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- ゆゆこ ことじ
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1 国 立 国 語 研 究 所 ISSN 共 同 研 究 報 告 首 都 圏 の 言 語 の 実 態 と 動 向 に 関 する 研 究 成 果 報 告 書 首 都 圏 言 語 研 究 の 視 野 三 井 はるみ 編 2014( 平 成 26) 年 2 月
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3 Web
4 は じ め に 1. 本 報 告 書 の 目 的 本 報 告 書 は, 国 立 国 語 研 究 所 萌 芽 発 掘 型 共 同 研 究 プロジェクト 首 都 圏 の 言 語 の 実 態 と 動 向 に 関 する 研 究 の 主 要 な 研 究 成 果 を, 論 文 講 演 録 の 形 でまとめて 公 表 するものである 各 論 文 講 演 録 は, 本 プロジェクトの 共 同 研 究 発 表 会, 各 種 学 会 での 口 頭 発 表 などの 内 容 に 基 づく 口 頭 発 表 から 完 成 論 文 への 発 展 の 途 上 にある, 現 時 点 での 途 中 経 過 をまとめた 論 考 を 中 心 とするが, 研 究 の 進 展 が 早 く,すでに 論 文 として 学 会 誌 等 に 掲 載 されたものの 再 録 も 含 む プロジェクトの 中 で 議 論 された 研 究 課 題 を,その 広 がりとともに 記 録 しておくという 意 味 で,このような 構 成 を とることにした 2.プロジェクトの 目 的 と 本 報 告 書 の 内 容 本 プロジェクトの 目 的 は, 首 都 圏 の 言 語 の 総 合 的 研 究 の 基 盤 を 築 き, 今 後 取 り 組 むべき 課 題 を 見 出 すことであった 具 体 的 には, 各 共 同 研 究 者 がそれぞれ 興 味 を 持 っている 課 題 に 取 り 組 み, その 報 告 を 持 ち 寄 って 研 究 交 流 を 深 める 中 で, 共 通 する 現 代 の 首 都 圏 の 言 語 の 特 質 が 見 えて くるのではないかと 考 えた 首 都 圏,とりわけその 中 核 地 域 である 東 京 のことばは, 現 代 日 本 語 と 密 接 に 結 びついた 中 央 語 としての 位 置 づけをもつ そのためこの 地 域 の 言 語 は, 方 言 研 究 のみならず, 近 代 語 研 究, 都 市 言 語 研 究, 言 語 動 態 研 究 といった, 多 様 なアプローチによる 研 究 が 行 われてきた そこに 本 研 究 が 萌 芽 発 掘 として 何 を 加 えようとしたかと 言 えば, 主 として 地 域 言 語 研 究 の 立 場 から, 現 在 の 首 都 圏 という 地 域 のありようの 中 で,あらためて 言 語 の 現 状 をつぶさに 具 体 的 にとらえ, 今 後 この 地 域 の 言 語 に 切 り 込 んでいくために 有 効 な 観 点 を 洗 い 出 すところにあったと 言 えよう 本 報 告 書 には,21 編 の 論 文, 講 演 録, 紹 介 文 を 掲 載 した そのテーマは 多 岐 にわたる 地 域 言 語 研 究 のほか, 近 代 語 研 究, 国 語 教 育 の 分 野 からも 寄 稿 いただいた 本 書 の 内 容 は, 完 全 に 網 羅 的 なものとは 言 えないけれど,その 全 体 において, 特 質 や 観 点 を 導 き 出 すベースとなる 首 都 圏 言 語 研 究 の 視 野 を 提 示 したものとなった 3. 本 報 告 書 の 概 要 3.1 全 体 の 構 成 本 報 告 書 は, 内 容 のまとまりごとに 全 体 を3 部 に 分 けて 構 成 した 総 論 にあたる 第 1 部 対 象 と 方 法, 各 論 にあたる 第 2 部 個 別 研 究, 研 究 の 基 盤 となる 第 3 部 研 究 ツール アーカイ ブ データベース である 第 1 部 には 4 編 の 論 文 講 演 録 を 掲 載 した 第 2 部 はさらに 地 域 研 究 全 国 の 中 の 首 都 圏 アクセント 音 声 方 言 利 用 言 語 景 観 教 育 の6つに 分 類 し, 計 14 編 の 論 文, 講 演 録 を 掲 載 した 第 3 部 には 論 文 2 編 と 紹 介 文 1 編 を 掲 載 した -i-
5 なお, 本 報 告 書 の 別 冊 として, 吉 田 雅 子 三 樹 陽 介 編 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録 ( 稿 ) を 作 成 している 併 せて 利 用 していただければ 幸 いである 3.2 第 1 部 対 象 と 方 法 の 概 要 第 1 部 対 象 と 方 法 は, 総 論 にあたる プロジェクトタイトルの 首 都 圏 は,いまだ 研 究 者 間 で 言 語 圏 としてどの 地 域 を 指 すか 明 確 な 一 致 を 見 ているとは 言 いがたい 本 研 究 で 作 成 した 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録 (Web 版 utoken/3_summary.html, 冊 子 版 吉 田 雅 子 三 樹 陽 介 編 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録 ( 稿 ) )の 分 析 によると, 東 京 を 中 心 とする 都 市 圏 を 一 つの 言 語 圏 をなすものとして 注 目 した 論 文 は,1970 年 から 現 れた( 第 3 部 三 樹 論 文 ) タイトルに 首 都 圏 という 地 域 名 が 用 いられる のは 1983 年 ( 河 崎 裕 子 井 上 史 雄 首 都 圏 の 新 方 言 井 上 史 雄 編 新 方 言 と 言 葉 の 乱 れ に 関 する 社 会 言 語 学 的 研 究 科 研 費 報 告 書 ), 地 域 方 言 としての 首 都 圏 方 言 という 名 称 を タイトルに 用 いた 論 文 は 2003 年 ( 田 中 ゆかり 首 都 圏 方 言 における 形 容 詞 活 用 形 のアクセント の 複 雑 さが 意 味 するもの 気 づき 変 わりやすさ の 観 点 から 語 文 106)に 現 れる 1960 年 代 の 高 度 経 済 成 長 期 に 進 んだ 東 京 への 人 口 集 中 に 伴 う 通 勤 圏 の 拡 大 と 市 街 地 の 拡 張, 移 住 に 伴 い 母 方 言 とは 異 なる 共 通 語 で 日 常 生 活 を 送 ることになったノンネイティブの 増 大 と 二 世 化 三 世 化,それと 平 行 して 進 んだ 東 京 および 周 辺 地 域 の 在 来 方 言 の 共 通 語 化,こういった 社 会 変 動 の 中 で 生 まれたのが, 共 通 語 に 近 い 比 較 的 均 質 な 言 語 的 実 態 を 持 つと 意 識 される 首 都 圏 という 言 語 圏 であったと 考 えられる この 地 域 が 一 つの 言 語 圏 として 注 目 され, 名 付 けられ, 研 究 対 象 として 措 定 される 過 程 は,この 地 域 の 言 語 状 況 の 変 動 と 言 語 的 実 態 の 変 質 を 追 いかけるよ うに 進 んだものと 捉 えることができる このような 変 動 を 経 て 生 まれた 首 都 圏 地 域 の 言 語 は,しかし, 実 際 には 均 質 というわけで はない それどころか 今 日 では, 個 人 差 場 面 差 はむしろ 非 常 に 大 きいと 捉 えられている また 少 なくともアクセントについては, 東 京 都 23 区 東 部 埼 玉 県 南 東 部 千 葉 県 北 部 という 首 都 圏 東 部 一 帯 に, 共 通 語 標 準 語 基 盤 方 言 とは 異 なる 体 系 を 観 察 することができ,その 記 述 は 現 在 も 課 題 の 一 つである このようなことから 本 研 究 では, 首 都 圏 のことばを 何 らかの 均 質 性 が 想 定 可 能 な 一 つの 方 言 と 積 極 的 には 捉 えない その 意 味 で 研 究 課 題 名 として 首 都 圏 方 言 という 術 語 は 用 いず, 仮 にではあるが, 首 都 圏 の 言 語 という 名 称 を 採 った(もちろん, 従 来 一 つの 方 言 とされていることばも, 内 部 に 多 様 性 を 有 しているのが 普 通 である むしろ 自 然 言 語 である 限 り, 完 全 に 均 質 ということは 考 えにくい) ただしこの 点 は, 本 報 告 書 の 執 筆 者 の 間 でも 立 場 に 違 いあ る 第 1 部 の 各 論 文 では,これら, 研 究 の 基 礎 となる 対 象 と 方 法 について, 最 近 の 調 査 から,ある いは,これまでの 研 究 の 蓄 積 に 基 づいて,それぞれの 立 場 から 論 じている 三 井 論 文 は, 地 域 差 の 存 在 が 意 識 されにくい 現 在 の 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 にも, 明 瞭 な 地 域 差 や 分 布 域 の 変 化 が 認 められる 例 があることを, 本 プロジェクトの 共 同 アンケート 調 査 の 結 果 から 報 告 した 久 野 論 文 は,この 地 域 の 言 語 を 首 都 圏 方 言 ととらえる 他 方 言,および, 他 の 都 市 言 語 と -ii-
6 の 比 較 を 念 頭 に, 共 通 語 との 違 いを 含 めた 検 討 を 行 い, 東 京 方 言 の 共 通 語 化 したもの との 性 格 付 けを 提 案 する 付 録 の 新 東 京 都 言 語 地 図 ( 調 査 )は, 東 京 周 辺 を 含 んだ 地 域 の 実 態 を 示 す 資 料 の 一 部 である 鑓 水 論 文 は, 首 都 圏 の 言 語 をめぐる 関 連 術 語 の 整 理,という 方 向 から 研 究 の 観 点 の 概 観 を 行 う 各 概 念 の 違 いを 明 確 にすると 同 時 に, 観 点 の 重 なりや 連 続 性 にも 留 意 し, 流 動 する 言 語 や 言 語 意 識 との 関 わりを 論 じている 飛 田 論 文 ( 講 演 録 )は, 公 開 研 究 発 表 会 における 講 演 の 記 録 である 飛 田 氏 の 御 専 門 は 近 代 東 京 語 成 立 史 の 研 究 である この 時 代 の 東 京 語 もまた, 地 域 の 流 動 性, 話 し 手 の 多 様 性,スタ イルの 問 題, 標 準 語 との 関 係,という 点 で, 現 代 の 首 都 圏 の 言 語 と 同 様 の 捉 え 難 さを 持 ってい る 飛 田 氏 は,1990 年 代 に 東 京 の 鉄 道 沿 いの 年 代 別 言 語 調 査 も 実 施 されており( 詳 細 は 第 2 部 竹 田 論 文 ), 近 代 語 研 究 と 地 域 言 語 研 究 の 橋 渡 しというべき 内 容 となっている 3.3 第 2 部 個 別 研 究 の 概 要 首 都 圏 の 言 語 は 多 様 であるだけに, 実 像 をとらえるためには, 一 見 ばらばらに 見 えるようでも, ターゲットを 絞 った 個 別 の 研 究 をそれぞれ 積 み 重 ねていくことは 重 要 である 第 2 部 には, 首 都 圏 の 言 語 を 扱 った 個 別 研 究 を 15 編,6つの 分 野 に 分 類 して 掲 載 した [ 地 域 研 究 ]は, 首 都 圏 内 の 地 理 的 分 布 を 扱 った 研 究 である 鑓 水 三 井 論 文 は, 第 1 部 三 井 論 文 と 同 じ, 首 都 圏 大 学 生 への 共 同 アンケート 調 査 の 結 果 から, 語 形 の 使 用 だけでなく, 改 まり 通 用 範 囲 使 用 頻 度 といった 語 形 に 対 する 評 価 意 識 にも 地 域 差 が 見 られることを 報 告 している 意 識 の 地 域 差 から, 語 形 の 普 及 衰 退 のプロセスや 地 域 の 言 語 的 志 向 性 が 推 定 される 可 能 性 にも 触 れている 竹 田 論 文 は, 第 1 部 飛 田 論 文 で 触 れられていた, 鉄 道 路 線 沿 い 世 代 別 言 語 調 査 の 概 要 と, 結 果 の 一 部 を 報 告 するものである 未 整 理 未 公 表 であった 資 料 が, 今 回 竹 田 氏 によって 整 理 公 表 さ れた 結 果 はグロットグラムで 提 示 されており,23 区 中 央 部 ( 山 手 線 総 武 線 )と 多 摩 西 部 ( 青 梅 線 )について, 年 代 差, 地 域 差 を 観 察 することができる 坂 のアクセントの 1 型 が 青 梅 線 沿 線 に 広 く 現 れるなど,これまでの 調 査 とは 異 なる 結 果 も 見 られ, 今 後 の 精 査 が 期 待 される 亀 田 論 文 は, 埼 玉 県 西 部 における 伝 統 的 方 言 の 分 布 調 査 報 告 である 今 が 最 後 の 時 期 と 位 置 付 けた 継 続 的 な 臨 地 調 査 により,これまで 曖 昧 であった 秩 父 方 言 の 東 側 境 界 の 状 況 が 明 確 に 示 された 共 通 語 化 著 しい 首 都 圏 の 伝 統 的 方 言 は, 他 方 言 に 劣 らず, 跡 形 もなくなるような 消 滅 の 危 機 に 瀕 している その 中 での 地 道 な 取 り 組 みの 成 果 である [ 全 国 の 中 の 首 都 圏 ]は, 一 般 的 には 全 国 的 な 変 化 を 先 導 すると 捉 えられている 首 都 圏 のこと ばが, 実 際 には, 全 国 方 言 との 間 でどのようなインターラクションを 持 ちながら 存 在, 変 容 して いるか,という 観 点 からの 研 究 である 鑓 水 論 文 は, 全 国 35 大 学 約 2700 名 を 対 象 に 行 った, 全 国 若 者 語 調 査 の 結 果 に 基 づく 報 告 全 国 規 模 の 地 域 差 の 存 在, 東 京 関 西 のような 大 都 市 中 心 部 間 の 相 互 伝 播, 各 都 市 中 心 部 から 周 辺 部 への 伝 播, 属 性 差 の 中 に 隠 れた 地 域 差 の 存 在 等, 伝 統 方 言 の 伝 播 とは 異 なる 側 面 を 持 った タイプの 言 語 伝 播 モデルを 提 唱 している -iii-
