前 置 胎 盤 や 前 置 癒 着 胎 盤 の 帝 王 切 開 は 産 科 医 にとって 最 もストレスを 感 じる 手 術 の 一 つと 言 える. 前 置 胎 盤 の 発 症 率 は1000 出 生 に 対 し5~13.9と 諸 外 国 に 比 較 して 日 本 人 では 比 較 的 高 い.

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1 専 攻 医 教 育 プログラム 2. 前 置 胎 盤 の 管 理 北 海 道 大 学 産 婦 人 科 山 田 崇 弘 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 1

2 前 置 胎 盤 や 前 置 癒 着 胎 盤 の 帝 王 切 開 は 産 科 医 にとって 最 もストレスを 感 じる 手 術 の 一 つと 言 える. 前 置 胎 盤 の 発 症 率 は1000 出 生 に 対 し5~13.9と 諸 外 国 に 比 較 して 日 本 人 では 比 較 的 高 い. 近 年 では 帝 王 切 開 率 の 上 昇 もあり 前 置 癒 着 胎 盤 の 頻 度 が 上 昇 しており, 過 去 の 統 計 からは 年 間 約 1 名 の 母 体 死 亡 が 前 置 癒 着 胎 盤 によって 発 生 していた 可 能 性 がある 産 婦 人 科 医 として 妊 娠 分 娩 管 理 に 携 わる 限 り 必 ず 遭 遇 する 前 置 胎 盤 の 適 切 な 管 理 法 については 必 ず 知 っておかなくてはならない 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 2

3 前 置 胎 盤 のリスクファクターと 原 因 1. 子 宮 内 瘢 痕 形 成 による 着 床 部 位 異 常 帝 王 切 開 の 既 往, 流 産 手 術 既 往, 子 宮 筋 腫 核 出 術 既 往, 経 産 多 産, 不 妊 治 療 既 往, 子 宮 内 膜 炎 既 往 など 2. 子 宮 内 膜 萎 縮 による 着 床 部 位 異 常 母 体 高 年 齢, 喫 煙, 子 宮 内 膜 炎 既 往 など 3. 子 宮 腔 の 変 形 制 限 による 着 床 部 位 異 常 多 胎 妊 娠, 子 宮 筋 腫 合 併, 子 宮 奇 形 など 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 3

4 本 プログラムの 内 容 1. 前 置 胎 盤 の 診 断 2. 前 置 胎 盤 の 妊 娠 管 理 3. 前 置 癒 着 胎 盤 について 4. 前 置 胎 盤 の 分 娩 管 理 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 4

5 前 置 胎 盤 の 定 義 と 分 類 胎 盤 が 内 子 宮 口 を 覆 う 程 度 による 分 類 ( 内 診 が 前 提 の 分 類 ) 1. 全 前 置 胎 盤 胎 盤 が 内 子 宮 口 を 完 全 に 覆 うもの 2. 部 分 前 置 胎 盤 胎 盤 が 内 子 宮 口 の 一 部 を 覆 うもの 3. 辺 縁 前 置 胎 盤 胎 盤 の 下 縁 が 内 子 宮 口 に 達 しているもの /05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 5

6 前 置 胎 盤 の 定 義 と 分 類 経 腟 超 音 波 断 層 法 による 分 類 ( 産 婦 人 科 診 療 ガイドラインで 推 奨 ) 1. 全 前 置 胎 盤 組 織 学 的 内 子 宮 口 を 覆 う 胎 盤 の 辺 縁 から 同 子 宮 口 までの 最 短 距 離 が2cm 以 上 の 状 態. 2. 部 分 前 置 胎 盤 組 織 学 的 内 子 宮 口 を 覆 う 胎 盤 の 辺 縁 から 同 子 宮 口 までの 最 短 距 離 が2cm 未 満 の 状 態 3. 辺 縁 前 置 胎 盤 組 織 学 的 内 子 宮 口 を 覆 う 胎 盤 の 辺 縁 から 同 子 宮 口 までの 最 短 距 離 がほぼ0の 状 態 4. 低 置 胎 盤 組 織 学 的 内 子 宮 口 を 胎 盤 は 覆 っていなく 同 子 宮 口 とそれに 最 も 近 い 胎 盤 辺 縁 との 距 離 が2cm 以 内 の 状 態 内 子 宮 口 辺 縁 前 置 胎 盤 <2cm 内 子 宮 口 部 分 前 置 胎 盤 内 子 宮 口 全 前 置 胎 盤 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 6

