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1 在 宅 下 腿 潰 瘍 高 岡 駅 南 クリニック 院 長 塚 田 邦 夫 在 宅 では 褥 創 の 他 に 下 腿 潰 瘍 も 多 く 経 験 し 治 療 に 難 渋 することがあります 今 回 は 下 腿 潰 瘍 としての 典 型 的 な 例 として 動 脈 性 潰 瘍 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 熱 傷 性 下 腿 潰 瘍 ( 低 温 熱 傷 ) 爪 白 癬 による 下 腿 潰 瘍 を 取 り 上 げ 局 所 療 法 について 私 の 経 験 をまとめて みました 下 腿 潰 瘍 の 診 断 下 腿 潰 瘍 がみられた 場 合 まず 注 目 するのは 潰 瘍 発 症 の 直 接 原 因 が 何 であろうと 動 脈 閉 塞 が 合 併 しているのかいないのかの 判 定 です さらに 深 部 静 脈 閉 塞 ( 血 栓 )ができていな いことの 確 認 です 動 脈 閉 塞 および 静 脈 閉 塞 は いずれも 潰 瘍 への 血 流 供 給 の 低 下 と 関 連 し 創 傷 治 癒 に 直 結 した 問 題 をはらんでおり 潰 瘍 の 種 類 にかかわらず 治 療 方 針 に 直 接 影 響 するからです ところで 血 流 に 関 する 診 断 には 理 学 的 所 見 と 画 像 や 機 器 による 診 断 がありま す 機 器 による 診 断 では ABI( 足 関 節 / 上 腕 血 圧 比 ) サーモグラフィー 経 皮 酸 素 分 圧 レーザー 血 流 計 皮 膚 潅 流 圧 などがあり さらに 大 がかりなものとして 動 脈 造 影 3D-CT MRI 等 があります これら 機 器 による 診 断 は 在 宅 では 利 用 できず 理 学 的 所 見 を 優 先 使 用 して 診 断 することになります 理 学 的 所 見 には 動 脈 の 触 知 皮 膚 温 触 知 ( 暖 冷 左 右 差 ) 疼 痛 の 有 無 ( 間 欠 性 跛 行 圧 痛 挙 上 時 痛 下 垂 時 痛 ) 浮 腫 の 有 無 皮 膚 の 色 ( 色 素 沈 着 発 赤 リンパ 管 炎 ) 皮 膚 の 乾 燥 などを 観 察 します

2 動 脈 性 潰 瘍 の 治 療 基 本 方 針 動 脈 性 潰 瘍 (ASO)の 治 療 の 原 則 は 血 行 再 建 です バイパス 手 術 や 経 皮 的 末 梢 動 脈 形 成 術 ( 血 管 内 拡 張 術 )の 他 に 高 度 先 進 医 療 として 幹 細 胞 移 植 骨 髄 細 胞 療 法 血 小 板 血 漿 法 などがありますが いずれも 在 宅 療 養 では 行 えません また 血 流 改 善 薬 のプロスタグラ ンディン 製 剤 の 注 射 療 法 でも 在 宅 では 行 いません 在 宅 での 療 養 は 疼 痛 対 策 と 感 染 予 防 が 主 となり できれば 創 傷 治 癒 を 目 ざす 方 法 になり ます 原 則 的 に 過 大 なデブリードメントは 禁 忌 であり 感 染 が 明 らかな 場 合 を 除 いて 動 脈 性 潰 瘍 では 壊 死 組 織 のデブリードメントはあまり 行 いません 動 脈 性 下 腿 潰 瘍 下 肢 動 脈 の 触 知 を 行 い 動 脈 開 存 の 程 度 を 判 定 します 前 ページのように 足 背 動 脈 後 脛 骨 動 脈 膝 窩 動 脈 鼡 径 動 脈 を 触 知 してみます 膝 窩 動 脈 や 鼡 径 動 脈 を 触 知 できないようであれば 動 脈 閉 塞 の 程 度 はかなりひどく 下 腿 潰 瘍 の 治 癒 はあまり 期 待 できません したがって 治 療 は 感 染 予 防 と 疼 痛 軽 減 がゴールにな ります 後 脛 骨 動 脈 や 足 背 動 脈 が 触 れるようであれば 潰 瘍 の 治 癒 はかなり 期 待 できるので もち ろん 疼 痛 軽 減 や 感 染 予 防 は 原 則 ですが 同 時 に 潰 瘍 の 治 癒 を 積 極 的 に 目 指 しゴールは 潰 瘍 の 治 癒 となります 上 のスライドは 足 背 動 脈 を 触 知 不 能 の 左 第 2 趾 潰 瘍 症 例 です ハイドロコロイドドレッシング 材 を 用 いて 湿 潤 環 境 を 維 持 し 潰 瘍 の 治 癒 を 図 りましたが 3.5 ヶ 月 たっても 全 く 治 癒 傾 向 はありません そこで 感 染 予 防 を 目 的 にゲーベンクリー ムを 塗 布 しポリウレタンフィルム 材 (オプサイトなど)で 密 閉 し 毎 日 交 換 したところ 2.5 ヶ 月 後 の 表 皮 化 しました 血 流 障 害 の 強 い 部 位 でのゲーベンクリームの 有 用 性 を 確 認 しました すでに 潰 瘍 が 壊 死 した 症 例 でもゲーベンクリームは 有 用 でした

