大 規 模 地 震 発 生 後 における 地 方 の 港 湾 機 能 回 復 に 関 する 研 究 要 旨 山 内 啓 嗣 今 後 30 年 に 60~70%の 確 率 で 発 生 すると 予 想 されている 南 海 トラフを 震 源 とする 巨 大 地 震 において 発 災 後 に 高 知 県 の

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1 2013 年 度 修 士 論 文 大 規 模 地 震 発 生 後 における 地 方 の 港 湾 機 能 回 復 に 関 する 研 究 Studies on functional recovery of regional port after Large-scale earthquake 2014 年 1 月 主 指 導 教 員 島 弘 副 指 導 教 員 福 田 昌 史 高 知 工 科 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 基 盤 工 学 専 攻 社 会 システム 工 学 コース 山 内 啓 嗣

2 大 規 模 地 震 発 生 後 における 地 方 の 港 湾 機 能 回 復 に 関 する 研 究 要 旨 山 内 啓 嗣 今 後 30 年 に 60~70%の 確 率 で 発 生 すると 予 想 されている 南 海 トラフを 震 源 とする 巨 大 地 震 において 発 災 後 に 高 知 県 の 太 平 洋 側 では 地 理 的 な 条 件 の 悪 さから 東 北 地 方 で 行 われた 道 路 啓 開 (くしの 歯 作 戦 )は 通 用 しない 東 日 本 大 震 災 に 例 を 見 るように 津 波 を 伴 う 巨 大 地 震 は 港 湾 機 能 も 麻 痺 するが 事 前 の 対 策 を 十 分 に 行 っておくことで 海 の 道 を 使 った 応 急 復 旧 作 業 は 可 能 である まずは 東 日 本 大 震 災 の 被 害 状 況 及 び 応 急 復 旧 の 現 状 を 十 分 整 理 し 問 題 点 を 洗 い 出 して 事 前 の 対 策 を 講 じることが 重 要 であると 考 える 現 在 各 機 関 において 津 波 防 災 減 災 へ 向 けての 様 々な 取 り 組 みは 進 んでいるが 発 災 後 の 航 路 啓 開 についての 研 究 は 未 だ 進 んでいないと 思 われる 本 研 究 は 東 日 本 大 震 災 の 航 路 啓 開 作 業 等 の 実 績 を 基 に 現 状 を 踏 まえた 諸 課 題 を 考 察 し 南 海 トラフ 巨 大 地 震 発 災 後 の 地 方 の 重 要 港 湾 である 須 崎 港 における 段 階 的 な 啓 開 作 業 のモデルを 提 案 する ものである

3 目 次 第 1 章 序 論 研 究 の 目 的 第 2 章 東 日 本 大 震 災 の 概 要 地 震 の 規 模 及 びその 分 布 津 波 の 高 さと 到 達 時 間 東 日 本 大 震 災 の 広 域 性 港 湾 施 設 の 被 害 状 況 津 波 による 漂 流 物 の 状 況 航 路 啓 開 作 業 の 実 績 救 援 物 資 輸 送 の 実 績 第 3 章 須 崎 港 について 自 然 的 条 件 沿 革 周 辺 の 主 要 立 地 企 業 取 扱 貨 物 量 荷 役 等 岸 壁 等 の 整 備 状 況 湾 口 津 波 防 波 堤 第 4 章 南 海 トラフ 巨 大 地 震 とは 過 去 の 南 海 大 地 震 等 の 被 害 今 後 発 生 が 予 想 される 巨 大 地 震 の 被 害 想 定 第 5 章 巨 大 地 震 発 生 後 の 機 能 回 復 について 須 崎 港 BCP 被 害 を 設 定 する 施 設 とその 被 害 状 況 木 材 の 流 出 被 災 後 の 対 処 行 動 と 連 絡 通 信 手 段 について 被 災 施 設 応 急 復 旧 活 動 の 時 間 目 標 航 路 啓 開 の 手 順 作 業 船 の 役 割 について 時 間 目 標 を 考 慮 した 対 処 行 動 と 各 機 関 の 役 割 第 6 章 作 業 船 の 手 配 について 第 7 章 結 論 おわりに 謝 辞

4 図 目 次 図 1 東 日 本 大 震 災 の 震 源 地 マグニチュード 震 度 分 布 図 2 東 日 本 大 震 災 の 津 波 の 高 さ 及 び 到 達 時 間 図 3 東 日 本 大 震 災 の 広 域 性 図 4 主 要 港 における 航 路 等 の 啓 開 作 業 実 績 図 5 主 要 航 路 の 再 開 実 績 図 6 仙 台 塩 釜 港 の 航 路 警 戒 実 績 図 7 仙 台 塩 釜 港 高 松 埠 頭 ( 耐 震 強 化 岸 壁 )の 暫 定 水 深 と 緊 急 物 資 輸 送 船 の 必 要 水 深 との 関 係 図 8 作 業 に 従 事 した 使 用 船 舶 の 船 種 割 合 図 9 使 用 船 舶 の 基 地 港 の 割 合 図 10 使 用 船 舶 の 回 航 距 離 の 割 合 図 11 使 用 船 舶 の 建 造 年 の 割 合 図 12 運 転 日 数 の 割 合 図 13 大 型 船 による 救 援 物 資 輸 送 実 績 図 14 須 崎 港 周 辺 の 主 要 立 地 企 業 位 置 図 図 15 須 崎 港 の 年 間 取 扱 貨 物 量 内 訳 図 16 須 崎 港 の 総 取 扱 貨 物 量 の 推 移 図 17 須 崎 港 の 荷 役 等 岸 壁 等 の 位 置 図 図 18 我 が 国 の 耐 震 強 化 岸 壁 の 整 備 状 況 図 19 湾 口 地 区 津 波 防 波 堤 の 断 面 構 造 図 20 南 海 トラフ 巨 大 地 震 における 各 港 の 津 波 予 想 高 図 21 港 湾 BCP のイメージ 図 22 東 日 本 大 震 災 被 災 地 の 港 湾 における 利 用 可 能 岸 壁 の 推 移 図 23 地 震 発 生 4 時 間 後 の 木 材 漂 流 計 算 結 果 図 24 被 災 施 設 応 急 復 旧 作 業 活 動 の 流 れ 図 25 四 国 に 及 ぼす 道 路 被 害 の 想 定 図 26 作 業 船 団 回 航 ルート 図 図 27 須 崎 港 の 段 階 的 な 機 能 回 復 のイメージ 図 28 応 急 復 旧 を 優 先 的 に 行 う 必 要 がある 岸 壁 位 置 図 図 29 各 岸 壁 の 詳 細 図 図 30 航 路 啓 開 作 業 の 連 絡 体 系 図 図 31 航 路 啓 開 作 業 (Step1) 範 囲 図 図 32 航 路 啓 開 作 業 (STEP2) 範 囲 図 図 33 航 路 啓 開 作 業 (Step3) 範 囲 図

5 表 目 次 表 1 東 日 本 大 震 災 航 路 啓 開 実 績 調 査 票 ( 大 船 渡 港 ) 表 2 東 日 本 大 震 災 航 路 啓 開 実 績 調 査 票 ( 釜 石 港 ) 表 3 作 業 に 従 事 した 使 用 船 舶 の 船 種 及 び 隻 数 表 4 使 用 船 舶 の 基 地 港 表 5 使 用 船 舶 の 回 航 距 離 表 6 使 用 船 舶 の 建 造 年 表 7 運 転 日 数 表 8 修 理 などのトラブルの 有 無 表 9 過 去 に 起 きた 南 海 大 地 震 の 被 害 表 10 季 節 時 間 帯 の 設 定 表 11 津 波 避 難 意 識 表 12 須 崎 市 における 被 害 想 定 表 13 被 害 を 設 定 する 施 設 とその 被 害 状 況 表 14 高 知 県 内 の 港 湾 を 基 地 港 とする 船 舶 一 覧 表 表 15 高 知 県 内 の 港 湾 工 事 業 者 が 保 有 する 主 要 建 設 機 械 一 覧 表 表 16 作 業 船 団 の 所 要 回 航 日 数 表 17 急 復 旧 を 優 先 的 に 行 う 必 要 がある 岸 壁 表 18 被 災 後 の 対 処 行 動 と 各 機 関 の 役 割 表 19 航 路 啓 開 作 業 に 必 要 な 船 舶 の 実 態

6 写 真 目 次 写 真 1 港 湾 施 設 の 被 害 状 況 写 真 2 津 波 による 漂 流 物 の 状 況 写 真 3 野 見 湾 の 養 殖 筏 設 置 状 況 写 真 4 湾 口 地 区 津 波 防 波 堤 の 現 況 写 真 5 須 崎 港 津 波 バリアー 写 真 6 貯 木 固 縛 システム 写 真 7 漂 流 物 の 封 じ 込 め 状 況 及 び 撤 去 状 況 写 真 8 啓 開 作 業 の 使 用 船 舶

7 第 1 章 序 論 1.1 研 究 の 目 的 高 知 県 の 須 崎 港 は 土 佐 湾 のほぼ 中 央 高 知 市 の 西 約 30km かわうその 生 息 で 知 られ た 新 荘 川 の 河 口 がある 須 崎 市 に 位 置 し リアス 式 海 岸 の 形 状 をした 天 然 の 良 港 として 古 くから 地 域 の 生 産 消 費 物 資 を 取 扱 う 港 として 重 要 な 役 割 を 果 たしてきた 港 内 には 住 友 大 阪 セメント や 日 鉄 鉱 業 の 国 内 主 力 工 場 木 材 工 業 団 地 等 があり 港 湾 取 扱 貨 物 量 は 高 知 県 全 体 の 2/3 以 上 を 占 めている 須 崎 港 は 天 然 の 良 港 である 反 面 リアス 式 海 岸 の 形 状 をしているため 津 波 の 被 害 を 受 けやすく 過 去 幾 度 となく 大 きな 被 害 を 受 けてきた このため 昭 和 58 年 須 崎 港 とその 背 後 市 街 地 を 守 る 恒 久 的 な 津 波 対 策 と して 湾 口 部 の 津 波 防 波 堤 建 設 を 盛 り 込 んだ 港 湾 計 画 が 策 定 され 現 在 も 湾 岸 の 防 潮 堤 と も 合 わせた 津 波 防 災 施 設 が 整 備 されつつある また 東 日 本 大 震 災 の 被 害 実 態 を 考 慮 して 本 年 度 から 津 波 防 波 堤 の 粘 り 強 い 化 も 始 まっている しかしながら 近 い 将 来 に 必 ず 起 こ ると 言 われている 南 海 トラフ 巨 大 地 震 により 東 日 本 大 震 災 と 同 様 に 須 崎 港 内 には 多 く の 津 波 漂 流 物 が 漂 い 人 命 救 助 や 緊 急 物 資 輸 送 の 妨 げになることは 避 けられないと 予 測 される 現 在 各 機 関 において 津 波 防 災 減 災 へ 向 けての 様 々な 取 り 組 みは 進 んでいる が 発 災 後 の 航 路 啓 開 についての 研 究 は 未 だ 進 んでいないと 思 われる 本 研 究 は 東 日 本 大 震 災 の 航 路 啓 開 作 業 等 の 実 績 を 基 に 現 状 を 踏 まえた 諸 課 題 を 考 察 し 南 海 トラフ 巨 大 地 震 発 災 後 の 地 方 の 重 要 港 湾 である 須 崎 港 における 段 階 的 な 啓 開 作 業 のモデルを 提 案 するものである 1

8 第 2 章 東 日 本 大 震 災 の 概 要 2.1 地 震 の 規 模 及 びその 分 布 平 成 23 年 3 月 11 日 に 発 生 した 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 及 びこれに 伴 う 津 波 は 東 日 本 の 太 平 洋 側 を 中 心 とする 地 域 に 未 曾 有 の 被 害 を 与 えた 東 日 本 大 震 災 をもたらした この 大 震 災 をもたらした 地 震 は 太 平 洋 三 陸 沖 ( 牡 鹿 半 島 の 東 南 東 約 130km 付 近 ) 深 さ24km の 地 点 を 震 源 とする 逆 断 層 型 太 平 洋 プレートと 北 アメリカプレート 境 界 域 における 海 溝 型 地 震 であり 宮 城 県 栗 原 市 の 最 大 震 度 7をはじめとして 岩 手 県 から 千 葉 県 までの 広 範 囲 にわたり 震 度 6 弱 以 上 を 観 測 した 地 震 の 規 模 を 示 すマグニチュード は 日 本 国 内 の 観 測 史 上 最 大 となる9.0 を 記 録 した 東 日 本 大 震 災 は 避 難 計 画 等 を 定 める 地 域 防 災 計 画 における 想 定 をも 各 所 で 上 回 り 多 くの 人 命 が 失 われた 図 1 は 代 表 的 な 震 源 地 とマグニチュード 被 害 を 受 けた 国 際 拠 点 港 湾 及 び 重 要 港 湾 の 最 大 震 度 を 表 したものである ( 気 象 庁 の 公 表 資 料 より 国 土 交 通 省 港 湾 局 作 成 ) ( 交 通 政 策 審 議 会 港 湾 分 科 会 第 3 回 防 災 部 会 ) 図 1 震 源 地 マグニチュード 震 度 分 布 図 2 津 波 の 高 さ 及 び 到 達 時 間 2.2 津 波 の 高 さと 到 達 時 間 また 地 震 発 生 後 に 来 襲 した 大 津 波 は すさまじい 破 壊 力 を 持 って 沿 岸 に 押 し 寄 せ 多 くの 尊 い 命 を 奪 うなど 被 害 をさらに 深 刻 なものにした 被 害 が 甚 大 であった 青 森 県 八 戸 市 から 茨 城 県 までの 太 平 洋 沿 岸 地 域 における 主 要 な 港 に 来 襲 した 津 波 高 は 軒 並 み 3m を 超 えており 大 船 渡 港 の 港 奥 では 9.5m を 観 測 した 各 所 で 津 波 高 さが 防 波 堤 や 防 潮 堤 等 の 設 計 外 力 を 大 きく 上 回 り 背 後 地 や 施 設 に 甚 大 な 被 害 を 与 えた 図 2 は 各 港 の 津 波 の 高 さ 及 び 到 達 時 間 を 表 したものである 2

