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1 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 分 かりやすい 研 究 成 果 集 ( 平 成 15 年 度 選 定 課 題 ) 和 歌 山 県 企 画 部 平 成 19 年 1 月

2 は じ め に す 県 政 の 推 進 につきましては 平 素 からご 支 援 ご 協 力 を 賜 り 厚 くお 礼 を 申 し 上 げま 本 県 では 県 立 試 験 研 究 機 関 ( 環 境 衛 生 研 究 センター 工 業 技 術 センター 農 林 産 総 合 技 術 センター)の 活 性 化 を 図 り より 県 産 業 の 発 展 県 民 生 活 の 向 上 環 境 との 共 生 に 資 する 研 究 成 果 の 創 出 を 目 指 して 平 成 15 年 度 より 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 事 業 に 取 り 組 んでまいりました 本 事 業 は 企 業 大 学 等 との 共 同 研 究 及 び 県 立 試 験 研 究 機 関 の 相 互 連 携 を 基 本 とし て 各 試 験 研 究 機 関 から 提 案 された 研 究 課 題 について 外 部 有 識 者 の 審 査 により 優 れた 研 究 課 題 を 選 定 実 施 する 競 争 的 研 究 制 度 を 採 用 しています 平 成 15 年 度 に 選 定 された8 課 題 は3 年 間 の 研 究 期 間 が 終 了 し 既 に 商 品 化 ( 販 売 ) されているものや インターネットによる 情 報 提 供 を 開 始 したものなどがございます 本 冊 子 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 研 究 成 果 集 ( 平 成 15 年 度 選 定 課 題 ) は その 研 究 成 果 についてわかりやすく 解 説 したものです 県 立 試 験 研 究 機 関 では 本 冊 子 で 紹 介 する 研 究 課 題 の 他 にも 県 民 のみなさまの 生 活 に 役 立 つさまざまな 研 究 に 取 り 組 んでおりますが 本 冊 子 により 県 立 試 験 研 究 機 関 の 研 究 活 動 を 身 近 に 感 じていただき ご 理 解 を 深 めていただければ 幸 いです 平 成 19 年 1 月 和 歌 山 県 企 画 部 長 高 嶋 洋 子

3 - 目 次 - 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 事 業 とは P 1 微 生 物 酵 素 を 利 用 する 次 世 代 型 ウメ 加 工 技 術 の 開 発 P 2 廃 木 材 を 原 料 とする 木 材 用 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 の 開 発 P 5 紀 州 革 の 製 造 技 術 P 8 産 地 いきいきエンドウ 生 産 技 術 P10 産 地 の 維 持 発 展 を 目 指 した 合 理 的 ウメ 経 営 方 式 の 確 立 P14 果 樹 カメムシ 類 の 発 生 量 予 測 技 術 及 び 防 除 技 術 の 開 発 P18 海 色 画 像 などを 使 った 漁 場 検 索 の 高 度 化 技 術 開 発 と 運 用 P22 河 の 底 生 動 物 からみる 河 環 境 と 環 境 学 習 への 利 用 P26 県 立 試 験 研 究 機 関 連 絡 先 一 覧 表 P30

4 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 事 業 とは 県 立 試 験 研 究 機 関 を 対 象 とした 競 争 的 研 究 制 度 です 競 争 的 研 究 制 度 とは 研 究 者 等 からの 提 案 された 課 題 に 対 して 審 査 を 行 い 優 れた 研 究 課 題 を 選 定 するものです 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 事 業 では 企 業 大 学 等 との 共 同 研 究 及 び 県 立 試 験 研 究 機 関 の 相 互 連 携 を 基 本 とし 各 試 験 研 究 機 関 から 提 案 された 研 究 課 題 について 大 学 教 授 等 ( 研 究 分 野 の 専 門 家 )による 書 面 審 査 ( 一 次 審 査 )によ り 科 学 的 技 術 的 に 優 れた 研 究 課 題 を 選 定 します 次 に 書 面 審 査 で 高 評 価 を 得 た 研 究 課 題 について 有 識 者 ( 県 内 大 学 教 授 マスコミ 企 業 役 員 等 )で 組 織 された 審 査 委 員 会 によるプレゼンテーション 審 査 ( 二 次 審 査 )おいて 社 会 的 経 済 的 観 点 から 審 査 し より 県 産 業 の 発 展 県 民 生 活 の 向 上 環 境 との 共 生 に 役 立 つ 研 究 課 題 を 選 定 します また 研 究 開 始 後 2 年 目 に 中 間 評 価 を 研 究 終 了 後 に 事 後 評 価 をそれぞれ 行 います 各 試 験 研 究 機 関 に 外 部 評 価 委 員 ( 大 学 教 授 等 )を 招 き 研 究 員 が 研 究 の 進 捗 状 況 や 成 果 についてのプレゼ ンテーションを 行 います 評 価 結 果 は 以 後 の 研 究 に 反 映 させ 今 後 の 研 究 活 動 の 参 考 とします 書 面 審 査 審 査 委 員 会 審 査 審 査 委 員 会 評 価 試 験 研 究 機 関 か ら 申 請 各 案 件 につき 該 当 分 野 又 は 関 連 分 野 の 専 門 研 究 者 により 実 施 科 学 的 技 術 的 観 点 から 審 査 ( 審 査 項 目 ) 必 要 性 可 能 性 効 率 性 有 効 性 高 評 価 の 案 件 の み 二 次 審 査 へ 各 研 究 者 からのフ レセ ンテーショ ンによりにより 審 査 を 実 施 専 門 的 観 点 だけでなく 社 会 的 経 済 的 観 点 からも 審 査 ( 審 査 項 目 ) 必 要 性 可 能 性 有 効 性 審 査 結 果 を 踏 ま え 選 定 公 表 研 究 開 始 [ 中 間 評 価 ] 当 初 計 画 と 進 捗 状 況 の 比 較 中 間 年 度 に 実 施 現 地 ヒアリングを 実 施 [ 事 後 評 価 ] 期 待 された 成 果 と 実 績 とを 比 較 し 評 価 現 地 ヒアリングを 実 施 ( 評 価 項 目 ) 達 成 度 実 用 度 効 率 性 研 究 予 算 はその 総 額 を 基 金 に 積 み 立 てることにより 年 度 間 の 流 用 を 可 能 にするなど 柔 軟 な 執 行 が 可 能 となっています 参 考 基 金 積 立 採 択 状 況 平 成 15 年 度 平 成 16 年 度 平 成 17 年 度 平 成 18 年 度 基 金 積 立 額 1 億 5000 万 円 1 億 1700 万 円 1 億 4700 万 円 1 億 1750 万 円 採 択 課 題 数 8 件 9 件 10 件 8 件 過 去 の 採 択 課 題 数 内 訳 環 境 衛 生 研 究 センター 4 件 工 業 技 術 センター 13 件 農 業 試 験 場 5 件 果 樹 試 験 場 3 件 かき もも 研 究 所 2 件 うめ 研 究 所 1 件 暖 地 園 芸 センター 2 件 畜 産 試 験 場 1 件 林 業 試 験 場 1 件 産 試 験 場 3 件 - 1 -

5 微 生 物 酵 素 を 利 用 する 次 世 代 型 ウメ 加 工 技 術 の 開 発 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 工 業 技 術 センター 氏 名 尾 﨑 嘉 彦 共 同 研 究 機 関 : 紀 南 農 業 協 同 組 合 中 野 BC( 株 ) チョーヤ 梅 酒 ( 株 ) IGA バイオリサーチ( 株 ) 研 究 費 :3000 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 キ ー ワ ー ド:ウメ 加 工 酵 素 ポリフェノール 抗 酸 化 研 究 の 背 景 和 歌 山 県 では 年 間 およそ 6 万 トンのウ メが 生 産 されています これは 和 歌 山 県 の 農 業 生 産 の 約 20%を 占 め 重 要 な 地 域 資 源 と 捉 えることができます また こ れを 原 料 とするウメ 加 工 産 業 も 県 経 済 の 中 では 大 きな 位 置 を 占 めています 最 近 食 品 の 機 能 性 についての 研 究 が 盛 んに 行 われるようになり 消 費 者 が 商 品 を 選 択 する 際 に 機 能 性 に 関 する 情 報 が 和 歌 山 県 特 産 の 南 高 梅 の 果 実 判 断 基 準 の 一 つになることも 少 なくありません 和 歌 山 県 の 特 産 のウメを 原 料 とする 加 工 食 品 で ある 梅 干 や 梅 酒 などは 伝 統 的 に 健 康 食 品 として 取 り 扱 われてきていますが その 機 能 性 に 科 学 のメスが 入 るようになったのは つい 最 近 のことです ウメの 加 工 品 が 健 康 を 指 向 する 食 品 とし ての 立 場 を 確 かなものとして 行 くためには その 中 にどのような 成 分 が 含 まれていて どのよう に 健 康 の 維 持 に 関 係 しているのかということを 科 学 的 に 証 明 していく 必 要 があります ウメ 加 工 品 については 外 国 産 製 品 の 輸 入 の 増 加 など 競 争 が 年 々 激 化 しており 新 たな 製 品 の 開 発 が 求 められています 食 品 の 開 発 においては 配 合 の 変 更 新 たな 成 分 の 添 加 などがしば しば 行 われていますが これでは 技 術 的 優 位 性 を 発 揮 し 他 との 差 別 化 を 図 るのは 困 難 です こ のため 本 格 的 な 商 品 開 発 には 新 たな 商 品 を 生 み 出 すのに 必 須 になる 新 たな 製 造 技 術 を 開 発 する ことが 欠 かせません この 研 究 では これまであまり 知 られていなかったウメやその 加 工 品 に 含 まれる 成 分 の 機 能 性 を 調 べ それを 活 用 できる 新 たな 加 工 品 を 製 造 するための 技 術 開 発 を 目 指 し ました 研 究 の 概 要 とその 成 果 和 歌 山 県 のウメの 代 表 的 な 品 種 である 南 高 梅 の 果 実 の 成 分 について 詳 しく 調 べたところ ウ メの 果 肉 には 100g あたりおよそ 100mg のポリフェノールが 含 まれていることがわかりました - 2 -

