星 とは 昔 からの 顔 なじみだし その 地 元 の 星 もジョンには 良 くし

3 てきた 昔 はね コノリーもFBIに 入 った 当 初 はまっとうな 志 があり 立 派 な 法 の 番 人 を 目 指 していたんだと 思 う だけど 彼 の 地 元 では 正 義 と 悪 との 境 がじつにあいまいなんだ 憧 れの 星 が 悪 の 側 にいるとなれば 志 も 変 わるんじ ゃないかな 地 元 の 犯 罪 者 が 何 の 制 約 も 受 けずに 伸 び 伸 びと 暴 れまわっているように 見 える ジョンはそんな 光 景 を 目 の 当 たりにして しだいに 悪 に 染 まっていったんだと 思 う バルジャーのような 人 物 に 魅 了 されるのはコノリーだけではないと 製 作 のジョン レッシャーは 言 う 映 画 やテレビ や 本 を 見 ても 分 かるように 人 はみなギャングの 世 界 に 心 惹 かれます ギャングには 一 般 社 会 とは 違 うルールがあ りますからね わけても この 実 話 には 悪 名 高 きギャングと たまたまその 弟 で 州 内 一 の 有 力 政 治 家 と 前 途 洋 々 のFBI 捜 査 官 とが 密 接 に 絡 みます これは 作 ろうと 思 って 作 れる 話 ではありません 事 実 は 小 説 よりも 奇 なり です よ それでも 映 画 化 にあたっては 多 少 のアレンジが 必 要 だったとレッシャーは 明 かす 判 明 した 事 実 を 余 すところなく 1 本 の 映 画 に 収 めるのは どだい 不 可 能 でした 複 数 の 関 係 者 を 一 人 のキャラクターとしてまとめたり 一 部 の 出 来 事 は 時 間 を 短 縮 して 描 いたりしましたが 全 体 としては 史 実 に 沿 うことができました その 結 果 圧 巻 のストーリーが 完 成 しましたよ バルジャー 情 報 提 供 には2 種 類 ある 絶 好 のチャンスだ 俺 たちの 抗 争 をFBIに 戦 わせる 敵 を 潰 すために FBIの 保 護 があればやりたい 放 題 だ バルジャーはFBIの 情 報 提 供 者 だった その 驚 愕 の 見 出 しが ボストン グローブ 紙 の 一 面 を 飾 ったのは1988 年 その 後 10 年 間 で FBIとバルジャーの 癒 着 の 実 態 が 徐 々に 明 らかになった 同 紙 の 記 者 でこれをスクープした ディック レイアとジェラード オニールは のちに 事 件 の 全 容 を 一 冊 の 本 にしたためた その 著 書 密 告 者 のゲーム FBIとマフィア 禁 断 の 密 約 ( 角 川 書 店 刊 )は 本 作 の 原 作 だ しかし レイアとオニールは 当 初 この 事 件 をまっ たく 違 う 切 り 口 で 記 事 にするつもりだった もともとは2 人 の 兄 弟 の バルジャーとビリーの 話 として 紹 介 する 予 定 でした とレイアは 言 う 低 所 得 者 向 けの 公 営 住 宅 で 育 った2 人 がそれぞれの 道 で まったく 違 うルールにのっとり ともに 頂 点 に 立 つまでの 経 緯 を 書 こうと 思 っていたんです ビリー バルジャーが 目 指 したのは 政 界 だった 大 学 出 のビリーは 裏 社 会 に 住 む 兄 とは 対 照 的 な 道 をたどり マサ チューセッツ 州 議 会 の 上 院 議 長 に 上 り 詰 める ビリーを 演 じたベネディクト カンバーバッチもバルジャー 兄 弟 の 対 比 に 注 目 した ビリー バルジャーは 長 年 州 の 上 院 議 会 で 絶 大 な 力 を 持 っていた ビリーに 陳 情 すれば 何 でも 通 ったんだ だけど ビリーはバルジャーの 弟 で もある 血 を 分 けた 兄 が20 世 紀 を 代 表 するであろう 凶 悪 犯 罪 者 そのコントラストはすさまじいね バルジャー 役 のデップも 同 感 だ ビリーは 政 界 に 入 り 派 手 なパフォーマンスが 身 上 の 大 物 政 治 家 になった ビリ ーはビリーの 道 を 究 め 暗 黒 街 に 君 臨 したんだよ それでも2 人 は 揃 って 実 家 の 母 親 を 訪 ねたりして ずっと 兄 弟 仲 は 良 かった 社 会 的 な 立 場 はえらく 違 うけどね バルジャー 兄 弟 のあまりにもかけ 離 れた 足 跡 は 記 事 のハイライトになるはずだった ところが 意 外 な 事 実 が 判 明 する バルジャーはやり 手 のドンとして 知 られていましたが それにしても 法 網 をくぐるのが 巧 みだった まるで 魔 法 でも 使 っているかのようでした とレイアは 振 り 返 る そこでタマネギの 皮 をはぐように 取 材 を 進 めていくと 地 元 の 当 局 内 部 に 不 審 な 動 きのあることが 分 かりました 以 前 から 疑 われていたのですが やはりバルジャーとFBIの 関 係 は

4 おかしなことになっていた そのときFBIの 窓 口 になっていたのが バルジャーと 同 じサウス ボストン 出 身 のジョン コ ノリーという 捜 査 官 だったんです マグワイア 信 用 できる 情 報 を 流 すと なぜ 分 かる? コノリー 幼 なじみです ジミー 弟 のビリー そして 俺 大 人 になっても 絆 は 変 わらない ジミーは 俺 との 約 束 を 守 り 抜 く 裏 が 取 れた 時 点 で バルジャーがFBIに 通 じていたことを 記 事 にしました とオニールは 話 す FBIにとって 情 報 提 供 者 は 聖 杯 だし その 筋 の 人 たちも 警 察 内 部 に 味 方 が 欲 しい ですからバルジャーとFBIの 馴 れ 合 いはある 意 味 で 象 徴 的 です ただ 相 手 の 捜 査 官 がサウシーの 出 身 じゃなかったら バルジャーも 情 報 提 供 者 にはならなかっ たでしょう サウシー 育 ちのコノリーだからこそ ほかの 捜 査 官 と 違 って バルジャーと 意 気 投 合 できたのだと 思 いま す コノリーは 同 郷 のよしみにつけ 込 んで バルジャーを 情 報 提 供 者 として 抱 き 込 み 局 内 でもてはやされました でも 抱 き 込 んだのはバルジャーのほうだったんです レイアが 話 す 最 初 は あのバルジャーがFBIの 情 報 源 だなんて 信 じられなかった 彼 のイメージにまったく 合 い ませんからね 我 々は 証 拠 を 固 め 事 実 関 係 を 確 認 してから 発 表 に 踏 み 切 ったんですが 我 々が 知 り 得 たことは 氷 山 の 一 角 に 過 ぎませんでした そして ボーン! 爆 弾 の 導 火 線 に 火 がついたんです とオニールが 言 う 記 事 を 発 表 した 時 点 では この 事 件 の 根 がどれほど 深 く 暗 く おぞましいものか 知 る 由 もありませんでした 取 材 には2 年 を 費 やしました とレイアは 言 う ですが あの 記 事 をきっかけに バルジャーとFBIが 絡 む 一 大 ドラマが 露 見 し 歴 史 的 スキャンダルに 発 展 したんです 製 作 のブライアン オリバーはいち 早 く 原 作 の 映 画 化 の 権 利 を 買 い 取 った ギャングの 幹 部 に 協 力 を 要 請 し 自 分 たちもギャングに 手 を 貸 す FBIのその 発 想 に 興 味 を 覚 えました あのFBIでさえ こうして 墓 穴 を 掘 るのなら 誰 がそうなっても 不 思 議 でないと 思 いました コノリーは 正 しいことをしているつもりだったけれど 途 中 で 間 違 いに 気 づいたんでしょう けれども もはや 引 き 返 せなかったのだと 思 います 脚 本 を 担 当 したマーク マルークとジェズ バターワースは コノリーとバルジャーをつなぐ 地 縁 が ほどけぬ 結 び 目 に 変 わったと 言 う コノリーは 己 の 野 心 に 負 けて 新 人 捜 査 官 のころに 挙 げた 実 績 をフイにしてしまうんです とマル ークは 指 摘 する 彼 はイタリアン マフィアの 支 配 からボストンを 救 いたかった だからこそ 小 手 調 べのつもりでバ ルジャーに 便 宜 を 図 った 持 ちつ 持 たれつ の 関 係 を 目 指 したんでしょう だけど バルジャーのような 男 を 小 手 調 べの 相 手 にしてはいけない すぐにからめ 捕 られてしまいますよ 本 末 転 倒 とは このことです とバターワースが 言 葉 を 添 える コノリーはFBIの 代 表 として 暴 れ 馬 を 手 なづけよ うとしたけれど 逆 に 手 なづけられてしまった 手 綱 を 握 っていたのはバルジャーのほうだったんです バルジャーに 縁 もゆかりもない 人 間 だったらその 状 況 は 見 えたはずですが なぜかコノリーには 見 えなかった 監 督 のスコット クーパーによると この 脚 本 の 魅 力 は 登 場 人 物 たちのユニークな 相 関 関 係 を 描 いたところにあると いう 僕 はどういうわけか 人 生 の 悲 劇 や 人 間 の 性 (さが)を 深 く 描 いたストーリーに 惹 かれるんだけど この 作 品 はそ