9 2.3 東 日 本 大 震 災 の 広 域 性 東 日 本 大 震 災 の 被 害 は 神 戸 港 以 外 の 大 阪 港 等 の 近 隣 港 湾 が 利 用 できた 阪 神 淡 路 大 震 災 と 違 い 青 森 県 八 戸 港 から 茨 城 県 鹿 島 港 の 南 北 500kmにわたる 広 範 囲 で 港 湾 機 能 が 一 時 全 面 的 に 停 止 したことから 東 北 一 円 の 生 活 産 業 に 必 要 な 物 資 が 入 ってこない 状 況 と なった マグニチュード 7.3 マグニチュード 9.0 最 大 震 度 7 最 大 震 度 7 死 者 6,434 人 ( 不 明 者 3 人 ) 死 者 15,883 人 ( 不 明 者 2,654 人 ) 赤 字 :ピーク 時 の 値 平 成 25 年 9 月 10 日 現 在 ( 国 土 交 通 省 四 国 地 方 港 湾 空 港 部 第 3 回 四 国 の 港 湾 における 地 震 津 波 対 策 検 討 会 議 資 料 を 修 正 ) 図 3 東 日 本 大 震 災 の 広 域 性 2.4 港 湾 施 設 の 被 害 状 況 東 北 地 方 は 以 前 から 港 湾 施 設 の 防 災 対 策 が 進 んでいた 地 域 であるにも 関 わらず 多 大 な 被 害 が 発 生 した 太 平 洋 側 の 重 要 港 湾 での 被 災 状 況 としては 八 戸 港 釜 石 港 大 船 渡 港 相 馬 港 などでは 津 波 により 第 一 線 防 波 堤 が 全 壊 あるいは 半 壊 した 石 巻 港 仙 台 塩 釜 港 小 名 浜 港 では 想 定 を 超 えた 地 震 外 力 と 液 状 化 による 岸 壁 のはらみ 出 し エプ ロンの 陥 没 等 が 発 生 している さらには 地 殻 変 動 によって 港 全 体 が 沈 下 し 施 設 機 能 が 損 なわれている 外 郭 施 設 や 係 留 施 設 等 も 数 多 く 存 在 し 太 平 洋 側 港 湾 全 域 が 甚 大 な 被 害 と なっている また 港 湾 を 直 撃 した 津 波 により 埠 頭 用 地 に 保 管 されていたコンテナや 材 木 等 が 多 数 散 乱 し その 一 部 は 海 上 に 流 出 するとともに 港 周 辺 の 車 両 や 係 留 船 舶 建 築 物 などと 合 わせて 航 路 泊 地 内 の 支 障 物 に 姿 を 変 える 事 態 となった 3

10 倒 壊 した 揚 炭 用 アンローダー 崩 壊 した 岸 壁 及 びエプロン 倒 壊 したベルトコンベアー 崩 壊 した 岸 壁 エプロン ( 出 典 : 国 土 交 通 省 東 北 地 方 整 備 局 ) 写 真 1 港 湾 施 設 の 被 害 状 況 4

11 2.5 津 波 による 漂 流 物 の 状 況 木 材 等 漁 具 漁 網 等 木 材 チップ 等 を 扱 う 岸 壁 では 蔵 置 さ れていた 木 材 やチップが 大 量 に 流 出 し 港 内 に 拡 散 した 船 舶 津 波 により 海 中 に 設 置 されていた 漁 網 筏 や 沿 岸 部 に 蔵 置 されていた 漁 具 も 大 量 に 流 出 した 自 動 車 漁 船 プレジャーボートのような 小 型 船 舶 を 中 心 として 係 留 中 の 船 舶 が 津 波 に より 流 出 した 瓦 礫 等 津 波 襲 来 時 に 浸 水 域 にあった 自 動 車 が 大 量 に 流 出 し 水 没 した コンテナ 地 震 や 津 波 により 損 壊 した 建 造 物 の 瓦 礫 等 が 津 波 で 流 出 し 沿 岸 部 に 拡 散 した コンテナを 取 り 扱 っていた 港 湾 ではヤー ド 上 に 蔵 置 されていた 物 が 大 量 に 流 出 し た 写 真 2 津 波 による 漂 流 物 の 状 況 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 東 北 地 方 整 備 局 ) 5

12 2.6 航 路 啓 開 作 業 の 実 績 航 路 啓 開 は 東 北 地 方 整 備 局 長 と 一 般 社 団 法 人 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 東 北 支 部 長 との 間 で 平 成 16 年 7 月 に 締 結 した 災 害 時 における 東 北 地 方 整 備 局 管 轄 区 域 の 災 害 応 急 対 策 に 関 する 協 定 に 基 づき 発 災 の 翌 日 に 同 協 会 に 協 力 要 請 し 津 波 警 報 が 解 除 された 後 の3 月 14 日 より 作 業 は 開 始 された 東 北 地 方 の 作 業 船 の 多 くが 被 災 し 啓 開 作 業 に 従 事 でき る 作 業 船 が 不 足 するなか 一 般 社 団 法 人 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 等 のネットワークにより3 月 14 日 には 近 畿 地 方 からの 船 団 が 東 北 被 災 港 湾 に 向 けて 出 港 した その 後 関 東 地 方 を はじめとする 全 国 各 地 からの 起 重 機 船 ガット 船 等 の 作 業 船 53 隻 が 続 々 入 港 し 東 北 管 内 の 在 場 船 (78 隻 15 船 団 )と 合 わせて37 船 団 体 制 で 各 港 湾 での 啓 開 作 業 にあたった 迅 速 な 航 路 啓 開 作 業 の 実 施 が 早 期 の 海 上 輸 送 の 回 復 や 迅 速 な 救 援 活 動 にその 効 果 を 発 揮 し 短 期 間 で 各 港 の 岸 壁 が 利 用 可 能 になった 図 4 主 要 港 における 航 路 等 の 啓 開 作 業 実 績 1) また 航 路 啓 開 作 業 に 続 き 岸 壁 や 防 波 堤 の 応 急 復 旧 が 進 み 主 要 航 路 が 再 開 されていっ た 図 5 主 要 航 路 の 再 開 実 績 1) 6

13 また 啓 開 作 業 の 一 例 として 仙 台 塩 釜 港 ( 仙 台 港 区 )では 津 波 警 報 解 除 後 に 直 ちに 測 量 作 業 を 開 始 し 区 域 を 限 定 して 段 階 的 に 航 路 啓 開 作 業 を 実 施 することで 港 湾 機 能 の 回 復 が 行 なわれていった この 方 法 は 須 崎 港 においても 参 考 になると 言 える 図 6 仙 台 塩 釜 港 の 航 路 警 戒 実 績 図 7 は 岸 壁 の 暫 定 水 深 と 緊 急 物 資 輸 送 船 の 必 要 水 深 の 関 係 を 示 したものである 啓 開 作 業 の 進 捗 にしたがって 水 深 が 必 要 なフェリーや 貨 物 船 等 の 大 型 船 の 入 港 が 可 能 にな っていったことが 分 かる 1) ( 出 典 : 国 土 交 通 省 四 国 地 方 整 備 局 港 湾 空 港 部 ) 図 7 仙 台 塩 釜 港 高 松 埠 頭 の 暫 定 水 深 と 緊 急 物 資 輸 送 船 の 必 要 水 深 との 関 係 7

14 須 崎 港 における 航 路 啓 開 作 業 について 考 える 上 で 東 日 本 大 震 災 の 航 路 啓 開 作 業 の 実 態 を 参 考 にする 為 に 一 般 社 団 法 人 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 を 通 じて 現 地 で 実 際 に 作 業 を 行 った 技 術 者 にヒアリングを 行 った また 日 本 港 湾 空 港 建 設 協 会 連 合 会 が 東 日 本 大 震 災 発 災 直 後 より 実 施 した 作 業 船 による 航 路 啓 開 作 業 の 実 態 調 査 結 果 2) の 一 部 を 参 考 資 料 として 以 下 に 示 す 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 表 1 東 日 本 大 震 災 航 路 啓 開 実 績 調 査 票 ( 大 船 渡 港 ) 区 分 項 目 ヒアリング 結 果 航 路 啓 開 実 施 港 資 機 材 等 の 調 達 航 路 啓 開 実 施 港 名 称 海 上 作 業 船 舶 作 業 対 象 : 水 深 測 定 漂 流 物 撤 去 大 船 渡 港 起 重 機 船 - 鋼 D200t 吊 り( 函 館 港 ) 鋼 D200t 吊 り 鋼 D70t 吊 り( 大 船 渡 港 ) 押 船 - 鋼 D1600PS( 函 館 港 ) 海 底 沈 降 物 撤 去 作 業 員 等 の 確 保 引 船 - 鋼 D800PS( 大 船 渡 港 ) 鋼 D500PS( 大 船 渡 港 ) 測 量 船 -5t 未 満 ( 大 船 渡 港 )- 測 深 機 :PDR-1200 水 先 船 - 引 船 鋼 D2500PS 引 船 鋼 D500PS 音 響 探 査 機 器 :PDR-1200-( 横 浜 )ナローマルチビーム 海 上 作 業 船 舶 従 事 者 - 大 阪 府 岩 手 県 北 海 道 潜 水 作 業 従 事 者 - 神 奈 川 県 岩 手 県 陸 上 作 業 従 事 者 - 請 負 会 社 職 員 は 全 国 から 確 保 水 深 測 量 資 機 材 - 音 響 探 査 機 器 作 業 員 A 海 上 作 業 船 舶 従 事 者 潜 水 作 業 従 事 者 作 業 員 B 陸 上 作 業 従 事 者 燃 料 食 料 品 水 の 確 保 A 重 油 1 盛 岡 ( 拠 点 ) (ローリー 運 搬 車 ) 大 船 渡 港 給 油 2 支 援 物 資 船 (メカ フロート: 大 型 浮 台 船 ) 大 船 渡 港 給 油 軽 油 灯 油 1 盛 岡 ( 拠 点 ) (ローリー 運 搬 車 ) 大 船 渡 港 給 油 食 料 品 水 1 作 業 船 出 発 港 で 調 達 2 請 負 者 職 員 社 内 ルートで 調 達 作 業 員 住 居 の 確 保 海 上 作 業 従 事 者 - 各 船 舶 で 停 泊 陸 上 作 業 従 事 者 - 請 負 者 職 員 ユニットハウスから 旅 館 作 業 船 停 泊 港 作 業 船 停 泊 港 大 船 渡 港 地 業 者 自 宅 また 避 難 場 所 通 信 機 器 衛 星 携 帯 : 種 類 : 配 備 衛 星 携 帯 ワイドスター1 台 指 示 命 令 系 統 指 示 命 令 系 統 1 釜 石 港 湾 事 務 所 2 海 保 3 岩 手 県 4 大 船 渡 市 5 漁 協 6 警 察 署 7 埋 浚 協 会 情 報 収 集 情 報 収 集 内 容 1 航 路 啓 開 作 業 方 針 2 啓 開 区 域 指 示 3 作 業 進 捗 報 告 4 水 深 確 保 確 認 5 航 路 解 放 確 認 ( 灯 浮 標 設 置 確 認 )6 異 常 地 点 報 告 7 入 出 港 船 舶 情 報 8 損 傷 船 舶 確 認 9 遺 体 安 置 情 報 調 整 会 議 場 所 出 席 : 組 織 議 題 場 所 大 船 渡 市 役 所 出 席 :1 東 北 地 整 2 海 保 3 岩 手 県 4 大 船 渡 市 議 題 :1 航 路 部 の 灯 浮 標 の 設 置 2 水 先 案 内 船 の 配 置 事 前 調 整 調 整 組 織 1 釜 石 港 湾 事 務 所 2 岩 手 県 ( 大 船 渡 土 木 センター)3 大 船 渡 市 ( 港 湾 経 済 部 ) 4 大 船 渡 市 漁 業 協 同 組 合 5 大 船 渡 警 察 署 6 東 北 汽 船 港 運 ( 株 ) 1 航 路 啓 開 水 域 現 況 確 認 ~ 工 事 ~ 出 来 方 確 認 ~ 完 成 ~ 水 深 確 認 ~ 供 用 開 始 までの 手 順 水 域 啓 開 優 先 順 位 ガレキ 集 積 場 国 県 担 務 海 域 区 分 2 暫 定 水 深 管 理 海 底 ガレキを 移 動 した 後 の 出 来 方 管 理 3 漂 流 物 撤 去 集 積 漂 流 物 区 分 漂 流 物 種 類 別 の 作 業 注 意 事 項 貴 重 品 撤 去 後 の 対 応 遺 体 確 認 後 の 対 応 4 水 没 物 撤 去 集 積 水 没 物 区 分 漂 流 物 種 類 別 の 作 業 注 意 事 項 車 撤 去 後 の 対 応 貴 重 品 撤 去 後 の 対 応 遺 体 確 認 後 の 対 応 5 安 全 対 策 航 路 啓 開 作 業 時 期 の 決 定 余 震 津 波 対 策 潜 水 作 業 安 全 対 -(ロープ ワイヤー 海 底 浮 遊 金 属 片 魚 網 流 木 ) 潜 水 時 漂 流 物 対 策 近 接 作 業 船 舶 接 触 防 止 対 策 作 業 許 可 手 続 き 作 業 許 可 手 続 き 海 上 保 安 部 への 申 請 無 し( 灯 浮 標 の 施 工 計 画 書 ) 緊 急 物 資 輸 送 緊 急 物 資 輸 送 1ブルーシート トン 袋 (2tトラック 使 用 ) 2 A 重 油 メガフロート 使 用 : 野 々 田 -13m 岸 壁 職 員 健 康 管 理 職 員 健 康 管 理 日 々の 健 康 確 認 - 朝 礼 時 体 調 確 認 放 射 能 に 対 する 安 全 対 策 特 になし 緊 急 時 の 搬 送 体 制 病 院 計 画 - 津 波 時 の 避 難 場 所 確 認 実 施 作 業 時 のストレス 対 応 特 になし 勤 務 体 制 1 緊 急 であるため 固 定 メンバーで 作 業 2 固 定 メンバーの 交 代 は 作 業 進 捗 により 実 施 作 業 船 舶 機 器 の 維 持 管 理 作 業 船 舶 機 器 の 維 持 管 理 メンテナンス 港 名 - 小 豆 島 港 メンテナンス 実 績 船 舶 ペラ 支 障 物 課 題 点 抽 出 課 題 点 抽 出 啓 開 作 業 範 囲 の 指 示 国 土 交 通 省 指 示 で 航 路 啓 開 実 施 したが 作 業 完 了 後 に 県 の 範 囲 となった 国 の 一 括 指 揮 のもとに 作 業 を 実 施 する 協 定 を 結 んでおくべきである 確 認 測 量 中 の 緊 急 物 資 輸 送 船 の 入 港 待 ち 航 路 啓 開 作 業 完 了 後 海 保 確 認 測 量 時 緊 急 物 資 輸 送 船 の 入 港 待 ち 確 認 迅 速 に 確 認 作 業 が 必 要 水 深 確 認 について 航 路 啓 開 作 業 完 了 後 の 確 認 測 量 結 果 で 全 域 設 計 水 深 以 下 の 場 合 でも 海 上 保 安 部 の 測 量 結 果 で 突 出 している 部 分 は 異 常 点 とみなされ 再 度 航 路 啓 開 を 実 施 した 事 前 に 左 記 ケース 処 置 について 取 り 決 めておくべき 8