7 三 井 論 文 は, 関 西 方 言 出 自 の ~てほしい という 形 式 が 共 通 語 として 普 及 定 着 する 過 程 に 着 目 し,この 形 式 が 関 西 から 東 京 に 受 け 入 れられるにあたっては, ~てもらう という 受 納 表 現 の 補 助 動 詞 用 法 の 変 化 が 下 地 にある,という 仮 説 を 述 べる ~てもらう の 変 化 自 体, 関 西 方 言 で 先 行 していたものであり, 根 本 には, 都 市 部 独 特 の 発 想 法 の 存 在 といったものが 考 えられるとす る [アクセント]は, 共 通 語 形 標 準 語 形 の 選 定,ということとも 関 わって, 東 京 語, 東 京 方 言 のバリエーション 研 究 として 取 り 上 げられることの 多 いテーマである 佐 藤 論 文 ( 講 演 録 )は, 御 自 身 の 取 り 組 んで 来 られた 東 京 アクセント 研 究 の 成 果 を 中 心 に, 変 化 地 域 差 世 代 差 方 言 アクセントの 共 通 語 化 関 東 方 言 アクセントとの 関 係 の 諸 観 点 からこれまでの 研 究 をレビューし, 最 後 に, 今 後 の 課 題 を 提 言 されている この 地 域 のアクセン ト 研 究 を 行 う 上 でのガイドとなるものである 質 疑 応 答 では, 具 体 的 な 例 をめぐっての 議 論 も 行 われており 参 考 になる 坂 本 論 文 は, 首 都 圏 の 最 も 外 側 に 位 置 する 小 田 原 市 方 言 のアクセント 体 系 を 記 述 する 前 の 佐 藤 論 文 ( 講 演 録 )で 触 れられていた 関 東 方 言 のアクセントと 東 京 アクセントとの 関 係 は,こ のような 基 礎 的 な 記 述 があって 初 めて 成 り 立 つものであろう 亀 田 論 文 は, 共 通 語 基 盤 方 言 のアクセントと 異 なり,ゆれが 多 く, 従 来 曖 昧 で 体 系 がとらえが たいとされてきている 埼 玉 特 殊 アクセントを 取 り 上 げる 久 喜 市 高 年 層 の 複 数 の 話 者 の 発 話 実 態 に 基 づき, 音 韻 論 的 型 と 音 声 学 的 音 調 規 則 という 二 つの 力 の 張 り 合 い 関 係 の 異 なりとしての 解 釈 を 試 みる 実 際 の 音 調 のゆれのほか,アクセント 体 系 の 移 行 をも 説 明 しうる 枠 組 みであり, 注 目 される 林 田 中 論 文 は,アクセントに 止 まらず, 各 研 究 者 が 保 有 する 言 語 調 査 データを, 共 有 して 活 用 するための 仕 組 みを 提 案 している( 語 文 145 から 再 録 ) Web 言 語 地 図 システムそのものの 整 備 のほか,データの 管 理 というより 微 妙 で 難 しい 問 題 にも 一 定 の 提 案 をもって 踏 み 込 んでおり, 今 後 のデータ 共 有 の 取 り 組 みの 核 になるものと 思 われる なお, 調 査 データ 共 有 については, 第 3 部 鑓 水 論 文 でも RMS システムの 方 法 について 述 べられている [ 音 声 ]には, 首 都 圏 若 年 層 に 見 られる 新 しい 現 象 を 報 告 した 久 野 論 文 を 収 める 母 音 間 の ん の 発 音 が 不 安 定 であり, 非 鼻 音 の 長 音 と 認 識 している 人 が 少 なくないというこの 事 実 は, 久 野 氏 によって 初 めて 報 告 された このように 気 づかれないうちにかなり 広 まっている 新 しい 非 標 準 的 な 事 象 は 把 握 することが 難 しいが, 発 生 後 間 もないと 思 われるので,その 発 生 伝 播 の 過 程 を 捉 えることも 可 能 かもしれない 事 実 のさらなる 把 握 と, 背 景 について 興 味 が 持 たれる [ 方 言 の 利 用 言 語 景 観 ]は, 言 語 形 式 のメッセージとしての 利 用 に 見 られるような, 言 語 の 拡 張 利 用 に 関 する 研 究 である 亀 田 論 文 は, 首 都 圏 における 方 言 の 地 域 資 源 として 活 用 に 関 する, 自 治 体 ( 広 報 部 署, 観 光 部 署, 教 育 委 員 会 )と 商 工 会 への 悉 皆 通 信 調 査 の 報 告 である 方 言 への 社 会 的 評 価 への 高 まりとと もに,キャッチフレーズやネーミングへの 方 言 の 使 用, 方 言 集 の 編 纂 等, 方 言 を 地 域 の 資 源 とし て 活 用 する 例 が 全 国 で 増 えてきている 首 都 圏 は, 従 来, 方 言 への 社 会 的 注 目 が 高 くないと 考 え られてきたが, 今 回 の 悉 皆 調 査 によって 現 状 を 把 握 することができた 首 都 圏 の 中 でも, 神 奈 川 -iv-
8 県 が 他 の 地 域 と 異 なる 採 用 態 度 を 見 せるなど, 首 都 圏 内 の 地 域 差 もうかがわれた 三 井 論 文 は,さらに, 東 京 都 多 摩 地 域 における のめっこい という 語 にターゲットをしぼっ て,この 地 域 における 在 来 方 言 の 地 域 資 源 としての 利 用 の 実 態 と 背 景 を 考 察 したものである 親 しみがある という,この 語 の 意 味 の 一 部 だけが 特 に 利 用 される 理 由, 若 年 層 における ニセ 方 言 としての 取 り 入 れの 予 兆 など, 語 誌 としての 記 述 を 試 みた 田 中 早 川 冨 田 林 論 文 ( 言 語 研 究 142 より 再 録 )は, 東 京 秋 葉 原 の 多 言 語 表 示 に 着 目 し, 他 地 域 と 異 なる 多 言 語 化 の 状 況,および, 店 舗 分 野 の 違 いによる 使 用 言 語 の 違 いを 明 らかにした その 上 でこれを, 街 を 構 成 する 要 素 と 関 係 するものと 位 置 づけ, 地 域 類 型 論 への 広 がりを 示 唆 し ている 本 報 告 書 の 他 の 論 文 が 直 接 扱 うことなかった, 全 国 世 界 から 人 の 集 まる 都 市 の 言 語 としての 首 都 圏 の 言 語 の 側 面 にアプローチした 論 考 として,ここに 収 録 させていただいた [ 教 育 ]では, 小 学 校 の 国 語 教 育 の 現 場 から, 小 林 氏 に 寄 稿 ( 講 演 録 )していただいた 小 林 氏 の 在 職 する 福 島 県 の 小 学 校 の 教 育 現 場 では, 方 言 と 共 通 語 の 問 題 は, 日 々の 生 活 と 学 習 の 中 で 常 に 意 識 されるものとして 取 り 上 げられている 国 語 教 育 としての 普 遍 的 な 課 題 である ことば の 力 を 育 てる ということと, 東 京 では 意 識 されることのない 地 域 のことば との 絡 み 合 いを, 豊 富 なご 経 験 に 基 づいて 具 体 的 に 述 べている なお, 冒 頭 にあるように, 小 林 氏 は, 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 によって 現 在 も 避 難 生 活 をされており,そのよう な 中 での,ゲスト 授 業,ご 寄 稿 であったことを 申 し 添 える 3.4 第 3 部 研 究 ツール アーカイブ データベース の 概 要 本 プロジェクトでは, 研 究 会 活 動 と 調 査 研 究 活 動 を 行 うほか, 新 たな 研 究 につなげるための 基 礎 となる 研 究 資 産 の 再 構 築 に 取 り 組 んだ また, 特 に 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 実 態 を 把 握 する 調 査 を 行 う 上 で, 有 効 な 調 査 方 法 を 検 討 し,システムの 開 発 を 行 った 第 3 部 は,これら, 研 究 の 基 盤 となる 活 動 に 関 連 する 論 考 と 紹 介 である 鑓 水 論 文 は, 携 帯 電 話 を 用 いた 言 語 調 査 システム,Real-time Mobile Survey(RMS)システムの 概 要 と,その 開 発 にいたる 調 査 方 法 論 に 関 する 解 説 論 文 である( 国 立 国 語 研 究 所 論 集 6 から 再 録 ) RMS は, 若 年 層 を 対 象 とした 言 語 調 査 において, 回 答 者 に 負 担 をかけず, 大 量 の 精 度 の 高 い 回 答 を 得, 速 やかに 集 計 処 理 地 図 化 を 行 い,データを 蓄 積 利 用 する,といった, 従 来 ニー ズがありながら 実 現 が 難 しかった 点 を 幅 広 く 検 討 し,Web 調 査 等 との 比 較 検 討 を 経 て, 鑓 水 氏 が 開 発 したシステムである 特 に, 首 都 圏 若 年 層 における 言 語 の 地 域 差 の 把 握,といった, 試 行 錯 誤 的 な 調 査 の 繰 り 返 しが 予 想 され,かつ, 多 人 数 高 密 度 の 分 布 を 得 ることが 必 要 な 調 査 において, 有 効 性 が 見 出 されている 第 1 部 三 井 論 文, 第 2 部 鑓 水 三 井 論 文 で 扱 った, 首 都 圏 大 学 生 の 言 語 使 用 と 言 語 意 識 の 地 域 差 に 関 する 調 査 は,このシステムを 利 用 して 調 査, 作 図 を 行 ったもの である 三 井 論 文 ( 紹 介 文 )は, 本 プロジェクトの 成 果 公 開 サイト( 紹 介 である メインコンテンツである, 首 都 圏 大 学 生 の 言 語 使 用 と 言 語 意 識 の 地 域 差 に 関 する 調 査 地 図 と 解 説, 東 京 のことば 研 究 者 インタビュー, 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録, 東 京 語 アクセント 資 料 の4 種 の 資 料 データベースについて, 内 容 と 作 成 の 経 緯 を 紹 介 した -v-
9 三 樹 論 文 は,Web 版, 冊 子 版 で 公 開 した 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録 に 採 録 した 論 文 を 対 象 に 研 究 動 向 の 分 析 を 行 ったものである 発 表 年 代, 対 象 地 域, 言 語 分 野 から 文 献 数 を 分 析 し,1970 年 代 以 降, 単 一 都 県 を 対 象 とした 論 文 数 は 横 ばいであるのに 対 し, 複 数 都 県 を 対 象 と した 論 文 数 が 増 加 していることなどを 指 摘 している 4. 今 後 にむけて 本 報 告 書 におさめた 21 編 の 論 文 は, 本 プロジェクトの 共 同 研 究 発 表 会, 各 種 学 会 の 口 頭 発 表 な どで 発 表 した 内 容 に 基 づいているが, 学 術 誌 や 著 書 などでは 未 発 表 のものがほとんどである そ れらは, 今 後 より 完 成 されたものとしてまとめられていくはずである このような 報 告 書 を 編 む ことができたのは, 首 都 圏 の 言 語 という, 多 様, 多 面 的 で 流 動 性 に 富 む 対 象 の 現 在 の 解 明 を 目 指 して 共 同 で 研 究 に 臨 むことで, 各 研 究 者 がそれぞれの 目 から 見 える 首 都 圏 の 言 語 を 描 き 出 そうとし,それらが 交 わり 始 めた 結 果 だと 考 えられる 今 後 の 研 究 の 発 展 のために,この 報 告 書 が 役 立 てられることを 願 うものである 2014 年 1 月 28 日 三 井 はるみ -vi-
10 首 都 圏 の 言 語 の 実 態 と 動 向 に 関 する 研 究 成 果 報 告 書 首 都 圏 言 語 研 究 の 視 野 目 次 はじめに( 三 井 はるみ) 第 部 対 象 と 方 法. 非 標 準 形 からみた 東 京 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 の 地 域 差 ( 三 井 はるみ) (1)はじめに (2) 首 都 圏 の 位 置 と 範 囲 (3) 首 都 圏 で 話 されていることばの 性 格 (4) 首 都 圏 若 年 層 のことばの 地 域 差 を 探 ること (5) 調 査 の 概 要 (6) 結 果 の 概 要 (7) 明 瞭 な 地 域 差 (8) 分 布 域 の 変 化 衰 退 / 普 及 / 再 普 及 (9)23 区 内 の 言 語 境 界 線 (10) 非 標 準 形 の 使 用 を 避 ける 地 域 (11) 非 標 準 形 から 新 しい 共 通 語 へ. 首 都 圏 方 言 の 形 成 と 共 通 語 化 ( 久 野 マリ 子 ) (1) 首 都 圏 方 言 について (2) 首 都 圏 方 言 の 特 徴 (3) 首 都 圏 方 言 と 共 通 語 との 違 い 付 録 : 新 東 京 都 言 語 地 図 より. 首 都 圏 の 言 語 をめぐる 概 念 と 用 語 に 関 して( 鑓 水 兼 貴 ) (1)はじめに 新 しい 世 代 の 方 言 使 用 を 説 明 する 枠 組 / 研 究 背 景 の 変 化 / 首 都 圏 構 成 員 の 変 化 / (2) 地 域 としての 首 都 圏 -vii-
