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1 一般演題 抄録

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3 P 医学生 研修医のプレナリーセッション ( 口述発表 ) 1 1 大腸癌化学療法 (XELOX 療法 ) により発現した非肝硬変性門脈圧亢進症の 1 例 - 薬剤中止後の食道静脈瘤の改善所見を含めて- 横須賀共済病院消化器病センター内科 石井玲子, 大坪加奈, 森川亮, 三好正人, 松田浩紀小島直紀, 幾世橋佳, 田邊陽子, 渡邉秀樹, 池田隆明 症例 74 歳, 男性 飲酒歴 日本酒 2 合 / 日 現病歴 20XX 年 12 月 S 状結腸癌 cstageiiia の診断にて S 状結腸切除術を施行. 術後 XELOX 療法を行ったが, 末梢神経障害出現のため翌年 5 月 6 コースで中止した.7 月, 上部消化管内視鏡検査 (GS) にて術前にはなかった食道静脈瘤 (Lm,F2,Cb,RC を認め, 精査目的で当科紹介となった. 検査成績 AST 38 U/L, ALT 26 U/L, ALP 551 U/L, γ GTP 235U/L, T-Bil 1.1 mg/dl, Plt / μ l, PT 91 %, HBs 抗原 (-), HC 抗体 (-) 入院後経過 CT では肝形態に変化はなかったが, 脾腫の出現を認めた. 肝生検では門脈域や実質内に炎症細胞浸潤 線維化所見は乏しく, 門脈域辺縁部異常血管の出現が特徴的であった. 以上より, 特発性門脈圧亢進症と類似した病態による非肝硬変性門脈圧亢進症と診断した. 臨床経過から化学療法が病態に関連した可能性を考え, 薬剤中止の上経過観察とした. その後 3 ~ 6 ヶ月おきに GS を施行, 食道静脈瘤は著明に改善した. 考察 薬剤による非肝硬変性門脈圧亢進症が原因の食道静脈瘤は極めて稀であり, 薬剤中止後に食道静脈瘤の改善を観察しえた点も示唆に富むと考え報告する. 3 3 内視鏡的減圧が有効であった褐色細胞腫に合併した偽性大腸閉塞症の 1 例 JR 東京総合病院消化器内科 關場一磨, 金井祥子, 坪井真代, 斎藤友隆, 大前知也赤松雅俊, 岡本真 症例 62 歳, 女性. 主訴 腹部膨満感. 現病歴 56 歳時, 高血圧症を契機に右副腎原発の褐色細胞腫と診断された. 副腎腫瘍摘出術の適応だったが, 宗教上の理由で輸血の可能性がある手技に同意が得られず, 保存的に経過観察されていた 年 8 月から便秘がちとなり,9 月初旬から 6 日間排便がなく腹部膨満感が強くなった. 画像上, 結腸の拡張を認め入院となった. 臨床経過 腸管減圧および機械的閉塞の検索目的に緊急で下部消化管内視鏡を行った. 盲腸まで観察でき, 大腸癌や S 状結腸軸捻転などの閉塞機転は認めなかった. 可能な限り内視鏡的減圧を行い終了とした. これにより腹部膨満感は軽減した. 下剤内服により排便も認めたため食事を再開し, 第 4 病日退院とした. 追加治療の希望はなく, 経過観察中である. 考察 機械的閉塞機転を認めず, 褐色細胞腫による偽性大腸閉塞と診断した. 本疾患で最も重篤な合併症は結腸穿孔だが, 速やかな減圧により発症しなかった. 偽性大腸閉塞症を合併した褐色細胞腫の報告は国内 18 例と稀であるが致死的となることがあり, 診断および治療目的に早期の内視鏡検査が望ましいと考えられた. 結語 偽性大腸閉塞に至った褐色細胞腫の 1 例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 2 2 潰瘍性大腸炎として治療されてきた好酸球性胃腸炎の一例富山大学附属病院臨床研修センター 富山大学第三内科 松原裕樹 1, 三原弘 2, 植田亮 2 2, 西川潤南條宗八 2, 安藤孝将 2, 藤浪斗 2 2, 梶浦新也細川歩 2 2, 杉山敏郎 主訴 水様性下痢, 腹痛 現病歴 47 歳女性.200X 年に下痢, 血便にて発症し, 大腸内視鏡検査では血管透見低下, びらんを認め, 病理像では炎症細胞浸潤や陰窩膿瘍を認め, 再燃寛解型ステロイド依存性潰瘍性大腸炎 ( 全大腸炎型 ) として, 入院加療を受け, 発症 3 年後に当科紹介となった. ステロイド中止後より, 下痢が出現し入院となった. 既往歴 200X-2 年 : 花粉症,200X 年 : 不安神経症 家族歴 特記事項無し 嗜好歴 なし 臨床経過 入院時は,8 行 / 日の水様性下痢を認め, 身体所見上は, 特記事項は認めなかった. 血液検査で軽度の好酸球増多 (700 個 / μ l) を認め, 便培養検査,CD トキシン, 便潜血, 便虫卵検査は陰性であった. 入院後, 好酸球数が漸増し, 大腸の病理像では,20/HPF 以上の好酸球浸潤を認め, 好酸球性胃腸炎と診断した. ステロイド療法にて, 下痢回数, 好酸球数は著減し, 現在免疫調整剤にて経過観察となっている. 考察 診断時からの好酸球数, 内視鏡像, 病理像を見直したところ, 初診時から好酸球性胃腸炎であった可能性が考えられ, 教育的な一例と考えられた. 結語 潰瘍性大腸炎として治療されてきた好酸球性胃腸炎の一例を経験した. 4 4 当院における NSAIDs 起因性胃潰瘍の検討大阪市立大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 府中病院消化器内科 岡田雅子 1, 間島行則 2, 平位暢康 2 2, 武田修身半野元 2, 髙栁成徳 2, 廣岡知臣 2 2, 土細工利夫 2 廣岡大司 緒言 H.pylori 感染率の低下と高齢化により,NSAIDs 起因性胃潰瘍が注目されている. 同疾患により出血を来すことも少なくない. 出血を来し内視鏡検査を要した NSAIDs 起因性胃潰瘍について, リスクの検討を行った. 方法 対象は2009 年 4 月から2014 年 6 月までの5 年 2カ月に入院加療を要し, 内視鏡検査を施行した非静脈瘤性上部消化管出血 ( 医原性除く )398 例のうち, 低用量アスピリンを除く NSAIDs 起因性胃潰瘍 59 例とし, 各項目を後ろ向きに検討した. また, 原因 NSAIDs の種類別割合を, 当院の NSAIDs 種類別年間処方割合と比較した. 結果 考察 59 例中,65 歳以上の高齢者が 42 例 (71%), 潰瘍既往者が 15 例 (25%), 高用量 NSAIDs が 27 例 (46%), 抗血栓薬併用が 10 例 (17%), ステロイド併用が 5 例 (8%), PPI 併用が 14 例 (24%),H 2 RA 併用が 6 例 (10%), 防御因子増強薬併用が 41 例 (69%) を占めた. また, 全 NSAIDs の年間処方回数 回のうち, プロピオン酸系 回 (66%), コキシブ系 4409 回 (29%) に対し, 原因薬剤として 59 例中, それぞれ 32 例 (54%),3 例 (5%) を占め, COX-2 選択的阻害薬はリスクが低い傾向にあった. 結語 NSAIDs 起因性胃潰瘍の発症予防には, 胃酸分泌抑制剤の併用や,COX-2 選択的阻害薬の使用が望まれる. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 71

4 5 5 水浸法 US を用いた CD 切除病変の壁厚に関する検討 横浜市立大学医学部医学科横浜市立大学附属市民総合医療センター 炎症性腸疾患 (IBD) センター 横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター 4) 横浜市立大学大学院医学研究科 消化器内科学 谷口勝城 1, 国崎玲子 2, 津田早耶 2 2, 小柏剛安原ひさ恵 2, 髙蓮浩 2, 木村英明 2 3, 沼田和司田中克明 3 4, 前田愼 背景 目的 近年, クローン病 (CD) に対する体外式超音波検査 (US) の有用性が見直されている. そこで CD の切除腸管病変の肉眼所見と, 水浸法 US による壁厚の相関を解析する. 方法 当院で腸管切除術を施行された 27 症例,30 検体, 150 部位を水浸法 US により観察し, 解析を行った. また, 術前の体外式 US と水浸法 US 所見が厳密に対応可能な 10 病変において, 対応部位の壁厚の相関を確認した. 結果 1. 平均壁厚値は, 肉眼的正常部 4.1mm, 縦走潰瘍瘢痕 5.4mm, 活動性縦走潰瘍 6.0mm, 開放性不整潰瘍 6.4mm, 敷石像 7.1mm, 線維性狭窄部 7.4mm. 縦走潰瘍瘢痕以外の CD 病変は, 肉眼的正常部と比して有意に壁厚が増加 (p < 0.00, 線維性狭窄部は, 縦走潰瘍瘢痕および活動性縦走潰瘍と比して有意に壁厚が増加していた (p=0.002, 0.009). 2. カットオフ値は,CD 病変の検出は 4.5mm 以上 (Sn,Sp: 0.976,0.714), 治療介入の基準は 5.5mm 以上 (0.737,0.696) が適切と考えられた.3. 術前体外式 US と水浸法 US で得られる壁厚は, 統計学的に同等と判断された. 結論 病変の進行に比例して壁厚が有意に増加する. 7 P S 状結腸軸捻転症 Stage 分類作成の試み大崎市民病院消化器内科 福田翔, 尾花伸哉, 石橋嶺 目的 S 状結腸軸捻転症の治療方針の決定には内視鏡検査や CT 検査が必須と考えられていて, また治療も緊急の内視鏡治療や外科手術が必要となることもあり, 高次医療機関に救急搬送されることが一般的である. 我々は本症では腹部単純 X 線 (Xp) 所見で捻転の程度を推測でき, どのレベルの医療機関での治療が妥当であるかも決めることができると考え,Xp 所見を基にした Stage 分類を作成しその有用性を検討した. 方法 2009 年から 2014 年の 6 年間に S 状結腸軸捻転症と診断された症例 32 例の, 患者背景, 画像所見 (Xp,CT, 内視鏡 ), 治療方法, 転帰を検討した.Xp での coffee bean 軸の反時計回りの傾きを基にして Staging (I 軽症,II 中等症, III 重症 ) を行い,CT 所見での拡張腸管の回転度および内視鏡所見での腸管捻転部と腸管拡張部の虚血の有無についても着目し,Staging の妥当性を検討した. 成績 coffee bean 軸の傾きは,CT 所見, 内視鏡所見から得られた腸管の回転および虚血の程度とよく相関し,3 検査の所見を合わせた Stage 分類を作成することができた. StageI,II の症例では, 保存的治療あるいは拡張腸管への内視鏡的減圧チューブ留置術を行い,StageIII の症例では緊急手術を行い, 死亡例はなく全例経過良好であった. 結論 本 Stage 分類は S 状結腸軸捻転症の治療方針を簡便に判断する上での一助となる. 6 6 BMI 低値, 男性, 高齢者は SMA 症候群のリスクファクターとなりうるか? 京都民医連中央病院内科 京都民医連中央病院総合内科 京都民医連中央病院消化器内科 Pham NguyenQuy 1, 井上賀元 2 3, 木下公史 背景 SMA 症候群は十二指腸水平脚が上腸間膜動脈 (SMA) と腹部大動脈 (Aorta) の間で圧迫され, 上部消化管閉塞症状を来す稀な疾病である. 痩せた若年女性に多く,SMA- Aorta の角度と距離が小さいことが危険因子と言われている. しかし, 当院におけるこの 10 年間の検討では SMA 症候群 5 例中 3 例は痩せた高齢の男性に見られたため,BMI, 性別, 年齢と本症候群との関係について検討した. 方法 当院において 2014 年 12 月 1 日から 16 日までの間に腹部 CT を撮影された連続の 103 例を対象に SMA-Aorta の角度と距離を測定し, 年齢, 性別,BMI, 腹部症状との相関を解析した. 結果 平均年齢は 72 ± 12.8 歳で, 男女比は 59:44 であった. 男性と女性における BMI はそれぞれ 22.4 と 21.2 kg/m 2 で, 有意差は認めなかった.SMA-Aorta の角度と距離の平均値は 51.6 ± 22.5,15.9 ± 8.3 mm であり,BMI との間に有意な正の相関を認めた (r = 0.42, p < 0.001;r = 0.57, p < 女性では SMA-Aorta の角度と距離が有意に小さかったが, 年齢による影響は見られなかった. 腹部症状を認めず, 画像診断基準に合致したのは 10 例であった. 考察 SMA と Aorta との位置関係は年齢によらないが, 性別と栄養状態の指標である BMI にかなり強く関係した. 女性と BMI 低値は SMA 症候群の危険因子になる可能性が高いが, 今後前向き研究にて発生率を調べていく必要がある. また, 腹部症状がないにもかかわらず, 画像診断基準を満たした症例も見られたため, 診断基準を再検討する余地があると考えられる. 8 8 Acute Cholangitis and Hemobilia Caused By Chronic Calculus Cholecystitis 鎌ヶ谷総合病院 中山桂 CASE HISTORY: A 75-year-old woman was admitted to the hospital with a mild fever and colicky pain in the right upper quadrant of her abdomen. She had no history of abdominal trauma, melena, or hematuria. She did not take any anticoagulants. PERTINENT FINDINGS: At arrival, her body temperature was 37.7 C, blood pressure was 114/63 mmhg, and heart rate was 75 beats/min. Moderate focal tenderness with pulsatile pain was detected in the right hypochondrium. Palpebral conjunctiva was apparent. Laboratory data revealed a high white cell count of 32200/ μ L. Other laboratory parameters, such as the red blood cell count, hemoglobin level and platelet count, were normal or slightly abnormal. Aspartate aminotransferase and alanine aminotransferase were remarkably elevated at 290 IU/L and 215 IU, respectively. Alkaline phosphatase and gamma-glutamyl transferase were also raised at 1202 IU/L and 442 IU/L, respectively. Serum bilirubin level mildly elevated (1.9 mg/dl). Among acute phase response markers, fibrinogen was slightly elevated and C-reactive protein was markedly high at 19.8 mg/dl. Abdominal ultrasonography showed a bright echo with acoustic shadowing radiating beyond the stone and a thickening of the gall bladder wall. On abdominal computed tomography, a huge eggshell calcification was found in the gallbladder, the gallbladder wall was thickened with strong enhancement, and pericholecystic fluid accumulation was observed. High attenuation material occupied the gallbladder and common bile duct, and common bile duct distention was evident. DIAGNOSIS and DISCUSSION: Endoscopic retrograde cholangiopancreatography was performed, which revealed a blood clot protruding through the common bile duct. Subsequently endoscopic retrograde biliary drainage was performed. Intravenous antibiotics were administrated for two weeks and her laboratory data improved. Gallstone and cholecystitis are among the rarest causes of hemobilia. Gastrointestinal bleeding, right pleural colic, and jaundice are reportedly the classic triad of hemobilia; however, these are only observed in about 20% of cases. If the absence of an alternative cause of upper gastrointestinal bleeding at endoscopy, clinicians should consider hemobilia whether or not the classical triad is present. CONCLUSION: I reported a case of acute cholangitis associated with hemobilia and chronic calculus cholecystitis that was successfully treated by endoscopic retrograde biliary drainage. 72 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