5 の 両 方 を 兼 ね 備 えていたよ まるでシェークスピア 作 品 のように 興 味 深 いテーマが 含 まれていた 堕 落 背 信 慢 心 そういうテーマがひとつのストーリーに 詰 まっていて ぜひ 掘 り 下 げてみたいと 思 ったんだ さらにこのストーリーには さまざまな 家 族 の 形 が 対 照 的 に(ときに 矛 盾 をはらんで) 描 かれている バルジャーと ビリーに 象 徴 される 血 縁 による 家 族 コノリーとバルジャー そしてバルジャーと ウィンターヒル ギャングに 見 る 地 縁 による 家 族 ジミー バルジャーは 家 長 として 手 下 たちを 仕 切 り ギャングのメンバーを 本 物 の 家 族 だと 思 っていた んじゃないかな とバルジャー 役 のデップは 分 析 する もうひとつの 家 族 の 形 が 自 ら 選 んだパートナーとの 関 係 だ バルジャーと 恋 人 のリンジー シル(ダコタ ジョンソ ン) コノリーと 妻 マリアン(ジュリアンヌ ニコルソン)がそれにあたる この2 人 が 登 場 しなかったら このストーリーに 人 間 らしい 情 を 絡 ませることはできなかったんじゃないかな と 監 督 のクーパーは 言 う バルジャーとジョン コノリー が 人 間 的 な 一 面 をかいま 見 せるのは リンジーとマリアンの 前 だけなんだ 本 作 では 欺 瞞 野 望 いびつな 忠 義 といったテーマが 全 編 を 貫 く 製 作 陣 はそうしたテーマを 任 せられる 監 督 とし てスコット クーパーに 白 羽 の 矢 を 立 てた 製 作 のレッシャーが 振 り 返 る 初 めて 顔 を 合 わせたときのスコットの 言 葉 に 惚 れました 彼 はこんなことを 言 ったんですよ まずは 登 場 人 物 を 人 間 としてとらえたい そのうえで 彼 らの 悪 行 に 視 点 を 移 したい と スコットは 有 言 実 行 してくれましたよ 登 場 人 物 の 行 いをかばうことも 正 当 化 することもせ ずにね 清 潔 な 人 間 が 一 人 も 出 てこない そういう 映 画 を 上 質 に 仕 上 げるには 監 督 の 力 量 と 知 性 が 問 われます 本 作 はまさにそのタイプの 作 品 でした と 製 作 のブライアン オリバーは 話 す 登 場 人 物 はそれぞれに 変 化 を 見 せます が 誰 一 人 としてヒーローにはなりません そんなストーリーを 展 開 させることは 生 易 しいことではありませんが スコ ットは 見 事 にやってのけました スコット クーパーは 奇 才 だよ とデップも 感 心 する クレイジー ハート と ファーナス/ 訣 別 の 朝 を 観 て 恐 れ 入 ったんだ 両 作 品 でスコットが 見 せた 奥 の 深 い 演 出 は とても 新 進 監 督 とは 思 えなかった だから いつか 組 ん でみたいと 思 っていたんだ 現 場 での 仕 事 ぶりを 見 ていても これが3 作 目 とは 信 じられなかった その 手 腕 ビジョ ン 熱 意 に 惚 れ 惚 れしたね スコットはこの 作 品 を 飲 んで 食 って 寝 倒 した まったく すごい 男 だよ スコットが 監 督 するなら 電 話 帳 の 撮 影 にだってつき 合 うね とデップは 笑 う 本 気 だよ! スコットのことは 心 の 底 から 尊 敬 して るんだから 才 気 あふれる 監 督 で これからが 本 当 に 楽 しみだよ コノリーの 直 属 の 上 司 チャールズ マグワイアを 演 じたケビン ベーコンも 同 感 だ 以 前 からスコット 作 品 のファンだ ったんだ 今 回 はセットを 見 事 に 仕 切 ってくれたことに 感 謝 している スコットのおかげで キャストのあいだにオープ ンで 協 調 的 なムードが 生 まれた 今 回 の 現 場 はチームワーク 抜 群 でやりがいもひとしおだったよ ほかのメイン キャストはロリー コクレイン ジェシー プレモンス W アール ブラウン コリー ストール ピーター サースガード アダム スコット ジュノー テンプルだ ストーリーを 紡 ぐうえで 登 場 人 物 と 同 様 に 重 要 だったのが 舞 台 となる 街 だった 本 作 をボストンで 撮 影 したのは ほ かの 場 所 は 考 えられなかったから とクーパーは 言 う この 作 品 の 時 代 背 景 はロケーションや 街 並 みをとおして 観 客 に 伝 わると 思 う ボストンのたたずまいは 非 常 にユニークだからね 製 作 のタイラー トンプソンも 同 じ 考 えだ ボストンは 作 中 で 立 派 な 役 目 を 果 たしています ほかの 都 市 ではこうは いかなかったでしょう ボストンには 特 有 の 土 地 柄 があり そこに 住 まう 人 たちもすばらしかったですよ これはボストンが 生 んだストーリーです と 製 作 のパトリック マコーミックは 断 言 する 当 時 の 余 韻 は 今 も 街 の あちこちに 染 み 付 いています その 余 韻 を 肌 で 感 じ ボストンならではの 景 観 を 捉 え できるだけ 実 際 の 事 件 現 場 で 撮 影 するためにもボストンに 出 向 く 必 要 がありました 映 画 化 するには 多 少 なりとも 史 実 や 人 物 をアレンジする 必 要 があるとは 思 います と 原 作 者 のレイアは 言 う それでも 時 代 考 証 は 欠 かせません キャストもスタッフも なかば 取 り 憑 かれたようになって 当 時 を 正 確 に 再 現 し ようと 努 めていました

