2. スペインにおける 女 性 の 地 位 の 歴 史 的 変 遷 現 代 スペインの 男 女 共 同 参 画 の 状 況 を 考 察 する 際 その 前 提 としてこれまでのスペイン における 女 性 の 社 会 的 地 位 や 性 役 割 意 識 の 歴 史 的 変 遷 をふり 返 ることが 重

Transcription

1 II. スペインにおける 取 組 と 日 本 への 示 唆 駒 澤 大 学 総 合 教 育 研 究 部 専 任 講 師 齊 藤 明 美 1. はじめに スペイン 王 国 は 南 欧 のイベリア 半 島 に 位 置 し 面 積 は 50.6 万 Km²( 日 本 の 約 1.3 倍 ) 人 口 は 2009 年 1 月 現 在 で 約 4,666 万 人 ( 日 本 の 約 3 分 の 1)である 首 都 はマドリード ス ペイン 語 (カスティーリャ 語 )の 他 地 方 によってバスク 語 カタル-ニャ 語 ガリシア 語 も 公 用 語 として 使 用 されている フアン カルロス 一 世 国 王 (1975 年 11 月 22 日 即 位 ) を 元 首 とし 二 院 制 ( 上 院 下 院 )を 擁 する 議 会 君 主 制 を 持 つ 現 在 2004 年 の 総 選 挙 で 民 衆 党 政 権 (1996~2004)を 破 ったホセ ルイス ロドリゲス サパテロ 首 相 の 社 会 労 働 党 (PSOE) 政 権 第 二 期 目 である スペイン 一 人 当 たりの GNI( 国 民 総 所 得 )は 31,617 ドル( 世 界 銀 行 2007 年 日 本 は 35,470 ドル)であった 日 本 とスペインの 交 流 は 1549 年 にフランシスコ ザビエルが 初 めて 日 本 を 訪 れて 以 来 から 良 好 で 公 的 民 間 の 文 化 交 流 も 活 発 に 行 われている 2005 年 PSOE 政 権 が 打 ち 出 した アジア 大 洋 州 プラン( ) 中 でも 日 本 はアジアの 重 要 なパートナーと 認 識 され 2007 年 9 月 には 世 界 でのスペイン 語 の 教 育 と 普 及 を 担 う 国 営 セルバンテス 文 化 センター 東 京 支 部 が 麹 町 に 開 設 翌 年 11 月 には 正 式 開 館 セレモニーが 行 われ 国 王 夫 妻 が 国 賓 として 訪 日 した 年 度 の UNDP( 国 連 開 発 計 画 )の 調 査 によると 日 本 は 人 間 開 発 の 達 成 度 (HDI) では 8 位 にランクしているが 政 治 経 済 活 動 への 女 性 参 画 の 指 標 である GEM 指 数 (ジェ ンダー エンパワーメント 指 数 )は 108 カ 国 中 58 位 と 非 常 に 低 く 我 が 国 の 男 女 共 同 参 画 の 遅 れを 示 している 一 方 スペインは HDI は 16 位 ながらも GEM 指 数 は 12 位 と 非 常 に 健 闘 している( 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 2009:12) また IPU( 列 国 議 会 同 盟 )の 女 性 国 会 議 員 比 率 国 際 ランキング(2009 年 12 月 31 日 時 点 )でも 187 カ 国 中 スペインは 12 位 ( 下 院 36.6% 上 院 30.8%)と 上 位 に 位 置 している 一 方 日 本 は 96 位 ( 衆 議 院 11.3% 参 議 院 17.4%)であり 女 性 の 政 治 参 加 という 点 でもスペインは 日 本 を 大 きくリードしている 69 なぜ HDI や 経 済 指 数 で 劣 るスペインにおいてより 女 性 社 会 参 画 が 進 んでいるのか この 理 由 を 考 察 することに 今 後 の 我 が 国 における 男 女 共 同 参 画 社 会 形 成 さらには 女 性 専 門 職 のさらなる 活 躍 のための 重 要 なヒントが 隠 されていると 思 われる 68 外 務 省 ホームページ 69 IPU( 列 国 議 会 同 盟 )

2 2. スペインにおける 女 性 の 地 位 の 歴 史 的 変 遷 現 代 スペインの 男 女 共 同 参 画 の 状 況 を 考 察 する 際 その 前 提 としてこれまでのスペイン における 女 性 の 社 会 的 地 位 や 性 役 割 意 識 の 歴 史 的 変 遷 をふり 返 ることが 重 要 である 歴 史 的 に 見 ても スペインの 女 子 教 育 には 伝 統 的 家 長 制 度 やカトリック 主 義 の 影 響 が 色 濃 く 反 映 されていた 幼 少 時 は 良 妻 賢 母 教 育 が 行 われ 成 人 時 には 完 璧 な 妻 (perfecta casada) として 家 庭 に 収 まるか または 修 道 女 として 宗 教 の 道 に 進 むことが 求 められた また 就 職 も 自 己 実 現 やキャリア 形 成 のためではなく 結 婚 までの 一 時 的 な 社 会 勉 強 の 場 と 認 識 されており 小 学 校 教 師 看 護 師 事 務 員 など 献 身 的 補 佐 的 で 女 性 的 な 職 種 が 奨 励 さ れた 家 長 制 度 の 下 で 従 属 的 な 立 場 を 強 いられてきた 女 性 達 にとって 第 二 次 共 和 政 ( ) 成 立 は 朗 報 であった 自 由 主 義 民 主 主 義 をスペイン 社 会 に 実 現 するべく 制 定 された 1931 年 憲 法 は 政 教 分 離 地 方 自 治 の 他 にそれまで 禁 止 されていた 教 会 婚 以 外 の 婚 礼 ( 市 民 婚 )や 離 婚 公 職 における 男 女 差 別 撤 廃 23 歳 以 上 の 男 女 普 通 選 挙 など 男 女 の 政 治 的 社 会 的 平 等 を 認 めた これにより 女 性 の 主 体 的 な 個 人 としての 社 会 活 躍 の 場 が 広 がった しかしスペイン 内 戦 後 に 誕 生 したフランコ 独 裁 体 制 ( )は 中 央 集 権 国 家 カトリック 主 義 に 基 づいた 全 体 主 義 的 な 新 国 家 成 立 を 目 指 し 自 由 主 義 民 主 主 義 共 産 主 義 と 同 様 に 女 性 参 政 権 や 離 婚 法 などの 政 治 や 社 会 における 女 性 の 権 利 を 否 定 した 代 わりに 伝 統 的 な 良 妻 賢 母 モデルに 回 帰 し 女 性 の 活 動 の 場 を 再 び 家 庭 に 限 定 した このよ うに 独 裁 政 権 下 のスペイン 女 性 は 男 性 に 従 属 する もの とみなされ 就 職 財 産 の 管 理 パスポートの 申 請 などは 父 親 や 夫 の 了 承 が 必 要 であり その 社 会 的 地 位 は 非 常 に 低 い ものであった 1975 年 フランコ 没 による 独 裁 終 焉 はスペイン 社 会 の 大 きな 転 機 となった 以 後 民 主 化 への 移 行 が 進 み 同 時 に 女 性 解 放 運 動 も 盛 んになった 1978 年 12 月 発 布 の 民 主 憲 法 は 立 憲 君 主 制 複 数 政 党 制 議 院 内 閣 制 を 定 め また 法 の 下 の 男 女 平 等 も 14 条 にて 保 障 し 以 後 の 女 性 の 社 会 進 出 の 第 一 歩 となった その 後 1981 年 に 政 権 を 獲 得 したフェリペ ゴンザ レス 首 相 の 社 会 労 働 党 政 権 は 1983 年 に 政 府 の 女 性 参 画 推 進 組 織 として 女 性 研 究 所 (Instituto de la Mujer)を 設 置 した 女 性 参 政 権 や 離 婚 法 などのフランコ 体 制 によりはく 奪 された 女 性 の 政 治 市 民 社 会 権 も 取 り 戻 された 以 後 世 界 的 なウーマンリブ 運 動 と 重 なり 様 々な 女 性 団 体 が 誕 生 女 性 間 のネットワークも 広 がりを 見 せ 公 的 領 域 におけ る 女 性 の 社 会 政 治 活 動 は 飛 躍 的 に 増 大 した 3. 最 近 のスペイン 政 府 の 取 組 と 女 性 をめぐる 状 況 21 世 紀 初 旬 の 現 代 スペイン 社 会 における 女 性 の 立 場 はいかなるものか 女 性 の 高 学 歴 化 と 労 働 市 場 進 出 などに 代 表 されるように 経 済 政 治 社 会 における 女 性 参 画 はフラン

3 コ 独 裁 時 と 比 べ 飛 躍 的 に 増 大 したといえる それには 2004 年 に 保 守 派 の 民 衆 党 (Partido Popular)から 政 権 を 奪 回 したサパテロ 首 相 の 社 会 労 働 党 の 男 女 共 同 参 画 推 進 政 策 の 効 果 が 大 きい 具 体 的 にはスペイン 初 の 女 性 副 首 相 の 任 命 や 大 臣 職 の 男 女 同 比 率 の 達 成 2007 年 の 実 質 的 男 女 平 等 組 織 法 ( 以 下 平 等 法 ) 2008 年 の 平 等 省 の 設 立 などであり 意 思 決 定 プ ロセスにおける 女 性 の 発 言 権 向 上 を 目 指 している( 調 査 編 参 照 ) また 2008 年 の 二 期 目 組 閣 人 事 においても 防 衛 大 臣 に 当 時 妊 婦 であったカルメン チャコンが 新 設 の 平 等 省 大 臣 に 女 性 のビビアナ アイードも 歴 代 最 年 少 の 31 歳 で 就 任 し 話 題 となった もちろん EU や 国 際 連 合 などの 数 々の 女 性 参 画 推 進 の 取 組 も スペインにおけるジェ ンダー 主 流 化 の 強 力 な 原 動 力 になっている ( 調 査 編 参 照 ) 2000 年 の EU 成 長 と 雇 用 の ためのリスボン 戦 略 では EU の 持 続 可 能 な 経 済 成 長 の 為 には 女 性 の 雇 用 が 必 要 不 可 欠 で あること またワーク ライフ バランスが EU の 共 通 政 策 課 題 であることが 確 認 された また 2006 年 に 採 択 された 男 女 平 等 促 進 のためのロードマップ にも 両 立 支 援 が 重 要 課 題 として 取 り 上 げられた 仕 事 と 生 活 の 調 和 は 生 産 力 向 上 に 関 係 するというこのような EU の 考 えは スペイン 国 内 でも 家 庭 生 活 と 労 働 の 両 立 法 (1999 年 ) 国 家 公 務 員 の 出 産 育 児 休 暇 拡 大 プラン(2005 年 ) 自 立 促 進 要 援 護 者 のケアに 関 する 法 律 (2006 年 )などの 様 々 な 両 立 支 援 に 関 する 法 制 度 として 反 映 されている 2007 年 の 平 等 法 は 従 来 の 法 律 より 強 い 拘 束 力 をもち 父 親 独 立 育 休 制 度 企 業 平 等 ロードマップやアクションプラン ジェンダ ーの 主 流 化 を 義 務 付 け 実 質 的 な 男 女 共 同 参 画 社 会 確 立 を 目 指 し 男 性 企 業 国 地 域 労 働 組 合 等 の 主 体 的 な 協 力 を 求 めている 70 次 に 現 代 スペイン 女 性 を 取 り 巻 く 状 況 を 簡 単 に 紹 介 する スペイン 社 会 の 特 徴 として 少 子 化 ( 合 計 特 殊 出 生 率 日 本 1.34 スペイン 1.4:2007 年 ) 晩 婚 化 (27.8 歳 28.6 歳 : 2004 年 ) 71 女 性 就 業 率 ( 生 産 年 齢 人 口 に 占 める 女 性 雇 用 者 の 割 合 )の 低 さ( 日 本 59.5% スペイン 55.5%:2007 年 ) 72 などが 挙 げられ 日 本 と 共 通 する 点 も 多 い OECD 各 国 の 女 性 就 業 率 と 出 生 率 の 関 係 を 示 すデータによると 1980 年 当 時 は 全 体 的 に 就 業 率 が 上 がるにつれ 出 生 率 が 下 がるという 傾 向 がみられた しかし 2005 年 では 北 欧 諸 国 米 国 などのように 女 性 就 業 率 と 並 行 して 出 生 率 も 上 がる 国 も 出 現 したが 南 欧 中 欧 日 本 韓 国 では 相 変 わ らず 仕 事 をする 女 性 が 増 えると 出 生 率 が 下 がっており スペインも 日 本 も 仕 事 の 家 庭 の 両 立 が 困 難 な 社 会 である 点 で 共 通 している (OECD 2009:34) また 平 均 寿 命 ( 日 本 82.1 歳 :2005 年 OECD 中 1 位 ) スペイン 80.7 歳 (5 位 )や 65 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 比 率 の 高 さ( 日 本 19% スペイン 16%:2004 年 )による 高 齢 社 会 の 到 来 純 ( 課 税 後 ) 公 的 社 会 支 出 の GDP 比 率 の 低 さ( 両 国 とも 17.6% ドイツ 26.2 フラ ンス 25.5 スウェーデン 24.3:2006 年 )も 両 国 の 共 通 点 として 数 えられる (OECD 2009:69) 70 スペイン(INE2009) 日 本 ( 厚 生 労 働 省 ) 71 スペイン(INE), 日 本 (OECD2009) 72 OECD(2008) スペイン(16 歳 ~64 歳 ) 日 本 (15 歳 ~64 歳 )と 生 産 年 齢 に 若 干 差 がある

