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1 平 成 10 年 ( 行 ケ) 第 347 号 審 決 取 消 請 求 事 件 ( 平 成 12 年 1 月 19 日 口 頭 弁 論 終 結 ) 判 決 原 告 シーゲート テクノロジー インコーポレイテッド 代 表 者 A 訴 訟 代 理 人 弁 理 士 B C D E F G 被 告 特 許 庁 長 官 H 指 定 代 理 人 I J K L 主 文 原 告 の 請 求 を 棄 却 する 訴 訟 費 用 は 原 告 の 負 担 とする この 判 決 に 対 する 上 告 及 び 上 告 受 理 の 申 立 てのための 付 加 期 間 を30 日 と 定 める 事 実 及 び 理 由 第 1 当 事 者 の 求 めた 判 決 1 原 告 特 許 庁 が 平 成 7 年 審 判 第 号 事 件 について 平 成 10 年 6 月 22 日 にした 審 決 を 取 り 消 す 訴 訟 費 用 は 被 告 の 負 担 とする 2 被 告 主 文 1 2 項 と 旨 第 2 当 事 者 間 に 争 いのない 事 実 1 特 許 庁 における 手 続 の 経 緯 シーゲート テクノロジー インターナショナル( 以 下 出 願 会 社 とい う )は 平 成 2 年 11 月 30 日 ( 優 先 権 主 張 1990 年 3 月 12 日 アメリカ 合 衆 国 ) 名 称 を 選 択 的 に 組 織 化 された 磁 気 記 録 媒 体 およびその 製 造 方 法 とす る 発 明 につき 特 許 出 願 をした( 特 願 平 2ー 号 )が 平 成 7 年 2 月 14 日 に 拒 絶 査 定 を 受 けたので 年 6 月 12 日 これに 対 する 不 服 の 審 判 の 請 求 をし た 特 許 庁 は 請 求 を 平 成 7 年 審 判 第 号 事 件 として 審 理 したうえ 平 成 10 年 6 月 22 日 に 本 件 審 判 の 請 求 は 成 り 立 たない との 審 決 をし そ の 謄 本 は 年 7 月 15 日 出 願 会 社 に 送 達 された 出 願 会 社 は 平 成 10 年 9 月 15 日 本 願 出 願 に 係 る 出 願 中 の 権 利 を 原 告 に 譲 渡 し 原 告 は 本 願 出 願 に 係 る 出 願 会 社 の 地 位 を 承 継 した 2 請 求 項 1に 記 載 された 発 明 ( 以 下 本 願 発 明 という )の 要 旨 磁 気 データを 記 録 し 読 出 すための 磁 気 変 換 ヘッドと 関 連 して 作 動 される 磁 気 媒 体 の 製 造 方 法 において 非 磁 化 性 の 基 層 本 体 上 に 鏡 面 仕 上 げの 実 質 的 に 平 らの 基 層 面 を 形 成 し 磁 化 可 能 の 記 録 層 を 実 質 的 に 厚 さが 均 一 な 層 として 前 記 基 層 面 上 に 沈 着 させて 基 層 面 に 実 質 的 に 平 行 な 記 録 面 を 形 成 し 前 記 基 層 面 又 は 記 録 面 の いずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させ 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 し 痕 跡 は 前 記 処 理 面 積 部 分 全 体 にわたって 表 面 粗 さを パルス 状 のエネルギーを 集 中 させる 前 の 値 の 少 なくと も2 倍 の 値 で 増 加 させる 諸 工 程 を 含 んでいる 磁 気 媒 体 の 製 造 方 法 3 審 決 の 理 由 の 要 点 審 決 は 別 添 審 決 書 写 し 記 載 のとおり 本 願 発 明 が 特 開 平 1ー 号 公 報 ( 以 下 引 用 例 1 といい そこに 記 載 された 発 明 を 引 用 例 発 明 とい う ) 及 び 特 開 昭 54ー23508 号 公 報 ( 以 下 引 用 例 2 という )にそれぞ れ 記 載 された 発 明 並 びにいずれも 周 知 技 術 である 非 磁 化 性 のAl 合 金 製 の 基 層 本 体 上 にNi-P 合 金 メッキ 層 の 基 層 面 を 形 成 し この 基 層 面 を 鏡 面 仕 上 げした 磁 気 ディス ク 基 板 の 表 面 を 磁 気 ヘッドとの 吸 着 を 防 止 するために 適 度 な 粗 面 に 形 成 すること

2 及 び 鏡 面 仕 上 げされた 磁 気 ディスクの 基 層 面 を 磁 気 ヘッドが 磁 気 ディスクに 吸 着 するのを 防 止 するために 粗 面 処 理 する 場 合 処 理 後 の 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 近 辺 に 増 加 させること に 基 づき 当 業 者 が 容 易 に 発 明 をすることができたものであ るので 特 許 法 29 条 2 項 の 規 定 により 特 許 を 受 けることができないとした 第 3 原 告 主 張 の 審 決 取 消 事 由 の 要 点 審 決 の 理 由 中 本 願 発 明 の 要 旨 の 認 定 引 用 例 1の 記 載 事 項 の 認 定 本 願 発 明 と 引 用 例 発 明 との 相 違 点 (a)~(c)の 各 認 定 並 びに 相 違 点 (a)についての 判 断 は 認 める 審 決 は 相 違 点 (b) (c)についての 判 断 を 誤 り( 取 消 事 由 1 2) さら に 本 願 発 明 の 作 用 効 果 を 看 過 して( 取 消 事 由 3) 本 願 発 明 が 引 用 例 1 2に 記 載 された 発 明 及 び 周 知 技 術 に 基 づき 当 業 者 が 容 易 に 発 明 をすることができたとの 誤 った 結 論 に 至 ったものであるから 違 法 として 取 り 消 されなければならない 1 取 消 事 由 1( 相 違 点 (b)についての 判 断 の 誤 り) 本 願 発 明 の 要 旨 における エネルギー が レーザビーム であること 及 び 引 用 例 2に コンタクト スタート ストップ(CSS) 形 の 浮 動 磁 気 ヘッドと 記 録 媒 体 の 吸 着 現 象 を 改 善 するために CSSゾーンにレーザ 装 置 からのレーザビ ームを 照 射 して 該 ゾーンを 加 熱 し CSS 時 に 浮 動 磁 気 ヘッドが 吸 着 しない 程 度 に 荒 仕 上 げすること ( 審 決 書 9 頁 20 行 ~10 頁 5 行 )が 記 載 されていることは 認 める 審 決 は 本 願 発 明 と 引 用 例 発 明 との 相 違 点 (b) すなわち 痕 跡 の 形 成 に 関 し 本 願 発 明 においては 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネ ルギーを 選 択 的 に 集 中 させ 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 として 形 成 するのに 対 し 引 用 例 1に 記 載 された 発 明 ( 注 引 用 例 発 明 )においては 基 層 面 上 をエッチ ング 処 理 して 凹 部 として 形 成 するものである 点 ( 8 頁 9~14 行 )につき レーザビームの 照 射 はパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 することであるか ら 引 用 例 1に 記 載 された 発 明 において 磁 気 ディスクの 基 層 面 をエッチング 処 理 する 代 わりに 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 のように 所 定 の 粗 さが 必 要 な 部 分 にレーザ ビームを 照 射 すなわちパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させて 荒 仕 上 げする ことは 当 業 者 が 容 易 に 想 到 できたものである ( 10 頁 6~13 行 )と 判 断 し たが 次 のとおり それは 誤 りである (1) 引 用 例 1( 甲 第 6 号 証 )の 第 1 図 (B) 第 3 図 (B)に 示 され また 金 属 製 基 板 をエッチングすると 金 属 組 織 における 各 結 晶 粒 の 粒 界 部 分 が 難 エッチング 部 分 として 鋭 い 突 出 部 となって 残 るという 合 金 組 織 の 特 性 からも 説 明 されるように 引 用 例 発 明 に 記 載 された クレーター 状 の 凹 み は 本 願 明 細 書 において 従 来 技 術 として 問 題 とされている 鋭 い 縁 部 ( 甲 第 2 号 証 18 頁 4 行 )を 有 するもので ある 他 方 引 用 例 2( 甲 第 7 号 証 )の 第 4 図 には レーザー 装 置 8 を 用 い た 例 が 記 載 されているが 該 レーザ 装 置 は CSSゾーン4に 存 在 する 一 定 以 上 の 潤 滑 剤 を 飛 散 させたり 表 面 層 を 焼 きつけたり ( 号 証 2 頁 右 上 欄 18~19 行 )するために 用 いられており 本 願 発 明 のような 基 層 面 又 は 記 録 面 のいずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 さ せ 