untitled

Transcription

1 中 国 食 品 安 全 法 制 の 新 局 面 ~ 中 華 人 民 共 和 国 食 品 安 全 法 の 制 定 ~ 農 林 水 産 委 員 会 調 査 室 いしかわ 石 川 たけひこ 武 彦 1.はじめに 中 国 では 2009 年 2 月 28 日 の 第 11 期 全 国 人 民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 第 7 回 会 議 において 中 華 人 民 共 和 国 食 品 安 全 法 ( 以 下 食 品 安 全 法 という )が 議 決 され 同 年 6 月 1 日 に 施 行 された 1 同 法 は 2007 年 12 月 に 草 案 が 提 出 され パブリックコメントを 参 考 としつつ 計 4 回 の 審 議 を 経 て 成 立 した 2 この 間 2008 年 1 月 には 日 本 向 けに 輸 出 された 殺 虫 剤 入 りの 冷 凍 餃 子 を 食 べた 人 が 健 康 被 害 を 受 けた いわゆる 中 国 製 冷 凍 ギョーザによる 食 中 毒 事 件 が 発 生 し 日 中 間 の 外 交 問 題 にまで 発 展 した また 同 年 9 月 には 中 国 国 内 におい て 化 学 物 質 メラミンが 混 入 された 牛 乳 を 原 料 にして 粉 ミルクが 製 造 され これを 飲 用 し た 乳 幼 児 が 多 数 死 傷 する 事 件 が 発 生 し 中 国 社 会 を 大 きな 不 安 に 陥 れた 3 翌 10 月 には 中 国 から 日 本 へ 輸 入 された 乾 燥 全 卵 からもメラミンが 検 出 され 問 題 となった 食 品 の 多 くを 中 国 から 輸 入 している 我 が 国 にとって 中 国 の 食 品 問 題 は 決 して 対 岸 の 火 事 で はなくなっている 食 品 安 全 法 案 は こうした 食 品 安 全 に 関 わる 重 大 事 件 の 発 生 と 同 時 期 に 審 議 されたため これらの 問 題 を 教 訓 として 活 かすべく 当 初 提 出 された 草 案 に 大 幅 な 修 正 が 加 えられてい る 関 係 行 政 機 関 の 統 一 的 な 連 携 の 強 化 のほか 食 品 安 全 事 故 の 深 刻 化 につながる 事 実 の 隠 蔽 や 証 拠 の 隠 滅 を 防 ぐための 報 告 の 義 務 付 け 食 品 検 査 体 制 の 強 化 安 全 性 に 問 題 のあ る 食 品 のリコール 制 度 等 が 盛 り 込 まれることとなった 食 品 の 安 全 性 の 確 保 や 重 大 事 故 を 防 止 するためのフードチェーン 全 般 にわたるセーフティネットの 構 築 に 必 要 な 措 置 を 広 範 に 規 定 する 内 容 となっている 食 品 安 全 法 は 第 1 章 総 則 第 2 章 食 品 安 全 リスクの 監 視 及 び 評 価 第 3 章 食 品 安 全 標 準 第 4 章 食 品 の 製 造 及 び 販 売 第 5 章 食 品 検 査 第 6 章 食 品 の 輸 出 入 第 7 章 食 品 安 全 事 故 処 置 第 8 章 管 理 監 督 第 9 章 法 的 責 任 第 10 章 附 則 -の 全 10 章 104 条 に より 構 成 されている 1995 年 の 制 定 以 降 中 国 食 品 衛 生 行 政 の 根 拠 法 であった 中 華 人 民 共 和 国 食 品 衛 生 法 ( 以 下 食 品 衛 生 法 という )は 食 品 安 全 法 の 施 行 に 伴 い 廃 止 され た 4 1 中 華 人 民 共 和 国 主 席 令 第 9 号 日 本 の 法 律 施 行 規 則 に 相 当 する 2 通 常 の 法 案 審 議 は1~2 回 で 終 了 するため 4 回 に 及 ぶことは 異 例 である 3 中 国 河 北 省 の 乳 業 大 手 三 鹿 集 団 が 製 造 した 粉 ミルクを 飲 用 した 乳 幼 児 ら 約 30 万 人 が 腎 臓 結 石 を 発 症 する などの 健 康 被 害 を 受 けた これは 原 乳 の 生 産 者 やブローカーが 乳 業 メーカーへの 納 品 時 の 検 査 で タンパ ク 質 の 含 有 量 をより 多 く 見 せかけるため 有 毒 物 質 のメラミンを 混 入 したのが 原 因 であった 4 食 品 安 全 法 第 104 条 ( 以 下 脚 注 で 該 当 条 文 を 示 す 場 合 は 法 第 条 という ) 52

2 なお 2009 年 7 月 20 日 には 中 国 食 品 安 全 法 の 具 体 的 な 実 施 手 続 を 規 定 した 中 華 人 民 共 和 国 食 品 安 全 法 実 施 条 例 も 施 行 され 5 中 国 の 新 たな 食 品 安 全 法 制 がスタートしてい る 2. 食 品 安 全 法 制 定 の 背 景 (1) 民 以 食 為 天 ~ 以 人 為 本 中 国 には 古 来 より 王 以 民 為 天 而 民 以 食 為 天 という 言 葉 がある 6 王 にとって 最 も 重 要 なのは 民 であり 民 にとっては 食 べることが 最 も 重 要 である という 意 味 である こ れは 為 政 者 たる 王 は 国 の 要 である 民 を 飢 えさせてはならないという 戒 めにつながる 一 方 現 代 中 国 においては 飢 餓 の 時 代 はもはや 過 去 の 記 憶 になっているが 食 品 の 安 全 を 揺 るがす 事 件 や 問 題 の 発 生 は 日 々 枚 挙 にいとまがない( 表 1) 中 国 国 内 では メラミン 粉 ミルク 事 件 以 前 にも 2006 年 の 紅 心 鴨 蛋 事 件 多 宝 魚 事 件 など 食 品 安 全 を 揺 るがす 事 件 が 相 次 いで 発 生 している 紅 心 鴨 蛋 事 件 は アヒル 卵 の 黄 身 をより 赤 く 見 せようとした 河 北 省 の 飼 育 業 者 が 塩 漬 け 卵 等 に 加 工 する 際 に 飼 料 に 発 ガン 性 のある 染 料 スーダンレッドを 使 用 し これが 流 通 していたものである また 多 宝 魚 事 件 は 山 東 省 で 養 殖 され 上 海 市 で 販 売 された 多 宝 魚 (イシビラメ)から 使 用 が 禁 止 されている 動 物 用 医 薬 品 マラカイトグリーン 等 が 検 出 されたものである いずれもそ の 経 緯 が 大 きく 報 道 され 全 国 的 に 反 響 を 呼 んだ 事 件 であった しかし これらは 氷 山 の 一 角 に 過 ぎず 中 国 国 民 の 間 では 食 品 に 対 する 潜 在 的 な 不 安 が 増 大 している 購 入 した 野 菜 や 果 物 を 一 定 時 間 水 に 浸 けてから 調 理 する 光 景 は 中 国 では 今 や 一 般 的 である 人 々は 食 卓 へ 向 かう 度 に 一 体 何 を 食 べれば 安 全 なのか? と 疑 心 暗 鬼 を 生 じているのである 中 国 は 30 年 来 改 革 開 放 政 策 の 下 目 覚 ましい 経 済 成 長 を 遂 げた 一 方 で 地 域 間 の 経 済 格 差 の 拡 大 環 境 汚 染 民 族 問 題 等 様 々な 内 政 問 題 に 直 面 することとなった その 一 つ として 国 民 の 生 命 や 健 康 に 憂 慮 すべき 状 況 をもたらしたのが 食 品 安 全 問 題 である 今 後 国 民 生 活 の 基 本 である 食 品 の 安 全 が 保 障 できなくなれば 国 民 の 非 難 の 矛 先 が 政 府 つまり 中 国 共 産 党 に 向 けられることは 必 定 である これは 同 党 が 掲 げる 小 康 社 会 や 和 諧 社 会 の 実 現 に 大 きな 障 害 となるばかりか 7 社 会 不 安 を 惹 起 しかねない 中 国 共 産 党 は 近 年 以 人 為 本 ( 人 が( 国 の) 根 本 である)という 理 念 の 下 で 国 民 重 視 の 姿 勢 をアピールするようになったが 8 これは 将 来 に 向 けた 強 い 危 機 感 の 表 れとみて よかろう 中 国 は 2004 年 の 憲 法 改 正 に 当 たり 序 言 ( 前 文 )に 三 個 代 表 を 重 要 思 想 5 中 華 人 民 共 和 国 国 務 院 令 第 557 号 (2009 年 7 月 8 日 国 務 院 第 73 次 常 務 会 議 採 択 ) 6 班 固 漢 書 巻 第 四 十 三 の 一 節 7 小 康 社 会 とは 衣 食 足 りた 次 のステージの 経 済 社 会 文 化 教 育 環 境 等 あらゆる 面 で より 豊 か さを 実 感 できる 社 会 水 準 を 指 している 2002 年 の 第 16 回 党 大 会 では 全 面 的 な 小 康 社 会 を 実 現 するため に 2020 年 までにGDPを 2000 年 水 準 の4 倍 に 増 大 させるとの 目 標 を 掲 げた 和 諧 社 会 とは より 調 和 のとれた 社 会 という 意 味 であり 2004 年 の6 中 総 会 ( 第 16 期 中 央 委 員 会 第 6 回 総 会 )で 採 択 された 社 会 主 義 和 諧 社 会 構 築 に 関 する 若 干 の 重 大 問 題 の 決 定 における 概 念 である 2020 年 までに 経 済 格 差 の 是 正 や 社 会 保 障 の 充 実 法 治 主 義 の 推 進 等 を 行 うことを 目 標 に 掲 げている 8 中 国 の 春 秋 戦 国 時 代 ( 紀 元 前 770 年 ~ 同 221 年 )に 斉 国 の 宰 相 であった 管 仲 が 著 したとされる 管 子 覇 言 に 夫 覇 王 之 所 始 也 以 人 為 本 本 治 則 国 固 本 乱 則 国 危 ( 人 を 根 本 として はじめて 覇 者 となるのであ り これに 従 って 国 を 治 めれば 国 は 堅 固 なものとなり これを 乱 せば 国 は 危 機 に 瀕 する )との 一 節 がある 53

3 として 追 加 した 中 国 共 産 党 が 体 現 すべきとされる3 項 目 であるが その 一 つ 広 範 な 人 民 の 根 本 的 利 益 に 照 らせば 国 民 の 生 命 健 康 を 保 障 する 上 で 不 可 欠 な 食 品 安 全 の 確 保 は 党 及 び 政 府 の 重 要 かつ 喫 緊 の 責 務 と 位 置 付 けられることになる 今 般 の 食 品 安 全 法 制 定 の 裏 には このような 中 国 共 産 党 の 危 機 意 識 に 基 づく 思 想 的 背 景 があったとみられる 1996 年 5 月 1999 年 2 月 1999 年 9 月 2000 年 3 月 2000 年 6 月 2001 年 9 月 2002 年 6 月 2002 年 7 月 表 1 過 去 に 日 本 中 国 で 発 生 した 食 品 衛 生 安 全 に 関 わる 問 題 中 国 製 健 康 食 品 繊 之 素 膠 丸 による 健 康 被 害 問 題 2003 年 7 月 トラフグ 養 殖 業 者 によるホルマリン 使 用 問 題 2003 年 12 月 2004 年 2004 年 1 月 2004 年 4 月 2004 年 6 月 2005 年 5 月 中 国 製 ダイエット 用 食 品 天 天 素 による 健 康 被 害 問 題 2005 年 8 月 中 国 産 養 殖 ウナギ 合 成 抗 菌 薬 (マラカイトグリーン) 検 出 問 題 2006 年 5 月 残 留 農 薬 等 に 基 づくポジティブリスト 制 度 導 入 2006 年 11 月 2006 年 12 月 2007 年 3 月 2007 年 12 月 2008 年 9 月 埼 玉 県 所 沢 産 野 菜 のダイオキシン 含 有 騒 動 茨 城 県 東 海 村 の 核 燃 料 施 設 における 臨 界 事 故 による 農 産 物 への 影 響 問 題 国 内 で 口 蹄 疫 発 生 雪 印 乳 業 製 造 の 低 脂 肪 乳 による 集 団 食 中 毒 国 内 で 牛 海 綿 状 脳 症 (BSE) 発 生 中 国 産 冷 凍 ホウレンソウの 残 留 農 薬 問 題 全 国 28 都 県 における 無 登 録 農 薬 使 用 問 題 中 国 製 冷 凍 ギョーザによる 食 中 毒 事 件 2008 年 10 月 中 国 製 冷 凍 インゲン 農 薬 検 出 問 題 中 国 産 乾 燥 鶏 卵 メラミン 検 出 問 題 日 本 国 内 大 阪 堺 市 等 におけるO-157による 集 団 食 中 毒 中 国 国 内 ( 主 なもの) ( 米 国 でBSE 発 生 ) ( 各 国 で 鳥 インフルエンザ 発 生 ) 毛 髪 水 醤 油 ( 理 髪 店 や 病 院 から 回 収 された 頭 髪 を 化 学 処 理 し 醤 油 が 製 造 されていると 報 道 された 問 題 ) 安 徽 省 における 粉 ミルク 等 偽 造 事 件 四 川 省 成 都 市 の 漬 物 工 場 における 違 法 添 加 物 問 題 紅 心 鴨 蛋 事 件 ( 河 北 省 平 山 県 のアヒル 飼 育 場 において 発 ガン 性 のある 着 色 料 が 使 用 されていた 問 題 ) 多 宝 魚 事 件 ( 山 東 省 で 養 殖 され 上 海 市 で 販 売 されたイシビラメから 使 用 禁 止 の 動 物 用 医 薬 品 等 が 検 出 された 問 題 ) 山 東 省 招 遠 市 の 春 雨 工 場 による 工 業 用 漂 白 剤 使 用 問 題 ( 米 国 等 における 中 国 産 ペットフード メラミン 混 入 問 題 ) メラミン 粉 ミルク 事 件 ( 河 北 省 の 牛 乳 大 手 企 業 三 鹿 集 団 が 製 造 した 粉 ミ ルクを 飲 用 した 乳 幼 児 ら 約 30 万 人 が 腎 臓 結 石 等 の 健 康 被 害 を 受 けた 問 題 ) ( 出 所 ) 朝 日 新 聞 産 経 新 聞 日 本 経 済 新 聞 毎 日 新 聞 読 売 新 聞 人 民 日 報 等 を 参 考 に 作 成 (2) 食 品 衛 生 法 から 食 品 安 全 法 へ 食 品 安 全 法 の 制 定 以 前 は 食 品 衛 生 法 が 食 品 法 制 の 基 礎 をなすものであった 食 品 安 全 法 には 立 法 目 的 において 一 つの 思 想 的 発 展 がみられる 食 品 衛 生 法 は 第 1 条 で 食 品 衛 生 を 保 証 し 食 品 汚 染 及 び 有 害 要 素 及 び 人 体 に 対 する 危 害 を 防 止 し 国 民 の 身 体 の 健 康 を 保 障 し 国 民 の 体 質 を 増 強 するため 本 法 を 制 定 する と 規 定 している 一 方 食 品 安 全 法 は 第 1 条 で 食 品 の 安 全 を 保 証 し 公 衆 の 身 体 の 健 康 及 び 生 命 の 安 全 を 保 障 する ため 本 法 を 制 定 する と 規 定 している 9 これらを 比 較 すると 食 品 衛 生 の 目 的 が 身 体 の 健 康 や 体 質 増 強 に 留 まっているのに 対 し 食 品 安 全 は 食 品 衛 生 の 目 的 を 含 め さらに 広 範 な 生 命 の 安 全 を 導 く 概 念 としてとらえられている 法 律 の 名 称 が 食 品 衛 生 法 から 食 品 安 全 法 に 転 換 されたことについて 中 国 政 法 大 学 の 張 樹 義 教 授 は 身 体 の 健 康 は 無 論 重 要 ではあるが 生 命 はより 根 本 となるものであ る 生 命 が 代 償 となった 悲 惨 な 教 訓 に 基 づいて 以 人 為 本 の 基 本 理 念 を 含 意 している 9 食 品 安 全 とは 食 品 が 無 毒 無 害 であり 必 要 な 栄 養 要 件 を 満 たし 人 体 の 健 康 に 対 していかなる 急 性 亜 急 性 又 は 慢 性 の 危 害 も 生 じさせないことを 指 す ( 法 第 99 条 ) 54