5 9 9 再発性逆行性胆管炎を併発した好酸球性硬化性胆管炎に UDCA が奏功した 1 例 愛媛大学医学部医学科 5 回生 愛媛大学医学部附属病院第 3 内科 同小児科 4) 松山市民病院小児科 5) 同消化器内科 小糸秀 1, 熊木天児 2, 小泉光仁 2 3, 中野直子重見律子 4, 水上祐治 5, 黒田太良 2 2, 大野芳敬 2 日浅陽一 症例 13 歳女性 主訴 腹痛, 発熱 既往歴 アトピー性皮膚炎 家族歴 特記事項なし 臨床経過 2014 年 4 月に腹痛と発熱を繰り返し, 前医を受診したところ MRCP で硬化性胆管炎が疑われ, 精査加療目的で当科に入院. 血液検査で好酸球増多,IgE と胆道系酵素の上昇,ERCP で肝内肝外胆管壁に不整像と狭窄像, 肝生検で胆管周囲に線維増生と好酸球浸潤がみられた. 好酸球性胃炎と好酸球性腸炎を合併し, 好酸球性硬化性胆管炎と診断. 逆行性胆管炎に対して CFPN-PI を内服し症状は改善. 原疾患に対して Th2 サイトカイン阻害剤を開始し胆道系酵素は改善したが, 胆管炎症状がみられ内服薬を UDCA に変更した.3 か月後には胆道系酵素は正常化し, 逆行性胆管炎の再発はなく外来通院中である. 考察 好酸球性硬化性胆管炎の報告は本邦では稀であり, 成人でのステロイド著効例が散見されるのみである. 本症例は小児であり, ステロイド投与を回避し UDCA を投与したところ胆道系酵素および再発性逆行性胆管炎は改善し, 示唆に富む症例であった. しかし, 全身に多彩な病変を呈しており長期に渡る経過観察が重要である ソラフェニブが奏効し長期生存が得られている進行肝細胞癌の 1 例 金沢大学医学部医学科 金沢大学附属病院消化器内科 柳昌宏 1, 北村和哉 2 2, 金子周一 症例 40 歳男性 主訴 肝障害の精査目的 家族歴 母:HBV キャリア, 弟 :B 型慢性肝炎 現病歴 2010 年 10 月, 肝障害を指摘され前医にて B 型肝硬変と診断された. 同年 12 月, 腹部 CT で尾状葉に 40mm 大の多血性肝腫瘍と門脈左枝腫瘍栓を認め, 肝細胞癌 stage III(T3N0M0) と診断されたため, 当院外科へ紹介となり, 肝動注化学療法 (HAIC) 目的で当科紹介となった. 臨床経過 2011 年 1 月中旬より HAIC を施行したが効果は低く, 外科にて拡大肝切除術を施行した. しかし術後早期に肝内に多発再発, 門脈腫瘍栓を認めたため再度 HAIC を施行したが PD であり,2011 年 7 月初旬よりソラフェニブが導入された. ソラフェニブ導入後は著明な抗腫瘍効果 (PR) を認め,AFP は陰性化した. しかし 2013 年 1 月副作用により中止した. 同年 4 月頃より AFP が再上昇し,HCC 再発と診断した.6 月下旬にラジオ波焼灼術を施行し, 腫瘍は消失, 腫瘍マーカーも正常化した. 考察 ソラフェニブは細胞増殖 血管新生阻害により腫瘍進展を抑制し SD 維持を目指す分子標的薬であり, 腫瘍縮小効果は低いとされている. しかし本例ではソラフェニブにより著明な腫瘍サイズの縮小が見られたため, 貴重な症例であったと言える. 結語 門脈内腫瘍栓を有する進行肝細胞癌に対してソラフェニブを投与し著明な腫瘍縮小効果がみられた症例を経験した 胸膜中皮腫との鑑別が困難であった肝内胆管癌の一例 協立総合病院消化器内科 協立総合病院内科 小西隆文 1, 高木篤 1, 森智子 1 1, 名和晋輔江間幸雄 1, 小西淳一 2, 田中久 2 2, 吉見倫典 症例 65 歳男性. 主訴 腹部膨満 現病歴 一か月前からの腹痛, 腹部膨満感, 食欲不振にて当院受診, 精査加療目的で入院となった. 既往歴 特記事項なし 薬剤歴 特記事項なし 家族歴 特記事項なし 嗜好歴 煙草 :20 本 / day 40 年, 酒 : ビール (350 ~ 500ml/day) 職業歴 塗装業 (34 歳 ~ 44 歳まで断熱材の接触あり ) 臨床経過 造影 CT の結果, 多量の腹水貯留, 少量の左胸水貯留, 肝 S8 に境界やや不明瞭な嚢胞性病変, 傍大動脈リンパ節の腫大を認めた. 腹水は黄 ~ 淡赤色漿液性の滲出性で,SAAG < 1.1g/ dl で, 腹水 ADA は正常, 腹水培養陰性であった. 腹水の細胞診にて中皮腫様の細胞が観察され,CYFRA が上昇あり中皮腫が疑われたが原発巣の特定には至らなかった.( 内視鏡検査でも原発巣指摘できなかった.) 入院後から腹満感が強く, 第 19 病日に腹腔静脈シャント増設, その後, 胸水も増強, 全身状態悪化し, 緩和的治療に切り替えざるを得なかった. 第 34 病日には胸水増加に伴う呼吸不全が出現し, 第 45 病日に夭逝された. 病理解剖の結果, 胸膜面に散在する白色の小結節を認めたが, 免疫染色の結果から肝内胆管癌の播種が最も疑われた. 結語 急激な転機にて診断困難であり, 胸膜中皮腫との鑑別が困難であった肝内胆管癌が最も疑われた一例を経験したので報告する 潰瘍性大腸炎経過観察中の腹部超音波検査にて発見された膵上皮内癌の一例川崎医科大学附属病院卒後臨床研修センター 川崎医科大学胆膵インターベンション科 川崎医科附属病院肝胆膵内科先端消化器画像研究センター 4) 5) 高梁中央病院 勝又諒 1, 中島義博 3, 青木啓純 2 3, 時岡峻三河瀬智哉 2, 日野啓輔 3, 志茂公洋 5 5, 戸田俊介岩尾年康 4 2, 吉田浩司症例は 60 代男性. 潰瘍性大腸炎にて通院中, スクリーニング目的に施行した腹部超音波検査 (US) で主膵管拡張を認めたため, 精査を行った. 造影 CT では膵体部に 10mm 大の嚢胞性病変, および主膵管拡張を認めたが, 明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった.EUS でも嚢胞内に隆起部分は認めなかった. 膵管造影では主膵管壁の硬化と分枝拡張を認めたが,CT で指摘された嚢胞性病変との交通はなく, 粘液透亮像も認めなかった. 体尾部に留置した ENPD からの細胞診で腺癌と診断. 以上より膵上皮内癌と診断して, 膵体尾部切除術施行. 病理学的には体部の軽度拡張分枝および主膵管内に上皮内癌を認めたが,CT で認めた嚢胞性病変内には腫瘍性変化は認めなかった.US スクリーニングでの膵管拡張を契機に発見された膵上皮内癌の一例を経験した. 自験例の 10mm 以下の小膵癌 21 例の臨床的特徴および文献的考察を加えて小膵癌の拾い上げに関して報告する. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 73