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 ( 本 願 発 明 の 要 旨 )するためのもので はない 審 決 は レーザビームの 照 射 はパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 す ることである とするが レーザの 発 振 にルビー 等 の 固 体 を 用 いる 場 合 にはパルス 発 振 が 多 いものの 気 体 等 を 用 いる 場 合 には 連 続 発 振 が 普 通 であり レーザビーム の 照 射 が 直 ちにパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 することにはならない そし て 引 用 例 2の 上 記 記 載 によれば そのレーザビーム 照 射 による 処 理 は 連 続 的 に レーザビームを 照 射 するものとしか 考 えられないから 引 用 例 発 明 において 磁 気 ディスクの 基 層 面 をエッチング 処 理 する 代 わりに 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 のよう にレーザビームを 照 射 してみても 本 願 発 明 の 上 記 構 成 要 件 は 実 現 されない 被 告 は 特 開 昭 63ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 を 挙 げて 平 滑 な 金 属 材 表 面 を 回 転 又 は 移 動 さ せつつ パルス 状 のレーザビームを 選 択 的 に 照 射 して 該 金 属 材 表 面 にクレーター とその 周 囲 を 取 り 囲 むフランジの 集 合 である 粗 面 を 形 成 することが 本 願 出 願 前 に 周 知 の 技 術 であると 主 張 し また 特 開 昭 53ー 号 公 報 を 挙 げて ディ スク 表 面 の 所 定 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のレーザビームを 照 射 し 各 位 置 に 丸 い 凹 部 とその 周 囲 を 取 り 囲 む 盛 り 上 がり 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 すること も 本 願 出 願 前 に 周 知 の 技 術 であると 主 張 するが 特 開 昭 63ー 号 公

3 報 特 開 平 1ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 は 本 願 発 明 とは 異 なる 技 術 分 野 における 異 なる 課 題 を 解 決 するための 技 術 手 段 として パルス レーザが 公 知 であることを 示 すにすぎず また 特 開 昭 53ー 号 公 報 には パルスレーザスポットにより 磁 気 記 録 媒 体 表 面 において 先 端 が 丸 く 仕 上 げられたリムにより 取 り 囲 まれるクレーター 状 凹 みを 形 成 することの 重 要 性 につい ての 認 識 は 開 示 されていない (2) 引 用 例 1に 従 来 技 術 に 関 し この 方 法 では 溝 が 心 円 状 に 形 成 され 磁 気 ヘッドスライダはその 溝 をなぞるように 摺 動 し 磁 気 ヘッドスライダの 進 行 方 向 に 長 手 状 の 線 接 触 をするため 十 分 な 吸 着 防 止 効 果 が 得 られないという 機 能 上 の 問 題 点 があった ( 甲 第 6 号 証 2 頁 左 下 欄 13~17 行 )との 記 載 及 び 引 用 例 発 明 に つき この 発 明 は 上 記 のような 問 題 点 を 解 消 するためになされたもので 十 分 な 吸 着 防 止 効 果 を 有 する 磁 気 ディスク 用 基 板 を 得 ることを 目 的 とする ( 頁 左 下 欄 18~20 行 )との 記 載 があるとおり 引 用 例 発 明 は 溝 を 心 円 状 に 形 成 するこ と すなわち 広 義 では 連 続 的 にレーザビームを 照 射 することを 否 定 して エッチ ング 処 理 により クレーター 状 の 凹 み を 形 成 することを 採 用 している しかると ころ 引 用 例 2の CSSゾーン4に 存 在 する 一 定 以 上 の 潤 滑 剤 を 飛 散 させたり 表 面 層 を 焼 きつけたりして 面 精 度 を 低 下 させて 目 的 とするあらさにCSSゾー ン4を 形 成 する ( 甲 第 7 号 証 2 頁 右 上 欄 18 行 ~ 左 下 欄 1 行 )との 記 載 によれ ば レーザビーム 照 射 による 処 理 は 連 続 的 にレーザビームを 照 射 するものとしか 考 えられないから 引 用 例 発 明 に かかる 引 用 例 2 記 載 のレーザビーム 照 射 を 採 用 することは 引 用 例 発 明 の 目 的 に 反 するものであって あり 得 ないことである (3) 本 願 明 細 書 には 従 来 技 術 における 生 じた 突 出 部 は 鋸 歯 状 にされて 鋭 い 縁 部 を 有 する 傾 向 ( 甲 第 2 号 証 18 頁 4~5 行 )の 問 題 性 に 関 し 一 度 頂 部 が これらの 多 数 の 突 出 部 から 破 壊 し 去 られると 2つの 問 題 が 発 生 するが これらの 両 者 は 記 録 装 置 の 長 期 間 の 信 頼 性 を 阻 害 する すなわち 先 ず 多 数 の 大 体 平 らな 面 状 部 分 71( 元 の 尖 った 頂 部 でなく)は 変 換 ヘッドとの 面 接 触 の 全 面 積 を 増 大 させ て 固 着 および 摩 擦 の 問 題 ( 通 常 摩 擦 の 蓄 積 と 称 される)を 増 加 させる 次 に 多 数 の 破 壊 し 去 られた 頂 部 は 破 壊 される 時 に 変 換 ヘッドに 付 着 する 傾 向 があり 谷 部 67に 蓄 積 して 突 出 部 の 範 囲 の 磁 気 層 を 露 出 させて 腐 食 される 恐 れのある 場 所 を 発 生 させ または 粒 子 状 態 の 汚 損 物 として 自 由 に 保 持 されて 何 れの 場 合 にも 記 録 装 置 の 信 頼 性 を 低 減 させるのである ( 号 証 45 頁 14 行 ~46 頁 6 行 )との 明 確 な 認 識 がなされているが 本 願 出 願 当 時 当 業 者 は このような 問 題 性 を 何 ら 認 識 していなかった したがって 当 業 者 において 引 用 例 2に 開 示 されている 連 続 的 なレーザビーム 照 射 に 代 えて 引 用 例 発 明 のような クレーター 状 の 凹 み を 形 成 させるべく 本 願 発 明 のような 基 層 面 又 は 記 録 面 のいずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させ 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 する ( 本 願 発 明 の 要 旨 )との 構 成 要 件 を 採 用 しようとする 技 術 的 知 見 はなかったといわざるを 得 ない (4) 本 願 発 明 の 要 旨 に 規 定 された 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 とは 本 願 明 細 書 に 記 載 されているように 公 称 平 面 の 内 方 に 向 かって 伸 長 する 丸 い 中 心 凹 部 および この 中 心 凹 部 を 取 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリム ( 甲 第 2 号 証 21 頁 末 行 ~22 頁 3 行 )を 意 味 する(なお 丸 い 凹 部 の 丸 い とは 中 心 凹 部 と リム が 平 面 的 に 円 形 であることのみを 意 味 するものではな く 断 面 的 に 見 た 場 合 に 角 のない 状 態 であることを 表 現 するものである ) 上 記 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 との 規 定 が 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 い リム を 含 むことは 本 願 発 明 の 要 旨 の 表 面 粗 さを パルス 状 のエネルギーを 集 中 させる 前 の 値 の 少 なくとも2 倍 の 値 で 増 加 させる との 規 定 から 明 らかである すなわち 本 願 明 細 書 に 表 面 粗 さ につき 粗 さなる 用 語 は 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 意 味 する ( 甲 第 2 号 証 29 頁 16~18 行 )と 定 義 されており 上 記 規 定 から 公 称 水 平 面 よりも 高 い 突 出 部 ( 隆 起 部 リ ム)が 存 在 することが 明 白 であって かつ 丸 い 中 心 凹 部 との 語 句 と 区 別 され る 上 記 丸 い 凹 部 との 規 定 は それが 丸 い 中 心 凹 部 とその 縁 部 の 丸 いリ ム( 隆 起 部 ) とからなることを 示 しているのである しかるところ このような 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 すなわち 公 称 平 面 の 内 方 に 向 かって 伸 長 する 丸 い 中 心 凹 部 と この 中 心 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリムとは 引 用 例 1 2のいずれにも 開 示 されてい ないし 示 唆 すらされていない これを 引 用 例 発 明 における クレーター 状 の 凹 み と 対 比 すると 1 本 願 発 明 のものは 丸 い 凹 部 であるのに 対 し 引 用 例 発 明

