日本経済見通し:何故、個人消費は低迷しているのか?

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1 日 本 経 済 予 測 Monthly 216 年 6 月 21 日 全 頁 日 本 経 済 見 通 し: 何 故 個 人 消 費 は 低 迷 して いるのか? 国 内 要 因 が 景 気 下 支 え 役 となるが 海 外 発 の 景 気 下 振 れリスクは 残 存 エコノミック インテリジェンス チーム 執 行 役 員 チーフエコノミスト 熊 谷 亮 丸 シニアエコノミスト 長 内 智 エコノミスト 岡 本 佳 佑 エコノミスト 小 林 俊 介 エコノミスト 久 後 翔 太 郎 永 井 寛 之 田 中 誠 人 [ 要 約 ] 海 外 発 の 景 気 下 振 れリスクは 残 存 :216 年 1-3 月 期 GDP 二 次 速 報 の 発 表 を 受 けて 経 済 見 通 しを 改 訂 した 改 訂 後 の 実 質 GDP 予 想 は 216 年 度 が 前 年 度 比 +.7%( 前 回 : 同 +.8%) 217 年 度 が 同 +.7%( 同 : 同.1%)である 足 下 で 日 本 経 済 は 踊 り 場 局 面 が 継 続 しているものの 先 行 きに 関 しては 1 実 質 賃 金 の 増 加 2 原 油 安 と 交 易 条 件 の 改 善 3 補 正 予 算 の 執 行 などの 国 内 要 因 が 下 支 え 役 となり 緩 やかに 回 復 す る 見 通 しである ただし 中 国 を 中 心 とする 海 外 経 済 の 下 振 れリスクには 細 心 の 注 意 が 必 要 となろう なお 前 回 は 217 年 4 月 に 消 費 税 増 税 を 行 うと 想 定 していたが 安 倍 首 相 の 6 月 1 日 の 増 税 延 期 表 明 を 受 けて 今 回 は 増 税 延 期 を 前 提 とした( 詳 細 は 熊 谷 亮 丸 他 第 18 回 日 本 経 済 予 測 ( 改 訂 版 ) (216 年 6 月 8 日 ) 参 照 ) 何 故 個 人 消 費 は 低 迷 しているのか?: 足 下 で 停 滞 が 続 く 個 人 消 費 を 回 復 軌 道 へと 戻 す ことは 現 在 の 日 本 経 済 における 最 重 要 課 題 の 一 つであると 言 っても 過 言 ではない そ こで アベノミクス 以 降 の 個 人 消 費 の 動 向 を 精 査 したうえで 年 齢 階 級 別 年 収 階 級 別 という 視 点 から 先 行 きの 個 人 消 費 を 活 性 化 させるための 処 方 箋 について 検 討 し た 定 量 分 析 の 結 果 を 踏 まえると アベノミクス 以 降 個 人 消 費 の 盛 り 上 がりに 欠 けた 若 年 層 低 所 得 者 層 に 対 する 所 得 支 援 策 の 発 動 は 経 済 面 でのプラス 効 果 という 観 点 からも 基 本 的 に 支 持 されよう ただし 中 長 期 的 に 若 年 層 の 消 費 支 出 を 促 すに は 労 働 市 場 改 革 などを 通 じた 雇 用 所 得 環 境 の 改 善 が 不 可 欠 である 株 式 会 社 大 和 総 研 丸 の 内 オフィス 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 一 丁 目 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは 投 資 勧 誘 を 意 図 して 提 供 するものではありません このレポートの 掲 載 情 報 は 信 頼 できると 考 えられる 情 報 源 から 作 成 しておりますが その 正 確 性 完 全 性 を 保 証 する ものではありません また 記 載 された 意 見 や 予 測 等 は 作 成 時 点 のものであり 今 後 予 告 なく 変 更 されることがあります 大 和 総 研 の 親 会 社 である 大 和 総 研 ホールディングスと 大 和 証 券 は 大 和 証 券 グループ 本 社 を 親 会 社 とする 大 和 証 券 グループの 会 社 です 内 容 に 関 する 一 切 の 権 利 は 大 和 総 研 にあります 無 断 での 複 製 転 載 転 送 等 はご 遠 慮 ください

