< 目 次 > はじめに (1) 調 査 の 目 的 1 (2) 院 内 私 有 石 橋 の 概 要 2 (3)プロジェクトチームの 編 成 3 (4) 調 査 実 施 フロー 図 4 第 1 章 石 橋 の 点 検 修 理 に 関 する 既 往 研 究 等 の 知 見 の 収 集 整 理 (1)

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1 平 成 25 年 度 歴 史 的 風 致 維 持 向 上 推 進 等 調 査 石 製 模 型 を 活 用 した 実 験 等 を 通 じた 私 有 石 橋 の 点 検 修 理 工 法 の 検 討 ( 宇 佐 市 ) 報 告 書 平 成 26 年 3 月 国 土 交 通 省 都 市 局

2 < 目 次 > はじめに (1) 調 査 の 目 的 1 (2) 院 内 私 有 石 橋 の 概 要 2 (3)プロジェクトチームの 編 成 3 (4) 調 査 実 施 フロー 図 4 第 1 章 石 橋 の 点 検 修 理 に 関 する 既 往 研 究 等 の 知 見 の 収 集 整 理 (1) 石 橋 の 構 造 6 (2) 石 橋 点 検 修 理 に 関 する 事 例 8 (3) 院 内 石 橋 の 特 徴 9 第 2 章 宇 佐 市 院 内 地 区 における 石 橋 の 実 態 調 査 (1) 調 査 手 法 の 検 討 11 (2) 実 態 調 査 のまとめ 16 第 3 章 石 製 模 型 の 作 成 と 実 験 による 技 術 的 知 見 の 収 集 (1) 模 型 実 験 の 概 要 17 (2) 実 験 用 石 製 模 型 の 製 作 18 (3) 模 型 実 験 の 実 施 と 結 果 の 考 察 21 (4) 模 型 実 験 のまとめ 39 第 4 章 点 検 手 法 の 検 討 (1) 調 査 実 験 等 に 基 づく 点 検 マニュアル 案 の 作 成 40 (2) 点 検 マニュアル 案 の 検 討 及 び 検 証 48 第 5 章 行 政 管 理 の 石 橋 の 地 域 住 民 による 点 検 巡 回 体 制 の 検 討 (1) 石 橋 の 管 理 体 系 74 (2) 地 域 住 民 の 果 たすべき 役 割 74 第 6 章 修 理 手 法 の 検 討 (1) 調 査 実 験 等 に 基 づく 修 理 マニュアル 案 の 作 成 75 (2) 修 理 マニュアル 案 の 検 討 及 び 検 証 97 第 7 章 成 果 のとりまとめ (1) 今 後 の 保 全 活 用 方 策 の 検 討 98 (2) 石 橋 管 理 マニュアル( 第 Ⅰ 編 点 検 マニュアル 第 Ⅱ 編 修 理 マニュアル) 別 冊 資 料 編 資 料 1プロジェクトチームの 活 動 記 録 資 料 2 院 内 石 橋 実 態 調 査 関 連 資 料

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4 はじめに (1) 調 査 の 目 的 全 国 の 石 橋 のうち8 割 以 上 が 九 州 に 存 在 すると 言 われている 宇 佐 市 に 合 併 する 以 前 の 院 内 町 では 75 基 の 石 橋 を 有 していたため 日 本 一 の 石 橋 の 町 として 町 おこしを 実 施 し 河 川 周 辺 の 美 化 活 動 や 町 民 総 ぐるみの 保 存 活 用 に 取 り 組 んだ 経 緯 がある しかし その 後 の 高 齢 化 や 過 疎 化 により 石 橋 によるまちおこしも 困 難 な 状 況 となっている 石 橋 の 多 くは 老 朽 化 により 崩 壊 が 危 ぶまれるものもあり 未 来 に 存 続 させるための 方 策 を 確 立 させ ることが 喫 緊 の 課 題 となっている 一 方 景 観 条 例 に 基 づく 景 観 計 画 を 策 定 した 宇 佐 市 では 今 年 度 から 本 格 的 に 景 観 まち づくりをスタートさせた このため 日 本 一 の 石 橋 の 町 を 歴 史 的 風 致 としてとらえ 維 持 向 上 推 進 等 を 行 うための 調 査 を 実 施 することにした 院 内 の 恵 良 川 流 域 に 現 存 する75 基 の 石 橋 群 は 64 基 がアーチ 橋 で11 基 が 桁 橋 である 管 理 者 別 にみれば 国 道 県 道 に 架 かる 松 木 橋 ほか4 基 を 県 が 市 道 等 に 架 かる 鳥 居 橋 ほか29 基 を 市 がそれぞれ 所 有 管 理 している そして 残 り42 基 は 個 人 や 地 域 等 が 所 有 管 理 してい る 本 報 告 書 では 前 者 を< 公 有 石 橋 > 後 者 を< 私 有 石 橋 >と 呼 ぶことにする このうち 今 回 調 査 等 の 対 象 としたのは 私 有 石 橋 群 である これらは 集 落 の 過 疎 化 や 住 民 の 高 齢 化 が 進 む 中 で 管 理 者 が 不 在 状 態 となっているものも 多 く 周 辺 部 も 荒 廃 して 近 づくこともできない ため 橋 の 存 在 さえ 忘 れ 去 られようとしているのが 現 状 である 一 方 私 有 石 橋 の 中 には 文 化 財 として 優 れているために 指 定 登 録 により 保 存 的 措 置 が 図 られているものもある 石 橋 はまた 地 域 住 民 のライフラインとして 機 能 してきたため に 棚 田 や 里 山 とともに 地 域 における 人 々の 生 活 や 生 業 により 形 成 された 文 化 的 景 観 ( 文 化 財 保 護 法 )の 条 件 も 備 えている 75 基 の 石 橋 はすべて 健 全 な 状 態 で 後 世 に 伝 えていくこ とが 重 要 である 石 橋 保 全 のためには 地 域 住 民 が 石 橋 を 正 しく 評 価 し 地 域 で 護 って 次 世 代 へと 継 承 して いく 必 要 がある 今 回 の 調 査 検 討 の 対 象 は 私 有 石 橋 でもあり 住 民 が 主 体 となった 点 検 保 全 等 の 管 理 体 制 を 確 立 するともに 石 橋 の 保 有 する 歴 史 的 風 致 や 文 化 的 景 観 としての 価 値 を 高 め 地 域 の 宝 として 継 承 していくシステムづくりを 検 討 する さらに 公 有 石 橋 も 含 めた 院 内 石 橋 群 全 体 を 一 体 的 な 歴 史 的 風 致 として 維 持 向 上 していくことを 目 的 とする 1

5 (2) 院 内 私 有 石 橋 の 概 要 75 基 の 石 橋 のなかで 調 査 検 討 の 対 象 とするのは 私 有 石 橋 の42 基 で そのうちアーチ 橋 は 31 基 桁 橋 は11 基 である その 中 で 文 化 財 としての 価 値 を 有 するのは 両 合 川 橋 と 橋 詰 水 路 橋 の2 基 が 国 登 録 文 化 財 一 の 橋 など6 基 が 市 の 指 定 文 化 財 となっている 架 橋 の 時 期 は 西 光 寺 橋 ほか2 基 が 江 戸 時 代 で 谷 橋 など8 基 が 明 治 期 広 丸 橋 など13 基 が 大 正 期 宇 土 橋 など10 基 が 昭 和 である 打 上 川 板 橋 などの 桁 橋 7 基 とシリナシ 橋 の8 基 は 不 明 とされている 石 橋 を 機 能 別 に 見 れば 打 上 水 路 橋 などの4 基 が 水 路 専 用 大 副 水 路 橋 など5 基 が 道 水 路 兼 用 で 多 くは 現 在 も 下 流 部 等 の 水 田 を 潤 している それ 以 外 の 石 橋 は 一 般 道 路 農 道 作 業 道 などの 目 的 で 架 橋 されたものであり そのうち17 基 は 現 在 でも 一 般 車 両 や 農 耕 車 あるいは 人 が 通 行 する 橋 として 住 民 の 生 活 を 支 えている 複 連 のアーチで 橋 脚 が 長 いことが 院 内 の 石 橋 の 魅 力 となっている しかしこれらのほと んどは 川 床 が 深 く 幅 の 広 い 恵 良 川 の 本 流 に 架 かる 公 有 橋 で 川 幅 の 狭 い 支 流 に 架 かる 私 有 橋 はすべて 単 連 である 石 工 職 人 としては 院 内 で11 基 の 橋 を 架 けた 松 田 新 之 助 が 有 名 であるが その 多 くは 公 有 石 橋 であり 私 有 石 橋 といえば 最 初 に 架 けた 明 治 40 年 の 宮 の 瀬 橋 などわずかである 院 内 石 橋 の 架 橋 年 代 架 橋 職 人 は 不 明 なものが 多 いが 最 も 古 いものは 山 村 藤 四 郎 が 文 久 3 年 (1863)に 架 けた 打 上 橋 である 旧 宇 佐 市 の 山 袋 の 職 人 であることが 注 目 される 写 真 1 打 上 橋 ( 上 )と 打 上 水 路 橋 ( 下 ) 2

6 (3)プロジェクトチームの 編 成 今 回 の 調 査 検 討 対 象 は 私 有 石 橋 であるため 地 域 住 民 の 参 画 が 最 も 重 要 である また 石 製 模 型 を 使 った 実 験 を 行 うため 現 地 での 石 材 調 達 や 石 の 加 工 組 立 には 石 工 職 人 が 必 要 である 今 回 の 実 験 は 実 物 の1/7 模 型 を 用 いて 実 施 するため 大 規 模 な 実 験 装 置 をもつ 機 関 の 協 力 が 不 可 欠 である さらに 石 橋 の 構 造 機 能 や 歴 史 文 化 財 に 関 する 専 門 的 な 知 識 が 必 要 とされるため 石 橋 研 究 家 や 構 造 力 学 研 究 機 関 との 連 携 も 考 慮 して 以 下 により チーム 編 成 を 行 った 産 石 工 職 人 吉 本 本 家 石 材 店 学 研 究 機 関 国 立 大 学 法 人 熊 本 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 地 域 住 民 両 川 地 区 まちづくり 協 議 会 高 並 谷 まちづくり 協 議 会 東 院 内 まちづくり 協 議 会 院 内 地 区 まちづくり 協 議 会 南 院 内 さとづくり 協 議 会 院 内 ふるさとガイド 教 室 民 行 政 機 関 宇 佐 市 土 木 課 宇 佐 市 社 会 教 育 課 宇 佐 市 産 業 建 設 課 宇 佐 市 都 市 計 画 高 速 道 対 策 課 ( 事 務 局 ) 官 図 表 1 院 内 石 橋 プロジェクト 組 織 図 3

7 (4) 調 査 実 施 フロー 図 業 務 実 施 内 容 (1) 石 橋 の 点 検 修 理 に 関 する 既 往 研 究 等 の 知 見 の 収 集 整 理 (2) 宇 佐 市 院 内 地 区 における 石 橋 の 実 態 調 査 (3) 石 製 模 型 の 作 成 と 実 験 による 技 術 的 知 見 の 収 集 (4) 点 検 手 法 の 検 討 (5) 行 政 管 理 の 石 橋 の 地 域 住 民 による 点 検 巡 回 体 制 の 検 討 (6) 修 理 手 法 の 検 討 (7) 成 果 のとりまとめ (1) 石 橋 の 点 検 修 理 に 関 する 既 往 研 究 等 の 知 見 の 収 集 整 理 (2) 宇 佐 市 院 内 地 区 にお ける 石 橋 の 実 態 調 査 (3) 石 製 模 型 の 作 成 と 実 験 による 技 術 的 知 見 の 収 集 調 査 手 法 の 検 討 調 査 項 目 の 検 討 調 査 個 票 の 検 討 フィードバック 実 験 手 法 の 検 討 使 用 石 材 の 検 討 実 験 模 型 の 検 討 (4) 点 検 手 法 の 検 討 調 査 実 験 に 基 づく 点 検 マ ニュアル 案 の 作 成 住 民 意 見 聴 取 検 討 石 橋 現 地 での 検 証 (5) 行 政 管 理 の 石 橋 の 地 域 住 民 による 点 検 巡 回 体 制 の 検 討 (6) 修 理 手 法 の 検 討 調 査 実 験 に 基 づく 修 理 マ ニュアル 案 の 作 成 住 民 意 見 聴 取 検 討 石 橋 現 地 での 検 証 (7) 成 果 のとりまとめ 石 橋 管 理 マニュアル( 第 Ⅰ 篇 点 検 マニュアル 第 Ⅱ 編 修 理 マニュアル) 石 橋 保 全 推 進 協 議 会 設 置 ( 産 学 官 民 連 携 ) 石 橋 調 査 員 制 度 の 導 入 ( 地 域 人 材 育 成 確 保 ) 図 表 2 調 査 実 施 フロー 図 4

8 第 1 章 石 橋 の 点 検 修 理 に 関 する 既 往 研 究 等 の 知 見 の 収 集 整 理 今 回 の 調 査 では 石 橋 一 般 に 関 する 文 献 資 料 と 石 材 構 造 関 係 資 料 及 び 石 橋 の 保 全 関 係 資 料 に 区 分 して 文 献 資 料 の 収 集 現 地 調 査 聞 き 取 りでの 調 査 を 実 施 した 知 見 収 集 を 始 めて 見 えてきたことは ある 程 度 予 想 はしていたが 今 回 の 調 査 で 必 要 な 崩 壊 した 石 橋 や 取 り 壊 わされた 石 橋 に 関 する 資 料 が 極 めて 少 なかった その 理 由 としては 石 橋 の 保 全 な どに 関 わる 主 体 者 が 民 と 官 に 限 らず 行 政 内 部 でも 所 管 する 部 署 が 多 岐 にわたるため 工 事 関 係 資 料 の 保 存 を 意 識 したルールが いことが 挙 げられる 日 常 的 な 維 持 管 理 に 関 する 資 料 についてもほとんど 存 在 していないことが 判 明 した 収 集 できた 知 見 内 容 は 今 回 の 調 査 に 必 要 かつ 十 分 とはならなかったが 私 有 石 橋 の 実 態 調 査 の 視 点 手 法 の 確 立 構 造 分 析 や 強 度 実 験 に 使 用 する 石 製 模 型 製 作 管 理 マニュア ル 作 成 などを 行 う 上 で 重 要 な 役 割 を 果 たすこととなった 特 に 熊 本 県 で 行 った 現 地 調 査 聞 き 取 り 調 査 は 当 プロジェクトチームの 行 った 実 態 調 査 や 石 製 模 型 実 験 に 取 り 組 むうえで 大 変 参 考 になった なお 収 集 した 文 献 資 料 等 は 資 料 1プロジェクトチームの 活 動 記 録 に 整 理 した 写 真 1-1 収 集 した 資 料 1 写 真 1-2 収 集 した 資 料 2 資 料 提 供 東 陽 石 匠 館 写 真 1-3 石 造 アーチ 橋 の 分 布 図 5

