血や食道静脈瘤治療による穿孔のほか, 腫瘍性病変に対する内視鏡的粘膜切除術 粘膜下層切開剥離法などの治療やバルーン拡張術などの内視鏡治療に伴う穿孔も, その普及とともに増加している. 医原性穿孔は大きく, 内視鏡施行中に起こる術中穿孔と治療後に起こる遅発性穿孔の二つに分けられる. 遅発性穿孔では,

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1 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 1 食 道 破 裂 篠﨑浩治 木全 大 小 澤 壯 治 要旨 食道破裂 穿孔 の原因には医原性 特発性 異物性 外傷性 腫瘍性などがあり 特に医原性では内視鏡検査に伴うものが多い 原因 により破裂部位に差があり 特発性 Boerhaave 症候群 では食道下部 1/3 左壁後壁が好発部位である 穿孔により食道内容による汚染から感 染が引き起こる 縦隔汚染による縦隔炎併存例では依然として死亡率が 高率であるため 発症後早期の診断と適切な治療の選択が重要となる 診断には胸部 CT 検査 食道造影検査が有用であり 軽度の汚染例を除 き食道穿孔部閉鎖とドレナージを目的とした外科的治療が選択される 近年 食道ステント治療とドレナージによる保存的治療の報告も散見さ れている 針の決定に役立てる必要がある はじめに 食道破裂 穿孔 は消化管の破裂をきたす疾患 病因別にみた病態と診断 の中で比較的まれであり その死亡率は依然とし Clayton らによると 食道穿孔の原因は医原性 て高率とされている 1724 年にオランダ人医師 61 特発性 15 異物性 12 外傷性 Hermann Boerhaave が食道の spontaneous rup- 9 腫瘍性 1 その他 2 と報告され ture による死亡例を報告し Boerhaave 症候群と ている 4 以下 病因別に病態 診断 治療のポ も呼称される特発性食道破裂が一般的に知られて イントを概説する 比較的発生頻度が低く診断 いるが その原因には医原性 特発性 異物性 治療に問題となることの多い特発性食道破裂につ 外傷性 腫瘍性などがあり 医原性がもっとも多 いては 自験例も提示し実際の診断から治療の手 い 順を解説する 1 食道破裂の治療成績の向上には早期の診断と適 1 医原性食道破裂 穿孔 病歴や症状に 医原性食道破裂の原因の大半は消化管内視鏡検 より食道破裂を疑った場合はただちに画像検査に 査によるもので 内視鏡挿入時の穿孔部位は生理 よる存在診断と炎症の波及範囲を診断し 治療方 的狭窄部の輪状咽頭部が多いとされる また 出 切な治療の介入が重要であり 2, 3 キーワード 食道破裂 診断 外科治療 Esophageal rupture H. Shinozaki 診療科長, M. Kimata 医長 済生会宇都宮病院外科 授 東海大学消化器外科 外 科 Vol. 74 No 宇都宮市竹林町 S. Ozawa 教 345

2 血や食道静脈瘤治療による穿孔のほか, 腫瘍性病変に対する内視鏡的粘膜切除術 粘膜下層切開剥離法などの治療やバルーン拡張術などの内視鏡治療に伴う穿孔も, その普及とともに増加している. 医原性穿孔は大きく, 内視鏡施行中に起こる術中穿孔と治療後に起こる遅発性穿孔の二つに分けられる. 遅発性穿孔では, 障害を受けた消化管全壁が全層性 広範性に壊死 脱落して穿孔が起こるため, 緊急手術の適応となる 5). 一方, 術中穿孔では術前処置が施行されていることが多く, クリップ閉鎖術などの適切な処置が行われれば, 一般的に保存的加療が選択される. 穿孔時は全身状態に細心の注意を払い, すみやかに内視鏡的に固有筋層の損傷程度や穿孔径を観察したうえで, 可及的に穿孔部のクリップによる閉鎖術を行う 6). 検査終了後, 胸部 X 線検査や CT 検査で縦隔気腫や気胸の有無を確認する. また, 水溶性造影剤を用いて食道造影検査を行い, 縦隔内限局型 ( 食道穿孔による汚染が縦隔内にとどまるもの ) と胸腔内穿破型 ( 食道穿孔が壁側胸膜に及び汚染が胸腔内に広がるもの ) の鑑別を行う. 内視鏡治療による食道穿孔例の多くは縦隔内限局型であることが多く, 保存的治療を行うが, 炎症が広範囲に波及してくる場合には外科的治療を考慮する必要があり, 穿孔後は注意深い経過観察が必要となる 7, 8). 異物性食道破裂 穿孔 異物による食道穿孔の原因となるものには, 魚骨 義歯 press through pack(ptp) 硬貨などがある 4). 異物の誤嚥や魚の摂食の有無, 義歯の紛失などの病歴の聴取が重要となる. 異物による食道穿孔を疑った場合はただちに頸胸腹部 X 線検査や CT 検査を行い, 縦隔気腫, 縦隔炎, 縦隔膿瘍, 膿胸などの程度と広がりを詳細に検討する 9). 有鉤義歯などの先端が鋭利な異物は粘膜損傷をきたしやすく, 粘膜刺入による長時間の停滞では壊死穿孔をきたしやすいため, 全例に緊急内視鏡による異物の確認と早期の処置が必要となる. 食道異物の手術適応には, 異物が摘出されない状態でただちに手術適応となる場合と, 内視鏡的異物摘出が困難で手術適応となる場合, および内視鏡的に異物が食道より除去された状態で手術適応となる場合に分類される 10). 外傷性食道破裂 穿孔 外傷性食道破裂は本邦での報告例はきわめて少 なく, 受傷直後より特異的症状を認めることが少なく他臓器損傷を併存していることが多いため, 早期診断が困難とされている 11). 外傷性食道破裂の発生機序は,1 穿通性損傷,2 圧挫による損傷, 3 高圧気体の流入による圧外傷,4 急激な腹腔内圧 食道内圧の上昇による圧外傷に分類される. 破裂の機序として, 食道近位側では圧挫や疝痛, 胸部中部食道では圧外傷, 胸部下部食道では急激な腹腔内圧 食道内圧の上昇による圧外傷が多いとされる. 外傷による下部食道の破裂機序は特発性食道破裂と同様に, 食後の充満胃の状態での急激な腹腔内圧の上昇を起因として, 解剖学的脆弱部位としての胸部下部食道左壁の破裂が生じると考えられる. 外傷性食道破裂の治療は特発性食道破裂に準じ, 早期の外科的治療を原則とする 12). 腫瘍性食道破裂 穿孔 進行した食道癌による食道穿孔が大多数を占め, 穿孔部位より食道気管瘻, 食道気管支瘻, 食道縦隔瘻, 食道大動脈瘻などを形成する. 気管 気管支との瘻孔形成では咳嗽や肺炎を生じ, 縦隔との瘻孔では縦隔膿瘍や胸水貯留, 気胸を生じる. 水溶性造影剤を用いた消化管造影検査や食道内視鏡検査で瘻孔が証明されれば診断が確定する. 食道気管 気管支瘻では食道ステントを挿入後, 化学療法などの治療が考慮される. 食道気管瘻では, 化学放射線治療が著効した場合, 瘻孔閉鎖の可能性があるため, 絶飲食のうえ栄養療法を施行しながら化学放射線治療を第一選択として施行する 9). 特発性食道破裂 症候群 特発性食道破裂は食道に器質的疾患を有さず, 飲酒や暴飲暴食後の繰り返す嘔吐などを契機として起こる圧破裂をさす.1724 年に Hermann Boerhaaveが食道の spontaneous ruptureによる死亡例を最初に記載し,boerhaave 症候群とも呼ばれる 13). 病因と病理特発性食道破裂は主に食道下部 1/3の左壁に発症し, 約 8 % が中部 1/3, 約 2 % が上部 1/3の食道に発症する. 嘔吐などによる急激な食道内圧の上昇を原因とし, 破裂部位が下部食道左壁に多い理由として, 神経 血管が食道壁内に入り込み, 隣接臓器がなく食道が前方へ屈曲する解剖学的部位特性が考えられている 1, 14). 大半が長軸方向の 346 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

3 全層裂創であり, 粘膜面の裂創は筋層のそれより長いため, 手術による修復時に注意が必要である. 食道壁の全層損傷により, 胃内容や唾液, 胆汁や膵液などが縦隔に流入し縦隔炎を併発する. 食道の壁側胸膜の穿破による胸腔内への穿破例 ( 胸腔内穿破型 ) では胸腔が陰圧であるため, 縦隔炎に加え胸膜炎を併発し,Staphylococcus, Pseudomonas, Streptococcus, Bacteroides などの多種細菌による混合感染が起こる. 穿孔内容が縦隔内に限局する例 ( 縦隔内限局型 ) では縦隔の汚染が軽度であることが多く, 全身への影響が少なく保存的に加療が行われる. 臨床症状典型的な初発症状は, 大量飲酒後や大食後の繰り返す嘔吐に続いて起こる突然の激烈な胸痛や腹痛であることが多く, 続いて呼吸困難や背部痛をきたす 14). 胸腔内穿破型では, 水気胸や膿胸をきたし短時間で敗血症となり重篤な全身状態となって来院することもある. 頸部や前胸部の皮下気腫を認めることもあり, 触診所見も重要となる. 診断特発性食道破裂の診断に必要な検査には,1 胸部 X 線検査,2 CT 検査,3 食道造影検査,4 上部消化管内視鏡検査などがある. 胸部 線検査 : 縦隔気腫, 皮下気腫, 気胸 胸水貯留, 水気胸などが典型所見となる. 多量の気胸 水気胸の所見を認めた場合は, ただちに胸腔ドレーンの挿入を行う. 胸腹部 検査 : 少量の縦隔食道周囲の軟部組織の気腫や膿瘍形成の診断に有用である. 縦隔内の液体貯留や空気の存在と食道内腔との連続性を認めれば, 食道破裂の診断となる. 縦隔および胸腔の汚染範囲の同定によりドレナージのアプローチ方法の決定に参考となる. 食道造影検査 : 多くの症例で造影剤の漏出が認められ, 食道破裂の確定診断にいたる 15). 穿孔部位, 大きさ, 破裂の方向, 胸腔内への穿破の有無, すなわち胸腔穿破型か縦隔内限局型かの判定が可能であり, 治療方針の選択に役立つ. 誤嚥防止に努め, 水溶性造影剤を用いる. 上部消化管内視鏡検査 : 上部消化管内視鏡検査は食道穿孔の存在診断, 部位, 長さ, 穿孔個数, 併存食道胃疾患の有無の診断に有用である が, 検査施行に伴う送気により気胸や縦隔気腫の悪化, 炎症の波及の増悪により全身状態を悪化させる可能性に十分な配慮が必要である. 緊急手術適応例では, 全身麻酔下で熟練した内視鏡医により施行されるべきである 1). 治療特発性食道破裂の治療の指針は,1 穿孔部を介した汚染の拡大の防止,2 感染および汚染物質の除去,3 穿孔部の閉鎖による消化管交通の再建, 4 適切な栄養管理であり, 治療方法には保存的治療と外科的治療がある. 保存的治療 : 縦隔内限局型の食道破裂に保存的治療適応例が存在する. 保存的治療の適応条件として,1 破裂が縦隔内に限局,2 穿孔部を介して内容物が食道内にドレナージされている,3 重篤な感染徴候を認めない,4 全身状態が安定しているの4 条件が古典的適応とされる 16, 17). 実際の保存的治療として,1 絶飲食および経鼻胃管による減圧,2 栄養療法 ( 中心静脈栄養や経管栄養 ),3 抗生物質投与および,4 胸腔内ドレナージ ( 胸腔内に所見を有する場合 ) が行われる. 外科的治療 : 外科的治療の原則は,1 感染性物質と壊死物質のデブリドマン,2 縫合不全予防を伴った食道破裂部の閉鎖,3 汚染 感染部位のドレナージ,4 栄養療法のための腸管ルートの造設である. 実際の術式として穿孔部に対する処置の面から,1 穿孔部縫合閉鎖のみ,2 縫合閉鎖術 + 付加手術,3 食道切除術 + 食道瘻 胃瘻造設,4 食道切除再建 + 食道瘻および腸瘻造設などがある. 穿孔部単純縫合閉鎖のみでは術後の縫合不全発症率が高率であるため, 一般的に2が行われることが多い 3). 付加手術は主に胃底部 18, 19), 大網 20), 横隔膜 21) などを用いて縫合部の被覆閉鎖を行う.3,4の食道切除 ± 再建術は手術侵襲が大きくなるため, 食道の壊死範囲が広範な場合に考慮される. また付加手術の一つとして,T チューブを破裂部位に挿入し消化液のドレナージを行う方法も行われる 22 24). 穿孔部位へのアプローチ法には経胸的アプローチと経腹的アプローチがあり, 胸部上部 2/3 食道の穿孔では右開胸アプローチ ( 右第 4もしくは第 5 肋間開胸 ), 胸部下部 1/3 食道穿孔では左開胸アプローチ ( 左第 6もしくは第 7 肋間開胸 ), 腹部食道穿孔では開腹的 ( 上腹部正中切開 ) もしくは腹 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 347