11 東 京 首 都 / 旧 東 京 15 区 東 京 23 区 / 多 摩 地 域 都 下 / 首 都 圏 / 中 心 周 辺 関 係 からみた 首 都 圏 / 構 成 員 における はえぬき の 割 合 (3) 首 都 圏 の 言 語 を 考 えるための 観 点 標 準 語 共 通 語 / 公 的 私 的 / 方 言 俗 語 / 意 識 無 意 識 / 理 解 使 用 (4) 新 方 言 ネオ 方 言 と 首 都 圏 の 言 語 新 方 言 とネオ 方 言 の 違 い/ 中 間 段 階 の 体 系 の 位 置 づけ/ 首 都 圏 における 新 方 言 ネオ 方 言 / 首 都 圏 の 中 心 である 東 京 中 心 部 (5)おわりに. 講 演 私 のとらえたい 東 京 語 ( 飛 田 良 文 ) (1) 問 題 の 所 在 東 京 語 の 定 義 の 曖 昧 さ (2) 東 京 語 に 対 する 意 識, 東 京 人 としての 意 識 (3) 文 学 作 品 においても 重 要 視 された 東 京 語 (4) 外 国 人 も 必 要 性 を 主 張 した 東 京 語 (5) 東 京 語 の 区 域 と 東 京 人 意 識 (6) 標 準 語 東 京 語 (= 共 通 語 ) 東 京 方 言 の 捉 え 方 (7) 東 京 弁 と 東 京 語 の 違 い (8) 武 士 言 葉 が 東 京 語 へ 与 える 影 響 (9) 標 準 語 ( 国 定 教 科 書 )が 東 京 語 へ 与 える 影 響 (10) 世 代 差 が 見 られた 東 京 人 意 識 (11) 東 京 語 研 究 の 流 れ (12)おわりに 質 疑 応 答 第 部 個 別 研 究 [ 地 域 研 究 ]. 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 使 用 意 識 の 地 理 的 分 布 ( 鑓 水 兼 貴 三 井 はるみ) (1)はじめに (2) 調 査 概 要 (3) 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 の 分 布 非 標 準 形 の 分 布 概 観 / 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 の 分 布 境 界 (4) 使 用 意 識 の 地 域 差 使 用 意 識 に 地 域 差 はみられるか/ 非 標 準 形 カタスの 普 及 経 路 (5)まとめ -viii-
12 . 飛 田 良 文 東 京 語 調 査 の 概 要 山 手 線 青 梅 線 総 武 線 を 中 心 に ( 竹 田 晃 子 ) (1) 本 稿 の 目 的 と 資 料 の 経 緯 (2) 調 査 の 概 要 企 画 立 案 と 調 査 全 体 の 概 要 / 調 査 方 法 ( 地 点 話 者 )/ 調 査 項 目 ( 言 語 意 識 )/ 調 査 項 目 ( 言 語 項 目 )/ 調 査 結 果 の 集 計 (3) 調 査 結 果 東 京 人 意 識 / 日 常 ことば 意 識 / 音 韻 (シ/ヒ): 東 人 / 音 韻 (ジュ/ジ): 新 宿 手 術 /アクセント: 坂 /アクセント: 心 / 語 彙 :ステーキ/ 語 彙 :おにぎり/ 語 彙 :かつおぶし/ 文 法 : 食 べちゃう( 食 べちゃった) / 文 法 : 起 きれなくて (4)おわりに 付 録 : 飛 田 良 文 東 京 語 調 査 票 調 査 項 目 一 覧. 埼 玉 県 西 部 地 域 における 伝 統 的 方 言 の 分 布 調 査 の 経 過 報 告 秩 父 方 言 の 広 がりと 境 界 ( 亀 田 裕 見 ) (1) 研 究 目 的 (2) 先 行 研 究 (3) 調 査 概 要 (4) 地 図 例 の 紹 介 3 点 に 注 目 して 東 秩 父 村 の 位 置 づけ/ 児 玉 郡 の 位 置 づけ/ 文 法 項 目 の 地 図 ~サレル の 分 布 (5)まとめ [ 全 国 の 中 の 首 都 圏 ]. 全 国 若 者 語 調 査 における 言 語 伝 播 モデル( 鑓 水 兼 貴 ) (1)はじめに 若 者 語 とは/ 若 者 語 の 地 理 的 研 究 の 意 義 (2) 全 国 若 者 語 調 査 調 査 準 備 / 調 査 の 実 施 ( 調 査 期 間 調 査 項 目 生 育 地 )/ 言 語 地 図 の 作 成 ( 作 図 方 法 地 図 の 特 徴 地 図 の 注 意 点 ) (3) 分 析 全 国 規 模 の 地 域 差 ( 関 西 圏 中 心 の 分 布 首 都 圏 中 心 の 分 布 )/ 中 心 部 から 周 辺 部 への 伝 播 ( 各 地 方 の 中 心 部 への 普 及 大 都 市 間 の 相 互 伝 播 )/ 属 性 差 に 含 まれる 地 域 差 ( 男 性 のみに 現 れる 地 域 差 女 性 にあらわれる 地 域 差 ) (4)まとめ 若 者 語 の 普 及 モデル/ 今 後 の 課 題 -ix-
13 (5)おわりに. 関 西 方 言 出 自 の 共 通 語 ~てほしい の 普 及 の 背 景 ( 三 井 はるみ) (1)はじめに (2) 前 稿 で 明 らかになったこと (3) ~てほしい 進 出 の 背 景 をさぐる 観 点 (4) ~てもらう の 用 法 の 全 国 的 地 域 差 (5) 受 益 明 示 の 積 極 性 ~てもらう による 受 益 明 示 の 積 極 性 とは/ 受 益 を 必 ずしも 明 示 しない 方 言 / 受 益 を 積 極 的 に 明 示 する 方 言 (6) 待 遇 表 現 的 使 用 ~てもらう の 待 遇 表 現 的 使 用 とは/ 待 遇 表 現 的 使 用 の 活 発 な 関 西 近 畿 方 言 / 東 京 首 都 圏 方 言 の 場 合 (7) ~てもらう の 用 法 の 地 域 差 とその 変 容 についてのまとめ (8) ~てほしい の 普 及 の 背 景 としての ~てもらう の 待 遇 表 現 的 使 用 [アクセント]. 講 演 東 京 首 都 圏 アクセント 研 究 の 課 題 ( 佐 藤 亮 一 ) (1) 東 京 アクセントの 変 化 東 京 語 アクセント 資 料 (1985)から (2) 東 京 アクセントの 地 域 差 (3) 東 京 アクセントの 地 域 差 と 世 代 差 東 京 語 音 声 の 諸 相 (3) (1993)から (4) 方 言 アクセントの 共 通 語 化 ( 東 京 アクセント 化 ) 名 古 屋 市 1997/ 宇 都 宮 市 1984/ 仙 台 市 1983 福 井 市 1982/ 気 仙 沼 市 2006 (5) 関 東 地 方 のアクセントと 東 京 アクセントとの 関 係 (6) 東 京 首 都 圏 アクセント 研 究 の 今 後 の 課 題 質 疑 応 答. 小 田 原 市 方 言 のアクセントの 古 相 について( 坂 本 薫 ) (1)はじめに (2) 本 稿 で 用 いる 表 記 について (3) 調 査 について 調 査 方 法 / 話 者 / 調 査 語 例 (4) 小 田 原 市 方 言 のアクセント 体 系 名 詞 / 動 詞 / 形 容 詞 (5) 古 相 の 保 持 三 拍 名 詞 の 中 高 型 のアクセント/ 多 拍 語 の 頭 高 型 のアクセント/ -x-
14 (6)まとめ 動 詞 の 同 音 異 義 語 のアクセント/ 形 容 詞 の2つの 型 の 保 持. 埼 玉 県 特 殊 アクセントにおける3 拍 名 詞 の 音 調 久 喜 市 高 年 層 に 見 られるゆれとその 解 釈 ( 亀 田 裕 見 ) (1) 曖 昧 アクセントにおける 音 調 のゆれ (2) 調 査 概 要 (3)ゆれの 実 態 (4) 音 韻 論 的 型 以 外 の 音 調 規 則 (5) 音 調 をつくる 規 則 とその 適 用 の 解 釈 二 人 の 話 者 を 例 に (6) 曖 昧 アクセント という 久 喜 市 アクセントの 位 置 づけ.データ 統 合 共 有 を 目 指 した Web 言 語 地 図 の 構 築 成 果 公 開 サイト 日 本 大 学 文 理 学 部 Web 言 語 地 図 の 試 み ( 林 直 樹 田 中 ゆかり) 語 文 145(2013.3)より 再 録 (1)はじめに (2) 日 本 大 学 文 理 学 部 Web 言 語 地 図 概 要 (3) 言 語 地 図 の 描 画 言 語 情 報 データ/ 話 者 情 報 データ/ 鉄 道 駅 データ (4) 言 語 データの 統 合 共 有 試 行 データ/データ 形 式 の 統 合 (5) 言 語 データの 管 理 参 加 登 録 / 管 理 画 面 による 言 語 データの 管 理 (6)Web 言 語 地 図 を 利 用 する 際 の 注 意 点 (7) 今 後 の 課 題 [ 音 声 ]. 首 都 圏 方 言 若 年 層 の 音 声 の 変 種 ( 久 野 マリ 子 ) (1) 首 都 圏 方 言 大 学 生 が 話 している 音 声 の 実 態 (2) 調 査 項 目 (3) 結 果 雰 囲 気 / 全 員 原 因 / 定 員 と 店 員 / 会 員 / 体 育 女 王 (4)この 調 査 からわかること -xi-
15 [ 方 言 の 利 用 言 語 景 観 ]. 首 都 圏 における 方 言 の 地 域 資 源 としての 活 用 通 信 調 査 の 結 果 から ( 亀 田 裕 見 ) (1) 研 究 目 的 (2) 調 査 の 概 要 (3) 事 例 数 の 特 徴 (4) 使 用 される 方 言 の 特 徴 (5) 意 識 調 査 の 特 徴 (6) 首 都 圏 の 方 言 資 源 利 用 のタイプ 分 け. 首 都 圏 における 在 来 方 言 の 地 域 資 源 としての 再 生 の 一 事 例 多 摩 地 域 の のめっこい を 例 として ( 三 井 はるみ) (1)はじめに (2) 在 来 方 言 の 地 域 資 源 としての 利 用 (3) のめっこい の 意 味 用 法 多 摩 地 域 の 方 言 集 から/ 多 摩 地 域 の 市 町 議 会 会 議 録 から/ のめっこい の 意 味 用 法 と 方 言 利 用 (4) 地 域 資 源 としての 方 言 利 用 の 動 機 (5) 接 触 機 会 の 増 加 と 用 法 の 変 化 の 兆 し (6) 首 都 圏 若 年 層 の 現 状 と 今 後 の 動 向 (7) 地 域 語 の 観 点 から 見 た 首 都 圏 の 言 語. 街 のなりたちと 言 語 景 観 東 京 秋 葉 原 を 事 例 として ( 田 中 ゆかり 早 川 洋 平 冨 田 悠 林 直 樹 ) 言 語 研 究 142(2012)より 再 録 (1)はじめに (2) 秋 葉 原 言 語 景 観 調 査 概 要 (3)フロアガイドからみた 秋 葉 原 フロアガイドとは/フロアガイド 調 査 概 要 /フロアガイド 調 査 結 果 / フロアガイド 追 加 調 査 /フロアガイド 調 査 のまとめ (4)メッセージからみた 秋 葉 原 メッセージの 定 義 と 調 査 概 要 /メッセージ 調 査 報 告 と 分 析 メッセージ 免 税 店 追 加 調 査 /メッセージ 調 査 のまとめ (5)Web 上 の 店 舗 サイトからみた 秋 葉 原 Web 調 査 概 要 /Web 調 査 結 果 /Web 調 査 のまとめ (6)おわりに -xii-
16 [ 教 育 ]. 国 語 教 育 と 方 言 ( 小 林 初 夫 ) (1)はじめに 東 日 本 大 震 災 の 発 生 と 原 発 事 故 による 避 難 / 方 言 への 関 心 と 取 り 組 み (2) 国 語 教 育 の 現 状 と 課 題 国 語 の 授 業 を 考 える 国 語 の 授 業 は 好 きですか?/ 変 わらない 国 語 の 授 業 / ことばの 力 を 育 てる 授 業 になっていない/ 伝 統 的 な 言 語 文 化 = 古 典 か?/ 国 語 教 育 に 方 言 を 取 り 入 れる 必 要 性 / 聞 く ことを 鍛 える/ 学 習 指 導 要 領 に 対 応 させた 方 言 の 扱 い 方 (3) 小 学 校 での 国 語 の 授 業 の 実 際 しっぽのやくめ の 授 業 例 /ことばの 力 は 育 っているか/ ことばを 大 事 に 考 える 授 業 とは/ 国 語 の 授 業 で 最 も 大 切 なこと (4) 方 言 教 材 の 必 要 性 ことばのゆれ/ 方 言 を 調 べよう (5)これからの 国 語 教 育 子 どもたちの 将 来 のことばを 形 作 る 教 育 / 地 域 素 材 を 見 つける 学 校 用 語 の 地 域 差 / 方 言 調 べは 自 分 の 耳 で 聞 いて/ 方 言 を 扱 った 授 業 の 実 際 第 部 研 究 ツール アーカイブ データベース. 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 的 地 域 差 を 把 握 するための 方 法 と 実 践 ( 鑓 水 兼 貴 ) 国 立 国 語 研 究 所 論 集 6( )より 再 録 (1)はじめに (2) 首 都 圏 の 言 語 について 首 都 圏 の 範 囲 / 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 について/ 首 都 圏 若 年 層 における 地 理 的 調 査 の 必 要 性 (3) 首 都 圏 若 年 層 に 対 する 効 率 的 な 調 査 調 査 コストを 低 くする 必 要 性 / 授 業 時 を 利 用 した 大 学 生 に 対 するアンケート 調 査 / 回 答 意 欲 を 高 める 調 査 / 授 業 を 妨 害 しない 調 査 / 授 業 で 活 用 可 能 な 調 査 システムの 必 要 性 (4) 言 語 地 図 形 式 による 回 答 結 果 の 自 動 出 力 言 語 地 図 作 成 の 工 程 / 言 語 地 図 作 成 の 自 動 化 / 回 答 データ 入 力 の 自 動 化 (5) 携 帯 メールを 用 いた 調 査 インターネット 経 由 での 回 答 データの 収 集 /WEB 調 査 と 携 帯 メール 調 査 の 比 較 -xiii-
