建 築 構 造 基 準 委 員 会 委 員 名 簿 委 員 長 委 員 長 代 理 委 員 久 保 哲 夫 東 京 大 学 名 誉 教 授 平 石 久 廣 明 治 大 学 理 工 学 部 建 築 学 科 教 授 丑 場 英 温 ( 一 社 ) 日 本 建 設 業 連 合 会 設 計 委 員 会 構

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1 熊 本 地 震 における 建 築 物 被 害 の 原 因 分 析 を 行 う 委 員 会 ( 第 2 回 ) 第 12 回 建 築 構 造 基 準 委 員 会 第 2 回 建 築 研 究 所 熊 本 地 震 建 築 物 被 害 調 査 検 討 委 員 会 国 土 交 通 省 合 同 庁 舎 3 号 館 10 階 共 用 会 議 室 A 平 成 28 年 6 月 30 日 ( 木 ) 17:00~19:00 議 事 次 第 1 開 会 2 議 事 熊 本 地 震 の 被 害 の 状 況 について (1) 現 時 点 における 現 地 調 査 等 に 基 づく 被 害 状 況 報 告 等 1 建 研 国 総 研 による 調 査 概 要 2 日 本 建 築 学 会 等 における 主 な 調 査 一 覧 3 地 震 動 の 概 要 4 益 城 町 の 悉 皆 調 査 に 基 づく 構 造 別 建 築 時 期 別 の 建 築 物 被 害 状 況 5 木 造 の 被 害 状 況 報 告 6 鉄 骨 造 の 被 害 状 況 報 告 7 鉄 筋 コンクリート 造 の 被 害 状 況 報 告 8 基 礎 地 盤 の 被 害 状 況 報 告 9 その 他 の 被 害 状 況 報 告 (2) 質 疑 応 答 (3) 今 後 の 方 針 等 3 閉 会

2 建 築 構 造 基 準 委 員 会 委 員 名 簿 委 員 長 委 員 長 代 理 委 員 久 保 哲 夫 東 京 大 学 名 誉 教 授 平 石 久 廣 明 治 大 学 理 工 学 部 建 築 学 科 教 授 丑 場 英 温 ( 一 社 ) 日 本 建 設 業 連 合 会 設 計 委 員 会 構 造 設 計 部 会 長 遠 藤 正 幸 ( 一 社 ) 日 本 建 築 士 事 務 所 協 会 連 合 会 副 会 長 大 熊 久 理 子 日 本 建 築 行 政 会 議 構 造 部 会 長 奥 田 泰 雄 国 立 研 究 開 発 法 人 建 築 研 究 所 構 造 研 究 グループ 長 金 岡 宏 幸 日 本 建 築 行 政 会 議 適 判 部 会 長 河 合 直 人 工 学 院 大 学 建 築 学 部 建 築 学 科 教 授 北 村 春 幸 東 京 理 科 大 学 理 工 学 部 建 築 学 科 教 授 田 中 仁 史 京 都 大 学 名 誉 教 授 棚 野 博 之 国 立 研 究 開 発 法 人 建 築 研 究 所 材 料 研 究 グループ 長 中 井 正 一 千 葉 大 学 名 誉 教 授 中 島 正 愛 京 都 大 学 防 災 研 究 所 教 授 中 埜 良 昭 東 京 大 学 生 産 技 術 研 究 所 教 授 桝 田 佳 寛 宇 都 宮 大 学 名 誉 教 授 緑 川 光 正 北 海 道 大 学 名 誉 教 授 森 高 英 夫 ( 一 社 ) 日 本 建 築 構 造 技 術 者 協 会 会 長 安 村 基 静 岡 大 学 学 術 院 農 学 領 域 教 授 事 務 局 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 建 築 研 究 部 ( 平 成 28 年 6 月 30 日 現 在 )

3 建 築 研 究 所 熊 本 地 震 建 築 物 被 害 調 査 検 討 委 員 会 委 員 名 簿 委 員 長 委 員 長 代 理 委 員 塩 原 等 東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 建 築 学 専 攻 教 授 飯 場 正 紀 北 海 道 大 学 大 学 院 工 学 研 究 院 教 授 五 十 田 博 京 都 大 学 生 存 圏 研 究 所 教 授 楠 浩 一 東 京 大 学 地 震 研 究 所 災 害 科 学 系 研 究 部 門 准 教 授 清 家 剛 東 京 大 学 大 学 院 新 領 域 創 成 科 学 研 究 科 准 教 授 福 山 洋 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 住 宅 研 究 部 長 山 田 哲 東 京 工 業 大 学 科 学 技 術 創 生 研 究 院 未 来 産 業 技 術 研 究 所 教 授 事 務 局 国 立 研 究 開 発 法 人 建 築 研 究 所 構 造 研 究 グループ ( 平 成 28 年 6 月 30 日 現 在 )

4 資 料 1 現 時 点 における 現 地 調 査 に 基 づく 被 害 状 況 報 告 等 建 研 国 総 研 による 調 査 概 要 これまでに 国 土 交 通 省 住 宅 局 の 要 請 を 踏 まえて 実 施 した 国 総 研 建 研 の 合 同 調 査 一 覧 項 目 派 遣 期 間 調 査 地 域 目 的 備 考 第 一 次 調 査 (2 名 ) 4/15-4/17 熊 本 市 益 城 町 南 阿 蘇 村 西 原 村 山 都 町 基 本 的 情 報 収 集 追 加 的 調 査 の 必 要 性 検 討 などのための 初 動 調 査 速 報 公 開 済 第 二 次 調 査 (4 名 ) 4/16-4/19 木 造 熊 本 市 益 城 町 南 阿 蘇 村 RC 造 等 熊 本 市 益 城 町 宇 土 市 宇 城 市 木 造 住 宅 の 倒 壊 等 の 被 害 が 多 いとの 情 報 があった 地 域 の 被 害 状 況 を 調 査 RC 造 SRC 造 建 築 物 の 被 害 情 報 があっ た 地 域 の 被 害 状 況 を 調 査 速 報 公 開 済 第 三 次 調 査 (3 名 ) 4/19-4/21 熊 本 市 益 城 町 西 原 村 多 数 の 建 築 物 被 害 が 発 生 している 地 域 の S 造 建 築 物 非 構 造 部 材 及 び 設 備 の 被 害 状 況 調 査 速 報 公 開 済 第 四 次 調 査 (2 名 ) 4/22-4/24 熊 本 市 益 城 町 益 城 町 における 地 盤 基 礎 に 着 目 した 建 築 物 の 被 害 状 況 調 査 熊 本 市 南 区 に おける 液 状 化 の 状 況 調 査 速 報 公 開 済 第 五 次 調 査 (3 名 ) 4/26-4/28 熊 本 市 益 城 町 大 津 町 御 船 町 建 築 物 の 火 災 被 害 ( 設 備 を 含 む)につ いて 消 防 当 局 火 災 現 場 周 辺 住 民 か らのヒアリング 及 び 現 地 調 査 速 報 公 開 済 第 六 次 調 査 (4 名 ) 4/26-4/28 益 城 町 南 阿 蘇 村 一 部 地 域 において 比 較 的 築 年 数 の 浅 い 木 造 住 宅 の 被 害 状 況 を 悉 皆 的 に 調 査 第 七 次 調 査 (2 名 ) 4/28-4/29 熊 本 市 益 城 町 宇 土 市 新 耐 震 基 準 による RC 建 築 物 の 被 害 状 況 調 査 第 八 次 調 査 (3 名 ) 4/28-4/29 益 城 町 益 城 町 の 一 部 地 域 における S 造 建 築 物 の 被 害 状 況 と そのうち 倒 壊 大 破 し ている 建 築 物 の 被 害 状 況 詳 細 調 査 速 報 公 開 済 第 九 次 調 査 (3 名 ) 4/29-4/30 熊 本 市 阿 蘇 市 山 鹿 市 菊 池 郡 免 震 建 築 物 の 被 害 状 況 調 査 速 報 公 開 済 第 十 次 調 査 (4 名 ) 5/19-5/20 益 城 町 益 城 町 の 一 部 地 域 における 木 造 建 築 物 及 び 基 礎 地 盤 を 中 心 とした 調 査 第 十 一 次 調 査 (2 名 ) 5/23-5/25 熊 本 市 益 城 町 ホール 等 の 特 定 天 井 を 中 心 とした 非 構 造 部 材 の 被 害 状 況 調 査 速 報 公 開 済 第 十 二 次 調 査 (4 名 ) 6/6-6/8 熊 本 市 新 耐 震 基 準 適 用 の RC 造 建 築 物 の 被 害 状 況 調 査 第 十 三 次 調 査 (6 名 ) 6/8-6/10 熊 本 市 宇 城 市 山 都 町 体 育 館 の 被 害 状 況 調 査

5 資 料 2 現 時 点 における 現 地 調 査 に 基 づく 被 害 状 況 報 告 等 建 築 学 会 等 による 調 査 概 要 ( 平 成 28 年 6 月 29 日 現 在 ) No 1 調 査 実 施 者 ( 敬 称 略 ) 大 阪 大 学 多 田 元 英 教 授 桑 原 進 准 教 授 ら 区 分 ( 主 対 象 ) S 造 調 査 等 の 内 容 S 造 建 物 を 中 心 とした 調 査 ( 速 報 写 真 とコメント) 調 査 対 象 地 域 熊 本 市, 益 城 町, 宇 土 市, 宇 城 市, 西 原 村, 嘉 島 町, 城 南 町 調 査 日 ( 公 開 日 ) 情 報 源 (URL) 5/21-22 AIJ1 2 東 京 理 科 大 学 永 野 正 行 教 授 東 京 大 学 肥 田 剛 典 助 教 ら 木 造 南 阿 蘇 村 の 被 害 状 況 報 告 ( 写 真 のみ) 南 阿 蘇 村 5/2 AIJ1 3 京 都 大 学 西 山 峰 広 教 授 谷 昌 典 PC 造 建 築 物, 耐 震 補 強 済 RC 造 建 築 物,RC 造 雑 壁 に 被 害 熊 本 市, 菊 陽 町, 嘉 島 町, RC 造 准 教 授 ら を 受 けた 集 合 住 宅 等 調 査 ( 写 真 とコメント) 宇 土 市, 宇 城 市 5/14-15 AIJ1 4 京 都 大 学 川 瀬 博 教 授 ら 地 震 動 スペクトル 分 離 で 求 めた 震 源 特 性 とサイト 特 性 の 分 析 結 果 と 考 察 (5/14) AIJ1 5 九 州 大 学 神 野 達 夫 教 授 ら 建 物 全 般 本 震 前 後 の 被 害 状 況 の 比 較 ( 写 真 のみ) 益 城 町 4/15,23-25 AIJ1 6 早 稲 田 大 学 曽 田 五 月 也 教 授 広 益 城 町, 阿 蘇 市, 南 阿 蘇 村, 建 物 全 般 被 害 状 況 調 査 ( 写 真 とコメント) 島 大 学 宮 津 裕 次 助 教 ら 西 原 村 5/3-5 AIJ1 7 東 京 工 業 大 学 瀬 尾 和 大 名 誉 教 建 物 全 般 印 象 記 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 過 去 の 震 災 との 比 較 阿 蘇 市, 南 阿 蘇 村, 益 城 町, 授 地 震 動 等 地 震 動 分 析 等 熊 本 市 ほか 5/5-6 AIJ1 8 大 津 町, 南 阿 蘇 村, 西 原 村, 豊 橋 技 術 科 学 大 学 斉 藤 大 樹 教 建 物 全 般 被 害 状 況 報 告 避 難 所 の 状 況 報 告 ( 写 真 とコメント) ヒア 益 城 町, 合 志 市, 熊 本 市, 授 ら 避 難 所 リング 記 録 宇 土 市, 御 船 町 5/5-8 AIJ1 9 東 京 工 業 大 学 河 野 進 教 授 ら RC 造 RC 造 建 物 の 被 害 状 況 の 把 握 ( 写 真 とコメント) M 町,K 市,O 町,N 村,U 市 5/1-3 AIJ1 10 京 都 大 学 川 瀬 博 教 授 ら 地 震 動 被 害 状 況 報 告 ( 写 真 とコメント) 微 動 観 測 と 地 震 観 測 デー タの 分 析 とそれに 基 づく 考 察 益 城 町, 西 原 村 4/29-5/1 AIJ1 11 京 都 大 学 建 築 保 全 再 生 学 講 座 地 震 動 建 物 全 般 地 震 記 録 分 析 墓 石 転 倒 状 況 調 査 微 動 計 測 結 果 被 害 状 況 報 告 ( 写 真 とコメント) 阿 蘇 市, 西 原 村, 益 城 町, 熊 本 市 4/29-30 AIJ1 12 三 重 大 学 富 岡 義 人 教 授 田 端 千 夏 子 助 教 川 口 淳 准 教 授 水 木 建 物 全 般 被 害 調 査 ( 写 真 と 被 害 状 況 分 析 ) 熊 本 市 4/24-5/2 AIJ1 千 春 特 任 助 教 13 東 京 大 学 地 震 研 究 所 壁 谷 澤 寿 海 教 授 ら RC 造 耐 震 補 強 建 物 の 被 害 状 況 ( 写 真 と 被 害 状 況 分 析 ) 熊 本 市, 益 城 町, 宇 土 市 4/25 AIJ1 14 三 重 大 学 田 端 千 夏 子 助 教 富 岡 義 人 教 授 木 造 木 造 の 被 害 状 況 調 査 ( 写 真 とコメント) 益 城 町 4/23,25 AIJ1 15 東 京 大 学 地 震 研 究 所 楠 浩 一 准 RC 造 建 物 等 の 被 害 状 況 ( 写 真 被 害 状 況 分 析 簡 易 耐 震 診 RC 造 教 授 ら 断 等 ) 益 城 町, 熊 本 市, 宇 土 市 4/23-24 AIJ1 16 大 阪 大 学 真 田 靖 士 准 教 授 ら RC 造 RC 壁 式 構 造 の 被 害 状 況 ( 写 真 被 害 状 況 分 析 ) 益 城 町, 宇 土 市 4/24 AIJ1 17 筑 波 大 学 境 研 究 室 地 震 動 地 震 動 記 録 とその 特 性 の 分 析 観 測 点 付 近 の 被 害 状 況 等 大 津 町, 西 原 村, 合 志 市, 益 城 町, 熊 本 市, 天 草 市, (4/19) AIJ1

