1. 背 景 パーキンソン 病 やアルツハイマー 型 認 知 症 を 含 む 神 経 変 性 疾 患 では 神 経 細 胞 が ゆっくりと 死 に 至 ることで 運 動 機 能 や 認 知 機 能 の 低 下 をきたします こうした 神 経 細 胞 死 の 原 因 は 未 だ 十 分 な 解 明 が
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- ぎんと ちとく
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1 2012 年 12 月 3 日 独 立 行 政 法 人 医 薬 基 盤 研 究 所 国 立 大 学 法 人 東 北 大 学 独 立 行 政 法 人 理 化 学 研 究 所 パーキンソン 病 治 療 へ 光 : 自 己 の 細 胞 を 用 いた 新 たな 治 療 法 の 可 能 性 サルでの 前 臨 床 研 究 に 成 功 Journal of Clinical Investigation に 掲 載 本 研 究 成 果 のポイント 成 体 カニクイザルの 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 から ドーパミン 細 胞 の 誘 導 に 成 功 自 己 由 来 ドーパミン 細 胞 の 脳 内 への 移 植 により 長 期 にわたり 腫 瘍 形 成 や 副 作 用 が 無 く 運 動 機 能 を 改 善 できることを 明 らかにした 自 己 由 来 ドーパミン 細 胞 移 植 による 治 療 効 果 を PET MRI など 分 子 イメージン グ 手 法 を 使 ってパーキンソン 病 モデルカニクイザルで 実 証 東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 の 出 澤 真 理 教 授 と 理 化 学 研 究 所 分 子 イメージング 科 学 研 究 センターの 林 拓 也 副 チームリーダーらのグループは 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 ( 骨 髄 中 に 存 在 する 幹 細 胞 )からドーパミン 神 経 細 胞 の 誘 導 に 成 功 し パーキンソ ン 病 1 モデルのサルの 脳 内 への 移 植 により 運 動 障 害 などが 改 善 されるとともに 長 期 にわたり 腫 瘍 形 成 や 副 作 用 が 現 れないことを 明 らかにしました 本 研 究 は 霊 長 類 動 物 において 独 自 の 技 術 を 用 いて 自 己 に 由 来 する 再 生 細 胞 の 機 能 を 自 己 の 臓 器 内 で 検 証 した 世 界 で 初 めての 成 果 2 であり 将 来 のパーキンソン 病 治 療 法 として 今 後 の 臨 床 応 用 が 期 待 されます この 研 究 は 医 薬 基 盤 研 究 所 先 駆 的 医 薬 品 医 療 機 器 研 究 発 掘 支 援 事 業 の 支 援 を 受 けて 行 われました 本 研 究 成 果 は 米 国 の 科 学 雑 誌 Journal of Clinical Investigation ( 2013 年 1 月 号 )の 掲 載 に 先 立 ち オンライン 版 (2012 年 12 月 3 日 アメリカ 東 部 時 間 正 午 12 時 : 日 本 時 間 12 月 4 日 午 前 2 時 )に 掲 載 されます 本 論 文 は 同 雑 誌 2013 年 1 月 号 のハイライトにも 選 ばれました 1 パーキンソン 病 は ふるえ 動 作 緩 慢 小 刻 み 歩 行 などの 運 動 障 害 を 主 症 状 とする 進 行 性 の 神 経 難 病 で 日 本 には 14 万 人 近 くの 患 者 がいます 現 在 の 治 療 法 は 薬 剤 投 与 に よる 症 状 の 緩 和 が 主 体 で 原 因 である 脳 内 ドーパミン 神 経 の 細 胞 死 の 予 防 や 神 経 細 胞 を 再 生 させる 根 本 的 治 療 法 はまだありません 2 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 は 様 々な 細 胞 に 分 化 する 能 力 