第1章　中国の東北地域開発と北朝鮮

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1 北 朝 鮮 の 貿 易 動 向 と 中 国 ロシア 等 との 経 済 関 係 に 関 する 調 査 2012 年 2 月 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 振 興 機 構 委 託 先 : 東 アジア 貿 易 研 究 会

2 免 責 条 項 ジェトロは 本 報 告 書 の 記 載 内 容 に 関 して 生 じた 直 接 的 間 接 的 あるい は 懲 罰 的 損 害 および 利 益 の 喪 失 については 一 切 の 責 任 を 負 いません こ れは たとえジェトロがかかる 損 害 の 可 能 性 を 知 らされていても 同 様 とし ます

3 はじめに 本 調 査 は 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 振 興 機 構 が 東 アジア 貿 易 研 究 会 に 委 託 して 実 施 しまし た 中 朝 経 済 関 係 に 関 しては 昨 年 度 (2010 年 度 )も 調 査 を 実 施 しましたが 今 回 の 調 査 では 中 国 と 朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 ( 北 朝 鮮 )の 経 済 関 係 をさらに 詳 しく 調 査 したほか 最 近 特 に 注 目 されるロシアと 北 朝 鮮 との 関 係 強 化 の 現 状 についても 調 査 し 報 告 書 にまとめまし た また 北 朝 鮮 経 済 について 可 能 な 限 り 最 新 情 報 を 盛 り 込 み 今 後 の 北 朝 鮮 経 済 が 進 む であろう 方 向 と 課 題 を 提 示 するよう 試 みています ところで 北 朝 鮮 の 金 正 日 総 書 記 の 突 然 の 死 (2011 年 12 月 17 日 )は 世 界 を 驚 愕 さ せさまざまな 流 言 蜚 語 が 飛 び 交 いましたが その 三 男 金 正 恩 氏 をトップとする 新 たな 指 導 体 制 への 権 限 委 譲 がスムーズになされ 平 穏 に2012 年 を 迎 えたのもまた 別 の 驚 きでした 北 朝 鮮 はこの 青 年 指 導 者 を 労 働 党 と 人 民 軍 の 若 手 リーダーが 支 えつつ 金 正 日 総 書 記 がや り 残 した 大 きな 課 題 である 北 朝 鮮 の 国 際 的 地 位 の 確 立 とりわけ 米 国 との 関 係 改 善 を 図 り 他 方 国 内 的 には 一 流 経 済 国 家 への 脱 皮 を 目 指 すことになると 思 われます 経 済 問 題 については 北 朝 鮮 では 新 年 恒 例 となっている 労 働 新 聞 など 3 紙 の 共 同 社 説 ( 北 朝 鮮 指 導 部 の 年 頭 施 政 方 針 演 説 に 該 当 )で 指 摘 しているとおり 食 糧 問 題 をはじめ 人 民 の 生 活 向 上 を 最 優 先 課 題 にあげ 先 端 科 学 技 術 の 導 入 を 含 む 朝 鮮 式 の 知 識 経 済 強 国 の 建 設 を 党 軍 人 民 が 一 丸 となって 目 指 すとしていますが 人 民 の 不 満 が 高 まれば 政 権 のみな らず 国 としての 命 運 をも 危 うくする 危 険 性 があります そして この 実 現 にはいかなる 形 であれ 経 済 の 改 革 と 開 放 が 不 可 避 と 思 われ そのこと 自 体 が 体 制 を 揺 るがす 危 険 性 を 孕 んでいるだけに 新 指 導 部 が 果 たしてこうした 難 題 にどう 取 り 組 むのか 大 いに 注 目 され るところです 朝 鮮 半 島 が 東 アジア 地 域 の 要 の 位 置 にあるだけに 隣 国 日 本 としても 強 い 関 心 をもって その 動 静 を 注 視 し いつでも 発 動 できる 対 応 策 を 考 えておくことが 必 要 でしょう その 意 味 で 本 報 告 書 が 北 朝 鮮 経 済 の 最 新 の 動 向 を 知 る 上 で 少 しでも 参 考 になれば 真 に 幸 いです 2012 年 2 月 東 アジア 貿 易 研 究 会

4 ( 北 朝 鮮 )

5 目 次 はじめに 第 1 章 中 国 の 東 北 地 域 開 発 と 北 朝 鮮 中 国 の 東 北 地 域 開 発 政 策 の 基 本 方 針 と 開 発 計 画 の 概 要... 1 (1) 東 北 振 興 政 策 の 開 発 計 画... 1 (2) 遼 寧 省 の 地 域 開 発 政 策 : 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画... 5 (3) 吉 林 省 の 地 域 開 発 政 策 : 長 吉 図 先 導 区 計 画 中 国 東 北 開 発 から 見 た 北 朝 鮮 の 位 置 づけ (1)1990 年 代 の 歴 史 的 経 験 : 図 們 江 地 域 開 発 と 対 北 朝 鮮 関 係 (2)2000 年 代 の 中 国 の 東 北 振 興 計 画 と 北 朝 鮮 (3) 中 国 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 における 相 互 の 認 識 と 対 応 戦 略 (4) 中 国 と 北 朝 鮮 の 経 済 開 発 計 画 連 携 に 影 響 を 与 える 要 因 (5) 中 国 東 北 開 発 から 見 た 北 朝 鮮 の 位 置 づけ 中 国 東 北 地 域 の 主 な 開 発 プロジェクトの 進 捗 状 況 と 課 題 (1) 遼 寧 省 地 域 : 丹 東 市 の 開 発 状 況 (2) 吉 林 省 地 域 : 長 吉 図 先 導 区 延 辺 自 治 州 の 開 発 状 況 (3) 中 朝 間 のインフラ 整 備 協 力 (4) 中 国 東 北 地 域 開 発 プロジェクトと 北 朝 鮮 との 経 済 インフラ 連 携 の 課 題.. 38 第 2 章 ロシアの 極 東 地 域 開 発 と 北 朝 鮮 ロシアの 極 東 政 策 と 経 済 開 発 ( 最 近 の 動 向 ) 天 然 ガスパイプライン 計 画 に 見 るロシアと 北 朝 鮮 ロシア 沿 海 地 域 の 主 なプロジェクトの 進 捗 状 況 と 課 題 (1)ウラジオストクの 開 発 プロジェクト (2)ロシアと 北 朝 鮮 との 経 済 協 力 プロジェクト 第 3 章 北 朝 鮮 の 対 中 国 ロシア 政 策 と 北 朝 鮮 経 済 の 改 革 と 具 体 的 変 化 北 朝 鮮 の 経 済 発 展 政 策 の 立 案 推 進 体 制 と 主 要 な 指 導 者 (1) 経 済 発 展 政 策 立 案 の 普 遍 的 要 因 (2) 時 期 別 要 因 (3) 北 朝 鮮 の 国 内 経 済 の 現 状 と 経 済 政 策 立 案 の 状 況... 70

6 2. 北 朝 鮮 から 見 た 対 中 関 係 (1) 北 朝 鮮 の 対 中 経 済 政 策 の 動 向 (2) 共 同 開 発 共 同 管 理 構 想 の 開 始 (3) 黄 金 坪 威 化 島 経 済 地 帯 の 指 定 と 羅 先 経 済 貿 易 地 帯 の 再 活 性 化 北 朝 鮮 から 見 た 対 露 関 係 (1)これまでの 北 朝 鮮 の 対 ロ 経 済 関 係 (2)2008 年 以 降 の 新 動 向 その 他 諸 外 国 からの 主 要 対 北 朝 鮮 直 接 投 資 インフラ 案 件 の 概 要 経 済 関 連 法 整 備 の 状 況 について (1) 北 朝 鮮 の 外 国 投 資 誘 致 立 法 整 備 の 開 始 (2) 北 朝 鮮 の 経 済 関 連 法 整 備 (3) 北 朝 鮮 の 経 済 関 連 法 の 問 題 点 と 限 界 第 4 章 北 朝 鮮 の 貿 易 動 向 と 開 城 工 業 団 地 の 現 状 北 朝 鮮 の 貿 易 動 向 (1) 北 朝 鮮 の 貿 易 額 と 貿 易 相 手 国 の 構 成 (2) 中 朝 貿 易 の 動 向 (3)その 他 の 国 の 対 北 朝 鮮 貿 易 (4) 南 北 交 易 の 動 向 開 城 工 業 団 地 事 業 の 現 状 と 課 題 (1) 開 城 工 団 の 沿 革 (2) 開 城 工 団 の 現 状 (3) 開 城 工 業 団 地 の 課 題 参 考 資 料 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 の 中 文 オリジナル 北 朝 鮮 の 対 外 経 済 関 係 法 行 政 法 経 済 関 係 制 度 に 関 連 する 法 律 金 正 日 総 書 記 の 歩 みと 北 朝 鮮 を 巡 る 主 な 動 き 執 筆 者 紹 介

7 図 表 目 次 < 第 1 章 の 図 表 > 図 表 1-1 東 北 地 域 における 経 済 発 展 の 見 通 し... 4 図 表 1-2 遼 寧 省 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 主 要 目 標... 5 図 表 1-3 遼 寧 省 沿 海 経 済 ベルト... 6 図 表 1-4 吉 林 省 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 主 要 目 標... 8 図 表 1-5 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 対 象 地 域... 9 図 表 1-6 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 主 要 内 容 図 表 1-7 中 国 の 東 北 地 域 開 発 戦 略 と 北 朝 鮮 との 関 連 性 概 念 図 図 表 1-8 中 国 と 北 朝 鮮 の 経 済 連 携 に 影 響 を 与 える 要 因 図 表 1-9 中 朝 経 済 開 発 計 画 連 携 の 現 状 と 見 通 し( 分 野 別 ) 図 表 1-10 中 国 東 北 地 域 開 発 計 画 の 構 図 図 表 1-11 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 にある 延 辺 州 の プロジェクト 図 表 1-12 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 対 外 開 放 プロジェクト 図 表 1-13 中 国 の 対 北 朝 鮮 経 済 協 力 (インフラ 整 備 )の 動 向 図 表 1-14 黄 金 坪 経 済 地 帯 の 開 発 構 想 図 表 1-15 羅 先 経 済 貿 易 地 帯 と 清 津 における 中 朝 共 同 開 発 の 具 体 内 容 < 第 2 章 の 図 表 > 図 表 2-1 極 東 ロシア 地 域 における 経 済 開 発 計 画 政 策 の 経 過 図 表 2-2 運 輸 エネルギー 部 門 の 政 策 文 書 図 表 年 までの 極 東 バイカル 地 域 社 会 経 済 発 展 戦 略 の 内 容 図 表 2-4 地 域 GDP の 年 平 均 成 長 率 の 目 標 値 図 表 年 までの 極 東 バイカル 経 済 社 会 発 展 プログラムの 内 容 図 表 年 までの 極 東 バイカル 経 済 社 会 発 展 プログラムの 分 野 別 事 業 費 図 表 2-7 韓 国 とロシアとの 天 然 ガス 協 力 をめぐる 動 きの 経 過 図 表 2-8 サハリン~ハバロフスク~ウラジオストック 天 然 ガスパイプライン 建 設 の 経 過... 50

8 図 表 2-9 東 部 シベリア 極 東 地 域 におけるガスパイプライン 統 合 網 とアジア 太 平 洋 市 場 へ 輸 出 図 表 2-10 北 朝 鮮 経 由 の 天 然 ガスパイプラインの 推 進 日 程 図 表 2-11 KOGAS とガスプロムの 共 同 プロジェクトの 内 容 図 表 年 における 沿 海 地 方 におけるガス 供 給 発 展 図 図 表 2-13 朝 鮮 半 島 PNG パイプライン 建 設 構 想 図 表 2-14 北 朝 鮮 経 由 PNG 敷 設 の 利 点 と 課 題 図 表 2-15 ウラジオストック 拠 点 化 サブプログラム 事 業 内 容 < 第 3 章 の 図 表 > 図 表 3-1 北 朝 鮮 で 最 近 竣 工 した 中 大 型 発 電 所 図 表 3-2 北 朝 鮮 の 最 近 の 長 期 経 済 プロジェクト 図 表 3-3 北 朝 鮮 の 外 資 誘 致 機 関 図 表 3-4 中 国 の 対 北 朝 鮮 主 要 投 資 事 例 図 表 3-5 北 朝 鮮 の 立 法 および 改 正 数 の 推 移 < 第 4 章 の 図 表 > 図 表 4-1 北 朝 鮮 の 貿 易 額 図 表 4-2 北 朝 鮮 の 輸 出 入 に 占 める 中 国 と 韓 国 の 割 合 ( 依 存 度 ) 図 表 4-3 北 朝 鮮 の 貿 易 国 別 構 成 図 表 4-4 北 朝 鮮 の 輸 出 国 別 構 成 図 表 4-5 北 朝 鮮 の 輸 入 国 別 構 成 図 表 4-6 中 国 の 対 北 朝 鮮 貿 易 の 推 移 図 表 4-7 中 朝 貿 易 2010~11 年 の 月 別 推 移 図 表 4-8 中 国 の 北 朝 鮮 向 け 輸 出 品 目 構 成 (HS4 桁 ) 図 表 4-9 中 国 の 北 朝 鮮 向 け 食 糧 と 原 油 の 輸 出 図 表 4-10 中 国 の 北 朝 鮮 からの 輸 入 品 目 別 (HS4 桁 ) 図 表 4-11 中 国 の 北 朝 鮮 からの 鉱 物 輸 入 図 表 4-12 北 朝 鮮 からの 繊 維 製 品 輸 入 図 表 4-13 その 他 主 要 国 の 対 北 朝 鮮 貿 易 図 表 4-14 南 北 交 易 の 推 移 ( 類 型 別 ) 図 表 4-15 南 北 交 易 搬 入 搬 出 別 (2008~11 年 ) 図 表 4-16 南 北 交 易 商 業 性 非 商 業 性 取 引 別

9 図 表 4-17 南 北 交 易 の 商 業 性 取 引 (2008~11 年 ) 図 表 4-18 南 北 交 易 の 非 商 業 性 取 引 (2008~11 年 ) 図 表 4-19 品 目 別 南 北 交 易 搬 出 ( 南 北 ) 図 表 4-20 品 目 別 南 北 交 易 搬 出 ( 南 北 ) 図 表 4-21 品 目 別 南 北 交 易 搬 入 ( 北 南 ) 図 表 4-22 品 目 別 南 北 交 易 搬 入 ( 北 南 ) 図 表 4-23 開 城 工 団 事 業 の 交 易 額 (2011 年 1~11 月 実 績 ) 図 表 4-24 業 種 別 稼 動 企 業 数 図 表 4-25 南 北 労 働 者 数 の 推 移 図 表 4-26 企 業 数 と 生 産 額 の 推 移 図 表 4-27 開 城 工 団 生 産 品 の 輸 出 状 況 図 表 4-28 開 城 工 業 地 区 の 税 制 比 較