15 表 2 東 日 本 大 震 災 航 路 啓 開 実 績 調 査 票 ( 釜 石 港 ) 区 分 項 目 ヒアリング 結 果 航 路 啓 開 実 施 港 航 路 啓 開 実 施 港 名 称 釜 石 港 資 機 材 等 の 調 達 海 上 作 業 船 舶 起 重 機 船 -160t 吊 り 北 日 本 海 事 ( 八 戸 港 ) 250t 吊 り 及 川 工 務 店 ( 釜 石 港 ) 作 業 対 象 : 水 深 測 定 漂 流 物 撤 去 海 引 船 -1,700PS 北 日 本 海 事 720P 及 川 工 務 店 底 沈 降 物 撤 去 ガット 船 -499t 服 部 回 漕 店 ( 千 葉 ) 監 視 船 規 格 -190PS 山 元 ( 釜 石 港 ) 測 量 船 -880PS 東 洋 建 設 - 測 深 機 器 名 称 :ナローマルチビーム 水 深 測 量 資 機 材 - 音 響 探 査 機 器 音 響 探 査 機 器 :ナローマルチビーム 日 本 ジタン 作 業 員 等 の 確 保 作 業 員 A 海 上 作 業 船 舶 従 事 者 潜 水 作 業 従 事 者 作 業 員 B 陸 上 作 業 従 事 者 燃 料 食 料 品 水 の 確 保 東 洋 建 設 社 内 ( 全 国 ) 作 業 員 住 居 の 確 保 海 上 作 業 従 事 者 - 各 船 舶 内 で 停 泊 陸 上 作 業 従 事 者 - 地 元 業 者 海 上 作 業 船 舶 従 事 者 -: 北 日 本 海 事 及 川 工 務 店 山 元 トマック 服 部 回 漕 店 潜 水 作 業 従 事 者 士 -コハラ 工 業 陸 上 作 業 従 事 者 - 山 元 作 業 船 停 泊 港 作 業 船 停 泊 港 釜 石 港 通 信 機 器 衛 星 携 帯 : 種 類 : 配 備 固 定 式 衛 星 電 話 および 船 舶 衛 星 電 話 指 示 命 令 系 統 指 示 命 令 系 統 1 東 北 地 方 整 備 局 2 海 保 等 関 係 者 3 埋 浚 協 会 情 報 収 集 情 報 収 集 内 容 啓 開 作 業 の 進 捗 状 況 調 整 会 議 場 所 出 席 : 組 織 議 題 場 所 東 北 地 方 整 備 局 釜 石 港 湾 事 務 所 出 席 : 東 北 地 整 埋 浚 ( 東 洋 建 設 ) 議 題 : 啓 開 作 業 の 進 捗 状 況 等 事 前 調 整 調 整 組 織 国 土 交 通 賞 釜 石 港 湾 事 務 所 1 航 路 啓 開 水 域 現 況 確 認 ~ 工 事 ~ 出 来 方 確 認 ~ 完 成 ~ 水 深 確 認 ~ 供 用 開 始 までの 手 順 水 域 啓 開 優 先 順 位 岸 壁 啓 開 優 先 順 位 ガレキ 集 積 場 2 暫 定 水 深 管 理 海 上 保 安 部 が 深 浅 測 量 を 実 施 した 3 漂 流 物 撤 去 集 積 漂 流 物 区 分 : 木 材 ( 原 木 ) 船 舶 家 屋 筏 大 敷 網 4 水 没 物 撤 去 集 積 水 没 物 区 分 : 港 湾 構 造 物 被 覆 ブロック 消 波 ブロック 基 礎 捨 て 石 船 舶 家 屋 車 漂 流 物 種 類 別 の 作 業 注 意 事 項 車 撤 去 後 の 対 応 貴 重 品 撤 去 後 の 対 応 管 理 5 安 全 対 策 潜 水 作 業 安 全 対 策 透 明 度 悪 い 場 合 の 安 全 対 策 漂 流 物 (ロープ ワイヤー 海 底 浮 遊 金 属 片 魚 網 流 木 ) 潜 水 時 漂 流 物 対 策 近 接 作 業 船 舶 接 触 防 止 対 策 作 業 許 可 手 続 き 作 業 許 可 手 続 き 作 業 船 舶 入 港 時 に 電 話 等 で 海 上 保 安 部 に 連 絡 のみ 緊 急 物 資 輸 送 緊 急 物 資 輸 送 該 当 なし 職 員 健 康 管 理 職 員 健 康 管 理 日 々の 健 康 確 認 特 になし 放 射 能 に 対 する 安 全 対 策 特 になし 緊 急 時 の 搬 送 体 制 病 院 計 画 特 になし 作 業 時 のストレス 対 応 特 になし 勤 務 体 制 回 答 無 し 作 業 船 舶 機 器 の 維 持 管 理 作 業 船 舶 機 器 の 維 持 管 理 メンテナンス 港 名 - 釜 石 港 メンテナンス 実 績 船 舶 ペラ 支 障 物 課 題 点 抽 出 課 題 点 抽 出 水 食 料 の 確 保 や 燃 料 の 確 保 が 非 常 に 大 変 であった 上 記 のヒアリング 結 果 より 以 下 のことが 分 かった 作 業 許 可 手 続 きについて 通 常 は 請 負 者 が 海 上 保 安 部 ( 港 長 )に 港 内 工 事 作 業 許 可 申 請 をして 許 可 が 出 てか らの 作 業 となることから 今 回 は 国 土 交 通 省 港 湾 事 務 所 が 一 括 して 協 議 したものと 推 察 される 啓 開 作 業 範 囲 の 指 示 について 作 業 の 途 中 や 終 了 後 に 発 注 側 の 管 轄 が 変 更 になった 事 例 があった 今 後 は 国 の 一 括 指 揮 のもとに 作 業 を 実 施 する 協 定 を 事 前 に 結 んでおくべきである 9

16 職 員 の 健 康 管 理 について 劣 悪 な 環 境 にも 関 わらず 特 に 目 立 った 対 策 もせずに 作 業 していたと 思 われる 南 海 トラフ 巨 大 地 震 を 想 定 したときにこの 事 例 を 踏 まえ 健 康 管 理 にかかるガイドラインを 予 め 作 成 しておくべきである また PTSD( 心 的 外 傷 後 ストレス 障 害 )は 工 事 完 了 後 に 発 症 する 場 合 もあり 完 治 が 困 難 であることから 事 前 の 予 防 対 策 が 必 要 である 深 浅 測 量 に 用 いる 水 準 点 について 震 災 後 は 液 状 化 による 地 盤 沈 下 や 横 揺 れによる 水 平 変 位 が 発 生 し 既 設 水 準 点 が 使 え ない 迅 速 な 啓 開 作 業 を 行 って 一 日 でも 早 く 緊 急 物 資 等 の 受 入 れを 行 うためには 深 浅 測 量 の 基 準 となる 水 準 点 を 新 たに 請 負 者 が GPS を 用 いて 簡 易 に 設 置 管 理 できる 体 制 作 りが 必 要 である 10

17 日 本 港 湾 空 港 建 設 協 会 連 合 会 (1) 作 業 に 従 事 した 使 用 船 舶 の 船 種 及 び 隻 数 啓 開 作 業 にあたった 作 業 船 の 総 隻 数 は 表 2 のように 55 隻 であり その 内 訳 は クレ ーン 付 台 船 4 隻 起 重 機 船 46 隻 グラブ 船 5 隻 であった 表 3 作 業 に 従 事 した 使 用 船 舶 の 船 種 及 び 隻 数 港 名 クレーン 付 台 船 起 重 機 船 グラブ 船 合 計 八 戸 港 1 隻 5 隻 6 隻 久 慈 港 4 隻 4 隻 宮 古 港 2 隻 1 隻 3 隻 釜 石 港 4 隻 4 隻 大 船 渡 港 4 隻 1 隻 5 隻 気 仙 沼 港 4 隻 4 隻 石 巻 港 4 隻 4 隻 仙 台 塩 釜 港 11 隻 1 隻 12 隻 相 馬 港 3 隻 3 隻 小 名 浜 港 2 隻 3 隻 1 隻 6 隻 その 他 1 隻 2 隻 1 隻 4 隻 合 計 4 隻 46 隻 5 隻 55 隻 9% 7% クレーン 付 台 船 起 重 機 船 グラブ 船 84% 図 8 作 業 に 従 事 した 使 用 船 舶 の 船 種 割 合 11

18 (2) 使 用 船 舶 の 基 地 港 基 地 港 については 被 災 港 湾 を 基 地 港 としていた 作 業 船 は 55 隻 中 30 隻 と 55% 程 度 で あり 被 災 しなかった 東 北 管 内 の 別 の 港 からの 作 業 船 3 隻 を 合 わせても 33 隻 と 60%で あった 4 割 は 東 北 管 外 から 広 域 的 な 連 携 により 応 援 で 駆 けつけた 作 業 船 となっている 表 4 使 用 船 舶 の 基 地 港 港 名 在 港 東 北 管 内 応 援 東 北 管 外 応 援 合 計 八 戸 港 4 隻 2 隻 6 隻 久 慈 港 4 隻 4 隻 宮 古 港 1 隻 2 隻 3 隻 釜 石 港 2 隻 2 隻 4 隻 大 船 渡 港 3 隻 2 隻 5 隻 気 仙 沼 港 2 隻 2 隻 4 隻 石 巻 港 2 隻 2 隻 4 隻 仙 台 塩 釜 港 2 隻 3 隻 7 隻 12 隻 相 馬 港 1 隻 1 隻 1 隻 3 隻 小 名 浜 港 3 隻 1 隻 2 隻 6 隻 その 他 0 隻 2 隻 2 隻 4 隻 合 計 22 隻 11 隻 22 隻 55 隻 40% 40% 在 港 東 北 管 内 応 援 東 北 管 外 応 援 20% 図 9 使 用 船 舶 の 基 地 港 の 割 合 (3) 回 航 距 離 回 航 距 離 については 300km 超 が 最 も 多 く 次 いで 0km と 300km 以 内 が 多 いことがわか る 100km を 超 える 回 航 距 離 となった 船 は 半 数 近 くとなった 中 には 1000km を 超 える 場 合 もあった このことからも 啓 開 作 業 において 現 地 の 作 業 船 だけでは 足 らず 遠 隔 地 からも 応 援 が 来 ていたことが 伺 える 12

19 表 5 使 用 船 舶 の 回 航 距 離 0km 11 隻 10km 以 内 5 隻 50km 以 内 9 隻 100km 以 内 1 隻 300km 以 内 11 隻 300km 超 16 隻 不 明 2 隻 29% 20% 4% 2% 20% 9% 16% 0km 10km 以 内 50km 以 内 100km 以 内 300km 以 内 300km 超 不 明 図 10 使 用 船 舶 の 回 航 距 離 の 割 合 (4) 使 用 船 舶 の 建 造 年 建 造 年 については 1992 年 以 前 が 12 隻 と 25%を 占 め 1993 年 ~2002 年 が 35 隻 で 73% であった 2003 年 以 降 建 造 の 船 は 1 隻 にすぎない 現 時 点 で 同 様 の 震 災 が 起 こった 場 合 標 準 使 用 年 数 20 年 ( 船 舶 および 機 械 器 具 の 損 料 算 定 基 準 )を 過 ぎると 利 用 できな いと 単 純 に 仮 定 すると 今 回 啓 開 作 業 を 行 った 船 舶 は 7~8 割 程 度 しか 作 業 ができない ことになる 10 年 後 に 同 様 の 震 災 が 起 こった 場 合 今 回 啓 開 作 業 を 行 った 船 のうち 作 業 ができるのは 約 20%(1 隻 )しか 残 っていない 表 6 使 用 船 舶 の 建 造 年 2% 1992 年 以 前 12 隻 25% 1993~2002 年 35 隻 1992 年 以 前 2003 年 以 降 1 隻 図 11 使 用 船 舶 の 建 造 1993~2002 年 の 割 合 年 73% 2003 年 以 降 (5) 作 業 内 容 航 路 確 保 及 び 接 岸 岸 壁 の 確 保 (4 件 ) 移 動 してしまった 航 路 標 識 の 撤 去 再 設 置 (2 件 ) 浮 桟 橋 鋼 管 杭 の 撤 去 (1 件 ) 海 中 障 害 物 ( 瓦 礫 ) 撤 去 (1 件 ) 船 舶 船 舶 用 のアンカーの 引 き 揚 げ(9 件 ) 車 両 トラッククレーン 水 門 門 扉 自 販 機 などの 引 き 揚 げ(12 件 ) L 型 ブロック 消 波 ブロックの 引 き 揚 げ(2 件 ) 浮 遊 物 ( 漁 船 排 砂 管 流 木 養 殖 施 設 漁 具 等 ) 回 収 (18 件 ) 岸 壁 堤 防 上 に 打 ち 上 げられた 物 の 撤 去 (コンテナ 車 両 材 木 養 殖 棚 他 )(4 件 ) 13

