中国事業のOUT-OUT取引からの利益回収スキームの検討【前編】

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1 AZ Insight AZSA / KPMG Newsletter May 2012 Featuring: 海外トピック 中国事業のOUT OUT取引からの 利益回収スキームの検討 前編 Volume 51

2 AZ Insight Vol.51 / May 中 国 事 業 のOUT OUT 取 引 からの 利 益 回 収 スキームの 検 討 - 移 転 価 格 の 観 点 から- 前 編 KPMG 中 国 上 海 事 務 所 グローバル 移 転 価 格 サービス パートナー 大 谷 泰 彦 ( 監 修 ) マネジャー 楊 揚 アシスタント マネジャー 恒 川 裕 伊 日 本 企 業 の 中 国 事 業 モデルの 中 で 中 国 の 製 造 会 社 (OUT)が 製 造 した 製 品 を 海 外 の 販 売 会 社 経 由 もしくは 製 造 会 社 から 直 接 に 海 外 の 顧 客 (OUT) へ 販 売 する 取 引 (OUT-OUT 取 引 )が 増 えています 本 稿 では 移 転 価 格 の 観 点 から OUT-OUT 取 引 モデルにおける 基 本 的 な 利 益 回 収 方 法 である ロイヤルティ サービス 費 配 当 および 利 息 の 4 種 類 の 方 法 について 検 証 します 前 編 において まず それぞれの 検 討 対 象 スキームにかかわる 中 国 での 課 税 関 係 移 転 価 格 関 連 規 定 送 金 手 続 の 法 規 定 等 を 整 理 し 次 に 検 討 対 象 スキームにおけるグループ 全 体 の 税 負 担 を 分 析 します 後 編 では 中 国 の 移 転 価 格 税 制 および 最 新 の 執 行 動 向 に 基 づき ロイヤルティ 支 払 に 関 す る 実 務 上 の 注 意 点 を 指 摘 します なお 文 中 意 見 に 関 する 部 分 は 筆 者 の 私 見 であることをお 断 りしておきます おおたに 大 やすひこ 谷 泰 彦 KPMG 中 国 上 海 事 務 所 グローバル 移 転 価 格 サービス パートナー ポイント 日 本 企 業 の 中 国 事 業 において OUT-OUT 取 引 が 増 加 するとともに 中 国 市 場 で 得 た 超 過 利 益 が 中 国 子 会 社 に 滞 留 するケースが 増 えてい る その 結 果 日 本 本 社 の 研 究 投 資 費 用 が 不 足 したり 移 転 価 格 課 税 寄 付 金 課 税 のリスクが 高 まる 可 能 性 がある このため 中 国 子 会 社 から 本 社 に 帰 属 すべき 利 益 を 円 滑 に 回 収 するスキームの 構 築 がグ ループの 事 業 拡 大 および 移 転 管 理 にとって 不 可 欠 である 中 国 事 業 の OUT-OUT 取 引 モデルにおける 基 本 的 な 利 益 回 収 方 法 は ロイヤルティ サービス 費 配 当 および 利 息 の4 種 類 の 方 法 が ある その 中 でグループ 全 体 の 税 負 担 が 最 も 軽 減 される 方 法 を 選 択 するた めには 中 国 の 関 連 法 規 定 および 日 中 租 税 条 約 に 定 められる 課 税 関 係 移 転 価 格 規 制 送 金 規 制 等 および 最 新 の 実 務 を 踏 まえた 上 で 企 業 の 状 況 に 応 じたシミュレーションを 行 う 必 要 がある ヤン 楊 ヤン 揚 KPMG 中 国 上 海 事 務 所 マネジャー つねかわ 恒 ゆ い 川 裕 伊 KPMG 中 国 上 海 事 務 所 アシスタント マネジャー

3 2 AZ Insight Vol.51 / May 2012 Ⅰ. はじめに 日 本 企 業 による 中 国 への 直 接 投 資 は 生 産 販 売 拠 点 の 中 国 への 移 管 を 中 心 としており 研 究 開 発 市 場 開 拓 ブランド 管 理 などの 高 付 加 価 値 機 能 は 依 然 として 本 社 に 留 保 する 形 を 取 っていることが 多 いです 中 国 の 生 産 販 売 子 会 社 は 本 社 の 所 有 する 技 術 商 標 などの 無 形 資 産 を 活 用 し 中 国 市 場 で 利 益 を 得 ます 本 社 は その 利 益 の 一 部 を 回 収 し 新 たな 研 究 開 発 や 市 場 開 拓 などの 投 資 案 件 に 投 入 することによって グループ 全 体 の 利 益 率 を 上 げます 従 来 は 海 外 製 造 会 社 ( O U T )が 製 造 した 製 品 を 日 本 の 本 社 (IN)が 一 旦 買 い 戻 してから(OUT-IN 取 引 ) 販 売 会 社 を 経 由 で 最 終 顧 客 に 販 売 するモデ ルが 多 く 見 られました しかし グロー バル 化 の 進 展 に 伴 い 顧 客 の 要 望 や ビジネスの 効 率 化 等 の 要 請 から 海 外 製 造 会 社 (OUT)が 製 造 した 製 品 を 海 外 の 販 売 会 社 経 由 もしくは 製 造 会 社 から 直 接 に 海 外 の 顧 客 ( O U T)へ 販 売 する 取 引 (OUT-OUT 取 引 )が 増 えて います その 結 果 従 前 のOUT-IN 取 引 では 製 品 の 売 買 価 格 設 定 を 通 じ 本 社 の 負 担 した 研 究 投 資 などの 諸 費 用 が 回 収 できていたものが OUT-OUT 取 引 では 日 本 本 社 の 回 収 ルートが 失 わ れてしまいます すなわち 原 材 料 など の 有 形 資 産 売 買 だけでは 日 本 企 業 の 海 外 利 益 を 本 社 に 十 分 に 還 流 させるこ る 中 国 の 法 規 定 を 利 益 回 収 を 考 える とが 困 難 になりつつあります また 中 上 で 重 視 すべき 納 税 申 告 義 務 移 転 国 では 外 国 企 業 への 非 貿 易 送 金 が 価 格 税 制 および 外 貨 送 金 の3つのカ 税 務 外 国 為 替 管 理 の 両 面 から 厳 格 テゴリから 整 理 します 以 下 それぞ に 管 理 されています その 結 果 中 国 れの 内 容 について 解 説 します 市 場 で 得 られた 超 過 利 益 が 中 国 子 会 社 に 滞 留 し 本 社 の 研 究 投 資 費 用 が 1. 