6 また 高 いポリフェノール ORAC 値 (μmole トロロックス 相 当 量 /100g 新 鮮 重 ) 他 の 果 実 類 との 抗 酸 化 力 の 比 較 * 濃 度 を 反 映 して 抗 酸 化 力 にも 優 れており これまで に 報 告 されている 果 物 や 野 菜 の 中 ではトップレベルに あることがわかりました ウメから 抽 出 したポリフ ェノールをラットに 投 与 す ると ラットの 血 液 の 抗 酸 化 能 が 向 上 し 投 与 後 6 時 間 程 度 まで 維 持 されること も 示 されています 現 在 も 機 能 性 を 示 す 物 質 が 何 であ るかということについて 調 べていますが フェノールカルボン 酸 というポリフェノールの 一 種 と 糖 が 結 合 した 配 糖 体 が 大 きく 関 わっていることが わかってきています これらの 研 究 成 果 は 近 畿 大 学 生 物 理 工 学 部 の 矢 野 史 子 教 授 先 端 技 術 総 合 研 究 所 の 三 谷 隆 彦 教 授 らのグループとの 共 同 研 究 の 成 果 であり 日 本 農 芸 化 学 会 日 本 栄 養 食 糧 学 会 等 で 発 表 しました また 工 業 技 術 センターがもつ 酵 素 処 理 技 術 と 企 業 が 長 年 培 ったそれぞれの 加 工 品 の 製 造 技 術 を 融 合 して この 研 究 で 明 らかになった 機 能 性 を 活 用 する 新 たな 加 工 品 の 製 造 技 術 を 開 発 し ました これは お 酒 や 味 噌 の 醸 造 のように 微 生 物 の 力 を 借 りるもので 従 来 の 方 法 よりも 抗 酸 化 機 能 の 高 い 加 工 品 を 製 造 したり 省 エネルギーでの 生 産 を 可 能 にしたりするものです こ れらの 技 術 は 現 在 特 許 の 取 得 に 向 けての 手 続 きを 進 めています 抗 酸 化 機 能 って?? 生 体 内 で 呼 吸 反 応 などにより 発 生 するスーパーオキシドラジカルやヒドロキシラ ジカルなどの 他 の 分 子 から 容 易 に 電 子 を 奪 い 取 る 力 をもった 酸 素 分 子 を 活 性 酸 素 と 呼 んでいます 通 常 は 生 体 内 の 酵 素 (スーパーオキシドディスムターゼ SOD)の 作 用 により 無 害 化 されますが なんらかの 要 因 でこの 酵 素 の 能 力 を 超 える 活 性 酸 素 が 発 生 した 場 合 には 生 体 を 構 成 する 脂 質 や 遺 伝 子 などが 化 学 変 化 を 起 こし 本 来 の 状 態 とは 異 なる 状 態 へと 変 化 するといわれています このことが 老 化 あるいは 動 脈 硬 化 やがんなどの 成 人 病 の 原 因 となるともいわれています 活 性 酸 素 に 作 用 し 他 の 物 質 から 電 子 を 奪 い 取 る 性 質 をなくすことで 無 害 化 する 機 能 を 抗 酸 化 機 能 と 呼 んでいます SODの 機 能 に 類 似 しており ビタミンC ビタ ミンE 等 がこのような 機 能 をもつことがよく 知 られています ポリフェノールも 同 様 の 機 能 をもつと 言 われ 最 近 では 緑 茶 を 飲 むことで 含 まれるポリフェノールが 生 体 内 で 酸 化 的 障 害 を 抑 制 することが 明 らかにされています - 3 -

7 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 本 研 究 で 得 られた ウメが 高 いレベルの 抗 酸 化 機 能 をもつ という 事 実 は 新 聞 でも 報 道 さ れ 一 般 消 費 者 にもある 程 度 認 知 されるようになりました 今 後 このことをウメがもつ 新 た な 付 加 価 値 として 発 展 させていくためには ヒトでの 検 証 を 含 めた 科 学 的 データの 蓄 積 が 重 要 となります また 新 たに 開 発 した 製 造 技 術 については 今 後 さらに 実 証 化 の 研 究 を 進 めるこ とで 多 様 なウメ 加 工 品 を 提 供 することが 可 能 となると 期 待 されます 現 在 ウメの 加 工 品 はその 消 費 がほとんど 国 内 のみに 限 定 されていますが 醤 油 や 豆 腐 がそ うであったように 機 能 性 についての 科 学 的 データを 積 み 重 ねること そしてより 風 味 にすぐ れた 製 品 を 提 供 することで 海 外 の 市 場 も 視 野 に 入 れた 商 品 として 発 展 させていくことも 可 能 であると 考 えています 今 後 の 課 題 取 り 組 み この 研 究 で 得 られた 成 果 をもとに 現 在 ウメの 健 康 機 能 性 を 解 明 し 機 能 性 の 高 いウメ 品 種 を 作 るための 育 種 や 栽 培 方 法 の 研 究 が 県 うめ 研 究 所 を 中 心 とするグループにより さらにウメの 加 工 副 産 物 を 利 用 して 高 品 質 の 熊 野 牛 を 飼 育 するための 研 究 が 県 畜 産 試 験 場 を 中 心 とするグ ループにより 行 われています また ウメの 加 工 副 産 物 を 新 たな 食 品 素 材 として 利 用 するための 技 術 や 酵 素 を 利 用 してより 健 康 機 能 性 の 高 い 果 実 加 工 品 を 製 造 する 技 術 についての 研 究 が わかやま 産 業 振 興 財 団 のわか やま 版 新 連 携 事 業 の 助 成 を 受 けて 進 められています - 4 -

8 廃 木 材 を 原 料 とする 木 材 用 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 の 開 発 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 工 業 技 術 センター 氏 名 梶 本 武 志 共 同 研 究 機 関 : 三 木 理 研 工 業 株 式 会 社 東 洋 除 虫 菊 株 式 会 社 熊 野 流 域 木 材 協 同 組 合 京 大 ほか 研 究 費 :3000 万 円 研 究 期 間 :: 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 キ ー ワ ー ド:L- 乳 酸 木 材 接 着 剤 研 究 の 背 景 県 内 で 発 生 する 産 業 廃 棄 物 のうち9 万 トンを 木 くず 占 めています そのうち3 万 トンが 焼 却 処 理 されてきました しかし ダイオキシン 類 対 策 特 別 措 置 法 建 設 資 材 リサイクル 法 等 の 施 行 により 焼 却 処 理 が 困 難 になりました 本 研 究 は 木 材 の 廃 材 ( 建 築 解 体 材 など)や 未 利 用 の 間 伐 材 を 粉 砕 チップ 化 し L- 乳 酸 を 用 いて 分 解 することにより 木 材 用 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 の 原 料 に 利 用 しようとするものです 二 酸 化 炭 素 二 酸 太 陽 自 然 分 解 トウモロコシ 廃 木 材 利 用 L- 乳 酸 廃 木 材, 間 伐 材, 樹 皮 など L- 乳 酸 分 解 L 乳 二 酸 化 炭 素 化 炭 素 廃 棄 L- 乳 酸 は 本 研 究 の 概 念 図 接 着 剤, 防 腐 防 虫 剤 ホルムアルデヒドを 含 まない 1トウモロコシなどに 含 まれるデンプンを 乳 酸 菌 で 発 酵 して 製 造 されます ( 脱 石 油 資 源 ) 2 食 品 添 加 物 として 認 可 酒 や 清 涼 飲 料 などに 添 加 されています 3 植 物 性 プラスチック(ポリ 乳 酸 )の 原 料 として 利 用 されています 環 境 人 間 にやさしい 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 の 開 発 を 行 います - 5 -

9 L- 乳 酸 木 材 分 解 物 の 作 成 混 合 L- 乳 酸 廃 木 材 ( 食 品 添 加 物 発 酵 乳 酸 90% 90%) ( 間 伐 材 樹 皮 なども 利 用 できます) 木 材 分 解 装 置 (L- 乳 酸 分 解 ) 時 間 分 離 L- 乳 酸 木 材 分 解 物 液 体 固 体 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 消 臭 剤 など 高 分 子 材 料 など - 6 -

10 研 究 の 概 要 とその 成 果 廃 木 材 をL- 乳 酸 で 分 解 し 木 材 を 原 料 とした 木 材 用 の 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 を 開 発 しました 特 許 出 願 *パーティクルボード 及 びその 製 造 方 法 特 願 乳 酸 木 材 分 解 物 を 用 いて 廃 木 材 からパーティクルボードを 短 時 間 で 製 造 する 方 法 を 発 明 し 特 許 出 願 しました *パーティクルボード: 木 質 ボードの 一 種 誌 上 発 表 廃 木 材 のL- 乳 酸 木 材 分 解 物 を 用 いた 人 と 環 境 に 優 しい 木 材 用 接 着 剤 防 腐 防 虫 剤 の 開 発 テクノリッシ No.264 ( L- 乳 酸 による 木 材 の 分 解 及 び 分 解 物 の 接 着 剤 への 利 用 JETI,Vol53,No.11(2005) 乳 酸 木 材 分 解 物 によるアンモニア 除 去 平 成 17 年 度 和 歌 山 県 工 業 技 術 センター 研 究 報 告,P13-P14 ( 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 現 在 L- 乳 酸 木 材 分 解 物 を 木 質 ボードメーカに 提 供 し 接 着 剤 としての 利 用 方 法 を 検 討 して います また 東 洋 除 虫 菊 株 式 会 社 では 消 臭 剤 を 東 洋 薬 品 工 業 株 式 会 社 では 入 浴 剤 を 開 発 し 販 売 を 行 っています 熊 野 流 域 木 材 協 同 組 合 においても 木 質 ボードを 開 発 しています 写 真 1. 消 臭 剤 ( 東 洋 除 虫 菊 製 ) 写 真 2. 入 浴 剤 ( 東 洋 薬 品 工 業 製 ) 今 後 の 課 題 取 り 組 み L- 乳 酸 による 木 材 の 分 解 物 について 詳 細 な 分 析 を 行 い 分 解 物 質 の 解 明 を 行 っていく 必 要 が あります また L- 乳 酸 木 材 分 解 物 を 提 供 しているメーカでの 実 用 化 をおこなうための 条 件 を 検 討 中 です 熊 野 流 域 木 材 協 同 組 合 とは 受 託 研 究 を 行 っています 研 究 において 新 規 木 質 ボードの 開 発 を 行 い 物 性 評 価 と 量 産 体 制 を 整 備 していくように 進 めています - 7 -

11 紀 州 革 の 製 造 技 術 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 工 業 技 術 センター 氏 名 田 口 義 章 共 同 研 究 機 関 : 和 歌 山 県 製 革 事 業 協 同 組 合 研 究 費 :316 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 16 年 度 キ ー ワ ー ド : 柿 ポリフェノール 鞣 製 皮 革 研 究 の 背 景 日 本 の 皮 革 産 業 は 国 内 における 消 費 低 迷 海 外 からの 輸 入 増 加 などにより 厳 しい 状 況 にあ ります 国 内 外 の 競 争 に 生 き 残 るためには コスト 削 減 だけでなく 他 産 地 にない 新 素 材 の 開 発 が 重 要 となります また 消 費 者 の 意 識 変 化 や 有 害 物 規 制 の 強 化 により 革 製 品 に 対 しても 安 心 安 全 で 健 康 に 悪 影 響 を 与 えないことや 使 用 済 み 後 は 無 公 害 処 理 できることなどが 求 めら れ 現 在 市 場 では 有 害 物 質 を 含 まない 植 物 タンニンで 使 用 した 製 品 が 流 通 しています このような 状 況 のもと 和 歌 山 皮 革 産 業 を 活 性 化 するために 和 歌 山 県 製 革 事 業 協 同 組 合 より 和 歌 山 県 特 産 でもある 柿 渋 を 革 に 利 用 した 新 しい 革 素 材 を 和 歌 山 ブランドの 環 境 に 優 しい 紀 州 革 として 工 業 技 術 センターと 協 力 して 開 発 したいと 提 案 されました 柿 から 得 られる 柿 渋 の 主 成 分 は 皮 革 製 造 に 常 用 されているミモザ ケブラチョ 及 びチェス ナット 等 の 植 物 タンニンと 同 じくポリフェノールであるので 環 境 にも 優 しいのです 研 究 の 概 要 とその 成 果 今 回 の 試 作 段 階 では 先 ず 皮 粉 による 予 備 試 験 を 行 い ph 条 件 を 調 整 することにより 柿 渋 も 従 来 の 植 物 タンニンと 同 程 度 に 皮 の 耐 熱 性 を 向 上 させる 能 力 ( 鞣 皮 性 )を 有 することが 確 認 されました また 実 用 サイズ( 半 裁 )の 皮 での 鞣 し 試 験 で 前 処 理 条 件 や 分 散 剤 浸 透 剤 の 種 類 や 添 加 量 について 適 切 な 条 件 を 選 択 することにより 柿 渋 を 皮 表 面 への 吸 着 に 留 まらず 内 部 にまで 完 全 に 浸 透 させることができました 得 られた( 紀 州 革 )は 耐 熱 性 が 向 上 し 植 物 タンニンと 同 程 度 でありました 風 合 い 及 び 色 は 従 来 の 植 物 タンニンにはない 柿 渋 特 有 の 味 わ い 深 い 色 調 のものが 得 られました 鞣 した 革 の 評 価 を 受 けるために 柿 渋 で 鞣 した 革 から 組 合 と 協 力 してカバンを 試 作 しました 紀 州 革 ( 半 裁 ) 試 作 カバン - 8 -