6 13 13 胆嚢癌と鑑別が困難であった胆嚢腺筋腫症の 1 例兵庫医科大学病院卒後臨床研修センター 同肝胆膵外科同超音波センター 4) 同病院病理部 中野真依 1, 近藤祐一 2, 中村育夫 2 3, 中野智景田中弘教 3, 廣田誠一 4, 藤元治朗 2 3, 飯島尋子 主訴 胆嚢隆起性病変の精査 現病歴 70 歳代女性. 糖尿病治療の入院中超音波検査 (US) で胆嚢隆起性病変を指摘受診 経過 入院時. CEA 8.4ng/ml,CA U/mlと上昇. US で胆嚢体部の底部よりに径 18x16mm の高エコー内に低エコーを含む広茎性の隆起性病変を認め胆嚢壁と肝床の境界は不明瞭であった. 造影 CT,MRI は動脈優位相で濃染. 肝浸潤を伴う胆嚢癌と診断, 手術を行った. 病理で胆嚢腺筋腫症 (ADM) と診断された. 考察 胆嚢隆起性病変は 15mm を超えると 60% 程度が癌であると報告されている.ADM はびまん性, 限局性, 分節型に分類され限局性は底部に多い. 本症例は体部の底部よりに発生し画像上, 胆嚢癌との鑑別が困難であった. 隆起様部位は, 既存の胆嚢壁と連続し胆嚢固有筋層内, 漿膜下組織内に大小の嚢胞状に拡張する腺管や付属記腺様の腺管増生を認めた.ADM の診断は隆起性病変内のコメットサインや EUS による壁の状態が診断の参考になるが癌を合併することもあり注意を要する. 結語 肝床との境界が不明瞭で胆嚢癌との鑑別が困難であった胆嚢腺筋腫症を経験した 右心系エアー様エコーを伴った気腫性胃炎の一例兵庫県立尼崎病院腎臓内科 文原大貴, 三木渉, 岩成祥夫, 大西紗映子, 熊原加奈辻本康, 田中麻理, 竹岡浩也 症例 78 歳, 男性 現病歴 2006 年に糖尿病性腎症による末期腎不全にて血液透析を導入した. 肝硬変, 慢性心不全を合併しており,2014 年 10 月より透析中の血圧低下を頻回に認めていた. 透析中血圧低下の原因検索目的で 2014 年 11 月中旬に入院となった. 既往歴 末期腎不全( 糖尿病性腎症, 透析導入 ), 慢性心不全, 肝硬変, 糖尿病, 高血圧 家族歴 特記事項なし 経過 第 5 病日より発熱を認め, 高度の炎症反応の上昇を認めていたが, 明らかな原因を指摘できなかった. 第 6 病日に体液量評価目的に心エコー施行し, 右心房と右心室にエアー様のエコーを認めた. 上大静脈系にもエアー様エコーを認めたが両側上腕静脈ではエコー上異常所見を認めなかった. 原因検索目的に体幹部 CT を施行し, 気腫性胃炎, 門脈気腫症の診断に至った. 各種抗菌薬加療を施行するも奏功せず,DIC, 多臓器不全を発症し第 11 病日に死亡し, 剖検を施行した. 考察 肝硬変症が既往にあるため, 左胃静脈, 短胃静脈を通して奇静脈, 副半奇静脈に流れる側副血行路が発達し, このため胃壁内の気腫が上大静脈系を通して右心系に還流していたと考えられた. 気腫性胃炎に関する文献的考察を加えて報告する Clostridium difficile PCR ribotype027 による劇症偽膜性腸炎の一例北野病院消化器センター内科 西村聡, 髙忠之, 八隅秀二郎 主訴 発熱, 下痢 現病歴 30 歳代女性. 発熱と水様便を認め当院を受診した. 血液検査で炎症反応高値を認め, 腹部造影 CT にて全結腸の壁肥厚を認めた. 感染性腸炎の診断にてホスホマイシンおよび整腸剤を処方され帰宅となった. 以後も改善を認めず翌日に緊急入院となった. 既往歴 特記事項なし 臨床経過 絶食, 補液, シプロフロキサシン点滴静注および整腸剤内服による加療を開始した. 以後は解熱傾向を認め, 第 5 病日まで抗生剤は中止し, 食事を再開した. 第 8 病日から発熱を認めシプロフロキサシンを再開した. その後も発熱は改善なく第 9 病日にショック状態となり集中治療室に入室した. 同日の便から CD toxin A & B が検出され偽膜性腸炎と診断しバンコマイシン内服を開始した. 下部消化管内視鏡検査では観察しえた全直腸に著明な偽膜の付着を認めた. 同日よりメトロニダゾールを開始し, 以後全身状態は改善傾向を認めた. 抗生剤中止後も偽膜性腸炎再燃は認めなかった. 考察 今回便培養から検出された Clostridium difficile は PCR ribotyping では ribotype 027 株であった. 検索しえた範囲内では日本では ribotype 027 株による偽膜性腸炎は 3 例のみと稀である. 結語 我々は PCR ribotype 027 株による劇症偽膜性腸炎の一例を経験した Barrett 食道癌による骨髄癌症の一例金沢赤十字病院消化器病センター 金沢大学附属病院血液内科 金沢大学医薬保健研究域医学系形態機能病理学 石井修太郎 1, 熊谷将史 1, 清水大樹 1 1, 松川弘樹山宮大典 1, 岡藤啓史 1, 近藤恭夫 2 3, 原田憲一 1 岩田章 主訴 筋痛, 食欲低下, 鼻出血 現病歴 49 歳男性. 検診にて逆流性食道炎を指摘されていた.11 月下旬より感冒症状, 連日の鼻出血を自覚していた. 12 月初旬に当院外来を受診し, 血液検査で WBC 12800/ μ L ( 幼若芽球を伴う ),LDH 763U/L であり, また急性期 DIC 診断基準を満たした. 胸腹骨盤部造影 CT では全身リンパ節腫大を認めた. 血液悪性腫瘍もしくは悪性腫瘍の全身転移が疑われ, 精査加療目的で入院となった. 臨床経過 血液検査で CEA ng/mL であり消化器原発が疑われた. 上部消化管内視鏡検査にて胃食道接合部に隆起性病変が認められ, 病理で Barrett 上皮内に集簇する印環細胞癌が認められた. 骨髄クロットからは AE1/AE3 陽性の大型異型細胞が認められた.Barrett 食道癌の骨髄癌症の診断で 12 月中旬より MF 療法 2 クール施行した.1 月初旬の血液検査および全身 CT で PD と判定された. 考察 骨髄癌症( 固形癌が骨髄転移し, 骨髄組織が腫瘍細胞に置換された状態 ) は線溶均衡型の DIC を発症し, 予後は不良である. 手術歴の無い Barrett 食道癌による骨髄癌症は本邦において報告がなく, 貴重な症例と考えられた. 結語 Barrett 食道癌による骨髄癌症の一例を経験した. 74 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

7 17 17 急性膵炎との鑑別に時間を要した絞扼性イレウスの一例自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学 1 井上公太, 上原健志, 福西昌徳, 宮谷博幸, 吉田行雄 主訴 心窩部痛 現病歴 82 歳男性. 入院前日 22 時, 徐々に上腹部が出現し心窩部に移動. 入院当日 2 時, 就寝中に腹痛が強くなり体動不能. 一回嘔吐後も改善せず救急搬送. 既往歴 十二指腸潰瘍 ( 幽門側胃切除 ) 臨床経過 腹部は平坦で, 心窩部から左側腹部に圧痛あり. 血液生化学検査は, 白血球 7,920 / μ l,p 型アミラーゼ 1,749 IU/l,BE -3.7mmol/l. 腹部骨盤造影 CT では, 胆石や膵臓に造影不良域はなく, 腹水は腎下極以遠まで認めた. 小腸の拡張があった. 以上から, 重症急性膵炎として入院加療を進めた. イレウスによる高アミラーゼ血症の可能性も考慮し入院当日に緊急上部消化管内視鏡検査を施行したが, 輸入脚入口付近の特記所見なく, feeding tube を留置. しかし, 腹痛の改善はなく, 腹部骨盤単純 CT を再検. 腸管拡張の改善はなく, 輸入脚の閉鎖ループを認めた. さらに狭窄部の評価及び治療目的に再度緊急上部消化管内視鏡検査を行い, 狭窄部以遠で粘膜の壊死象を認め絞扼性イレウスの診断で緊急開腹手術となった. 考察 重症急性膵炎は killer disease であるが, 高アミラーゼ血症の他疾患の鑑別も必要がある. 絞扼部の確認は時に難渋することがあるため, 画像の反復と複数人で検討することが重要である 低 Na 血症を契機に神経病変の診断に至った MDS 合併 Behcet 病の一例京都大学消化器内科 森田悠吾, 辻喜久, 松浦稔, 上田佳秀, 美馬淳志仲瀬裕志, 千葉勉 主訴 発熱 現病歴 80 歳女性.2010 年 11 月, 回盲部潰瘍の精査にて腸管型 Behcet 病と診断. 腸管切除, ステロイド内服にて治療されるも,2013 年 5 月, 腸管病変が再発. また貧血精査の結果, 骨髄異型性症候群 (MDS,Torisomy8 合併 ) と診断された. 抗 TNF 製剤にて寛解維持するも,2014 年 5 月, 発熱, 著明な炎症反応を認め, 当科入院となった. 経過 入院後, 発熱 (40 ) 持続し, 抗生剤投与で改善なく, 各種検査でも原因不明. 第 7 病日に低 Na 血症が出現するも Na 補充で改善せず. 第 10 病日に傾眠傾向, 第 14 病日に血圧低下, 縮瞳,Babinski 陽性と急速な意識障害 (JCS300) を認め, 感染性髄膜炎や脳幹病変に伴う二次性 SIADH を疑った. 髄液検査で感染症なく,MRI では橋 脳実質に多発病変を呈し神経 Behcet 病と診断した. 第 15 病日にステロイドパルス療法を施行し, 症状は劇的に改善, 低 Na 血症も消失し, 第 69 病日退院となった. 考察 本例は生物学的製剤による寛解維持中に Behcet 病の神経病変を発症し, 二次性 SIADH を呈したと考えられた.MDS 合併 Behcet 病では腸管病変を高頻度に合併することが知られているが, 低 Na 血症を契機に急速に進展する Behcet 病の神経病変の診断に至った本例は示唆に富む貴重な症例と考え, 報告する 早期胃癌の内視鏡治療における周術期ストレスについての検討 弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座 弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学講座 弘前大学附属病院光学医療診療部 速水史郎 1, 珍田大輔 1, 柳町幸 2 1, 菊池英純平賀寛人 1, 澤谷学 1, 櫻庭裕丈 1 3, 三上達也下山克 1 1, 福田眞作 目的 胃癌に対する標準治療は外科的胃切除術が中心であったが, 近年は内視鏡治療が可能な早期胃癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術 (Endoscopic Submucosal Dissection: ESD) を施行するのが一般的である. 外科手術と比較して ESD の最大の利点は患者への侵襲が少ないこととされているが, 周術期の患者ストレスに関する研究がなされていないのが現状である. 周術期の患者への侵襲度を定量化する指標にストレス係数があり, 胃癌に対する外科手術では 1.20 ~ 1.60 程度の上昇を認める報告がなされている. そのため本研究では, 間接熱量計を用いて ESD におけるストレス係数を算出し ESD 周術期のストレスと影響を与える因子について検討した. 方法 2013 年 7 月から 2014 年 6 月に早期胃癌に対し ESD を施行した 67 名を対象とした.ESD 施行当日と翌日の早朝に, 間接熱量計 (METAVINE-N VMB-002N) を用いて安静時消費カロリー (Resting Energy Expenditure: REE) を測定した. 一方,Harris-Benedict の式を用いて, 入院時の身長 体重 年齢をもとに基礎エネルギー消費量 (Basal Energy Expenditure: BEE) を計算し, ストレス係数 =REE/(BEE 活動係数 ) を算出した. また, 患者の年齢,ESD 施行時間, 切除総面積を独立変数,ESD 前後でのストレス係数の上昇値を従属変数とした重回帰分析を行った. 成績 ストレス係数は ESD 当日 0.97 ± 0.12, 翌日 1.03 ± 0.13 で有意に上昇した (p < 重回帰分析の結果, 切除総面積で有意な関連を認めた ( β =0.407, P=0.048). 年齢および施行時間では関連を認めなかった. 結論 外科手術に比較すると, 早期胃癌に対する ESD のストレス係数の上昇は軽度で, 周術期の患者への侵襲が低い治療であると考えられた. また,ESD 周術期のストレスには切除総面積が関連している可能性が示唆された 肝組織培養で MAC 陽性となった播種性 MAC 症の一例 慶應義塾大学病院消化器内科慶應義塾大学病院内視鏡センター 鎌田洋輔 1, 片山正 1, 岩崎栄典 2 1, 上田真裕南一洋 1, 三宅麗 1, 山岸由幸 1 1, 金井隆典 主訴 自覚症状なし 現病歴, 臨床経過 70 歳代, 男性 年 8 月に発熱を主訴に受診し, 全身の造影 CT で左上腕骨に骨髄炎を疑う所見と, 右鎖骨上窩, 下顎, 左右腋窩のリンパ節腫脹を認め, リンパ節生検が施行され, 播種性 MAC 症と診断された. 内服治療開始後の経過は良好だったが, 内服を休止すると再燃を繰り返した.2012 年 6 月の血液検査で ALP,γ GTP の上昇を認め, 腹部 MRI 検査を行ったところ, 肝両葉に多発する最大径 18mm で T1WI 低信号, T2WI 高信号の多発結節を認めた. 前医にてエコー下に同結節の肝生検施行も脂肪肝の所見, 組織抗酸菌培養は陰性であった.2014 年 3 月に血清ビリルビン値の上昇を認めた. 同年 5 月の腹部 MRI 検査で肝多発結節の悪化と右肝管狭窄, 肝内胆管 (B5,B6) 拡張を認めた. 同年 8 月に ERCP と同結節に対する CT ガイド下生検が行われた.ERCP にて胆汁培養で MAC が検出されるも,CT ガイド下生検では組織診では形質細胞浸潤のみであり, 抗酸菌陰性であった. 以上より MAC による肝多発結節形成を考え, 再度組織抗酸菌培養を目的として肝生検を施行するため今回再入院し, 生検培養にて MAC 陽性となった. 考察 播種性 MAC 症において肝に腫瘤を形成し, 同腫瘤の生検から MAC が培養されたという報告はほとんど認められない. 文献的考察を踏まえて報告する. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 75