中 国 での 納 税 申 告 義 務 不 足 するケースが 見 られます 一 方 日 本 では 寄 付 金 規 制 が 強 まず 検 討 対 象 スキ ームに お いて 化 され 本 社 が 海 外 子 会 社 への 各 種 親 会 社 が 子 会 社 から 得 る 収 入 につい 支 援 のコストを 回 収 していないとみなさ て 親 会 社 が 中 国 での 課 税 対 象 になっ れる 場 合 国 外 関 連 者 への 寄 附 金 とし ているか また 申 告 義 務 があるかにつ て そのコスト 相 当 額 の 損 金 算 入 が 否 いて 整 理 します 認 される 可 能 性 があります したがっ て 中 国 子 会 社 から 本 社 に 帰 属 すべ (1) 課 税 対 象 き 利 益 を 円 滑 に 回 収 するスキームの 構 中 国 の 企 業 所 得 税 の 課 税 対 象 は 築 がグループの 事 業 拡 大 および 移 転 価 居 住 者 企 業 ( 1) と 非 居 住 者 企 業 ( 2) 格 管 理 にとっては 不 可 欠 です に 区 分 されます 本 稿 で 検 討 する 回 収 以 下 移 転 価 格 の 観 点 から OUT- スキームにある 日 本 の 親 会 社 は 非 居 OUT 取 引 モデルにおける 基 本 的 な 利 住 者 企 業 に 該 当 します 益 回 収 方 法 である ロイヤルティ サー 非 居 住 者 企 業 は 中 国 国 内 源 泉 所 ビス 費 配 当 および 利 息 の 4 種 類 の 得 について 中 国 での 企 業 所 得 税 納 付 方 法 ( 以 下 検 討 対 象 スキ ーム とい 義 務 があります 企 業 所 得 税 実 施 条 例 う)について まず そ れ ぞ れ の 検 討 第 7 条 において 各 所 得 の 源 泉 地 基 準 対 象 スキームに 係 る 中 国 での 課 税 関 係 について 図 表 1のように 規 定 されてい 移 転 価 格 関 連 規 定 送 金 手 続 の 法 規 ます 定 等 を 整 理 します 図 表 1のとおり 検 討 対 象 スキーム のうち ロイヤルティ 利 息 および 配 当 のパッシブ インカムは 中 国 源 泉 の 所 得 Ⅱ. 検 討 対 象 スキームにかかわる 中 であり 中 国 での 納 税 義 務 があります 国 法 規 定 が サービス 費 については 海 外 で 役 務 提 供 を 行 う 場 合 中 国 源 泉 の 所 得 で 本 章 では 前 記 各 スキームにかかわ はないため 中 国 での 納 税 義 務 があり 図 表 1 各 所 得 の 源 泉 地 基 準 所 得 事 業 所 得 部 品 販 売 取 引 活 動 の 発 生 地 役 務 提 供 役 務 の 提 供 地 源 泉 地 基 準 パッシブ インカム 財 産 譲 渡 不 動 産 の 所 在 地 または 動 産 を 譲 渡 する 企 業 或 いは 機 構 場 所 の 所 在 地 投 資 資 産 譲 渡 は 投 資 先 企 業 の 所 在 地 株 式 利 子 および 配 当 等 の 権 益 性 投 資 所 得 所 得 を 分 配 する 企 業 の 所 在 地 利 息 所 得 賃 貸 料 所 得 ロイヤルティ 所 得 所 得 を 負 担 もしくは 支 払 う 企 業 あるいは 機 構 場 所 の 所 在 地 ( 1) 居 住 者 とは 中 国 の 法 律 に 基 づき 中 国 国 内 に 設 立 された 企 業 または 実 際 の 管 理 機 構 が 中 国 国 内 にある 企 業 を 指 す ( 2) 非 居 住 者 企 業 とは 外 国 ( 地 区 )の 法 律 法 規 に 基 づき 設 立 され かつ 実 際 の 管 理 機 構 が 中 国 国 内 にないが 下 記 のいずれかに 該 当 する 企 業 を 指 す 中 国 国 内 に 機 構 拠 点 を 有 する 企 業 中 国 国 内 に 機 構 拠 点 はないが 中 国 源 泉 所 得 を 有 する 企 業

4 AZ Insight Vol.51 / May ません ただし 親 会 社 が 中 国 で 恒 久 的 施 設 ( 以 下 PE という)を 構 成 する と 認 定 された 場 合 役 務 提 供 の 対 価 は 中 国 での 事 業 所 得 とみなされ 納 税 義 務 ( 3) が 発 生 します すなわち PEは サービス 費 の 納 税 義 務 を 判 定 する 重 要 な 基 準 となります 日 中 租 税 条 約 における 恒 久 的 施 設 (PE)に 関 する 規 定 ( 日 中 租 税 条 約 第 5 条 ) 日 中 租 税 条 約 では PE に 該 当 す るものとして 事 業 の 管 理 の 場 所 支 店 事 務 所 工 場 作 業 場 等 の 企 業 がその 事 業 の 全 部 または 一 部 を 行 っている 一 定 の 場 所 が 列 挙 さ れる また 一 定 の 場 所 がなくて も 建 設 工 事 現 場 等 コンサルティ ング 役 務 の 提 供 および 日 本 企 業 に 代 わって 契 約 を 締 結 する 権 限 を 有 し 反 復 的 に 行 使 する 従 属 的 な 代 理 人 等 の 人 的 組 織 も PE に 該 当 す るものとして 規 定 されている 上 記 の 役 務 提 供 に 対 して 6 ヵ 月 の 時 間 基 準 が 設 けられている す なわち 日 本 企 業 が 同 様 の また は 関 連 するプロジェクトのために 中 国 に 人 員 を 派 遣 し エンジニア リングサービス 設 計 スーパー バイジングサービス 技 術 支 援 サー ビス 等 のコンサルティング 役 務 の 提 供 を 行 う 場 合 で そのコンサル ティング 役 務 の 提 供 期 間 が 任 意 の 12 ヵ 月 間 のうちの 6 ヵ 月 を 超 え るときは 中 国 における PE として 認 定 される 同 時 に これらのような 固 定 的 施 設 または 人 的 組 織 を 有 していて も その 活 動 内 容 が 本 社 のための 商 品 の 購 入 保 管 展 示 引 渡 し 現 地 での 情 報 収 集 その 他 準 備 的 または 補 助 的 な 性 格 の 活 動 である 場 合 は PE に 該 当 しないと 記 され ている 一 方 中 国 の 国 内 法 国 家 税 務 総 局 令 [ ]19 号 文 ( 4) で は 中 国 国 内 でコンサルティング 役 務 提 供 に 従 事 す る 非 居 住 者 企 業 に 中 国 での 納 税 義 務 があるとされています 租 税 条 約 の 優 遇 適 用 ( 6 ヵ 月 を 超 え た 場 合 の み P E と 認 定 )を 享 受 するためには 受 益 者 と して 認 定 されるとともに 税 務 当 局 へ の 登 録 も 義 務 付 けられています 受 益 者 認 定 については 国 税 函 [2009]601 号 文 ( 5) において 租 税 条 約 および 実 質 課 税 原 則 に 従 い 租 税 条 約 の 優 遇 適 用 の 申 請 者 に 関 する 一 般 原 則 および 挙 証 責 任 が 明 確 化 されま した 申 請 者 は 601 号 文 に 規 定 され ている 除 外 要 素 に 該 当 しないことを 証 明 できる 資 料 を 税 務 局 に 提 出 するよう 義 務 付 けられています 税 務 局 は 申 請 者 の 提 出 資 料 に 基 づき 評 価 を 行 いま す 号 文 に 定 められた 一 般 原 則 を 満 たさない 代 理 人 やトンネル 会 社 およ び 実 質 的 な 経 営 活 動 に 従 事 しない 申 請 者 は 優 遇 適 用 を 享 受 できない 可 能 性 があります また 非 居 住 者 企 業 は 租 税 条 約 に 基 づき 国 内 税 法 に 定 められる 納 税 義 務 の 免 除 および 低 減 を 享 受 する 際 に 規 定 に 基 づいて 審 査 または 届 け 出 手 続 きを 行 わなければならないとさ れています ( 6) ( 2) 税 務 登 記 申 告 義 務 上 記 では 検 討 対 象 スキームにおけ る 親 会 社 の 中 国 企 業 所 得 税 の 納 税 義 務 を 確 認 しました 続 いて 申 告 義 務 をまとめます 原 則 として 非 居 住 者 企 業 は 中 国 に 経 営 機 構 を 有 する 場 合 のみ 中 国 で 税 務 登 記 義 務 が あります ただし 経 営 機 構 が なくても P E を 構 成 する 場 合 は 税 務 登 記 義 務 があるとされています 国 家 税 務 総 局 令 [2009]19 号 文 中 国 国 内 において 請 負 