17 (6)RMSシステム RMSシステム 概 要 / 各 段 階 の 説 明 / 複 数 の 調 査 の 組 み 合 わせ (7)RMSシステムを 利 用 した 調 査 例 関 東 方 言 形 カタス/カタスのRMS 調 査 / 調 査 結 果 / 授 業 におけるRMSシステムの 利 用 (8)おわりに. 首 都 圏 の 言 語 の 実 態 と 動 向 に 関 する 研 究 プロジェクト 成 果 公 開 サイト 紹 介 ( 三 井 はるみ) (1)はじめに (2)プロジェクト 成 果 公 開 サイトの 概 要 (3) 首 都 圏 大 学 生 の 言 語 使 用 と 言 語 意 識 の 地 域 差 に 関 する 研 究 (4) 東 京 のことば 研 究 者 インタビュー 内 容 / 企 画 の 経 緯 / 公 開 部 分 の 選 定 (5) 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録 内 容 / 作 成 の 経 緯 / 補 充 改 訂 (6) 東 京 語 アクセント 資 料 (7)おわりに. 首 都 圏 の 言 語 に 関 する 研 究 文 献 目 録 からみる 研 究 動 向 ( 三 樹 陽 介 ) (1)はじめに (2) 文 献 目 録 の 作 成 方 針 (3) 文 献 目 録 論 文 編 の 概 要 全 体 像 / 地 域 別 件 数 / 地 域 年 代 別, 文 献 数 / 言 語 分 野 別, 文 献 採 録 比 率 (4)まとめと 今 後 の 展 望 研 究 発 表 会 開 催 記 録 -xiv-
18
19 Web ry.htmlurban Language Seminar 11th A Study of the Geograph ical Distribution of Lexical Variation among Younger Generation Speakers in the Tokyo Metropolitan Area : mitharu@ninjal.ac.jp 2 1
20
21 () () () () ()
22 1970 (1) (2) (3) :35 (1) (2) (3) (1) 1992:10 (1) (2) (3) (1) (2) (3) (1)(2) Urban Language (3) 4
23 4 (1)(2)(3) Real-time Mobile Survey System Web 4 (3)1970(3)1983(3)1992(3) 5
24 a1985b RMS
25 7
26
27
28 = 10
29 11
30 :203= 1984: : : :
31 :61-66 p
32 p
33
34 23 16
35 BCCWJ SF NHK
36
37 19
38 20
39 21
40 22
41 23
42
43 5657 A : ( ) : ( ) Scientific approaches to language :
44
45 27
46 28
47 29
48 30
49 31
50 32
51 33
52 34
53 35
54 36
55 37
56 38
57 * (1992) (1996)(1996) (1995) 1990 (1992) * 39
58 (1985) ( ) Matthew s Best Hit TV
59 (1987) (1989) 2011 (1982)(1992) (2004)(2009) Yarimizu & Mitsui (2012) 41
60
61 (1) 1 6 (2) 1 3 (3) 50km 70km (1)(2)(3)(1) (3) 50km 70km (2)
62 Yarimizu & Mitsui(2012) (2013) Yarimizu & Mitsui
63 45
64 (1951) 1988 (1996) 46
65 (1) (2) (3) ) (1)(2)(3) (2) (1) (3) (1)(3) (3) 47
66 6 (2011) 7 (2007)(2011) 8 (2005) DA.YO.NE 48
67 (1986) (2011) (1996) 49
68 (1985,1994)(2002) 9 (1996) (2002) 10 ( 1996) 50
69 (1996) (1996) (1996) (1994)
70 (2013) Yarimizu & Mitsui(2012) 52
71 (2004) (1985) (1987)37. (1994) (1985) (2002) (2007) (1951) 2 (2011) (1996) (2011) (1988) (1996) (2005) (1983) (2011) 3 (1996) (2009) (1986) 53
72 (2011) (1996)() (1992) (2013) 31 Yarimizu Kanetaka and Mitsui Harumi (2012) A Linguistic Survey of the Tokyo Metropolitan Area Using Mobile Phones NWAV-AP2. 54
73 () 55
74
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76 A Hand Book of Colloquial Japanese 40 58
77
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79 23 61
80 Colloquial Japanese p p B 62
81 B A
82 199347p p p 64
83 p p 65
84 66
85 544~545p
86
87 69
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90 standard language common language 72
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92 * 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 使 用 意 識 の 地 理 的 分 布 鑓 水 兼 貴 三 井 はるみ ( 国 立 国 語 研 究 所 ) ( 国 立 国 語 研 究 所 ) 1.はじめに 本 研 究 は, 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 の 使 用 意 識 に 関 して, 大 学 生 を 対 象 としたアンケー ト 調 査 を 実 施 し, 首 都 圏 における 言 語 使 用 の 実 態 を, 地 理 的 分 布 から 分 析 したものである 首 都 圏 は, 標 準 語 の 成 立 基 盤 となる 地 域 であり 言 語 的 にもっとも 重 要 な 地 域 である それに もかかわらず, 巨 大 な 人 口 多 様 な 構 成 住 民 調 査 困 難 などを 理 由 として, 言 語 の 地 域 差 に 関 す る 調 査 研 究 があまり 行 われない 地 域 である むしろ そうした 複 雑 さは 従 来 の 方 言 学 的 な は えぬき 重 視 の 地 域 差 よりも 個 人 差 すなわち 社 会 的 心 理 的 側 面 に 焦 点 が 当 てられることが 多 かったといえるだろう このように 首 都 圏 の 言 語 は 全 域 で 一 様 な 言 語 が 使 用 され 特 に 若 年 層 では 非 標 準 形 につい ても 首 都 圏 全 体 で 言 語 圏 を 形 成 していると 認 識 される 傾 向 がある そして 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 は インフォーマル 場 面 でも 共 通 語 の 俗 語 のような 位 置 づけを 持 っているといえよう しかし 実 態 としての 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 使 用 をみてみると 地 域 的 均 一 性 が 高 いのは 確 かだが 地 域 差 は 存 在 している すでに 1980 年 代 の 調 査 研 究 で 東 京 新 方 言 ( 井 上 1994)などの 形 で 首 都 圏 における 非 標 準 形 とその 地 域 差 は 指 摘 されてきた 首 都 圏 の 言 語 が 他 の 地 域 の 言 語 と 異 なるのは 周 辺 地 域 の 方 言 形 を 取 り 入 れて 全 国 に 発 信 する 強 力 な 力 を 持 っていることである( 井 上 荻 野 1984) 井 上 荻 野 (1985)は そうした 発 信 力 を 研 究 する 上 で 言 語 意 識 を 調 査 し 社 会 的 心 理 的 側 面 といった 個 人 差 から 分 析 を 行 ってきた 言 語 意 識 を 調 べることで なぜその 語 形 が 使 用 可 能 になるのかを 解 明 することができる このことか ら 非 標 準 形 の 地 理 的 伝 播 を 解 明 する 場 合 にも 言 語 意 識 の 地 理 的 分 析 を 導 入 する 必 要 があると 考 える 以 上 から 本 研 究 では 首 都 圏 における 非 標 準 形 について 使 用 に 関 する 地 図 だけでなく 使 用 意 識 の 地 図 を 作 成 することで 首 都 圏 の 若 年 層 にはどのような 言 語 的 地 域 差 がみられるか 非 標 準 形 の 使 用 意 識 は 使 用 の 地 域 差 とどのように 関 係 しているか という2 点 から 首 都 圏 若 年 層 の 非 標 準 形 使 用 の 要 因 の 解 明 を 試 みる * 本 稿 は 鑓 水 兼 貴 三 井 はるみ(2013) 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 使 用 意 識 の 地 理 的 分 布 第 31 回 社 会 言 語 科 学 会 研 究 大 会 の 発 表 原 稿 に 加 筆 修 正 をおこなったものである また 本 研 究 は 国 立 国 語 研 究 所 の 共 同 研 究 プロジェク ト( 首 都 圏 の 言 語 の 実 態 と 動 向 に 関 する 研 究 研 究 代 表 者 三 井 はるみ)による 研 究 成 果 の 一 部 である 本 研 究 に 調 査 に 協 力 していただいた プロジェクトメンバーの 國 學 院 大 學 の 久 野 マリ 子 氏, 日 本 大 学 の 田 中 ゆかり 氏, 文 教 大 学 の 亀 田 裕 見 氏 に 感 謝 を 申 し 上 げる また,すべての 回 答 者 の 皆 様 に 御 礼 申 し 上 げる
93 2. 調 査 概 要 本 研 究 における 若 年 層 の 調 査 対 象 は, 大 学 生 とした 大 学 生 への 調 査 手 法 として, 本 研 究 では 携 帯 電 話 のメールを 用 いた 調 査 システム RMS (Real-time Mobile Survey system) ( 鑓 水 2011,2012) を 用 いたほか, 一 部 にアンケート 用 紙 も 用 いた 生 育 地 は 5 歳 から 15 歳 までの 最 長 居 住 地 とし, 住 所 は 大 字 レベルまで 回 答 してもらった 2011 年 6 月 ~2012 年 6 月 の 首 都 圏 での 試 行 調 査 の 結 果 をもとに 38 の 非 標 準 形 を 選 定 し 2012 年 7~11 月 に 東 京 都 と 埼 玉 県 に 立 地 する 大 学 生 約 400 名 に 対 して 調 査 を 実 施 した そのため 回 答 者 の 分 布 は 東 京 都 埼 玉 県 に 多 く, 神 奈 川 県, 千 葉 県 は 少 ない 点 で 注 意 が 必 要 である 調 査 を 行 った 38 語 のうち 特 に 回 答 の 分 布 が 明 瞭 な 以 下 の 7 つの 非 標 準 形 については 使 用 するか 否 かだけではなく 使 用 意 識 をたずねることにした 1. カタス 片 づける 2. モス 燃 やす 3. バナナムシ ツマグロオオヨコバイ 4. ダイジ 大 丈 夫 5. アオタン 青 あざ 6. ズルコミ 割 り 込 み 7. ヨコハイリ 割 り 込 み これらの 語 形 はバナナムシを 除 き,この 20~30 年 間, 首 都 圏 で 新 方 言 として, 井 上 荻 野 (1984)や, 井 上 (1988)をはじめ, 多 くの 調 査 がなされてきた 語 形 である 調 査 内 容 は 以 下 の 5 種 類 である 使 用 ( 言 う 聞 いたことがある 聞 かない ) 使 用 頻 度 ( 低 い ~ 高 い,7 段 階 ) 通 用 範 囲 ( 身 の 回 りだけ 通 じる ~ 誰 にでも 通 じる 7 段 階 ) 使 用 場 面 ( 特 定 のときだけ ~ どんなときでも 7 段 階 ) 丁 寧 度 ( くだけた 言 い 方 ~ 改 まった 言 い 方 7 段 階 ) 使 用 が 3 択 で これは 全 38 語 についておこなった 上 記 の 7 語 については 使 用 頻 度 以 下 の 4 項 目 もたずねた 意 識 項 目 は 7 段 階 評 定 ( 左 が 1, 右 が 7)であるが どれも 具 体 的 な 場 面 を 設 定 していないため, 回 答 者 がどのような 場 面 を 想 定 して 回 答 しているかは 不 明 である また, 標 準 形 や 伝 統 的 方 言 形 の 意 識 は 尋 ねていないという 問 題 もある 1 1 バナナムシやアオタンについては 標 準 形 を 確 定 するのが 容 易 でないが それ 以 外 については 標 準 形 が 使 用 されない ことは 考 えにくい そのため 標 準 形 や 伝 統 的 方 言 形 との 関 係 を 考 慮 しないと 何 がどう 変 化 したのか という 基 準 が 不 明 なままになってしまう ただし ヨコハイリとズルコミに 関 して 相 互 の 関 係 はわかる