4 食 品 安 全 をおろそかにすれば 人 命 を 軽 視 することになるのである と 述 べている 10 このように 衛 生 と 安 全 の 二 字 の 相 異 は 中 国 の 食 品 法 制 における 思 考 改 革 の 進 展 を 示 唆 していると 言 えよう 以 下 に 食 品 安 全 法 の 主 要 な 内 容 について 見 ることとする 3. 食 品 安 全 法 適 用 の 対 象 となる 活 動 食 品 安 全 法 は 中 国 国 内 における 以 下 の 活 動 を 適 用 の 対 象 としている (1) 食 品 の 生 産 及 び 加 工 ( 食 品 生 産 ): ( 中 国 語 原 文 では 食 品 生 産 が 用 いられているが 本 稿 では 食 品 製 造 とする ) 食 品 流 通 及 び 飲 食 サービス 11 ( 食 品 経 営 ): ( 中 国 語 原 文 では 食 品 経 営 が 用 いられているが 本 稿 では 食 品 販 売 とする ただし 営 業 許 可 に 関 しては 食 品 販 売 を 食 品 流 通 と 飲 食 サービス に 区 分 して 記 述 することとする ) (2) 食 品 添 加 物 の 製 造 販 売 (3) 食 品 関 連 製 品 ( 食 品 に 使 用 する 包 装 材 料 容 器 洗 浄 剤 消 毒 剤 及 び 食 品 製 造 販 売 に 使 用 する 器 具 設 備 ) (4) 食 品 製 造 販 売 事 業 者 による 食 品 添 加 物 及 び 食 品 関 連 製 品 の 使 用 (5) 食 品 食 品 添 加 物 及 び 食 品 関 連 製 品 についての 安 全 管 理 なお 食 用 農 産 品 ( 食 用 に 供 される 農 業 由 来 の 一 次 産 品 )の 品 質 安 全 管 理 は 中 華 人 民 共 和 国 農 産 品 品 質 安 全 法 の 規 定 を 遵 守 することとしている 食 品 安 全 の 管 理 監 督 体 制 の 一 層 の 明 確 化 (1) 食 品 安 全 法 に 基 づく 食 品 行 政 中 国 には 現 在 のところ 食 品 安 全 分 野 を 一 元 的 に 取 り 扱 う 行 政 組 織 は 存 在 しない 食 品 行 政 一 般 は 従 来 食 品 の 製 造 販 売 のプロセスに 関 連 する 複 数 の 行 政 機 関 が 管 理 監 督 を 行 う 多 頭 管 理 体 制 で 実 施 されていたが 所 管 事 項 の 重 複 や 事 故 発 生 時 に 責 任 の 所 在 が 不 明 確 になる 等 の 問 題 が 指 摘 されてきた このため 食 品 安 全 法 では 関 係 行 政 部 門 による 食 品 安 全 に 係 る 管 理 監 督 の 分 担 体 制 に ついて 改 めて 明 確 に 規 定 することとなった 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 ( 国 家 衛 生 部 )は 食 品 安 全 管 理 監 督 の 総 合 調 整 を 担 う 職 責 を 負 い 食 品 安 全 リスク 評 価 食 品 安 全 標 準 の 制 定 食 品 安 全 情 報 の 公 表 食 品 検 査 機 構 の 資 質 認 定 条 件 及 び 検 査 規 範 の 制 定 を 行 うとともに 食 品 安 全 に 係 る 重 大 事 故 の 調 査 及 び 処 理 を 行 う 13 また 国 務 院 の 品 質 監 督 商 工 行 政 食 品 薬 品 管 理 監 督 の 各 部 門 は 法 律 に 基 づき そ れぞれ 食 品 製 造 食 品 流 通 ( 販 売 ) 飲 食 サービス 業 ( 食 堂 レストラン 等 )について 管 理 監 督 を 実 施 する 14 食 品 衛 生 法 の 下 では 食 品 の 製 造 や 販 売 等 の 事 業 者 は 少 なくとも 衛 生 行 政 部 門 が 発 行 する 衛 生 許 可 証 を 取 得 し 商 工 行 政 部 門 に 登 記 すれば 営 業 することがで 10 建 言 食 品 安 全 法 草 案 ( 中 国 人 大 新 聞 ) 11 中 国 語 では 餐 飲 服 務 と 表 記 する 12 法 第 2 条 第 2 項 13 法 第 4 条 第 2 項 14 法 第 4 条 第 3 項 55

5 きた 15 これに 対 し 食 品 安 全 法 では 製 造 流 通 飲 食 サービスの 各 環 節 16 ごとに 機 能 的 な 管 理 監 督 を 行 うため 関 係 行 政 部 門 が 食 品 製 造 販 売 について 許 可 制 度 を 実 行 する と 規 定 している 17 関 係 事 業 者 は 各 環 節 に 対 応 した 許 可 証 ( 食 品 製 造 許 可 証 食 品 流 通 許 可 証 及 び 飲 食 サービス 許 可 証 )の 取 得 を 義 務 付 けられることとなった 一 方 食 用 農 産 品 については 国 務 院 の 農 業 行 政 部 門 ( 国 家 農 業 部 )が 中 心 となり 管 理 監 督 を 行 うことと している また 各 関 係 部 門 は 意 思 疎 通 密 接 な 協 力 を 強 化 し 各 々の 職 責 分 担 に 従 い 法 律 に 基 づいて 職 権 を 行 使 し 責 任 を 負 わなければならいと 規 定 している 18 (2) 食 品 安 全 委 員 会 の 設 置 食 品 安 全 法 は 国 務 院 が 食 品 安 全 委 員 会 を 設 置 し その 職 責 は 国 務 院 により 規 定 さ れるとしている 19 同 委 員 会 の 行 政 機 構 上 の 位 置 付 けや 具 体 的 な 役 割 等 について 同 法 に 規 定 はないが 食 品 のリスク 評 価 ( 健 康 影 響 評 価 )については 食 品 安 全 リスク 評 価 専 門 家 委 員 会 が 行 うとする 規 定 があり 我 が 国 の 内 閣 府 食 品 安 全 委 員 会 とは 位 置 付 けが 異 な るとみられる 今 後 食 品 安 全 委 員 会 は 国 家 衛 生 部 から 食 品 安 全 管 理 監 督 の 総 合 調 整 機 能 を 引 き 継 ぎ ハイレベルの 行 政 委 員 会 として 二 重 行 政 の 解 消 や 責 任 の 明 確 化 など 諸 問 題 の 解 決 食 品 関 連 法 規 の 制 定 修 正 の 権 限 等 が 付 与 されるとの 見 方 もある 20 (3) 食 品 安 全 を 所 管 する 主 な 行 政 機 関 中 国 において 食 品 安 全 行 政 を 担 当 する 機 関 について 整 理 すると 以 下 のようになる( 図 1) 21 関 係 機 関 の 公 式 ホームページに 掲 載 された 所 管 事 務 のうち 食 品 の 製 造 販 売 等 に 係 る 管 理 監 督 業 務 をピックアップしたものである 15 食 品 衛 生 法 では 食 品 製 造 販 売 企 業 及 び 食 品 露 店 商 は 衛 生 行 政 部 門 が 発 行 する 衛 生 許 可 証 を 先 に 取 得 してから 商 工 行 政 管 理 部 門 に 申 請 登 記 しなければならない 衛 生 許 可 証 を 取 得 していなければ 食 品 生 産 経 営 活 動 に 従 事 してはならない ( 第 27 条 )と 規 定 されていた 基 本 的 に 食 品 関 係 事 業 者 は 衛 生 許 可 証 の 取 得 関 係 部 門 への 事 業 申 請 登 記 により 事 業 開 始 が 可 能 であった 16 食 品 の 製 造 環 節 流 通 環 節 消 費 環 節 という 場 合 の 環 節 は フードチェーンにおける 一 連 の プロセス 又 は 段 階 を 指 すと 考 えられる 製 造 環 節 食 品 は 製 造 プロセスにある 食 品 という 意 味 になるものと 思 われる 17 法 第 29 条 第 1 項 18 法 第 6 条 19 法 第 4 条 20 中 国 年 鑑 2009 ( 毎 日 新 聞 社 )61~62 頁 21 現 行 の 国 家 機 関 の 構 成 は 国 務 院 機 構 設 置 に 関 する 通 知 ( 国 発 2008)11 号 (2008 年 3 月 21 日 )に 基 づ く 中 華 人 民 共 和 国 憲 法 第 85 条 は 国 務 院 すなわち 中 央 人 民 政 府 は 最 高 国 家 権 力 機 関 の 執 行 機 関 で あり 最 高 国 家 行 政 機 関 である 旨 規 定 している 国 務 院 は 日 本 の 内 閣 に 相 当 し 総 理 副 総 理 国 務 委 員 各 部 部 長 委 員 会 主 任 会 計 検 査 長 秘 書 長 によって 構 成 される 部 委 員 会 等 が 中 央 省 庁 に 相 当 し 各 分 野 の 行 政 を 担 当 している 一 方 同 憲 法 第 105 条 には 地 方 各 級 人 民 政 府 は 地 方 各 級 国 家 権 力 機 関 の 執 行 機 関 であり 地 方 各 級 国 家 行 政 機 関 である 旨 の 規 定 がある 各 級 とは 省 自 治 区 直 轄 市 ( 以 上 日 本 の 都 道 府 県 に 相 当 ) 県 ( 同 市 町 村 に 相 当 ) 市 区 郷 鎮 等 を 指 し 県 以 上 の 地 方 各 級 人 民 政 府 は 法 定 された 権 限 に 基 づき 当 該 行 政 区 域 内 の 各 分 野 の 行 政 を 担 当 し 決 定 命 令 及 び 人 事 の 権 限 を 有 する( 憲 法 第 107 条 ) また 県 級 以 上 の 地 方 人 民 政 府 は 各 事 業 部 門 や 下 級 人 民 政 府 の 事 業 を 指 導 する 旨 の 規 定 もある( 同 第 108 条 ) 56

6 ア 衛 生 部 食 品 安 全 の 総 合 調 整 メカニズムの 確 立 と 食 品 安 全 の 総 合 監 督 の 責 任 を 負 う また 食 品 製 造 流 通 環 節 の 規 範 及 び 条 件 並 びに 食 品 製 造 流 通 許 可 の 条 件 を 定 めるとし 食 品 安 全 関 連 事 務 を 列 挙 すると 以 下 のようになる 22 1 食 品 安 全 に 関 連 する 法 律 法 規 案 の 起 草 2 食 品 安 全 に 関 する 規 則 制 定 3 法 律 に 基 づいて 関 連 する 標 準 及 び 技 術 規 範 制 定 4 食 品 安 全 確 保 のための 総 合 調 整 5 食 品 安 全 に 係 る 重 大 事 故 の 調 査 究 明 6 食 品 安 全 標 準 の 制 定 7 食 品 及 び 関 連 製 品 の 安 全 リスク 評 価 と 警 戒 8 食 品 安 全 検 査 機 構 の 資 質 認 定 条 件 及 び 検 査 規 範 の 制 定 9 重 大 な 食 品 安 全 情 報 の 統 一 的 公 表 イ 農 業 部 農 産 品 の 生 産 環 節 の 管 理 監 督 に 責 任 を 負 い 以 下 のような 食 品 安 全 関 連 事 務 を 司 る 23 1 農 水 産 業 及 び 関 連 産 業 に 係 る 法 律 法 規 案 の 起 草 2 農 水 産 業 及 び 関 連 産 業 製 品 及 び 緑 色 食 品 24 の 品 質 監 督 3 農 薬 及 び 動 物 用 医 薬 品 の 品 質 監 視 鑑 定 登 録 4 国 内 動 植 物 防 疫 及 び 検 疫 業 務 の 監 督 図 1 中 国 の 中 央 政 府 機 構 図 国 務 院 ( 内 閣 に 相 当 ) 弁 公 庁 部 委 員 会 直 属 特 設 機 構 直 属 機 構 事 務 機 構 直 属 事 業 単 位 ( 内 閣 官 房 に 相 当 ) 外 交 部 国 有 資 産 監 督 管 理 委 員 会 海 関 総 署 ( 税 関 ) 国 務 院 華 僑 事 務 弁 公 室 新 華 通 信 社 国 防 部 国 家 税 務 総 局 国 務 院 香 港 マカオ 事 務 弁 公 室 中 国 科 学 院 国 家 発 展 改 革 委 員 会 国 家 商 工 行 政 管 理 総 局 国 務 院 法 制 弁 公 室 中 国 社 会 科 学 院 教 育 部 国 家 品 質 監 督 検 査 検 疫 総 局 国 務 院 研 究 室 中 国 工 程 院 科 学 技 術 部 国 家 映 画 テレビ 放 送 総 局 国 務 院 発 展 研 究 センター 工 業 情 報 化 部 国 家 新 聞 出 版 総 署 ( 国 家 版 権 局 ) 国 家 行 政 学 院 国 家 民 族 事 務 委 員 会 国 家 体 育 総 局 中 国 地 震 局 公 安 部 国 家 安 全 生 産 監 督 管 理 総 局 中 国 気 象 局 国 家 安 全 部 国 家 統 計 局 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 監 察 部 国 家 林 業 局 中 国 証 券 監 督 管 理 委 員 会 民 政 部 国 家 知 識 産 権 局 中 国 保 険 監 督 管 理 委 員 会 司 法 部 国 家 旅 遊 局 国 家 電 力 監 管 委 員 会 財 政 部 国 家 宗 教 事 務 局 全 国 社 会 保 障 基 金 理 事 会 人 力 資 源 社 会 保 障 部 国 務 院 参 事 室 国 家 自 然 科 学 基 金 委 員 会 国 土 資 源 部 国 務 院 機 関 事 務 管 理 局 国 務 院 台 湾 事 務 弁 公 室 環 境 保 護 部 国 家 腐 敗 予 防 局 国 務 院 新 聞 弁 公 室 住 宅 都 市 農 村 建 設 部 国 家 文 書 局 交 通 運 輸 部 鉄 道 部 部 委 員 会 が 管 理 する 国 家 局 水 利 部 農 業 部 商 務 部 文 化 部 衛 生 部 国 家 人 口 計 画 生 育 委 員 会 中 国 人 民 銀 行 審 計 署 ( 会 計 検 査 院 ) ( 省 庁 に 相 当 ) イ ア 管 理 エ ウ 国 家 陳 情 局 国 家 測 量 製 図 局 国 家 食 糧 局 中 国 民 用 航 空 局 国 家 エネルギー 局 国 家 郵 政 局 国 家 国 防 科 学 技 術 工 業 局 国 家 文 物 局 国 家 煙 草 専 売 局 国 家 食 品 薬 品 監 督 管 理 局 国 家 外 国 専 門 家 局 国 家 中 医 薬 管 理 局 国 家 公 務 員 局 国 家 外 貨 管 理 局 国 家 海 洋 局 国 家 炭 坑 安 全 監 察 局 オ 国 家 機 密 保 持 局 国 家 暗 号 管 理 局 国 家 宇 宙 局 国 家 原 子 力 エネルギー 機 構 国 家 言 語 文 字 事 業 委 員 会 国 家 核 安 全 局 ( 出 所 ) 中 華 人 民 共 和 国 中 央 人 民 政 府 ホームページの 政 府 機 構 の 記 載 を 基 に 作 成 注 ) は 食 品 安 全 法 に 直 接 規 定 のある 機 関 である は 食 品 安 全 行 政 に 関 係 するその 他 の 機 関 である 22 中 華 人 民 共 和 国 衛 生 部 ホームページ 23 中 国 農 業 信 息 網 ( 中 華 人 民 共 和 国 農 業 部 ホームページ) 24 本 稿 の 参 考 1 中 国 における 食 品 及 び 農 産 品 の 認 証 認 可 システム を 参 照 57

