3 呼 吸 ( 循 環 機 能 ) 臥 床 状 態 が 長 くなると 個 々の 筋 力 だけでなく 全 身 の 体 力 や 耐 久 性 が 低 下 します その 背 景 には 呼 吸 等 の 循 環 機 能 の 低 下 が 考 えられます 循 環 機 能 が 低 下 すると 疲 れやすくなり 食 事

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1 1. 寝 たきりにならないために 食 べるための 体 づくり ~ 身 体 リハビリ~ 2015 年 10 月 22 日 版 七 きり 沢 リハビリテーション 病 院 脳 血 管 センター 小 泉 千 秋 Q1 家 の 中 で 寝 てばかりいます 食 べるための 体 力 をつけたいのですが 何 から 始 めたら 良 いのでしょう? Q1-1: 身 体 リハビリの 体 力 づくりで 大 切 なことは? A 体 力 づくりの3つの 基 本 要 素 は 1 覚 醒 2 筋 活 動 3 呼 吸 ( 循 環 機 能 ) 寝 てばかりいることは 摂 食 嚥 下 機 能 だけでなく 対 象 の 方 の 生 活 全 般 的 に 身 体 機 能 が 低 下 して いる 可 能 性 があります 摂 食 嚥 下 活 動 も 大 きく 捉 えれば 全 身 運 動 になります そのため まず 食 べる ために 必 要 な 体 力 づくりから 始 めなければなりません 体 力 づくりのキーワードは 1 覚 醒 2 筋 活 動 3 呼 吸 ( 循 環 機 能 )になります 1 覚 醒 覚 醒 を 高 めていくには 身 体 を 起 こしていく 事 が 必 要 になります 横 になり 寝 てばかりいる 状 態 が 続 くと 覚 醒 が 低 下 するだけでなく 廃 用 的 に 様 々な 身 体 機 能 が 低 下 し 身 体 を 起 こすことがつらくなります 特 に 日 中 寝 てしまうと 夜 眠 れなくなり 夜 眠 れないと 日 中 眠 くなる 悪 循 環 に 陥 ります そのため まずは 日 中 できるだけ 身 体 を 起 こして 覚 醒 を 高 め 一 日 の 生 活 リ ズムを 整 えることが 必 要 になります 2 筋 活 動 身 体 を 起 こしていくためには 身 体 を 空 間 で 支 えるための 活 動 が 必 要 になります 重 力 のある 地 球 上 で 動 く 場 合 には 重 力 に 抗 して 身 体 を 支 える 活 動 が 必 要 になります この 活 動 は 主 に 抗 重 力 筋 という 重 力 に 対 して 空 間 で 身 体 を 支 えるために 必 要 な 筋 活 動 で 行 われます 横 になっ ている 間 は 身 体 が 重 力 に 抗 さない 状 態 になり 臥 床 状 態 が 長 くなると 廃 用 的 に 筋 力 が 衰 えてきます そのため 抗 重 力 活 動 を 高 めるには 可 能 な 範 囲 で 座 位 や 立 位 保 持 を 行 うことが 必 要 になります 臥 位 座 位 立 位 低 高 抗 重 力 活 動 図 1 姿 勢 による 抗 重 力 活 動 の 差