3 次 のスライドは やはり 足 背 動 脈 を 触 知 しない 症 例 でした 潰 瘍 が 壊 死 し 黒 色 の 痂 皮 とな っていた 例 です ひどい 疼 痛 を 伴 い 異 物 に 対 する 強 い 炎 症 反 応 が 痂 皮 周 囲 にみられます 感 染 対 策 と 疼 痛 軽 減 効 果 を 狙 って ゲーベンクリームを 塗 布 し ポリウレタンフィルム 材 で 密 閉 して 毎 日 交 換 しました この 方 法 を 用 いると 疼 痛 はかなり 軽 減 し また 痂 皮 周 囲 にみられた 炎 症 反 応 も 軽 減 しまし た 一 時 感 染 を 恐 れユーパスタ 軟 膏 とポリウレタンフィルム 材 による 方 法 も 行 いましたが 主 にゲーベンクリームを 用 いていきました 2.5 ヶ 月 で 写 真 のように 壊 死 部 が 遊 離 し 遊 離 部 に 表 皮 が 入 り 込 み 接 合 部 を 切 除 することでほとんど 壊 死 が 取 れました 引 き 続 きゲー ベンクリームとポリウレタンフィルム 材 による 密 閉 療 法 を 継 続 することで 表 皮 化 を 完 成 さ せることができました 以 上 の 経 験 に 示 すように 動 脈 閉 塞 性 足 潰 瘍 を 在 宅 で 治 療 するにあたっては 外 科 的 デブ リードメントは 最 小 限 にし 創 部 の 乾 燥 を 極 力 避 けることで 疼 痛 を 軽 減 し その 際 ゲーベ ンクリームを 基 本 的 に 使 用 してフィルムで 密 閉 します 感 染 が 強 い 時 は 一 時 的 逃 げーー 便 クリームの 代 わりにユーパスタ 軟 膏 を 選 択 しました この 方 法 により 動 脈 閉 塞 の 高 度 な 例 でも 感 染 を 予 防 し 疼 痛 を 軽 減 することができるだけではなく ある 程 度 治 癒 も 望 むこ とができました しかし 治 癒 した 症 例 も 再 発 は 高 率 であり また 心 疾 患 や 脳 循 環 疾 患 を 発 症 し 長 期 予 後 は 不 良 でした

4 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 下 肢 の 静 脈 弁 異 常 によって 発 症 する 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 では 原 因 となった 皮 静 脈 と 穿 通 枝 の 抜 去 切 除 硬 化 療 法 などが 治 療 として 選 択 されます しかし 在 宅 では 手 術 療 法 を せずに 局 所 療 法 が 行 われます 治 療 開 始 の 前 提 条 件 として 生 命 予 後 に 影 響 する 深 部 静 脈 ( 大 腿 静 脈 )に 血 栓 ができて 閉 塞 していないことを 確 認 します 理 学 的 所 見 としては 一 側 の 下 腿 に 疼 痛 があり ふくらは ぎを 大 きくつまむと 痛 がる 場 合 は 要 注 意 です 局 所 療 法 は ハイドロコロイドドレッシング 材 が 第 1 選 択 で 貼 付 した 上 から 下 腿 全 てを 少 なくとも 膝 上 まで 弾 性 包 帯 で 均 一 に 圧 迫 固 定 します 圧 迫 包 帯 をすることで 弁 の 壊 れ た 皮 静 脈 に 血 液 がうっ 滞 して 浮 腫 がおこることを 予 防 します ハイドロコロイドドレッシング 材 を 使 うと 悪 臭 が 強 い 場 合 は 一 時 的 にゲーベンクリーム を 多 めに 塗 布 し 吸 収 パッドでカバーして その 上 から 弾 性 包 帯 で 同 様 に 圧 迫 固 定 します 在 宅 ではハイドロコロイドドレッシング 材 は 使 いにくいため 実 際 はストーマケアに 使 う 皮 膚 保 護 材 の 板 状 になったものを 用 います ストーマケアに 使 う 皮 膚 保 護 材 とハイドロコ ロイドドレッシング 材 はほぼ 同 じ 材 料 でできています 静 脈 うっ 滞 による 静 脈 瘤 のある 方 では できるだけ 下 肢 を 挙 上 位 にすることと 適 宜 下 腿 筋 を 収 縮 させる 運 動 をする 癖 をつけてもらいます ところで 在 宅 高 齢 者 における 静 脈 うっ 滞 性 下 腿 潰 瘍 治 療 では 脳 血 管 疾 患 による 活 動 性 の 低 下 や 意 欲 の 低 下 による 不 動 がみられ 著 明 な 下 肢 の 浮 腫 が 見 られる 例 があります このような 例 に 潰 瘍 ができた 場 合 治 療 には 難 渋 し 再 発 と 治 癒 を 繰 り 返 します しかし 原 則 は 弾 性 包 帯 による 圧 迫 と 湿 潤 環 境 維 持 による 潰 瘍 治 療 であり 局 所 療 法 は 変 わりません 以 下 の 写 真 は ハイドロコロイドドレッシング 材 と 圧 迫 包 帯 による 治 療 経 過 を 示 していま す ハイドロコロイドドレッシング 材 の 替 わりに ストーマ 用 皮 膚 保 護 材 を 用 いてもかま いません