6 宇 土 市, 宇 城 市 18 三 重 大 学 富 岡 義 人 教 授 川 口 淳 准 教 授 ら 建 物 全 般 被 害 状 況 報 告 ( 写 真 とコメント) ヒアリング 記 録 西 原 村 4/26 AIJ1 19 広 島 工 業 大 学 荒 木 秀 夫 研 究 室 RC 造 RC 造 建 物 等 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 熊 本 市, 益 城 町, 八 代 市 4/23-24 AIJ1 20 東 京 大 学 田 尻 清 太 郎 准 教 授 ら RC 造 RC 造 建 物 等 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 熊 本 市, 益 城 町, 八 代 市 4/16-17 AIJ1 21 京 都 大 学 建 築 保 全 再 生 学 講 座 地 震 動 益 城 町, 熊 本 市, 八 代 市, 地 震 記 録 分 析 観 測 点 の 状 況 被 害 状 況 ( 写 真 ) 墓 石 転 倒 宇 土 市, 大 津 町, 菊 池 市, 状 況 調 査 山 鹿 市, 八 女 市 4/16-17 AIJ1 22 九 州 大 学 大 学 院 佐 藤 利 昭 准 教 授 建 物 全 般 本 震 前 の 益 城 町 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 益 城 町 4/15 AIJ1 23 高 山 峯 夫 ( 福 岡 大 学 ) 建 築 学 会 の 取 り 組 み 地 震 記 録 被 害 状 況 今 後 の 課 題 等 (5/14) AIJ2 24 神 野 達 夫 重 藤 迪 子 ( 九 州 大 学 ) 地 震 動 地 震 記 録 とその 分 析 余 震 観 測 等 の 説 明 (5/14) AIJ2 25 菊 池 健 児 ( 大 分 大 学 ) 黒 木 正 幸 ( 崇 城 大 学 ) 建 物 全 般 益 城 町 の 本 震 前 後 の 状 況 益 城 町 の 悉 皆 調 査 の 概 要 大 分 県 内 の 被 害 状 況 益 城 町 ( 悉 皆 調 査 ) 由 布 市, 別 府 市 ( 大 分 県 内 ) 5/3-8( 悉 皆 調 査 ) 4/25-30,5/6 ( 大 分 県 内 ) 26 五 十 田 博 ( 京 都 大 学 ) 木 造 木 質 構 造 災 害 WG による 調 査 概 要 と 被 害 状 況 分 析 AIJ2 27 田 中 圭 ( 大 分 大 学 ) 木 造 木 質 構 造 建 物 文 化 財 等 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 熊 本 市, 阿 蘇 市, 益 城 町, 南 阿 蘇 村 AIJ2 花 井 伸 明 ( 九 州 産 業 大 学 ) 向 熊 本 市, 益 城 町, 大 津 町, 28 井 智 久 ( 建 築 研 究 所 ) 田 尻 清 RC 造 RC 造 建 物 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 宇 土 市, 八 代 市, 人 吉 市, 4/16-5/8 AIJ2 太 郎 ( 東 京 大 学 ) 御 船 町 29 松 尾 真 太 朗 ( 九 州 大 学 ) S 造 S 造 建 物 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコメント) 益 城 町, 熊 本 市 等 5/7 他 AIJ2 30 清 家 剛 ( 東 京 大 学 ) 非 構 造 31 神 戸 大 学 向 井 洋 一 准 教 授 ら( 建 築 学 会 近 畿 支 部 木 造 部 会 ) 32 長 尾 毅 ( 神 戸 大 学 ) 地 震 動 木 造 ガラス その 他 の 非 構 造 部 材 の 被 害 状 況 ( 写 真 とコ メント 分 析 ) 学 校 建 築 の 非 構 造 部 材 の 被 害 状 況 ( 写 真 と コメント 分 析 ) 熊 本 市, 宇 城 市, 宇 土 市, 八 代 市, 由 布 市, 大 分 市, 別 府 市 木 造 木 造 建 築 物 の 被 害 調 査 の 結 果 の 概 要 益 城 町, 西 原 村 ほか 5/21-23 被 害 状 況 ( 写 真 ) 地 震 記 録 分 析 常 時 微 動 測 定 アレイ 観 測 結 果 とそれに 関 する 考 察 主 要 観 測 点 付 近 の 地 震 記 録 分 析 被 害 状 況 ( 写 真 とコメン ト) 益 城 町 等 における 臨 時 地 震 観 測 結 果 益 城 町 御 船 町 阿 蘇 市 4/ 秦 吉 弥 ( 大 阪 大 学 ) 後 藤 浩 之 4/15-16( 臨 地 震 動 益 城 町 ほか ( 京 都 大 学 ) 時 観 測 ) 34 東 京 工 業 大 学 山 中 研 究 室 ほか 地 震 動 余 震 観 測 点 付 近 の 被 害 状 況 余 震 観 測 結 果 益 城 町 ほか 4/16-( 余 震 観 測 ) 35 宇 根 寛 ( 日 本 活 断 層 学 会 ) 活 断 層 についての 考 察 調 査 結 果 等 SCJ 36 東 畑 郁 生 ら( 地 盤 工 学 会 ) 液 状 化 土 砂 災 害 の 被 害 状 況 考 察 等 SCJ 37 熊 木 洋 太 ( 日 本 地 理 学 会 ) 写 真 撮 影 測 量 その 他 各 種 調 査 や 解 析 結 果 等 SCJ 三 谷 泰 浩 ( 地 理 情 報 システム 学 38 参 加 型 情 報 収 集 システム 等 による 災 害 対 応 SCJ 会 ) 39 本 田 利 器 ( 土 木 学 会 ) 土 木 学 会 の 活 動 状 況 インフラの 被 災 状 況 SCJ AIJ2 AIJ2 AIJ 災 害 委 ML 神 戸 大 HP 土 木 学 会 HP 東 工 大 HP

7 40 高 山 峯 夫 ( 福 岡 大 学 ) 建 築 学 会 の 取 り 組 み 今 後 の 対 策 等 SCJ 41 楠 浩 一 ( 地 震 工 学 会 ) 建 築 物 の 被 害 調 査 結 果 SCJ 42 鈴 木 尚 登 ら( 農 業 農 村 工 学 会 ) ため 池 農 地 等 の 被 災 状 況 と 対 策 ; 斜 面 変 動 地 すべり 等 釜 井 俊 孝 ( 応 用 地 質 学 会 ) 福 の 状 況 都 市 域 の 発 展 と 地 盤 災 害 に 関 する 考 察 等 ; 斜 面 災 岡 浩 ら( 地 すべり 学 会 ) 山 下 害 の 状 況 ; 土 砂 災 害 の 状 況 伸 太 郎 ( 砂 防 学 会 ) SCJ 山 本 あい 子 ( 災 害 看 護 学 会 ) 森 野 一 真 ( 集 団 災 害 医 学 会 ) 43 山 本 佳 世 子 ( 計 画 行 政 学 会 ) 中 林 一 樹 ( 災 害 復 興 学 会 ) 吉 各 学 会 の 活 動 状 況 等 SCJ 岡 敏 明 ら( 廃 棄 物 資 源 循 環 学 会 ) AIJ1: 日 本 建 築 学 会 災 害 委 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 サイト AIJ2: 日 本 建 築 学 会 2016 年 熊 本 地 震 地 震 被 害 調 査 速 報 会 SCJ: 日 本 学 術 会 議 防 災 学 術 連 携 体 熊 本 地 震 緊 急 報 告 会 (H28.5.2)

8 1. 地 震 動 の 概 要 資 料 3 1. 地 震 の 概 要 熊 本 県 熊 本 地 方 において 平 成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分 頃 に 最 大 震 度 7 を 観 測 する 地 震 (Mj6.5 以 下 前 震 )が 16 日 1 時 25 分 頃 に 同 じく 最 大 震 度 7 を 観 測 する 地 震 (Mj7.3 以 下 本 震 )が 発 生 した( 図 1) 図 2 左 に 示 すとおり 一 連 の 地 震 は 布 田 川 断 層 帯 日 奈 久 断 層 帯 の 近 傍 で 発 生 しており 最 大 震 度 5 弱 以 上 の 地 震 が 複 数 回 発 生 している 前 震 および 本 震 後 には 活 発 な 地 震 活 動 が 続 いており 図 2 右 に 示 すように Mj3.5 を 超 える 地 震 が 248 回 (5 月 24 日 13 時 30 分 時 点 の 速 報 値 ) 発 生 している 図 1 熊 本 地 震 の 前 震 ( 左 )および 本 震 ( 右 )の 震 度 分 布 図 1) 図 2 地 震 活 動 の 状 況 2) ( 左 )および 地 震 回 数 の 比 較 3) ( 右 ) 1

9 2. 強 震 観 測 記 録 防 災 科 学 技 術 研 究 所 の K-NET 及 び KiK-net で 得 られた 本 震 の 強 震 記 録 気 象 庁 の 震 度 計 で 得 ら れた 本 震 の 強 震 記 録 のうち 地 表 で 震 度 5 強 ( 計 測 震 度 5.0) 以 上 のものを 表 1 に 示 す また 熊 本 県 の 震 度 計 のうち 震 度 7 を 計 測 した 益 城 町 宮 園 及 び 西 原 村 小 森 の 震 度 計 の 記 録 も 加 えている これ らの 観 測 地 点 位 置 を 図 3 に 示 す 図 3 強 震 観 測 地 点 と 本 震 の 最 大 速 度 分 布 (3 成 分 合 成 ) 2

10 表 1 本 震 の 強 震 記 録 一 覧 記 号 観 測 地 点 震 央 距 離 計 測 最 大 加 速 度 (cm/s 2 ) 最 大 速 度 (cm/s) (km) 震 度 NS EW UD NS EW UD KMM006 K-NET 熊 本 益 城 町 宮 園 KMMH16 KiK-net 益 城 熊 本 西 区 春 日 KMMH14 KiK-net 豊 野 宇 城 市 松 橋 町 西 原 村 小 森 KMM005 K-NET 大 津 KMM011 K-NET 砥 用 KMM009 K-NET 矢 部 KMMH03 KiK-net 菊 池 KMM003 K-NET 玉 名 KMM012 K-NET 八 代 KMMH09 KiK-net 泉 南 阿 蘇 村 中 松 八 代 市 平 山 新 町 KMM007 K-NET 高 森 上 天 草 市 大 矢 野 町 KMM004 K-NET 一 の 宮 KMM013 K-NET 田 浦 KMMH02 KiK-net 小 国 KMM001 K-NET 小 国 FKO015 K-NET 柳 川 芦 北 町 芦 北 久 留 米 市 津 福 本 町 OITH11 KiK-net 九 重 OIT009 K-NET 湯 布 院 別 府 市 鶴 見

11 図 4 図 5 に 震 度 7 を 観 測 した 地 点 を 含 めた 代 表 的 な 3 地 点 ( 益 城 町 宮 園 KiK-net 益 城 西 原 村 小 森 )における 前 震 および 本 震 の 観 測 記 録 を 示 す 加 速 度 波 形 を 見 ると 前 震 本 震 ともに 主 要 動 は 数 秒 ~10 秒 程 度 となっており 1995 年 兵 庫 県 南 部 地 震 や 2004 年 中 越 地 震 などの 過 去 の 内 陸 地 殻 内 地 震 と 同 様 に 継 続 時 間 は 比 較 的 短 い 擬 似 速 度 応 答 スペクトル( 減 衰 5%)を 見 ると Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acceleration NS (peak: 631.7cm/s²) EW (peak: cm/s²) UD (peak: cm/s²) Time (s) 2016/04/14 21:26:30 at 93051: 益 城 町 宮 園, Intensity: 6.6 psv (cm/s) Pseudo Velocity Response (h=5%) i) 益 城 町 宮 園 ( 益 城 町 役 場 (93051) 地 震 計 位 置 : 庁 舎 1 階 ) (cm) Period (s) NS EW UD 10(cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acceleration NS-S (peak: cm/s²) EW-S (peak: 925.0cm/s²) UD-S (peak: cm/s²) Time (s) 2016/04/14 21:26:30 at KMMH16: KiK-net station, Intensity: 6.4 psv (cm/s) 1000 ii) KiK-net 益 城 (KMMH16 地 震 計 位 置 : 地 表 ) Pseudo Velocity Response (h=5%) (cm) Period (s) NS-S EW-S UD-S 10(cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acceleration NS (peak: cm/s²) EW (peak: cm/s²) UD (peak: 180.2cm/s²) Time (s) 2016/04/14 21:26:30 at 93048: 西 原 村 小 森, Intensity: 5.7 iii) 西 原 村 小 森 ( 西 原 村 役 場 (93048) 地 震 計 位 置 : 地 表 ) psv (cm/s) Pseudo Velocity Response (h=5%) (cm) 1000 NS EW UD Period (s) (cm/s²) 図 4 熊 本 地 震 の 前 震 (4 月 14 日 )の 観 測 記 録 例 4