4 図 症例 来院時胸部 線像腔鏡的なアプローチが行われる 25). 胸腔鏡や腹腔鏡でのアプローチは最近報告されつつあるが, 汚染部位のデブリドマンや縫合部の被覆操作にはさらなる工夫が必要とされているため, その適応例は現在限られているものと考える 26, 27). したがって, 特発性食道破裂で胸腔内穿破型と診断された症例では, 術前に感染対策として Staphylococcus, Pseudomonas, Streptococcus, および Bacteroidesなどを目的に抗生物質の投与を行い, 術中の良好な視野のため分離型換気用気管チューブを用いて分離換気による全身麻酔を行う. 穿孔部位により開胸もしくは開腹アプローチを行う. 主な穿孔部位である下部食道 1/3の場合, 左第 6もしくは第 7 肋間後側方開胸を行う. 筋層よりも粘膜損傷のほうが大きいことがあるため, 穿孔部を含む食道を全周性に保持し, 裂けた筋層の切開をさらに長軸方向に延長し, 粘膜損傷部位の全長の確認を行う. 穿孔部を層々に縫合し, 胃底部 大網 横隔膜などの組織を用いて縫着補強を行う. 術後の膿胸の併発に備え, 複数のドレナージチューブを胸腔内に留置する. ドレナージチューブを留置していても術後に膿胸形成をきたすことがあるので, 頻回にドレナージの効果を判定し, 臨床所見や胸部 X 線検査で膿瘍形成を疑った場合は早期に CT 検査を施行し遺残膿瘍に対して再ドレナージを行う. 最後に, 術後の栄養管理 を目的に空腸瘻を造設し, 術後早期より経腸栄養を開始する. 内視鏡的治療 : 特発性食道破裂に対する内視鏡的治療として self-expandable metallic stent (SEMS) の挿入が報告されている 28, 29).SEMS の治療成績は手術治療に比し死亡率が高く, その適応は慎重に行うべきである. 症例提示症例 52 歳, 男性夕食とともに大量飲酒約 2 時間後, 腹痛および繰り返す嘔吐が出現し, その後胸背部痛が出現し近医を受診するも経過観察とされた. 翌日, 呼吸困難を主訴に同医を再受診したところ, 胸部 X 線検査で左胸水および縦隔気腫を認め, 当院救命センターを受診した. 来院時, 前胸部と頸部に皮下気腫を認め, 左呼吸音が聴取不能であった. 血圧は 120/83mmHg であったが, 酸素マスク 10l/ 分で酸素飽和度 95 % であった. 胸部 X 線像で頸部皮下気腫, 左水気胸, 縦隔の右方への偏位および縦隔気腫像を認めた ( 図 1). 胸部 CTで両側の大量胸水貯留と縦隔内の free airを認め, 特に胸部下部食道周囲と下行大動脈に沿って free airを認めることから下部食道破裂を疑った ( 図 2). 右側への縦隔偏位を認め, 緊張性気胸の併存も考えられたため左胸腔ドレーンを挿入し, 約 1.3lの茶褐色の排液を認めた. 特発性食道破裂, 下部食道穿孔による胸腔穿破型と診断し, 血圧の変動と呼吸状態の悪化を認めため, 消化管造影検査および上部消化管内視鏡検査を施行せずに, ただちに緊急手術を施行した ( 症状出現約 14 時間後 ). 左第 6 肋間で後側方開胸を行い, 多量の食物残渣を有する胸腔内を洗浄した. 下部食道に約 2.5cm 長の縦走する穿孔部を認め, 食道を全層保持して筋層および粘膜損傷部を確認した ( 図 3). 穿孔部をデブリドマン施行後, 層々に閉鎖し ( 図 4), 胃底部を用いて縫着補強した. 左側胸部より 2 本の胸腔ドレーンを胸腔内に留置し閉胸後, 空腸瘻を造設して手術を終了した. 本例は術後 4 日間の人工呼吸管理を要し, 術後 11 日目より左膿胸の併発を認めたが, 再ドレナージで軽快し, 縫合不全を併発せずに術後 62 日目に軽快退院した. 治療成績特発性食道破裂の死亡率はきわめて高く, 予後不良との認識がある. 実際,1980 年代までの欧 348 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

5 図 症例 来院時胸部造影 図 症例 手術所見 [ 文献 34 より引用 ] 図 症例 手術所見 [ 文献 34 より引用 ] 米での治療成績の報告では全体の死亡率は30 % 前後であり 30), 同時期の本邦報告例では 16 % ( 年 ) である 31). その後 1990 年代以降の治療成績のまとめでは死亡率は 7 % 台となり, 著しい予後の改善が認められている 32, 33). おわりに食道破裂 ( 穿孔 ) は依然として死亡率と合併症発生率が高く, その原因にかかわらず, 治療成績の向上のためには早期診断と適切な治療の選択が重要である. 外科的治療を行う場合, 組織を用いた補強を伴う確実な食道穿孔部の閉鎖と汚染部のドレナージが必要である. 異物穿孔などによる広範囲の食道壊死や食道癌の存在を認めた場合, 食 道切除が選択される. 非手術治療の選択にあたっては, 詳細な症例の評価と治療開始後の注意深い臨床経過の観察が必須である. 文 献 1) Ozawa S, Kitajima M:Esophageal perforation. Mastery of Surgery, 5th Ed, ed by Fischer JE, Lippincott Williams & Wilkins, New York, p , ) Attar S, Hankins JR, Suter CM et al:esophageal perforation;a therapeutic challenge. Ann Thorac Surg :45 51, ) Gouge TH, Depan HJ, Spencer FC:Experience with the Grillo pleural wrap procedure in 18 patients with perforation of the thoracic esophagus. Ann Surg : , 1989 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 349

6 4) Calyton J, Brinster BA, Sunil S et al:evolving options in the management of esophageal perforation. Ann Thorac Surg : , ) 宮田義史, 矢作直久, 飯塚敏郎ほか : 医原性偶発症 ( 上部消化管 ) が疑われる場合の対応. 消内視鏡 : ,2008 6) 岩館峰雄, 小野裕之, 滝沢耕平ほか : 医原性消化管穿孔の閉鎖術. 消内視鏡 : ,2009 7) 入江朋子, 木下公史 : 治療選択に悩んだ ESD による食道穿孔の 1 例. 日臨外会誌 : ,2010 8) 千野修, 幕内博康, 島田英雄ほか : 早期食道癌に対する EEMR Tube 法施行時の出血 穿孔 狭窄. 消内視鏡 : ,2003 9) 塩崎均, 重岡宏典, 今本治彦ほか : 食道穿孔 食道狭窄. 綜合臨 : , ) 森脇義弘, 豊田洋, 小菅宇之ほか : 緊急開胸開腹手術で 1 期的食道再建を要した胸部食道異物 ( 有鈎義歯 ) の 1 例. 日消外会誌 : , ) 菅野博隆, 北村正敏, 鈴木謙 : 第 3 胸椎破裂骨折により外傷性食道破裂をきたした 1 例. 日臨外会誌 : , ) 土山雅人, 友田淳一, 石井完治 : 外傷性食道破裂の自験例 2 例を含む本邦報告例の検討. 救急医 : , ) Derbes VJ, Mtichell Jr RE:Hermann Boerhaave s atrocis, nec descripti prius, morbi historia;the first translation of the classic case report of rupture of the esophagus, with annotaions. Bull Med Libr Assoc : , ) 羽生信義, 古川良幸 : 特発性食道破裂 (Boerhaave s syndrome) の診断と治療. 手術 : , ) Flynn AE, Verrier ED, Way LW et al:esophageal perofation. Arch Surg : , ) Cameron JL, Kieffer RF, Hendrix TR et al:selective nonoperative management of contained intrathoracic esophageal disruptions. Ann Thorac Surg : , ) Shaffer Jr HA, Valenzuela G, Mittal RK:Esophageal perforation;a reassessment of the criteria for choosing medical or surgical therapy. Arch Intern Med : , ) 戸田桂介, 稲垣優, 大崎俊英ほか : 経腹的アプローチにより fundic patch を用いて縫合閉鎖した特発性食道破裂の 1 治験例. 手術 : , ) 宮本英雄, 沖田浩一, 草間律ほか : 縫合閉鎖兼胃底部被覆術が有用であった特発性食道破裂の 2 例. 外科 : , ) 梶本心太郎, 村尾佳則, 平川昭彦ほか : 特発性食道破裂に対し経腹的 T チューブ留置, 有茎大網弁被覆 術が有用であった 1 例. 日臨外会誌 : , ) 妻鹿成治, 細川正夫, 西田靖仙ほか : 特発性食道破裂の 4 例. 日臨外会誌 : , ) Ojima H, Kuwano H, Sasaki S et al:successful late management of spontaneous esophageal rupture using T-tube mediastinoabdominal drainage. Am J Surg : , ) Ochiai T, Hiranuma S, Takiguchi N et al:omental wrapping of esophageal rupture in combination with T-tube drainage. Esophagus : , ) Mizutani K, Makuuchi H, Tajima T et al:the diagnosis and treatment of esophageal perforations resulting from nonmalignant cases. Surg Today : , ) Whyte RI, Iannettoni MD, Orringer MB:Intrathoracic esophageal perforation;the merit of primary repair. J Thorac Cardiovasc Surg : , ) Ikeda Y, Niimi M, Sasaki Y et al:thoracoscopic repair of a spontaneous perforation of the esophagus with the endoscopic suturing device. J Thorac Cardiovasc Surg : , )Landen S, El Nakadi I:Minimally invasive approach to Boerhaave s syndorome;a pilot study of three cases. Surg Endosc : , ) Adam A, Watkinson AF, Dussek J:Boerhaave syndrome;to treat or not to treat by means of insertion of a metallic stent. J Vasc Interv Radiol : , ) Chung MG, Kang DH, Park DK et al:successful treatment of Boerhaave s syndrome with endoscopic insertion of a self-expandable metallic stent;report of three cases and a review of the literature. Endoscopy : , ) Goldstein LA:Esophageal perforation;a 15 year experience. Am J Surg : , ) 山下裕一, 小山広人, 吉永圭吾ほか : 特発性食道破裂の 1 治験例 本邦 173 例 ( 自験例を含む ) についての考察. 日臨外医会誌 : , ) 目片英治, 川口晃, 内藤弘之ほか : 肝硬変を合併した特発性食道破裂の 1 例. 日臨外会誌 : , ) 夏目俊之, 渡辺義二, 丸山尚嗣ほか : 特発性食道破裂の 5 例. 日臨外会誌 : , ) 篠崎浩治, 小澤壯治 : 特発性食道破裂に対する手術. みる わかる 自信がつく! 消化器外科手術ナビガイド食道, 笹子三津留, 杉原健一, 宇田川晴司 ( 編 ), 中山書店, 東京,p43 48,2010 * * * 350 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

7 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 2 胃 十二指腸潰瘍穿孔 高 賢樹 山田成寿 草薙 洋 加 納 宣 康 要旨 胃 十二指腸潰瘍穿孔に対する診断には CT が有用であり CT などで診断がつかない場合に内視鏡検査を考慮する 穿孔に対する手術 は穿孔閉鎖とドレナージを基本とし 開腹もしくは腹腔鏡下に施行す る 腹腔鏡下手術が低侵襲であるが 適応は限られる 術式は単純閉鎖 から大網充塡などさまざまであり 穿孔の状態や位置によって選択す る まれに幽門形成や胃切除 迷走神経切離が必要になることもある 胃癌穿孔に関しては 全身状態がわるければ二期的切除を考慮する の腹痛が落ち着いていることもあり注意が必要で はじめに あ る 潰 瘍 の 既 往 ス テ ロ イ ド 消 炎 鎮 痛 薬 近年の胃 十二指腸潰瘍穿孔に対する手術は NSAIDs 内服歴の確認は重要である H2 受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬 PPI の 単純 X 線像で free air を確認できればほぼ穿孔 出現により低侵襲 非切除が主流となった また の診断はつくが まれに気腫性胆嚢炎や原発性細 保存的な治療の有用性も報告されており 治療 菌性腹膜炎など他疾患でも free air を呈すること の幅は広がっている さらに 胃 十二指腸潰瘍 があるので注意を要する また偽陰性であること 穿孔に対する腹腔鏡下手術は開腹手術に比べ低侵 もあるため 引き続き CT 検査を行う CT は単 襲性が認められており 2 術式の選択も考慮が必 純 X 線像では描出できない free air を確認できる 要になってきた しかし消化管穿孔は救急で診察 だけでなく 空気の位置や腸管壁の状態で穿孔の することが多く 診断や治療法に苦慮することが 部位 原因の診断にも有用であり 3 特に muliti- ある 本稿では胃 十二指腸潰瘍穿孔に対する診 detector-row CT MDCT で の 正 診 率 は 86 断 治療法の選択 手術手技について解説する 95 とされている 4, 5 1 Ⅰ 診 上部消化管内視鏡検査 GF は 診断の面での 断 有用性を高く評価する意見 6 からリスクマネジメ 突然の激しい上腹部痛で発症することが多い ントの面で禁忌 7 とする意見までさまざまであ 最初は消化液の漏出による刺激で腹膜炎を起こす る 少なくとも 保存的治療を考えているが CT が ある程度経過した時点 2 12 時間 で初期 などで穿孔部位や状態が診断できない場合には必 キーワード 胃潰瘍穿孔 十二指腸潰瘍穿孔 胃癌穿孔 大網充塡被覆法 Management of perforated gastroduodenal ulcer K. Ko 医長, S. Yamada 部長, H. Kusanagi 部長, N. Kano 主任部長 亀田総合病院外科 町 929 外 科 Vol. 74 No 鴨川市東 351