94 3. 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 の 分 布 数 多 くの 先 行 研 究 で,すでに 地 域 差 の 存 在 がわかっている 非 標 準 形 が 多 いが, 言 語 地 図 として の 報 告 は 少 ない そのため,まず 分 布 の 広 がり 方 について 概 観 する 3.1 非 標 準 形 の 分 布 概 観 図 1 は, 黄 色 い 小 さな 虫 である ツマグロオオヨコバイ の 呼 び 名 バナナムシ の 使 用 に 関 する 分 布 である 東 京 都 23 区 西 部 ~ 多 摩 地 域 と, 隣 接 する 神 奈 川 県 北 部 に 言 う が 分 布 してお り( 囲 み 線 ),バナナムシが 現 代 の 東 京 方 言 であることがわかる 図 1 バナナムシ(ツマグロオオヨコバイ)の 使 用 図 2 図 3 は, 列 などへの 割 り 込 み をあらわず2つの 非 標 準 形 ヨコハイリ と ズルコ ミ の 分 布 である 図 2 のヨコハイリは, 神 奈 川 県 ~ 東 京 都 23 区 西 部 多 摩 と, 首 都 圏 外 周 部 に 分 布 しており, 埼 玉 県 東 部 から 東 京 都 23 区 東 部 にかけて 不 使 用 地 域 が 広 がっている( 囲 み 線 ) ヨコハイリの 不 使 用 地 域 で 使 用 される 非 標 準 形 が, 図 3 のズルコミである ズルコミとヨコハイ リが 相 補 分 布 の 関 係 にあることがわかる 井 上 (1988)による 東 京 都 神 奈 川 県 の 調 査 では, 高 年 層 では 全 域 で ワリコミ が 分 布 してい た ヨコハイリは 若 年 層 の 新 しい 語 形 として 神 奈 川 県 全 域 に 普 及 し, 東 京 23 区 西 部, 多 摩 でも 散 見 されていた 一 方,ズルコミも 若 年 層 の 東 京 23 区 東 部 でわずかに 使 用 がみられており, 埼 玉 県 側 千 葉 県 側 より 広 がってきた 可 能 性 がある 図 2 図 3 において 聞 いたことがある の 分 布 を 比 較 すると,ズルコミよりヨコハイリのほうが 聞 いたことがある の 回 答 者 が 多 い 伝 播 の 力 において,ヨコハイリがズルコミよりも 強 いことが 予 想 される
95 図 2 ヨコハイリ( 割 り 込 み)の 使 用 図 3 ズルコミ( 割 り 込 み)の 使 用
96 3.2 首 都 圏 若 年 層 における 非 標 準 形 の 分 布 境 界 非 標 準 形 の 分 布 を 概 観 すると, 図 1~3 の 斜 線 すなわち 東 京 都 23 区 の 北 東 部 と 南 西 部 の 間 に 回 答 の 違 いがみられる 語 が 多 いことに 気 付 く 調 査 した 38 語 の 中 でも これ 以 外 にも ダベ?(で しょ?) イクベ( 行 こう) ~トキアル(~ことがある) モス( 燃 やす) アルッテ( 歩 い て) センヒキ( 定 規 )など さまざまな 語 でみることができる この 東 京 都 23 区 北 東 部 と 南 西 部 の 間 とは 伝 統 的 な 方 言 境 界 とされている 東 京 の 下 町 地 域 ( 北 東 部 )と 山 の 手 地 域 ( 南 西 部 )の 境 界 にほぼ 一 致 する つまり 現 在 の 若 年 層 においても, 非 標 準 形 の 使 用 において 山 の 手 と 下 町 の 間 に 境 界 2 があることを 示 していると 思 われる この 境 界 が 伝 統 的 な 方 言 境 界 と 同 一 のものかどうかについては 検 証 をする 必 要 がある 3 が 少 な くとも 地 域 的 なまとまりという 点 で, 下 町 地 域 が 埼 玉 県 千 葉 県 側 と, 山 の 手 地 域 が 東 京 都 多 摩 地 域 神 奈 川 県 と 分 布 上 の 連 続 性 をもつ 語 が 多 いことが 明 らかになったといえる 4. 使 用 意 識 の 地 域 差 4.1 使 用 意 識 に 地 域 差 はみられるか つづいて 使 用 意 識 の 地 域 差 について 分 析 をおこなう ヨコハイリ( 割 り 込 み)は 井 上 (1988) にあるように 30 年 前 は 神 奈 川 県 を 中 心 とした 分 布 であったことがわかっている 図 2 で 新 しく 使 用 するようになった 地 域 と 従 来 から 使 用 していた 神 奈 川 県 とで ヨコハイリの 使 用 意 識 がど のように 違 うかが 問 題 となる 図 4 は 図 2 のヨコハイリ( 割 り 込 み)の 使 用 者 ( 言 う を 回 答 )における 使 用 頻 度 意 識 を 地 図 にしたものである どのくらいの 頻 度 で 使 用 するか という 意 識 は 語 そのものの 使 用 頻 度 と 使 用 場 面 における 語 の 選 択 頻 度 を 分 離 していない あくまで 主 観 にすぎないものだ が, 地 図 で 表 示 すると, 地 域 によって 明 確 な 違 いがあらわれた 図 4 をみると, 神 奈 川 県 では 使 用 頻 度 が 非 常 に 高 いと 意 識 されていることがわかる( 囲 み 線 ) 一 方 で, 東 京 都 や 埼 玉 県 での 使 用 頻 度 意 識 はあまり 高 くない 前 述 のとおり,ヨコハイリは 神 奈 川 県 から 北 側 に 普 及 したことが, 過 去 の 調 査 からわかってい る つまり 初 期 に 普 及 した 地 域 では 使 用 頻 度 が 高 く, 後 から 普 及 した 地 域 は 使 用 頻 度 が 低 いと 認 識 されていることになる 井 上 (1983)は 山 形 県 内 陸 部 の 調 査 で, 共 通 語 形 の 地 理 的 伝 播 が 上 位 場 面 から 下 位 場 面 への 普 及 と 複 合 して 進 行 するため, 場 面 差 が 普 及 時 期 の 時 間 差 となることを 示 している 同 様 に, 図 4 の 結 果 についても, 使 用 意 識 に 地 域 差 が 存 在 することを 示 すにとどまらず, 共 時 的 な 使 用 意 識 の 違 いが, 通 時 的 な 普 及 時 期 の 違 いを 反 映 していることを 示 唆 するものである 2 全 員 使 用 全 員 不 使 用 のような 明 確 な 境 界 ではなく 使 用 者 の 割 合 の 違 いという 形 であらわれる 3 伝 統 的 な 東 京 方 言 使 用 地 域 としての 山 の 手 下 町 は あくまで はえぬき 話 者 についてである 東 京 は 人 口 流 動 が 激 しく 現 代 の 東 京 都 23 区 北 東 部 南 西 部 において はえぬき 住 民 は 少 数 派 であり 伝 統 的 な 東 京 方 言 話 者 もま た 少 数 派 であると 考 えられる そうした 中 で 今 回 の 境 界 が 伝 統 的 東 京 方 言 の 継 承 としての 結 果 と 断 定 するのは 難 しい と 思 われる この 点 については 今 後 もさまざまな 観 点 から 調 査 を 継 続 する 必 要 があると 思 われる
97 図 4 ヨコハイリ( 割 り 込 み)の 使 用 頻 度 意 識 4.2 非 標 準 形 カタスの 普 及 経 路 これまでのことをふまえて, 非 標 準 形 カタスの 分 布 について 考 える 図 5 は, 片 付 けることを カタス と 言 うか,という 分 布 である 首 都 圏 南 部 のほぼ 全 域 で 言 う が 分 布 している 井 上 荻 野 (1984)においては, 東 京 都 23 区 西 部 多 摩, 神 奈 川 県 では 使 用 率 が 低 いとされ, 当 時 の 若 年 層 での 使 用 が 減 少 しているようにみられていたが,1990 年 代 には 千 葉 県 松 戸 市 で 増 加 してい ることが 報 告 されており( 早 野 1996), 近 年 著 しく 普 及 していると 思 われる ただし 東 京 都 西 部 地 域 を 中 心 に 聞 いたことがある が 分 布 しており( 囲 み 線 ), 不 使 用 地 域 がわずかに 残 っている 図 5 では 地 点 数 が 少 ないため 試 行 調 査 の 結 果 もあわせた 図 6 をみる と, 不 使 用 地 域 の 存 在 がより 明 確 になる( 囲 み 線 ) 東 京 都 西 部 のうち 多 摩 地 域 の 西 側 にはす でに 普 及 しており 多 摩 地 域 の 東 側 だけが 使 用 地 域 に 包 囲 される 形 で 不 使 用 地 域 を 形 成 している ことがわかる
98 図 5 カタス( 片 付 ける)の 使 用 図 6 カタス( 片 付 ける)の 使 用 ( 試 行 調 査 も 含 めたもの)
99 図 7 カタス( 片 付 ける)の 使 用 頻 度 意 識 図 8 カタス( 片 付 ける)の 通 用 範 囲 意 識
100 なぜ 東 京 都 多 摩 東 部 だけが 不 使 用 地 域 となったのか 東 京 都 西 部 に 不 使 用 者 が 多 いことや 前 述 の 井 上 荻 野 (1984)との 結 果 から 多 摩 東 部 の 周 辺 地 域 では カタスが 最 近 になって 普 及 した ことが 予 想 される ここで 前 節 のヨコハイリのように 使 用 意 識 の 地 域 差 が 普 及 時 期 の 違 いを 反 映 するとしたら カタスの 使 用 意 識 の 地 域 差 によって 普 及 時 期 を 予 想 することができる 図 7 はカタスの 使 用 頻 度 意 識 の 地 図 である 全 体 的 に 使 用 頻 度 が 高 いと 意 識 している 人 が 多 い が, 東 京 都 23 区 西 部 と 神 奈 川 県 北 部 では, 使 用 頻 度 があまり 高 くないことがわかる( 囲 み 太 線 ) この 地 域 に 隣 接 する 地 域 は, 図 5 図 6 での 聞 いたことがある という 回 答 が 多 い 地 域,すな わち 不 使 用 地 域 であることをあわせると,この 地 域 ではカタスが 新 しく 使 用 が 拡 大 したことが 予 想 される しかし, 図 8 の 通 用 範 囲 意 識 の 地 図 をみると, 東 京 都 23 区 南 西 部 から 神 奈 川 県 北 部 (3)にか けての 地 域 と 神 奈 川 県 南 部 (2)とでは, 通 用 範 囲 の 意 識 において 差 があることがわかる 神 奈 川 県 南 部 では 通 用 範 囲 の 広 いことばとして 取 り 入 れられている 一 方 で, 東 京 都 23 区 南 西 部 神 奈 川 県 北 部 においてはあまり 広 くないと 意 識 されている このことから 神 奈 川 県 南 部 での 普 及 が 東 京 都 や 神 奈 川 県 北 部 より 早 く 進 行 したと 予 想 すること ができる 以 上 から, 現 在 は 首 都 圏 南 部 におけるカタスの 使 用 者 は 東 京 都 多 摩 地 域 の 一 部 を 除 いて 全 てを 覆 っているが,かつての 使 用 者 の 分 布 は, 図 7 の 使 用 頻 度 を 高 いと 意 識 する 人 々の 分 布 に 近 かっ たのではないかと 推 測 することができる このとき 図 7 の 分 布 の 境 界 は, 東 京 都 23 区 の 東 西,す なわち 山 の 手 と 下 町 であり,これは, 前 述 の 首 都 圏 若 年 層 において 多 くみられる 境 界 と 一 致 する ことからも 妥 当 な 推 測 であると 判 断 できる 普 及 に 伴 って 境 界 を 越 え, 図 8 のように, 神 奈 川 側 に 普 及 し, 周 囲 を 囲 まれるような 形 で 図 5 図 6 のような 使 用 者 の 分 布 になったと 考 えらえる 整 理 した 表 を 以 下 に 示 す 図 5~8 を 整 理 した 表 を 以 下 に 示 す もともと 埼 玉 県 から 東 京 23 区 北 東 部 を 中 心 に 再 普 及 して いたカタスは 東 京 都 23 区 南 西 部 に 入 る 前 に 神 奈 川 県 側 に 入 り 特 に 神 奈 川 県 南 部 で 先 に 普 及 した それから 東 京 都 23 区 北 東 部 や 神 奈 川 県 北 部 東 京 都 多 摩 西 部 地 域 に 普 及 し(どの 地 域 か らの 普 及 かは 不 明 ) 現 時 点 では 東 京 都 多 摩 東 部 地 域 だけが 不 使 用 地 域 として 残 っている 状 態 で ある 多 摩 東 部 地 域 は 使 用 地 域 よって 周 辺 を 囲 まれているため 近 い 将 来 使 用 地 域 なることが 予 想 される 表 カタスの 普 及 時 期 と 意 識 との 関 係 ( 番 号 は 図 8 中 のもの) 使 用 頻 度 意 識 通 用 範 囲 意 識 普 及 推 定 時 期 ( 図 7) ( 図 8) 1 埼 玉 東 京 23 区 北 東 部 高 頻 度 早 い 広 範 囲 2 神 奈 川 南 部 低 ~ 中 頻 度 3 東 京 23 区 南 西 部 神 奈 川 北 部 低 ~ 中 範 囲 遅 い 4 東 京 多 摩 東 部 φ 頻 度 ( 不 使 用 ) φ 頻 度 ( 不 使 用 ) ( 将 来 使 用?)