12 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 柿 渋 で 鞣 した 半 裁 革 と 試 作 したカバンを 展 示 会 に 出 展 しました 和 歌 山 レザーフェスティバル 会 場 : 和 歌 山 ビック 愛 開 催 日 : 平 成 16 年 11 月 3~4 日 東 京 レザーフェア 会 場 : 東 京 都 立 産 業 貿 易 センター 台 東 館 開 催 日 : 平 成 17 年 1 月 19~20 日 ジャパンクリエーション 会 場 : 東 京 国 際 展 示 場 開 催 日 : 平 成 17 年 12 月 7~9 日 来 場 者 からは 感 触 も 良 く 柿 渋 独 特 の 優 しく 暖 かみのある 色 調 であると 好 評 を 得 ました 今 後 の 課 題 取 り 組 み 試 作 品 の 色 調 については 満 足 する 結 果 が 得 られました 製 革 工 程 で 発 生 する 皮 革 屑 は 有 害 薬 品 を 含 まないので 食 品 や 化 粧 品 などに 用 いられるコラーゲン ゼラチンの 原 料 としても 利 用 できます 更 に 柿 渋 の 原 料 として 現 在 未 熟 段 階 で 摘 果 破 棄 されている 青 柿 の 有 効 利 用 も 期 待 できます 今 後 このような 多 くの 利 点 を 有 する 紀 州 革 を 和 歌 山 ブランド として 定 着 させ ていきたいと 考 えています - 9 -

13 産 地 いきいき 健 康 エンドウ 生 産 技 術 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 農 林 産 総 合 技 術 センター 暖 地 園 芸 センター 氏 名 神 藤 宏 共 同 研 究 機 関 : 農 林 産 総 合 技 術 センター 農 業 試 験 場 和 歌 山 県 工 業 技 術 センター 千 葉 大 学 近 畿 大 学 和 歌 山 県 農 業 協 同 組 合 連 合 会 研 究 費 :3000 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 さや キ ー ワ ー ド: 実 エンドウ 新 品 種 紀 の 輝 多 収 生 産 品 質 不 良 莢 対 策 栄 養 機 能 性 成 分 研 究 の 背 景 和 歌 山 県 の 実 エンドウ 栽 培 面 積 308ha( 平 成 15 年 ) 収 穫 量 日 本 一 和 歌 山 県 内 の 野 菜 の 18%( 粗 収 益 ) 問 題 点 県 育 成 品 種 紀 の 輝 の 栽 培 希 望 者 が 増 加 栽 培 管 理 技 術 が 未 確 立 連 作 障 害 による 収 量 の 低 下 農 家 所 得 の 減 少 品 質 不 良 莢 ( 空 気 莢 )の 発 生 ブランドの 信 頼 低 下 消 費 者 の 栄 養 機 能 性 成 分 への 関 心 の 高 まり 内 容 成 分 は 未 解 明 暖 地 園 芸 センターのシーズ 昭 和 52 年 在 来 の ウスイ の 中 から 高 品 質 ( 膨 腫 が 発 生 しない)で 多 収 の きしゅううすい が 育 成 され 本 品 種 の 特 性 をいかした 作 型 開 発 が 進 められて きました さらに きしゅううすい と 莢 エンドウ の 美 笹 を 交 配 し そこから 早 生 タイプで 開 花 促 進 処 理 が 不 要 な 紀 の 輝 を 育 成 しました 暖 地 園 芸 センター 農 業 試 験 場 県 内 各 地 域 での 紀 の 輝 の 作 型 適 応 性 誘 引 整 枝 法 肥 培 管 理 の 改 善 による 多 収 技 術 温 度 日 照 CO2 等 施 設 内 環 境 条 件 と 光 合 成 および 空 気 莢 との 関 係 などを 明 ら かにします 工 業 技 術 センター 安 価 で 使 用 しやすい 空 気 莢 の 選 別 装 置 を 開 発 します 新 品 種 紀 の 輝 の 栽 培 管 理 技 術 の 開 発 主 要 品 種 きしゅううすい の 多 収 生 産 技 術 空 気 莢 の 発 生 要 因 の 解 明 とその 対 策 栄 養 機 能 性 成 分 の 分 析 および 評 価 近 畿 大 学 生 物 理 工 学 部 品 種 熟 期 作 型 別 に 生 産 物 の 内 容 成 分 を 分 析 します 千 葉 大 学 園 芸 学 部 空 気 莢 の 発 生 要 因 を 生 殖 生 理 の 面 から 解 明 します 和 歌 山 県 農 業 協 同 組 合 連 合 会 紀 の 輝 の 市 場 評 価 や 生 産 現 場 の 実 態 を 調 査 します 農 家 経 営 の 安 定 消 費 者 ニーズに 対 応 した 豆 生 産 和 歌 山 の 豆 ブランド 化

14 研 究 の 概 要 とその 成 果 新 品 種 紀 の 輝 の 栽 培 管 理 技 術 の 開 発 < 紀 中 地 域 > 夏 まき 年 内 どり は し ゅ 紀 の 輝 の 播 種 時 期 は8 月 下 旬 ~9 月 上 旬 でL 莢 ( 莢 の 大 きな 良 品 ) 率 が 高 く もっとも 多 収 である ことがわかりました 窒 素 吸 収 量 は 全 生 育 時 期 を 通 じて きしゅううす い より 多 くなりました 施 肥 法 は 従 来 の 基 肥 主 体 から 追 肥 重 点 とす ることが 有 望 とわかりました( 図 1) 秋 まきハウス 冬 春 どり 収 穫 時 期 ごとの 播 種 適 期 および 仕 立 て 本 数 を 明 らかにしました 窒 素 吸 収 量 は 各 生 育 ステージとも きしゅう うすい と 比 べて 多 いことがわかりま した 収 量 は 基 肥 を 少 なく 追 肥 を 多 くすることで 2.3t/10a が 得 られま した 秋 まき 春 どり 冬 季 の 霜 害 を 考 慮 すると 播 種 時 期 は 10 月 25 日 頃 が 適 当 と 考 えられまし た < 紀 北 地 域 > 夏 まき 年 内 どり 播 種 適 期 は 8 月 10 日 頃 で 収 量 は 10 月 中 旬 ~11 月 末 までに 800kg/10a が 得 られました この 作 型 では 開 花 期 が 高 温 乾 燥 期 にあたるため 気 象 条 件 に 収 量 : 上 物 収 量 を 示 す よっては 落 蕾 落 花 の 被 害 が 大 きくな りました 無 加 温 ハウス4 月 どり 播 種 適 期 は 10 月 末 頃 で 収 量 は 3 月 下 旬 ~4 月 末 までに 2000kg/10a が 得 られました( 図 2) 紀 の 輝 の 市 場 評 価 調 査 市 場 ( 大 阪 中 央 東 果 大 阪 京 都 青 果 )および 一 般 消 費 者 ( 量 販 店 からのアンケート)から き しゅううすい と 同 等 の 高 い 評 価 を 受 けました 特 に 紀 の 輝 は L 級 で 実 入 りも 良 く グリーンも 濃 いとの 評 価 を 受 けました 収 量 (kg/10a) 追 肥 重 点 慣 行 基 肥 重 点 基 肥 追 肥 合 計 (N 成 分 kg/10a) L 莢 率 むき 実 率 (%) 1 月 12 月 11 月 むき 実 率 L 莢 率 図 1 夏 まき 年 内 どり 作 型 における 紀 の 輝 の 施 肥 法 と 収 量 品 質

15 主 要 品 種 きしゅううすい きしゅううすい の 多 収 生 産 技 術 誘 引 整 枝 技 術 側 枝 を 全 て 除 去 すると 初 期 収 量 は 増 加 する が 全 体 の 収 量 は 減 少 しました 年 内 に 発 生 す る 側 枝 を 除 去 する 方 法 が 多 収 につながりました 施 肥 技 術 被 覆 肥 料 (ロング 100 日 タイプ)20kgN/10a と 速 効 性 化 成 肥 料 5kgN/10a を 全 量 基 肥 施 用 と した 場 合 慣 行 施 肥 35kgN/10a( 基 肥 + 追 肥 3 回 )に 比 べて 2~3 月 の 収 量 が 多 く 4 月 が 少 な くなりました( 図 3) 総 収 量 粗 収 益 は 同 等 であり 窒 素 施 肥 量 は2~3 割 肥 料 費 は1~ 3 割 削 減 できるとともに 追 肥 を 省 略 できました 空 気 莢 の 発 生 要 因 の 解 明 とその 対 策 生 殖 生 理 空 気 莢 内 の 肥 大 不 良 子 実 をフローサイトメトリ ( 細 胞 の 染 色 体 量 を 調 べる 手 法 )を 用 いて 調 べる と 正 常 子 実 の 細 胞 増 殖 と 同 様 の 傾 向 が 認 められ ました 肥 大 不 良 子 実 の 断 面 を 観 察 すると 子 葉 と 胚 が 確 認 され 受 粉 受 精 が 正 常 に 行 われていることが わかりました 複 葉 托 葉 の 除 去 複 葉 の 除 去 により 子 実 の 正 常 肥 大 率 は 低 下 し ( 図 4) 未 発 達 子 実 数 が 増 加 しました L 莢 率 は 無 処 理 と 比 べて 托 葉 除 去 では 同 程 度 複 葉 除 去 では 低 下 しました 光 合 成 特 性 実 エンドウ きしゅううすい の 光 合 成 の 適 葉 温 は 晴 天 日 では 16~20 曇 天 日 では 10~14 でした( 図 5) 25 以 上 では 光 合 成 速 度 が 顕 著 に 低 下 しました 環 境 条 件 と 子 実 肥 大 生 育 初 期 から 日 照 不 足 を 想 定 した 遮 光 により 空 気 莢 の 発 生 が 増 加 する 傾 向 が 認 められました ( 図 6) また 遮 光 条 件 下 において 夜 間 3 / 昼 間 13 で 空 気 莢 が 85.7%と 多 発 しました 遮 光 条 件 下 において 早 朝 加 温 を 行 う と 正 常 肥 大 子 実 が 増 加 しました 一 方 早 朝 の 炭 酸 ガスの 施 用 では 子 実 の 肥 大 に 顕 著 な 差 が 認 められませんでした 正 常 肥 大 率 (%) 光 合 成 速 度 (µmolco2 m -2 s -1 ) 全 葉 除 去 托 葉 除 去 複 葉 除 去 無 処 理 光 量 子 束 密 度 (µmol m -2 s -1 ) 葉 温 ( ) 図 5 エンドウ きしゅううすい における 葉 温 および 光 量 子 束 密 度 と 光 合 成 速 度 の 関 係 注 ) 播 種 2004 年 9 月 測 定 日 :2005 年 3 月 CO 2 濃 度 :400ppm 以 上 の 結 果 空 気 莢 は 開 花 時 の 受 精 が 正 常 に 行 われるが 昼 の 低 温 と 日 照 不 足 等 により 光 合 成 速 度 の 低 下 が 起 こり 子 実 の 発 育 段 階 で 肥 大 に 支 障 が 生 じるこ とが 示 唆 されました 空 気 莢 の 発 生 を 軽 減 するためには 日 中 の 施 設 内 温 度 と 日 照 の 確 保 早 朝 加 温 等 が 有 効 と 考 えられ ました