7 前 置 胎 盤 の 診 断 産 婦 人 科 診 療 ガイドライン 産 科 編 2011 CQ305 前 置 胎 盤 の 診 断 管 理 は? 1. 前 置 胎 盤 は 妊 娠 中 期 超 音 波 検 査 にて 前 置 胎 盤 疑 い 診 断 を 行 い,31 週 末 までに 経 腟 超 音 波 で 前 置 胎 盤 の 診 断 を 行 う.(B) 前 置 胎 盤 疑 いの 診 断 1. 妊 娠 中 期 には 経 腟 超 音 波 検 査 により 前 置 胎 盤 の 有 無 を 診 断 することは 望 ましい. 2. 妊 娠 中 期 に 診 断 された 前 置 胎 盤 は 最 終 的 に 前 置 胎 盤 でなくなる 例 が 多 い. 前 置 胎 盤 の 最 終 診 断 80% 60% 40% 20% 0% 週 週 24 週 27 週 28 週 31 週 32 週 35 週 前 置 胎 盤 の 診 断 1. 前 置 胎 盤 では28 週 以 降 に 性 器 出 血 頻 度 が 増 加 して 早 産 となりやすい 為, 妊 娠 31 週 末 までに 診 断 する. 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 7

8 前 置 胎 盤 の 妊 娠 管 理 産 婦 人 科 診 療 ガイドライン 産 科 編 2011 CQ305 前 置 胎 盤 の 診 断 管 理 は? 2. 自 院 では 緊 急 時 の 対 応 困 難 と 判 断 した 場 合 は32 週 末 までに 他 院 を 紹 介 する.(C) 3. 自 院 で 管 理 とした 場 合 は34 週 頃 の 夜 間 緊 急 帝 王 切 開 も 考 慮 した 準 備 を 行 う.(C) 前 置 胎 盤 の 平 均 分 娩 週 数 は34 35 週. 帝 王 切 開 時 の 出 血 量 は 他 の 合 併 症 時 の 帝 王 切 開 に 比 較 して 有 意 に 多 く 中 央 値 1280mL, 輸 血 は14%に 必 要 であり, 安 全 な 管 理 の 為 には 準 備 に 時 間 が 必 要. 保 存 的 妊 娠 管 理 1. 出 血 があれば 入 院 管 理. 出 血 がなくても 環 境 と 体 制 を 考 慮 して 入 院 管 理 を 検 討 する. 2. 子 宮 収 縮 抑 制 剤 : 入 院 から 分 娩 までの 妊 娠 期 間 延 長, 児 の 出 生 体 重 増 加 に 効 果 があるものの 出 血 回 数 の 減 少 や 分 娩 後 輸 血 量 の 減 少 の 効 果 につい ては 明 らかでない. 3. 子 宮 頸 管 縫 縮 術 : 妊 娠 延 長 や 分 娩 後 輸 血 量 に 対 して 効 果 を 認 めない. 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 8