6 監 督 のクーパーが 明 かす 映 画 を 撮 るのはいつだって 難 しいけれど わずかでも 史 実 が 絡 むと なおさら 難 儀 だ ね とくに 今 回 のストーリーは 裾 野 が 広 いし 大 勢 の 関 係 者 がそれぞれの 視 点 で 語 っているから 事 件 の 真 相 が 見 えにくかった 当 時 の 出 来 事 を 忠 実 に 沿 って 描 くのは かなり 骨 が 折 れたよ ウィークス サウシーのガキどもは 悪 党 と 警 官 ごっこ で 育 ち 大 人 になっても 同 じだ しかも 悪 党 と 警 官 の 区 別 がつかない キャスティング 当 初 バルジャーを 筆 頭 とする ウィンターヒル ギャングはFBIの 監 視 対 象 にすらなっていなかった 映 画 の 冒 頭 ではノース エンドを 拠 点 とするイタリアン マフィアのコーサ ノストラがボストンを 牛 耳 っている バルジャー 率 いるア イルランド 系 アメリカ 人 の 一 派 ウィンターヒル ギャングは 弱 小 組 織 に 過 ぎず ゆすりや 恐 喝 やヤミ 金 業 で 日 銭 を 稼 ぎ たまに 殺 人 事 件 を 起 こす 程 度 だった と 監 督 のクーパーは 説 明 する 当 時 のボストンの 組 織 犯 罪 は もっぱ らジェンナーロ アンジューロとその 手 下 の 仕 業 だったんだ 故 郷 に 戻 ったコノリーは FBIのボストン 支 局 で 昇 進 する にはコーサ ノストラを 一 網 打 尽 にしなければいけないと 悟 るんだ そこで 必 要 になったのがバルジャー バルジャー なら 貴 重 な 情 報 源 になってくれると 見 込 む けれども バルジャーは 危 険 極 まりない 男 だから FBIとしてはバルジャ ーを 情 報 提 供 者 として 認 めることに 難 色 を 示 すんだ FBIの 懸 念 はもっともだった バルジャーはコノリーに 情 報 の 提 供 を 約 束 し いわゆるFBIの 協 力 者 になる コノリ ーが 続 ける はっきり 言 って その 連 絡 係 は 人 一 倍 ずる 賢 くて 良 心 のかけらもない そんな 男 がFBIからじきじき に 許 可 をもらったんだ 悪 事 の 限 りを 尽 くす 許 可 好 き 勝 手 に 暴 れ 回 るお 許 しをね これは 自 滅 へのレシピだよ 結 果 として この 一 件 がFBI 史 上 最 悪 のスキャンダルに 発 展 したんだ バルジャー 役 のジョニー デップは 盗 人 にも 仁 義 あり と 言 わんばかりに こう 指 摘 する 最 初 に 断 っておくけれど ジミー バルジャーは 誇 り 高 き 男 さ 少 なくとも 自 分 ではそう 思 っている だから コノリーに 話 を 持 ちかけられたと きも たれこみ 屋 になるのはまっぴらごめん と 真 っ 先 に 言 い 切 った いくら 金 を 積 まれようが 誰 の 頼 みであろうが 身 内 を 売 るようなマネは 絶 対 にしないと それでもイタリアン マフィアの 検 挙 に 手 を 貸 すことにしたのは 商 売 上 の 計 算 が 働 いたからさ ジミーにとっては 間 違 いなく 有 利 だからね あれだけおいしい 条 件 を 提 示 されたら 誰 でも 話 に 乗 るんじゃないかな だから ジミーも 乗 った そして FBIにはほとんど 協 力 せず 見 返 りだけはたっぷりせしめた ジミーのほうが 一 枚 うわてだったんだよ 今 回 のデップの 役 どころについて 監 督 のクーパーは ジョニーが 演 じたことのないキャラクターじゃないかな と 言 う バルジャーはチャーミングかもしれないけれど 目 が 合 った 相 手 を 瞬 殺 するような 男 万 人 に 受 ける 人 物 でな いことは ジョニーも 最 初 から 承 知 していたよ バルジャーのような 極 悪 非 道 な 役 はジョニーにとって 初 めてのはず だよ ただし とクーパーは 続 ける ジョニーはバルジャーの 人 物 像 をあらゆる 角 度 から 表 現 しようと 考 えていた 狂 気 や 残 虐 性 といった 欠 陥 だけではなく 人 間 性 も 出 したいと 言 っていたよ でも そこにはリスクがある 悪 魔 の 権 化 のような 人 物 を 美 化 していると 批 判 されかねないからね 作 中 で バルジャーの 外 道 ぶりはこれでもかというほど 描 いた 奴 は 残 忍 な 人 殺 しだし ジョニーもその 残 忍 さを 大 いに 演 じてくれたよ ジョニーは 努 力 の 上 に 努 力 を 重 ね

7 て 役 を 作 り 込 んでくれた 徹 底 的 にリサーチしたうえで 僕 と 膝 を 突 き 合 わせ ほかのスタッフも 交 えてバルジャー 役 についてじっくり 話 し 合 ったんだ その 結 果 声 のトーンをちょっと 変 えるだけで バルジャーという 社 会 病 質 者 になり きっていたよ 実 在 のジミー バルジャーは 謎 多 き 男 なんだ そこがジミーを つかむ うえで 高 いハードルだった とデップは 振 り 返 る だけど ジミーのかつての 友 人 や 仲 間 に 会 うことができて 参 考 になったよ おかげで 人 物 像 の 輪 郭 がつか めたし 演 技 のたたき 台 にすることもできたんだ ジミーは 一 触 即 発 の 爆 弾 だったけど 一 方 では 感 傷 的 でデリケー トな 一 面 もある そんな 人 物 を 演 じるのは 綱 渡 りをするような 感 覚 だったね デップが 追 求 したのは 人 物 像 だけではない 実 在 する あるいは 実 在 した 人 物 を 演 じるときは それが 誰 であろう と 敬 意 を 払 うことがとても 大 切 その 人 の 生 きざまを 演 じさせてもらうわけだから たとえ 犯 罪 者 であっても できるだ け 本 人 に 近 づくように 努 めるのが 礼 儀 じゃないかな だから 特 殊 メイクの 力 を 借 りることにしたんだ 今 回 は 長 年 世 話 になっているジョエル ハーロウにお 願 いしたんだけど それは 見 事 な 出 来 だったね 監 督 のクーパーが 言 葉 を 添 える ジョニーは 外 見 の 特 徴 も 余 すところなく 自 分 のものにしようとしていた バルジ ャーは 薄 毛 で 青 い 瞳 だけれど ジョニー 自 身 は 瞳 も 髪 もダークカラーで しかも 頭 はフサフサ なのに ジョエル ハ ーロウと 組 んでバルジャーの 見 た 目 を 完 璧 なまでに 作 り 上 げたんだ 2 人 は 昔 の 映 像 や 写 真 を 参 考 にしながら 試 行 錯 誤 を 繰 り 返 して バルジャーの 顔 立 ちを 正 確 に 再 現 した 目 と 目 の 間 隔 鼻 の 形 唇 のゆがみ あごのライ ン 生 え 際 に 至 るまでね あまりにもそっくりだから バルジャー 本 人 を 知 る 人 はゾッとしていたよ 実 物 のバルジャーを 知 る 原 作 者 のディック レイアは ジョニーはバルジャーそのもの まさに 生 き 写 しでした と 舌 を 巻 く 身 振 り 手 振 りや 闊 歩 する 様 子 までそっくりだった 不 気 味 でしたが 効 果 は 絶 大 でしたよ コノリー 役 のジョエル エドガートンがデップとの 共 演 について 話 す ジョニーの 役 作 りは 内 面 も 外 見 も 含 めて 本 当 にすばらしかった 僕 が 歓 迎 するのは 現 場 で 別 人 に 化 ける 共 演 者 なんだ もちろん ジョニーはその 一 人 バル ジャーになりきっていたよ ジョエルと 共 演 できて 本 当 に 楽 しかった とデップもエールを 送 る こっちがどんな 球 を 投 げても 投 げ 返 してく れるんだ そういう 心 のキャッチボールができる 相 手 こちらの 球 を 受 け 止 めてくれるタフな 俳 優 と 共 演 するのはい いものだよ ジョエルと 絡 むシーンのなかで ジョエルが 新 しいことや 違 うアプローチを 試 さなかったときは 一 回 もない 毎 回 驚 かせてくれたんだ 本 当 に 大 した 役 者 だよ エドガートンもデップと 同 様 にリサーチを 重 ね ジョン コノリーの 思 惑 と 影 響 を 掘 り 下 げた ジョンはニューヨークで マフィアの 大 幹 部 を 逮 捕 して 一 旗 揚 げ その 足 で 地 元 のボストンに 戻 り 英 雄 として 迎 えられるんだ そして 次 はイ タリアン マフィアをつぶしてやろうと 意 気 込 む ジョンの 取 った 手 法 は 幼 なじみを つまりバルジャーを 巻 き 込 む こと ジョンはバルジャーを 説 得 し FBIの 情 報 提 供 者 として 厚 遇 することを 約 束 するんだ けれども そこから 雲 行 き が 怪 しくなってくる 原 因 はジョンがバルジャーに 提 示 した 条 件 さ ジョンは 言 ったんだ おまえがコーサ ノストラ の 検 挙 に 協 力 してくれたら 何 をしでかしてもFBIは 目 をつぶってやる ただし 人 殺 しはするなと バルジャー これはタレ 込 みでも 密 告 でもない ビジネスだ コノリー もちろんだとも あんたは 連 絡 係 だ あとは 好 きにしろ 大 物 を 逮 捕 できれば

