平成１９年度戦略的基盤技術高度化支援事業「難加工材料の筐体成形技術の開発」

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1 18-23 平 成 19 年 度 戦 略 的 基 盤 技 術 高 度 化 支 援 事 業 難 加 工 材 料 の 筐 体 成 形 技 術 の 開 発 研 究 開 発 成 果 報 告 書 平 成 21 年 3 月 委 託 者 独 立 行 政 法 人 中 小 企 業 基 盤 整 備 機 構 委 託 先 財 団 法 人 ちゅうごく 産 業 創 造 センター 18-23_1

2 目 次 第 1 章 研 究 開 発 の 概 要 研 究 開 発 の 背 景 研 究 目 的 および 目 標... 4 (1) 研 究 の 背 景... 4 (2) 研 究 の 目 的 及 び 目 標 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 スラグ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究 開 口 部 カット 方 法 の 開 発 アルミ 粉 体 をベースとした 潤 滑 剤 の 開 発 プロジェクトの 運 営 管 理 研 究 体 制... 6 (1) 管 理 体 制... 6 (2) 研 究 体 制... 6 (3) 委 員 会 等... 7 (4) 研 究 開 発 スケジュール 成 果 概 要... 7 (1) 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究... 7 (2) ス ラ グ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究... 8 (3) 開 口 部 カット 方 法 の 開 発... 8 (4) アルミ 粉 体 をベースとした 潤 滑 剤 の 開 発... 8 (5) プ ロ ジ ェ ク ト の 運 営 管 理 当 該 研 究 開 発 の 連 絡 窓 口... 8 第 2 章 本 論 平 成 18 年 度 の 研 究 目 標 と 成 果 および 課 題... 9 (1) 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 (2) 衝 撃 押 出 成 形 を 行 うための 最 適 バレル 条 件 の 研 究 (3) 衝 撃 押 出 成 形 に 順 応 したエマルジョンタイプ 固 形 潤 滑 剤 の 開 発 (4) 完 全 洗 浄 レスを 目 的 としたアルミ 粉 体 潤 滑 剤 の 開 発 平 成 19 年 度 の 研 究 目 標 と 成 果 および 今 後 の 課 題 (1) 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 (2) スラグ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究 (3) 開 口 部 カット 方 法 の 開 発 (4) アルミ 粉 体 をベースとした 潤 滑 剤 の 開 発 第 3 章 全 体 総 括 研 究 開 発 成 果 _2

3 2. 今 後 の 課 題 及 び 事 業 化 展 開 (1) 今 後 の 課 題 (2) 事 業 化 計 画 _3

4 第 1 章 研 究 開 発 の 概 要 1. 研 究 開 発 の 背 景 研 究 目 的 および 目 標 (1) 研 究 の 背 景 自 動 車 産 業 では 世 界 的 な 原 油 価 格 高 騰 将 来 の 石 油 枯 渇 有 害 物 質 削 減 を 含 め こ れら 環 境 対 応 力 の 可 否 が 市 場 競 争 力 を 大 きく 左 右 する そのような 状 況 に 鑑 み 今 後 大 きな 需 要 が 見 込 まれるハイブリッド 自 動 車 燃 料 電 池 自 動 車 の 関 連 部 品 の 中 核 とな るバッテリー 構 成 部 品 の 一 つである 電 池 筐 体 について 大 幅 なコスト 低 減 軽 量 化 に 加 え 環 境 配 慮 が 要 求 されている 現 在 市 販 中 のハイブリッド 搭 載 車 は1 台 につき 小 型 車 で 筐 体 ユニットが 50 個 大 型 車 では 200 個 あまりが 搭 載 されており 筐 体 1 個 当 たりのコスト 低 減 軽 量 化 が 大 きな 課 題 となっている 電 池 筐 体 の 形 状 は 円 筒 型 と 角 筒 型 が 一 般 的 だが 発 電 効 率 充 電 効 率 の 観 点 から 容 積 率 の 高 い 角 筒 形 状 が 有 利 とされている 反 面 その 成 形 は 著 しく 困 難 となる 角 筒 状 筐 体 は 一 般 に 深 絞 りと 呼 ばれるプレス 成 形 により 平 板 から 複 数 工 程 を 経 て 形 造 るが 角 筒 の 縦 横 比 が 大 きく 筒 が 深 いほど 多 数 の 工 程 を 要 す 工 程 数 の 増 加 は 金 型 費 用 の 増 加 につながり 結 果 製 造 コスト 全 体 が 増 加 することから 工 程 数 削 減 が 求 められている 一 方 電 池 筐 体 は 車 1 台 当 たりに 搭 載 する 筐 体 が 多 数 に 及 ぶことから 比 重 の 軽 い アルミ 素 材 の 活 用 が 求 められている しかし 素 材 特 有 の 低 い 引 張 強 度 高 い 熱 伝 導 率 剥 離 しやすい 表 面 特 性 により 成 形 が 困 難 であるため アルミ 素 材 に 対 応 した 新 た な 工 法 が 求 められている 従 来 の 深 絞 り 工 法 は 多 数 の 工 程 に 及 ぶことから 加 工 に 伴 う 繰 り 返 し 加 重 により 素 材 に 対 し 大 きな 負 担 が 生 じ 製 品 強 度 の 低 下 要 因 となっている そのため 負 担 を 軽 減 させる 新 たな 工 法 が 求 められている なお 素 材 への 負 担 軽 減 は 薄 肉 化 による 軽 量 化 に 資 する また 深 絞 り 工 法 は 成 形 性 の 向 上 のため 高 粘 度 の 潤 滑 油 を 使 用 し 摩 擦 係 数 を 低 減 させることで 素 材 への 過 度 な 負 荷 の 軽 減 熱 伝 導 の 抑 制 表 面 剥 離 の 軽 減 に 対 応 している その 結 果 辛 うじてプレス 成 形 が 可 能 となるものの 高 粘 度 の 潤 滑 油 除 去 には 強 力 な 洗 浄 設 備 が 必 要 となる 洗 浄 工 程 は 製 造 コストの 増 加 につな がるとともに 洗 浄 液 の 廃 液 処 分 などの 問 題 も 生 じるため 洗 浄 レス 環 境 低 負 荷 に 資 する 潤 滑 剤 の 開 発 が 求 められている (2) 研 究 の 目 的 及 び 目 標 本 研 究 開 発 では 従 来 の 深 絞 り 工 法 に 代 わり 洗 浄 レスの 潤 滑 剤 を 開 発 活 用 し ア ルミ 素 材 に 対 して 技 術 的 に 未 確 立 な 縦 横 高 比 率 の 高 い 衝 撃 押 出 工 法 を 実 用 化 レベルで 確 立 する 事 により 飛 躍 的 な 低 コスト 化 軽 量 化 高 強 度 化 を 実 現 した 角 型 缶 筐 体 を 開 発 する 18-23_4