16 対 策 技 術 : 空 気 莢 選 別 装 置 の 開 発 開 発 した 選 別 装 置 は 作 業 者 がより 使 い 易 く 実 用 的 な 形 となっており 座 った 姿 勢 での 作 業 が 可 能 です 光 源 の 上 に 取 り 付 けられた 視 野 選 択 性 フィルター 上 にエンドウ 莢 を 置 くことで エ ンドウ 莢 の 内 部 が 観 察 できます また 本 フィルターにより 光 源 からの 光 が 直 接 目 に 入 らないた め 作 業 者 の 目 に 優 しく 作 業 効 率 を 上 げることができます 空 気 莢 選 別 作 業 台 エンドウ 莢 の 透 過 エンドウ 選 別 機 栄 養 機 能 性 成 分 の 分 析 および 評 価 実 エンドウにはビタミンB1 葉 酸 が 豊 富 に 含 まれていることが 明 らかになりました( 図 7) 葉 酸 は 胎 児 の 発 育 に 必 須 で 動 脈 硬 化 の 予 防 に 効 果 があると 言 われています ( 空 気 莢 選 別 機 能 付 き:a) 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 日 高 地 域 ( 印 南 町 みなべ 町 等 )において 紀 の 輝 の 早 生 の 特 性 を 活 かした 夏 まき 年 内 どり の 作 型 で 導 入 定 着 が 進 み 栽 培 面 積 が 17ha に 拡 大 しました 本 作 型 では 播 種 時 期 が 遅 いため 病 害 虫 による 被 害 が 軽 減 され 農 薬 散 布 回 数 が 削 減 できるメリットがあります 那 賀 地 域 では 紀 の 輝 の 新 しい 作 型 が 試 験 的 に 導 入 されつつあります 実 エンドウの 栽 培 指 針 ( やっぱ 豆!ウスイエン ドウ 作 って 儲 けよう! 和 歌 山 県 野 菜 産 地 等 整 備 活 性 化 協 議 会 )を 作 成 し JAを 通 じ 生 産 者 に 配 布 しています 今 後 の 課 題 取 り 組 み 空 気 莢 選 別 装 置 については 和 歌 山 県 農 業 協 同 組 合 連 合 会 と 連 携 して 各 JA 単 位 で 生 産 者 の 意 見 を 取 り 入 れながら 普 及 に 努 める 予 定 です 新 たな 実 エンドウの 料 理 のレシピを 和 歌 山 県 農 業 協 同 組 合 連 合 会 と 連 携 して 作 成 し 実 エンドウ を 広 くPRしていきます 紀 の 輝 の 栽 培 状 況 ( 夏 まき 年 内 どり 作 型 )

17 産 地 の 維 持 発 展 を 目 指 した 合 理 的 ウメ 経 営 方 式 の 確 立 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 農 林 産 総 合 技 術 センター 農 業 試 験 場 氏 名 辻 和 良 共 同 研 究 機 関 : 大 阪 府 立 大 学 紀 南 農 業 協 同 組 合 研 究 費 :500 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 キ ー ワ ー ド:ウメ 生 産 経 営 効 率 性 経 営 改 善 研 究 の 背 景 和 歌 山 県 のウメ 生 産 は 収 穫 量 で 全 国 の 50%を 占 めています また 漬 物 生 産 出 荷 額 では 全 国 1 位 の 位 置 にあります このようにウメの 生 産 は 本 県 にとって 重 要 な 産 業 の 一 つです しかし 近 年 生 育 不 良 園 の 発 生 青 ウメの 価 格 低 迷 国 内 産 ウメの 増 加 安 価 な 中 国 産 加 工 ウメの 輸 入 増 加 とそれに 伴 う 漬 けウメ 価 格 の 低 迷 などによって 生 産 農 家 の 収 益 性 は 低 下 しています 現 状 のウメ 生 産 農 家 では 収 量 や 売 上 高 において 農 家 間 の 差 が 大 きく 価 格 の 低 下 が 進 むと 低 収 益 で 非 効 率 な 経 営 は 脱 落 することが 予 想 されます 産 地 を 維 持 していくためには こうした 低 効 率 な 経 営 を 高 いレベルに 引 き 上 げるための 経 営 改 善 策 を 早 急 に 確 立 することが 必 要 になっています そこで 経 営 効 率 の 高 い 経 営 の 技 術 体 ( 生 産 販 売 管 理 技 術 ) 資 本 労 働 力 利 用 などを 定 量 的 に 把 握 することで 低 収 益 で 非 効 率 な 経 営 を 改 善 するための 指 標 を 明 らかにします そして これらの 分 析 を 通 して 国 内 外 の 競 争 に 打 ち 勝 つ 安 定 的 で 高 能 率 高 収 益 なウメ 経 営 方 式 を 明 らか にし 産 地 の 維 持 活 性 化 に 必 要 なウメ 経 営 の 改 善 方 策 の 確 立 を 目 指 します 研 究 の 概 要 とその 成 果 背 景 問 題 点 ウメ ウメは 和 歌 山 の 重 要 な 産 業 ウメ 農 家 の 経 営 実 態 の 解 明 研 究 内 容 DEAを 用 いた 経 営 効 率 の 計 測 H12 産 収 穫 量 全 国 の55% 粗 生 産 額 204 億 円 生 産 農 家 数 6600 戸 梅 干 出 荷 額 600 億 円 全 国 1 位 ウメ 生 産 農 家 の 収 益 性 が 低 下 技 術 体 資 本 労 働 力 利 用 等 と 収 益 効 率 との 因 果 関 係 の 解 明 しかし 最 近 は そう なると 収 量 や 販 売 額 で 農 家 間 の 較 差 が 大 きいために 非 効 率 的 経 営 の 問 題 点 の 摘 出 ウメの 経 営 改 善 策 の 策 定 青 ウメ 価 格 の 低 迷 県 外 産 地 の 出 荷 量 増 加 に よる 供 給 過 剰 状 態 漬 けウメ 価 格 の 低 迷 中 国 産 加 工 ウメの 輸 入 が 増 加 低 レベルな 農 家 は ウメ 経 営 からの 脱 落 の 危 機 産 地 の 維 持 発 展 のために は 経 営 改 善 策 が 必 要 期 待 さ れ る 効 果 合 理 的 ウメ 経 営 方 式 の 技 術 体 と 経 営 管 理 方 法 が 明 らかとなる 効 率 の 低 い 経 営 を 高 収 益 高 能 率 へと 改 善 する 経 営 改 善 策 の 確 立 産 地 への 普 及 ウメ 農 家 の 収 益 性 向 上 全 国 一 の 梅 産 地 と 農 業 生 産 額 の 維 持 研 究 の 概 要 ウメ 経 営 の 収 益 性 と 効 率 の 計 測 (ウメ 農 家 の 経 営 実 態 DEAを 用 いた 経 営 効 率 の 計 測 ) 技 術 体 経 営 管 理 と 収 益 効 率 との 因 果 関 係 の 解 明 (ウメ 農 家 の 技 術 体 ウメ 農 家 の 経 営 管 理 実 態 技 術 的 経 営 的 要 因 と 収 益 効 率 の 関 係 ) ウメの 経 営 改 善 策 の 策 定

18 主 な 研 究 成 果 1 ウメ 生 産 農 家 のウメ ウメの 単 位 面 積 当 たり 収 量 には 非 常 に 大 きな 差 がみられます 原 因 は 老 木 樹 改 植 の 遅 れ 作 業 条 件 の 悪 い 園 地 栽 培 管 理 の 粗 放 化 後 継 者 の 有 無 な どが 関 係 していると 考 えられます 単 収 (t/10a) ウメ 栽 培 面 積 (a) 注 : 単 収 は 出 荷 した 生 ウメの 量 をウメ 栽 培 面 積 10a 当 たりに 換 算 した 図 1 ウメ 栽 培 面 積 と10a 当 たり 収 量 の 分 布 資 料 : 田 辺 市 ウメ 生 産 農 家 に 対 するアンケート(2003 年 7 月 実 施 ) 2 ウメ 生 産 農 家 の 経 営 効 率 に 大 きな 差 がみられます DEA( 注 )を 用 いて 計 測 した 経 営 効 率 は 幅 広 く 分 布 しました( 図 2 参 照 ) ウメ 専 作 経 営 では 経 営 効 率 の 上 昇 に 伴 い 販 売 額 や 10a 当 たり 所 得 収 量 などが 増 加 します 複 合 経 営 では ウメ 部 門 の 成 果 が 経 営 全 体 の 成 果 に 与 える 影 響 は 小 さくなっています 1.2 経 1 営 0.8 効 0.6 率 指 0.4 数 経 営 耕 地 面 積 (a) ( 注 )DEAでは ウメ 栽 培 面 積 (a) ウメ 以 外 の 作 物 の 栽 培 面 積 (a) 農 業 専 従 者 数 ( 人 ) 農 業 経 営 費 ( 万 円 )の 4 種 類 を 使 って( 投 入 して) ウメとウメ 以 外 の 販 売 額 ( 万 円 )の 産 出 する 経 営 の 効 率 を 計 っています 同 じ 投 入 と 産 出 をもつ 経 営 グループの 実 績 データから 効 率 が 最 大 となる 経 営 を 求 め その 経 営 の 効 率 値 (1)をもとに 個 々の 経 営 の 相 対 的 な 効 率 を 求 めています 図 2 ウメ 経 営 の 経 営 効 率 の 分 布 3 経 営 指 標 栽 培 管 理 実 施 率 などと 経 営 効 率 の 間 には 密 接 な 関 係 があります ウメ 専 作 経 営 では 経 営 効 率 と 単 位 面 積 当 たり 所 得 ( 収 量 )の 間 に 強 い 関 係 があり 収 量 が 増 加 すれば 経 営 効 率 も 高 くなります( 図 3 参 照 ) 樹 齢 構 成 や 受 粉 条 件 が 経 営 効 率 に 影 響 しています 施 肥 防 除 改 植 等 の 基 本 的 な 管 理 技 術 が 経 営 効 率 に 影 響 しています( 図 4 参 照 ) 基 本 的 な 栽 培 管 理 を 励 行 することが 経 営 効 率 を 高 めます 10a 当 たり 農 業 所 得 ウメ 販 売 額 ( 万 円 ) a 当 たり ウメ 収 量 10a 当 たり 農 業 所 得 低 い(0.7 未 満 ) 中 (0.7~0.9) 高 い(0.9 以 上 ) 経 営 効 率 10a 当 たり ウメ 販 売 a 当 たり ウメ 収 量 (t) 実 施 率 ( 40 % ) ~11 月 の 元 肥 石 灰 類 の 施 用 園 地 ごとの 防 除 管 理 授 粉 樹 の 混 植 低 い(0.7 未 満 ) 中 (0.7~0.9) 高 い(0.9 以 上 ) 経 営 効 率 指 数 図 3 経 営 効 率 と 10a 当 たり 収 量 等 の 関 係 図 4 経 営 効 率 と 栽 培 管 理 の 実 施 率 の 関 係