12 益 城 町 宮 園 および KiK-net 益 城 では 周 期 1 秒 付 近 で 大 きな 値 となっている また 西 原 村 小 森 の 記 録 は 本 震 時 に 周 期 3 秒 付 近 の 成 分 が 卓 越 していることがわかる 前 震 と 本 震 を 比 べると 周 期 0.5 秒 以 下 ではほぼ 同 等 のレベルとなっている Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acceleration NS (peak: cm/s²) EW (peak: 825.7cm/s²) UD (peak: 668.5cm/s²) Time (s) 2016/04/16 01:25:00 at 93051: 益 城 町 宮 園, Intensity: 6.7 psv (cm/s) Pseudo Velocity Response (h=5%) i) 益 城 町 宮 園 ( 益 城 町 役 場 (93051) 地 震 計 位 置 : 庁 舎 1 階 ) (cm) Period (s) NS EW UD 10(cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acceleration NS-S (peak: cm/s²) EW-S (peak: cm/s²) UD-S (peak: 873.4cm/s²) Time (s) 2016/04/16 01:25:00 at KMMH16: KiK-net station, Intensity: 6.4 psv (cm/s) 1000 ii) KiK-net 益 城 (KMMH16 地 震 計 位 置 : 地 表 ) Pseudo Velocity Response (h=5%) (cm) Period (s) NS-S EW-S UD-S 10(cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acc. (cm/s²) Acceleration NS (peak: cm/s²) EW (peak: 770.5cm/s²) UD (peak: cm/s²) Time (s) 2016/04/16 01:25:00 at 93048: 西 原 村 小 森, Intensity: 6.6 iii) 西 原 村 小 森 ( 西 原 村 役 場 (93048) 地 震 計 位 置 : 地 表 ) psv (cm/s) Pseudo Velocity Response (h=5%) (cm) Period (s) NS EW UD 10(cm/s²) 図 5 熊 本 地 震 の 本 震 (4 月 16 日 )の 観 測 記 録 例 5

13 図 6 に 過 去 地 震 の 記 録 との 擬 似 速 度 応 答 スペクトル( 減 衰 5%)の 比 較 を 示 す 益 城 町 宮 園 ( 益 城 町 役 場 の 1 階 )で 観 測 された 本 震 の 記 録 は 周 期 0.6 秒 ~1.8 秒 において 1995 年 兵 庫 県 南 部 地 震 で 観 測 された JR 鷹 取 波 を 超 えていることがわかる ただし 益 城 町 役 場 の 観 測 記 録 は 庁 舎 1 階 で 得 られたものであるため 地 盤 と 建 物 の 動 的 相 互 作 用 の 影 響 が 含 まれている 可 能 性 がある すなわち 観 測 記 録 には 入 力 損 失 効 果 や 上 部 構 造 の 応 答 の 影 響 も 含 まれていること 等 が 考 えられ 周 辺 の 地 震 動 ( 地 表 )とは 異 なっている 可 能 性 があることに 留 意 されたい psv (cm/s) 益 城 町 宮 園 KiK-net 益 城 西 原 村 小 森 JR 鷹 取 (1995) 川 口 町 川 口 (2004) K-NET 築 館 (2011) psv (cm/s) 益 城 町 宮 園 KiK-net 益 城 西 原 村 小 森 JR 鷹 取 (1995) 川 口 町 川 口 (2004) K-NET 築 館 (2011) Period (s) Period (s) 図 6 擬 似 速 度 応 答 スペクトルの 比 較 ( 左 : 前 震 右 : 本 震 破 線 は NS 方 向 実 線 は EW 方 向 を 表 す) 謝 辞 : 強 震 記 録 は 防 災 科 学 技 術 研 究 所 熊 本 県 新 潟 県 鉄 道 総 合 技 術 研 究 所 よりご 提 供 いただき ました 記 して 謝 意 を 表 します 参 考 文 献 : 1) 気 象 庁 : 震 度 データベース 2) 気 象 庁 : 震 央 分 布 図 及 び 字 空 間 分 布 図 3) 気 象 庁 : 内 陸 及 び 沿 岸 で 発 生 した 主 な 地 震 の 地 震 回 数 比 較 6

14 資 料 4 益 城 町 の 悉 皆 調 査 に 基 づく 構 造 別 建 築 時 期 別 の 建 築 物 被 害 状 況 の 集 計 発 災 直 後 (5 月 3 日 ~8 日 )に 日 本 建 築 学 会 により 実 施 された 益 城 町 の 一 部 地 域 にて 建 築 物 の 被 害 状 況 を 把 握 している 悉 皆 調 査 の 情 報 と 建 築 確 認 台 帳 や 航 空 写 真 等 の 情 報 を 用 い 構 造 別 建 築 時 期 別 の 建 築 物 被 害 状 況 を 整 理 する なお 被 害 状 況 等 の 調 査 結 果 については 日 本 建 築 学 会 において 現 在 精 査 中 であり ここに 示 す 数 値 は 暫 定 的 なものである 1. 集 計 にあたって 集 計 対 象 日 本 建 築 学 会 悉 皆 調 査 では 益 城 町 大 字 安 永 大 字 宮 園 大 字 木 山 大 字 辻 の 城 の 概 ね 全 ての 建 築 物 の 2,652 棟 で 調 査 がされている これらのうち 用 途 が 倉 庫 神 社 等 のものを 除 いた 2,328 棟 について 集 計 建 築 物 の 被 害 レベルの 設 定 方 法 日 本 建 築 学 会 悉 皆 調 査 にて 判 断 されている Damage Grade を 参 考 に 次 のように 設 定 建 築 物 の 被 害 レベル 無 被 害 D0 日 本 建 築 学 会 悉 皆 調 査 での Damage Grade 軽 微 小 破 中 破 大 破 倒 壊 崩 壊 D1/D2/D3 D4 D5/D6 建 築 時 期 の 特 定 方 法 建 築 確 認 台 帳 との 突 き 合 わせ 及 び 過 去 の 航 空 写 真 により 建 築 時 期 を 特 定 [ 特 定 できた 建 築 物 は 1,863 棟 ( 特 定 率 80% )] 上 記 作 業 で 建 築 時 期 が 不 明 の 建 築 物 465 棟 のうち 日 本 建 築 学 会 悉 皆 調 査 にて 目 視 及 び 聞 き 取 り の 結 果 非 常 に 古 い(1981 年 以 前 ) と 分 類 された 179 棟 について ~ の 区 分 に 追 加 学 会 調 査 棟 数 2,652 棟 集 計 対 象 棟 数 ( 倉 庫 神 社 等 を 除 く) 2,328 棟 台 帳 や 航 空 写 真 で 建 築 時 期 を 特 定 1,863 棟 台 帳 等 で 不 明 465 棟 学 会 調 査 にて 非 常 に 古 い 179 棟 上 図 の 色 塗 り 部 分 にて 建 築 時 期 を 特 定 している 1

15 2. 集 計 結 果 集 計 表 2

16 グラフ 3

17 資 料 5 2. 木 造 の 被 害 状 況 報 告 1. 調 査 の 概 要 範 囲 等 これまで 国 総 研 建 研 では 複 数 回 の 現 地 調 査 ( 第 一 次 第 二 次 第 六 次 及 び 第 十 次 )を 実 施 している 調 査 の 中 心 となっているのは 多 数 の 木 造 建 築 物 が 倒 壊 崩 壊 等 の 被 害 を 受 けた 地 域 と して 震 度 7を 観 測 した 益 城 町 西 原 村 及 び 報 道 等 で 大 きな 被 害 の 報 告 された 南 阿 蘇 村 である 日 本 建 築 学 会 等 で 行 われている 調 査 もほぼ 同 様 の 対 象 となっているが 上 記 以 外 の 地 域 での 被 害 の 把 握 状 況 については 次 の 通 りである 1 益 城 町 西 原 村 にて 伝 統 木 造 建 築 物 の 構 造 仕 様 の 調 査 や 悉 皆 調 査 が 行 われている 2 熊 本 市 内 阿 蘇 市 等 での 文 化 財 の 被 害 の 報 告 がある 3 熊 本 市 内 嘉 島 町 周 辺 で 倒 壊 大 破 の 木 造 住 宅 を 数 棟 確 認 したが 国 総 研 建 研 が 調 査 を 行 っ た 地 域 よりは 被 害 が 少 ない 印 象 であり 築 年 数 が 概 ね 40 年 超 と 推 定 される 木 造 住 宅 の 被 害 が 多 かった 2. 調 査 結 果 の 概 要 と 被 害 の 特 徴 2.1 益 城 町 における 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 との 関 係 益 城 町 で 実 施 された 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 区 域 においては 倉 庫 神 社 等 を 除 くと 1940 棟 の 木 造 が 対 象 となっており 国 総 研 建 研 で 詳 細 調 査 を 実 施 した 木 造 の 約 240 棟 中 上 記 の 区 域 に 存 在 す るものは 170 棟 程 度 であった 2.2 今 回 の 地 震 で 見 られた 被 害 の 特 徴 について 木 造 建 築 物 については ( 大 破 以 下 の 被 害 を 含 めると 膨 大 になることから) 主 として 倒 壊 崩 壊 等 したものについての 調 査 分 析 を 行 っている 以 下 調 査 地 域 ごとに 被 害 の 特 徴 のまとめを 示 す (1) 益 城 町 中 心 部 の 被 害 の 概 要 木 造 建 築 物 の 倒 壊 が 集 中 していた 益 城 町 中 心 部 において 被 害 の 全 体 像 を 把 握 するための 概 要 調 査 と 日 本 建 築 学 会 による 悉 皆 調 査 ( 以 下 悉 皆 調 査 )の 結 果 応 急 危 険 度 判 定 の 結 果 建 築 確 認 台 帳 の 建 築 確 認 年 月 の 情 報 等 を 参 考 に 新 耐 震 以 降 の 建 築 確 認 で 倒 壊 した 木 造 住 宅 の 現 地 調 査 や 図 面 等 による 構 造 的 特 徴 の 把 握 被 害 要 因 の 分 析 を 行 った 被 害 要 因 については2. 3に 分 析 結 果 を 報 告 する 1 益 城 町 役 場 周 辺 県 道 28 号 沿 い 県 道 から 南 側 に 木 造 住 宅 の 被 害 が 比 較 的 多 かった 2 前 震 で 被 害 が 軽 微 であった 木 造 住 宅 が 本 震 で 倒 壊 した 例 が 多 数 確 認 された ( 写 真 1) 3 新 耐 震 以 前 の 建 築 確 認 の 木 造 住 宅 店 舗 併 用 の 2 階 建 て 木 造 住 宅 の 倒 壊 が 多 数 確 認 された ( 悉 皆 調 査 エリアでは 新 耐 震 以 前 の 木 造 は 702 棟 あり そのうち 225 棟 ( 32.1%)が 倒 壊 1 ) 4 新 耐 震 以 降 の 建 築 確 認 の 木 造 の 倒 壊 (ここでは 大 破 を 除 く)が 99 棟 1 確 認 された 筋 かい 端 部 が 釘 打 ち 程 度 の 軽 微 な 接 合 方 法 であったものが 多 く 確 認 された( 写 真 2~3) ( 悉 皆 調 査 エリアでは 新 耐 震 以 降 の 木 造 は 1042 棟 あり そのうち 80 棟 ( 32.1%)が 倒 壊 1 ) 年 の 建 築 基 準 法 改 正 以 降 の 建 築 確 認 の 木 造 の 倒 壊 が 7 棟 1 確 認 された ( 写 真 4~7) ( 悉 皆 調 査 エリアでは 2000 年 改 正 以 降 の 木 造 は 242 棟 あり そのうち 7 棟 (2.9%)が 倒 壊 1 ) ( 1) 第 2 回 合 同 委 員 会 (6 月 30 日 ) 時 点 で 把 握 している 情 報 1

18 写 真 1 4/15 時 点 では 壁 が 外 れただけの 家 屋 ( 左 )が 本 震 で 倒 壊 ( 右 )した 例 写 真 2 倒 壊 した 木 造 住 宅 写 真 3 写 真 2 の 住 宅 の 柱 頭 部 写 真 4 倒 壊 した 木 造 住 宅 写 真 5 写 真 4 の 建 物 の 写 真 筋 かい 端 部 柱 脚 接 合 部 写 真 6 倒 壊 した 木 造 住 宅 写 真 7 写 真 6 の 建 物 の 写 真 筋 かい 端 部 柱 脚 接 合 部 2

19 (2) 西 原 村 はた かざあて こ が おぎりはた ふ だ 1 畑 風 当 古 閑 大 切 畑 布 田 地 区 が 木 造 住 宅 の 被 害 が 多 かった 2 築 年 数 が 概 ね 40 年 超 と 推 測 される 木 造 住 宅 の 倒 壊 が 多 く 確 認 された( 写 真 8~9) 3 傾 斜 地 において 敷 地 の 被 害 や 擁 壁 の 崩 壊 が 多 数 確 認 された( 写 真 10~11) 写 真 8 倒 壊 した 木 造 住 宅 写 真 9 倒 壊 した 木 造 住 宅 写 真 10 崩 壊 した 擁 壁 写 真 11 崩 壊 した 擁 壁 3

20 (3) 南 阿 蘇 村 かわようくろかわ 1 河 陽 黒 川 地 区 ( 大 字 : 河 陽 字 : 黒 川 以 下 黒 川 地 区 )に 木 造 住 宅 の 被 害 が 集 中 していた 2 黒 川 地 区 では 2 階 建 ての 木 造 アパートが 多 く 存 在 し そのうち 7 棟 の 倒 壊 を 確 認 した 3これらの 木 造 アパートのうち 柱 脚 柱 頭 筋 かい 端 部 が 確 認 できたものの 多 くは 接 合 方 法 が 釘 打 ち 程 度 の 比 較 的 軽 微 な 接 合 方 法 であった( 写 真 12~15) 4 木 造 アパートの 他 築 年 数 が 概 ね 40 年 超 と 推 定 される 木 造 住 宅 の 倒 壊 が 多 数 確 認 された 5 年 代 ごとの 航 空 写 真 の 分 析 により 新 耐 震 以 降 の 建 築 確 認 と 推 測 される 木 造 住 宅 の 倒 壊 が 数 棟 確 認 された 木 造 アパートと 同 様 に 柱 脚 柱 頭 筋 かい 端 部 の 接 合 方 法 が 比 較 的 軽 微 な 建 物 が 多 かったが 中 には 金 物 により 緊 結 されている 建 物 も 確 認 された( 写 真 16~17) 写 真 12 倒 壊 した 木 造 アパート 写 真 13 筋 かい 端 部 ( 釘 打 ちによる 接 合 ) 写 真 14 倒 壊 した 木 造 アパート 写 真 15 写 真 16 のアパートの 柱 脚 部 ( 柱 脚 筋 かい 端 部 は 釘 打 ちのみ) 写 真 16 倒 壊 した 木 造 住 宅 写 真 17 写 真 17 の 住 宅 の 柱 頭 部 4