5 熱 傷 潰 瘍 ( 低 温 熱 傷 ) 熱 傷 では 受 傷 早 期 には 熱 で 損 傷 した 皮 下 組 織 で 炎 症 反 応 が 持 続 し 活 性 酸 素 による 組 織 破 壊 が 進 行 していきます そこでまずは 氷 水 を 入 れたビニール 袋 などで 積 極 的 に 創 傷 部 を 冷 やすことが 重 要 です また 皮 膚 表 面 も 熱 によって 組 織 障 害 が 起 こり 正 常 な 皮 膚 のバリア 機 能 が 損 なわれてい ます そこで 皮 膚 深 層 の 生 きた 細 胞 を 守 るため 空 気 との 接 触 を 避 け また 皮 膚 面 を 乾 燥 から 保 護 することで 疼 痛 の 軽 減 と 組 織 再 生 の 促 進 を 目 指 します 具 体 的 にはハイドロコロイドドレッシング 材 が 第 1 選 択 と 考 えています 経 験 的 には 薄 い ハイドロコロイドドレッシング 材 よりも 厚 いハイドロコロイドドレッシング 材 の 方 が 疼 痛 軽 減 効 果 が 高 く また 皮 膚 再 生 効 果 も 優 れている 印 象 です 在 宅 高 齢 者 では 電 気 アンカや 携 帯 カイロの 使 用 による 低 温 熱 傷 を 多 く 経 験 しました 一 見 軽 い 熱 傷 に 見 えますが 治 療 してみるとしだいに 組 織 破 壊 が 深 くに 及 んでいることに 気 付 きます 治 療 をしていてもしだいに 創 が 深 くなってくることから 治 療 が 間 違 ってい るのではと 不 安 を 感 じるのが 低 温 熱 傷 の 特 徴 でもあります 以 下 に 示 す 写 真 は 当 初 軽 い 熱 傷 と 判 断 し 治 療 を 開 始 しましたが しだいに 組 織 破 壊 が 深 部 に 及 んでいることが 判 明 し 創 部 が 悪 化 したと 勘 違 いした 例 です 結 局 当 初 の 予 定 通 り ハイドロコロイドドレッシング 材 による 治 療 で 4.5 ヶ 月 で 治 癒 しました 低 温 熱 傷 は あたかも 褥 創 と 同 じような 経 過 を 取 ることが 分 かりました

6 爪 白 癬 による 足 潰 瘍 褥 創 の 治 療 で 往 診 している 方 の 足 の 爪 が 盛 り 上 がり 巻 き 爪 もあいまって 食 い 込 み 爪 周 囲 炎 を 起 こしている 例 でした 取 りあえず 経 口 の 抗 生 剤 を 投 与 し 同 時 に 抗 真 菌 薬 の 内 服 も 開 始 しました 日 を 改 めて 往 診 しました その 時 に 整 形 外 科 で 使 うリューエルを 持 参 し 硬 く 盛 り 上 がっ た 爪 を 除 去 しました 抗 真 菌 薬 の 内 服 を1 年 以 上 続 けたところ 写 真 のように 見 違 えるほどにきれいな 足 になり ました 最 後 に 在 宅 でよくみられる 下 腿 潰 瘍 について 私 の 経 験 をお 示 しいたしました 病 院 での 治 療 と 在 宅 での 治 療 は 基 本 的 な 考 え 方 には 差 はないのですが 実 際 の 局 所 療 法 の 選 択 においては 在 宅 ならではの 方 法 を 行 います 今 後 まだまだ いろいろな 工 夫 がさ れより 安 全 で 苦 痛 のない 方 法 が 開 発 されてくるのではと 思 っています

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