7 図 2 中 国 食 品 安 全 法 に 基 づく 制 度 の 体 系 ( 概 略 ) 行 政 部 門 関 連 事 業 者 食 用 農 産 品 農 水 産 業 関 連 産 業 農 民 企 業 農 民 専 業 共 同 経 済 組 織 食 用 農 産 品 生 産 記 録 制 度 地 方 機 関 : 省 自 治 区 直 轄 市 市 県 区 郷 地 方 農 業 行 政 部 門 国 家 機 関 : 国 務 院 の 各 機 関 国 家 農 業 部 ハイレベルの 総 合 調 整 機 構 へ? 食 品 安 全 委 員 会 第 4 条 第 54 条 虚 偽 広 告 の 禁 止 第 7 条 食 品 業 協 会 社 会 公 衆 食 品 関 連 事 業 製 造 ( 生 産 ) 環 節 飲 食 サービス( 餐 飲 服 務 ) 環 節 第 2 条 食 品 事 業 の 誠 実 な 建 設 食 品 安 全 知 識 の 宣 伝 普 及 推 進 の 誘 導 広 告 製 造 販 売 ( 生 産 経 営 ) 公 正 中 立 流 通 環 節 社 会 的 責 任 第 3 条 監 督 消 費 者 ニュースメディア 消 費 者 協 会 食 品 安 全 に 関 係 する 法 律 法 規 食 品 安 全 基 準 等 の 公 益 宣 伝 違 反 行 為 に 対 社 会 団 体 等 健 康 な 飲 食 方 式 の 唱 道 する 世 論 の 監 督 第 8 条 消 費 者 の 食 品 安 全 意 識 を 向 上 第 27 条 通 知 良 好 な 生 産 規 範 要 件 健 全 な 食 品 安 全 管 理 制 度 第 条 食 品 食 品 添 加 物 食 品 関 連 製 品 食 品 加 工 製 造 業 食 品 販 売 業 スーパー 商 店 等 食 堂 レストラン 等 生 産 停 止 回 収 関 連 事 業 者 に 通 知 等 食 品 リコール 制 度 食 品 安 全 標 準 小 規 模 食 品 製 造 工 場 第 30 条 露 店 業 者 ( 屋 台 等 ) 出 入 荷 記 録 の 作 成 保 存 義 務 (2 年 ) 第 24 条 食 品 安 全 企 業 標 準 ( 地 方 標 準 がない 場 合 ) 食 品 製 造 許 可 食 品 流 通 許 可 飲 食 サービス 許 可 食 品 索 票 索 証 制 度 (トレーサビリティ) 第 条 第 53 条 公 表 ( 義 務 ) 第 22 条 第 18 条 -20 条 第 30 条 制 定 改 訂 第 35 条 営 業 の 要 件 取 扱 い 禁 止 食 品 食 品 製 造 販 売 許 可 制 度 第 4 条 第 条 第 条 第 5 6 条 県 級 以 上 の 品 質 監 督 検 査 検 疫 部 門 県 級 以 上 の 商 工 行 政 管 理 部 門 県 級 以 上 の 食 品 薬 品 管 理 監 督 部 門 第 60 条 食 品 検 査 制 度 食 品 検 査 機 構 資 質 認 定 検 査 人 第 条 第 4 条 報 告 第 59 条 省 自 治 区 直 轄 市 の 衛 生 行 政 部 門 食 品 安 全 リスク 監 視 食 品 安 全 リスク 監 視 プログラム 第 17 条 食 品 安 全 リスク 評 価 第 13 条 第 16 条 第 21 条 食 品 安 全 国 家 標 準 食 品 安 全 地 方 標 準 ( 国 家 標 準 がない 場 合 ) 管 理 監 督 第 4 条 義 務 的 検 査 食 品 安 全 リスク 監 視 評 価 制 度 第 11 条 上 級 機 関 への 報 告 義 務 策 定 審 査 第 23 条 国 家 品 質 監 督 検 査 検 疫 総 局 国 家 商 工 行 政 管 理 総 局 国 家 食 品 薬 品 監 督 管 理 局 食 品 安 全 リスク 情 報 第 12 条 国 家 衛 生 部 策 定 調 整 第 12 条 国 の 食 品 安 全 リスク 監 視 計 画 食 品 安 全 リスク 評 価 専 門 家 委 員 会 出 入 国 検 査 検 疫 部 門 認 可 登 録 食 品 安 全 国 家 標 準 審 査 委 員 会 交 流 協 力 関 係 行 政 部 門 調 査 食 品 の 輸 出 入 税 関 第 4 条 輸 出 食 品 生 産 企 業 食 品 輸 出 業 者 許 可 通 関 第 条 ( 出 所 ) 筆 者 作 成 違 反 行 為 の 通 報 管 理 監 督 への 意 見 提 案 等 第 10 条 食 品 安 全 事 故 の 処 置 食 品 製 造 販 売 企 業 食 品 安 全 事 故 処 置 プラン 定 期 的 検 査 事 故 発 生 の 潜 在 的 食 品 安 全 事 故 複 数 の 省 自 治 区 にまたがる 重 大 事 故 第 25 条 県 級 以 上 の 地 方 人 民 政 府 当 該 行 政 区 域 の 食 品 安 全 事 故 応 急 プログラム 要 因 の 除 去 事 故 調 査 区 を 設 置 する 市 級 以 上 の 衛 生 行 政 部 門 第 70 条 番 号 管 理 国 家 標 準 化 管 理 委 員 会 第 73 条 第 72 条 事 故 対 応 第 73 条 上 級 機 関 への 報 告 義 務 第 71 条 国 の 食 品 安 全 事 故 応 急 プログラム 第 70 条 58

8 ウ 国 家 品 質 監 督 検 査 検 疫 総 局 ( 一 般 略 称 質 検 総 局 ) 食 品 製 造 環 節 及 び 輸 出 入 食 品 の 安 全 に 係 る 管 理 監 督 に 責 任 を 負 い 食 品 製 造 環 節 におけ る 許 可 について 管 理 監 督 を 行 うとされ 以 下 のような 食 品 安 全 関 連 事 務 を 司 る 25 1 食 品 生 産 の 管 理 監 督 製 品 品 質 法 食 品 安 全 法 及 びその 実 施 条 例 に 基 づき 国 内 の 食 品 製 造 加 工 環 節 について 品 質 の 安 全 管 理 衛 生 の 管 理 監 督 国 内 の 食 品 製 造 許 可 食 品 の 品 質 安 全 検 査 の 強 制 食 品 安 全 事 故 の 調 査 処 理 を 行 う 2 輸 出 入 食 品 の 安 全 管 理 食 品 安 全 法 輸 出 入 商 品 検 査 法 及 び 関 連 規 定 に 基 づき 輸 出 入 食 品 の 安 全 衛 生 及 び 品 質 について 検 査 管 理 監 督 を 実 施 輸 入 される 食 品 ( 飲 料 酒 類 糖 類 を 含 む) 食 品 添 加 物 食 品 容 器 包 装 材 料 食 品 用 の 工 具 及 び 設 備 について 検 査 管 理 監 督 を 実 施 輸 出 入 食 品 の 検 査 検 疫 を 通 じたリスク 警 戒 及 び 早 期 対 応 システムの 確 立 輸 出 入 食 品 が 有 する 可 能 性 のあるリスク 又 は 潜 在 的 な 危 害 に 対 する 予 防 的 な 安 全 保 障 措 置 を 講 ずる 3 標 準 化 管 理 質 検 総 局 の 関 係 機 関 である 国 家 標 準 化 管 理 委 員 会 が 標 準 化 法 及 びその 実 施 条 例 に 基 づき 26 標 準 化 に 関 する 法 律 法 規 案 等 の 起 草 標 準 化 制 度 の 実 施 国 家 標 準 の 制 定 及 び 改 訂 を 行 う 27 エ 国 家 商 工 行 政 管 理 総 局 ( 一 般 略 称 工 商 総 局 ) 食 品 流 通 環 節 の 管 理 監 督 に 責 任 を 負 い 食 品 流 通 環 節 の 許 可 について 管 理 監 督 を 行 うと され 以 下 のような 食 品 安 全 事 務 を 司 る 28 1 食 品 製 造 販 売 事 業 者 の 登 記 管 理 監 督 法 律 に 基 づき 無 許 可 経 営 の 調 査 及 び 取 締 り 2 市 場 経 営 秩 序 の 維 持 市 場 取 引 インターネット 取 引 等 の 管 理 監 督 3 流 通 領 域 の 商 品 の 品 質 及 び 流 通 環 節 の 食 品 安 全 の 管 理 監 督 食 品 流 通 許 可 詐 称 詐 欺 等 の 違 法 行 為 につ いて 調 査 及 び 処 置 消 費 者 の 問 い 合 わせ 通 報 等 の 受 理 及 び 処 置 経 営 者 及 び 消 費 者 の 権 益 保 護 4 不 正 競 争 密 輸 等 の 取 締 り 5 商 標 の 登 録 及 び 管 理 6 広 告 活 動 の 管 理 監 督 7 商 工 行 政 管 理 分 野 の 国 際 協 力 及 び 交 流 オ 国 家 食 品 薬 品 監 督 管 理 局 衛 生 部 が 管 理 する 国 家 局 であり 飲 食 業 食 堂 等 消 費 環 節 の 食 品 安 全 に 係 る 管 理 監 督 に 責 任 を 負 い 飲 食 サービス 許 可 の 管 理 監 督 を 行 うとされ 以 下 のような 食 品 安 全 関 連 事 務 を 司 る 29 1 消 費 環 節 の 食 品 安 全 管 理 監 督 に 係 る 政 策 計 画 の 策 定 及 び 監 督 の 実 施 関 連 する 法 律 法 規 及 び 規 則 案 の 起 草 2 消 費 環 節 の 飲 食 サービス 許 可 及 び 食 品 安 全 の 管 理 監 督 3 消 費 環 節 食 品 安 全 管 理 規 範 の 制 定 及 び 監 督 実 施 消 費 環 節 の 食 品 安 全 状 況 の 調 査 及 び 監 視 25 中 国 語 では 国 家 質 量 監 督 検 験 検 疫 総 局 と 表 記 同 局 ホームページ 26 中 華 人 民 共 和 国 標 準 化 法 (1998 年 12 月 29 日 主 席 令 第 11 号 公 布 ) 27 国 家 標 準 化 管 理 委 員 会 は 国 家 質 量 監 督 検 験 検 疫 総 局 の 事 業 単 位 であり 国 務 院 が 授 権 した 行 政 管 理 の 職 能 を 履 行 し 国 の 規 格 統 一 に 関 する 法 律 の 起 草 や 改 正 に 参 与 するとともに 規 格 統 一 事 業 の 方 針 を 定 め 関 連 政 策 を 実 施 している 同 委 員 会 ホームページ 同 委 員 会 が 進 める 鉱 工 業 品 農 畜 産 品 等 全 般 についての 標 準 化 ( 規 格 統 一 ) 事 業 の 一 環 として 食 品 安 全 国 家 標 準 も 統 一 規 格 に 編 入 されることになる 国 家 統 一 規 格 にはそれぞれGB(GUOJIA BIAOZHUN: 国 家 標 準 の 中 国 語 音 読 表 記 の 略 ) 番 号 が 付 され 管 理 されている 28 中 国 語 では 国 家 工 商 行 政 管 理 総 局 と 表 記 同 局 ホームページ 29 国 家 食 品 薬 品 監 督 管 理 局 ホームページ 59

