ポジトロンCTの定量性に関する研究

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1 ポジトロン CT の定量測定に関する研究 Study of quantitative measurements in positron emission tomography 2003 年 7 月 織 田 圭 一

2 目次 序章 1. 本研究の背景 本研究の目的 本論文の構成... 3 第 1 章ポジトロン CT の概要 1.1 はじめに ポジトロン CT の原理 性能評価と品質保証 定量測定における諸問題 本章のまとめ 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 2.1 はじめに Post-injectiontransmission 法の最適化 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 Emission/Transmission 同時収集法を応用した吸収補正 本章のまとめ 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 3.1 はじめに OS-EM と FBP による再構成画像の評価 OS-EM と FBP によるパラメトリック画像の評価 本章のまとめ 第 4 章新しい PET 画像解析法の開発 4.1 はじめに ドーパミン受容体機能画像の3 次元表示 ドーパミン受容体機能画像のクラスター分析 本章のまとめ 第 5 章本論文の総括 5.1 本論文のまとめ 本研究領域の今後の展開 謝辞 参考文献 研究業績 用語の説明

3 序章 1. 本研究の背景 Positronemissiontomography は日本語で陽電子放出断層撮影法と訳され 一般にはポジトロン CT または英語の頭文字をとって PET と呼ばれる ポジトロン CT は 1980 年代に開発されたが それを使用するためには短半減期の放射性核種を製造するためのサイクロトロンを所有する必要があり 莫大な初期投資費用と維持運営費がかかる そのため SPECT( 単光子放出断層撮影法 ) や MRI( 核磁気共鳴断層撮影法 ) のように広く普及していない しかし 2002 年夏現在 日本で40 以上のPET 施設が稼働しており 一部の検査の保険適用もあって今後更に普及するものと思われる PET や SPECT(SinglePhotonEmissioncomputedTomography) の核医学検査は 人間の体の形態を見る X 線 CT や MRI とは異なり 機能を見ることができる検査法であり 脳血流 糖代謝 神経情報伝達などの情報に基づいて 正常脳のメカニズムの解明や脳疾患の病態解明のに役立つ PET の特徴の一つは 正しい測定法をとれば定量性が保証されていることである SPECTでも近年定量性に関する研究が重ねられているが 原理的にも PET が優位であり画質も現在のところ勝っている しかし SPECT はマーケットが広いため 装置メーカーや製薬会社は開発に資金と人力をつぎ込み 最近では一昔前の PET の性能に追いつくところまで来ている 一方の PET は 2 次元収集から3 次元収集の装置へと進化し 感度が大幅に向上した しかし 3 次元収集をすることで データ量が増えるだけではなく 2 次元とは異なる画像再構成アルゴルズムが必要となったため 2 次元の場合とは比較にならないほど再構成に時間がかかるようになった 近年 コンピュータの飛躍的な性能向上に加え 新しい再構成アルゴリズムが開発されたために これらの問題も解決されてきた PET に関しては 今まで各施設の医師 研究者 技術者と装置メーカーが協力して新しい薬剤 装置 技術などを研究 開発してきた 今後もこの傾向は続き 更に PET は進化していくことに疑いはない 2. 本研究の目的ポジトロンCTは定量測定が可能な核医学として開発され発展してきた 本研究では ポジトロンCTの定量性という特徴を活かしながら 実際の臨床現場で有用な測定法およ 2

4 び解析法を開発した また 近年開発された逐次近画像再構成法の一つの orderedsubsetexpectationmaximization(os-em) 法を評価した 3. 本論文の構成論文の構成は 第 1 章 PET の概要 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 第 3 章 逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 第 4 章 新しい PET 画像解析法の開発 より成る 第 1 章は PET の原理について概説し 続いて定量測定のために必須な性能評価法と品質保証につて解説し 最後に定量測定のための問題点について述べた 第 2 章は PET の検査効率を向上させるための新しい吸収補正法である post-injection transmissionscan 法の検証を行い それを改良したsegmentedpost-injectiontrans- missionscan 法を開発し実用化した 最近の三次元 PET 測定に対しても 定量性を保ちながら検査効率を上げる方法について提案し 実用化を図った 第 3 章は近年実用化された逐次近似画像再構成法の一つ 0S-EM 法について 従来の FBP 法と比較し その定量性について検討した また 動態解析によるパラメトリック画像に対しても OS-EM アルゴリズムによる再構成画像について評価した 第 4 章は PET の新しい解析法として 3 次元表示法を提案し また クラスタリングによる脳機能画像の客観的かつ定量的な解析方法の開発について記述した 3

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6 第 1 章 ポジトロン CT の概要

7 第 1 章 ポジトロン CT の概要 1.1 はじめにポジトロンCT(PET) は画像診断のための医療機器の一つで SPECT(SinglePhoton EmissioncomputedTomography) と並ぶ核医学画像診断装置である PETとSPECT はどちらの装置も人体にごく微量の放射性薬剤を投与して 体の外からその放射能を測り画像化するという点では同じであり その画像もよく似ている しかし 使用される薬剤と測定原理は異なり PETにはSPECTでは得られない生態機能情報を得ることができる ポジトロン CT に限らず医療画像情報を提供する検査ではその装置の原理を良く理解し 性能を充分に引き出して使用することは医療スタッフとしての義務である また 同時にその装置に過剰な期待を抱き誤った結果を引き出さないために その限界を理解して使用することが重要である この章では 1.1ポジトロン CT の原理 1.2 性能評価と品質保証 1.3 定量測定における諸問題 に分けた 1.1 では PET 装置の基本的な原理について 1.2 では定量測定のための重要な要素について 1.3では定量測定のための補正方法に関する問題点を説明した 1.2 ポジトロン CT の原理 陽電子と消滅放射線ポジトロン CT(PET) は正の電荷を持った電子 即ち陽電子 ( ポジトロン ) が消滅するときに放出するガンマ線 (γ 線 ) を検出する装置である 11 Cや 15 O などの陽電子崩壊 (β + 崩壊 ) を起こす放射性同位元素は 質量 m e の陽電子を原子核から放出する 放出された陽電子は 物質中を数ミリメートル飛んだ後 負の電荷を持つ電子と結合して消滅する このとき運動量保存の法則から 180 度方向に 1 対のγ 線を放出する この 2 本の γ 線は消滅放射線 ( 消滅 γ 線 ) と呼ばれ それぞれのエネルギーはエネルギー保存の法則から電子の静止質量に等しい (Fig.1.2.1) E=m e c 2 =511keV ポジトロンCTはこの反対方向に同時に放出されたγ 線を検出することによって 人体に投与した放射性薬剤の分布を画像化する装置である ポジトロン CT 検査に使われる核種と放射性薬剤 6

8 1.2 ポジトロン CT の原理 陽電子放出核種 11 C 11 B 陽子 中性子 消滅放射線 (511keV) 飛程 陽電子 + - 電子 180 消滅放射線 (511keV) Fig 消滅放射線の発生原理 陽電子は数ミリメートルの飛程後 電子と結合し消滅する このとき 2 本の 511keV の消滅放射線 (γ 線 ) を反対方向に放出する 原理的には消滅放射線を放出する核種であれば何でもPET 検査に使用できる しかし 実際に利用されるのは検査に有用な薬剤に標識可能なものに限られる 現在主に利用されているポジトロン核種は 15 O 13 N 11 C 18 Fの4 種類であり これらは全てサイクロトロンで製造される [1-3] 何れの核種も半減期が短い( 15 Oで2 分 18 Fで2 時間 ) ため SPECT 製剤のように製薬会社から購入して使うことは出来ない そのために各 PET 施設は独自に小型サイクロトロンを所有し ポジトロン核種を製造する これらの核種は合成装置によって検査目的に合った放射性薬剤に合成され被検体 ( 人体 ) に投与される 主な放射性薬剤を Table1.2.1 に示す ポジトロン CT 装置ポジトロン CT 装置は PET スキャナ PET カメラなどとも呼ばれ その特徴は前述したポジトロン核種からの消滅 γ 線を検出できることである 多くのPETカメラはFig に示すように多数の検出器をリング状に配置し 被検体の周囲を覆うように作られている 1 対のγ 線が2 個の検出器に同時に検出されたときだけ計数する回路を同時計数回路と言い 同時と見なす時間幅をタイムウィンドウと呼ぶ タイムウィンドウは通常 10 20nsec に設定されている 消滅放射線は同時に 2 個の検出器で検出されるので その2 個の検出器を結ぶ線上の何処かにポジトロン核種が存在することになる このイベ 7

9 第 1 章 ポジトロン CT の概要 Table1.2.1 主な放射性薬剤と利用目的 薬剤名 記号 評価できる機能 15 O 標識の水 15 H 2 O 血流 15 O 標識の酸素ガス 15 O 2 酸素代謝 11 C 標識の酢酸 11 C-acetate 好気性代謝 18 F 標識のフロロ 18 FDG 糖代謝 デオキシグルコース 11 C 標識のメチオニン 11 C-methionine アミノ酸代謝 腫瘍 18 F 標識のフロロドーパ 18 FDOPA ドーパミン系節前機能 11 C 標識の N- メチルスピペロン 11 C-NMSP ドーパミン D 2 受容体 13 N 標識のアンモニア 13 NH 3 心筋血流 ントを多数集めることで様々な方向からの投影データが作成される Fig は平面で消滅放射線を検出するいわゆる 2 次元型の PET カメラの図であるが 被検体 ( 人体 ) の軸方向に対しても消滅放射線を検出する装置を 3 次元 PET カメラと呼ばれる 2 次元 PET カメラは体軸に直角 ( 横断面に平行 ) にセプタと呼ばれるスライスシールドを持ち 余分な散乱線を除去する 一方 3 次元 PET カメラにはセプタは無く より広い角度で消滅放射線を捕らえることが出来 感度が大幅に増加する (Fig ) しかし 散乱線や偶発的に同時計数される確立( 偶発同時計数 ) が大幅に増え 定量性や高画質を維持するためには2 次元収集以上に様々な補正が必要になってくる [4] 画像再構成 PET 装置で得られたデータを定量的に画像再構成するためには ポジトロン核種から の消滅 γ 線を検出測定する emissionscan と後述する吸収補正のための transmission scan の他に 検出器の感度を補正する normalizescan と視野内に何もない時の状態を 測定する blankscan が必要である 以下で述べる画像再構成の前にこれらのデータは次 式のように処理される emission scan blank scan normalize scan transmission scan PET で観測された投影データから元の画像を推定するために 幾つかの画像再構成の アルゴリズムが考えられている そのうち最も一般的に使われているのは filtered 8

10 1.2 ポジトロン CT の原理 検出器リング 被検体 前置増幅器 検出器アドレスタイミング A γ 線 S 陽電子消滅 γ 線 B 前置増幅器 検出器アドレスタイミング 同時計数回路 コンピュータ Fig 同時収集の原理 180 度反対方向に放出された 1 対の消滅放射線は 同時計数回路によってカウントされ 検出した1 対の検出器を結ぶ線上に放射性物質が存在することが判る 検出器 検出器 セプタ 2 次元収集 3 次元収集 Fig 次元収集と 3 次元収集 2 次元収集では散乱線を除去するためのセプタがある 3 次元収集にはセプタは無いので感度が高くなるが 散乱線が増える 9