2 3 呼 吸 ( 循 環 機 能 ) 臥 床 状 態 が 長 くなると 個 々の 筋 力 だけでなく 全 身 の 体 力 や 耐 久 性 が 低 下 します その 背 景 には 呼 吸 等 の 循 環 機 能 の 低 下 が 考 えられます 循 環 機 能 が 低 下 すると 疲 れやすくなり 食 事 のために 必 要 な 座 位 保 持 等 の 持 続 的 な 活 動 が 困 難 になる 場 合 があります そのため 身 体 を 起 こして 安 静 状 況 を 減 らし 全 身 の 活 動 する 時 間 を 増 やすことで 循 環 機 能 を 向 上 していく 必 要 があります Q1-2: 体 力 づくりは どこから 始 めたら 良 いですか? A 対 象 者 の 身 体 機 能 に 即 してできることから 始 めましょう 体 力 づくりには 対 象 の 方 の 現 状 の 身 体 機 能 を 踏 まえ 無 理 のない 体 力 づくりから 始 めることが 必 要 になります 我 々の 日 常 の 活 動 は 座 って 行 う 活 動 が 中 心 になります 体 力 が 低 下 している 場 合 座 ることも 身 体 に 負 担 のかかる 活 動 になります そのため 心 拍 数 や 血 圧 呼 吸 数 等 の 循 環 状 態 や 対 象 の 方 の 様 子 を 確 認 しながら 徐 々に 座 ることに 慣 れていく 必 要 があります 横 になって 寝 てばかりいる 場 合 には まずは 短 い 時 間 でも 身 体 を 起 こすことが 必 要 になります その 場 合 の 工 夫 として 対 象 の 方 に 適 した 刺 激 を 選 択 することが 挙 げられます 例 えば テレビを 見 ること や 家 族 との 会 話 等 少 しでも 本 人 が 興 味 を 持 つことや 好 きな 事 を 行 いながら 結 果 的 に 長 く 座 れること があります 普 段 の 日 常 活 動 を 維 持 する 体 力 づくりには 改 めて 何 らかの 活 動 をすることだけでなく 普 段 の 日 常 活 動 を 続 けて 行 うことが 重 要 になります 例 えば 歯 磨 きであったり 着 替 えであったり 日 常 の 活 動 を 行 うこと 自 体 が 体 力 づくりに 繋 がってきます そのため 本 人 にできることはなるべく 本 人 に 行 ってもらうように 促 していく 必 要 があり ます Q1-3: 筋 トレと 栄 養 状 態 の 改 善 を 薦 める 人 がいます どちらが 正 しいですか? A まず 栄 養 の 視 点 から リハビリを 考 える 事 が 大 事 です 栄 養 状 態 は 摂 食 嚥 下 活 動 だけでなく 身 体 活 動 するための 基 礎 となります そのため 現 状 の 栄 養 状 態 を 確 認 することが 必 要 になります 栄 養 状 態 が 悪 い 時 に 必 要 以 上 に 身 体 を 動 かしていくことは 身 体 にとってマイナスになります 栄 養 状 態 に 応 じて 身 体 活 動 を 高 めていく 必 要 があります 栄 養 状 態 の 目 安 には 現 状 の 食 事 摂 取 状 況 や 摂 取 カロリー 体 調 や 体 重 の 変 化 等 が 挙 げられま す 高 齢 者 の 場 合 体 重 が 減 っていくことは 栄 養 状 況 が 悪 くなっている 可 能 性 が 考 えられます また 血 液 データでは アルブミン(Alb)や 総 蛋 白 数 が 代 表 的 な 指 標 になります 栄 養 状 態 が 悪 い 場 合 には まずは 栄 養 状 態 を 改 善 することを 考 える 必 要 があります 筋 力 トレーニングの 必 要 性 筋 力 強 化 は いわゆるスポーツ 選 手 だけでなく 高 齢 者 の 機 能 維 持 や 介 護 予 防 的 な 観 点 からも 必 要 です しかし その 内 容 は 対 象 者 の 身 体 状 況 によって 異 なります 筋 力 トレーニングをむやみに 行 う ことは 身 体 へ 負 担 をかけるだけでなく 心 臓 等 への 過 負 荷 によるリスクも 考 えられます その 人 の 生 活