8 21 21 自己免疫性肝炎急性発症に薬物性肝障害が合併したと考えられる 1 例松山赤十字病院臨床研修センター 同肝胆膵内科 東野誠 1, 武智俊治 2, 丹下和洋 2 2, 田中孝明越智裕紀 2, 眞柴寿枝 2, 横田智行 2 2, 上甲康二 症例 45 歳女性 主訴 皮膚 眼球黄染, 倦怠感 既往歴 もやもや病, 小脳出血, 膀胱癌 生活歴 飲酒歴なし, 喫煙 2 本 / 日 20 年 現病歴 受診前の 1 ヶ月間痩身効果のある漢方薬を毎日服用していた. 受診 1 週間前から倦怠感, 嘔気, 心窩部痛, 白色便が出現し, 眼球黄染を認めた翌日に当科外来受診, 急性肝障害の診断で同日入院した. 現症 意識清明, 結膜黄染あり, その他理学所見に特記事項無し 経過 ウィルスマーカー陰性と IgG 2401 mg/dl と高値であることから自己免疫性肝炎 ( 以下 AIH) 急性発症もしくは AIH と薬物性肝障害 (DILI) の合併を疑い mpsl パルス療法を開始した. 治療は著効しステロイドを漸減していった.PT の改善にて肝生検を施行したところ,AIH 急性発症と DILI の合併に矛盾しない所見が得られた. 再燃なく経過し,PSL 20mg まで減量できたため外来フォローすることとし退院した. 考察 薬物を使用している患者において自己抗体陽性の肝障害を来した際には AIH が薬物で増悪する場合,DILI で自己抗体陽性となる場合, 両者を合併する場合を鑑別する必要がある. 薬剤が原因と考えられる肝障害を来している症例においても AIH を考慮し組織学的検索を検討すべきであると考えられる. 本症例においては組織学的検討等により合併症例と考えられた 薬物性肝障害との鑑別を要した急性 E 型肝炎の一例川崎医科大学附属病院卒後臨床研修センター 川崎医科大学附属病院肝 胆 膵内科 赤木貴彦 1, 吉岡奈穂子 2, 小山展子 2 2, 富山恭行仁科惣治 2, 原裕一 2 2, 日野啓輔 主訴 食欲不振, 倦怠感 現病歴 59 歳女性.2014 年 10 月にスペイン渡航歴あり. 11 月中旬に食欲不振と倦怠感が出現し近医を受診. その際に顕性黄疸を指摘され紹介受診となった. 既往歴 特記事項なし 飲酒歴 ビール 350ml と焼酎少量 服薬歴 約 2 年前から防風通聖散とマルチビタミン 臨床経過 総ビリルビン 6.0mg/dl,PT 活性 64.2%, ALT5507U/L,AST3466U/L,ALP1196U/L,γ GTP369U/ L と著明な肝機能障害を認めたが, 肝庇護療法で肝胆道系酵素は速やかに改善した. 腹部超音波と CT では器質的病変は認めず,HEV-IgA 抗体が陽性, リンパ球刺激テスト (DLST) で防風通聖散が陽性であった. 考察 E 型肝炎は感染症法で四類感染症に分類される. 従来ウイルスが混入した糞便に汚染された飲料水で感染すると考えられてきたが, 本邦では豚, 猪, 鹿などの生食で感染する人畜共通感染症として再認識されるようになった. 診断は 2011 年から HEV-IgA 抗体が保険適用となったことから比較的容易となった. 本症例は DLST 陽性で薬物性肝障害診断基準の総スコア 4 点 ( 可能性あり ) と薬物の関与も否定できなかったが, 血清学的に急性 E 型肝炎と診断した. 感染経路の詳細については現在調査中である. 結語 DLST 陽性で薬物性肝障害との鑑別を要した急性 E 型肝炎の一例を経験した Common disease に頻用する薬剤による薬物性肝障害 佐賀大学医学部附属病院肝臓糖尿病内分泌内科 佐賀大学医学部附属病院肝疾患医療支援学講座 五反田香 1, 中下俊哉 1, 窪津祥仁 1 1, 荒木紀匡蒲池紗央里 1, 磯田広史 1, 大塚大河 1 2, 江口有一郎 1 安西慶三 はじめに 薬物性肝障害はいかなる薬剤において発現する可能性のある肝障害である. 症例 症例 1:85 歳女性. 顕微鏡的多発血管炎に対し加療中. 近医定期受診の際に肝胆道系酵素の上昇あり, 紹介受診. 採血, 病歴から薬物性肝障害が疑われた. 被疑薬としてアザチオプリン, プレドニゾロン, バルサルタンなどが挙がったが, DLST の結果バルサルタンが陽性となった. 肝障害は薬剤中止, 安静加療で改善. 症例 2:67 歳男性. 白癬に対しテルビナフィンを 6 週間内服. 内服終了後肝障害指摘され紹介受診. 同薬剤による薬物性肝障害の診断で安静加療を行なったが改善乏しく, プレドニゾロン 30mg の投与も行ない徐々に改善した. 症例 3:72 歳女性. 心窩部不快感にて近医受診. 肝障害指摘あり, 精査目的に紹介受診. 薬歴から防風通聖散による薬物性肝障害が疑われた. 薬物中止, 安静加療で改善. 考察 薬物性肝障害の原因としては抗菌薬で 15.1%, 循環器用剤で 7.7%, 漢方薬で 7.5% を占め, 決してまれなものではない. 特にテルビナフィンにおいては添付文書に投与後 2 ヶ月間は月 1 回の肝機能検査を行なうことを明記されており, 注意が必要である. 結語 日常臨床で頻用する薬剤においても肝障害には留意する必要がある 胆道閉鎖症に対する葛西術後に自己肝で生存中の同胞症例 愛媛大学医学部医学科 5 回生 愛媛大学医学部附属病院第 3 内科 鈴木萌子 1, 熊木天児 2, 小泉光仁 2 2, 黒田太良大野芳敬 2 2, 日浅陽一 はじめに 胆道閉鎖症(BA) に対する葛西術施行後に自己肝で生存している症例は少なく, 同胞症例はさらに珍しく, それぞれ異なる経過を辿った興味深い症例を経験した. 症例 1 19 歳女性. 生後 48 日で BA に対して葛西術を施行. 胆汁うっ滞に対して UDCA 150mg/day を内服中,15 歳で逆行性胆管炎を発症. 抗生物質による加療後, 精査加療目的で当院へ入院 (T-Bil 1.2 mg/dl).17 歳時に UDCA 300 mg/day に増量したが, 逆行性胆管炎を繰り返し, 黄疸を呈するようになった (T-Bil 2.3 mg/dl).udca 600 mg/day に増量後, 胆管炎の頻度は減ったが, 皮膚掻痒感, 心窩部不快感および黄疸 (T-Bil 2.8 mg/dl) あり. 画像所見は肝硬変として矛盾せず. 症例 2 15 歳男性 ( 症例 1 の弟 ). 生後 32 日で BA に対して葛西術を施行.12 歳から UDCA の内服を開始したが, 胆管炎症状はなく,ALP も安定しており,14 歳から休薬. 以後, 経過観察中に胆管炎の発症はない. 考察 葛西術を施行され, 自己肝で生存する BA であっても長期にわたる経過観察において多彩な合併症を呈することを演者らは報告しており (Kumagi T, et al. Liver Int. 201, 肝移植を考慮した経過観察が必要な症例が存在する. BA の病因解明のために遺伝子解析が望まれる. 76 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

9 25 25 原発性胆汁性肝硬変 (PBC) の経過中, 自己免疫性肝炎 (AIH) および原発性硬化性胆管炎 (PSC) の合併が疑われた一例 慶應義塾大学医学部消化器内科 大船中央病院消化器科 慶應義塾大学医学部病理学 横倉創一 1, 上田真裕 1, 海老沼浩利 1 1, 岩崎栄典山岸由幸 1, 中本伸宏 1, 吉田篤史 2 2, 上野文昭真杉洋平 3 1, 金井隆典症例は 78 歳男性.X-3 年肝機能障害を指摘され前医受診. M2 抗体, 抗核抗体陽性で, 肝生検で門脈域 小葉及び一部の小葉間胆管に炎症細胞浸潤を認め,PBC が疑われた. 当時の内服薬中止と UDCA 内服を開始し肝機能改善を認めたが,X-2 年から徐々に再増悪,TB 値の上昇も認めたため再度肝生検を施行, 形質細胞浸潤を伴った interface hepatitis の像を認め AIH と考えられた.PSL, AZA 内服を開始したが TB 値は 20 前後まで増悪したため,X 年 7 月当院転院となった. 肝内胆管拡張を認め ERCP を施行, 肝内胆管は枯れ枝状の変化を呈し PSC に矛盾しない所見であった. 白血球減少のため AZA を中止, 抗菌薬の投与等を行い, 入院 35 日目に再度前医転院となった. 転院後も PSL,UDCA の投与を含む保存的治療を継続し, 現在 TB 3 ~ 5 程度まで改善している.AIH, PBC, PSC はいずれも自己免疫性肝疾患に含まれる疾患で,AIH/PBC,AIH/PSC の合併は overlap 症候群として報告があるが,PBC/PSC の合併, 三者の合併は極めて稀で, その機序を検討する上で興味深い症例と考え報告する 左心疾患に伴う肺高血圧症における予後規定因子の検討広島大学病院卒後臨床研修センター 広島大学大学院医歯薬保健学研究院循環器内科学 広島大学医学部医学科 山田英忠 1, 宇賀小百合 2, 土肥由裕 2 3, 藤崎真也東昭史 2, 木下弘喜 2, 佐田良治 2 2, 日高貴之山本秀也 2 2, 木原康樹 背景 肺高血圧症において, 肺動脈性肺高血圧症での予後に関する検討は多いが, 左心疾患に伴う肺高血圧症に関する報告は少ない. 方法 2000 年 1 月 1 日より 2013 年 4 月 30 日までに当院にて右心カテーテルを施行した連続 1098 例を対象とした. このうち, 左心疾患に伴う肺高血圧症の診断基準を満たす 282 例を抽出し, 各種パラメーターについて Kaplan-Meier 解析および Cox 比例ハザード回帰分析を行った. 結果 右心カテーテルより得られる血行動態について解析した結果, ガイドラインにて提唱されている経肺圧較差, 肺血管抵抗では予後との相関を認めず, 平均右房圧のみが強い予後規定因子であった (log rank p < 0.05). 考察 平均右房圧の上昇は右室コンプライアンスの低下, すなわち末期右心不全を反映する. 左心疾患に伴い肺高血圧症を呈し, さらに右室機能障害に至った群が予後不良であったと考えられた. 結語 左心疾患に伴う肺高血圧症において, 平均右房圧は強力な予後規定因子であった UDCA 治療経過中に妊娠した原発性硬化性胆管炎の 1 例 愛媛大学医学部医学科 5 回生 愛媛大学医学部附属病院第 3 内科 井上翔太 1, 熊木天児 2, 小泉光仁 2 2, 黒田太良大野芳敬 2, 布井弘明 2 2, 日浅陽一 症例 37 歳, 女性 主訴 妊娠 既往歴 家族歴 特記事項なし 現病歴 2007 年に発熱のため近医受診.ALP 826 U/L, ERCP および腹腔鏡下肝生検所見により原発性硬化性胆管炎 (PSC) と診断.UDCA 600 mg/day を開始し,ALP は正常化. 潰瘍性大腸炎に対してメサラジン 750 mg/day も開始. 結婚後, 挙児希望あり 2013 年 3 月にメサラジンおよび UDCA を中止. 同年 5 月に ALP(549 U/L) が再上昇し, 内服を再開. 同年 7 月に妊娠.UDCA 中止後にも関わらず, 妊娠 16 週に ALP は正常化. 以後出産まで維持. 出産後 ALP(1151 U/L) は上昇したが, 授乳中は UDCA 休薬を継続. 授乳半年が経過し, 右季肋部の不快感, 遷延する胆道系酵素異常, 骨塩量低下がみられ UDCA を再開. 以後,ALP は漸減傾向で経過し, 肝硬変への進展を示唆する徴候なし. 考察 自己免疫性疾患では妊娠中 出産後に多彩な経過を辿るが, 適切な管理のもとで PSC 患者の妊娠, 出産は安全と報告がされている. 一方, 演者らは原発性胆汁性肝硬変 (PSC の類似疾患 ) では,UDCA の有無に関わらず出産後に病期の進行する症例があることを報告しており (Trivedi PJ, Kumagi T, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2014),PSC でも厳重な経過観察が必要である 当院での急性肺血栓症の特徴 性別による検討岩手医科大学医学部 4 年生 六本木啓, 井上拓也, 齋藤孝晴, 宮倉裕也 はじめに 急性肺血栓症は, 急性循環不全によるショックを伴うことが少なくなく, 院内急変例の代表的疾患である. 対処が遅れれば生命予後が不良とされている. 肺血栓症については, 様々な研究がされてきている. しかし, 男女差についての研究は少ない. 目的 当院へ収容した急性肺血栓塞栓症の性別による違いを明らかにする. 方法 急性肺血栓塞栓症連続 52 例を, 男性 23 例と女性 29 例に分類し, その臨床的特徴を後ろ向きに調査して比較した. 結果 院内死亡率は 13.6% で, 男性 13.0%, 女性 10.3% であった (p=0.76). 女性は男性に比べて突然発症型が多く (65% vs. 30%:p=0.01, 喫煙者はなかった (0% vs. 30%:p=0.00. 凝固阻止因子が測定されていた群で, 女性のプロテイン S 活性が基準値以下のであったものは 31% で, 男性では 8% で有意差はなかった (p=0.1. しかし女性のプロテイン S 活性は 69.1 ± 27.0% で基準値内のものが多く, 男性 93.6 ± 25.3% に比べて有意に低値であった (p=0.019). 両群とも院外発症例がもっとも多く ( 男 15 例女 15 例 ), 基礎疾患のある院内発症例では, 両群とも内科的的疾患が多かった ( 男性 6 例, 女性 9 例 ). 結語 院内転帰に性差はなかったが, 男性に比べて女性では突然発症型が多く, プロテイン S 活性が正常範囲下限の例が多く, 発症機転に性差がある可能性がある. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 77