工 事 およ び 役 務 提 供 を 行 う 非 居 住 企 業 は プロジェクトの 契 約 あるいは 協 議 の 締 結 日 から 30 日 以 内 に プロ ジェクト 所 在 地 の 主 管 税 務 機 関 で 税 務 登 記 手 続 きを 行 わなければな らない また プロジェクトが 終 了 してから 15 日 以 内 に プロジェ クト 所 在 地 の 主 管 税 務 機 関 で 税 務 登 記 の 抹 消 手 続 きを 行 わなければ ならない また 年 度 終 了 後 に 確 定 申 告 を 行 う 必 要 もあるとされて いる 一 方 非 居 住 者 に 工 事 あるいは 役 務 を 発 注 する 国 内 機 構 あるいは 個 人 は 契 約 締 結 日 から 30 日 以 内 に 所 在 地 の 主 管 税 務 機 関 に 対 し て その 発 注 した 工 事 あるいは 役 務 項 目 および 非 居 住 者 の 税 務 登 記 証 などの 情 報 を 書 面 にて 提 出 しな ければならない 契 約 書 が 変 更 さ れた 場 合 変 更 より 10 日 間 以 内 に 主 管 税 務 機 関 に 報 告 をしなければ ならない その 他 国 内 発 注 者 は 所 在 地 の 主 管 税 務 機 関 に 工 事 代 金 あるいは 役 務 代 金 の 支 払 い 状 況 も 報 告 しなければならない 一 方 税 務 申 告 については 所 得 の 性 格 および 中 国 での 機 構 の 有 無 に よって 取 扱 いが 異 なります すなわち 図 表 2のとおり 中 国 非 居 住 者 企 業 に よる 確 定 申 告 方 式 と 源 泉 徴 収 義 務 者 による 源 泉 徴 収 方 式 ( 7) が 取 られてい ます 源 泉 徴 収 義 務 者 が はじめて 非 居 住 者 企 業 と 関 連 する 契 約 を 締 結 する 場 合 契 約 締 結 日 から3 0 日 以 内 に 主 管 税 務 機 関 へ 企 業 所 得 税 源 泉 徴 収 契 約 保 管 登 記 表 と 契 約 書 のコピーお よびその 他 の 関 連 資 料 を 提 出 しなけれ ばなりません 関 連 する 契 約 書 の 修 正 ( 3) PE を 構 成 する 場 合 企 業 所 得 税 のほか PE に 帰 属 する 人 員 に 対 して 個 人 所 得 税 の 納 付 義 務 も 課 されるが 本 稿 では 企 業 所 得 税 に 分 析 対 象 を 限 定 する ( 4) 国 家 税 務 総 局 令 19 号 文 非 居 住 者 の 請 負 工 事 および 役 務 提 供 の 税 収 管 理 暫 行 弁 法 19 号 文 にいう 上 記 請 負 工 事 および 役 務 は それぞれ 建 築 据 え 付 け 組 み 立 て 内 装 修 繕 装 飾 調 査 と 中 国 内 での 加 工 修 理 輸 送 交 通 倉 庫 保 管 経 営 コンサル 設 計 文 化 体 育 技 術 サービス 教 育 教 練 旅 行 娯 楽 その 他 のサービスを 指 す ( 5) 国 税 函 [2009]601 号 文 租 税 条 約 上 の 受 益 者 の 解 釈 および 認 定 に 関 する 通 達 ( 6) 国 税 発 [2009]124 号 文 国 家 税 務 総 局 の 非 居 住 者 企 業 が 享 受 する 租 税 条 約 の 取 扱 いの 管 理 弁 法 ( 試 行 ) の 公 布 についての 通 知 ( 7) 国 税 発 [2009]3 号 文 非 居 住 者 企 業 所 得 税 源 泉 徴 収 管 理 暫 行 弁 法

5 4 AZ Insight Vol.51 / May 2012 補 充 あるいは 延 長 にも 同 じ 手 続 が 必 要 です そのほか ロイヤルティの 場 合 対 外 経 済 貿 易 部 門 ( 9) や 商 標 局 ( 10) などの 関 連 部 門 で 契 約 の 登 録 を 行 う 必 要 もあります 2. 移 転 価 格 税 制 検 討 対 象 スキームの 中 国 での 課 税 関 係 を 見 てきましたが 以 下 移 転 価 格 の 観 点 から 各 スキームに 対 して どの ような 法 規 定 が 設 けられているか 確 認 します (1) ロイヤ ル ティ 企 業 所 得 税 法 にいうロイヤルティとは 企 業 が 特 許 権 ノウハウ 商 標 権 著 作 権 およびその 他 特 許 権 の 使 用 権 を 提 供 して 取 得 した 収 入 を 指 します 日 中 租 税 条 約 にいうロイヤルティと は 文 学 上 美 術 上 もしくは 学 術 上 の 著 作 物 ( 映 画 フィルムおよびラジオ 放 送 用 またはテレビジョン 放 送 用 のフィルム またはテープを 含 む)の 著 作 権 特 許 権 商 標 権 意 匠 模 型 図 面 秘 密 方 式 もしくは 秘 密 工 程 の 使 用 もしく は 使 用 の 権 利 の 対 価 として 産 業 上 商 業 上 もしくは 学 術 上 の 経 験 に 関 する 情 報 の 対 価 として 受 領 するすべての 種 類 の 支 払 金 をいいます 2009 年 10 月 に 公 布 された 国 税 函 [ ] 号 文 によって 租 税 条 約 に あるロイヤルティ 条 約 の 定 義 が 明 確 化 されました すなわち 507 号 文 にお いて ロイヤルティとサービス 料 が 区 分 され 技 術 譲 渡 または 許 諾 と 同 時 に 補 助 的 な 技 術 サービスを 提 供 する 場 合 に おいて 技 術 サービスの 対 価 にロイヤ ルティの 関 連 規 定 を 適 用 するとされて います また 技 術 許 諾 の 過 程 におい て 許 諾 側 が 人 員 を 派 遣 し 当 該 技 術 の 使 用 に 対 して 関 連 のサポート 指 導 などのサービスを 提 供 する 場 合 以 下 の 状 況 を 考 慮 し サービス 部 分 の 対 価 の 性 格 および 租 税 条 約 の 適 用 を 判 断 す べきであるとされています 上 述 の 人 員 によるサービス 提 供 が 租 税 条 約 上 の PE を 構 成 しない 場 合 :ロイヤルティ 上 述 の 人 員 によるサービス 提 供 が 租 税 条 約 上 の PE を 構 成 する 場 合 : 事 業 所 得 さらに 2010 年 に 公 布 された 国 税 函 [2 010]4 6 号 文 において 上 記 規 定 がよ り 明 確 化 されました 4 6 号 文 では あ らかじめ 上 記 技 術 支 援 サービスの 期 間 を 確 定 できない 場 合 暫 定 的 にロイヤ ルティ 条 項 による 税 務 処 理 を 行 い PE 図 表 2 非 居 住 者 企 業 の 税 務 登 記 義 務 申 告 方 式 非 居 住 者 企 業 税 務 登 記 所 得 申 告 方 式 経 営 機 構 を 有 する 義 務 あり 事 業 所 得 非 居 住 者 企 業 による 確 定 申 告 ( 8) 機 構 と 実 質 的 な 関 連 のある パッシブ インカム 機 構 と 実 質 的 な 関 連 のない パッシブ インカム 非 居 住 者 企 業 による 確 定 申 告 源 泉 徴 収 義 務 者 による 源 泉 徴 収 経 営 機 構 を 有 しない かつ PEではない 経 営 機 構 を 有 しないが PE 認 定 あり 税 務 登 記 義 務 がない パッシブ インカム 源 泉 徴 収 義 務 者 による 源 泉 徴 収 義 務 あり 事 業 所 得 非 居 住 者 企 業 による 確 定 申 告 パッシブ インカム 源 泉 徴 