中学･高校音楽通信　2011年　春号

Transcription

1 中 学 高 校 音 楽 通 信 2011 年 春 号 音 楽 のおくりもの Information 中 学 高 校 版 通 巻 第 21 号 ピアノ 工 場 見 学 記 指 導 事 例 音 楽 科 自 らが 演 奏 し 実 践 する 箏 の 授 業 研 究 川 崎 市 立 柿 生 中 学 校 丸 山 胤 幸 新 しい 教 科 書 のご 紹 介 平 成 24 年 版 中 学 音 楽 器 楽

2 2

3 Andante Moderato Allegretto Allegro accel. [accelerando] rit. [ritardando] a tempo legato cr [c de [d di [d po allargando Spire_M 2011 Spring 3

4 4

5 折込み ページ 折込みページを生かした見開き 3 ページのレイアウトです 伝統音楽 学習活動のページ 資料のページ じょうもん 縄 文 弥生 が く え て ん ら く やよい ひょうぢょう 日本古曲 こ ふん な ら ふ ひ 雅楽の種類には 古墳時代から奈良時代にか 管絃は 雅楽の楽器 吹きもの 弾きもの 打ちもの だけで合奏する 越天楽 は 今日 雅楽の中で最もよく知られている曲の一つです 楽器だけで演奏される管絃 右 けて アジア各地から伝わった音楽を起源とす 楽曲で 舞はありません 現在 管絃で演奏されるのは唐楽の曲だけです ページ参照 の曲で 中国で作曲されたともいわれていますが 作曲者や名前の由来などはわかってい る舞楽と管絃 日本に古くからあったと思われ かんげん み りょく もと ません ふくおか みんよう まい くにぶりのうたまい じょうだい か ぶ る音楽に基づいた歌と舞 国 風 歌舞 上 代歌舞ともい くろ だ へいあん ら えいきょう な はく います そして これらの音楽に影 響 を受け 平安時 知られるようになりました 雅楽寮 設置 代に新たにつくられた声楽曲 歌い物 があります 楽器名 ここでは 舞楽と管絃を取り上げます 雅 楽の 日本化 が進む う まい へいあん さ まい 平安 と く ちょう とう がく ま がく かまくら こ 鎌倉 舞楽には 左舞と右舞という分け方があります 左舞では唐楽 中国を起源と ちょうせん する音楽 の楽曲が使われ 右舞では高麗楽 朝 鮮半島を起源とする音楽 の楽 管絃 曲が使われます しょうぞく 左舞は原則として赤色系統の 装 束を着用するのに対して 右舞は原則として緑 雅楽の楽器について 吹いても吸っても音が出る楽器 和音を奏することができる せんりつ そうしょくおん かざ 竹でできた笛 高い音域で主旋律や装 飾 音 旋律を飾る音 を吹く こ あしという植物で作られたリードを 竹の管に差し込んで音を出す 主旋律を受けもつ 弾きもの 打ちもの き なんぼくちょう むろまち せんごく 左舞 南北 朝 室町 戦国 色系統の装束を着用します 吹きもの げん つめ 13本の弦を 指に付けた爪を使って弾く 4本の弦をばちを使って弾く あ づちももやま 安土桃山 拍の表れ方と速度の変化 音楽の構成の仕方に着目して聴き取ろう 雅楽の表現の特 徴 を理解して聴き深めよう 越天楽 の優美なメロディーは 後に 越天楽今様 や福岡県民謡 黒田節 に取り入れられ 広く 奈良 いまよう こ ふん こんにち 古墳 日本の伝統音楽の魅 力 が 雅楽 越天楽 平 調 金属製の打楽器 2本のばちを使って 皿状のへこんだほうの面を打つ かわ 2本のばちで革の両面を打つ 全体のテンポをリードする役目がある 2本のばちで太鼓の片面を打つ 右舞 え 江戸 ど く ないちょうしき ぶ しょくがく ぶ 上の図譜は すべての楽器が出そろった状態を示しています 五線で表した部分は 現在の演奏に合わせて改変されています じょ 宮内 庁 式部 職 楽部 は きゅう 序破 急 について 速度がしだいに速くなる めい じ 明治 もともとは雅楽の用語で 