10 第 1 章 中 国 の 東 北 地 域 開 発 と 北 朝 鮮 1. 中 国 の 東 北 地 域 開 発 政 策 の 基 本 方 針 と 開 発 計 画 の 概 要 遼 寧 省 吉 林 省 黒 龍 江 省 からなる 中 国 東 北 地 域 は 豊 富 な 農 産 物 石 炭 鉄 鉱 石 原 油 電 力 などがあり 農 業 と 重 工 業 を 柱 とし 中 国 の 経 済 を 支 えてきた また 北 朝 鮮 ロシア モンゴル 韓 国 日 本 といった 北 東 アジア 諸 国 との 経 済 連 携 も 進 められ てきた 1.1 億 人 の 人 口 を 持 つ 東 北 3 省 の 地 域 は 全 国 対 比 1 割 経 済 の 水 準 である(2010 年 の 東 北 3 省 の GDP は 5,430 億 ドルで 全 国 GDP5.8 兆 ドルの 9.3%) その 経 済 的 特 徴 は 政 府 主 導 の 資 源 依 存 型 の 開 発 モデルであったため 早 期 の 工 業 化 に 成 功 した とは 言 えるが その 基 盤 は 旧 満 州 国 資 本 の 没 収 過 程 で 生 まれた 国 有 企 業 であり 新 しい 技 術 を 基 盤 とする 現 代 的 な 産 業 地 域 として 成 長 を 継 続 するには 限 界 があった この 問 題 は 改 革 開 放 政 策 の 推 進 以 降 に 現 実 化 した 中 国 政 府 は 1990 年 代 から 図 們 江 地 域 開 発 などの 多 国 間 経 済 協 力 を 通 じて 東 北 地 域 の 経 済 開 放 に 取 り 組 んだが その 成 果 は 不 十 分 であった 2000 年 代 に 入 り 東 北 地 域 に 対 する 開 発 戦 略 が 再 成 立 され 本 格 化 した すなわち 中 国 政 府 は 2002 年 から 東 北 地 域 に 対 する 開 発 政 策 を 再 検 討 し 始 め 2003 年 10 月 に 中 国 共 産 党 第 16 期 三 中 全 会 で 公 式 に 東 北 地 区 など 老 工 業 基 地 振 興 ( 東 北 振 興 ) 政 策 を 発 表 したのである その 後 東 北 地 域 の 経 済 成 長 率 は 全 国 水 準 を 上 回 る 高 い 増 加 率 を 示 してきた 外 資 導 入 の 増 加 とともに 政 府 の 集 中 的 な 固 定 資 産 投 資 という 政 策 によるものが 大 きかった 中 国 政 府 の 東 北 地 域 開 発 は これまで 農 業 と 重 工 業 を 柱 とした 国 内 向 けの 資 源 供 給 基 地 工 業 生 産 基 地 であった 東 北 地 域 の 産 業 的 性 格 を 北 東 アジア 地 域 協 力 の 中 心 基 地 へ 発 展 させることを 目 標 としている そのためには 地 政 学 的 に 北 朝 鮮 やロシア 韓 国 日 本 など 近 隣 諸 国 との 経 済 連 携 を 前 提 に 対 外 通 路 を 確 保 することが 戦 略 的 優 先 課 題 となる その 通 路 はロシアや 北 朝 鮮 であるが 北 朝 鮮 の 方 が 中 国 においては より 経 済 連 携 性 が 大 きい 北 朝 鮮 は 中 国 において 政 治 経 済 的 な 緩 衝 地 ではなく 中 国 東 北 地 域 の 経 済 発 展 の 気 道 となりつつある (1) 東 北 振 興 政 策 の 開 発 計 画 中 国 政 府 の 東 北 振 興 計 画 は 三 つのレベルの 経 済 政 策 を 持 っている 一 つ 目 は 中 国 国 内 における 経 済 政 策 として 地 域 均 衡 発 展 を 目 指 すことである これは 中 国 政 1

11 府 においては 既 存 の 改 革 開 放 政 策 が 持 つ 先 福 論 - 不 均 衡 地 域 発 展 戦 略 から 地 域 均 衡 発 展 戦 略 に 地 域 開 発 政 策 を 新 しく 転 換 した 意 味 がある これは 2011 年 から 始 まる 中 国 経 済 社 会 発 展 第 十 二 次 五 ヶ 年 計 画 (12 5 計 画 )のなかでも 以 下 のよ うに 定 められている 1 産 業 科 学 技 術 の 基 盤 がしっかりしているという 優 位 性 を 活 かして 現 代 産 業 シ ステムを 整 え 設 備 製 造 や 原 材 料 自 動 車 農 産 物 のディープ プロセシングな ど 比 較 優 位 産 業 のグレードアップを 推 進 し 金 融 物 流 観 光 ソフトウェアお よびサービスのアウトソーシングなどサービス 業 の 発 展 に 力 を 入 れる 国 有 企 業 改 革 を 深 化 し 国 営 企 業 の 支 援 により 雇 用 確 保 の 目 的 で 運 営 されてきた 集 団 所 有 制 企 業 廠 弁 大 集 体 企 業 の 改 革 と 債 務 株 式 化 (DES) 資 産 の 処 理 を 急 ぎ 非 公 有 制 経 済 と 中 小 企 業 の 発 展 に 力 を 入 れる 農 業 発 展 パターンの 転 換 を 加 速 させ 安 定 した 国 家 食 糧 戦 略 基 地 を 建 設 する 黒 土 の 土 地 湿 地 森 林 草 原 の 保 護 に 力 を 入 れ 大 興 安 嶺 小 興 安 嶺 長 白 山 森 林 区 の 生 態 保 護 と 経 済 転 換 を 推 進 する 資 源 枯 渇 地 域 の 転 換 発 展 を 促 進 し 資 源 型 都 市 の 持 続 可 能 な 発 展 能 力 を 強 化 する 全 国 旧 工 業 基 地 の 調 整 改 造 を 統 一 して 計 画 手 配 する 遼 寧 沿 海 経 済 帯 瀋 陽 経 済 区 長 吉 図 ( 吉 林 省 の 省 都 長 春 市 吉 林 市 の 一 部 地 域 図 們 江 ) 経 済 区 哈 大 齊 ( 黒 龍 江 省 の 省 都 ハルビン 市 大 慶 市 チチハル 市 )および 牡 綏 ( 牡 丹 江 綏 芬 河 ) 地 区 などの 地 域 発 展 を 重 点 的 に 推 進 する 中 国 政 府 は 12 5 計 画 の 3 大 戦 略 目 標 として 均 衡 発 展 のために 都 市 化 建 設 生 態 安 全 農 業 発 展 の 三 つを 上 げている すなわち 東 北 地 域 が 既 存 の 資 源 依 存 型 の 開 発 モデルである 労 働 集 約 的 環 境 汚 染 的 開 発 路 線 から 脱 皮 し 技 術 集 約 的 で 省 エネルギー 環 境 にやさしい 新 型 の 工 業 化 を 推 進 するように 政 策 転 換 を 図 っている 二 つ 目 は 中 国 国 内 の 経 済 統 合 性 を 高 めることである 12 5 計 画 要 綱 に 地 域 間 協 力 のメカニズムを 改 善 強 化 し 市 場 の 障 壁 を 打 ち 破 り 資 源 要 素 の 移 動 を 促 進 1 中 華 人 民 共 和 国 国 民 経 済 と 社 会 発 展 第 十 二 次 五 ヶ 年 計 画 要 綱 第 十 八 章 地 域 発 展 総 体 的 戦 略 の 実 施 第 2 節 東 北 地 域 などの 旧 工 業 基 地 の 全 面 的 振 興 ( 新 華 社 北 京 2011 年 3 月 16 日 付 を 参 照 ) 2

12 し 順 次 産 業 移 転 を 促 す と 明 記 していることから 地 域 間 の 経 済 統 合 が 重 要 な 課 題 となる 東 南 地 域 の 企 業 が 東 北 地 域 に 投 資 するようにすることや 東 北 地 域 の 資 源 (エ ネルギー 鉱 物 食 料 など)を 東 南 地 域 に 迅 速 に 輸 送 できる 物 流 網 ( 陸 運 海 運 )を 整 備 することはその 一 貫 である 三 つ 目 は 国 際 協 力 を 通 じて 東 北 地 域 への 投 資 誘 致 はもちろん 東 北 地 域 が 国 際 発 達 地 域 の 市 場 に 到 達 できるような 通 路 を 確 保 するための 物 流 網 を 強 化 することであ る 以 上 の 政 策 レベルにおいて 中 央 政 府 は 2007 年 8 月 に 東 北 振 興 推 進 総 合 計 画 を 発 表 し まず 工 業 都 市 ベルトの 建 設 計 画 を 以 下 のように 示 した イ. 哈 大 経 済 ベルト(ハルビン- 大 連 間 ): 大 連 経 済 区 遼 寧 中 部 経 済 区 長 吉 経 済 区 ( 長 春 吉 林 ) 哈 大 斉 工 業 回 廊 (ハルビン 大 慶 チチハル)を 核 とした 工 業 都 市 ベルトを 建 設 ロ. 五 点 一 線 沿 海 経 済 ベルト: 五 点 ( 長 興 島 営 口 沿 海 錦 州 湾 丹 東 花 園 口 )の 遼 寧 省 沿 海 部 地 域 に 臨 港 産 業 ハイテク 産 業 サービス 業 を 発 展 ハ. 辺 境 地 域 の 発 展 :チチハル- 赤 峰 綏 芬 河 - 満 州 里 琿 春 - 阿 爾 山 丹 東 - 霍 林 河 錦 州 -シリンホト( 錫 林 浩 特 ) 間 の 道 路 建 設 その 後 2009 年 8 月 17 日 には 国 務 院 が 発 表 した 東 北 地 区 など 老 工 業 基 地 振 興 戦 略 を 拡 大 実 施 することに 関 する 若 干 の 意 見 の 中 に 12 5 計 画 の 目 標 に 合 わせ た 形 で 以 下 の 重 点 事 業 の 実 施 が 示 された イ. 設 備 製 造 業 鉄 鋼 石 油 化 学 自 動 車 製 造 などの 産 業 構 造 調 整 と 第 3 次 産 業 (サ ービス 業 )の 発 展 ロ. 企 業 の 技 術 水 準 自 主 開 発 能 力 の 向 上 ハ. 東 北 地 域 の 国 家 穀 物 生 産 基 地 化 ニ.インフラ 建 設 (エネルギー 交 通 水 利 ) ホ. 資 源 依 存 型 都 市 からの 転 換 ヘ. 生 態 系 の 保 護 グリーン 経 済 の 発 展 ト. 都 市 と 農 村 を 含 む 社 会 保 障 システムの 完 備 および 医 薬 衛 生 体 制 の 改 革 チ. 地 域 経 済 の 一 体 化 リ. 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 の 全 面 的 かつ 徹 底 的 実 施 このような 目 標 に 沿 って 東 北 振 興 計 画 では 2020 年 までに 東 北 地 域 に 4 基 3

13 地 1 区 域 を 形 成 することを 策 定 している 4 基 地 とは 1 装 備 製 造 業 基 地 2 新 型 原 材 料 およびエネルギー 基 地 3 食 品 および 農 畜 産 業 基 地 4 漢 方 薬 技 術 開 発 基 地 で あり 1 区 域 は 生 態 保 護 区 域 である 中 国 政 府 は2009 年 から 東 北 地 域 に 対 する 開 発 計 画 を 国 家 プロジェクトとして 本 格 的 に 推 進 することを 決 めるが それには 国 内 の 経 済 統 合 性 を 高 めることや 国 際 協 力 の 通 路 確 保 といった 国 家 レベルの 政 策 がより 明 確 に 反 映 された その 例 として 2009 年 7 月 に 遼 寧 省 の 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 が 同 8 月 に 吉 林 省 の 長 吉 図 先 導 区 計 画 が 国 家 プロジェクトとして 承 認 されたことを 挙 げることができよう 以 上 の 経 過 から 東 北 振 興 政 策 は 天 然 資 源 が 枯 渇 しても 経 済 発 展 が 持 続 可 能 な 産 業 構 造 を 確 保 するために 政 府 主 導 の 財 政 投 資 により 産 業 構 造 改 善 国 内 地 域 均 衡 発 展 のための 経 済 統 合 国 際 経 済 連 携 を 図 っていることが 分 かる 今 後 は 市 場 中 心 の 産 業 投 資 を 原 動 力 とした 経 済 活 動 に 転 換 することが 重 要 なポイントになろう 図 表 1-1 東 北 地 域 における 経 済 発 展 の 見 通 し 現 在 東 北 : 経 済 の 過 渡 成 長 期 近 未 来 東 北 : 経 済 の 本 格 発 展 期 政 府 主 導 の 政 策 支 援 市 場 主 導 性 の 確 立 政 策 目 標 政 策 支 援 政 策 支 援 の 変 化 農 業 優 位 資 源 開 発 生 態 保 護 社 会 保 障 戦 略 産 業 の 育 成 1. 既 存 産 業 機 械 自 動 車 農 産 加 工 石 油 化 学 2. 新 興 産 業 新 エネルギー 新 素 材 新 製 薬 3. サービス 産 業 金 融 物 流 観 光 文 化 農 村 支 援 交 通 インフラ 建 設 経 済 特 区 支 援 工 業 団 地 改 造 民 間 投 資 誘 導 資 源 依 存 型 モデル 国 有 企 業 の 民 営 化 加 速 改 革 開 放 の 主 導 : 民 間 企 業 + 外 資 企 業 貿 易 の 拡 大 公 務 員 改 革 市 場 ネットワーク 強 化 天 然 資 源 開 発 新 産 業 育 成 の 均 衡 持 続 的 経 済 発 展 の 原 動 力 の 確 保 4