4 のものは 多 角 形 の 凹 部 ( 甲 第 6 号 証 第 2 図 )であること 2 本 願 発 明 のものは 中 心 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリムが 形 成 されてい るのに 対 し 引 用 例 発 明 のものは エッチング 方 法 で 公 称 平 面 よりも 下 位 の 材 料 を 除 去 することにより 凹 部 を 形 成 するものであって 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 するリム を 有 していないのみならず あえて リム 部 に 相 当 する 部 分 を 想 定 するとすれば 引 用 例 1( 甲 第 6 号 証 )の 第 2 図 の12に 示 される 公 称 平 面 内 における 六 角 形 の 稜 線 がこれに 当 たるが 該 稜 線 は 第 1 図 Bに 示 されているように 鋭 い 縁 部 を 有 している 点 において 本 願 発 明 の 丸 いリムとは 異 なるものである さらに 本 願 発 明 の 要 旨 には 多 数 の 位 置 に 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 することが 規 定 され この 規 定 は 本 願 明 細 書 に 記 載 されて いるように ディスクをパルス 化 されたレーザーの 周 波 数 に 対 応 する 制 御 された 速 度 で 回 転 させることによって 一 連 の 凹 部 およびリムより 成 るリングが 形 成 され 繰 返 されて 作 られるリングが 組 合 わされて 環 状 帯 域 を 形 成 する ( 甲 第 2 号 証 22 頁 3~8 行 )ことを 意 味 する そして このような 多 数 の 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 のパターン 又 は 配 置 は 上 記 の 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 の 特 徴 を 前 提 とするものであるから その 技 術 的 意 義 も 当 然 に 引 用 例 発 明 とは 異 なるものである 2 取 消 事 由 2( 相 違 点 (c)についての 判 断 の 誤 り) 審 決 は 本 願 発 明 と 引 用 例 発 明 との 相 違 点 (c) すなわち 痕 跡 の 表 面 粗 さ に 関 し 本 願 発 明 においては 処 理 面 積 部 分 全 体 にわたって パルス 状 のエネ ルギーを 集 中 させる 前 の 値 の 少 なくとも2 倍 の 値 で 増 加 させるものであるのに 対 し 引 用 例 1に 記 載 された 発 明 ( 注 引 用 例 発 明 )においては 硬 質 膜 のエッチン グ 処 理 された 後 の 表 面 粗 さはエッチング 処 理 される 前 の 粗 さより 大 きくなっている ことは 明 らかであるが 具 体 的 にどの 程 度 粗 くなっているかについては 明 示 されて いない 点 ( 8 頁 15~9 頁 3 行 )につき 特 開 昭 59ー82626 号 公 報 ( 以 下 周 知 例 1 という ) 及 び 特 開 昭 61ー 号 公 報 ( 以 下 周 知 例 2 という )を 引 用 したうえ 鏡 面 仕 上 げされた 磁 気 ディスクの 基 層 面 を 磁 気 へッドが 磁 気 ディスクに 吸 着 するのを 防 止 するために 粗 面 処 理 する 場 合 処 理 後 の 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 近 辺 に 増 加 させることは 周 知 の 技 術 である ( 11 頁 3~7 行 )とし これを 前 提 として 引 用 例 1に 記 載 された 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 のようにレーザビームを 用 いて 基 層 面 である 硬 質 膜 表 面 を 粗 面 化 する 場 合 にも 表 面 粗 さを 処 理 前 の 少 なくとも2 倍 に 増 加 させることは 磁 気 ヘ ッドの 磁 気 ディスクに 対 する 吸 着 力 をどの 程 度 に 抑 えるかに 応 じて 当 業 者 が 適 宜 な し 得 た 事 項 である ( 頁 10~16 行 )と 判 断 したが それは 誤 りである すなわち 一 般 論 として 処 理 後 の 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 近 辺 に 増 加 させ ることが 周 知 の 技 術 であるといい 得 るとしても そのことは 本 願 発 明 における 表 面 粗 さを パルス 状 のエネルギーを 集 中 させる 前 の 値 の 少 なくとも2 倍 の 値 で 増 加 させる 場 合 の 表 面 粗 さを 示 唆 するものではない なぜなら 本 願 明 細 書 は 表 面 粗 さ につき 特 に 定 義 を 設 けており 引 用 例 1 及 び 周 知 例 1 2 記 載 のもの とその 技 術 的 意 義 を 異 にするからである 本 願 明 細 書 には 粗 さなる 用 語 は 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 意 味 する ( 甲 第 2 号 証 29 頁 16~18 行 )との 記 載 がある さら に 本 願 明 細 書 には 第 5 図 にてhで 示 されるこのリム62の 公 称 平 面 58からの 高 さは ないし mm(0.5ないし0.8マイクロインチ)の 範 囲 であるのが 望 ましい が リムの 高 さが mm(1マイクロインチ)を 僅 かに 超 える 場 合 のヘッド 接 触 面 積 部 分 も 満 足 に 作 動 できる 第 5 図 にてdで 示 される 平 面 58から 下 方 へのピット60の 深 さ は 通 常 リムの 高 さの 約 2 倍 である 従 って ヘッド 接 触 面 積 部 分 32の 表 面 粗 さh は ないし mm(0.5ないし1.0マイクロインチ)の 範 囲 である ( 36 頁 4 ~15 行 )との 記 載 があり これらの 記 載 から 明 らかなように 本 願 発 明 における 表 面 粗 さ とは 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 の 周 囲 の 公 称 水 平 平 面 から 最 も 高 く 突 出 する 突 出 部 の 高 さ なのである これに 対 し 引 用 例 発 明 における エッチングによって 形 成 されたクレータ ー 状 の 凹 み では 本 願 発 明 でいう 基 準 面 が 最 も 高 い 位 置 にあって その 位 置 に 対 して 凹 みが 形 成 されており いわば 基 準 面 から 穴 底 に 至 る 凹 みの 深 さが 粗 さとな る 周 知 例 1 2の 粗 さも 様 である

5 そうすると 少 なくとも 引 用 例 1 及 び 周 知 例 1 2に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 の 周 囲 の 突 出 部 に 対 する 言 及 がなされていない 限 り 本 願 発 明 でいう 特 定 粗 さ を 示 唆 するものではない したがって 審 決 が 鏡 面 仕 上 げされた 磁 気 ディスクの 基 層 面 を 磁 気 へ ッドが 磁 気 ディスクに 吸 着 するのを 防 止 するために 粗 面 処 理 する 場 合 処 理 後 の 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 近 辺 に 増 加 させることは 周 知 の 技 術 である 故 に 表 面 粗 さを 処 理 前 の 少 なくとも2 倍 に 増 加 させることは 当 業 者 が 適 宜 なし 得 た 事 項 である とした 判 断 は 相 違 点 (c)についての 判 断 としては 誤 りである 3 取 消 事 由 3( 作 用 効 果 の 看 過 ) 審 決 が 本 願 発 明 が 引 用 例 1 2 及 び 周 知 技 術 に 基 づいて 当 業 者 が 容 易 に 発 明 をすることができたものであるとした 判 断 は 本 願 発 明 の 有 する 顕 著 な 作 用 効 果 を 看 過 したものであって 誤 りである すなわち 本 願 発 明 は 磁 気 媒 体 の 基 層 面 又 は 記 録 面 のいずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させ との 構 成 を 採 用 したことにより 記 録 面 に 対 するCSS 領 域 の 境 界 ( 輪 郭 )を 高 精 度 で 設 定 でき CSS 領 域 全 体 を 均 一 粗 さで 粗 面 化 できるとともに 凹 みの 相 互 間 隔 口 