2007/04/13

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1 産 業 競 争 力 懇 談 会 2009 年 度 推 進 テーマプロジェクト 報 告 低 炭 素 化 社 会 づくりに 向 けた ヒートポンプの 革 新 的 技 術 開 発 と 普 及 促 進 産 業 部 門 より 発 信 するヒートポンプによるCO2 排 出 量 大 幅 削 減 実 現 のための 提 案 2010 年 3 月 12 日 産 業 競 争 力 懇 談 会 (COCN)

2 エグゼクティブサマリー 1. 本 プロジェクトの 基 本 的 な 考 え 方 CO2 排 出 量 削 減 のカギは エネルギー 利 用 効 率 の 飛 躍 的 向 上 と エネルギーの 脱 炭 素 化 の 実 現 にある この 二 つを 同 時 に 達 成 するキーテクノロジーが ヒートポンプ である ヒートポンプはその 高 効 率 性 により 高 いCO2 排 出 抑 制 効 果 が 得 られるため その 導 入 は 即 座 にCO2 排 出 量 の 大 幅 な 削 減 に 寄 与 する しかしながら 我 が 国 では 熱 需 要 に 対 して 従 来 の 燃 焼 式 機 器 の 導 入 が 依 然 として 多 く ヒートポンプを 導 入 拡 大 できる 余 地 (CO2 排 出 削 減 ポテンシャル)は 大 きい 低 炭 素 社 会 の 実 現 に 向 けては 空 調 設 備 や 給 湯 設 備 としての 高 効 率 ヒートポンプの 更 なる 普 及 促 進 が 不 可 欠 である 本 プロジェクトは ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 と 今 後 の 普 及 環 境 の 整 備 に 向 けた 施 策 に ついて 提 言 する 2.エネルギーの 有 効 利 用 とCO2 排 出 量 削 減 への 取 り 組 み 住 宅 やオフィスビルといった 民 生 分 野 工 場 等 の 産 業 分 野 では 暖 房 や 給 湯 加 熱 などの 熱 需 要 に 対 し 多 くのエネルギーを 費 やしてきた そのエネルギー 源 は 化 石 燃 料 の 燃 焼 により 得 られる 熱 エネルギーを 利 用 する 燃 焼 方 式 が 主 流 である 現 在 早 急 な 対 応 が 求 められる 地 球 温 暖 化 の 主 たる 原 因 は 化 石 燃 料 の 大 量 消 費 に 伴 う 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 (CO2) 濃 度 の 増 加 によるものとIPCC( 気 候 変 動 に 関 する 政 府 間 パネ ル)の 第 4 次 レポートでほぼ 断 定 されるに 至 った こうした 地 球 温 暖 化 問 題 の 解 決 と 化 石 エネルギー 資 源 の 制 約 からの 脱 却 を 図 り 環 境 保 全 と 経 済 全 体 の 持 続 可 能 な 発 展 を 実 現 するためには CO2 などの 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 大 幅 に 削 減 し 気 候 に 悪 影 響 を 及 ばさない 水 準 で 大 気 中 の 温 室 効 果 ガス 濃 度 を 安 定 化 させる 低 炭 素 社 会 を 構 築 する 必 要 があるとされている そのために エネルギーの 供 給 者 と 需 要 者 が 各 々 主 体 的 に 選 択 し 温 暖 化 防 止 行 動 へ 参 画 することを 可 能 とするキーテクノロジーが ヒートポンプ である 3.ヒートポンプの 導 入 効 果 ヒートポンプは 大 気 など 既 にある 熱 を 利 用 するため 投 入 した 電 気 エネルギーの 3~6 倍 の 熱 エネルギーが 得 られる つまり エネルギー 消 費 効 率 (COP 注 1)は 3~6 に 相 当 す るため 必 要 なエネルギーに 対 し 消 費 するエネルギーは 1/3~1/6 ということになる ヒートポンプはその 高 効 率 性 により 高 い 省 エネルギー 効 果 と 大 きなCO2 削 減 効 果 が 得 られる 例 えば 給 湯 用 ヒートポンプの 場 合 燃 焼 式 給 湯 器 と 比 べ 約 35%の 一 次 エネルギー 量 の 削 減 と 約 50%のCO2 削 減 効 果 が 得 られる ( 財 )ヒートポンプ 蓄 熱 センターの 試 算 では 現 在 日 本 で 使 われている 民 生 部 門 ( 業 務 用 家 庭 用 )の 空 調 と 給 湯 で 使 用 されている 燃 焼 式 システム 全 てをヒートポンプシステムに 置 き 換 えることで 約 1 億 トンのCO2 排 出 量 が 削 減 可 能 としている また 同 様 に 産 業 部 門 のボ イラによる 工 場 空 調 加 湿 100 未 満 の 乾 燥 分 野 の 燃 焼 式 システムを 全 てヒートポンプシ ステムに 置 き 換 えることで 更 に 約 3,000 万 トンの 削 減 が 可 能 となり 民 生 部 門 と 産 業 部 門 合 わせたCO2 排 出 削 減 ポテンシャルは 年 間 約 1.3 億 トンと 推 計 される これは 日 本 の 温 室 効 果 ガス 年 間 総 排 出 量 13 億 7,400 万 トンの 約 1 割 に 当 たる 大 きなものである 注 1:Coefficient of Performance: 成 績 係 数 のことを 言 い 入 出 力 エネルギーの 比 で 示 される ヒートポンプ 機 器 の 場 合 投 入 消 費 電 力 熱 量 でその 何 倍 の 熱 量 ( 冷 却 または 加 熱 )が 得 られるかを 表 す この 値 が 大 きいほど 効 率 が 良 いことを 示 す 1

3 4.ヒートポンプ 普 及 促 進 に 向 けた 提 言 および 施 策 ヒートポンプの 普 及 に 向 け これまで 民 間 としては メーカーによる 機 器 開 発 と 設 備 関 連 業 界 ( 設 計 事 務 所 建 設 会 社 設 備 会 社 電 力 会 社 等 )の 連 携 による 導 入 促 進 活 動 に 取 り 組 んできた 本 プロジェクトでは 更 なる 技 術 開 発 冷 媒 管 理 の 徹 底 情 報 発 信 啓 発 活 動 の 強 化 新 規 市 場 開 拓 機 器 メーカーによる 低 価 格 化 等 を 民 間 として 今 後 取 り 組 むべき 重 点 施 策 とした また ヒートポンプの 加 速 的 普 及 促 進 のため 国 としての 支 援 を 期 待 する 施 策 案 を 検 討 し 以 下 のとおりプロジェクト 提 言 として 取 りまとめた 4.1 効 率 向 上 と 産 業 用 途 等 への 適 用 拡 大 を 目 的 とした 技 術 開 発 に 関 する 提 言 施 策 1: 多 面 的 用 途 に 活 用 するためのヒートポンプ 技 術 開 発 の 実 施 我 が 国 のヒートポンプ 技 術 は 世 界 を 大 きくリードしているが 更 なる 高 効 率 化 と 適 用 範 囲 の 拡 大 という 観 点 で 解 決 すべき 技 術 課 題 はある ヒートポンプの 導 入 が 進 んでいる 空 調 分 野 については 熱 回 収 技 術 や 加 湿 対 応 などの 機 能 強 化 が 必 要 であり 導 入 初 期 の 給 湯 分 野 においては 効 率 向 上 とラインナップの 拡 充 が 求 められる とりわけ 産 業 分 野 においては 基 礎 開 発 からのアプローチが 必 要 な 段 階 にあり 需 要 者 側 の 熱 利 用 形 態 をふまえた 開 発 製 品 仕 様 の 検 討 設 計 者 設 備 会 社 のエンジニアリ ングとの 融 合 によるシステム 化 が 必 要 である 本 プロジェクトとして 今 後 のヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 を 下 記 に 示 す 1) 業 務 用 空 調 ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 熱 回 収 ヒートポンプの 改 良 未 利 用 エネルギー 活 用 機 器 の 開 発 低 騒 音 化 寒 冷 地 性 能 の 向 上 加 湿 用 蒸 気 生 成 ヒートポンプの 開 発 大 型 空 調 ヒートポンプのラインアップの 拡 充 潜 熱 顕 熱 分 離 空 調 システムの 早 期 実 用 化 (デシカント 空 調 システム 等 ) 2) 業 務 用 給 湯 ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 更 なるCOPの 向 上 とラインアップの 拡 充 設 置 スペースの 低 減 低 騒 音 化 寒 冷 地 性 能 の 向 上 熱 回 収 仕 様 機 の 開 発 未 利 用 エネルギー 活 用 機 器 の 開 発 3) 産 業 用 加 熱 ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 加 熱 洗 浄 乾 燥 殺 菌 など 120~160 帯 の 産 業 加 熱 向 けヒートポンプの 開 発 ( 高 温 水 ヒートポンプ 蒸 気 生 成 ヒートポンプ 等 ) 超 高 効 率 冷 凍 サイクル 型 冷 媒 の 開 発 これを 利 用 したヒートポンプの 実 用 化 (ハイ ドレートヒートポンプ 等 ) 200 級 高 温 加 熱 対 応 型 冷 媒 の 開 発 これを 利 用 したヒートポンプの 実 用 化 (ケミ カルヒートポンプ 等 ) 4) 自 然 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 開 発 推 進 CO2 水 アンモニア 等 の 自 然 冷 媒 を 活 用 したヒートポンプの 効 率 向 上 と 適 用 拡 大 5) 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 低 GWP 注 2 型 基 幹 冷 媒 の 開 発 これを 活 用 した 混 合 冷 媒 の 開 発 と 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 注 2:Global Warming Potential( 地 球 温 暖 化 係 数 ) 2

4 施 策 2: 国 家 プロジェクトとしての 革 新 的 ヒートポンプ 技 術 開 発 低 炭 素 社 会 実 現 のキーテクノロジーであるヒートポンプについては 今 後 も 弛 まぬ 研 究 開 発 を 進 め 飛 躍 的 な 効 率 の 向 上 と 技 術 革 新 に 取 り 組 む 必 要 がある 本 プロジェクトとして 今 後 のヒートポンプ 開 発 のあり 方 を 提 言 する 1) 国 策 としてのプラットホーム 型 技 術 開 発 と 民 間 による 早 期 実 用 化 ヒートポンプの 飛 躍 的 効 率 向 上 や 新 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 基 盤 技 術 ( 高 効 率 冷 凍 サ イクル 新 冷 媒 仕 様 高 性 能 熱 交 換 器 等 )については 国 家 主 導 によるプラットホーム 型 技 術 開 発 が 必 要 である 国 家 プロジェクトとして 確 立 された 基 盤 技 術 を 民 間 として 有 効 活 用 することで 革 新 的 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 を 達 成 するという 形 が 今 後 のヒートポンプ 開 発 のあるべき 姿 と 考 える 2) 次 世 代 型 ヒートポンプシステム 研 究 委 員 会 による 技 術 開 発 の 推 進 本 年 7 月 経 済 産 業 省 資 源 エネルギー 庁 は 次 世 代 型 ヒートポンプシステム 研 究 委 員 会 を 新 エネルギー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 (NEDO) 内 に 設 置 した 同 委 員 会 は Cool-Earth エネルギー 技 術 革 新 計 画 の 中 で 温 室 効 果 ガスの 大 幅 削 減 に 寄 与 する 21 の 革 新 技 術 の 一 つに 位 置 付 けられた 超 高 効 率 ヒートポンプ 技 術 の 実 現 を 目 指 し 2050 年 までに 現 状 から 効 率 を2 倍 とする 長 期 的 視 野 に 立 った 研 究 開 発 の 方 向 性 を 定 め 技 術 開 発 を 推 進 するものである 同 委 員 会 において 前 述 の 本 プロジェクトが 提 言 する 各 種 技 術 課 題 を 詳 細 検 討 し 官 民 一 体 となった 革 新 的 技 術 開 発 を 推 進 する 必 要 がある 4.2 ヒートポンプの 基 盤 技 術 である 冷 媒 に 関 する 提 言 ヒートポンプで 使 用 する 冷 媒 は モントリオール 議 定 書 に 基 づくオゾン 層 破 壊 防 止 の 観 点 からHFC 冷 媒 (ハイドロフロオロカーボン)への 転 換 が 進 められてきた しかしなが ら HFC 冷 媒 は 地 球 温 暖 化 係 数 が 高 く 大 気 放 出 時 の 温 暖 化 影 響 は 大 きい ヒートポンプの 普 及 を 進 める 上 で 冷 媒 管 理 社 会 システムの 構 築 と 低 GWP 注 2 型 冷 媒 媒 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 は 重 要 な 課 題 である 注 2:Global Warming Potential( 地 球 温 暖 化 係 数 ) 施 策 1: 冷 媒 管 理 社 会 システムの 構 築 冷 凍 冷 蔵 から 空 調 給 湯 まで 幅 広 く 利 用 されている 現 行 のHFC 冷 媒 は 高 効 率 ヒー トポンプの 基 幹 冷 媒 であり その 継 続 使 用 は 不 可 欠 である 機 器 メーカー 設 置 工 事 事 業 者 メンテナンス 事 業 者 等 の 業 界 全 体 の 取 り 組 みにより 冷 媒 管 理 サイクルを 確 立 し 冷 媒 管 理 社 会 システムを 構 築 する 必 要 がある ヒートポンプ 技 術 先 進 国 である 我 が 国 は 冷 媒 管 理 においても 世 界 最 先 端 を 目 指 すべき である 施 策 2: 低 GWP 冷 媒 ヒートポンプの 開 発 冷 媒 による 温 暖 化 影 響 低 減 の 抜 本 対 策 として 地 球 温 暖 化 係 数 の 低 い 冷 媒 への 移 行 を 目 的 とした 技 術 開 発 を 進 める 必 要 がある 低 GWP 冷 媒 ヒートポンプの 技 術 開 発 としては2つのアプローチがある 一 つはエコキ ュート(CO2 冷 媒 ヒートポンプ 給 湯 機 )に 代 表 される 自 然 冷 媒 の 活 用 による 技 術 開 発 であり もう 一 つは 低 GWP 型 冷 媒 の 活 用 による 技 術 開 発 である 3