9 症 例. 36 週 まで 継 続 できれば 自 院 で 帝 王 切 開 するが,それ 以 前 に 出 血 等 のために 緊 急 帝 王 切 開 が 必 要 となった 場 合 にはその 時 点 で 母 体 搬 送 する といった 方 針 は 受 け 入 れ 病 院 の 準 備 等 の 問 題 があり,た いへん 危 険 である.( 産 婦 人 科 診 療 ガイドライン 産 科 編 2011) 39 歳 の2 経 妊 1 経 産 婦. 前 回 の 分 娩 は 帝 王 切 開 であり, 癒 着 胎 盤 が 疑 われる 全 前 置 胎 盤 であった. 近 くの 総 合 病 院 で 妊 娠 管 理 を 受 けていたが 妊 娠 35 週 2 日 深 夜 に 大 量 の 性 器 出 血 が 認 められ, 当 院 に 緊 急 母 体 搬 送 となった.その 病 院 では 36 週 まで 継 続 できれば 自 院 で 帝 王 切 開 するが,それ 以 前 に 出 血 等 のために 緊 急 帝 王 切 開 が 必 要 となった 場 合 にはその 時 点 で 母 体 搬 送 する という 方 針 としていた. 搬 送 依 頼 直 後 から 人 的 資 源 招 集, 緊 急 輸 血 準 備, 麻 酔 科, 泌 尿 器 科 など 応 援 要 請. 三 次 施 設 到 着 時 ( 午 前 2:30)のバイタルサインは 血 圧 71/45 mmhg, 脈 拍 120 bpm(shock Index: 1.69)であり, 到 着 時 までに 計 測 された 外 出 血 量 は 約 2000gであっ た. 血 液 検 査 の 結 果 は 以 下 の 通 りであった. 白 血 球 9600 /μl, ヘモグロビン 9.3 g/dl, ヘマトクリット 29.5 %, 血 小 板 24.3 万 /μl, PT- INR 0.99 INR, APTT 27.0 秒, フィブリノゲン 148 mg/dl, AT3 75%, FDP 30.8 μg/ml, Dダイマー 5.8μg/mL DICスコア: 基 礎 疾 患 1 点 +ショック 症 状 4 点 + 検 査 項 目 2 点 =7 点 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 9

10 ショックインデックス(SI)が1.69である 上, 出 血 量 計 測 でも2000g 以 上 の 出 血 がある ため 産 科 危 機 的 出 血 として 直 ちに 輸 血 を 行 うことになった. 前 置 胎 盤 からの 大 量 出 血 であり, 胎 児 心 拍 モニタリングでも 胎 児 機 能 不 全 が 疑 われたが, 輸 血 確 保 前 の 執 刀 は 母 体 生 命 の 危 険 が 高 いと 判 断 し, 輸 血 製 剤 の 到 着 まで 保 存 的 に 対 応 することとした. 輸 血 製 剤 が 到 着 するまでは 晶 質 液 ( 細 胞 外 液 系 輸 液 製 剤 ), 人 工 膠 質 液, 等 張 アルブミン 製 剤 を 使 用 し, 循 環 血 液 量 の 確 保 を 行 いつつ 酸 素 投 与 を 行 った. 搬 送 後 1 時 間 で 新 鮮 凍 結 血 漿 (FFP)と 赤 血 球 濃 厚 液 (RCC)をそれぞれ30 単 位 ずつ 確 保 し, 直 ちに 輸 血 を 開 始 しつつ 手 術 室 に 入 室 した. 入 室 時 のSIは1.25(100/80)で あり,ヘモグロビン 値 は6.4 g/dlであった. 到 着 後 2 時 間 で 執 刀 した 帝 王 切 開 によっ て 児 を 娩 出 した 後 に 前 置 癒 着 胎 盤 ( 術 後 病 理 診 断 :Placenta accreta)であったため 子 宮 を 腟 上 部 切 断 術 で 摘 出 した. 術 中 出 血 は2000gであり, 術 前 までの 出 血 量 計 測 と 合 わせて 約 4500gの 出 血 となった. 術 中 新 鮮 凍 結 血 漿 (FFP)と 赤 血 球 濃 厚 液 (RCC)をそれぞれ14 単 位 ずつ 輸 血 した. 帰 棟 時 のバイタルサインは 血 圧 125/73 mmhg, 脈 拍 86 bpmであった. 手 術 直 後 のDICスコアは1 点 であり,その 後 の 術 後 経 過 は 良 好 であった. 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 10