収 義 務 者 による 源 泉 徴 収 図 表 3 ロイヤルティの 法 規 定 施 行 時 期 通 達 通 知 主 な 規 定 内 容 2008 年 1 月 1 日 中 華 人 民 共 和 国 主 席 令 63 号 法 令 中 華 人 民 共 和 国 企 業 所 得 税 法 ( 企 業 所 得 税 法 ) - 関 連 者 取 引 の 独 立 企 業 間 原 則 遵 守 2008 年 1 月 1 日 国 務 院 512 条 法 令 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 -ロイヤルティの 定 義 2008 年 1 月 1 日 国 税 発 [2009]2 号 文 国 家 税 務 総 局 特 別 納 税 調 整 実 施 弁 法 ( 試 行 ) の 公 布 に 関 する 通 達 2009 年 10 月 1 日 国 税 函 [2009]507 号 文 租 税 条 約 におけるロイヤルティ 条 項 の 執 行 上 の 問 題 に 関 する 通 知 2010 年 1 月 26 日 国 税 函 [2010]46 号 文 租 税 条 約 における 関 連 条 項 の 執 行 上 の 問 題 に 関 する 通 知 - 関 連 者 取 引 の 独 立 企 業 間 原 則 遵 守 - 租 税 条 約 に 定 めるロイヤルティの 定 義 の 明 確 化 - 技 術 サービス 費 がPEを 構 成 する 場 合 の 処 理 方 針 の 明 確 化 ( 8) 国 税 発 [2009]6 号 文 非 居 住 者 の 所 得 税 確 定 申 告 管 理 弁 法 ( 9) 商 務 部 令 2009 年 3 号 文 技 術 輸 出 輸 入 契 約 書 登 録 管 理 弁 法 技 術 契 約 については 契 約 が 効 力 を 生 じた 後 60 日 内 に 対 外 経 済 貿 易 部 門 へ 登 録 する 必 要 がある ( 10) 商 標 [1997]39 号 文 商 標 使 用 許 可 契 約 備 案 弁 法 商 標 契 約 については 契 約 が 効 力 を 生 じた 後 90 日 内 に 商 標 局 へ 登 録 する 必 要 がある

6 AZ Insight Vol.51 / May となったときに PEの 所 得 に 対 して 企 業 所 得 税 関 連 人 員 に 対 して 個 人 所 得 税 を 課 し あらかじめ 納 付 した 源 泉 所 得 税 との 間 で 調 整 を 行 うとされています ( 図 表 3 4 参 照 ) 中 国 当 局 は 近 年 ロイヤルティに 対 す る 関 心 を 高 め て い ま す 特 に ロ イヤルティ 取 引 の 対 価 性 と ロイヤル ティ 率 の 合 理 性 に 注 意 を 向 けていま す なお 中 国 税 務 当 局 が ロイヤル ティに 対 し 調 査 を 行 う 場 合 調 査 対 象 のほとんどは 中 国 から 国 外 に 支 払 わ れるロイヤルティで す 中 国 の 企 業 が 特 許 権 やノウハウを 形 成 し その 所 有 者 として 国 外 関 連 者 からロイヤルティ を 徴 収 するケースがまだ 少 ないためで す こ れ を 反 映 し 日 本 で 事 務 運 営 指 針 に 定 められている 無 形 資 産 の 経 済 的 所 有 者 の 概 念 が 中 国 の 移 転 価 格 制 度 上 は 明 確 化 されていません ただし 実 務 上 中 国 の 税 務 局 は 契 約 に 定 められた 無 形 資 産 の 法 的 所 有 者 を 重 視 するよりも 各 関 連 者 の 機 能 リ スクに 応 じて 無 形 資 産 形 成 への 貢 献 度 が 超 過 利 益 を 獲 得 することを 主 張 する を 判 断 する 傾 向 が 見 られます これは 傾 向 もあります 日 本 の 事 務 運 営 指 針 の 無 形 資 産 の 使 用 許 諾 等 について 調 査 を 行 う 場 合 には (2)サービス 費 無 形 資 産 の 法 的 な 所 有 関 係 のみならず 中 国 の 現 行 の 移 転 価 格 法 規 定 にお 無 形 資 産 を 形 成 維 持 または 発 展 させ いては 独 立 企 業 間 原 則 に 従 う 役 務 るための 活 動 において 法 人 または 国 外 対 価 等 の 問 題 について 具 体 的 な 規 定 関 連 者 の 行 った 貢 献 の 程 度 も 勘 案 する がされて いません( 図 表 5 参 照 ) 実 務 必 要 があることに 留 意 する という 考 え 上 役 務 提 供 の 移 転 価 格 の 合 理 性 分 方 と 方 向 性 を 共 にするものであり 契 約 析 において OECDガイドラインに 準 じ 関 係 を 重 視 するOE C Dガイドラインやア て 1 実 際 にグループ 内 役 務 が 提 供 さ メリカとは 異 なっています れたか 否 かと 2 提 供 された 場 合 当 実 際 の 交 渉 上 中 国 の 税 務 局 は 該 役 務 に 対 するグループ 内 負 担 が 独 中 国 の 関 連 者 の 貢 献 度 を 強 く 主 張 し 立 企 業 間 原 則 に 合 致 しているかを 検 証 国 外 関 連 者 の 貢 献 を 認 めにくい 傾 向 が するのが 一 般 的 です あります 具 体 的 には 中 国 の 税 務 局 は 関 連 者 取 引 の 中 で 中 国 の 企 業 が ( 3 ) 利 息 果 たす 中 国 市 場 における 広 告 やマー 中 国 では 2008 年 に 施 行 された ケティングなどの 機 能 が 無 形 資 産 の 形 新 企 業 所 得 税 法 において 過 少 資 本 成 につながっていると 主 張 することが 多 規 制 の 概 念 がはじめて 導 入 されました く 見 られます それに 加 え 中 国 市 場 に その 後 企 業 所 得 税 実 施 条 例 で 債 おける マーケット プレミアム や ロ 権 性 投 資 と 権 益 性 投 資 の 定 義 財 税 ケーション セービング などの 新 たな [ ]1 21 号 文 で 債 権 性 投 資 と 権 益 概 念 を 導 入 することで 中 国 の 関 連 者 性 投 資 の 基 準 比 率 が 定 められました 図 表 4 技 術 譲 渡 または 許 諾 と 同 時 に 提 供 する 技 術 サービスの 税 務 上 の 取 扱 い 技 術 譲 渡 契 約 締 結 後 の 技 術 サービス 料 の 支 払 調 必 要 PEを 構 成 する 定 的 にロイヤルティとして 税 金 を 徴 収 個 人 所 得 税 納 税 義 務 PEを 構 成 しない 調 不 要 図 表 5 サービス 費 の 法 規 定 施 行 時 期 通 達 通 知 主 な 規 定 内 容 2008 年 1 月 1 日 中 華 人 民 共 和 国 主 席 令 63 号 法 令 中 華 人 民 共 和 国 企 業 所 得 税 法 ( 企 業 所 得 税 法 ) - 収 入 と 関 連 のある 合 理 的 な 支 出 は 益 金 算 入 可 - 関 連 者 取 引 の 独 立 企 業 間 原 則 遵 守 2008 年 1 月 1 日 国 務 院 512 条 法 令 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 - 企 業 所 得 税 にいう 合 理 的 な 支 出 の 明 確 化 2008 年 1 月 1 日 国 税 発 [2009]2 号 文 国 家 税 務 総 局 特 別 納 税 調 整 実 施 弁 法 ( 試 行 ) の 公 布 に 関 する 通 達 - 関 連 者 取 引 の 独 立 企 業 間 原 則 遵 守 2008 年 8 月 14 日 国 税 発 [2008]86 号 文 国 家 税 務 総 局 による 親 子 会 社 間 役 務 提 供 にかかる 費 用 支 出 の 企 業 所 得 税 処 理 問 題 についての 通 知 - 関 連 者 取 引 の 独 立 企 業 間 原 則 遵 守 - 管 理 費 の 損 金 不 算 入 に 関 する 規 定