5 1) 自 然 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 開 発 CO2 水 アンモニア 等 の 自 然 冷 媒 を 活 用 したヒートポンプの 効 率 向 上 と 適 用 拡 大 2) 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 低 GWP 型 基 幹 冷 媒 の 開 発 これを 活 用 した 混 合 冷 媒 の 開 発 と 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒ ートポンプの 早 期 実 用 化 4.3 ヒートポンプの 政 策 的 位 置 付 けの 明 確 化 と 普 及 環 境 の 整 備 に 関 する 提 言 施 策 1: 国 策 としての 導 入 促 進 本 年 8 月 エネルギー 供 給 構 造 高 度 化 法 の 施 行 令 においてヒートポンプによって 利 用 さ れる 大 気 熱 は 再 生 可 能 エネルギーとして 定 義 されている 低 炭 素 社 会 実 現 のキーテクノロジーであるヒートポンプを 我 が 国 の 温 室 効 果 ガス 削 減 の ための 主 要 技 術 と 位 置 付 け 民 生 分 野 および 産 業 分 野 において 重 点 的 な 導 入 を 関 係 省 庁 と 産 業 界 が 連 携 し 促 進 していく 必 要 がある 1) 政 策 的 位 置 付 けの 明 確 化 ヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 未 利 用 エネルギー( 河 川 水 海 水 下 水 地 中 熱 排 熱 等 ) を 再 生 可 能 エネルギーとして 政 策 的 に 明 確 に 位 置 付 ける 地 球 温 暖 化 対 策 基 本 法 において ヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 未 利 用 エネ ルギー( 河 川 水 海 水 下 水 地 中 熱 排 熱 等 ) を 再 生 可 能 エネルギーとして 明 確 に 位 置 付 ける 新 エネルギー 法 の 政 令 改 正 を 行 い ヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 未 利 用 エ ネルギー( 河 川 水 海 水 下 水 地 中 熱 排 熱 等 ) を 新 エネルギーとして 定 義 づける 2) 再 生 可 能 エネルギー 導 入 量 の 数 値 目 標 設 定 国 としてヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 等 を 含 めた 再 生 可 能 エネルギー 導 入 量 比 率 を 2020 年 最 終 エネルギー 消 費 ベースで 数 値 目 標 設 定 する 3) 大 気 熱 利 用 量 のデータ 整 備 国 としてヒートポンプによる 大 気 熱 等 のエネルギー 利 用 量 の 算 定 手 法 を 定 め 総 合 エ ネルギー 統 計 へのデータ 反 映 を 行 い 再 生 可 能 エネルギー 導 入 目 標 の 達 成 指 標 とする 4) 行 政 の 体 制 整 備 ヒートポンプ 推 進 の 核 となる 所 管 部 署 を 明 確 化 し 普 及 促 進 に 向 けた 専 門 組 織 ( 例 : ヒートポンプ 推 進 室 )を 設 置 する 5) 地 方 自 治 体 による 導 入 促 進 地 域 新 エネ 再 生 可 能 エネルギー 導 入 ビジョンへの 盛 り 込 み 地 方 自 治 体 補 助 事 業 の 推 進 低 炭 素 都 市 づくりの 中 核 技 術 としてのヒートポンプ 導 入 等 を 促 進 する 必 要 がある 施 策 2:ヒートポンプ 導 入 インセンティブの 強 化 ヒートポンプ 空 調 機 やヒートポンプ 給 湯 機 については 既 に 数 多 くの 機 種 が 製 品 化 され ており その 導 入 拡 大 によってCO2 排 出 量 の 大 幅 な 削 減 が 可 能 となる しかしながら 機 器 価 格 が 燃 焼 式 機 器 に 対 し 比 較 的 高 価 であり その 導 入 は 依 然 として 4

6 限 定 的 である 国 による 補 助 金 制 度 の 継 続 強 化 普 及 を 促 す 抜 本 的 な 施 策 が 必 要 な 状 況 にある 1) 助 成 制 度 の 強 化 平 成 22 年 度 上 期 で 廃 止 される 現 行 の 高 効 率 空 調 機 導 入 支 援 事 業 補 助 金 制 度 高 効 率 給 湯 器 導 入 促 進 事 業 補 助 金 (エコキュート 補 助 金 ) 等 の 助 成 制 度 の 延 長 に 加 え 更 なる 普 及 を 促 す 施 策 が 必 要 である (ヒートポンプ 導 入 助 成 施 策 案 ) エコポイント 制 度 の 改 正 を 行 い ヒートポンプを 対 象 化 する ( 導 入 の 意 識 付 け) エコポイント 制 度 の 対 象 機 器 として 高 効 率 ヒートポンプ 機 器 を 追 加 する 住 宅 版 エコポイント 制 度 のリフォーム 時 の 対 象 機 器 として 高 効 率 ヒートポン プ 機 器 を 追 加 する エネルギー 需 給 構 造 改 革 投 資 促 進 税 制 の 改 正 を 行 い 中 小 企 業 事 業 者 に 限 定 された 基 準 取 得 価 額 に 対 する 税 額 控 除 を 大 企 業 に 対 しても 適 用 する ( 税 制 優 遇 対 象 の 拡 大 ) 2) 新 エネルギー 補 助 事 業 における 対 象 化 新 エネ 導 入 補 助 事 業 地 域 新 エネ 導 入 事 業 の 対 象 にヒートポンプを 追 加 する 3) 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 法 報 告 における 見 える 化 ヒートポンプ 導 入 によるCO2 排 出 削 減 効 果 を 適 切 に 評 価 するために 見 える 化 す る 必 要 がある 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 法 による 事 業 者 のCO2 排 出 量 の 実 績 報 告 において ヒートポン プの 大 気 熱 等 の 利 用 による 対 策 効 果 を 見 える 化 させる 4) 国 内 CDMを 通 じた 民 間 資 金 による 導 入 支 援 ヒートポンプ 導 入 によるCO2 排 出 削 減 量 を 証 書 化 (クレジット 化 )し 導 入 企 業 団 体 に 対 し 国 内 CDMを 通 じた 民 間 資 金 による 支 援 を 活 性 化 する 施 策 3: 情 報 発 信 活 動 の 強 化 実 証 データに 基 づく 導 入 メリットの 訴 求 など 需 要 者 に 対 する 情 報 発 信 の 強 化 は 重 要 であ る 需 要 者 に 加 え 設 計 事 務 所 建 設 会 社 設 備 会 社 等 に 対 するシンポジウムやセミナー 講 習 会 を 通 じた 理 解 活 動 を 強 化 していかなければならない 1) 国 による 広 報 活 動 政 府 広 報 等 のメディアを 通 じ 需 要 サイドにおけるヒートポンプ 導 入 の 意 義 を 発 信 す ることで ヒートポンプの 認 知 度 を 高 め 国 策 としての 普 及 促 進 を 広 く 国 民 に 訴 える また 我 が 国 のヒートポンプ 技 術 による 国 際 環 境 貢 献 という 観 点 から 新 興 国 発 展 途 上 国 への 情 報 発 信 も 行 う 必 要 がある 2) 公 益 法 人 による 情 報 発 信 活 動 の 強 化 国 による 活 動 支 援 財 団 法 人 ヒートポンプ 蓄 熱 センターはヒートポンプの 普 及 促 進 活 動 を 行 う 唯 一 のナ ショナルセンターである 同 センターによるシンポジウムやセミナー 講 習 会 を 通 じた ヒートポンプの 理 解 活 動 については 一 層 の 強 化 が 必 要 であり 国 からの 更 なる 活 動 支 援 も 必 要 である 5

7 3) 設 備 設 計 実 務 者 等 への 啓 発 活 動 の 推 進 ヒートポンプの 普 及 促 進 を 図 る 上 で 設 備 設 計 施 工 に 携 わる 実 務 者 への 啓 発 は 不 可 欠 である 設 計 事 務 所 建 設 会 社 設 備 会 社 等 に 対 する 講 習 会 の 実 施 設 備 設 計 マニュ アルの 配 布 などが 必 要 である また 中 長 期 的 観 点 から 教 育 研 究 機 関 への 啓 発 活 動 も 重 要 と 考 えられる 機 械 工 学 建 築 分 野 のみならず エネルギー 工 学 経 済 学 環 境 工 学 政 治 学 等 への 多 面 的 な 啓 発 活 動 を 行 うことで ヒートポンプの 学 術 的 評 価 社 会 的 評 価 の 向 上 技 術 革 新 基 盤 の 醸 成 が 期 待 できる ( 国 家 資 格 制 度 におけるヒートポンプ 啓 発 強 化 案 ) 建 築 設 備 士 やエネルギー 管 理 士 等 の 国 家 資 格 制 度 におけるヒートポンプ 教 育 の 充 実 化 を 図 る 施 策 4:ヒートポンプ 普 及 のための 市 場 環 境 整 備 ヒートポンプ 機 器 価 格 の 低 減 に 向 けた 取 り 組 みを 強 化 し 普 及 のための 市 場 環 境 を 整 備 する 必 要 がある 低 価 格 化 の 実 現 には 海 外 も 含 めた 市 場 拡 大 による 量 産 効 果 と 低 価 格 生 産 の 追 求 製 造 設 備 投 資 支 援 が 必 要 と 考 える 1) 海 外 市 場 の 開 拓 政 府 の 国 際 協 力 を 通 じた 海 外 市 場 の 開 拓 とメーカー 独 自 の 海 外 市 場 開 拓 により 量 産 効 果 を 生 み 出 し 普 及 台 数 を 拡 大 することでヒートポンプの 低 価 格 化 を 実 現 する 世 界 最 先 端 のヒートポンプ 技 術 を 海 外 展 開 することで 新 興 国 等 のCO2 排 出 削 減 へ の 貢 献 効 果 を 温 暖 化 対 策 に 関 わる 国 際 交 渉 ツールや 排 出 権 として 活 用 することも 考 えら れる 2)メーカーによる 低 価 格 化 ヒートポンプ 機 器 メーカーの 生 産 工 程 における 低 価 格 化 については より 一 層 の 努 力 が 求 められる 構 成 部 材 の 共 有 化 部 品 点 数 の 削 減 構 成 部 材 仕 様 製 造 工 程 の 見 直 し により さらなる 低 価 格 化 を 進 めていかなければならない 3)ヒートポンプ 機 器 メーカーへの 製 造 コストダウン 投 資 支 援 製 造 設 備 投 資 への 補 助 または 税 制 優 遇 を 行 うことで ヒートポンプ 機 器 メーカーの 開 発 製 造 コストの 軽 減 を 図 り ヒートポンプの 低 価 格 化 を 促 すことも 必 要 である 平 成 21 年 度 に 創 設 された 資 源 生 産 性 向 上 促 進 税 制 の 対 象 機 器 にヒートポンプを 加 えることを 提 案 する 施 策 5: 関 連 法 規 の 規 制 緩 和 ヒートポンプ 導 入 促 進 に 向 けた 法 制 度 の 改 善 も 重 要 である 高 圧 ガス 保 安 法 等 の 既 存 の 関 連 法 規 については 関 係 省 庁 との 調 整 により 適 宜 見 直 しを 行 う 必 要 がある ( 高 圧 ガス 保 安 法 におけるヒートポンプの 規 制 緩 和 要 望 案 ) 不 活 性 フルオロカーボン 冷 媒 の 第 一 種 冷 凍 設 備 製 造 者 基 準 の 引 き 上 げ( 法 律 第 5 条 第 1 項 第 2 項 施 行 令 第 4 条 ) 不 活 性 フルオロカーボン 冷 媒 の 第 一 種 冷 凍 設 備 におけるヒートポンプ 合 算 の 除 外 措 置 ( 平 成 9 年 9 月 29 日 通 産 省 通 達 平 成 10 年 4 月 1 日 施 行 ) 6