4 低 い 公 的 社 会 支 出 による 育 児 介 護 の 公 的 サービスの 欠 落 を 補 うために 多 くの 女 性 達 が 娘 や 妻 母 として 家 庭 や 地 域 で 大 きな 役 割 を 果 たしている 状 況 も 似 ている 高 齢 者 社 会 保 障 研 究 所 (INSERSO)の 調 査 によると スペインの 介 護 者 の 83.6%は 女 性 で 平 均 的 な 介 護 者 の 像 は 52.9 歳 既 婚 女 性 (76.2%) 初 等 教 育 修 了 (43%) 専 業 主 婦 (44.2% 就 業 者 は 26%)であるという (INSERSO 2005:17-18) また 医 療 健 康 省 (MSC)の 中 高 年 女 性 の 健 康 に 関 する 報 告 書 によると 介 護 世 代 の 中 高 年 女 性 (45-65 歳 )は 孫 や 親 などの 家 族 以 外 にも 隣 人 や 友 人 の 世 話 もする 者 が 多 く それによる 過 重 労 働 とストレスから 筋 肉 痛 や 頭 痛 うつ 病 が 増 加 している また 睡 眠 薬 や 精 神 安 定 剤 の 服 用 者 の 75%は 女 性 であり スペイン 人 女 性 の 約 70%がそれらの 薬 を 服 用 したことがあるという (MSC 2008: 69) スペインでは 家 庭 の 事 情 ( 育 児 介 護 ) で 就 業 できない 者 の 約 96%が 女 性 であり(2007 年 資 料 編 参 照 ) 育 児 による 離 職 率 も 高 い 1 人 目 出 産 時 に 10% 2 人 目 20% 3 人 目 40% の 母 親 が 育 児 を 理 由 に 退 職 し(INE) EU 内 では 12 歳 以 下 の 子 を 持 つ 女 性 の 労 働 市 場 参 加 率 のワースト 4 位 を 占 めている(Eurostat 2005) 73 さらに 非 常 勤 の 理 由 として 家 庭 問 題 ( 育 児 介 護 含 む) を 挙 げた 女 性 の 割 合 が 30%( 内 育 児 介 護 18.4%)に 対 し 男 性 はその 一 割 の 3%( 内 育 児 介 護 1.3%)という 国 の 統 計 が 出 ており 正 社 員 として 働 く 意 欲 があっても 家 庭 の 事 情 により 非 常 勤 を 選 ばざるおえない 女 性 が 多 く 存 在 している 逆 に 通 学 を 理 由 に 非 常 勤 を 選 択 した 男 性 は 22.1%であり 女 性 (8.5%)の 3 倍 近 く 存 在 し 非 正 規 雇 用 の 理 由 においても 性 別 による 差 が 見 られる (2008 年 資 料 編 参 照 ) このような 育 児 介 護 など 私 領 域 における 女 性 に 多 大 にかかる 負 担 74は 結 果 として 働 きたくても 働 けない 多 くの 女 性 を 労 働 市 場 から 遠 ざける 要 因 となっており それは 女 性 就 業 者 割 合 の 低 さ(42.9%)や 高 い 女 性 の 非 正 規 雇 用 率 (80%)という 数 字 に 反 映 されて いる (2008 年 資 料 編 参 照 ) 精 神 面 においても 男 性 は 仕 事 指 導 的 立 場 女 性 は 家 庭 補 佐 的 立 場 という 根 強 い 伝 統 的 性 役 割 意 識 の 影 響 は 日 本 と 共 通 すると 思 われる 歴 史 的 もスペインではフランコ 時 代 のカトリック 国 家 主 義 教 育 の 影 響 が 特 に 60 代 以 上 の 管 理 職 世 代 を 中 心 に 根 強 く 残 って おり 女 性 の 昇 進 を 阻 む クリスタルの 天 井 の 一 因 となっていると 考 えられる それによ り 女 性 の 低 賃 金 昇 進 の 遅 れとその 限 界 非 正 規 雇 用 問 題 などが 生 じ 男 性 同 僚 と 比 べて 不 安 定 な 雇 用 形 態 を 強 いられている これらの 問 題 を 政 府 は 自 覚 しており 2007 年 の 男 女 平 等 戦 略 的 プラン の 序 文 でも EU や 国 際 連 合 レベルで 男 女 平 等 政 策 が 進 み スペインにおいても 男 女 同 率 大 臣 数 が 達 成 73 (Lahera 2009:89) 74 国 立 統 計 局 時 間 の 使 い 方 についてのアンケート によると 家 事 と 家 族 に 費 やす 一 日 の 平 均 時 間 は 男 性 2.08 時 間 に 対 して 女 性 4.45 時 間 である(INE 2004:177)

5 女 性 の 教 育 や 医 療 サービスへのアクセスも 増 加 している しかし 労 働 市 場 雇 用 条 件 や 政 治 経 済 文 化 研 究 分 野 における 意 思 決 定 機 関 の 男 女 同 率 には 程 遠 く 実 質 的 な 男 女 平 等 社 会 はまだ 実 現 していない またスペイン 社 会 には 依 然 としてステレオタイプや 伝 統 的 性 役 割 意 識 が 根 強 く これが 女 性 の 市 民 権 行 使 を 阻 害 している 民 主 主 義 の 原 則 はもちろ ん スペインが 持 続 的 な 発 展 を 遂 げるためには 女 性 の 能 力 を 有 効 活 用 する 必 要 があり そ のためにも 性 差 別 を 容 認 してはいけない と 問 題 を 明 確 にしている( 平 等 省 2007:56) スペイン 社 会 の 日 本 と 異 なる 点 の 一 つとして 密 接 な 家 族 隣 人 関 係 がある 筆 者 の 長 年 のスペイン 滞 在 の 中 で 血 縁 地 縁 相 互 扶 助 関 係 が 網 の 目 のように 社 会 全 体 に 張 り 巡 らさ れていること そしてそれが 社 会 福 祉 セーフティネットとしてうまく 機 能 していることを 強 く 実 感 した 現 代 日 本 では 家 族 や 地 域 との 繋 がりが 次 第 に 希 薄 となり 個 人 が 孤 立 するケ ースが 増 え ひきこもりやネットカフェ 難 民 自 殺 などの 問 題 が 若 者 や 高 齢 者 を 中 心 に 増 加 している また 婚 姻 と 家 族 形 態 においてもスペインでは 同 性 間 の 婚 姻 の 合 法 化 75 事 実 婚 養 子 縁 組 への 育 児 休 暇 嫡 出 子 と 非 嫡 出 子 間 の 法 的 平 等 法 律 婚 によらない 子 供 の 比 率 の 高 さ(スペ イン 28.4% 日 本 2.1%2006 年 ) 76 などが 特 徴 であり 婚 姻 と 家 族 形 態 の 多 様 は 日 本 と 大 き く 異 なる 点 である さらにスペインでは 少 子 化 や 労 働 力 不 足 を 解 消 するために 積 極 的 に 外 国 人 移 民 を 受 け 入 れており 出 生 率 の 上 昇 や 育 児 や 高 齢 者 の 介 護 の 担 い 手 として 中 南 米 出 身 移 民 女 性 の 貢 献 は 大 きい 年 に 制 定 施 行 された これにより 同 性 間 夫 婦 も 従 来 の 異 性 間 の 夫 婦 と 同 様 に 年 金 受 給 相 続 養 子 縁 組 などの 社 会 的 権 利 の 行 使 を 保 障 された オランダ(2001) ベルギー(2003) カナダ(2005) 南 ア フリカ(2006) スウェーデン(2009) ノルウェー(2009) 北 米 の 一 部 の 州 などでも 同 性 婚 は 合 法 化 され た スペイン 統 計 局 (INE)によると 2008 年 度 に 3194 組 の 同 性 婚 がなされた( 内 男 性 間 2051 組 女 性 間 1143 組 ) 異 性 間 婚 は 約 19 万 4 千 組 (INE 2010) 76 スペイン(INE) 日 本 ( 厚 生 労 働 省 ) 年 の 全 人 口 における 外 国 人 居 住 者 の 割 合 は 3.3%であったが 2008 年 には 11.4%( 約 527 万 人, 内 男 性 53.2% 女 性 46.8%)に 上 昇 また 外 国 人 の 母 親 から 生 まれた 子 供 の 割 合 も 2001 年 6.2%から 2007 年 には 18.9%に 増 加 し 全 体 の 出 生 率 も 1990 年 代 半 ばでは 1.2%を 割 っていたが 2007 年 には 1.4%に 上 昇 し た(INE 2009) 外 国 人 移 民 の 就 業 する 職 種 は 男 性 では 建 設 (25.4%) 小 売 飲 食 業 (18%) 製 造 業 (17.3%)が 女 性 ではその 他 (29.9%) 小 売 飲 食 業 (21.8%) 福 祉 教 育 医 療 社 会 サービス(20.4%) が 多 い (INE2008)