101 5.まとめ 以 上, 首 都 圏 若 年 層 の 非 標 準 形 の 使 用 意 識 を 地 理 的 分 布 の 観 点 から 分 析 することにより, 以 下 のような 傾 向 がみられた 東 京 都 の 山 の 手 地 域 と 下 町 地 域 の 間 には, 非 標 準 形 使 用 に 大 きな 境 界 が 存 在 する 下 町 地 域 は 埼 玉 県 千 葉 県 と, 山 の 手 地 域 は 東 京 都 下 神 奈 川 県 とそれぞれ 連 続 性 がある 使 用 意 識 項 目 の 分 布 に 地 域 差 が 現 われる 場 合,その 地 域 差 が,かつての 分 布 の 痕 跡 である 可 能 性 があり, 普 及 経 路 の 手 がかりとなる また, 東 京 都 23 区 西 部 ~ 多 摩 東 部 の 地 域 は, 非 標 準 形 の 普 及 が, 周 辺 地 域 より 遅 れる 傾 向 がみ られた 本 稿 ではカタス1 語 だけで 説 明 したが 一 般 化 するには 実 例 が 必 要 である 今 回 の 調 査 では ダベ?(でしょ?) イクベ( 行 こう)といった ベ(ー) の 使 用 がカタスと 似 た 傾 向 を 示 している 首 都 圏 若 年 層 で 再 普 及 中 の 現 象 といわれるが この 点 でもカタスと 似 ている 東 京 都 23 区 南 西 部 多 摩 地 方 では 不 使 用 者 が 多 く 周 辺 地 域 よりも 普 及 が 遅 いとみられる このことは 首 都 圏 の 言 語 が 中 心 部 と 周 辺 部 に 分 かれる 可 能 性 を 示 唆 している もし 中 心 部 で 非 標 準 形 が 避 けられているとしたら 前 記 の ベ(ー) のような 有 名 な 伝 統 的 方 言 形 は カタスよ りも 非 標 準 形 的 色 合 いが 残 り 受 け 入 れが 鈍 い 可 能 性 がある このような 言 語 現 象 について 検 証 を 重 ねることで 首 都 圏 の 言 語 のモデル 化 ができ 標 準 語 の 成 立 過 程 の 解 明 にもつながると 思 われる さらなる 詳 細 な 調 査 分 析 が 必 要 であろう 文 献 井 上 史 雄 (1983) 新 方 言 と 言 葉 の 乱 れ に 関 する 社 会 言 語 学 的 研 究 東 京 首 都 圏 山 形 北 海 道 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 成 果 報 告 書. 井 上 史 雄 (1985.2) 新 しい 日 本 語 新 方 言 の 分 布 と 変 化 明 治 書 院. 井 上 史 雄 (1985.3) 関 東 東 北 方 言 の 地 理 的 年 齢 的 分 布 (SF グロットグラム) 東 京 外 国 語 大 学 語 学 研 究 所. 井 上 史 雄 編 (1988) 東 京 神 奈 川 言 語 地 図. 井 上 史 雄 (1994) 方 言 学 の 新 地 平 明 治 書 院. 井 上 史 雄 (2011) 経 済 言 語 学 論 考 明 治 書 院. 井 上 史 雄 荻 野 綱 男 (1984) 新 しい 日 本 語 資 料 図 集 文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金 言 語 の 標 準 化 資 料 集. 井 上 史 雄 荻 野 綱 男 (1985) 新 しい 言 葉 の 伝 播 過 程 東 京 中 学 心 理 調 査 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 成 果 報 告 書. 荻 野 綱 男 井 上 史 雄 田 原 広 史 (1985) 周 辺 地 域 から 東 京 中 心 部 への 新 方 言 の 流 入 について 国 語 学 143. 加 藤 正 信 大 橋 純 一 武 田 拓 半 沢 康 (2004) 関 東 東 北 境 界 域 言 語 地 図 常 磐 線 磐 越 東 線 グ ロットグラム 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 成 果 報 告 書
102 東 京 都 教 育 委 員 会 (1986) 東 京 都 言 語 地 図. 早 野 慎 吾 (1996) 地 域 語 の 生 態 シリーズ 関 東 篇 首 都 圏 の 言 語 生 態 おうふう. 鑓 水 兼 貴 (2011) 携 帯 電 話 を 利 用 した 首 都 圏 若 年 層 の 言 語 調 査 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 2011-CH-92,1-13. 鑓 水 兼 貴 (2012) 携 帯 電 話 を 利 用 したリアルタイム 方 言 調 査 システム 日 本 行 動 計 量 学 会 第 40 回 大 会 抄 録 集
103 (1997) pp (2012)
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108 A1 B1 A2 C A1 B1 A2 B1 C A1 10 B1 3 A2 C C A2 B1 A1 D A2 2 4 E A1 C 89
109 C A2 B1 A C C B2 A2 B1 A1 E 17 C 16 B1 A1 5 C A2 B1 A1 A2 C A2 B1 A
110 ( ) 3 ( ) 4 (1986) ( ) 6 (1997) 91
111 92
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124 (1) 5 (2) (3) (4) (5) (6)
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136 117 11
137 2 118
138 119
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141 122
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143 22 23 GAJ
144 24 25GAJ
145 26 27 GAJ
146 ᅗ 28 ࠕ ᪉ゝ 㸦す㒊᪉ゝ㸧 ቃ 㸪୧᪉ せ ࡗ ࡇ ࠋࡇ ࡘ ࡗ ヲࡋࡃぢ ᚲせࡀ ࠋ ࡎ ࡏ 㸪᪉ゝ ቃ ᆅ せ ࡗ స 㠃ࡀ ࡁ 㸪 ᒣ㯄 ᆅ ᇦࡀ ࡑࠕ ᪉ゝ ぢ ࠋ ࡓ㸪 モࠕ㹼ࢧ ࡀ *$- ሗ ࡉ 㸪ࡉ 㒆 ࡍ ࡄᮾ➃ ᗈ ศᕸ ࡍ ࡀ ࡇ ࡀศ ࡗࡓࠋࡇ モ ༡㒊 ᚩ ࡀ ࡁࡓࠋ ༡ᮾ㒊 㒓ᕷ ⶈ ᕷ ༡㒊 ධ㛫㒆 㐃 ศᕸࡋ ࡓ ࡀ ࠋ ᅾ 㸪ᮍㄪᰝ ኸ㒊 ࡉ ࡓ ᕷ 㸪ᮾ ᙳ㡪ࡀᙉ ᆅᇦ 㸪ࡇ ศᕸ 㐃 ࡀศ ࡉ ࡋ ࠋ ᚋ ㄪᰝ ࡋ ࡃணᐃ 㸪 㒊 ㄪ ᰝࡀ ᮾ㒊 ศᕸ ࡀ ࠊࡇ Ⅼ ࡋ ࡃࡇ ࡀ ࡁ ࠋ 㞝㸦 㸧 ࠕ㸵ᇸ ᪉ゝ ㅮᗙ᪉ゝᏛ㸳㸫㛵ᮾᆅ᪉ ᪉ゝ㸫 ᅜ ห 㸪 ᶫ 㸦 㸧 㛵ᮾᆅ᪉ᇦ᪉ゝ ศᕸᆅᅗ ᕳ ᕳ㸦ᱜᴁ 㸧 ᶫ 㸦 㸧 㛵ᮾᆅ᪉ᇦ ᪉ゝ ࡘ ᪉ゝᆅ Ꮫ ᕳ ᕳ㸦ᱜᴁ 㸧 ட ぢ㸦 D㸧 ࠕᇸ ᮾ㒊ᆅ᪉ ᪉ゝศᕸ ୡ௦ᕪ ㄒᙡ ศᕸ ᩍ Ꮫ Ꮫ㒊 せ 㸪 㸬 㸫 127 㸫
147 128
148 全 国 若 者 語 調 査 における 言 語 伝 播 モデル * 鑓 水 兼 貴 ( 国 立 国 語 研 究 所 ) 1.はじめに 1.1 若 者 語 とは 本 研 究 は 2011~2012 年 に 実 施 した 全 国 若 者 語 調 査 の 結 果 報 告 を 通 じて 若 者 語 の 全 国 調 査 分 布 と 伝 播 過 程 に 関 して 考 察 をおこなうものである いわゆる 若 者 を 中 心 に 用 いられることばは 一 般 に 若 者 ことば( 言 葉 ) と 呼 ばれることが 多 いと 思 われるが 術 語 は 安 定 していない 若 者 ことば( 言 葉 ) 以 外 にも 若 者 語 若 者 用 語 など さまざまである そのため 本 稿 においては これらの 用 語 に 関 する 表 記 を 便 宜 的 に 若 者 語 に 統 一 する その 若 者 語 の 定 義 だが 決 まったものがあるわけではない 若 者 語 研 究 の 第 一 人 者 である 米 川 明 彦 は 若 者 語 を 集 団 語 の 下 位 概 念 と 捉 え 主 に 機 能 面 から 以 下 のように 定 義 している( 米 川 1996 p.12) 若 者 語 とは 中 学 生 から30 歳 前 後 の 男 女 が 仲 間 内 で 会 話 促 進 娯 楽 連 帯 イメージ 伝 達 隠 蔽 緩 衝 浄 化 などのために 使 う 規 範 からの 自 由 と 遊 びを 特 徴 に 持 つ 特 有 の 語 や 言 い 回 しである 個 々の 語 について 個 人 の 使 用 言 語 意 識 にかなり 差 がある また 時 代 によっても 違 う 若 者 ことばともいう 一 方 言 語 変 化 を 扱 う 方 言 学 社 会 言 語 学 においても 若 者 語 は 研 究 対 象 となる 新 方 言 研 究 で 知 られる 井 上 史 雄 は 若 者 語 を 言 語 変 化 の 縮 約 した 形 として ある 時 点 での 若 者 が 将 来 老 いたと きに 使 用 するか 否 か 後 の 時 代 の 若 者 が 使 用 するか 否 か という 観 点 から 若 者 語 を 以 下 のように 4 分 類 している( 井 上 1994 p.4) ただし 若 者 語 の 定 義 は 若 者 がよく 使 い ほかの 世 代 の 人 があ まり 使 わないことば あるいは 若 者 に 特 徴 的 とされることば と 簡 単 な 記 述 にとどめている 一 時 的 流 行 語 若 者 が 老 いて 不 使 用 後 の 若 者 も 不 使 用 例 : 新 語 時 事 用 語,はやりことば コーホート 語 若 者 が 老 いても 使 用 後 の 若 者 も 使 用 例 : 生 き 残 った 流 行 語, 世 相 語 若 者 世 代 語 若 者 が 老 いて 不 使 用 後 の 若 者 は 使 用 例 :キャンパス 用 語, 学 生 用 語 言 語 変 化 若 者 が 老 いても 使 用 後 の 若 者 は 不 使 用 例 : 新 方 言, 確 立 した 新 語 * 本 稿 は 鑓 水 兼 貴 (2014 予 定 ) 全 国 若 者 語 調 査 結 果 概 観 ( 専 修 国 文 94 号 )ならびに Urban Language Seminar 11 ( 広 島 市 文 化 交 流 会 館 )ポスター 発 表 (2013 年 8 月 ) 若 者 語 の 地 理 的 分 布 を 元 に 加 筆 修 正 を 行 ったものである
149 若 者 という 語 自 体 は 特 定 の 世 代 を 指 す 語 だが 若 者 語 の 内 容 には 使 用 者 の 属 性 や 使 用 意 識 使 用 場 面 なども 含 まれている 関 連 する 術 語 としては 集 団 語 流 行 語 新 方 言 俗 語 な どがあげられ どれも 若 者 語 と 大 きく 重 なる 部 分 があり これらの 術 語 もまた 定 義 が 難 しいものば かりである 以 上 から 本 研 究 における 若 者 語 の 定 義 は 厳 密 にはおこなわず 外 形 から 判 断 しやすい 若 年 層 を 中 心 に 使 用 されていると 思 われる 非 標 準 的 な 新 しい 語 表 現 といった 程 度 にとどめることに する 上 述 の 関 連 術 語 との 関 係 なども 含 め 定 義 に 関 しては 今 後 の 課 題 としたい 1.2 若 者 語 の 地 理 的 研 究 の 意 義 定 義 段 階 から 問 題 になる 原 因 として 若 者 語 に 関 する 研 究 があまり 進 展 していないことが 考 えら れる 若 者 語 に 相 当 する 現 象 についての 個 別 の 報 告 や 研 究 は 数 多 く 存 在 する しかし 若 者 語 全 体 を とらえる 研 究 は 少 ないと 思 われる そのためには 大 規 模 の 実 態 把 握 調 査 が 必 要 である 本 研 究 で は 全 国 規 模 の 調 査 を 実 施 し 若 者 語 の 実 態 の 解 明 を 目 指 す 現 代 社 会 は インターネットなどのメディアの 技 術 発 展 により 遠 方 であってもコミュニケーシ ョンを 高 速 におこなうことが 可 能 である しかし 実 際 の 日 常 におけるコミュニケーションは 生 活 範 囲 で 直 接 会 うことができる 相 手 とおこなわれることが 圧 倒 的 に 多 い そのため 若 者 語 の 使 用 に おいても 使 用 者 の 生 育 地 という 地 理 的 制 約 が 強 く 働 くと 思 われる このことは 若 者 語 にも 地 理 的 差 異 があることを 示 している ところが 一 定 以 上 普 及 してしまう と テレビやインターネットなど メディア 経 由 で 急 速 に 広 範 囲 に 拡 散 し 地 域 差 が 失 われる 可 能 性 がある そのため 若 者 語 の 普 及 初 期 に 地 域 差 が 表 れやすいと 思 われる 若 者 語 の 地 理 的 差 異 については 永 瀬 治 郎 による 先 駆 的 な 調 査 研 究 がある 永 瀬 (2006)では 若 者 語 の 言 語 地 図 を 作 成 し 全 国 的 分 布 の 例 を 示 している また 属 性 ( 性 別 世 代 )と 地 理 的 分 布 の 関 係 についても 示 唆 している このため 若 者 語 研 究 においても 言 語 地 理 学 的 手 法 が 適 用 できる と 考 え 本 研 究 では 詳 細 な 言 語 地 図 を 作 成 し 分 析 を 試 みることにした 地 理 的 伝 播 に 関 して 若 者 語 は 人 々が 集 住 し コミュニケーションの 密 度 の 高 い 大 都 市 の 中 心 部 から 広 がることが 予 想 される そのため 都 市 における 言 語 の 中 央 と 周 辺 の 関 係 を 明 らかにする 上 でも 若 者 語 研 究 は 重 要 である また 若 者 語 の 中 でも 普 及 速 度 や 普 及 経 路 には 違 いがあると 思 われる そうした 語 による 違 いは 前 述 の 関 連 用 語 の 整 理 にも 貢 献 するであろう このように 若 者 語 の 実 態 の 解 明 は 都 市 の 言 語 ひいては 全 国 共 通 語 現 代 日 本 語 の 形 成 過 程 の 解 明 にもつながるものと 思 われる そのため 本 研 究 では 全 国 の 大 学 生 を 対 象 に 実 施 した 全 国 若 者 語 調 査 の 調 査 結 果 から 若 者 語 の 使 用 実 態 について 考 察 する