径 深 さ 及 び 隆 起 する 縁 の 高 さを 高 精 度 で 制 御 ( 調 整 )することができ かつ 隆 起 する 縁 が 丸 いため 変 換 ヘッド 及 びディスクの 摩 耗 が 低 減 化 されるとの 作 用 効 果 を 奏 するものであって 記 録 密 度 の 向 上 と 摩 耗 の 減 少 という 相 反 する 要 求 を 達 成 す ることができるものである 本 願 発 明 において 得 られる 磁 気 媒 体 の 中 心 凹 部 と その 中 心 凹 部 を 取 巻 い て 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 張 する 大 体 円 形 の 丸 いリム( 隆 起 部 ) は レーザを 代 表 例 とする 高 密 度 エネルギーのパルス 状 照 射 によって 金 属 材 料 の 表 面 に 形 成 されるそ の 照 射 に 固 有 な 痕 跡 の 形 状 である このような 固 有 な 痕 跡 形 状 を 有 する 痕 跡 の 形 成 は 該 照 射 技 術 における 当 然 の 結 果 的 事 実 的 問 題 であり 本 願 発 明 の 要 旨 に 規 定 さ れた 方 法 の 発 明 で 得 られる 結 果 物 の 特 長 であって 発 明 の 要 旨 の 表 現 の 如 何 にかか わらず 避 けることのできないものである そして 本 願 発 明 が 各 引 用 例 及 び 周 知 例 の 記 載 によって 示 唆 されるものではないことを 勘 案 すると 本 願 発 明 の 作 用 効 果 は 当 業 者 の 予 期 できないものであるということができる 第 4 被 告 の 反 論 の 要 点 審 決 の 認 定 判 断 は 正 当 であり 原 告 主 張 の 取 消 事 由 は 理 由 がない 1 取 消 事 由 1( 相 違 点 (b)についての 判 断 の 誤 り)について (1) 引 用 例 1と 引 用 例 2とは ともに 浮 動 形 磁 気 ヘッドを 対 象 とし 磁 気 ディ スクとの 吸 着 現 象 を 改 良 するという 共 通 の 技 術 課 題 を 有 するものであるから エッ チング 処 理 することにより 基 板 表 面 にクレーター 状 の 凹 部 を 形 成 し 基 板 表 面 の 粗 さを 大 とする 引 用 例 発 明 において 基 板 表 面 をエッチング 処 理 することに 代 えて 引 用 例 2に 記 載 されたディスクのCSSゾーンにレーザビームを 照 射 して 荒 仕 上 げ 用 の 凹 部 を 形 成 することを 適 用 することには 何 ら 技 術 上 の 困 難 性 を 見 出 すことが できず 当 業 者 が 容 易 に 想 到 することができたものである しかるところ 磁 気 ディスク 基 板 表 面 にレーザビームを 照 射 して 引 用 例 発 明 のようなクレーター 状 の 凹 みを 形 成 しようとするときには レーザビームを 磁 気 ディスクに 対 し 相 対 的 に 移 動 させながら 照 射 することになるが この 場 合 にお いて レーザビームを 磁 気 ディスク 基 板 表 面 に 対 し 連 続 的 に 照 射 すると ディス ク 基 板 表 面 に 形 成 される 凹 みは クレーター 状 の 凹 みではなく 連 続 的 な 線 状 のもの となってしまうから 磁 気 ディスク 基 板 表 面 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するため には 少 なくとも 該 磁 気 ディスク 基 板 表 面 の 凹 みを 形 成 すべき 箇 所 の 中 央 部 近 傍 に レーザビームを 照 射 し 凹 み 相 互 の 境 界 部 分 となる 箇 所 の 近 傍 にはレーザビームを 照 射 しないか クレーター 状 の 凹 みが 形 成 されない 程 度 の 極 く 小 さなエネルギーと するようレーザビームの 照 射 を 制 御 すること すなわち レーザビームの 磁 気 ディ スク 基 板 に 対 する 相 対 的 移 動 に 合 わせて レーザビームのエネルギーを 少 なくと も 磁 気 ディスク 基 板 表 面 のクレーター 状 の 凹 みを 形 成 すべき 箇 所 の 中 央 部 近 傍 で 集 中 させ 該 凹 み 相 互 の 境 界 部 分 となる 箇 所 の 近 傍 ではエネルギーを 集 中 させないよ うにすることが 必 要 である これを 時 間 的 に 見 れば 磁 気 ディスク 基 板 に 対 してレ ーザビームのエネルギーを 集 中 している 時 間 と 集 中 していない 時 間 が 存 在 し 磁 気 ディスク 基 板 に 対 するレーザビームの 照 射 は パルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させるものとなることが 明 らかである そして 平 滑 な 金 属 材 表 面 を 回 転 又 は 移 動 させつつ パルス 状 のレーザビ ームを 選 択 的 に 照 射 して 該 金 属 材 表 面 にクレーターとその 周 囲 を 取 り 囲 むフラン

6 ジの 集 合 である 粗 面 を 形 成 することは 特 開 昭 63ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 に 見 られるように 本 願 出 願 前 に 周 知 の 技 術 であり また ディスク 表 面 の 所 定 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のレーザビームを 照 射 し 各 位 置 に 丸 い 凹 部 とその 周 囲 を 取 り 囲 む 盛 り 上 がり 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 することも 特 開 昭 53ー 号 公 報 にみら れるように 本 願 出 願 前 に 周 知 である そうすると 引 用 例 発 明 において 基 板 表 面 の 多 数 の 位 置 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するのに 基 板 表 面 をエッチング 処 理 することに 代 えて 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 のようにレーザビームを 照 射 したとき 磁 気 ディスク 基 板 表 面 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 が 形 成 されることは 上 記 周 知 事 項 を 勘 案 すれば 当 業 者 が 十 分 に 予 測 し 得 た 範 囲 の 技 術 的 事 項 であって 格 別 のものとはいうことはできない (2) 原 告 は 本 願 発 明 において 中 心 凹 部 を 取 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 す る 大 体 円 形 の 丸 いリム が 形 成 されると 主 張 し さらに ディスクをパルス 化 さ れたレーザーの 周 波 数 に 対 応 する 制 御 された 速 度 で 回 転 させることによって 一 連 の 凹 部 およびリムより 成 るリングが 形 成 され 繰 返 されて 作 られるリングが 組 合 わさ れて 環 状 帯 域 を 形 成 する 旨 主 張 するが 本 願 発 明 の 要 旨 には 中 心 凹 部 を 取 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリム 及 び 一 連 の 凹 部 およびリム より 成 るリングが 形 成 され 繰 返 されて 作 られるリングが 組 合 わされて 環 状 帯 域 を 形 成 する ことは 規 定 されておらず 原 告 の 該 主 張 は 発 明 の 要 旨 に 基 づかないも のである それのみならず 中 心 凹 部 を 取 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 張 する 大 体 円 形 の 丸 いリム は 上 記 周 知 事 項 を 勘 案 すれば 引 用 例 発 明 において 基 板 表 面 の 多 数 の 位 置 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するために 基 板 表 面 をエッチング 処 理 す ることに 代 えて 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 のようにレーザビームを 照 射 したと き 当 業 者 が 十 分 に 予 測 し 得 た 範 囲 の 技 術 的 事 項 であって 格 別 のものとはいうこ とはできない 2 取 消 事 由 2( 相 違 点 (c)についての 判 断 の 誤 り)について 原 告 は 本 願 明 細 書 に 粗 さなる 用 語 は 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 意 味 する との 記 載 があるから 本 願 発 明 における 表 面 粗 さ は 引 用 例 1 及 び 周 知 例 1 2 記 載 の 一 般 的 に 用 いられる 表 面 粗 さと 技 術 的 意 義 を 異 にすると 主 張 する しかしながら 本 願 発 明 の 要 旨 は 単 に 表 面 粗 さ と 規 定 するのみであっ て 本 