6 4. 女 性 専 門 職 の 現 状 と 日 本 への 示 唆 (1) 女 性 専 門 職 の 現 状 ここでは 2010 年 1 月 下 旬 スペイン マドリッドで 行 ったヒアリング 調 査 の 結 果 をもとに 統 計 データで 表 すことの 困 難 なスペインの 女 性 専 門 職 ( 研 究 職 医 療 メディア)の 生 の 声 を 紹 介 しながら 各 分 野 における 両 立 支 援 の 実 態 や 女 性 専 門 職 の 昇 進 ワーク ライ フ バランスの 障 害 となる 様 々な 問 題 を 考 察 していく 1 女 性 研 究 職 スペインにおける 女 性 研 究 職 の 現 状 各 分 野 における 男 女 共 同 参 画 推 進 の 進 展 及 び 問 題 点 について 科 学 技 術 革 新 省 の 男 女 共 同 参 画 推 進 局 の Women and Science Unit( 女 性 と 科 学 ユニット) 局 長 のイネス サンチェス デ マダリアガさん(Inés Sánchez de Madariaga) 78とマラガ 大 学 教 授 のマリア ドローレス ラモス パロモさん(María Dolores Ramos Palomo) 79 から 貴 重 なお 話 を 伺 った イネスさんが 所 属 する 女 性 と 科 学 局 は 2005 年 社 会 労 働 党 一 期 目 の3 月 8 日 ( 世 界 女 性 デ ー)に 他 の 省 庁 に 先 立 ち 設 立 され スペインにおける 官 公 庁 の 女 性 参 画 推 進 ユニットの 先 駆 けとなった 彼 女 からは 特 に 政 府 の 立 場 から 大 学 における 男 女 参 画 政 策 の 現 状 と 女 性 研 究 者 の 抱 える 問 題 についてお 話 を 伺 った またスペイン 女 性 近 現 代 史 やジェンダー 研 究 の 第 一 人 者 であるマリア ドローレスさん (50 代 既 婚 者 一 人 娘 の 母 親 )からは スペイン 女 性 の 社 会 進 出 における 歴 史 的 背 景 マラガ 大 学 の 男 女 共 同 参 画 の 現 状 と 問 題 点 さらには 女 性 正 教 授 としての 経 験 から 育 児 や 介 護 などの 家 庭 の 義 務 と 仕 事 の 両 立 昇 進 面 での 今 までの 苦 労 について 詳 しくお 話 を 伺 っ た a) 研 究 職 の クリスタルの 天 井 問 題 : 垂 直 的 水 平 的 性 役 割 分 業 女 性 研 究 者 が 職 場 で 経 験 する クリスタルの 天 井 問 題 について お 二 人 から 言 及 があ った 大 学 入 学 時 には 女 性 の 割 合 が 高 いが 職 階 が 上 がるにつれ 男 性 と 逆 転 (はさみの 形 を 描 く) 女 性 正 教 授 の EU 平 均 18%に 対 しスペインは 14%と 低 くなっているという 80 マ ラガ 大 学 における 現 代 史 の 女 性 正 教 授 の 比 率 は 20%しかない とマリアさんは 述 べた 78 ヒアリング 調 査 日 時 :2010 年 1 月 22 日 10:00~11:15 マドリッド 科 学 技 術 革 新 省 にて 79 ヒアリング 調 査 日 時 :2010 年 1 月 21 日 21:00~22:00 マドリッドにて 80 国 立 統 計 局 (INE)によると 国 立 大 学 における 正 教 授 ( 男 性 7456 名 (86%) 女 性 1210 名 (14%) 専 任 教 員 ( 男 性 名 (63.4%) 女 性 名 (36.5%)(MEC, 2007:17-18)

7 図 表 4-29 スペイン 国 立 大 学 における 学 生 と 教 員 の 男 女 比 ( ) 100% 男 性 女 性 80% 60% 54.5% 60.3% 62.0% 63.7% 86.0% 40% 20% 45.4% 39.6% 37.9% 36.2% 13.9% 0% 入 学 卒 業 専 任 (titular) 短 期 大 学 の 専 任 教 員 正 教 授 出 典 :Ministerio de Educación y Ciencia( 文 部 科 学 省 )(2007), Académicas en cifras 2007,p.10 また 大 学 の 世 界 だけでなく 一 般 的 にどこの 職 場 でも クリスタルの 天 井 が 原 因 で 女 性 は 中 間 管 理 職 止 まり 上 層 部 は 男 性 により 占 められている 民 間 の 方 が 公 共 機 関 よりも 女 性 に 対 して 不 利 であるという 2004 年 の PSOE 政 権 成 立 時 よりさらに 男 女 機 会 均 等 が 推 進 されている 公 共 機 関 では 一 定 の 成 果 を 収 めているが 民 間 セクターの 状 況 は 前 と 同 じ 状 況 2008 年 度 ビクトリア ケント 賞 2 位 を 受 賞 した 垂 直 的 性 差 別 :マラガ 民 間 企 業 における ガラスの 天 井 についての 研 究 81 で 在 マラガ の 4 万 8 千 以 上 の 企 業 の 管 理 職 を 調 査 したところその 約 80%を 男 性 が 占 め 公 共 機 関 に 比 べ 民 間 の 方 が 女 性 の 昇 進 が 困 難 であることが 示 された 多 くの 女 性 が 職 場 での 長 時 間 勤 務 と 家 事 の 二 重 労 働 が 原 因 で 潜 在 能 力 を 発 揮 できないのは 問 題 さらに 大 都 市 より 地 方 にお いて 依 然 として 伝 統 的 保 守 的 な 性 役 割 意 識 が 根 強 く 働 く 女 性 に 対 する 風 当 たりも 強 い とマリアさんは 説 明 してくれた さらに 公 共 機 関 と 民 間 機 関 の 採 用 基 準 の 違 いについて イネスさんは 医 療 法 律 関 係 の 職 は 公 的 機 関 の 就 職 が 多 いことから 採 用 も 客 観 的 な 公 募 でなされメリット 重 視 女 性 も 採 用 試 験 で 高 得 点 を 取 れば 職 を 得 ることが 可 能 になる 逆 に 民 間 企 業 では 採 用 者 との 良 い 人 間 関 係 や 縁 故 関 係 が 重 要 になる 大 学 は 教 授 会 という 小 さなグループが 支 配 している ので 企 業 と 同 様 人 間 関 係 が 昇 進 の 際 に 重 要 なファクターとなる また 公 的 機 関 ( 公 務 員 ) は 民 間 企 業 と 比 較 しても 両 立 支 援 制 度 が 充 実 しており 将 来 育 児 介 護 に 携 わる 予 定 のあ る 女 性 に 人 気 である と 説 明 した 81 Mercedes Redondo Francisco Jimeno de la Maza, Desigualdad vertical por razón de género. Análisis del techo de cristal en las empresas malagueñas

8 イネスさんによると 2009 年 度 の 入 学 者 の 52% 卒 業 学 生 の 60%を 女 性 が 占 め 成 績 も 良 好 分 野 別 では 医 療 (80%) 法 律 (60%)などで 女 性 比 率 が 高 く 逆 に 工 学 物 理 数 学 等 で 低 く(30% 前 後 ) 一 般 的 にも 物 理 数 学 は 男 性 領 域 という 伝 統 的 性 役 割 意 識 が 根 強 く 残 っているという このような 水 平 的 性 役 割 職 域 を 打 破 するためには 初 等 教 育 時 か らの 男 女 共 同 参 画 教 育 が 大 切 と 強 調 さらに アメリカなどでは 工 学 部 や 建 築 学 部 出 身 の 女 性 専 門 職 が 職 場 において 男 性 による 敵 視 やいやがらせ また 賃 金 や 仕 事 内 容 に 関 する 差 別 などを 受 け 退 職 に 追 い 込 まれるケースが 増 加 しているという 研 究 をいくつか 紹 介 してくれた 82 彼 女 曰 く このレベルに 達 した 女 性 研 究 者 は 普 通 育 児 や 介 護 などの 家 庭 の 理 由 では 退 職 しないのが 通 常 優 秀 な 女 性 専 門 職 に 対 する 職 場 の 風 当 たりの 強 さがうかが われた また 優 秀 な 女 性 スタッフの 悩 みについてイネスさんは 一 般 的 に 女 性 の 方 が 仕 事 が 良 く できる 女 性 は 与 えられた 責 任 が 男 性 は 昇 進 が 仕 事 のモチベーションとなっている 実 力 のある 女 性 は 多 いが その 高 いレベルに 見 合 うポストが 与 えられていないのが 現 状 一 方 能 力 以 上 の 役 職 に 就 く 男 性 も 多 く 自 分 よりレベルの 低 い 男 性 上 司 の 下 で 有 能 な 女 性 部 下 は 様 々なストレスに 見 舞 われており 本 来 の 能 力 が 発 揮 できないのは 非 常 に 問 題 であ る ちなみにスペインの 職 場 における 女 性 に 対 する 嫌 がらせが 一 番 多 いのは 大 学 教 員 と 言 われている と 職 場 における 女 性 の 複 雑 な 立 場 を 語 ってくれた また 男 性 と 女 性 の 長 時 間 労 働 に 対 する 考 え 方 の 違 いについて 興 味 深 い 話 をいただいた イネスさんにとって 研 究 者 や 大 学 教 員 で 長 時 間 労 働 をする 者 が 多 いが 果 たして 本 当 に 働 いているのか 疑 問 であるという 例 えば 会 議 でも 女 性 が 司 会 をすれば 短 時 間 で 終 了 す るが 男 性 の 場 合 孔 雀 が 羽 根 を 広 げるように 自 分 の 能 力 を 他 に 見 せしめる 為 に 長 話 をす る 傾 向 がある また 家 事 や 育 児 から 逃 れるために 無 意 味 に 残 業 をする 男 性 も 多 い とにか く 長 時 間 労 働 についての 企 業 文 化 を 変 える 必 要 がある 心 理 学 的 にも 人 間 は 12 時 間 以 上 働 き 続 けることができないという すべての 人 が 仕 事 と 生 活 の 調 和 の 取 れた 生 活 を 送 るため には 週 40 時 間 労 働 が 限 度 と 思 う b) 大 学 における 男 女 参 画 とその 現 状 2007 年 の 平 等 法 のもと 大 学 においても 学 内 の 男 女 平 等 参 画 局 の 設 置 83 平 等 プランの 策 定 理 事 会 及 び 教 員 採 用 昇 進 評 価 委 員 会 構 成 員 における 女 性 率 40%60% 等 の 男 女 平 等 の 為 の 方 策 が 義 務 化 された しかしイネスさんは 採 用 昇 進 人 事 委 員 会 構 成 員 の 資 格 で ある 正 教 授 の 女 性 教 員 の 絶 対 数 が 少 なく 非 常 に 問 題 である スペインにおいて 産 婦 人 科 82 イネスさんは 参 考 文 献 として Jennifer Hunt, Why Do Women Leave Science and Engineering? McGill University working paper, 2010.Maria Charles,David B. Grusky,Occupational Ghettos:The Worldwide Segregation of Women and Men, Stanford University Press 2004 を 紹 介 した 年 3 月 平 等 法 実 施 中 間 報 告 によると 29 の 大 学 で 男 女 平 等 参 画 推 進 局 が 設 置 された スペインに は 総 合 大 学 77 校 ( 公 立 50 私 立 27) 技 術 大 学 4 校 遠 隔 教 育 大 学 芸 術 大 学 などが 存 在 している( 平 等 省 2009:11)