19 複 合 経 営 では ウメだけではなくウメ 以 外 の 品 目 とのバランスを 保 ちトータルで 経 営 効 率 を 高 めることが 重 要 です また 経 営 効 率 の 高 い 経 営 は 高 価 格 で 品 質 の 良 いウメを 生 産 しています 4 効 率 の 高 い 経 営 は 収 益 の 向 上 を 追 求 している 経 営 です 経 営 効 率 の 高 い 経 営 は 品 質 向 上 を 目 標 としながら 収 益 の 向 上 を 追 求 しています 情 報 交 換 研 究 会 活 動 が 経 営 効 率 と 収 益 の 向 上 に 大 きな 役 割 を 果 たしています 指 摘 率 ( % ) 図 5 経 営 成 果 の 比 較 対 象 は? 効 率 的 経 営 非 効 率 的 経 営 周 囲 の 農 家 その 他 特 にない 指 100 摘 80 率 60 ( % 40 ) 20 0 明 確 に 持 っている 効 率 的 経 営 非 効 率 的 経 営 図 6 長 期 経 営 計 画 はお 持 ちですか? 5 効 率 の 高 い 経 営 では 短 期 長 期 の 経 営 計 画 をもっています 効 率 的 な 経 営 では 経 営 の 目 標 を 設 定 し 経 営 を 改 善 する 計 画 をもっています 漠 然 と 持 っている これらのことから ウメ 経 営 の 改 善 を 図 るには 収 益 向 上 技 術 向 上 などの 目 標 をもちましょう 長 期 的 な 視 点 で 経 営 計 画 をたてることに 心 がけましょう 経 営 成 果 に 関 する 情 報 交 換 の 場 が 必 要 です 地 域 内 での 情 報 交 換 研 究 会 活 動 を 活 発 化 し ましょう ウメ 経 営 の 基 本 方 向 1 高 い 収 量 性 を 維 持 する( 基 本 的 な 栽 培 管 理 の 実 践 ) 樹 齢 構 成 を 一 定 の 割 合 に 保 ち 老 木 を 順 次 更 新 しながら 園 地 の 若 返 りを 図 ります 授 粉 樹 の 混 植 を 適 正 に 行 います 礼 肥 や 元 肥 石 灰 類 等 の 施 用 ほか 適 切 な 施 肥 管 理 や 病 害 虫 防 除 ミツバチの 設 置 風 害 対 策 などの 受 粉 結 実 管 理 などの 基 本 的 な 栽 培 管 理 を 実 践 しましょう 2 適 期 作 業 を 逃 さない( 適 期 生 産 ) 適 期 防 除 園 地 ごとの 適 正 な 防 除 施 肥 などの 管 理 作 業 の 適 期 を 逃 さず 実 行 しましょう 施 肥 や 剪 定 ミツバチの 放 飼 などの 管 理 作 業 や 収 穫 作 業 の 年 間 計 画 をたてましょう 3 秀 品 率 A 級 品 率 を 向 上 する( 高 品 質 生 産 ) 耕 地 の 栄 養 状 態 栽 培 管 理 内 容 収 穫 される 生 産 物 まで 全 てにきめ 細 かい 注 意 と 管 理 が 必 要 です 品 質 の 高 いウメを 生 産 しましょう 4 生 産 原 価 の 見 直 す(コスト 低 減 ) 品 種 の 組 み 合 わせで 収 穫 労 力 を 分 散 しましょう 自 家 労 働 力 をうまく 活 用 し 雇 用 労 賃 を 節 減 しましょう 栽 培 作 業 技 術 の 向 上 農 薬 散 布 回 数 の 低 減 資 材 の 節 減 にも 努 めましょう 施 設 機 械 の 稼 働 率 向 上 や 高 い 収 量 準 を 維 持 することもコスト 削 減 につながります

20 成 果 の 発 表 ( 主 な 学 術 論 文 出 版 物 新 聞 報 道 など) ウメ 生 産 農 家 の 経 営 効 率 性 格 差 とその 要 因 農 林 業 問 題 研 究 (126) 地 域 農 林 経 済 学 会 DEAによるウメ 生 産 農 家 の 経 営 効 率 性 の 計 測 と 改 善 方 向 農 総 技 セ 研 報 (7) 地 域 産 業 複 合 体 の 形 成 と 展 開 -ウメ 産 業 をめぐる 新 たな 動 向 - 農 林 統 計 協 会 梅 産 地 の 方 向 性 探 る- 県 農 業 試 験 場 が 研 究 会 紀 伊 民 報 梅 農 家 効 率 性 で 年 収 差 4 倍 - 県 農 業 試 験 場 調 べ 紀 伊 民 報 ほか ウメ 経 営 のチェックリスト チェックの 入 った 項 目 が 経 営 上 の 主 な 問 題 点 と 考 えられます 以 下 の 項 目 をチェックしてください 経 営 改 善 項 目 日 当 たりが 悪 い 園 地 がある 凍 霜 害 を 受 けやすい 園 地 がある 干 害 を 受 けやすい 園 地 がある 地 力 が 乏 しい 園 地 がある 収 穫 前 後 に 礼 肥 を 施 用 していない 元 肥 の 施 用 が 少 ない 石 灰 類 の 施 用 が 少 ない( 土 壌 診 断 に 基 づく) 南 高 の 樹 齢 20~25 年 以 上 の 樹 を 改 植 していない 低 収 量 樹 を 改 植 していない たい 肥 等 の 有 機 物 の 施 用 が 少 ない 風 害 を 受 ける 園 地 に 防 風 対 策 を 行 っていない 授 粉 樹 の 混 植 率 が 最 適 地 15% ~( 条 件 不 利 地 30%) 未 満 である ミツバチを 導 入 していない 整 枝 剪 定 が 十 分 でない 園 地 ごとに 防 除 管 理 していない 適 期 防 除 ができていない 摘 果 が 十 分 でない( 古 城 ) 散 布 する 必 要 のない 農 薬 を 散 布 してしまう 土 壌 改 良 材 肥 料 の 施 用 量 が 多 い 作 業 の 適 期 を 逃 している 樹 高 が 高 い( 青 ウメ) 地 形 が 悪 くネット 収 穫 に 時 間 がかかる ( 白 干 ウメ) 園 内 道 園 までの 道 路 が 整 備 できていない 整 枝 剪 定 が 十 分 でない 雇 用 者 が 多 すぎる 雇 用 の 時 給 日 給 が 高 い 機 械 施 設 の 利 用 効 率 が 悪 い 規 模 に 対 して 機 械 施 設 が 過 大 10a 当 たり 収 量 青 ウメ 2.2t/10a 以 上 白 干 ウメ 135タル/10a 以 上 単 価 ( 販 売 単 価 は 年 によって 変 動 します) 青 ウメ 300 円 /kg 以 上 白 干 ウメ 平 均 5,900 円 /タル 以 上 ( ) 秀 品 率 青 ウメ 70% 以 上, 白 干 ウメ 60% 以 上 階 級 青 ウメ 3L 以 上 40% 未 満, 白 干 ウメ 4L 以 上 10% 未 満 A 級 8000 円 50% B 級 5000 円 20% C 級 3500 円 30%として 計 算 した 場 合 1タル 平 均 が5,900 円 になります 10a 当 たり 経 営 費 青 ウメ 24 万 円 以 下 白 干 ウメ 33 万 6 千 円 以 下 雇 用 費 7 万 円 以 下 肥 料 費 ( 土 壌 改 良 材 含 む)+ 農 薬 費 合 計 9 万 5 千 円 以 下 減 価 償 却 費 青 ウメ 3 万 5 千 円, 白 干 ウメ 5 万 2 千 円 以 下 経 営 改 善 目 標 ( 南 高 ) 10a 当 たり 販 売 額 青 ウメ 66 万 円 以 上 白 干 ウメ 79 万 7 千 円 以 上 収 量 が 低 い 可 能 性 が 考 えられます 単 価 が 低 い 可 能 性 が 考 えられます 経 営 費 が 高 い 可 能 性 が 考 えられます 最 終 的 に 10a 当 たり 所 得 ウメ 部 門 所 得 率 の 目 標 に 達 するように 経 営 改 善 に 努 めましょう 10a 当 たり 所 得 青 ウメ 42 万 円 以 上 白 干 ウメ 46 万 円 以 上 ウメ 部 門 所 得 率 青 ウメ 64% 以 上 白 干 ウメ 58% 以 上 農 業 生 産 作 業 技 術 内 容 の 記 録 記 帳 を 行 っていない 生 産 原 価 と 販 売 した 価 格 を 比 べていない JA 農 業 普 及 課 周 囲 の 農 家 等 との 情 報 交 換 を 行 っていない 技 術 の 向 上 に 努 めていない 品 質 の 向 上 に 努 めていない 研 修 視 察 等 に 参 加 していない 幼 木 (7 年 生 未 満 )の 割 合 が15~25%でない 長 期 経 営 計 画 ( 約 10 年 )を 立 てていない 短 期 経 営 計 画 (1~3 年 )を 立 てていない 後 継 者 が 確 保 されていない 設 備 機 械 等 の 投 資 計 画 が 立 てられていない 資 金 利 用 計 画 は 立 てられていない パートや 雇 用 など 労 働 力 の 確 保 ができていない 経 営 の 各 部 門 別 収 支 が 明 確 になっていない 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 経 営 改 善 目 標 経 営 改 善 策 をコンパクトにまとめるほか 農 家 自 身 が 取 り 組 むことができ る ウメ 経 営 のチェックリスト を 作 成 しました( 図 参 照 ) 研 究 会 生 産 者 集 会 などで 成 果 を 発 表 し 普 及 に 努 めています ウメ 経 営 の 改 善 と 産 地 の 展 開 方 向 に 関 する 研 究 会 JA 紀 南 うめ 生 産 者 大 会 ( 紀 南 文 化 会 館 ) 経 営 講 座 明 日 の 農 業 を 考 える (JA 紀 南 三 栖 支 所 ) 今 後 の 課 題 取 り 組 み 今 後 の 課 題 ウメ 経 営 産 地 の 展 開 方 向 とウ メの 価 格 設 定 方 法 に 関 する 検 討 ウメを 主 体 とした 複 合 経 営 と 次 世 代 ウメ 経 営 の 方 向 に 関 する 検 討 ウメをめぐる 環 境 変 化 が 経 営 に 及 ぼす 影 響 の 分 析 マーケティン グ 戦 略 の 検 討 ウメの 新 商 品 開 発 に 関 わる 消 費 者 ニーズの 把 握 農 家 間 に 収 益 性 生 産 技 術 や 経 営 主 の 考 え 方 等 で 大 きな 差 がみ られたことから 農 協 農 家 など では 経 営 効 率 性 に 対 する 関 心 が 高 まっています 今 後 も 農 家 や 普 及 関 係 者 JA 等 を 対 象 とした 研 修 会 や 研 究 会 において 成 果 を 発 表 し 普 及 を 図 ります