8 誰 も 文 句 は 言 わない 悪 魔 との 取 引 は 成 立 した まもなく 歯 車 が 狂 い 始 めるんです と 製 作 のブライアン オリバーは 説 明 する コノリーは 頻 繁 にバルジャーとつ るむようになり 仕 事 上 のパートナーではなくなる 一 線 を 越 えてしまうんです バルジャーは 一 線 を 越 えたコノリー を 意 のままにできると 考 えるんですよ コノリーの 心 は 未 来 の 成 功 に そして 成 功 が 運 んでくるうまみに 傾 き 目 的 が 手 段 を 正 当 化 すると 信 じていた エド ガートンがコノリーの 心 中 を 分 析 する たぶんジョンはみんなに 祝 福 され 尊 敬 されたかったんだろうね だけど そ れゆえに 墓 穴 を 掘 ってしまう ジミーの 術 中 にすっかりはまって 危 ういところに 足 を 踏 み 入 れ 自 分 が 深 い 穴 に 落 ち 良 心 を 失 っていることに 気 づかない ジョンの 人 生 を 崩 壊 させるのはバルジャーとのいびつな 関 係 であり 一 人 の 犯 罪 者 に 認 められたいという 執 着 なんだ 監 督 のクーパーが 言 う ジョエル エドガートンが 演 じたジョン コノリーは 本 当 に 難 しい 役 どころでね さまざまな 顔 を 使 い 分 けなくてはいけない 妻 といるときの 顔 ビリー バルジャーといるときの 顔 バルジャーと 一 緒 のときの 顔 もちろん FBIの 同 僚 の 前 ではまったく 違 う 顔 になる ジョエルの 演 技 はじつに 繊 細 だ コノリーの 強 気 虚 勢 見 栄 得 意 だけでなく 内 に 秘 めた 不 安 や 気 の 弱 さまでにじませている ( 元 連 邦 検 察 官 の)フレッド ワイシャック 本 人 が セットに 来 たとき 驚 いていたよ ワイシャックはコノリーの 昔 なじみだけど ジョエルの 演 技 を 見 て 何 から 何 までコノリ ーの 特 徴 を 完 全 に 捉 えている と 感 心 していた ジョエルは 大 した 俳 優 だよ エドガートンも 監 督 のクーパーを 絶 賛 する スコットはキャスト 一 人 ひとりに 合 わせた 話 し 方 を 心 得 ている 俳 優 は 監 督 と 一 対 一 の 関 係 を 築 きたいものなんだ それに 役 作 りの 参 考 になる 情 報 を 惜 しげもなく 提 供 してくれるから 演 技 の 方 向 性 を 考 えたり 役 の 心 情 や 心 境 の 変 化 を 理 解 するのに 役 立 ったよ スコットは 大 変 な 情 熱 家 で 撮 影 の 準 備 も 完 璧 だった 素 材 をよく 研 究 していたし ストーリーの 背 景 も 知 り 尽 くしていたからね 素 顔 のスコットは 本 物 の 紳 士 すごいエネルギーを 秘 めた 人 格 者 って 感 じかな おかげで 毎 日 の 撮 影 が 楽 しみだったよ ビリー バルジャー 役 のベネディクト カンバーバッチも このプロジェクトに 惹 かれた 理 由 のひとつにクーパーの 存 在 を 挙 げる スコットは 俳 優 を 惹 きつけてやまない 魅 力 があるんだ 彼 の 過 去 の 監 督 作 を 観 て すぐに 出 演 を 決 め たよ スコットは 俳 優 出 身 だから カメラの 前 に 立 つ 者 の 気 持 ちに 寄 り 添 ってくれるし 最 高 の 演 技 を 引 き 出 すコツを 心 得 ている 監 督 としては 自 然 主 義 を 重 んじるタイプだね それが 彼 の 持 ち 味 じゃないかな スコットのおかげで 俳 優 の 醍 醐 味 でもある 心 のひだを 演 じるときは とくに 楽 しくできたんだ ベネディクトのビリー バルジャーは 秀 逸 ビリーをさまざまな 側 面 から 体 現 してくれた とクーパーは 言 う 実 物 のビリーよりも 背 が 高 いけれど それがまったく 気 にならないのは ベネディクトがビリーの 社 会 的 立 場 や 胸 の 内 をよく 理 解 しているからなんだ ベネディクトは 資 料 映 像 を 何 度 も 見 直 して ビリーの 物 腰 や 話 し 方 を 徹 底 的 に 研 究 してく れた ビリーの 口 調 は 兄 のバルジャーとはまったく 違 うんだ 歯 切 れが 良 くて 教 養 の 高 さをうかがわせる 話 し 方 を するんだよ カンバーバッチにとって 映 像 によるリサーチは 役 作 りの 要 だった 実 在 の 人 物 を 演 じるのは 責 任 の 重 さが 違 う ストーリーの 語 り 手 になるだけではすまないんだ この 人 物 が 世 の 中 に 存 在 したという 事 実 を 肝 に 銘 じたうえで キャ ラクターとして 演 じるにはどこを 犠 牲 にするべきか 考 えないといけない 映 画 は 歴 史 の 一 部 になるだけに 影 響 力 が 大 きいからね 映 画 は 現 代 版 の 口 述 史 と 同 じで 物 語 や 登 場 人 物 が 次 世 代 へと 語 り 継 がれていく だから 慎 重 に 本 当 に 慎 重 にならないといけないと 思 うんだ ビリー ジミーが 何 をしようと 私 に 関 係 ない

9 コノリー 聞 け ビリー お 前 の 兄 貴 はとても 危 険 な 状 態 だ 誰 だって 友 達 が 必 要 なんだ ジミーでもお 前 でも 協 力 あっての 成 功 だろ 上 院 議 員 カンバーバッチはビリー バルジャーの 人 物 像 を 昔 気 質 で 一 徹 アイルランド 系 アメリカ 人 が 政 界 進 出 を 果 たした 時 代 を 象 徴 する 人 物 と 分 析 する ビリーはきわめてインテリで 博 識 なんだ 権 勢 を 振 るっているけれど じつは 公 私 の 板 ばさみに 苦 しんでいる 兄 のバルジャーを 慕 いながら 一 方 で 公 僕 としての 務 めを 大 切 にしているのが 見 て 取 れるんだ そういう 葛 藤 を 表 現 するのはやりがいがあったよ バルジャーとビリーの 関 係 については 兄 と 弟 として 描 くにとどめたんだ 2 人 が 互 いの 立 場 をどう 守 り フォローしあっているかについては あえて 描 いていない そこに は 触 れず 2 人 が 強 い 兄 弟 愛 で 結 ばれていることだけを 示 して あとは 観 客 の 想 像 に 任 せることにしたんだ カメラの 前 を 離 れても デップとカンバーバッチは 兄 弟 のような 仲 だったとデップは 明 かす ベネディクトはとて も 献 身 的 な 役 者 で 今 回 も 期 待 以 上 の 結 果 を 出 しているんじゃないかな ビリーの 心 境 忠 誠 心 兄 への 思 いが 透 けて 見 えるようだよ バルジャーが 弟 のビリー 以 外 に 心 許 す 相 手 は ライフルマン ことスティーヴン フレミである バルジャーはフレミに 全 幅 の 信 頼 を 置 いており FBIとの 密 約 (ビジネス チャンス)をフレミにだけは 打 ち 明 ける フレミはバルジャーに 比 べれば 地 味 だし 口 数 も 少 ないけれど 凶 暴 性 では 負 けていないんだ とフレミ 役 のロリー コクレインは 指 摘 する バルジャーから 密 約 のことを 打 ち 明 けられたときは さすがにビックリするんだ 警 察 やFBIとつながっていることが バレたら 殺 されかねない 世 界 だからね だけど バルジャーの 思 惑 はFBIを 利 用 することにある こちらは 大 した 情 報 を 流 さず もっぱらFBIから 情 報 を 引 き 出 す 算 段 なんだ 警 察 内 部 の 動 きを 知 り 密 告 者 をあぶり 出 すためさ そ れができれば 何 をやっても 捕 まることはないからね ロリー コクレインは 完 全 にスティーヴン フレミに 化 けていた 撮 影 の 合 間 も 殺 気 を 漂 わせていて 怖 かったですよ と 製 作 のタイラー トンプソンは 証 言 する 製 作 のジョン レッシャーによると コクレインは 役 作 りの 段 階 からサウス ボストンにすっかり 溶 け 込 んでいたらしい だから ロリーのことを サウス ボストン 市 長 と 呼 ぶことにしました( 笑 ) 地 元 の 人 みんなと 顔 見 知 りになっていま したから ロリーは 全 身 全 霊 をかけて 役 作 りに 打 ち 込 み 気 迫 のこもった 説 得 力 ある 演 技 を 披 露 しています 作 品 の 出 来 に 大 きく 貢 献 してくれました 現 地 の 人 と 知 り 合 えて 良 かったよ フレミを 知 る 人 も 何 人 か 残 っていたから 話 を 聞 いて 回 ることができたんだ どんなに 小 さな 情 報 でも 参 考 になったよ とコクレインは 振 り 返 る コクレインに 同 行 して サウシー めぐりをしたのは ケヴィン ウィークス 役 のジェシー プレモンスだ 最 初 の 数 週 間 は 僕 もロリーも 刑 事 気 分 役 作 りに 使 えそうな 情 報 にたどりつくために あらゆる 手 がかりを 求 めて 歩 き 回 ったん だ ケヴィン ウィークスは ウィンターヒル ギャングの 新 入 りにして 最 年 少 メンバーだ プレモンスはこの 役 を 演 じるた めに20キロ 近 く 増 量 した スクリーンに 初 登 場 するときのウィークスは18 歳 くらいの 設 定 なんだ とプレモンスは 説 明 する 当 時 奴 は トリプル オー というバーの 用 心 棒 をしていた そのバーはバルジャーたちの 溜 まり 場 だった んだ 店 の 外 で 乱 闘 が 始 まり ボクシングをかじっていたウィークスは 有 利 とは 言 えない 状 況 のなかで 猛 然 と 応 戦