3 状 況 や 身 体 能 力 を 踏 まえて 筋 力 強 化 の 方 法 や 運 動 量 を 設 定 していく 必 要 があります また 筋 力 を つけるには 時 間 がかかります そのため 休 息 や 栄 養 を 補 いながら 運 動 を 継 続 していくことが 大 切 で す Q1-4: 食 べている 途 中 でも 横 になりたがります 食 事 を 中 断 して 寝 かせて 良 い ですか? A 現 状 どのくらい 座 れるかを 評 価 する 必 要 があります 食 事 の 途 中 で 横 になりたがるのは 途 中 で 疲 れてしまい 座 り 続 けることが 困 難 になっている 可 能 性 があります 例 えば 5 分 しか 座 れなければその 状 態 で 食 事 をさせることは 難 しいかもしれません 対 象 の 方 が 座 位 保 持 できる 能 力 を 評 価 し それを 基 準 に 食 事 時 間 や 食 事 姿 勢 を 考 える 必 要 がありま す 通 常 座 位 で 行 われる 食 事 活 動 は 座 位 保 持 ができる 身 体 状 況 がベースにあって それに 食 べる 活 動 が 加 わっています 土 台 となる 姿 勢 保 持 活 動 が 不 安 定 な 場 合 姿 勢 保 持 だけでなく 嚥 下 活 動 自 体 にも 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があります 例 えば 嚥 下 に 直 接 関 わる 口 腔 咽 頭 器 官 がある 頭 頸 部 周 囲 の 筋 には 頭 頸 部 を 保 持 する 活 動 だけでなく 嚥 下 活 動 にも 働 く 場 合 があります 姿 勢 保 持 が 困 難 な 場 合 代 償 的 に 姿 勢 保 持 活 動 が 高 まらなければならず 本 来 嚥 下 に 使 われるべき 活 動 に 影 響 を 及 ぼす 場 合 があります 摂 食 嚥 下 活 動 姿 勢 保 持 活 動 図 2 摂 食 嚥 下 活 動 と 姿 勢 の 関 係 性 食 事 場 面 では 摂 食 嚥 下 活 動 の 背 景 に 姿 勢 を 保 持 する 活 動 が 行 われている 一 般 的 に 食 事 に 必 要 な 座 位 保 持 は 30 分 程 度 座 位 保 持 できる 能 力 が 目 安 になります そのため 対 象 者 の 身 体 機 能 から 食 事 をベッド 上 あるいは 車 いすやいすかを 選 択 する 必 要 があります ただし ベッドは 本 来 横 になる 状 況 に 作 られているために マットは 柔 らかくて 沈 み 込 みがあり 姿 勢 保 持 は 不 安 定 になりやすいです 姿 勢 保 持 は 身 体 を 支 える 支 持 面 の 安 定 性 により 差 が 生 じます そのため 可 能 であれば 車 いすやいすのような 支 持 面 が 安 定 している 方 が 姿 勢 調 整 は 行 いやすくなります

4 (A) (B) 図 3 安 定 した 支 持 面 (A)と 不 安 定 な 支 持 面 (B)での 姿 勢 保 持 活 動 の 差 不 安 定 な 支 持 面 では 姿 勢 を 安 定 させるために 過 剰 なバランス 反 応 が 生 じるために 易 疲 労 性 で 目 的 動 作 に 影 響 を 与 える(B) Q1-5: 座 らせるとずり 落 ちてしまいます 食 べる 時 の 姿 勢 を 維 持 するには? A ずりおちないように 姿 勢 を 工 夫 します 姿 勢 を 保 持 する 機 能 が 低 下 すると 姿 勢 が 不 安 定 になります 主 な 食 事 の 姿 勢 であるいす 座 位 では 身 体 を 支 えることができない 場 合 背 もたれに 身 体 をもたれさせることが 多 くなります その 際 座 り 方 が 浅 いと 骨 盤 が 後 方 へ 傾 き 臀 部 が 前 方 へずれやすくなります これはベッド 上 でも 車 いす 上 でも 起 こ りやすい 現 象 になります ベッド 上 の 対 応 ベッド 上 はもともと 除 圧 のためのマットがあり 身 体 を 支 える 面 が 軟 らかいため 座 位 が 不 安 定 になり 易 い 状 況 です そのため 身 体 を 起 こす 際 ベッドの 曲 がる 角 度 と 臀 部 の 位 置 が 合 わないと 骨 盤 が 後 方 へ 傾 き 臀 部 が 前 方 へずりやすくなります そのため ベッドのギャッジアップの 位 置 と 骨 盤 の 位 置 を 合 わ せる 必 要 があります 例 えば ギャッチアップの 曲 がる 角 度 に 対 して 臀 部 が 前 方 へ 位 置 していると ギ ャッチアップする 際 にさらに 臀 部 が 前 の 方 に 押 されて 前 方 へずれやすくなります また 下 肢 を 伸 ばしている 状 態 では 骨 盤 が 後 方 へ 傾 き 臀 部 がずれやすくなります そのため 膝 下 に 枕 を 入 れて 膝 を 曲 げて 下 肢 の 筋 肉 をゆるめることにより 臀 部 のずれを 防 ぎます 場 合 によってはア グラをかくことも 有 効 になります 上 半 身 を 安 定 させるためには 上 肢 を 支 えることが 有 効 になります 例 えば ベッドの 上 にテーブルを 置 き その 上 に 上 肢 を 乗 せることで 姿 勢 が 安 定 します 特 に 上 肢 に 麻 痺 のある 場 合 は 麻 痺 側 上 肢 を テーブルにのせることが 姿 勢 の 安 定 には 有 効 になります