2 2 / 1. 海 外 経 済 の 下 振 れリスクは 残 存 経 済 見 通 しを 改 訂 216 年 1-3 月 期 GDP 二 次 速 報 の 発 表 を 受 けて 経 済 見 通 しを 改 訂 した 改 訂 後 の 実 質 GDP 予 想 は 216 年 度 が 前 年 度 比 +.7%( 前 回 : 同 +.8%) 217 年 度 が 同 +.7%( 同 : 同.1%) である 足 下 で 日 本 経 済 は 踊 り 場 局 面 が 継 続 しているものの 先 行 きに 関 しては 1 実 質 賃 金 の 増 加 2 原 油 安 と 交 易 条 件 の 改 善 3 補 正 予 算 の 執 行 などの 国 内 要 因 が 下 支 え 役 とな り 緩 やかに 回 復 する 見 通 しである ただし 中 国 を 中 心 とする 海 外 経 済 の 下 振 れリスクには 細 心 の 注 意 が 必 要 となろう なお 前 回 はメインシナリオの 前 提 条 件 として 217 年 4 月 に 消 費 税 増 税 を 行 うと 想 定 していたが 安 倍 首 相 の 6 月 1 日 の 増 税 延 期 表 明 を 受 けて 今 回 は 増 税 延 期 をメインシナリオの 前 提 とした( 詳 細 は 熊 谷 亮 丸 他 第 18 回 日 本 経 済 予 測 ( 改 訂 版 ) (216 年 6 月 8 日 ) 参 照 ) 216 年 1-3 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 期 比 年 率 +1.%( 前 期 比 +.5%) 216 年 1-3 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 ( 二 次 速 報 )は 前 期 比 年 率 +1.%( 前 期 比 +.5%)と 一 次 速 報 ( 前 期 比 年 率 +1.7% 前 期 比 +.4%)から 小 幅 に 上 方 修 正 され 市 場 コンセンサス ( 前 期 比 年 率 +1.% 前 期 比 +.5%) 通 りの 結 果 となった 今 回 の 結 果 は 一 次 速 報 から 小 幅 な 修 正 に 留 まったことや 市 場 コンセンサス 通 りであったことから 特 段 のサプライズはない 総 じて 見 ると 日 本 経 済 は 踊 り 場 局 面 が 続 いているという 当 社 のこれまでの 見 方 を 再 確 認 させる 内 容 だと 言 える 先 行 きの 日 本 経 済 は 下 振 れリスクを 抱 えた 状 況 が 続 く 公 算 当 社 のこれまでのメインシナリオに 特 段 の 修 正 はない 先 行 きの 日 本 経 済 は 良 好 な 雇 用 所 得 環 境 を 背 景 とする 個 人 消 費 の 底 堅 さがプラスに 作 用 すると 想 定 しているものの 明 確 なけ ん 引 役 が 不 在 で 下 振 れリスクを 抱 えた 状 況 が 続 く 公 算 が 大 きい 特 に 中 国 経 済 の 下 振 れ 米 国 の 出 口 戦 略 などを 背 景 とするグローバル 金 融 市 場 の 動 揺 リスクオフ の 進 行 に 伴 う 円 高 株 安 など 我 が 国 の 景 気 下 押 しリスクが 残 存 している 点 には 注 意 が 必 要 だ 加 えて 熊 本 地 震 の 影 響 による 景 気 変 動 にも 留 意 したい なお 安 倍 首 相 が 6 月 1 日 の 記 者 会 見 で 217 年 4 月 に 予 定 していた 消 費 税 率 引 き 上 げを 延 期 すると 表 明 したことにより 事 実 上 消 費 税 増 税 の 延 期 が 決 定 した 今 回 の 増 税 延 期 が 実 質 GDP 成 長 率 見 通 し( 年 度 )へ 与 える 主 な 影 響 としては 1 増 税 前 の 駆 け 込 み 需 要 がなくなる 216 年 度 が 下 方 修 正 2 増 税 後 の 反 動 減 と 増 税 による 