21 果 樹 カメムシ 類 の 発 生 量 予 測 技 術 及 び 防 除 技 術 の 開 発 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 農 林 産 総 合 技 術 センター 果 樹 試 験 場 かき もも 研 究 所 氏 名 南 方 高 志 共 同 研 究 機 関 : 県 農 林 産 総 合 技 術 センター 林 業 試 験 場 和 歌 山 大 学 システム 工 学 部 研 究 費 :1500 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 キーワード: 果 樹 カメムシ 類 ヒノキ 花 粉 飛 散 数 比 発 生 量 時 期 予 測 研 究 の 背 景 和 歌 山 県 はカキ モモ ウメ カンキツなどの 果 樹 を 中 心 に 農 業 が 営 まれていますが 近 年 はチャバネアオカメムシなどの 果 樹 カメムシ 類 ( 図 1)によって 2 年 に 一 度 の 多 発 年 にはカ キで 年 間 10~20 億 円 もの 被 害 が 生 じています 本 県 ではその 餌 源 となるスギ ヒノキ 林 などの 人 工 林 率 が 60%と 高 いので 果 樹 カメムシ 類 の 発 生 量 が 多 く また 餌 となる 球 果 が 年 により 豊 凶 を 繰 り 返 すことが 被 害 の 多 くなる 原 因 です 図 1 果 樹 を 加 害 するカメムシ 類 左 :ツヤアオカメムシ 中 :チャバネアオカメムシ 右 :クサギカメムシ 果 樹 カメムシ 類 はスギやヒノキの 球 果 を 餌 に 増 殖 します ( 図 2) しかし 餌 が 不 足 すると 餌 を 求 めて 周 囲 へ 飛 散 し ます したがって 果 樹 園 への 飛 来 を 予 測 することが 重 要 なので 生 産 者 からは 発 生 予 察 強 化 と 薬 剤 以 外 の 防 除 方 法 開 発 を 強 く 要 望 されています そこで 本 研 究 では 山 林 全 体 の 球 果 着 生 量 を 正 確 に 把 握 することは 困 難 なので 球 果 量 の 代 わりにヒノキ 花 粉 飛 散 数 を 利 用 して 果 樹 カメムシ 類 の 果 樹 園 への 飛 来 量 および 飛 来 時 期 予 測 技 術 を 開 発 しました また 農 薬 に 頼 らない 防 除 技 術 として 光 反 射 資 材 を 用 いた 成 虫 飛 来 忌 避 (きひ) 効 果 を 検 討 しました 図 2 カメムシの 餌 となるヒノキ 球 果 図 2 カメムシの 餌 となるヒノキ 球 果

22 研 究 の 概 要 とその 成 果 1.ヒノキ 花 粉 飛 散 数 を 利 用 した 果 樹 カメム シ 類 によるカキ 果 実 被 害 の 予 測 < 花 粉 飛 散 数 と 果 実 被 害 の 年 次 変 動 > 花 粉 飛 散 数 は 和 歌 山 泉 南 花 粉 研 究 会 に よって 県 内 各 地 で 調 査 され ホームページで 公 開 されています このデータとカキ( 品 種 : 富 有 )の 被 害 果 率 をグラフに 表 すと( 図 3) ともに 年 次 変 動 が 大 きいことがわかり ます また 花 粉 飛 散 数 が 少 ない 年 はカキの 被 害 が 多 く 飛 散 数 が 多 い 年 は 被 害 が 少 ない 傾 向 がわかりました < 花 粉 飛 散 数 比 > カメムシが 球 果 を 餌 として 利 用 できる 期 間 は カメムシの 越 冬 密 度 と 当 該 年 の 球 果 量 との 関 係 によって 決 まり それ によってカメムシが 夏 以 降 いつ 果 樹 園 に 飛 来 するかが 決 定 されると 考 えられます カメムシの 越 冬 密 度 は 前 年 のヒノキ 花 粉 飛 散 数 ( 球 果 量 )に 比 例 しますので( 図 4) カメムシの 越 冬 密 度 と 当 該 年 の 球 果 量 との 関 係 は 花 粉 飛 散 数 比 ( 当 年 / 前 年 )で 表 現 することができます < 花 粉 飛 散 数 比 と 被 害 果 率 > 花 粉 飛 散 数 比 が 低 いほど 10 月 の 富 有 における 被 害 果 率 が 高 くなります( 図 5) 越 冬 密 度 ( 頭 /50リットル) 図 ヒノキ 1996花 粉 1998 飛 散 数 ( 2000 県 下 3カ 2002 所 平 均 )と 2004 飛 散 数 比 ( 当 年 / 前 年 ) カキの 果 実 被 害 ( 富 有 10 月 )の 年 次 変 動 花 粉 飛 散 数 ( 個 /cm 2 ) 図 4 ヒノキ 花 粉 の 年 間 飛 散 数 ( 県 下 3 地 点 平 均 )と チャバネアオカメムシの 越 冬 密 度 ( 県 下 63 地 点 平 均 )との 相 関 花 粉 飛 散 数 比 図 5 ヒノキの 花 粉 飛 散 数 比 ( 当 年 / 前 年 )とカ キの 被 害 果 率 ( 富 有 10 月 )との 関 係

23 < 花 粉 飛 散 数 比 と 被 害 増 加 時 期 > 花 粉 飛 散 数 比 が 低 いほど 被 害 増 加 時 期 ( 被 害 果 率 が 7.5%を 超 える 時 期 )が 早 まりま す( 図 6) 10 月 花 粉 飛 散 数 比 図 6 ヒノキの 花 粉 飛 散 数 比 ( 当 年 / 前 年 ) とカキ( 富 有 )の 果 実 被 害 との 関 係. スギ 花 粉 の 飛 散 は4 月 中 旬 頃 まで ヒノキ 花 粉 の 飛 散 は5 月 中 旬 頃 ま でに 終 了 するので 6 月 には 当 年 発 生 する 果 樹 カメムシ 類 発 生 量 およ び 発 生 時 期 の 予 測 ができます 2. 光 反 射 資 材 による 防 除 効 果 カキ( 品 種 : 富 有 )の 樹 幹 下 にシルバーシー ト(アルミ 蒸 着 反 射 マルチフィルム)を 敷 き 敷 設 後 カメムシによる 果 実 被 害 を 調 査 しました ( 調 査 期 間 中 は 殺 虫 剤 無 散 布 ) すると シルバ ーシートを 敷 かなかった 区 では 被 害 が 徐 々に 増 加 し 10 月 21 日 には1 果 当 たりの 吸 汁 痕 数 は7 個 に 達 しました しかし シルバーシートを 敷 いた 区 では 顕 著 な 被 害 の 増 加 は 見 られず 光 反 射 資 材 による 吸 汁 抑 制 効 果 が 認 められました ( 図 7) 1 果 当 たりの 吸 汁 痕 数 シルバーシート 処 理 区 シルバーシート 無 処 理 区 0.0 8/1 9/1 10/1 11/1 図 7 シルバーシートによるカメムシ 類 忌 避 効 果 試 験 (かき もも 研 究 所 内 ) 3. 論 文 発 表 等 (1) 学 会 発 表 等 森 下 ら(2004) 第 48 回 日 本 応 用 動 物 昆 虫 学 会 大 会 ほか6 件 (2) 学 術 雑 誌 等 森 下 (2005) 近 畿 中 国 四 国 地 域 における 新 技 術 ほか1 件 (3) 一 般 雑 誌 等 森 下 (2006)グリーンレポート 441:2-3.ほか3 件

24 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 花 粉 飛 散 数 比 を 用 いて 果 樹 カメムシ 類 の 果 樹 園 への 飛 来 時 期 や 発 生 量 を 予 測 し 那 賀 地 方 病 害 虫 防 除 対 策 協 議 会 や 伊 都 地 方 柿 カメムシ 防 除 対 策 推 進 協 議 会 に 情 報 提 供 しています この 情 報 を 元 に 各 協 議 会 では 防 除 啓 発 チラシの 作 成 時 期 や 方 向 活 動 時 期 を 検 討 されています ま た 和 歌 山 県 農 作 物 病 害 虫 防 除 所 が 発 行 する 病 害 虫 発 生 予 報 にも この 方 法 に 基 づいて 果 樹 カメムシ 類 による 被 害 を 予 測 しています 今 後 の 課 題 取 り 組 み 本 事 業 では 紹 介 した 研 究 の 他 に 山 林 におけるスギ ヒノキの 球 果 量 を 明 らかにしました 林 内 の 球 果 量 は 豊 作 年 で1ha 当 たり 60 万 個 凶 作 年 でそのほぼ 1/10 と 推 定 されました 球 果 は 樹 齢 30 年 まで 増 加 し その 後 はほぼ 一 定 に 推 移 することがわかりました 護 摩 壇 山 のような 山 間 部 と 果 樹 園 に 近 い 林 分 でカメムシによる 球 果 の 利 用 率 に 違 いがあるかは 今 後 の 課 題 です また 衛 星 リモートセンシングと GIS( 地 理 情 報 システム)を 利 用 して 土 地 被 覆 分 類 図 ( 図 8)を 作 成 し そこからスギ ヒノキ 人 工 林 と 果 樹 園 の 識 別 を 行 いました さらに スギ ヒ ノキ 林 からの 距 離 を 考 慮 した 被 害 危 険 度 マップを 作 成 し 被 害 の 受 けやすさを 地 域 別 に 表 しま した しかし この 研 究 は 始 まったばかりで 人 工 林 からの 距 離 以 外 にも 果 樹 園 における 殺 虫 剤 散 布 の 影 響 が 大 きく カメムシによる 被 害 を 受 けやすい 地 域 を 特 定 するなお 研 究 を 要 します 今 後 は 地 形 や 風 向 きなどの 条 件 を 加 えて 被 害 危 険 度 マップの 精 度 を 上 げ カメムシが 増 殖 源 のスギやヒノキ 林 からどのように 果 樹 園 へと 移 動 していくのかを 解 明 していきたいと 考 えてい ます 図 8 紀 北 地 域 における 土 地 被 覆 分 類 図