10 する 外 に 出 てきたバルジャーは そんなウィークスの 根 性 を 見 込 んで ギャングの 戦 闘 要 員 としてスカウトするん だ プレモンスが 続 ける ウィークスの 身 になって いろいろ 考 えるのは 楽 しかったよ もし 自 分 があの 土 地 で ああい うふうに 育 っていたら どうしただろう とかね ウィークスなら バルジャーの 横 に 立 っているだけで 箔 がついたよ うに 感 じるはずさ だから バルジャーの 誘 いを 断 るはずはないよね 監 督 のクーパーは 当 初 からウィークス 役 をプレモンスに 依 頼 したいと 考 えていた ジェシー プレモンスに 最 初 に 注 目 したのは ザ マスター での 演 技 を 観 たときだね 僕 は 今 回 の 契 約 書 にサインしたときから ウィークス 役 を 彼 にお 願 いしたいと 思 っていたんだ ストーリーの 進 行 とともにウィークスは 大 きく 成 長 する 世 間 知 らずのタフな 少 年 から 仕 事 熱 心 な 用 心 棒 へ そしてバルジャーがサウシーを 制 するのを 見 届 ける 目 撃 者 へと 変 化 するんだ ジェシー は 表 現 力 が 非 常 に 豊 かで この 役 でも 異 彩 を 放 っている ピーター サースガード 扮 するブライアン ハロランは ウィンターヒル ギャングの 末 端 のメンバーだが バルジャ ーを 密 告 しようとして 間 違 いを 犯 す 密 告 を 受 けたのはFBI すなわち 特 別 捜 査 官 のジョン コノリーだった ピーターはこの 役 にはまっていたよ と 監 督 のクーパーは 言 う ブライアン ハロランはジャンキーで ソワソワし て 落 ち 着 かないんだ まあ 彼 の 置 かれた 状 況 を 思 えば それも 分 からなくはないけどね ピーターは そんな 挙 動 不 審 のジャンキーを 完 全 に 自 分 のものにしていた 出 番 は 短 いけれど 記 憶 に 残 る 演 技 を 披 露 しているよ コノリーの 同 僚 には バルジャーを 情 報 提 供 者 として 厚 遇 することにメリットよりもリスクを 感 じる 者 がいた コノリーの 直 属 の 上 司 である 主 任 捜 査 官 チャールズ マグワイアもその 一 人 だ マグワイアはバルジャーを 抱 き 込 むことに 大 いに 難 色 を 示 すんだ バルジャーのタチの 悪 さを 知 っているから 部 下 の 身 が 危 険 にさらされるのではないかと 懸 念 している と 監 督 のクーパーは 説 明 する マグワイアは 本 作 のために 設 定 されたキャラクターの 一 人 だ クーパーがそのいきさつを 説 明 する マグワイアは 実 在 の 主 任 捜 査 官 を 何 人 かミックスして 作 り 上 げた 架 空 の 人 物 本 物 の 主 任 捜 査 官 は3~4 年 で 異 動 になるけ れど この 作 品 は 数 十 年 のスパンを 描 いているからね FBIの 戦 略 を 最 後 まで 見 届 けるキャラクターが 必 要 だと 思 っ たんだ クーパーが 続 ける このキャラクターをケビン ベーコンが 演 じているんだけど 彼 以 外 の 配 役 は 考 えられなかっ た ボストンなまりから 物 腰 に 至 るまで このストーリーに 自 然 に 溶 け 込 んでいるんだ そのたたずまいは 威 厳 ある 主 任 捜 査 官 にふさわしい ベーコンは 自 身 の 役 どころについて マグワイアは 不 正 に 厳 しく 法 の 番 人 としての 意 識 が 非 常 に 高 い と 評 する 彼 はある 意 味 FBIの 理 性 の 声 だ マグワイアのような 冷 静 な 人 間 も 必 要 じゃないかな バルジャーを 使 ってイタ リアン マフィアを 摘 発 するというアイデアに 諸 手 を 挙 げて 賛 成 しない 人 間 がいる だから バランスが 取 れるので はないかと 思 うんだ マグワイアはジョン コノリーをせっかちな 男 と 見 ているようだね コノリーの 経 歴 捜 査 手 法 強 引 な 性 格 を 快 くは 思 っていない マグワイアと 対 照 的 なのが 同 じくコノリーの 上 司 にあたるジョン モリス 特 別 捜 査 官 だ 強 引 なジョン コノリーと 人 たらしのバルジャーに 惑 わされ 判 断 力 が 鈍 ってしまう モリスを 演 じるデイビッド ハーバーが 言 う コノリーは 自 信 家 で 目 的 を 達 成 する 能 力 が 高 い モリスはそんなコノリーに 憧 れに 近 い 感 情 をもつんだ コノリーはバルジャーを 協 力 者 にする 考 えを 必 死 でアピールし モリスをまんまと 説 得 する ところが 2 人 は 一 線 を 越 え ギャングと 癒 着 する ようになってしまった モリスはバルジャーの 歓 心 を 買 いたい 一 心 で キャリアも 将 来 も 犠 牲 にしかける バルジャー は 今 は 愛 嬌 を 振 りまいていても 次 の 瞬 間 には 手 のひらを 返 すような 男 だ モリスはそれに 気 づき ようやく 目 を 覚 ます そこからカウントダウンが 始 まるんだ さらに 清 廉 潔 白 な 連 邦 検 察 官 フレッド ワイシャックの 登 場 で 事 態 は 大 きく 転 換 する コリー ストール 扮 するワイ シャックはレッドソックス 戦 のチケットを 手 渡 そうとしたコノリーに 対 し 着 任 早 々 不 快 感 を 示 す コノリーが 情 報 提 供 者 のバルジャーについて 耳 障 りのいいことを 言 っても 納 得 しない