実 質 所 得 低 下 の 影 響 が 回 避 される 217 年 度 が 上 方 修 正 3216 年 度 ~217 年 度 全 体 で 見 て 上 方 修 正 などが 指 摘 できる 個 人 消 費 は うるう 年 効 果 の 反 動 減 や 熊 本 地 震 の 影 響 を 受 けて 短 期 的 に 下 振 れする 公 算 が 大 きいものの こうした 特 殊 要 因 を 除 いて 見 ると 良 好 な 雇 用 所 得 環 境 を 背 景 に 当 面 は 横 ば い 圏 で 推 移 すると 見 込 む 所 得 面 について 確 認 すると 毎 月 勤 労 統 計 で 見 る 一 人 当 たりの 実 質 賃 金 は 足 下 で 持 ち 直 しの 動 きが 出 ており 雇 用 者 数 の 増 加 を 考 慮 したマクロの 実 質 雇 用 者 所 得 (= 実 質 賃 金 雇 用 者 数 )は 増 加 している また 良 好 な 雇 用 環 境 や 一 部 非 製 造 業 での 人 手 不 足 感 の 高 まりを 受 けて パート アルバイトの 賃 金 が 緩 やかな 上 昇 傾 向 を 続 けていることに

3 3 / 加 え 消 費 者 物 価 上 昇 率 の 低 下 を 通 じた 実 質 賃 金 の 押 し 上 げ 効 果 が 当 面 継 続 する 見 込 みである ことも 個 人 消 費 を 下 支 えする 要 因 になるとみている 他 方 株 安 による 消 費 者 マインドの 悪 化 や 円 高 に 伴 う 製 造 業 の 収 益 悪 化 懸 念 を 受 けて 個 人 所 得 の 先 行 き 不 透 明 感 が 高 まっているこ とが 個 人 消 費 の 重 石 となろう また 215 年 度 に 16 年 ぶりのプラスとなった 年 金 改 定 率 が 216 年 度 は 据 え 置 きと 決 定 されたことや 216 年 春 闘 における 賃 金 改 定 率 が 215 年 ( 最 終 集 計 結 果 前 年 比 +2.2%)より 小 幅 ながら 縮 小 する 公 算 が 大 きくなっている 点 に 注 意 が 必 要 だ 加 えて 耐 久 財 に 関 しては 携 帯 通 信 会 社 の 料 金 プランおよびスマートフォンの 販 売 価 格 の 変 更 に 伴 い スマートフォンの 販 売 数 量 が 大 きく 減 少 している 影 響 にも 留 意 したい 住 宅 投 資 は 先 行 指 標 である 住 宅 着 工 戸 数 に 増 加 の 動 きが 見 られることから 緩 やかに 持 ち 直 すと 見 込 む 最 近 の 住 宅 着 工 戸 数 については 建 設 コストの 高 まりに 伴 う 販 売 価 格 の 上 昇 が 抑 制 要 因 となっている しかし 雇 用 所 得 環 境 の 改 善 や 歴 史 的 低 水 準 の 住 宅 ローン 金 利 など を 背 景 に 家 計 の 住 宅 取 得 意 欲 が 依 然 旺 盛 であるとみられることから 住 宅 着 工 戸 数 は 緩 やか に 増 加 すると 考 えている 住 宅 着 工 から 時 間 的 なラグを 伴 って 住 宅 投 資 も 増 加 する 見 込 みであ る 設 備 投 資 は 高 水 準 の 企 業 収 益 などを 背 景 とする 更 新 改 修 投 資 が 下 支 え 役 となり 強 弱 入 り 混 じりながらも 緩 やかな 持 ち 直 しの 動 きが 継 続 すると 見 込 む 堅 調 な 企 業 収 益 や 人 手 不 足 を 受 けて 非 製 造 業 を 中 心 に 更 新 投 資 や 省 人 化 省 エネ 化 投 資 などが 期 待 される また 熊 本 地 震 により 毀 損 した 生 産 設 備 の 復 旧 復 興 が 設 備 投 資 の 増 加 に 寄 与 する 見 込 みである ただし 製 造 業 に 関 しては これまでの 当 社 の 見 方 通 り 今 後 の 下 振 れリスクに 注 意 する 必 要 があると 考 えている これは 世 界 経 済 の 減 速 や 海 外 の 企 業 部 門 の 弱 さなどを 受 けて 財 の 輸 出 が 停 滞 し 個 人 消 費 の 回 復 