9 の 女 性 正 教 授 が 一 人 もいないのが 現 状 84 兎 に 角 大 学 内 の 男 女 平 等 を 進 めるためには 意 思 決 定 機 関 への 女 性 の 参 加 が 重 要 である と 問 題 点 を 指 摘 した 女 性 正 教 授 として 大 学 で 働 くマリアさんからは 勤 務 校 の 男 女 共 同 参 画 の 現 状 とご 自 身 の 体 験 について 具 体 的 なお 話 をいただけた まずマラガ 大 学 の 女 性 参 画 推 進 の 現 状 についてお 話 をいただいた マラガ 大 学 学 長 は 女 性 であり(Adelaida de la Calle Martín 2004 年 ~) この 世 界 では 非 常 に 少 ないケースだ という 85 さらに 学 長 の 女 性 教 員 への 理 解 も 深 く 彼 女 らの 支 持 を 受 け 再 選 され 現 在 2 期 目 選 挙 公 約 として 現 在 準 備 中 の 女 性 研 究 所 設 立 や 意 思 決 定 機 関 における 男 女 機 会 均 等 女 性 教 員 の 増 加 等 などを 掲 げたものの 期 待 された 改 革 はまだ 何 も 実 現 していないという 中 世 から 続 く 男 性 社 会 であるアカデミック 社 会 の 硬 直 性 や 女 性 教 員 の 要 望 だけを 聞 き 入 れることはできない 学 長 の 政 治 的 な 中 立 立 場 などが 改 革 失 敗 の 原 因 とマリアさんは 考 えて いる しかし 一 方 で 学 長 は 女 子 学 生 女 性 教 員 間 のアソシエーション 結 成 を 奨 励 し 大 学 内 の 男 女 機 会 均 等 のための 土 壌 づくりを 目 指 している と 暖 かいまなざしを 向 けている 女 性 がたとえ 学 長 という 最 高 職 に 就 いたとしても 組 織 自 体 が 旧 態 依 然 であったら トップ に 就 任 した 女 性 達 も 本 来 の 実 力 を 発 揮 することが 難 しいということを 物 語 っている c) 女 性 研 究 者 の 日 常 次 にご 自 身 の 研 究 者 としての 日 常 について 質 問 した まずは 大 学 教 員 の 利 点 としてフレ キシブルな 労 働 時 間 について 語 った 男 女 間 の 昇 進 の 格 差 は 確 かに 存 在 するが 大 学 女 性 教 員 は 契 約 労 働 時 間 などの 面 で 他 の 職 種 よりフレキシブルであり 恵 まれている 例 えば 午 前 だけの 時 間 帯 などと 自 由 に 決 められる しかし 時 間 割 を 決 定 する 際 に 年 齢 勤 続 年 数 職 階 が 高 い 者 に 優 先 権 が 与 えられ 育 児 やキャリア 形 成 などに 忙 しい 若 手 研 究 者 層 (3035 歳 )に 結 果 として 不 利 な 勤 務 時 間 が 割 り 振 られる 現 状 を 我 々はもう 子 育 てを 終 えてしま ったが 本 当 にフレキシブルな 時 間 割 を 必 要 としている 若 手 女 性 研 究 者 への 配 慮 の 欠 如 は 問 題 だ と 批 判 している マリア 先 生 の 年 間 スケジュールは 3 カ 月 の 長 期 休 暇 を 除 き 年 間 9 カ 月 の 就 業 となる その 内 3 月 下 旬 から 6 月 下 旬 までの 4 カ 月 間 は 午 前 8 時 から 夜 9 時 まで 集 中 的 に 授 業 を 行 っている この 4 カ 月 間 は 非 常 に 大 変 だが あとの 5 カ 月 は 自 分 の 好 きな 研 究 の 調 査 論 文 学 会 などに 自 由 に 時 間 を 使 えることは 利 点 だ じっくり 研 究 に 取 り 組 めるので 能 率 年 06 年 度 の 国 立 大 学 における 産 婦 人 科 の 正 教 授 catedrático( 男 性 37 名 女 性 0 名 ) 専 任 教 員 titular ( 男 性 70 名 女 性 9 名 ) 小 児 科 正 教 授 ( 男 性 31 名 女 性 0 名 ) 専 任 ( 男 性 84 名 女 性 19 名 ) 女 性 の 正 教 授 が 多 いのは 栄 養 学 (44.7%17 名 ) 薬 学 (38%10 名 )である (MEC 2007: ) 年 度 のスペインの 国 立 大 学 長 48 名 中 女 性 は 3 名 (6.5%) 副 学 長 435 名 中 女 性 126 名 (28.9%), 事 務 局 長 48 名 中 女 性 20 名 (41.6%) (MEC 2007:16) マラガ 大 学 の 女 性 正 教 授 (144 名 中 28 名 (16.2%) 専 任 教 員 (503 名 中 255 名 (33.6%)(MEC 2007: )

10 もあがり 非 常 に 満 足 している この 仕 事 が 好 きだから 続 けられるということもある と 満 足 している しかし スペイン 女 性 の 仕 事 の 継 続 を 可 能 にするため 他 のスペイン 女 性 や 中 南 米 など からの 移 民 女 性 による 家 事 サポートも 非 常 に 重 要 と 強 調 している 一 番 子 育 てが 大 変 だ った 時 期 は 非 常 勤 講 師 で 収 入 も 少 なく 誰 も 雇 うことができず 母 親 や 叔 母 に 育 児 を 助 けて もらっていたという 1989 年 に 専 任 ポストを 得 晴 れて 国 家 公 務 員 になってから 経 済 的 に 余 裕 が 出 来 たこともあり 一 人 のスペイン 人 女 性 に 週 6 回 毎 日 3 時 間 来 てもらっている 娘 が 結 婚 し 独 立 した 今 でも 午 前 中 図 書 館 に 行 ったり 落 ち 着 いて 研 究 に 打 ち 込 んだり 大 学 で 仕 事 が 続 けられるのも 彼 女 のおかげだと 思 います と 感 謝 している また 大 学 教 員 向 けの 短 期 長 期 在 外 研 究 や 出 張 制 度 もあるものの 一 般 的 に 女 性 教 員 は その 制 度 の 恩 恵 を 十 分 に 享 受 していないという 一 部 のエリートや 独 身 者 を 例 外 に 多 く の 女 性 教 員 は 育 児 や 介 護 など 家 庭 の 責 任 があり 長 くても 一 週 間 程 度 の 国 内 EU 中 南 米 内 の 学 会 や 講 演 会 へ 短 期 出 張 をするのが 限 界 一 方 家 事 労 働 の 負 担 が 少 ない 男 性 教 員 は 2 年 間 の 長 期 在 外 研 究 などを 自 由 に 申 請 している その 成 果 が 論 文 や 学 会 発 表 などの 新 たな 業 績 になり 結 果 として 昇 進 に 有 利 になる これもジェンダーギャップの 一 つだと 思 う と 研 修 制 度 における 間 接 的 な 性 差 別 の 例 を 指 摘 した しかし 個 人 としては 仕 事 と 家 庭 の 両 立 で 苦 労 したが ヨーロッパや 南 米 への 短 期 滞 在 も 果 たし 1950 年 代 生 まれの 私 が 自 由 に 自 己 実 現 できたことを 非 常 に 誇 りに 思 っている と 述 べ さらに 今 の 若 い 女 性 研 究 者 は 言 語 能 力 も 高 く 自 立 心 も 旺 盛 な 者 が 多 くとても 良 い 傾 向 であると 感 じる と 若 手 女 性 研 究 者 にエールを 送 った 近 年 のスペインの 両 立 支 援 策 をめぐる 状 況 の 変 化 について 先 生 は 以 下 のように 説 明 し てくれた 最 近 10 年 間 で 育 児 家 事 に 関 する 男 性 の 役 割 も 劇 的 に 変 化 してきている 近 年 父 親 独 立 出 産 休 暇 が 制 度 化 され 一 定 の 効 果 を 上 げている 最 近 の 傾 向 では 20 代 30 代 の 若 いカップルの 間 では 男 女 共 家 事 を 公 平 に 分 担 する 者 も 増 えている しかし 逆 に 夫 に 育 児 を 任 せてまで 仕 事 に 出 かけることを 嫌 う 女 性 も 依 然 として 多 い また 介 護 に 関 して もまだまだ 女 性 の 仕 事 という 考 えが 一 般 的 に 優 勢 である 最 近 保 育 所 の 数 が 増 加 して いるものの デイケアセンターなどの 高 齢 者 用 施 設 は 少 ないままでこれらの 負 担 は 女 性 の 肩 に 重 くのしかかっている スペインなどの 南 欧 諸 国 は 北 欧 と 比 べ 福 祉 国 家 としてのスタ ートが 遅 れたことも 原 因 の 一 つだと 思 う スペインの 家 族 観 についても 産 業 革 命 期 以 前 の 農 村 に 代 表 される 大 家 族 制 の 考 え 方 が 根 強 く 家 族 間 の 団 結 相 互 扶 助 の 意 識 が 強 い 北 欧 のような 成 人 後 はすぐに 親 元 から 独 立 年 を 取 ったら 介 護 施 設 に いう 考 えはあまり 一 般 的 ではない 我 が 国 でもフランコ 独 裁 直 後 の 民 主 化 時 代 では 若 者 の 自 立 心 は 旺 盛 であったが 最 近 は 30 歳 を 過 ぎても 親 元 で 生 活 する 者 が 非 常 に 多 い と 北 欧 との 違 いを 説 明 した 1981 年 の 離 婚 法 成 立 後 ひと り 親 家 族 再 婚 同 士 の 家 族 などが 増 え 家 族 の 形 が 多 様 化 している しかし 家 事 は 以 前

11 どおり 女 性 の 仕 事 従 来 心 筋 梗 塞 は 男 性 特 有 の 疾 病 であったが 仕 事 と 家 事 の 板 挟 みで ストレスを 抱 える 働 く 女 性 の 患 者 数 が 増 えている また 女 性 のうつ 病 も 増 えている と 未 だ 変 わらない 女 性 の 二 重 三 重 労 働 が 女 性 の 心 身 を 蝕 んていることに 警 鐘 を 鳴 らした 最 後 に 歴 史 的 にも 伝 統 的 性 役 割 意 識 の 根 強 いスペイン 社 会 における 女 性 参 加 の 道 は 決 してまっすぐなものでなく 様 々な 障 害 を 乗 り 越 えながら 今 に 至 っている 今 でも 昔 と 変 わらず 女 性 は 娘 妻 母 職 業 人 としていつも 完 璧 を 求 められ すべての 責 任 をこなすのは 非 常 に 難 しい と 締 めくくり 真 の 男 女 平 等 参 画 社 会 実 現 の 困 難 さを 示 した 2 メディア 分 野 (ラジオ 局 アナウンサー) メディアにおける 女 性 専 門 職 に 関 する 調 査 は 日 本 と 同 様 スペインでもまだ 進 んでおら ず 女 性 研 究 所 においてもこの 分 野 に 関 しての 包 括 的 な 調 査 が 未 だおこなわれていなかっ た このような 困 難 な 状 況 の 中 元 スペイン 国 営 ラジオ 女 性 アナウンサー(2007 年 早 期 退 職 )であり 現 在 マラガ 大 学 人 文 学 部 博 士 課 程 でラジオと 女 性 の 歴 史 について 研 究 を 続 けて いるマルガリータ ホセファ メサ モンテス(Margarita Josefa Mesa Montes)さんから お 話 を 伺 うチャンスに 恵 まれたのは 幸 運 であった 86 彼 女 からはスペイン 国 内 でもあまり 知 られていないメディア(ラジオ 局 )における 性 差 別 フランコ 独 裁 時 代 とその 後 の 民 主 化 での 女 性 専 門 職 をめぐる 状 況 さらには 現 在 のマスコミの 非 正 規 雇 用 問 題 等 についての 体 験 談 を 中 心 に 聞 いた 現 在 60 代 前 半 のマルガリータさんは 1981 年 の 離 婚 法 制 定 直 後 い ち 早 く 離 婚 を 決 意 長 時 間 労 働 と 社 会 の 偏 見 と 闘 いながら 一 人 息 子 を 育 て 上 げ 仕 事 と 育 児 を 両 立 させた マラガ 大 学 教 授 のマリア ドローレスさん 同 様 民 主 化 の 時 代 にキャリ アを 切 り 開 いていった 女 性 専 門 職 のパイオニアである a) ラジオ 局 での 男 女 差 別 マルガリータさんは 13 歳 でアナウンサー 養 成 学 校 に 入 学 してから5 年 前 に 退 職 するまで の 43 年 間 ラジオの 世 界 にいたが 男 女 差 別 はいつも 存 在 していた という 駆 け 出 し の 頃 ラジオはテレビが 出 現 する 前 の 娯 楽 の 中 心 で 人 気 女 性 アナウンサーもいたが 単 なる 職 場 の 花 で 主 導 権 は 男 性 が 握 っていたという 87 当 時 ニュースを 読 むのは 男 性 の 仕 事 で マルガリータさんら 女 性 アナウンサーは 歌 謡 ショーなどの 司 会 を 担 当 していた またフランコ 時 代 は 国 営 放 送 以 外 のニュース 番 組 は 存 在 せず 地 方 の 民 間 放 送 は 天 気 や 農 家 の 様 子 を 伝 えるだけだった 1960 年 代 後 半 から 少 しずつラジオ 局 で 働 く 女 性 の 立 場 が 向 上 し 1967 年 には 国 営 ラジオ 局 の Diarios Hablados というニュース 番 組 にスペイン 初 の 女 性 キャスターが 誕 生 したという(Munsó 1988) ラジオの 女 性 も 機 会 均 等 を 目 指 し 頑 張 86 ヒアリング 調 査 日 時 :2010 年 1 月 22 日 17:30~18:30 マドリッドにて 87 スペインのアナウンサーの 仕 事 は 原 稿 を 読 むだけでなく 執 筆 と 番 組 の 編 集 も 兼 ねる