9 (1) 石 橋 の 構 造 図 表 1-1 アーチ 石 橋 の 構 造 と 呼 び 名 親 柱 (おやばしら) 橋 の 両 側 に 立 つ 柱 の 石 橋 名 とか 架 橋 年 月 日 を 彫 り 込 む 束 石 (そくせき) 間 柱 とも 呼 び 手 摺 の 下 に 立 つ 柱 手 摺 (てすり) 人 が 落 ちないように 束 柱 の 上 に 載 せる 長 い 石 地 覆 (じふく) 手 摺 の 真 下 に 地 面 の 押 えに 敷 く 長 い 石 束 柱 を 固 定 する 役 目 も 兼 ねる 要 石 (かなめいし) アーチの 最 後 に 締 めくくる 大 事 な 石 一 般 的 に 他 の 輪 石 よ りやや 大 きめな 石 を 使 用 している 輪 石 (わいし) 拱 環 石 (こうかんせき)やアーチ 輪 石 とも 言 い アーチの 石 橋 で 一 番 大 事 な 所 で 半 円 ないしそれに 近 い 弧 をなす 部 分 の 石 配 列 としては 通 常 何 本 かの 石 を 繋 いでいる 壁 石 (かべいし) 中 詰 土 砂 が 崩 れないように 外 壁 に 築 く 石 積 み 主 に 布 積 み 乱 積 みの 二 種 類 の 積 み 方 がある 布 積 み(ぬのづみ) 方 形 に 整 形 した 比 較 的 おおきな 石 を 目 地 が 横 に 通 るよう に 積 み 上 げる 方 法 大 正 以 降 セメントを 使 用 した 橋 に 多 い 乱 積 み(らんづみ) 切 り 石 や 野 面 石 ( 自 然 石 )を 使 用 して 積 み 上 げる 方 法 布 積 み 以 外 の 石 積 み 小 型 の 石 橋 でセメントを 使 用 していな い 橋 に 多 い 切 り 石 (きりいし) 表 面 に 出 る 石 の 角 や 面 をたたいた 石 平 たくし 石 同 士 の 接 合 面 を 増 やした 石 の 総 称 野 面 石 (のづらいし) 自 然 石 ともいい 加 工 せずに 使 用 する 石 などのこと 石 の 形 に 統 一 性 がなく 石 同 士 のかみ 合 いが 難 しい 袴 石 垣 (はかまいしがき) 護 岸 部 の 洗 堀 防 止 及 び 高 い 側 壁 孕 み 防 止 を 目 的 として 橋 の 端 に 積 む 石 垣 美 観 も 重 要 視 している 拱 矢 (こうし) アーチライズとも 呼 び アーチの 頂 上 からアーチ 基 礎 まで の 高 さ 径 間 (けいかん) 支 間 やスパンとも 呼 び アーチ 石 の 中 心 間 隔 の 長 さ 院 内 の 私 有 石 橋 アーチの 構 造 的 特 徴 は 図 表 1-1 のようになる 輪 石 に 阿 蘇 溶 結 凝 灰 岩 を 用 いるのはすべての 石 橋 に 共 通 している 公 有 石 橋 に 多 い 複 連 アーチや 単 連 アーチでも 長 大 な 橋 の 場 合 は 専 門 の 技 術 集 団 が 関 わっており 壁 石 も 輪 石 と 同 じ 阿 蘇 溶 結 凝 灰 岩 を 加 工 した 間 知 石 を 布 積 みし 目 地 詰 めが 行 われている これに 対 して 私 有 石 橋 の 壁 石 は 工 事 6

10 現 場 の 川 原 石 を 割 り そのまま 用 いた 野 面 石 の 乱 積 みが 行 われている その 中 間 形 態 とし て 中 鍋 橋 のように 合 端 面 を 広 くするため 川 原 石 を 多 面 的 に 加 工 して 乱 積 みしたものがあ る 間 知 石 の 布 積 切 り 石 の 乱 積 み 野 面 石 の 乱 積 みの 順 位 に 技 術 は 稚 拙 となる 図 表 1-2 院 内 アーチ 橋 輪 石 基 礎 石 の 列 番 号 図 K:Key Stone ( 鍵 石 要 石 ) RR:Right Ring Stone( 右 側 輪 石 ) LR:Left Ring Stone( 左 側 輪 石 ) RF:Rihgt Foundation Stone( 右 側 基 礎 石 ) LF:Left Foundation Stone( 左 側 基 礎 石 ) 私 有 石 橋 の 修 理 点 検 を 行 うために 必 要 不 可 欠 なのが 石 橋 を 構 成 する 要 石 輪 石 基 礎 石 の 位 置 関 係 を 詳 細 に 表 す 呼 称 である 既 往 研 究 等 の 知 見 収 集 結 果 から 特 別 な 呼 称 がある ことは 確 認 できなかったため 図 表 1-2のとおり 新 たにそれらの 石 の 呼 称 を 決 定 した これ により 損 傷 箇 所 の 特 定 や 範 囲 等 の 分 析 損 傷 箇 所 の 傾 向 を 予 測 する 効 果 が 期 待 できると 考 える なお 呼 称 については 輪 石 及 び 基 礎 石 については 上 流 部 から 見 て 要 石 を 中 心 に 左 側 と 右 側 の 基 礎 石 に 向 けて 横 列 の 記 号 番 号 を 付 け さらに 上 流 から 下 流 に 向 かって 縦 列 の 番 号 をつけて 個 々の 石 の 呼 称 とした 7

11 (2) 石 橋 点 検 修 理 に 関 する 事 例 石 橋 が 日 本 一 残 る 大 分 県 にあって 石 橋 の 維 持 管 理 といえば 皆 一 様 に 石 橋 周 辺 の 草 刈 りを 行 う 程 度 と 言 う 個 人 所 有 の 石 橋 だけでなく 行 政 が 管 理 している 石 橋 についても 具 体 的 な 点 検 及 び 維 持 管 理 方 法 を 規 定 し 取 り 組 んでいる 事 例 は 特 に 確 認 できなかった 大 分 の 石 橋 を 研 究 する 会 会 長 を 務 め 大 分 県 の 石 橋 研 究 の 第 一 人 者 である 岡 崎 文 雄 先 生 にもお 話 しを 伺 ったが 大 分 県 内 で 宇 佐 市 院 内 町 以 上 に 取 り 組 んでいる 県 内 自 治 体 は 承 知 していないという 答 えが 返 ってきた また 院 内 町 では 昔 田 畑 の 石 垣 を 積 めない 者 は 一 人 前 ではない と 言 われていたそうで この 石 垣 積 みの 技 術 が 石 橋 の 架 設 に 役 立 ったこと は 間 違 いないとのことだった また 戦 後 高 度 経 済 成 長 による 車 社 会 の 到 来 安 価 で 入 手 することが 容 易 にできるコンクリートの 登 場 などをきっかけにコンクリート 橋 へと 架 け 替 えられた 石 橋 また 災 害 による 補 修 や 道 路 拡 幅 工 事 によりコンクリートで 補 強 された 石 橋 さらには 石 橋 全 体 をコンクリートで 覆 った 石 橋 を 見 ることができるが それらが 単 に 時 代 背 景 だけを 理 由 に 取 り 替 えられたとは 考 えにくく 石 橋 の 劣 化 や 損 傷 が 原 因 だったの ではないかと 疑 問 を 抱 いた このため 架 け 替 えられた 石 橋 何 らかの 補 強 工 事 が 行 われた 石 橋 を 調 査 することで 当 時 の 資 料 や 状 況 が 少 なからず 分 かるのではないかと 考 え 各 自 治 体 等 に 問 い 合 わせてみた が ほとんどが 不 明 であった その 理 由 として 工 事 関 係 資 料 等 の 保 存 期 間 が 各 地 方 自 治 体 の 文 書 管 理 規 定 により 異 なること また 担 当 者 が 数 年 で 代 わってしまうことなどが 挙 げ られる こうした 状 況 により 石 橋 建 設 当 時 の 設 計 図 や 写 真 等 の 資 料 についてもほとんど 入 手 することができず 石 橋 点 検 修 理 に 関 する 資 料 収 集 は 非 常 に 困 難 であった 今 回 点 検 修 理 に 関 して 収 集 できた 既 往 研 究 としては 九 州 構 造 橋 梁 工 学 研 究 会 (KABSE) が 作 成 した 石 橋 の 点 検 要 領 及 び 維 持 管 理 の 現 況 という 資 料 が 石 橋 の 維 持 管 理 に 関 する まとまった 資 料 であり 熊 本 県 山 鹿 市 では 橋 梁 長 寿 命 化 計 画 の 中 に 上 記 資 料 を 基 に 作 成 し た 行 政 管 理 石 橋 の 点 検 維 持 管 理 の 記 述 は 本 調 査 にも 参 考 になる 資 料 であった 収 集 した 文 献 資 料 : 熊 本 県 で 行 われた 修 理 に 関 する 事 例 ( 一 部 抜 粋 ) 1 聖 橋 ( 山 都 町 ): 右 岸 の 石 積 みを 復 元 するため 支 保 工 を 組 み 合 端 3 寸 の 工 法 が 用 い られている また 壁 石 の 内 部 は 雨 水 を 溜 めにくい 石 屑 や 岩 塊 を 詰 め 圧 力 がかからないようにしているほか 一 定 の 間 隔 で 長 い 石 を 使 うこ とで 壁 石 の 孕 みを 防 いでいる 2 芝 笠 の 眼 鏡 橋 ( 人 吉 市 ): 壁 石 の 孕 みだしをH 型 鋼 材 +タイロッドで 補 強 3 冷 水 橋 ( 水 俣 市 ): 輪 石 等 の 変 形 を 鋼 製 支 保 工 で 補 強 4 寺 前 橋 ( 水 俣 市 ): 輪 石 の 開 き 等 の 変 状 をコンクリートで 輪 石 上 部 外 側 を 補 強 5 内 野 橋 ( 水 俣 市 ): 輪 石 の 脱 落 をコンクリートで 復 元 8

12 (3) 院 内 石 橋 の 特 徴 農 民 石 工 が 架 けた 私 有 石 橋 群 深 い 渓 谷 をなす 院 内 地 域 は 中 央 を 貫 流 する 恵 良 川 及 びその 支 流 沿 いに 河 岸 段 丘 が 発 達 しており 古 くから 田 畑 の 開 墾 が 行 われてきた 江 戸 時 代 後 期 頃 からは 石 垣 構 築 技 術 が 導 入 されて 屋 敷 地 や 耕 地 面 積 が 拡 大 し 谷 の 景 観 も 大 きく 変 容 した そうした 中 で 河 川 に 隔 てられた 集 落 や 田 畑 への 往 来 は 徒 歩 渡 りや 沈 み 橋 木 橋 に 頼 っていたが 河 床 が 深 く て 断 面 U 字 状 をなす 河 川 の 特 徴 から 頑 強 で 高 くて 長 い 橋 の 建 造 が 必 要 とされた 江 戸 時 代 初 め 頃 長 崎 に 中 国 経 由 でヨーロッパのアーチ 石 橋 が 伝 えられた 長 崎 の 石 橋 文 化 はその 後 九 州 各 地 に 広 がり 院 内 にも 伝 えられることとなった その 伝 播 ルートとし ては 熊 本 を 経 て 分 布 が 密 集 する 大 野 川 流 域 から 入 ったことが 考 えられるが 院 内 最 古 の 打 上 橋 が 文 久 3 年 (1863)に 麻 生 谷 に 隣 接 する 山 袋 村 の 山 村 藤 四 郎 によって 建 造 されてい ることから 日 田 耶 馬 溪 ルートの 可 能 性 もある いずれのルートにしても それが 伝 わ る 条 件 となったのは この 地 域 が 石 材 となる 阿 蘇 溶 結 凝 灰 岩 (ASO4)の 地 質 分 布 の 北 側 に 位 置 していることが 重 要 な 条 件 となっている また 院 内 の 石 橋 群 は 海 に 面 した 宇 佐 平 野 と 山 間 部 の 玖 珠 地 方 を 結 ぶ 往 環 道 の 恵 良 川 及 びその 支 流 群 に 架 けられたものである 特 に 明 治 後 半 からは 日 出 生 台 演 習 場 への 軍 事 演 習 用 道 路 として 重 要 な 機 能 を 担 うことになり 深 い 渓 谷 を 流 れる 恵 良 川 を 縫 うようにア ーチ 石 橋 が 架 けられていった それらの 建 造 には 江 戸 時 代 以 来 の 棚 田 開 墾 等 で 石 積 み 技 術 を 習 得 していた 多 くの 農 民 も 参 加 し その 後 恵 良 川 支 流 の 各 集 落 において 石 橋 の 建 造 に 参 加 した 農 民 石 工 とも 呼 ぶべき 人 々が 昭 和 30 年 頃 まで 見 よう 見 まねでアーチ 橋 を 架 け 続 けた 大 分 院 内 の 石 橋 の 時 代 性 と 地 域 性 石 橋 にはそれぞれ 時 代 性 と 地 域 的 特 徴 があり 正 しい 点 検 や 修 理 を 行 うためにはそう した 知 識 が 不 可 欠 である 大 分 院 内 の 石 橋 の 特 徴 としては 次 のことが 挙 げられる 1.アーチ 石 橋 は 全 国 で2,076 基 確 認 されているが 大 分 県 は503 基 で 最 も 多 く そのうち 院 内 地 域 に64 基 が 集 中 しており 最 も 高 い 密 集 度 をなす 2. 江 戸 時 代 に 架 けられた 県 内 の 石 橋 アーチは36 基 と 少 なく 明 治 時 代 前 期 (27 年 )まで の14 基 を 含 めても50 基 ( 約 1 割 )である このうち 院 内 は10 基 を 数 える 3. 隣 接 する 熊 本 県 の 石 橋 が 川 床 からアーチが 始 まるタイプが 多 いのに 対 して 大 分 の 石 橋 は 河 床 に 橋 脚 を 立 ててその 上 にアーチを 組 んでおり 水 流 の 抵 抗 を 少 なくする 工 夫 がなされている そのため 多 連 橋 が 多 く 橋 脚 のついた 橋 の 数 49 基 は 全 国 一 である そのうち 院 内 町 に6 基 が 現 存 する 4. 熊 本 県 の 橋 は 接 着 剤 ( 目 地 )を 使 わない 空 積 み(からづみ) という 江 戸 時 代 の 方 9