5 本 プロジェクトは 各 メンバーが 有 する 特 有 の 技 術 を 統 合 させるために 以 下 のよう な 項 目 で 研 究 を 行 う 1 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 衝 撃 押 出 工 法 は 国 内 で も 中 小 企 業 の 数 社 が 円 筒 缶 を 中 心 に 実 用 化 し て い る 本 工 法 は 素 材 の 流 動 性 を 最 大 限 利 用 し た 塑 性 加 工 の 一 種 で 円 筒 缶 の よ う に 対 称 形 状 の 加 工 は 材 料 流 れ が 均 一 な た め 技 術 的 に は 有 利 で あ る し か し な が ら 角 筒 缶 と な る と 非 対 称 形 状 で あ り さ ら に 縦 横 比 が 極 端 に 異 な る 加 工 は ア ル ミ 素 材 の 場 合 で も 縦 横 高 比 1:3:3 が 限 界 と さ れ て お り そ れ 以 上 の 比 率 はプレ ス 深 絞 り 工 法 に 限 定 される 本 プロジェクトでは 川 下 ニーズを 踏 まえ プレス 深 絞 りにおいても 非 常 に 成 形 難 易 度 の 高 い 縦 横 高 比 1:10:9 の 実 現 を 目 指 す 2 スラグ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究 板 成 形 では 素 材 に 鉱 物 油 あるいは 液 体 系 潤 滑 剤 を 表 裏 に 塗 布 するが 本 工 法 の 場 合 インゴット 状 の 素 材 (スラグ)を 成 形 するため 潤 滑 剤 塗 布 は 容 易 でない 本 プロジェクトでは 縦 横 高 比 1:10:9 を 実 現 するため 潤 滑 剤 が 効 果 的 に 作 用 する 微 視 凹 凸 形 状 について 研 究 する 3 開 口 部 カット 方 法 の 開 発 川 下 業 者 から 実 用 化 製 品 として 電 池 筐 体 を 想 定 した 場 合 の 電 池 缶 開 口 部 とその 蓋 の 勘 合 品 質 について 指 摘 があり 開 口 部 端 部 高 さ 精 度 0.05mm 以 下 の 平 滑 性 が 求 められ た 現 状 の 開 口 部 カットはプレスによる4 面 カット 工 法 が 主 流 であるが この 方 法 では 0.05mm 以 下 の 精 度 を 満 足 できない 本 プロジェクトでは プレスによる4 面 カット 工 法 に 変 わる 新 たなカット 工 法 につ いて 検 討 する 4 アルミ 粉 体 をベースとした 潤 滑 剤 の 開 発 潤 滑 剤 には エマルジョンタイプ 潤 滑 剤 油 性 潤 滑 剤 及 び 粉 体 潤 滑 剤 があるが そ の 中 でアルミ 粉 体 潤 滑 剤 は 潤 滑 性 に 優 れ 洗 浄 も 容 易 であるが 製 品 に 付 着 した 粉 体 の 除 去 が 必 要 となる 本 プロジェクトでは アルミ 粉 の 優 れた 潤 滑 性 能 を 生 かし 適 量 適 所 への 塗 布 が 可 能 でかつ 成 形 後 の 表 面 肌 をきれいに 出 来 るような アルミ 粉 体 ベースに 液 相 成 分 と 組 み 合 わせた 高 性 能 で 洗 浄 後 残 渣 のない 潤 滑 剤 を 開 発 する 5 プロジェクトの 運 営 管 理 本 研 究 開 発 の 円 滑 な 推 進 お よ び 事 業 化 を 図 る た め 研 究 開 発 推 進 会 議 事 業 化 検 討 会 を 開 催 す る 研 究 開 発 推 進 会 議 で は 研 究 進 捗 の 報 告 問 題 点 の 討 議 あ る い は 今 後 の 研 究 の あ り 方 等 に つ い て 協 議 す る 事 業 化 検 討 会 で は 如 何 に 早 期 に 事 業 化 す る か と い う こ と に 重 点 を 置 き 量 産 化 を 前 提 と し 18-23_5

6 た 研 究 開 発 へ の 取 込 み を 促 し て い く 2. 研 究 体 制 (1) 管 理 体 制 事 業 管 理 者 財 団 法 人 ち ゅ う ご く 産 業 創 造 セ ン タ ー 広 島 市 中 区 小 町 4 番 33 号 中 電 ビル2 号 館 氏 名 所 属 役 職 実 施 内 容 ( 番 号 ) 山 重 雅 春 事 務 局 長 砂 谷 誠 一 産 業 部 産 業 創 出 部 長 5 浜 里 剛 産 業 部 部 長 総 括 研 究 代 表 者 (PL) 株 式 会 社 美 和 代 表 取 締 役 林 英 明 副 総 括 研 究 代 表 者 (SPL) 株 式 会 社 松 村 石 油 研 究 所 執 行 役 員 松 本 勝 (2) 研 究 体 制 株 式 会 社 美 和 広 島 市 安 佐 北 区 安 佐 町 毛 木 氏 名 役 職 実 施 内 容 林 英 明 代 表 取 締 役 森 弘 志 取 締 役 工 場 長 永 瀬 義 夫 金 型 事 業 部 試 作 Gr 長 坂 本 克 紀 金 型 事 業 部 試 作 Gr 主 任 渡 部 昭 一 郎 金 型 事 業 部 営 業 技 術 Gr 生 産 技 術 担 当 濱 中 文 彦 金 型 事 業 部 試 作 Gr 株 式 会 社 松 村 石 油 研 究 所 神 戸 市 中 央 区 港 島 南 町 5 丁 目 5-3 氏 名 役 職 実 施 内 容 松 本 勝 執 行 役 員 機 能 材 開 発 部 長 4 中 島 崇 徳 機 能 材 開 発 部 担 当 ミ ナ ル コ 株 式 会 社 堺 市 堺 区 翁 橋 町 1 丁 目 1-1 氏 名 役 職 実 施 内 容 柳 生 宗 一 代 表 取 締 役 _6

7 塚 本 和 樹 製 造 部 長 菅 谷 晃 製 造 部 長 付 (3) 委 員 会 等 研 究 開 発 推 進 会 議 事 業 化 検 討 会 氏 名 所 属 役 職 備 考 委 員 長 林 英 明 美 和 代 表 取 締 役 PL 副 委 員 長 松 本 勝 松 村 石 油 研 究 所 執 行 役 員 機 能 材 開 発 部 長 SPL 委 員 永 瀬 義 夫 美 和 金 型 事 業 部 試 作 Gr 長 委 員 中 島 崇 徳 松 村 石 油 研 究 所 機 能 材 開 発 部 委 員 柳 生 宗 一 ミナルコ 代 表 取 締 役 委 員 塚 本 和 樹 ミナルコ 製 造 部 長 委 員 小 田 正 宗 松 村 石 油 営 業 本 部 AD 委 員 森 島 誠 也 太 平 洋 精 工 営 業 部 執 行 役 員 AD 委 員 塊 原 浩 JFE スチール 東 日 本 製 鉄 所 商 品 技 術 部 副 部 長 AD 委 員 清 水 進 コマツ 産 機 広 島 支 店 支 店 長 AD 事 務 局 浜 里 剛 ( 財 )ちゅうごく 産 業 創 造 センター 部 長 (4) 研 究 開 発 スケジュール 実 施 内 容 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 衝 撃 押 出 成 形 を 行 うための 最 適 バレル 条 件 の 研 究 スラグ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究 衝 撃 押 出 成 形 に 順 応 したエマル ジョンタイプ 固 形 潤 滑 剤 の 開 発 完 全 洗 浄 レスを 目 的 としたアルミ 粉 体 潤 滑 剤 の 開 発 アルミ 粉 体 をベースとした 潤 滑 剤 の 開 発 開 口 部 カット 方 法 の 開 発 研 究 開 発 の 運 営 管 理 H18 年 度 H19 年 度 H18.12 H H H STEP1 1:7:5 STEP2 1:7:7 STEP3 1:8:8 STEP4 1:10:9 全 体 まとめ 推 進 会 議 3. 成 果 概 要 (1) 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 国 内 に お い て も 本 工 法 の 実 績 が 少 な く 参 考 と な る 資 料 に 乏 し い こ と か ら 最 終 目 標 の 縦 横 高 比 1:10:9 を 達 成 す る 技 術 の 開 発 に 当 た っ て は 縦 横 高 比 18-23_7