8 図 腹腔鏡下手術における穿孔部直接縫合および大網被覆 図 大網充塡被覆法 ( 文献 17 より引用改変 ) 表 腹腔鏡下手術の適応 1 ショック状態や呼吸 循環器系に重篤な合併症がない 2 発症後 24 時間以内 3 広範な癒着や過度の腸管拡張がない 4 穿孔径が著しく大きくない 5 狭窄や変形が著しくない 要な検査となる. 胃穿孔の10 16 % は胃癌が原因との報告もあり 8), 上部消化管穿孔では胃癌の可能性を常に念頭におく必要がある. 保存的治療胃 十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療の適応は各施設で異なっている. 近年,1 発症後時間 図 大網被覆法 ( 文献 17 より引用改変 ) 穿孔部がおおわれるように数針縫合する. 経過が長いとき,2 腹膜炎が上腹部に限局しないとき,3 腹水が多量であるとき,4 胃内容物が大量にあるとき,5 年齢 70 歳以上であるとき,6 352 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

9 図 開腹手術における大網被覆閉鎖法 重篤な併存疾患があるとき,7 血行動態が安定しないときは手術適応としたガイドライン 9) が提唱されている. 経過時間に関して, 穿孔後 6 時間までは化学性腹膜炎で無菌であるが,12 時間で 50 %,24 時間以上で 100 % に感染を生じる 10) ことを考慮すると, 発症後 時間以上経過した症例は手術の適応と考えられる. 保存的治療は, 比較的径が大きいといわれる胃潰瘍穿孔でも60 %, 十二指腸潰瘍穿孔では74 89 % 11, 12) で完遂したとの報告があるが, 手術に移行する症例が存在するため経時的な評価は重要である. 手術に移行する基準については明確なコンセンサスは得られていないが, 治療開始後 24 時間以内に臨床所見の改善がなければ外科的治療に移行するべきとの報告があり 13, 14), 一つの目安と考えられる. 外科的治療胃 十二指腸潰瘍穿孔時の外科的治療の目的は, 穿孔部閉鎖と腹膜炎に対する洗浄ドレナージである. 最初から胃切除や迷走神経切離を行う必要はなく, 穿孔閉鎖とドレナージにより経過を観察し, 状態に応じて二期的根治術の適応を決める 15). 胃癌による穿孔でも, 最終的に治癒切除できれば一期的切除と二期的切除の長期予後はかわらないとされており 16), 全身状態がわるい場合には胃癌の穿孔でも一期的切除にこだわるべきではない. 外科的治療の方針とした場合, 開腹手術か腹腔鏡下手術かの選択が必要になる. 腹腔鏡下手術腹腔鏡下手術の適応は一般的に発症後 24 時間以内であり, 高度の狭窄 変形がみられないことが条件となる. 腹腔鏡下手術の適応を表 1に示す. また, 術前に緊急検査しか行えず穿孔の部位 状態が手術時に判明していないこともある. そのため診断目的に腹腔鏡で観察することも少なくない. 腹腔鏡下手術による穿孔閉鎖には,1 穿孔部直接縫合および大網被覆 ( 図 1),2 大網充塡被覆法 ( 図 2),3 大網被覆法 ( 図 3) がある.1は穿孔径の小さい場合に用いる.2は加納ら 17) によると, 上部消化管穿孔に対する腹腔鏡下手術の中でもっとも安全 確実であるとされている.3は大網充塡被覆法の施行が困難な症例に対し用いる. 開腹手術腹腔鏡下の手術法に加え,1 大網被覆閉鎖法 ( 図 4) や,2 大網充塡法 ( 図 5) を行うことが可能である. 穿孔の部位や大きさなどに応じて術式を選択する. 十二指腸潰瘍穿孔で狭窄を伴う場合には幽門形成と穿孔部閉鎖を施行するが, 狭窄が高度な場合には Finney 法または幽門側胃切除術を施行することもある. 胃潰瘍穿孔の場合も基本的には穿孔閉鎖, ドレナージが基本であるが, 潰瘍の状態や部位に応じて広範囲胃切除, 潰瘍部を含む局所切除など施行する. おわりに穿孔は救急で来院し, スタッフや検査体制が不十分な状態で対応することも多い. しかし, 診断 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 353

10 図 開腹手術における大網充塡法 や対応の遅れは致死的な状態につながるため, CTを中心とした診断を注意深く迅速に行う. 特に保存的治療を選択する場合には, 他疾患のスクリーニングと経時的な観察は必須である. 手術は基本的に穿孔閉鎖とドレナージであるが, まれに幽門形成や迷走神経切離などが必要になることもある. 緊急時に対応できるよう術式に精通しておくことが必要である. 腹腔鏡下手術は今後普及していくものと考えられるが, 決して安易なものではないため, 患者の要因に加え外科チーム 施設の特性を考慮した術式決定を行う. 文 献 1) Crofts TJ, Park KG, Steele RJ et al:a randomized trial of nonoperative treatment for perforated peptic ulcer. N Engl J Med : , ) Siu WT, Leong HT, Law BK et al:laparoscopic repair for perforated peptic ulcer;a randomized controlled trial. Ann Surg : , ) Furukawa A, Sakoda M, Yamasaki M et al:gastrointestinal tract perforation;ct diagnosis of presence, site, and cause. Abdom Imaging : , ) Hainaux B, Agneessens E, Bertinotti R et al: Accuracy of MDCT in predicting site of gastrointestinal tract perforation. AJR : , ) Oguro S, Funabiki T, Hosoda K et al:64-slice multidetector computed tomography evaluation of gastrointestinal tract perforation site;detectability of direct findings in upper and lower GI tract. Eur Radiol : , ) 大森浩明 : 消化管穿孔 ( 右横隔膜下遊離ガス ) を認める場合の内視鏡の役割. 消内視鏡 : , ) 渡邉泰治, 嶋田仁, 片山真史ほか : 胃十二指腸潰瘍穿孔に対する診断と治療 リスクマネージメントの観点から. 日腹部救急医会誌 : , ) Roviello F, Rossi S, Marrelli D et al:perforated gastric carcinoma;a report of 10 cases and review of the literature. World J Surg Oncol :19, ) 日本消化器病学会 ( 編 ): 消化性潰瘍穿孔の手術適応. 消化性潰瘍診療ガイドライン, 南江堂, 東京, p , ) 中根恭司, 桜本和人, 神原達也ほか : 胃十二指腸潰瘍穿孔. 消外 : , ) 須納瀬豊, 小川哲史, 安東立正ほか : 胃十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療法についての検討. 日腹部救急医会誌 : , ) 岩崎晃太, 福島亮治, 稲葉毅ほか : 十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療の検討. 日腹部救急医会誌 : , ) 大森浩明, 旭博史, 井上義博ほか : 十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療法の選択基準. 日腹部救急医会誌 : , ) 井上暁, 梅北信孝, 宮本幸雄ほか : 胃, 十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療法の適応について. 日臨外会誌 : , ) 佐藤信博, 遠藤重厚 : 胃 十二指腸潰瘍穿孔 胃切除術. 手術 : , ) 木戸川秀生, 伊藤重彦, 山吉隆友ほか : 胃穿孔症例に対する治療方針の検討. 日臨外会誌 : , ) 加納宣康, 笠間和典, 草薙洋ほか : 消化管穿孔に対する腹腔鏡下手術. 日内視鏡外会誌 : , 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

11 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 3 非閉塞性腸管虚血症 赤石 敏 佐藤武揚 久志本成樹 要旨 血栓を伴わずに 脱水や心不全に起因する腸間膜動脈の血管攣 縮で腸管壊死を生じる非閉塞性腸管虚血症 non-occulusive mesenteric ischemia NOMI が注目されている 脱水の改善や心不全の治 療が基本となり 粘膜壊死の段階までは経過観察や血管拡張薬動脈注射 で治癒することがあるが 筋層以上の全層壊死では腸管切除が必要とな る 集中治療を要する重症患者においては常にこの疾患の存在を念頭に おき 腸管壊死が疑われる場合には緊急開腹術を躊躇してはならない 腸管が虚血 壊死に陥る 心房細動がないのに代 はじめに 謝性アシドーシスが進行し 麻痺性イレウスから 急性腹症の一つである広義の上腸間膜動脈 腹膜炎症状を呈し 診断と治療が遅れると短時間 SMA 血栓症には 動脈硬化から腸間膜動脈に で敗血症性ショックに陥る 突然の腹痛などの症 血栓を生じる SMA 血栓症と 心原性の血栓が腸 状がなく徐々に所見が増悪することや 挿管管理 間膜動脈に詰まる SMA 塞栓症に分類されるが 下の場合も多く発症に気づくのが遅れることか 近年重症疾患例において 血栓が存在しないのに ら その予後は不良といわれている 1, 2 本稿で 腸管が壊死に陥る非閉塞性腸管虚血症 non-occu- は NOMI の発症を左右する背景と診断 治療法 lusive mesenteric ischemia NOMI という概念 について概略したい が注目されている SMA 血栓 塞栓症の亜型であり 脾彎曲部の Ⅰ 成 因 Griffice point や S 状結腸の Zudeck point などの 脳動脈瘤に対するクリッピング術後の亜急性期 左半結腸に好発する虚血性腸炎との関連性も議論 第 4 14 病日 に脳外科医がもっとも神経質に されているが いまだ結論は出ていない なるのは 尿量と水分バランスである 術後尿崩 臨床病理学的には画像診断でも切除標本でも 症気味になることが多いため 通常の輸液量では 壊死腸管の腸間膜のどこにも血栓が証明されない 容易にマイナスバランスとなり脱水症に陥るた のが特徴である その原因は 脱水や心不全で循 め 血管が虚脱し血管攣縮 spasm が発生し 広 環血液量が減少して末梢の腸間膜動脈が攣縮を繰 範な脳梗塞をきたして予後が著しく悪化する こ り返すことであり それが不可逆性になることで れを防ぐために 尿量を追いかけて 10 l 以上も輸 キーワード 血管攣縮 腸間膜動脈虚血 腸管壊死 Non-occulusive mesenteric ischemia S. Akaishi 副センター長, T. Satou, S. Kushimoto センター長 東北大学高度救命救急センター 外 科 Vol. 74 No

12 図 血色素量と体内総水分量の概要高齢者や重症患者では血清 Hb 値がみかけ上正常となる. 図 造影 腸間膜動脈は末梢まで造影されているが, 右下腹部の小腸壁が染まっていない. 液することも多い. 集中治療室や救命センターで治療を要するよう な重症患者では, 高度脱水や心不全を呈する場合が多く, 脳血管や腸間膜血管の血管攣縮の準備状 態にあるといえる. ここにさらに noradrenaline (NA) などが投与されれば, 容易に血管攣縮をきたす. これを回避するためには PICCO モニター (Pulsion Medical Systems 社 ) などを用いた厳重な循環動態の管理が必要となる. 連日の体重測定も重要であるが, 簡単に脱水の有無を判別する方法は患者の舌をみることである. 水分摂取直後以外で舌が乾燥しているようなら, 立派な脱水状態と思わなくてはならない. 高齢者では慢性貧血と脱水が併存している場合が多く, 入院時にはみかけ上は血清ヘモグロビン値 (Hb) が正常範囲であることがある ( 図 1). このような症例に全身麻酔をかけると, 血管が拡張していきなり血圧が急激に低下したり, 大量輸液を行うと出血がなくとも貧血が進行することになる. このような高齢者も同様に血管攣縮準備状態にあり, 脳梗塞症以外に腸管虚血のリスクが高いということができる. 腸管の低灌流 虚血は, 心原性ショックや循環血液量減少性ショック以外に敗血症性ショックでも発生するとされ, 末梢血管の攣縮には交感神経やバソプレシン, アンジオテンシンなどが関係しているとされている 1). 重症疾患患者で脱水が進行すると, 循環血液量 356 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

13 図 3 造影 CT 水平断像 下部小腸壁が造影されていない a 肝内門脈内ガス像 b 腸管囊腫様気腫像 図 4 造影 CT 腸管壊死における肝内門脈内ガス像と腸管囊腫様気腫像 が減少して容易に末梢の腸間膜動脈が攣縮を起こ 症に比して腸管壊死が飛び飛びに存在する skip す 血管攣縮は一過性であることが多いが 何度 lesion を呈することが多いのも特徴である も繰り返しているうちに不可逆性の血流途絶を惹 起する 造影 CT や血管造影では血栓は証明され Ⅱ 症状と診断 ないものの これ以後の臨床経過は通常の SMA もっとも大切なことは 高齢者や重症疾患患者 血 栓 症 塞 栓 症 と 同 様 と な る 血 管 攣 縮 は at では条件次第で容易に腸管壊死が発生するという random に生じるため NOMI では血栓症 塞栓 ことを常に念頭において患者を診察するというス 外 科 Vol. 74 No

14 初回造影時 初回造影 日後図 造影 肝左葉に認められた門脈内ガス像 ( 矢印 ) が 2 日後の CT では消失している. 図 を含む腸管虚血症治療のフローチャート タンスである. これらの患者で原因不明の腹痛や麻痺性イレウスの出現を認めた場合, まず採血と造影 CT 検査を行う. 壊死組織の嫌気性代謝を反映する代謝性アシドーシスの進行や乳酸 (lactate) 値の上昇, 腸管の筋層由来のクレアチンキナーゼ (CPK) や乳酸脱水素酵素 (LDH) の上昇は全層性の腸管壊死を示唆する. NOMI 例では, 造影 CT 検査では腸間膜に沿ったスライスで末梢動脈まで造影されるのに, 腸管壁が染まらないことが診断のポイントとなる ( 図 2). 別の症例でも, 水平断像で上部小腸が染まっ ているのに下部小腸が染まっていないことで腸管壊死が診断された ( 図 3). 血栓症 塞栓症では腹痛 ( しばしば突発性の激痛 ) が必発で, 激痛のわりに初期には腹膜炎の腹部所見を呈さないのが特徴である. しかし, NOMIでは壊死が徐々に進行するために腹痛は典型的ではなく, 全身状態が緩徐に悪化していくため発見が遅れることが多く, このため予後が不良となる. 造影 CT 検査では, 図 4 に示すような腸管嚢腫様気腫像と肝内門脈内ガス像が, 腸管壊死を示す 358 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