8 二 酸 化 炭 素 (CO2) 冷 媒 の 第 二 種 冷 凍 設 備 製 造 者 基 準 の 引 き 上 げ( 法 律 第 5 条 第 1 項 第 2 項 ) 二 酸 化 炭 素 (CO2) 冷 媒 のフィールド 充 填 作 業 の 認 可 ( 法 律 第 13 条 ) ( 建 築 基 準 法 における 容 積 率 緩 和 措 置 の 改 善 要 望 案 ) 建 物 用 途 適 用 範 囲 の 拡 大 とヒートポンプ 機 器 システム 全 般 へ 適 用 拡 大 自 治 体 による 個 別 判 断 によらない 原 則 緩 和 措 置 とする ( 法 律 52 条 第 8 項 ) 現 状 は 集 合 住 宅 等 へのエコキュート(CO2 冷 媒 ヒートポンプ 給 湯 機 )の 導 入 に 限 定 され 適 用 の 可 否 は 自 治 体 審 議 会 の 個 別 判 断 による 許 可 までは1~2ヶ 月 を 要 する 施 策 6:ヒートポンプ 導 入 を 促 進 する 社 会 システムの 整 備 抜 本 的 な 普 及 施 策 として ヒートポンプの 導 入 を 前 提 とした 社 会 システムの 整 備 を 提 案 する 民 生 分 野 および 産 業 用 分 野 での 空 調 設 備 給 湯 設 備 加 熱 冷 却 設 備 のシステム 構 築 において 可 能 な 限 りヒートポンプの 導 入 を 義 務 付 ける 制 度 設 計 省 エネルギー 法 の 見 直 し 等 を 検 討 することも 必 要 である 7

9 目 次 はじめに 1. 本 プロジェクトの 基 本 的 な 考 え 方 2.CO2 排 出 量 とエネルギー 利 用 の 現 状 2.1 CO2 排 出 量 の 現 状 2.2 エネルギー 利 用 の 現 状 3.ヒートポンプの 特 徴 と 導 入 メリット 3.1 ヒートポンプ 機 器 システムの 原 理 省 エネルギー 性 3.2 ヒートポンプの 導 入 メリット 3.3 ヒートポンプのCO2 排 出 削 減 ポテンシャル 4.ヒートポンプの 現 状 4.1 ヒートポンプの 適 用 分 野 4.2 ヒートポンプの 普 及 状 況 と 熱 源 シェアの 現 状 4.3 ヒートポンプ 運 転 効 率 の 現 状 4.4 ヒートポンプの 技 術 開 発 政 策 4.5 ヒートポンプの 普 及 政 策 4.6 海 外 のヒートポンプ 動 向 5.ヒートポンプの 課 題 6.ヒートポンプ 普 及 促 進 に 向 けた 提 言 および 施 策 6.1 効 率 向 上 と 産 業 用 途 等 への 適 用 拡 大 を 目 的 とした 技 術 開 発 に 関 する 提 言 6.2 ヒートポンプの 基 盤 技 術 である 冷 媒 に 関 する 提 言 6.3 ヒートポンプの 政 策 的 位 置 付 けの 明 確 化 と 普 及 環 境 の 整 備 に 関 する 提 言 あとがき 8

10 はじめに 持 続 可 能 な 社 会 を 構 築 していくためには 低 炭 素 社 会 へのシフトが 必 要 不 可 欠 であり その 実 現 には エネルギーの 供 給 側 と 需 要 側 が 一 体 となって 取 り 組 みを 進 めていく 必 要 がある エネルギーの 供 給 側 としては 可 能 な 限 り 化 石 燃 料 を 抑 制 したエネルギー 供 給 を 行 うことでC O2 排 出 量 の 低 減 を 図 る 必 要 があり 需 要 側 としては 限 りある 資 源 の 有 効 活 用 とエネルギーの 効 率 的 な 利 用 が 求 められる つまり より 高 効 率 なエネルギー 利 用 機 器 を 選 択 することが 社 会 全 体 の 省 エネルギーと 省 CO2 を 実 現 することになる 地 球 環 境 保 全 への 意 識 の 高 まりから ヒートポンプや 電 気 自 動 車 が 高 効 率 なエネルギー 利 用 機 器 として 着 目 され CO2 排 出 量 削 減 のキーテクノロジーとして 期 待 されている 本 プロジェクトでは 我 が 国 のエネルギー 消 費 量 とCO2 排 出 量 の 大 幅 な 削 減 のため 民 生 部 門 と 産 業 部 門 の 冷 暖 房 給 湯 加 熱 で 使 用 されている 燃 焼 式 機 器 を 高 効 率 なヒートポンプに 代 替 することを 目 指 し その 導 入 促 進 施 策 と 解 決 すべき 課 題 を 検 討 した 本 報 告 書 では 今 後 の 技 術 開 発 の 方 向 性 と 課 題 普 及 環 境 の 整 備 に 向 けた 提 案 を 示 している ヒートポンプは 自 然 界 にあまねく 存 在 するクリーンで 無 尽 蔵 な 大 気 等 の 熱 を 利 用 する 高 効 率 機 器 であり その 普 及 は 化 石 燃 料 依 存 からの 脱 却 を 実 現 し 持 続 可 能 な 低 炭 素 社 会 の 構 築 に 資 するものである 官 民 を 挙 げて 普 及 促 進 に 取 り 組 むことを 期 待 する 2010 年 3 月 産 業 競 争 力 懇 談 会 会 長 ( 代 表 幹 事 ) 勝 俣 恒 久 9

11 プロジェクトメンバー プロジェクトリーダー : 片 倉 百 樹 ( 東 京 電 力 株 式 会 社 ) サブ リーダー : 久 間 和 生 ( 三 菱 電 機 株 式 会 社 ) メンバー : 池 田 英 人 ( 株 式 会 社 IHI) ( 会 社 名 50 音 順 ) 中 山 隆 幸 ( 株 式 会 社 IHI) 平 田 淳 ( 株 式 会 社 IHI) 佐 藤 道 夫 (エーザイ 株 式 会 社 ) 阿 部 一 男 (エーザイ 株 式 会 社 ) 国 平 浩 士 ( 鹿 島 建 設 株 式 会 社 ) 毛 利 修 三 ( 株 式 会 社 神 戸 製 鋼 所 ) 宮 地 利 和 ( 株 式 会 社 神 戸 製 鋼 所 ) 野 島 康 嗣 ( 住 友 商 事 株 式 会 社 ) 坂 本 雄 三 ( 国 立 大 学 法 人 東 京 大 学 ) 政 本 努 ( 東 芝 キヤリア 株 式 会 社 ) 戸 草 健 治 ( 日 立 アプライアンス 株 式 会 社 ) 松 嶋 弘 章 ( 株 式 会 社 日 立 製 作 所 ) 川 上 孝 ( 三 菱 重 工 冷 熱 システム 株 式 会 社 ) 関 亘 ( 三 菱 重 工 業 株 式 会 社 ) 渡 邉 優 子 ( 三 菱 商 事 株 式 会 社 ) 田 中 健 一 ( 三 菱 電 機 株 式 会 社 ) 幸 田 利 秀 ( 三 菱 電 機 株 式 会 社 ) オブザーバー : 佐 々 木 正 信 ( 財 団 法 人 ヒートポンプ 蓄 熱 センター) 事 務 局 : 小 田 原 寛 舘 山 陵 太 郎 石 塚 浩 司 ( 東 京 電 力 株 式 会 社 ) 10

12 1. 本 プロジェクトの 基 本 的 な 考 え 方 化 石 エネルギー 消 費 による 地 球 温 暖 化 の 影 響 は 既 に 顕 在 化 しており この 危 機 的 な 状 況 か ら 脱 するためには 2050 年 までに 少 なくとも 世 界 全 体 のCO2 排 出 量 を 半 減 させる 必 要 があ るとされている 鳩 山 首 相 は 温 暖 化 ガスの 2020 年 の 中 期 目 標 として 1990 年 比 25% 削 減 と いう 高 い 目 標 を 表 明 している CO2 排 出 量 削 減 のカギは エネルギー 利 用 効 率 の 飛 躍 的 向 上 と エネルギーの 脱 炭 素 化 の 実 現 にある この 二 つを 同 時 に 達 成 するキーテクノロジーが ヒートポンプ である 天 然 資 源 に 恵 まれない 日 本 では 1970 年 代 の 石 油 危 機 を 契 機 に 国 を 挙 げてエネルギー 利 用 の 効 率 化 を 進 め 現 在 では 世 界 最 高 水 準 の 省 エネルギーを 実 現 するに 至 った それを 可 能 にした 技 術 の 大 きな 柱 の 一 つがヒートポンプであり 家 庭 用 のエアコンや 冷 蔵 庫 給 湯 機 洗 濯 乾 燥 機 業 務 用 の 空 調 機 給 湯 機 産 業 用 の 冷 却 加 熱 など 様 々なエネルギー 利 用 機 器 に 導 入 されている ヒートポンプはその 高 効 率 性 により 高 いCO2 排 出 抑 制 効 果 が 得 られるため その 導 入 は 即 座 にCO2 排 出 量 の 大 幅 な 削 減 に 寄 与 する しかしながら 我 が 国 では 熱 需 要 に 対 して 従 来 の 燃 焼 式 機 器 の 導 入 が 依 然 として 多 く ヒートポンプを 導 入 拡 大 できる 余 地 (CO2 排 出 削 減 ポテンシャル)は 大 きい 低 炭 素 社 会 の 実 現 に 向 けては 空 調 設 備 や 給 湯 設 備 としての 高 効 率 ヒートポンプの 更 なる 普 及 促 進 が 不 可 欠 である 本 プロジェクトは ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 と 今 後 の 普 及 環 境 の 整 備 に 向 けた 施 策 に ついて 提 言 する 2.CO2 排 出 量 とエネルギー 利 用 の 現 状 2.1 CO2 排 出 量 の 現 状 1) 我 が 国 のCO2 排 出 量 の 推 移 京 都 議 定 書 の 第 一 約 束 期 間 が 2008 年 より 始 まった 我 が 国 は 基 準 年 である 1990 年 比 6%の 温 室 効 果 ガス 削 減 義 務 が 課 せられている しかし 環 境 省 から 公 表 された 2007 年 度 の 温 室 効 果 ガス 総 排 出 量 は 13 億 7,400 万 t-co2 となっており 1990 年 の 総 排 出 量 12 億 6,100 万 t-co2 より 9%(1 億 1,300 万 t-co2) 増 加 している つまり 京 都 議 定 書 の 削 減 義 務 を 果 たすには 基 準 年 比 15%(1 億 8,866 万 t-co2)の 削 減 が 必 要 と いうことになる また 新 政 権 の 2020 年 の 削 減 目 標 は 1990 年 比 25%と 非 常 に 大 きく その 達 成 のためには 現 状 から 約 4.3 億 t-co2 の 削 減 が 必 要 となっている ( 図 1) CO2 排 出 量 ( 億 t-co2) 図 1 日 本 の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 の 推 移 億 トン 削 減 エネルギー 転 換 部 門 運 輸 部 門 民 生 部 門 1990 年 比 25% 削 減 の 場 合 産 業 部 門 2.5 その 他 部 門 のCO2 排 出 量 及 び CO2 以 外 の 温 室 効 果 ガス 出 典 : 温 室 効 果 ガスインベントリオフィス