21 2.3 益 城 町 中 心 部 における 新 耐 震 以 降 の 建 築 確 認 で 倒 壊 した 木 造 建 築 物 の 構 造 的 特 徴 と 被 害 要 因 の 分 析 ( 中 間 報 告 ) 新 耐 震 以 降 の 建 築 確 認 で 倒 壊 した 木 造 住 宅 について 構 造 的 特 徴 の 把 握 被 害 要 因 の 分 析 を 行 っ た 結 果 を 下 記 にまとめる 被 害 の 概 要 構 造 的 特 徴 等 を 資 料 に 示 した 分 析 には 悉 皆 調 査 エリア 外 の 19 棟 を 含 む 分 析 対 象 の 99 棟 のうち 筋 かい 端 部 の 接 合 仕 様 を 確 認 したものが 70 棟 で その 中 で 接 合 仕 様 が 不 十 分 であったものが 51 棟 (72.9%)であった 分 析 対 象 の 99 棟 のうち 柱 脚 柱 頭 の 接 合 仕 様 を 確 認 したものが 94 棟 で その 中 で 接 合 金 物 が 施 工 されていることを 確 認 したものが 24 棟 (25.5%) 現 行 基 準 通 りの 接 合 仕 様 と 推 定 されるも のが 4 棟 (4.3%)であった 残 りの 90 棟 (95.7%)は 現 行 基 準 の 接 合 仕 様 を 満 たしていない 可 能 性 が 考 えられる 接 合 部 仕 様 が 不 十 分 であるために 地 震 動 により 接 合 部 が 先 行 破 壊 し 耐 力 壁 が 有 効 に 機 能 しな かったことが 被 害 を 大 きくした 主 な 要 因 の 一 つと 推 測 される 分 析 対 象 の 99 棟 のうち 接 合 部 仕 様 以 外 の 被 害 を 大 きくした 要 因 ( 隣 棟 の 衝 突 立 面 平 面 不 整 形 等 )に 該 当 するものは 31 棟 (31.3%)であった 2000 年 改 正 以 降 で 倒 壊 した 7 棟 については 入 手 した 図 面 等 から 被 害 要 因 の 分 析 を 行 っている ( 資 料 2-5-3) 前 震 で 倒 壊 した 木 造 建 築 物 は 悉 皆 調 査 エリア 内 で 33 棟 ( 文 献 *1 を 元 に 集 計 ) 確 認 した その うち 5 棟 は 新 耐 震 以 降 の 建 築 確 認 の 木 造 建 築 物 であった( 資 料 2-5-4) 5 棟 全 てにおいて 接 合 仕 様 が 不 十 分 隣 接 した 新 耐 震 以 前 の 建 物 の 衝 突 等 が 主 な 倒 壊 要 因 の 一 つであることが 推 定 さ れた 3. 今 後 の 検 討 事 項 第 3 回 に 向 けて 倒 壊 した 建 築 物 のうち 原 因 が 特 定 できていないものについて 図 面 等 によって 引 き 続 き 倒 壊 崩 壊 原 因 の 詳 細 な 分 析 を 行 う 以 降 も 中 長 期 的 な 課 題 として 同 様 の 検 討 を 行 う 参 考 文 献 1) 山 田 真 澄 大 邑 潤 三 後 藤 浩 之 : 2016 年 熊 本 地 震 における 前 震 と 本 震 の 益 城 町 の 建 物 被 害 日 本 地 球 惑 星 科 学 連 合 2016 年 大 会 5

22 資 料 6 3. 鉄 骨 造 の 被 害 状 況 報 告 1. 調 査 の 概 要 範 囲 等 今 回 の 地 震 に 対 する 鉄 骨 造 建 築 物 の 被 害 調 査 については 被 災 建 築 物 をおおまかに 1 小 規 模 鉄 骨 造 建 物 2 学 校 体 育 館 3その 他 に 区 分 して 調 査 を 行 っている 小 規 模 な 鉄 骨 造 建 物 の 調 査 については 低 層 の 鉄 骨 造 建 物 の 倒 壊 や 大 破 の 被 害 があるとして 情 報 が 得 られた 地 域 である 益 城 町 の 一 部 の 区 域 において 鉄 骨 造 建 物 の 調 査 を 行 った この 調 査 は 県 道 28 号 沿 線 を 中 心 として 被 害 の 大 小 に 関 わらず あらかじめ 鉄 骨 造 建 築 物 と 思 われる 建 物 105 棟 を 無 作 為 に 選 定 して 実 施 したものである 学 校 体 育 館 の 調 査 は 熊 本 県 と 熊 本 市 からのヒアリング 情 報 に 基 づいて 被 害 が 大 きいと 考 えら れる 15 棟 の 学 校 等 の 体 育 館 を 選 定 して 調 査 を 行 った これらは 大 半 が 熊 本 市 内 の 体 育 館 である 文 科 省 から 委 託 された 建 築 学 会 の 体 育 館 調 査 は 熊 本 県 内 を 中 心 として 大 分 県 でも 行 われ これ ら 2 県 での 広 範 囲 な 市 町 村 で 調 査 されている これらの 調 査 以 外 には 熊 本 市 内 や 西 原 村 等 で 比 較 的 規 模 の 大 きな 建 物 数 棟 程 度 について 外 観 からの 調 査 を 行 った 2. 調 査 結 果 の 概 要 と 被 害 の 特 徴 2.1 益 城 町 における 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 との 関 係 益 城 町 で 実 施 された 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 区 域 においては 218 棟 の 鉄 骨 造 が 対 象 となっており 国 総 研 建 研 で 実 施 した 益 城 町 における 小 規 模 な 鉄 骨 造 建 物 105 棟 と 重 複 する 建 物 は 75 棟 である この 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 区 域 の 鉄 骨 造 建 物 における 年 代 ごとの 大 破 以 上 と 分 類 された 建 築 物 の 被 害 率 は 表 1 に 示 すように 1981 以 前 が 約 16% 年 が 約 14% 2000 年 以 降 は 約 7%であ った また この 悉 皆 調 査 における 1981 以 降 の 新 耐 震 の 建 物 の 倒 壊 崩 壊 棟 数 は 6 棟 である 表 1 年 代 毎 の 倒 壊 大 破 の 棟 数 及 び 被 害 率 ( 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 ) 2.2 今 回 の 地 震 で 見 られた 被 害 の 分 類 とその 要 因 について (1) 小 規 模 鉄 骨 造 建 物 の 被 害 表 2 に 国 総 研 建 研 で 調 査 した 105 棟 の 建 物 の 建 設 年 代 毎 の 倒 壊 大 破 の 棟 数 と 被 害 率 を 示 す 倒 壊 又 は 大 破 レベルの 鉄 骨 造 建 築 物 の 総 数 は 16 棟 であり 倒 壊 1 棟 大 破 15 棟 であった 全 体 で は 15% 程 度 の 被 害 率 であるが 年 代 毎 に 見 ると 1981 以 前 が 約 25% 年 が 約 20% 2000 年 以 降 は 約 7%であった これらの 年 代 ごとの 被 害 率 は 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 区 域 の 鉄 骨 造 建 物 の 大 破 以 上 と 分 類 された 建 築 物 の 被 害 率 とおおむね 同 様 の 傾 向 となっている なお 倒 壊 大 破 の 判 定 は 調 査 者 が 被 災 度 区 分 判 定 に 基 づいて 決 定 したものである 1

23 表 2 年 代 毎 の 倒 壊 大 破 の 棟 数 及 び 被 害 率 ( 国 総 研 建 研 の 調 査 ) 調 査 した 益 城 町 の 倒 壊 大 破 の 被 害 建 物 は 概 ね 次 の 特 徴 に 分 類 される 特 徴 1) 建 設 年 が 1980 年 以 前 と 推 定 されるもの 又 は 古 いタイプの 部 材 を 用 いたもの 特 徴 2) 隣 の 倒 壊 した 建 築 物 による 力 の 作 用 宅 地 擁 壁 部 分 の 崩 壊 等 の 当 該 建 築 物 以 外 の 周 辺 状 況 による 何 らかの 影 響 があったと 推 定 されるもの 特 徴 3) 溶 接 部 等 で 破 断 が 生 じていたもの 倒 壊 又 は 大 破 した 16 棟 の 建 築 物 と 特 徴 1), 2), 3) との 対 応 関 係 は 表 3 のとおりである 建 物 番 号 01 の 建 物 のみが 倒 壊 で までの 15 棟 は 大 破 の 被 害 である 新 耐 震 の 建 物 は 合 計 11 棟 で あり 建 物 番 号 の 右 上 の* 印 は 1981 年 以 降 の 建 物 である これらの 3 つの 特 徴 に 対 応 する 被 害 事 例 を 写 真 1 3に 示 す 表 3 倒 壊 又 は 大 破 した 建 築 物 と 特 徴 1), 2),3)との 対 応 関 係 1) 倒 壊 した 建 物 について 倒 壊 の 01 の 建 物 は 1987 年 建 設 の 新 耐 震 であり 特 徴 3) に 分 類 される 一 般 的 には 完 全 溶 け 込 み 溶 接 で 施 工 される 柱 とダイアフラムの 溶 接 で 隅 肉 溶 接 が 行 われており その 溶 接 部 で 破 断 が 生 じて 倒 壊 した 可 能 性 がある このような 被 害 は 1995 年 の 兵 庫 県 南 部 地 震 でも 見 られた 被 害 形 態 であり 接 合 部 の 溶 接 施 工 の 重 要 性 については その 後 提 言 が 出 されている 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 区 域 の 鉄 骨 造 建 物 で 新 耐 震 以 降 で 倒 壊 した 建 物 が 上 記 以 外 に 5 棟 あった これらの 建 物 では 隣 接 建 物 の 倒 壊 柱 梁 接 合 部 の 適 切 でないと 考 えられる 接 合 方 法 等 が 影 響 し たと 考 えられ これらが 倒 壊 の 原 因 になった 可 能 性 がある 2) 大 破 の 建 物 について 大 破 の 建 物 のうち 新 耐 震 は 10 棟 である 10 棟 のうち 2 棟 は 特 徴 1) に 分 類 され 日 の 字 柱 が 用 いられている 建 物 であり 現 在 一 般 的 に 用 いられている 角 形 鋼 管 柱 と H 形 鋼 梁 の 接 合 部 に 比 べれば 塑 性 変 形 性 能 が 劣 っていると 考 えられる また 4 棟 は 特 徴 2)であり 隣 接 建 物 や 地 盤 崩 壊 の 影 響 6 棟 は 特 徴 3) に 分 類 され 必 ずしも 適 切 でないと 思 われる 溶 接 方 法 や 接 合 方 法 2

24 が 原 因 で 大 破 に 至 ったと 考 えられる (2) 学 校 体 育 館 の 被 害 15 棟 の 体 育 館 の 調 査 を 行 った 15 棟 のうち 新 耐 震 は 5 棟 耐 震 改 修 済 みが 8 棟 耐 震 診 断 の 結 果 補 強 不 要 と 判 断 されたものが 2 棟 であった 被 害 部 位 ごとの 特 徴 は 以 下 のようにまとめら れる 1 鉛 直 ブレースの 被 害 : 耐 震 改 修 により 取 り 替 えられた 平 鋼 ブレースで 軸 部 の 明 瞭 な 降 伏 が 観 察 されない 状 態 で ボルト 孔 欠 損 部 での 破 断 の 被 害 が 見 られた 一 方 で 新 耐 震 の 建 物 の 丸 鋼 ター ンバックル 付 きブレースで ブレースの 大 きなたわみ 変 形 伸 びが 観 察 されたが 接 合 部 等 で 破 断 していなかった 2 屋 根 面 水 平 ブレースの 被 害 :ボルト 等 の 破 断 の 被 害 が 数 棟 で 観 察 されたが これらの 中 には 20 か 所 以 上 でボルト 破 断 が 観 察 されたものもあった これらのブレースは 耐 震 改 修 以 前 のブレース がそのまま 残 されていたものであった (ゾーニングにより 検 討 を 行 うことで 屋 根 面 ブレースの 検 討 が 不 要 になっている 可 能 性 もある) 3 屋 根 トラスの 被 害 :RC 架 構 に 立 体 トラスの 屋 根 が 接 続 された2 棟 の 体 育 館 で 立 体 トラスを 構 成 する 部 材 のたわみ 破 断 座 屈 落 下 等 の 被 害 が 見 られた このようなトラス 部 材 の 落 下 は 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 では 見 られなかったものである 4 屋 根 定 着 部 の 被 害 :RC 架 構 とトラスの 屋 根 の 接 続 部 ( 定 着 部 )で コンクリートの 側 方 破 壊 と コンクリート 片 の 落 下 ひび 割 れが 見 られた これらの 被 害 は 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 でも 見 られたものである (3)その 他 の 被 害 国 総 研 建 研 の 調 査 や 学 会 の 調 査 では 熊 本 市 内 で 数 棟 程 度 の 構 造 的 な 被 害 が 報 告 されている それらをまとめると 次 のとおりである 比 較 的 規 模 の 大 きな 立 体 駐 車 場 のブレースの 座 屈 事 務 所 ビルの 梁 端 部 の 破 断 工 場 の 引 張 ブレース 破 断 など これらはいずれも 益 城 町 で 見 られたような 建 物 の 倒 壊 やその 危 険 があるような 大 きな 被 害 では ない また 西 原 村 の 工 業 団 地 内 では 工 場 建 物 の 外 装 材 などに 剥 落 の 被 害 があったが 構 造 体 の 被 害 は 目 視 では 観 察 されなかった 2.3 被 害 結 果 のまとめ 益 城 町 で 小 規 模 な 鉄 骨 造 建 物 の 調 査 を 行 い それらを 3 つの 特 徴 に 分 類 した 新 耐 震 の 建 物 につ いては 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 を 含 めて 6 棟 の 建 物 が 倒 壊 したが これらは 隣 接 建 物 の 影 響 適 切 でないと 考 えられる 溶 接 接 合 部 等 が 影 響 したと 考 えられるものであり 現 状 で これら 以 外 には 現 行 の 耐 震 基 準 に 適 合 する 建 物 で 倒 壊 崩 壊 等 の 被 害 は 見 られない 体 育 館 の 被 害 については 屋 根 面 でのトラス 部 材 やブレースで 被 害 が 見 られ 屋 根 面 の 地 震 時 の 応 力 の 計 算 方 法 や 耐 震 診 断 における 屋 根 面 ブレースの 扱 いに 注 意 が 必 要 と 考 えられ 今 後 被 害 と の 関 係 を 明 らかにする 必 要 がある 3