8 1:7:5 を STEP1 と し て 段 階 的 に 難 度 の 高 い 形 状 に 取 り 組 む こ と と し た 各 STEP で 得 ら れ た 知 見 ( パ ン チ 形 状 の 調 整 ス ラ グ 表 面 の 調 整 ノ ウ ハ ウ ) を 参 考 に 育 成 を 進 め た 結 果 STEP4 に お い て 長 辺 に や や う ね り が 残 り 高 さ が 3 mm 不 足 し た も の の 目 標 ( 1:10:9) に 近 い 試 作 品 を 製 作 す る こ と が で き た (2) ス ラ グ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究 本 工 法 に お い て は 材 料 の 流 れ 具 合 が 成 形 形 状 を 左 右 す る が こ れ は 潤 滑 剤 の 作 用 に よ る と こ ろ が 大 き い こ の た め サ ン ド ブ ラ ス ト に よ り 任 意 に ス ラ グ 表 面 粗 さ を 変 え て 潤 滑 剤 の 捕 捉 状 況 及 び 筐 体 に 与 え る 効 果 を 調 べ た そ の 結 果 ス ラ グ 表 面 が 粗 い ほ ど 筐 体 は 高 く な り 表 面 粗 さ が 小 さ い ほ ど 筐 体 の 立 上 り は 低 く な る こ と が わ か っ た こ れ は 表 面 の 微 視 凹 凸 の 大 き い ほ ど 潤 滑 剤 の 捕 捉 量 が 多 く な り さ ら に は 表 面 が 粗 い ほ ど 金 型 と の 接 触 面 積 が 小 さ く な る こ と か ら 摩 擦 抵 抗 が 低 減 さ れ 潤 滑 性 能 が 向 上 す る と い っ た 見 方 が で き る (3) 開 口 部 カット 方 法 の 開 発 従 来 の プ レ ス カ ッ ト 工 法 で は 必 要 な 寸 法 精 度 が 確 保 で き な い こ と か ら こ れ に 変 わ る 工 法 と し て レ ー ザ ー 工 法 ウ ォ ー タ ー ジ ェ ッ ト 工 法 ダ イ ヤ モ ン ド ソ ー カ ッ ト 工 法 の 3 工 法 を 検 証 し た 結 果 と し て ま だ 未 検 証 の 部 分 は 多 々 残 る が ダ イ ヤ モ ン ド ソ ー カ ッ ト 工 法 ウ ォ ー タ ー ジ ェ ッ ト 工 法 が 有 効 で あ る こ と が わ か っ た (4) アルミ 粉 体 をベースとした 潤 滑 剤 の 開 発 当 初 は ア ル ミ 粉 体 を ベ ー ス と し た 潤 滑 剤 の 開 発 を 目 指 し た が さ ま ざ ま な 性 能 試 験 を 行 っ た と こ ろ ア ル ミ 粉 体 ベ ー ス の 潤 滑 剤 性 能 を 上 回 る 複 数 の 潤 滑 剤 が 確 認 で き た (5) プ ロ ジ ェ ク ト の 運 営 管 理 本 研 究 開 発 の 円 滑 な 推 進 および 事 業 化 を 図 るため 研 究 開 発 推 進 会 議 および 事 業 化 検 討 会 を 以 下 のとおり 開 催 した 第 1 回 第 2 回 開 催 日 時 平 成 20 年 8 月 29 日 10:00~12:30 平 成 21 年 2 月 19 日 13:30~17:00 開 催 場 所 ちゅうごく 産 業 創 造 センター 広 島 市 中 区 小 町 4-33 ちゅうごく 産 業 創 造 センター 広 島 市 中 区 小 町 当 該 研 究 開 発 の 連 絡 窓 口 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト に 関 す る 連 絡 窓 口 は 下 記 の 通 り で あ る _8

9 広 島 市 中 区 小 町 4 番 33 号 中 電 ビル2 号 館 ( 財 )ちゅうごく 産 業 創 造 センター 産 業 創 出 部 浜 里 剛 tel fax zd0039h@pnet.gr.energia.co.jp 第 2 章 本 論 1. 平 成 18 年 度 の 研 究 目 標 と 成 果 および 課 題 本 プ ロ ジ ェ ク ト は 平 成 18 か ら 19 年 度 の 2 ヶ 年 で 実 施 し て い る ( 図 1 参 照 ) こ と か ら は じ め に 18 年 度 の 研 究 目 標 研 究 成 果 に つ い て 述 べ 続 い て 19 年 度 の 研 究 目 標 研 究 成 果 課 題 等 に つ い て 述 べ る 研 究 目 標 縦 横 高 比 1:10:9 9 STEP4 1:10:9 STEP3 研 究 課 題 ( 一 般 ) 1:3:3 当 社 現 状 1:5: STEP1 1:7:5 研 究 課 題 1 押 出 金 型 形 状 2 ク リ ア ラ ン ス 寸 法 STEP2 1:7:7 研 究 課 題 1 押 出 金 型 形 状 2 ク リ ア ラ ン ス 寸 法 3 ス タ ン ピ ン グ 形 状 4フ ランク 抜 断 面 1:8:8 研 究 課 題 1 押 出 金 型 形 状 2クリアランス 寸 法 3スタンピング 形 状 4フ ランク 抜 断 面 5スラグ 表 面 処 理 6 潤 滑 剤 1 押 出 金 型 形 状 2スタンピング 形 状 3クリランス 寸 法 4フ ランク 抜 断 面 5スラグ 表 面 処 理 6 潤 滑 剤 7 素 材 強 度 18 年 度 19 年 度 図 1 最 終 目 標 ま で の 研 究 ス テ ッ プ 18-23_9

10 (1) 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 ( 1 年 目 の 目 標 STEP1: 縦 横 高 比 1:7:5 STEP2: 縦 横 高 比 1:7:7 の 成 形 ) 冷 間 鍛 造 プ レ ス 機 が 導 入 さ れ る ま で の 7 ヶ 月 は 社 内 保 有 の C 型 200 トン プ レ ス に て STEP1 ( 縦 横 高 比 1:7:5) 及 び STEP2 ( 1:7:7)に 取 り 組 ん だ し か し C 型 プ レ ス で は 成 形 の 際 に 局 所 へ の 集 中 荷 重 が 生 ず る た め プ レ ス 精 度 が 悪 化 し 不 均 等 な プ レ ス 加 重 が そ の ま ま 製 品 に 転 化 さ れ て し ま う 事 態 を 引 き 起 こ し た こ う し た 問 題 を 抱 え つ つ も パ ン チ 金 型 R の 種 々 の 調 整 に よ り STEP1 ( 1:7:5) を 達 成 す る こ と が 出 来 た 冷 間 鍛 造 プ レ ス 機 導 入 後 は STEP2( 1:7:7)の 試 作 を 行 い プ レ ス 機 の 高 い 性 能 と STEP1 で 蓄 積 さ れ た 試 作 ノ ウ ハ ウ に よ り 目 標 の 縦 横 高 比 1:7:7( STEP 2 ) を 達 成 し た 一 方 で 本 工 法 は ス ラ グ に 集 中 荷 重 を か け て 成 形 す る 工 法 ゆ え 金 型 に か か る 負 担 が 大 き く ダ イ が 破 損 し て し ま う こ と が あ っ た し た が っ て 金 型 の 形 状 及 び 材 質 を 再 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た (2) 衝 撃 押 出 成 形 を 行 うための 最 適 バレル 条 件 の 研 究 本 成 形 は 潤 滑 性 能 を 向 上 さ せ る た め バ レ ル 処 理 し た ス ラ グ 表 面 の 微 小 凹 凸 内 に 潤 滑 剤 を 封 入 し 成 形 す る も の で あ る が 成 形 後 も 微 小 凹 凸 が 残 っ て 筐 体 表 面 の 光 沢 を 減 少 さ せ る こ と が わ か っ た 川 下 業 者 か ら 表 面 肌 の 見 栄 え( 絞 り 成 形 は 表 面 に 光 沢 が あ る の に 対 し 本 成 形 は 白 っ ぽ い 光 沢 が な い )に つ い て 頻 繁 に 改 善 要 求 が あ っ た た め バ レ ル 処 理 を 施 さ ず 一 部 フ ァ イ ン ブ ラ ン キ ン グ 的 な 要 素 を 折 り 込 ん だ 方 法 で ス ラ グ を 製 作 し そ の ま ま ア ル ミ 粉 を 潤 滑 剤 と し て 本 成 形 を 実 施 し た と こ ろ 筐 体 側 面 も 非 常 に 平 滑 で 光 沢 あ る 表 面 が 得 ら れ た 最 終 目 標 で あ る 縦 横 高 比 1:10:9 の 厳 し い 加 工 領 域 で も バ レ ル 処 理 無 し で 本 工 法 に よ る 成 形 が 可 能 か ア ル ミ 粉 の 効 能 の メ カ ニ ズ ム も 含 め て 解 決 す べ き 点 は 多 い が こ れ が 適 用 で き れ ば 見 栄 え の 問 題 が 解 決 す る と と も に 工 程 数 削 減 に よ る コ ス ト 低 減 に も 寄 与 す る こ と か ら 事 業 化 を 目 指 す に は 追 及 す べ き 課 題 と 考 え た (3) 衝 撃 押 出 成 形 に 順 応 したエマルジョンタイプ 固 形 潤 滑 剤 の 開 発 油 性 潤 滑 剤 に 添 加 剤 を 含 有 さ せ た 1 次 試 作 調 整 品 を 既 存 の ス テ ン レ ス 系 プ レ ス 品 に 塗 布 し て そ の 効 果 を 評 価 し た と こ ろ 良 好 な 結 果 を 得 た 一 方 ア ル ミ 粉 体 潤 滑 剤 の 実 験 で は 従 来 の よ う な ス ラ グ の す べ て の 面 に パ ン 粉 を つ け る 如 く で な く 塗 布 面 を 側 面 4 面 の み と す る こ と で 筐 体 内 部 に は 残 渣 が 存 在 し な い こ と が わ か っ た 本 プ ロ ジ ェ ク ト で は 水 溶 性 潤 滑 剤 で の 洗 浄 レ ス と す る こ と を 目 的 と し て い た が エ マ ル ジ ョ ン タ イ プ の 固 形 潤 滑 剤 は 基 本 的 に 水 溶 性 で あ る た め 粘 性 が 低 18-23_10

