冊子19　表紙

Transcription

1 三 菱 重 工 を 分 析 す る 19 三 菱 重 工 の 戦 闘 機 生 産 目 次 1 戦 闘 機 生 産 の 再 開 2 三 菱 重 工 が 生 産 している 戦 闘 機 3 三 菱 重 工 における 戦 闘 機 生 産 の 事 業 戦 略 4 自 衛 隊 の 軍 用 機 の 生 産 と 輸 入 年 6 月 この 冊 子 は 三 菱 重 工 を 分 析 する のブログから 関 係 する 部 分 を 取 り 出 し 再 編 集 して 作 成 しました 日 本 共 産 党 三 菱 重 工 広 製 支 部 の ホームページからダウンロードできますので ご 自 由 にプリントしてご 活 用 ください 皆 さんからのご 意 見 ご 感 想 をお 待 ちしています 広 島 市 中 区 八 丁 堀 8-11 日 本 共 産 党 広 島 県 委 員 会 気 付 け 日 本 共 産 党 三 菱 重 工 広 製 支 部 E メール zan67316@nifty.com

2 1 戦 闘 機 生 産 の 再 開 戦 後 における 戦 闘 機 の 生 産 再 開 は 三 菱 重 工 の 社 史 (1964~1989 年 )によると 戦 後 禁 止 さ れていた 航 空 機 の 生 産 が 解 除 されたのが 1952 年 その 翌 年 には 米 軍 機 の 修 理 作 業 を 開 始 し 1955 年 からは F-86F F-104J などアメリカで 開 発 された 戦 闘 機 を 防 衛 庁 航 空 自 衛 隊 向 けにラ イセンス 生 産 をしている 戦 闘 機 生 産 再 開 の 意 義 を 社 史 は 次 のように 述 べている 航 空 機 生 産 の 再 開 後 当 社 はジェッ ト 戦 闘 機 の 国 内 のリーダーシップをとるとともに 戦 闘 機 は 当 社 航 空 機 事 業 の 中 核 をなしてい る その 後 三 菱 重 工 を 主 契 約 者 として 日 本 独 自 の 戦 闘 機 の 開 発 が 開 始 され T-2 超 音 速 高 等 練 習 機 F-1 支 援 戦 闘 機 ( 注 )を 開 発 して 航 空 自 衛 隊 に 納 入 している これについて 社 史 は これ らの 自 主 開 発 により 当 社 は 航 空 機 開 発 能 力 の 基 盤 を 築 くことができた と 述 べている 戦 闘 機 のライセンス 生 産 に 続 く 自 主 開 発 は 三 菱 重 工 にとって 大 きな 意 義 があったようである その 後 の 技 術 開 発 や 川 崎 重 工 を 主 契 約 者 とする T-4 中 等 練 習 機 の 開 発 などがあって 次 期 支 援 戦 闘 機 ( 注 )FS-Xを 自 主 開 発 する 計 画 へとつながっていった しかし アメリカから 日 本 製 戦 闘 機 の 開 発 を 阻 止 する 圧 力 がかかり 最 終 的 には 1987 年 にアメリカ 製 の 既 存 機 F-16 を 改 造 開 発 することが 決 定 された この 間 の 事 情 を 社 史 は 次 のように 述 べている わが 国 としては 官 民 挙 げて 国 内 開 発 を 望 む 声 が 大 勢 を 占 めていたが 機 種 選 定 当 時 日 米 関 係 は 貿 易 摩 擦 やコ コム 事 件 などで 極 めて 厳 しい 状 態 にあり アメリカから 日 本 製 戦 闘 機 の 開 発 阻 止 とアメリカ 製 戦 闘 機 の 採 用 を 求 めて 強 い 圧 力 がかかっていた その 後 紆 余 曲 折 を 経 て アメリカ 製 既 存 機 F-16 を 改 造 開 発 することになった ( 注 ) 支 援 戦 闘 機 とは: 戦 闘 機 の 攻 撃 性 から 国 民 の 目 をそらせて 地 上 部 隊 や 艦 隊 を 空 から 支 援 すると いう 面 を 強 調 した 用 語 敵 を 攻 撃 する 武 器 ではなく 味 方 を 支 援 する 武 器 だ ということにしたかったと 推 測 される 憲 法 第 9 条 や 国 内 世 論 が 背 景 にあったからで あろう なお 現 在 この 用 語 は 使 われていない 1

3 2 三 菱 重 工 が 生 産 している 戦 闘 機 三 菱 重 工 のホームページの 製 品 情 報 には F-2 戦 闘 機 F-4EJ 戦 闘 機 F-15J 戦 闘 機 の 3つが 写 真 入 りで 掲 載 されている これらはすべて 防 衛 省 に 納 入 されている F-2 戦 闘 機 前 述 の アメリカ 製 既 存 機 F-16を 改 造 開 発 してできた 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 が 保 有 している 支 援 戦 闘 機 (F-1)が 減 勢 することに 対 処 するため 米 国 の 戦 闘 機 F-16 を 我 が 国 の 運 用 構 想 地 理 的 特 性 等 に 適 合 するよう 日 米 の 優 れた 技 術 を 結 集 し 日 米 共 同 で 開 発 したものです ( 三 菱 重 工 のホームページより) 三 菱 重 工 のニュースリリースは 2000 年 9 月 の 量 産 初 号 機 以 来 累 計 94 機 ( 試 作 機 含 め 98 機 )を 2011 年 9 月 に 完 納 したことを 報 じている(ニュースリリース 2011 年 9 月 27 日 より) F-4EJ 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 の F-86F 戦 闘 機 退 役 に 伴 い, 領 空 防 衛 補 完 のための 後 継 主 力 戦 闘 機 として 選 定 され, 米 国 ボーイング 社 ( 旧 マクドネル ダグラス 社 )とのライセンス 契 約 に 基 づき 国 産 化 された F-4EJ の 能 力 向 上 のため,アビオニクス( 注 )のアップデイトを 中 心 に 改 修 を 施 した 機 体 です ( 三 菱 重 工 のホームページより) ( 注 )アビオニクス(Avionics)とは: 航 空 機 に 搭 載 され 飛 行 のために 使 用 される 電 子 機 器 航 空 電 子 工 学 F-15J 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 の F-104J 戦 闘 機 退 役 に 伴 い, 領 空 防 衛 補 完 のための 後 継 主 力 戦 闘 機 として 選 定 され, 超 音 速, 単 座, 全 天 候 性 の 優 れた 制 空 戦 闘 機 で, 米 空 軍 用 に 開 発 された F-15C イーグルにレ ーダ 警 戒 装 置 等 の 日 本 向 けの 特 別 仕 様 を 施 した 機 体 です 米 国 ボーイング 社 ( 旧 マクドネル ダ グラス 社 )とライセンス 契 約 を 締 結 し 国 産 化 しました ( 三 菱 重 工 のホームページより) これらの 戦 闘 機 の 製 造 は すべて 三 菱 重 工 が 主 契 約 者 となっているが 製 造 に 関 わっている 国 内 企 業 は 多 数 にのぼる F-15J 戦 闘 機 の 場 合 製 造 に 関 わった 国 内 企 業 がウィキペディアに 出 ているが 主 な 企 業 を 抜 粋 すると 次 のとおりである 2

4 F-15J 戦 闘 機 の 製 造 に 関 わった 国 内 の 主 な 企 業 三 菱 重 工 業 主 契 約 者 前 中 部 胴 体 機 体 最 終 組 立 て 川 崎 重 工 業 主 翼 後 胴 尾 翼 IHI F100ターボファンエンジン 三 菱 電 機 AN/APG-63 火 器 管 制 レーダー ほか このほか 11 社 が 掲 載 されている (ウィキペディアより) これら 戦 闘 機 の 単 価 に 関 するデータもウィキペディアに 出 ている 改 修 された 機 体 派 生 型 機 などあって 単 純 ではないが 10 億 円 を 下 るものはなく 100 億 円 を 超 えるものはある 価 格 に 関 して 一 つ 重 要 なことは ライセンス 生 産 は 完 成 機 の 輸 入 より 高 いと 言 われる 生 産 のための 設 備 費 用 やライセンス 料 などが 加 わるから 独 自 開 発 はさらに 高 い なお 実 際 にかかる 費 用 は 機 体 の 価 格 のほかに 搭 載 する 武 器 の 費 用 維 持 管 理 費 修 繕 費 燃 料 費 などが 加 わる 国 産 ステルス 実 証 機 ATD-X これは 現 在 生 産 している 戦 闘 機 ではない 三 菱 重 工 が 防 衛 省 から 受 注 した 研 究 試 作 工 事 で ある その 狙 いを 三 菱 重 工 は 次 のように 説 明 している 研 究 試 作 の 狙 い 先 進 技 術 実 証 機 の 研 究 試 作 は 次 世 代 戦 闘 機 に 関 する 周 辺 国 の 研 究 開 発 状 況 を 睨 んで 2009 年 度 に 開 始 されたプロジェクト ステルス 性 や 高 運 動 性 などの 先 進 技 術 を 実 際 に 飛 行 試 験 することで 近 い 将 来 わが 国 周 辺 に 配 備 される 可 能 性 があるステルス 戦 闘 機 に 対 抗 す るための 戦 闘 機 搭 載 用 先 進 技 術 の 実 証 研 究 と 防 空 システムの 構 築 に 活 用 するのが 狙 い 先 進 技 術 実 証 機 の 開 発 完 了 は 2016 年 度 の 計 画 (ニュースリリース 2012 年 3 月 28 日 より) これは 国 産 初 のステルス 戦 闘 機 の 開 発 であり 防 衛 省 は 性 能 やコストを 確 認 した 上 で 実 用 化 するかどうかを 2018 年 度 までに 最 終 判 断 する 方 針 と 報 じられている( 毎 日 新 聞 2014 年 08 月 12 日 ) 防 衛 省 が 2014 年 6 月 に 決 定 した 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 は 従 来 の 国 産 重 視 から 軍 事 用 航 空 機 などの 国 際 共 同 開 発 推 進 へと 方 向 転 換 をはかっているが ステルス 戦 闘 機 開 発 による 技 術 レベルの 向 上 は 国 際 共 同 開 発 の 主 導 権 を 握 るという 狙 いもあるのだろう 3