9 業 務 の 展 開 消 費 環 節 の 食 品 安 全 管 理 監 督 に 関 連 する 情 報 の 公 表 4 地 方 における 食 品 関 連 分 野 の 管 理 監 督 応 急 査 察 及 び 情 報 化 事 業 を 指 導 5 食 品 の 管 理 監 督 に 関 連 する 国 際 交 流 及 び 協 力 を 展 開 カ その 他 の 関 係 行 政 機 関 このほか 食 品 安 全 法 に 直 接 規 定 はないが 科 学 技 術 部 ( 食 品 安 全 管 理 監 督 に 係 る 技 術 研 究 開 発 ) 工 業 情 報 化 部 ( 食 品 安 全 に 係 る 情 報 のネットワーク 化 及 び 共 有 化 ) 30 環 境 保 護 部 ( 農 産 物 等 の 産 地 の 環 境 保 全 ) 商 務 部 ( 食 品 の 市 場 流 通 運 送 等 の 管 理 監 督 )がそ れぞれ 食 品 行 政 の 一 端 を 担 っている なお 省 自 治 区 以 下 の 地 方 人 民 政 府 においても 国 と 同 様 の 衛 生 品 質 管 理 監 督 商 工 行 政 管 理 等 食 品 安 全 を 所 管 する 行 政 部 門 が 設 置 されている 5. 中 小 零 細 経 営 者 に 対 する 管 理 監 督 の 強 化 中 国 の 食 品 製 造 業 界 は その8 割 を 年 間 販 売 額 500 万 元 以 下 の 中 小 企 業 により 占 められ ている( 図 3) 31 従 業 員 が 10 人 以 下 の 小 企 業 や 小 作 坊 と 呼 ばれる 食 品 製 造 加 工 小 規 模 工 場 が 全 国 に 35 万 3 千 存 在 し 食 品 製 造 企 業 全 体 の 78.8%を 占 めている 32 小 作 坊 は 一 般 的 に 固 定 的 な 従 業 員 が 少 なく 簡 1 億 元 以 上 易 な 生 産 設 備 をもって 営 業 する 生 産 単 1.7% 位 又 は 個 人 を 指 すものである 許 可 を 500 万 元 超 ~1 億 元 受 けずに 衛 生 レベルが 十 分 でない 設 19.9% 備 で 秘 密 裏 に 食 品 製 造 を 行 うなど 行 政 の 管 理 監 督 が 行 き 届 かないため 食 500 万 元 以 下 品 事 故 の 温 床 となっていると 見 られる 80.1% 一 方 飲 食 サービス 業 の 分 野 では 屋 台 等 を 営 む 食 品 露 店 業 者 が 数 多 く 存 在 する 食 品 衛 生 法 の 下 では 食 品 露 店 の 営 業 に 当 たり 衛 生 許 可 を 受 ける 必 要 があったが 無 許 可 で 営 業 する 業 者 が 多 く これも 食 品 事 故 発 生 のリスクを 高 める 要 因 として 懸 念 されていた このような 食 品 製 造 業 界 における 中 小 零 細 業 者 の 経 営 実 態 を 踏 まえ 食 品 安 全 法 は これら 業 者 の 管 理 監 督 を 強 化 する 規 定 を 置 いている 食 品 製 造 加 工 の 小 作 坊 及 び 食 品 露 店 商 が 食 品 製 造 販 売 活 動 に 従 事 するときは 一 定 の 規 模 条 件 に 適 応 した 食 品 安 全 要 件 を 満 たし 製 造 販 売 する 食 品 が 衛 生 的 で 無 害 無 毒 であることを 保 証 しなければならず 関 係 部 門 は その 管 理 監 督 の 強 化 について 具 体 的 管 理 方 法 を 省 自 治 区 直 轄 市 の 人 民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 の 審 議 を 通 じ 制 定 しなければ 図 3 中 国 の 食 品 製 造 企 業 の 販 売 額 別 構 成 比 (2006 年 ) ( 出 所 ) 中 国 物 流 学 会 学 会 課 題 - 中 国 製 造 企 業 物 流 現 状 及 政 策 建 議 (2007.4)の 記 載 を 基 に 作 成 30 中 国 語 では 工 業 和 信 息 化 部 と 表 記 31 中 国 物 流 学 会 学 会 課 題 - 中 国 製 造 企 業 物 流 現 状 及 政 策 建 議 (2007.4) 中 国 物 流 与 採 購 網 32 国 務 院 新 聞 弁 公 室 中 国 的 食 品 質 量 安 全 状 況 白 皮 書 ( 白 書 )(2007.8) 60

10 ならない 33 また 県 級 以 上 の 地 方 人 民 政 府 は 小 作 坊 の 生 産 条 件 改 善 を 奨 励 すると 規 定 している 34 具 体 的 には 安 全 標 準 に 基 づく 製 造 設 備 の 導 入 支 援 や 製 造 技 術 の 普 及 指 導 等 を 推 進 するこ とが 考 えられる 食 品 露 店 商 については 集 中 交 易 市 場 へ 進 出 し 店 舗 等 固 定 場 所 で 経 営 することを 奨 励 するとしている 食 品 安 全 リスク 監 視 及 び 評 価 制 度 の 確 立 食 品 安 全 リスク 監 視 は 食 品 由 来 の 疾 病 食 品 汚 染 及 び 食 品 中 の 有 害 な 要 素 について 監 視 を 行 うものである 食 品 安 全 リスク 監 視 情 報 は リスク 評 価 を 行 う 際 の 根 拠 の 一 つとな る 食 品 安 全 法 は 国 は 食 品 安 全 リスク 監 視 制 度 を 確 立 するとし 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 がその 他 の 国 務 院 の 関 係 部 門 と 共 同 で 国 家 食 品 安 全 リスク 監 視 計 画 を 制 定 すると 規 定 している 36 食 品 安 全 リスク 評 価 は 食 品 中 の 生 物 学 的 化 学 的 物 理 的 な 危 害 が 人 体 の 健 康 に 悪 影 響 を 及 ぼしうることについて 科 学 的 評 価 を 行 うものである 37 食 品 安 全 リスク 評 価 は 既 に 諸 外 国 で 普 及 している 手 法 である 食 品 安 全 法 は 食 品 安 全 リスク 評 価 制 度 を 確 立 すると し 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 がリスク 評 価 業 務 の 実 施 に 責 任 を 負 い 医 学 農 業 食 品 栄 養 等 の 分 野 の 専 門 家 で 組 織 される 食 品 安 全 リスク 評 価 専 門 家 委 員 会 が 実 際 のリスク 評 価 を 行 うと 規 定 している 38 また 食 品 安 全 リスク 評 価 結 果 の 活 用 を 保 証 するため 食 品 安 全 法 は 食 品 安 全 リスク 評 価 結 果 を 食 品 安 全 標 準 の 制 定 及 び 改 訂 並 びに 食 品 安 全 に 係 る 管 理 監 督 を 実 施 する 際 の 科 学 的 根 拠 にすると 規 定 している 食 品 安 全 国 家 標 準 の 統 一 的 な 制 定 の 原 則 を 明 確 化 食 品 安 全 法 は 食 品 安 全 標 準 について 公 衆 の 身 体 の 健 康 を 保 障 することを 旨 とし 科 学 的 合 理 性 確 かな 安 全 性 に 基 づいて 制 定 すると 規 定 している 40 様 々な 流 通 食 品 につい て 衛 生 要 件 品 質 要 件 等 を 明 記 した 標 準 を 制 定 することにより 当 該 食 品 の 安 全 性 を 担 保 し 円 滑 な 流 通 と 消 費 者 の 安 心 を 確 保 することをねらいとするものである 中 国 の 標 準 は 日 本 の 規 格 基 準 に 相 当 するもので 標 準 化 法 に 基 づき 国 家 標 準 化 管 理 委 員 会 が 管 理 している 食 品 衛 生 法 の 下 での 旧 制 度 においては 一 つの 食 品 でも 食 品 衛 生 標 準 食 品 品 質 標 準 等 の 複 数 の 標 準 が 存 在 したり 規 定 内 容 が 重 複 するような 状 況 があった また 標 準 は 図 4 のように 国 家 地 方 業 界 企 業 等 各 レベルにおいて 設 定 され 同 様 の 標 準 が 併 存 し 食 品 製 造 業 者 が 混 乱 する 等 の 問 題 も 指 摘 されていた 33 法 第 29 条 第 3 項 34 法 第 30 条 35 同 上 集 中 交 易 市 場 にはフードコート 等 が 含 まれるとみられる 36 法 第 11 条 第 1 項 第 2 項 37 法 第 13 条 第 1 項 38 法 第 13 条 第 2 項 ~ 第 3 項 39 法 第 16 条 第 1 項 40 法 第 18 条 61

11 図 4 中 国 における 標 準 国 家 標 準 GB( 強 制 標 準 ) GB/T( 推 奨 標 準 ) 地 方 標 準 業 界 標 準 DB 農 業 業 種 標 準 NY 企 業 標 準 軽 工 業 種 標 準 QB 包 装 業 種 標 準 BB 等 ( 出 所 ) 中 国 年 鑑 2009 ( 毎 日 新 聞 社 )62 頁 の 記 載 を 参 考 に 作 成 これまで 食 品 衛 生 標 準 等 の 国 家 標 準 は 1,800 以 上 また 食 品 事 業 関 連 の 標 準 が 2,900 以 上 制 定 され 強 制 的 な 国 家 標 準 は 634 に 上 る さらに 7,000 以 上 の 地 方 標 準 と 14 万 に 上 る 企 業 標 準 が 併 存 し 多 くの 標 準 に 重 複 が 存 在 していたため 2007 年 までに 530 標 準 が 廃 止 されている 41 このため 食 品 安 全 法 は 食 品 に 関 する 諸 標 準 を 整 理 統 合 し 統 一 標 準 を 制 定 するこ ととした 同 法 は 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 が 食 品 安 全 国 家 標 準 を 制 定 公 表 し( 資 料 1) 42 食 品 安 全 国 家 標 準 以 外 に 食 品 の 強 制 的 標 準 を 制 定 してはならないと 規 定 している 43 この 規 定 は 制 度 上 食 品 安 全 標 準 の 統 一 性 を 確 保 するため 衛 生 部 が 個 別 の 食 品 についてワ ンパッケージの 統 一 標 準 を 制 定 することを 基 本 とするものである また それぞれの 食 品 安 全 国 家 標 準 には 国 家 標 準 番 号 が 付 され 44 国 の 標 準 化 政 策 に 則 り 食 品 関 連 分 野 以 外 の 鉱 工 業 サービス 分 野 等 に 係 る 国 家 標 準 と 同 様 に 統 一 的 に 管 理 される また 食 品 安 全 国 家 標 準 がないときは 食 品 安 全 地 方 標 準 を 制 定 することができると ともに( 資 料 2) 45 企 業 が 製 造 する 食 品 に 食 品 安 全 国 家 標 準 又 は 地 方 標 準 がないときは 食 品 安 全 企 業 標 準 を 制 定 し 組 織 的 な 製 造 の 根 拠 としなければならない 46 なお 食 品 安 全 国 家 標 準 の 制 定 に 当 たっては 食 品 安 全 国 家 標 準 審 査 委 員 会 の 審 査 を 経 る 必 要 がある 47 食 品 安 全 国 家 標 準 が 規 定 すべき 内 容 (1) 食 品 食 品 関 連 製 品 中 の 病 原 性 微 生 物 残 留 農 薬 残 留 動 物 用 医 薬 品 重 金 属 汚 染 物 質 及 びその 他 の 人 体 の 健 康 に 危 害 を 及 ぼす 物 質 の 量 を 制 限 する 規 定 (2) 食 品 添 加 物 の 種 類 使 用 範 囲 用 量 (3) 乳 幼 児 専 用 及 びその 他 特 定 の 人 々が 主 として 摂 取 する 食 品 の 栄 養 成 分 の 要 件 41 中 華 人 民 共 和 国 国 務 院 新 聞 弁 公 室 中 国 的 食 品 質 量 安 全 状 況 (2007.8) 42 法 第 21 条 第 1 項 43 法 第 19 条 44 法 第 21 条 第 1 項 45 法 第 24 条 第 1 項 46 法 第 25 条 第 1 項 47 法 第 23 条 第 1 項 62

12 (4) 食 品 安 全 栄 養 と 関 係 のあるラベル 標 識 説 明 書 の 要 件 (5) 食 品 の 製 造 販 売 過 程 の 衛 生 要 件 (6) 食 品 安 全 に 関 係 する 品 質 要 件 (7) 食 品 検 査 の 方 法 及 び 規 程 (8)その 他 食 品 安 全 標 準 の 制 定 に 必 要 な 内 容 資 料 1 食 品 安 全 国 家 標 準 ( 案 )の 一 例 生 乳 ( 制 定 に 向 けパブリックコメント 募 集 中 ) ( 出 所 ) 食 品 産 業 網 ホームページ 検 測 標 準 注 ) 食 品 安 全 法 の 施 行 を 受 けて 現 在 国 家 衛 生 部 が 食 品 安 全 国 家 標 準 案 に ついて パブリックコメントを 募 集 中 である 生 乳 については 鮮 乳 衛 生 標 準 を 基 に 名 称 を 生 鮮 乳 に 改 める ほか 本 標 準 を 食 用 生 乳 には 適 用 し ない ( 食 用 ( 飲 用 )に 加 工 する 際 の 標 準 は 別 途 制 定 するとの 意 味 と 考 えられる )の 文 言 を 追 加 学 術 用 語 及 び 定 義 を 追 加 するなどしている 63

13 資 料 2 地 方 標 準 の 一 例 無 公 害 果 物 京 白 梨 48 ( 出 所 ) 食 品 産 業 網 ホームページ 検 測 標 準 8. 生 産 製 造 販 売 業 者 が 食 品 安 全 を 保 証 する 社 会 的 責 任 の 一 層 の 強 化 等 製 造 販 売 業 者 が 食 品 安 全 を 保 証 する 社 会 的 責 任 を 強 化 するため 食 品 安 全 法 は 食 品 製 造 販 売 業 者 が 法 律 法 規 及 び 食 品 安 全 標 準 に 基 づいて 製 造 販 売 活 動 に 従 事 しなけれ ばならず 社 会 及 び 公 衆 に 責 任 を 負 い 食 品 安 全 を 保 証 し 社 会 の 監 督 を 受 けるとともに 社 会 的 責 任 を 担 うと 規 定 している 49 このほか 国 が 社 会 団 体 等 による 食 品 安 全 に 係 る 法 律 法 規 及 び 知 識 等 の 普 及 活 動 を 奨 励 し 健 康 的 な 飲 食 方 式 を 唱 道 すると 規 定 し ている 50 また ニュース メディアが 食 品 安 全 に 係 る 法 律 法 規 及 び 知 識 等 の 公 益 宣 伝 を 展 開 し 本 法 の 違 反 行 為 について 世 論 の 48 北 京 市 及 び 周 辺 の 河 北 省 一 帯 で 栽 培 される 梨 の 優 良 品 種 の 一 つである 清 朝 の 乾 隆 皇 帝 ( 第 6 代 在 位 1735 年 ~1795 年 )がその 風 味 を 絶 賛 したことで 知 られる 49 法 第 3 条 50 法 第 8 条 第 1 項 64