11 第 1 章 ポジトロン CT の概要 backprojection(fbp) 法であるが 近年比較的高速な計算が可能な逐次近似法である orderedsubsetsexpectationmaximization(os-em) アルゴリズム [5] が普及してき た 次にこれらの再構成法について概説する 1)FBP 法 PET で観測されるデータは 投影像であることは説明した 投影されたデータから原 画像を再現するには逆投影 (backprojection) すればよいと考えられる 原画像 f(x,y) に 対し推定される復元画像 f ˆ( x, y) は 投影データ p を用いて次式で表される m  f ˆ( x, y) = p( xcos q + ysin q, q ) Dq j = 1 j j j ここで q j は j 番目の投影データの角度 Dq は投影角度の増分 m は全投影数である しかし 高濃度値が一カ所だけ有る原画像を考えると その多数の投影像から逆投影した復元画像は 高濃度の場所の周辺にボケを生ずる結果になる (Fig.1.2.4(a)) そこで投影データにある種のファイルタ処理を施してから逆投影すると このボケを除去することができると考えられる (Fig.1.2.4(b)) フィルタ処理をした投影データを使って逆投影する方法をフィルタ逆投影法 (filteredbackprojection) と呼び Sheppらによって考案された Shepp-Logan フィルタ [6] は代表的な補正フィルタである (Fig.1.2.5) 投影データは補正フィルタと実空間領域で重畳積分されるか 一度フーリエ変換し周波数領域で掛け合わされた後 逆フーリエ変換で実空間領域に戻されてから逆投影する これによって得られた再構成画像は 計算時間が短くて済むので実用性が高く X 線 CTや PET SPECT で最もよく使われている 2)OS-EM 法代表的な逐次近似法である maximumlikelihood-expectationmaximization(ml- EM) 法 [7] は 次のように求められる 任意の画像 l に対して投影データ Y が得られる条件付き確率 f(y l) は Ïexp( - mi) mi f( Y l) = Ì i Ó Yi! Yi ここで 10

12 1.2 ポジトロン CT の原理 (a)backprojection (a)backprpjection (b)fileteredbackprojection (b)filteredbackprpjection 投影データ 投影データ Fig 逆投影法による画像再構成 (a) 単純な逆投影 (backprojection) では 再現された原画像の周辺にボケが生ずる (b) 適切なフィルタ処理をした投影データで逆投影 (filteredbackprojection) すると原画像を正確に再現することができる 2 p2a 2 g(ka) = 2 p2a 2 (1-4k 2 ) k =... -2, -1, 0, 1, 2, k Fig Shepp-Loganフィルタ ( 実空間領域 ) a は投影の標本間隔 11

13 第 1 章 ポジトロン CT の概要 i  ci, jlj jœi m = j であり l j は画素値 Yi は投影 i での観測された投影データ Cij は画素 j で放出された光子が投影 i で検出される確率である 最尤推定 (maximumlikelihood) による画像再構成は この式の対数を最大化する画像 l が推定される max ln f(y l) = max - m + Y ln m l l { }  i i i i この式を期待値最大化 (expectationmaximization) アルゴリズムによって解き 推定画像の逐次近似式を求める OS-EM 法は ML-EM 法を高速化した実用性の高い画像再構成法である 投影データを幾つかのサブセットに分け 一つのサブセットから求めた再構成画像を使って 次のサブセットによる計算を行う これを全てのサブセットについて実行し1 回の繰り返し計算とすることで 通常の ML-EM 法に比べ高速な画像再構成を可能とした この場合サブセットを 1 とすると通常の ML-EM 法になる Transmissionscan による吸収補正 Fig で被検体内の点 S で発した消滅 γ 線が検出器 A と B の方向に放射され 途中で吸収されずに検出器 A および B に到達する確率はそれぞれ exp - [ Ú mdl AS ] exp - [ Ú mdl SB ] である ここで m は被検体の 511keV γ 線に対する線源弱係数である 同時計数されるためには この 2 本のγ 線が両方とも検出器に到達しなければならない その確率は [ Ú ] [ - ] = [ - AS ÚSB ÚAB ] exp - mdl exp mdl exp mdl となってSの位置とは無関係になり AB 間の吸収係数のみで決定される つまりPET 測定における吸収の影響は 吸収体の分布のみで決まり放射能の分布には依存しない そこで放射性薬剤を投与する前に 同じエネルギーのγ 線 (511keV) を放出する線源を使って外部から照射し 吸収係数の分布 (μ-map) を求めておけば正確な吸収補正が可能になる これを transmissionscan( 透過スキャン ) と言い PET での定量測定には 12

14 1.3 性能評価と品質保証 欠かせない物の一つである まとめポジトロンCTは 陽電子が消滅するときに放出するガンマ線を検出する装置である 15 Oや 18 F で標識した放射性薬剤を体内に投与することで 脳血流や糖代謝などの生態機能情報を画像化することができる 人体による吸収を正確に補正することができ 定量的な測定が可能である 1.3 性能評価と品質保証 はじめに他の医療機器と同じように positronemissiontomography( 以下 PET) においても品質保証 (qualityassurance, 以下 QA) と品質管理 (qualitycontrol, 以下 QC) が重要なことは言うまでもなく 1996 年の米国核医学会 (SNM) の教育講演 [7] の中でも取り上げられている PET に関する性能評価法は 国内外で専門家により研究及び審議がなされているが QA/QCは製造業者或いは使用施設が独自の基準に従って行っているものの [8] 正式なプロトコルに関しては米国の TheNationalElectricalManufacturersAssociation(NEMA) や AmericanAssociateofPhysicistsinMedicine(AAPM) でもまだ作成していない 国内では,1994 年に日本放射線機器工業会が PET 装置の保守点検基準 [9] を工業会の規格として制定したのみである QA/QCは装置の製造業者, 使用者または管理者によってその意味 役割に違いがあるが ここでは PET 装置の QA/QC の基礎となる PET 装置の性能評価法と保守点検について概説し 定量測定のため重要な項目であるクロスキャリブレーションについてデータ例を紹介する 性能評価法 PET 装置の性能評価法は 1990 年にEECが申し合わせとして発表 [10,11] したのをはじめ 1994 年には NEMA が規格化 [12] している 国内では NEMA の 1991 年の委員会レポート [13] に準拠し 更に日本の事情を考慮して 1992 年に日本アイソトープ協会 (JapanRadioisotopeAssociation:JRIA) 医学 薬学部会が PET 装置の性能評価のための測定指針 ( 以下 指針 ) を発表 (1994 年に改訂 )[14] した また 1993 年には日本放射線機器工業会 (JapanIndustriesAssociationofRadiationApparatus:JIRA) 13

15 第 1 章 ポジトロン CT の概要 が指針を基に 若干の内容変更と書式の修正を行い PET 装置の性能評価法を JESRA (JapaneseEngineeringStandardsofRadiologicalApparatus) 規格として制定 [15] した 現在 1993 年頃から InternationalElectrotechnicalCommission(IEC) が国際的な規格化作業を進め 1998 年に発表された [16] また 2001 年には NEMA によって改訂版の規格が発表され 3 次元測定に対応したものとなった [17] 実際にこれらの評価法に従って測定を行ってみると 測定条件や解析法が実際的ではない場合もいくつかある [18] また NEMA(1994) IEC 規格および指針 ( 以下 特にことわりがないときは JESRA 規格と同じ ) の性能評価項目を比較するといくつかの違いが見られる (Table1.3.1) 以下 各測定法の相違点について概説する 1) 空間分解能一般的に空間分解能の評価には点線源 ( または 線状線源 ) の再構成画像プロファイルの半値幅 (FullWidthHalfMaximum 以下 FWHM) が使われるが IEC では次式で表される EquivalentWidth( 以下 EW) での評価法も併用している [16] EW=Σ(Ci PW)/Cm ここで PW はピクセル幅 Ci は各ピクセルの値 Cm は最高値である (Fig.1.3.1) FWHM よりもプロファイルの形の依存性が大きいため FWHM で同等の分解能と評価されていた場合でも EW で評価すると異なる可能性がある 2) 散乱フラクション線状線源を測定したサイノグラムから散乱同時計数の全同時計数に対する割合を求め 散乱フラクションとするが 投影分布曲線で真の同時計数とみなす部分の幅は NEMA と指針はピークを中心に FWHM の4 倍としているのに対し IEC は4 cmに固定している この幅を一定にすることで散乱フラクションは FWHMの測定誤差に影響されなくなる また 線状線源の3カ所の測定位置は 指針が中心と cm であるのに対し NEMA(1994) はファントムの中心と cm である 指針を作成した段階で NEMAの1991 年の委員会レポート [13] の測定位置は前者であったが 規格化 [12] されたときは後者の位置になった IEC は NEMA に準じている 3) 感度感度はPET 装置の視野内に存在するポジトロンエミッタが 検出される同時計数の割 14

16 1.3 性能評価と品質保証 Table NationalElectricalManufacturersAssociation(NEMA) 規格 InternationalElectrotechnicalCommission(IEC) 規格および日本アイソトープ協会指針 JIRA のポジトロン CT(PET) 性能評価法の比較 NEMA(1994) IEC JRIA (JESRA) 空間分解能評価 FWHM FWHM,EW FWHM 散乱フラクション 真の同時係数の幅 測定位置 4cm 4 FWHM 4 FWHM 中心 4.5cm9.0cm 中心 4.5cm9.0cm 中心 4.0cm8.0cm 感度 線源 18F 18F 18F, 68 Ga, 11C, 13 N 計数損失と偶発同時係数 記録 計数損失真の同時計数 偶発同時計数真の同時計数 Addresspileup 補正の精度 真の同時計数 均一性関心領域 1cm 正方形測定不可 (ROI) 2cm 正方形 散乱補正 ファントム 偏心コールドスポット ( 項目なし ) 空気 水 Teflon ( 吸収補正と兼ねる ) 吸収補正 ファントム 空気 水 solid 空気 水 Teflon 空気 水 Teflon ( 散乱補正と兼ねる ) 計数率補正 ファントム 20cmφ 円筒 ( 計数損失と兼ねる ) 20cmφ 円筒目的に応じたもの リカバリ係数 ファントム ( 項目なし ) 球形 :10,13,17, 22,28,37mmφ 球形 円柱 :10,13, 16,20,27,38mmφ 15

17 第 1 章 ポジトロン CT の概要 (a) (b) Cm Cm Ci+1 1 Cm 2 Ci FWHM Xi Xi+1 PW=Xi Xi+1 EW=Σ(Ci PW)/Cm Fig 空間分解能の評価法 (a) 半値幅 (FWHM),(b) 等価幅 (EW). 合として求められる NEMA と IEC は 使用する線源を 18 F に限定しているが 指針では他の線源も認めている 核種の壊変あたりの陽電子放出率が100% でない核種の場合 測定誤差を伴う 4) 計数損失 偶発同時計数 PET 装置の不感時間による計数損失と偶発同時計数を測定する 指針 NEMA IEC では記録する項目に違いが見られる IECではイベントのアドレス計算時に生ずるエラー ( アドレスパイルアップ ) をダイナミックデータの関心領域 (ROI) から求める項目がある また IECはここで計数率補正の評価を兼ね 体幹部のファントムについても測定する 5) 均一性 NEMA および指針では 円筒ファントムの再構成画像上に正方形の ROI を敷き詰め ROI 値の最大値 ( または 最小値 ) と平均値の差を平均値で除した値を不均一性として評価している NEMA では ROI の一辺の長さを 1cm としスライスあたりの全計数値を 20 メガカウント 指針では ROI の一辺の長さを 2cm とする代わり スライスあたりの全計数値を 10 メガカウントと定めている しかし IEC は現在知られている全ての均一 16