5 F-35 これも 現 在 生 産 している 戦 闘 機 ではない F35 はアメリカのロッキード マーティン 社 を 中 心 に 国 際 的 な 開 発 製 造 体 制 で 進 められている 日 本 では 政 府 のプロジェクトによって 製 造 が 進 められようとしているが 三 菱 重 工 については 製 造 設 備 の 負 担 をめぐって 防 衛 省 と 話 がつい ていない これについては 武 器 輸 出 の 問 題 として 17 武 器 輸 出 原 則 解 禁 の 衝 撃 で 取 り 上 げた 繰 り 返 しになるがここで 再 確 認 しておきたい F35は2011 年 に 民 主 党 野 田 内 閣 が 次 期 主 力 戦 闘 機 に 選 定 し 42 機 の 導 入 を 決 定 2013 年 には 安 倍 内 閣 が F35 の 部 品 生 産 に 日 本 の 企 業 が 参 画 することを 決 定 日 本 で 作 られた 部 品 を 使 った F35 の 機 体 が 今 後 各 国 へ 売 られる 可 能 性 があるが 安 倍 内 閣 は 武 器 輸 出 三 原 則 の 例 外 とした なお 販 売 先 として 予 定 されている 国 にはイスラエルもある 政 府 の 計 画 では 三 菱 重 工 業 が 主 要 部 位 の 胴 体 IHI がエンジンの 部 品 三 菱 電 機 が 電 子 機 器 の 製 造 輸 出 に 参 画 することになっている すでに 防 衛 省 は 自 衛 隊 機 の 製 造 につ いて 2013 年 度 に IHI 三 菱 電 機 の2 社 と 契 約 しかし 三 菱 重 工 業 については 設 備 投 資 の 負 担 をめぐって 防 衛 省 との 交 渉 が 折 り 合 っていない 17 武 器 輸 出 原 則 解 禁 の 衝 撃 P.11 その 後 F-35 に 関 して 三 菱 重 工 からは 何 も 発 表 されていないが 報 道 によれば 米 国 防 総 省 は 最 新 鋭 ステルス 戦 闘 機 F35 のアジア 太 平 洋 地 域 の 整 備 拠 点 に 日 本 とオーストラリアを 選 定 したと 発 表 し 防 衛 省 は 国 内 の 整 備 拠 点 として 機 体 は 三 菱 重 工 業 の 小 牧 南 工 場 ( 愛 知 県 豊 山 町 ) エンジンはIHIの 瑞 穂 工 場 ( 東 京 都 瑞 穂 町 )で 請 け 負 うと 発 表 現 時 点 で 整 備 が 確 定 し ているのは 航 空 自 衛 隊 が 導 入 を 決 めた 42 機 だが 在 日 米 軍 や 韓 国 が 導 入 するF35 についても 対 象 にする 方 向 で 米 側 と 調 整 する( 日 経 2014 年 12 月 18 日 ) 4

6 3 三 菱 重 工 における 戦 闘 機 生 産 の 事 業 戦 略 三 菱 重 工 の 2012 事 業 計 画 には 防 衛 宇 宙 のページに 陸 海 空 の 防 衛 事 業 と 宇 宙 事 業 を 統 合 として 早 期 警 戒 衛 星 を 使 う 統 合 防 衛 システムの 図 が 描 かれている 同 時 期 に 発 表 された 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 ) の 防 衛 に 関 する 事 業 戦 略 のページには 戦 略 の 一 つに 戦 闘 機 生 産 技 術 基 盤 維 持 強 化 があり その 具 体 策 とし て 次 の 3 点 が 記 載 されている 戦 闘 機 生 産 技 術 基 盤 維 持 強 化 (ⅰ) プラットフォーム 製 造 から 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータへ 転 換 (ⅱ) F-35A 生 産 のライセンス 契 約 の 実 現 (ⅲ) 先 進 技 術 実 証 機 プロジェクト 等 による 先 端 技 術 獲 得 による 将 来 戦 闘 機 国 産 化 の 実 現 ( 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 )より) (ⅰ) プラットフォーム 製 造 から 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータへ 転 換 ウェポンとは 武 器 兵 器 のこと 戦 闘 機 に 搭 載 する 武 器 兵 器 で 主 なものは 敵 戦 闘 機 を 撃 ち 落 とすための 空 対 空 ミサイル ミサイルを 誘 導 する 火 器 管 制 装 置 敵 機 を 速 く 発 見 するため のレーダー 警 戒 装 置 味 方 との 連 携 敵 電 波 のかく 乱 のための 電 子 通 信 装 置 などがある これらのウェポン( 武 器 兵 器 )を 載 せるプラットフォーム( 台 )が 戦 闘 機 ということにな る したがって 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータ とは 戦 闘 機 を 単 体 として 開 発 製 造 するだけでなく 各 社 が 開 発 製 造 する 武 器 兵 器 を 戦 闘 機 に 装 備 し 電 子 技 術 情 報 技 術 を 使 って 統 合 することであり その 頂 点 に 三 菱 重 工 が 立 つことを 意 味 している 戦 闘 機 ウェポン システム の 上 位 には 前 述 の 早 期 警 戒 衛 星 を 使 う 統 合 防 衛 システム があって それがまとめ 上 げるという 関 係 になる その 頂 点 に 三 菱 重 工 が 立 つことが 戦 略 とし て 描 かれている さらにまた その 上 位 には 11 三 菱 重 工 と 武 器 輸 出 で 見 た 米 軍 の システ ム オブ システムズ があり これが 世 界 的 規 模 で 全 体 を 統 合 するということが 考 えられる (ⅱ) F-35A 生 産 のライセンス 契 約 の 実 現 これについては 前 章 で 見 たとおりで まだ 実 現 していない 民 間 企 業 としては 採 算 が 取 れ ない 事 業 は 採 算 が 取 れるよう 設 備 投 資 の 国 側 負 担 を 増 やすよう 防 衛 省 にはたらきかけ それが 実 現 するまで 待 つという 戦 略 ではないだろうか (ⅲ) 先 進 技 術 実 証 機 プロジェクト 等 による 先 端 技 術 獲 得 による 将 来 戦 闘 機 国 産 化 の 実 現 これについても 前 章 で 見 たとおりでるが ステルス 戦 闘 機 の 国 際 共 同 開 発 の 主 導 権 を 握 るこ 5

7 とを 狙 っていることが 考 えられる なお 今 年 になって 発 表 された 2015 事 業 計 画 や 防 衛 宇 宙 ドメイン 説 明 会 の 資 料 に は 戦 闘 機 に 関 して 特 段 の 記 述 はない 基 本 的 には 従 来 路 線 を 継 続 して 2017 年 度 目 標 で ある 防 衛 宇 宙 ドメインの 飛 躍 的 な 事 業 規 模 拡 大 に 向 けた 準 備 の 完 遂 を 目 指 すと 考 えられ る 防 衛 省 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 との 関 係 防 衛 省 が 平 成 26 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 ( 防 衛 大 綱 )にもとづいて 作 成 し 2014 年 6 月 に 発 表 した 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 の 航 空 機 に 関 する 今 後 の 方 向 性 には 次 の ようなことが 書 かれている 航 空 優 勢 の 獲 得 維 持 の 観 点 から 防 空 能 力 の 総 合 的 な 向 上 を 図 り F-35A の 整 備 等 を 推 進 する 将 来 戦 闘 機 については 国 際 共 同 開 発 の 可 能 性 も 含 め 国 内 において 戦 闘 機 関 連 技 術 の 蓄 積 高 度 化 を 図 るため 実 証 研 究 を 含 む 戦 略 的 な 検 討 を 推 進 する ( 注 ) 航 空 優 勢 とは: 味 方 航 空 機 の 安 全 を 確 保 し 敵 の 航 空 機 の 活 動 を 大 きく 制 限 で きている 状 態 かつては 制 空 権 と 言 われたこともある 同 じく 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 の 通 信 電 子 指 揮 統 制 システムに 関 する 今 後 の 方 向 性 には 次 のようなことが 書 かれている 今 後 の 指 揮 統 制 システムにおいては 統 合 運 用 を 円 滑 に 行 うためのシステムの 統 合 化 指 揮 官 の 意 思 決 定 を 支 援 する 機 能 の 強 化 などネットワーク データ 中 心 の 戦 いに 対 応 し たシステムが 必 要 となる 戦 闘 機 の 生 産 は 政 府 の 政 策 に 左 右 されるために 企 業 の 事 業 戦 略 としては 選 択 の 幅 が 制 限 さ れる もっとも 三 菱 重 工 側 から 防 衛 省 の 政 策 に 影 響 を 及 ぼすことも 当 然 あり 得 る 防 衛 省 の 政 策 と 三 菱 重 工 の 事 業 計 画 は ピッタリではないにしても 基 本 的 には 一 致 している 時 期 的 には 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 ) から 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 ま で 2 年 の 間 があり その 間 に 安 倍 政 権 による 新 しい 防 衛 大 綱 や 武 器 輸 出 の 解 禁 があった 三 菱 重 工 の 2015 事 業 計 画 にはそれらが 反 映 されている それは 海 外 で 戦 争 する 国 づくりを 兵 器 生 産 の 面 から 支 えることにもなる 6