ペースも 冴 えない 中 で 円 高 による 収 益 下 押 し 圧 力 が 加 わり 製 造 業 を 中 心 に 設 備 投 資 を 先 送 りする 企 業 が 増 える 可 能 性 が 高 まっているためである 公 共 投 資 は 過 去 の 経 済 対 策 効 果 のはく 落 が 引 き 続 き 重 石 となる 一 方 で 215 年 度 補 正 予 算 と 216 年 度 予 算 の 進 捗 を 受 けて 徐 々に 底 入 れし その 後 は 復 興 事 業 の 顕 在 化 に 伴 い 緩 やか な 増 加 傾 向 に 転 じるとみている 実 際 足 下 で 先 行 指 標 である 請 負 金 額 および 受 注 金 額 に 持 ち 直 しの 動 きが 見 られている 輸 出 は しばらく 横 ばい 圏 で 推 移 した 後 海 外 経 済 の 改 善 を 受 けて 徐 々に 持 ち 直 すと 考 えて いる 欧 米 経 済 の 底 堅 さが 輸 出 の 下 支 え 役 になる 一 方 資 源 価 格 の 停 滞 や 過 剰 生 産 能 力 に 起 因 する 世 界 的 な 工 業 部 門 の 不 振 さらにはスマートフォン 向 け 電 子 部 品 デバイスの 海 外 出 荷 の 伸 び 悩 みが 継 続 する 見 込 みであることを 勘 案 すると 財 の 輸 出 が 明 確 な 増 加 基 調 に 転 じるのは 今 夏 以 降 にずれ 込 む 公 算 が 大 きい 加 えて これまで 堅 調 だったサービス 輸 出 についても 1 中 国 政 府 が 海 外 での 購 入 品 に 対 する 関 税 を 引 き 上 げたことにより 中 国 人 の 爆 買 い が 一 服 する 懸 念 が 生 じていること 2 熊 本 地 震 に 起 因 する 訪 日 観 光 客 の 減 少 に 留 意 が 必 要 だ 地 域 別 に 見 ると 米 国 では 家 計 部 門 を 中 心 に 底 堅 い 景 気 拡 大 が 続 いているため 耐 久 消 費 財 を 中 心 に 米 国 向 け 輸 出 の 反 転 が 見 込 まれる 欧 州 経 済 については 原 油 価 格 の 停 滞 や ECB( 欧 州 中 央 銀 行 )による 金 融 緩 和 政 策 の 効 果 を 受 けて 個 人 消 費 を 中 心 に 持 ち 直 しの 動 きが 見 られることか

4 4 / ら 欧 州 向 け 輸 出 も 振 れを 伴 いつつ 総 じて 堅 調 に 推 移 すると 考 えている アジア 向 け 輸 出 は スマートフォン 向 け 電 子 部 品 デバイス 関 連 や 中 国 の 過 剰 生 産 能 力 に 起 因 する 鉄 鋼 等 の 素 材 関 連 が 引 き 続 き 重 石 となり 力 強 さに 欠 ける 推 移 が 続 くだろう 景 気 の 減 速 が 続 く 中 国 に 関 し ては 金 融 緩 和 政 策 や 自 動 車 販 売 促 進 策 に 伴 う 実 体 経 済 の 底 上 げ 効 果 が 個 人 消 費 やサービス 部 門 などで 確 認 され 始 めており 消 費 財 を 中 心 として 一 段 の 需 要 減 少 は 回 避 されるとみている 日 本 経 済 のリスク 要 因 日 本 経 済 のリスク 要 因 としては 1 中 国 経 済 の 下 振 れ 2 米 国 の 出 口 戦 略 に 伴 う 新 興 国 市 場 の 動 揺 3 地 政 学 的 リスクを 背 景 とする リスクオフ( 円 高 株 安 ) 4イギリスの EU か らの 離 脱 やギリシャ 不 安 の 4 点 に 留 意 が 必 要 だ 当 社 の 中 国 に 対 する 見 方 は 短 期 = 楽 観 中 長 期 = 悲 観 である 中 国 経 済 を 取 り 巻 く 状 況 を 極 めて 単 純 化 すれば 1, 兆 円 以 上 の 過 剰 融 資 4 兆 円 以 上 の 過 剰 資 本 ストック に 対 して 中 国 政 府 が 6 兆 ~8 兆 円 規 模 の 財 政 資 金 で 立 ち 向 かう という 構 図 だ 中 国 経 済 の 底 割 れは 当 面 回 避 されるとみているが 中 長 期 的 なタイムスパンでは 大 規 模 な 資 本 ストック 調 整 が 発 生 するリスクを 警 戒 すべきであろう