13 2)CO2 排 出 量 の 部 門 別 構 成 比 我 が 国 のCO2 排 出 量 の 部 門 別 構 成 比 を 図 2 に 示 す 産 業 部 門 (46%)を 筆 頭 に 運 輸 分 野 (19%) 業 務 部 門 (18%) 家 庭 部 門 (14%)の 順 である ( 図 2) 図 2 日 本 のCO2 排 出 量 の 部 門 別 構 成 比 工 業 プロセス 家 庭 関 連 約 21% 一 般 廃 棄 物 1% エネルギー 転 換 ( 発 電 所 ガス 工 場 精 油 所 等 での 自 家 消 費 分 ) 運 輸 ( 家 庭 の 自 家 用 車 ) 産 業 廃 棄 物 等 2% 家 庭 ( 家 庭 での 冷 暖 房 給 湯 家 電 使 用 等 ) 6% 業 務 その 他 ( 商 業 サービス 事 務 所 等 ) 18% 14% 13% 運 輸 ( 貨 物 車 企 業 の 自 家 用 車 船 舶 等 ) 4% 6% 産 業 ( 製 造 業 建 設 業 鉱 業 農 林 水 産 業 ) 36% 出 典 : 環 境 省 報 道 資 料 (2009 年 4 月 30 日 ) 2007 年 度 ( 平 成 19 年 度 )の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 ( 確 定 値 ) について(お 知 らせ) を 基 に 作 成 3)CO2 排 出 量 の 増 減 率 の 推 移 民 生 部 門 では 業 務 用 で 1990 年 比 約 40% 家 庭 用 で 同 約 30%とそれぞれCO2 排 出 量 が 大 幅 に 増 加 している ( 図 3) 民 生 部 門 のCO2 排 出 量 は 年 々 増 加 傾 向 にあり 対 策 が 急 務 とされている 図 3 日 本 のCO2 排 出 量 増 減 率 ( 基 準 年 比 )の 推 移 % 30.2% 産 業 部 門 運 輸 部 門 業 務 その 他 部 門 家 庭 部 門 1990 年 度 = % % 年 度 出 典 :( 独 ) 国 立 環 境 研 究 所 温 室 効 果 ガス 排 出 量 吸 収 量 データベースより 12

14 2.2 エネルギー 利 用 の 現 状 我 が 国 の 最 終 エネルギー 消 費 は 産 業 部 門 が 5 割 民 生 部 門 が 3 割 運 輸 部 門 が 2 割 と いう 構 造 であり とりわけ 民 生 部 門 の 最 終 エネルギー 消 費 は 近 年 増 加 傾 向 にあるため そ の 抑 制 が 急 務 である ( 図 4) 図 4 我 が 国 の 部 門 別 最 終 エネルギー 消 費 構 造 出 典 :エネルギー 白 書 2009 年 版 民 生 部 門 におけるエネルギーの 使 われ 方 を 見 ると 家 庭 用 では 暖 房 と 給 湯 が 約 55%を 占 め ており 業 務 用 では 冷 暖 房 給 湯 が 約 45%を 占 めている この 熱 需 要 において 家 庭 用 では 約 9 割 業 務 用 では 約 8 割 がガスや 石 油 といった 化 石 燃 料 を 燃 焼 する 機 器 で 賄 われている ( 図 5 図 6) 民 生 部 門 の 冷 暖 房 給 湯 需 要 に 対 応 する 設 備 機 器 として 現 状 の 燃 焼 式 機 器 から 高 効 率 な ヒートポンプに 代 替 することにより エネルギー 消 費 量 とCO2 排 出 量 の 大 幅 な 低 減 が 可 能 と 言 える 図 5 民 生 部 門 ( 家 庭 用 )の 用 途 別 エネルギー 比 率 と 熱 源 構 成 比 率 冷 房 用 2.6% 石 油 64.5% 電 気 13.3% ガス 22.2% 照 明 その 他 42.6% 給 湯 用 29.9% 暖 房 用 25.0% その 他 3.8% 石 油 21.6% 電 気 10.5% ガス 64.2% 出 典 :エネルギー 経 済 統 計 要 覧 2009 より 作 成 13

15 図 6 民 生 部 門 ( 業 務 用 )の 用 途 別 エネルギー 比 率 と 熱 源 構 成 比 率 石 油 6% その 他 6% その 他 2.9% 電 気 7.2% 電 気 39% ガス 20.0% ガス 49% 石 油 69.8% 冷 房 用 11.5% 照 明 その 他 54.6% 暖 房 用 17.9% その 他 11.1% 電 気 3.5% 給 湯 用 16.0% 石 油 46.7% ガス 38.7% 出 典 :エネルギー 経 済 統 計 要 覧 2009 より 作 成 14

16 3.ヒートポンプの 特 徴 と 導 入 メリット ヒートポンプには 二 つの 大 きな 特 徴 がある 一 つは 燃 焼 によって 新 たに 熱 エネルギーを 作 り 出 す のではなく 系 内 ( 例 えば 室 内 ) と 系 外 ( 例 えば 室 外 )との 間 で 熱 エネルギーを 移 動 させる ということである 熱 力 学 の 基 本 原 理 を 応 用 したシンプルな 熱 輸 送 機 関 であり エアコンや 冷 蔵 庫 等 に 幅 広 く 利 用 され 既 に 幅 広 く 普 及 している もう 一 つは 理 論 上 燃 焼 式 に 比 べエネルギー 消 費 効 率 (COP)が 良 いということであ る 熱 輸 送 動 力 のために 消 費 される 投 入 エネルギー( 電 力 )に 対 し 3~6 倍 の 熱 エネルギ ーを 輸 送 することができる 化 石 燃 料 の 直 接 燃 焼 により 熱 を 得 るよりも 化 石 燃 料 等 で 作 り 出 した 電 力 を 用 い ヒートポンプによる 周 囲 熱 を 集 めた 方 が 効 率 よく 熱 を 得 ることができ はるかに 省 資 源 かつ 省 CO2 であることを 意 味 する 3.1 ヒートポンプ 機 器 システムの 原 理 省 エネルギー 性 1)ヒートポンプの 原 理 ヒートポンプ とは 水 を 低 所 から 高 所 に 汲 み 上 げるポンプのように 熱 を 低 温 か ら 高 温 に 汲 み 上 げる( 移 動 させる) 機 器 の 総 称 である ヒートポンプは 従 来 からエアコ ンなどに 使 われている 技 術 で CO2 やフロンなどの 冷 媒 の 状 態 変 化 を 利 用 し 空 気 な どから 熱 エネルギーを 汲 み 上 げ 移 動 させることで 冷 熱 や 温 熱 が 効 率 良 く 得 られる 技 術 である ( 図 7) 図 7 ヒートポンプの 原 理 出 典 : 民 生 部 門 における 革 新 的 なエネルギー 利 用 による 温 暖 化 対 策 技 術 - 超 高 効 率 ヒートポンプ- 内 閣 府 ( 総 合 科 学 技 術 会 議 ) 2008 年 1 月 30 日 2)ヒートポンプの 省 エネルギー 性 ヒートポンプの 効 率 については 大 気 から 熱 を 汲 み 上 げて 利 用 できる 熱 量 (Q)に 対 す るヒートポンプの 運 転 に 消 費 したエネルギー 量 (E)の 比 で 表 され その 値 をエネルギー 消 費 効 率 (COP:Coefficient of Performance)と 呼 んでいる ( 式 1) このCOPの 値 が 大 きいほど 効 率 が 高 いことを 示 す 式 1 ヒートポンプのエネルギー 消 費 効 率 (COP) 利 用 熱 量 (Q) エネルギー 消 費 効 率 (COP)= 投 入 エネルギー 量 (E) 15

17 ヒートポンプは 大 気 など 既 にある 熱 を 利 用 するため 投 入 した 電 気 エネルギーの 何 倍 もの 熱 エネルギーが 得 られる 最 新 の 空 調 用 ヒートポンプのエネルギー 消 費 効 率 (CO P)は7 以 上 であるため 必 要 なエネルギーに 対 し 消 費 するエネルギーは 1/7 以 下 という ことになる 3.2 ヒートポンプの 導 入 メリット 大 気 熱 等 を 利 用 する 高 効 率 なヒートポンプはその 導 入 により 様 々なメリットが 得 られる ( 図 8) 図 8 ヒートポンプの 導 入 メリット 大 気 熱 は 太 陽 熱 を 起 源 とする 再 生 可 能 エネルギー 再 生 可 能 ( ヒ ー ト ポ ン プ ) 大 気 の 熱 の 利 用 エネルギー 効 率 が 高 い 消 費 電 力 が 少 ない 化 石 燃 料 の 消 費 がわずか 省 エネ 省 CO2 省 コスト 利 用 場 所 で 燃 焼 しない 排 熱 排 ガスを 出 さない 都 市 環 境 に やさしい 1) 省 エネルギー 省 CO2 省 コスト ヒートポンプはその 高 効 率 性 により 高 い 省 エネルギー 効 果 と 大 きなCO2 削 減 効 果 が 得 られる 例 えば 給 湯 用 ヒートポンプの 場 合 燃 焼 式 給 湯 器 と 比 べ 約 35%の 一 次 エネ ルギー 量 の 削 減 と 約 50%のCO2 削 減 効 果 が 得 られる ( 図 9)また ヒートポンプ 給 湯 機 は 高 効 率 であることから 燃 焼 式 給 湯 器 に 比 べ 大 幅 なランニングコストの 低 減 が 可 能 で ある ( 図 10) 図 9 ヒートポンプ 給 湯 機 と 燃 焼 式 給 湯 器 の 環 境 性 比 較 電 力 会 社 の 電 気 ヒートポンプ 給 湯 機 燃 焼 式 給 湯 器 化 石 燃 料 消 費 量 64 火 力 24 高 効 率 ヒ ートポンプ 給 湯 機 化 石 燃 料 消 費 量 100 燃 焼 式 給 湯 器 CO2 排 出 量 48 水 力 原 子 力 電 力 会 社 の 電 気 給 湯 能 力 (kw) 給 湯 機 消 費 電 力 (kw) =3.8 給 湯 給 湯 能 力 (kw) 給 湯 器 の 単 位 時 間 あたり 消 費 電 力 (kw) =0.9 CO2 排 出 量 100 試 算 条 件 : 化 石 燃 料 CO 2 排 出 量 は 燃 焼 式 給 湯 器 を 100 とした 場 合 の 指 数 一 次 エネルギー 係 数 / 電 気 :9,760kJ/kWh 都 市 ガス:45,000kJ/Nm3(13A) CO 2 排 出 原 単 位 / 電 気 :0.373kg-CO 2 /kwh( 電 気 事 業 連 合 会 電 気 事 業 における 環 境 行 動 計 画 (2009 年 度 版 ) データ 年 度 :2008 年 度 実 績 ( 地 球 温 暖 化 対 策 の 推 進 に 関 する 法 律 で 定 められた 方 法 により 京 都 メカニズムクレジットを 反 映 したもの) 都 市 ガス:0.0506kg-CO 2 /MJ( 地 球 温 暖 化 対 策 の 推 進 に 関 する 法 律 施 行 令 ) 16