10 29 29 肺血栓塞栓症を発症したステロイド内服中の Cronkhite-Canada 症候群患者の一例島根大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 同循環器内科 向田千夏 1, 田邊一明 2 2, 岡﨑浩一 主訴 呼吸困難 現病歴 80 歳代男性.Cronkhite-Canada 症候群 (CCS) に対して X-7 年からステロイド内服加療されていた.X 年 Y-3 月 10 日から Y-1 月 20 日まで当院消化器内科に食欲不振で入院していた.Y 月 2 日, ポータブルトイレで排便後気分不快出現, 家人がベッドに移動させたところ呼吸困難が出現し当院に救急搬送となった. 経胸壁心エコー図検査で右室拡大と左室圧排像, 単純 CT で肺塞栓像あり, 肺血栓塞栓症 (PTE) 疑いで当科紹介となった. 来院時所見 : 血圧 100/69 mmhg, 脈拍 95/ 分,SpO2 90%( リザーバマスク 10 L/ 分 ), 呼吸数 27/ 分, 体温 35.2, 頚静脈怒張, 四肢冷感あり 臨床経過 入院後, ショックバイタルを呈し,tPA 製剤投与を開始した. 徐々に血圧上昇, 酸素化が改善した. 以降, 抗凝固療法を行い, 肺血栓像は縮小, 下肢静脈に新たな血栓形成は認めなかった.Y 月 15 日にワルファリン内服下で退院となった. 考察 CCS は下痢を主症状とし, 全消化管ポリポーシス, 脱毛, 爪甲萎縮, 皮膚色素沈着を特徴とする比較的まれな原因不明の非遺伝性疾患である. 長期安静とステロイド治療による凝固能亢進が本症例での PTE に関与していると考えられた. 結語 PTE を発症したステロイド内服中の CCS 患者の一例を経験した 強皮症 ANCA 関連血管炎の治療中, 術後肺塞栓を契機に肺胞出血の発症が疑われた 1 症例 京都大学医学部附属病院循環器内科 京都大学大学院医学研究科地域医療システム学講座 京都大学医学部附属病院呼吸器内科 4) 京都大学大学院医学研究科リウマチ性疾患制御学講座 勝島將夫 1, 木下秀之 2, 谷澤公伸 3 4, 藤井隆夫中川靖章 1, 今井逸雄 1, 静田聡 1 1, 桑原宏一郎尾野亘 1 1, 木村剛症例は 45 歳男性.38 歳時に強皮症,ANCA 血管炎と診断され, ステロイド加療中であった.45 歳時に膵癌が疑われ, 開腹術を試みるも癒着が強く断念された. 術 5 日目,S-G カテーテル抜去を契機に肺塞栓を発症した. 抗凝固療法により一旦改善したものの, 再度急激な呼吸困難を認め, 両肺全体にすりガラス影を認めた. 心不全治療 ( ミルリノン, カルペチリド ) への反応は乏しく, すりガラス影は悪化した. 肺胞出血の可能性を考え, ヒドロコルチゾン 300mg 開始しすりガラス影は速やかに消退し, 酸素化の改善を認めた. 考察 病歴 ( 強皮症,ANCA 血管炎, 腎障害 ) より, 肺胞出血の可能性が考えられた. 既報によると, 強皮症 ANCA 血管炎の合併例の 28% が肺胞出血を発症する. 一方, 強皮症 肺胞出血 腎障害を呈する患者群を肺腎症候群としてまとめた論文によると, ステロイドが奏功する ANCA 小血管炎型とステロイドが有害な TMA 型が混在すると報告されている. 本症例はステロイドが奏功したことより ANCA 小血管炎型であったと推測された 特発性血小板減少性紫斑病の治療中に急性深部静脈血栓症および急性肺血栓塞栓症を合併した腸骨静脈圧迫症候群の1 例生長会府中病院循環器科 藤澤直輝, 蒔田直記, 八木秀也, 野元陽太, 吉田啓子山下智子, 竹下宏明, 紙森公雄, 柳志郎 症例 71 歳女性. 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) 治療中の突然の左下肢腫脹にて急性深部静脈血栓症が疑われ, 当科紹介受診となる. 下肢静脈エコーにて左総腸骨静脈から大腿静脈に充満する, 一部高輝度を呈する血栓を認め, 無症候で経胸壁心エコーにて右心負荷所見を認めないものの, 造影 CT では肺動脈内に造影欠損像を認めた. また, 下肢静脈血栓の近位端では左総腸骨静脈が右総腸骨動脈および椎体により圧迫されていた. 急性期治療として未分画ヘパリンおよびワルファリンによる抗凝固療法に加え, 再塞栓予防に永久留置型下大静脈フィルターを留置した. 考察 本症例は ITP および腸骨静脈圧迫症候群を基礎疾患とした急性深部静脈血栓症および急性肺血栓塞栓症であり, 出血リスク, 塞栓リスクを考慮した治療法の検討が必要である.ITP の治療は必須であり, 不可逆的危険因子と考え, 抗凝固療法継続に加え, 永久留置型下大静脈フィルターを留置した. 今後の経過により, 腸骨静脈圧迫症候群に対するステント治療も考慮される. 結語 今回我々は特発性血小板減少性紫斑病の治療中に急性深部静脈血栓症および急性肺血栓塞栓症を合併した腸骨静脈圧迫症候群の 1 例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する 左室緻密化障害を合併した Becker 型筋ジストロフィーの一例旭川医科大学病院循環 呼吸 神経病態内科 齋藤豪志, 坂本央, 永幡研, 豊嶋更紗, 広瀬愛後藤全英, 蓑島暁帆, 田邊康子, 竹内利治, 長谷部直幸 主訴 呼吸困難 現病歴 症例は 36 歳男性.3 歳時に易転倒あり, 筋生検と遺伝子検査 ( ジストロフィン exon13 欠失 ) から,Becker 型筋ジストロフィー (BMD) と診断された. 31 歳時に心拡大を指摘され, 拡張型心筋症 (DCM) 様と診断. 36 歳時, 呼吸困難にて前医を受診し, 心不全増悪を認めて当院紹介となった. 家族歴 母が肥大型心筋症(HCM) 臨床経過 心臓 MRI 等にて, 左室の拡大と収縮能の著明低下 ( 左室駆出率 (LVEF)24%), 左室側壁を中心に非緻密層 (NC) と緻密層 (C) の 2 層構造を認め (NC/C 比 3.0), 左室緻密化障害 (LVNC) と診断した.MRI では NC 部位の他に心室中隔の心筋中層にも遅延造影像を伴い, 心内膜下心筋生検では線維化の他に錯綜配列も認めた. 内服治療にて心不全は改善も, 非持続性心室頻拍を伴っており, 両室ペーシング機能付き植込み型除細動器 (CRT-D) の適応と判断した. 考察 BMD は X 劣性遺伝であるが, 保因者も HCM や DCM 様の心機能異常を伴うことが報告され, 母の関連が疑われる. また,BMD の LVNC 合併例は LVEF が有意に低く, 全死亡の予後予測因子であるが,LVNC の CRT 治療は mechanical dyssynchrony の改善による有効性が言われており, 積極的に導入した. 結語 LVNC を合併した BMD の一例を経験した. 78 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

11 33 33 右心不全に合併した蛋白漏出性胃腸症による浮腫をきたした一例沖縄県立中部病院循環器内科 廣澤孝信, 島袋祐士, 下髙原淳一, 屋宜宣仁, 仲里淳宮城唯良, 髙橋孝典, 和気稔, 平田一仁 主訴 下腿浮腫 現病歴 65 歳女性.1994 年に僧帽弁狭窄症に対して僧帽弁置換術を施行された.2013 年 3 月頃より増悪する下腿浮腫と低アルブミン血症を認めた. 腹部造影 CT にて横行結腸肝弯曲部に壁肥厚を認め,99mTcHAS 蛋白漏出シンチグラフィーにて同部位に集積を認め, 蛋白漏出性胃腸症との診断に至った. 今回, 原因精査目的に入院となった. 既往歴 慢性心房細動, 陳旧性結核, 骨盤放線菌症 臨床経過 心臓超音波検査上, 重度三尖弁閉鎖不全症を認め, 左室駆出率の明らかな低下や置換後僧帽弁の逆流は認めなかった. 胸部単純 CT にて右房に散在性石灰化を認めたが, 心膜の石灰化は認めなかった. 心臓カテーテル検査では, 肺動脈 60 / 28(38)mmHg, 平均肺動脈楔入圧は 18mmHg (V = 22mmHg), 右房圧 10mmHg, 拡張期肺血管圧較差 10mmHg であった. 考察 本例では,stiff atrium, 肺高血圧症, 重症三尖弁逆流症による多様な病態が併存した右心不全による静水圧上昇に加えて, 蛋白漏出性胃腸症による低蛋白血症 ( 膠質浸透圧低下 ) が浮腫の重要な原因と考えられた. 結語 右心不全に合併した蛋白漏出性胃腸症による浮腫の一例を経験した 敗血症を契機とし, 急激に心筋壊死に至った一症例みやぎ県南中核病院循環器内科 下田楓美子, 富岡智子, 土屋聡, 伊藤愛剛, 塩入裕樹小山二郎, 井上寛一 主訴 全身の疼痛 現病歴 66 歳女性. 関節リウマチでステロイド, 免疫抑制剤を内服していたが, 炎症コントロールは不良であった.2014 年 8 月某日, 胸痛, 冷汗が出現したため当院救急搬送となった. 経過 来院時ショックバイタル, 心電図上前胸部誘導で ST 上昇, 心臓超音波で心尖部の壁運動低下を認め初診時はショックを伴う急性心筋梗塞を疑った. しかし冠動脈造影で冠動脈有意狭窄は見られず, 一方左室造影にてたこつぼ型心筋症様の壁運動異常を認めた.IABP を挿入し血行動態管理を行うも, 同日突然心室細動となり死亡した. 病理解剖では胸鎖関節に膿瘍を認め, 心臓は心筋全体が非薄化,micropathology では著明な心筋細胞の変性, 壊死が見られ一般的な予後良好のたこつぼ型心筋症とは異なる病理像であった. 考察 免疫不全を背景とし, 重症敗血症が生じそこで誘導された chemical mediator が心筋障害を惹起した可能性が考えられた. 本症例では, 病理解剖にて心筋全体に著明な壊死が見られ重症心筋炎と矛盾しない結果であった. 臨床的にはこれにより重症心不全となり死亡したものと考えた. 結語 重症敗血症により急激な心筋障害が惹起され, 激しい心筋変性 壊死を認めた症例を経験したので報告する Panton-Valentine ロイコシジン産生黄色ブドウ球菌による感染性心内膜炎の一例三重大学附属病院循環器内科 志田幸太, 熊谷直人, 谷村宗義, 中森史朗, 田辺正樹土肥薫, 岡本隆二, 藤井英太郎, 山田典一, 伊藤正明 主訴 発熱, 意識障害, 全身筋肉痛 既往歴 4 歳時に心室中隔欠損閉鎖術を受け, 成人後に軽度大動脈弁閉鎖不全症を指摘 現病歴 38 歳男性. 臨床検査技師.3 日前より発熱, 咽頭痛, 下痢, 嘔吐, 全身の筋肉痛が出現し, 意識障害を呈して救急受診された. 全身の皮膚発赤, 腫脹が認められ, 圧痛を伴っていた. 敗血症性ショック, 播種性血管内凝固症候群, 多臓器不全の診断に緊急入院となった. 治療経過 補液, 抗菌薬, 免疫グロブリン療法を開始. 血液培養からメチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出され, 遺伝子診断より Panton-Valentine ロイコシジン (PVL) 産生株と判明. CT で甲状腺左葉に膿瘍形成を認め, さらに全身の皮下 軟部組織に多発する小膿瘍を認めた. 甲状腺左葉の排膿からも MSSA を検出. また心エコーで無冠尖の穿孔による重度大動脈弁閉鎖不全を認め, 感染性心内膜炎と診断した. 大動脈弁破壊が進行し心不全を伴ったが, 十分な抗菌薬治療と適切な時期での大動脈弁置換術を行い救命できた. 考察 PVL 産生黄色ブドウ球菌は, 組織破壊性が強く重症化しやすい. 黄色ブドウ球菌が起炎菌として検出された場合には重症化推定のため PVL の検索が重要であると考えられる 感染性心内膜炎, 左室収縮不全, 変性を合併した大動脈二尖弁 + 狭窄症の一例 千葉大学第三内科 千葉大学附属病院病態病理 千葉大学附属病院心臓血管外科 鈴木崇浩 1, 船橋伸禎 1, 髙岡浩之 1 1, 小澤公哉岸本充 2, 松宮護郎 3 1, 小林欣夫 [ 主訴 ] 呼吸苦の増悪, 胸部絞扼感 [ 現病歴 ]78 歳男性. 呼吸苦の増悪で近医で収縮期雑音を指摘され, 経胸壁心エコーで大動脈弁狭窄症と左室駆出率 40%, 胸部絞扼感も出現し狭心症も疑われ, 精査加療目的で入院 [ 既往歴 ]3 年前より慢性閉塞性肺疾患で加療中 [ 家族歴 ] 特記事項なし [ 臨床経過 ] 侵襲的冠動脈造影で左回旋枝と右冠動脈に有意狭窄, 左室大動脈間圧較差は 100mmHg であった. 経胸壁心エコースペックルトラッキングストレイン解析では全部位でストレイン値が低下していた. 心臓 CT では左冠動脈回旋枝に有意狭窄, 石灰化を伴う大動脈 2 尖弁, 全周性の心筋中層に著明な遅延造影が観察された, 大動脈弁置換術 + 冠動脈パイパス術前を施行し, 弁に疣贅と思われる構造物を採取, 高度な炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織の形成, 化膿性炎症像が認められ, 感染性心内膜炎と診断した. [ 考察 ] 術前の非侵襲的画像診断より心筋変性, 障害の合併も示唆された. 術後左室駆出率は 44% と軽度改善したのみであった.CT は冠動脈, 大動脈弁の形態, 上行大動脈のサイズとともに心筋性状の評価も可能であった. [ 結語 ] 感染性心内膜炎, 左室収縮不全, 変性を合併した大動脈二尖弁 + 狭窄症の一例を経験した. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 79