5 ベッドの 曲 がる 位 置 (A) (B) 図 4 ベッド 位 置 と 姿 勢 の 関 係 ギャッジアップする 際 ベッドの 曲 がる 位 置 と 対 象 者 の 骨 盤 の 位 置 を 合 わせる(A) 曲 がる 位 置 が 骨 盤 より 頭 側 に 位 置 すると 身 体 を 起 こす 際 に 身 体 がずれやすくなる(B) 車 いす 上 での 工 夫 車 いすは 対 象 者 の 身 体 寸 法 や 身 体 機 能 に 合 わせて 選 択 する 必 要 があります 対 象 者 の 身 体 寸 法 と 車 いすの 大 きさが 合 わない 時 には 姿 勢 が 崩 れやすくなります 介 護 保 険 利 用 者 の 場 合 車 いすはレ ンタルが 可 能 です 最 近 はレンタルでも 様 々な 種 類 や 寸 法 が 選 択 できます 車 いすが 合 ってないと 感 じた 場 合 には 専 門 家 に 相 談 することをお 勧 めします 車 いすには 原 則 クッションを 使 います 特 に 高 齢 者 では 臀 部 の 軟 部 組 織 が 減 り 骨 が 突 出 してくる 場 合 があります そのため 長 く 座 ろうとすると 臀 部 に 痛 みが 生 じます この 痛 みが 姿 勢 を 崩 す 原 因 にな ります 自 分 で 姿 勢 を 変 えたりできる 方 は 座 布 団 のような 物 でも 対 応 できる 場 合 もありますが 除 圧 が 可 能 なクッションを 選 択 することが 望 ましいです 車 いすの 座 り 方 では 可 能 な 範 囲 で 臀 部 を 深 く( 奥 に) 座 らせることが 必 要 です 浅 く 座 ると 骨 盤 が 後 傾 し いわゆる ずっこけ 姿 勢 になり 易 いです 特 に 車 いすーベッドの 移 乗 に 介 助 が 必 要 な 場 合 には 浅 く 座 らせる 傾 向 があり できるだけ 深 く 座 らせる 介 助 が 必 要 になります また 車 いす 上 で 体 幹 が 傾 く 場 合 には 背 もたれを 高 くして 背 部 のサポートを 増 やしたり テーブル を 利 用 し 上 肢 をテーブルの 上 で 保 持 することにより 姿 勢 を 安 定 させます

6 A 浅 い 座 り 方 B 深 い 座 り 方 図 5 車 いすの 座 り 方 臀 部 が 浅 い 座 り 方 だと 臀 部 が 前 方 へずれてずっこけ 姿 勢 に なりやすくなる(A) Q1-6: 安 静 呼 吸 のためにはどんな 鍛 錬 が 必 要 でしょうか? A 横 隔 膜 を 含 めて 体 幹 筋 の 活 動 向 上 と 胸 郭 の 拡 張 性 を 高 める 必 要 があります 安 静 呼 吸 とは 日 常 座 っている 時 のような 安 静 時 に 行 われる 呼 吸 になります 安 静 の 呼 吸 は 主 に 横 隔 膜 の 働 きで 行 われます 横 隔 膜 が 収 縮 することで 肺 が 膨 らみ 吸 気 が 行 われます その 後 横 隔 膜 が 緩 み 拡 がった 胸 郭 の 弾 性 力 で 呼 気 が 行 われます 一 般 的 に 横 隔 膜 が 働 く 呼 吸 を 腹 式 呼 吸 と 呼 ん でいます それに 対 して 例 えば 階 段 とかを 登 る 時 のような 負 荷 のかかる 活 動 では 運 動 に 必 要 な 酸 素 を 取 り 込 むために 呼 吸 数 が 増 えます この 場 合 横 隔 膜 の 活 動 だけでは 足 りなくて 呼 吸 を 補 助 する 筋 肉 を 使 います これが 努 力 的 な 呼 吸 になります 呼 吸 機 能 が 低 下 している 場 合 には 安 静 時 にも 努 力 的 な 呼 吸 が 行 われるため 易 疲 労 的 になりやすいです 安 静 時 の 呼 吸 機 能 を 整 えるには 十 分 に 換 気 できる 胸 郭 の 拡 張 性 を 高 めること 横 隔 膜 が 働 く 腹 式 呼 吸 を 高 めることが 必 要 になります 胸 郭 の 拡 張 性 とは 呼 吸 には 肺 に 空 気 が 入 るために 胸 郭 の 拡 がりが 必 要 になります 胸 郭 の 表 面 は 皮 膚 や 筋 等 の 軟 部 組 織 その 下 部 は 肋 骨 で 構 成 されています そのため 胸 郭 の 拡 張 性 には 軟 部 組 織 の 柔 軟 性 や 肋 骨 と 繋 がる 関 節 の 可 動 性 が 必 要 になります 日 常 場 面 では 様 々な 姿 勢 をとるために 姿 勢 変 換 を