12 ってきたが 残 念 ながら 民 間 公 共 放 送 とも 未 だにそれは 達 成 されていないという 1977 年 から 5 年 間 COPE というカトリック 系 のラジオ 局 で 働 いたが 女 性 蔑 視 の 強 さが 印 象 的 だった 1982 年 に 国 営 ラジオ 局 に 入 り 状 況 が 好 転 時 間 外 勤 務 超 過 勤 務 等 辛 い 勤 務 は 男 性 に 振 り 分 けられたが 同 時 に 責 任 のある 仕 事 も 彼 らに 任 された このスペイン 民 主 化 に 伴 う 女 性 の 進 出 の 機 運 については 前 出 のマリア 先 生 も フランコ 以 後 の 民 主 化 は 女 性 の 社 会 進 出 にとって 重 要 だった 1978 年 民 主 憲 法 により 法 の 下 の 男 女 平 等 が 認 められた フランコ 時 代 は 女 性 に 市 民 権 政 治 権 が 与 えられておらず 彼 女 らはただの オブジェ であった 民 主 化 後 女 性 の 経 済 的 自 立 女 性 の 連 帯 が 進 み 多 様 なフェミニズム 運 動 ( 左 翼 右 翼 カトリックなど)が 出 現 以 後 の 公 私 的 領 域 における 女 性 進 出 のための 大 きな 推 進 力 と なった と 振 り 返 った b) 女 性 管 理 職 について:ラジオ 局 の クリスタルの 天 井 次 に 民 主 化 以 後 高 まった 専 門 職 への 女 性 進 出 のパイオニアとしての 経 験 その 際 遭 遇 し た クリスタルの 天 井 問 題 についてお 話 をいただいた 1980 年 代 の 民 主 化 以 降 から 現 在 まで スペイン 国 営 ラジオテレビ 放 送 局 長 として 三 人 の 女 性 88が 就 任 したが 一 般 的 に 女 性 は 小 規 模 地 方 局 長 などの 中 間 管 理 職 までが 限 界 それ 以 上 の 昇 進 は 困 難 であったそうだ 彼 女 は 1982 年 初 の 2 人 の 女 性 地 方 局 長 の 1 人 としてコルドバのカブラ 地 方 局 長 を 務 めた. そこは 小 さな 町 で 社 会 的 政 治 的 にも 重 要 でなく 男 性 が 喜 んで 行 くところではなかった と 述 べた その 後 国 営 ラジオ 大 規 模 地 方 局 のマラガ 支 局 に 移 り 報 道 部 門 のチーフとし て 働 いたが 最 終 的 にそこの 局 長 には 就 任 できなかった 89 マラガ 支 局 には 女 性 局 長 が 誕 生 しておらず 多 くの 主 要 支 局 も 同 じ 状 況 であったとふり 返 る 90 しかし 報 道 部 門 には 男 女 間 の 競 争 も 存 在 したが 休 暇 取 得 については 話 し 合 いで 解 決 するなど 総 務 部 よりも 民 主 化 が 進 んでいた と 部 署 間 の 意 識 の 違 いを 指 摘 した 91 ラジオ 界 内 部 の 昇 進 のシステムについてマルガリータさん 残 念 ながら 個 人 の 能 力 や 経 歴 ではなく 上 司 との 良 い 関 係 やコネが 重 視 されている また 国 営 という 性 質 上 政 権 交 代 の 度 に 上 層 部 の 入 れ 替 えがあり 局 長 が 変 わるとその 取 り 巻 きが 付 いてくる 保 守 派 に 移 ると 男 性 が 優 遇 される まだまだ 女 性 の 戦 いは 続 いている と 要 約 した 88 Pilar Miró, Mónica Ridruejo Carmen Cafarell の 3 名 89 マラガ 支 局 職 員 1995 年 時 160 名 ( 男 性 110 女 性 50) 女 性 管 理 職 0 名 中 間 管 理 職 3 名 2005 年 時 24 名 中 女 性 6 名 ( 管 理 職 中 間 管 理 職 とも 0 名 報 道 3 名 音 響 技 術 1 名 総 務 2 名 ) (Mesa Montes,2005) 90 マルガリータさんが 国 営 ラジオ 局 に 問 い 合 わせたところ 2004 年 7 月 時 点 の 国 営 ラジオ 局 員 1991 名 ( 男 性 1365 女 性 624) 管 理 職 96 名 ( 男 性 80 女 性 16) 中 間 管 理 職 175 名 ( 男 性 121 女 性 54) 年 当 時 の 国 営 ラジオ 報 道 部 門 男 女 比 率 ( 男 性 56% 女 性 44%) 国 営 民 間 合 計 ( 男 性 67% 女 性 33%) LÓPEZ DIEZ, 2005:37)

13 c) 現 在 のラジオ 局 への 就 職 雇 用 形 態 現 在 マスコミ(ラジオ 局 )に 入 社 するには 情 報 学 部 卒 業 もしくは 情 報 学 マスターコ ース 修 了 ( 他 学 部 卒 の 場 合 )が 必 要 条 件 であるが 以 前 は 大 卒 であれば 他 学 部 卒 も 可 能 で あったという 彼 女 も 歴 史 学 士 でありプロのジャーナリストである 国 営 放 送 の 採 用 は 公 募 ( 資 格 試 験 )で 非 常 に 難 関 であり ポストの 空 きが 出 たら 随 時 公 募 される 成 績 不 振 者 は Bolsa de trabajo( 雇 用 の 袋 )と 呼 ばれる 待 機 グループ 92 に 入 り 非 常 勤 の 職 を 待 つ ま た 大 学 の 最 終 学 年 に 実 習 生 として 働 くケースもあるが ジャーナリスト 組 合 は 学 生 の 代 わ りに 急 激 に 増 加 している 失 業 者 を 優 先 的 に 採 用 すべきと 批 判 している 現 在 マスコミに 従 事 する 若 者 の 非 正 規 雇 用 率 の 高 さにも 言 及 し 実 際 に 彼 女 も 局 長 としてパートタイム 採 用 特 番 だけの 契 約 月 契 約 などの 様 々な 非 正 規 雇 用 契 約 を 結 んだという 国 営 放 送 の 場 合 は 公 募 落 ちの 待 機 グループから 採 用 し ニュース 原 稿 の 執 筆 アナウンスは 正 社 員 が 担 当 す るという 最 近 の 娯 楽 番 組 では 短 期 契 約 でジャーナリスト 以 外 の 芸 能 人 などがコメンテー ターとして 多 く 採 用 されている 大 卒 の 就 職 難 から 若 者 のフリーランスジャーナリストや 自 らプロダクションを 立 ち 上 げる 者 も 出 てきているが いずれにしてもラジオ 業 界 で 働 く 若 者 の 雇 用 形 態 は 不 安 定 で 多 様 化 しているという 3 医 療 分 野 医 療 分 野 については 残 念 ながら 今 回 の 調 査 では 直 接 医 療 に 従 事 する 女 性 専 門 職 にイン タビューをすることが 出 来 なかった しかし 前 出 のイネスさんや 平 等 省 女 性 研 究 所 職 員 の ホセ ルイス ブルゴス フレスノさん(José Luis Burgos Fresno) 93 から 女 性 医 療 専 門 職 の 現 状 について 話 を 聞 くことができた ホセ ルイスさんは 男 性 であるが 約 25 年 間 政 府 の 男 女 平 等 参 画 推 進 機 関 である 女 性 研 究 所 に 在 職 しており この 分 野 に 関 して 豊 かな 知 識 と 経 験 を 持 っている a) スペインにおける 女 性 医 療 従 事 者 の 多 さの 原 因 スペインは 他 の 国 と 比 べても 女 性 の 医 療 従 事 者 の 数 が 多 いのが 特 徴 である ( 資 料 編 参 照 ) 女 性 研 究 所 のホセさんによると 我 が 国 では 伝 統 的 に 医 療 介 護 の 仕 事 は 女 性 の 仕 事 とされていた という イネスさんも 医 療 や 法 律 分 野 での 女 性 率 が 高 さは 人 間 や 体 に 関 係 のある 職 種 に 女 性 が 多 く 携 わってきたことによる と 同 様 の 見 解 を 示 した またホセさんは 医 療 職 の 中 でも 看 護 師 (83%)の 女 性 率 の 方 が 医 師 (43.6%)よりも 高 く( 資 料 編 参 照 ) それには 性 別 職 域 分 離 が 反 映 されているとした だがここ 数 年 女 性 医 師 92 この 待 機 グループは 教 員 採 用 などの 公 務 員 採 用 試 験 などにも 存 在 し 成 績 の 良 いものから 順 番 に 非 常 勤 の 職 が 与 えられるシステムになっている 93 ヒアリング 調 査 日 時 :2010 年 1 月 21 日 10:00~11:30 女 性 研 究 所 にて

14 は 急 激 に 増 加 しており これは 医 学 生 の 約 80%が 女 性 であることが 関 係 しているという さらに 女 性 医 療 関 係 者 の 職 場 定 着 度 の 高 さについても 今 後 も 女 性 医 療 従 事 者 増 えてい くでしょう 晩 婚 化 初 産 の 高 齢 化 が 進 んでいるので 医 師 として 一 人 前 になる 23 歳 から 30 代 前 半 までは 仕 事 に 集 中 キャリアを 積 んでから 出 産 に 踏 み 切 る 者 が 多 い 当 直 や 24 時 間 勤 務 も 25 歳 ぐらいの 新 米 医 師 が 担 当 し 30 代 になると 勤 務 時 間 も 楽 になる このよう に 30 代 の 子 育 て 世 代 は 当 直 の 心 配 もなく 育 児 に 余 裕 もって 臨 めることが 可 能 であることが プラスだと 思 う また 若 い 世 代 では 伝 統 的 な 男 女 の 役 割 の 差 が 無 くなってきており 仕 事 か 家 庭 という 二 者 択 一 ではなくお 互 いに 家 庭 の 仕 事 も 平 等 に 分 担 する 傾 向 があること も 女 性 専 門 職 が 仕 事 を 続 ける 上 で 重 要 だ と 意 見 した b) 医 療 分 野 におけるクリスタルの 天 井 問 題 ホセさんによると スペインの 医 療 の 現 場 も 日 本 のようなピラミッド 構 造 であるという 女 性 看 護 師 や 女 性 医 師 の 数 が 増 えたとはいえ 垂 直 的 ( 教 授 などの 女 性 幹 部 の 少 なさ) 水 平 的 ( 職 種 分 野 による 女 性 比 率 の 差 )な 女 性 の 昇 進 や 活 躍 を 拒 む 要 因 が 他 の 専 門 職 同 様 に 見 られるという 採 用 については 科 学 技 術 革 新 省 のイネスさんは 個 人 的 な 意 見 だが 医 療 法 律 関 係 の 職 は 公 的 機 関 の 就 職 が 多 いことから 採 用 も 客 観 的 な 公 募 でなされメリット 重 視 と 説 明 コネが 採 用 昇 進 に 重 要 な 民 間 企 業 より 公 平 な 採 用 が 行 われるのでそれが 女 性 の 人 気 を 集 めていると 考 えている 4 30 代 の 専 門 職 女 性 を 巡 る 状 況 若 手 女 性 技 術 者 が 仕 事 を 継 続 していく 上 でどのような 困 難 があるのか 伝 統 的 に 男 性 領 域 と 認 識 されていた 技 術 分 野 でキャリアを 積 む 女 性 の 現 状 はどのようなものか それを 明 らかにするため 工 学 部 卒 で 現 在 モトローラ スペイン 技 術 サポート 部 でエンジニアとし て 働 くノエミ サンチェス カストロさん(Noemi Sánchez Castro) 94 (30 代 独 身 子 供 なし)からスペインの 若 い 女 性 の 労 働 意 識 企 業 の 両 立 支 援 策 と 女 性 の 昇 進 に 関 する 問 題 について 話 を 伺 った a) 30 代 の 女 性 の 仕 事 結 婚 観 について ノエミさんは 入 社 して 今 年 で 9 年 目 を 迎 え 今 の 仕 事 に 満 足 しているが 毎 日 を 単 調 に 感 じることもあるという 将 来 は 経 営 面 に 関 わる 仕 事 もしたいが 実 現 は 難 しいと 思 ってい る 同 僚 とは 家 族 のような 良 い 関 係 将 来 の 展 望 について 結 婚 となると 仕 事 か 家 庭 かの 94 ヒアリング 調 査 日 時 :2010 年 1 月 21 日 19:00~20:00 マドリッドにて