を 有 し 腫 瘍 化 の 危 険 性 が 低 いことか ら 移 植 に 適 した 幹 細 胞 の 一 つとされています 研 究 グループは 成 体 のカニクイザル の 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 から 活 動 性 を 持 つドーパミン 細 胞 を 効 率 よく 分 化 させることに 成 功 しました さらに 分 化 させたドーパミン 細 胞 を 同 一 個 体 の 脳 に 自 家 移 植 する 治 療 実 験 を 行 ったところ パーキンソン 病 を 患 っていたサルの 運 動 機 能 が 4-8 カ 月 後 に 改 善 し また 移 植 した 細 胞 が 腫 瘍 化 せずに 生 着 し 副 作 用 も 無 く 正 常 に 機 能 しているこ とを PET MRI やその 他 の 検 査 で 確 認 しました 1
2 1. 背 景 パーキンソン 病 やアルツハイマー 型 認 知 症 を 含 む 神 経 変 性 疾 患 では 神 経 細 胞 が ゆっくりと 死 に 至 ることで 運 動 機 能 や 認 知 機 能 の 低 下 をきたします こうした 神 経 細 胞 死 の 原 因 は 未 だ 十 分 な 解 明 が 進 んでおらずその 予 防 も 困 難 で 脱 落 した 神 経 細 胞 を 補 充 し 組 織 を 再 生 させる 根 本 的 な 治 療 法 の 確 立 が 期 待 されています パーキンソン 病 は 脳 の 神 経 伝 達 を 仲 介 するドーパミン 細 胞 がなんらかの 理 由 で 変 性 する 病 気 で 体 の 動 きをスムーズに 制 御 できなくなり 運 動 機 能 障 害 が 生 じま す 薬 剤 投 与 による 症 状 の 緩 和 が 主 な 治 療 法 ですが 海 外 では 1980 年 代 ごろから 中 絶 胎 児 の 脳 の 一 部 を 採 取 し 患 者 の 脳 に 移 植 することでドーパミン 細 胞 を 新 たに 供 給 し 運 動 機 能 の 改 善 を 図 る 試 験 が 行 われています( 図 1) しかし 中 絶 胎 児 に 依 存 するために 安 定 的 な 細 胞 確 保 が 難 しいこと 他 人 の 細 胞 を 拒 絶 する 反 応 を 防 ぐため 免 疫 抑 制 剤 の 服 用 が 必 要 で さらには 倫 理 性 安 全 性 の 問 題 もはらみ 一 般 的 な 治 療 法 としては 普 及 していません 図 1. 従 来 のパーキンソン 病 細 胞 移 植 治 療 細 胞 移 植 は 神 経 変 性 疾 患 の 夢 の 治 療 として 1980 年 代 からパーキンソン 病 を 対 象 とした 臨 床 試 験 が 複 数 行 われてきた 特 に 中 絶 胎 児 脳 組 織 を 用 いた 治 療 がスウェーデン 米 国 などで 多 く 試 験 されてきたが 未 だ 十 分 な 有 効 性 は 確 立 しておらず 2010 年 にヨーロッパ 連 合 (EU)で 新 しい 臨 床 試 験 が 開 始 されている これらの 問 題 を 解 決 する 一 つの 方 法 として 患 者 自 身 の 細 胞 を 用 いる 自 己 細 胞 の 移 植 治 療 の 可 能 性 があります 成 体 幹 細 胞 の 一 つである 間 葉 系 幹 細 胞 は 骨 髄 に 多 く 存 在 し 自 己 増 殖 能 や 多 分 化 能 をもつ 幹 細 胞 として 1990 年 代 後 半 から 注 目 されてき ました 患 者 自 身 の 骨 髄 などから 採 取 できるため 治 療 応 用 のハードルも 低 く 腫 瘍 化 の 危 険 も 非 常 に 低 いため 移 植 再 生 医 療 の 細 胞 源 として 候 補 にあがり 2010 年 に はパーキンソン 病 を 対 象 に 成 体 から 採 取 しただけの 分 化 させていない 間 葉 系 幹 細 胞 を 移 植 する 臨 床 試 験 が 海 外 で 始 まっています しかし 現 状 ではわずかな 治 療 効 果 しか 示 されておらず 病 気 の 神 経 組 織 で 必 要 となる 特 定 の 神 経 機 能 を 再 生 し 個 体 の 行 動 機 能 を 回 復 させるためには 不 十 分 で 間 葉 系 幹 細 胞 を 高 度 な 機 能 を 有 するド ーパミン 神 経 に 分 化 誘 導 させる 技 術 開 発 が 必 要 とされています 間 葉 系 幹 細 胞 以 外 にも 自 己 の 細 胞 から 誘 導 した 人 工 多 能 性 幹 細 胞 (ips 細 胞 )の 移 植 利 用 も 検 討 が 進 んでいますがまだ 臨 床 試 験 には 至 っていない 状 況 です 東 北 大 学 の 出 澤 若 尾 らは 間 葉 系 幹 細 胞 の 機 能 を 解 明 し 特 定 の 神 経 細 胞 を 分 化 2