20 (6) 運 転 日 数 運 転 日 数 については 10 日 以 内 が 最 も 多 く 30 日 以 内 で 大 半 の 作 業 が 終 了 したこと が 見 受 けられる また 運 転 日 数 の 平 均 は 33 日 となっており 前 の 項 目 の 工 期 と 比 較 す ると 実 働 日 数 よりも 長 く 拘 束 された 傾 向 が 伺 える これにより 待 機 費 用 の 問 題 も 深 刻 で あった 表 7 運 転 日 数 10 日 以 内 18 隻 11~20 日 13 隻 21~30 日 8 隻 31~50 日 5 隻 51~100 日 5 隻 100 日 超 3 隻 不 明 3 隻 9% 9% 15% 5% 5% 33% 10 日 以 内 11~20 日 21~30 日 31~50 日 51~100 日 24% 100 日 超 不 明 図 12 運 転 日 数 の 割 合 (7) 作 業 船 の 修 理 などのトラブルの 有 無 表 8 修 理 などのトラブルの 有 無 大 規 模 な 修 理 が 発 生 した 軽 微 な 修 理 が 必 要 であった 特 になし 5 件 15 件 43 件 1 大 規 模 な 修 理 の 具 体 的 な 修 理 内 容 船 底 の 修 理 船 尾 スクリューの 破 損 グラブバケットの 破 損 押 船 のプロペラの 変 形 2 軽 微 な 修 理 の 具 体 的 な 修 理 内 容 グラブバケットの 破 損 クレーン 故 障 サイドスラスターの 詰 まり プロペラにロープが 巻 き 込 まれる (8) 燃 料 の 確 保 の 支 障 の 有 無 燃 料 の 確 保 については 支 障 があったのが 17 件 で 全 体 の 27%であり 港 湾 の 被 災 の 内 容 によって 左 右 される 結 果 となった 特 に 宮 古 港 釜 石 港 大 船 渡 港 石 巻 港 では 支 障 が 多 かった 理 由 としては 現 地 の 燃 料 施 設 や 岸 壁 が 被 災 して 給 油 できなかったから であり その 対 応 策 としては 自 力 では 他 の 船 舶 の 燃 料 を 融 通 したり 基 地 港 や 他 港 に 移 動 して 調 達 したりしている また 国 交 省 が 所 有 する 官 営 船 が 燃 料 補 給 を 行 なったり 14

21 一 般 社 団 法 人 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 がタンカー 船 やバンカー 船 を 手 配 して 燃 料 補 給 を 行 っ たりしたことは 今 後 の 参 考 になると 考 えられる (9) 作 業 船 に 標 準 装 備 していれば 便 利 な 機 能 調 査 結 果 として 次 のような 装 備 が 挙 げられた ナローマルチビーム 測 深 器 測 深 器 (ソナー 音 響 魚 探 ) GPS 作 業 船 誘 導 シス テム スパッド 式 係 留 装 置 スクリュー 巻 き 込 み 防 止 装 置 オレンジピール 型 グラブバ ケット 衛 星 電 話 (ワイドスター インマルサット) 無 線 機 器 壊 れやすい 部 品 及 び 消 耗 品 の 在 庫 テレビカメラ 非 常 食 水 (10)その 他 の 意 見 や 要 望 ( 関 係 機 関 との 調 整 について) 関 係 機 関 と 作 業 関 係 者 との 連 絡 は 携 帯 電 話 によるものであったが 今 後 は 衛 星 電 話 や 無 線 の 設 置 と 電 源 確 保 が 必 要 と 感 じた 港 長 施 設 管 理 者 及 び 啓 開 作 業 者 との 作 業 範 囲 ( 優 先 施 設 )や 指 揮 系 統 等 の 綿 密 な 調 整 協 議 は 必 ず 必 要 である 何 を 優 先 的 に 行 うかを 事 前 に 決 めておくべきだ ( 事 前 のシミュレーションが 必 要 ) 海 上 保 安 部 港 湾 管 理 者 とどこまで 啓 開 を 行 うのか( 確 保 する 水 深 など)が 協 議 さ れていないと 際 限 がない 港 湾 管 理 者 海 上 保 安 部 警 察 署 国 交 省 の 合 同 会 議 に 参 加 させてもらい 翌 日 の 作 業 範 囲 の 確 認 が 出 来 た ( 居 住 区 の 確 保 について) 専 用 の 住 居 設 備 がない 作 業 船 は 長 期 間 の 滞 在 に 耐 えられない 技 術 職 員 の 宿 泊 施 設 がなく 作 業 船 での 宿 泊 となった 携 帯 電 話 やパソコンへの 電 気 供 給 の 問 題 もあるので 災 害 時 は 旅 客 船 等 を 現 地 に 配 置 し 技 術 職 員 用 の 基 地 とす ればよい 起 重 機 船 の 船 員 は 居 住 区 があるが 潜 水 関 係 作 業 員 の 居 住 区 の 確 保 が 困 難 であった ( 災 害 応 急 対 策 協 定 について) 災 害 協 定 ( 直 轄 海 上 保 安 部 管 理 者 漁 組 埋 立 浚 渫 協 会 等 )での 災 害 時 の 初 動 対 応 についての 確 認 ( 啓 開 作 業 における 留 意 事 項 について) 震 災 後 しばらくは 濁 りが 消 えず 潜 水 作 業 及 び 調 査 は 非 常 に 危 険 である また 想 像 していない 場 所 まで 消 波 ブロックが 飛 散 している 所 もあったので ナローマル チビーム 等 で 海 底 の 被 災 状 況 を 把 握 してから 作 業 を 開 始 することが 効 率 的 であり 安 全 面 からも 必 要 である 作 業 中 海 上 保 安 部 や 警 察 発 注 者 を 現 地 に 呼 ばなければならない 事 もあり 度 々 作 業 が 中 断 した やむをえず 作 業 を 中 断 した 場 合 の 待 機 料 を 別 に 算 出 できないか 15

22 ( 作 業 船 の 今 後 について) 保 有 船 舶 の 老 朽 化 が 進 んでおり 今 後 の 震 災 に 対 して 協 力 できるか 不 安 である 自 由 意 見 をまとめると 啓 開 作 業 における 関 係 機 関 との 協 議 の 重 要 性 作 業 員 や 監 督 職 員 の 居 住 区 確 保 の 必 要 性 災 害 協 定 におけるシミュレーションを 利 用 した 作 業 範 囲 や 指 揮 命 令 系 統 の 事 前 確 認 の 必 要 性 啓 開 作 業 における 待 機 費 用 の 扱 い 災 害 時 には 作 業 船 も 被 災 する 作 業 船 の 老 朽 化 による 今 後 の 不 安 などが 課 題 として 挙 げら れた 2.7 救 援 物 資 輸 送 の 実 績 発 災 直 後 は 東 北 自 動 車 道 をはじめとする 東 北 管 内 の 主 要 幹 線 道 路 が 一 時 通 行 不 能 と なり 救 援 物 資 の 受 け 入 れや 燃 料 油 等 の 搬 送 ルートの 確 保 が 急 務 となっていた このた め 東 北 地 方 整 備 局 は 被 災 地 の 復 旧 復 興 のための 緊 急 輸 送 道 路 網 を 確 保 する くしの 歯 作 戦 (Operation Comb)を 展 開 し 道 路 啓 開 を 行 うとともに 海 上 輸 送 による 大 量 の 救 援 物 資 の 受 け 入 れを 行 うべく 支 援 船 を 接 岸 できるようにするための 海 面 浮 遊 物 除 去 航 路 内 の 支 障 物 を 揚 収 する 航 路 啓 開 を 緊 急 復 旧 事 業 として 実 施 した その 結 果 航 路 啓 開 作 業 や 岸 壁 応 急 復 旧 作 業 の 進 捗 に 伴 って 各 港 では 緊 急 物 資 の 輸 送 や 陸 揚 げが 可 能 となり 3 月 21 日 ( 発 災 10 日 後 )には 第 1 船 のオイルタンカーが 仙 台 塩 釜 港 に 入 港 し 被 災 地 の 燃 料 不 足 の 解 消 に 大 きく 貢 献 した また 海 域 からの 救 援 物 資 輸 送 実 績 の 一 例 として 発 災 後 初 期 の 段 階 では 被 災 地 の 各 港 に 障 害 物 があったため 国 土 交 通 省 と 一 般 社 団 法 人 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 や 港 湾 工 事 業 者 等 が 組 織 する 各 協 会 が 協 力 し 障 害 物 の 撤 去 除 去 を 行 い 完 了 後 にそのまま 入 港 して 救 援 物 資 を 陸 揚 げした 事 例 もあった 図 13 大 型 船 による 救 援 物 資 輸 送 実 績 3) 16

23 第 3 章 須 崎 港 について 3.1 自 然 的 条 件 位 置 須 崎 港 は 土 佐 湾 のほぼ 中 央 高 知 市 の 西 約 30km 北 緯 33 度 24 分 東 経 133 度 17 分 にあ りの 須 崎 市 の 中 心 に 位 置 している 地 形 海 岸 は 沈 降 海 岸 の 特 色 を 示 すリアス 式 海 岸 の 典 型 をみせ 切 り 立 った 断 崖 を 形 成 して おり 深 く 湾 入 する 須 崎 港 は 水 深 が 深 く 天 然 の 良 港 をなし 外 港 は 戸 島 中 ノ 島 神 島 が 点 在 し 野 見 湾 をつくり 養 殖 漁 業 が 盛 んである また 南 東 部 には 横 浪 三 里 の 名 で 知 られる 浦 ノ 内 湾 があり 半 島 には 横 浪 黒 潮 ラインが 縦 走 している 気 候 須 崎 市 は 北 に 四 国 山 脈 を 背 負 い 南 は 黒 潮 の 流 れる 太 平 洋 に 面 しているため 温 暖 多 湿 で 平 均 気 温 は 約 16 度 に 昇 り 雨 量 は 全 国 最 高 部 に 属 し 年 間 2,500ミリを 記 録 する 冬 期 の 降 雪 は 極 めて 少 なく 北 西 の 季 節 風 が 多 い 高 温 多 湿 で 作 物 の 育 成 には 好 適 な 気 象 条 件 であるが 毎 年 6 月 から10 月 下 旬 にかけて 大 雨 を 伴 った 低 気 圧 の 通 過 経 路 に 位 置 するため 風 雨 による 災 害 が 発 生 している 津 波 に 対 する 条 件 須 崎 市 は 県 内 有 数 の 長 い 海 岸 線 を 有 し その 海 岸 線 は 沈 降 海 岸 の 特 色 を 示 すリアス 式 海 岸 となっている このような 状 況 により 津 波 に 対 しては 非 常 に 弱 く 津 波 の 来 襲 と なれば 過 去 の 記 録 からもわかるように 幾 度 となく 甚 大 な 被 害 を 被 っている このよ うな 津 波 のほとんどは 土 佐 沖 約 100kmにある 南 海 トラフを 震 源 とするものである 3.2 沿 革 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 高 知 港 湾 空 港 整 備 事 務 所 ) 17

24 3.3 周 辺 の 主 要 立 地 企 業 企 業 名 日 鉄 鉱 業 事 業 概 要 及 び 港 湾 利 用 状 況 高 知 県 仁 淀 川 町 に 位 置 し 日 本 一 の 生 産 量 を 誇 る 鳥 形 山 鉱 山 で 採 掘 された 石 灰 石 を 延 長 23km のベルトコンベアー(24 時 間 フル 稼 働 )により 須 崎 港 に 運 搬 している 専 用 運 搬 船 に より 純 度 の 高 い 石 灰 石 をオーストラリア 台 湾 香 港 等 に 輸 出 し 関 東 関 西 に 移 出 して いる また 住 友 大 阪 セメント 高 知 工 場 で 使 用 する 石 灰 石 の 約 8 割 を 供 給 している 住 友 大 阪 セメント 年 間 約 360 万 トンのセメントを 製 造 しており 原 料 の 石 灰 石 を 日 鉄 鉱 業 須 崎 工 場 福 岡 県 山 口 県 から 移 入 している また 燃 料 の 石 炭 をロシア 等 から 輸 入 し 製 造 したセメントを 韓 国 シンガポールへ 輸 出 し 関 東 中 部 地 方 へ 移 出 している 須 崎 木 材 工 業 団 地 白 石 工 業 ニュージーランドから 輸 入 した 木 材 を 梱 包 用 に 加 工 し 主 に 京 阪 神 方 面 へ 移 出 している コークスを 北 九 州 から 移 入 し 炭 酸 カルシウムを 製 造 している 図 14 須 崎 港 周 辺 の 主 要 立 地 企 業 位 置 図 3) 18