18 1.3 性能評価と品質保証 性の測定方法では 画像ノイズを必ず反映しているとして 項目自体はあるが何も規定していない 6) 散乱補正 NEMA では円筒ファントムに中心から 6cm 離れたところに 直径 5cm のコールドエリヤを作り 周辺のホットエリヤとの ROI 値の比で散乱線の補正の程度を評価する すなわち 再構成したときコールドエリヤに周囲からどれだけ放射能が入り込んだ画像になっているかを見るものである 指針では 7) の吸収補正と兼ねている 7) 吸収補正円筒ファントム内に置かれた 3 つのコールドエリヤ ( 空気 水 骨等価物質 ) と周囲のホットエリヤの再構成画像が正しい値になるかどうかを評価する NEMA IECおよび指針はどれも幾何学的配置は同じで 骨等 価物質として NEMA IEC 指針共に polytetrafluoroethylene(teflon: テフロン 密度 g/cm 3 ) を用いている また 前述したように指針ではこの試験で散乱補正と収集補正の両方を評価する 8) 計数率補正 4) で測定した計数損失と偶発同時計数に対する補正が適切に行われているかどうかを評価する 指針では臨床目的に応じたファントムでの評価を勧めているが NEMA と JESRA は直径 20cm の標準ファントムのみについて評価するとしている また 前述したように IEC では計数損失とその補正を同じ項目のところで取り扱っている 9) リカバリ係数有限な分解能を持つPET 装置では ホットエリヤの画像濃度が真の濃度よりも低く観測され その割合をリカバリ係数という IEC では 直径 20cm の標準ファントム内のホットエリヤは三次元的な評価を目的として球形に限定しているのに対し 指針では断面内方向のみの部分容積効果を評価するために 円柱ホットエリヤと脳ファントムの使用を認めている (JESRAは装置の性能評価法として脳ファントムは適切ではないと判断し除いてある ) また 球形のホットエリヤの大きさは IEC と指針では異なり (Table 1.3.1) NEMA にはリカバリ係数に関する項目はない 保守点検装置メーカーは 独自に点検基準を設けて製品出荷時に性能試験を行っている その項目は空間分解能 軸方向分解能 感度 高計数率特性および均一性が主である 使用 17

19 第 1 章 ポジトロン CT の概要 Table 日本放射線機器工業会規格 PET 装置の保守点検基準 (JESRATI ) 項目保守基準値実施頻度 空間分解能 ( 視野中心, 各スライス毎 ) 断面内体軸方向 仕様値の +20% 仕様値の +20% 毎月 1 回毎月 1 回 感度 ( 各スライス毎 ) 仕様値の 20% 毎週 1 回 計数率特性 ( 各スライス毎 ) 最高計数率計数損失 仕様値の 20% 仕様値の 20% 毎月 1 回毎月 1 回 均一性 仕様値の ±20% 毎月 1 回 者は装置が納入されてから稼働するまでに それらを含めて一通りの点検を行う必要がある 前述の性能評価法に基づいた保守点検基準は JESRATI ) に規定されている PET 装置の性能が経時変化によって劣化することが考えられるため 保守基準値と実施頻度を規定したものである (Table1.3.2) ただし 性能評価法の全てを定期的にすることは 時間がかかり過ぎる等の理由から基本的な物理性能のみに限定されている この他にも QA のための点検項目として重要な物がいくつかある ガンマカメラには安全性の保守点検基準 [13] が定められているが PET にも必要なことなので十分に審議した上で同様な基準の制定が望まれる 他に PET で特に重要な QA 関連項目として 較正データ測定 ( ブランクスキャンまたはノーマラズスキャン )[20-22] とPET 装置とウェルカウンタの相互較正 ( クロスキャリブレーション )[20,22,23] がある 島津製作所社製 PET 装置 HEADTOMEIV[15] の較正データ測定は ガントリー内に何も入れずに 68 Ge 線状線源を回転させて行う 1 度の較正データ測定でガンマ線無吸収データ ( ブランクスキャン ) と計数効率較正データ ( ノー 18

20 1.3 性能評価と品質保証 マライズスキャン ) の両方を得ることができる それぞれのデータは吸収補正のためのトランスミッションスキャンと アイソトープ投与後に撮るエミッションスキャンの補正に使われる この装置は補正時に 68 Ge の減衰補正を行わないので 1 週間に 1 度このデータを測定する必要がある クロスキャリブレーションについては で詳しく述べる クロスキャリブレーション定量測定を行うためには PET 装置での測定値 (PET 値 ) を動脈血中の放射能濃度で較正しなければならない そのためには 採血された動脈血の放射能濃度を測るウェルカウンタでの測定値 (cps/mlまたはbq/ml) とPET 値の関係を求めておく必要がある 68 Ga 等をファントムに入れPET 装置で測定し その一部をウェルカウンタ ( 井戸型カウンタ ) で測り ( ウェル値 )/(PET 値 ) を crosscalibrationfactor( 以下 クロスファクタ ) と呼び PET 装置の各スライスごとに求める ウェルカウンタも PET 装置も感度が経時的に変化する可能性があるので 定期的に求めておく必要がある ここで ウェルカウンタとクロスファクタの経年変化の一例を紹介する Fig.1.3.2は 7 6 Bq/cps days date 22 Fig Na 標準線源による井戸型シンチレーション検出器の感度変化 経年変化が見られる 19

21 第 1 章 ポジトロン CT の概要 ウェルカウンタを 22 Na 標準線源を使って感度変化をチェックしたものである 横軸は装置使用開始からの日数 縦軸は減衰補正をした 22 Na 標準線源の放射能の値 (Bq) をウェルカウンタで実測した値 (cps) で除したものである その結果 最初の 2 年半ぐらいまでは経年変化は見られなかったが その後は1 年単位での周期変化を繰り返しながら 年 5% 程度の感度の劣化が見られる Fig は装置稼働日数に対してクロスファクタをプロットしたものである (a) は Fig の値を乗じていないもので 緩やかな右下がりのグラフになっている 即ち PET 装置に対してウェルカウンタは相対的に感度が劣化していることを示す これに対し Fig の値を乗じた (b) はほぼ一定な値になっているので PET 装置の感度は殆ど経年変化がないことを示している 尚 グラフの枠の上に付けた 印はノーマライズ ( トランスミッション ) 用の 68 Ge 線状線源を新しく交換したときで そのときクロスファクタが大きく変化する場合もあるので 特に注意を要する まとめポジトロンCTで定量的な測定を行うためには品質管理し正しく性能を評価することが重要である IEC や NEMA などによって性能評価法が定められ そのに準じた測定を行い客観的な性能評価を行う必要がある また 定量測定には PET 装置と血中の放射能濃度の関係を示すクロスキャリブレーションが欠かせない 1.4 定量測定における諸問題 はじめにポジトロン核種が初めて医学分野に利用されて40 年以上がたち PETの原型といえる装置が開発されて30 年が過ぎた 2003 年 3 月現在国内の40を越える施設でPETカメラが使われるまでに普及した しかし まだ PET に対する過剰な期待を抱いている人や PET で検査すると何でもわかるという誤解を持っている人も少なくはない また PET は定量性に優れていると言われているので PET で撮ればどんなものでも定量値が得られると思っている人がもしいたとすると それも誤解である 確かにSPECTに比べPET は定量測定に適していると言うことができるかも知れないし 現にPET 検査の多くで定量測定が行われている しかし そのためにはデータを収集してから様々なプロセスを経る必要があり ここに至るまでには多くの物理学 医学の諸先生や各メーカーの並々 20

22 1.4 定量測定の諸問題 Ge 1.5 direct slice cps/ml/pet 1.0 cross slice 0.5 (a) days date 10 68Ge 8 direct slice Bq/ml/PET 6 4 cross slice 2 (b) days date Fig PETカメラと井戸型シンチレーション検出器のクロスキャリブレーションファクタ (a) 22 Na 標準線源による校正なし (b) 22 Na 標準線源による校正あり クロスキャリブレーションファクタにおける観測された変動は 井戸型シンチレーション検出器の感度を補正することで減少した 21

23 第 1 章 ポジトロン CT の概要 ならぬ努力があった そして今なお 定量化に伴う諸問題は全て解決されたわけではなく 更に 2D 収集から 3D 収集へのように PET カメラが進化するにつれて 今までは無かった新たな問題が生じたり ほとんど無視できるほどだった問題が無視できなくなることもある PET 測定を行う上で定量性を確保するためには数え落とし 散乱 吸収補正 部分容積効果等の様々な補正を行う必要があり その評価法については 1.3 で述べた 以下 研究論文から定量測定を行う上で重要な吸収補正 散乱補正および部分容積補正に関するものをいくつか拾い上げる 吸収補正 PETの吸収補正は一般に被検者にアイソトープを投与する前に 外部線源に 68 Geを用いたトランスミッションスキャンによって行われる (Fig.1.4.1) しかし アイソトープを投与した後にトランスミッションを行う方法 [24-28] もあり 検査効率の向上とトランスミッションとエミッションの位置のずれによるアーチファクトの低減が期待できる (Fig.1.4.2) また Bettinardi らは 通常のトランスミッションスキャンの他にエミッションスキャン終了後に短時間のトランスミッションスキャンを行い両方のトランスミッションデータの位置のずれから エミッションとトランスミッションの位置のずれを補正する方法 (Correlation-compensationprocedure)(Fig.1.4.3)[29] を試みて良好な結果を得ている エミッションスキャンで同時計数を測定するPETはトランスミッションスキャンでもやはり同時計数を測定し外部線源の位置を同定している これに対しRobertらはトランスミッションスキャンをシングルホトンの収集で行う方法 [30] を開発した この方法では同時計数を測定しないため 偶発同時計数の補正が不要になる 即ち通常の方法より高計数率で測定が可能となるため総計数を多く収集することができ その結果トランスミッションおよびエミッションスキャンの S/N の向上が期待できる ただし この方法は軸方向分解能の劣化と吸収補正係数の過小評価される欠点がある 散乱補正従来はエミッションスキャンに含まれる散乱成分はトランスミッションスキャン時の散乱成分と相殺されるため あえて補正する必要はないと考えられていた しかし 最近では3 次元 PETの出現などもあり 散乱線補正の必要性が見直されてきた Shaoらは 22

24 1.4 定量測定の諸問題 Transmission Scan Emission Scan Uptake Positioning Inject 18F-FDG Fig.1.4.1Pre-injection トランスミッション測定 Transmission Scan Transmission Scan Emission Scan Uptake Inject 18 F-FDG Positioning Fig.1.4.2Post-injection トランスミッション測定 Transmission Scan 10min 8-10Mcounts Emission Scan 15 min Uptake Transmission Scan 2 min Positioning Remove Inject 18F-FDG Repositioning Fig エミッションとトランスミッションの位置のずれ補正法 23

25 第 1 章 ポジトロン CT の概要 キャリブレーション用のファントムと測定対象物のエネルギースペクトル上のホトピークと2カ所の低エネルギー部のウィンドウから ホトピーク内の散乱線を推定する方法を提案している [31] Bentourkia らの方法 [32] は 測定されるプロジェクションデータは 真の同時計数と物体 コリメータおよび検出器による散乱線の和であると考え 線状線源のプロジェクションデータを指数関数近似した散乱補正カーネルとのコンボリューションから求めるものである Lercher らの方法 [33] は 3 次元 PET について トータルの測定データを真の同時計数と散乱線の和で表し 積分による方法とデコンボリューションによる方法の2 種類のアルゴリズムと吸収補正の有無を組み合わせた4 種類の散乱補正法を行ってその結果を比較している 部分容積効果部分容積効果を考慮することは 定量する上で特に重要な要素のひとつである 成田ら [34] は 5 通りの脳血流量の測定法 (Autoradiographic(ARG) 法 Weighted integration(wi) 法 非線形最小自乗 (NLLS) 法 C 15 O 2 Steadystate(SS) 法 ) について部分容積効果をマイクロスフェア法と比較し WI 法とNLLS 法が優れていると報告している まとめポジトロンCTで定量的な測定を行うためには 吸収補正 散乱補正 部分容積効果の補正などを行う必要がある これらには様々な方法があり実用化されている 1.5 本章のまとめこの章では ポジトロン CT(PET) の原理 性能評価法および定量測定における問題点について述べた PET の最大の特徴は生理学的な情報を定量画像として得られることである このような定量測定のためには 被検体自体による吸収や散乱線の影響など様々な物理学的要因による悪影響を除去或いは補正する必要がある 24