7 6 AZ Insight Vol.51 / May 2012 さらに 2009 年 の 国 税 発 [2009]2 号 文 において 債 権 性 投 資 と 権 益 性 投 資 の 比 率 の 計 算 方 法 基 準 を 超 えた 場 合 の 超 過 部 分 に 発 生 した 利 息 の 課 税 上 の 扱 いおよび 同 時 文 書 化 の 規 定 など 実 施 の 詳 細 が 明 確 化 されました 2 号 文 によると 中 国 企 業 がその 関 連 者 から 受 け 入 れた 債 権 性 投 資 と 権 益 性 投 資 の 比 率 が 規 定 の 基 準 を 超 えて いる 場 合 の 超 過 部 分 に 発 生 した 利 息 は 原 則 として 損 金 算 入 できません さ らに その 部 分 は 関 連 者 への 配 当 と みなされ 源 泉 税 を 納 付 する 必 要 があ ります ただし 同 時 文 書 をもって そ の 利 率 が 独 立 企 業 間 原 則 に 順 ずること を 説 明 した 場 合 また 関 連 者 が 国 内 企 業 であり 当 該 関 連 者 の 実 質 税 負 担 が 高 い 場 合 損 金 算 入 可 とされています さらに 年 の12 月 に 国 税 函 [2009]777 号 文 が 公 布 され 関 連 当 事 者 企 業 からではなく 関 連 当 事 者 個 人 から 提 供 された 借 入 金 に 対 しても 過 少 資 本 規 制 が 適 用 されることが 明 確 化 さ れ 従 前 の 法 規 定 の 抜 け 穴 を 使 った 図 表 6 利 息 の 法 規 定 租 税 回 避 が 防 止 されました 777 号 文 の 公 表 は 国 家 税 務 総 局 が 引 き 続 き 過 少 資 本 および 支 払 利 息 の 損 金 算 入 に 注 目 している 事 を 示 しています( 図 表 6 参 照 ) 2011 年 11 月 に 中 国 初 の 過 少 資 本 税 制 調 査 案 件 が 決 着 し 追 徴 額 は 1,000 万 人 民 元 超 に 上 りました 今 後 過 少 資 本 税 制 が 一 層 注 目 されることが 予 想 さ れます (4) 配 当 中 国 の 企 業 所 得 税 法 は 課 税 所 得 を 計 算 する 際 に 投 資 者 へ 支 払 う 配 当 特 別 配 当 などの 持 分 投 資 収 益 の 額 を 控 除 してはならないと 定 めています 一 方 日 本 親 会 社 の 中 国 子 会 社 から の 配 当 収 入 は 従 前 は 間 接 外 国 税 額 控 除 制 度 が 適 用 されましたが 年 4 月 以 降 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 の 導 入 に 伴 い 廃 止 されました この 制 度 は 外 国 子 会 社 からの 配 当 収 入 ( 源 泉 徴 収 前 のグロス 額 )のうち 5 % を 益 金 算 入 9 5 %を 益 金 不 算 入 とする 代 わり 外 国 で 課 された 源 泉 税 を 外 国 税 額 控 除 の 対 象 外 かつ 損 金 算 入 の 対 象 外 としました 3. 外 貨 送 金 中 国 では 外 貨 送 金 について 税 務 と 外 貨 管 理 の 両 面 から 規 制 されていま す 本 節 では 外 貨 管 理 についてまと めます 中 国 においては 外 為 取 引 項 目 を 経 常 項 目 ( 11) と 資 本 項 目 ( 12) に 分 類 し 経 常 項 目 については 外 貨 の 対 外 支 払 い 人 民 元 との 交 換 について 制 限 を 設 けないとされ 資 本 項 目 については 認 可 制 または 届 出 性 が 採 用 されています 経 常 項 目 は さらに 貿 易 項 目 ( 輸 出 入 貿 易 に 伴 う 収 支 項 目 )と 非 貿 易 項 目 ( 輸 出 入 取 引 に 伴 う 収 支 項 目 以 外 の 経 常 項 目 )に 区 分 されます が その 管 理 については 外 貨 指 定 銀 行 による 審 査 制 度 ( 13) が 採 用 されています 経 常 項 目 のうち 貿 易 項 目 につい ては 輸 出 と 輸 入 の 核 銷 ( 14) 制 度 施 行 時 期 通 達 通 知 主 な 規 定 内 容 2008 年 1 月 1 日 中 華 人 民 共 和 国 主 席 令 63 号 法 令 中 華 人 民 共 和 国 企 業 所 得 税 法 ( 企 業 所 得 税 法 ) - 債 権 性 投 資 ( 1) と 権 益 性 投 資 ( 2) の 比 率 が 規 定 の 基 準 を 超 えている 場 合 の 超 過 部 分 に 発 生 した 利 息 の 損 金 不 算 入 - 関 連 者 取 引 の 独 立 企 業 間 原 則 遵 守 2008 年 1 月 1 日 国 務 院 512 条 法 令 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 - 損 金 算 入 できる 利 息 に 関 する 規 定 の 明 確 化 - 債 権 性 投 資 と 権 益 性 投 資 の 定 義 の 明 確 化 2008 年 9 月 23 日 財 税 [2008]121 号 文 財 政 部 国 家 税 務 総 局 発 企 業 の 関 連 者 利 息 支 出 の 税 前 控 除 基 準 についての 租 税 政 策 問 題 に 関 する 通 知 2008 年 1 月 1 日 国 税 発 [2009]2 号 文 国 家 税 務 総 局 特 別 納 税 調 整 実 施 弁 法 ( 試 行 ) の 公 布 に 関 する 通 達 2009 年 12 月 31 日 国 税 函 [2009]777 号 文 国 家 税 務 総 局 による 企 業 が 自 然 人 からの 借 入 にかかわり 支 払 う 利 息 に 関 する 企 業 所 得 税 管 理 強 化 についての 通 知 関 連 者 利 息 支 出 の 税 前 控 除 基 準 ( 債 権 性 投 資 と 権 益 性 投 資 の 比 率 )に 関 する 規 定 - 金 融 機 関 :5:1 - 一 般 企 業 :2:1 過 少 資 本 規 制 過 少 資 本 税 制 規 定 を 個 人 からの 借 入 金 にま で 拡 大 ( 1) 債 権 性 投 資 とは 企 業 が 直 接 または 間 接 的 に 関 連 者 から 得 る 元 本 の 償 還 と 利 息 の 支 払 またはその 他 の 利 息 の 性 質 を 有 する 方 式 に よる 補 償 を 必 要 とする 融 資 を 指 す( 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 119 条 ) ( 2) 権 益 性 投 資 とは 企 業 が 受 入 れた 元 本 および 利 息 を 償 還 する 必 要 のない 投 資 者 が 企 業 の 純 資 産 に 対 して 所 有 権 を 有 する 投 資 を 指 す( 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 119 条 ) ( 11) 