序 破 急 の三つを 合成した言葉 形式上の区分などを指しますが 演奏 にあたっては 序 破 急 と進むにつれて速度が 序 破 急 しだいに速くなる状態をいいます 音楽だけに限らず がいねん 日本の伝統芸能に共通する概念です 越天楽 を体験しよう p 年上p.32折込み 雅楽 越天楽 日本の伝統音楽 鑑賞教材 では 学習活動のページに プラスして 豊富な資料のページを加えました 楽器紹介 おおだい こ ような形をしています 2 枚のリード あがっていたといわれています しんどう 初期のフルートは木製で構 を振動させて発音します 造も単純でしたが 現在は金 君が代は スライドのついた現在の形ができ 千代に八千代に 君が代 トロンボーンは 15 世紀には ファゴットは 管が折りたたまれた さざれ石の ファゴット フルート いわおとなりて トロンボーン p.28 p.36 p.38 こけのむすまで オーケストラの楽器 大太鼓 用する大太鼓は直径 80cm か さつ げん がっ き ヴァイオリンは 擦 弦 楽 器 ヴ ァ イ オ リ ン ヴ ィ オ ラ えん ばん いっ ぱん 金属製の円 盤 で 一 般 的 たが ら 90cm ぐ ら い の 大 き さ で に 2 枚一組で互 いに打ち合 通常は先 端 が大きくて柔 らか わせる奏法と 1 枚をスタン いマレットで打ちます ドに取り付けてマレットな せん たん やわ どで打つ奏法があります 属製の楽器が広く使われてい ヴィオラ ヴァイオリン シンバル すい そう がく オーケストラや吹 奏 楽 で使 ます ヴィオラは基本的にはヴァ イオリンと同じ構造ですが ヴィオラのほうが大きく よ り低い音に調弦します ピッコロ チェロ コントラバス の中 ピッコロはフルートより で最も小さく 最も高い音の 1 オクターヴ高い音が出ます 出せる楽器です トランペット トランペットをはじめとした Strings 弦楽器 金管楽器は マウスピースに当 Woodwind 木管楽器 くちびる てた 唇 を振動させて発音し ます Brass 金管楽器 Percussion 打楽器 チェロ ティンパニ チェロはヴィオラより 1 オクターヴ低く調弦します 一人の奏者が基本的には ゆか エンド ピンを使って 床 に い す 2 個 曲によっては 3 個以 こし こ 立て 椅 子 に 腰 かけて演奏 上を用いて演奏します 鼓 めん します 面の張力をかげんして音高 を変えます クラリネット コントラバス ハープ クラリネットは リードを し ホルン 締め金具でマウスピースに固 定して発音します サクソフォーン コントラバスはオーケス オーケストラなどで用いられるハー トラの低音域を受けもちま プには 本の弦が張られ 弦 す 演奏するときは立つか の音高を変化させるためのペダルが七 座面の高い椅子に浅く腰か つあります ハープはリムスキー コ オーボエとイングリッシュ けて弾きます ルサコフ作曲 交 響 組 曲 シェエラ ホルンは 2 枚のリードを振 ザード p.36 などで使用されます 動させて発音します ひ こう きょう くみ きょく つの ホルンの原形は 動物の角 つの ぶえ オーボエ イングリッシュホルン イングリッシュホルンは オーボエより大きく より低 い音が出ます 金属製ですがクラリネットの やきばで作られた 角 笛 では ようにリードを用いて発音する ないかといわれています ので木管楽器に属します ムソ ルグスキー作曲 ラヴェル編曲 チューバ 組曲 展覧会の絵 第 2 曲 古城 チューバは金管楽器の低音 歌詞の大意 細 石が集まりやがて大きな岩となり その上を苔が一面におおうほどの永きにわたり 日本の平和と繁栄が末永く続くことを願う などで使用されます パートを受けもちます 現在第一線で活躍している演奏家の方たちにご協力いただき 楽器紹介のページを全面的にリニューアルしました さざれいし こけ なが はんえい 年上巻末折込み オーケストラの楽器 Spire_M 2011 Spring 5