12 37 37 出血性脳梗塞を伴った全身性塞栓症を合併し, 手術時期の決定に苦慮した感染性心内膜炎の一例独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 独立行政法人国立病院機構東広島医療センター循環器内科 岸田直孝 1, 新田和宏 2, 小野裕二郎 2 2, 梶原真二梶原賢太 2, 城日加里 2 2, 原幹 症例 32 歳, 女性. 主訴 意識障害 現病歴 以前に心疾患の指摘は無く, 妊娠分娩歴は 2 経妊 2 経産.2014 年 月末より発熱, 関節痛を自覚. 近医を受診するも原因不明であった. 翌月初旬に家で意識障害を来たし当院へ救急搬送. 来院時は右共同偏視を認め, 心尖部に収縮期雑音を聴取した.DIC の状態で, 経胸壁心エコー検査で僧帽弁閉鎖不全症および僧帽弁前尖に疣贅を認めた. 全身 CT 頭部 MRI で出血性脳梗塞を伴った全身性塞栓症を認めた. 血液培養からメシチリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,Duke 診断基準より全身性塞栓症を合併した感染性心内膜 (infective endocarditis;ie) と診断した. 入院早期から弁置換術のタイミングについて心臓外科にコンサルトした. 当初循環動態は保たれており, 出血性脳梗塞を合併していたことから, まずは抗菌薬を中心とした集学的治療を行った. 第 4 病日より僧帽弁破壊の進行による急激な心不全増悪を生じ, 血行動態が維持できなくなったため IABP 挿入し緊急手術を行った. 考察 心疾患を指摘されたことのない若年経産婦に発症した IE を経験した. 出血性脳梗塞を合併し手術時期の決定に苦慮したため報告する 急性期心電図変化に乏しいながら低心拍出症候群に至ったこつぼ心筋症の一例聖マリアンナ医科大学循環器内科 友成雅大, 黄世捷, 佐藤如雄, 塚原摩耶, 出雲昌樹木田圭亮, 鈴木健吾, 原田智雄, 明石嘉浩 主訴 胸部不快 現病歴 52 歳女性. 電車に乗るため走った直後から胸部不快出現. 発症 1 時間後に当院独歩受診. 既往歴 特記すべきこと無し 経過 来院時心電図は僅かに T 波の尖鋭化を疑われるのみであった. 収縮期雑音を心尖部で聴取し, 心エコーでは心基部の過収縮, 心尖部は無収縮であり, これに伴う僧帽弁収縮期前方運動により高度の僧帽弁閉鎖不全症を認めた. 心臓カテーテル検査で冠動脈疾患は否定されたためたこつぼ心筋症と診断. 血圧低下と乏尿を呈し低心拍出状態であったため ICU 入院となった. 点滴負荷による血行動態の改善が得られなかったため, ビソプロロール 0.625mg を投与したところ過収縮の改善とともに血圧上昇 利尿を得た. 来院後 3 時間でも心電図変化は乏しく,12 時間後に T 波の減高に引き続き陰転化が出現した. 退院後 1 ヶ月で心電図 心エコー上は正常化を認めた. 考察 たこつぼ心筋症のおよそ 3 割は来院時 T 波陰転化や ST 上昇などの明らかな心電図変化を示さず, 予後と心電図変化は関連しないと報告されている. また左室流出路狭窄の合併は 25% に及ぶと報告されており, 心電図変化に乏しい症例においても慎重な血行動態評価と治療が必要な病態である. 結語 急性期心電図変化に乏しいながら低心拍出症候群に至ったたこつぼ心筋症の一例を経験した 集学的な治療により救命し得た感染性心内膜炎の 1 症例国立病院機構熊本医療センター循環器 渡壁孝弘, 石田俊史, 宮尾雄治, 永松優, 松原純一松川将三, 藤本和輝 主訴 全身倦怠感, 発熱 現病歴 24 歳女性. 当院受診約 3 週間前に歯科治療歴があり, その後全身倦怠感, 夜間の発熱が出現し近医受診. 内服薬処方されるも改善ないため, 発熱の精査加療目的で当院紹介受診. 精査の結果, 心臓超音波検査で左房内と僧房弁に可動性のある疣贅と高度僧房弁閉鎖不全症を認め, 感染性心内膜炎と診断し当科入院となった. 臨床経過 手術適応も考え心臓血管外科にコンサルトしたが, 人工弁脱落の可能性が高く, 弁置換術は困難と判断し抗生剤による治療を開始した. 血液培養からは口腔内常在菌である Streptococcus gordonii を認めた. 第 4 病日に腹痛を訴え, 増強するため単純 CT を撮影し, 疣贅による上腸間膜動脈塞栓症が疑われ, 造影 CT を撮影したところ, 多発脳梗塞, 左腎梗塞, 脾梗塞, 上腸間膜動脈に感染性動脈瘤を認めた. 感染性動脈瘤は切迫破裂の可能性があり放射線科にて緊急コイル塞栓術が施行された. 第 19 病日に頭痛と嘔吐, 意識障害を認めたため, 頭部 CT 撮影し, 右後頭葉皮質下出血を認め, 脳神経外科にて緊急開頭血腫除去術が施行された. 術後も同名半盲は残存しているが, 意識障害は改善を認めた. その後, 抗生剤治療により炎症反応は陰性化し, 疣贅の消失を認めた. 抗生剤治療終了後も感染性心内膜炎の再発なく, 高度僧帽弁閉鎖不全症は残存しているが心不全症状なく経過しリハビリ目的にて独歩転院となった. 考察 腹部の細菌性動脈瘤では上腸間膜動脈瘤が多く, 高率に破裂をきたし, 破裂の予測が困難であることから, 大きさや症状の有無に関わらず処置をすべきとする意見が大多数とされる. 感染性心内膜炎に合併した出血性脳卒中の発生頻度は約 2-10% で, 原因としては塞栓後の出血性変化及び感染性脳動脈瘤の破裂が考えられている. 結語 感染性心内膜炎の多彩な合併症により治療に難渋する 1 症例を経験した. 複数診療科の連携や迅速な対応により救命可能であったと思われる たこつぼ型心筋症様の収縮障害を来たした褐色細胞腫の一例東北大学病院卒後研修センター 東北大学病院循環器内科 古知龍三郎 1, 青木竜男 2, 杉村宏一郎 2 2, 建部俊介三浦正暢 2, 矢尾板信裕 2, 佐藤遥 2 2, 松本泰治佐藤公雄 2 2, 下川宏明 症例 78 歳, 女性 主訴 息切れ 現病歴 褐色細胞腫, 大動脈弁置換術後, 心不全, 心房細動で当院加療中の方. 来院 4 日前から軽労作での息切れを自覚, 収縮期血圧 230mmHg と高値であり, 近医を受診したが, 経過観察の方針となった. しかし, 症状改善せず, 呼吸苦も出現したため当院来院. 来院時, 血圧 171/110 mmhg, 脈拍 105 bpm, 四肢冷感, 発汗著明, 胸部レントゲンでは両肺野にうっ血像を認めた. 心電図で V1 ~ V6 に陰性 T 波, 心エコーで左室心尖部を中心にたこつぼ型心筋症様の収縮低下を認め, 急性冠症候群否定のため, 緊急でカテーテル検査施行した. 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったが, 右室造影で右室, 左室双方の心尖部に収縮低下の所見を認めた. 既往から褐色細胞腫のクリーゼによりカテコラミン過剰となった結果, 後負荷が増大し, たこつぼ型心筋症様の収縮障害が惹起されたと考えられた. 入院後, 褐色細胞腫に準じた降圧剤を中心とした内科的加療を行い, 心尖部の収縮能の改善がエコー上認められ, 胸部症状も軽快した. 考察 カテコラミン過剰が背景にあり, たこつぼ型心筋症様の両心室性心尖部収縮障害を認めた一例を経験した. 80 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

13 41 41 たこつぼ型心筋症発症後に心尖部壁肥厚を来した 5 例の検討北野病院心臓センター 林秀幸, 木村昌弘, 船迫宴福, 加藤貴雄, 中根英策宮本昌一, 和泉俊明, 春名徹也, 猪子森明たこつぼ型心筋症は通常 1 ~ 2 週間で壁運動異常が改善し, 予後良好な疾患である. 我々は左室壁運動が改善した後に左室心尖部の一過性壁肥厚を認める症例を経験したので考察を加え報告する. たこつぼ型心筋症の回復過程における一過性左室壁肥厚についての報告は少数のみで, その機序としてカテコラミン刺激に伴う心筋肥大や浮腫等があげられているも解明されていない. 当院で 2009 年 10 月 ~ 2014 年 10 月に入院加療を要したたこつぼ型心筋症 67 例のうち,5 例で回復期に一過性左室壁肥厚を認めた. 壁肥厚を認める例の特徴として以下の 5 つがあげられる. 壁肥厚を認める例とそうでない例の症例との比較では患者背景や発症時の重症度に明らかな相違は認めなかった. 壁肥厚を認める例, そうでない例ともに壁運動改善は 1 ~ 2 週間程度で認められた. 一過性左室壁肥厚は発症 2 ~ 4 週間程度で出現した.4) その後, 発症 3 ヶ月 ~ 1 年で肥厚は消失した.5) 心臓 MRI で経過を追うことができた 1 例の所見からは, 左室壁肥厚は心筋肥大よりも浮腫に起因する可能性が示唆された. たこつぼ型心筋症において壁運動改善後に一過性左室壁肥厚を認め, まれには心室瘤を形成する例もあることから, 壁運動改善後も継続してフォローする必要があると考える Marfan 症候群から超低左心機能になり重症心不全となった長期入院患者に包括的心リハビリテーションを行い外来通院可能となった一例 久留米大学心臓血管内科 久留米大学医療センター循環器内科 中尾英智 1, 中村知久 1, 西原通秀 1 1, 仲吉孝晴熊谷英太 1, 瀧井英一 1, 馬渡一寿 1 2, 原田晴仁池田久雄 2 1, 福本義弘症例は27 歳男性.7 歳時にMarfan 症候群を指摘され, 21 歳時に心不全症状が出現し, 重症僧帽弁閉鎖不全症で LVDd78mm と著明な心拡大と EF30% 台の低左心機能を認めた.25 歳時僧帽弁形成術を施行し,27 歳時に急性大動脈解離 (Stanford A) に対して Bentall+ 弓部大動脈置換術を施行したが解離腔は遠位弓部から総腸骨動脈分岐部まで残存した.LVDd91mm と心拡大進行,EF10% 台まで心収縮能は低下しており NYHA3,NT-pro BNP 11760pg/ml と高値であった.CRT-D 導入を行い, カルベジロールを mg に増量したところ心不全増悪をきたし NYHA4,NT-pro BNP 21436pg/ml となった. 低心拍出量を頻拍で代償しており, 少量のβ -blocker 増量にも認容性がない状態で, 心臓移植も検討したが大動脈解離が存在している事から適応とならなかった.CRT-D や ASV の導入, 理学療法士による心臓リハビリテーション, 管理栄養士による栄養療法, 看護師や薬剤師による内服管理や教育など多職間で連携をとり包括的な心不全加療を行う事で NYHA2,NT-pro BNP は 6000pg/ ml まで改善した. 現在外来通院可能な状態となり社会復帰を目指している 急性心外膜炎様の症状を呈した Stanford A 型大動脈解離の 1 例 長野中央病院内科 長野中央病院循環器内科 北原拓哉 1, 北原拓哉 1, 小平睦月 2 1, 原田侑典三浦英男 2, 板本智恵子 2, 河野恒輔 2 2, 山本博昭 主訴 呼吸苦胸痛 現病歴 71 歳男性. 受診前日より出現した呼吸苦, 深吸気時の胸痛を主訴に外来を受診した. 聴診上, 拡張期に心雑音を認め, 心膜摩擦音は認めなかった. 呼吸音は整で左右差は認めなかった. 心電図では avr 以外の広範囲の誘導で ST 上昇を認めた. 急性心外膜炎を第 1 に疑うも, 急性冠症候群を除外できないため緊急心臓カテーテル検査施行目的に入院となった. 既往歴 脳梗塞高血圧高尿酸血症慢性閉塞性肺疾患 家族歴 特記事項なし 臨床経過 心臓超音波検査では壁運動の低下を認めず, 上行大動脈は描出不良であった. 心臓カテーテル検査では造影で上行大動脈に偽腔を認めた. その後検査を中断し, 造影 CT で上行大動脈解離と心嚢液貯留を認め大動脈解離 (Stanford A 型 ) の診断で心臓血管外科にコンサルトし, 同日, 上行弓部大動脈人工血管置換術が施行された. 術中, 血性心嚢水を認めた. 考察 本症例は上行大動脈解離から心嚢液貯留を起こし, 急性心外膜炎様の症状を呈した症例と考えられた. 急性心外膜炎様の症状を呈する上行大動脈解離は本邦でも何例か報告されている. 急性心外膜炎様の症状を診た場合には大動脈解離を常に念頭に置き, 必要に応じて諸検査施行すべきであると考えられた. 結語 急性心外膜炎様の症状を呈した Stanford A 型大動脈解離の 1 例を経験した Fontan 術後で挙児希望を持つ低酸素血症の若年女性に対して,TCPC conversion を施行した 1 例岡山大学卒後臨床研修センター 岡山大学循環器内科 越智香織 1, 三好亨 2, 戸田洋伸 2 2, 中川晃志永瀬聡 2, 中村一文 2, 森田宏 2 2, 伊藤浩症例は 26 歳女性. 生後 1 か月でチアノーゼを指摘され, 両大血管右室起始 (DORV) 僧帽弁閉鎖(MA) 多脾症の診断にて,8 歳時に Fontan 手術 (TCPC) を施行された. 術後, 血行動態は改善したが, 低酸素血症が残存するため, 在宅酸素療法にて経過観察としていたが, 徐々に酸素化の悪化を認めるようになった.25 歳時に結婚し, 挙児希望のため妊娠のリスク評価目的入院. 低酸素血症の主な原因は, 左肺動静脈奇形 (Pulmonary arteriovenous malformations) であると結論した. 先天性心疾患術後でチアノーゼが残存している症例に対する妊娠 出産はリスクが高いとされ, 酸素化の改善が不可欠である. 本症例に対する治療方針に関して考察を交えて報告する. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 81