25 建 築 物 02(1971 年 ) 大 破 建 築 物 04(1976 年 ) 大 破 写 真 1 特 徴 1) の 事 例 建 築 物 05(1993 年 ) 大 破 写 真 2 特 徴 2) の 事 例 建 築 物 10 11(2006 年 ) 大 破 建 築 物 01(1987 年 ) 倒 壊 建 築 物 09(1995 年 ) 大 破 写 真 3 特 徴 3) の 事 例 4

26 3. 今 後 の 検 討 事 項 (1) 第 3 回 までの 検 討 見 込 み 体 育 館 で 観 察 されたブレースの 被 害 については その 原 因 を 明 らかにするとともに 今 後 の 対 応 策 については 既 往 の 研 究 などについて 調 査 分 析 を 行 い それらに 基 づいて 取 りまとめる (2) 中 長 期 的 な 検 討 課 題 体 育 館 については 継 続 使 用 性 の 観 点 から どのような 設 計 を 行 うべきか 既 往 の 研 究 の 調 査 を 行 うとともに 可 能 であれば 解 析 的 な 検 討 を 行 うことも 必 要 と 考 えられる 前 震 と 本 震 の2 回 の 地 震 による 鉄 骨 造 建 物 の 地 震 応 答 に 及 ぼす 影 響 について 解 析 的 な 検 討 を 行 っているので それらの 検 討 を 引 き 続 き 行 う 5

27 資 料 7 4. 鉄 筋 コンクリート 造 の 被 害 状 況 報 告 1. 調 査 の 概 要 範 囲 等 鉄 筋 コンクリート 造 ( 以 下 RC 造 )については, 地 方 自 治 体 やマスコミによって 収 集 された 被 害 情 報 に 基 づき, 熊 本 市, 宇 土 市, 益 城 町, 西 原 村, 南 阿 蘇 村 の 地 域 で, 建 築 物 の 倒 壊 や 構 造 部 材, 非 構 造 部 材 の 被 害 を 受 けた 建 築 物 70 棟 について 調 査 を 行 った 国 総 研 建 研 以 外 の 機 関 でも, 熊 本 市 や 益 城 町 を 中 心 に 同 様 の 被 害 を 受 けた RC 造 建 築 物 の 調 査 が 実 施 されており, 把 握 できている 建 築 物 が 14 棟 ある( 但 し, 国 総 研 建 研 の 調 査 と 重 複 する 建 築 物 は 除 く) 2. 調 査 結 果 の 概 要 と 被 害 の 特 徴 2.1 益 城 町 の 悉 皆 調 査 との 関 係 益 城 町 で 実 施 された 日 本 建 築 学 会 の 悉 皆 調 査 区 域 においては,51 棟 の RC 造 建 築 物 が 存 在 するこ とが 報 告 されている そのうち 2 棟 は 1 章 で 示 した 調 査 によって 被 害 が 確 認 されており,いずれも 1981 年 以 前 の 建 築 物 で 倒 壊 している 2.2 今 回 の 地 震 で 見 られた 被 害 の 分 類 について これまでに 国 総 研 建 研 で 実 施 した RC 造 の 被 害 調 査 結 果 に 基 づき, 以 下 の 被 害 パターンに 分 類 する (1)1981 年 以 降 に 設 計 された 建 築 物 : ピロティ 01: 曲 げ 引 張 応 力 による 柱 の 破 壊 (1995 年 以 降 の 建 物 2 棟 について 紹 介 ): 1995 年 以 降 に 設 計 されたピロティ 柱 に 主 筋 の 座 屈 や 破 断 といった 大 きな 損 傷 ( 写 真 1,2)に よって 大 破 に 至 る 事 例 が 確 認 された ピロティ 02:せん 断 付 着 割 裂 による 破 壊 (いずれも 1995 年 以 前 の 建 築 物 ): 柱 にせん 断 破 壊 や 付 着 割 裂 破 壊 といった 脆 性 的 な 破 壊 ( 写 真 3)が 確 認 された 梁 端 部 損 傷 に 基 づく 梁 のたわみ: 梁 端 部 の 曲 げ 破 壊 に 基 づく 梁 およびスラブのたわみが 確 認 された( 写 真 4) RC 造 非 耐 力 壁 の 破 壊 : 共 同 住 宅 における RC 造 非 耐 力 壁 ( 写 真 5)やエキスパンションジョイ ント( 写 真 6)およびその 周 辺 部 の 大 きな 損 傷 によって, 地 震 後 の 継 続 使 用 を 難 しくした 事 例 が 確 認 された (2)1981 年 以 前 に 設 計 された 建 築 物 : 耐 震 補 強 済 みで 構 造 部 材 の 損 傷 度 が 大 きい 建 築 物 : 耐 震 補 強 された RC 造 構 造 部 材 の 被 害 は, 耐 震 補 強 された 耐 震 壁 の 側 柱 のせん 断 破 壊 ( 写 真 7)や 補 強 された 庁 舎 における 耐 震 壁 の 顕 著 なせん 断 ひび 割 れ( 写 真 8)が 挙 げられる 東 日 本 大 震 災 においても 補 強 された RC 造 建 築 物 の 構 造 部 材 の 被 害 が 確 認 されているが, 同 じ 被 害 パターンであるかは 今 後 検 証 が 必 要 であ る 倒 壊 および 崩 壊 した 建 築 物 : 柱 や 柱 梁 接 合 部 の 大 きな 損 傷 による 局 部 崩 壊 した 庁 舎 ( 写 真 9) や 1 層 崩 壊 した 診 療 所 が 挙 げられる 後 者 は 阪 神 淡 路 大 震 災 や 東 日 本 大 震 災 においても 同 様 の 被 害 が 確 認 されている 1

28 2.3 被 害 結 果 のまとめ 倒 壊 崩 壊 は 11 棟 確 認 されたが それらは 全 て 新 耐 震 基 準 導 入 以 前 の 建 築 物 であった 従 って, 構 造 計 算 が 必 要 な 建 築 物 については, 現 行 の 建 築 基 準 を 満 たすもので 倒 壊 崩 壊 に 至 った 建 築 物 は 確 認 されていない また 1981 年 以 降 に 設 計 された 建 築 物 のうち ピロティ 柱 が 大 きく 損 傷 した 建 築 物 が 3 棟 確 認 された( 写 真 1~3) これらは 想 定 する 崩 壊 形 の 保 証 設 計 等 に 課 題 があったと 考 えられる 3. 今 後 の 検 討 事 項 第 3 回 検 討 会 に 向 け, 新 耐 震 以 降 の 建 築 物 の 被 害 概 要 とその 要 因 分 析 を 実 施 する それ 以 降 の 中 期 的 な 対 応 として, 庁 舎 建 物 の 地 震 後 継 続 使 用 性 に 関 する 分 析 を 研 究 課 題 として 実 施 する 予 定 である 2

29 写 真 1 大 きく 損 傷 した 柱 頭 部 写 真 2 大 きく 損 傷 した 柱 脚 部 写 真 3 付 着 割 裂 破 壊 した 柱 写 真 4 梁 端 部 損 傷 による 梁 スラブのたわみ 写 真 5 大 きく 損 傷 したベランダ 側 の 非 耐 力 壁 写 真 6 大 きく 損 傷 したエキス パンションジョイント 写 真 7 増 設 耐 震 壁 側 柱 の せん 断 破 壊 写 真 8 耐 震 壁 のせん 断 ひび 割 れ 写 真 9 柱 梁 接 合 部 破 壊 に よる 局 部 崩 壊 3

30 5. 基 礎 地 盤 の 被 害 状 況 報 告 1. 調 査 の 概 要 範 囲 等 基 礎 地 盤 に 関 する 調 査 として 1 益 城 町 の 調 査 ( 通 り 悉 皆 調 査 )2 液 状 化 の 調 査 を 行 っている 1 益 城 町 の 調 査 について 益 城 町 中 心 部 では 県 道 28 号 からの 南 北 方 向 の 距 離 に 応 じて 建 築 物 及 び 地 盤 の 被 害 程 度 に 差 異 が 見 られるとの 報 告 があった そこで 被 害 状 況 を 把 握 するために 図 1 に 示 すように 益 城 町 内 を 南 北 方 向 に 通 る 2 本 の 道 路 を 抽 出 し( 安 永 地 区 :A 通 り 宮 園 地 区 : B 通 り) 道 路 沿 いの 建 築 物 に 対 して 基 礎 地 盤 の 地 震 被 害 に 重 点 を 置 いた 目 視 調 査 を 実 施 した また 液 状 化 については 地 震 発 生 直 後 に 報 道 された 情 報 や 東 京 電 機 大 学 地 震 地 盤 工 学 研 究 室 による 被 害 調 査 報 告 1 に 基 づき 図 2 に 示 す 液 状 化 被 害 が 報 告 された 熊 本 市 南 区 近 見 地 区 及 び 刈 草 地 区 について 現 地 調 査 を 実 施 した N 40m A 通 り( 安 永 ) Group1 町 役 場 Group1 Group2 30m Group3 20m Group2 県 道 28 号 Group4 10m Group3 B 通 り( 宮 園 ) Group4 秋 津 川 図 1 調 査 対 象 地 域 と 調 査 対 象 とした 道 路 ( 背 景 地 図 : 国 土 地 理 院 基 盤 地 図 情 報 を 使 用 ) 1 東 京 電 機 大 学 理 工 学 部 理 工 学 科 地 震 地 盤 工 学 研 究 室 HP( 1

31 図 2 熊 本 市 南 区 の 液 状 化 被 害 調 査 の 範 囲 ( 赤 点 線 )( 背 景 地 図 : 国 土 地 理 院 電 子 地 形 図 (タイル)) 2. 調 査 結 果 の 概 要 と 被 害 の 特 徴 2.1 益 城 町 の 悉 皆 調 査 との 関 係 国 総 研 建 研 が 実 施 した 益 城 町 の 調 査 で 対 象 としたA 通 り 78 棟 B 通 り 67 棟 のうち 日 本 建 築 学 会 で 実 施 された 悉 皆 調 査 と 重 複 している 建 物 はA 通 り 29 棟 B 通 り 65 棟 となっている 国 総 研 建 研 で 実 施 した 益 城 町 の 調 査 では 文 献 1)に 基 づいて 作 成 した 調 査 シートを 用 いた 2.2 今 回 の 地 震 で 見 られた 被 害 の 特 徴 (1) 益 城 町 の 調 査 ( 通 り 悉 皆 調 査 ) 地 盤 が 建 築 物 の 被 害 に 及 ぼす 影 響 として 静 的 な 地 盤 変 状 と 動 的 な 地 盤 震 動 があるが ここでは 建 築 物 の 被 害 状 況 に 加 えて 地 震 後 の 基 礎 地 盤 の 状 態 を 調 査 分 析 することにより 主 として 静 的 な 地 盤 変 状 に 着 目 して 検 討 した 益 城 町 内 で 確 認 された 大 破 倒 壊 に 相 当 する 被 害 を 受 けた 建 築 物 において 確 認 できた 基 礎 地 盤 関 連 の 被 害 は 1) 建 築 物 が 倒 壊 したことにより 基 礎 もしくは 敷 地 地 盤 全 体 の 状 況 確 認 が 困 難 なもの( 写 真 1) 2) 地 盤 変 状 が 認 められ 基 礎 に 損 傷 が 著 しいもの( 写 真 2 写 真 3 写 真 3 は 調 査 範 囲 外 の 事 例 ) 3) 地 盤 変 状 が 認 められ 基 礎 の 損 傷 が 軽 微 無 損 傷 なもの( 写 真 4) 4) 地 盤 変 状 が 認 められないが 基 礎 に 損 傷 が 認 められるもの( 写 真 5) の 4 つのパターンに 分 類 できる 2

32 写 真 1 建 築 物 が 倒 壊 したことにより 基 礎 もしくは 敷 地 地 盤 全 体 の 状 況 確 認 が 困 難 な 事 例 写 真 2 地 盤 変 状 が 認 められ 基 礎 に 損 傷 が 著 しい 事 例 1 写 真 3 地 盤 変 状 が 認 められ 基 礎 に 損 傷 が 著 しい 事 例 2 写 真 4 地 盤 変 状 が 認 められ 基 礎 の 損 傷 が 軽 微 無 損 傷 の 事 例 3

33 写 真 5 地 盤 変 状 が 認 められないが 基 礎 に 損 傷 が 認 められる 事 例 地 盤 変 状 が 建 築 物 被 害 に 影 響 を 及 ぼすメカニズムを 構 造 力 学 的 な 観 点 から 考 えると 地 盤 変 状 が 生 じることによって 基 礎 が 破 壊 し 1 階 柱 脚 に 強 制 変 位 が 作 用 することによって 建 築 物 に 構 造 的 被 害 が 生 じるメカニズムが 考 えられる このとき 基 礎 固 定 条 件 で 上 部 構 造 が 崩 壊 状 態 となるよう な 部 材 変 形 角 を 1 階 柱 脚 の 強 制 変 位 によって 生 じさせるためには 相 当 量 の 変 位 量 が 要 求 され 基 礎 にはパターン 2)の 写 真 3 で 見 られる 程 度 以 上 の 破 壊 状 態 が 要 求 されることになる しかし このよ うな 基 礎 被 害 は 調 査 の 中 ではほとんど 認 められなかった よって パターン 1)のような 倒 壊 事 例 に 対 して 基 礎 の 状 態 を 十 分 に 確 認 できていないため 現 時 点 で 断 定 することはできないが 建 築 物 に 甚 大 な 被 害 を 生 じさせた 外 力 要 因 として 地 盤 変 状 の 影 響 は 小 さいと 思 われる 今 後 地 盤 調 査 等 の 実 施 により 地 盤 震 動 が 建 築 物 の 応 答 とそれに 伴 う 被 害 発 生 に 及 ぼす 影 響 を 分 析 し 被 害 要 因 を 明 らかにすることが 重 要 と 考 えられる (2) 液 状 化 の 被 害 熊 本 市 南 区 の 九 州 新 幹 線 沿 いの 緑 川 と 白 川 に 挟 まれた 地 域 について 建 築 物 の 液 状 化 被 害 を 次 の 通 りに 分 類 できる 1) 液 状 化 の 影 響 で 地 盤 沈 下 が 生 じているが 基 礎 形 式 によると 思 われる 影 響 で 建 築 物 に 傾 斜 被 害 が 生 じていないもの 2) 液 状 化 の 影 響 で 地 盤 沈 下 が 生 じ 建 築 物 に 著 しい 傾 斜 被 害 が 生 じているもの 現 時 点 で 確 認 できる 他 機 関 での 調 査 報 告 として 東 京 電 機 大 学 の 安 田 教 授 によるレポートがある が 熊 本 市 南 区 や 緑 川 沿 い 秋 津 川 沿 いで 液 状 化 被 害 が 広 く 見 られているとしている 国 総 研 建 研 による 調 査 でも 液 状 化 被 害 は 南 区 で 広 範 囲 で 見 られた ただし 液 状 化 による 地 盤 沈 下 量 には 地 域 差 が 見 られており 地 域 差 は 約 200m 程 度 の 距 離 の 間 で 顕 著 に 見 られた 液 状 化 による 地 盤 の 沈 下 メカニズムには 不 明 な 点 が 多 く 残 されており 現 時 点 で 沈 下 量 の 大 小 の 原 因 を 推 察 することは できない 4