3 させる 培 養 方 法 の 開 発 を 行 ってきました また 理 化 学 研 究 所 の 林 尾 上 らは PET や MRI などの 分 子 イメージング 技 術 により 神 経 変 性 疾 患 の 病 態 や 移 植 治 療 の 効 果 について 動 物 を 生 きたままで 非 侵 襲 的 に 調 べる 研 究 を 行 ってきました 今 回 の 共 同 研 究 では 間 葉 系 幹 細 胞 から 特 定 のドーパミン 細 胞 を 誘 導 し 霊 長 類 パーキンソンモデル 動 物 での 自 己 細 胞 移 植 の 有 効 性 を 検 証 しました( 図 2) 図 2. 本 研 究 の 概 略 カニクイザルから 骨 髄 を 採 取 し 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 を 分 離 したあと Notch(ノッチ) 細 胞 質 ドメインや 複 数 の 栄 養 因 子 で 処 理 したとドーパミン 細 胞 が 誘 導 できた 誘 導 したドーパミン 細 胞 をパーキンソン 病 モデルのカニ クイザル 脳 の 線 条 体 に 移 植 することで 自 己 由 来 の 誘 導 ドーパミン 神 経 移 植 後 の 運 動 機 能 やドーパミン 発 現 に ついて 時 間 を 追 って 観 察 移 植 の 有 効 性 や 安 全 性 を 検 証 した 3
4 2. 研 究 手 法 と 成 果 研 究 グループは 成 体 カニクイザルの 骨 髄 から 採 取 した 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 を 培 養 し ドーパミン 細 胞 に 分 化 させました 1 ドーパミン 神 経 細 胞 はさらにいくつかの サブタイプがありますが パーキンソン 病 では 特 に A9 型 ドーパミン 神 経 とよばれ るものが 変 性 脱 落 していることが 知 られています 今 回 作 製 した 細 胞 を 免 疫 細 胞 化 学 法 2 により 染 色 したところ 全 てのドーパミン 細 胞 に 特 異 的 なタンパク 質 であ るドーパミントランスポーターに 加 えて A9 型 ドーパミン 細 胞 の 特 徴 である GIRK2 (G 蛋 白 質 共 役 型 内 向 き 整 流 性 カリウムチャンネル)が 強 く 発 現 していることが 確 認 できました( 図 3) 同 時 に 他 の 型 のドーパミン 細 胞 (A8 や A10)がもつタンパ ク 質 (カルビンディン)には 陰 性 であったことから この 細 胞 が A9 型 ドーパミン 細 胞 に 近 い 性 質 をもつことがわかりました 同 様 の 結 果 は 逆 転 写 ポリメラーゼ 反 応 という 手 法 により 細 胞 内 の 遺 伝 子 産 物 (mrna)を 調 べる 手 法 によっても 確 認 でき ました 図 3. 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 から 誘 導 した 細 胞 免 疫 細 胞 化 学 法 により ドーパミントランスポーター(DAT) G 蛋 白 質 共 役 型 内 向 き 整 流 性 カリウムチャンネ ル(GIRK2)に 陽 性 の 染 色 パターンを 示 した この 染 色 パターンは パーキンソン 病 で 障 害 されやすい A9 型 ド ーパミン 細 胞 と 類 似 している 次 に パーキンソン 病 モデルカニクイザル 3 を 用 いて 移 植 実 験 を 行 い 移 植 細 胞 の 有 効 性 と 安 全 性 について 評 価 しました 10 頭 のパーキンソン 病 モデルのうち 5 