25 海 色 画 像 などを 使 った 漁 場 探 索 の 高 度 化 技 術 開 発 と 運 用 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 農 林 産 総 合 技 術 センター 産 試 験 場 氏 名 小 久 保 友 義 共 同 研 究 機 関 : 日 本 舶 用 エレクトロニクス 株 式 会 社 研 究 費 :1500 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 キ ー ワ ー ド: 人 工 衛 星 温 画 像 海 色 画 像 カツオ 漁 場 探 索 研 究 の 背 景 平 成 9 年 4 月 以 来 産 試 験 場 では 人 工 衛 星 (ノア:アメリカの 衛 星 ) 画 像 受 信 解 析 システ ムを 運 用 し 解 析 した 海 表 面 温 画 像 による 漁 場 探 索 情 報 として 人 工 衛 星 画 像 海 況 速 報 ( 年 間 170 号 前 後 発 行 )を 提 供 してきました( 下 図 ) この 情 報 は 和 歌 山 県 のホームページや 携 帯 電 話 の i モードに 掲 載 しており 特 にひき 縄 漁 にとっては 漁 場 探 索 の 重 要 な 情 報 源 となっており カツオ 漁 場 の 探 索 に 利 用 され 成 果 を 上 げています しかしながら 漁 船 燃 油 の 高 騰 などにより より 精 度 の 高 い 漁 場 探 索 が 求 められています その 中 近 年 は 海 表 面 温 画 像 に 加 え 人 工 衛 星 による 植 物 プランクトン 量 の 分 布 指 標 となる 海 表 面 海 色 画 像 の 利 用 が 現 実 的 となってきまし た この 海 表 面 海 色 画 像 は 漁 場 の 餌 条 件 を 把 握 することができます より 精 度 の 高 い カツオ 漁 場 探 索 情 報 の 要 望 研 究 の 概 要 とその 成 果 ( 下 図 ) 人 工 衛 星 (ノアとアクア:アメリカの 衛 星 )から 得 られる 温 画 像 と 海 色 画 像 を 組 み 合 わせ 最 適 な 漁 場 を 探 索 するシステムを 開 発 しました これは 漁 業 者 からカツオがよく 漁 獲 された 位 置 を 聞 き 取 り その 漁 場 と 同 じ 条 件 ( 温 値 と 海 色 値 )をもつ 好 漁 場 として 可 能 性 の 高 い 海 域 を 瞬 時 に 特 定 するシステムです そして このシステムから 得 られた カツオ 漁 場 探 索 マップ や 温 情 報 等 をホ-ムペ-ジ 上 に 掲 載 し インタ-ネットで 情 報 発 信 します 漁 業 者 が 出 漁 前 に カツオ 漁 場 探 索 マップ 等 から 情 報 を 得 ることにより 効 率 よく 漁 場 へ 到 達 することが 可 能 となり 漁 船 燃 油 の 節 減 や 労 働 時 間 の 短 縮 等 が 期 待 できます また 効 率 的 な 操 業 や 移 動 時 間 の 短 縮 により 日 帰 りの 新 鮮 なカツオを 消 費 者 の 皆 様 にお 届 けすることが できます なお このシステムについては 平 成 18 年 3 月 23 日 に 漁 場 予 測 システム として 特 許 出 願 しました

26 カツオ 漁 場 探 索 マップ 作 成 フロ- 図

27 イメ-ジ 画 像 近 場 の 漁 場 を 選 択 燃 油 の 節 減 労 働 時 間 の 短 縮 鮮 度 向 上 に 伴 う 市 場 価 格 の 向 上 操 業 の 安 全 確 保 新 鮮 なカツオ カツオの 提 供 等 の 効 果 が 期 待 できます

28 実 用 化 ( 普 及 )の 状 況 カツオ 漁 場 探 索 マップ 等 については 平 成 18 年 9 月 11 日 よりホ-ムペ-ジ 上 で 公 開 し ています 公 開 以 来 人 工 衛 星 画 像 海 況 速 報 は 180 号 以 上 発 行 し ホ-ムペ-ジへのアクセス 件 数 は 4 千 件 以 上 あり 好 評 を 頂 いております ホ-ムペ-ジのアドレスは http //www18.ocn.ne.jp/~wasuishi/ 和 歌 山 県 の ホ-ムペ-ジ( 産 試 験 場 のホ-ムペ-ジからもアク セスできます また カツオ 漁 場 探 索 マップ を 漁 業 者 に 広 く 利 用 して 頂 くため 産 試 験 場 では マッブ の 原 理 や 使 用 方 法 等 の 説 明 会 を 平 成 18 年 10 月 に 開 催 しました 今 後 も 色 々な 機 会 を 設 けて 説 明 して 普 及 していく 予 定 です 今 後 の 課 題 取 り 組 み この 事 業 は 3 ケ 年 で 終 了 しましたが 漁 業 者 等 の 期 待 に 応 えるには 長 期 にわたって 運 用 シス テムを 維 持 管 理 する 必 要 があります また この 事 業 の 応 用 版 として 人 工 衛 星 画 像 等 を 用 いてシラスの 漁 場 形 成 メカニズを 解 明 し 最 適 な 漁 場 を 予 測 するためのソフト 開 発 に 取 り 組 みます ( 平 成 19 年 度 戦 略 的 研 究 開 発 プラン 事 業 採 択 ) その 他 人 工 衛 星 の 海 表 面 温 画 像 を 利 用 して 作 成 している 海 況 速 報 は 雲 の 影 響 を 受 けて 不 定 期 発 行 となっていますが 新 たな 人 工 衛 星 画 像 等 を 用 いて 高 精 度 の 海 況 速 報 を 毎 日 作 成 できるシステムを 共 同 研 究 しています ( 平 成 17 年 度 先 端 技 術 を 活 用 した 農 林 産 研 究 高 度 化 事 業 採 択 )

29 河 の 底 生 動 物 からみる 河 環 境 と 環 境 学 習 への 利 用 研 究 代 表 者 : 所 属 和 歌 山 県 環 境 衛 生 研 究 センター 氏 名 中 山 真 理 研 究 費 :500 万 円 研 究 期 間 : 平 成 15 年 度 ~ 平 成 17 年 度 キ ー ワ ー ド: 河 底 生 動 物 指 標 生 物 カゲロウ 研 究 の 背 景 トビケラやカワゲラなどの 底 に 棲 む 生 き 物 ( 底 生 動 物 )は の 汚 れ( BOD( 生 物 化 学 的 酸 素 要 求 量 )や 全 窒 素 SS( 浮 遊 物 質 量 )など 様 々な 要 素 )や 温 溶 存 酸 素 などによって 生 息 する 生 き 物 の 種 類 が 変 わってきます どんな 生 物 が 棲 んでいるかを 調 べることで どんな 質 であるのかわかるのですが このような 調 査 に 用 いられる 生 物 を 指 標 生 物 と 呼 んでいます 近 年 河 の 質 汚 濁 源 や 汚 濁 物 質 の 多 様 化 に 伴 い その 総 合 的 な 影 響 評 価 として 生 物 学 的 評 価 の 持 つ 総 合 性 経 時 性 の 重 要 性 が 改 めて 認 識 されるようになり 環 境 省 の 提 唱 のもと 底 生 動 物 による 質 評 価 法 が 域 環 境 の 生 物 学 的 評 価 法 として 活 用 されるようになっています また BOD や COD( 化 学 的 酸 素 要 求 量 )などの 化 学 的 指 標 は 一 般 県 民 の 方 々 とりわけ 子 供 達 にとって 理 解 しやすい 指 標 でないのに 対 して 生 物 学 的 評 価 は 誰 にでも 親 しみやすい 評 価 法 といえます 平 成 15 年 度 には 環 境 省 により 生 生 物 の 保 全 を 目 的 とする 環 境 基 準 ( 亜 鉛 )が 設 定 され 人 だけでなく 生 態 の 保 全 が 重 要 視 されていく 中 で 生 物 の 出 現 種 を 把 握 しておくこ とやそれを 将 来 に 伝 えていくことは 重 要 なことです 当 センターでは 平 成 6 年 度 より 河 の 保 全 創 造 に 関 する 検 討 を 行 う 上 で 基 礎 となる 底 生 動 物 の 生 態 に 関 するデータの 取 得 と 底 生 動 物 による 質 評 価 を 目 的 とした 調 査 研 究 底 生 動 物 相 を 用 いた 河 の 質 評 価 を 全 県 的 に 実 施 してきました 調 査 は 毎 年 県 内 の 主 要 河 を 対 象 に1 河 をピックアップして 行 い 戦 略 的 研 究 開 発 プラン となった 平 成 15 年 度 には 日 置 平 成 16 年 度 には 新 宮 の 調 査 を 実 施 し 県 内 主 要 11 河 の 調 査 を 終 えまし た 平 成 17 年 度 には 県 内 主 要 11 河 の 調 査 データをまとめ データの 解 析 底 生 動 物 の 撮 影 底 生 動 物 分 布 や 質 評 価 結 果 の マップづくりなど 資 料 公 表 に 向 け た 取 り 組 みを 実 施 しました 紀 の 図 1. 各 河 の 調 査 地 点 研 究 の 概 要 とその 成 果 調 査 は 年 2 回 ( 夏 期 と 冬 期 ) 実 施 し 調 査 地 点 は 周 辺 地 域 の 状 況 を 考 慮 して 上 流 から 下 流 まで3~6 地 点 を 選 定 しました 調 査 を 実 施 す るのに 適 した 深 がひざ 程 度 まで の 早 瀬 または 平 瀬 を 探 し 支 流 や 大 きい 集 落 がある 場 合 はそれらの 影 響 も 考 慮 して 調 査 に 適 した 場 所 を 調 査 地 点 に 決 定 しました 気 温 温 流 幅 深 流 速 電 気 伝 導 率 濁 りなどの 現 地 調 査 を 行 い 底 生 生 物 はキックスイープ 法 という 方 法 で 採 集 します これは D フレー ムネットという D 状 の 形 をしたアミ ( 底 部 30cm 高 さ 25cm 網 目 約 1mm)

30 を 底 につけ 上 流 の 石 を 蹴 って 石 の 表 面 や 底 にいて 流 れてくる 生 物 を 捕 まえる 方 法 です 場 所 にもよりますが この 方 法 で 1 地 点 あたり 500 個 体 程 度 の 生 物 を 採 集 できました 採 集 し た 生 物 は 実 体 顕 微 鏡 を 用 いて 分 類 同 定 を 行 います どの 地 点 にどんな 生 物 が 何 匹 いたかを 記 録 し 得 られた 結 果 をもとに 出 現 種 リストを 作 成 し 平 均 スコア 値 多 様 性 指 数 汚 濁 指 数 と いう 3 種 類 の 指 数 を 用 いて 河 の 質 を 評 価 しました また 現 地 では 生 物 の 採 集 と 同 時 に 河 を 採 し 法 律 に 基 づいた 正 確 な 理 化 学 分 析 (ph( 素 イオン 濃 度 ) SS BOD COD 全 窒 素 全 リン 微 量 元 素 分 析 など)を 実 施 しました 平 均 スコア 値 (ASPT 値 )について 河 の 質 状 況 に 加 え, 周 辺 地 域 もあわせた 総 合 的 な 河 環 境 の 良 好 性 を 相 対 的 に 示 す 指 標 で 10 に 近 いほど 清 らかな で 1 に 近 いほど 汚 れている であるといえます 自 然 状 態 で 本 来 あるべ き 生 物 の 分 布 状 況 を 基 に 各 科 にスコアを 設 定 し, 出 現 した 生 物 の 科 から 総 スコア 値 を 求 め, 出 現 した 総 科 数 で 割 って 計 算 します 平 均 スコア 値 = 総 スコア 値 出 現 した 総 科 数 多 様 性 指 数 について 清 冽 な 域 では 多 種 多 様 な 生 物 が 生 活 しており 特 定 の 主 のみが 異 常 に 多 くなることはなく 多 様 性 は 高 くなります 多 様 性 指 数 (DI)が 高 いほど 清 冽 な 域 であるということになります これを 下 の shannon 式 を 用 いて 指 数 化 します 多 様 性 指 数 =ーΣ((ni/N)log(ni/N)) ( 当 センターでは 底 を 2 で 計 算 しています) 汚 濁 指 数 について 汚 濁 指 数 については 清 冽 な 河 では 小 さな 値 となり 汚 濁 の 進 行 に 伴 い 大 きな 値 となります 下 式 で 得 られた 数 値 から 貧 腐 性 域 (きれいな 汚 濁 指 数 1.0~1.5) β- 中 腐 性 域 ( 少 しきたない 汚 濁 指 数 1.5~2.5) α- 中 腐 性 域 (きたない 汚 濁 指 数 2.5~3.5) 強 腐 性 域 ( 大 変 きたない 汚 濁 指 数 3.5~4.0)の 4 階 級 に 分 類 されます 計 算 では 生 物 の 種 類 ご とに 決 められた 汚 濁 階 級 指 数 と 出 現 頻 度 ファクターにより 計 算 されます 汚 濁 指 数 =Σ(sh)/Σh s: 生 物 種 毎 の 汚 濁 階 級 指 数 h: 出 現 頻 度 1~3 匹 h=1 4~15 匹 h=2 16 匹 以 上 h=3 として 計 算 河 毎 の 全 地 点 平 均 値 ( 平 均 スコア 値 多 様 性 指 数 汚 濁 指 数 )を 示 した 図 2,3,4 より ほとんどの 河 で 平 均 スコア 値 が 7.5 から 8.0 と 高 い 値 を 示 していることから 概 ね 県 内 の 主 要 河 は 良 好 な 河 環 境 が 保 たれている ことがわかりました 紀 の は 和 歌 山 県 で 最 大 の 流 域 人 口 を 抱 えていることから やや 低 い 評 価 となっていると 考 えられます 多 様 性 指 数 については 有 田 で 最 も 高 く 規 模 の 小 さい 河 である 南 部 や 左 会 津 太 田 那 智 な どで 低 い 値 となりました また 汚 濁 指 数 については 紀 の を 除 いて 貧 腐 性 域 (きれいな )とい う 判 定 でした 平 均 スコア 値 1 (きたない きたない)~1 0 (きれい きれい) 紀 の 有 田 日 高 南 部 左 会 津 富 田 日 置 古 座 太 田 那 智 新 宮 図 2. 平 均 スコア 値 の 比 較 図 2. 平 均 スコア 値 の 比 較