18 図 10 ヒートポンプ 給 湯 機 の 経 済 性 (ランニングコスト 比 較 ) 燃 焼 式 給 湯 器 ( 都 市 ガス) ヒートポンプ 給 湯 機 試 算 条 件 : エネルギー 料 金 電 気 : 東 京 電 力 業 務 用 電 力 夏 季 電 力 量 料 金 単 価 ( 基 本 料 金 は 除 く) ガス: 東 京 ガス 一 般 料 金 F 単 価 ( 基 本 料 金 は 除 く) 2008 年 10 月 時 点 の 料 金 単 価 を 使 用 ( 燃 料 費 調 整 額 等 を 含 む) 2) 環 境 にやさしい ヒートポンプは 燃 焼 を 伴 わない 熱 搬 送 機 関 であるため 利 用 場 所 で 排 熱 排 ガスを 出 さないため 環 境 にやさしい 機 器 である また 動 力 源 の 電 力 についてもその 高 効 率 性 により 少 ない 消 費 電 力 で 済 むことから 発 電 に 伴 う 化 石 燃 料 消 費 も 抑 制 される 3) 再 生 可 能 エネルギー 導 入 目 標 への 貢 献 近 年 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 が 世 界 的 に 着 目 されている 再 生 可 能 エネルギーと は 自 然 界 にあまねく 存 在 するクリーンで 無 尽 蔵 のエネルギーであり 太 陽 光 風 力 水 力 地 熱 太 陽 熱 大 気 中 の 熱 バイオマス 等 の 非 化 石 エネルギー 源 を 指 す 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 は 脱 炭 素 と 脱 温 暖 化 のための 施 策 として 世 界 各 国 でその 促 進 を 目 指 すものである 2009 年 6 月 欧 州 では 再 生 可 能 エネルギー 推 進 に 関 する 指 令 (EU 指 令 )におい て 一 定 効 率 以 上 のヒートポンプにより 利 用 する 空 気 熱 地 中 熱 河 川 水 熱 海 水 熱 を 再 生 可 能 エネルギーと 定 義 し ヒートポンプの 普 及 促 進 を 展 開 している 我 が 国 では 2009 年 4 月 17 日 の 経 済 財 政 諮 問 会 議 で 発 表 された 未 来 開 拓 戦 略 (Jリカバリー プラン)において 再 生 可 能 エネルギー 導 入 指 標 について EU 方 式 を 踏 まえ 最 終 エネルギー 消 費 に 対 する 比 率 (ヒートポンプ 等 を 含 む)として 2020 年 頃 に 20% 程 度 (2005 年 10% 程 度 )を 目 指 す ことが 示 された また 2009 年 8 月 エネルギー 供 給 構 造 高 度 化 法 の 施 行 令 においてヒートポンプに よって 活 用 される 大 気 熱 等 は 再 生 可 能 エネルギーとして 定 義 されている ヒートポンプの 導 入 は 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 促 進 に 貢 献 する 17

19 3.3 ヒートポンプのCO2 排 出 削 減 ポテンシャル ( 財 )ヒートポンプ 蓄 熱 センターの 試 算 では 現 在 日 本 で 使 われている 民 生 部 門 ( 業 務 用 家 庭 用 )の 空 調 と 給 湯 で 使 用 されている 燃 焼 式 システム 全 てをヒートポンプシステ ムに 置 き 換 えることで 約 1 億 トンのCO2 排 出 量 が 削 減 可 能 としている また 同 様 に 産 業 部 門 のボイラによる 工 場 空 調 加 湿 100 未 満 の 乾 燥 分 野 の 燃 焼 式 システムを 全 てヒ ートポンプシステムに 置 き 換 えることで 更 に 約 3,000 万 トンの 削 減 が 可 能 となり 民 生 部 門 と 産 業 部 門 合 わせたCO2 排 出 削 減 ポテンシャルは 年 間 約 1.3 億 トンと 推 計 される これ は 日 本 の 温 室 効 果 ガス 年 間 総 排 出 量 13 億 7,400 万 トンの 約 1 割 に 当 たる 大 きなもので ある ( 図 11) 図 11 ヒートポンプによるCO2 排 出 削 減 ポテンシャル 出 典 : 温 室 効 果 ガスインベントリ ( 環 境 省 2004 年 データ) エネルギー 経 済 統 計 要 覧 ( 日 本 エネルギー 研 究 所 2002 年 度 データ 2004 年 度 データ) 石 油 等 消 費 構 造 統 計 2001 ( 経 済 産 業 省 ) より 作 成 18

20 4.ヒートポンプの 現 状 4.1 ヒートポンプの 適 用 分 野 熱 需 要 に 対 するヒートポンプの 適 用 温 度 帯 はマイナス 領 域 から 100 程 度 であり 家 庭 用 冷 房 家 庭 用 冷 蔵 庫 を 中 心 に 利 用 されており 高 い 普 及 率 を 達 成 している 一 方 暖 房 給 湯 乾 燥 などの 加 熱 用 としては 低 価 格 な 化 石 燃 料 を 燃 焼 させるボイラ 等 の 給 湯 機 器 が 一 般 的 であり 普 及 拡 大 の 余 地 があると 言 える ( 図 12) 図 12 ヒートポンプの 適 用 分 野 出 典 :ヒートポンプ 蓄 熱 白 書 Ⅱ 4.2 ヒートポンプの 普 及 状 況 と 熱 源 シェアの 現 状 民 生 部 門 の 内 家 庭 用 ヒートポンプとしては 空 調 用 のルームエアコンの 国 内 出 荷 台 数 は 年 間 700 万 台 普 及 率 は 約 89%に 達 している 給 湯 ヒートポンプの 国 内 出 荷 台 数 は 年 間 50 万 台 を 突 破 したものの 普 及 拡 大 の 余 地 は 大 きい 状 況 である 一 方 業 務 用 ヒートポンプは 空 調 設 備 としては 容 量 規 模 ベースで 約 66%のシェアを 占 めるが 燃 焼 式 空 調 機 ( 吸 収 式 冷 凍 機 GHPエアコン)が 同 34%と 依 然 として 高 いシェ アを 有 している ( 図 13) 図 年 度 における 空 調 機 器 のストックシェア 出 典 :ヒートポンプ 蓄 熱 白 書 Ⅱ GHP エアコン 13.2% 水 冷 式 チラー 1.0% 空 冷 式 冷 専 チラー 1.6% 空 冷 式 ヒートポンプチラー 0.9% 氷 蓄 熱 パッケージエアコン 1.1% 吸 収 式 冷 凍 機 21.1% 燃 焼 式 空 調 機 34.3% ターボ 冷 凍 機 7.1% 電 気 式 ヒートポンプ 65.7% 冷 暖 専 用 パッケージエアコン 48.8% 冷 房 専 用 パッケージ エアコン 5.2% 空 冷 式 ヒートポンプチラー 0.5% 空 冷 式 冷 専 チラー 0.8% 水 冷 式 チラー 0.5% 氷 蓄 熱 パッケージエアコン 1.2% 吸 収 式 冷 凍 機 0.6% GHPエアコン 7.1% 燃 焼 式 空 調 機 7.7% ターボ 冷 凍 機 0.1% 冷 房 専 用 パッケージ エアコン 8.5% 電 気 式 ヒートポンプ 92.2% 冷 暖 専 用 パッケージエアコン 80.4% 容 量 規 模 ベース( 計 66,523 千 USRT) 台 数 ベース( 計 15,342 千 台 ) 19

21 また 業 務 用 給 湯 分 野 においては 現 状 ほぼ 100%がボイラ 瞬 間 給 湯 器 などの 燃 焼 式 給 湯 機 器 で 占 められている 状 況 にある ( 図 14) 油 だき 12.9% 簡 易 ボイラ 39.5% ガスだき 6.9% 真 空 式 温 水 発 生 機 19.9% 油 だき 温 水 ボイラ 6.2% 小 型 貫 流 ボイラ 46.8% 図 年 度 における 給 湯 機 器 のストックシェア 小 型 給 湯 機 26.7% 都 市 ガス 20.6% 灯 油 6.1% 小 型 貫 流 ボイラ 7.3% ガスだき 温 水 ボイラ 0.4% 34.8~58.1kW 3.2% 58.1kW 以 上 3.1% 小 型 貫 流 ボイラ 4.6% 簡 易 ボイラ 5.5% 58.1kW 以 上 4.7% 34.8~58.1kW 8.4% ガスだき 温 水 ボイラ 0.6% 出 典 :ヒートポンプ 蓄 熱 白 書 Ⅱ ガスだき 2.9% 油 だき 温 水 ボイラ 13.2% 灯 油 15.5% 油 だき 5.4% 小 型 貫 流 ボイラ 10.0% 業 務 用 ヒートポンプ 0.2% 真 空 式 温 水 発 生 機 8.2% 小 型 給 湯 機 67.7% 都 市 ガス 52.2% 容 量 規 模 ベース( 計 161,676MW) 台 数 ベース( 計 1,298 千 台 ) 4.3 ヒートポンプ 運 転 効 率 の 現 状 近 年 我 が 国 のヒートポンプの 効 率 は 大 幅 に 進 展 している 家 庭 用 エアコンの 定 格 CO Pは 6 を 超 え 過 去 10 年 間 で 約 2 倍 に 向 上 している ( 図 15)また 家 庭 用 ヒートポン プ 給 湯 機 (エコキュート)の 定 格 COPは 5 に 達 し 過 去 5 年 で 約 40%の 効 率 向 上 が 図 ら れた 業 務 用 産 業 用 で 採 用 されるターボ 冷 凍 機 の 定 格 COPは 6 を 超 え インバーター 仕 様 機 の 場 合 には 部 分 負 荷 時 ( 軽 負 荷 時 )のCOPは 20 を 超 える 製 品 も 上 市 されている 我 が 国 のヒートポンプ 技 術 は 高 い 水 準 に 達 しており 世 界 を 大 きくリードしている 図 15 日 本 のヒートポンプ 機 器 の 運 転 効 率 (COP)の 現 状 出 典 : 東 京 電 力 パンフレット 20