25 3.4 取 扱 貨 物 量 須 崎 港 の 背 後 には 日 本 一 の 石 灰 石 の 生 産 量 を 誇 る 鳥 形 山 鉱 山 を 有 しており 国 内 外 に 搬 出 している また セメント 工 場 や 木 材 工 業 団 地 が 立 地 し 我 が 国 の 基 幹 産 業 と 地 域 経 済 活 動 に 大 きく 貢 献 している 平 成 24 年 の 総 取 扱 貨 物 量 は 約 1,695 万 トンであった 図 15 須 崎 港 の 年 間 取 扱 貨 物 量 内 訳 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 高 知 港 湾 空 港 整 備 事 務 所 資 料 ) 図 16 に 須 崎 港 の 総 取 扱 貨 物 量 の 推 移 を 示 すが 過 去 15 年 を 見 る 限 り 安 定 した 取 扱 貨 物 量 で 推 移 している 図 16 須 崎 港 の 総 取 扱 貨 物 量 の 推 移 3) 3.5 水 産 業 須 崎 湾 及 び 土 佐 湾 沿 岸 では 機 船 船 曳 網 定 置 網 刺 し 網 釣 延 縄 漁 業 潜 水 漁 業 な ど 漁 協 ごとに 多 種 の 漁 業 が 営 まれており 特 にマダイやハマチの 養 殖 が 盛 んに 行 われ ている 深 浦 池 の 浦 久 通 大 谷 野 見 須 崎 釣 錦 浦 須 崎 町 の 計 7 漁 業 共 同 組 合 に 属 する 正 准 組 合 員 数 は 1,370 名 ( 平 成 20 年 現 在 )を 数 え 水 産 業 が 基 幹 産 業 とな っている 注 目 すべきは 養 殖 筏 の 非 常 に 多 いことである 須 崎 港 の 東 側 に 位 置 する 野 見 湾 内 には 無 数 の 筏 が 設 置 されており 南 海 トラフ 巨 大 地 震 による 津 波 が 発 生 した 場 合 は 多 くの 筏 が 流 され 押 波 や 引 波 により 湾 内 に 漂 流 することになるであろう 東 日 本 大 震 災 では 養 殖 施 設 (いかだ ロープ 浮 き 玉 等 )が 738 億 円 養 殖 物 ( 育 成 途 中 の 魚 類 貝 類 藻 類 等 )が 597 億 円 の 被 害 額 となっており 須 崎 においても 高 さ 2.8m の 津 波 により 26 億 円 もの 被 害 を 生 じさた 19

26 写 真 3 野 見 湾 の 養 殖 筏 設 置 状 況 3.6 荷 役 等 岸 壁 等 の 整 備 状 況 須 崎 港 内 には 公 共 民 間 を 含 め 岸 壁 8 箇 所 ドルフィン5 箇 所 物 揚 場 5 箇 所 桟 橋 1 箇 所 の 計 19 箇 所 の 係 留 設 備 が 存 在 し 港 湾 荷 役 事 業 者 や 漁 業 関 係 者 公 共 工 事 関 係 者 に より 頻 繁 に 使 用 されている 港 町 地 区 の5,000トン 級 岸 壁 は 昭 和 40 年 代 前 半 に 整 備 され たもので 老 朽 化 が 進 んでいる 重 量 トン 数 は 港 湾 の 施 設 の 技 術 上 の 基 準 における 貨 物 船 の 標 準 値 図 17 須 崎 港 の 荷 役 等 岸 壁 等 の 位 置 図 20

27 耐 震 強 化 岸 壁 の 現 状 については 国 が 1973 年 に 静 岡 県 清 水 港 で 全 国 初 の 耐 震 強 化 岸 壁 を 整 備 して 以 来 H23.4 末 時 点 で 全 国 の 平 均 整 備 率 は 66%(223 箇 所 )となっている 重 要 港 湾 のうち 61%は 整 備 が 完 了 しておらず 中 四 国 九 州 では 特 に 整 備 が 遅 れている 須 崎 港 においては 平 成 11 年 に 港 湾 計 画 を 改 定 し 港 町 地 区 に 延 長 130m の 耐 震 強 化 岸 壁 (-7.5m)の 整 備 計 画 を 盛 り 込 んでいるが 未 だに 整 備 には 着 手 されていない 恐 らく 予 算 の 関 係 上 湾 口 防 波 堤 の 粘 り 強 い 化 が 完 了 した 後 に 整 備 されるものと 思 われるが 港 内 の 岸 壁 は 至 る 所 で 老 朽 化 が 進 んでいることから 発 災 後 の 状 況 を 考 えると 一 日 も 早 い 整 備 に 期 待 したい また このような 状 況 は 地 方 の 港 湾 のみならず 漁 港 においても 同 様 の 状 況 である 図 18 我 が 国 の 耐 震 強 化 岸 壁 の 整 備 状 況 4) 21

28 3.7 湾 口 津 波 防 波 堤 昭 和 58 年 に 近 い 将 来 高 い 確 率 での 発 生 が 予 測 される 東 南 海 南 海 地 震 の 津 波 によ る 市 街 地 の 被 害 の 軽 減 や 太 平 洋 からの 荒 波 を 防 ぎ 港 湾 機 能 を 向 上 させる 事 を 目 的 に 湾 口 部 の 津 波 防 波 堤 建 設 を 盛 り 込 んだ 港 湾 計 画 が 策 定 された 平 成 21 年 に 西 防 波 堤 (480m)が 完 成 し 現 在 では 東 防 波 堤 (940m)のうち 880m が 完 成 している また 今 年 度 から 東 日 本 大 震 災 の 経 験 を 生 かし 防 波 堤 背 後 の 腹 付 石 による 基 礎 マウンドの 拡 幅 や 嵩 上 げによるケーソンの 滑 動 抑 制 や 上 部 コンクリート 改 良 と 被 覆 ブロックによる 防 波 堤 背 後 の 洗 掘 防 止 により 防 波 堤 の 粘 り 強 い 化 に 着 手 している 西 防 波 堤 東 防 波 堤 写 真 4 湾 口 地 区 津 波 防 波 堤 の 現 況 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 資 料 ) 図 19 湾 口 地 区 津 波 防 波 堤 の 断 面 構 造 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 資 料 ) 22

29 第 4 章 南 海 トラフ 巨 大 地 震 とは 4.1 過 去 の 南 海 大 地 震 等 の 被 害 表 7 に 過 去 の 高 知 県 に 大 きな 被 害 をもたらせた 大 地 震 の 記 録 を 示 す 表 9 過 去 に 起 きた 南 海 大 地 震 の 被 害 発 生 年 月 日 地 震 名 称 規 模 (M) 被 害 の 概 要 684 年 11 月 29 日 白 鳳 の 地 震 8.4 山 崩 れ 川 湧 き 家 屋 社 寺 の 倒 壊 人 畜 の 死 傷 多 数 津 波 襲 来 土 佐 の 船 多 数 沈 没 土 佐 で 田 園 12km 2 海 中 に 沈 む 887 年 8 月 26 日 仁 和 の 地 震 8.6 京 都 の 民 家 官 庁 の 倒 壊 多 く 圧 死 多 数 津 波 が 沿 岸 を 襲 い 溺 死 多 数 摂 津 で 被 害 最 大 余 震 が 8 月 末 まで 続 いた 1099 年 2 月 22 日 康 和 の 地 震 8.0 興 福 寺 西 金 堂 壊 れ 大 門 が 倒 れた 土 佐 で 田 千 余 町 皆 海 底 に 沈 む 津 波 があった らしい 1361 年 8 月 3 日 正 平 の 地 震 8.4 山 城 摂 津 より 紀 州 熊 野 に 至 る 諸 堂 倒 壊 破 損 多 かった 津 波 被 害 は 摂 津 土 佐 阿 波 で 多 く 阿 波 由 岐 湊 で 流 出 1,700 戸 流 死 60 人 余 余 震 多 数 南 海 トラフ 沿 いの 巨 大 地 震 と 思 われる 1605 年 2 月 3 日 慶 長 地 震 7.9 震 害 の 記 録 としては 淡 路 島 安 坂 村 千 光 寺 で 諸 堂 倒 れ 仏 像 が 飛 び 散 る 津 波 は 犬 吠 岬 より 九 州 に 至 り 八 丈 島 で 死 者 57 人 三 崎 で 溺 死 者 153 人 浜 名 湖 付 近 の 橋 本 で 100 戸 中 80 戸 流 出 し 死 者 多 く 紀 州 西 岸 広 村 で 1,700 戸 中 700 戸 流 出 阿 波 鞆 浦 で 波 高 10 丈 死 者 100 人 余 宍 喰 で 波 高 2 丈 死 者 1,500 人 余 室 戸 岬 付 近 で 400 人 余 九 州 では 大 隅 より 薩 摩 に 大 波 が 寄 せ 死 者 があっ た 1707 年 10 月 28 日 宝 永 地 震 8.6 わが 国 最 大 級 の 地 震 の 一 つ 全 体 で 少 なくとも 死 者 2 万 潰 家 6 万 流 出 2 万 震 害 は 東 海 道 伊 勢 湾 紀 伊 半 島 で 最 も 酷 く 津 波 が 紀 伊 半 島 から 九 州 までの 太 平 洋 沿 岸 や 瀬 戸 内 海 を 襲 った 津 波 の 被 害 は 土 佐 が 最 大 室 戸 串 本 御 前 崎 で 1~2m 隆 起 し 高 知 市 中 西 部 の 約 20km 2 が 最 大 2m 沈 下 した 土 佐 で 流 家 11,170 死 者 1,884 人 波 高 は 種 崎 23m( 溺 死 700 余 ) 久 礼 25.7m 遠 州 灘 沖 及 び 紀 伊 半 島 沖 で 二 つの 巨 大 地 震 が 同 時 に 起 こったとも 考 えられる 1854 年 12 月 24 日 安 政 南 海 地 震 8.4 安 政 東 海 地 震 (8.4)の 32 時 間 後 被 害 は 近 畿 中 国 四 国 九 州 東 海 の 一 部 に 及 び 津 波 は 房 総 から 九 州 に 至 る 海 岸 を 襲 った 全 壊 2 万 戸 半 壊 4 万 戸 焼 失 6 千 戸 流 失 1.5 万 戸 死 者 約 3 千 人 波 高 は 久 礼 16.1m 種 崎 11m 室 戸 3,3m 宍 喰 5~6m 室 戸 紀 伊 半 島 は 南 上 がりの 傾 動 を 示 し 室 戸 串 本 で 1.2m 隆 起 甲 浦 加 太 で 約 1.2m 沈 下 した 1946 年 12 月 21 日 昭 和 南 海 地 震 8.0 被 害 は 中 部 以 西 日 本 各 地 にわたり 死 者 1,330 人 行 方 不 明 者 102 人 家 屋 全 壊 11,592 戸 半 壊 23,487 戸 流 失 1,451 戸 浸 水 33,093 戸 焼 失 2,598 戸 船 舶 破 損 流 失 2,991 隻 津 波 は 静 岡 県 より 九 州 に 至 る 海 岸 に 来 襲 し 高 知 三 重 徳 島 沿 岸 で 4~6m に 達 した 室 戸 紀 伊 半 島 は 南 上 がりの 傾 動 を 示 し 室 戸 で 1.27m 潮 岬 で 0.7m 上 昇 須 崎 甲 浦 で 1.0m 沈 下 高 知 付 近 で 田 園 15km 2 が 海 面 下 に 没 した ( 須 崎 市 の 被 害 : 死 者 不 明 者 61 人 傷 者 140 人 全 壊 198 戸 半 壊 563 戸 流 失 168 戸 浸 水 1,315 戸 消 失 9 戸 ) 1960 年 5 月 23 日 チリ 地 震 津 波 日 2 時 頃 から 津 波 が 日 本 沿 岸 に 来 襲 波 高 は 三 陸 沿 岸 5~6m その 他 で 3~ 4m 北 海 道 沿 岸 三 陸 沿 岸 志 摩 半 島 付 近 で 被 害 大 死 者 119 人 不 明 20 人 家 屋 全 壊 1,571 人 半 壊 2,183 戸 流 失 1,259 戸 ( 須 崎 市 の 被 害 : 家 屋 全 壊 17 戸 半 壊 35 戸 流 失 2 戸 床 上 浸 水 617 戸 ) ( 出 典 : 須 崎 市 防 災 会 議 須 崎 市 地 域 防 災 計 画 震 災 対 策 編 ( 一 部 修 正 )) 23

30 4.2 今 後 発 生 が 予 想 される 巨 大 地 震 の 被 害 想 定 南 海 トラフを 震 源 とする 巨 大 地 震 は M8~M9クラスの 規 模 で 今 後 30 年 に60~70%の 確 率 で 発 生 すると 予 想 されている 南 海 トラフ 巨 大 地 震 が 発 生 した 場 合 について 国 土 交 通 省 四 国 地 方 整 備 局 が 実 施 した 津 波 シミュレーションにおける 四 国 の 代 表 港 の 津 波 高 ( 津 波 による 水 位 上 昇 値 )を 以 下 の 図 19に 示 す 須 崎 港 の 湾 口 防 波 堤 沖 では 最 大 クラス の 場 合 11.2m 発 生 頻 度 の 高 い 津 波 で8.3mという 結 果 になっており 須 崎 港 では 四 国 最 大 クラスの 津 波 が 襲 来 する 結 果 となっている 初 期 水 位 は 朔 望 平 均 満 潮 位 (H.W.L.) 図 20 南 海 トラフ 巨 大 地 震 における 各 港 の 津 波 予 想 高 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 四 国 地 方 整 備 局 発 表 資 料 ) 津 波 による 資 産 被 害 及 び 経 済 被 害 については 内 閣 府 が 平 成 25 年 3 月 18 日 に 公 表 した 内 容 によると 全 国 では 約 220 兆 円 で 平 成 24 年 度 国 家 予 算 の2 倍 以 上 平 成 23 年 度 GDP( 名 目 ) の 約 50%となっており 高 知 県 の 被 害 額 は 約 10.6 兆 円 と 試 算 されている また 全 国 の 港 湾 施 設 被 害 額 は20 兆 円 と 推 測 されており 全 体 の 約 1 割 を 占 める 平 成 25 年 5 月 15 日 に 高 知 県 が 発 表 した 被 害 想 定 は 以 下 の 通 りである (1) 被 害 想 定 に 用 いた 地 震 津 波 被 害 想 定 の 対 象 とする 地 震 津 波 は 最 大 クラスの 地 震 津 波 と 発 生 頻 度 の 高 い 一 定 程 度 の 地 震 津 波 とする L1: 発 生 頻 度 の 高 い 一 定 程 度 の 地 震 津 波 ( 平 成 24 年 12 月 10 日 公 表 ) 平 成 15 年 度 に 県 が 公 表 した 地 震 津 波 予 測 ( 安 政 南 海 地 震 クラス)を 最 新 の 地 形 や 地 盤 データにより 再 度 推 計 したもの L2: 最 大 クラスの 地 震 津 波 ( 平 成 24 年 12 月 10 日 公 表 ) 現 時 点 の 最 新 の 科 学 的 知 見 に 基 づく 発 生 しうる 最 大 クラスの 地 震 津 波 24