150 2. 全 国 若 者 語 調 査 2.1 調 査 準 備 全 国 若 者 語 調 査 は 専 修 大 学 文 学 部 日 本 語 学 科 ゼミナールⅡ Ⅲの 演 習 において 授 業 の 一 環 として 計 画 実 施 したものである 調 査 票 の 作 成 においては 以 下 のような 点 を 重 視 した 1 現 在 使 用 されている 代 表 的 な 若 者 語 について 主 にその 普 及 状 況 について 考 察 する ( 一 部 かつての 若 者 語 についても 調 べ 衰 退 状 況 についても 考 察 する) 2 若 者 語 の 使 われ 方 について 意 味 や 接 触 頻 度 などとの 関 係 で 分 析 する 3 東 京 語 化 関 西 弁 化 などと 呼 ばれる 大 都 市 圏 の 言 語 の 全 国 への 影 響 について 若 者 語 の 視 点 から 分 析 する 4 携 帯 電 話 インターネットで 使 用 される 語 の 話 しことばや 書 きことばへの 影 響 を 分 析 する 調 査 項 目 は ゼミナール 所 属 の 学 生 が 収 集 した 若 者 語 を 元 に 授 業 中 および 夏 季 休 暇 中 に 検 討 を 重 ね 2011 年 10 月 に 仮 調 査 票 が 完 成 した 2.2 調 査 の 実 施 調 査 期 間 調 査 対 象 は 調 査 依 頼 のしやすさを 考 慮 して 大 学 生 とした 調 査 概 要 は 以 下 のとおりである 調 査 期 間 :2011 年 10 月 ~2012 年 6 月 試 行 調 査 :2011 年 10 月 本 調 査 :2011 年 11 月 ~2012 年 2 月 追 加 調 査 :2012 年 5 月 ~6 月 調 査 対 象 :35 大 学 2762 人 2011 年 10 月 に 完 成 した 仮 調 査 票 による 試 行 調 査 を 2 大 学 で 実 施 した そして 問 題 点 を 修 正 したのち 全 国 の 大 学 の 協 力 者 に 調 査 依 頼 をした 本 調 査 は 2011 年 11 月 から 翌 年 2 月 にかけて 実 施 したが 年 度 末 に 近 かったこともあり 調 査 票 の 回 収 中 に 専 修 大 学 での 授 業 が 終 了 してしまった そのため 国 立 国 語 研 究 所 の 共 同 研 究 プロ ジェクトで 調 査 研 究 を 継 続 することとなった 2012 年 3 月 には 共 同 研 究 プロジェクトの 研 究 発 表 会 にて 調 査 の 中 間 報 告 をおこない さらに 協 力 者 を 得 て 2012 年 度 も 調 査 を 継 続 することとな った 最 後 の 調 査 (2012 年 6 月 )は 試 行 調 査 から 8 か 月 が 経 過 しており 流 行 語 的 性 格 の 強 い 語 に 関 しては 注 意 して 分 析 する 必 要 がある
151 2.2.2 調 査 項 目 調 査 項 目 は 以 下 の 9 問 から 構 成 される 調 査 票 は 本 文 末 の 資 料 を 参 照 してほしい 問 1 有 名 な 若 者 語 ( 使 用 度 使 用 意 識 ) 問 2 程 度 をあらわす 語 携 帯 電 話 用 語 ( 語 形 選 択 ) 問 3 方 言 項 目 ( 語 形 選 択 ) 問 4 程 度 を 表 す 語 の 強 さ( 順 位 づけ) 問 5 意 味 が 逆 になる 語 の 用 法 ( 使 用 度 規 範 意 識 ) 問 6 店 舗 名 の 省 略 と 動 詞 化 ( 語 形 選 択 ) 問 7 インターネット 用 語 ( 使 用 場 面 選 択 ) 問 8 言 語 生 活 言 語 意 識 項 目 問 9 フェイスシート 本 研 究 では 分 析 に 地 理 的 観 点 を 重 視 したため 詳 細 な 言 語 地 図 を 作 成 することができるよう に 問 9 のフェイスシートの 生 育 地 の 質 問 において 詳 細 な 地 域 までたずねた この 点 について は 後 述 する 生 育 地 言 語 地 図 を 作 成 するにあたり 地 図 上 の 記 号 の 位 置 となる 生 育 地 の 精 度 は もっとも 重 要 な 部 分 である 本 研 究 においては 言 語 形 成 期 にあたる 5 歳 から 15 歳 までに 最 も 長 く 住 んでいた 場 所 を 生 育 地 とみなした 生 育 地 の 住 所 については 個 人 情 報 にあたることやアンケート 調 査 であることを 考 慮 すれば 市 区 町 村 単 位 までが 妥 当 と 思 われるが あえて 大 字 単 位 ( 丁 目 や 番 地 などの 数 字 の 前 の 部 分 まで) までとした 実 際 生 育 地 の 回 答 に 抵 抗 を 覚 える 人 は 多 く 全 回 答 者 2762 人 中 大 字 単 位 までの 回 答 は 1273 人 (46%)にとどまった ただし 全 国 規 模 の 地 図 においては 市 区 町 村 単 位 でも 問 題 ないと 考 え られるため 市 区 町 村 単 位 まで 回 答 した 646 人 (23%)も 採 用 とした そのため 1919 人 (69%) が 採 用 となった 本 研 究 では 都 道 府 県 名 しか 書 いていない 回 答 は 不 採 用 としたが 都 道 府 県 別 の 集 計 をする 場 合 には 採 用 可 能 である 地 図 を 作 成 するためには 生 育 地 の 住 所 データを 緯 度 経 度 データに 変 換 しなければならな い そのため 大 西 ほか(2011)や 鑓 水 (2011)などで 使 用 されている 東 京 大 学 空 間 情 報 科 学 研 究 セ ンターによる CSIS シンプルジオコーディング 実 験 のサービスを 利 用 した 住 所 の 文 字 列 を 入 力 すると 緯 度 経 度 の 数 値 が 出 力 される 今 回 の 調 査 では 市 区 町 村 単 位 までの 回 答 が 多 くあったが この 場 合 市 区 町 村 の 役 所 ( 役 場 ) の 緯 度 経 度 が 出 力 される 1 広 域 の 市 区 町 村 の 場 合 は 回 答 者 の 本 来 の 生 育 地 から 大 きく 離 れる ことがあるため 地 図 を 詳 細 に 見 る 場 合 は 注 意 しなければならない 1 同 一 市 町 村 内 に このような 回 答 者 が 複 数 いる 場 合 でも 記 号 はすべて 役 所 ( 役 場 )の1 点 に 重 なってプロットされ てしまう 逆 にそのために 分 析 において 都 市 中 心 部 に 分 布 が 集 中 している といったような 誤 解 は 起 きにくい
152 2.3 言 語 地 図 の 作 成 作 図 方 法 本 研 究 は 地 理 的 観 点 からの 分 析 をおこなうため 結 果 は 言 語 地 図 によって 出 力 した 地 図 は 自 作 プログラムによって 出 力 した 地 図 データには 岡 本 義 雄 氏 ( 大 阪 教 育 大 学 ) 作 成 の 日 本 列 島 海 岸 線 データ& 県 境 データ を 加 工 して 利 用 した 地 図 の 図 法 には もっとも 単 純 な 緯 度 経 度 をそのまま 座 標 に 置 き 換 えた 正 距 円 筒 図 法 を 採 用 した 紙 面 の 都 合 で 北 海 道 と 島 嶼 部 は 大 きく 移 動 しているが 小 笠 原 諸 島 ほか 今 回 の 調 査 で 生 育 地 としての 回 答 者 がいなかった 一 部 の 島 嶼 部 については 地 図 から 省 略 した 地 図 の 特 徴 地 図 は 全 国 地 図 のほかに 詳 細 図 を 作 成 した 詳 細 図 は 回 答 者 が 多 く 記 号 が 密 集 して 判 別 困 難 になる 首 都 圏 と 中 京 関 西 圏 ( 以 下 関 西 圏 とする)の2 地 域 で 作 成 したが 他 にも 全 国 地 図 では 地 点 が 密 集 している 地 域 がある また 属 性 別 集 計 で 性 差 がみられる 項 目 が 多 かったため 男 女 別 の 地 図 も 作 成 した 採 用 回 答 中 の 性 別 の 内 訳 は 男 性 689 人 女 性 1190 人 と 女 性 の 割 合 が 高 い 地 図 を 性 別 で 比 較 する 場 合 は 男 女 の 地 点 密 度 が 異 なる 点 を 注 意 して 見 る 必 要 である 質 問 項 目 には 自 由 記 述 はほとんどなく 大 半 が 提 示 語 形 に 関 して 使 用 不 使 用 の 選 択 でたず ねているため 記 号 化 は 単 純 である 地 図 の 記 号 は 基 本 的 に 使 用 回 答 には を 不 使 用 回 答 ( 未 選 択 回 答 も 含 む)には \ と 割 り 当 てている 地 図 の 注 意 点 本 研 究 における 地 図 は 一 般 の 言 語 地 図 と 比 較 して いくつかの 点 で 注 意 が 必 要 である 地 図 記 号 が 表 示 されている 地 点 は その 地 点 で 生 育 した 人 の 回 答 である これは 伝 統 的 言 語 地 図 にお ける はえぬき とは 異 なり 転 居 歴 がある 人 も 多 く 含 んでいる 5 歳 から 15 歳 としたのは 言 語 が 固 定 化 される 言 語 形 成 期 という 考 えにもとづいているが 16 歳 以 後 に 転 居 した 人 や 遠 くの 大 学 に 進 学 した 人 の 場 合 その 後 の 言 語 習 得 により 回 答 が 生 育 地 にいた 頃 とは 異 なる 可 能 性 もある また 地 点 は 回 答 者 の 生 育 地 によるため 全 国 均 一 にはならない 地 域 により 地 点 の 密 度 が 大 きく 異 なっており 特 に 大 都 市 は 回 答 者 の 生 育 地 が 多 く 地 点 密 度 が 高 い そのため たとえ 使 用 率 が 低 くても 使 用 者 数 は 多 くなり 分 析 時 に 惑 わされる 可 能 性 がある 分 布 の 読 み 取 り 時 には 特 に 注 意 しなければならない 地 図 については 全 ての 項 目 ではないが 鑓 水 (2013)として 刊 行 した 2 2 鑓 水 (2013)は インターネット 上 でも PDF ファイルとしてダウンロード 可 能 である ( 最 終 閲 覧 日 :2013 年 12 月 10 日 )
153 3. 分 析 3.1 全 国 規 模 の 地 域 差 関 西 圏 中 心 の 分 布 永 瀬 (2006)の 若 者 語 の 全 国 地 図 でも 明 らかなように 若 者 語 にも 地 理 的 差 異 が 存 在 する ここ では 全 国 地 図 でみても 分 布 領 域 が 明 確 な 使 用 地 域 の 限 定 された 語 について 述 べる 図 1 は マクド (マクドナルド) 図 2 は セブイレ (セブンイレブン)の 地 図 である ど ちらも 店 舗 名 の 略 称 だが 使 用 回 答 は 関 西 地 方 に 集 中 している 他 の 地 域 ではほとんど 使 用 者 が いないため 現 代 の 関 西 方 言 になっているといえるだろう マクド は 関 東 でも 有 名 な 関 西 方 言 で わずかに 使 用 者 がいるが 普 及 しているとはいえない セブイレ も 関 西 地 方 中 心 だが マクド と 比 較 して 四 国 地 方 に 広 がっておらず 分 布 領 域 が 狭 い しかし これは 調 査 時 点 ではセブンイレブンが 四 国 地 方 に 出 店 していなかったことと 関 係 していると 思 われる 四 国 地 方 では 全 国 的 に 使 用 されている セブン が 回 答 されている セブンイレブンの 店 舗 はないため 使 用 機 会 が 少 なく メディア 等 から 東 京 で 使 用 される 略 称 が 広 まっているものと 思 われる しかし 2013 年 3 月 より 香 川 県 徳 島 県 にセブンイレブンの 出 店 が 始 まった 実 際 の 店 舗 の 利 用 が 始 まり 店 舗 名 の 使 用 機 会 が 増 加 することで 関 西 地 方 に 近 い 両 県 では 関 西 式 の セブイ レ の 影 響 を 受 けやすくなると 思 われる セブイレ が 四 国 地 方 に 普 及 することで マクド の 分 布 領 域 と 同 じようになる 可 能 性 があるだろう 首 都 圏 中 心 の 分 布 図 3 は おこ ( 怒 った 状 態 )の 地 図 である 全 国 的 に 使 用 者 が 非 常 に 少 なく 関 東 南 部 にわ ずかに 分 布 しているだけである 現 時 点 (2013 年 )では テレビでも 紹 介 されて 有 名 になった 語 だ が 2011 年 当 時 は 授 業 における 学 生 のコメントでも 妹 が 使 用 する 中 高 生 で 聞 く といっ たように 大 学 生 には 広 がっていなかったと 思 われる また おこ は Twitter などインター ネット 上 での 使 用 が 多 いとされるが 調 査 票 での 選 択 肢 は 口 頭 表 現 としての 使 用 をたずねている ため 使 用 回 答 が 少 なくなった 可 能 性 もある 若 者 語 は 中 心 都 市 での 普 及 が 進 むと メディアなどを 経 由 して 急 速 に 拡 散 する 傾 向 がある そのため 使 用 率 が 非 常 に 低 い 状 態 の 地 理 的 分 布 をとらえられたことは 貴 重 である さらに 東 京 から 発 信 される 語 において 普 及 初 期 段 階 において 東 京 都 区 部 とその 周 辺 のみという 狭 い 分 布 が 存 在 することを 確 認 できたのは 語 の 普 及 過 程 の 研 究 においても 意 義 があると 思 われる 今 回 の 調 査 では おこ のほかにも 使 用 回 答 が 首 都 圏 を 中 心 に 分 布 する 項 目 が 多 く 確 認 でき た 東 京 は 日 本 の 情 報 発 信 の 中 心 地 であり 若 者 語 が 首 都 圏 中 心 の 分 布 となることは 予 想 できる しかし 今 回 の 調 査 項 目 は 神 奈 川 県 川 崎 市 に 立 地 する 大 学 に 通 学 する 学 生 が 収 集 した 語 で 構 成 されており 調 査 結 果 に 強 く 影 響 していると 思 われる 今 後 は 他 地 域 特 に 関 西 で 使 用 される 語 についての 全 国 規 模 の 調 査 が 必 要 だと 思 われる