13 法 で 造 られた 物 が 多 いが 大 正 6 年 に 津 久 見 にセメント 工 場 ができた 頃 から 大 分 の 橋 造 りは 目 地 を 入 れるなど 変 化 した 5. 側 壁 の 構 造 は 布 積 み と 乱 積 み に 大 別 される 明 治 25 年 から39 年 に 東 京 の 工 部 大 学 校 ( 東 京 帝 国 大 学 工 学 部 ) 卒 の 技 師 3 名 が 大 分 に 赴 任 した 彼 らのもたらした 布 積 みの 新 技 術 によって 国 道 に 架 かる 橋 の 改 築 が 行 われ これが 郡 部 の 支 線 に 普 及 したと 考 えられる 大 分 県 全 体 では 乱 積 み が 布 積 み より 多 く 院 内 でも 同 様 である 院 内 の 石 橋 64 基 のうち 布 積 み は 鳥 居 橋 ほか10 基 で 乱 積 み が 圧 倒 的 に 多 い これは 大 分 の 中 でも 特 異 な 存 在 となっている 6. 県 内 の 石 橋 架 橋 記 念 碑 は125 基 を 数 え 全 国 的 に 見 て 多 い その 中 にあって 院 内 には 高 並 御 沓 余 橋 ( 橋 は 消 失 )の3 基 しかない このことから 院 内 では 田 畑 の 石 垣 を 築 くように 石 橋 が 造 られたことが 窺 える 7. 院 内 には 水 路 橋 が 多 く 県 内 65 基 中 6 基 を 占 めており 道 路 兼 用 を 含 めると10 基 を 数 える このことは 農 業 用 水 路 としても 石 橋 が 貴 重 な 存 在 であったことを 示 している 以 上 のように 院 内 の 石 橋 文 化 は 全 体 的 に 大 分 の 石 橋 文 化 の 範 疇 に 含 まれるが 独 自 性 も 認 められる 恵 良 川 の 本 流 や 川 幅 の 広 い 支 流 には 橋 脚 を 立 てたり 側 壁 に 目 地 を 詰 めた 布 積 み 技 法 を 用 いたりするが 川 幅 が 狭 い 支 流 に 架 かる 橋 のほとんどが 壁 石 に 川 原 の 石 を 用 いて 乱 積 みしていることがそのことを 示 している 田 畑 の 石 垣 を 積 む 伝 統 技 術 をもって 大 規 模 石 橋 の 建 造 に 参 加 し そこでアーチ 型 に 組 んだ 支 保 工 の 上 に 阿 蘇 溶 結 凝 灰 岩 を 加 工 した 輪 石 や 壁 石 を 積 む 等 の 技 術 を 習 得 することとなった そうした 人 々が 支 流 の 各 所 に 小 規 模 な 石 橋 を 架 けていった 結 果 日 本 一 多 くの 石 橋 が 出 現 することとなったと 思 われる 国 県 市 道 以 外 の 私 有 石 橋 としたこれらの 石 橋 は 院 内 地 域 の 人 々にとって 祖 先 たちが 深 く 関 わった 文 化 遺 産 として 親 しまれており そうした 中 で 維 持 管 理 がなされ てきたのである 10

14 第 2 章 宇 佐 市 院 内 地 区 における 石 橋 の 実 態 調 査 (1) 調 査 手 法 の 検 討 第 1 章 石 橋 の 点 検 修 理 に 関 する 既 往 研 究 等 の 知 見 の 収 集 整 理 により 収 集 した 研 究 資 料 や 点 検 修 理 事 例 をもとにプロジェクトチームによる 独 自 の 調 査 シート 作 成 に 着 手 し た 今 回 作 成 する 調 査 シートは 院 内 石 橋 調 査 用 として 作 成 するが 全 国 の 石 橋 で 共 通 に 使 用 できることや 私 有 石 橋 に 限 らず 公 の 管 理 する 石 橋 においても 使 用 可 能 な 調 査 シートとし て 作 成 することを 念 頭 に 調 査 項 目 等 の 整 理 を 行 った 実 態 調 査 は 平 成 25 年 9 月 11 日 から9 月 27 日 までの 間 に 延 べ7 日 間 実 施 した 調 査 は 各 地 区 調 査 員 を 中 心 に7 名 ~10 名 体 制 で75 基 の 全 石 橋 の 現 地 において 調 査 シートに 記 入 する 方 式 で 行 ったうえ 写 真 や 動 画 撮 影 も 併 せて 行 った また 実 態 把 握 が 難 しかった 石 橋 や 今 後 の 点 検 修 理 手 法 の 検 討 に 特 に 役 立 つと 思 われる 石 橋 等 については10 月 2 日 から10 月 4 日 まで の 間 に 追 加 調 査 を 行 い 事 後 に 各 調 査 員 の 調 査 シートを 検 討 会 で 取 りまとめた 特 に32 基 の 私 有 石 橋 については 調 査 結 果 を 個 表 に 整 理 し その 後 それらの 個 表 を 健 全 度 等 のラン クに 区 分 した 上 で 調 査 結 果 一 覧 表 を 作 成 し 模 型 実 験 や 管 理 マニュアル 作 成 の 基 礎 資 料 と した 以 下 に 実 態 調 査 記 録 シート 調 査 エリア 図 調 査 結 果 一 覧 表 を 示 す 調 査 記 録 シート 調 査 記 録 シートの 作 成 にあたっては 主 に 九 州 構 造 橋 梁 工 学 研 究 会 (KABSE)の 石 橋 の 点 検 要 領 及 び 維 持 管 理 の 現 況 を 参 考 に 1 基 本 事 項 と 基 本 台 帳 2 部 位 別 現 況 記 録 3 損 傷 個 所 等 スケッチ 記 録 で 構 成 する 石 橋 構 造 記 録 用 シートを 作 成 した 1 調 査 石 橋 基 本 事 項 と 基 本 台 帳 橋 名 所 在 地 の 住 所 や 路 線 名 管 理 者 などの 石 橋 の 基 本 情 報 及 び 石 橋 下 部 接 近 の 可 否 について 掲 載 また 平 成 15 年 に 発 行 された 院 内 町 の 石 橋 ( 大 分 県 院 内 町 教 育 委 員 会 ) に 掲 載 された 架 設 年 月 日 や 橋 長 径 間 などの 石 橋 の 構 成 データを 掲 載 図 表 2-1 石 橋 の 基 本 事 項 11

15 2 調 査 石 橋 部 位 別 現 況 記 録 知 見 収 集 結 果 をもとに 10 項 目 に 分 類 し 作 成 特 筆 すべき 損 傷 等 がある 場 合 は 意 見 記 入 できるよう 記 入 欄 を 設 けた 図 表 2-2 石 橋 の 部 位 別 現 況 記 録 3 調 査 石 橋 損 傷 個 所 等 スケッチ 記 録 2により 損 傷 が 確 認 できた 個 所 の 特 定 や 状 況 を 把 握 するため 上 部 工 下 部 工 を 4 つ に 分 けたスケッチ 記 録 シートを 作 成 した 図 表 2-3 石 橋 のスケッチ 記 録 12

16 (a) 北 山 水 路 橋 (b) 御 仮 屋 橋 (c) 渡 谷 橋 (d) 山 の 迫 水 路 橋 (e) 広 丸 橋 (f)トイノモト 橋 (g) 念 仏 橋 写 真 2-1 院 内 石 橋 群 実 態 調 査 風 景 (h) 野 地 橋 13

17 両 川 地 区 10 基 1 鳥 居 橋 8 一 の 橋 16 櫛 野 橋 58 毒 水 水 路 橋 68 香 下 神 社 第 2 神 橋 69 香 下 神 社 稲 荷 橋 14 北 山 水 路 橋 15 界 橋 61 松 木 橋 67 香 下 神 社 第 1 神 橋 東 院 内 地 区 13 基 2 御 沓 橋 3 荒 瀬 橋 27 原 口 水 路 橋 28 上 出 平 橋 31 宇 土 橋 59 大 副 水 路 橋 12 福 厳 寺 羅 漢 26 水 雲 橋 29 山 の 迫 水 路 橋 30 日 岳 境 橋 64 日 岳 橋 70 五 名 神 橋 71 大 副 池 橋 南 院 内 地 区 19 基 4 分 寺 橋 9 両 合 川 橋 46 小 野 谷 橋 47 裏 谷 橋 50 中 鍋 橋 51 飛 石 橋 54 シリナシ 橋 55 椎 木 橋 73 フネガモト 橋 74 出 口 の 橋 10 念 仏 橋 45 飯 塚 橋 48 落 合 橋 49 野 地 橋 52 土 岩 屋 橋 53 コチバサコ 橋 56 宇 土 川 橋 57 和 田 川 橋 75 葛 灰 橋 図 表 2-4 院 内 石 橋 エリア 図 14

18 私 有 石 橋 アーチ 橋 管 理 地 区 名 橋 梁 名 橋 長 橋 幅 橋 高 橋 種 架 設 年 文 化 財 通 超 制 限 等 摘 要 主 な 損 傷 構 造 健 全 度 草 木 付 着 状 況 周 辺 荒 廃 度 6 高 並 谷 橋 アーチ1 明 治 2 年 車 両 通 行 可 コンクリート 被 覆 A なし B 8 高 並 打 上 水 路 橋 アーチ1 昭 和 初 期 通 行 不 可 水 路 専 用 A 全 体 有 C 11 東 院 内 日 岳 境 橋 アーチ1 昭 和 期 通 行 不 可 排 水 路 トンネル 上 部 埋 め 立 て 石 橋 機 能 喪 失 A 側 部 有 B 12 東 院 内 宇 土 橋 アーチ1 昭 和 期 車 両 通 行 可 目 地 詰 め 補 修 済 み 継 ぎ 目 開 き ひび 割 れ A 側 下 部 有 C 13 東 院 内 大 副 水 路 橋 アーチ1 大 正 時 代 歩 行 者 可 道 水 路 兼 用 A 全 体 有 C 14 東 院 内 福 厳 寺 羅 漢 橋 アーチ1 江 戸 末 期 通 行 不 可 境 内 風 化 による 劣 化 A 全 体 有 A 15 院 内 大 畑 橋 アーチ1 明 治 期 車 両 通 行 可 最 小 アーチ 橋 A 全 体 有 A 16 院 内 広 丸 橋 アーチ1 大 正 2 年 車 両 通 行 可 A 全 体 有 C 17 院 内 宮 の 瀬 橋 アーチ1 明 治 40 年 市 指 定 通 行 止 め A 全 体 有 C 18 院 内 畔 橋 アーチ1 昭 和 期 通 行 不 可 片 方 閉 鎖 上 部 埋 め 立 て 石 橋 機 能 喪 失 A 側 部 有 C 20 院 内 トイノモト 橋 アーチ1 明 治 末 期 歩 行 者 可 道 水 路 兼 用 軽 度 のひび 割 れ ずれ A 側 下 部 有 B 22 院 内 月 俣 神 橋 アーチ1 大 正 12 年 歩 行 者 可 参 道 軽 度 のひび 割 れ ずれ A 側 部 有 B 24 南 院 内 飯 塚 橋 アーチ1 明 治 初 期 市 指 定 歩 行 者 可 漏 水 A 側 部 有 C 28 南 院 内 シリナシ 橋 アーチ1 不 詳 車 両 通 行 可 上 部 拡 幅 目 地 詰 め 補 修 A なし A 29 南 院 内 椎 木 橋 アーチ1 昭 和 14 年 車 両 通 行 可 上 部 拡 幅 目 地 詰 め 補 修 A なし B 4 両 川 毒 水 谷 水 路 橋 アーチ1 明 治 39 年 通 行 不 可 水 路 専 用 ひび 割 れ 両 岸 側 面 崩 落 あり B 側 部 有 C 9 東 院 内 原 口 水 路 橋 アーチ1 大 正 末 期 車 両 通 行 可 道 水 路 兼 用 軽 度 のひび 割 れ ずれ B 全 体 有 C 19 院 内 田 の 原 橋 アーチ1 昭 和 2 年 車 両 通 行 可 隣 接 新 橋 あり 継 ぎ 目 開 き ひび 割 れ B 下 部 有 A 25 南 院 内 裏 谷 橋 アーチ1 昭 和 32 年 車 両 通 行 可 最 新 築 造 橋 基 礎 部 洗 掘 側 壁 はらみ B 側 下 部 有 A 30 南 院 内 宇 土 川 橋 アーチ1 大 正 10 年 車 両 通 行 可 上 部 拡 幅 目 地 詰 め 補 修 右 岸 基 礎 洗 掘 B 側 部 一 部 有 B 31 南 院 内 飛 石 橋 アーチ1 昭 和 2 年 歩 行 者 可 継 ぎ 目 開 き 欠 落 B 側 下 部 有 B 1 両 川 界 橋 アーチ1 昭 和 8 年 歩 行 者 可 横 に 市 道 橋 有 り 継 ぎ 目 開 き ひび 割 れ 漏 水 C 側 下 部 有 B 2 両 川 一 の 橋 アーチ1 明 治 26 年 市 指 定 車 両 通 行 可 神 社 通 路 ひび 割 れ 欠 落 側 壁 孕 み ずれ C 全 体 有 A 3 両 川 北 山 水 路 橋 アーチ1 大 正 末 期 通 行 不 可 水 路 専 用 継 ぎ 目 開 き 欠 落 側 壁 孕 み ずれ C 側 部 有 C 5 両 川 御 仮 屋 橋 アーチ1 明 治 25 年 市 指 定 車 両 通 行 可 ひび 割 れ 欠 落 側 壁 孕 み ずれ C 全 体 有 C 7 高 並 橋 詰 水 路 橋 アーチ1 江 戸 末 期 国 登 録 歩 行 者 可 道 水 路 兼 用 ひび 割 れ 側 壁 孕 み 漏 水 C 全 体 有 C 10 東 院 内 山 の 迫 水 路 橋 アーチ1 大 正 2 年 通 行 不 可 水 路 専 用 ひび 割 れ 漏 水 基 礎 部 損 傷 C 全 体 有 C 21 院 内 西 光 寺 橋 アーチ1 江 戸 末 期 市 指 定 歩 行 者 可 右 岸 護 岸 基 礎 部 崩 落 継 ぎ 目 開 き C 全 体 有 B 23 院 内 樋 本 橋 アーチ1 大 正 11 年 車 両 通 行 可 道 水 路 兼 用 側 壁 基 礎 護 岸 一 部 崩 落 C 側 下 部 有 A 26 南 院 内 両 合 川 橋 アーチ1 大 正 14 年 国 登 録 歩 行 者 可 基 礎 部 損 傷 目 地 詰 めモルタル 劣 化 C 全 体 有 C 27 南 院 内 落 合 橋 アーチ1 大 正 末 期 車 両 通 行 可 上 部 分 離 構 造 上 部 と 下 部 分 離 側 壁 崩 壊 の 危 険 有 C なし C 私 有 石 橋 桁 橋 管 理 者 名 地 区 名 橋 梁 名 橋 長 橋 幅 橋 高 橋 種 架 設 年 文 化 財 通 超 制 限 等 摘 要 主 な 損 傷 構 造 健 全 度 草 木 付 着 状 況 周 辺 荒 廃 度 1 両 川 香 下 神 社 第 1 神 橋 桁 橋 大 正 4 年 歩 行 者 可 自 然 石 2 枚 A なし A 2 両 川 香 下 神 社 第 2 神 橋 桁 橋 大 正 4 年 歩 行 者 可 自 然 石 2 枚 A なし A 3 両 川 香 下 神 社 稲 荷 橋 桁 橋 大 正 4 年 歩 行 者 可 自 然 石 1 枚 A なし A 4 高 並 打 上 川 板 橋 桁 橋 不 詳 歩 行 者 可 A なし C 5 東 院 内 五 名 神 橋 桁 橋 不 詳 歩 行 者 可 境 内 A なし A 6 東 院 内 大 副 池 橋 桁 橋 不 詳 車 両 通 行 可 上 部 拡 幅 A なし B 8 院 内 宮 地 嶽 橋 桁 橋 不 詳 歩 行 者 可 境 内 灰 石 4 枚 A なし A 9 南 院 内 出 口 の 橋 桁 橋 不 詳 車 両 通 行 可 A なし B 10 南 院 内 フネガモト 橋 桁 橋 不 詳 車 両 通 行 可 自 然 石 2 枚 A なし B 11 南 院 内 葛 灰 橋 桁 橋 不 詳 歩 行 者 可 自 然 石 3 枚 A なし B 7 院 内 久 地 橋 桁 橋 明 治 初 期 市 指 定 歩 行 者 可 長 大 石 使 用 両 岸 側 面 崩 落 あり C なし C 図 表 2-5 実 態 調 査 結 果 一 覧 表 15