14 監 督 を 行 うことも 規 定 している 食 品 製 造 販 売 業 者 による 製 造 販 売 記 録 等 の 作 成 及 び 保 存 義 務 食 品 安 全 法 には 索 票 索 証 食 品 事 業 者 に 営 業 許 可 証 その 他 必 要 な 書 類 の 提 示 確 認 取 引 記 録 の 作 成 を 行 うこと を 義 務 付 ける 規 定 がある( 図 5) 52 索 票 索 証 の 徹 底 により 食 品 事 故 発 生 時 に 迅 速 な 商 品 の 回 収 や 早 期 の 原 因 究 明 再 発 防 止 処 置 を 行 うねらいがある これは いわゆる 食 品 トレーサビリティ システムの 構 築 について 規 定 するものである トレーサビリティ については コーデックス 委 員 会 総 会 (2004 年 6 月 ~7 月 ) 及 び 国 際 標 準 化 機 構 (ISO)の 規 格 飼 料 及 びフードチェーンにおけるトレーサビリティ の 設 計 及 び 実 施 のための 一 般 原 則 及 び 基 本 要 求 事 項 において それぞれ 以 下 のように 定 義 されている コーデックス 委 員 会 における 定 義 Traceability / product tracing: the ability to follow the movement of a food through specified stage(s) of production, processing and distribution.(codex, 2004) 生 産 加 工 及 び 流 通 の 特 定 の 一 つ 又 は 複 数 の 段 階 を 通 じて 食 品 の 移 動 を 把 握 できること ISO22005における 定 義 生 産 加 工 及 び 流 通 の 特 定 の 一 つ 又 は 複 数 の 段 階 を 通 じて 飼 料 又 は 食 品 の 移 動 を 把 握 でき ること (ISO22005:2007) これらの 定 義 に 従 えば トレーサビリティ とは いつ どこから 入 荷 し どこへ 出 荷 したかを 各 事 業 者 が 個 々に 記 録 しておくことにより 食 品 がどこから 来 てどこへ 行 った かわかるようにしておくこと ( 食 品 の 移 動 を 把 握 できること)を 意 味 する 図 5 食 品 安 全 法 における 索 票 索 証 制 度 物 品 提 供 者 食 品 製 造 企 業 or 食 品 販 売 企 業 提 示 営 業 許 可 証 製 品 合 格 証 明 合 格 証 明 書 類 ない 場 合 入 荷 検 査 記 録 食 品 原 料 食 品 添 加 物 食 品 関 連 製 品 の 1 名 称 2 規 格 3 数 量 4 提 供 者 の 名 称 及 び 連 絡 方 法 5 仕 入 れ 期 日 等 保 存 ( 最 低 2 年 ) 作 成 製 造 許 可 証 確 認 食 品 製 造 企 業 提 示 食 品 合 格 証 明 書 確 認 作 成 食 品 販 売 企 業 飲 食 サービス 企 業 食 品 安 全 標 準 に 基 づく 検 査 出 荷 検 査 記 録 食 品 の 1 名 称 2 規 格 3 数 量 4 製 造 期 日 5 製 造 番 号 6 検 査 合 格 証 保 存 ( 最 低 2 年 ) 作 成 入 荷 検 査 記 録 食 品 の 1 名 称 2 規 格 3 数 量 4 製 造 番 号 5 品 質 保 証 期 限 6 提 供 者 の 名 称 及 び 連 絡 方 法 7 入 荷 期 日 保 存 ( 最 低 2 年 ) ( 出 所 ) 筆 者 作 成 ( 食 品 安 全 法 の 規 定 を 図 式 化 したもの ) 51 法 第 8 条 第 2 項 52 法 第 条 第 39 条 65

15 食 品 安 全 法 の 規 定 では 食 品 事 業 者 間 で 営 業 許 可 証 と 食 品 の 検 査 合 格 証 の 提 示 確 認 を 義 務 付 け 無 許 可 営 業 や 食 品 安 全 標 準 に 適 合 しない 安 全 性 に 問 題 のある 食 品 が 流 通 するこ とを 防 止 する 措 置 もセットで 講 じる 形 となっている 10. 適 正 な 製 造 規 範 の 遵 守 と 食 品 安 全 管 理 水 準 の 向 上 食 品 の 生 産 製 造 流 通 等 の 各 段 階 において 一 定 の 規 範 に 基 づき 適 正 な 管 理 を 実 施 し リスクの 分 析 除 去 を 行 うことは 食 品 事 故 を 未 然 に 防 止 する 有 効 な 手 段 となる( 参 考 1) これに 関 して 食 品 安 全 法 は 以 下 のように 規 定 している 国 は 食 品 製 造 販 売 企 業 が 適 正 製 造 規 範 (GMP) 要 件 を 満 たすことを 奨 励 し 53 H ACCP( 危 害 分 析 重 要 管 理 点 )システムを 実 施 し 54 食 品 安 全 管 理 水 準 を 向 上 させるこ とを 奨 励 すると 規 定 している 55 また GMPやHACCPシステムを 通 じて 認 証 された 食 品 製 造 販 売 企 業 について 認 証 機 構 は 法 律 に 基 づいて 追 跡 調 査 を 実 施 し 56 認 証 要 件 を 再 度 満 たさなかった 企 業 に 対 しては 認 証 を 取 り 消 し 遅 滞 なく 関 係 行 政 機 関 に 通 報 するとともに 社 会 に 公 表 しな ければならない 認 証 機 構 の 追 跡 調 査 については いかなる 費 用 も 徴 収 しないとしている 57 HACCPシステムは 食 品 製 造 輸 送 及 び 販 売 の 全 過 程 における 各 種 の 危 害 について 分 析 とコントロールを 実 施 するものであり 食 品 安 全 事 故 を 予 防 する 上 での 基 礎 として システマティックかつ 連 続 的 な 予 防 及 びコントロールの 手 法 とされる なお 認 証 機 構 による 追 跡 調 査 の 費 用 徴 収 を 免 除 する 規 定 は 食 品 製 造 販 売 事 業 者 の 負 担 を 軽 減 するための 措 置 と 考 えられ 国 が 費 用 負 担 をすることになるとみられる 一 方 食 品 安 全 法 は 食 用 農 産 品 の 生 産 管 理 についても 規 定 している 食 用 農 産 品 の 生 産 者 は 食 品 安 全 標 準 及 び 国 の 関 係 規 定 に 基 づいて 農 薬 成 長 ホルモ ン 剤 動 物 用 医 薬 品 飼 料 及 び 飼 料 添 加 物 等 の 農 業 投 入 資 材 を 使 用 しなければならない また 食 用 農 産 品 の 生 産 企 業 及 び 農 民 専 業 共 同 経 済 組 織 は 食 用 農 産 品 生 産 記 録 制 度 を 確 立 しなければならない 58 これは GAP(Good Agricultural Practice: 適 正 農 業 規 範 53 GMP(Good Manufacturing Practice): 製 品 の 均 質 化 を 図 り その 安 全 性 と 信 頼 性 を 高 めるために 衛 生 的 合 理 的 で 作 業 しやすい 適 切 な 製 造 環 境 の 確 保 のための 構 造 設 備 標 準 と 原 材 料 の 受 入 れから 製 品 の 包 装 出 荷 までの 適 切 な 手 順 書 を 作 成 し これに 則 った 管 理 を 行 う 54 HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point):1960 年 代 に 米 国 で 宇 宙 食 の 安 全 性 を 確 保 するた めに 開 発 された 食 品 の 衛 生 管 理 手 法 である 製 造 の 全 工 程 においてあらかじめ 危 害 を 予 測 し その 危 害 を 防 止 ( 予 防 消 滅 許 容 レベルまでの 減 少 )するための 重 要 管 理 点 を 特 定 して そのポイントを 継 続 的 に 監 視 記 録 し 異 常 が 認 められればすぐに 対 策 をとり 解 決 するため 不 良 製 品 の 出 荷 を 未 然 に 防 止 できる 55 法 第 33 条 第 1 項 56 中 華 人 民 共 和 国 認 証 認 可 条 例 (2003 年 11 月 1 日 施 行 )によれば 認 証 機 構 は 製 品 サービス 管 理 システムが 関 連 する 技 術 規 範 とその 強 制 的 要 件 又 は 標 準 を 満 たしているかを 評 定 する( 同 条 例 第 2 条 ) 認 証 機 構 の 設 立 には 固 定 の 経 営 場 所 必 要 な 設 備 を 備 えていること 資 本 金 300 万 元 以 上 専 門 職 員 を 10 名 以 上 擁 する 等 が 要 件 となっている( 同 第 10 条 ) 認 証 機 構 は 認 証 する 製 品 サービス 管 理 システムにつ いて 有 効 な 追 跡 調 査 を 実 施 し それらが 引 き 続 き 認 証 要 件 を 満 たすことができないときは 認 証 証 明 書 を 暫 時 停 止 又 は 取 り 消 さなければならない( 同 第 27 条 ) 57 法 第 33 条 第 2 項 58 法 第 35 条 第 1 項 生 産 記 録 の 内 容 は 中 華 人 民 共 和 国 農 産 品 品 質 安 全 法 (2006 年 11 月 1 日 施 行 ) 第 24 条 の 規 定 により 1 使 用 する 農 業 投 入 資 材 の 名 称 出 所 用 法 用 量 及 び 使 用 開 始 停 止 期 日 2 動 物 の 疫 病 植 物 の 病 虫 害 の 発 生 及 び 防 除 状 況 3 収 穫 と 畜 又 は 捕 獲 の 期 日 -としており 生 産 記 録 は2 年 間 保 存 66

16 参 考 1 中 国 における 食 品 及 び 農 産 品 の 認 証 認 可 システム 59 有 機 製 品 等 の 食 品 及 び 農 産 品 の 認 証 認 可 システムは 国 家 認 証 認 可 管 理 委 員 会 ( 以 下 国 家 認 監 委 という ) が 中 心 となり 農 業 部 商 務 部 国 家 発 展 改 革 委 員 会 環 境 保 護 部 等 の 各 関 係 部 門 の 支 持 の 下 に 国 際 的 な 規 格 に 則 って 構 築 することとされている 農 地 から 食 卓 まで の 全 プロセスにおいて 栽 培 養 殖 製 造 加 工 貯 蔵 運 送 販 売 等 の 各 環 節 をカバ ーする 食 品 農 産 品 の 認 証 認 可 システムが 既 に 構 築 されている 主 なものとして 無 公 害 農 産 品 認 証 緑 色 食 品 認 証 有 機 製 品 認 証 飼 料 製 品 認 証 適 正 農 業 規 範 (GAP) 認 証 危 害 分 析 重 要 管 理 点 (HACCP) 食 品 安 全 管 理 システム 認 証 等 がある 2009 年 10 月 現 在 取 得 された 認 証 は 合 計 67,201 件 に 達 している なお 現 在 中 国 政 府 は 国 務 院 の 乳 製 品 品 質 安 全 監 督 条 例 に 基 づき 乳 製 品 製 造 企 業 の 適 正 製 造 規 範 (GMP) 認 証 及 び 乳 製 品 のHACCPシステム 認 証 制 度 の 構 築 にも 取 り 組 んでいる 食 品 安 全 に 関 する 主 な 認 証 制 度 無 公 害 農 産 品 認 証 無 公 害 農 産 品 とは 産 地 の 環 境 生 産 プロセス 及 び 産 品 の 品 質 が 関 係 する 国 家 標 準 及 び 規 範 の 要 件 を 満 たすことにより 認 証 を 受 け 無 公 害 農 産 品 の 表 示 を 許 可 する もので 2002 年 に 創 設 された 制 度 である 未 加 工 又 は 初 期 加 工 の 農 畜 産 物 水 産 物 等 を 対 象 としている 無 公 害 農 産 品 は 生 産 プロセスにおいて 人 口 合 成 された 安 全 な 化 学 農 薬 動 物 無 公 害 農 産 品 の 認 証 マーク 用 医 薬 品 肥 料 飼 料 添 加 物 等 を 量 品 種 期 間 を 限 定 して 使 用 することを 許 容 しており 国 の 食 品 衛 生 標 準 を 満 たすこととされている 国 家 農 業 部 の 傘 下 にある 農 産 物 品 質 安 全 センター ( 農 産 物 質 量 安 全 中 心 ) 等 が 制 度 の 実 施 主 体 となっている 2006 年 末 までに 全 国 で 無 公 害 農 産 品 認 証 を 取 得 した 単 位 は 14,806 事 業 体 産 品 は 23,636 件 生 産 総 量 は 1.44 億 トンに 達 している 無 公 害 農 産 品 認 証 は 一 種 の 基 礎 的 認 証 であり 国 家 財 政 による 大 幅 な 資 金 補 助 により 認 証 機 構 は 認 証 の 実 施 時 に 費 用 を 徴 収 していない 緑 色 食 品 認 証 緑 色 食 品 とは 持 続 可 能 な 発 展 の 原 則 に 従 い 化 学 肥 料 農 薬 の 使 用 量 を 制 限 し 有 害 生 産 資 材 の 使 用 を 禁 止 するなど 環 境 に 配 慮 した 特 定 の 方 式 により 生 産 製 造 され た 食 品 を 指 す 農 畜 産 物 水 産 物 のほか 加 工 食 品 全 般 を 対 象 としている 緑 色 食 品 認 証 は 1990 年 に 構 築 され 国 家 農 業 部 に 所 属 する 中 国 緑 色 食 品 発 展 緑 色 食 品 認 証 マーク(CGFDC) センター ( 中 国 緑 色 食 品 発 展 中 心 :CGFDC)が 制 度 の 実 施 主 体 となっている コーデックス 委 員 会 の ガ イドライン に 基 づく 国 家 農 業 部 緑 色 食 品 標 準 に 依 拠 し 60 AA 級 ( 有 機 食 品 と 同 等 レベル)と A 級 ( 日 本 の 特 別 栽 培 ( 減 農 薬 減 化 学 肥 料 栽 培 )レベル)に 分 けられ 各 省 自 治 区 等 に 設 置 された 委 託 認 証 機 しなければならず 偽 造 してはならないとしている 59 食 品 安 全 快 速 検 測 食 品 安 全 に 関 する 認 証 の 種 類 総 体 ( 関 于 食 品 安 全 的 認 証 種 類 総 匯 ) 等 を 参 考 にしてま とめたものである 60 有 機 的 に 生 産 される 食 品 の 生 産 加 工 表 示 及 び 販 売 に 係 るガイドライン (CAC/GL ) 緑 色 食 品 産 地 環 境 品 質 標 準 NY/T ( 国 家 農 業 部 農 業 業 種 標 準 ) 等 67