15 所見として重要である. このような症例では全層性の不可逆性壊死を呈しているため, 全身状態が許せば緊急開腹術で腸管切除が必要となるが, 図 5に示す症例では軽度の肝内門脈内ガス像が2 日後には消失した. 粘膜と粘膜下層が壊死して粘膜下層にガスが侵入すると嚢腫様気腫像や門脈内ガス像が発生するが, 筋層以下が壊死していない場合には turn overの早い粘膜組織が短期間で再生したことによると思われた. 本例では代謝性アシドーシスや CPK LDH の上昇は認めず, 筋層までは壊死していなかったものと思われた. CT 以外に血管造影を行い, 血栓症 塞栓症が否定され, なおかつ腸管壁の造影が不良であれば papaverine hydrochlorideなどの血管拡張薬の動脈注射を行う場合もある. 腹膜炎所見や腸管全層 ( 筋層以下 ) の壊死を示唆する検査データが得られれば, 緊急開腹手術の 分 の治療 NOMIの治療の流れをフローチャートに示す ( 図 6). 腹膜炎や筋層壊死のデータを示さない症例では経過観察が原則となる. 低用量カテコラミンや循環動態が許す限りの輸液を行って脱水を改善し, 心不全が併存するならばその治療を行う. NAや7 10γ 以上の高濃度の dopamine(doa) は腸間膜動脈の攣縮を惹起するため, 使用には慎重を要する. 腸管壊死が疑われる場合には造影 壊死 壊死 図 切除標本粘膜壊死部では漿膜筋層 ( ) は保たれている. 全層性に壊死している部分も認める ( ). 図 に便利な 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 359

16 適応となる. ベッドサイドでの 10 cm 程度の小切開も可能であり, 救命のためには躊躇ない判断が必要である. 漿膜まで変色している場合は腸管切除 一期的吻合を行うが, 粘膜下層の出血のみが透けてみえるだけの場合には切除せず, そのまま閉腹あるいは24 48 時間後の second-look operationとすることも可能である. 工藤ら 3) は初回手術で粘膜壊死のみと判断した症例を72 時間後に再開腹し, 粘膜壊死所見が消失して腸管切除を回避できた症例を報告している. 当科における NOMI 例の切除標本を図 7に示す. 正常部分に連続して, 粘膜壊死のみで漿膜 筋層は保たれている部分と, 粘膜から漿膜まで全層性に壊死している部分が認められる. 粘膜壊死のみの場合には保存的に治療可能であることが多いものと思われる. なお,second-look operation を前提とする場合には閉腹せずに, 多発外傷例で施行する非閉腹方法である vacuum-packing method( 図 8) を挿管管理下に行うのが便利である. すなわち,povidoneiodineドレープで2 3 枚のタオルを両側から挾み込んで作成した 座布団 を腸管と腹壁の間に挿入して腸管をおおって, 皮下に吸引ドレーンを留置し, さらにそれらを povidone-iodine ドレープ で密閉する. 多発外傷手術での腸管浮腫で閉腹できない場合に有効であるが,NOMI 例での麻痺性イレウスで閉腹が不可能な症例でも有効である. おわりに 出血性ショックや敗血症などの重症患者においては, 脱水や心不全が高率に併存し, 常に腸管壊死の可能性があることを念頭におき, 診断と治療を行うことが大切である.NOMIの診断のポイントは,1 麻痺性イレウスの発生,2 代謝性アシドーシスの進行と乳酸値の上昇,3 CPKと LDH 値の上昇,4 造影 CT による腸管壁造影不良,5 腸管嚢腫様気腫像と肝内門脈内ガス像の出現などが重要である. 汎発性腹膜炎症状の発生以後の予後は著しく不良となることを忘れてはならない. 文 献 1) Bassiouny HS:Nonocclusive mesenteric ischemia. Surg Clin North Am : , ) Yasuhara H:Acute mesenteric ischemia;the challenge of gastroenterology. Surg Today : , ) 工藤大介, 渡部広明, 大須賀章倫ほか : 門脈ガス血症を併発した非閉塞性腸管虚血 (NOMI) 腸管虚血か腸管壊死か対照的な2 例. 日救急医会誌 : ,2008 お知らせ 第 回日本癌病態治療研究会 会期 : 2012 年 7 月 6 日 ( 金 ) 7 日 ( 土 ) 前日 7 月 5 日 ( 木 ) 世話人会などの会議会場 : 前橋テルサ ( 前橋市千代田町 2 5 1) 当番世話人 : 桑野博行 ( 群馬大学大学院病態総合外科学教授 ) テーマ : 多方面から癌の本質に迫る 一般演題も多数募集いたしますので, 奮ってご応募ください. 先生方の多数のご参加をお待ちしております. 問合先 : 前橋市昭和町 第 21 回日本癌病態治療研究会事務局群馬大学大学院病態総合外科学 ( 担当 : 鈴木秀樹 ) TEL: /FAX: E mail:jsct21@surgery.dept.med.gunma-u.ac.jp 360 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

17 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 4 絞扼性イレウス 小野寺 久 須藤一起 塩 崎 弘 憲 要旨 絞扼性イレウスは腸管壁の血流障害を伴う病態であり 早期診 断と迅速な手術が患者の生死を左右する 臨床所見と検査所見で重症度 を判断し 造影 CT 検査により確定診断が可能となる 最近は腹腔鏡下 手術も応用され 低侵襲治療がすすんでいる 早期であれば腸管切除は 回避できるが 腸管壊死例では敗血症としての intensive care が必要 となり 死亡率も高い 日常診療の中でイレウスは頻繁に遭遇するが 絞扼性イレウスを鑑別し致死的な合併症をなくす配慮が必要である 表 1 イレウスの原因による分類 はじめに 腹部救急医療の中でもイレウスは頻度が高い疾 患である とりわけ腸管壊死を伴う絞扼性イレウ スは緊急手術を要し 診断や処置の遅延は生命予 後にかかわる この疾患に対し従来は 急性腹症 の概念の中で 診断と治療を併用した手術が行わ れるのが一般的であった しかし近年の画像診断 や手術手技の進歩は 早期診断と低侵襲手術への 道も拓きつつある 本稿では 絞扼性イレウスの 病態と診断 治療を概説しながら 最近の進歩に 機械的イレウス 単純性イレウス 腫瘍や胆石などによる内腔の閉塞 癒着などによる壁外性の閉塞 絞扼性イレウス 捻転 やヘルニアの嵌頓などによる血流障害を 伴う 機能的イレウス 麻痺性イレウス 痙攣性イレウス ついても言及したい Ⅰ 疫 学 では慣用的に機械的 機能的両方の意味合いでイ イレウスは発生原因により 機械的イレウスと レウスと呼称している 絞扼性イレウスは 機械 機能的イレウスに大別される 表 1 Maingot の 的イレウスの中での複雑性イレウスとして位置づ 教科書によると ileus は腸管の麻痺性障害 けられる その原因は多様であり 内ヘルニアや obstruction は機械的通過障害であるが 1 本邦 索状物によるものに加え ヘルニアの嵌頓 腸重 キーワード 絞扼性イレウス 腸管壊死 敗血症 Strangulation ileus H. Onodera 消化器センター長, K. Sudo, H. Shiozaki 聖路加国際病院消化器 一般外科 明石町 9 1 外 科 Vol. 74 No 東京都中央区 361

18 表 単純性イレウスと絞扼性イレウスの症状 理学検査所見の比較 単純性 絞扼性 発 症 やや緩徐 急激 腹痛の性状 疝痛性, 間欠的 激しく持続性 嘔 吐 上部小腸閉塞を除き発症後やや時間が経って始まる 初期嘔吐が多い 腹部所見圧痛 少ない ない 著明 腹部膨満 あり下部閉塞ほど著明となる 認めないことが多い限局性抵抗または絞扼腸管をふれることがある (Wahl 徴候 ) 腸雑音 亢進 減弱 消失 金属製または水響音 腹膜刺激症状 なし あり 全身状態 徐々に悪化 急激に悪化し早期にショック状態に移行する 体温上昇 なし 軽度 あり 白血球数 1 万 /μl 以下が多い 1 万 /μl 以上が多い 積, 腸管軸捻転, 腸管結節形成によるものなどがある. 欧米の報告では, 絞扼性イレウスの占める割合は7 42 % とばらつきがあるが, わが国のイレウス患者全国統計 (1996 年,363 施設 21, 899 例 ) によると, 手術例は 8, 032 例 (36. 7 %), 保存治療例は13,867 例 (63.3 %) で, 手術例では癒着性イレウス30.5 %, 腫瘍性 %, 絞扼性 % であった 2). 死亡率は癒着性が1. 4 % であるのに対して絞扼性は7.4 % と際立っており, 現在でも重篤な疾患であることにかわりはない. 病態イレウスの病態の特徴は, 脱水 とそれに付随する一連の合併症である 3). 通常の健康人では, 消化管内に分泌される消化液および腸液は 7 8l とされ, 経口摂取量を加えると 10 l 前後となる. これらの液体成分のほとんどが再吸収されるが, 腸管の通過障害が起きると閉塞部より上部の腸管が拡張し, 急速な浮腫をきたす. 次いで脱水, 有効循環血液量の減少を招き, 著しい場合はショックに陥る. 絞扼性イレウスでは腸管壁の血流障害が生じるため粘膜関門の機能が低下し,bacterial translocationが急速に進行し, 敗血性ショックや多臓器不全を引き起こす. 症状と理学所見単純性イレウスと絞扼性イレウスを鑑別するための, 症状や一般所見の評価は重要である ( 表 2). イレウス全般の症状である腹痛, 悪心 嘔吐, 腹部膨満, 排ガス 排便の停止に加え, 絞扼性イレウスでは発熱, 筋性防御,Blumberg 徴候があらわれる. 疼痛は疝痛よりも持続痛となる. 検 査 所 見 血液 尿一般検査脱水による血液濃縮や電解質異常, 尿量減少, 尿比重の増加を認める. 白血球は 1 万 /μl 以上のことが多いが, 発症時や重篤例では逆に白血球減少のこともある. 血清クレアチンキナーゼ (CPK) や乳酸脱水素酵素 (LDH), 乳酸値, 酸塩基平衡は, 単純性イレウスと絞扼性イレウスの鑑別や重症度の判定に役立つ 4, 5). 画像検査 単純 線検査単純 X 線像でのイレウスの所見は, 腸管の拡張とニボー形成である. 嘔吐の激しい場合や腸管内出血などで内腔が液体で満たされている場合は,gas-less abdomenの所見となるが, 単純 X 線像のみで絞扼性イレウスを診断することは困難で 362 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

19 の ー イ 血管 像 血流の る腸管 の ー イ 血腸管 図 腸管血流が保たれている絞扼性イレウスの 口側と肛門側のビークサインが接して closed loop を形成している. 血管集簇像と腸管浮腫を認め絞扼の所見である. 血流低下はあるが壊死にいたっておらず, 緊急手術で腸管切除は免れた. 図 腸管壊死の絞扼性イレウスの 腸管の血流低下と腸間膜の浮腫が強く, 腸管壊死に陥っている. ある. 腹部超音波検査簡便で無侵襲であるため, 熟練者が行えば診断上有用である. 単純性イレウスでは亢進した腸の蠕動運動や腸内容の移動が観察され, 絞扼性では腸管運動の減弱や停止, 腸管壁の肥厚, 腸内容の充満像と移動性の消失がみられる 6). 特に妊娠患者や重篤な患者のベッドサイド検査で第一選択とされる. 造影 検査臨床現場でもっとも重要な診断のポイントは, 機械的イレウスが腸管の血流障害を伴う絞扼性イレウスかどうかである. この確定診断には造影 CTがもっとも有用であるとする報告が多い. 機械的イレウスの CT では, まず腸管が拡張し内部に腸液が充満している. 特に腸管が2 ヵ所以上で閉塞し, 腸管のループを形成するいわゆる closed loopを認めれば, 絞扼性イレウスである可能性が高い. 腸管の血流障害を疑わせる所見は, 次の三つの所見に分けられる.1 腸管壁では造影効果の低下, 腸管閉塞部のビークサイン,2 腸間膜の所見では, 腸間膜血管の捻転による渦巻状の腸間膜血管 (whir sign) や車軸徴候 (spoke wheel sign), 3 中等度から大量の腹水である 7 9) ( 図 1,2). 絞扼性イレウスが疑われる患者では, 迅速に造影 CT を行い, 臨床症状と画像所見がそろえば, 積極的に手術を行うことが求められる ( 図 3,4). 図 手術所見 ( 図 2 の症例 ) 腸管は壊死に陥っており切除吻合を行った. 最近の医療事故判例を参考までに記載しておく. [ 判例 : 金沢地裁判決 (2006 年 )] 鎮痛薬の効かない激しい腹痛が持続し, イレウス管を挿入したがその後ショック状態に陥り, 播種性血管内凝固 (DIC) から多臓器不全に陥り死亡した事例である. 鎮痛薬の効かない持続する腹痛があり, 白血球が高かったことから絞扼性イレウスを疑うべきであり, 確定診断のために CTを実施していれば診断がついて開腹手術が行われ, 救命につながったと考えられるとして, 賠償額 7,100 万円を認容した. つまり 確定診断として CT 検査を行う必要が 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 363