経 常 項 目 とは 国 際 収 支 において 経 常 的 に 発 生 する 取 引 項 目 といい 貿 易 収 支 役 務 収 支 対 価 のない 移 転 などを 含 む ( 中 華 人 民 共 和 国 外 貨 管 理 条 例 第 52 条 第 6 項 具 体 的 には 貿 易 決 済 口 銭 の 支 払 い 無 形 資 産 購 入 代 金 の 支 払 い 借 入 金 利 息 の 支 払 い 配 当 など) ( 12) 資 本 項 目 とは 国 際 収 支 中 の 資 本 輸 出 および 輸 入 により 生 じる 資 産 と 負 債 の 増 減 項 目 をいい 直 接 投 資 各 種 ローン 証 券 投 資 を 含 む( 外 貨 管 理 条 例 第 52 条 第 7 項 ) ( 13) 外 貨 指 定 銀 行 による 審 査 制 度 :2008 年 8 月 に 改 定 された 新 外 貨 管 理 条 例 は 経 常 項 目 の 取 引 が 真 実 且 つ 合 法 的 な 取 引 に 基 づく 必 要 がある 事 を 明 確 し 金 融 機 関 に 取 引 証 憑 の 合 理 性 の 審 査 を 義 務 付 けている

8 AZ Insight Vol.51 / May により 電 子 データをオンラインで 審 査 し 輸 出 入 にかかる 物 の 流 れと 資 金 の 流 れを 管 理 する 仕 組 みとなっています 非 貿 易 項 目 については 匯 発 [ ] 2 9 号 文 ( 15) において 規 定 されている 審 査 資 料 を 外 貨 指 定 銀 行 に 提 出 し 審 査 を 受 ける 必 要 があります 本 稿 の 検 証 対 象 スキームは 経 常 項 目 の 非 貿 易 項 目 に 該 当 し 当 該 審 査 制 度 の 対 象 となり 外 貨 管 理 局 の 監 督 検 査 を 受 ける 可 能 性 があります さらに 税 収 管 理 および 外 貨 支 払 審 査 管 理 の 真 実 性 を 強 化 するため 中 国 の 外 貨 管 理 局 国 家 税 務 総 局 により 以 下 の 項 目 について 国 外 への1 回 の 支 払 額 が 3 万 ドル( 3 万 ドルを 含 まない) 相 当 額 を 超 え る 場 合 税 務 証 明 を 提 出 しなければならないとされていま す ( 16) 国 外 機 構 または 個 人 が 中 国 内 で 役 務 提 供 して 稼 得 したサービス 貿 易 収 入 国 外 個 人 の 中 国 内 での 労 務 報 酬 国 外 機 構 または 個 人 の 中 国 内 で 稼 得 した 配 当 金 分 配 金 利 潤 直 接 債 務 利 息 保 証 料 等 の 収 益 およ び 経 常 移 転 項 目 の 収 入 国 外 機 構 または 個 人 が 中 国 内 で 稼 得 したファイナンス リース 料 不 動 産 譲 渡 収 入 持 分 譲 渡 収 益 上 記 税 務 証 明 の 申 請 手 続 きは 以 下 のとおりです ( 17) 国 内 機 構 および 個 人 が 外 貨 送 金 を 行 う 場 合 には 支 払 い 場 所 の 主 管 国 税 局 と 主 管 地 方 税 務 局 への 申 請 手 続 きを 行 います 税 務 証 明 の 申 請 処 理 において は 先 に 主 管 国 税 局 に 申 請 を 行 い 主 管 国 税 局 から 税 務 証 明 を 取 得 した 後 主 管 地 方 税 務 局 に 申 請 を 行 う 国 内 機 構 と 個 人 が 主 管 税 務 局 に 申 請 書 を 提 出 する 際 は サービ ス 貿 易 等 の 項 目 について 外 貨 支 払 時 に 必 要 となる 税 務 証 明 申 請 書 の 必 要 箇 所 に 記 入 し かつ 以 下 の 資 料 を 添 付 する 必 要 があ る 1 契 約 書 協 議 書 その 他 双 方 の 権 利 義 務 を 証 明 する 書 面 資 料 2 領 収 書 あるいは 国 外 機 構 から の 請 求 書 3 納 税 証 明 あるいは 免 税 批 准 文 書 4 税 務 機 関 が 要 求 するその 他 の 資 料 本 稿 の 検 証 対 象 スキームはすべて 経 常 項 目 に 属 するため 原 則 制 限 が 設 けられていませんが 前 述 の 通 り 外 貨 指 定 銀 行 による 審 査 制 度 の 対 象 で あり 外 貨 管 理 局 の 監 督 検 査 を 受 け る 可 能 性 があります また ロイヤル ティ サービス 費 および 利 息 について は その 合 理 性 が 税 務 局 に 認 められな い 場 合 送 金 が 止 められる 場 合 があり ます このように 中 国 から 海 外 への 非 貿 易 送 金 には 税 務 上 と 外 貨 管 理 上 の 問 題 が 複 雑 に 絡 んでおり 注 意 が 必 要 です Ⅲ. グループ 全 体 の 課 税 関 係 本 章 では 上 述 の 中 国 における 法 規 定 を 踏 まえ 検 討 対 象 スキームのグ ループ 全 体 の 課 税 関 係 をまとめます 1. 営 業 税 2009 年 に 施 行 された 新 営 業 税 条 例 ( 18) により 規 定 された 役 務 を 提 供 す る または 提 供 を 受 ける 組 織 単 位 また は 個 人 が 中 国 国 内 にある 場 合 中 国 で 営 業 税 を 納 付 する 必 要 があるとされて います ロイヤルティ サービス 費 およ び 利 息 はすべて 中 国 の 営 業 税 課 税 対 象 であり 税 率 は ともに5 %です ただし 技 術 譲 渡 貸 与 技 術 開 発 業 務 およびこれらに 関 連 する 技 術 コ ンサルティング 技 術 サービス 業 務 によ り 取 得 するロイヤルティ 収 入 については 免 税 措 置 を 受 けることができるものとさ れています 免 税 とされるためには 省 クラスの 科 学 技 術 部 門 の 認 定 と 税 務 局 の 審 査 認 可 が 必 要 となります 2. 源 泉 税 前 述 したとおり 非 居 住 者 企 業 は 中 国 国 内 を 源 泉 とする 所 得 につき 中 国 での 納 税 業 務 があります 検 討 対 象 スキ ーム の 内 ロイヤ ル ティ 利 息 お よ び 配 当 金 は パッシブ インカムとして 源 泉 税 を 納 付 することになります 以 下 中 国 の 企 業 所 得 税 法 および 日 中 租 税 条 約 における 各 検 討 対 象 スキー ムに 関 する 中 国 源 泉 税 および 日 本 側 の 外 国 税 額 控 除 に 関 する 規 定 を 概 観 し ます 図 表 7のとおり ロイヤル ティ 利 息 および 配 当 金 の 中 国 での 源 泉 税 率 は すべて10 %です 日 本 側 においては 親 会 社 が 受 け 取 ったサービス 費 ロイ ヤルティおよび 利 息 は 日 本 側 の 課 税 所 得 を 計 算 する 際 に 益 金 算 入 され ますが 日 中 租 税 条 約 において 中 国 で 納 付 した 源 泉 税 は 利 息 の 場 合 は 10% ロイヤルティの 場 合 は20%をみ なし 税 率 として 外 国 税 額 控 除 が 認 め られています 一 方 配 当 については 9 5 % 益 金 不 参 入 になりますが 源 泉 税 は 税 額 控 除 できず 損 金 算 入 もできま せん また 技 術 サービス 費 については PEと 認 定 された 場 合 ロイヤルティの 関 連 規 定 が 適 用 されず 中 国 の 事 業 所 得 として 企 業 所 得 税 の 納 付 義 務 が 生 じ ( 14) 核 銷 とは 輸 出 入 の 通 関 データと 銀 行 での 外 貨 資 金 の 入 出 金 を 突 合 消 し 込 みする 制 度 ( 15) 匯 発 [2002]29 号 文 非 貿 易 外 貨 売 却 支 払 いおよび 国 内 居 住 者 個 人 外 貨 収 支 管 理 操 作 規 程 ( 試 行 )の 示 達 に 関 する 国 家 外 貨 管 理 局 の 通 知 ( 16) 匯 発 [2008]64 号 文 サービス 貿 易 等 の 項 目 による 対 外 支 払 いにおける 税 務 証 明 届 出 に 関 連 する 問 題 についての 通 知 により 義 務 付 けられている ( 17) 国 税 発 [2008]122 号 文 サービス 貿 易 等 の 項 目 にかかわる 外 貨 支 払 い 時 に 発 行 する 税 務 証 明 管 理 弁 法 ( 18) 2012 年 1 月 から 上 海 で 実 施 された 増 値 税 試 行 改 革 が 反 映 されていない