17 構 が 認 証 を 行 っている 制 度 創 設 当 初 は 対 先 進 国 市 場 をターゲットとした 輸 出 戦 略 の 一 つとして 振 興 が 図 ら れたが 近 年 の 経 済 成 長 にともなう 国 民 の 消 費 動 向 の 変 化 や 食 に 対 する 安 全 志 向 の 高 まりを 背 景 として 緑 色 食 品 の 国 内 市 場 は 拡 大 を 続 けている 緑 色 食 品 の 発 展 情 況 (2001 年 ~2007 年 ) 指 標 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 平 均 増 加 率 (%) 当 年 認 証 企 業 ,150 1,839 2,064 2, 当 年 認 証 製 品 988 1,239 1,746 3,142 5,077 5,676 6, 認 証 企 業 総 数 1,217 1,756 2,047 2,836 3,695 4,615 5, 認 証 製 品 総 数 2,400 3,046 4,030 6,496 9,728 12,868 15, 実 物 総 量 ( 万 トン) 2,000 2,500 3,260 4,600 6,300 7,200 8, 年 販 売 額 ( 億 元 ) ,030 1,500 1, 年 輸 出 額 ( 億 米 ト ル) 監 視 面 積 ( 万 ha) ( 出 所 ) 中 国 緑 色 食 品 網 注 ) 監 視 面 積 は 認 証 の 対 象 となっている 圃 場 及 び 水 産 物 等 の 養 殖 場 等 の 面 積 の 合 計 である 資 料 原 文 では 面 積 単 位 が 畝 (ムー: 約 1/15ha)であるが ha に 換 算 してある 有 機 製 品 認 証 有 機 農 業 とは 有 機 農 業 生 産 標 準 に 基 づき 61 自 然 法 則 及 び 生 態 学 の 原 理 に 従 って 行 われ 遺 伝 子 組 み 換 え 技 術 や 化 学 合 成 農 薬 化 学 肥 料 成 長 調 整 剤 等 の 物 質 を 使 用 せず 持 続 的 発 展 が 可 能 な 一 連 の 営 農 技 術 を 採 用 した 生 産 プロセスを 維 持 する 農 業 を 指 す 有 機 製 品 は 有 機 農 業 の 原 理 及 び 有 機 製 品 の 製 造 加 工 標 準 に 基 づいて 産 出 される 農 畜 産 物 水 産 物 加 工 食 品 飼 料 等 であり 有 機 製 品 認 証 機 構 の 認 証 を 経 た 製 品 を 指 す 現 在 中 国 では 有 機 認 証 の 専 門 機 関 としては 1994 年 に 国 家 環 境 保 護 部 傘 下 に 設 立 された 中 国 有 機 食 品 発 展 センター ( 中 国 有 機 食 品 発 展 中 心 :OFDC)と 2002 年 に 国 家 農 業 部 傘 下 に 設 立 された 中 緑 華 夏 有 機 食 品 認 証 セ ンター ( 中 緑 華 夏 有 機 食 品 認 証 中 心 :COFCC)が 併 存 し 前 出 のCGFDCも AA 級 緑 色 食 品 として 有 機 認 証 を 取 り 扱 う 体 制 にある OFDC の 有 機 認 証 マーク COFCC の 有 機 認 証 マーク OFDCは IFOAM( 国 際 有 機 農 業 運 動 連 盟 )が 策 定 した 有 機 農 業 基 準 に 依 拠 した 認 証 を 行 い COF CCの 認 証 基 準 は 基 本 的 にコーデックス 委 員 会 の ガイドライン に 依 拠 したものとなっているが いずれ も 生 態 系 の 健 全 性 維 持 環 境 保 全 を 通 じた 持 続 可 能 な 農 業 生 産 の 促 進 を 認 証 事 業 の 主 眼 としている 2009 年 10 月 現 在 中 国 の 有 機 製 品 標 準 に 基 づいて 認 証 された 企 業 は 2,000 近 くに 達 している 有 機 製 品 は 主 として 穀 物 植 物 油 原 料 野 菜 果 物 茶 葉 蜂 蜜 畜 産 物 及 び 水 産 物 等 であり EU 米 国 日 本 等 へ 輸 出 されている 61 有 機 製 品 国 家 標 準 GB 等 68

18 / 農 業 生 産 工 程 管 理 手 法 )の 導 入 を 制 度 として 確 立 する 規 定 である 食 品 生 産 は 原 料 と なる 食 用 農 産 品 と 不 可 分 のものであり 農 地 から 食 卓 まで の 全 過 程 において 管 理 監 督 を 実 施 し 根 源 的 な 問 題 の 発 生 を 防 止 するためには 食 品 農 産 品 に 対 する 管 理 監 督 を 強 化 す る 必 要 がある この 点 において GAPの 導 入 が 有 意 義 であると 捉 えられている GAP 制 度 の 確 立 を 義 務 付 けられるのは 食 用 農 産 品 の 生 産 企 業 と 農 民 専 業 共 同 経 済 組 織 ( 農 業 協 同 組 合 に 相 当 )であり 個 々の 農 民 ( 家 族 経 営 者 )は 対 象 としていない 11. 食 品 の 表 示 義 務 食 品 安 全 法 は 包 装 された 食 品 の 包 装 上 にはラベルを 貼 付 しなければならないと 規 定 し ラベルには 以 下 の 事 項 を 明 記 しなければならないとしている 62 (1) 名 称 規 格 正 味 量 生 産 期 日 (2) 成 分 又 は 配 合 表 (3) 製 造 者 の 名 称 住 所 連 絡 方 法 (4) 品 質 保 証 期 限 (5) 製 品 標 準 番 号 (6) 貯 蔵 条 件 (7) 使 用 した 食 品 添 加 物 の 国 家 標 準 における 通 用 名 称 (8) 製 造 許 可 証 番 号 (9) 法 律 法 規 又 は 食 品 安 全 標 準 が 規 定 する 必 ず 表 示 しなければならないその 他 の 事 項 また 専 ら 乳 幼 児 及 びその 他 特 定 のグループの 人 ( 特 定 人 群 )に 供 される 補 助 食 品 は そのラベルには 主 要 な 栄 養 成 分 及 びその 含 有 量 を 明 記 しなければならない 63 食 品 ラベル ( 食 品 標 簽 )とは 食 品 の 包 装 容 器 上 に 付 ける 付 箋 吊 し 札 文 字 図 形 符 号 といった 説 明 書 きを 指 す 食 品 ラベルの 基 本 的 機 能 は 食 品 の 名 称 配 合 表 正 味 量 生 産 者 の 名 称 ロット 番 号 生 産 期 日 等 を 明 瞭 かつ 正 確 に 記 述 し 科 学 的 な 見 地 か ら 消 費 者 に 当 該 食 品 の 品 質 特 性 安 全 特 性 等 の 情 報 を 伝 達 することである また これら の 表 示 内 容 を 通 じて それぞれの 食 品 の 品 質 特 性 鮮 度 のほか 成 分 や 配 合 表 から 食 品 に 内 在 する 品 質 特 殊 効 用 等 を 識 別 し 選 択 に 役 立 てることが 可 能 となる 食 品 ラベルに 食 品 添 加 物 を 表 示 する 際 一 般 消 費 者 に 馴 染 みのない 化 学 式 の 名 称 を 使 用 する 等 の 食 品 製 造 事 業 者 がみられるため 包 装 食 品 に 使 用 された 食 品 添 加 物 を 表 示 する 際 に 国 家 標 準 における 通 用 名 称 を 使 用 する 旨 規 定 したとみられる なお 食 品 安 全 法 は 未 包 装 の ばら 売 り の 食 品 ( 散 装 食 品 )の 表 示 についても 規 定 している これは 食 品 スーパー 等 でばら 売 りされる 食 品 の 販 売 過 程 において 食 品 が 二 次 的 に 汚 染 されるリスクに 配 慮 して 所 定 事 項 の 表 示 を 義 務 付 けるものである 食 品 販 売 事 業 者 がばら 売 り 食 品 を 販 売 するときは 容 器 (ケース) 等 に 当 該 食 品 の 名 称 生 産 期 日 62 法 第 42 条 第 1 項 包 装 食 品 の 表 示 に 関 しては 預 包 装 食 品 標 簽 通 則 や 食 品 標 識 管 理 規 定 等 の 法 規 にも 規 定 がある 63 法 第 42 条 第 2 項 特 定 のグループの 人 とは 特 定 の 疾 患 を 有 する 又 はアレルギー 等 の 体 質 を 有 する 等 の 人 を 指 す 69

19 製造 販売事業者の名称及び連絡方法等の内容を明記しなければならない64 以下に従来の中国食品の実際の表示例を示すが 参考２ 国家標準と地方標準 食品衛 生許可と食品製造許可等が混在し 記載方法も統一性がない現状がうかがえる 参考２ 中国の食品表示の例 筆者撮影 製造期日 製造者の連絡先 正味量 食品の名称 原料 水 米 コーリャン ふすま 食塩 安息香酸ナト リウム 合成保存料 製品標準番号 醸造食酢の国家標準番号 品質保証期限 醸造食酢の表示の一例 GB/T は 国家推奨 標準 であり 強制標 準ではない 名称 品質保証期限 ２年 正味量 衛生標準 とあるが 同標準の番号ではな く 2002 年取得の青島 ( 市 山東省 南区の食 ) 茶葉の表示の一例 64 法第 41 条第２項 70 立法と調査 No.302 品衛生許可証番号が記 載されている

20 ココナッツ 菓 子 (ココナッツパウダーを 固 めたもの) 食 品 品 質 地 方 標 準 番 号 乾 燥 野 菜 の 一 種 注 )QS(Quality Safety)マークは 食 品 品 質 安 全 製 造 許 可 証 を 取 得 した 企 業 が 製 造 した 加 工 食 品 を 出 荷 する 際 検 査 に 合 格 した 場 合 に 許 可 証 番 号 を 付 して 包 装 上 に 表 示 することができる 食 品 品 質 安 全 市 場 准 入 制 度 ( 食 品 の 品 質 安 全 を 保 証 するため 一 定 条 件 を 具 備 する 食 品 事 業 者 に 経 営 市 場 参 入 を 許 可 する 制 度 )に 基 づき 国 家 品 質 監 督 検 査 検 疫 総 局 が 統 一 的 に 制 定 するもので ある 2004 年 から 米 食 用 植 物 油 小 麦 粉 醤 油 及 び 醋 の 5 種 類 の 加 工 食 品 について 同 制 度 を 実 施 し 向 こう5 年 間 に 28 種 類 まで 対 象 を 拡 大 するとされている ( 出 所 ) 中 国 人 大 新 聞 ホームページ html 12. 食 品 添 加 物 の 管 理 監 督 の 強 化 近 年 中 国 で 発 生 する 食 品 安 全 に 係 る 事 件 事 故 のうち 食 品 添 加 物 の 無 規 範 な 使 用 や 濫 用 を 要 因 とするものが 多 くを 占 めている このため 食 品 安 全 法 は 食 品 添 加 物 の 管 理 監 督 を 一 層 強 化 する 規 定 を 設 けている 国 は 食 品 添 加 物 の 生 産 について 許 可 制 度 を 実 施 する 65 食 品 添 加 物 は 食 品 を 製 造 す る 上 での 技 術 的 な 必 要 性 があり かつ リスク 評 価 を 経 て 安 全 性 が 証 明 された 後 初 めて 使 用 が 許 される 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 は 技 術 的 必 要 性 及 び 食 品 安 全 リスク 評 価 の 結 果 に 基 づいて 遅 滞 なく 食 品 添 加 物 の 種 類 使 用 範 囲 用 量 の 基 準 について 改 訂 を 行 わな 65 法 第 43 条 71

21 ければならない 66 同 時 に 食 品 製 造 業 者 は 食 品 安 全 標 準 の 食 品 添 加 物 の 種 類 使 用 範 囲 用 量 の 規 定 に 基 づいて 食 品 添 加 物 を 使 用 しなければならない また 食 品 の 製 造 にお いて 食 品 添 加 物 以 外 の 化 学 物 質 及 びその 他 人 体 の 健 康 に 危 害 を 及 ぼす 物 質 を 使 用 してはな らないと 規 定 している 保 健 食 品 の 管 理 監 督 の 強 化 中 国 においては 保 健 食 品 ( 我 が 国 の 健 康 食 品 に 相 当 ) 関 連 産 業 は 既 に 相 当 規 模 に 成 長 しており GDPの 2.5% を 占 めているとの 見 方 がある( 参 考 3) 中 国 保 健 食 品 の 特 徴 は 伝 統 的 な 中 医 薬 学 (いわゆる 漢 方 )の 理 論 を 基 礎 として おり 天 然 の 動 植 物 等 を 主 要 な 原 料 として 開 発 製 造 されて いる 点 にある 参 考 3 保 健 食 品 の 一 例 2002 年 中 国 衛 生 部 が 認 可 した 保 健 食 品 は 4,600 種 類 に 達 したが そのうち 製 造 された のはわずか 1,200 種 余 りで 実 際 に 販 売 されたのは 200 種 に 満 たなかった 保 健 食 品 販 売 額 は 1997 年 には 700 億 元 であったが 2002 年 には 175 億 元 まで 下 降 した ところが 2003 年 SARS( 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 )の 突 然 の 流 行 を 機 に 保 健 食 品 を 含 む 健 康 関 連 市 場 が 大 幅 な 成 長 を 遂 げることとなった 2010 年 には 国 民 1 人 当 たりの 年 間 保 健 食 品 購 入 額 が 少 なくとも 100 元 に 達 し 市 場 規 模 は 1,000 億 元 を 突 破 すると 予 想 されるなど 保 健 食 品 関 連 産 業 は 成 長 産 業 と 位 置 付 けられている 68 その 一 方 で 保 健 食 品 は 虚 偽 の 効 能 をうたったり 使 用 が 禁 止 された 物 質 を 含 有 する 商 品 が 販 売 されるなど 様 々なトラブルも 発 生 しており 一 般 の 食 品 より 更 に 厳 格 な 管 理 が 必 要 となっている 近 年 我 が 国 でも 国 内 では 未 承 認 の 中 国 製 ダイエット 食 品 が 原 因 で 死 者 を 含 む 健 康 被 害 が 発 生 するなど 問 題 となっている 69 中 国 ではこうした 保 健 食 品 をめぐるトラブルが 数 多 く 発 生 しているが 食 品 安 全 法 は 以 下 のような 規 定 を 設 けている 国 は 特 定 の 保 健 機 能 を 有 すると 公 言 する 食 品 に 対 して 厳 格 な 管 理 監 督 を 実 行 する 関 係 する 管 理 監 督 部 門 は 法 律 に 基 づいて 職 責 を 履 行 し 責 任 を 担 わなければならない 具 体 的 な 管 理 監 督 の 方 法 は 国 務 院 が 定 めることとする 70 特 定 の 保 健 機 能 を 有 すると 公 言 する 食 品 は 人 体 に 対 して 急 性 亜 急 性 又 は 慢 性 の 危 害 を 及 ぼしてはならない また そのラベル 説 明 書 は 疾 病 の 予 防 治 療 効 能 に 言 及 してはならず 内 容 は 真 実 であるこ 66 法 第 45 条 67 法 第 46 条 68 中 国 営 養 保 健 品 行 業 研 究 報 告 (2009) ( 中 国 食 品 工 業 協 会 数 据 研 究 中 心 ) 69 日 本 国 内 では 2002 年 7 月 中 国 製 健 康 食 品 繊 之 素 膠 丸 を 摂 取 した 約 200 名 が 肝 機 能 障 害 を 発 症 し うち1 名 が 死 亡 した また 2005 年 5 月 中 国 製 ダイエット 用 食 品 天 天 素 清 脂 膠 嚢 を 服 用 した 100 名 以 上 がめまいや 嘔 吐 下 痢 等 の 健 康 被 害 を 受 け 1 名 が 死 亡 した これらの 商 品 からは 日 本 国 内 では 無 承 認 無 許 可 の 医 薬 品 成 分 が 検 出 されている ( 参 考 ) 中 国 製 ダイエット 用 健 康 食 品 ( 未 承 認 医 薬 品 )による 健 康 被 害 事 例 等 ( 厚 生 労 働 省 医 薬 食 品 局 監 視 指 導 麻 薬 対 策 課 2006 年 7 月 12 日 ) いわゆる 健 康 食 品 によ る 健 康 被 害 事 例 ( 厚 生 労 働 省 医 薬 食 品 局 食 品 安 全 部 新 開 発 食 品 保 健 対 策 室 ) 70 法 第 51 条 第 1 項 72