8 4 自 衛 隊 の 軍 用 機 の 生 産 と 輸 入 軍 用 機 ( 軍 事 用 航 空 機 )には 戦 闘 機 のほかに 哨 戒 機 早 期 警 戒 機 救 難 機 輸 送 機 などが ある 現 代 の 戦 争 においては 航 空 優 勢 が 重 視 され そのために 戦 闘 機 の 役 割 は 大 きい 味 方 の 戦 闘 機 によって 敵 の 戦 闘 機 を 駆 逐 し 敵 の 飛 行 場 を 破 壊 すれば 航 空 優 勢 を 獲 得 できる 敵 の 戦 闘 機 が 攻 めてきたときには 味 方 の 戦 闘 機 や 対 空 ミサイルが 防 御 にあたる 攻 撃 防 御 兵 站 ( 日 本 政 府 がいう 後 方 支 援 )が 一 体 となって 戦 争 は 展 開 される ( 注 ) 哨 戒 機 とは: 哨 戒 とは 敵 の 襲 撃 に 備 え 見 張 りをして 警 戒 すること( 広 辞 苑 ) したがって 哨 戒 機 とは 敵 の 動 きを 探 る 軍 用 機 のことであるが 現 在 では 通 常 潜 航 中 の 潜 水 艦 を 発 見 攻 撃 する 対 潜 哨 戒 機 を 指 す ( 注 ) 早 期 警 戒 機 とは: 機 体 に 全 方 向 を 監 視 できるレーダーを 装 備 し 空 中 から 管 制 等 を 行 う 航 空 機 ( 軍 用 機 )の こと(ウィキペディアより) 管 制 能 力 の 高 いものは 早 期 警 戒 管 制 機 と 呼 ばれる ( 注 ) 救 難 機 とは: 遭 難 者 の 捜 索 救 出 をするための 航 空 機 ヘリコプター 飛 行 艇 固 定 翼 機 がある こ の 内 ヘリコプターや 飛 行 艇 は 接 地 着 水 して 遭 難 者 を 直 接 救 出 する 固 定 翼 機 は 捜 索 や 救 難 指 揮 に 使 用 する ( 注 ) 兵 站 とは: 戦 争 において 作 戦 を 行 う 部 隊 の 移 動 と 支 援 を 計 画 実 施 する 活 動 物 資 の 補 給 や 整 備 兵 員 の 展 開 や 衛 生 施 設 の 構 築 や 維 持 などが 含 まれる(ウィキペディアより) ここで 国 内 で 生 産 され 配 備 されているその 他 の 軍 用 機 にどのようなものがあるか 概 観 して おきたい 国 内 の 軍 用 機 メーカー 国 内 の 軍 用 機 メーカーとしては 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 富 士 重 工 業 ( 株 ) 新 明 和 工 業 ( 株 ) 川 崎 重 工 業 株 式 会 社 ( 株 )IHIがある それぞれのホームページから どのような 軍 用 機 を 作 っているかを 見 ると おおよそ 次 のとおりである 7

9 国 内 の 軍 用 機 メーカー 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 機 のメーカーとしてダントツ 哨 戒 ヘリコプター 救 難 ヘリコプタ ー 航 空 用 エンジンなども 製 造 している 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 中 等 練 習 機 固 定 翼 哨 戒 機 輸 送 機 などを 製 造 100% 出 資 子 会 社 に 日 本 飛 行 機 ( 株 )がある 富 士 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 ヘリコプター 初 等 練 習 機 などを 製 造 防 衛 省 向 けに 無 人 偵 察 機 シ ステムの 開 発 もおこなっている ( 株 )IHI 航 空 用 エンジンを 製 造 防 衛 省 の 軍 用 機 調 達 国 内 で 製 造 された 軍 用 機 はすべて 防 衛 省 に 納 入 されている 防 衛 省 がインターネットに 公 開 している 武 器 の 調 達 に 関 する 資 料 の 中 から 軍 用 機 に 関 するデータを 拾 い 出 してみる 中 央 調 達 実 施 概 況 には 契 約 相 手 方 ( 受 注 企 業 )も 記 載 されているが 今 のところ 2013 年 度 ( 平 成 25 年 度 ) 分 までしか 公 表 されていない < 要 求 機 関 > < 品 目 > < 数 量 > < 金 額 > < 契 約 相 手 方 > 陸 幕 輸 送 ヘリコプター(CH-47JA) 2 機 94 億 円 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 多 用 途 ヘリコプター(UH-60JA) 2 機 51 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 ヘリコプター(AH-64D) 1 機 32 億 円 富 士 重 工 業 ( 株 ) 海 幕 固 定 翼 哨 戒 機 (P-1) 2 機 295 億 円 川 崎 重 工 業 ( 株 ) (エンジン) ( 株 )IHI 救 難 飛 行 艇 (US-2) 1 機 92 億 円 新 明 和 工 業 ( 株 ) (エンジン) 新 東 亜 交 易 ( 株 ) 空 幕 戦 闘 機 (F-35A) 1 式 355 億 円 米 空 軍 省 F-35A の 米 国 企 業 による 製 造 へ 1 式 639 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) の 下 請 生 産 業 務 委 託 F135-PW-100 エンジンの 米 国 1 式 182 億 円 ( 株 )IHI 企 業 による 製 造 への 下 請 生 産 業 務 委 託 F-2B 損 傷 航 空 機 の 修 復 7 機 381 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 防 衛 省 平 成 25 年 度 中 央 調 達 実 施 概 況 より 8

10 アメリカからの 輸 入 防 衛 省 の 平 成 27 年 度 概 算 要 求 の 概 要 を 見 ると アメリカから 高 額 で 高 性 能 な 武 器 の 輸 入 が 顕 著 に 増 加 している ティルト ローター 機 : 島 嶼 部 に 対 する 攻 撃 への 対 応 の 中 で 輸 送 ヘリコプター(CH-47JA)の 輸 送 能 力 を 巡 航 速 度 や 航 続 距 離 等 の 観 点 から 補 完 強 化 するティ ルト ローター 機 を 整 備 し 水 陸 両 用 作 戦 における 部 隊 の 展 開 能 力 を 強 化 としている ティルト ローター 機 といえばオスプレイしか 考 えられないが なぜか 機 種 選 定 中 としてい る 戦 闘 機 (F-35A): 6 機 で 959 億 円 ただし 国 内 企 業 参 画 の 範 囲 を 拡 大 することに 伴 う 初 度 費 として 別 途 180 億 円 を 計 上 その 他 関 連 経 費 ( 教 育 用 器 材 等 )として 別 途 176 億 円 を 計 上 27 年 度 で 合 計 1315 億 円 となる 26 年 度 も 4 基 購 入 している 新 早 期 警 戒 ( 管 制 ) 機 : 新 早 期 警 戒 ( 管 制 ) 機 が 機 種 選 定 中 と 記 載 されている 南 西 地 域 をはじめとする 周 辺 空 域 の 警 戒 監 視 能 力 の 強 化 のため 新 たな 早 期 警 戒 管 制 機 又 は 早 期 警 戒 機 を 取 得 機 種 選 定 中 としているが 防 衛 省 は 高 性 能 レーダーを 搭 載 したアメリカ 製 のE2Dを 初 めて 導 入 する 方 針 を 決 めたという 報 道 もある( 日 テレ NEWS 年 11 月 20 日 ) 滞 空 型 無 人 機 : 広 域 における 常 続 監 視 能 力 の 強 化 のため 滞 空 型 無 人 機 を 取 得 機 種 選 定 中 としているが 米 国 政 府 提 案 のグローバルホークに 決 定 したと 発 表 ( 防 衛 省 平 成 26 年 11 月 21 日 ) このように 安 倍 政 権 はアメリカから 高 額 で 高 性 能 な 武 器 を 多 数 購 入 しようとしている そ の 目 的 を 周 辺 海 空 域 における 安 全 確 保 島 嶼 部 に 対 する 攻 撃 への 対 応 とし 中 国 の 動 き に 軍 事 力 強 化 で 対 抗 しようとしている そのこと 自 体 に 問 題 があるが それだけにとどまるわ けではないであろう このような 高 性 能 な 武 器 をアメリカから 導 入 することは アメリカと 一 緒 に 海 外 で 戦 争 する 国 づくりへとつながっている 9

11 1 戦 闘 機 生 産 の 再 開 戦 後 における 戦 闘 機 の 生 産 再 開 は 三 菱 重 工 の 社 史 (1964~1989 年 )によると 戦 後 禁 止 さ れていた 航 空 機 の 生 産 が 解 除 されたのが 1952 年 その 翌 年 には 米 軍 機 の 修 理 作 業 を 開 始 し 1955 年 からは F-86F F-104J などアメリカで 開 発 された 戦 闘 機 を 防 衛 庁 航 空 自 衛 隊 向 けにラ イセンス 生 産 をしている 戦 闘 機 生 産 再 開 の 意 義 を 社 史 は 次 のように 述 べている 航 空 機 生 産 の 再 開 後 当 社 はジェッ ト 戦 闘 機 の 国 内 のリーダーシップをとるとともに 戦 闘 機 は 当 社 航 空 機 事 業 の 中 核 をなしてい る その 後 三 菱 重 工 を 主 契 約 者 として 日 本 独 自 の 戦 闘 機 の 開 発 が 開 始 され T-2 超 音 速 高 等 練 習 機 F-1 支 援 戦 闘 機 ( 注 )を 開 発 して 航 空 自 衛 隊 に 納 入 している これについて 社 史 は これ らの 自 主 開 発 により 当 社 は 航 空 機 開 発 能 力 の 基 盤 を 築 くことができた と 述 べている 戦 闘 機 のライセンス 生 産 に 続 く 自 主 開 発 は 三 菱 重 工 にとって 大 きな 意 義 があったようである その 後 の 技 術 開 発 や 川 崎 重 工 を 主 契 約 者 とする T-4 中 等 練 習 機 の 開 発 などがあって 次 期 支 援 戦 闘 機 ( 注 )FS-Xを 自 主 開 発 する 計 画 へとつながっていった しかし アメリカから 日 本 製 戦 闘 機 の 開 発 を 阻 止 する 圧 力 がかかり 最 終 的 には 1987 年 にアメリカ 製 の 既 存 機 F-16 を 改 造 開 発 することが 決 定 された この 間 の 事 情 を 社 史 は 次 のように 述 べている わが 国 としては 官 民 挙 げて 国 内 開 発 を 望 む 声 が 大 勢 を 占 めていたが 機 種 選 定 当 時 日 米 関 係 は 貿 易 摩 擦 やコ コム 事 件 などで 極 めて 厳 しい 状 態 にあり アメリカから 日 本 製 戦 闘 機 の 開 発 阻 止 とアメリカ 製 戦 闘 機 の 採 用 を 求 めて 強 い 圧 力 がかかっていた その 後 紆 余 曲 折 を 経 て アメリカ 製 既 存 機 F-16 を 改 造 開 発 することになった ( 注 ) 支 援 戦 闘 機 とは: 戦 闘 機 の 攻 撃 性 から 国 民 の 目 をそらせて 地 上 部 隊 や 艦 隊 を 空 から 支 援 すると いう 面 を 強 調 した 用 語 敵 を 攻 撃 する 武 器 ではなく 味 方 を 支 援 する 武 器 だ ということにしたかったと 推 測 される 憲 法 第 9 条 や 国 内 世 論 が 背 景 にあったからで あろう なお 現 在 この 用 語 は 使 われていない 1