頭 のサルに 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 から 分 化 したドーパミン 神 経 細 胞 を 移 植 し 対 照 とし て 他 の 5 頭 には 細 胞 調 整 液 のみを 注 入 することで 運 動 機 能 の 回 復 と PET 4 およ び MRI 5 による 移 植 細 胞 の 評 価 を 行 いました 障 害 側 である 左 前 肢 で 餌 をつかむ 際 の 速 度 やふるえの 改 善 状 況 を 観 察 したところ 運 動 機 能 は 移 植 4-8 か 月 後 に 回 復 し ました( 図 4A) 脳 内 で 機 能 しているドーパミン 神 経 は 神 経 伝 達 物 質 であるドーパ ミンを 放 出 しますが 放 出 するとすぐに 細 胞 内 に 取 り 込 んで 再 び 次 なる 活 動 に 備 え る 機 能 を 有 します この 機 能 は 細 胞 表 面 にあるドーパミントランスポーターによっ てもたらされます そこで 脳 内 の 移 植 細 胞 の 機 能 をドーパミントランスポーターに 対 する PET プローブ( 11 C-CFT) 6 を 用 いた PET で 観 察 したところ ドーパミントラ ンスポーターの 発 現 が 移 植 直 後 に 顕 著 に 上 昇 し( 図 4B) その 後 徐 々に 減 少 はする ものの 7 ヶ 月 後 においても 移 植 前 より 高 い 値 を 安 定 的 に 維 持 していることがわか りました( 図 4C) これらの 結 果 は 移 植 9 ヶ 月 後 に 行 った 脳 組 織 の 顕 微 鏡 観 察 か 4
5 らも 確 認 できました( 図 5) さらに MRI や 18 F-FDG 7 を 用 いた PET 検 査 や 免 疫 組 織 化 学 法 から 移 植 片 が 腫 瘍 化 せず 全 身 状 態 や 血 液 検 査 でも 副 作 用 が 無 いことが 示 されました( 図 6) 図 4.パーキンソン 病 モデル 動 物 への 自 己 由 来 の 誘 導 ドーパミン 神 経 移 植 後 の 経 過 A)エサ 取 りテストによる 運 動 機 能 の 時 系 列 変 化 濃 い 赤 線 は 誘 導 細 胞 を 移 植 したサルの 障 害 側 の 運 動 機 能 薄 い 赤 線 は コントロール 手 術 のみ 行 ったサルの 障 害 側 の 運 動 機 能 青 線 は 誘 導 細 胞 を 移 植 し たサルの 非 障 害 側 の 運 動 機 能 薄 い 青 線 はコントロール 手 術 のみ 行 ったサルの 非 障 害 側 の 運 動 機 能 誘 導 細 胞 を 移 植 したサルの 障 害 側 の 運 動 機 能 は 4 か 月 後 8 か 月 後 に 軽 度 の 改 善 を 呈 した B) 誘 導 細 胞 を 移 植 した 群 において 11 C-CFT-PET によるドーパミントランスポーターへの 結 合 能 が 時 間 的 に 変 化 した 部 位 を 赤 黄 色 にて 示 す 細 胞 移 植 した 部 位 ( 線 条 体 後 部 )に 一 致 して 変 化 が 見 られ た C) B により 変 化 を 示 した 部 位 における 移 植 後 時 間 による 11 C-CFT 結 合 の 時 間 的 変 化 結 合 能 は 移 植 直 後 に 高 値 を 示 しその 後 徐 々に 減 少 したが 動 態 解 析 により 7 か 月 以 後 も 結 合 能 が 移 植 前 よりも 高 値 を 示 した 図 5. 移 植 9 か 月 後 に 行 った 脳 切 片 の 免 疫 組 織 化 学 法 による 染 色 結 果 誘 導 細 胞 を 移 植 した 部 位 ( 線 条 体 後 部 )において DAT GIRK2 に 陽 性 で カルビンディン(Calbindin)には 陰 性 の 細 胞 が 多 数 観 察 された 5