11 前 任 の 連 邦 検 察 官 は 放 任 主 義 で コノリーとバルジャーの 馴 れ 合 いにメスを 入 れることはなかったんだ とスト ールは 指 摘 する そこに 新 任 のフレッド ワイシャックがやって 来 て 何 かがおかしいと 気 づく バルジャーは 信 頼 で きる 情 報 提 供 者 のはずなのに 何 ひとつ 有 力 な 情 報 をもたらさない むしろ 情 報 はFBIからバルジャーにもっぱら 流 れている これは 話 が 違 うぞと 思 うんだ ワイシャックはコノリーと 初 めて 言 葉 を 交 わしたとき これから 新 体 制 を 導 入 すると 宣 言 する コノリーの 鎧 に 初 めてヒビが 入 る 瞬 間 さ ストールにとって 撮 影 の 初 日 セットにはフレッド ワイシャック 本 人 の 姿 があった ちょっと 緊 張 したね とストール は 明 かす だけど フレッドに 会 うことができて かけがえのない 思 い 出 になったよ 当 時 はFBIもギャングも 男 だけの 世 界 だったが 作 中 に 登 場 する 女 性 はそれぞれストーリーの 展 開 に 大 きな 影 響 を 与 える たとえ 男 たちの 犠 牲 に 過 ぎなくても デボラ ハッセー 役 のジュノー テンプルは 今 回 の 役 どころについて デボラは 育 ての 父 親 といかがわしい 関 係 に あるの と 含 みをもたせる 彼 女 は 知 らぬまにバルジャーの 不 興 を 買 い 深 刻 な 結 末 を 招 くのよ ダコダ ジョンソン 扮 するリンジー シルはバルジャーの 恋 人 で バルジャーの 一 粒 種 の 母 親 でもある ダコタ 自 身 の 愛 らしさや 素 朴 な 人 柄 をそのまま 演 技 に 生 かしてもらいたかった そうすれば 口 数 が 多 いとは 言 えないバルジャ ーといいコントラストになると 思 ったんだ と 監 督 のクーパーは 言 う リンジーは 多 少 なりともバルジャーから 人 間 らしさを 引 き 出 すわ とくに 息 子 を 愛 する 父 親 としての 顔 をね とジョ ンソンは 言 う それでバルジャーの 残 忍 さがやわらぐわけではないけれど 違 う 一 面 がのぞけることは 確 かよ ジョン コノリーの 妻 マリアンはバルジャーに 深 入 りしていく 夫 に 異 変 を 感 じる マリアンはジョンと 顔 を 合 わせる 機 会 を 失 っていくの とマリアン 役 のジュリアンヌ ニコルソンが 話 す そして 家 に 帰 ってきたジョンを 見 て ずいぶん 変 わったことに 気 づく 派 手 な 腕 時 計 におしゃれなスーツを 身 に 着 け 雰 囲 気 も 今 までとは 違 っていた 要 するに ジョンは 大 物 気 取 りで 別 人 のようになっていたのよ マリアンはそんな 夫 に 愛 想 を 尽 かし 2 人 の 夫 婦 仲 は 冷 えてい くわ マリアン 変 わったわね ジミーのせい コノリー 俺 は 貧 しい 街 に 生 まれ 仲 間 同 士 の 忠 誠 心 で 生 き 抜 いた 忠 誠 心 が すべてだ 当 初 ジョンとマリアンは 深 い 愛 情 で 結 ばれていて 希 望 に 満 ちていた と 監 督 のクーパーはコメントする 故 郷 に 帰 ってきた2 人 は 地 元 で 歓 迎 され ジョンはFBIのボストン 支 局 で 活 躍 を 期 待 される ジョンはたしかに 活 躍 するけ れど FBIが 期 待 したとおりではなかったんだ ジョン コノリー 役 のエドガートンはこう 考 える マリアンはこの 作 品 の 良 心 じゃないかな そして 夫 のジョンがいか に 道 を 踏 み 外 しているかを 映 す 鏡 でもある 夫 婦 間 の 亀 裂 は ジョンの 逸 脱 ぶりを 物 語 っているんだ ニコルソンはマサチューセッツ 州 メドフォードの 出 身 だけに 大 半 のキャストよりも 利 があった 特 徴 的 なボストンな まりが 耳 になじんでいたからだ ニコルソンは ボストン 流 のアクセントは すっごく(wicked) やっかいなの とご 当 地 のスラングを 交 えて 言 う だけど キャスト 全 員 が 見 事 にマスターしたのを 見 て 本 当 に 感 心 したわ

12 キャストはハワード サミュエルソンとカーラ メイヤーの 指 導 を 受 けながら ボストンの とりわけサウス ボストン 特 有 の 発 音 を 徹 底 的 に 練 習 した 国 際 色 豊 かなキャストだけにスタート 地 点 もまちまちだ エドガートンは 言 う 僕 はオーストラリア 人 だけど こんなに 手 ごわいアクセントを 相 手 にしたのは 初 めてじゃない かな ボストンのアクセントは 本 当 に 独 特 だから ほかのアクセントと 違 って 出 来 の 良 し 悪 しが 厳 しくチェックされる だけど 最 大 の 試 練 は 最 高 の 結 果 を 生 むことがあるからね 自 分 のカンと 耳 を 信 じて あとは 練 習 あるのみだった バッチリ 決 まったときは 体 で 分 かるものなんだ ビリー バルジャー 役 のイギリス 人 俳 優 ベネディクト カンバーバッチが 心 得 たのは サウシーで 生 まれ 育 ち その 原 点 を 片 時 も 忘 れない 男 が 現 在 は 政 界 の 高 みに 身 を 置 いているという 点 だ ビリーの 映 像 を 延 々と 観 たけれど 弁 舌 さわやかでウィットに 富 んだ 彼 のスピーチには 出 身 地 と 現 在 の 立 場 の 両 方 がはっきりと 出 ていたよ ビリーが 主 催 した あの 聖 パトリック デーの 朝 食 会 でもそうだった とカンバーバッチは 言 う ビリーは 天 性 のエンターテイナ ーで 笑 い 話 もモノマネも 得 意 だから どんな 場 面 でもビリーの 声 色 を 練 習 できたし 実 際 にそうしたんだ バルジャー 役 のジョニー デップの 場 合 は たくさんのサウシーの 人 たちと 接 することにしたよ 彼 らが 話 しているの を 聞 いているだけで 勉 強 になった 地 元 の 人 がしゃべっているのを 聞 き 取 って すべて 吸 収 したんだ どのキャストもヒアリングの 力 が 高 くて ボストンなまりを 習 得 するのに 一 生 懸 命 努 力 してくれた と 監 督 のクーパ ーは 言 う これだけ 大 所 帯 のアンサンブルキャストとなると 一 人 ひとりに 具 体 的 な 要 望 を 出 すことがとても 重 要 な んだ いい 役 者 は 思 い 切 り 胸 襟 を 開 いて 魂 まで 覗 かせてくれるものだけど 今 回 のキャストはまさにそうだったよ ワイシャック バルジャーを 挙 げたい 必 要 なら 街 中 の 犯 罪 者 を しょっ 引 く 高 利 貸 し ノミ 屋 ヤクのディーラー たった1 人 の 証 言 で 十 分 だ 撮 影 の 舞 台 ビーンタウン さらにクーパーはカメラの 背 後 に 控 えるスタッフを 頼 りに 本 作 のトーンとストーリーの 舞 台 を 構 築 した 優 秀 なス タッフのおかげで このうえなくリアルで 精 巧 な 作 品 に 仕 上 がったよ とクーパーは 満 足 そうに 言 う 撮 影 監 督 のマ サノブ タカヤナギは 僕 の 良 きパートナー 前 作 も 担 当 してもらったし 僕 が 好 む 構 図 やライティング どのタイミング でカメラを 動 かすか 動 かさないかまでちゃんと 心 得 ている 美 術 のステファニア セッラは 古 い 友 人 であり ディテー ルにこだわりをもつ 偉 才 でもある 衣 装 のカシア ワリッカ=メイモンは 半 端 ない 審 美 眼 の 持 ち 主 だし 僕 と 同 じで 妥 協 をしない つまり アメリカならではのストーリーを 映 像 化 するために 日 本 人 の 撮 影 監 督 とイタリア 人 の 美 術 デザ イナーとポーランド 人 の 衣 装 デザイナーを 起 用 したんだ( 笑 ) だけど 大 事 なのは 全 員 がすばらしい 仕 事 をしてくれ たってことだよ スタッフの 誰 もがボストン ロケを 敢 行 することに 異 論 はなかった また 可 能 なかぎり 実 際 の 事 件 現 場 を 使 った と 監 督 のクーパーは 明 かす 製 作 のパトリック マコーミックも 史 実 どおりのロケーションを 使 って 迫 真 性 を 打 ち 出 したかった 実 在 の 人 物 が 出 入 りしていた 場 所 を 舞 台 にすることで 観 客 は 当 時 にタイムスリップできると 思 います と 語 る