14 ( 出 所 ) 筆 者 作 成 (2) 遼 寧 省 の 地 域 開 発 政 策 : 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 ( 旧 5 点 1 線 計 画 ) 遼 寧 省 は 東 北 地 域 ( 東 北 3 省 )で 唯 一 海 に 面 しており 東 北 地 域 における 西 の 玄 関 として 中 国 東 南 部 の 経 済 発 展 地 域 とつながり 東 北 地 域 の 経 済 牽 引 役 をつとめてい る 東 北 地 域 に 占 める 遼 寧 省 の 規 模 は 面 積 は 5 分 の 1 以 下 でありながら 人 口 の 44% (2010 年 基 準 4,375 万 人 吉 林 省 2,746 万 人 黒 龍 江 省 3,831 万 人 ) 地 域 GDP の 49%(2010 年 基 準 2,676 億 ドル 吉 林 省 1,256 億 ドル 黒 龍 江 省 1,498 億 ドル)を 占 めている 経 済 中 心 地 域 である 一 人 あたりの GDP では 6,116 ドル(2010 年 基 準 全 国 平 均 4,357 ドル 吉 林 省 4,573 ドル 黒 龍 江 省 3,910 ドル)で マレーシア(8,423 ドル)に 届 かないが タイ(4,992 ドル)を 上 回 るレベルである 人 口 と 経 済 力 でみ れば 中 国 の 一 つの 地 方 というより 一 つの 国 家 に 等 しい このような 地 理 的 優 位 性 と 経 済 力 を 背 景 に 遼 寧 省 は 北 京 天 津 上 海 に 近 いことから 国 内 の 経 済 統 合 性 を 高 めることと 国 際 協 力 を 強 化 することを 主 な 地 域 開 発 政 策 としている 遼 寧 省 の 地 域 開 発 戦 略 は 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 と 瀋 陽 経 済 区 建 設 計 画 が 両 軸 となっているが ここでは 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 を 見 ることにする 2009 年 7 月 1 日 に 国 務 院 発 展 改 革 委 員 会 が 国 家 級 プロジェクトとして 承 認 した 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 は 以 前 2006 年 当 時 の 李 克 強 遼 寧 省 共 産 党 書 記 ( 現 在 国 務 院 副 総 理 ) 時 代 に 出 された 5 点 1 線 開 発 計 画 をベースにしたものである 図 表 1-2 遼 寧 省 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 主 要 目 標 指 標 単 位 2010 年 実 績 2015 年 目 標 年 平 均 増 加 率 (%) 遼 寧 省 全 国 比 率 (%) 遼 寧 省 全 国 比 率 (%) 遼 寧 省 全 国 地 域 GDP 億 元 18, , , , 都 市 化 率 % [7.0] [4.0] 都 市 住 民 一 人 あたり 可 処 分 所 得 元 17,713 19, ,800 26,810 以 上 農 村 住 民 一 人 あたり 純 収 入 元 6,908 5, ,100 8,310 以 上 年 末 総 人 口 万 人 4, , , , % 以 下 注 :[ ]は 5 年 間 の 成 長 率 出 所 : 遼 寧 省 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 公 知 (2011 年 4 月 1 日 ) ( 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 の 計 画 期 間 は 2009 年 から 2020 年 であり 年 平 均 15% 経 済 成 長 (2015 年 までの 12 5 計 画 期 間 は 年 平 均 11.0% 成 長 )を 目 標 に 都 市 インフ ラ 開 発 社 会 開 発 対 外 開 放 資 源 環 境 などの 分 野 で 発 展 させる 計 画 である 地 域 的 には 大 連 を 核 に 丹 東 から 大 連 を 経 由 して 盤 錦 までを 主 軸 線 に 黄 海 沿 岸 と 渤 海 沿 岸 を 5

15 二 つの 翼 とする 1 核 1 軸 2 翼 を 形 成 し 遼 寧 省 沿 海 の6 都 市 ( 大 連 市 丹 東 市 営 口 市 錦 州 市 盤 錦 市 葫 芦 島 市 )を 連 携 し 沿 海 地 域 の 発 展 を 持 って 遼 寧 省 および 東 北 地 域 全 体 の 発 展 を 牽 引 する 計 画 である その 発 展 ベルトは 深 圳 (せん) 経 済 特 区 上 海 浦 東 新 区 天 津 濱 海 新 区 に 次 ぐ 中 国 第 4の 成 長 地 区 となり 東 北 地 域 と 東 南 地 域 の 経 済 連 携 とともに 北 東 アジアに 向 けての 重 要 なゲートウェイであるこ とから 国 家 戦 略 的 に 重 要 な 意 義 を 持 つ 各 地 区 の 中 心 的 産 業 特 化 分 野 は 以 下 のように 計 画 されている イ. 大 連 : 北 東 アジア 国 際 海 運 物 流 中 心 に 育 成 沿 海 地 域 と 内 陸 地 域 の 共 同 発 展 ( 造 船 精 密 工 作 機 械 ) ロ. 営 口 : 製 錬 ハ. 錦 州 : 電 子 石 油 化 学 エネルギー ニ. 盤 錦 : 造 船 ホ. 葫 芦 島 : 石 油 化 学 ヘ. 丹 東 : 製 紙 図 表 1-3 遼 寧 省 沿 海 経 済 ベルト 瀋 陽 出 所 : 6

16 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 の 特 徴 を 簡 単 に 整 理 すると 以 下 の 通 りである 第 一 に 国 家 級 プロジェクトとは 言 え 基 本 的 には 省 政 府 の 財 政 で 推 進 されること である 鉄 道 や 高 速 道 路 など 基 幹 インフラに 中 央 政 府 の 財 政 投 入 が 行 われてはいるが 開 発 の 基 本 的 資 金 は 遼 寧 省 の 財 政 に 依 存 するため 地 方 政 府 の 財 政 負 担 が 大 きくなる 中 央 や 地 方 政 府 の 固 定 資 産 投 資 の 増 加 が 地 域 GDP の 増 加 に 大 きく 貢 献 している 東 北 地 域 であるが 遼 寧 省 では 2010 年 に 1 兆 6,043 億 元 の 固 定 資 産 投 資 額 が 前 年 比 30.5% 増 加 であり 地 域 GDP 対 比 88%のレベルまで 膨 れている 経 済 発 展 における 政 府 投 資 主 導 型 のモデルが 明 確 である 第 二 に 遼 寧 省 地 域 内 の 経 済 開 発 という 側 面 とともに 中 国 内 の 地 域 間 経 済 連 携 統 合 や 北 東 アジア 諸 国 との 経 済 連 携 を 強 化 することを 目 標 としていることである 韓 国 や 日 本 そして 隣 接 する 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 が 物 流 インフラの 整 備 と 関 連 企 業 の 投 資 誘 致 で 積 極 化 している (3) 吉 林 省 の 地 域 開 発 政 策 : 長 吉 図 先 導 区 計 画 中 国 国 務 院 は2009 年 8 月 30 日 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 - 長 吉 図 を 開 発 開 放 先 導 区 にする ( 略 : 長 吉 図 先 導 区 計 画 )を 国 家 プロジェクトとして 格 上 げし 批 准 した 長 吉 図 先 導 区 計 画 とは 長 春 市 吉 林 市 図 們 江 地 区 ( 延 辺 朝 鮮 族 自 治 州 ) を 対 象 に 2020 年 までに 長 吉 ( 長 春 ~ 吉 林 ) 延 龍 図 ( 延 吉 ~ 龍 井 ~ 図 們 ) 琿 春 の 地 域 経 済 を 統 合 的 に 開 発 しながら 図 們 江 地 域 の 国 際 経 済 協 力 を 先 導 する 計 画 である 2010 年 5 月 には 吉 林 省 政 府 が 長 吉 図 先 導 区 実 施 計 画 を 打 ち 出 し 1 年 目 は 良 いスタートを 切 り 3 年 目 は 著 しい 発 展 を 遂 げ 5 年 目 は 実 質 的 成 果 を 上 げ 10 年 目 は 飛 躍 的 発 展 を 実 現 する との 目 標 を 揚 げた 同 年 7 月 2 日 には 吉 林 省 の 長 春 市 と 吉 林 市 が 長 吉 一 体 化 の 推 進 に 関 する 戦 略 的 枠 組 み 協 定 を 結 び 同 計 画 の 本 格 化 に 踏 み 切 った また 2011 年 7 月 28 日 には 吉 林 省 と 北 朝 鮮 の 羅 先 特 別 市 が 中 朝 羅 先 経 済 貿 易 地 帯 (2011 年 ~2020 年 ) 規 画 枠 組 みに 関 する 協 定 を 結 び 長 吉 図 地 域 の 開 発 が 北 朝 鮮 地 域 に 連 携 する 新 しい 時 代 に 入 った これにより 中 国 東 北 内 陸 地 域 と 近 隣 国 の 北 朝 鮮 の 港 が 経 済 一 体 化 することとなった 吉 林 省 の 経 済 成 長 計 画 は 2015 年 までの 12 5 計 画 期 間 中 に 年 平 均 12% 以 上 の 成 長 を 目 標 にしており 遼 寧 省 の 年 平 均 11%より 高 い 目 標 を 揚 げている 遼 寧 省 より 地 理 7

17 的 に 不 利 な 弱 点 を 持 ちながらも 高 い 成 長 を 可 能 にするためには インフラ 開 発 対 外 開 放 基 幹 産 業 および 新 産 業 育 成 などが 切 実 である 吉 林 省 には 5 大 基 幹 産 業 とし て 自 動 車 ( 一 汽 自 動 車 ) 石 油 化 学 電 子 食 品 医 薬 工 業 があるが 今 後 は 自 動 車 石 油 化 学 農 産 物 加 工 現 代 漢 方 薬 バイオ 製 薬 ハイテクなどの 5 大 産 業 基 地 の 建 設 を 目 標 としている 吉 林 省 は 黒 龍 江 省 とともに 東 北 地 域 の 農 業 省 として 重 要 な 食 糧 生 産 地 であるため 産 業 目 標 には 食 品 加 工 畜 産 グリーン 食 品 ( 無 農 薬 食 品 )の 育 成 が 政 策 方 針 として 定 められている 図 表 1-4 吉 林 省 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 主 要 目 標 指 標 単 位 2010 年 実 績 2015 年 目 標 年 平 均 増 加 率 (%) 吉 林 省 全 国 比 率 (%) 吉 林 省 全 国 比 率 (%) 吉 林 省 全 国 地 域 GDP 億 元 8, , ,000 以 上 558, % 以 上 7.0 都 市 化 率 % [4.0] 都 市 住 民 一 人 あたり 可 処 分 所 得 元 15,411 19, ,160 26,810 以 上 % 以 上 - 農 村 住 民 一 人 あたり 純 収 入 元 6,237 5, ,992 8,310 以 上 % 以 上 - 年 末 総 人 口 万 人 2, , , , % 以 内 0.7% 以 下 注 :[ ]は 5 年 間 の 成 長 率 出 所 : 吉 林 省 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 公 知 (2011 年 2 月 28 日 ) ( また 吉 林 省 に 占 める 長 春 市 と 吉 林 市 の 経 済 的 比 重 が 高 いことから 長 - 吉 の 一 体 化 を 通 じて 吉 林 省 の 経 済 統 合 と 発 展 のエンジン 役 をしてもらい その 力 で 国 境 地 域 の 国 際 協 力 をバックアップする 狙 いがある 長 - 吉 の 両 市 は 吉 林 省 の 人 口 の 44% 地 域 GDP の 60% 工 業 総 生 産 の 62% 固 定 資 産 投 資 額 の 56% 社 会 消 費 品 小 売 総 額 の 56% 外 国 人 直 接 投 資 受 入 額 の 67%( 何 れも 2009 年 基 準 2010 吉 林 省 統 計 年 鑑 )などを 占 めることから 吉 林 省 開 発 政 策 の 中 心 地 域 である 吉 林 省 の 発 展 のための 主 軸 的 政 策 となった 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 推 進 にあたって 提 示 された 概 念 は 先 行 先 試 ( 先 に 行 い 先 に 試 みる)である すなわち 法 律 に 定 めがなくても 地 方 の 提 言 があれば 中 央 省 庁 と 協 議 のうえ 新 たな 政 策 を 試 行 するこ とができる 考 え 方 である また 国 際 的 な 意 味 では 国 境 地 域 と 内 陸 地 域 が 補 完 して 連 帯 的 な 発 展 を 遂 行 し 陸 海 国 際 輸 送 ルートを 開 拓 し 国 境 地 域 の 発 展 を 中 国 が 先 行 し て 促 進 する という 概 念 にもなる 8

18 図 表 1-5 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 対 象 地 域 出 所 :ERINA 作 成 以 上 の 意 味 から 長 吉 図 先 導 区 計 画 は 戦 略 的 に 1 東 北 地 域 における 新 たな 経 済 成 長 エリア 育 成 ( 東 北 3 省 + 内 モンゴル 地 域 の 物 流 ライン 開 発 ) 2 北 東 アジアへの 新 たな 対 外 開 放 のゲートウェイ 3 北 東 アジア 経 済 技 術 協 力 のプラットフォーム など になることと 位 置 づけられている 具 体 的 には 吉 林 省 の 長 春 市 と 吉 林 市 にエンジン の 役 割 を 担 わせることを 中 心 に 既 存 の 図 們 江 地 域 である 延 辺 朝 鮮 族 自 治 州 をバックア ップし 辺 境 地 域 開 放 開 発 において 日 本 海 への 経 済 通 路 を 確 保 しながら 周 辺 国 との 経 済 協 力 を 拡 大 する 計 画 である その 内 容 は 以 下 の 通 りである 9

19 区 分 図 表 1-6 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 主 要 内 容 内 容 対 象 地 域 長 春 市 ( 市 街 地 徳 恵 市 九 台 市 農 安 県 ) 吉 林 市 ( 市 街 地 蛟 河 市 永 吉 県 ) 対 象 期 間 戦 略 的 意 義 発 展 目 標 発 展 施 策 延 辺 朝 鮮 族 自 治 州 で 総 計 73,000km 2 ( 吉 林 省 面 積 の 39% 対 象 人 口 は 1,090 万 名 で 吉 林 省 人 口 の 40%) 2009 年 ~2010 年 1 東 北 地 域 における 新 たな 経 済 成 長 エリア 育 成 2 北 東 アジアへの 新 たな 対 外 開 放 のゲートウェイ 3 北 東 アジア 経 済 技 術 協 力 のプラットフォーム 4 内 陸 国 境 地 域 の 開 発 開 放 の 拠 点 年 までに 2008 年 経 済 総 量 の 4 倍 2 大 中 都 市 廃 水 処 理 率 100%など 1. 長 吉 図 地 域 (1) 産 業 の 配 置 の 発 展 構 造 の 改 善 (2) 産 業 構 造 の 改 善 (3)インフラ 整 備 と 環 境 保 護 1 分 業 体 制 の 明 確 化 琿 春 : 対 外 開 放 の 窓 口 延 龍 図 : 対 外 開 放 の 最 前 線 長 春 吉 林 : 後 背 地 2 都 市 部 と 農 村 部 の 協 力 的 発 展 1 先 端 的 製 造 業 2 現 代 サービ ス 産 業 3 現 代 農 業 4 科 学 技 術 の 革 新 自 動 車 石 油 化 学 農 産 品 加 工 電 子 情 報 冶 金 建 材 機 械 製 造 バイオ 新 素 材 現 代 物 流 観 光 文 化 展 覧 アウトソーシング 金 融 保 険 1 交 通 2 水 利 3エネルギー 4 情 報 インフ ラとサービス 5 生 態 と 環 境 保 護 (4) 体 制 改 革 1 政 府 市 場 企 業 の 関 係 の 明 確 化 2 対 外 協 力 国 際 交 流 関 連 の 体 制 改 革 2. 長 吉 図 地 域 (1) 吉 林 省 内 の 他 地 域 との 協 力 と 国 内 地 域 と (2) 東 北 地 域 の 他 地 域 との 協 力 の 協 力 一 横 : 既 存 の 長 春 ~ 琿 春 高 速 道 路 (2010 年 全 線 開 通 )とあわせ 長 春 ~ 松 原 ~ 白 城 ~ 石 頭 井 子 間 の 高 速 道 路 を 建 設 し 琿 春 ~ 内 モンゴルを 結 ぶ 高 速 道 路 となる 三 従 :1ハルビン~ 大 連 旅 客 専 用 新 幹 線 2 瀋 陽 ~ 吉 林 鉄 道 複 線 化 3 東 辺 道 鉄 道 完 工 により 東 北 東 部 総 合 輸 送 ルート を 形 成 (3) 沿 海 地 域 との 協 力 10