20 大網紐による絞扼 腹腔鏡による絞扼紐の解除 絞扼解除後 術中の観察により腸管血流は回復している. 図 絞扼性イレウスに対する腹腔鏡補助下手術 あった という理由で, 医師の責任を問う判決である. 最近,CT 検査は絞扼性イレウスの診断に有効であるとの報告が多数あり, 医療事故裁判でもこうした文献考察が取り上げられる可能性も無視できない 10). 治療最近の画像診断や検査技術により, 絞扼性イレウスの術前診断が可能となりつつある. しかし, 確定診断が困難なときでも臨床所見を考慮し, いわゆる acute abdomen として積極的な治療を考慮する必要がある. 術式には標準的な開腹術と腹腔鏡補助下手術があるが, 最近では低侵襲の腹腔鏡補助下手術を試みる施設も増加してきた 11). 癒着性イレウスでの腹腔鏡手術の完遂率は60 80 % と報告されている. 手術時のポイントは以 下の点である.1 腸管が完全に壊死している症例では, 絞扼解除により各種のエドトキシンや chemical mediatorが大循環系に移行するおそれがあり, 支配血管を処理した後に索状物を切離して絞扼を解除する.2 患者の全身状態にもよるが, 安全を最優先させ腸管吻合にこだわらずに人工肛門造設を考慮する.3 腸管の viabilityの判断は時に困難であるが, 温生理食塩水に 15 分ほど浸し, 色調が正常化して蠕動が回復し腸管血流の再開が認められたときには, 切除せずに腸管を温存できる. 術後管理では, 本疾患が bacterial translocationによる敗血症状態であることを念頭において治療する. 適切な抗生物質の投与と呼吸循環動態の安定のための処置が重要であり, 重症例ではエンドトキシン吸着や持続血液濾過透析も必要となる 12). 364 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

21 おわりに イレウスは日常診療で頻繁に遭遇する疾患であ るが, その中で絞扼性イレウスを早期に診断し, 迅速な治療を行うことは外科医の技術でもある. 確定診断には造影 CT が威力を発揮し, 早期であれば腹腔鏡下手術を適応し腸管の切除も回避できる. 一方, 腸管壊死例では敗血症としての intensive careが必要となる. 本疾患の病態を理解し, 最近の画像診断の進歩と手術手技の向上をふまえた取り組みが必須である. 文 献 1) Harold E:Acute intestinal obstruction. Maingot s Abdominal Operations, 8th Ed, Applwton Century Crofts, Norwalk, p , ) 恩田昌彦, 高橋英明, 古川清徳ほか : イレウス全国集計 21,899 例の概要. 日腹部救急医会誌 : , ) Markogiannakis H, Messaris E, Dardamanis D et al:acute mechanical bowel obstruction;clinical presentation, etiology, management and outcome. World J Gastroenterol : , ) Murray MJ, Gonze MD, Nowak LR et al:serum D( )-lactate levels as an aid to diagnosing acute intestinal ischemia. Am J Surg : , ) Lange H, Jäckel R:Usefulness of plasma lactate concentration in the diagnosis of acute abdominal disease. Eur J Surg : , ) Ogata M, Imai S, Hosotani R et al:abdominal ultrasonography for the diagnosis of strangulation in small bowel obstruction. Br J Surg : , ) O Daly BJ, Ridgway PF, Keenan N et al:detected peritoneal fluid in small bowel obstruction is associated with the need for surgical intervention. Can J Surg : , ) Sheedy SP, Earnest Ⅳ F, Fletcher JG et al:ct of small-bowel ischemia associated with obstruction in emergency department patients;diagnostic performance evaluation. Radiology : , ) 小川健二 : 絞扼性イレウスを疑うとき. 診断と治療 : , ) 山本貴章 : 絞扼性イレウスは術前に確定診断できる! 臨外 : , ) 吉村玄浩, 佐々木勉, 政野裕紀 : 成人の絞扼性イレウスの手術. 手術 : , ) 堅野国幸, 山本学, 前田佳彦ほか : 絞扼性イレウス. 外科 : ,2009 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 365

22 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 5 急性虫垂炎 平崎憲範 吉川征一郎 李 慶文 勝野剛太郎 永仮邦彦 大内昌和 福 永 正 氣 要旨 近年 急性虫垂炎に対する診断は画像診断技術の進歩により精 度が高まっている これらの画像検査を含め総合的に判断しても診断に 難渋する症例は存在し われわれは手術適応と考える急性腹症疾患に対 し診断的腹腔鏡を行っている 急性虫垂炎の診断となった症例に対し腹 腔鏡下虫垂切除術を行い 膿瘍形成 汎発性腹膜炎例を含めた虫垂炎を 適応とし 良好な結果を得ている 手術が可能である われわれの急性虫垂炎に対す はじめに る治療の現状を紹介する 急性虫垂炎は 外科医が遭遇するもっとも頻度 の高い急性腹症疾患である Multidetector-row Ⅰ 診 断 CT MDCT の登場など近年の画像診断技術の進 1 臨床症状 歩により 急性虫垂炎の診断率は感度 特異度と 心窩部痛 内臓痛 から始まり次第に右下腹部 もに 90 を超える高い精度が得られてきた し に限局する 体性痛 のが典型的であり 嘔気 かし診断に難渋する症例もあり 今日においても 嘔吐などの消化器症状を伴うことが多く これに 病歴の聴取や丁寧な身体診察など 総合的な評価 の発熱を伴うときに虫垂炎を疑う 初 は重要である 実際の治療においても癒着や炎症 期では微熱であることが多く 軽度の消化器症状 の範囲 炎症進行度 膿瘍の有無などにより手術 のみで右下腹部痛の訴えがないこともあるが 腹 の難易度 術式はさまざまである 部所見上 右下腹部から正中にかけての圧痛があ 1 腹腔鏡下虫垂切除術 LA は 1983 年に Semm らによってはじめて報告され 徐々に普及してい る場合は虫垂炎を鑑別にあげる必要がある 右下腹部の限局した圧痛は重要な所見であり る 当院では 1994 年より LA を開始し徐々に適 McBurney Lanz の圧痛点などがある 虫垂が壁 応を拡大し 現在では標準手術となっている こ 側腹膜近傍に存在し炎症が腹膜に波及すると 腹 れまでの検討において創感染 術後在院日数など 膜刺激症状として筋性防御 Blumberg 症候が出 良好な結果を得ている 2 現在では麻酔科医 看 現する しかし 約 30 の症例では虫垂は盲腸 護師の協力により 24 時間体制での緊急腹腔鏡下 や回腸の背側 骨盤内に存在し 3 この場合典型 キーワード 急性虫垂炎 腹腔鏡下手術 単孔式手術 Acute appendicitis Y. Hirasaki, Y. Ree 准教授, K. Nagakari 講師, S. Yoshikawa, G. Katsuno, M. Ouchi, M. Fukunaga 教授 順天堂 大学浦安病院外科 366 外 科 Vol. 74 No

23 図 ポートの位置 5: 操作用ポート,5 10: スコープポート 的な腹部所見は呈さない. 後腹膜への炎症波及の徴候としての psoas 症候があり, 骨盤方向に落ち込んだ虫垂炎と女性の骨盤内感染症などの鑑別の際, 直腸診は重要である. また小児, 高齢者, 膿瘍形成例で所見が明瞭でない場合がある. 検査所見血算 生化学検査や, 泌尿器系疾患との鑑別に尿検査が重要である. 白血球数 (WBC) は急性虫垂炎の 80 % の患者で 10, 000/μl 以上に上昇する 4). しかし, 右下腹部痛の患者の70 % で WBC の上昇を認めるといわれ, 特異的検査ではない 5). 急性虫垂炎であれば WBC 10, 000/μl 以上を一つの手術適応基準としている. 画像検査として腹部単純 X 線像,CT, 腹部超音波があげられる.CT 検査上 6 mm 以上の虫垂腫大を虫垂炎の診断基準としている. われわれは 10 mm 以上の虫垂腫大を, 手術適応基準の一つとしている. また虫垂炎の進行度, 膿瘍形成などの所見が得られ, 術式の選択に有用である. 超音波検査でも CTと同様の所見が得られる. 非侵襲的かつ簡便に行えるため有用性が高い. 手 術 適 応 WBC, 腹部理学所見, 画像所見を総合的に判断し, 蜂窩織炎虫垂炎以上の診断となった場合は緊急手術適応を判断する. 疑診例に対しても診断 的腹腔鏡を積極的に適応している.LA の適応外は全身麻酔の適応外例, ショック状態にある症例, 遷延した汎発性腹膜炎, 糞便性腹膜炎, 高度の腸管拡張例である. 開腹手術の既往がある症例も適応から除外していない. 近年はすべての急性虫垂炎例が LA の適応となっており 6),2005 年以降開腹虫垂切除例は認めていない. LA は膿瘍形成 穿孔性虫垂炎において合併症発生率が低いという結果が得られており, われわれは積極的に LA を適応している. 膿瘍形成性虫垂炎や小児例に対して, 合併症低減を目的として interval appendectomyの有用性が報告されており 7), 今後検討が必要である. われわれは症例により単孔式,2 孔式, 従来法 (3 孔式 ) を選択している. 現在は非穿孔性, 非膿瘍形成性虫垂炎を単孔式の適応とし ( 図 1a), 汎発性腹膜炎, 高度癒着例はドレーン留置が必要となった場合に単孔式手術のメリットが生かされないため禁忌としている. また術前画像診断上, 虫垂が盲腸背側に位置する症例は, 単孔式では視野が不良となる場合があること, 高齢者では臨床所見以上に腹腔内炎症が強い場合があることから慎重に適応を判断している 8). 単孔式手術の主なメリットは整容性と考えており, 皮膚切開は臍窩に収まる範囲としている. 小児や皮下脂肪の少ない患者では相対的に皮 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 367

24 膚切開が大きくなるため, 整容性でのメリットが少ないと考え適応としていない. これらの症例では 2 孔式手術 ( 臍 2 ポート, 恥骨上 1 ポート ) とすることで整容性の向上をめざしている ( 図 1 b). 単孔式 2 孔式手術適応外例に対しては, 従来法を行っている. 従来法では通常, 臍 恥骨上 左下腹部の3ポートとしているが ( 図 1c), 未熟な術者の執刀で助手が鉗子を1 本操作する場合やドレーンの留置が予想される場合には, 臍 恥骨上 右下腹部の3ポートとしている ( 図 1 d). ポート配置は術前評価, 第 1 ポート挿入後腹腔内を観察した時点で決定する. 手 術 準 備体位は仰臥位とする. 他疾患を強く疑う場合は開脚位とし, マジックベッドで固定する. モニターは患者の尾側と右側に配置する. 従来法では 10 mm,30 斜視硬性鏡, 無傷把持鉗子, 超音波凝固切開装置 (LCS) を用いる. 単孔式でも同様の器具を使用するが, スコープのみ干渉を避けるため 5 mm,30 斜視鏡ロングタイプまたは5 mmフレキシブルスコープを使用する. 手 術 手 技 ポート挿入第一トロカールは臍部縦切開の open 法で行う. 単孔式手術のポートは初期には直接穿刺法を行っていたが, 創感染のリスクを考慮し現在はアクセスポート (EZ アクセス : 八光社など ) を使用している. 体位頭低位, 右側高位とし Douglas 窩から回盲部周囲の汚染を確認する. 骨盤内に落ち込んだ終末回腸は頭側に排除する. 診断的腹腔鏡疑診例においても積極的に診断的腹腔鏡を行っている. 腹腔内を系統的に観察できる視認性のよさを活用して鑑別診断を行い, 急性虫垂炎の診断を得れば引き続き LA を遂行する. 特に鑑別上問題となる右側結腸憩室炎の診断においても有用と考えられる. 虫垂炎以外の診断となった場合, 必要に応じて引き続き腹腔鏡下に治療を継続している. 癒着剝離癒着のない症例では, 体位変換のみで虫垂間膜処理に移ることができる. 大網の癒着は, 先端の鈍な無傷鉗子を愛護的に使うことで鈍的剥離が可能なことが多い. 炎症高度例では剥離層の同定が困難な場合がある. このような場合は, 炎症の波及していない健常部位から操作を開始する. 虫垂の周囲の癒着を剥離し, 確実に虫垂を同定し, 腹側に吊り上げる操作がポイントで, これにより虫垂間膜が十分視認でき安全な処理が可能となる. 虫垂間膜の吊り上がりが不良な症例では, 腹腔鏡下大腸切除で行われる内側 外側アプローチを適宜選択し, 盲腸 上行結腸を後腹膜下筋膜の前面に沿って剥離 授動する. これにより癒着の状態が把握しやすくなり虫垂の処理が可能になる. これらの操作でも虫垂処理が困難な場合は, 十分に授動した後, 腹腔内での盲腸切除, 臍部位の小切開からの直視下根部処理, 回盲部切除などを考慮する必要がある. 虫垂間膜処理虫垂間膜のねじれを解除し, 左手の鉗子で間膜を把持し腹側に吊り上げることで, 間膜全体の視野を良好に保つことができる ( 図 2a). これにより根部方向への切離ラインも明瞭に把握できる. 虫垂間膜は LCSのバリアブルモードで間膜ごと止血しつつ, 一括して切離する ( 図 2b). 間膜が肥厚した症例では虫垂動脈出血の危険があるため腹膜を薄く切開し, 血管を剥離した後に切離する. 炎症で間膜が短縮した症例や盲腸に強固に癒着した症例では, 虫垂と盲腸の境界が認識しにくいことがある. このような場合は, 副損傷予防のため虫垂に近接して間膜を処理するように心がけている. 虫垂根部処理虫垂の遺残は再発 術後膿瘍の原因となるため, 虫垂根部は処理する前に多方向から見直し十分確認する. 虫垂根部はエンドループで中枢側 2 回, 末梢側 1 回結紮し, この間を LCSで切離する. 近年では多くの症例で中枢側 1 回のみのエンドループで結紮後,LCS で切離している ( 図 2c, d). このとき十分な締め込みの抵抗感が得られない場合は虫垂根部組織の壊死による脆弱化が考えられ, さらに中枢での処理が必要となり, 盲腸を含め内視鏡手 368 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