5 5 / 2. 何 故 個 人 消 費 は 低 迷 しているのか? 2.1 うるう 年 要 因 が 個 人 消 費 の 見 た 目 をかさ 上 げ 足 下 で 停 滞 が 続 く 個 人 消 費 を 回 復 軌 道 へと 戻 すことは 現 在 の 日 本 経 済 における 最 重 要 課 題 の 一 つであると 言 っても 過 言 ではない GDP ベースの 個 人 消 費 は 216 年 1-3 月 期 に 対 前 期 比 で 2 四 半 期 ぶりに 増 加 したものの うるう 年 要 因 の 影 響 が 大 きく その 影 響 を 除 くと 実 勢 として は 214 年 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 以 降 底 ばいが 続 いている( 図 表 1) 当 社 は 個 人 消 費 低 迷 の 背 景 には 各 種 経 済 対 策 により 押 し 上 げられた 耐 久 消 費 財 需 要 の 調 整 および 所 得 マインドの 低 下 を 通 じた 嗜 好 サービスの 縮 小 があるとみている( 詳 細 は 熊 谷 亮 丸 他 第 188 回 日 本 経 済 予 測 ( 改 訂 版 ) (216 年 3 月 8 日 ) 参 照 ) 一 方 こうした 財 サービス 分 類 とは 異 なる 視 点 で 個 人 消 費 を 捉 えると 新 たなインプリケ ーションを 得 ることもできる 本 章 では 年 齢 階 級 別 年 収 階 級 別 という 視 点 に 注 目 し アベノミクス 以 降 の 個 人 消 費 の 動 向 を 精 査 したうえで 先 行 きの 個 人 消 費 を 活 性 化 させるため の 処 方 箋 を 提 示 したい 図 表 1: 消 費 動 向 の 概 況 ( 兆 円 ) 325 個 人 消 費 の 推 移 ( 年 ) うるう 年 調 整 あり 公 表 値 ( 出 所 ) 内 閣 府 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 兆 円 ) 6 5 耐 久 消 費 財 の 推 移 個 人 サービスの 推 移 (213 年 =1) エコカー 補 助 金 及 び 家 電 エコポイント 制 度 開 始 前 のトレンド エコカー 補 助 金 家 電 エコポイント 制 度 の 対 象 期 間 ( 年 ) 駆 け 込 み 需 要 発 生 期 間 実 質 耐 久 財 消 費 ( 出 所 ) 内 閣 府 統 計 より 大 和 総 研 作 成 /1 13/5 13/ 14/1 14/5 14/ 15/1 15/5 15/ 16/1 ( 年 / 月 ) 広 義 対 個 人 サービス 広 義 非 選 択 的 個 人 向 けサービス 広 義 し 好 的 個 人 向 けサービス ( 注 ) 小 売 業 除 く ( 出 所 ) 経 済 産 業 省 統 計 より 大 和 総 研 作 成

6 6 / 2.2 年 齢 階 級 別 年 収 階 級 別 の 消 費 動 向 若 年 層 低 所 得 者 層 はアベノミクスによる 恩 恵 が 少 ない アベノミクスによる 景 気 回 復 の 初 動 は 資 産 効 果 を 通 じた 個 人 消 費 の 増 加 によってもたらされ たが その 恩 恵 は 必 ずしも 平 等 に 享 受 されたわけではない 図 表 2 は アベノミクスによる 株 高 効 果 が 発 現 する 以 前 の 212 年 の 消 費 支 出 と 足 下 の 消 費 支 出 の 差 を 年 齢 階 級 別 年 収 階 級 別 に 示 したものである 左 図 に 注 目 すると 他 の 年 齢 階 級 と 比 較 して 2 以 下 の 世 帯 の 消 費 支 出 が 際 立 って 減 少 している 様 子 が 見 て 取 れる 同 様 の 分 析 を 年 収 階 級 別 に 行 うと 第 Ⅰ 分 位 に 属 する 世 帯 の 消 費 支 出 が 低 調 であることが 分 かる 一 般 論 として 言 えば 年 収 が 多 いほど 株 式 などの 金 