15 二 者 択 一 になるかもしれないが 自 分 が 子 育 てをする 頃 には 両 立 が 可 能 な 時 代 になってい て 欲 しい 実 際 妊 娠 中 の 私 の 友 人 はその 事 実 を 隠 して 面 接 試 験 に 臨 んでいる と 現 実 の 厳 しさを 漏 らした b) 企 業 内 における 男 女 格 差 彼 女 が 所 属 する 技 術 部 門 の 男 女 比 は 7:3 で 管 理 職 は 男 性 が 独 占 人 材 部 長 は 女 性 だが 大 学 で 心 理 学 を 専 攻 する 女 性 が 多 いからでは と 彼 女 は 分 析 している 学 生 時 代 は 工 学 部 などの 技 術 関 係 の 学 部 は 男 子 学 生 が 多 く 工 学 部 の 彼 女 のクラスでも 男 子 60 名 中 女 性 は 4 名 と 少 数 であったという また 昇 進 における 性 差 別 は 序 々に 改 善 されているものの 同 じ 仕 事 をしていても 昇 進 は 男 性 が 有 利 と 漠 然 と 感 じている そのため いつも 女 性 は 男 性 よりも 優 秀 であることをア ピールし 続 けなければ ならずいつも 緊 張 状 態 が 続 くという 男 女 の 賃 金 格 差 はスペイン 企 業 では 存 在 するかもしれないが 外 資 系 の 彼 女 の 会 社 では 原 則 的 に 存 在 せず 同 一 労 働 同 一 賃 金 の 傾 向 が 守 られているという 逆 に 会 社 内 部 には 男 女 共 同 参 画 室 や 保 育 所 はなく 労 働 組 合 も2 年 前 に 誕 生 したばかりであり 外 資 系 ではあるが 女 性 参 画 のための 組 織 的 な 活 動 は 活 発 でないという スペインの 企 業 では 保 育 所 だけでなく 従 業 員 向 けのビリヤードな どの 娯 楽 施 設 を 擁 する 所 もあるという 数 年 前 ある 女 性 社 員 から 性 差 別 の 告 発 があり 会 社 内 に 倫 理 委 員 会 が 立 ちあがったが どのような 処 理 がなされたのか 不 透 明 しかしその 後 一 変 して 会 社 の 女 性 社 員 に 対 する 扱 いが 神 経 質 になったと 言 う 私 も 以 前 は 頻 繁 に 海 外 長 期 出 張 を 男 性 と 同 じようにこなしていたが 最 近 はその 機 会 がすっかり 無 くなった と 感 じこれも 間 接 的 性 差 別 の 表 れだと 批 判 した c) 企 業 の 両 立 支 援 策 について ノエミさんにはまだ 結 婚 出 産 の 予 定 はないが 病 気 の 子 供 を 保 育 所 に 迎 えに 行 くのは いつも 同 僚 ( 女 性 )で さらに 残 業 すればベビーシッターに 延 長 料 がかかる と 育 児 中 の 女 性 同 僚 の 姿 に 接 し 両 立 は 困 難 だと 感 じている 早 退 者 が 出 た 時 は 基 本 的 に 同 じ 業 務 の 担 当 者 がカバーするが 長 期 化 の 場 合 は 全 員 で 業 務 を 分 担 している 幸 い 私 の 会 社 では 妊 娠 や 育 児 の 為 の 早 退 制 度 を 悪 用 する 人 は 皆 無 他 では 嘘 をつき 月 に7 回 も 途 中 外 出 する 者 もいる 政 府 の 調 査 では 父 親 育 児 休 暇 の 申 請 も 制 度 導 入 から 取 得 率 が 1.5%から 77% 近 く に 増 大 したが( 資 料 編 参 照 ) 彼 女 の 職 場 でその 制 度 を 取 得 した 者 はほとんどいないという 育 児 ではなく 有 給 につられての 申 請 が 大 部 分 ではないか と 父 親 育 休 制 度 の 有 効 性 につ いてノエミさんは 疑 問 を 抱 いている 女 性 研 究 所 のホセ ルイスさんも 産 休 を 取 る 男 性 が 少 なければ 取 りにくいが 大 人 数 になったら 心 理 的 に 申 請 しやすくなったのではないか 管 理 職 の 男 性 の 大 多 数 は 休 暇 取 得 が 昇 進 に 悪 影 響 することを 恐 れて 取 らないが 一 般 的 には 有 給 が 貰 えるのでそれで 申 請 す

16 る 人 が 多 いと 思 う と 父 親 休 暇 申 請 者 は 増 えたものの 実 質 的 にどれだけ 子 育 てに 貢 献 し ているのか 未 だ 不 透 明 であると 述 べた d) 就 業 時 間 と 非 正 規 雇 用 ノエミさんの 労 働 時 間 は 社 則 によると 月 木 は 8 時 45 から 18 時 15 分 金 曜 日 は 15 時 15 分 夏 期 は 16 時 45 分 までで 金 曜 日 は 余 暇 の 時 間 を 十 分 に 取 れるようになっている しかし 現 実 的 に 一 度 も 夏 時 間 を 取 得 したことがないと 嘆 く フレキシブルな 勤 務 時 間 で 週 当 たりの 労 働 時 間 が 40 時 間 を 超 えた 場 合 一 時 間 半 遅 く 出 勤 することも 認 められている しかし 超 過 勤 務 手 当 は 無 いと 不 満 顧 客 サポートという 仕 事 柄 深 夜 12 時 から 早 朝 4 時 の 深 夜 勤 務 もあるが その 場 合 の 深 夜 手 当 超 過 手 当 は 支 払 われ 業 務 負 担 も 男 女 平 等 に 分 担 されている また 在 宅 勤 務 も 可 能 であり 自 宅 で 顧 客 の 電 話 を 受 けサポートする 採 用 については 一 般 的 に 正 社 員 への 道 は6か 月 の 試 用 期 間 一 年 目 までは 非 正 規 とし て 働 き その 後 正 式 に 正 社 員 採 用 となるという 非 正 規 社 員 にもボーナスや 有 給 が 出 るが 派 遣 社 員 には 出 ない また 最 近 解 雇 費 用 節 減 の 為 外 部 委 託 業 務 が 増 えてきているとい う 1 労 働 組 合 と 女 性 参 画 最 後 にスペイン 有 数 の 労 働 組 合 である 労 働 者 総 同 盟 (Unión General de Trabajadores 略 称 UGT)の 平 等 事 務 局 (Secretaría de Igualdad) 職 員 のヌリア マンサーノさん(Nuria Manzano) 95 からスペインの 高 い GEM 指 数 の 原 因 を 探 るべく 2007 年 平 等 法 下 の 職 場 の 両 立 支 援 策 や 男 女 参 画 推 進 における 労 働 組 合 の 新 しい 役 割 について 話 を 伺 った この 平 等 事 務 所 は 女 性 問 題 だけでなく 移 民 や 障 害 者 などの 平 等 参 画 の 問 題 も 扱 っている またス ペインにおける 労 働 組 合 の 社 会 的 役 割 も 大 きく 政 府 企 業 組 合 間 の 三 者 間 協 議 La mesa de diálogo social( 対 話 テーブル)を 通 し 政 府 や 経 営 者 に 労 働 者 の 権 利 を 主 張 しつつ 政 治 にも 強 く 影 響 力 を 持 っている a) スペイン 両 立 支 援 策 の 問 題 点 ヌリアさんはスペインの 女 性 社 会 進 出 にとって 社 会 面 と 労 働 面 での 二 つの 大 きな 変 化 が 重 要 であったという 社 会 面 で 一 番 重 要 なことは 2007 年 の 平 等 法 成 立 であるが 家 庭 とキ ャリアの 両 立 に 効 力 があったかというと 一 概 にそうと 言 えない と 断 言 まだまだ 多 くの 働 く 女 性 は 仕 事 か 家 庭 かの 選 択 を 迫 られている また 仕 事 を 選 択 したとしても 個 人 生 活 を 犠 牲 にしているのが 現 状 と 厳 しく 現 実 を 直 視 している しかし 社 会 労 働 党 政 権 の 女 性 参 画 推 進 運 動 の 努 力 は 評 価 している 労 働 面 でも 出 産 育 児 支 援 の 法 制 度 が 整 ってきているという 以 前 から 存 在 した 出 産 休 95 ヒアリング 調 査 日 時 :2010 年 1 月 22 日 11:30~13:00 UGT(マドリード)にて

17 暇 ( 資 料 編 参 照 )もその 一 つでそれは 同 性 婚 カップルや 養 子 縁 組 の 際 にも 認 められている 父 親 の 育 児 休 暇 制 度 も 成 果 を 上 げているとするが 男 性 がもっと 積 極 的 に 家 事 育 児 に 関 われば 女 性 の 仕 事 と 家 庭 の 両 立 が 可 能 になる と 男 性 の 平 等 な 家 事 分 担 が 働 く 女 性 の ワークライフバランスのために 必 須 であることを 強 調 した その 他 の 両 立 支 援 策 についても 労 働 者 憲 章 (Estatuto de Trabajadores)でかなりの 権 利 が 認 められていたが 2007 年 平 等 法 によりその 期 間 や 権 利 などが 拡 大 したという 例 えば 育 児 休 暇 期 間 の2 年 へ 延 長 出 産 後 の 9 ヶ 月 間 の 一 日 1 時 間 の 授 乳 時 間 ( 会 社 との 交 渉 で 累 積 取 得 も 可 能 ) また 妊 娠 中 出 産 講 習 診 察 の 為 に 職 場 を 一 時 的 に 離 れることも 認 めら れているという さらに 職 場 の 健 康 維 持 も 労 働 者 の 権 利 として 認 めら 妊 婦 にとって 危 険 な 仕 事 内 容 職 場 であれば 配 置 転 換 の 義 務 がある 休 職 も 病 人 や 高 齢 者 の 介 護 などにも 適 応 可 能 であり 無 給 だが 最 高 3 年 間 取 得 できる 2 年 間 は 勤 続 年 間 として 計 算 され 復 職 研 修 コースが 義 務 化 されると 詳 しく 説 明 してくれた b) 男 女 参 画 推 進 における 労 働 組 合 の 新 しい 役 割 について: 平 等 プラン 作 成 支 援 ヌリアさんは 250 人 以 上 の 企 業 への 労 使 間 団 体 交 渉 (negociaciones colectivas)による 男 女 機 会 均 等 プラン 作 成 の 義 務 化 を 2007 年 平 等 法 の 一 番 の 目 玉 とした この 平 等 プラ ンにより クリスタルの 天 井 や 賃 金 格 差 などの 女 性 の 就 業 や 昇 進 を 阻 む 様 々な 直 接 間 接 差 別 を 取 り 除 くことが 目 的 だという 法 律 では 250 人 以 下 の 企 業 は 義 務 化 されていない がすべての 企 業 にプランを 作 成 してもらうよう 努 力 する と 抱 負 を 述 べた そのため 彼 女 の 所 属 する UGT 平 等 事 務 局 は 企 業 における 平 等 プラン 作 成 の 手 引 き (Guía para la elaboración de planes de igualdad en las empresas) を 作 成 し 各 企 業 の 労 働 組 合 代 表 選 挙 で 選 ばれた UGT 選 出 の 代 表 委 員 や 下 部 組 織 の 業 種 別 連 盟 (Federación) の 平 等 事 務 局 等 を 通 して 指 導 していくという UGT はすべての 企 業 に 男 女 平 等 プランの 作 成 を 呼 び 掛 ける 労 働 者 に 対 しては 団 体 交 渉 における 交 渉 内 容 やそのノウハウを 教 え たり 就 業 時 間 後 の 研 修 制 度 なども 育 児 家 事 を 担 う 女 性 にとって 機 会 均 等 差 別 になる 場 合 があることなどをきめ 細 かく 指 導 していくつもりだ と 述 べた 平 等 プラン 作 成 は 1. 企 業 による 自 己 診 断 2. 機 会 均 等 目 標 と 方 策 の 制 定 3. 実 施 評 価 の3つの 段 階 を 踏 む 最 終 的 に 評 価 で 終 わるのではなく 問 題 点 を 改 善 修 正 することが 成 功 のカギ と 語 った c) 男 性 上 層 部 の 意 識 改 革 の 必 要 性 ヌリアさんによると 失 業 や 育 児 など 両 立 支 援 についての 業 種 別 の 包 括 的 な 調 査 は 未 だ 行 われていないという メディア 等 の 専 門 職 の 失 業 率 も 雇 用 形 態 の 多 様 化 や 長 時 間 労 働 もあ り 把 握 が 困 難 という しかし 両 立 支 援 取 得 率 に 関 しては 業 種 別 というより 職 階 による 差 が 大 きいと 考 えている 職 階 が 上 がるほど 女 性 の 両 立 支 援 申 請 が 減 り 男 性 の 上 層 部 に 至 ってはそれさえ 行 わな