19 (2) 実 態 調 査 のまとめ 今 回 の 調 査 は 院 内 75 基 の 全 石 橋 を 対 象 に 調 査 を 実 施 した そのうち 私 有 石 橋 32 基 につ いては 調 査 に 携 わった 全 調 査 員 の 調 査 シートをもとに 検 討 会 において 健 全 度 等 の 評 価 分 析 を 行 い 私 有 石 橋 毎 の 調 査 個 表 を 作 成 し 個 表 に 基 づく 現 状 における 健 全 度 等 の 区 分 デー タを 取 りまとめることができた 今 回 実 施 した 調 査 では 損 傷 が 特 に 見 られず 良 好 な 状 態 である 健 全 度 A 判 定 の 石 橋 が 15 基 幸 いにも 院 内 の 私 有 石 橋 には 損 傷 が 激 しく 早 急 な 改 修 工 事 を 必 要 とする 健 全 度 D 判 定 の 石 橋 はないことが 確 認 できた しかしながら 一 部 に 損 傷 が 見 られ 経 過 観 察 が 必 要 な 健 全 度 B 判 定 の 石 橋 は 6 基 部 分 的 な 補 修 が 必 要 な 健 全 度 C 判 定 の 石 橋 が 11 基 確 認 されている 他 にも 本 体 に 草 木 の 付 着 している 石 橋 や 周 辺 河 川 や 景 観 の 荒 廃 が 進 んでいる 現 状 も 把 握 できた これらのデータは 地 区 調 査 員 がそれぞれの 地 区 に 持 ち 帰 り 各 地 区 の 石 橋 保 全 や 周 辺 環 境 整 備 活 動 の 基 礎 データとして 今 後 活 用 される ことが 期 待 される すでに 一 部 の 地 区 では 今 回 の 調 査 を 契 機 として 地 区 での 実 践 活 動 が 始 められようとしている 次 に 実 態 調 査 を 行 って 得 た 知 見 としては 今 回 のプロジェクトでは 9 月 に 実 態 調 査 を 実 施 したが 最 も 調 査 に 適 しているのは 渇 水 期 の 12 月 から 2 月 頃 までであることが 分 かっ た 石 橋 の 下 からしか 見 ることのできない 下 部 構 造 や 基 礎 部 両 河 川 断 面 などの 近 接 目 視 や 記 録 写 真 の 撮 影 も 支 障 草 木 が 枯 れるこの 時 期 が 最 も 適 していると 思 われる 今 後 の 定 期 的 な 点 検 活 動 や 修 理 を 行 う 時 期 等 を 決 定 する 上 でも 参 考 になることと 思 う 2 点 目 として 近 接 目 視 用 の 道 路 経 路 等 の 確 保 は 地 域 住 民 による 石 橋 保 全 活 動 の 中 で 最 も 重 要 視 しなければならないことが 今 回 の 実 態 調 査 で 分 かった 集 中 豪 雨 や 台 風 の 後 には 必 ずこれら 経 路 の 状 態 確 認 を 行 い 損 失 があれば 経 路 の 確 保 を 行 うこと 等 を 今 後 の 住 民 に よる 保 全 活 動 で 確 立 できるよう 取 り 組 む 3 点 目 として 今 回 の 調 査 においては 実 施 できなかったが 経 過 観 察 を 要 する 石 橋 について 3D 撮 影 によるデータ 収 集 の 必 要 性 を 感 じた 本 体 の 微 細 な 変 動 の 進 行 を 部 位 別 に 座 標 値 として 記 録 データを 保 有 し 経 年 撮 影 による 変 化 を 実 測 値 により 把 握 することで 小 規 模 修 理 対 応 が 可 能 となることは 住 民 による 保 全 に 有 効 に 機 能 すると 思 われる ただし 住 民 主 体 で3Dデータベースによる 管 理 をシステム 的 に 運 用 するのは 困 難 な 面 もあるのでそこに は 行 政 の 関 与 が 必 要 と 思 われる 以 上 今 回 の 実 態 調 査 は 地 域 住 民 による 今 後 の 点 検 補 修 活 動 に 大 きく 寄 与 する 知 見 や 分 析 結 果 をもたらした これらの 結 果 を 反 映 して 作 成 する 点 検 補 修 のマニュアルは 全 国 の 石 橋 にも 実 用 できるものと 確 信 している 写 真 2-2 院 内 鳥 居 橋 3D 撮 影 画 像 資 料 提 供 国 土 防 災 技 術 株 式 会 社 16

20 第 3 章 石 製 模 型 の 作 成 と 実 験 による 技 術 的 知 見 の 収 集 (1) 模 型 実 験 の 概 要 これまでに 実 施 した 第 1 章 第 2 章 の 知 見 収 集 と 調 査 により 輪 石 に 関 する 修 理 事 例 が 特 に 多 かったことや 多 数 の 私 有 石 橋 に 輪 石 の 割 れや 壁 石 の 孕 みなどの 変 状 があることが 判 明 したことから 私 有 石 橋 の 点 検 修 理 マニュアルの 検 討 のため 以 下 に 示 す 項 目 につ いて 確 認 調 査 をすることにした なお 石 橋 の 模 型 は 院 内 町 にある 両 合 川 橋 をモデルとして 院 内 町 西 椎 屋 で 採 石 した 阿 蘇 溶 結 凝 灰 岩 (ASO4)を 用 いて 製 作 し 石 製 模 型 実 験 を 実 施 した 1 現 実 の 石 橋 ではアーチ 輪 石 の 損 傷 や 壁 石 の 損 傷 や 崩 壊 などの 現 象 を 現 場 実 験 で 確 認 する のは 困 難 であるため このような 現 象 把 握 と 補 修 や 補 強 方 法 の 検 討 のために 石 製 模 型 を 製 作 して 行 う 2 石 橋 構 造 ( 壁 石 やアーチ 輪 石 )の 仕 組 み 壁 石 の 内 の 中 詰 め 土 の 詰 め 方 や 石 積 みの 手 順 について 模 型 製 作 により 確 認 する 3 模 型 路 面 に 相 当 する 部 分 に 集 中 荷 重 や 分 布 荷 重 を 作 用 させることにより アーチ 輪 石 の 挙 動 石 積 みの 耐 力 壁 石 の 効 果 や 挙 動 あるいは 崩 壊 状 況 などを 把 握 する また アー チ 輪 石 や 壁 石 を 接 着 し 接 着 効 果 も 確 認 できれば 実 施 する 4 伝 統 工 法 と 現 代 工 法 を 組 み 合 わせた 修 理 工 法 を 検 討 し 実 際 に 崩 壊 した 場 合 はサイド 補 修 や 補 強 を 行 い 実 践 検 証 をする 5 点 検 手 法 マニュアルを 使 用 した 点 検 方 法 について 模 型 実 験 により 問 題 点 を 検 討 する 写 真 3-1 院 内 町 の 両 合 川 橋 17

21 (2) 実 験 用 石 製 模 型 の 製 作 両 合 川 橋 は 図 表 3-1 に 示 すような 諸 元 を 持 つ 宇 佐 市 院 内 町 の 石 橋 である 径 間 (スパン) が 8.3m 拱 矢 (ライズ)が 2.65m より スパンライズ 比 ( 拱 矢 径 間 )が 0.32 であり 写 真 3-1 に 示 すように 壁 石 が 乱 積 みされている 石 造 単 一 アーチ 橋 である 一 般 的 な 石 造 アーチの 形 式 とスパンライズ 比 を 有 する 石 橋 等 であることから 今 回 の 実 験 用 の 石 製 模 型 とするの に 最 適 であると 考 えた また 使 用 する 熊 本 大 学 工 学 部 の 構 造 実 験 室 の 載 荷 装 置 や 使 用 す る 載 荷 能 力 および 今 までのアーチ 輪 石 のみの 模 型 実 験 結 果 等 を 考 慮 して 石 製 模 型 のサイズ を 決 定 した 決 定 した 石 製 模 型 は 両 合 川 橋 の1/7のサイズとし スパン 1186mm ライズ 379mm 幅 員 400mm で スパンライズ 比 は 0.32 とした また 壁 石 の 製 作 において 壁 石 の 石 材 形 状 は 写 真 3-2 に 示 すような 円 柱 部 分 が 20mm~60mm 程 度 でその 先 は 尖 らせた 形 状 とし 壁 石 同 士 の 接 触 具 合 も 考 慮 して 製 作 した 最 終 的 には 写 真 3-3 に 示 すような 石 製 模 型 を 製 作 したが 石 製 模 型 の 製 作 過 程 について 写 真 3-4 に 示 した なお 石 材 の 強 度 につ いては 別 途 圧 縮 試 験 用 試 験 体 を 作 成 し 圧 縮 試 験 により 求 めるものとした 架 設 年 月 日 石 工 名 所 在 地 河 川 名 大 正 14 年 10 月 吉 村 万 太 郎 院 内 町 滝 貞 小 平 小 平 川 橋 長 幅 員 橋 高 拱 矢 径 間 拱 環 厚 連 数 9.80 m 2.76 m 4.00 m 2.65 m 8.30 m 45 cm 1 図 表 3-1 両 合 川 橋 の 諸 元 図 表 3-2 模 型 製 作 用 の 設 計 図 18

22 写 真 3-2 壁 石 使 用 した 石 材 写 真 3-3 完 成 した 石 製 模 型 19

23 (a) 輪 石 の 石 材 (b) 支 保 工 と 輪 石 (c) 壁 石 の 石 積 み (d)アーチ 支 承 部 (e) 下 から 見 た 輪 石 (h) 石 橋 内 部 の 中 詰 め 土 砂 写 真 3-4 石 製 模 型 製 作 過 程 写 真 3-5 模 型 実 験 に 使 用 する 資 材 一 式 20

24 (3) 模 型 実 験 の 実 施 と 結 果 の 考 察 模 型 実 験 は 実 験 1~ 実 験 5まで 実 施 した 実 験 1はアーチ 輪 石 のみ 取 り 出 し アーチク ラウン 部 に 集 中 荷 重 を 載 荷 した 実 験 2と 実 験 3はアーチ 輪 石 に 壁 石 を 付 け その 間 に 砂 を 充 填 した 模 型 を 製 作 し アーチクラウン 部 に 集 中 荷 重 した 実 験 2と4 等 分 点 載 荷 した 実 験 3でその 変 形 挙 動 や 耐 力 を 比 較 した 実 験 4と 実 験 5は 壁 石 に 一 部 分 の 抜 けや 壁 の 孕 み 等 の 損 傷 がある 場 合 とその 損 傷 をモルタル 補 修 した 場 合 を 想 定 した 模 型 実 験 で いずれ も4 等 分 点 載 荷 で 変 形 挙 動 の 比 較 を 行 った 模 型 実 験 の 実 施 概 要 実 施 日 平 成 26 年 1 月 22 日 ~1 月 24 日 1 月 30 日 31 日 の 計 5 日 間 実 験 参 加 者 熊 本 大 学 7 名 [ 教 員 等 ] 山 尾 敏 孝 教 授 友 田 祐 一 技 術 職 員 戸 田 善 統 技 術 職 員 池 崎 智 美 技 術 職 員 [ 学 生 ] 藤 田 千 尋 ( 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 2 年 ) 小 倉 猛 ( 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 1 年 ) 宝 江 沙 央 里 ( 工 学 部 社 会 環 境 工 学 科 4 年 ) 院 内 石 橋 プロジェクト 6 名 ( 吉 本 向 野 田 山 吉 松 小 倉 池 田 ) 吉 本 本 家 石 材 店 6 名 国 土 交 通 省 九 州 地 方 整 備 局 2 名 ( 実 験 視 察 ) 21

25 模 型 実 験 1について (a) 実 施 手 順 と 実 施 状 況 目 標 :アーチ 輪 石 のみの 模 型 のアーチクラウン 部 に 集 中 荷 重 を 作 用 させた 時 の 変 形 挙 動 を 把 握 する( 図 表 3-3) 1) アーチクラウン 部 に 載 荷 板 を 置 く 2) 輪 石 部 分 の 鉛 直 方 向 変 位 を 7 箇 所 の 変 位 計 で 測 定 し アーチ 輪 石 部 分 がどのように 変 形 するかその 挙 動 を 把 握 した また アーチ 両 端 支 承 部 での 水 平 移 動 変 位 の 状 況 を 測 定 し た ( 写 真 3-6 (e) (f) 参 照 ) 3) 変 位 計 でアーチ L/4 点 および 3L/4 点 部 の 輪 石 が 浮 き 上 がるかどうか 確 認 した 4) 崩 壊 の 可 能 性 も 有 ったので どこまで 載 荷 するのか 変 位 量 を 注 意 深 く 観 察 しながら 実 施 した なお 崩 壊 する 場 合 は 変 位 計 を 除 去 した 後 実 施 した 図 表 3-3 実 験 1 の 載 荷 状 況 と 変 位 計 番 号 (a)アーチ 輪 石 の 組 立 て 状 況 (b)アーチ 輪 石 の 上 面 状 況 (c)アーチ 輪 石 のナンバリング (d) 変 位 計 の 設 置 状 況 (e)アーチ 支 承 部 の 設 置 状 況 (f) 実 験 装 置 全 景 と 測 定 風 景 図 表 3-4 輪 石 の 番 号 写 真 3-6 実 験 1の 石 製 模 型 セッティングと 変 位 計 設 置 状 況 22