6 図 6. 移 植 片 の 腫 瘍 化 有 無 の 検 証 結 果 A) 18 F-FDG を 用 いた PET 検 査 でも 脳 内 の 異 常 集 積 は 見 られず B) 移 植 部 位 の 脳 切 片 の 組 織 染 色 でも 腫 瘍 化 を 疑 う 変 化 は 見 られなかった 移 植 後 9 カ 月 での 所 見 以 上 の 結 果 から 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 から 誘 導 したドーパミン 細 胞 が 移 植 後 長 期 間 にわたって 生 着 機 能 し 続 けることで パーキンソン 病 の 運 動 機 能 障 害 が 徐 々に 回 復 に 向 かったと 結 論 しました 6
7 3. 今 後 の 期 待 今 回 の 実 験 で 骨 髄 間 葉 系 幹 細 胞 を 用 いたパーキンソン 病 での 自 己 細 胞 移 植 治 療 の 有 効 性 安 全 性 の 可 能 性 を 示 すことができました 自 己 の 細 胞 であれば 免 疫 拒 絶 感 染 症 などの 問 題 が 回 避 でき 中 絶 胎 児 などを 使 わないので 倫 理 問 題 も 絡 みません 骨 髄 の 間 葉 系 幹 細 胞 は 安 定 的 に 増 える 細 胞 ですので 比 較 的 少 量 の 骨 髄 液 を 取 れば 細 胞 治 療 に 必 要 とされる 細 胞 数 確 保 が 可 能 です 何 よりも 腫 瘍 化 の 危 険 が 非 常 に 低 いという 安 全 面 での 利 点 は 大 きく 医 療 に 適 した 幹 細 胞 として 注 目 されてきまし たが 今 回 の 分 化 した 細 胞 でも 腫 瘍 化 しなかった 結 果 は 臨 床 応 用 において 重 要 な 点 だと 思 われます これは 自 己 の 細 胞 を 用 いて 失 われた 組 織 の 細 胞 を 再 生 し 移 植 することで 組 織 本 来 の 機 能 回 復 が 可 能 であることを 霊 長 類 動 物 (パーキンソン 病 モ デルカニクイザル)で 証 明 した 世 界 で 初 めての 成 果 です 今 後 移 植 細 胞 の 長 期 生 存 能 や 機 能 再 生 をさらに 向 上 させる 技 術 を 開 発 し パーキンソン 病 を 含 めた 神 経 変 性 疾 患 の 自 己 細 胞 による 治 療 法 の 確 立 をめざします( 図 7) 図 7. 本 研 究 成 果 から 将 来 目 指 すパーキンソン 病 の 根 本 治 療 本 研 究 による 前 臨 床 試 験 の 結 果 から 将 来 パーキンソン 病 の 患 者 さんの 自 己 の 骨 髄 液 から 間 葉 系 幹 細 胞 を 培 養 分 化 し 自 己 の 脳 内 に 移 植 するシステムを 確 立 することで パーキンソン 病 の 安 全 か つ 有 効 な 治 療 法 を 行 える 可 能 性 が 開 けると 考 えられる 原 論 文 情 報 : Takuya Hayashi, Shohei Wakao, Masaaki Kitada, Takayuki Ose, Hiroshi Watabe, Yasumasa Kuroda, Kanae Mitsunaga, Dai Matsuse, Taeko Shigemoto, Akihito Ito, Hironobu Ikeda, Hidenao Fukuyama, Hirotaka Onoe, Yasuhiko Tabata, Mari Dezawa. Autologous mesenchymal stem cell-derived dopaminergic neurons function in parkinsonian macaques..journal of Clinical Investigation, 2012, doi: /JCI
8 < 報 道 担 当 問 い 合 わせ 先 > ( 問 い 合 わせ 先 ) 独 立 行 政 法 人 医 薬 基 盤 研 究 所 研 究 振 興 部 研 究 推 進 課 長 江 野 英 夫 (えの ひでお) TEL FAX ( 記 者 会 見 出 席 者 ) 東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 細 胞 組 織 学 分 野 人 体 構 造 学 分 野 教 授 出 澤 真 理 (でざわ まり) 助 教 若 尾 昌 平 (わかおしょうへい) TEL: FAX: 独 立 行 政 法 人 理 化 学 研 究 所 分 子 イメージング 科 学 研 究 センター 分 子 プローブ 機 能 評 価 研 究 チーム 副 チームリーダー 林 拓 也 (はやし たくや) チームリーダー 尾 上 浩 隆 (おのえひろたか) TEL: FAX: ( 各 機 関 の 報 道 担 当 ) 東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 医 学 部 広 報 室 長 神 風 二 (ながみ ふうじ) TEL: FAX: 独 立 行 政 法 人 理 化 学 研 究 所 分 子 イメージング 科 学 研 究 センター 山 岸 敦 (やまぎしあつし) TEL: FAX: 広 報 室 報 道 担 当 TEL: FAX:
9 < 補 足 説 明 > 1 ドーパミン 細 胞 の 分 化 法 これまで 出 澤 らが 独 自 に 開 発 してきた 手 法 で 間 葉 系 幹 細 胞 に Notch(ノッチ)とよばれ る 膜 タンパク 質 の 一 部 分 である 細 胞 質 部 分 の 遺 伝 子 を 発 現 させ 4 種 類 の 栄 養 因 子 (フォ ルスコリン 塩 基 性 線 維 芽 細 胞 増 殖 因 子 (bfgf) 毛 様 体 神 経 栄 養 因 子 (CNTF) グリア 細 胞 由 来 神 経 栄 養 因 子 (GDNF))を 添 加 処 理 することでドーパミン 細 胞 類 似 の 細 胞 が 誘 導 される 詳 細 は Nagane らの 論 文 (Tissue Engineering Part A. 15(7): p , 2009) を 参 照 2 免 疫 細 胞 化 学 法 免 疫 組 織 化 学 法 抗 体 を 用 いて 培 養 細 胞 や 組 織 標 本 中 の 抗 原 を 検 出 する 組 織 学 的 手 法 のこと 抗 体 の 特 異 性 を 利 用 して 組 織 を 染 め 抗 原 の 存 在 および 局 在 を 顕 微 鏡 下 で 観 察 できるので 特 定 遺 伝 子 の 発 現 や 各 種 の マーカータンパク 質 の 発 現 を 観 察 できる 抗 体 に 蛍 光 色 素 を 標 識 しておけば 抗 原 抗 体 反 応 の 後 で 励 起 波 長 を 当 てて 蛍 光 発 色 させ 蛍 光 顕 微 鏡 で 観 察 でき る 一 般 病 院 でも 癌 の 病 理 組 織 の 診 断 にもよく 使 われる 3 パーキンソン 病 モデルカニクイザル 神 経 毒 である 1-メチル-4-フェニル l-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(mptp と 略 す)を 右 内 頚 動 脈 から 投 与 すると 左 前 後 肢 に ふるえ 動 作 緩 慢 などのパーキンソン 病 特 有 の 運 動 障 害 を 呈 する これを 片 側 パーキンソン 病 モデルとした 4 PET 陽 電 子 放 出 断 層 画 像 法 (PET, Positron Emission Tomography)による 画 像 診 断 陽 電 子 を 放 出 する 放 射 性 同 位 体 を 薬 などの 分 子 に 組 み 込 んで 個 体 に 投 与 し 体 内 で 崩 壊 して 放 出 されるγ 線 を 測 定 して 分 子 の 体 内 分 布 を 見 る 方 法 陽 電 子 放 出 核 種 である 11 C や 18 F などで 標 識 された 薬 剤 を PET プローブという 大 学 病 院 や 専 門 病 院 でも 癌 診 断 や 認 知 症 の 診 断 検 査 法 として 使 用 されている 5 MRI 高 い 磁 場 とラジオ 波 を 用 いて 生 体 内 部 を 画 像 化 する 手 法 (MRI, Magnetic resonance imaging, 磁 気 共 鳴 画 像 法 ) 大 学 病 院 や 専 門 病 院 だけでなく 一 般 病 院 でも 導 入 されている 脳 卒 中 や 神 経 疾 患 癌 心 肝 臓 肺 関 節 疾 患 など 多 くの 疾 患 診 断 に 使 用 されている 6 11 C-CFT ドーパミントランスポーターに 対 する PET プローブ 7 18 F-FDG ブドウ 糖 に 対 する PET プローブ 癌 の 診 断 にも 使 用 されている 9
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