願 明 細 書 中 の 原 告 主 張 の 記 載 は 実 施 例 の 説 明 において 示 されているにすぎ ないから 原 告 の 上 記 主 張 は 失 当 である のみならず 審 決 の 判 断 のとおり 磁 気 ディスク 基 板 上 に 形 成 する 粗 面 をど の 程 度 の 粗 さとするかは 本 来 磁 気 ヘッドと 磁 気 ディスクとの 吸 着 をどの 程 度 防 止 するかに 応 じて 当 業 者 が 適 宜 設 定 し 得 る 事 項 であり このような 目 的 に 沿 っ て 鏡 面 仕 上 げされた 磁 気 ディスクの 基 層 面 の 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 近 辺 に 増 加 させることが 本 願 出 願 前 に 周 知 の 技 術 であるところ この 場 合 の 表 面 粗 さは 原 告 主 張 に 係 る 本 願 発 明 における 表 面 粗 さと たとえ 粗 さの 測 定 の 仕 方 ( 表 現 の 仕 方 )が 異 なるにしても 鏡 面 仕 上 げされた 磁 気 ディスクの 基 層 面 の 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 程 度 に 増 加 させるものであるという 点 では 技 術 的 に 何 ら 実 質 上 の 差 異 は ない したがって 相 違 点 (c)についての 審 決 の 判 断 に 何 ら 誤 りはない 3 取 消 事 由 3( 作 用 効 果 の 看 過 )について 原 告 は 本 願 発 明 が 磁 気 媒 体 の 基 層 面 又 は 記 録 面 のいずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させ との 構 成 を 採 用 したことにより 記 録 面 に 対 するCSS 領 域 の 境 界 ( 輪 郭 )を 高 精 度 で 設 定 でき CSS 領 域 全 体 を 均 一 粗 さで 粗 面 化 できるとともに 凹 みの 相 互 間 隔 口 径 深 さ 及 び 隆 起 する 縁 の 高 さを 高 精 度 で 制 御 ( 調 整 )することができ かつ 隆 起 する 縁 が 丸 いため 変 換 ヘッド 及 びディスクの 摩 耗 が 低 減 化 されるとの 作 用 効 果 を 奏 すると 主 張 する しかしながら 引 用 例 発 明 において 基 板 表 面 の 多 数 の 位 置 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するのに 基 板 表 面 をエッチング 処 理 することに 代 えて 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 のようにレーザビームを 照 射 して 基 層 面 を 粗 面 化 する 場 合 この 照 射 はパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 することであり その 場 合 に 記 録 面 に 対 するCSS 領 域 の 境 界 を 高 精 度 で 設 定 でき CSS 領 域 全 体 を 均 一 粗 さで 粗 面 化 できるとともに 凹 みの 相 互 間 隔 口 径 深 さを 高 精 度 で 制 御 ( 調 整 )することが

7 できることは 当 業 者 が 十 分 に 予 測 し 得 る 作 用 効 果 である また 本 願 発 明 の 要 旨 には 隆 起 する 縁 について 規 定 されておらず 隆 起 する 縁 が 丸 いため 変 換 ヘッド 及 びディスクの 摩 耗 が 低 減 化 されるとの 主 張 は 発 明 の 要 旨 に 基 づかないものであるのみならず 上 記 のように 引 用 例 発 明 に 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 を 適 用 してパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 する 場 合 クレーター 状 の 丸 い 凹 部 及 びその 周 囲 を 取 り 囲 む 盛 り 上 がり 部 を 有 する 痕 跡 が 形 成 されることから 変 換 ヘッド 及 びディスクの 摩 耗 が 低 減 化 されるとの 作 用 効 果 を 奏 することも 当 業 者 が 予 測 することができたものである したがって 審 決 が 本 願 発 明 の 作 用 効 果 を 看 過 したとの 原 告 主 張 も 誤 りで ある 第 5 当 裁 判 所 の 判 断 1 取 消 事 由 1( 相 違 点 (b)についての 判 断 の 誤 り)について (1) 本 願 発 明 の 要 旨 における エネルギー が レーザビーム であること 引 用 例 1に 磁 気 ディスクの 表 面 粗 さの 向 上 は 著 しく ところが 表 面 精 度 の 向 上 にともなって 別 の 問 題 が 新 たに 生 じてきた それは 磁 気 ディスク 装 置 が 停 止 しているときに 磁 気 ヘッドスライダと 磁 気 ディスクが 吸 着 するという 問 題 であ る ( 審 決 書 3 頁 9~16 行 ) この 発 明 は 十 分 な 吸 着 防 止 効 果 を 有 す る 磁 気 ディスク 用 基 板 を 得 ることを 目 的 とする ( 4 頁 9~12 行 ) 第 1 図 A Bはこの 発 明 の 一 実 施 例 による 磁 気 ディスク 用 基 板 の 製 造 方 法 を 説 明 する 断 面 図 であり この 基 板 を エッチングすると 硬 質 膜 (2)が2 元 合 金 のた め 構 成 元 素 のエッチングレートの 差 から 第 1 図 Bに 示 すようなクレーター 状 の 凹 み(11)が 形 成 される 参 考 写 真 は 上 記 実 施 例 による 磁 気 ディスク 用 基 板 の 表 面 を 示 し 第 2 図 はこの 写 真 を 拡 大 して 模 式 的 に 示 す 基 板 表 面 にはモザイク 状 模 様 のク レーター 状 の 凹 み(11)が 形 成 されている ( 4 頁 14 行 ~5 頁 6 行 ) この 発 明 によれば 基 材 または 硬 質 膜 の 表 面 にクレーター 状 の 凹 みを 有 するので 磁 気 ヘッドスライダとの 接 触 面 積 が 非 常 に 小 さく 磁 気 ディスクと 磁 気 ヘッドスライダ 間 の 吸 着 を 効 果 的 に 防 止 できる 磁 気 ディスク 用 基 板 が 得 られる ( 5 頁 8~12 行 )との 各 記 載 があること 引 用 例 2に コンタクト スタート ストップ(CS S) 形 の 浮 動 磁 気 ヘッドと 記 録 媒 体 の 吸 着 現 象 を 改 善 するために CSSゾーンに レーザ 装 置 からのレーザビームを 照 射 して 該 ゾーンを 加 熱 し CSS 時 に 浮 動 磁 気 ヘッドが 吸 着 しない 程 度 に 荒 仕 上 げすること ( 9 頁 20 行 ~10 頁 5 行 )が 記 載 されていることは 当 事 者 間 に 争 いがない また 引 用 例 1( 甲 第 6 号 証 )には さらに この 発 明 におけるクレーター 状 の 凹 みは 磁 気 ヘッドスライダが 磁 気 デ ィスクに 接 触 するときの 摩 擦 力 が 小 さくなり 吸 着 力 が 減 少 する ( 号 証 2 頁 右 下 欄 6~9 行 )との 記 載 があることが 認 められる 前 示 引 用 例 1 2の 各 記 載 によれば 引 用 例 発 明 及 び 引 用 例 2に 記 載 され た 発 明 は いずれも 磁 気 記 録 媒 体 において 浮 動 形 磁 気 ヘッド( 磁 気 ヘッドスライ ダ)と 記 録 媒 体 ( 磁 気 ディスク)との 吸 着 現 象 を 改 良 することを 目 的 とするもので あって その 技 術 分 野 及 び 技 術 課 題 が 共 通 であるものと 認 めることができる そう すると 引 用 例 発 明 において 浮 動 形 磁 気 ヘッドと 記 録 媒 体 との 吸 着 現 象 を 改 良 す るためディスク 表 面 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するに 当 たって エッチング 処 理 により 該 クレーター 状 の 凹 みを 形 成 することに 代 えて 引 用 例 2に 記 載 された デ ィスクのCSSゾーンにレーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 することが 当 業 者 に とって 格 別 困 難 であると 認 めることはできない 他 方 特 開 昭 63ー 号 公 報 ( 乙 第 1 号 証 )には 塗 装 用 鋼 板 及 びその 製 造 方 法 の 発 明 に 関 して レーザによる 加 熱 によってロール3を 形 成 す る 金 属 は 大 きな 照 射 エネルギ 密 度 のもとで 瞬 時 に 金 属 蒸 気 となり このとき 発 生 する 蒸 気 圧 力 によってロール 表 面 の 溶 融 金 属 が 吹 き 飛 ばされてクレータ1を 形 成 し またその 吹 き 飛 ばされた 溶 融 金 属 はクレータ1の 周 囲 に 再 固 着 して クレータ 1を 取 囲 むフランジ2を 形 成 する ( 号 証 4 頁 右 上 欄 12~18 行 ) ロー ルを 回 転 もしくは 軸 方 向 移 動 させつつ 規 則 的 なレーザパルスを 照 射 することより 上 述 のようなクレータ1が 規 則 的 に 形 成 され これらの 次 々に 形 成 されるクレータの 集 合 によってロール 表 面 は 粗 面 を 呈 する ( 頁 左 下 欄 2~6 行 )との 各 記 載 が 特 開 平 1ー 号 公 報 ( 乙 第 2 号 証 )には 高 粗 度 高 鮮 映 性 熱 延 鋼 板 及 びその 製 造 方 法 の 発 明 に 関 して 表 面 を 研 磨 加 工 により 平 滑 に 仕 上 げたワークロ ール 表 面 に レーザービーム 等 の 高 密 度 エネルギ 源 を 上 記 ロールを 定 速 度 で 回 転 させながらパルス 状 に 照 射 して 規 則 的 に 連 続 した 点 状 に 溶 融 した 微 小 クレータを 形 成 する 第 3 図 (a)は この 点 状 に 溶 融 されたロール 表 面 の 拡 大 断 面 図 であって

8 1はロールR 表 面 に 形 成 された 微 小 クレータであり このクレータ1の 周 囲 には 溶 融 した 母 材 金 属 がロール 表 面 よりも 盛 り 上 がってフランジ2が 形 成 される ( 号 証 3 頁 右 上 欄 11~20 行 )との 記 載 が さらに 特 開 平 1ー 号 公 報 ( 乙 第 3 号 証 )には コンダクタロールの 発 明 に 関 して 高 密 度 エネルギー 源 を 用 いてロール 表 面 粗 さを 所 定 の 範 囲 内 に 正 確 に 制 御 しつつ 加 工 し 極 めて 均 一 な 粗 度 プロフィールのコンダクタロールを 提 供 する ( 号 証 2 頁 右 上 欄 3~6 行 ) 高 密 度 エネルギー 源 から 細 く 絞 った 鋭 利 なビームをパルス 状 にしてロール 表 面 に 投 射 すると ビームで 加 熱 された 部 分 の 金 属 が 溶 融 し その 中 心 部 は 瞬 時 に 気 化 して 金 属 蒸 気 となり その 蒸 気 圧 力 で 中 心 部 の 溶 融 金 属 が 吹 き 飛 ばされて 窪 み が 形 成 される 一 方 吹 き 飛 ばされた 溶 融 金 属 は 窪 みの 周 囲 に 再 固 着 して 窪 み 周 縁 を 囲 む 形 状 に 盛 り 上 がりを 生 じる ( 頁 右 上 欄 20 行 ~ 左 下 欄 7 行 ) ロ ール 円 周 方 向 のクレータ 相 互 間 の 間 隔 は 投 射 される 高 密 度 エネルギーのパルスの 周 波 数 をロール 回 転 速 度 に 関 連 させつつ 制 御 することにより 調 節 し クレー タの 分 布 密 度 を 任 意 に 設 定 することが 可 能 である かくして ロール 表 面 に 任 意 の 大 きさに 調 整 された 多 数 のクレータが 任 意 のピッチを 保 ち 規 則 的 に 均 一 に 分 布 し て 形 成 される ( 頁 左 下 欄 11 行 ~ 右 下 欄 1 行 )との 各 記 載 が 特 開 昭 53ー 号 公 報 ( 乙 第 4 号 証 )には 凹 凸 画 像 の 形 成 方 法 の 発 明 に 関 して ガラスデイスク5を1800rpmで 回 転 させながら 記 録 用 ヘツド6をデイスク に 一 定 距 離 を 保 って 接 近 させ パルス 状 のアルゴンイオンレーザ 光 7を 記 録 用 ヘツド 中 のレンズで 集 光 して 照 射 した レーザスポツトの 径 は 約 0.9μ m 第 4 図 bのように 記 録 された 楕 円 形 の 凹 部 の 底 部 の 短 径 は 約 0.6μmであ つた ( 号 証 3 頁 右 下 欄 15 行 ~4 頁 左 上 欄 5 行 )との 記 載 があり これらの 記 載 によれば 金 属 材 表 面 に 対 しパルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 することにより 該 金 属 材 表 面 に クレーター 状 の 丸 い 凹 部 と その 周 縁 を 囲 み 先 端 が 丸 くなった 形 状 のフランジ( 盛 上 がり 部 )が 集 合 分 布 してなる 粗 面 を 形 成 す ることは 本 願 出 願 当 時 周 知 の 技 術 事 項 であったものと 認 められる しかして 引 用 例 発 明 において ディスク 表 面 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するに 当 たり エッチング 処 理 に 代 えて 引 用 例 2に 記 載 されたディスクのCS Sゾーンにレーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 磁 気 ディスク 表 面 に 対 し レーザービームを 相 対 移 動 させながら 連 続 的 に 照 射 したとすれば ディスク 基 板 表 面 には クレーター 状 の 凹 みではなく 線 状 の 凹 みが 形 成 されてしまうことが 明 らかであるから 前 示 周 知 技 術 に 基 づいて パルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 することにより 磁 気 ディスク 表 面 上 のクレーター 状 の 凹 みを 形 成 さ せる 箇 所 に 選 択 的 にエネルギーを 集 中 し クレーター 状 の 凹 み 相 互 の 境 界 部 分 とな る 箇 所 にはエネルギーを 集 中 しないようレーザビームの 照 射 を 制 御 して クレータ ー 状 の 凹 みが 所 定 の 間 隔 で 集 合 分 布 してなる 粗 面 を 形 成 することは 技 術 上 当 然 の ことであるといわざるを 得 ない そして その 場 合 に 各 クレーター 状 の 凹 みが 丸 い 凹 部 となり その 周 縁 にこれを 囲 み 先 端 が 丸 くなった 形 状 のフランジ( 盛 上 がり 部 )が 形 成 されることが 周 知 の 事 項 であることも 前 示 のとおりである (2) 原 告 は 前 示 特 開 昭 63ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 特 開 平 1ー 号 公 報 が 本 願 発 明 とは 異 なる 技 術 分 野 における 異 なる 課 題 を 解 決 するための 技 術 手 段 として パルスレーザが 公 知 であることを 示 すにすぎず また 特 開 昭 53ー 号 公 報 には 先 端 が 丸 く 仕 上 げられ たリムにより 取 り 囲 まれるクレーター 状 凹 みを 形 成 することの 重 要 性 についての 認 識 が 開 示 されていないと 主 張 する しかしながら これらの 先 行 文 献 が 本 願 発 明 とは 異 なる 技 術 分 野 における 異 なる 課 題 を 解 決 するための 技 術 手 段 についてのもの であるとしても 一 般 に 金 属 材 表 面 に 対 しパルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 さ せつつ 照 射 する 場 合 に 関 する 周 知 の 技 術 事 項 を 開 示 したものであると 認 められるこ とは 前 示 のとおりであって このことは 該 技 術 事 項 の 重 要 性 についての 認 識 が 開 示 されていないからといって 左 右 されるものでもない また 原 告 は 引 用 例 1( 甲 第 6 号 証 )の 従 来 技 術 に 関 する この 方 法 では 溝 が 心 円 状 に 形 成 され 磁 気 ヘッドスライダはその 溝 をなぞるように 摺 動 し 磁 気 ヘッドスライダの 進 行 方 向 に 長 手 状 の 線 接 触 をするため 十 分 な 吸 着 防 止 効 果 が 得 られないという 機 能 上 の 問 題 点 があった ( 号 証 2 頁 左 下 欄 13~17 行 )との 記 載 及 び 引 用 例 発 明 についての この 発 明 は 上 記 のような 問 題 点 を 解 消 するためになされたものであって 十 分 な 吸 着 防 止 効 果 を 有 する 磁 気 ディスク 用 基 板 を 得 ることを 目 的 とする ( 頁 左 下 欄 18~20 行 )との 記 載 が 広 義 では 連 続 的 にレーザビームを 照 射 することを 否 定 するものであり 引 用 例 2( 甲 第 7 号

9 証 )の CSSゾーン4に 存 在 する 一 定 以 上 の 潤 滑 剤 を 飛 散 させたり 表 面 層 を 焼 きつけたりして 面 精 度 を 低 下 させて 目 的 とするあらさにCSSゾーン4を 形 成 する ( 号 証 2 頁 右 上 欄 18 行 ~ 左 下 欄 1 行 )との 記 載 が 連 続 的 にレーザビーム を 照 射 するものとしか 考 えられないから 引 用 例 発 明 に 引 用 例 2 記 載 のレーザビ ーム 照 射 を 採 用 することはあり 得 ないと 主 張 するが 引 用 例 2の 前 示 記 載 から 直 ち に 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 が 連 続 的 にレーザビームを 照 射 するものに 限 られ るものとは 解 されず 他 に 引 用 例 2( 甲 第 7 号 証 )に そこに 記 載 された 発 明 が レーザビームをパルス 状 に 照 射 することを 排 除 していると 認 めるべき 記 載 も 見 当 た らない そして 引 用 例 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 されたディスクのCSSゾ ーンにレーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 前 示 周 知 技 術 に 基 づいて パルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 することが 技 術 上 当 然 であること は 前 示 のとおりであるから 原 告 の 該 主 張 も 採 用 することができない 原 告 は 本 願 出 願 当 時 当 業 者 は 本 願 明 細 書 ( 甲 第 2 号 証 )に 記 載 され た 生 じた 突 出 部 は 鋸 歯 状 にされて 鋭 い 縁 部 を 有 する 傾 向 ( 号 証 18 頁 4~5 行 )の 問 題 性 を 認 識 していなかったから 引 用 例 発 明 のような クレーター 状 の 凹 み を 形 成 させるべく 基 層 面 又 は 記 録 面 のいずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させ 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 す る 痕 跡 を 形 成 する ( 本 願 発 明 の 要 旨 )との 構 成 要 件 を 採 用 しようとする 技 術 的 知 見 はなかったとも 主 張 するが 引 用 例 発 明 及 び 引 用 例 2に 記 載 された 発 明 が 技 術 分 野 及 び 技 術 課 題 を 共 通 にするものである 故 に 引 用 例 発 明 におけるクレーター 状 の 凹 みを 形 成 するに 当 たって 引 用 例 2に 記 載 された ディスクのCSSゾーンに レーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 することが 当 業 者 にとって 格 別 困 難 であると 認 めることができないこと その 場 合 に 前 示 周 知 技 術 に 基 づいて パルス 状 のレ ーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 し エネルギーを 選 択 的 に 集 中 することが 技 術 上 当 然 であり かつ そうしたときに 各 クレーター 状 の 凹 みが 丸 い 凹 部 を 形 成 することが 周 知 の 事 項 であることも 前 示 のとおりである 原 告 はさらに 本 願 発 明 の 要 旨 に 規 定 された 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 が 公 称 平 面 の 内 方 に 向 かって 伸 長 する 丸 い 凹 部 及 びこの 中 心 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリムを 意 味 するところ これらは 引 用 例 1 2のいずれにも 開 示 されていないし 示 唆 すらされていないと 主 張 する しかしながら 前 示 のとおり 引 用 例 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 され たディスクのCSSゾーンにレーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 前 示 周 知 技 術 に 基 づいて パルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 し エネル ギーを 選 択 的 に 集 中 することが 技 術 上 当 然 であり そうしたときに 各 クレーター 状 の 凹 みが 丸 い 凹 部 を 形 成 すること すなわち 公 称 平 面 の 内 方 に 向 かって 伸 長 す る 丸 い 凹 部 が 形 成 されることは 周 知 事 項 である また 中 心 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリ ムは 本 願 発 明 の 要 旨 に 規 定 されておらず 原 告 の 該 主 張 は 発 明 の 要 旨 に 基 づか ないものであるといわざるを 得 ない この 点 につき 原 告 は 本 願 明 細 書 ( 甲 第 2 号 証 )の 粗 さなる 用 語 は 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 意 味 する ( 号 証 29 頁 16~18 行 )との 記 載 が 本 願 発 明 の 要 旨 の 表 面 粗 さを パルス 状 のエネルギーを 集 中 させる 前 の 値 の 少 なくとも2 倍 の 値 で 増 加 させ る との 規 定 の 表 面 粗 さ を 定 義 したものであり 該 規 定 から 公 称 水 平 面 よりも 高 い 突 出 部 ( 隆 起 部 リム)が 存 在 することが 明 白 であると 主 張 するが 後 述 のと おり 本 願 明 細 書 中 の 前 示 記 載 は 実 施 例 の 説 明 において 示 されているにすぎない のみならず 該 記 載 があるからといって 本 願 発 明 の 表 面 粗 さを パルス 状 のエ ネルギーを 集 中 させる 前 の 値 の 少 なくとも2 倍 の 値 で 増 加 させる との 構 成 要 件 が 前 示 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリムの 存 在 ま で 規 定 するものとは 解 されない それのみならず 前 示 のとおり 引 用 例 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 さ れたディスクのCSSゾーンにレーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 前 示 周 知 技 術 に 基 づいて パルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 し エネ ルギーを 選 択 的 に 集 中 することが 技 術 上 当 然 であり そうしたときに 各 クレータ ー 状 の 凹 みが 丸 い 凹 部 を 形 成 し かつ その 凹 部 の 周 縁 にこれを 囲 み 先 端 が 丸 く なった 形 状 のフランジ( 盛 上 がり 部 ) すなわち 中 心 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリムが 形 成 されることも 前 示 のとおり 周 知 事 項 である したがって 原 告 主 張 の 公 称 平 面 の 内 方 に 向 かって 伸 長 する 丸 い 凹 部 及

10 びこの 中 心 凹 部 を 取 り 巻 いて 公 称 平 面 の 外 方 に 伸 長 する 大 体 円 形 の 丸 いリムは 当 業 者 が 引 用 例 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 されたディスクのCSSゾーンにレー ザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 当 然 予 測 し 得 る 技 術 事 項 というべきで あって これを 格 別 のものとすることはできない 原 告 は 本 願 発 明 の 要 旨 の 多 数 の 位 置 に 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 することが ディスクをパルス 化 されたレーザーの 周 波 数 に 対 応 する 制 御 された 速 度 で 回 転 させることによって 一 連 の 凹 部 およびリムよりなるリン グが 形 成 され 繰 り 返 されて 作 られるリングが 組 合 わされて 環 状 帯 域 を 形 成 するこ とを 意 味 し このような 多 数 の 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 のパターン 又 は 配 置 の 技 術 的 意 義 は 引 用 例 発 明 と 異 なるとも 主 張 するが 原 告 主 張 のような 多 数 の 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 のパターン 又 は 配 置 は 本 願 発 明 の 要 旨 に 規 定 されておらず 該 主 張 は 発 明 の 要 旨 に 基 づかないものであるといわざるを 得 ない そして 引 用 例 1の 前 示 第 1 図 A Bはこの 発 明 の 一 実 施 例 による 磁 気 ディスク 用 基 板 の 製 造 方 法 を 説 明 する 断 面 図 であり この 基 板 を エッチングすると 硬 質 膜 (2) が2 元 合 金 のため 構 成 元 素 のエッチングレートの 差 から 第 1 図 Bに 示 すようなク レーター 状 の 凹 み(11)が 形 成 される 参 考 写 真 は 上 記 実 施 例 による 磁 気 ディスク 用 基 板 の 表 面 を 示 し 第 2 図 はこの 写 真 を 拡 大 して 模 式 的 に 示 す 基 板 表 面 にはモザ イク 状 模 様 のクレーター 状 の 凹 み(11)が 形 成 されている との 記 載 並 びに 引 用 例 1( 甲 第 6 号 証 )の 第 1 図 (A) (B) 及 び 第 2 図 の 表 示 に 鑑 みて 引 用 例 1には 多 数 の 位 置 にクレーター 状 の 凹 みを 形 成 することが 開 示 されているものと 認 められ るから 引 用 例 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 されたディスクのCSSゾーンにレ ーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 多 数 の 位 置 に 各 位 置 に 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 を 形 成 することは 明 らかである (3) したがって 審 決 の 相 違 点 (b)についての 判 断 に 原 告 主 張 の 誤 りがあると いうことはできない 2 取 消 事 由 2( 相 違 点 (c)についての 判 断 の 誤 り)について 本 願 明 細 書 ( 甲 第 2 号 証 )には 粗 さなる 用 語 は 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 意 味 する ( 号 証 29 頁 16~18 行 ) 第 5 図 にてhで 示 されるこのリム62の 公 称 平 面 58からの 高 さは ないし mm(0.5ないし0.8マイクロインチ)の 範 囲 であ るのが 望 ましいが リムの 高 さが mm(1マイクロインチ)を 僅 かに 超 える 場 合 のヘッド 接 触 面 積 部 分 も 満 足 に 作 動 できる 第 5 図 にてdで 示 さ れる 平 面 58から 下 方 へのピット60の 深 さは 通 常 リムの 高 さの 約 2 倍 である 従 って ヘッド 接 触 面 積 部 分 32の 表 面 粗 さhは ないし mm(0.5ないし1.0マイクロインチ)の 範 囲 である ( 36 頁 4~15 行 )との 各 記 載 があるところ 原 告 は これらの 記 載 に 基 づいて 本 願 発 明 における 表 面 粗 さ とは 丸 い 凹 部 を 有 する 痕 跡 の 周 囲 の 公 称 水 平 平 面 から 最 も 高 く 突 出 する 突 出 部 の 高 さのことであり 基 準 面 から 穴 底 に 至 る 凹 みの 深 さのこ とである 引 用 例 発 明 及 び 周 知 例 1 2の 粗 さと 異 なるものであるから 引 用 例 1 及 び 周 知 例 1 2は 本 願 発 明 の 粗 さ を 示 唆 するものではなく 審 決 の 相 違 点 (c)についての 判 断 が 誤 りであると 主 張 する しかしながら 本 願 明 細 書 中 の 前 示 各 記 載 は 本 願 発 明 に 係 る 実 施 例 の 説 明 において 示 されているにすぎないから 該 各 記 載 があるからといって 本 願 発 明 の 要 旨 における 表 面 粗 さ が 直 ちに 磁 気 ディスク 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 規 定 したものであると 認 めることはできない のみならず 周 知 例 1( 甲 第 8 号 証 )の 磁 気 デイスク 基 板 の 表 面 粗 さRa とデイスク 媒 体 の 摩 擦 係 数 および 磁 気 ヘツドの 吸 着 力 との 関 係 を 示 すグラフ ( 号 証 3 頁 左 上 欄 14~16 行 )である 図 面 第 2 図 には ディスク 基 板 粗 さRaが 0.005μmから0.015μm 近 くまで 増 加 すると 磁 気 ヘツドの 吸 着 力 が 低 下 することが 表 示 され また 周 知 例 2( 甲 第 9 号 証 )には 磁 気 ヘッドの 吸 着 を 防 ぐことを 目 的 とする 磁 気 ディスク 基 板 の 製 造 方 法 の 発 明 につき 実 施 例 1として 表 面 粗 さRa0.004μmまで 鏡 面 研 磨 した 後 表 面 粗 さRa0.007 μmの 磁 気 ディスク 基 板 を 得 た ( 号 証 2 頁 右 下 欄 5~9 行 )との 実 施 例 2 として 実 施 例 1と 様 にして 磁 気 ディスク 基 板 を 作 製 したが 表 面 粗 さは Ra0.008μmであり ( 欄 14~20 行 )との 各 記 載 があり これらの 表 示 及 び 記 載 によれば 周 知 例 1 2には 磁 気 ディスク 基 板 の 表 面 を 鏡 面 研 磨 した 後 表 面 粗 さを2 倍 程 度 の 値 で 増 加 させることが 開 示 されており このことは 本 願 出 願 当 時 周 知 の 技 術 事 項 であったものと 認 めることができる

11 しかるところ 仮 に 本 願 発 明 における 表 面 粗 さ が 原 告 主 張 のように 磁 気 ディスク 表 面 の 公 称 水 平 平 面 より 上 方 の 最 も 高 い 突 出 部 の 高 さを 意 味 するとし ても 該 表 面 粗 さ が 磁 気 ディスク 上 に 磁 気 ヘッドが 接 触 する 凸 部 と 該 凸 部 に 遮 られるため 磁 気 ヘッドが 接 触 しない 凹 部 とを 設 け 磁 気 ディスク 表 面 全 体 に おける 磁 気 ヘッドとの 接 触 部 分 の 面 積 を 少 なくするための 該 凸 部 と 凹 部 との 相 対 的 な 高 低 差 を 確 保 するとの 技 術 的 意 義 を 有 する 点 においては 引 用 例 発 明 及 び 周 知 例 1 2 記 載 のものの 表 面 粗 さ と 差 異 がないことは 明 らかである そして か かる 技 術 的 意 義 における 表 面 粗 さ をどの 程 度 に 設 定 するかは 本 来 磁 気 ヘッ ドと 磁 気 ディスクとの 吸 着 をどの 程 度 防 止 するかに 応 じて 当 業 者 が 適 宜 設 定 し 得 る 事 項 であり 前 示 のとおり 鏡 面 研 磨 後 の 磁 気 ディスクの 表 面 粗 さを 処 理 前 の2 倍 程 度 に 増 加 させることが 本 願 出 願 前 に 周 知 の 技 術 であるから 本 願 発 明 における 表 面 粗 さを2 倍 の 値 で 増 加 させることは たとえ その 表 面 粗 さの 定 義 において 引 用 例 発 明 及 び 周 知 例 1 2 記 載 のものとの 間 に 原 告 主 張 の 相 違 があったとして も 何 ら 格 別 のものということはできない したがって 審 決 の 相 違 点 (c)についての 判 断 に 原 告 主 張 の 誤 りがある ということはできない 3 取 消 事 由 3( 作 用 効 果 の 看 過 )について 原 告 は 本 願 発 明 が 磁 気 媒 体 の 基 層 面 又 は 記 録 面 のいずれか 上 の 処 理 面 積 部 分 にわたる 多 数 の 位 置 にパルス 状 のエネルギーを 選 択 的 に 集 中 させ との 構 成 を 採 用 したことにより 記 録 面 に 対 するCSS 領 域 の 境 界 ( 輪 郭 )を 高 精 度 で 設 定 でき CSS 領 域 全 体 を 均 一 粗 さで 粗 面 化 できるとともに 凹 みの 相 互 間 隔 口 径 深 さ 及 び 隆 起 する 縁 の 高 さを 高 精 度 で 制 御 ( 調 整 )することができ かつ 隆 起 する 縁 が 丸 いため 変 換 ヘッド 及 びディスクの 摩 耗 が 低 減 化 されるとの 作 用 効 果 を 奏 すると 主 張 するが 前 示 のとおり 隆 起 する 丸 い 縁 (リム)は 本 願 発 明 の 要 旨 に 規 定 されておらず これに 基 づく 作 用 効 果 の 主 張 は 本 願 発 明 の 要 旨 に 基 づくも のということはできない のみならず 前 示 のとおり 引 用 例 発 明 において 引 用 例 2に 記 載 されたデ ィスクのCSSゾーンにレーザビームを 照 射 する 技 術 を 採 用 する 場 合 に 前 示 周 知 技 術 に 基 づいて パルス 状 のレーザビームを 相 対 移 動 させつつ 照 射 し エネルギー を 選 択 的 に 集 中 することが 技 術 上 当 然 であり そうしたときに 各 クレーター 状 の 凹 みが 丸 い 凹 部 を 形 成 し かつ その 凹 部 の 周 縁 にこれを 囲 み 先 端 が 丸 くなった 形 状 のフランジ( 盛 上 がり 部 )が 形 成 されることは 周 知 事 項 である そうすると 原 告 主 張 の 前 示 作 用 効 果 は 隆 起 する 丸 い 縁 (リム)に 基 づくものを 含 め 当 業 者 が 十 分 に 予 測 し 得 たものであって 格 別 のものということはできない したがって 審 決 に 原 告 主 張 の 作 用 効 果 の 看 過 があるということはできな い 4 以 上 のとおりであるから 原 告 主 張 の 審 決 取 消 事 由 は 理 由 がなく その 他 審 決 にはこれを 取 り 消 すべき 瑕 疵 は 見 当 たらない よって 原 告 の 請 求 を 棄 却 することとし 訴 訟 費 用 の 負 担 並 びに 上 告 及 び 上 告 受 理 の 申 立 てのための 付 加 期 間 の 指 定 につき 行 政 事 件 訴 訟 法 7 条 民 事 訴 訟 法 6 1 条 96 条 2 項 を 適 用 して 主 文 のとおり 判 決 する 東 京 高 等 裁 判 所 第 13 民 事 部 裁 判 長 裁 判 官 裁 判 官 裁 判 官 田 中 康 久 石 原 直 樹 清 水 節

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