11 前 置 癒 着 胎 盤 について 産 婦 人 科 診 療 ガイドライン 産 科 編 2011 CQ305 前 置 胎 盤 の 診 断 管 理 は? 4. 癒 着 胎 盤 の 合 併 を 考 慮 する. 特 に 帝 王 切 開 の 既 往 があ る 場 合 は 注 意 する. 既 往 帝 王 切 開 創 が 胎 盤 に 近 い 場 合 に は 特 に 注 意 する.(B) 5. 前 回 帝 王 切 開 創 を 胎 盤 が 覆 っている 場 合 には, 癒 着 胎 盤 有 無 を 慎 重 に 評 価 する.(B) 前 置 胎 盤 の 約 5~10% が 癒 着 胎 盤 を 合 併 する 癒 着 胎 盤 術 前 正 診 率 向 上 に 超 音 波 カラードプラ 検 査 MRI 検 査 等 が 寄 与 したとの 報 告 もあるが, 前 置 癒 着 胎 盤 を 確 実 に 術 前 診 断 あるいは 否 定 する 方 法 は 現 在 のと ころ 確 立 していない. 帝 王 切 開 既 往 回 数 の 増 加 と 共 に 前 置 胎 盤 患 者 の 癒 着 胎 盤 合 併 率 上 昇 が 報 告 さ れているため, 現 時 点 では 帝 王 切 開 既 往 患 者 が 前 置 胎 盤 を 合 併 した 場 合, 癒 着 胎 盤 の 存 在 を 想 定 して 事 前 の 検 査 管 理 分 娩 にあたり,ことに 胎 盤 が 既 往 帝 王 切 開 創 を 覆 っている 場 合 には, 癒 着 胎 盤 を 想 定 することが 重 要 である. 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 11

12 癒 着 胎 盤 のリスクファクター 1. 既 往 帝 王 切 開 2. 前 置 胎 盤 (5 10%が 癒 着 胎 盤 ) 3. 母 体 高 年 齢 4. 多 経 産 3. 帝 王 切 開 以 外 の 子 宮 手 術 既 往 4. 子 宮 内 掻 爬 術 既 往 5. 子 宮 への 放 射 線 照 射 既 往 6. 子 宮 内 膜 焼 灼 既 往 7. Asherman 症 候 群 8. 子 宮 筋 腫 9. 子 宮 奇 形 10. 高 血 圧 合 併 妊 娠 11. 喫 煙 など 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 12

13 癒 着 胎 盤 の 病 理 学 的 分 類 癒 着 胎 盤 の 分 類 について 絨 毛 の 侵 入 深 度 による 分 類 楔 入 胎 盤 ( 狭 義 の 癒 着 胎 盤 ) (Placenta accreta) 脱 落 膜 基 底 板 の 一 部 あるいは 全 部 が 欠 損 し,Nitabuch s layerと 呼 ばれるトロホブ ラスト 層 との 境 界 が 充 分 発 達 せずに, 絨 毛 が 子 宮 筋 層 表 面 に 固 着 した 状 態. 嵌 入 胎 盤 (Placenta increta) 楔 入 胎 盤 から 更 に 進 行 して 絨 毛 が 子 宮 筋 層 内 に 侵 入 した 状 態 穿 通 胎 盤 (Placenta percreta) 嵌 入 胎 盤 から 更 に 進 行 して 絨 毛 が 子 宮 筋 層 を 貫 いて 漿 膜 面 まで 達 する 状 態. 癒 着 の 占 める 割 合 による 分 類 全 癒 着 胎 盤 (Total placenta accreta) 全 ての 胎 盤 分 葉 において 胎 盤 が 子 宮 筋 層 に 癒 着 している 状 態 部 分 癒 着 胎 盤 (Partial placenta accreta) 数 個 の 胎 盤 分 葉 が 子 宮 筋 層 に 癒 着 している 状 態 焦 点 癒 着 胎 盤 (Focal placenta accreta) 一 つの 胎 盤 分 葉 の 一 部 あるいは 全 部 が 子 宮 筋 層 に 癒 着 している 状 態 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 13