11 く 必 要 な 量 を 必 要 な 箇 所 に 塗 布 す る 要 件 を 具 備 し て い な い し た が っ て 2 次 試 作 調 整 品 ( 水 + ア ル ミ 粉 体 + 増 粘 剤 ) 実 験 に お い て 適 量 適 所 塗 布 を 狙 っ た 新 た な 潤 滑 剤 よ り 高 性 能 な 潤 滑 剤 開 発 を す る 必 要 が 出 て き た (4) 完 全 洗 浄 レスを 目 的 としたアルミ 粉 体 潤 滑 剤 の 開 発 角 型 缶 を 単 純 化 し た 丸 缶 形 状 の 本 成 形 実 験 で ス ラ グ の メ タ ル フ ロ ー 可 視 化 を 試 み た 結 果 は 最 も 電 池 缶 で 重 要 な 缶 内 側 の 側 面 は パ ン チ が ス ラ グ に 接 触 す る 面 の 材 料 が 流 動 し て い る こ と が わ か っ た こ れ は エ マ ル ジ ョ ン タ イ プ 固 形 潤 滑 剤 の 開 発 で 実 験 し た 角 型 筐 体 での 残 渣 の 可 視 化 と 同 じ 結 果 であり 形 状 が 異 なっ ても 筐 体 内 部 の 素 材 流 動 は 変 わらないことがわかった これは ス ラ グ 上 面 に 潤 滑 剤 が 無 け れ ば 缶 内 部 に は 潤 滑 剤 が 残 存 し な い こ と を 示 唆 し て い る 課 題 として 現 有 の ア ル ミ 粉 体 潤 滑 剤 で は ア ル ミ 粉 の 均 一 付 着 は 粉 体 状 の ま ま で は ス ラ グ に 対 し 適 所 塗 布 が 難 し い こ と 特 に ス ラ グ 上 面 へ の 付 着 は 本 成 形 に 対 し 悪 影 響 を 与 え る こ と も 判 明 し た こ と か ら ア ル ミ 粉 体 単 独 の 潤 滑 に 対 し 塗 布 面 を コ ン ト ロ ー ル す る 機 能 の 付 加 が 必 要 な こ と が わ か っ た 2. 平 成 19 年 度 の 研 究 目 標 と 成 果 および 今 後 の 課 題 (1) 角 型 衝 撃 押 出 成 形 技 術 の 最 適 工 法 の 研 究 ⅰ 実 験 方 法 1 年 目 に STEP1 2 を 終 え 2 年 目 は 最 終 目 標 で あ る 縦 横 高 比 1:10:9 に 向 け て STEP3 と し て 縦 横 高 比 1:8:8 STEP4 と し て 1:10:9 の 試 作 金 型 を 製 作 す る 中 で 試 作 品 取 得 に 取 り 組 ん だ 実 験 条 件 ( 表 1) の 設 定 を 行 っ た 金 型 育 成 を す る た め に 200 トン C 型 プ レ ス を 使 用 し そ の 後 250 トン 冷 間 鍛 造 プ レ ス 機 を 使 用 し 試 作 を 行 っ た 素 材 は 川 下 ニ ー ズ に 合 わ せ 純 ア ル ミ ニ ウ ム 系 の A1050 -H112 材 と し た 材 料 メ ー カ ー は ア ル ミ 専 業 の 古 河 ス カ イ 製 を 用 い た 18-23_11

12 表 1 実 験 条 件 項 目 金 型 育 成 試 作 コ マ ツ 製 200 トン C フレームプ レ ス 回 転 速 度 : SPM40~ 50 コ マ ツ 製 250 トン 冷 間 鍛 造 プ レ ス 回 転 速 度 : SPM20~ 30 プ レ ス 機 潤 滑 剤 ス テ ア リ ン 酸 亜 鉛 そ の 他 同 左 潤 滑 剤 塗 布 ス ラ グ 素 材 ス ラ グ 材 6 面 体 全 面 に ハント 塗 布 パ ン チ 先 端 ダ イ 入 口 に 塗 布 材 質 A1050-O 材 輪 郭 形 状 ワ イ ヤ カ ッ ト 抜 材 同 左 材 質 A1050-H112 材 輪 郭 形 状 ワ イ ヤ カ ッ ト 抜 材 お よ び ブ ラ ン キ ン グ 型 材 ⅱ 実 験 結 果 ア STEP3(1:8:8) 金 型 の 育 成 経 過 C 型 プ レ ス 機 で 育 成 し た 金 型 を 使 用 し 冷 間 鍛 造 プ レ ス 機 に て 試 作 を 行 っ た 以 下 時 系 列 に 金 型 の 育 成 経 過 と 試 作 の 結 果 を 報 告 す る 1 C 型 プ レ ス 機 で 育 成 し た ま ま の 状 態 で プ レ ス し た 試 作 品 を 示 す プ レ ス 方 向 ( 以 下 プ レ ス の 前 面 を F 後 面 を R で 呼 ぶ )で い う R 側 長 辺 に ゆ が み 異 常 な 突 起 形 状 が 発 生 し た ( 図 2) 18-23_12

13 図 2 STEP3 プ レ ス 結 果 ( そ の 1 ) 2 ダ イ と の ク リ ア ラ ン ス 調 整 育 成 経 過 の 中 で ブ ラ ン キ ン グ 加 工 品 と ワ イ ヤ カ ッ ト 品 と の 加 工 の 違 い 底 部 板 厚 の 違 い に よ る 短 辺 底 部 の 素 状 変 化 等 を 加 味 し な が ら プ レ ス 条 件 金 型 を 調 整 し 成 形 を 行 っ た そ の 結 果 以 下 の よ う な R 側 の 突 起 等 の 無 い 試 作 品 が 得 ら れ た( 図 3) ま た 連 続 で 成 形 す る と 形 状 が 不 安 定 と な る が パ ン チ 等 を 十 分 冷 却 す る と 安 定 す る こ と か ら 成 形 温 度 が 形 状 に 大 き く 影 響 し て い る こ と が 分 か っ た 図 3 STEP3 プ レ ス 結 果 ( そ の 2) 18-23_13