22 とを 要 し 摂 取 に 適 した 人 適 さない 人 効 用 成 分 又 は 代 表 的 成 分 とその 含 有 量 等 を 明 記 しなければならず 製 品 の 機 能 及 び 成 分 は ラベル 説 明 書 と 一 致 していることを 要 する 食 品 のリコール 制 度 の 確 立 食 品 のリコールは 食 品 製 造 業 者 が 製 造 した 安 全 性 に 問 題 のある 食 品 について 交 換 返 品 補 充 又 は 摂 取 方 法 の 説 明 の 修 正 等 を 通 じ 危 害 を 除 去 又 は 軽 減 するものである 食 品 安 全 法 は 国 が 食 品 のリコール 制 度 を 確 立 すると 規 定 している また 食 品 製 造 業 者 は 製 造 する 食 品 が 食 品 安 全 標 準 を 満 たしていないことが 判 明 したときは 直 ちに 製 造 を 停 止 し 出 荷 した 食 品 を 回 収 し 関 連 製 造 販 売 業 者 及 び 消 費 者 に 通 知 するとともに 回 収 及 び 通 知 状 況 を 記 録 しなければならないとしている 72 さらに 食 品 製 造 業 者 は 回 収 した 食 品 について 補 てん 無 害 化 処 理 廃 棄 等 の 措 置 を 採 るとともに 回 収 及 び 処 理 の 状 況 を 県 級 以 上 の 品 質 監 督 部 門 に 報 告 しなければならないと 規 定 している 73 一 方 食 品 販 売 業 者 についても 販 売 する 食 品 が 食 品 安 全 標 準 を 満 たしていないことが 判 明 したときは 直 ちに 販 売 を 停 止 し 関 連 業 者 及 び 消 費 者 へ 通 知 するとともに 販 売 停 止 及 び 通 知 状 況 を 記 録 しなければならないと 規 定 している 74 なお 食 品 製 造 販 売 業 者 が 本 法 の 規 定 どおりに 問 題 食 品 の 回 収 又 は 販 売 の 停 止 を 行 わ ないときは 県 級 以 上 の 品 質 監 督 商 工 行 政 管 理 食 品 薬 品 管 理 監 督 部 門 がそれらを 行 う よう 命 じることができるとしている 食 品 広 告 の 規 制 強 化 食 品 安 全 法 は 食 品 広 告 について 真 実 かつ 合 法 的 でなければならず 虚 偽 や 誇 大 な 内 容 であってはならない また 薬 品 が 有 するような 疾 病 予 防 や 治 療 効 能 に 言 及 してはなら ないと 規 定 している 76 これは 保 健 食 品 分 野 に 代 表 される 食 品 広 告 に 端 を 発 するトラブル の 多 発 に 配 慮 したもの 考 えられる 同 時 に 食 品 安 全 を 管 理 監 督 する 行 政 部 門 や 食 品 検 査 部 門 食 品 業 協 会 消 費 者 協 会 は 広 告 その 他 を 通 じて 消 費 者 に 特 定 の 食 品 を 推 奨 するこ とを 禁 じ 77 これらの 組 織 の 公 正 中 立 を 求 めている また 社 会 団 体 その 他 の 組 織 個 人 は 虚 偽 の 広 告 において 消 費 者 に 食 品 を 推 奨 し 消 費 者 の 合 法 的 な 権 益 に 損 害 を 与 えたときは 食 品 製 造 販 売 業 者 と 連 帯 責 任 を 負 うとの 規 定 がある 78 これについては 食 品 のテレビCM 等 に 虚 偽 の 内 容 等 があった 場 合 出 演 し た 俳 優 やタレント スポーツ 選 手 等 も 個 人 として 連 帯 責 任 を 問 われることになるとみられ ている 法 第 51 条 第 2 項 72 法 第 53 条 第 1 項 73 法 第 53 条 第 3 項 74 法 第 53 条 第 2 項 75 法 第 53 条 第 4 項 76 法 第 54 条 第 1 項 77 法 第 54 条 第 2 項 78 法 第 55 条 79 毎 日 新 聞 ( ) 日 本 経 済 新 聞 夕 刊 ( 同 日 ) 73

23 16. 食 品 検 査 体 制 の 強 化 安 全 性 に 問 題 のある 食 品 の 生 産 や 流 通 を 事 前 に 防 止 するための 検 査 体 制 の 強 化 について 食 品 安 全 法 は 以 下 のように 規 定 している 食 品 安 全 管 理 監 督 部 門 は 食 品 について 検 査 を 免 除 してはならならず 80 県 級 以 上 の 関 係 行 政 部 門 は 定 期 的 又 は 不 定 期 のサンプリング 検 査 を 行 わなければならない また 検 査 費 用 を 徴 収 してはならない 81 これは 食 品 製 造 販 売 業 者 に 対 する 食 品 検 査 の 義 務 化 と 費 用 の 公 的 負 担 を 定 めたものである これまで 一 部 の 大 企 業 や 有 名 企 業 の 中 には 一 定 の 要 件 を 満 たしていれば 監 督 官 庁 による 免 検 ( 検 査 免 除 )の 特 別 待 遇 を 受 けているものも 多 く 企 業 ブランドの 裏 でずさ んな 品 質 管 理 が 行 われている 例 が 報 告 されている メラミン 粉 ミルク 事 件 を 引 き 起 こした 三 鹿 集 団 も 免 検 の 対 象 であったとされる 食 品 安 全 法 に 食 品 の 検 査 義 務 を 明 記 したの は その 反 省 に 立 ったものとみられる 食 品 検 査 は 食 品 検 査 機 構 が 指 定 する 検 査 人 が 独 立 して 行 うものである 82 食 品 検 査 機 構 は 国 の 関 係 認 証 認 可 規 定 に 基 づいて 資 質 認 証 を 取 得 した 後 検 査 活 動 を 行 うことがで きる 83 検 査 人 は 関 係 法 律 法 規 食 品 安 全 標 準 検 査 規 範 に 基 づいて 公 正 な 検 査 を 行 い 虚 偽 の 報 告 をしてはならないとしている また 食 品 検 査 の 実 行 及 び 報 告 は 食 品 検 査 機 構 と 食 品 検 査 人 の 双 方 が 責 任 を 負 うとしている 84 なお 食 品 製 造 販 売 企 業 による 食 品 の 自 主 検 査 又 は 検 査 機 構 への 委 託 検 査 が 可 能 であ る 旨 の 規 定 も 置 いている 食 品 の 輸 出 入 における 安 全 確 保 これまで 我 が 国 に 輸 入 される 中 国 製 食 品 の 農 薬 汚 染 等 がしばしば 問 題 となってきた 2002 年 7 月 には 中 国 産 の 冷 凍 ホウレンソウから 我 が 国 の 食 品 衛 生 法 で 定 める 残 留 基 準 値 を 上 回 る 農 薬 成 分 が 相 次 いで 検 出 され 事 業 者 に 対 する 輸 入 自 粛 指 導 が 行 われた しかし 我 が 国 の 食 品 衛 生 法 違 反 が 高 率 で 発 生 し 個 別 の 検 査 では 検 査 をすり 抜 け 摘 発 できない おそれが 懸 念 されたため 検 査 によらずに 輸 入 を 禁 止 する 仕 組 みが 必 要 となった こうし た 事 態 を 受 け 同 年 7 月 には 急 きょ 議 員 立 法 で 食 品 衛 生 法 が 改 正 され( 第 154 回 国 会 ) 同 法 違 反 となるおそれが 高 い 特 定 の 国 地 域 等 からの 食 品 等 の 輸 入 販 売 等 を 包 括 的 に 禁 止 する 新 たな 制 度 が 創 設 された その 後 中 国 製 食 品 に 対 する 不 信 は 我 が 国 以 外 の 輸 入 国 においても 拡 大 し 米 国 を 中 心 に チャイナ フリー( 中 国 製 品 不 買 ) 運 動 が 展 開 され るようになった 80 法 第 60 条 第 1 項 81 法 第 60 条 第 2 項 82 法 第 58 条 第 1 項 83 法 第 57 条 第 1 項 84 法 第 58 条 第 2 項 85 法 第 61 条 第 1 項 第 2 項 食 品 検 査 の 一 例 として 製 茶 企 業 が 茶 葉 の 残 留 農 薬 量 汚 染 物 質 等 についてサ ンプル 検 査 を 行 う 場 合 1 回 当 たり 1,000~1,700 人 民 元 (1 人 民 元 = 約 14 円 ) 程 度 の 費 用 を 要 し 中 小 企 業 には 相 当 な 負 担 になるとの 見 方 もある ( 大 橋 聡 徐 暁 蕾 整 備 進 む 食 品 安 全 法 関 連 制 度 Food & Agriculture 2752 号 (2009.8)7 頁 ) 74

24 一 方 中 国 の 食 品 貿 易 は 近 年 拡 大 傾 向 が 続 いており 2008 年 には 食 品 ( 生 きている 動 物 動 物 製 品 を 含 む)の 輸 出 総 額 は 億 ドル( 前 年 比 6.6% 増 ) 輸 入 総 額 は 億 ドル( 前 年 比 22.2% 増 )となっている 日 本 へは 鶏 肉 調 整 品 鰻 エビ 冷 凍 及 び 生 鮮 野 菜 等 の 様 々な 農 水 産 品 やその 加 工 品 が 輸 出 されている 近 年 では 中 国 製 食 品 に 係 る 様 々 な 問 題 の 発 生 等 が 影 響 し 2008 年 の 対 日 食 品 輸 出 総 額 は 対 前 年 比 8.0% 減 の 76.7 億 ドルと 縮 小 傾 向 にあるが 86 我 が 国 にとって 中 国 は 依 然 として 米 国 に 次 ぐ 主 要 な 食 品 輸 入 相 手 国 であることに 変 わりない このため 食 品 貿 易 に 係 る 中 国 国 内 の 安 全 体 制 整 備 の 動 向 が 注 目 される 中 国 の 食 品 安 全 法 は 食 品 等 の 輸 出 入 に 関 し 以 下 のように 規 定 している (1) 食 品 等 の 輸 入 中 国 国 内 向 けに 食 品 を 輸 出 する 外 国 の 輸 出 業 者 等 は 中 国 の 出 入 国 検 査 検 疫 部 門 の 認 可 を 受 け 登 録 しなければならない 87 また 中 国 国 内 向 けの 食 品 を 製 造 する 企 業 も 同 部 門 への 登 録 を 要 する 88 輸 入 する 食 品 食 品 添 加 物 及 び 食 品 関 連 製 品 は 中 国 の 食 品 安 全 国 家 標 準 を 満 たしてい なければならない 89 食 品 安 全 国 家 標 準 が 未 制 定 の 食 品 等 を 輸 入 するときは 輸 入 業 者 が 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 に 申 請 し 関 連 する 安 全 性 評 価 材 料 を 提 出 しなければならない こ れを 受 けて 同 部 門 は 食 品 安 全 法 の 規 定 に 基 づいて 速 やかに 決 定 を 行 うとともに 相 応 の 食 品 安 全 国 家 標 準 を 制 定 するとしている 90 また 国 外 で 発 生 した 食 品 安 全 関 連 事 件 が 国 内 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があるとき 又 は 輸 入 食 品 に 重 大 な 食 品 安 全 上 の 問 題 が 発 見 されたときは 国 の 出 入 国 検 査 検 疫 部 門 ( 国 家 品 質 監 督 検 査 検 疫 総 局 を 指 す)は リスクへの 注 意 喚 起 禁 輸 等 のコントロール 措 置 を 採 る とともに 国 務 院 の 関 係 機 関 に 通 報 しなければならない 91 輸 入 包 装 食 品 については 中 国 語 のラベル 及 び 説 明 書 きがなければならない これらに は 関 係 法 律 法 規 の 規 定 及 び 食 品 安 全 国 家 標 準 の 要 件 を 満 たす 必 要 があり 食 品 の 原 産 地 国 内 の 輸 入 代 理 業 者 の 名 称 住 所 連 絡 方 法 を 明 記 しなければならない 中 国 語 のラ ベル 及 び 説 明 書 きがない 包 装 食 品 は 輸 入 することができない 92 なお 輸 入 業 者 に 対 する 輸 入 販 売 記 録 の 作 成 及 び 保 存 も 義 務 付 けている 93 (2) 輸 出 食 品 事 業 者 等 の 管 理 監 督 外 国 向 けの 輸 出 食 品 を 製 造 する 中 国 国 内 企 業 及 び 輸 出 される 食 品 原 料 を 生 産 する 農 場 及 86 中 国 海 関 ( 税 関 ) 総 ホームページ 2008 我 国 対 日 本 出 口 提 速 進 口 減 速, 年 末 進 口 跌 幅 進 一 歩 加 深 ( 進 出 口 監 測 預 警 専 題 ) (2009.2) 87 法 第 65 条 第 1 項 前 段 88 法 第 65 条 第 1 項 後 段 89 法 第 62 条 第 1 項 90 法 第 63 条 91 法 第 64 条 92 法 第 66 条 93 法 第 67 条 第 1 項 第 2 項 75