26 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正

27 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 2.1 はじめにポジトロンCTにおいて被検体でのγ 線吸収を補正することは定量測定のためには必須条件である そのためには 通常放射性薬剤投与前に 68 Ge 外部線源を用いたトランスミッション測定 (TRAN) が行われる ( 第 1 章参照 ) TRAN は通常ポジトロン核種投与直前に行い 投与後同じ位置でエミッション測定 (EMIS) を行う しかし 投与直後に EMISを行う必要がない場合 例えば 18 F-2-フルオロデオキシグルコース ( 18 F-FDG) を投与して アイソト プが十分に集積した後に静態画像のみを測定する場合,EMISの直前に TRAN が可能ならば両者の位置ずれによる吸収補正の誤差の影響 [29,34] を最小限に抑えられるばかりでなく PET カメラを有効に運用することも可能となる アイソト プを投与した後に TRAN を行い そこからエミッション成分を減算処理してトランスミッションデ タを求める方法 (psost-injectiontransmissionscan:pits) は トランスミッション測定時とエミッション測定時のアイソトープの体内分布が物理減衰を除けば等しいと仮定すると このような場合に有用な方法と言える [24 27] しかし 画像を減算処理することでノイズが増加し 適切な条件での測定が難しい 本章では post-injectiontransmission 法を臨床で実用化するにあり 測定条件の最適化を行なった結果と高画質なPET 画像を得るためsegmentation 法およびEmission/ Transmission 同時収集法につてい研究した結果をまとめた 2.2 Post-injectiontransmission 法の最適化 本節の目的ポジトロン核種投与後のTRANによる吸収補正法 (PITS) をファントムを使って行い 外部線源の強度 ファントム内放射能濃度及び計測時間と画像ノイズの関係を調べることにより 最もよい画像を得るための適切な計測条件を求めることができると期待される 方法計測には被写体として 20cm φの円筒型ファントムを用い ポジトロン核種はトランスミション用外部線源として 68 Ge ファントム封入用として 68 Ga 溶液を用いた PETカメラは島津社製 HEADTOME-IV[21,35](4 リング 7 スライス ) を使用し フィルタは Ramp と Butterworth をコンボリューションしたものを用い [35] カットオフ周波数は 26

28 2.2 Post-injectiontransmission 法の最適化 TRAN では 32mm,EMIS の再構成時は 8mm, フィルタ次数は共に 2 とた 尚 画像の評価には第 4 スライスを代表として用いた ファントム内にポジトロン核種を封入した後に行ったTRANからエミッション成分を差し引き 真のトランスミッション成分を求めるのは次式による lt 1 - e T=S - e 1 - e - l 1 - l t t 2 E ここで T は真のトランスミッション成分 Sはポジトロン核種を投与した後のエミション成分を含んだトランスミッションデ タ E はエミッションデ タである また tは TRAN 開始時刻と EMIS 開始時刻の差 τ 1 τ 2 はそれぞれトランスミッション エミッションの計測時間であり λは減衰定数である 尚 投与量及び外部線源強度は PET カメラのコンソール上でモニタ可能な第 4 スライスの計数率で表した 1) 投与量及び外部線源強度の影響円筒ファントム内に最高 15kcps 程度の計数率になるように調整した 68 Ga 溶液を封入した後 計測時間 360 秒または 720 秒で TRAN を行う その後続いて EMIS を同じ時間行い (1) 式より真のトランスミッションデ タを求めた この測定を同じ 68 Ge 外部線源に対し ファントム内部線源の減衰を待って放射能強度を変化させて繰り返す 更に 68 Ge 外部線源の強度の違うものに対して同様な測定を行い ファントム中心に 18cm φの関心領域 (ROI) をとり その ROI 内の PET 値の標準偏差と EMIS との計数率の関係を求める 2) 計測時間の配分による効果 TRANを開始してからEMISが終了するまでの時間を30 分と一定にし それぞれの計測時間の比を変えて その時の画像ノイズとの関係を調べる トランスミッションとエミッションの測定間隔は 6 分とし 計測時間はそれぞれ 18 分と 6 分 15 分と 9 分 12 分と 12 分 9 分と 15 分 6 分と 18 分の 5 通りとした また EMIS 開始時の計数率は 7kcps で 外部線源強度は 40.6kcps とした 結果 1) 投与量及び外部線源強度の影響 強さの異なる 68 Ge 外部線源に対して 68 Ga の投与量と画像ノイズの関係を Fig

29 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 Imagenoise:SD(%) external source activity (kcps in preinject in transmission scan) (A) Imagenoise:SD(%) (B) external source activity (kcps in preinject in transmission scan) Emission count rate (kcps) Emission count rate (kcps) Fig 強さの異なる 68 Ge 外部線源に対して 68 Ga の投与量と画像ノイズの関係 グラフの横軸はファントム内の EMIS 時の計数率 縦軸は ROI の標準偏差 (%) (A) は TRAN の計測時間 360 秒 (B) は TRAN の計測時間 720 秒のときのもの 画像ノイズが最小となる条件が存在する (a)12.5kcps (b)6.6kcps (c)0.9kcps Fig 直径 20cmの円筒ファントム画像 計測時間 720 秒 外部線源強度 42.2kcps で (a) (c) はそれぞれ EMIS の計数率が kcps 投与量の多い(a) はアーチファクトが生じ 投与量の少ない (c) は統計ノイズが多い に示す グラフの横軸はファントム内のEMIS 時の計数率 縦軸はROIの標準偏差 (%) であり Fig の (A) は TRAN の計測時間 360 秒 (B) は TRAN の計測時間 720 秒の時のものである また Fig は計測時間 720 秒 外部線源強度 42.2kcps で (a) (c) はそれぞれ EMIS の計数率が kcps の時の画像である Fig では投与量の多い (a) はアーチファクトが生じ 投与量の少ない (c) は統計ノイズが多い Fig. 28

30 2.2 Post-injectiontransmission 法の最適化 2.2.1,2.2.2より画像ノイズが最小となる条件が存在し さらに最小値は外部線源強度を強くし 計測時間を長くした方が小さくなることが分かる この曲線の最小値の時の EMIS の計数率を縦軸 アイソト プを投与しない場合の TRAN 時の計数率を横軸にしたグラフが Fig である 計測時間 360 秒 720 秒の場合共に直線で近似され 相関はそれぞれ r=0.992 r=0.944 であった 2) 計測時間の配分による効果 Fig は TRAN を開始してから EMIS が終了するまでの時間を 30 分と一定にした場合の計測時間比と前述の ROI の標準偏差の関係である ただし EMIS 開始時の計数率は 7kcps で 外部線源強度は 40.6kcps とした 一定の時間内であれば EMIS の計測時間を TRAN よりも長くした方が画像のノイズが減少する 考察今回の方法では 過度のアイソト プの投与はアーチファクトの原因となり 画像のノイズが増加することが明らかになった これは エミッションデータの値がトランスミッションデータに近い値になり 引き算の結果ノイズが増大しかつ吸収補正のときに分母が小さくなって特異点が生じやすいためと考えられる 外部線源強度および計測時間を変化さたときも同様な傾向が見られ その時の計測条件により画像ノイズを最小限にする投与量が決まる さらに 外部線源強度とこの最適な投与量の関係 (Fig.2.2.3) から 外部線源が変化してもアイソトープの最適投与量は推測可能である また 外部線源をより強くし且つ 計測時間をより長くしたときの方がこの最小値は小さくなりよりノイズの少ない画像が得られる しかし 外部線源を強くすると数え落としが増えるので その効果には限界がある 計測時間を長くすると被検者への負担が多くなり 実際の臨床では実用的な方法ではない そこで TRAN を開始して EMIS が終了するまでの時間を一定にし それぞれの計測時間の割合を変化させた結果 (Fig.2.2.4) から TRAN よりも EMIS の計測時間を長くした方が よりノイズの少ない画像が得られることが分かった 本節の結論アイソト プを投与した後にTRAN を行い そのデ タからエミッションデ タを減算処理して 真のトランスミッションデ タを求める方法では 外部線源の強度を強くし かつ投与量をあまり多くしないことがアーチファクトやノイズの少ない画像を得るための条件である 今回 ファントムによる実験であり この装置に限ったデータでは 29

31 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 10 Optimum injection dose expressed as emission count rate (kcps) y = x R = y = x R = Post-injection transmission scan time 720 sec 360 sec External source activity expressed as transmission count rate for cold phantom (kcps) Fig postinjection 法にあける 直径 20cm 円筒ファントムの画像ノイズが最小になるときの部線源強度と最適な投与量の関係 直線関係となる Image noise : SD(%) Ratio of scan time ( EMIS / TRAN ) Fig TRAN を開始してから EMIS が終了するまでの時間を 30 分と一定にした場合の計測時間比と ROI の標準偏差の関係 一定の時間内であれば EMIS の計測時間を TRAN よりも長くした方が画像のノイズが減少する 30

32 2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 あるが 外部線源の強度に応じた最適の投与量を推定することができた 今回の実験結果は 18 F-FDG 等の臨床に応用する場合の投与量を決める場合の目安となるものである PITS 法による吸収補正法は 18 F-FDG による糖代謝 PET 定性測定などにおいて有用な方法である [24-28] しかし この方法は共にノイズの多い再構成前の transmissio (TRAN) と emission(emis) のデータを差をとるため 再構成された画像は通常の方法で吸収補正されたものより 画像ノイズが増加することは避けられない 2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 本節の目的 RiddellらはTRAN 再構成画像をセグメンテーションすることによって 測定時間の短縮とノイズの軽減を可能にした [36] われわれは前節のPITSを使ったPET 画像のノイズを減少させる目的で PITSと画像セグメンテーションを組み合わせた方法 (segmented post-injectiontransmissionscan:spits) を開発し 従来法と比較 評価した 方法 PITS で得られた TRAN データから EMIS 成分を取り除いたサイノグラムを filtered backprojection(fbp) 法で再構成しトランスミッション画像 ( 吸収マップ ) とした その画像をピクセル値のヒストグラムを元に決められた閾値によって複数の領域にセグメンテーションし それぞれの組織タイプに応じた理論値の吸収係数を当てはめる その画像を投影しサイノグラムを作成し EMIS データの吸収補正に使用した SPITS 法 PITS 法それぞれによって得られた PET 画像を比較した 使用した PET カメラは島津製作所社製 HEADTOME-IV( 空間分解能 7mm スライ 68 ス厚 10mm 7スライス )[21,36] 吸収補正用 Ge 外部線源の放射能は MBq である 1) 円筒型ファントムによる実験内部に放射能濃度 5.2kBq/ml の 68 Ga 溶液を封入し ( バックグラウンド ) 直径 5cm の骨に見立てたテフロンと放射能濃度 16.5kBq/ml の 68 Ga 溶液を封入した領域 ( ホット ) 水の領域( コールド ) を持つ直径 20cm 長さ 20cm の円筒型ファントム (Fig (a)) を使用した 68 Ga 溶液を封入する前に 10 分間 TRAN を行い これによって得られた PET 画像を基準画像とした 68 Ga 溶液封入後 PITS を 4 分と 8 分行った PITS で 31