14 3 プ レ ス 試 作 を 行 う 中 で 短 辺 長 辺 板 厚 を 確 認 し な が ら 対 辺 の 板 厚 を 均 一 に な る よ う に ダ イ 位 置 を 基 準 に パ ン チ 位 置 を 調 整 し た 結 果 1:8:8 の 目 標 を 達 成 し た ( 図 4) 長 辺 側 若 干 膨 らみ 傾 向 あり 長 辺 短 辺 とも 形 状 良 好 図 4 STEP3 プ レ ス 結 果 ( そ の 3) イ STEP4(1:10:9) 金 型 の 育 成 経 過 こ れ ま で の STEP で 筐 体 の 肉 厚 が 薄 い と 僅 か な 成 形 設 定 条 件 の 差 が 筐 体 側 面 の 形 状 に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 分 か っ た こ と か ら STEP4 で は 側 面 の 目 標 板 厚 を 1mm と し て 筐 体 を 試 作 し た そ の 経 過 を 報 告 す る STEP4 は 長 辺 寸 法 に 対 し 短 辺 が 極 端 に 小 さ い た め 材 料 流 れ は さ ら に 悪 条 件 と な る ま た STEP3 で は 見 ら れ な か っ た 長 辺 側 の 内 面 側 へ の 凹 み が 発 生 し こ の 対 策 が 必 要 と な る こ れ ら を 解 決 す る た め 短 辺 側 に 如 何 に 材 料 を 円 滑 に 流 し 込 む か を 中 心 に 金 型 の 育 成 を 進 め STEP4 用 に 製 作 し た パ ン チ に 修 正 調 整 を 加 え た 結 果 1:10:9 の 高 さ 目 標 を ほ ぼ 達 成 し た ( 図 5) こ れ に よ り 単 純 に 短 辺 側 だ け を 改 善 し た だ け で は 満 足 し な い こ と 特 に 長 辺 側 の ク リ ア ラ ン ス も 加 味 し な が ら の 調 整 が 肝 要 で あ る こ と が わ か っ た 18-23_14

15 STEP3 C 型 プレス STEP4 250 トンプレス 図 5 STEP3 STEP4 プ レ ス 結 果 の 比 較 ⅲ 研 究 の 成 果 STEP3 4 の 筐 体 加 工 に 取 り 組 ん だ 結 果 STEP3 は 目 標 を 達 成 し た STEP4 は 長 辺 側 の 品 質 に 問 題 が 残 っ た こ と と 高 さ 方 向 で 3mm 寸 法 不 足 の 成 果 を 残 し た と こ ろ で 研 究 を 終 了 し た 本 来 こ う し た 研 究 で は ノ ウ ハ ウ に 埋 も れ て い る 部 分 を 定 量 化 し ど ん な ニ ー ズ が あ っ て も 対 応 で き る 技 術 の 確 立 が 成 果 と し て 求 め ら れ る し か し な が ら 本 工 法 で は 目 標 寸 法 を 満 足 さ せ る た め の 因 子 が 想 定 し た 以 上 に 多 く ま た そ れ ら が 複 雑 に 作 用 し て い る こ と が 改 め て わ か っ た 具 体 に は 1 短 辺 長 辺 の ク リ ア ラ ン ス 調 整 2 短 辺 長 辺 の R 調 整 3 パ ン チ 先 端 か ら の ニ ガ シ 調 整 等 の ノ ウ ハ ウ を 結 集 し て 本 工 法 が 成 り 立 つ こ と が わ か っ た ⅳ 今 後 の 課 題 ま だ ノ ウ ハ ウ の 域 の 感 は あ る も の の 育 成 手 順 を 体 得 で き た こ と は 大 き な 収 穫 で あ る が 定 量 的 な 見 地 で の 研 究 が な さ れ て い な い こ の た め 現 状 は 試 行 錯 誤 を 重 ね 目 標 寸 法 を 達 成 し な け れ ば な ら ず そ の 点 で こ れ ら を 補 完 す る 成 形 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 等 の 活 用 を 図 っ て い き た い 一 方 で 今 回 は ダ イ の 割 れ パ ン チ の ソ リ 等 に 悩 ま さ れ 続 け た こ れ は 現 状 の 試 作 金 型 で は 実 用 化 に お い て は 耐 久 性 の 面 で 全 く 信 頼 性 が な い こ と に 18-23_15

16 他 な ら ず こ の 課 題 に つ い て は 再 度 材 質 の 選 定 部 材 構 造 の 最 適 化 等 を 検 討 し 解 決 し て い き た い (2) スラグ 表 面 性 状 最 適 条 件 の 研 究 ⅰ 研 究 目 的 潤 滑 剤 は プ レ ス 成 形 に よ る 筐 体 の 形 状 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す こ と か ら ス ラ グ 表 面 性 状 と 潤 滑 剤 の 効 果 を 研 究 し た ま た 川 下 企 業 か ら 表 面 光 沢 ニ ー ズ も あ っ て 筐 体 の 表 面 粗 さ と の 関 係 も 調 査 し た ⅱ 実 験 方 法 (STEP3 のプレス 条 件 にて 実 施 ) サ ン ド ブ ラ ス ト 装 置 を 用 い 6 面 体 ス ラ グ に 異 な る 粒 子 径 の セ ラ ミ ッ ク 系 研 磨 材 を 撃 ち つ け 表 面 を 凹 凸 さ せ こ こ に 潤 滑 剤 を 塗 布 す る そ の 凹 凸 状 態 の 差 異 に よ っ て 筐 体 の 高 さ プ レ ス 過 重 表 面 光 沢 度 を 調 査 し 潤 滑 剤 の 性 能 を 効 果 的 に 発 現 さ せ る た め の ス ラ グ 表 面 性 状 の 適 正 条 件 を 求 め る ⅲ 実 験 結 果 ア スラグショット 材 の 素 状 以 下 に 今 回 ス ラ グ に 付 加 す る セ ラ ミ ッ ク 系 研 磨 材 の 粒 番 号 と 粒 度 と の 関 係 を 示 す ( 図 6) 今 回 は 代 表 的 な 3 種 類 の 粒 度 ( # ) で 実 験 を 行 っ た 不 二 製 作 所 セラミック 系 研 磨 材 の 粒 度 範 囲 ホワイトアランダム( 高 純 度 アルミナ) 商 品 名 :フジランダムWA 粒 番 号 粒 度 範 囲 (ミクロン) ~ 対 比 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 粒 度 範 囲 粒 番 号 と 粒 度 範 囲 ( 単 位 :μm) 粒 番 号 最 大 最 小 イ 図 6 研 磨 剤 の 粒 度 範 囲 ショット 粗 さと 表 面 光 沢 との 関 係 以 下 に 各 ス ラ グ に #24 #100 #220 の 研 磨 材 を シ ョ ッ ト し た 筐 体 の 表 面 光 沢 の 写 真 を 示 す 赤 丸 で 囲 ん だ 部 分 に お い て #24 か ら #220 に 粒 度 が 小 さ く な る に 従 っ て 目 視 で あ る が 光 の 反 射 度 合 い が 強 く な っ て い る こ と が わ か る ( 図 7) 今 回 こ の 光 沢 を 目 視 だ け で な く 定 量 的 に 評 価 し よ う と し て 光 沢 度 計 に 18-23_16