7 行 うことで 胸 郭 が 動 きます 特 に 寝 返 りや 起 き 上 がり 等 の 体 幹 を 回 旋 する 運 動 が 胸 郭 の 拡 がりには 必 要 になります 腹 式 呼 吸 の 整 え 方 横 隔 膜 の 活 動 を 高 めるには 腹 部 に 手 を 当 てて 腹 部 が 膨 らむように 息 を 吸 うことを 行 います 場 合 によっては 腹 部 に 軽 い 錘 をのせて 行 います 息 を 吸 う 時 は 鼻 から はくときは 口 からを 意 識 します こ れに 加 えて 口 からはく 時 に 口 をすぼめながらゆっくりとはく( 口 すぼめ 呼 吸 )ようにすると 呼 気 に 抵 抗 がかかり 呼 気 を 長 める 事 でより 腹 部 の 力 を 高 めることができます 臥 位 姿 勢 が 緊 張 している 場 合 安 楽 な 姿 勢 に なるように 三 角 マットを 利 用 し 体 幹 を 前 傾 にす ることで 呼 気 を 促 す 図 6 腹 式 呼 吸 例 体 幹 活 動 の 高 め 方 壁 拭 きはリハビリ 横 隔 膜 を 含 めた 体 幹 筋 の 活 動 は 座 位 や 立 位 保 持 といった 空 間 で 姿 勢 を 保 つ 事 や 咳 を 行 う 際 の 呼 気 の 力 に 繋 がります 特 に 摂 食 嚥 下 障 害 者 は 咽 頭 残 留 や 誤 嚥 した 場 合 に 残 留 物 や 誤 嚥 物 を 喀 出 するために 呼 気 の 力 が 重 要 になります 呼 気 の 力 には 特 に 体 幹 前 面 の 筋 活 動 が 必 要 になりま す 直 接 的 に 呼 気 の 機 能 を 高 めるには 呼 気 に 抵 抗 をかけて 行 う 方 法 があります 例 えば ストローで 水 を 吹 く 方 法 (ブローイング) 笛 等 を 吹 くことが 挙 げられます ハッフィングと 呼 ばれる 呼 気 の 際 に 短 く ハッ と 声 を 連 続 的 に 行 うことも 有 効 になります また 体 幹 の 前 面 を 鍛 える 方 法 には いわゆる 腹 筋 運 動 が 挙 げられます 例 えば 膝 を 立 てて 仰 向 けになった 状 態 で 自 分 のへそを 見 るくらいに 少 し 頭 を 上 げるだけでも 腹 筋 の 運 動 になります 立 位 保 持 ができる 方 は 壁 とかガラス 窓 を 拭 くような 上 肢 を 空 間 で 動 かす 動 作 が 体 幹 筋 を 鍛 えるのに 有 効 に なります

8 図 7 腹 筋 運 動 例 図 8 壁 拭 き 運 動 話 すことも 大 切 言 語 機 能 と 嚥 下 機 能 は 解 剖 学 的 に 同 じ 器 官 を 共 有 していることが 多 く 言 葉 を 話 すこと 自 体 が 嚥 下 機 能 を 高 めることに 繋 がります また 言 葉 を 話 している 間 は 呼 気 を 持 続 していることになり 呼 気 機 能 向 上 にも 繋 がります 例 えば 歌 のように 持 続 的 に 声 を 出 す 活 動 は 呼 吸 機 能 の 向 上 に 非 常 に 有 効 になります Q1-7: 握 力 が 弱 くて 食 器 を 持 てません 何 か 良 い 道 具 がありますか? A 様 々な 工 夫 された 道 具 が 市 販 されています 福 祉 用 品 には 個 々の 用 途 に 合 わせた 道 具 が 市 販 されています 例 えば 握 りやすく 作 られた 箸 や 置 いたままでもすくいやすい 形 状 に 工 夫 された 皿 等 が 挙 げられます 道 具 の 工 夫 には スポンジ 等 を 利 用 しスプーンや 箸 を 太 くしたり 粘 土 等 で 自 分 の 手 の 形 に 合 わせることにより 握 りやすくする 工 夫 が 挙 げられます 市 販 のカタログ 等 を 参 考 にしていただければと 思 います