34 3. 基 礎 地 盤 に 関 する 今 後 の 検 討 事 項 第 3 回 合 同 委 員 会 に 向 けての 検 討 事 項 および 中 長 期 的 に 実 施 すべき 検 討 課 題 は 下 記 のとおりで ある (1) 第 3 回 合 同 委 員 会 に 向 けての 検 討 見 込 み 国 総 研 建 研 で 実 施 した 調 査 内 容 の 精 査 と 基 礎 地 盤 の 被 害 率 等 の 数 値 化 により 被 害 の 特 徴 と 被 害 要 因 を 分 析 ( 地 域 性 や 建 築 年 代 による 分 析 など) 益 城 町 のボーリング 調 査 計 画 の 策 定 平 成 26 年 熊 本 地 震 による 杭 被 害 の 情 報 入 手 と 精 査 (2) 中 長 期 的 な 検 討 課 題 地 盤 調 査 の 実 施 による 益 城 町 の 入 力 地 震 動 評 価 建 築 物 および 基 礎 地 盤 被 害 と 入 力 地 震 動 レベルの 関 係 を 整 理 被 害 要 因 の 明 確 化 参 考 文 献 1) 岡 田 成 幸 高 井 伸 雄 : 地 震 被 害 調 査 のための 建 物 分 類 と 破 壊 パターン, 日 本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 集, No. 524, pp.65-72,

35 資 料 9 6. 非 構 造 部 材 の 被 害 状 況 報 告 1. 調 査 の 概 要 範 囲 等 これまでの 非 構 造 部 材 を 主 対 象 とした 地 震 被 害 調 査 としては 日 本 建 築 学 会 が 4/23~4/24 に 熊 本 市 内 4/30~5/1 に 大 分 県 及 び 熊 本 県 で 実 施 したもの 1) があるほか 日 本 建 築 学 会 の 各 被 害 調 査 報 告 の 中 で 一 部 非 構 造 部 材 の 被 害 報 告 がある 国 総 研 建 研 では 非 構 造 部 材 に 関 する 被 害 調 査 ( 第 三 次 調 査 2) 第 十 一 次 調 査 3) 第 十 三 次 調 査 )を 行 っている 第 三 次 調 査 は 報 道 等 で 非 住 宅 の 非 構 造 部 材 に 被 害 があるとの 情 報 のあった 建 築 物 を 対 象 に 第 十 一 次 調 査 は 事 前 の 聴 き 取 り 調 査 で 被 害 情 報 のあったホール 等 を 有 する 建 築 物 を 対 象 に 第 十 三 次 は 熊 本 県 と 熊 本 市 への 事 前 ヒアリング 情 報 に 基 づいて 被 害 が 大 きいと 考 えられる 学 校 等 の 体 育 館 を 対 象 に 内 部 調 査 をそれぞれ 実 施 している 調 査 建 築 物 の 所 在 地 は 熊 本 市 益 城 町 近 傍 であり 調 査 行 程 上 で 建 築 物 の 外 観 から 非 構 造 部 材 の 被 害 調 査 を 行 っている 内 部 調 査 を 行 った 対 象 は 学 校 等 体 育 館 15 棟 音 楽 等 用 ホールを 有 する 施 設 5 棟 運 動 施 設 2 棟 展 示 用 ホー ルを 有 する 施 設 美 術 館 飛 行 場 が 各 1 棟 である 2. 調 査 結 果 の 概 要 と 被 害 の 特 徴 2.1 今 回 の 地 震 で 見 られた 被 害 の 分 類 とその 要 因 について (1) 吊 り 天 井 の 被 害 これまで 国 総 研 建 研 で 実 施 した 調 査 に 基 づき 吊 り 天 井 に 顕 著 な 被 害 が 確 認 された 9 棟 10 室 についてまとめると 最 終 ページの 表 3 のようになる 特 定 天 井 に 該 当 するものが 10 室 中 の 6 室 で ある 天 井 種 類 から 見 ると 建 築 物 I 及 び 建 築 物 C を 除 くとすべて 在 来 工 法 による 天 井 であり い ずれも 以 前 から 被 害 の 確 認 されている 種 類 の 天 井 での 被 害 である 天 井 の 形 態 から 見 ると 一 様 な 勾 配 の 天 井 の 建 築 物 B では 全 面 的 な 脱 落 を 生 じており 捨 て 張 り の 天 井 板 が 金 属 板 であったことが 影 響 していると 考 えられる 概 ね 水 平 の 天 井 が 大 部 分 である 建 築 物 E G I では 被 害 は 比 較 的 小 さいものに 留 まっている 音 楽 用 ホール 等 で 天 井 面 が 一 方 向 に 複 雑 な 断 面 をもつもの( 建 築 物 C D F)や 立 ち 上 がり 壁 を 有 するもの( 建 築 物 A)では 野 縁 と 天 井 板 が 一 体 的 に 落 ちるなど 比 較 的 大 きな 被 害 を 生 じている また 建 築 物 I では 0.4m の 吊 り 材 が 脱 落 しているが 勾 配 屋 根 に 水 平 な 天 井 を 設 けるための 吊 り 材 であり その 他 が 1.9m と 2.4m であ る 中 で 最 も 短 いものである (2)ガラスによる 開 口 部 等 の 被 害 国 総 研 建 研 による 調 査 と 日 本 建 築 学 会 の 被 害 報 告 会 での 報 告 それぞれの 被 害 情 報 を 踏 まえて ガラスによる 開 口 部 等 における 被 害 発 生 状 況 を 整 理 すると 表 1 のようになる 1に 示 すようなガラスをサッシに 硬 化 性 パテどめにする 方 法 は 昭 和 53 年 の 2 月 と 6 月 に 起 こ った 宮 城 県 沖 地 震 で 被 害 を 受 けた 窓 ガラスの 多 くが 硬 化 性 パテどめであったことを 踏 まえて 昭 和 45 年 建 設 省 告 示 第 109 号 が 改 正 されて 地 階 を 除 く 階 数 が 三 以 上 である 建 築 物 の 屋 外 に 面 する 帳 壁 について 帳 壁 として 窓 にガラス 入 りのはめごろし 戸 ( 網 入 ガラス 入 りのものを 除 く )を 設 け る 場 合 にあつては 硬 化 性 のシーリング 材 を 使 用 しないこと ただし ガラスの 落 下 による 危 害 を 防 止 するための 措 置 が 講 じられている 場 合 にあつては この 限 りでない と 規 定 されたことを 踏 まえて 現 在 の 新 築 では 使 われていない 1

36 表 1 ガラスによる 開 口 部 等 の 被 害 現 在 の 新 築 では 同 様 の 使 わ れ 方 をしないもの 現 在 も 新 築 で 使 われているもの 被 害 報 告 がある 程 度 あるもの 被 害 報 告 が 少 ないもの サ ッ シ 窓 1 硬 化 性 パテどめ 2-1 ガラスが 小 さいもの 3ガラスが 大 きいもの 2-2 ガラスが 小 さいもの 全 面 ガ ラ ス 4ガラススクリーン 構 法 5DPG 構 法 そ の 他 6ガラス 防 煙 垂 れ 壁 と3はガラスをサッシに 弾 性 シーリング 材 で 納 めるはめこみ 構 法 である は 比 較 的 小 さなガラスが 3は 比 較 的 大 きなガラスがそれぞれ 用 いられており は 以 前 から 体 育 館 等 で 被 害 の 報 告 があり 3のような 被 害 の 報 告 は 少 ない これらはめこみ 構 法 のガラス 開 口 部 の 耐 震 性 能 については 層 間 変 形 角 に 対 する 検 討 があり 4) サッシ 枠 が 変 形 してもガラスと 接 触 しな いように ガラスとサッシ 枠 との 間 に 適 正 なクリアランスを 設 けて 変 位 を 吸 収 するようにしている 4は 大 判 のガラスを 用 いた 開 口 部 である ガラススクリーン 構 法 の 被 害 は 以 前 から 低 層 鉄 骨 造 建 築 物 を 中 心 に 被 害 報 告 があり 東 日 本 大 震 災 の 際 には 仙 台 市 近 辺 において 多 くの 被 害 報 告 がある 5) ガラススクリーン 構 法 の 耐 震 設 計 では 層 間 変 形 角 の 設 計 値 がチェックポイントとされており 構 造 2

37 体 の 層 間 変 形 角 が 示 されているときはそれに 従 って 設 計 し そうでない 場 合 は 1/100 を 想 定 する とされ 最 低 でも 1/100 の 層 間 変 形 角 を 考 えることになっている 6) 5は 合 わせガラスを 用 いた DPG 構 法 による 開 口 部 で 過 去 の 地 震 では 被 害 報 告 はあまり 見 られ ない 本 震 後 の 写 真 1) を 見 ると 両 側 の 柱 際 のガラスを 除 くと 全 5 段 中 で 下 3 段 のガラスが 損 傷 している ガラスは 各 段 で1 枚 毎 に 前 後 に 出 入 りしており ガラス 被 害 の 多 くは 後 ろ のガラスで 生 じていた 地 震 動 によりガラスを 支 持 するフレームに 生 じた 大 きな 応 答 が 損 傷 につながったこと が 想 定 されるが 被 害 要 因 を 明 らかにするには 更 に 詳 細 な 検 討 が 必 要 になる 6はガラスを 用 いた 防 煙 垂 れ 壁 である ガラス 防 煙 垂 れ 壁 は 低 層 で 大 規 模 な 鉄 骨 造 の 建 物 に 多 数 採 用 されていて 以 前 から 多 数 の 被 害 報 告 があるものである 6) ガラスには 網 入 りガラスまた は 線 入 りガラスが 用 いられており 地 震 時 のガラス 端 部 と 壁 柱 などとの 取 合 い 部 の 破 損 防 止 策 としてクリアランスを 十 分 にとってガラス 端 部 に 緩 衝 材 を 設 け ガラスが 破 損 した 場 合 のことを 考 慮 してガラス 落 下 防 止 用 の 下 枠 等 があるものを 採 用 する などが 設 計 上 の 注 意 点 として 挙 げら れている 7 ) (3) 外 壁 の 被 害 国 総 研 建 研 による 調 査 より 外 壁 について 被 害 発 生 状 況 を 整 理 すると 表 2 のようになる 1のラスシートモルタル 外 壁 や2のラスモルタル 外 壁 はこれまでの 地 震 でも 被 害 報 告 が 少 なか らず 見 られるものであり 比 較 的 古 い 鉄 骨 造 での 被 害 が 多 く 見 られる これらの 被 害 が 見 られたよ うな 鉄 骨 造 建 築 物 の 外 壁 には 現 在 は 乾 式 工 法 が 用 いられることがほとんどであり 現 在 は 新 築 の 建 築 物 では1や2の 被 害 で 見 られたような 使 われ 方 をするものはほぼないと 思 われる 3のようなタイル 張 り 外 壁 の 被 害 は 過 去 の 地 震 でも 今 回 の 地 震 でも 少 なからず 見 られる 被 害 である 3のように 下 地 の 鉄 筋 コンクリート 壁 の 被 害 が 確 認 されるものも 少 なくない 4の 被 害 に 見 られる ALC 縦 壁 挿 入 筋 構 法 の 被 害 は 以 前 の 地 震 でも 被 害 報 告 が 見 られるものであ る ALC パネルを 用 いた 外 壁 を 縦 壁 に 用 いる 場 合 は 現 在 はロッキング 構 法 を 用 いるようになって おり 縦 壁 挿 入 筋 構 法 が 用 いられることはない は ALC 横 壁 構 法 による 外 壁 の 被 害 である 5-1 のように 天 井 面 のレベルで 脱 落 等 を 生 じる 被 害 は 過 去 の 地 震 でも 報 告 があり 今 回 の 地 震 でも 複 数 見 られる 5-2 は ALC 横 壁 を 支 持 する 軽 量 形 鋼 の 下 地 から 傾 斜 を 生 じたものであり 過 去 の 地 震 ではあまり 被 害 報 告 はない 6は PC パネル 外 壁 の 被 害 であるが 過 去 の 地 震 では 比 較 的 古 い 建 築 物 について 被 害 報 告 が 見 られる PC パネルについては 硬 化 性 パテどめのガラス 同 様 に 昭 和 53 年 の 宮 城 県 沖 地 震 の 被 害 を 踏 まえた 昭 和 45 年 建 設 省 告 示 第 109 号 の 改 正 で 地 階 を 除 く 階 数 が 三 以 上 である 建 築 物 の 屋 外 に 面 する 帳 壁 について プレキャストコンクリート 板 を 使 用 する 帳 壁 は その 上 部 又 は 下 部 の 支 持 構 造 部 分 において 可 動 すること ただし 構 造 計 算 又 は 実 験 によつてプレキャストコンクリート 板 を 使 用 する 帳 壁 及 びその 支 持 構 造 部 分 に 著 しい 変 形 が 生 じないことを 確 かめた 場 合 にあつては この 限 りでない とされており 6の 被 害 のあった 建 築 物 も 支 持 構 造 部 は 可 動 となっていたもの と 考 えられる 3