12 2 三 菱 重 工 が 生 産 している 戦 闘 機 三 菱 重 工 のホームページの 製 品 情 報 には F-2 戦 闘 機 F-4EJ 戦 闘 機 F-15J 戦 闘 機 の 3つが 写 真 入 りで 掲 載 されている これらはすべて 防 衛 省 に 納 入 されている F-2 戦 闘 機 前 述 の アメリカ 製 既 存 機 F-16を 改 造 開 発 してできた 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 が 保 有 している 支 援 戦 闘 機 (F-1)が 減 勢 することに 対 処 するため 米 国 の 戦 闘 機 F-16 を 我 が 国 の 運 用 構 想 地 理 的 特 性 等 に 適 合 するよう 日 米 の 優 れた 技 術 を 結 集 し 日 米 共 同 で 開 発 したものです ( 三 菱 重 工 のホームページより) 三 菱 重 工 のニュースリリースは 2000 年 9 月 の 量 産 初 号 機 以 来 累 計 94 機 ( 試 作 機 含 め 98 機 )を 2011 年 9 月 に 完 納 したことを 報 じている(ニュースリリース 2011 年 9 月 27 日 より) F-4EJ 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 の F-86F 戦 闘 機 退 役 に 伴 い, 領 空 防 衛 補 完 のための 後 継 主 力 戦 闘 機 として 選 定 され, 米 国 ボーイング 社 ( 旧 マクドネル ダグラス 社 )とのライセンス 契 約 に 基 づき 国 産 化 された F-4EJ の 能 力 向 上 のため,アビオニクス( 注 )のアップデイトを 中 心 に 改 修 を 施 した 機 体 です ( 三 菱 重 工 のホームページより) ( 注 )アビオニクス(Avionics)とは: 航 空 機 に 搭 載 され 飛 行 のために 使 用 される 電 子 機 器 航 空 電 子 工 学 F-15J 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 の F-104J 戦 闘 機 退 役 に 伴 い, 領 空 防 衛 補 完 のための 後 継 主 力 戦 闘 機 として 選 定 され, 超 音 速, 単 座, 全 天 候 性 の 優 れた 制 空 戦 闘 機 で, 米 空 軍 用 に 開 発 された F-15C イーグルにレ ーダ 警 戒 装 置 等 の 日 本 向 けの 特 別 仕 様 を 施 した 機 体 です 米 国 ボーイング 社 ( 旧 マクドネル ダ グラス 社 )とライセンス 契 約 を 締 結 し 国 産 化 しました ( 三 菱 重 工 のホームページより) これらの 戦 闘 機 の 製 造 は すべて 三 菱 重 工 が 主 契 約 者 となっているが 製 造 に 関 わっている 国 内 企 業 は 多 数 にのぼる F-15J 戦 闘 機 の 場 合 製 造 に 関 わった 国 内 企 業 がウィキペディアに 出 ているが 主 な 企 業 を 抜 粋 すると 次 のとおりである 2

13 F-15J 戦 闘 機 の 製 造 に 関 わった 国 内 の 主 な 企 業 三 菱 重 工 業 主 契 約 者 前 中 部 胴 体 機 体 最 終 組 立 て 川 崎 重 工 業 主 翼 後 胴 尾 翼 IHI F100ターボファンエンジン 三 菱 電 機 AN/APG-63 火 器 管 制 レーダー ほか このほか 11 社 が 掲 載 されている (ウィキペディアより) これら 戦 闘 機 の 単 価 に 関 するデータもウィキペディアに 出 ている 改 修 された 機 体 派 生 型 機 などあって 単 純 ではないが 10 億 円 を 下 るものはなく 100 億 円 を 超 えるものはある 価 格 に 関 して 一 つ 重 要 なことは ライセンス 生 産 は 完 成 機 の 輸 入 より 高 いと 言 われる 生 産 のための 設 備 費 用 やライセンス 料 などが 加 わるから 独 自 開 発 はさらに 高 い なお 実 際 にかかる 費 用 は 機 体 の 価 格 のほかに 搭 載 する 武 器 の 費 用 維 持 管 理 費 修 繕 費 燃 料 費 などが 加 わる 国 産 ステルス 実 証 機 ATD-X これは 現 在 生 産 している 戦 闘 機 ではない 三 菱 重 工 が 防 衛 省 から 受 注 した 研 究 試 作 工 事 で ある その 狙 いを 三 菱 重 工 は 次 のように 説 明 している 研 究 試 作 の 狙 い 先 進 技 術 実 証 機 の 研 究 試 作 は 次 世 代 戦 闘 機 に 関 する 周 辺 国 の 研 究 開 発 状 況 を 睨 んで 2009 年 度 に 開 始 されたプロジェクト ステルス 性 や 高 運 動 性 などの 先 進 技 術 を 実 際 に 飛 行 試 験 することで 近 い 将 来 わが 国 周 辺 に 配 備 される 可 能 性 があるステルス 戦 闘 機 に 対 抗 す るための 戦 闘 機 搭 載 用 先 進 技 術 の 実 証 研 究 と 防 空 システムの 構 築 に 活 用 するのが 狙 い 先 進 技 術 実 証 機 の 開 発 完 了 は 2016 年 度 の 計 画 (ニュースリリース 2012 年 3 月 28 日 より) これは 国 産 初 のステルス 戦 闘 機 の 開 発 であり 防 衛 省 は 性 能 やコストを 確 認 した 上 で 実 用 化 するかどうかを 2018 年 度 までに 最 終 判 断 する 方 針 と 報 じられている( 毎 日 新 聞 2014 年 08 月 12 日 ) 防 衛 省 が 2014 年 6 月 に 決 定 した 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 は 従 来 の 国 産 重 視 から 軍 事 用 航 空 機 などの 国 際 共 同 開 発 推 進 へと 方 向 転 換 をはかっているが ステルス 戦 闘 機 開 発 による 技 術 レベルの 向 上 は 国 際 共 同 開 発 の 主 導 権 を 握 るという 狙 いもあるのだろう 3

14 F-35 これも 現 在 生 産 している 戦 闘 機 ではない F35 はアメリカのロッキード マーティン 社 を 中 心 に 国 際 的 な 開 発 製 造 体 制 で 進 められている 日 本 では 政 府 のプロジェクトによって 製 造 が 進 められようとしているが 三 菱 重 工 については 製 造 設 備 の 負 担 をめぐって 防 衛 省 と 話 がつい ていない これについては 武 器 輸 出 の 問 題 として 17 武 器 輸 出 原 則 解 禁 の 衝 撃 で 取 り 上 げた 繰 り 返 しになるがここで 再 確 認 しておきたい F35は2011 年 に 民 主 党 野 田 内 閣 が 次 期 主 力 戦 闘 機 に 選 定 し 42 機 の 導 入 を 決 定 2013 年 には 安 倍 内 閣 が F35 の 部 品 生 産 に 日 本 の 企 業 が 参 画 することを 決 定 日 本 で 作 られた 部 品 を 使 った F35 の 機 体 が 今 後 各 国 へ 売 られる 可 能 性 があるが 安 倍 内 閣 は 武 器 輸 出 三 原 則 の 例 外 とした なお 販 売 先 として 予 定 されている 国 にはイスラエルもある 政 府 の 計 画 では 三 菱 重 工 業 が 主 要 部 位 の 胴 体 IHI がエンジンの 部 品 三 菱 電 機 が 電 子 機 器 の 製 造 輸 出 に 参 画 することになっている すでに 防 衛 省 は 自 衛 隊 機 の 製 造 につ いて 2013 年 度 に IHI 三 菱 電 機 の2 社 と 契 約 しかし 三 菱 重 工 業 については 設 備 投 資 の 負 担 をめぐって 防 衛 省 との 交 渉 が 折 り 合 っていない 17 武 器 輸 出 原 則 解 禁 の 衝 撃 P.11 その 後 F-35 に 関 して 三 菱 重 工 からは 何 も 発 表 されていないが 報 道 によれば 米 国 防 総 省 は 最 新 鋭 ステルス 戦 闘 機 F35 のアジア 太 平 洋 地 域 の 整 備 拠 点 に 日 本 とオーストラリアを 選 定 したと 発 表 し 防 衛 省 は 国 内 の 整 備 拠 点 として 機 体 は 三 菱 重 工 業 の 小 牧 南 工 場 ( 愛 知 県 豊 山 町 ) エンジンはIHIの 瑞 穂 工 場 ( 東 京 都 瑞 穂 町 )で 請 け 負 うと 発 表 現 時 点 で 整 備 が 確 定 し ているのは 航 空 自 衛 隊 が 導 入 を 決 めた 42 機 だが 在 日 米 軍 や 韓 国 が 導 入 するF35 についても 対 象 にする 方 向 で 米 側 と 調 整 する( 日 経 2014 年 12 月 18 日 ) 4