33 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 hot warm mediastinum right ventricle myocardium left ventricle 5cm 20cm 20 cm cold water Teflon 30 cm lung spinal(teflon) (a) Cylindrical phantom (b) Myocardial phantom Fig 円筒型ファントム (a) は直径 20cm で内部に直径 5cmのホット領域 コールド領域及びテフロンの領域を持つ 心臓ファントム (b) は 内部に肺野 脊椎 縦隔 心筋 左室及び右室の構造を持つ 得られたTRANのサイノグラムを画像再構成し ヒストグラムの閾値からテフロン 水 空気にセグメンテーションしそれぞれに吸収係数の理論値を当てはめた 吸収係数は テフロンμ Teflon =0.151cm -1 水 μ water =0.095cm -1 空気 μ air =0.000cm -1 とした PITS およびSPITSによって得られたTRANサイノグラムを使ってPET 画像を再構成し PET 画像の中心およびテフロン ホット部位 コールド部位に関心領域 (ROI) を設定した 通常の TRAN PITS SPITSによって得られた画像をそれぞれの ROI 内の平均値を用いて比較した 2) 心臓ファントムによる実験 PET カメラで心臓ファントムを測定した 心臓ファントムは心筋に 22.5kBq/ml 左室に 10kBq/ml 右室に 22kBq/ml 縦隔に 5.0kBq/ml の 68 Ga 水溶液を満たし コールド領域の肺野 ( 湿ったおが屑 ) と脊椎骨 ( テフロン ) を有する構造である (Fig (b)) 円筒型ファントムと同様に 68 Ga 溶液を封入する前に 10 分間 TRAN を行い これによって得られた PET 画像を基準画像とした 68 Ga 溶液封入後 PITS を 8 分行った 円筒型ファントムと同様にPITSで得られたTRANのサイノグラムを画像再構成し ヒストグラムの閾値からテフロン 水 肺野及び空気にセグメンテーションしそれぞれに吸収 32

34 2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 係数の理論値を当てはめた 吸収係数はテフロン 水 空気は円筒型ファントムと同じで 肺野はμ lung =0.035cm -1 とした TRAN PITS SPITS によって得られた画像を視覚的及び画像間相関で比較した 解析および比較は Fig.2.3.1(b) に示した断面のみについて行った 3) 脳 FDG 臨床データ通常のTRAN 測定を4 分間行い 18 F-FDGを投与し45 分後にEMISを測定した EMIS 測定後に PITS を 4 分間行い TRAN データを作成した 人の頭蓋骨は薄いため ポジトロン核種の放出する 511keV のγ 線で得られた TRAN の再構成画像は 軟部組織とのコントラストが低くヒストグラムから閾値で分けるのは難しい 従って頭部の吸収係数を水と等価と考えて水 μ tissue =0.095cm -1 とみなす ファントム実験と同様に PITS および SPITSによって得られたTRANサイノグラムを使ってPET 画像を再構成し 視覚的及び画像相関で比較した 4) 心臓 FDG 臨床データ脳 FDG 臨床測定と同様に通常の TRAN 測定を 4 分間行い 18 F-FDG を投与し 45 分後にEMISを測定した EMIS 測定後にPITSを4 分間行い TRANデータを作成した TRAN の再構成画像は 頭部の場合と同じ理由で脊椎骨を分けるのは困難であるため ヒストグラムによって軟部組織 肺野 空気及び寝台に分けた 軟部組織と肺野の吸収係数はそれぞれμ tissue =0.095cm -1,μ lung =0.035cm -1 とした 結果 1) 円筒型ファントムによる実験円筒型ファントム全体のヒストグラム ( 赤 ) とテフロン領域のヒストグラム ( 青 ) ヒストグラム上に閾値を設定しテフロン 水 空気の3つの領域に分けることができた (Fig.2.3.2) 4 分および8 分間測定したPITSの再構成画像をその3 領域にセグメンテーションした また 参考に8 分間測定の PITS の TRAN 画像を空気と水のみの 2 領域にセグメンテーションしたものも作成した (Fig 中段 ) SPITSによって得られたEMIS の画像のノイズは PITS によって得られた EMIS のノイズよりも 10 20% 減少し 通常のTRANによって得られた画像のノイズと同等であった (Fig 下段 ) SPITSによって得られた放射能画像は 通常のTRANで得られたものよりやや高い値を示した また 8 分間測定の SPITS で得られた TRAN 画像を水と空気の 2 領域にセグメンテーションし 33

35 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 Fig 円筒型ファントム全体のヒストグラム ( 赤 ) とテフロン領域のヒストグラム ( 青 ) ヒストグラム上に閾値を設定しテフロン 水 空気の3つの領域にセグメンテーションした pre-injection 10 min scan post-injection 4 min scan 8 min scan transmission segmentation emission Fig SPITS によって得られた EMIS の画像ノイズは PITS によって得られた EMISのそれよりも10 20% 減少し 通常のTRANによって得られた画像のノイズと同等であった SPITS によって得られた放射能画像は 通常の TRAN で得られたものより高い値を示した また 8 分間測定の SPITS で得られた TRAN 画像を水と空気の 2 領域にセグメンテーションした場合 テフロンの領域 ( コールド ) は過小評価され負の値になった 34

36 2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 Hot Cold Center Teflon PETvalue(MBq/ml) pre-injection post. 4min post. 4min 3segment post. 8min post. 8min 2segment post. 8min 3segment -500 Center Hot Cold Teflon ROI Fig 円筒型ファントムのROI 値 SPITSによって得られた放射能画像は 通常の TRAN で得られたものよりやや高い値を示した また 8 分間測定の SPITS で得られたTRAN 画像を水と空気の2 領域にセグメンテーションした場合 テフロンの領域 ( コールド ) は過小評価され負の値になった 空気 肺野 軟部組織 脊椎骨 Fig 心臓ファントムのヒストグラム 全体 ( 赤 ) 脊椎骨( ピンク ) 軟部組織( 橙 ) および肺野 ( 青 ) のヒストグラムから閾値を決定し それぞれの領域にセグメンテーションした た場合 テフロンの領域 ( コールド ) は過小評価され負の値になった (Fig.2.3.4) 2) 心臓ファントムによる実験 Fig に対象スライスでの心臓ファントム全体 ( 赤 ) 脊椎骨( ピンク ) 軟部組織 ( 橙 ) および肺野 ( 青 ) のヒストグラムを示す このヒストグラムから閾値を決定し それぞれの領域にセグメンテーションした (Fig 上段右 ) SPITS で得られた EMIS 35

37 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 の再構成画像のノイズは PITS によって得られたそれよりも減少し 通常の TRAN で得られた EMIS 画像との画像相関も改善された (Fig 中下段 ) しかし 画像相関の傾きは1より大きくなった 即ち通常のTRANと比較して画素値は大きくなり定量性が保たれなかった 3) 脳 FDG 臨床データ TRANデータはPITSのヒストグラムによって脳組織と空気の2 領域にセグメンテーションした (Fig 上段右 ) すなわち脳内のγ 線の吸収は均一と見なした SPITS 法によって得られた 18 F-FDG の脳画像は PITS 法で得られた画像よりもノイズが大幅 pre-injection post-injection post-injection + segmentation transmission emission correlation post-injection (MBq/ml) R=0.952 R=0.982 pre-injection (MBq/ml) pre-injection (MBq/ml) Fig Pre-injection 法 PITS 法 SPITS 法による心臓ファントム画像の比較 ヒストグラムから閾値を決定し それぞれの領域にセグメンテーションした ( 上段右 ) SPITSで得られたEMISの再構成画像のノイズは PITSによって得られたそれよりも減少し 通常の TRAN で得られた EMIS 画像との画像相関も改善された ( 中 下段 ) しかし 画像相関の傾きは 1 より大きくなった 即ち通常の TRAN と比較して画素値は大きくなり定量性が保たれなかった 36

38 2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 pre-injection post-injection post-injection + segmentation transmission emission correlation post-injection (MBq/ml) R=0.778 R=0.947 pre-injection (MBq/ml) pre-injection (MBq/ml) Fig Pre-injection 法 PITS 法 SPITS 法による 18 F-FDG 脳画像の比較 PITS 法で得られた画像よりもノイズが減少した ( 中段 ) 通常の TRAN で得られた 18 F-FDG 脳画像との相関係数は PITS の場合の から に改善された ( 下段 ) に減少した 通常の TRAN で得られた 18 F-FDG 脳画像との相関係数は PITS の場合の から に改善された (Fig.2.3.7) 4) 心臓 FDG 臨床データ Fig に対象スライスでの軟部組織 ( 青 ) 寝台( 橙 ) および肺野 ( 青 ) のヒストグラムを示す 寝台部分の上部 ( 身体に接する部分 ) はジェル状のマットを使用しており 吸収係数は軟部組織と肺野のそれから補間して求め μ bed =0.065cm -1 とした このヒストグラムから閾値を決定し それぞれの領域にセグメンテーションした 寝台部分の下の方はカーボングラファイト製で肺野の吸収係数とほぼ等しい値となったため 同じセグメントに属した (Fig 上段右 ) SPITS 法によって得られた 18 F-FDGによる 37

39 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 心臓の EMIS 画像は PITS 法で得られた画像よりもノイズが減少した 通常の TRAN で 得られた画像相関係数は PITS の場合の から に改善された しかし 定量 性は PITS よりも僅かに劣った 考察全ての結果でSPITSによって得られたEMIS 画像は PITSの場合と比較して画像ノイズを減少させることができ 通常の TRAN と同程度の画質を得られた ファントム実験では 人の骨を模したテフロンについてもセグメンテーションが可能であったが 実際の臨床データでは 脳および心臓いずれの場合もPITSのノイズレベルが高く 骨の部分をヒストグラムから識別することはできなかった しかし 脳 PET 測定の場合 吸収係数を均一な値で補正することは実用上問題はなく 有用な方法であると考える (Fig 右 ) 胸部( 心臓 ) の臨床では SPITS による EMIS 画像は 通常の TRAN による方法と比較して過大評価された この測定に使用したポジトロン CT 装 空気 肺野 寝台 軟部組織 Fig 軟部組織 ( 青 ) 寝台( 橙 ) および肺野 ( 青 ) のヒストグラム 寝台部分にはジェル状のマットを使用しており 吸収係数は軟部組織と肺野のそれから補間して求め μ bed = 0.065cm -1 とした 38

40 2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善 pre-injection post-injection post-injection + segmentation transmission emission correlation post-injection (MBq/ml) R=0.955 R=0.967 pre-injection (MBq/ml) pre-injection (MBq/ml) Fig Pre-injection 法 PITS 法 SPITS 法による 18 F-FDG の心臓画像の比較 ヒストグラムから閾値を決定し それぞれの領域にセグメンテーションした 寝台部分の下の方はカーボングラファイト製で肺野の吸収係数とほぼ等しい値となったため 同じセグメントに属した ( 上段右 ) SPITS 法によって得られた 18 F-FDGによる心臓のEMIS 画像は PITS 法で得られた画像よりもノイズが減少した 通常のTRANで得られた画像相関係数は PITS の場合の から に改善された しかし 定量性は PITS よりも僅かに劣った 置は EMIS の散乱線と TRAN の散乱線が相殺されると考え それに対する補正は行っていない SPITS によって TRAN の散乱成分は除去され 結果として EMIS の散乱成分のみが残り再構成画像の定量性に影響していると考えられる 定量性の向上のためには 散乱補正が必要であると考える 本節の結論 Post-injectiontransmissionscan の再構成画像を軟部組織や肺野にセグメンテーショ 39