31 現 在 の 科 学 的 知 見 では 発 生 時 期 を 予 測 することはできないが その 発 生 頻 度 は 極 めて 低 いもの (2) 季 節 時 間 帯 等 の 設 定 建 物 被 害 人 的 被 害 については 地 震 動 津 波 ごとに 想 定 される 被 害 が 異 なる 3 つの シーンとしている 表 10 季 節 時 間 帯 の 設 定 ( 出 典 : 高 知 県 ) 多 くが 自 宅 で 就 寝 中 に 被 災 するため 家 屋 倒 壊 による 死 者 が 発 生 する 危 険 性 冬 深 夜 が 高 く また 津 波 からの 避 難 が 遅 れることにもなる オフィス 繁 華 街 等 に 多 数 の 滞 留 者 が 集 中 しており 自 宅 外 で 被 災 する 場 合 が 多 い 夏 12 時 木 造 建 物 内 滞 留 人 口 は 1 日 の 中 で 少 ない 時 間 帯 であり 老 朽 木 造 住 宅 の 倒 壊 による 死 者 数 は 冬 深 夜 と 比 較 して 少 ない 冬 18 時 住 宅 飲 食 店 などで 火 気 使 用 が 最 も 多 い 時 間 帯 で 出 火 件 数 が 最 も 多 くなる (3) 定 量 的 な 被 害 の 推 計 における 条 件 の 設 定 建 物 被 害 人 的 被 害 の 推 計 に 大 きく 影 響 する 津 波 避 難 意 識 等 については 下 記 の 条 件 としている 住 宅 の 耐 震 化 率 : 現 状 74% 対 策 後 100% 家 具 の 転 倒 防 止 対 策 実 施 率 : 現 状 20% 対 策 後 100% 平 成 24 年 度 県 民 世 論 調 査 で 金 具 等 で 固 定 している と 回 答 した 割 合 により 設 定 し ている 津 波 避 難 意 識 平 成 22 年 度 に 実 施 した 県 民 意 識 調 査 と 東 日 本 大 震 災 の 被 災 地 での 調 査 結 果 や 過 去 の 津 波 被 害 の 避 難 の 状 況 を 踏 まえ 下 記 のパターンを 設 定 している 表 11 津 波 避 難 意 識 ( 出 典 : 高 知 県 ) 避 難 行 動 別 の 比 率 避 難 する 切 迫 避 難 あるいは すぐに 避 難 する すぐに 避 難 しない 避 難 しない 全 員 が 発 災 後 すぐに 避 難 を 開 始 100% 0% 0% 早 期 避 難 者 比 率 が 高 い ( 避 難 呼 び 掛 けを 実 施 ) 早 期 避 難 者 比 率 が 高 い ( 避 難 呼 び 掛 けをしない) 70% 30% 0% 70% 20% 10% 早 期 避 難 者 比 率 が 低 い 20% 50% 30% 東 日 本 大 震 災 の 県 内 の 避 難 実 績 6% 0% 94% 25

32 (4) 想 定 される 最 大 被 害 の 概 要 ( 県 全 体 ) 1) 建 物 被 害 ( 全 壊 焼 失 棟 数 ) L1: 約 38,000 棟 ( 冬 18 時 ) L2: 約 159,000 棟 ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース4, 冬 18 時 ) 2) 人 的 被 害 死 者 数 L1: 約 11,000 人 ( 冬 深 夜 ) ( 内 津 波 による 死 者 数 :9,900 人 ) L2: 約 42,000 人 ( 地 震 動 : 陸 側, 津 波 :ケース4, 冬 深 夜 ) ( 内 津 波 による 死 者 数 :36,000 人 ) 負 傷 者 数 L1: 約 14,000 人 ( 冬 深 夜 ) L2: 約 36,000 人 ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース4, 冬 深 夜 ) 3)ライフライン 被 害 電 力 ( 発 生 直 後 の 停 電 軒 数 ( 停 電 率 )) L1: 約 362,000 軒 (68%)( 冬 18 時 ) L2: 約 526,000 軒 (100%) ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース4, 冬 18 時 ) 上 水 道 ( 発 生 直 後 の 断 水 人 口 ( 断 水 率 )) L1: 約 439,000 人 (62%) L2: 約 575,000 人 (82%)( 地 震 動 : 陸 側 ケース) 4) 生 活 支 障 避 難 者 数 ( 発 生 1 日 後 ) L1: 約 191,000 人 ( 冬 18 時 ) L2: 約 451,000 人 ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース4, 冬 18 時 ) 物 資 不 足 L1: 食 料 約 24 万 食, 水 約 80 万 リットル( 冬 18 時 ) L2: 食 料 約 82 万 食, 水 約 120 万 リットル ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース4, 冬 18 時 ) 5) 孤 立 集 落 数 L1:101 集 落 L2:658 集 落 ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース10) 6) 直 接 経 済 被 害 額 L1:3 兆 7 千 億 円 ( 冬 18 時 ) L2:9 兆 2 千 億 円 ( 地 震 動 : 陸 側 ケース, 津 波 :ケース4, 冬 18 時 ) 26

33 須 崎 市 における 被 害 想 定 想 定 の 条 件 : 冬 の 深 夜 に 発 生 避 難 距 離 は 1 分 あたり 35m 避 難 距 離 は 浸 水 域 外 へ 最 短 直 線 距 離 の 1.5 倍 を 想 定 避 難 のタイミング(10 分 後 に 避 難 開 始 20% 20 分 後 に 避 難 開 始 50% 津 波 が 到 達 してから 避 難 開 始 30%)H.25.3 時 点 の 津 波 避 難 タワー 津 波 非 難 ビルを 考 慮 ( 整 備 率 26%) 住 宅 の 耐 震 化 率 74% 表 12 須 崎 市 における 被 害 想 定 ( 出 典 : 高 知 県 ) 建 物 被 害 ( 棟 ) 地 震 動 建 物 棟 数 液 状 化 揺 れ 急 傾 斜 地 崩 壊 津 波 火 災 合 計 L , ,800 15,770 L2 50 1, , ,340 人 口 死 亡 者 ( 人 ) 地 震 動 H17 国 勢 調 査 建 物 崩 壊 津 波 急 傾 斜 地 崩 壊 火 災 フ ロック 塀 合 計 L1 10 1,200 1,210 26,057 L2 60 3,600 3,660 人 口 負 傷 者 ( 人 ) 地 震 動 H17 国 勢 調 査 建 物 崩 壊 津 波 急 傾 斜 地 崩 壊 火 災 フ ロック 塀 合 計 L ,057 L ,010 人 口 負 傷 者 のうち 重 傷 者 ( 人 ) 地 震 動 H17 国 勢 調 査 建 物 崩 壊 津 波 急 傾 斜 地 崩 壊 火 災 フ ロック 塀 合 計 L ,057 L 地 震 動 人 口 H17 国 勢 調 査 1 日 後 の 避 難 者 数 ( 人 ) 避 難 所 避 難 所 外 合 計 L1 6,800 3,500 10,300 26,057 L2 11,000 5,600 16,600 27

34 第 5 章 巨 大 地 震 発 生 後 の 機 能 回 復 について 5.1 須 崎 港 BCP 須 崎 港 における 地 震 津 波 等 による 災 害 発 生 時 に 須 崎 港 の 機 能 を 早 期 に 回 復 させる ために 須 崎 港 を 利 用 する 関 係 各 機 関 等 が 連 絡 体 制 の 確 立 や 被 害 情 報 の 共 有 化 を 図 り 効 率 的 な 災 害 対 応 を 行 なえる 体 制 を 策 定 することを 目 的 に 平 成 25 年 9 月 に 災 害 時 須 崎 港 活 用 方 策 検 討 関 係 者 会 議 ( 通 称 : 須 崎 港 BCP 会 議 )が 設 立 された 本 会 には 筆 者 も 一 般 社 団 法 人 日 本 埋 立 浚 渫 協 会 の 代 表 として 参 加 しており 須 崎 港 の 機 能 継 続 のため の 対 応 指 針 及 び 活 動 指 針 に 関 する 事 項 について 上 記 の 目 的 を 達 成 するために 意 見 交 換 等 を 行 なっている 本 会 議 では 主 に 被 災 施 設 応 急 復 旧 活 動 緊 急 物 資 輸 送 活 動 企 業 物 流 継 続 活 動 について 指 針 を 取 りまとめる 予 定 となっている 図 21 港 湾 BCP のイメージ 3) 28

35 5.2 被 害 を 設 定 する 施 設 とその 被 害 状 況 事 前 対 策 の 前 提 となる 被 害 のイメージとして 以 下 の 施 設 において 被 災 の 有 無 及 び 被 害 状 況 を 設 定 した 表 13 被 害 を 設 定 する 施 設 とその 被 害 状 況 施 設 名 被 災 の 有 無 被 害 状 況 岸 壁 有 り 地 震 による 変 形 ヤード エプロン 有 り 液 状 化 による 沈 下 防 波 堤 無 し 防 波 堤 の 改 良 ( 粘 り 強 い 化 )に 本 年 度 より 着 手 する 為 被 災 は 想 定 しない 航 路 泊 地 有 り 漂 流 物 等 による 埋 塞 臨 港 道 路 有 り 液 状 化 による 沈 下 荷 役 機 械 有 り 地 震 による 損 傷 津 波 による 損 傷 漂 流 物 による 損 傷 受 電 設 備 有 り 津 波 による 浸 水 事 業 所 有 り 地 震 による 損 壊 津 波 による 損 壊 船 舶 有 り 津 波 による 損 傷 流 出 通 信 手 段 有 り 電 話 FAX 等 使 用 不 可 (インターネットは 使 用 可 ) 陸 上 貯 木 場 有 り 地 震 による 荷 崩 れ 津 波 による 流 出 各 施 設 の 被 災 の 程 度 については 地 震 の 程 度 設 置 条 件 構 造 形 式 使 用 状 況 使 用 年 数 により 異 なる 本 論 文 では 東 日 本 大 震 災 の 教 訓 を 参 考 に 震 災 後 の 港 湾 機 能 回 復 全 般 における 問 題 点 を 抽 出 し 考 察 することが 目 的 であるので 各 々の 被 害 程 度 については 設 定 しない データによると 東 日 本 大 震 災 では 図 21 の 様 に 約 1 年 で 8 割 の 岸 壁 が 利 用 可 能 となった 図 22 東 日 本 大 震 災 被 災 地 の 港 湾 における 利 用 可 能 岸 壁 の 推 移 ( 出 典 : 国 土 交 通 省 資 料 ) 29

36 5.3 木 材 の 流 出 須 崎 港 の 木 材 工 業 団 地 には 常 時 約 25,000 本 の 原 木 があり 全 国 に 先 駆 けて 写 真 5 の 様 なガードケーブルタイプの 津 波 バリアーが 設 置 されている これは 鋼 製 支 柱 と 補 足 スクリーンにより 漂 流 物 を 捕 捉 し 津 波 により 木 材 の 流 出 を 防 止 するものである また 日 常 の 荷 さばき 作 業 に 支 障 をきたさない 簡 易 な 装 着 システムで 木 材 を 捕 捉 し 津 波 被 災 時 における 木 材 の 散 乱 や 流 出 を 防 止 する 目 的 で 写 真 6 の 様 な 貯 木 固 縛 システムが 導 入 されている しかしながら 津 波 バリアーや 固 縛 ワイヤーは 強 度 的 に 津 波 高 7m までなら 対 応 可 能 だが 新 想 定 の 津 波 高 約 12m では 対 応 不 可 能 である また 巨 大 地 震 発 生 時 は 図 23 の 結 果 でも 判 るように バリアーが 設 置 されていても 津 波 高 5m で 広 範 囲 に 渡 って 相 当 量 の 木 材 が 漂 流 することが 判 る 工 業 団 地 内 の 木 材 はその 多 くが 原 木 であり 流 出 後 3 時 間 で 海 底 に 沈 むことから 啓 開 作 業 時 には 大 きな 障 害 となると 予 想 される 写 真 5 須 崎 港 津 波 バリアー 写 真 6 貯 木 固 縛 システム 図 23 地 震 発 生 4 時 間 後 の 木 材 漂 流 計 算 結 果 ( 左 図 は 計 算 条 件 右 図 は 計 算 結 果 ) 5) 30