154 図 1 マクド (マクドナルド)の 全 国 地 図
155 図 2 セブイレ (セブンイレブン)の 全 国 地 図
156 図 3 おこ ( 怒 った 状 態 )の 全 国 地 図
157 3.2 中 心 部 から 周 辺 部 への 伝 播 各 地 方 の 中 心 部 への 普 及 若 者 語 のように 普 及 速 度 の 速 い 語 は 変 化 の 状 態 をとらえることが 難 しい 一 定 の 分 布 領 域 を 持 っていた 状 態 から 広 域 に 普 及 して 分 布 領 域 が 失 われていく 過 程 について 把 握 する 必 要 がある そのため 普 及 の 段 階 と 地 理 的 分 布 の 関 係 について さらに 事 例 を 分 析 する 図 4 は あげぽよ ( 気 分 が 高 揚 した 状 態 )の 全 国 地 図 である 流 行 語 項 目 は 選 択 肢 が 他 の 項 目 より 細 かく 現 在 の 使 用 と 過 去 の 使 用 とを 分 けている しかし 地 図 では 二 つの 選 択 肢 を 合 わ せて 表 示 している あげぽよ は 2010 年 頃 に 全 国 的 に 有 名 になった 若 者 語 であり 調 査 票 作 成 時 (2011 年 春 ) に もっとも 多 くの 学 生 が 調 査 項 目 の 候 補 にあげた 語 である そのためすでに 全 国 に 普 及 してお り どの 地 域 で 使 われ 始 めたかについては 一 見 するとわからない しかし 図 をよくみると 全 国 に 広 がったとはいえ 多 くの 地 域 で 都 市 の 中 心 部 に 使 用 者 が 集 中 しており 周 辺 部 では 使 用 が 少 ないようにみえる そのため 詳 細 図 をみることにする 図 5 は 首 都 圏 図 6 は 関 西 圏 ( 中 京 圏 も 表 示 されている)の 詳 細 図 である 厳 密 ではないが 首 都 圏 には 東 京 特 別 区 を 中 心 とした 地 域 を 関 西 圏 には 大 阪 市 を 中 心 とした 地 域 をそれぞれ 線 で 囲 んだ( 図 6 では 名 古 屋 市 周 辺 についても 囲 んだが 大 阪 市 周 辺 よりも 回 答 者 数 が 少 ないため 他 の 関 西 圏 の 詳 細 図 では 囲 んでいない) 図 5 をみると 首 都 圏 では 使 用 者 が 広 く 分 布 しているが 広 域 にみると 首 都 圏 周 辺 部 の 山 梨 県 長 野 県 栃 木 県 茨 城 県 などで 使 用 者 が 少 ないことがわかる また 図 6 でも 大 阪 市 や 神 戸 市 と いった 大 阪 湾 に 近 い 都 市 では 使 用 者 が 多 く 海 岸 から 離 れた 内 陸 部 山 陰 地 方 では 使 用 者 が 少 な い 同 様 に 名 古 屋 市 でも 中 心 部 は 使 用 者 が 多 いが 周 辺 地 域 では 少 ない さらに 図 4 の 全 国 地 図 にもどって 九 州 地 方 をみると 福 岡 市 や 北 九 州 市 では 使 用 者 が 多 いが 福 岡 県 南 部 や 大 分 県 熊 本 県 では 少 ない このほか 富 山 県 や 高 知 県 など 回 答 者 の 多 い 地 域 をみても 使 用 者 が 中 心 部 ( 県 庁 所 在 地 )に 多 く 周 辺 部 に 少 ないようにみえる 以 上 から あげぽよ の 使 用 者 の 地 理 的 分 布 は 都 市 の 中 心 部 において 早 く 普 及 し 周 辺 部 には 遅 く 普 及 するという 周 圏 的 な 分 布 といえるだろう 各 地 域 で 中 心 部 と 周 辺 部 に 差 があるよ うな 分 布 を 地 理 的 分 布 ととらえるかは 議 論 があると 思 われるが まとまった 分 布 領 域 が 存 在 する という 点 で 地 理 的 分 布 とみなすことにする 3 また 都 市 中 心 部 に 使 用 者 が 多 いということは 単 に 人 口 の 多 い 中 心 部 に 回 答 者 数 が 多 いだけ で 周 辺 部 では 回 答 者 一 人 が 占 める 割 合 が 大 きいため 統 計 的 検 定 では 誤 差 の 範 囲 内 に 入 ってし まう 可 能 性 もある 一 方 で 人 口 密 度 が 高 い 地 域 は 人 々の 接 触 も 多 い 地 域 であり 伝 播 が 進 み やすい 条 件 がある そのため 使 用 率 が 低 くても 使 用 者 の 絶 対 数 が 多 いため 接 触 確 率 が 高 くな る 数 量 的 分 析 を 行 う 際 には 回 答 地 点 の 人 口 密 度 など 人 々の 接 触 を 考 慮 した 分 析 が 必 要 であ ろう 3 生 育 地 の 都 市 規 模 による 差 と 考 えれば 社 会 的 属 性 による 差 とみなすこともできる しかし 地 伝 いによる 伝 播 の 側 面 も あるため 言 語 地 理 学 における 方 言 周 圏 論 とあわせて 検 討 する 必 要 があるだろう
158 図 4 あげぽよ ( 気 分 が 高 揚 した 状 態 )の 全 国 地 図
159 図 5 あげぽよ ( 気 分 が 高 揚 した 状 態 )の 地 図 ( 首 都 圏 ) 図 6 あげぽよ ( 気 分 が 高 揚 した 状 態 )の 地 図 ( 関 西 圏 )
160 3.2.2 大 都 市 間 の 相 互 伝 播 若 者 語 には 各 地 域 の 大 都 市 の 中 心 部 で 早 く 普 及 し 周 辺 部 には 遅 く 伝 わるパターンがあるこ とがわかった このことは 全 国 各 地 に 中 心 部 から 各 種 メディアを 経 由 して 直 接 伝 播 するのでは なく いったん 近 隣 の 中 核 都 市 に 伝 播 してから その 周 辺 部 に 広 がるという 階 層 的 な 伝 播 になっ ていることを 表 わしている 中 心 部 となる 都 市 の 規 模 が 大 きい 場 合 には 相 互 に 影 響 を 与 え 合 う 可 能 性 もある ここでは 日 本 の 二 大 都 市 圏 である 首 都 圏 と 関 西 圏 の 相 互 影 響 についてみてみる 図 7 は 関 西 方 言 である オモンナイ ( 面 白 くない)の 首 都 圏 での 使 用 を 図 8 は 関 東 方 言 である イーンジャネ? (いいんじゃない?)の 関 西 圏 での 使 用 を 示 した 地 図 である どちらも 若 年 層 で 多 く 使 用 される 語 とはいえ 他 地 域 の 方 言 であることもあり あまり 多 く 使 用 されていない しかし どちらも 地 域 の 中 心 部 にも 一 定 数 の 使 用 者 がいることがわかる 4 大 都 市 間 において それぞれの 都 市 の 中 心 部 同 士 で 互 いに 影 響 を 与 え 合 っている ということが 観 察 できる 大 都 市 の 中 心 部 は 単 に 人 口 密 度 が 高 いだけでなく 他 地 域 からの 滞 在 者 や 移 住 者 が 多 い そ うした 他 地 域 の 人 々との 交 流 によって 自 然 と 他 地 域 の 言 語 的 影 響 を 受 けていると 思 われる こ れは 都 市 の 言 語 が 複 雑 化 する 要 因 の 一 つといえるだろう 3.3 属 性 差 に 含 まれる 地 域 差 男 性 のみに 現 れる 地 域 差 本 研 究 では 地 理 的 分 布 を 重 視 しているが 若 者 語 の 普 及 は 地 理 的 要 因 ばかりではない 属 性 差 や 個 人 差 が 主 要 因 であることも 多 いと 思 われる 表 1 は 携 帯 電 話 用 語 の 項 目 に 関 する 男 女 差 である ほとんどの 語 で 男 性 より 女 性 の 使 用 率 が 高 いことがわかる 地 理 的 分 布 をみると 携 帯 電 話 項 目 は 地 域 差 が 明 確 ではない これは 地 域 差 よりも 性 差 の 要 因 が 大 きいことが 原 因 であると 思 われる ここでは 関 西 圏 における 着 拒 ( 着 信 拒 否 )の 地 図 をとりあげる 図 9 は 関 西 圏 における 着 拒 の 地 図 である やや 中 心 部 に 使 用 者 が 多 いように 思 えるが 地 点 密 度 の 関 係 もあるため この 図 では 地 域 差 はわかりにくい つづいて 男 女 別 にした 地 図 を 図 10 図 11 に 示 す 使 用 が 進 んでいる 女 性 ( 図 10)の 地 域 差 は 図 8 よりも 分 布 が 明 確 でなくなったが 使 用 が 遅 れている 男 性 ( 図 11)は 大 阪 市 ほか 沿 岸 部 の 大 都 市 に 集 中 して 分 布 していることがわかる 伝 播 の 方 向 が 中 心 部 から 周 辺 部 に 進 むとすれば 着 拒 の 男 性 の 分 布 は 今 後 女 性 の 分 布 の ように 移 行 することが 予 想 される すでに 首 都 圏 では 男 女 とも 中 心 部 周 辺 部 の 差 がなく これ ら 共 時 的 な 言 語 地 図 の 中 の 各 状 態 は 言 語 変 化 の 各 段 階 として 読 み 取 ることができる 4 関 西 で 生 育 したが 関 東 の 大 学 に 入 学 している というような 生 育 地 と 現 住 地 が 異 なる 移 住 者 の 影 響 が 出 ている 可 能 性 がある たしかに 移 住 者 を 含 んでいる 言 語 地 図 では 明 確 な 分 布 になりづらいともいえる この 点 については 別 稿 にて 論 じる 予 定 である
161 図 7 オモンナイ ( 面 白 くない)の 地 図 ( 首 都 圏 ) 図 8 イーンジャネ (いいんじゃない?)の 地 図 ( 関 西 圏 )
162 表 1 携 帯 電 話 用 語 の 使 用 率 語 意 味 男 (%) 女 (%) 携 番 携 帯 電 話 番 号 知 ら 番 知 らない 電 話 番 号 2 2 家 (イエ) 電 固 定 電 話 鬼 電 頻 繁 に 電 話 をすること アド 変 携 帯 メールアドレス 変 更 着 拒 着 信 拒 否 図 9 着 拒 ( 着 信 拒 否 )の 地 図 ( 関 西 圏 )
163 図 10 着 拒 ( 着 信 拒 否 )の 地 図 ( 関 西 圏 女 性 ) 図 11 着 拒 ( 着 信 拒 否 )の 地 図 ( 関 西 圏 男 性 )
164 3.3.2 女 性 にあらわれる 地 域 差 つづいて インターネットから 一 般 に 広 がっている ワンチャン (もしかしたら~かもしれ ない)の 分 布 をみる ワンチャン は 元 は 麻 雀 用 語 ともゲーム( 格 闘 ゲーム) 用 語 ともいわ れ 主 にインターネットで 発 展 した 語 である 達 成 する 期 待 を 含 んだ 可 能 性 についての 表 現 であ るが インターネットから 大 学 のサークルなどに 広 がった 結 果 用 法 が 多 岐 に 変 化 した 5 いわ ば 若 者 語 らしい 語 である 全 国 使 用 率 は 15%とあまり 高 くないが 全 国 的 に 広 がっており 地 域 差 がわかりにくい しかし 首 都 圏 の 詳 細 図 ( 図 12)と 関 西 圏 の 詳 細 図 ( 図 13)を 比 較 すると 首 都 圏 のほうが 使 用 者 が 多 いことがわかる 首 都 圏 全 体 でみると 東 京 都 を 中 心 とした 分 布 になっていることがわかる しかし 性 別 の 使 用 率 では 男 性 が 27% 女 性 が 8%と 3 倍 以 上 の 開 きがあり 性 差 の 大 きい 語 であることがわかる 特 に 女 性 の 使 用 率 が 低 いことから 普 及 初 期 段 階 ではないかと 予 想 し 首 都 圏 の 詳 細 図 を 男 性 ( 図 14)と 女 性 ( 図 15)とに 分 けて 作 成 した 男 女 の 地 図 を 比 較 すると 男 性 では 地 域 差 が 失 われている 一 方 で 女 性 においては 首 都 圏 中 心 部 とくに 東 京 都 中 心 の 分 布 になっている 男 女 の 区 別 がない 図 12 の 首 都 圏 の 地 図 においても 地 域 差 があるようにみえるが 図 15 のように 女 性 だけに 限 定 すれば より 明 確 になる 調 査 時 点 で 男 性 の 使 用 者 がすでに 広 域 に 分 布 していたためだということがわかる ワンチャン の 地 理 的 分 布 のように 一 見 地 域 差 が 明 確 でないような 場 合 でも 属 性 別 の 地 図 を 作 成 すると 地 域 差 があらわれることがある 本 研 究 では 地 理 的 差 異 を 中 心 に 分 析 しているが 若 者 語 には 流 行 語 や 集 団 語 的 性 格 があり 属 性 からの 分 析 は 不 可 欠 である 地 理 的 な 分 析 するためには どうしても 地 図 作 成 という 他 の 集 計 とは 別 の 作 業 が 必 要 となる しかし たとえ 属 性 差 が 主 要 因 であったとしても 2 番 目 以 降 の 要 因 として 地 域 差 が 関 係 する 可 能 性 もある 若 者 語 の 複 雑 な 動 態 をとらえる 上 で 地 域 差 からの 分 析 は 不 可 欠 であると 思 われる 5 ワンチャンス が 語 源 であり もとは 実 現 可 能 性 が 低 い 事 象 に 対 して 望 みをつなぐような 意 味 であったと 思 われる しかし 普 及 するにつれて 実 現 可 能 性 の 上 昇 ( 推 量 に 近 い)や 意 味 の 限 定 ( 男 女 関 係 のみ) 統 語 的 位 置 の 移 動 (ワン チャン ワンチャン)など さまざまな 方 向 への 変 化 が 報 告 されている
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