15 3 三 菱 重 工 における 戦 闘 機 生 産 の 事 業 戦 略 三 菱 重 工 の 2012 事 業 計 画 には 防 衛 宇 宙 のページに 陸 海 空 の 防 衛 事 業 と 宇 宙 事 業 を 統 合 として 早 期 警 戒 衛 星 を 使 う 統 合 防 衛 システムの 図 が 描 かれている 同 時 期 に 発 表 された 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 ) の 防 衛 に 関 する 事 業 戦 略 のページには 戦 略 の 一 つに 戦 闘 機 生 産 技 術 基 盤 維 持 強 化 があり その 具 体 策 とし て 次 の 3 点 が 記 載 されている 戦 闘 機 生 産 技 術 基 盤 維 持 強 化 (ⅰ) プラットフォーム 製 造 から 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータへ 転 換 (ⅱ) F-35A 生 産 のライセンス 契 約 の 実 現 (ⅲ) 先 進 技 術 実 証 機 プロジェクト 等 による 先 端 技 術 獲 得 による 将 来 戦 闘 機 国 産 化 の 実 現 ( 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 )より) (ⅰ) プラットフォーム 製 造 から 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータへ 転 換 ウェポンとは 武 器 兵 器 のこと 戦 闘 機 に 搭 載 する 武 器 兵 器 で 主 なものは 敵 戦 闘 機 を 撃 ち 落 とすための 空 対 空 ミサイル ミサイルを 誘 導 する 火 器 管 制 装 置 敵 機 を 速 く 発 見 するため のレーダー 警 戒 装 置 味 方 との 連 携 敵 電 波 のかく 乱 のための 電 子 通 信 装 置 などがある これらのウェポン( 武 器 兵 器 )を 載 せるプラットフォーム( 台 )が 戦 闘 機 ということにな る したがって 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータ とは 戦 闘 機 を 単 体 として 開 発 製 造 するだけでなく 各 社 が 開 発 製 造 する 武 器 兵 器 を 戦 闘 機 に 装 備 し 電 子 技 術 情 報 技 術 を 使 って 統 合 することであり その 頂 点 に 三 菱 重 工 が 立 つことを 意 味 している 戦 闘 機 ウェポン システム の 上 位 には 前 述 の 早 期 警 戒 衛 星 を 使 う 統 合 防 衛 システム があって それがまとめ 上 げるという 関 係 になる その 頂 点 に 三 菱 重 工 が 立 つことが 戦 略 とし て 描 かれている さらにまた その 上 位 には 11 三 菱 重 工 と 武 器 輸 出 で 見 た 米 軍 の システ ム オブ システムズ があり これが 世 界 的 規 模 で 全 体 を 統 合 するということが 考 えられる (ⅱ) F-35A 生 産 のライセンス 契 約 の 実 現 これについては 前 章 で 見 たとおりで まだ 実 現 していない 民 間 企 業 としては 採 算 が 取 れ ない 事 業 は 採 算 が 取 れるよう 設 備 投 資 の 国 側 負 担 を 増 やすよう 防 衛 省 にはたらきかけ それが 実 現 するまで 待 つという 戦 略 ではないだろうか (ⅲ) 先 進 技 術 実 証 機 プロジェクト 等 による 先 端 技 術 獲 得 による 将 来 戦 闘 機 国 産 化 の 実 現 これについても 前 章 で 見 たとおりでるが ステルス 戦 闘 機 の 国 際 共 同 開 発 の 主 導 権 を 握 るこ 5

16 とを 狙 っていることが 考 えられる なお 今 年 になって 発 表 された 2015 事 業 計 画 や 防 衛 宇 宙 ドメイン 説 明 会 の 資 料 に は 戦 闘 機 に 関 して 特 段 の 記 述 はない 基 本 的 には 従 来 路 線 を 継 続 して 2017 年 度 目 標 で ある 防 衛 宇 宙 ドメインの 飛 躍 的 な 事 業 規 模 拡 大 に 向 けた 準 備 の 完 遂 を 目 指 すと 考 えられ る 防 衛 省 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 との 関 係 防 衛 省 が 平 成 26 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 ( 防 衛 大 綱 )にもとづいて 作 成 し 2014 年 6 月 に 発 表 した 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 の 航 空 機 に 関 する 今 後 の 方 向 性 には 次 の ようなことが 書 かれている 航 空 優 勢 の 獲 得 維 持 の 観 点 から 防 空 能 力 の 総 合 的 な 向 上 を 図 り F-35A の 整 備 等 を 推 進 する 将 来 戦 闘 機 については 国 際 共 同 開 発 の 可 能 性 も 含 め 国 内 において 戦 闘 機 関 連 技 術 の 蓄 積 高 度 化 を 図 るため 実 証 研 究 を 含 む 戦 略 的 な 検 討 を 推 進 する ( 注 ) 航 空 優 勢 とは: 味 方 航 空 機 の 安 全 を 確 保 し 敵 の 航 空 機 の 活 動 を 大 きく 制 限 で きている 状 態 かつては 制 空 権 と 言 われたこともある 同 じく 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 の 通 信 電 子 指 揮 統 制 システムに 関 する 今 後 の 方 向 性 には 次 のようなことが 書 かれている 今 後 の 指 揮 統 制 システムにおいては 統 合 運 用 を 円 滑 に 行 うためのシステムの 統 合 化 指 揮 官 の 意 思 決 定 を 支 援 する 機 能 の 強 化 などネットワーク データ 中 心 の 戦 いに 対 応 し たシステムが 必 要 となる 戦 闘 機 の 生 産 は 政 府 の 政 策 に 左 右 されるために 企 業 の 事 業 戦 略 としては 選 択 の 幅 が 制 限 さ れる もっとも 三 菱 重 工 側 から 防 衛 省 の 政 策 に 影 響 を 及 ぼすことも 当 然 あり 得 る 防 衛 省 の 政 策 と 三 菱 重 工 の 事 業 計 画 は ピッタリではないにしても 基 本 的 には 一 致 している 時 期 的 には 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 ) から 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 ま で 2 年 の 間 があり その 間 に 安 倍 政 権 による 新 しい 防 衛 大 綱 や 武 器 輸 出 の 解 禁 があった 三 菱 重 工 の 2015 事 業 計 画 にはそれらが 反 映 されている それは 海 外 で 戦 争 する 国 づくりを 兵 器 生 産 の 面 から 支 えることにもなる 6

17 4 自 衛 隊 の 軍 用 機 の 生 産 と 輸 入 軍 用 機 ( 軍 事 用 航 空 機 )には 戦 闘 機 のほかに 哨 戒 機 早 期 警 戒 機 救 難 機 輸 送 機 などが ある 現 代 の 戦 争 においては 航 空 優 勢 が 重 視 され そのために 戦 闘 機 の 役 割 は 大 きい 味 方 の 戦 闘 機 によって 敵 の 戦 闘 機 を 駆 逐 し 敵 の 飛 行 場 を 破 壊 すれば 航 空 優 勢 を 獲 得 できる 敵 の 戦 闘 機 が 攻 めてきたときには 味 方 の 戦 闘 機 や 対 空 ミサイルが 防 御 にあたる 攻 撃 防 御 兵 站 ( 日 本 政 府 がいう 後 方 支 援 )が 一 体 となって 戦 争 は 展 開 される ( 注 ) 哨 戒 機 とは: 哨 戒 とは 敵 の 襲 撃 に 備 え 見 張 りをして 警 戒 すること( 広 辞 苑 ) したがって 哨 戒 機 とは 敵 の 動 きを 探 る 軍 用 機 のことであるが 現 在 では 通 常 潜 航 中 の 潜 水 艦 を 発 見 攻 撃 する 対 潜 哨 戒 機 を 指 す ( 注 ) 早 期 警 戒 機 とは: 機 体 に 全 方 向 を 監 視 できるレーダーを 装 備 し 空 中 から 管 制 等 を 行 う 航 空 機 ( 軍 用 機 )の こと(ウィキペディアより) 管 制 能 力 の 高 いものは 早 期 警 戒 管 制 機 と 呼 ばれる ( 注 ) 救 難 機 とは: 遭 難 者 の 捜 索 救 出 をするための 航 空 機 ヘリコプター 飛 行 艇 固 定 翼 機 がある こ の 内 ヘリコプターや 飛 行 艇 は 接 地 着 水 して 遭 難 者 を 直 接 救 出 する 固 定 翼 機 は 捜 索 や 救 難 指 揮 に 使 用 する ( 注 ) 兵 站 とは: 戦 争 において 作 戦 を 行 う 部 隊 の 移 動 と 支 援 を 計 画 実 施 する 活 動 物 資 の 補 給 や 整 備 兵 員 の 展 開 や 衛 生 施 設 の 構 築 や 維 持 などが 含 まれる(ウィキペディアより) ここで 国 内 で 生 産 され 配 備 されているその 他 の 軍 用 機 にどのようなものがあるか 概 観 して おきたい 国 内 の 軍 用 機 メーカー 国 内 の 軍 用 機 メーカーとしては 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 富 士 重 工 業 ( 株 ) 新 明 和 工 業 ( 株 ) 川 崎 重 工 業 株 式 会 社 ( 株 )IHIがある それぞれのホームページから どのような 軍 用 機 を 作 っているかを 見 ると おおよそ 次 のとおりである 7

18 国 内 の 軍 用 機 メーカー 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 機 のメーカーとしてダントツ 哨 戒 ヘリコプター 救 難 ヘリコプタ ー 航 空 用 エンジンなども 製 造 している 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 中 等 練 習 機 固 定 翼 哨 戒 機 輸 送 機 などを 製 造 100% 出 資 子 会 社 に 日 本 飛 行 機 ( 株 )がある 富 士 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 ヘリコプター 初 等 練 習 機 などを 製 造 防 衛 省 向 けに 無 人 偵 察 機 シ ステムの 開 発 もおこなっている ( 株 )IHI 航 空 用 エンジンを 製 造 防 衛 省 の 軍 用 機 調 達 国 内 で 製 造 された 軍 用 機 はすべて 防 衛 省 に 納 入 されている 防 衛 省 がインターネットに 公 開 している 武 器 の 調 達 に 関 する 資 料 の 中 から 軍 用 機 に 関 するデータを 拾 い 出 してみる 中 央 調 達 実 施 概 況 には 契 約 相 手 方 ( 受 注 企 業 )も 記 載 されているが 今 のところ 2013 年 度 ( 平 成 25 年 度 ) 分 までしか 公 表 されていない < 要 求 機 関 > < 品 目 > < 数 量 > < 金 額 > < 契 約 相 手 方 > 陸 幕 輸 送 ヘリコプター(CH-47JA) 2 機 94 億 円 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 多 用 途 ヘリコプター(UH-60JA) 2 機 51 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 ヘリコプター(AH-64D) 1 機 32 億 円 富 士 重 工 業 ( 株 ) 海 幕 固 定 翼 哨 戒 機 (P-1) 2 機 295 億 円 川 崎 重 工 業 ( 株 ) (エンジン) ( 株 )IHI 救 難 飛 行 艇 (US-2) 1 機 92 億 円 新 明 和 工 業 ( 株 ) (エンジン) 新 東 亜 交 易 ( 株 ) 空 幕 戦 闘 機 (F-35A) 1 式 355 億 円 米 空 軍 省 F-35A の 米 国 企 業 による 製 造 へ 1 式 639 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) の 下 請 生 産 業 務 委 託 F135-PW-100 エンジンの 米 国 1 式 182 億 円 ( 株 )IHI 企 業 による 製 造 への 下 請 生 産 業 務 委 託 F-2B 損 傷 航 空 機 の 修 復 7 機 381 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 防 衛 省 平 成 25 年 度 中 央 調 達 実 施 概 況 より 8