26 鉛 直 変 位 (mm) (b) 実 験 結 果 と 考 察 実 験 を 始 める 前 に 写 真 3-6(a)~(c) 図 表 3-4 にはアーチ 輪 石 の 組 立 てとナンバリング を 行 った 様 子 を 示 した これは 再 組 立 て 時 に 役 立 つのと 実 験 での 割 れ 等 の 損 傷 個 所 をチェ ックするのに 使 用 した アーチ 輪 石 のみで 組 立 てた 時 アーチ 輪 石 は 自 立 できたが アー チクラウン 部 に 手 で 力 を 鉛 直 方 向 に 軽 く 加 えただけで 変 形 を 起 こすことが 確 認 できた こ れにより 大 きな 荷 重 を 支 えることは 理 と 判 断 し 鋼 板 プレートを 荷 重 として 作 用 させた 最 終 的 には 40kg 弱 の 荷 重 でアーチ 輪 石 は 崩 壊 に 至 った( 写 真 3-7(d)) 図 表 3-5 は 載 荷 荷 重 が 30kg 付 近 の 鉛 直 方 向 の 変 位 分 布 を 示 すが アーチクラウン 部 が 下 向 きに 大 きく 変 位 し アーチ L/4 点 及 び 3L/4 点 部 付 近 が 鉛 直 上 方 に 変 位 していることからも 崩 壊 に 至 る 状 況 が 推 察 された (a)アーチ 輪 石 に 載 荷 荷 重 P (b)クラウン 部 が 大 きく 変 位 し L/4 点 部 が 上 方 に 曲 がる (d)40kg 弱 の 荷 重 で 崩 壊 (c) 荷 重 に 耐 えきれず 崩 壊 に 至 る 写 真 3-7 実 験 1 の 模 型 の 崩 壊 状 況 (a) 変 位 測 定 位 置 変 位 計 番 号 (b) 鉛 直 変 位 の 分 布 状 況 図 表 3-5 実 験 1 の 測 定 位 置 と 鉛 直 変 位 分 布 (P=40kg 弱 )

27 模 型 実 験 2について (a) 実 施 手 順 と 実 施 状 況 目 標 :アーチ 輪 石 と 壁 石 ( 壁 石 内 部 に 中 詰 めの 砂 を 充 填 )を 有 する 模 型 のアーチクラウン 部 に 集 中 荷 重 を 作 用 させた 時 の 変 形 挙 動 を 把 握 する( 図 表 3-6) 1) 路 面 の 床 版 に 相 当 する 載 荷 治 具 ( 図 表 3-6 の 図 中 に 示 すような I 型 レール 3 本 使 用 した 断 面 )を 壁 石 の 上 に 置 き アーチクラウン 部 にロードセルを 置 いて 集 中 荷 重 を 載 荷 した 2) アーチ 輪 石 部 分 の 鉛 直 方 向 変 位 を7 箇 所 の 変 位 計 で 測 定 してアーチ 輪 石 の 変 形 挙 動 を アーチ 両 支 承 部 及 び 壁 石 側 部 の 水 平 移 動 変 位 量 を 8 箇 所 で 測 定 した ( 図 表 3-7) 3) 壁 石 部 分 の 面 外 方 向 変 位 についても 図 表 3-7(a)が 示 すように 変 位 計 を 設 置 して 測 定 し た 4) 模 型 がどのような 挙 動 を 示 すか 予 測 がつかないため 安 全 を 期 してアクリル 板 を 石 製 模 型 両 側 に 設 置 し 輪 石 の 鉛 直 変 位 量 や 壁 石 の 挙 動 を 注 意 深 く 観 察 しながら 載 荷 した 図 表 3-6 実 験 2 の 載 荷 状 況 図 表 3-7 各 実 験 における 面 内 面 外 変 位 計 の 設 置 位 置 24

28 (a) 支 保 工 の 設 置 (b)アーチ 輪 石 に 壁 石 を 積 む 作 業 (c) 壁 石 内 部 の 中 詰 め 作 業 (d)アーチ 支 承 部 付 近 の 壁 石 状 況 (e) 壁 石 と 中 詰 土 砂 の 状 況 (f) 完 成 間 近 の 模 型 (g) 壁 石 と 中 詰 土 砂 による 完 成 模 型 (h) 鋼 床 板 部 とロードセル (i) 壁 石 拘 束 治 具 と 橋 軸 方 向 変 位 計 (j) 壁 石 の 変 位 計 (k) 壁 石 の 孕 み 状 況 1 (l) 壁 石 の 孕 み 状 況 2 (m) 壁 石 の 孕 み 状 況 3 写 真 3-8 実 験 2 の 模 型 の 設 置 変 位 計 設 置 及 び 壁 石 の 変 形 状 況 25

29 鉛 直 変 位 (mm) (b) 実 験 結 果 と 考 察 写 真 3-8 には 実 験 2の 状 況 を 示 した 写 真 3-8(a)から(g)にはアーチ 輪 石 に 壁 石 を 積 み 壁 石 内 部 を 砂 で 中 詰 めをした 後 模 型 を 載 荷 フレーム 上 に 作 り 上 げた 状 況 を (h)は 鋼 床 板 部 の 上 に 100ton 用 ロードセルを 設 置 した 様 子 とジャッキを 示 した (i)は 壁 石 の 両 端 部 を 橋 軸 方 向 に 拘 束 する 治 具 と 橋 軸 方 向 変 位 計 の 設 置 状 況 であり (j)はアーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 方 向 変 位 を 測 定 する 変 位 計 の 設 置 状 況 を 示 したものである 作 用 する 荷 重 はジャッキによりアーチクラウン 部 に 集 中 荷 重 を 加 え ロードセルにより 作 用 荷 重 を 計 測 した 作 用 荷 重 を 増 加 させながらアーチクラウン 部 付 近 の 変 形 状 況 を 測 定 した 載 荷 途 中 で 壁 石 の 石 材 の 割 れが 生 じる 音 が 発 生 し アーチ 輪 石 の 割 れが L/4 点 付 近 で 発 生 するな ど 最 終 的 には 13ton で 載 荷 を 終 了 した 写 真 3-8(k)から(m)は 壁 石 部 の 膨 らみが 発 生 した 状 況 (ピンクの 用 紙 貼 付 部 分 )を 示 した 図 表 3-8 と 図 表 3-9 は 実 験 2におけるアーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 を 示 したものである 面 外 変 位 の 計 測 番 号 は 図 表 3-7(a)に 示 したとおりである なお アーチ 支 承 部 及 び 壁 石 の 橋 軸 方 向 の 拘 束 治 具 の 変 位 は 生 じなかった 図 表 3-8 の アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 から 分 かるように 作 用 荷 重 が 7ton あたりまでの 鉛 直 変 位 は 壁 石 と 中 詰 砂 の 拘 束 効 果 により 対 象 的 な 変 位 挙 動 を 示 している しかし 9ton を 超 えると L/4 点 や 3L/4 点 付 近 の 鉛 直 変 位 が 大 きくなり アーチクラウン 部 の 変 位 が 小 さくなっているこ とが 分 かる また 図 表 3-9 の 壁 石 の 面 外 変 位 を 見 ると 7ton あたりから 変 位 が 少 し 大 きく なっていることが 分 かる これは 写 真 3-9 に 示 すように 上 載 荷 重 とアーチ 輪 石 が 上 方 に 押 す 力 により 壁 石 が 外 側 に 押 された 結 果 壁 石 が 孕 んだものと 推 定 される 作 用 荷 重 を 除 荷 後 の 残 留 変 位 は 鉛 直 方 向 の 変 位 計 3が 0.73mm 変 位 計 4が 0.11mm 変 位 計 5が 0.85mm 面 外 変 位 計 1が 0.39mm 面 外 変 位 計 2が 0.84mm であった これらはすべて 塑 性 変 形 であり 最 大 荷 重 付 近 で 計 測 された 値 のままであった t 3t 5t 7t 9t 11t 13t 変 位 計 番 号 図 表 3-8 実 験 2 のアーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 分 布 図 26

30 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 変 位 (mm) 変 位 (mm) (a) 壁 石 の 面 外 1 の 変 位 状 況 (b) 壁 石 の 面 外 2 の 変 位 状 況 図 表 3-9 実 験 2 の 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 写 真 3-9 壁 石 に 作 用 するメカニズム 27

31 模 型 実 験 3について (a) 実 施 手 順 と 実 施 状 況 目 標 :アーチ 輪 石 と 壁 石 ( 壁 石 内 部 に 中 詰 めの 砂 を 充 填 )を 有 する 模 型 の 4 等 分 点 に 集 中 荷 重 を 作 用 させた 時 の 変 形 挙 動 を 把 握 する( 図 表 3-10) 1) 図 表 3-10 に 示 すような 載 荷 治 具 を 途 中 に 入 れることにより 4 等 分 点 載 荷 を 実 現 した 荷 重 はアーチクラウン 部 にロードセルを 置 いて 集 中 荷 重 を 作 用 させた 2) アーチ 輪 石 部 分 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 アーチ 両 支 承 部 及 び 拘 束 治 具 の 水 平 移 動 変 位 の 測 定 位 置 は 実 験 2と 同 じとした 3) アーチ 輪 石 あるいは 壁 石 の 挙 動 変 化 に 注 意 しながら 荷 重 を 増 加 させた なお 安 全 を 期 するためアクリル 板 をアーチ 模 型 の 両 側 に 設 置 した 図 表 3-10 実 験 3 の 載 荷 状 況 写 真 3-10 実 験 3 の 石 製 模 型 と 載 荷 装 置 の 全 景 28

32 (a)アーチ 模 型 と 載 荷 治 具 状 況 (b)アーチ 輪 石 と 壁 石 の 変 位 計 設 置 状 況 写 真 3-11 実 験 3 の 載 荷 治 具 と 変 位 計 設 置 の 状 況 (b) 実 験 結 果 と 考 察 写 真 3-10 は 載 荷 装 置 を 含 む 全 景 写 真 を 写 真 3-11 には 実 験 3のアーチ 模 型 と 載 荷 治 具 及 びロードセル アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 方 向 変 位 を 測 定 する 変 位 計 の 設 置 状 況 等 を 示 した 荷 重 はジャッキによりアーチクラウン 部 に 荷 重 を 作 用 させるが 載 荷 治 具 の 工 夫 により 床 板 の 4 等 分 点 に 集 中 荷 重 を 作 用 させた 実 験 2と 同 様 に 荷 重 をさせ て 変 位 挙 動 を 計 測 した 載 荷 途 中 で 壁 石 の 石 材 の 割 れが 生 じる 音 の 発 生 や アーチ 輪 石 の 割 れが L/4 点 付 近 で 発 生 するなどしたが 最 終 的 には 15ton で 載 荷 を 終 了 した 図 表 3-11 は 実 験 3におけるアーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 を 示 した ものである 面 外 変 位 の 番 号 は 実 験 2と 同 じである 図 表 3-11(a)からわかるように 実 験 2のアーチクラウン 部 への 集 中 載 荷 に 比 べて 最 大 の 15ton あたりまでは 最 大 変 位 部 がア ーチクラウン 部 から 多 少 ずれているが 鉛 直 変 位 に 大 きな 変 化 がない 挙 動 を 示 している また 図 表 3-11(b)と(c)の 壁 石 の 面 外 変 位 を 見 ると 面 外 1の 変 位 では 9ton あたりから 変 位 が 急 に 生 じ 始 めているが 面 外 2の 変 位 は 初 期 の 段 階 から 徐 々に 変 位 が 線 形 的 に 生 じて いることがわかる この 現 象 も 上 載 荷 重 の 影 響 かと 思 われるが 荷 重 の 作 用 状 態 に 関 係 が あると 思 われる 作 用 荷 重 を 除 荷 後 の 残 留 変 位 は 鉛 直 方 向 変 位 は 変 位 計 3が 0.76mm 変 位 計 4が 0.91mm 変 位 計 5が 1.61mm 面 外 変 位 計 1 が 0.32mm 面 外 変 位 計 2が 1.29mm であった 残 留 変 位 は 塑 性 変 形 であり 最 大 荷 重 付 近 で 計 測 された 値 のままであった 写 真 3-12 はアーチ 輪 石 のひび 割 れ 状 況 を 示 したものである 図 表 3-12 は 実 験 2と 実 験 3のアーチ 輪 石 の 損 傷 状 況 を 赤 色 に 塗 って 示 した 29

33 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 鉛 直 変 位 (mm) t 3t 5t 7t 9t 11t 13t 15t 2 1 変 位 計 番 号 (a) 鉛 直 方 向 の 変 位 分 布 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) (b) 壁 石 の 面 外 1 の 変 位 状 況 (c) 壁 石 の 面 外 2 の 変 位 状 況 図 表 3-11 アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 (a)アーチ 輪 石 のひび 割 れ 状 況 ( 下 部 ) (b)アーチ 輪 石 材 のひび 割 れ 状 況 例 写 真 3-12 アーチ 輪 石 部 のひび 割 れ 状 況 30

34 (a) 実 験 2 の 損 傷 状 況 (13ton) (b) 実 験 3 の 損 傷 状 況 (15ton) 図 表 3-12 実 験 2 と 実 験 3 のアーチ 輪 石 の 損 傷 位 置 31

35 模 型 実 験 4について (a) 実 施 手 順 と 実 施 状 況 目 標 : 壁 石 が 1) 左 側 壁 石 の 一 部 除 去 した 損 傷 2) 右 側 壁 石 の 外 側 への 膨 らみ( 約 10~15mm) が 生 じている 損 傷 を 有 する 状 況 を 石 製 模 型 で 作 り 荷 重 は 4 等 分 点 集 中 荷 重 載 荷 をし た 時 の 変 形 挙 動 について 把 握 する( 図 表 3-13) 1) アーチ 輪 石 部 分 の 鉛 直 方 向 変 位 を 7 箇 所 壁 石 部 分 ( 左 側 2 箇 所 及 び 右 側 で 1 箇 所 )で 面 外 方 向 の 水 平 変 位 を 3 箇 所 で 測 定 した 2) 4 等 分 点 載 荷 の 治 具 の 重 さが 465kg あるので これを 石 橋 の 自 重 相 当 と 想 定 した 損 傷 がある 壁 石 部 分 の 面 外 方 向 の 変 位 が 生 じるかどうか 挙 動 を 注 意 深 く 観 察 した 図 表 3-13 実 験 4 の 載 荷 状 況 と 損 傷 位 置 写 真 3-13 実 験 4 の 壁 石 の 損 傷 石 材 32