6 6

7 Spire_M 2011 Spring 7

8 8

9 Spire_M 2011 Spring 9

10 10

11 Spire_M 2011 Spring 11

12 音 楽 科 自 らが 演 奏 し 実 践 する 箏 の 授 業 研 究 川 崎 市 立 柿 生 中 学 校 丸 山 胤 幸 1 はじめに 教 員 になりたての 頃, 教 科 書 に 採 用 されている 鑑 賞 曲 を 可 能 な 限 り 生 演 奏 で 授 業 したいと 思 い, とりわけ 目 新 しい 箏 や 尺 八 を 習 い 始 めた 箏 は 六 段 の 調, 尺 八 は 春 の 海 が 目 標 和 楽 器 の 奥 深 さを 知 るいい 機 会 になった この 経 験 が 後 に 地 区 研 究 のテーマとなり, 何 年 も 継 続 して 研 究 討 議 する 題 材 となる 音 楽 科 自 らが 演 奏 し 実 践 する 授 業 外 部 講 師 を 招 いて 箏 の 授 業 を 展 開 すれば,もちろんす ばらしい 生 演 奏 のおまけつきで, 生 徒 の 興 味 関 心 も 高 まるところだろうが, 音 楽 科 の 資 質 を 上 げること によって,これらをすべてカバーできるはずである 普 段 の 授 業 で 生 徒 一 人 ひとりの 個 性 を 生 かせる 音 楽 科 が,さらに 発 展 した 授 業 展 開 をすることで, 箏 曲 の 魅 力 を 感 じ, 日 本 の 伝 統 文 化 への 興 味 関 心 を 高 めることにつながればと 考 えた 2 授 業 実 践 のための 準 備 と 研 修 音 楽 科 の 教 員 自 ら 箏 の 授 業 を 実 践 するため 夏 季 休 業 を1 日 使 い, 地 区 音 楽 科 教 員 と 共 に 必 要 最 低 限 の 技 法 習 得, 授 業 展 開 例 を 研 究 研 修 した 12

13 ( 図 1) 親 指 を 中 心 に 楽 譜 を 作 成 してみた クラスの 状 況 によっては その 一 からではなく その 二 から 始 めるのもよい その 三 になると 連 続 音 が 続 くようにつくってあるので, 親 指 を 次 の 弦 で 止 めなが ら 練 習 する 発 展 形 になる その 四 では 常 に 親 指 が 違 う 弦 に 移 動 するので,この 練 習 曲 の 後, 他 の 曲 に 移 行 しても 大 部 分 は 通 用 するくらいの 力 量 になる 3 授 業 実 践 例 1 (1) 短 時 間 で (2)しっかりと 意 味 のある (3)かつ 興 味 を 持 ちながら 練 習 できる スタイルにする ため, 教 材 を 工 夫 した (ア)プレゼンテーションを 利 用 しての 予 備 学 習 ここではできる 限 り 口 頭 で 説 明 できる 基 本 的 な 技 法 で,かつ 重 要 な 内 容 をプレゼンテーションソ フトのアニメーション 機 能 を 利 用 し, 説 明 する 特 に 自 分 以 外 の 教 員 が 説 明 してもきちんと 理 解 できる ようスライドを 工 夫 した の のの のをめる プレゼンテーションスライドの 一 例 Spire_M 2011 Spring 13

14 (イ) 自 作 譜 を 利 用 しての 実 技 導 入 図 1(p.13)の 楽 譜 を 利 用 し, 初 期 段 階 で 大 切 な 技 法 の 確 認 をする (ウ) 自 作 譜 を 利 用 しての 発 展 実 技 練 習 ( 図 2) 1 個 人 のレベルに 沿 えるよう, 三 つのバージョンを 用 意 2 左 手 の 技 法 である 突 き 色 に 興 味 を 持 ち, 難 しいバージョンへの 取 り 組 みを 意 欲 的 に 進 める 生 徒 が 目 立 つ (エ) 自 作 譜 箏 曲 二 十 選 を 利 用 し, 箏 譜 を 読 めるようにする ( 図 3) 14