18 い 女 性 上 層 部 が 育 児 休 暇 などを 取 得 した 場 合 だから 女 に 責 任 のある 仕 事 を 任 せられな い となる 組 合 も 父 親 休 暇 の 必 要 性 を 上 層 部 に 説 明 しているが あまり 理 解 を 得 られて いない と 現 状 を 語 った また 約 10%の 父 親 は 父 親 休 暇 の 権 利 があるのに 取 得 しない すでに 今 の 取 得 率 は 高 いと 思 われるかもしれないが 父 親 は 全 員 取 るべき と 父 親 育 休 の 必 要 性 を 強 調 労 働 時 間 短 縮 に 否 定 的 な 一 部 の 企 業 では 育 休 を 取 得 しないよう 働 きかけている 所 もあるという 労 働 組 合 としても 男 性 の 両 立 支 援 取 得 率 を 伸 ばすために 積 極 的 に 訴 えていくと 決 意 を 示 した d) 女 性 の 意 思 決 定 機 関 の 参 加 について 労 働 組 合 における 女 性 の 意 思 決 定 機 関 の 参 加 は UGT が 一 番 高 く 2007 年 平 等 法 により 役 員 会 などの 意 思 決 定 機 関 における 男 女 比 が 4 割 から 6 割 とするクォータ 制 が 定 められ その 導 入 が 難 しい 中 でも 40% 台 は 達 成 されているという 96 逆 に 従 来 から 女 性 の 参 加 率 が 少 ない 業 種 へのクォータ 制 は 逆 差 別 になる 可 能 性 があるという 批 判 も 多 いが UGT は 意 思 決 定 機 関 の 男 女 比 同 率 が 達 成 されない 限 り 職 場 における 実 質 的 な 男 女 共 同 参 画 は 実 現 し ないと 考 えている 公 共 機 関 民 間 とも 上 層 部 がすべて 男 性 で 占 められていたとしたら 女 性 の 昇 進 は 難 しい 意 思 決 定 機 関 における 男 女 同 率 が 達 成 できない 間 はクォータ 制 度 など による 比 率 の 義 務 化 が 必 要 である と 述 べた (2) 日 本 への 示 唆 以 下 調 査 編 資 料 やヒアリング 調 査 の 結 果 筆 者 のスペインでの 滞 在 経 験 などを 踏 まえ 我 が 国 のさらなる 女 性 の 専 門 職 への 参 画 のために 参 考 になる 点 を 幾 つか 述 べてみたい 当 然 両 国 間 には 歴 史 社 会 文 化 的 な 差 異 が 存 在 し スペインの 方 策 が 有 効 であるからそ のまま 日 本 に 当 てはめるのは 難 しいかもしれない しかし 歴 史 的 にも 男 性 は 仕 事 女 性 は 家 庭 という 伝 統 的 性 役 割 意 識 が 根 強 いスペイン 社 会 は 我 が 国 と 共 通 する 点 も 多 く 興 味 深 いデータを 提 供 してくれた しかしスペインの 男 女 共 同 参 画 への 本 格 的 な 取 組 が 開 始 されてから 日 が 浅 く その 成 果 はまだ 具 体 的 な 形 で 表 れていないのが 現 状 であり その 有 効 性 を 検 証 するためには 今 後 の 長 期 的 な 経 過 観 察 が 重 要 である このようなことから 今 回 の 調 査 においては 有 効 な 具 体 例 の 提 示 というよりも スペイ ンの 男 女 共 同 参 画 社 会 や 女 性 専 門 職 の 活 躍 の 障 害 となっている 様 々な 問 題 が 主 に 色 濃 く 浮 き 彫 りにされた ヒアリング 調 査 を 終 え 強 く 感 じたのは スペインにおいて 長 い 時 を 経 て 96 女 性 研 究 所 HP によると 2007 年 の UGT 内 の 女 性 組 合 員 率 (33.35%) 執 行 委 員 会 女 性 構 成 員 (Comisión Ejectiva federal)(13 人 中 46.15% CCOO( 労 働 者 委 員 会 )は 29.3%)

19 今 やっと 男 女 共 同 参 画 や 両 立 支 援 策 の 法 律 は 整 ったが 実 際 これらの 権 利 が 現 場 で 十 分 行 使 されていない 現 実 と また 女 性 の 仕 事 と 家 庭 の 二 重 負 担 (Dobre jornada)と 女 性 の 管 理 職 昇 進 の 困 難 クリスタルの 天 井 問 題 という 二 つの 障 害 が 女 性 の 活 躍 を 大 きく 阻 んでい ることであった 1 仕 事 と 家 庭 の 二 重 負 担 (Dobre Jornada) スペインにおいて 未 だに 育 児 家 事 介 護 は 祖 母 や 移 民 女 性 を 含 む 多 くの 女 性 達 の 無 償 低 賃 金 労 働 に 支 えられているのが 現 状 だ またさらに 深 刻 化 する 少 子 化 高 齢 化 問 題 の 中 国 の 社 会 福 祉 制 度 の 欠 陥 をカバーするべく 二 重 三 重 の 責 任 や 労 働 ( Dobre Jornada 二 重 労 働 )を 強 いられてきた 彼 女 達 の 疲 労 も 限 界 に 近 付 いている また 特 に 個 人 の 継 続 的 な 努 力 不 規 則 で 長 い 就 業 時 間 を 強 いられる 研 究 者 医 療 メディア 関 係 の 女 性 専 門 職 中 でも 結 婚 出 産 子 育 て 期 間 と 重 なる 30 代 の 女 性 のキャリア 形 成 職 務 の 継 続 を 阻 む 大 きな 障 害 となっている またこの 30 代 の 年 齢 層 がヒアリング 調 査 でも 話 題 となった 鋏 型 (スタート 時 点 では 女 性 比 率 が 高 いが 職 階 が 上 がるにつれ 逆 転 現 象 を 起 こす)の 分 岐 点 となっていることから 女 性 専 門 職 の 参 画 を 支 援 するためにはこの 30 代 の 女 性 の Dobre Jornada を 軽 減 する 工 夫 が 必 要 になる スペインでは 父 親 独 立 育 児 休 暇 の 法 整 備 がなされ その 結 果 取 得 率 も 80% 近 くに 上 昇 したが 有 給 であることから 実 際 どこまで 父 親 が 育 児 に 積 極 的 に 関 わっているかという 実 質 的 な 成 果 は 未 知 数 であり 今 後 の 追 跡 調 査 が 待 たれ る 我 が 国 も 子 ども 手 当 などの 給 付 制 度 を 導 入 する 際 に 実 質 的 効 果 を 上 げるための 良 い 方 策 を 考 える 参 考 になるのではないか さらにスペインにおける 二 重 労 働 問 題 は 子 育 て 世 代 だけでなく 身 内 等 の 介 護 や 孫 の 世 話 に 携 わる 中 高 年 の 女 性 に 重 くのしかかって おり 心 と 体 の 健 康 に 重 大 な 悪 影 響 を 与 えていることが 理 解 できた 日 本 でも 多 くの 中 高 年 の 女 性 が 介 護 や 孫 の 世 話 を 担 っておることから 同 様 の 危 険 が 潜 んでいるように 思 われ 中 高 年 女 性 の 心 と 身 体 のケアにも 特 別 な 配 慮 が 求 められると 思 う 2 クリスタルの 天 井 問 題 今 回 ヒアリング 調 査 にご 協 力 いただいたすべての 方 々から 出 てきたもう 一 つのキーワ ードとして クリスタルの 天 井 がある 二 重 労 働 dobre jornada を 軽 減 し 子 育 て 世 代 の 女 性 専 門 職 の 両 立 支 援 を 図 るよりも クリスタルの 天 井 を 打 破 して 管 理 職 への 女 性 登 用 を 進 めることにより 強 い 困 難 を 感 じた なかでも 男 性 上 層 部 の 強 い 伝 統 的 性 役 割 意 識 が 一 番 の 障 害 となり 彼 らの 女 性 管 理 職 登 用 に 対 する 意 識 が 変 化 しない 限 り いくら 法 律 が 整 備 されたとしても 事 態 の 好 転 は 望 めない スペインの 社 会 労 働 党 政 権 はこの 問 題 をいち 早 く 認 識 し クリスタルの 天 井 を 打 ち 破 るため 政 府 主 導 で 大 臣 職 の 男 女 同 率 や 2007 年 平 等 法 で 選 挙 名 簿 や 公 共 民 間 の 役 員 会 などへのクォータ 制 を 導 入 意 思 決 定 における 女 性 の 参 画 を 推 し 進 め 一 定 の 効 果 を 上 げている だがヒアリング 調 査 で 話 題 となったマラ