22 4.4 ヒートポンプの 技 術 開 発 政 策 ヒートポンプは 国 の 技 術 開 発 政 策 の 中 でも 重 要 な 柱 として 位 置 付 けられている 1)Cool-Earth エネルギー 技 術 革 新 計 画 (2008 年 3 月 ) 2008 年 3 月 経 済 産 業 省 により Cool-Earth エネルギー 技 術 革 新 計 画 がとりまと められた 同 計 画 では 2050 年 の 大 幅 な 温 室 効 果 ガスの 削 減 に 向 けて 重 点 的 に 取 り 組 む べき 21 のエネルギー 革 新 技 術 開 発 の 一 つとしてヒートポンプを 選 定 している 2) 省 エネルギー 技 術 戦 略 2008(2008 年 4 月 ) 2008 年 4 月 経 済 産 業 省 資 源 エネルギー 庁 は 省 エネルギー 技 術 戦 略 2008 を 発 表 した 同 戦 略 では エネルギー 分 野 の 技 術 戦 略 を 下 記 の5つの 技 術 に 分 類 している 1 超 燃 焼 システム 技 術 の 技 術 戦 略 マップ 2 時 空 を 超 えたエネルギー 利 用 技 術 の 技 術 戦 略 マップ 3 省 エネ 型 情 報 生 活 空 間 創 生 技 術 の 技 術 戦 略 マップ 4 先 進 交 通 社 会 確 立 技 術 の 技 術 戦 略 マップ 5 次 世 代 省 エネデバイス 技 術 の 技 術 戦 略 マップ ヒートポンプは 上 記 2および3において 空 調 や 給 湯 などの 熱 利 用 分 野 の 重 要 技 術 と して 取 り 上 げられている 4.5 ヒートポンプの 普 及 政 策 我 が 国 における 現 状 のヒートポンプの 主 な 普 及 政 策 は 以 下 のとおりである 1) 京 都 議 定 書 目 標 達 成 計 画 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 法 に 基 づき 京 都 議 定 書 の6% 削 減 約 束 を 確 実 に 達 成 するために 必 要 な 措 置 を 定 めたもので 第 3 章 目 標 達 成 のための 対 策 と 施 策 の 中 でエコキュー トの 加 速 的 普 及 を 図 ることが 盛 り 込 まれており 家 庭 用 業 務 用 を 合 わせて 2010 年 度 普 及 目 標 520 万 台 が 掲 げられている また ヒートポンプ 式 の 業 務 用 高 効 率 空 調 機 1.2 万 台 の 普 及 目 標 も 示 されている 2)グリーン 購 入 法 氷 蓄 熱 式 ヒートポンプ 空 調 機 および 代 替 フロン 冷 媒 給 湯 機 も 含 む 高 性 能 なヒートポン プ 給 湯 機 はグリーン 購 入 法 の 対 象 ( 特 定 調 達 品 目 )となっており 国 等 の 公 的 機 関 が 率 先 して 調 達 すべきものとされている 3) 省 エネ 法 エネルギー 使 用 合 理 化 に 関 する 事 業 者 判 断 基 準 としてヒートポンプ 空 調 機 ヒートポ ンプ 給 湯 機 が 盛 り 込 まれており 空 調 給 湯 設 備 の 新 設 時 または 中 長 期 計 画 策 定 に 際 しヒートポンプ 機 器 の 導 入 検 討 が 求 められている 4) 公 的 な 助 成 制 度 高 効 率 なヒートポンプ 機 器 には さまざまな 公 的 助 成 制 度 が 設 けられており 国 によ る 助 成 制 度 として 補 助 金 税 制 優 遇 制 度 融 資 制 度 などがある このほか 地 方 自 治 体 に おいても 独 自 に 助 成 制 度 を 設 けている 現 行 のヒートポンプに 対 する 主 な 助 成 制 度 は 下 記 のとおりである 1 高 効 率 空 調 機 導 入 支 援 事 業 補 助 金 制 度 一 定 基 準 以 上 の 効 率 を 満 たすヒートポンプ 技 術 ( 蒸 気 圧 縮 式 )を 用 いた 空 気 調 和 設 備 の 室 外 機 または 熱 源 機 に 対 する 補 助 金 制 度 新 設 または 既 設 の 建 築 物 にヒートポン 21

23 プを 導 入 する 場 合 に その 経 費 の 一 部 が 補 助 される 2 高 効 率 給 湯 器 導 入 促 進 事 業 補 助 金 制 度 (エコキュート 補 助 金 制 度 ) CO2 冷 媒 を 使 用 するヒートポンプ 給 湯 機 (エコキュート)の 導 入 に 対 してその 費 用 の 一 部 を 補 助 する 制 度 3エネルギー 需 給 構 造 改 革 投 資 促 進 税 制 (エネ 革 税 制 ) 高 効 率 型 の 空 調 機 給 湯 機 を 導 入 する 際 の 税 制 優 遇 措 置 対 象 設 備 を 取 得 し その 1 年 以 内 に 事 業 用 に 供 した 場 合 法 人 税 額 ( 所 得 税 額 )または 特 別 償 却 のいずれか 一 方 の 特 別 控 除 を 選 択 することができる 基 準 取 得 価 額 の 7% 相 当 額 の 税 額 控 除 ( 中 小 企 業 のみ) 普 通 償 却 に 加 えて 基 準 取 得 価 額 の 30% 相 当 額 の 特 別 償 却 (H22 年 度 までは 即 時 償 却 ) 一 定 基 準 以 上 の 効 率 を 満 たすセントラル 空 調 方 式 のヒートポンプ 空 調 機 (100kW 以 上 )とヒートポンプ 給 湯 機 (14kW 以 上 )が 対 象 4 低 利 融 資 制 度 政 策 性 が 高 いプロジェクトに 対 し 長 期 資 金 の 融 資 や 出 資 を 支 援 する 制 度 であり 蓄 熱 式 ヒートポンプシステム( 空 調 機 または 給 湯 機 )を 対 象 とする 対 象 工 事 費 の 50% に 対 する 特 別 金 利 による 低 利 融 資 が 受 けられる 4.6 海 外 のヒートポンプ 動 向 1) 欧 州 におけるヒートポンプの 普 及 動 向 欧 州 では 再 生 可 能 エネルギー 推 進 に 関 する 指 令 において 一 定 効 率 以 上 のヒート ポンプにより 利 用 する 空 気 熱 地 中 熱 河 川 水 熱 海 水 熱 を 再 生 可 能 エネルギーと 定 義 し ヒートポンプの 普 及 促 進 を 展 開 している ( 図 16) 欧 州 のヒートポンプ 市 場 は 近 年 急 速 に 拡 大 しており 大 きな 市 場 の 一 つであるスウェ ーデンでは 新 築 住 宅 でのヒートポンプ 導 入 が 成 熟 期 へ 移 行 している ( 図 17) 図 16 欧 州 主 要 国 におけるヒートポンプの 販 売 ユニット 数 出 典 : European Heat Pumps Statistics Outlook 2008 (ehpa) 注 : 本 統 計 は 主 に 暖 房 用 途 として 用 いられる 冷 暖 房 兼 用 ヒートポンプや 排 気 熱 回 収 型 ヒートポンプが 対 象 22

24 図 17 欧 州 主 要 国 における 家 庭 用 ヒートポンプの 普 及 率 出 典 : European Heat Pumps Statistics Outlook 2008 (ehpa)より 作 成 2) 欧 州 ヒートポンプアクションプラン(2008 年 ) 欧 州 ヒートポンプ 協 会 は 欧 州 ヒートポンプアクションプラン において ヒートポ ンプ 普 及 に 向 けた 課 題 と 効 果 を 整 理 している 同 協 会 では 技 術 開 発 支 援 需 要 家 向 けの 助 成 再 生 可 能 エネルギーとしての 認 知 を 重 視 している ( 図 18) 図 18 欧 州 ヒートポンプアクションプランの 概 要 出 典 : European Heat Pump Action Plan (ehpa)より 作 成 3)EU 環 境 目 標 に 対 するヒートポンプの 寄 与 度 欧 州 ヒートポンプ 協 会 では 新 築 改 築 住 宅 (1 世 帯 住 宅 )に 対 するヒートポンプの 導 入 による 一 次 エネルギー 消 費 量 等 の 削 減 ポテンシャルを EU 環 境 目 標 (トリプル 20) の2 割 に 相 当 すると 推 計 している ( 表 1) 23

25 表 1 EU 環 境 目 標 に 対 するヒートポンプの 寄 与 度 (ポテンシャル) 出 典 : European Heat Pump Action Plan (ehpa)より 作 成 2008 年 ~2020 年 までに 新 築 改 築 される 1 世 帯 住 宅 に 対 するヒートポンプの 導 入 効 果 を 推 計 したもの 2 世 帯 以 上 の 住 宅 や 業 務 用 建 物 に 対 するヒートポンプの 導 入 は 考 慮 せず また 発 電 効 率 の 改 善 ヒートポン プの 効 率 向 上 住 宅 の 断 熱 基 準 の 見 直 しは 考 慮 せず このため ヒートポンプの 寄 与 度 は 本 試 算 値 以 上 になるも のと 推 察 される 4)ドイツにおけるヒートポンプ 動 向 近 年 ドイツではヒートポンプの 普 及 が 加 速 している ドイツ 政 府 は 再 生 可 能 エネ ルギー 熱 法 を 定 め 新 築 建 物 へのヒートポンプ 含 む 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 を 義 務 づけている その 導 入 手 段 の 一 つとしてヒートポンプを 選 択 することができる また ヒートポンプ 専 用 の 電 気 料 金 割 引 (ヒートポンプ タリフ)や 新 規 ヒートポン プ 設 置 顧 客 への 初 年 度 割 引 (500 ユーロ)などの 導 入 インセンティブの 強 化 が 図 られて いる 5) 欧 州 のボイラメーカーの 動 向 化 石 燃 料 調 達 の 不 確 実 性 燃 料 価 格 の 高 騰 環 境 意 識 の 高 まり ヒートポンプ 給 湯 機 の 効 率 信 頼 性 の 向 上 等 を 背 景 に 欧 州 市 場 における 燃 焼 式 ボイラは 販 売 台 数 の 伸 び が 鈍 化 している 近 年 欧 州 のボイラメーカーはヒートポンプをはじめとする 再 生 可 能 エネルギー 機 器 のラインナップを 拡 充 している 6)その 他 海 外 におけるヒートポンプ 動 向 IEA エネルギー 技 術 展 望 2008 (2008 年 ) G8グレンイーグルズサミット(2005 年 )での 要 請 を 受 け IEAが 策 定 した 2050 年 までのCO2 削 減 シナリオおよび 戦 略 エネルギー 技 術 展 望 2008 では シナリオ 達 成 に 必 要 となる 17 の 主 要 技 術 の1つとしてヒートポンプを 選 定 している 韓 国 グリーンエネルギー 戦 略 ロードマップ (2009 年 ) 知 識 経 済 部 によるグリーンエネルギー 技 術 に 関 するロードマップであり 官 民 協 力 に よりグリーンエネルギー 技 術 の 開 発 を 推 進 し 2012 年 までに 先 進 国 と 同 水 準 2030 年 に 世 界 トップレベルの 達 成 を 目 指 すものである 15 種 類 の 有 望 分 野 の1つとしてヒート ポンプを 選 定 している 24

26 5.ヒートポンプの 課 題 本 プロジェクトでは 下 記 に 示 すヒートポンプ 普 及 促 進 の 重 点 分 野 と 検 討 の 切 り 口 を 設 定 し 需 要 者 設 計 者 提 案 者 機 器 メーカーの 各 々の 観 点 からヒートポンプの 現 状 の 課 題 を 抽 出 した (ヒートポンプ 普 及 促 進 の 重 点 分 野 ) セントラル 空 調 システム 分 野 業 務 用 給 湯 分 野 産 業 加 熱 分 野 ( 検 討 の 切 り 口 ) エネルギー 政 策 上 の 位 置 付 け 導 入 インセンティブの 拡 充 エンドユーザーの 理 解 向 上 および 技 術 対 応 力 の 強 化 サブユーザーの 理 解 向 上 および 技 術 対 応 力 の 強 化 法 制 度 等 の 見 直 し 規 制 緩 和 ヒートポンプ 機 器 の 機 能 向 上 商 品 開 発 1)ヒートポンプ 全 般 の 課 題 ヒートポンプの 政 策 的 位 置 付 けが 他 の 新 エネルギー( 太 陽 光 風 力 )に 比 べ 明 確 に なっていない 機 器 価 格 が 燃 焼 式 機 器 と 比 べ 高 価 である ヒートポンプの 社 会 認 知 度 が 低 い より 一 層 の 高 効 率 化 が 必 要 である 冷 媒 の 管 理 体 制 管 理 方 法 が 不 十 分 である 2) 空 調 用 ヒートポンプの 課 題 大 規 模 セントラル 空 調 用 のヒートポンプが 少 ない 設 置 スペースが 大 きい 寒 冷 地 での 暖 房 能 力 が 不 足 している 熱 回 収 機 能 や 加 湿 対 応 等 の 機 能 が 不 足 している ヒートポンプ 単 体 を 超 えた 空 調 システム 全 体 の 最 適 化 技 術 が 確 立 されていない 3) 給 湯 用 ヒートポンプの 課 題 既 存 の 燃 焼 式 給 湯 器 との 価 格 差 が 大 きい 貯 湯 タンクが 必 要 であり 設 置 スペースに 制 約 がある ラインアップが 不 足 しているため 設 備 構 築 における 選 択 肢 が 少 ない 運 転 騒 音 の 問 題 から 導 入 が 限 定 的 である 寒 冷 地 での 加 熱 能 力 が 不 足 している 井 水 温 泉 水 への 対 応 が 不 十 分 である 熱 回 収 機 能 や 未 利 用 エネルギー 活 用 機 能 が 不 十 分 4) 産 業 用 ヒートポンプの 課 題 産 業 用 加 熱 に 対 応 可 能 なヒートポンプが 少 ない 熱 回 収 機 能 や 冷 熱 温 熱 同 時 取 り 出 し 機 能 制 御 が 不 十 分 100 以 上 の 高 温 水 や 蒸 気 を 安 定 的 に 生 成 できるヒートポンプがない ユーザー サブユーザーにヒートポンプ 加 熱 が 認 知 されていない サブユーザーの 施 工 技 術 との 融 合 によるシステム 化 が 進 んでいない 25