38 表 2 外 壁 の 被 害 現 在 の 新 築 では 同 様 の 使 わ れ 方 をしないもの 現 在 も 新 築 で 使 われているもの 被 害 報 告 がある 程 度 あるもの 被 害 報 告 が 少 ないもの 湿 式 工 法 1ラスシートモルタル 外 壁 3タイル 張 り 外 壁 2ラスモルタル 外 壁 乾 式 工 法 4ALC 縦 壁 挿 入 筋 構 法 5-1 ALC 横 壁 アンカー 構 法 5-2 ALC 横 壁 アンカー 構 法 6PC パネル 外 壁 2.2 被 害 結 果 のまとめ 吊 り 天 井 については ホール 等 を 中 心 に 過 去 の 地 震 と 同 様 に 被 害 を 確 認 している 吊 り 天 井 以 外 の 部 位 については 既 に 使 われなくなっている 構 法 の 非 構 造 部 材 だけでなく 現 在 も 使 われている 構 法 による 非 構 造 部 材 についても 以 前 の 地 震 でもある 程 度 の 被 害 報 告 がある 被 害 や 被 害 報 告 の 少 ない 被 害 が 確 認 されている また ガラス 開 口 部 については 比 較 的 新 しい 構 法 を 用 いたもので 被 害 が 確 認 されている 4

39 3. 今 後 の 検 討 事 項 第 3 回 に 向 けて 吊 り 天 井 の 被 害 の 把 握 整 理 と 全 般 的 な 非 構 造 部 材 の 被 害 状 況 の 把 握 整 理 を 引 き 続 いて 実 施 する 吊 り 天 井 の 被 害 調 査 として 地 方 自 治 体 等 が 所 有 する 体 育 館 を 主 対 象 とし た 調 査 の 実 施 を 予 定 しており これまでの 調 査 で 把 握 している 被 害 や 文 部 科 学 省 において 把 握 され ている 学 校 体 育 館 の 被 害 と 合 わせて 整 理 して 被 害 発 生 について 取 りまとめることを 検 討 する また 吊 り 天 井 以 外 の 非 構 造 部 材 については 日 本 建 築 学 会 等 の 他 機 関 における 被 害 調 査 報 告 等 からも 情 報 収 集 を 引 き 続 き 進 めて 被 害 発 生 について 取 りまとめることを 検 討 する 中 長 期 的 な 課 題 としては 現 在 も 使 われている 構 法 の 被 害 については 被 害 程 度 を 踏 まえて 既 存 のガイドライン 等 を 活 用 補 強 等 することで 対 応 が 可 能 なものか 技 術 基 準 の 策 定 が 必 要 なも のかどうかなど 検 討 する 必 要 があると 考 える 参 考 文 献 1) 清 家 剛 : 平 成 28 年 熊 本 地 震 における 非 構 造 部 材 の 被 害 について( 日 本 建 築 学 会 2016 年 熊 本 地 震 地 震 被 害 調 査 速 報 会 ) 2) 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 建 築 研 究 所 : 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 による 建 築 物 等 被 害 第 三 次 調 査 報 告 ( 速 報 ) 本 調 査 は 鉄 骨 造 建 築 物 非 構 造 部 材 設 備 の 被 害 調 査 として 実 施 した 3) 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 建 築 研 究 所 : 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 による 建 築 物 等 被 害 第 十 一 次 調 査 報 告 ( 速 報 ) 本 調 査 は 非 構 造 部 材 ( 特 に 特 定 天 井 )の 被 害 状 況 を 把 握 するためホール 等 を 対 象 に 実 施 した 4) 建 築 工 事 標 準 仕 様 書 同 解 説 JASS17 ガラス 工 事,( 一 社 ) 日 本 建 築 学 会,2003 年 12 月 5) 板 硝 子 協 会 : 平 成 23(2011) 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 におけるガラス 等 の 被 害 調 査 報 告 書,2012 年 1 月 6) 2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 災 害 調 査 速 報,( 社 ) 日 本 建 築 学 会,2011 年 7 月 7) 安 全 安 心 ガラス 設 計 施 工 指 針 増 補 版,( 一 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会,2014 年 9 月 5

40 表 3 顕 著 な 被 害 のあった 吊 り 天 井 建 築 物 の 諸 元 被 災 室 の 主 な 用 途 特 定 天 井 建 築 物 A 建 築 物 B 建 築 物 C 建 築 物 D 建 築 物 E 建 築 物 F 建 築 物 G 建 築 物 H 建 築 物 I 建 設 地 熊 本 市 益 城 町 熊 本 市 熊 本 市 益 城 町 熊 本 市 熊 本 市 熊 本 市 熊 本 市 建 設 年 天 井 のおおよその 高 さ(m) 天 井 種 類 天 井 の 断 面 形 状 1992 年 改 修 (1958 年 1967 年 ) 1998 年 1967 年 1995 年 1998 年 1997 年 1971 年 1979 年 1985 年 構 造 RC 造 S 造 S 造 RC 造 ( 屋 根 S 造 ) RC 造 ( 屋 根 S 造 ) S 造 RC 造 ( 屋 根 S 造 ) RC 造 ( 屋 根 S 造 ) S 造 S 造 在 来 工 法 による 天 井 及 びそれに 準 ずる 天 井 システム 天 井 モルタル 天 井 展 示 室 ライフル 射 場 ホール( 音 楽 用 ) ホール( 音 楽 用 ) ホール( 展 示 用 ) ホール( 音 楽 用 ) 剣 道 場 (1/4 階 ) 柔 道 場 (3/4 階 ) 体 育 室 体 育 室 7 2.3~7 14.6~ ~ ~ ~ 一 様 に 水 平 立 ち 上 がり 壁 あり 一 様 な 勾 配 一 方 向 に 複 雑 一 方 向 に 複 雑 下 に 凸 の 緩 い 曲 面 一 方 向 に 複 雑 水 平 段 差 あり 水 平 一 方 向 に 複 雑 水 平 当 該 室 の 様 子 脱 落 し た 天 井 の 仕 様 吊 り 元 吊 り 元 との 接 合 天 井 板 脱 落 し た 天 井 の 被 害 状 況 被 害 箇 所 の 天 井 面 内 の 位 置 部 材 被 害 の 状 況 天 井 材 の 床 面 への 落 下 RCスラブ ぶどう 棚 母 屋 等 ALCパネル( 屋 根 版 ) インサートねじ 込 み 接 合 金 物 ( 引 っ 掛 ける 形 のもの) 溶 接 捨 て 張 り 工 法 直 張 り 工 法 その 他 全 面 ほぼ 全 面 区 切 られた 一 面 端 部 他 の 部 位 との 取 り 合 い 部 段 差 部 折 れ 曲 がり 部 吊 り 元 との 接 合 の 外 れ ハンガーの 開 き ハンガーの 吊 りボルトからの 外 れ 野 縁 受 け 継 手 部 の 外 れ( 金 物 接 合 ) 野 縁 受 け 同 士 の 溶 接 の 外 れ 野 縁 受 けのハンガーからの 外 れ 野 縁 受 けがハンガーから 外 れて 落 下 クリップの 野 縁 受 けからの 外 れ 天 井 板 が 天 井 下 地 と 一 体 で 落 下 天 井 板 が 野 縁 から 外 れて 落 下 天 井 の 仕 様 被 害 状 況 は 現 地 調 査 で 確 認 した 範 囲 について 記 述 6

41 資 料 免 震 建 築 物 の 被 害 状 況 報 告 1. 調 査 の 概 要 範 囲 等 今 回 の 地 震 に 対 する 免 震 建 築 物 の 被 害 調 査 として 熊 本 県 内 に 二 十 数 棟 大 分 県 内 に 十 数 棟 存 在 する 免 震 建 築 物 ( 戸 建 てを 除 く)のうち 熊 本 県 内 の 12 棟 ( 熊 本 市 7 物 件 9 棟 ほか 阿 蘇 市 菊 池 郡 山 鹿 市 それぞれ1 棟 )について 免 震 層 内 及 び 周 辺 の 目 視 確 認 建 物 管 理 者 及 び 使 用 者 への ヒアリングを 中 心 とした 現 地 調 査 を 実 施 した 調 査 対 象 は 震 源 に 近 い 熊 本 市 内 を 中 心 に 事 前 連 絡 等 により 免 震 層 及 び 周 囲 の 状 況 が 把 握 できているものから 選 定 した 2. 調 査 結 果 の 概 要 と 被 害 の 特 徴 2.1 今 回 の 地 震 で 見 られた 被 害 の 分 類 とその 要 因 について 調 査 の 結 果 次 のような 被 害 が 見 られた これらのうち1 及 び2は 過 去 の 震 災 調 査 では 報 告 さ れたことのないタイプのものである 3 及 び4は これまでも 見 られた 被 害 である 1ダンパー 取 付 け 基 部 の 被 害 2 外 付 け 階 段 の 被 害 3 免 震 材 料 の 被 害 ( 変 状 ) 4クリアランス 部 の 被 害 (1)ダンパー 取 付 け 基 部 の 被 害 鉛 ダンパーを 上 部 構 造 に 緊 結 するための 取 付 け 基 部 と 鉄 筋 コンクリート 造 の 床 スラブとの 間 で 破 壊 を 生 じていたものがあった(2 棟 ) この 被 害 の 原 因 としては ダンパーの 応 答 変 形 に 伴 って 取 付 け 基 部 に 作 用 するせん 断 力 及 び 曲 げ モーメント 等 の 作 用 に 対 する 想 定 が 十 分 でなく 周 囲 のはり 等 の 部 材 配 置 や 定 着 部 の 配 筋 等 につ いて 適 切 な 設 計 が 行 われなかったことが 考 えられる 写 真 1 鉛 ダンパー 取 付 け 基 部 の 破 損 とスラブの 被 害 (2) 外 付 け 階 段 の 被 害 外 付 け 階 段 の 損 傷 を 生 じていたものがあった(2 棟 ) この 被 害 は 中 間 階 免 震 の 上 部 構 造 に 対 し 外 付 け 階 段 を 張 り 出 して 立 ち 下 げ 階 段 部 分 を 個 別 に 積 層 ゴム 支 承 で 支 える 形 式 としたものについて 発 生 している 外 付 け 階 段 の 設 計 において 自 重 に 1

42 対 する 検 討 は 行 われているが 地 震 に 対 しては 本 体 架 構 の 付 加 質 量 としてのみ 取 り 扱 われていたこ とから 当 該 階 段 の 基 部 に 取 り 付 けた 積 層 ゴム 支 承 の 応 答 変 形 に 伴 う 復 元 力 に 対 する 強 度 が 十 分 で なかったことが 考 えられる N 図 1 中 間 階 免 震 の 上 部 構 造 に 対 する 外 階 段 の 配 置 と 損 傷 位 置 写 真 2 外 部 階 段 の 被 害 (3) 免 震 材 料 の 被 害 ( 変 状 ) 鋼 材 ダンパーの 屈 曲 部 における 残 留 変 形 や 塗 料 の 剥 がれ 積 層 ゴム 支 承 の 保 護 材 のずれ 脱 落 や ゴム 部 分 の 膨 れなど 免 震 材 料 に 変 状 を 生 じていたものがあった これらの 変 状 は 免 震 材 料 の 一 方 向 又 は 繰 り 返 し 変 形 に 伴 うものであるが 必 ずしも 問 題 のある 損 傷 とは 限 らず 通 常 はあらかじめ 定 められた 免 震 建 築 物 の 維 持 管 理 の 基 準 に 基 づき 点 検 を 行 っ て 必 要 に 応 じ 交 換 等 の 措 置 を 講 ずることで 対 応 する 初 期 状 態 写 真 3 積 層 ゴムカバーの 脱 落 写 真 4 鋼 材 部 分 の 残 留 変 形 と 塗 装 のはがれ (4)クリアランス 部 の 被 害 クリアランス 部 について 被 害 を 生 じていたものがあった これらの 被 害 は クリアランス 部 に 配 置 された 金 具 類 (エキスパンションジョイント 等 )が 免 震 層 の 応 答 に 追 随 できなかったために 生 じたものである 2

43 N 写 真 5 エキスパンションカバー 周 囲 の 変 状 写 真 6 オイルダンパー 胴 部 の 移 動 接 触 に 伴 う 周 囲 柵 の 変 形 2.2 被 害 結 果 のまとめ これまでの 調 査 で 確 認 された 被 害 は 4つの 特 徴 に 分 類 された ダンパー 取 付 け 基 部 や 階 段 の 被 害 については 免 震 層 の 地 震 時 応 答 に 伴 って 被 害 部 分 に 作 用 する 外 力 の 想 定 が 十 分 になされておらず 設 計 情 報 や 技 術 資 料 の 充 実 が 必 要 である 支 承 やダンパーの 変 状 は 一 方 向 又 は 繰 返 しの 応 答 変 位 によって 生 じたものであるが 通 常 は 維 持 管 理 の 範 囲 内 で 対 応 可 能 であると 考 えられる クリアランス 部 の 被 害 は 免 震 層 の 地 震 時 応 答 に 金 具 類 が 追 随 できなかったために 生 じたもので あり 一 般 的 には 構 造 計 算 の 対 象 ではないが 設 計 者 への 注 意 喚 起 が 必 要 である 3. 今 後 の 検 討 事 項 (1) 第 3 回 までの 検 討 見 込 み 被 害 及 びその 要 因 について 情 報 収 集 に 努 め 必 要 な 対 応 について 検 討 する (2) 中 長 期 的 な 検 討 課 題 上 記 の 検 討 を 引 き 続 き 行 う ( 以 上 ) 3