9 握 り 易 く 工 夫 された 箸 ( 市 販 品 箸 蔵 君 ) 持 ちやすく 柄 を 太 くしたスプーン ( 市 販 のスプーンにスポンジを 装 着 ) 握 り 易 く 工 夫 したスプーン( 市 販 品 に 細 工 ) 片 方 が 高 く 取 りやすい 形 状 の 皿 ( 市 販 品 ) 図 9 様 々な 工 夫 された 道 具 例 道 具 の 工 夫 以 外 では 本 人 の 機 能 を 高 めることが 必 要 になります 握 力 とは 手 で 物 を 握 る 力 です 握 力 は 性 別 年 齢 によって 差 があり 現 状 の 筋 力 の 目 安 になります 握 力 を 鍛 えるには 柔 らかいボー ルを 握 る あるいはタオルを 丸 くして 握 る 等 負 荷 をかけて 握 る 動 作 を 反 復 することが 挙 げられます Q1-8: 食 事 環 境 の 工 夫 が 大 切 と 言 われますが どんな 事 に 気 をつけるのです か? A 食 事 環 境 の 工 夫 とは 対 象 者 の 方 の 身 体 機 能 を 考 慮 して 安 全 に 食 べられ るために 食 事 に 関 わることを 調 整 していくことです 食 事 環 境 というのは 対 象 者 の 方 が 食 事 場 面 で 関 わること 例 えばテーブル 椅 子 食 器 さらに 食 べる 場 所 や 周 りに 誰 かがいるか 等 全 てが 食 事 環 境 になります 食 事 環 境 を 調 整 することにより 対 象 者 の 方 の 摂 食 嚥 下 機 能 を 高 め 少 しでも 安 全 に 食 事 がとれることを 目 標 にします そのために 対 象 者 の 方 の 食 事 に 関 して 何 が 問 題 を 起 こしているかを 評 価 することが 必 要 になります 例 えば 食 事 摂 取 の 際 に 身 体 が 傾 きやすくなる 場 合 には 両 手 が 乗 るようなカットアウトテーブルを 使 い 身 体 が 傾 かないように 調 整 します 食 事 摂 取 の 負 担 を 減 らす 工 夫 としてテーブルの 高 さを 調 整 し 食 材 と 口 の 距 離 を 近 づける 方 法 があります 一 口 量 が 多 くなるとむせやすい 場 合 は 小 さめのスプー ン 等 を 使 い 一 口 量 が 多 くならないようにします

10 車 いすの 調 整 足 部 を 床 面 につけることで 姿 勢 の 安 定 をはかる カットアウトテーブルの 利 用 により 体 幹 の 傾 きの 防 止 食 事 に 集 中 しやすい 環 境 図 10 食 事 環 境 調 整 例 元 々 食 べ 方 には 個 人 の 特 性 があります 例 えば 良 く 噛 まずに 飲 み 込 んだり 一 回 の 摂 取 量 が 多 かったり 無 意 識 に 姿 勢 が 傾 いて 食 べている 場 合 もあります 本 人 が 気 づかずに 行 っていることが 多 く それが 現 状 の 食 事 に 影 響 を 及 ぼしている 場 合 があります そのため 食 事 を 確 認 し 現 状 の 身 体 機 能 に 合 わせて 食 事 全 体 を 再 調 整 していくことが 必 要 になります 出 来 ることを 見 極 めて 支 えてあげる 身 体 機 能 を 維 持 するには 普 段 の 生 活 の 中 で 身 近 なことを 自 分 で 行 うことが 必 要 です 例 えば 自 分 で 寝 返 りをする 自 分 で 起 きて 座 る 等 の 基 本 動 作 や 着 替 え 等 の 日 常 生 活 動 作 等 を 毎 日 繰 り 返 し 行 うことが 大 切 です 例 え 完 全 に1 人 ではできなくても 自 分 のできることを 行 うことが 重 要 になります 本 人 の 持 っている 機 能 を 使 うことが 身 体 機 能 維 持 あるいは 機 能 向 上 に 繋 がっていきます 周 囲 の 関 わる 方 々は それをよく 観 察 して 無 理 なく 支 えてあげることが 大 事 です

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