41 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 ンし 既知の値の吸収係数に置き換えてforward-projectionし吸収補正用のデータとして使用した これによって得られたEMISの再構成画像は ノイズがセグメンテーションしないpost-injectiontransmissionscanと比較して画像が減少させることができた しかし 散乱線の補正などによる定量性の向上が必要である 2.4 Emission/Transmission 同時収集法を応用した吸収補正 本節の目的 2.1でpost-injectiontransmissionscan(PITS)[24,25,28] 2.2でsegmentedpost- injectiontransmissionscan(spits) によるポジトロンCT の吸収補正法について それらの開発 応用及び評価結果について述べた PITSは 18 F-FDGの被検者の負担を軽減する方法として有用であったが ノイズの増加が避けられず ノイズを減少させるために測定時間を長くする必要があった そのため 定性測定の検査時間の短縮とスループットの向上には結びつかなかった SPITS による吸収補正はノイズの増加を抑えることができ 検査時間の短縮とスループットの向上に有用であった 特に 18 F-FDGの脳 PET 測定では 定量性も保たれた これまでのPET 測定は 2 次元収集専用の装置 ( 島津製作所 HEADTOME-IV[21,36]) を使用してきたが 現在使用しているポジトロン CT 装置 HEADTOME-V[37] では 3 次元収集が可能となり ( 第 1 章参照 ) 感度がおよそ8 倍 スライス厚さも6.5mmから3.1 mm と薄くなった そのため 少ない放射性薬剤の投与で高画質の PET 画像が得られるようになった 更に emissionscan(emis) と transmissionscan(tran) を同時 68 に測定することが可能である [27,38] 放射性薬剤を投与後 吸収補正用 Ge 線状線源を被検者の周りを回転しながらデータを収集するとき 線源の位置によって予め用意された EMIS 用と TRAN 用のマスクパターンでマスクし それぞれのデータを専用メモリに格納する (Fig.2.4.1) この同時収集法の最大の利点は TRAN と EMIS の位置が完全に一致し 位置ずれによる誤差やアーチファクト [29,34,39,40,41] が発生しないことである ただし この方法は 2 次元収集に限られ マスク処理により通常の TRAN の方法と比較して感度は 60% 程度に低下してしまう そのため 通常の TRAN の場合と同程度の画質を維持するためには 測定時間を長くする必要があり検査時間の短縮にはならず 検査スループットの向上は期待できない 40

42 2.4 Emissiontransmission 同時収集法を応用した吸収補正 68 Ge 線状線源 被検体 A γ 線 γ 線 S 陽電子消滅 B 68 Fig Emission/transmission 同時収集法の原理 (a) 吸収補正用 Ge 線状線源を被検者の周りを回転しながらデータを収集する (b) 同時収集されたサイノグラム (c) マスク処理されたEMISサイノグラム (d) マスク処理されたTRANサイノグラム そこで われわれは高画質を維持しながら測定時間を短縮し 検査のスループットを 向上させるために 3 次元収集による EMIS と EMIS/TRAN 同時収集法を組み合わせる PET 検査法を開発し 脳 PET 検査へ応用した 方法 EMIS/TRAN 同時収集で得られたrawデータは それぞれ別のメモリに保存されるが EMIS には TRAN 成分 TRAN には EMIS 成分が含まれるため 次式で分離する Ti =To Eo f St/Se Et =Sn/Se Eo ここで TiとEtはそれぞれTRANとEMISの分離後の推定値 ToとEoはそれぞれTRAN と EMIS の測定値である また Sn はノーマライズ ( 第 1 章参照 ) 用マスクパターンの軌跡 St Se はそれぞれ TRAN 用と EMIS 用のマスクパターンの軌跡を表す f は EMIS にかかるバイアスを補正するための係数である 今回の方法では Tiのみを使用し Etは使用しない 同時収集の前または後に 3 次元収集した EMIS データに Ti を用いて吸収補正を行った (Fig.2.4.2) 41

43 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 2D Emission + Transmission 方法 2D Emission Transmission 吸収補正 ( 不使用 ) 3D Emission FORE + FBP 再構成画像 Fig データ処理の流れ 3 次元 EMISの前または後にEMIS/TRAN 同時収集し 分離した TRAN データを使って吸収補正を行う この方法についてファントム実験を行い 18 F-FDG および 11 C-Methionine の脳 PET 測定に適用し 結果を評価した 1) ファントム実験直径 20cm( 長さ 20cm) 内に 3 個の 5cm φの小領域を持つ円筒型ファントムを使用した (Fig.3.2.4) 最初に TRAN 測定を 分間測定し 次にファントム内に 68 Ga 溶液を封入して EMIS/TRAN 同時収集を 分間測定した 最後に EMIS を 6 分間 3 次元収集で測定した EMIS 開始時のファントム内の放射能濃度は 0.9kBq/ml ホット領域で 2.1kBq/ml であった EMIS データは Fourierrebinning hot warm 20cm 5cm cold water Teflon(cold) Fig 内部に 5cm φのホット領域とコールド領域を持つ円筒型ファントム 42

44 2.4 Emissiontransmission 同時収集法を応用した吸収補正 (FORE) 法 [42,43] で近似的に2 次元データに変換し 68 Gaの減衰補正をEMISの測定開始時にあわせ filteredbackprojection(fbp) アルゴリズムで再構成した ファントムの中心およびホット領域 コールド領域に関心領域 (ROI) を設定してそれぞれの平均値を比較した 2) 18 F-FDG 脳 PET 18 F-FDGを標準的な投与量 99.4MBqとその約半分の42.4MBqを投与した症例について検討した 18 F-FDG を投与する前に通常の方法で TRAN を 8 分間測定し 18 F-FDG 投 18 与後約 35 分後に EMIS/TRAN 同時収集を5 分間行った その後 F-FDG 投与 45 後から EMIS を 6 分間 3 次元収集した FDG 投与時刻に 18 F の減衰補正をし その他はファントムの場合と同じ方法で画像再構成した 同一の EMIS データを通常の TRAN と EMIS/ TRAN 同時収集で得られた 2 種類の TRAN で吸収補正した再構成画像を作成した この 2 種類のの PET 画像をピクセル単位で正の画素値について相関図を作成し比較した また 両者の差分画像を求め位置のズレを検討した 3) 11 C-methionine 脳 PET 11 C-methionine を 338MBq 投与した症例について FDG の場合と同様な方法で検討した ただし EMIS 測定は methionine 投与後 20 分から 3 分間の 3 次元収集を行い EMIS/TRAN 同時測定はその後で行った 結果 1) ファントム実験通常のTRANによる再構成画像とEMIS/TRAN 同時収集による再構成画像を比較すると視覚的には差は無く ROIの値を比較しても大きな差は見られなかった (Fig.2.4.4) 10 分間の通常の TRAN による EMIS 画像を基準とした場合の EMIS/TRAN 同時収集の ROI 値の比は ファントム中心およびホット領域では誤差は4% 以内に収まっており定量性は充分保たれていた (Table2.4.1) 2) 18 F-FDG 脳 PET 18 F-FDG を 99.4MBq および 42.4MBq を投与した症例何れの場合も通常の TRAN と EMIS/TRAN 同時収集による再構成画像は 視覚的に差はなく (Fig.2.4.5,6(A),(B)) ピクセル単位での相関も相関係数がそれぞれ と と高い直線性を示し 回帰直線の傾きもそれぞれ0.96と1.04と1に近い値を示した (Fig.2.4.5,6 左下 ) しかし 43

45 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 (A) (B) PET (Bq/ml) PET (Bq/ml) Center Hot Cold TRAN scan time (min) EMIS/TRAN scan time (min) Fig Emission/transmission 同時収集法ファントム実験の画像と ROI の値 (A) 通常のTRANによる再構成画像 (B)EMIS/TRAN 同時収集による再構成画像 通常の TRAN による再構成画像と ROI の値を比較しても大きな差は見られなかった Table2.3.1 ROI 値と基準画像に対する比 Counts Ratio(vs.Reference) Center Hot Cold CenterHotCold Reference 6553± ± ± 1309 E+T2min E+T4min E+T6min E+T8min E+T10min 6285± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±

46 2.4 Emissiontransmission 同時収集法を応用した吸収補正 両者の差の画像は均一にならず 頭部周辺に位置のズレによる誤差が見られた (Fig ,6 右下 ) 3) 11 C-methionine 脳 PET 18 F-FDGの場合と同様に通常のTRANとEMIS/TRAN 同時収集による再構成画像は 視覚的に差は見られず (Fig.2.4.7(A),(B)) ピクセル単位の相関も相関係数 と良好であった (Fig 左下 ) 回帰直線の傾きも 1.01 とほぼ 1 に等しく定量性も良好であった しかし 位置ズレによる誤差が頭部の周辺で見られた (Fig 右下 ) 考察ファントム実験の結果では EMIS/TRAN 同時収集による吸収補正法は通常のTRAN による方法と差はなく 良好な定量性を示した ただし TRAN を極端に短時間測定にすると定量性が損なわれる可能性がある (Fig.2.4.4,Table2.4.1) 18 F-FDGによる脳 PET 測定では 標準的な投与量の場合だけではなく その半分程度の投与量の場合でも通常の TRAN と同等な画像が得られた しかし 両者の差の画像を作成すると 必ずしも均一にはならず 頭部周辺に位置ズレによる誤差が見られた 通常の TRAN による方法では FDG を投与する前に測定する必要があり EMIS 開始までに45 分間時間がある この間 PET 装置を一人の被検者が占有するのは合理的ではないため 頭部に印を付けて一度外に出して他の被検者を同様に検査する EMISの時再び位置をあわせるために TRAN と EMIS の位置ズレが生じやすい これに対し EMIS/TRAN 同時収集による吸収補正法は EMISと連続して測定するため位置ズレによる誤差が生じにくい 現在使用している PET 装置は 2 次元収集モードと 3 次元収集モードを切り替えるために2 3 分の時間が必要となり 結局一人あたりの検査時間の合計は通常の方法とほとんど変わらない しかし TRAN と EMIS の位置ズレによる誤差が生じにくいという利点と検査の手順の簡素化のためには非常に有用な方法であると考えられる 11 C-Methionine による測定でも同様に EMIS/TRAN 同時測定による吸収補正法は実用になるが 放射性薬剤投与からEMIS 開始まで20 分であるため FDGよりも合理的な PET 装置の運用法としては期待できない しかし 体の不自由な被検者には大変有用な方法であり 実用性が高いといえる また ドーパミン受容体を測定するような放射性薬剤投与から測定開始まで40 70 分と比較的長い時間が必要なPET 検査に応用可能な方法である 45

47 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 18 F-FDG 99.4MBq, Emission scan time : 6 min Conventional transmission (8min) Simultaneous transmission (8min) (A) (Bq/ml)/(Bq/g) 10 y = 0.96 x r = (B) (B) - (A) conventional (Bq/ml)/(Bq/g) transmission Bq/ml Bq/g 8 0 Bq/ml Bq/g Fig 標準的な量 (99.4MBq) を投与した 18 F-FDGのPET 画像 (A) 通常のTRANによる脳 PET 画像 (B)EMIS/ TRAN 同時収集による脳 PET 画像 両者のピクセル単位の相関図 ( 左下 ) と差の画像 ( 右下 ) 視覚的には差が無く 高い相関を示したが 位置ズレによる誤差が見られた (A) 18 F-FDG 42.4MBq, Emission scan time : 12 min Conventional transmission (8min) (Bq/ml)/(Bq/g) 10 y = 1.04 x r = (B) (B) - (A) conventional (Bq/ml)/(Bq/g) transmission Simultaneous transmission (4min) Bq/ml Bq/g 8 0 Bq/ml Bq/g Fig 通常の約半分の量 (42.4MBq) を投与した 18 F-FDGのPET 画像 (A) 通常の TRAN による脳 PET 画像 (B) EMIS/TRAN 同時収集による脳 PET 画像 標準的な投与量の場合と同様に視覚的には差が無く 高い相関を示したが ( 左下 ) 位置ズレによる誤差が見られた ( 右下 ) 46