36 鉛 直 変 位 (mm) (b) 実 験 結 果 と 考 察 荷 重 はジャッキによりアーチクラウン 部 に 荷 重 を 作 用 させ 4 等 分 点 に 集 中 荷 重 を 作 用 さ せた 実 験 は 北 側 の 壁 石 両 面 において 損 傷 を 人 工 的 に 作 り 左 側 壁 石 の 2 箇 所 で 石 材 を 抜 いた 状 態 と 右 側 壁 石 の 外 側 への 孕 みの 最 大 値 が 約 10mm と 15mm の 初 期 損 傷 がある 2 ケー スで 行 った 実 験 4では 損 傷 が 生 じた 場 合 の 変 形 挙 動 について 荷 重 を 5ton まで 載 荷 した 場 合 と 10 ton まで 載 荷 した 場 合 とに 分 けて 実 施 した この 結 果 としてアーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 (3 箇 所 )の 挙 動 を 図 表 3-14 から 図 表 3-16 に 示 した さらに 壁 石 の 孕 みの 最 大 値 を 15mm 程 度 まで 大 きくして 再 度 載 荷 したアーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 (3 個 所 )の 挙 動 の 結 果 を 図 表 3-17 に 示 した 以 上 の 実 験 ケースでは 結 局 実 験 後 の 損 傷 変 化 としては 大 きな 変 化 は 見 られなかった 除 荷 後 の 残 留 変 位 (mm)は 最 初 のケースでの 鉛 直 方 向 変 位 計 3は 0.00mm 変 位 計 4は 0.21mm 変 位 計 5は 0.39mm 面 外 変 位 計 1は 0.18mm 面 外 変 位 計 2は-0.18mm 面 外 変 位 計 3は 0.18mm であった 2 番 目 のケースでの 鉛 直 方 向 変 位 計 3は 0.25mm 変 位 計 4は 0.94mm 変 位 計 5は 1.23mm 面 外 変 位 計 1は 0.86mm 面 外 変 位 計 2は 0.60mm 面 外 変 位 計 3は 1.4mm で 最 後 のケースでの 鉛 直 方 向 変 位 計 3は 0.00mm 変 位 計 4は 0.26mm 変 位 計 5は 0.47mm 面 外 変 位 計 1は 0.18 mm 面 外 変 位 計 2は 0.25mm 面 外 変 位 計 3は 0.97mm であった (1) 初 期 損 傷 として 壁 石 の 孕 みの 最 大 値 が 10mm 程 度 の 状 態 で 5ton まで 載 荷 変 位 計 番 号 3 1t 3t 5t 2 1 図 表 3-14 アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 の 変 位 分 布 33

37 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 鉛 直 変 位 (mm) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) (a) 壁 石 の 面 外 1 の 変 位 (b) 壁 石 の 面 外 2 の 変 位 (c) 壁 石 の 面 外 3 の 変 位 図 表 3-15 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 (2) 初 期 損 傷 として 壁 石 の 孕 みの 最 大 値 が 10mm 程 度 の 状 態 で 10ton まで 載 荷 変 位 計 番 号 3 2t 4t 6t 8t 10t 2 1 (a) アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 の 変 位 分 布 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) (b) 壁 石 の 面 外 1 の 変 位 (c) 壁 石 の 面 外 2 の 変 位 (d) 壁 石 の 面 外 3 の 変 位 図 表 3-16 アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 34

38 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 鉛 直 変 位 (mm) (3) 初 期 損 傷 として 壁 石 の 孕 みの 最 大 値 が 15mm 程 度 の 状 態 で9ton まで 載 荷 変 位 計 番 号 3 1t 3t 5t 7t 9t 2 1 (a) アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 の 変 位 分 布 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) (b) 壁 石 の 面 外 1 の 変 位 (c) 壁 石 の 面 外 2 の 変 位 (d) 壁 石 の 面 外 3 の 変 位 図 表 3-17 アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 模 型 実 験 5について (a) 実 施 手 順 と 実 施 状 況 目 標 : 実 験 4で 作 った 模 型 の 初 期 損 傷 部 分 を 早 期 硬 化 するモルタルで 補 修 した 後 再 度 4 等 分 点 集 中 荷 重 で 載 荷 をした 時 の 変 形 挙 動 について 補 修 効 果 を 確 認 する( 図 表 3-18) 1 ) 載 荷 前 日 に 損 傷 部 を 写 真 3-14 に 示 すように 早 期 硬 化 するモルタルで 補 修 を 行 った 2 ) アーチ 輪 石 部 分 の 鉛 直 方 向 変 位 を 7 箇 所 壁 石 部 分 ( 左 側 2 箇 所 及 び 右 側 で 1 箇 所 )で 面 外 方 向 の 水 平 変 位 を 3 箇 所 で 測 定 した 35

39 図 表 3-18 実 験 5 の 載 荷 状 況 と 損 傷 の 補 修 状 況 写 真 3-14 実 験 5 の 壁 石 の 損 傷 補 修 の 状 況 と 使 用 モルタル 写 真 3-15 実 験 後 の 壁 石 の 損 傷 補 修 部 分 の 状 況 36

40 鉛 直 変 位 (b) 実 験 結 果 と 考 察 荷 重 はジャッキによりアーチクラウン 部 に 荷 重 を 作 用 させ 4 等 分 点 に 集 中 荷 重 を 作 用 さ せた 実 験 は 人 工 的 に 作 った 損 傷 部 をモルタル 補 修 した 状 態 で 行 った 実 験 5は 写 真 3-14 のように 壁 石 のふくらみ 部 分 の 周 囲 の 目 地 部 をモルタル 補 修 し 石 材 を 抜 いた 箇 所 はモル タル 詰 めで 固 めた ただし 損 傷 側 に 荷 重 が 載 荷 するよう 中 詰 砂 を 入 れ 損 傷 側 を 若 干 高 めに 調 整 して 載 荷 を 実 施 した 写 真 3-15 は 実 験 後 のモルタル 補 修 部 の 様 子 を 示 しているが モルタルで 孕 み 部 分 周 囲 の 目 地 部 をモルタル 補 修 したことにより 壁 石 全 体 に 荷 重 が 作 用 し アーチ 輪 石 との 境 界 部 に 大 きな 隙 間 が 生 じてしまった 10ton まで 載 荷 した 結 果 を 図 表 3-19 から 3-20 に 示 したが 10ton でも 損 傷 側 に 大 きな 面 外 変 位 が 生 じたため 中 断 した 今 度 は 荷 重 が 均 等 に 載 荷 するよう 中 詰 砂 の 中 央 部 が 高 く なるよう 調 整 して 載 荷 を 6ton まで 実 施 した 結 果 が 図 表 3-21 である 図 表 より アーチク ラウン 部 の 鉛 直 方 向 変 位 が 大 きくなり 壁 石 の 3 つの 面 外 変 位 量 と 同 じように 増 加 した これは 中 詰 砂 に 荷 重 が 作 用 し 面 外 への 押 し 出 し 量 が 大 きくなったと 考 えられる 除 荷 後 の 残 留 変 位 (mm)は 最 初 のケースでの 鉛 直 方 向 変 位 計 3は 0.06mm 変 位 計 4は 0.01mm 変 位 計 5は 0.41 mm 面 外 変 位 計 1は 0.71mm 面 外 変 位 計 2は 0.50mm 面 外 変 位 計 3は 2.19mm であった 2 番 目 のケースでの 鉛 直 方 向 変 位 計 3は 0.25 mm 変 位 計 4は 0.76mm 変 位 計 5 は 0.37mm 面 外 変 位 計 1は 1.30mm 面 外 変 位 計 2は 1.15mm 面 外 変 位 計 3は 1.30mm であ った いずれのケースでも 面 外 変 位 量 に 応 じた 塑 性 変 形 が 生 じた (1) 損 傷 部 分 の 壁 をモルタル 補 修 した 状 態 で 10ton まで 載 荷 ただし 損 傷 側 に 荷 重 が 載 荷 す るよう 中 詰 砂 の 調 整 実 施 t 4t 6t 8t 10t 変 位 計 番 号 図 表 3-19 アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 の 挙 動 37

41 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 鉛 直 変 位 (mm) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 荷 重 (ton) 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) 面 外 変 位 (mm) (b) 壁 石 の 面 外 1 の 変 位 (c) 壁 石 の 面 外 2 の 変 位 (d) 壁 石 の 面 外 3 の 変 位 図 表 3-20 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 (2) 損 傷 部 分 の 壁 をモルタル 補 修 した 状 態 6ton まで 載 荷 ただし 荷 重 が 均 等 に 載 荷 するよ う 中 詰 砂 の 中 央 部 が 高 くなるよう 調 整 実 施 t 4t 6t 変 位 計 番 号 (a) 鉛 直 方 向 の 変 位 分 布 面 外 変 位 面 外 変 位 面 外 変 位 図 表 3-21 アーチ 輪 石 の 鉛 直 方 向 変 位 と 壁 石 の 面 外 変 位 の 挙 動 38

42 (4) 模 型 実 験 のまとめ 本 実 験 は 石 製 模 型 を 活 用 した 実 験 等 を 通 じた 私 有 石 橋 の 点 検 修 理 工 法 の 検 討 を 目 指 して 院 内 町 にある 両 合 川 橋 をモデルとして 模 型 を 製 作 した たっ た1 体 の 石 製 模 型 実 験 ではあるが 壁 石 を 有 する 貴 重 な 模 型 実 験 であった アーチ 輪 石 のみ 取 り 出 した 実 験 1 アーチ 輪 石 に 壁 石 を 付 け その 間 に 砂 を 充 填 した 模 型 のアーチクラウン 部 へ 集 中 荷 重 を 載 荷 した 実 験 2と 実 験 3 壁 石 に 一 部 分 の 抜 けや 壁 の 孕 み 等 の 損 傷 写 真 3-16 アーチ 輪 石 の 損 傷 状 況 ( 黄 色 ) がある 場 合 とその 損 傷 部 分 をモルタル 補 修 した 場 合 の 実 験 4と 実 験 5を 行 った 結 果 以 下 のことが 分 かった 1) 両 合 川 橋 の 石 製 模 型 のサイズやアーチ 輪 石 や 壁 石 の 出 来 具 合 も 非 常 に 良 くできていた ため 現 実 の 石 橋 ではできないアーチ 輪 石 の 損 傷 や 壁 石 の 損 傷 発 生 具 合 やアーチ 輪 石 の みの 崩 壊 などの 現 象 を 模 型 実 験 で 確 認 することができた 2) アーチ 輪 石 のみと 壁 石 有 のアーチ 輪 石 では 最 大 強 度 が 大 幅 な 増 加 することを 模 型 実 験 で 確 認 することができた このことは 石 橋 における 壁 石 の 役 割 の 重 要 性 が 判 明 し 再 度 補 修 方 法 も 含 め 再 認 識 する 必 要 があると 思 われる 3) 石 製 模 型 に 作 用 荷 重 が 増 加 すると 壁 石 の 割 れやアーチ 輪 石 の 割 れ( 写 真 3-16)が 生 じ ることが 模 型 実 験 で 再 現 できた 4) 石 橋 の 損 傷 壁 石 の 目 地 部 分 をモルタルで 補 修 することのメリットとデメリットがある ので 今 後 十 分 検 討 して 実 施 することが 必 要 である 5) 今 回 の 実 験 では モルタルの 補 強 効 果 は 十 分 あり 通 常 の 荷 重 が 作 用 する 程 度 では 壁 石 をモルタル 補 修 しても 問 題 ないと 思 われる なお 今 後 の 課 題 として 以 下 の 点 が 挙 げられる 1) 実 石 橋 の 壁 石 の 積 み 方 や 使 用 石 材 及 び 圧 縮 強 度 についてデータを 収 集 し 壁 石 がどのよ うに 造 られているか 調 査 し 分 類 しておくと 役 立 つと 考 えられる できれば 壁 石 内 部 の 中 詰 めの 状 況 を 把 握 しておくことが 求 められる 2) 今 回 の 石 製 模 型 の 供 試 体 は 1 体 しか 製 作 しておらず 壁 石 の 製 作 も 現 実 の 石 橋 での 壁 石 の 組 み 方 も 相 違 する 点 がある できれば スパンライズ 比 を 変 化 させ 院 内 町 の 石 橋 の スパンライズ 比 に 対 応 できる 模 型 を 3 体 程 度 製 作 し 実 験 することが 望 まれる 3) 石 橋 のアーチ 輪 石 をモルタル 接 着 した 場 合 の 模 型 を 製 作 し モルタル 接 着 効 果 について 耐 荷 力 実 験 や 振 動 実 験 により 耐 荷 力 のみならず 耐 震 効 果 があるのかも 確 認 が 必 要 である 4) 壁 石 の 補 修 工 法 や 高 欄 の 補 強 方 法 等 の 検 討 が 必 要 である 39

43 第 4 章 点 検 手 法 の 検 討 (1) 調 査 実 験 等 に 基 づく 点 検 マニュアル 案 の 作 成 点 検 マニュアルの 作 成 にあたっては 特 に1マニュアルを 使 用 する 対 象 が 一 般 市 民 ( 所 有 者 等 )であること 2 石 橋 の 構 造 上 の 特 徴 を 十 分 把 握 することができること 32によ り 石 橋 に 深 刻 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 損 傷 を 発 見 できること 4 石 橋 の 維 持 管 理 が 円 滑 に 行 えるうえ 今 後 石 橋 の 保 全 活 用 が 期 待 できることなどを 念 頭 に 置 き まず 石 橋 点 検 (3つの 柱 )の 目 的 を 明 確 にするとともに 第 3 章 の 模 型 実 験 の 結 果 とこれまでに 実 施 した 知 見 収 集 実 態 調 査 結 果 と 院 内 石 橋 プロジェクト 検 討 会 で 議 論 された 内 容 に 基 づき 点 検 マニュアル 案 を 作 成 した マニュアル 案 の 内 容 は 以 下 のとおりである 点 検 の 目 的 重 大 な 損 傷 の 早 期 発 見 早 期 対 処 石 橋 の 現 状 を 把 握 し 石 橋 の 安 全 性 や 使 用 に 悪 影 響 を 及 ぼすと 思 われる 損 傷 等 を 早 期 に 発 見 することにより 適 切 な 措 置 を 可 能 にし 安 全 かつ 円 滑 な 交 通 を 確 保 すること 状 態 評 価 につながる 情 報 の 蓄 積 効 率 的 な 維 持 管 理 を 実 施 するために 不 可 欠 な 基 礎 資 料 を 備 蓄 し 継 続 的 かつ 効 果 的 な 点 検 や 計 画 的 な 補 修 補 強 を 行 うこと 歴 史 的 文 化 遺 産 の 保 存 活 用 道 路 橋 としての 機 能 保 持 に 加 え 地 域 固 有 の 貴 重 な 歴 史 的 文 化 遺 産 としての 保 存 と 地 域 の 歴 史 教 育 地 域 のイベントや 観 光 客 誘 致 などへの 活 用 を 図 ること 点 検 の 種 別 と 頻 度 等 石 橋 を 良 好 な 状 態 で 保 持 するためには 草 木 の 除 去 や 排 水 溝 の 目 詰 まり 等 による 雨 水 の 滞 留 浸 透 を 防 ぐこと また 各 部 位 の 変 化 が 生 じた 場 合 その 変 化 を 早 期 に 発 見 するこ とが 極 めて 重 要 であることがこれまでの 調 査 で 明 らかになったことから それらを 点 検 の 種 別 と 頻 度 等 の 設 定 の 基 本 的 考 え 方 として 捉 え 以 下 のとおり 決 定 した 40