融 資 産 を 多 く 保 有 しており 資 産 効 果 の 恩 恵 にあずかることができるケースが 多 いため 212 年 以 降 年 収 の 階 級 が 高 い 層 ほど 消 費 支 出 を 拡 大 する 傾 向 が 見 られたと 考 えられる また 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 前 後 の 消 費 者 マイ ンドの 動 きを 年 収 階 級 別 に 見 ると 高 所 得 者 層 のマインドが 底 堅 く 推 移 する 一 方 で 低 所 得 者 層 のマインドは 増 税 前 から 悪 化 傾 向 が 顕 著 となり 増 税 後 もしばらく 底 ばいでの 推 移 が 続 いた こうしたマインドの 動 きの 差 は 低 所 得 者 層 が 相 対 的 に 増 税 への 抵 抗 感 を 強 めてい た 可 能 性 を 示 唆 している 以 上 の 分 析 を 踏 まえると アベノミクスの 初 期 には マクロ 経 済 全 体 で 見 ると 資 産 効 果 を 通 じて 個 人 消 費 は 活 性 化 したものの 若 年 層 および 低 所 得 者 層 はその 恩 恵 にあずかる 度 合 いが 相 対 的 に 小 さかったものと 推 察 される 従 って 今 後 個 人 消 費 を 回 復 軌 道 に 乗 せるために は 政 府 が 所 得 支 援 策 を 講 ずるなど 若 年 層 および 低 所 得 者 層 に 対 する 一 定 の 配 慮 を 示 すことがカギになると 言 えよう 図 表 2: 年 齢 年 収 階 級 別 個 人 消 費 (216 年 1-3 月 期 ) (212 年 =1) 15 年 齢 階 級 別 個 人 消 費 年 収 階 級 別 個 人 消 費 (212 年 =1) 以 下 3 ~ 3 4 ~ 4 5 ~ 5 6 ~ 6 7 以 上 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ ( 注 ) 大 和 総 研 による 季 節 調 整 値 太 線 は 全 世 帯 平 均 ( 出 所 ) 総 務 省 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 注 ) 大 和 総 研 による 季 節 調 整 値 太 線 は 全 世 帯 平 均 ( 出 所 ) 総 務 省 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 間 収 入 五 分 位 )

7 7 / 2.3 若 年 層 低 所 得 者 層 向 け 所 得 支 援 策 は 経 済 効 果 も 大 若 年 層 低 所 得 者 層 向 けの 所 得 支 援 策 は 定 量 分 析 からも 支 持 される 次 に 若 年 層 低 所 得 者 層 向 けの 所 得 支 援 策 が 社 会 的 弱 者 救 済 という 側 面 からだけ ではなく 経 済 効 果 という 観 点 からも 正 当 化 されるか 否 かを 検 証 する 必 要 がある 以 下 では 年 齢 年 収 階 級 ごとに 消 費 関 数 を 推 計 し 各 層 の 消 費 行 動 の 特 徴 を 検 証 してみたい 図 表 3 の 上 段 に 示 した 年 齢 階 級 別 消 費 支 出 に 関 する 推 計 結 果 を 見 ると 2 以 下 および 3~3 といった 世 帯 では 可 処 分 所 得 のパラメータが 際 立 って 高 い すなわち これらの 世 帯 に 対 する 所 得 支 援 策 は 他 の 年 齢 層 と 比 較 して 可 処 分 所 得 の 増 加 を 通 じて 消 費 支 出 を 押 し 上 げる 効 果 が 大 きいと 考 えられる ただし 所 得 支 援 策 への 過 度 の 依 存 は 禁 物 である 2 以 下 では 将 来 不 安 要 因 のパラメータのマイナス 幅 が 大 きいためだ 年 金 などの 社 会 保 障 の 恩 恵 にあずかるまでに 数 十 年 単 位 の 期 間 を 要 するこの 年 齢 層 では 将 来 不 安 に 対 して 消 費 を 抑 制 ( 貯 蓄 を 増 