48 2.4 Emissiontransmission 同時収集法を応用した吸収補正 11 C-Methionine 338MBq, Emission scan time : 3 min (A) Conventional transmission (8min) (B) Simultaneous transmission (4min) Bq/ml Bq/g 8 0 (Bq/ml)/(Bq/g) 10 simultaneous transmission y = 1.01 x r = (B) - (A) conventional (Bq/ml)/(Bq/g) transmission Bq/ml Bq/g Fig C-Methonie の臨床画像 18 F-FDG の場合と同様に通常の TRAN と EMIS/TRAN 同時収集による再構成画像は 視覚的に差は見られず ピクセル単位の相関も相関係数 と良好で 回帰直線の傾きも 1.01 と定量性も良好だった しかし 位置ズレによる誤差が頭部の周辺で見られた 本節の結論 EMIS/TRAN 同時収集による吸収補正法は TRAN と EMIS の位置ズレによる誤差が生じにくく 定量性にも優れ 18 F-FDG および 11 C-Methionine による脳 PET 測定では有用な方法である 特にFDG 定性測定では 検査スループットの向上が期待される また 他の放射性薬剤を用いた PET 検査にも応用できる 2.5 本章のまとめ Post-injectiontransmission 法による吸収補正法は transmission と emission の位置ズレによる誤差が生じにくく かつ検査スループットの向上が期待でき 18 F-FDGによる糖代謝 PET 定性測定などにおいて有用な方法である しかし 通常のtransmission 法によるPET 画像と比較してノイズが増加した 軟部組織や肺野にセグメンテーションした segmentedpost-injectiontransmissionscan は PET 画像のノイズを減少させる 47

49 第 2 章 Post-injectiontransmission 法による吸収補正 ことができたが 定量性に問題があった Emission/transmission 同時収集による吸収 補正法は 検査効率が向上し定量性にも優れた方法である 48

50 第 3 章 逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較

51 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 3.1 はじめに Filteredbackprojection(FBP)は 核医学分野に置いて最もよく使われている画像再構成法であるが 画像ノイズが多くstreakartifactも発生しやすい maximumlikelihood-expectationmaximization(ml-em) アルゴリズム [44] に代表される逐次近似法はアーチファクトを減少させることができ FBP と比較して小領域の検出能力に優れているが [45] 再構成に時間がかかり広く普及されるには至らなかった 近年 ordered subsetexpectationmaximization(os-em) 法 [5] が開発され 比較的短時間で再構成できるようになった ( 第 1 章参照 ) OS-EM アルゴリズムでは サブセット数と繰り返し回数が再構成画像のピクセル値とノイズ特性に影響を与え 更にノイズは局所放射能濃度に依存する [46-48] 本章では ポジトロン CT における OS-EM 画像再構成アルゴリズムの有用性を検討した 3.2 OS-EM と FBP による再構成画像の評価 目的この節では デジタルファントム (Noise- Noise+) 及び 18 F-FDG の臨床データを FBP と OS-EM アルゴリズムで再構成し 両者の画像を比較した 方法 1) 均一デジタルファントム 20cm φ 均一デジタルファントム (PET 値 512,256,128,64,32,16) を forwardprojection し ノイズを加えないものとカウントに応じて 20%(512),28%(256),40%(128),57%(64),80%(32),112%(16)) のノイズを加えたサイノグラムを作成する そのサイノグラムをGaussianfilter(FBP:FWHM=9mm,OS-EM:FWHM=8mm) でスムージングし FBP と OS-EM(16subsets 2,4,6,8iteration) で再構成する ファントム中心に 19cm φの ROI を設定し 平均値と SD(%) を比較した 2) 分解能測定用ファントム Hotspot(6mm φ,5mm φ,4mm φ,3.5mm φ,3mm φ,2.5mm φ) を有する直径 20cmの分解能測定用ファントムを総計数 2.7Mカウントと0.1Mカウントについて測定し 1) と同じ条件で再構成する それらの画像をプロフィル曲線で比較した 3) 脳デジタルファントム 50

52 3.2 OS-EM と FBP による再構成画像の評価 (a) (b) counts (x10 4 ) blood gray matter white matter time after injection (sec) Fig フレームのダイナミックスキャン (18 frame:30sec 2frame,60sec 4frame,120sec 4frame,240sec 8frame) を模したデジタル脳ファントム 灰白質 白質及び脳室の構造 (a) と 実際の脳をシミュレートした時間放射能曲線を有する (b) 人に 18 F-FDG を投与して PET カメラでダイナミック測定 (18framedynamicscan :18frame:30sec 2frame,60sec 4frame,120sec 4frame,240sec 8 frame) をシミュレートした 脳デジタルファントム (Fig.3.2.1) をforwardprojection し2 種類の sinogram(noise-,noise+) をつくる OS-EM の繰り返し回数は4とし それ以外は1) と同じ条件で再構成する 画像を画素単位で相関を取り比較した 4) 18 F-FDG 臨床 45min 18 F-FDG のダイナミック測定 (18frame:30sec 2frame,60sec 4 frame,120sec 4frame,240sec 8frame)2 例 (223MBq と 165MBq 投与 ) のデータに対して 3) と同様に再構成し画像を画素単位で相関を取って比較した 臨床データは PET カメラ島津製作所 HEADTOMEIV[21-36] で測定し 画像再構成は UNIX ワークステーション SGIO2(IRIX6.3) 及び Indy(IRIX6.2) を用いた 結果 1) 均一デジタルファントムノイズのないデジタルファントムでは FBPとOS-EMで再構成画像に差はなかった ノイズを付加した場合 FBPはファントムの周囲に放射状のアーチファクトが生じたが 51

53 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 Original FBP OS-EM noisenoise+ FBP OS-EM OS-EM : 16subsets, 4iteration Fig デジタルユニフォームファントム ノイズのないデジタルファントムでは FBP と OS-EM で再構成画像に差はなかった ノイズを付加した場合 FBP はファントムの周囲に放射状のアーチファクトが生じたが OS-EMではこのようなアーチファクトは発生しない OS-EMではこのようなアーチファクトは発生しない (Fig.3.2.2) ROI 内の平均値はノイズを加えない場合 FBP でも OS-EM の繰り返しを変化させた場合でも真値とのずれは0.3% 以内であり ノイズを付加した場合でもROI 内の平均値はFBP OS-EM 共に真値とのずれは 2% 以内であった (Fig.3.2.3(a)) ROI 内の標準偏差は OS-EM のノイズが無い場合ファントムの値が 32 以上であればほぼ一定で 繰り返しが 8 の場合でも 2% 程度であったが ノイズを付加した場合は与えたノイズの大きさに応じて大きくなり OS-EMで繰り返し数 4( サブセット16) の時 FBPとほぼ同程度の値となった (Fig (b)) 2) 分解能測定用ファントム 52

54 3.2 OS-EM と FBP による再構成画像の評価 (a)meanvalue Recon / True FBP OSEMitr2 OSEMitr4 OSEMitr6 OSEMitr8 noise- Recon / True noise+ FBP OSEMitr2 OSEMitr4 OSEMitr6 OSEMitr True True (b)sd(%) SD(%) FBP OSEMitr2 OSEMitr4 OSEMitr6 OSEMitr8 noise- SD(%) FBP OSEMitr2 OSEMitr4 OSEMitr6 OSEMitr8 noise True True Fig cm φ 円形 ROI 内の平均値 ノイズを加えない場合 FBP でも OS-EM の繰り返しを変化させた場合でも真値とのずれは0.3% 以内であり ノイズを付加した場合でも ROI 内の平均値は FBP OS-EM 共に真値とのずれは 2% 以内であった OS-EMアルゴリズムは サブセット数と繰り返し回数によって画質 ( 分解能とノイズレベル ) が変化する データのトータルカウント と充分に多い場合 FBP およびOS-EMどちらの方法で再構成しても良好な画質が得られた OS-EMでは繰り返し回数が少ない場合 再構成画像の分解能が低下し 部分容積効果によって高濃度値が低下した OS-EM の画質は繰り返し回数 4 程度で FBP と同程度になった (Fig.3.2.4) 一方 程度の少ないトータルカウントの場合 OS-EM ではファントム外のアーチファクトが少ないため 視覚的には見やすい画像と言うことができるが 実際の画質は FBP の場合と比較しても飛躍的な改善は見られなかった (Fig.3.2.5) 3) 脳デジタルファントム 53

55 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 FBP OS-EM itr=2 itr=4 itr=6 itr=8 PET value FBP OSEM itr2 OSEM itr4 OSEM itr6 OSEM itr8 2.7Mcounts Fig 分解能ファントム pixels FBP OS-EM itr=2 itr=4 itr=6 itr=8 PET value FBP OSEM itr2 OSEM itr4 OSEM itr6 OSEM itr8 0.1Mcounts Fig 分解能ファントム pixels 54

56 3.2 OS-EM と FBP による再構成画像の評価 noise free 20% noise (a) Frame #2 (b) Frame #18 (c) Frame #2 (d) Frame #18 45sec post inj. 2581sec post inj. 45sec post inj. 2581sec post inj. FBP OS-EM Correlation OS-EM(kBq/ml) 0 0 r = r = r = FBP(kBq/ml) 10 0 FBP(kBq/ml) 20 0 FBP(kBq/ml) r = FBP(kBq/ml) 20 Fig 脳デジタルファントム再構成画像と画素相関 ノイズがない場合 FBPと OS-EM による再構成画像の相関係数はカウントが低い場合で で (a) 多い場合 0.973(b) だった ノイズを付加したカウントが少ない場合は低い相関を示した (c) が カウントが多い場合相関係数 とよく一致した (d) ノイズがない場合 FBP と OS-EM による再構成画像はよく一致し 画素ごとの相関係数はカウントが多い場合 で (Fig.3.2.6(b)) 少ない場合でも であった (Fig.3.2.6(a)) ノイズを付加した場合でもカウントが多い場合 FBP と OS-EM の画像は相関係数 とよく一致したが (Fig.3.2.6(d)) カウントが少ない場合( ダイナミック測定の初期フレーム ) は FBP と OS-EM では低い相関を示した (Fig.3.2.6(c)) 4) 18 F-FDG 臨床 Case1は 18 F-FDGを223MBq 投与したもので 高カウントのフレームではFBPとOS- EM 画像は良い相関 ( 相関係数 0.955) を示したが 低カウントのフレームでは画素単位の相関図は広がりを持ち 相関係数も とやや下がった (Fig.3.2.7) 55

57 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 Case2 は 18 F-FDG を Case1 より少ない 165MBq 投与したもので Case1 よりもカウントが低く相関係数は小さくなったが 傾向は Case1 の場合と同様であった (Fig ) 考察ノイズのないデジタルファントムでは FBPとOS-EMで再構成画像に差はなかった OS-EMではサブセットと繰り返し回数の選び方で画質が変化するが われわれの処理条件では OS-EM はサブセット数 16, 繰り返し回数 4で FBP とほぼ同じノイズレベルとなった (Fig.3.2.3) ノイズを付加したファントムと臨床データでは 高カウント領域では FBP と OS-EM の画像を画素単位で比較した場合 比較的良好な相関を示したが 低カウントの領域では相関図の幅が広がり 直線性も劣化した (Fig ) この理由は 低カウント領域では画像のノイズ成分が多く含まれ FBP と OS-EM では再構成アルゴリズムの違いのためにノイズの性質が異なるためと考えられる この程度の違いはポジトロンCTでの定性測定では問題にならないと考えられるが 定量測定の場合は定量値に差が現れることも考えられる 本節の結論ノイズを付加しないデジタルファントムのシミュレーションでは FBP と OS-EM での再構成画像は殆ど差は見られなかった このことは 再構成アルゴリズムによってポジトロンCTの画像には違いが現れないことを示している しかし ノイズが付加されることにより FBPとOS-EMの低放射能領域で再構成画像に違いが見られた OS-EMの場合 サブセットと繰り返し回数の組合せによって画質が変化し ノイズの性質も異なるため低カウント領域でFBPによる画像との相関は 高カウント領域と比較して劣った 定量性が必要な測定では影響が出ることも考えられる 3.3 OS-EM と FBP によるパラメトリック画像の評価 目的 18 Sokoloffらによって開発された3パラメータ コンパートメントモデル [49] は 脳 F- FDGダイナミック測定での動体解析に広く利用されている ピクセル単位で計算された速度定数は パラメトリック画像として視覚化される [50] 速度定数は最小自乗法で評価されるのでノイズ特性の影響を受けやすく 誤差やバイアスの影響を引き起こす原因に 56