15 1 例 として 全 曲 を 班 単 位 で 展 開 楽 譜 読 み 担 当 演 奏 担 当 判 断 担 当 等 に 分 け, 曲 名 を 調 べる 2 曲 は 誰 にでもわかるような 簡 単 な 曲 を 準 備 した 3 調 弦 は 平 調 子 ではなく 特 殊 な 調 弦 を 使 用, 洋 曲 でも 対 応 できるようなものにした 4 授 業 実 践 例 2 下 の 指 導 案 は 箏 曲 二 十 選 を 利 用 し, 箏 譜 を 読 み, 箏 に 親 しみをもって 演 奏 できる ことを 中 心 に 据 えたもの 五 線 譜 ではまともに 読 めない 生 徒 も, 箏 譜 だと 大 多 数 の 生 徒 が 読 むことができた 漢 字 が 弦 に 直 結 していることが,その 理 由 と 考 える 音 がわかれば 班 の 中 でリズムが 自 然 につき, 曲 名 を 判 別 することに 至 る 1 時 間 の 中 で 概 ね 全 班 が 目 標 を 達 成 できていた 五 線 譜 から 音 にする 作 業 が 困 難 な 生 徒 たちも, 箏 譜 だと 無 理 なく 紙 媒 体 を 音 に 再 現 することができていた 1. 時 の 展 開 1 目 標 楽 譜 を 読 み, 箏 (こと)で 演 奏 しよう 2 展 開 される 生 徒 の 応 学 習 動 教 師 の 指 導 法 学 校 の 時 にやったことがある 弦 のがわからない うまく 音 が 出 ない 経 験 のある 生 徒 を 班 の 中 でうまくさせる の 弦 が 箏 の 中 心 にあることを 気 かせる 親 指 の 立 て, 指 の 使 い 等 を 意 させる うまく 演 奏 できた 五 の 弦 に 指 が 移 動 しない 班 員 が 全 員 ーテーションできるよう 演 奏 する 指 の 当 てなど 意 した 内 容 を 演 奏 にかせるよう にする いっい 曲 がある んんわからない 箏 譜 の 特 に 気 かせる 1 曲 にまりないように 意 させる 演 奏,きなど, 班 員 の 分 担 をうまく 利 用 でき るよう 意 させる できるだけ 多 くの 曲 にれるよう 意 させる この 曲 わかった どこかでいたことある あの 曲 だったんだ うちの 班 もわかった ループしながら 特 あるフレーズに 気 かせる 班 員 全 員 でそれれ 意 を 出 しえるよう 気 作 りに 意 させる 気 がついた 班 のフーもれないようにする まったく 選 曲 されていない 曲 を 教 師 自 ら 演 奏 し, 曲 名 をき 出 すことも 考 える 箏 の 楽 譜 が 簡 単 だ 五 線 のがれている 五 線 と 箏 譜 との 違 いを 気 かせる 5 終 わりに この 研 究 も 今 年 で5 年 目 を 迎 え,いろいろな 形 で 発 展 してきた 箏 が 一 面 しかない 学 校 も 地 区 内 で 協 力 し, 期 間 を 決 めて 各 学 校 から 一 斉 貸 し 出 しすることにより, 授 業 時 には 十 面 程 度 で 実 施 できるよう 環 境 を 整 え,どの 学 校 でも 同 じように 箏 の 授 業 ができるようになった また 教 材 を 共 通 化 することで,さ らに 内 容 を 深 めることもできた 教 師 が 演 奏 できることでのメリットは 多 く, 演 奏 家 では 気 がつかない 点 も 大 きく 取 り 上 げることにより,どの 生 徒 でも 興 味 関 心 を 持 って 授 業 を 受 けることができるようにな る 箏 への 苦 手 意 識 を 無 くすことは 決 して 難 しいことではない 今 後 も 日 本 の 音 楽 の 良 さや 奥 深 さを 身 近 に 感 じてもらえるよう,テーマを 追 求 していきたいと 考 える Spire_M 2011 Spring 15

16 9 小 生 中 生 ( 名 グループ) わい 生 出 会 い 広 い 葉 2011 年 7 月 1 日 9 月 30 日 あわせーージい 東 京 都 千 代 田 区 神 田 神 保 町 2-10 TEL FAX 中 学 高 校 音 楽 通 信 Spire_M 2011 年 春 号 2011 年 3 月 31 日 発 行 編 集 : 教 育 出 版 株 式 会 社 編 集 局 発 行 : 教 育 出 版 株 式 会 社 代 表 者 : 小 林 一 光 印 刷 : 大 日 本 印 刷 株 式 会 社 発 行 所 : 東 京 都 千 代 田 区 神 田 神 保 町 2-10 電 話 (お 問 い 合 わせ) URL 北 海 道 支 社 函 館 営 業 所 東 北 支 社 中 部 支 社 関 西 支 社 中 国 支 社 四 国 支 社 九 州 支 社 沖 縄 営 業 所 札 幌 市 中 央 区 北 三 条 西 ヒューリック 札 幌 ビル 6 F TEL : FAX : 函 館 市 本 町 6-7 函 館 第 一 生 命 ビルディング 3 F TEL: FAX: 仙 台 市 青 葉 区 本 町 ライオンズプラザ 本 町 ビル 7F TEL: FAX: 名 古 屋 市 中 区 大 須 カジウラテックスビル 5 F TEL: FAX: 大 阪 市 中 央 区 久 太 郎 町 ヨシカワビル 7 F TEL: FAX: 広 島 市 中 区 大 手 町 あいおいニッセイ 同 和 損 保 広 島 大 手 町 ビル 5F TEL: FAX: 松 山 市 大 街 道 岡 崎 産 業 ビル 5 F TEL: FAX: 福 岡 市 中 央 区 天 神 ヒューリック 福 岡 ビル 8 F TEL: FAX: 那 覇 市 金 城 一 粒 ビル 3 F TEL: FAX: