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1 平 成 25 年 度 海 外 炭 開 発 支 援 事 業 海 外 炭 開 発 高 度 化 等 調 査 中 国 における 石 炭 需 給 動 向 と 見 通 し 及 びその 影 響 調 査 平 成 26 年 3 月

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3 はじめに 海 外 炭 開 発 高 度 化 等 調 査 は 我 が 国 への 海 外 炭 の 安 定 的 かつ 低 廉 な 供 給 確 保 に 資 するた め 主 要 産 炭 国 の 石 炭 生 産 動 向 やインフラ 整 備 状 況 及 び 主 要 消 費 国 の 石 炭 消 費 動 向 等 に 係 る 最 新 の 情 報 収 集 分 析 を 実 施 し 本 邦 民 間 企 業 等 へ 情 報 提 供 することを 目 的 としている 中 国 の 近 年 の 石 炭 消 費 量 及 び 石 炭 輸 入 量 の 増 加 は 著 しい IEA によると 2012 年 には 約 36.7 億 トンを 消 費 し 中 国 一 国 で 全 世 界 の 石 炭 消 費 量 の 半 分 を 消 費 したことになる また 過 去 には 石 炭 輸 出 国 であったが 2009 年 には 純 輸 入 国 に 転 じ 2012 年 には 2 億 8,900 万 トンを 輸 入 する 世 界 最 大 の 石 炭 輸 入 国 となった( 輸 入 量 は 世 界 の 海 上 貿 易 量 の 23%) 今 後 は 環 境 規 制 や 経 済 成 長 率 の 低 下 により 従 来 のような 高 い 伸 び 率 は 示 さないと 予 測 されるが 消 費 量 輸 入 量 の 絶 対 量 が 大 きいために 中 国 の 需 給 動 向 が 世 界 の 石 炭 消 費 国 石 炭 輸 出 国 輸 入 マーケットに 与 える 影 響 は 大 きく 中 国 の 需 給 動 向 を 知 ることは 我 が 国 の 将 来 にわたる 石 炭 安 定 供 給 確 保 のためにも 重 要 である このため 中 国 の 石 炭 政 策 石 炭 需 給 輸 入 動 向 及 び 石 炭 業 界 に 係 る 動 き 等 を 調 査 し 世 界 の 石 炭 市 場 及 び 我 が 国 への 石 炭 供 給 に 及 ぼす 影 響 について 調 査 検 討 した 本 調 査 結 果 が 我 が 国 の 石 炭 需 要 家 や 商 社 をはじめ 石 炭 取 引 に 係 る 企 業 等 の 参 考 にな れば 幸 甚 である 平 成 26 年 3 月 独 立 行 政 法 人 石 油 天 然 ガス 金 属 鉱 物 資 源 機 構 石 炭 開 発 部

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5 要 約 本 報 告 書 は 以 下 の 通 り 序 章 および 第 1 章 ~ 第 8 章 で 構 成 されている 序 章 では 2012 年 後 半 から 続 く 中 国 石 炭 産 業 の 窮 状 に 触 れ 本 章 へのプロローグとした 第 1 章 では 中 国 の 石 炭 政 策 の 最 新 動 向 や 課 題 をまとめ 石 炭 市 場 や 石 炭 産 業 を 取 り 巻 く 環 境 の 激 変 により 一 部 方 針 を 調 整 せざるを 得 なくなった 経 緯 について 考 察 した 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 (2013 年 9 月 )では 石 炭 消 費 や 都 市 部 での 石 炭 火 力 発 電 を 抑 制 し ボイラー 用 燃 料 を 天 然 ガスや 電 力 などに 転 換 するなどの 計 画 が 打 ち 出 されたが 性 急 な 煤 改 気 対 策 により 天 然 ガス 不 足 やコスト 上 昇 を 招 いた また 同 計 画 では エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 (2013 年 1 月 )が 定 めた 一 次 エネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 の 65%への 引 き 下 げ 目 標 達 成 時 期 を 2017 年 に 先 送 りしたが エネルギー 工 作 指 導 意 見 (2014 年 1 月 )では 目 標 達 成 を 2014 年 中 に 前 倒 すなど 方 針 が 二 転 三 転 した 石 炭 市 場 や 石 炭 企 業 に 関 連 する 政 策 では 石 炭 企 業 救 済 の 観 点 から 石 炭 輸 出 税 撤 廃 や 石 炭 輸 入 制 限 も 検 討 されている さらに 産 炭 地 で の 石 炭 由 来 SNG 事 業 や UHV 長 距 離 送 電 ルートの 敷 設 と 合 わせた 石 炭 火 力 発 電 基 地 の 建 設 推 進 策 が 打 ち 出 されたが 産 炭 地 に 環 境 汚 染 が 広 がる 懸 念 も 指 摘 されている 第 2 章 では 中 国 の 石 炭 価 格 制 度 改 革 に 関 連 する 2 つのテーマ( 中 国 における 国 産 炭 と 輸 入 炭 の 価 格 動 向 と 競 争 力 比 較 石 炭 取 引 の 市 場 化 改 革 )について 調 査 した 2012 年 後 半 以 降 中 国 市 場 や 国 際 市 場 では 石 炭 価 格 下 落 傾 向 が 続 き 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)は 2011 年 の 817 元 /トンから 2012 年 に 707 元 /トン 2013 年 に 590 元 /トンに 大 幅 下 落 した 同 時 に 中 国 東 南 沿 海 部 では 中 国 炭 は 価 格 競 争 力 で 輸 入 炭 に 太 刀 打 ちできなくな っている 石 炭 企 業 に 対 する 多 種 多 様 な 課 徴 金 や 国 内 輸 送 コストなどが 中 国 炭 の 価 格 競 争 力 を 大 きく 削 いでいると 指 摘 されているが 中 国 炭 の 価 格 競 争 力 に 関 する 問 題 は 中 国 の 石 炭 価 格 ( 特 に 発 電 用 石 炭 価 格 )が 長 期 にわたり 市 場 メカニズムから 隔 離 されてきた 結 果 であるとも 言 える このため 中 国 政 府 は 現 在 発 電 用 石 炭 の 自 由 契 約 制 度 開 始 石 炭 取 引 センターの 開 設 商 品 取 引 所 での 石 炭 先 物 取 引 開 始 など 一 連 の 石 炭 取 引 の 市 場 化 改 革 を 進 めている 2014 年 用 石 炭 商 談 会 は 供 給 過 剰 や 輸 入 炭 急 増 を 背 景 に 電 力 企 業 に 有 利 な 買 い 手 市 場 となった 模 様 である また 2013 年 末 時 点 で 石 炭 取 引 センターは 31 ヵ 所 に 達 した 大 連 と 鄭 州 の 商 品 取 引 所 では 2013 年 に 原 料 炭 と 一 般 炭 の 先 物 取 引 がスタートし 第 三 者 ( 商 品 取 引 所 )を 通 じたオープ ンで 公 正 な 価 格 形 成 やリスクヘッジ 機 能 の 発 揮 が 期 待 されている ただし 中 国 の 石 炭 企 業 や 発 電 企 業 が 先 物 市 場 をどこまで 有 効 活 用 できるかどうかは 今 後 の 動 向 を 注 視 する 必 要 がある 第 3 章 では 中 国 の 石 炭 の 消 費 動 向 について 調 査 した 1

6 (1) 2012 年 の 中 国 の 石 炭 消 費 動 向 2012 年 の 石 炭 消 費 量 は 2011 年 比 1.9 億 トン 増 の 38.0 億 トン( 褐 炭 を 含 む)であった 同 年 の 炭 種 別 産 業 別 の 石 炭 消 費 量 は 電 力 産 業 19.3 億 トン 建 材 産 業 7.1 億 トン 石 炭 化 学 産 業 2.5 億 トン その 他 5.6 億 トン 鉄 鋼 7.2 億 トン 民 生 1.1 億 トンである 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 消 費 量 トップ 3 は 山 東 4.2 億 トン 内 モンゴル 3.7 億 トン 山 西 3.5 億 トンである 北 京 は 2005 年 以 降 消 費 量 が 減 少 したが 周 辺 地 域 の 消 費 量 急 増 により PM2.5 問 題 が 深 刻 化 した 表 1 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 石 炭 消 費 量 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 (2) 2012 年 の 石 炭 多 消 費 産 業 の 石 炭 消 費 動 向 1 電 力 : 中 国 の 発 電 総 量 は 約 49,774 億 kwh うち 火 力 発 電 量 は 39,108 億 kwh 石 炭 火 力 発 電 量 は 37,755 億 kwh( 火 力 発 電 量 全 体 の 94.0% 発 電 電 力 量 全 体 の 73.9%)であった 電 力 需 要 の 低 迷 により 2012 年 の 発 電 量 の 伸 び 率 は 2005 年 以 降 で 最 低 となった 電 源 構 成 は 火 力 発 電 8 億 1,917 万 kw( 電 源 構 成 全 体 の 71.5% 以 下 同 )で うち 石 炭 火 力 は 7 億 5,811 万 kw(66.2%) 発 電 業 界 の 石 炭 消 費 量 は 19.3 億 トンで 中 国 の 石 炭 消 費 量 の 50.8%を 占 めた 2

7 2 鉄 鋼 : 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 によると 製 鉄 業 の 石 炭 消 費 量 は 合 計 3.0 億 トン コークス 消 費 量 は 3.4 億 トン 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 消 費 データは 公 表 されていないが 地 域 別 の 粗 鋼 生 産 量 と 銑 鉄 生 産 量 をもとに 計 算 すると 河 北 省 が 最 大 と 推 定 される 3 建 材 : 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 によると 窯 業 ( 建 材 業 )の 石 炭 消 費 量 は 2.5 億 トン 4 石 炭 化 学 : 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 によると 石 炭 化 学 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 2.0 億 トン 5 その 他 : 製 紙 産 業 ( 紙 パルプ) 食 料 品 加 工 紡 績 繊 維 の 3 業 種 の 石 炭 消 費 量 は 製 造 業 の 全 体 の 石 炭 消 費 量 11.2%を 占 め 石 炭 最 終 消 費 全 体 の 8.3%を 占 める 第 4 章 では 中 国 の 石 炭 の 供 給 動 向 について 調 査 した (1) 中 国 および 地 域 別 の 生 産 動 向 2013 年 の 生 産 量 は 36.8 億 トンで 2012 年 比 で 3,500 万 トン 増 加 したが 2005 年 以 降 では 最 低 の 伸 び 率 (1.0%)であった 2012 年 の 地 域 別 生 産 量 の 上 位 2 地 域 は 華 北 ( 全 国 生 産 量 の 50.0% 以 下 同 )と 西 北 (18.8%)で 省 直 轄 市 自 治 区 別 では 内 モンゴル 10.4 億 トン(25.0%) 山 西 9.1 億 トン(22.0%) 陝 西 4.7 億 トン(10.2%)がトップ 3 であった 億 トン % 生 産 量 ( 左 軸 ) 伸 び 率 ( 右 軸 ) 0.0 ( 出 所 ) 中 国 統 計 年 鑑 (2013 年 版 ) および 中 国 国 家 統 計 局 の 統 計 公 報 より 作 成 図 1 中 国 における 石 炭 生 産 量 と 伸 び 率 の 推 移 (2) 新 規 炭 鉱 の 開 発 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 電 力 企 業 の 国 内 炭 開 発 第 12 次 計 画 期 に 新 規 開 発 予 定 の 炭 鉱 の 生 産 能 力 は 7.4 億 トン/ 年 で 6 割 以 上 が 西 部 地 域 ( 特 に 内 モンゴルや 新 疆 )に 集 中 している 2015 年 末 までに 全 国 で 小 規 模 炭 鉱 ( 郷 鎮 炭 鉱 )を 2,000 ヵ 所 以 上 閉 鎖 し 生 産 能 力 30 万 トン/ 年 以 下 の 炭 鉱 の 新 規 建 設 を 禁 止 する 方 針 が 打 ち 出 された 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 生 産 量 は 2015 年 には 4.2 億 トンに 達 し 石 炭 自 給 率 は 38.6%(2010 年 は 18.8%)に 向 上 すると 予 測 されている (3) 石 炭 の 輸 出 入 動 向 2013 年 の 石 炭 輸 入 量 は 前 年 比 13.4% 増 の 3.27 億 トン( 褐 炭 を 含 む)である 省 直 轄 市 自 治 区 別 では 広 東 ( 全 国 の 輸 入 量 の 13.0% 以 下 同 じ) 広 西 (12.0%) 河 北 (11.7%) 山 東 (11.1%) の 順 に 多 い 一 方 輸 出 量 は 751 万 トン(2003 年 比 で 92.0% 減 )であった 3

8 (4) コールフロー 中 国 では 石 炭 生 産 量 の 6 割 が 鉄 道 で 輸 送 されており 2013 年 の 鉄 道 輸 送 量 は 23.2 億 トンに 達 し た 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 2015 年 の 鉄 道 輸 送 能 力 を 30 億 トンに 引 き 上 げる 方 針 が 示 されている (5) 石 炭 企 業 の 経 営 状 況 悪 化 石 炭 企 業 の 経 営 状 況 は 2012 年 以 降 大 幅 に 悪 化 し 2012 年 の 上 場 31 社 の 純 利 益 は 合 計 968 億 元 ( 前 年 比 6.6% 減 )であった 中 国 政 府 や 地 方 政 府 の 石 炭 企 業 救 済 策 は 大 きな 効 果 を 上 げていない 第 5 章 では 中 国 が 外 国 炭 の 供 給 を 長 期 的 かつ 大 量 に 確 保 する 手 段 を(1) 中 国 企 業 による 外 国 におけ る 炭 鉱 権 益 獲 得 (2) 中 国 企 業 による 外 国 企 業 との 石 炭 供 給 契 約 (3) 中 国 政 府 の 外 国 に 対 する 融 資 買 炭 ( 石 炭 と 融 資 の 交 換 =loan for coal) 政 策 に 基 づく 石 炭 の 開 発 輸 入 と 定 義 して 検 討 を 行 なった 表 2 は 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 の 現 状 を 企 業 別 国 別 に 整 理 したものである 4

9 表 2 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 の 現 状 ( 企 業 別 国 別 ) Australia Canada Mongolia Indonesia USA Russia Total Coal 10;27 1;2 0;1 1;1 0;1 12;32 Yankuang Group 9;14 9;14 Winsway Coking 1;1 0;1 1;2 Shenhua Group 0;1 1;1 0;1 1;3 China National Coal 0;1 0;1 Kailuan Group 0;1 0;1 Shandong Energy 1;3 1;3 Yima Coal 0;8 0;8 Iron & Steel 0;4 0;1 0;5 Baosteel Group* 0;4 0;4 Shougang Group 0;1 0;1 Electricity 1;2 1;4 0;0 2;6 Guangdong Yudean 1;1 1;1 2;2 China Datang 0;3 0;3 China Huaneng** 0;0 0;0 China Power* 0;1 0;1 Finance & Investment 3;13 3;4 1;5 7;22 CITIC Group 2;11 2;11 CIC*** 3;4 1;5 4;9 Guangdong Rising 1;2 1;2 Others 0;3 0;0 0;5 0;8 Chinalco** 0;0 0;0 Guizhou Guochuang 0;5 0;5 Metallurgical Group* 0;1 0;1 Dadi Engineering 0;2 0;2 Total 14;49 4;7 2;6 1;5 0;5 0;1 21;73 ( 注 )a; b---- b はその 企 業 が 獲 得 した 炭 鉱 (プロジェクト) また a はそれらのうち 生 産 を 行 なっているもの (*) 豪 州 の China First Coal プロジェクトにおける 権 益 ( 戦 略 的 パートナー)を 含 む なお このプロジ ェクトは 一 般 炭 を 開 発 生 産 することを 目 的 としているが プロジェクトの 実 質 的 な 推 進 者 である Clive Palmer が 所 有 している Resourcehouse Ltd.によると 宝 鋼 集 団 と 中 冶 集 団 が 設 立 した 中 国 冶 金 科 工 が 同 プロ ジェクトにおける 重 要 な 戦 略 的 パートナーになっている (**) 0;0 とは 権 益 獲 得 に 向 かっているが 獲 得 に 至 っていないことを 示 す 言 うまでもなく そのよう な 企 業 は 他 にもあるが ここでは 表 で 示 すような 長 期 供 給 契 約 との 関 連 があることから 特 掲 する (***)インドネシアの PT. Bumi Resources Tbk(BUMI)に 対 する 投 資 は 本 文 に 説 明 した 権 益 の 間 間 接 的 な 獲 得 に 当 たり 獲 得 した 炭 鉱 の 詳 細 も 明 らかではないので 獲 得 した 件 数 は 計 上 していない ( 出 所 )5.2.2 における 各 企 業 (およびプロジェクト)の 記 述 による 第 6 章 では 2040 年 までの 中 国 全 体 の 石 炭 需 要 と 石 炭 需 給 バランスを 以 下 の 通 り 予 測 した 5

10 (1) 石 炭 需 要 予 測 の 前 提 条 件 1 マクロ 経 済 予 測 : 中 国 の GDP の 年 平 均 成 長 率 は 2012 年 ~2020 年 は 7.8% 2020 年 ~2030 年 は 5.6% 2030 年 ~2040 年 は 3.8%になると 予 測 した 2 石 炭 多 消 費 産 業 における 発 電 生 産 活 動 に 関 する 予 測 : 電 力 最 終 需 要 は 2020 年 に 6.6 兆 kwh 2030 年 に 9.1 兆 kwh 2040 年 に 11.0 兆 kwh に 達 する 粗 鋼 とセメントの 生 産 量 は 2020 年 にそれ ぞれ 8.2 億 トンと 23.3 億 トンでピークに 達 する 石 炭 化 学 分 野 では 従 来 型 のアンモニア 生 産 は 2040 年 まで 8,000 トン 前 後 を 維 持 するが 新 型 石 炭 化 学 は 技 術 環 境 面 の 課 題 があり 新 規 事 業 が 規 制 される 可 能 性 もある 表 3 石 炭 需 要 予 測 の 前 提 条 件 項 目 単 位 /12 30/20 40/30 40/12 GDP (2010 price) 億 元 235, , , ,993 1,483,980 2,157, 人 口 万 人 130, , , , , , 粗 鋼 万 トン 35,324 63,723 72,388 82,656 79,458 68, セメント 万 トン 106, , , , , , 紙 パルプ 万 トン 6,205 9,833 10,957 13,255 14,390 14, 苛 性 ソーダ 万 トン 1,240 2,228 2,697 2,848 2,883 2, 板 硝 子 万 箱 40,210 66,331 71,417 88,284 88,633 85, アンモニア 万 トン 5,178 6,338 6,832 8,296 8,360 8, 石 炭 火 力 発 電 億 kwh 非 化 石 シナリオ 19,576 32,274 36,771 45,482 49,181 46, 天 然 ガスシナリオ 19,576 32,274 36,771 46,938 57,617 58, 石 炭 依 存 シナリオ 19,576 32,274 36,771 47,777 58,189 62, ( 注 ) 石 炭 火 力 発 電 にある 3 つのシナリオに 関 しては 以 下 文 中 の(2) 部 門 分 野 別 の 石 炭 需 要 予 測 を 参 照 (2) 部 門 分 野 別 の 石 炭 需 要 予 測 1 電 力 将 来 の 電 源 構 成 を 占 うには 不 確 定 要 素 が 極 めて 多 い(エネルギー 開 発 環 境 規 制 動 向 など)との 認 識 に 立 ち 以 下 3 つのシナリオを 設 定 した 上 で 2020 年 ~2040 年 の 石 炭 需 要 を 予 測 した a. 非 化 石 エネルギー 拡 大 ( 発 電 用 石 炭 の 消 費 は 減 少 非 化 石 エネルギーの 開 発 利 用 が 拡 大 する) b. 天 然 ガス 拡 大 ( 非 化 石 エネルギーの 開 発 は 遅 れるが シェールガス 開 発 の 進 展 や 天 然 ガスの 国 際 価 格 下 落 により 中 国 の 天 然 ガス 供 給 が 改 善 され 天 然 ガス 発 電 が 拡 大 する) c. 石 炭 依 存 ( 非 化 石 エネルギーの 開 発 が 遅 れ 天 然 ガス 供 給 も 制 約 されるため 石 炭 依 存 の 高 い 状 態 が 続 く ただ 石 炭 依 存 度 は 徐 々に 低 下 する) 6

11 表 4 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 予 測 項 目 単 位 実 績 予 測 ( 非 化 石 ) 予 測 ( 天 然 ガス 拡 大 ) 予 測 ( 石 炭 依 存 ) 石 炭 火 力 発 電 億 kwh 36,771 45,482 49,181 46,509 46,938 57,617 58,125 47,777 58,189 62,782 石 炭 消 費 万 toe 89, , , , , , , , , ,094 石 炭 消 費 原 単 位 goe/kwh 原 炭 消 費 万 トン 179, , , , , , , , , ,188 (5,000kcal/kg) 省 エネ 強 化 石 炭 消 費 原 単 位 goe/kwh 石 炭 消 費 万 toe 83,838 99, ,297 94, , , , , , ,447 省 エネ 効 果 万 toe 5,984 4,144 8,812 10,110 4,277 10,324 12,635 4,353 10,426 13,647 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 2 鉄 鋼 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 消 費 は 2020 年 にピーク(3.3 億 toe)に 達 し 以 後 は 減 少 する 表 5 鉄 鋼 産 業 の 炭 種 別 の 石 炭 消 費 見 通 し 項 目 単 位 実 績 予 測 伸 び 率 % /12 粗 鋼 生 産 万 トン 72,388 82,656 79,458 68, 石 炭 消 費 万 toe 15,148 17,027 16,249 13, 原 料 炭 11,492 12,301 11,090 9, 無 煙 炭 3,656 4,726 5,159 4, 石 炭 消 費 原 単 位 kgoe/トン 原 炭 換 算 万 トン 30,296 34,054 32,498 27, 原 料 炭 万 トン 22,983 24,602 22,180 18, 無 煙 炭 万 トン 7,313 9,452 10,318 8, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 3 セメントなど 建 材 セメント 生 産 用 石 炭 消 費 が 建 材 産 業 全 体 の 石 炭 消 費 の 7 割 弱 を 占 める 現 状 が 維 持 された 場 合 建 材 全 体 の 石 炭 需 要 は 2020 年 に 1.8 億 toe となり ピークに 達 する 万 toe 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, ,849 万 toe ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 2 建 材 産 業 の 石 炭 需 要 予 測 7

12 4 石 炭 化 学 アンモニア 生 産 用 の 石 炭 需 要 は 2012 年 の 4,913 万 toe から 2020 年 に 5,510 万 toe でピークに 達 する 従 来 型 の 石 炭 化 学 全 体 の 石 炭 消 費 は 2020 年 に 7,000 万 toe 前 後 になる 新 型 石 炭 化 学 の 石 炭 消 費 は 2020 年 に 7,000 万 トン 前 後 2030 年 に 約 9,000 万 トン 2040 年 に 1 億 トン 超 となる 5 その 他 の 工 業 分 野 2020 年 に 2 億 トン 2030 年 に 1.9 億 トン 2040 年 に 1.8 億 トンに 達 する 6 民 生 部 門 2012 年 の 9,153 万 トンから 2030 年 には 5,919 万 トン 2040 年 には 3,423 万 トンに 減 少 する (3) 中 国 全 体 の 石 炭 の 最 終 需 要 予 測 中 国 の 石 炭 需 要 ( 一 次 )は 2020 年 に 41.9~42.9 億 トン 2030 年 に 43.1~47.2 億 トン 2040 年 に 40.2 ~47.5 億 トンになると 予 測 される 3 シナリオのいずれでも 石 炭 需 要 全 体 に 占 める 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 比 率 は 2040 年 まで 拡 大 する 表 6 シナリオ 別 の 石 炭 需 要 予 測 と 発 電 用 石 炭 消 費 のシェア 項 目 実 績 非 化 石 天 然 ガス 拡 大 石 炭 依 存 石 炭 需 要 ( 億 t) 転 換 部 門 発 電 最 終 消 費 発 電 用 比 率 % ( 注 ) 表 6 のデータは 5,000kcal/kg で 換 算 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 (4) 一 次 エネルギー 需 要 に 占 める 石 炭 比 率 に 関 する 予 測 1 非 化 石 エネルギー 拡 大 シナリオ 石 炭 需 要 は 2030 年 に 21.6 億 toe( 一 次 エネルギーに 占 めるシェアは 55.6% 原 炭 換 算 で 43.1 億 トン 以 下 同 じ)でピークに 達 する 非 化 石 エネルギーと 天 然 ガスの 需 要 が 一 次 エネルギーに 占 めるシェアは 拡 大 し 続 け 2040 年 時 点 で 8.8 億 toe(21.3%)と 5.0 億 toe(12.2%)になる 8

13 百 万 toe 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 石 炭 石 油 ガス その 他 4,140 3,878 3, , ,942 2,094 2,155 2, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 3 非 化 石 エネルギーシナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 2 天 然 ガス 拡 大 シナリオ 石 炭 需 要 は 2030 年 に 23.5 億 toe(58.5% 46.9 億 トン)となる 非 化 石 エネルギーと 天 然 ガスの 需 要 が 一 次 エネルギーに 占 めるシェアは 拡 大 を 続 け 2040 年 時 点 で 7.3 億 toe(16.8%)と 6 億 toe(13.7%)にな る 百 万 toe 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 石 炭 石 油 ガス その 他 4,342 4,007 3, , ,942 2,127 2,346 2, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 4 天 然 ガス 拡 大 シナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 3 石 炭 依 存 シナリオ 石 炭 需 要 は 2040 年 に 23.7 億 toe(54.3% 47.5 億 トン)に 達 する 非 化 石 エネルギーと 天 然 ガスの 需 要 が 一 次 エネルギーに 占 めるシェアも 拡 大 を 続 け 2040 年 に 7.4 億 toe(16.9%)と 5.1 億 toe(11.7%)になる 9

14 百 万 toe 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 石 炭 石 油 ガス その 他 4,369 4,004 3, , ,942 2,146 2,359 2, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 5 石 炭 依 存 シナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し いずれの 予 測 結 果 でも 一 次 エネルギー 需 要 に 占 める 石 炭 比 率 は 2040 年 まで 50% 前 後 と 他 のエネル ギーよりも 高 く 石 炭 依 存 度 の 高 い 現 在 のエネルギー 消 費 構 成 は 短 期 間 には 改 善 されないと 思 われる 石 炭 比 率 を 50% 以 下 に 抑 えるには 非 化 石 エネルギー 比 率 を 20% 以 上 に 引 き 上 げねばならず 2040 年 までに 非 化 石 エネルギーを 5.3 億 toe 増 加 ( 天 然 ガスは 3.4 億 toe 増 加 )する 必 要 がある 表 7. 3 つのシナリオに 基 づく 予 測 結 果 の 比 較 予 測 実 績 エネルギー 源 非 化 石 シナリオ 天 然 ガスシナリオ 石 炭 依 存 シナリオ 一 次 エネルギー 2,939 3,361 3,878 4,140 3,388 4,007 4,342 3,394 4,004 4,369 ( 百 万 toe) 石 炭 1,942 2,094 2,155 2,008 2,127 2,346 2,269 2,146 2,359 2,373 石 油 天 然 ガス 非 化 石 エネ 構 成 比 率 % 石 炭 石 油 天 然 ガス 非 化 石 エネ ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 (5) 中 国 全 土 の 石 炭 需 給 バランス 予 測 2020 年 および 2030 年 時 点 では 中 国 の 国 内 炭 の 生 産 能 力 が 需 要 を 上 回 るか 同 等 であるが 2040 年 に は 石 炭 依 存 シナリオで 生 産 能 力 が 需 要 を 2.1 億 トン 下 回 る 10

15 表 8 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 バランスの 予 測 ( 単 位 : 億 トン) 需 給 シナリオ 生 産 能 力 非 化 石 需 要 天 然 ガス 石 炭 依 存 非 化 石 バランス 天 然 ガス 石 炭 依 存 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 第 7 章 では 地 域 別 (6 地 域 に 分 類 )の 2040 年 までの 石 炭 需 要 と 需 給 バランスを 予 測 した なお 本 調 査 では 中 国 の 統 計 上 の 問 題 点 ( 全 国 統 計 と 地 域 別 統 計 の 合 計 値 が 合 致 しない 全 国 統 計 の 需 給 データに 誤 差 がある)を 考 慮 し 統 計 ミスを 修 正 調 整 した 上 で 予 測 を 行 った また 各 地 方 政 府 (28 省 直 轄 市 自 治 区 )が 打 ち 出 した 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 を 集 約 し 石 炭 消 費 抑 制 政 策 や 目 標 値 を 需 要 予 測 に 取 り 入 れた 点 が 他 のエネルギー 関 連 機 関 の 需 要 予 測 とは 異 なる (1) 2040 年 までの 地 域 別 の 石 炭 需 要 予 測 華 北 では 北 京 や 天 津 で 石 炭 消 費 量 が 減 少 する 一 方 山 西 や 内 モンゴルで 消 費 量 が 増 加 する 華 東 も 上 海 などで 消 費 量 が 大 幅 減 となる 中 南 では 広 東 の 消 費 量 が 大 幅 減 となる 東 北 は 2030 年 頃 に 需 要 の ピークを 迎 える 西 南 では 貴 州 や 雲 南 で 石 炭 火 力 発 電 能 力 が 増 強 され 2030 年 にかけて 需 要 が 伸 びる 西 北 では 新 疆 などで 大 型 石 炭 火 力 発 電 や 石 炭 由 来 SNG 事 業 が 推 進 され 石 炭 多 消 費 産 業 の 西 部 移 転 も 進 み 需 要 増 が 見 込 まれる ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 表 9 シナリオ 別 の 地 域 別 石 炭 需 要 予 測 ( 単 位 : 億 トン) 地 域 実 績 非 化 石 天 然 ガス 拡 大 石 炭 依 存 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 合 計

16 (2) 2040 年 までの 地 域 別 の 石 炭 需 給 バランス 予 測 年 ~2040 年 の 中 国 炭 の 生 産 能 力 2040 年 までのコールフローは 2014 年 とほぼ 同 じ 構 造 ( 華 北 と 西 北 の 石 炭 を 華 東 や 中 南 に 移 出 )が 続 く 華 北 の 生 産 能 力 は 2020 年 に 21.6 億 トン( 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 全 体 の 49.7% 以 下 同 ) 2030 年 約 23 億 トン(49.4%) 2040 年 23 億 トン 前 後 (50.7%)で 推 移 する 西 北 の 生 産 能 力 は 2020 年 10 億 トン 前 後 (23.3%) 2030 年 約 12 億 トン(25.6%) 2040 年 12.5 億 トン(26.6%)と 拡 大 する また 沿 海 地 域 での 減 産 や 産 炭 地 の 西 部 移 転 による 輸 送 コスト 上 昇 により 中 南 や 華 東 では 輸 入 が 増 える なお 華 北 では 中 国 の 生 産 能 力 過 剰 問 題 を 解 決 するために 2020 年 までに 一 時 的 に 輸 出 が 輸 入 を 上 回 る 可 能 性 も 考 えられ るが それには 石 炭 輸 出 政 策 や 税 制 の 改 正 が 前 提 となる 億 トン 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 ( 出 所 )2012 年 の 実 績 は 中 国 統 計 予 測 値 は 本 調 査 図 6 地 域 別 の 石 炭 生 産 能 力 の 推 定 2 シナリオ 別 の 予 測 非 化 石 エネルギー 拡 大 シナリオでは 2020 年 ~2040 年 にかけて 主 要 産 炭 地 を 抱 える 華 北 やと 西 北 の 石 炭 移 出 可 能 量 が 増 える 一 方 消 費 地 である 華 東 や 中 南 の 石 炭 移 入 量 が 減 るため 供 給 が 需 要 を 上 回 る 天 然 ガス 拡 大 シナリオでは 基 本 的 に 需 給 バランスが 取 れる 石 炭 依 存 のシナリオでは 2040 年 時 点 で 華 北 やと 西 北 の 石 炭 移 出 可 能 量 が 華 東 中 南 東 北 西 南 などの 石 炭 移 入 量 に 及 ばなくなり 需 給 が タイトになる 可 能 性 がある 表 10 地 域 別 の 石 炭 需 給 バランス ( 単 位 : 億 トン) 地 域 実 績 非 化 石 天 然 ガス 拡 大 石 炭 依 存 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 バランス ( 出 所 ) 実 績 値 は 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 予 測 値 は 本 調 査 12

17 最 後 に 第 8 章 では 本 調 査 の 予 測 結 果 をもとに 中 国 の 石 炭 需 給 の 課 題 や 日 本 や 世 界 の 石 炭 供 給 に 及 ぼす 影 響 について 考 察 した (1) 2020 年 および 2030 年 時 点 までは 中 国 の 国 内 炭 の 生 産 能 力 が 需 要 を 上 回 るか 同 等 となると 予 測 され この 場 合 には 中 国 の 石 炭 輸 入 量 減 少 や 輸 出 量 増 加 につ ながり 国 際 市 場 の 石 炭 需 給 が 緩 和 される 可 能 性 がある (2) 2040 年 になると 石 炭 依 存 シナリオで 生 産 能 力 が 需 要 を 下 回 ると 予 測 されるが この 場 合 幾 つかの 仮 説 について 検 討 する 必 要 がある まず 石 炭 の 需 要 急 増 や 供 給 不 足 が 生 じた 場 合 政 府 や 民 間 企 業 が 炭 鉱 開 発 を 行 う 可 能 性 が 高 く 石 炭 需 給 関 係 は 基 本 的 に 緩 和 に 向 かうと 予 測 される また 為 替 レートの 変 動 生 産 コストの 上 昇 生 産 拠 点 の 西 部 への 移 動 による 輸 送 コストの 上 昇 環 境 対 策 費 の 上 昇 天 然 ガス 等 の 石 炭 代 替 エネルギー の 利 用 促 進 により 沿 海 地 域 での 中 国 炭 の 価 格 競 争 力 が 今 後 更 に 低 下 することも 想 定 され その 場 合 は 中 国 の 石 炭 輸 入 量 は 今 後 も 減 少 しない 可 能 性 が 考 えられる さらに 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 には 公 式 統 計 に 含 まれていない 小 規 模 炭 鉱 などの 未 認 可 の 生 産 能 力 が 相 当 量 あり これらを 含 めた 実 際 の 生 産 能 力 は 本 調 査 の 需 給 予 測 で 用 いた 生 産 能 力 を 一 定 程 度 上 回 ることが 見 込 まれる ただし 中 国 の 石 炭 消 費 量 は 世 界 の 石 炭 消 費 量 の 半 分 以 上 を 占 めており 中 国 の 石 炭 需 給 の 変 動 が 長 期 的 にも 世 界 の 石 炭 市 場 に 大 きなインパクトを 与 える 可 能 性 があることは 否 定 できない 13

18 14

19 Summary This report is comprised of an introduction and Chapter 1 through Chapter 8, as described below. In the introduction, the report briefly discusses the hardship faced by the Chinese coal industry since the second half of 2012, and presents a prologue to this chapter. In Chapter 1 the report summarizes the latest trends and issues in the coal policies of China and discusses the background leading up to the government being forced to adjust some of its policies due to dramatic changes in the environment surrounding the coal market and coal industry. In the Action Plan on Prevention and Control of Air Pollution (September 2013) plans were presented to reduce coal consumption and reduce coal-fired electricity generation in urban areas, switch the fuel used in boilers to natural gas and electricity, etc. but the hasty conversion of fuel from coal to gas countermeasures resulted in shortages of natural gas and rising natural gas costs. Furthermore, there have been a number of changes to the policies. For example the above plan postponed to 2017 the achievement of the target of reducing the ratio of total primary energy consumption accounted for by of coal to 65% stipulated in the 12th Five-Year Plan for Energy Development (January 2013) but in the Energy Policy Guidance Opinion (January 2014) the achievement of this target was brought forward to In policies related to the coal market and coal enterprises, the abolition of the coal export tax and restrictions on coal imports are being considered with a view to rescuing coal enterprises. Moreover, measures to promote the construction of coal-fired electricity generation bases in conjunction with coal-derived SNG projects and the installation of UHV long-distance power transmission routes in coal-producing regions have been proposed, but there are concerns that environmental pollution will spread in coal-producing regions. In Chapter 2 the report conducts a survey about two themes related to reform of the coal pricing system in China (price trends for domestically-produced coal and imported coal in China and a comparison of their competitiveness, commercialization reforms of coal trading). From the second half of 2012, in both the Chinese market and the international market, coal prices continued to fall, and the Bohai-rim Steam-coal Price Index (5,500kcal/kg) fell dramatically from 817 yuan/ton in 2011, to 707 yuan/ton in 2012, and 590 yuan/ton in At the same time in the coastal areas of southwest China, Chinese coal is no longer able to compete with imported coal with regards to price competitiveness. It has been pointed out that the large variety of surcharges and domestic transportation costs, etc. for coal enterprises have greatly reduced the price competitiveness of Chinese coal, but it can also be said that the problems related to the price competitiveness of Chinese coal are the result of the fact that coal prices in China (in particular prices for coal used in electricity generation) have been isolated from market mechanisms for a long period of time. For this reason, the Chinese government is currently advancing a series of commercialization reforms for coal trading, including commencement of a free 1

20 contract system for coal used in electricity generation, the opening of coal trading centers, the commencement of coal futures trading at commodity exchanges, etc. The coal business talks for 2014 saw a situation in which there was an advantageous buyers market for electricity enterprises against a background of oversupply and the rapid increase in imported coal. Furthermore, as of the end of 2013 a total of 31 coal trading centers had been opened. The commodity exchanges in Dalian and Zhengzhou started futures trading of coking coal and steam coal in 2013, raising hopes of open and fair price formation through third parties (the commodity exchanges) and the full utilization of risk hedge functions. However, it will be necessary to watch the trends carefully going forward to see the extent to which the coal enterprises and electricity generation enterprises of China can effectively utilize the futures market. In Chapter 3 the report conducts a survey about coal consumption trends in China. (1) Coal consumption trends in China in 2012 The amount of coal consumed in 2012 (including lignite) was 3.80 billion tons, an increase of 190 million tons compared to The amount of coal consumed in 2012 by coal type and by industry was 1.93 billion tons in the electricity industry, 710 million tons in the building materials industry, 250 million tons in the coal chemistry industry, 560 million tons in other industries, 720 million tons in iron and steel, and 110 million tons in the consumer sector. The top three provinces, direct-controlled municipalities, and autonomous regions by amount of consumption are Shandong with 420 million tons, Inner Mongolia with 370 million tons, and Shanxi with 350 million tons. Consumption has been declining in Beijing since 2005 but due to the rapid increase in the amount of consumption in the surrounding regions the PM2.5 problem has become more serious. 2

21 Table 1: Amount of coal consumed, by Province, Autonomous Region and Municipality Region Production (Million ton) Increased (Mt) Growth Rate % /05 12/05 North China ,066 1, Beijing Tianjin Hebei Shanxi Inner Mongolia Northeast Liaoning Jilin Heilongjiang East China ,069 1,170 1, Shanghai Jiangsu Zhejiang Anhui Fujian Jiangxi Shandong Central South Henan Hubei Hunan Guangdong Guangxi Hainan Southwest Chongqing Sichuan Guizhou Yunnan Tibet Northwest Shaanxi Gansu Qinghai Ningxia Xinjiang Total 1,055 1,448 1,469 2,655 3,814 4,286 4,365 1, (Source) China Statistics Press China Energy Statistical Yearbook 2013 (2) 2012 coal consumption trends in industries that consume a lot of coal (i) Electricity: The total electricity generation of China is approximately 4,977.4 billion kwh, including fire-powered electricity generation of 3,910.8 billion kwh, of which 3,775.5 billion kwh is coal-fired electricity generation (94.0% of overall fire-powered electricity generation, 73.9% of overall generated electricity). Due to the stagnation in demand for electricity, the rate of growth in electricity generation in 2012 was the lowest rate since The composition of sources of electricity is fire-powered electricity generation of million kw (71.5% of the overall composition of sources of electricity, the same applies below), including coal-fired electricity generation of million kw (66.2%). The 3

22 amount of coal consumed by the electricity generation industry was 1.93 billion tons, accounting for 50.8% of the coal consumed in China. (ii) Iron and steel: According to the China Energy Statistical Yearbook, the iron and steel industry consumed a total of 300 million tons of coal and 340 million tons of coke. Consumption data for each province, direct-controlled municipality, and autonomous region has not been published but calculating consumption based on the volume of crude steel production and pig iron production in each region, it is estimated that Hebei Province is the top consumer. (iii) Building materials: According to the China Energy Statistical Yearbook, the ceramic industry (building materials industry) consumed 250 million tons of coal. (iv) Coal chemistry: According to the China Energy Statistical Yearbook, the coal chemistry industry consumed 200 million tons of coal. (v) Other: The amount of coal consumed by three industries - the papermaking industry (paper and pulp), food product processing, and textiles and fibers - accounted for 11.2% of the coal consumed by the manufacturing industries overall and accounted for 8.3% of the overall final consumption of coal. In Chapter 4 we conducted a survey of the coal supply trends in China. (1) Production trends in China overall and by region The volume of production in 2013 was 3.68 billion tons, an increase of 35 million tons compared to 2012, but production recorded the lowest rate of growth (1.0%) since The top two producing regions in 2012 were North China (50.0% of national production, the same applies below) and Northwest China (18.8%), and by province, direct-controlled municipality, and autonomous region, the top three were Inner Mongolia with 1.04 billion tons (25.0%), Shanxi with 910 million tons (22.0%), and Shaanxi with 470 million tons (10.2%). Million ton 4, ,516 3,645 3,680 3,500 3,235 2,973 3,000 2,692 2,802 2,529 2,500 2,350 2, , , Production Growth rate % (Source) Created from the China Statistical Yearbook (2013 edition) and the official statistics published by the National Bureau of Statistics of China Figure 1: Trends in coal production and the rate of growth of coal production in China 4

23 (2) The development of new coal mines, closing of small-scale coal mines, and development of domestic coal by electricity enterprises The production capacity of the coal mines planned under the new development during the period of the 12th plan is 740 million tons/year, and over 60% of this is concentrated in the West region (in particular Inner Mongolia and Xinjiang). The government has announced its intention to close over 2,000 small-scale coal mines (TVE coal mines) nationwide by the end of 2015, and to prohibit the construction of new coal mines with a production capacity of less than 300,000 tons/year. Production of coal by the five state-owned electricity companies is forecast to reach 420 million tons in 2015, and China s coal self-sufficiency ratio is forecast to improve to 38.6% (it was 18.8% in 2010). (3) Coal export and import trends Coal imports in 2013 came to 327 million tons (including lignite), an increase of 13.4% from the previous year. By province, direct-controlled municipality, and autonomous region, the top coal importers were Guangdong (13.0% of nationwide imports, the same applies below), Guangxi (12.0%), Hebei (11.7%), and Shandong (11.1%). On the other hand, exports came to 7.51 million tons (92.0% down compared to 2003). (4) Coal flow In China 60% of the produced coal is transported by the railroads, with the volume of coal transported by the railroads reaching 2.32 billion tons in The 12th Five-Year Plan for Development of the Coal Industry presented a policy of raising the railroad transportation capacity for coal to 3.0 billion tons by (5) The worsening financial condition of coal enterprises The financial condition of coal enterprises has worsened dramatically since 2012 and the net profits of the 31 listed companies in 2012 were a total of 96.8 billion yuan (6.6% down from the previous year). The bailout plans for coal enterprises implemented by the Chinese government and the regional governments have not produced major positive effects. In Chapter 5 the report defined the methods that China can use to ensure the supply of foreign coal over the long term and in large volumes as (1) the acquisition by Chinese enterprises of coal mining interests in foreign countries, (2) coal supply contracts by Chinese enterprises with foreign enterprises, and (3) the development and importing of coal based on the Chinese government s loans for coal policy (exchanges of loans for coal) aimed at foreign countries, and then the report examined these methods. Table 2 summarizes the present status of Chinese enterprises acquiring coal mining interests in foreign countries by enterprise and country. 5

24 Table 2: present status of Chinese enterprises acquiring coal mining interests in foreign countries enterprise and country) (by Australia Canada Mongolia Indonesia USA Russia Total Coal 10;27 1;2 0;1 1;1 0;1 12;32 Yankuang Group 9;14 9;14 Winsway Coking 1;1 0;1 1;2 Shenhua Group 0;1 1;1 0;1 1;3 China National Coal 0;1 0;1 Kailuan Group 0;1 0;1 Shandong Energy 1;3 1;3 Yima Coal 0;8 0;8 Iron & Steel 0;4 0;1 0;5 Baosteel Group* 0;4 0;4 Shougang Group 0;1 0;1 Electric Power 1;2 1;4 0;0 2;6 Guangdong Yudean 1;1 1;1 2;2 China Datang 0;3 0;3 China Huaneng** 0;0 0;0 China Power* 0;1 0;1 Finance & Investment 3;13 3;4 1;5 7;22 CITIC Group 2;11 2;11 CIC*** 3;4 1;5 4;9 Guangdong Rising 1;2 1;2 Others 0;3 0;0 0;5 0;8 Chinalco** 0;0 0;0 Guizhou Guochuang 0;5 0;5 Metallurgical Group* 0;1 0;1 Dadi Engineering 0;2 0;2 Total 14;49 4;7 2;6 1;5 0;5 0;1 21;73 (Notes) Regarding the numbers separated by semicolons in the format a ; b, the b indicates the number of coal mines (projects) acquired by that enterprise, and the a is the number of the mines that are producing coal. (*) This includes the interests (strategic partner) in the China First Coal project of Australia. Note that the purpose of this project is to develop and produce steam coal but according to Resourcehouse Ltd., which is owned by Clive Palmer, the substantial promoter of the project, the Metallurgical Corporation of China Ltd. incorporated by the Baosteel Group and the Metallurgical Group is an important strategic partner in this project. (**) 0;0 indicates that the enterprise is working toward the acquisition of interests but has not reached the acquisition stage yet. Needless to say, there are also other enterprises in this position, but here they are given special mention because they are related to long-term supply contracts. (***) The investment in PT. Bumi Resources Tbk (BUMI) of Indonesia is categorized as the intermediary and indirect 6

25 acquisition of interests in the main text and the details of the acquired coal mines are not clear so this investment is not recorded under the number of acquisitions made by CIC. (Sources) The information is from the statements of each enterprise (and project) In Chapter 6, the report forecasts the overall demand for coal in China and the coal supply-and-demand balance until 2040 as follows. (1) Assumptions on which the forecasts of demand for coal are based (i) Macroeconomic forecast: The annual average growth rate of GDP in China is forecast to be 7.8% from 2012 to 2020, 5.6% from 2020 to 2030, and 3.8% from 2030 to (ii) Forecasts related to production activities in industries that consume a lot of coal: Final demand for electricity will reach 6.6 trillion kwh in 2020, 9.1 trillion kwh in 2030, and 11.0 trillion kwh in The production of crude steel and cement will peak at 820 million tons and 2.33 billion tons respectively in In the coal chemistry sector, conventional ammonia production will be maintained at about 8,000 tons until 2040, but the new types of coal chemistry face technical and environmental issues, and there is a possibility that the new businesses will be regulated. Table 3: Assumptions on which the forecasts of demand for coal are based Item Unit /12 30/20 40/30 40/12 Real GDP (2010 price) Billion 23,508 39,976 47,015 85, , , Population Million 1,308 1,341 1,354 1,417 1,497 1, Crude Steel Mt Cement Mt 1,069 1,882 2,210 2,327 2,170 1, Pulp and Paper Mt Caustic Mt Plate Glass M cases Ammonia Mt Coal Power Non-fossil energy expansion (Note) Refer to (2) Forecasts of demand for coal by category and sector below regarding the three scenarios for coal-fired electricity generation. TkWh Actual Estimate Growth Rate % Natural gas expansion Coal dependency (2) Forecasts of demand for coal by category and sector (i) Electric Power Based on the understanding that there are an extremely large number of uncertain factors when trying to anticipate the future composition of sources of electricity (energy development, environmental regulation 7

26 trends, etc.) the report forecasts demand for coal for the period from 2020 to 2040 under the following three scenarios. a. Non-fossil energy expansion (the consumption of coal used in electricity generation declines and the development and use of non-fossil energy expands) b. Natural gas expansion (the development of non-fossil energy is delayed but due to progress in shale gas development and a fall in the international prices of natural gas China s natural gas, supply improves and natural gas electricity generation expands) c. Coal dependency (the development of non-fossil energy is delayed and the natural gas supply is also restricted so a situation of high coal dependency continues. However, the degree of coal dependency gradually declines) Table 4: Forecast of the demand for coal for use in coal-fired electricity generation Estimate Item Unit Actual Non-fossil energy expansion Natural gas expansion Coal dependency Power Generation billion kwh 3,677 4,548 4,918 4,651 4,694 5,762 5,812 4,778 5,819 6,278 Consumption Mtoe 898 1,033 1,111 1,045 1,066 1,302 1,306 1,085 1,315 1,411 Intensity goe/kwh Consumption Mt 1,796 2,066 2,222 2,090 2,132 2,603 2,613 2,170 2,629 2,822 (5,000kcal/kg) Energy saving Intensity goe/kwh Consumption Mtoe , ,023 1,198 1,180 1,042 1,210 1,274 Energy-saving effect 万 toe (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey (ii) Iron and steel Coal consumption in the iron and steel industry will peak in 2020 (330 million TOE) and decline thereafter. Table 5: Outlook for coal consumption by coal type in the iron and steel industry Item Unit Actual Estimate A.G.W % /12 Crude steel production Mt Coal consumption Mtoe Coking coal Mtoe Anthracite Mtoe Intensity kgoe/t Raw coal Mt Coking coal Mt Anthracite Mt (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey 8

27 (iii) Building materials such as cement, etc. The current situation is that the consumption of coal for cement production accounts for just under 70% of coal consumption in the building materials industry overall, and in the case that this situation continues, demand for coal for building materials overall will peak at 180 million TOE in Million toe Mtoe (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey Figure 2: Forecast of coal demand in the building materials industry (iv) Coal chemistry Demand for coal use in ammonia production will increase from million TOE in 2012 to peak at million TOE in Coal consumption in conventional coal chemistry overall will reach about 70 million TOE in Coal consumption for new types of coal chemistry will reach about 70 million tons in 2020, approximately 90 million tons in 2030, and over 100 million tons in (v) Other industrial sectors In other industrial sectors coal consumption will reach 200 million tons in 2020, 190 million tons in 2030, and 180 million tons in (vi) Consumer sector In the consumer sector coal consumption will decline from million tons in 2012 to million tons in 2030, and million tons in (3) The forecast of the final demand for coal in China overall Demand for coal (primary) in China is forecast to reach 4.19~4.29 billion tons in 2020, 4.31~4.72 billion tons in 2030, and 4.02~4.75 billion tons in In all of the three scenarios the ratio of demand for coal overall accounted for by demand for coal for coal-fired electricity generation, is forecast to expand until

28 Table 6: Forecasts of demand for coal and share of coal consumption for electricity generation, by scenario Item Actural Non-fossil energy expansion Natural gas expansion Coal dependency Coal Demand (Billion ton) Transformation Power Generation Final Consumption % of coal for power generation (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey (4) Forecasts related to the ratio of primary energy demand accounted for by coal (i) Non-fossil energy expansion scenario Demand for coal will peak at 2.16 billion TOE (the market share of coal will be 55.6% of primary energy, 4.31 billion tons in terms of raw coal conversion, the same applies below) in The market share of the demand for all primary energy accounted for by the demand for non-fossil energy and natural gas will continue to expand, reaching 880 million TOE (21.3%) and 500 million TOE (12.2%) respectively as of Million toe 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, Caol Crude Oil Natural Gas Others 4,140 3,878 3, , ,942 2,094 2,155 2, (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey Figure 3: Outlook for primary energy demand under the non-fossil energy scenario (ii) Natural gas expansion scenario Demand for coal will reach 2.35 billion TOE (58.5%, 4.69 billion tons) in The market share of the demand for all primary energy accounted for by the demand for non-fossil energy and natural gas will continue to expand, reaching 730 million TOE (16.8%) and 600 million TOE (13.7%) respectively as of

29 Million toe 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, Coal Crude Oil Natural Gas Others 4,342 4,007 3, , ,942 2,127 2,346 2, (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey Figure 4: Outlook for primary energy demand under the natural gas expansion scenario (iii) Coal dependency scenario Demand for coal will reach 2.37 billion TOE (54.3%, 4.75 billion tons) in The market share of the demand for all primary energy accounted for by the demand for non-fossil energy and natural gas will continue to expand, reaching 740 million TOE (16.9%) and 510 million TOE (11.7%) respectively in Million toe 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, Coal Crude Oil Natural Gas Others 4,369 4,004 3, , ,942 2,146 2,359 2, (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey Figure 5: Outlook for primary energy demand under the coal dependency scenario All of the forecast results suggest that the ratio of coal in primary energy demand will be about 50% until 2040, higher than other energy sources, and that the current energy consumption composition with a high degree of coal dependency will not improve in the short term. In order to reduce the coal ratio below 50% we have to raise the non-fossil energy ratio above 20%, meaning that it is necessary to increase non-fossil energy by 530 million TOE (and increase natural gas by 340 million TOE) by

30 Energy Table 7: Comparison of the forecast results based on the three scenarios Actual Estimate Non-fossil energy expansion Natural gas expansion Coal dependency Total primary energy supply 2,939 3,361 3,878 4,140 3,388 4,007 4,342 3,394 4,004 4,369 Million toe Coal 1,942 2,094 2,155 2,008 2,127 2,346 2,269 2,146 2,359 2,373 Crude Oil Natural Gas Non-fossil energy Share % Coal Crude Oil Natural Gas Non-fossil energy (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey (5) Forecast of the coal supply-and-demand balance for all of China In 2020 and 2030 the production capacity of China s domestic coal will be above or equal to demand but in 2040 under the coal dependency scenario production capacity will be 210 million tons less than demand. Table 8: Forecast of the coal supply-and-demand balance in China overall Supply and demand scenario Production capacity (Mt) 3,645 4,342 4,718 4,540 Non-fossil energy expansion 3,884 4,188 4,311 4,015 Demand (Mt) Natural gas expansion 3,884 4,254 4,692 4,537 Coal dependency 3,884 4,292 4,718 4,747 Non-fossil energy expansion Balance (Mt) Natural gas expansion Coal dependency (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey In Chapter 7 the report forecasts the demand for coal and the supply-and-demand balance until 2040, by region (China is classified into six regions). Note that in this survey, taking into account the problems with the statistics of China (the national statistics and the total of the statistics from each region do not match, there are errors in the supply and demand data of the national statistics), the forecasts were made after correcting and adjusting for the statistical mistakes. Another difference from the demand forecasts made by other energy-related institutions is the fact that this report aggregated the Action Plans on Prevention and Control of Air Pollution announced by each regional government (28 provinces, direct-controlled municipalities, and autonomous regions), and incorporated the coal consumption reduction policies and target values into the demand forecasts. (1) Forecasts of demand for coal until 2040, by region Regarding North China, the amount of coal consumed declined in Beijing and Tianjin while the amount of 12

31 consumption increased in Shanxi and Inner Mongolia. Regarding East China, the amount of consumption fell substantially in Shanghai, etc. Regarding South Central China, the amount of consumption in Guangdong fell substantially. In Northeast China, demand will peak in about Regarding Southwest China, coal-fired electricity generation capacity will be enhanced in Guizhou and Yunnan, and demand will grow until Regarding Northwest China, in Xinjiang, etc. large-scale coal-fired electricity generation and coal-derived SNG businesses will be promoted, and more industries that consume a lot of coal will relocate to the west, so demand increases are expected. Table 9: Forecasts of demand for coal in each region under each scenario (Million ton) Region Actural Non-fossil energy expansion Natural gas expansion Coal dependency North China 959 1,112 1,172 1,087 1,075 1,291 1,354 1,162 1,298 1,354 Northeast East China 1,028 1,078 1, ,150 1, ,082 1, Central South Southwest Northwest Total 3,800 4,188 4,311 4,015 4,254 4,692 4,537 4,292 4,718 4,747 (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey (2) Forecast of the coal supply-and-demand balance until 2040, by region (i) The production capacity of Chinese coal from 2020 to 2040 Until 2040 the coal flow will continue with largely the same structure as in 2014 (the coal of North China and Northwest China will be shipped to East China and South Central China). The trend is that the production capacity of North China will reach 2.16 billion tons in 2020 (49.7% of the overall coal production capacity of China, the same applies below), approximately 2.3 billion tons (49.4%) in 2030, and about 2.3 billion tons (50.7%) in The production capacity of Northwest China will expand to about 1.0 billion tons (23.3%) in 2020, approximately 1.2 billion tons (25.6%) in 2030, and 1.25 billion tons (26.6%) in Furthermore, due to reduced production in the coastal regions and the relocation of the coal-producing regions to the west, transportation costs will rise and as a result in South Central China and East China imports will increase. Note that it is thought that in North China, in order to solve the excess production capacity problem in China, there is a possibility that exports will be temporarily higher than imports until 2020, but that is predicated on the assumption that there will be revisions to coal export policies and the tax system. 13

32 Million ton 2, y 2020y 2030y 2040y 2,000 1,500 1, North China Northeast East China Central South Southwest Northwest (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey Figure 6: Estimates of coal production capacity by region (ii) Forecasts for each scenario Under the non-fossil energy expansion scenario, from 2020 to 2040 coal shipping capacity will grow in North China and Northwest China where the major coal-producing regions are located, while in the consuming regions of East China and South Central China the amount of coal shipped in will decline, so supply will exceed demand. Under the natural gas expansion scenario, basically a supply-and-demand balance will be achieved. Under the scenario of coal dependency, there is a possibility that by 2040 the coal shipping capacity of North China and Northwest China will not match the inward shipments of coal to East China, South Central China, Northeast China, and Southwest China, etc., leading to tight supply and demand. Table 10: Coal supply-and-demand balance by region Region Actural Non-fossil energy expansion Natural gas expansion Coal dependency North China 862 1,048 1,160 1,239 1,086 1, , Northeast East China Central South Southwest Northwest Balance (Sources) The past results are from Chinese statistics and the forecasts are from this survey Finally, in Chapter 8 the report presented a discussion about issues related to coal supply and demand in China and the impact of those issues on the coal supply in Japan and the world, based on the results of the forecasts in this survey. (1) By 2020 or 2030 the production capacity of China s domestic coal will be above or equal to demand. This will lead to a decline in China s coal imports, an increase in its coal exports, and a decline in supply and demand of coal in the international market. (2) By 2040, under the coal 14

33 dependency scenario, production capacity will be lower than demand but taking into consideration the fact that the scale of the unlicensed coal mines that are not included in the official statistics of China is large, there is a high likelihood that actual production capacity is higher than the official statistical data of China used in the supply and demand forecasts in this survey, so it is unlikely that there will be an immediate impact on the international market. 15

34 16

35 目 次 序 章... 1 第 1 章 中 国 の 石 炭 関 連 政 策 の 動 向 中 国 の 中 長 期 的 エネルギー 発 展 戦 略 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 石 炭 政 策 課 題 並 びに 関 連 計 画 目 標 と 非 化 石 エネルギー 政 策 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 石 炭 政 策 の 課 題 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 目 標 の 達 成 並 びに 修 正 状 況 と 非 化 石 エネルギー 中 国 の 石 炭 をめぐる 新 たな 状 況 と 政 策 課 題 中 国 の 石 炭 をめぐる 新 たな 状 況 国 務 院 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 と 石 炭 関 連 政 策 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 政 策 の 最 近 の 動 向 石 炭 資 源 税 改 革 の 状 況 その 他 石 炭 関 連 政 策 の 最 近 の 動 向 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 における 石 炭 関 連 政 策 と 目 標 の 再 修 正 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 の 数 値 目 標 石 炭 火 力 発 電 基 地 の 建 設 と 対 外 送 電 ルートの 敷 設 第 2 章 中 国 の 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 現 状 と 課 題 中 国 炭 の 価 格 動 向 中 国 石 炭 価 格 指 数 の 推 移 一 般 炭 原 料 炭 コークス 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 価 格 国 産 炭 の 価 格 形 成 メカニズム 輸 入 炭 の 価 格 動 向 大 国 際 港 の 一 般 炭 価 格 動 向 広 州 港 の 石 炭 指 導 価 格 中 国 炭 の 価 格 競 争 力 に 関 する 分 析 輸 入 炭 の 急 増 とその 背 景 価 格 競 争 力 で 劣 る 中 国 炭 石 炭 取 引 の 市 場 化 改 革 の 推 進 状 況 従 来 の 価 格 制 度 と 問 題 点 自 由 契 約 制 度 開 始 による 石 炭 産 業 への 影 響 石 炭 取 引 市 場 化 に 向 けた 取 り 組 み1( 石 炭 取 引 センター) 石 炭 取 引 市 場 化 に 向 けた 取 り 組 み2( 商 品 取 引 所 の 石 炭 先 物 取 引 ) 第 3 章 中 国 の 石 炭 需 要 の 推 移 と 現 状 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 i

36 3.1.1 石 炭 比 率 の 推 移 と 現 状 年 までの 石 炭 需 要 動 向 全 国 の 石 炭 需 要 動 向 地 域 別 の 石 炭 需 要 動 向 石 炭 多 消 費 産 業 (4 大 産 業 )の 需 要 動 向 電 力 産 業 の 石 炭 需 要 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 需 要 建 材 産 業 の 石 炭 需 要 石 炭 化 学 産 業 の 石 炭 需 要 その 他 の 業 種 の 石 炭 消 費 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 中 国 炭 の 供 給 動 向 生 産 量 の 推 移 生 産 量 抑 制 方 針 と 関 連 最 新 動 向 地 域 別 の 石 炭 生 産 状 況 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 資 源 量 地 域 別 の 生 産 量 新 規 炭 鉱 の 開 発 計 画 と 動 向 地 域 別 の 開 発 計 画 と 最 新 動 向 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 と 大 型 企 業 集 団 の 育 成 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 状 況 郷 鎮 炭 鉱 ( 小 規 模 炭 鉱 )の 淘 汰 が 進 まない 理 由 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 状 況 と 中 国 の 石 炭 生 産 に 与 える 影 響 電 力 企 業 の 国 内 炭 開 発 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 開 発 国 有 電 力 5 社 が 保 有 する 石 炭 資 源 の 地 域 分 布 と 生 産 量 予 測 石 炭 の 輸 出 入 動 向 中 国 全 土 の 石 炭 輸 出 入 地 域 別 の 石 炭 輸 出 入 炭 種 別 の 輸 出 入 状 況 石 炭 の 輸 送 状 況 鉄 道 船 舶 輸 送 ( 海 上 輸 送 河 川 輸 送 ) 石 炭 企 業 の 経 営 状 況 及 び 在 庫 状 況 石 炭 企 業 ( 上 場 31 社 )の 経 営 状 況 石 炭 の 在 庫 状 況 第 5 章 中 国 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 動 向 炭 鉱 権 益 獲 得 に 関 する 中 国 政 府 の 支 援 策 と 近 年 の 融 資 買 炭 政 策 の 動 向 ii

37 5.1.1 炭 鉱 権 益 獲 得 に 対 する 中 国 政 府 の 支 援 策 近 年 の 融 資 買 炭 政 策 の 動 向 中 国 企 業 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 現 状 炭 鉱 権 益 獲 得 の 企 業 別 国 別 状 況 中 国 企 業 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 現 状 第 6 章 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 の 予 測 予 測 の 前 提 条 件 の 設 定 石 炭 多 消 費 産 業 の 生 産 能 力 拡 張 計 画 と 技 術 進 歩 電 力 産 業 製 鉄 業 建 材 産 業 石 炭 化 学 産 業 石 炭 多 消 費 産 業 における 発 電 生 産 活 動 の 予 測 電 力 素 材 産 業 ( 鉄 鋼 セメント その 他 建 材 石 炭 化 学 ) 部 門 分 野 別 の 石 炭 需 要 予 測 電 力 鉄 鋼 セメント 及 びその 他 の 建 材 石 炭 化 学 産 業 その 他 の 工 業 分 野 民 生 部 門 中 国 全 体 の 石 炭 需 要 予 測 一 次 エネルギー 需 要 に 占 める 石 炭 の 比 率 と 石 炭 需 要 非 化 石 エネルギーシナリオ 天 然 ガス 拡 大 シナリオ 石 炭 依 存 シナリオ 中 国 全 土 の 石 炭 需 給 バランスと 予 測 石 炭 需 給 バランスの 推 移 と 現 状 石 炭 需 給 バランスの 予 測 < 参 考 資 料 1> 関 連 諸 機 関 による 一 次 エネルギー 需 要 の 予 測 < 参 考 資 料 2> シェールガスを 含 む 非 在 来 型 ガスの 開 発 動 向 第 7 章 中 国 の 地 域 別 石 炭 需 給 の 予 測 中 国 の 統 計 における 問 題 点 全 国 統 計 と 各 地 域 の 統 計 を 巡 って 各 地 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 の 骨 子 省 直 轄 市 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 主 要 石 炭 消 費 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 主 要 石 炭 生 産 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 iii

38 7.3.3 その 他 の 省 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 地 域 別 石 炭 需 要 の 予 測 華 北 地 域 東 北 地 域 華 東 地 域 中 南 地 域 西 南 地 域 西 北 地 域 地 域 別 石 炭 需 給 バランスの 推 移 と 予 測 地 域 別 石 炭 需 給 バランスの 推 移 地 域 別 石 炭 需 給 バランスの 予 測 第 8 章 中 国 の 石 炭 需 給 の 課 題 及 び 日 本 や 世 界 の 石 炭 供 給 への 影 響 分 析 中 国 の 石 炭 需 給 の 課 題 第 1 章 ~ 第 5 章 で 指 摘 された 課 題 第 6 章 及 び 第 7 章 の 需 給 予 測 結 果 と 課 題 日 本 や 世 界 の 石 炭 供 給 への 影 響 分 析 iv

39 図 目 次 第 2 章 中 国 の 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 現 状 と 課 題 図 中 国 石 炭 価 格 指 数 ( 全 国 総 合 指 数 )の 推 移 (2012 年 4 月 ~2014 年 2 月 ) 図 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)の 過 去 3 年 の 推 移 図 産 炭 地 中 継 地 消 費 地 の 石 炭 価 格 の 推 移 図 年 の 原 料 炭 の 中 国 国 内 生 産 者 価 格 の 推 移 図 中 国 の 原 料 炭 平 均 価 格 の 推 移 図 コークス 市 場 価 格 の 推 移 (2012 年 ~2013 年 ) 図 産 炭 地 別 のコークス 価 格 の 推 移 図 内 モンゴル オルドス 産 石 炭 の 長 距 離 トラック 輸 送 費 (2013 年 ) 図 NEWC Index の 推 移 (2012 年 及 び 2013 年 ) 図 RB Index の 推 移 (2012 年 及 び 2013 年 ) 図 DES ARA Index の 推 移 (2012 年 及 び 2013 年 ) 図 中 国 の 石 炭 輸 出 入 量 の 推 移 図 中 国 太 原 一 般 炭 取 引 価 格 指 数 と 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 の 比 較 (2013 年 ) 図 中 国 石 炭 取 引 市 場 が 目 指 す 市 場 構 成 コンセプト 図 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 の 決 済 額 ( 元 /トン) 出 来 高 ( 万 枚 ) 建 玉 ( 万 枚 ) 図 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 の 終 値 と 京 唐 港 の 河 北 産 原 料 炭 の 荷 揚 価 格 図 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 状 況 (2013 年 3~12 月 ) 図 DCE のコークス 先 物 取 引 の 取 引 量 建 玉 決 算 額 図 コークス 先 物 価 格 と 国 内 一 部 地 域 の 現 物 価 格 図 DCE のコークス 先 物 取 引 状 況 (2013 年 1~12 月 ) 図 ZCE 一 般 炭 先 物 と 秦 皇 島 港 一 般 炭 (5,500kcal/kg)の 価 格 推 移 図 ZCE の 一 般 炭 先 物 取 引 状 況 (2013 年 9~12 月 ) 図 錦 盈 モデルの 取 引 フロー 図 第 3 章 中 国 の 石 炭 需 要 の 推 移 と 現 状 図 中 国 の 一 次 エネルギー 消 費 の 推 移 図 世 界 における 中 国 の 石 炭 消 費 量 図 中 国 の 石 炭 消 費 量 と 対 前 年 比 伸 び 率 図 転 換 部 門 の 石 炭 消 費 構 成 図 石 炭 消 費 量 の 炭 種 別 構 成 (2012 年 ) 図 一 般 炭 消 費 量 の 産 業 別 構 成 (2012 年 ) 図 中 国 の 原 料 炭 消 費 量 の 推 移 図 地 域 別 の 石 炭 消 費 と 面 積 当 たりの 石 炭 消 費 図 原 料 炭 の 地 域 別 消 費 量 図 電 源 別 の 発 電 量 の 推 移 図 石 炭 火 力 発 電 量 と 石 炭 消 費 原 単 位 図 地 域 別 の 発 電 用 石 炭 消 費 量 (2012 年 ) v

40 図 世 界 と 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 図 年 及 び 2012 年 の 地 域 別 粗 鋼 生 産 シェア 図 年 産 2,000 万 トン 以 上 の 粗 鋼 生 産 地 域 の 生 産 量 図 世 界 規 模 で 見 た 中 国 のセメント 生 産 量 図 地 域 別 のセメント 生 産 量 の 推 移 図 セメント 生 産 量 と 窯 業 の 石 炭 消 費 原 単 位 図 セメント 生 産 量 と 石 炭 消 費 量 の 推 移 図 中 国 のアンモニア 生 産 量 と 石 炭 消 費 量 の 推 移 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 図 中 国 における 石 炭 生 産 量 と 伸 び 率 の 推 移 図 中 国 の 実 質 GDP の 伸 び 率 と 石 炭 生 産 量 の 推 移 図 所 有 形 態 別 炭 鉱 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 図 所 有 形 態 別 炭 鉱 の 死 亡 者 数 の 推 移 図 華 能 集 団 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 図 国 電 集 団 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 図 中 国 電 力 投 資 集 団 公 司 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 図 中 国 の 石 炭 輸 入 量 の 推 移 図 中 国 の 石 炭 輸 出 量 の 推 移 図 中 国 の 鉄 道 による 石 炭 輸 送 量 と 鉄 道 輸 送 量 全 体 に 占 めるシェア 図 中 国 沿 海 港 湾 の 石 炭 取 扱 量 の 推 移 図 中 国 石 炭 業 界 の 固 定 資 産 投 資 額 の 推 移 図 中 国 の 石 炭 企 業 と 発 電 所 の 石 炭 在 庫 状 況 (2012 年 1 月 ~2013 年 12 月 ) 第 6 章 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 の 予 測 図 年 以 降 の 実 質 GDP と 対 前 年 比 成 長 率 図 年 の 日 中 両 国 の 経 済 構 造 比 較 図 輸 出 入 と 対 中 直 接 投 資 金 額 (FDI) 図 中 国 の 固 定 資 産 投 資 と 電 力 需 要 の 関 係 図 部 門 別 電 力 需 要 の 予 測 図 固 定 資 産 投 資 と 粗 鋼 及 び 板 硝 子 の 生 産 との 関 係 図 固 定 資 産 投 資 とセメント 生 産 との 関 係 図 石 炭 多 消 費 製 品 の 需 要 見 通 し 図 中 国 の 電 源 構 成 の 予 測 ( 非 化 石 エネルギーシナリオ) 図 中 国 の 電 源 構 成 の 予 測 ( 天 然 ガス 拡 大 シナリオ) 図 中 国 の 電 源 構 成 の 予 測 ( 石 炭 依 存 シナリオ) 図 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 の 比 較 図 建 材 産 業 の 石 炭 需 要 予 測 図 民 生 部 門 の 石 炭 需 要 見 通 し 図 非 化 石 エネルギーシナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し vi

41 図 天 然 ガス 拡 大 シナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 図 石 炭 依 存 シナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 図 中 国 の 石 炭 輸 出 入 と 2014 年 の 短 期 予 測 図 2-1 中 国 の 炭 層 ガス 分 布 図 図 2-2 中 国 のシェールガスの 分 布 状 況 第 7 章 中 国 の 地 域 別 石 炭 需 給 の 予 測 図 中 国 の 石 炭 消 費 統 計 における 誤 差 の 例 図 年 までの 石 炭 消 費 削 減 計 画 図 年 までの 石 炭 代 替 ( 複 数 選 択 )の 計 画 図 非 化 石 エネルギーシナリオの 石 炭 需 要 予 測 図 地 域 別 の 石 炭 生 産 能 力 の 推 定 図 地 域 別 の 石 炭 移 出 入 ( 非 化 石 エネルギーシナリオ) vii

42 表 目 次 第 1 章 中 国 の 石 炭 関 連 政 策 の 動 向... 2 表 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 (2011~13 年 の 実 績 と 2014~15 年 目 標 ) 表 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 と 重 度 汚 染 日 数 の 比 較 表 大 気 汚 染 との 関 連 性 が 高 い 疾 病 による 死 亡 率 表 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 における 石 炭 関 連 政 策 内 容 (1) 表 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 における 石 炭 関 連 政 策 内 容 (2) 第 2 章 中 国 の 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 現 状 と 課 題 表 地 域 別 の 一 般 炭 価 格 の 推 移 (2006 年 ~2013 年 ) 表 中 国 の 原 料 炭 の 平 均 価 格 表 中 国 炭 の 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 価 格 一 覧 (1) 表 中 国 炭 の 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 価 格 一 覧 (2) 表 華 北 地 域 におけるコークス 輸 送 費 用 表 広 州 港 の 石 炭 指 導 価 格 (2012 年 及 び 2013 年 ) 表 中 国 の 石 炭 価 格 形 成 史 の 5 段 階 区 分 表 中 国 の 主 な 石 炭 取 引 センター 表 現 物 取 引 のみと 現 物 + 先 物 両 市 場 を 活 用 した 取 引 との 比 較 表 DCE 及 び ZCE での 石 炭 先 物 取 引 開 始 時 期 表 年 の 世 界 の 主 要 取 引 所 の 取 引 高 ランキング 表 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 の 契 約 形 態 表 DCE の 原 料 炭 の 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 ( 黄 海 渤 海 沿 岸 ) 表 DCE が 山 西 省 に 設 置 した 原 料 炭 の 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 表 DCE のコークス 先 物 取 引 の 契 約 形 態 表 DCE のコークスの 指 定 受 渡 倉 庫 ( 黄 海 渤 海 沿 岸 ) 表 DCE が 河 北 省 と 山 東 省 に 設 置 したコークスの 指 定 受 渡 倉 庫 表 ZCE の 一 般 炭 先 物 取 引 契 約 形 態 表 ZCE の 受 渡 し 倉 庫 に 指 定 された 石 炭 大 手 5 社 表 伊 泰 集 団 の 先 物 市 場 での 取 引 操 作 第 3 章 中 国 の 石 炭 需 要 の 推 移 と 現 状 表 中 国 の 一 次 エネルギー 消 費 の 推 移 表 中 国 と 世 界 の 一 次 エネルギー 消 費 構 成 の 比 較 (2012 年 ) 表 石 炭 需 給 バランス 表 最 終 石 炭 消 費 の 推 移 ( 万 トン) 表 年 の 炭 種 別 産 業 別 の 石 炭 消 費 量 表 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 表 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 石 炭 消 費 量 表 分 野 別 の 電 力 消 費 量 viii

43 表 地 域 別 の 火 力 発 電 量 と 構 成 比 表 年 以 降 の 電 源 構 成 の 変 化 表 年 の 省 直 轄 市 自 治 区 の 発 電 用 石 炭 消 費 量 ( 万 トン) 表 世 界 と 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 (2007 年 ~2012 年 ) 表 地 域 別 の 粗 鋼 生 産 量 の 推 移 表 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 とコークスの 消 費 量 表 主 な 建 材 製 品 の 生 産 動 向 (2000 年 ~2012 年 ) 表 地 域 別 のアンモニア 生 産 量 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 表 一 次 エネルギー 生 産 総 量 に 占 めるエネルギー 源 別 シェアの 推 移 表 世 界 の 石 炭 確 認 埋 蔵 量 上 位 8 ヵ 国 表 年 及 び 2010 年 の 生 産 実 績 と 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 目 標 値 表 年 末 時 点 の 地 域 別 石 炭 埋 蔵 量 表 中 国 の 地 域 別 石 炭 生 産 量 の 推 移 表 石 炭 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 炭 鉱 建 設 計 画 表 地 域 別 の 石 炭 生 産 計 画 表 近 年 の 新 規 炭 鉱 開 発 動 向 表 の 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 計 画 表 中 国 の 大 型 石 炭 企 業 集 団 育 成 の 実 績 と 計 画 表 主 要 石 炭 企 業 の 2015 年 の 生 産 計 画 表 年 の 大 型 石 炭 企 業 集 団 の 生 産 量 表 年 及 び 2020 年 の 小 規 模 炭 鉱 数 ( 計 画 値 と 予 測 値 ) 表 年 の 小 規 模 炭 鉱 の 淘 汰 計 画 表 国 有 電 力 5 社 が 保 有 する 石 炭 資 源 の 分 布 状 況 表 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 生 産 量 に 関 する 予 測 表 年 の 地 域 別 石 炭 輸 入 量 ( 褐 炭 を 除 く) 表 中 国 の 一 般 炭 輸 入 量 の 推 移 表 中 国 における 一 般 炭 輸 出 量 の 推 移 表 中 国 の 原 料 炭 輸 入 量 の 推 移 表 中 国 の 原 料 炭 輸 出 量 の 推 移 表 中 国 の 無 煙 炭 輸 入 量 の 推 移 表 中 国 の 無 煙 炭 輸 出 量 の 推 移 表 中 国 の 原 料 炭 輸 入 量 の 推 移 表 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 示 された 鉄 道 整 備 計 画 表 北 煤 南 運 の 主 要 鉄 道 ルートの 輸 送 能 力 (2011 年 現 在 ) 表 中 国 北 方 港 湾 の 石 炭 積 出 能 力 表 中 国 東 南 部 における 港 湾 整 備 計 画 表 中 国 の 石 炭 上 場 31 社 の 売 上 高 の 推 移 表 中 国 の 石 炭 上 場 31 社 の 純 利 益 の 推 移 ix

44 第 5 章 中 国 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 動 向 表 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 の 現 状 ( 企 業 別 国 別 ) 表 大 量 の 石 炭 を 長 期 的 に 外 国 から 確 保 する 可 能 性 のある 中 国 企 業 表 兗 州 煤 業 の 豪 州 における 石 炭 生 産 能 力 及 び 生 産 量 第 6 章 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 の 予 測 表 中 国 経 済 の 短 中 期 予 測 表 中 国 の 経 済 成 長 率 の 長 期 予 測 表 電 源 別 発 電 設 備 容 量 非 化 石 エネルギー 発 電 比 率 などの 目 標 値 表 石 炭 需 要 予 測 の 前 提 条 件 表 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 予 測 表 鉄 鋼 産 業 の 炭 種 別 の 石 炭 消 費 見 通 し 表 セメント 用 石 炭 需 要 予 測 表 アンモニアの 石 炭 需 要 予 測 表 工 業 部 門 の 石 炭 需 要 の 予 測 表 最 終 消 費 部 門 における 石 炭 消 費 の 予 測 表 シナリオ 別 の 転 換 部 門 の 石 炭 需 要 予 測 表 シナリオ 別 の 石 炭 需 要 予 測 と 発 電 用 石 炭 消 費 のシェア 表 つのシナリオに 基 づく 予 測 結 果 の 比 較 表 石 炭 需 給 バランス 表 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 バランスの 予 測 表 1-1 海 外 及 び 国 内 の 専 門 機 関 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 表 1-2 主 要 機 関 による 中 国 の 最 終 エネルギー 需 要 の 見 通 し 表 1-3 中 国 の 専 門 機 関 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 表 2-1 中 国 の 炭 層 ガス 資 源 量 と 深 度 表 2-2 中 国 の 炭 層 ガス 生 産 量 の 推 移 表 2-3 主 要 国 のシェールガスの 技 術 的 推 定 可 採 埋 蔵 量 第 7 章 中 国 の 地 域 別 石 炭 需 給 の 予 測 表 各 地 域 の 経 済 石 炭 消 費 電 力 消 費 表 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 計 画 表 北 京 天 津 河 北 及 び 山 東 省 における 石 炭 消 費 削 減 措 置 表 長 江 珠 江 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 計 画 における 石 炭 関 連 措 置 表 主 要 石 炭 生 産 地 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (1) 表 主 要 石 炭 生 産 地 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (2) 表 その 他 各 省 自 治 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (1) 表 その 他 各 省 自 治 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (2) 表 シナリオ 別 の 地 域 別 石 炭 需 要 予 測 表 年 の 地 域 別 の 石 炭 需 給 バランス 表 地 域 別 の 石 炭 生 産 の 推 移 x

45 表 地 域 別 の 石 炭 移 出 の 推 移 表 地 域 別 の 石 炭 移 入 の 推 移 表 地 域 別 の 石 炭 純 移 出 の 推 移 表 地 域 別 の 石 炭 輸 入 の 推 移 表 地 域 別 の 石 炭 輸 出 の 推 移 表 地 域 別 の 石 炭 需 給 バランス xi

46 本 報 告 書 の 地 域 区 分 について 本 報 告 書 では 第 3 章 第 4 章 第 7 章 で 中 国 の 地 域 別 データを 取 り 扱 っている 地 域 別 データ の 作 成 にあたっては 中 国 統 計 年 鑑 や 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 地 域 区 分 に 従 い 全 国 を 以 下 の 通 り 6 地 域 に 分 類 した < 本 報 告 書 の 6 地 域 区 分 とカバー 範 囲 > 地 域 区 分 華 北 地 域 東 北 地 域 華 東 地 域 対 象 となる 省 直 轄 市 自 治 区 北 京 市 天 津 市 河 北 省 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 遼 寧 省 吉 林 省 黒 龍 江 省 上 海 市 江 蘇 省 浙 江 省 安 徽 省 福 建 省 江 西 省 山 東 省 中 南 地 域 華 中 地 域 ( 河 南 省 湖 北 省 湖 南 省 )と 華 南 地 域 ( 広 東 省 広 西 チワン 族 自 治 区 海 南 省 ) 西 南 地 域 西 北 地 域 重 慶 市 四 川 省 貴 州 省 雲 南 省 チベット 自 治 区 陝 西 省 甘 粛 省 青 海 省 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区

47 また 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 中 国 全 土 を 3 地 域 ( 東 部 中 部 西 部 )に 区 分 している このため 第 4 本 章 で 中 国 政 府 の 石 炭 開 発 計 画 を 検 討 する 際 には 3 地 域 区 分 も 合 わせて 使 用 している < 本 報 告 書 第 4 章 で 使 用 した 3 地 域 区 分 とカバー 範 囲 > 地 域 区 分 対 象 となる 省 直 轄 市 自 治 区 東 部 遼 寧 省 吉 林 省 黒 龍 江 省 北 京 市 天 津 市 河 北 省 山 東 省 江 蘇 省 上 海 市 浙 江 省 福 建 省 広 東 省 中 部 西 部 山 西 省 河 南 省 安 徽 省 湖 北 省 湖 南 省 江 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 重 慶 市 四 川 省 貴 州 省 広 西 チワン 族 自 治 区 雲 南 省 チベット 自 治 区 青 海 省 甘 粛 省 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区

48 序 章 2013 年 の 中 国 の 国 内 総 生 産 (GDP)の 前 年 比 伸 び 率 は 2012 年 に 続 いて 8%を 切 り 2 桁 台 の 高 成 長 を 続 けてきた 中 国 経 済 に 陰 りが 見 え 始 めている また PM2.5 問 題 に 代 表 される 環 境 汚 染 の 深 刻 化 もクローズアップされており 中 国 政 府 は 経 済 成 長 の 舵 を スピード から 質 へ 切 り 持 続 可 能 な 経 済 成 長 を 目 指 す 姿 勢 を 示 している 経 済 成 長 減 速 を 受 けて 中 国 の 石 炭 産 業 ( 製 鉄 など 石 炭 多 消 費 産 業 を 含 む)も 様 々な 課 題 に 直 面 している 内 需 低 迷 により 国 産 炭 価 格 は 2012 年 後 半 より 大 幅 に 下 落 し リーマンショック 後 の 景 気 刺 激 策 の 後 遺 症 とも 言 える 生 産 過 剰 問 題 は 解 決 されていない さらに 国 際 市 場 の 石 炭 価 格 下 落 や 中 国 東 南 沿 海 部 では 国 産 炭 は 価 格 競 争 力 で 輸 入 炭 に 歯 が 立 たない 状 況 にあり 安 価 な 海 外 炭 の 輸 入 量 は 2008 年 以 降 増 え 続 け 不 振 に 喘 ぐ 中 国 石 炭 産 業 に 追 い 打 ちをかけている 石 炭 産 業 に 対 する 投 融 資 も 滞 るようになり 産 炭 地 では 石 炭 関 連 企 業 の 資 金 繰 りに 目 処 がたたず 山 西 省 の 統 計 では 2013 年 に 石 炭 関 連 企 業 の 40% 以 上 が 赤 字 を 計 上 した 振 り 返 れば 中 国 の 石 炭 産 業 では 1990 年 後 半 の 供 給 過 多 状 態 を 克 服 するために 需 給 バランス 調 整 が 行 われ 2001 年 頃 には 需 給 バランスが 一 旦 改 善 された しかし 開 発 投 資 不 足 により 炭 鉱 開 発 が 継 続 的 に 進 まず 2002 年 からの 内 需 拡 大 に 対 応 できなかった このため 2003 年 後 半 から は 深 刻 な 供 給 逼 迫 状 態 を 招 き 石 炭 価 格 が 高 騰 した 以 後 2011 年 まで 続 いた 中 国 石 炭 産 業 の 黄 金 の 10 年 は 終 焉 し 2013 年 は 中 国 の 石 炭 産 業 の 困 窮 や 課 題 を 伝 える 報 道 が 中 国 のみならず 世 界 でも 相 次 いでいる 中 国 を 代 表 する 産 炭 地 の 一 つである 山 西 省 では 李 小 鵬 省 長 が 先 頭 に 立 って 石 炭 産 業 の 救 済 に 奔 走 する 姿 が 伝 えられた 2013 年 7 月 初 旬 李 省 長 は 北 京 で 5 大 電 力 企 業 集 団 と 懇 談 し 同 省 の 発 展 支 援 低 カロリー 炭 による 発 電 分 野 での 協 力 強 化 石 炭 発 電 一 体 化 炭 層 ガス 開 発 分 野 で の 協 力 強 化 を 申 し 入 れた また 同 年 7 月 末 山 西 省 政 府 は 石 炭 企 業 に 対 する 一 部 課 徴 金 ( 鉱 山 の 環 境 回 復 のための 保 証 金 など)の 一 時 停 止 石 炭 発 電 一 体 化 政 策 ( 発 電 企 業 に 地 元 産 石 炭 を 使 用 するよう 求 める 政 策 が 含 まれる)の 実 施 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 による 長 期 協 力 契 約 締 結 など の 内 容 を 含 む 20 ヵ 条 の 石 炭 企 業 救 済 策 を 打 ち 出 した ただし 一 連 の 石 炭 企 業 救 済 策 に 対 して 省 内 の 発 電 企 業 が 抵 抗 する 場 面 もあり 同 省 大 同 市 では 中 央 企 業 傘 下 の 発 電 所 が 地 元 産 石 炭 の 調 達 を 拒 否 して 内 モンゴルや 山 西 省 朔 州 から 安 価 な 石 炭 を 調 達 したため 発 電 所 の 石 炭 運 搬 トラッ クが 3 日 間 拘 束 される 事 件 が 発 生 するなど 混 乱 も 招 いた 本 調 査 ではこうした 背 景 を 念 頭 に 置 いた 上 で 中 国 石 炭 産 業 の 現 状 や 課 題 について 明 らかにし 将 来 の 石 炭 需 要 や 需 給 バランスに 関 する 予 測 を 行 った 第 1 章 では 石 炭 関 連 政 策 の 動 向 第 2 章 では 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 現 状 と 課 題 第 3 章 では 石 炭 需 要 の 推 移 と 現 状 第 4 章 では 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 第 5 章 では 中 国 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 動 向 について 調 査 し その 上 で 第 6 章 で 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 予 測 第 7 章 で 地 域 別 の 石 炭 需 給 予 測 を 行 い 最 終 の 第 8 章 で 中 国 の 石 炭 需 給 の 課 題 及 び 日 本 や 世 界 の 石 炭 供 給 への 影 響 について 分 析 した 1

49 第 1 章 中 国 の 石 炭 関 連 政 策 の 動 向 本 章 では 最 初 に 中 国 のエネルギー 全 体 を 対 象 とする 最 新 の 中 長 期 発 展 戦 略 を 概 観 し( 下 記 1.1 参 照 ) その 上 で 石 炭 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 達 成 状 況 と 目 標 値 修 正 石 炭 関 連 政 策 の 最 新 動 向 と 石 炭 産 業 への 影 響 などにつき 詳 細 な 考 察 を 行 う( 同 じく 1.2~1.5 参 照 ) なお 石 炭 関 連 の 価 格 制 度 改 革 については 独 立 して 第 2 章 で 取 り 扱 うこととする 上 記 の 1.2~1.5 においては 第 1 に 中 国 の 従 来 からの 石 炭 政 策 課 題 を 整 理 した 上 で エネル ギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 におけるエネルギー 消 費 総 量 及 び 石 炭 消 費 抑 制 目 標 と 2010~2013 年 の 実 績 そして 2014 年 1 月 に 打 ち 出 された 年 度 目 標 等 について 対 照 と 検 討 を 進 める(1.2 参 照 ) 第 2 に 中 国 の 石 炭 をめぐる 新 たな 状 況 と 政 策 課 題 につき 検 討 を 行 う(1.3 参 照 ) すなわち 2012 年 後 半 から 2013 年 以 降 の 中 国 の 石 炭 市 場 及 び 石 炭 産 業 をめぐる 状 況 変 化 特 に 深 刻 化 する 大 気 汚 染 問 題 に 対 応 するための 新 たな 政 策 課 題 について 整 理 するとともに 主 に 2013 年 9 月 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 で 示 された 政 策 措 置 それに 関 連 する 生 産 能 力 過 剰 解 消 対 策 石 炭 ガス 化 事 業 の 推 進 など 環 境 対 策 によっても 左 右 される 石 炭 政 策 動 向 について 検 討 する 第 3 に 石 炭 を 巡 るその 他 の 政 策 として 石 炭 資 源 税 や 石 炭 の 輸 出 入 石 炭 生 産 などの 許 認 可 制 度 に 関 する 最 近 の 動 向 について 概 観 する(1.4 参 照 ) 最 後 に 特 に 最 近 における 石 炭 関 連 政 策 を 的 確 に 把 握 するために 2014 年 1 月 のエネルギー 工 作 会 議 で 国 レベルの 政 策 方 針 に 昇 格 した UHV 遠 距 離 送 電 ルート 建 設 を 含 め 2014 年 以 降 の 石 炭 関 連 対 策 エネルギー 環 境 政 策 今 後 派 生 する 可 能 性 のある 問 題 点 などについて 考 察 を 加 える (1.5 参 照 ) 1.1 中 国 の 中 長 期 的 エネルギー 発 展 戦 略 国 務 院 発 展 研 究 センターが 2013 年 12 月 に 出 版 した 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 1 に よると 中 国 はエネルギー 供 給 の 基 本 方 針 として 化 石 エネルギー 利 用 の 低 炭 素 化 と 非 化 石 エネ ルギー 開 発 を 掲 げ エネルギー 供 給 構 造 の 調 整 とエネルギー 構 造 の 最 適 化 を 通 して エネルギ ー 構 造 の 多 元 化 を 実 現 するよう 図 っている その 具 体 的 な 政 策 として 以 下 のいくつかのポイン トが 挙 げられる (1) 天 然 ガスや 特 にシェールガス 炭 層 ガスなどの 非 在 来 型 ガスの 開 発 を 加 速 し 一 次 エネル ギー 需 要 構 造 に 占 める 天 然 ガスの 比 率 を 高 める (2) クリーン コールを 推 進 し 石 炭 利 用 効 率 を 改 善 する (3) 水 力 発 電 風 力 発 電 太 陽 光 発 電 などの 再 生 可 能 エネルギーを 積 極 的 に 開 発 する (4) 安 全 性 と 効 率 の 高 い 原 子 力 発 電 を 開 発 する 1 国 務 院 発 展 研 究 センター シェル 国 際 有 限 公 司 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 中 国 発 展 出 版 社 2013 年 12 月 2

50 (5) 石 炭 消 費 の 比 率 を 低 減 し 石 油 消 費 の 増 加 率 を 制 御 する 上 掲 の 政 策 を 実 施 することで 石 炭 石 油 天 然 ガス 原 子 力 と 再 生 可 能 エネルギーにより エネルギー 供 給 の 多 元 化 を 実 現 する 2020 年 の 数 値 目 標 としては 一 次 エネルギー 需 要 に 占 める 非 化 石 エネルギーの 比 率 を 15% 天 然 ガスの 比 率 を 10%に 高 め 石 炭 の 比 率 を 60%に 下 げることになる また 2030 年 の 数 値 目 標 は 非 化 石 エネルギーの 比 率 が 25% 天 然 ガスが 15%とし 石 炭 を 50% 以 下 とする そのため 具 体 的 には 以 下 のような 対 策 を 進 める (1) 非 化 石 エネルギーの 比 率 を 高 めるため 2020 年 の 水 力 発 電 ( 揚 水 式 は 含 まず)の 発 電 能 力 3.6 億 kw すなわち 中 国 の 経 済 的 に 開 発 可 能 な 水 力 の 66%の 開 発 を 実 現 して 先 進 国 の 水 力 発 電 開 発 の 最 低 レベルに 達 するようにする 2 さらに 2030 年 の 水 力 発 電 ( 揚 水 式 は 含 まず)の 発 電 能 力 を 4.2 億 kw とし 開 発 可 能 な 水 力 の 77%を 開 発 し 基 本 的 に 水 力 発 電 開 発 を 完 了 する (2) 再 生 可 能 エネルギーの 比 率 を 高 めるため 2020 年 の 風 力 発 電 の 系 統 連 系 規 模 を 2 億 kw 太 陽 光 発 電 (PV)を 5,000 万 kw として 約 0.9 億 toe( 石 油 換 算 トン)のエネルギーを 供 給 し 非 化 石 燃 料 が 全 体 の 15%を 占 めるようにする 2030 年 には 風 力 発 電 の 系 統 連 系 規 模 を 4.5 億 kw 太 陽 光 発 電 を 1.5 億 kw にする (3) 太 陽 熱 バイオエネルギー 及 び 地 熱 の 開 発 を 加 速 する 2020 年 までに 太 陽 熱 バイオエネル ギー 地 熱 の 利 用 が 1.05 億 toe に 達 するようにし 2030 年 には 1.75 億 toe とする (4) 安 全 で 効 率 的 かつ 着 実 に 原 子 力 発 電 の 開 発 を 進 める 試 算 によると 2020 年 の 非 化 石 エネル ギー 利 用 目 標 を 実 現 するためには 原 子 力 の 発 電 能 力 を 7,000 万 kw にすることが 必 要 にな る これは 石 油 換 算 で 1.05 億 toe になり 非 化 石 エネルギー 全 体 の 20%を 占 める さらに 2030 年 には 原 子 力 発 電 の 規 模 を 1.5 億 kw とする 天 然 ガスの 需 要 予 測 については 2020 年 の 需 要 は 3,500~4,000 億 m 年 には 6,500~7,000 億 m 3 になり 一 次 エネルギーに 占 める 比 率 は 2020 年 が 8%~10% 2030 年 が 13%~15%になる この 予 測 を 実 現 するためには ガス 供 給 について 次 のような 対 策 を 進 めることになる (1) 国 内 の 天 然 ガスの 開 発 を 加 速 し 2020 年 の 在 来 型 の 天 然 ガス 供 給 を 1,500~1,800 億 m 3 とし 2030 年 には 2,400~2,800 億 m 3 とする 2020 年 のシェールガス 生 産 量 を 600~1,000 億 m 3 と し 炭 層 ガス 生 産 量 を 250~300 億 m 3 とする そして 2030 年 のシェールガス 生 産 量 は 1,500 ~1,800 億 m 3 炭 層 ガス 生 産 量 は 500 億 m 3 とする (2) 海 外 資 源 の 利 用 を 拡 大 し 輸 入 先 の 多 元 化 を 促 進 する 中 央 アジア ロシア ミャンマーと のガスパイプラインの 敷 設 と 東 部 沿 海 地 域 における LNG ターミナルの 建 設 を 加 速 し 2020 年 の 天 然 ガス 輸 入 量 を 1,500~1,700 億 m 年 の 輸 入 量 を 2,000~2,500 億 m 3 とする 2030 年 の 天 然 ガス 輸 入 量 のうち パイプライン 経 由 のガスは 1,000~1,300 億 m 3 LNG の 輸 入 は 2 経 済 的 に 開 発 可 能 な 年 間 発 電 量 ( 想 定 値 )に 対 する 年 間 水 力 発 電 量 ( 実 績 )の 割 合 を 66%に 引 き 上 げること 3

51 0.8~1 億 トンになる 2030 年 には 中 国 の LNG 輸 入 量 は 2013 年 の 日 本 の LNG 輸 入 量 に 匹 敵 することになる (3) 天 然 ガス 供 給 関 連 のインフラ 整 備 を 急 ぐ 現 在 中 国 の 天 然 ガスパイプラインの 総 延 長 はド イツの 2 分 の 1 アメリカの 9 分 の 1 に 過 ぎず また 天 然 ガスの 貯 蔵 能 力 は 年 間 消 費 量 の 2.7%に 止 まり アメリカの 16%と 比 べるとはるかに 低 いのが 現 状 である 2020 年 の 目 標 とし て 全 国 に 天 然 ガス 幹 線 系 統 を 形 成 すること 西 部 の 天 然 ガスパイプラインと 東 部 沿 海 地 域 のパイプラインを 連 系 すること ガスの 貯 蔵 能 力 を 大 幅 に 増 やすことが 掲 げられている さ らに 2030 年 には 全 国 のガスパイプラインネットワークを 実 現 し 在 来 型 ガス シェールガ ス 炭 層 ガス 中 央 アジア ロシア 及 びミャンマーからの 輸 入 ガス そして 沿 海 部 に 輸 入 さ れる LNG との 間 で 融 通 と 緊 急 支 援 システムを 構 築 して 天 然 ガス 貯 蔵 能 力 を 先 進 国 と 同 じ 水 準 にまで 高 める 一 方 石 炭 については 今 後 20 年 エネルギー 消 費 に 占 める 比 率 が 徐 々に 低 下 していくが 依 然 として 主 要 エネルギー 供 給 源 であることに 変 わりはない 石 炭 の 消 費 は 下 流 の 需 要 の 伸 びの 鈍 化 非 化 石 エネルギーと 天 然 ガス 供 給 能 力 の 拡 大 や 省 エネルギーの 強 化 に 伴 って 2020 年 まで 需 要 が 徐 々に 軟 調 になり 石 炭 消 費 の 総 量 が 抑 制 され 2020 年 には 消 費 のピークを 迎 え 43~45 億 トン( 原 炭 )になる そして 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 は 60% 前 後 に 下 がる 2030 年 には 石 炭 需 要 がさらに 減 少 し 一 次 エネルギーに 占 める 比 率 も 50% 以 下 になる 石 炭 消 費 をめぐっては クリーン コールの 利 用 促 進 と 石 炭 市 場 のメカニズムの 改 善 が 重 要 に なり 次 のような 基 本 対 策 が 進 められる (1) 石 炭 のクリーンで 高 度 な 利 用 を 促 進 する 石 炭 ガス 化 コンバインドサイクル 発 電 (Integrated Coal Gasification Combined Cycle power generation, IGCC) 並 びに 蒸 気 温 度 が 700 の 超 々 臨 界 発 電 技 術 の 開 発 と 利 用 を 促 進 し 石 炭 火 力 発 電 の 発 電 効 率 を 改 善 する 工 業 ボイラーと 溶 炉 の 設 計 製 造 及 び 運 行 管 理 の 監 督 を 強 化 して エネルギー 利 用 効 率 の 改 善 と 汚 染 物 質 の 排 出 の 減 少 に 努 める 石 炭 の 選 炭 比 率 を 高 め 選 炭 ボタ 等 の 総 合 利 用 を 対 象 に 税 制 と 価 格 面 で 優 遇 政 策 を 策 定 し 脈 石 3 微 粉 炭 及 び 排 水 の 利 用 を 促 進 する また CO2 回 収 貯 留 (Carbon Dioxide Capture and Storage,CCS) 技 術 に 関 する 研 究 開 発 を 促 進 する (2) 新 型 石 炭 化 学 工 業 特 に 石 炭 液 化 (Coal to Liquids, CTL) 石 炭 由 来 のメタノール 製 造 (Coal to Methanol, CTM) 石 炭 由 来 のオレフィン 製 造 (Coal to Olefins, CTO) 石 炭 ガス 化 (Coal To Gas, CTG)の 開 発 を 適 正 に 進 めるが 生 態 環 境 問 題 を 重 視 して 生 産 規 模 と 生 産 量 を 制 限 す る 2020 年 までは CTL は 年 産 2,000 万 トン/ 年 CTM は 2,000 万 トン CTG は 500 億 m 3 そして その 他 石 炭 化 工 製 品 については 1,000 万 トンを 最 大 限 度 とする (3) 石 炭 輸 送 と 電 力 輸 送 を 並 行 して 進 めつつ 当 面 は 送 電 線 の 建 設 を 加 速 する という 原 則 を 明 確 にして 石 炭 と 電 力 の 輸 送 システムを 最 適 化 する 高 品 位 の 石 炭 を 移 出 し 低 品 質 の 石 炭 については 生 産 地 において 発 電 に 利 用 することで 輸 送 効 率 を 高 め 石 炭 の 総 合 利 用 を 促 進 する 石 炭 の 取 引 方 式 を 健 全 化 し 石 炭 市 場 の 監 督 管 理 を 強 化 し 石 炭 の 取 引 コストを 削 3 鉱 石 中 に 含 まれる 無 価 値 な 鉱 物 を 指 す 4

52 減 する 今 後 20 年 間 電 力 消 費 は 持 続 的 に 増 加 し 最 終 エネルギー 消 費 における 電 力 の 比 率 はますます 上 昇 すると 予 測 される 供 給 サイドを 見 ると 再 生 可 能 エネルギーと 原 子 力 は 主 に 電 力 に 転 換 す る 形 になり 需 要 サイドを 見 ると 電 気 自 動 車 の 導 入 と 拡 大 が 電 力 需 要 を 牽 引 することになる 一 次 エネルギーの 電 力 への 転 換 率 は 2020 年 には 51%と 2030 年 には 55%に 達 する 2020 年 の 目 標 として 発 電 電 力 量 に 占 める 非 化 石 エネルギーの 比 率 を 24%に 高 め 2030 年 には 37%に 高 める また 発 電 電 力 量 に 占 める 天 然 ガスの 比 率 を 2020 年 には 4.4% 2030 年 には 7.5%とする 自 動 車 の 普 及 に 伴 って 中 国 の 石 油 需 要 は 今 後 も 拡 大 すると 予 想 されるが 国 内 の 石 油 供 給 能 力 は 限 定 される 中 国 の 石 油 供 給 の 戦 略 は 国 内 生 産 を 安 定 させ 石 油 代 替 技 術 を 開 発 し 海 外 石 油 資 源 の 獲 得 能 力 を 高 め 石 油 備 蓄 を 強 化 し 石 油 の 供 給 安 全 を 保 障 することにある その 具 体 的 な 政 策 として 次 のいくつかの 点 が 挙 げられる (1) 東 部 油 田 の 生 産 を 安 定 させ 西 部 油 田 の 生 産 を 強 化 し 海 上 油 田 の 開 発 を 加 速 する とい う 基 本 政 策 に 基 づいて 従 来 型 の 石 油 生 産 を 行 う オイルサンド シェールオイルの 探 査 と 開 発 を 加 速 する 向 こう 20 年 間 の 国 内 石 油 年 産 量 2~2.3 億 トンを 維 持 する (2) 2020 年 までは 石 油 消 費 を 5.5 億 トン 以 内 に 抑 制 し 2030 年 の 石 油 消 費 を 6.5 億 トン 以 内 に 抑 える 石 油 の 対 外 依 存 度 は 65% 以 下 に 抑 える 輸 送 構 造 の 最 適 化 や 輸 送 効 率 の 改 善 などを 通 して 石 油 消 費 を 減 少 する 石 油 代 替 技 術 の 開 発 特 に 電 気 自 動 車 の 発 展 を 促 進 する また 天 然 ガスのインフラ 整 備 を 進 めると 同 時 に 天 然 ガス 自 動 車 の 発 展 を 促 進 する バイオ 燃 料 に 関 しては 適 正 に 発 展 を 進 める (3) 石 油 輸 入 の 多 元 化 を 推 進 し 産 油 国 との 間 で 石 油 長 期 供 給 契 約 を 結 ぶ 産 油 国 と 石 油 メージ ャーが 中 国 において 石 油 精 製 や 石 油 製 品 の 販 売 を 展 開 するよう 促 進 する 国 有 企 業 及 び 民 営 企 業 が 海 外 の 上 流 開 発 や 石 油 精 製 などの 分 野 に 投 資 するよう 促 進 する なお 以 上 では エネルギー 発 展 戦 略 を 主 にエネルギー 源 別 に 記 述 してきたが それらの 中 に も 含 まれていたように 各 エネルギー 源 に 関 する 戦 略 を 言 わば 横 断 的 に 貫 く 戦 略 として 環 境 保 全 に 関 する 戦 略 が 打 ち 出 されていることは 言 うまでもない 近 年 中 国 政 府 はエネルギー 需 給 構 造 問 題 に 伴 う 環 境 汚 染 問 題 につき 一 連 の 対 策 を 打 ち 出 して きた エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 (2011~2015 年 )では 中 国 においてはエネルギ ーの 使 用 や 開 発 に 対 する 規 制 が 緩 かったため 環 境 への 負 荷 が 高 まり 水 資 源 の 大 量 使 用 や 汚 染 が 問 題 となり 石 炭 ボタが 広 大 な 土 地 に 積 み 上 がり 基 準 値 を 超 える 酸 性 雨 が 120 万 km 2 ( 国 土 面 積 の 12.5% 以 上 )に 降 り 注 いだとして 問 題 の 深 刻 さが 指 摘 されている その 上 で エネルギ ーの 生 産 使 用 状 況 の 改 善 エネルギー 需 給 構 造 の 調 整 安 全 で 安 定 したクリーン エネルギー 産 業 の 構 築 などの 対 策 を 講 じることが 必 要 であり それが 持 続 的 な 経 済 成 長 にとってもプラスに なるとしている 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 が 提 示 した 2015 年 の 目 標 値 の 中 には 比 較 的 短 期 の 目 標 ではあるが 1エ 5

53 ネルギー 消 費 量 を 40 億 tce(28 億 toe)に 抑 制 すること 2エネルギー 消 費 量 を 国 内 総 生 産 (GDP) 単 位 当 たりで 2010 年 比 16% 削 減 すること 3 一 次 エネルギー 消 費 量 に 占 める 非 化 石 燃 料 の 比 率 を 11.4% 以 上 に 引 き 上 げることともに 4 石 炭 消 費 比 率 を 65% 前 後 に 下 げ GDP 単 位 当 たりの 二 酸 化 炭 素 排 出 量 を 2010 年 比 17% 削 減 すること 5 石 炭 火 力 発 電 の kwh 当 たりの SO 2 排 出 量 を 2010 年 の 2.9g から 1.5g へ 引 き 下 げること 6 同 じく NO X 排 出 量 を 2010 年 の 3.4g から 1.5g へ 引 き 下 げること さらに 7PM2.5 の 排 出 量 を 30% 削 減 することが 謳 われている 4 また 国 務 院 発 展 研 究 センターの 報 告 書 は エネルギー 消 費 構 造 の 調 整 が 十 分 に 行 われない 場 合 には 中 国 の CO 2 排 出 量 は 2030 年 に 160 億 トン/ 年 に 達 し 世 界 の CO 2 排 出 量 全 体 の 25%を 占 め 中 国 の 大 気 環 境 や 生 態 環 境 はさらに 悪 化 すると 警 鐘 を 鳴 らしている 最 後 に 第 18 次 中 国 共 産 党 大 会 の 公 報 は エネルギーの 生 産 消 費 における 革 命 を 促 進 し エネルギー 消 費 を 抑 制 し 省 エネルギーを 強 化 することを 明 記 しているが 中 国 気 候 戦 略 センタ ーの 李 俊 鋒 主 任 がこの 革 命 の 対 象 は 石 炭 であると 解 説 している 5 ように 環 境 保 全 の 戦 略 にお いても 革 命 の 対 象 が 石 炭 であることは 明 らかであろう 4 発 展 改 革 委 員 会 エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 2013 年 11 月 5 6

54 1.2 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 石 炭 政 策 課 題 並 びに 関 連 計 画 目 標 と 非 化 石 エネルギー 政 策 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 石 炭 政 策 の 課 題 石 炭 を 対 象 とし もしくは 石 炭 にも 波 及 する 中 国 の 政 策 的 課 題 については 2012 年 までに 提 示 されていた 従 来 からの 政 策 課 題 と 2012 年 後 半 から 2013 年 以 降 の 状 況 変 化 に 応 じて 浮 上 した 新 しい 政 策 課 題 に 分 けることが 出 来 る 石 炭 をめぐる 従 来 の 政 策 課 題 は 主 に 2007 年 版 の 石 炭 産 業 政 策 2011 年 から 始 まる 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 綱 要 や 各 種 関 連 政 策 に 盛 り 込 まれているが 特 に 2012 年 3 月 に 公 布 された 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 や 同 計 画 の 2012 年 度 実 施 方 案 などには 石 炭 に 対 象 を 絞 った 諸 課 題 が 掲 げられている 以 下 これらの 政 策 文 書 をもとに 本 章 と 関 連 の 大 きいポイントを 中 心 に 石 炭 関 連 政 策 の 課 題 を 整 理 すると 概 ね 次 のようになる 6 (1) エネルギー 構 造 の 調 整 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 以 前 からの 政 策 課 題 であり 一 次 エネルギー 構 造 に 占 める 石 炭 の 比 率 の 引 き 下 げと 天 然 ガス 非 化 石 エネルギー 等 のクリーン エネルギーの 比 率 引 き 上 げを 主 眼 とす る エネルギー 構 造 の 調 整 は 環 境 対 策 の 一 環 でもある エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 計 画 期 間 の 主 要 目 標 として エネルギー 構 造 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 2010 年 の 68%から 2015 年 に は 65%に 引 き 下 げること 非 化 石 エネルギーの 比 率 を 8.6%から 11.4%に 引 き 上 げること 単 位 GDP 当 たりのエネルギー 消 費 を 標 準 炭 換 算 で 0.81tce/1 万 元 から 0.68tce/1 万 元 に 引 き 下 げること を 掲 げている また 生 産 配 置 構 造 の 面 では 東 部 の 生 産 は 抑 制 し 中 部 は 安 定 させ 西 部 は 拡 大 するという 石 炭 開 発 方 針 を 採 る (2) 石 炭 産 業 構 造 の 高 度 化 小 規 模 炭 鉱 の 淘 汰 石 炭 企 業 の 合 併 再 編 鉱 業 権 の 統 合 大 型 石 炭 企 業 の 育 成 14 ヵ 所 の 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 等 を 推 進 して 石 炭 産 業 の 集 中 度 を 向 上 させる 鉱 区 の 総 合 管 理 や 乱 雑 な 石 炭 開 発 秩 序 を 是 正 し 石 炭 開 発 の 効 率 を 高 めるとともに 生 産 の 安 全 性 強 化 対 策 の 一 環 でもある 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 全 国 石 炭 企 業 数 を 4,000 社 以 内 に 抑 え 平 均 規 模 を 年 産 100 万 トン 以 上 に 引 き 上 げることを 数 値 目 標 としている (3) 石 炭 産 業 の 技 術 向 上 及 び 安 全 性 の 強 化 近 代 的 な 炭 鉱 の 建 設 選 炭 率 機 械 化 採 炭 率 の 向 上 炭 鉱 メタンガスの 回 収 と 利 用 の 推 進 事 故 防 止 措 置 の 強 化 健 康 被 害 など 作 業 従 事 者 のリスクの 防 止 など 種 々の 対 策 を 推 進 する また そのための 技 術 イノベーションを 進 め 技 術 と 設 備 の 水 準 を 高 める (4) 資 源 の 総 合 利 用 と 炭 層 ガス 産 業 の 発 展 炭 鉱 メタンガスの 回 収 と 利 用 を 促 進 し 炭 層 ガスの 産 業 化 を 進 める 分 泌 水 盆 地 及 びオルドス 6 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 綱 要 及 びエネルギー 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 石 炭 関 連 政 策 や 石 炭 産 業 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 詳 細 については JOGMEC 平 成 24 年 度 海 外 炭 開 発 支 援 事 業 海 外 炭 開 発 高 度 化 等 調 査 中 国 におけるコー ルフローと 石 炭 輸 送 インフラの 整 備 状 況 調 査 第 1 章 他 各 章 参 照 7

55 盆 地 における 炭 層 ガス 産 業 基 地 の 建 設 やパイプライン 網 の 建 設 を 推 進 する また ボタや 炭 泥 の 総 合 利 用 を 進 める (5) 石 炭 輸 送 流 通 システムの 改 善 と 輸 送 力 の 強 化 石 炭 物 流 の 現 代 化 を 進 め 流 通 秩 序 を 整 頓 し 石 炭 流 通 に 課 せられる 違 法 な 課 徴 金 を 撤 廃 する 物 流 インフラや 石 炭 物 流 パークの 建 設 を 進 め 石 炭 物 流 の 大 規 模 化 集 約 化 を 推 進 する また 石 炭 緊 急 備 蓄 システムを 整 備 する 山 西 陝 西 内 モンゴル 寧 夏 の 石 炭 生 産 地 区 からの 鉄 道 に よる 石 炭 対 外 輸 送 能 力 を 拡 大 し 自 動 車 道 路 による 長 距 離 石 炭 輸 送 を 減 らすことが 求 められた (6) 国 際 協 力 と 海 外 進 出 の 展 開 国 際 協 力 を 強 化 し 海 外 での 石 炭 資 源 の 探 査 と 開 発 を 強 化 する 石 炭 貿 易 を 広 げ 市 場 化 を 原 則 に 石 炭 資 源 国 との 長 期 的 安 定 的 貿 易 関 係 を 構 築 し 沿 海 部 の 石 炭 輸 入 や 輸 入 ルートの 開 拓 を 奨 励 する その 他 に 石 炭 取 引 の 市 場 化 と 発 電 用 石 炭 価 格 の 改 革 も 重 要 な 政 策 課 題 になるが それについ ては 第 2 章 で 詳 述 する 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 目 標 の 達 成 並 びに 修 正 状 況 と 非 化 石 エネルギー (1)エネルギーと 石 炭 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 目 標 の 達 成 並 びに 修 正 状 況 エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 計 画 期 末 の 2015 年 のエネルギー 消 費 総 量 を 28 億 toe ( 石 油 換 算 トン)に 抑 制 するとともに エネルギー 構 造 の 調 整 を 推 進 し エネルギー 消 費 総 量 の 中 で 最 も 大 きい 部 分 を 占 める 石 炭 の 比 率 を 65% 以 下 に 引 き 下 げるという 目 標 を 打 ち 出 していた 7 まず エネルギー 消 費 総 量 については 2015 年 の 消 費 量 を 28 億 toe に 抑 制 するとの 目 標 を 達 成 するには 2010 年 末 の 約 22.8 億 toe を 基 準 にすると 5 年 間 の 増 加 率 を 23% 以 下 年 平 均 増 加 率 を 4.3% 以 下 に 止 めなければならない 表 に 見 るように 2011 年 のエネルギー 消 費 総 量 は 対 前 年 比 7.1%という 比 較 的 大 きい 増 加 を 示 したが 2012 年 の 伸 び 率 は 3.9% 2013 年 は 3.7%(2014 年 2 月 24 日 に 国 家 統 計 局 が 発 表 した 速 報 値 )といずれも 3% 台 に 抑 え 込 み 2013 年 のエネルギー 消 費 総 量 は 約 26.3 億 toe になった 一 方 2014 年 1 月 の エネルギー 工 作 指 導 意 見 8 は 2014 年 のエネルギー 消 費 総 量 を 27.2 億 toe に 抑 制 することを 打 ち 出 したが この 目 標 を 達 成 するためには 2014 年 のエネルギー 消 費 の 伸 び 率 を 2012 年 と 2013 年 の 伸 び 率 よりもさらに 低 い 3.4% 以 下 に 抑 えなければならない そして 2014 年 のエネルギー 消 費 総 量 を 27.2 億 toe に 抑 制 すると 仮 定 した 場 合 2015 年 のエネルギー 消 費 を 28 億 toe に 抑 制 するという 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 所 期 の 目 標 を 達 成 するには 同 年 のエネルギ ー 消 費 の 伸 び 率 を 2014 年 の 伸 び 率 よりも 0.3 ポイント 低 い 3.1% 以 下 に 抑 え 込 むことが 必 要 である 7 中 国 中 央 政 府 ウェブサイト 2013 年 1 月 1 日 8 国 家 能 源 局 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 2014 年 1 月 20 日 8

56 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 については 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 期 末 の 2010 年 の 68%から 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 1 年 目 の 2011 年 には 68.4%に 上 昇 したが 2012 年 には 石 炭 消 費 の 伸 び 率 がエ ネルギー 消 費 総 量 の 伸 び 率 を 大 きく 下 回 ったため 石 炭 消 費 の 比 率 は 66.6%にまで 低 下 した そ して 2013 年 のエネルギー 消 費 における 石 炭 の 比 率 は 2014 年 2 月 発 表 の 統 計 速 報 によると 2012 年 と 同 じく 66.6%で 横 ばいであった 2014 年 1 月 には 前 掲 のエネルギー 工 作 指 導 意 見 が 2014 年 の 石 炭 消 費 の 比 率 を 65%に 引 き 下 げ るとして 2015 年 の 引 き 下 げ 目 標 を 1 年 前 倒 しで 達 成 することを 打 ち 出 した(この 目 標 をめぐる 曲 折 については 節 及 び 節 で 後 述 ) この 引 き 下 げ 目 標 を 達 成 するには 2014 年 の 石 炭 消 費 の 伸 び 率 を 0.9%に 抑 える 必 要 がある 一 方 エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 が 提 示 した 2015 年 の 目 標 すなわちエネルギー 消 費 総 量 を 28 億 toe に 抑 え 石 炭 消 費 の 比 率 を 65%に 引 き 下 げるという 目 標 を 達 成 するには 2015 年 の 石 炭 消 費 の 伸 び 率 を 2013 年 比 で 4.1%に 抑 える 必 要 がある 2014 年 に 石 炭 消 費 比 率 65%への 引 き 下 げ 目 標 を 達 成 したと 仮 定 し 2015 年 も 石 炭 消 費 の 比 率 65%を 維 持 する 場 合 2015 年 の 石 炭 消 費 量 の 前 年 比 伸 び 率 は 3.1%になる 石 炭 消 費 比 率 65%の 引 き 下 げ 目 標 を 2014 年 ではなく 2015 年 に 達 成 する 場 合 2014 年 と 2015 年 の 石 炭 消 費 の 伸 び 率 をそれぞれ 2% 程 度 に 抑 えれば 達 成 でき また そのことは 2014 年 も 冷 え 込 みが 予 想 される 石 炭 市 況 の 点 からも 十 分 可 能 であろうと 考 えられる しかし 2014 年 中 に 石 炭 消 費 の 比 率 を65%に 引 き 下 げるためには 同 年 の 石 炭 消 費 の 伸 び 率 を 0.9%に 引 き 下 げることが 必 要 になるが これには 相 当 の 無 理 があると 考 えられる 後 述 するように 2014 年 1 月 の 全 国 エネルギー 工 作 会 議 が 石 炭 消 費 比 率 65% 抑 制 目 標 を 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 より 1 年 前 倒 しで 達 成 することを 打 ち 出 したのは 策 定 段 階 の 2014 年 1 月 において 2013 年 の 石 炭 消 費 比 率 引 き 下 げ 実 績 を 過 大 評 価 していた 側 面 もあるが それ 以 上 に 環 境 汚 染 対 策 とエネルギー 構 造 調 整 を 一 層 強 化 する 姿 勢 を 示 さなければならないという 政 治 的 な 背 景 が 作 用 したと 考 えられる しかし 実 際 には 2013 年 末 段 階 の 石 炭 消 費 の 比 率 は 依 然 66.6%に 止 まり ま た 2014 年 の 石 炭 消 費 の 伸 び 率 についても 2% 強 になるとの 予 測 が 一 般 である まして 需 要 不 振 と 価 格 下 落 に 苦 しむ 石 炭 業 界 の 救 済 も 考 慮 に 入 れると 2014 年 の 石 炭 消 費 の 伸 び 率 を 0.9%に 抑 えるため 強 力 な 措 置 を 取 ることは 困 難 であろう 9

57 表 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 (2011~13 年 の 実 績 と 2014~15 年 目 標 ) ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 など 各 種 資 料 をもとに 作 成 赤 字 の 数 値 は 所 定 の 目 標 値 (2) 石 炭 に 代 替 する 非 化 石 エネルギーの 目 標 並 びに 関 連 政 策 前 節 で 述 べたように エネルギー 及 び 石 炭 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 石 炭 消 費 の 伸 びを 抑 制 し エネルギーの 中 で 石 炭 消 費 の 比 率 を 徐 々に 引 き 下 げるとの 目 標 を 掲 げているが 今 後 も 増 大 するエネルギー 需 要 特 に 電 力 需 要 を 賄 うためには クリーンな 代 替 エネルギーの 供 給 を 拡 大 す ることが 必 要 になる 中 国 が 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 など 各 種 政 策 において 石 炭 に 代 わるエネルギー として 力 を 入 れるのは 主 に 天 然 ガス 並 びに 非 在 来 型 ガスと 非 化 石 エネルギーになる 非 化 石 エネルギーには 水 力 発 電 原 子 力 発 電 そして 再 生 可 能 エネルギーが 包 摂 される 天 然 ガス 並 び に 非 在 来 型 ガス 関 連 の 政 策 や 需 給 動 向 については 第 章 等 において 触 れることにして 本 節 では 中 国 の 非 化 石 エネルギー 特 に 原 子 力 発 電 の 計 画 目 標 や 政 策 について 検 討 する 1 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 における 非 化 石 エネルギー 発 展 目 標 と 課 題 エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 非 化 石 エネルギー 消 費 の 比 率 を 2010 年 の 8.6%から 2015 年 には 2.8 ポイント 高 い 11.4%とする 拘 束 的 目 標 を 打 ち 出 してい る 生 産 供 給 能 力 の 面 から 見 ると 2010 年 の 2.0 億 toe から 2015 年 には 3.3 億 toe に 増 やし 年 平 均 伸 び 率 は 10.9%になる 一 方 同 時 期 の 一 次 エネルギー 生 産 能 力 の 年 平 均 伸 び 率 は 4.3% 石 炭 生 産 能 力 の 伸 び 率 は 4.8% 天 然 ガス 生 産 能 力 は 10.5%であり 各 種 エネルギーの 生 産 能 力 の 中 で 非 化 石 エネルギーの 増 加 幅 が 最 も 大 きいものになると 予 想 されている また エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 が 掲 げる 各 種 電 力 設 備 容 量 の 予 想 伸 び 率 を 見 ると 2011~2015 年 の 電 力 設 備 全 体 の 年 平 均 伸 び 率 9.0% 石 炭 火 力 発 電 の 伸 び 率 7.8%に 対 し 原 子 力 発 電 は 29.9% 風 力 発 電 は 26.4% 太 陽 エネルギー 発 電 は 89.5%といずれも 高 い 伸 び 率 になるが 基 準 になる 2010 年 の 実 績 値 が 小 さいので 2015 年 になっても これら 非 化 石 エネルギーによっ て 電 力 設 備 容 量 に 占 める 石 炭 火 力 発 電 の 比 率 を 大 きく 引 き 下 げるには 到 らない また 水 力 発 電 の 年 平 均 伸 び 率 は 5.7%に 止 まり 石 炭 火 力 発 電 の 伸 び 率 をも 下 回 る 因 みに 天 然 ガス 発 電 の 年 平 均 伸 び 率 も 16.2%と 高 いものではなく 電 力 設 備 容 量 全 体 の 伸 び 率 を 上 回 るものの 各 種 非 化 石 エネルギーの 伸 び 率 を 大 きく 下 回 る 10

58 非 化 石 エネルギーの 中 で 水 力 発 電 は 最 早 開 発 の 余 地 が 小 さくなっており 風 力 や 太 陽 エネルギ ー 等 の 再 生 可 能 エネルギーは 近 年 強 力 に 開 発 が 進 められてはいるが 資 源 分 布 のアンバランス( 資 源 地 は 西 部 エネルギー 消 費 地 は 東 南 部 に 偏 り) 遠 距 離 送 電 も 含 む 技 術 やコスト 電 源 の 不 安 定 系 統 連 系 などの 面 でなお 課 題 は 大 きく 再 生 可 能 エネルギーによって 石 炭 からの 大 規 模 な 代 替 を 進 めることは 短 期 的 はもとより 中 期 的 にも 依 然 難 しいものがある そのため 中 長 期 的 ( 第 13 次 5 ヵ 年 計 画 期 以 降 及 び 2020 年 以 降 )に 石 炭 からの 大 規 模 な 代 替 の 可 能 性 が 最 も 高 い 非 化 石 エネルギーは 原 子 力 発 電 にならざるを 得 ない 2 原 子 力 発 電 をめぐる 政 策 動 向 中 国 は 石 炭 に 代 わるクリーンな 非 化 石 エネルギーとして 原 子 力 発 電 の 開 発 に 力 を 入 れている が 2013 年 末 時 点 の 設 備 容 量 は 1,483 万 kw 全 国 総 発 電 設 備 容 量 の 約 1.19%に 止 まる 2014 年 には 864 万 kw の 新 規 原 子 力 発 電 設 備 が 稼 動 する 見 通 しであるが それでも 全 設 備 容 量 の 2%に もならず 石 炭 火 力 発 電 の 比 率 を 大 幅 に 引 き 下 げるには 程 遠 い 中 国 は 2007 年 10 月 に 原 子 力 発 電 中 長 期 発 展 計 画 を 公 布 し 2020 年 の 目 標 として 運 転 中 の 原 子 力 発 電 設 備 容 量 を 4,000 万 kw とし 建 設 中 (2020 年 以 降 建 設 継 続 )の 容 量 を 1,800 万 kw とすること 全 電 力 設 備 に 占 める 原 子 力 発 電 の 比 率 を 4%に 引 き 上 げること 原 子 力 発 電 の 年 間 発 電 量 を 2,600~2,800 億 kwh とすることを 打 ち 出 した その 後 中 国 は 2011 年 2 月 時 点 で 2020 年 の 設 備 目 標 を 2007 年 の 計 画 の 2 倍 以 上 に 当 たる 8,600 万 kw に 上 方 修 正 することを 検 討 していた 9 が 3 月 の 福 島 原 発 事 故 により 目 標 の 上 方 修 正 は 見 送 られた 2011 年 3 月 の 福 島 原 発 事 故 を 受 けて 国 務 院 は 原 子 力 発 電 施 設 の 安 全 性 について 全 面 検 査 を 行 うとともに 原 子 力 発 電 中 長 期 計 画 を 見 直 し 原 子 力 安 全 計 画 を 承 認 するまでは 原 子 力 発 電 事 業 の 許 認 可 を 当 面 停 止 することを 決 定 した 結 局 福 島 原 発 事 故 後 の 2012 年 10 月 に 策 定 された 原 子 力 発 電 中 長 期 発 展 計 画 (2011~2020 年 ) は 2020 年 時 点 の 稼 動 中 の 原 子 力 発 電 設 備 容 量 を 5,800 万 kw とし 建 設 中 を 3,000 万 kw とする 目 標 を 掲 げた 一 方 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 の 目 標 については 原 子 力 発 電 中 長 期 発 展 計 画 (2011 ~2020 年 ) と 同 時 期 に 議 決 されたエネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 (2013 年 1 月 正 式 公 布 ) は 計 画 期 末 の 2015 年 の 設 備 容 量 を 4,000 万 kw とし 建 設 中 の 規 模 を 1,800 万 kw とする 目 標 を 掲 げた なお 前 出 の 原 子 力 発 電 中 長 期 発 展 計 画 (2011~2020 年 )は 2015 年 時 点 の 運 転 中 の 設 備 目 標 についてはエネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 と 同 じであるが 同 時 点 の 建 設 中 の 設 備 規 模 の 目 標 については 2,000 万 kw としている 国 務 院 は 原 子 力 発 電 安 全 計 画 と 合 わせて 2012 年 10 月 に 原 子 力 発 電 中 長 期 発 展 計 画 (2011 ~2020 年 ) も 議 決 した この 2 つの 計 画 によって 中 国 は 原 子 力 発 電 事 業 の 正 常 な 建 設 を 再 開

59 し 着 実 かつ 整 然 と 事 業 を 推 進 するとしたが 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 は 十 分 な 実 証 を 経 た 沿 海 部 の 少 数 の 原 子 力 発 電 事 業 に 限 り 事 業 を 推 進 し 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 事 業 の 推 進 は 見 送 る とし て 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 事 業 の 再 開 は 見 送 った 然 るに 2014 年 に 入 ると 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 所 事 業 も 含 む 原 子 力 発 電 の 本 格 的 再 開 に 向 けた 動 きが 大 きくなり 1 月 のエネルギー 指 導 意 見 は 2014 年 中 の 原 子 力 発 電 対 策 として 沿 海 地 区 における 原 子 力 発 電 所 建 設 を 穏 当 に 推 進 しつつ 内 陸 地 区 の 原 子 力 発 電 所 建 設 用 地 の 保 護 を 適 正 に 進 めるとし その 後 3 月 の 全 人 代 及 び 政 治 協 商 会 議 では 湖 南 省 など 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 事 業 を 推 進 する 地 方 の 代 表 委 員 が 事 業 建 設 の 再 開 を 主 張 するとともに 国 家 能 源 局 ( 国 家 エネル ギー 局 )の 副 局 長 が 第 13 次 5 ヵ 年 計 画 期 における 内 陸 原 子 力 発 電 所 建 設 事 業 の 再 開 を 表 明 するな ど 原 子 力 発 電 の 本 格 的 再 開 のシグナルが 示 された 10 福 島 原 発 事 故 後 に 中 国 が 一 定 の 慎 重 な 態 度 を 持 していた 国 内 原 子 力 発 電 事 業 について 2014 年 以 降 再 び 前 向 きの 姿 勢 を 示 すようになり 特 に 第 13 次 5 ヵ 年 計 画 期 における 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 事 業 の 再 開 を 表 明 した 主 な 背 景 には 2013 年 初 頭 及 び 2013 年 末 ~2014 年 初 頭 の 冬 季 において 中 国 の 都 市 部 の 深 刻 な 大 気 汚 染 がクローズアップされたことがある 中 国 はもともと 原 子 力 発 電 を クリーン エネルギー として 位 置 付 け 大 気 汚 染 問 題 解 決 の 決 め 手 としていた しかしながら 福 島 原 発 事 故 以 来 住 民 の 間 に 原 子 力 発 電 のリスクに 対 する 懸 念 が 高 まってお り 政 府 もそのことを 重 視 せざるを 得 なくなっている 中 国 政 府 は 福 島 原 発 事 故 以 降 の 慎 重 な 態 度 を 徐 々に 改 め 2014 年 に 入 ってから 内 陸 部 も 含 む 原 子 力 発 電 開 発 の 本 格 的 再 開 に 踏 み 切 りつつ あるが 切 迫 した 大 気 汚 染 問 題 解 決 の 要 請 と 住 民 の 原 子 力 発 電 の 危 険 性 に 対 する 懸 念 の 間 で 中 国 のジレンマは 今 後 も 続 くと 予 想 される 原 子 力 発 電 開 発 がエネルギー 当 局 の 計 画 通 りに 進 展 する か その 行 方 には 依 然 不 透 明 なものがある 10 中 国 能 源 網 2014 年 3 月 17 日 12

60 1.3 中 国 の 石 炭 をめぐる 新 たな 状 況 と 政 策 課 題 中 国 の 石 炭 をめぐる 新 たな 状 況 中 国 の 石 炭 産 業 は 2002 年 から 2011 年 にかけ 中 国 経 済 の 急 成 長 とエネルギー 需 要 の 拡 大 を 追 い 風 に 黄 金 の 十 年 と 呼 ばれる 高 成 長 の 時 代 が 続 いた しかし その 10 年 間 において 石 炭 産 業 及 び 中 国 のエネルギーには 種 々の 構 造 的 問 題 が 積 み 重 なって 潜 在 し 部 分 的 に 表 面 化 してい たが 産 業 の 急 成 長 と 石 炭 景 気 の 陰 に 埋 没 される 傾 向 にあった 前 述 のように 黄 金 の 十 年 末 期 に 策 定 された 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 と 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 にはこうした 問 題 と 政 策 課 題 そして 課 題 達 成 に 向 けた 計 画 目 標 方 策 が 示 された そして 2012 年 後 半 には 中 国 の 石 炭 産 業 はターニングポイントを 迎 えた 黄 金 の 十 年 から 一 転 して 石 炭 市 況 は 冷 え 込 み 石 炭 企 業 の 多 くは 赤 字 に 陥 った 過 去 10 年 間 における 中 国 の 石 炭 消 費 量 の 年 平 均 伸 び 率 は 約 9%に 上 っていたが 中 国 煤 炭 工 業 協 会 ( 中 国 石 炭 工 業 協 会 )の 速 報 値 によると 2013 年 の 石 炭 消 費 量 は 36.1 億 トン 対 前 年 比 の 伸 び 率 は 2.6%に 止 まった 一 方 需 要 の 減 少 に 伴 って 石 炭 価 格 は 下 落 し 例 えば 環 渤 海 一 般 炭 (5500kcal/kg)の 市 場 平 均 価 格 は 2012 年 初 の 807 元 /トンから 年 末 には 634 元 /トンに 下 がり 下 落 幅 は 21.4%に 達 した 2013 年 も 石 炭 価 格 の 下 落 は 続 き 2014 年 2 月 段 階 では 概 ね 550 元 前 後 で 低 迷 している 加 えて 2013 年 に 入 ると 深 刻 なまでに 進 んでいた PM2.5 汚 染 問 題 が 浮 上 し 大 気 汚 染 対 策 の 一 環 として 石 炭 消 費 の 抑 制 が 強 調 され 石 炭 産 業 に 対 する 環 境 面 からの 圧 力 が 強 まった こうし たところから 中 国 の 石 炭 産 業 政 策 は 前 述 した 従 来 の 政 策 課 題 に 加 え 新 たな 課 題 をも 突 きつ けられて 石 炭 消 費 の 抑 制 を 急 ぐことを 余 儀 なくされるとともに 石 炭 産 業 の 救 済 も 大 きな 課 題 になり そのため 石 炭 政 策 はある 種 のジレンマに 直 面 することになった 反 面 2012~2013 年 以 降 に 発 生 した 諸 状 況 例 えば 国 内 石 炭 価 格 の 大 幅 な 下 落 は 従 来 の 懸 案 の 解 決 や 新 たな 改 革 の 実 現 に 向 けて 環 境 を 整 える 契 機 にもなった 2012 年 後 半 以 降 特 に 2013 年 以 降 の 中 国 の 石 炭 をめぐる 状 況 の 変 化 とそれに 伴 う 新 たな 政 策 課 題 をまとめると 次 のようになる (1) 環 境 汚 染 の 深 刻 化 2013 年 に 入 り PM2.5 汚 染 など 大 気 汚 染 問 題 が 大 きく 浮 上 した 大 気 汚 染 の 原 因 は 主 に 石 炭 の 燃 焼 と 低 規 格 低 品 質 の 石 油 製 品 にあるとされており 特 に 北 京 天 津 河 北 地 区 を 始 め 長 江 デルタ 珠 江 デルタなど 都 市 群 のエネルギー 構 造 の 調 整 石 炭 消 費 の 削 減 やクリーン エネルギ ーの 拡 大 が 喫 緊 の 課 題 になった なお 既 によく 知 られている 通 り 中 国 ではこれまでの 石 炭 消 費 の 拡 大 に 伴 う 環 境 汚 染 がすで に 深 刻 化 していたが 汚 染 が 問 題 になっているのは 大 気 のみならず 水 や 土 地 にも 及 んでいる 以 下 では 参 考 までに 汚 染 及 びそれらの 影 響 に 関 するいくつかの 指 標 を 挙 げる まず 2012 年 の 二 酸 化 炭 素 (CO 2 )の 排 出 量 は 92.1 億 トン 二 酸 化 硫 黄 (SO 2 )の 排 出 量 は 2,

61 万 トン 窒 素 酸 化 物 (NO X )と 粉 塵 (PM)の 排 出 量 はそれぞれ 2,337.8 万 トンと 1,235.8 万 トンで あった 中 国 の 環 境 統 計 によると 都 市 部 の 大 気 汚 染 物 質 ( 二 酸 化 硫 黄 窒 素 酸 化 物 粉 塵 など) の 排 出 量 は 年 々 低 下 しているが その 一 方 で 重 度 汚 染 日 数 は 増 えている 近 年 の 気 候 変 動 の 影 響 によるところがあるとしても 汚 染 物 質 排 出 量 に 関 する 統 計 の 信 憑 性 には 疑 問 を 抱 かざるを 得 ない 表 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 と 重 度 汚 染 日 数 の 比 較 年 排 出 量 単 位 北 京 天 津 瀋 陽 2011 二 酸 化 硫 黄 万 トン 窒 素 酸 化 物 万 トン 粉 塵 万 トン 重 度 汚 染 日 日 数 二 酸 化 硫 黄 万 トン 窒 素 酸 化 物 万 トン 粉 塵 万 トン 重 度 汚 染 日 日 数 ( 出 所 ) 中 国 環 境 出 版 社 中 国 環 境 統 計 年 鑑 次 に 2013 年 版 の 中 国 統 計 年 鑑 によると 人 々の 健 康 特 にガンの 発 生 率 が 高 まっており 農 村 住 民 のガン 死 亡 率 は 2010 年 の 人 /10 万 人 から 2012 年 には 人 /10 万 人 に 悪 化 した 都 市 部 住 民 の 呼 吸 器 疾 患 による 死 亡 率 も 2010 年 の 68.3 人 /10 万 人 から 2012 年 には 75.6 人 /10 万 人 に 悪 化 している 表 大 気 汚 染 との 関 連 性 が 高 い 疾 病 による 死 亡 率 ( 単 位 :1/10 万 人 ) 都 市 部 農 村 部 病 気 呼 吸 性 ガン 呼 吸 性 ガン ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 各 年 版 さらに 石 炭 開 発 の 拡 大 に 伴 う 地 下 水 資 源 の 大 量 使 用 が 原 因 と 見 られる 地 盤 沈 下 は 40 万 ヘクタ ールに 及 んでいる また 石 炭 ボタの 累 計 は 60 億 トンに 達 し その 処 分 用 地 の 面 積 は 7 万 ヘクタ ールに 達 している (2) 石 炭 価 格 の 下 落 と 石 炭 企 業 の 経 営 悪 化 第 2 章 でも 詳 述 するように 2012 年 後 半 以 降 石 炭 価 格 が 下 落 し 石 炭 業 界 は 不 景 気 に 陥 り 石 炭 企 業 の 経 営 特 に 中 小 炭 鉱 の 経 営 は 悪 化 した そのため 石 炭 企 業 の 救 済 が 課 題 になる 一 方 で そのことは 小 炭 鉱 の 淘 汰 や 業 界 の 再 編 石 炭 産 業 の 集 中 度 向 上 という 従 来 の 政 策 課 題 を 推 進 14

62 する 契 機 にもなった また 石 炭 価 格 の 下 落 は 発 電 用 石 炭 価 格 メカニズムの 改 革 ( 第 2 章 参 照 ) や 資 源 税 改 革 (1.4.1 節 )を 実 施 する 上 でも 有 利 な 政 策 環 境 を 形 成 することになったが 同 時 に 苦 境 にある 石 炭 企 業 の 負 担 が 増 える 可 能 性 もあり 政 策 のバランスを 取 ることが 求 められている (3) 石 炭 輸 入 の 急 増 中 国 国 内 の 石 炭 価 格 が 高 止 まりしていた 時 期 に 中 国 東 南 沿 海 部 において 石 炭 輸 入 が 急 増 した その 後 石 炭 価 格 の 下 落 により 内 外 価 格 差 は 若 干 縮 小 したが 石 炭 輸 入 の 増 加 が 続 いている 2014 年 も 石 炭 輸 入 が 増 加 する 見 通 しである 現 在 石 炭 輸 入 をめぐる 問 題 は 主 に 2 つの 側 面 がある 一 つは 輸 入 炭 急 増 が 国 内 石 炭 企 業 の 経 営 を 圧 迫 している( 価 格 競 争 力 で 輸 入 炭 に 劣 る)こと も う 一 つは 低 価 格 低 品 位 の 輸 入 炭 ( 主 に 東 南 沿 海 部 の 発 電 所 で 使 用 されている)がもたらす 汚 染 排 出 である 石 炭 輸 入 を 制 限 する 案 は 表 面 的 には 環 境 対 策 として 浮 上 しているが 実 際 には 国 内 石 炭 企 業 の 救 済 の 意 味 合 いも 含 まれている 一 方 石 炭 価 格 下 落 に 関 わらず 輸 入 が 増 えているこ とには 前 述 した 中 国 国 内 の 石 炭 の 輸 送 流 通 システムの 問 題 があり 改 めてシステム 改 善 の 課 題 が 突 出 した (4) 生 産 能 力 過 剰 の 深 刻 化 中 国 では 経 済 の 高 成 長 に 牽 引 されて 石 炭 需 要 ( 電 力 製 鉄 等 )が 急 増 し 石 炭 価 格 は 2003 年 か ら 上 昇 し 続 けたため 多 くの 企 業 が 大 きい 収 益 を 求 めて 石 炭 分 野 への 投 資 に 集 中 し そのため 石 炭 生 産 能 力 の 拡 大 が 続 いた 2004 年 の 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 約 17 億 トンであったが 2012 年 には 40 億 トン(135% 増 )に 達 し 年 平 均 3 億 トン 近 く 伸 びた 11 特 に 2009 年 以 降 景 気 刺 激 の ため 中 国 が 巨 額 の 財 政 出 動 を 行 ったことによりエネルギー 多 消 費 産 業 の 生 産 が 拡 大 し 石 炭 需 要 も 急 増 中 央 政 府 の 抑 制 策 にも 関 わらず 地 方 の 小 規 模 炭 鉱 の 建 設 や 増 産 が 進 み また 発 電 や 鉄 鋼 など 石 炭 企 業 以 外 の 企 業 までもが 石 炭 生 産 に 参 入 した 石 炭 の 深 刻 な 生 産 能 力 過 剰 は 2012 年 後 半 以 降 の 需 給 関 係 の 逆 転 によって 一 気 に 顕 在 化 したが 一 方 そのことは 石 炭 生 産 の 大 規 模 化 大 手 石 炭 企 業 への 集 中 産 業 集 中 度 の 向 上 といった 従 来 の 政 策 課 題 の 推 進 を 強 化 する 契 機 にもなった こうした 2012 年 後 半 以 降 の 新 たな 課 題 に 直 面 し 中 でも 大 気 汚 染 の 防 止 が 急 務 になり 中 国 は 改 めて 石 炭 政 策 の 中 心 的 な 課 題 の 一 つとして 環 境 対 策 を 位 置 付 けることになった 国 務 院 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 と 石 炭 関 連 政 策 (1) 国 務 院 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 2013 年 9 月 国 務 院 は 全 国 の 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 行 動 指 針 として 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 12 を 公 布 した 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 向 こう 5 年 間 で 中 国 の 大 気 環 境 の 質 的 な 改 善 を 進 め 重 汚 染 天 候 を 大 幅 に 減 らすとし 具 体 的 に 以 下 の 目 標 を 掲 げている 11 中 国 能 源 網 2013 年 6 月 3 日 また 国 家 統 計 局 のデータによると 2010 年 以 降 の 生 産 能 力 の 増 加 は 年 平 均 4 億 トンで 生 産 過 剰 に 拍 車 をかけている

63 年 までに 全 国 の 地 区 級 市 以 上 の 都 市 で 吸 入 可 能 粒 子 物 の 濃 度 を 2012 年 比 で 10% 以 上 引 き 下 げる 2 大 気 優 良 日 の 日 数 を 年 々 引 き 上 げる 3 北 京 天 津 河 北 地 区 の 微 小 粒 子 状 物 質 の 濃 度 を 25% 引 き 下 げ 長 江 デルタ 地 区 では 20% 珠 江 デルタ 地 区 では 15% 引 き 下 げる 特 に 北 京 市 については 微 小 粒 子 物 の 年 平 均 濃 度 を 60μ g/m 3 前 後 に 抑 制 することを 掲 げている こうした 目 標 を 達 成 するため 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 10 ヵ 条 の 措 置 と 35 項 目 の 細 則 を 提 示 しているが その 中 で 石 炭 消 費 を 直 接 の 対 象 とする 措 置 として エネルギー 構 造 の 調 整 とクリ ーン エネルギーの 供 給 拡 大 に 関 しては 2017 年 までにエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 65% 以 下 に 引 き 下 げること 煤 改 気 煤 改 電 ( 燃 料 を 石 炭 から 天 然 ガス 電 力 に 転 換 )を 推 進 すること 北 京 天 津 河 北 地 区 長 江 デルタ 地 区 珠 江 デルタ 地 区 では 石 炭 消 費 総 量 のマ イナス 成 長 を 実 現 することなどの 対 策 を 掲 げている それ 以 外 にも 石 炭 消 費 に 影 響 する 措 置 として 10 ヵ 条 の 措 置 の 中 には 小 型 石 炭 火 力 ボイラ ーの 全 面 的 整 理 エネルギー 多 消 費 高 排 出 産 業 の 新 規 生 産 能 力 の 厳 格 な 規 制 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 生 産 能 力 過 剰 が 深 刻 な 産 業 の 不 法 な 建 設 事 業 の 停 止 投 資 事 業 の 環 境 保 護 参 入 基 準 の 厳 格 な 適 用 と 基 準 引 き 上 げ 生 態 系 の 脆 弱 な 地 区 や 環 境 機 微 地 区 におけるエネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 事 業 建 設 の 厳 格 な 規 制 などが 盛 り 込 まれている 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 において 特 に 注 意 すべき 点 は 2017 年 までにエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 65% 以 下 に 引 き 下 げるとの 目 標 を 掲 げていることである しかしながら 前 出 の 2013 年 1 月 のエネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 石 炭 の 比 率 を 2015 年 までに 65%に 引 き 下 げるとしており 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 において 目 標 達 成 年 度 は 2 年 も 先 送 りされることになった 実 際 には 2012 年 の 石 炭 の 比 率 はすでに 2011 年 に 比 べ 1.3 ポイント 低 い 67.1%に 下 がっており 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 石 炭 消 費 抑 制 目 標 は 余 り 意 味 をなさない 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 において 石 炭 消 費 の 比 率 65% 引 き 下 げ 目 標 年 度 が 先 送 りになった 理 由 は 明 確 にされていないが 一 つは 前 述 した 中 国 の 石 炭 政 策 課 題 のジレンマ すなわち 石 炭 消 費 を 抑 制 するとともに 石 炭 産 業 の 救 済 をも 考 慮 しなければならないという 矛 盾 が 石 炭 消 費 抑 制 を 第 一 に 掲 げるべき 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 において 露 呈 された 形 になり 石 炭 消 費 抑 制 目 標 が 妥 協 の 産 物 として 煮 え 切 らないものになったと 見 ることが 出 来 る 結 局 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 のこの 数 値 目 標 は 2014 年 1 月 の 国 家 能 源 局 のエネルギー 工 作 会 議 において 2014 年 中 に 65% 以 下 に 引 き 下 げる よう 再 修 正 された(1.2.2 及 び 参 照 ) また 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 既 存 の 炭 鉱 の 選 炭 率 を 2017 年 までに 70% 以 上 に 引 き 上 げ るとしているが 2012 年 3 月 の 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 2015 年 までに 75%に 引 き 上 げるという 目 標 を 掲 げていたので 選 炭 率 についても 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 目 標 を 下 方 16

64 修 正 するとともに 達 成 年 度 を 2 年 先 送 りすることになった さらに 2014 年 2 月 の 国 務 院 常 務 会 議 PM2.5 汚 染 防 止 会 合 では エネルギー 消 費 構 造 の 調 整 を 急 ぎ 地 域 間 送 電 規 模 を 拡 大 し 石 炭 消 費 量 を 抑 制 し クリーン コールの 利 用 を 促 進 するこ とが 決 定 された その 上 で 専 用 基 金 を 設 立 して 2014 年 中 に 重 点 地 域 の 大 気 汚 染 防 止 対 策 に 100 億 元 を 投 じること 工 業 情 報 化 部 が 老 朽 化 した 設 備 技 術 の 廃 棄 を 急 ぎ エネルギー 消 費 や 汚 染 物 質 排 出 に 関 する 基 準 を 改 定 し 罰 則 を 強 化 することなどの 対 策 を 採 ることが 決 まった 13 しかしながら このような 一 連 の 対 策 について 中 国 能 源 研 究 所 ( 中 国 エネルギー 研 究 所 )の 周 大 地 元 所 長 は エネルギー 需 給 構 造 の 調 整 は 容 易 なことではない 中 国 の 経 済 構 造 産 炭 地 や 消 費 地 の 産 業 構 造 地 方 政 府 と 中 央 政 府 の 利 権 関 係 などが 複 雑 に 絡 み 合 っているため 調 整 には 時 間 がかかるだろう と 述 べている 14 表 及 び 表 に 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 における 石 炭 関 連 政 策 内 容 をまとめた 年 2 月 に 弊 所 が 実 施 したヒアリングによる 17

65 総 合 管 理 の 強 化 と 汚 染 物 排 出 の 削 減 1 2 ( 出 所 ) 国 務 院 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 政 策 内 容 を 整 理 した 表 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 における 石 炭 関 連 政 策 内 容 (1) 石 炭 火 力 ボイラーの 全 面 的 整 理 煤 改 気 煤 改 電 事 業 建 設 の 推 進 地 区 級 市 以 上 の 都 市 において 換 算 蒸 発 量 10t/h 以 下 の 石 炭 火 力 ボイラーを 淘 汰 その 他 の 地 区 でも10t/h 以 下 の 石 炭 火 力 ボイラーの 新 規 建 設 の 停 止 熱 供 給 ガス 網 のカバーできない 地 区 では 燃 料 を 石 炭 から 電 力 新 エネルギー 又 はクリーン コールに 転 換 化 学 製 紙 捺 染 皮 革 製 薬 等 の 産 業 密 集 エリアではコージェネレーションを 建 設 して 分 散 石 炭 火 力 ボイラーを 淘 汰 北 京 天 津 河 北 地 区 長 江 デルタ 珠 江 デルタ 等 の 地 区 は2015 年 末 までに 石 炭 火 力 発 電 所 と 石 炭 火 力 ボイラー キルンの 汚 染 制 御 施 設 の 建 設 及 び 改 修 を 完 了 産 業 構 造 の 調 整 並 びに 最 適 化 と 産 業 の 転 換 とグレードアップの 推 進 エネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 新 規 生 産 能 力 を 厳 重 に 規 制 高 汚 染 資 源 的 産 業 の 参 入 条 件 を 改 定 エネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 新 規 生 産 能 力 の 新 規 建 設 改 造 拡 張 に 当 たっては 生 産 能 力 の 等 価 又 は 減 量 置 換 を 適 用 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を 加 速 環 境 保 護 エネルギー 消 費 安 全 品 質 等 の 基 準 をさらに 引 き 上 げ 鉄 鋼 セメント アルミ ガラスなど 21の 重 点 業 種 の 第 12 次 5ヵ 年 計 画 期 における 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を1 年 前 倒 しで 達 成 2015 年 までに 製 鉄 1,500 万 トン 製 鋼 1,500 万 トン セ メント1 億 トン ガラス2,000 万 ケースの 生 産 能 力 を 淘 汰 国 の 投 資 事 業 を 厳 重 に 規 制 地 区 重 点 産 業 建 設 事 業 の 審 査 許 認 可 届 出 手 続 きを 暫 時 停 止 2016~2017 年 には 各 地 区 がより 幅 広 くより 高 い 基 準 で 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 措 置 を 策 定 過 剰 生 産 能 力 を 縮 小 省 エネ 環 境 保 護 基 準 によってエネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 過 剰 生 産 能 力 の 退 出 の 仕 組 みを 確 立 生 産 能 力 過 剰 が 深 刻 な 産 業 の 新 規 生 産 能 力 建 設 事 業 を 厳 禁 生 産 能 力 過 剰 が 深 刻 な 産 業 の 不 法 の 建 設 中 事 業 を 停 止 未 着 工 のものは 着 工 を 許 可 しない 建 設 中 のものは 停 止 を 要 求 地 方 政 府 は 指 導 と 監 督 検 査 を 強 化 して 生 産 能 力 過 剰 が 深 刻 な 産 業 の 盲 目 的 は 拡 張 を 規 制 企 業 の 技 術 改 良 の 加 速 と 技 術 イノベーション 能 力 の 向 上 6 循 環 経 済 の 発 展 に 注 力 2017 年 には 工 業 生 産 高 当 たりのエネルギー 消 費 を2012 年 比 で 約 20% 引 き 下 げ 18

66 ( 出 所 ) 国 務 院 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 政 策 内 容 を 整 理 した 表 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 における 石 炭 関 連 政 策 内 容 (2) エネルギー 構 造 調 整 の 加 速 とクリーン エネルギー 供 給 の 増 加 石 炭 消 費 総 量 の 規 制 石 炭 消 費 総 量 の 中 長 期 的 規 制 目 標 を 策 定 し 目 標 責 任 管 理 を 適 用 2017 年 までにエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を65% 以 下 に 引 き 下 げ 北 京 天 津 河 北 省 地 区 長 江 デルタ 珠 江 デルタ 等 の 地 区 は 石 炭 消 費 総 量 のマイナス 成 長 実 現 に 努 力 域 外 7 からの 送 電 受 入 の 比 率 の 逐 次 向 上 天 然 ガス 供 給 の 増 加 非 化 石 エネルギー 利 用 の 強 化 等 により 燃 料 を 石 炭 から 転 換 北 京 天 津 河 北 省 地 区 長 江 デルタ 珠 江 デルタ 等 の 地 区 はコージェネレーション 以 外 の 新 規 石 炭 火 力 発 電 事 業 の 許 認 可 を 禁 止 既 存 の 複 数 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 が 合 計 30 万 kw 以 上 に 達 する 場 合 は 石 炭 等 価 代 替 の 原 則 に 従 って 大 容 量 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 を 建 設 クリーン エネルギー 利 用 への 代 替 を 加 速 天 然 ガス 石 炭 ガス 化 炭 層 ガスの 供 給 を 拡 大 天 然 ガス 供 給 は 民 生 用 もしくは 石 炭 からの 燃 料 転 換 を 優 先 するが 天 然 ガス 発 電 所 の 新 規 建 設 は 行 わず 8 石 炭 ガス 化 発 展 計 画 を 策 定 し 最 も 厳 格 な 環 境 保 護 要 件 と 水 資 源 供 給 の 確 保 を 前 提 に 石 炭 ガス 化 の 産 業 化 と 大 規 模 化 を 加 速 北 京 天 津 河 北 地 区 の 都 市 建 設 エリア 長 江 デルタ 都 市 群 珠 江 デルタ 地 域 は 工 業 企 業 の 石 炭 火 力 施 設 の 天 然 ガス 燃 料 への 転 換 を 加 速 2017 年 までに 石 炭 火 力 ボイラー 工 業 キルン 石 炭 火 力 自 家 発 電 所 の 天 然 ガス 用 への 改 修 を 基 本 的 に 完 了 クリーン コールの 利 用 を 推 進 し 石 炭 の 選 炭 率 を 向 上 炭 鉱 の 新 規 建 設 に 当 たって 選 炭 施 設 の 同 時 建 設 を 義 務 付 け 既 存 の 炭 鉱 について は2017 年 までに 選 炭 率 を70% 以 上 に 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 位 炭 の 輸 入 を 禁 止 石 炭 品 質 管 理 弁 法 の 制 定 を 検 討 する 9 都 市 の 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 区 の 範 囲 を 広 げ 建 成 区 ( 公 共 インフラの 整 備 された 都 市 エリア)から 徐 々に 近 郊 へと 拡 張 ピーク オフピーク 電 力 価 格 累 進 電 力 価 格 ピーク 調 整 電 力 価 格 等 の 措 置 を 通 して 石 炭 から 天 然 ガス 又 は 電 力 への 転 換 を 逐 次 推 進 北 方 農 村 地 区 におけるクリーン コール 配 送 センターの 建 設 を 奨 励 し クリーン コールや 成 形 炭 の 使 用 を 拡 大 省 エネと 環 境 保 護 上 の 参 入 基 準 の 厳 格 化 と 産 業 空 間 配 置 の 最 適 化 10 生 態 系 の 脆 弱 な 地 区 や 環 境 機 微 地 区 におけるエネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 事 業 建 設 を 厳 重 に 規 制 北 京 天 津 河 北 地 区 長 江 デルタ 珠 江 デルタの3 地 区 と 山 東 武 漢 及 びその 周 辺 長 沙 株 洲 湘 潭 重 慶 四 川 福 建 山 西 省 中 北 部 陝 西 省 漢 中 甘 粛 寧 夏 ウルムチなど 3 地 区 10 都 市 群 中 の47 都 市 で 火 力 発 電 鉄 鋼 石 油 化 学 セメント 非 鉄 金 属 化 学 等 11 の 企 業 および 石 炭 火 力 ボイラー 事 業 には 大 気 汚 染 物 特 別 排 出 制 限 基 準 を 適 用 各 地 区 は 環 境 改 善 のニーズに 応 じて 特 別 排 出 制 限 基 準 適 用 の 範 囲 を 拡 大 生 産 能 力 過 剰 解 消 対 策 省 エネ 排 出 削 減 や 企 業 のM&Aと 結 びつけて 都 市 主 要 市 街 区 の 鉄 鋼 石 油 化 学 非 鉄 金 属 精 錬 セメント ガラ 12 ス 等 の 重 汚 染 企 業 の 移 転 と 改 修 を2017 年 までに 完 了 する 13 石 炭 等 の 資 源 税 の 従 価 課 税 に 向 けた 改 革 を 推 進 14 地 方 政 府 は 民 生 に 関 わる 煤 改 気 に 対 する 政 策 支 援 を 強 化 する 北 京 天 津 河 北 省 地 区 長 江 デルタ 珠 江 デルタに 省 クラス 政 府 と 国 務 院 関 係 部 門 が 参 加 する 地 域 的 な 大 気 汚 染 防 止 協 同 メカニズムを 15 確 立 目 標 達 成 任 務 を 地 方 政 府 企 業 に 分 担 させる 国 務 院 と 省 クラス 政 府 は 大 気 汚 染 防 止 目 標 責 任 書 を 交 わし 重 点 区 域 の 微 小 粒 子 物 指 標 と 非 16 重 点 地 区 の 吸 入 可 能 粒 子 物 指 標 を 拘 束 的 指 標 に 19

67 (2) 過 剰 生 産 能 力 解 消 対 策 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 と 同 時 期 に 策 定 され 石 炭 消 費 にも 大 きな 影 響 を 及 ぼす 政 策 として 2013 年 10 月 に 国 務 院 が 通 達 した 生 産 能 力 の 深 刻 な 過 剰 ギャップの 解 消 に 関 する 指 導 意 見 15 が 挙 げられる この 指 導 意 見 は 環 境 対 策 も 視 野 に 入 れつつ 鉄 鋼 セメント アルミ ガラス 船 舶 など 生 産 能 力 過 剰 業 種 を 対 象 に 新 規 生 産 能 力 建 設 の 厳 禁 完 成 済 みの 違 法 生 産 能 力 の 整 理 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 などの 方 針 を 打 ち 出 していた 同 意 見 書 は 2015 年 末 まで 淘 汰 すべき 製 鉄 能 力 を 1,500 万 トン 製 鋼 能 力 を 1,500 万 トンとし セメントについては 1 億 トン 板 硝 子 は 2,000 万 重 量 箱 としている また 第 13 次 5 ヵ 年 計 画 期 において エネルギー 消 費 基 準 と 汚 染 物 質 排 出 基 準 を 引 き 上 げ 特 別 排 出 制 限 値 を 適 用 するとともに 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を 加 速 するとして いる 業 種 別 及 び 地 域 別 の 対 策 としては 例 えば 鉄 鋼 に 関 しては 山 東 河 北 遼 寧 江 蘇 山 西 江 西 等 の 産 業 構 造 調 整 を 重 点 的 に 推 進 し 生 産 能 力 の 統 廃 合 都 市 の 製 鋼 所 の 移 転 や 産 業 配 置 の 最 適 化 を 進 めて 鉄 鋼 生 産 能 力 を 8,000 万 トン 以 上 圧 縮 するとしている 対 象 になる 過 剰 生 産 能 力 業 種 の 多 くはエネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 に 属 し 前 述 のように 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 においてもこれら 産 業 の 生 産 能 力 拡 大 に 対 する 規 制 や 新 規 事 業 の 制 限 が 盛 り 込 まれ また 第 7 章 で 詳 述 するように 各 地 方 政 府 が 策 定 した 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 具 体 策 の 多 くも 国 務 院 の 指 導 意 見 に 依 拠 して エネルギー 及 び 石 炭 の 多 消 費 産 業 の 生 産 能 力 拡 大 に 対 する 規 制 や 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を 盛 り 込 んでいる 中 国 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 実 施 とと もに 過 剰 生 産 能 力 問 題 の 解 決 も 並 行 して 進 めることになったが エネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 移 転 などをめぐっては 地 域 間 の 矛 盾 も 表 面 化 している (3) 煤 改 気 のもたらした 混 乱 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 所 謂 煤 改 気 を 推 進 すること すなわち 北 京 天 津 河 北 地 区 の 都 市 部 長 江 デルタの 都 市 群 や 珠 江 デルタ 地 域 において 工 業 企 業 の 石 炭 火 力 施 設 の 天 然 ガス 燃 料 への 転 換 を 加 速 させ 2017 年 までに 石 炭 火 力 ボイラー 工 業 キルン 石 炭 火 力 自 家 発 電 所 の 天 然 ガス 用 への 改 修 を 基 本 的 に 完 了 することを 掲 げている さらに 石 炭 消 費 地 区 と 石 炭 生 産 地 区 の 別 なく 各 省 自 治 区 直 轄 市 の 多 くも 煤 改 気 を 各 地 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 プランに 盛 り 込 み 石 炭 消 費 抑 制 によるエネルギーを 天 然 ガスで 補 完 する 政 策 を 打 ち 出 している ( 第 7 章 参 照 ) 石 炭 から 天 然 ガスへの 燃 料 転 換 は 従 来 からの 政 策 課 題 ではあるが 天 然 ガス 供 給 が 需 要 に 追 い 付 かない 中 で 中 国 政 府 は 天 然 ガス 利 用 に 制 限 措 置 を 適 用 し 2012 年 10 月 に 改 訂 された 天 然 ガス 利 用 政 策 16 では 需 給 のバランスを 取 るため 都 市 の 家 庭 用 商 業 用 自 動 車 用 市 街 区 の 集 中 暖 房 天 然 ガス 分 散 型 エネルギー 等 の 天 然 ガス 利 用 を 優 先 する 一 方 化 学 原 料 など 工 業 分 野 の 天 然 ガス 利 用 については 基 本 的 に 許 可 制 としている また 2012 年 の 天 然 ガス 利 用 政 策 では 天 然 ガス 発 電 は コージェネレーションは 優 先 類 それ 以 外 は 許 可 類 とされ 天 然 ガス 発 電 に 対 する 制 限 が 緩 和 されたが 現 実 問 題 としてコスト 面 など 天 然 ガス 発 電 の 制 約 は 大 きい 15 人 民 網 2013 年 10 月 15 日 16 発 展 改 革 委 員 会 ウェブサイト 2012 年 10 月 14 日 20

68 然 るに 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 において 煤 改 気 の 推 進 が 打 ち 出 されると 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 ( 第 7 章 参 照 )において 特 に 煤 改 気 の 実 施 が 強 調 された 北 京 天 津 河 北 はもとより 甘 粛 青 海 新 疆 等 の 地 方 政 府 までもが 相 次 いで 煤 改 気 プロジェクトを 実 施 し その 結 果 天 然 ガスの 逼 迫 や 設 備 改 修 も 含 むコストの 上 昇 などの 問 題 が 生 起 し 冬 季 の 民 生 用 天 然 ガス 供 給 に 影 響 が 及 ぶケースも 生 じた 17 そのため 国 家 発 展 改 革 委 員 会 と 国 家 能 源 局 は 2013 年 11 月 ガス 源 とガス 供 給 契 約 の 適 正 な 実 現 と 煤 改 気 の 秩 序 ある 実 施 に 関 する 緊 急 通 達 18 を 出 した この 通 達 は 大 気 環 境 の 改 善 に 対 する 煤 改 気 の 重 要 な 作 用 を 認 めつつ 煤 改 気 プロジェクトの 過 度 の 集 中 によって 天 然 ガス 需 給 ギャップが 激 化 し 民 生 用 のガスにも 影 響 したとして 1コージェネレーションなど 天 然 ガスを 利 用 する 事 業 に 各 地 で 一 斉 に 殺 到 してはならず まずガス 源 と 価 格 を 具 体 化 し バラン スを 取 って 推 進 すること 2 煤 改 気 プロジェクトに 当 たっては 資 源 供 給 計 画 との 調 整 を 強 化 すること 3 天 然 ガスは 冬 季 の 暖 房 用 など 民 生 用 の 確 保 を 優 先 することを 義 務 付 け ガス 源 の 確 保 がなされていない 煤 改 気 プロジェクトの 承 認 や 着 工 を 禁 じた (4) 石 炭 ガス 化 事 業 推 進 方 針 への 転 換 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 に 盛 り 込 まれた 石 炭 関 連 の 具 体 的 な 政 策 措 置 は 概 ね 従 来 の 石 炭 政 策 を 踏 襲 し 全 体 的 に 石 炭 消 費 を 抑 制 するものが 主 になり 石 炭 企 業 の 救 済 にとっては 不 利 である しかし 石 炭 由 来 代 替 天 然 ガス(SNG) 事 業 に 関 する 政 策 は 毛 色 を 異 にし 中 国 政 府 は SNG 事 業 に 対 する 従 来 の 慎 重 な 姿 勢 を 改 め 前 向 きに 事 業 を 推 進 する 方 針 に 転 じており 石 炭 企 業 にとっ ては 今 後 期 待 出 来 る 収 益 材 料 になる SNG 事 業 については 2008 年 ~2009 年 頃 に 大 手 石 炭 企 業 だけでなく 電 力 企 業 も 多 数 の 事 業 建 設 計 画 を 打 ち 出 したが 中 国 政 府 は 2009 年 2 月 に 制 定 した 中 国 石 化 産 業 調 整 振 興 計 画 の 中 で 石 炭 化 学 産 業 の 盲 目 的 な 発 展 の 勢 いを 断 固 抑 制 する 19 との 方 針 を 示 し SNG 事 業 につい ては 一 部 の 実 証 事 業 しか 認 めなかった SNG 事 業 は 中 国 の 基 本 政 策 である 天 然 ガス 供 給 に 寄 与 し 褐 炭 など 低 品 位 炭 のクリーンな 総 合 利 用 にもつながるが 中 国 政 府 がこれまで 慎 重 な 姿 勢 を 取 ってきたのは 事 業 の 乱 立 による 生 産 能 力 過 剰 懸 念 の 他 に 生 産 地 の 環 境 汚 染 水 資 源 の 浪 費 や 経 済 性 の 問 題 パイプラインなどイン フラ 問 題 があるからである 特 に 水 資 源 については 中 国 の 産 炭 区 の 多 くは 水 資 源 が 乏 しい しかし 石 炭 価 格 の 下 落 や 天 然 ガス 価 格 制 度 改 革 によるガス 価 格 上 昇 の 見 通 しにより SNG の 経 済 性 問 題 が 好 転 し 国 家 能 源 局 はすでに 2012 年 5 月 には 石 炭 高 度 加 工 実 証 事 業 計 画 を 通 達 し 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 における 15 件 の 石 炭 化 学 実 証 事 業 を 示 していた その 中 で SNG も 含 む 事 業 は 慶 華 集 団 による 新 疆 イリの 事 業 新 汶 と 中 国 電 力 投 資 集 団 の 連 合 による 同 じく 新 疆 イ 17 中 国 新 聞 網 2014 年 2 月 28 日 18 発 展 改 革 委 員 会 ウェブサイト 2013 年 11 月 3 日 19 中 国 SNG 事 業 の 現 状 と 行 方 エイジアム 研 究 所 HP 2009 年 5 月 21

69 リの 事 業 中 国 石 油 化 工 (Sinopec) 等 の 新 疆 准 東 事 業 内 モンゴル 西 部 の SNG も 含 むクリーン コール 総 合 利 用 事 業 内 モンゴル 興 安 盟 の SNG を 主 とする 石 炭 化 学 発 電 熱 供 給 一 体 化 事 業 山 西 省 の 高 灰 分 中 高 硫 黄 石 炭 クリーン 総 合 利 用 事 業 の 6 件 に 上 った 20 また 2012 年 12 月 の 天 然 ガス 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 21 は 2015 年 に SNG のガス 年 産 能 力 を 150~180 億 m 3 にする 目 標 を 提 示 した SNG 事 業 は 原 料 となる 石 炭 価 格 によって 収 益 が 左 右 され 石 炭 価 格 が 下 がり 原 料 コストが 下 が れば 収 益 が 上 がる つまり SNG 事 業 を 行 う 石 炭 企 業 にとっては 石 炭 価 格 の 減 少 による 本 業 の 減 収 減 益 を SNG 事 業 の 収 益 向 上 によって 補 うことが 出 来 るというメリットもある 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 改 めて SNG 事 業 にゴーサインを 出 し SNG 発 展 計 画 を 策 定 して 最 も 厳 格 な 環 境 保 護 要 件 と 水 資 源 供 給 の 確 保 を 前 提 に SNG 事 業 の 産 業 化 と 大 規 模 化 を 加 速 させ るという 方 針 に 転 換 した 生 産 地 の 環 境 問 題 の 存 在 にも 関 わらす 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 が 石 炭 ガス 化 の 大 規 模 開 発 を 打 ち 出 したのは 都 市 の 大 気 汚 染 対 策 としての 天 然 ガス 供 給 拡 大 に 寄 与 するからに 他 ならない そして 2014 年 1 月 13 日 の 全 国 エネルギー 工 作 会 議 (1.5 節 )は 前 述 した 性 急 な 煤 改 気 の 推 進 に 起 因 する 天 然 ガス 不 足 への 対 応 を 2014 年 のエネルギー 対 策 の 重 点 に 位 置 付 け 同 会 議 にお いて 呉 新 雄 能 源 局 長 は 2020 年 には SNG を 500 億 m 3 以 上 にして 国 産 ガスの 8 分 の % を 占 めるようにする 計 画 を 明 らかにした 22 前 出 の 天 然 ガス 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 2015 年 の SNG のガス 年 産 能 力 目 標 150~180 億 m 3 が 達 成 された 場 合 中 国 は 2015 年 から 2020 年 の 5 年 間 で 生 産 能 力 をさらに 300 億 m 3 以 上 増 やすことになる SNG 事 業 から 北 京 へのガス 供 給 もすでに 始 まっており 2013 年 12 月 にはパイプラインにより 内 モンゴル 自 治 区 赤 峰 克 什 克 騰 旗 から 北 京 へ 1 日 400 万 m 3 のガス 供 給 が 開 始 された 克 什 克 騰 旗 の SNG 事 業 は 2009 年 に 電 力 大 手 の 大 唐 集 団 が 国 家 発 展 改 革 委 員 会 から 付 帯 のパイプライン 敷 設 事 業 とともに SNG 実 証 事 業 として 承 認 されていた 第 1 期 の 生 産 能 力 は 13.6 億 m 3 大 唐 の 内 モンゴルシリンホト 勝 利 東 2 号 露 天 掘 り 炭 鉱 から 採 掘 する 褐 炭 を 使 用 する 水 資 源 はシラムルン 河 上 流 の 大 石 門 ダムから 取 っているが 同 ダムの 年 間 流 入 量 は 2.35 億 m 3 一 方 大 唐 が 取 得 する 年 間 給 水 指 標 はその 凡 そ 4 分 の 1 の 6,000 万 m 3 に 上 る パイプラインは 内 モンゴル 赤 峰 市 シ リンゴル 盟 河 北 省 承 徳 北 京 市 密 雲 を 経 由 し 北 京 まで 全 長 359 キロ 年 間 設 計 輸 送 量 は 40 億 m 3 最 大 輸 送 能 力 は 60 億 m 3 になる 23 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 が 掲 げている 煤 改 気 石 炭 から 天 然 ガスへの 転 換 は 大 都 市 の 大 気 汚 染 問 題 解 決 にとって 重 要 な 手 段 になるが 前 述 のように 天 然 ガス 不 足 とコストの 上 昇 を 招 き 20 石 炭 深 加 工 実 証 事 業 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 実 証 事 業 15 件 一 覧 表 2FEi3hAhsZ2soqFKeO2Yqt049REb6mVzMYUppga 21 中 国 政 府 ウェブサイト 2012 年 12 月 3 日 22 中 国 煤 炭 市 場 網 2014 年 1 月 15 日 23 大 唐 能 源 化 工 有 限 責 任 公 司 HP 22

70 天 然 ガス 供 給 の 拡 大 はより 一 層 切 迫 した 課 題 になった 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は SNG 事 業 推 進 の 前 提 として 最 も 厳 正 な 環 境 保 護 基 準 と 水 資 源 供 給 の 確 保 を 強 調 している しかし SNG 事 業 が 行 われる 現 地 の 環 境 問 題 や 水 問 題 は 決 して 解 決 さ れているわけではない 前 述 の 大 唐 の 内 モンゴル 自 治 区 赤 峰 克 什 克 騰 旗 の 事 業 を 一 瞥 する 限 りで も 水 資 源 の 消 費 が 極 めて 大 きいことが 分 かる また 褐 炭 の 大 量 利 用 による 汚 染 物 質 排 出 も 懸 念 される 中 国 政 府 が SNG 事 業 に 対 し 環 境 や 水 資 源 面 で 厳 正 な 要 件 を 設 けても 経 営 難 に 苦 しむ 石 炭 企 業 が 殺 到 して 環 境 と 水 不 足 対 策 を 十 分 に 講 じないまま 安 易 に 事 業 を 乱 立 させることにな れば 環 境 問 題 をさらに 悪 化 させる 懸 念 なしとしない 23

71 1.4 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 政 策 の 最 近 の 動 向 石 炭 資 源 税 改 革 の 状 況 (1) 石 炭 を 対 象 とする 現 行 の 税 制 と 問 題 点 1 現 行 の 石 炭 資 源 税 とその 問 題 点 中 国 の 資 源 税 は 石 油 天 然 ガス 石 炭 鉱 物 等 の 資 源 を 対 象 にしている 現 行 の 石 炭 資 源 税 は 2011 年 10 月 の 資 源 税 暫 定 条 例 24 に 定 められており 原 炭 が 対 象 になる 1 トン 当 たりの 税 額 は 原 料 炭 が 一 律 8 元 であるが その 他 の 石 炭 については 省 毎 に 税 額 が 異 なる 資 源 税 税 目 税 率 明 細 表 によると 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 はいずれもトン 当 たり 3.2 元 山 東 省 と 広 東 省 が 最 も 高 く 3.6 元 である 年 の 資 源 税 暫 定 条 例 では 原 油 と 天 然 ガスの 資 源 税 に 従 価 定 率 課 税 方 式 が 導 入 さ れ 税 率 は 販 売 額 の 5~10%とされたが 石 炭 資 源 税 には 依 然 として 従 量 課 税 が 適 用 され 現 在 に 至 っている 1994 年 に 石 炭 資 源 税 が 導 入 された 当 初 は 1 トンにつき 0.3~5 元 の 従 量 課 税 であったが 一 方 当 時 の 石 炭 価 格 は 数 十 元 程 度 であった 26 その 後 税 額 は 若 干 引 き 上 げられたものの 石 炭 価 格 は 当 時 の 10 数 倍 に 上 昇 し 企 業 の 石 炭 資 源 税 の 税 負 担 は 販 売 価 格 の 1% 以 下 と 過 度 に 低 くなったた め 税 負 担 の 適 正 化 が 求 められることになった そして これまでの 従 量 課 税 方 式 では 炭 種 別 に 税 額 を 算 定 するには 技 術 上 の 困 難 が 伴 うため 市 場 の 価 値 をそのまま 反 映 出 来 る 定 率 従 価 課 税 方 式 を 採 用 する 方 向 で 改 革 が 進 められることになった 2 石 炭 を 対 象 とする 各 種 税 制 とその 問 題 点 石 炭 資 源 税 の 他 に 石 炭 資 源 や 石 炭 生 産 を 対 象 とする 税 課 金 には 国 が 認 めたものとして 主 に 以 下 のものがある 鉱 産 資 源 補 償 費 課 税 額 の 計 算 式 は 販 売 収 入 補 償 費 率 ( 石 炭 は 1%) 採 掘 回 収 率 係 数 になる 税 収 は 中 央 政 府 と 省 クラス 政 府 が 所 定 の 割 合 で 分 配 する 石 炭 持 続 可 能 発 展 基 金 生 産 量 (トン 当 たり)に 対 して 炭 種 別 の 統 一 的 課 金 基 準 を 適 用 し 坑 井 査 定 生 産 能 力 係 数 を 乗 じて 算 出 課 金 する 1 トン 当 たりの 課 金 基 準 は 一 般 炭 5~15 元 無 煙 炭 は 10~20 元 原 料 炭 は 15~20 元 である 石 炭 持 続 可 能 発 展 基 金 は 石 炭 産 業 持 続 可 能 発 展 実 験 省 である 山 西 省 のみ 設 置 が 認 められている 24 中 国 政 府 網 2011 年 11 月 30 日 25 資 源 税 税 目 税 率 明 細 表 26 国 土 資 源 部 ウェブサイト 2014 年 2 月 25 日 24

72 石 炭 価 格 調 節 基 金 炭 種 別 の 徴 収 基 準 を 設 定 して 生 産 量 に 対 して 課 金 する 内 モンゴル 自 治 区 の 場 合 トン 当 たり の 課 徴 額 は 褐 炭 が 8 元 無 煙 炭 は 20 元 その 他 炭 種 は 15 元 になる 但 し その 他 炭 種 の 場 合 品 位 や 価 格 に 応 じて 調 整 し 盟 27 や 市 の 人 民 政 府 が 8~20 元 の 範 囲 で 設 定 し 自 治 区 政 府 の 承 認 を 得 た 上 で 適 用 することが 出 来 る 28 陝 西 省 の 場 合 トン 当 たりの 税 額 は 原 炭 15 元 精 炭 とコー クスは 25 元 である 税 収 は 省 政 府 40% 市 県 政 府 60%の 割 合 で 分 配 する 税 収 の 用 途 は 石 炭 市 場 価 格 の 安 定 生 態 環 境 管 理 炭 鉱 の 安 全 石 炭 や 石 炭 化 学 品 生 産 により 生 活 が 困 難 になった 市 民 の 生 活 補 助 とされる 29 増 値 税 ( 付 加 価 値 税 ) 増 値 税 はもとより 石 炭 生 産 に 限 らず あらゆる 製 品 やサービスに 課 税 される 石 炭 の 増 値 税 率 は 17%になる 以 上 が 石 炭 を 対 象 に 課 せられる 正 式 な 税 目 であるが しかし 中 国 の 石 炭 産 業 には 上 掲 の 合 法 的 な 基 金 課 徴 金 以 外 に 省 自 治 区 クラスの 政 府 やさらにそれより 低 いレベルの 地 方 政 府 が 権 限 もなく 恣 意 的 に 開 設 した 各 種 の 基 金 及 び 収 費 ( 課 徴 金 )が 横 行 している 例 えば 山 西 省 の 大 同 煤 業 の 場 合 法 定 の 税 課 金 以 外 に 石 炭 価 格 調 節 基 金 鉄 道 建 設 基 金 鉱 山 環 境 管 理 修 復 補 償 金 炭 鉱 生 産 転 換 発 展 基 金 港 湾 建 設 費 林 業 建 設 基 金 など 30 種 類 近 くに 上 る 様 々な 名 目 の 課 徴 金 があり 石 炭 販 売 収 入 の 約 40%を 占 めていた 30 国 家 発 展 改 革 委 員 会 が 2011 年 11 月 に 示 達 した 発 電 用 石 炭 価 格 調 節 の 強 化 に 関 する 通 達 31 は a. 地 方 政 府 が 石 炭 を 対 象 に 違 法 に 設 けて 課 徴 する 基 金 と 費 用 を 全 て 撤 廃 すること b. 省 クラス 政 府 が 合 法 的 に 石 炭 に 課 す 基 金 課 徴 金 の 合 計 額 をトン 当 たり 23 元 以 下 にすること c. 新 たな 基 金 課 徴 金 を 設 けてはならないことを 要 求 した また 2012 年 3 月 の 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 も 改 めて 違 法 な 課 金 の 撤 廃 と 石 炭 企 業 の 税 負 担 の 合 理 的 な 確 定 を 強 調 した しかしながら これらの 通 達 や 政 策 もほとんど 効 果 を 上 げることが 出 来 なかった 模 様 であり 違 法 な 各 種 基 金 課 徴 金 は 今 なお 横 行 しているのが 現 状 である 特 に 石 炭 の 需 要 が 増 え 価 格 が 高 騰 する 時 期 においては 石 炭 生 産 地 区 の 地 方 政 府 にとって 石 炭 に 対 する 課 金 は 重 要 な 財 源 の 1 つになっていた 27 中 国 の 行 政 区 分 は 国 家 の 下 に 省 級 の 行 政 単 位 があり さらに 地 級 県 級 郷 級 の 順 に 細 分 化 され ている 地 級 の 行 政 単 位 には 地 級 市 地 区 自 治 州 盟 がある 盟 は 内 モンゴル 自 治 区 特 有 の 行 政 単 位 で 同 自 治 区 内 に 3 つある 28 内 蒙 古 自 治 区 石 炭 価 格 調 節 基 金 徴 収 管 理 実 施 規 則 2009 年 12 月 1 日 施 行 29 陝 西 省 石 炭 価 格 調 節 基 金 徴 収 使 用 管 理 弁 法 の 改 正 問 題 に 関 する 通 達 2006 年 9 月 30 捜 狐 財 経 2011 年 12 月 2 日 31 国 家 発 展 改 革 委 員 会 HP 2011 年 11 月 30 日 25

73 (2) 石 炭 資 源 税 改 革 案 の 浮 上 とその 背 景 2011 年 10 月 の 資 源 税 改 革 において 石 炭 資 源 税 の 従 価 課 税 方 式 の 適 用 が 見 送 られた 理 由 には 当 時 石 炭 価 格 が 高 騰 しており 石 炭 資 源 税 改 革 により 石 炭 価 格 がさらに 高 騰 し 延 いては 全 体 的 な インフレを 招 く 懸 念 があったからである また 国 家 発 展 改 革 委 員 会 が 2011 年 11 月 に 出 した 通 達 は 種 々の 課 徴 金 によって 石 炭 価 格 のさらなる 上 昇 を 避 ける 目 的 もあった ところが 2013 年 に 入 って 石 炭 資 源 税 改 革 の 機 運 が 生 じ 改 革 が 動 き 出 した それには 次 のよ うな 理 由 がある 年 後 半 以 降 石 炭 価 格 が 下 落 し 石 炭 火 力 発 電 企 業 の 逆 さやも 解 消 され 石 炭 資 源 税 の 従 価 税 化 によって 価 格 が 多 少 高 騰 しても 広 範 囲 のインフレをもたらす 懸 念 がなくなった 2 一 方 石 炭 価 格 の 下 落 により 経 営 難 に 陥 った 石 炭 企 業 を 救 済 するため 基 金 課 徴 金 等 の 不 合 理 な 税 制 を 整 理 して 石 炭 企 業 の 負 担 を 減 らすことが 急 務 になった 石 炭 に 課 せられる 課 金 制 度 を 整 理 して 税 に 一 本 化 し 石 炭 企 業 の 税 負 担 を 合 理 的 に 確 定 すると の 原 則 はすでに 2012 年 3 月 の 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 盛 り 込 まれており また 前 出 の 2013 年 9 月 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 も 石 炭 資 源 税 の 従 価 税 化 を 掲 げている (3) 石 炭 資 源 税 改 革 のプランと 動 向 2013 年 に 入 ると 中 国 政 府 は 従 価 税 化 に 向 けた 石 炭 資 源 税 改 革 に 着 手 した 同 年 5 月 国 務 院 は 2013 年 経 済 体 制 改 革 重 点 工 作 の 深 化 に 関 する 意 見 を 示 達 し 重 点 的 に 推 進 すべき 22 項 目 の 改 革 の 一 つに 資 源 税 の 従 価 課 税 の 範 囲 を 石 炭 等 の 課 税 品 目 にも 拡 大 し 石 炭 の 採 掘 と 販 売 に おける 関 連 課 金 と 基 金 を 整 理 する とした さらに 7 月 には 国 土 資 源 部 が 鉱 産 資 源 補 償 費 徴 収 管 理 のさらなる 規 範 化 に 関 する 通 達 を 示 達 し 財 政 部 も 石 炭 を 含 む 資 源 品 目 を 徐 々に 従 価 課 税 の 対 象 とし 税 負 担 水 準 を 適 正 に 引 き 上 げるとした 32 石 炭 資 源 税 改 革 はその 後 財 政 部 税 務 司 が 中 心 になって 立 案 を 進 め 山 西 省 陝 西 省 内 モン ゴル 自 治 区 など 主 要 石 炭 生 産 省 も 意 見 を 提 出 しているとのことである 報 道 によると 石 炭 資 源 税 は 地 方 税 になり 中 央 政 府 が 2~10% 程 度 の 税 率 の 基 準 を 決 めるが 具 体 的 な 税 率 は 省 クラス 政 府 がその 範 囲 内 で 決 定 する 権 限 を 有 することになる 33 なお 石 炭 生 産 地 区 の 地 方 政 府 は 地 元 の 石 炭 企 業 を 救 済 するため すでに 石 炭 に 課 せられる 不 合 理 な 課 徴 金 の 整 理 を 進 めており 石 炭 資 源 税 改 革 への 地 ならしを 行 っている 模 様 である 例 え ば 内 モンゴル 自 治 区 は 石 炭 鉱 山 資 源 補 償 費 の 自 治 区 への 留 保 分 と 炭 鉱 更 新 改 造 基 金 の 2013 年 12 月 末 までの 徴 収 停 止 鉄 道 輸 送 雑 課 徴 金 の 減 免 といった 措 置 を 取 っていた また 内 モンゴル は 前 出 の 石 炭 価 格 調 節 基 金 の 課 金 基 準 も 引 き 下 げ 褐 炭 に 課 す 価 格 調 節 基 金 をトン 8 元 から 6 元 に 引 き 下 げ 価 格 下 落 幅 が 30%に 達 した 場 合 はさらにトン 4 元 に 引 き 下 げることにした ~2020 年 中 国 一 般 炭 市 場 研 究 報 告 p 国 土 資 源 部 ウェブサイト 2014 年 2 月 25 日 34 ロイター 北 京 電 2013 年 9 月 24 日 26

74 石 炭 資 源 税 の 税 率 は 前 述 のように 地 方 政 府 が 2~10%の 範 囲 で 決 定 することになり 近 年 の 石 炭 価 格 をもとに 試 算 すると 資 源 税 の 従 価 税 化 によって 企 業 の 納 税 額 は 上 昇 するに 違 いないが こ れまでの 定 額 従 量 課 税 による 税 負 担 は 不 適 正 なまでに 軽 かった 面 もある 企 業 の 税 負 担 が 全 体 と して 増 大 するかどうかは 資 源 税 の 税 率 によって 左 右 されるが それ 以 上 に 税 改 革 と 一 体 の 各 種 課 徴 金 や 基 金 の 撤 廃 と 整 理 と 進 むかどうかにかかっている 資 源 税 の 改 革 が 進 んでも 課 徴 金 の 整 理 が 進 まなければ 石 炭 企 業 の 税 負 担 が 一 層 重 くなる 可 能 性 もある その 他 石 炭 関 連 政 策 の 最 近 の 動 向 (1) 石 炭 生 産 経 営 に 関 する 行 政 手 続 の 簡 素 化 と 石 炭 取 引 の 市 場 化 促 進 国 務 院 は 2012 年 12 月 に 発 電 用 石 炭 市 場 の 改 革 深 化 に 関 する 指 導 意 見 を 示 達 して 発 電 用 石 炭 価 格 の 二 重 制 度 を 撤 廃 し 石 炭 価 格 の 市 場 化 を 推 進 したが 2013 年 も 石 炭 の 市 場 化 を 推 進 す る 種 々の 政 策 を 推 し 進 めた 一 つは 第 2 章 で 詳 述 する 石 炭 取 引 センターでの 現 物 取 引 や 商 品 取 引 所 での 石 炭 先 物 取 引 の 推 進 そしてもう 一 つが 石 炭 の 生 産 と 経 営 を 対 象 とする 行 政 許 認 可 手 続 き の 簡 略 化 である 従 来 石 炭 生 産 に 従 事 する 企 業 は 採 鉱 許 可 証 安 全 生 産 許 可 証 石 炭 生 産 許 可 証 営 業 ライ センス 炭 鉱 長 資 格 証 炭 鉱 長 安 全 資 格 証 の 6 つの 許 可 証 ( 六 証 と 呼 ばれる)を 取 得 しなけれ ばならなかった 加 えて これらの 許 可 証 を 取 得 しようとする 場 合 相 互 の 前 提 条 件 が 重 複 する など 合 理 的 に 制 度 設 計 が 行 われておらず 例 えば 石 炭 生 産 許 可 証 を 取 得 するには 採 鉱 許 可 証 と 炭 鉱 長 資 格 証 の 取 得 が 前 提 条 件 とされる 一 方 で 安 全 生 産 許 可 証 や 炭 鉱 長 安 全 資 格 の 取 得 に 際 しても 同 様 に 前 提 条 件 にされる 35 など 極 めて 不 合 理 であった 国 務 院 は 2013 年 5 月 15 日 117 項 目 に 及 ぶ 行 政 手 続 の 廃 止 や 簡 素 化 の 方 針 を 定 めた 行 政 審 査 認 可 項 目 等 の 取 り 消 しや 権 限 移 譲 に 関 する 国 務 院 の 決 定 を 公 布 し 石 炭 関 連 については 国 が 管 理 する 鉱 区 で 新 規 炭 鉱 開 発 を 行 う 場 合 生 産 能 力 120 万 トン/ 年 以 下 の 事 業 に 対 する 許 認 可 権 限 を 国 家 発 展 改 革 委 員 会 から 省 レベルの 投 資 事 業 所 管 部 門 に 移 した さらに 2013 年 6 月 に 全 人 代 が 議 決 した 改 正 石 炭 法 は 石 炭 生 産 許 可 証 取 得 の 条 件 を 規 定 した 第 23 条 など 石 炭 生 産 許 可 証 に 関 わる 条 項 を 削 除 して 石 炭 経 営 許 可 証 制 度 を 撤 廃 し 石 炭 生 産 従 事 の 要 件 を 安 全 生 産 許 可 証 の 取 得 に 限 定 した これにより 石 炭 生 産 許 可 証 制 度 は 法 的 根 拠 を 失 った 2013 年 12 月 には 国 家 発 展 改 革 委 員 会 は 石 炭 経 営 監 督 管 理 弁 法 改 正 案 意 見 募 集 版 36 を 公 示 し 公 開 意 見 聴 取 に 付 した 旧 石 炭 経 営 監 督 管 理 弁 法 は 2004 年 に 公 布 されていたが 2013 年 12 月 の 改 正 案 は 2012 年 末 以 降 の 石 炭 市 場 化 の 流 れに 沿 って 石 炭 産 業 の 経 営 に 関 する 行 政 監 督 機 能 や 石 炭 取 引 市 場 システムについて 改 めて 規 定 したものである 35 石 炭 生 産 経 営 許 可 証 撤 廃 の 意 義 新 浪 財 経 2013 年 7 月 1 日 36 和 訊 網 2013 年 7 日 ( 27

75 2004 年 の 石 炭 経 営 監 督 管 理 弁 法 との 大 きな 違 いは 石 炭 産 業 の 経 営 管 理 の 主 体 と 石 炭 産 業 参 入 制 度 について 地 方 政 府 への 監 督 権 限 の 移 管 を 明 確 にするとともに 従 来 の 資 格 審 査 制 から 届 出 制 に 転 換 したことである 石 炭 経 営 監 督 管 理 弁 法 改 正 案 の 第 4 条 において 国 家 発 展 改 革 委 員 会 は 全 国 の 石 炭 経 営 に 対 する 監 督 管 理 の 責 務 を 負 う とし 一 方 県 クラス 以 上 の 地 方 人 民 政 府 の 石 炭 経 営 監 督 管 理 部 門 は 本 行 政 区 域 内 の 石 炭 経 営 に 対 する 監 督 管 理 の 責 務 を 負 う と 規 定 し 第 5 条 は 国 は 石 炭 経 営 監 督 管 理 を 強 化 し 健 全 な 石 炭 取 引 市 場 システムの 育 成 と 健 全 化 を 進 め 供 給 保 障 能 力 を 高 め 経 済 の 平 穏 な 運 営 を 促 進 する としている また 石 炭 産 業 参 入 については 第 6 条 において 石 炭 経 営 に 従 事 する 企 業 は 工 商 登 記 手 続 き を 行 ってから 30 営 業 日 以 内 に 所 在 地 の 同 クラスの 石 炭 経 営 監 督 管 理 部 門 に 届 出 を 行 い 石 炭 経 営 分 野 に 従 事 する 基 本 情 報 を 通 知 しなければならない と 規 定 しており 2013 年 5 月 の 国 務 院 の 決 定 が 体 現 されている なお その 他 にも 石 炭 経 営 監 督 管 理 弁 法 改 正 案 は 行 政 機 関 による 石 炭 供 給 に 対 する 所 定 外 の 課 金 の 禁 止 や 石 炭 経 営 の 不 合 理 な 中 間 プロセスの 撤 廃 とともに 炭 鉱 企 業 と 石 炭 の 大 口 需 要 家 の 長 期 直 接 売 買 契 約 の 奨 励 を 打 ち 出 すなど 全 体 的 に 石 炭 の 市 場 化 を 促 進 する 措 置 を 掲 げて いる 石 炭 生 産 許 可 証 の 撤 廃 には 次 のような 意 義 があるとされる 第 1 に 石 炭 の 市 場 化 をより 一 層 深 めることである 第 2 に 石 炭 生 産 企 業 が 生 産 許 可 の 取 得 に 毎 年 大 きな 労 力 と 費 用 を 払 う 必 要 がなくなり 経 営 に 専 念 できるようになるとともに 企 業 のコスト 削 減 に 寄 与 することである 第 3 に 石 炭 産 業 への 企 業 の 参 入 と 退 出 を 自 由 にすることで 産 業 の 競 争 度 が 高 まることである 37 (2) 輸 入 炭 に 関 する 政 策 規 制 案 中 国 は 国 内 の 石 炭 需 要 が 急 増 していた 2008 年 に 石 炭 輸 入 税 を 撤 廃 したが 2012 年 後 半 以 降 の 石 炭 市 況 の 悪 化 に 伴 い 石 炭 輸 入 を 制 限 せよとの 声 が 出 始 めた 石 炭 輸 入 制 限 構 想 の 背 景 には 第 1 に 輸 入 炭 には 低 品 位 炭 が 多 く その 使 用 によって 大 気 汚 染 など 環 境 問 題 が 大 きいことが 挙 げられる 実 際 前 出 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 においても 石 炭 品 質 管 理 弁 法 を 制 定 して 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 の 石 炭 の 輸 入 を 禁 止 することを 政 策 課 題 に 掲 げている 石 炭 輸 入 制 限 のもう 一 つの 理 由 には 輸 入 炭 増 加 の 影 響 も 重 なって 経 営 難 に 陥 った 国 内 石 炭 企 業 を 救 済 するこ とがある 中 国 の 2013 年 の 褐 炭 輸 入 量 は 5,994 万 トン 前 年 比 10.57% 増 加 した 中 国 が 輸 入 する 褐 炭 のう ちインドネシアの 褐 炭 が 5,768 万 トン 褐 炭 輸 入 総 量 の 96%を 占 め 前 年 比 では 14%の 増 加 にな った 38 一 方 国 家 統 計 局 の 速 報 値 によると 中 国 の 2013 年 の 石 炭 輸 入 量 は( 褐 炭 含 む)3 億 2,708 万 トン 39 であり 石 炭 輸 入 量 のうち 褐 炭 が 17.6%を 占 めたことになる 2013 年 5 月 国 家 能 源 局 は 商 品 炭 品 質 管 理 暫 定 弁 法 の 意 見 募 集 版 を 公 示 するとともに 北 前 掲 石 炭 生 産 経 営 許 可 証 撤 廃 の 意 義 新 浪 財 経 2013 年 7 月 1 日 煤 炭 研 究 網 2014 年 2 月 13 日

76 京 で 座 談 会 を 開 き 大 手 石 炭 企 業 に 意 見 を 求 めた この 弁 法 は 商 品 炭 の 品 質 管 理 と 流 通 秩 序 の 規 範 化 商 品 炭 の 品 質 向 上 クリーン コールの 利 用 促 進 を 趣 旨 とし 商 品 炭 の 生 産 加 工 貯 蔵 輸 送 並 びに 販 売 そして 輸 入 に 従 事 する 企 業 に 等 しく 適 用 される 主 な 規 制 内 容 は 次 の 通 りであ る 1 長 距 離 輸 送 及 び 輸 入 される 一 般 炭 は 全 硫 黄 分 1% 以 下 灰 分 25% 以 下 発 熱 量 19MJ/kg 以 上 という 条 件 に 適 合 しなければならない 2 灰 分 25% 以 上 の 商 品 炭 で 長 距 離 輸 送 を 行 うものについては 販 売 停 止 を 命 令 する 品 質 監 督 部 局 は 不 法 所 得 を 没 収 し 不 法 所 得 の 2 倍 以 上 5 倍 以 下 の 罰 金 に 処 す 販 売 を 停 止 しない 場 合 は 石 炭 経 営 資 格 を 取 り 消 す 3 低 品 位 炭 の 利 用 に 当 たり 灰 分 25% 以 上 の 商 品 炭 は 高 効 率 環 境 保 護 技 術 によって 現 地 で 利 用 する 硫 黄 分 3% 以 下 の 高 硫 黄 炭 は 高 効 率 脱 硫 装 置 及 び 硫 黄 資 源 回 収 装 置 を 備 える 電 力 及 び 化 学 転 換 企 業 に 優 先 的 に 利 用 する 上 述 の 座 談 会 には 神 華 集 団 中 煤 集 団 大 同 煤 鉱 集 団 山 西 焦 煤 集 団 山 東 能 源 集 団 冀 中 能 源 集 団 陝 西 煤 業 集 団 河 南 煤 化 集 団 潞 安 鉱 業 集 団 兗 鉱 集 団 淮 南 鉱 業 集 団 が 出 席 した 40 との ことであるが 当 然 ながら 中 国 国 内 の 石 炭 企 業 は 輸 入 制 限 を 支 持 する 立 場 であり 座 談 会 の 出 席 者 の 陣 容 からも 商 品 炭 品 質 管 理 暫 定 弁 法 が 基 本 的 に 石 炭 輸 入 の 制 限 を 意 図 したものであるこ とが 分 かる 商 品 炭 品 質 管 理 暫 定 弁 法 が 正 式 に 制 定 された 場 合 中 国 が 輸 入 する 海 外 炭 のうち 5 分 の 1 が 輸 入 禁 止 になるとされる つまり 褐 炭 の 輸 入 は 全 て 禁 止 になる 中 国 国 内 で 褐 炭 の 埋 蔵 量 並 びに 生 産 量 が 最 も 大 きいのは 内 モンゴル 自 治 区 であり 特 に 東 部 地 区 は 内 モンゴル 自 治 区 の 褐 炭 生 産 の 約 90%を 占 める 内 モンゴル 東 部 地 区 では 神 華 集 団 霍 林 河 煤 業 伊 敏 煤 電 の 他 にも 電 力 大 手 の 大 唐 国 際 や 中 国 電 力 投 資 集 団 も 褐 炭 の 生 産 を 行 っている 内 モンゴルの 褐 炭 生 産 は 2004 年 以 降 急 速 に 拡 大 し 2011 年 の 伸 び 率 は 24.5%に 達 し 内 モンゴル 東 部 地 区 の 原 炭 生 産 量 の 中 で 褐 炭 は 9.69%を 占 めた 一 方 電 力 業 界 は 輸 入 炭 の 制 限 に 対 して 反 対 の 立 場 である 電 力 企 業 は 石 炭 価 格 高 騰 と 政 府 の 石 炭 輸 入 奨 励 策 を 受 けて 4,000~4,500 キロカロリーの 石 炭 用 に 発 電 所 ボイラーの 設 計 と 改 造 を 進 めてきたが もし 低 カロリー 炭 の 輸 入 が 禁 止 され ボイラーを 再 び 高 品 位 炭 用 に 改 造 する 場 合 巨 額 の 経 費 を 要 することになる そのため 5 大 電 力 集 団 である 中 国 電 力 投 資 集 団 華 能 集 団 大 唐 集 団 華 電 集 団 国 電 集 団 の 5 社 は 連 名 で 国 家 発 展 改 革 委 員 会 に 上 申 書 を 提 出 し 低 カロリ ー 炭 の 輸 入 制 限 に 反 対 した これに 対 し 石 炭 業 界 は 2008 年 の 石 炭 輸 入 税 の 撤 廃 特 に 褐 炭 の 関 税 撤 廃 が 褐 炭 の 大 量 輸 入 をもたらしたとして 輸 入 税 を 復 活 せよとの 立 場 である しかし 財 政 部 は 2013 年 12 月 に 2014 年 関 税 実 施 方 案 を 公 示 し 無 煙 炭 原 料 炭 その 他 瀝 青 炭 など 各 種 石 炭 に 対 してゼロ 関 税 を 引 40 中 国 証 券 報 2013 年 5 月 17 日 29

77 き 続 き 適 用 することを 明 らかにした 石 炭 のゼロ 関 税 継 続 と 増 加 し 続 ける 輸 入 炭 の 圧 力 により 中 国 の 石 炭 産 業 はさらなる 市 場 化 に 向 けた 改 革 を 迫 られる 41 との 見 方 もあるが 中 国 政 府 が 商 品 炭 品 質 管 理 暫 定 弁 法 の 制 定 によって 今 後 石 炭 輸 入 を 制 限 する 可 能 性 もなお 残 されている 2014 年 に 入 っても 石 炭 輸 入 制 限 をめぐる 論 争 は 続 いており 3 月 の 全 人 代 及 び 政 治 協 商 会 議 に おいても 石 炭 輸 入 制 限 をめぐる 意 見 対 立 は 表 面 化 し 一 部 の 石 炭 業 界 出 身 の 全 人 代 代 表 が 低 品 炭 の 輸 入 に 対 する 制 限 を 主 張 する 一 方 電 力 業 界 の 利 益 を 代 弁 する 一 部 の 政 治 協 商 会 議 委 員 等 は 石 炭 の 品 質 基 準 の 厳 格 化 には 賛 同 しつつも 中 国 国 内 の 石 炭 にも 褐 炭 など 低 品 質 のものが 多 いこ と たとえ 輸 入 炭 を 制 限 したとしてもその 代 わりに 国 産 の 褐 炭 など 低 品 位 炭 を 使 うことになれば 環 境 汚 染 の 抑 制 にはつながらないこと 石 炭 輸 送 がもたらす 大 気 汚 染 も 深 刻 であること 石 炭 輸 入 を 制 限 するため 関 税 障 壁 を 設 けることは ASEAN 等 との 自 由 貿 易 の 原 則 に 悖 ること 国 産 炭 よ りも 品 質 が 高 く 価 格 が 安 い 輸 入 褐 炭 を 使 うことは 経 済 的 であり 環 境 保 護 にも 優 れることなどを 挙 げて 石 炭 輸 入 制 限 に 異 を 唱 えた 模 様 である (3) 石 炭 輸 出 関 税 撤 廃 の 動 き 中 国 は 2008 年 国 内 の 石 炭 供 給 が 逼 迫 する 一 方 国 際 価 格 の 上 昇 により 中 国 企 業 の 石 炭 輸 出 が 急 増 していたことから 石 炭 輸 出 税 率 を 引 き 上 げた コークスについては 従 来 の 25%から 40%に 原 料 炭 は 5%から 10%に 引 き 上 げるととともに 瀝 青 炭 にも 新 たに 課 税 して 10%の 輸 出 関 税 率 を 適 用 することにした しかし 2012 年 以 降 中 国 国 内 の 石 炭 需 要 が 伸 び 悩 み 中 国 の 石 炭 企 業 にとって 海 外 への 石 炭 輸 出 を 増 やすことが 活 路 の 一 つになったにも 関 わらず 海 外 石 炭 市 場 の 軟 調 に 加 え 中 国 の 石 炭 が 輸 出 関 税 のため 価 格 面 で 競 争 力 に 乏 しいこともあり 2012 年 の 石 炭 輸 出 量 は 前 年 比 39% 減 の 890 万 トンに 止 まった コークスについては 2013 年 1 月 1 日 より 輸 出 関 税 が 撤 廃 されるとともに 輸 出 枠 割 当 制 度 も 廃 止 されたが その 他 の 石 炭 に 対 する 輸 出 関 税 は 据 え 置 かれた 2013 年 10 月 には 中 国 の 関 係 政 府 部 門 が 2014 年 1 月 より 石 炭 輸 出 税 を 撤 廃 することを 検 討 し ていることが 報 道 された 石 炭 輸 出 税 の 撤 廃 は 石 炭 企 業 の 救 済 や 国 内 の 石 炭 供 給 のバランスを 取 ることが 目 的 とされ 輸 出 税 が 撤 廃 された 場 合 中 国 の 石 炭 価 格 はオーストラリアよりも 優 位 に なり 韓 国 日 本 台 湾 の 市 場 を 取 り 戻 すことが 出 来 る 42 との 見 方 があるが 2014 年 2 月 末 現 在 石 炭 輸 出 税 が 撤 廃 されたという 発 表 はない 実 際 には 中 国 が 輸 出 税 を 撤 廃 し 石 炭 企 業 が 輸 出 を 増 やせば 供 給 過 剰 気 味 の 国 際 石 炭 市 場 において 価 格 が 下 がって 中 国 沿 海 部 の 石 炭 輸 入 が 一 層 急 増 し その 結 果 中 国 国 内 の 石 炭 価 格 新 華 網 2013 年 12 月 21 日 中 国 日 報 網 2013 年 10 月 12 日 30

78 のさらなる 下 落 を 招 く 懸 念 もある 43 石 炭 産 業 にとって 輸 出 税 撤 廃 をめぐるジレンマは 大 きい また 中 国 の 石 炭 輸 出 は 割 当 制 度 が 適 用 されており 輸 出 を 許 可 されているのは 中 煤 能 源 集 団 山 西 石 炭 輸 出 入 集 団 神 華 集 団 五 鉱 集 団 の 4 社 だけである いずれも 大 手 国 有 企 業 であり 石 炭 輸 出 は 国 営 管 理 貿 易 の 名 残 を 留 めている 結 局 石 炭 輸 出 関 税 を 撤 廃 しても 恩 恵 を 受 ける 企 業 は 限 られ 石 炭 業 界 の 景 気 底 上 げにはならないというのが 大 方 の 見 方 である しかし 石 炭 輸 出 割 当 管 理 弁 法 に 基 づく 石 炭 輸 出 割 当 制 度 には 変 更 はなく 国 家 発 展 改 革 委 員 会 の 2014 年 2 月 の 行 政 許 認 可 事 項 リスト においても 石 炭 輸 出 枠 は 行 政 許 可 事 項 とされた 44 石 炭 輸 出 を 増 やすことによって 石 炭 企 業 の 救 済 を 図 ろうとするなら 最 終 的 には 輸 出 割 当 制 度 を 撤 廃 し 市 場 規 律 に 基 づき 公 平 な 環 境 の 下 での 企 業 競 争 を 実 現 すること 求 められるが 輸 出 割 当 制 度 撤 廃 の 主 張 はあるものの 政 府 において 撤 廃 の 兆 しは 未 だ 見 られない (4) 石 炭 産 業 構 造 調 整 と 集 中 度 の 向 上 前 述 のように 2012 年 3 月 に 公 布 された 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 2015 年 までに 全 国 石 炭 企 業 数 を 4,000 社 以 内 に 抑 え 平 均 規 模 を 年 産 100 万 トン 以 上 に 引 き 上 げるとしている 2012 年 8 月 発 展 改 革 委 員 会 は 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 2012 年 度 実 施 方 案 を 通 達 し 2012 年 の 目 標 を 次 のように 定 めた 年 の 石 炭 生 産 量 を 36.5 億 トンに 抑 制 する 年 の 全 国 炭 鉱 企 業 数 を 8,000 社 以 内 に 抑 え 平 均 規 模 を 年 産 45 万 トン 前 後 にする 3 大 型 企 業 による 広 域 の 合 併 再 編 を 支 援 し 2012 年 中 に 1 億 トンクラスの 石 炭 企 業 を 7 社 5,000 万 トンクラスの 企 業 を 12 社 形 成 し これら 大 手 企 業 の 石 炭 生 産 量 が 53% 以 上 を 占 めるように する 大 手 石 炭 企 業 を 主 体 に 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 を 推 進 する 4 小 規 模 炭 鉱 の 撤 退 の 仕 組 みを 整 備 し 2012 年 に 625 ヵ 所 の 炭 鉱 年 産 2,347 万 トン 相 当 の 老 朽 化 生 産 能 力 を 淘 汰 する こうして 積 年 の 問 題 でもある 石 炭 産 業 構 造 の 調 整 はもとより 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 盛 り 込 まれて いたが その 後 2012 年 後 半 以 降 石 炭 需 要 の 伸 びの 減 速 や 価 格 の 低 下 石 炭 企 業 の 赤 字 拡 大 な どにより 石 炭 業 界 の 好 況 時 には 潜 在 していた 石 炭 産 業 の 生 産 能 力 過 剰 問 題 が 一 気 に 露 呈 され 石 炭 産 業 の 構 造 調 整 を 急 ぐことがますます 迫 られることになった こうした 課 題 を 達 成 するため 第 1 に 石 炭 産 業 参 入 基 準 の 厳 格 化 第 2 に 小 炭 鉱 閉 鎖 第 3 に 石 炭 企 業 の 再 編 と 大 規 模 化 や 大 型 石 炭 産 業 基 地 建 設 の 面 で 政 策 が 打 ち 出 された 石 炭 産 業 参 入 基 準 の 厳 格 化 の 面 では 国 家 能 源 局 煤 炭 司 は 2013 年 2 月 石 炭 産 業 政 策 改 定 四 川 日 報 網 2013 年 10 月 17 日 中 国 中 央 政 府 ウェブサイト 2014 年 2 月 16 日 中 国 能 源 網 2012 年 8 月 16 日 31

79 案 の 意 見 募 集 版 46 を 公 示 し 大 型 現 代 化 炭 鉱 の 建 設 小 炭 鉱 の 閉 鎖 石 炭 産 業 参 入 基 準 の 引 き 上 げ や 合 併 再 編 の 奨 励 を 打 ち 出 した 石 炭 産 業 政 策 は 産 業 の 集 中 度 向 上 を 掲 げ 炭 鉱 企 業 の 最 低 規 模 について 地 区 別 に 基 準 を 設 け 山 西 内 モンゴル 陝 西 北 部 は 年 産 300 万 トン 以 上 福 建 江 西 湖 北 湖 南 広 西 重 慶 四 川 等 は 30 万 トン 以 上 その 他 の 地 区 は 60 万 トン 以 上 とした さらに 国 務 院 弁 公 庁 は 2013 年 11 月 石 炭 産 業 の 安 定 運 営 促 進 に 関 する 指 導 意 見 47 を 通 達 した 同 意 見 書 は 構 造 的 な 生 産 能 力 の 過 剰 価 格 石 炭 企 業 の 赤 字 といった 問 題 の 解 決 に 向 け 石 炭 生 産 量 の 無 秩 序 な 増 大 を 断 固 抑 制 するとして 石 炭 総 量 を 科 学 的 に 調 節 すること 新 規 炭 鉱 の 参 入 基 準 を 厳 格 化 することを 打 ち 出 し 年 産 30 万 トン 以 下 の 炭 鉱 や 年 産 90 万 トン 以 下 の 石 炭 ガス 突 出 坑 井 の 新 規 建 設 の 許 認 可 を 停 止 するとした これは 石 炭 産 業 政 策 改 定 案 意 見 募 集 版 が 示 した 主 要 産 炭 区 以 外 の 新 規 炭 鉱 参 入 基 準 を 一 律 に 引 き 上 げるという 方 針 である 一 方 小 炭 鉱 閉 鎖 の 面 では 国 務 院 は 炭 鉱 安 全 生 産 対 策 のさらなる 強 化 に 関 する 意 見 48 を 公 布 し 老 朽 化 小 炭 鉱 の 閉 鎖 を 急 ぎ 2015 年 末 までに 全 国 で 2,000 ヵ 所 以 上 の 小 炭 鉱 を 閉 鎖 するこ とを 打 ち 出 した 同 意 見 書 は 安 全 生 産 条 件 を 具 備 しない 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 の 閉 鎖 を 重 点 的 に 進 めること 石 炭 炭 鉱 ガス 噴 出 など 災 害 の 深 刻 な 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 の 閉 鎖 を 加 速 さ せ 比 較 的 大 きい 事 故 が 発 生 した 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 は 断 固 閉 鎖 するとした 石 炭 企 業 の 再 編 と 大 型 化 の 面 では 2014 年 1 月 に 全 国 エネルギー 工 作 会 議 が 決 定 した 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 (1.5 節 参 照 )において 大 型 石 炭 基 地 14 ヵ 所 を 建 設 すること 2014 年 の 大 型 石 炭 基 地 の 生 産 量 を 34.6 億 トンとし 全 国 総 生 産 量 の 91.1%とすることが 打 ち 出 された なお 石 炭 産 業 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 大 型 石 炭 基 地 14 ヵ 所 の 建 設 を 打 ち 出 したが 全 国 総 生 産 量 の 中 のシェアについては 言 及 していなかったが 草 案 の 段 階 で 90% 以 上 するとの 案 もあった 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 は 改 めて 大 型 石 炭 基 地 14 ヵ 所 の 生 産 量 のシェアについて 石 炭 産 業 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 草 案 の 段 階 よりもほぼ 1 ポイント 高 い 目 標 を 設 定 したことになる また 後 述 する 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 は 2014 年 中 に 年 産 能 力 30 万 トン 以 下 の 炭 鉱 と 90 万 トン 以 下 の 石 炭 ガス 突 出 坑 井 の 新 規 建 設 の 許 認 可 を 停 止 するとして 2013 年 3 月 の 石 炭 産 業 政 策 改 定 案 の 方 針 を 踏 襲 したが 2014 年 の 具 体 的 な 数 値 目 標 として 全 国 の 老 朽 化 石 炭 生 産 能 力 3,000 万 トンを 淘 汰 し 炭 鉱 企 業 数 を 5,500 社 以 下 に 減 らす ことを 打 ち 出 した 前 出 の 石 炭 産 業 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 2015 年 までに 全 国 石 炭 企 業 数 を 4,000 社 以 内 に 抑 える 目 標 を 掲 げているので 2014 年 中 に 石 炭 企 業 を 5,500 社 に 減 らしたとしても 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 石 炭 企 業 数 抑 制 目 標 を 達 成 するには 2015 年 中 にさらに 5,500 社 の 3 割 弱 に 当 たる 1,500 社 を 減 らさな ければならない 小 炭 鉱 の 淘 汰 はこれまで 生 産 の 安 全 性 向 上 を 主 眼 にしていたが 石 炭 需 要 の 減 少 により 石 炭 生 産 能 力 過 剰 の 深 刻 化 が 露 呈 し その 過 剰 生 産 能 力 の 解 消 が 急 務 になった そのため 中 国 は 小 国 家 能 源 局 ウェブサイト 2013 年 2 月 4 日 国 家 煤 炭 工 業 網 2013 年 11 月 27 日 中 央 政 府 ウェブサイト 2013 年 10 月 12 日 32

80 炭 鉱 の 閉 鎖 石 炭 産 業 参 入 基 準 の 引 き 上 げと 小 規 模 炭 鉱 の 新 規 建 設 に 対 する 許 認 可 の 制 限 等 の 装 置 を 講 じるとともに 石 炭 生 産 の 大 規 模 化 や 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 大 型 基 地 や 大 手 企 業 への 石 炭 生 産 の 集 中 を 加 速 させることになった (5) 石 炭 物 流 能 力 の 拡 大 とシステムの 整 備 石 炭 物 流 流 通 システムの 拡 大 と 改 善 については 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 において も 主 要 任 務 の 一 つに 掲 げられていたが 2012 年 後 半 以 降 の 国 内 石 炭 価 格 の 下 落 や 近 年 の 輸 入 炭 の 急 増 によって 中 国 の 石 炭 コストの 高 さが 改 めて 露 呈 され 特 に 前 掲 の 不 合 理 な 各 種 課 徴 金 や 不 合 理 な 物 流 システムがクローズアップされて 早 急 な 問 題 解 決 が 求 められることになった 石 炭 物 流 能 力 の 強 化 やコストの 低 減 に 当 たっては 単 に 輸 送 能 力 の 拡 大 のみならず 鉄 道 輸 送 費 の 合 理 化 や 流 通 システムにおける 中 間 コストの 削 減 全 体 として 物 流 システムの 合 理 化 が 不 可 欠 である そのため 2013 年 12 月 国 務 院 は 石 炭 物 流 産 業 を 対 象 とする 初 めての 専 門 計 画 とし て 石 炭 物 流 発 展 計 画 49 を 公 布 した 石 炭 物 流 発 展 計 画 は 鉄 道 による 石 炭 輸 送 ルートの 建 設 を 強 化 とともに 石 炭 物 流 インフ ラの 整 備 大 型 石 炭 物 流 企 業 の 育 成 石 炭 物 流 サービスシステムの 健 全 化 石 炭 物 流 サービス 能 力 の 向 上 石 炭 物 流 化 学 の 発 展 促 進 などを 提 唱 しており 具 体 的 な 目 標 として 大 型 石 炭 備 蓄 配 送 基 地 11 ヵ 所 と 年 間 流 通 規 模 2,000 万 トンの 物 流 パーク 30 ヵ 所 の 建 設 を 打 ち 出 している また 現 代 的 大 型 石 炭 物 流 企 業 を 育 成 し いくつかの 石 炭 取 引 市 場 を 建 設 して 2020 年 には 現 代 的 石 炭 物 流 システムを 基 本 的 に 形 成 するとしている 49 煤 炭 工 業 網 2014 年 1 月 10 日 33

81 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 における 石 炭 関 連 政 策 と 目 標 の 再 修 正 2014 年 1 月 13 日 国 家 能 源 局 が 開 いた 全 国 エネルギー 工 作 会 議 50 は 2014 年 の 重 点 対 策 として エネルギー 消 費 総 量 の 速 すぎる 増 加 を 抑 制 すること 大 型 石 炭 基 地 や 大 型 石 炭 火 力 発 電 基 地 西 電 東 送 送 電 ルート 12 本 の 建 設 を 重 点 的 に 推 進 すること エネルギーをめぐる 国 際 協 力 を 深 める ことなど 主 に 10 項 目 の 対 策 を 掲 げ 1 月 20 日 国 家 能 源 局 は 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 51 を 発 表 した 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 の 数 値 目 標 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 が 掲 げる 2014 年 の 数 値 目 標 については 1.2 節 においても 若 干 言 及 したが その 中 で 石 炭 関 連 の 具 体 的 な 数 値 目 標 は 以 下 のようになる (1) エネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 重 を 65% 以 下 とする (2) 華 北 地 区 の 石 炭 消 費 削 減 量 について 北 京 市 300 万 トン 天 津 市 200 万 トン 河 北 省 800 万 トン 山 東 省 400 万 トンとして 合 計 1,700 万 トン 削 減 する (3) 大 型 石 炭 基 地 14 ヵ 所 を 建 設 する 2014 年 の 大 型 石 炭 基 地 の 生 産 量 を 34.6 億 トン 全 国 総 生 産 量 の 91.1%とする (4) 年 産 能 力 30 万 トン 以 下 の 炭 鉱 と 90 万 トン 以 下 の 石 炭 ガス 突 出 坑 井 の 新 規 建 設 の 許 認 可 を 停 止 する (5) 2014 年 に 全 国 の 老 朽 化 石 炭 生 産 能 力 3,000 万 トンを 淘 汰 し 炭 鉱 企 業 数 を 5,500 社 以 下 に 減 らす 前 述 のように 2013 年 9 月 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 比 率 の 引 き 下 げ 目 標 として 2017 年 に 65% 以 下 とするとしていたが これは 2012 年 3 月 の 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 2015 年 までに 65% 以 下 に 下 げるとの 目 標 よりも 後 退 していた 然 るに 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 は 改 めて 2014 年 に 65% 以 下 とする 目 標 を 打 ち 出 した これは 65%に 引 き 下 げる 目 標 を 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 に 比 べ 3 年 前 倒 しで 達 成 し エネルギー 発 展 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 比 べても 1 年 前 倒 しで 達 成 するものである 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 において 後 退 していた 65%への 石 炭 消 費 比 率 引 き 下 げ 目 標 を 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 において 前 倒 しで 進 めることになったことについては 以 下 の 理 由 が 考 えられる 第 1 に 2013 年 から 2014 年 の 冬 季 における 中 国 の 大 気 汚 染 が 一 層 深 刻 化 し 健 康 被 害 や 観 光 客 の 減 少 など 現 実 的 な 影 響 が 予 想 以 上 に 大 きかったこと 第 2 に 中 国 の 大 気 汚 染 に 対 する 国 内 外 からの 批 判 が 強 まり 中 国 政 府 として 大 気 汚 染 防 止 への 取 り 組 み 強 化 を 強 調 しな ければならなくなったこと 第 3 に 最 近 の 中 国 経 済 の 減 速 予 想 とそれに 伴 う 石 炭 需 要 の 伸 び 率 の 予 想 を 下 方 修 正 せざるを 得 なくなったこと 第 4 に もともと 2012 年 のエネルギー 消 費 総 量 に 占 50 新 華 網 2014 年 2 月 11 日 呉 新 雄 :2014 年 のエネルギー 工 作 は 主 に 10 の 重 点 に 取 り 組 み 方 式 の 転 換 構 造 調 整 を 進 め 改 革 を 促 進 せよ 2014 年 全 国 エネルギー 工 作 会 議 における 講 話 (2014 年 1 月 13 日 ) ( 51 国 家 能 源 局 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 2014 年 1 月 20 日 34

82 める 石 炭 の 比 率 が 66.6%にまで 下 がっており さらに 2014 年 1 月 のエネルギー 工 作 会 議 の 時 点 で 2013 年 におけるその 比 率 が 2012 年 より 0.9 ポイント 低 い 65.7%に 下 がったとの 見 通 し 52 が 出 てお り 2014 年 中 に 65%に 引 き 下 げる 目 途 が 付 いたであろうことなどが 挙 げられる 石 炭 火 力 発 電 基 地 の 建 設 と 対 外 送 電 ルートの 敷 設 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 が 打 ち 出 した 2014 年 の 対 策 として 注 目 されるのは 石 炭 生 産 地 区 における 大 型 石 炭 火 力 発 電 基 地 の 建 設 と 主 要 電 力 消 費 地 への 高 圧 送 電 ルート 12 本 の 敷 設 並 びに 対 外 送 電 能 力 の 向 上 である 同 会 議 は 以 下 のような 政 策 を 提 唱 している (1) 新 疆 内 モンゴル 山 西 寧 夏 等 の 石 炭 資 源 集 中 地 区 において 大 型 石 炭 火 力 発 電 所 ( 群 ) を 建 設 する (2) オルドス シリンゴル 盟 晋 北 ( 山 西 北 部 ) 晋 中 ( 山 西 中 部 ) 晋 東 ( 山 西 東 ) 陝 北 ( 陝 西 北 部 ) 寧 東 ( 寧 夏 東 部 ) ハミ 准 東 (ジュンガル 盆 地 東 部 )に 対 外 送 電 を 主 とする 1,000 万 kw 級 石 炭 火 力 発 電 基 地 を 建 設 し 低 カロリー 炭 による 発 電 を 推 進 する (3) オルドス 山 西 シリンゴル 盟 のエネルギー 基 地 から 華 北 華 中 華 東 地 区 の 送 電 ルートの 建 設 を 急 ぐ (4) 内 モンゴル 西 部 ~ 天 津 南 シリンゴル 盟 ~ 山 東 シリンゴル 盟 ~ 江 蘇 寧 東 ~ 浙 江 准 東 ~ 華 東 の 12 本 の 対 外 送 電 ルートを 建 設 し 省 自 治 区 の 境 を 超 える 送 電 能 力 を 向 上 させる 石 炭 生 産 地 区 に 大 型 火 力 発 電 所 を 建 設 し 華 北 等 への UHV 送 電 線 を 敷 設 して 石 炭 生 産 地 と 電 力 消 費 地 を 結 ぶというプランは 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 や 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 でも 若 干 言 及 されている 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は UHV など 大 容 量 長 距 離 送 電 技 術 の 開 発 広 域 送 電 網 の 開 発 大 型 山 元 発 電 所 の 建 設 ボタ 等 の 総 合 利 用 発 電 所 の 建 設 を 打 ち 出 し 2012 年 3 月 の 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は 石 炭 と 電 力 の 一 体 的 発 展 構 造 の 形 成 や 内 モンゴル 東 部 の 褐 炭 鉱 区 における 石 炭 と 発 電 事 業 の 一 体 的 開 発 を 掲 げていた しかし いずれの 計 画 でも 石 炭 生 産 地 区 における 石 炭 火 力 発 電 開 発 と 長 距 離 送 電 を 系 統 的 に 計 画 する 要 素 に 欠 け 具 体 性 は 乏 しかった 石 炭 産 業 発 展 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 は むしろ 鉄 道 による 石 炭 輸 送 ルートの 建 設 や 石 炭 積 み 出 し 港 の 整 備 に 重 点 を 置 いており また 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 においても 需 要 サ イドが 燃 料 を 石 炭 から 転 換 する 方 策 の 一 つとして 域 外 からの 送 電 受 入 の 比 率 を 高 めることを 挙 げるに 止 まっていた これより 先 国 家 電 網 公 司 はすでに 長 距 離 UHV 送 電 ルートの 建 設 を 進 めている 国 家 電 網 公 司 は 2014 年 の 目 標 として シリンゴル 盟 - 棗 庄 や 蒙 西 - 天 津 南 靖 辺 - 濰 坊 等 の UHV 交 流 送 電 プ ロジェクトを 国 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 に 盛 り 込 むこと UHV 6 交 4 直 プロジェク ト すなわち シリンゴル 盟 ( 内 モンゴル)- 南 京 ( 江 蘇 省 ) 蒙 西 ( 内 モンゴル)- 長 沙 淮 南 - 南 京 - 上 海 雅 安 - 皖 南 浙 北 - 福 州 陝 北 - 濰 坊 ( 山 東 省 )の 6 本 の UHV 交 流 送 電 線 4 直 とは 溪 洛 渡 - 浙 西 寧 東 ( 寧 夏 )- 浙 江 シリンゴル 盟 ( 内 モンゴル)- 泰 州 蒙 西 ( 内 モンゴ ル)- 武 漢 の 4 本 の UHV 直 流 送 電 線 )の 承 認 を 得 て 着 工 することを 掲 げており そのため 但 し 2014 年 2 月 24 日 に 国 家 統 計 局 が 発 表 した 統 計 速 報 では 2013 年 のエネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 は 2012 年 と 同 じ 66.6%であった 35

83 年 の 電 力 グリッド 投 資 を 前 年 比 20% 増 の 3,815 億 元 とする 計 画 である 53 国 家 電 網 の UHV 送 電 ル ート 計 画 の 中 で 主 要 石 炭 生 産 地 を 起 点 とするものは シリンゴル 盟 - 南 京 蒙 西 - 長 沙 陝 北 - 濰 坊 寧 東 - 浙 江 シリンゴル 盟 - 泰 州 蒙 西 - 武 漢 の 6 本 を 数 え 中 でも 内 モンゴルを 起 点 と するものは 4 本 になる 国 家 電 網 公 司 の UHV 送 電 事 業 は 中 国 西 北 部 の 石 炭 火 力 発 電 及 び 風 力 発 電 等 の 再 生 可 能 エネル ギー 電 力 や 中 国 西 南 部 の 水 力 発 電 による 電 力 を 電 力 消 費 地 に 向 けて 長 距 離 送 電 を 行 うものであり 特 に 西 北 部 の 石 炭 火 力 発 電 からの UHV 送 電 事 業 については 国 家 電 網 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 を 追 い 風 にして 事 業 の 承 認 獲 得 と 建 設 を 加 速 させようとしている 2014 年 エネルギー 工 作 指 導 意 見 で 計 画 が 盛 り 込 まれた 12 本 の 送 電 ルートのうち 11 本 を 国 家 電 網 公 司 が 建 設 と 運 営 を 担 当 し その 中 で UHV 直 流 が 4 本 UHV 交 流 が 4 本 500kV 高 圧 送 電 線 が 3 本 になる 国 家 電 網 公 司 は 数 年 前 から UHV 送 電 線 の 計 画 と 建 設 を 進 めてきたが 国 家 能 源 局 が UHV 送 電 ルートの 建 設 を 明 確 に 打 ち 出 したのは この 2014 年 エネルギー 指 導 意 見 が 初 めてに なる 54 石 炭 生 産 地 区 を 起 点 とする 具 体 的 な UHV 事 業 計 画 についても すでに 国 家 電 網 公 司 から 発 展 改 革 委 員 会 や 能 源 局 のレベルにおいて 討 議 が 進 んでおり 内 モンゴルを 起 点 とする 蒙 西 ~ 山 東 蒙 西 ~ 天 津 南 シリンゴル 盟 ~ 山 東 シリンゴル 盟 ~ 江 蘇 の 4 本 のルートが 2014 年 中 に 承 認 されるとされ その 建 設 費 は 合 計 800 億 元 に 上 るとのことである 一 方 地 方 レベルにおいても 石 炭 火 力 発 電 の 拠 点 や UHV 送 電 ルートの 起 点 になる 主 要 石 炭 生 産 地 区 のうち 内 モンゴル 自 治 区 と 山 西 省 はそれぞれの 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 プランの 中 で 石 炭 火 力 発 電 基 地 や SNG 基 地 の 建 設 石 炭 輸 送 から 電 力 ガス 等 への 転 化 と 送 電 パイプライン 輸 送 への 転 換 対 外 送 電 の 拡 大 などを 対 策 として 掲 げており また 陝 西 省 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 プランには 盛 り 込 んでいないものの 陝 北 エネルギー 化 学 産 業 基 地 の 建 設 CTL や SNG と ともに 石 炭 から 電 力 への 転 化 及 び 西 電 東 送 を 推 進 している 一 方 北 京 市 や 河 南 省 など 遠 距 離 送 電 による 電 力 導 入 を 大 気 汚 染 防 止 対 策 に 盛 り 込 んでいる 電 力 ( 石 炭 ) 需 要 地 もある( 第 7 章 参 照 ) また 石 炭 生 産 地 からの 送 電 に 密 接 に 関 連 する 政 策 措 置 として 商 品 炭 の 品 質 管 理 (1.4.2 節 参 照 )の 見 地 から 低 品 位 炭 の 長 距 離 輸 送 に 対 する 制 限 の 動 きも 浮 上 ししており 国 家 能 源 局 が 起 草 中 の 前 出 の 石 炭 品 質 管 理 弁 法 案 において 褐 炭 については 16.50MJ/kg( 約 3,946 キロカロ リー) 以 下 その 他 の 炭 種 については 18 MJ/kg( 約 4,300 キロカロリー) 以 下 の 国 産 炭 の 長 距 離 輸 送 (600 キロ 以 上 )に 対 する 規 制 が 検 討 されている この 法 案 が 成 立 した 場 合 石 炭 生 産 地 か ら 沿 海 地 区 へ 輸 送 される 低 カロリー 炭 に 影 響 が 及 ぶと 予 想 されている 55 が その 反 面 この 条 項 が 成 立 すれば 石 炭 生 産 地 からの 送 電 事 業 を 加 速 させることになるだろう エネルギー 工 作 指 導 意 見 が 石 炭 生 産 地 区 における 大 型 石 炭 火 力 発 電 基 地 9 ヵ 所 の 建 設 とともに 中 国 産 業 研 究 網 2014 年 2 月 11 日 新 華 網 2014 年 2 月 27 日 捜 狐 証 券 2014 年 2 月 27 日 36

84 内 モンゴルや 山 西 省 等 の 石 炭 生 産 地 からの UHV など 高 圧 送 電 ルートの 建 設 を 国 家 レベルの 政 策 として 明 確 に 打 ち 出 したことは 中 国 の 都 市 部 の 大 気 汚 染 対 策 が 待 ったなしの 切 迫 した 問 題 にな っていることを 示 している 37

85 第 2 章 中 国 の 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 現 状 と 課 題 2.1 中 国 炭 の 価 格 動 向 中 国 石 炭 価 格 指 数 の 推 移 中 国 石 炭 価 格 指 数 (China Coal Price Index,CCPI)は 中 国 石 炭 工 業 協 会 及 び 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 が 作 成 する 石 炭 価 格 指 数 で 2006 年 に 制 定 され 2012 年 7 月 から 毎 週 一 般 公 開 されている 2006 年 1 月 1 日 を 基 準 値 (100)とした 指 数 で 中 国 の 石 炭 価 格 動 向 を 把 握 するバロメーターの 一 つになっている CCPI は 2011 年 10 月 に 203 を 記 録 した 後 一 時 的 な 上 昇 は 見 られたものの 2014 年 3 月 上 旬 ま で 総 体 的 に 下 げが 続 いている 特 に 2012 年 6 月 末 から 大 幅 下 落 し 2013 年 7 月 中 旬 ~11 月 上 旬 まで 160 を 切 った 後 年 末 にかけて 一 旦 は 160 台 に 戻 したが 2014 年 初 から 2 月 末 まで 再 び 下 落 した ちなみに 2013 年 10 月 上 旬 に 記 録 した 同 年 の 最 低 値 は 2008 年 のリーマンショッ ク 直 後 とほぼ 同 レベルの 値 である なお 2012 年 2013 年 とも 10 月 中 旬 ~ 年 末 にかけて 価 格 指 数 が 一 時 的 に 上 昇 しているが これは 暖 房 用 石 炭 の 冬 季 需 要 期 に 入 ったこと 国 際 市 場 価 格 の 上 昇 に 連 動 したためと 推 察 される ( 出 所 ) 国 家 石 炭 産 業 網 ( CCPI データをもとに 作 成 図 中 国 石 炭 価 格 指 数 ( 全 国 総 合 指 数 )の 推 移 (2012 年 4 月 ~2014 年 2 月 ) 一 般 炭 中 国 の 一 般 炭 主 産 地 は 華 北 地 域 と 西 北 地 域 に 集 中 している 主 要 生 産 企 業 には 神 華 集 団 中 国 中 煤 能 源 集 団 大 同 煤 鉱 集 団 山 西 焦 煤 集 団 陝 西 煤 業 化 工 河 南 煤 業 化 工 冀 中 能 源 集 団 な どがある 最 大 の 消 費 産 業 は 電 力 産 業 56 で 冶 金 建 材 (セメント 板 硝 子 など) 石 炭 化 学 (ア 56 本 報 告 書 第 3 章 3.2 を 参 照 (2012 年 の 産 業 別 一 般 炭 消 費 量 では 電 力 が 55%で 最 大 ) また 中 国 電 力 企 業 連 合 会 の 王 志 軒 秘 書 長 は 2050 年 まで 中 国 では 毎 年 40 億 トン 規 模 の 発 電 用 石 炭 ( 原 炭 )が 消 費 されると 述 べている ( 東 煤 交 易 (ecoal china) 雑 誌 2014 年 1 月 号 P14) 38

86 ンモニア CTO など) 産 業 の 需 要 も 大 きい このため 中 国 の 経 済 発 展 に 伴 い 近 年 は 一 般 炭 の 需 要 が 拡 大 している ( 一 般 炭 の 需 給 動 向 に 関 しては 第 3 章 及 び 第 4 章 を 参 照 ) (1) 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)の 推 移 秦 皇 島 港 は 世 界 最 大 の 石 炭 出 荷 港 バラ 荷 埠 頭 であり 中 国 の 北 煤 南 運 57 の 中 枢 港 湾 となっ ている このため 華 北 地 域 や 東 南 沿 海 部 の 発 電 用 石 炭 市 場 の 需 給 状 況 を 反 映 した 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 や 環 渤 海 一 般 炭 価 格 指 数 (Bohai-Rim Steam-Coal Price Index, BSPI) 58 は 中 国 の 一 般 炭 の 価 格 動 向 を 把 握 するためのバロメーターとして 中 国 内 のみならず 世 界 市 場 でも 参 考 にされ ている なお 後 述 する 鄭 州 商 品 取 引 所 の 一 般 炭 先 物 取 引 でも 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)が 参 考 値 として 活 用 されている 59 図 は 過 去 3 年 (2011 年 ~2013 年 )の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)の 推 移 で ある 2011 年 に 767 元 /トン~853 元 /トンで 変 動 した 一 般 炭 価 格 は 2012 年 初 の 797 元 /トン( 同 年 最 高 値 )から 緩 やかに 下 げた 後 6 月 末 から 急 落 し 8 月 14 日 には 626 元 /トン( 同 年 最 低 値 ) となり 以 後 年 末 まで 650 元 を 切 り 続 けた 2013 年 も 年 初 の 633 元 /トンから 下 げ 続 け 7 月 以 降 は 下 げ 幅 が 拡 大 し 600 元 /トンを 切 った 10 月 に 入 ると 冬 季 暖 房 用 の 石 炭 需 要 期 を 迎 え ま た 国 際 市 場 の 一 般 炭 価 格 上 昇 に 連 動 して 10 月 9 日 の 530 元 から 12 月 25 日 の 631 元 まで 12 週 連 続 で 急 上 昇 (101 元 /トン 増 上 昇 率 19.05%の 急 騰 )した しかし 2014 年 初 より 再 び 下 げに 転 じ 2 月 26 日 (559 元 /トン)まで 7 週 連 続 トンあたり 72 元 下 落 しており 今 後 も 下 落 が 続 く と 予 測 されている 石 炭 市 場 関 係 者 は 神 華 集 団 や 中 煤 集 団 などの 石 炭 大 手 が 価 格 引 き 下 げに 踏 み 切 った 60 影 響 が 大 きいと 見 ている 61 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 の 過 去 3 年 の 平 均 価 格 は 2011 年 817 元 /トン 2012 年 707 元 /トン 2013 年 590 元 /トンであった 2012 年 の 平 均 価 格 は 2011 年 比 で 110 元 /トン 下 落 し 更 に 2013 年 には 2012 年 比 で 117 元 /トン 下 落 した 石 炭 価 格 は 生 産 コスト 割 れレベルまで 下 落 し 石 炭 生 産 企 業 を 苦 しめている ちなみに 産 炭 地 である 内 モンゴル 自 治 区 でも 2012 年 10 月 以 降 炭 価 の 下 落 が 続 いており 2013 年 の 高 カロリー 炭 の 山 元 価 格 は 年 平 均 270 元 /トン(2012 年 比 80 元 /トン 下 落 ) 東 部 地 域 の 褐 炭 価 格 も 年 平 均 170 元 /トン(2012 年 比 30 元 下 落 )に 値 下 がりしたため 同 自 治 区 内 の 赤 字 企 業 は 24%に 損 失 額 は 40 億 6,000 万 元 に 達 したという 62 また 産 炭 地 の 山 西 省 でも 石 炭 企 業 の 収 益 は 2012 年 比 55.37% 減 の 232 億 2,800 万 元 に 落 ち 込 んだという 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 4.7 石 炭 の 輸 送 状 況 を 参 照 58 北 方 主 要 石 炭 積 出 港 6 港 ( 秦 皇 島 港 天 津 港 曹 妃 甸 港 京 唐 港 国 投 京 唐 港 黄 驊 港 )の 直 物 価 格 を 反 映 する 中 国 の 一 般 炭 価 格 の 基 準 指 数 59 鄭 州 商 品 取 引 所 の 一 般 炭 先 物 取 引 PR 資 料 60 神 華 集 団 は 環 渤 海 港 湾 の 一 般 炭 価 格 を 2 度 にわたり 大 幅 に 引 き 下 げた ( 61 証 券 日 報 2014 年 1 月 28 日 ( 62 中 国 石 炭 資 源 網 2014 年 2 月 21 日 ( 63 中 国 石 炭 報 2014 年 2 月 21 日 ( 39

87 ( 注 ) 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)は 毎 週 公 表 されている ( 出 所 ) 秦 皇 島 石 炭 網 の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)データをもとに 作 成 図 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)の 過 去 3 年 の 推 移 (2) 地 域 別 の 価 格 動 向 図 は 産 炭 地 中 継 港 消 費 地 別 の 一 般 炭 価 格 の 推 移 (カロリーが 近 いデータで 比 較 )をグ ラフ 化 したものである 輸 送 費 を 始 めとする 諸 経 費 が 加 算 されるため 産 炭 地 中 継 港 消 費 地 の 順 に 石 炭 価 格 は 高 くなるが 値 動 きには 共 通 性 がある 産 炭 地 では 生 産 量 や 石 炭 関 連 の 課 徴 金 中 継 港 では 鉄 道 輸 送 費 消 費 地 では 海 上 輸 送 費 や 石 炭 輸 入 量 が 価 格 形 成 に 主 に 影 響 する 2003 年 後 半 から 中 国 石 炭 市 場 では 供 給 が 逼 迫 したため 2004 年 の 石 炭 価 格 は 消 費 地 ( 前 年 比 64% 増 ) 中 継 港 (35% 増 ) 産 炭 地 (63% 増 )と いずれも 急 騰 した 一 般 炭 価 格 はその 後 も 上 り 続 けたが 2008 年 のリーマンショックに 端 を 発 した 世 界 金 融 危 機 の 影 響 を 受 け 2009 年 には 消 費 地 (27% 減 )と 中 継 港 (20% 減 )で 大 幅 に 下 落 したが 産 炭 地 の 下 落 幅 は 1.7%に 留 まった そ の 後 中 国 政 府 の 4 兆 元 の 景 気 刺 激 策 により 2011 年 まで 再 び 上 昇 に 転 じた ただし 2012 年 後 半 からは 中 国 経 済 の 成 長 に 陰 りが 見 え 始 め これに 伴 い 石 炭 価 格 は 2013 年 まで 下 落 が 続 いてい る このように 石 炭 市 場 の 需 給 バランスに 変 化 が 生 じた 場 合 消 費 地 中 継 地 産 炭 地 の 順 に 影 響 が 広 がることが 分 かる 40

88 ( 出 所 ) 中 国 石 炭 市 場 網 中 国 一 般 炭 市 場 研 究 レポート のデータをもとに 作 成 図 産 炭 地 中 継 地 消 費 地 の 石 炭 価 格 の 推 移 表 は 代 表 的 な 7 産 炭 地 の 2006 年 ~2013 年 の 一 般 炭 平 均 価 格 である 資 源 埋 蔵 量 採 掘 難 易 度 石 炭 品 質 輸 送 環 境 川 下 産 業 の 需 要 程 度 必 要 人 件 費 により 各 地 域 の 石 炭 生 産 コスト が 異 なっている 2013 年 の 場 合 7 地 域 の 中 では 内 モンゴル 自 治 区 オルドス(343 元 /トン)が 最 も 安 く 最 も 高 い 山 東 省 滕 州 (568 元 /トン)とは 225 元 /トンの 差 がある 表 地 域 別 の 一 般 炭 価 格 の 推 移 (2006 年 ~2013 年 ) ( 出 所 ) 国 家 安 全 生 産 監 督 管 理 総 局 ( 単 位 : 元 /トン) 山 西 大 同 陝 西 楡 林 内 モンゴル オルドス 黒 竜 江 鶴 岡 河 南 平 頂 山 山 東 滕 州 四 川 達 州 2006 年 年 年 年 年 年 年 年 原 料 炭 原 料 炭 の 主 要 産 地 は 山 西 省 黒 龍 江 省 山 東 省 河 南 省 河 北 省 安 徽 省 などである また 原 料 炭 消 費 地 はコークス 生 産 地 でもあり 華 北 地 域 と 華 東 地 域 をメイン 市 場 としている ( 原 料 炭 の 需 給 動 向 に 関 しては 第 3 章 及 び 第 4 章 を 参 照 ) 41

89 (1) 2013 年 の 平 均 価 格 ( 中 国 全 体 ) 中 国 の 原 料 炭 業 界 では 毎 年 第 4 四 半 期 に 入 ると 川 下 のコークス 企 業 や 鉄 鋼 企 業 が 冬 の 悪 天 候 や 旧 正 月 の 連 休 に 備 えて 石 炭 備 蓄 を 増 やすため 第 4 四 半 期 ~ 旧 正 月 頃 まで 原 料 炭 やコークスの 価 格 が 上 昇 する このため 2013 年 初 に 1,263 元 /トンでスタートした 原 料 炭 価 格 は 旧 正 月 (2013 年 は 2 月 10 日 が 元 日 2 月 9 日 ~15 日 まで 7 連 休 ) 過 ぎまで 上 昇 した さらに 3 月 に 入 ると 習 近 平 新 政 権 に 対 する 市 場 の 期 待 から 価 格 は 2013 年 最 高 レベルの 1,290 元 台 まで 上 昇 した し かし 新 政 権 が 産 業 構 造 調 整 政 策 を 相 次 いで 打 ち 出 したため 原 料 炭 の 需 要 は 伸 びず 石 炭 在 庫 が 増 加 し 鉄 鋼 業 界 では 減 産 が 続 いた このため コークス 業 界 の 業 績 も 悪 化 し 3 月 中 旬 ~7 月 中 旬 まで 4 ヵ 月 連 続 で 原 料 炭 価 格 が 急 落 した また 鋼 材 市 場 不 振 のあおりを 受 けて 主 要 原 料 炭 生 産 企 業 が 6 月 より 相 次 いで 原 料 炭 価 格 を 引 き 下 げ 市 場 シェア 確 保 を 死 守 しようと 動 いた 5 月 29 日 神 華 集 団 が 先 陣 を 切 って 価 格 引 き 下 げに 踏 み 切 ると 6 月 初 旬 には 開 灤 股 份 冀 中 能 源 兖 州 煤 業 西 山 煤 電 潞 安 環 能 なども 傘 下 企 業 の 原 料 炭 価 格 を 30~140 元 /トン 引 き 下 げた 神 華 集 団 は 6 月 26 日 にも 再 び 価 格 引 き 下 げを 行 い 傘 下 企 業 の 原 料 炭 価 格 を 30 元 /トン 程 度 引 き 下 げたため 中 国 の 原 料 炭 市 場 に 衝 撃 が 走 った 原 料 炭 市 場 は 低 迷 し 7 月 中 旬 には 2013 年 で 最 低 の 1,130 元 /トンレベル( 年 初 比 10.5% 減 )となった 左 軸 : 元 /トン 右 軸 :2013 年 1 月 1 日 の 価 格 を 基 準 にした 下 落 割 合 ( 注 1) 左 軸 は 平 均 価 格 ( 元 /トン) 右 軸 は 2013 年 初 の 平 均 価 格 を 基 準 値 とした 場 合 の 下 落 率 (%) ( 注 2) 中 国 の 原 料 炭 の 品 種 分 類 で 肥 煤 に 分 類 される 石 炭 の 生 産 者 価 格 ( 出 所 ) 生 意 社 2014 年 1 月 19 日 記 事 ( 図 年 の 原 料 炭 の 中 国 国 内 生 産 者 価 格 の 推 移 しかし 7 月 下 旬 頃 から 中 国 政 府 の 経 済 社 会 発 展 を 主 要 任 務 とする というマクロコント ロール 方 針 64 を 市 場 が 好 感 し 鉄 鋼 価 格 や 鉄 鋼 企 業 の 稼 働 率 が 徐 々に 回 復 に 向 かい 原 料 炭 の 現 物 取 引 価 格 や 先 物 取 引 価 格 が 上 昇 した 中 国 の 原 料 炭 生 産 量 は 7 月 以 降 4,800 万 トン 以 上 を 維 持 し たが 一 方 で 原 料 炭 の 輸 入 量 も 増 加 したため 供 給 過 剰 となった 中 国 の 鉄 鋼 市 場 は 本 来 なら 毎 年 64 李 克 強 首 相 は 2013 年 6 月 19 日 の 国 務 院 常 務 会 議 で 穏 増 長 ( 成 長 を 安 定 させる) 調 結 構 ( 構 造 を 調 整 する) 促 転 型 ( 転 換 を 促 す) 恵 民 生 ( 民 生 を 優 遇 する)の 4 点 と 穏 中 求 進 ( 緩 やかではあるが 進 ん でいく) 穏 中 有 為 ( 緩 やかな 中 に 為 すべきものが 有 る) 穏 中 提 質 ( 緩 やかな 中 に 質 を 定 める)という 3 点 を 説 いた 42

90 9 月 ~10 月 に 最 盛 期 を 迎 えるが 粗 鋼 生 産 量 は 拡 大 したものの 川 下 産 業 の 需 要 が 振 るわなかった ため 原 料 炭 の 産 業 チェーン 全 体 が 不 振 に 喘 ぐ 結 果 となった 2014 年 に 入 っても 原 料 炭 の 価 格 下 落 傾 向 が 続 き 代 表 企 業 の 1 つである 山 西 焦 煤 集 団 は 2014 年 2 月 初 旬 原 料 炭 ( 中 国 の 原 料 炭 品 種 分 類 では 主 焦 煤 )の 鉄 道 渡 し 価 格 を 20 元 /トン 引 き 下 げる 措 置 をとった 市 場 関 係 者 は 原 料 価 格 の 低 迷 は 今 後 もしばらく 続 くと 見 ている (2) 近 年 の 原 料 炭 平 均 価 格 の 推 移 図 は 2009 年 1 月 中 旬 ~2014 年 1 月 中 旬 の 原 料 炭 平 均 価 格 の 推 移 を 表 したもので 一 般 炭 とほぼ 同 様 の 値 動 きを 示 している リーマンショック 後 中 国 政 府 の 景 気 刺 激 策 に 後 押 しされて インフラ 建 設 や 不 動 産 用 の 鋼 材 需 要 が 伸 びたため 2009 年 中 頃 から 2012 年 にかけて 価 格 は 上 昇 傾 向 にあったが 2012 年 後 半 に 急 落 し 需 要 期 ( 第 4 四 半 期 )にある 程 度 の 回 復 が 見 られたもの の 全 体 としては 2014 年 1 月 中 旬 まで 下 落 傾 向 が 続 いている なお 2014 年 1 月 中 旬 にはリー マンショック 後 に 近 い 1,100 元 /トンを 切 るレベルまで 下 落 した ( 出 所 ) 申 銀 万 国 期 貨 商 品 先 物 ウィークリーレポート 2014 年 2 月 24 日 図 中 国 の 原 料 炭 平 均 価 格 の 推 移 なお 中 国 石 炭 市 場 網 のデータによると 2010 年 ~2013 年 の 原 料 炭 の 平 均 価 格 は 2011 年 がピークで 2013 年 にかけて 下 落 が 続 いている 表 中 国 の 原 料 炭 の 平 均 価 格 ( 単 位 : 元 /トン) 焦 肥 精 煤 配 焦 精 煤 2010 年 年 年 年 ( 注 ) 焦 肥 精 煤 配 焦 精 煤 は 中 国 の 原 料 炭 の 品 種 分 類 ( 選 炭 済 ) ( 出 所 ) 年 中 国 原 料 炭 市 場 研 究 レポート P244 43

91 2.1.4 コークス 中 国 は 世 界 最 大 のコークス 生 産 輸 出 国 である 主 要 中 継 港 は 天 津 港 日 照 港 連 雲 港 で 中 でも 天 津 港 の 南 六 埠 頭 ( 保 管 ヤードは 303 万 m2)は 世 界 最 大 のコークス 埠 頭 である 中 国 のコー クスの 主 要 生 産 地 は 華 北 地 域 ( 河 北 山 西 山 東 河 南 省 )で 独 立 系 のコークス 企 業 が 集 積 し ている また 河 北 省 と 山 東 省 周 辺 地 域 は 鉄 鋼 企 業 の 集 積 地 で 中 国 のコークス 消 費 量 の 66% 以 上 を 占 めている 山 西 省 は 中 国 最 大 のコークス 移 出 省 で 生 産 量 の 86%を 省 外 に 移 出 しており 大 部 分 は 河 北 省 で 消 費 されている (1) 2013 年 の 平 均 価 格 ( 中 国 全 体 ) 2013 年 のコークス 平 均 価 格 は 2012 年 に 続 き 更 に 下 落 した 現 物 取 引 の 平 均 価 格 は 2013 年 初 に 1,537 元 /トンでスタートしたが 2013 年 末 には 1,327 元 /トンに 落 ち 込 んだ( 下 落 率 13.7%) 最 高 価 格 は 2 月 末 の 1,612 元 /トンで 最 低 価 格 は 7 月 末 の 1,162 元 /トンであった ( 注 1) 左 軸 は 平 均 価 格 ( 元 /トン) 右 軸 は 2012 年 初 の 平 均 価 格 を 基 準 値 とした 場 合 の 下 落 率 (%) ( 注 2) 中 国 の 品 種 分 類 で 2 級 冶 金 用 とされるコークスの 市 場 価 格 ( 出 所 ) 生 意 社 2013 年 コークス 市 場 動 向 に 関 する 分 析 図 コークス 市 場 価 格 の 推 移 (2012 年 ~2013 年 ) 中 国 のコークスの 現 物 取 引 平 均 価 格 は 2012 年 9 月 に 底 を 打 った 後 同 年 末 まで 反 発 を 続 け 2013 年 初 から 8 週 連 続 で 小 幅 上 昇 (4.88%)した 川 下 の 鉄 鋼 市 場 や 川 上 のコークス 市 場 が 需 要 を 牽 引 した その 後 2013 年 2 月 下 旬 ~7 月 末 までは 再 び 急 落 (30%)し 7 月 末 に 2009 年 以 来 の 最 低 価 格 1,162 元 /トンを 記 録 した コークス 市 場 を 支 える 鉄 鋼 産 業 が 生 産 過 剰 状 態 に 陥 っているこ とが 原 因 と 見 られている 鉄 鋼 業 界 の 生 産 能 力 拡 大 により コークス 生 産 量 は 増 えたが 価 格 に は 反 映 されなかった また 鉄 鋼 価 格 の 下 落 が 続 いたことにより 鉄 鋼 企 業 は 経 営 が 悪 化 し 生 産 コスト 削 減 のためにコークス 企 業 に 調 達 価 格 の 引 き 下 げを 迫 り コークス 企 業 はこれを 受 け 入 れざるを 得 ず 価 格 が 更 に 下 落 した 更 に 状 況 を 悪 化 させたのは コークス 価 格 の 下 落 にもかか わらずコークス 企 業 の 生 産 能 力 拡 大 に 歯 止 めがかからず コークス 生 産 量 は 2013 年 月 に 44

92 4,000 万 トンを 突 破 し 特 に 6 月 には 単 月 では 過 去 最 高 の 4,105 万 トンを 記 録 したことである こ のように 生 産 能 力 過 剰 と 需 要 低 迷 により コークス 価 格 は 下 落 し 続 けた 7 月 下 旬 からは 回 復 基 調 に 転 じたが これは 6 月 頃 から 鋼 材 製 品 の 需 要 が 伸 びた(8% 程 度 ) 影 響 と 見 られている し かし 鋼 材 需 要 の 伸 びは 10 月 頃 から 再 び 鈍 化 に 転 じている 中 国 政 府 は 現 在 老 朽 化 した 生 産 設 備 の 淘 汰 や 環 境 汚 染 問 題 解 決 への 取 り 組 みを 強 化 している こうした 現 状 を 考 えると 2014 年 のコークス 供 給 量 はある 程 度 減 少 し 平 均 価 格 は 1,200~1,600 元 /トンの 範 囲 で 値 動 きすると 見 られる 65 (2) 地 域 別 の 価 格 動 向 主 な 産 地 ( 山 西 省 長 治 市 と 太 原 市 内 モンゴル 自 治 区 烏 海 市 貴 州 省 六 盤 水 市 )の 価 格 推 移 を 見 ると ほぼ 同 様 の 値 動 きをしているが 資 源 埋 蔵 量 採 掘 難 易 度 石 炭 品 質 輸 送 環 境 川 下 産 業 の 需 要 程 度 必 要 人 件 費 などによって 各 地 域 の 石 炭 生 産 コストは 異 なる 価 格 の 高 い 順 に 貴 州 省 六 盤 水 市 > 山 西 省 太 原 市 > 内 モンゴル 自 治 区 烏 海 市 > 山 西 省 長 治 市 となっている ( 出 所 ) 招 商 期 貨 ( 図 産 炭 地 別 のコークス 価 格 の 推 移 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 価 格 中 国 炭 の 代 表 的 な 地 域 別 炭 種 別 の 価 格 動 向 を 把 握 するため 陝 西 石 炭 取 引 センターの 石 炭 価 格 データをもとに 2013 年 5 月 15 日 ~2014 年 2 月 25 日 までの 価 格 動 向 を 表 と 表 にま とめた 以 下 の 特 徴 が 見 られる (1) 一 般 炭 変 動 が 大 きいのは 港 湾 価 格 で 秦 皇 島 港 と 曹 妃 甸 港 の 船 積 価 格 (5,500kcal/kg)は 530 元 /トン~ 640 元 /トンで 推 移 し トン 当 たり 110 元 変 動 した 2013 年 5 月 ~10 月 初 旬 まで 下 落 後 2013 年 末 にかけて 一 旦 高 騰 し 2014 年 初 ~2 月 末 まで 再 び 下 落 に 転 じており 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 65 生 意 社 2013 年 コークス 市 場 動 向 に 関 する 分 析 ( 45

93 格 (5,500kcal/kg)の 値 動 き( 図 2.1.2)と 一 致 する 広 州 港 の 船 積 価 格 (5,500kcal/kg)は 625 元 / トン~730 元 /トンで 推 移 し トン 当 たり 105 元 変 動 した 中 継 港 ( 秦 皇 島 港 曹 妃 甸 港 など)の 価 格 変 動 と 連 動 していると 思 われる 輸 送 コストや 諸 経 費 ( 各 種 課 徴 金 鉄 道 港 湾 部 門 の 徴 収 費 用 )が 上 乗 せされるため 山 元 価 格 < 鉄 道 渡 し 価 格 < 船 積 価 格 の 順 で 価 格 が 上 昇 している (2) 褐 炭 北 方 港 湾 の 錦 州 港 の 褐 炭 (3,200kcal/kg)の 船 積 価 格 は 253 元 /トン~291 元 /トンで 推 移 し トン 当 たりの 価 格 変 動 幅 は 38 元 で 比 較 的 安 定 している 褐 炭 は 主 にボイラー 用 や 石 炭 ガス 化 用 に 使 用 されているが ボイラー 改 造 はコストがかさむため 中 国 炭 用 のボイラーの 改 造 はほとんど 実 施 されず 需 要 の 変 動 があまりないためと 推 察 される 一 方 中 国 南 方 沿 海 部 の 発 電 所 では 輸 入 低 品 位 炭 の 熱 量 に 合 わせたボイラー 改 造 が 進 んでいる (3) 原 料 炭 2013 年 7 月 末 に 大 幅 落 した 後 9 月 末 ~ 年 末 にかけて 上 昇 し 2014 年 初 ~2 月 末 まで 再 び 下 落 傾 向 にある 既 述 の 通 り 2013 年 7 月 以 降 高 い 生 産 量 を 維 持 する 一 方 で 輸 入 量 も 増 加 したため 供 給 過 剰 を 招 いたことが 原 因 と 見 られる 2014 年 に 入 っても 下 落 傾 向 が 続 いており 2014 年 2 月 中 旬 には 2013 年 5 月 時 点 に 比 べてトン 当 たり 100~600 元 の 幅 で 下 落 した (4) 無 煙 炭 2013 年 7 月 末 に 寧 夏 石 嘴 山 ( 選 炭 工 場 出 荷 価 格 )を 除 いて 下 落 し 2013 年 末 にかけて 若 干 回 復 したものの 2014 年 2 月 中 旬 時 点 の 価 格 は 2013 年 5 月 よりトン 当 たり 70 元 ~240 元 下 落 した 寧 夏 石 嘴 山 の 2014 年 2 月 中 旬 の 価 格 は 2013 年 5 月 より 130 元 上 昇 した これは 寧 夏 の 無 煙 炭 は 世 界 的 に 見 ても 高 品 位 で 中 国 内 で 需 要 が 伸 びている( 供 給 が 逼 迫 )ためと 考 えられる (5) 高 炉 吹 込 用 微 粉 炭 2013 年 7 月 末 に 寧 夏 石 嘴 山 ( 選 炭 工 場 出 荷 価 格 )を 除 いて 下 落 し 2013 年 末 にかけて 若 干 回 復 したものの 2014 年 2 月 中 旬 時 点 の 価 格 は 2013 年 5 月 よりトン 当 たり 125 元 ~215 元 下 落 した 寧 夏 石 嘴 山 のみ 価 格 が 上 昇 した 原 因 は 無 煙 炭 と 同 様 と 推 察 される 46

94 表 中 国 炭 の 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 価 格 一 覧 (1) ( 単 位 : 元 /トン) 炭 種 取 引 地 域 品 種 主 要 指 標 価 格 タイプ 5/15 5/21 6/13 6/20 6/27 7/4 7/11 7/17 7/18 7/26 8/2 8/9 8/20 8/26 8/30 9/3 山 西 大 同 弱 粘 炭 Q6000,S0.8 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 大 同 南 郊 弱 粘 炭 Q5500,S0.8 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 朔 州 塊 煤 Q>5200,S<1.0 鉄 道 駅 受 渡 価 格 一 般 炭 褐 炭 内 モンコ ル オルト ス 発 電 用 炭 Q5500,S0.5 山 元 価 格 陝 西 神 木 煙 末 煤 Q6000,S<1.0 鉄 道 駅 受 渡 価 格 河 北 秦 皇 島 山 西 優 混 Q5500 港 湾 船 積 価 格 河 北 曹 妃 甸 混 合 炭 Q5500 港 湾 船 積 価 格 遼 寧 錦 州 港 褐 炭 Q3200,S0.5 港 湾 船 積 価 格 広 東 広 州 港 山 西 優 混 Q5500 広 州 港 取 引 価 格 山 西 柳 林 4# 焦 煤 A9.0,G85,S<0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,170 1,170 1,170 1,170 1,170 1,170 1,170 1,170 1, , , , , , , ,100 山 西 古 交 2# 焦 煤 A10.0,G75,S0.6 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,250 1,250 1,250 1,250 1,250 1,250 1,250 1,250 1,250 1,140-1,150 1,140-1,150 1,140-1,150 1,140-1,150 1,140-1,150 1,140-1,150 1,140-1,150 山 西 臨 汾 1/3 焦 精 煤 A9.5,G>80,S0.55 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1, 山 西 霊 石 2# 肥 煤 A<10.0,G>90,S0.6 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,090 1,090 1,090 1,090 1,090 1,090 1,090 1,090 1, 河 北 開 灤 焦 精 煤 A10.0,G75,S<1.0 出 荷 価 格 1,310 1,310 1,310 1,310 1,310 1,310 1,310 1,310 1, 原 料 炭 河 北 邢 台 焦 精 煤 A10.0,G85,S<0.8 出 荷 価 格 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 河 北 邯 鄲 肥 精 煤 A10.0,G93,S0.6 出 荷 価 格 1,225 1,225 1,225 1,225 1,225 1,225 1,225 1,225 1,225 1,135-1,145 1,135-1,145 1,135-1,145 1,135-1,145 1,135-1,145 1,135-1,145 1,135-1,145 黒 龍 江 鶏 西 焦 精 煤 A10.0,G70-80,S0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,380-1,420 1,210-1,240 1,210-1,240 1,210-1,240 1,210-1,240 1,210-1,240 1,210-1,240 1,210-1,240 山 東 兖 州 気 精 煤 A8.0,G80,S<0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 河 南 平 頂 山 主 焦 煤 A9.0,G>75,S<0.5 出 荷 価 格 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,230 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 安 徽 淮 南 1/3 焦 精 煤 A ,G84,S0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,638 1,638 1,638 1,638 1,638 1,638 1,638 1,638 1,638 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 北 京 無 煙 末 煤 Q7000,S0.4 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 陽 泉 無 煙 小 塊 Q7000,S<1.0 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100 1, 無 煙 炭 山 西 晋 城 無 煙 中 塊 Q6800,S0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,050 1,050 1,050 1,050 1,050 1,050 1,050 1,050 1, 寧 夏 石 嘴 山 無 煙 塊 煤 Q6000,S0.2 出 荷 価 格 河 南 焦 作 無 煙 中 塊 Q7000,S0.3 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,300 1,300 1,300 1,300 1,300 1,300 1,300 1,300 1,300 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 河 南 永 城 無 煙 精 煤 Q7000,S0.4 鉄 道 駅 受 渡 価 格 n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a 山 西 陽 泉 吹 込 用 微 粉 炭 Q ,V8 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1, 高 炉 吹 込 用 微 粉 炭 寧 夏 石 嘴 山 吹 込 用 微 粉 炭 Q>7000,V< 河 北 邯 鄲 吹 込 用 微 粉 炭 Q6000,V 山 西 長 治 吹 込 用 微 粉 炭 Q ,V14-17 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,020 1,020 1,020 1,020 1,020 1,020 1,020 1,020 1,020 n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a ( 注 1) 炭 種 ( 中 国 の 分 類 )は 中 国 語 原 文 を 記 載 中 国 語 の 煤 は 石 炭 を 意 味 する ( 注 2) 黄 色 は 前 回 価 格 より 下 落 したことを ピンク 色 は 前 回 価 格 より 上 昇 したことを 表 している ( 出 所 ) 陝 西 石 炭 取 引 センターのデータをもとに 作 成 47

95 表 中 国 炭 の 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 価 格 一 覧 (2) ( 単 位 : 元 /トン) 炭 種 取 引 地 域 品 種 主 要 指 標 価 格 タイプ 9/13 9/25 10/9 10/17 11/1 11/8 11/19 12/3 12/11 12/17 12/24 1/8 1/14 1/21 2/11 2/18 2/25 山 西 大 同 弱 粘 炭 Q6000,S0.8 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 大 同 南 郊 弱 粘 炭 Q5500,S0.8 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 朔 州 塊 煤 Q>5200,S<1.0 鉄 道 駅 受 渡 価 格 一 般 炭 褐 炭 内 モンコ ル オルト ス 発 電 用 炭 Q5500,S0.5 山 元 価 格 陝 西 神 木 煙 末 煤 Q6000,S<1.0 鉄 道 駅 受 渡 価 格 河 北 秦 皇 島 山 西 優 混 Q5500 港 湾 船 積 価 格 河 北 曹 妃 甸 混 合 炭 Q5500 港 湾 船 積 価 格 遼 寧 錦 州 港 褐 炭 Q3200,S0.5 港 湾 船 積 価 格 広 東 広 州 港 山 西 優 混 Q5500 広 州 港 取 引 価 格 山 西 柳 林 4# 焦 煤 A9.0,G85,S<0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 980-1,100 1,040-1,070 1,040-1,070 1,040-1,070 1,040-1,070 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,120-1,130 1,120-1,130 山 西 古 交 2# 焦 煤 A10.0,G75,S0.6 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,140-1,150 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,130-1,140 1,120-1,130 1,080-1,090 1,080-1,090 山 西 臨 汾 1/3 焦 精 煤 A9.5,G>80,S0.55 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 霊 石 2# 肥 煤 A<10.0,G>90,S0.6 鉄 道 駅 受 渡 価 格 ,000-1,050 1,000-1,050 1,000-1,050 1,000-1,050 1,000-1,050 1,030-1,080 1,030-1,080 1,030-1,080 1,030-1,080 1,030-1,080 1,000-1,050 1,000-1,050 河 北 開 灤 焦 精 煤 A10.0,G75,S<1.0 出 荷 価 格 ,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,065-1,075 1,065-1,075 1,065-1,075 1,065-1,075 1,065-1,075 1,065-1,075 1,065-1,075 1,065-1,075 1,055-1,065 1,055-1, 原 料 炭 河 北 邢 台 焦 精 煤 A10.0,G85,S<0.8 出 荷 価 格 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,130-1,140 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,090-1,110 1,040-1,050 1,040-1,050 河 北 邯 鄲 肥 精 煤 A10.0,G93,S0.6 出 荷 価 格 1,175-1,185 1,175-1,185 1,175-1,185 1,175-1,185 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 1,110-1,120 黒 龍 江 鶏 西 焦 精 煤 A10.0,G70-80,S0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,210-1,240 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 1,270-1,300 山 東 兖 州 気 精 煤 A8.0,G80,S<0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 河 南 平 頂 山 主 焦 煤 A9.0,G>75,S<0.5 出 荷 価 格 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,160-1,170 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,150-1,160 1,120-1,130 1,120-1,130 安 徽 淮 南 1/3 焦 精 煤 A ,G84,S0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,015-1,025 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1,055 1,045-1, , ,005 北 京 無 煙 末 煤 Q7000,S0.4 鉄 道 駅 受 渡 価 格 山 西 陽 泉 無 煙 小 塊 Q7000,S<1.0 鉄 道 駅 受 渡 価 格 無 煙 炭 山 西 晋 城 無 煙 中 塊 Q6800,S0.5 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,020-1, , , , , , 寧 夏 石 嘴 山 無 煙 塊 煤 Q6000,S0.2 出 荷 価 格 河 南 焦 作 無 煙 中 塊 Q7000,S0.3 鉄 道 駅 受 渡 価 格 1,150-1,160 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,200-1,210 1,220-1,230 1,220-1,230 1,220-1,230 1,220-1,230 1,220-1,230 1,220-1,230 1,220-1,230 河 南 永 城 無 煙 精 煤 Q7000,S0.4 鉄 道 駅 受 渡 価 格 n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a 山 西 陽 泉 吹 込 用 微 粉 炭 Q ,V8 鉄 道 駅 受 渡 価 格 高 炉 吹 込 用 微 粉 炭 寧 夏 石 嘴 山 吹 込 用 微 粉 炭 Q>7000,V< 河 北 邯 鄲 吹 込 用 微 粉 炭 Q6000,V 山 西 長 治 吹 込 用 微 粉 炭 Q ,V14-17 鉄 道 駅 受 渡 価 格 n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a n.a ( 注 1) 炭 種 ( 中 国 の 分 類 )は 中 国 語 原 文 を 記 載 中 国 語 の 煤 は 石 炭 を 意 味 する ( 注 2) 黄 色 は 前 回 価 格 より 下 落 したことを ピンク 色 は 前 回 価 格 より 上 昇 したことを 表 している ( 出 所 ) 陝 西 石 炭 取 引 センターのデータをもとに 作 成 48

96 2.1.6 国 産 炭 の 価 格 形 成 メカニズム 中 国 の 石 炭 価 格 に 影 響 を 与 える 主 な 要 素 は 1 需 給 の 状 況 2 石 炭 エネルギー 関 連 政 策 3 輸 送 コスト 4 輸 出 入 の 状 況 5 国 際 市 場 の 石 炭 価 格 動 向 6 電 力 価 格 の 調 整 7 他 のエネル ギー 価 格 などである このうち 2 石 炭 エネルギー 関 連 政 策 はさらに a) 価 格 の 直 接 調 整 政 策 b) 石 炭 生 産 コス トに 影 響 を 与 える 政 策 c) 需 給 に 影 響 を 与 える 政 策 の 3 つに 大 別 できる a) 価 格 の 直 接 調 整 政 策 の 例 としては 2011 年 の 石 炭 価 格 高 騰 時 に 発 展 改 革 委 員 会 が 決 定 した 2012 年 1 月 1 日 か ら 秦 皇 島 の 一 般 炭 (5,500kcal/kg)の 上 限 価 格 を 800 元 /トンとする 重 点 発 電 用 石 炭 価 格 の 引 き 上 げ 幅 を 2011 年 価 格 の 5% 以 内 とするとした 政 策 などがある b) 石 炭 生 産 コストに 影 響 を 与 える 政 策 の 例 には 資 源 税 や 自 然 環 境 の 改 善 回 復 のための 保 証 金 など 66 がある c) 需 給 に 影 響 を 与 える 政 策 の 例 には 輸 出 入 関 税 に 関 する 規 定 などがある( 第 1 章 1.4 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 制 作 の 最 近 の 動 向 を 参 照 ) さらには 中 国 の 石 炭 企 業 には 多 種 多 様 な 税 金 や 費 用 ( 一 部 は 乱 収 費 と 呼 ばれる 不 合 理 な 費 用 徴 収 )が 課 せられており 石 炭 企 業 に 対 する 課 徴 金 は 少 なくとも 109 項 目 ( 税 金 21 種 正 式 に 規 定 された 費 用 88 種 )にのぼり 企 業 収 益 の 25~35%を 占 めているとされる 67 また 石 炭 産 業 協 会 のデータでは 石 炭 産 業 に 関 連 する 国 税 は 16 項 目 行 政 費 用 は 31 項 目 ( 資 源 関 連 5 項 目 環 境 関 連 11 項 目 経 済 建 設 関 連 3 項 目 行 政 管 理 関 連 5 項 目 企 業 発 展 関 連 1 項 目 社 会 保 障 関 連 6 項 目 )で 石 炭 産 業 の 税 費 用 負 担 は 企 業 収 益 の 35% 前 後 (うち 税 金 は 21%) に 達 し 地 域 によってはさらに 多 く その 他 産 業 分 野 の 2~3 倍 に 及 ぶとしている 68 上 記 に 加 えて 問 題 なのは 一 部 の 地 方 政 府 では 法 規 定 以 外 の 費 用 徴 収 ( 例 えば 石 炭 価 格 調 節 基 金 )があり しかも 税 費 用 負 担 全 体 に 占 める 割 合 も 大 きいことである 特 に 徴 収 基 準 は 無 く 地 方 政 府 の 意 向 に 沿 って 徴 収 されており 重 要 な 収 入 源 になっている 2011 年 頃 の 石 炭 価 格 高 騰 時 には 16 省 直 轄 市 自 治 区 で 徴 収 されていたとのデータもあり 石 炭 価 格 が 大 きく 下 落 した 2013 年 時 点 でも 徴 収 を 続 けていた 省 もある 貴 州 省 では 省 所 属 の 石 炭 企 業 は 2011 年 1 月 1 日 より 30~70 元 の 基 金 を 納 めるよう 規 定 したが 供 給 逼 迫 状 況 を 受 けて 同 年 10 月 1 日 以 降 は 50 元 /トンからトン 当 たり 売 上 高 の 10%を 納 める 従 価 徴 収 に 変 更 された さら に 省 外 移 出 用 原 炭 などに 200 元 /トンの 費 用 徴 収 が 課 せられた しかし 2012 年 後 半 からの 石 炭 価 格 急 落 を 受 けて 2013 年 8 月 に 10 元 /トンの 従 量 徴 収 に 再 変 更 された 内 モンゴル 山 西 陝 西 重 慶 なども 2013 年 に 石 炭 価 格 調 節 基 金 の 軽 減 措 置 を 採 ったが 廃 止 には 至 っていない 模 様 である( 中 国 の 石 炭 企 業 に 対 する 現 行 の 課 徴 金 制 度 や 課 題 については 第 1 章 1.4 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 制 作 の 最 近 の 動 向 を 参 照 ) 66 例 えば 資 源 関 連 コスト( 資 源 税 資 源 保 障 費 鉱 物 資 源 探 査 権 使 用 費 鉱 物 採 掘 権 使 用 費 ) 環 境 関 連 コスト( 鉱 山 環 境 回 復 補 償 金 ) 安 全 生 産 関 連 コスト( 安 全 費 用 炭 鉱 持 続 生 産 維 持 費 ) 持 続 可 能 な 発 展 関 連 コスト( 石 炭 の 持 続 可 能 な 発 展 基 金 炭 鉱 の 生 産 転 換 労 働 者 の 再 度 雇 用 社 会 保 障 などに 使 用 される 発 展 資 金 )などがある 生 産 量 に 応 じて 課 税 される 67 証 券 日 報 2013 年 12 月 20 日 ( 68 中 国 エネルギー 報 2013 年 12 月 2 日 ( 49

97 中 国 の 石 炭 企 業 に 課 せられた 重 い 課 徴 金 が 国 産 炭 の 価 格 競 争 力 を 削 いでいる 主 な 原 因 の 一 つであると 指 摘 されている また 輸 送 コストには 鉄 道 輸 送 費 ( 建 設 基 金 電 力 付 加 費 なども 含 む)や 海 上 輸 送 費 ( 輸 送 費 以 外 に 港 湾 で 徴 収 される 諸 経 費 などを 含 む) 陸 送 輸 送 費 などがある 鉄 道 輸 送 費 は 毎 年 引 き 上 げられており 石 炭 価 格 に 直 接 反 映 される 2014 年 2 月 15 日 にも 引 き 上 げが 行 われて おり 69 旧 鉄 道 部 の 民 営 化 に 伴 い 従 来 の 政 府 決 定 価 格 から 政 府 指 導 価 格 に 名 称 が 変 わった 今 回 の 価 格 調 整 では 石 炭 鉄 道 輸 送 価 格 が 13% 近 く 引 き 上 げられたため 石 炭 輸 送 コ ストが 10 元 /トン 以 上 増 加 すると 見 られている 表 は 華 北 地 域 のコークス 輸 送 費 用 図 は 内 モンゴル オルドス 産 石 炭 の 長 距 離 トラック 輸 送 費 用 に 関 するデータである 表 華 北 地 域 におけるコークス 輸 送 費 用 出 発 地 点 目 的 地 輸 送 方 法 輸 送 費 ( 元 /トン) 山 西 省 天 津 鉄 道 /トラック 85/150 唐 山 鉄 道 /トラック 95/150 連 雲 港 鉄 道 105 石 家 庄 天 津 鉄 道 /トラック 80/100 天 津 唐 山 トラック 50 上 海 船 舶 ( 海 上 ) 32 連 雲 港 上 海 船 舶 ( 海 上 ) 30 広 州 船 舶 ( 海 上 ) 90 南 京 船 舶 ( 河 川 ) 45 ( 注 ) 輸 送 費 は 時 期 によって 変 動 ( 特 に 海 上 輸 送 費 )する この 表 は 2010 年 データに 基 づく 参 考 値 ( 出 所 ) 大 連 商 品 取 引 所 コークス 先 物 取 引 契 約 及 び 制 度 設 計 に 関 する 説 明 ( 注 ) 単 位 は 1km 当 たりの 輸 送 費 ( 元 /トン/km) ( 出 所 ) 内 モンゴル 石 炭 取 引 センター 図 内 モンゴル オルドス 産 石 炭 の 長 距 離 トラック 輸 送 費 (2013 年 ) 69 鉄 道 貨 物 輸 送 費 の 調 整 に 関 する 中 国 鉄 道 総 公 司 の 通 知 ( 50

98 2.2 輸 入 炭 の 価 格 動 向 大 国 際 港 の 一 般 炭 価 格 動 向 図 2.2.1~2.2.3 は 2012 年 及 び 2013 年 の 3 大 国 際 港 の 一 般 炭 価 格 指 数 チャートである NEWC Index は 豪 州 ニューカッスル 港 積 み 一 般 石 炭 FOB 価 格 (6,000kcal/kg net) RB Index は 南 ア フリカ リチャーズベイ 港 積 み 一 般 石 炭 FOB 価 格 (6,000kcal/kg net) DES ARA Index は 欧 州 3 港 着 ベースのスポット 価 格 である 一 般 炭 価 格 (FOB)は 2011 年 9 月 までは 高 値 で 推 移 したが 2011 年 9 月 ~2012 年 6 月 末 に かけて 急 落 した 原 料 炭 もほぼ 同 様 で 2011 年 夏 ~2012 年 10 月 にかけて 下 落 した 世 界 市 場 で 石 炭 価 格 が 下 落 した 要 因 は 欧 州 経 済 の 停 滞 中 国 やインドの 経 済 成 長 減 速 による 需 要 減 米 国 のシェールガス 増 産 による 石 炭 の 輸 出 増 と 輸 入 減 豪 州 等 の 石 炭 輸 出 国 が 世 界 の 需 要 増 を 見 込 んで 生 産 能 力 を 拡 大 したことによる 供 給 力 増 加 などであると 見 られている 年 第 4 四 半 期 には 冬 の 石 炭 需 要 期 に 向 けて 反 転 したが 2013 年 6 7 月 に 再 び 下 落 して 80 ドル/トンを 割 り 冬 期 需 要 による 回 復 はあったが 同 年 末 価 格 は NEWC RB DES ARA ともに 85 ドル/ トン 前 後 に 留 まった 2013 年 末 の 人 民 元 対 米 ドル 相 場 中 間 値 (6.0969)で 換 算 すると 85 ドル/トンは 518 元 /ドル となる また 2012 年 末 の 人 民 元 対 米 ドル 相 場 中 間 値 (6.2855)で 換 算 した 場 合 には 534 元 / ドルとなる 2013 年 末 の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)は 631 元 /トン 2013 年 の 平 均 価 格 は 590 元 /トンで 輸 入 炭 の FOB 価 格 を 上 回 る その 上 上 海 港 広 州 港 ( 広 東 省 ) 寧 波 港 ( 浙 江 省 ) 防 城 港 ( 広 西 チワン 族 自 治 区 )など 中 国 東 南 沿 海 部 の 港 湾 までの 海 上 輸 送 費 ( 例 えば 秦 皇 島 ~ 上 海 港 間 の 2~3 万 トン 級 船 舶 の 海 上 輸 送 費 は 2013 年 の 場 合 27.5~ 61.6 元 /トンで 推 移 した)を 加 えると 中 国 の 北 方 港 経 由 で 国 産 炭 を 輸 送 するより 豪 州 イン ドネシア ベトナムなどから 直 接 輸 入 した 方 がコストを 削 減 できるという 状 態 が 起 きている 特 に インドネシアやベトナムは 地 理 的 に 中 国 に 近 く 発 電 用 の 安 価 な 輸 入 低 品 位 炭 のニーズ が 高 い 中 国 東 南 沿 海 部 では 価 格 競 争 力 で 国 産 炭 を 圧 倒 している 70 一 般 財 団 法 人 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 の 第 414 回 定 例 研 究 報 告 会 (2013 年 12 月 20 日 )における 2014 年 の 石 炭 情 勢 の 展 望 ( 51

99 ドル/トン 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 2012 年 NEWC Index 2013 年 NEWC Index ( 出 所 )global COAL の Coal Prices( 作 成 図 NEWC Index の 推 移 (2012 年 及 び 2013 年 ) ドル/トン 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 2012 年 RB Index 2013 年 RB Index ( 出 所 )global COAL の Coal Prices( 作 成 図 RB Index の 推 移 (2012 年 及 び 2013 年 ) ドル/トン 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 2012 年 DES ARA Index 2013 年 DES ARA Index ( 出 所 )global COAL の Coal Prices( 作 成 図 DES ARA Index の 推 移 (2012 年 及 び 2013 年 ) 52

100 2.2.2 広 州 港 の 石 炭 指 導 価 格 表 では 2013 年 及 び 2012 年 の 広 州 港 石 炭 指 導 価 格 ( 一 般 炭 )を 使 用 して 広 州 港 にお ける 中 国 国 産 炭 と 輸 入 炭 の 価 格 比 較 を 試 みた この 表 から 年 の 国 産 炭 価 格 は 2012 年 同 期 比 で 15 元 ~200 元 /トン 下 落 しており 2013 年 の 年 間 変 動 幅 も 大 きい 年 の 輸 入 炭 はカロリーが 近 い 中 国 炭 より 安 価 で 年 間 価 格 変 動 幅 は 中 国 炭 より 小 さいことが 分 かる また 中 国 の 発 電 所 では 次 煤 と 呼 ばれる 低 カロリーで 安 価 な 輸 入 低 品 位 炭 を 混 ぜて 使 用 しており インドネシアやベトナム 産 の 低 カロリー 炭 の 輸 入 量 が 増 加 している ただし 近 年 は 大 気 汚 染 問 題 が 深 刻 化 したことを 受 けて 環 境 保 護 部 門 を 中 心 に 低 品 位 な 海 外 炭 の 輸 入 を 規 制 することも 検 討 されている しかし 輸 入 炭 の 品 質 を 規 制 すべきとの 意 見 がある 一 方 で 電 力 企 業 は 品 質 規 制 をするなら 輸 入 炭 だけでなく 国 産 炭 も 同 時 に 規 制 すべきだと 猛 反 発 し ている ( 第 1 章 1.4 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 政 策 の 最 近 の 動 向 を 参 照 ) さらに 原 料 炭 に 関 しても 2013 年 の 中 国 市 場 では 国 産 原 料 炭 が 供 給 過 剰 となる 一 方 で 原 料 炭 の 輸 入 量 も 増 加 した 2013 年 の 原 料 炭 輸 入 量 は 7,542 万 トンで 2012 年 比 で 40.7% 増 加 2013 年 の 原 料 炭 の 平 均 輸 入 価 格 は 120 ドル/トンで 2012 年 同 期 比 では 16% 下 落 した 2013 年 末 の 山 西 省 中 部 の 原 料 炭 価 格 は 1,200 元 /トンで これを 2013 年 末 の 人 民 元 対 米 ドル 相 場 中 間 値 (6.0969)で 換 算 すると 172/ドルとなり 輸 入 原 料 炭 の 平 均 価 格 を 52 ドル/トン 上 回 る 71 さ らに 山 西 省 から 中 国 東 南 沿 海 部 までの 輸 送 コストを 加 算 した 場 合 中 国 産 原 料 炭 は 価 格 競 争 力 で 輸 入 原 料 炭 に 全 く 歯 が 立 たない 状 態 となる なお 主 な 輸 入 相 手 国 はモンゴルと 豪 州 だが 近 年 は 米 国 のシェール 革 命 の 影 響 で 米 国 やカナダからの 輸 入 量 も 伸 びている ( 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 炭 種 別 及 び 地 域 別 の 輸 出 入 状 況 を 参 照 ) 年 中 国 原 料 炭 市 場 研 究 レポート 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 P200 53

101 表 広 州 港 の 石 炭 指 導 価 格 (2012 年 及 び 2013 年 ) ( 単 位 : 元 /kg) ( 出 所 ) 華 南 石 炭 取 引 センターのウェブサイトから 毎 月 初 日 のデータを 抜 粋 して 作 成 54

102 2.3 中 国 炭 の 価 格 競 争 力 に 関 する 分 析 輸 入 炭 の 急 増 とその 背 景 中 国 政 府 は 国 内 の 稀 少 資 源 保 護 を 目 的 に 一 部 の 鉱 物 資 源 に 対 して 輸 入 の 奨 励 輸 出 の 制 限 を 実 施 している 石 炭 に 関 しては 2007 年 4 月 1 日 から 同 年 末 にかけて 一 般 炭 の 輸 入 関 税 を 6%から 3%に 引 き 下 げた 上 翌 2008 年 1 月 1 日 より 石 炭 輸 入 関 税 を 廃 止 (ゼロ 関 税 )ししたため 一 般 炭 の 輸 入 コストを 10~20 元 /トン 削 減 することが 可 能 になった これ 以 後 沿 海 地 域 での 一 般 炭 輸 入 量 が 急 増 し 2008 年 を 境 に 輸 入 量 が 輸 出 量 を 上 回 るようになり 2011 年 には 中 国 は 日 本 を 抜 いて 世 界 最 大 の 石 炭 輸 入 国 になった 一 方 輸 出 に 関 しては 2008 年 8 月 20 日 から 一 般 炭 の 輸 出 に 10%の 関 税 がかけられた 上 輸 出 資 格 を 持 つ 企 業 は 限 られていることから 年 々 減 少 し ている( 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 中 国 全 土 の 石 炭 輸 出 入 を 参 照 ) 35,000 30,000 25,000 20,000 18,467 22,219 28,851 32,700 15,000 10,000 5, ,583 9,318 8,665 7,172 6,330 5,317 4,543 2,240 3,825 1,903 5,102 1,466 1,332 1,845 2,607 4, 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 輸 入 量 輸 出 量 ( 注 )2013 年 のデータは 国 家 統 計 局 の 速 報 値 ( 出 所 ) 国 家 石 炭 工 業 網 のデータをもとに 作 成 図 中 国 の 石 炭 輸 出 入 量 の 推 移 価 格 競 争 力 で 劣 る 中 国 炭 輸 入 炭 急 増 の 一 方 で 国 内 炭 は 供 給 過 剰 となっている 特 に 一 般 炭 への 影 響 が 大 きい 一 般 炭 は 2009 年 から 2013 年 まで 5 年 連 続 で 1 億 トン 以 上 の 供 給 過 剰 が 生 じており 生 産 能 力 の 過 剰 状 態 は 短 期 的 には 解 決 が 難 しいと 見 られている また 一 般 炭 は 2012 年 後 半 より 価 格 の 下 落 傾 向 が 続 いており 炭 鉱 の 稼 働 率 にも 影 響 を 与 えている さらに 2013 年 末 には 中 国 産 の 一 般 炭 価 格 が 一 時 的 に 高 騰 したことにより 中 国 東 南 沿 海 部 では 輸 入 炭 の 割 安 感 が 一 層 高 まった 2013 年 末 の 秦 皇 島 港 ~ 広 州 港 までの 海 上 輸 送 費 用 を 61.1 元 /トンとして 計 算 した 場 合 広 州 港 の 国 産 炭 (5,500kcal/kg)の 荷 揚 価 格 は 元 /トンとなる 一 方 同 時 期 の 豪 州 産 一 般 炭 の 広 州 港 着 価 格 は 人 民 元 換 算 額 で 元 /トンとなり 71.2 元 /トンも 安 い また 中 国 の 石 炭 専 門 家 によると 華 東 や 華 南 の 沿 海 部 に 位 置 する 省 直 轄 市 自 治 区 では 多 くの 発 電 所 が 輸 入 低 カロリー 炭 用 に 燃 55

103 料 ボイラーを 改 造 しているという 72 輸 入 炭 の 65%が 沿 海 部 の 発 電 所 に 供 給 されていると 言 われ ているが 発 電 企 業 側 は 輸 入 炭 の 急 増 について 市 場 原 理 に 基 づいてその 時 々に 価 格 競 争 力 のあ る 石 炭 を 調 達 しているにすぎないと 主 張 している こうした 状 況 を 受 けて 中 国 政 府 は 輸 入 炭 の 圧 力 を 軽 減 するために 低 品 位 輸 入 炭 に 関 税 をか けることを 検 討 してきたが 財 政 部 は 2013 年 12 月 2014 年 関 税 実 施 方 案 を 下 達 し 2014 年 も 引 き 続 き 輸 入 炭 に 対 してゼロ 関 税 政 策 をとる 方 針 を 決 定 した また 国 産 炭 の 価 格 競 争 力 を 削 いでいる 主 な 原 因 の 一 つに 石 炭 企 業 に 対 する 様 々な 名 目 の 課 徴 金 ( 一 部 は 乱 収 費 と 呼 ば れる 不 合 理 な 費 用 徴 収 )が 指 摘 されており 改 善 の 通 達 も 出 されてきたが 地 方 政 府 の 税 収 にも 関 係 するため 大 きな 効 果 を 上 げていない 国 務 院 弁 公 庁 は 2013 年 11 月 石 炭 産 業 の 安 定 運 営 促 進 に 関 する 意 見 を 下 達 し 石 炭 企 業 救 済 策 の 一 貫 として 石 炭 企 業 の 税 負 担 軽 減 を 指 示 し ている ( 第 1 章 1.4 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 制 作 の 最 近 の 動 向 及 び 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 炭 種 別 及 び 地 域 別 の 輸 出 入 状 況 を 参 照 ) 72 能 源 網 が 2013 年 12 月 24 日 付 で 転 載 した 経 済 導 報 の 記 事 ( 56

104 2.4 石 炭 取 引 の 市 場 化 改 革 の 推 進 状 況 本 節 では 石 炭 取 引 の 市 場 化 に 向 けた 3 つの 取 り 組 み( 発 電 用 石 炭 の 自 由 契 約 制 度 石 炭 取 引 センターの 設 立 商 品 取 引 所 での 石 炭 先 物 取 引 開 始 )について 調 査 した これら 一 連 の 取 り 組 み は 国 務 院 が 2005 年 に 通 達 した 石 炭 産 業 の 健 全 な 発 展 を 促 すことに 関 する 国 務 院 の 意 見 ( 国 発 号 ) 年 末 に 通 達 した 発 電 用 石 炭 の 市 場 化 改 革 推 進 に 関 する 国 務 院 弁 公 庁 のガイドライン ( 国 発 号 ) 74 を 根 拠 としている 石 炭 産 業 の 健 全 な 発 展 を 促 すことに 関 する 国 務 院 の 意 見 では 1 全 国 規 模 の 石 炭 取 引 セン ターを 中 心 として 2 地 域 市 場 がこれを 補 完 し 3インターネット 技 術 を 活 用 したプラットフォ ーム( 取 引 の 場 )を 構 築 することにより 政 府 のマクロ 調 整 に 寄 与 し 市 場 を 中 心 とした 自 由 取 引 が 行 われる 近 代 的 な 石 炭 取 引 システムの 早 期 確 立 を 目 指 すよう 求 めている この 方 針 に 基 づき 近 年 全 国 で 石 炭 取 引 センターが 相 次 いで 建 設 されている 本 章 で 詳 細 を 述 べる 発 電 用 石 炭 の 市 場 化 改 革 推 進 に 関 する 国 務 院 弁 公 庁 のガイドライン では 年 より 重 点 契 約 や 発 電 用 石 炭 価 格 の 二 重 価 格 制 度 を 解 消 し 2 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 が 自 主 的 な 契 約 を 結 び 商 談 により 石 炭 取 引 価 格 を 決 め 中 長 期 契 約 の 締 結 に 努 め 3 電 力 価 格 形 成 メカニズムの 改 革 電 力 システムの 改 革 石 炭 先 物 取 引 市 場 の 建 設 などの 重 要 課 題 に 関 する 研 究 に 今 後 も 取 り 組 む 方 針 が 示 された 発 電 用 石 炭 の 自 由 契 約 制 度 については 以 下 本 章 で 述 べる 従 来 の 価 格 制 度 と 問 題 点 自 由 契 約 制 度 開 始 による 石 炭 産 業 への 影 響 (1) 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 経 緯 と 問 題 点 中 国 の 石 炭 価 格 制 度 改 革 の 歴 史 は 主 に 表 に 示 す 経 緯 をたどってきた 1993 年 以 前 は 石 炭 部 と 国 家 計 画 委 員 会 が 国 内 炭 価 格 を 統 一 決 定 していたが 1993 年 以 後 は 石 炭 市 場 に 双 軌 制 と 呼 ばれる 二 重 価 格 制 度 が 導 入 されていた 一 つは 発 電 用 石 炭 の 重 点 契 約 に 対 する 国 家 指 導 価 格 ( 一 般 的 な 石 炭 市 場 価 格 よりも 100 元 /トン 以 上 安 い)で もう 一 つは 通 常 の 市 場 価 格 である ま た 鉄 道 部 が 年 度 毎 に 石 炭 の 鉄 道 輸 送 手 配 を 担 当 してきた 中 国 政 府 はこれまで 社 会 の 安 定 を 最 優 先 して 発 電 用 石 炭 の 価 格 保 護 政 策 ( 二 重 価 格 制 度 )を 実 施 してきたため 発 電 用 石 炭 価 格 は 市 場 価 格 から 大 きく 乖 離 していた 政 府 の 指 導 価 格 が 市 場 価 格 より 安 ければ 石 炭 企 業 にとっては 不 利 となり 政 府 の 指 導 価 格 が 市 場 価 格 より 高 ければ 発 電 企 業 にとっては 不 利 に 働 き 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 のいずれかに 不 満 をもたらす 矛 盾 を 抱 えた 制 度 であった 石 炭 市 場 価 格 の 大 幅 な 変 動 や 輸 入 炭 の 急 増 により 二 重 価 格 制 度 の 矛 盾 が 益 々 顕 著 化 したため 発 電 用 石 炭 取 引 を 市 場 化 する 必 要 に 迫 られた 国 務 院 は 2012 年 12 月 末 発 電 用 石 炭 の 市 場 化 改 革 に 関 するガイドライン を 下 達 し 2013 年 から 重 点 契 約 や 発 電 用 石 炭 の 二 重 価 格 制 度 を 取 りやめ 石 炭 市 場 化 改 革 に 本 格 着 手 する 方 針 を 73 中 国 語 は 国 務 院 関 於 促 進 煤 炭 工 業 健 康 発 展 的 若 干 意 見 ( 74 中 国 語 は 国 務 院 弁 公 庁 関 於 深 化 電 煤 市 場 化 改 革 的 指 導 意 見 ( 57

105 打 ち 出 した 新 制 度 開 始 1 年 目 の 2013 年 には 商 品 取 引 所 での 一 般 炭 及 び 原 料 炭 の 先 物 取 引 もス タートし 同 年 末 には 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 による 2014 年 用 発 電 用 石 炭 商 談 会 ( 中 国 語 で 煤 炭 交 易 大 会 )が 開 催 されるなど 重 要 な 取 り 組 みが 相 次 いだ ちなみに 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 によ る 商 談 会 の 名 称 も 従 来 の 発 注 会 ( 訂 貨 会 )から ニュアンスに 公 平 さを 含 む 取 引 会 ( 交 易 会 )に 改 称 された ただし 現 段 階 では 長 年 検 討 が 続 いている 電 力 価 格 制 度 改 革 を 断 行 する までには 至 っておらず 発 電 用 石 炭 取 引 の 完 全 市 場 化 に 向 けた 最 重 要 課 題 がなお 残 されていると 言 えよう 表 中 国 の 石 炭 価 格 形 成 史 の 5 段 階 区 分 石 炭 の 統 一 供 給 消 費 段 階 (1953 年 1978 年 ) 石 炭 価 格 の 調 整 段 階 (1979 年 1984 年 ) 調 整 規 制 改 革 段 階 ( 後 期 は 規 制 改 革 がメイン) ( 年 ) 発 電 用 石 炭 に 政 府 指 導 価 格 を 適 用 した 半 市 場 価 格 導 入 段 階 (1993 年 2002 年 ) 石 炭 価 格 の 市 場 化 改 革 実 施 段 階 (2002 年 ~ 現 在 ) 石 炭 は 生 産 物 資 で 商 品 としての 位 置 付 けはなかった 国 の 一 級 統 一 分 配 物 資 として 供 給 消 費 政 策 が 実 施 された 石 炭 価 格 は 他 の 主 要 生 産 物 資 との 価 格 比 較 で 決 められ 論 理 的 根 拠 に 基 づいて 算 出 された 価 格 ではなかった 国 務 院 は 1979 年 5 月 1 日 より 全 国 で 石 炭 価 格 の 調 整 を 行 ったが 当 時 の 価 格 調 整 は 1958 年 及 び 1965 年 に 行 われた 価 格 調 整 と 同 様 な 政 治 的 調 整 であり 市 場 との 関 連 性 は 薄 かった 1983 年 1 月 から 中 国 では 全 国 22 部 所 属 の 統 配 炭 鉱 ( 注 )で 計 画 外 で 生 産 した 石 炭 の 加 算 方 法 に 関 する 試 行 に 取 り 組 み 石 炭 価 格 の 長 期 不 変 動 問 題 を 解 決 した 1984 年 11 月 28 日 中 国 政 府 は 地 方 炭 鉱 が 計 画 外 生 産 石 炭 を 自 主 販 売 することを 認 可 し 自 主 販 売 分 の 石 炭 は 市 場 相 場 に 基 づいて 独 自 に 価 格 を 決 定 し 売 り 手 と 買 い 手 が 協 議 した 上 で 販 売 契 約 を 結 ぶことができるとした 1985 年 石 炭 価 格 改 革 が 実 施 された 全 国 の 統 配 炭 鉱 で 投 資 生 産 請 負 制 ( 投 入 産 出 総 請 負 )が 導 入 され 石 炭 の 二 重 価 格 制 度 が 形 成 され 石 炭 価 格 が 多 様 化 した 石 炭 価 格 に 占 める 政 府 価 格 の 割 合 は 減 り 政 府 は 価 格 決 定 権 の 一 部 を 手 放 した また 商 談 価 格 や 商 談 市 場 を 合 法 化 し 石 炭 価 格 形 成 メカニズムに 本 質 的 な 変 化 が 生 じた 石 炭 価 格 システムで 市 場 価 格 が 初 めて 主 導 的 な 立 場 を 占 めるようになり 政 府 価 格 と 市 場 シス テムが 価 格 形 成 で 重 要 な 役 割 を 果 たすようになった 1993 年 石 炭 価 格 は 新 たな 段 階 に 入 り 中 国 政 府 は 市 場 価 格 を 中 心 に 据 えた 価 格 制 度 を 確 立 した 1994 年 1 月 全 国 石 炭 市 場 の 石 炭 価 格 の 規 制 を 緩 和 した 計 画 内 石 炭 価 格 と 計 画 外 石 炭 価 格 の 垣 根 を 排 除 し 同 一 石 炭 でも 多 様 な 価 格 が 存 在 した 従 来 制 度 を 変 更 した 発 電 用 石 炭 価 格 の 混 乱 を 避 け 社 会 秩 序 の 安 定 維 持 を 目 的 として 1996 年 中 国 政 府 は 再 び 発 電 用 石 炭 に 対 する 政 府 指 導 価 格 制 度 を 実 施 した 2002 年 中 国 政 府 は 石 炭 価 格 の 完 全 市 場 価 格 制 度 を 開 始 したが 輸 送 がネックとなり また 最 終 需 要 家 価 格 が 高 騰 したため 国 民 経 済 の 安 定 をはかるために 発 改 委 が 発 電 用 石 炭 市 場 価 格 及 び 輸 送 に 関 して 政 府 介 入 した 2005 年 末 発 改 委 は 2006 年 の 全 国 重 点 石 炭 生 産 輸 送 需 要 の 調 整 作 業 を 順 調 に 進 めることに 関 する 発 改 委 の 通 知 を 下 達 し 2004 年 末 に 打 ち 出 した 発 電 用 石 炭 価 格 の 臨 時 介 入 措 置 を 取 り 消 し 発 電 用 石 炭 価 格 の 規 制 緩 和 を 行 うことを 発 表 発 電 用 石 炭 価 格 の 安 定 維 持 を 前 提 条 件 に 発 電 企 業 と 石 炭 企 業 の 双 方 が 自 主 的 に 取 引 価 格 を 定 めるよう 指 示 した 58

106 2009 年 12 月 14 日 発 改 委 は 石 炭 の 生 産 輸 送 の 連 携 作 業 の 改 善 に 関 するガイドラ イン を 下 達 し 石 炭 訂 貨 会 を 廃 止 し 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 の 需 給 両 サイドが 自 主 的 に 発 電 用 石 炭 の 契 約 について 商 談 した 上 で 契 約 を 締 結 するよう 指 示 した 2012 年 12 月 20 日 国 務 院 は 発 電 用 石 炭 の 市 場 化 改 革 に 関 するガイドライン を 公 布 し 2013 年 より 重 点 契 約 や 発 電 用 石 炭 の 二 重 価 格 制 を 廃 止 する 方 針 を 示 し 発 電 用 石 炭 価 格 の 一 本 化 が 実 現 した 発 改 委 も 2012 年 12 月 21 日 発 電 用 石 炭 の 臨 時 価 格 干 渉 措 置 に 関 する 通 知 75 を 下 達 し 発 電 用 石 炭 の 臨 時 価 格 干 渉 措 置 を 取 りやめ 需 給 両 サ イドが 自 主 的 に 商 談 して 価 格 を 定 めるよう 指 示 した 2012 年 12 月 31 日 国 務 院 弁 公 庁 は 発 電 用 石 炭 の 市 場 化 改 革 の 更 なる 推 進 に 関 する ガイドラインの 徹 底 及 び 生 産 輸 送 の 連 携 業 務 の 円 滑 な 推 進 に 関 する 通 知 76 を 下 達 し 発 電 用 石 炭 の 市 場 化 改 革 の 推 進 徹 底 生 産 や 輸 送 の 円 滑 な 連 携 中 国 石 炭 工 業 協 会 によ る 契 約 の 締 結 や 履 行 状 況 のとりまとめ 石 炭 発 電 による 電 力 価 格 の 調 整 などを 着 実 に 実 施 するよう 指 示 した 2013 年 11 月 国 務 院 弁 公 庁 は 石 炭 産 業 の 安 定 運 営 促 進 に 関 する 意 見 77 を 下 達 し 石 炭 企 業 の 税 負 担 軽 減 を 指 示 した 2013 年 12 月 発 改 委 は 2014 年 石 炭 生 産 輸 送 連 携 業 務 の 円 滑 な 実 施 に 向 けた 発 改 委 の 通 知 78 を 下 達 し 輸 送 面 での 連 携 作 業 や 供 給 安 定 をはかるため 12 月 末 までに 需 給 両 サイド( 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 )が 自 主 的 な 商 談 を 行 い 契 約 締 結 状 況 報 告 するよう 石 炭 産 業 協 会 に 求 めた また 両 者 が 2 年 以 上 の 中 長 期 契 約 を 結 び 長 期 的 な 安 定 供 給 関 係 を 築 くよう 努 力 するよう 指 示 した しかし 現 状 ではほとんどが 四 半 期 ごとの 契 約 に 留 まっている ( 注 )かつて 中 国 政 府 が 指 定 した 大 手 の 国 営 炭 鉱 で 国 や 地 方 の 石 炭 供 給 計 画 に 含 まれた ( 出 所 ) 期 貨 日 報 2013 年 9 月 11 日 記 事 ( 中 国 一 般 炭 市 場 研 究 レポート その 他 資 料 より 作 成 (2) 発 電 用 石 炭 価 格 自 由 契 約 制 度 の 実 施 状 況 年 度 商 談 会 での 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 の 攻 防 中 国 の 報 道 79 によると 2013 年 末 に 開 催 された 中 国 石 炭 最 大 手 の 神 華 集 団 と 5 大 電 力 企 業 集 団 との 2014 年 度 石 炭 契 約 に 関 する 商 談 は 価 格 交 渉 や 価 格 決 定 方 法 で 合 意 に 至 らず 越 年 した 神 華 集 団 は 商 談 の 際 年 の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 を 基 準 価 格 とし 毎 月 価 格 調 整 する 2 四 半 期 単 位 の 契 約 を 結 び 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 の 変 動 幅 に 応 じて 四 半 期 ごとに 価 格 調 整 す る という 2 種 類 の 契 約 案 を 提 案 した また 基 準 炭 種 (5,500kcal/kg 一 般 炭 )の 基 準 価 格 として 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 の 2013 年 平 均 価 格 (590 元 /トン)を 提 示 したが 電 力 企 業 側 は 560 元 75 中 国 語 は 関 於 解 除 発 電 用 煤 臨 時 価 格 干 預 措 置 的 通 知 ( 発 改 価 格 号 ) 76 中 国 語 は 国 家 発 展 改 革 委 員 会 関 於 貫 徹 落 実 国 務 院 弁 公 庁 関 於 深 化 電 煤 市 場 化 改 革 的 指 導 意 見 做 好 産 運 需 銜 接 工 作 的 指 導 意 見 ( 発 改 運 行 号 )( 77 中 国 語 は 国 務 院 弁 公 庁 関 於 促 進 煤 炭 行 業 平 穏 運 行 的 意 見 ( 国 弁 発 号 ) 78 中 国 語 は 国 家 発 展 改 革 委 員 会 関 於 做 好 2014 年 煤 炭 産 運 需 銜 接 工 作 的 通 知 79 中 国 電 力 企 業 連 合 会 ウェブサイトが 2014 年 1 月 2 日 付 で 転 載 した 第 一 経 済 日 報 等 の 記 事 ( 国 家 能 源 網 2014 年 3 月 1 日 記 事 ( 証 券 日 報 2014 年 1 月 7 日 記 事 ( 59

107 /トン 前 後 を 提 示 し 価 格 調 整 スパン( 毎 月 調 整 か 四 半 期 に 一 度 調 整 か)に 関 しても 意 見 がまと まらなかったと 伝 えられている 発 展 改 革 委 員 会 が 2014 年 石 炭 生 産 輸 送 連 携 業 務 の 円 滑 な 実 施 に 関 する 通 知 で 発 電 用 石 炭 契 約 締 結 や 報 告 を 2013 年 末 までに 行 うよう 通 知 したにもかかわらず 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 の 商 談 は 2014 年 に 持 ち 越 した 2014 年 用 石 炭 取 引 会 は 中 国 石 炭 市 場 の 需 要 減 少 価 格 下 落 輸 入 炭 の 急 増 などを 受 けて 電 力 企 業 に 優 位 な 買 い 手 市 場 となり 石 炭 企 業 は 譲 歩 せざるを 得 なかっ たようである また 電 力 企 業 集 団 は 資 金 力 が 厚 く 安 価 な 輸 入 炭 で 当 面 の 必 要 量 を 確 保 しなが ら 国 内 炭 の 価 格 下 落 を 待 って 契 約 するだけの 余 裕 もあった 2013 年 末 の 商 談 会 は 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 が 急 騰 する 中 で 行 われたが 電 力 企 業 は 国 内 炭 価 格 は 近 い 将 来 下 落 すると 見 越 し て 契 約 締 結 を 先 延 ばししたとの 見 方 もある 通 常 景 気 の 上 昇 が 見 込 まれる 場 合 将 来 価 格 ( 先 物 価 格 )は 現 物 価 格 を 上 回 るが 景 気 後 退 ( 過 剰 生 産 や 在 庫 増 加 など)が 見 込 まれる 場 合 現 物 価 格 が 先 物 価 格 を 上 回 るとされるためである 80 実 際 に 2013 年 12 月 中 旬 から 一 般 炭 市 場 では 現 物 取 引 価 格 が 先 物 取 引 価 格 を 上 回 る 状 態 となり 過 剰 生 産 や 石 炭 在 庫 増 加 の 解 消 目 処 も 立 たな いことから 2014 年 初 の 価 格 下 落 を 予 測 できたと 指 摘 されている 81 ( 本 章 の 図 を 参 照 ) 結 局 2014 年 2 月 中 旬 に 至 り 神 華 集 団 は 華 能 や 国 華 などの 電 力 集 団 と 2014 年 度 契 約 を 結 ん だが 基 準 価 格 を 元 /トンに 引 き 下 げざるを 得 なかった また 2014 年 第 1 四 半 期 の 執 行 価 格 は 10 元 /トン 下 方 修 正 した 元 /トンとなった 中 煤 同 煤 伊 泰 などの 石 炭 大 手 もこれに 続 き 電 力 企 業 集 団 と 契 約 を 結 んだ 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 の 取 引 契 約 では まず 取 引 量 を 決 め 基 準 価 格 は 市 場 の 価 格 変 動 を 見 な がら 調 整 していくケースがほとんどである 基 準 価 格 の 決 定 方 法 は 主 に 2 パターンある 1 当 月 に 公 表 された 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (もしくは 最 終 週 の 価 格 )を 翌 月 の 基 準 炭 種 の 基 準 価 格 とする 年 の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (590 元 /トン)を 基 数 とし 月 平 均 変 動 が 基 数 の 100 分 の 2 または 累 計 で 100 分 の 3 を 超 えた 場 合 基 数 を 調 整 し 翌 月 の 基 数 とする 2014 年 度 の 商 談 では 電 力 企 業 の 多 くは1の 価 格 決 定 方 法 を 選 び 石 炭 企 業 は 590 元 /トンを 下 回 らないよ う 交 渉 に 臨 んだと 言 われる また 環 渤 海 価 格 指 数 平 均 価 格 は 神 華 集 団 などの 石 炭 大 手 の 思 惑 を 反 映 した 指 数 であるため 電 力 企 業 は 以 前 から 公 平 性 に 欠 けると 異 議 を 唱 えてきた さらに 本 章 で 後 述 するが 2013 年 12 月 末 に 山 西 省 太 原 市 で 開 催 された 2014 年 用 石 炭 商 談 会 では 山 西 省 の 石 炭 大 手 が 2013 年 5 月 よりスタートした 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターの 価 格 指 数 (China-Taiyuan Coal Transaction Price Index, CTPI) 82 を 基 準 価 格 決 定 の 際 の 参 考 値 として 使 用 した 83 これは 山 西 省 の 石 炭 企 業 が 現 地 の 石 炭 市 場 の 実 態 を 反 映 した CTPI を 参 考 値 として 年 3 月 に 鄭 州 商 品 取 引 所 で 実 施 したヒアリング 調 査 による 81 石 炭 通 が 2014 年 1 月 22 日 付 けで 転 載 した 中 国 石 炭 報 の 記 事 ( 及 び 2014 年 3 月 7 日 の 鄭 州 商 品 取 引 所 でのヒアリングによる 年 に 指 数 集 計 システムが 完 成 し 2013 年 5 月 より 毎 週 発 表 されている 総 合 価 格 指 数 のほか 4 炭 種 ( 一 般 炭 原 料 炭 微 粉 炭 石 炭 化 学 用 炭 )の 価 格 指 数 がある 83 山 西 同 煤 集 団 山 西 煤 銷 集 団 山 煤 国 際 国 新 能 源 太 原 煤 気 化 などが CTPI を 参 考 値 として 使 用 し

108 使 用 することで 神 華 集 団 や 中 煤 集 団 などの 石 炭 大 手 の 価 格 引 き 下 げの 影 響 を 被 らないようにす るための 防 衛 策 である ちなみに 中 国 の 報 道 84 によると 一 般 炭 (5,500kcal/kg)の 企 業 別 生 産 コストを 比 較 した 場 合 最 も 安 いのは 神 華 集 団 の 300 元 /トンで 山 西 省 など 内 陸 部 の 石 炭 企 業 の 中 には 600 元 /トン 近 くにのぼる 企 業 もあり 輸 入 炭 の 販 売 価 格 を 上 回 るケースもあるという 2 課 題 発 電 用 石 炭 価 格 が 一 本 化 されたことにより 石 炭 企 業 と 発 電 企 業 が 長 期 契 約 (3~5 年 )を 結 ぶ ことが 期 待 されているが 現 状 では 四 半 期 ごとの 短 期 契 約 に 留 まっている この 点 について 中 国 電 力 企 業 連 合 会 の 王 志 軒 秘 書 長 は 皆 長 期 契 約 が 望 ましいと 認 識 してはいるが 市 場 価 格 の 変 動 リスクを 懸 念 して 二 の 足 を 踏 んでいる 今 後 更 に 法 整 備 を 進 める 必 要 がある と 述 べている 石 炭 取 引 市 場 化 に 向 けた 取 り 組 み1( 石 炭 取 引 センター) (1) 全 国 の 石 炭 取 引 センター 開 設 状 況 2010 年 以 降 各 地 で 石 炭 取 引 センターが 次 々と 設 立 されており その 数 は 2013 年 末 時 点 で 31 社 にのぼるとされる 86 これらのセンターは 国 務 院 が 2005 年 に 通 達 した 石 炭 産 業 の 健 全 な 発 展 を 促 すことに 関 する 国 務 院 の 意 見 ( 国 発 号 )に 基 づいて 設 立 されたものであるこ とは 前 述 した 各 地 方 政 府 は 国 務 院 にセンターの 設 立 を 申 請 し 国 務 院 は 関 係 部 門 ( 発 展 改 革 委 員 会 商 務 部 鉄 道 部 交 通 部 工 商 総 局 国 務 院 発 展 研 究 センター 等 )の 意 見 を 聴 取 した 上 で 設 立 を 認 可 している センターでは 所 在 地 周 辺 のローカルエリアに 根 ざした 石 炭 取 引 が 行 われ ており 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターの CTPI のように 独 自 の 石 炭 価 格 指 数 を 採 用 するケースも ある 従 来 の 石 炭 取 引 では 売 り 手 ( 石 炭 生 産 企 業 )と 買 い 手 ( 発 電 企 業 や 下 流 の 石 炭 消 費 企 業 など) の 双 方 が 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 や BSPI を 参 考 に 取 引 価 格 を 決 定 してきた しかし BSPI は 環 渤 海 地 域 で 一 般 炭 取 引 を 行 う 主 要 6 港 87 の FOB 価 格 を 集 計 し 加 重 平 均 した 価 格 指 数 であり 産 炭 地 の 石 炭 価 格 を 反 映 した 指 数 ではない( 図 参 照 ) このため 山 西 省 や 内 モンゴル 自 治 区 など 産 炭 地 の 取 引 センターは 港 湾 指 数 88 に 代 わる 独 自 の 価 格 指 数 を 採 用 し ローカルエリアの 取 引 で 価 格 主 導 権 を 握 ろうとする 試 みが 広 がっている なお 各 地 のセンターは 設 立 背 景 により 集 散 地 型 産 炭 地 型 消 費 地 型 に 大 別 することができる また 設 立 母 体 のバックグラウンドも 地 方 政 府 の 事 業 単 位 国 有 企 業 国 有 持 株 企 業 民 営 企 業 など 様 々である( 表 参 照 ) 契 約 ( 総 額 1 億 3,569 万 トン)を 結 んだ 84 山 西 煤 炭 販 売 網 2014 年 2 月 7 日 転 載 記 事 ( 85 東 煤 交 易 雑 誌 2014 年 1 月 号 P17 86 中 国 石 炭 工 業 協 会 が 2014 年 1 月 15 日 に 北 京 で 開 催 した 2013 年 度 石 炭 産 業 プレスリリース ( 東 煤 交 易 雑 誌 2014 年 1 月 号 P34( 北 東 アジア 石 炭 取 引 センターを 運 営 する 東 北 亜 煤 炭 交 易 有 限 公 司 編 集 ) 87 脚 注 58 参 照 88 この 他 広 州 港 煤 炭 価 格 指 数 寧 波 港 煤 炭 参 考 価 格 杭 州 湾 動 力 煤 炭 価 格 参 考 指 数 等 がある 61

109 単 位 : 元 /トン 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg) 中 国 太 原 一 般 炭 取 引 価 格 指 数 (5,500kcal/kg) ( 出 所 ) 秦 皇 島 石 炭 網 及 び 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターのデータをもとに 作 成 図 中 国 太 原 一 般 炭 取 引 価 格 指 数 と 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 の 比 較 (2013 年 ) 各 センターの 共 通 点 としては 専 用 ウェブサイトを 開 設 して 石 炭 価 格 変 動 データや 石 炭 政 策 動 向 等 の 関 連 情 報 をリアルタイムで 提 供 する 他 オンライン 受 発 注 システムによる 現 物 取 引 ( 電 子 商 取 引 )を 導 入 している 点 が 挙 げられる この 点 について 太 原 取 引 センターの 関 係 者 は 買 い 手 と 売 り 手 の 双 方 にアリババ 89 のような 情 報 交 流 の 場 (プラットフォーム)を 提 供 しており 相 応 の 効 果 を 上 げている とコメントしている 90 なお 価 格 動 向 などのデータは 登 録 会 員 向 けの 有 償 情 報 も 多 いが 石 炭 市 場 に 関 する 各 種 データや 関 連 政 策 情 報 などをウェブサイトからリアルタ イムに 入 手 できるようになった また 本 調 査 を 通 じて 中 国 の 石 炭 取 引 センターでは 石 炭 の 現 物 取 引 を 後 述 する 大 連 鄭 州 の 商 品 取 引 所 では 石 炭 の 先 物 取 引 を 実 施 しており 石 炭 取 引 の 市 場 化 改 革 ( 石 炭 価 格 制 度 改 革 ) の 一 環 としてそれぞれ 異 なる 役 割 を 担 っていることを 確 認 した センターの 現 物 取 引 では 買 い 手 ( 需 要 側 発 電 企 業 や 川 下 の 石 炭 消 費 企 業 )と 売 り 手 ( 供 給 側 主 に 石 炭 生 産 企 業 )が 商 談 し 石 炭 の 取 引 量 や 受 渡 し 時 期 を 決 定 している 取 引 交 渉 の 際 に は 市 場 価 格 をもとに 取 引 価 格 を 決 定 しており 2013 年 12 月 中 旬 に 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 セン ターで 開 催 された 2014 太 原 石 炭 取 引 会 ( 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 と 6 大 センターが 共 催 )では 地 元 の 石 炭 大 手 が 取 引 価 格 を 決 める 際 に BSPI ではなく CTPI を 参 考 値 として 使 ったことが 話 題 になった また 中 長 期 取 引 ( 中 国 語 で 中 遠 期 交 易 )や 短 長 期 契 約 取 引 ( 中 国 語 で 短 長 協 交 易 )と 呼 ばれる 現 物 取 引 が 行 われており これらは 先 物 取 引 と 勘 違 いされやすいが 毎 月 末 など 定 期 的 に 支 払 いが 行 われるシステムで 限 月 や 納 会 日 のある 先 物 取 引 とは 異 なる さ らに センターでは 従 来 は 旧 鉄 道 部 が 担 ってきた 石 炭 輸 送 計 画 手 配 なども 行 っており 一 部 センターでは 鉄 道 のほか 船 舶 による 海 上 輸 送 トラック 輸 送 の 手 配 も 行 っている 中 国 における 企 業 間 電 子 商 取 引 (BtoB) 事 業 の 最 大 手 年 2 月 に 太 原 で 実 施 したヒアリング 調 査 によると 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターでは 鉄 道 とトラッ ク 輸 送 の 手 配 を 行 っている 62

110 このように センターが 主 催 する 商 談 会 では 従 来 の 発 注 会 が 担 ってきた 機 能 を 受 け 継 ぎつつ 市 場 原 理 に 基 づいた 価 格 交 渉 が 進 められることを 目 指 している このため 石 炭 現 物 の 受 渡 しを 前 提 としており 事 実 上 投 機 目 的 の 参 加 者 が 取 引 に 参 入 する 余 地 はない また 取 引 センター という 第 三 者 を 通 じて 取 引 を 行 うことにより 取 引 代 金 の 徴 収 を 保 証 し 商 談 の 場 を 設 定 する 手 間 を 省 くことができるなど 石 炭 企 業 の 負 担 が 軽 減 され 石 炭 企 業 は 本 来 の 生 産 業 務 に 専 念 しや すくなったとされている 表 中 国 の 主 な 石 炭 取 引 センター 石 炭 取 引 センター 名 下 段 ( ) 内 は 中 国 語 名 称 地 域 設 立 時 期 タイプ 備 考 ( 運 営 母 体 など) 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センター ( 中 国 ( 太 原 ) 煤 炭 交 易 中 心 ) 山 西 太 原 産 炭 地 型 山 西 省 政 府 直 属 の 事 業 単 位 独 自 の 石 炭 価 格 指 数 CTPI を 公 表 華 北 秦 皇 島 海 運 石 炭 取 引 市 場 ( 秦 皇 島 海 運 煤 炭 交 易 市 場 ) 華 誠 煤 網 (necoal) 北 方 ( 内 モンコ ル) 石 炭 電 子 取 引 セン ターより 改 名 内 モンゴル 石 炭 取 引 センター ( 内 蒙 古 煤 炭 交 易 中 心 ) 内 モンゴル 包 頭 市 東 興 石 炭 取 引 市 場 ( 内 蒙 古 包 頭 市 興 煤 炭 交 易 市 場 ) 河 北 秦 皇 島 内 モンコ ル オルト ス 内 モンコ ル オルト ス 内 モンコ ル 包 頭 集 散 地 型 産 炭 地 型 産 炭 地 型 産 炭 地 型 秦 皇 島 港 股 份 有 限 公 司 ( 国 有 企 業 が 出 資 )が 統 括 石 炭 価 格 指 数 BSPI を 公 表 世 界 最 大 の 石 炭 集 積 地 で 影 響 力 大 フフホトから 移 転 し 華 誠 煤 網 ( 華 誠 煤 炭 物 流 有 限 公 司 が 運 営 )に 改 名 内 モンゴル 自 治 区 やモン ゴル 国 を 始 めとする 北 東 アジア 地 域 の 取 引 をタ ーゲットとする 民 営 企 業 4 社 が 出 資 設 立 した 内 蒙 古 華 夏 煤 炭 交 易 市 場 有 限 責 任 公 司 が 運 営 大 型 物 流 園 区 を 有 する 内 蒙 古 呼 鉄 投 資 発 展 中 心 包 頭 市 物 資 有 限 責 任 公 司 包 頭 市 騰 昇 鉱 業 有 限 責 任 公 司 包 頭 生 態 鉱 業 (アルミ 業 ) 園 区 開 発 有 限 公 司 の 4 社 が 株 主 烏 海 石 炭 取 引 センター ( 烏 海 煤 炭 交 易 中 心 ) 内 モンコ ル 烏 海 不 明 産 炭 地 型 内 蒙 古 天 衆 恵 通 煤 炭 貿 易 有 限 責 任 公 司 が 設 立 烏 海 産 炭 を 取 引 華 東 内 モンゴル 東 部 石 炭 取 引 センター ( 内 蒙 古 東 部 煤 炭 交 易 中 心 ) 内 モンゴル 西 北 石 炭 取 引 センター ( 内 蒙 西 北 煤 炭 交 易 中 心 ) 徐 州 華 東 石 炭 取 引 市 場 ( 徐 州 華 東 煤 炭 交 易 市 場 ) 上 海 石 炭 取 引 サイト ( 上 海 煤 炭 交 易 網 ) 魯 中 石 炭 取 引 センター ( 魯 中 煤 炭 交 易 中 心 ) 浙 江 石 炭 取 引 センター ( 浙 江 煤 炭 交 易 中 心 ) 内 モンコ ル 通 遼 内 モンコ ル ウランチャフ 江 蘇 徐 州 上 海 市 2001 山 東 淄 博 浙 江 寧 波 産 炭 地 型 産 炭 地 型 産 炭 地 型 集 散 地 型 消 費 地 型 産 炭 地 型 集 散 地 型 通 遼 市 源 通 物 流 有 限 公 司 が 設 立 運 営 内 モン ゴル 東 部 及 び 東 北 地 域 最 大 の 石 炭 取 引 市 場 と 宣 伝 されている ウランチャフ 市 政 府 内 蒙 古 博 源 控 股 集 団 有 限 公 司 中 国 資 源 交 通 集 団 有 限 公 司 フフホト 鉄 局 中 鉄 11 局 が 共 同 設 立 した 内 蒙 古 西 北 煤 炭 交 易 中 心 股 份 有 限 公 司 が 運 営 江 蘇 省 唯 一 の 石 炭 生 産 基 地 で 中 継 地 の 徐 州 に 徐 州 港 務 集 団 が 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 などと 設 立 かつての 上 海 石 炭 取 引 所 の 傘 下 企 業 である 上 海 中 源 煤 炭 交 易 電 子 商 務 有 限 公 司 ( に 民 営 化 )が 運 営 山 東 能 源 淄 博 鉱 業 集 団 ( 地 方 国 有 企 業 )が 51% の 権 益 を 持 つ 山 東 坤 昇 集 団 も 出 資 山 東 省 初 の 石 炭 現 物 電 子 取 引 市 場 寧 波 金 燕 網 絡 科 技 有 限 公 司 が 投 資 設 立 寧 波 港 を 始 めとする 浙 江 省 内 各 港 の 情 報 を 網 羅 西 南 寧 波 ( 輸 入 ) 石 炭 取 引 センター ( 寧 波 ( 進 口 ) 煤 炭 交 易 中 心 ) 西 南 煤 炭 取 引 センター ( 西 南 煤 炭 交 易 中 心 ) 西 部 ( 重 慶 万 盛 ) 石 炭 取 引 センター ( 西 部 ( 重 慶 万 盛 ) 煤 炭 交 易 中 心 ) 浙 江 寧 波 広 西 貴 港 重 慶 市 集 散 地 型 集 散 地 型 産 炭 地 型 寧 波 経 済 技 術 開 発 区 控 股 公 司 寧 波 港 股 份 有 限 公 司 寧 波 開 発 投 資 集 団 有 限 公 司 が 共 同 出 資 し て 設 立 した 寧 波 北 倉 煤 炭 交 易 中 心 有 限 公 司 が 運 営 広 西 合 山 煤 業 有 限 公 司 ( 中 外 合 弁 )の 全 額 出 資 子 会 社 が 運 営 西 南 地 域 最 大 の 河 川 港 貴 港 市 が 拠 点 重 慶 市 政 府 のプロジェクトとして 万 盛 経 済 開 発 区 に 設 立 63

111 ( 中 航 ) 南 方 石 炭 取 引 センター (( 中 航 ) 南 方 煤 炭 交 易 中 心 ) 貴 州 貴 陽 産 炭 地 型 貴 州 中 航 資 源 有 限 公 司 の 全 額 出 資 子 会 社 である 南 方 煤 炭 交 易 中 心 股 份 有 限 公 司 が 運 営 華 華 中 石 炭 取 引 センター ( 華 中 煤 炭 交 易 中 心 ) 河 南 開 封 産 炭 地 型 河 南 省 華 中 煤 炭 交 易 市 場 ( 河 南 省 発 展 改 革 委 員 会 系 列 )が 運 営 華 北 華 中 華 南 西 南 地 域 をカバー 中 江 西 省 石 炭 取 引 センター ( 江 西 省 煤 炭 交 易 中 心 ) 江 西 九 江 産 炭 地 型 江 西 省 最 大 の 石 炭 企 業 である 江 西 煤 炭 集 団 系 列 の 江 西 煤 炭 儲 備 中 心 有 限 公 司 が 運 営 西 北 東 北 華 南 そ の 他 陝 西 石 炭 取 引 センター ( 陝 西 煤 炭 交 易 中 心 ) 中 国 ( 中 源 ) 石 炭 取 引 センター ( 中 国 ( 中 源 ) 煤 炭 交 易 中 心 ) 新 疆 疆 煤 石 炭 取 引 センター ( 新 疆 疆 煤 煤 炭 交 易 中 心 ) 北 東 アジア 石 炭 取 引 センター ( 東 北 亜 煤 炭 交 易 中 心 ) 瀋 陽 石 炭 取 引 センター ( 瀋 陽 煤 炭 交 易 中 心 ) 広 州 華 南 石 炭 取 引 センター ( 広 州 華 南 煤 炭 交 易 中 心 ) 東 方 石 炭 電 子 取 引 センター ( 東 方 煤 炭 電 子 交 易 中 心 ) 全 国 石 炭 現 物 電 子 取 引 フ ラットフォーム ( 全 国 煤 炭 現 貨 電 子 交 易 平 台 ) 陝 西 西 安 陝 西 西 安 新 疆 鄯 善 県 七 克 台 鎮 遼 寧 大 連 遼 寧 瀋 陽 2005 広 東 広 州 上 海 ( 取 引 開 始 ) 北 京 ( 出 所 ) 各 センターのウェブサイト その 他 資 料 より 作 成 産 炭 地 型 産 炭 地 型 産 炭 地 型 消 費 地 型 産 炭 地 型 消 費 地 型 陝 西 煤 業 化 工 集 団 と 陝 西 省 煤 炭 運 銷 ( 集 団 ) 有 限 責 任 公 司 (ともに 地 方 国 有 企 業 )が 陝 西 大 口 石 炭 取 引 市 場 を 再 編 陝 西 中 源 煤 炭 儲 運 有 限 公 司 ( 陝 西 中 源 煤 業 集 団 ) 中 国 煤 炭 交 易 網 新 疆 西 域 能 源 有 限 公 司 と 鄯 善 宏 鑫 煤 業 公 司 が 新 疆 疆 煤 煤 炭 交 易 中 心 有 限 公 司 を 共 同 設 立 大 連 泰 徳 煤 網 股 份 有 限 公 司 ( 中 国 トップレベル の 民 営 石 炭 物 流 管 理 企 業 )が 設 立 情 報 物 流 金 融 サービスに 重 点 石 炭 スーハ ーマーケット 短 長 協 現 物 取 引 などの 電 子 取 引 を 実 施 遼 寧 省 石 炭 産 業 管 理 局 が 主 管 し 瀋 陽 銀 浪 伝 媒 有 限 責 任 公 司 が 運 営 東 北 煤 炭 市 場 網 を 開 設 広 州 港 集 団 ( 国 有 企 業 )が 設 立 広 州 港 石 炭 価 格 指 数 を 公 表 輸 入 炭 の 割 合 大 淮 北 鉱 業 集 団 と 上 海 鋼 聯 電 子 商 務 股 份 有 限 公 司 が 共 同 運 営 する 石 炭 石 炭 化 学 関 連 の 電 子 取 引 市 場 石 炭 業 界 の 電 子 商 取 引 サービスを 手 掛 ける 中 煤 遠 大 ( 北 京 ) 電 子 商 務 股 份 有 限 公 司 が 運 営 煤 炭 網 ( 開 設 (2) センター 開 設 の 背 景 2009 年 に 発 注 会 ( 訂 貨 会 )が 廃 止 され 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 が 自 主 的 な 商 談 を 行 うよう 制 度 変 更 された 後 石 炭 の 現 物 取 引 規 模 が 拡 大 し 石 炭 取 引 に 関 する 情 報 交 流 の 場 (プラットフォーム) の 構 築 取 引 地 域 の 広 域 化 電 子 商 取 引 の 導 入 が 急 速 に 進 んだ さらに 2012 年 11 月 28 日 には 北 京 で 中 国 石 炭 取 引 市 場 協 力 組 織 92 が 設 立 された この 組 織 は 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 と 6 大 石 炭 取 引 センターが 共 同 発 起 人 となり 設 立 されたもので 各 地 のセンター( 市 場 )が 自 由 に 参 加 す ることができる 公 平 公 正 で 開 かれた 石 炭 電 子 商 取 引 の 場 (プラットフォーム)を 構 築 する ことにより 石 炭 取 引 や 関 連 する 金 融 物 流 認 証 情 報 交 換 が 双 方 向 に 流 れ かつ 関 連 業 務 が スムーズに 行 われるよう 目 指 している さらに 2013 年 12 月 には 6 大 石 炭 取 引 センターが 2014 年 太 原 石 炭 取 引 会 を 共 同 開 催 し 契 約 規 模 は 過 去 最 高 の 9.55 億 トン( 鉄 道 7.1 億 トン 道 路 2.45 億 トン 山 西 省 内 の 発 電 用 石 炭 契 92 中 国 語 名 称 は 中 国 煤 炭 交 易 市 場 合 作 組 織 英 語 名 称 は China Coal Exchange Cooperation Organization( 略 称 CCECO)( 64

112 約 額 2,977 万 トン 等 )に 達 した 93 これは 全 国 の 石 炭 消 費 量 の 26.5%にあたるとされる ちなみに 2012 年 12 月 の 取 引 会 の 契 約 量 は 7.88 億 トンであった 2014 年 太 原 石 炭 取 引 会 では 取 引 センターや 研 究 機 関 により 制 定 された 全 国 石 炭 取 引 市 場 の 取 引 規 則 が 公 布 された また 石 炭 売 買 契 約 書 のサンプル に 関 する 意 見 交 換 も 行 われ 規 則 遵 守 や 契 約 精 神 に 基 づく 石 炭 取 引 が 行 われるよう 念 押 しされた また 取 引 会 の 開 催 期 間 中 石 炭 市 場 をテーマにした 多 くのフォーラムが 開 催 され 49 の 商 談 会 が 開 催 された 期 間 中 2,000 社 を 超 す 石 炭 取 引 業 関 係 者 84 社 の 石 炭 企 業 ( 神 華 中 煤 大 同 炭 鉱 など) 90 社 近 い 発 電 企 業 ( 華 能 大 唐 など) 鉄 鋼 企 業 40 社 ( 鞍 山 鉄 鋼 宝 山 鉄 鋼 など) 大 手 建 材 企 業 50 社 ( 冀 東 セ メント 湖 北 宜 化 など) 石 炭 化 学 関 連 企 業 北 京 太 原 鄭 州 の 鉄 道 局 港 湾 企 業 10 社 ( 秦 皇 島 港 曹 妃 甸 など) 23 の 金 融 先 物 取 引 業 界 ( 中 国 工 商 銀 行 大 連 鄭 州 商 品 取 引 所 など) 7 万 人 以 上 が 参 加 したという (3) 主 要 センターの 概 要 各 地 のセンターのうち 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センター 秦 皇 島 海 運 石 炭 取 引 市 場 内 モンゴ ル 石 炭 取 引 センター 徐 州 華 東 石 炭 取 引 市 場 陝 西 石 炭 取 引 センター 北 東 アジア 石 炭 取 引 セン ターは 取 引 量 や 会 員 企 業 数 が 大 きく 6 大 石 炭 取 引 センター と 呼 ばれている 2014 年 2 月 末 時 点 の 主 要 センターの 概 要 は 下 記 の 通 りである 1 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センター 2007 年 10 月 設 立 全 国 で 唯 一 センター 名 に 中 国 がついており 石 炭 発 注 システムの 改 革 取 引 システムの 刷 新 第 三 者 による 石 炭 電 子 取 引 プラットフォームの 確 立 を 目 指 して 先 駆 的 役 割 を 果 たす 使 命 を 負 っている また 石 炭 取 引 取 引 代 金 の 決 済 物 流 配 送 情 報 コンサル ティング 取 引 融 資 ビジネス 会 議 などの 多 岐 にわたるサービスを 一 体 化 した 石 炭 商 品 取 引 市 場 で 5 つの 機 能 ( 情 報 収 集 取 引 の 仲 立 ち リスク 回 避 価 格 形 成 関 連 サービス 提 供 )を 果 た している 山 西 省 で 販 売 される 石 炭 は 全 て 同 センターの 電 子 取 引 市 場 に 上 場 されているとされる また 石 炭 取 引 に 不 可 欠 な 鉄 道 輸 送 やトラックによる 陸 送 の 手 配 も 行 っており 中 継 港 や 消 費 地 の 石 炭 物 流 倉 庫 と 連 携 して 山 西 省 外 に 移 出 する 石 炭 がスムーズに 輸 送 されるよう 設 計 されている 取 引 形 態 には 以 下 4 種 類 がある 上 場 取 引 ( 売 り 手 または 買 い 手 が 電 子 取 引 プラットフォーム 上 に 売 値 または 買 値 を 掲 載 し 取 引 希 望 者 がオファーを 出 す 売 り 手 と 買 い 手 の 合 意 により 取 引 が 成 立 ) 価 格 競 争 取 引 ( 売 り 手 または 買 い 手 が 電 子 取 引 プラットフォーム 上 に 売 りたいまたは 買 いた い 石 炭 製 品 の 関 連 情 報 や 取 引 最 低 価 格 を 掲 載 し 取 引 希 望 者 が 応 札 価 格 を 提 示 する 交 渉 を 経 て 取 引 が 成 立 する) 招 待 商 談 会 ( 従 来 の 発 注 会 のスタイルを 引 き 継 ぐものであるが 石 炭 企 業 が 主 催 側 となり 売 り 手 と 買 い 手 の 自 主 的 な 商 談 により 取 引 契 約 を 結 ぶ 方 式 に 変 化 した)

113 協 議 取 引 (センターが 商 談 の 日 時 場 所 を 設 定 する 売 り 手 と 買 い 手 は 面 談 またはセンター サイトを 利 用 して 商 談 し センターを 通 じて 取 引 契 約 を 結 ぶ) また 取 引 の 実 施 時 期 に 関 しては 以 下 3 種 類 がある 年 度 取 引 ( 従 来 の 年 度 石 炭 受 注 会 を 受 け 継 ぐ 集 中 取 引 で 生 産 消 費 企 業 が 一 堂 に 会 して 年 度 内 の 山 西 省 の 重 点 産 業 用 石 炭 取 引 全 国 重 点 石 炭 生 産 輸 送 連 携 取 引 に 関 する 集 中 商 談 会 を 実 施 し 年 度 取 引 契 約 を 結 ぶ) 通 常 取 引 (センターが 定 める 取 引 時 間 内 に 鉄 道 輸 送 力 や 陸 上 輸 送 販 売 証 券 発 行 作 業 に 応 じて 自 由 に 取 引 方 法 を 選 び 取 引 を 行 う) 特 定 取 引 ( 市 場 や 企 業 のニーズをもとに センターが 定 期 または 不 定 期 に 炭 種 別 企 業 別 に 手 配 する 専 門 取 引 市 場 の 活 性 化 商 品 の 普 及 企 業 PR などの 効 果 を 狙 う) 2013 年 1 月 1 日 から 12 月 11 日 までの 現 物 取 引 量 は 13 億 トン 取 引 金 額 は 8,483 億 元 にのぼる 鉄 道 輸 送 分 の 石 炭 取 引 量 は 8.7 億 トン 取 引 額 は 6,078 億 元 に 達 した うち 招 待 商 談 会 の 取 引 量 は 8.4 億 トン(5,947 億 元 )で 上 場 取 引 量 は 2,686.2 万 トン( 取 引 金 額 は 131 億 元 ) トラック 輸 送 分 の 石 炭 取 引 量 は 4.3 億 トン 取 引 額 は 2,405 億 元 に 達 した 94 中 国 経 営 報 など 95 によると 2013 年 12 月 12 日 時 点 の 石 炭 現 物 取 引 プラットフォームの 登 録 企 業 数 は 7,138 社 に 達 している 山 西 省 の 石 炭 販 売 企 業 や 国 有 重 点 石 炭 企 業 に 対 する 研 修 も 行 っている 2 秦 皇 島 海 運 石 炭 取 引 市 場 国 有 大 手 の 秦 皇 島 港 股 份 有 限 公 司 太 原 鉄 路 輔 業 国 有 資 産 管 理 センター 中 海 発 展 股 份 有 限 公 司 中 能 電 力 工 業 燃 料 公 司 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 が 共 同 出 資 して 設 立 し 2007 年 6 月 に 正 式 発 足 石 炭 中 継 港 の 強 みを 活 かした 取 引 市 場 で 海 運 石 炭 網 や 秦 皇 島 石 炭 網 を 運 営 している 秦 皇 島 港 股 份 有 限 公 司 が 株 式 保 有 し 運 営 している 世 界 最 大 のエネルギー 出 荷 港 である 秦 皇 島 と 石 炭 輸 送 の 大 動 脈 である 大 秦 鉄 道 に 連 携 しているのが 強 み 秦 皇 島 石 炭 価 格 指 数 は 中 国 を 代 表 する 石 炭 価 格 指 数 となっている 現 物 取 引 と 中 長 期 取 引 を 実 施 している 2012 年 の 年 間 取 引 量 は 2,000 万 トン 取 引 額 は 70 億 トンに 上 った 3 内 モンゴル 石 炭 取 引 センター 2009 年 9 月 民 営 企 業 4 社 が 出 資 し 内 蒙 古 華 夏 石 炭 取 引 市 場 有 限 責 任 公 司 が 中 心 となってセ ンターを 設 立 した 最 大 の 株 主 は 内 モンゴル 自 治 区 最 大 の 石 炭 企 業 の 一 つである 中 誉 資 源 控 股 (オ ルドス 市 )で 石 炭 備 蓄 量 が 豊 富 で 選 炭 ~ 輸 送 まで 一 貫 した 自 社 の 石 炭 物 流 園 区 を 有 している No.2 株 主 は 中 国 開 発 投 資 公 司 ( 蒙 冀 鉄 道 の No.2 株 主 で 曹 妃 甸 や 京 唐 港 を 控 股 しており 石 炭 運 搬 船 を 有 している 上 南 方 6 か 所 に 発 電 所 を 有 している) 傘 下 の 内 蒙 古 能 源 公 司 この 2 社 が 連 携 して 運 営 しているのが 強 み オルドス 石 炭 輸 送 価 格 指 数 を 公 表 している オンライン 受 発 注 システムによる 石 炭 の 現 物 取 引 競 争 価 格 による 石 炭 の 現 物 取 引 石 炭 の 現 物 上 場 取 引 の 3 種 類 の 取 引 が 行 われている 同 自 治 区 が 統 一 管 理 する 石 炭 取 引 市 場 が 形 成 されており 地 元 産 石 炭 の 94 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターウェブサイト( 年 12 月 23 日 付 記 事 東 煤 交 易 雑 誌 2014 年 1 月 号 など 66

114 現 物 価 格 と 中 長 期 価 格 があり ローカルエリアの 石 炭 取 引 の 実 情 に 即 した 価 格 で 取 引 が 行 われて いる 4 徐 州 華 東 石 炭 取 引 市 場 2012 年 10 月 江 蘇 徐 州 港 務 ( 集 団 ) 有 限 公 司 ( 株 式 の 80%を 保 有 )や 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 などが 6 億 元 を 投 じて 蘇 州 省 の 徐 州 経 済 開 発 区 に 設 立 した 登 録 会 員 数 100 社 以 上 年 間 石 炭 取 引 量 は 3,000 万 トンを 見 込 んでいる 徐 州 市 は 江 蘇 省 唯 一 の 石 炭 生 産 基 地 であり 中 国 の 石 炭 輸 送 販 売 の 中 継 地 としても 重 要 な 位 置 にある 徐 州 港 務 ( 集 団 ) 有 限 公 司 は 京 杭 運 河 96 で 港 湾 物 流 を 手 掛 ける 大 型 企 業 で 西 煤 東 輸 や 北 煤 南 輸 で 重 要 中 継 港 としての 役 割 を 果 たしている 同 集 団 は 万 寨 港 邳 州 港 双 楼 港 孟 家 溝 港 などを 傘 下 に 抱 えており 山 西 陝 西 華 南 河 北 江 蘇 山 西 甘 粛 の 石 炭 を 江 蘇 上 海 浙 江 などの 華 東 地 域 へ 輸 送 している 5 陝 西 石 炭 取 引 センター 2010 年 11 月 29 日 に 陝 西 省 の 大 口 石 炭 取 引 市 場 を 再 編 して 陝 西 石 炭 取 引 センター 公 司 が 設 立 され 陝 西 省 石 炭 輸 送 販 売 ( 集 団 ) 有 限 責 任 公 司 がセンターの 90%の 株 式 を 保 有 する 2011 年 7 月 より 正 式 に 運 営 を 開 始 した スマート 物 流 園 区 標 準 受 け 渡 し 倉 庫 の 建 設 などに 力 を 入 れる 陝 西 煤 業 化 工 集 団 の 傘 下 炭 鉱 の 石 炭 の 取 引 が 行 われており 西 北 地 域 や 内 モンゴル 自 治 区 河 南 などの 周 辺 省 の 石 炭 を 国 内 外 の 電 力 冶 金 建 材 石 炭 化 工 などの 石 炭 消 費 市 場 に 向 けて 上 場 し 価 格 競 争 取 引 入 札 方 式 定 量 取 引 などの 方 法 で 扱 っている 石 炭 取 引 以 外 にも 石 炭 化 学 機 械 製 造 建 築 鉄 鋼 電 力 物 流 など の 多 岐 にわたる 産 業 分 野 の 取 引 をカバーしている 2013 年 11 月 までの 取 引 量 は 累 計 7,685 万 トン 取 引 金 額 は 累 計 285 億 元 6 北 東 アジア 石 炭 取 引 センター 2010 年 7 月 大 連 泰 徳 煤 網 股 份 有 限 公 司 ( 民 営 企 業 )が 大 連 市 に 設 立 した 中 国 モンゴル 北 朝 鮮 ロシア ベトナム インドネシア 豪 州 などの 石 炭 市 場 を 視 野 に 入 れた 取 引 センターで 電 子 取 引 をフル 活 用 した 石 炭 取 引 ( 物 流 倉 庫 管 理 取 引 代 金 の 決 済 在 庫 管 理 輸 送 代 理 など) を 展 開 している 会 員 企 業 は 800 社 にのぼり 2020 年 には 取 引 量 10 億 トン 取 引 金 額 8,000 億 元 達 成 を 目 指 している 短 長 協 交 易 と 呼 ばれる 電 子 取 引 を 打 ち 出 しており 石 炭 生 産 企 業 は 電 子 取 引 プラットフォームで 価 格 競 争 方 式 により 30~90 日 後 の 生 産 能 力 ( 受 け 渡 し 商 品 )を 事 前 取 引 する 取 引 参 加 者 は 保 証 金 を 収 め 買 い 取 引 の 申 請 をする 申 請 後 の 譲 渡 も 可 能 で 譲 渡 期 間 終 了 後 に 取 引 代 金 を 全 額 支 払 い 現 物 を 受 け 取 る また 石 炭 スーパーマーケット と 呼 ばれる 電 子 取 引 プラットフォームには 33 の 取 引 銘 柄 があり 石 炭 供 給 量 は 500 万 トン 近 い 毎 年 夏 に 北 東 アジア 石 炭 取 引 会 を 開 催 している 7 魯 中 石 炭 取 引 市 場 2011 年 6 月 28 日 山 東 省 初 の 石 炭 取 引 センターとして 山 東 淄 博 市 に 設 立 された 株 主 は 淄 博 鉱 業 集 団 で 山 東 坤 昇 集 団 が 共 同 出 資 する 山 東 省 初 の 大 型 石 炭 取 引 センター 山 東 省 の 石 炭 資 源 が 取 引 の 中 心 であるが 山 西 や 内 モンゴルの 石 炭 企 業 も 取 引 に 参 加 している 電 子 取 引 プラ 96 北 京 天 津 河 北 山 東 江 蘇 浙 江 の 4 省 2 市 を 流 れる 全 長 1,794km の 人 工 運 河 67

115 ットフォームを 通 じた 取 引 を 充 実 させており 各 地 の 石 炭 価 格 情 報 などを 豊 富 に 提 供 している また 独 自 の 魯 中 一 般 炭 価 格 指 数 を 打 ち 出 している 取 引 コスト 計 算 ツール 鉄 道 基 本 輸 送 費 計 算 ツール 輸 入 炭 輸 入 量 チャートなどの 機 能 も 充 実 している 8 広 州 華 南 石 炭 取 引 センター 広 東 省 政 府 及 び 広 州 市 政 府 の 支 援 を 受 けて 広 州 港 集 団 ( 地 方 大 型 国 有 企 業 )が 投 資 設 立 し 2006 年 12 月 13 日 に 正 式 に 運 営 を 開 始 した センターは 石 炭 の 電 子 取 引 関 連 情 報 提 供 船 舶 代 理 輸 送 代 理 品 質 検 査 サービスなどを 手 掛 けており 第 三 者 による 取 引 プラットフォーム 広 州 華 南 石 炭 取 引 サイト は 銀 行 の 決 済 システムとも 連 動 しており 取 引 における 企 業 間 の 決 済 ト ラブル 回 避 に 役 立 っている 同 センターが 公 表 する 広 州 港 での 石 炭 取 引 関 連 データ( 特 に 広 州 港 石 炭 取 引 価 格 )は 華 南 地 域 の 石 炭 価 格 動 向 を 把 握 する 上 でのバロメーターとなっている また 全 取 引 量 における 輸 入 炭 比 率 が 高 いのもこのセンターの 特 徴 である 広 州 港 集 団 傘 下 の 新 沙 港 務 有 限 公 司 西 基 港 務 公 司 新 港 港 務 公 司 黄 埔 港 務 公 司 がそれぞれ 石 炭 受 渡 地 点 を 設 立 している (4) 石 炭 産 業 への 影 響 や 課 題 中 国 の 石 炭 関 係 者 の 間 には 石 炭 取 引 センターの 設 立 ラッシュは 石 炭 取 引 の 市 場 化 移 行 期 に 生 じた 現 象 であり 将 来 的 には 全 国 規 模 の 石 炭 取 引 センターを 設 立 すべきであるという 意 見 があ る 確 かに 各 センターの 運 営 状 況 は 千 差 万 別 で ローカル 事 情 に 即 した 石 炭 取 引 が 行 われてい る しかし 各 センターはシステム 上 で 連 携 している 訳 ではなく 一 部 のセンターでは 取 引 量 が 少 なく 設 立 はしたものの 看 板 倒 れになっているセンターもあるとされる 発 展 改 革 委 員 会 は 2013 年 12 月 に 2014 年 石 炭 契 約 業 務 の 円 滑 な 実 施 に 関 する 通 知 97 ( 発 改 運 行 [2013]2497 号 )を 下 達 し 全 国 規 模 の 石 炭 取 引 センター 設 立 を 目 指 し 統 一 かつオープン で 秩 序 ある 競 争 に 基 づく 石 炭 取 引 市 場 システムを 形 成 するよう 求 めた 98 最 終 的 には 全 国 規 模 のセンターを 1 2 ヵ 所 建 設 し それを 地 域 の 取 引 センターが 補 完 する 方 針 であると 言 われている 一 方 で 石 炭 取 引 市 場 関 係 者 の 中 には 全 国 取 引 センターの 設 立 には 時 間 を 要 する または 可 能 性 ゼロとする 見 方 もある 例 えば 内 モンゴル 石 炭 取 引 市 場 の 師 秋 明 総 経 理 はその 理 由 として 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 は 600 元 /トン 前 後 のレベルにあるが 内 モンゴル オルドスの 石 炭 価 格 は 240 元 /トンレベルであり これほど 大 きな 価 格 差 がある 現 状 で 全 国 統 一 の 石 炭 取 引 市 場 を 設 立 することは 非 現 実 的 であるとインタビューに 答 えている 石 炭 取 引 市 場 化 に 向 けた 取 り 組 み2( 商 品 取 引 所 の 石 炭 先 物 取 引 ) (1) 中 国 の 石 炭 先 物 取 引 市 場 開 設 の 背 景 本 調 査 では 石 炭 取 引 の 市 場 化 に 向 けた 取 り 組 みの 一 環 として 大 連 商 品 取 引 所 (Dalian Commodity Exchange, DCE 以 下 DCE と 略 す)と 鄭 州 商 品 取 引 所 (Zhengzhou Commodity Exchange, ZCE 以 下 ZCE と 略 す)で 2013 年 にスタートした 石 炭 先 物 取 引 ( 石 炭 デリバティブ)の 取 引 現 状 や 課 題 もその 対 象 とした 調 査 の 結 果 いずれの 商 品 取 引 所 でも 現 物 取 引 市 場 に 準 じた 環 境 設 97 中 国 語 は 国 家 発 改 委 関 於 指 導 做 好 2014 年 煤 炭 産 運 需 銜 接 工 作 的 通 知 世 紀 経 済 報 道 2013 年 12 月 26 日 ( 68

116 定 ( 基 準 炭 の 品 質 最 小 取 引 単 位 の 設 定 指 定 受 け 渡 し 地 点 や 倉 庫 の 設 定 など)に 配 慮 しつつ 商 品 取 引 市 場 を 通 じたオープンかつ 公 正 な 価 格 形 成 メカニズムや 価 格 平 準 化 100 リスクヘッジ 機 能 の 発 揮 が 期 待 されていることが 分 かった また 現 物 取 引 の 場 合 は 需 給 双 方 ( 例 えば 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 )の 1 対 1 の 取 引 となるが 先 物 取 引 市 場 の 場 合 は 最 終 ユーザー 以 外 にも 先 物 取 引 業 者 投 資 企 業 個 人 投 資 家 などバックグラウンドの 異 なる 取 引 参 加 者 が 存 在 する このた め 取 引 参 加 者 の 多 くが 国 有 企 業 や 国 有 企 業 の 上 場 企 業 で 占 められてきた 現 物 取 引 市 場 の 構 造 調 整 をはかることも 目 的 とされている 中 国 が 目 指 している 石 炭 市 場 構 成 のイメージは 図 のよ うになる ( 出 所 ) 東 煤 交 易 雑 誌 2014 年 1 月 号 P44 図 中 国 石 炭 取 引 市 場 が 目 指 す 市 場 構 成 コンセプト 現 物 取 引 市 場 と 先 物 取 引 市 場 の 関 係 性 について 説 明 する 場 合 中 国 では 套 期 保 値 というキ ーワードが 使 われている これは 現 物 取 引 市 場 と 先 物 取 引 市 場 の 2 つの 市 場 をうまく 利 用 して 一 方 の 市 場 で 損 失 を 出 しても もう 一 方 の 市 場 で 損 失 補 填 し 最 終 的 に 利 益 を 確 保 するようやり 繰 りするという 意 味 である ただし 2 つの 市 場 を 効 果 的 に 操 作 するには 市 場 取 引 経 験 を 積 む 必 要 がある 上 常 に 市 場 リスクがつきまとうことも 念 頭 に 置 かねばならない 現 段 階 の 石 炭 企 業 や 発 電 企 業 が 市 場 操 作 に 長 けた 人 材 を 有 しているとは 考 えにくく 実 際 にどこまで 2 つの 取 引 市 場 を 有 効 活 用 することができるか 疑 問 が 残 る また 業 績 考 課 制 度 の 厳 しい 国 有 企 業 がハイリス ク ハイリターンの 先 物 取 引 にどこまで 積 極 的 に 参 加 するかも 不 透 明 である 実 際 中 国 では 中 国 航 空 油 料 集 団 公 司 ( 中 航 油 )のシンガポール 法 人 が 先 物 市 場 で 総 額 5.5 億 ドルの 巨 額 損 失 を 出 した 事 件 (2004 年 12 月 に 事 件 発 覚 )などがあり 国 有 企 業 の 責 任 が 厳 しく 追 求 されたため 大 手 国 有 企 業 は 先 物 取 引 に 慎 重 な 姿 勢 を 示 しているようである 中 国 の 先 物 取 引 関 係 者 も 同 様 の 課 題 を 指 摘 している 商 品 は 低 いところから 高 いところへ 流 れる 性 質 があり 例 えば ある 場 所 の 商 品 の 需 給 関 係 が 片 寄 り 価 格 が 急 騰 するとそこには 高 く 売 ろうとして 売 り 手 が 殺 到 し 価 格 が 下 がる 価 格 急 落 の 場 合 は 逆 に 安 く 買 おうと して 買 い 手 が 集 まり 同 様 に 価 格 差 を 修 正 することになる これは 地 域 間 及 び 時 間 的 価 格 の 平 準 化 作 用 と 呼 ばれ る 商 品 先 物 市 場 では 価 格 の 平 準 化 が 一 層 迅 速 に 行 われる 年 3 月 の 鄭 州 先 物 取 引 所 関 係 者 に 対 するヒアリングによる 69

117 表 現 物 取 引 のみと 現 物 + 先 物 両 市 場 を 活 用 した 取 引 との 比 較 従 来 の 石 炭 現 物 取 引 従 来 の 石 炭 現 物 取 引 + 石 炭 先 物 市 場 調 達 に 関 する 情 報 不 足 豊 富 調 達 範 囲 狭 い ( 現 物 取 引 市 場 のみ) 広 い ( 現 物 市 場 と 先 物 市 場 ) 取 引 相 手 少 ない ( 限 られた 現 物 サプライヤー) 多 い ( 限 られた 現 物 サプライヤー+ 多 くの 先 物 業 者 ) 価 格 の 選 択 幅 狭 い ( 現 物 価 格 のみ) 広 い ( 短 期 中 期 長 期 取 引 による 価 格 選 択 が 可 ) 調 達 コスト 取 引 代 金 の 全 額 が 必 要 証 拠 金 による 取 引 が 可 能 調 達 方 法 融 通 が 利 かない ( 支 払 と 引 き 換 えに 現 物 受 け 渡 し 売 掛 金 が 発 生 するリスクも 高 い) 柔 軟 性 がある ( 先 物 を 一 時 的 に 活 用 し 調 達 予 定 をキ ャンセルすることも 可 ) 調 達 上 のリスク 回 避 が 難 しい 従 来 の 現 物 取 引 リスクをある 程 度 回 避 できる ( 出 所 )ZCE 一 般 炭 先 物 の 初 取 引 事 例 に 関 するリーフレット 中 国 政 府 が 石 炭 の 先 物 取 引 開 始 を 決 断 した 背 景 には 2008 年 の 世 界 金 融 危 機 時 に 拡 大 した 現 物 市 場 の 価 格 変 動 がある 例 えば 山 西 省 では 原 料 炭 1 トンあたりの 現 物 価 格 が 2011 年 ~2012 年 にかけて 500 元 以 上 下 落 したが その 後 2013 年 2 月 にかけて 200 元 上 昇 した このため 中 国 石 炭 企 業 からは 価 格 変 動 リスクの 回 避 手 段 となる 先 物 市 場 の 整 備 を 求 める 声 が 強 まっていた 石 炭 先 物 の 上 場 により 市 場 原 理 に 基 づく 参 考 石 炭 価 格 の 提 供 資 源 の 公 平 な 配 分 リスクヘッ ジ 機 能 の 発 揮 供 給 確 保 が 期 待 されている 商 品 先 物 取 引 は 価 格 変 動 に 対 する 保 険 として 活 用 することができ 現 物 取 引 と 組 み 合 わせることで 現 物 市 場 でのリスクを 回 避 (リスクヘッジ) することができる 石 炭 企 業 が 先 物 取 引 のヘッジ 機 能 を 活 用 することができれば 本 来 の 生 産 業 務 に 専 念 でき 企 業 競 争 力 向 上 に 取 り 組 む 余 裕 も 生 まれる こうした 中 2011 年 に 先 行 取 り 組 みとして DCE で 世 界 初 のコークスの 先 物 取 引 がスタートし た その 後 2013 年 3 月 に DCE で 原 料 炭 の 先 物 取 引 また 同 年 9 月 に ZCE で 一 般 炭 の 先 物 取 引 が 開 始 された 表 DCE 及 び ZCE での 石 炭 先 物 取 引 開 始 時 期 大 連 商 品 取 引 所 (DCE) 2011 年 4 月 15 日 コークスの 先 物 取 引 を 開 始 ( 世 界 初 ) 2013 年 3 月 22 日 原 料 炭 の 先 物 取 引 を 開 始 鄭 州 商 品 取 引 所 (ZCE) 2013 年 9 月 26 日 一 般 炭 の 先 物 取 引 を 開 始 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 なお 中 国 の 先 物 取 引 市 場 は 1993 年 に 正 式 に 設 立 され 現 在 は 6 ヵ 所 ( 上 海 先 物 取 引 所 鄭 州 商 品 取 引 所 大 連 商 品 取 引 所 中 国 金 融 先 物 取 引 所 上 海 証 券 取 引 所 深 圳 証 券 取 引 所 )で 先 物 取 引 が 行 われている 商 品 取 引 所 は 中 国 証 券 監 督 管 理 委 員 会 の 管 理 下 にある 中 国 では 商 品 先 物 取 引 市 場 不 動 産 市 場 株 式 市 場 は 3 大 投 資 市 場 と 呼 ばれており 商 品 先 物 取 引 規 模 が 急 拡 大 しており 2012 年 の 商 品 先 物 取 引 枚 数 の 世 界 ランキングでは DCE が 第 1 位 (521.4 百 万 枚 ) 上 海 先 物 取 引 所 が 第 4 位 (365.3 百 万 枚 ) ZCE が 第 7 位 (209.7 百 万 枚 )にランキングされた 70

118 ちなみに 中 国 では 20 数 年 前 に 石 炭 の 先 物 取 引 の 導 入 を 試 みて 失 敗 した 苦 い 経 験 がある 1992 年 12 月 上 海 石 炭 取 引 所 が 開 設 され 石 炭 先 物 取 引 導 入 に 向 けた 試 みが 行 われた 当 時 瀝 青 炭 無 煙 炭 などの 現 物 取 引 契 約 隔 月 取 引 契 約 中 期 取 引 契 約 長 期 取 引 契 約 が 試 行 されたが 様 々な 問 題 が 起 こり 結 局 石 炭 の 標 準 化 先 物 取 引 契 約 や 先 物 取 引 を 実 施 するまでには 至 らなかった 最 も 深 刻 だった 問 題 は 1 受 渡 し 商 品 ( 石 炭 )の 品 質 が 安 定 せず 2 鉄 道 輸 送 がネックとなり 商 品 の 受 け 渡 しに 支 障 をきたしたことであった さらに 1 日 の 価 格 変 動 が 激 しく 取 引 契 約 の 違 法 転 売 も 頻 発 したため 市 場 が 混 乱 した このため 国 務 院 証 券 委 員 会 ( 当 時 )が 開 設 から 1 年 半 後 に 石 炭 先 物 取 引 の 停 止 を 通 達 し 上 海 石 炭 取 引 所 は 閉 鎖 された 102 現 在 中 国 で 進 められ ている 石 炭 取 引 の 市 場 化 推 進 取 り 組 みでは 同 じ 轍 を 踏 まないよう 研 究 が 重 ねられている 模 様 である 表 年 の 世 界 の 主 要 取 引 所 の 取 引 高 ランキング 取 引 所 名 国 商 品 先 物 取 引 高 ( 単 位 : 百 万 枚 ) 金 融 テ リハ ティフ 比 率 (%) 設 立 年 1 大 連 商 品 取 引 所 (DCE) 中 国 ニューヨーク 商 業 取 引 所 米 国 マルチ 商 品 取 引 所 インド 上 海 先 物 取 引 所 (SHFE) 中 国 ICE フューチャーズ ヨーロッパ 英 国 シカゴ 商 品 取 引 所 米 国 鄭 州 商 品 取 引 所 (ZCE) 中 国 ( 注 1) 8 ロンドン 金 属 取 引 所 ( 注 2) 英 国 ICE フューチャーズ US 米 国 インド 国 立 商 品 デリバティブ 取 引 所 インド シカゴ 商 業 取 引 所 米 国 東 京 工 業 品 取 引 所 日 本 ( 注 1)ZCE は 中 国 先 物 取 引 所 の 正 式 開 設 に 先 立 ち 全 国 初 の 試 行 地 点 となった ( 注 2)2012 年 2 月 香 港 証 券 取 引 所 の 100% 子 会 社 となった ( 出 所 ) 経 済 産 業 省 商 務 流 通 保 安 ク ルーフ 農 林 水 産 省 食 料 産 業 局 商 品 取 引 を 巡 る 最 近 の 動 向 平 成 25 年 4 月 (2) 商 品 先 物 取 引 の 取 引 フロー( 通 常 取 引 ) 商 品 先 物 取 引 では 取 引 期 限 である 限 月 (げんげつ) 受 渡 しに 供 用 できる 商 品 の 品 質 取 引 単 位 受 渡 場 所 立 会 時 間 表 示 価 格 の 単 位 である 呼 値 (よびね) 売 買 単 位 などの 条 件 が 定 め られている また 証 拠 金 ( 取 引 の 担 保 ) 取 引 を 行 うため 少 ない 元 手 で 大 きな 取 引 が 行 える(レ バレッジ 効 果 103 と 呼 ばれる) このため ハイリスク ハイリターンの 取 引 とされている なお 中 国 の 石 炭 先 物 取 引 では 総 取 引 額 の 5~10%の 証 拠 金 が 必 要 ( 商 品 取 引 所 では 最 低 証 拠 金 を 総 取 102 石 炭 現 物 取 引 の 特 殊 性 と 石 炭 先 物 契 約 の 制 度 設 計 の 難 しさ 中 国 証 券 監 督 管 理 委 員 会 青 島 監 督 管 理 局 郭 明 ( 103 レバレッジとは 梃 子 (てこ lever)の 原 理 のこと 71

119 引 額 の 5%と 定 めているが 先 物 取 引 業 者 によって 預 託 する 証 拠 金 の 金 額 は 異 なる)だが 石 炭 現 物 取 引 では 20%の 手 付 金 が 必 要 である (3) DCE の 原 料 炭 コークス 先 物 取 引 1 取 引 所 の 概 要 1993 年 2 月 28 日 に 設 立 され 同 年 11 月 18 日 に 正 式 開 業 した 2014 年 2 月 末 現 在 の 上 場 銘 柄 は 農 産 系 9 銘 柄 (トウモロコシ 大 豆 1 号 大 豆 2 号 豆 粕 豆 油 パーム 油 鶏 卵 繊 維 板 合 板 ) 工 業 系 6 銘 柄 (ポリエチレン ポリ 塩 化 ビニール ポリプロピレン コークス 原 料 炭 鉄 鉱 石 )の 計 15 銘 柄 がある 2013 年 末 時 点 の 会 員 数 は 173 社 で 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 は 182 ヵ 所 2013 年 の 取 引 量 は 14 億 100 万 枚 取 引 額 は 94 億 3,100 万 元 米 国 先 物 業 協 会 (Futures Industry Association, FIA)が 発 表 した 世 界 の 主 要 デリバティブ 取 引 所 の 取 引 量 ランキングでは 11 位 であっ た 2014 年 1 月 15 日 中 国 石 炭 工 業 協 会 に 会 員 登 録 した 原 料 炭 の 先 物 取 引 取 引 契 約 に 関 する 規 定 DCE の 事 前 調 査 データによると 中 国 のコークスの 生 産 能 力 のうち 独 立 系 コークス 専 門 企 業 が 占 める 割 合 は 62%で その 多 くは 民 営 企 業 である 民 営 企 業 は 石 炭 市 場 で 独 自 に 原 料 炭 を 調 達 しており リスクヘッジのニーズが 高 い 一 方 大 手 鉄 鋼 企 業 傘 下 のコークス 企 業 の 場 合 は 原 料 炭 調 達 で 苦 労 しない 分 石 炭 品 質 を 重 視 する このため 両 者 のニーズを 念 頭 に 入 れて 受 け 渡 し 商 品 ( 原 料 炭 )の 品 質 基 準 や 取 引 制 度 が 制 定 された また 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 には 現 物 取 引 で 実 績 のある 黄 海 渤 海 沿 岸 エリアの 企 業 が 選 ばれた 取 引 1 枚 (60 トン)に 必 要 な 金 額 は 2011 年 の 原 料 炭 平 均 価 格 (1,700 元 /トン) 105 で 計 算 した 場 合 60 トン 1,700 元 =10 万 2,000 元 となるが 必 要 な 証 拠 金 を 最 低 額 の 5%として 計 算 すると 10 万 2,000 元 0.05=5,100 元 で 済 む これがレバレッジ 効 果 である また 取 引 所 に 支 払 う 取 引 手 数 料 は 約 定 金 額 の 1 万 分 の 2 であるので 取 引 1 枚 あたり 20.4 元 トン 当 たりでは 0.34 元 となる 取 引 最 小 単 位 は 石 炭 現 物 取 引 での 30 トン/トラック 1 台 ( 列 車 60 トン/ 車 両 にも 対 応 可 )を 目 安 に 60 トン/1 枚 に 設 定 されている 104 DCE ウェブサイト 2014 年 1 月 15 日 発 表 資 料 ( 105 DCE の 原 料 炭 先 物 の 契 約 制 度 設 計 に 関 する 説 明 72

120 表 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 の 契 約 形 態 取 引 銘 柄 取 引 最 小 単 位 表 示 価 格 単 位 最 小 変 動 価 格 単 位 原 料 炭 60 トン/ 枚 元 ( 人 民 元 )/トン 1 元 /トン 急 騰 や 急 落 による 取 引 一 時 停 止 の 目 安 ( 注 1) 前 回 取 引 日 の 決 算 金 額 の 4% 契 約 月 取 引 時 間 最 終 取 引 日 ( 納 会 日 ) 最 終 受 け 渡 し 日 受 け 渡 し 商 品 の 品 質 交 割 地 点 1~12 月 每 週 月 ~ 金 の 午 前 9:00~11:30 午 後 13:30~15:00 契 約 月 の 第 10 取 引 日 最 終 取 引 日 から 起 算 して 第 2 回 目 の 取 引 日 DCE の 原 料 炭 受 け 渡 し 品 質 基 準 による DCE の 原 料 炭 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 最 低 証 拠 金 総 約 定 代 金 ( 総 取 引 金 額 )の 5% 受 け 渡 し 方 法 銘 柄 コードの 頭 文 字 現 物 受 け 渡 し JM 上 場 取 引 所 DCE ( 注 1) 先 物 価 格 の 急 変 動 時 に 投 資 者 の 不 安 心 理 を 鎮 め 冷 静 な 投 資 判 断 を 促 すことを 目 的 として 証 券 取 引 所 が 一 定 のルールに 基 づいて 発 動 する 取 引 の 一 時 中 断 措 置 ( 出 所 )DCE の 原 料 炭 先 物 の 契 約 制 度 設 計 に 関 する 説 明 表 DCE の 原 料 炭 の 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 ( 黄 海 渤 海 沿 岸 ) 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 所 在 地 積 出 駅 港 受 渡 専 用 エリア 倉 庫 1 天 津 港 交 易 市 場 有 限 責 任 公 司 天 津 2 江 蘇 連 雲 港 港 口 股 份 有 限 公 司 江 蘇 連 雲 港 3 日 照 港 股 份 有 限 公 司 山 東 日 照 4 青 島 港 ( 集 団 ) 有 限 公 司 山 東 青 島 5 唐 山 市 港 口 物 流 有 限 公 司 河 北 唐 山 6 山 西 省 焦 炭 集 団 天 津 倉 儲 有 限 公 司 天 津 ( 出 所 )DCE ウェブサイト 鉄 道 : 東 大 沽 駅 船 舶 : 天 津 港 バース 鉄 道 : 連 雲 港 東 駅 船 舶 : 連 雲 港 バース 鉄 道 : 日 照 駅 船 舶 : 日 照 港 バース 鉄 道 : 黄 島 駅 船 舶 : 青 島 港 バース 鉄 道 : 東 大 沽 駅 船 舶 : 天 津 港 バース 鉄 道 : 東 大 沽 駅 船 舶 : 天 津 港 バース 天 津 港 港 区 連 雲 港 港 区 日 照 港 港 区 中 鋼 貨 運 天 津 港 倉 庫 区 京 唐 港 港 区 天 津 港 山 西 焦 炭 集 団 倉 庫 区 標 準 倉 庫 標 準 倉 庫 標 準 倉 庫 標 準 倉 庫 標 準 倉 庫 標 準 倉 庫 なお 山 西 省 等 内 陸 部 の 原 料 炭 産 地 で 自 社 洗 炭 プラントを 有 する 大 型 炭 鉱 を 選 び 商 品 受 渡 し の 試 行 地 点 ( 非 標 準 倉 庫 )としており 標 準 倉 庫 との 差 額 が 設 定 されている 表 DCE が 山 西 省 に 設 置 した 原 料 炭 の 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 指 定 受 渡 し 指 定 倉 庫 所 在 地 積 出 駅 標 準 倉 庫 最 大 容 量 (トン) 1 日 当 たりの 積 出 能 力 (トン/ 日 ) 1 山 西 省 焦 炭 集 団 天 津 倉 儲 有 限 公 司 山 西 太 原 鉄 道 : 古 交 駅 150,000 10,000 非 標 準 倉 庫 2 美 錦 能 源 集 団 有 限 公 司 山 西 太 原 鉄 道 : 清 徐 駅 96,000 6,400 非 標 準 倉 庫 ( 注 ) 非 標 準 倉 庫 の 場 合 商 品 保 管 条 件 や 交 通 インフラ 面 で 標 準 倉 庫 と 差 があるため 差 金 を 設 定 している ( 出 所 )DCE ウェブサイト 倉 庫 73

121 取 引 状 況 及 び 代 表 取 引 例 2014 年 1 月 20 日 時 点 で DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 日 数 は 201 日 (10 ヶ 月 )となり 計 3, 万 枚 の 取 引 が 行 われ 取 引 総 額 は 2 兆 4,349 億 3,900 万 元 1 日 平 均 の 出 来 高 は 17 万 9,200 枚 1 日 平 均 の 取 引 額 は 121 億 1,400 万 元 1 日 平 均 の 建 玉 ( 未 決 済 契 約 数 ) 106 は 14 万 2,800 枚 107 元 /トン DCE 決 済 額 出 来 高 建 玉 万 枚 ( 出 所 )DCE 大 連 先 物 市 場 マンスリーレポート 2013 年 第 12 期 図 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 の 決 済 額 ( 元 /トン) 出 来 高 ( 万 枚 ) 建 玉 ( 万 枚 ) DCE 原 料 炭 先 物 の 終 値 京 唐 港 の 河 北 産 原 料 炭 (A10%,V24%,<0.8%S,G80) 荷 揚 価 格 ( 注 ) 単 位 は 元 /トン ( 出 所 )DCE 大 連 先 物 市 場 マンスリーレポート 2013 年 第 12 期 図 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 の 終 値 と 京 唐 港 の 河 北 産 原 料 炭 の 荷 揚 価 格 2014 年 1 月 20 日 DCE で 原 料 炭 上 場 開 始 以 来 最 大 規 模 の 36 万 トン(6,000 枚 )の 商 品 受 け 渡 しが 行 われた うち 31.2 万 トン(87%)は 輸 入 原 料 炭 ( 豪 州 モンゴル カナダ)で 4.8 万 106 建 玉 は 玉 (ぎょく)とも 呼 ばれ 取 引 約 定 後 に 反 対 売 買 されずに 残 っている 未 決 済 分 もしくは 未 決 済 にな っている 契 約 総 数 のことをいう ある 契 約 の 建 玉 が 一 つあるということは その 契 約 に 関 して 売 り 手 と 買 い 手 が それぞれいることを 意 味 する なお 建 玉 には 2 種 類 あり 買 付 けとなっているものを 買 い 建 玉 売 付 けとな っているものを 売 り 建 玉 という 一 般 に 建 玉 は 相 場 動 向 によって 増 減 し 売 買 高 や 市 場 規 模 ( 人 気 )など を 計 る 際 の 一 つ 目 安 である

122 トンが 山 西 省 産 の 国 内 炭 であったとされる 受 渡 し 地 点 は 青 島 港 (21 万 トン) 日 照 港 (8.4 万 トン) 天 津 港 (6 万 トン) 唐 山 港 (0.6 万 トン)であった 受 け 渡 しに 参 画 した 企 業 数 は 26 社 で 売 り 手 は 主 に 中 国 の 大 手 原 料 炭 輸 入 企 業 買 主 は 貿 易 会 社 コークス 企 業 鉄 鋼 企 業 であ った DCE では 初 めて 受 け 渡 しに 参 画 する 企 業 に 対 する 事 前 研 修 を 行 い 商 品 受 け 渡 しがスムー ズに 進 むよう 細 心 の 注 意 を 払 った また 受 け 渡 し 原 料 炭 の 品 位 が 均 一 になるよう 事 前 に 品 質 検 査 機 関 と 十 分 に 打 ち 合 わせ 全 36 万 トンは DCE が 定 める 品 質 基 準 ( 灰 分 硫 黄 分 揮 発 性 粘 結 指 数 など)をクリアした 40,000 35,000 4,284 4,500 4,000 30,000 25,000 20,000 15,000 1,632 10,000 12,897 25,360 3,016 16,132 12,345 1,419 1,689 28,161 2,967 36,951 2,447 21,127 18,528 18,102 2,118 2,026 15,954 1,720 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 5, 万 トン 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 2013 年 取 引 量 (トン 換 算 量 万 トン) 取 引 高 ( 億 元 ) 0 億 元 ( 注 ) 数 値 は 小 数 点 第 1 位 を 四 捨 五 入 ( 出 所 ) DCE 取 引 月 報 2013 年 3 月 ~2014 年 2 月 の 公 表 データをもとに 作 成 図 DCE の 原 料 炭 先 物 取 引 状 況 (2013 年 3~12 月 ) 3 コークスの 先 物 取 引 DCE では 2011 年 4 月 15 日 よりコークス 先 物 取 引 がスタートした コークス 価 格 を 1,300 元 /ト ンとして 計 算 すると 1 枚 の 取 引 金 額 =100 1,300 元 =13 万 元 で 1 取 引 に 必 要 な 最 低 証 拠 金 は 13 万 元 0.05=6,500 元 となる なお 商 品 (コークス) 受 渡 し 地 点 としては 代 表 的 なコークスの 中 継 港 3 港 ( 天 津 日 照 連 雲 港 )と 唐 山 港 を 指 定 倉 庫 に 河 北 山 東 山 西 の 3 省 にある 大 手 コークスプラントを 指 定 企 業 倉 庫 に 設 定 した 75

123 表 DCE のコークス 先 物 取 引 の 契 約 形 態 取 引 銘 柄 コークス( 冶 金 焦 炭 ) 取 引 最 小 単 位 表 示 価 格 の 単 位 最 小 変 動 価 格 単 位 100 トン/ 枚 元 ( 人 民 元 )/トン 1 元 /トン 急 騰 や 急 落 による 取 引 一 時 停 止 の 目 安 前 回 取 引 日 の 決 算 金 額 の 4% 契 約 月 取 引 時 間 最 終 取 引 日 ( 納 会 日 ) 最 終 受 け 渡 し 日 受 け 渡 し 商 品 の 品 質 受 け 渡 し 地 点 1~12 月 每 週 ( 月 )~( 金 )の 午 前 9:00~11:30 午 後 13:30~15:00 契 約 月 の 第 10 取 引 日 最 終 取 引 日 から 起 算 して 第 2 回 目 の 取 引 日 DCE の 原 料 炭 受 け 渡 し 品 質 基 準 による DCE の 原 料 炭 指 定 受 け 渡 し 倉 庫 最 低 証 拠 金 総 約 定 代 金 ( 総 取 引 金 額 )の 5% 受 け 渡 し 方 法 銘 柄 コードの 頭 文 字 上 場 取 引 所 現 物 受 け 渡 し J DCE ( 出 所 )DCE コークス 先 物 の 契 約 制 度 設 計 に 関 する 説 明 表 DCE のコークスの 指 定 受 渡 倉 庫 ( 黄 海 渤 海 沿 岸 ) 指 定 受 渡 倉 庫 所 在 地 積 出 駅 港 受 渡 専 用 エリア 倉 庫 1 天 津 港 交 易 市 場 有 限 責 任 公 司 天 津 鉄 道 : 東 大 沽 駅 船 舶 : 天 津 港 埠 頭 天 津 港 港 区 標 準 倉 庫 2 江 蘇 連 雲 港 港 口 股 份 有 限 公 司 江 蘇 連 雲 港 鉄 道 : 連 雲 港 東 駅 船 舶 : 連 雲 港 埠 頭 連 雲 港 港 区 標 準 倉 庫 3 日 照 港 股 份 有 限 公 司 山 東 日 照 鉄 道 : 日 照 駅 船 舶 : 日 照 港 埠 頭 日 照 港 港 区 標 準 倉 庫 4 中 鋼 国 際 貨 運 有 限 公 司 天 津 鉄 道 : 東 大 沽 駅 中 鋼 貨 運 天 津 港 船 舶 : 天 津 港 埠 頭 倉 庫 区 標 準 倉 庫 ( 出 所 )DCE コークス 先 物 の 契 約 制 度 設 計 に 関 する 説 明 表 DCE が 河 北 省 と 山 東 省 に 設 置 したコークスの 指 定 受 渡 倉 庫 指 定 受 渡 企 業 倉 庫 所 在 地 積 出 駅 港 標 準 倉 庫 最 大 容 量 (トン) 積 出 能 力 (トン/ 日 ) 1 河 北 旭 陽 焦 化 有 限 公 司 河 北 定 州 鉄 道 : 定 州 駅 54,000 3,600 標 準 2 唐 山 佳 華 煤 化 工 有 限 公 司 河 北 唐 山 3 青 島 鋼 鉄 集 団 兖 州 焦 化 廠 山 東 兖 州 4 山 西 美 錦 煤 炭 気 化 股 份 有 限 公 司 鉄 道 : 京 唐 港 海 港 駅 船 舶 : 唐 山 港 埠 頭 鉄 道 : 兖 州 駅 船 舶 : 済 寧 港 埠 頭 倉 庫 72,000 4,800 標 準 22,500 1,500 標 準 山 西 太 原 鉄 道 : 清 徐 駅 66,000 4,400 非 標 準 5 山 西 宏 安 焦 化 科 技 有 限 公 司 山 西 太 原 鉄 道 : 義 安 駅 24,000 1,600 非 標 準 ( 注 ) 山 西 省 のコークスプラントは 非 標 準 倉 庫 に 設 定 されている これは 標 準 倉 庫 がある 河 北 や 山 東 とのコークス 価 格 の 差 ( 輸 送 コスト 含 む)などを 考 慮 して 算 出 されている ( 出 所 )DCE コークス 先 物 の 契 約 制 度 設 計 に 関 する 説 明 76

124 元 /トン DCE 決 済 額 出 来 高 建 玉 万 枚 ( 注 ) 単 位 は 取 引 量 ( 万 枚 ) 建 玉 ( 万 枚 ) 決 算 額 ( 元 /トン) ( 出 所 )DCE 大 連 先 物 市 場 マンスリーレポート 2013 年 第 12 期 図 DCE のコークス 先 物 取 引 の 取 引 量 建 玉 決 算 額 天 津 太 原 唐 山 先 物 価 格 ( 注 ) 単 位 は 元 /トン ( 出 所 )DCE 大 連 先 物 市 場 マンスリーレポート 2013 年 第 12 期 図 コークス 先 物 価 格 と 国 内 一 部 地 域 の 現 物 価 格 600,000 30, , , ,000 19,695 20,723 21,485 25,393 19,297 16,747 17, ,515 25,000 20,000 15, , , ,094 万 トン 0 8,759 4,556 9, , , ,876 8, ,712 8, , ,472 60,636 16,825 50,896 2,026 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 取 引 量 (トン 換 算 量 万 トン) 取 引 高 ( 億 元 ) 10,000 5,000 0 億 元 ( 注 ) 数 値 は 小 数 点 第 1 位 を 四 捨 五 入 ( 出 所 ) DCE 取 引 月 報 2013 年 3 月 ~2014 年 2 月 の 公 表 データをもとに 作 成 図 DCE のコークス 先 物 取 引 状 況 (2013 年 1~12 月 ) 77

125 (4) ZCE の 一 般 炭 先 物 取 引 1 ZCE の 概 要 中 国 初 の 先 物 取 引 市 場 試 行 地 点 として 1990 年 より 先 物 取 引 をスタートした 2012 年 末 時 点 で 国 内 27 省 直 轄 市 自 治 区 の 209 社 が 会 員 登 録 している うち 先 物 取 引 業 者 が 167 社 (80%) その 他 が 42 社 (20%)である 証 拠 金 制 度 急 騰 や 急 落 による 取 引 一 時 停 止 制 度 などの 先 物 取 引 制 度 を 実 施 している ZCE ウェブサイトによると 国 際 交 流 にも 力 を 入 れており 2012 年 10 月 に 世 界 取 引 所 連 合 会 に 加 盟 し 米 国 のシカゴ 商 品 取 引 所 日 本 の 大 阪 堂 島 商 品 取 引 所 など 世 界 の 商 品 先 物 取 引 所 と 友 好 協 力 関 係 を 結 んでいるという 同 取 引 所 では 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 と 一 般 炭 先 物 取 引 に 関 する 研 究 や 論 証 に 着 手 した 上 で 2013 年 9 月 26 日 に 一 般 炭 の 先 物 取 引 をスター ト 同 年 10 月 に 中 国 証 券 監 督 会 の 認 可 を 得 た 取 引 参 加 者 の 90% 以 上 が 機 関 投 資 家 ( 法 人 投 資 家 ) で 個 人 投 資 家 の 比 率 は 10%に 満 たないという 一 般 炭 の 先 物 取 引 取 引 概 要 取 引 契 約 の 形 態 現 物 市 場 に 準 じた 取 引 環 境 を 念 頭 に 置 きつつ 先 物 市 場 ルールに 従 って 現 物 企 業 がリスクヘッ ジをしやすく 先 物 市 場 の 流 動 性 を 発 揮 できることを 基 本 理 念 としている 表 ZCE の 一 般 炭 先 物 取 引 契 約 形 態 取 引 銘 柄 取 引 最 小 単 位 表 示 価 格 の 単 位 最 小 変 動 価 格 単 位 ( 呼 値?) 取 引 価 格 の 急 騰 や 急 落 による 取 引 一 時 停 止 制 度 一 般 炭 200 トン/ 枚 元 /トン 0.2 元 /トン 前 回 取 引 額 の±4% 及 び 鄭 州 商 品 取 引 所 の 先 物 取 引 リスク 防 止 管 理 方 法 の 関 連 規 定 による 契 約 月 取 引 時 間 最 終 取 引 日 ( 納 会 日 ) 最 終 受 け 渡 し 日 受 渡 し 商 品 の 品 質 受 け 渡 し 地 点 1~12 月 月 ~ 金 曜 日 の 午 前 9:00~11:30 午 後 13:30~15:00 約 定 月 の 第 10 取 引 日 最 終 取 引 日 から 2 番 目 の 取 引 日 ZCE の 原 料 炭 受 渡 し 品 質 基 準 による ZCE の 原 料 炭 指 定 受 渡 し 倉 庫 最 低 証 拠 金 総 約 定 代 金 ( 総 取 引 金 額 )の 5% 受 け 渡 し 方 法 銘 柄 コードの 頭 文 字 上 場 取 引 所 現 物 受 け 渡 し TC ZCE ( 出 所 )ZCE の 一 般 炭 先 物 説 明 資 料 年 3 月 の 鄭 州 先 物 取 引 所 関 係 者 に 対 するヒアリングによる 78

126 2013 年 の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 (5,500kcal/kg)の 年 平 均 価 格 590 元 /トンで 計 算 した 場 合 1 枚 の 取 引 金 額 は 元 =11 万 8,000 元 となるが 取 引 に 必 要 な 証 拠 金 は 11 万 8,000 元 0.05=5,900 元 となり 中 小 企 業 や 小 口 需 要 家 が 参 画 しやすいシステムになっている 一 般 炭 の 品 質 基 準 及 び 受 渡 し 制 度 受 け 渡 し 基 準 炭 は 5,500kcal/kg で 含 有 成 分 の 詳 細 も 規 定 されている 一 般 炭 の 受 け 渡 しは 現 物 取 引 に 準 じ ZCE の 指 定 受 渡 し 地 点 での 列 車 船 貨 物 車 積 み 込 み 受 渡 し 109 を 原 則 とするが 指 定 倉 庫 の 標 準 倉 荷 証 券 による 受 渡 しも 可 能 指 定 受 渡 し 地 点 は 現 物 市 場 で 利 用 されている 北 方 4 港 ( 河 北 秦 皇 島 港 河 北 唐 山 港 ( 京 唐 港 曹 妃 甸 港 ) 天 津 港 河 北 黄 驊 港 )と 南 方 3 港 ( 広 西 防 城 港 広 州 新 沙 港 福 州 可 門 港 )が 指 定 されている なお 指 定 倉 庫 には 石 炭 生 産 量 が 多 く 北 方 5 港 のい ずれか 1 ヵ 所 以 上 で 長 期 的 かつ 安 定 した 物 流 業 務 を 展 開 している 大 手 企 業 5 社 が 選 ばれた 表 ZCE の 受 渡 し 倉 庫 に 指 定 された 石 炭 大 手 5 社 受 渡 し 倉 庫 に 指 定 された 企 業 所 在 地 左 記 企 業 の 商 品 受 渡 港 湾 1 中 国 中 煤 能 源 股 份 有 限 公 司 北 京 秦 皇 島 港 国 投 京 唐 港 国 投 曹 妃 甸 港 唐 山 港 口 物 流 天 津 港 2 神 華 銷 售 集 団 有 限 公 司 ( 神 華 集 団 有 限 責 任 公 司 ) 北 京 黄 驊 港 秦 皇 島 港 国 投 京 唐 港 国 投 曹 妃 甸 港 唐 山 港 口 物 流 天 津 港 3 大 同 煤 鉱 集 団 有 限 責 任 公 司 山 西 大 同 秦 皇 島 港 国 投 京 唐 港 国 投 曹 妃 甸 港 唐 山 港 口 物 流 4 陝 西 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 陝 西 西 安 国 投 曹 妃 甸 港 5 内 蒙 古 伊 泰 煤 炭 股 份 有 限 公 司 ( 出 所 )ZCE ウェブサイト 内 モンコ ル オルト ス 秦 皇 島 港 国 投 京 唐 港 国 投 曹 妃 甸 港 ZCE のリスク 防 止 制 度 1 日 の 価 格 変 動 幅 に 制 限 を 設 け 急 騰 や 急 落 による 取 引 一 時 停 止 制 度 ( 前 回 取 引 日 の 決 済 額 の±4%が 基 準 )を 設 定 している 証 拠 金 の 最 低 金 額 を 総 約 定 代 金 の 5%に 設 定 商 品 受 渡 し 月 前 月 の 上 中 下 旬 にそれぞれ 5% 5% 10%の 保 証 金 を 受 渡 し 月 に 20%の 保 証 金 を 徴 収 する 先 物 取 引 業 者 その 他 の 取 引 参 加 者 別 に 基 準 の 異 なる 建 玉 制 限 を 設 けている ZCE は 約 定 数 が 取 引 所 規 定 の 建 玉 制 限 の 80%に 達 した 場 合 や 取 引 所 が 必 要 と 判 断 した 場 合 該 当 する 取 引 参 加 者 に 資 金 や 建 玉 状 況 について 報 告 させることができる 決 済 準 備 金 残 高 がゼロになった 場 合 期 限 内 に 補 充 されなかった 場 合 建 玉 量 が 制 限 量 を 超 えた 場 合 などには ZCE は 取 引 参 加 者 が 保 有 する 建 玉 を 強 制 決 済 する 権 利 がある ZCE が 必 要 と 判 断 した 場 合 ( 異 常 な 取 引 や 建 玉 が 認 められる 等 ) 該 当 する 取 引 参 加 者 に リスクを 警 告 ( 報 告 を 求 める 口 頭 注 意 書 面 通 達 など)することができる 109 中 国 語 で ( 車 ( 船 ) 板 交 割 ) と 呼 ばれている 79

127 取 引 規 模 及 び 取 引 価 格 の 推 移 ZCE の 2013 年 第 12 月 期 市 場 レポート 110 によると 2013 年 12 月 31 日 時 点 で ZCE の 一 般 炭 の 先 物 取 引 量 は 871 万 4,768 枚 (17 億 4,295 万 トン) 取 引 金 額 は 9,902 億 5,922 万 元 であった 年 間 の 取 引 量 を 2013 年 の 一 般 炭 取 引 日 64 日 で 割 ると 1 日 あたりの 取 引 量 は 13 万 6,168 枚 となり トン 換 算 では 2,723 万 トンになる また ZCE の 一 般 炭 取 引 に 参 加 している 石 炭 企 業 の 多 くは 民 営 企 業 で 河 南 省 の 地 方 国 営 企 業 も 一 部 参 加 している 国 有 発 電 大 手 5 社 は 取 引 に 参 加 していな い 111 また 図 は 2013 年 9 月 26 日 ~2014 年 1 月 30 日 の ZCE の 一 般 炭 先 物 の 受 け 渡 し 月 の 決 済 価 格 と 秦 皇 島 港 の 一 般 炭 (5,500kcal/kg)FOB 価 格 の 推 移 を 比 較 したものである 既 述 の 通 り 秦 皇 島 港 の 一 般 炭 価 格 は 6 月 末 より 急 落 した 後 10 月 末 から 年 末 にかけて 急 騰 し 2014 年 初 から 再 び 下 げに 転 じている 一 方 ZCE の 一 般 炭 先 物 価 格 は 11 月 末 まで 秦 皇 島 価 格 を 上 回 っていたが 12 月 ~2014 年 1 月 末 まで 現 物 価 格 を 下 回 る 状 況 が 続 いた 元 /トン ZCE 一 般 炭 先 物 の 受 け 渡 し 月 決 済 価 格 秦 皇 島 港 一 般 炭 (5,500kcal/kg)FOB 価 格 ( 出 所 )ZCE の マンスリーレポート 2014 年 第 1 期 図 ZCE 一 般 炭 先 物 と 秦 皇 島 港 一 般 炭 (5,500kcal/kg)の 価 格 推 移 年 3 月 の 鄭 州 先 物 取 引 所 関 係 者 に 対 するヒアリングによる 80

128 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 21,348 1,157 61,096 3,410 37,557 2,170 54,295 3,165 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 10, 万 トン 0 9 月 10 月 11 月 12 月 取 引 量 (トン 換 算 量 万 トン) 取 引 高 ( 万 元 ) 0 億 元 ( 注 1) 数 値 は 小 数 点 第 1 位 を 四 捨 五 入 ( 出 所 )ZCE の 2013 年 9 月 ~12 月 のマンスリーレポートをもとに 作 成 図 ZCE の 一 般 炭 先 物 取 引 状 況 (2013 年 9~12 月 ) ZCE の 一 般 炭 取 引 代 表 事 例 錦 盈 モデル この 取 引 例 は かねてより 取 引 関 係 のある 民 営 石 炭 大 手 内 蒙 古 伊 泰 集 団 と 国 有 発 電 企 業 江 蘇 新 海 発 電 有 限 公 司 が ZCE の 先 物 取 引 を 利 用 して 套 期 保 値 ( 先 物 取 引 と 現 物 取 引 を 活 用 したリスクヘッジ)を 行 った 成 功 事 例 錦 盈 モデル として 宣 伝 されている 伊 泰 集 団 と 新 海 発 電 は 先 物 取 引 業 者 錦 盈 期 貨 が 全 額 出 資 するリスク 管 理 会 社 錦 盈 貿 易 有 限 公 司 を 通 じて 先 物 市 場 で 取 引 を 行 い 定 量 定 額 取 引 ( 現 物 取 引 市 場 では まず 取 引 量 だけを 決 め その 後 の 市 場 動 向 に 応 じて 価 格 を 調 整 している)+ 先 物 取 引 と 現 物 取 引 を 活 用 したリスクヘッジ+ 安 定 した 調 達 ルートの 維 持 ( 従 来 からの 取 引 先 との 関 係 維 持 ) を 実 現 したと 評 価 されている 伊 泰 集 団 と 新 海 発 電 は 先 物 取 引 市 場 を 利 用 してリスクヘッジし 最 終 的 に EFP 取 引 (Exchange of Futures for Physicals 中 国 語 は 期 貨 転 現 交 易 ) 112 を 申 請 して 現 物 供 給 契 約 を 結 んだ 具 体 的 な 取 引 概 要 は 以 下 の 通 りである 112 現 物 取 引 が 背 後 にあるといった 一 定 の 条 件 の 下 に 先 物 の 買 いと 売 りを 個 別 競 争 売 買 を 介 さずに 取 引 所 へ 申 出 て その 承 認 をもって 先 物 取 引 を 成 立 させることが 認 められている このように 現 物 取 引 の 契 約 を 結 んだ 売 り 方 と 買 い 方 が 同 一 価 格 の 先 物 の 買 いと 売 りを 個 別 競 争 売 買 を 介 さずに 成 立 させる 取 引 のことを EFP 取 引 と いう 以 上 東 京 商 品 取 引 所 のウェブサイトの 説 明 による ( 81

129 錦 盈 貿 易 伊 泰 集 団 への 支 払 い Ⅰ. 商 品 受 け 渡 し 代 金 (5,500kcal/kgを 想 定 )1,755 万 元 (2014 年 1 月 6 日 午 後 ) Ⅱ. 実 際 の 受 け 渡 し 石 炭 の 代 金 (1, 万 元 )-Ⅰ=21.69 万 元 (2014 年 1 月 21 日 ) 支 払 7 EFP 取 引 5 売 り 手 : 伊 泰 集 団 ( 先 物 取 引 で 売 り 建 て4) 買 い 手 : 錦 盈 貿 易 現 物 供 給 契 約 締 結 5 石 炭 売 買 契 約 締 結 1 買 い 取 引 を 指 示 2 価 格 確 認 契 約 締 結 3 石 炭 供 給 6 江 蘇 新 海 発 電 新 海 発 電 錦 盈 貿 易 への 支 払 い Ⅰ. 現 物 売 買 契 約 の 代 金 (5,500kcal/kgを 想 定 )1,748.4 万 元 (2014 年 1 月 6 日 ) Ⅱ. 実 際 の 受 け 渡 し 石 炭 の 代 金 (1, 万 元 )-Ⅰ=21.69 万 元 (2014 年 1 月 20 日 ) ( 注 ) 図 中 の1~7は 下 記 の< 錦 盈 モデルの 取 引 フローに 関 する 説 明 >に 対 応 している ( 出 所 )ZCE 一 般 炭 先 物 の 初 取 引 事 例 に 関 するリーフレット をもとに 作 成 図 錦 盈 モデルの 取 引 フロー 図 < 錦 盈 モデルの 取 引 フローに 関 する 説 明 > 1 新 海 発 電 と 錦 盈 貿 易 は 石 炭 売 買 契 約 (2014 年 1 月 に 一 般 炭 <5,500kcal/kg>3 万 トンを 供 給 す る 契 約 )を 締 結 この 時 点 では 価 格 は 決 めず 先 物 市 場 で 買 い 建 てした 後 価 格 確 認 書 を 締 結 することで 合 意 2 ZCE の 先 物 価 格 が 新 海 発 電 の 意 向 価 格 帯 に 達 した 時 新 海 発 電 は 錦 盈 貿 易 に 買 い 建 てを 指 示 し 手 付 金 ( 約 10%)を 払 うことで 合 意 2013 年 11 月 25 日 先 物 取 引 価 格 が 583 元 /トン 近 くになった 際 錦 盈 貿 易 が TC401( 銘 柄 コード)を 3 万 トン(150 枚 )を 買 い 建 てした 3 錦 盈 貿 易 が 買 い 建 てした 後 平 均 価 格 や 必 要 コストを 計 算 し 実 際 の 売 買 価 格 を 583 元 /トン と 決 め 新 海 発 電 と 錦 盈 貿 易 が 価 格 確 認 契 約 を 締 結 3 万 トンの 現 物 売 買 契 約 の 根 拠 とした 4 3とほぼ 同 時 期 の 11 月 29 日 伊 泰 集 団 は 先 物 価 格 が 600 元 /トンに 近 づいたのを 見 て TC401 を 594 元 /トンで 3 万 トン(150 枚 ) 売 り 建 て 5 錦 盈 貿 易 と 伊 泰 集 団 がそれぞれ 買 い 建 て 売 り 建 てした 後 双 方 は TC401 が 受 け 渡 し 月 (2014 年 1 月 限 月 )を 迎 えて 証 拠 金 が 上 がる 前 に EFP 取 引 を 申 請 し 反 対 売 買 して 取 引 を 終 了 する ことで 合 意 12 月 25 日 585 元 /トンで EFP 取 引 を 行 った ( 双 方 の 先 物 取 引 の 元 手 に 損 失 が 出 ないよう 583 元 /トン 以 上 594 元 /トン 未 満 の 価 格 をつける 必 要 があり 協 議 した 上 で 585 元 /トンで 合 意 ) 同 時 に 現 物 供 給 契 約 ( 先 物 取 引 の 受 け 渡 し 基 準 炭 5,500kcal/kg と 条 件 の 近 い 伊 泰 3#)を 締 結 EFP 取 引 実 施 後 は 取 引 所 は 商 品 の 受 け 渡 しや 代 金 支 払 履 行 に 関 す る 責 任 を 負 わず 売 り 主 と 買 い 主 が 自 主 的 に 協 議 した 上 で 現 物 取 引 を 実 行 する 82

130 6 伊 泰 集 団 は 錦 盈 貿 易 ( 実 際 は 新 海 発 電 )に 石 炭 現 物 を 受 け 渡 した 新 海 発 電 が 積 載 量 4.5 万 トンの 安 悦 山 号 を 京 唐 港 に 派 遣 し 2014 年 1 月 10 日 に 船 積 作 業 を 行 った この 際 秦 皇 島 出 入 境 検 験 検 疫 局 石 炭 検 測 技 術 センターが 受 け 渡 し 炭 のサンプル 調 査 を 実 施 し 実 際 の 受 け 渡 し 炭 の 熱 量 は 5,553kcal/kg 硫 黄 分 は 取 引 所 の 基 準 炭 規 定 より 大 幅 に 低 いと 判 定 された こ のため 商 品 受 け 渡 し 代 金 の 調 整 が 行 われた 翌 11 日 安 悦 山 号 は 連 雲 港 に 向 けて 出 航 した 7 錦 盈 貿 易 は 伊 泰 集 団 に 対 して EFP 価 格 (585 元 /トン)に 基 づく 商 品 (5,500kcal/kg を 想 定 ) の 受 け 渡 し 代 金 1,755 万 元 及 び 実 際 の 受 け 渡 し 石 炭 (5,553kcal/kg)の 代 金 との 差 額 万 元 を 2 回 に 分 けて 支 払 った 秦 皇 島 一 般 炭 5,500ckal/kg 現 物 価 格 ( 元 /トン) 表 伊 泰 集 団 の 先 物 市 場 での 取 引 操 作 ZCE 先 物 価 格 (5,500ckal/kg) 2013 年 (10 月 中 旬 ~2013 年 末 にかけて 現 物 取 引 価 格 が 急 騰 11 月 末 ~2014 年 1 月 末 は 現 物 価 格 > 先 物 価 格 ) 10 月 19 日 元 /トンで 2014 年 1 月 限 月 の 20 万 トンを 売 り 建 て 11 月 6 日 元 /トンで 8 万 トンを 反 対 売 買 により 決 済 ( 買 い 戻 し) 11 月 25 日 ~ 12 月 2 日 562~ ~600 元 /トンで 7 万 トンを 売 り 建 て( 平 均 594 元 /トン) ( 計 算 上 の 差 損 益 は 最 大 時 で 400 万 元 ) 12 月 13 日 万 トンを 反 対 売 買 により 決 済 150 万 元 の 損 益 12 月 25 日 万 トンを 585 元 /トンの EFP 取 引 で 決 済 この 時 点 の 先 物 市 場 の 売 り 建 て( 未 決 済 ) 価 格 は 594 元 /トンで 9 元 /トンの 利 益 2013 年 12 月 25 日 の 現 物 価 格 は 635 元 /トン 2014 年 1 月 9 日 の 現 物 価 格 は 610 元 /トンで 伊 泰 集 団 は 損 したことになるが 先 物 市 場 のルールを 厳 守 したことにより より 大 きな 利 益 = 企 業 信 用 市 場 開 拓 新 規 顧 客 獲 得 の 可 能 性 を 手 に 入 れた また 先 物 市 場 を 活 用 した 石 炭 企 業 の 先 駆 者 としてのアナウンス 効 果 は 大 きい 2014 年 ( 年 初 ~2 月 末 まで 現 物 価 格 が 急 落 2014 年 2 月 26 日 の 環 渤 海 一 般 炭 総 合 平 均 価 格 は 559 元 /トン) 1 月 7 日 万 トンを 575 元 /トンで 反 対 売 買 により 決 済 1 月 8 日 610 5,000 トンを 572 元 /トンで 反 対 売 買 により 決 済 1 月 8 日 610 最 終 取 引 日 に 5 万 トンを 集 中 受 け 渡 し( 注 )* 1 月 10 日 610 前 期 分 の EFP3 万 トンを 船 積 み 2014 年 5 月 限 月 の 売 り 建 て 12 月 2~10 日 585~ ~600 元 /トンで 5 月 限 月 の 8 万 5,000 トンを 売 り 建 て この 時 点 では 30 元 /トンの 利 益 だが 2014 年 5 月 の 現 物 価 格 次 第 で 利 益 とも 損 失 と も 成 り 得 る 12 月 末 560 元 /トンで 反 対 売 買 により 決 済 290 万 元 の 利 益 結 果 : 石 炭 受 け 渡 し 5.5 万 トン 利 益 140 万 元 ( 注 ) 集 中 受 け 渡 しでは 最 終 受 け 渡 し 日 に 売 り 手 が 買 い 手 に 対 して 増 値 税 のインボイスを 発 行 し 買 い 手 は 必 要 事 項 を 記 入 した 上 で 取 引 所 に 提 出 して 必 要 書 類 の 交 付 を 受 ける 買 い 手 は 取 引 所 に 取 引 代 金 の 120%の 現 金 ( 実 際 の 受 け 渡 し 石 炭 の 熱 量 や 重 量 の 増 加 分 の 代 金 を 含 む)を 収 め 売 り 手 は 取 引 所 を 通 じて 商 品 ( 石 炭 ) 代 金 の 全 額 を 受 け 取 ることができる 通 常 の 現 物 取 引 では このような 取 引 所 による 担 保 システムが 無 いた め 買 い 手 が 代 金 の 一 部 しか 支 払 わず 売 掛 金 が 生 じるケースが 多 々あり 問 題 となっている ( 出 所 )ZCE 一 般 炭 先 物 の 初 取 引 事 例 に 関 するリーフレット 関 連 報 道 をもとに 作 成 83

131 < 伊 泰 集 団 の 損 得 勘 定 > 伊 泰 集 団 の 一 般 炭 先 物 取 引 に 関 しては 現 物 取 引 価 格 が 急 騰 した 12 月 末 に 2014 年 1 月 限 月 の TC401 を 580 元 /トンあたりで 全 て 反 対 売 買 して 取 引 終 了 し 同 時 に 現 物 取 引 市 場 でより 高 い 価 格 ( 例 えば 620~630 元 /トン)で 売 れば 先 物 と 現 物 の 両 市 場 で 利 益 を 上 げられたのではないかと の 疑 問 が 浮 かぶ 伊 泰 集 団 は 何 故 12 月 25 日 ( 同 日 の 現 物 取 引 価 格 は 631 元 /トン)にトン 当 た り 48 元 も 安 い EFP 取 引 (585 元 /トン)を 決 断 したのだろうか 伊 泰 集 団 の 石 炭 生 産 量 は 約 7,200 万 トン/ 年 (600 万 トン/ 月 )であるが 先 物 取 引 と 現 物 取 引 を 活 用 したリスクヘッジ 用 に 利 用 した 石 炭 量 は 20 万 トン( 約 0.28%)に 過 ぎず 先 物 取 引 市 場 での 損 失 の 影 響 はそれほど 大 きくないと 言 える むしろ 2014 年 初 から 現 物 市 場 価 格 が 急 落 する 中 で 果 たしたリスクヘッジ 機 能 の 方 が 大 きい この 点 に 関 して 伊 泰 集 団 の 輸 送 販 売 事 業 部 の 一 般 炭 先 物 センター 主 任 である 余 前 波 氏 は 我 々は 当 時 (2013 年 12 月 )の 600 元 /トンの 価 格 や 価 格 急 騰 は 一 時 的 なものであると 見 ていた この 見 通 しに 基 づいて 錦 盈 と 2014 年 1 月 受 け 渡 しの 一 般 炭 価 格 を 決 めた 我 々が 合 意 した EPF 価 格 は 神 華 集 団 が 2014 年 1 月 に 決 定 した 四 半 期 価 格 (590 元 /トン)とほぼ 同 額 であり 我 々の 見 通 しが 正 しいことが 証 明 された EFP 取 引 により 得 意 先 との 関 係 を 維 持 できた 上 価 格 決 定 に 関 する 対 立 も 避 けることができた コメントしている 113 ZCE のリーフレットや 中 国 の 報 道 では 伊 泰 集 団 が 2013 年 12 月 末 に EFP 取 引 に 応 じ ZCE 初 ( 中 国 初 )の 一 般 炭 先 物 の 商 品 受 け 渡 しも 順 調 ( 実 際 に 受 け 渡 した 伊 泰 3#の 品 位 は ZCE の 基 準 を 満 たし 船 積 みや 輸 送 も 予 定 通 り 完 了 した)に 進 んだことで 先 物 市 場 に 対 する 投 資 者 の 信 頼 を 得 ることができ 伊 泰 集 団 は 知 名 度 アップや 2014 年 初 からの 価 格 急 落 に 対 するリスクヘッジも 果 たすことができたとし 伊 泰 集 団 の 収 穫 は 大 きいと 評 価 している これに 加 えて 伊 泰 集 団 は 石 炭 現 物 価 格 上 昇 中 の 2013 年 12 月 将 来 の 現 物 取 引 リスクを 回 避 するために 2014 年 5 月 限 月 の 先 物 も 売 り 建 てした 前 述 の 通 り 伊 泰 集 団 は 2013 年 末 の 価 格 高 騰 は 一 時 的 なもので 価 格 下 落 傾 向 は 今 後 しばらく 続 くとの 見 方 に 基 づき 現 物 市 場 と 先 物 市 場 とも 石 炭 価 格 が 下 落 した 場 合 に 備 えてリスクヘッジ 策 をとった <3 社 の 取 引 代 金 の 決 済 状 況 114 > 1 新 海 発 電 は 現 物 売 買 契 約 (583 元 /トンの 価 格 で 3 万 トンを 供 給 =174,9 万 元 )に 従 い 年 11 月 26 日 に 175 万 元 ( 約 10%の 手 付 金 ) 2014 年 1 月 6 日 に 1,573.4 万 元 ( 残 額 )の 合 計 1,748.4 万 元 を 錦 盈 貿 易 に 支 払 った ( 売 買 契 約 額 との 差 額 6,000 元 は ZCE のリーフレッ トでは 明 記 されていない) 錦 盈 貿 易 は 2014 年 1 月 6 日 午 後 に 1,573.4 万 元 を 受 領 した 後 伊 泰 集 団 に 商 品 受 け 渡 し 代 金 1,755 万 元 (585 元 /トンの 価 格 で 3 万 トンを 供 給 =1,755 万 元 )を 支 払 った 3 伊 泰 集 団 は 全 代 金 受 領 確 認 後 港 湾 部 門 に 輸 送 申 請 し 2014 年 1 月 10 日 に 船 積 を 実 施 ZCE 一 般 炭 先 物 の 初 取 引 事 例 に 関 するリーフレット の 情 報 による 84

132 4 5 伊 泰 集 団 と 錦 盈 貿 易 の 石 炭 売 買 契 約 (5,500kcal/kg を 想 定 )では 契 約 価 格 は 585 元 /トンであ ったが 実 際 に 受 け 渡 す 石 炭 の 熱 量 (5,553kcal/kg)や 含 有 硫 黄 のレベルを 考 慮 して 調 整 した 後 の 決 済 価 格 は 元 /トン 決 済 総 額 は 1, 万 元 となった 錦 盈 貿 易 は 2014 年 1 月 21 日 2の 1,755 万 元 を 差 し 引 いた 万 元 を 伊 泰 集 団 に 支 払 った 錦 盈 貿 易 と 新 海 発 電 の 石 炭 売 買 契 約 (5,500kcal/kg を 想 定 )では 契 約 価 格 は 583 元 /トンであ ったが 実 際 に 受 け 渡 す 石 炭 の 熱 量 (5,553kcal/kg)や 含 有 硫 黄 のレベルをを 考 慮 して 調 整 し た 後 の 決 済 価 格 は 元 /トン 決 済 総 額 は 1, 万 元 となった 新 海 発 電 は 2014 年 1 月 20 日 1の 1,748.4 万 元 を 差 し 引 いた 万 元 を 錦 盈 貿 易 に 支 払 った (5) 石 炭 産 業 への 影 響 や 課 題 1 中 国 の 商 品 取 引 所 での 一 般 炭 と 原 料 炭 の 先 物 取 引 は 2013 年 にスタートしたばかりで 日 が 浅 く 多 くの 石 炭 企 業 は 模 様 眺 めしているのが 現 状 である 2 現 段 階 の 石 炭 企 業 や 電 力 企 業 には 先 物 取 引 の 操 作 に 精 通 した 人 材 がほとんどいない この ため 現 物 市 場 と 先 物 市 場 を 活 用 したリスクヘッジを 行 うことは 実 際 には 難 しく 将 来 的 に はこの 分 野 の 人 材 育 成 を 検 討 する 必 要 がある 3 ZCE の 取 引 に 参 加 している 石 炭 企 業 はほとんどが 地 方 の 民 営 石 炭 企 業 で 河 南 省 の 国 有 石 炭 企 業 が 取 引 参 加 を 検 討 中 であるという 5 大 電 力 企 業 は 取 引 に 参 加 していない 4 業 績 考 課 の 厳 しい 国 有 企 業 が ハイリスク ハイリターンの 先 物 取 引 に 積 極 的 に 参 加 するか どうかは 不 透 明 である 過 去 に 中 国 の 国 有 大 手 が 海 外 の 先 物 投 機 市 場 で 巨 額 損 失 を 出 して 責 任 を 追 及 されや 例 があり 大 手 国 有 企 業 は 慎 重 な 姿 勢 をとっている 85

133 第 3 章 中 国 の 石 炭 需 要 の 推 移 と 現 状 3.1 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 石 炭 比 率 の 推 移 と 現 状 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 115 によると 2012 年 の 一 次 エネルギー 消 費 116 は 石 炭 換 算 ト ンで 36.2 億 tce 石 油 換 算 トンで 25.3 億 toe であった 消 費 全 体 に 占 める 石 炭 消 費 は 66.6% 石 油 は 18.8% 天 然 ガスは 5.2% 水 力 は 7.6% 原 子 力 は 0.8% 再 生 可 能 エネルギーは 1.0%である また 2012 年 の 石 炭 比 率 は 2011 年 比 1.8% 減 の 66.6%であった( 図 及 び 表 3.1.1) 百 万 toe 3,000 石 炭 石 油 天 然 ガス 水 力 原 子 力 風 力 2,500 2,000 1,500 1, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 図 中 国 の 一 次 エネルギー 消 費 の 推 移 表 中 国 の 一 次 エネルギー 消 費 の 推 移 年 合 計 ( 百 万 toe) 構 成 比 (%) 石 炭 石 油 天 然 ガス 水 力 など 石 炭 石 油 天 然 ガス 水 力 など , , , , ,494 1, ,652 1, ,811 1, ,964 1, ,040 1, ,147 1, ,275 1, ,436 1, ,532 1, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 年 12 月 発 電 のエネルギー 投 入 量 で 計 算 電 力 等 量 (1kWh=870kcal)で 計 算 すると 一 次 エネルギー 消 費 は 34.1 億 tce 86

134 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 は 低 下 しているものの 石 炭 消 費 量 は 増 え 続 けている 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 石 炭 需 給 バランス 表 によると 2012 年 の 石 炭 消 費 量 は 38.0 億 トンで 2000 年 (13.7 億 トン)と 2005 年 (22.7 億 トン)に 比 べると それぞれ 24.3 億 トンと 15.3 億 トン の 大 幅 増 となっている 2000 年 ~2012 年 の 中 国 の 累 計 石 炭 消 費 は 2012 年 の 世 界 の 石 炭 消 費 量 ( 中 国 を 除 く)の 8 年 分 以 上 に 相 当 する ところで 2012 年 の 石 炭 比 率 は 2011 年 比 1.8% 減 の 66.6%であったが 2013 年 には 2012 年 と 同 レベルだった 2014 年 2 月 に 発 表 された 中 国 統 計 局 の 速 報 値 117 によると 2013 年 の 一 次 エネルギ ー 消 費 は 26.3 億 toe(37.5 億 tce)で 2012 年 比 3.7% 増 加 し さらに 2013 年 の 石 炭 消 費 量 は 2012 年 比 で 3.7% 増 加 したとしている 2012 年 の 実 績 に 基 づき 2013 年 の 石 炭 消 費 量 を 試 算 すると 17.5 億 toe になる その 他 のエネルギーについても 2012 年 の 実 績 に 基 づき 同 様 に 試 算 すると 石 油 は 4.9 億 toe(2012 年 比 3.4%) 天 然 ガスは 1.5 億 toe(13% 増 )となる 一 方 2014 年 1 月 に 開 催 された 全 国 エネルギー 工 作 会 議 で 国 家 能 源 局 の 呉 新 雄 局 長 は 2013 年 の 石 炭 消 費 量 は 2012 年 比 で 2.7% 増 加 し 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 は 65.7% であると 述 べた 同 時 に 2014 年 に 石 炭 比 率 を 65% 以 内 に 抑 制 する 目 標 を 設 定 したことを 明 らか にした 118 ( 詳 細 は 第 1 章 を 参 照 ) また 2013 年 の 一 次 エネルギー 消 費 構 成 は 石 炭 66.6% 石 油 18.8% 天 然 ガス 5.7% 原 子 力 風 力 などが 9.0%であると 推 定 される 以 上 のように 2012 年 及 び 2013 年 の 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 は 2005 年 ( 70.8%) 及 び 2010 年 (68.0%)と 比 べると それぞれ 4.2% 及 び 1.4% 低 下 しているが 中 国 の 一 次 エネル ギー 消 費 の 最 大 の 供 給 源 が 石 炭 であることに 変 わりはない 表 中 国 と 世 界 の 一 次 エネルギー 消 費 構 成 の 比 較 (2012 年 ) ( 単 位 :%) 石 油 天 然 ガス 石 炭 原 子 力 水 力 再 生 エネ 世 界 世 界 ( 中 国 を 除 く) 中 国 ( 注 )BP 統 計 と 中 国 統 計 では 消 費 量 の 値 が 若 干 異 なっているが これは 燃 料 の 熱 量 値 の 換 算 方 法 の 違 いによると 推 定 される ( 出 所 )BP 統 計 及 び 表 なお 表 及 び 図 に 示 した 通 り BP 統 計 119 によると 2012 年 の 世 界 ( 中 国 を 除 く) の 一 次 エネルギー 消 費 構 成 は 石 炭 19.1% 石 油 37.4% 天 然 ガス 29.3% 水 力 6.5% 原 子 力 5.5% 中 国 統 計 局 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 2014 年 2 月 24 日 数 字 は 速 報 値 である 国 家 能 源 局 の 呉 新 雄 局 長 中 国 エネルギー 工 作 会 議 での 講 話 2014 年 1 月 13 日 119 BP Statistical Review of World Energy, June

135 再 生 可 能 エネルギー2.1%である これを 世 界 の 平 均 値 と 呼 ぶとすると 平 均 値 に 比 して 上 記 の 中 国 の 石 炭 比 率 (68.5%)は 極 端 に 高 く 天 然 ガス(4.7%)と 石 油 (17.7%)の 比 率 は 非 常 に 低 い 北 米 中 南 米 欧 州 中 東 アフリカ アジア( 中 国 を 除 く) 中 国 百 万 toe 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, ( 出 所 )BP 統 計 図 世 界 における 中 国 の 石 炭 消 費 量 中 国 特 有 のエネルギー 消 費 構 造 ( 一 次 エネルギー 消 費 量 に 占 める 石 炭 比 率 が 極 端 に 高 い)は 国 内 の 資 源 賦 存 状 況 に 起 因 するものである 中 国 の 資 料 120 によると 中 国 の 化 石 燃 料 の 確 認 埋 蔵 量 の 96%は 石 炭 で 石 油 と 天 然 ガスはわずか 4%を 占 めるに 過 ぎない また BP 統 計 によると 2012 年 末 時 点 の 中 国 の 化 石 燃 料 の 確 認 埋 蔵 量 のうち 石 炭 は 1,145 億 トンで 可 採 年 数 (R/P)は 31 年 石 油 は 24 億 トン(173 億 バレル)で R/P は 11.4 年 天 然 ガスは 3.1 兆 m 3 で R/P は 28.9 年 である 国 家 能 源 局 は エネルギー 資 源 量 開 発 条 件 生 態 環 境 供 給 の 持 続 性 などの 制 約 があ るため 2030 年 までの 化 石 燃 料 の 持 続 可 能 な 最 大 供 給 能 力 は 25.2 億 toe/ 年 (36 億 tce/ 年 )してい る 中 国 電 力 出 版 社 中 国 非 化 石 エネルギーの 発 展 目 標 とその 実 現 ルート 2013 年 5 月 国 家 能 源 局 発 展 企 画 司 科 学 的 発 展 に 向 けた 2030 年 国 家 エネルギー 戦 略 研 究 報 告 2010 年 6 月 88

136 年 までの 石 炭 需 要 動 向 全 国 の 石 炭 需 要 動 向 中 国 の 2013 年 版 のエネルギー 統 計 によると 2012 年 の 石 炭 消 費 量 は 38.0 億 トン( 褐 炭 を 含 む) で 2011 年 の 36.1 億 トンより 1.9 億 トン 増 加 した 2012 年 の 増 加 量 は 2008 年 以 降 で 最 低 であっ た 万 トン % 400, , , ,000 対 前 年 比 % , , ,000 50, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 図 中 国 の 石 炭 消 費 量 と 対 前 年 比 伸 び 率 (1) 部 門 別 の 石 炭 消 費 量 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 石 炭 需 給 バランス 表 によると 2012 年 の 石 炭 最 終 消 費 は 8.7 億 トン で うち 工 業 が 7.0 億 トン( 最 終 消 費 全 体 の 80.5%を 占 める 以 下 同 ) 家 庭 用 は 9,153 万 トン (10.5%) 商 業 は 2,362 万 トン(2.7%) 農 業 林 業 水 産 業 は 1,766 万 トン(2.0%) 建 築 業 は 753 万 トン(0.9%) 輸 送 郵 便 倉 庫 業 は 614 万 トン(0.7%) その 他 は 2,283 万 トン(2.6%) であった また 2012 年 の 家 庭 用 消 費 量 は 2005 年 の 10,039 万 トンより 若 干 減 少 したが 2000 年 の 8,453 万 トンに 比 べると 増 加 している ただ 天 然 ガスや LPG の 普 及 に 伴 い 近 年 は 減 少 傾 向 にある 一 方 2012 年 の 商 業 部 門 の 消 費 量 は 2005 年 の 1,674 万 トン 2000 年 の 1,315 万 トンに 比 べて 増 加 しており 総 体 的 に 増 加 傾 向 にある これには エネルギー 消 費 規 模 が 比 較 的 大 きい 消 費 者 にと っては 石 炭 の 方 がガス( 天 然 ガス LPG)より 価 格 が 安 いことが 影 響 していると 推 測 される しかし 都 市 部 での 大 気 汚 染 の 深 刻 化 や 天 然 ガスの 普 及 により 商 業 部 門 の 石 炭 消 費 量 は 長 期 的 には 減 少 すると 推 察 される 2000 年 ~2012 年 の 石 炭 最 終 消 費 の 年 平 均 伸 び 率 は 3.8%であったが 2000 年 ~2005 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 6.2% 2005 年 ~2010 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 2.3% 2010 年 ~2012 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.6% と 低 下 の 割 合 が 次 第 に 大 きくなっている 2005 年 ~2010 年 の 商 業 とその 他 部 門 の 石 炭 消 費 の 年 平 均 伸 び 率 は 2000 年 ~2005 年 の 年 平 均 伸 び 率 より 高 いが 他 の 部 門 の 年 平 均 伸 び 率 は 全 て 低 下 89

137 している また 2005 年 以 降 石 炭 最 終 消 費 における 最 大 消 費 者 の 工 業 部 門 でも 石 炭 消 費 量 が 減 速 してい る これは 経 済 成 長 減 速 や 天 然 ガス 導 入 などが 原 因 であると 見 られる さらに 石 炭 需 給 バランス 表 ( 表 3.2.1)を 見 ると 石 炭 需 給 誤 差 は 年 々 拡 大 しており 2012 年 の 部 門 別 の 石 炭 消 費 は 石 炭 供 給 より 2.7 億 トン 少 ない 表 石 炭 需 給 バランス 項 目 実 績 ( 万 トン) 年 平 均 伸 び 率 (%) /00 10/05 12/10 12/00 国 内 供 給 136, , , , 生 産 138, , , , 輸 入 218 2,617 16,310 28, 輸 出 5,507 7,172 1, 在 庫 3,665-3,455-8,127-12, 転 換 部 門 85, , , , 火 力 発 電 55, , , , 熱 供 給 8,794 13,542 15,253 20, コークス 生 産 16,496 33,167 47,150 54, 石 炭 液 化 都 市 ガス 960 1,277 1, 自 家 消 費 とロス 3,117 4,982 9,485 11, 最 終 消 費 55,913 75,383 84,351 87, 農 業 林 業 水 産 業 933 1,514 1,711 1, 工 業 42,628 59,025 68,146 70, 建 築 業 輸 送 郵 政 倉 庫 商 業 1,315 1,674 1,970 2, 家 庭 8,457 10,039 9,159 9, その 他 1,161 1,716 2,007 2, 誤 差 -4,297-4,673 17,737 27, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 一 方 で 本 調 査 が 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 産 業 別 の 石 炭 消 費 データに 基 づいて 作 成 した 統 計 結 果 ( 表 3.2.2) 122 では 2012 年 の 石 炭 最 終 消 費 は 11.4 億 トンとなり 中 国 の 石 炭 需 給 バランス 表 の 8.7 億 トンより 約 2.7 億 トン 多 い これは 表 の 2012 年 の 工 業 部 門 ( 鉱 業 製 造 業 )の 消 費 合 計 は 約 9.7 億 トンであり 中 国 の 石 炭 需 給 バランス 表 ( 表 3.2.1)の 工 業 部 門 の 石 炭 消 費 7.0 億 トンより 2.7 億 トン 多 いことが 最 大 の 理 由 である 表 で 2012 年 の 製 造 業 の 消 費 量 の 内 訳 を 見 ると 製 鉄 業 が 3.0 億 トン( 製 造 業 全 体 の 31.7% 以 下 同 ) 窯 業 ( 建 材 業 )が 2.5 億 トン(25.9%) 石 炭 化 学 産 業 が 2.0 億 トン(21.0%)で この 3 業 種 で 製 造 業 全 体 の 78% 以 上 を 占 める 3 業 種 以 外 では 非 鉄 金 属 業 が 6,411 万 トン 製 紙 業 が 122 中 国 の 統 計 分 類 では 石 炭 最 終 消 費 データに 一 部 転 換 部 門 のデータが 含 まれているため 石 炭 最 終 消 費 統 計 を 作 成 する 際 にはデータの 調 整 を 行 う 必 要 がある 90

138 4,583 万 トン 繊 維 業 が 2,374 万 トン 食 品 産 業 が 3,787 万 トン 金 属 機 械 が 360 万 トン その 他 が 2,982 万 トンであった 表 最 終 石 炭 消 費 の 推 移 ( 万 トン) 項 目 最 終 石 炭 消 費 63,373 89, , ,239 産 業 部 門 計 51,558 75,274 92,586 99,826 農 林 漁 業 933 1,514 1,711 1,766 鉱 業 1,638 1,297 1,495 1,597 建 築 業 製 造 業 計 48,450 71,860 88,662 95,709 食 料 品 3,054 3,207 3,703 3,787 繊 維 1,859 2,898 2,927 2,374 製 紙 2,160 3,506 4,344 4,583 化 学 工 業 10,891 15,138 16,895 20,103 窯 業 13,805 20,036 23,509 24,814 鉄 鋼 12,342 21,294 28,222 30,296 非 鉄 金 属 1,513 2,488 5,715 6,411 金 属 機 械 その 他 2,554 2,954 3,031 2,982 民 生 部 門 計 9,772 11,713 11,129 11,515 家 庭 用 8,457 10,039 9,159 9,153 業 務 用 1,315 1,674 1,970 2,362 輸 送 部 門 その 他 1,161 1,716 2,007 2,283 ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 をもとに 作 成 中 国 のエネルギー 需 給 バランス 表 では 2012 年 の 転 換 部 門 の 石 炭 消 費 量 は 26.5 億 トンで うち 発 電 用 が 17.9 億 トン(67.3%) 熱 供 給 が 2.0 億 トン(7.6%) コークス 生 産 が 5.4 億 トン(20.4%) 石 炭 液 化 が 378 万 トン(0.1%) 石 炭 ガス 化 ( 都 市 ガスを 含 む)が 799 万 トン(0.3%) 生 産 ロス が 1.1 億 トン(4.2%)であった 液 化 0.1% ガス 化 0.3% コークス 生 産 20.4% ロス 4.2% 熱 供 給 7.6% 発 電 67.3% ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 図 転 換 部 門 の 石 炭 消 費 構 成 91

139 以 上 のように 中 国 の 主 要 石 炭 消 費 部 門 は 発 電 製 鉄 窯 業 石 炭 化 学 であり 石 炭 消 費 量 全 体 の 66% 以 上 を 占 める 転 換 部 門 のコークス 生 産 用 石 炭 の 消 費 量 も 大 きいが 燃 焼 用 とし 使 用 す るわけではないので この 後 の 産 業 別 分 析 からは 除 外 する また 本 章 の 石 炭 消 費 量 は 中 国 の 全 国 石 炭 統 計 をもとに 一 部 元 データの 統 計 ミスを 調 整 修 正 した 上 で 作 成 したものである なお 中 国 の 統 計 では 各 年 の 石 炭 バランス 表 のデータと 産 業 部 門 の 消 費 データの 間 に 差 があ る 統 計 分 類 上 の 問 題 か 重 複 計 算 によるかは 不 明 で 統 計 局 の 定 義 を 調 べる 必 要 があろう ま た 中 国 のエネルギー 統 計 は 日 本 や IEA その 他 の 国 際 専 門 機 関 による 統 計 と 異 なるため 直 接 比 較 することは 困 難 である その 他 中 国 の 統 計 上 の 問 題 については 第 7 章 (7.1)を 参 照 さ れたい (2) 炭 種 別 の 石 炭 消 費 量 中 国 の 石 炭 消 費 統 計 は 一 般 炭 原 料 炭 無 煙 炭 褐 炭 などの 炭 種 別 に 分 類 されておらず 単 に 石 炭 と 表 記 されたデータしか 無 い このため 本 節 では 中 国 の 各 種 研 究 レポート コークス 生 産 実 績 輸 出 入 関 連 の 税 関 統 計 などをもとに 炭 種 別 の 消 費 量 を 推 計 した まず 中 国 の 公 式 研 究 レ ポートをもとに 計 算 すると 2012 年 の 石 炭 消 費 量 は 40 億 トン~44 億 トンになる 炭 種 別 の 石 炭 消 費 量 の 合 計 は 42.8 億 トンとなり 一 般 炭 は 全 体 の 72% 原 料 炭 は 14% 無 煙 炭 は 3% 褐 炭 は 11%を 占 める( 下 図 参 照 ) 無 煙 炭 3% 原 料 炭 14% 褐 炭 11% 一 般 炭 72% ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 図 石 炭 消 費 量 の 炭 種 別 構 成 (2012 年 ) 第 1 に 2012 年 の 一 般 炭 消 費 量 は 30.8 億 トンで 2011 年 (28.4 億 トン)と 比 べて 2.4 億 トン 増 加 した 123 産 業 別 では 電 力 が 16.9 億 トン( 一 般 炭 消 費 量 全 体 の 55% 以 下 同 ) 建 材 が 6.3 億 ト ン( 20%) 石 炭 化 学 産 業 が 1.1 億 トン(4%) 鉄 鋼 業 が 0.7 億 トン(2%) その 他 が 5.8 億 トン(19%) であった 123 中 国 経 済 出 版 社 中 国 石 炭 市 場 発 展 報 告 年 5 月 92

140 鉄 鋼 2% 石 炭 化 工 4% 建 材 20% その 他 19% 電 力 55% ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 図 一 般 炭 消 費 量 の 産 業 別 構 成 (2012 年 ) 第 2 に 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 によると 2012 年 のコークス 生 産 量 は 4.1 億 トン コークス 生 産 に 使 用 された 原 料 炭 の 消 費 量 は 5.4 億 トンである しかし この 原 料 炭 消 費 量 を 各 地 域 の 統 計 によって 算 出 したところ その 合 計 値 は 6.2 億 トンになった さらに 中 国 石 炭 市 場 発 展 報 告 2013 では 2012 年 の 原 料 炭 消 費 量 は 5.9 億 トンで 2011 年 比 2.9% 増 加 したと 推 測 している 万 トン 70,000 60,000 50,000 全 国 統 計 地 域 合 計 62,368 54,068 40,000 30,000 33,167 20,000 10, ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 推 定 図 中 国 の 原 料 炭 消 費 量 の 推 移 第 3 に 2012 年 の 無 煙 炭 消 費 は 主 に 石 炭 化 学 ( 肥 料 を 含 む) 鉄 鋼 民 生 によるもので 124 消 費 量 は 推 定 で 1.3 億 トン 前 後 である 内 訳 は 石 炭 化 学 が 8,000 万 トン 前 後 ( 無 煙 炭 消 費 量 全 体 の 約 59% 以 下 同 ) 鉄 鋼 が 3,000 万 トン(26%) 民 生 が 2,000 万 トン 前 後 (15%)であった 124 中 国 の 情 報 によると 発 電 所 は 石 炭 の 熱 量 を 調 整 するために 原 料 炭 を 消 費 するケースもある 93

141 第 4 に 2012 年 の 褐 炭 消 費 は 主 に 電 力 石 炭 化 学 建 材 によるものであった 電 力 分 野 では 褐 炭 を 一 定 比 率 で 一 般 炭 に 混 合 し ボイラー 用 燃 料 として 消 費 している なお 中 国 の 沿 海 地 域 の 一 部 発 電 所 では 発 電 用 として 褐 炭 を 単 独 使 用 しているケースもある 石 炭 化 学 分 野 では 原 料 用 と 燃 料 用 の 2 通 りの 用 途 がある 建 材 分 野 ではほぼ 全 量 がセメント 用 燃 料 である 同 年 の 褐 炭 消 費 量 は 推 計 4.5 億 トンと 見 られ 電 力 用 は 2.4 億 トン( 褐 炭 消 費 量 全 体 の 52% 以 下 同 ) 建 材 用 は 8,000 万 トン 前 後 (18%) 石 炭 化 学 用 は 7,000 万 トン 前 後 (15%) その 他 用 は 7,000 万 ト ン(15%)である 125 表 年 の 炭 種 別 産 業 別 の 石 炭 消 費 量 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 ( 単 位 : 億 トン) 一 般 炭 原 料 炭 無 煙 炭 褐 炭 合 計 電 力 建 材 化 学 その 他 鉄 鋼 民 生 合 計 地 域 別 の 石 炭 需 要 動 向 (1) 地 域 別 の 需 要 動 向 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 地 域 別 エネルギー 需 給 バランス 表 に 基 づくと 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 の 合 計 は 43.6 億 トンとなり 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 石 炭 需 給 バランス 表 の 38.0 億 ト ンより 5.6 億 トンも 大 きくなる また 中 国 の 熱 量 換 算 表 126 に 基 づいて 計 算 すると 各 地 の 石 炭 消 費 量 の 合 計 は 44.3 億 トンになる これは 各 地 の 統 計 に 重 複 があるためと 推 察 されるが 中 国 の 統 計 には 熱 量 調 整 に 関 する 問 題 があり また 政 策 的 にデータに 手 を 加 える 可 能 性 もある 本 調 査 では 地 域 別 の 解 析 には 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 を 使 用 しており 上 述 の 通 り 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 の 合 計 は 43.6 億 トンである 2012 年 の 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 ( 表 3.2.4)を 見 ると 華 東 が 最 多 の 11.8 億 トン( 地 域 別 石 炭 消 費 量 の 合 計 値 の 27.1%を 占 める 以 下 同 )で 次 いで 華 北 が 11.0 億 トン(25.2%) 中 南 が 7.9 億 トン(18.1%) 西 北 が 4.4 億 トン(10.1%) 東 北 が 4.3 億 トン(9.9%) 西 南 が 4.2 億 トン(9.6%) であった 2005 年 ~2012 年 の 石 炭 消 費 量 の 平 均 増 加 率 を 2000 年 ~2005 年 の 平 均 増 加 率 と 比 べた 場 合 西 北 地 域 を 除 いて 軒 並 み 低 下 しており 特 に 華 北 地 域 の 伸 び 率 低 下 は 燃 料 転 換 の 影 響 が 大 きいと 思 125 表 の 炭 種 別 消 費 量 の 合 計 値 は 2012 年 の 石 炭 消 費 量 38 億 トンより 多 くなる これは 石 炭 消 費 量 を 5,000kcal/kg で 換 算 したためである 中 国 の 炭 種 別 消 費 データでは 石 炭 のカロリーが 統 一 されていないと 推 測 され る 126 原 炭 は 5,000kcal/kg 選 炭 は 6,300kcal/kg その 他 選 炭 2,000kcal/kg 94

142 われる 華 北 地 域 の 2005 年 の 消 費 量 は 6.7 億 トン(2000 年 比 3 億 トン 増 加 )で 2012 年 には 11.0 億 トン(2005 年 比 4.3 億 トン 増 加 )になり 大 幅 に 増 加 した 華 東 地 域 も 同 様 で 2012 年 の 消 費 量 (11.8 億 トン)は 2005 年 (7.5 億 トン)から 7 年 間 で 3 億 トン 増 加 した 表 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 石 炭 消 費 伸 び 率 地 域 /00 12/05 万 トン % 万 トン % 万 トン % % % 華 北 37, , , 東 北 19, , , 華 東 37, , , 中 南 26, , , 西 南 16, , , 西 北 9, , , 合 計 146, , , ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 次 に 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 石 炭 消 費 量 ( 表 3.2.5)を 見 ると 2012 年 に 消 費 量 が 最 大 だった のは 山 東 省 ( 華 東 地 域 )の 4 億 233 万 トンで 2005 年 (2.6 億 トン)に 比 べて 約 1.4 億 トン 増 加 し た ちなみに 2011 年 の 日 本 の 石 炭 総 供 給 量 は 1.8 億 トンであった 127 山 東 省 は 石 炭 火 力 発 電 所 製 鉄 所 セメント 産 業 石 炭 化 学 製 品 生 産 拠 点 の 集 積 地 であり 生 産 炭 地 でもある 128 第 2 位 は 産 炭 地 の 内 モンゴル 自 治 区 で 2012 年 の 消 費 量 は 3.7 億 トンに 達 しており 2005 年 ( 1.4 億 トン 弱 )から 2.3 億 トンと 大 幅 に 増 加 した 同 自 治 区 では 石 炭 火 力 発 電 が 消 費 の 主 体 であるが 近 年 は 石 炭 化 学 や 石 炭 液 化 も 伸 びており 消 費 量 は 年 々 拡 大 している 第 3 位 は 山 西 省 の 3.5 億 トンで 2005 年 2.6 億 トンより 8,679 万 トン 増 加 した 同 省 は 中 国 を 代 表 する 産 炭 地 の 一 つで 中 国 最 大 のコークス 生 産 地 である また 河 北 省 と 並 ぶ 原 料 炭 生 産 地 で もあり 河 北 山 西 両 省 で 中 国 のコークス 生 産 量 全 体 の 1/3 を 占 める この 他 2005 年 より 消 費 量 が 1 億 トン 以 上 増 加 したのは 河 北 省 (1.8 億 トン 増 加 )と 江 蘇 省 (1.6 億 トン 増 加 )である 両 省 では 鉄 鋼 とセメントの 生 産 量 が 大 きい 反 対 に 北 京 市 の 石 炭 消 費 は 2005 年 以 降 減 少 し 続 けており 2012 年 の 消 費 量 は 2005 年 比 799 万 トン 減 の 2,270 万 トンとなったが PM2.5 問 題 は 年 々 深 刻 さを 増 している これは 北 京 市 周 辺 に 位 置 する 内 モンゴル 自 治 区 河 北 省 山 西 省 などで 石 炭 消 費 が 大 幅 に 増 加 したこと そして 北 京 市 周 辺 地 域 で 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 が 著 しく 増 加 していることを 物 語 っている 上 海 市 の 状 況 も 同 様 で 2012 年 の 石 炭 消 費 量 は 5,703 万 トンであるが 上 海 市 周 辺 に 位 置 する 江 蘇 省 浙 江 年 の 日 本 の 一 般 炭 輸 入 量 は 1.1 億 トン 原 料 炭 の 輸 入 量 は 6,801 万 トン 国 内 生 産 量 は 120 万 トンで これらを 合 計 した 総 供 給 量 は 1.8 億 トンとなる ただし 日 本 が 輸 入 している 一 般 炭 は 6,500kcal/kg 以 上 であり 中 国 炭 の 平 均 熱 量 は 5,000kcal/kg である 点 が 異 なる 128 本 章 3.3 石 炭 多 消 費 産 業 の 需 要 動 向 を 参 照 95

143 省 及 び 安 徽 省 の 消 費 量 はそれぞれ 2.8 億 トン 1.4 億 トン 及 び 1.5 億 トンであった 北 京 市 と 同 じ ように その 周 辺 地 域 の 大 気 汚 染 が 上 海 市 の PM2.5 問 題 の 原 因 と 見 られている 表 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 石 炭 消 費 量 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 96

144 また 北 京 上 海 の PM2.5 問 題 の 解 決 には 当 該 市 での 石 炭 燃 焼 禁 止 だけでは 効 果 が 薄 いと 思 われる PM2.5 及 び 大 気 汚 染 問 題 の 解 決 は 特 定 地 域 ではなく 中 国 全 体 として 取 り 組 むべき 課 題 であり 解 決 には 時 間 を 要 すると 思 われる 黒 龍 江 省 吉 林 省 新 彊 ウイグル 自 治 区 チベット 自 治 区 青 海 省 1.2ト ン/ m 2 1.3ト ン/ m 2 遼 寧 省 内 モンゴル 自 治 区 北 京 市 2.2ト ン/ m 2 1.5ト ン/ m 2 1.6ト ン/ m 2 天 津 市 河 北 省 山 西 省 2.6ト ン/ m 2 寧 夏 自 治 区 山 東 省 甘 粛 省 1.6ト ン/ m 2 陝 西 省 河 南 省 江 蘇 省 四 川 省 重 慶 市 湖 北 省 安 徽 省 4.4ト ン/ m 2 2.6ト ン/ m 2 淅 江 省 6.9ト ン/ m 2 上 海 市 湖 南 省 江 西 省 貴 州 省 福 建 省 石 炭 消 費 量 年 間 1億 トン 以 下 石 炭 消 費 量 年 間 2億 トン 以 上 3 億 トン 未 満 雲 南 省 広 西 自 治 区 広 東 省 台 湾 石 炭 消 費 量 年 間 3 億 トン 以 上 面 積 当 たりの 石 炭 消 費 海 南 省 ( 出 所 )エイジアム 研 究 所 図 地 域 別 の 石 炭 消 費 と 面 積 当 たりの 石 炭 消 費 (2) 各 炭 種 の 地 域 別 需 要 動 向 (2012 年 ) 1 一 般 炭 地 域 別 消 費 量 は 華 東 地 域 が 最 大 で 一 般 炭 消 費 量 全 体 の 34.2%を 占 める これに 華 南 地 域 21.5% 華 北 地 域 19.5% 西 北 地 域 9.7% 西 南 地 域 8.3% 東 北 地 域 6.8%と 続 く 原 料 炭 地 域 別 消 費 量 は 華 北 地 域 が 2.4 億 トン( 原 料 炭 消 費 量 全 体 に 占 める 比 率 は 39.2% 以 下 同 ) 華 東 地 域 が 1.3 億 トン 弱 (20.1%) 西 北 地 域 が 8,000 万 トン 以 上 (13.5%) 西 南 地 域 が 6,000 万 トン 以 上 (9.6%)で 東 北 地 域 が 最 も 少 ない 4,700 万 トン 前 後 (7.6%)であった 129 中 国 石 炭 工 業 協 会 年 の 中 国 一 般 炭 市 場 研 究 レポート 97

145 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 図 原 料 炭 の 地 域 別 消 費 量 省 直 轄 市 自 治 区 別 消 費 量 で 最 大 だったのは 中 国 最 大 の 原 料 炭 及 びコークス 生 産 地 の 山 西 省 で 1.2 億 トン 前 後 河 北 省 がこれに 続 き 年 間 消 費 量 は 推 定 で 8,500 万 トン 強 と 見 られる 3 褐 炭 中 国 の 主 な 消 費 地 域 は 内 モンゴル 東 北 地 域 雲 南 省 である 褐 炭 は 長 距 離 輸 送 が 難 しく ほ ぼ 全 てが 生 産 地 周 辺 地 域 で 消 費 されている 2012 年 の 地 域 別 消 費 量 は 内 モンゴルが 約 2 億 トン ( 褐 炭 消 費 量 全 体 に 占 める 比 率 は 42.9% 以 下 同 ) 東 北 地 域 が 1.4 億 トン(31%) 雲 南 省 が 3,500 万 トン 前 後 (7.8%) その 他 内 陸 地 域 が 3,000 万 トン 前 後 (6.6%) 福 建 省 広 東 省 などの 沿 海 地 域 が 5,400 万 トン 以 上 (11.8%)と 推 定 される 4 無 煙 炭 地 域 別 消 費 量 に 関 するデータは 無 いが 主 に 製 鉄 所 の 所 在 地 や 石 炭 化 学 プラントの 所 在 地 で 消 費 されていると 考 えられる 98

146 3.3 石 炭 多 消 費 産 業 (4 大 産 業 )の 需 要 動 向 電 力 産 業 の 石 炭 需 要 (1) 発 電 量 中 国 の 国 家 電 力 網 エネルギー 研 究 院 の 2013 中 国 電 力 需 給 分 析 報 告 によると 2012 年 の 中 国 の 発 電 総 量 は 49,774 億 kwh で 2011 年 より 5.2% 増 加 した このうち 火 力 発 電 量 は 39,108 億 kwh で 2011 年 比 0.3% 増 にとどまった さらに 火 力 発 電 量 のうち 石 炭 火 力 発 電 量 は 37,755 億 kwh で 火 力 発 電 量 全 体 の 94.0% 発 電 量 全 体 の 73.9%を 占 めた 水 力 発 電 量 は 8,721 億 kwh で 発 電 量 全 体 の 17.3%を 占 め 2011 年 比 29.3% 増 であった 原 子 力 発 電 量 は 982 億 kwh で 発 電 量 全 体 の 2%を 占 め 2011 年 比 12.6% 増 であった 風 力 発 電 量 は 1,004 億 kwh で 発 電 量 全 体 の 2%を 占 め 2011 年 比 35.5% 増 であった ( 注 ) 円 グラフは 2012 年 の 電 源 構 成 を 示 す ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 IEA 統 計 など 図 電 源 別 の 発 電 量 の 推 移 2010 年 以 降 中 国 経 済 は 世 界 的 な 経 済 不 況 の 影 響 を 受 けて 投 資 環 境 や 輸 出 環 境 が 悪 化 したた め 経 済 成 長 率 の 低 下 が 続 いている 特 に 安 価 な 労 働 力 を 武 器 としてきた 輸 出 産 業 は 人 件 費 上 昇 人 民 元 高 欧 米 や 日 本 の 経 済 不 振 などの 影 響 を 受 けて 輸 出 の 伸 びが 低 下 し 多 くの 工 場 が 倒 産 した また 2008 年 に 中 国 政 府 が 実 施 した 経 済 刺 激 策 の 後 遺 症 として 生 産 能 力 過 剰 や 在 庫 増 などの 問 題 が 顕 在 化 し 電 力 需 要 の 伸 びが 大 幅 に 縮 小 した 工 業 部 門 の 電 力 消 費 量 の 年 平 均 伸 び 率 は 2000 年 ~2012 年 には 11.5%であったが 2010 年 ~2012 年 には 8.5%となった また 電 力 需 要 全 体 の 年 平 均 伸 び 率 も 2010 年 以 前 に 比 べて 低 下 している( 表 3.3.1) 電 力 需 要 低 迷 の 影 響 を 受 けて 2012 年 の 年 間 発 電 量 の 伸 び 率 も 2005 年 以 降 で 最 低 となった また 電 源 別 の 発 電 量 を 見 ると 水 量 が 豊 富 だったことにより 水 力 発 電 量 が 大 幅 に 増 加 した 一 方 火 力 発 電 量 の 対 前 年 比 は 1.5%の 増 加 に 留 まった 中 国 の 電 力 統 計 によると 全 国 の 6,000kW 99

147 以 上 の 火 力 発 電 所 の 平 均 稼 働 時 間 は 4,965 時 間 で 2011 年 より 340 時 間 減 少 した 130 表 分 野 別 の 電 力 消 費 量 電 力 消 費 ( 億 kwh) 伸 び 率 (%) /00 10/05 12/10 12/00 農 業 , 工 業 9,068 16,815 28,304 33, 建 築 業 輸 送 業 商 業 ,292 1, その 他 623 1,341 2,452 3, 家 庭 1,452 2,885 5,125 6, 合 計 12,536 23,234 39,366 46, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 火 力 発 電 量 の 伸 びは 2012 年 単 年 度 では 低 下 しているが 2000 年 以 降 の 発 電 量 ( 特 に 石 炭 火 力 発 電 量 )は 年 々 増 加 しており 2012 年 の 石 炭 火 力 発 電 量 は 2000 年 の 約 3.6 倍 となり 年 平 均 伸 び 率 は 11.1%を 記 録 した 2012 年 の 地 域 別 火 力 発 電 量 を 見 ると 華 東 地 域 が 最 も 大 きく 年 間 発 電 量 は 13,540 億 kwh( 中 国 の 火 力 発 電 量 全 体 の 34.8% 以 下 同 ) 華 北 地 域 は 8,418 億 kwh(21.6%) 華 南 地 域 は 7,784 億 kwh(20.0%) 西 北 地 域 は 4,086 億 kwh(10.5%) 東 北 地 域 は 2,648 億 kwh(6.8%) 西 南 地 域 は 2,447 億 kwh(6.3%)であった 131 表 地 域 別 の 火 力 発 電 量 と 構 成 比 地 域 年 平 均 億 kwh % 億 kwh % 億 kwh % 伸 び 率 % 華 北 2, , , 東 北 1, , , 華 東 3, , , 華 南 2, , , 西 南 , , 西 北 , , 合 計 10, , , ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 また 2000 年 ~2012 年 の 地 域 別 火 力 発 電 量 の 年 平 均 伸 び 率 を 見 ると 全 国 平 均 の 11.2%に 対 し 西 北 地 域 は 最 も 高 い 15.9%に 達 している これは 同 地 域 が 経 済 後 発 地 域 の 一 つであること ま 130 月 131 中 国 電 力 出 版 社 中 国 発 電 エネルギー 供 給 と 電 源 発 展 分 析 報 告 2013 国 網 エネルギー 研 究 院 2013 年 8 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 年 1 月 100

148 た 石 炭 埋 蔵 量 が 大 きいことが 理 由 として 挙 げられる 132 加 えて 西 北 地 域 での 石 炭 火 力 発 電 建 設 を 促 進 し 東 部 沿 海 地 域 への 送 電 を 強 化 する という 中 国 のエネルギー 政 策 もその 背 景 にあ る これとは 逆 に 平 均 伸 び 率 が 最 も 低 かったのは 東 北 地 域 の 6.1%で この 地 域 では 経 済 開 発 が 遅 れ 電 力 需 要 が 伸 び 悩 んだことが 反 映 されている (2) 電 源 構 成 2012 年 末 時 点 の 中 国 の 発 電 設 備 容 量 は 11.5 億 kw で 2011 年 より 7.8% 増 加 した 2012 年 の 電 源 構 成 を 見 ると 火 力 発 電 は 8 億 1,917 万 kw( 電 源 構 成 全 体 の 71.5% 以 下 同 )で うち 石 炭 火 力 発 電 は 7 億 5,811 万 kw(66.2%)で 2011 年 比 で 6.6% 増 加 した 水 力 発 電 は 24,890 万 kw(21.7%) 天 然 ガス 火 力 発 電 は 3,827 万 kw(3.3%) バイオマス 火 力 発 電 は 582 万 kw(0.5%) その 他 の 火 力 発 電 は 1,697 万 kw(1.5%) 原 子 力 発 電 は 1,257 万 kw(1.1%) 風 力 発 電 は 6,083 万 kw(5.3%) その 他 の 発 電 133 は 345 万 kw(0.3%)であった 表 年 以 降 の 電 源 構 成 の 変 化 発 電 設 備 /10 容 量 ( 万 kw) 構 成 比 % 容 量 ( 万 kw) 構 成 比 % 容 量 ( 万 kw) 構 成 比 % 伸 び 率 % 火 力 発 電 70, , , 石 炭 65, , , ガス 2, , , 石 油 2, , , バイオ 水 力 21, , , 揚 水 式 1, , , 原 子 力 1, , , 風 力 3, , , その 他 PV 合 計 96, , , ( 出 所 ) 中 国 電 力 出 版 社 中 国 発 電 エネルギー 供 給 と 電 源 発 展 分 析 レポート 各 年 版 2012 年 の 発 電 設 備 容 量 の 純 増 は 8,916 万 kw で うち 石 炭 火 力 発 電 は 5,144 万 kw 水 力 発 電 と 風 力 発 電 はそれぞれ 1,839 万 kw と 1,578 万 kw であった ピーク 調 整 用 の 天 然 ガス 火 力 発 電 は 562 万 kw 増 加 したが 石 油 火 力 発 電 は 480 万 kw 減 少 した 134 容 量 的 には 石 炭 火 力 発 電 の 増 加 が 大 きいいが 新 設 の 速 度 は 2 年 連 続 で 低 下 した 2005 年 以 降 中 国 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 の 新 規 容 量 は 毎 年 約 5,500 万 kw のペースで 増 加 してき たが 2012 年 の 新 規 投 入 設 備 容 量 は 2005 年 以 降 で 最 も 小 さかった これは 中 国 経 済 の 成 長 が 減 速 した 影 響 である また 2011 年 ~2012 年 前 半 にかけて 石 炭 価 格 が 上 昇 したこと 中 国 政 府 に よる 電 力 価 格 抑 制 政 策 の 影 響 などを 受 けて 石 炭 火 力 発 電 企 業 は 赤 字 経 営 に 陥 ったため 石 炭 火 力 発 電 設 備 の 新 設 に 消 極 的 となった その 結 果 2012 年 の 火 力 発 電 に 対 する 投 資 額 は 2011 年 よ 詳 細 は 本 章 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 を 参 照 太 陽 光 発 電 (PV)がほとんどとされ 発 電 設 備 容 量 は 328 万 kw(0.3%)である 中 国 電 力 出 版 社 中 国 電 力 需 給 分 析 レポート 各 年 版 国 網 エネルギー 研 究 院 2013 年 8 月 101

149 り 10.5% 減 少 した さらに 東 部 沿 海 地 域 での 環 境 規 制 特 に PM2.5 問 題 に 伴 う 住 民 の 反 対 運 動 も 一 因 である と 中 国 の 電 力 専 門 家 は 指 摘 している 135 火 力 発 電 の 地 域 別 電 源 分 布 を 見 ると 華 北 地 域 と 華 東 地 域 の 設 備 容 量 は 2 億 2,364 万 kw と 1 億 9,750 万 kw で 中 国 の 火 力 発 電 設 備 全 体 のそれぞれ 27.3%と 24.1%を 占 める 東 北 地 域 の 設 備 容 量 は 推 定 で 7,478 万 kw である 2012 年 に 純 増 加 した 火 力 発 電 設 備 容 量 は 東 北 地 域 が 最 も 少 ない 324 万 kw で 全 国 に 占 める 割 合 は 6.4%である 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 設 備 容 量 を 見 ると 江 蘇 省 と 山 東 省 の 火 力 発 電 設 備 容 量 が 最 も 大 きく いずれも 6,800 万 kw を 超 えている 次 いで 内 モンゴルと 広 東 省 が 5,800 万 kw を 超 えている (3) 石 炭 消 費 量 2012 年 の 電 力 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 19.3 億 トン(2011 年 比 1.5% 減 )で 中 国 の 石 炭 総 消 費 量 38.0 億 トン 136 の 50.8%を 占 めた 2012 年 の 発 電 用 石 炭 の 供 給 量 は 2008 年 のリーマンショック 以 降 で 最 も 低 迷 したと 言 われる 137 一 方 2013 年 版 の 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 石 炭 需 給 バランス 表 で は 2012 年 の 発 電 用 石 炭 の 消 費 量 は 17.9 億 トンで 中 国 の 石 炭 消 費 全 体 の 47.0%を 占 める 中 国 電 力 網 (グリッド) 研 究 院 の 資 料 によると 2012 年 の 60 万 kw 以 上 の 火 力 発 電 設 備 は 火 力 発 電 設 備 全 体 の 33%を 占 め 30 万 kw 以 上 60 万 kw 未 満 の 発 電 設 備 は 全 体 の 37%を 占 める 2012 年 の 発 電 のエネルギー 消 費 原 単 位 は 石 油 換 算 で 228.2g/kWh で 2006 年 の 256.9g/kWh より 28.7g 低 下 した 億 kwh 40,000 goe/kwh ,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5, 石 炭 消 費 原 単 位 石 炭 火 力 発 電 ( 注 ) 石 炭 熱 量 値 は 5,000kcal/kg で 計 算 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 などより 作 成 図 石 炭 火 力 発 電 量 と 石 炭 消 費 原 単 位 年 9 月 に 実 施 したヒアリングによる 136 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 の 石 炭 バランス 表 137 中 国 電 力 出 版 社 中 国 電 力 需 給 分 析 レポート 各 年 版 国 網 エネルギー 研 究 院 2013 年 8 月 102

150 また 中 国 石 炭 工 業 協 会 の 研 究 レポートによると 2012 年 の 発 電 用 一 般 炭 の 消 費 量 は 16.9 億 ト ン 褐 炭 の 消 費 量 は 2.4 億 トンで 表 の 18.5 億 トンより 8,000 万 トン 多 い 2012 年 の 地 域 別 の 発 電 用 石 炭 消 費 量 は 火 力 発 電 の 地 域 別 分 布 と 同 様 華 東 地 域 で 最 も 大 きく 5.7 億 トンであり 石 炭 火 力 発 電 全 体 の 石 炭 消 費 量 の 31.5%を 占 めた 次 いで 大 きいのは 華 北 地 域 の 4.5 億 トンで 全 体 の 24.6%を 占 めた 西 南 地 域 は 水 力 資 源 が 豊 かなため 石 炭 火 力 発 電 用 の 石 炭 消 費 量 は 全 体 の 6.5%を 占 めるに 過 ぎない ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 図 地 域 別 の 発 電 用 石 炭 消 費 量 (2012 年 ) 2012 年 の 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 発 電 用 石 炭 消 費 量 を 見 ると 江 蘇 省 が 最 も 大 きく 1.8 億 ト ン 第 2 位 は 山 東 省 の 1.5 億 トンであった 上 位 10 省 直 轄 市 の 消 費 量 合 計 は 12.0 億 トンで 発 電 用 石 炭 消 費 量 全 体 の 64.7%を 占 めた ちなみに 中 国 で 最 も 火 力 発 電 量 が 小 さい 地 域 はチベッ ト 自 治 区 で 年 間 の 石 炭 消 費 量 はわずか 25 万 トンであり 江 蘇 省 の 1/700 である 表 年 の 省 直 轄 市 自 治 区 の 発 電 用 石 炭 消 費 量 ( 万 トン) 順 番 地 区 消 费 量 シェア% 順 番 地 区 消 费 量 シェア% 1 江 蘇 17, 上 海 4, 山 東 14, 黒 龍 江 3, 広 東 14, 湖 北 3, 内 モンゴル 13, 湖 南 3, 河 南 11, 甘 粛 3, 山 西 11, 広 西 3, 浙 江 10, 江 西 2, 河 北 10, 四 川 2, 安 徽 8, 天 津 2, 遼 寧 6, 吉 林 2, 陜 西 5, 雲 南 2, 福 建 5, 重 慶 1, 貴 州 5, 北 京 1, 寧 夏 4, 海 南 新 疆 4, 青 海 全 土 185, ( 注 )チベット 自 治 区 は 省 直 轄 市 自 治 区 別 統 計 では 除 外 されている ( 出 所 ) 中 国 石 炭 資 源 網 103

151 3.3.2 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 需 要 (1) 鉄 鋼 生 産 量 中 国 鉄 鋼 報 によると 2013 年 の 銑 鉄 生 産 量 は 7.1 億 トン 粗 鋼 生 産 量 は 7.8 億 トン 鋼 材 生 産 量 は 10.7 億 トンであった 年 の 世 界 の 粗 鋼 生 産 量 は 15.8 億 トンで 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 は 世 界 全 体 の 49.4%を 占 めている また 2013 年 の 中 国 の 銑 鉄 粗 鋼 生 産 の 対 前 年 伸 び 率 はそれぞ れ 6.9%と 7.6%であった 百 万 トン 世 界 ( 中 国 を 除 く) 中 国 ( 出 所 ) 中 国 統 計 年 鑑 世 界 鉄 鋼 連 盟 図 世 界 と 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 2000 年 以 降 中 国 では 工 業 化 や 都 市 化 の 進 展 により 粗 鋼 需 要 が 年 々 増 加 した 特 に 2008 年 のリーマンショックへの 対 策 として 中 国 政 府 は 4 兆 元 の 景 気 刺 激 策 を 打 ち 出 したため 各 地 で 地 下 鉄 の 建 設 高 速 鉄 道 の 敷 設 高 層 住 宅 の 建 設 豪 華 な 政 府 庁 舎 の 建 設 などが 急 増 し 粗 鋼 需 要 が 大 きく 伸 びた 2000 年 の 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 は 1.3 億 トンであったが 2012 年 には 6 倍 近 くの 7.2 億 トンに 増 加 した 2007 年 ~2012 年 の 世 界 の 粗 鋼 生 産 の 年 平 均 伸 び 率 は 2.8%であるが 中 国 は 7.9%に 達 した 国 際 鉄 鋼 連 盟 資 料 104

152 表 世 界 と 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 (2007 年 ~2012 年 ) ( 出 所 ) 中 国 鉄 鋼 統 計 年 鑑 世 界 鉄 鋼 連 盟 統 計 2012 年 の 地 域 別 の 粗 鋼 生 産 量 を 見 ると 華 北 地 域 は 2.6 億 トン( 中 国 粗 鋼 生 産 量 全 体 の 35.7% 以 下 同 )で 2000 年 の 3,285 万 トンと 比 べて 2.3 億 トン 近 く 増 加 した また 2005 年 の 1.2 億 ト ンと 比 べると 7 年 間 で 1.4 億 トン 増 加 しており 2012 年 の 日 本 の 粗 鋼 生 産 量 1.1 億 トンより 大 き い また 2000 年 ~2012 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 18.8%に 達 している 次 いで 大 きいのは 華 東 地 域 で 2012 年 の 粗 鋼 生 産 量 は 2.3 億 トン(31.6%)で 2000 年 ~2012 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 15.5%だった 表 地 域 別 の 粗 鋼 生 産 量 の 推 移 地 域 生 産 量 ( 万 トン) 伸 び(%) /00 華 北 3,285 11,668 17,266 25, 東 北 1,802 3,769 5,186 7, 華 東 4,060 11,422 15,861 22, 華 南 1,997 5,212 7,335 9, 西 南 1,136 2,124 2,970 4, 西 北 437 1,130 1,431 2, 合 計 12,716 35,324 50,049 72, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 2013 年 版 2012 年 の 華 南 地 域 の 粗 鋼 生 産 量 は 9,380 万 トン(13.0%) 東 北 地 域 の 生 産 量 は 7,049 万 トン(9.7%) で 2000 年 ~2012 年 の 年 平 均 伸 び 率 はそれぞれ 13.8%と 12.0%である この 2 地 域 は 生 産 量 は 増 加 したが 中 国 の 粗 鋼 生 産 量 全 体 に 占 める 比 率 は 低 下 している 東 北 地 域 は 中 国 を 代 表 する 重 工 業 地 域 であるが 鞍 山 製 鉄 所 や 本 渓 製 鉄 所 などの 大 手 製 鉄 所 は 沿 海 部 から 離 れた 内 陸 部 に 位 置 しているため 生 産 能 力 拡 大 で 制 約 を 受 ける 西 南 地 域 と 西 北 地 域 の 粗 鋼 生 産 量 はそれぞれ 4,279 万 トン(5.9%)と 2,940 万 トン(4.1%)であった 105

153 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 2013 年 版 図 年 及 び 2012 年 の 地 域 別 粗 鋼 生 産 シェア 2012 年 の 粗 鋼 生 産 量 を 省 直 轄 市 自 治 区 別 に 見 ると 河 北 省 が 最 も 大 きく 1.8 億 トンであ った 江 蘇 省 の 7,420 万 トン 山 東 省 の 6,282 万 トンがこれに 続 く 北 京 市 は 首 都 製 鉄 所 の 移 転 に より 3 万 トンに 留 まった 上 海 市 の 粗 鋼 生 産 量 も 減 少 傾 向 が 続 いている ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 各 年 版 図 年 産 2,000 万 トン 以 上 の 粗 鋼 生 産 地 域 の 生 産 量 (2) 石 炭 消 費 量 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 によると 2012 年 の 製 鉄 業 の 石 炭 消 費 量 は 合 計 3.0 億 トンで 2000 年 の 1.2 億 トンより 1.8 億 トン 増 加 した 2012 年 のコークス 消 費 量 は 3.4 億 トンで 2000 年 の 8,085 万 トンの 4.2 倍 増 となった 2000 年 ~2012 年 の 石 炭 消 費 量 の 年 平 均 伸 び 率 は 7.8% コークス 消 費 量 の 年 平 均 伸 び 率 は 12.6%で 石 炭 消 費 量 とコークス 消 費 量 の 対 粗 鋼 生 産 量 に 対 する 弾 性 値 は 0.5 と 0.8 であった また 中 国 の 換 算 基 準 ( 石 炭 の 熱 量 値 5,000kcal/kg コークスの 熱 量 値 6,800kcal/kg) で 計 算 すると 2010 年 の 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 合 計 3.8 億 toe となる 106

154 表 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 とコークスの 消 費 量 消 費 ( 万 トン) 伸 び 率 (%) /00 石 炭 12,342 21,294 24,126 30, コークス 8,085 21,429 25,478 33, 消 費 ( 万 toe) 石 炭 6,171 10,647 12,063 15, コークス 5,498 14,572 17,325 22, 合 計 11,669 25,219 29,388 38, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 各 年 版 また 中 国 のコークス 生 産 の 石 炭 消 費 原 単 位 (1.3 トン/ 石 炭 トン)で 推 計 すると コークス 生 産 用 の 石 炭 消 費 量 は 4.4 億 トンで 石 炭 の 直 接 消 費 量 とコークス 生 産 用 石 炭 消 費 量 の 合 計 は 7.2 億 トンである 2012 年 の 粗 鋼 生 産 量 は 7.2 億 トンであり 単 純 計 算 すると 粗 鋼 生 産 1 トン 当 たりの 石 炭 消 費 量 は 約 1.0 トンである 製 鉄 業 は 電 力 産 業 に 次 いで 石 炭 消 費 量 が 多 い 産 業 である 鉄 鋼 産 業 の 地 域 別 の 石 炭 消 費 量 データは 公 表 されていないが 地 域 別 の 粗 鋼 生 産 量 と 銑 鉄 生 産 量 をもとに 計 算 すると 河 北 省 の 石 炭 消 費 量 が 最 も 大 きいと 推 定 される また 2012 年 の 銑 鉄 生 産 量 と 粗 鋼 生 産 量 の 比 率 は 0.96 であり スクラップからの 粗 鋼 生 産 比 率 は 小 さいと 思 われる 製 鉄 業 の 石 炭 消 費 量 は 原 料 炭 が 中 心 であるが 中 国 の 石 炭 産 業 発 展 報 告 レポートによると 2012 年 の 製 鉄 用 の 無 煙 炭 の 消 費 量 は 3,400 万 トンであった 建 材 産 業 の 石 炭 需 要 (1) 建 材 製 品 の 生 産 量 中 国 の 統 計 140 によると 2012 年 の 中 国 のセメント 生 産 量 は 22.1 億 トンであった アメリカ 国 家 地 質 局 の 2013 年 の 統 計 では 2012 年 の 世 界 のセメント 生 産 量 は 37 億 トンで 中 国 のセメント 生 産 量 が 世 界 全 体 の 58.1%を 占 めるとしている 2012 年 の 日 本 のセメント 生 産 量 は 5,200 万 トン 前 後 であり 中 国 の 生 産 量 は 日 本 の 42 倍 以 上 である 但 し 中 国 のセメントは 品 質 が 低 いため 建 築 物 の 事 故 が 頻 繁 に 発 生 している 140 中 国 のセメント 統 計 が 対 象 としているのは 一 定 規 模 以 上 の 企 業 ( 主 業 務 での 年 間 売 上 2,000 万 元 以 上 の 企 業 )であるため 零 細 企 業 の 生 産 量 は 含 まれていないと 推 定 される また レンガの 生 産 量 も 大 手 企 業 のものし か 集 計 されておらず 農 村 地 域 での 生 産 量 は 統 計 に 含 まれていないと 判 断 される 107

155 百 万 トン 2, ,000 1,500 1, ( 出 所 ) 中 国 統 計 年 鑑 とアメリカ 統 計 図 世 界 規 模 で 見 た 中 国 のセメント 生 産 量 2005 年 ~2012 年 の 中 国 のセメント 生 産 量 の 年 平 均 伸 び 率 は 10.9%で 2005 年 の 10.7 億 トンか らわずか 7 年 で 2012 年 には 22.1 億 トンに 倍 増 した 2008 年 のリーマンショック 以 降 も 毎 年 2 億 トン 以 上 増 産 したことは 特 筆 すべきである 2012 年 には 生 産 量 の 対 前 年 比 増 加 量 は 減 少 したが それでも 1 億 トン 以 上 増 加 している 中 国 建 築 連 合 会 によると 中 国 のセメント 生 産 量 は 1985 年 以 降 2013 年 まで 27 年 間 連 続 世 界 一 であるという 2013 年 の 生 産 量 は 24.1 億 トン 消 費 量 は 23 億 トンで 2014 年 の 需 要 量 は 25 億 トン 前 後 に 生 産 量 は 25.6~26.2 億 トンになると 予 測 されている セメントと 同 様 板 硝 子 の 生 産 量 も 大 幅 に 増 えており 2005 年 ~2012 年 の 年 平 均 増 加 率 は 9.3% で 2012 年 の 生 産 量 は 2005 年 比 で 3.4 億 箱 増 加 した 表 主 な 建 材 製 品 の 生 産 動 向 (2000 年 ~2012 年 ) 年 セメント 板 硝 子 万 トン 万 箱 ,700 18, ,885 40, ,191 66, ,984 75, ,440 77, ~2013 年 の 年 平 均 伸 び 率 % ( 出 所 ) 中 国 統 計 年 鑑 中 国 建 材 協 会 の 資 料 をもとに 作 成 次 に 2012 年 の 地 域 別 のセメント 生 産 量 を 見 ると 華 東 地 域 が 7.1 億 トンで セメント 生 産 量 全 体 の 32.0%を 占 めている 2005 年 ~2012 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 6.9%で 地 域 別 では 一 番 低 いが 108

156 元 々キルンの 基 数 が 大 きいため 7 年 間 で 生 産 量 は 2.6 億 トン 増 加 した 次 に 生 産 が 多 いのは 華 南 地 域 の5.9 億 トンで セメント 生 産 全 体 の 26.7%を 占 めた 2005 年 ~2012 年 の 年 平 均 増 加 率 は 13.9% で 7 年 間 で 3.5 億 トン 増 加 した 西 南 地 域 と 西 北 地 域 の 年 平 均 増 加 率 はそれぞれ 17.1%と 18.2% で 2012 年 の 生 産 量 は 2005 年 と 比 べてそれぞれ 2.3 億 トンと 1.3 億 トン 増 加 した このような 増 加 には エネルギー 多 消 費 産 業 の 内 陸 部 移 転 政 策 の 結 果 であると 考 えられる 華 北 地 域 の 生 産 量 は 2.6 億 トンで 全 体 の 11.8%を 占 めている 東 北 地 域 の 生 産 量 は 最 も 小 さい 1.3 億 トンで 全 体 の 5.8%であった ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 各 年 版 図 地 域 別 のセメント 生 産 量 の 推 移 2012 年 の 省 直 轄 市 自 治 区 別 のセメント 生 産 量 を 見 ると 江 蘇 省 が 最 も 大 きく 約 1.7 億 トン である 山 東 省 は 1.5 億 トン 強 河 南 省 は 1.5 億 トン 弱 であった 31 省 直 轄 市 自 治 区 のうち 10 省 直 轄 市 自 治 区 の 年 間 生 産 量 が 1 億 トンを 超 えている 但 し 北 京 市 のセメントン 生 産 は 2010 年 以 降 減 少 しており 環 境 汚 染 ( 特 に PM2.5) 防 止 対 策 の 影 響 と 推 測 される 最 後 に 中 国 レンガ 協 会 の 資 料 によると レンガの 生 産 量 が 大 きいのは 河 南 省 湖 北 省 四 川 省 である しかし 中 国 の 農 村 地 域 での 生 産 データは 皆 無 に 等 しい (2) 石 炭 消 費 量 建 材 製 品 の 生 産 拡 大 に 伴 い エネルギー 特 に 石 炭 消 費 量 が 年 々 拡 大 している 中 国 セメント 工 業 協 会 の 資 料 によると セメント 生 産 用 の 石 炭 消 費 量 は 窯 業 全 体 の 72% 以 上 を 占 めている 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 によると 2012 年 の 窯 業 の 石 炭 消 費 量 は 2.5 億 トンである 仮 に 窯 業 の 石 炭 消 費 量 が 全 てセメント 生 産 で 消 費 されたと 仮 定 すると セメント 生 産 量 の 大 幅 増 加 に 対 して 石 炭 消 費 量 は 横 ばいであり 説 明 が 必 要 となる 可 能 性 として 考 えられるのは セメント 生 産 の 石 炭 消 費 原 単 位 がかなり 改 善 されたということである これらのデータを 基 に 計 算 すると セメ ント 生 産 量 1 トン 当 たりの 石 炭 消 費 量 は 0.11 トンになる 109

157 セメント( 万 トン) 250, , , 石 炭 消 費 原 単 位 石 炭 /セメント , ,000 0 セメント 生 産 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 図 セメント 生 産 量 と 窯 業 の 石 炭 消 費 原 単 位 なお 年 の 中 国 石 炭 市 場 発 展 レポート ( 中 国 石 炭 市 場 網 )によると 2012 年 の 建 材 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 7.1 億 トンで 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 より 約 4.6 億 トン 大 きい 石 炭 消 費 量 は 全 てセメント 産 業 で 消 費 されたものと 仮 定 すると 石 炭 消 費 量 とセメント 生 産 量 の 動 向 はほ ぼ 同 じ 傾 向 を 示 している この 場 合 セメント 生 産 の 石 炭 消 費 原 単 位 は 0.28 トン 以 上 になると 推 定 される 一 方 中 国 建 材 協 会 の 推 定 (セメント 生 産 における 石 炭 消 費 量 は 建 材 産 業 全 体 の 72% を 占 める)に 基 づけば セメント 生 産 における 石 炭 消 費 原 単 位 は 0.2 となる 中 国 の 建 材 部 門 の 地 域 別 の 石 炭 消 費 統 計 は 無 いため セメント 板 硝 子 レンガの 生 産 分 布 状 況 から 判 断 すると 華 東 地 域 の 建 材 産 業 の 石 炭 消 費 量 が 他 地 域 より 大 きく 東 北 地 域 の 建 材 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 相 対 的 に 小 さいと 推 測 される セメント( 万 トン) 250, ,000 石 炭 消 費 41,496 42, ,000 49,278 55,343 59,316 石 炭 ( 万 トン) 62,779 70,000 60,000 50,000 40, ,000 30,000 50,000 0 セメント 生 産 ,000 10,000 0 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 建 材 協 会 の 資 料 より 作 成 図 セメント 生 産 量 と 石 炭 消 費 量 の 推 移 110

158 3.3.4 石 炭 化 学 産 業 の 石 炭 需 要 中 国 の 石 炭 化 学 産 業 は 従 来 型 のアンモニア( 肥 料 ) 生 産 と 新 型 の 石 炭 液 化 (CTL) 石 炭 ガス 化 (SNG) 石 炭 由 来 のオレフィン 製 造 (CTO)に 大 別 される (1) アンモニアの 生 産 量 2012 年 のアンモニア 生 産 量 は 6,832 万 トンで 2000 年 の 3,163 万 トンの 2 倍 以 上 になった 地 域 別 生 産 量 では 中 南 地 域 が 1,839 万 トン 華 東 地 域 が 1,753 万 トンと 大 きい 省 直 轄 市 自 治 区 別 では 湖 北 省 の 生 産 量 が 最 も 大 きく 1,048 万 トンで 中 南 地 域 全 体 の 57% 以 上 を 占 めている 表 地 域 別 のアンモニア 生 産 量 地 域 生 産 ( 万 トン) 増 加 率 (%) /00 12/05 12/00 華 北 東 北 華 東 952 1,327 1, 中 南 735 1,277 1, 西 南 617 1,190 1, 西 北 合 計 3,163 5,178 6, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 (2) 石 炭 液 化 石 炭 ガス 化 の 生 産 量 2012 年 時 点 の 石 炭 液 化 (CTL)の 生 産 能 力 は 155 万 トン/ 年 である 同 年 には 中 国 の 石 炭 最 大 手 である 神 華 集 団 の 500 万 トン/ 年 CTL プロジェクトが 国 務 院 の 認 可 を 受 けた 141 CTL プロジェ クトは 中 国 を 代 表 する 産 炭 地 である 内 モンゴル オルドスと 山 西 省 で 主 に 実 施 されている ま た 陜 西 省 では 重 油 と 石 炭 を 混 合 し 石 油 製 品 を 生 産 する 計 画 もある 石 炭 由 来 代 替 天 然 ガス(SNG)プロジェクトに 関 しては 2012 年 1 月 新 疆 イリ 炭 田 で 生 産 された 石 炭 由 来 代 替 天 然 ガスが 天 然 ガスパイプラインを 通 じて 中 国 沿 海 地 域 へ 初 輸 送 された イリ 炭 田 の SNG プロジェクトの 年 間 生 産 能 力 は 55 億 m 3 である 142 また 大 唐 電 力 が 投 資 した 年 間 40 億 m 3 の 内 モンゴルの SNG プロジェクトでは 2014 年 1 月 に 北 京 へのガス 供 給 が 始 まった 同 プロジェクトは 内 モンゴルの 低 品 位 炭 を 利 用 している 143 (3) 石 炭 消 費 量 従 来 型 の 石 炭 化 学 産 業 では 石 炭 は 原 料 と 燃 料 の 2 つの 用 途 で 消 費 されてきた 合 成 アンモニ アの 生 産 では 無 煙 炭 をガス 化 し 原 料 として 消 費 する 工 場 の 熱 供 給 用 として 消 費 される 石 炭 141 CNPC 2012 年 国 内 外 油 ガス 産 業 発 展 レポート

159 は 一 般 炭 である 中 国 ではアンモニアの 7 割 は 石 炭 から 生 産 されている 合 成 アンモニア 生 産 用 の 石 炭 消 費 量 は 石 炭 化 学 産 業 全 体 の 60%を 占 めている 中 国 政 府 は 食 糧 供 給 を 確 保 するために 農 業 生 産 を 重 視 しており 食 糧 に 対 する 価 格 保 護 制 度 を 実 施 していることもあり 肥 料 の 需 要 は 年 々 増 加 している 2012 年 の 石 炭 化 学 産 業 におけるアンモニアの 石 炭 消 費 量 は 2 億 トン 前 後 で うち 一 般 炭 の 消 費 量 は 1.1 億 トン 原 料 炭 は 1 億 トンであると 推 測 される 万 トン 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 一 般 炭 原 料 炭 アンモニア 万 トン 7,000 6,800 6,600 6,400 6,200 6,000 5,800 5,600 5,400 5,200 ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 中 国 工 業 生 産 統 計 中 国 石 炭 工 業 協 会 中 国 一 般 炭 市 場 研 究 報 告 図 中 国 のアンモニア 生 産 量 と 石 炭 消 費 量 の 推 移 また 2012 年 の CTL プロジェクトにおける 石 炭 消 費 量 は 378 万 トンである SNG プロジェク トの 単 独 統 計 は 無 いが 都 市 ガスと 合 わせた 石 炭 消 費 量 は 約 800 万 トンとされている 両 者 を 合 計 すると 1,100 万 トン 前 後 になる その 他 の 業 種 の 石 炭 消 費 中 国 のエネルギーバランス 表 によると 2012 年 に 製 紙 産 業 ( 紙 パルプ)の 石 炭 消 費 量 は 4,583 万 トン 食 料 品 加 工 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 3,787 万 トン 紡 績 繊 維 産 業 の 石 炭 消 費 量 は 2,374 万 ト ンである これら 3 業 種 の 石 炭 消 費 量 は 製 造 業 の 石 炭 消 費 量 全 体 の 11.2%を 占 め 石 炭 最 終 消 費 全 体 の 8.3%を 占 める 112

160 第 4 章 中 国 の 石 炭 の 生 産 開 発 輸 出 入 及 び 企 業 経 営 の 動 向 本 章 では 主 に 石 炭 の 供 給 面 に 焦 点 を 当 て その 生 産 開 発 輸 出 入 さらに 関 連 する 企 業 経 営 などの 動 向 につき 取 りまとめを 行 う なお 石 炭 の 地 域 別 需 給 バランスについては 第 7 章 を 参 照 されたい 4.1 中 国 炭 の 供 給 動 向 石 炭 は 中 国 の 一 次 エネルギー 生 産 総 量 の 7 割 近 くを 占 める 重 要 資 源 であるが 近 年 の 経 済 成 長 に 伴 い 石 炭 消 費 が 急 増 したため 深 刻 な 環 境 問 題 を 引 き 起 こした このため 中 国 政 府 は 国 内 の 石 炭 消 費 と 石 炭 開 発 を 抑 制 する 方 針 を 打 ち 出 し 一 方 で 石 炭 の 供 給 確 保 に 向 けた 様 々な 対 策 を 講 じている 本 節 ではまず 中 国 炭 の 基 本 状 況 を 把 握 した 上 で 生 産 量 抑 制 方 針 や 関 連 する 最 新 動 向 についてまとめる 生 産 量 の 推 移 中 国 の 石 炭 生 産 量 は 2013 年 も 増 加 したが 伸 び 率 は 低 下 した 中 国 国 家 統 計 局 が 2014 年 2 月 24 日 に 公 表 した 2013 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 144 によると 生 産 量 は 36.8 億 トンで 2012 年 比 で 3,500 万 トン 増 となったが 対 前 年 比 伸 び 率 は 2005 年 以 降 で 最 低 の 1.0%であった また 2013 年 の BP 統 計 によると 中 国 は 依 然 として 世 界 最 大 の 石 炭 生 産 国 で 2012 年 の 生 産 量 は 世 界 の 総 生 産 量 の 47.5%を 占 めている 145 億 トン % 生 産 量 ( 左 軸 ) 伸 び 率 ( 右 軸 ) 0.0 ( 出 所 ) 中 国 統 計 年 鑑 (2013 年 版 ) 及 び 中 国 国 家 統 計 局 の 統 計 公 報 より 作 成 図 中 国 における 石 炭 生 産 量 と 伸 び 率 の 推 移 2013 年 に 伸 び 率 が 鈍 化 した 背 景 には 経 済 成 長 の 減 速 による 石 炭 需 要 の 低 迷 輸 入 炭 の 増 加 炭 鉱 の 生 産 量 抑 制 146 などがある 144 中 国 国 家 統 計 局 ウェブサイト( 145 BP Statistical Review of World Energy 中 国 政 府 は 2012 年 8 月 に 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 関 する 2012 年 度 実 施 案 2013 年 4 月 113

161 2013 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 によると 2013 年 の 中 国 のエネルギー 生 産 総 量 は 標 準 炭 換 算 147 で 34.0 億 トンに 達 し 前 年 比 2.4% 増 加 した 2013 年 のエネルギー 源 別 生 産 量 は 石 炭 36.8 億 トン 原 油 2.09 億 トン 天 然 ガス 1,170.5 億 m 3 非 化 石 エネルギーによる 発 電 量 1.2 兆 kwh 148 であった 一 方 一 次 エネルギー 生 産 総 量 に 占 める 比 率 で 見 ると 石 炭 は 2000 年 ~2013 年 まで 7 割 以 上 で 推 移 しており 石 炭 を 中 心 とする 中 国 のエネルギー 生 産 構 造 が 依 然 として 続 いている 石 炭 生 産 量 が 増 加 し 続 けている 現 状 を 考 えると 石 炭 中 心 のエネルギー 生 産 構 造 を 改 善 するには 相 当 の 時 間 を 要 すると 思 われる 表 一 次 エネルギー 生 産 総 量 に 占 めるエネルギー 源 別 シェアの 推 移 年 生 産 構 成 比 率 (%) 万 toe 原 炭 原 油 天 然 ガス 水 力 原 子 力 , , , , , , , , , , , , , , ( 注 )2000 年 ~2012 年 のデータは 中 国 統 計 年 鑑 2013 年 版 2013 年 のデータは 中 国 国 家 統 計 局 の 統 計 公 報 をもとに 作 成 ( 出 所 ) 中 国 統 計 年 鑑 2013 年 版 及 び 中 国 国 家 統 計 局 の 統 計 公 報 より 作 成 石 炭 中 心 のエネルギー 生 産 構 造 は 豊 富 な 石 炭 資 源 に 支 えられたものである 国 土 資 源 部 が 2014 年 1 月 に 公 表 した 全 国 石 炭 資 源 潜 在 力 評 価 によると 中 国 の 石 炭 資 源 総 量 は 5.9 兆 トンとで ある 149 また BP 統 計 では 中 国 の 確 認 埋 蔵 量 1,145 億 トンは 世 界 の 総 埋 蔵 量 の 13.3%を 占 め 世 界 第 3 位 である( 表 4.1.2) に 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 関 する 2013 年 度 実 施 案 を 下 達 し 生 産 目 標 値 を 修 正 した 147 7,000kcal/kg で 換 算 年 国 民 経 済 社 会 発 展 統 計 公 報 では 非 化 石 エネルギーによる 発 電 量 は 公 表 されていない 149 中 国 国 家 能 源 局 ウェブサイト( 114

162 表 世 界 の 石 炭 確 認 埋 蔵 量 上 位 8 ヵ 国 国 確 認 埋 蔵 量 ( 百 万 トン) シェア(%) 米 国 237, ロシア 157, 中 国 114, 豪 州 76, インド 60, ドイツ 40, ウクライナ 33, カザフスタン 33, その 他 の 国 106, 合 計 860, ( 出 所 ) BP Statistical Review of World Energy 生 産 量 抑 制 方 針 と 関 連 最 新 動 向 中 国 では 石 炭 の 生 産 拡 大 に 伴 い 環 境 問 題 が 深 刻 化 したため 中 国 政 府 は 無 秩 序 な 石 炭 開 発 を 抑 制 する 方 針 を 打 ち 出 した 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 2015 年 の 生 産 能 力 を 41 億 トン/ 年 と 定 めており このうち 大 型 炭 鉱 150 の 生 産 能 力 は 26 億 トン/ 年 ( 総 生 産 能 力 の 63% 以 下 同 じ)とされている 生 産 能 力 が 30 万 トン/ 年 以 上 の 中 小 規 模 炭 鉱 は 9 億 トン/ 年 (22%)に 生 産 能 力 が 30 万 トン/ 年 未 満 の 小 規 模 炭 鉱 は 6 億 トン/ 年 (15%)に 抑 え 2015 年 の 石 炭 生 産 量 を 39 億 トンに 抑 制 する 目 標 である 中 国 政 府 は 生 産 量 抑 制 方 針 を 徹 底 し 増 産 ペースを 鈍 化 させる 考 えである 2005 年 ~2010 年 の 5 年 間 で 生 産 量 は 8.9 億 トン 増 加 したが 2010 年 ~2015 年 の 5 年 間 では 6.6 億 トン 増 加 を 目 標 値 としている また 2010 年 ~2015 年 の 伸 び 率 は 3.8%に 設 定 されており 2005 年 ~2010 年 の 6.6% より 大 幅 に 削 減 する 計 画 である( 表 4.1.3) 表 年 及 び 2010 年 の 生 産 実 績 と 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 目 標 値 2005 年 ( 実 績 ) 2010 年 ( 実 績 ) 2015 年 ( 計 画 ) 石 炭 生 産 量 ( 億 トン) 過 去 5 年 間 の 生 産 増 加 量 ( 億 トン) 過 去 5 年 間 の 年 平 均 伸 び 率 (%) ( 出 所 )2005 年 と 2010 年 のデータは 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 年 版 2015 年 のデータは 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 をもとに 作 成 石 炭 生 産 量 の 抑 制 策 として これまで 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 151 などが 実 施 されてきた 2013 年 大 型 炭 鉱 は 120 万 トン/ 年 以 上 中 型 炭 鉱 は 45 万 トン/ 年 ~120 万 トン 未 満 小 型 炭 鉱 は 年 産 45 万 トン 未 満 の 炭 鉱 煤 炭 網 ( 151 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 については 本 節 4.4 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 状 況 で 詳 述 する 115

163 月 国 家 能 源 局 は 石 炭 生 産 能 力 登 録 公 表 制 度 の 導 入 に 関 する 通 知 を 下 達 し 炭 鉱 生 産 能 力 の 登 録 制 度 を 新 たにスタートさせた 152 生 産 能 力 を 始 めとする 炭 鉱 関 連 の 各 種 データを 登 録 し 炭 鉱 の 生 産 量 が 生 産 能 力 を 超 えた 場 合 開 発 を 禁 止 するシステムである また 国 家 能 源 局 は 2014 年 2 月 制 度 を 徹 底 するため 石 炭 生 産 能 力 の 登 録 公 表 制 度 の 速 やかな 実 施 に 関 する 通 知 を 下 達 し 各 種 データの 提 出 期 限 を 2014 年 4 月 末 と 定 めた 153 国 家 能 源 局 はこの 他 2014 年 1 月 24 日 エネルギー 分 野 における 2014 年 の 政 策 目 標 や 行 動 指 針 を 示 した 2014 年 のエネルギー 産 業 に 対 する 指 導 意 見 に 関 する 通 知 を 下 達 した 154 同 通 知 で は エネルギー 生 産 力 の 強 化 方 針 が 示 されているが 石 炭 生 産 量 抑 制 目 標 は 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 目 標 値 (39 億 トン)のままである 2014 年 のエネルギー 生 産 総 量 は 標 準 石 炭 換 算 で 35.4 億 ト ンに 達 し 引 き 続 き 増 加 すると 見 込 まれている うち 石 炭 生 産 量 は 38 億 トン 原 油 生 産 量 は 2.08 億 トン 非 在 来 型 を 含 む 天 然 ガス 生 産 量 は 1,310 億 m 3 非 化 石 燃 料 による 発 電 量 は 1.3 兆 kwh とされている また 石 炭 消 費 量 は 38 億 トン(1.6% 増 )に 達 すると 見 込 まれている 中 国 石 炭 工 業 協 会 では 2014 年 には 石 炭 需 要 が 若 干 鈍 化 し 生 産 能 力 は 40 億 トン/ 年 になると 見 ている また 石 炭 輸 入 量 は 3 億 トン 以 上 に 達 する 可 能 性 が 高 く 供 給 過 剰 状 態 が 続 くと 予 測 している 155 近 年 の 中 国 の 経 済 動 向 に 照 らすと 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 提 出 した 石 炭 生 産 量 抑 制 目 標 の 達 成 は 可 能 であると 推 測 される 2013 年 の 中 国 の 実 質 GDP の 伸 び 率 は 7.7% 156 で 2012 年 からは 横 ばいであったが 2011 年 の 9.3%からは 低 下 した 仮 に 2014 年 の 実 質 GDP の 伸 び 率 が 7.7%を 維 持 しても 石 炭 需 要 は 大 きくは 伸 びないと 考 えられる 157 その 理 由 として 中 国 石 炭 産 業 の 供 給 過 剰 状 態 が 挙 げられる また 供 給 過 剰 に 加 えて 安 価 な 輸 入 炭 が 急 増 しているため 中 国 の 石 炭 生 産 量 が 大 幅 に 増 加 すれば 供 給 過 剰 に 拍 車 がかかり 石 炭 企 業 の 経 営 はさらに 厳 し くなると 予 測 される このため 石 炭 生 産 量 の 伸 びは 短 期 的 には 鈍 化 すると 思 われる 国 家 能 源 局 ウェブサイト( 脚 注 9 と 同 じ 脚 注 9 と 同 じ 華 南 石 炭 取 引 センターの 情 報 ( 中 国 国 家 統 計 局 が 2014 年 2 月 24 日 に 発 表 した 2013 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 経 済 参 考 ( 116

164 % GDP 実 質 伸 び 率 石 炭 生 産 伸 び 率 ( 出 所 ) 中 国 能 源 統 計 年 鑑 2013 年 版 及 び 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 各 年 版 より 作 成 図 中 国 の 実 質 GDP の 伸 び 率 と 石 炭 生 産 量 の 推 移 117

165 4.2 地 域 別 の 石 炭 生 産 状 況 地 域 別 炭 種 別 の 石 炭 資 源 量 158 (1) 地 域 別 の 石 炭 埋 蔵 量 中 国 の 石 炭 資 源 は 豊 富 であるが 地 域 分 布 は 不 均 衡 である 石 炭 埋 蔵 量 の 地 域 分 布 を 見 ると 華 北 地 区 が 全 国 埋 蔵 量 の 46.8%を 占 める また 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 埋 蔵 量 では 内 モンゴル 自 治 区 が 最 も 多 く 全 国 の 26.3%を 占 める 以 下 山 西 省 19.3% 新 疆 ウイグル 自 治 区 19.0% 陝 西 省 14.3%と 続 き 上 位 4 省 自 治 区 の 石 炭 埋 蔵 量 は 全 国 埋 蔵 量 の 約 8 割 を 占 める( 表 4.2.1) 表 年 末 時 点 の 地 域 別 石 炭 埋 蔵 量 ( 単 位 : 億 トン) 地 域 名 省 市 自 治 区 名 一 般 炭 原 料 炭 無 煙 炭 褐 炭 資 源 保 有 総 量 比 率 (%) 北 京 市 天 津 市 華 北 地 域 河 北 省 山 西 省 , , 内 モンゴル 自 治 区 1, , , 小 計 2, , , , 遼 寧 省 東 北 地 域 吉 林 省 黒 龍 江 省 小 計 江 蘇 省 浙 江 省 安 徽 省 華 東 地 域 福 建 省 江 西 省 山 東 省 小 計 河 南 省 湖 北 省 湖 南 省 中 南 地 域 広 東 省 広 西 チワン 族 自 治 区 海 南 省 小 計 重 慶 市 四 川 省 西 南 地 域 貴 州 省 雲 南 省 チベット 自 治 区 小 計 陝 西 省 1, , 甘 粛 省 西 北 地 域 青 海 省 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区 1, , 小 計 4, , その 他 全 国 6, , , , , ( 出 所 ) 国 家 安 全 生 産 監 督 管 理 総 局 158 中 国 基 準 の 基 礎 埋 蔵 量 (おおむね 確 認 埋 蔵 量 と 推 定 埋 蔵 量 を 足 したものに 相 当 ) 118

166 (2) 炭 種 別 の 石 炭 埋 蔵 量 炭 種 別 では 一 般 炭 の 埋 蔵 量 が 半 分 を 占 めており うち 9 割 以 上 が 西 北 地 区 と 華 北 地 区 に 集 中 している 省 直 轄 市 自 治 区 別 では 新 疆 ウイグル 自 治 区 が 28.5% 陝 西 省 が 26.6% 内 モンゴ ル 自 治 区 が 22.8% 山 西 省 が 10.4%と 多 く いずれも 経 済 発 展 レベルが 相 対 的 に 低 い 地 域 である 一 方 経 済 発 展 レベルの 高 い 華 東 地 区 や 中 南 地 区 はそれぞれ 1.5% 1.3%である また 中 国 の 埋 蔵 量 の 17.1%を 占 める 褐 炭 は 主 に 内 モンゴル 自 治 区 に 賦 存 しており 全 国 の 8 割 以 上 を 保 有 し ている 原 料 炭 は 埋 蔵 量 全 体 の 22.8%を 占 め 全 国 の 48.7%を 有 する 山 西 省 が 最 も 多 い 次 いで 新 疆 ウ イグル 自 治 区 が 13.5% 安 徽 省 が 6.5% 山 東 省 が 5.8%で この 4 地 域 で 全 国 の 原 料 炭 の 74.6%を 保 有 している 山 西 省 と 新 疆 ウイグル 自 治 区 は 中 国 の 中 西 部 に 位 置 し 採 掘 した 原 料 炭 を 東 南 部 に 移 送 するには 鉄 道 輸 送 が 必 要 となる 無 煙 炭 は 埋 蔵 量 全 体 の 8.4%と 少 ない 山 西 省 と 貴 州 省 にその 多 くが 分 布 しており この 2 省 が 全 国 埋 蔵 量 のそれぞれ 33.5% 33.6%を 占 めている 地 域 別 の 生 産 量 地 域 別 の 生 産 量 では 華 北 地 区 が 最 も 多 く 2012 年 には 全 国 総 生 産 量 の 50.0%を 占 めた 次 い で 西 北 地 区 18.8% 西 南 地 区 10.0% 華 東 地 区 9.6% 中 南 地 区 6.4% 東 北 地 区 5.3%である 一 方 省 直 轄 市 自 治 区 別 では 内 モンゴル 自 治 区 が 最 も 多 い 25.0%で 山 西 省 22.0% 陝 西 省 11.2%と 続 く 2012 年 の 生 産 量 トップ 3 は 内 モンゴル 自 治 区 10.4 億 トン 山 西 省 9.1 億 トン 陝 西 省 4.7 億 ト ンで 3 省 自 治 区 の 生 産 量 を 合 計 すると 全 国 総 生 産 量 の 58.2%に 達 した この 3 地 域 は 今 後 も 中 国 の 主 要 石 炭 供 給 地 域 であり 続 けるであろう 一 方 地 域 別 の 石 炭 生 産 量 の 伸 び 率 (2005 年 ~2012 年 )を 見 ると 西 北 地 域 が 17.1%と 最 も 高 く 全 国 平 均 の 9.5%の 倍 近 い 次 いで 華 北 地 域 も 12.6%と 全 国 平 均 を 上 回 っている 省 直 轄 市 自 治 区 別 では 青 海 省 23.5% 内 モンゴル 自 治 区 22.2% 新 疆 ウイグル 自 治 区 21.8% 寧 夏 回 族 自 治 区 18.6 陝 西 省 17.4%の 順 に 伸 び 率 が 高 い 青 海 省 新 疆 ウイグル 自 治 区 寧 夏 回 族 自 治 区 は 山 西 省 陝 西 省 内 モンゴル 自 治 区 よりさらに 西 に 位 置 する 今 後 石 炭 生 産 地 域 は 更 に 西 へ 広 がると 見 られており 輸 送 インフラ 整 備 が 重 要 課 題 になるであろう 119

167 表 中 国 の 地 域 別 石 炭 生 産 量 の 推 移 地 域 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 ( 単 位 : 万 トン) ( 注 ) 各 省 の 石 炭 生 産 量 を 合 計 した 値 は 全 国 総 生 産 量 より 大 きくなる これは 中 国 統 計 の 問 題 点 として 指 摘 さ れており データの 集 計 方 法 に 問 題 があると 思 われる ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 各 版 より 作 成 伸 び 率 (%) (05~12 年 ) 比 率 (%) (2012 年 ) 華 北 地 域 90,571 96, , , , , , , 北 京 市 天 津 市 河 北 省 8,639 8,365 8,663 8,145 8,495 10,199 10,585 11, 山 西 省 55,426 58,142 63,021 64,501 59,354 74,096 87,228 91, 内 モンゴル 自 治 区 25,608 29,760 35,438 50,223 60,058 78,665 97, , 東 北 地 域 18,613 20,654 19,768 20,235 19,774 22,471 22,335 22, 遼 寧 省 6,395 7,367 6,349 6,495 6,624 7,525 7,121 6, 吉 林 省 2,715 3,004 3,354 3,980 4,401 5,239 5,393 6, 黒 龍 江 省 9,503 10,282 10,065 9,760 8,749 9,707 9,820 9, 華 東 地 域 29,768 30,183 31,324 33,488 35,086 36,543 38,166 39, 上 海 市 江 蘇 省 2,818 3,048 2,480 2,430 2,397 2,091 2,100 2, 浙 江 省 安 徽 省 8,488 8,332 9,266 11,649 12,849 13,346 14,080 15, 福 建 省 1,824 1,933 2,050 2,350 2,466 2,525 2,620 2, 江 西 省 2,565 2,783 2,997 3,303 2,982 2,912 3,237 2, 山 東 省 14,030 14,069 14,518 13,743 14,378 15,654 16,114 17, 中 南 地 域 26,591 27,278 27,310 28,994 31,169 32,336 31,108 26, 河 南 省 18,761 19,532 19,287 21,306 23,018 22,384 20,957 15, 湖 北 省 1,010 1,116 1,084 1,073 1,058 1, 湖 南 省 5,735 5,949 6,217 6,154 6,573 7,903 8,414 9, 広 東 省 広 西 チワン 族 自 治 区 海 南 省 西 南 地 域 29,005 31,746 32,471 33,511 32,550 39,540 39,300 41, 重 慶 市 3,619 3,990 4,294 4,667 4,291 4,575 4,364 3, 四 川 省 8,125 8,600 9,558 9,495 8,997 9,248 9,377 9, 貴 州 省 10,796 11,817 10,864 11,320 13,691 15,954 15,601 18, 雲 南 省 6,462 7,339 7,755 8,030 5,571 9,763 9,957 10, チベット 自 治 区 西 北 地 域 25,925 30,497 33,954 40,540 47,926 59,602 68,127 78, 陝 西 省 15,246 18,262 20,354 24,163 29,611 36,164 41,135 46, 甘 粛 省 3,620 3,951 3,949 4,022 3,876 4,688 4,701 4, 青 海 省 ,294 1,284 2,016 2,176 2, 寧 夏 回 族 自 治 区 2,608 3,273 3,772 4,325 5,510 6,808 8,124 8, 新 疆 ウイグル 自 治 区 3,856 4,317 4,916 6,736 7,646 9,927 11,992 15, 全 国 合 計 220, , , , , , , , 年 の 省 別 の 生 産 状 況 では 生 産 量 が 1 億 トンを 超 えた 省 自 治 区 は 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 陝 西 省 貴 州 省 河 南 省 山 東 省 安 徽 省 雲 南 省 の 9 省 自 治 区 で 全 国 総 生 産 量 の 83%を 占 めた 生 産 量 が 5 千 万 トンを 超 えた 省 自 治 区 は 河 北 省 寧 夏 回 族 自 治 区 黒 龍 江 省 湖 南 省 吉 林 省 の 5 省 自 治 区 で 全 国 総 生 産 量 の 10%を 占 めた 159 内 モンゴル 自 治 区 の 生 産 量 は 9.94 億 トンに 達 し 全 国 の 総 生 産 量 (36.8 億 トン)の 27.0%を 占 めた 山 西 省 と 陝 西 省 の 生 産 量 は 9.6 億 トンと 4.93 億 トンで 全 国 総 生 産 量 に 占 める 割 合 はそれぞれ 26.1%と 13.4%であった 159 中 国 電 力 網 ( 120

168 2013 年 の 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 生 産 量 トップ 3 は 内 モンゴル 自 治 区 ( 特 に 内 モンゴル 自 治 区 西 部 ) 山 西 省 陝 西 省 だが 近 年 は 石 炭 生 産 拠 点 が 三 西 地 区 ( 山 西 省 陝 西 省 内 モンゴル 自 治 区 西 部 )からさらに 西 北 ( 特 に 新 疆 ウイグル 自 治 区 )へ 移 行 している 121

169 4.3 新 規 炭 鉱 の 開 発 計 画 と 動 向 石 炭 を 始 めとする 中 国 のエネルギー 政 策 は 主 に 5 ヵ 年 計 画 で 基 本 方 針 や 目 標 が 設 定 される 中 国 政 府 は 目 標 達 成 に 向 けて 更 に 意 見 や 通 達 を 下 達 し 実 施 を 徹 底 する 本 節 では 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 示 された 炭 鉱 開 発 計 画 石 炭 開 発 に 関 する 意 見 や 通 達 を 把 握 した 上 で 最 新 の 開 発 動 向 について 考 察 する 地 域 別 の 開 発 計 画 と 最 新 動 向 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 炭 鉱 開 発 方 針 として 東 部 を 抑 制 し 中 部 を 安 定 させ 西 部 を 発 展 させる 160 方 針 を 打 ち 出 している 東 部 地 域 は 石 炭 採 掘 の 歴 史 が 長 く 資 源 枯 渇 問 題 も 表 面 化 しているため 今 後 は 開 発 速 度 を 緩 め 現 有 の 供 給 能 力 を 維 持 する 中 部 地 域 は 東 部 地 域 に 比 べて 石 炭 資 源 が 豊 富 にあるため 開 発 速 度 を 落 とし 安 定 した 供 給 を 確 保 する 西 部 地 域 は 石 炭 資 源 量 が 豊 富 で 開 発 の 潜 在 力 も 大 きいと 考 えられるため 今 後 は 供 給 能 力 を 引 き 上 げ 供 給 量 を 拡 大 する 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 (2011 年 ~2015 年 )に 新 規 開 発 する 炭 鉱 規 模 は 7.4 億 トン/ 年 で うち 3.9 億 トン/ 年 が 建 設 済 みで 残 り 3.5 億 トン/ 年 は 第 13 次 5 ヵ 年 計 画 期 (2016~2020 年 )にかけて 引 き 継 がれる( 表 4.3.1) これらの 開 発 計 画 では 全 国 の 総 開 発 量 の 6 割 以 上 が 西 部 地 域 に 集 中 し ており 石 炭 開 発 の 重 点 地 域 となっている 表 石 炭 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 炭 鉱 建 設 計 画 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 からの 継 続 開 発 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 での 新 規 開 発 地 域 東 部 中 部 西 部 東 部 中 部 西 部 規 模 ( 億 トン/ 年 ) 割 合 (%) 総 規 模 ( 億 トン/ 年 ) ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 より 作 成 石 炭 資 源 探 査 に 関 する 計 画 は 以 下 の 通 りである 東 北 を 含 む 東 部 地 域 では 遼 寧 省 吉 林 省 黒 竜 江 省 河 北 省 山 東 省 福 建 省 などの 深 堀 鉱 区 やその 周 辺 地 域 を 重 点 的 に 探 査 し 探 査 の 深 度 を 1,200m 以 内 に 制 限 する 中 部 地 域 では 山 西 省 と 河 南 省 で 重 点 的 に 追 加 探 査 を 実 施 し 安 徽 省 では 1,200m 以 内 に 制 限 をかけて 実 施 する 西 部 地 域 では 神 東 陝 北 黄 隴 寧 東 雲 貴 の 大 型 石 炭 基 地 で 重 点 探 査 を 行 う 内 モンゴル 自 治 区 東 部 の 褐 炭 資 源 賦 存 地 域 や 新 疆 ウイグル 族 自 治 区 の 大 型 石 炭 基 地 で 重 点 炭 鉱 探 査 開 発 を 実 施 する 華 北 地 域 と 西 北 地 域 に 生 産 の 重 点 を 置 く 華 北 地 域 には 石 炭 資 源 の 豊 富 な 山 西 省 と 内 モンゴル 自 治 区 があり 全 国 総 計 画 の 49.2%を 占 める 約 19.2 億 トンの 生 産 量 が 計 画 されている 2015 年 の 生 産 目 標 は 西 北 地 域 で 7.7 億 トン( 全 国 の 19.7%)とし その 他 の 地 域 では 減 産 が 指 示 されてい 160 東 部 中 部 西 部 がカバーする 地 域 に 関 しては 脚 注 23~25 を 参 照 122

170 る 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 生 産 計 画 を 見 ると 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 甘 粛 省 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区 安 徽 省 貴 州 省 雲 南 省 で 増 産 が 計 画 されている その 他 の 省 直 轄 市 自 治 区 は 減 産 方 針 が 打 ち 出 されている( 表 4.3.2) 表 地 域 別 の 石 炭 生 産 計 画 ( 単 位 : 万 トン) 地 域 名 省 直 轄 市 自 治 区 実 績 (2010 年 ) 計 画 (2015 年 ) 割 合 (%) 北 京 市 河 北 省 10,199 8, 華 北 地 域 山 西 省 74,096 90, 内 モンゴル 自 治 区 78,665 93, 小 計 163, , 遼 寧 省 7,525 5, 東 北 地 域 吉 林 省 5,239 4, 黒 龍 江 省 9,707 9, 小 計 22,471 19, 江 蘇 省 2,091 2, 安 徽 省 13,346 14, 華 東 地 域 福 建 省 2,525 2, 江 西 省 2,912 2, 山 東 省 15,654 14, 小 計 36,528 35, 河 南 省 22,384 21, 湖 北 省 1,292 1, 中 南 地 域 湖 南 省 7,903 5, 広 西 省 チワン 族 自 治 区 小 計 32,336 28, 重 慶 市 4,575 4, 四 川 省 9,248 8, 西 南 地 域 貴 州 省 15,954 16, 雲 南 省 9,763 9, 小 計 39,540 38, 陝 西 省 36,164 45, 甘 粛 省 4,688 6, 西 北 地 域 青 海 省 2,016 1, 寧 夏 回 族 自 治 区 6,808 8, 新 疆 ウイグル 自 治 区 9,927 16, 小 計 59,602 77, 全 国 合 計 353, , ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 及 び 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 年 版 より 作 成 最 新 の 開 発 計 画 としては 国 家 能 源 局 が 2014 年 1 月 24 日 に 下 達 した 2014 年 のエネルギー 産 業 に 対 する 指 導 意 見 に 関 する 通 知 がある クリーン コールを 使 用 した 発 電 基 地 の 建 設 を 急 ぐ 方 針 新 疆 ウイグル 自 治 区 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 寧 夏 回 族 自 治 区 などの 石 炭 資 源 の 豊 富 な 地 域 で 省 エネ 環 境 保 護 基 準 に 沿 った 大 型 石 炭 火 力 発 電 所 を 建 設 する 計 画 が 打 ち 出 されている 123

171 また オルドス 錫 盟 晋 北 晋 中 晋 東 陝 北 寧 東 哈 密 準 東 の 9 地 区 で 発 電 用 石 炭 生 産 基 地 の 建 設 を 推 進 する 計 画 も 示 されている 表 は 近 年 の 新 規 炭 鉱 の 開 発 状 況 についてまとめたものである この 一 覧 表 については 以 下 3 点 に 留 意 されたい (1) 主 要 産 炭 地 ( 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 陝 西 省 )では 新 規 炭 鉱 の 開 発 が 推 進 されている 特 に 近 年 は 内 モンゴル 自 治 区 の 新 規 炭 鉱 建 設 に 重 点 が 置 かれている 同 自 治 区 では 2013 に 7 炭 鉱 の 建 設 が 認 可 されており 161 新 規 生 産 能 力 は 4,220 万 トンになる 石 炭 資 源 保 有 量 や 新 規 炭 鉱 開 発 状 況 を 考 慮 すると 生 産 量 全 国 トップの 地 位 は 今 後 も 変 わらないと 思 われる (2) 新 疆 ウイグル 自 治 区 でも 新 規 炭 鉱 開 発 が 活 発 に 進 められている 同 自 治 区 の 新 規 炭 鉱 の 生 産 能 力 は 7,600 万 トン/ 年 で 全 国 トップである 全 国 に 占 める 石 炭 資 源 保 有 量 のシェアは 19.0%で 石 炭 供 給 地 としてのポテンシャルが 高 く 今 後 は 全 国 総 生 産 に 占 めるシェアも 拡 大 すると 予 測 される (3) 中 国 政 府 は 大 中 型 炭 鉱 の 建 設 を 奨 励 し 小 規 模 炭 鉱 の 開 発 を 規 制 する 方 針 を 明 確 にしてお り 新 規 建 設 される 炭 鉱 の 大 型 化 が 進 んでいる 大 型 炭 鉱 の 開 発 が 進 めば 資 源 の 総 合 利 用 石 炭 企 業 の 大 規 模 化 資 源 の 開 発 利 用 の 一 体 化 促 進 ( 例 えば 山 元 発 電 所 の 建 設 )などの 多 くのメリットがあるとされている 地 域 炭 鉱 名 表 近 年 の 新 規 炭 鉱 開 発 動 向 生 産 能 力 ( 万 t/ 年 ) 開 発 企 業 小 紀 汗 炭 鉱 1,000 中 国 華 電 集 団 備 考 2013 年 認 可 山 元 発 電 所 一 般 発 電 所 用 を 含 む 総 投 資 額 は 億 元 馮 家 塔 炭 鉱 二 期 300 陝 西 馮 家 塔 砿 業 有 限 公 司 一 期 と 二 期 の 生 産 能 力 は 600 万 トン/ 年 二 期 投 資 額 4.8 億 元 可 採 埋 蔵 量 5.17 億 トン 2009 年 建 設 開 始 2011 年 稼 動 陝 西 省 高 家 堡 炭 鉱 500 王 子 炭 鉱 150 山 東 能 源 集 団 有 限 公 司 陝 西 陝 煤 澄 合 砿 業 有 限 公 司 総 投 資 額 44.8 億 元 可 採 埋 蔵 量 5.5 億 トン 2014 年 末 稼 動 予 定 2013 年 建 設 開 始 孟 村 炭 鉱 600 陝 西 彬 長 砿 業 集 団 有 限 公 司 可 採 年 数 76.8 年 2009 年 建 設 開 始 総 投 資 額 40.4 億 元 山 元 発 電 所 用 王 峰 炭 鉱 300 陝 西 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 2013 年 建 設 開 始 宝 竜 山 炭 鉱 90 亜 泰 集 団 総 投 資 額 5.98 億 元 2009 年 建 設 開 始 2012 年 稼 動 内 モンゴル 自 治 区 宏 亜 炭 鉱 120 紅 慶 河 炭 鉱 1,500 色 連 1 号 炭 鉱 500 内 蒙 古 宇 生 能 源 有 限 責 任 公 司 内 蒙 古 伊 泰 広 聯 煤 化 有 限 責 任 公 司 大 同 煤 砿 集 団 有 限 責 任 公 司 2009 年 建 設 開 始 2011 年 稼 動 可 採 年 数 55 年 総 投 資 額 億 元 2013 年 認 可 総 投 資 額 約 30 億 元 2013 年 認 可 161 新 規 炭 鉱 の 建 設 には 中 央 政 府 と 地 方 政 府 の 認 可 が 必 要 である 124

172 色 連 2 号 炭 鉱 400 中 北 煤 化 工 有 限 公 司 総 投 資 額 31 億 元 2013 年 認 可 唐 家 会 炭 鉱 500 華 興 能 源 有 限 公 司 総 投 資 額 億 元 2013 年 認 可 尓 林 兔 炭 鉱 800 内 蒙 古 匯 能 集 団 公 有 限 公 司 総 投 資 額 30.7 億 元 2013 年 認 可 可 採 年 数 85.7 年 新 上 海 廟 1 号 炭 鉱 400 上 海 廟 砿 業 公 司 総 投 資 額 億 元 2013 年 認 可 麻 黄 炭 鉱 120 上 海 廟 砿 業 公 司 総 投 資 額 6.46 億 元 2013 年 認 可 満 来 梁 炭 鉱 180 唐 公 塔 炭 鉱 600 扎 泥 河 露 天 炭 鉱 600 巴 彦 高 勒 炭 鉱 400 内 蒙 古 蒙 泰 煤 電 集 団 有 限 公 司 オルドス 市 東 辰 煤 炭 有 限 責 任 公 司 内 蒙 古 魯 能 大 雁 能 源 集 団 有 限 公 司 淄 礦 集 団 公 司 尤 氏 投 資 有 限 責 任 公 司 総 投 資 額 億 元 2011 年 認 可 稼 働 中 生 産 能 力 を 60 万 トン/ 年 から 600 万 トン/トン に 拡 張 総 投 資 額 億 元 2012 年 認 可 2013 年 完 成 総 投 資 額 億 元 2012 年 認 可 可 採 年 数 33 年 現 在 建 設 中 総 投 資 額 億 元 2011 年 認 可 現 在 建 設 中 龍 王 沟 炭 鉱 1,000 大 唐 集 団 大 南 湖 1 号 炭 鉱 1,000 国 網 能 源 会 開 発 有 限 公 司 総 投 資 額 33.6 億 元 可 採 埋 蔵 量 12.6 億 トン 2011 年 認 可 2009 年 建 設 開 始 2013 年 稼 動 総 投 資 額 32.3 億 元 大 南 湖 1 号 鉱 区 の 開 発 面 積 は 75.28k m2 沙 墩 子 炭 鉱 500 潞 安 新 疆 煤 化 集 団 有 限 公 司 2008 年 建 設 2013 年 稼 動 大 南 湖 1 号 炭 鉱 1,200 国 家 開 発 投 資 公 司 総 投 資 額 48 億 元 2013 年 建 設 現 在 建 設 中 大 南 湖 1 号 炭 鉱 400 徐 州 砿 務 集 団 有 限 責 任 公 司 総 投 資 額 20.3 億 元 2012 年 建 設 開 始 現 在 建 設 中 新 疆 ウイグル 自 治 区 山 西 省 大 南 湖 1 号 炭 鉱 1,000 中 国 中 煤 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 吉 朗 徳 炭 鉱 300 中 国 保 里 集 団 公 司 三 塘 湖 条 湖 1 号 炭 鉱 1,000 国 家 開 発 投 資 公 司 漢 水 泉 炭 鉱 800 段 家 地 炭 鉱 90 新 疆 京 能 建 設 投 資 有 限 公 司 巴 里 坤 県 同 和 鉱 業 有 限 公 司 別 斯 庫 港 克 炭 鉱 300 中 国 保 里 集 団 公 司 黒 眼 泉 炭 鉱 120 淖 毛 湖 炭 鉱 800 紫 田 炭 鉱 90 黒 龍 江 龍 煤 砿 業 控 股 集 団 有 限 責 任 公 司 新 疆 広 匯 新 能 源 公 司 新 疆 紫 田 砿 業 有 限 公 司 小 回 溝 炭 鉱 300 山 西 小 回 溝 煤 砿 下 霍 炭 鉱 240 太 岳 炭 鉱 150 山 西 三 元 煤 業 股 份 有 限 公 司 山 西 汾 西 太 岳 煤 業 股 份 有 限 公 司 総 投 資 額 億 元 2011 年 建 設 開 始 現 在 建 設 中 総 投 資 額 6 億 元 2012 年 建 設 開 始 現 在 建 設 中 総 投 資 額 35 億 元 2013 年 建 設 開 始 現 在 建 設 中 総 投 資 額 32 億 元 2014 年 建 設 予 定 総 投 資 額 5.8 億 元 2010 年 建 設 開 始 2013 年 建 設 完 了 不 景 気 のために 未 稼 働 総 投 資 額 9.9 億 元 2009 年 建 設 開 始 2013 年 稼 動 総 投 資 額 9.9 億 元 2009 年 建 設 開 始 2013 年 稼 動 総 投 資 額 34.7 億 元 2013 年 建 設 開 始 現 在 建 設 中 可 採 埋 蔵 量 8.8 億 トン 2013 年 認 可 2014 年 建 設 予 定 総 投 資 額 億 元 2011 年 認 可 現 在 建 設 中 2013 年 建 設 開 始 2012 年 完 成 現 在 稼 働 中 榆 樹 坡 炭 鉱 300 山 西 寧 武 榆 樹 坡 煤 業 有 限 公 司 2010 年 建 設 開 始 2013 年 建 設 終 了 山 元 発 電 所 用 125

173 玉 戸 炭 鉱 致 富 炭 鉱 210 趙 荘 炭 鉱 800 甘 荘 炭 鉱 120 霊 石 梗 陽 炭 鉱 60 山 西 山 陰 宝 山 玉 井 煤 業 有 限 公 司 山 西 晋 城 煤 業 集 団 公 司 山 西 中 新 甘 荘 煤 業 有 限 責 任 公 司 山 西 霊 石 梗 陽 煤 業 有 限 公 司 2014 年 1 月 認 可 炭 鉱 開 発 面 積 10.97k m2 可 採 年 数 37.4 年 2012 年 に 生 産 能 力 を 600 万 トン/ 年 から 800 万 トン/ 年 に 拡 張 2013 年 建 設 開 始 2012 年 認 可 2013 年 建 設 開 始 陽 泉 炭 鉱 60 陽 泉 煤 業 集 団 2014 年 末 完 成 予 定 可 採 年 数 8.2 年 青 海 省 瓦 乎 寺 炭 鉱 45 河 南 省 鶴 壁 鉱 区 180 梅 河 炭 鉱 2 号 坑 井 120 青 海 華 遠 砿 業 有 限 公 司 河 南 華 南 煤 業 有 限 公 司 遼 源 砿 業 ( 集 団 ) 有 限 公 司 総 投 資 額 1.51 億 元 2013 年 認 可 可 採 年 数 11.7 年 総 投 資 額 15 億 元 2013 年 建 設 開 始 吉 林 省 梅 河 炭 鉱 1 号 坑 井 115 遼 源 砿 業 ( 集 団 ) 有 限 公 司 2013 年 建 設 開 始 梅 河 炭 鉱 3 号 坑 井 39 遼 源 砿 業 ( 集 団 ) 有 限 公 司 2013 年 建 設 開 始 寧 夏 回 族 自 治 区 石 嘴 山 紅 果 子 沟 炭 鉱 90 寧 夏 豊 喜 実 業 有 限 公 司 貴 州 省 金 銀 山 炭 鉱 30 貴 州 万 鋒 集 団 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 2013 年 建 設 開 始 可 採 年 数 42 年 生 産 能 力 を 15 万 トン/ 年 から 90 万 トン/ 年 に 拡 張 2013 年 建 設 開 始 生 産 能 力 を 9 万 トン/ 年 か ら 30 万 トン/ 年 に 拡 張 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 と 大 型 企 業 集 団 の 育 成 中 国 政 府 は 石 炭 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 及 び 大 型 企 業 集 団 の 育 成 の 方 針 も 示 している 以 下 具 体 的 目 標 や 達 成 状 況 について 検 討 する ( 第 1 章 1.2 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 石 炭 政 策 課 題 並 びに 関 連 計 画 目 標 と 非 化 石 エネルギー 政 策 も 参 照 されたい) (1) 14 の 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 (2011 年 ~2015 年 )に 14 の 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 を 引 き 続 き 推 進 し 石 炭 の 安 定 供 給 を 確 保 する 陝 北 黄 隴 神 東 蒙 東 寧 東 新 疆 での 石 炭 生 産 基 地 建 設 を 急 ぎ 晋 北 晋 中 晋 東 雲 貴 での 石 炭 生 産 基 地 建 設 を 着 実 に 進 める また エネルギー 輸 送 ルートは 水 資 源 などの 環 境 保 護 対 策 関 連 インフラを 整 備 も 考 慮 した 上 で 建 設 を 進 め 上 流 産 業 と 下 流 産 業 が 一 体 化 した 発 展 を 目 指 す 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 に 際 しては 石 炭 開 発 と 環 境 保 護 に 同 時 に 取 り 組 み 循 環 型 経 済 の 発 展 や 生 態 環 境 の 保 護 を 強 化 する 大 型 石 炭 基 地 の 石 炭 生 産 量 を 2015 年 時 点 で 全 国 総 生 産 量 の 90% 以 上 にするなどの 目 標 が 打 ち 出 されている 2013 年 の 14 の 大 型 石 炭 基 地 の 生 産 量 は 34 億 トンで 全 国 総 生 産 量 に 占 める 割 合 は 前 年 より 2 ポイント 高 い 92%になった うち 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 陝 西 省 貴 州 省 河 南 省 山 東 省 新 疆 ウイグル 自 治 区 安 徽 省 雲 南 省 の 石 炭 生 産 量 は 1 億 トンを 超 え 中 国 の 総 生 産 量 に 占 める 割 合 は 83% 前 後 であった 162 石 炭 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 指 示 された 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 目 標 は 2 年 前 倒 しで 達 成 された 162 中 国 電 力 網 ( 126

174 表 の 大 型 石 炭 基 地 の 建 設 計 画 ( 単 位 : 万 トン) 基 地 名 2010 年 生 産 量 ( 実 績 ) 2015 年 生 産 量 ( 計 画 ) 蒙 東 38,020 50,440 魯 西 14,215 14,500 冀 中 8,000 8,400 晋 北 25,135 38,500 晋 中 17,600 22,500 晋 東 26,243 29,000 両 淮 13,786 14,200 河 南 20,060 21,500 神 東 68,480 85,760 陝 北 5,340 10,440 黄 隴 13,100 16,960 雲 貴 10,372 28,300 寧 東 6,867 8,500 新 疆 6,200 16,000 合 計 273, ,000 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 より 作 成 2014 年 エネルギー 産 業 に 対 する 指 導 意 見 に 関 する 通 知 では 14 の 大 型 石 炭 基 地 の 生 産 量 を 2014 年 に 34.6 億 トン 全 国 総 生 産 量 に 占 める 割 合 を 91.1%に 引 き 上 げる 方 針 である (2) 大 型 企 業 集 団 の 育 成 大 型 石 炭 企 業 集 団 の 育 成 計 画 は 第 10 次 計 画 期 に 着 手 され 第 12 次 計 画 でも 継 続 目 標 に 掲 げら れた 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 生 産 量 1 億 トン 級 の 企 業 を 10 社 5,000 万 トン 級 の 企 業 を 10 社 育 成 し 大 型 石 炭 企 業 集 団 の 生 産 量 が 全 国 の 60% 以 上 を 占 めるよう 指 示 されている 大 型 企 業 集 団 の 育 成 により 国 際 競 争 力 向 上 や 技 術 革 新 強 化 などを 狙 っている また 全 国 の 炭 鉱 の 採 炭 機 械 化 率 を 2015 年 に 75% 以 上 に 引 き 上 げる 目 標 を 掲 げている 163 内 訳 は 大 型 炭 鉱 で 95% 以 上 30 万 トン/ 年 以 上 の 中 小 規 模 炭 鉱 で 70% 以 上 30 万 トン 未 満 の 小 規 模 炭 鉱 で 55% 以 上 にする 計 画 である さらに 石 炭 企 業 の 合 併 再 編 を 推 進 する 計 画 で 2015 年 までに 石 炭 生 産 企 業 を 4,000 社 以 下 に 減 らし 年 平 均 生 産 量 を 100 万 トン 以 上 に 引 き 上 げる 山 西 省 陝 西 省 内 モンゴル 自 治 区 河 南 省 では 大 型 石 炭 企 業 を 中 心 に 産 業 集 約 度 を 向 上 する 黒 龍 江 省 湖 南 省 四 川 省 貴 州 省 重 慶 市 雲 南 省 では 合 弁 再 編 を 強 化 し 炭 鉱 企 業 数 を 減 少 させる 年 までの 採 炭 機 械 化 率 は 65%であった 127

175 表 中 国 の 大 型 石 炭 企 業 集 団 育 成 の 実 績 と 計 画 ( 単 位 : 社 ) 2005 年 ( 実 績 ) 2010 年 ( 実 績 ) 2015 年 ( 計 画 ) 年 産 1 億 トン 級 企 業 年 産 5,000 万 トン 級 企 業 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 及 び 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 より 作 成 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 によると 2015 年 までに 年 産 1 億 トン 級 企 業 が 17 社 年 産 5,000 万 トン 級 企 業 が 8 社 に 達 する 見 通 しである 石 炭 大 型 企 業 集 団 には 石 炭 企 業 と 電 力 企 業 がある なお 大 型 石 炭 企 業 集 団 の 育 成 計 画 の 対 象 は 国 有 企 業 がメイン である( 表 4.3.6) 表 主 要 石 炭 企 業 の 2015 年 の 生 産 計 画 ( 単 位 : 億 トン) 企 業 名 称 企 業 形 態 2010 年 の 生 産 量 2015 年 の 計 画 神 華 集 団 有 限 責 任 公 司 中 央 石 炭 国 有 企 業 中 国 中 煤 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 中 央 石 炭 国 有 企 業 山 西 焦 煤 集 団 有 限 責 任 公 司 山 西 省 国 有 企 業 陝 西 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 陝 西 省 国 有 企 業 大 同 煤 砿 集 団 有 限 責 任 公 司 山 西 省 国 有 企 業 ~2.00 山 東 能 源 集 団 有 限 公 司 山 東 省 国 有 企 業 河 南 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 河 南 省 国 有 企 業 冀 中 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 河 北 省 国 有 企 業 山 西 潞 安 砿 業 集 団 有 限 責 任 公 司 山 西 省 国 有 企 業 淮 南 砿 業 集 団 有 限 責 任 公 司 安 徽 省 国 有 企 業 陽 泉 煤 業 集 団 有 限 責 任 公 司 山 西 省 国 有 企 業 開 灤 集 団 有 限 責 任 公 司 河 北 省 国 有 企 業 ~1.00 兖 砿 集 団 有 限 公 司 山 東 省 国 有 企 業 中 国 電 力 投 資 集 団 公 司 中 央 発 電 国 有 企 業 内 蒙 古 伊 泰 集 団 有 限 公 司 民 営 企 業 黒 龍 江 龍 煤 砿 業 控 股 集 団 有 限 責 任 公 司 黒 龍 江 省 国 有 企 業 中 国 華 能 集 団 公 司 中 央 発 電 国 有 企 業 中 国 平 煤 神 馬 能 源 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 河 南 省 国 有 企 業 中 国 国 電 集 団 公 司 中 央 発 電 国 有 企 業 ~1.00 山 西 晋 城 無 煙 煤 鉱 業 集 団 有 限 公 司 山 西 省 国 有 企 業 義 馬 煤 業 集 団 有 限 公 司 河 南 省 国 有 企 業 山 西 煤 炭 運 銷 集 団 有 限 公 司 山 西 省 国 有 企 業 鉄 法 煤 業 集 団 有 限 公 司 遼 寧 省 国 有 企 業 鄭 州 煤 業 工 業 集 団 有 限 公 司 河 南 省 国 有 企 業 徐 州 砿 務 集 団 有 限 責 任 公 司 江 蘇 省 国 有 企 業 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 などより 作 成 2012 年 の 石 炭 大 型 企 業 集 団 の 石 炭 生 産 量 は 約 19 億 トンで 全 国 石 炭 総 生 産 量 の 52.0%にのぼる うち 石 炭 生 産 量 が 1 億 トンを 超 える 企 業 は 7 社 で 全 国 石 炭 総 生 産 量 の 33.5%を 占 める また 石 炭 生 産 量 が 5,000 万 トン~1 億 トン 未 満 の 企 業 は 10 社 で 全 国 石 炭 総 生 産 の 18.5%を 占 めた 128

176 注 目 されるのは 生 産 量 トップの 神 華 集 団 有 限 責 任 公 司 で 2012 年 の 石 炭 生 産 量 は 4 億 5,665 万 ト ンに 達 し 2011 年 の 4 億 708 万 トンより 12.2% 伸 び 全 国 石 炭 総 生 産 量 の 12.5%を 占 めた( 表 4.3.7) 表 年 の 大 型 石 炭 企 業 集 団 の 生 産 量 企 業 名 称 生 産 量 ( 万 トン) 全 国 に 占 める 比 率 (%) 神 華 集 団 有 限 責 任 公 司 45, 中 国 中 煤 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 17, 大 同 煤 砿 集 団 有 限 責 任 公 司 13, 山 東 能 源 集 団 有 限 公 司 12, 冀 中 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 11, 陝 西 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 11, 山 西 焦 煤 集 団 有 限 責 任 公 司 10, 開 灤 集 団 有 限 責 任 公 司 8, 山 西 潞 安 砿 業 集 団 有 限 責 任 公 司 8, 兖 砿 集 団 有 限 公 司 7, 河 南 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 7, 淮 南 砿 業 集 団 有 限 責 任 公 司 7, 陽 泉 煤 業 集 団 有 限 責 任 公 司 6, 内 蒙 古 伊 泰 集 団 有 限 公 司 5, 山 西 晋 城 無 煙 煤 鉱 業 集 団 有 限 公 司 5, 黒 龍 江 龍 煤 砿 業 控 股 集 団 有 限 責 任 公 司 5, 山 西 煤 炭 運 銷 集 団 有 限 公 司 5, 小 計 189, 全 国 364, ( 出 所 ) 各 資 料 より 作 成 なお 2013 年 の 大 型 企 業 集 団 の 石 炭 生 産 状 量 を 見 ると 1 億 トン 以 上 が 8 社 5,000 万 トン~1 億 トン 未 満 が 11 社 となっている 164 生 産 量 が 1 億 トンを 超 えた 8 社 165 の 生 産 量 を 合 計 すると 全 国 総 生 産 量 の 37%に 達 する また 5,000 万 トン~1 億 トン 未 満 の 11 社 の 生 産 量 の 合 計 は 全 国 総 生 産 量 の 19%を 占 めた このため 大 型 石 炭 企 業 集 団 の 育 成 目 標 は 2015 年 までに 達 成 される 可 能 性 が 高 いが 大 型 企 業 集 団 が 生 産 規 模 を 大 幅 に 拡 大 した 場 合 生 産 過 剰 状 態 に 拍 車 をかける 可 能 性 がある 164 中 国 電 力 網 ( 年 の 7 社 に 加 え 2013 年 には 河 南 煤 業 化 工 集 団 有 限 責 任 公 司 が 生 産 量 1 億 トン 以 上 に 達 した 129

177 4.4 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 状 況 本 節 では 小 規 模 炭 鉱 が 現 在 まで 残 存 した 経 緯 や 問 題 点 小 規 模 炭 鉱 の 位 置 づけ 小 規 模 炭 鉱 閉 鎖 の 背 景 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 計 画 と 実 績 についてまとめた 郷 鎮 炭 鉱 ( 小 規 模 炭 鉱 )の 淘 汰 が 進 まない 理 由 中 国 の 石 炭 企 業 の 所 有 形 態 は 国 有 重 点 炭 鉱 国 有 地 方 炭 鉱 郷 鎮 炭 鉱 に 大 別 できる 国 有 重 点 炭 鉱 は 中 央 政 府 や 省 政 府 が 管 理 しており 生 産 技 術 生 産 効 率 生 産 安 全 性 の 点 で 他 の 炭 鉱 に 勝 る 国 有 地 方 炭 鉱 は 省 政 府 や 市 政 府 が 所 有 している 郷 鎮 炭 鉱 は 国 有 企 業 や 外 資 企 業 以 外 が 所 有 する 炭 鉱 を 指 し 郷 鎮 政 府 村 個 人 が 所 有 し 小 規 模 炭 鉱 とも 呼 ばれている( 以 下 小 規 模 炭 鉱 とする) 小 規 模 炭 鉱 の 生 産 量 は 少 ないがかなりの 数 にのぼる 小 規 模 炭 鉱 の 起 源 は 大 躍 進 時 期 (1958 年 )まで 遡 る 1983 年 に 経 済 請 負 制 及 び 石 炭 の 二 重 価 格 制 ( 計 画 価 格 と 市 場 価 格 が 並 存 )が 導 入 されてから 小 規 模 炭 鉱 の 生 産 量 は 大 きく 伸 び 1993 年 の 石 炭 価 格 自 由 化 政 策 により 生 産 量 が 更 に 増 え 1995 年 には 中 国 の 総 生 産 量 13.6 億 トンの 49.3% (6.7 億 トン)を 占 めるに 至 った 億 トン 国 有 重 点 炭 鉱 国 有 地 方 炭 鉱 郷 鎮 炭 鉱 ( 出 所 )1980 年 ~2010 年 のデータは 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P333~ ~2012 年 のデータは 2013 中 国 石 炭 産 業 発 展 研 究 レポート P119 のデータをもとに 算 出 した 図 所 有 形 態 別 炭 鉱 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 しかし 1990 年 半 ばから 中 国 政 府 は 小 規 模 炭 鉱 に 対 する 規 制 を 強 化 し 1998 年 12 月 には 違 法 不 合 理 な 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 に 関 する 通 知 を 下 達 し 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 に 着 手 した このた め 小 規 模 炭 鉱 の 生 産 量 は 2000 年 に 49,500 万 トンに 落 ち 込 んだが 2002 年 以 降 は 中 国 経 済 の 急 成 長 に 伴 って 石 炭 消 費 量 が 増 加 したため 一 度 は 閉 鎖 した 小 規 模 炭 鉱 が 復 活 し 生 産 量 が 再 び 増 加 した 2012 の 生 産 量 は 13.7 億 トンで 全 国 総 生 産 量 の 34.6%を 占 めた( 図 4.4.1) 小 規 模 炭 鉱 は 豊 富 な 石 炭 資 源 と 安 価 な 労 働 力 を 武 器 に 成 長 を 続 けたが 生 産 設 備 の 安 全 性 が 不 130

178 十 分 なため 死 亡 者 数 は 全 国 の 炭 鉱 死 亡 者 数 の 3 分 の 2 を 占 めている 2012 年 の 全 国 の 炭 鉱 死 亡 者 数 は 1,384 人 で うち 小 規 模 炭 鉱 の 死 亡 者 数 が 約 7 割 の 965 人 であった( 図 4.4.2) また 小 規 模 炭 鉱 は 生 産 能 力 や 生 産 効 率 で 国 有 企 業 に 劣 り 生 態 環 境 保 護 の 点 でも 問 題 となってきた 人 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 % 総 死 亡 人 数 ( 左 軸 ) 郷 鎮 炭 鉱 の 比 率 ( 右 軸 ) ( 出 所 )1980 年 ~2010 年 のデータは 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P333~ ~2012 年 のデータは 2013 中 国 石 炭 産 業 発 展 研 究 レポート P119 より 作 成 図 所 有 形 態 別 炭 鉱 の 死 亡 者 数 の 推 移 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 状 況 と 中 国 の 石 炭 生 産 に 与 える 影 響 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 が 2005 年 以 降 一 段 と 強 化 された 背 景 には 一 連 の 大 規 模 な 炭 鉱 事 故 がある 2004 年 11 月 28 日 に 起 きた 陝 西 省 陳 家 山 炭 鉱 の 事 故 では 166 人 が 死 亡 年 2 月 14 日 の 遼 寧 省 孫 家 湾 炭 鉱 の 事 故 では 214 人 が 死 亡 した 年 11 月 27 日 に 黒 竜 江 省 七 台 河 炭 鉱 で 起 き た 爆 発 事 故 による 死 者 は 171 人 に 達 している 168 こうした 状 況 を 受 け 中 国 政 府 は 2005 年 12 月 炭 鉱 の 整 頓 閉 鎖 安 全 生 産 許 可 に 関 する 通 知 を 下 達 し 生 産 の 安 全 性 に 問 題 のある 炭 鉱 を 整 頓 閉 鎖 する 方 針 を 打 ち 出 した また 2006 年 9 月 に 下 達 した 炭 鉱 の 整 理 閉 鎖 の 強 化 に 関 する 意 見 で 小 規 模 炭 鉱 の 整 頓 閉 鎖 方 針 を 更 に 徹 底 した その 後 2007 年 1 月 の 石 炭 産 業 発 展 の 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 で 2010 年 までに 全 国 で 1 万 ヵ 所 の 小 規 模 炭 鉱 を 閉 鎖 し 年 間 生 産 量 を 7 億 トン 削 減 する 方 針 を 指 示 した この 方 針 に 従 い 2010 年 末 時 点 には 9,616 ヵ 所 の 小 規 模 炭 鉱 が 閉 鎖 され 5.4 億 トンの 老 朽 化 した 生 産 能 力 が 廃 棄 された 更 に 2010 年 8 月 には 石 炭 企 業 の 合 併 再 編 の 強 化 に 関 する 若 干 の 意 見 が 発 表 され 資 金 技 術 管 理 レベルの 高 い 企 業 への 合 併 再 編 や 多 角 的 経 営 ( 石 炭 電 力 鉄 道 港 湾 )の 促 進 が 推 奨 された 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 大 型 炭 鉱 を 残 し 小 規 模 炭 鉱 を 閉 鎖 する 方 針 が 改 めて 示 され 2015 年 までに 小 規 模 炭 鉱 数 を 7,000 ヵ 所 に 年 間 生 産 量 を 5.5 億 トンに 削 減 する 目 標 が 打 ち 出 された( 表 4.4.1) 黒 龍 江 省 湖 南 省 四 川 省 貴 州 省 雲 南 省 重 慶 市 では 2015 年 時 点 新 浪 網 ( 新 浪 網 ( 新 浪 網 ( 131

179 でなお 600~900 ヵ 所 の 小 規 模 炭 鉱 が 残 存 し 6 省 の 合 計 年 間 生 産 量 は 3.5 億 トンに 達 する 見 込 み である 表 年 及 び 2020 年 の 小 規 模 炭 鉱 数 ( 計 画 値 と 予 測 値 ) 地 域 2010 年 ( 実 績 ) 2015 年 ( 計 画 ) 2020 年 ( 予 測 ) 箇 所 年 間 生 産 量 ( 万 トン) 箇 所 年 間 生 産 量 ( 万 トン) 箇 所 年 間 生 産 量 ( 万 トン) 河 北 省 333 1, 山 東 省 安 徽 省 河 南 省 535 6, , ,000 山 西 省 283 3,000 陝 西 省 247 6, ,500 内 モンゴル 自 治 区 8 1,000 寧 夏 回 族 自 治 区 遼 寧 省 460 1, , 吉 林 省 185 1, , 黒 龍 江 省 726 3, , ,200 福 建 省 268 2, , ,000 江 西 省 493 2, , ,500 湖 北 省 398 1, , 湖 南 省 1,007 6, , ,000 広 西 チワン 族 自 治 区 重 慶 市 702 3, , ,200 四 川 省 1,278 5, , ,500 貴 州 省 1,246 11, , ,000 雲 南 省 1,025 7, , ,000 甘 粛 省 200 2, , 青 海 省 新 疆 ウイグル 自 治 区 271 3, , 総 計 9,892 70,000 7,000 55,000 3,000 30,000 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 より 作 成 2013 年 3 月 国 家 能 源 局 と 国 家 煤 鉱 安 全 監 察 局 は 2013 年 の 石 炭 産 業 における 老 朽 化 炭 鉱 の 淘 汰 に 関 する 通 知 を 下 達 し 1,256 ヵ 所 の 炭 鉱 を 淘 汰 ( 閉 鎖 509 ヵ 所 改 造 拡 充 479 ヵ 所 合 併 再 編 268 ヵ 所 )する 計 画 を 示 した 169 ( 表 4.4.2) 老 朽 化 した 生 産 能 力 の 淘 汰 は 6,418 万 トン( 閉 鎖 2,669 万 トン/ 年 改 造 拡 充 1,674 万 トン/ 年 合 併 再 編 2,075 万 トン/ 年 )である 地 域 別 で は 四 川 省 と 貴 州 省 に 重 点 が 置 かれており 四 川 省 では 老 朽 化 した 生 産 能 力 1,103 万 トン(270 ヵ 所 ) を 淘 汰 ( 計 画 総 量 の 17.2%)する 貴 州 省 では 老 朽 化 した 生 産 能 力 2,880 万 トン(321 ヵ 所 )を 淘 汰 ( 計 画 総 量 の 44.9%)する 169 国 家 能 源 局 ( 132

180 省 別 淘 汰 箇 所 生 産 能 力 表 年 の 小 規 模 炭 鉱 の 淘 汰 計 画 閉 鎖 河 北 省 ( 単 位 : 万 トン) 淘 汰 箇 所 生 産 能 力 淘 汰 箇 所 生 産 能 力 淘 汰 箇 所 生 産 能 力 遼 寧 省 吉 林 省 黒 龍 江 省 安 徽 省 福 建 省 江 西 省 山 東 省 河 南 省 湖 北 省 湖 南 省 広 西 チワン 族 自 治 区 重 慶 市 四 川 省 270 1, 貴 州 省 321 2, ,800 雲 南 省 陝 西 省 甘 粛 省 青 海 省 新 疆 ウイグル 自 治 区 改 造 拡 充 合 併 再 編 全 国 合 計 1,256 6, , , ,075 ( 注 ) 北 京 山 西 内 モンゴル 浙 江 江 蘇 の 小 規 模 炭 鉱 の 閉 鎖 は 2013 年 時 点 でほぼ 完 了 している ( 出 所 ) 2013 年 の 石 炭 産 業 における 老 朽 化 炭 鉱 の 淘 汰 に 関 する 通 知 また 2013 年 10 月 には 炭 鉱 の 安 全 生 産 の 更 なる 強 化 に 関 する 意 見 170 が 下 達 され 安 全 性 に 問 題 のある 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 を 重 点 的 に 閉 鎖 し 石 炭 や 炭 鉱 ガスなどの 事 故 を 起 こした 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 の 閉 鎖 を 急 ぎ 大 事 故 や 業 務 上 過 失 事 故 を 起 こした 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 の 閉 鎖 を 徹 底 する 方 針 が 示 された 2015 年 末 までに 全 国 で 2,000 ヵ 所 以 上 の 小 規 模 炭 鉱 を 閉 鎖 し 30 万 トン/ 年 以 下 の 炭 鉱 の 新 規 建 設 を 禁 止 した 中 国 電 力 新 聞 網 によると 2013 年 には 全 国 で 計 2 億 トン 余 りの 老 朽 化 した 生 産 能 力 が 淘 汰 され 約 770 の 炭 鉱 が 閉 鎖 された 技 術 改 良 が 進 められた 小 規 模 炭 鉱 は 490 ヵ 所 合 併 再 編 された 小 規 模 炭 鉱 は 610 ヵ 所 にのぼる 171 また 2014 年 のエネルギー 産 業 に 対 する 指 導 意 見 に 関 する 通 知 (2014 年 1 月 24 日 )では 1 全 国 で 老 朽 化 した 生 産 能 力 を 3,000 万 トン 淘 汰 し 2 年 産 9 万 トン 以 下 の 炭 鉱 を 重 点 的 に 閉 鎖 する 方 針 が 示 された 現 在 のところ 小 規 模 炭 鉱 の 整 頓 は 順 調 に 進 んでいるが 計 画 が 完 了 するまでには 時 間 を 要 す る また 技 術 改 良 や 合 併 再 編 された 小 規 模 炭 鉱 の 数 が 閉 鎖 された 炭 鉱 の 数 を 上 回 る このた め 小 規 模 炭 鉱 の 淘 汰 が 中 国 の 石 炭 生 産 全 体 に 及 ぼす 影 響 は 限 定 的 であると 思 われる 中 国 政 府 ウェブサイト( 中 国 電 力 新 聞 網 ( 133

181 4.5 電 力 企 業 の 国 内 炭 開 発 中 国 の 中 央 管 轄 国 有 電 力 企 業 は 中 国 華 能 集 団 公 司 ( 以 下 華 能 集 団 とする) 中 国 大 唐 集 団 公 司 ( 以 下 大 唐 集 団 とする) 中 国 華 電 集 団 公 司 ( 以 下 華 電 集 団 とする) 中 国 国 電 集 団 公 司 ( 以 下 国 電 集 団 とする) 中 国 電 力 投 資 集 団 公 司 ( 以 下 中 電 投 集 団 とする)の 5 社 である この 5 社 の 発 電 量 は 全 国 の 発 電 量 の 約 5 割 を 占 める 中 国 では 発 電 用 石 炭 の 二 重 価 格 制 度 が 実 施 されてきたため 電 力 企 業 は 石 炭 価 格 高 騰 時 に 石 炭 企 業 と 対 等 に 取 引 することが 難 しかった 172 国 有 電 力 企 業 が 過 去 に 経 営 不 振 に 陥 った 原 因 の 1 つ は 石 炭 調 達 価 格 である 電 力 企 業 の 石 炭 調 達 リスクを 回 避 するため 中 国 政 府 は 2008 年 国 有 電 力 企 業 が 石 炭 開 発 を 行 うことを 許 可 した また 2010 年 10 月 に 石 炭 企 業 の 合 併 買 収 の 更 な る 推 進 に 関 する 意 見 173 を 下 達 し 電 力 企 業 など 多 業 種 が 石 炭 企 業 の 合 併 買 収 に 参 画 すること を 奨 励 する 方 針 を 打 ち 出 した 電 力 企 業 はこの 方 針 を 受 けて 自 社 炭 鉱 の 開 発 強 化 や 収 益 源 の 多 様 化 に 取 り 組 んでいる 本 節 では 国 有 電 力 企 業 5 社 の 石 炭 開 発 動 向 についてまとめる 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 開 発 (1) 華 能 集 団 華 能 集 団 は 5 大 電 力 企 業 の 中 で 発 電 規 模 が 最 も 大 きい 2013 年 の 電 源 容 量 は 1 億 4,329 万 kw 174 で うち 火 力 は 8,555 万 kw である 同 集 団 は 発 電 事 業 の 他 投 資 建 設 石 炭 開 発 などの 事 業 も 展 開 している 同 集 団 は 国 有 電 力 5 社 の 中 で 最 も 早 く 石 炭 開 発 事 業 に 着 手 しており 新 疆 ウイグル 自 治 区 甘 粛 省 内 モンゴル 自 治 区 などに 石 炭 開 発 拠 点 を 構 えている また 石 炭 大 手 と 組 んで 石 炭 開 発 を 行 っており 2005 年 8 月 大 同 煤 砿 集 団 有 限 責 任 公 司 と 戦 略 協 力 契 約 を 締 結 した 両 社 は 合 弁 会 社 を 設 立 し 山 西 省 朔 州 市 南 部 の 豊 玉 炭 鉱 ( 年 産 1,000 万 トン)を 開 発 している 同 集 団 は 豊 玉 炭 鉱 の 49%の 株 式 を 保 有 し 生 産 量 の 49%の 供 給 を 受 け 残 量 を 優 先 購 入 する 権 利 を 有 している 175 同 集 団 の 石 炭 生 産 量 は 2008 年 には 2,249 万 トンだったが 2013 年 には 3 倍 強 の 7,133 万 トンに 達 した 2015 年 の 生 産 量 は 1 億 トンを 超 える 計 画 である 石 炭 価 格 制 度 改 革 については 第 2 章 従 来 の 価 格 制 度 と 問 題 点 自 由 契 約 制 度 開 始 による 石 炭 産 業 へ の 影 響 を 参 照 173 中 国 政 府 ウェブサイト( 174 中 国 電 力 企 業 連 合 会 ( 175 新 浪 網 ( 176 中 国 大 唐 集 団 公 司 ( 134

182 ( 出 所 ) 各 資 料 より 作 成 図 華 能 集 団 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 (2) 大 唐 集 団 大 唐 集 団 は 火 力 水 力 風 力 原 子 力 発 電 を 手 がける 他 石 炭 化 学 産 業 や 石 炭 開 発 にも 力 を 入 れている さらに 鉄 道 港 湾 港 運 などの 輸 送 事 業 も 展 開 している 2013 年 末 の 発 電 設 備 容 量 は 1.13 億 kw に 達 し うち 火 力 が 8,768 万 kw である 同 集 団 の 石 炭 開 発 は 2009 年 に 正 式 にスタートした 2009 年 2 月 に 中 国 大 唐 集 団 公 司 煤 業 有 限 責 任 公 司 を 設 立 し 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 新 疆 ウイグル 自 治 区 を 拠 点 として 石 炭 の 開 発 輸 送 販 売 を 始 めた また 国 内 炭 鉱 の 買 収 も 手 がけており 2008 年 8 月 に 傘 下 の 大 唐 陝 西 発 電 有 限 公 司 が 内 モンゴル 自 治 区 のオルドス 銀 河 鸿 泰 煤 電 有 限 公 司 の 49%の 株 式 ( 登 録 資 本 5,000 万 元 )を 取 得 した 2009 年 3 月 にもオルドス 市 の 800 万 トン/ 年 の 炭 鉱 を 買 収 した 177 また 2011 年 12 月 に 内 モンゴル 自 治 区 の 龍 王 溝 炭 鉱 ( 可 採 埋 蔵 量 12.6 億 トン 生 産 能 力 1,000 万 トン/ 年 ) の 開 発 が 認 可 された 178 同 集 団 の 石 炭 生 産 量 は 2010 年 1,135 万 トン 2011 年 1,380 万 トン 2012 年 1,300 万 トンで 国 有 電 力 5 社 の 中 では 最 も 少 ない 今 後 も 石 炭 開 発 を 促 進 する 方 針 で 2014 年 1 月 の 石 炭 発 展 検 討 会 で 問 題 点 を 整 理 した 年 の 生 産 量 は 3,000~4,000 万 トンに 達 す る 見 込 み 180 (3) 華 電 集 団 華 電 集 団 の 中 心 事 業 は 発 電 だが 金 融 建 設 石 炭 開 発 も 手 がけている 同 集 団 の 電 源 容 量 は 2013 年 末 時 点 で1 億 1,269 万 kwに 達 し うち 火 力 は8,555 万 kwであった 181 同 集 団 は2005 年 8 月 に 石 炭 開 発 事 業 を 統 括 する 華 電 煤 業 集 団 有 限 公 司 を 設 立 し 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 新 疆 ウイ グル 自 治 区 陝 西 省 雲 南 省 貴 州 省 などで 石 炭 開 発 を 行 っている 華 電 煤 業 は210 億 トンの 石 炭 資 源 を 確 保 している 年 7 月 華 電 煤 業 は 山 西 省 臨 汾 市 で 年 産 2,000 万 トンの 炭 鉱 を 建 設 し 年 3 月 に 同 集 団 内 で 資 産 譲 渡 を 行 い オルドス 銀 河 鸿 泰 煤 電 有 限 公 司 の 49%の 株 式 を 持 つに 至 った 178 中 国 大 唐 集 団 公 司 ( 179 中 国 電 力 企 業 連 合 会 ( 180 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P 中 国 華 電 集 団 公 司 ウェブサイト( 182 華 電 煤 業 集 団 有 限 公 司 ( 135

183 ており 火 力 発 電 所 の 燃 料 用 石 炭 を 供 給 している 183 また 同 集 団 は 自 社 炭 鉱 以 外 の 炭 鉱 開 発 に も 資 本 参 加 しており 例 えば 伊 泰 集 団 と 新 疆 ウイグル 自 治 区 の 西 黒 山 炭 鉱 を 共 同 開 発 している 184 現 在 の 石 炭 生 産 能 力 は6,400 万 トン 前 後 であるが 年 の 生 産 能 力 は1 億 トンに 達 する 計 画 で ある (4) 国 電 集 団 国 電 集 団 は 発 電 投 資 建 設 石 炭 開 発 などを 手 がけている 同 集 団 の 電 源 容 量 は2013 年 12 月 時 点 で1.22 億 kwに 達 し 186 うち 火 力 発 電 は9,227 万 kwである 同 集 団 は 火 力 発 電 所 向 けの 石 炭 供 給 を 確 保 するために 石 炭 開 発 事 業 を 積 極 的 に 進 めている 主 に 内 モンゴル 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区 で 石 炭 開 発 を 進 めており 自 社 炭 鉱 の 開 発 の 他 炭 鉱 買 収 も 行 っている 2008 年 2 月 同 集 団 は 約 21 億 元 を 投 じて 內 蒙 古 平 莊 煤 業 ( 集 団 ) 有 限 責 任 公 司 の51%の 株 式 を 収 得 した 內 蒙 古 平 莊 煤 業 の 系 列 炭 鉱 の 生 産 能 力 は1,300 万 トン/ 年 である 187 同 集 団 は2013 年 6 月 現 在 で138 億 トンの 石 炭 資 源 を 有 しており 石 炭 生 産 能 力 は7,267 万 トン/ 年 に 達 した 188 石 炭 生 産 量 は 順 調 に 伸 びており 2011 年 は6505 万 トンで 自 社 の 火 力 発 電 消 費 量 の3 分 1に 達 し 2012 年 は6,850 万 トンであった 2015 年 の 生 産 量 は0.8~1 億 トンに 達 する 計 画 である 189 ( 出 所 ) 各 資 料 より 作 成 図 国 電 集 団 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 (5) 中 電 投 集 団 中 電 投 集 団 は 電 力 石 炭 アルミ 鉄 道 港 湾 事 業 を 手 がけている 2013 年 の 電 源 容 量 は 中 鋼 網 ( 184 国 務 院 国 有 資 産 監 督 管 理 委 員 会 ウェブサイト ( 185 中 国 電 力 網 ( 186 北 極 星 電 力 網 ( 187 新 浪 網 ( 188 中 国 国 電 集 団 公 司 ウェブサイト( 189 国 家 能 源 局 煤 炭 司 中 国 煤 炭 工 業 発 展 研 究 中 心 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 関 する 重 点 課 題 の 研 究 P

184 万 kw 190 で うち 火 力 発 電 は6,209 万 kw 国 有 発 電 5 社 の 中 では 発 電 量 が 最 も 少 ない 同 集 団 は2004 年 9 月 内 蒙 古 霍 林 河 露 天 煤 業 公 司 191 を 吸 収 合 併 して 中 電 霍 煤 集 団 公 司 を 設 立 し 石 炭 開 発 をスタートさせた その 後 2008 年 1 月 に 中 電 霍 煤 集 団 を 母 体 に 中 電 投 蒙 東 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 を 設 立 し 内 モンゴル 自 治 区 東 部 と 遼 寧 省 で 事 業 を 展 開 している 192 また 2012 年 6 月 子 会 社 の 中 電 投 新 疆 能 源 化 工 集 団 有 限 公 司 を 設 立 し 新 疆 ウイグル 自 治 区 の 石 炭 開 発 を 開 始 した 中 電 投 新 疆 能 源 化 工 集 団 の 生 産 能 力 は 2015 年 に5,600 万 トン( 経 営 権 3,600 万 トン 資 本 参 加 2,000 万 トン) 2020 年 に1 億 トン( 経 営 権 7,000 万 トン 資 本 参 加 3,000 万 トン)に 達 する 計 画 である 193 中 電 投 集 団 の 石 炭 生 産 量 は2008 年 には3,705 万 トンであったが 2012 年 には6,064 万 トンに 増 加 し た( 図 4.5.3) 今 後 は 石 炭 生 産 能 力 を2015 年 に1 億 トン/ 年 2020 年 に1.5 億 トン/ 年 に 引 き 上 げる 計 画 で 2020 年 には 石 炭 自 給 率 を50% 以 上 にする 目 標 を 掲 げている 194 ( 出 所 ) 各 資 料 より 作 成 図 中 国 電 力 投 資 集 団 公 司 の 石 炭 生 産 量 の 推 移 国 有 電 力 5 社 が 保 有 する 石 炭 資 源 の 地 域 分 布 と 生 産 量 予 測 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 開 発 地 域 は 内 モンゴル 自 治 区 山 西 省 陝 西 省 甘 粛 省 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区 などで 保 有 石 炭 資 源 は 内 モンゴル 自 治 区 ( 特 に 内 モンゴル 自 治 区 東 部 )に 集 中 している 開 発 中 の 炭 鉱 の 可 採 埋 蔵 量 は 計 61.8 億 トンで うち 内 モンゴル 東 部 が38.6 億 トン で 全 体 の6 割 を 占 める 建 設 中 の 炭 鉱 の 地 質 資 源 量 は 内 モンゴル 東 部 と 内 モンゴル 西 部 でそれぞ れ95.7 億 トンと48.9 億 トンである また 開 発 予 定 炭 鉱 の 地 質 資 源 量 は480.7 億 トンで うち 新 疆 ウイグル 自 治 区 が183.2 億 トンで 全 体 の38.1%を 占 める( 表 4.5.1) こうした 状 況 を 見 ると 5 社 の 石 炭 開 発 は 今 後 更 に 西 に 展 開 すると 思 われる 北 極 星 電 力 網 ( 内 モンゴル 自 治 区 通 遼 市 国 有 企 業 中 電 投 蒙 東 能 源 集 団 有 限 責 任 公 司 ウェブサイト( 中 電 投 新 疆 能 源 化 工 集 団 有 限 公 司 ウェブサイト( 中 国 電 力 投 資 集 団 公 司 ウェブサイト( 137

185 表 国 有 電 力 5 社 が 保 有 する 石 炭 資 源 の 分 布 状 況 ( 単 位 : 億 トン) 地 域 開 発 中 の 炭 鉱 建 設 中 の 炭 鉱 開 発 予 定 の 炭 鉱 ( 可 採 埋 蔵 量 ) ( 地 質 資 源 量 ) ( 地 質 資 源 量 ) 内 モンゴル 自 治 区 東 部 内 モンゴル 自 治 区 西 部 山 西 省 陝 西 省 甘 粛 省 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区 その 他 の 地 域 合 計 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 より 作 成 表 は 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 生 産 量 に 関 する 予 測 である 2015 年 の 生 産 量 は 4.2 億 トンに 達 す る 見 込 み( 現 有 炭 鉱 1.2 億 トン 建 設 中 の 炭 鉱 1.2 億 トン 計 画 中 の 炭 鉱 1.8 億 トン)である 開 発 の 重 点 地 域 は 内 モンゴル 自 治 区 東 部 で 2015 年 には 全 体 の 4 割 を 占 めると 見 られる 表 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 生 産 量 に 関 する 予 測 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 より 作 成 ( 単 位 : 万 トン) 地 域 現 有 炭 鉱 建 設 中 の 炭 鉱 計 画 中 の 炭 鉱 生 産 量 の 合 計 2010 年 2015 年 2010 年 2015 年 生 産 能 力 2015 年 2010 年 2015 年 内 モンゴル 自 治 区 東 部 7,500 9,000 3,200 6,000 3,000 3,000 10,700 18,000 内 モンゴル 自 治 区 西 部 ,500 5,800 5,000 1,040 9,740 山 西 省 ,200 2, ,700 陝 西 省 ,500 3, ,120 甘 粛 省 1,900 2, ,000 2,500 2,000 5,300 寧 夏 回 族 自 治 区 新 疆 ウイグル 自 治 区 240 2,000 1, ,740 その 他 の 地 域 ,200 合 計 10,700 12,260 4,300 12,140 20,300 17,800 15,000 42,200 国 有 電 力 5 社 は 自 社 炭 鉱 の 開 発 を 進 め 石 炭 自 給 率 を 引 き 上 げる 計 画 である 2010 年 の 国 有 電 力 5 社 の 石 炭 生 産 量 は 合 計 1.5 億 トン 石 炭 火 力 発 電 設 備 容 量 は 約 4 億 kw 年 間 の 石 炭 消 費 量 は 8 億 トンであった 年 には 石 炭 生 産 量 は 4.2 億 トン 石 炭 火 力 発 電 設 備 容 量 は 約 5 億 kw 年 間 の 石 炭 消 費 量 は 11 億 トンに 達 すると 予 測 されており 社 の 石 炭 自 給 率 は 2010 年 の 18.8% から 2015 年 には 38.6%に 向 上 する 見 込 みである 195 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P

186 4.6 石 炭 の 輸 出 入 動 向 中 国 の 石 炭 輸 出 入 動 向 は 日 本 や 世 界 市 場 に 大 きな 影 響 を 与 える 本 節 では まず 中 国 の 石 炭 輸 出 入 動 向 を 概 観 し 次 に 炭 種 別 及 び 地 域 別 の 輸 出 入 動 向 についてまとめる 中 国 全 土 の 石 炭 輸 出 入 (1) 石 炭 の 輸 入 状 況 中 国 の 石 炭 輸 入 量 は 2008 年 以 降 2013 年 現 在 まで 増 加 し 続 けている 2002 年 に 輸 入 量 が 1,000 万 トンに 達 した 後 石 炭 需 要 の 拡 大 石 炭 の 国 内 輸 送 能 力 不 足 輸 入 関 税 撤 廃 (2008 年 )などが 影 響 し 輸 入 量 が 急 増 した 2009 年 には 年 間 輸 入 量 が 1 億 トンに 達 し 石 炭 輸 出 国 から 石 炭 輸 入 国 に 転 じた さらに 2011 年 には 日 本 を 抜 いて 世 界 最 大 の 石 炭 輸 入 国 となった 2012 年 には 世 界 市 場 の 石 炭 価 格 低 迷 を 受 けて 輸 入 量 は 2 億 トンを 突 破 し 2013 年 の 輸 入 量 は 前 年 比 13.4% 増 の 3.27 億 トン( 褐 炭 を 含 む)に 伸 びた 年 の 輸 入 炭 依 存 度 は 8.8%である ( 図 4.6.1) ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 年 版 及 び 国 家 統 計 局 の 速 報 値 図 中 国 の 石 炭 輸 入 量 の 推 移 2013 年 の 輸 入 量 増 加 の 要 因 として 以 下 4 点 が 挙 げられる 1 輸 入 炭 価 格 が 国 内 炭 価 格 を 下 回 っ た 2 石 炭 の 輸 入 ゼロ 関 税 が 継 続 され 輸 入 炭 調 達 に 有 利 に 働 いた 3 中 国 国 内 の 石 炭 輸 送 能 力 不 足 がネックとなり 輸 入 炭 需 要 が 増 大 した 4 人 民 元 高 が 進 み 輸 入 炭 の 割 安 感 が 増 した 輸 入 炭 価 格 が 中 国 炭 価 格 を 下 回 る 状 況 が 今 後 も 続 き 石 炭 輸 送 能 力 不 足 が 解 消 されない 場 合 輸 入 量 はさらに 増 加 する 可 能 性 がある 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 ( な お 中 国 税 関 総 署 の 貿 易 統 計 によると 2013 年 の 炭 種 別 の 石 炭 輸 入 量 は 一 般 炭 1 億 1,320 万 トン 原 料 炭 7,542 万 トン 無 煙 炭 3,965 万 トン 褐 炭 5,979 万 トン その 他 3,913 万 トンである 139

187 (2) 石 炭 の 輸 出 状 況 反 対 に 中 国 の 石 炭 輸 出 量 は 2003 年 以 降 減 少 し 続 けている 2001 年 ~2005 年 にかけて 輸 出 量 が 拡 大 し 2003 年 にピークに 達 した その 後 は 石 炭 輸 出 に 対 するへの 優 遇 措 置 の 縮 小 や 廃 止 石 炭 輸 出 割 当 制 度 の 設 定 198 国 内 消 費 量 増 などが 原 因 で 輸 出 量 は 減 少 している 2013 年 の 輸 出 量 は 751 万 トンで 2003 年 比 で 92.0% 減 少 した 1990 年 後 半 にスタートした 輸 出 時 の 増 値 税 ( 付 加 価 値 税 ) 還 付 率 は 2004 年 1 月 以 降 一 般 炭 は 13%から 11%に 原 料 炭 は 13%から 5%に 引 き 下 げ られた 一 般 炭 の 輸 出 還 付 率 は 2005 年 5 月 に 更 に 8%に 引 き 下 げられ 2006 年 9 月 に 廃 止 された ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 年 版 及 び 国 家 統 計 局 の 速 報 値 図 中 国 の 石 炭 輸 出 量 の 推 移 地 域 別 の 石 炭 輸 出 入 地 域 別 の 輸 入 量 を 見 ると 輸 入 量 が 多 いのは 沿 海 部 である 2013 年 の 省 直 轄 市 自 治 区 別 の 輸 入 量 では 広 東 省 が 輸 入 量 全 体 の 13.0% 広 西 チワン 族 自 治 区 が 12.0% 河 北 省 が 11.7% 山 東 省 が 11.1%を 占 めている 198 中 国 政 府 は 2004 年 7 月 に 石 炭 輸 出 割 当 管 理 弁 法 を 打 ち 出 した 140

188 表 年 の 地 域 別 石 炭 輸 入 量 ( 褐 炭 を 除 く) 市 省 区 輸 入 量 ( 万 トン) 全 国 に 占 める 比 率 (%) 上 海 市 雲 南 省 内 モンゴル 自 治 区 1, 北 京 市 吉 林 省 天 津 市 安 徽 省 山 東 省 2, 山 西 省 広 東 省 3, 広 西 チワン 族 自 治 区 3, 新 疆 ウイグル 自 治 区 江 蘇 省 2, 江 西 省 河 北 省 3, 河 南 省 浙 江 省 2, 海 南 省 湖 北 省 湖 南 省 福 建 省 2, 遼 寧 省 1, 重 慶 市 青 海 省 黒 龍 江 省 その 他 全 国 合 計 26, ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 炭 種 別 の 輸 出 入 状 況 (1) 一 般 炭 の 輸 出 入 動 向 1 一 般 炭 の 輸 入 状 況 2013 年 の 一 般 炭 輸 入 量 は 1 億 1,320 万 トンに 達 し 石 炭 輸 入 量 全 体 の 3 割 を 占 めている 一 般 炭 の 輸 入 の 伸 び 率 をみると 2003 年 ~ 年 2013 年 は 年 平 均 37.8% 増 加 した 輸 入 量 の 多 くは 沿 海 部 の 火 力 発 電 で 燃 料 として 消 費 されている 主 な 輸 入 相 手 国 は 豪 州 インドネシアである 2013 年 の 豪 州 炭 の 輸 入 量 は 5,134 万 トンで 全 体 の 45.4% インドネシア 炭 の 輸 入 量 は 3,900 万 トンで 全 体 の 34.5%を 占 めた 2009 年 ~2013 年 の 平 均 伸 び 率 は 南 アフリカが 102.8%と 最 も 高 い 欧 州 の 需 要 が 減 少 する 中 南 アフリカ 炭 は 中 国 を 含 むアジアへの 輸 出 を 伸 ばしている 199 また 近 年 は 米 199 中 国 商 務 部 ウェブサイト( 141

189 国 からの 一 般 炭 輸 入 も 増 加 しており シェール 革 命 により 天 然 ガスに 代 替 された 分 の 石 炭 が 輸 出 に 回 ったためと 見 られる 表 中 国 の 一 般 炭 輸 入 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 豪 州 ,578 1,331 1,784 3,879 5,134 インドネシア , ,313 2,010 2,052 3,354 3,900 南 アフリカ ,258 1,236 米 国 ロシア カナダ モンゴル その 他 合 計 564 1,052 1,330 1,029 3,857 5,133 5,412 10,149 11,320 ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 2 一 般 炭 の 輸 出 状 況 2013 年 の 一 般 炭 の 輸 出 量 は 339 万 トンで 減 少 が 続 いている 最 大 の 輸 出 相 手 国 は 日 本 と 韓 国 で 日 本 への 輸 出 量 は 123 万 トン 韓 国 への 輸 入 量 は 132 万 トンであった 次 いで 台 湾 が 多 く 84 万 トンを 輸 出 した 近 年 の 輸 出 先 は 近 隣 国 地 域 である 表 中 国 における 一 般 炭 輸 出 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2005 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 日 本 1, 韓 国 1, 台 湾 1, その 他 合 計 6,077 1, ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 (2) 原 料 炭 の 輸 出 入 動 向 1 原 料 炭 の 輸 入 状 況 原 料 炭 の 輸 入 量 は 2005 年 ~2013 年 の 8 年 間 で 10 倍 以 上 拡 大 した 2013 年 の 輸 入 量 は 7,542 万 トンに 達 し 2012 年 と 比 べて 40.7% 増 加 した 主 な 輸 入 相 手 国 は 豪 州 とモンゴルで この 2 ヵ 国 からの 輸 入 量 が 6 割 以 上 を 占 めている モンゴルの 原 料 炭 価 格 は 距 離 的 に 近 いため 相 対 的 に 安 い モンゴル 炭 の 輸 入 量 は 2011 年 と 2012 年 には 豪 州 炭 を 上 回 ったが モンゴル 側 の 輸 送 コスト 引 き 上 げなどが 影 響 し 2013 年 は 減 少 した 200 また 近 年 は 米 国 のシェール 革 命 の 影 響 を 受 け て カナダや 米 国 からの 輸 入 量 が 徐 々に 増 えている しかも 北 米 から 輸 入 した 石 炭 価 格 が 中 国 の 200 内 モンゴル 自 治 区 石 炭 輸 入 協 会 ( 142

190 西 部 地 域 から 輸 送 された 石 炭 価 格 を 下 回 る 状 況 になっている 201 表 中 国 の 原 料 炭 輸 入 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 豪 州 ,272 1,738 1,032 1,395 3,018 モンゴル ,505 2,004 1,906 1,544 ロシア カナダ ,109 米 国 インドネシア その 他 合 計 ,449 4,727 4,465 5,361 7,542 ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 2 原 料 炭 の 輸 出 状 況 2013 年 の 原 料 炭 輸 出 量 は 111 万 トンで 2012 年 と 比 べて 15.3% 減 となった 主 な 輸 出 相 手 国 は 韓 国 と 日 本 で 2013 年 の 輸 入 量 はそれぞれ 52 万 トンと 46 万 トンであった 輸 出 量 減 少 の 原 因 は 国 内 消 費 量 増 加 の 他 政 策 の 影 響 が 大 きい 原 料 炭 の 輸 出 関 税 は 2006 年 11 月 から 5% 2008 年 8 月 から 10%に 引 き 上 げられ 年 ~2011 年 の 暫 定 関 税 は 40%に 大 幅 に 引 き 上 げられた 表 中 国 の 原 料 炭 輸 出 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 日 本 韓 国 北 朝 鮮 その 他 合 計 ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 (3) 無 煙 炭 の 輸 出 入 動 向 1 無 煙 炭 の 輸 入 状 況 中 国 は 無 煙 炭 の 資 源 保 有 量 が 少 ないため 無 煙 炭 の 輸 入 量 は 増 加 傾 向 にあり 2005 年 ~2013 年 は 年 平 均 15.2% 増 加 した 2013 年 の 輸 入 量 は 3,965 万 トンで 主 な 輸 入 相 手 国 はベトナムと 北 朝 鮮 である ベトナム 産 無 煙 炭 の 一 部 は 中 国 東 南 部 の 火 力 発 電 所 のボイラー 燃 料 に 適 しているた め 輸 入 量 が 多 い 203 輸 入 動 向 は 短 期 的 には 価 格 長 期 的 にはベトナム 204 や 北 朝 鮮 205 の 輸 出 政 年 の 米 国 産 原 料 炭 の 平 均 輸 入 価 格 は ドル/トンであったが 山 西 省 の 原 料 炭 価 格 は 約 216 ドル/ト ン(1,360 元 /トン 沿 海 部 までの 国 内 輸 送 費 を 含 まない)であった 山 西 省 の 原 料 炭 価 格 は 年 中 国 原 料 炭 市 場 研 究 レポート P200( 中 国 石 炭 輸 送 販 売 協 会 ) 米 国 の 原 料 炭 価 格 は 中 国 税 関 総 署 のデータを 使 用 202 この 他 2008 年 にはコークスの 輸 出 暫 定 税 率 が 25%から 40%に 引 き 上 げられ 瀝 青 炭 褐 炭 泥 炭 には 10% の 輸 出 暫 定 税 率 が 課 せられた 203 広 西 チワン 族 自 治 区 崇 左 市 の 発 電 所 ではベトナム 産 の 無 煙 炭 (5,000kcal/kg)を 使 用 している ( 143

191 策 に 大 きく 左 右 される 表 中 国 の 無 煙 炭 輸 入 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 北 朝 鮮 ,105 1,181 1,649 ベトナム 993 2,008 2,461 1,684 2,408 1,805 2,203 1,742 1,314 ロシア 豪 州 その 他 合 計 1,279 2,263 2,841 1,939 3,439 2,646 3,613 3,447 3,965 ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 2 無 煙 炭 の 輸 出 状 況 2013 年 の 輸 出 量 は 259 万 トンで 2005 年 の 半 分 以 下 に 落 ち 込 んだ また 輸 出 相 手 国 は 韓 国 と 日 本 に 集 中 しており 2013 年 の 場 合 日 韓 両 国 で 無 煙 炭 輸 出 量 全 体 の 99.2%を 占 めた 表 中 国 の 無 煙 炭 輸 出 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 日 本 韓 国 その 他 合 計 ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 (4) 褐 炭 の 輸 出 入 動 向 1 褐 炭 の 輸 入 状 況 2013 年 の 褐 炭 輸 入 量 は 5,979 万 トンであった 輸 入 相 手 国 別 ではインドネシアが 最 大 の 5,756 万 トンで 褐 炭 輸 入 量 全 体 の 96.3%を 占 めた フィリピン 185 万 トン モンゴル 16 万 トン マレ ーシア 13 万 トンがこれに 続 く インドネシアを 除 き 他 の 国 からの 輸 入 量 は 2012 年 比 でいずれ も 減 少 した また 2013 年 の 褐 炭 の 輸 入 平 均 価 格 は 51.7 ドル/トンである 204 ベトナムは 石 炭 の 輸 出 関 税 を 引 き 上 げ 輸 出 を 制 限 している ( 205 石 炭 を 含 む 鉱 物 資 源 の 輸 出 は 北 朝 鮮 の 外 貨 獲 得 手 段 の 一 つである 北 朝 鮮 産 無 煙 炭 の 価 格 は 北 朝 鮮 の 政 治 情 勢 の 影 響 を 受 ける( 144

192 表 中 国 の 原 料 炭 輸 入 量 の 推 移 ( 単 位 : 万 トン) 国 地 域 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 インドネシア 495 1,562 3,577 5,009 5,756 フィリピン モンゴル マレーシア ラオス ロシア 北 朝 鮮 米 国 その 他 合 計 591 1,832 3,915 5,369 5,979 ( 出 所 ) 中 国 税 関 統 計 より 作 成 2 褐 炭 の 輸 出 状 況 2013 年 の 中 国 の 褐 炭 輸 出 量 はわずか 4.1 万 トンである 輸 出 相 手 国 と 輸 出 入 量 は 北 朝 鮮 約 3 万 トン ミャンマー1 億 トン 強 である 145

193 4.7 石 炭 の 輸 送 状 況 中 国 の 石 炭 資 源 の 半 分 以 上 は 三 西 地 区 ( 陝 西 省 山 西 省 内 蒙 古 西 部 )に 集 中 しているが 消 費 地 は 主 に 東 南 沿 海 部 である このため 産 炭 地 と 消 費 地 を 結 ぶ 輸 送 インフラの 整 備 が 中 国 の 石 炭 供 給 における 重 要 課 題 となっている 主 な 輸 送 手 段 には 鉄 道 船 舶 ( 海 上 河 川 ) トラック があり 主 力 は 鉄 道 と 船 舶 である 以 下 鉄 道 と 船 舶 による 輸 送 状 況 を 考 察 した 上 で 中 国 政 府 の 輸 送 インフラ 整 備 計 画 についてまとめる 鉄 道 中 国 の 石 炭 総 生 産 量 の 約 6 割 は 鉄 道 で 輸 送 されており 大 部 分 は 発 電 所 の 燃 料 として 供 給 され るいる 鉄 道 輸 送 量 は 2006 年 には 13.8 億 トンであったが 2013 年 には 23.2 億 トンに 達 し 年 平 均 7.7% 伸 びた( 図 4.7.1) また 鉄 道 による 石 炭 輸 送 量 は 鉄 道 輸 送 量 全 体 の 5 割 以 上 を 維 持 して いる ( 出 所 )2006~2012 年 のデータは 2013 中 国 石 炭 産 業 発 展 研 究 レポート P39~ 年 のデ ータは 中 国 石 炭 工 業 協 会 の 速 報 値 を 使 用 図 中 国 の 鉄 道 による 石 炭 輸 送 量 と 鉄 道 輸 送 量 全 体 に 占 めるシェア 中 国 の 主 要 石 炭 輸 送 ルートは 西 煤 東 運 と 北 煤 南 運 に 大 別 される 西 煤 東 運 は 三 西 地 区 から 東 部 に 石 炭 を 鉄 道 輸 送 するルートで 更 に 北 中 南 の 3 つのルートに 分 けられる 一 方 北 煤 南 運 は 北 部 から 東 南 部 に 鉄 道 と 船 舶 で 石 炭 を 輸 送 する (1) 西 煤 東 運 北 ルートは 主 に 山 西 省 北 部 陜 西 省 北 部 内 モンゴル 西 部 の 石 炭 を 華 北 地 域 及 び 石 炭 積 出 港 ( 更 に 東 南 沿 海 部 へ 輸 送 される)に 向 けて 輸 送 している 主 な 線 路 は 大 秦 線 ( 山 西 省 大 同 市 - 河 北 146

194 省 秦 皇 島 市 ) 豊 沙 大 線 ( 北 京 市 豊 台 - 山 西 省 大 同 市 ) 京 原 線 ( 北 京 市 石 景 山 区 - 山 西 省 原 平 市 ) 集 通 線 ( 内 モンゴル 集 寧 市 - 内 モンゴル 通 遼 市 ) 206 神 朔 線 ( 陝 西 省 神 木 県 - 山 西 省 朔 州 市 ) 朔 黄 線 ( 山 西 省 朔 州 市 - 河 北 省 黄 骅 市 ) 207 などがある 北 ルートでは 主 に 一 般 炭 と 原 料 炭 が 輸 送 さ れており 秦 皇 島 港 唐 山 港 天 津 港 黃 驊 港 などの 石 炭 積 出 港 に 繋 がっている 北 ルートは 西 煤 東 運 の 5 割 以 上 の 石 炭 を 輸 送 する 重 要 ルートである 特 に 大 秦 線 は 輸 送 量 が 最 も 多 く 西 煤 東 運 の 最 重 要 鉄 道 路 線 である 2013 年 の 大 秦 線 輸 送 量 は 約 4.5 億 トンで 中 国 の 鉄 道 輸 送 量 全 体 の 19.2%を 占 めた 中 ルートは 主 に 山 西 省 中 西 部 及 び 東 南 部 から 石 太 線 ( 山 西 省 太 原 市 - 河 北 省 石 家 庄 市 ) 邯 長 線 ( 河 北 省 邯 鄲 市 山 西 省 長 治 市 )を 利 用 して 河 北 省 に 輸 送 されている また 河 北 省 まで 輸 送 された 石 炭 は 津 浦 線 ( 天 津 市 - 江 蘇 省 南 京 市 浦 口 ) 京 広 線 ( 北 京 市 - 広 東 省 広 州 市 ) 石 徳 線 ( 河 北 省 石 家 荘 - 山 東 省 徳 州 市 )を 経 由 して 南 方 地 域 や 山 東 省 に 運 ばれている 中 ルートでは 主 に 原 料 炭 や 無 煙 炭 が 輸 送 されており 青 島 港 に 繋 がっている 南 ルートは 山 西 省 中 南 部 甘 粛 省 東 部 陝 西 省 中 南 部 などの 石 炭 を 中 国 各 地 に 輸 送 している 主 要 路 線 は 太 焦 線 ( 山 西 省 太 原 市 - 河 南 省 焦 作 市 ) 侯 月 線 ( 山 西 省 侯 馬 市 - 河 南 省 博 愛 県 月 山 ) 隴 海 線 ( 甘 粛 省 蘭 州 市 - 江 蘇 省 連 雲 港 市 ) 西 康 線 ( 陝 西 省 西 安 市 - 陝 西 省 安 康 市 ) 寧 西 線 ( 陝 西 省 西 安 市 - 江 蘇 省 南 京 市 )である また 太 焦 線 で 運 ばれた 石 炭 は1 京 広 線 で 中 国 南 方 へ 2 新 兗 線 ( 河 南 省 新 郷 市 - 山 東 省 兗 州 市 )と 兗 石 線 ( 山 東 省 兗 州 市 - 山 東 省 日 照 市 石 臼 所 )を 経 由 して 日 照 港 へ 運 ばれる 積 出 港 は 連 雲 港 と 日 照 港 である 中 国 政 府 は 石 炭 供 給 を 強 化 するため 石 炭 の 生 産 計 画 とともに 輸 送 ルート 整 備 に 関 する 計 画 も 打 ち 出 している 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 鉄 道 の 年 間 輸 送 能 力 を 2015 年 に 30 億 トンに 引 き 上 げる 方 針 が 示 された うち 三 西 地 区 のからの 輸 送 能 力 は 約 20 億 トンである このため 既 存 路 線 の 拡 張 や 新 規 路 線 の 敷 設 などが 計 画 されている 西 煤 東 運 では 新 たに 3 つの 鉄 道 が 建 設 される 具 体 的 には 北 ルートの 張 唐 線 ( 河 北 省 張 家 口 市 - 唐 山 市 ) 中 ルートの 和 邢 線 ( 山 西 省 和 順 県 - 河 北 省 邢 台 市 ) 南 ルートの 山 西 中 南 部 鉄 道 である 張 唐 線 は 蒙 冀 線 とも 呼 ばれており 全 長 527km で 張 集 線 ( 河 北 省 張 家 口 - 内 モン ゴル 烏 蘭 察 布 市 集 寧 区 )と 京 包 線 ( 北 京 市 - 内 モンゴル 包 頭 市 )などの 鉄 道 と 唐 山 港 を 利 用 して 内 モンゴル 炭 を 省 外 に 移 送 している 張 唐 線 は 2010 年 3 月 に 着 工 しており 2014 年 末 に 開 通 予 定 である 和 邢 線 は 全 長 約 130km で 邢 黄 線 ( 河 北 省 邢 台 市 - 黃 驊 市 )に 繋 がっており 黃 驊 港 まで 続 いている 208 山 西 中 南 部 鉄 道 は 山 西 省 中 南 部 の 呂 梁 市 瓦 溏 鎮 から 山 東 省 の 日 照 港 までを 結 ぶ 全 長 1,366km で 2014 年 9 月 に 全 線 の 開 通 が 見 込 まれている 通 遼 市 に 輸 送 された 石 炭 を 京 通 線 で 北 京 市 へ 輸 送 する 神 朔 線 と 朔 黄 線 は 接 続 している 和 邢 線 の 建 設 に 関 する 情 報 は 2014 年 2 月 末 時 点 では 公 開 されていない 147

195 ルート 名 西 煤 東 運 の 北 ルート 表 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 示 された 鉄 道 整 備 計 画 鉄 道 名 2010 年 の 輸 送 能 力 2015 年 の 輸 送 能 力 ( 単 位 : 万 トン) 主 な 整 備 計 画 大 秦 線 40,000 45,000 重 載 化 車 輌 の 導 入 豊 沙 大 5,000 10,000 旅 客 線 と 貨 物 線 の 分 離 京 原 線 1,000 1,000 集 通 線 1,500 8,000 複 線 建 設 朔 黄 線 16,000 35,000 拡 張 新 規 建 設 張 唐 線 - 20,000 新 規 建 設 西 煤 東 運 の 中 ルート 西 煤 東 運 の 南 ルート 石 太 線 7,000 12,000 旅 客 線 と 貨 物 線 の 分 離 邯 長 線 1,500 10,000 複 線 建 設 和 邢 線 - 3,000 新 規 建 設 太 焦 線 4,000 4,000 侯 月 線 13,000 18,000 線 路 改 造 隴 海 線 4,000 6,000 西 康 線 2,000 3,000 複 線 建 設 一 部 路 線 で 旅 客 線 と 貨 物 線 を 分 離 寧 西 線 3,000 6,000 一 部 線 路 を 新 規 建 設 山 西 中 南 部 鉄 道 - 20,000 新 規 建 設 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P110~112 より 作 成 (2) 北 煤 南 運 北 煤 南 運 の 既 存 路 線 には 京 滬 線 ( 北 京 市 - 上 海 市 ) 京 九 線 ( 北 京 市 - 香 港 九 龍 ) 京 広 線 ( 北 京 市 - 広 東 省 広 州 市 ) 焦 柳 線 ( 河 南 省 焦 作 市 - 広 西 チワン 族 自 治 区 柳 州 市 )がある 産 炭 地 から 輸 送 された 石 炭 の 一 部 は 北 煤 南 運 の 鉄 道 ルートを 通 じて 中 国 南 方 の 消 費 地 に 輸 送 され ている 表 北 煤 南 運 の 主 要 鉄 道 ルートの 輸 送 能 力 (2011 年 現 在 ) 線 路 名 距 離 (km) 貨 物 輸 送 能 力 ( 万 トン) 石 炭 輸 送 能 力 ( 万 トン) 京 滬 線 1,463 7,000 6,000 京 九 線 2,553 8,100 3,000 京 広 線 2,284 7,700 6,000 焦 柳 線 1,639 7,000 4,000 合 計 7,939 29,800 19,000 ( 出 所 ) 各 資 料 より 作 成 今 後 北 煤 南 運 では 既 存 4 本 路 線 のうち 3 本 で 輸 送 能 力 を 拡 大 する 計 画 である 京 滬 線 と 京 広 線 は 旅 客 線 と 貨 物 線 を 分 離 し 石 炭 を 始 めとする 貨 物 の 輸 送 能 力 を 向 上 させる 京 九 線 は 主 に 電 化 を 推 進 する 148

196 また 北 煤 南 運 では 内 モンゴル 西 部 から 華 中 地 域 へ 延 びる 石 炭 輸 送 専 用 線 蒙 西 華 中 鉄 道 を 新 規 建 設 する 中 国 を 南 北 に 貫 くこの 路 線 は 内 モンゴル オルドス 市 を 起 点 とし 陝 西 省 山 西 省 河 南 省 湖 北 省 湖 南 省 江 西 省 を 経 由 して 江 西 省 吉 安 市 までの 全 長 1,817km を 走 る 他 の 鉄 道 や 水 上 輸 送 ルートを 経 由 せず 産 炭 地 と 消 費 地 を 直 接 繋 ぐ 2017 年 開 通 予 定 で 2020 年 の 年 間 輸 送 能 力 は 2 億 トンに 達 する 計 画 である (3) 東 北 産 炭 の 輸 送 ルート 石 炭 輸 送 大 動 脈 の 西 煤 東 運 と 北 煤 南 運 の 他 に 東 北 地 域 ( 内 モンゴル 東 部 と 東 北 3 省 ) の 石 炭 輸 送 ルートや 新 疆 の 石 炭 輸 送 ルートがある 内 モンゴル 東 部 からの 石 炭 輸 送 鉄 道 には 白 阿 線 ( 吉 林 省 白 城 市 - 内 モンゴル 阿 爾 山 ) 通 霍 線 ( 内 モンゴル 通 遼 市 - 霍 林 河 炭 鉱 ) 赤 錦 線 ( 内 モンゴル 赤 峰 市 - 遼 寧 省 錦 州 市 ) 巴 新 線 ( 内 モンゴルシリンゴル 盟 - 遼 寧 省 阜 新 市 ) 赤 大 白 線 ( 内 モンゴル 赤 峰 市 - 白 音 華 炭 鉱 )の 5 本 がある 錦 州 市 に 運 ばれた 石 炭 は 錦 州 港 を 経 由 して 東 南 沿 海 部 に 輸 送 される また 東 北 地 域 から 中 国 南 方 地 域 への 石 炭 輸 送 ルートは 主 に 京 瀋 線 ( 北 京 市 - 遼 寧 省 瀋 陽 市 ) 京 通 線 ( 北 京 市 - 内 モンゴル 通 遼 市 ) 京 承 線 ( 北 京 市 - 河 北 省 承 徳 市 ) の 3 本 がある また 京 通 線 は 京 承 線 に 接 続 しており 内 モンゴル 東 部 の 石 炭 を 河 北 省 まで 輸 送 している 東 北 地 域 の 石 炭 輸 送 ルート 整 備 には 以 下 の 計 画 がある 京 瀋 線 で 旅 客 線 と 貨 物 線 を 分 離 し 2015 年 までに 年 間 貨 物 輸 送 能 力 を 10,000 万 トン(うち 石 炭 は 7,000 万 トン)に 引 き 上 げる 京 通 線 で 複 線 建 設 などを 行 い 年 間 貨 物 輸 送 能 力 を 2,150 万 トン(うち 石 炭 は 700 万 トン)に 引 き 上 げる 京 承 線 は 2015 までの 輸 送 能 力 は 変 化 しない また 内 モンゴル 東 部 からの 鉄 道 による 石 炭 輸 送 能 力 は 2015 年 に 33,400 万 トンに 達 する 計 画 である (4) 新 疆 産 炭 の 輸 送 ルート 新 疆 産 炭 の 輸 送 ルートは 現 段 階 では 蘭 新 線 ( 甘 粛 省 蘭 州 市 - 新 疆 ウイグル 自 治 区 ウルムチ 市 ) のみで 蘭 新 線 により 新 疆 産 炭 を 甘 粛 省 の 発 電 所 に 供 給 している 現 在 蘭 新 線 の 旅 客 輸 送 専 用 線 ( 蘭 新 線 第 二 複 線 )を 建 設 中 で 209 今 後 既 存 線 を 貨 物 専 用 線 にする 計 画 があり 蘭 新 線 の 輸 送 能 力 は 2015 年 に 0.5 億 トンに 達 する 見 込 みである また 蘭 渝 線 ( 甘 粛 省 蘭 州 市 - 重 慶 市 )は 建 設 済 で 新 疆 産 炭 を 自 治 区 外 に 輸 送 している 国 家 発 展 改 革 委 員 会 は 2013 年 12 月 石 炭 物 流 発 展 計 画 (2013~2020 年 ) を 発 表 し 2020 年 の 鉄 道 による 石 炭 輸 送 能 力 を 30 億 トンに 引 き 上 げる 方 針 を 示 した また 同 計 画 では 中 国 企 業 が 海 外 の 石 炭 物 流 インフラへ 投 資 することを 奨 励 しており 石 炭 輸 入 ルートを 拡 大 する 方 針 も 示 された 船 舶 輸 送 ( 海 上 輸 送 河 川 輸 送 ) 北 煤 南 運 では 船 舶 による 海 上 輸 送 も 行 われている 石 炭 積 出 港 には 鉄 道 の 北 ルートと 接 続 する 秦 皇 島 港 天 津 港 黃 驊 港 唐 山 港 などが 鉄 道 の 南 ルートと 接 続 する 連 雲 港 や 日 照 港 が 年 11 月 に 建 設 され 工 事 期 間 は 5 年 間 とする 149

197 あり これらの 積 出 港 を 経 由 して 東 南 沿 海 部 に 輸 送 されている さらに 長 江 と 京 杭 運 河 も 北 煤 南 運 の 重 要 ルートである 図 は 沿 海 港 湾 の 石 炭 輸 送 量 を 示 すもので 沿 海 港 湾 の 石 炭 輸 送 量 は 増 加 傾 向 にある 2013 年 の 主 要 港 湾 の 石 炭 取 扱 量 は 6.7 億 トンで 前 年 比 で 7.9% 増 加 した 210 ( 出 所 ) 2013 中 国 石 炭 発 展 レポート P74 図 中 国 沿 海 港 湾 の 石 炭 取 扱 量 の 推 移 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 北 方 主 要 港 ( 錦 州 港 秦 皇 島 港 天 津 港 唐 山 港 黃 驊 港 青 島 港 日 照 港 連 雲 港 )を 石 炭 積 出 港 とし 南 方 港 湾 ( 江 蘇 省 上 海 市 浙 江 省 福 建 省 広 東 省 広 西 チワン 族 自 治 区 海 南 省 )を 荷 揚 港 とし 長 江 と 京 杭 運 河 を 利 用 して 北 煤 南 運 の 水 上 輸 送 システムを 完 備 する 方 針 を 示 している 上 記 北 方 8 港 の 石 炭 積 出 能 力 は 2015 年 に 8.3 億 トンに 達 する 見 込 みである 表 中 国 北 方 港 湾 の 石 炭 積 出 能 力 ( 単 位 : 万 トン) 港 湾 名 2010 年 の 積 み 出 し 能 力 2015 年 の 積 み 出 し 能 力 秦 皇 島 港 19,365 20,000 唐 山 港 8,400 25,000 天 津 港 10,700 10,000 黄 驊 港 8,700 15,000 青 島 港 1,500 1,500 日 照 港 4,500 4,500 連 雲 港 1,475 1,500 錦 州 港 1,500 5,500 合 計 56,140 83,000 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P115 より 作 成 210 中 国 工 業 新 聞 網 ( 150

198 また 中 国 東 南 部 の 港 湾 で 石 炭 専 用 埠 頭 を 新 規 建 設 し 荷 揚 能 力 の 引 き 上 げを 図 る 15 万 トン 級 の 石 炭 専 用 埠 頭 が 数 か 所 建 設 される 予 定 である 表 中 国 東 南 部 における 港 湾 整 備 計 画 港 湾 名 新 規 建 設 予 定 の 石 炭 埠 頭 石 炭 取 扱 能 力 ( 万 トン) 嘉 興 港 独 山 煤 炭 中 転 埠 頭 3.5 万 トン 級 3 つ 500 トン 級 18 つ 3,000 舟 山 港 六 横 煤 炭 中 転 備 蓄 基 地 2 期 15 万 トン 級 1 つ 5 万 トン 級 1 つ 3.5 万 トン 級 1 つ 2 万 トン 級 1 つ 3,000 5 千 トン 級 1 つ 寧 波 港 穿 山 港 区 中 宅 石 炭 埠 頭 5 万 トン 級 1 つ 3.5 万 トン 級 1 つ 850 寧 波 港 象 山 寧 海 発 電 所 専 用 埠 頭 5 万 トン 級 1 つ 400 福 州 港 羅 源 湾 港 区 15 万 トン 級 2 つ 1,800 莆 田 湄 州 湾 港 石 炭 埠 頭 15 万 トン 級 1 つ 1,500 汕 頭 (スワトウ) 港 海 門 発 電 所 専 用 埠 頭 10 万 トン 級 1 つ 15 万 トン 級 1 つ 2,200 恵 州 港 平 海 発 電 所 専 用 埠 頭 7 万 トン 級 1 つ 400 恵 州 港 荃 湾 港 区 石 炭 埠 頭 7 万 トン 級 3 つ 1,450 虎 門 港 海 昌 石 炭 埠 頭 2 期 5 万 トン 級 1 つ 2 千 トン 級 3 つ 1,050 広 州 港 南 沙 港 区 15 万 トン 級 1 つ 及 び 関 連 施 設 の 整 備 3,000 珠 海 港 石 炭 埠 頭 10 万 トン 級 1つ 2 千 トン 級 2 つ 3 千 トン 級 3 つ 2,000 ( 出 所 ) 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 P116 及 び P117 より 作 成 中 国 政 府 は 石 炭 輸 送 鉄 道 の 新 規 建 設 や 既 存 路 線 の 拡 張 専 用 埠 頭 の 建 設 を 進 めることで 輸 送 能 力 の 強 化 や 国 産 炭 の 供 給 能 力 の 向 上 を 図 る 方 針 である ただ 国 産 炭 の 価 格 競 争 力 を 引 き 上 げ るには 国 内 炭 の 輸 送 能 力 向 上 以 外 にも 多 くの 解 決 すべき 課 題 があることは 第 1 章 ~ 本 章 で 既 述 した 通 りである 151

199 4.8 石 炭 企 業 の 経 営 状 況 及 び 在 庫 状 況 中 国 の 石 炭 産 業 は 2012 年 以 降 石 炭 価 格 下 落 輸 入 炭 急 増 石 炭 在 庫 増 供 給 過 剰 などにより 業 績 が 急 激 に 悪 化 した 現 状 については 第 1~3 章 で 述 べた 通 りである 本 節 では 中 国 石 炭 企 業 ( 上 場 31 社 )の 経 営 状 況 や 在 庫 状 況 中 国 政 府 の 石 炭 企 業 救 済 策 についてまとめた 石 炭 企 業 ( 上 場 31 社 )の 経 営 状 況 中 国 石 炭 工 業 協 会 によると 2013 年 の 石 炭 産 業 は 生 産 能 力 過 剰 や 価 格 下 落 などにより 経 営 が 悪 化 し 赤 字 企 業 が 大 幅 に 増 えた 211 ただし 中 国 の 石 炭 生 産 企 業 は 1,000 社 以 上 にのぼるため 企 業 経 営 に 関 する 全 データを 集 計 するのは 難 しい そこで 上 場 31 社 を 対 象 に 経 営 状 況 を 考 察 し た 表 は 上 場 31 社 の 売 上 高 の 推 移 である 2006 年 から 2012 年 にかけては 売 上 高 が 年 平 均 28.7%の 高 い 伸 び 率 で 推 移 したが 2012 年 の 対 前 年 比 伸 び 率 は 14.6%となり リーマンショック 後 の 2009 年 の 伸 び 率 (13.2%)と 同 等 レベルにダウンした 石 炭 価 格 の 低 迷 石 炭 消 費 量 の 減 少 輸 入 石 炭 の 急 増 などが 背 景 にあると 考 えられる 企 業 別 の 売 上 高 を 見 ると 中 国 神 華 能 源 股 份 有 限 公 司 ( 以 下 神 華 能 源 と 略 す)がトップで 2013 年 9 月 には 31 社 の 売 上 高 全 体 の 31.2%を 占 めた 神 華 能 源 は 中 央 国 有 企 業 である 神 華 集 団 有 限 責 任 公 司 の 子 会 社 で 石 炭 開 発 電 力 鉄 道 港 湾 石 炭 製 油 石 炭 化 学 貿 易 など 幅 広 い 分 野 で 事 業 を 展 開 している 同 社 の 2013 年 の 石 炭 生 産 量 は 3.2 億 トンで 前 年 比 4.6% 増 加 した 212 炭 鉱 開 発 と 関 連 する 鉄 道 や 港 湾 の 整 備 の 他 近 年 は 発 電 事 業 も 拡 大 しており 2012 年 の 発 電 容 量 は 4,179.8 万 kw 213 に 達 した 国 土 資 源 部 ウェブサイト( 神 華 能 源 の 2013 年 12 月 の 経 営 報 告 書 神 華 能 源 ウェブサイト( 152

200 表 中 国 の 石 炭 上 場 31 社 の 売 上 高 の 推 移 上 場 企 業 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 9 月 ( 出 所 ) 各 社 の 年 次 報 告 書 をもとに 作 成 ( 単 位 : 百 万 元 ) 伸 び 率 (%) (2006~2012 年 ) 31 社 の 合 計 売 上 高 に 占 める 比 率 (%) (2013 年 9 月 ) 靖 遠 煤 電 ,030 4,056 2, 新 大 州 A 1, ,085 1, 美 錦 能 源 , ,368 1,531 1, 平 庄 能 源 456 1,336 2,619 2,688 3,226 3,944 3,590 1, 神 火 股 份 3,927 8,484 12,006 10,762 16,903 30,699 27,985 19, 冀 中 能 源 3,884 5,302 9,276 20,246 30,289 37,569 30,072 20, 煤 気 化 2,687 3,426 4,735 3,248 3,523 3,779 3,312 1, 西 山 煤 電 6,977 7,803 13,255 12,337 16,942 30,372 31,229 22, 露 天 煤 業 1,938 2,611 3,883 4,789 5,672 6,502 6,870 4, 鄭 州 煤 電 2,602 3,682 4,539 6,184 9,776 15,587 20,139 14, 蘭 花 科 創 2,952 3,495 4,912 5,616 5,812 7,608 7,601 4, 兗 州 煤 業 14,458 16,596 26,124 21,500 34,844 48,768 59,674 41, 陽 泉 煤 業 8,938 10,270 17,033 20,005 27,941 50,720 71,517 61, ST 賢 成 盤 江 股 份 2,450 2,409 4,104 4,546 5,469 7,465 7,882 4, 安 源 煤 業 985 1, ,199 1,514 16,776 12, 大 有 能 源 ,502 12,799 9, 安 泰 集 団 2,725 3,824 6,378 3,740 4,943 5,506 5,189 3, 上 海 能 源 4,397 5,204 6,895 7,330 8,859 10,081 9,723 6, 山 煤 国 際 1,981 2,927 2,768 21,006 38,644 69,761 95,408 71, 愛 使 股 份 1,585 1,552 2,145 1,871 1,916 2,115 2,130 1, 山 西 焦 化 2,149 3,073 4,947 2,897 6,406 7,753 5,722 4, 恒 源 煤 電 1,203 1,304 2,049 5,342 6,990 8,312 9,139 5, 開 灤 股 份 3,171 5,475 9,401 10,977 15,154 19,534 19,091 12, 大 同 煤 業 3,930 5,109 8,395 9,495 10,454 14,418 17,280 8, 中 国 神 華 64,240 82, , , , , , , 呉 華 能 源 2,331 2,570 4,144 3,097 4,047 6,951 6,933 5, 平 煤 股 份 8,198 11,061 17,381 18,850 22,905 25,069 22,169 14, 潞 安 環 能 8,236 9,949 16,670 18,261 21,428 22,426 20,065 13, 中 煤 能 源 28,347 36,823 51,465 53,730 71,268 88,872 87,292 59, 国 投 新 集 2,949 3,664 5,426 4,950 7,009 8,056 8,852 5, 合 計 190, , , , , , , , 各 社 の 売 上 高 の 伸 び 率 をみると 河 南 大 有 能 源 股 份 有 限 公 司 ( 以 下 大 有 能 源 と 略 す)の 2006 年 ~2012 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 97.4%で 31 社 の 中 で 最 も 高 かった 大 有 能 源 はもともとソフト 開 発 や 通 信 設 備 開 発 を 手 掛 けてきた 企 業 だが 2010 年 12 月 に 河 南 能 源 化 工 集 団 義 煤 集 団 ( 以 下 河 南 能 源 と 略 す)に 買 収 された 河 南 能 源 は 河 南 省 国 有 資 産 監 督 管 理 委 員 会 に 所 属 する 地 方 国 有 企 業 で 石 炭 開 発 大 手 である 大 有 能 源 は 買 収 後 業 務 範 囲 を 拡 大 し 石 炭 開 発 通 信 新 エネ ルギー サービスなどを 多 角 的 に 展 開 し 売 上 高 を 大 きく 伸 ばした 表 は 上 場 31 社 の 純 利 益 を 纏 めたものである 31 社 の 合 計 純 利 益 は 2006 年 以 降 増 加 し 続 け 2011 年 に 1,031 億 元 に 達 した しかし 2012 年 は 純 利 益 が 減 少 した 企 業 が 増 えたため( 収 益 増 は 31 社 中 7 社 のみ) 合 計 純 利 益 は 前 年 比 6.6% 減 の 964 億 元 に 減 少 した 石 炭 産 業 の 業 績 悪 化 が 深 刻 化 しているため 2013 年 の 合 計 純 利 益 は 更 に 減 少 する 見 込 みである 153

201 表 中 国 の 石 炭 上 場 31 社 の 純 利 益 の 推 移 ( 単 位 : 百 万 元 ) 上 場 企 業 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 伸 び 率 (%) (2006~2012 年 ) 31 社 の 合 計 純 利 益 に 占 める 比 率 (%) (2013 年 9 月 ) 靖 遠 煤 電 新 大 州 A 美 錦 能 源 平 庄 能 源 神 火 股 份 冀 中 能 源 煤 気 化 西 山 煤 電 露 天 煤 業 鄭 州 煤 電 蘭 花 科 創 兗 州 煤 業 陽 泉 煤 業 ST 賢 成 盤 江 股 份 安 源 煤 業 大 有 能 源 安 泰 集 団 上 海 能 源 山 煤 国 際 愛 使 股 份 山 西 焦 化 恒 源 煤 電 開 灤 股 份 大 同 煤 業 中 国 神 華 呉 華 能 源 平 煤 股 份 潞 安 環 能 中 煤 能 源 国 投 新 集 合 計 ( 出 所 ) 各 社 の 年 次 報 告 書 をもとに 作 成 企 業 別 の 純 利 益 でも 神 華 能 源 がトップで 2013 年 9 月 には 全 体 の 8 割 を 占 めた 神 華 能 源 は 石 炭 開 発 の 他 発 電 事 業 なども 展 開 しており 発 電 事 業 などの 収 益 で 石 炭 事 業 の 収 益 減 をカバーし た 最 下 位 だったのは 青 海 賢 成 礦 業 股 份 有 限 公 司 ( 以 下 ST 賢 成 と 略 す)と 兗 州 煤 業 股 份 有 限 公 司 ( 以 下 兗 州 煤 業 と 略 す)である ST 賢 成 は 青 海 省 西 寧 市 の 企 業 で 石 炭 開 発 の 他 天 然 ガス セメント 水 力 発 電 分 野 にも 投 資 している 兗 州 煤 業 は 山 東 省 の 国 有 大 手 兗 州 集 団 有 限 公 司 の 子 会 社 で 炭 鉱 開 発 石 炭 加 工 石 炭 販 売 を 主 力 事 業 とする 他 石 炭 化 学 や 発 電 も 手 がけている 石 炭 企 業 の 売 上 高 や 純 利 益 が 減 少 する 中 石 炭 開 発 分 野 への 投 資 額 自 体 は 増 加 したが 伸 び 率 は 鈍 化 した 図 は 2005 年 ~2012 年 の 中 国 石 炭 業 界 の 固 定 資 産 投 資 額 の 推 移 である 前 年 比 伸 び 率 は 2011 年 までは 20% 以 上 を 記 録 したが 2012 年 には 初 めて 一 桁 の 9.4%に 落 ち 込 んだ 今 後 も 収 益 減 や 石 炭 在 庫 増 加 が 見 込 まれており 固 定 資 産 投 資 額 は 伸 びないと 思 われる 154

202 ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 年 版 より 作 成 図 中 国 石 炭 業 界 の 固 定 資 産 投 資 額 の 推 移 中 国 政 府 は 2013 年 11 月 石 炭 産 業 の 安 定 運 営 促 進 に 関 する 指 導 意 見 を 下 達 し 経 営 難 に 苦 しむ 石 炭 企 業 の 救 済 に 乗 り 出 した( 第 1 章 1.4 石 炭 資 源 税 改 革 及 びその 他 石 炭 関 連 制 作 の 最 近 の 動 向 を 参 照 ) また 河 南 省 安 徽 省 山 東 省 などの 産 炭 地 では 地 方 政 府 が 煤 電 互 保 と 呼 ばれる 石 炭 企 業 救 済 策 を 打 ち 出 した 煤 電 互 保 は 地 元 の 発 電 所 に 地 元 の 石 炭 を 優 先 的 に 使 用 するよう 求 めた 政 策 である この 救 済 策 は 安 徽 省 では 効 果 を 挙 げたが 山 西 陝 西 内 モンゴル 自 治 区 では 石 炭 販 売 量 が 更 に 減 少 する 結 果 を 招 いた 石 炭 の 在 庫 状 況 石 炭 在 庫 状 況 は 石 炭 供 給 状 況 を 把 握 する 指 標 の 一 つである 石 炭 在 庫 増 加 には 1 石 炭 出 荷 量 の 伸 び 悩 み( 消 極 的 な 在 庫 ) 2 出 荷 増 を 見 込 んだ 在 庫 の 増 加 ( 積 極 的 な 在 庫 )の 2 パターンがあ る 景 気 回 復 期 の 積 極 的 な 在 庫 増 加 に 対 して 景 気 後 退 期 の 消 極 的 な 在 庫 は 石 炭 生 産 企 業 の 売 上 高 の 鈍 化 に 繋 がり 石 炭 在 庫 が 増 加 し 続 けた 場 合 石 炭 価 格 の 下 落 を 招 く 恐 れがある 年 以 後 中 国 の 石 炭 在 庫 量 は 3.0 億 トン 前 後 が 続 いている うち 主 要 発 電 企 業 の 石 炭 在 庫 は 2013 年 12 月 に 8,159 万 トンとなり 2013 年 初 より 100 万 トン 増 えた これは 発 電 企 業 が 石 炭 価 格 の 下 落 を 見 て 在 庫 を 積 み 増 した 結 果 である 一 方 石 炭 企 業 の 石 炭 在 庫 は 2013 年 12 月 末 時 点 で 8,400 万 トンとなり 同 年 1 月 比 で 930 万 トンも 増 加 した これは 供 給 過 剰 状 態 が 原 因 である 兗 州 煤 業 ( 人 民 網 ( 155

203 万 トン 20,000 15,000 10,000 5,000 0 発 電 所 の 在 庫 石 炭 企 業 の 在 庫 ( 出 所 ) 中 国 石 炭 工 業 協 会 の 石 炭 運 営 通 報 より 作 成 図 中 国 の 石 炭 企 業 と 発 電 所 の 石 炭 在 庫 状 況 (2012 年 1 月 ~2013 年 12 月 ) また 港 湾 の 石 炭 在 庫 は 2014 年 に 入 っても 増 加 し 続 けている 秦 皇 島 港 の 石 炭 在 庫 は 2014 年 2 月 6 日 時 点 で 800 万 トンを 突 破 し 今 後 もさらに 上 昇 すると 見 られている 石 炭 保 有 能 力 が 1,000 万 トンの 秦 皇 島 港 では 石 炭 在 庫 が 800 万 トンを 越 えた 場 合 石 炭 販 売 不 振 の 裏 付 けとされてい る 216 この 結 果 秦 皇 島 港 の 一 般 炭 価 格 (5,500kcal/kg)は 2014 年 2 月 10 日 時 点 で 540 元 /トン まで 下 落 しており 価 格 下 落 は 今 後 も 続 き 石 炭 企 業 の 経 営 難 は 2014 年 も 続 くと 見 られている 216 毎 経 網 ( 156

204 第 5 章 中 国 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 動 向 中 国 が 外 国 炭 の 供 給 を 長 期 的 かつ 大 量 に 確 保 する 方 法 は 基 本 的 には 1 中 国 企 業 による 外 国 における 炭 鉱 権 益 獲 得 2 中 国 企 業 による 外 国 企 業 との 石 炭 供 給 契 約 3 中 国 政 府 の 外 国 に 対 す る 融 資 買 炭 ( 石 炭 と 融 資 の 交 換 )=loan for coal) 政 策 に 基 づく 石 炭 の 開 発 輸 入 である 本 章 5.1 では 中 国 による 外 国 からの 石 炭 供 給 確 保 の 状 況 を 全 体 的 に また 可 能 な 限 り 定 量 的 に 把 握 しようと 試 みた そこで まず 中 国 政 府 の 支 援 策 の 内 容 を 簡 単 に 振 り 返 った 後 融 資 買 炭 政 策 ( 上 記 3)に 関 連 する 最 近 の 主 な 動 きを 紹 介 する(5.1 参 照 ) 次 に 本 章 5.2 では 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 ( 上 記 の1)の 現 状 について 企 業 別 国 別 に 整 理 するとともに 外 国 からの 石 炭 供 給 確 保 に 関 する 各 企 業 の 成 果 を 可 能 な 限 り 定 量 的 に 把 握 するために 外 国 炭 を 大 量 かつ 長 期 的 に 確 保 する 可 能 性 のある 企 業 と その 他 の 企 業 に 分 け その 現 状 につき 企 業 別 に 取 りまとめを 行 なう 更 に ここでの 取 りまとめには 上 記 の1 のみならず2が 含 まれるが それらに 関 しては 中 国 の 各 企 業 と 世 界 の 石 炭 大 手 企 業 (Peabody Rio Tinto など)との 提 携 にも 留 意 することとする(5.2 参 照 ) 5.1 炭 鉱 権 益 獲 得 に 関 する 中 国 政 府 の 支 援 策 と 近 年 の 融 資 買 炭 政 策 の 動 向 炭 鉱 権 益 獲 得 に 対 する 中 国 政 府 の 支 援 策 中 国 政 府 は 近 年 企 業 の 海 外 進 出 を 積 極 的 に 後 押 しするために 様 々な 側 面 から 支 援 を 行 ってお り それらの 支 援 策 は 中 国 企 業 の 外 国 における 炭 鉱 権 益 獲 得 に 対 しても 適 用 されている 中 国 政 府 は 2000 年 代 半 ば 頃 から 走 出 去 戦 略 を 本 格 的 に 推 進 している 走 出 去 とは 広 義 には 中 国 の 企 業 や 個 人 の 海 外 における 活 動 を 広 めることを 指 すが 狭 義 には 対 外 直 接 投 資 を 指 している 走 出 去 戦 略 は 2001 年 の 中 国 の WTO 加 盟 を 機 に 国 家 戦 略 として 本 格 的 に 唱 導 されるようにな り 第 10 次 (2001 年 ~2005 年 ) 第 11 次 (2006 年 ~2010 年 ) さらに 第 12 次 (2011 年 ~2015 年 ) の 各 5 ヵ 年 計 画 に 盛 り 込 まれた このようにして 中 国 政 府 は 現 在 中 国 企 業 の 海 外 進 出 特 に 海 外 資 源 獲 得 に 対 して 融 資 海 外 投 資 保 険 税 制 外 貨 管 理 海 外 投 資 事 業 許 認 可 リスク 探 査 外 交 情 報 提 供 など 多 く の 側 面 にわたって 支 援 を 行 なっている 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 においても 中 国 企 業 の 走 出 去 戦 略 を 支 援 する 具 体 的 な 措 置 として 以 下 の 対 策 が 打 ち 出 されている 海 外 投 資 専 門 基 金 を 開 設 して 海 外 石 炭 重 点 投 資 事 業 を 支 援 する 金 融 機 関 に 対 し 輸 出 クレジット 事 業 融 資 など 様 々な 方 式 によって 企 業 の 海 外 石 炭 投 資 事 業 向 け 金 融 サービスを 改 善 するよう 奨 励 する 企 業 の 海 外 石 炭 投 資 事 業 への 融 資 支 援 において 商 業 銀 行 の 役 割 を 積 極 的 に 発 揮 させる リスク 予 防 メカニズム 安 全 リスク 警 告 メカニズム 突 発 事 件 に 対 する 緊 急 処 理 メカニズム などを 確 立 する 217 詳 細 については JOGMEC 平 成 24 年 度 海 外 炭 開 発 支 援 事 業 海 外 炭 開 発 高 度 化 等 調 査 中 国 におけるコー ルフローと 石 炭 輸 送 インフラの 整 備 状 況 調 査 平 成 25 年 3 月 第 6 章 を 参 照 されたい 157

205 5.1.2 近 年 の 融 資 買 炭 政 策 の 動 向 中 国 政 府 による 融 資 買 炭 政 策 は 外 交 面 における 支 援 に 対 応 しており しかも 資 金 的 な 裏 付 けを 伴 ったものである と 見 ることができる このような 政 策 はすでに 2009 年 に 石 油 に 関 して 打 ち 出 されていた すなわち 中 国 はこの 年 ベネズエラ ロシア カザフスタン 及 びブラジルと 相 次 いで 融 資 買 油 ( 石 油 と 融 資 の 交 換 =loan for oil) 協 定 を 結 び 融 資 と 交 換 に 石 油 の 供 給 探 査 開 発 などを 含 む 方 法 による 石 油 供 給 の 確 保 を 図 った 年 8 月 中 国 はロシアと 融 資 買 炭 協 定 を 締 結 し ロシアの 東 シベリア 及 び 極 東 地 域 に おける 石 炭 開 発 を 共 同 で 行 なうことになった 協 定 の 期 間 は 25 年 で この 間 に 60 億 ドルが 中 国 からロシアに 供 与 され 最 初 の 5 年 間 は 最 低 1,500 万 トン/ 年 また その 後 20 年 間 は 最 低 2,000 万 トン/ 年 の 石 炭 がロシアから 中 国 へ 供 給 されることになっている ロシア 政 府 筋 によれば 上 記 の 60 億 ドルを 使 って 石 炭 の 開 発 及 び 関 連 する 輸 出 用 インフラ( 道 路 鉄 道 橋 梁 港 湾 など)の 建 設 が 行 なわれるのは サハリン 島 Tuva 共 和 国 の Elegest 地 域 その 他 の 東 シベリア 地 域 であ る これら 開 発 対 象 の 中 でも Elegest 地 域 の 炭 田 は 確 認 埋 蔵 量 9.46 億 トンで 世 界 最 大 の 炭 田 の 1 つとされている また 採 炭 設 備 石 炭 加 工 設 備 スラグ 回 収 処 理 設 備 などはロシアが 中 国 か ら 買 い 入 れることになった 年 6 月 ロシアの En+Group と 中 国 輸 出 入 銀 行 はメドベージェフ 大 統 領 と 胡 錦 濤 主 席 の 立 会 の 下 に 総 額 50 億 ドルに 上 る 融 資 契 約 に 調 印 した この 融 資 は 東 シベリアにおける 発 電 所 建 設 石 炭 開 発 鉄 鉱 石 銅 鉱 石 開 発 などに 当 てられることになっているが これらのうち 石 炭 開 発 は 上 述 の Tuva 共 和 国 で 行 なわれることになっている 220 さらに En+Group は 中 国 国 家 開 発 銀 行 ( 中 国 開 銀 )とも 融 資 契 約 を 結 んでいる すなわち 2013 年 3 月 同 グループは 中 国 開 銀 及 び 神 華 集 団 と ロシア 東 部 地 域 における 石 炭 共 同 開 発 に 関 する 戦 略 的 協 定 を 結 び 中 国 開 銀 はこの 協 定 の 下 で En+Group 及 び 神 華 集 団 に 対 して 東 シベリア 及 びロシア 極 東 地 域 における 石 炭 資 源 の 開 発 と 関 連 インフラの 開 発 に 関 して 20 億 ドルの 資 金 を 供 給 することになった 具 体 的 には 資 金 供 給 の 対 象 になる 開 発 建 設 あるいはその 他 事 業 は 次 の 通 りである 221 石 炭 の 探 鉱 採 掘 選 別 ( 洗 浄 ) 加 工 など 石 炭 開 発 に 必 要 とされる 発 電 所 や 鉄 道 道 路 橋 梁 など 輸 送 インフラの 建 設 ロシア 極 東 地 域 における 港 湾 施 設 の 開 発 あるいは 修 復 石 炭 の 輸 送 及 び 販 売 の 実 施 218 詳 しくは JOGMEC 平 成 21 年 度 ロシアの 石 油 天 然 ガス 資 源 を 巡 る 中 国 韓 国 の 戦 略 に 関 する 調 査 事 業 調 査 報 告 書 平 成 22 年 3 月 第 1 章 及 び 第 2 章 を 参 照 されたい 219 China aids Russia in developing coal resources, People's Daily, October 27, 2010 ( その 他 220 新 華 網 2011 年 6 月 18 日 ; En+ Group のホームページ(2011 年 6 月 16 日 ) ( 221 En+ Group のホームページ(2013 年 3 月 22 日 ) ( 158

206 以 上 に 述 べたロシアとの 協 定 契 約 に 加 えて 中 国 輸 出 入 銀 行 は 豪 州 の 石 炭 プロジェクトに 関 し ても 資 金 供 給 を 行 なうと 見 られている このプロジェクトは China First Coal プロジェクト と 呼 ばれ 同 国 QLD 州 の Galilee 堆 積 盆 で 進 められている 一 般 炭 の 大 規 模 開 発 事 業 である 鉄 道 港 湾 発 電 所 などを 含 む 総 事 業 費 は 75 億 ~80 億 米 ドルと 見 積 もられている このプロジェクト に 関 連 して 中 国 側 参 加 企 業 である 中 冶 集 団 は 総 開 発 費 の 85%を 調 達 するために 中 国 輸 銀 に 対 してバイヤーズ クレジットを 申 請 している(このプロジェクトの 詳 細 については 後 述 参 照 ) 一 方 中 国 開 銀 のロシア 以 外 の 国 における 動 きを 見 ると 同 開 銀 はエネルギー 資 源 開 発 の 分 野 では 多 くの 投 資 を 行 なっているが 石 炭 分 野 では 豪 州 における 開 発 への 資 金 貸 与 があるだけ である( 詳 しくは 宝 鋼 集 団 公 司 の 項 参 照 ) また 中 国 開 銀 の 出 資 により 設 立 された 中 国 ア フリカ 基 金 ( 中 非 発 展 基 金 =China-Africa Development Fund, CADFund)も アフリカにおける 石 炭 開 発 に 関 する 協 力 協 定 を 中 国 煤 炭 地 質 総 局 と 取 り 交 わしているのみである 222 なお CADFund は 中 国 企 業 のアフリカにおける 事 業 展 開 や 資 本 参 加 中 国 アフリカ 企 業 の 協 力 現 地 のインフラ 建 設 や 経 済 発 展 を 促 進 するために 設 立 されたファンドである China National Administration of Coal Geology and China-Africa Development Fund to Cooperatively Develop African Minerals, Xinhua Net, January 20, 2010 ( 223 中 国 開 銀 のホームページ(

207 5.2 中 国 企 業 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 現 状 中 国 の 調 査 によると 2013 年 までに 中 国 が 海 外 で 獲 得 した 石 炭 開 発 プロジェクトは 65 ヵ 所 投 資 金 額 の 合 計 は 70 億 ドル 石 炭 の 可 採 埋 蔵 量 は 400 億 トン 以 上 にのぼる そのうち 生 産 して いる 炭 鉱 は 11 ヵ 所 石 炭 可 採 埋 蔵 量 は 55 億 トン 年 間 生 産 量 は 5,000 万 トン 以 上 である 224 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 に 最 も 早 く 動 いたのは 中 国 中 信 集 団 有 限 公 司 ( 中 国 中 信 集 団 CITIC Group Corporation)で それは 1997 年 のことであった 同 集 団 は 2004 年 以 降 外 国 への 投 資 戦 略 を 見 直 している それと 時 を 同 じくして 2004 年 石 炭 生 産 企 業 の 兗 州 煤 業 股 份 有 限 公 司 (Yanzhou Coal Mining Company Ltd)が 豪 州 の Austar Coal Mine の 権 益 を 獲 得 した しかし その 他 の 石 炭 生 産 企 業 による 外 国 の 石 炭 権 益 獲 得 の 動 きは 神 華 集 団 公 司 (Shenhua Group Corporation Ltd)が 2008 年 開 灤 (Kailuan Energy Chemical Co. Ltd)が 2009 年 永 暉 焦 煤 股 份 有 限 公 司 (Winsway Coking Coal Holdings Ltd)が 2010 年 中 国 中 煤 能 源 集 団 公 司 (China National Coal Group Corporation)が 2010 年 と 兗 州 煤 業 以 降 は 少 し 間 が 開 いた 225 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 の 動 きは 全 体 的 に 2011 年 に 頂 点 に 達 し その 後 2 年 間 は 停 滞 した ただし この 間 中 国 企 業 の 中 で 独 り 神 華 集 団 は ロシアにおける 炭 鉱 権 益 の 獲 得 豪 州 における 新 たな 炭 鉱 権 益 への 接 近 など 活 発 な 動 きを 見 せたのに 加 え モンゴルからの 石 炭 供 給 の 長 期 的 な 確 保 Peabody Energy との 一 般 炭 供 給 に 関 する 合 意 などについても 大 きな 成 果 を 上 げている 226 さらに 上 述 の 通 り 融 資 買 炭 についても ロシア 東 部 地 域 における 石 炭 共 同 開 発 に 取 り 組 む 神 華 集 団 と En+Group に 対 して 2013 年 3 月 中 国 開 銀 が 20 億 ドルの 資 金 を 供 給 することになった 炭 鉱 権 益 獲 得 の 企 業 別 国 別 状 況 表 は 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 の 現 状 を 企 業 別 国 別 に 整 理 したものである ここでの 整 理 に 利 用 した 情 報 は 次 項 で 企 業 別 に 取 りまとめたが 次 のことに 留 意 されたい 一 般 的 に 炭 鉱 権 益 の 獲 得 には 次 の 3 つの 手 段 がある すなわち 1ある 炭 鉱 プロジェク トそのものの 権 益 の 獲 得 (いわば 直 接 的 な 獲 得 ) 2ある 石 炭 企 業 への 投 資 (いわば 間 接 的 な 獲 得 ) さらに 3 石 炭 企 業 を 傘 下 に 有 する 持 株 投 資 企 業 への 投 資 (いわば 間 間 接 的 な 獲 得 )である ただし この 間 間 接 的 な 獲 得 による 獲 得 権 益 の 企 業 別 件 数 は 情 報 の 制 約 から 横 並 びの 比 較 に 耐 える 精 度 では 入 手 することができないので 全 体 の 件 数 の 中 には 含 まれていない なお 間 間 接 的 な 獲 得 は 中 国 投 資 公 司 (CIC)に 3 件 見 られるだけである ただし 獲 得 した 石 炭 開 発 プロジェクト 及 び 生 産 して いる 炭 鉱 の 数 は 後 述 の 通 り 本 調 査 における 数 と 異 なることに 注 意 されたい これは 主 に 調 査 方 法 の 違 いに よると 考 えられる 本 調 査 では 全 ての 事 例 について 詳 細 な 情 報 を 収 集 する 方 法 例 えば 関 係 企 業 に 対 する 質 問 状 の 配 布 を 採 ることは 不 可 能 であったので 主 にインターネットを 通 じて 公 表 された 情 報 を 収 集 し 整 理 した 225 中 国 企 業 の 動 向 について 詳 しくは JOGMEC 平 成 24 年 度 海 外 炭 開 発 支 援 事 業 海 外 炭 開 発 高 度 化 等 調 査 中 国 におけるコールフローと 石 炭 輸 送 インフラの 整 備 状 況 調 査 平 成 25 年 3 月 第 6 章 を 参 照 されたい その 他 160

208 が そのうちの 1 件 では かなり 多 くの 石 炭 企 業 がそのような 獲 得 の 対 象 になっている 表 中 国 企 業 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 の 現 状 ( 企 業 別 国 別 ) 豪 州 カナダ モンゴ ル インド ネシア 米 国 ロシア 計 < 石 炭 > 10;27 1;2 0;1 1;1 0;1 12;32 兗 州 集 団 (Yankuang Group) 9;14 9;14 永 暉 焦 煤 (Winsway Coking) 1;1 0;1 1;2 神 華 集 団 (Shenhua Group ) 0;1 1;1 0;1 1;3 中 国 中 煤 (China National Coal) 0;1 0;1 開 灤 集 団 (Kailuan Group) 0;1 0;1 山 東 能 源 (Shandong Energy) 1;3 1;3 義 馬 煤 業 (Yima Coal) 0;8 0;8 < 鉄 鋼 > 0;4 0;1 0;5 宝 鋼 集 団 (Baosteel Group)* 0;4 0;4 首 鋼 集 団 (Shougang Group) 0;1 0;1 < 電 力 > 1;2 1;4 0;0 2;6 広 東 粤 電 (Guangdong Yudean) 1;1 1;1 2;2 中 国 大 唐 (China Datang) 0;3 0;3 中 国 華 能 (China Huaneng)** 0;0 0;0 中 国 電 力 投 資 (China Power)* 0;1 0;1 < 金 融 投 資 > 3;13 3;4 1;5 7;22 中 国 中 信 集 団 (CITIC Group) 2;11 2;11 中 国 投 資 公 司 (CIC)*** 3;4 1;5 4;9 広 東 広 晟 (Guangdong Rising) 1;2 1;2 <その 他 > 0;3 0;0 0;5 0;8 中 国 鋁 業 (Chinalco)** 0;0 0;0 貴 州 国 創 (Guizhou Guochuang) 0;5 0;5 中 冶 集 団 (Metallurgical Group)* 0;1 0;1 大 地 工 程 (Dadi Engineering) 0;2 0;2 計 14;49 4;7 2;6 1;5 0;5 0;1 21;73 ( 注 )a; b---- b はその 企 業 が 獲 得 した 炭 鉱 (プロジェクト) また a はそれらのうち 生 産 を 行 なっているもの (*) 豪 州 の China First Coal プロジェクトにおける 権 益 ( 戦 略 的 パートナー)を 含 む なお このプロジ ェクトは 一 般 炭 を 開 発 生 産 することを 目 的 としているが プロジェクトの 実 質 的 な 推 進 者 である Clive Palmer が 所 有 している Resourcehouse Ltd.によると 宝 鋼 集 団 と 中 冶 集 団 が 設 立 した 中 国 冶 金 科 工 が 同 プロ ジェクトにおける 重 要 な 戦 略 的 パートナーになっている (**) 0;0 とは 権 益 獲 得 に 向 かっているが 獲 得 に 至 っていないことを 示 す 言 うまでもなく そのよう な 企 業 は 他 にもあるが ここでは 表 で 示 すような 長 期 供 給 契 約 との 関 連 があることから 特 掲 する (***)インドネシアの PT. Bumi Resources Tbk(BUMI)に 対 する 投 資 は 本 文 に 説 明 した 権 益 の 間 間 接 的 な 獲 得 に 当 たり 獲 得 した 炭 鉱 の 詳 細 も 明 らかではないので 獲 得 した 件 数 は 計 上 していない ( 出 所 )5.2.2 における 各 企 業 ( 及 びプロジェクト)の 記 述 による 161

209 さらに 権 益 獲 得 の 対 象 となった 炭 鉱 における 探 鉱 開 発 生 産 などの 現 状 については 必 ず しも 的 確 な 情 報 が 得 られない( 原 料 炭 か 一 般 炭 か 原 炭 か 精 炭 かなどを 含 め) 場 合 がかなり 多 く ある そこで やむを 得 ず 例 えば 開 発 活 動 が 行 なわれていない と 判 定 せざるを 得 ない 事 例 も ある 以 下 では 表 から 読 み 取 れる 事 実 を 要 約 して 述 べる 第 1 に 企 業 別 に 見 ると 炭 鉱 権 益 獲 得 の 件 数 が 最 も 多 いのは 兗 州 集 団 (Yankuang Group;14 件 )であり 次 いで 中 国 中 信 集 団 (CIIC;11 件 ) さらに 中 国 投 資 公 司 (CIC;9 件 ) 義 馬 煤 業 (Yima Coal;8 件 )と 続 いている その 他 の 企 業 の 獲 得 件 数 は 貴 州 国 創 の 5 件 及 び 宝 鋼 集 団 の 4 件 を 除 けば 全 て 1~3 件 であり 上 の 4 社 との 間 にはかなり 大 きな 差 がある 第 2 に 獲 得 された 炭 鉱 を 国 別 に 見 ると 豪 州 が 圧 倒 的 に 多 く 全 73 件 のうち 49 をかぞえる 企 業 別 に 見 た 獲 得 件 数 の 上 位 にある 兗 州 集 団 中 国 中 信 集 団 及 び 義 馬 煤 業 は 獲 得 した 炭 鉱 の 全 てが 豪 州 にある 豪 州 に 続 くのはカナダであるが 件 数 は 7 件 に 過 ぎない さらに モンゴルの 6 件 インドネシアと 米 国 の 各 5 件 ロシアの 1 件 と 続 いている 第 3 に 獲 得 された 炭 鉱 の 中 で 生 産 を 行 なっているのは 全 73 件 のうち 21 件 と 3 分 の 1 以 下 に 過 ぎない ただし それらのうち 14 件 は 豪 州 におけるものである 中 国 企 業 による 外 国 炭 の 供 給 確 保 の 現 状 (1) 外 国 炭 を 大 量 かつ 長 期 的 に 確 保 する 可 能 性 のある 企 業 上 の 表 に 示 した 各 企 業 の 活 動 の 成 果 を 確 保 される 石 炭 の 数 量 と 確 保 の 期 間 という 基 準 で 評 価 してみると 大 量 の 石 炭 を 長 期 的 に 確 保 する 可 能 性 のある 企 業 が 5 つ(ならびに 石 炭 プロジェク トが 1 つ)あることが 分 かる ここでは 大 量 を 自 己 持 分 の 石 炭 が 年 1,000 万 トン 程 度 以 上 で あること また 長 期 を 10 年 程 度 以 上 であることとした さらに 数 量 の 点 で 上 記 の 5 社 に 次 いで 年 数 百 万 トン 程 度 を 長 期 的 に 確 保 する 可 能 性 のあ る 企 業 が 2 社 あり それらについても この 項 で 述 べることとする なお ここでは 石 炭 供 給 確 保 の 手 段 として 炭 鉱 権 益 の 獲 得 のみならず その 動 きに 関 連 し て 締 結 されることのある 長 期 供 給 契 約 についても 検 討 の 対 象 とする 上 記 の 5 社 とは 神 華 集 団 兗 州 集 団 中 国 投 資 公 司 宝 鋼 集 団 広 東 広 晟 であり 1 プロジ ェクトとは China First Coal プロジェクトである また 続 く 2 社 とは 永 暉 焦 煤 及 び 中 国 中 信 集 団 である 162

210 表 大 量 の 石 炭 を 長 期 的 に 外 国 から 確 保 する 可 能 性 のある 中 国 企 業 生 産 購 入 会 社 /プロジェクト 対 象 国 / 地 域 相 手 企 業 資 金 供 給 単 独 共 同 / 提 携 単 独 神 華 集 団 豪 州 ロシア En+ Group 中 国 開 銀 モンゴル モンゴル 企 業 不 特 定 Peabody Energy 兗 州 集 団 豪 州 中 国 投 資 公 司 カナダ モンゴル Rio Tinto インドネシア 宝 鋼 集 団 豪 州 中 国 開 銀 広 東 広 晟 豪 州 China First Coal 豪 州 中 国 企 業 数 社 中 国 輸 銀 永 暉 焦 煤 モンゴル(1) Peabody Energy モンゴル(2) モンゴル 企 業 カナダ アジア/ 太 平 洋 Peabody Energy Peabody 中 国 中 信 集 団 豪 州 Energy ( 注 ) 表 中 の 対 象 国 / 地 域 共 同 / 提 携 購 入 相 手 企 業 資 金 供 給 などについては 以 下 本 文 中 にある 神 華 集 団 に 関 する 説 明 を 参 照 されたい なお 同 集 団 が 進 めているインドネシアのプロ ジェクトは 国 外 への 石 炭 供 給 を 目 的 とするものではないので この 表 には 記 載 していない ( 出 所 ) の 記 述 による 表 に 見 られる 通 り 例 えば 神 華 集 団 は 石 炭 供 給 確 保 のための 対 象 国 / 地 域 としては まず 石 炭 生 産 のためには 豪 州 及 びロシアを 選 び 次 に 石 炭 購 入 のためには モンゴル 企 業 3 社 また 不 特 定 国 から 供 給 される 石 炭 につき Peabody Energy と それぞれ 長 期 契 約 を 結 んでいる さらに 同 社 は 石 炭 生 産 については 豪 州 では 単 独 で またロシアでは En+Group と 提 携 して 事 業 を 進 めており ロシアの 事 業 については 中 国 開 銀 からの 資 金 供 給 を 受 けている なお 同 社 の 事 例 では 石 炭 生 産 を 中 国 企 業 との 共 同 で 進 める 方 式 は 採 られ ていない 以 下 では 企 業 毎 に 動 向 を 記 述 する 各 企 業 の 動 向 について 詳 しくは 独 立 行 政 法 人 石 油 天 然 ガス 金 属 鉱 物 資 源 機 構 平 成 24 年 度 海 外 炭 開 発 支 援 事 業 海 外 炭 開 発 高 度 化 等 調 査 中 国 におけるコールフローと 石 炭 輸 送 インフラの 整 備 状 況 調 査 平 成 25 年 3 月 第 6 章 を 参 照 されたい 163

211 1 神 華 集 団 有 限 責 任 公 司 (Shenhua Group Corporation Ltd: 神 華 集 団 ) 神 華 集 団 による 外 国 の 炭 鉱 権 益 獲 得 への 最 初 の 動 きは 2007 年 に 行 われ インドネシアの 南 スマ トラにおける 炭 鉱 開 発 と 石 炭 火 力 建 設 のプロジェクトを 対 象 とするものであった このプロジェ クトは 神 華 集 団 が 70% 出 資 する 共 同 事 業 体 (joint venture, JV)によって 石 炭 埋 蔵 量 6,000 万 トン の 炭 鉱 で 開 発 を 行 ない 発 電 所 に 年 間 150 万 トンの 石 炭 を 30 年 間 供 給 するものである 年 230 万 トンの 生 産 能 力 を 持 つ 露 天 掘 り 炭 鉱 からの 生 産 は 2011 年 3 月 に 始 まり 石 炭 火 力 (15 万 kw 2 基 )も 同 じ 年 に 運 転 を 開 始 している ただし 開 発 される 炭 鉱 は 石 炭 火 力 向 け 供 給 を 目 的 として おり 外 国 への 供 給 は 想 定 されていない 228 インドネシアに 対 する 投 資 が 中 国 政 府 の 対 インドネシア 協 力 事 業 への 参 加 という 性 格 を 持 つの に 対 して それに 続 く 対 豪 州 投 資 は 神 華 集 団 が 自 らの 石 炭 供 給 力 拡 大 を 目 的 とするものであっ た 2008 年 10 月 神 華 集 団 の 子 会 社 Shenhua Watermark Coal Pty Ltd は New South Wales 州 政 府 から Watermark 石 炭 プロジェクトの 探 鉱 許 可 を 獲 得 した 229 このプロジェクトの 内 容 は 露 天 掘 りにより 30 年 間 に 亘 って 年 1,000 万 トンの 石 炭 ( 主 に 一 般 炭 と 見 られる 230 )を 生 産 すること さ らに 鉄 道 道 路 などを 建 設 することから 成 る 231 建 設 及 び 生 産 の 開 始 時 期 は NSW 州 政 府 と 連 邦 政 府 の 認 可 によって 決 定 されるが 同 社 は 建 設 開 始 は 2014 年 第 4 四 半 期 炭 鉱 の 操 業 開 始 は 2015 年 になる と 見 込 んでいる 年 12 月 神 華 集 団 はロシアの En+ Group と 50/50 JV を 設 立 し Transbaikal 地 方 にある Zashulankskoye 炭 鉱 の 開 発 を 行 なうことを 発 表 した この 露 天 掘 り 炭 鉱 は 開 発 完 了 時 には 600 万 トン/ 年 の 石 炭 生 産 能 力 を 持 ち 2018 年 に 生 産 を 開 始 し 2021 年 には 生 産 量 が 600 万 トン/ 年 に 達 すると 見 込 まれている 233 この 炭 鉱 は 中 露 国 境 近 くにあり 生 産 される 石 炭 は 一 般 炭 で この 地 域 で 消 費 される 他 中 国 へ 輸 出 されることになっている 234 なお En+ Group の 事 業 に 関 連 する 中 国 の 資 金 協 力 については を 参 照 されたい さらに それより 少 し 前 には モンゴルでの 動 きがあった 2013 年 10 月 神 華 集 団 はモンゴ ルの 石 炭 3 社 (Erdenes Tavan Tolgoi JSC Mongolia Mining Corp. Tavantolgoi JSC)か ら Tavan Tolgoi 地 域 の 石 炭 ( 主 に 原 料 炭 235 )を 20 年 間 に 10 億 トン 輸 入 することに 関 する 覚 書 (MOU)を 結 んだ また 同 時 に 同 集 団 は 前 記 3 社 及 びモンゴル 国 有 鉄 道 との 間 で Tavan Tolgoi 地 域 から 中 蒙 国 境 ま での 鉄 道 建 設 に 関 しても MOU を 結 んだ aeOVU 229 Shenhua Watermark のホームページ( The Watermark Project General ; 年 3 月 10 日 検 索 ) Shenhua Watermark のホームページ( Shenhua Group to Mine Coal With Russia's EN+Group, Reuters, December 11, En+ Group and Shenhua to Jointly Develop Zashulanskoye Coal Deposit in Transbaikal, Russia, December 11, 2013 (

212 一 方 神 華 集 団 が 建 設 中 であった 中 蒙 国 境 ( 甘 其 毛 都 )から 内 モンゴル 自 治 区 の 包 頭 市 ( 万 水 泉 )に 至 る 甘 泉 鉄 道 は 2014 年 に 開 業 することになっている 237 この 開 業 によって 甘 其 毛 都 が 京 包 線 ( 北 京 ~ 包 頭 )を 通 じて 北 京 と 繋 がることになる 238 なお 甘 泉 鉄 道 には 永 暉 焦 煤 ( 後 述 ) も 9% 出 資 している 239 モンゴルにおける 動 きに 加 えて 神 華 集 団 にはもう 1 つ 炭 鉱 権 益 獲 得 以 外 の 方 法 による 石 炭 供 給 確 保 への 動 きとして 世 界 の 大 手 石 炭 企 業 との 提 携 がある 同 集 団 は 2013 年 12 月 Peabody Energy との 間 で Sino-Pacific Coal Trading Corporation Pte. Ltd.を 設 立 し この 会 社 が 神 華 集 団 に 対 し て 一 般 炭 の 供 給 を 行 なうことにつき 合 意 した Sino-Pacific Coal は 2014 年 に 事 業 活 動 を 始 め Peabody Energy の 保 有 する 供 給 源 から 神 華 集 団 の 発 電 子 会 社 に 一 般 炭 を 供 給 する 予 定 である 同 集 団 は 2013 年 11 月 現 在 6,500 万 KW 以 上 の 発 電 設 備 容 量 を 持 っている 240 なお 神 華 集 団 には 以 上 の 他 次 のような 動 きがある まず 同 集 団 は 上 述 のように 豪 州 で 新 たな 炭 鉱 権 益 への 接 近 の 動 きを 見 せているが 2014 年 2 月 現 在 成 果 を 上 げるには 至 っていないようである また 上 述 の 中 国 とロシアとの 融 資 買 炭 協 定 締 結 と 同 時 に 両 国 はアムール 州 における 炭 鉱 及 び 関 連 インフラ 開 発 についても 合 意 し 神 華 集 団 がそのための 計 画 を 策 定 している と 伝 えられたが 241 その 後 の 動 向 は 不 明 である さらに 神 華 集 団 はロシアの 国 際 統 一 電 力 システムと 2010 年 9 月 にロシアにおける 石 炭 液 化 工 場 建 設 に 関 して 覚 書 に 調 印 し 続 いて 2011 年 6 月 にはロシア Kuzbass にある Mencherepskoye 炭 鉱 を 共 同 で 開 発 することを 明 らかにしている ただし この 炭 鉱 から 生 産 される 石 炭 は 液 化 用 であり しかも 石 炭 液 化 技 術 を 提 供 する 中 国 側 企 業 は Mencherepskoye 炭 鉱 の 石 炭 の 品 質 には 完 全 に 満 足 しておらず 同 炭 鉱 は 計 画 案 の 中 の 1 つに 過 ぎない と 伝 えられている 兗 州 集 団 有 限 公 司 (Yankuang Group Co. Ltd.: 兗 州 集 団 ) 兗 州 集 団 は 1997 年 に 海 外 進 出 を 目 的 として 設 立 した 兗 州 煤 業 股 份 有 限 公 司 (Yanzhou Coal Mining Company Ltd: 以 下 兗 州 煤 業 と 略 す; 兗 州 集 団 の 持 ち 株 比 率 53%)を 通 じて 生 産 中 の 9 つの 炭 鉱 を 豪 州 に 所 有 している( 表 参 照 ) lian-coal.html 環 球 時 報 2010 年 9 月 1 日 242 俄 新 網 RUSNEWS.China 2011 年 6 月 15 日 165

213 表 兗 州 煤 業 の 豪 州 における 石 炭 生 産 能 力 及 び 生 産 量 ( 単 位 :1,000 トン) 会 社 / 炭 鉱 <Yancoal Australia> 炭 種 原 炭 設 計 生 産 能 力 原 炭 生 産 量 精 炭 生 産 量 2012 年 末 Ashton (90%) 原 料 炭 4,680 2,075 2, ,157 Auster 原 料 炭 3,600 1,737 1,566 1,467 1,287 Moolaben (80%) 一 般 炭 12,800 5,734 6,710 4,142 5,033 Yarrabee 原 料 炭 3,000 3,197 3,698 2,481 3,158 Duralie/Stratford 原 料 炭 3,800 3,665 3,475 2,407 2,261 Donaldson 原 料 炭 3,000 3,479 3,186 2,314 2,537 Middlemount (50% 弱 ) 原 料 炭 2,625 1,117 1, ,433 小 計 33,505 21,004 23,093 14,646 16,866 <Yancoal International> Cameby Downs 一 般 炭 1,800 1,900 不 明 不 明 不 明 Premier 一 般 炭 5,000 4,200 不 明 不 明 不 明 小 計 6,800 6,100 不 明 不 明 不 明 原 料 炭 合 計 20,705 15,270 16,384 10,504 11,833 一 般 炭 合 計 19,600 11,834 不 明 不 明 不 明 合 計 40,305 27,104 不 明 不 明 不 明 ( 注 )Yancoal Australia の 炭 鉱 名 の 括 弧 内 は 同 社 の 持 分 比 率 を 表 す 括 弧 のないものは 100%である ( 出 所 )Yancoal Australia の 原 炭 生 産 量 と 精 炭 生 産 量 : 同 社 の 2013 年 の 第 4 四 半 期 報 告 その 他 : 兗 州 煤 業 の 2012 年 の 年 報 より 直 接 的 には 兗 州 煤 業 はYancoal Australia Ltd( 以 下 Yancoal Australia と 略 す; 兗 州 煤 業 の 持 ち 株 比 率 78%)を 通 じて Austar Yarrabee Ashton Moolarben Duralie Middlemount 及 びStratford の 7つの 生 産 炭 鉱 また Yancoal International (Holding) Company Ltd( 以 下 Yancoal International と 略 す; 同 じく100%)を 通 じて Cameby Downs 及 びPremierの 2つの 生 産 炭 鉱 を 所 有 している 243 表 によると 兗 州 煤 業 の 豪 州 における 原 炭 生 産 量 は 2012 年 に 原 料 炭 については 1,530 万 トン 一 般 炭 については 1,180 万 トンであった また 2012 年 12 月 末 における 原 炭 生 産 能 力 はそ れぞれ 2,070 万 トン 1,960 万 トンであった なお Yancoal Australia の 炭 鉱 に 関 しては 表 中 に 2013 年 における 原 炭 及 び 精 炭 の 生 産 量 が 示 されているので 参 照 されたい これらの 炭 鉱 の 中 で 将 来 かなり 大 きな 増 産 が 見 込 まれるかもしれないのは Yancoal Australia の Moolarben と Yancoal International の Cameby Downs である 前 者 については 今 後 原 炭 生 産 量 は 800 万 トン さらに 表 に 示 した 設 計 生 産 能 力 に 見 られる 通 り それより 大 きくなる 可 能 性 243 兗 州 煤 業 の Annual Report 2012, p

214 もある 244 一 方 Cameby Downs の 現 在 の 生 産 能 力 は( 表 とは 別 の 同 社 の 情 報 では) 精 炭 で 140 万 トン/ 年 原 炭 で 200 万 トン/ 年 ( 表 とはやや 異 なるが)であるが 長 期 的 には 精 炭 で 1,100 万 トン/ 年 原 炭 で 1,600 万 トン 年 に 拡 大 することが 計 画 されている 245 なお Yancoal Australia は 既 存 炭 鉱 の 追 加 開 発 計 画 を 進 めている 他 新 たに Monash 地 区 で 探 鉱 を 行 なっている 246 この 作 業 は 2011 年 から 始 まっており 開 発 完 了 の 暁 には 原 炭 生 産 量 は 900 万 トン/ 年 生 産 量 の 内 訳 は 58%が 原 料 炭 42%が 一 般 炭 と 見 込 まれているが 開 発 及 び 生 産 の 開 始 時 期 は 明 らかにされていない 247 さらに Yancoal International は 上 記 の 生 産 中 の 2 炭 鉱 に 加 えて Harry-brandt Athena Wilpeena 及 び Wilga の 4 つの 炭 鉱 を 保 有 しているが これらは 現 在 生 産 を 行 なっておらず また 今 後 の 開 発 に 関 する 明 確 な 計 画 も 不 明 である 中 国 投 資 有 限 公 司 (China Investment Corporation: 中 国 投 資 公 司 ) 中 国 投 資 公 司 は カナダ モンゴルならびにインドネシアの 石 炭 企 業 に 投 資 するのに 加 え 国 際 的 な 事 業 を 営 んでいる 2 つの 持 株 企 業 に 投 資 することを 通 じても 石 炭 権 益 を 確 保 している < 石 炭 企 業 への 投 資 > Teck Resources Ltd: 中 国 投 資 公 司 は 2009 年 以 来 カナダの Teck Resources Ltd の 株 主 であり その 持 株 比 率 は 17% 以 上 である と 言 われている 249 Teck は 海 上 輸 送 される 原 料 炭 の 輸 出 者 としては 世 界 第 2 にあ り British Columbia 州 に 5 つ Alberta 州 に 1 つの 炭 鉱 を 持 っている 250 同 社 の 原 料 炭 販 売 量 は 2012 年 には 2,400 万 トン 2013 年 は 2,690 万 トンであった 251 さらに 同 社 は BC 州 北 東 部 にある Quintette 炭 鉱 の 生 産 再 開 につき 2014 年 4~5 月 に 意 思 決 定 を 行 なうと 見 られ 再 開 が 決 定 された 場 合 には 同 炭 鉱 は 2015 年 半 ばには 本 格 的 な 生 産 に 入 る と 見 込 まれている 同 炭 鉱 における 露 天 掘 りによる 原 料 炭 の 生 産 量 は 300 万 トン/ 年 と 予 想 されて いる 252 この 炭 鉱 はかつて 18 年 間 にわたり 操 業 した 後 石 炭 価 格 低 迷 の 結 果 2000 年 に 閉 鎖 さ れていた 253 SouthGobi Energy Resources: 中 国 投 資 公 司 は 2009 年 10 月 SouthGobi Energy Resources の 30 年 償 還 担 保 付 転 換 社 債 (5 億 ド ル)を 買 付 けたが 2010 年 3 月 このうち 2.5 億 ドル 分 が 普 通 株 に 転 換 された これは 普 通 株 全 兗 州 煤 業 の Annual Report 2012, p Press releases: China Investment Corporation Announces Investment in Teck Resources Limited ( Teck waiting for next coal wave to revive Quintette, The Globe and Mail, October 7, 2013 ( 以 下 では Globe and Mail(131007)と 略 す) 250 同 社 のホームページ esults&portalname=tc 252 Globe and Mail(131007) 253 同 社 のホームページ A cautious optimism for coal, The Globe and Mail, September 6,

215 体 の 約 13%に 当 たる 254 SouthGobi Energy Resources は モンゴルの Ovoot Tolgoi 炭 鉱 で 原 料 炭 を 生 産 しており 2013 年 の 生 産 量 は 306 万 トンであり 2012 年 の 133 万 トンの 2 倍 以 上 に 増 大 した 255 さらに 4 つのプロジェクト(Soumbert Zag Suuj Ovoot Tolgoi Underground Tsagaan Tolgoi) の 開 発 が 計 画 されているが いずれも 開 発 前 の 準 備 段 階 にある 256 なお SouthGobi Energy Resourcesは Rio Tinto の 孫 会 社 である 中 国 企 業 と Rio Tinto 及 び SouthGobi との 関 係 については 中 国 鋁 業 (Chinalco)の 項 も 参 照 されたい PT. Bumi Resources Tbk: 2009 年 11 月 中 国 投 資 公 司 はインドネシアの PT. Bumi Resources Tbk(BUMI) に 対 して 19 億 ドルの 戦 略 的 投 資 を 行 ない 両 社 が 戦 略 的 同 盟 関 係 に 入 ったことを 明 らかにした 257 BUMI は 傘 下 に 3 つの 石 炭 生 産 子 会 社 を 有 するインドネシア 最 大 の 一 般 炭 輸 出 企 業 であり その 石 炭 販 売 量 は 2012 年 に 6,800 万 トンであり 2013 年 の 目 標 は 7,400 万 トンであった(1~9 月 の 実 績 は 5,900 万 トンと 推 定 されている) 258 一 方 BUMI 側 はこの 戦 略 的 投 資 を 借 入 と 理 解 し その 後 その 返 済 のために 石 炭 関 連 資 産 を 売 却 していた 259 さらに BUMI は 2013 年 10 月 借 入 残 額 13 億 ドルの 解 消 のため に 中 国 投 資 公 司 に 対 して 次 の 各 社 における BUMI の 持 株 (PT Bumi Resources Minerals の 42% ならびに PT Kaltim Prima Coal, PT Indocoal Resources 及 び PT Indocoal Kaltim Resources の 各 19%) に 加 え BUMI の 新 株 1 億 5,000 万 ドル 分 を 引 き 渡 すことを 発 表 し 2014 年 1 月 BUMI の 株 主 はこの 案 を 承 認 した 260 BUMI の 石 炭 生 産 を 担 っているのは 主 に PT Arutmin Indonesia と 上 記 の PT Kaltim Prima Coal であり 後 者 は 2013 年 に 4,976 万 トンの 生 産 を 計 画 していた 261 因 みに その 19%は 945 万 トンである < 持 株 企 業 への 投 資 > 上 述 の 通 り 中 国 投 資 公 司 による 持 株 企 業 への 投 資 は 2 件 ある Noble Group Ltd: 中 国 投 資 公 司 は 2009 年 11 月 Noble Group Ltd の 株 主 となり 2013 年 3 月 現 在 その 発 行 済 み 株 式 の 14.4%を 保 有 している Noble は 農 産 品 工 業 製 品 及 びエネルギー 関 連 商 品 の 世 界 的 供 給 網 l 254 SouthGobi Energy Resources の 発 表 (2009 年 10 月 26 日 2010 年 3 月 12 日 及 び 同 29 日 )による 中 国 投 資 公 司 のホームページ( Press release: China Investment Corporation invests in PT Bumi Resources Tbk, November.5, 2009) 258 Indonesia's biggest coal miner expects significant production in Q3, The Jakarta Post, October 16, 2013 ( 259 Bumi Resources Looks to Pay Off CIC Debt, August 31, 2012 ( 260 PT. Bumi Resources Tbk の 2013 年 10 月 9 日 の 発 表 ; Bumi Resources Says Investors Approve $1.3 Billion CIC Debt Swap, Bloomberg, January 10, 2014 ( 261 PT. BUMI Resources Tbk., PT Kaltim Prima Coal: A Best Practice Operation, April 16, 2013, Jakarta, INDONESIA 168

216 を 有 する 企 業 で 以 下 のように 豪 州 モンゴル インドネシアなどに 炭 鉱 権 益 を 保 有 している 262 まず Noble Group は 豪 州 では 3 社 を 通 じて 生 産 中 開 発 中 その 他 の 多 くの 炭 鉱 に 権 益 を 持 っている Noble Group は 同 国 に 多 くの 生 産 炭 鉱 を 持 つ Yancoal Australia の 発 行 済 み 株 式 の 約 13%を 保 有 している 263 Yancoal Australia については 同 社 の 項 ( 前 出 )を 参 照 されたい Noble Group は PCI 用 炭 を 生 産 している(2011 年 度 の 生 産 量 は 141 万 トン)Cockatoo Coal Limited(CCL) 株 式 の 21%を 持 つ CCL は 開 発 中 その 他 の 炭 鉱 を 持 つ 他 その 子 会 社 にも 開 発 中 その 他 の 石 炭 プロジェクトがある 264 Noble Group は 2013 年 9 月 現 在 East Energy Resources(EER)の 発 行 済 み 株 式 の 41%を 保 有 している 265 EER は QLD 州 中 部 の 4 ヵ 所 で 炭 鉱 の 開 発 を 行 なっている 266 次 に Noble Group は モンゴルでは 2 社 を 通 じて 多 くの 炭 鉱 の 権 益 を 持 っている Noble Group は 2013 年 2 月 Aspire Mining Ltd の 発 行 済 み 株 式 の 保 有 量 を 従 来 の 10.1%から 14.9%に 増 やした 267 Aspire Mining Ltd はモンゴル 北 部 にある 露 天 掘 りの Ovoot 炭 鉱 の 開 発 を 行 なっており この 炭 鉱 はモンゴル 第 2 の 原 料 炭 の 埋 蔵 量 を 持 っており 2016 年 から 原 料 炭 の 生 産 を 開 始 し フル 稼 働 時 の 生 産 量 は 1,600 万 トンに 上 る 見 込 みである 268 Noble Group は 2013 年 10 月 現 在 モンゴルで 石 炭 銅 金 などの 開 発 を 行 なっている Xanadu Mines の 発 行 済 み 株 式 の 約 10%を 保 有 している 269 Xanadu Mines は Noble と 合 弁 事 業 方 式 ( 折 半 出 資 )で 4 つの 原 料 炭 開 発 プロジェクトを 運 営 するとともに 自 社 のみで 開 発 を 進 める 2 つの 一 般 炭 プロジェクトを 持 っている 270 さらに Noble Group は インドネシアでは 1 社 を 通 じて 石 炭 の 生 産 と 開 発 を 行 なっている Noble Group は 2011 年 11 月 PT Atlas Resources の 発 行 済 み 株 式 の 7.9%を 獲 得 した この 会 社 は 現 在 インドネシアに 生 産 中 の 炭 鉱 を 5 つ 開 発 中 の 炭 鉱 を 1 つ 持 っている CIC and Noble Enter into Investment and Cooperation Agreement, September 21, 2009 ( ce=desktop); CIC Buys 15% Stake in Noble Group to Gain Commodities, Bloomberg, September 22, 2009; CIC purchases 15% stake in Noble Group, China Daily, September 23, 2009; Noble Group Annual Report 2012, p ociate-yancoals-losses&catid=23%3anoble-coverage&itemid=665&lang=en %3Anoble-group-invests-in-australias-cockatoo-sells-stake-in-blackwood&catid=23%3Anoble-coverage&Itemid=665&lang =en&device=desktop 265 EER の Annual Report 2012, p East Energy Resources jumps as Noble takes stake, The Australian, May 1, 2010; East Energy Resources のホーム ページ 267 Noble Group の 発 表 ( re-mining-limited-&catid=21%3aannouncements&itemid=110&lang=en) Noble: Acquisition Of Shares In PT Atlas Resources Tbk, November 11,

217 Shanduka Group: 中 国 投 資 公 司 は 2011 年 12 月 南 アフリカの Shanduka Group 株 式 の 25%を 獲 得 し 南 アフリカ その 他 アフリカ 諸 国 での 投 資 機 会 を 開 発 することになった 272 Shanduka Group は 投 資 持 株 会 社 であり その 投 資 対 象 はエネルギーや 鉱 業 の 他 通 信 金 融 などと 幅 が 広 く 傘 下 に Shanduka Coal 及 び Kongra Coal を 持 っている 273 Shanduka Group は Shanduka Coal 株 式 の 50% Kongra Coal の 15%を 保 有 している Shanduka Coal は 2014 年 2 月 現 在 南 アに 4 つの 炭 鉱 を 持 ち 一 般 炭 と 無 煙 炭 を 生 産 している 274 また Kangra Coal は 南 アに 炭 鉱 を 1 つ 持 っている 宝 鋼 集 団 有 限 公 司 (Baosteel Group Corp.: 宝 鋼 集 団 ) 宝 鋼 集 団 は Aquila Resources Ltd( 持 株 比 率 19.9%)を 通 じて 豪 州 QLD 州 の Bowen 堆 積 盆 に 4 つの 炭 鉱 プロジェクトを 持 っている 開 発 が 最 も 進 んでいるのは Eagle Downs プロジェクト(Aquila Resources の 権 益 は 50%)である この 炭 鉱 は 坑 内 掘 りであり 2017 年 上 半 期 に 開 発 作 業 が 終 わって 生 産 に 入 り 年 400~500 万 トン の 強 粘 結 炭 の 生 産 を 47 年 間 続 けられると 見 込 まれている 276 Eagle Downs と 同 じく 強 粘 結 炭 を 生 産 する Washpool プロジェクト( 同 100%)は 露 天 掘 りであり 生 産 量 は 260 万 トン 生 産 開 始 は 2018 年 以 降 と 見 込 まれている 277 Talwood プロジェクトは 粘 結 炭 及 び 一 般 炭 を 坑 内 掘 りで 生 産 する 予 定 であり 2016 年 から 生 産 を 始 め 生 産 量 は 合 わせて 360 万 トンと 見 込 まれている 278 さ らに PCI を 生 産 する 予 定 の Walton プロジェクトでは 現 在 探 鉱 作 業 が 行 なわれている 279 宝 鋼 集 団 は 2009 年 8 月 Aquila Resources に 対 して 最 初 の 出 資 を 行 なう 際 戦 略 的 協 力 に 関 す る 覚 書 を 締 結 し Aquila Resources の 諸 プロジェクトに 対 する 中 国 の 金 融 機 関 からの 低 コスト 資 金 供 給 に 関 して 宝 鋼 集 団 が 協 力 することを 約 束 した 280 さらに 2010 年 6 月 には Aquila Resources と 中 国 開 銀 との 間 で Aquila Resources による 各 種 開 発 を 促 進 し かつ 宝 鋼 集 団 がそれを 支 援 する ための 覚 書 (MOU) また 同 年 8 月 には 宝 鋼 集 団 と 中 国 開 銀 との 間 で 外 国 における 資 源 獲 得 を 含 む 諸 開 発 のための 資 金 協 力 協 定 が それぞれ 締 結 されている 281 なお 後 述 の 通 り 宝 鋼 集 団 は 中 国 冶 金 科 工 集 団 有 限 公 司 ( 中 冶 集 団 :Metallurgical Group ( Corporate Profile ( 272 Chinese buy into Shanduka group, Reuters, December 22, 2011 ( 273 China Sovereign Fund Buys 25% Stake in South Africa s Shanduka Bloomberg, December 22, 2011; CIC buys 25% stake in Shanduka Financial Times, December 22, Shanduka Group now owns majority stake in Shanduka Coal, June 28, Greenpeace, (Special Report) The Critical List: 91 coal projects Australia can t afford, 2013( 以 下 Greenpeace と 略 す) Greenpeace; Aquila Resources Limited の Annual Report 2013( 以 下 Annual Report 2013 と 略 す) 279 Annual Report Aquila Resources, Stragetic co-operastion with Baosteel, August 28, Aquila Resources, Memorandum of Understanding Reached with China Development Bank Corporation, June 21, 2010; Baosteel Group Signed Financial Cooperation Agreement for Development with CDB, August 31, 2010 ( 170

218 Corporation)と 共 同 で2008 年 12 月 に 設 立 した 中 国 冶 金 科 工 を 通 じても 外 国 の 炭 鉱 権 益 を 取 得 し ている(China First Coal プロジェクトの 項 を 参 照 されたい) 5 広 東 広 晟 資 産 経 営 有 限 公 司 (Guangdong Rising Assets Management Co. Ltd: 広 東 広 晟 ) 広 東 広 晟 はイギリスの Caledon Resources plc を 全 額 子 会 社 として 持 っている 282 Caledon Resources は 豪 州 の QLD 州 で 2 つの 炭 鉱 プロジェクトを 運 営 している Cook Colliery プロジェク トはすでに 60 万 トン/ 年 の 生 産 能 力 を 保 有 しているが それを 350 万 トン/ 年 に 引 き 上 げることを 計 画 している 283 なお 生 産 される 石 炭 はほぼ 原 料 炭 8 一 般 炭 2 の 割 合 である 284 また Minyango プロジェクトは 2014 年 から 生 産 を 始 める 見 込 みであり フル 稼 働 時 には 900 万 トン/ 年 の 原 炭 ( 原 料 炭 と 一 般 炭 )の 生 産 を 行 なう 見 込 みである China First Coal プロジェクト このプロジェクトはQLD 州 のGalilee 堆 積 盆 において 進 められている 一 般 炭 の 大 規 模 な 開 発 事 業 である 鉄 道 港 湾 発 電 所 などを 含 む 総 事 業 費 が75 億 ~80 億 米 ドルと 見 積 もられているこのプ ロジェクトの 豪 州 側 の 推 進 者 は 同 国 の 事 業 家 かつ 政 治 家 であるClive Palmerが 所 有 するWaratah Coal Pty Ltd.である 同 じくPalmerが 所 有 しているResourcehouse Ltd.によると 中 国 冶 金 科 工 股 份 有 限 公 司 (Metallurgical Corporation of China Ltd: 中 国 冶 金 科 工 ) 中 国 中 鉄 股 份 有 限 公 司 (China Railway Group Ltd) China Power International Holding Ltd( 中 国 電 力 投 資 集 団 公 司 :China Power International Development Ltdの 子 会 社 以 下 China Power International) 中 国 交 通 建 設 股 份 有 限 公 司 (China Communications Construction Company Ltd) 中 煤 国 際 工 程 設 計 研 究 総 院 (Sino-coal International Engineering Design & Research Institute) 中 国 輸 出 入 銀 行 (Export-Import Bank of China: 中 国 輸 銀 )などの 中 国 企 業 が 戦 略 的 パートナーとして このプロジェクトに 参 加 している 286 豪 州 連 邦 政 府 は 2013 年 12 月 このプロジェクトにおける 石 炭 開 発 と 鉄 道 建 設 の 実 施 を 49 項 目 の 条 件 付 きながら 承 認 した 石 炭 生 産 は 2016 年 末 から 2017 年 初 にかけて 開 始 され 露 天 掘 り 及 び 坑 内 掘 りにより 一 般 炭 4,000 万 トン/ 年 が 約 30 年 に 亘 り 生 産 されると 見 込 まれている 287 なお OLD 州 政 府 はこのプロジェクトの 実 施 をすでに 2013 年 8 月 に 承 認 している 288 このプロジェクトに 関 連 して 中 冶 集 団 は 総 開 発 費 の 85%を 調 達 するために 中 国 輸 銀 に 対 し てバイヤーズ クレジットを 申 請 している 289 また China Power International は 上 記 の rint; t 289 Resourcehouse のホームページ ( 171

219 Resourcehouse によれば このプロジェクトで 生 産 される 一 般 炭 2,000 万 トンを 21 年 間 にわたり 購 入 することに 合 意 している しかし China Power International によれば 石 炭 の 購 入 について は 拘 束 力 のない 枠 組 み 契 約 に 関 する 話 し 合 いが 行 なわれたに 過 ぎない 290 なお 中 国 冶 金 科 工 は 2008 年 12 月 国 務 院 国 有 資 産 監 督 管 理 委 員 会 が 管 理 監 督 する 中 央 企 業 1 つである 中 国 冶 金 科 工 集 団 有 限 公 司 (Metallurgical Group Corporation: 中 冶 集 団 )と 同 じく 中 央 企 業 である 宝 鋼 集 団 ( 前 出 )によって 設 立 された 中 国 冶 金 科 工 は 2010 年 2 月 Resourcehouse の 5%の 株 式 を 獲 得 し さらに このプロジェクトの 10%の 権 益 を 獲 得 している 291 以 上 に 述 べた 通 り このプロジェクトからの 石 炭 供 給 には 少 なくとも 中 国 冶 金 科 工 と China Power International が 係 わりを 持 つことになるであろう 前 者 は Resourcehouse の 持 株 ならびにプ ロジェクトの 権 益 を 通 じて また 後 者 は 長 期 の 供 給 契 約 を 通 じてである 次 に 以 上 に 述 べた 企 業 に 比 べると 石 炭 供 給 確 保 量 がかなり 小 さい 企 業 について 述 べる 1 永 暉 焦 煤 股 份 有 限 公 司 (Winsway Coking Coal Holdings Ltd: 永 暉 焦 煤 ) 永 暉 焦 煤 の 主 要 な 事 業 は 原 料 炭 の 輸 入 であり 特 に 同 社 によるモンゴル 産 原 料 炭 の 輸 入 量 は 大 きく モンゴル 炭 の 供 給 確 保 とともに 同 国 における 炭 鉱 権 益 の 獲 得 にも 乗 り 出 している 2010 年 5 月 永 暉 焦 煤 はモンゴルで 数 ヵ 所 の 探 鉱 ライセンスを 持 つ Peabody-Winsway Resources B.V.(PWR) の 50%の 権 益 を 取 得 した PWR は 現 在 原 料 炭 と 一 般 炭 の 開 発 プロジェクトの 評 価 作 業 を 行 なっ ている 292 また 永 暉 焦 煤 はPeabody Energy との 間 でより 広 い 関 係 を 発 展 させている すなわち 永 暉 焦 煤 は2011 年 10 月 中 国 ならびにアジア 太 平 洋 地 域 の 石 炭 事 業 を 拡 大 するためにPeabody Energyと 新 たにJ/V を 結 成 する 覚 書 を 結 んだこと さらに Peabody Energy は2011 年 12 月 永 暉 焦 煤 の 株 式 の5.1%を 獲 得 したことが それぞれ 発 表 されている モンゴル 炭 の 供 給 確 保 に 関 しては 永 暉 焦 煤 は 2011 年 10 月 Mongolyn Alt LLC(MAK)と 10 年 間 の 戦 略 的 提 携 関 係 を 結 ぶことで 合 意 した これにより MAK は 2012 年 から モンゴルで 生 産 した 高 品 位 炭 を 永 暉 焦 煤 に 最 低 年 300 万 トン 供 給 し 後 者 はこの 石 炭 を 中 国 に 輸 出 するこ とになった 293 一 方 炭 鉱 権 益 の 取 得 に 関 しては 永 暉 焦 煤 は 丸 紅 とともに 2012 年 3 月 カナダの Grande Cache China's MCC to Invest in Australian Mining Company Resource House, Xinhua, February 3, 2010; China's Appetite for Overseas Coal Roaring in the Year of Tiger, February 26, 2010 ( Cash-rich Chinese, Indian groups interested in Anglo s zinc mines, April 23, 2010 ( ) 292 PEABODY ENERGY CORPORATION, 2012 FORM 10-K, p

220 Coal Corporation(GCC)の 買 収 を 行 なっている 持 ち 株 比 率 は 永 暉 焦 煤 60% 丸 紅 40% である GCC はアルバータ 州 で 3 億 トン 以 上 の 石 炭 資 源 を 有 する 炭 鉱 を 所 有 操 業 している 294 しかし これまでのところ 石 炭 の 生 産 量 はそれほど 大 きくなく 上 記 の 買 収 から 10 ヵ 月 間 (2012 年 3 ~12 月 )に 原 炭 で 229 万 トン 295 また 2013 年 1~6 月 にも 原 炭 で 122 万 トン 精 炭 で 76 万 トン であり しかも 将 来 の 計 画 については 詳 しいことが 明 らかにされていない 中 国 中 信 集 団 有 限 公 司 (CITIC Group Corporation: 中 国 中 信 集 団 ) 中 国 中 信 集 団 が 保 有 する 石 炭 関 係 の 権 益 は 全 て 豪 州 の QLD 州 における JV におけるものであ る 同 集 団 の 持 分 比 率 は 3 つのプロジェクトを 有 する The Coppabella and Moorvale coal mines joint venture (CMJV)では 14% その 他 の JV のうち CB Exploration では 50% Olive Downs Moorvale West 及 び West Rolleston では 10% West / North Burton では % さらに Capricorn West Walker 及 び Bowen Basin Coal では 15%である 297 このように 中 国 中 信 集 団 の 持 分 は 多 くの 場 合 大 きなものではないが 注 目 すべきは CMJV においては 生 産 される 石 炭 の 中 国 向 け 販 売 権 を 中 国 中 信 集 団 が 保 有 していることである 298 CMJV は 豪 州 における 低 揮 発 性 微 粉 炭 吹 き 込 み(PCI) 用 炭 の 生 産 者 5 社 の 1 つである 299 ま ず Coppabella 炭 鉱 は QLD 州 中 部 に 位 置 する 露 天 掘 り 炭 鉱 であり 輸 出 向 け PCI 用 炭 を 生 産 して いる 石 炭 販 売 量 は 2011 年 度 には 267 万 トン 300 また 2012 年 には 260 万 トン 301 であった 次 に Moorvale 炭 鉱 は 同 じく QLD 州 中 部 に 位 置 する 露 天 掘 り 炭 鉱 であり Coppabella 炭 鉱 と 同 種 の PCI 用 炭 に 加 え 原 料 炭 と 一 般 炭 を 生 産 している 販 売 量 は 2011 年 度 には 計 240 万 トン 年 には 計 190 万 トンであった 303 さらに PCI 用 炭 の 生 産 を 計 画 している Codrilla 炭 鉱 は Moorvale 炭 鉱 の 近 くにある 露 天 掘 り 炭 鉱 である 同 炭 鉱 では 年 間 300 万 トンの 生 産 を 目 指 して 2012 年 に 建 設 が 始 まり 2014 年 には 生 産 を 始 めることになっていたが 世 界 的 な 石 炭 需 要 低 迷 の 余 波 を 受 け 計 画 は 延 期 されている 304 以 上 に 述 べた 生 産 中 及 び 開 発 中 の 計 3 つのプロジェクトに 加 え 8 つのプロジェクトが 探 鉱 開 発 の 準 備 段 階 にあり いずれも QLD 州 に 位 置 している Marubeni Corporation, Joint Acquisition of the Grande Cache Coal Corporation, March 2, WINSWAY COKING COAL HOLDINGS LIMITED, ANNUAL RESULTS ANNOUNCEMENT FOR THE YEAR ENDED 31 DECEMBER 2012 ( 296 Winsway Coking Coal Holdings Limited, 2013 Interim Report, p CITIC Resources Holdings Limited の Annual Report 2012 (p.103~104); 同 じく Interim Report 2013 (p.13) 298 CITIC Resources Holdings Limited の Annual Report 2012 (p.7) 299 CITIC Resources のホームページ PEABODY Energy has decided to lower its Australian production targets, September 17, 2012 ( CITIC Resources Holdings Limited の Annual Report 2012 (p.7) 305 CITIC Resources Holdings Limited の Annual Report 2012 (p.103) 173

221 (2) その 他 の 企 業 まず 生 産 (あるいは 供 給 確 保 )の 数 量 は 年 数 百 万 トン 程 度 には 達 しないが 生 産 開 始 あるい は 供 給 確 保 の 目 途 がついている と 見 られる 企 業 について 述 べる 1 開 灤 集 団 有 限 責 任 公 司 (Kailuan Group: 開 灤 集 団 ) 開 灤 集 団 は 2010 年 8 月 カナダの British Colombia 州 東 北 部 の Gething 炭 鉱 について 中 国 首 鋼 国 際 貿 易 工 程 公 司 (Shougang International Trade and Engineering Co.)ならびに Canadian Dehua International Mines Group Inc 306 と 設 立 した Kailuan Dehua Mining Co.( 持 株 比 率 はそれぞれ 51% 25% 及 び 24%)を 通 じて 共 同 開 発 に 着 手 した Gething プロジェクトは 本 格 的 開 発 の 準 備 段 階 にある 307 が 生 産 開 始 の 暁 には 原 料 炭 の 生 産 量 は 年 200 万 トンになる 見 込 みであり 炭 鉱 の 寿 命 は 30 年 以 上 とされている 山 東 能 源 集 団 有 限 公 司 (Shandong Energy Group Company: 山 東 能 源 集 団 ) 山 東 能 源 集 団 は 2012 年 9 月 に 全 株 買 収 に 成 功 した 豪 州 の Rocklands Richfield を 通 じて QLD 州 の Bowen 堆 積 盆 に 次 の 3 つの 炭 鉱 プロジェクトを 持 っている Rocklands(Rocklands Richfield の 権 益 は 60%) Richfield( 同 60%) 及 び Hillalong( 同 100%) 309 同 集 団 は これらのうち Hillalong プロジェクトの 建 設 作 業 を 条 件 が 整 えば 2014~2015 年 から 始 め 2016 年 には 生 産 を 開 始 する 予 定 であり その 量 は 原 料 炭 と 一 般 炭 を 合 わせて 年 間 150~180 万 トンと 見 込 まれている 310 なお 他 の 2 つのプロジェクトの 開 発 動 向 は 不 明 である 3 義 馬 煤 業 集 団 公 司 (Yima Coal Group Co., Ltd: 義 馬 煤 業 集 団 ) 義 馬 煤 業 集 団 は U&D Mining Industry(Australia)Pty Ltd を 通 じて 豪 州 QLD 州 に 少 なくとも 数 ヵ 所 の 炭 鉱 プロジェクトを 持 っている 311 それらの 中 で 優 先 的 に 開 発 が 進 められているのは Meteor Downs South と Broughton の 2 つである これら 2 つのうち 最 初 に 生 産 を 始 めることが 予 定 されているのは 前 者 であり 生 産 開 始 の 時 期 は 2015 年 初 め 頃 生 産 量 は 150 万 トンと 見 込 まれている 次 いで Broughton プロジェクトの 炭 鉱 建 設 は 2015 年 半 ばに 開 始 され 2016 年 前 半 には 原 料 炭 の 生 産 が 開 始 される 見 込 みである 広 東 粤 電 集 団 公 司 (Guangdong Yudean Group Co. Ltd: 広 東 粤 電 集 団 ) 広 東 粤 電 集 団 は 豪 州 とインドネシアに 石 炭 権 益 を 持 っている 豪 州 の Narrabri プロジェクトで 306 この 会 社 の 創 設 者 で 取 締 役 社 長 である 劉 乃 順 は 山 西 省 出 身 の 移 民 である China's Shandong lifts stake in Queensland coking coal explorer Rocklands, Platts, August 7, 2012; China's Shandong plans new Queensland coal project despite price concerns, Dow Jones Newswires, October 3, 2012 ( e-concerns/story-e6frg9df )( 以 下 Dow Jones と 略 す) 310 Hillalong Coal Project ( 上 掲 の Dow Jones 311 U&D Mining Industry (Australia) Pty Ltd, Annual report for the year ended 30 June 2013 ; その 他 312 U&D Coal Limited, Prospectus, December 5,

222 は 同 集 団 は 7.5%の 権 益 を 持 っており 同 プロジェクトは 2011 年 度 に 生 産 を 開 始 した 後 2012 年 10 月 にはフル 生 産 を 達 成 し 2014 年 度 には 約 550 万 トンの 一 般 炭 (ただし うち 85 万 トンは PCI 用 炭 )を 生 産 する 見 込 みである 313 また インドネシアの DBP プロジェクトでは 同 集 団 は 60%の 権 益 を 持 っており 同 プロジェク トは 設 計 能 力 が 第 1 段 階 では 100 万 トン/ 年 最 終 的 には 200 万 トン/ 年 に 達 する 予 定 であり 2011 年 には 第 1 段 階 の 生 産 を 開 始 した 314 ただし その 後 の 動 向 は 不 明 である 5 大 地 工 程 開 発 ( 集 団 ) 有 限 公 司 (Dadi Engineering Development(Group)Co. Ltd.: 大 地 工 程 開 発 ) 大 地 工 程 開 発 は 豪 州 の MetroCoal 株 式 の 15.3%を 持 っている MetroCoal は QLD 州 南 部 の Bundi と Columboola で 一 般 炭 の 開 発 を 進 めている Bundi では 2015 年 から 坑 内 掘 りによる 年 500 万 ト ン 以 上 の 輸 出 向 け 生 産 能 力 を 開 発 し 2017 年 に 生 産 を 始 めること また Columboola では 2016 年 から 同 じく 坑 内 掘 りによる 年 500 万 トン 以 上 の 輸 出 向 け 生 産 能 力 を 開 発 し 2018 年 に 生 産 を 始 めることを 計 画 している 現 在 は その 前 の 準 備 段 階 ( 探 査 プレ フィージビリティ スタデ ィなど)にある 315 なお 後 に 述 べる 通 り MetroCoal Ltd とは 中 煤 集 団 が J/V を 形 成 し Columboola 鉱 区 で 探 鉱 を 行 なっている 次 に 生 産 開 始 あるいは 供 給 確 保 の 目 途 がついていない 企 業 について 述 べる 1 中 国 鋁 業 公 司 (Aluminum Corporation of China: Chinalco= 中 国 鋁 業 ) 中 国 鋁 業 は これまでモンゴルで 石 炭 権 益 の 取 得 に 動 いてきたが 成 功 には 至 っていない 一 方 モンゴル 炭 の 購 入 については 中 国 鋁 業 は 2011 年 7 月 モンゴルの 国 営 石 炭 会 社 Erdenes Tavan Tolgoi LLC(ETT)との 間 で 南 ゴビ 州 Tavan Tolgoi 鉱 床 東 ブロックで 生 産 される 原 料 炭 の 供 給 に ついて 合 意 し 同 社 の 購 入 する 石 炭 の 30%を 日 本 の 伊 藤 忠 商 事 三 井 物 産 及 び 韓 国 の KORES に 再 販 することになっている 年 8 月 ETT は 原 料 炭 の 中 国 向 け 輸 出 を 開 始 した 317 中 国 鋁 業 は 2012 年 には 当 初 計 画 の 300~400 万 トンを 下 回 る 量 であったとは 言 え 237 万 トンの 原 料 炭 を 輸 入 している 318 しかし その 輸 出 は 2013 年 1 月 に 至 って 停 止 されてしまい 停 止 は 4 月 まで 続 いた 輸 出 停 止 に 際 して モンゴル 側 は 契 約 に 関 する 再 協 議 の 必 要 があること また それは 中 国 鋁 業 への 引 渡 し 価 格 がコストを 下 回 っているからであることを 主 張 していた ただし 詳 細 は 不 明 であるが 同 集 団 の Annual Report 2010 p MetroCoal のホームページ( 316 Mongolia state-owned miner signs coal deal with China's Chalco, Reuters, July 27, 2011; 317 Mongolia's Tavan Tolgoi mine starts shipping coal to Chalco, Reuters, August 5, Chalco threatens legal action in Mongolia coal dispute, January 29, 2013 ( Chalco Urges Erdenes TT to Honor Terms of Coal-Supply Accord, Bloomberg, January 22, 2013; Chalco threatens legal action in Mongolia coal dispute, Reuters, January 28,

223 それには 中 国 鋁 業 から ETT への 3 億 5,000 万 ドルの 資 金 貸 与 が 絡 んでいたようである 319 このような 流 れの 中 では 同 社 が Rio Tinto との 提 携 に 動 いたことが 注 目 される これら 両 社 は 2009 年 後 半 頃 から それまでに 悪 化 した 関 係 の 修 復 に 努 めていたが その 一 環 として Rio Tinto は 中 国 市 場 における 同 社 の 地 位 を 改 善 するために 国 際 市 場 におけるシェアを 提 供 する 見 返 りに 中 国 企 業 と 協 力 関 係 を 結 ぶことを 意 図 していた 両 社 は 2011 年 6 月 合 弁 企 業 を 通 じて 行 なう 中 国 における 鉱 物 資 源 の 探 査 計 画 を 発 表 している 中 国 中 煤 能 源 集 団 公 司 (China National Coal Group Corporation: 中 煤 集 団 ) 中 煤 集 団 は 孫 会 社 である SinoCoal Resources Pty Ltd を 通 じて MetroCoal Ltd と J/V を 形 成 し 2010 年 12 月 から QLD 州 Surat 堆 積 盆 の Columboola 鉱 区 で 探 鉱 を 始 め 2014 年 2 月 現 在 探 鉱 作 業 は 継 続 されている なお 2012 年 12 月 には 探 鉱 期 間 を 2017 年 12 月 まで 延 期 することが 認 められた 321 また 中 煤 集 団 の 傘 下 にある 中 国 中 煤 能 源 股 份 有 限 公 司 (China Coal Energy Company Limited: 中 国 中 煤 能 源 )は 2009 年 11 月 中 国 華 能 集 団 と 海 外 石 炭 共 同 開 発 意 向 書 322 を 締 結 し 海 外 における 石 炭 及 び 電 力 関 連 事 業 の 共 同 開 発 につき 合 意 しているが この 意 向 書 のその 後 の 展 開 は 明 らかではない 3 首 鋼 集 団 有 限 責 任 公 司 (Shougang Group: 首 鋼 集 団 ) 首 鋼 集 団 は 上 述 の 通 り Kailuan Energy Chemical の 子 会 社 に 出 資 し カナダ BC 州 の Gething 炭 鉱 の 開 発 に 参 加 している この 炭 鉱 は 現 在 本 格 的 な 開 発 の 前 の 準 備 段 階 にあり 条 件 が 整 え ば 2014 年 から 炭 鉱 の 建 設 が 始 められる と 言 われている 中 国 大 唐 集 団 公 司 (China Datang Corporation: 中 国 大 唐 集 団 ) 中 国 大 唐 集 団 は 2012 年 インドの Reliance Power との 間 で 戦 略 的 同 盟 を 形 成 したが その 対 象 には 南 スマトラの 3 つの 炭 鉱 の 開 発 が 含 まれている 324 Reliance Power は これらの 炭 鉱 で 年 3,000 万 トンの 潜 在 的 生 産 能 力 を 開 発 すること また 2013 年 に 生 産 を 開 始 することを 計 画 してきたが 最 近 の 動 向 は 不 明 である モンゴル:Erdenes Tavan Tolgoi 社 の 幹 部 インタビュー ( Mongolia grants 1-year contract to mine Tavan Tolgoi west block, Reuters, July 19, 2013; caixin(110107) 321 The Project Exploration in Columboola Formally Approved a Five-Year Extension, December 17, 2012 ( その 他 322 中 国 華 能 集 団 のホームページ( Reliance Power ties up with China s Datang, August 25, 2012 ( R Power in pact with Chinese energy company China Datang ( (2014 年 2 月 12 日 検 索 ) 176

224 5 中 国 華 能 集 団 公 司 (China Huaneng Group: 中 国 華 能 集 団 ) 中 国 華 能 集 団 は2013 年 10 月 En+ Group( 上 述 )との 間 で 戦 略 的 協 力 枠 組 み 協 定 を 結 び ロシア における 電 力 開 発 とともに 石 炭 開 発 を 共 同 で 実 施 することにつき 合 意 している 326 しかし その 後 具 体 的 なプロジェクトの 動 きは 伝 えられていない また 上 述 の 通 り 中 国 華 能 集 団 は 中 国 中 煤 能 源 と 海 外 石 炭 共 同 開 発 意 向 書 を 締 結 しているが この 意 向 書 のその 後 の 展 開 は 明 らかではない 6 貴 州 国 創 能 源 控 股 ( 集 団 ) 股 份 有 限 公 司 (Guizhou Guochuang Energy Holding(Group)Co., Ltd: 貴 州 国 創 公 司 ) 貴 州 国 創 公 司 は 2012 年 5 月 米 国 のテネシー 州 に 石 炭 開 発 権 を 持 つ Triple H Coal(THC)を 獲 得 し その 当 時 THC は 5 つの 炭 鉱 を 開 発 することを 計 画 していた 327 ただし その 後 の 動 向 は 不 明 である M 327 China Digs into America, May 29, 2012 ( 177

225 第 6 章 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 の 予 測 本 調 査 では 石 炭 需 給 予 測 を 行 うにあたり 計 量 経 済 手 法 と 線 型 計 画 手 法 を 利 用 して エネルギ ー 需 要 予 測 モデルを 開 発 した まず エネルギー 需 要 予 測 モデルをを 使 い 中 国 の 経 済 部 門 別 地 域 別 の 最 終 エネルギー 需 要 を 予 測 した 次 に 転 換 部 門 特 に 発 電 部 門 の 石 炭 需 要 は 線 型 計 画 手 法 を 用 いて 電 源 構 成 と 燃 料 需 要 を 予 測 した 最 後 に 最 終 エネルギー 需 要 と 転 換 部 門 のエネ ルギー 需 要 を 合 わせて 一 次 エネルギー 需 要 を 計 算 した その 上 で 2040 年 までの 中 国 の 産 業 部 門 別 及 び 炭 種 別 の 石 炭 需 給 予 測 を 行 行 った まず 2000 年 以 降 における 中 国 の 経 済 動 向 を 辿 り 主 な 国 際 機 関 や 中 国 の 専 門 家 による 経 済 予 測 を 参 照 した 上 で エネルギーの 最 終 需 要 や 石 炭 多 消 費 産 業 ( 電 力 鉄 鋼 建 材 石 炭 化 学 など)の 生 産 活 動 を 予 測 するための 主 な 前 提 として 経 済 成 長 率 と 人 口 を 予 測 する(6.1 参 照 )とともに これらの 産 業 における 生 産 能 力 拡 張 計 画 技 術 進 歩 さらに 直 面 する 障 害 などを 検 討 する(6.2 参 照 ) 次 に これらの 前 提 に 基 づいて 石 炭 多 消 費 産 業 の 動 向 関 連 政 策 などにつき 検 討 を 行 うとと もに これらに 関 する 研 究 報 告 及 び 専 門 家 の 見 解 も 考 慮 に 入 れた 上 で 将 来 における 石 炭 多 消 費 製 品 の 需 要 量 のピークとその 時 期 を 推 定 する 最 大 の 石 炭 消 費 分 野 である 電 力 産 業 については 年 までの 部 門 別 の 電 力 最 終 需 要 を 予 測 し 2 電 力 供 給 面 において 燃 料 間 の 競 合 及 び 非 化 石 エネルギー 発 電 の 導 入 量 を 検 討 するために 燃 料 価 格 発 電 コスト CO 2 排 出 量 などを 評 価 基 準 とする 電 源 開 発 の 最 適 化 モデルを 利 用 し エネルギー 源 別 の 発 電 電 力 量 を 予 測 する その 際 電 源 構 成 に 関 して 3 つのシナリオを 設 定 する(6.3 参 照 ) さらに 電 力 を 含 む 石 炭 多 消 費 産 業 別 の 石 炭 需 要 の 予 測 に 当 たっては 技 術 導 入 計 画 も 考 慮 に 入 れて 製 品 別 の 石 炭 消 費 原 単 位 を 推 定 する 一 方 石 炭 多 消 費 産 業 以 外 の 農 業 建 築 民 生 商 業 などの 部 門 の 石 炭 消 費 については 計 量 経 済 モデルを 利 用 して 予 測 を 行 う(6.4 参 照 ) このようにして 2040 年 までの 石 炭 多 消 費 産 業 及 びその 他 の 部 門 から 成 る 中 国 全 体 の 石 炭 需 要 が 予 測 され また 一 次 エネルギー 需 要 の 中 で 石 炭 が 占 める 比 率 が 明 らかになる(6.5 参 照 ) 最 後 に 将 来 における 石 炭 の 需 給 バランスを 推 定 するため 第 1 章 の 政 策 第 3 4 章 の 石 炭 生 産 輸 出 入 消 費 の 現 状 及 び 本 章 の 予 測 に 基 づいて 将 来 における 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 状 況 の 分 析 を 行 う(6.6 参 照 ) なお 地 域 別 の 石 炭 需 給 予 測 は 次 の 第 7 章 で 行 う 178

226 6.1 予 測 の 前 提 条 件 の 設 定 中 国 国 家 統 計 局 の 2013 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 報 告 328 によると 2013 年 の 中 国 の 国 内 総 生 産 (GDP)は 56 兆 8,845 億 元 (9.3 兆 米 ドル 2013 年 の 平 均 為 替 レートによる) 一 人 当 たりの GDP は 6,857 ドル GDP の 実 質 成 長 率 は 7.8%であった 成 長 率 は 2 年 連 続 で 8%を 下 回 り 中 国 経 済 はすでに 高 度 成 長 の 段 階 を 離 れ 中 成 長 の 段 階 もしくは 経 済 成 長 の 速 度 が 徐 々に 鈍 化 する 段 階 に 入 っている 億 元 % 600, , , , , , ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 統 計 局 統 計 公 報 より 作 成 図 年 以 降 の 実 質 GDP と 対 前 年 比 成 長 率 2013 年 の 中 国 経 済 の 構 造 を 見 ると 第 1 次 産 業 は 5 兆 6,957 億 元 ( 対 前 年 比 4.0% 増 以 下 同 ) 第 2 次 産 業 は 24 兆 9,684 億 元 (7.8% 増 ) 第 3 次 産 業 は 26 兆 2,204 兆 億 元 (8.3% 増 )になる 産 業 別 構 成 比 率 では 第 1 次 産 業 が 10.0% 第 2 次 産 業 が 43.9% 第 3 次 産 業 が 46.1%となり 第 3 次 産 業 の 比 率 が 初 めて 第 2 次 産 業 を 超 えた これは 世 界 経 済 の 影 響 を 受 けて 輸 出 産 業 が 低 迷 した ことが 主 な 原 因 である 考 えられる 329 中 国 第 3 次 産 業 45% 第 1 次 産 業 10% 日 本 第 1 次 産 業 1% 第 2 次 産 業 24% 第 2 次 産 業 45% 第 3 次 産 業 75% ( 出 所 ) 中 国 : 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 日 本 : 総 務 省 経 済 統 計 速 報 より 作 成 図 年 の 日 中 両 国 の 経 済 構 造 比 較 中 国 統 計 局 2013 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 報 告 2014 年 2 月 24 日 現 時 点 では 各 産 業 の 構 成 比 は 速 報 値 であり 今 後 修 正 される 可 能 性 もある 179

227 また 先 進 国 と 比 べると 中 国 ではまだ 第 3 次 産 業 の 比 率 が 低 く 第 1 次 2 次 産 業 の 比 率 が 高 い 第 2 次 産 業 の 比 率 が 高 いため 高 い 経 済 成 長 の 割 には 労 働 力 を 十 分 に 吸 収 できない と いう 産 業 構 造 上 の 問 題 がある 他 方 サービス 業 は 発 展 ポテンシャルが 依 然 高 く 今 後 の 中 国 の 経 済 成 長 にとって 重 要 な 牽 引 力 になると 推 測 される 従 来 中 国 の 経 済 成 長 に 貢 献 した 3 大 要 素 は 固 定 資 産 投 資 輸 出 入 外 国 からの 直 接 投 資 で ある 2013 年 の 中 国 の 固 定 資 産 投 資 額 は 44.7 兆 元 で 2012 年 に 比 べ 実 質 18.9% 増 加 した 固 定 資 産 投 資 総 額 の 中 で 不 動 産 投 資 額 は 8 兆 6,013 億 元 全 体 の 19.2%を 占 め 前 年 比 では 19.8% 増 に なった 2013 年 の 消 費 総 額 は 23.7 兆 元 前 年 比 実 質 11.5% 増 になったが 固 定 資 産 投 資 を 21 兆 元 下 回 った 中 国 の 2013 年 の 対 外 貿 易 総 額 は 4.2 兆 ドルである うち 輸 出 額 は 2.2 兆 ドル 輸 入 額 は 2.0 兆 ドルであり 貿 易 黒 字 は 2,592 億 ドルである 但 し 輸 出 額 の 対 前 年 比 伸 び 率 は 2010 年 以 降 年 々 低 下 しており 2011 年 の 36%に 対 して 2012 年 には 7.9% 2013 年 には 7.8%に 低 下 した また 対 中 直 接 投 資 金 額 (FDI)は 2012 年 の 1,117 億 ドルから 2013 年 には 1,176 億 ドルに 増 えたもの の 伸 び 率 は 低 下 している さらに 2013 年 の 外 貨 準 備 高 は 3.8 兆 ドル 以 上 で 2013 年 GDP の 9.3 兆 ドルの 3 分 の 1 強 に 当 たる 2013 年 の 物 価 水 準 を 見 ると 一 般 消 費 者 物 価 指 数 は 2.6% 卸 物 価 指 数 は 2.9%の 上 昇 を 記 録 した 億 ドル 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 対 中 直 接 投 資 金 額 (FDI) 輸 入 輸 出 億 ドル 1,400 1,200 1, ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 総 務 省 統 計 速 報 より 作 成 図 輸 出 入 と 対 中 直 接 投 資 金 額 (FDI) 中 国 の 経 済 成 長 の 制 約 要 因 は 前 述 の 構 造 問 題 以 外 にも 様 々なものがある 短 期 的 に 見 れば 不 動 産 バブル 地 方 が 抱 える 膨 大 な 負 債 と 不 安 定 な 金 融 システム 過 剰 設 備 賃 金 や 為 替 レート の 上 昇 による 国 際 競 争 力 の 弱 体 化 などである また 中 長 期 的 には 資 源 エネルギー 問 題 環 境 汚 染 少 子 高 齢 化 水 不 足 少 数 民 族 問 題 幹 部 の 腐 敗 などが 挙 げられる 今 後 も 安 定 した 経 済 成 長 を 続 けるためには 政 治 改 革 政 府 と 市 場 の 関 係 の 正 常 化 ( 国 有 企 業 が 基 幹 産 業 を 独 占 し 180

228 ている 現 状 を 改 めること エネルギー 分 野 の 市 場 化 を 進 めることなど) 経 済 成 長 構 造 の 転 換 330 金 融 の 自 由 化 と 国 際 化 への 対 応 少 子 高 齢 化 対 策 等 の 課 題 を 解 決 することが 不 可 欠 になる 中 国 経 済 は 1978 年 の 改 革 開 放 政 策 実 施 以 来 35 年 間 にわたって 高 成 長 を 持 続 し 社 会 主 義 国 として 初 めて 工 業 化 に 成 功 し 中 国 モデル として 評 価 されてはいるが 前 述 のような 多 くの 問 題 を 抱 え ており 歴 史 的 転 換 期 を 迎 えていると 言 える 今 後 の 中 国 の 経 済 については 崩 壊 論 から 高 成 長 持 続 論 に 到 るまで 様 々な 予 測 があるが ここ では 世 界 の 代 表 的 な 専 門 機 関 の 予 測 を 概 観 する 短 中 期 的 予 測 について 見 ると まず IMF が 2014 年 に 発 表 した 最 新 予 測 は 2014 年 の 中 国 経 済 の 成 長 率 を 7.3% 2015 年 の 成 長 率 を 7.0%としている 331 IMF はこの 最 新 版 の 予 測 において 2014 年 の 中 国 経 済 の 成 長 率 を 2013 年 10 月 に 発 表 した 予 測 よりも 0.1 ポイント 高 く 見 直 した な お 2013 年 10 月 の 予 測 は 中 国 経 済 の 2013~2018 年 の 年 平 均 成 長 率 を 7.2%とし 世 界 で 最 も 高 い 成 長 を 遂 げるとしていた 次 に アジア 開 発 銀 行 (ADB)は 2013 年 12 月 の 経 済 予 測 において 2014 年 の 中 国 の 経 済 成 長 率 を 7.5%と 予 測 した 332 さらに OECD 開 発 センターが 2013 年 10 月 に 発 表 した 予 測 によると 2014~2018 年 の 中 国 経 済 の 年 平 均 成 長 率 は 7.7%になる 333 なお IMF ADB OECD 開 発 センターはいずれも 短 期 的 に 中 国 経 済 の 崩 壊 の 可 能 性 は 低 いと 判 断 している ( 注 )GEO: Global Economic Outlook 2014 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 表 中 国 経 済 の 短 中 期 予 測 ( 伸 び 率 %) /12 IMF OECD ADB GEO 一 方 長 期 予 測 について 見 ると まず IEA が2013 年 9 月 に 発 表 した World Energy Outlook 2013 は 中 国 の GDP 成 長 率 について 2011 年 ~2020 年 は 年 平 均 8.1% 2011 年 ~2035 年 は 年 平 均 5.7% になるとの 予 測 を 示 した 次 に EIA は 2013 年 7 月 に 発 表 した International Energy Outlook の 中 で 2020 年 までの 中 国 経 済 の 年 平 均 成 長 率 を 7.3% 2020 年 ~2030 年 の 年 平 均 成 長 率 を 5.7% 2030 年 ~2040 年 の 年 平 均 成 長 率 を 約 4%と 予 測 した EIA の 予 測 は IEA と 比 べると 2011 年 ~2035 年 の 中 国 GDP の 年 平 均 成 長 率 は 若 干 高 く 6.0%になる さらに 日 本 国 内 の 予 測 として 2013 年 10 月 の IEEJ の World Energy Outlook 2013 があり 2011~2020 年 における 中 国 の GDP の 年 平 均 成 長 率 を 7.6% 2020~2030 年 の 年 平 均 成 長 率 を 4.7% 2030~2040 年 の 年 平 均 成 長 率 を 3.4% 330 中 国 が 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 打 ち 出 した 経 済 成 長 戦 略 の 転 換 ( 中 国 語 で 経 済 発 展 方 式 転 変 )を 本 稿 では 経 済 成 長 構 造 の 転 換 とする 331 IMF World Economic Outlook (WEO) Update 2014 年 1 月 332 ADB Firming industrial economies to support Asia s outlook 2013 年 12 月 333 OECD Development Centre Economic Outlook for Southeast Asia, China and India

229 と 予 測 しており IEA の 予 測 と 同 様 に 2011 年 ~2035 年 の 年 平 均 予 想 成 長 率 は 5.6%になる 中 国 国 内 の 予 測 については まず 中 国 政 府 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 (2011~2015 年 )は 2011 年 ~2020 年 の GDP の 年 平 均 成 長 率 を 7%と 予 測 していた また 国 務 院 発 展 研 究 センター(DRC) の 2013 年 12 月 版 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 における 政 策 最 適 シナリオ(Scenario C) では 2012 年 ~2020 年 の GDP の 年 平 均 伸 び 率 を 7.9% 2020 年 ~2030 年 を 5.2%と 予 測 し 購 買 力 平 価 (PPP)で 計 算 すると 2030 年 に 中 国 の 経 済 規 模 がアメリカの 1.48 倍 欧 州 の 1.23 倍 にな るとの 予 測 が 示 されている 本 調 査 では 世 界 経 済 の 動 向 中 国 の 労 働 人 口 などに 基 づき 中 国 の GDP の 年 平 均 成 長 率 を 2012 年 ~2020 年 には 7.8% 2020 年 ~2030 年 には 5.6% 2030 年 ~2040 年 には 3.8%と 予 測 した 表 中 国 の 経 済 成 長 率 の 長 期 予 測 2011~ ~ ~ ~2040 EIA 7.3% 5.7% 4.0% 5.6% IEEJ 7.6% 4.7% 3.4% 5.2% Scenario A 6.2% 5.1% - - DRC Scenario B 7.6% 5.5% - - Scenario C 7.9% 5.2% - - 本 調 査 7.8% 5.6% 3.8% 5.7% ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 182

230 6.2 石 炭 多 消 費 産 業 の 生 産 能 力 拡 張 計 画 と 技 術 進 歩 電 力 産 業 2013 年 現 在 中 国 の 発 電 設 備 容 量 は 12.5 億 kw 2012 年 より 9.3% 増 加 し 初 の 世 界 一 となっ た 発 電 設 備 容 量 のうち 火 力 発 電 設 備 容 量 は 8.6 億 kw 2012 年 比 で 5.7% 増 加 した 水 力 発 電 設 備 容 量 は 2.8 億 kw 2012 年 比 で 12.3% 増 加 原 子 力 発 電 設 備 容 量 は 1,461 万 kw 2012 年 比 で 16.2% 増 加 風 力 発 電 設 備 容 量 は 7,548 万 kw 2012 年 比 で 24.5% 増 加 さらに 太 陽 光 発 電 設 備 容 量 は 1,479 万 kw 2012 年 比 で 3.4% 増 加 した 年 の 発 電 設 備 容 量 の 増 加 率 は 同 年 の GDP の 増 加 率 7.7%より 1.6% 高 い 9.3%を 記 録 した 2013 年 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 の 平 均 稼 働 時 間 数 は 5,128 時 間 で 平 均 稼 働 率 は 58.5%である また 中 国 の 発 電 設 備 全 体 の 利 用 時 間 数 はさらに 少 ない 4,511 時 間 で 稼 働 率 は 51.5%である したがっ て 設 備 過 剰 問 題 が 深 刻 化 していると 見 られる 2013 年 の 中 国 の 電 力 大 手 の 火 力 発 電 設 備 のエネルギー 消 費 原 単 位 は 225goe/kWh で 世 界 先 端 レベルに 達 している しかし 小 規 模 火 力 発 電 設 備 のエネルギー 消 費 原 単 位 がかなり 高 いため この 分 野 の 設 備 を 廃 棄 することが 今 後 の 重 点 課 題 といえよう 中 国 政 府 は 第 12 次 計 画 (2011 年 ~2015 年 ) 及 び 第 13 次 計 画 (2016 年 ~2020 年 ) 期 間 の 発 電 設 備 容 量 や 非 化 石 エネルギー 発 電 比 率 に 関 する 目 標 値 を 表 のように 設 定 し 非 化 石 エネル ギー 発 電 比 率 を 引 き 上 げる 方 針 を 示 している 一 次 エネルギー 消 費 量 に 占 める 非 化 石 エネルギー 比 率 を 2020 年 に 約 15%に 引 き 上 げ GDP 単 位 当 たりの CO 2 排 出 量 を 2005 年 比 で 40~50% 削 減 す る 計 画 である また 既 述 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 では 1 北 京 市 や 天 津 市 などの 石 炭 火 力 発 電 を 削 減 し 2 水 力 地 熱 風 力 太 陽 エネルギー バイオマスによる 発 電 の 開 発 を 強 化 し 3 安 全 性 の 高 い 原 子 力 発 電 開 発 を 進 め 2017 年 時 点 の 原 子 力 発 電 容 量 を 5,000 万 kw にし 4 非 化 石 燃 料 の 消 費 比 率 を 13%に 引 き 上 げる などの 方 針 が 示 されており 今 後 石 炭 火 力 発 電 所 の 建 設 速 度 が 長 期 にわたり 低 下 すると 予 測 される 発 電 設 備 に 関 しては 中 国 は 現 在 蒸 気 温 度 600 の 超 々 臨 界 圧 発 電 設 備 の 保 有 台 数 で 世 界 一 であり 発 電 熱 効 率 は 45%に 達 している また 300MW の 超 臨 界 圧 循 環 流 動 層 ボイラー(CFB) が 稼 働 中 であり 600MW の 超 臨 界 圧 CFB を 建 設 中 である さらに 250MW の IGCC 発 電 設 備 の 実 験 用 設 備 も 開 発 済 みである 中 国 の 専 門 家 は 今 後 導 入 予 定 の 火 力 発 電 設 備 は 全 て 100 万 kw 以 上 の 超 臨 界 圧 超 々 臨 界 圧 であり 30 万 kw 以 下 の 発 電 設 備 は 徐 々に 淘 汰 されるとしている 334 中 国 電 力 企 業 連 合 会 2014 年 の 電 力 情 勢 分 析 と 予 測 に 関 するレポート 2014 年 2 月 25 日 183

231 表 電 源 別 発 電 設 備 容 量 非 化 石 エネルギー 発 電 比 率 などの 目 標 値 2015 年 2020 年 発 電 設 備 容 量 ( 億 kw) 14.63(100%) 2010 年 比 4.93 億 kw 増 19.35(100%) 2015 年 比 4.72 億 kw 増 水 力 発 電 ( 億 kw) 3.01(20.57%) 3.6(18.60%) 揚 水 式 発 電 ( 億 kw) 0.41(2.80%) 0.6(3.10%) 石 炭 発 電 ( 億 kw) 9.28(63.43%) 11.7(60.47%) 原 子 力 発 電 ( 億 kw) 0.43(2.94%) 0.8(4.13%) ガス 発 電 ( 億 kw) 0.4(2.73%) 0.5(2.58%) 風 力 発 電 ( 億 kw) 1.0(6.84%) 1.8(9.30%) 太 陽 光 発 電 ( 億 kw) 0.05(0.34%) 0.25(1.29%) バイオマス その 他 ( 億 kw) 0.05(0.34%) 0.1(0.52%) 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 231goe/kWh 2010 年 比 5goe/kWh 減 224goe/kWh 2015 年 比 10goe/kWh 減 非 化 石 エネルギー 発 電 設 備 容 量 ( 億 kw) 発 電 設 備 容 量 に 占 める 非 化 石 エネルギー 発 電 容 量 比 率 33.8% 37.0% 非 化 石 エネルギーの 発 電 量 ( 兆 kwh) 発 電 量 に 占 める 非 化 石 エネルギー 発 電 比 率 24.9% 27.3% 一 次 エネルギー 消 費 量 に 占 める 非 化 石 エネルギー 発 電 比 12.4%*1 14.5%*2 率 100kV 以 上 の 送 配 電 線 の 総 延 長 ( 万 km) kV 以 上 の 送 配 電 線 の 変 電 容 量 ( 億 kva) ( 注 )*1 非 化 石 エネルギーによる 発 電 量 が 化 石 エネルギー3.6 億 toe を 代 替 するとして 算 出 *2 非 化 石 エネルギーによる 発 電 量 が 化 石 エネルギー7.7 億 toe を 代 替 するとして 算 出 ( 出 所 ) 電 力 産 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 関 する 段 階 的 研 究 をもとに 作 成 製 鉄 業 2012 年 末 時 点 の 中 国 の 銑 鉄 生 産 能 力 は 9.1 億 トンで 粗 鋼 生 産 能 力 は 9.8 億 トンである 粗 鋼 生 産 設 備 の 稼 働 率 は 72%で 国 際 レベルの 85%と 比 べるとかなり 低 い 2012 年 の 銑 鉄 生 産 量 6.6 億 トン 粗 鋼 生 産 量 7.2 億 トンを 基 に 計 算 すると 過 剰 生 産 能 力 はそれぞれ 2.5 億 トンと 2.6 億 ト ンになる 稼 働 率 を 85%と 仮 定 して 計 算 すると 銑 鉄 と 粗 鋼 の 過 剰 設 備 能 力 はそれぞれ 1.3 億 ト ン 以 上 となる 中 国 では 2015 年 の 粗 鋼 需 要 は 7.5 億 トン 前 後 になると 予 測 されており 2015 年 ~ 2020 年 の 鉄 鋼 需 要 は 7.7~8.2 億 トンでピークに 達 し その 後 は 7 億 トン 程 度 の 横 這 いになると 予 測 されている 年 の 鉄 鋼 企 業 の 利 益 は 激 減 し 産 業 全 体 の 損 失 額 は 億 元 に 達 した 2012 年 の 鉄 鋼 産 業 の 設 備 稼 働 率 が 72%であり 国 際 水 準 よりかなり 低 いことが その 主 な 原 因 と 考 えられる ま た 2012 年 末 の 鉄 鋼 産 業 の 負 債 比 率 は 2011 年 比 で 1.4% 増 加 しており 上 場 企 業 44 社 の 平 均 負 債 335 石 炭 工 業 出 版 社 石 炭 工 業 発 展 12 5 企 画 重 大 課 題 研 究 184

232 率 は 60.4%に 達 した 工 業 信 息 化 部 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 間 における 重 点 産 業 の 老 朽 化 生 産 設 備 の 生 産 能 力 廃 棄 目 標 では 2015 年 末 までに 粗 鋼 と 製 鉄 の 生 産 能 力 をそれぞれ 4,800 万 トン 淘 汰 するよう 指 示 して いる また 国 務 院 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 では 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 定 められた 老 朽 化 した 生 産 能 力 の 廃 棄 目 標 を 2014 年 までに 達 成 し 2015 年 の 銑 鉄 と 粗 鋼 の 生 産 能 力 をそれぞれ 1,500 万 ト ン 減 少 するよう 指 示 している この 他 重 点 地 域 ( 山 東 河 北 遼 寧 江 蘇 山 西 江 西 の 各 省 ) で 鉄 鋼 産 業 の 構 造 調 整 を 行 い 粗 鋼 生 産 能 力 を 8,000 万 トン 減 らすこと 今 後 5 年 間 で 生 産 能 力 過 剰 問 題 をほぼ 解 決 することなどの 目 標 を 掲 げている これらの 目 標 を 整 理 すると 2015 年 までに 銑 鉄 と 粗 鋼 の 生 産 能 力 をそれぞれ 6,300 万 トン 減 少 する 計 画 になる 製 鉄 業 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 2006 年 ~2010 年 に 老 朽 化 した 銑 鉄 生 産 設 備 1.2 億 トン 粗 鋼 生 産 設 備 7,224 万 トンを 淘 汰 したとしている また 発 展 改 革 委 員 会 のデータ では 2006 年 ~2012 年 に 老 朽 化 した 銑 鉄 生 産 能 力 と 粗 鋼 生 産 能 力 をそれぞれ 1 億 トン 強 と 1.6 億 トン 削 減 したとしている 同 委 員 会 の 解 振 華 副 主 任 は 2012 年 に 老 朽 化 した 銑 鉄 生 産 能 力 を 1,078 万 トン/ 年 粗 鋼 生 産 能 力 を 937 万 トン/ 年 削 減 したとしている 一 方 同 期 間 (2006 年 ~2010 年 )に 新 設 された 粗 鋼 生 産 能 力 は 4.4 億 トンにのぼっており 2013 ~2015 年 で 新 設 される 銑 鉄 生 産 能 力 は 1.1 億 トン 粗 鋼 生 産 能 力 は 1.3 億 トンにのぼると 見 られ る 2014 年 の 中 国 鉄 鋼 協 会 の 統 計 公 報 では 2013 年 に 新 規 稼 働 した 銑 鉄 高 炉 は 22 基 で 銑 鉄 生 産 能 力 は 2,500 万 トン 増 加 したとしているが 中 国 の 専 門 家 はこのデータに 疑 問 を 呈 している それは 2013 年 の 粗 鋼 生 産 量 は 7.8 億 トンで 2012 年 の 7.2 億 トンより 6,000 万 トン 増 加 してお り 高 炉 設 備 の 稼 働 率 は 2012 年 より 低 く 新 規 稼 働 設 備 は 6,000 万 トン 以 上 にのぼると 推 測 され るためである また 2013 年 に 建 設 中 の 銑 鉄 設 備 生 産 能 力 は 6,600 万 トン 粗 鋼 生 産 能 力 が 2,600 万 トンで 2013 年 に 新 規 着 工 した 銑 鉄 生 産 設 備 能 力 は 1,386 万 トン 粗 鋼 生 産 能 力 は 683 万 トンであった 中 国 の 専 門 家 は 中 国 の 粗 鋼 生 産 能 力 は 2015 年 に 10.8 億 トンに 達 すると 予 測 している 中 国 の 鉄 鋼 産 業 の 第 12 次 5 カ 年 計 画 によると 2015 年 時 点 の 粗 鋼 需 要 は 7.1 億 トン 前 後 2020 年 の 同 需 要 は 7.7~8.2 億 トンとなり 稼 働 率 85%で 割 り 戻 すと 2015 年 の 粗 鋼 生 産 能 力 の 過 剰 分 は 2 億 トン 以 上 2020 年 では 1.5~ 約 1 億 トンに 達 すると 推 定 される 宝 山 製 鉄 所 の 徐 楽 江 総 裁 は 地 方 を 支 える 最 大 企 業 は 鉄 鋼 企 業 で 地 域 経 済 に 貢 献 し 地 方 財 政 最 大 の 税 収 源 の 一 つで 雇 用 面 での 貢 献 度 も 高 いため 地 方 政 府 は 製 鉄 所 を 金 融 面 でも 社 会 的 にも 支 援 しているとコメントしている こうした 実 情 があるためか 河 北 省 政 府 が 5,000 万 トン 185

233 の 粗 鋼 生 産 量 を 中 央 政 府 に 隠 していたという 報 道 も 流 れている 336 設 備 状 況 を 見 ると 2011 年 時 点 で 中 国 の 重 点 鉄 鋼 企 業 における 1,000m 3 以 上 の 高 炉 の 生 産 能 力 は 鉄 鋼 生 産 能 力 全 体 の 65%を 占 め 3,000m 3 以 上 の 高 炉 は 33 基 100 トン 以 上 の 転 炉 の 生 産 能 力 は 全 体 の 65%を 占 めていた つまり 35%は 効 率 の 悪 い 小 型 炉 である 企 業 の 殆 どが 二 次 精 錬 施 設 を 有 しており 精 練 比 率 は 70%に 達 し 圧 延 ではほぼ 連 続 圧 延 が 実 施 されている 今 後 の 技 術 導 入 の 重 点 項 目 としては コークス 生 産 の 乾 式 消 火 技 術 (Coke Dry Quenching, CDQ) 環 境 保 護 技 術 余 熱 利 用 技 術 等 を 含 めた 二 次 エネルギー 総 合 利 用 技 術 エネルギー 回 収 技 術 など が 挙 げられる 建 材 産 業 2013 年 版 のセメント 工 業 概 況 によると 2012 年 のセメント 生 産 量 は 22.1 億 トンで 産 業 全 体 の 利 益 は 657 億 元 で 2011 年 より 1/3 減 少 した また 2012 年 の 設 備 の 平 均 稼 働 率 は 72.7%で 過 剰 生 産 能 力 は 8 億 トン/ 年 以 上 にのぼる 工 業 信 息 化 部 の 統 計 では 2012 年 に 老 朽 化 した 設 備 や 小 規 模 設 備 を 2.2 億 トン 相 当 廃 棄 したが 新 規 に 建 設 された 設 備 能 力 も 1.6 億 トンにのぼっている 中 国 セメント 協 会 の 統 計 では 2009 年 ~2013 年 のクリンカー 生 産 設 備 の 新 規 追 加 能 力 は 7.4 億 トン/ 年 で 生 産 能 力 が 80% 増 加 した 2013 年 末 時 点 の 乾 式 クリンカー 生 産 設 備 は 1,714 基 生 産 能 力 は 17 億 トン/ 年 である 国 務 院 は 2009 年 に セメントの 増 産 を 抑 制 し 生 産 能 力 過 剰 問 題 を 解 決 する よう 通 達 したが 2012 年 時 点 のクリンカー 生 産 能 力 の 新 規 増 加 分 は 7.07 億 トンで 2013 年 6 月 時 点 で 建 設 中 ある いは 計 画 中 の 新 規 生 産 設 備 は 2.8 億 トン セメント 生 産 量 にすると 4.5 億 トンにのぼる これらの 設 備 が 全 て 稼 働 すれば 中 国 の 専 門 家 は 2015 年 におけるセメントの 生 産 能 力 は 35 億 トン/ 年 に 達 すると 予 測 し 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 想 定 されたセメント 需 要 22 億 トンに 対 し 13 億 トンもの 生 産 能 力 過 剰 となり 生 産 設 備 の 稼 働 率 は 63%になる 337 中 国 建 築 設 計 院 セメント 研 究 センターの 高 智 主 任 は 2009 年 ~2014 年 に 新 規 増 加 したセメント 生 産 設 備 は 400 ヵ 所 以 上 あり 全 て 地 方 政 府 の 認 可 を 得 ていると 述 べている 2008 年 以 前 のシャ フトキルン( 竪 型 キルン)の 生 産 能 力 は 5 億 トンであった セメント 協 会 の 統 計 では 5~6 億 ト ンの 生 産 能 力 が 既 に 削 減 されたことになっているが 2014 年 時 点 でなお 2 億 トンの 生 産 能 力 が 残 っている 高 智 主 任 は 統 計 の 信 憑 性 に 疑 問 があると 述 べている セメント 以 外 の 建 材 産 業 を 見 ると 2013 年 の 板 硝 子 の 生 産 設 備 の 稼 働 率 は 73.1%で 生 産 能 力 過 剰 である 今 後 のセメント 産 業 の 動 向 について 中 国 の 専 門 家 は セメント 需 要 は 2015 年 頃 にピークに 達 中 国 能 源 網 CEO 韓 曉 平 中 国 環 境 網 186

234 し その 後 は 年 20 億 トン 前 後 が 続 き 2025 年 以 降 は 徐 々に 減 少 する と 予 測 している また 設 備 面 では 老 朽 化 設 備 の 淘 汰 が 進 み 新 式 の 乾 式 キルンが 中 心 となり 排 熱 を 利 用 した 発 電 や 新 式 の 煤 塵 粉 塵 防 止 設 備 の 導 入 などが 投 資 分 野 になると 見 られている 338 今 後 の 主 な 政 策 として セメントについては 1 直 径 3 メートル 以 下 のシャフトキルンを 淘 汰 し 生 産 能 力 を 抑 制 すること 2エネルギー 消 費 効 率 が 悪 い 設 備 を 淘 汰 すること また 板 硝 子 については 製 造 炉 の 余 熱 発 電 技 術 を 推 進 することが 挙 げられている 石 炭 化 学 産 業 まず 石 炭 ガス 化 ( 石 炭 由 来 の SNG)プロジェクトの 開 発 は 次 のような 状 況 にある 1 中 国 の 天 然 ガスの 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 2015 年 時 点 の 石 炭 ガス 化 によるガス 供 給 量 は 150~180 億 m 3 になる 予 定 である 年 現 在 新 疆 内 モンゴルなどで 検 討 されている 石 炭 由 来 の SNG プロジェクトは 60 件 にのぼり 全 てが 稼 働 した 場 合 年 間 のガス 生 産 量 は 2,600 億 m 3 に 達 する 見 込 みである 特 に 中 国 石 油 (PetroChina)が 投 資 する 新 疆 準 東 炭 田 では 300 億 m 3 / 年 のガス 化 プロジ ェクトなどが 進 行 していると 報 道 されている また 中 国 石 化 (Sinopec)も 準 東 炭 田 で 70 億 m 3 / 年 の 石 炭 ガス 化 プロジェクトを 計 画 して おり すでに 発 展 改 革 委 員 会 の 認 可 を 取 得 している さらに 内 モンゴル オルドス 炭 田 で 建 設 中 の 石 炭 由 来 の SNG プロジェクトの 年 間 生 産 能 力 は 120 億 m 3 である 340 次 に 石 炭 由 来 のオレフィン 製 造 (CTO)については 建 設 中 あるいは 計 画 済 みのプロジェク トが 9 ヶ 所 あり 2015 年 のオレフィン 生 産 能 力 は 600 万 トン/ 年 に 達 し 中 国 のエチレン 生 産 能 力 全 体 の 20%を 占 める 見 込 みである また 大 手 石 炭 企 業 の 殆 どが 石 炭 から DME などを 生 産 する 石 炭 化 学 プロジェクトを 手 がけている なお IEA の World Energy Outlook 2013 は 中 国 の 新 型 石 炭 化 学 産 業 について 今 後 は 高 価 なナフサに 代 わり 石 炭 が 石 油 化 学 原 料 として 大 きく 伸 びるだろうとの 見 通 しを 示 し 次 のよう に 説 明 している 1 近 年 米 国 ではシェール 革 命 により 安 価 なエタン 及 び NGL が 供 給 され 石 油 化 学 産 業 のルネ サンスが 勃 興 しているが もう 一 つの 代 替 プロセスも 重 要 視 されるようになった それはメ タノールからオレフィンを 製 造 する MTO プロセスと 触 媒 を 使 用 してメタノールからエチレ ンやプロピレンを 製 造 するプロセスである メタノールは 天 然 ガス 石 油 バイオマスなど いろいろな 原 料 から 製 造 できるが 特 に 中 国 で 注 目 されるのは 石 炭 を 原 料 とするメタノール からのオレフィンの 生 産 (CTO)である 中 国 のシェールガス 開 発 については < 参 考 資 料 2>を 参 照 されたい 338 中 国 セメント 協 会

235 2 今 後 中 国 でも 非 在 来 型 天 然 ガスの 開 発 が 進 むものの 2020 年 までは 余 り 大 きな 規 模 になる ことはないと 見 ている しかし 中 国 には 安 価 で 簡 単 に 手 に 入 るもう 一 つの 原 料 石 炭 が 豊 富 にある 長 期 的 な 石 油 価 格 が 1 バレルあたり ドル( ドル/トン) 新 政 策 シナリオ(NPS)における 中 国 の 国 内 炭 価 格 を 100 ドル/トン 以 下 と 見 た 場 合 中 国 では 石 炭 ベースの 石 化 製 品 製 造 (CTO)が 石 油 ベースの 石 油 化 学 製 品 に 対 して 圧 倒 的 な 競 争 力 を 持 つ そのため 中 国 では 石 炭 が 有 機 化 学 原 料 として 大 きく 発 展 する 可 能 性 があり そうな れば 石 油 輸 入 の 拡 大 をある 程 度 抑 える 役 割 を 果 たすだろう 3 中 国 には すでに 石 炭 ベースの 大 型 メタノール 製 造 設 備 が 多 数 あり CTO プラントの 建 設 も 各 地 で 進 んでいる 石 炭 を 使 用 するプロピレン プラントの 第 1 号 は 2010 年 に 稼 働 し その 後 現 在 までに 3 基 のプラントが 建 設 され オレフィン 生 産 能 力 は 合 計 200 万 トン/ 年 に 達 して いる 加 えて 現 在 200 万 トンが 建 設 中 であり さらに 今 後 5 年 間 では 1,000 万 トンが 建 設 さ れる 見 込 みである これらのプラントがすべて 完 成 すると 石 炭 ベースのプラントは 中 国 の エチレン 生 産 能 力 の 5 分 の 1 以 上 を 占 めるようになり 石 油 需 要 を 約 30 万 バレル/ 日 抑 制 す る 効 果 をもたらすだろう 米 国 で 進 んでいる 軽 質 原 料 のエタンベースのエチレン 生 産 では 生 産 物 がエチレンのみに 偏 るという 歪 みが 生 じているが 石 炭 ベースの 場 合 にはエチレン-プ ロピレン 比 率 を 必 要 に 応 じて 調 整 することができる 4 一 方 このような 発 展 見 通 しには 制 約 となる 課 題 もある 水 資 源 へのアクセスと 環 境 問 題 で ある 石 炭 ベースの 有 機 化 学 は 水 と 炭 素 を 大 量 に 使 用 するので 2020 年 以 降 の 新 規 プロジェ クトではこの 点 が 足 かせとなり 投 資 を 制 約 する 可 能 性 があるだろう IEA が 指 摘 するように 中 国 では 石 炭 の 液 化 ガス 化 石 炭 化 学 に 対 して 資 源 の 利 用 効 率 水 資 源 の 保 護 生 態 環 境 の 保 護 などの 問 題 があるとして 反 対 する 声 も 多 く 今 後 の 動 向 が 注 目 される すなわち 新 型 石 炭 化 学 は 原 料 ( 石 炭 や 工 業 用 水 ) 消 費 量 エネルギー 消 費 量 CO 2 排 出 量 などが 膨 大 で 生 態 環 境 に 与 える 負 荷 が 大 きく 設 備 投 資 金 額 もかさむ 等 多 くの 課 題 を 抱 えている 中 でも 工 業 用 水 を 大 量 に 使 用 することがネックであり 例 えば 神 華 包 頭 の CTO プロジェク トでは 1 トンのオレフィンを 生 産 するために 14 トンの 工 業 用 水 を 必 要 とするとされる ここで は 工 業 用 水 は 化 学 反 応 や 循 環 冷 却 などに 使 用 されている また CTO の 場 合 1 トンのオレフ ィンを 生 産 する 際 7.1~10.6 トンの CO 2 を 排 出 するが ナフサ 分 解 の 場 合 は 1.5~3 トンの CO 2 排 出 量 で 済 むという さらに 現 在 稼 働 試 運 転 中 の CTO プロジェクトは 内 陸 部 の 産 炭 地 で 実 施 されているが 下 流 の 石 油 化 学 製 品 の 生 産 工 場 の 多 くは 沿 海 部 に 集 中 しており オレフィン 輸 送 がネックとなり 下 流 の 加 工 プラントの 大 量 需 要 に 対 応 できていない 恐 れもある しかし 石 炭 とナフサの 価 格 差 が 10 倍 にも 及 ぶ 現 状 では IEA が 指 摘 するように 中 国 では 有 機 化 学 製 品 製 造 プロセスでの CTO への 切 り 替 えが 急 速 に 進 行 すると 思 われる また 主 要 産 炭 地 における 代 表 的 な 新 型 石 炭 化 学 プロジェクト(2012 年 末 時 点 で 稼 働 中 建 設 中 計 画 段 階 のものを 含 む)の 年 間 石 炭 消 費 量 を 合 計 すると 5.6 億 トンにも 達 しており 今 後 は 188

236 中 国 の 石 炭 政 策 に 照 らして 新 規 プロジェクトが 規 制 される 可 能 性 も 懸 念 される 2017 年 以 後 の 中 国 でのオレフィン 需 給 ギャップは 経 済 成 長 の 減 速 により 大 幅 に 減 少 する 可 能 性 があるが 一 方 で 環 境 規 制 強 化 が 進 む 中 で 国 内 生 産 が 停 滞 するリスクもあり 定 量 的 な 需 給 バランスの 見 通 しを 立 てることはなかなか 難 しい 状 況 にある 189

237 億 kwh 6.3 石 炭 多 消 費 産 業 における 発 電 生 産 活 動 の 予 測 電 力 中 国 国 家 能 源 局 が 2014 年 1 月 に 発 表 した 2013 年 の 全 社 会 電 力 需 要 統 計 341 によると 2013 年 の 電 力 消 費 は 5.3 兆 kwh 2012 年 より 7.5% 増 加 し 一 人 当 たりの 電 力 消 費 は 3,911kWh になった 2000 年 から 2013 年 までの 電 力 消 費 の 対 GDP 弾 性 値 は 1.1 である また 電 力 供 給 については 2013 年 の 発 電 電 力 量 の 合 計 は 5.4 兆 kwh うち 火 力 発 電 電 力 量 は 4.2 兆 kwh 水 力 発 電 電 力 量 は 9,116 億 kwh 原 子 力 発 電 電 力 量 は 1,106 億 kwh である また 2013 年 に 新 規 稼 働 発 電 設 備 容 量 は 9,400 万 kw であったが これは 2012 年 の 東 京 電 力 の 設 備 容 量 6,647 万 kw を 上 回 る 342 中 国 の 電 力 需 要 は 固 定 資 産 投 資 の 拡 大 の 一 方 で 伸 び 率 は 徐 々に 低 下 し 特 に 固 定 資 産 投 資 額 が 20 兆 人 民 元 を 超 えると 電 力 需 要 の 伸 び 率 の 低 下 傾 向 が 大 きくなる もっとも 伸 び 率 は 下 が りつつも 電 力 需 要 は 依 然 増 加 傾 向 にある( 図 6.1.4) 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, , , , , ,000 億 元 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 2013 より 作 成 図 中 国 の 固 定 資 産 投 資 と 電 力 需 要 の 関 係 今 後 の 電 力 需 要 について IEA の 2013 年 版 World Energy Outlook ( New Policies Scenario 以 下 同 )は 2011 年 ~2020 年 における 中 国 の 電 力 需 要 の 伸 び 率 を 3.5% 2011~2030 年 の 伸 び 率 を 2.0%とし 2020 年 の 発 電 電 力 量 は 7.3 兆 kwh 2030 年 の 発 電 電 力 量 は 9.3 兆 kwh と 予 測 してい る 一 方 中 国 国 家 電 網 公 司 の 研 究 報 告 書 343 は 2010 年 ~2020 年 の 電 力 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 6.1 ~7.0% 2020 年 ~2030 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 4.1%~4.7%になり 2020 年 の 電 力 需 要 は 7.6~8.3 兆 kwh 2030 年 の 需 要 は 9.3~10.5 兆 kwh になると 予 測 する 電 気 企 業 連 合 会 電 気 事 業 便 覧 343 中 国 電 力 出 版 社 中 国 非 化 石 エネルギー 発 展 目 標 と 実 現 の 道 筋 2013 年 5 月 190

238 2014 年 3 月 に 中 国 エネルギー 研 究 会 政 策 研 究 センターと 石 炭 工 業 企 画 設 計 院 が 発 表 した 石 炭 需 要 のピーク 予 測 とその 対 応 と 題 する 報 告 書 344 は 2013 年 ~2020 年 の 電 力 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 を 6% 2020 年 ~2030 年 の 年 平 均 伸 び 率 を 2.76%とし 2030 年 の 発 電 電 力 量 は 10.5 兆 kwh に 達 すると 予 測 した また 中 国 国 家 電 力 企 画 研 究 センターの 2013 年 の 研 究 報 告 では 2020 年 の 電 力 需 要 は 7~8 兆 kwh 2030 年 は 10~11 兆 kwh 2050 年 は 12~15 兆 kwh になるとの 予 測 が 示 されている 345 な お この 予 測 は 前 提 条 件 として 各 期 間 の 経 済 成 長 率 を 2011 年 ~2020 年 7.5% 2021 年 ~2030 年 5.5% 2031 年 ~2040 年 4.0% 2041 年 ~2050 年 3% 前 後 と 設 定 している 本 調 査 では 電 力 最 終 需 要 は 今 後 も 拡 大 し 2020 年 には 6.6 兆 kwh 2030 年 には 9.1 兆 kwh そして 2040 年 には 11.0 兆 kwh に 達 すると 予 測 する また 電 力 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 2012 年 ~ 2030 年 には 2.9% 2030 年 ~2040 年 には 1.9%になり 2040 年 の 一 人 当 たりの 電 力 消 費 は 約 7,000kWh に 達 すると 予 測 する 2040 年 の 一 人 当 たりの 電 力 消 費 水 準 は 2000 年 前 後 の 日 本 フラ ンス ドイツなどとほぼ 同 じである 先 進 国 の 電 力 需 要 を 参 考 にする 限 りでは 2030 年 の 時 点 で 一 人 当 たりの 電 力 消 費 が 6,000kWh を 超 え それ 以 降 の 電 力 需 要 の 伸 び 率 は 低 下 すると 見 込 まれ る その 理 由 は 2030 年 に 中 国 沿 海 地 域 は 基 本 的 に 工 業 化 都 市 化 が 完 了 し その 後 は 電 力 需 要 の 伸 びが 低 下 すると 見 られることである 一 方 中 部 地 域 と 西 部 地 域 では 一 人 当 たりの 電 力 需 要 が 東 部 沿 海 地 域 とほぼ 同 じ 水 準 になるには およそ 20 年 かかるであろう 億 kwh 工 業 農 林 業 建 設 業 家 庭 用 業 務 用 輸 送 部 門 その 他 120,000 90, ,000 65,996 80,000 49,763 60,000 40,000 20, , 図 部 門 別 電 力 需 要 の 予 測 また 発 電 電 力 量 は 2020 年 には 7.0 兆 kwh 2030 年 には 9.6 兆 kwh さらに 2040 年 には 11.6 兆 kwh になると 予 測 される これらの 予 測 は IEA や 中 国 の 専 門 機 関 の 予 測 と 比 べると 若 干 低 い その 最 大 の 理 由 は 本 調 中 国 石 炭 工 業 協 会 国 家 能 源 局 2013 年 の 全 社 会 電 力 需 要 191

239 万 トン 万 箱 査 では 2012 年 までの 電 力 消 費 は 産 業 部 門 における 大 量 の 余 剰 生 産 を 反 映 しており 今 後 の 粗 鋼 セメントなどの 減 産 によって それら 部 門 の 電 力 消 費 は 減 少 するであろうと 考 えていることであ る また 本 調 査 では 次 のような 事 情 を 考 慮 している すなわち 近 年 環 境 汚 染 が 深 刻 化 し ているため 中 央 政 府 及 び 地 方 政 府 は 暖 房 等 のエネルギー 使 用 を 石 炭 から 電 力 に 転 換 する 戦 略 を 打 ち 出 しており 2014 年 の 各 地 方 の 環 境 汚 染 防 止 行 動 計 画 には 石 炭 消 費 を 削 減 するために 石 炭 から 電 力 やガスへの 転 換 を 推 進 することや 関 連 する 金 融 政 策 が 盛 り 込 まれている このよう な 政 策 によって 工 業 分 野 で 減 少 した 電 力 消 費 は 他 の 分 野 での 使 用 増 加 に 回 ると 考 えられる ま た 今 後 30 年 間 都 市 化 率 と 所 得 水 準 の 上 昇 電 気 自 動 車 の 普 及 高 速 鉄 道 路 線 の 延 長 や 在 来 線 の 電 化 などが 電 力 需 要 を 牽 引 することも 予 測 される 素 材 産 業 ( 鉄 鋼 セメント その 他 建 材 石 炭 化 学 ) 素 材 産 業 の 生 産 及 び 製 品 の 消 費 と 経 済 成 長 の 関 係 を 見 ると 2013 年 の 粗 鋼 生 産 は 7 億 7,904 万 トンであり 2000 年 の 1 億 2,850 万 トンから 6 億 5,054 万 トン 増 加 し この 間 の 年 平 均 増 加 率 は 17.8%を 記 録 した また 2013 年 のセメント 生 産 は 24 億 2,000 万 トンで 2000 年 に 比 べて 18 億 2,300 万 トン 増 加 し 年 平 均 増 加 率 は 13.6%であった この 間 の 対 GDP 弾 性 値 は 粗 鋼 生 産 では 1.8 セメント 生 産 では 1.4 である すなわち GDP が 1% 増 加 すると 粗 鋼 とセメント 生 産 はそ れぞれ 1.8%と 1.4% 増 加 することになる 固 定 資 産 投 資 と 石 炭 多 消 費 産 業 の 関 係 を 見 ると 粗 鋼 と 板 硝 子 の 生 産 は 固 定 資 産 投 資 規 模 が 30 兆 元 を 超 えると 生 産 の 伸 びが 徐 々に 鈍 化 している しかし 鋼 材 の 需 要 は 都 市 化 率 と 関 連 し 今 後 20 年 間 中 国 の 都 市 化 率 の 上 昇 によって 鋼 材 需 要 が 維 持 される 公 算 である また 東 南 ア ジアの 経 済 成 長 に 伴 って 鋼 材 に 対 する 需 要 が 増 え 中 国 が 過 剰 設 備 を 活 用 して 鋼 材 の 生 産 と 輸 出 を 拡 大 する 可 能 性 もある 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 粗 鋼 板 硝 子 0 100, , , , ,000 億 元 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 総 務 省 統 計 速 報 をもとに 作 成 図 固 定 資 産 投 資 と 粗 鋼 及 び 板 硝 子 の 生 産 との 関 係 他 方 セメント 生 産 と 固 定 資 産 投 資 の 関 係 を 見 ると 固 定 資 産 投 資 規 模 が 20 兆 元 を 超 えると 192

240 万 トン すぐにセメント 生 産 の 伸 びが 鈍 化 しており 2008 年 秋 以 降 の 尋 常 でない 金 融 緩 和 と 4 兆 元 の 財 政 出 動 がなければ セメント 生 産 は 横 ばい あるいは 減 少 していたという 傾 向 が 示 されている 300, , , , ,000 50, , , , , ,000 億 元 ( 出 所 ) 中 国 統 計 出 版 社 中 国 統 計 年 鑑 総 務 省 統 計 速 報 をもとに 作 成 図 固 定 資 産 投 資 とセメント 生 産 との 関 係 今 後 の 消 費 の 動 向 を 占 うと まず 2012 年 の 中 国 の 鋼 材 消 費 は 6.4 億 トンであったが 中 国 の 鉄 鋼 専 門 家 は 2013 年 の 消 費 量 は 6.9 億 トン 2014 年 の 消 費 量 は 7.2 億 トンになり 2015 年 には ピークに 達 すると 予 測 している 他 方 アメリカなどの 専 門 機 関 は 中 国 の 鋼 材 消 費 はすでにピー クに 達 したと 分 析 している 346 次 に セメントの 消 費 については 中 国 石 炭 工 業 協 会 はセメント 需 要 が 2018 年 にピークに 達 し 年 間 消 費 は 26 億 トンになると 予 測 した 347 一 方 前 掲 の 石 炭 需 要 のピーク 予 測 とその 対 応 ( 脚 注 344)は 鉄 鋼 産 業 は 2015 年 にピー クに 達 し 銑 鉄 生 産 は 6.88 億 トンになるとし セメントの 需 要 は 2018 年 にピークに 達 し 年 間 需 要 量 は 26 億 トンになると 予 測 する 本 調 査 では 中 国 国 内 の 需 要 累 計 在 庫 及 び 輸 出 の 可 能 性 などを 検 討 した 上 で 2020 年 が 中 国 の 粗 鋼 需 要 の 転 換 点 になり ピーク 生 産 は 8.2 億 トンに 達 すると 予 測 する そして 生 産 は 2030 年 には 7.9 億 トン さらに 2040 年 には 6.8 億 トンに 落 ちると 予 測 する また スクラップ 供 給 の 増 加 によって 銑 鉄 比 率 が 徐 々に 低 下 すると 見 込 まれる セメントについては 粗 鋼 生 産 と 同 じく 2020 年 がセメント 需 要 の 転 換 点 になり 年 間 のセメ ント 生 産 は 23.3 億 トンに 達 し 年 と 2040 年 の 生 産 はそれぞれ 21.7 億 トンと 18 億 トン 前 後 に 減 少 すると 予 測 される また その 他 の 建 材 製 品 ( 板 硝 子 レンガなど)の 生 産 は 不 動 産 開 年 10 月 のヒアリングによる 中 国 統 計 局 の 統 計 速 報 によると 2013 年 のセメント 生 産 は 24.2 億 トンである ただし 本 調 査 では 2012 年 の 実 績 をベースに 長 期 的 な 需 要 予 測 を 行 っている 193

241 発 の 減 速 により 2020 年 以 降 において 徐 々に 低 下 していくと 見 られる 億 トン 2012 年 2020 年 2030 年 2040 年 粗 鋼 セメント 板 硝 子 図 石 炭 多 消 費 製 品 の 需 要 見 通 し 最 後 に 石 炭 化 学 産 業 について 見 ると まず 従 来 型 では 中 国 政 府 が 食 糧 生 産 を 重 視 して 肥 料 生 産 に 対 し 特 別 な 政 策 を 適 用 しており そのため 今 後 ともアンモニア 生 産 は 8,000 万 トン 前 後 を 維 持 すると 見 込 まれる 次 に 新 型 の 石 炭 化 学 産 業 分 野 では 中 国 政 府 が 石 油 代 替 環 境 保 護 及 びエネルギーセキュリティの 見 地 から 促 進 政 策 を 進 めることになると 予 想 されるが 技 術 及 び 環 境 面 の 問 題 もあり 石 炭 液 化 とガス 化 の 新 規 プロジェクトに 対 しては 依 然 事 業 の 許 認 可 に 対 して 慎 重 な 姿 勢 を 取 ることが 考 えられる 一 方 オレフィンなどの 生 産 は 拡 大 すると 見 込 ま れる 石 炭 需 要 予 測 の 前 提 条 件 である 各 石 炭 多 消 費 製 品 の 需 要 予 測 を 纏 めると 表 のようになる 表 石 炭 需 要 予 測 の 前 提 条 件 ( 注 ) 石 炭 火 力 発 電 にある 3 つのシナリオに 関 しては 次 節 6.4 部 門 分 野 別 の 石 炭 需 要 予 測 を 参 照 194

242 6.4 部 門 分 野 別 の 石 炭 需 要 予 測 電 力 電 源 構 成 に 関 して 国 務 院 発 展 研 究 センターは 発 電 電 力 量 に 占 める 非 化 石 エネルギー( 水 力 原 子 力 風 力 太 陽 エネルギー 並 びにバイオマス)の 比 率 を 2020 年 に 23% 2030 年 に 35%とす る 目 標 を 掲 げている さらに 同 じく 天 然 ガスの 比 率 の 目 標 として 2020 年 に 4.0% 2030 年 に 7.5%を 掲 げている 349 一 方 IEA の 見 通 しでは 発 電 電 力 量 に 占 める 各 電 源 の 比 率 は 2020 年 には 石 炭 が 74.1% 天 然 ガスが 3.9% 非 化 石 エネルギーが 21.7% また 2030 年 には 石 炭 が 67.3% 天 然 ガスが 5.8% 非 化 石 エネルギーが 32.6%になると 予 測 されている 2014 年 現 在 中 国 の 石 炭 消 費 全 体 の 中 で 石 炭 火 力 発 電 が 5 割 前 後 を 占 め 電 力 部 門 は 石 炭 需 要 増 加 の 最 大 の 牽 引 力 になり また 国 内 の 石 炭 需 給 関 係 や 石 炭 価 格 に 影 響 を 及 ぼす 最 大 のセクタ ーになっている 近 年 中 国 の 石 炭 輸 入 は 日 本 を 超 え 世 界 最 大 になっているが 中 でも 発 電 用 石 炭 の 輸 入 が 最 も 多 い 従 って 中 国 の 発 電 用 石 炭 需 要 は 既 に 国 際 市 場 での 石 炭 需 給 や 石 炭 価 格 の 動 向 に 大 きな 影 響 力 を 持 つようになっている そこで 本 調 査 では 石 炭 需 要 を 予 測 し 日 本 への 影 響 を 分 析 するために 将 来 における 中 国 の 電 源 構 成 について 3 つのシナリオを 設 定 した (1) 3 つのシナリオの 設 定 < 非 化 石 エネルギー 拡 大 シナリオ> これは 将 来 発 電 用 燃 料 としての 石 炭 消 費 が 削 減 され 非 化 石 エネルギーの 利 用 が 拡 大 する シナリオである このシナリオでは 石 炭 火 力 の 発 電 電 力 量 に 制 限 が 設 けられると 同 時 に 天 然 ガス 火 力 にもガス 供 給 可 能 量 価 格 などの 外 部 的 要 因 を 考 慮 して 一 定 の 制 限 が 課 される 一 方 非 化 石 エネルギー 発 電 の 開 発 は 最 大 化 され 化 石 燃 料 の 消 費 は 最 小 限 に 抑 えられる 定 量 的 には まず 2020 年 について 最 近 の 中 国 特 に 沿 海 地 域 における 石 炭 火 力 の 抑 制 政 策 そこでの 目 標 などの 要 素 を 加 味 して 石 炭 火 力 の 比 率 を 発 電 電 力 量 全 体 の 65.0% 発 電 電 力 量 を 4.9 兆 kwh と 予 測 した 一 方 非 化 石 エネルギーによる 発 電 量 の 比 率 は 30.2% 発 電 電 力 量 は 2.1 兆 kwh になり 天 然 ガス 火 力 発 電 は 3,078 億 kwh 全 体 の 4.4%を 占 めると 予 測 した 次 に 2030 年 には 石 炭 火 力 は 発 電 量 全 体 の 51.2%を 占 め 発 電 電 力 量 は 4.9 兆 kwh になる 非 化 石 エネルギー 発 電 は 4.1 兆 kwh 全 体 の 42.2%を 占 め 天 然 ガス 火 力 発 電 は 約 6,146 億 kwh になる さらに 2040 年 には 石 炭 火 力 発 電 電 力 量 は 4.7 兆 kwh 発 電 電 力 量 全 体 に 占 める 比 率 は 40% 前 349 中 国 発 展 出 版 社 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 2013 年 12 月 195

243 後 一 方 非 化 石 エネルギー 発 電 電 力 量 は 石 炭 火 力 発 電 電 力 量 を 超 えて 6.0 兆 kwh になり 発 電 電 力 量 全 体 の 51.9%を 占 めることになる 天 然 ガス 火 力 発 電 の 発 電 電 力 量 は 9,302 億 kwh 発 電 全 体 の 8.0%を 占 める 図 中 国 の 電 源 構 成 の 予 測 ( 非 化 石 エネルギーシナリオ) < 天 然 ガス 拡 大 シナリオ> これは 非 化 石 エネルギー 開 発 が 遅 れる 一 方 で 国 内 のシェールガス 開 発 の 進 展 や 天 然 ガスの 国 際 価 格 低 下 によって 中 国 の 天 然 ガス 供 給 状 況 が 改 善 され 天 然 ガス 発 電 が 拡 大 するシナリオ である 図 中 国 の 電 源 構 成 の 予 測 ( 天 然 ガス 拡 大 シナリオ) このシナリオでは 2020 年 には 石 炭 火 力 発 電 電 力 量 は 4.7 兆 kwh( 発 電 電 力 全 体 の 67.1% 以 下 同 ) 非 化 石 エネルギー 発 電 電 力 量 は 1.9 兆 kwh(26.9%) 天 然 ガス 火 力 発 電 電 力 量 は 3,917 億 kwh(5.6%)になると 予 測 される また 2030 年 には 石 炭 火 力 発 電 電 力 量 は 5.8 兆 kwh(60.0%) 非 化 石 エネルギーの 発 電 電 力 量 は 3.1 兆 kwh(31.9%) 天 然 ガス 火 力 発 電 電 力 量 は 7,681 億 kwh 196

244 (8.0%)になり さらに 2040 年 には 石 炭 火 力 発 電 の 発 電 電 力 量 は 5.8 兆 kwh(50.0%) 非 化 石 エネルギーの 発 電 電 力 量 は 4.3 兆 kwh(36.9%) 天 然 ガス 火 力 発 電 の 発 電 電 力 量 は 1.5 兆 kwh (13.0%)になると 予 測 される < 石 炭 依 存 シナリオ> これは 非 化 石 エネルギーの 開 発 が 遅 れ また 天 然 ガス 供 給 も 制 約 される 結 果 石 炭 消 費 へ の 依 存 がかなり 高 い 水 準 で 続 いていく というシナリオである 但 し 石 炭 への 依 存 度 は 次 第 に 低 下 していく このシナリオでは 2020 年 の 石 炭 火 力 発 電 電 力 量 は 4.8 兆 kwh( 発 電 電 力 全 体 の 68.3% 以 下 同 ) 非 化 石 エネルギー 発 電 電 力 量 は 1.9 兆 kwh(26.9%) 天 然 ガス 火 力 発 電 電 力 量 は 3,078 億 kwh(4.4%)になると 予 測 される また 2030 年 には 石 炭 が 5.8 兆 kwh(60.6%) 非 化 石 エネルギーが 3.2 兆 kwh(32.8%) 天 然 ガスが 6,146 億 kwh(6.4%)になり さらに 2040 年 には 石 炭 が 6.3 兆 kwh(54.0%) 非 化 石 エネルギーが 4.4 兆 kwh(37.5%) 天 然 ガスが 9,767 億 kwh(8.4%)になると 予 測 される 350 図 中 国 の 電 源 構 成 の 予 測 ( 石 炭 依 存 シナリオ) (2) 発 電 用 の 石 炭 消 費 原 単 位 の 想 定 中 国 政 府 は 今 後 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 については 60 万 kw 以 上 の 超 臨 界 及 び 700 の 超 々 臨 界 発 電 技 術 及 び IGCC 技 術 の 開 発 と 導 入 を 促 進 し 30 万 kw 以 下 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 は 徐 々に 廃 棄 することを 基 本 的 な 計 画 としている 中 国 電 力 研 究 院 の 報 告 によると 最 近 の 中 国 製 石 炭 火 力 発 電 設 備 の 発 電 効 率 はすでに 先 進 国 と 同 じ 水 準 に 達 している また 電 力 設 計 総 院 の 謝 秋 野 副 院 長 は 中 国 の 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 ( 平 均 値 )は 225goe/kWh であり 新 規 稼 働 の 100 万 kw の 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 は 196goe/kWh であると 述 べている 351 中 国 統 計 局 の 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 は 2012 年 の 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 ( 全 国 平 350 石 炭 火 力 の 発 電 能 力 が 増 大 すると それに 対 応 してピーク 調 整 能 力 を 高 くする 必 要 があるので ピーク 調 整 用 電 源 として ( 石 油 火 力 ではなく) 天 然 ガス 火 力 による 発 電 も 増 大 する

245 均 )を 214goe/kWh とし 中 国 電 力 網 エネルギー 研 究 院 は 228goe/kWh としており これらの 数 字 には 僅 かながら 開 きがある 352 なお 石 炭 火 力 発 電 における 石 炭 投 入 量 と 発 電 電 力 量 を 用 いて 計 算 すると 2012 年 の 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 は 244goe/kWh になる goe/kwh 300 国 家 統 計 局 電 力 網 公 司 計 算 日 本 ( 出 所 ) 計 算 は 本 調 査 の 推 定 値 その 他 は 各 種 の 資 料 より 作 成 図 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 の 比 較 本 調 査 では 2012 年 における 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 について 上 述 の 国 家 電 力 網 エネルギ ー 研 究 院 の 228goe/kWh を 採 用 した 将 来 については 新 規 設 備 の 導 入 と 老 朽 化 設 備 の 廃 棄 さら に 最 近 の 都 市 部 周 辺 における 30 万 kw 以 下 の 発 電 設 備 の 廃 棄 政 策 を 考 慮 に 入 れて 今 後 の 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 原 単 位 は 徐 々に 低 下 する( 熱 効 率 が 改 善 される)が 他 方 では 経 済 成 長 の 減 速 によって 電 源 開 発 に 対 する 投 資 額 も 減 少 し 設 備 の 更 新 には 時 間 がかかることも 予 想 される これらを 総 合 して 石 炭 火 力 発 電 の 熱 効 率 は 毎 年 0.02%の 割 合 で 改 善 されると 想 定 した 353 (3) 石 炭 需 要 の 予 測 以 上 の 予 測 想 定 に 基 づく 石 炭 需 要 の 予 測 結 果 を 表 に 示 す 352 中 国 電 力 出 版 社 中 国 発 電 用 エネルギーの 需 給 と 電 源 開 発 に 関 する 分 析 報 告 2013 年 版 2013 年 8 月 353 前 出 の 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 によると 中 国 の 火 力 発 電 のエネルギー 消 費 原 単 位 は 214goe/kWh であり 熱 効 率 は 37.7%であるが 中 国 統 計 年 鑑 及 び IEA 統 計 に 基 づいて 計 算 すると 石 炭 火 力 発 電 の 平 均 熱 効 率 は 35.5%になる 198

246 表 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 予 測 項 目 単 位 実 績 予 測 ( 非 化 石 ) 予 測 ( 天 然 ガス 拡 大 ) 予 測 ( 石 炭 依 存 ) 石 炭 火 力 発 電 億 kwh 36,771 45,482 49,181 46,509 46,938 57,617 58,125 47,777 58,189 62,782 石 炭 消 費 万 toe 89, , , , , , , , , ,094 石 炭 消 費 原 単 位 goe/kwh 原 炭 消 費 万 トン 179, , , , , , , , , ,188 (5,000kcal/kg) 省 エネ 強 化 石 炭 消 費 原 単 位 goe/kwh 石 炭 消 費 万 toe 83,838 99, ,297 94, , , , , , ,447 省 エネ 効 果 万 toe 5,984 4,144 8,812 10,110 4,277 10,324 12,635 4,353 10,426 13,647 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 まず 非 化 石 エネルギーシナリオ では 石 炭 火 力 用 の 石 炭 需 要 は 2012 年 の 9.0 億 toe から 2020 年 には 10.3 億 toe 2030 年 には 11.1 億 toe 2040 年 には 10.5 億 toe になると 予 測 される なお 参 考 まで 2040 年 の 中 国 の 石 炭 火 力 発 電 の 平 均 熱 効 率 が 日 本 の 2012 年 の 203goe/kWh の レベルに 達 すると 仮 定 すると 石 炭 消 費 を 2 億 toe 以 上 削 減 することが 可 能 になる このように 環 境 保 護 エネルギー 安 全 保 障 などの 側 面 から 見 ると 省 エネルギーが 最 も 重 要 な 政 策 になる 次 に 天 然 ガス 拡 大 シナリオ では 2020 年 以 降 に 天 然 ガス 火 力 発 電 が 徐 々に 増 え 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 は 2020 年 には 10.7 億 toe 2030 年 には 13.0 億 toe 2040 年 には 13.0 億 toe にな ると 予 測 される さらに 石 炭 依 存 シナリオ では 電 力 需 要 の 拡 大 に 伴 い 石 炭 火 力 発 電 の 発 電 電 力 量 が 徐 々 に 増 え 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 は 2020 年 には 10.9 億 toe 2030 年 には 13.1 億 toe 2040 年 には 14.1 億 toe になると 予 測 される なお 今 後 石 炭 火 力 発 電 に 当 てられる 一 般 炭 の 品 位 が 低 下 する 可 能 性 が 高 く 仮 に 石 炭 の 平 均 熱 量 を 5,000kcal として 試 算 すると 発 電 用 一 般 炭 ( 褐 炭 を 含 む)の 需 要 は 2012 年 の 18.0 億 ト ンから 2020 年 には 20.7~21.7 億 トン 2030 年 には 22.2~26.3 億 トン 2040 年 には 20.9~28.2 億 トン 前 後 に 達 すると 予 測 される( 上 表 の 原 炭 の 欄 参 照 ) 以 上 の 予 測 を 他 の 機 関 と 比 較 してみると まず IEA(New Policies Scenario)は 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 を 2020 には 11.4 億 toe 2030 年 には 12.6 億 toe と 予 測 している 次 に 中 国 の 石 炭 需 要 のピーク 予 測 とその 対 応 報 告 書 は 発 電 用 石 炭 の 消 費 は 2012 年 から 2020 年 まで 年 平 均 4.3% の 割 合 で 増 大 し 2020 年 には 26.3 億 トン(12.6 億 toe)に 達 するが 2020 年 以 降 は 若 干 の 増 加 に 止 まると 予 測 している なお 中 国 の 温 暖 化 ガス 排 出 の 半 分 以 上 は 発 電 によるものである 2011 年 の 中 国 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 は 89 億 トンで 世 界 の 総 排 出 量 の 26%を 占 め 世 界 第 1 位 の 排 出 大 国 になっている そして 199

247 中 国 全 体 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 のうち 石 炭 火 力 発 電 からの 排 出 量 が 半 分 を 占 めている 中 国 の 資 料 354 によると 中 国 は 2030 年 には 二 酸 化 炭 素 の 排 出 量 を 107~120 億 トン 以 内 に 抑 える 計 画 であり それに 基 づいて 試 算 すると 石 炭 火 力 発 電 の 最 大 発 電 電 力 量 は 7~8 兆 kwh になる 鉄 鋼 高 炉 の 現 代 化 中 型 小 型 製 鉄 所 及 び 老 朽 設 備 の 廃 棄 省 エネルギー 対 策 の 導 入 などに 伴 って 銑 鋼 産 業 における 石 炭 消 費 原 単 位 は 年 々 低 下 している 本 調 査 では このような 動 向 によって 粗 鋼 のトン 当 たり 石 炭 消 費 原 単 位 は 2012 年 の 209kgoe から 2020 年 には 206kgoe 2030 年 には 205kgoe 2040 年 には 202kgoe に 低 下 していくと 予 測 した このような 予 測 と 前 述 (6.2.2)の 粗 鋼 生 産 の 予 測 に 基 づくと 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 消 費 は 2012 年 の 1.5 億 toe から 2020 年 に 1.7 億 toe でピークに 達 し 2030 年 には 1.6 億 toe 2040 年 には 1.4 億 toe へと 低 下 するであろう 原 炭 に 換 算 (5,000kcal)すると 同 産 業 の 石 炭 需 要 は 2012 年 の 3.0 億 ト ンから 2020 年 の 3.4 億 トン 2030 年 には 3.2 億 トン 2040 年 には 2.8 億 トンになるであろう なお 前 掲 の 石 炭 需 要 のピーク 予 測 とその 対 応 ( 脚 注 344)は 2015 年 に 鉄 鋼 業 の 石 炭 需 要 がピークになり 需 要 量 (コークスの 消 費 を 含 む)は 6.2 億 トン(3.0 億 toe)になると 予 測 して いる 鉄 鋼 産 業 の 石 炭 消 費 の 中 で 原 料 炭 は 2020 年 には 2.3 億 トン 2030 年 には 2.5 億 トン 2040 年 には 1.9 億 トンになり 残 りは 殆 ど 全 てが 無 煙 炭 になると 見 込 まれる 2012 年 ~2040 年 の 原 料 炭 の 年 平 均 伸 び 率 はマイナス 0.7%になるのに 対 し 無 煙 炭 の 年 平 均 伸 び 率 は 0.6%のプラスになるが その 理 由 としては 鉄 鋼 会 社 の 高 炉 微 粉 炭 吹 込 み 技 術 (PCI)の 導 入 と 普 及 が 挙 げられる 表 鉄 鋼 産 業 の 炭 種 別 の 石 炭 消 費 見 通 し 項 目 単 位 実 績 予 測 伸 び 率 % /12 粗 鋼 生 産 万 トン 72,388 82,656 79,458 68, 石 炭 消 費 万 toe 15,148 17,027 16,249 13, 原 料 炭 11,492 12,301 11,090 9, 無 煙 炭 3,656 4,726 5,159 4, 石 炭 消 費 原 単 位 kgoe/トン 原 炭 換 算 万 トン 30,296 34,054 32,498 27, 原 料 炭 万 トン 22,983 24,602 22,180 18, 無 煙 炭 万 トン 7,313 9,452 10,318 8, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 354 中 国 電 力 出 版 社 中 国 非 化 石 エネルギー 発 展 目 標 及 びその 実 現 ルート 2013 年 5 月 200

248 6.4.3 セメント 及 びその 他 の 建 材 中 国 のセメント 産 業 は 鉄 鋼 産 業 と 同 様 過 剰 生 産 の 状 態 にあるが 各 地 域 は 環 境 対 策 の 一 環 と して 中 央 政 府 の 要 求 に 基 づき 2017 年 までに 過 剰 設 備 の 廃 棄 生 産 量 の 削 減 シャフトキルン の 廃 棄 新 型 乾 式 キルンの 導 入 などの 政 策 を 打 ち 出 している その 結 果 セメント(クリンカー) 生 産 の 石 炭 消 費 原 単 位 は 徐 々に 低 下 していくと 予 測 される( 下 表 参 照 ) また 前 述 (6.2.2)のよ うに セメント 需 要 は 2020 年 以 降 年 々 低 下 すると 予 測 されている これらの 予 測 に 基 づくと セメント 生 産 の 石 炭 ( 一 般 炭 ) 消 費 は 2012 年 の 1.4 億 toe から 2030 年 には 1.3 億 toe 2040 年 には 1.0 億 toe に 低 下 していくと 予 測 される これらの 原 炭 換 算 値 は 下 表 に 示 す 通 りである ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 表 セメント 用 石 炭 需 要 予 測 項 目 単 位 実 績 予 測 伸 び 率 % /12 セメント 生 産 万 トン 220, , , , 石 炭 消 費 万 toe 14,231 14,035 12,672 10, 石 炭 消 費 原 単 位 kgoe/トン 原 炭 換 算 万 トン 28,463 28,070 25,345 20, (5,000kcal) 建 材 全 体 の 石 炭 消 費 を 見 ると 中 国 の 資 料 355 では セメント 生 産 用 石 炭 消 費 が 建 材 産 業 全 体 の 7 割 弱 を 占 める この 比 率 が 維 持 されれば 2020 年 の 建 材 産 業 全 体 の 石 炭 需 要 は 1.8 億 toe になり 2030 年 と 2040 年 の 石 炭 需 要 はそれぞれ 1.6 億 toe と 1.3 億 toe になると 推 定 される 2040 年 の 建 材 産 業 の 石 炭 需 要 は 2012 年 の 実 績 と 比 べ 約 5,000 万 toe 減 少 すると 見 込 まれる 356 万 toe 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, ,849 万 toe ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 建 材 産 業 の 石 炭 需 要 予 測 355 中 国 石 炭 資 源 網 長 江 先 物 市 場 ( 年 の 中 国 の 分 野 別 の 石 炭 消 費 は 窯 業 全 体 で 2.4 億 トンである 中 国 のセメント 協 会 の 資 料 によると 2012 年 のセメントの 石 炭 消 費 原 単 位 は 64.4kgoe/トンであり 2012 年 のセメント 生 産 量 を 22.1 億 トンとして 計 算 すると セメント 産 業 の 石 炭 (5,000kcal/kg) 消 費 は 約 2.8 億 トンになり 窯 業 全 体 の 石 炭 消 費 量 より 4,000 万 トン 多 くなる 201

249 6.4.4 石 炭 化 学 産 業 第 1 に 従 来 型 の 石 炭 化 学 産 業 では 肥 料 主 にアンモニアの 生 産 が 中 心 である 将 来 のアン モニア 生 産 については で 予 測 を 行 ったが 中 国 ではアンモニア 生 産 の 原 料 の 7 割 は 石 炭 3 割 はガスである 将 来 もこのような 割 合 が 維 持 されるとすると 石 炭 を 原 料 とするアンモニア の 生 産 は 下 表 に 示 すように 伸 びていくことになろう 一 方 石 炭 を 原 料 とするアンモニアの 生 産 単 位 当 たりの 石 炭 消 費 は 技 術 の 進 歩 生 産 プロセスの 改 良 などによって 下 表 に 示 すように 2012 年 の 719kg-oe/トンから 次 第 に 低 下 していくと 予 測 される これらの 予 測 に 基 づくと アンモニア 生 産 のための 石 炭 需 要 は 2012 年 の 4,913 万 toe から 2020 年 には 5,510 万 toe に 上 昇 した 後 2030 年 には 5,134 万 toe 2040 年 には 4,937 万 toe へと 低 下 する であろうと 予 測 される 項 目 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 表 アンモニアの 石 炭 需 要 予 測 単 位 実 績 予 測 石 炭 消 費 製 鉄 業 万 トン 30,296 34,054 32,498 27,524 建 材 業 万 トン 35,578 35,929 32,441 25,881 アンモニア 万 トン 9,826 11,019 10,268 9,873 その 他 石 炭 化 工 万 トン 9,100 9,555 9,957 10,285 その 他 分 野 万 トン 20,196 19,984 19,384 18,415 石 炭 消 費 合 計 万 トン 104, , ,548 91,978 また アンモニア 生 産 のための 石 炭 消 費 は 従 来 型 の 石 炭 化 学 産 業 における 石 炭 消 費 全 体 の 60% を 占 めている 将 来 もこのような 割 合 が 維 持 されるとすると 2020 年 と 2040 年 における 従 来 型 の 石 炭 化 学 産 業 の 石 炭 消 費 はいずれも 7,000 万 toe 前 後 になる 第 2 に 新 型 石 炭 化 学 産 業 では 2020 年 にメタノール 生 産 を 6,600 万 トン 石 炭 液 化 の 生 産 を 3,000 万 トンとする 計 画 が 策 定 されているが 全 ての 計 画 を 実 現 することは 難 しいと 思 われる 本 調 査 結 果 から 推 定 すると 目 標 達 成 時 期 は 2030 年 ~2040 年 頃 になり 2020 年 の 時 点 の 石 炭 消 費 は 7,000 万 トン 前 後 2030 年 の 時 点 の 石 炭 消 費 は 約 9,000 万 トンで 2040 年 時 点 の 石 炭 消 費 は 1 億 トンを 超 えると 予 測 される 他 方 中 国 の 石 炭 需 要 のピーク 予 測 とその 対 応 ( 脚 注 344)は 石 炭 化 学 産 業 全 体 の 石 炭 需 要 について 2020 年 以 前 に 高 い 増 加 率 が 続 き 2025 年 頃 に 石 炭 需 要 が ピークに 達 すると 予 測 している IEA は 石 炭 化 学 産 業 の 拡 大 に 対 するいくつかの 障 害 の 存 在 を 指 摘 しているが 石 炭 とナフサの 価 格 差 が 10 倍 にも 及 ぶ 現 状 では 有 機 化 学 製 品 製 造 プロセスで の CTO への 切 り 替 えが 急 速 に 進 行 すると 予 測 している ( 参 考 資 料 1 を 参 照 ) 202

250 6.4.5 その 他 の 工 業 分 野 本 調 査 では 製 鉄 建 材 石 炭 化 学 産 業 以 外 のその 他 工 業 分 野 の 石 炭 需 要 については 2020 年 は 2 億 トン 2030 年 は 1.9 億 トン 2040 年 は 1.8 億 トンと 推 定 した 以 上 の 予 測 を 取 りまとめて 工 業 部 門 全 体 の 石 炭 需 要 の 予 測 を 下 表 に 示 した 項 目 表 工 業 部 門 の 石 炭 需 要 の 予 測 単 位 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 実 績 予 測 石 炭 消 費 製 鉄 業 万 トン 30,296 34,054 32,498 27,524 建 材 業 万 トン 35,578 35,929 32,441 25,881 アンモニア 万 トン 9,826 11,019 10,268 9,873 その 他 石 炭 化 工 万 トン 10,277 11,305 12,435 13,679 その 他 分 野 万 トン 20,196 19,984 19,384 18,415 石 炭 消 費 合 計 万 トン 106, , ,027 95, 民 生 部 門 民 生 部 門 の 中 で 家 庭 部 門 の 石 炭 需 要 については 所 得 水 準 の 向 上 や 天 然 ガス 及 び LPG 導 入 に 伴 い 需 要 が 年 々 低 下 している 本 調 査 の 予 測 では 民 生 用 石 炭 の 需 要 は 2012 年 の 9,153 万 トンか ら 2030 年 には 3,234 万 トン 減 少 して 5,919 万 トン 2040 年 にはさらに 減 少 して 3,423 万 トンに なるであろう 万 トン 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 家 庭 10,039 1,674 9,159 9,153 1,970 2,362 8,158 2,759 5,919 3,778 3,423 4,823 商 業 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 民 生 部 門 の 石 炭 需 要 見 通 し 一 方 商 業 用 石 炭 の 需 要 は 2012 年 の 2,362 万 トンより 若 干 増 え 2030 年 には 3,778 万 トン 2040 年 には 4,823 万 トンになると 予 測 される 商 業 用 石 炭 の 需 要 が 増 加 する 最 大 の 理 由 として 都 市 化 率 が 上 昇 する 一 方 で 中 小 都 市 では 天 然 ガス 供 給 が 依 然 として 不 足 するため 暖 房 用 石 炭 焚 ボイラーが 増 えることが 挙 げられる 203

251 6.4.7 中 国 全 体 の 石 炭 需 要 予 測 (1) 最 終 消 費 部 門 における 石 炭 消 費 2020 年 の 石 炭 の 最 終 消 費 は 12.8 億 トンである 2020 年 以 降 は 石 炭 最 終 消 費 が 年 々 低 下 し 2040 年 には 11 億 トンとなる 2040 年 の 最 終 消 費 の 中 で 工 業 用 は 約 9.5 億 トンで 全 体 の 86.4%を 占 め 民 生 部 門 ( 家 庭 業 務 )は 8,246 万 トンで 全 体 の 7.5%を 占 める 残 りは 農 林 業 建 設 業 輸 送 部 門 及 びその 他 部 門 で 消 費 される 項 目 表 最 終 消 費 部 門 における 石 炭 消 費 の 予 測 ( 注 ) 窯 業 の 石 炭 消 費 データに 誤 差 が 生 じるため 2012 年 の 石 炭 最 終 消 費 は 表 より 8,000 万 トン 以 上 多 くなる ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 実 績 予 測 シェア 伸 び 率 % /12 30/20 40/30 40/12 石 炭 最 終 消 費 ( 万 トン) 123, , , , 農 林 業 1,766 1,830 1,839 1, 工 業 106, , ,027 95, 建 築 業 ,266 1, 民 生 計 11,515 10,917 9,697 8, 家 庭 用 9,153 8,158 5,919 3, 業 務 用 2,362 2,759 3,778 4, 輸 送 部 門 その 他 2,283 2,258 2,433 2, (2) 転 換 部 門 における 石 炭 消 費 転 換 部 門 のうち 火 力 発 電 については 節 で 説 明 したので ここでは 熱 供 給 及 びコークス 生 産 その 他 転 換 部 門 における 石 炭 需 要 について 検 討 する 熱 供 給 用 の 石 炭 需 要 は 2012 年 の 1.0 億 toe(2.0 億 トン)から 2020 年 には 1.2 億 toe(2.3 億 トン) 2030 年 には 1.4 億 toe(2.7 億 トン) 2040 年 には 1.6 億 toe(3.1 億 トン)に 増 大 すると 予 測 される 熱 供 給 用 の 石 炭 需 要 が 増 大 する 理 由 としては 2014 年 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 中 で 企 業 や 住 宅 団 地 の 小 型 石 炭 焚 ボイラーを 廃 棄 し 集 中 式 熱 供 給 を 導 入 する 政 策 が 打 ち 出 されており 今 後 は 集 中 式 熱 供 給 の 拡 大 に 伴 って 石 炭 消 費 が 増 えることが 挙 げられる コークス 生 産 とその 他 転 換 部 門 での 石 炭 消 費 は 2012 年 の 2.7 億 toe(5.4 億 トン)から 増 大 して 2020 年 の 3 億 toe(6 億 トン)でピークに 達 し 2030 年 には 2.9 億 toe(5.8 億 トン) 2040 年 には 2.6 億 toe(5.1 億 トン)に 減 少 すると 推 定 される その 理 由 として 2020 年 以 降 は 銑 鉄 生 産 が 年 々 低 下 し これに 伴 ってコークスの 需 要 も 低 下 することがあげられる 一 方 石 炭 液 化 ガス 化 な どが 大 規 模 に 普 及 するとすれば 石 炭 消 費 はかなり 増 える 可 能 性 があると 見 られる 以 上 を 総 括 して 表 に 示 す 204

252 表 シナリオ 別 の 転 換 部 門 の 石 炭 需 要 予 測 ( 単 位 : 億 トン) 項 目 実 績 非 化 石 天 然 ガス 拡 大 石 炭 依 存 転 換 部 門 合 計 電 力 熱 供 給 コークスなど ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 (3) 中 国 の 石 炭 需 要 の 予 測 石 炭 の 最 終 消 費 と 転 換 部 門 を 合 計 すると 2020 年 の 中 国 の 石 炭 需 要 ( 一 次 )は 41.9~42.9 億 ト ンとなり 2030 年 の 石 炭 需 要 は 43.1~47.2 億 トン 2040 年 の 石 炭 需 要 は 40.2~47.5 億 トンである と 予 測 される 非 化 石 エネルギーシナリオの 場 合 2020 年 の 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 は 石 炭 需 要 全 体 の 49.3% (2012 年 は 46.0%)を 占 めるが 2020 年 以 降 発 電 用 石 炭 需 要 の 比 率 は 徐 々に 上 昇 し 2030 年 に は 51.5% さらに 2040 年 にも 52.1%になると 予 測 される 発 電 用 石 炭 需 要 の 比 率 が 上 昇 する 最 大 の 理 由 は 産 業 部 門 や 転 換 部 門 (コークス 都 市 ガスなどの 生 産 )での 石 炭 需 要 が 低 下 していく ことである 天 然 ガス 拡 大 シナリオの 場 合 も 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 が 石 炭 需 要 全 体 に 占 める 比 率 は 2020 年 に 50.1% 2030 年 に 55.5% 2040 年 に 57.6%と 上 昇 していくと 予 測 される 石 炭 依 存 シナリオの 場 合 にも 石 炭 火 力 発 電 の 石 炭 需 要 が 石 炭 需 要 全 体 に 占 める 比 率 は 2020 年 に 52.2% 2030 年 に 57.3% 2040 年 に 60.6%となり 上 昇 比 率 が 3 シナリオ 中 で 最 も 高 くなる 表 シナリオ 別 の 石 炭 需 要 予 測 と 発 電 用 石 炭 消 費 のシェア 項 目 実 績 非 化 石 天 然 ガス 拡 大 石 炭 依 存 石 炭 需 要 ( 億 t) 転 換 部 門 発 電 最 終 消 費 発 電 用 比 率 % ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 205

253 6.5 一 次 エネルギー 需 要 に 占 める 石 炭 の 比 率 と 石 炭 需 要 非 化 石 エネルギーシナリオ 本 調 査 の 非 化 石 エネルギーシナリオ の 予 測 では 2020 年 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 は 33.6 億 toe 2012~2020 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.7% 2030 年 の 一 次 エネルギー 需 要 は 38.8 億 toe 2040 年 は 41.4 億 toe 2020~2030 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.4% 2030~2040 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 0.7%になると 予 測 した また 2020 年 の 石 炭 需 要 は 20.9 億 toe( 一 次 エネルギーに 占 める 比 率 は 62.3% 以 下 同 ) 原 炭 換 算 で 41.9 億 トン 2012~2020 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 増 加 率 が 0.9%である 天 然 ガス 需 要 は 2.3 億 toe 357 (6.9%) 非 化 石 エネルギー 需 要 は 4.5 億 toe(13.2%)である 2030 年 の 石 炭 需 要 は 21.6 億 toe(55.6%)で 原 炭 換 算 では 43.1 億 トンになり 石 炭 需 要 の 2020 ~2030 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 0.3%になる 一 方 天 然 ガスの 需 要 は 3.7 億 toe(9.6%) 非 化 石 エネ ルギーの 需 要 は 6.7 億 toe(17.3%)である 2040 年 の 石 炭 需 要 は 20 億 toe(48.5%) 原 炭 換 算 で 40.1 億 トン 2030~2040 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 はマイナス 0.7%になる この 数 字 から 判 断 すると 2030 年 が 石 炭 需 要 のピークにな り 転 換 点 でもある 天 然 ガスの 需 要 は 5.0 億 toe(12.2%) 非 化 石 エネルギーの 需 要 は 8.8 億 ト ン(21.3%)である この 見 通 しは IEA とほぼ 同 じ 傾 向 を 示 しているが 2030 年 の 需 要 については IEA の 予 測 より も 若 干 低 く 見 込 んでいる また 2040 年 の 石 炭 需 要 については 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 の 予 測 値 よりも 低 い 百 万 toe 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 石 炭 石 油 ガス その 他 4,140 3,878 3, , ,942 2,094 2,155 2, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 非 化 石 エネルギーシナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 357 天 然 ガスは 1m3 当 たりの 熱 量 が 9,300kcal で 計 算 206

254 6.5.2 天 然 ガス 拡 大 シナリオ 本 調 査 の 天 然 ガス 拡 大 シナリオ では 2020 年 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 を 33.9 億 toe 2012~2020 年 の 年 平 均 伸 び 率 を 1.8% 2030 年 と 2040 年 の 一 次 エネルギー 需 要 をそれぞれ 40.0 億 toe と 43.4 億 toe 2020~2030 年 と 2030~2040 年 の 年 平 均 伸 び 率 をそれぞれ 1.7%と 0.8% と 予 測 した 2020 年 の 石 炭 需 要 は 21.3 億 toe( 一 次 エネルギーに 占 める 比 率 は 62.8% 以 下 同 ) 原 炭 換 算 で は 42.5 億 トンになり 2012~2020 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.1%になる 一 方 2020 年 の 天 然 ガス 需 要 は 2.5 億 toe(7.3%) 非 化 石 エネルギー 需 要 は 4.3 億 toe(12.6%)になる 2030 年 の 石 炭 需 要 は 23.5 億 toe(58.5%)で 原 炭 換 算 では 46.9 億 トンになり 2020~2030 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 一 次 エネルギーの 年 平 均 伸 び 率 より 低 く 1.0%になる 2030 年 の 天 然 ガス 需 要 は 約 4.0 億 toe(9.9%) 非 化 石 エネルギー 需 要 は 5.9 億 toe(14.6%)である 2040 年 の 石 炭 需 要 は 22.7 億 toe(52.3%) 原 炭 換 算 で 45.4 億 トンになり 2030~2040 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 はマイナス 0.3%になる 2040 年 の 天 然 ガス 需 要 は 約 6 億 toe(13.7%) 非 化 石 エネルギー 需 要 は 7.3 億 toe(16.8%)である 百 万 toe 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 石 炭 石 油 ガス その 他 4,342 4,007 3, , ,942 2,127 2,346 2, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 天 然 ガス 拡 大 シナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 石 炭 依 存 シナリオ 本 調 査 の 石 炭 依 存 シナリオ では 2020 年 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 は 33.9 億 toe 2012~2020 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.8% 2030 年 と 2040 年 の 一 次 エネルギー 需 要 はそれぞれ 40.0 億 toe と 43.7 億 toe になり 2020~2030 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.7% 2030~2040 年 は 0.9%になる と 予 測 した この 予 測 値 は 他 の 二 つのシナリオよりが 高 い 最 大 の 理 由 は 石 炭 の 燃 焼 効 率 の 影 響 である 207

255 2020 年 の 石 炭 需 要 は 21.5 億 toe( 一 次 エネルギーに 占 める 比 率 は 63.2% 以 下 同 ) 原 炭 換 算 で 42.9 億 トンになり 2012~2020 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 増 加 率 は 1.3%になる 2020 年 の 天 然 ガス 需 要 は 2.3 億 toe(6.9%) 非 化 石 エネルギーの 需 要 が 4.2 億 toe(12.5%)である 2030 年 の 石 炭 需 要 は 23.6 億 toe(58.9%) 原 炭 換 算 で 47.2 億 トン 2020~2030 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.0%である 一 方 天 然 ガス 需 要 は 3.7 億 toe(9.3%) 非 化 石 エネルギーの 需 要 は 5.9 億 toe(14.8%)である 2040 年 の 石 炭 需 要 は 23.7 億 toe(54.3%) 原 炭 換 算 で 47.5 億 トンになり 2030~2040 年 の 石 炭 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 が 0.1%になる 天 然 ガス 需 要 は 5.1 億 toe(11.7%) 非 化 石 エネルギーの 需 要 は 7.4 億 toe(16.9%)である 百 万 toe 5,000 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 石 炭 石 油 ガス その 他 4,369 4,004 3, , ,942 2,146 2,359 2, ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 石 炭 依 存 シナリオの 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 上 掲 の 3 つのシナリオのいずれでも 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 は 他 のエネルギーよ り 高 く 石 炭 依 存 度 の 高 いエネルギー 消 費 構 成 を 短 期 的 に 改 善 することは 難 しいと 思 われる ま た 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 50% 以 下 に 抑 える 場 合 一 次 エネルギーに 占 める 非 化 石 エネルギー 比 率 を 20% 以 上 とすることが 必 要 である 今 後 30 年 間 で 非 化 石 エネルギーを 5.3 億 toe 開 発 する 必 要 がある また 天 然 ガスの 利 用 拡 大 もポイントとなり 2040 年 までに 3.4 億 toe 増 加 する 必 要 がある 208

256 表 つのシナリオに 基 づく 予 測 結 果 の 比 較 予 測 実 績 エネルギー 源 非 化 石 シナリオ 天 然 ガスシナリオ 石 炭 依 存 シナリオ 一 次 エネルギー 2,939 3,361 3,878 4,140 3,388 4,007 4,342 3,394 4,004 4,369 ( 百 万 toe) 石 炭 1,942 2,094 2,155 2,008 2,127 2,346 2,269 2,146 2,359 2,373 石 油 天 然 ガス 非 化 石 エネ 構 成 比 率 % 石 炭 石 油 天 然 ガス 非 化 石 エネ ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 209

257 6.6 中 国 全 土 の 石 炭 需 給 バランスと 予 測 石 炭 需 給 バランスの 推 移 と 現 状 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 全 国 エネルギーバランス 表 によると 2012 年 の 石 炭 ( 原 炭 ) 生 産 は 36.5 億 トン 石 炭 輸 入 は 2.9 億 トン 輸 出 は 927 万 トンであった 同 年 の 石 炭 の 総 供 給 量 は 39.2 億 トンになる 一 方 2012 年 の 石 炭 消 費 は 38 億 トンで 石 炭 在 庫 は 1.2 億 トンである 2012 年 の 炭 種 別 の 供 給 量 については 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターの 資 料 358 によると 一 般 炭 生 産 量 は 29.1 億 トン( 石 炭 総 生 産 量 に 占 める 比 率 は 79.7% 以 下 同 ) 一 般 炭 の 輸 入 は 2.3 億 ト ン( 褐 炭 を 含 む) 国 内 の 一 般 炭 総 供 給 量 は 31.5 億 トンになる また 2012 年 の 原 料 炭 の 生 産 は 5.5 億 トン(15.1%) 原 料 炭 の 輸 入 は 5,355 万 トン 原 料 炭 総 供 給 量 は 6 億 トン 前 後 である 残 り は 無 煙 炭 で 生 産 量 は 1.9 億 トンと 推 定 される 359 また 中 国 統 計 局 の 統 計 公 報 によると 2013 年 の 石 炭 生 産 は 36.8 億 トン 石 炭 消 費 の 対 前 年 比 伸 び 率 は 3.7%であり 計 算 すると 2013 年 の 石 炭 消 費 は 39.4 億 トンになる 炭 種 別 の 生 産 量 に ついては 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターの 数 字 によると 2013 年 の 原 料 炭 生 産 は 4.8 億 トン(2013 年 の 石 炭 生 産 全 体 の 13.0% 以 下 同 ) 無 煙 炭 の 生 産 は 推 定 で 1.8 億 トン 前 後 (4.9%)であり 一 般 炭 の 生 産 は 30.3 億 トン(82.1%)になる 360 歴 年 のエネルギーバランス 表 を 見 ると 2005 年 ~2013 年 の 石 炭 生 産 の 年 平 均 増 加 率 5.8%に 対 し 石 炭 消 費 の 年 平 均 増 加 率 は 生 産 の 年 平 均 増 加 率 よりも 1.3 ポイント 高 く 7.1%になる また 2010 年 ~2013 年 における 石 炭 生 産 の 年 平 均 増 加 率 4.4%に 対 し 消 費 の 年 平 均 増 加 率 は 7.2%に 達 し 両 者 の 差 は 2005 年 ~2013 年 に 比 べ 拡 大 した 表 石 炭 需 給 バランス 項 目 万 トン 年 平 均 増 加 率 % /10 13/05 13/10 生 産 1,384 2,350 3,235 3,516 3,645 3, 輸 入 輸 出 純 輸 入 在 庫 消 費 1,368 2,269 3,198 3,606 3,800 3, ( 出 所 ) 統 計 局 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 2013 年 国 民 経 済 と 社 会 発 展 統 計 公 報 中 国 税 関 統 計 よ り 作 成 358 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センター 石 炭 取 引 パターンの 変 革 における 石 炭 とコークス 市 場 の 役 割 と 影 響 359 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センターの 全 国 生 産 量 のデータは 統 計 局 の 36.5 億 トンよりも 1 億 トン 多 い また 中 国 の 無 煙 炭 と 原 料 炭 の 一 部 は 一 般 炭 として 利 用 されている 360 中 国 ( 太 原 ) 石 炭 取 引 センター( 210

258 一 方 2009 年 から 中 国 は 石 炭 純 輸 入 国 に 転 じ 石 炭 の 輸 入 が 年 々に 拡 大 し 輸 出 は 年 々 減 少 し た 2009 年 の 石 炭 の 純 輸 入 は 1.0 億 トンであったが 2013 年 にはそれより 2.2 億 トン 増 えて 3.2 億 トンに 達 した 他 方 2013 年 の 石 炭 在 庫 は 2010 年 以 降 で 最 低 となった 統 計 データが 正 しけ れば これは 中 国 政 府 の 石 炭 生 産 制 限 政 策 の 効 果 と 推 測 される さらに 2014 年 に 中 国 石 炭 工 業 協 会 が 発 表 した 石 炭 生 産 の 短 期 予 測 によると 2014 年 の 中 国 の 石 炭 生 産 は 38 億 トン 2013 年 より 2.7%の 増 加 になり 石 炭 消 費 は 40 億 トン 石 炭 の 純 輸 入 は 3 億 トン 前 後 になる 361 この 予 測 を 見 る 限 り 2014 年 の 石 炭 生 産 の 対 前 年 比 の 伸 び 率 は 2013 年 の 0.9%より 高 く 石 炭 の 純 輸 入 は 2013 年 の 3.1 億 トンとほぼ 横 ばいであり これまでの 石 炭 純 輸 入 の 増 加 傾 向 が 減 速 することになる 2014 年 国 際 原 料 炭 資 源 市 場 フォーラムにおいて 中 国 コークス 産 業 協 会 の 首 席 専 門 家 は 2014 年 のコークス 生 産 は 4.9 億 トンに 達 し 原 料 炭 の 輸 出 は 1,000 万 トンとなるとの 予 測 を 示 した 仮 に 石 炭 輸 出 が 1,000 万 トンになれば 2014 年 の 石 炭 の 輸 入 は 3.1 億 トン 前 後 になる 万 トン 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5, ,000-10,000-15,000 輸 入 輸 出 純 輸 入 ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 中 国 石 炭 工 業 協 会 コークス 工 業 協 会 をもとに 作 成 図 中 国 の 石 炭 輸 出 入 と 2014 年 の 短 期 予 測 石 炭 需 給 バランスの 予 測 中 国 の 石 炭 需 給 や 石 炭 輸 出 入 は 世 界 の 石 炭 市 場 に 大 きな 影 響 を 与 える 要 素 の 一 つである 以 下 では これまで 述 べてきた 石 炭 の 需 要 に 対 応 する 供 給 ( 生 産 ) 及 び 需 給 バランスの 予 測 を 行 い 石 炭 輸 入 の 将 来 動 向 を 占 うこととする ところで 中 国 政 府 が 明 らかにしている 石 炭 生 産 能 力 に 関 する 計 画 は 2015 年 までのものであり また 同 じく 石 炭 生 産 目 標 は 2020 年 までのものである すなわち 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 362 では 2015 年 の 石 炭 生 産 能 力 は 41 億 トン 生 産 は 39 億 トン 前 後 と 見 込 まれており ま 詳 しくは 第 4 章 参 照 211

259 た 2020 年 の 石 炭 生 産 目 標 については 国 家 能 源 局 と 石 炭 工 業 発 展 研 究 センターによる 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 重 点 課 題 に 関 する 研 究 の 中 で 43 億 トンと 設 定 されている そこで 本 調 査 では 上 記 の 計 画 や 目 標 以 外 の 中 国 政 府 地 方 行 政 機 関 石 炭 工 業 企 画 設 計 院 などの 信 憑 性 が 高 いと 考 えられる 情 報 に 基 づいて 2040 年 までの 生 産 能 力 を 想 定 する ちなみ に このような 想 定 のために 参 考 にした 情 報 は 次 のようなものである 1 中 国 の 専 門 家 は 資 源 環 境 コストなどの 見 地 から 中 国 の 年 間 石 炭 生 産 量 は 50 億 トン 前 後 が 限 度 になると 見 ており 石 炭 生 産 が 50 億 トン 以 上 になると 持 続 可 能 な 経 済 発 展 は 不 可 能 であると 指 摘 している 中 国 石 炭 工 業 企 画 設 計 院 の 李 端 鋒 総 経 理 によると 2013 年 末 における 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 40 億 トン/ 年 新 規 建 設 中 及 び 改 造 中 の 石 炭 生 産 能 力 は 10 億 トン/ 年 であり この 10 億 トン/ 年 の 生 産 能 力 は 今 後 徐 々に 稼 働 していくと 見 られる 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 では 2015 年 までの 新 規 開 発 炭 鉱 の 生 産 能 力 が 7.4 億 トン / 年 と 計 画 されている 加 えて 既 存 炭 鉱 のうち 2000 年 以 降 に 建 設 された 炭 鉱 の 石 炭 生 産 能 力 は 25 億 トン/ 年 に 及 んでいる 両 者 (7.4 億 トン/ 年 と 25 億 トン/ 年 )を 合 わせると 32.4 億 トン/ 年 になる 一 般 に 炭 鉱 の 寿 命 は 50 年 以 上 365 であると 評 価 されており この 32.4 億 トン/ 年 の 生 産 能 力 は 2040 年 までは 生 産 を 続 けることが 可 能 であると 推 測 される 4 現 在 中 国 政 府 は 老 朽 化 炭 鉱 や 小 型 炭 鉱 の 淘 汰 を 進 めているが 淘 汰 される 生 産 能 力 は 新 規 生 産 能 力 を 下 回 るのが 現 状 である 石 炭 安 全 監 査 局 の 宋 元 明 副 局 長 は 中 国 には 2013 年 時 点 で 1 万 2,526 ヵ 所 の 炭 鉱 があり その 中 で 1 万 32 ヵ 所 は 年 産 能 力 30 万 トン 以 下 であると 指 摘 している 366 国 家 能 源 局 の 2014 年 の 石 炭 産 業 における 老 朽 炭 鉱 の 淘 汰 作 業 に 関 する 通 達 は 2014 年 に 全 国 で 1,725 ヵ 所 の 炭 鉱 合 計 生 産 能 力 1 億 1,748 万 トンを 淘 汰 する 計 画 を 打 ち 出 しているが 通 達 の 内 容 を 詳 細 に 調 べると 実 際 に 淘 汰 する 炭 鉱 は 800 ヵ 所 生 産 能 力 は 4,070 万 トンに 止 まり 残 りの 402 ヵ 所 の 炭 鉱 と 1,766 万 トン/ 年 の 生 産 能 力 は 改 修 を 施 した 上 で 引 き 続 き 生 産 を 行 うことになっている また 523 ヵ 所 の 炭 鉱 と 5,912 万 トン/ 年 の 生 産 能 力 についても M&A を 経 て 生 産 を 継 続 する 結 局 実 際 に 淘 汰 される 生 産 能 力 は 上 掲 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 目 標 をはるかに 下 回 ることになる 5 山 西 省 石 炭 監 査 局 の 資 料 によると 山 西 省 では 中 央 政 府 や 省 政 府 が 認 定 していない 炭 鉱 の 開 発 と 生 産 が 進 められている また インターネット 情 報 によると 山 西 省 以 外 に 河 南 省 貴 州 省 四 川 省 内 モンゴル 自 治 区 などでも このような 未 認 可 の 炭 鉱 が 存 在 しており こ 363 国 務 院 発 展 研 究 センター 中 国 の 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 2013 年 12 月 露 天 掘 炭 鉱 の 寿 命 は 一 般 的 に 90 年 以 上 である

260 のような 炭 鉱 は 地 方 政 府 の 保 護 を 受 けて 今 後 も 生 産 と 開 発 を 続 けていくと 予 測 される 367 な お 山 西 省 炭 鉱 安 全 監 査 局 は 山 西 省 の 炭 鉱 は 2013 年 には 安 全 生 産 許 可 証 によって 制 限 され ている 生 産 能 力 を 30% 以 上 上 回 る 生 産 を 行 い 能 力 超 過 分 の 生 産 は 年 間 1.5 億 トン~2 億 トン に 上 ったと 指 摘 し 2014~2015 年 もこのような 能 力 超 過 生 産 が 続 くという 予 想 を 示 している 368 以 上 の 情 報 から 以 下 のことが 想 定 される 第 1 に 今 後 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 50 億 トン 程 度 まで 拡 大 することが 可 能 であろう(1による) 第 2 に 2013 年 末 に 存 在 する 石 炭 生 産 能 力 と 新 規 建 設 中 及 び 改 造 中 の 石 炭 生 産 能 力 と 合 わせる と 50 億 トン/ 年 になること(2による)を 前 提 に 老 朽 化 炭 鉱 や 小 型 炭 鉱 の 淘 汰 の 進 め 方 (4に よる) さらには 未 認 可 の 炭 鉱 の 存 在 や 能 力 超 過 生 産 (5による)を 考 慮 すると 今 後 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 50 億 トン 程 度 まで 拡 大 されるであろう 第 3 に 以 上 の 想 定 及 び 石 炭 の 平 均 熱 量 から 総 合 的 に 判 断 すると 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 2020 年 に 43 億 トン 前 後 2030 年 に 47 億 トン 以 上 に 達 する 2040 年 には 需 要 の 減 少 輸 送 コストの 増 加 環 境 圧 力 の 増 大 などにより 2030 年 に 比 べて 低 下 するが なお 45 億 トン 以 上 を 維 持 するで あろう 表 は 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 バランスの 予 測 を 示 したものである 表 中 国 全 体 の 石 炭 需 給 バランスの 予 測 ( 単 位 : 億 トン) 需 給 シナリオ 生 産 能 力 非 化 石 需 要 天 然 ガス 石 炭 依 存 非 化 石 バランス 天 然 ガス 石 炭 依 存 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 これによれば 2020 年 及 び 2030 年 には 国 内 炭 の 生 産 能 力 が 需 要 を 上 回 るのに 対 して 2040 年 には 石 炭 依 存 シナリオで 国 内 の 生 産 能 力 が 需 要 を 若 干 下 回 るであろう しかし 石 炭 需 要 が 大 きく あるいは 供 給 不 足 になれば 政 府 及 び 民 間 主 導 で 炭 鉱 開 発 が 行 われる 可 能 性 が 高 く 中 国 の 石 炭 需 給 関 係 は 基 本 的 に 緩 和 に 向 かうと 予 測 される

261 一 方 で 為 替 レートの 変 動 生 産 コストの 上 昇 生 産 拠 点 の 西 部 への 移 動 による 輸 送 コストの 上 昇 環 境 汚 染 対 策 費 の 上 昇 により 沿 海 地 域 での 国 産 炭 の 価 格 競 争 力 が 更 に 低 下 することも 想 定 され その 場 合 は 今 後 も 石 炭 輸 入 量 が 減 少 しない 可 能 性 もある 第 4 章 で 述 べた 通 り 中 国 は 2013 年 に 褐 炭 を 含 むと 3.27 億 トン 褐 炭 を 除 くと 2.67 億 トン の 石 炭 を 輸 入 している 同 年 の 石 炭 輸 出 量 は 751 万 トンであったので 純 輸 入 量 は 2.5 億 トンあ るいは 3 億 トンを 超 えている なお 省 直 轄 市 自 治 区 別 でに 輸 入 量 が 多 かった(2,000 万 トン 以 上 )のは 広 東 省 広 西 チワン 族 自 治 区 河 北 省 山 東 省 福 建 省 浙 江 省 江 蘇 省 で いず れも 沿 海 部 に 位 置 している 本 調 査 では 将 来 における 中 国 の 石 炭 輸 入 は 本 格 的 な 検 討 の 対 象 とされていないが 今 後 の 石 炭 輸 入 の 動 向 を 占 うためには 以 下 の 諸 要 因 に 注 意 しておくことが 重 要 である まず 上 表 の 石 炭 需 要 の 予 測 を 前 提 にして 供 給 面 に 注 目 すると 供 給 力 拡 大 のための 資 源 量 及 びその 開 発 のための 資 金 技 術 などには 問 題 がないとしても 石 炭 開 発 に 伴 う 環 境 破 壊 生 産 地 から 消 費 地 までの 輸 送 (コールフロー)などが 生 産 と 供 給 の 拡 大 に 対 して 障 害 になる 恐 れは 存 在 している 一 方 消 費 面 に 注 目 すると 石 炭 消 費 者 ( 企 業 )は 石 炭 を 国 内 で 調 達 するか 輸 入 するかについ て 利 益 を 優 先 して 判 断 を 行 い 最 終 的 に 調 達 価 格 を 最 も 重 要 視 しており したがって 石 炭 の 国 内 価 格 と 国 際 ( 輸 入 ) 価 格 との 関 係 が 石 炭 輸 入 を 大 きく 左 右 するであろう この 関 係 がどうなる かは 供 給 面 における 炭 鉱 の 生 産 コスト 及 び 輸 送 コストによっても 左 右 され さらに 政 府 の 石 炭 生 産 輸 出 入 に 関 する 政 策 も 石 炭 価 格 にとっては 重 要 な 要 因 になろう 214

262 < 参 考 資 料 1> 関 連 諸 機 関 による 一 次 エネルギー 需 要 の 予 測 2000 年 以 降 における 中 国 の 経 済 成 長 とエネルギー 需 要 を 見 ると 2000 年 ~2013 年 の GDP 年 平 均 成 長 率 9.9%に 対 し 同 時 期 の 一 次 エネルギー 消 費 の 年 平 均 成 長 率 は 7.6%であり 一 次 エネルギ ー 消 費 の 対 GDP 弾 性 値 は 0.8 である また 一 次 エネルギー 消 費 原 単 位 (GDP 単 位 当 たり)は 2000 年 の 1.0toe/ 万 元 から 2013 年 には 0.5toe 下 がって 0.5toe/ 万 元 ( 約 0.3toe/1,000USD)となっ た 省 エネルギーが 進 んでいると 見 られるが 2011 年 における 日 本 の 一 次 エネルギー 消 費 原 単 位 0.1toe/1,000USD と 比 べるとまだまだ 高 い 369 また 2013 年 の 一 次 エネルギー 消 費 構 造 を 見 ると 石 炭 消 費 は 全 体 の 66.6% 石 油 は 18.8% 天 然 ガスは 5.7% 水 力 原 子 力 風 力 その 他 は 9.0%である 経 済 成 長 と 石 炭 消 費 の 相 関 性 を 見 ると 2000~2013 年 の 石 炭 消 費 の 年 平 均 増 加 率 は 7.2%と 推 定 され 同 期 間 の 石 炭 消 費 の 対 GDP 弾 性 値 は 0.7 になる 近 年 天 然 ガスの 導 入 再 生 可 能 エネルギーの 開 発 石 油 消 費 の 拡 大 など により 石 炭 消 費 の 対 GDP 弾 性 値 は 低 下 している IEA の 2013 年 版 World Energy Outlook ( New Policies Scenario)は 2020 年 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 は 35.2 億 toe(new Policies Scenario) 2030 年 には 39.5 億 toe になると 予 測 し 2011 ~2020 年 の 一 次 エネルギー 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 2.8% 2020~2030 年 は 1.2%になると 予 測 して いる また 2020 年 の 石 炭 需 要 を 21.2 億 toe 2030 年 の 石 炭 需 要 を 21.7 億 toe とし 一 次 エネル ギー 需 要 に 占 める 比 率 は 2020 年 には 60.2% 2030 年 には 54.9%になるとしている 日 本 エネルギー 経 済 研 究 所 の 2013 年 版 World Energy Outlook では 2020 年 の 中 国 の 一 次 エ ネルギー 需 要 は 34.3 億 toe 2011~2020 年 の 一 次 エネルギー 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 2.6%になると 予 測 している そして 2030 年 の 一 次 エネルギー 需 要 については 40.1 億 toe 2040 年 は 4.2 億 toe と 予 測 し 2020~2030 年 の 年 平 均 伸 び 率 は 1.6% 2030~2040 年 は 1.0%になるとの 予 測 を 示 して いる また 2020 年 の 石 炭 需 要 は 20.6 億 toe 2030 年 は 21.9 億 toe 2040 年 は 22.5 億 toe になる としている 米 国 EIA の 2013 年 版 International Energy Outlook は 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 は 2020 年 に 40.1 億 toe 2040 年 に 55.4 億 toe に 達 し 2011 年 ~2040 年 の 一 次 エネルギー 需 要 の 年 平 均 伸 び 率 は 2.4%になると 予 測 しれ また 2020 年 の 石 炭 需 要 は 25.1 億 toe になり 2030 年 には 30.0 に 達 すると 予 測 している 年 の 中 国 一 次 エネルギー 消 費 原 単 位 はやや 低 いと 感 じられる IEA 統 計 で 計 算 すると 2011 年 の 一 次 エネルギー 消 費 原 単 位 は 0.65toe/1,000 ドルであり IEA 統 計 の 中 国 の 一 次 エネルギー 消 費 は 中 国 統 計 より 多 い 理 由 である 215

263 表 1-1 海 外 及 び 国 内 の 専 門 機 関 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し ( 単 位 : 百 万 toe) ( 出 所 )IEA: World Energy Outlook 2013, IEEJ: アジア/ 世 界 エネルギー 展 望 2013 USEIA: International energy Outlook 2013 ここに 示 したいずれの 見 通 しも 中 国 のエネルギー 需 要 は 今 後 減 速 に 向 かう という 点 ではほ ぼ 同 じ 見 方 をとっているが EIA の 見 通 しは 2030 年 ころまでエネルギー 需 要 の 緩 やかな 増 加 が 続 くとし IEA や IEEJ の 見 通 しよりかなり 大 きな 需 要 を 見 込 んでいる IEA と IEEJ はアジア 地 区 のエネルギー 需 要 見 通 し 作 成 に 当 たって 緊 密 な 連 絡 を 取 っているので 比 較 的 似 通 った 予 測 となっ ている なかでも IEEJ は 産 業 部 門 石 炭 消 費 の 中 核 となっている 鉄 鋼 セメント 部 門 について 中 国 の 粗 鋼 生 産 は 2012 年 の 7 億 トン 程 度 セメント 生 産 は 同 じく 2012 年 の 21 億 トン 程 度 をピー クに 減 少 に 向 かうとの 見 方 をとっており 産 業 用 エネルギー 消 費 の 増 加 率 は 急 速 に 減 速 すると 想 定 している IEA の 見 方 はこれよりも 穏 やかであるが ここに 引 用 した 環 境 対 策 などが 進 むとす る 新 政 策 シナリオ の 下 では 石 炭 需 要 の 伸 びは 2020 年 にかけてかなり 鈍 化 すると 見 ている 基 本 的 な 潮 流 として 中 国 の 基 礎 物 資 の 生 産 増 加 は 今 後 減 速 に 向 かうと 思 われるが 2013 年 も 鉄 鋼 やセメントの 生 産 は 増 加 しており ピークは IEEJ の 想 定 よりも 少 し 高 い 水 準 になる 可 能 性 が 高 い 一 方 IEA/IEEJ と EIA のエネルギー 需 要 見 通 しの 差 は 両 者 の 最 終 エネルギー 需 要 の 見 通 しを 比 較 すると 明 らかである これらの 3 機 関 の 見 通 しは もともとの 実 績 データにかなりの 差 が あり 一 概 に 比 較 するのは 難 しい しかし 米 国 EIA が 産 業 用 石 炭 の 需 要 増 加 は 2030 年 頃 まで 続 く としている 点 は 最 終 エネルギーとしての 石 炭 の 需 要 は 2020 年 以 降 減 少 に 向 かうとする IEA/IEEJ の 見 通 しとは 明 らかに 違 っている 216

264 表 1-2 主 要 機 関 による 中 国 の 最 終 エネルギー 需 要 の 見 通 し ( 出 所 )IEA: World Energy Outlook 2013, IEEJ: アジア/ 世 界 エネルギー 展 望 2013 USEIA: International energy Outlook 2013 中 国 国 務 院 発 展 研 究 センターの 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 によると 現 在 までの 経 済 構 造 とエネルギー 消 費 構 造 を 維 持 された 場 合 (シナリオ A) 2020 年 の 一 次 エネルギー 需 要 は 45.3 億 toe に 達 し 2030 年 では 56.7 億 toe に 達 する しかし 経 済 とエネルギー 消 費 構 造 を 転 換 する 場 合 (シナリオ C)は 2020 年 の 一 次 エネルギー 需 要 は 36.8 億 toe になり 2030 年 には 42.3 億 toe になり 2010~2020 年 の 一 次 エネルギー 需 要 の 年 平 均 伸 びは 4.9% 2020~2030 年 は 1.4% になる また このシナリオ C では 2020 年 の 石 炭 需 要 は 22.5 億 toe 物 理 トンに 換 算 すると 原 炭 約 45 億 トン(5,000kcal/kg 換 算 )になると 予 測 される そして 2030 年 の 石 炭 需 要 は 2020 年 より 2.6 億 toe 減 少 することになる 217

265 表 1-3 中 国 の 専 門 機 関 における 中 国 の 一 次 エネルギー 需 要 見 通 し 予 測 ( 百 万 toe) 実 績 ( 百 万 toe) エネルギー 源 シナリオA シナリオB シナリオC % 一 次 エネルギー 843 2,276 4,528 5,662 3,806 4,934 3,686 4, 石 炭 551 1,547 2,994 3,592 2,519 3,060 2,251 1, 石 油 天 然 ガス 非 化 石 エネ 水 力 原 子 力 太 陽 光 発 電 太 陽 熱 風 力 バイオなど ( 出 所 ) 中 国 発 展 出 版 社 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 2013 年 12 月 また 中 国 中 長 期 エネルギー 発 展 戦 略 研 究 は 2030 年 までの 20 年 間 電 力 消 費 が 持 続 的 に 増 加 し 最 終 エネルギー 消 費 における 電 力 の 比 率 は 上 昇 していくと 予 測 している 需 要 側 から 見 ると 電 気 自 動 車 の 導 入 と 拡 大 が 電 力 需 要 を 牽 引 することになり 一 次 エネルギーの 電 力 への 転 換 率 は 2020 年 には 51% 2030 年 には 55%に 達 する また 2020 年 における 一 次 エネルギー 需 要 に 占 める 非 化 石 エネルギーの 比 率 は 約 14% 天 然 ガスは 10%になり 石 炭 の 比 率 は 61% 前 後 に 下 がるとしている 同 じく 2030 年 には 非 化 石 エネルギー 比 率 を 約 20% 天 然 ガスの 比 率 を 約 18% と 予 測 し 石 炭 の 比 率 は 50% 以 下 になると 予 測 している 以 上 上 掲 の IEA IEEJ 及 び EIA の 予 測 はいずれもマクロ 経 済 予 測 のみに 基 づいているが 本 調 査 では 単 純 なマクロ 経 済 予 測 だけでなく 電 力 事 業 及 び 石 炭 多 消 費 産 業 の 分 析 に 基 づいて 一 次 エネルギー 需 要 に 対 する 予 測 を 行 った 218

266 < 参 考 資 料 2> シェールガスを 含 む 非 在 来 型 ガスの 開 発 動 向 中 国 では 経 済 発 展 や 生 活 レベルの 向 上 に 伴 い 天 然 ガスの 需 要 が 急 増 中 だが 国 内 の 天 然 ガス 生 産 能 力 は 不 十 分 である このため シェールガスを 含 む 非 在 来 型 ガスの 開 発 に 大 きな 期 待 が 寄 せられている (1) 政 策 動 向 1 炭 層 ガス( 炭 鉱 ガス) 2011 年 12 月 中 国 政 府 は 炭 層 ガス( 炭 鉱 ガス)の 開 発 利 用 に 関 する 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 を 発 表 し 2015 年 までに 炭 層 ガス( 炭 鉱 ガス)の 新 規 可 採 埋 蔵 量 を 1 兆 m 3 確 認 し 沁 水 盆 地 とオ ルドス 盆 地 東 縁 に 2 大 産 業 化 基 地 を 建 設 する 方 針 を 打 ち 出 した また 炭 層 ガス( 炭 鉱 ガス)の 生 産 目 標 は 300 億 m 3 (うち 地 表 開 発 による 生 産 量 は 160 億 m 3 )とし ほぼ 全 量 を 利 用 して 炭 層 ガス 140 億 m 3 を 抽 出 し 利 用 率 を 60% 以 上 にする 計 画 である 2013 年 9 月 には 炭 層 ガス( 炭 鉱 ガス)の 開 発 を 強 化 するために 炭 層 ガスの 開 発 利 用 の 加 速 に 関 する 意 見 370 が 下 達 された 同 意 見 では 関 連 補 助 金 の 引 き 上 げや 炭 層 ガス 発 電 により 得 られた 電 力 の 価 格 を 引 き 上 げる 方 針 などが 打 ち 出 されている 2シェールガス 2012 年 3 月 中 国 政 府 は シェールガスの 発 展 計 画 (2011~2015 年 ) を 発 表 し 開 発 目 標 や シェールガス 産 業 に 対 する 財 政 支 援 強 化 について 明 確 にした 2015 年 までの 主 な 開 発 目 標 は 以 下 の 通 りである 全 国 のシェールガス 資 源 に 関 する 調 査 評 価 を 完 了 して 資 源 量 や 分 布 状 況 を 確 認 し 30~ 50 の 長 期 開 発 目 標 地 域 と 50~80 の 開 発 有 望 地 域 を 定 める シェールガスの 地 質 埋 蔵 量 6,000 億 m 3 可 採 埋 蔵 量 2,000 億 m 3 を 確 認 し 2015 年 の 生 産 量 を 65 億 m 3 とする 中 国 の 地 質 条 件 に 合 った 調 査 方 法 資 源 評 価 技 術 探 査 開 発 のコア 技 術 関 連 設 備 を 採 用 する 調 査 評 価 資 源 量 分 析 測 定 探 査 開 発 環 境 保 護 など 多 岐 にわたる 技 術 基 準 や 規 範 を 採 用 する シェールガスの 発 展 計 画 では 重 点 開 発 地 域 を 四 川 省 重 慶 市 貴 州 省 湖 南 省 湖 北 省 雲 南 省 江 西 省 安 徽 省 江 蘇 省 陜 西 省 河 南 省 遼 寧 省 新 疆 ウイグル 自 治 区 とし 19 の 開 発 区 ( 長 寧 威 遠 昭 通 富 順 永 川 鄂 西 渝 東 川 西 閬 中 川 東 北 安 順 凱 里 済 陽 延 安 神 府 臨 興 沁 源 寿 陽 蕪 湖 横 山 堡 南 川 秀 山 遼 河 東 部 岑 巩 松 桃 )を 建 設 する 370 中 国 政 府 ウェブサイト( 219

267 2012 年 11 月 シェールガスの 開 発 利 用 に 関 する 補 助 金 政 策 371 が 公 布 され 2012 年 ~2015 年 のシェールガス 採 掘 企 業 に 対 する 補 助 金 の 基 準 を 0.4 元 / m 3 とし 産 業 の 発 展 状 況 に 応 じて 補 助 金 基 準 を 調 整 する 方 針 が 示 された 中 国 政 府 はシェールガスの 開 発 を 促 進 するため 2013 年 10 月 に シェールガスの 産 業 政 策 372 を 公 布 し 国 内 外 の 企 業 によるシェールガス 開 発 を 奨 励 する 方 針 を 示 した また シェールガス の 開 発 は 中 国 の 戦 略 的 新 興 産 業 に 指 定 され 財 政 支 援 が 強 化 された シェールガス 開 発 企 業 は 様 々 な 税 費 用 が 減 免 される 炭 層 ガス( 炭 鉱 ガス)やシェールガスの 開 発 は 中 国 政 府 の エネルギー 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 に 盛 り 込 まれている 同 計 画 は 非 在 来 型 ガスの 開 発 強 化 方 針 を 打 ち 出 しており 炭 層 ガ スは 沁 水 盆 地 オルドス 盆 地 東 縁 に 炭 層 ガス 産 業 化 基 地 を 建 設 する 河 北 省 安 徽 省 山 東 省 河 南 省 陝 西 省 甘 粛 省 寧 夏 回 族 自 治 区 などで 炭 層 ガスの 探 査 開 発 を 推 進 する 新 疆 ウイグ ル 自 治 区 中 部 地 域 西 南 部 地 域 での 探 査 開 発 に 力 を 入 れる シェールガスに 関 しては シェ ールガス 資 源 の 調 査 と 評 価 を 強 化 する 四 川 省 重 慶 市 雲 南 省 貴 州 省 湖 北 省 陝 西 省 山 西 省 などで 重 点 的 に 探 査 開 発 する 長 寧 威 遠 昭 通 などシェールガス 開 発 区 を 建 設 する 炭 層 ガスとシェールガスの 探 明 地 質 儲 量 は 2015 年 にはそれぞれ 1 兆 億 m 3 6,000 億 m 3 増 加 する 2015 年 の 生 産 量 は 炭 層 ( 炭 鉱 )ガス 300 億 m 3 シェールガス 65 億 m 3 に 達 する 国 家 能 源 局 が 2014 年 1 月 24 日 に 下 達 した 2014 年 のエネルギー 産 業 に 対 する 指 導 意 見 に 関 す る 通 知 では 非 在 来 型 ガスの 開 発 強 化 方 針 が 示 されている 373 中 国 石 化 集 団 公 司 (Sinopec)が 四 川 省 涪 陵 のモデル 地 域 で 進 めているシェールガスの 開 発 経 験 を 紹 介 し シェールガスモデルエ リアの 建 設 を 加 速 する 四 川 省 や 重 慶 市 での 探 査 開 発 を 強 化 し 湖 南 省 湖 北 省 雲 南 省 貴 州 省 江 蘇 省 安 徽 省 などでの 開 発 を 実 施 する 2014 年 の 生 産 量 は 15 億 m 3 に 達 する 見 込 み 炭 層 ガス 開 発 に 関 して 沁 水 盆 地 及 びオルドス 盆 地 東 縁 での 炭 層 ガス 産 業 化 基 地 建 設 を 促 進 し 新 疆 ウイグル 自 治 区 などでの 探 査 開 発 を 進 める 2014 年 の 炭 層 ガスの 生 産 量 を 180 億 m 3 とする 中 国 政 府 は 炭 層 ガスやシェールガスの 重 点 開 発 地 域 を 定 め 具 体 的 な 開 発 指 標 を 示 している また 炭 層 ガスやシェールガスの 開 発 を 促 進 するため 大 幅 な 規 制 緩 和 を 行 う (2) 開 発 動 向 1 炭 層 ガス 中 国 の 炭 層 ガス 資 源 量 は 豊 富 で 2,000m 以 浅 にある 炭 層 ガスの 資 源 量 は 36.8 兆 m 3 に 達 してい る 1,000m 以 浅 にある 資 源 量 が 総 資 源 量 に 占 める 割 合 は 38.8%で 深 さ 1,000~1,500m 未 満 にあ る 資 源 量 は 28.8% 1,500~2,000m にある 資 源 量 は 32.4%である 炭 層 資 源 総 量 の 60% 以 上 は 1,500m 以 浅 にあり 開 発 に 有 利 であると 考 えられる 中 国 財 務 部 ウェブサイト( 中 国 政 府 ウェブサイト( 国 家 能 源 局 ウェブサイト( 220

268 表 2-1 中 国 の 炭 層 ガス 資 源 量 と 深 度 区 分 資 源 量 ( 兆 m3) 比 率 (%) 1,000m 以 浅 ,000~1500m ,500~2,000m 合 計 ( 出 所 ) 炭 層 ガスの 開 発 利 用 に 関 する 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 より 作 成 中 国 の 炭 層 ガス 資 源 は 主 に 華 北 地 区 や 西 北 地 区 である 華 北 地 区 西 北 地 区 南 方 地 区 東 北 地 区 における 炭 層 ガス 資 源 量 が 全 国 総 資 源 量 に 占 める 割 合 は それぞれ 56.3% 28.1% 14.3% 1.3%である また 炭 層 ガス 資 源 は 主 に 大 盆 地 に 集 中 して 堆 積 している 資 源 量 5,000 億 m 3 以 上 の 盆 地 は 14 カ 所 であり 資 源 量 1 兆 m 3 以 上 の 盆 地 は オルドス 盆 地 東 縁 ( 山 西 省 西 部 ) 沁 水 ( 山 西 省 ) ジュンガル( 新 疆 ウイグル 自 治 区 ) 東 黔 西 ( 雲 南 省 東 部 及 び 貴 州 省 西 部 ) 二 連 ( 内 モン ゴル 自 治 区 ) 吐 哈 ( 新 疆 ウイグル 自 治 区 ) タリム( 新 疆 ウイグル 自 治 区 ) 天 山 ( 新 疆 ウイグル 自 治 区 ) ハイラル( 内 モンゴル 自 治 区 及 び 黒 竜 江 省 )である また 資 源 量 5,000 億 m 3 ~1 兆 m 3 の 盆 地 は 川 南 黔 北 ( 四 川 省 南 部 及 び 貴 州 省 北 部 ) 豫 西 ( 河 南 省 西 部 ) 川 豫 ( 四 川 省 と 河 南 省 の 一 部 ) 三 塘 湖 ( 新 疆 ウイグル 自 治 区 ) 徐 淮 ( 江 蘇 省 )である ( 出 所 )CNPC のウェブサイト 図 2-1 中 国 の 炭 層 ガス 分 布 図 炭 層 ガス 開 発 企 業 には 中 聯 煤 層 気 有 限 公 司 中 国 石 油 天 然 気 集 団 公 司 (CNPC) 晋 煤 集 団 中 国 石 化 集 団 公 司 河 南 煤 層 気 公 司 中 国 海 洋 石 油 総 公 司 などがある うち 中 聯 煤 層 気 有 限 公 司 中 国 石 油 天 然 気 集 団 公 司 晋 煤 集 団 の 3 社 で 中 国 の 炭 層 ガス 総 生 産 量 の 90% 以 上 を 占 める 221

269 中 国 の 炭 層 ガスの 生 産 量 は 増 加 しているが 2015 年 の 生 産 目 標 は 達 成 できないと 見 られる 年 の 生 産 量 は 138 億 m 3 で 2012 年 より 13 億 m 3 増 加 したのみである うち 鉱 井 掘 削 による 炭 層 ガスの 生 産 量 は 29 億 m 3 で 炭 鉱 ガスの 生 産 量 は 109 億 m 3 であった 現 状 からすると 中 国 政 府 が 掲 げる 目 標 (2015 年 に 炭 層 ガスの 生 産 量 を 300 億 m 3 に 達 する 目 標 ) 達 成 できないと 思 わ れる ちなみに 2010 年 の 生 産 量 は 15 億 m 3 であり 2006 年 に 制 定 した 炭 層 ガスの 開 発 利 用 に 関 する 第 11 次 5 ヵ 年 計 画 の 目 標 値 (50 億 m 3 ) を 達 成 できなかった 表 2-2 中 国 の 炭 層 ガス 生 産 量 の 推 移 単 位 : 億 m 年 2011 年 2012 年 2013 年 炭 層 ガス 炭 鉱 ガス 小 計 ( 出 所 ) 各 資 料 より 作 成 2シェールガス EIA によると 中 国 のシェールガスの 技 術 的 推 定 可 採 埋 蔵 量 ( 技 術 的 に 回 収 可 能 とされる 資 源 量 )は 1,115 兆 ft 3 ( 約 31.2 兆 m 3 )で 世 界 一 であると 評 価 されている 374 一 方 中 国 では シェ ールガスの 資 源 探 査 は 模 索 段 階 で 在 来 型 資 源 のようなポテンシャル 評 価 はまだ 行 われていない 中 国 のシェールガス 資 源 の 評 価 方 法 は 中 国 と 米 国 の 地 質 資 料 を 対 比 し 中 国 の 資 源 量 を 推 定 し ている 中 国 のシェールガスの 資 源 量 は 25 兆 m 3 であるとされている 375 表 2-3 主 要 国 のシェールガスの 技 術 的 推 定 可 採 埋 蔵 量 国 技 術 的 推 定 可 採 埋 蔵 量 ( 兆 ft 3 ) 中 国 1,115 アルゼンチン 802 アルジェリア 707 米 国 665 カナダ 573 メキシコ 545 オーストラリア 437 南 アフリカ 390 ロシア 285 ブラジル 245 世 界 7,299 ( 出 所 )IEA( 374 IEA( 375 シェールガス 網 ( 222

270 中 国 のシェールガスは 広 範 囲 に 分 布 しており 様 々な 生 成 条 件 がある 海 相 地 層 海 相 陸 相 重 畳 地 層 石 油 天 然 ガス 産 地 の 沈 澱 地 層 などで 賦 存 が 認 められている 賦 存 面 積 は 海 相 地 層 は 300 万 km 2 海 陸 重 畳 地 層 は 200 万 km 2 陸 上 海 相 地 層 は 280 万 km 2 と 推 測 されている 地 域 別 のシェールガス 資 源 評 価 は 南 方 区 北 方 区 西 北 区 青 海 チベット 区 に 区 分 して 行 わ れた その 結 果 南 方 区 が 総 資 源 量 の 46.8%を 占 め シェールガスの 重 要 な 賦 存 地 であると 判 断 された ( 出 所 ) 張 金 川 中 国 のシェールガス 資 源 探 査 のポテンシャル ( 天 然 ガス 産 業 2008 年 6 月 ) 図 2-2 中 国 のシェールガスの 分 布 状 況 2004 年 以 降 中 国 は 米 国 のシェールガス 開 発 の 成 功 経 験 を 参 考 に シェールガス 開 発 に 大 き な 関 心 を 寄 せ 関 連 する 研 究 探 査 活 動 が 活 発 化 している シェールガス 開 発 を 手 掛 けているの は CNPC Sinopec 中 国 海 洋 石 油 総 公 司 (CNOOC)などである 中 国 企 業 の 非 在 来 型 ガス 開 発 に 関 する 技 術 は 不 十 分 であるため BP Shell Conoco Phillips などの 外 国 企 業 と 協 力 して 国 内 開 発 を 展 開 しようとしている 現 時 点 のシェールガスの 主 な 開 発 地 域 は 重 慶 市 貴 州 省 湖 北 省 湖 南 省 江 西 省 浙 江 省 安 徽 省 河 南 省 である 2013 年 9 月 現 在 142 坑 井 が 掘 削 され シェールガス 生 産 量 は 200 万 m 3 / 日 を 超 えている 年 の 生 産 量 は 2 億 m 3 に 達 し 2012 年 の 2,500 万 m 3 と 比 べて 大 幅 に 伸 び た 377 ただし 現 在 の 開 発 状 況 を 見 ると 2015 年 までに 生 産 量 を 65 億 m 3 とする 目 標 を 達 成 する ことはできないと 思 われる また 開 発 技 術 も 十 分 ではないため 大 規 模 開 発 を 行 うまでには 5 ~10 年 かかると 見 られる シェールガス 網 ( 377 新 浪 網 ( 378 シェールガス 網 ( 223

271 第 7 章 中 国 の 地 域 別 石 炭 需 給 の 予 測 本 章 では 中 国 の 各 地 域 ( 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 )の 石 炭 需 要 予 測 を 行 う ま ず 中 国 の 統 計 問 題 特 に 全 国 統 計 と 地 域 の 統 計 の 誤 差 について 概 説 し 次 に 各 地 域 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 から 主 な 石 炭 消 費 制 限 政 策 と 目 標 値 をレビューする さらに 各 地 域 の 石 炭 消 費 の 現 状 と 関 係 する 政 策 を 合 わせて 検 討 し 地 域 ごとの 石 炭 需 要 を 予 測 する 最 後 に 第 4 章 で 述 べた 石 炭 生 産 に 関 する 計 画 と 目 標 を 参 照 しつつ 各 地 域 の 石 炭 需 給 バランスを 推 測 す る 7.1 中 国 の 統 計 における 問 題 点 全 国 統 計 と 各 地 域 の 統 計 を 巡 って 本 章 では 石 炭 消 費 の 統 計 として 基 本 的 に 各 地 域 の 統 計 を 使 用 した ただし 中 国 の 統 計 に は 以 下 2 点 の 問 題 があることに 留 意 しておくことが 必 要 である まず 従 来 から 全 国 統 計 と 各 地 域 統 計 との 間 にかなり 大 きな 差 があることが 指 摘 されてきた 例 えば 2012 年 の 各 省 直 轄 市 自 治 区 の 統 計 における 石 炭 消 費 を 合 計 して 全 国 の 数 字 を 算 出 すると 43.6 億 トンを 超 えており 全 国 統 計 における 38.0 億 トンとの 誤 差 は 5.6 億 トンに 上 る( 図 7.1.1) 国 家 統 計 局 の 説 明 によると 統 計 に 使 う 石 炭 のカロリー 値 は 地 域 によって 異 なっており 同 統 計 局 では 地 域 毎 に 数 字 を 調 整 整 理 した 上 で 中 国 全 土 の 消 費 量 を 算 出 しているのに 対 して 各 地 域 の 統 計 はカロリー 値 を 考 慮 せず 単 純 に 加 算 している また 地 域 間 産 業 間 の 重 複 計 算 が あることも 指 摘 されている しかし このような 問 題 点 があるとは 言 え 5.6 億 トンの 誤 差 は 余 り にも 大 きい さらに 30 の 省 直 轄 市 自 治 区 の 中 で 2012 年 の 石 炭 消 費 が 2011 年 比 でマイナ スになった 地 域 は 10 に 上 っているが この 10 ヵ 所 ではいずれも 2012 年 の 経 済 成 長 率 は 7%を 超 え 発 電 電 力 量 の 対 前 年 比 伸 び 率 が 6%を 超 えている という 事 実 もある 万 トン 全 国 と 地 方 合 計 の 差 全 国 統 計 の 需 給 に 関 する 誤 差 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, ,000-20,000 68,023 27, ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 図 中 国 の 石 炭 消 費 統 計 における 誤 差 の 例 224

272 次 に 全 国 統 計 における 問 題 点 も 指 摘 されるようになっている 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 (2011~2015 年 )で 石 炭 消 費 を 41 億 トン 以 内 に 抑 える 政 策 が 採 られて 以 降 国 家 統 計 局 の 石 炭 統 計 における 需 要 と 供 給 の 間 の 誤 差 が 年 々 大 きくなっており 2012 年 の 誤 差 は 2.7 億 トンに 達 した( 図 の) 表 各 地 域 の 経 済 石 炭 消 費 電 力 消 費 地 域 名 目 GDP( 億 元 ) 石 炭 消 費 ( 万 トン) 火 力 発 電 量 ( 億 kwh) 省 市 前 年 比 % 前 年 比 % 前 年 比 % 全 国 統 計 473, , , , ,337 38, 地 域 合 計 520, , , , ,332 38, 誤 差 47,731 56,909 68,023 56, 華 北 地 域 77,672 85, , , ,030 8, 北 京 16,252 17, ,366 2, 天 津 11,307 12, ,262 5, 河 北 24,516 26, ,792 31, ,215 2, 山 西 11,238 12, ,479 34, ,302 2, 内 モンゴル 14,360 15, ,684 36, ,639 2, 東 北 地 域 45,378 50, ,289 43, ,624 2, 遼 寧 22,227 24, ,054 18, ,260 1, 吉 林 10,569 11, ,035 11, 黒 龍 江 12,582 13, ,200 13, 華 東 地 域 190, , , , ,491 13, 上 海 19,196 20, ,142 5, 江 蘇 49,110 54, ,364 27, ,563 3, 浙 江 32,319 34, ,776 14, ,323 2, 安 徽 15,301 17, ,123 14, ,610 1, 福 建 17,560 19, ,714 8, ,273 1, 江 西 11,703 12, ,988 6, 山 東 45,362 50, ,921 40, ,128 3, 中 南 地 域 133, , ,472 78, ,060 7, 河 南 26,931 29, ,374 25, ,467 2, 湖 北 19,632 22, ,805 15, 湖 南 19,670 22, ,006 12, 広 東 53,210 57, ,439 17, ,018 2, 広 西 11,721 13, ,033 7, 海 南 2,523 2, 西 南 地 域 45,633 52, ,393 41, ,563 2, 重 慶 10,011 11, ,189 6, 四 川 21,027 23, ,454 11, 貴 州 5,702 6, ,085 13, ,024 1, 雲 南 8,893 10, ,664 9, 西 北 地 域 27,915 31, ,822 44, ,564 4, 陜 西 12,512 14, ,318 15, ,122 1, 甘 粛 5,020 5, ,303 6, 青 海 1,670 1, ,508 1, 寧 夏 2,102 2, ,947 8, 新 疆 6,610 7, ,745 12, , ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 中 国 統 計 年 鑑 2013 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 また 産 業 別 の 石 炭 消 費 統 計 と 全 国 の 石 炭 バランス 表 との 間 にも 2 億 トン 以 上 の 誤 差 がある ただし これが 単 純 な 統 計 誤 差 か 石 炭 消 費 削 減 の 政 策 と 関 連 しているのかについては 現 段 階 で 225

273 は 判 断 が 難 しい なお 最 新 版 の 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 全 国 石 炭 需 給 バランス 表 によると 2012 年 の 中 国 の 石 炭 消 費 は 38.0 億 トン 380 に 達 したが 2011 年 の 36.1 億 トンと 比 べ るとわずか 1.9 億 トンの 増 加 に 止 まっており これは 2000 年 以 降 では 最 も 小 さい 増 加 になる 379 国 家 統 計 局 エネルギー 統 計 司 2013 年 12 月 380 これは 石 油 換 算 では 18.0 億 トン(toe)であり 石 炭 kg 当 たりの 熱 量 は 4,737kcal であると 推 計 される この 熱 量 は 中 国 の 全 国 統 計 の 石 炭 換 算 表 における 5,000kcal/kg より 小 さい 226

274 7.2 各 地 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 の 骨 子 本 節 では 可 能 な 範 囲 で 中 国 の 28 省 直 轄 市 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 を 収 集 し その 内 容 を 整 理 解 析 した この 28 省 市 自 治 区 の 具 体 策 の 中 で 2017 年 時 点 の 石 炭 消 費 を 2012 年 より 削 減 する 数 値 目 標 を 提 示 した 地 域 は 5 ヵ 所 で 削 減 量 は 合 計 9,500 万 トンになる また 2017 年 に 石 炭 消 費 のマ イナス 成 長 を 実 現 することを 打 ち 出 した 地 域 は 3 ヵ 所 一 次 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 消 費 の 比 率 制 限 を 設 定 した 地 域 は 10 ヵ 所 合 わせて 13 ヵ 所 になる さらに その 他 の 地 域 は 具 体 的 な 数 値 目 標 を 明 確 していない なお これらの 地 域 の 中 で 石 炭 の 主 要 生 産 地 である 5 ヵ 所 では 石 炭 消 費 の 削 減 措 置 が 打 ち 出 されているとは 言 え エネルギー 及 び 石 炭 産 業 発 展 の 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 で 提 示 された 石 炭 生 産 地 における 石 炭 火 力 発 電 所 の 建 設 や 新 型 石 炭 化 学 産 業 の 生 産 計 画 に 基 づく 事 業 建 設 などによって むしろ 石 炭 消 費 が 増 える 可 能 性 が 高 いと 考 えられる なし 18% 減 少 18% 増 加 18% 制 限 46% ( 出 所 ) 各 地 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 具 体 策 をもとに 作 成 図 年 までの 石 炭 消 費 削 減 計 画 各 地 域 が 石 炭 代 替 源 として 考 えているエネルギーは 基 本 的 に 天 然 ガス 電 力 風 力 太 陽 エ ネである また 内 陸 の 一 部 地 域 では 原 子 力 発 電 所 の 建 設 も 計 画 されている もっとも いずれ の 地 域 でも 石 炭 代 替 源 として 最 大 の 選 択 肢 になるのは 天 然 ガスである ガス 再 生 エネ 電 力 原 子 力 なし ( 出 所 ) 各 地 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 をもとに 作 成 図 年 までの 石 炭 代 替 ( 複 数 選 択 )の 計 画 227

275 7.3 省 直 轄 市 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 国 務 院 が 2013 年 9 月 に 策 定 した 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 ( 第 1 章 参 照 )を 受 けて 中 央 政 府 の 関 連 部 局 が 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 を 対 象 とする 実 施 細 則 を 策 定 するのと 並 行 して 多 くの 省 直 轄 市 自 治 区 の 各 政 府 も 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 を 実 施 するため それぞれの 具 体 的 な 大 気 汚 染 防 止 措 置 を 策 定 した 以 下 省 直 轄 市 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 について 北 京 天 津 河 北 地 区 長 江 デルタ 地 区 珠 江 デルタ 地 区 など 主 要 石 炭 消 費 地 区 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 など 主 要 石 炭 生 産 地 区 及 びその 他 の 省 自 治 区 に 分 けて 主 に 石 炭 消 費 の 抑 制 や 石 炭 の 生 産 供 給 への 影 響 の 見 地 から 対 策 内 容 を 見 ていく 主 要 石 炭 消 費 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 (1) 北 京 天 津 河 北 地 区 及 び 山 東 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 地 域 別 の 実 施 計 画 としては まず 環 境 保 護 部 国 家 発 展 改 革 委 員 会 等 は 2013 年 9 月 大 気 汚 染 の 最 も 深 刻 な 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 を 対 象 に 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 381 を 通 達 した この 実 施 細 則 は 2017 年 までに 北 京 天 津 河 北 における 微 小 粒 子 状 物 質 (PM2.5) 濃 度 を 2012 年 比 で 約 25% 引 き 下 げ 特 に 北 京 市 の 微 小 粒 子 状 物 質 の 年 平 均 濃 度 を 60μ/m 3 前 後 に 抑 制 することを 目 標 としており そ のため 2017 年 までに 同 地 区 の 石 炭 消 費 量 を 8,300 万 トン 純 減 させること(うち 北 京 市 1,300 万 トン 天 津 市 1,000 万 トン 河 北 省 4,000 万 トン 山 東 省 2,000 万 トン) 北 京 市 のエネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 10% 以 下 とすることなどの 数 値 目 標 を 掲 げるとともに 石 炭 関 連 の 具 体 的 な 対 策 として 熱 供 給 システムとガスパイプライン 網 の 建 設 暖 房 用 及 び 工 業 用 石 炭 火 力 ボイ ラーの 淘 汰 と 集 中 熱 供 給 とクリーン エネルギーへの 転 換 小 型 石 炭 焚 ボイラーや 生 活 用 ボイラ ーの 淘 汰 やクリーン エネルギー 用 への 改 修 を 進 め さらに 2017 年 末 までに 北 京 天 津 河 北 山 東 の 化 学 企 業 の 石 炭 火 力 施 設 を 天 然 ガス 又 は 周 辺 発 電 所 から 供 給 するスチーム 電 気 に 転 換 す るとしている また 中 央 政 府 のみならず 北 京 市 天 津 市 河 北 省 や 山 東 省 の 地 方 政 府 レベルにおいても それぞれの 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 が 打 ち 出 されており その 中 で 石 炭 に 関 連 する 措 置 をまとめると 表 のようになる 381 環 境 保 護 部 ウェブサイト 2013 年 9 月 17 日 228

276 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 北 京 天 津 河 北 省 山 東 省 表 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 計 画 地 区 典 拠 となる 政 策 文 書 石 炭 消 費 規 制 等 に 関 わる 政 策 内 容 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 ( 環 境 保 護 部 発 展 改 革 委 員 会 工 業 情 報 化 部 財 政 部 住 宅 都 市 農 村 建 設 部 能 源 局 2013 年 9 月 通 達 ) 北 京 市 年 クリー ン 大 気 行 動 計 画 (2013 年 9 月 通 達 ) 北 京 市 大 気 汚 染 防 止 条 例 改 正 版 (2014 年 3 月 施 行 ) 天 津 市 清 新 大 気 行 動 方 案 (2013 年 10 月 通 達 ) 天 津 市 大 気 汚 染 防 止 条 例 改 正 案 河 北 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 (2013 年 9 月 ) 山 東 省 2013~2020 年 大 気 汚 染 防 止 規 画 山 東 省 2013 ~2020 年 大 気 汚 染 防 止 規 画 第 1 期 (2013~2015 年 ) 行 動 計 画 ( 出 所 ) 各 種 資 料 をもとに 関 連 政 策 内 容 を 整 理 した 2017 年 までに 北 京 天 津 河 北 の 微 小 粒 子 物 (PM2.5) 濃 度 を2012 年 比 で 約 25% 引 き 下 げ 山 西 省 と 山 東 省 は20% 内 蒙 古 は10% 引 き 下 げ 北 京 市 の 微 小 粒 子 物 年 平 均 濃 度 を60μ/m3 前 後 に 抑 制 熱 供 給 システムとガスパイプライン 網 の 建 設 を 加 速 し 暖 房 用 及 び 工 業 用 石 炭 火 力 ボイラーを 淘 汰 して 集 中 熱 供 給 とクリーン エネルギーに 転 換 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 の 地 区 級 市 及 び 都 市 建 成 区 ( 公 共 インフラの 整 備 されたエリア)では10スチームトン/h 以 下 の 石 炭 火 力 ボイラーと 生 活 用 ボ イラーを 全 て 淘 汰 北 京 市 の 全 ての 石 炭 火 力 ボイラーをクリーン エネル ギー 用 に 改 修 2017 年 末 までに 北 京 天 津 河 北 の 地 区 級 市 以 上 の 都 市 建 成 区 において35ス チームトン/h 以 下 の 石 炭 火 力 ボイラーを 基 本 的 に 淘 汰 地 区 内 の 電 力 鉄 鉱 セメント 非 鉄 金 属 等 の 企 業 及 び 石 炭 火 力 ボイラーの 汚 染 管 理 設 備 の 建 設 と 改 修 の 目 標 を 予 定 通 り 達 成 2017 年 までに 地 区 の 石 炭 消 費 量 8,300 万 トン 純 減 北 京 市 1,300 万 トン 天 津 市 1,000 万 トン 河 北 省 4,000 万 トン 山 東 省 2,000 万 トン エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 北 京 市 10% 以 下 とする 2017 年 末 までに 北 京 天 津 河 北 山 東 の 既 存 の 化 学 企 業 の 石 炭 火 力 施 設 を 天 然 ガス 又 は 周 辺 発 電 所 から 供 給 するスチーム 電 気 に 転 換 2013 年 末 までに 北 京 天 津 河 北 山 東 山 西 に 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 区 を 設 定 2017 年 の 石 炭 消 費 総 量 を2012 年 比 で1,300 万 トン 削 減 して1,000 万 トン 以 内 に 抑 制 エネル ギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を10% 以 下 に 引 き 下 げ 高 品 質 エネルギーの 比 率 を 10% 以 上 に 引 き 上 げ 送 電 ルート 変 電 施 設 高 圧 環 状 電 力 網 の 建 設 を 急 ぎ 市 外 からの 電 力 導 入 能 力 を 増 強 石 炭 消 費 総 量 規 制 を 実 施 規 制 目 標 は 市 発 展 改 革 委 員 会 が 策 定 石 炭 消 費 総 量 を 逐 次 削 減 規 制 は 既 存 の 使 用 量 と 増 加 分 を 対 象 に 石 炭 燃 焼 設 備 の 新 規 建 設 と 拡 張 の 禁 止 石 炭 火 力 ボイラー キルン 発 電 機 のクリーン エネルギー 使 用 に 改 造 民 生 用 石 炭 は 基 準 に 適 合 する 低 硫 黄 高 品 質 の 石 炭 を 使 用 石 炭 消 費 総 量 規 制 の 厳 格 な 適 用 石 炭 消 費 総 量 削 減 工 作 方 案 を 策 定 し 2017 年 末 までに 石 炭 消 費 総 量 を1,000 万 トン 純 減 エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を65% 以 下 に 2017 年 の 鉄 鋼 生 産 能 力 2,000 万 トン 建 材 生 産 能 力 を500 万 トン 石 炭 火 力 発 電 を1,400 万 kw 以 内 に 抑 制 第 12 次 5ヵ 年 規 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 目 標 を1 年 前 倒 しで 達 成 火 力 発 電 設 備 の 燃 料 転 換 及 び 閉 鎖 を 実 施 自 家 発 電 所 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 の 煤 改 気 熱 供 給 及 び 工 業 用 ボイラーの 石 炭 燃 料 転 換 2017 年 までに 中 心 市 街 区 浜 海 新 区 及 び 環 城 四 区 を 石 炭 燃 焼 禁 止 区 に 新 規 建 設 事 業 はクリーン エネルギーの 使 用 を 義 務 付 け 又 は 石 炭 消 費 量 の 等 価 削 減 代 替 石 炭 消 費 総 量 の 伸 び 率 をマイナスに 省 外 からの 電 力 導 入 の 比 率 を 高 め 天 然 ガス 供 給 を 増 やし 非 化 石 エネルギーの 利 用 を 拡 大 することで 石 炭 からの エネルギー 転 換 を 進 め エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を2012 年 に 比 べ 顕 著 に 引 き 下 げる 2017 年 には 石 炭 消 費 総 量 を2012 年 比 で4,000 万 トン 純 減 2015 年 末 には 石 炭 消 費 量 の 低 減 を 実 現 2017 年 の 消 費 量 を2012 年 より2,000 万 トン 削 減 2020 年 には 一 次 エネルギーに 占 める 石 炭 の 比 率 を 約 60%に 引 き 下 げ 省 外 からの 電 力 導 入 を 増 加 2015 年 末 は1,600 万 kw 2017 年 末 は2,500 万 kw 2020 年 には 3,200 万 kwに 増 やし 省 外 からの 電 力 の 比 率 を30%に 天 然 ガス 消 費 量 を 拡 大 2015 年 末 は170 億 m 年 末 は270 億 m 年 には370 億 m3 に 増 加 陸 上 風 力 発 電 洋 上 風 力 発 電 バイオマス 発 電 揚 水 水 力 発 電 の 設 備 容 量 を 拡 大 クリーン コールの 利 用 を 推 進 硫 黄 含 有 量 0.6% 以 上 灰 分 15% 以 上 の 石 炭 の 使 用 を 禁 止 2015 年 には 選 炭 率 を65% 2020 年 には70%に 2020 年 には 原 子 力 発 電 設 備 容 量 を270 万 kwに 小 型 火 力 発 電 設 備 を 淘 汰 2015 年 末 までに140 万 kw 2017 年 末 までに500 万 kw 淘 汰 2015 年 末 までに 製 鉄 能 力 2,111 万 トン 製 鋼 2,257 万 トン 淘 汰 鉄 鋼 生 産 能 力 を5,000 万 トン 以 内 に 抑 制 第 1 章 で 述 べたように 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 北 京 天 津 河 北 地 区 長 江 デルタ 地 区 及 び 珠 江 デルタ 地 区 の 石 炭 消 費 総 量 のマイナス 成 長 を 目 標 として 掲 げたが 具 体 的 な 数 値 は 示 して いなかった その 後 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 は 北 京 天 津 河 北 及 び 山 東 省 を 対 象 に 改 めて 上 述 の 数 値 目 標 を 示 した これによって 対 象 地 域 全 体 で は 2017 年 の 石 炭 消 費 量 は 2012 年 比 で 10.5%マイナスになるが 北 京 市 では 目 標 を 達 成 するため には 57% 削 減 しなければならず 天 津 市 でも 19%の 削 減 を 要 する 229

277 北 京 と 天 津 特 に 北 京 の 石 炭 消 費 を 大 幅 に 削 減 することについては エネルギー 多 消 費 産 業 の 移 転 も 計 算 に 入 っていると 考 えられるが それにしても 対 象 地 区 全 体 で 石 炭 消 費 を 10%も 削 減 するためには 石 炭 に 代 替 するエネルギーの 大 量 導 入 も 必 要 になる 第 1 章 で 述 べた 煤 改 気 や 煤 改 電 石 炭 ガス 化 事 業 と 関 連 パイプラインの 敷 設 さらに UHV による 遠 距 離 大 容 量 の 送 電 ルート 建 設 といった 政 策 が 打 ち 出 されたのは 特 に 北 京 天 津 河 北 地 区 における 石 炭 消 費 抑 制 の 要 請 に 基 づくところが 大 きい 例 えば 遠 距 離 大 容 量 の 送 電 については 国 家 能 源 局 が 2014 年 1 月 のエネルギー 工 作 指 導 意 見 において 主 要 石 炭 生 産 地 の 石 炭 火 力 発 電 基 地 から UHV 送 電 線 によって 電 力 需 要 地 へ 長 距 離 送 電 を 行 う 方 針 を 明 確 にしたが 北 京 市 はすでに 2013 年 9 月 に 通 達 した 2013~2017 年 クリーン 大 気 行 動 計 画 382 において 送 電 ルート 変 電 施 設 高 圧 環 状 電 力 網 の 建 設 を 急 ぎ 市 外 からの 受 入 電 力 能 力 を 増 強 することを 打 ち 出 している 表 北 京 天 津 河 北 及 び 山 東 省 における 石 炭 消 費 削 減 措 置 2012 年 の 石 炭 消 費 量 万 トン 2017 年 までの 目 標 純 減 量 万 トン ( 出 所 ) 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 2013 年 版 等 より 作 成 2017 年 の 予 想 消 費 量 万 トン 2012 年 比 の 削 減 率 北 京 市 2,270 1, % 天 津 市 5,298 1,000 4, % 河 北 省 31,359 4,000 27, % 山 東 省 40,233 2,000 38, % 合 計 79,160 8,300 70, % (2) 長 江 デルタ 地 区 及 び 珠 江 デルタ 地 区 また 大 気 汚 染 の 深 刻 な 長 江 デルタ 地 区 珠 江 デルタ 地 区 の 各 省 及 び 直 轄 市 の 政 府 もそれぞれ 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 具 体 策 を 打 ち 出 しており その 中 で 石 炭 に 関 連 する 措 置 をまとめる と 表 のようになる 382 新 華 網 2013 年 9 月 13 日 230

278 表 長 江 珠 江 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 計 画 における 石 炭 関 連 措 置 上 海 市 江 蘇 省 浙 江 省 広 東 省 地 区 典 拠 となる 政 策 文 書 石 炭 消 費 規 制 等 に 関 わる 政 策 内 容 上 海 市 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 (2013 年 11 月 ) 上 海 大 気 汚 染 防 止 法 実 施 弁 法 改 正 案 (2013 年 12 月 ) 江 蘇 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 (2014 年 1 月 ) 浙 江 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 (2014 年 1 月 ) 広 東 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 方 案 ( 年 ) (2014 年 2 月 公 布 ) エネルギー 消 費 総 量 の 厳 重 な 抑 制 と 石 炭 消 費 量 の 引 き 下 げ 石 炭 消 費 抑 制 方 法 と 年 度 抑 制 目 標 は 検 討 の 上 で 明 定 2017 年 には 石 炭 消 費 総 量 のマイナスを 実 現 灰 分 16% 以 上 硫 黄 分 が 上 海 市 の 基 準 を 超 える 石 炭 の 販 売 と 使 用 を 禁 止 分 散 石 炭 燃 焼 設 備 を 淘 汰 2017 年 にはコージェネレーションと 集 中 熱 供 給 ボイラー など 石 炭 燃 焼 設 備 をクリーン エネルギーに 転 換 2015 年 までに2,500 台 の 石 炭 重 油 ボイラー 及 び300 台 のキルンをクリーン エ ネルギー 用 に 転 換 ピーク 調 整 用 天 然 ガス 発 電 所 を 開 発 エネルギー 消 費 総 量 の 規 制 とともに 市 と 区 の2つのレベルで 石 炭 消 費 総 量 規 制 目 標 と 規 制 措 置 を 策 定 石 炭 等 価 代 替 発 電 事 業 と 石 炭 ガス 化 複 合 循 環 発 電 システム 以 外 の 高 汚 染 燃 料 使 用 施 設 の 新 規 建 設 を 全 面 禁 止 基 本 石 炭 無 燃 焼 区 を 市 全 体 に 拡 大 基 本 石 炭 無 燃 焼 区 においてクリーン エネルギーへ の 転 換 を 実 施 発 電 所 用 ボイラー 鉄 鋼 キルン 以 外 の 既 存 の 高 汚 染 燃 料 使 用 施 設 を 期 限 付 でクリーン エネルギーに 転 換 2017 年 にはエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を65% 以 下 に 引 き 下 げると ともに 石 炭 消 費 総 量 のマイナス 成 長 を 実 現 2015 年 末 までに 熱 供 給 以 外 の30 万 kw 以 下 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 を 淘 汰 鉄 鋼 セメント 等 の 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 石 炭 消 費 総 量 規 制 方 案 を 策 定 石 炭 消 費 事 業 の 石 炭 減 量 代 替 を 実 施 2017 年 ま でに 石 炭 消 費 のマイナス 成 長 を 実 現 石 炭 火 力 自 家 発 電 所 の 建 設 禁 止 コージェネレーション 以 外 の 石 炭 火 力 発 電 所 の 新 規 建 設 を 禁 止 既 存 の 複 数 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 が 合 計 30 万 kw 以 上 に 達 する 場 合 は 石 炭 等 価 代 替 の 原 則 に 従 って 大 容 量 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 を 建 設 クリーン コールの 利 用 を 推 進 し クリーン コール 使 用 率 を90% 以 上 に 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 区 を 拡 大 し 2017 年 までに 集 中 熱 供 給 を 除 いて 高 汚 染 燃 料 の 使 用 を 全 面 禁 止 工 業 団 地 において 集 中 熱 供 給 と 煤 改 気 を 推 進 集 中 熱 供 給 がカバーするエリアでは 石 炭 火 力 ボイラーを 淘 汰 2017 年 までに 換 算 蒸 発 量 10t/h 以 下 の 石 炭 火 力 ボイラーを 淘 汰 2017 年 までに 全 省 のエネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 を36% 以 下 に 引 き 下 げ 珠 江 デルタ 地 区 では 石 炭 消 費 量 のマイナス 成 長 を 実 現 新 規 建 設 事 業 には 石 炭 消 費 総 量 規 制 との 連 動 の 仕 組 みを 適 用 石 炭 消 費 事 業 の 建 設 は 石 炭 減 量 代 替 を 適 用 クリーン コールの 使 用 クリーン エネルギーへの 転 換 石 炭 燃 焼 効 率 の 向 上 等 の 措 置 に より 重 点 産 業 の 石 炭 消 費 総 量 を 削 減 2017 年 末 までに 珠 江 デルタ 地 区 の 石 炭 火 力 ボイラー 工 業 キルン 10 万 kw 以 下 の 石 炭 火 力 自 家 発 電 所 の 天 然 ガス 化 改 修 を 実 現 新 規 天 然 ガス 供 給 は 民 生 用 及 び 石 炭 火 力 ボイ ラー キルンの 天 然 ガスへの 転 換 を 優 先 石 炭 の 硫 黄 分 と 灰 分 を 厳 しく 規 制 火 力 発 電 所 の 石 炭 の 硫 黄 含 有 量 を0.7% 以 下 に 工 業 ボイラー キルンについては0.6% 以 下 に 規 制 石 炭 消 費 中 の 選 炭 の 比 率 を 引 き 上 げ 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 石 炭 の 輸 入 を 禁 止 燃 焼 禁 止 エリア 内 において 原 炭 選 炭 コールウォータースラリー 豆 炭 コークス ボタ コールスラリー コールタールの 燃 焼 を 禁 止 高 汚 染 燃 料 を 使 用 するボイラー キルン 等 の 新 規 建 設 改 修 拡 張 を 禁 止 条 件 に 適 合 し ない 既 存 の 各 種 燃 焼 施 設 は2014 年 末 までに 解 体 もしくはクリーン エネルギー 用 に 改 修 ( 出 所 ) 各 種 資 料 をもとに 各 省 市 の 政 策 内 容 を 整 理 した 長 江 デルタ 及 び 珠 江 デルタ 地 区 所 在 の 各 地 方 政 府 のうち 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 計 画 の 中 で 石 炭 消 費 抑 制 の 削 減 量 や 石 炭 消 費 の 比 率 の 引 き 下 げについて 具 体 的 な 数 値 目 標 を 打 ち 出 してい るのは 広 東 省 である 広 東 省 は 2017 年 までにエネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 36% 以 下 に 引 き 下 げ 特 に 珠 江 デルタ 地 区 では 石 炭 消 費 量 のマイナス 成 長 を 実 現 するとしている また 江 蘇 省 は 2017 年 にエネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 比 率 を 65% 以 下 に 引 き 下 げるとともに 石 炭 消 費 のマイナス 成 長 を 実 現 するとしている 一 方 浙 江 省 は 石 炭 消 費 総 量 規 制 方 案 を 策 定 し 2017 年 までに 石 炭 消 費 のマイナス 成 長 を 実 現 するとし 上 海 市 も 年 度 抑 制 目 標 を 策 定 して 2017 年 に は 石 炭 消 費 総 量 のマイナスを 実 現 するとしている 各 地 方 政 府 はいずれも 小 型 石 炭 焚 ボイラーの 淘 汰 や 熱 供 給 等 の 石 炭 ボイラーの 天 然 ガスへの 転 換 を 打 ち 出 しているが 上 海 市 がピーク 調 整 用 天 然 ガス 発 電 所 の 建 設 を 打 ち 出 し また 広 東 231

279 省 が 10 万 kw 以 下 の 石 炭 火 力 自 家 発 電 所 の 天 然 ガス 化 改 修 を 掲 げていることは 注 目 される 中 国 は 2012 年 10 月 に 天 然 ガス 利 用 政 策 383 を 改 訂 し 発 電 への 天 然 ガス 利 用 については コージ ェネレーションは 優 先 類 それ 以 外 は 許 可 類 として 従 来 の 天 然 ガス 発 電 に 対 する 制 限 を 緩 和 したが 現 実 問 題 としてコスト 面 など 天 然 ガス 発 電 の 制 約 は 大 きい 上 海 や 広 東 が 天 然 ガス 発 電 に 対 して 比 較 的 前 向 きの 措 置 を 打 ち 出 したのは いずれも 経 済 発 達 地 区 でありコスト 負 担 能 力 が 相 対 的 に 大 きいことや 長 距 離 パイプラインや LNG のターミナルとして 天 然 ガスが 優 先 的 に 供 給 されていることが 背 景 にあり また 両 地 区 の 大 気 汚 染 問 題 がそれだけ 切 迫 していることも 反 映 されていると 見 られる いずれにせよ 長 江 デルタと 珠 江 デルタの 各 地 方 政 府 は 石 炭 消 費 抑 制 によるエネルギーを 主 に 天 然 ガスで 補 うことになる 例 えば 浙 江 省 は 2017 年 の 石 炭 消 費 のマイナス 成 長 を 実 現 するため 天 然 ガス 供 給 を 現 在 の 48.1 億 m 3 から 2015 年 には 150 億 m 3 に 増 やし 2017 年 には 240 億 m 3 に 増 やす 計 画 である 384 その 他 に 中 国 で 最 も 石 炭 輸 入 量 が 大 きい 広 東 省 は 石 炭 の 硫 黄 分 と 灰 分 を 厳 しく 規 制 するこ とや 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 石 炭 の 輸 入 を 禁 止 することを 掲 げているが 第 1 章 で 触 れたよ うに 石 炭 輸 入 制 限 をめぐっては 電 力 企 業 からの 反 対 が 根 強 い (3)その 他 の 主 な 石 炭 消 費 地 区 1 重 慶 市 重 慶 市 はその 地 形 的 条 件 のため 大 気 汚 染 が 深 刻 である 重 慶 市 が 2013 年 12 月 に 示 達 した 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 貫 徹 実 施 に 関 する 意 見 385 は 石 炭 消 費 抑 制 目 標 として 2017 年 の 消 費 量 を 5,300 万 トン 以 下 に 抑 制 し エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 65% 以 下 にすることを 打 ち 出 している また 重 慶 市 は 石 炭 消 費 が 大 きく 汚 染 の 深 刻 な 生 産 能 力 過 剰 業 種 の 圧 縮 に 力 を 入 れ 特 に 中 小 セメント 企 業 の 過 剰 生 産 能 力 淘 汰 を 重 点 的 に 進 めようとしている また 2017 年 には 主 要 市 街 区 の 石 炭 焚 ボイラーを 淘 汰 し 主 要 市 街 区 以 外 の 都 市 建 成 区 ( 公 共 インフラの 整 備 された 都 市 エリア)の 20t/h 以 下 の 石 炭 焚 ボイラーの 新 規 建 設 を 禁 止 するとともに 10t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーを 淘 汰 し 全 体 的 にエネルギー 源 を 石 炭 から 天 然 ガスや 電 気 に 転 換 するよう 奨 励 し ている 2 湖 北 省 湖 北 省 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 貫 徹 実 施 に 関 する 意 見 386 において 2017 年 に 省 全 体 のエ ネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 60% 以 下 にするとしており 天 然 ガス 炭 層 ガスの 供 給 を 増 やし 水 力 発 電 風 力 発 電 太 陽 エネルギー バイオマスエネルギーの 開 発 を 進 めるととも 383 発 展 改 革 委 員 会 ウェブサイト 2012 年 10 月 14 日 中 国 能 源 網 2014 年 3 月 31 日 重 慶 市 政 府 ウェブサイト 2013 年 12 月 26 日 湖 北 省 政 府 ウェブサイト 2014 年 1 月 21 日 232

280 に 安 全 かつ 効 率 的 に 原 子 力 発 電 を 発 展 させるとしている 中 国 の 内 陸 部 では 未 だ 原 子 力 発 電 所 が 建 設 されておらず 湖 北 省 は 大 畈 原 子 力 発 電 所 の 建 設 準 備 を 進 めていたが 2011 年 の 福 島 原 発 事 故 によって 作 業 は 中 断 され 未 だ 再 開 されていない( 第 1 章 参 照 ) 3 湖 南 省 2014 年 12 月 湖 南 省 政 府 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 を 通 達 した 同 細 則 は 小 型 石 炭 ボイラーを 全 面 的 に 整 理 して 煤 改 気 と 煤 改 電 を 推 進 し 天 然 ガス LPG などクリーン エネルギーへの 転 換 を 進 めて 石 炭 消 費 総 量 を 厳 重 に 抑 制 するとし 中 央 政 府 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 と 同 じく 2017 年 までにエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 65% 以 下 に 引 き 下 げるとしている また その 他 の 石 炭 消 費 関 連 措 置 として クリーン コール 利 用 の 推 進 石 炭 品 質 管 理 の 強 化 高 硫 黄 分 高 灰 分 の 石 炭 の 採 掘 と 使 用 の 制 限 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 範 囲 の 拡 大 を 打 ち 出 し 2014 年 中 に 14 の 地 区 級 市 の 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 エリアの 画 定 を 進 め 燃 焼 禁 止 エ リアの 面 積 を 都 市 建 成 区 ( 上 述 )の 面 積 の 80% 以 上 にするとしている 387 また 湖 南 省 は 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 は 長 江 流 域 等 における 大 気 環 境 改 善 や PM2.5 の 抑 制 にと って 不 可 欠 であるとの 立 場 を 取 っており 2014 年 3 月 の 全 人 代 では 湖 南 省 代 表 団 が 湖 南 も 含 む 内 陸 部 の 原 子 力 発 電 所 建 設 の 早 期 再 開 を 建 議 した 388 湖 南 省 の 桃 花 江 原 子 力 発 電 所 の 建 設 準 備 作 業 も 福 島 原 発 事 故 以 降 に 中 断 されたままである 4 安 徽 省 石 炭 生 産 地 区 でもある 安 徽 省 が 2013 年 12 月 に 通 達 した 安 徽 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 389 は 石 炭 消 費 抑 制 については 石 炭 消 費 総 量 の 中 長 期 抑 制 目 標 の 策 定 石 炭 消 費 総 量 の 合 理 的 な 抑 制 石 炭 需 要 側 管 理 の 強 化 石 炭 消 費 原 単 位 の 逐 次 低 減 製 品 単 位 当 たりのエネルギー 消 費 上 限 の 適 用 などの 対 策 を 提 示 しているが 石 炭 消 費 量 の 削 減 や 比 率 引 き 下 げの 具 体 的 な 数 値 目 標 は 提 示 していない 2017 年 にエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 非 化 石 エネルギー 消 費 の 占 める 比 率 を 6% 以 上 にすることを 打 ち 出 してはいるが この 数 値 目 標 は 中 国 の 平 均 を 下 回 る その 他 石 炭 消 費 地 区 としての 安 徽 省 は 鉄 鋼 化 学 石 炭 電 力 非 鉄 金 属 精 錬 セメント 等 の 重 点 業 種 でクリーン 生 産 を 推 進 すること 2017 年 にそれら 重 点 業 種 の 汚 染 排 出 原 単 位 を 2012 年 比 で 30% 以 上 引 き 下 げること エネルギー 多 消 費 高 汚 染 業 種 の 生 産 能 力 を 規 制 するともに 2014 年 末 ま でに 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を 完 了 することなどを 提 示 している また 石 炭 生 産 地 区 としての 安 徽 省 は クリーン コール 技 術 を 推 進 すること 選 炭 率 を 2017 年 に 85% 以 上 にすること 石 炭 の 輸 送 と 直 接 消 費 を 減 らし 発 電 や 現 代 的 石 炭 化 学 工 業 を 重 点 的 に 進 めること 原 料 炭 高 品 質 無 煙 炭 高 品 質 化 学 工 業 用 石 炭 を 一 般 炭 として 直 接 燃 焼 すること に 規 制 を 設 けること 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 石 炭 の 輸 入 を 禁 止 することを 提 唱 している さ らに 淮 南 石 炭 ガス 化 事 業 の 準 備 作 業 を 推 進 することや 炭 鉱 メタンガス 炭 層 ガスの 開 発 を 促 387 湖 南 日 報 2013 年 12 月 17 日 388 網 易 財 経 2014 年 3 月 6 日 安 徽 省 政 府 ウェブサイト 2013 年 12 月 30 日 233

281 進 することも 省 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 に 盛 り 込 んでいる 主 要 石 炭 生 産 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 (1) 山 西 内 モンゴル 陝 西 石 炭 生 産 地 区 の 都 市 部 も 石 炭 消 費 地 区 と 同 様 に 大 気 汚 染 が 深 刻 化 している ここで 取 り 上 げる 中 国 の 代 表 的 な 石 炭 生 産 地 区 である 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 及 び 陝 西 省 もそれぞれ 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 実 施 計 画 を 策 定 し PM2.5 や PM10 SO2 等 の 汚 染 物 質 の 削 減 を 目 標 に 掲 げた 山 西 省 政 府 は 2013 年 10 月 山 西 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 390 を 通 達 し 内 モンゴルは 同 年 12 月 に 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 貫 徹 実 施 に 関 する 意 見 391 を 緊 急 通 達 した また 陝 西 省 政 府 は 同 12 月 汚 染 スモッグ 管 理 と 藍 天 防 衛 5 ヵ 年 行 動 計 画 (2013~2017 年 ) 392 を 通 達 し た 加 えて 山 西 省 と 内 モンゴルは 北 京 天 津 河 北 地 区 に 隣 接 しているため 前 出 の 北 京 天 津 河 北 及 び 周 辺 地 区 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 において 周 辺 地 区 に 包 摂 されており 細 則 が 打 ち 出 した 当 該 地 区 の 大 気 汚 染 対 策 に 協 力 することも 求 められている 例 えば 2013 年 10 月 に 環 境 保 護 部 は 北 京 天 津 河 北 地 区 の 大 気 汚 染 防 止 対 策 について 会 議 を 開 いたが この 会 議 には 北 京 天 津 河 北 や 山 東 のみならず 内 モンゴル 自 治 区 と 山 西 省 からも 幹 部 を 招 いて 大 気 汚 染 防 止 の 協 同 メカニズムについて 検 討 した 393 これら 3 つの 石 炭 生 産 省 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 は 前 掲 の 主 要 石 炭 消 費 地 区 の 計 画 と 同 様 に 汚 染 物 排 出 削 減 に 向 けた 各 種 措 置 を 打 ち 出 すとともに 石 炭 生 産 地 区 とし て 石 炭 の 生 産 消 費 に 関 わる 対 策 措 置 も 打 ち 出 している 各 地 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 の 中 の 石 炭 関 連 措 置 は 表 及 び 表 に 示 した まず 石 炭 消 費 抑 制 の 面 では 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 において それぞれの 大 気 汚 染 物 削 減 目 標 を 掲 げるとともに そのための 措 置 として 石 炭 燃 焼 設 備 の 淘 汰 とクリーン エネルギーへの 転 換 その 他 のクリーン エネルギー 拡 大 措 置 を 打 ち 出 している これらの 点 については 前 掲 の 主 要 石 炭 消 費 地 区 の 各 種 対 策 と 大 きな 違 いはな い いずれも 小 型 石 炭 ボイラーの 淘 汰 や 天 然 ガスなどクリーン 燃 料 への 転 換 集 中 熱 供 給 や 天 然 ガス 供 給 の 増 加 とガス 化 率 の 向 上 石 炭 燃 焼 基 地 エリアの 設 定 や 再 生 可 能 エネルギーの 拡 大 な どの 対 策 を 打 ち 出 している 例 えば 陝 西 省 は 石 炭 ガス 化 ガス 炭 層 ガス シェールガス 等 の クリーン エネルギーを 推 進 すること 2017 年 には 地 熱 風 力 発 電 太 陽 光 発 電 等 の 非 化 石 エネ ルギー 消 費 の 比 率 を 10% 以 上 に 引 き 上 げること 民 生 用 煤 改 気 プロジェクトを 重 点 的 に 支 援 することなどを 打 ち 出 している 390 山 西 省 政 府 ウェブサイト 2013 年 10 月 25 日 内 蒙 古 自 治 区 人 民 政 府 ウェブサイト 2013 年 12 月 31 日 陝 西 省 政 府 ウェブサイト 2013 年 12 月 30 日 法 制 網 2013 年 10 月 28 日 234

282 また これら 石 炭 生 産 地 区 は 石 炭 消 費 の 大 きい 業 種 の 過 剰 設 備 や 老 朽 化 設 備 の 具 体 的 な 淘 汰 目 標 を 掲 げ 内 モンゴルと 陝 西 は 中 央 政 府 の 要 求 する 淘 汰 目 標 を 前 倒 しで 達 成 するとしている 235

283 表 主 要 石 炭 生 産 地 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (1) ( 出 所 ) 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 の 関 連 政 策 文 書 をもとに 作 成 236

284 表 主 要 石 炭 生 産 地 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (2) ( 出 所 ) 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 陝 西 省 の 関 連 政 策 文 書 をもとに 作 成 237

285 一 方 石 炭 生 産 地 としての 山 西 内 モンゴル 陝 西 の 具 体 策 は 選 炭 率 の 向 上 やクリー ン コールの 推 進 を 打 ち 出 している 点 に 特 徴 がある 前 出 の 中 央 政 府 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 は 2017 年 までに 選 炭 率 を 70% 以 上 にするとしているが 内 モンゴルと 陝 西 省 が 掲 げる 選 炭 率 の 目 標 も 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 に 準 じている 一 方 山 西 省 は 2017 年 の 選 炭 率 の 目 標 を 中 央 政 府 よりも 高 い 80% 以 上 に 設 定 している また 石 炭 の 輸 入 も 行 っている 内 モンゴル 自 治 区 の 政 策 が 低 品 位 炭 の 輸 入 制 限 を 提 唱 し ていることも 注 目 される 但 し これは 大 気 汚 染 防 止 対 策 のように 見 えるが 実 際 には 決 してそうではなく むしろ 自 治 区 内 の 褐 炭 など 低 品 位 炭 の 生 産 と 消 費 の 拡 大 を 促 進 しよう とするものである すなわち 石 炭 生 産 地 としての 内 モンゴルは 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 貫 徹 実 施 に 関 する 意 見 の 中 で 中 央 政 府 の 石 炭 ガス 化 事 業 促 進 方 針 への 転 換 や 石 炭 火 力 発 電 基 地 建 設 並 びに UHV 送 電 ルート 建 設 方 針 ( 第 1 章 参 照 )に 沿 う 形 で 次 のような 対 策 を 打 ち 出 している 電 力 石 炭 ガス 化 事 業 の 建 設 の 推 進 に 力 を 入 れ 電 力 と 石 油 ガスの 対 外 輸 送 ルートの 建 設 を 急 ぐ 高 規 格 の 国 家 エネルギー 基 地 を 建 設 する 原 炭 の 移 出 量 を 厳 重 に 規 制 して 地 元 におけ る 石 炭 転 換 の 比 率 を 高 める 石 炭 輸 送 から 電 力 石 油 ガス 等 のクリーン エネルギー の 輸 送 に 転 換 する また 山 西 省 も 石 炭 の 使 用 を 燃 焼 効 率 が 高 く 汚 染 管 理 の 行 き 届 いている 石 炭 火 力 発 電 所 に 集 中 させること 高 規 格 の 国 家 エネルギー 基 地 を 建 設 し 火 力 発 電 所 や 風 力 発 電 所 か らの 送 電 ルートの 建 設 を 急 ぐこと 対 外 送 電 用 電 力 設 備 の 容 量 を 2017 年 末 に 4,000~6,000 万 kw とし 対 外 送 電 の 比 率 を 50%にすることなどを 打 ち 出 している 一 方 これら 3 つの 主 要 石 炭 生 産 地 区 の 中 で 石 炭 消 費 抑 制 目 標 について 明 確 に 打 ち 出 しているのは 陝 西 省 だけである 陝 西 省 は 天 然 ガス 炭 層 ガス 地 熱 風 力 発 電 太 陽 光 発 電 等 のクリーン エネルギーの 利 用 を 増 やすことで 2017 年 の 石 炭 消 費 総 量 を 1.38 億 ト ンに 抑 制 すること エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 2017 年 に 67% 以 下 に 引 き 下 げることを 打 ち 出 している 但 し この 目 標 は 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 が 提 示 した 2017 年 の 石 炭 消 費 率 引 き 下 げ 目 標 65%には 2 ポイント 及 ばない 陝 西 省 が 曲 がりなりにも 石 炭 消 費 抑 制 の 数 値 目 標 を 打 ち 出 し 山 西 省 は 省 都 の 太 原 市 に ついてのみではあるが 石 炭 消 費 増 加 ゼロを 掲 げたのに 対 して 内 モンゴルは 具 体 策 で 石 炭 消 費 削 減 に 言 及 していない 内 モンゴルのこのような 動 きは 中 央 政 府 の 方 針 が 石 炭 の 産 炭 地 から 需 要 地 への 移 出 から ガスと 電 力 に 転 換 した 石 炭 の 需 要 地 への 移 出 へ 転 換 して いることを 反 映 している すなわち 内 モンゴルの 内 部 用 に 消 費 されるエネルギーとして は 石 炭 が 抑 制 されても そこから 需 要 地 へ 送 られる 電 力 とガスを 生 産 するため 内 モンゴ 238

286 ルの 石 炭 消 費 はむしろ 増 加 することになる (2) その 他 石 炭 生 産 地 区 1 新 疆 ウイグル 自 治 区 新 疆 自 治 区 政 府 は 自 治 区 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 を 策 定 する 予 定 である 394 が 2014 年 3 月 時 点 では 未 だその 通 達 が 行 われていない 新 疆 自 治 区 政 府 が 2013 年 に 環 境 保 護 部 と 取 り 交 わした 大 気 汚 染 目 標 責 任 書 395 には 年 までに 大 気 環 境 を 顕 著 に 改 善 すること 2 高 汚 染 エネルギー 多 消 費 産 業 の 新 規 生 産 能 力 を 抑 制 すること 3 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 目 標 を 1 年 前 倒 しで 達 成 すること 年 末 までに 石 油 化 学 非 鉄 金 属 セメント ガラスなど 重 汚 染 企 業 の 移 転 と 改 修 を 完 了 すること 5 クリーン コールの 利 用 を 推 進 すること 年 末 までに 都 市 の 10t/h 以 下 の 石 炭 ボイラ ーを 基 本 的 に 淘 汰 し 20t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーの 新 規 建 設 を 禁 止 することなど 種 々の 環 境 対 策 が 盛 り 込 まれているが 対 策 内 容 は 国 務 院 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 をほぼ 踏 襲 したものである 新 疆 自 治 区 は 二 酸 化 硫 黄 や 窒 素 酸 化 物 など 大 気 汚 染 物 質 の 抑 制 は 打 ち 出 している 396 が 石 炭 消 費 規 制 に 関 する 対 策 や 石 炭 生 産 関 連 の 対 策 は 未 だ 打 ち 出 していない その 他 の 石 炭 関 連 対 策 については 自 治 区 石 炭 工 業 管 理 局 が 2013 年 9 月 ウルムチ 市 周 辺 炭 鉱 整 備 工 作 方 案 を 起 草 し 目 標 整 備 基 準 作 業 の 段 取 りなどについて 検 討 している 寧 夏 回 族 自 治 区 寧 夏 自 治 区 は 2014 年 2 月 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 (2013~2017 年 ) を 策 定 した 寧 夏 自 治 区 は 同 計 画 において 石 炭 消 費 総 量 を 厳 重 に 抑 制 し 2017 年 までにエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 引 き 下 げるとしているが 具 体 的 な 数 値 目 標 は 提 示 していない 石 炭 消 費 抑 制 の 具 体 的 な 措 置 としては 10t/h 以 下 の 小 型 石 炭 ボイラーの 淘 汰 20t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーの 新 規 建 設 禁 止 煤 改 気 煤 改 電 や 集 中 熱 供 給 の 推 進 を 打 ち 出 している また 寧 夏 自 治 区 は 1 天 然 ガス 石 炭 ガス 化 炭 層 ガスの 供 給 を 増 やし その 普 及 に 力 を 入 れるとともに 水 力 発 電 地 熱 風 力 太 陽 エネルギー バイオマスなど 再 生 可 能 エ ネルギーの 開 発 を 推 進 すること 2 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 については 石 炭 電 力 鉄 鋼 コークス セメントなど 重 点 業 種 で 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 期 の 淘 汰 目 標 を 1 年 前 倒 しで 達 成 す ること 年 末 までに 鉄 鋼 石 油 化 学 化 学 冶 金 セメントなど 重 汚 染 企 業 を 市 街 地 区 から 移 転 させることなどの 方 針 を 示 している 証 券 時 報 網 2014 年 2 月 12 日 中 国 環 境 保 護 部 ウェブサイト 2014 年 1 月 8 日 天 山 網 2014 年 1 月 29 日 新 疆 自 治 区 政 府 ウェブサイト 2013 年 9 月 27 日 中 国 新 聞 網 2014 年 2 月 11 日 239

287 7.3.3 その 他 の 省 自 治 区 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 具 体 策 前 節 で 取 り 上 げた 主 要 石 炭 消 費 生 産 地 区 以 外 の 各 省 自 治 区 も 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 具 体 策 を 策 定 している それらの 具 体 策 は 未 だ 全 て 出 揃 っていないが 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 に 関 連 するその 他 の 政 策 文 書 も 含 めた 各 省 自 治 区 の 計 画 の 中 から 石 炭 及 び 各 種 エネルギーに 関 連 し その 消 費 動 向 にも 影 響 すると 見 られる 各 種 対 策 措 置 を 表 及 び 表 に 列 挙 した 表 と に 掲 げた 13 の 各 省 自 治 区 (チベット 自 治 区 は 関 連 計 画 を 策 定 していな い)の 中 で 確 認 できた 限 りでは 石 炭 消 費 削 減 やエネルギー 総 消 費 に 占 める 比 率 引 き 下 げの 数 値 目 標 を 掲 げているのは 黒 龍 江 省 吉 林 省 遼 寧 省 河 南 省 江 西 省 福 建 省 で ある うち 黒 龍 江 省 吉 林 省 江 西 省 は 中 央 政 府 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 が 打 ち 出 し た 2017 年 に 一 次 エネルギーに 占 める 石 炭 比 率 を 65%に 引 き 下 げるという 目 標 を 踏 襲 してい る また もともと 石 炭 消 費 の 比 率 が 高 い 遼 寧 省 と 河 南 省 は 2017 年 の 引 き 下 げ 目 標 を 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 より 5 ポイント 高 い 70%に 設 定 している 一 方 福 建 省 は 52.2%と いう 引 き 下 げ 目 標 を 打 ち 出 している また 海 南 省 は 2017 年 までにエネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 消 費 の 比 率 を 引 き 下 げることを 唱 えてはいるが 数 値 目 標 は 提 示 していない その 他 の 各 省 自 治 区 の 石 炭 関 連 対 策 措 置 については 小 型 石 炭 ボイラーの 淘 汰 熱 供 給 など 石 炭 ボイラーの 天 然 ガスなどクリーン エネルギーへの 転 換 クリーン コールの 推 進 低 品 質 炭 の 販 売 使 用 規 制 石 炭 燃 焼 禁 止 地 区 の 設 定 と 範 囲 拡 大 産 炭 地 での 選 炭 率 向 上 などの 措 置 が 掲 げられているが 多 くは 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 対 策 内 容 をほ ぼ 踏 襲 したものである また 石 炭 以 外 のエネルギー 関 連 の 対 策 措 置 についても 天 然 ガスや 再 生 可 能 エネルギ ーの 供 給 拡 大 エネルギー 多 消 費 業 種 の 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 と 新 規 生 産 能 力 の 規 制 集 中 熱 供 給 の 推 進 など 各 省 自 治 区 の 対 策 は 大 同 小 異 であり 概 ね 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 政 策 に 沿 っている その 中 で 天 然 ガス 化 を 推 進 している 吉 林 省 パイプラインガスや LNG によって 天 然 ガ ス 供 給 のさらなる 拡 大 が 見 込 まれる 海 南 省 福 建 省 江 西 省 など さらに 特 に 中 緬 ガス パイプラインの 開 通 によって 天 然 ガスの 本 格 的 供 給 が 開 始 される 雲 南 省 は いずれも 天 然 ガスを 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 重 点 内 容 に 位 置 付 けている また 2015 年 に 紅 沿 河 原 子 力 発 電 所 第 1 期 建 設 事 業 を 全 て 完 成 させる 遼 寧 省 は 原 子 力 発 電 を 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 にお いて 重 要 施 策 としている さらに 雲 南 省 は 金 沙 江 ( 長 江 上 流 ) 瀾 滄 江 (メコン 河 上 流 ) 怒 江 (サルウィン 河 上 流 )における 水 力 発 電 のさらなる 開 発 を 掲 げているが いずれも 環 境 問 題 や 下 流 の 水 資 源 問 題 など 開 発 をめぐって 争 論 がある 雲 南 省 が 西 電 東 送 の 基 地 として 大 気 汚 染 防 止 対 策 に 名 を 借 りて 水 力 発 電 開 発 をより 一 層 強 化 することになれ ば 国 際 問 題 も 含 め 新 たな 問 題 を 惹 起 しかねない 240

288 河 南 省 がクリーン エネルギー 利 用 拡 大 の 一 環 として 疆 電 入 豫 すなわち 新 疆 自 治 区 からの 電 力 導 入 を 大 気 汚 染 防 止 対 策 に 盛 り 込 んでいることは 特 徴 的 である これは 電 力 シルクロード とも 呼 ばれ 新 疆 自 治 区 のハミから 河 南 省 の 鄭 州 に 到 る 800 キロボルト 超 高 圧 (UHV) 直 流 送 電 線 が 2012 年 5 月 に 着 工 され 2014 年 1 月 に 竣 工 稼 動 した 399 国 家 能 源 局 は 2014 年 1 月 に 新 疆 ハミも 含 む 各 地 の 石 炭 火 力 発 電 基 地 から UHV 送 電 線 によ って 電 力 需 要 地 へ 長 距 離 送 電 を 行 う 計 画 ( 第 1 章 参 照 )を 明 確 にしたが このハミ~ 鄭 州 UHV 送 電 線 はその 先 駆 けになる 399 大 河 網 2014 年 1 月 28 日 241

289 ( 出 所 ) 各 省 自 治 区 の 関 連 政 策 文 書 をもとに 作 成 表 その 他 各 省 自 治 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (1) 典 拠 となる 政 策 文 書 石 炭 消 費 規 制 など 石 炭 関 連 措 置 その 他 エネルギー 供 給 と 消 費 に 関 わる 主 な 対 策 黒 龍 江 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 (2014 年 1 月 ) 2017 年 末 のエネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を65% 以 下 に 引 き 下 げ 石 炭 ガス 化 ガスの 供 給 を 強 化 クリーン コールの 利 用 を 推 進 硫 黄 含 有 量 0.5% 以 上 灰 分 27% 以 上 の 石 炭 の 採 掘 と 使 用 を 厳 重 に 規 制 2017 年 末 までに 選 炭 率 を70% 以 上 に 2014 年 末 までに 第 12 次 5ヵ 年 規 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 の 任 務 を 完 了 クリーン 生 産 を 推 進 2017 年 末 までに 重 点 産 業 の 汚 染 排 出 強 度 を2012 年 比 で30% 以 上 引 き 下 げ 吉 林 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 (2013 年 12 月 ) 石 炭 消 費 総 量 の 中 長 期 的 抑 制 計 画 を 策 定 2017 年 の 石 炭 消 費 総 量 を 年 間 1.2 億 トンに 抑 制 エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を65% 以 下 に 引 き 下 げ 2017 年 の 選 炭 率 を70% 以 上 に 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 石 炭 の 販 売 と 使 用 を 制 限 石 炭 を 主 とするエネルギー 構 造 を 調 整 エネルギー 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 を 約 70% 遼 寧 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 に 引 き 下 げ 計 画 実 施 方 案 (2014 年 3 月 ) 2017 年 の 石 炭 消 費 総 量 を2.01 億 トンに 抑 制 河 南 省 藍 天 工 程 行 動 計 画 (2014 年 1 月 ) 河 南 省 汚 染 物 排 出 減 少 条 例 ( 草 案 ) 福 建 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 (2014 年 1 月 ) 江 西 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 (2013 年 12 月 ) 四 川 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 (2014 年 1 月 ) 四 川 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 2014 年 度 実 施 計 画 (2014 年 3 月 ) エネルギー 構 造 の 調 整 推 進 石 炭 消 費 の 抑 制 と 最 適 化 2017 年 のエネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 の 比 率 を70%に 引 き 下 げ 石 炭 ボイラーの 集 中 規 制 を 実 施 2017 年 には 産 業 集 中 区 内 の 分 散 石 炭 ボイラーを 淘 汰 都 市 大 気 汚 染 規 制 区 域 の 石 炭 ボイラー 及 びその 他 の 石 炭 燃 焼 施 設 を 淘 汰 クリーン エネルギーに 改 修 天 然 ガス LPG 石 炭 ガス 化 水 力 発 電 新 エネルギー 再 生 可 能 エネルギーなどクリーン エネルギーへの 転 換 を 加 速 天 然 ガスは 民 生 用 と 石 炭 代 替 を 優 先 天 然 ガスピーク 調 整 発 電 所 の 秩 序 ある 発 展 ガス 化 吉 林 プロジェクトの 加 速 3,000キロ 以 上 の 老 朽 化 集 中 熱 供 給 の 改 修 を2015 年 までに 改 修 鉄 鋼 セメント アルミ ガラス 等 の 第 12 次 5ヵ 年 規 画 における 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 任 務 を1 年 前 倒 しで 達 成 2017 年 には 天 然 ガス 使 用 量 を100 億 m3に 拡 大 風 力 発 電 を650 万 kwに 原 子 力 発 電 設 備 容 量 を400 万 kw 年 間 発 電 量 を280 億 kwhに 地 熱 ヒートポンプによる 熱 供 給 面 積 を2,000 万 平 米 増 加 新 疆 からの 電 力 導 入 を 推 進 クリーン エネルギーへの 転 換 を 加 速 ガス 化 河 南 プロジェク トの 推 進 2015 年 には 天 然 ガスパイプラインを95% 以 上 の 県 市 及 び 一 部 郷 鎮 にも 開 通 農 村 のクリーン エネルギー 整 備 を 加 速 2015 年 のバイオブリケット 生 産 能 力 を100 万 トンに エネルギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 新 規 生 産 能 力 を 厳 重 に 規 制 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を 加 速 2014 年 末 までに 第 12 次 5ヵ 年 規 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 の 淘 汰 を 完 了 生 産 能 力 の 淘 汰 は 製 鋼 3.5 万 トン セメント820 万 トン 製 鉄 40 万 トン 鉄 合 金 万 ト 2015 年 の 一 次 エネルギーに 占 める 石 炭 の 比 率 を52.2%に 引 き 下 げ ン 製 紙 84 万 トン 皮 革 万 トン 捺 染 万 トン 2015 年 の 天 然 ガス 使 用 量 を450~600 万 トンに 増 加 エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 石 炭 の 比 率 を2017 年 に65% 以 下 に 引 き 下 げ 省 都 の 南 昌 と 九 江 区 域 は 石 炭 消 費 総 量 のマイナスを 実 現 天 然 ガス 供 給 の 拡 大 や 非 化 石 エネルギーへの 転 換 を 推 進 南 昌 と 九 江 区 域 は 石 炭 火 力 施 設 を 天 然 ガスや 電 力 に 転 換 2017 年 には 石 炭 ボイラーと 天 然 ガス LPG 石 炭 ガス 化 ガスの 供 給 拡 大 水 力 発 電 地 熱 風 力 太 陽 エネルギー バ キルンの 天 然 ガス 用 への 改 修 を 完 了 イオマスエネルギー 原 子 力 の 開 発 と 利 用 を 推 進 新 規 天 然 ガスは 民 生 用 と 石 炭 からの 代 替 2017 年 には 選 炭 率 を70% 以 上 に 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 石 炭 の 輸 入 を 禁 止 を 優 先 天 然 ガス 分 散 型 エネルギーの 事 業 を 推 進 するが 天 然 ガス 化 学 事 業 は 制 限 都 市 の 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 エリアを 拡 大 し 2017 年 には 近 郊 にも 広 げる エネルギー 構 造 を 調 整 し 石 炭 消 費 を 抑 制 石 炭 消 費 総 量 規 制 の 実 施 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 エリアの 画 定 小 型 石 炭 ボイラーを 全 面 整 理 クリーン エネルギー 使 用 の 比 率 を 高 める エネルギー 多 消 費 高 汚 染 事 業 の 建 設 を 厳 重 に 規 制 第 12 次 5ヵ 年 規 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 目 標 を1 年 前 倒 しで 達 成 2015~2017 年 には 基 準 がより 高 く 範 囲 がより 広 い 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 政 策 を 策 定 実 施 242

290 雲 南 省 貴 州 省 広 西 チワン 族 自 治 区 海 南 省 甘 粛 省 表 その 他 各 省 自 治 区 における 大 気 汚 染 防 止 対 策 の 内 容 と 目 標 (2) 典 拠 となる 政 策 文 書 石 炭 消 費 規 制 など 石 炭 関 連 措 置 その 他 エネルギー 供 給 と 消 費 に 関 わる 主 な 対 策 雲 南 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 方 案 (2014 年 3 月 ) 2015 年 には 省 内 において 中 緬 天 然 ガスパイプラインの 幹 線 支 線 網 を 形 成 都 市 ガス 施 設 が 県 クラス 以 上 の 中 心 都 市 をカバーするようにする 都 市 天 然 ガス 使 用 量 を15 億 m3 超 に 工 業 石 炭 火 力 発 電 設 備 のグレードアップと 更 新 を 加 速 火 力 発 電 の 石 炭 消 費 を 引 き 下 用 ガス 使 用 量 を20 億 m3にする げ 一 次 エネルギー 消 費 総 量 に 占 める 天 然 ガス 消 費 を3.5% 前 後 に 再 生 可 能 エネルギーの 比 2017 年 末 までに 州 市 政 府 所 在 都 市 建 成 区 で10t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーを 淘 汰 率 を30%に 引 き 上 げ 金 沙 江 ( 長 江 上 流 ) 瀾 滄 江 (メコン 河 上 流 ) 怒 江 (サルウィン 河 上 流 ) 石 炭 ボイラーの 新 規 建 設 改 修 拡 張 は 停 止 20t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーの 新 規 の 水 力 発 電 開 発 中 小 水 力 発 電 の 統 一 的 計 画 と 協 調 的 発 展 を 推 進 風 力 発 電 やバイオ 建 設 を 禁 止 天 然 ガス 供 給 条 件 を 備 える 地 区 は10t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーの 新 規 ディーゼル バイオブリケットなどのバイオマスエネルギーを 開 発 太 陽 エネルギー 発 電 を 推 建 設 を 停 止 産 業 集 中 区 の 分 散 型 石 炭 ボイラーを 逐 次 淘 汰 進 選 炭 率 を 向 上 選 炭 施 設 の 建 設 奨 励 選 炭 加 工 技 術 の 開 発 強 化 炭 鉱 の 構 造 調 第 12 次 5ヵ 年 計 画 期 の 老 朽 化 生 産 能 力 淘 汰 を1 年 前 倒 しで 完 了 過 剰 生 産 能 力 の 解 消 と 合 わ 整 とグレードアップを 加 速 クリーン コール 技 術 開 発 せて 州 市 政 府 所 在 地 の 都 市 建 成 区 及 び 周 辺 地 区 において 大 気 環 境 への 影 響 が 深 刻 な 火 力 発 電 建 材 鉄 鋼 化 学 非 鉄 金 属 等 の 重 汚 染 企 業 を2017 年 までに 移 転 改 修 エネル ギー 多 消 費 高 汚 染 産 業 の 新 規 生 産 能 力 を 厳 重 に 規 制 貴 州 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 排 出 基 準 に 適 合 する 石 炭 火 力 発 電 所 に 国 から 除 塵 電 力 価 格 補 助 金 計 画 実 施 方 案 (2014 年 3 月 ) 広 西 チワン 族 自 治 区 大 気 汚 染 防 止 工 作 方 案 (2014 年 1 月 ) 海 南 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 実 施 細 則 (2014 年 3 月 ) 海 南 省 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 貫 徹 実 施 に 関 する 意 見 (2013 年 10 月 ) 小 型 石 炭 ボイラーの 全 面 整 理 2 年 以 内 に 南 寧 市 の10t/h 以 下 の 石 炭 ボイラーを 淘 汰 2015 年 以 降 灰 分 20% 以 上 硫 黄 分 1.5% 以 上 発 熱 量 4,000キロカロリー/kg 以 下 の 低 品 質 石 炭 の 販 売 と 使 用 を 禁 止 2015 年 までに 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 エリアを 画 定 石 炭 ボイラーに 大 気 汚 染 物 特 別 排 出 上 限 値 を 適 用 石 炭 消 費 総 量 の 中 長 期 抑 制 目 標 を 策 定 し 目 標 責 任 管 理 を 適 用 2017 年 にはエ ネルギー 総 消 費 に 占 める 石 炭 消 費 の 比 率 を 引 き 下 げ 2017 年 には 選 炭 率 を70% 以 上 に 石 炭 品 質 管 理 弁 法 を 制 定 し 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 低 品 質 石 炭 の 販 売 と 使 用 を 禁 止 石 炭 ガス 化 の 産 業 化 と 大 規 模 化 を 加 速 2017 年 には 非 化 石 エネルギーの 比 率 を13%に 引 き 上 げ エネルギー 多 消 費 工 業 の 急 速 な 成 長 を 抑 制 し エネルギー 消 費 総 量 を 抑 制 石 炭 ボイラーの 管 理 環 境 モニタリングスポットの 建 設 天 然 ガスパイプラインの 建 設 の 面 で 応 分 の 措 置 を 講 じる 二 酸 化 硫 黄 窒 素 酸 化 物 煙 粉 塵 の 排 出 総 量 規 制 指 標 を 環 境 アセスメント 承 認 の 前 提 条 件 とする 産 業 構 造 を 最 適 化 2015 年 のGDP 単 位 当 たりエネルギー 消 費 の2010 年 比 の 引 き 下 げ 目 標 を 達 成 非 化 石 エネル ギーの 利 用 強 度 の 向 上 と 石 炭 からの 転 換 を 推 進 蓄 エネルギー 型 集 中 冷 房 事 業 を 推 進 しエ ネルギー 利 用 効 率 を 向 上 2015 年 末 までにパイプラインによる 天 然 ガス 輸 送 能 力 を90 億 m3 以 上 増 加 原 子 力 発 電 等 のク リーン エネルギーを 着 実 に 発 展 風 力 太 陽 エネルギー バイオマスを 適 正 に 利 用 してエネ ルギー 構 造 を 最 適 化 2017 年 の 非 化 石 エネルギー 消 費 の 比 率 を13%に 向 上 分 散 型 天 然 ガ スなど 高 効 率 エネルギー 利 用 事 業 を 奨 励 2017 年 までに 市 街 区 の 重 汚 染 企 業 を 移 転 改 修 コージェネレーション 煤 改 気 煤 改 電 の 実 施 天 然 ガス 炭 層 ガス 石 炭 ガス 化 ガスの 供 給 拡 大 地 熱 風 力 太 陽 エネルギー 都 市 のクリーン エネルギー 使 用 の 比 率 を 逐 次 引 き 上 げ 高 汚 染 燃 料 禁 止 エリアの 範 囲 を 拡 大 蘭 州 市 は 都 市 建 成 区 面 積 の80% 以 上 に 青 海 省 西 寧 市 を 重 点 とする 東 部 都 市 群 大 気 汚 染 防 止 工 作 実 施 意 見 (2013 年 10 月 ) 石 炭 市 場 に 対 する 管 理 を 強 化 都 市 周 辺 の 石 炭 加 工 企 業 を 整 理 規 範 的 な 石 炭 配 送 センターの 建 設 クリーン コール 利 用 の 推 進 西 寧 市 の 高 汚 染 燃 料 燃 焼 禁 止 区 の 拡 大 市 県 政 府 所 在 地 の 原 炭 分 散 燃 焼 ボイラーの 新 規 建 設 禁 止 低 収 入 家 庭 向 け 石 炭 補 助 金 制 度 確 立 と 基 準 適 合 の 環 境 保 護 型 石 炭 の 一 律 使 用 天 然 ガス 送 配 管 ネットワークの 建 設 を 加 速 し 市 街 区 の 天 然 ガス 配 給 能 力 を 向 上 石 炭 ボイ ラーの 煤 改 気 を 実 施 集 中 熱 供 給 のクリーン エネルギー 化 改 修 天 然 ガス 網 のカバーす るエリアで 新 築 建 造 物 は 天 然 ガス 等 のクリーン エネルギーによる 熱 供 給 を 採 用 再 生 可 能 エネルギー 兼 地 区 の 大 規 模 な 応 用 を 推 進 農 村 の 建 築 省 エネと 再 生 可 能 エネル ギー 利 用 を 誘 導 都 市 周 辺 の 工 業 団 地 において 火 力 発 電 化 学 工 業 非 鉄 金 属 等 の 新 規 建 設 拡 張 事 業 を 厳 重 に 規 制 区 域 の 重 汚 染 企 業 の 統 廃 合 を 推 進 ( 出 所 ) 各 省 自 治 区 の 関 連 政 策 文 書 をもとに 作 成 243

291 各 地 方 政 府 は 石 炭 消 費 を 制 限 し 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 を 削 減 するために 上 掲 の 政 策 以 外 に 石 炭 多 消 費 産 業 の 生 産 能 力 の 拡 大 に 対 する 制 限 都 市 部 の 石 炭 火 力 発 電 所 建 設 の 制 限 余 剰 生 産 設 備 の 廃 棄 クリーン コール 利 用 の 促 進 脱 硫 脱 硝 設 備 の 設 置 などの 政 策 を 掲 げ また 一 部 地 域 は 銑 鉄 粗 鋼 セメントの 減 産 石 炭 火 力 発 電 所 の 閉 鎖 などの 政 策 も 提 示 している さらに 中 央 政 府 は 高 灰 分 高 硫 黄 分 の 石 炭 の 利 用 や 輸 入 を 禁 止 す る 政 策 も 打 ち 出 している 中 国 政 府 はこれらの 諸 計 画 を 実 現 するために 各 地 方 に 石 炭 消 費 割 当 制 度 と 責 任 管 理 制 度 を 導 入 し 中 央 政 府 と 各 地 方 政 府 の 間 で 目 標 達 成 の 責 任 に 関 する 契 約 が 結 ばれている しかし 中 国 の 専 門 家 はこのような 制 度 について 中 央 政 府 はエネルギー 消 費 総 量 を 策 定 したが 実 際 に 実 施 することは 難 しい 状 況 にある 中 央 政 府 は 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 の 策 定 段 階 で 各 地 域 の 調 査 を 行 い それぞれの 石 炭 需 要 を 予 測 したが その 予 測 を 纏 めると 石 炭 消 費 は 35 億 toe になり 中 央 政 府 の 目 標 値 の 27.3 億 toe を 7.7 億 toe も 上 回 る 大 幅 な 超 過 と なった 中 央 政 府 の 石 炭 消 費 抑 制 目 標 に 対 して 地 方 政 府 は 抵 抗 している 地 方 政 府 は 石 炭 消 費 を 規 制 すれば 地 域 経 済 の 発 展 に 悪 い 影 響 が 出 てくると 判 断 しており このような 政 策 を 強 制 的 に 実 施 すると 各 地 の 石 炭 消 費 統 計 の 信 憑 性 はさらに 低 くなり 中 央 政 府 の 政 策 策 定 に 対 する 影 響 も 大 きくなる と 指 摘 している 400 加 えて 地 方 政 府 がデータ 上 の 石 炭 消 費 を 抑 えるために 統 計 を 改 ざんするという 問 題 も すでに 発 生 している 中 国 鉄 鋼 工 業 協 会 の 名 誉 会 長 で かつて 冶 金 工 業 部 の 副 部 長 ( 副 大 臣 )を 務 めたこともある 呉 溪 淳 氏 は 2012 年 9 月 の 中 国 鉄 鋼 技 術 経 済 ハイエンドフォーラ ム で 河 北 省 の 鉄 鋼 生 産 統 計 の 不 正 行 為 に 関 し 2011 年 の 中 国 の 粗 鋼 生 産 は 実 際 には 7 億 トンを 超 え 約 7.3 億 トンに 上 っていたが 国 家 統 計 局 の 粗 鋼 生 産 統 計 は 億 トンで 両 者 の 差 は 5,000 万 トンにも 及 んでいた また 2011 年 の 河 北 省 の 統 計 では 粗 鋼 生 産 量 は 1.64 億 トンとされているのに 対 し 河 北 省 の 冶 金 産 業 協 会 の 統 計 では 協 会 会 員 の 省 重 点 冶 金 企 業 による 生 産 量 は 1.67 億 トンに 上 り 重 点 企 業 による 生 産 だけでも 全 省 の 生 産 量 を 超 えていた と 指 摘 している 401 以 下 では 記 述 した 各 地 方 の 大 気 汚 染 防 止 行 動 計 画 の 具 体 策 を 十 分 に 踏 まえた 上 で 統 計 をめぐる 問 題 も 念 頭 に 置 きつつ 各 地 域 における 石 炭 需 給 状 況 の 予 測 を 行 う 中 国 能 源 網 CEO 韓 曉 平 中 国 は 石 炭 に 対 し 革 命 しなければならない 244

292 7.4 地 域 別 石 炭 需 要 の 予 測 本 節 では 7.2 及 び 7.3 で 述 べた 各 省 直 轄 市 自 治 区 の 政 策 の 分 析 に 基 づき また 各 地 域 ( 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 )における 石 炭 需 要 の 現 状 ( 第 3 章 参 照 )を 踏 まえて 2040 年 までの 地 域 別 石 炭 需 要 の 予 測 を 行 う 地 域 の 石 炭 需 要 予 測 に 当 たっては 全 体 として 以 下 の 事 情 を 重 要 な 要 素 として 想 定 した まず 石 炭 の 地 域 別 需 要 は 各 地 域 の 産 業 構 成 と 密 接 に 関 連 している 中 国 の 東 部 沿 海 地 域 はすでに 経 済 構 造 転 換 の 段 階 に 入 っており 各 種 産 業 特 に 重 工 業 と 環 境 汚 染 産 業 は 徐 々 に 中 部 と 西 部 地 域 へ 移 転 させられている また 西 部 地 域 は 都 市 化 率 が 低 く エネルギー 資 源 の 賦 存 が 多 い そのため 今 後 30 年 間 中 部 と 西 部 では 鉱 産 資 源 の 開 発 エネルギー 多 消 費 製 造 業 の 吸 収 石 炭 火 力 発 電 能 力 の 拡 大 などが 石 炭 需 要 に 対 して 大 きな 影 響 を 与 え ると 予 想 される 次 に 中 国 の 石 炭 多 消 費 産 業 である 発 電 鉄 鋼 建 材 石 炭 化 学 の 地 域 分 布 は 国 の 政 策 の 影 響 により 既 に 変 化 していると 認 識 される 2014 年 現 在 東 部 沿 海 地 域 は 中 国 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 容 量 の 半 分 以 上 を 占 めているが 深 刻 化 する 環 境 問 題 UHV 送 電 技 術 の 開 発 と 電 力 グリッドの 強 化 西 部 地 域 の 電 力 需 要 拡 大 などのため 同 地 域 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 の 西 部 地 域 への 移 転 が 進 んでいる 今 後 30 年 以 内 に 西 部 地 域 の 石 炭 火 力 発 電 は 中 国 全 体 の 7 割 以 上 を 占 めると 予 測 される 特 に 石 炭 生 産 地 における 山 元 発 電 の 大 規 模 な 開 発 が 中 国 の 電 源 開 発 計 画 に 盛 り 込 まれており そのことが 石 炭 火 力 発 電 の 西 部 への 移 転 を 後 押 しす ることになる 他 方 上 海 市 周 辺 地 域 北 京 市 周 辺 地 域 及 び 広 東 省 周 辺 地 域 の 石 炭 火 力 発 電 設 備 容 量 は 減 少 が 続 くと 予 測 される この 点 に 関 して 中 国 国 家 能 源 局 の 情 報 によると 山 西 陜 西 内 モンゴル 寧 夏 及 び 新 疆 の 石 炭 火 力 発 電 容 量 が 全 国 の 発 電 設 備 容 量 に 占 める 比 率 は 2010 年 の 21.0%から 2020 年 には 37.4%に 上 昇 し 全 国 の 新 規 発 電 設 備 容 量 に 占 める 比 率 は 59%に 達 する また 2020 年 の 東 部 中 部 の 両 地 域 の 受 入 電 力 能 力 は 3.5 億 kw に 達 し 2011~2020 年 の 新 規 の 受 入 電 力 能 力 は 2.88 億 kw になる 402 また 鉄 鋼 業 については 鉄 鉱 石 原 料 炭 の 輸 送 能 力 やコ ストの 影 響 により 工 場 が 徐 々に 沿 海 地 域 へ 移 転 するであろう 鉄 鋼 産 業 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 によると 今 後 20 年 間 で 鉄 鋼 産 業 の 40% 以 上 が 中 国 の 東 部 沿 海 地 区 に 移 転 する 見 込 みで ある 最 後 に 今 後 石 炭 需 要 が 増 加 する 分 野 は 主 に 石 炭 ガス 化 石 炭 液 化 などの 新 型 化 学 工 業 になると 見 られる その 種 の 工 場 は 殆 ど 全 てが 石 炭 生 産 地 である 山 西 省 内 モンゴル 自 治 区 寧 夏 自 治 区 新 疆 自 治 区 黒 龍 江 省 雲 南 省 などに 配 置 されている

293 以 上 のような 想 定 を 踏 まえて 本 調 査 は 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 の 各 地 域 における 長 期 的 な 石 炭 需 要 について 3 つのシナリオを 設 定 し( 第 6 章 参 照 ) 次 のように 予 測 を 行 った 3 つのシナリオによる 2020 年 2030 年 及 び 2040 年 の 予 測 値 を 表 に また 非 化 石 エネルギーシナリオによる 年 の 予 測 値 を 図 に 示 す 表 シナリオ 別 の 地 域 別 石 炭 需 要 予 測 403 ( 単 位 : 億 トン) 地 域 実 績 非 化 石 天 然 ガス 拡 大 石 炭 依 存 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 合 計 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 億 トン 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 図 非 化 石 エネルギーシナリオの 石 炭 需 要 予 測 華 北 地 域 華 北 地 域 の 石 炭 消 費 は 2012 年 の 9.6 億 トンから2030 年 には11.7 億 トン~13.0 億 トン 各 地 域 の 需 要 と 供 給 は 全 て 全 国 のベースで 調 整 した 246

294 年 には 10.9~13.5 億 トンになると 予 測 される 石 炭 消 費 の 年 平 均 伸 び 率 は 2012 年 ~2030 年 には 1.9~2.4% 2012 年 ~2040 年 には 0.5~1.4%になる また 華 北 地 域 の 石 炭 消 費 が 中 国 全 体 の 石 炭 消 費 に 占 める 比 率 は 2030 年 には 27.2~27.5% 2040 年 には 27.1~28.5%になる 華 北 地 域 の 中 で 北 京 市 と 天 津 市 の 石 炭 消 費 は 粗 鋼 とセメントの 生 産 抑 制 や 石 炭 火 力 の 発 電 量 の 減 少 などの 原 因 により 減 少 する 一 方 石 炭 の 主 要 生 産 地 である 山 西 省 と 内 モン ゴル 自 治 区 では 今 後 電 力 の 移 出 を 増 やすため 山 元 石 炭 火 力 の 建 設 が 進 むとともに 石 炭 液 化 や 石 炭 ガス 化 など 新 規 プラントが 稼 動 することになる 結 果 石 炭 消 費 は 増 えると 予 測 される また 河 北 省 の 粗 鋼 とセメントの 生 産 は 減 少 するものの 一 定 規 模 が 維 持 される 見 込 みであるとは 言 え 2030 年 と 2040 年 には 2012 年 に 比 べると 減 少 するため 原 料 炭 と 無 煙 炭 の 需 要 は 減 少 すると 予 想 される 東 北 地 域 東 北 地 域 の 経 済 発 展 は 他 の 地 域 よりも 遅 れているが 今 後 の 30 年 間 にはその 経 済 の 回 復 と 成 長 が 予 想 される 2012~2030 年 における 東 北 地 域 の GDP 年 平 均 成 長 率 は 全 国 平 均 を 上 回 り 6.4%になると 予 測 される 石 炭 消 費 は 2030 年 には 4.3~4.7 億 トン 2040 年 には 4.0~ 4.7 億 トンになり 2012 年 の 3.8 億 トンからある 程 度 増 加 する 見 通 しである また この 地 域 の 製 鉄 所 の 生 産 は 維 持 されるため 原 料 炭 と 無 煙 炭 の 需 要 も 維 持 され また 2030 年 ま ではセメント 生 産 用 を 含 む 一 般 炭 の 需 要 もある 他 方 電 力 の 移 入 や 輸 入 (ロシアから) の 増 加 によって 石 炭 火 力 の 石 炭 需 要 は 若 干 減 少 すると 予 測 される 華 東 地 域 華 東 地 域 全 体 の 石 炭 消 費 は 2012 年 の 10.3 億 トンから 2030 年 には 10.0~10.3 億 トン 2040 年 には 8.3~9.7 億 トンに 低 下 し 全 国 の 石 炭 消 費 に 占 める 比 率 も 2012 年 の 27.1%から 2030 年 には 21.4~23.8% 2040 年 には 18.1~22.6%に 低 下 すると 予 測 される その 結 果 石 炭 消 費 の 年 平 均 伸 び 率 はマイナスを 示 すことになり 2012~2030 年 にはマイナス 0.1% 前 後 2012~2040 年 にはマイナス 0.2~0.7%になるであろう このように 華 東 地 域 の 石 炭 需 要 は 全 体 として 減 少 傾 向 を 示 す 見 込 みである 特 に 上 海 市 浙 江 省 江 蘇 省 福 建 省 の 石 炭 消 費 が 低 下 し 山 東 省 でも 粗 鋼 やセメントの 減 産 と 石 炭 火 力 の 稼 働 率 の 低 下 によって 一 般 炭 と 原 料 炭 の 需 要 が 減 少 すると 見 込 まれる また この 地 域 の 天 然 ガス 供 給 インフレを 整 備 され 天 然 ガス 導 入 は 他 の 地 域 より 早 いと 見 られ る 一 方 安 徽 省 では 炭 層 ガスの 開 発 によって 部 分 的 に 石 炭 消 費 が 代 替 される 可 能 性 が あるものの 全 体 的 に 見 ると 2020 年 までは 天 然 ガス 供 給 が 充 分 でないため 石 炭 消 費 は 増 え また 2030 年 までについても 中 央 政 府 の 進 める 山 元 発 電 所 建 設 計 画 の 進 行 に 伴 っ て 同 省 の 石 炭 火 力 発 電 能 力 も 増 加 するので 石 炭 消 費 は 増 えていくと 予 測 される 247

295 7.4.4 中 南 地 域 中 南 地 域 の 石 炭 需 要 は 地 域 内 で 最 大 の 石 炭 消 費 地 である 広 東 省 の 石 炭 消 費 が 低 減 する と 見 込 まれるが 華 中 地 域 の 河 南 省 と 湖 北 省 では 石 炭 需 要 が 増 加 するため 地 域 全 体 の 石 炭 消 費 は 増 えると 予 測 される この 地 域 の 石 炭 消 費 は 2012 年 の 6.9 億 トンから 2030 年 に は 7.9~8.5 億 トンに 2040 年 には 7.3~8.6 億 トンになると 予 測 される 2012 年 ~2040 年 の 石 炭 消 費 の 年 平 均 伸 び 率 は 1%を 下 回 る 低 いものである 但 し 中 南 地 域 の 石 炭 消 費 が 中 国 全 体 の 石 炭 消 費 に 占 める 比 率 は 2040 年 には 18.1% 前 後 であり 2012 年 とほぼ 同 じであろう 西 南 地 域 2030 年 の 西 南 地 域 の 石 炭 消 費 は 4.2~4.5 億 トンになり 2012 年 の 3.6 億 トンをある 程 度 上 回 り 中 国 全 体 の 9.6% 前 後 になると 予 測 される また 同 地 域 の 石 炭 消 費 は 2040 年 には 3.7~4.4 億 トンになり 2030 年 と 同 じく 中 国 全 体 の 9.6%を 占 めるであろう 西 南 地 域 の 中 で 貴 州 省 と 雲 南 省 は 石 炭 生 産 地 であり 石 炭 火 力 の 発 電 能 力 は 今 後 拡 大 すると 見 込 まれる が 他 方 中 緬 ガスパイプラインからの 天 然 ガス 輸 入 や 雲 南 省 での 水 力 発 電 開 発 によって 石 炭 火 力 の 新 設 能 力 が 制 限 されることが 考 えられる 西 北 地 域 西 北 地 域 には 主 要 石 炭 生 産 地 である 陜 西 省 新 疆 自 治 区 及 び 寧 夏 自 治 区 が 含 まれるが 石 炭 消 費 は 少 ないのが 現 状 である 今 後 は 大 型 石 炭 火 力 発 電 事 業 や 石 炭 ガス 化 事 業 の 新 規 開 発 石 炭 多 消 費 産 業 の 移 転 などによって 地 域 内 の 石 炭 消 費 が 徐 々に 拡 大 すると 予 測 さ れる 2040 年 の 石 炭 消 費 は 5.1~6.5 億 トンになり 中 国 全 土 の 石 炭 消 費 の 12.7~14.3%を 占 めることになろう(2012 年 は 10.1%) なお 今 後 の 中 国 における 石 炭 消 費 の 動 向 を 占 う 場 合 には 以 上 の 予 測 における 想 定 と は 異 なる 次 のような 可 能 性 も 念 頭 に 置 いておくことが 必 要 であろう すなわち 第 1 に 石 炭 消 費 抑 制 政 策 や 産 業 移 転 政 策 が 順 調 に 進 まない 場 合 華 東 地 域 と 華 北 地 域 の 石 炭 消 費 が 引 き 続 き 増 えていくであろう 第 2 に 鉄 鋼 産 業 の 移 転 は 地 域 の 経 済 雇 用 などへの 影 響 が 大 きいことから 地 域 の 抵 抗 も 大 きくなるであろう 第 3 に 石 炭 火 力 発 電 所 の 移 転 が 電 力 グリッドの 不 安 定 をもたらしたり 遠 距 離 の 超 高 圧 送 電 (UHV)に 技 術 上 の 問 題 が 生 じたりするであろう これらの 可 能 性 が 全 て 現 実 のものにならないとすれば 現 在 の 石 炭 多 消 費 地 域 ( 華 東 華 北 中 南 )における 石 炭 消 費 が 減 少 するであろう という 予 測 が 現 実 のものになるであろう 248

296 7.5 地 域 別 石 炭 需 給 バランスの 推 移 と 予 測 地 域 別 石 炭 需 給 バランスの 推 移 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 の 各 地 域 のエネルギーバランス 表 によると 華 北 地 域 の 石 炭 消 費 は 11.0 億 トン 石 炭 生 産 は 20.8 億 トン 石 炭 の 純 輸 入 は 3,588 万 トンであり 石 炭 の 純 移 出 は 10 億 トンである( 表 参 照 2012 年 の 数 字 以 下 同 ) 東 北 地 域 では 石 炭 消 費 は 4.3 億 トン 生 産 は 2.2 億 トン 純 輸 入 は 1,088 万 トン 純 移 入 は 約 2 億 トンである 華 東 地 域 では 石 炭 消 費 は 11.8 億 トン 生 産 は 4 億 トン 弱 純 輸 入 は 4,084 万 トン 純 移 入 は 7.1 億 トンである 中 南 地 域 では 石 炭 消 費 は 7.9 億 トン 生 産 は 2.7 億 トン 純 輸 入 は 8,573 万 トン 純 移 入 は 4 億 トンである 西 南 地 域 では 石 炭 消 費 は 4.2 億 トン 純 移 入 は 1,489 万 トンである 西 北 地 域 では 石 炭 消 費 は 4.4 億 トン 生 産 は 7.8 億 トン 純 輸 出 は 147 万 トン 純 移 出 は 3.2 億 トンである 表 年 の 地 域 別 の 石 炭 需 給 バランス 地 域 バランス 純 輸 入 純 移 入 消 費 生 産 輸 出 輸 入 万 トン 万 トン 万 トン 移 出 移 入 華 北 97, , ,789 3, , , ,348 37,175 東 北 21,203 43,267 22,064 1, ,094 19,705 6,416 26,121 華 東 78, ,063 39,837 4, ,129 70,728 13,323 84,051 中 南 52,400 78,952 26,552 8, ,574 40,367 6,004 46,371 西 南 ,800 41, ,490 7,540 9,030 西 北 33,950 44,274 78, ,479 42,198 9,719 全 国 20, , ,000 17,186 1,010 18, , ,467 ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 上 掲 の 地 域 の 石 炭 需 給 関 係 を 見 ると 華 北 地 域 は 石 炭 輸 出 移 出 量 ( 表 中 の バランス 参 照 )が 9.8 億 トンに 上 り 最 大 の 石 炭 供 給 地 域 である 華 北 地 域 に 次 いで 石 炭 輸 出 移 出 量 が 大 きいのは 西 北 地 域 の 3.4 億 トンである 他 方 華 東 地 域 は 石 炭 の 輸 入 移 入 が 最 も 多 く 7.8 億 トンに 達 しており 最 大 の 石 炭 供 給 不 足 地 域 である 中 南 地 域 の 石 炭 輸 入 移 入 は 5.2 億 トン 華 東 地 域 に 次 ぐ 石 炭 の 輸 入 移 入 地 域 である また 華 東 地 域 は 石 炭 生 産 地 である 華 北 地 域 との 距 離 が 中 南 地 域 より 短 いことから 石 炭 の 輸 入 は 中 南 地 域 より 少 ない そのため 華 東 地 域 の 移 入 と 輸 入 の 比 率 は 17.3:1 であるが 中 南 地 域 の 移 入 と 輸 入 の 比 率 は 4.6:1 である また 東 北 地 域 の 石 炭 純 移 入 は 約 2 億 トンであり 更 に 西 南 地 域 の 石 炭 の 需 給 関 係 は 基 本 的 に 地 域 内 でバランスが 取 れている 各 地 域 の 石 炭 の 生 産 移 出 入 輸 出 入 の 推 移 を 見 ると まず 2000~2012 年 の 生 産 量 に ついては 西 北 地 域 の 年 平 均 増 加 率 が 最 も 高 く 全 国 の 平 均 値 の 6.3%を 上 回 る 10.8%にな 404 石 炭 の 需 給 バランスは 全 て 中 国 エネルギー 統 計 年 鑑 を 基 づいて 作 成 したものである 249

297 っている また 華 北 地 域 の 石 炭 生 産 の 年 平 均 増 加 率 は 西 北 地 域 よりは 低 いが 全 国 平 均 よりも 高 く 8.4%である その 他 地 域 の 石 炭 生 産 の 年 平 均 増 加 率 はいずれも 全 国 の 年 平 均 増 加 率 より 低 い さらに 中 南 地 域 と 東 北 地 域 の 2010~2012 年 の 石 炭 生 産 はマイナス 成 長 になっており このような 傾 向 は 概 ね 今 後 も 続 いていくと 推 測 される 表 地 域 別 の 石 炭 生 産 の 推 移 地 域 万 トン 年 平 均 伸 び 率 % /00 12/10 12/00 華 北 79,348 90, , , , 東 北 17,708 18,613 22,471 22,335 22, 華 東 30,105 29,768 36,543 38,166 39, 中 南 25,009 26,591 32,336 31,108 26, 西 南 24,306 29,005 39,540 39,300 41, 西 北 22,756 25,925 59,602 68,127 78, 全 国 199, , , , , ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 次 に 地 域 別 の 石 炭 移 出 の 推 移 を 見 ると 2000~2010 年 の 西 北 地 域 の 石 炭 移 出 の 年 平 均 増 加 率 が 最 も 高 く 35.2%に 上 っている 西 北 地 域 の 次 は 華 北 地 域 であり 同 時 期 の 石 炭 移 出 の 年 平 均 増 加 率 は 15.9%である 一 方 2010~2012 年 の 石 炭 移 出 の 年 平 均 増 加 率 では 華 東 華 南 西 南 地 域 が 全 てマイナスであるのに 対 して 華 北 と 西 北 は 依 然 として 二 桁 台 の 増 加 を 示 している 但 し この 3 年 間 に 西 北 地 域 の 石 炭 移 出 の 増 加 率 はそれ 以 前 に 比 し て 大 きく 下 がっている 表 地 域 別 の 石 炭 移 出 の 推 移 地 域 万 トン 年 平 均 伸 び 率 % /00 12/10 12/00 華 北 24,088 55, , , , 東 北 1,984 4,680 5,484 7,187 6, 華 東 3,980 7,742 13,640 16,503 13, 中 南 4,099 7,781 12,892 15,025 6, 西 南 1,705 5,009 8,039 5,741 7, 西 北 1,614 7,909 32,827 35,985 42, 全 国 37,470 88, , , , ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 さらに 地 域 別 の 石 炭 移 入 の 推 移 を 見 ると 華 東 地 域 の 石 炭 移 入 が 最 も 多 く 2011 年 の 移 入 量 は 9.2 億 トンに 達 し 中 国 の 地 域 間 の 石 炭 移 入 量 全 体 の 約 40%を 占 める 次 いで 移 入 量 が 多 いのは 中 南 地 域 で 2011 年 の 石 炭 移 入 は 5.8 億 トンで 地 域 間 の 石 炭 輸 入 全 体 の 25% を 占 める 2010 年 以 前 の 10 年 間 で 年 平 均 増 加 率 が 最 も 高 かったのは 西 南 地 域 で 20.6%で 250

298 あった 一 方 西 北 地 域 の 石 炭 移 入 の 年 平 均 増 加 率 は 15.8%であるが 石 炭 移 入 量 そのもの は 小 さい 華 東 地 域 の 石 炭 移 入 の 年 平 均 増 加 率 は 13.3% 中 南 地 域 は 11.7% 華 北 地 域 11.0% であった しかしながら 2010~2012 年 には これら 3 地 域 の 石 炭 移 入 の 年 平 均 増 加 率 は 華 東 地 域 0.7% 中 南 地 域 1.5% 華 北 地 域 1.1%であり いずれも 2000~2010 年 に 比 べて 大 きく 下 がっている これは 石 炭 消 費 の 低 下 石 炭 輸 入 の 増 加 などを 反 映 していると 見 られる 表 地 域 別 の 石 炭 移 入 の 推 移 地 域 万 トン 年 平 均 伸 び 率 % /00 12/10 12/00 華 北 12,820 22,596 36,340 37,387 37, 東 北 8,817 13,201 20,550 27,059 26, 華 東 23,480 53,159 81,572 92,108 84, 中 南 15,121 27,368 45,751 57,656 46, 西 南 1,066 1,907 6,954 7,783 9, 西 北 1,651 4,034 7,182 8,711 9, 全 国 62, , , , , ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 地 域 の 石 炭 移 出 入 を 合 わせて 純 移 出 を 計 算 すると 華 北 地 域 と 西 北 地 域 の 石 炭 純 移 出 が 増 えており また 西 南 地 域 は 2011 年 から 純 移 入 に 転 じた また 2010 年 以 降 中 南 地 域 の 純 移 入 は 依 然 として 二 桁 台 の 伸 び 率 を 維 持 したが 華 東 地 域 の 純 移 入 の 伸 び 率 は 下 がっ た 表 地 域 別 の 石 炭 純 移 出 の 推 移 地 域 万 トン 年 平 均 伸 び 率 % /00 12/10 12/00 華 北 11,268 32,899 69,180 89, , 東 北 6,833 8,521 15,065 19,872 19, 華 東 19,500 45,417 67,931 75,605 70, 中 南 11,022 19,587 32,859 42,630 40, 西 南 639 3,102 1,085 2,042 1, 西 北 37 3,875 25,645 27,274 32, 全 国 25,486 33,649 19,947 23, ( 注 )2000 年 2005 年 の 地 域 別 の 移 出 入 統 計 は 誤 差 があるので バランス 上 で 供 給 不 足 となった ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 地 域 別 の 石 炭 輸 入 の 推 移 を 見 ると 2005~2012 年 において 石 炭 輸 入 の 年 平 均 増 加 率 が 最 も 高 かったのは 華 北 地 域 であり 49%に 上 った 華 北 地 域 の 次 に 高 いのは 中 南 地 域 で 35.0% 251

299 である 他 方 2010~2012 年 の 年 平 均 増 加 率 を 見 ると 中 南 地 域 が 最 も 高 く 13.8%であり 華 東 地 域 は 11.9%である 一 方 華 北 地 域 の 石 炭 輸 入 の 年 平 均 増 加 率 は 華 南 華 東 地 域 を 下 回 り 6.1%に 止 まった 表 地 域 別 の 石 炭 輸 入 の 推 移 地 域 万 トン 年 平 均 伸 び 率 % /05 12/10 12/05 華 北 ,905 2,339 4, 東 北 , , 華 東 ,299 5,026 4, 中 南 27 1,049 6,616 8,214 8, 西 南 西 北 全 国 29 2,083 14,982 16,418 18, ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 地 域 別 の 石 炭 輸 出 の 推 移 を 見 ると 全 ての 地 域 で 石 炭 輸 出 が 減 少 している これは 中 国 国 内 の 石 炭 消 費 の 増 加 と 石 炭 輸 出 に 対 する 課 税 政 策 ( 第 1 章 参 照 )によるものである 表 地 域 別 の 石 炭 輸 出 の 推 移 地 域 万 トン 年 平 均 伸 び 率 % /00 12/10 12/00 華 北 3,245 3,533 1, 東 北 華 東 1,315 1, 中 南 西 南 西 北 全 国 4,828 4,830 1,938 1,406 1, ( 出 所 ) 中 国 統 計 局 エネルギー 統 計 年 鑑 各 年 版 より 作 成 地 域 別 石 炭 需 給 バランスの 予 測 将 来 の 地 域 別 の 国 産 炭 供 給 能 力 については 第 12 次 5 ヵ 年 計 画 における 石 炭 生 産 計 画 国 家 能 源 局 の 炭 鉱 開 発 の 承 認 状 況 及 び 各 地 域 の 炭 鉱 開 発 に 関 する 公 開 情 報 2013 年 ~2014 年 の 中 国 全 体 及 び 各 地 域 の 石 炭 生 産 政 策 などに 基 づいて 以 下 のように 想 定 した まず 2020 年 の 全 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 43 億 トン 以 上 に 達 することも 可 能 である うち 華 北 地 域 は 21.6 億 トン( 中 国 の 石 炭 生 産 能 力 全 体 の 49.7%を 占 める 以 下 同 )になり 生 産 予 測 データは 全 て 全 国 ベースでカロリーを 調 整 した 数 字 である 252

300 年 の 18.2 億 トンより 3 億 トン 前 後 増 える 西 北 地 域 は 10 億 トン 前 後 (23.3%) 2012 年 の 6.9 億 トンより 3 億 トン 以 上 増 えることになる 中 南 と 西 南 地 域 は 2.7 億 トンと 3.8 億 トン 前 後 2012 年 の 2.3 億 トンと 3.6 億 トンより 微 増 である 他 方 東 北 華 東 地 域 における 2020 年 の 石 炭 生 産 能 力 はいずれも 2012 年 より 減 少 し それぞれ 1.8 億 トン(4.1%) 3.4 億 トン(7.8%)になると 見 込 まれる 次 に 2030 年 の 全 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 47 億 トン 前 後 になり うち 華 北 地 域 は 約 23 億 ト ン(49.4%) 西 北 地 域 は 約 12 億 トン(25.6%)になり 中 南 地 域 は 4.2 億 トン(8.9%) 東 北 と 華 東 地 域 はそれぞれ 1.6 億 トン(3.4%) 3.3 億 トン(6.9%)になり 西 南 地 域 は 4.2 億 トン(8.9%) 前 後 になると 予 測 される さらに 2040 年 になると 石 炭 需 要 の 減 少 に 伴 う 新 規 炭 鉱 開 発 投 資 の 減 少 老 朽 炭 鉱 の 淘 汰 などの 要 因 により 石 炭 生 産 能 力 が 低 下 し 全 国 の 石 炭 生 産 能 力 は 45 億 トン 前 後 に 落 ち ると 推 測 される うち 華 北 地 域 の 石 炭 生 産 能 力 は 23 億 トン 前 後 (50.7%) 西 北 地 域 は 12.5 億 トン(26.6%)になり その 他 地 域 は 合 計 しても 10 億 トン 以 下 (22.7%)に 止 まると 予 測 される 中 国 全 体 の 石 炭 生 産 能 力 について 見 ると 2030 年 までは 拡 大 するが それ 以 降 は 徐 々に 縮 小 すると 推 測 される 但 し 経 済 減 速 と 石 炭 需 要 の 減 少 に 伴 って 炭 鉱 の 経 営 状 態 が 大 き く 悪 化 すれば 炭 鉱 の 閉 鎖 が 進 み 2030 年 の 石 炭 生 産 能 力 が 上 記 の 推 定 を 下 回 る 可 能 性 も 考 えられる 億 トン 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 ( 出 所 ) 実 績 は 中 国 統 計 予 測 は 本 調 査 図 地 域 別 の 石 炭 生 産 能 力 の 推 定 各 地 域 の 生 産 能 力 と 石 炭 需 要 を 単 純 に 比 べると 2040 年 になっても 石 炭 の 流 通 フローは 253

301 2014 年 現 在 と 基 本 的 にほとんど 同 じであり 華 北 地 域 特 に 山 西 省 並 びに 内 モンゴル 自 治 区 の 石 炭 と 西 北 地 域 特 に 新 疆 ウイグル 自 治 区 並 びに 寧 夏 回 族 自 治 区 の 石 炭 を 華 東 中 南 地 域 に 移 出 する 構 造 が 続 いていくと 予 想 される また 西 南 地 域 の 石 炭 需 給 関 係 につい ては 基 本 的 に 自 給 自 足 の 状 態 が 続 くであろう 沿 海 地 域 の 石 炭 の 減 産 石 炭 生 産 地 の 西 部 への 移 転 による 輸 送 コストの 上 昇 などのため 沿 海 地 域 特 に 中 南 華 東 の 両 地 域 の 広 東 省 福 建 省 及 び 上 海 市 周 辺 地 域 の 石 炭 輸 入 が 増 えることが 予 想 される 一 方 華 北 地 域 ( 山 西 省 と 内 モンゴル 自 治 区 )からの 石 炭 輸 出 が 増 え 中 国 全 体 として 生 産 能 力 過 剰 状 態 を 解 消 するために 2020 年 以 前 に 一 時 的 に 輸 出 が 増 える 可 能 性 も 考 えられる 但 し その ためには 中 国 政 府 の 石 炭 輸 出 に 関 する 政 策 や 税 制 の 改 正 中 国 炭 の 価 格 競 争 力 や 石 炭 品 位 の 向 上 などが 必 要 になる 石 炭 需 要 予 測 における 3 つのシナリオ 別 に 見 ると まず 非 化 石 エネルギーシナリオで は 需 要 が 生 産 能 力 を 大 幅 に 下 回 ることになり 2030 年 における 地 域 間 石 炭 移 動 の 合 計 量 は 約 15 億 トンになると 推 定 される 億 トン 移 出 華 北 東 北 華 東 中 南 西 南 西 北 移 入 ( 出 所 )2012 年 の 実 績 は 中 国 統 計 予 測 値 は 本 調 査 図 地 域 別 の 石 炭 移 出 入 ( 非 化 石 エネルギーシナリオ) また このシナリオでは 2030 年 の 華 北 地 域 の 石 炭 移 出 可 能 量 は 12 億 トン 弱 西 北 地 域 の 石 炭 移 出 量 は 約 7 億 トン 前 後 になる 一 方 華 東 地 域 の 石 炭 移 入 量 は 7 億 トン 前 後 中 南 地 域 の 石 炭 移 入 量 は 5 億 トン 前 後 になると 見 込 まれる( 表 7.5.8) 次 に 天 然 ガス 拡 大 シナリオでは 2040 年 の 華 北 地 域 と 西 北 地 域 の 石 炭 移 出 可 能 量 は 15 億 トン 以 上 で 華 東 地 域 と 中 南 地 域 の 石 炭 移 入 量 はそれぞれ 5.6 億 トンと 5.7 億 トン 前 後 西 南 地 域 と 東 北 地 域 の 石 炭 移 入 量 は 3.3 億 トンと 1.1 億 トンとなり 基 本 的 に 需 給 バランス が 取 れる 254