17 よ り 計 測 し た が 光 沢 度 が 高 す ぎ 計 測 不 能 に 終 わ っ た #24 本 来 筐 体 の 光 沢 品 質 の 面 では 側 面 の 光 沢 度 が 重 要 であるが 反 射 率 が 高 く 計 測 できなかった このため あくまで 参 考 値 であるが 反 射 率 の 低 い 筐 体 底 面 を 計 測 した #100 堀 場 製 作 所 製 ハンテ ィ 光 沢 計 測 定 角 :60 IG320 粒 度 N=1 N=2 # # # # 注 : 単 位 なし ~ 結 果 ~ 参 考 値 であるが 底 面 においても #24 #100 #220 の 順 に 光 沢 度 があがっていることがわかる このことは 側 面 でも 同 様 のこと が 言 える 図 7 筐 体 光 沢 の 比 較 ウ スラグ 粗 さと 筐 体 高 さの 関 係 ス ラ グ 粗 さ と 筐 体 の 高 さ の 関 係 を 評 価 し た 図 8 に そ の 結 果 を 示 す さ ら に 図 9 に は 3 種 類 の シ ョ ッ ト 粗 さ で の 筐 体 高 さ 写 真 を 示 し た 18-23_17

18 98.00 ショット 粗 さと 筐 体 高 さの 関 係 (A,B 平 均 高 さ) 筐 体 短 辺 高 さ スラク ショット 粗 さ 図 8 シ ョ ッ ト 荒 さ と 筐 体 高 さ と の 関 係 図 9 シ ョ ッ ト 荒 さ と 筐 体 高 さ と の 関 係 ( 筐 体 外 観 ) (ア) 結 果 スラグショット 粗 さが 大 きいほど 筐 体 高 さが 高 い (イ) 考 察 粗 さが 大 きいほど 潤 滑 剤 が 多 く 付 着 することで 潤 滑 性 能 が 効 果 的 に 発 現 し 筐 体 高 さが 高 くなると 思 われる また スラグ 表 面 とパンチの 点 接 触 が 少 なく なることで 摩 擦 係 数 も 相 対 的 に 下 がり 筐 体 高 さが 高 くなるものと 思 われる (ウ) 今 後 の 応 用 展 開 18-23_18

19 この結果を応用すれば 材料流れを必要とするところには粗いショットを 材料流れを抑制したいところには細かいショットを施すことで 成形形状に 応じた材料流れをコントロールできる エ スラグブランキング スタンピングについて 均一なスラグを安価で安定的に供給するため アルミニウム厚板から ス ラ グ 素 材 を 製 作 す る 方 法 と し て ス ラ グ を 抜 く た め の ブ ラ ン キ ン グ 金 型 及びプレス成形に適したスラグ形状に加工するスタンピング金型を試作 し 機能の妥当性を検証した (ｱ) 結 果 STEP3 4 の ス ラ グ は 高 い 縦 横 比 と な る が ソ リ バ リ の な い ス ラ グ を 抜くことができた ただしスラグの長手側のダレは止められなかった ま た ス タ ン ピ ン グ 金 型 は ブ ラ ン キ ン グ で 生 じ た 面 ダ レ の 補 正 機 能 を 有 す る こ と が 確 認 で き た 図 10 品質確認のためワイヤカット工法でスラグを製作し比較を行ったが 特に差異は見あたらず 機能を満足していると言える 図 10 ブランキング スタンピングしたスラグの外観 18-23_19

20 (ｲ) 考 察 と 今 後 ブ ラ ン キ ン グ に よ っ て も 良 好 な ス ラ グ 精 度 を 確 保 で き た が 市 場 で は ス ラ グ 製 造 専 門 メ ー カ ー か ら 購 入 が 一 般 的 で あ る そ の 意 味 で こ の 方 法 は 少 量 多 品 種 で ス ラ グ 専 門 メ ー カ ー で も 扱 っ て も ら え な い ケ ー ス で 応用する場が多分にあると思われる オ プレス金型によるエンボス模様転写加工について ス ラ グ 表 面 へ の シ ョ ッ ト 加 工 は 筐 体 形 状 を 安 定 的 に 成 形 す る の に 有 効 な 手 段 で あ る し か し サ ン ド ブ ラ ス ト 装 置 で 常 に 同 一 の シ ョ ッ ト 加 工 精 度 を 再 現 す る こ と は 難 し い こ と か ら プ レ ス 金 型 に よ る エ ン ボ ス 模 様 転 写 をスラグに試みた (ｱ) 結果 プ レ ス 金 型 内 部 表 面 は 放 電 加 工 で 微 視 凹 凸 を 付 加 し 短 辺 側 に 24 を 長 辺 側 に 220 を サ ン ド ブ ラ ス ト 装 置 で 加 工 を 施 し た 図 11 図 11 金型で加工したスラグ (ｲ) 考 察 と 今 後 の 課 題 サンドブラスト装置で基礎実験を行い最適な粗さを確認した上で プレス金型内部にエンボス模様を作りそれをスラグに転写する工法 は 粉 体 等 を 使 用 す る こ と な く ス ラ グ に 表 面 粗 さ を 付 記 で き る こ と で ラ ン ニ ン グ コ ス ト 環 境 面 あ る い は 設 置 ス ペ ー ス の 点 で も 優 位 と 思 われる ただしショット面の面粗さがプレスを繰り返す間にどれくらい損 18-23_20

21 耗していくのかまだ未検証の点もあり今後の課題である ⅳ 研究の成果 従来のスラグ表面の改質はバレル研磨をベースとした大粗な処理に終始 し て い た こ れ は 本 工 法 が 難 易 度 の 比 較 的 低 い 円 筒 品 主 体 で あ っ た こ と が 要 因 と 思 わ れ る し か し 本 研 究 の よ う に 縦 横 比 が 極 端 に 異 な る 形 状 で は 如 何 に 短 辺 長 辺 に 材 料 を 流 し 込 む か が 肝 要 で あ り 表 面 粗 さ に よ る 潤 滑 剤 の 付 着 具 合 が 成 形 後 の 筐 体 形 状 に 大 き く 影 響 す る こ と が 確 認 で き た ま た こ の 成果をプレス金型内部へのエンボス模様作成に応用しスラグ表面に転写し てプレス成形工程に展開できたことは大きな成果と思われる ⅴ 今後の課題 様 々 な 筐 体 形 状 が 市 場 か ら 要 求 さ れ て く る 中 で ど の よ う な 表 面 性 状 が 適 正 な の か は 試 行 錯 誤 に よ ら ざ る を 得 な い が こ れ ら の 結 果 を 積 み 重 ね て い くことで 徐々にスラグの最適性状が体系化できると思われる それには さらに調査を加え傾向を定量化していくことが必要である (3) 開口部カット方法の開発 ⅰ 研究目的 最 近 の 川 下 ニ ー ズ と し て 気 密 性 確 保 の 必 要 性 か ら 筐 体 開口部とその蓋の 勘合 溶着の工程での品質に多大な問題を抱えており その解決が急務であること を言及されている その中で プレス成形品については蓋 と の 溶 接 部 と な る 開 口 部の断面がきれいで寸法誤差が小さいことが強く要求されている 従来の４面カット方法を見直し エンドレスカットソー バンドソー による開 口部端部切断工法の開発を行うとしていたが 機種の選定調査をしていく中でエン ドレスカットソーは 小ロットのアルミ缶は切断できるが処理数が多くなると切断 くずが刃と刃のあいだに堆積し そのためにバリを生じたり 切断面がきれいでな くなることが分かってきた そこで他の方法としてレーザー切断機 ウォータージ ェット切断機といった切断方法に着目 その能力を検討する また断念したカットソーについて中国地域産業クラスター試作支援ネッ トの中でカットソーに精通した企業を見出し 再度テストを行い評価した ⅱ 実験方法 次の 3 工法について検証した レーザー切断 レ ー ザ ー 切 断 は 炭 酸 ガ ス レ ー ザ ー 切 断 機 を 使 用 し そ の 切 断 面 を 調 査 した ウォータージェット切断 18-23_21