14 45 45 座位で著明な低酸素血症を来した肺内シャントの一例近畿大学医学部循環器内科 筧和剛, 谷口貢, 鍵岡賛典, 磯野員理, 岩永善高平野豊, 宮崎俊一 症例 76 歳男性 既往歴 胃癌, 尿管癌, 洞不全症候群 ( ペースメーカー植込み後状態 ),SLE, 糖尿病 現病歴 2012 年 3 月ごろより低酸素血症を指摘されていたが自覚症状に乏しく精査はされなかった. その後, 徐々に労作時の呼吸困難が進行し,2014 年 4 月, 呼吸困難 浮腫の精査加療目的で 2014 年 9 月 2 日, 当科に入院となった. 入院後, 仰臥位から座位になりしばらくすると呼吸困難が増悪する病態が判明した. それぞれの体位で酸素濃度を測定した結果, 酸素 4l/ 分経鼻投与下での PaO2 は仰臥位で 59.9Torr であったが, 座位 30 分後には 39.1Torr まで低下した. 肺血流シンチグラフィー検査では, 肺内シャントが考えられ, 仰臥位で 18.3% のシャント率が座位で 22.5% に増大した. 心臓超音波検査, 胸部造影 CT 検査では明らかな心内シャントは認めず, 肺底部主体の瀰漫性肺内シャントの存在が考えられた. まとめ 座位によりシャントの多い肺底部に肺血流がより多く分布することにより右左シャントが増大し, 動脈血酸素飽和度が低下し呼吸困難が増悪した症例で病態を考える上で興味深く, 若干の文献的考察を加え報告する 健診での心雑音を契機に発見され, 経胸壁心エコー 冠動脈 CT が診断や形態評価に有用であった巨大冠動脈肺動脈瘻の 1 例生長会府中病院循環器内科 藪本明路, 蒔田直記, 八木秀也, 野元陽太, 吉田啓子山下智子, 竹下宏明, 紙森公雄, 柳志郎 症例 60 歳女性. 健診にて心雑音を指摘され, 精査目的に当科紹介受診となる. 明らかな胸部症状や心不全症状は認めなかった. 経胸壁心エコーにて左冠動脈周囲に管状エコーおよびその管内を肺動脈方向に流れる異常血流を認め, 冠動脈肺動脈瘻を疑い, 次に施行した冠動脈 CT にて左右両冠動脈近位部からそれぞれ肺動脈基部に流入する異常血管を認め, 冠動脈肺動脈瘻と診断した. 無症候であり, 負荷心筋シンチグラフィーでは心筋虚血所見を認めず, 右心カテーテル検査においても肺高血圧を認めなかったが, 血液サンプリングにて右室から肺動脈への 10% 以上の O2step up を認め, 肺体血流比 1.89, 左右短絡率 47.1% であり, 治療適応と判断し, 外科的根治術を施行した. 考察 冠動脈肺動脈瘻の多くは無症候性であり, 冠動脈造影にて偶発的に発見される事が多いが, 本症例では健診での心雑音を契機に施行した経胸壁心エコーにより冠動脈肺動脈瘻を疑い, 冠動脈 CT で形態評価, 右心カテーテルで血行動態評価を行い, 速やかに確定診断し得た. 結語 今回我々は健診での心雑音を契機に発見され, 経胸壁心エコー 冠動脈 CT が診断や形態評価に有用であった巨大冠動脈肺動脈瘻の 1 例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する 高齢のため経皮的冠動脈形成術および経皮的心房中隔欠損閉鎖術を選択した冠動脈疾患合併心房中隔欠損症例 新潟市民病院循環器内科 新潟市民病院小児科 相場秀太郎 1, 尾﨑和幸 1, 田中孔明 1 1, 柏麻美中村則人 1, 保坂幸男 1, 土田圭一 1 1, 髙橋和義小田弘隆 1 2, 佐藤誠一症例は 81 歳, 女性.2008 年に心房中隔欠損症 (ASD) を指摘され, 以後は利尿薬内服にて経過観察されていた.2014 年 2 月, 心不全増悪にて当科入院, 利尿薬,hAMP および O2 投与にて改善した. 心臓カテーテル検査にて PA 54/26 (38)mmHg,RA での O2 ステップアップを認め,Qp/Qs 2.47,CAG:#7 90%,LVG:#2,3,6 reduced,edvi 61.4ml/ m2,ef 50% であった. 呼吸機能検査では拘束性換気障害 (%VC 33.7%) を認めた. 高度の右心負荷, 肺高血圧および呼吸機能低下のため外科的治療は高リスクと判断, 経カテーテル的治療の方針となった. まず,#7 90% 狭窄に対して PCI を施行,Rotablator(1.5mm 1.75mm) で切削後 Sprinter 2.5mm にて拡張し 50% に改善した.2 か月後,ASD に対して Amplatzer Septal Occluder(ASO) を用いた経皮的心房中隔欠損閉鎖術を施行した. 治療前は PA 39/16(28)mmHg,BP 111/67(84)mmHg であった. バルーンによる閉鎖試験にて急激な血圧低下がないことを確認後に ASO 22mm を留置した. 留置後 PA,BP 等の循環動態に変化がないことを確認し治療終了した. 以後, 心不全の増悪は認められず, 術後 3 か月の心エコーでは左室壁運動および右室負荷, 肺高血圧の改善を認め経過良好であった 冠動脈 CT 検査施行時の腹部撮影追加の有益性に関する検討名古屋第一赤十字病院循環器内科 近藤喜代太, 小栗光俊, 安田健一郎, 清水真也, 嶋野祐之丹羽統子, 柴田義久, 花木芳洋, 神谷春雄 目的 本研究の目的は, 冠動脈 CT 検査施行時に腹部撮影を追加した症例において, 腹部偶発的所見の頻度と重要度を調査し, 有益性について評価することにある. 方法 当院にて 2013 年 1 月から 2014 年 6 月までの間に冠動脈 CT 施行時に腹部疾患精査, 血管病態の把握等を目的に腹部 CT 撮影を追加施行した 793 例を対象とした. 偶発的所見は重要度に応じて, 専門医による診断 精査が必要な要精査所見, 悪性病変等生命に危険性を及ぼす重大所見に分類した. 結果 偶発的所見は 53.3% に認められ, 要精査所見は 10.3%, 重大所見は 2.5%( 血管病変 80%, 悪性病変 20%) であった. 年齢を 4 分位に分けて検討すると, 偶発的所見は, 第 1 分位 (60 歳未満 ) が 37.6%, 第 2 分位 (60 歳以上 69 歳未満 ) が 50.3%, 第 3 分位 (69 歳以上 75 歳未満 ) が 53.1%, 第 4 分位 (75 歳以上 ) が 69.6% と, 年齢が上がるとともに有意に増加を認めた (P < 第 4 分位では, 要精査所見 12.3%, 重大所見 3.5% と最も高頻度であった. 結語 高齢の患者群では, 冠動脈 CT 施行時に腹部撮影を追加する事が有益である可能性が示唆された. 82 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