44 平 成 28 年 5 月 30 日 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 国 立 研 究 開 発 法 人 建 築 研 究 所 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 による 建 築 物 等 被 害 第 五 次 調 査 報 告 ( 速 報 ) ( 火 災 被 害 ならびに 建 築 設 備 被 害 に 関 する 調 査 ) 1.はじめに 本 報 告 は, 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 ( 前 震 は 4 月 14 日 21 時 26 分 に 発 生, 本 震 は 4 月 16 日 1 時 25 分 に 発 生 )による 火 災 被 害 ならびに 建 築 設 備 被 害 について 4 月 26 日 から 28 日 にかけて 実 施 した 調 査 の 速 報 である. 火 災 被 害 については,これまでに 16 件 の 地 震 に 起 因 する 火 災 ( 以 下, 地 震 火 災 )の 発 生 が 報 告 されている 1. 本 調 査 では,それらの 概 要 ( 出 火 地 点 や 発 生 日 時, 被 害 程 度 など)に ついて 各 消 防 本 部 への 問 い 合 わせを 行 った 上 で, 熊 本 市 消 防 局 管 内 で 発 生 している 9 件 の 火 災 について,より 詳 細 な 情 報 を 得 るためヒアリング 調 査 ( 対 象 は 熊 本 市 消 防 局 と 火 災 現 場 周 辺 住 民 )と 現 地 調 査 を 行 った. 建 築 設 備 被 害 については, 給 湯 設 備 や 防 災 設 備 の 破 損 による 漏 水 等 の 被 害 情 報 があった 建 築 物 のうち,6 棟 の 建 築 物 の 被 害 発 生 状 況 の 現 地 調 査 を 行 うと 同 時 に, 機 能 継 続 上 の 問 題 について 建 物 管 理 者 を 対 象 とした 聞 き 取 りを 行 った. 以 上 により, 火 災 被 害 ならびに 建 築 設 備 被 害 の 発 生 状 況 を 把 握 し, 今 後 の 詳 細 な 調 査 の 必 要 性 を 検 討 するための 情 報 収 集 を 行 った. 2. 調 査 概 要 本 調 査 は 以 下 の 3 名 で 実 施 した.また, 調 査 概 要 を 表 2-1 に 示 す. 一 部 の 調 査 対 象 施 設 は, 第 二 次 調 査 2 ならびに 第 三 次 調 査 3 でも 調 査 対 象 となっている. 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 建 築 研 究 部 防 火 基 準 研 究 室 主 任 研 究 官 国 立 研 究 開 発 法 人 建 築 研 究 所 住 宅 都 市 研 究 グループ 主 任 研 究 員 防 火 研 究 グループ 主 任 研 究 員 樋 本 圭 佑 岩 見 達 也 西 野 智 研 1

45 表 2-1 調 査 概 要 調 査 日 調 査 対 象 調 査 分 類 空 港 旅 客 ターミナル( 益 城 町 ) (3) 設 備 被 害 平 成 28 年 4 月 26 日 ( 火 ) 火 災 現 場 ( 益 城 町 ) 火 災 被 害 共 同 住 宅 ( 熊 本 市 中 央 区 ) (2) 設 備 被 害 平 成 28 年 4 月 27 日 ( 水 ) 熊 本 市 消 防 局 ( 熊 本 市 中 央 区 ) 火 災 被 害 病 院 ( 大 津 町 ) 病 院 ( 熊 本 市 東 区 ) (2) 平 成 28 年 4 月 28 日 ( 木 ) 行 政 庁 舎 ( 御 船 町 ) 設 備 被 害 学 校 ( 熊 本 市 中 央 区 ) (2) (2): 第 二 次 調 査 の 調 査 対 象,(3): 第 三 次 調 査 の 調 査 対 象 3. 火 災 被 害 消 防 庁 報 告 1 にある 火 災 の 発 生 状 況 は 表 3-1 に 示 す 通 りである(ただし, 管 轄 内 で 火 災 の 発 生 した 消 防 本 部 についてのみ 示 してある). 各 消 防 本 部 への 事 前 の 問 い 合 わせにより 明 ら かになった 出 火 地 点 を 図 3-1 に 示 す.ここでは,このうち 熊 本 市 消 防 局 管 内 で 発 生 した 火 災 について,ヒアリング 調 査 を 行 った 結 果 と,1 件 の 火 災 について 現 地 調 査 を 行 った 結 果 を 整 理 する.なお, 各 消 防 本 部 による 調 査 は 現 在 も 継 続 中 であり, 本 章 の 内 容 は 今 後 変 更 される 可 能 性 がある. 表 3-1 火 災 の 発 生 状 況 消 防 本 部 管 轄 自 治 体 火 災 件 数 上 益 城 消 防 組 合 消 防 本 部 嘉 島 町, 甲 佐 町, 御 船 町, 山 都 町 1 熊 本 市 消 防 局 熊 本 市, 西 原 村, 益 城 町 9 八 代 広 域 行 政 事 務 組 合 消 防 本 部 氷 川 町, 八 代 市 2 阿 蘇 広 域 行 政 事 務 組 合 消 防 本 部 阿 蘇 市, 南 小 国 町, 小 国 町, 産 山 村, 高 森 町, 南 阿 蘇 村 1 宇 城 広 域 連 合 消 防 本 部 宇 土 市, 宇 城 市, 美 里 町 1 菊 池 広 域 連 合 消 防 本 部 菊 池 市, 大 津 町, 合 志 市, 菊 陽 2 火 災 件 数 ( 計 ) 16 2

46 図 3-1 出 火 地 点 ( 背 景 地 図 : 国 土 地 理 院 標 準 地 図 ) 3.1 火 災 の 特 徴 地 震 の 発 生 日 時 と 火 災 の 出 火 推 定 日 時 の 関 係 を 図 3-2 に 示 す. 前 震 に 起 因 する 火 災 は 5 件 発 生 しているが,その 内 訳 は, 前 震 直 後 に 発 生 した 火 災 が 2 件,その 後 時 間 をおいて 本 震 ま でに 発 生 した 火 災 が 3 件 となっている. 本 震 に 起 因 する 火 災 は 11 件 発 生 しているが,その 内 訳 は, 本 震 直 後 に 発 生 した 火 災 が 6 件,その 後 時 間 をおいて 発 生 した 火 災 が 5 件 となっ ている. PGV(Peak Ground Velocity: 最 大 地 動 速 度 )の 面 的 推 定 値 4 の 大 きさをもとに 九 州 地 方 の 市 町 村 を 分 類 (0~10,10~20,20~30,30~40,40~80,80~150cm/s の 6 区 分 )し, 平 成 22 年 国 勢 調 査 の 結 果 5 を 利 用 して 世 帯 あたり 出 火 確 率 を 算 出 した 結 果 を 図 3-3 に 示 す. 本 地 震 に おける 16 件 という 出 火 件 数 は, 兵 庫 県 南 部 地 震 (1995)の 293 件 6 や 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 (2011)の 330 件 ( 津 波 浸 水 区 域 内 の 出 火 を 含 む) 7 に 比 べて 少 ない.しかし, 出 火 確 率 は, PGV の 大 きな 領 域 でこそ 兵 庫 県 南 部 地 震 の 記 録 より 小 さいものの, 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 の 記 録 から 大 きく 隔 たりがあるわけではない. 図 3-4 は, 上 記 の PGV 区 分 に 市 町 村 を 分 類 し, 各 区 分 に 含 まれる 世 帯 数 を, 本 地 震 と 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 で 比 較 したものである.こ れによると, 本 地 震 において 強 い 揺 れ(10cm/s 以 上 とする)を 記 録 した 地 域 の 世 帯 数 は, 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 に 比 べて 大 幅 に 少 ない. 出 火 件 数 は, 地 震 の 規 模 や, 出 火 原 因 の 季 節 的 時 間 的 変 動 によって 左 右 されるが, 出 火 確 率 が 大 きくは 変 わらないことを 考 慮 すれば, 3

47 前 震 本 震 累 積 火 災 件 数 累 積 火 災 件 数 最 大 震 度 7の 揺 れを 伴 う 地 震 の 発 生 日 時 2 最 大 震 度 6 強 の 揺 れを 伴 う 地 震 の 発 生 日 時 0 4/14 4/15 4/16 4/17 4/18 4/19 4/20 4/21 図 3-2 地 震 の 発 生 日 時 と 火 災 の 出 火 推 定 日 時 の 関 係 世 帯 あたり 出 火 確 率 p x10-5 熊 本 (2016) 東 北 (2011) 神 戸 (1995) 1x PGV (cm/s) 図 3-3 世 帯 あたり 出 火 確 率 ( 文 献 8 に 追 記, 図 中 の 直 線 は 回 帰 式 を 示 す * ) 東 北 (2011) 熊 本 (2016) PGV (cm/s) x10 6 4x10 6 6x10 6 8x10 6 1x10 7 世 帯 数 図 3-4 PGV 区 分 ごとの 世 帯 数 の 比 較 * 1995 年 兵 庫 県 南 部 地 震,2011 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震,2016 年 熊 本 地 震 では,PGV の 推 定 方 法 が 異 なっている. 4

48 強 い 揺 れを 記 録 した 地 域 の 世 帯 数,すなわち 出 火 の 可 能 性 が 高 くなる 世 帯 数 の 少 なさが, 本 地 震 における 相 対 的 な 出 火 件 数 の 少 なさの 原 因 の 一 つであったと 言 える. 本 地 震 に 起 因 する 16 件 の 火 災 は,いずれも 建 物 火 災 であった. 出 火 建 物 の 用 途 の 内 訳 を 図 3-5 に 示 す.これによると, 住 宅 用 途 の 建 物 ( 戸 建 住 宅, 共 同 住 宅, 店 舗 兼 住 宅 )からの 出 火 が 最 も 多 く,10 件 ( 約 6 割 )となっている. 出 火 原 因 の 内 訳 を 図 3-6 に 示 す.これによると, 推 定 や 疑 いを 含 め, 出 火 原 因 が 分 かって いる 13 件 の 火 災 のうち, 電 気 関 連 ( 屋 内 配 線 コンセント, 電 気 設 備, 観 賞 魚 用 ヒーター) の 出 火 が 8 件 ( 約 6 割 )となっている. 火 災 による 焼 損 規 模 の 内 訳 を 図 3-7 に 示 す.これによると, 焼 損 規 模 が 分 かっている 15 件 の 火 災 のうち,6 件 がぼやに 留 まっている. 火 災 発 生 件 数 の 多 かった 熊 本 市 では, 揺 れに よる 建 物 被 害 が 比 較 的 小 さかったが,このことは 火 災 発 生 の 早 期 発 見 や, 居 住 者 自 身 による 初 期 消 火 活 動 の 実 施 にもつながっていたものと 考 えられる.なお, 出 火 建 物 から 隣 接 する 建 物 への 延 焼 ( 出 火 建 物 は 全 焼 )は 3 件 発 生 しているが,いずれも 隣 接 する 1 棟 もしくは 2 棟 の 建 物 への 延 焼 に 留 まっている. 工 場, 3 戸 建 住 宅, 5 ホテル, 1 事 務 所, 2 店 舗 兼 住 宅, 1 共 同 住 宅, 4 図 3-5 出 火 建 物 の 用 途 の 内 訳 未 確 認, 3 屋 内 配 線, 5 隣 接 建 物 へ の 延 焼 あり, 3 未 確 認, 1 ぼや, 6 不 明, 1 全 焼, 2 天 ぷら 油, 3 電 気 設 備, 2 溶 融 金 属, 1 観 賞 魚 用 ヒーター, 1 部 分 焼, 4 図 3-6 出 火 原 因 の 内 訳 ( 推 定 疑 い 含 む) 図 3-7 焼 損 規 模 の 内 訳 5

49 3.2 住 宅 火 災 の 例 益 城 町 内 の 住 宅 街 で, 前 震 後 まもなく 発 生 した 火 災 では, 出 火 した 2 階 建 て 木 造 住 宅 を 全 焼 している. 出 火 建 物 は, 三 方 を 住 宅 で 囲 まれており, 周 辺 に 燃 え 広 がる 可 能 性 があった 火 災 であるが, 延 焼 を 免 れていることから,その 背 景 を 調 べるために 現 地 調 査 を 行 った. 出 火 は 建 物 の 2 階 東 側 と 見 られているが,その 原 因 は 明 らかになっていない. 火 災 発 生 後, 直 ちに 消 防 に 通 報 され,ポンプ 車 が 駆 けつけている. 火 災 現 場 までの 途 上, 道 路 の 陥 没 や, 地 震 後 の 避 難 に 伴 うと 見 られる 交 通 混 雑 があったものの, 駆 け 付 け 時 間 の 遅 れにはつな がらない 程 度 であったようである.ただし, 地 震 の 影 響 で 最 寄 りの 消 火 栓 が 使 えなかったた め, 防 火 水 槽 から 取 水 して 放 水 が 行 われている.なお, 益 城 町 に 設 置 されたアメダス 観 測 所 の 記 録 によると, 火 災 発 生 当 時 の 風 向 風 速 は, 北 東 の 風 1.8m/s であった. 空 中 写 真 ( 国 土 地 理 院 )をもとに 作 成 した 出 火 建 物 周 辺 の 状 況 を 図 3-8 に 示 す. 南 側 の 住 宅 は 2 階 建 て( 構 造 不 明 )で, 出 火 建 物 と 最 も 近 接 している 場 所 で 0.8m ほどし か 離 れていなかった. 出 火 建 物 に 面 する 北 側 の 外 壁 は 変 色 しており, 強 い 加 熱 を 受 けていた ものと 見 られるが, 開 口 部 が 設 けられていなかったことに 加 え, 窯 業 系 サイディングが 使 用 されていたことで 延 焼 が 阻 止 されたものと 考 えられる. 東 側 の 住 宅 は 2 階 建 て( 構 造 不 明 )で, 出 火 建 物 と 最 も 近 接 している 場 所 で 3.3m ほど 離 れている. 出 火 建 物 との 間 にあった 植 栽 は 焼 け 焦 げ,2 階 開 口 部 の 樹 脂 製 サッシには 溶 融 痕 N 7.9m 6.3m 出 火 建 物 3.3m 6.4m 0.8m 図 3-8 住 宅 火 災 現 場 の 状 況 6