58 3.3 OS-EM と FBP によるパラメトリック画像の評価 (a) Frame #6 270sec post inj. (b) Frame #10 720sec post inj. (c) Frame # sec post inj. FBP OS-EM Correlation OS-EM(kBq/ml) OS-EM(kBq/ml) r = r = r = FBP(kBq/ml) 20 0 FBP(kBq/ml) 30 0 FBP(kBq/ml) 40 Fig Case1: 18 F-FDG を 223MBq 投与したダイナミック測定 高カウントのフレームでは良い相関を示した OS-EM(kBq/ml) (a) Frame #6 270sec post inj. (b) Frame #10 720sec post inj. (c) Frame # sec post inj. FBP OS-EM Correlation Fig OS-EM(kBq/ml) 0 0 r = FBP(kBq/ml) 10 OS-EM(kBq/ml) 0 0 Case2: 18 F-FDG165MBq 投与 Case1 と同様な傾向を示した 57 r = FBP(kBq/ml) 15 OS-EM(kBq/ml) 0 0 r = FBP(kBq/ml) 20

59 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 なる 本節では OS-EMアルゴリズムで画像再構成した 18 F-FDGPETダイナミック測定を動態解析してパラメトリック画像 (K 1,k 2,k 3 ) を計算し FBP で再構成したものと比較した 方法 1) デジタル脳ファントムわれわれは 18フレーム (30secx2frames,60secx4frames,120secx4frames, 240secx8frames) を有する 18 F-FDG ダイナミック測定を模したデジタルファントムを使用した [51] このデジタルファントムは既知の速度定数( 灰白質 :K 1 =0.102min - 1,k 2 =0.130min -1,k 3 =0.062min -1, 白質 :K 1 =0.054min -1,k 2 =0.109min -1,k 3 = 0.042min -1 ) を持つ (Fig.3.3.1) このデジタルファントムをフォワードプロジェクションし 2 種類のサイノグラムを作成した 一つはノイズフリーである もう一つは典型的な臨床データと等価となるように ( 最終フレームにおいて20% のノイズ ) トータルカウントに応じた統計ノイズを加えたものである それらのサイノグラムからFBPとOS- EM によって再構成画像を作成する F B P による再構成ではサイノグラムを FWHM=8mmのGaussianフィルタでスムージングし 逆投影の前にShepp&Locanフィルタをコンボリューションした OS-EMアルゴリズムでは サブセット数と繰り返し回数が再構成画像のピクセル値とノイズ特性に影響を与え 更にノイズは局所放射能濃度に依存する [46-48] サブセット数と繰り返し回数はサイノグラムのノイズレベル即ちトータルカウントから決定されるべきであるが フレームごとに異なる数にするのは現実的ではない この研究の目的は FBP と OS-EM によって作られたパラメトリック画像を比較することであるから OS- EM の繰り返し数とサブセット数は 視覚的に再構成画像の画質とノイズが FBP によるそれと同等になるように決定した この研究ではOS-EMの全てのフレームに対し 繰り返し数を 6 サブセットを 16 と決定した 更に われわれは逐次近似法の不安定性を取り除くために sieves の方法 [52] を適用した それぞれの再構成画像はプロファイル曲線によって視覚的に確認した 次にMarquardtアルゴリズムを用いた重み付き最小自乗法 [53] でピクセルことに K 1 k 2 k 3 画像を計算し OS-EM と FBPによる画像を相関で比較した そのプロットを幾何平均回帰によってフィッティングし 次式によって傾き 58

60 3.3 OS-EM と FBP によるパラメトリック画像の評価 (a) counts (x10 4 ) (b) blood gray matter white matter time after injection (sec) 18 Fig F-FDG ダイナミック測定デジタ (a) 既知の速度定数 ( 灰白質 :K 1 = 0.102min -1,k 2 =0.130min -1,k 3 =0.062min -1, 白質 :K 1 =0.054min -1,k 2 =0.109 min -1,k 3 =0.042min -1 ) を持つ 18 F-FDGデジタルファントム (b) 血液 ( プラズマ ) と組織の時間放射能曲線 v X Y と Y 切片 a v を求めた Â Â ( y - y) n XY = ± ( x - x) 2 2 a = y - nx n ここで xとyはfbpとos-emによって得られた再構成画像またはパラメトリック画像のピクセル値で x と yはそれぞれxとyの平均値である 負及びゼロの値は解析から除外した 次に次式によってノーマライズされた平均自乗根 (RMS norm ) を計算した Â 2 ( Eji, -Cji, ) /( f -3) RMS norm j = 100 E j,max RMS norm = RMSnorm j ここで E j,i は i 番目のフレーム j 番目のピクセルで観測された PET 値である C j,i は i 番 目のフレーム j 番目のピクセルでフィッティングされた値である E j,max は全フレーム中 の j 番目のピクセルに対する最高値である f はフレーム数 RMS norm は全ピクセルに対す 59

61 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 る RMS normj の平均である RMS norm はフィッティング誤差を表す 部分容積効果による影響を最小限にするために これらの画像の灰白質と白質上に10 個の小さな正方形の関心領域 (ROI) を設定した (Fig.3.3.2) ROI gray と ROI white はそれぞれ 98 ピクセルと 103 ピクセルが含まれる それぞれの ROI のk 値の平均と標準偏差 (SD) を評価した 全てのデータは UNIX ワークステーション SGIO2 で処理した 2) 臨床データ 2 次元 PET スキャナ ( 島津製作所 HEADTOME-IV)[35,54] を用いて 臨床 5 症例に対し 45 分の 18 F-FDG ダイナミック測定を行った 測定条件は 18 フレーム (30 秒 2 フレーム 60 秒 4 フレーム 120 秒 4 フレーム 240 秒 8 フレーム ) で 測定開始時の 18 F-FDG 投与量は MBq である 吸収補正のためのトランスミッション測定を 18 F-FDG 投与前に 68 Ge- 68 Ga 線状線源を被検者の周りに回転させて行った 全てのエミッションデータはデジタル脳ファントムと同じ条件でスムージングし FBP および OS-EM で再構成した OS-EM と FBP の画像を比較するため K 1 k 2 k 3 画像を同じ方法で計算した 結果 1) デジタル脳ファントム Fig は OS-EM と FBP で再構成したノイズ無とノイズ有のデジタル脳ファントム画像のプロファイル曲線を示す 再構成された値は部分容積効果のために 真値よりも灰白質では低く 白質では高くなる OS-EMのプロファイル曲線は ノイズの無いデジタル脳ファントムの場合 OS-EMとFBPは初期画像 終期画像共にFBPと同じであった (Fig.3.3.3(b),(c)) しかし ノイズを付加したファントムでは OS-EMのプロファイル曲線は FBP のそれと異なった (Fig.3.3.3(d),(e)) Fig デジタルファントム上の関心領域 (ROI) 灰白質と白質上に 10 個の小さな正方形の ROI を設定した ROI gray と ROI white はそれぞれ 98 ピクセルと 103 ピクセルが含まれる 60

62 3.3 OS-EM と FBP によるパラメトリック画像の評価 FBP と OS-EM によって再構成されたノイズの無いデジタル脳ファントムは 全フ レームで非常によく一致しており その相関係数は であった (Fig.3.3.4(a)) FBP と OS-EM のパラメトリック画像も非常によく一致し 相関係数はそれぞれ 0.971(K 1 ) 0.987(k 2 ) 0.988(k 3 ) であった (Fig.3.3.4(b),(c),(d)) ROI gray ( 灰白質 ) と ROI white ( 白質 ) の値の変動も小さく その平均値は真値の 7% 以内であった (Table3.3.1) 統計ノイズを付加したデジタルファントムの再構成画像は FBP と OS-EM で良好な相関関係を示し 相関係数は 回帰直線の傾きは殆ど1(1.01) で Y 切片はほぼ 0 (0.02) であった (Fig.3.3.5(a)) が k 2 および k 3 のパラメトリック画像は それぞれ相関係数 と良い相関を示さなかった (Fig.3.3.5(b),(c),(d)) ノイズの (a) PET value (b) 500 frame #3 Original 400 noise-free FBP OS-EM Distance from image center (pixels) PET value (c) frame #18 noise-free Distance from image center (pixels) PET value frame #3 (d) noise-added PET value frame #18 (e) noise-added Distance from image center (pixels) Distance from image center (pixels) Fig OS-EMとFBPによって再構成されたデジタル脳ファントムのプロファイル曲線 (a) デジタル脳ファントム上でのプロファイル曲線の断面位置 (b) ノイズを付加しないファントムの初期画像 (c) ノイズを付加しないファントムの最終フレーム画像 (d) ノイズを付加したファントムの初期画像 (e) ノイズを付加したファントムの最終フレーム画像 灰色 ( ) はオリジナルデジタルファントム 黒実線 ( ) は FBP による画像 破線 ( ) は OS-EM による画像 ノイズを付加しないデジタルファントムでは 初期 (b) と後期 (c) において OS-EM 画像のプロファイル曲線はFBPの場合とよく一致した ノイズを付加したファントムでは OS-EM 画像のプロファイル曲線は FBP のそれとはやや異なる (d)(e) 注:OS-EM の画像は負の値とはならない 61

63 第 3 章逐次近似画像再構成法の評価 逆投影法との比較 ために ROI white 内のパラメータ値の変動は大きく (SD= ) 平均値は真値から離れる しかしながら OS-EM による平均 K 1 k 2 k 3 値は FBP によるそれらと近い (Table3.3.1,2) OS-EM 画像によるパラメータ値は FBP 画像によるものと殆ど同じである OS-EM と FBP 法によって再構成されたノイズ付加デジタルファントムのフィッティング誤差 (RMS norm ) は 約 10% であった 異なる近似回数を当てはめた OS- EM の場合でも 同様な結果が見られた 2) 臨床データ OS-EMで再構成された臨床画像は FBPで再構成されたそれらと良く相関し 相関係数は であった (Fig.3.3.6(a)) OS-EM によるパラメトリック画像は FBP によるものと概ね類似したが 相関はそれほど良好でなく 特に k 2 (r=0.649) と k 3 (r=0.467) は劣る (Fig.3.3.6(b)-(d)) OS-EM による K 1 k 2 k 3 の平均値は FBP によるそれらとよく類似し ノイズを付加したデジタルファントムとの場合と同様 回帰直線の傾きはほぼ 1( ) で Y 切片は殆ど 0 であった OS-EM のフィッティング誤差 (RMS norm ) は FBP の場合とほぼ一致した 18 F-FDG の投与量に関わらず 全臨床例で同 Table3.3.1 灰白質と白質の平均 k 値 Noise free Noise added K 1 k 2 k 3 K 1 k 2 k 3 Recon algorithm ROIgray ROIwhite FBP 0.096± ±.0002 OS-EM 0.097± ±.0002 FBP 0.129± ±.0001 OS-EM 0.129± ±.0001 FBP 0.061± ±.0001 OS-EM 0.061± ±.0001 FBP 0.096± ±.0018 OS-EM 0.093± ±.0012 FBP 0.133± ±.0090 OS-EM 0.124± ±.0077 FBP 0.059± ±.0033 OS-EM 0.059± ±.0034 Gray matter : K 1true =0.102(min -1 ), k 2true =0.130(min -1 ), k 3true =0.062(min -1 ) White matter : K 1true =0.054(min -1 ), k 2true =0.109(min-1), k 3true =0.042(min -1 ) 62

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