加 )することで 対 応 する 傾 向 が 強 い このため 若 年 層 向 け 所 得 支 援 策 については 短 期 的 には 有 効 であるものの 将 来 不 安 を 背 景 とする 消 費 の 抑 制 を 避 けるためにも 時 限 性 の あるメリハリの 利 いた 制 度 設 計 が 必 要 になるだろう 一 方 図 表 3 の 下 段 に 注 目 すると 低 所 得 者 層 の 世 帯 では 可 処 分 所 得 のパラメータが 大 き く 低 所 得 者 層 への 所 得 支 援 策 は 個 人 消 費 を 活 性 化 させる 度 合 いが 最 も 大 きい 加 えて 高 所 得 者 層 の 金 融 資 産 のパラメータも 大 きいことが 分 かる 高 所 得 者 層 ほど 株 式 などの 金 融 資 産 を 多 く 保 有 しており 資 産 効 果 が 大 きいことが 示 されている このため 低 所 得 者 層 向 け 所 得 支 援 策 を 株 式 市 場 が 好 感 し 株 価 が 上 昇 した 場 合 には 資 産 効 果 を 通 じて 間 接 的 に 高 所 得 者 層 にもメリットが 及 ぶ 可 能 性 もあるだろう 以 上 の 考 察 を 踏 まえると アベノミクス 以 降 個 人 消 費 の 盛 り 上 がりに 欠 ける 若 年 層 低 所 得 者 層 に 対 する 所 得 支 援 策 は 経 済 的 な 効 果 という 観 点 からも 基 本 的 に 支 持 される 政 策 だと 考 えられる 図 表 3: 年 齢 年 収 階 級 別 の 消 費 関 数 の 推 計 結 果 可 処 分 所 得 金 融 資 産 将 来 不 安 要 因 トレンド 項 可 処 分 所 得 金 融 資 産 将 来 不 安 要 因 年 齢 階 級 別 消 費 関 数 の 推 計 2 以 下 3~3 4~4 5~5 6~6 7 以 上.1***.7***.67***.7***.4***.46*** ***.11.54*** -.32*** -.11*** -.15*** -.6*..11..**..*.***.** 所 得 階 級 別 消 費 関 数 の 推 計 低 所 得 者 層 中 間 層 高 所 得 者 層.85***.84***.75***.15***.17***.26*** ** -.7*** ( 注 1)***は1% **は5% *は1% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( 注 2) 将 来 不 安 要 因 は 日 本 の 債 務 残 高 GDP 比 ( 出 所 ) 大 和 総 研 作 成

8 8 / 2.4 労 働 市 場 改 革 などを 通 じた 若 年 層 の 雇 用 所 得 環 境 の 改 善 がカギ 中 長 期 的 には 労 働 市 場 改 革 が 不 可 欠 中 長 期 的 に 若 年 層 の 消 費 支 出 を 促 すには 労 働 市 場 改 革 などを 通 じた 雇 用 所 得 環 境 の 改 善 が 不 可 欠 である 第 一 に 若 年 層 の 非 自 発 的 な 非 正 規 雇 用 を 減 らす 必 要 がある 図 表 4 は 非 正 規 雇 用 者 数 全 体 に 占 める 非 自 発 的 な 非 正 規 雇 用 者 数 の 割 合 を 示 したものである 図 表 から 明 らかな 通 り 若 年 層 の 非 自 発 的 非 正 規 雇 用 者 比 率 は 他 の 世 代 と 比 較 して 圧 倒 的 に 高 い 非 正 規 雇 用 には 自 分 の 都 合 の 良 い 時 間 に 働 けるといったメリットがある 一 方 不 安 定 な 雇 用 形 態 や 低 賃 金 など のデメリットが 存 在 する こうした 現 状 を 踏 まえると 同 一 労 働 同 一 賃 金 の 原 則 の 導 入 によ り 労 働 市 場 の 極 端 な 二 極 化 を 是 正 することなどを 通 じて 非 正 規 雇 用 者 の 待 遇 を 改 善 すること が 急 務 である 改 革 が 実 現 し 非 自 発 的 な 非 正 規 雇 用 者 が 満 足 できる 職 場 環 境 で 働 くことがで