19 アメリカからの 輸 入 防 衛 省 の 平 成 27 年 度 概 算 要 求 の 概 要 を 見 ると アメリカから 高 額 で 高 性 能 な 武 器 の 輸 入 が 顕 著 に 増 加 している ティルト ローター 機 : 島 嶼 部 に 対 する 攻 撃 への 対 応 の 中 で 輸 送 ヘリコプター(CH-47JA)の 輸 送 能 力 を 巡 航 速 度 や 航 続 距 離 等 の 観 点 から 補 完 強 化 するティ ルト ローター 機 を 整 備 し 水 陸 両 用 作 戦 における 部 隊 の 展 開 能 力 を 強 化 としている ティルト ローター 機 といえばオスプレイしか 考 えられないが なぜか 機 種 選 定 中 としてい る 戦 闘 機 (F-35A): 6 機 で 959 億 円 ただし 国 内 企 業 参 画 の 範 囲 を 拡 大 することに 伴 う 初 度 費 として 別 途 180 億 円 を 計 上 その 他 関 連 経 費 ( 教 育 用 器 材 等 )として 別 途 176 億 円 を 計 上 27 年 度 で 合 計 1315 億 円 となる 26 年 度 も 4 基 購 入 している 新 早 期 警 戒 ( 管 制 ) 機 : 新 早 期 警 戒 ( 管 制 ) 機 が 機 種 選 定 中 と 記 載 されている 南 西 地 域 をはじめとする 周 辺 空 域 の 警 戒 監 視 能 力 の 強 化 のため 新 たな 早 期 警 戒 管 制 機 又 は 早 期 警 戒 機 を 取 得 機 種 選 定 中 としているが 防 衛 省 は 高 性 能 レーダーを 搭 載 したアメリカ 製 のE2Dを 初 めて 導 入 する 方 針 を 決 めたという 報 道 もある( 日 テレ NEWS 年 11 月 20 日 ) 滞 空 型 無 人 機 : 広 域 における 常 続 監 視 能 力 の 強 化 のため 滞 空 型 無 人 機 を 取 得 機 種 選 定 中 としているが 米 国 政 府 提 案 のグローバルホークに 決 定 したと 発 表 ( 防 衛 省 平 成 26 年 11 月 21 日 ) このように 安 倍 政 権 はアメリカから 高 額 で 高 性 能 な 武 器 を 多 数 購 入 しようとしている そ の 目 的 を 周 辺 海 空 域 における 安 全 確 保 島 嶼 部 に 対 する 攻 撃 への 対 応 とし 中 国 の 動 き に 軍 事 力 強 化 で 対 抗 しようとしている そのこと 自 体 に 問 題 があるが それだけにとどまるわ けではないであろう このような 高 性 能 な 武 器 をアメリカから 導 入 することは アメリカと 一 緒 に 海 外 で 戦 争 する 国 づくりへとつながっている 9

20 1 戦 闘 機 生 産 の 再 開 戦 後 における 戦 闘 機 の 生 産 再 開 は 三 菱 重 工 の 社 史 (1964~1989 年 )によると 戦 後 禁 止 さ れていた 航 空 機 の 生 産 が 解 除 されたのが 1952 年 その 翌 年 には 米 軍 機 の 修 理 作 業 を 開 始 し 1955 年 からは F-86F F-104J などアメリカで 開 発 された 戦 闘 機 を 防 衛 庁 航 空 自 衛 隊 向 けにラ イセンス 生 産 をしている 戦 闘 機 生 産 再 開 の 意 義 を 社 史 は 次 のように 述 べている 航 空 機 生 産 の 再 開 後 当 社 はジェッ ト 戦 闘 機 の 国 内 のリーダーシップをとるとともに 戦 闘 機 は 当 社 航 空 機 事 業 の 中 核 をなしてい る その 後 三 菱 重 工 を 主 契 約 者 として 日 本 独 自 の 戦 闘 機 の 開 発 が 開 始 され T-2 超 音 速 高 等 練 習 機 F-1 支 援 戦 闘 機 ( 注 )を 開 発 して 航 空 自 衛 隊 に 納 入 している これについて 社 史 は これ らの 自 主 開 発 により 当 社 は 航 空 機 開 発 能 力 の 基 盤 を 築 くことができた と 述 べている 戦 闘 機 のライセンス 生 産 に 続 く 自 主 開 発 は 三 菱 重 工 にとって 大 きな 意 義 があったようである その 後 の 技 術 開 発 や 川 崎 重 工 を 主 契 約 者 とする T-4 中 等 練 習 機 の 開 発 などがあって 次 期 支 援 戦 闘 機 ( 注 )FS-Xを 自 主 開 発 する 計 画 へとつながっていった しかし アメリカから 日 本 製 戦 闘 機 の 開 発 を 阻 止 する 圧 力 がかかり 最 終 的 には 1987 年 にアメリカ 製 の 既 存 機 F-16 を 改 造 開 発 することが 決 定 された この 間 の 事 情 を 社 史 は 次 のように 述 べている わが 国 としては 官 民 挙 げて 国 内 開 発 を 望 む 声 が 大 勢 を 占 めていたが 機 種 選 定 当 時 日 米 関 係 は 貿 易 摩 擦 やコ コム 事 件 などで 極 めて 厳 しい 状 態 にあり アメリカから 日 本 製 戦 闘 機 の 開 発 阻 止 とアメリカ 製 戦 闘 機 の 採 用 を 求 めて 強 い 圧 力 がかかっていた その 後 紆 余 曲 折 を 経 て アメリカ 製 既 存 機 F-16 を 改 造 開 発 することになった ( 注 ) 支 援 戦 闘 機 とは: 戦 闘 機 の 攻 撃 性 から 国 民 の 目 をそらせて 地 上 部 隊 や 艦 隊 を 空 から 支 援 すると いう 面 を 強 調 した 用 語 敵 を 攻 撃 する 武 器 ではなく 味 方 を 支 援 する 武 器 だ ということにしたかったと 推 測 される 憲 法 第 9 条 や 国 内 世 論 が 背 景 にあったからで あろう なお 現 在 この 用 語 は 使 われていない 1

21 2 三 菱 重 工 が 生 産 している 戦 闘 機 三 菱 重 工 のホームページの 製 品 情 報 には F-2 戦 闘 機 F-4EJ 戦 闘 機 F-15J 戦 闘 機 の 3つが 写 真 入 りで 掲 載 されている これらはすべて 防 衛 省 に 納 入 されている F-2 戦 闘 機 前 述 の アメリカ 製 既 存 機 F-16を 改 造 開 発 してできた 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 が 保 有 している 支 援 戦 闘 機 (F-1)が 減 勢 することに 対 処 するため 米 国 の 戦 闘 機 F-16 を 我 が 国 の 運 用 構 想 地 理 的 特 性 等 に 適 合 するよう 日 米 の 優 れた 技 術 を 結 集 し 日 米 共 同 で 開 発 したものです ( 三 菱 重 工 のホームページより) 三 菱 重 工 のニュースリリースは 2000 年 9 月 の 量 産 初 号 機 以 来 累 計 94 機 ( 試 作 機 含 め 98 機 )を 2011 年 9 月 に 完 納 したことを 報 じている(ニュースリリース 2011 年 9 月 27 日 より) F-4EJ 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 の F-86F 戦 闘 機 退 役 に 伴 い, 領 空 防 衛 補 完 のための 後 継 主 力 戦 闘 機 として 選 定 され, 米 国 ボーイング 社 ( 旧 マクドネル ダグラス 社 )とのライセンス 契 約 に 基 づき 国 産 化 された F-4EJ の 能 力 向 上 のため,アビオニクス( 注 )のアップデイトを 中 心 に 改 修 を 施 した 機 体 です ( 三 菱 重 工 のホームページより) ( 注 )アビオニクス(Avionics)とは: 航 空 機 に 搭 載 され 飛 行 のために 使 用 される 電 子 機 器 航 空 電 子 工 学 F-15J 戦 闘 機 航 空 自 衛 隊 の F-104J 戦 闘 機 退 役 に 伴 い, 領 空 防 衛 補 完 のための 後 継 主 力 戦 闘 機 として 選 定 され, 超 音 速, 単 座, 全 天 候 性 の 優 れた 制 空 戦 闘 機 で, 米 空 軍 用 に 開 発 された F-15C イーグルにレ ーダ 警 戒 装 置 等 の 日 本 向 けの 特 別 仕 様 を 施 した 機 体 です 米 国 ボーイング 社 ( 旧 マクドネル ダ グラス 社 )とライセンス 契 約 を 締 結 し 国 産 化 しました ( 三 菱 重 工 のホームページより) これらの 戦 闘 機 の 製 造 は すべて 三 菱 重 工 が 主 契 約 者 となっているが 製 造 に 関 わっている 国 内 企 業 は 多 数 にのぼる F-15J 戦 闘 機 の 場 合 製 造 に 関 わった 国 内 企 業 がウィキペディアに 出 ているが 主 な 企 業 を 抜 粋 すると 次 のとおりである 2