14 癒 着 胎 盤 の 分 類 について 癒 着 胎 盤 の 臨 床 的 分 類 (Thierstein ST et al., Obstet Gynecol. 10:269-73,1957 ) 第 1 群 胎 盤 剥 離 遅 延 ( 約 2%) 多 少 癒 着 していても 用 手 的 に 剥 離 出 来 る. 子 宮 壁 側 癒 着 部 位 は 粗 で 小 さなポリープ 様 突 起 を 触 れる. 第 2 群 付 着 胎 盤 ( 約 0.1%) 付 着 部 位 を 同 定 するのは 困 難 であるが, 用 手 的 に 剥 離 出 来 る. 癒 着 部 分 は,よりポリープ 様 性 格 の 強 い 突 起 があり,また 索 条 物 を 触 れる.これら 指 先 の 感 触 は 遺 残 物 があるかのような 印 象 を 与 える. 索 条 物 は 繊 維 化 された 組 織 で 構 成 されている. 剥 離 の 際 にかなりの 出 血 を 認 める. 第 3 群 癒 着 胎 盤 用 手 的 に 剥 離 は 不 能. 癒 着 部 位 を 用 手 的 に 剥 離 すると 胎 盤 片 が 残 る. 出 血 を 多 量 に 認 める. 子 宮 摘 出 後 の 組 織 検 査 で 診 断 される. 注 : 本 分 類 第 1 群 ならびに2 群 は 約 6000 例 の 胎 盤 娩 出 後 / 胎 盤 娩 出 困 難 時 に 全 例 に 子 宮 内 に 手 を 挿 入 し, 指 先 で 子 宮 内 腔 壁 を 触 知 した 場 合 の 分 類. 完 全 に 内 容 物 が 娩 出 された 子 宮 内 腔 壁 は 極 めて 滑 らかな 感 触 が 得 られる. 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 14

15 前 置 癒 着 胎 盤 を 想 定 した 帝 王 切 開 分 娩 への 準 備 前 置 胎 盤 の 帝 王 切 開 に 向 けて 行 うこと - 同 種 血 輸 血 の 準 備 - 可 能 であれば 自 己 血 貯 血 ( mL 以 上 ) - 癒 着 胎 盤 の 有 無 を 積 極 的 に 検 討 する. 癒 着 胎 盤 の 診 断 の 為 に 行 うこと - 超 音 波 断 層 法 ( 含 カラードップラー) - MRI 検 査 - 膀 胱 鏡 Placental lacuna 絨 毛 の 膀 胱 への 浸 潤 を 疑 う 像 超 音 波 断 層 法 膀 胱 鏡 MRI 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 15

16 前 置 癒 着 胎 盤 を 想 定 した 帝 王 切 開 分 娩 への 準 備 癒 着 胎 盤 を 強 く 疑 った 場 合 に 行 うこと ACOG 提 唱 1. 患 者 に 対 して 子 宮 全 摘 術 と 輸 血 の 可 能 性 に 関 する 説 明 をする 2. 輸 血 や 血 液 製 剤 を 確 保 する 3. 可 能 であるならばセルセーバーの 用 意 を 考 慮 する 4. 分 娩 の 適 切 な 場 所 と 時 期 に 外 科 的 対 応 が 可 能 な 人 員 と 設 備 が 整 っていることを 確 認 する 5. 術 前 に 麻 酔 科 学 的 な 評 価 をする その 他 に 有 用 と 考 えられる 事 前 準 備 1.IVRによる 出 血 対 策 準 備 ( 子 宮 動 脈 塞 栓 や 内 腸 骨 動 脈 のballoon occlusion 等 ) 2. 緊 急 子 宮 全 摘 の 際 の 尿 管 カテーテル 留 置 や 膀 胱 部 分 切 除 などに 備 えて 泌 尿 器 科 と 連 携 しておくこと 3. 緊 急 に 非 定 型 的 な 子 宮 全 摘 をスムーズに 行 う 為 に 婦 人 科 腫 瘍 専 門 医 と 連 携 し ておくこと 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 16