25 間膜の把持 展開 間膜の処理 根部の結紮 図 内視鏡像 根部の切離 術用自動縫合器で一括切除する. 検体回収検体回収袋に収容し回収する. 単孔式手術ではプロテクターで創縁が保護されているので, 袋を用いず摘出している. 腹腔内確認閉創前に出血, キャビテーションや鉗子による副損傷の有無を確認する. 腹腔内洗浄 ドレーン 創閉鎖ドレーンの挿入は術者の判断による. 膿瘍形成, 汎発性腹膜炎例では 3, , 000 ml 以上の洗浄を行っている. 十分な洗浄により汚染が除去された症例においては, ドレーンの必要はないと考えている. 5 mm 以下のポート創であれば創閉鎖の必要は ない.10 mm 以上のポート創に対して, ポート部ヘルニア予防として確実に筋膜から腹膜を含め閉創する必要がある. 手術成績 2011 年 10 月までにわれわれは870 例の LAを経験した. 合併症発生率は 3.0 % であり, 創感染 1.6 %, 腹腔内膿瘍 0.9 %, 腸閉塞 0.5 % であった. 虫垂炎例のうち穿孔 膿瘍形成虫垂炎が167 例で, 合併症発生率は13.2 % であり, 創感染 6.6 %, 腹腔内膿瘍 4.2 %, 腸閉塞 2.4 % であった. 開腹虫垂炎例との比較において, 虫垂切除例全体, 穿孔 膿瘍形成例のいずれも有意に LA で合併症発生が低率であった. 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 369

26 おわりに 急性虫垂炎は軽症例から腹膜炎, 膿瘍形成例ま でさまざまであるが, 重症例の中には診断の遅れが原因となっているものも少なくない. 正確な診断を行い適切な時期に適切な手術を行うことが重要である. しかしながら, 診断に難渋する症例は存在する. 診断能に優れ, 疾患に応じた手術に移行できる腹腔鏡下手術は, 虫垂炎の診断 治療において有用と考えられる. 文 献 1) 山崎道夫, 井本勝治, 坂本力ほか : 救急消化管疾患の画像診断. 臨放 : ,2007 2) Katsuno G, Nagakari K, Yoshikawa S et al:laparoscopic appendectomy for complicated appendicitis;a comparison with open appendectomy. World J Surg : , ) Guidry SP, Poole GV:The anatomy of appendicitis. Am Surg :68 71, ) Elangovan S:Clinical and laboratory findings in acute appendicitis in the elderly. J Am Board Fam Pract :75 78, ) Calder JD, Gajraj H:Recent advances in the diagnosis and treatment of acute appendicitis. Br J Hosp Med : , ) 永仮邦彦, 木所昭夫, 福永正氣ほか : 腹腔鏡下虫垂切除術の技術的注意点. 手術 : ,2004 7) 小林慎二郎, 瀬上航平, 三浦和裕ほか : 当院における膿瘍形成性虫垂炎に対する治療の現況. 日腹部救急医会誌 : ,2011 8) 大下裕夫, 田中干凱, 伊藤隆夫ほか : 急性虫垂炎の臨床的検討 年齢からみた特徴について. 日消外会誌 : ,1988 お知らせ 第 回手術手技研究会 会 期 :2012 年 5 月 25 日 ( 金 ) 26 日 ( 土 ) 会 場 :5 月 25 日ホテルニューオータニ博多 ( 福岡市中央区渡辺通 1 1 2) 5 月 26 日電気ビルみらいホール ( 福岡市中央区渡辺通 ) 会 長 : 塩﨑均 ( 近畿大学医学部長 ) 当番世話人 : 前原喜彦 ( 九州大学消化器 総合外科教授 ) 主題 : 手術手技の創意 工夫 主題 : 癌の化学療法 放射線治療後のサルベージ手術のコツ 演題募集 : 主題に関連した演題, ならびに手術手技に関する一般演題を広く募集いたし ます. 第 66 回研究会ホームページ ( をご覧 下さい 問い合わせ : 福岡市東区馬出 第 66 回手術手技研究会事務局 九州大学消化器 総合外科事務担当 : 調 憲, 池上 徹 TEL: /FAX: /E mail:kshirabe@surg2.med.kyushu-u.ac.jp 手術手技研究会では, 同時に平成 24 年度 指定研究 奨励研究 を募集しています ( 募集は終了しました ) 奨励研究: 手術手技全般に関するもの. ただし, 共通した基本的な手技, または他の専門領域にも応用可能なもの 指定研究: 機能温存と再建手術の開発と検証問い合わせ : 吹田市山田丘 2 2 E2 手術手技研究会事務局長 : 土岐祐一郎 ( 大阪大学大学院消化器外科 ) TEL: /FAX: /E mail:jsast@gesurg.med.osaka-u.ac.jp 370 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

27 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 6 大 腸 穿 孔 高和 正 赤 須 孝 之 要旨 大腸穿孔は汎発性腹膜炎からエンドトキシン血症 敗血症性 ショック 播種性血管内凝固 DIC 多臓器不全などへといたる救急疾 患であり 病態の把握 確定診断 治療方針決定 手術まですみやかに 行う必要がある 大腸穿孔後 汎発性腹膜炎の所見がある場合には緊急 手術が必要である 原則として開腹手術を行う 手術は患者の病態に応 じて 穿孔部切除 腹腔内洗浄 腹腔ドレナージ 人工肛門造設術を行 う 術後には重症感染症 敗血症に対する集学的治療が必要になること が多い 内視鏡検査 処置に伴う穿孔の場合 穿孔後の経過時間が短く 腹腔内汚染が軽度で 穿孔部位の同定が容易で気腹が可能であれば 腹 腔鏡手術を行ってもよい 汎発性腹膜炎の所見がなく 穿孔直後にク リッピングによる穿孔部の閉鎖に成功したとき または遅延型の穿孔の 場合には 保存的治療が可能なことがある 保存的治療を行う場合には 汎発性腹膜炎への移行に常に注意し 汎発性腹膜炎の所見があらわれた 場合にはただちに手術を行う 表 1 大腸穿孔の主な原因 はじめに 大腸穿孔は穿孔による汚染が高度であるため 容易に細菌性腹膜炎 敗血症から多臓器不全をき たしやすく予後不良である 1 大腸穿孔の原因は さまざまであり 表 1 それぞれの病態や腹腔内 汚染度も異なるため 各々に合わせた治療方針 手術が選択されなければならない 原因疾患としては大腸癌や炎症性腸疾患が多 く 特発性や憩室穿孔もみられる 大腸内視鏡検 査 処置の普及に伴う医原性の大腸穿孔も増加し ている 穿孔の頻度は低いが 穿孔が原因で死亡 腫瘍性 大腸癌 腫瘍部の穿孔 腸管狭窄 閉塞による口 側腸管の穿孔など 他臓器腫瘍の大腸浸潤 非腫瘍性 虫垂炎 大腸憩室症 炎症性腸疾患 医原性 大腸内視鏡検査 注腸造影検査 下剤投 与 浣腸など 腹部外傷 交通外傷 鋭的外傷 鈍的外傷など 宿便性 異物 魚骨 義歯など 特発性大腸穿孔 キーワード 大腸穿孔 外科治療 腹腔鏡手術 保存的治療 Colorectal perforation M. Takawa, T. Akasu 医長 国立がん研究センター中央病院大腸外科 外 科 Vol. 74 No 東京都中央区築地

28 する例があることから, 穿孔時の治療は適切に行わなければならない. 以前は医原性穿孔が起こると開腹手術が行われていたが, 最近では保存的治療や腹腔鏡手術を行う場合も増えてきている. 今回, 大腸癌関連穿孔と内視鏡処置などの医原性穿孔の外科治療の適応 方法について述べる. 大腸癌関連穿孔 病態大腸癌穿孔の発症形式には 2 種類あり, 腫瘍の穿孔と腫瘍から離れた口側腸管穿孔に分けられる. 腫瘍穿孔は, 癌潰瘍が増大していき自壊して穿孔が起きるとされ, 被覆穿孔になることが多く, 他臓器に穿通を起こすこともある. 腫瘍口側の穿孔は, 腫瘍による閉塞性大腸炎, 腸管内圧の上昇 ( 大腸癌イレウス ) により惹起され, 汎発性腹膜炎を伴う遊離穿孔となることが多い 2, 3). 診断疼痛 圧痛 反跳痛 筋性防御などの強い腹膜刺激症状と炎症反応増加を認める. 白血球の著明な減少は重症感染症であることを示しており, 厳重な管理が必要である. 画像検査では単純 X 線像 腹部 CT での腹腔内遊離ガス像の有無を調べ, 特に CT は腹水貯留の有無と穿孔部位や腫瘍性病変の描出にも有用である. 腹膜炎症状が腹部全体に認められる場合には, 汎発性腹膜炎として緊急手術の適応である. 出血性ショックを伴うものも緊急手術の適応である. 発熱やショックなど敗血症の所見が認められる場合にも, 緊急手術が考慮される. 治療大腸癌関連穿孔は手術の絶対適応がある. また, 全身状態が不良な場合が多く, 手術は救命を第一としながらも, 癌の根治性も追及することが肝要である 3). また大腸穿孔時には, 穿孔後可及的すみやかに抗菌療法を開始する必要がある. 使用する薬剤は Gram 陰性菌と嫌気性菌を標的とする第二世代セフェム系抗生物質が第一選択となる. 腹膜炎や敗血症がある場合には, より抗菌スペクトルの広い抗生物質が必要である. その他, 病態に応じてγグロブリン製剤の投与, 酸素投与, ステロイド投与, エンドトキシン吸着などの抗ショック療法を開始する. 腫瘍穿孔でも口側腸管穿孔でも, 穿孔部を含む 癌病巣の一期的切除が原則である. 全身状態不良や切除に時間を要すると判断した場合には一期的切除をあきらめ, ドレナージと人工肛門造設を行う. 手術可能な限り早急に手術治療を行う. 上中下腹部正中切開で開腹, 腹腔内を観察し, 感染した腹水を培養に提出しできる限り吸引 洗浄を行う. 穿孔部位が同定できたら, 可能であれば一時的に縫合閉鎖しておく. できない場合には穿孔部の口側 肛門側の腸管をクランプして腸内容物の流出を最小限にする. 腹腔内洗浄を 10 l 以上, 洗浄液の混濁がなくなるまで行う. 洗浄後には腫瘍の穿孔, 口側腸管の穿孔でも, 可能であれば腫瘍と穿孔部を含めた腸切除を行うことが望ましい. 患者の全身状態がわるい場合には腸管切除は行わず, 穿孔部もしくはその口側で双孔式人工肛門を造設する. 穿孔部 腫瘍を切除した場合でも人工肛門造設が基本になる. 肛門側断端が直腸になる場合には, 切除腸管の口側を単孔式の人工肛門とする (Hartmann 手術 ). それ以外の場合では, 穿孔部もしくは口側腸管と肛門側腸管の双孔式人工肛門を作製する. 腹腔内汚染が軽度であり, 全身状態が良好であれば一期的吻合も可能であるが, その場合, 一次的人工肛門を造設するとより安全である. 左右横隔膜下 骨盤内にドレーンを留置する. 吻合した場合には吻合部にも留置する. 閉腹に際し, 筋膜はモノフィラメント吸収糸の結節縫合で行う. 創部は高率に感染を引き起こすため皮膚は閉じないか, 粗く縫合する. 内視鏡的処置後の穿孔 病態外科的手術の適応と方法は, 基本的には通常の大腸穿孔時と同じである. しかし, 大腸内視鏡時の穿孔では前処置により腸管内容物が少ないため, 臓器の化学的損傷や感染の原因となる腸液や糞便による汚染が少ない可能性がある. これらが少なければ, より小さな侵襲の処置または手術で済む場合がある. したがって, 内視鏡時に穿孔に気づいた場合には, まず汚染を最小限に食い止めるために, 腸管内容をできる限り吸引し, クリッピングによる穿孔部閉鎖を試みるべきである 4 6). 372 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