20 3. 長 吉 図 地 域 の 国 際 協 力 (1) 国 際 物 流 ルート 整 備 1 越 境 経 済 協 力 のインフラ 整 備 2 国 際 空 港 の 物 流 機 能 も 強 化 (2) 越 境 経 済 協 力 区 の 整 備 (3) 国 際 環 境 協 力 の 推 進 (4) 国 際 産 業 協 力 地 区 の 建 設 (5) 知 識 文 化 観 光 の 国 際 協 力 1 知 識 人 材 の 育 成 と 協 力 の 推 進 2 対 外 文 化 交 流 の 推 進 3 国 際 観 光 協 力 の 推 進 (6) 図 們 江 地 域 の 新 たな 国 際 協 力 枠 組 みの 形 成 実 施 計 画 - 政 策 的 支 援 : 建 設 用 地 の 利 用 計 画 を 統 一 的 に 策 定 し 重 点 項 目 の 建 設 用 地 を 確 保 優 先 許 可 制 隣 接 地 域 の 交 通 インフラ 整 備 支 援 国 際 協 力 産 業 団 地 の 建 設 を 二 国 間 の 政 府 協 力 支 援 項 目 に 選 定 - 交 通 インフラ 建 設 通 商 口 建 設 資 金 : 重 点 的 に 支 援 - 吉 林 省 が 図 們 江 協 力 開 発 銀 行 の 設 立 に 関 する 事 前 研 究 を 支 持 し 条 件 が 整 えば 許 可 図 們 江 地 域 協 力 開 発 信 託 基 金 の 設 立 を 支 持 出 所 : 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 上 記 の 図 表 1-6 から 分 かるように 長 吉 図 先 導 区 計 画 では 長 春 ~ 琿 春 を 両 極 に 吉 林 延 辺 が 物 流 の 集 散 地 となり 琿 春 ~ハルビン~ 大 連 を 結 ぶ 東 部 幹 線 交 通 網 に 連 結 し 西 端 には 内 モンゴル 北 端 には 綏 芬 河 と 満 州 里 に 南 端 には 大 連 と 丹 東 につな がる 物 流 ネットワークが 構 築 される また 長 吉 図 先 導 区 は 国 際 協 力 を 通 じて 東 北 内 陸 と 日 本 海 や 中 国 東 南 部 をつなぐ 国 際 物 流 通 路 の 開 拓 辺 境 地 域 国 際 経 済 協 力 産 業 団 地 の 形 成 など 新 しい 試 みを 推 進 している このような 資 金 面 での 中 央 政 府 のイン フラ 建 設 支 援 とともに 図 們 江 協 力 開 発 銀 行 の 設 立 にも 積 極 的 な 関 心 を 示 している 海 港 を 持 たない 吉 林 省 や 黒 龍 江 省 にとって 北 朝 鮮 の 羅 津 港 と 清 津 港 そしてロシ アのザルビノ 港 の 確 保 は 東 北 部 経 済 の 対 外 的 発 展 の 最 優 先 課 題 となる 北 朝 鮮 やロシ アに 面 している 延 辺 朝 鮮 族 自 治 州 は 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 窓 口 最 前 方 と 位 置 づけ られた 11

21 2. 中 国 東 北 開 発 から 見 た 北 朝 鮮 の 位 置 づけ (1) 1990 年 代 の 歴 史 的 経 験 : 図 們 江 地 域 開 発 と 対 北 朝 鮮 関 係 図 們 江 地 域 開 発 は 吉 林 省 が 図 們 江 を 通 って 日 本 海 への 出 口 を 模 索 する 過 程 で 生 ま れた 多 国 間 の 経 済 協 力 構 想 であった 1992 年 3 月 に 中 国 政 府 は 図 們 江 地 域 開 発 を 促 進 させるために 図 們 江 河 口 の 中 朝 ロの 国 境 にある 琿 春 市 を 対 外 開 放 の 国 境 都 市 に 指 定 し 優 遇 政 策 を 付 与 することにした その 後 国 連 開 発 計 画 (UNDP)が 同 計 画 を 公 式 に 推 進 することを 決 めることになり 中 国 は 国 連 の 支 援 を 受 けながら 多 国 間 の 地 域 経 済 協 力 という 北 東 アジアでは 始 めての 実 験 に 取 り 組 んだ 図 們 江 地 域 開 発 のた めに 1990 年 代 の 10 年 間 中 国 中 央 政 府 省 政 府 延 辺 朝 鮮 族 自 治 州 政 府 は 道 路 鉄 道 空 港 通 信 などインフラ 整 備 に 合 わせて 約 50 億 元 ( 約 6 億 ドル)を 投 資 した 中 国 政 府 が 採 ってきた 政 策 は 中 国 政 府 の 先 行 インフラ 投 資 と 国 際 協 力 を 通 じて 中 国 東 北 地 域 に 対 外 開 放 窓 口 を 建 設 することであった しかし ロシアと 北 朝 鮮 は 経 済 沈 滞 に 追 い 込 まれ 国 際 協 力 に 乗 り 出 す 状 況 ではなかったことや 図 們 江 地 域 開 発 に 対 する 米 国 と 日 本 政 府 の 無 視 政 策 により 国 際 金 融 機 関 からの 資 金 調 達 もできず 中 国 の 国 内 国 境 地 域 開 発 に 留 まってしまった また 図 們 江 地 域 開 発 の 停 滞 の 要 因 を 北 東 アジア 地 域 の 中 での 構 造 的 理 由 から 探 っ てみると 以 下 の 要 因 が 考 えられる イ. 外 国 人 直 接 投 資 誘 致 を 中 心 とした 外 発 的 な 経 済 発 展 を 進 めるためには 地 理 的 条 件 社 会 産 業 システム 等 において 比 較 優 位 性 が 乏 しいこと ロ. 各 国 が 自 己 完 結 的 な 経 済 産 業 構 造 となっており 地 域 外 の 経 済 発 展 地 域 との 連 携 を 通 した 経 済 発 展 が 容 易 でないこと ハ.ある 地 域 発 展 の 核 となる 発 展 地 域 が 地 域 内 に 存 在 しないため 地 域 内 の 相 互 依 存 が 進 展 しないこと ニ. 政 治 的 な 不 安 定 要 因 に 対 する 懸 念 があり ビジネスを 展 開 するためのリスクが 高 いこと この 時 期 に 中 朝 の 経 済 関 係 は 国 境 地 域 の 国 際 協 力 の 方 向 性 はあったものの 具 体 的 な 進 行 は 上 記 の 要 因 に 加 え 北 朝 鮮 側 の 資 金 不 足 と 経 験 不 足 により 経 済 協 力 の 結 果 を 出 すことはできなかった 12

22 (2)2000 年 代 の 中 国 の 東 北 振 興 計 画 と 北 朝 鮮 2000 年 代 に 入 り 中 国 は 改 革 開 放 政 策 の 成 功 で 資 金 力 を 付 けるようになり 自 らの 力 で 東 北 地 域 を 開 発 するため 東 北 振 興 計 画 に 取 り 組 んだ この 計 画 は 東 北 地 域 の 対 外 開 放 をより 促 進 し 北 東 アジア 諸 国 との 経 済 協 力 を 強 化 することであったことは 前 述 の 通 りである その 中 でも 特 に 吉 林 省 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 が 重 視 された 2005 年 9 月 に 吉 林 省 長 春 市 で 開 催 された 図 們 江 地 域 開 発 政 府 間 会 議 にて 図 們 江 地 域 開 発 計 画 (TRADP)が GTI(Great Tumen Initiative) 計 画 に 名 称 変 更 され 中 国 東 北 地 域 をすべて 含 むこととなったのも その 一 貫 であった このように 2005 年 から 中 国 政 府 の 戦 略 的 な 中 朝 経 済 連 携 政 策 が 開 始 したことで 吉 林 省 は 北 朝 鮮 を 経 由 し 中 国 東 南 沿 海 港 湾 に 至 る 陸 海 輸 送 に 関 する 案 に 対 して 中 央 政 府 からの 正 式 批 准 を 得 北 朝 鮮 の 羅 津 港 を 利 用 した 中 国 南 方 向 けの 海 上 輸 送 ルー トを 確 保 した 中 国 は 北 朝 鮮 と 陸 路 港 開 発 区 の 一 体 化 を 促 進 する 戦 略 を 具 体 化 し 始 めた さらに 2009 年 8 月 に 国 家 プロジェクトとして 国 務 院 に 承 認 された 長 吉 図 先 導 区 計 画 は 中 朝 の 経 済 連 携 の 戦 略 性 を 象 徴 するものであった 長 吉 図 計 画 は 図 們 江 地 域 の 多 国 間 共 同 開 発 に 進 展 がない 中 で 中 国 が 先 導 的 に 開 発 を 進 めるという 国 家 プ ロジェクトであった 海 港 を 持 たない 吉 林 省 や 黒 龍 江 省 にとって 北 朝 鮮 の 羅 津 港 と 清 津 港 の 確 保 は 東 北 地 域 経 済 の 対 外 的 発 展 のために 最 優 先 の 課 題 となる 図 們 ~ 琿 春 区 間 の 高 速 道 路 が 2010 年 10 月 に 完 工 され 長 春 ~ 琿 春 の 全 区 間 が 開 通 されており 長 春 ~ 琿 春 の 高 速 鉄 道 は 400 億 元 を 投 資 し 2012 年 に 完 工 される 目 標 である また 琿 春 に 北 朝 鮮 とロシアとの 物 流 を 担 当 する 北 東 アジア 国 境 貿 易 センター( 正 式 は 東 北 亜 区 域 経 済 技 術 貿 易 合 作 区 )が 2010 年 から 総 計 100 億 元 の 投 資 で 建 設 中 である また 2009 年 7 月 に 国 家 プロジェクトとして 批 准 されている 遼 寧 省 の 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 の 中 でも 丹 東 が 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 を 戦 略 的 に 推 進 できる 基 盤 を 作 った (3) 中 国 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 における 相 互 の 認 識 と 対 応 戦 略 中 国 東 北 地 域 の 開 発 政 策 を 踏 まえ 北 朝 鮮 の 経 済 開 発 と 連 携 を 進 めるうえで 次 のよ うなポイントを 提 起 できる 第 一 に 中 国 の 東 北 振 興 長 吉 図 先 導 区 計 画 と 北 朝 鮮 も 参 加 していた 多 国 間 国 際 協 力 の GTI: 大 図 們 江 地 域 開 発 計 画 との 相 関 関 係 である 13

23 中 国 の 東 北 振 興 計 画 は 地 方 レベルでは 東 北 地 域 の 老 朽 化 した 国 有 企 業 の 改 革 を 進 め 新 しい 財 政 投 資 と 外 資 導 入 による 民 営 企 業 の 活 性 化 で 都 市 失 業 問 題 を 解 決 し 東 北 地 域 の 地 勢 に 相 応 しい 開 発 を 成 し 遂 げることである また 国 家 レベルでは 国 家 経 済 の 国 内 統 合 を 強 化 しながら 国 際 経 済 協 力 を 活 用 した 地 方 開 発 を 達 成 しようと する 政 策 である その 中 で 長 吉 図 先 導 区 計 画 は 中 国 国 内 で 先 行 して 国 境 地 域 の 拠 点 と 大 都 市 との 間 の 連 携 を 形 成 し 地 域 一 体 化 を 進 めることで 隣 国 との 経 済 協 力 の 土 台 を 強 化 する 政 策 である 一 方 GTI 計 画 は 1UNDP 主 導 から 参 加 国 の 主 導 に 替 わって 自 主 的 な 国 際 経 済 協 力 事 業 を 行 うことと 2 対 象 地 域 が 中 国 においては 東 北 三 省 と 内 モンゴル 自 治 区 を 含 む 広 大 地 域 に 拡 大 されたことで 中 国 の 東 北 振 興 計 画 と 連 携 することとなった 北 朝 鮮 は 2009 年 に GTI 計 画 から 脱 退 している このような 状 況 で 中 国 が 国 内 計 画 である 東 北 振 興 や 長 吉 図 先 導 区 計 画 に 国 際 協 力 計 画 である GTI 計 画 を 一 体 化 する 可 能 性 が 生 じる すなわち 中 国 が 東 北 振 興 の 国 際 版 として GTI 計 画 を 位 置 づける 可 能 性 である このような 可 能 性 が 現 実 化 するのであれば 中 国 は 東 北 地 域 開 発 の 戦 略 において 多 国 間 の 枠 組 みによる 開 発 と 国 内 統 合 を 優 先 する 開 発 の 戦 略 的 整 合 性 を 備 えなければならない 第 二 に 中 国 東 北 地 域 と 北 朝 鮮 の 過 去 の 経 済 政 策 の 経 緯 から 出 じる 相 関 関 係 である 両 地 域 は 旧 満 州 国 と 旧 植 民 地 時 代 から 政 府 主 導 の 資 源 依 存 型 のモデルによって 経 済 開 発 が 進 められた 共 通 点 がある そのため 資 源 産 業 重 化 学 工 業 の 国 有 企 業 を 中 心 に 早 期 の 工 業 化 には 成 功 したが 改 革 開 放 に 遅 れを 取 り 経 済 発 展 不 振 に 陥 ったことに 類 似 性 がある しかし 中 国 東 北 地 域 は 2000 年 代 から 改 革 開 放 政 策 の 推 進 による 外 資 導 入 民 間 企 業 の 育 成 とともに 政 府 主 導 のインフラや 経 済 社 会 投 資 により 全 国 水 準 を 上 回 る 経 済 成 長 を 成 し 遂 げた 一 方 北 朝 鮮 は 本 格 的 な 改 革 開 放 政 策 を 採 らず 政 府 は 財 政 困 難 ( 資 金 不 足 )でインフラ 投 資 ができない 状 態 であったため 本 格 的 な 経 済 再 生 に 失 敗 した このような 中 朝 間 の 類 似 点 と 相 違 点 から 中 朝 経 済 関 係 における 教 訓 が 得 られるが 以 下 のように 考 えられる イ. 経 済 発 展 方 式 の 転 換 ロ. 地 理 的 優 位 性 の 確 保 ハ. 政 府 主 導 の 過 渡 期 経 済 開 発 政 策 の 推 進 : 資 金 源 の 確 保 ニ. 経 済 構 造 の 転 換 ホ. 資 源 依 存 型 都 市 の 持 続 可 能 な 発 展 14

24 以 上 のような 教 訓 が 北 朝 鮮 に 適 用 される 時 北 朝 鮮 は 中 国 東 北 地 域 との 経 済 連 携 を 進 めながら 独 自 の 経 済 開 発 の 方 向 を 見 出 すことができるだろう 第 三 に 中 国 の 東 北 振 興 政 策 と 北 朝 鮮 の 経 済 特 区 政 策 の 相 関 関 係 である 中 国 は 東 北 振 興 政 策 を 推 進 するなかで 国 際 協 力 を 必 須 の 課 題 としているが それ は 国 内 の 経 済 統 合 を 優 先 し その 延 長 とする 形 を 取 っていると 考 えられる 北 朝 鮮 と の 国 境 地 域 はその 延 長 上 に 当 たる 地 域 であり 北 朝 鮮 は 中 国 東 北 部 の 物 流 中 継 基 地 と しての 役 割 を 大 きく 期 待 されている 延 辺 ~ 羅 先 ルートは 中 国 東 北 部 から 見 れば 走 出 去 のルートに 違 いない 北 朝 鮮 の 経 済 特 区 政 策 は 独 自 開 発 に 基 づいた 国 際 協 力 政 策 を 採 り 国 際 関 係 をより 重 視 する 可 能 性 を 含 んだ 開 発 計 画 を 公 表 したものの その 実 現 のためには 中 国 と 協 力 をするしかない 限 界 があったのである つまり 中 国 との 協 力 の 有 無 がより 重 要 な 要 素 になってしまう 現 実 により 独 自 開 発 に 基 づいた 国 際 協 力 政 策 は 変 質 を 余 儀 なくされたといえる 以 上 のような 認 識 すべきポイントを 踏 まえ 中 国 の 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 に 関 する 認 識 は 次 頁 のような 関 係 図 で 考 えられる 15