22 F-15J 戦 闘 機 の 製 造 に 関 わった 国 内 の 主 な 企 業 三 菱 重 工 業 主 契 約 者 前 中 部 胴 体 機 体 最 終 組 立 て 川 崎 重 工 業 主 翼 後 胴 尾 翼 IHI F100ターボファンエンジン 三 菱 電 機 AN/APG-63 火 器 管 制 レーダー ほか このほか 11 社 が 掲 載 されている (ウィキペディアより) これら 戦 闘 機 の 単 価 に 関 するデータもウィキペディアに 出 ている 改 修 された 機 体 派 生 型 機 などあって 単 純 ではないが 10 億 円 を 下 るものはなく 100 億 円 を 超 えるものはある 価 格 に 関 して 一 つ 重 要 なことは ライセンス 生 産 は 完 成 機 の 輸 入 より 高 いと 言 われる 生 産 のための 設 備 費 用 やライセンス 料 などが 加 わるから 独 自 開 発 はさらに 高 い なお 実 際 にかかる 費 用 は 機 体 の 価 格 のほかに 搭 載 する 武 器 の 費 用 維 持 管 理 費 修 繕 費 燃 料 費 などが 加 わる 国 産 ステルス 実 証 機 ATD-X これは 現 在 生 産 している 戦 闘 機 ではない 三 菱 重 工 が 防 衛 省 から 受 注 した 研 究 試 作 工 事 で ある その 狙 いを 三 菱 重 工 は 次 のように 説 明 している 研 究 試 作 の 狙 い 先 進 技 術 実 証 機 の 研 究 試 作 は 次 世 代 戦 闘 機 に 関 する 周 辺 国 の 研 究 開 発 状 況 を 睨 んで 2009 年 度 に 開 始 されたプロジェクト ステルス 性 や 高 運 動 性 などの 先 進 技 術 を 実 際 に 飛 行 試 験 することで 近 い 将 来 わが 国 周 辺 に 配 備 される 可 能 性 があるステルス 戦 闘 機 に 対 抗 す るための 戦 闘 機 搭 載 用 先 進 技 術 の 実 証 研 究 と 防 空 システムの 構 築 に 活 用 するのが 狙 い 先 進 技 術 実 証 機 の 開 発 完 了 は 2016 年 度 の 計 画 (ニュースリリース 2012 年 3 月 28 日 より) これは 国 産 初 のステルス 戦 闘 機 の 開 発 であり 防 衛 省 は 性 能 やコストを 確 認 した 上 で 実 用 化 するかどうかを 2018 年 度 までに 最 終 判 断 する 方 針 と 報 じられている( 毎 日 新 聞 2014 年 08 月 12 日 ) 防 衛 省 が 2014 年 6 月 に 決 定 した 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 は 従 来 の 国 産 重 視 から 軍 事 用 航 空 機 などの 国 際 共 同 開 発 推 進 へと 方 向 転 換 をはかっているが ステルス 戦 闘 機 開 発 による 技 術 レベルの 向 上 は 国 際 共 同 開 発 の 主 導 権 を 握 るという 狙 いもあるのだろう 3

23 F-35 これも 現 在 生 産 している 戦 闘 機 ではない F35 はアメリカのロッキード マーティン 社 を 中 心 に 国 際 的 な 開 発 製 造 体 制 で 進 められている 日 本 では 政 府 のプロジェクトによって 製 造 が 進 められようとしているが 三 菱 重 工 については 製 造 設 備 の 負 担 をめぐって 防 衛 省 と 話 がつい ていない これについては 武 器 輸 出 の 問 題 として 17 武 器 輸 出 原 則 解 禁 の 衝 撃 で 取 り 上 げた 繰 り 返 しになるがここで 再 確 認 しておきたい F35は2011 年 に 民 主 党 野 田 内 閣 が 次 期 主 力 戦 闘 機 に 選 定 し 42 機 の 導 入 を 決 定 2013 年 には 安 倍 内 閣 が F35 の 部 品 生 産 に 日 本 の 企 業 が 参 画 することを 決 定 日 本 で 作 られた 部 品 を 使 った F35 の 機 体 が 今 後 各 国 へ 売 られる 可 能 性 があるが 安 倍 内 閣 は 武 器 輸 出 三 原 則 の 例 外 とした なお 販 売 先 として 予 定 されている 国 にはイスラエルもある 政 府 の 計 画 では 三 菱 重 工 業 が 主 要 部 位 の 胴 体 IHI がエンジンの 部 品 三 菱 電 機 が 電 子 機 器 の 製 造 輸 出 に 参 画 することになっている すでに 防 衛 省 は 自 衛 隊 機 の 製 造 につ いて 2013 年 度 に IHI 三 菱 電 機 の2 社 と 契 約 しかし 三 菱 重 工 業 については 設 備 投 資 の 負 担 をめぐって 防 衛 省 との 交 渉 が 折 り 合 っていない 17 武 器 輸 出 原 則 解 禁 の 衝 撃 P.11 その 後 F-35 に 関 して 三 菱 重 工 からは 何 も 発 表 されていないが 報 道 によれば 米 国 防 総 省 は 最 新 鋭 ステルス 戦 闘 機 F35 のアジア 太 平 洋 地 域 の 整 備 拠 点 に 日 本 とオーストラリアを 選 定 したと 発 表 し 防 衛 省 は 国 内 の 整 備 拠 点 として 機 体 は 三 菱 重 工 業 の 小 牧 南 工 場 ( 愛 知 県 豊 山 町 ) エンジンはIHIの 瑞 穂 工 場 ( 東 京 都 瑞 穂 町 )で 請 け 負 うと 発 表 現 時 点 で 整 備 が 確 定 し ているのは 航 空 自 衛 隊 が 導 入 を 決 めた 42 機 だが 在 日 米 軍 や 韓 国 が 導 入 するF35 についても 対 象 にする 方 向 で 米 側 と 調 整 する( 日 経 2014 年 12 月 18 日 ) 4

24 3 三 菱 重 工 における 戦 闘 機 生 産 の 事 業 戦 略 三 菱 重 工 の 2012 事 業 計 画 には 防 衛 宇 宙 のページに 陸 海 空 の 防 衛 事 業 と 宇 宙 事 業 を 統 合 として 早 期 警 戒 衛 星 を 使 う 統 合 防 衛 システムの 図 が 描 かれている 同 時 期 に 発 表 された 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 ) の 防 衛 に 関 する 事 業 戦 略 のページには 戦 略 の 一 つに 戦 闘 機 生 産 技 術 基 盤 維 持 強 化 があり その 具 体 策 とし て 次 の 3 点 が 記 載 されている 戦 闘 機 生 産 技 術 基 盤 維 持 強 化 (ⅰ) プラットフォーム 製 造 から 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータへ 転 換 (ⅱ) F-35A 生 産 のライセンス 契 約 の 実 現 (ⅲ) 先 進 技 術 実 証 機 プロジェクト 等 による 先 端 技 術 獲 得 による 将 来 戦 闘 機 国 産 化 の 実 現 ( 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 )より) (ⅰ) プラットフォーム 製 造 から 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータへ 転 換 ウェポンとは 武 器 兵 器 のこと 戦 闘 機 に 搭 載 する 武 器 兵 器 で 主 なものは 敵 戦 闘 機 を 撃 ち 落 とすための 空 対 空 ミサイル ミサイルを 誘 導 する 火 器 管 制 装 置 敵 機 を 速 く 発 見 するため のレーダー 警 戒 装 置 味 方 との 連 携 敵 電 波 のかく 乱 のための 電 子 通 信 装 置 などがある これらのウェポン( 武 器 兵 器 )を 載 せるプラットフォーム( 台 )が 戦 闘 機 ということにな る したがって 戦 闘 機 ウェポン システム インテグレータ とは 戦 闘 機 を 単 体 として 開 発 製 造 するだけでなく 各 社 が 開 発 製 造 する 武 器 兵 器 を 戦 闘 機 に 装 備 し 電 子 技 術 情 報 技 術 を 使 って 統 合 することであり その 頂 点 に 三 菱 重 工 が 立 つことを 意 味 している 戦 闘 機 ウェポン システム の 上 位 には 前 述 の 早 期 警 戒 衛 星 を 使 う 統 合 防 衛 システム があって それがまとめ 上 げるという 関 係 になる その 頂 点 に 三 菱 重 工 が 立 つことが 戦 略 とし て 描 かれている さらにまた その 上 位 には 11 三 菱 重 工 と 武 器 輸 出 で 見 た 米 軍 の システ ム オブ システムズ があり これが 世 界 的 規 模 で 全 体 を 統 合 するということが 考 えられる (ⅱ) F-35A 生 産 のライセンス 契 約 の 実 現 これについては 前 章 で 見 たとおりで まだ 実 現 していない 民 間 企 業 としては 採 算 が 取 れ ない 事 業 は 採 算 が 取 れるよう 設 備 投 資 の 国 側 負 担 を 増 やすよう 防 衛 省 にはたらきかけ それが 実 現 するまで 待 つという 戦 略 ではないだろうか (ⅲ) 先 進 技 術 実 証 機 プロジェクト 等 による 先 端 技 術 獲 得 による 将 来 戦 闘 機 国 産 化 の 実 現 これについても 前 章 で 見 たとおりでるが ステルス 戦 闘 機 の 国 際 共 同 開 発 の 主 導 権 を 握 るこ 5