37 5.4 被 災 後 の 対 処 行 動 と 連 絡 通 信 手 段 について 南 海 トラフ 巨 大 地 震 発 生 時 は 港 内 において 地 震 の 揺 れによる 岸 壁 やエプロン 等 の 損 壊 津 波 による 木 材 や 蔵 置 貨 物 の 流 出 荷 役 運 搬 機 械 の 被 災 等 の 被 害 が 想 定 される 緊 急 物 資 輸 送 活 動 等 の 各 種 活 動 を 実 施 するためには 被 災 施 設 応 急 復 旧 作 業 を 実 施 し まず 被 災 した 港 湾 施 設 のうち 被 災 程 度 が 比 較 的 軽 度 のものを 応 急 的 に 復 旧 し 迅 速 に 活 用 できる 状 態 にする 必 要 がある 被 災 後 の 対 処 行 動 は 図 24 の 様 な 順 で 進 むと 考 えられ る 発 災 1 参 集 体 制 設 置 各 機 関 の 要 員 は 自 らの 安 全 を 確 認 した 上 で 事 業 所 等 に 参 集 し 災 害 対 策 本 部 の 体 制 を 設 置 する 2 施 設 の 被 災 状 況 の 点 検 各 港 湾 施 設 の 被 災 状 況 について 持 場 を 点 検 する 3 水 域 啓 開 ( 調 査 除 去 確 認 ) 港 内 外 の 水 域 における 船 舶 航 行 の 障 害 物 に 対 応 する 4 被 災 施 設 応 急 復 旧 活 動 の 実 施 被 災 程 度 が 軽 微 な 施 設 や 重 要 な 施 設 の 応 急 的 な 復 旧 活 動 を 行 い 迅 速 に 使 用 可 能 な 状 況 にする 緊 急 物 資 輸 送 活 動 水 や 食 料 等 の 救 援 物 資 を 海 上 輸 送 する 企 業 物 流 継 続 活 動 早 期 に 工 場 が 稼 動 できるようにハード ソフト 面 で 支 援 する 図 24 被 災 施 設 応 急 復 旧 作 業 活 動 の 流 れ 巨 大 地 震 発 生 後 の 応 急 復 旧 活 動 において 各 関 係 機 関 は 事 前 の 取 り 決 めに 従 って 行 動 することになるが その 連 絡 通 信 手 段 について 具 体 的 な 取 り 決 めを 行 っておく 必 要 があ る 揺 れや 津 波 によりインフラは 壊 滅 状 態 となり 建 物 の 倒 壊 浸 水 火 災 が 発 生 する などして 通 常 の 連 絡 手 段 は 使 えなくなる また 携 帯 電 話 回 線 も 不 通 や 混 雑 したりする であろうし インターネット 回 線 も 停 電 になれば 使 用 できなくなる 一 刻 を 争 う 状 況 の 中 で 確 実 な 連 絡 体 制 を 確 保 しておくためには 各 関 係 機 関 の 担 当 者 が 通 信 インフラに 依 存 しない 無 線 器 をいつでも 使 用 できる 状 態 にしておくことが 有 効 であると 考 える しか し 民 間 団 体 や 企 業 単 位 で 各 所 に 無 線 器 を 常 備 しておくにはコストの 問 題 や 資 格 者 の 問 題 等 を 解 決 しなければならない 有 事 の 際 にスムーズな 対 応 が 行 えるように 国 の 施 策 として 早 期 に 無 線 器 の 普 及 を 図 る 必 要 があると 考 える 31

38 5.5 被 災 施 設 応 急 復 旧 活 動 の 時 間 目 標 被 災 施 設 応 急 復 旧 活 動 の 時 間 目 標 を 設 定 する 上 で 関 係 者 に 行 なったヒアリング 結 果 の 一 部 を 以 下 に 示 す ( 須 崎 市 ) 緊 急 物 資 輸 送 についてのヒアリング 結 果 緊 急 物 資 の 備 蓄 状 況 食 料 10,000 食 飲 料 水 2,000lを 用 意 済 み 医 薬 品 の 備 蓄 は 無 い 避 難 者 に 対 して 1 日 分 の 食 料 を 基 準 に 備 蓄 している 不 足 分 は 民 間 との 協 定 により 対 応 予 定 燃 料 の 備 蓄 は 無 い 民 間 との 協 定 も 無 い 緊 急 物 資 輸 送 ルート 高 速 道 路 国 道 といった 陸 路 の 活 用 を 想 定 須 崎 IC を 物 資 の 集 積 場 所 として 活 用 することを 計 画 ( 西 日 本 高 速 道 路 四 国 支 社 との 協 定 を 締 結 済 み) 海 上 輸 送 については 今 後 検 討 予 定 須 崎 市 BCP BCP は 未 策 定 一 時 的 に 陸 揚 げされた 漂 流 物 の 集 積 場 所 も 未 検 討 ここで 須 崎 市 のヒアリング 結 果 において 緊 急 物 資 輸 送 ルートに 関 しては 高 速 道 路 や 国 道 を 想 定 しているが 地 理 的 に 考 えて 発 災 直 後 に 高 知 道 が 東 北 道 のように 通 常 通 り 利 用 できるとは 考 えにくい 橋 梁 やトンネル 等 の 構 造 物 が 非 常 に 多 い 高 知 自 動 車 道 で 一 箇 所 でも 地 震 動 による 崩 壊 が 起 これば 道 路 は 完 全 に 寸 断 され 復 旧 作 業 には 非 常 に 長 い 期 間 を 要 することになり 長 期 間 の 孤 立 化 が 危 惧 される また 一 般 国 道 も 道 路 啓 開 作 業 に 要 する 時 間 は 相 当 必 要 であろう 東 北 地 方 のように くしの 歯 作 戦 を 展 開 するほどのルート 数 も 無 い 高 知 県 にとっては 大 部 分 の 物 資 を 海 上 輸 送 により 行 なう 前 提 にしておくことが 必 要 不 可 欠 と 考 える 図 25 四 国 に 及 ぼす 道 路 被 害 の 想 定 32

39 ( 地 元 民 間 企 業 ) 企 業 物 流 継 続 についてのヒアリング 結 果 貨 物 利 用 状 況 ( 木 材 ) 取 扱 企 業 4 社 荷 降 ろしから 各 製 材 所 まで 輸 送 する 一 連 作 業 に 要 する 日 数 は1サイクル 45 日 程 度 ( 石 灰 ) 1,500DWT~50,000DWT 級 の 船 舶 を 使 用 用 途 としては 鉄 鋼 用 セメント 製 造 用 骨 材 (コークス) 港 町 の 上 屋 2 棟 (400t 2)に 一 時 保 管 2 日 に 1 回 の 頻 度 で 陸 送 発 災 後 に 業 務 へ 与 える ( 木 材 ) 影 響 想 定 製 材 所 の 機 械 が 浸 水 した 場 合 は 復 旧 に 半 年 必 要 製 材 工 場 自 体 の 損 傷 も 想 定 されるが 移 転 等 による 代 替 創 業 は 地 理 的 条 件 により 不 可 能 須 崎 港 が 使 用 できなくなる 想 定 はしていない BCP は 未 策 定 ( 石 炭 ) 仮 復 旧 に 10 日 ~2 週 間 必 要 本 復 旧 は 30 日 間 必 要 全 国 シェア 及 び 取 扱 量 の 規 模 から 代 替 手 段 は 無 い BCP は 策 定 済 み (コークス) 須 崎 港 が 使 用 できない 場 合 は 他 港 を 経 て 陸 送 することも 可 能 BCP は 未 策 定 企 業 によって 巨 大 地 震 対 策 への 取 り 組 みに 大 きな 差 があることが 分 かる 貨 物 の 代 替 ルートが 確 保 できない 木 材 関 係 は 被 災 の 程 度 により 最 大 半 年 間 の 操 業 停 止 となるが 他 産 業 への 影 響 は 限 定 的 と 思 われる しかし 石 灰 やセメントについては 全 国 シェアも 大 きく 代 替 手 段 も 無 いことから 他 産 業 への 影 響 も 非 常 に 大 きい 33

40 ( 高 知 県 港 湾 空 港 建 設 協 会 ) 調 達 可 能 船 舶 及 び 機 械 の 調 査 結 果 航 路 啓 開 作 業 に 必 要 になると 考 えられる 作 業 船 で 高 知 県 内 の 各 港 湾 を 基 地 港 とする 船 舶 と 高 知 県 内 の 港 湾 工 事 業 者 が 保 有 する 主 要 建 設 機 械 を 調 査 した ( 平 成 25 年 12 月 現 在 ) 調 査 の 結 果 肝 心 の 須 崎 港 を 基 地 港 とする 船 舶 は 1 隻 も 無 く その 他 の 船 舶 も 半 数 近 くは 県 外 で 作 業 にあたっていた 特 に 夏 場 の 太 平 洋 側 は 高 波 浪 となり 港 湾 工 事 が 困 難 と なることから 殆 どの 船 舶 が 県 外 に 出 向 いている また 仮 に 県 内 に 在 港 していても 津 波 により 直 接 被 害 を 受 ける 可 能 性 が 非 常 に 高 いことや 他 の 港 湾 も 同 時 多 発 的 に 被 害 を 受 けているので 須 崎 港 での 啓 開 作 業 に 従 事 できる 保 障 はないことから 即 戦 力 にはなら ないと 考 えた 方 が 賢 明 である 6) 表 14 高 知 県 内 の 港 湾 を 基 地 港 とする 船 舶 一 覧 表 船 種 規 格 隻 数 起 重 機 船 120~415t 吊 3 起 重 機 船 兼 グラブ 浚 渫 船 250~400t 吊 6~15m 3 級 3 グラブ 浚 渫 船 15~36m 3 級 ( 砕 岩 船 兼 用 ) 7 クレーン 付 台 船 150t 吊 1500t 積 1 ガット 船 499t 3 押 船 300~1800ps 13 曳 船 1400~2000ps 3 押 航 土 運 船 300~600m 3 積 2 台 船 300~600t 積 2 揚 錨 船 700ps 1 表 15 高 知 県 内 の 港 湾 工 事 業 者 が 保 有 する 主 要 建 設 機 械 一 覧 表 6) 機 種 規 格 台 数 1.2m 3 級 1 バックホウ 0.7m 3 級 m 3 級 14 ブルドーザ 7t 級 2 タイヤショベル 1.3m 3 級 2 トラクタ-ショベル 3m 3 級 1 1.5m 3 級 1 200t 吊 8 クローラークレーン 150t 吊 2 45~80t 吊 5 ラフタークレーン 50t 1 25t 7 トラッククレーン 20t 1 ダンプトラック 10t 積 2 34

41 ( 国 土 交 通 省 ) 調 達 可 能 船 舶 の 調 査 結 果 国 土 交 通 省 四 国 地 方 整 備 局 港 湾 部 の 調 査 結 果 によると 瀬 戸 内 海 側 の 香 川 県 内 愛 媛 県 内 で 調 達 可 能 な 作 業 船 団 は 高 松 港 を 主 に 基 地 港 とするものが 9 船 団 今 治 港 を 主 に 基 地 港 とするものが 6 船 団 である 南 海 トラフ 巨 大 地 震 が 発 生 した 場 合 は 瀬 戸 内 海 側 は 太 平 洋 側 に 比 べて 被 害 が 小 さいであろうことを 仮 定 すると これらに 期 待 する 割 合 は 非 常 に 大 きいが 明 石 海 峡 や 鳴 門 海 峡 豊 予 海 峡 を 経 由 して 回 航 する 必 要 があり 潮 待 ちや 津 波 による 漂 流 物 が 支 障 となって 航 行 障 害 をもたらし 回 航 時 間 が 長 引 く 可 能 性 が 懸 念 される 表 16 は 通 常 時 の 回 航 時 間 を 試 算 したものである 試 算 条 件 として 回 航 距 離 は 海 上 保 安 庁 発 行 の 距 離 表 (H.9.6)から 引 用 した 回 航 速 度 は 港 湾 土 木 請 負 工 事 積 算 基 準 の 回 航 用 引 船 の 曳 航 時 及 び 自 航 船 の 速 力 を 引 用 し 曳 航 (5kt/h) 自 航 ( 10kt/h) とした 運 転 時 間 は 日 の 出 から 日 没 までの 時 間 を 標 準 (12h/day)として 運 転 日 数 を 試 算 した その 結 果 最 低 でも 曳 航 式 で 3~4 日 自 航 式 の 作 業 船 団 で 2 日 を 要 する 結 果 となった 表 16 作 業 船 団 の 所 要 回 航 日 数 ルート 高 松 港 小 松 島 ( 停 泊 ) 須 崎 港 回 航 距 離 回 航 時 間 ( 時 間 ) 回 航 日 数 経 由 ( 海 里 ) 曳 航 自 航 曳 航 自 航 鳴 門 明 石 今 治 港 宇 和 島 港 須 崎 港 豊 予 門 司 宇 和 島 港 ( 停 泊 ) 須 崎 港 豊 予 大 阪 港 小 松 島 須 崎 港 紀 淡 門 司 港 大 阪 港 今 治 港 高 松 港 小 松 島 港 宇 和 島 港 須 崎 港 図 26 作 業 船 団 回 航 ルート 図 35

42 上 記 のヒアリング 及 び 調 査 結 果 に 基 づき 時 間 目 標 を 考 える 上 での 要 素 を 下 記 に 示 す (1) 緊 急 物 資 輸 送 について 須 崎 市 の 備 蓄 量 はL1 地 震 を 基 準 にした 避 難 者 数 に 対 する 僅 か 1 日 分 であり 医 薬 品 の 備 蓄 は 無 い 民 間 との 協 定 もあるが 早 期 に 緊 急 物 資 の 搬 入 が 必 要 である 発 災 後 に 緊 急 物 資 輸 送 船 の 確 保 物 資 調 達 積 み 込 み 出 港 から 須 崎 港 に 入 港 するま でに 要 する 時 間 は 東 日 本 大 震 災 後 の 実 績 を 踏 まえると 最 低 4 日 間 は 必 要 である (2) 企 業 物 流 について 製 材 所 の 機 械 が 浸 水 した 場 合 は 復 旧 に 半 年 程 度 必 要 石 灰 は 企 業 BCP による 荷 役 設 備 等 の 対 策 により 10 日 ~2 週 間 で 仮 復 旧 可 能 であり 貨 物 船 の 入 出 港 をそれまでに 行 うことが 望 ましい (3) 応 急 復 旧 について 緊 急 物 資 受 入 のための 航 路 啓 開 作 業 岸 壁 の 復 旧 背 後 ヤード 臨 港 道 路 の 応 急 復 旧 を 数 日 間 で 行 なう 必 要 がある 東 日 本 大 震 災 の 様 にフェリーや 貨 物 船 で 物 資 を 運 搬 すると 仮 定 した 場 合 対 象 船 舶 (フェリー 満 船 喫 水 -5.7m)の 着 岸 を 考 慮 し 港 町 地 区 大 峰 地 区 湾 口 地 区 串 の 浦 地 区 の-6.5m 以 上 ( 余 裕 水 深 10%を 考 慮 )の 岸 壁 を 優 先 的 に 応 急 復 旧 する 必 要 がある 航 路 啓 開 作 業 に 使 用 する 作 業 船 団 は 高 知 県 内 の 港 を 基 地 港 とする 船 団 のその 多 く が 県 内 に 在 港 中 で 全 く 被 害 を 受 けていないとは 考 えられない また 常 時 須 崎 港 を 基 地 港 とする 船 団 は 無 く たまたま 防 波 堤 築 造 工 事 に 従 事 しているとも 限 らない そうしたことから 九 州 の 日 本 海 側 や 瀬 戸 内 海 側 からの 応 援 は 不 可 欠 であるが 高 松 港 や 今 治 港 から 回 航 した 場 合 は 最 低 でも 曳 航 式 で 2.8 日 自 航 式 の 作 業 船 団 で 1.4 日 を 要 する また 応 援 を 要 請 してから 出 港 するまでの 時 間 も 考 慮 すると 到 着 まで に 最 低 2~3 日 間 は 必 要 であると 考 える 36