25 図 表 1-7 中 国 の 東 北 地 域 開 発 戦 略 と 北 朝 鮮 との 関 連 性 概 念 図 現 実 条 件 中 国 東 北 地 域 - 東 北 地 域 の 開 発 加 速 化 - 対 外 通 路 の 不 足 ( 吉 林 黒 龍 江 省 は 内 陸 ) - 地 域 内 の 格 差 ( 遼 寧 省 > 吉 林 黒 龍 江 省 ) ( 都 市 部 > 農 村 部 ) - 東 北 人 気 質 ( 保 守 高 い 地 元 意 識 ) - 政 府 の 財 政 投 入 に 依 存 北 朝 鮮 - 重 工 業 基 盤 の 計 画 経 済 の 不 振 - 経 済 格 差 ( 平 壌 > 地 方 ) - 特 殊 な 政 治 環 境 と 民 族 経 済 社 会 主 義 経 済 管 理 の 原 則 維 持 - 消 極 的 な 市 場 認 定 ( 消 費 流 通 市 場 > 生 産 財 市 場 ) - 中 国 東 北 地 域 へ 通 路 機 能 の 可 能 性 - 政 府 の 財 政 能 力 不 足 II. 国 際 協 力 域 内 連 携 日 本 中 国 の 対 応 戦 略 東 北 北 中 国 I. 地 域 均 衡 発 展 国 内 経 済 統 合 沿 海 地 域 南 先 進 地 域 III. 北 東 アジア 地 域 経 済 協 力 体 図 們 江 地 域 開 発 計 画 (TRADP) 大 図 們 江 地 域 イニシアチブ(GTI) <1995~2005 年 > <2006~2015 年 > 16

26 シベリア 鉄 道 PNG 日 本 北 朝 鮮 の 対 応 戦 略 中 国 東 北 北 南 沿 海 地 域 北 東 アジア 地 域 経 済 協 力 体 北 朝 鮮 の 地 政 学 的 位 相 の 増 大 中 朝 の 政 策 中 国 課 題 1 東 北 地 域 の 対 外 通 路 確 保 2 経 済 成 長 のための 原 材 料 需 要 の 確 保 3 国 力 の 向 上 に 相 応 しい 国 際 地 位 の 獲 得 4 北 東 アジア 経 済 共 同 体 北 朝 鮮 課 題 1 充 分 な 物 資 供 給 ( 消 費 品 市 場 と 生 産 財 供 給 ) 2 国 内 生 産 の 正 常 化 3 安 定 した 後 継 体 制 の 確 保 4 韓 国 ロシア 日 本 との 協 力 形 成 対 北 朝 鮮 政 策 1. 北 朝 鮮 との 経 済 協 力 強 化 2. 北 朝 鮮 の 改 革 開 放 誘 導 3. 包 括 的 接 近 ( 政 治 核 ) 北 朝 鮮 は 中 国 東 北 経 済 の 気 道 対 中 国 政 策 1. 中 国 との 経 済 協 力 強 化 2. 東 北 地 域 へ 対 外 通 路 提 供 3. 体 制 安 定 への 支 援 確 保 中 国 東 北 は 北 朝 鮮 経 済 の 生 命 線 北 東 アジア 政 治 経 済 の 再 編 出 所 : 筆 者 作 成 17

27 上 記 の 図 表 1-7から 中 国 の 東 北 地 域 経 済 開 発 のための 対 応 戦 略 は 三 つのレベルの 政 策 を 持 っていると 考 えられるが それは 以 下 のようである イ. 国 内 の 経 済 統 合 性 を 高 める: 地 域 均 衡 発 展 を 目 指 し 東 南 部 の 企 業 が 東 北 部 に 投 資 する 東 北 部 の 資 源 (エネルギー 鉱 物 食 料 など)を 東 南 部 に 迅 速 に 輸 送 できる 物 流 網 ( 陸 運 海 運 )を 整 備 する 遼 寧 省 を 中 心 とした 国 家 プロジェクト 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 発 展 計 画 ロ. 北 東 アジア 通 路 確 保 : 国 際 協 力 を 通 じて 東 北 地 域 への 投 資 誘 致 はもちろん 東 北 地 域 が 国 際 先 進 地 域 の 市 場 に 到 達 できるような 通 路 を 確 保 するための 物 流 網 を 強 化 する 吉 林 省 を 中 心 とした 国 家 プロジェクト 長 吉 図 開 発 開 放 先 導 区 計 画 北 朝 鮮 は 中 国 東 北 地 域 の 発 展 のための 気 道 となる ハ.ロシアを 入 れたエネルギー 資 源 資 本 協 力 の 北 東 アジア 経 済 共 同 体 を 形 成 一 方 北 朝 鮮 の 対 応 戦 略 は 五 つのレベルの 政 策 を 持 っていると 考 えられるが そ れは 以 下 のようである イ. 自 立 的 民 族 経 済 を 維 持 するため 国 内 の 物 的 人 的 資 源 に 依 存 農 業 と 軽 工 業 を 重 視 しながら 経 済 の4 大 先 行 部 門 ( 石 炭 電 力 金 属 鉄 道 運 輸 )を 中 心 に 西 部 と 東 部 の 生 産 地 と 消 費 地 を 統 合 ロ. 体 制 安 定 と 経 済 再 生 のための 中 国 東 北 地 域 との 経 済 連 携 を 強 化 羅 先 市 を 特 別 市 に 昇 格 新 鴨 緑 江 大 橋 の 建 設 経 済 特 区 に 関 する 一 連 の 制 度 改 善 措 置 中 国 東 北 地 域 は 北 朝 鮮 にとって 経 済 的 生 命 線 ハ. 朝 鮮 半 島 における 南 北 の 経 済 協 力 の 維 持 開 城 工 業 地 区 と 金 剛 山 観 光 地 区 の 維 持 ( 外 貨 獲 得 の 欠 かせない 収 入 源 ) ニ.ロシア~ 朝 鮮 半 島 の 鉄 道 天 然 ガスパイプラインの 連 携 北 東 アジア 地 域 経 済 協 力 体 の 可 能 性 から 得 る 政 治 安 定 経 済 発 展 ホ. 中 国 沿 海 地 域 ~ 日 本 の 経 済 先 進 地 域 との 経 済 連 携 鉱 物 資 源 ( 無 煙 炭 鉄 鉱 非 鉄 金 属 )の 輸 出 生 産 財 の 輸 入 以 上 のような 全 体 像 から 中 朝 の 経 済 開 発 計 画 の 連 携 は 相 互 の 政 治 経 済 的 利 益 を 反 映 する 要 と 言 える 18

28 (4) 中 国 と 北 朝 鮮 の 経 済 開 発 計 画 連 携 に 影 響 を 与 える 要 因 中 国 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 に 影 響 を 与 える 要 因 を 整 理 すると 以 下 のようである 図 表 1-8 中 国 と 北 朝 鮮 の 経 済 連 携 に 影 響 を 与 える 要 因 要 因 内 容 I. 朝 鮮 半 島 の 政 治 軍 事 的 要 因 米 朝 関 係 : 核 問 題 の 解 決 と 関 係 正 常 化 南 北 関 係 : 南 北 和 解 と 平 和 共 存 統 一 問 題 日 朝 関 係 : 懸 案 問 題 ( 核 ミサイル 拉 致 問 題 等 )の 解 決 冷 戦 後 時 代 の 新 しい 枠 組 みが 成 立 していない 中 朝 経 済 関 係 に 好 影 響 と 悪 影 響 を 同 時 に 与 える 北 朝 鮮 の 政 策 1 北 朝 鮮 と 国 際 社 会 が 緊 張 状 態 にある 時 : 中 朝 関 係 を 強 化 する それが 国 際 社 会 からの 圧 迫 を 回 避 するが 現 状 維 持 だけに 留 まる 2 国 際 関 係 が 和 解 状 態 にある 時 : 中 朝 関 係 より 他 国 と の 関 係 を 重 視 する 中 朝 関 係 を 相 対 化 する II. 中 国 内 部 要 因 東 北 地 域 開 発 のための 東 北 振 興 政 策 経 済 成 長 に 必 要 な 天 然 資 源 の 調 達 対 外 政 策 において 北 朝 鮮 をテコとして 利 用 III. 北 朝 鮮 の 内 部 要 因 経 済 システムの 改 革 経 済 沈 滞 からの 回 復 安 定 的 後 継 体 制 の 確 立 経 済 開 発 において 中 国 資 本 の 利 用 対 外 政 策 において 中 国 をテコとして 利 用 VI. 投 資 環 境 要 因 政 治 と 法 制 度 の 安 定 性 インフラ 整 備 政 府 の 優 遇 措 置 投 資 利 益 の 保 障 出 所 : 筆 者 作 成 以 上 の 各 要 因 が 整 わなければ 中 朝 間 の 経 済 開 発 連 携 による 北 朝 鮮 の 経 済 開 発 と 経 済 成 長 は 実 現 し 難 いと 考 えられる こうした 点 を 勘 案 し 中 国 東 北 地 域 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 において 認 識 すべきポイントは 以 下 のように 整 理 されよう 19

29 イ. 中 国 東 北 地 域 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 による 地 域 振 興 の 現 実 化 中 国 東 北 地 域 と 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 が 可 能 となった 最 大 の 要 因 は 東 北 地 域 におい て 長 春 市 瀋 陽 市 大 連 市 など 国 際 競 争 力 を 有 する 産 業 構 造 を 持 つ 経 済 発 展 の 核 が 形 成 され また 中 国 政 府 も 財 政 支 出 の 能 力 が 強 化 したことにより 東 北 地 域 の 内 陸 部 ( 国 境 地 域 )における 経 済 開 発 を 本 格 化 することが 可 能 となったことである この ことは 中 国 東 北 地 域 が 外 資 導 入 などの 外 発 的 な 経 済 発 展 パターンから 地 域 内 の 発 展 地 域 と 周 辺 部 の 未 発 達 地 域 との 連 携 ( 長 春 - 吉 林 ~ 図 們 江 地 域 の 連 携 ) 強 化 を 通 し た 外 発 内 発 バランス 型 の 経 済 発 展 パターンへの 移 行 の 可 能 性 を 示 すものである そ の 延 長 線 に 位 置 する 北 朝 鮮 との 連 携 が 経 済 通 路 の 確 保 とともに 東 北 地 域 の 核 ~ 周 辺 部 の 連 携 に 更 なる 発 展 を 促 すことで 持 続 的 経 済 成 長 が 可 能 となることが 期 待 される したがって 北 朝 鮮 の 内 部 においても 経 済 発 展 の 核 を 形 成 するとと もに 未 発 達 地 域 に 対 する 外 発 内 発 バランス 型 の 経 済 発 展 パターンを 構 想 し その 外 延 として 中 国 東 北 地 域 との 連 携 を 促 す 戦 略 が 必 要 である この 際 の 課 題 は 政 府 による 固 定 資 産 投 資 のための 資 金 確 保 である ロ. 中 国 東 北 地 域 と 北 朝 鮮 の 経 済 インフラの 連 携 の 重 要 性 2000 年 代 以 降 中 国 東 北 地 域 も 高 い 経 済 成 長 を 実 現 し 地 域 内 の 経 済 的 に 未 発 展 な 地 域 へと 経 済 発 展 を 波 及 させるメカニズムが 発 生 した また 北 朝 鮮 との 国 境 地 域 が 未 発 達 地 域 から 成 長 のリンケージ 役 へ 変 わる 可 能 性 が 高 くなることから 北 朝 鮮 との 経 済 インフラの 連 携 が 東 北 地 域 の 更 なる 発 展 のために 重 要 な 課 題 となった もちろん 北 朝 鮮 との 経 済 インフラ 連 携 の 端 には 韓 国 及 び 日 本 との 経 済 リンケージが 存 在 する 今 までは 中 国 東 北 地 域 が 韓 国 及 び 日 本 と 経 済 関 係 を 強 化 する 際 に 北 朝 鮮 が 障 害 と なっていた しかし 今 後 北 朝 鮮 が 中 国 との 経 済 インフラの 構 築 を 通 じて 日 本 や 韓 国 との 連 携 を 促 進 することにより 北 東 アジア 諸 国 の 経 済 連 携 の 促 進 に 貢 献 できる ハ. 北 朝 鮮 における 豊 富 な 鉱 物 等 の 資 源 の 重 要 性 中 国 が 経 済 発 展 を 続 けるために 必 要 な 鉱 物 などの 確 保 は 国 家 的 な 課 題 であり 北 朝 鮮 が 有 する 鉱 物 資 源 は 大 きな 魅 力 となっている 中 国 は 国 際 社 会 で 経 済 制 裁 が 行 われており 先 進 国 が 強 い 経 済 関 係 を 持 たない 資 源 保 有 国 に 対 して 独 自 に 経 済 的 政 治 的 な 支 援 を 行 うことにより より 有 利 な 条 件 で 資 源 の 獲 得 や 対 象 国 における 各 種 経 済 利 権 の 獲 得 を 進 めている 同 様 な 条 件 下 にある 北 朝 鮮 においても 中 国 はその 有 利 な 立 場 を 活 用 し 独 占 的 に 資 源 の 確 保 を 進 めることが 意 図 されていると 考 えられる 20