9 8 AZ Insight Vol.51 / May 2012 ることに 留 意 が 必 要 です 3. 企 業 所 得 税 PEのサービス 費 収 入 ( 前 述 のPE 認 定 され た 技 術 サ ービス 費 を 含 む)は 中 国 での 事 業 所 得 と 見 なされ 中 国 で 企 業 所 得 税 を 納 付 することが 要 求 され ています PEと 認 定 された 場 合 の 企 業 所 得 税 率 は 2 5 %で す 課 税 所 得 金 額 は 実 額 課 税 方 式 または 査 定 徴 収 方 式 により 計 算 されます 課 税 所 得 を 正 確 に 反 映 した 適 正 な 会 計 帳 簿 および 証 憑 がある 場 合 は 実 際 に 履 行 した 機 能 と 負 担 す るリスクに 対 応 する 課 税 所 得 額 を 正 確 に 計 算 し 申 告 しなければなりません ( 実 額 課 税 ) 一 方 正 確 に 課 税 所 得 額 を 計 算 できない 場 合 税 務 局 は 収 入 額 原 価 費 用 または 経 費 支 出 額 のう ちのひとつに 基 づき 課 税 所 得 額 を 計 算 する 権 利 が ありま す( 査 定 徴 収 ) 査 定 徴 収 の 際 に 使 用 されるみなし 利 益 率 は 役 務 内 容 によって 異 なります ( 19) ( 図 表 8 参 照 ) ただし 中 国 で 納 付 した 企 業 所 得 税 については 日 本 の 法 人 税 法 上 外 国 税 額 控 除 の 適 用 があります 図 表 7 ロイヤルティ 利 息 および 配 当 金 の 中 国 源 泉 税 日 本 側 の 外 国 税 額 控 除 種 類 中 国 企 業 所 得 税 法 日 中 租 税 条 約 図 表 8 PEサービス 費 収 入 の 査 定 に 使 用 されるみなし 利 益 率 役 務 内 容 税 率 ( 1) 税 率 外 国 税 額 控 除 みなし 税 率 ロイヤルティ 10% 10%まで 20% ( 2) 利 息 10% 10%まで 10% ( 3) 配 当 金 10% 10%まで NA ( 1) 企 業 所 得 税 法 第 4 条 2 項 では 源 泉 税 率 は 20%とされているが 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 第 91 条 により 10%に 低 減 される ( 2) 日 中 租 税 条 約 第 23 条 第 三 項 ( 一 ) ( 3) 日 中 租 税 条 約 第 23 条 第 三 項 ( 二 ) みなし 利 益 率 4. まとめ 上 述 した 検 討 対 象 スキームのグルー プ 全 体 の 課 税 関 係 をまとめると 図 表 9 のとおりです 実 際 に 上 記 の 中 でグループ 全 体 の 税 負 担 が 最 も 軽 減 される 方 法 を 選 択 する ためには 企 業 の 状 況 に 応 じたシミュ レーションを 行 う 必 要 があります ここでは 例 として 下 記 の 前 提 条 件 を 設 定 し 日 本 に10 0 人 民 元 のキャッ シュを 送 る 場 合 の 各 スキームにおけ るグループ 全 体 の 税 負 担 を 試 算 します ( 図 表 10 ~ 図 表 14 参 照 ) 中 国 法 人 企 業 所 得 税 率 25% 営 業 税 率 5% その 他 税 金 を 考 慮 しない ロイヤルティの 営 業 税 免 除 なし PE のみなし 利 益 率 は 50%とする 日 本 法 人 法 人 税 率 40.7% その 他 税 金 を 考 慮 しない 中 国 法 人 から 受 け 取 った 配 当 の 益 金 不 算 入 適 格 すべての 外 国 税 額 (PE 認 定 に 伴 う 外 国 税 額 を 含 む)に 対 し 十 分 な 外 国 税 額 控 除 枠 がある 工 事 請 負 設 計 コンサルティング 管 理 サービス その 他 少 なくとも15%~30% 少 なくとも30%~50% 15% 以 上 上 記 の 前 提 条 件 下 での 単 純 比 較 で は 検 討 対 象 スキームの 内 サービス 費 および 利 息 で 回 収 する 場 合 のグルー プ 全 体 の 税 負 担 が 一 番 高 くなります 図 表 9 各 スキームのグループ 全 体 の 課 税 関 係 のまとめ ロイヤルティ 5% ( 免 税 の 可 能 性 あり) 営 業 税 源 泉 税 中 国 企 業 所 得 税 中 国 損 金 算 入 日 本 側 課 税 関 係 10% 課 税 なし ( ) 移 転 価 格 税 制 適 格 の 金 額 に ついて 損 金 算 入 可 サービス 費 5% 原 則 的 になし PEに 認 定 される 場 合 25% 移 転 価 格 税 制 適 格 の 金 額 に ついて 損 金 算 入 可 利 息 5% 10% 課 税 なし 移 転 価 格 税 制 適 格 の 金 額 に ついて 損 金 算 入 可 - 益 金 算 入 - 源 泉 税 のみなし 外 国 税 額 控 除 の 適 用 あ り( 税 率 20% 控 除 ) - 益 金 算 入 - PEに 認 定 される 場 合 の 中 国 企 業 所 得 税 が 外 国 税 額 控 除 の 適 用 あり - 益 金 算 入 - 源 泉 税 10%は 外 国 税 額 控 除 の 適 用 あり 配 当 課 税 なし 10% 25% 損 金 不 算 入 - 外 国 子 会 社 配 当 益 金 不 算 入 制 度 の 適 用 あり(95% 益 金 不 算 入 ) - 源 泉 税 は 外 国 税 額 控 除 の 適 用 なし ロイヤルティのうち 技 術 サービスは PE に 認 定 される 場 合 ロイヤルティの 関 連 規 定 が 適 用 されず 事 業 所 得 として 25%の 企 業 所 得 税 が 課 されるが 中 国 で 納 付 した 企 業 所 得 税 については 日 本 の 法 人 税 法 上 外 国 税 額 控 除 の 適 用 がある ( 19) 国 税 発 [2010]19 号 文 非 居 住 者 企 業 に 対 する 所 得 税 の 算 定 徴 収 管 理 弁 法