22 ウォータージェット切断機を使用し その切断面を調査した ダイヤモンドソー切断 エンドレスカットソーの今後の可能性を把握するためカットソー UST10 を 使 用 し そ の 切 断 面 を 調 査 し た ⅲ ア 実験結果 レーザー切断 以 下 の 手 順 図 12 で 筐 体 の レ ー ザ ー カ ッ ト を 実 施 し た (ｱ) テ ス ト 条 件 エ ク ス テ ン シ ョ ン 2mm カット速度 13mm/秒 ア ル ミ カ ッ ト 標 準 図 12 レーザー切断試験 (ｲ) 結 果 と 考 察 以 下 に カ ッ ト 断 面 写 真 図 13 を 示 す カ ッ ト は 出 来 た が 赤 丸 部 に は 筐 体 内 側 方 向 に 微 小 な バ リ が 発 生 し て お り 触 れ る と 落 下 す る 状 態 に あった また筐体の冶具セッティングが細長い筐体底面を基準にしているた め 固 定 方 法 が 難 し く カ ッ ト ラ イ ン の 段 差 が 5/100 以 上 あ り 満 足 し な い 結果となった 18-23_22

23 図 13 イ レーザー切断の結果 ウォータージェット切断 以 下 に ウ ォ ー タ ー ジ ェ ッ ト で 切 断 し た 状 況 を 示 す 図 14 カ ッ ト 状 態 把握のため 3 パターンの切断速度で実施した 図 14 ウォータージェット切断試験 (ｱ) テスト条件 切 断 速 度 を 75mm/min 150mm/min 200mm/min 切 断 圧 力 300MPa (ｲ) 結 果 以 下 に カ ッ ト 状 況 を 示 す 図 15 水 流 が 最 初 に 接 触 す る Ｆ 側 長 辺 は 比 較 的 切 断 面 の ダ レ が 少 な い が 肌 荒れ状のザラツキ感あり 18-23_23

24 Ｒ 側 長 辺 は Ｆ 側 長 辺 に 比 べ ダ レ が 大 き く 切 断 面 の 肌 荒 れ 感 も 激 し い また内面も荒れている 筐体の底に砥粒 ガーネット が溜まっていた 100mm/min 200mm/min 水流噴射 方向 75mm/min カット方向 切 断 面 粗く ダレあり カット方向 図 15 切断面比較的 良好 平滑 砥粒 ｶﾞｰﾈｯﾄ が底に残る ウォータージェット切断の結果 (ｳ) 考察 本来ウォータージェットはインゴット等厚モノ形状を得意とするが 対 象 物 が 薄 板 で か つ 筒 形 状 の た め Ｆ 側 カ ッ ト 後 Ｒ 側 カ ッ ト に よ る 水 勢 低 下 水 流 径 が 太 く な り Ｒ 側 の 切 断 面 は 非 常 に 悪 い 状 態 に な っ た も の と 推 察 さ れ る ま た 筒 状 の た め 砥 粒 が 筐 体 を 突 き 抜 け る こ と な く 底 面 に 溜まり残渣の問題が残った ウ ォ ー タ ー ジ ェ ッ ト で 切 断 す る 場 合 コ ス ト 問 題 は あ る が 筐 体 の 中 に 発 泡 ス チ ロ ー ル 等 の 詰 め 物 を し て イ ン ゴ ッ ト 状 に す れ ば 今 回 の 結 果 と は異なる結果が得られるのではないかと考える ウ ダイヤモンドソー切断 表 2 に ダイヤモンドソーによる切断条件を示す 18-23_24

25 表 2 実験方法 使用刃 ダイヤモンドチップソー φ４２０ ｔ３ ２ ４０Z 使用機械型式UST10 支給品 STEP3形状 結果 No 回転数 ｒｐｍ 2,000 2,000 2,500 2,500 2,500 2,500 周速V m/min) 送り mm/min) 2,000 2,000 2,000 1,000 3,000 2,000 SZ 備考 mm) ﾜｰｸつぶれ 上面ﾊﾞﾘ有 刃数少ないため回転数UP 発砲ｽﾁﾛｰﾙを間に入れて切断 SZ:一刃当り送り量 送り速度/ 回転数 刃数Z (ｱ) 結果 図 16 参照 切断面は平滑できれいな仕上がりをしていた バリも非常に少ない 短辺側はソーの回転方向とカット面が並行のため若 干バリが発生している １回切りのため段差はゼロ 平行度も 5/100 以内で良好 図 16 ダイヤモンドソーによる切断の結果 18-23_25

26 (ｲ) 考察 予測していた結果と異なり平滑な切断面 平行度を有していた これらもウ ォータージェット同様 筐体内部に詰め物をすれば より切断面は良好になる とのメーカー見解もあり さらに改善できる余地がありそうである ⅳ 研究の成果 切 断 方 法 に よ る 開 口 部 の 評 価 結 果 は 表 3 の と お り で あ る そ の 結 果 ダ イ ヤ モ ン ド カ ッ ト ソ ー ウ ォ ー タ ー ジ ェ ッ ト で の 切 断 に 実 用 化 の 可 能 性 が 得 られた 表 3 No 切断方法 開口部切断方法の比較 実施方法 ﾊﾞﾘ テスト結果 平行度 生産性 考察 評価 1 ｴﾝﾄﾞﾚｽｶｯﾄｿｰ 工場視察 事前調査の実 施 ﾊﾞﾘの問題が大きいと思われ実施 見送り 2 ﾚｰｻﾞｰ切断 地域企業に委託 ｶｻﾐ工 業 ｶｯﾄそのものが開口部に対し内向 切断となりﾊﾞﾘ方向が問題 3 ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｶｯﾄｿｰ 中国地域産業ｸﾗｽﾀｰ試作 支援ﾈｯﾄにより加工ﾒｰｶｰと 連携 想定よりﾊﾞﾘが小さい 耐久性の問 題は懸念あるが筐体に詰め物す れば よりｳﾞﾊﾞﾘ精度改善の期待 有り 4 ｳｵｰﾀｼﾞｪｯﾄ切断 地域支援機缶の技術指導 ｼｽﾃﾑを活用 想定よりﾊﾞﾘが大きかった 厚ﾓﾉ切 断の実績も踏まえ筐体内に詰め物 すれば改善の余地あると思われる (4) アルミ粉体をベースとした潤滑剤の開発 ⅰ 研究目的 従来 鉱物系の油剤は さまざまな添加剤の添加もしくは粘度を上げることで性 能の向上を図ってきたが 鉱物油を除去するに要する洗浄負荷が増大しているなど の問題を抱えている 特に昨今の電池筐体爆発事故等は筐体内部に混入した金属粉 が原因などとされており洗浄は大きな課題である このため 最近は鉱物油に代わるエマルジョンタイプ固形潤滑剤の検討がなされ ている これらの潤滑剤は水成分を主体としているため金型の冷却性能が非常に高 いこと エマルジョンの乳化粒子の物理的な作用で金型と材料の直接接触を防止す る機能をもつこと 水溶性のため洗浄性が非常に良好なこと等から 本工法にマッ チした潤滑剤の開発を目指した ⅱ 実験方法 本工法で使用される代表的な潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を今一度評価し そ 18-23_26

27 の位置付けを明確にしたうえで 新たな各種潤滑性添加剤の潤滑性評価をリング圧 縮試験によって行った 固 体 潤 滑 剤 の 潤 滑 性 を 評 価 す る た め 塑 性 加 工 の モ デ ル 実 験 と し て 代 表 的 な リ ン グ 圧 縮 試 験 を 行 っ た 以 下 に 実 験 に 使 用 す る プ レ ス 機 外 観 と リ ン グ 圧 縮用金型 成形条件の試験条件等を示す ま た 潤 滑 剤 の 振 る 舞 い を よ り 明 ら か に す る 目 的 で 潤 滑 剤 塗 布 を 全 面 塗 布 と 半 面 塗 布 で 実 施 し た こ れ ら 圧 縮 テ ス ト 後 に テ ス ト ピ ー ス を 内 径 ２ 箇 所 と厚さを計測し摩擦係数および圧縮前後の内径比により潤滑剤の作用を評 価 し た 試 験 条 件 評 価 方 法 等 を 図 に 示 す 図 17 リ ン グ 圧 縮 試 験 左 試 験 条 件 青色 潤滑剤 図 18 塗布方法 18-23_27