13 ジョニー デップも 同 感 だ サウシー 一 帯 は 本 当 に 大 きな 役 割 を 果 たしてくれたんだ ジミー バルジャーの 生 きざ ま 境 遇 人 となり そしてほかの 登 場 人 物 を 語 るうえでね ( 監 督 の)スコットも その 点 をしっかり 心 得 ていたよ ロケーションのひとつとなったサウス ボストンのランカスター 通 りのガレージは バルジャー スティーヴン フレミら ウィンターヒル ギャングの 事 実 上 のアジトだった また 撮 影 隊 はクインシー 地 区 を 流 れるネポンセット 川 でもロケ を 敢 行 この 高 架 下 の 川 沿 いはバルジャーが 多 数 の 死 体 を 埋 めた 現 場 として 知 られる サウス ボストンの 内 外 で 撮 影 するときは 住 民 感 情 に 配 慮 したと 製 作 のブライアン オリバーは 言 う 地 元 の 人 た ち とくにバルジャーに 苦 しめられたかもしれない 人 たちにとっては 辛 い 記 憶 を 蒸 し 返 すことになるのでないかと 責 任 を 感 じました ボストンの 人 たちは 本 当 に 協 力 的 で 撮 影 隊 を 温 かく 迎 えてくれたんだ と 監 督 のクーパーは 感 謝 する 現 地 の 理 解 と 協 力 がなかったら 今 回 のロケは 成 立 しなかった スタッフにとって 大 きなハードルだったのが バルジャーが 暗 躍 したころに 比 べて 街 の 景 観 がすっかり 様 変 わりした ことだ 美 術 のステファニア セッラが 説 明 する 時 代 物 の 映 画 の 場 合 たとえ30~40 年 前 のストーリーであっても いかに 現 代 らしさを 削 るかにはいつも 頭 を 悩 ませます ボストン 一 帯 でも ここ 数 十 年 の 間 に あちこちで 改 修 が 進 みました ですから まずはリサーチ これは 基 本 中 の 基 本 です 当 時 の 新 聞 記 事 写 真 TVのニュース 映 像 を 徹 底 的 に 研 究 しました FBIの 捜 査 官 やジャーナリストにも 話 を 聞 いたんです 当 時 の 景 観 を 忠 実 に 再 現 するために 美 術 スタッフは 信 号 機 を 付 け 替 え 電 話 ボックスを 設 置 した いまや 電 話 ボ ックスは 携 帯 電 話 やスマートフォンの 普 及 で ほとんど 姿 を 消 してしまったからだ また 路 上 の 白 線 も 手 直 しする 必 要 があった 脱 帽 しました と 原 作 者 のジェラード オニールは 言 う スタッフの 手 によって 当 時 のボストンがそっくり 蘇 った んです 消 えてしまったロケーションもある サウシーの トリプル オー はバルジャー 一 派 が 溜 まり 場 にしていたバーだが 今 はオーナーが 変 わった トリプル オー の 内 外 で 展 開 するシーンがいくつかありました と 美 術 のセッラは 振 り 返 る そこで 似 たような 雰 囲 気 の 店 を 探 し 回 ったんですが ケンブリッジの 外 れにうってつけの 建 造 物 を 見 つけまし た そこはポーランド 系 アメリカ 人 の 会 員 制 クラブですが 外 装 を 手 直 しして トリプル オー に 見 立 て 建 物 の 前 の 路 上 も 手 を 加 えさせてもらいました ボストンの 約 16キロ 北 に 位 置 するマサチューセッツ 州 リンでは 屋 外 シーンが 撮 影 された そのひとつが 聖 パトリッ ク デーのパレードだ パレードではベネディクト カンバーバッチ 扮 するビリー バルジャーが 先 頭 に 立 って 闊 歩 する ミスティック 川 を 挟 んでボストンの 真 向 かいに 位 置 するチェルシーでは 空 き 倉 庫 を 改 造 したサウンドステージが 完 成 した セッラ 率 いる 美 術 チームはここに 数 パターンのメイン セットを 建 設 バルジャーとビリーが 幼 少 時 代 を 過 ごし 彼 らの 母 親 が 生 涯 暮 らした 公 営 住 宅 もそのひとつだ 公 営 住 宅 の 資 料 写 真 を 見 せてもらい ロケハンもした のですが 今 の 公 営 住 宅 は 間 取 りが 狭 くて 撮 影 には 不 向 きですし 70~80 年 代 のものとは 似 ても 似 つきませんでし た とセッラは 言 う そこでサウンドステージにセットとして 作 ったんです 壁 紙 も 床 も 思 いどおりに 再 現 できました あ とは 内 装 を 整 え 時 間 の 経 過 に 合 わせて 手 を 加 えました FBIのボストン 支 局 として 使 われたロケーションは2つある ひとつはボストン 中 心 部 にそびえるオフィス ビルで そ の 高 層 ビルの 空 いた1フロアにコノリーやマクガイヤのオフィス 取 調 室 会 議 室 組 織 犯 罪 対 策 室 を 設 置 もうひと つはボストン 市 役 所 だ 市 役 所 の 廊 下 や 中 庭 が 撮 影 に 使 用 された 既 存 のロケーションをもっとも 大 胆 に 活 用 したのは ボストンにマイアミを 誕 生 させたときです と 製 作 のマコーミック は 話 す これは 美 術 のステファニアのお 手 柄 ですよ あるシーンで1982 年 のマイアミが 登 場 するのですが 今 の マイアミに 当 時 の 面 影 は 存 在 しません ですが(マサチューセッツ 州 東 部 の)リビア ビーチに 平 らな 石 が 続 いている スポットを 発 見 しました ステファニアは 美 しい 風 景 写 真 を 参 考 にしながら マイアミのリトル ハバナにあった 海 辺 の

14 カフェをそこに 再 現 したんです 周 辺 にはヤシの 木 や 白 砂 や 年 代 物 の 乗 用 車 を 置 きました おかげでマイアミまで 出 向 く 手 間 が 省 けました ボストンの 近 郊 ですべて 間 に 合 いましたから 衣 装 のカシア ワリッカ=メイモンも 虚 実 を 交 えて 各 キャラクター 衣 装 をデザインしていった 実 在 の 人 物 がモデ ルの 場 合 は その 人 物 のトレードマークになるスタイルを 見 つけるようにしています とメイモンは 話 す 当 時 のギャ ングたちの 服 装 はとくに 派 手 ではなかったし これといった 特 徴 も 見 受 けられませんでしたが バルジャーだけは 独 自 のスタイルを 貫 いていました 彼 の 写 真 を 見 ていて 気 づいた 点 がいくつかあったので 監 督 のスコットに 相 談 した んです そのとき レザー ジャケットを 主 役 にしたコーディネートと それ 以 外 のアイテムに 時 代 を 反 映 させることを 提 案 しました ですから バルジャーはほぼ 全 編 を 通 して 同 じスタイルのレザー ジャケットを 着 ています 色 だけは 黒 から 茶 系 に 変 化 していくんです メイモンはリサーチの 結 果 に 基 づいてアクセサリーも 用 意 した 写 真 で 見 るバルジャーはオーダーメイドのカウボ ーイ ブーツを 愛 用 していました とメイモンが 続 ける アルカトラズのバックルが 付 いたベルトも 彼 のお 気 に 入 り そのバックルはFBI 捜 査 官 からもらい 受 けた 品 だったので 撮 影 用 にはレプリカを 用 意 しました バルジャーは 何 十 年 もハイウェストのジーンズとタイトなTシャツで 通 していましたから その2つも 定 番 のアイテムに 加 えました ジョニ ー( デップ)は 全 身 で 役 に 入 り 込 むだけに 衣 装 の 着 こなしもさまになっていた こういうコラボレーションが 理 想 な んです キャストとスタッフが 同 じ 方 向 を 向 いているということが 今 回 の 現 場 はまさにそうでした メイモンはまた スティーヴン フレミがオフホワイトの 上 着 をはおっている 写 真 を 複 数 見 つけた そこで フレミ 役 の ロリー コクレインには 淡 色 のジャケットを 数 パターンしつらえ 定 番 のスタイルにした また ジェシー プレモンス 演 じ るケヴィン ウィークスは 若 手 のギャングにして 元 ボクサーである 点 を 考 慮 し 機 能 的 なスポーツウェア タイプの 服 にボクシング シューズを 合 わせることにした 実 在 の 人 物 を 研 究 し その 成 果 を 映 画 の 衣 装 に 翻 案 していくのはお もしろい 作 業 でした とメイモンは 話 す ジョエル エドガートン 扮 するFBI 捜 査 官 のジョン コノリーは ほとんどスーツ 姿 だ それだけにデザインもらくだった のではと 思 いきや メイモンは 否 定 する じつは 難 題 でした コノリーはストーリーの 進 行 とともに 目 に 見 えて 変 わっ ていきますからね 最 初 はいかにも 吊 るしのスーツを 着 ていますが そのうち 派 手 めの 仕 立 てのいいスーツを 身 に 着 けるようになる とはいえ やりすぎてはいけないので 微 妙 な 変 化 をもたせるようにしました FBIという 枠 からは み 出 してはいけませんから ギリギリの 線 を 行 ったつもりです ベネディクト カンバーバッチ 演 じるビリー バルジャーのスーツにも 立 場 の 変 化 が 見 て 取 れる メイモンの 見 立 てで は 当 初 のいでたちは 政 治 家 にしては やや 個 性 的 かもしれません でも ビリーは 政 界 の 水 にすぐになじみます から 選 ぶスーツも 立 場 をわきまえた 完 璧 なものになるんです メイモンは 仮 縫 いの 段 階 で 少 々トリックを 施 した ズボン 幅 と 背 広 の 肩 幅 を 広 めにとり カンバーバッチの 背 丈 を 実 際 よりも 低 く 見 せる 工 夫 をしたのだ カンバーバッチ 自 身 も 体 重 を 増 やして 体 型 を 変 えると 同 時 に メイク チーム が 頬 に 特 殊 メイクを 施 し 顔 の 輪 郭 に 丸 みをもたせた 精 巧 にデザインされた 特 殊 メイク 用 のパーツは ジョニー デップをバルジャーに 変 貌 させる 際 にも 使 用 された メ イク チームを 率 いるジョエル ハーロウが 説 明 する ジョニーにとっては 自 分 の 顔 をできるだけバルジャーの 顔 に 似 せることが 当 初 からの 命 題 でした まずはジョニーの 首 から 上 をスキャンしてデータ 化 し ネット 上 で 見 つけた 画 像 を 参 考 にしながら シリコン 製 のパーツを 制 作 しました 納 得 が 行 くまで 何 度 もテストを 重 ねましたよ 額 と 鼻 に 重 点 を 置 き バルジャーとジョニーのそれぞれの 面 影 が 出 るように 工 夫 したんです シリコンの 厚 み とくに 額 の 厚 みを 加 減 する 作 業 にはかなり 時 間 をかけました 加 減 を 間 違 えると 表 情 が 作 りにくくなるんです バルジャーの 特 徴 的 な 生 え 際 はグロリア キャスニー 率 いるヘア チームがシリコン 製 のパーツを 使 ってみごとに 再 現 した ハーロウが 事 前 に 制 作 したパーツはデップの 骨 格 にぴったりフィットし 額 から 眉 までをカバーする 人 工 毛 /ウィッグを 担 当 するカーン トランスはこのパーツに 数 千 本 もの 人 工 毛 を 植 え 付 け 生 え 際 に 続 いて 眉 毛 を 完 成 さ せた この 長 時 間 に 及 ぶ 作 業 についてキャスニーは できるだけ 自 然 に 見 せるために カーンは1 本 1 本 手 作 業 で