25 び 養 殖 場 は 国 の 出 入 国 検 査 検 疫 部 門 の 認 可 を 受 け 登 録 しなければならない 94 これらの 措 置 により 安 全 性 に 問 題 のある 食 品 が 輸 出 されるリスクをコントロールする ねらいがあるとみられる さらに 国 の 出 入 国 検 査 検 疫 部 門 は 食 品 の 輸 出 入 業 者 輸 出 食 品 製 造 企 業 の 信 頼 性 に 関 する 記 録 を 作 成 公 表 し 記 録 が 不 良 である 業 者 等 に 対 しては 当 該 輸 出 入 食 品 の 検 査 検 疫 を 強 化 しなければならないとしている 95 なお 2009 年 10 月 に 北 京 で 行 われた 日 中 首 脳 会 談 において 鳩 山 首 相 が 中 国 製 食 品 に 対 する 不 信 感 を 払 拭 する 必 要 性 を 強 調 し 日 中 食 品 安 全 推 進 イニシアチブ の 創 設 を 提 案 したところ 温 首 相 はこれに 同 意 した 日 中 両 国 政 府 は その 後 の 協 議 を 経 て 日 中 食 品 安 全 協 力 推 進 に 関 する 覚 書 案 を 取 りまとめた 同 覚 書 案 には 輸 入 食 品 について 食 品 安 全 事 故 が 起 きた 際 に 1 直 ちに 相 手 国 へ 通 報 するとともに 製 造 元 や 流 通 状 況 等 の 情 報 を 交 換 する 2 食 品 を 製 造 した 工 場 へ の 立 ち 入 り 調 査 を 受 け 入 れる 等 の 事 項 が 盛 り 込 まれているとされる 96 今 後 こうしたチャ ンネルが 両 国 における 輸 入 食 品 の 安 全 性 確 保 のため 有 効 に 機 能 することが 望 まれる 18. 食 品 安 全 事 故 の 処 置 (1) 報 告 制 度 食 品 安 全 法 は 農 業 行 政 品 質 監 督 商 工 行 政 管 理 食 品 薬 品 管 理 監 督 の 各 部 門 が 日 常 の 管 理 監 督 業 務 において 食 品 安 全 事 故 を 発 見 し 食 品 安 全 事 故 に 関 係 する 通 報 を 受 けたと きは 直 ちに 衛 生 行 政 部 門 に 通 報 しなければならないと 規 定 している 97 重 大 な 食 品 安 全 事 故 が 発 生 したときは 報 告 を 受 けた 県 級 衛 生 行 政 部 門 が 規 定 に 基 づい て 県 級 人 民 政 府 と 上 級 人 民 政 府 の 衛 生 行 政 部 門 に 報 告 しなければならない 98 さらに 県 級 人 民 政 府 及 び 上 級 人 民 政 府 の 衛 生 行 政 部 門 は 規 定 に 基 づいて 上 級 機 関 に 報 告 しなけれ ばならない いかなる 事 業 単 位 又 は 個 人 も 食 品 安 全 事 故 について 事 実 の 隠 匿 虚 偽 情 報 の 伝 達 情 報 伝 達 の 遅 滞 をしてはならず 関 係 証 拠 を 滅 失 させてはならないとしている 99 (2) 事 故 処 置 94 法 第 68 条 第 2 項 備 案 と 呼 ばれる 制 度 で 生 産 基 地 や 養 殖 場 などが 関 係 当 局 から 認 可 を 受 けること 或 いは 認 可 を 受 けて 登 録 済 みであることを 指 す ( 出 所 ) 日 本 貿 易 振 興 機 構 輸 出 促 進 農 水 産 部 平 成 19 年 度 食 品 規 制 実 態 調 査 中 国 における 農 産 物 食 品 の 安 全 確 保 に 関 する 政 策 と 実 態 調 査 (2008.3)19 頁 従 来 食 品 衛 生 法 及 び 輸 出 入 商 品 検 査 法 ( 中 華 人 民 共 和 国 進 出 口 商 品 検 験 法 ) 等 に 基 づく 輸 出 食 品 製 造 企 業 衛 生 登 録 登 記 管 理 規 定 ( 出 口 食 品 生 産 企 業 衛 生 注 冊 登 記 管 理 規 定 )や 輸 出 野 菜 栽 培 基 地 に 対 する 検 査 検 疫 登 録 管 理 に 関 する 通 知 ( 関 于 対 出 口 蔬 菜 種 植 基 地 実 行 検 験 検 疫 備 案 管 理 的 通 知 : 国 家 質 検 総 局 2002 年 第 20 令 )により 輸 出 用 食 品 事 業 者 や 農 場 の 事 前 登 録 が 義 務 付 けられてきた 95 法 第 69 条 第 2 項 96 朝 日 新 聞 ( ) 日 本 農 業 新 聞 ( ) なお 民 主 党 は 輸 入 食 品 について 国 産 の 食 品 と 同 等 の 安 全 性 を 確 保 するために 我 が 国 への 主 要 な 輸 出 国 に 国 際 食 品 調 査 官 ( 仮 称 ) を 配 置 し 生 産 国 における 施 設 の 検 査 を 行 えるようにすること 等 を 検 討 する としている 民 主 党 政 策 集 INDEX2009 ( 平 21.7)34 頁 97 法 第 71 条 第 2 項 98 法 第 71 条 第 3 項 99 法 第 71 条 第 4 項 76

26 国 務 院 の 組 織 は 国 の 食 品 安 全 事 故 応 急 プログラム を 策 定 する 100 県 級 以 上 の 地 方 人 民 政 府 は 地 域 の 実 情 に 基 づいて 当 該 行 政 区 域 の 食 品 安 全 事 故 応 急 プログラムを 策 定 しなければならない 101 また 県 級 以 上 の 衛 生 行 政 部 門 は 食 品 安 全 事 故 の 報 告 を 受 けた 後 直 ちに 関 係 する 農 業 行 政 品 質 監 督 商 工 行 政 管 理 食 品 薬 品 管 理 監 督 部 門 と 共 同 で 調 査 処 理 を 行 い 所 要 の 措 置 を 講 じて 社 会 への 危 害 を 防 止 又 は 軽 減 し なければならない 102 重 大 な 食 品 安 全 事 故 が 発 生 したときは 県 級 以 上 の 人 民 政 府 は 直 ちに 食 品 安 全 事 故 処 置 指 揮 機 構 を 設 立 し 食 品 安 全 事 故 応 急 プログラムを 発 動 し 所 要 の 事 故 処 置 を 行 わなければならない 103 一 方 食 品 製 造 販 売 企 業 は 食 品 安 全 事 故 処 置 プラン を 策 定 し 食 品 安 全 事 故 防 止 措 置 の 実 施 状 況 について 定 期 的 に 検 査 を 行 い 食 品 安 全 事 故 発 生 の 潜 在 的 要 因 を 速 やか に 除 去 することとしている 104 (3) 責 任 追 及 食 品 安 全 法 は 重 大 な 食 品 安 全 事 故 が 発 生 したときは 区 を 設 置 している 市 級 以 上 の 人 民 政 府 の 衛 生 行 政 部 門 は 直 ちに 関 係 部 門 と 共 同 で 事 故 責 任 調 査 を 行 い 関 係 部 門 に 職 責 を 履 行 するよう 督 促 するとともに 当 該 人 民 政 府 に 対 し 事 故 責 任 調 査 処 理 報 告 を 提 出 し なければならないと 規 定 している 105 また 重 大 な 食 品 安 全 事 故 が 二 つ 以 上 の 省 自 治 区 直 轄 市 にわたるときは 国 務 院 の 衛 生 行 政 部 門 が 事 故 責 任 調 査 を 行 うこととなる 食 品 製 造 販 売 に 係 る 違 法 行 為 に 対 する 罰 則 の 強 化 国 民 の 生 命 の 安 全 及 び 身 体 の 健 康 を 適 切 に 保 障 する 観 点 から 食 品 安 全 法 は 食 品 製 造 販 売 に 係 る 違 法 行 為 に 対 する 罰 則 を 強 化 している 非 食 品 原 料 を 使 用 して 食 品 を 生 産 又 は 食 品 に 食 品 添 加 物 以 外 の 化 学 物 質 及 びその 他 人 体 の 健 康 に 危 害 を 及 ぼす 可 能 性 のある 物 質 を 添 加 する 等 の 重 大 な 違 法 行 為 に 対 し より 厳 格 な 処 罰 を 行 う 規 定 を 設 けている 当 該 行 為 が 犯 罪 を 構 成 しないときは 法 律 に 基 づいて 違 法 所 得 違 法 に 製 造 販 売 し た 食 品 及 び 違 法 な 製 造 販 売 に 使 用 した 器 具 設 備 原 料 等 の 物 品 を 没 収 し 製 造 販 売 した 食 品 等 の 価 額 の 最 大 で 10 倍 の 罰 金 を 併 科 するとともに 許 可 証 を 没 収 すると 規 定 して いる 107 このような 違 法 所 得 の 没 収 や 違 法 に 製 造 販 売 した 食 品 の 価 額 に 応 じた 罰 金 の 算 定 は 我 が 国 の 食 品 安 全 法 制 にはない 考 え 方 である また 食 品 製 造 流 通 及 び 飲 食 サービスの 各 許 可 証 を 没 収 された 事 業 単 位 の 直 接 責 任 を 負 う 主 管 職 員 は 向 こう5 年 間 は 食 品 製 造 販 売 管 理 業 務 に 従 事 してはならない 108 違 法 な 食 品 製 造 販 売 を 行 った 事 業 者 が 消 費 者 に 損 害 を 与 えたときは 法 律 に 基 づいて 賠 償 責 100 法 第 70 条 第 1 項 101 法 第 70 条 第 2 項 102 法 第 72 条 第 1 項 103 法 第 72 条 第 2 項 104 法 第 70 条 第 3 項 105 法 第 73 条 第 1 項 106 法 第 73 条 第 2 項 107 法 第 84 条 ~ 第 85 条 108 法 第 92 条 第 1 項 77

27 任 を 負 い 109 民 事 賠 償 優 先 の 原 則 により 損 害 を 受 けた 消 費 者 が 優 先 的 に 賠 償 されること となる 110 一 方 問 題 となる 行 為 が 犯 罪 を 構 成 するときは 刑 法 に 基 づいて 刑 事 責 任 を 追 及 すると している 111 刑 法 においては 衛 生 標 準 を 満 たさない 食 品 を 製 造 販 売 した 場 合 や 有 毒 有 害 物 質 及 び 非 食 品 原 料 が 入 った 食 品 を 製 造 販 売 した 場 合 罪 状 により 有 期 懲 役 刑 禁 固 刑 無 期 懲 役 刑 死 刑 罰 金 財 産 没 収 の 刑 を 課 すとしている( 表 2) 112 表 2 中 華 人 民 共 和 国 刑 法 における 食 品 関 係 違 反 行 為 に 対 する 処 罰 内 容 対 象 行 為 対 象 行 為 の 結 果 等 身 体 刑 財 産 刑 ( 罰 金 等 ) 刑 法 の 該 当 条 文 重 大 な 食 品 中 毒 事 故 発 生 その 他 の 重 大 な 食 品 由 来 の 疾 患 発 生 3 年 以 下 の 懲 役 又 は 禁 錮 販 売 金 額 の50% 以 上 2 倍 以 下 ( 身 体 刑 に 併 科 又 は 単 独 ) 衛 生 標 準 を 満 たさない 食 品 を 製 造 販 売 人 体 の 健 康 に 重 大 な 危 害 3 年 以 上 7 年 以 下 の 懲 役 販 売 金 額 の50% 以 上 2 倍 以 下 ( 身 体 刑 に 併 科 ) 第 143 条 結 果 が 特 に 重 大 7 年 以 上 の 懲 役 又 は 無 期 懲 役 販 売 金 額 の50% 以 上 2 倍 以 下 又 は 財 産 没 収 ( 身 体 刑 に 併 科 ) 製 造 販 売 する 食 品 に 有 毒 有 害 な 非 食 品 原 料 を 混 入 有 毒 有 害 な 非 食 品 原 料 が 混 入 していること を 知 りながら 販 売 対 象 行 為 を 行 ったとき 重 大 な 食 物 中 毒 事 故 又 は 重 大 な 食 品 由 来 の 疾 患 発 生 人 体 の 健 康 に 重 大 な 危 害 人 を 死 亡 させ 又 は 人 体 の 健 康 に 重 大 な 危 害 5 年 以 下 の 懲 役 又 は 禁 錮 5 年 以 上 10 年 以 下 の 懲 役 10 年 以 上 の 懲 役 又 は 無 期 懲 役 又 は 死 刑 販 売 金 額 の50% 以 上 2 倍 以 下 ( 身 体 刑 に 併 科 又 は 単 独 ) 販 売 金 額 の50% 以 上 2 倍 以 下 又 は 財 産 没 収 ( 身 体 刑 に 併 科 ) 販 売 金 額 の50% 以 上 2 倍 以 下 又 は 財 産 没 収 ( 身 体 刑 に 併 科 ) 第 144 条 第 141 条 第 1 項 ( 出 所 ) 中 華 人 民 共 和 国 刑 法 の 条 文 を 参 考 に 作 成 前 述 のメラミン 粉 ミルク 事 件 については 刑 法 の 危 害 公 共 安 全 罪 が 適 用 され 113 牛 乳 にメラミンを 混 入 した 元 酪 農 業 者 ら3 名 に 死 刑 (うち1 名 は 執 行 猶 予 2 年 ) 粉 ミルクを 生 産 した 三 鹿 集 団 の 元 会 長 に 無 期 懲 役 の 判 決 が 下 され 既 に2 名 の 死 刑 が 執 行 された 今 後 の 課 題 食 品 安 全 法 は 従 来 の 行 政 における 分 担 体 制 を 踏 襲 しつつ 総 合 調 整 を 担 う 国 家 衛 生 部 以 下 各 関 係 行 政 機 関 の 職 責 分 担 を 明 確 に 規 定 した これには 各 行 政 機 関 の 協 力 関 係 や 情 報 の 共 有 化 を 通 じて 日 々の 食 品 安 全 行 政 の 円 滑 な 執 行 を 保 障 し 情 報 の 隠 匿 や 伝 達 の 遅 滞 による 事 故 の 拡 大 や 再 発 を 防 止 するねらいがあるとみられる 今 後 中 央 から 地 方 109 法 第 96 条 第 1 項 110 法 第 97 条 民 事 賠 償 責 任 を 負 い かつ 過 料 罰 金 を 支 払 わなければならないときの 規 定 111 法 第 98 条 中 華 人 民 共 和 国 刑 法 (1979 年 7 月 施 行 ) 112 刑 法 第 3 章 破 壊 社 会 主 義 市 場 経 済 秩 序 罪 第 1 節 偽 劣 商 品 罪 第 143 条 144 条 ( 死 刑 の 適 用 は 第 141 条 の 規 定 に 基 づく ) 113 刑 法 第 115 条 中 の 投 毒 ( 毒 物 混 入 ) 行 為 により 人 に 重 傷 を 負 わせ 又 は 死 亡 させた 罪 に 当 たる 114 毎 日 新 聞 ( ) 中 国 において 死 刑 は 銃 殺 又 は 薬 物 注 射 により 執 行 されている( 中 華 人 民 共 和 国 刑 事 訴 訟 法 第 212 条 第 2 項 ) なお 平 成 22 年 2 月 中 国 紙 環 球 時 報 は 事 件 の 際 に 粉 ミルク 会 社 が 回 収 した 製 品 のうち 約 10 万 トンが 再 び 乳 製 品 や 家 畜 飼 料 として 低 価 格 で 販 売 されていた 疑 いがある 旨 報 じている 朝 日 新 聞 ( ) 78