25 とを 狙 っていることが 考 えられる なお 今 年 になって 発 表 された 2015 事 業 計 画 や 防 衛 宇 宙 ドメイン 説 明 会 の 資 料 に は 戦 闘 機 に 関 して 特 段 の 記 述 はない 基 本 的 には 従 来 路 線 を 継 続 して 2017 年 度 目 標 で ある 防 衛 宇 宙 ドメインの 飛 躍 的 な 事 業 規 模 拡 大 に 向 けた 準 備 の 完 遂 を 目 指 すと 考 えられ る 防 衛 省 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 との 関 係 防 衛 省 が 平 成 26 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 ( 防 衛 大 綱 )にもとづいて 作 成 し 2014 年 6 月 に 発 表 した 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 の 航 空 機 に 関 する 今 後 の 方 向 性 には 次 の ようなことが 書 かれている 航 空 優 勢 の 獲 得 維 持 の 観 点 から 防 空 能 力 の 総 合 的 な 向 上 を 図 り F-35A の 整 備 等 を 推 進 する 将 来 戦 闘 機 については 国 際 共 同 開 発 の 可 能 性 も 含 め 国 内 において 戦 闘 機 関 連 技 術 の 蓄 積 高 度 化 を 図 るため 実 証 研 究 を 含 む 戦 略 的 な 検 討 を 推 進 する ( 注 ) 航 空 優 勢 とは: 味 方 航 空 機 の 安 全 を 確 保 し 敵 の 航 空 機 の 活 動 を 大 きく 制 限 で きている 状 態 かつては 制 空 権 と 言 われたこともある 同 じく 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 の 通 信 電 子 指 揮 統 制 システムに 関 する 今 後 の 方 向 性 には 次 のようなことが 書 かれている 今 後 の 指 揮 統 制 システムにおいては 統 合 運 用 を 円 滑 に 行 うためのシステムの 統 合 化 指 揮 官 の 意 思 決 定 を 支 援 する 機 能 の 強 化 などネットワーク データ 中 心 の 戦 いに 対 応 し たシステムが 必 要 となる 戦 闘 機 の 生 産 は 政 府 の 政 策 に 左 右 されるために 企 業 の 事 業 戦 略 としては 選 択 の 幅 が 制 限 さ れる もっとも 三 菱 重 工 側 から 防 衛 省 の 政 策 に 影 響 を 及 ぼすことも 当 然 あり 得 る 防 衛 省 の 政 策 と 三 菱 重 工 の 事 業 計 画 は ピッタリではないにしても 基 本 的 には 一 致 している 時 期 的 には 航 空 機 事 業 本 部 の 事 業 計 画 (2012 年 6 月 ) から 防 衛 生 産 技 術 基 盤 戦 略 ま で 2 年 の 間 があり その 間 に 安 倍 政 権 による 新 しい 防 衛 大 綱 や 武 器 輸 出 の 解 禁 があった 三 菱 重 工 の 2015 事 業 計 画 にはそれらが 反 映 されている それは 海 外 で 戦 争 する 国 づくりを 兵 器 生 産 の 面 から 支 えることにもなる 6

26 4 自 衛 隊 の 軍 用 機 の 生 産 と 輸 入 軍 用 機 ( 軍 事 用 航 空 機 )には 戦 闘 機 のほかに 哨 戒 機 早 期 警 戒 機 救 難 機 輸 送 機 などが ある 現 代 の 戦 争 においては 航 空 優 勢 が 重 視 され そのために 戦 闘 機 の 役 割 は 大 きい 味 方 の 戦 闘 機 によって 敵 の 戦 闘 機 を 駆 逐 し 敵 の 飛 行 場 を 破 壊 すれば 航 空 優 勢 を 獲 得 できる 敵 の 戦 闘 機 が 攻 めてきたときには 味 方 の 戦 闘 機 や 対 空 ミサイルが 防 御 にあたる 攻 撃 防 御 兵 站 ( 日 本 政 府 がいう 後 方 支 援 )が 一 体 となって 戦 争 は 展 開 される ( 注 ) 哨 戒 機 とは: 哨 戒 とは 敵 の 襲 撃 に 備 え 見 張 りをして 警 戒 すること( 広 辞 苑 ) したがって 哨 戒 機 とは 敵 の 動 きを 探 る 軍 用 機 のことであるが 現 在 では 通 常 潜 航 中 の 潜 水 艦 を 発 見 攻 撃 する 対 潜 哨 戒 機 を 指 す ( 注 ) 早 期 警 戒 機 とは: 機 体 に 全 方 向 を 監 視 できるレーダーを 装 備 し 空 中 から 管 制 等 を 行 う 航 空 機 ( 軍 用 機 )の こと(ウィキペディアより) 管 制 能 力 の 高 いものは 早 期 警 戒 管 制 機 と 呼 ばれる ( 注 ) 救 難 機 とは: 遭 難 者 の 捜 索 救 出 をするための 航 空 機 ヘリコプター 飛 行 艇 固 定 翼 機 がある こ の 内 ヘリコプターや 飛 行 艇 は 接 地 着 水 して 遭 難 者 を 直 接 救 出 する 固 定 翼 機 は 捜 索 や 救 難 指 揮 に 使 用 する ( 注 ) 兵 站 とは: 戦 争 において 作 戦 を 行 う 部 隊 の 移 動 と 支 援 を 計 画 実 施 する 活 動 物 資 の 補 給 や 整 備 兵 員 の 展 開 や 衛 生 施 設 の 構 築 や 維 持 などが 含 まれる(ウィキペディアより) ここで 国 内 で 生 産 され 配 備 されているその 他 の 軍 用 機 にどのようなものがあるか 概 観 して おきたい 国 内 の 軍 用 機 メーカー 国 内 の 軍 用 機 メーカーとしては 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 富 士 重 工 業 ( 株 ) 新 明 和 工 業 ( 株 ) 川 崎 重 工 業 株 式 会 社 ( 株 )IHIがある それぞれのホームページから どのような 軍 用 機 を 作 っているかを 見 ると おおよそ 次 のとおりである 7

27 国 内 の 軍 用 機 メーカー 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 機 のメーカーとしてダントツ 哨 戒 ヘリコプター 救 難 ヘリコプタ ー 航 空 用 エンジンなども 製 造 している 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 中 等 練 習 機 固 定 翼 哨 戒 機 輸 送 機 などを 製 造 100% 出 資 子 会 社 に 日 本 飛 行 機 ( 株 )がある 富 士 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 ヘリコプター 初 等 練 習 機 などを 製 造 防 衛 省 向 けに 無 人 偵 察 機 シ ステムの 開 発 もおこなっている ( 株 )IHI 航 空 用 エンジンを 製 造 防 衛 省 の 軍 用 機 調 達 国 内 で 製 造 された 軍 用 機 はすべて 防 衛 省 に 納 入 されている 防 衛 省 がインターネットに 公 開 している 武 器 の 調 達 に 関 する 資 料 の 中 から 軍 用 機 に 関 するデータを 拾 い 出 してみる 中 央 調 達 実 施 概 況 には 契 約 相 手 方 ( 受 注 企 業 )も 記 載 されているが 今 のところ 2013 年 度 ( 平 成 25 年 度 ) 分 までしか 公 表 されていない < 要 求 機 関 > < 品 目 > < 数 量 > < 金 額 > < 契 約 相 手 方 > 陸 幕 輸 送 ヘリコプター(CH-47JA) 2 機 94 億 円 川 崎 重 工 業 ( 株 ) 多 用 途 ヘリコプター(UH-60JA) 2 機 51 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 戦 闘 ヘリコプター(AH-64D) 1 機 32 億 円 富 士 重 工 業 ( 株 ) 海 幕 固 定 翼 哨 戒 機 (P-1) 2 機 295 億 円 川 崎 重 工 業 ( 株 ) (エンジン) ( 株 )IHI 救 難 飛 行 艇 (US-2) 1 機 92 億 円 新 明 和 工 業 ( 株 ) (エンジン) 新 東 亜 交 易 ( 株 ) 空 幕 戦 闘 機 (F-35A) 1 式 355 億 円 米 空 軍 省 F-35A の 米 国 企 業 による 製 造 へ 1 式 639 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) の 下 請 生 産 業 務 委 託 F135-PW-100 エンジンの 米 国 1 式 182 億 円 ( 株 )IHI 企 業 による 製 造 への 下 請 生 産 業 務 委 託 F-2B 損 傷 航 空 機 の 修 復 7 機 381 億 円 三 菱 重 工 業 ( 株 ) 防 衛 省 平 成 25 年 度 中 央 調 達 実 施 概 況 より 8

28 アメリカからの 輸 入 防 衛 省 の 平 成 27 年 度 概 算 要 求 の 概 要 を 見 ると アメリカから 高 額 で 高 性 能 な 武 器 の 輸 入 が 顕 著 に 増 加 している ティルト ローター 機 : 島 嶼 部 に 対 する 攻 撃 への 対 応 の 中 で 輸 送 ヘリコプター(CH-47JA)の 輸 送 能 力 を 巡 航 速 度 や 航 続 距 離 等 の 観 点 から 補 完 強 化 するティ ルト ローター 機 を 整 備 し 水 陸 両 用 作 戦 における 部 隊 の 展 開 能 力 を 強 化 としている ティルト ローター 機 といえばオスプレイしか 考 えられないが なぜか 機 種 選 定 中 としてい る 戦 闘 機 (F-35A): 6 機 で 959 億 円 ただし 国 内 企 業 参 画 の 範 囲 を 拡 大 することに 伴 う 初 度 費 として 別 途 180 億 円 を 計 上 その 他 関 連 経 費 ( 教 育 用 器 材 等 )として 別 途 176 億 円 を 計 上 27 年 度 で 合 計 1315 億 円 となる 26 年 度 も 4 基 購 入 している 新 早 期 警 戒 ( 管 制 ) 機 : 新 早 期 警 戒 ( 管 制 ) 機 が 機 種 選 定 中 と 記 載 されている 南 西 地 域 をはじめとする 周 辺 空 域 の 警 戒 監 視 能 力 の 強 化 のため 新 たな 早 期 警 戒 管 制 機 又 は 早 期 警 戒 機 を 取 得 機 種 選 定 中 としているが 防 衛 省 は 高 性 能 レーダーを 搭 載 したアメリカ 製 のE2Dを 初 めて 導 入 する 方 針 を 決 めたという 報 道 もある( 日 テレ NEWS 年 11 月 20 日 ) 滞 空 型 無 人 機 : 広 域 における 常 続 監 視 能 力 の 強 化 のため 滞 空 型 無 人 機 を 取 得 機 種 選 定 中 としているが 米 国 政 府 提 案 のグローバルホークに 決 定 したと 発 表 ( 防 衛 省 平 成 26 年 11 月 21 日 ) このように 安 倍 政 権 はアメリカから 高 額 で 高 性 能 な 武 器 を 多 数 購 入 しようとしている そ の 目 的 を 周 辺 海 空 域 における 安 全 確 保 島 嶼 部 に 対 する 攻 撃 への 対 応 とし 中 国 の 動 き に 軍 事 力 強 化 で 対 抗 しようとしている そのこと 自 体 に 問 題 があるが それだけにとどまるわ けではないであろう このような 高 性 能 な 武 器 をアメリカから 導 入 することは アメリカと 一 緒 に 海 外 で 戦 争 する 国 づくりへとつながっている 9