43 上 記 の 要 素 を 踏 まえて 総 合 的 な 応 急 復 旧 活 動 の 時 間 目 標 を 設 定 すると 発 災 から 4 日 以 内 に 湾 口 地 区 1 週 間 以 内 に 港 町 地 区 30 日 以 内 に 大 峰 地 区 の 対 象 岸 壁 における 背 後 地 も 含 んだ 港 湾 施 設 の 応 急 復 旧 を 終 了 することが 必 要 と 考 える 段 階 的 な 機 能 回 復 と 時 間 目 標 のイメージを 図 27 に 示 す 大 間 地 区 大 峰 地 区 港 町 地 区 浜 町 地 区 串 の 浦 地 区 湾 口 地 区 図 27 須 崎 港 の 段 階 的 な 機 能 回 復 のイメージ 37

44 前述で記したように緊急物資輸送を行う対象船舶の着岸を考慮すると 下表に示す港 町地区 大峰地区 湾口地区 串の浦地区の 7 箇所の岸壁を優先的に応急復旧する必要 がある 表 17 応急復旧を優先的に行う必要がある岸壁 計画上の 対象船舶 管理者 港町-10m岸壁 貨物船 高知県 港町-7.5m1号岸壁 貨物船 高知県 港町-7.5m2号岸壁 貨物船 高知県 大峰岸壁(-7.5m) 貨物船 民間 大峰1万トン岸壁(-9.0m) 貨物船 高知県 湾 口 第2次埋立岸壁(-10.0m) 貨物船 民間 串の浦 物揚場(-6.5m) 製作ヤード 国 地区名 港 町 大 峰 施設名 図 28 応急復旧を優先的に行う必要がある岸壁位置図 38

45 応 急 復 旧 を 優 先 的 に 行 うべき 岸 壁 についての 諸 条 件 について 検 証 した 結 果 を 以 下 に 示 す 港 町 地 区 港 町 -10m 岸 壁 港 町 -7.5m 2 号 岸 壁 港 町 -7.5m 1 号 岸 壁 大 峰 地 区 串 の 浦 地 区 大 峰 岸 壁 -7.5m 大 峰 1 万 トン 岸 壁 -9.0m 物 揚 場 (-6.5m) 1 港 町 -10m 岸 壁 大 型 船 が 着 岸 可 能 であるが 湾 口 か 離 れ ており 啓 開 に 時 間 を 要 する 背 後 のヤードは 広 いので 緊 急 物 資 の 荷 捌 きには 問 題 ない 矢 板 式 岸 壁 であり 被 災 の 程 度 によって は 時 間 を 要 する 2 港 町 -7.5m1 号 岸 壁 湾 口 から 離 れており 啓 開 に 時 間 を 要 する 常 時 は 砂 利 砂 のヤードとして 使 われて おり 災 害 時 は 撤 去 する 必 要 がある 重 力 式 岸 壁 であり 比 較 的 粘 り 強 く 応 急 復 旧 に 対 応 しやすい 3 港 町 -7.5m2 号 岸 壁 1 号 岸 壁 と 条 件 はほぼ 同 じであるが 矢 板 式 岸 壁 であり 被 災 の 程 度 によっては 時 間 を 要 する 1 大 峰 岸 壁 (-7.5m) 湾 口 から 離 れており 啓 開 に 最 も 時 間 を 要 する 住 友 大 阪 セメント の 専 用 岸 壁 であり 物 資 受 入 には 荷 役 機 械 設 備 が 支 障 になる 可 能 性 もある 2 大 峰 1 万 トン 岸 壁 (-9m) 湾 口 から 離 れており 啓 開 に 時 間 を 要 する ヤードの 奥 行 きが 狭 く 大 量 の 物 資 受 入 れ は 困 難 矢 板 式 岸 壁 であり 被 災 の 程 度 によって は 時 間 を 要 する 3 物 揚 場 (-6.5m) 湾 口 から 比 較 的 近 く 啓 開 は 容 易 常 時 はブロック 製 作 ヤードであり 物 資 受 入 にはクレーンによる 撤 去 が 必 要 重 力 式 岸 壁 であり 比 較 的 粘 り 強 い 39

46 湾 口 地 区 1 第 2 次 埋 立 岸 壁 (-10m) 湾 口 部 から 最 も 近 く 啓 開 は 最 も 容 易 と 考 えられる 日 鉄 鉱 業 の 専 用 岸 壁 であり 物 資 受 入 にはベルトコンベアー 等 の 機 械 設 備 が 支 障 になる 可 能 性 がある 背 後 ヤードの 奥 行 きは 狭 い 重 力 式 岸 壁 であり 比 較 的 粘 り 強 く 応 急 復 旧 に 対 応 しやすい 第 2 次 埋 立 岸 壁 (-10m) 図 29 各 岸 壁 の 詳 細 図 40

47 5.6 航 路 啓 開 の 手 順 東 日 本 大 震 災 後 の 実 績 を 踏 まえ 南 海 トラフ 巨 大 地 震 が 発 生 した 際 には 下 記 に 示 す ような 連 絡 体 系 で 航 路 啓 開 作 業 に 臨 むことが 想 定 される 図 30 航 路 啓 開 作 業 の 連 絡 体 系 図 また 須 崎 港 における 航 路 啓 開 作 業 の 大 まかな 流 れは 以 下 のようになると 想 定 される 準 備 工 作 業 計 画 準 備 海 上 保 安 部 への 連 絡 ( 通 常 は 許 可 申 請 が 必 要 ) 作 業 船 召 集 回 航 現 地 調 査 事 前 深 浅 測 量 漂 流 物 の 状 況 調 査 実 施 潜 水 士 による 岸 壁 前 面 の 海 中 調 査 実 施 技 術 者 による 岸 壁 の 調 査 実 施 障 害 物 撤 去 漂 流 物 及 び 沈 下 物 を 起 重 機 船 グラブ 船 等 で 撤 去 沈 下 物 は 潜 水 士 により 確 認 しながら 玉 賭 け 作 業 を 伴 う 障 害 物 仮 置 き 保 管 撤 去 した 障 害 物 を 陸 揚 げし 仮 置 きする 仮 置 スペースの 問 題 が 生 じる 場 合 は 木 材 などの 沈 まな い 物 は 一 時 的 にオイルフェンス 等 で 囲 い 集 積 する 深 浅 測 量 沈 下 物 を 撤 去 した 水 域 において 事 後 深 浅 測 量 を 実 施 調 査 結 果 を 国 土 交 通 省 及 び 海 上 保 安 部 に 報 告 後 片 付 工 片 付 け 作 業 船 回 航 41

48 写 真 7 漂 流 物 の 封 じ 込 め 状 況 及 び 撤 去 状 況 災 害 時 の 限 られたリソースで 早 期 の 航 路 啓 開 を 実 現 するため 優 先 する 水 域 から 順 に 段 階 的 な 航 路 啓 開 を 提 案 する まず Step1では 湾 口 地 区 の 第 2 次 埋 立 岸 壁 (-10m)に 緊 急 物 資 輸 送 船 が 着 岸 できるように 航 路 啓 開 作 業 を 実 施 する この 段 階 では 漂 流 物 は 東 防 波 堤 の 港 内 側 にオイルフェンス(L=660m)を 展 張 し 封 じ 込 めを 行 って 集 積 しておく 1 図 31 航 路 啓 開 作 業 (Step1) 範 囲 図 Step2では 港 町 地 区 の 港 町 -7.5m 1 号 岸 壁 に 貨 物 船 が 着 岸 できるように そこに 至 る 航 路 の 啓 開 作 業 を 行 う 湾 央 部 の 漂 流 物 は 陸 上 に 揚 収 することが 望 ましいが スペー スの 問 題 が 生 じる 場 合 は 東 防 波 堤 の 港 内 側 及 び 浜 町 地 区 の 砂 浜 部 沖 合 いに オイルフ ェンス(L=600m)を 展 張 して 集 積 しておく 42

49 2 図 32 航 路 啓 開 作 業 (Step2) 範 囲 図 Step3では 大 峰 地 区 の 大 峰 岸 壁 (-7.5m)や 大 峰 1 万 トン 岸 壁 (-9.0m)に 貨 物 船 が 着 岸 できるように そこに 至 る 航 路 の 啓 開 作 業 を 行 う 湾 奥 部 の 漂 流 物 は 陸 上 に 揚 収 する ことを 目 標 とする 3 図 33 航 路 啓 開 作 業 (Step3) 範 囲 図 43

50 5.7 作 業 船 の 役 割 について 航 路 啓 開 作 業 においては 様 々な 作 業 船 が 必 要 となるが 以 下 に 代 表 的 な 使 用 船 舶 と それぞれに 期 待 される 役 割 について 示 す 測 量 船 潜 水 士 船 事 前 事 後 においてシングルビームソナ ーやマルチビームソナーを 用 いて 深 浅 測 量 に 使 用 する ガット 船 コンプレッサーやウインチを 装 備 し 潜 水 士 連 絡 員 送 気 員 を 乗 船 させて 潜 水 作 業 を 行 う 水 中 の 沈 没 物 揚 収 時 は 潜 水 士 の 支 援 を 行 う 起 重 機 船 グラブバケットを 装 備 し 通 常 は 捨 石 や 砂 の 運 搬 投 入 を 行 うが 災 害 時 におけ る 水 域 の 障 害 物 除 去 作 業 にも 活 用 できる クレーン 付 台 船 啓 開 作 業 には 旋 回 式 を 使 用 し 各 種 重 量 物 の 吊 り 上 げを 行 う 自 航 非 自 航 式 があ り 起 重 機 の 能 力 によっては 400t 吊 もあ り 障 害 物 や 沈 没 物 の 揚 収 に 使 用 する 押 船 非 自 航 式 の 台 船 上 に 移 動 式 クレーンを 搭 非 自 航 式 の 台 船 を 押 して 移 動 する 補 助 作 載 し 比 較 的 軽 量 物 の 揚 重 作 業 に 使 用 され 業 船 であり 災 害 時 には 大 型 作 業 船 の 先 る 比 較 的 小 型 の 船 体 なので 狭 い 場 所 で 導 や 要 員 の 運 搬 等 様 々な 役 割 を 果 たす も 適 用 可 能 である ことが 期 待 される 写 真 8 啓 開 作 業 の 使 用 船 舶 44

51 5.8 時 間 目 標 を 考 慮 した 対 処 行 動 と 各 機 関 の 役 割 東 日 本 大 震 災 の 教 訓 を 参 考 にして 須 崎 港 の 現 状 や 特 性 を 踏 まえ 南 海 トラフ 巨 大 地 震 発 生 後 における 港 湾 機 能 回 復 のための 応 急 復 旧 活 動 内 容 や 方 法 について 調 査 及 び 研 究 を 行 なってきた 下 表 はそれらの 結 果 を 総 合 して 被 災 後 の 対 処 行 動 と 各 機 関 の 役 割 につ いて 時 間 目 標 を 加 味 して 作 成 したものである 表 18 被 災 後 の 対 処 行 動 と 各 機 関 の 役 割 関 係 主 体 機 関 発 災 12h 1 日 後 2 日 後 3 日 後 4 日 後 1 週 間 後 2 週 間 後 1ヶ 月 後 国 土 交 通 省 港 湾 工 事 事 業 者 高 知 県 須 崎 市 海 上 保 安 部 参 集 体 制 設 置 施 設 の 被 災 状 況 の 点 検 等 港 湾 施 設 ( 岸 壁 ヤード 等 )の 被 災 状 況 の 点 検 を 要 請 航 路 啓 開 作 業 の 要 請 港 湾 施 設 ( 岸 壁 ヤード 等 )の 被 災 状 況 の 点 検 を 実 施 航 路 啓 開 作 業 Step1 湾 口 地 区 Step2 港 町 地 区 Step3 大 峰 地 区 応 急 復 旧 方 策 の 決 定 応 急 復 旧 資 機 材 要 員 の 調 達 運 搬 応 急 復 旧 作 業 の 実 施 港 湾 施 設 の 被 災 状 況 の 情 報 収 集 応 急 復 旧 資 機 材 要 員 の 状 況 について 情 報 収 集 港 湾 施 設 の 応 急 復 旧 方 策 の 決 定 港 湾 施 設 の 応 急 復 旧 の 要 請 応 急 復 旧 資 機 材 要 員 の 調 達 運 搬 航 行 の 支 障 となる 大 型 の 障 害 物 除 去 等 港 湾 施 設 の 応 急 復 旧 作 業 実 施 背 後 圏 へのアクセス 確 保 上 記 の 対 処 行 動 を 実 現 するためには 業 界 団 体 の 協 力 や 日 頃 の 訓 練 も 必 要 であり まだ 解 決 しなければならない 問 題 も 山 積 している 今 後 は 各 港 湾 において 逸 早 く BCP を 策 定 し 事 前 に 問 題 を 洗 い 出 して 解 決 していくことで 被 害 を 最 小 限 に 止 め 早 期 の 復 旧 復 興 が 可 能 となる 45