44 図 表 4-1 点 検 の 種 別 と 頻 度 等 点 検 種 別 点 検 頻 度 点 検 方 法 対 象 部 材 日 常 点 検 巡 回 等 に 併 せて 実 施 遠 望 目 視 全 部 材 地 上 から 視 認 できる 部 位 定 期 点 検 2 年 に1 回 実 施 を 標 準 とする 遠 望 目 視 近 接 目 視 全 部 材 河 床 に 入 れる 箇 所 は 下 部 からも 点 検 を 行 う 遠 望 目 視 に より 安 全 異 常 時 点 検 随 時 性 を 確 認 した 後 近 接 異 常 が 確 認 できる 部 材 目 視 日 常 点 検 石 橋 周 辺 に 住 む 地 域 住 民 や 石 橋 めぐり 等 の 観 光 ガイドをはじめ 日 常 的 に 石 橋 と 関 わる 者 が 行 う 点 検 基 本 的 に 全 部 材 が 対 象 であるが 遠 望 目 視 により 点 検 のため 視 認 できる 部 位 が 主 な 対 象 となる 定 期 点 検 地 域 コミュニティの 構 成 員 や 石 橋 点 検 技 術 者 が 行 う 点 検 で 石 橋 の 現 状 を 詳 細 に 把 握 する ための 点 検 全 部 材 が 対 象 となるが 日 常 点 検 とは 異 なり 遠 望 近 接 目 視 により 上 部 工 下 部 工 まで 点 検 を 行 う 異 常 時 点 検 日 常 点 検 定 期 点 検 で 異 常 が 発 見 した 場 合 や 自 然 災 害 が 発 生 した 場 合 など 必 要 に 応 じ て 実 施 する 点 検 ( 安 全 性 が 確 認 できない 場 合 は 点 検 不 可 ) 近 接 目 視 により 異 常 が 確 認 できる 部 材 の 点 検 を 行 う 41

45 点 検 の 対 象 部 材 点 検 の 対 象 部 材 については 石 橋 を 構 成 するすべての 部 位 を 対 象 とする また 対 象 部 材 の 名 称 や 用 語 については 既 往 研 究 資 料 等 で 一 般 的 に 使 用 されているものを 使 用 する 対 象 部 材 は 以 下 のとおりである 図 表 4-2 点 検 の 対 象 部 材 42

46 図 表 4-3 点 検 の 対 象 部 材 と 点 検 頻 度 等 工 種 部 材 日 常 点 定 期 点 異 常 時 備 考 検 検 点 検 欄 干 (らんかん) 親 柱 (おやばしら) 上 部 工 輪 石 (わいし) 要 石 (かなめいし) 壁 石 (かべいし) 基 礎 ( 根 入 れ) 下 部 工 護 岸 ( 橋 脚 橋 台 護 岸 ) その 他 ( 袴 石 積 水 切 ) 地 覆 (じふく) 路 面 工 敷 石 (しきいし) 舗 装 水 路 工 通 水 施 設 護 岸 工 石 造 護 岸 河 床 にある 転 石 照 明 標 識 施 設 安 全 施 設 排 水 施 設 その 他 点 検 施 設 添 架 物 周 辺 草 木 その 他 景 観 阻 害 要 因 : 主 に 近 接 目 視 : 主 に 遠 望 目 視 : 対 象 外 43

47 損 傷 の 種 類 等 既 往 研 究 修 理 事 例 等 に 基 づき 点 検 で 判 断 する 損 傷 の 種 類 及 び 対 象 部 材 別 の 損 傷 の 種 類 と 対 象 部 材 別 の 点 検 項 目 は 以 下 のとおりである 図 表 4-4 損 傷 の 種 類 材 料 損 傷 の 種 類 損 傷 の 状 態 01 ひび 割 れ 石 材 にひび 割 れが 生 じている 状 態 02 断 面 欠 損 石 材 が 断 面 欠 損 している 状 態 03 輪 石 のずれ 開 き 輪 石 がずれ 及 び 開 いている 状 態 04 抜 け 落 ち 石 材 が 抜 け 落 ちている 状 態 石 材 その 他 05 石 積 個 所 の 変 状 孕 み 壁 石 及 び 石 積 護 岸 が 変 状 孕 みが 確 認 できる 状 態 06 敷 石 のひび 割 れ 敷 石 にひび 割 れが 生 じている 状 態 07 アーチの 変 状 輪 石 の 変 石 橋 アーチに 変 状 輪 石 の 変 形 法 線 形 に 変 状 が 生 形 法 線 形 の 変 状 じている 状 態 08 変 色 劣 化 石 材 表 面 が 変 色 および 劣 化 している 状 態 雨 水 が 本 来 の 排 水 機 能 によらず 各 部 材 より 漏 出 し 09 漏 水 滞 水 ている 状 態 及 び 滞 留 している 状 態 通 常 では 発 生 することのないような 異 常 な 音 振 動 10 異 常 な 音 震 動 が 生 じている 状 態 通 常 では 発 生 することのないような 異 常 なたわみ 11 異 常 なたわみ が 生 じている 状 態 12 土 砂 詰 り 排 水 枡 や 排 水 管 に 土 砂 等 が 詰 り 堆 積 している 状 態 13 沈 下 移 動 傾 斜 基 礎 等 に 生 じる 沈 下 移 動 傾 斜 している 状 態 基 礎 本 体 や 周 辺 の 地 盤 が 流 水 により 削 られている 14 洗 堀 状 態 断 面 内 に 土 砂 や 流 木 転 石 による 通 水 に 障 害 が 生 じ 15 通 水 断 面 の 異 常 ている 状 態 16 路 面 の 凸 凹 路 面 が 凸 凹 している 状 態 17 舗 装 のひび 割 れ 路 面 にひび 割 れが 発 生 している 状 態 18 草 木 やコケの 繁 茂 草 木 やコケが 繁 茂 している 状 態 19 腐 食 鋼 材 の 表 面 に 錆 が 発 生 している 状 態 20 目 地 の 損 傷 石 材 間 に 設 置 されたモルタル 等 による 目 地 詰 めの うきや 剥 離 などの 変 状 を 生 じた 状 態 21 周 辺 景 観 石 橋 周 辺 の 景 観 を 阻 害 している 状 態 44

48 図 表 4-5 点 検 対 象 部 材 別 点 検 項 目 工 種 部 材 点 検 項 目 欄 干 (らんかん) ひび 割 れ 異 常 なたわみ 草 木 やコケの 繁 茂 腐 食 目 地 の 損 傷 上 部 工 下 部 工 路 面 工 親 柱 (おやばしら) 輪 石 (わいし) 要 石 (かなめいし) 壁 石 (かべいし) 基 礎 ( 根 入 れ) 護 岸 ( 橋 脚 橋 台 護 岸 ) その 他 ( 袴 石 積 水 切 ) 地 覆 (じふく) 敷 石 (しきいし) 舗 装 ひび 割 れ 草 木 やコケの 繁 茂 ひび 割 れ 断 面 欠 損 ズレや 開 き 抜 け 落 ち アーチ の 変 状 変 色 漏 水 や 滞 水 草 木 やコケの 繁 茂 目 地 の 損 傷 ひび 割 れ 断 面 欠 損 ズレや 開 き 抜 け 落 ち 変 色 漏 水 や 滞 水 草 木 やコケの 繁 茂 ひび 割 れ 断 面 欠 損 ズレや 開 き 抜 け 落 ち 孕 み 変 色 漏 水 や 滞 水 草 木 やコケの 繁 茂 目 地 の 損 傷 沈 下 や 移 動 洗 堀 ひび 割 れ 断 面 欠 損 抜 け 落 ち 変 状 変 色 沈 下 や 移 動 洗 堀 目 地 の 損 傷 ひび 割 れ 断 面 欠 損 抜 け 落 ち 変 状 変 色 沈 下 や 移 動 洗 堀 目 地 の 損 傷 ひび 割 れ 異 常 なたわみ ひび 割 れ 断 面 欠 損 目 地 の 損 傷 ひび 割 れ 路 面 の 凸 凹 水 路 工 通 水 施 設 ひび 割 れ 漏 水 目 地 の 損 傷 ひび 割 れ 断 面 欠 損 ズレや 開 き 抜 け 落 ち 孕 み 護 岸 工 その 他 石 造 護 岸 変 色 漏 水 や 滞 水 草 木 やコケの 繁 茂 洗 堀 目 地 の 損 傷 河 床 にある 転 石 移 動 通 水 断 面 の 異 常 照 明 標 識 施 設 安 全 施 設 腐 食 排 水 施 設 排 水 枡 や 排 水 管 の 土 砂 詰 り 点 検 施 設 ( 階 段 等 ) 草 木 の 繁 茂 変 状 腐 食 添 架 物 水 道 管 等 の 異 常 ( 漏 水 や 破 損 ) 周 辺 草 木 石 橋 本 体 周 辺 の 草 木 の 繁 茂 その 他 景 観 阻 害 要 因 石 橋 周 辺 の 景 観 を 阻 害 するもの 45

49 健 全 度 評 価 模 型 実 験 結 果 を 踏 まえ 健 全 度 評 価 を 行 った 模 型 実 験 の 成 果 がなければ 健 全 度 評 価 することは 非 常 に 困 難 だったと 感 じている 特 に 当 初 から 懸 念 されていた 輪 石 のひび 割 れがどの 程 度 の 状 態 だったのか また どのような 変 化 が 起 こることで 石 橋 が 崩 壊 するの かなど それらのメカニズムを 確 認 することができたことは 健 全 度 評 価 指 標 を 設 定 する うえで 重 要 な 根 拠 となった 健 全 度 評 価 の 区 分 や 指 標 は 以 下 のとおりである (1) 健 全 度 の 区 分 健 全 度 の 評 価 は 損 傷 の 種 類 ごとに 以 下 に 示 す4つの 健 全 度 に 区 分 する 図 表 4-6 健 全 度 区 分 区 分 状 態 内 容 A 異 常 なし 損 傷 が 特 に 見 られず 良 好 な 状 態 B 軽 度 な 損 傷 一 部 に 損 傷 が 見 られるが 経 過 観 察 を 要 する 程 度 の 状 態 C 中 度 な 損 傷 部 分 補 修 を 必 要 とする 状 態 D 重 度 な 損 傷 損 傷 が 激 しく 早 急 な 改 修 工 事 を 必 要 とする 深 刻 な 状 態 (2) 健 全 度 判 定 指 標 健 全 度 判 定 指 標 は 石 材 及 び 積 み 方 による 指 標 と 目 視 判 定 による 指 標 に 区 分 し 以 下 の 表 に 示 す 1) 石 材 及 び 積 み 方 による 指 標 図 表 4-7 石 材 及 び 積 み 方 による 指 標 項 目 強 弱 石 材 強 度 切 石 割 石 自 然 石 積 み 方 布 石 積 み 切 石 積 み 野 積 み 2) 目 視 判 定 による 指 標 図 表 4-8 目 視 判 定 指 標 項 目 強 弱 輪 石 変 化 なし ひび 割 れ 孕 み 開 き 欠 落 壁 石 変 化 なし ず れ 孕 みだし 欠 落 基 礎 変 化 なし 河 川 石 阻 害 ゆるみ 洗 堀 補 修 補 強 改 修 部 分 改 修 目 地 詰 め 補 強 な し 草 木 コケ 付 着 なし 壁 石 壁 石 輪 石 全 体 雨 水 流 入 なし 上 部 排 水 不 良 一 部 内 部 浸 透 全 面 内 部 浸 透 46

50 損 傷 の 種 類 と 健 全 度 の 評 価 健 全 度 の 区 分 と 指 標 を 踏 まえ 各 点 検 対 象 部 材 の 健 全 度 評 価 を 行 う 01 ひび 割 れ 石 材 にひび 割 れが 生 じている 状 態 区 分 状 態 A 損 傷 なし B 部 分 的 にひび 割 れが 見 られる C D 広 範 囲 に 多 くのひび 割 れが 見 られる 部 分 的 ひび 割 れ 状 況 写 真 部 分 的 ひび 割 れ 状 況 写 真 凡 例 14 洗 堀 基 礎 本 体 や 周 辺 の 地 盤 が 流 水 により 削 られている 状 態 区 分 状 態 A 損 傷 なし B 下 部 工 基 礎 や 周 辺 の 地 盤 が 流 水 により 少 し 削 られている C 下 部 工 基 礎 や 周 辺 の 地 盤 が 流 水 により 部 分 的 に 削 られている D 下 部 工 基 礎 や 周 辺 の 地 盤 が 流 水 により 著 しく 削 られている 部 分 的 に 削 られている 写 真 部 分 的 に 削 られている 写 真 凡 例 図 表 4-9 損 傷 の 種 類 と 健 全 度 評 価 の 一 例 47

51 点 検 の 記 録 点 検 において その 結 果 を 整 理 し 情 報 を 蓄 積 していくことが 非 常 に 重 要 である この ため 損 傷 別 の 健 全 度 評 価 にしたがって 評 価 した 点 検 結 果 を 各 石 橋 の 径 間 毎 に 損 傷 の 位 置 が 特 定 できるように 記 録 する 点 検 結 果 表 と 点 検 調 査 図 を 作 成 した 図 表 4-10 点 検 結 果 表 図 表 4-11 点 検 調 査 図 (2) 点 検 マニュアル 案 の 検 討 及 び 検 証 これまでの 知 見 収 集 実 態 調 査 模 型 実 験 の 結 果 及 び 院 内 石 橋 プロジェクト 検 討 会 で 議 論 された 内 容 を 踏 まえ 点 検 マニュアル 案 を 作 成 した 第 7 回 検 討 会 において 点 検 マニ ュアル 案 を 使 用 した 実 地 点 検 を 行 い その 後 使 用 者 へのヒアリングを 行 うなど 点 検 マ ニュアル 案 の 検 証 を 行 った 点 検 マニュアル 案 及 び 検 証 の 内 容 は 以 下 のとおりである 48