15 植 毛 しなくてはなりませんでした そのあと 私 がジョニーの 後 頭 部 にシルバーグレーのウィッグをつけました これを ヘアラインになじませ ジョニーのダークな 地 毛 をカバーしたんです 想 像 しただけでも 気 の 遠 くなるような 作 業 だが じつは 一 度 使 用 したシリコン 製 のパーツは 二 度 と 使 うことができな かった ですから 連 日 新 品 を 用 意 しなくてはいけませんでした とキャスニーは 振 り 返 る ある 時 期 は24 時 間 フル 稼 働 2 人 のスタッフが12 時 間 ずつ 交 代 でカーンを 手 伝 いました あとはバルジャーの 年 齢 を 頭 髪 に 反 映 させ る 必 要 があったので 徐 々に 白 髪 を 増 やし 髪 のボリュームを 少 なくしていったんです 年 齢 に 合 わせて もみあげ も 変 えました とにもかくにも あっぱれな 変 身 ぶりだった と 監 督 のクーパーは 感 服 した ウィークス 最 初 奴 はケチな 地 元 ギャングだった シマはサウシーだけ だが たちまち 大 物 に 理 由 が 分 かるか? FBIが 好 きにさせたからだ スコア 主 要 な 撮 影 がクランクアップしたあと 監 督 のクーパーは 編 集 のデイビッド ローゼンブルームと 編 集 室 に 入 り 作 曲 家 のトム ホルケンボルフとスコアの 相 談 を 始 めた この 作 品 を 観 終 わったとき 手 のひらは 汗 でぐっしょり 膝 はガクガクになりました それくらい 感 動 したし 衝 撃 を 受 けたんです とホルケンボルフは 本 作 の 感 想 を 述 べる これは 幸 先 がいいぞと 思 ったね とクーパーはにんまりする トムは しばらくこもって 曲 作 りをさせてほしい 一 週 間 後 に 連 絡 するから と 言 ったよ で 一 週 間 後 に48 分 のスコアを 完 成 させてきたんだけど それを 聴 いてぶっ 飛 んだね すばらしい 出 来 だった 僕 が 望 んでいた 情 感 とペーソス そして 全 編 を 貫 く 不 穏 なムードをみごとに 捉 えて いたんだ トムはこちらの 意 向 をすべて 汲 んで みごとなまでに 扇 情 的 なスコアを 完 成 させてくれた おかげで 作 品 全 体 が 引 き 締 まったよ 真 っ 先 に 思 ったのは バルジャーのテーマをどうするかでした とホルケンボルフは 言 う バルジャーは 極 悪 人 で 心 に 深 い 闇 を 抱 えている その 闇 はもちろんのこと 彼 が 見 せるさまざまな 側 面 も 音 で 表 現 したかった そこで 思 いついたのが ピアノとチェロのトレモロを 低 周 波 で 繰 り 返 すという 手 法 でした 何 をしでかすか 分 からないバルジャーの 激 しい 気 性 が このテーマを 通 じて 観 客 に 伝 わるんじゃないかな とク ーパーは 話 す ジョン コノリーのテーマは 音 程 の 落 差 が 印 象 的 だ ホルケンボルフが 解 説 する コノリーのテーマは 低 いキーで 始 まり 徐 々に 高 くなるけれど あるところで 足 踏 みし 低 いキーに 逆 戻 りする そこには 高 みにのぼりたくて 仕 方 が ないのに 足 を 引 っ 張 られるコノリーの 姿 が 象 徴 されています ストーリーが 進 むにつれて キーの 落 差 はさらに 大 きく なりますよ このテーマにもチェロが 使 われている 作 中 の 人 物 のさまざまな 顔 を 表 現 するのに チェロはうってつけでした じ つは このスコアの 主 役 はチェロの 音 色 なんです とホルケンボルフは 明 かす

16 チェロは 好 きな 楽 器 のひとつなんだ とクーパーは 言 う チェロの 音 色 はじつに 重 々しいけれど パワフルな 響 き があるからね 今 回 のスコアはフルオーケストラの 演 奏 もあれば 弦 楽 器 をふんだんに 使 うセクションもある だけど シーンによっては 緊 迫 したシーンでは ごく 小 さな 編 成 の 弦 楽 合 奏 かチェロのソロ 演 奏 が 流 れるんだ もうひとつの 主 要 な 楽 器 がパイプオルガンだ ホルケンボルフは パイプオルガンは この 映 画 にふさわしいと 思 い ました タイトルからして Black Mass( 黒 衣 のミサ/ 原 題 ) ですから と 説 明 し この 作 品 のためにパイプオルガンを 一 台 購 入 したと 明 かした パイプオルガンは 優 秀 な 楽 器 で 多 彩 な 音 色 を 奏 でてくれます スコットにその 価 値 を 認 めてもらえてよかった 作 曲 家 の 使 命 は 監 督 のビジョンを 支 えることですから 僕 もスコットも スコアに 抑 えを 効 かすことで 一 致 しました とホルケンボルフは 続 ける しかし そうした 制 約 の なかでも 創 作 の 自 由 を 存 分 に 与 えてもらった 僕 が 投 げようとしたのは 変 化 ストライクゾーンのやや 左 を 狙 う 球 です 登 場 人 物 を 表 現 するうえで 扇 情 的 なサウンドは 不 可 欠 と 考 えたのですが スコットはそのサウンドを 大 いに 歓 迎 してくれました トムはものすごい 異 才 の 持 ち 主 だ バルジャーとジョン コノリーの 数 奇 な 間 柄 そしてバルジャーに 食 い 物 にさ れた 街 に 残 る 永 遠 の 爪 痕 それを 完 璧 に 理 解 していたよ とクーパーは 感 心 する 主 演 のジョニー デップが 総 括 する ジミー バルジャーがコノリーと 組 んで 商 売 を 始 めたのは 同 じサウシーの 出 身 として 通 じ 合 えるものを 感 じたからじゃないかな サウシーの 絆 は 固 い それは 今 の 時 代 も 変 わらないんだ 最 後 に 監 督 のクーパーがくくった この 作 品 で 掘 り 下 げたかったのは 兄 弟 という 絆 忠 義 という 絆 のほかに 登 場 人 物 たちを 暴 走 させた 野 望 私 欲 慢 心 なんだ 僕 にとって 大 事 だったのは 犯 罪 ドラマにとどまらない 人 間 ドラマ を 描 くこと 人 間 でもあった 犯 罪 者 のストーリーではなく 犯 罪 者 でもあった 人 間 のストーリーを 伝 えたかった その 人 物 が 非 難 に 値 するかどうかは 別 としてね 1970~80 年 代 のボストンでは 一 部 の 警 察 関 係 者 と 犯 罪 者 は 区 別 が つかないありさまだった その 事 実 を 片 時 も 忘 れないてはいけないと 思 ったよ

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