29 そのうえで外科的手術または保存的治療を行う. 診断急性腹症時と同様である. 腹膜炎症状が比較的軽く, 疼痛が穿孔部に限局する場合 ( 限局性腹膜炎 ) には, 保存的治療が可能な場合がある. しかし, この場合には汎発性腹膜炎に移行する危険性を常に考慮し, 注意深い経過観察が必要である. 特に, 老人や小児では腹膜炎症状がはっきりしないことがあり, 注意を要する. バイタルサインが不安定で全身状態が不良な場合には, 汎発性腹膜炎による敗血症や出血の可能性を考慮しなければならない. したがって, 定期的なバイタルサインのチェックが必要である 5). 治療内視鏡治療直後の穿孔であればクリッピングを試み, 穿孔部閉鎖に成功すれば保存的治療が可能である. 閉鎖不成功例では手術になることが多い. 一方, 内視鏡終了後の穿孔ではクリッピングによる穿孔部閉鎖はむずかしいが, 症例によっては保存的治療が可能である. 穿孔後可及的すみやかに抗菌療法を開始する必要がある 5). 手術内視鏡治療後の穿孔では, 一期的穿孔部切除再建か人工肛門造設を行う. 穿孔による腹腔内汚染後短時間で手術した場合には, 開腹による穿孔部大腸の楔状切除と縫合または腸管切除と吻合および腹腔内洗浄 腹腔ドレナージを行う. 縫合または吻合は手縫いでもよいが, 自動縫合器を用いるほうが抗張力, 吻合部血流, 感染予防の点からより安全である. 穿孔発見までの時間が短く腹腔内の汚染が軽度で, 穿孔部位の同定が容易で気腹が可能であれば, 腹腔鏡手術を行ってもよい. 腹腔鏡手術のほうが術後の回復は早い. 手術用具や手技の進歩により, 今後腹腔鏡手術の適応が増すものと考えられる. しかし, 穿孔部の同定がむずかしい場合には, 開腹に移行すべきである. 腹腔内汚染後長時間が経過した場合や敗血症が起こっている場合には, 上記のような一期的な穿孔部の切除, 縫合 吻合が危険な場合がある 5). 表 2に人工肛門を造設したほうがよい病態を示す 5). 保存的治療の適応と方法腸管清掃が十分に行われており, 穿孔部が比較的小さく, 腹腔内汚染の程度が軽いと判断される 表 大腸穿孔時に人工肛門造設を考慮すべき病態 ( 文献 5 より引用改変 ) 1. 全身状態の不良な患者 2. 高齢者 3. 穿孔後長時間の経過 4. 糞便による中等度以上の腹腔内汚染 5. ショック状態 6. 敗血症 7. 輸血が必要な出血 8. 広範な腸管損傷 場合, すなわちただちに外科的手術を行う必要のない場合には, クリッピングによる穿孔部閉鎖を試みる. 直後の穿孔部閉鎖が成功した場合には, 保存的治療ですむ可能性が高い. 腸管内から腸管外に排出されたガスの量が多く, 腹腔内のガスで腸管が潰されて, 穿孔部閉鎖がうまくいかないことがある. そのような場合には, 腹壁から静脈内留置針を腹腔内に刺入し, 腹腔内のガスを体外に排出することで腸管の潰れを改善し, 穿孔部閉鎖ができるようになることがある 6). 穿孔直後に穿孔部閉鎖が成功しない場合には, 外科的手術になる可能性が高い 4). 内視鏡治療終了後しばらくして穿孔した場合には, クリッピングによる穿孔部閉鎖が成功しないことが多いにもかかわらず, 保存的治療が可能なことが多い 6). いずれの場合にも, 腹膜炎症状がないか, 腹膜炎症状が比較的軽く疼痛が穿孔部に限局する ( 限局性腹膜炎 ) ことを経時的に確認する必要がある. 汎発性腹膜炎の症状があらわれた場合には, すぐに緊急手術を行わなければならない. 腸管内のガスを十分に吸引することができず, 腸管が膨満したままになっている場合には, 経肛門的なチューブの留置により腸管内を減圧することができる. 前項で述べたように, 保存的治療の場合にも抗生物質の投与が必要である. 症例提示 症例 急激な腹痛で来院した. 腹部所見は汎 発性腹膜炎であった. 腹部 CT で下行結腸に腫瘍像と口側腸管の拡 張, 腹腔内遊離ガスを認めた ( 図 1a) ため, 緊急手術とした. 開腹所見では腹腔内は便汁で汚染され ( 図 1b),S 状結腸の腫瘍と横行結腸に穿孔部位 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 373

30 a 腹部 CT 腫瘍像 矢印 と口側腸管の拡張 腹腔内遊離ガス 矢頭 を認める c 開腹所見 S 状結腸の腫瘍 と横行結腸に穿孔部位を認め る b 開腹所見 腹腔内は便汁で 汚染されている d 切除標本 大腸癌 矢印 と口側腸管穿孔 矢頭 を認める 図 1 症例 1 a 内視鏡像 脾彎曲部の 5 mm 大の腺 腫の hot biopsy 後 b 腹部 CT 脾彎曲の穿孔部 矢印 の周囲に 複数の腹腔内遊離ガス像と液体貯留像 矢頭 を認める 図 2 症例 外 科 Vol. 74 No

31 内視鏡像 上行結腸の 3.5 cm 大の腺腫の ESD 内視鏡像 穿孔直後にクリッピングによる穿孔部閉鎖を行っている. 腹部 多量の腸管内ガスが腹腔内 ( 矢印 ) および腹壁内 ( 矢頭 ) に漏出しているが, 液体の貯留は認めない. 図 症例 を認めた ( 図 1c). 結腸を腫瘍 穿孔部ともに切除し, 双孔式に人工肛門を造設した. 大腸癌と口側腸管穿孔を認めた ( 図 1d). 症例 脾彎曲部の5 mm 大の腺腫の hot biopsy 後 ( 図 2a) 遅延型穿孔例腹部 CT 検査で, 脾彎曲の穿孔部の周囲に複数の腹腔内遊離ガス像と液体貯留像が認められた ( 図 2b). 本例では, 多量の腹腔内液体貯留像が認められ, 汎発性腹膜炎の腹部所見が認められたので緊急開腹手術とした. 症例 上行結腸の3.5 cm 大の腺腫 ( 図 3a) の内視鏡的粘膜下層剝離術 (ESD) 直後の穿孔例穿孔直後にクリッピングによる穿孔部閉鎖が行われた ( 図 3b). 腹部 CT 検査ではすでに多量の腸管内ガスが腹腔内および腹壁内に漏出していたが, 液体の貯留は認められなかった ( 図 3c). 本例では腹痛も比較的軽く限局していたので, 保存的 治療が行われた. このように, 穿孔の有無の診断には腹部 CT 検査 ( 図 1a, 2b, 3c) および腹部単純 X 線検査が有用である. しかし, 症例 3 のように CT 検査で多量の腹腔内ガス像が認められても, これが即緊急手術の適応というわけではない. 逆に症例 1 では腹腔内ガスは目立たない. これに対し症例 2 のように, ガス像は多くなくても手術適応になることもある. したがって, 現時点では画像診断におけるガス像のみから手術適応を決めることはむずかしいと考えたほうがよい. いずれの症例でも, 腹部症状はよく手術適応の判断に役立っており, 現時点では腹部所見に重点をおき, 画像診断を参考にして手術適応を決めるのが妥当であろう 5). おわりに大腸癌関連穿孔では穿孔による汚染が高度であ 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 375

32 るため, 容易に細菌性腹膜炎 敗血症から多臓器不全をきたしやすく, 診断を早くつけて早急な開腹手術を行うことが必要である. 術後は敗血症や DICを併発しやすく全身的管理が必要である. 近年, 内視鏡治療例の増加に伴い穿孔もある一定の頻度で起こる. 穿孔に対する治療を誤ると死亡することがある一方で, 最近ではクリッピングを含む保存的治療法で治る患者が少なくないこともわかってきた. 緊急手術の必要な場合でも, 腹腔鏡手術のようなより低侵襲の治療も試みられている. 文 献 1) 小杉千弘, 安田秀喜, 幸田圭史ほか : 下部消化管穿 孔. 消外 : ,2008 2) 日吉雅也, 北山丈二 : 大腸穿孔に対する手術. 手術 : ,2011 3) 隅健次, 宮崎耕治 : 大腸癌関連穿孔. 外科 : ,2009 4) Taku K, Sano Y, Fu KI et al:iatrogenic perforation associated with therapeutic colonoscopy;a multicenter study in Japan. J Gastroenterol Hepatol : , ) 赤須孝之, 松田尚久, 斎藤豊 : 内視鏡による穿孔に対する外科的治療, 下部消化管穿孔に対する外科的治療. 臨消内科 : ,2010 6) Saito Y, Matsuda T, Kikuchi T et al:successful endoscopic closures of colonic perforations requiring abdominal decompression after endoscopic mucosal resection and endoscopic submucosal disseciton for early colon cancer. Dig Endosc [Suppl 1]:S34 S39, 2007 * * * お知らせ 日本透析医会研修セミナー 透析医療における 会期 :2012 年 5 月 20 日 ( 日 ) 8:50 16:40 会場 : 東京ステーションコンファレンス ( 東京都千代田区丸の内 サピアタワー ) 会長 : 山﨑親雄 ( 日本透析医会会長 ) 主題 : 高齢者の維持透析療法に伴う諸問題プログラム 1) 透析患者の背景の変化に対応した透析医療 2) 高齢者における透析導入考慮時の脳心血管合併症 3) 高齢者の透析治療開始の可否判断 何を基準として考えるか 4) 高齢者の透析医療の実際 5) 高齢者における血管アクセスの作製 維持管理 修復について 6) 導入時高齢患者の予後問合先 : 東京都千代田区神田須田町 淡路建物ビル 2 階日本透析医会事務局 TEL: /FAX: E mail:info@touseki-ikai.or.jp 376 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

33 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅰ 食道 胃 腸 7 潰瘍性大腸炎急性増悪 内野 基 池内浩基 松 岡 宏 樹 要旨 近年増加しつつある潰瘍性大腸炎の治療はめざましい進歩をと げているが 急性増悪し重症 劇症化する場合には生命予後にかかわ り 適切な治療を行わなければならない 治療指針は厚生労働省研究班 より提示されているものの 治療選択 有効性の判断 合併症の予防 内科的治療から外科的治療への適切なタイミングなど 判断がむずかし い場合も少なくない 感染合併症併発時には重篤化することもあり 内 科 外科の連携のもと治療を行っていくべきである 重症 劇症例では 包括的に治療し救命を第一に考えるべきであるが できる限り肛門温存 にも留意した治療計画を立てる必要がある うえ 悪化した全身状態の改善を目的とした治療 はじめに が必要である 外科的治療を要する症例は 大部 潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis UC は原因不 分が再燃寛解型のステロイド抵抗性 ステロイド 明の免疫疾患で 本邦では 2009 年度に 12 万人以 依存性といった難治例であるが 時に急激な全身 上の有病者が存在し増加の一途をたどっている 状態の悪化とともに治療に抵抗性の症例を経験す 炎症のターゲットは大腸が主体であるが 胃 ることがある 急性増悪の要因はさまざまであり 十二指腸病変 小腸病変 腸管外合併症として関 因果関係が不明瞭な部分が多いが 上気道炎など 節炎 皮膚炎など多彩な病変を呈する 根本的治 他臓器の感染後 妊娠出産後 Clostridium 感染 療はなく 厚生労働省の特定難病疾患として診 やサイトメガロウイルス感染など腸管感染症に続 断 治療指針が示されている 臨床経過 病変範 発することがある 高齢者や合併疾患 全身状態 囲や活動度により病型 重症度はさまざまで そ の悪化がある場合 診断基準を満たさない場合で れぞれの病態に合わせた治療指針が示されている も重症度を高く判断する場合があり より重症に が ここでは急性増悪すなわち重症 劇症の治療 準じた治療を考慮する必要がある について述べる Ⅰ 重 症 Ⅱ 治 度 療 重症 劇症の治療指針を図 1 に示す 1 ステロ UC の重症度を表 1 に示す 重症例では入院の イド強力静注療法が基本となるが ステロイド抵 キーワード 潰瘍性大腸炎 急性増悪 肛門温存分割手術 回腸嚢肛門吻合術 Treatment for rapidly exacerbated ulcerative colitis M. Uchino 講師, H. Ikeuchi 教授, H. Matsuoka 兵庫医科大学 IBD センター外科 外 科 Vol. 74 No

34 表 重症度診断基準 重症中等症軽症 1 排便回数 6 回以上 4 回以上 2 顕血便 ( +++ ) (+) ( ) 3 発熱 37.5 重症と軽症の ( ) 4 頻脈 90 回 / 分以上中間 ( ) 5 貧血 Hb 10g/dl 以下 ( ) 6 赤沈 30 mm/ 時以上正常 重症とは 12 のほか 34 のいずれかを満たし, かつ 6 項目のうち 4 項目以上を満たす. 軽症は 6 項目すべてを満たすものとする劇症の診断基準は以下の 5 項目すべて満たすものとする. i) 重症基準を満たしている,ii)15 回 / 日以上の血性下痢が続いている, iii)38 以上の持続する高熱がある,iv)10, 000/μl 以上の白血球増多がある, v) 強い腹痛がある 図 の内科治療指針 ( 文献 1 より引用改変 ) 抗例などでは血球成分除去療法 (CAP) を併用する場合もある. 重症であればあるほど治療効果の判断は早期に行う必要があり, 重症であれば 1 週間, 劇症であれば 3 日程度で全身状態とともに判断し, 治療継続あるいは変更を考えるべきである. 前述のように, 高齢者ではより早期の判断が必要である. ステロイド,CAP の治療が無効である場合には,tacrolimus や ciclosporin といった 免疫調節薬の投与あるいは抗 TNF α 抗体製剤の投与が行われる. 免疫調節薬使用時には早期に有効血中濃度に到達することが重要で, 到達後にも 3 4 日の短期で効果判断が必要である. 抗 TNF α 製剤では効果発現までにある程度時間を要するため, 重症 劇症例のなかでも手術となる可能性がより高い症例には適さない場合もある. ステロイド長期投与や免疫調節薬, 生物学的製剤の併用 378 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