31 特 に 日 高 富 田 有 田 などで 非 常 に 低 い 値 を 示 し 紀 の についても 貧 腐 性 域 (1~1.5)とβ 中 腐 性 域 (1.5~2.5)の 境 界 線 付 近 に 位 置 し ていることから 今 後 の 自 然 再 生 に 注 目 していきたいところです また 本 調 査 で 合 計 約 200 種 類 の 底 生 動 物 を 採 集 することができまし た 表 1 に 全 56 調 査 地 点 で 生 息 確 率 が 高 かった 科 レベルでの 生 物 ラン キングを 示 します コカゲロウ 科 シマトビケラ 科 ヒラタカゲロウ 科 などは 本 調 査 対 象 となったほとん どの 地 点 で 生 息 していることが 分 か りました 情 報 発 信 の 状 況 調 査 で 得 られた 結 果 を 基 に 環 境 学 習 への 利 用 を 目 的 として 県 内 主 要 11 河 のデータや 写 真 をもとにホー ムページを 開 設 公 開 し 併 せてパ ンフレット 及 び CD-ROM を 作 成 しま した ホームページ パンフレット 及 び CD-ROM は 底 生 動 物 の 分 布 や 質 評 価 結 果 マップ 理 化 学 試 験 デー タマップ 等 で 表 し 主 に 対 象 とする 小 学 生 にも 分 かり 易 く 楽 しみなが ら 学 べるよう 工 夫 しています また 和 歌 山 県 の 環 境 資 源 を 環 境 学 習 の 材 料 として 活 用 していく 為 に 各 市 町 村 の 教 育 委 員 会 を 通 じて 県 内 の 小 学 校 に 配 布 しています さ らに 小 学 校 の 児 童 や 保 護 者 に 対 し て 辺 教 室 を 実 施 し 底 生 動 物 を 通 して 河 の 環 境 保 護 に 対 する 啓 発 活 動 を 行 っています 今 後 の 課 題 取 り 組 み 現 在 公 開 していますホームページ を 随 時 更 新 し 環 境 学 習 への 利 用 につ なげていきたいと 考 えています 現 在 の 底 生 動 物 の 出 現 分 布 状 況 を 把 握 し それらをデータに 保 存 するこ とは 長 期 的 な 環 境 の 変 化 や 短 期 的 な 人 為 的 環 境 破 壊 などを 評 価 する 資 料 として 価 値 のあるものです これらの データを 和 歌 山 県 の 環 境 保 全 に 活 用 していきたいと 考 えています 多 様 性 指 数 きたない~きれい きれい 汚 濁 指 数 1 ~ 1.5 き れ い ( 貧 腐 性 域 ) 1.5 ~ 2.5 少 しき たない ( β 中 腐 性 域 ) 紀 の 有 田 日 高 南 部 左 会 津 富 田 日 置 図 3. 多 様 性 指 数 の 比 較 紀 の 有 田 日 高 南 部 左 会 津 富 田 日 置 図 4. 汚 濁 指 数 の 比 較 古 座 古 座 太 田 太 田 那 智 那 智 新 宮 新 宮 図 5. ホームページ わくわく! 辺 の 楽 習 教 室 (

32 表 1. 科 別 出 現 率 ランキング 順 位 科 名 地 点 数 ( 全 56) 生 息 確 率 (%) 1 コカゲロウ 科 シマトビケラ 科 ヒラタカゲロウ 科 ユスリカ 科 ( 腹 鰓 なし) ガガンボ 科 マダラカゲロウ 科 ナガレトビケラ 科 カワゲラ 科 ヒゲナガカワトビケラ 科 ヒラタドロムシ 科 サナエトンボ 科 アミメカワゲラ 科 チラカゲロウ 科 ヘビトンボ 科 ヒメドロムシ 科 表 3. 多 様 性 指 数 からみた 地 点 別 の きれいな ランキング 順 位 地 点 No. 河 名 地 点 名 季 節 多 様 性 指 数 1 St.2 日 置 中 の 瀬 橋 冬 St.1 古 座 下 露 冬 St.3 有 田 消 防 署 前 冬 St.1 日 置 近 露 冬 St.3-2 日 置 支 流 春 日 橋 夏 St.2 小 又 五 味 垣 内 橋 冬 St.1 有 田 八 幡 橋 冬 St.1 左 会 津 松 崎 橋 冬 St.3 小 匠 小 匠 冬 St.4 有 田 榎 瀬 橋 冬 3.90 表 2. 平 均 スコア 値 からみた 地 点 別 の きれいな ランキング 順 位 地 点 No. 河 名 地 点 名 季 節 平 均 スコア 値 1 St.2 富 田 栗 栖 冬 St.3 富 田 鮎 新 橋 冬 St.2 日 置 中 の 瀬 橋 夏 St.2 古 座 三 尾 橋 夏 St.4 有 田 榎 瀬 橋 夏 St.1 那 智 二 の 瀬 橋 夏 St.1 南 部 清 大 橋 冬 St.4 富 田 郵 便 橋 冬 St.5 日 置 向 平 橋 夏 St.1 日 置 近 露 冬 8.19 表 4. 汚 濁 指 数 からみた 地 点 別 の きれいな ランキング 順 位 地 点 No. 河 名 地 点 名 季 節 汚 濁 指 数 1 St.1 太 田 平 瀬 夏 St.1 熊 野 土 河 屋 冬 St.2 富 田 栗 栖 冬 St.1 日 置 近 露 夏 St.1 富 田 上 福 定 橋 冬 St.1 富 田 上 福 定 橋 夏 St.6 熊 野 南 檜 杖 冬 St.1 日 高 京 の 又 冬 St.1 日 置 近 露 冬 St.2 小 又 五 味 垣 内 橋 冬 1.01 ( 注 ) 一 地 点 につき 夏 冬 一 回 の 調 査 でのみ 評 価 した 結 果 であり 各 河 の 調 査 年 度 が 違 いますの で 実 際 の 質 環 境 とは 異 なる 場 合 があります 用 語 解 説 COD COD は 化 学 的 酸 素 要 求 量 (Chemical Oxgyen Demand)のことで 中 の 有 機 物 などを 化 学 的 に 酸 化 させたときに 必 要 な 酸 素 の 量 のことです 酸 化 剤 として 過 マンガン 酸 カリウ ムを 用 いる 方 法 や 二 クロム 酸 カリウムを 用 いる 方 法 などがあります BOD BOD は 生 物 化 学 的 酸 素 要 求 量 (Biochemical oxgyen Demand)のことで 中 の 有 機 物 など を 微 生 物 が 分 解 するときに 必 要 とする 酸 素 の 量 のことです 中 に 微 生 物 が 分 解 するこ とのできる 有 機 物 (よごれ)が 増 加 すれば BOD も 増 加 することになります BOD の 求 め 方 は フラン 瓶 と 呼 ばれる 溶 存 酸 素 測 定 用 の 一 定 容 積 の 密 閉 瓶 を 二 本 用 意 し 片 方 の 瓶 か らもともとあった 溶 存 酸 素 の 量 を 求 め もう 片 方 から20 で5 日 間 放 置 して 微 生 物 に 有 機 物 を 分 解 させ それぞれの 容 存 酸 素 量 の 差 から 微 生 物 が 分 解 するときに 必 要 とした 酸 素 の 量 を 求 めます

33 この 冊 子 に 関 するお 問 い 合 わせは 和 歌 山 県 企 画 部 企 画 総 務 課 科 学 技 術 振 興 室 まで TEL 073(441)2373 FAX 073(422)1812 県 立 試 験 研 究 機 関 連 絡 先 一 覧 研 究 所 名 住 所 電 話 /FAX 環 境 衛 生 研 究 センター 工 業 技 術 センター 農 林 産 総 合 技 術 センター 農 業 試 験 場 果 樹 試 験 場 果 樹 試 験 場 かき もも 研 究 所 果 樹 試 験 場 うめ 研 究 所 暖 地 園 芸 センター 畜 産 試 験 場 畜 産 試 験 場 養 鶏 研 究 所 林 業 試 験 場 産 試 験 場 産 試 験 場 内 面 試 験 地 TEL 073(423)9570 和 歌 山 市 砂 山 南 3 丁 目 3-45 FAX 073(423) TEL 073(477)1271 和 歌 山 市 小 倉 60 番 地 FAX 073(477) TEL 0737(52)8712 有 田 郡 有 田 町 奥 FAX 0737(52) TEL 0736(64)2300 紀 の 市 貴 志 町 高 尾 160 FAX 0736(65) TEL 0737(52)4320 有 田 郡 有 田 町 奥 FAX 0737(53) TEL 0736(73)2274 紀 の 市 粉 河 3336 FAX 0736(73) TEL 0739(74)3780 日 高 町 みなべ 町 東 本 庄 FAX 0739(74) TEL 0738(23)4005 御 坊 市 塩 屋 町 南 塩 屋 724 FAX 0738(22) TEL 0739(55)2430 西 牟 婁 郡 すさみ 町 見 老 津 1 FAX 0739(55) TEL 0738(54)0144 日 高 郡 日 高 町 船 津 FAX 0738(54) TEL 0739(47)2468 西 牟 婁 郡 上 富 田 町 生 馬 FAX 0739(47) TEL 0735(62)0940 東 牟 婁 郡 串 本 町 串 本 FAX 0735(62) TEL 0736(66)0171 紀 ノ 市 桃 山 町 調 月 32-3 FAX 0736(66)