20 ガ 大 学 の 女 性 学 長 の 例 のように 組 織 自 体 が 旧 態 依 然 としていればいくら 優 秀 な 女 性 が 組 織 のトップに 就 任 しても 本 来 の 実 力 を 発 揮 できない これは 日 本 がこれからトップ 層 への 女 性 の 参 画 を 進 めていく 上 で 良 い 反 面 教 師 になると 思 う 今 回 調 査 対 象 となった 3 つの 専 門 職 の 中 でも 医 療 分 野 で 若 手 を 中 心 に 女 性 の 参 画 が 進 んでいることが 分 かった こ れはやはり 大 学 で 医 学 部 に 進 む 女 性 が 増 大 ( 約 80%)していることが 大 きな 原 動 力 になっ ていると 思 われる 我 が 国 でも 女 性 指 導 者 育 成 増 加 策 を 考 える 際 に それを 支 える 女 性 中 間 管 理 職 層 や 将 来 を 担 う 若 手 の 母 集 団 の 底 上 げ そして 全 構 成 員 の 意 識 改 革 が 大 きな 課 題 になると 思 う またスペインでは 労 働 組 合 が 政 府 雇 用 者 労 働 者 の 仲 立 ちとして 大 きな 役 割 を 果 たし ており 2007 年 平 等 法 でも 団 体 交 渉 を 通 して 企 業 の 男 女 平 等 参 画 プラン 作 成 に 大 きな 影 響 力 を 持 つようになった このような 労 働 組 合 との 関 わり 方 とその 有 効 活 用 は 我 が 国 の 職 場 の 男 女 平 等 参 画 意 識 を 高 めるためにも 極 めて 参 考 になると 考 えられる 3 仕 事 = 人 生 から 生 活 のための 仕 事 への 意 識 改 革 (ワークライフバランス) スペイン 人 との 会 話 で 必 ず 話 題 になることの 一 つとして 日 本 人 の 勤 勉 さ であり 日 本 人 は Vivir para trabajar ( 働 くために 生 き) スペイン 人 は trabajar para vivir ( 生 活 するために 働 く) とよく 口 にされる 今 回 のヒアリング 調 査 対 象 者 からも 短 い 滞 在 期 間 で 複 数 の 面 接 ( 夕 食 時 も 含 め)をこなす 我 々の 働 きぶりに 触 れ さすが 日 本 人 スペイン 人 だったらこの 時 間 帯 は 家 でリラックスしているのに と 驚 かれ あらためて 両 国 間 にお ける 仕 事 観 の 違 いを 痛 感 した そう 考 えると 我 が 国 の 男 女 間 の 家 事 労 働 の 不 公 平 な 分 配 は 長 時 間 労 働 に 代 表 される 生 活 における 仕 事 の 占 める 割 合 の 多 さが 問 題 となっているのでは ないか いくら 男 性 が 家 事 や 育 児 参 加 を 積 極 的 に 望 んでいたとしても 超 過 勤 務 による 疲 労 深 夜 帰 宅 自 宅 への 仕 事 の 持 ち 込 み 等 で 実 現 は 難 しいのが 現 状 といえる 女 性 の 両 立 支 援 の 前 提 として 男 性 も 含 めた 我 が 国 全 体 の 超 過 勤 務 の 解 消 や 働 き 方 の 改 善 が 求 められ るのではないか スペインで 父 親 の 育 児 休 暇 の 取 得 率 が 短 期 間 に 向 上 したのは 以 前 から 働 く 男 性 のワークライフバランスが 良 好 であったことが 一 因 であると 考 えられる 現 実 に スペインの 街 頭 では 乳 母 車 を 押 したり 保 育 園 に 子 供 を 迎 えに 行 く 父 親 の 姿 が 日 常 化 して おり また 休 日 の 余 暇 を 一 家 で 楽 しむのはもちろん ウイークデーでも 夕 方 買 い 物 に 出 か ける 家 族 もよく 見 受 けられる 我 が 国 の 父 親 も 超 過 業 務 の 減 少 を 達 成 することにより 子 育 てや 家 事 労 働 に 費 やす 時 間 と 心 の 余 裕 が 生 まれるのではないか 日 本 でも 平 成 19 年 に 仕 事 と 生 活 の 調 和 憲 章 と 仕 事 と 生 活 の 調 和 促 進 のための 行 動 指 針 を 策 定 翌 年 には 内 閣 府 に 仕 事 と 生 活 の 調 和 促 進 室 が 設 置 され カエル!ジャ パン キャンペーン 等 のワークライフバランスの 推 進 活 動 が 開 始 された また 厚 生 労 働 省 も 父 親 の WLB(ワークライフバランス) 応 援 サイト を 開 設 し 男 性 の 仕 事 と 育 児 の 両 立 に 関 しての 情 報 を 提 供 している 今 後 その 成 果 が 期 待 されるが どこまで 雇 用 者 や 働 く 男 性 の 意 識 に 訴 えることができるかがカギとなるだろう 特 に 伝 統 的 な 性 別 役 割 分 業 の 考

21 えが 根 強 く また 高 度 経 済 成 長 期 に 会 社 の 為 に 身 を 粉 にして 働 いてきた 年 齢 層 に 家 庭 や 趣 味 などの 私 生 活 の 充 実 が 結 果 として 生 産 性 の 向 上 につながることを 強 くアピールする 必 要 がある 日 本 でも 終 身 雇 用 制 度 や 年 功 序 列 制 度 が 崩 壊 したといわれて 久 しいが 現 実 では 依 然 上 司 や 管 理 職 の 圧 力 が 強 く 父 親 育 休 を 取 りたくても 上 司 の 反 発 を 恐 れて 申 請 を 諦 める 者 も 多 いと 思 われる 日 本 ではスペインと 同 様 にまずは 上 層 部 の 理 解 を 得 て ト ップダウンもしくは 中 間 管 理 職 による 育 休 フレックス 制 時 短 制 度 などの 両 立 支 援 取 得 の 推 進 を 勧 めるのが 有 効 ではないかと 考 える 4 ジェンダー 研 究 教 育 の 推 進 今 回 のヒアリング 調 査 に 参 加 して 今 まさに 男 女 共 同 参 画 社 会 実 現 に 向 けて 動 き 出 して いるスペイン 社 会 全 体 の 躍 動 を 実 感 した 平 等 省 女 性 研 究 所 科 学 技 術 革 新 省 などの 政 府 機 関 のみならず 労 働 組 合 や 大 学 企 業 の 現 場 でお 会 いしたすべての 女 性 達 は 活 気 に 満 ち あふれ 我 々の 調 査 にも 熱 心 に 協 力 してくれた 男 女 共 同 参 画 政 策 やジェンダー 研 究 に 携 わる 方 々の 強 い 使 命 感 と 堂 々と 誇 りをもって 仕 事 に 打 ち 込 む 姿 にも 感 銘 を 受 けた その 背 景 としてスペインの 大 学 におけるジェンダー 学 の 認 知 度 が 上 がっていることがある 法 律 経 済 社 会 学 歴 史 学 文 学 医 学 などの 多 方 面 からの 学 際 的 アプローチがなされ 男 性 研 究 者 の 数 も 増 加 し 大 多 数 の 大 学 内 にもジェンダー 学 や 女 性 学 の 修 士 博 士 課 程 研 究 所 セミナー グループが 存 在 している また 研 究 者 間 の 連 携 も 緊 密 であり 女 性 学 ジェンダ ー 学 の 大 学 間 のネットワークとして 大 学 における 女 性 学 ネットワーク AUDEM (Asociación Universitaria de estudios de las mujeres 研 究 分 野 では スペイン 女 性 史 学 会 AEIHM ( Asociación Española de Investigación de Historia de las Mujeres 中 心 となってジェンダー 研 究 普 及 の ために 貢 献 している 2007 年 の 平 等 法 ( 条 )やその 戦 略 プラン において 大 学 におけるジェンダー 教 育 研 究 の 推 進 が 重 点 化 され 各 大 学 のジェンダー 研 究 者 が 中 心 となってすべての 大 学 の 学 士 課 程 カリキュラムにおけるジェンダー 学 の 必 修 化 を 広 く 訴 えている 97 一 方 我 が 国 ではジェンダー 研 究 や 女 性 学 に 対 する 社 会 的 認 知 度 は 低 く ジェンダー 研 究 者 に 対 する 偏 見 も 根 強 い 研 究 者 も 周 囲 の 風 当 たり に 必 要 以 上 に 敏 感 となり 及 び 腰 に なっている 感 がある それが 結 果 として 日 本 のジェンダー 研 究 さらには 男 女 共 同 参 画 実 現 を 阻 む 大 きな 障 害 となっているのではないか 我 が 国 のさらなるジェンダー 研 究 教 育 へ の 公 的 な 奨 励 推 進 が 必 要 になると 考 えられる

22 参 考 文 献 外 務 省 ホームページ 厚 生 労 働 省 (2010) 平 成 21 年 人 口 動 態 統 計 の 年 間 推 計 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 (2009) 男 女 共 同 参 画 社 会 の 実 現 を 目 指 して( 改 訂 版 ) 碇 順 治 編 (2008) スペイン 河 出 書 房 新 社 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD) 編 著 高 木 郁 朗 監 訳 (2009) 国 際 比 較 : 仕 事 と 家 族 生 活 の 両 立 OECDベイビー&ボス 総 合 報 告 書 明 石 書 店 柴 山 恵 美 子 藤 井 治 枝 (2005) 世 界 の 女 性 労 働 ジェンダー バランス 社 会 の 創 造 へ ミネルヴァ 書 房 富 士 谷 あつ 子 伊 藤 公 雄 (2009) 日 本 ドイツ イタリア 超 少 子 高 齢 社 会 からの 脱 却 家 族 社 会 文 化 とジェンダー 政 策 明 石 書 店 丸 尾 直 美 川 野 辺 裕 幸 (2007) 出 生 率 の 回 復 とワークライフバランス: 少 子 化 社 会 の 子 育 て 支 援 策 中 央 法 規 出 版 村 上 直 久 (2009) EU 情 報 事 典 大 修 館 書 店 G エスピン アンデルセン(2008) アンデルセン 福 祉 を 語 る 女 性 子 供 高 齢 者 NTT 出 版 Instituto Nacional de Estadística(INE)( 国 立 統 計 所 )(2004) Encuesta de empleo del tiempo ( 時 間 の 使 い 方 についてのアンケート ) Instituto Nacional de Estadística(INE)( 国 立 統 計 所 )(2008) Encuesta de migraciones Serie ( 移 民 に 関 するアンケート ) axis&l=0 Instituto Nacional de Estadística(INE)( 国 立 統 計 所 )(2009) Mujeres y hombres en España 2009 ( スペインの 女 性 と 男 性 2009 ) Instituto Nacional de Estadística(INE)( 国 立 統 計 所 )(2010),Movimiento Natural de la población 2008( 人 口 自 然 動 態 2008)) Instituto de Mayores y Servicios Sociales (IMSERSO)( 高 齢 者 社 会 保 障 研 究 所 ) (2005),Cuidados a las Personas Mayores en los Hogares Españoles ( スペイン 家 庭 における 高 齢 者 の 介 護 ) f

23 LÓPEZ DIEZ, Pilar (2005), Segundo Informe, Representación de Género en los Informativos de Radio y Televisión ( 第 二 報 告 書 ラジオ テレビ 報 道 番 組 における ジェンダーの 表 象 Madrid: IORT(スペイン 公 立 ラジオテレビ 研 究 所 ), RTVE( 国 営 ラ ジオテレビ 放 送 ) MESA MONTES, Margarita Josefa (2005), Mujeres de la Radio en Málageña memoria sonora( ) ( マラガラジオ 局 の 女 性 達 : 音 の 記 憶 ( ) )Trabajo de investigación para optar al D.E.A(マラガ 大 学 博 士 提 出 資 格 (DEA 論 文 ) MUNSÓ CABÚS,Juan (1988) Escrito en el aire: 50 años Radio Nacional de España, ( スペイン 国 営 ラジオの 50 年 ) Madrid: RTVE( 国 営 ラジオテレビ 放 送 ) Ministerio de Educación y Ciencia(MEC)( 文 部 科 学 省 )(2007), Académicas en cifras 2007 ( 数 字 で 見 る 女 性 研 究 職 2007 ) Ministerio de Igualdad( 平 等 省 ) (2009), INFORME-BALANCE 2 años de aplicación de la Ley Orgánica 3/2007, de 22 de marzo, para la igualdad efectiva de mujeres y hombres( 実 質 的 男 女 平 等 組 織 法 (2007 年 3 月 22 日 ) 施 行 から 2 年 を 経 て: 報 告 と 検 証 Ministerio de Igualdad( 平 等 省 )(2007) Plan estratégico de igualdad de oportunidades ( ) ( 男 女 平 等 戦 略 的 計 画 ( ) ) Ministerio de Sanidad y Consumo(MSC) 医 療 消 費 省 (2008) Informe Salud y Género 2006,las edades centrales de vida, ( 健 康 とジェンダー 報 告 書 2006: 中 高 年 の 生 活 ) 6.pdf Minsterio de Sanidad y Consumo(MSC) 医 療 消 費 省 (2009), Informe Salud y Género mujeres y hombres en las profesiones sanitairas, ( 健 康 とジェンダー 報 告 書 : 医 療 の 雇 用 における 女 性 と 男 性 ) 7_2008.pdf OECD(2008) Employment Outlook LAHERA FORTEZA, Jesús, Fomento y mejora del empleo de la mujer ( 女 性 雇 用 の 推 進 と 改 善, QUINTANILLA NAVARRO, Beatriz(2009),Igualdad de género y relaciones laborales( ジェンダー 平 等 と 雇 用 関 係 ) Ministerio de Asuntos Sociales( 労 働 問 題 省 )