30 (5) 中 国 東 北 開 発 から 見 た 北 朝 鮮 の 位 置 づけ 中 国 の 東 北 開 発 戦 略 上 にある 北 朝 鮮 の 位 置 づけは 東 北 3 省 地 域 を 北 東 アジア 地 域 経 済 の 中 心 に 位 置 づける 思 惑 である その 考 えは 北 朝 鮮 との 連 携 性 を 強 化 する 方 向 に 向 かうことになるが この 戦 略 を 推 進 するためには 朝 鮮 半 島 の 安 定 と 中 朝 経 済 協 力 が 欠 かせない 前 提 条 件 となる 中 国 東 北 地 域 の 発 展 のための 気 道 となる 北 朝 鮮 に 対 し 経 済 協 力 を 提 供 するとともに 経 済 通 路 を 連 携 させ 北 朝 鮮 を 中 国 式 の 改 革 開 放 へ 誘 導 する 関 与 政 策 を 始 めている 中 国 が 北 朝 鮮 と 関 係 する 経 済 的 課 題 は 1 経 済 通 路 を 確 保 すること 2 経 済 発 展 を 継 続 するため 需 要 となる 資 源 の 確 保 3 北 朝 鮮 の 低 廉 な 労 働 力 を 活 用 した 委 託 加 工 や 国 内 市 場 確 保 のための 製 造 業 投 資 である 第 一 に 中 国 東 北 地 域 と 朝 鮮 半 島 をつなげる 経 済 通 路 として 旧 満 州 国 と 旧 朝 鮮 総 督 府 が 建 設 した 二 つの 通 路 が 現 在 の 中 朝 間 の 経 済 通 路 として 再 び 整 備 される それは 西 端 の 丹 東 ~ 新 義 州 ルートと 東 端 の 延 辺 ~ 羅 先 清 津 ルートである この 二 つの 経 済 通 路 の 間 に 多 くの 陸 路 輸 送 ルートも 実 在 する 中 朝 の 国 境 は 西 方 向 に 鴨 緑 江 東 方 向 に 図 們 江 の 自 然 境 界 線 があり 輸 送 は 主 に 橋 ( 鉄 道 道 路 )や 一 部 渡 船 で 行 われてい る 鉄 道 は 新 義 州 ~ 丹 東 満 浦 ~ 集 安 南 陽 ~ 図 們 の 三 つのルートが 運 行 されてい る 道 路 税 関 は 鴨 緑 江 側 に 7 箇 所 図 們 江 側 に 8 箇 所 ある この 輸 送 ルートで 中 国 か ら 北 朝 鮮 へエネルギー 食 糧 とその 他 の 消 費 財 が 運 ばれ 北 朝 鮮 から 中 国 へは 石 炭 鋼 鉄 金 属 木 材 水 産 物 などが 運 ばれる 第 二 に 資 源 開 発 は 中 国 経 済 発 展 のために 必 要 な 資 源 ( 鉄 鉱 非 鉄 金 属 石 炭 木 材 など)を 確 保 することであり 中 朝 間 で 2000 年 代 以 降 に 数 多 くの 鉱 山 開 発 の 交 渉 が 行 われてきた しかし 2010 年 までは 鉄 鉱 鉱 山 や 石 炭 以 外 には 成 功 した 投 資 が 少 な く 2011 年 から 中 朝 の 間 で 本 格 的 な 資 源 開 発 の 交 渉 が 行 われている 第 三 に 北 朝 鮮 での 委 託 加 工 や 市 場 確 保 のための 製 造 業 投 資 は 韓 国 の 投 資 が 撤 退 することをきっかけに 今 後 有 望 な 分 野 として 登 場 している 以 上 の 内 容 を 資 源 開 発 産 業 開 発 地 域 開 発 に 分 けて 経 済 連 携 を 見 ることができよ う 現 在 の 状 況 と 今 後 の 見 通 しを 整 理 すると 以 下 のようである 21

31 図 表 1-9 中 朝 経 済 開 発 計 画 連 携 の 現 状 と 見 通 し( 分 野 別 ) 中 朝 経 済 開 発 計 画 連 携 の 現 状 資 源 開 発 2005 年 以 降 中 国 の 投 資 が 拡 大 中 鉄 石 炭 非 鉄 金 属 の 鉱 山 開 発 に 集 中 中 朝 の 連 携 不 足 で 失 敗 や 保 留 の 事 例 が 多 い 産 業 開 発 製 造 業 分 野 は コンピューター 電 気 機 器 消 費 財 自 転 車 などの 分 野 で 中 小 企 業 の 投 資 が 多 い 運 輸 物 流 分 野 は 地 域 市 場 ( 羅 津 市 場 普 通 江 共 同 交 流 市 場 など) デパ ート( 平 壌 第 1 百 貨 店 ) 進 行 中 地 域 開 発 羅 先 特 別 市 の 都 市 開 発 新 義 州 黄 金 坪 の 特 区 開 発 インフラ 整 備 : 鉄 道 運 送 ( 図 們 ~ 清 津 ) 道 路 建 設 ( 元 汀 ~ 羅 津 ) 橋 梁 ( 鴨 緑 江 新 橋 )などが 進 行 中 中 朝 経 済 開 発 計 画 連 携 の 見 通 し 中 朝 政 府 協 議 による 国 家 主 導 の 開 発 計 画 連 携 に 転 換 する 中 国 東 北 地 域 での 資 源 開 発 モデルを 北 朝 鮮 との 連 携 で 適 用 し 共 同 運 営 する 北 朝 鮮 の 2011 年 からの 10 カ 年 計 画 が 国 内 経 済 統 合 優 先 から 中 朝 経 済 開 発 連 携 を 受 け 入 れた 形 に 転 換 する 農 産 品 加 工 消 費 財 などの 軽 工 業 と 商 業 物 流 サービス 分 野 に 対 し 中 国 の 投 資 を 導 入 鉄 鋼 金 属 分 野 の 工 場 現 代 化 に 中 国 の 投 資 を 導 入 中 朝 連 携 によりの 経 済 特 区 に 共 同 開 発 区 を 設 立 ( 琿 春 ~ 羅 先 丹 東 ~ 新 義 州 ) 南 浦 港 清 津 港 などを 中 国 の 保 税 貿 易 区 として 開 放 出 所 : 筆 者 作 成 上 記 の 三 つの 経 済 開 発 連 携 分 野 ( 資 源 産 業 地 域 )を 総 合 的 に 考 慮 すると 1 鉱 山 開 発 2 南 浦 ~ 平 壌 ~ 元 山 ~ 清 津 の 東 西 産 業 中 心 軸 と 平 壌 ~ 新 義 州 の 南 北 産 業 中 心 軸 の 産 業 分 野 に 対 する 共 同 開 発 3 国 境 地 域 の 特 区 政 策 を 中 国 は 中 朝 間 の 経 済 連 携 に 盛 り 込 む 可 能 性 が 高 い 22

32 3. 中 国 東 北 地 域 の 主 な 開 発 プロジェクトの 進 捗 状 況 と 課 題 中 国 東 北 地 域 での 開 発 プロジェクトの 中 心 は 交 通 インフラである 交 通 インフラは 朝 鮮 半 島 への 連 結 を 通 じて 中 朝 経 済 連 携 を 具 体 化 する 基 盤 となる 現 在 東 北 地 域 の 主 な 鉄 道 インフラ 整 備 状 況 は 以 下 のようである 大 連 -ハルビン(950km) 旅 客 専 用 高 速 鉄 道 (4 時 間 ) 建 設 (2007 年 着 工 2012 年 完 成 予 定 ) 北 京 - 瀋 陽 (690km) 旅 客 専 用 高 速 鉄 道 (2 時 間 半 ) 建 設 計 画 (2011 年 末 着 工 2015 年 完 成 予 定 ) 東 北 東 辺 道 鉄 道 ( 牡 丹 江 - 中 朝 国 境 - 丹 東 - 大 連 :1,389km)(2012 年 完 成 予 定 ) 内 モンゴル(シリンゴル 盟 )- 遼 寧 省 阜 新 市 間 鉄 道 ( 巴 新 鉄 道 ) 建 設 (2011 年 完 成 ) 瀋 陽 ~ 撫 順 間 鉄 道 が 正 式 に 運 行 開 始 (2009 年 7 月 より) 瀋 陽 ~ 丹 東 旅 客 専 用 高 速 鉄 道 (2010 年 着 工 2013 年 末 完 成 予 定 ) 大 連 ~ 丹 東 旅 客 専 用 高 速 鉄 道 (2010 年 着 工 2013 年 末 完 成 予 定 ) また 高 速 道 路 網 の 整 備 状 況 は 以 下 のようである 瀋 陽 - 大 連 瀋 陽 - 丹 東 丹 東 - 大 連 長 春 - 琿 春 間 に 既 開 通 瀋 陽 - 長 春 -ハルビン 間 高 速 道 路 の 拡 張 瀋 陽 と 周 辺 の6 都 市 ( 遼 陽 撫 順 鞍 山 本 渓 鉄 嶺 営 口 )を 結 ぶ 環 状 線 高 速 道 路 建 設 計 画 (2020 年 まで) 以 上 の 交 通 インフラ 整 備 の 構 図 を 地 図 に 落 とすと 図 表 1-10 のような 形 となる 中 国 は 東 北 地 域 開 発 政 策 の 基 本 方 針 すなわち 国 内 経 済 の 統 合 東 北 地 域 の 内 部 連 携 強 化 と 産 業 育 成 国 際 経 済 との 連 携 強 化 などに 沿 って 開 発 を 進 めていることが 分 かる その 中 で 特 に 瀋 陽 ~ 丹 東 長 春 ~ 琿 春 の 開 発 ライン 東 北 東 辺 道 鉄 道 ライ ンは 朝 鮮 半 島 との 経 済 連 携 と 直 接 関 係 しており 中 国 東 北 と 北 朝 鮮 との 経 済 インフラ の 連 携 は 韓 国 や 日 本 との 経 済 連 携 に 繋 がることとして 中 国 東 北 地 域 の 経 済 発 展 の インフラ 基 盤 が 着 実 に 整 備 されつつある 23

33 図 表 1-10 中 国 東 北 地 域 開 発 計 画 の 構 図 長 吉 図 先 導 区 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 出 所 : 筆 者 作 成 以 下 東 北 地 域 の 遼 寧 省 と 吉 林 省 における 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 プロジェクトの 現 状 を 整 理 することにする (1) 遼 寧 省 地 域 : 丹 東 市 の 開 発 状 況 遼 寧 沿 海 経 済 地 帯 において 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 の 中 心 地 は 丹 東 市 である 中 国 丹 東 市 と 北 朝 鮮 の 新 義 州 間 の 経 済 連 携 は 旧 満 州 国 と 朝 鮮 総 督 府 との 間 の 経 済 連 携 の 時 代 から 経 済 一 体 化 ( 満 鮮 一 如 )が 推 進 されてきた 経 緯 があり 戦 後 においても 中 朝 間 経 済 連 携 の 柱 の 機 能 を 担 っている 丹 東 地 域 の 開 発 状 況 を 見 ると 以 下 の 通 りである イ. 高 速 道 路 : 既 に 丹 東 ~ 瀋 陽 丹 東 ~ 大 連 の 高 速 道 路 が 開 通 ロ. 高 速 鉄 道 : 丹 東 ~ 瀋 陽 (2013 年 完 工 予 定 で 現 在 の 所 要 時 間 3.5 時 間 を1 時 間 に 短 縮 ) 24

34 丹 東 ~ 大 連 (2013 年 完 工 予 定 で 2011 年 に 完 工 される 東 辺 道 鉄 道 < 丹 東 ~ 通 化 ~ 和 龍 ~ 延 吉 ~ 牧 丹 江 の1,389km>と 結 ば れ 東 北 地 域 輸 送 網 におけるもう 一 つの 基 幹 軸 となる ハ. 国 際 鉄 道 : 平 壌 ~ 丹 東 ~ 瀋 陽 ~ 北 京 ~モスクワの 国 際 鉄 道 ニ. 港 湾 : 大 東 港 は 現 在 拡 張 工 事 中 で 現 在 の 年 間 5000 万 トン 処 理 を2015 年 までに1.5 億 トンの 処 理 能 力 に 増 やす 計 画 ホ. 新 鴨 緑 江 大 橋 の 建 設 : 丹 東 新 都 市 の 浪 頭 港 付 近 に2010 年 12 月 31 日 に 着 工 式 を 行 い 2013 年 までに 完 工 する 予 定 である 現 在 の 中 朝 友 誼 大 橋 は 片 側 通 行 かつ 各 車 両 積 載 量 は30 トン 制 限 なので 全 長 17km( 中 国 側 11km 北 朝 鮮 側 6km) 幅 38mで6 車 線 の 吊 橋 式 の 新 鴨 緑 江 大 橋 の 建 設 で 物 流 能 力 の 飛 躍 的 向 上 が 期 待 される ヘ. 新 都 市 開 発 : 丹 東 市 区 から 鴨 緑 江 河 口 の 大 東 港 までの62kmに 至 る 広 大 な 地 域 に 丹 東 臨 海 産 業 団 という 名 の 新 都 市 を 開 発 中 である この 産 業 団 地 は 1 丹 東 新 区 ( 都 市 機 能 教 育 住 宅 など) 2 先 端 技 術 区 3 機 械 工 業 区 4 港 湾 工 業 区 と 区 画 さ れている 先 端 技 術 区 まで2mだけ 離 れている 鴨 緑 江 の 河 中 島 黄 金 坪 は 北 朝 鮮 の 領 土 であるが 中 朝 間 でこの 島 を5 中 朝 経 済 合 作 区 として 開 発 される 写 真 1 中 朝 鴨 緑 江 大 橋 建 設 現 場 ( 作 業 用 の 浮 き 橋 を 設 置 中 ) 25

35 写 真 2 丹 東 特 殊 経 済 区 ( 丹 東 経 済 区 の 案 内 看 板 筆 者 撮 影 ) 写 真 3 丹 東 特 殊 経 済 区 写 真 4 丹 東 経 済 区 ( 筆 者 撮 影 ) (2) 吉 林 省 地 域 : 長 吉 図 先 導 区 延 辺 自 治 州 の 開 発 状 況 長 吉 図 先 導 区 地 域 も 旧 満 州 国 と 朝 鮮 総 督 府 との 間 の 経 済 連 携 の 時 代 から 経 済 一 体 化 ( 満 鮮 一 如 )が 推 進 されてきた 経 緯 があり 満 鉄 による 鉄 道 連 結 と 羅 津 港 建 設 を 背 景 に 持 っている 戦 後 においては 長 年 の 冷 戦 時 代 に 開 発 が 遅 れていたが 冷 戦 後 の 図 們 江 地 域 開 発 計 画 や 2000 年 代 以 降 の 長 吉 図 先 導 区 計 画 と 北 朝 鮮 の 羅 先 経 済 特 区 計 画 が 連 携 する 形 で 中 朝 経 済 関 係 の 重 要 な 柱 となっている 延 辺 自 治 州 が 作 成 した 長 吉 図 先 導 区 関 連 の 計 画 プロジェクトは 100 件 が 公 表 さ れている(p121 参 考 資 料 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 の 中 文 オリジナル 参 照 ) その 中 で インフラ 整 備 工 業 団 地 製 造 業 サービス エネルギー 工 業 などの 重 26