27 6.ヒートポンプ 普 及 促 進 に 向 けた 提 言 および 施 策 ヒートポンプの 普 及 に 向 け これまで 民 間 としては メーカーによる 機 器 開 発 と 設 備 関 連 業 界 ( 設 計 事 務 所 建 設 会 社 設 備 会 社 電 力 会 社 等 )の 連 携 による 導 入 促 進 活 動 に 取 り 組 んできた 本 プロジェクトでは 更 なる 技 術 開 発 冷 媒 管 理 の 徹 底 情 報 発 信 啓 発 活 動 の 強 化 新 規 市 場 開 拓 機 器 メーカーによる 低 価 格 化 等 を 民 間 として 今 後 取 り 組 むべき 重 点 施 策 とした また ヒートポンプの 加 速 的 普 及 促 進 のため 国 としての 支 援 を 期 待 する 施 策 案 を 検 討 し 以 下 のとおりプロジェクト 提 言 として 取 りまとめた 6.1 効 率 向 上 と 産 業 用 途 等 への 適 用 拡 大 を 目 的 とした 技 術 開 発 に 関 する 提 言 施 策 1: 多 面 的 用 途 に 活 用 するためのヒートポンプ 技 術 開 発 の 実 施 我 が 国 のヒートポンプ 技 術 は 世 界 を 大 きくリードしているが 更 なる 高 効 率 化 と 適 用 範 囲 の 拡 大 という 観 点 で 解 決 すべき 技 術 課 題 はある ヒートポンプの 導 入 が 進 んでいる 空 調 分 野 については 熱 回 収 技 術 や 加 湿 対 応 などの 機 能 強 化 が 必 要 であり 導 入 初 期 の 給 湯 分 野 においては 効 率 向 上 とラインナップの 拡 充 が 求 められる とりわけ 産 業 分 野 においては 基 礎 開 発 からのアプローチが 必 要 な 段 階 にあり 需 要 者 側 の 熱 利 用 形 態 をふまえた 開 発 製 品 仕 様 の 検 討 設 計 者 設 備 会 社 のエンジニアリ ングとの 融 合 によるシステム 化 が 必 要 である 本 プロジェクトとして 今 後 のヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 を 下 記 に 示 す 1) 業 務 用 空 調 ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 熱 回 収 ヒートポンプの 改 良 未 利 用 エネルギー 活 用 機 器 の 開 発 低 騒 音 化 寒 冷 地 性 能 の 向 上 加 湿 用 蒸 気 生 成 ヒートポンプの 開 発 大 型 空 調 ヒートポンプのラインアップの 拡 充 潜 熱 顕 熱 分 離 空 調 システムの 早 期 実 用 化 (デシカント 空 調 システム 等 ) 2) 業 務 用 給 湯 ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 更 なるCOPの 向 上 とラインアップの 拡 充 設 置 スペースの 低 減 低 騒 音 化 寒 冷 地 性 能 の 向 上 熱 回 収 仕 様 機 の 開 発 未 利 用 エネルギー 活 用 機 器 の 開 発 3) 産 業 用 加 熱 ヒートポンプの 技 術 開 発 課 題 加 熱 洗 浄 乾 燥 殺 菌 など 120~160 帯 の 産 業 加 熱 向 けヒートポンプの 開 発 ( 高 温 水 ヒートポンプ 蒸 気 生 成 ヒートポンプ 等 ) 超 高 効 率 冷 凍 サイクル 型 冷 媒 の 開 発 これを 利 用 したヒートポンプの 実 用 化 (ハイ ドレートヒートポンプ 等 ) 200 級 高 温 加 熱 対 応 型 冷 媒 の 開 発 これを 利 用 したヒートポンプの 実 用 化 (ケミ カルヒートポンプ 等 ) 4) 自 然 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 開 発 推 進 CO2 水 アンモニア 等 の 自 然 冷 媒 を 活 用 したヒートポンプの 効 率 向 上 と 適 用 拡 大 5) 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 低 GWP 注 2 型 基 幹 冷 媒 の 開 発 これを 活 用 した 混 合 冷 媒 の 開 発 と 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 注 2:Global Warming Potential( 地 球 温 暖 化 係 数 ) 26

28 施 策 2: 国 家 プロジェクトとしての 革 新 的 ヒートポンプ 技 術 開 発 低 炭 素 社 会 実 現 のキーテクノロジーであるヒートポンプについては 今 後 も 弛 まぬ 研 究 開 発 を 進 め 飛 躍 的 な 効 率 の 向 上 と 技 術 革 新 に 取 り 組 む 必 要 がある 本 プロジェクトとして 今 後 のヒートポンプ 開 発 のあり 方 を 提 言 する 1) 国 策 としてのプラットホーム 型 技 術 開 発 と 民 間 による 早 期 実 用 化 ヒートポンプの 飛 躍 的 効 率 向 上 や 新 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 基 盤 技 術 ( 高 効 率 冷 凍 サ イクル 新 冷 媒 仕 様 高 性 能 熱 交 換 器 等 )については 国 家 主 導 によるプラットホーム 型 技 術 開 発 が 必 要 である 国 家 プロジェクトとして 確 立 された 基 盤 技 術 を 民 間 として 有 効 活 用 することで 革 新 的 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 を 達 成 するという 形 が 今 後 のヒートポンプ 開 発 のあるべき 姿 と 考 える 2) 次 世 代 型 ヒートポンプシステム 研 究 委 員 会 による 技 術 開 発 の 推 進 本 年 7 月 経 済 産 業 省 資 源 エネルギー 庁 は 次 世 代 型 ヒートポンプシステム 研 究 委 員 会 を 新 エネルギー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 (NEDO) 内 に 設 置 した 同 委 員 会 は Cool-Earth エネルギー 技 術 革 新 計 画 の 中 で 温 室 効 果 ガスの 大 幅 削 減 に 寄 与 する 21 の 革 新 技 術 の 一 つに 位 置 付 けられた 超 高 効 率 ヒートポンプ 技 術 の 実 現 を 目 指 し 2050 年 までに 現 状 から 効 率 を2 倍 とする 長 期 的 視 野 に 立 った 研 究 開 発 の 方 向 性 を 定 め 技 術 開 発 を 推 進 するものである 同 委 員 会 において 前 述 の 本 プロジェクトが 提 言 する 各 種 技 術 課 題 を 詳 細 検 討 し 官 民 一 体 となった 革 新 的 技 術 開 発 を 推 進 する 必 要 がある 6.2 ヒートポンプの 基 盤 技 術 である 冷 媒 に 関 する 提 言 ヒートポンプで 使 用 する 冷 媒 は モントリオール 議 定 書 に 基 づくオゾン 層 破 壊 防 止 の 観 点 からHFC 冷 媒 (ハイドロフロオロカーボン)への 転 換 が 進 められてきた しかし ながら HFC 冷 媒 は 地 球 温 暖 化 係 数 が 高 く 大 気 放 出 時 の 温 暖 化 影 響 は 大 きい ヒートポンプの 普 及 を 進 める 上 で 冷 媒 管 理 社 会 システムの 構 築 と 低 GWP 注 2 型 冷 媒 媒 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 は 重 要 な 課 題 である 注 2:Global Warming Potential( 地 球 温 暖 化 係 数 ) 施 策 1: 冷 媒 管 理 社 会 システムの 構 築 冷 凍 冷 蔵 から 空 調 給 湯 まで 幅 広 く 利 用 されている 現 行 のHFC 冷 媒 は 高 効 率 ヒー トポンプの 基 幹 冷 媒 であり その 継 続 使 用 は 不 可 欠 である 機 器 メーカー 設 置 工 事 事 業 者 メンテナンス 事 業 者 等 の 業 界 全 体 の 取 り 組 みにより 冷 媒 管 理 サイクルを 確 立 し 冷 媒 管 理 社 会 システムを 構 築 する 必 要 がある ヒートポンプ 技 術 先 進 国 である 我 が 国 は 冷 媒 管 理 においても 世 界 最 先 端 を 目 指 すべき である 施 策 2: 低 GWP 冷 媒 ヒートポンプの 開 発 冷 媒 による 温 暖 化 影 響 低 減 の 抜 本 対 策 として 地 球 温 暖 化 係 数 の 低 い 冷 媒 への 移 行 を 目 的 とした 技 術 開 発 を 進 める 必 要 がある 低 GWP 冷 媒 ヒートポンプの 技 術 開 発 としては2つのアプローチがある 一 つはエコキ ュート(CO2 冷 媒 ヒートポンプ 給 湯 機 )に 代 表 される 自 然 冷 媒 の 活 用 による 技 術 開 発 であり もう 一 つは 低 GWP 型 冷 媒 の 活 用 による 技 術 開 発 である 27

29 1) 自 然 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 開 発 CO2 水 アンモニア 等 の 自 然 冷 媒 を 活 用 したヒートポンプの 効 率 向 上 と 適 用 拡 大 2) 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒートポンプの 早 期 実 用 化 低 GWP 型 基 幹 冷 媒 の 開 発 これを 活 用 した 混 合 冷 媒 の 開 発 と 低 GWP 冷 媒 仕 様 ヒ ートポンプの 早 期 実 用 化 6.3 ヒートポンプの 政 策 的 位 置 付 けの 明 確 化 と 普 及 環 境 の 整 備 に 関 する 提 言 施 策 1: 国 策 としての 導 入 促 進 本 年 8 月 エネルギー 供 給 構 造 高 度 化 法 の 施 行 令 においてヒートポンプによって 利 用 さ れる 大 気 熱 は 再 生 可 能 エネルギーとして 定 義 されている 低 炭 素 社 会 実 現 のキーテクノロジーであるヒートポンプを 我 が 国 の 温 室 効 果 ガス 削 減 の ための 主 要 技 術 と 位 置 付 け 民 生 分 野 および 産 業 分 野 において 重 点 的 な 導 入 を 関 係 省 庁 と 産 業 界 が 連 携 し 促 進 していく 必 要 がある 1) 政 策 的 位 置 付 けの 明 確 化 ヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 未 利 用 エネルギー( 河 川 水 海 水 下 水 地 中 熱 排 熱 等 ) を 再 生 可 能 エネルギーとして 政 策 的 に 明 確 に 位 置 付 ける 地 球 温 暖 化 対 策 基 本 法 において ヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 未 利 用 エネ ルギー( 河 川 水 海 水 下 水 地 中 熱 排 熱 等 ) を 再 生 可 能 エネルギーとして 明 確 に 位 置 付 ける 新 エネルギー 法 の 政 令 改 正 を 行 い ヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 未 利 用 エ ネルギー( 河 川 水 海 水 下 水 地 中 熱 排 熱 等 ) を 新 エネルギーとして 定 義 づける 2) 再 生 可 能 エネルギー 導 入 量 の 数 値 目 標 設 定 国 としてヒートポンプが 利 用 する 大 気 熱 等 を 含 めた 再 生 可 能 エネルギー 導 入 量 比 率 を 2020 年 最 終 エネルギー 消 費 ベースで 数 値 目 標 設 定 する 3) 大 気 熱 利 用 量 のデータ 整 備 国 としてヒートポンプによる 大 気 熱 等 のエネルギー 利 用 量 の 算 定 手 法 を 定 め 総 合 エ ネルギー 統 計 へのデータ 反 映 を 行 い 再 生 可 能 エネルギー 導 入 目 標 の 達 成 指 標 とする 4) 行 政 の 体 制 整 備 ヒートポンプ 推 進 の 核 となる 所 管 部 署 を 明 確 化 し 普 及 促 進 に 向 けた 専 門 組 織 ( 例 : ヒートポンプ 推 進 室 )を 設 置 する 5) 地 方 自 治 体 による 導 入 促 進 地 域 新 エネ 再 生 可 能 エネルギー 導 入 ビジョンへの 盛 り 込 み 地 方 自 治 体 補 助 事 業 の 推 進 低 炭 素 都 市 づくりの 中 核 技 術 としてのヒートポンプ 導 入 等 を 促 進 する 必 要 がある 施 策 2:ヒートポンプ 導 入 インセンティブの 強 化 ヒートポンプ 空 調 機 やヒートポンプ 給 湯 機 については 既 に 数 多 くの 機 種 が 製 品 化 され ており その 導 入 拡 大 によってCO2 排 出 量 の 大 幅 な 削 減 が 可 能 となる しかしながら 機 器 価 格 が 燃 焼 式 機 器 に 対 し 比 較 的 高 価 であり その 導 入 は 依 然 として 28