きるようになれば 将 来 不 安 の 後 退 や 生 涯 賃 金 の 上 昇 といったプラスの 効 果 が 見 込 まれ 最 終 的 に 消 費 支 出 の 拡 大 を 促 すであろう 第 二 に ミスマッチの 解 消 を 通 じた 若 年 失 業 率 の 低 下 が 重 要 だ 図 表 5 は 年 齢 階 級 別 の 構 造 的 摩 擦 的 失 業 率 を 示 したものである 15~24 25~34 といった 若 年 層 では 他 の 世 代 と 比 較 し 足 下 の 構 造 失 業 率 が 高 い 過 去 の 動 きを 見 ても 1 年 代 中 ごろから 若 年 層 での 急 激 な 構 造 失 業 率 の 上 昇 が 観 察 されており 長 期 にわたり 若 年 層 の 就 業 に 関 す るミスマッチが 拡 大 している 様 子 が 見 て 取 れる こうしたミスマッチを 解 消 し 高 水 準 での 推 移 が 続 く 若 年 層 の 失 業 率 を 低 下 させることができれば 所 得 の 増 加 や 将 来 不 安 の 減 少 によ り 同 階 級 の 個 人 消 費 を 活 性 化 することが 期 待 できよう 図 表 4: 非 自 発 的 非 正 規 雇 用 者 比 率 (215 年 ) 図 表 5: 年 齢 階 級 別 構 造 的 摩 擦 的 失 業 率 (%) ~24 25~34 35~44 45~54 55~64 65 以 上 ( 注 1) 正 規 の 職 員 従 業 員 の 仕 事 がないことを 理 由 に 非 正 規 雇 用 について いる 人 が 非 正 規 雇 用 者 数 に 占 める 割 合 ( 注 2)15~24 の 非 正 規 雇 用 者 数 は 在 学 中 を 除 くベースを 使 用 ( 出 所 ) 総 務 省 統 計 より 大 和 総 研 作 成 (%) ( 年 ) 15~24 25~34 35~44 45~54 55~64 65 以 上 ( 注 ) 大 和 総 研 による 推 計 値 ( 出 所 ) 総 務 省 厚 生 労 働 省 統 計 より 大 和 総 研 作 成

9 / 図 表 6: 日 本 経 済 金 利 見 通 し ( 予 ) ( 予 ) 年 度 215 年 度 216 年 度 217 年 度 実 質 GDP ( 前 期 比 年 率 %) [ 前 年 比 %] 経 常 収 支 ( 季 調 済 年 率 兆 円 ) 失 業 率 (%) 消 費 者 物 価 指 数 ( 生 鮮 食 品 除 く 総 合 21=1) [ 前 年 比 %] 年 度 215 年 度 216 年 度 217 年 度 国 債 利 回 り(1 年 債 最 長 期 物 ) ( 期 中 平 均 %) ( 注 ) 予 測 値 は 原 則 として 大 和 総 研 第 18 回 日 本 経 済 予 測 改 訂 版 による ( 出 所 ) 各 種 統 計 より 大 和 総 研 作 成

1. 消 費 の 低 迷 を 背 景 とした 日 本 経 済 の 停 滞 の 見 方 を 維 持 : 成 長 の 微 修 正 2015 年 度 は 前 年 度 の 落 ち 込 みを 回 復 せ ず 景 気 の 現 状 をみると 2015 年 度 の 実 質 GDP 1 は+0.8%となり 2 年 振

1. 消 費 の 低 迷 を 背 景 とした 日 本 経 済 の 停 滞 の 見 方 を 維 持 : 成 長 の 微 修 正 2015 年 度 は 前 年 度 の 落 ち 込 みを 回 復 せ ず 景 気 の 現 状 をみると 2015 年 度 の 実 質 GDP 1 は+0.8%となり 2 年 振 2016 年 5 月 24 日 新 生 銀 行 金 融 調 査 部 MRFRD-20160004 消 費 の 実 態 は 弱 く 景 気 は 停 滞 との 見 方 を 維 持 ~2016 2017 年 度 の 日 本 経 済 の 見 通 し~ 実 質 GDP の 予 想 2016 年 度 ( 増 税 あり) 0.5% ( 増 税 なし) 0.5% 2017 年 度 ( 増 税 あり) 0.3% (

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