36 要 なプロジェクト( 国 内 部 分 )を 挙 げると 以 下 のとおりである 図 表 1-11 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 にある 延 辺 州 のプロジェクト( 一 部 ) 分 類 プロジェクト 名 建 設 規 模 投 資 額 完 成 ( 億 元 ) 年 度 インフラ 整 高 速 鉄 道 ( 吉 林 ~ 琿 春 )の 延 辺 州 区 間 247km 備 東 部 国 境 鉄 道 ( 琿 春 ~ 東 寧 ) 東 部 国 境 高 速 道 路 ( 琿 春 ~ 東 寧 ) 127km 130km 鉄 道 ( 図 們 ~ 琿 春 ~ 長 嶺 子 税 関 ) 改 造 73km 14 高 速 道 路 ( 延 吉 ~ 龍 井 ~ 和 龍 ~ 安 図 ) 168km 国 際 協 力 工 業 団 地 琿 春 ロシア 日 本 韓 国 工 業 団 地 ロ 1.91km 2, 日 2.06km 2, 韓 1.91 km 2 7 中 ロ 中 朝 越 境 経 済 協 力 区 ( 琿 春 ) 7 中 朝 辺 境 自 由 貿 易 区 ( 図 們 - 南 陽 ) 10 万 m 2 8 製 造 業 琿 春 千 万 トン 国 際 石 油 製 油 所 石 油 700 万 t 130 和 龍 鉄 鉱 加 工 工 場 吉 林 天 池 鉱 業 有 限 公 司 原 鉄 生 産 LPG200 万 t 500 万 t/ 年 80 万 t/ 年 長 白 山 ミネラルウォーター 開 発 400 万 t/ 年 サービス 業 中 国 阿 里 郎 民 俗 文 化 遊 園 区 ( 龍 井 ) 260km 2 50 延 龍 図 国 際 物 流 基 地 ( 延 吉 ) 10 万 m 2 10 龍 井 三 合 国 際 輸 出 資 資 源 加 工 区 20 万 m 2 25 エ ネ ル ギ 延 辺 風 力 発 電 所 80~100 万 80 ー 鉱 業 kw 汪 清 水 力 発 電 所 570 万 kw 180 通 化 鉄 鋼 敦 化 鉱 業 所 500 万 t/ 年 22 出 所 : 延 辺 州 発 展 改 革 委 中 国 図 們 江 地 域 協 力 開 発 計 画 要 綱 以 長 吉 図 為 先 導 区 実 施 方 案 ; 延 辺 大 学 高 教 改 革 与 発 展 研 究 センターホームページ ( 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 実 施 から 2 年 が 経 つ 2011 年 末 まで 一 部 の 交 通 インフラ 整 備 の 進 展 を 除 けば 実 質 的 な 成 果 がまだ 見 えていない 吉 林 省 政 府 と 市 政 府 の 間 に 実 施 計 画 の 調 整 が 不 十 分 であることも 理 由 の 一 つであると 言 われるが 2011 年 は 計 画 27

37 の 実 施 はこれからだとの 雰 囲 気 である 吉 林 省 内 における 主 な 経 済 インフラの 整 備 の 進 捗 は 以 下 の 通 りである イ. 高 速 道 路 : 長 春 ~ 琿 春 (588km 長 春 ~ 延 吉 区 間 は2008 年 9 月 図 們 ~ 琿 春 区 間 は2010 年 9 月 開 通 し 全 線 開 通 ; 総 投 資 額 34.6 億 元 長 春 ~ 琿 春 間 の 時 間 が7 時 間 から5 時 間 に 短 縮 ) * 琿 春 ~ 図 們 区 間 は 設 計 時 速 80km/hで 路 盤 幅 は24.5m 道 路 面 はアスファルトコンクリート 4 車 線 高 速 道 路 長 春 ~ 松 原 ~ 白 城 ~ 石 頭 井 子 (140.6km 設 計 予 算 52.7 億 元 2010 年 11 月 開 通 ) * 琿 春 ~ 長 春 ~モンゴルを 繋 ぐ 幹 線 延 吉 ~ 汪 清 (2011 年 11 月 完 工 ) ロ. 一 般 道 路 : 延 吉 ~ 龍 井 ( 道 路 拡 張 2012 年 完 工 予 定 ) ハ. 高 速 鉄 道 : 長 春 ~ 吉 林 (2011 年 1 月 開 通 ) 吉 林 ~ 琿 春 (369km 2010 年 10 月 着 工 2014 年 完 工 予 定 予 定 投 資 額 416 億 元 設 計 時 速 250km/ 時 ) ニ. 一 般 鉄 道 : 和 龍 ~ 南 坪 (41.7km 設 計 予 算 11.9 億 元 2011 年 9 月 完 工 ) ホ. 鉄 道 駅 : 琿 春 駅 改 造 (ロシア 向 け1,000 万 トン 国 際 積 替 駅 投 資 総 額 約 2.7 億 元 標 準 広 軌 到 着 出 発 線 木 材 積 替 線 車 両 積 替 線 原 油 積 替 線 石 炭 酸 貯 蔵 場 木 材 卸 場 コンテナ 貨 物 場 ) * 東 北 亜 鉄 道 集 団 の 投 資 ヘ. 天 然 ガスパイプライン: 長 春 ~ 吉 林 区 間 に 建 設 中 また 長 吉 図 先 導 区 計 画 のうち 対 外 開 放 の 部 門 の 進 捗 状 況 を 簡 単 にまとめると 以 下 の 通 りである 図 表 1-12 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 対 外 開 放 プロジェクト( 延 辺 州 を 中 心 に) プロジェクト 内 容 1 国 際 大 通 路 ( 国 際 運 輸 ) - 延 辺 州 の 税 関 整 備 ( 北 朝 鮮 と 8 カ 所 ロシアと 2 箇 所 ) 2010 年 に 図 們 沙 陀 子 古 城 里 の3 税 関 を 国 家 級 に 昇 格 - 長 春 空 港 税 関 : 長 春 龍 嘉 国 際 空 港 (1 期 工 事 2010 年 12 月 完 28

38 辺 境 経 済 合 作 区 生 態 環 境 保 護 国 際 工 業 団 地 人 材 文 化 観 光 交 流 協 力 図 們 江 国 際 協 力 の 新 しいシステム 工 旅 客 通 化 能 力 320 万 人 650 万 人 ) - 延 吉 空 港 税 関 の 整 備 計 画 を 推 進 ( 空 港 移 転 ) - 既 存 国 家 級 開 発 区 2ヶ 所 ( 長 春 琿 春 )に 新 たに2ヶ 所 を 追 加 ( 吉 林 開 発 区 延 吉 高 新 技 術 開 発 区 ) - 国 外 に 経 済 合 作 区 を 建 設 北 朝 鮮 : 羅 先 市 羅 津 地 区 ( 羅 津 港 を 利 用 ) ロシア:ハサン 地 区 (ザルビノ ポシエット 港 を 利 用 ) - 図 們 江 地 域 環 境 保 護 : 日 韓 ロの 先 進 技 術 導 入 - 防 川 湿 地 地 域 ( 中 ~ 朝 ~ロ)を 建 設 推 進 - 琿 春 :ロシア 北 朝 鮮 韓 国 日 本 工 業 団 地 建 設 - ( 紡 織 服 装 木 材 鉱 山 開 発 電 子 自 動 車 部 品 建 材 ) - 延 吉 :IT バイオ - 図 們 : 自 動 車 部 品 木 材 建 築 資 材 - 敦 化 : 木 材 - 日 本 韓 国 との 人 材 交 流 - 大 学 間 の 交 流 研 究 機 関 コンサルティング 人 材 育 成 - 文 化 交 流 : 文 化 芸 術 団 の 交 流 - 観 光 協 力 2011 年 10 月 中 ~ロ~ 朝 の 3 国 観 光 開 通 : 琿 春 ウラジオスト ック ハサン 羅 先 琿 春 (2 泊 3 泊 5 泊 ) 2011 年 10 月 図 們 ~ 七 宝 山 の 観 光 列 車 運 行 開 始 (3 泊 ) 延 吉 市 : 観 光 市 場 開 設 ( 延 吉 駅 の 付 近 ) - 政 府 企 業 研 究 機 関 が 協 力 する 新 しいシステムを 構 築 出 所 : 延 辺 州 政 府 商 務 局 ヒアリング 調 査 を 筆 者 整 理 (2011 年 11 月 6 日 ) 延 辺 自 治 州 においては 吉 林 省 の 長 春 - 吉 林 という 後 背 地 に 連 携 を 強 化 するための インフラ 建 設 とともに 州 内 の 経 済 統 合 は 延 龍 図 統 合 という 形 で 現 れている ま た 長 吉 図 先 導 区 の 外 延 が 北 朝 鮮 とロシアへ 繋 がるため 北 朝 鮮 とは 琿 春 市 と 図 們 市 がそれぞれ 陸 路 と 鉄 道 を 中 心 に 経 済 連 携 を 強 化 する 形 を 取 っている 29

39 写 真 5. 図 們 ~ 琿 春 の 高 速 鉄 道 工 事 写 真 6. 琿 春 駅 の 改 築 (ロシア 向 け) ( 筆 者 撮 影 ) ( 筆 者 撮 影 ) 写 真 7. 琿 春 国 際 辺 境 貿 易 物 流 団 地 鳥 瞰 図 ( ) ( 筆 者 撮 影 ) 琿 春 市 は 1992 年 から 都 市 整 備 のため 60 億 元 が 投 資 されるなど 延 辺 州 では 最 も 集 中 的 な 開 発 を 行 ってきた 琿 春 市 では 長 吉 図 先 導 区 の 窓 口 として 国 家 級 の 辺 境 経 済 開 発 区 内 に 国 際 物 流 センターや 日 本 ロシア 韓 国 の 専 用 工 業 団 地 を 造 成 中 で ある 国 際 物 流 センターの 一 つとして 韓 国 のPOSCOグループ( 浦 項 製 鉄 の 後 身 )が 主 に 石 炭 木 材 などの 国 際 物 流 を 行 うため 琿 春 駅 と 長 春 高 速 道 路 の 間 の 1.5km 2 の 敷 地 を 確 保 1 億 元 を 投 資 し 2012 年 に 着 工 する 予 定 である 当 面 は 中 ~ロの 物 流 が 中 心 と なるが 将 来 的 は 中 ~ 朝 の 物 流 にも 参 入 するという 韓 国 専 用 工 業 団 地 ( 吉 林 韓 国 工 30

40 業 園 )は 韓 国 のSKグループが 敷 地 造 成 とモデル 工 場 を 建 設 し 韓 国 企 業 を 誘 致 すること が 推 進 されている 2 琿 春 開 発 区 は 現 在 は 木 材 繊 維 衣 類 などの 加 工 が 中 心 である が 将 来 は 電 子 自 動 車 部 品 健 康 食 品 などに 多 様 化 する 計 画 である 図 們 市 は 交 通 の 利 点 と 低 廉 な 労 働 力 を 利 用 した 開 発 区 (6.67km 2 )の 整 備 に 2004 年 から 取 り 組 んでいる 電 子 自 動 車 部 品 建 築 材 料 などの 加 工 工 業 を 有 望 分 野 とし て 投 資 誘 致 を 推 進 している 延 辺 州 が 計 画 している 国 内 部 門 のプロジェクトだけでも 1,100 億 元 ( 約 180 億 ドル) を 超 える 大 規 模 な 投 資 が 必 要 であるので 最 も 重 要 な 課 題 は 財 源 確 保 である 吉 林 省 政 府 の 財 政 支 出 や 銀 行 からの 融 資 中 央 政 府 を 通 じた 国 債 発 行 民 間 企 業 の 資 金 活 用 などの 方 法 が 考 えられる 中 央 政 府 は 先 行 先 試 の 政 策 優 遇 措 置 を 与 えてはいるが 地 方 政 府 の 事 業 に 直 接 に 資 金 を 提 供 するのは 国 策 プロジェクトだけである 地 方 政 府 が 中 心 となり 財 源 獲 得 を 行 うことが 大 事 である しかし 2011 年 下 半 期 以 降 の 地 方 に おける 財 政 支 出 抑 止 ( 政 府 のインフレ 対 策 )により 長 吉 図 先 導 区 計 画 の 実 施 は 試 行 の 優 先 順 位 を 再 調 整 せざるをえない 状 況 となっている (3) 中 朝 間 のインフラ 整 備 協 力 中 国 は 以 上 のような 国 内 におけるインフラ 整 備 と 連 携 し 関 連 する 北 朝 鮮 のインフ ラ 整 備 ( 道 路 鉄 道 港 湾 都 市 整 備 )などを 推 進 している 北 朝 鮮 のインフラ 整 備 に 対 する 中 国 の 協 力 は 中 国 東 北 地 域 開 発 の 延 長 として 物 流 網 を 発 展 させる 戦 略 的 目 的 で 行 われている 地 域 的 には 朝 鮮 半 島 の 西 端 と 東 端 の 両 軸 が 中 心 となり 丹 東 ~ 新 義 州 地 域 と 延 辺 ( 図 們 琿 春 )~ 羅 先 清 津 といった 物 流 交 通 網 が 主 な 対 象 となっ ている その 具 体 的 事 例 が 中 朝 間 の 一 区 両 島 共 同 開 発 計 画 である 一 区 は 羅 先 経 済 貿 易 地 帯 ( 特 区 ) であり 両 島 は 鴨 緑 江 河 口 ( 新 義 州 )の 二 つの 中 洲 ( 威 化 島 黄 金 坪 )である 丹 東 ~ 新 義 州 ルートと 琿 春 ~ 羅 先 ルートの 経 済 通 路 にある 一 区 両 島 を 中 朝 間 で 共 同 開 発 することである そして 新 鴨 緑 江 大 橋 建 設 高 速 道 路 建 設 鉄 道 整 備 元 汀 税 関 ~ 羅 津 港 道 路 整 備 羅 津 港 埠 頭 整 備 新 設 清 津 港 整 備 などが 推 進 中 である また 中 朝 国 境 税 関 の 整 備 鴨 緑 江 上 流 地 域 の 水 力 発 電 所 の 建 設 なども 推 進 中 であ り 中 国 の 東 北 振 興 政 策 の 国 際 協 力 が 本 格 化 した 2005 年 以 降 2011 年 末 現 在 まで 2 ( 出 所 ) 琿 春 市 辺 境 経 済 開 発 区 弁 公 室 でのヒアリング(2011 年 11 月 8 日 ) 31