28 図 19 ⅲ 評価方法 実験結果 ステアリン酸亜鉛には 下記の特徴がある 摩擦係数 内径比より最も潤滑性が高い ス テ ア リ ン 酸 亜 鉛 が 溶 解 し た 210 で 潤 滑 性 が 高 い ま た 室 温 状 態 で も 良 好 で あ る 実 際 の イ ン パ ク ト 工 法 に お い て 塑 性 変 形 に よ る 発 熱 は ス テ ア リ ン 酸 の 融 点 と そ の 溶 け 具 合 か ら 含 め く ら い と 推 定される 圧縮後のリングに実現場で起きている白色曇りも同様に発生した 試 験 の 結 果 か ら 従 来 か ら 本 工 法 の 現 場 に お い て 一 般 的 に 使 用 さ れ て い る ス テ ア リ ン 酸 亜 鉛 が モ デ ル 実 験 に お い て も 良 好 で あ る こ と が 再 現 さ れ た 一 方でステアリン酸亜鉛は良好な潤滑性の一方で非常に塗布された表面に残 り 易 い こ と か ら 川 下 の 最 大 の 課 題 で あ る 清 浄 度 の 点 で 課 題 を 抱 え る ゆ え に ス テ ア リ ン 酸 亜 鉛 の 効 果 を 出 し つ つ 脱 脂 性 洗 浄 性 の 良 い 配 合 型 の 潤 滑 剤 が 求められる ⅳ 研究の成果 従 来 の 本 工 法 は ス ラ グ に バ レ ル 処 理 し て そ の 凹 凸 に 定 量 性 は 無 い ま ま パ ン 粉 を つ け る が 如 く に ス テ ア リ ン 酸 亜 鉛 を 付 着 さ せ 加 工 し て き た 本 研 究 は 従 来 の 成 形 容 易 な 円 筒 缶 と は 全 く 難 易 度 を 異 に す る 筐 体 成 形 で あ り 当 初 か ら潤滑剤の開発は従来型の思想では難しいと考えていた と は い え 先 人 の 経 験 則 は 非 常 に 重 要 で あ り こ の 機 会 を 利 用 し リ ン グ 圧 縮 試 験 を 用 い ス テ ア リ ン 酸 亜 鉛 の 性 能 を 実 験 的 に 把 握 し そ の 性 能 の 高 さ を 明 18-23_28

29 ら か に し た ま た 実 機 と の 比 較 も 行 い 実 験 と 実 機 の 整 合 性 も 確 認 で き た こ のことは今後 新たな潤滑剤を研究していく上で有益な結果となった 第 ３章 全体総括 １ 研究開発成果 平成 18 年度のプロジェクトとして開始された本研究は従来円筒缶で実用化されてい た衝撃押出工法を縦横比が極端に異なる角型缶の製作に応用することであった 1 年目は 縦横高比 からはじめ の筐体を試作し２年目には さらに へと目標を高めていった 最終的には目標にわずかに届かない の角型筐体の製作ができた この工法では高さ比が増すほど成形が困難になり筐体の割れや長辺方向への皴の発生 が多くみられるようになる そのために 1 年目と２年目でダイの形状を様々な形状に変 え材質も変更してきた しかしそれでもダイの材質 形状は満足の出来るものではなく 今後も検討が必要である いずれにしてもスラグから目標寸法の筐体を成形する過程において成形の状態を分析 しながら金型のどこが影響しているかを考え それを育成してスラグの流動性をコント ロールし目標の筐体を成形する技術をある程度定性的に確立できたことは大きな成果 だと考える また成形に欠かせない潤滑剤については一般的に使用されてきた鉱物系の油剤は そ の性能アップに大量の添加剤 もしくは粘度を上げることで対応してきた しかしなが ら添加剤の含有 粘度アップは成形性能の向上には大きく役立つものの その後の洗浄 工程で大きな問題がある すなわち これら鉱物油を除去するに要する洗浄負荷が増大 することである そこで 1 年目は鉱物油に代わってエマルジョンタイプ固形潤滑剤の検 討を行った これら潤滑剤は水成分を主体としているため金型の冷却性能が非常に高い こと エマルジョンの乳化粒子の物理的な作用で金型と材料の直接接触を防止する機能 をもつこと 水溶性のため洗浄性が非常に良好なことがその理由であった しかし水溶 性のために粘性が低いため必要量をスラグの必要な箇所へ塗布することが難しいこと が分かった ２年目は本工法で使用される代表的な潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を今一度評価し その位置付けを明確にしたうえで 新たな各種潤滑性添加剤の潤滑性評価をリング圧縮 試験で行い評価した 18-23_29

30 ２ 今後の課題及び事業化展開 (1) 今後の課題 今 後 の 課 題 と し て は 連 続 的 に 安 定 し た 筐 体 を 作 成 で き る 条 件 の 確 立 が 必 要 で あ る そ の た め に は ど の よ う な パ ラ メ ー タ ー が 成 形 に 影 響 を 与 え て い る の か を も う一度追求していく必要があると考えている さ ら に 成 形 し た 筐 体 の 洗 浄 方 法 の 確 立 開 口 部 の 切 断 方 法 の シ ス テ ム と し て の 確立も残された課題であり今後検討を行っていきたい (2) 事業化計画 地球規模の環境問題およびエネルギー問題を背景に自動車についてはガソリン ディーゼル車からいわゆる従来燃料と二次蓄電池を組み合わせたハイブリッドカ ー プ ラ グ イ ン ハ イ ブ リ ッ ド カ ー さ ら に 電 気 自 動 車 へ と 車 の 駆 動 エ ネ ル ギ ー の 形 態 が 発 展 変 化 し て い く に 伴 い 電 池 も ニ ッ ケ ル ｰ水 素 系 か ら リ チ ウ ム イ オ ン 系 へ と か わ り つ つ あ り さ ら に 電 池 部 自 体 の 軽 量 化 が さ ら に 求 め ら れ て く る そ の た め に は 筐 体 も 鉄 あ る い は ス テ ン レ ス 製 よ り ア ル ミ 製 で よ り 容 量 の 大 き な も の が 必 要 に な っ てくると考えられる こ の よ う な 展 開 に 対 応 す る に は 筐 体 の 製 造 方 法 と し て 衝 撃 押 出 イ ン パ ク ト 成 形 法 が従来の絞り工法に比べて有利になると考えている これらに対応するにあたり事業化に進むために現在課題と考えているのは １ 洗 浄 性 が よ く 潤 滑 性 能 の 優 れ た 潤 滑 剤 の 開 発 潤 滑 性 能 と し て は ス テ ア リ ン 酸 亜鉛と同等で洗浄性がよい潤滑剤 ２ 寸法の安定した筐体を連続成形して製造する技術の確立 連続成形するときは金型温度が上昇することが原因で安定した寸法を有す る 筐 体 が 出 来 に く く な る こ と ま た 筐 体 高 さ が 大 き い ほ ど 潤 滑 剤 が 不 足 す る 傾 向にある ３ 成形後の筐体に付着した潤滑剤の洗浄方法の確立 更には ４ 筐体開口部の精密な切断方法 もある 特 に １ ３ の 課 題 の 解 決 が 重 要 で あ り 課 題 ２ に つ い て は 潤 滑 剤 の 材 料 物 性 の みならずその冷却を含めた塗布方法などが影響する このような課題の解決を図りながら同時に川下企業と連携をとり試作を繰り返 しながら事業化を図っていきたい 以 18-23_30 上