52 点 検 マニュアル 案 1. 点 検 の 目 的 本 マニュアル( 案 )は 現 存 する 私 有 石 橋 の 点 検 業 務 に 適 用 するもので 石 橋 の 現 状 を 把 握 し 耐 荷 力 耐 久 性 に 影 響 すると 考 えられる 損 傷 や 第 三 者 に 及 ぼす 可 能 性 のある 損 傷 を 早 期 に 発 見 することにより 常 に 石 橋 を 良 好 な 状 態 に 保 全 し 安 全 かつ 円 滑 な 交 通 を 確 保 すると 共 に 点 検 結 果 で 得 られた 情 報 を 備 蓄 することで 効 率 的 な 維 持 管 理 を 行 うことを 目 的 に 実 施 する 解 説 ここでは 私 有 石 橋 における 点 検 の 一 般 的 な 目 的 を 示 している 石 橋 点 検 の 第 一 の 目 的 は 管 理 する 石 橋 の 現 状 を 把 握 し 石 橋 の 安 全 性 や 使 用 に 悪 影 響 を 及 ぼすと 思 われる 損 傷 等 を 早 期 に 発 見 することで 適 切 な 措 置 を 可 能 にし 安 全 かつ 円 滑 な 交 通 を 確 保 することにある 第 二 の 目 的 は 効 率 的 な 維 持 管 理 を 実 施 するために 不 可 欠 な 基 礎 資 料 を 備 蓄 し 継 続 的 かつ 効 果 的 な 点 検 や 計 画 的 な 補 修 補 強 を 行 うことにある また 備 蓄 された 点 検 結 果 を 分 析 することにより 維 持 管 理 から 見 た 設 計 施 工 上 の 課 題 や 改 善 点 が 明 らかになることが 必 要 とされる 第 三 の 目 的 は 石 橋 の 文 化 的 価 値 の 観 点 から 道 路 橋 としての 機 能 保 持 に 加 え 貴 重 な 地 域 固 有 の 文 化 的 資 源 としての 総 合 評 価 が 期 待 される したがって 石 橋 においては 管 理 者 の 視 点 利 用 者 の 視 点 地 域 の 視 点 か らの 基 礎 的 資 料 を 得 るという 面 からも 重 要 である 特 に 石 橋 は 築 造 100 年 以 上 を 経 過 した 橋 が 多 くあり また その 築 造 方 法 や 改 修 方 法 などの 専 門 的 見 識 等 を 必 要 とするため 点 検 等 に 従 事 する 者 は 石 橋 に 精 通 した 専 門 技 術 者 ( 石 橋 診 断 士 )が 点 検 するのが 望 ましい しかしながら 石 橋 の 多 くは 私 有 のものが 多 くあり これを 全 て 日 常 的 に 専 門 技 術 者 で 管 理 することは 困 難 である そこで ここでは 行 政 機 関 と 地 域 住 民 による 役 割 分 担 連 絡 体 制 等 を 確 立 するとともに 地 域 住 民 によって 点 検 が 可 能 となる 点 検 マニュアル( 案 )を 作 成 するものである なお 本 マニュアル( 案 )の 作 成 にあたっては 以 下 の 諸 基 準 等 を 参 考 にした 石 橋 の 設 計 基 準 作 成 の 検 討 と 石 橋 の 点 検 要 領 および 維 持 管 理 の 状 況 2012 年 6 月 九 州 構 造 橋 梁 工 学 研 究 会 (KABSE) 石 橋 の 設 計 法 と 維 持 管 理 に 関 する 研 究 分 科 会 重 大 な 損 傷 の 早 期 発 見 早 期 対 処 石 橋 点 検 の 目 的 状 態 評 価 につながる 情 報 の 蓄 積 歴 史 的 文 化 遺 産 の 保 存 活 用 点 1-1 石 橋 点 検 の 目 的 49

53 2. 点 検 の 種 別 点 検 の 種 別 は 次 のとおりとする (1) 日 常 点 検 日 常 点 検 とは 観 光 ガイド 等 の 石 橋 を 日 常 的 に 巡 回 している 程 度 で 主 に 遠 望 目 視 によ り 実 施 される 点 検 をいい 同 時 に 点 検 を 阻 害 する 草 木 やコケ 等 の 付 着 を 除 去 できる 範 囲 で 管 理 する (2) 定 期 点 検 定 期 点 検 とは 石 橋 の 保 全 を 図 るために 定 期 的 に 実 施 するものであり 遠 望 目 視 と 近 接 目 視 によって 損 傷 個 所 を 詳 細 に 把 握 することを 目 的 とした 点 検 をいう (3) 異 常 時 点 検 台 風 集 中 豪 雨 洪 水 豪 雪 地 震 などの 異 常 な 自 然 現 象 により 生 ずる 被 害 が 発 生 し た 場 合 若 しくはその 恐 れがある 場 合 または 異 常 が 発 見 された 時 に 主 に 交 通 の 安 全 性 を 確 認 するために 緊 急 的 に 行 う 点 検 をいう 解 説 (1) 日 常 点 検 は 石 橋 を 良 好 な 状 態 で 維 持 管 理 するために 日 常 的 な 点 検 を 必 要 不 可 欠 と し 常 日 頃 から 徒 歩 による 目 視 点 検 を 実 施 するように 心 がけることが 望 ましい 観 光 ガイドによる 石 橋 巡 りの 時 や 地 域 住 民 による 常 日 頃 からの 日 常 生 活 の 中 において 遠 望 目 視 によって 実 施 するものである また 併 せて 石 橋 本 体 に 付 着 する 草 木 やコケ 配 水 施 設 の 土 砂 による 目 詰 りなど 対 応 可 能 な 範 囲 で 除 去 するものである (2) 定 期 点 検 によって 全 ての 部 材 に 対 しその 現 状 を 詳 細 に 把 握 することが 理 想 的 である が 全 ての 石 橋 の 部 材 を 詳 細 に 点 検 するには 膨 大 な 時 間 と 費 用 が 必 要 となり 地 域 住 民 による 管 理 体 制 では 困 難 である そこで 本 マニュアル( 案 )においては 地 域 住 民 による 簡 易 点 検 基 準 を 定 めたものである (3) 異 常 時 点 検 は 台 風 集 中 豪 雨 洪 水 豪 雪 地 震 などの 異 常 な 自 然 現 象 により 災 害 が 発 生 した 場 合 若 しくはその 恐 れがある 場 合 や 石 橋 に 異 常 が 発 見 された 場 合 に 必 要 に 応 じて 石 橋 の 安 全 性 を 確 認 し 第 三 者 への 被 害 防 止 等 を 図 るため 臨 時 若 しく は 緊 急 に 実 施 するものである 50

54 3. 点 検 の 頻 度 点 検 の 頻 度 は 以 下 のとおりとする 点 3-1 点 検 の 頻 度 点 検 種 別 点 検 頻 度 点 検 方 法 対 象 部 材 日 常 点 検 巡 回 等 に 併 せて 実 施 遠 望 目 視 全 部 材 地 上 から 視 認 できる 部 位 定 期 点 検 2 年 に1 回 実 施 を 標 準 とする 遠 望 目 視 近 接 目 視 全 部 材 河 床 に 入 れる 箇 所 は 下 部 か らも 点 検 を 行 う 遠 望 目 視 に より 安 全 異 常 時 点 検 随 時 性 を 確 認 した 後 近 接 異 常 が 確 認 できる 部 材 目 視 51

55 4. 点 検 の 対 象 部 材 点 検 の 対 象 部 材 は 以 下 の 点 4-1に 示 すとおりとする 点 4-1 点 検 の 対 象 部 材 日 定 異 常 期 常 工 種 部 材 点 点 時 備 考 検 検 点 検 欄 干 親 柱 上 部 工 輪 石 要 石 壁 石 基 礎 ( 根 入 れ) 下 部 工 橋 脚 橋 台 その 他 ( 袴 石 積 水 切 ) 地 覆 路 面 工 敷 石 舗 装 水 路 工 通 水 施 設 護 岸 工 護 岸 河 床 にある 転 石 照 明 標 識 施 設 安 全 施 設 排 水 施 設 その 他 点 検 施 設 ( 階 段 等 ) 添 架 物 ( 水 道 管 等 ) 周 辺 草 木 その 他 景 観 阻 害 要 因 : 主 に 近 接 目 視 : 主 に 遠 望 目 視 : 対 象 外 点 検 において 損 傷 または 異 常 が 生 じている 可 能 性 がある 場 合 には 状 況 の 写 真 撮 影 を 行 い 点 検 対 象 部 材 に 関 わらず 第 三 者 へ 被 害 を 及 ぼす 可 能 性 のある 損 傷 については 緊 急 的 な 措 置 として 通 行 止 め 等 を 行 い 安 全 性 を 確 保 したうえで 詳 細 な 調 査 を 実 施 す るものとする また 日 常 的 に 管 理 可 能 な 草 木 やコケ 等 の 付 着 物 及 び 排 水 施 設 の 目 詰 ま りは 点 検 時 に 除 去 するものとする 52

56 点 検 の 対 象 と 名 称 点 検 の 対 象 部 位 は 点 4-2を 参 照 し 点 検 を 実 施 する 点 4-2 点 検 対 象 の 名 称 53

57 5. 点 検 の 方 法 (1) 点 検 作 業 の 流 れ 日 常 点 検 定 期 点 検 START START 観 光 ガイド 等 日 常 的 石 橋 巡 り 準 備 ( 石 橋 カルテ) 点 検 点 検 遠 方 目 視 近 接 目 視 損 傷 状 況 の 確 認 損 傷 状 況 の 確 認 判 断 記 録 損 傷 なし 損 傷 あり 評 価 重 大 損 傷 なし 重 大 損 傷 あり 大 きな 影 響 を 及 重 大 な 損 傷 があ ぼさない 程 度 の 損 傷 であれば 記 録 補 修 れば 通 行 止 め 等 の 緊 急 措 置 を 講 じる 通 行 止 め 等 の 緊 急 措 置 を 講 じる END 必 要 に 応 じて 補 修 補 強 END 必 要 に 応 じて 補 修 補 強 点 5-1 点 検 作 業 の 流 れ 54

58 (2) 点 検 体 制 地 域 の 生 活 を 支 えている 私 有 石 橋 も 年 月 とともに 石 材 の 割 れや 壁 石 のひび 割 れ 等 の 損 傷 が 目 立 ち 始 めており 今 後 の 維 持 管 理 を 行 っていく 上 では 損 傷 の 早 期 発 見 早 期 対 処 を 行 う 点 検 体 制 が 必 要 不 可 欠 である その 実 現 に 向 けては 先 ず 地 域 住 民 による 初 動 活 動 が 最 も 有 効 であり 維 持 管 理 に 向 けた 推 進 母 体 となる 地 元 推 進 協 議 会 を 設 置 すると ともに 行 政 機 関 との 役 割 分 担 を 明 確 化 し 連 携 体 制 を 確 立 する 点 検 体 制 を 以 下 の 図 5-2に 示 すとおりとする 推 進 母 体 仮 称 : 石 橋 保 全 活 用 推 進 協 議 会 行 学 識 経 験 者 有 識 者 行 政 支 援 政 機 石 材 業 者 地 域 代 表 者 連 携 関 地 域 コニュニティ 自 治 会 協 議 会 協 議 会 協 議 会 協 議 会 協 議 会 地 区 地 区 地 区 地 区 地 区 点 5-2 点 検 体 制 図 55

59 (3) 損 傷 の 種 類 点 検 で 判 断 する 損 傷 は 以 下 の 点 5-3に 示 すとおりとし 点 検 結 果 表 に 整 理 する 点 5-3 損 傷 の 種 類 材 料 損 傷 の 種 類 損 傷 の 状 態 01 ひび 割 れ 石 材 にひび 割 れが 生 じている 状 態 02 断 面 欠 損 石 材 が 断 面 欠 損 している 状 態 03 輪 石 のずれ 開 き 輪 石 がずれ 及 び 開 いている 状 態 04 抜 け 落 ち 石 材 が 抜 け 落 ちている 状 態 石 材 その 他 05 石 積 個 所 の 変 状 孕 み 壁 石 及 び 石 積 護 岸 が 変 状 孕 みが 確 認 できる 状 態 06 敷 石 のひび 割 れ 敷 石 にひび 割 れが 生 じている 状 態 07 アーチの 変 状 輪 石 の 変 石 橋 アーチに 変 状 輪 石 の 変 形 法 線 形 に 変 状 が 生 形 法 線 形 の 変 状 じている 状 態 08 変 色 劣 化 石 材 表 面 が 変 色 および 劣 化 している 状 態 雨 水 が 本 来 の 排 水 機 能 によらず 各 部 材 より 漏 出 し 09 漏 水 滞 水 ている 状 態 及 び 滞 留 している 状 態 通 常 では 発 生 することのないような 異 常 な 音 振 動 10 異 常 な 音 震 動 が 生 じている 状 態 通 常 では 発 生 することのないような 異 常 なたわみ 11 異 常 なたわみ が 生 じている 状 態 12 土 砂 詰 り 排 水 枡 や 排 水 管 に 土 砂 等 が 詰 り 堆 積 している 状 態 13 沈 下 移 動 傾 斜 基 礎 等 に 生 じる 沈 下 移 動 傾 斜 している 状 態 基 礎 本 体 や 周 辺 の 地 盤 が 流 水 により 削 られている 14 洗 堀 状 態 断 面 内 に 土 砂 や 流 木 転 石 による 通 水 に 障 害 が 生 じ 15 通 水 断 面 の 異 常 ている 状 態 16 路 面 の 凸 凹 路 面 が 凸 凹 している 状 態 17 舗 装 のひび 割 れ 路 面 にひび 割 れが 発 生 している 状 態 18 草 木 やコケの 繁 茂 草 木 やコケが 繁 茂 している 状 態 19 腐 食 鋼 材 の 表 面 に 錆 が 発 生 している 状 態 20 目 地 の 損 傷 石 材 間 に 設 置 されたモルタル 等 による 目 地 詰 めの うきや 剥 離 などの 変 状 を 生 じた 状 態 21 周 辺 景 観 石 橋 周 辺 の 景 観 を 阻 害 している 状 態 56