35 図 分割手術 は, 感染合併症のリスクが増大する 2). 広域スペクトル抗菌薬やサイトメガロウイルス感染, 再活性時の抗ウイルス薬投与が必要となる場合があるが, 耐性菌の問題, 抗ウイルス薬の副作用など長期投与は避けるべきである. 肺炎などの重篤な感染合併症を併発すれば, 全身麻酔すら不可能となる場合があり, 効果のない治療を漫然と継続することは避けるべきである. 手術に与える影響では, ステロイド総投与量の増加は感染を中心とした術後合併症の増加の有意なリスクであることは留意しておくべきである 3). 一方で, 免疫調節薬の術前投与は術後合併症を増加させないと報告されており, 術後合併症を理由に投与を躊躇する必要はない 4, 5).Crohn 病では影響がないとされる抗 TNF α 製剤の UC 術後合併症に与える影響は, 現段階では議論の余地がある 5 7). 手 術 適 応手術は上記のように重症 劇症例で強力な内科治療が無効な例が準緊急手術の対象となり, 絶対的手術適応である大量出血, 中毒性巨大結腸症, 穿孔が緊急手術の対象としてあげられる. いずれの場合でも, 敗血症や播種性血管内凝固 (DIC) を合併する前に手術を行うことが必須であり, 内 科的治療の効果判断や診断もこの観点から行うべきである. 中毒性巨大結腸症の場合には,CAP が有効な症例もあるが, 外科手術を考慮したうえで行う治療方法である. 重症 劇症例で初期治療が無効であると考えられた場合にも, その時点で内科 外科が情報を共有し, 準緊急手術にスムーズに移行できる態勢を整えておきつつ, その後の治療選択を行う必要がある. 手術 UC に対する手術は大腸全摘, 回腸嚢肛門 ( 管 ) 吻合術が標準術式であるが, この過程を分割にするか一期的に行うか, または緊急 準緊急手術か待機手術とするかは, 手術適応と患者の全身状態により異なる. 重症度が高くなれば緊急 準緊急手術の手術タイミングを要する症例が多くなるが, 重症例の中には, 寛解導入にいたらないまでも軽快傾向にあり待機的に手術を行う場合もある. 自験手術 1,000 例では約 21 % が緊急 準緊急手術を行っており, 大量出血 7.6 %, 穿孔 3.1 %, 中毒性巨大結腸 2.9 %, 重症 劇症 7.8 % であった 8). 分割手術の詳細を図 2 に示す. 一般的に緊急 準緊急手術では compromised hostであることよ 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 379

36 り全身状態が不良で感染症, 敗血症, ショック, DIC などを合併していることもある. 特に穿孔, 中毒性巨大結腸症, 感染合併症例では救命を第一の目的とし, 手術侵襲を軽減することが重要であるが, 最終的な肛門温存も視野に入れる必要があり, 結腸全摘術を主体とした三期分割手術が必要である. 初回手術では侵襲をできる限り縮小するために, 手術時間延長, 出血量増加につながる直腸操作は行わない. また将来の肛門温存のため汚染を拡大させるべきではなく, 直腸切除とともに腹膜翻転部は開放すべきではない. 結腸全摘, 直腸粘液瘻, 回腸人工肛門造設を初回手術とする. 二期分割手術では手術操作に対しては, 粘膜切除とし肛門吻合とするか, 器械吻合である肛門管吻合とするかの相違点があり, それぞれの利点 欠点が議論の対象となる場合もあるが, 現段階では習熟した手技で行うことが重要であるとされており, いずれも標準術式となっている. 三期分割手術では直腸断端の処理方法に留意が必要である. 直腸断端は Hartmann 手術として腹腔内にとどめ, 経肛門的にドレナージを行うことで断端部の破綻を防止できるとの報告もみられる 9). われわれは原則的に粘液瘻とし経肛門的ドレナージを行っている. 自験例での検討では, Hartmann 手術は骨盤腔内感染の危険因子となっていた. 粘液瘻造設が創感染増加に影響する可能性はあるものの, より重篤な骨盤内感染を回避するために粘液瘻造設とすべきである. また腹膜反転部付近で Hartmann 手術とした場合,2 回目手術時に断端同定が困難となり, 出血 神経損傷を誘発することがある. このことからも粘液瘻造設を推奨する. ただし粘液瘻造設部より肛門側に穿孔部が存在する, あるいは大量出血部が上部直腸に存在するときには,Hartmann 手術とせざるをえない場合がある. 重症 劇症例でも全身状態が許すならば, 直腸操作まで行う二期分割手術の適応となる. これは残存直腸から術後出血をきたすことがあるためで, 特に大量出血が手術適応となる症例では注意を要する. 中毒性巨大結腸でも発症初期段階や前段階の全身状態が落ち着いている症例で, 腹腔内汚染がない場合には直腸操作が許容されうるが, 安全面を考えれば結腸操作のみにとどめるのが無難である. 最近ではデバイスの進歩や周術期管理 法の進歩により一期的手術が可能となり, 良好な成績が報告されている 8). しかし待機手術例のうち, さらにリスクの少ない症例を対象としており, 条件の不利な重症 準緊急例には適しておらず, いうまでもなく劇症 緊急手術例では避けるべきである. 術後合併症 UC 手術患者は compromised hostであるため, さまざまな術後合併症に留意する必要があるが, 急性増悪における緊急 準緊急手術時にはさらなる注意を要する. もっとも高頻度である合併症は感染症であるが, 術後の手術部位感染のみではなく, 術前から合併しうる全身感染症を意識し加療する必要がある. 術前から肺炎, 血流感染, 腹腔内膿瘍などを併発する場合もあるし, 広域スペクトル抗菌薬の長期使用により耐性菌感染を併発していることも少なくない. こうした感染が重篤である場合, 特に敗血症や DICを引き起こしている場合には救命率はかなり低下すると考えられる. 自験例 1,000 例の内訳をみてみると, 緊急手術 214 例のうち死亡例は13 例であり, 敗血症 3 例, 肺炎 7 例で,50 歳以上の高齢者がほとんどであった 8). いずれも術前から重篤な状態であり, 感染を併発していた. 強力に免疫を抑制する保存的治療の中では当然, ほかの感染症, さらに手術への影響も留意した治療が必要で, 明確な外科治療移行のタイミングを示すことはむずかしいが, 特に高齢者では早めの決断が安全であろう. 術後の手術部位感染については, 汚染手術でなければ大腸癌手術と遜色ない結果が得られている 3). しかし緊急 準緊急手術に多い汚染感染手術では, 創 腹腔内とも明らかに感染が増加する. 汚染手術では予防抗菌薬ではなく治療抗菌薬を意識して使用することも大切である. 手術部位感染は創閉鎖の工夫, デバイスの進歩や適切な周術期管理により減少させることが明らかとなってきているが, 緊急 準緊急手術ではそれに先立ち, 前述した二期, 三期手術を適切に選択することが重要である. 感染以外の術後合併症には, 大腸喪失による吸収不良や他臓器 UC 関連病変, ステロイド副作用などさまざまであるが, 深部静脈血栓症による肺梗塞には常に注意が必要である. 炎症性腸疾患で 380 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

37 は, 腸管炎症による脱水やステロイド使用による凝固亢進など, 深部静脈血栓症のリスクは高く, 自験例でも6 例深部静脈血栓症合併があり, 肺梗塞で 2 例の死亡例を経験している 8). 発症すれば重篤であるため術前評価, 予防は必須であるが, 術後の抗凝固療法は残存直腸病変出血などの術後出血の問題があり, 慎重に行う必要がある. おわりに UC 急性増悪では治療効果を早期に判断することが重要で, 次の治療へのすみやかな移行を意識した治療計画を立てる必要がある. 重症 劇症化では手術治療への移行を常に意識しなければならない. 感染合併は致命的であり, 内科 外科の連携のもと治療を行っていくべきである. 手術治療においてもまず救命を第一に考えるべきであるが, できる限り肛門温存にも留意した手術計画を立てる必要がある. 文 献 1) 松本誉之 : 潰瘍性大腸炎治療指針 ( 平成 22 年度改訂 ), 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 難治性炎症性腸疾患障害に関する調査研究 平成 22 年度総括 分担報告書,p60 63,p67, ) Trouner M, Loftus Jr EV, Harmsen WS et al: Risk factors for opportunistic infections in patients with inflammatory bowel disease. Gastroenterology : , ) Uchino M, Ikeuchi H, Matsuoka H et al:risk factors associated with surgical site infection after ileal pouch-anal anastomosis in ulcerative colitis. Dis Colon Rectum : , ) Mahadevan U, Loftus Jr EV, Tremaine WJ et al: Azathioprine or 6-mercaptopurine before colectomy for ulcerative colitis is not associated with increased postoperative complications. Inflamm Bowel Dis : , ) Colombel JF, Loftus Jr EV, Tremaine WJ et al: Early postoperative complications are not increased in patients with Crohn s disease treated perioperatively with infliximab or immunosuppressive therapy. Am J Gastroenterol : , ) Schluender SJ, Ippoliti A, Dubinsky M et al:does infliximab influence surgical morbidity of ileal pouch-anal anastomosis in patients with ulcerative colitis? Dis Colon Rectum : , ) Mor IJ, Vogel JD, da Luz Moreira A et al:infliximab in ulcerative colitis is associated with an increased risk of postoperative complications after restorative proctocolectomy. Dis Colon Rectum : , ) Ikeuchi H, Uchino M, Matsuoka H et al:surgery for ulcerative colitis in 1,000 patients. Int J Colorectal Dis : , ) Carter FM, McLeod RS, Cohen Z:Subtotal colectomy for ulcerative colitis;complication related to the rectal remnant. Dis Colon Rectum : , 1991 お知らせ 第 回日本外科系連合学会学術集会 会期 :2012 年 6 月 28 日 ( 木 ) 29 日 ( 金 ) 会場 : 九州大学医学部百年講堂 同窓会館 福岡市東区馬出 )/ TEL: ( 百年講堂 ) 会長 : 前原喜彦 ( 九州大学大学院消化器 総合外科教授 ) メインテーマ : Surgeons Leading the Future of Medicine 医療の未来を開く外科医 教育と診療連携演題募集 : インターネットによるオンライン演題募集 ( 募集は終了しました ) ホームページ : 問い合わせ : 福岡市東区馬出 第 37 回日本外科系連合学会学術集会事務局九州大学大学院消化器 総合外科 ( 第二外科 ) 組織委員長 : 矢野篤次郎 ( 准教授 ) 副組織委員長 : 佐伯浩司 TEL: /FAX: 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4) 381

38 特集 外科救急 実際の手順を追う Ⅱ. 肝 胆 膵 * 1. 肝細胞癌破裂 久保正二 竹村茂一 上西崇弘 坂田親治 塚本忠司 金沢景繁 山本 ** 晃 要旨 肝細胞癌破裂は急激な腹痛をきたすことが多く, 腹部救急疾患の一つである. 腹腔内出血をきたすため, 迅速な診断とショックに対する処置および止血処置が重要である. また, 肝機能障害を併存することが多いため, 肝不全対策も必要である. 止血処置として肝動脈塞栓術が第一選択となる. 全身状態が安定した後, 肝機能を評価し, 可能であれば二期的肝切除を行う. 腹膜播種は必ずしもきたさないことから, 長期予後も期待される. はじめに肝細胞癌 ( 肝癌 ) は血流が豊富な腫瘍であるため, 破裂した際には出血を伴うことが多く, しばしば致命的となる. 近年, 肝癌ハイリスクグループの設定とスクリーニングの結果, 比較的早期の段階で肝癌が発見されるようになったが, 第 18 回全国原発性肝癌追跡調査報告 1) によると肝癌破裂はいまだに全体の2.5 % を占め, 死亡総数の 5. 6 % を占める状況である. したがって, 現在においても肝癌破裂は重要な腹部救急疾患の一つであり, 迅速かつ確実な診断と治療が必要となる. 本稿では肝癌破裂の診断と治療について, その手順を追って述べる. 機序と病態破裂をきたす肝癌の多くは肝表面に存在し, しばしば肝外突出型である. また, 腫瘍径 5 cm 以上 の大型肝癌が多いと報告されている 2, 3). 自験 15 例においても全例で肝癌は肝表面に露出し,15 例中 12 例が肝外突出型で,10 例が最大径 5 cm 以上であった. 肝癌破裂の機序として, 腹部外傷, 腫瘍の急速な増大とそれに伴う内部壊死, 腫瘍栓や腫瘍浸潤による静脈還流障害, 肝硬変などに伴う凝固能異常, 腫瘍をおおう非腫瘍肝実質の破綻, 血管内皮損傷や血管機能障害などが報告されている 4, 5). しかし, 実際にはその原因が明らかでない場合が少なくないが, 豊富な血流, 高い腫瘍内圧, 軟らかい腫瘍, 腫瘍壊死をきたしやすいなど, 肝癌自体の性質が自然破裂に影響しているものと考えられる. また, 肝動脈化学塞栓療法 6, 7) や肝動注療法後の肝癌破裂例 8) が報告されているが, いずれの症例も腫瘍が肝表面に露出しているか肝外突出型であり, これらの治療によって腫瘍壊死, 出血性壊死, 腫瘍をおおう非腫瘍肝実質 ( 被膜など ) の破綻が誘因になったものと考えられる. * ** キーワード 肝細胞癌破裂, 肝動脈塞栓術, 肝切除, 肝機能 Rupture of hepatocellular carcinoma S. Kubo( 准教授 ), S. Takemura( 講師 ), T. Uenishi( 講師 ), C. Sakata: 大阪市立大学肝胆膵外科 ;T. Tsukamoto( 部長 ), A. Kanazawa( 副部長 ): 大阪市立総合医療センター肝胆膵外科 ;A. Yamamoto( 講師 ): 同大学放射線医学. 382 外科 Vol. 74 No. 4 (2012 4)

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