10 AZ Insight Vol.51 / May 図 表 10 ロイヤルティのシミュレーション ロイヤルティ 中 国 側 日 本 側 支 払 ロイヤルティ A 100 益 金 算 入 (ロイヤルティ 収 入 ) A'=A 100 営 業 税 源 泉 徴 収 (5%) B=A 5% 5 損 金 算 入 (ロイヤルティ 収 入 の 営 業 税 ) B'=B 5 源 泉 税 (10%) C=A 10% 10 課 税 所 得 C'=A' B' 95 企 業 所 得 税 セービング(25%) D= A 25% 25 法 人 税 (40.7%) D'=C' 40.7% 源 泉 税 控 除 (20%) E'= A 20% 20 源 泉 後 送 金 額 Y=A B C 85 親 会 社 税 引 き 後 手 元 キャッシュ Y'=Y X' 税 コスト X=B+C+D 10 税 コスト X'=D'+E' 合 計 税 コスト Z=X+X' 8.67 図 表 11 サービス 費 (PEなし)のシミュレーション サービス 費 (PEなし) 中 国 側 日 本 側 支 払 サービス 費 A 100 益 金 算 入 ( 役 務 収 入 ) A'=A 100 営 業 税 源 泉 徴 収 (5%) B=A 5% 5 損 金 算 入 ( 役 務 収 入 の 営 業 税 ) B'=B 5 源 泉 税 (なし) C 0 課 税 所 得 C'=A' B' 95 企 業 所 得 税 セービング(25%) D= A 25% 25 法 人 税 (40.7%) D'=C' 40.7% 源 泉 税 控 除 E'= C 0 源 泉 後 送 金 額 Y=A B C 95 親 会 社 税 引 き 後 手 元 キャッシュ Y'=Y X' 税 コスト X=B+C+D 20 税 コスト X'=D'+E' 合 計 税 コスト Z=X+X' 図 表 12 サービス 費 および 技 術 サービスロイヤルティ(PEあり)のシミュレーション サービス 費 および 技 術 サービスロイヤルティ(PE あり) 中 国 側 中 国 側 日 本 側 支 払 サービス 費 A 100 PE 収 入 A'=B 100 益 金 算 入 ( 役 務 収 入 ) A'=A 100 営 業 税 源 泉 徴 収 (5%) B=A 5% 5 みなし 利 益 (みなし 利 益 率 50%) B'=A' 50% 50 損 金 算 入 ( 役 務 収 入 の 営 業 税 ) B'=B 5 源 泉 税 (なし) C 0 企 業 所 得 税 (25%) C'=B' 25% 12.5 課 税 所 得 C'=A' B' 95 企 業 所 得 税 セービング(25%) D= A 25% 25 法 人 税 (40.7%) D'=C' 40.7% 企 業 所 得 税 控 除 E'= C 12.5 源 泉 後 送 金 額 Y=A B C' 82.5 親 会 社 税 引 き 後 手 元 キャッシュ Y'=Y X' 税 コスト X=B+C+D 20 税 コスト X'=C' 12.5 税 コスト X'=D'+E' 合 計 税 コスト Z=X+X'+X" 18.67

11 10 AZ Insight Vol.51 / May 2012 図 表 13 利 息 のシミュレーション 利 息 中 国 側 日 本 側 支 払 利 息 A 100 益 金 算 入 ( 利 息 収 入 ) A'=A 100 営 業 税 源 泉 徴 収 (5%) B=A 5% 5 損 金 算 入 ( 利 息 収 入 の 営 業 税 ) B'=B 5 源 泉 税 (10%) C=A 10% 10 課 税 所 得 C'=A' B' 95 企 業 所 得 税 セービング(25%) D= A 25% 25 法 人 税 (40.7%) D'=C' 40.7% 源 泉 税 控 除 E'= C 10 源 泉 後 送 金 額 Y 85 親 会 社 税 引 き 後 手 元 キャッシュ Y'=Y X' 税 コスト X=B+C+D 10 税 コスト X'=D'+E' 合 計 税 コスト Z=X+X' 図 表 14 配 当 のシミュレーション 配 当 中 国 側 日 本 側 支 払 費 用 A 0 益 金 算 入 ( 配 当 受 取 ) A'=B 100 配 当 B 100 配 当 95% 益 金 不 算 入 B'=A' 95% 95 源 泉 税 (10%) C=B 10% 10 課 税 所 得 C'=A' B' 5 企 業 所 得 税 セービング(25%) D= A 25% 0 法 人 税 (40.7%) D'=C' 40.7% 2.04 源 泉 後 送 金 額 Y=B C 90 親 会 社 税 引 き 後 手 元 キャッシュ Y'=Y X' 税 コスト X=C+D 10 税 コスト X'=D' 2.04 合 計 税 コスト Z=X+X' 本 例 では 配 当 については 益 金 不 算 入 適 格 の 場 合 は 日 本 での 課 税 が 軽 減 されるため グループ 全 体 の 税 負 担 が 相 対 的 に 低 くなりました 実 際 に 研 究 開 発 市 場 開 拓 ブランド 管 理 などの 高 付 加 価 値 機 能 を 依 然 として 本 社 に 留 保 する 形 を 取 っている 日 本 企 業 が 多 く 見 られます このため 日 本 の 税 務 当 局 は 移 転 価 格 の 観 点 から 本 社 が 中 国 の 子 会 社 に 提 供 している 無 形 資 産 や 役 務 の 対 価 が 適 切 に 回 収 さ れているかどうかに 注 目 しています 子 会 社 に 無 形 資 産 や 役 務 を 提 供 している にもかかわらず その 対 価 を 回 収 して いない または 対 価 が 独 立 企 業 間 原 則 に 合 致 しないと 判 断 される 場 合 寄 付 金 課 税 または 移 転 価 格 課 税 の 対 象 とな る 可 能 性 があります ロイヤルティについては みなし 外 国 税 額 控 除 ができるため グループ 全 体 の 税 負 担 が 最 も 低 くなりました ロイ ヤルティは 子 会 社 は 生 産 販 売 機 能 本 社 は 研 究 開 発 市 場 開 拓 ブランド 管 理 などの 高 付 加 価 値 機 能 がメインと なっている 日 本 会 社 の 海 外 投 資 モデル に 適 した 回 収 スキームとも 言 えます た だし 近 年 中 国 当 局 は ロイヤルティ に 対 する 移 転 価 格 の 税 務 執 行 を 厳 格 化 する 傾 向 にあります 後 編 では 中 国 の 移 転 価 格 税 制 および 最 新 の 執 行 動 向 に 基 づき ロイヤルティ 支 払 に 関 する 実 務 上 の 注 意 点 を 指 摘 します

12 AZ Insight Vol.51 / May 本 稿 は 月 刊 国 際 税 務 (Vol. 32 N o. 3 税 務 研 究 会 発 行 ) に 寄 稿 し たものに 一 部 加 筆 したものです 本 稿 に 関 するご 質 問 等 は 以 下 の 者 までご 連 絡 くださいますようお 願 いい たします KPMG 中 国 上 海 事 務 所 グローバル 移 転 価 格 サービス パートナー 大 谷 泰 彦 Tel: Yasuhiko.Otani@kpmg.com マネジャー 楊 揚 Tel: Yang.Yang@kpmg.com アシスタント マネジャー 恒 川 裕 伊 Tel: Ema i l:yui.tsunekawa@kpmg.com あずさ 監 査 法 人 中 国 事 業 室 室 長 高 﨑 博 Tel: e- ma i l:chaina@jp.kpmg.com

13 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative ( KPMG International ), a Swiss entity. All rights reserved. Printed in Japan. The KPMG name, logo and cutting through complexity are registered trademarks or trademarks of KPMG International.