30 限 定 的 である 国 による 補 助 金 制 度 の 継 続 強 化 普 及 を 促 す 抜 本 的 な 施 策 が 必 要 な 状 況 にある 1) 助 成 制 度 の 強 化 平 成 22 年 度 上 期 で 廃 止 される 現 行 の 高 効 率 空 調 機 導 入 支 援 事 業 補 助 金 制 度 高 効 率 給 湯 器 導 入 促 進 事 業 補 助 金 (エコキュート 補 助 金 ) 等 の 助 成 制 度 の 延 長 に 加 え 更 なる 普 及 を 促 す 施 策 が 必 要 である (ヒートポンプ 導 入 助 成 施 策 案 ) エコポイント 制 度 の 改 正 を 行 い ヒートポンプを 対 象 化 する ( 導 入 の 意 識 付 け) エコポイント 制 度 の 対 象 機 器 として 高 効 率 ヒートポンプ 機 器 を 追 加 する 住 宅 版 エコポイント 制 度 のリフォーム 時 の 対 象 機 器 として 高 効 率 ヒートポン プ 機 器 を 追 加 する エネルギー 需 給 構 造 改 革 投 資 促 進 税 制 の 改 正 を 行 い 中 小 企 業 事 業 者 に 限 定 された 基 準 取 得 価 額 に 対 する 税 額 控 除 を 大 企 業 に 対 しても 適 用 する ( 税 制 優 遇 対 象 の 拡 大 ) 2) 新 エネルギー 補 助 事 業 における 対 象 化 新 エネ 導 入 補 助 事 業 地 域 新 エネ 導 入 事 業 の 対 象 にヒートポンプを 追 加 する 3) 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 法 報 告 における 見 える 化 ヒートポンプ 導 入 によるCO2 排 出 削 減 効 果 を 適 切 に 評 価 するために 見 える 化 す る 必 要 がある 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 法 による 事 業 者 のCO2 排 出 量 の 実 績 報 告 において ヒートポン プの 大 気 熱 等 の 利 用 による 対 策 効 果 を 見 える 化 させる 4) 国 内 CDMを 通 じた 民 間 資 金 による 導 入 支 援 ヒートポンプ 導 入 によるCO2 排 出 削 減 量 を 証 書 化 (クレジット 化 )し 導 入 企 業 団 体 に 対 し 国 内 CDMを 通 じた 民 間 資 金 による 支 援 を 活 性 化 する 施 策 3: 情 報 発 信 活 動 の 強 化 実 証 データに 基 づく 導 入 メリットの 訴 求 など 需 要 者 に 対 する 情 報 発 信 の 強 化 は 重 要 であ る 需 要 者 に 加 え 設 計 事 務 所 建 設 会 社 設 備 会 社 等 に 対 するシンポジウムやセミナー 講 習 会 を 通 じた 理 解 活 動 を 強 化 していかなければならない 1) 国 による 広 報 活 動 政 府 広 報 等 のメディアを 通 じ 需 要 サイドにおけるヒートポンプ 導 入 の 意 義 を 発 信 す ることで ヒートポンプの 認 知 度 を 高 め 国 策 としての 普 及 促 進 を 広 く 国 民 に 訴 える また 我 が 国 のヒートポンプ 技 術 による 国 際 環 境 貢 献 という 観 点 から 新 興 国 発 展 途 上 国 への 情 報 発 信 も 行 う 必 要 がある 2) 公 益 法 人 による 情 報 発 信 活 動 の 強 化 国 による 活 動 支 援 財 団 法 人 ヒートポンプ 蓄 熱 センターはヒートポンプの 普 及 促 進 活 動 を 行 う 唯 一 のナ ショナルセンターである 同 センターによるシンポジウムやセミナー 講 習 会 を 通 じた ヒートポンプの 理 解 活 動 については 一 層 の 強 化 が 必 要 であり 国 からの 更 なる 活 動 支 援 も 必 要 である 29

31 3) 設 備 設 計 実 務 者 等 への 啓 発 活 動 の 推 進 ヒートポンプの 普 及 促 進 を 図 る 上 で 設 備 設 計 施 工 に 携 わる 実 務 者 への 啓 発 は 不 可 欠 である 設 計 事 務 所 建 設 会 社 設 備 会 社 等 に 対 する 講 習 会 の 実 施 設 備 設 計 マニュ アルの 配 布 などが 必 要 である また 中 長 期 的 観 点 から 教 育 研 究 機 関 への 啓 発 活 動 も 重 要 と 考 えられる 機 械 工 学 建 築 分 野 のみならず エネルギー 工 学 経 済 学 環 境 工 学 政 治 学 等 への 多 面 的 な 啓 発 活 動 を 行 うことで ヒートポンプの 学 術 的 評 価 社 会 的 評 価 の 向 上 技 術 革 新 基 盤 の 醸 成 が 期 待 できる ( 国 家 資 格 制 度 におけるヒートポンプ 啓 発 強 化 案 ) 建 築 設 備 士 やエネルギー 管 理 士 等 の 国 家 資 格 制 度 におけるヒートポンプ 教 育 の 充 実 化 を 図 る 施 策 4:ヒートポンプ 普 及 のための 市 場 環 境 整 備 ヒートポンプ 機 器 価 格 の 低 減 に 向 けた 取 り 組 みを 強 化 し 普 及 のための 市 場 環 境 を 整 備 する 必 要 がある 低 価 格 化 の 実 現 には 海 外 も 含 めた 市 場 拡 大 による 量 産 効 果 と 低 価 格 生 産 の 追 求 製 造 設 備 投 資 支 援 が 必 要 と 考 える 1) 海 外 市 場 の 開 拓 政 府 の 国 際 協 力 を 通 じた 海 外 市 場 の 開 拓 とメーカー 独 自 の 海 外 市 場 開 拓 により 量 産 効 果 を 生 み 出 し 普 及 台 数 を 拡 大 することでヒートポンプの 低 価 格 化 を 実 現 する 世 界 最 先 端 のヒートポンプ 技 術 を 海 外 展 開 することで 新 興 国 等 のCO2 排 出 削 減 へ の 貢 献 効 果 を 温 暖 化 対 策 に 関 わる 国 際 交 渉 ツールや 排 出 権 として 活 用 することも 考 えら れる 2)メーカーによる 低 価 格 化 ヒートポンプ 機 器 メーカーの 生 産 工 程 における 低 価 格 化 については より 一 層 の 努 力 が 求 められる 構 成 部 材 の 共 有 化 部 品 点 数 の 削 減 構 成 部 材 仕 様 製 造 工 程 の 見 直 し により さらなる 低 価 格 化 を 進 めていかなければならない 3)ヒートポンプ 機 器 メーカーへの 製 造 コストダウン 投 資 支 援 製 造 設 備 投 資 への 補 助 または 税 制 優 遇 を 行 うことで ヒートポンプ 機 器 メーカーの 開 発 製 造 コストの 軽 減 を 図 り ヒートポンプの 低 価 格 化 を 促 すことも 必 要 である 平 成 21 年 度 に 創 設 された 資 源 生 産 性 向 上 促 進 税 制 の 対 象 機 器 にヒートポンプを 加 えることを 提 案 する 施 策 5: 関 連 法 規 の 規 制 緩 和 ヒートポンプ 導 入 促 進 に 向 けた 法 制 度 の 改 善 も 重 要 である 高 圧 ガス 保 安 法 等 の 既 存 の 関 連 法 規 については 関 係 省 庁 との 調 整 により 適 宜 見 直 しを 行 う 必 要 がある ( 高 圧 ガス 保 安 法 におけるヒートポンプの 規 制 緩 和 要 望 案 ) 不 活 性 フルオロカーボン 冷 媒 の 第 一 種 冷 凍 設 備 製 造 者 基 準 の 引 き 上 げ( 法 律 第 5 条 第 1 項 第 2 項 施 行 令 第 4 条 ) 不 活 性 フルオロカーボン 冷 媒 の 第 一 種 冷 凍 設 備 におけるヒートポンプ 合 算 の 除 外 措 置 ( 平 成 9 年 9 月 29 日 通 産 省 通 達 平 成 10 年 4 月 1 日 施 行 ) 30

32 二 酸 化 炭 素 (CO2) 冷 媒 の 第 二 種 冷 凍 設 備 製 造 者 基 準 の 引 き 上 げ( 法 律 第 5 条 第 1 項 第 2 項 ) 二 酸 化 炭 素 (CO2) 冷 媒 のフィールド 充 填 作 業 の 認 可 ( 法 律 第 13 条 ) ( 建 築 基 準 法 における 容 積 率 緩 和 措 置 の 改 善 要 望 案 ) 建 物 用 途 適 用 範 囲 の 拡 大 とヒートポンプ 機 器 システム 全 般 へ 適 用 拡 大 自 治 体 による 個 別 判 断 によらない 原 則 緩 和 措 置 とする ( 法 律 52 条 第 8 項 ) 現 状 は 集 合 住 宅 等 へのエコキュート(CO2 冷 媒 ヒートポンプ 給 湯 機 )の 導 入 に 限 定 され 適 用 の 可 否 は 自 治 体 審 議 会 の 個 別 判 断 による 許 可 までは1~2ヶ 月 を 要 する 施 策 6:ヒートポンプ 導 入 を 促 進 する 社 会 システムの 整 備 抜 本 的 な 普 及 施 策 として ヒートポンプの 導 入 を 前 提 とした 社 会 システムの 整 備 を 提 案 する 民 生 分 野 および 産 業 用 分 野 での 空 調 設 備 給 湯 設 備 加 熱 冷 却 設 備 のシステム 構 築 において 可 能 な 限 りヒートポンプの 導 入 を 義 務 付 ける 制 度 設 計 省 エネルギー 法 の 見 直 し 等 を 検 討 することも 必 要 である あとがき 我 が 国 は ヒートポンプの 基 盤 技 術 とその 応 用 技 術 を 高 い 次 元 で 確 立 している 先 端 技 術 保 有 国 である 今 後 も 他 国 の 追 随 を 許 さない ヒートポンプ 大 国 であり 続 けるべきである ヒートポンプは 高 効 率 なエネルギー 利 用 機 器 として 街 作 り 地 域 振 興 国 内 産 業 振 興 国 際 市 場 開 拓 とそれによる 世 界 的 規 模 での 省 CO2 への 貢 献 など 様 々な 局 面 での 活 用 が 考 えられ る エネルギー 利 用 雇 用 の 創 出 新 規 ビジネス 国 際 協 力 といった 多 面 的 な 視 点 でヒートポン プの 活 用 策 が 業 界 関 係 者 や 行 政 関 係 者 により 検 討 されることを 期 待 したい 以 上 31

33 産 業 競 争 力 懇 談 会 (COCN) 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 一 丁 目 6 番 6 号 日 本 生 命 丸 の 内 ビル( 株 式 会 社 日 立 製 作 所 内 ) Tel: Fax: cocn.office.aj@hitachi.com URL: 事 務 局 長 中 塚 隆 雄