17 前 置 胎 盤 の 分 娩 管 理 産 婦 人 科 診 療 ガイドライン 産 科 編 2011 CQ305 前 置 胎 盤 の 診 断 管 理 は? 6. 予 定 帝 王 切 開 は 妊 娠 37 週 末 までに 行 う.(B) 7. 予 定 帝 王 切 開 は 輸 血 ( 自 己 血 あるいは 同 種 血 )ができ る 体 制 を 整 えて 行 う.ただし 緊 急 帝 王 切 開 の 場 合 には 手 術 と 並 行 して 輸 血 の 準 備 を 進 める.(A) 8. 輸 血 と 子 宮 摘 出 の 可 能 性 について 説 明 しておく.(A) 前 置 胎 盤 の 周 産 期 死 亡 率 が 最 も 低 かったのは 妊 娠 37 週 台 での 帝 王 切 開 であり,38 週 以 降 では 周 産 期 死 亡 率 が 増 加 するため, 予 定 帝 王 切 開 は 妊 娠 37 週 末 までに 施 行 する. 癒 着 胎 盤 が 強 く 疑 われる 場 合 には35~37 週 を 分 娩 時 期 としている 報 告 が 多 く, 緊 急 帝 王 切 開 ( 母 児 のリスク 上 昇 )を 避 けるために 娩 出 時 期 の 前 倒 しも 考 慮 される. 予 定 帝 王 切 開 におい ては 同 種 血 輸 血 または 自 己 血 輸 血 の 準 備 を 整 えて 行 う. 前 置 胎 盤 の 帝 切 では14%に 輸 血 が 必 要 であり,3.5% に 子 宮 摘 出 が 必 要 であったとの 報 告 もある. 輸 血 と 子 宮 摘 出 の 可 能 性 は 癒 着 を 強 く 疑 わなくても 前 置 胎 盤 の 帝 王 切 開 に 際 して は 行 っておくべきである. 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 17

18 前 置 癒 着 胎 盤 を 想 定 した 手 術 の 工 夫 術 式 について 下 記 の 様 な 様 々な 方 法 が 工 夫 されている. しかし, 現 時 点 ではどれが 最 善 という 評 価 が 定 まっている 訳 では なく,その 安 全 性 や 有 用 性 は 今 後 検 討 されて 行 くものである. - 皮 膚 切 開 は 視 野 確 保 のため 正 中 縦 切 開. - 児 娩 出 のための 子 宮 切 開 はエコーを 併 用 して 胎 盤 縁 から 離 れた 部 分 を 横 縦 切 開 し( 含 子 宮 底 部 横 切 開 ) 胎 盤 を 傷 つけないようにする. - 胎 盤 剝 離 部 位 からは 強 出 血 をきたす 場 合 があるので, 子 宮 前 壁 からの 膀 胱 剝 離 が 容 易 であることの 確 認 以 前 には 胎 盤 剝 離 は 行 わない. - 膀 胱 剝 離 が 困 難 と 考 えられる 場 合 には, 胎 盤 を 剝 離 せず, 十 分 な 準 備 ( 輸 血 用 血 液 の 確 保 や 総 腸 骨 動 脈 バルーニング, 内 腸 骨 動 脈 血 流 一 時 遮 断 など) 後 に 一 期 的 に 腹 式 子 宮 全 摘 出 術,あるいは 一 旦 閉 腹 し 二 期 的 な 子 宮 摘 出 を 考 慮.ある いは 膀 胱 切 開 を 行 い, 膀 胱 子 宮 窩 腹 膜 血 管 を 可 及 的 に 触 れないようにして 子 宮 全 摘 するなどの 方 策. - 腸 骨 動 脈 結 紮,カテーテルによる 動 脈 バルーン 閉 塞 術, 動 脈 塞 栓 術 等 の 併 用. - 胎 盤 剥 離 面 からの 出 血 に 対 し 子 宮 腔 内 ガーゼ 充 填, 子 宮 腔 内 バルーン 圧 迫 法 - Vertical compression suture, 子 宮 下 部 U 字 縫 合,B-Lynch sutureといった 縫 合 圧 迫 法 2013/05/9 第 65 回 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 学 術 講 演 会 18

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