41 中 国 の 対 北 朝 鮮 インフラ 整 備 協 力 の 動 向 は 以 下 の 通 りである 図 表 1-13 中 国 の 対 北 朝 鮮 経 済 協 力 (インフラ 整 備 )の 動 向 時 期 主 要 内 容 備 考 2005 年 7 月 琿 春 市 所 在 の 企 業 ( 東 林 経 貿 有 限 公 司 辺 境 経 済 合 作 区 保 税 有 限 公 司 )と 羅 先 市 との 羅 先 国 際 物 流 合 弁 会 社 設 立 2008 年 3 月 山 東 省 栄 成 市 企 業 の 南 浦 港 保 税 区 域 開 発 (50 年 間 ) 2008 年 8 月 大 連 の 創 力 集 団 羅 津 港 第 1 埠 頭 使 用 権 確 保 (10 年 間 ) 2009 年 10 月 中 朝 鴨 緑 江 中 上 流 の2 地 域 に 水 力 発 電 所 建 設 を 合 意 : 北 朝 鮮 の 文 岳 発 電 所 中 国 の 満 江 楼 発 電 所 2009 年 10 月 温 家 宝 総 理 の 訪 朝 新 鴨 緑 江 大 橋 の 建 設 と 羅 津 港 使 用 に 関 し 北 朝 鮮 が 同 意 2010 年 2 月 丹 東 華 商 海 外 投 資 有 限 公 司 鴨 緑 江 の 威 化 島 黄 金 坪 に 8 億 ドル 投 資 し 自 由 貿 易 地 帯 化 を 推 進 ( 報 道 ) 元 汀 ~ 羅 津 道 路 整 備 羅 津 港 開 発 北 朝 鮮 政 府 の 認 可 無 し 380 万 ユーロ 投 資 (MOU) 2010 年 12 月 に 試 験 運 送 開 始 総 9 億 元 投 資 文 岳 発 電 所 (4 万 kw)2010 年 3 月 31 日 着 工 :2013 年 完 工 目 標 2010 年 12 月 31 日 新 鴨 緑 江 大 橋 の 着 工 式 ( 総 工 費 17 億 元 ) 政 府 間 の 共 同 開 発 共 同 管 理 方 式 に 転 換 2010 年 6 月 中 朝 国 境 の 元 汀 橋 の 補 修 完 了 ( 中 国 負 担 ) 総 投 資 360 万 元 2010 年 9 月 中 国 延 辺 州 と 羅 先 特 別 市 の 協 力 協 定 ( 新 道 路 建 設 など) 総 投 資 2,266 万 ドル 予 定 2010 年 10 月 中 朝 政 府 間 の 協 力 協 定 中 国 商 務 部 と 北 朝 鮮 の 合 弁 投 資 委 員 会 の 間 で 経 済 協 力 協 定 を 締 結 ( 羅 先 市 新 義 州 地 域 の 共 同 開 発 など) 2010 年 12 月 新 鴨 緑 江 大 橋 着 工 式 丹 東 市 で 開 催 (3 年 工 事 22 億 元 を 中 国 側 が 負 担 ) 2011 年 2 月 中 朝 共 同 開 発 共 同 管 理 計 画 要 綱 の 作 成 羅 先 経 済 貿 易 地 帯 黄 金 坪 威 化 島 経 済 地 帯 を 中 朝 で 共 同 開 発 共 同 管 理 するための 共 同 指 導 委 員 会 を 設 置 し 計 画 32

42 要 綱 を 作 成 2011 年 6 月 黄 金 坪 と 羅 先 で 共 同 開 発 着 工 式 中 朝 共 同 指 導 委 員 会 ( 共 同 委 員 長 : 北 朝 鮮 労 働 党 行 政 部 長 張 成 沢 中 国 商 務 部 長 陳 徳 明 )の 開 催 2011 年 中 水 豊 発 電 所 の 補 修 (ダム 修 理 ) 2000 年 の 洪 水 以 降 中 国 国 家 電 力 公 司 の 投 資 で 工 事 完 了 2011 年 12 月 黄 金 坪 経 済 地 帯 法 制 定 最 高 人 民 会 議 常 任 委 員 会 が 採 択 ( 発 表 は 2012 年 1 月 を 予 定 ): 2012 年 からインフラ 整 備 企 業 誘 致 開 始 出 所 : 各 種 報 道 から 作 成 上 記 の 表 から 分 かるように 中 国 と 北 朝 鮮 は 2010 年 10 月 に 政 府 間 経 済 協 力 協 定 を 締 結 し 北 朝 鮮 の 羅 先 市 と 新 義 州 地 域 の 二 島 ( 黄 金 坪 威 化 島 )の 共 同 開 発 をするため の 中 朝 共 同 開 発 共 同 管 理 計 画 要 綱 も 2011 年 2 月 には 作 成 した この 総 計 画 要 綱 によると 中 朝 共 同 開 発 共 同 管 理 の 主 要 内 容 は 以 下 の 通 りである 中 朝 共 同 開 発 共 同 管 理 の 主 要 内 容 原 則 : 総 体 的 計 画 段 階 別 実 施 政 府 引 導 共 同 開 発 企 業 主 体 市 場 運 営 優 勢 の 相 互 補 充 互 恵 共 栄 目 標 北 朝 鮮 の 工 業 化 水 準 と 人 民 生 活 水 準 の 向 上 北 朝 鮮 産 の 製 品 の 外 貨 獲 得 能 力 と 製 品 の 競 争 力 向 上 北 朝 鮮 の 人 力 土 地 鉱 物 などの 資 源 優 勢 を 経 済 優 勢 に 転 換 方 式 中 朝 共 同 指 導 委 員 会 : 政 府 間 の 協 調 指 導 体 制 共 同 開 発 管 理 委 員 会 : 地 方 政 府 間 の 共 同 管 理 体 系 実 際 の 開 発 経 営 : 各 地 域 の 投 資 開 発 公 司 に 委 任 し 投 資 開 発 公 司 が 土 地 開 発 商 業 開 発 の 責 任 を 持 ち それに 伴 う 投 資 権 経 営 権 受 益 件 をも らう 33

43 北 朝 鮮 政 府 の 投 資 誘 致 のための 支 援 策 税 金 優 遇 政 策 投 資 保 護 ( 国 有 化 や 徴 収 禁 止 ) 投 資 使 用 期 限 内 の 譲 渡 賃 貸 再 賃 貸 請 負 抵 当 相 続 を 認 める 決 済 通 貨 : 朝 鮮 ウォン 中 国 元 法 定 外 貨 労 働 力 : 労 働 市 場 の 形 成 労 働 契 約 制 の 実 施 で 企 業 - 労 働 者 間 の 自 主 選 択 を 認 める ( 労 働 力 の 自 由 雇 用 解 雇 が 可 能 ) 市 場 運 営 : 製 品 の 国 内 販 売 比 率 価 格 の 設 定 M&A 破 産 清 算 などの 企 業 意 思 決 定 を 企 業 が 市 場 原 則 に 基 づき 自 主 的 に 決 定 できる 以 上 のような 中 朝 共 同 開 発 共 同 管 理 の 総 計 画 全 体 像 から 中 朝 の 経 済 連 携 は 相 互 の 政 治 経 済 的 利 益 を 反 映 する 要 と 言 える 2011 年 6 月 8 日 9 日 には 黄 金 坪 の 入 り 口 の 丹 東 市 と 羅 先 市 で 中 朝 共 同 開 発 のための 対 象 事 業 着 工 式 がおこなわれた 黄 金 坪 の 場 合 は 法 的 整 備 として 2011 年 12 月 の 黄 金 坪 経 済 地 帯 法 制 定 ができ 2012 年 から 本 格 化 することとなる 黄 金 坪 の 開 発 については 中 朝 の 間 でインフラ 整 備 や 外 資 企 業 の 誘 致 が 推 進 中 である 北 朝 鮮 側 は 黄 金 坪 地 域 に 委 託 加 工 IT 観 光 サ ービスなどを 3 大 業 種 と 指 定 し 外 資 誘 致 を 推 進 する 計 画 である 中 国 側 は 委 託 加 工 現 代 都 市 近 郊 農 業 観 光 などの 分 野 に 関 心 があるようである 土 地 整 備 の 総 計 画 はで きており 先 端 電 子 地 区 加 工 産 業 地 区 商 業 地 区 文 化 観 光 地 区 都 市 農 業 地 区 住 宅 地 区 などに 区 分 されているようである 投 資 を 検 討 している 企 業 は 中 国 香 港 台 湾 などの 企 業 が 商 談 中 である 3 中 朝 共 同 の 総 開 発 要 綱 によると 黄 金 坪 経 済 地 帯 は 新 義 州 と 丹 東 の 連 携 性 を 生 かし 情 報 産 業 観 光 文 化 産 業 現 代 式 施 設 農 業 軽 工 業 などを 発 展 させることを 目 標 と 設 定 し 産 業 分 野 では 商 業 IT 観 光 施 設 農 業 服 装 加 工 などの 開 発 を 設 定 している インフラは 丹 東 から 用 水 電 気 熱 通 信 インターネット 網 を 引 き 生 産 活 動 に 提 供 することとなる 3 ( 出 所 )2011 年 12 月 8 日 丹 東 でのヒアリングによる 台 湾 の 電 子 機 器 メーカー Foxconn 社 が 投 資 を 検 討 しているとの 話 が 流 れていた 34

44 図 表 1-14 黄 金 坪 経 済 地 帯 の 開 発 構 想 区 分 項 目 内 容 開 発 目 標 重 点 項 目 新 義 州 と 丹 東 の 連 携 性 を 生 かし 情 報 産 業 観 光 文 化 産 業 現 代 式 施 設 農 業 軽 工 業 などを 発 展 させる 発 展 目 標 [1 センター 4 団 地 ]の 経 済 地 帯 建 設 産 業 発 展 方 向 と 産 業 配 置 商 業 センター - 短 期 : 中 朝 共 同 市 場 - 長 期 : 買 い 物 休 憩 事 務 展 覧 金 融 サービスなどが 可 能 な 先 端 商 業 センター 情 報 産 業 - 丹 東 市 と 連 携 ソフトウェア 注 文 サービス 観 光 文 化 産 業 - アリランなどの 文 化 講 演 アニメ 映 画 音 楽 工 芸 品 観 光 記 念 品 現 代 式 施 設 農 業 - 優 良 品 種 開 発 灌 漑 施 設 整 備 太 陽 エネルギー 温 室 野 菜 果 物 花 生 産 農 業 技 術 研 究 交 流 センター 建 設 服 装 加 工 業 - 服 装 工 場 の 誘 致 ブランド 開 発 SOC 建 設 港 湾 - 黄 金 坪 と 新 義 州 の 間 に 旅 客 貨 物 埠 頭 建 設 - 丹 東 の 大 東 港 を 利 用 道 路 - 網 式 の 道 路 建 設 丹 東 と 二 つの 出 入 り 道 路 建 設 その 他 - 丹 東 空 港 活 用 丹 東 から 電 力 供 給 汚 水 処 理 施 設 イン ターネット 網 通 信 網 建 設 出 所 : 中 朝 共 同 指 導 委 員 会 計 画 分 科 委 員 会 中 朝 羅 先 経 済 貿 易 地 帯 と 黄 金 坪 威 化 島 経 済 地 帯 共 同 開 発 総 計 画 要 綱 吉 林 省 は 北 朝 鮮 の 陸 路 - 港 - 開 発 区 の 一 体 化 建 設 のため 最 も 重 要 な 羅 津 港 を 持 って いる 羅 先 市 との 関 係 を 特 に 重 視 している 吉 林 省 は 北 朝 鮮 を 経 由 し 中 国 東 南 沿 海 港 湾 に 至 る 陸 海 輸 送 に 関 する 案 に 対 して 中 央 政 府 からの 正 式 批 准 を 既 に 得 ており 北 朝 鮮 の 羅 津 港 を 利 用 した 中 国 国 内 向 けの 輸 送 ルートを 確 保 した その 具 体 的 な 利 用 例 が 琿 春 に 豊 富 な 石 炭 ( 埋 蔵 量 12 億 トン)を 羅 津 港 を 使 って 上 海 市 など 中 国 東 南 部 に 供 給 する 事 業 である 琿 春 創 力 ( 大 連 創 力 の 子 会 社 )が 2010 年 12 月 から 3 週 間 を かけてトラックで 羅 津 港 へ 運 送 した 琿 春 産 石 炭 2 万 トンが 2011 年 1 月 に 羅 津 港 から 上 海 寧 波 に 輸 送 開 始 されてから 2011 年 中 に 3 回 の 石 炭 輸 送 ( 琿 春 ~ 羅 津 港 ~ 上 海 35

45 寧 波 )が 行 われた 4 この 日 本 海 輸 送 ルートは 中 国 においては 東 北 部 内 陸 と 東 南 部 沿 海 地 域 を 直 接 つなげる 経 済 回 廊 となり 中 国 の 国 内 経 済 統 合 はもちろん 国 際 経 済 連 携 を 行 う 上 で 重 視 される 物 流 ルートとなっている 今 後 は 石 炭 輸 送 の 経 済 コストの 削 減 のため 琿 春 から 羅 津 港 へのトラック 輸 送 を 鉄 道 輸 送 に 転 換 させるための 鉄 道 連 結 ( 琿 春 ~ 羅 津 )が 計 画 されている 一 方 図 們 市 も 北 朝 鮮 との 経 済 連 携 を 優 先 課 題 として 取 り 上 げている 2010 年 10 月 13 日 に 図 們 税 関 付 近 に 図 們 中 朝 辺 境 互 市 貿 易 市 場 を 開 場 (1 回 運 営 以 降 休 止 中 ) したり 図 們 経 済 開 発 区 内 に 図 們 朝 鮮 工 業 団 地 を 設 置 (2011 年 9 月 に 吉 林 政 府 が 批 准 )し 北 朝 鮮 の 労 働 力 を 活 用 するための 計 画 を 立 てたりするなど 積 極 的 である 遼 寧 省 では 丹 東 市 に 北 朝 鮮 の 労 働 力 を 受 け 入 れる 工 場 があるが 吉 林 省 では 図 們 開 発 区 が 初 めてこのプロジェクトに 取 り 組 んでいる 5 図 們 市 は 鉄 道 を 経 済 通 路 の 中 心 と 考 えており 北 朝 鮮 の 清 津 港 へのアクセスを 推 進 中 である 図 們 市 に 本 社 を 置 く 延 辺 海 華 輸 出 入 会 社 が 5,000 万 元 を 投 資 し 清 津 港 の 第 3 号 埠 頭 に 40 トンクレーンを 設 置 し た 清 津 港 を 利 用 し 東 北 地 域 の 穀 物 を 輸 送 する 計 画 である また 2011 年 10 月 に は 図 們 ~ 七 宝 山 ( 北 朝 鮮 の 清 津 付 近 の 名 山 )の 観 光 列 車 を 開 始 し 1 ヶ 月 間 に 5 回 運 行 した 6 吉 林 省 において 北 朝 鮮 特 に 羅 先 特 別 市 との 協 力 のシステムはまだ 体 系 が 整 備 され てはいない 状 態 が 残 っている 例 えば 琿 春 市 が 2010 年 に 羅 先 市 に 代 表 処 を 設 立 す ると 延 吉 市 や 延 辺 州 政 府 も 代 表 処 設 立 を 推 進 し 吉 林 省 は 2011 年 に 省 レベルで 直 接 代 表 処 の 管 理 を 決 めるなど 政 府 組 織 の 中 で 管 理 体 系 の 整 備 がまだ 不 十 分 である こ の 問 題 は 中 朝 間 の 協 力 が 推 進 されるにしたがい 調 整 されると 思 われる 吉 林 省 と 北 朝 鮮 の 間 の 経 済 インフラ 整 備 事 業 において 2011 年 12 月 の 時 点 での 進 行 中 の 項 目 は 以 下 の 通 りである 4 ( 出 所 ) 琿 春 市 でのヒアリング(2011 年 11 月 8 日 ) 5 北 朝 鮮 の 労 働 者 のための 600 人 分 の 宿 所 と 食 堂 が 図 們 開 発 区 内 に 建 設 中 である 北 朝 鮮 労 働 者 の 受 け 入 れについては 契 約 は 企 業 と 企 業 との 契 約 ベースで 行 い 管 理 は 図 們 市 開 発 区 管 理 委 員 会 が 担 当 する ( 出 所 ) 図 們 市 開 発 区 管 理 委 員 会 でのヒアリング(2011 年 11 月 6 日 ) 年 10 月 9 日 に 開 通 し 1 週 間 1 回 (3 泊 4 日 )の 観 光 列 車 であった 料 金 : 一 人 当 た り 1,600~1,800 元 ( 出 所 ) 図 們 市 でのヒアリング(2011 年 11 月 7 日 ) 36