15 49 49 重症起立性低血圧の一症例新潟市民病院循環器内科 藤崎俊哉, 土田圭一, 廣木次郎, 柏麻美, 中村則人藤原裕季, 眞田明子, 保坂幸男, 髙橋和義, 小田弘隆 主訴 失神 現病歴 88 歳, 女性. 幼少時より起立性調節障害を指摘されていた.2014 年初夏度重なる意識消失, 痙攣を来し当院へ搬送された. 神経学的異常や精神疾患の合併は無く, 入院後も意識消失時に頸動脈触知は可能であり心原性失神は否定的であった. 動脈圧モニター下での起立試験を施行したところ, 起立時に 80mmHg 以上血圧が低下し意識消失を来したため, 重症の起立性低血圧 (OH) と診断し精査治療を開始した. 既往歴 家族歴 特記事項なし 臨床経過 α 刺激薬, 硬質コルチコイド, および I 群抗不整脈薬などを開始したが明らかな急性期の有効性は確認できず, 非薬物治療として, 飲水や食塩摂取の励行, 上半身を高くした睡眠, 弾性ストッキング, 腹帯の着用などを試みた. 座位で両足を交叉させるなどの行為 (physical counterpressure manoeuvre; PCM) により, 座位での血圧が 60mmHg 台から 80mmHg 台に上昇し, 更に弾性ストッキングを, よりきつく, かつ丈が腰まであるタイプに変えたところ, 起立時の血圧低下は著明に改善し, 歩行可能距離も延長した. 考察 きつい弾性ストッキングの着用,PCM などの理学療法が OH の症状改善に最も効果的であった. 薬物療法による急性期の効果は限定的であった. 結語 多面的治療にて軽快した重症起立性低血圧の一例を経験した 劇症型心筋炎の臨床像を呈した巨細胞性心筋炎の一例東北大学病院卒後研修センター 東北大学病院循環器内科 田中祥朗 1, 田中祥朗 1, 青木竜男 2 2, 杉村宏一郎建部俊介 2, 三浦正暢 2, 矢尾板信裕 2 2, 佐藤遥 2 下川宏明 主訴 全身倦怠感, 前胸部痛 現病歴 入院 3 週間前, 出張中に上気道炎症状, 息切れ, 咳嗽時前胸部痛を自覚. 入院 7 日前に起立時にめまいで倒れ, A 病院内科受診し, 採血上肝障害を指摘され入院 4 日前 B 病院消化器内科受診し, 腹部エコー上うっ血肝疑われ, 同院循環器内科を紹介受診. 心エコーで EF の低下 (40-50%) と BNP の上昇 (1600 pg/ml) を認め入院となったが, 心機能が悪化し, 第 5 病日に当院転院となった. 臨床経過 転院時, 左室の全周性壁運動低下を認め (EF 25%), 急性心筋炎を疑い, カテーテル検査, 心筋生検を施行. 同日に IABP と PCPS を導入し, 循環補助を行った. 入院 7 日目, 心筋生検で巨細胞性心筋炎と診断し, ステロイドパルス療法, シクロスポリンを開始したが, 心機能は改善せず, 補助人工心臓適応の方針となった. しかし, 入院 10 日目に脳幹出血を生じ, 入院 16 日目に死亡した. 考察 巨細胞性心筋炎はウィルス性と異なり, 免疫抑制療法が有効とされているが, 予後が悪く, 早期診断治療が重要である可能性が示唆された. 結語 巨細胞性心筋炎に対し, 免疫抑制療法を施行したが, 治療中の合併症により死亡した一例を経験した 心臓 CT で肥厚した左室心筋に大きな線維化病変を複数呈し, 鑑別により心 Fabry 病と診断できた 1 例 千葉大学第三内科 千葉大学腫瘍病理 千葉大学診断病理 西村公太 1, 船橋伸禎 1, 髙岡浩之 1 1, 小澤公哉長谷川洋 1, 北川元生 2, 中谷行雄 3 1, 小林欣夫 [ 主訴 ] 呼吸苦の増悪, 胸部不快 [ 現病歴 ]78 歳男性. 高血圧加療中, 呼吸苦, 気分不快が増悪, 急性冠症候群の疑いで入院侵襲的冠動脈造影で左前下行枝に 50% 狭窄がみられ薬物治療となる, 退院後再度呼吸苦, 気分不快が悪化で再度緊急入院.[ 既往歴 ] 甲状腺疾患 [ 家族歴 ] 特記事項なし [ 臨床経過 ] 再度侵襲的冠動脈造影で同所見が観察され, Ach 負荷も冠攣縮は認めなかった. 心臓 CT では肥厚した左室壁に大きな線維化病変が複数観察された. 血清 α -Galactosidase 活性の著明な低下が認められ, 心筋生検を施行, 核周囲に空胞化目立ち,PAS 染色で空胞周囲と心筋細胞に PAS 陽性, アミロイド染色は陰性で, 心 Fabry 病と診断. 遺伝子検査ではα -Galactosidase の point mutation (exon2- R112H) を認め, 酵素補充療法を導入した. 呼吸苦は慢性閉塞性肺疾患と診断された. [ 考察 ] 冠動脈所見と一致しない非特異的な症状で, 心臓 CT を行い肥厚した左室心筋に大きな線維化病変を複数呈し, 心アミロイドーシス, 心 Fabry 病などを鑑別疾患に挙げ, 心 Fabry 病の診断となった. [ 結語 ] 心臓 CT で肥厚した左室心筋内に大きな線維化病変を複数呈し, 鑑別により心 Fabry 病と診断できた 1 例を経験した 虚血性心疾患と鑑別を要し, ボルテゾミブ デキサメタゾン併用療法で心不全の改善をみた心アミロイドーシス 福井県立病院循環器内科 同血液腫瘍内科 丹羽智 1, 藤野晋 1, 河合泰一 2 1, 邑井洸太藤岡研佐 1, 馬渕智仁 1, 野路善博 1 1, 山口正人 1 青山隆彦 症例 60 歳代女性 主訴 動悸, 呼吸困難 現病歴 某年 3 月に心電図異常を認め, 当科紹介となった. 負荷心電図で前胸部誘導に遷延する ST 低下を認めたが, 虚血性心疾患は否定され, 高血圧性左室肥大と診断した. 同年 6 月に貧血精査目的で血液腫瘍内科へ紹介となり, 多発性骨髄腫の診断を得て結果説明予定であったが, 上記主訴で救急搬送された. 心電図で前回より ST 低下が顕著であり, 急性冠症候群の診断で緊急冠動脈造影検査を施行した. 器質性狭窄は認めず, びまん性壁運動低下を認めたため, 高血圧性左室肥大または多発性骨髄腫に伴う貧血進行による急性心不全と診断した. 初期治療への反応良好であったが, 第 3 病日に心室細動による院内心肺停止を来たした. 神経学的後遺症を残すことなく回復し, 植込み型除細動器移植術を施行した. 直腸生検で AL アミロイドの沈着を認め, 症候性多発性骨髄腫及び心アミロイドーシスによる急性心不全 心室細動と診断した. ボルテゾミブ デキサメタゾン併用療法で血液学的効果とともに心不全の改善も認めた. 考案 多様な心電図変化を呈する心不全症例では, その鑑別疾患として二次性心筋症を考慮することが必要である. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 83

16 53 53 動脈血栓症を繰り返した多発性骨髄腫に伴う心 AL アミロイドーシスの一例順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床研修センター 順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科 順天堂大学医学部附属順天堂医院血液内科 山下由莉 1, 土肥智貴 2, 築根豊 3 3, 佐々木純伊藤誠悟 2, 磯田菊生 2, 小松則夫 3 2, 代田浩之 現病歴 63 歳女性. 全身性 AL アミロイドーシスを合併した多発性骨髄腫 (IgG- λ) の患者. 他院にて化学療法開始されたが心不全徴候を認め,6 日後には左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した. 精査加療目的に当院に転院となった. 臨床経過 心アミロイドーシス Mayo 分類 StageIV の診断で,CyBorD 療法 (Cyclophosphamide, Bortezomib, Dexamethasone) を開始した. 補液量増加に伴いうっ血症状が増悪したため, 利尿薬 カルペリチドにて心不全管理を施行した. 経過中に症候性除脈を認め,DDD ペースメーカーを留置した. 抗凝固療法を行っていたが, 右総腸骨動脈に急性動脈閉塞症を発症し, 緊急 fogarty カテーテルによる血栓除去術を行った. 同療法 2 コース目終了時には部分奏功まで改善した. アゾセミド トルバプタンにより心不全のコントロールも良好であり, 外来にて化学療法を継続することとした. 考察 本症例は過粘稠度症候群の所見や明らかな不整脈がなかったにも関わらず, 脳梗塞 急性動脈閉塞症と動脈血栓症を 2 回繰り返した. 多発性骨髄腫に合併した心アミロイドーシスは, 線溶系 凝固系の異常が生じやすいことが報告されているので, 今回これについて考察する 心臓 MRI で心室中隔壁肥厚,PET にて同部位の取り込み低下を認めた心アミロイドーシス疑いの 1 例 京都大学医学部医学科 京都大学医学部附属病院循環器内科 池上華菜子 1, 合田直樹 2, 牧山武 2 2, 静田聡山田千夏 2, 尾野亘 2 2, 木村剛 主訴 なし 現病歴 57 歳男性.50 歳時の健診で高血圧と心機能低下を指摘された. 今回の健診で胸部異常陰影を指摘され, 精査中に完全左脚ブロックを認めたため当科紹介受診となった. 心臓超音波検査では左室の非同期的収縮, 前壁中隔の肥厚を認めた. 心臓 MRI で心筋の不均一な肥厚及び同部位の壁運動低下 造影遅延を認め,FDG-PET で心筋肥厚部位に一致して取込み低下を認めた. このため心アミロイドーシスを疑われ精査目的で入院となった. 入院後経過 心臓超音波では左室拡張終期径 45mm, 左室の非同期的収縮を認め, 左室駆出率は 55%, 心室中隔壁は 18.9mm と肥厚していた. 血液検査は BNP 54.5pg/ml と軽度上昇し,ACE は 7.7IU/L と上昇を認めなかった. 定性尿蛋白は陰性で, 血清及び尿蛋白免疫電気泳動を行った. 心臓カテーテル検査で冠動脈に有意狭窄認めず, 右室心筋生検を施行した. 考察 心臓超音波や MRI 所見より心アミロイドーシス, 心サルコイドーシス, 肥大型心筋症等が疑われた. 特に FDG- PET で心筋肥大部位の取込み低下を認めたことから心アミロイドーシスが最も疑われ, 血清学的検査, 心筋生検を行った. 心アミロイドーシスには予後の悪い類型もある. 発表時は検査結果と文献的考察を交えて報告する β 遮断薬内服を契機に房室伝導障害が顕在化した心サルコイドーシスの 1 例和歌山県立医科大学循環器内科 森本順子, 折居誠, 塩野泰紹, 山野貴司, 松尾好記猪野靖, 久保隆史, 田中篤, 赤阪隆史 主訴 動悸発作 現病歴 症例は 50 歳代女性. 動悸発作を主訴に近医を受診した.12 誘導心電図で 3 束ブロックを認め,24 時間心電図で発作性上室性頻拍を指摘された. ビソプロロールの内服を開始したが, 頻回の意識消失発作が出現し, 同薬剤は中止された. 中止後も症状は改善せず, 内服中止 1 か月後の 24 時間心電図で一過性の完全房室ブロックを認めたため, 当科を紹介受診した. 既往歴 20 歳代でぶどう膜炎. 家族歴 特記事項無し. 臨床経過 受診時の 12 誘導心電図で完全房室ブロックを認めたが, 経胸壁心エコー図では明らかな異常所見を認めなかった.MRI 対応の永久ペースメーカー植え込み 6 週間後に心臓 MRI を施行し,T2 強調像で心室中隔基部に高信号を認めた.18F-FDG PET/CT では心室中隔と縦隔リンパ節, 右臀部に FDG 集積を認めた. 右臀部皮下結節の生検で非乾酪性肉芽腫を認め, サルコイドーシスと診断した. 副腎皮質ステロイドの投与を開始し, 房室伝導能は速やかに改善した. 考察 心サルコイドーシスによる房室伝導障害が存在し, β 遮断薬の内服で房室伝導障害が顕在化したものと考えられた. 結語 発作性上室性頻拍に対するβ 遮断薬投与を契機に房室伝導障害が顕在化し, 副腎皮質ステロイドで伝導能の改善を認めた心サルコイドーシスの一例を経験した 56 P 56 高安病に合併した心筋炎の一例京都大学医学部附属病院循環器内科 後藤久典, 渡部宏俊, 斉藤成達, 静田聡, 尾野亘木村剛 主訴 全身倦怠感 現病歴 35 才女性.12 歳時に高熱が持続. 血管造影で鎖骨下動脈の狭窄 胸部大動脈の蛇行あり, 高安動脈炎と診断. Prednisolone(PSL) と Cyclosporine で治療開始.18 歳時副作用のためステロイドは休薬.2013 年 9 月初旬より全身倦怠感が出現,10 月初旬より発熱, 動悸, 息切れあり, 胸部レントゲンで心拡大および肺うっ血をみとめ, 心エコーでは LVDD=45mm で EF = 41% に低下していた. 心電図では心室性期外収縮が頻発していた. 心筋炎による急性心不全の診断で hanp を開始したが, 第 1 病日に心不全悪化し,DOB +ミルリノン追加. その後心室頻拍を生じ, ショック状態となったため IABP 挿入し, 乏尿に対して CHDF 開始. 心筋生検で心筋炎と確定診断されたため,PSL25mg/ 日 (0.6mg/kg) で開始. 徐々に心機能および全身状態改善し, 第 92 病日に退院.6 ヶ月後の心エコーでは EF=64% に改善,PSL も 3.5mg/ 日まで漸減. しかし, その後労作時息切れが出現し,FDG-PET および MRI にて心筋炎の再燃が疑われたため 2014 年 10 月に再入院となった. 心エコーでは EF=46% に低下.PSL を 40mg/ 日に増量し,10% / 週のペースで漸減. 途中 AZT 併用し, 心機能の回復も得られたため, 第 97 病日に退院となった (PSL17mg+AZT100mg). 高安病に合併する心筋炎の報告は少なく, 病理学的 免疫学的視点から文献的考察を交えて病態について推論し, 報告したい. 84 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

17 57 57 外傷性脳挫傷を合併した急性心筋梗塞の一例独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 独立行政法人国立病院機構東広島医療センター循環器内科 吉田俊丈 1, 新田和宏 2, 小野裕二郎 2 2, 梶原真二梶原賢太 2, 城日加里 2 2, 原幹 主訴 失神, 胸痛 現病歴 51 歳, 男性.2014 年 12 月初旬, 失神し左後頭部を打撲. すぐに意識は回復し, 他院へ救急搬送された. 頭部 CT で異常所見なく, 胸痛および心電図の胸部誘導で ST 低下を認めたため, 急性冠症候群の疑いで当院へ転送された. 臨床経過 冠動脈造影検査で右冠動脈 seg2,seg3 にそれぞれ 99%, 左冠動脈 seg6 に 90% 狭窄病変を認めたため右冠動脈に 2 本, 左冠動脈に 1 本薬剤溶出性ステントを留置し, 再灌流に成功した. その後は神経学的異常を認めなかった. 第 4 病日右同名四半盲を自覚し, 頭部 CT で左後頭葉に出血を認めた. 脳外科にコンサルトし, 抗血小板薬 2 剤を継続のまま安静加療とした. その後は出血の増大なく, 第 13 病日軽快退院となった. 考察 薬剤溶出性ステント留置例ではステント血栓症予防のため 12 ヶ月以上の 2 剤併用抗血小板療法が推奨されている. 本症例は術前に頭部 CT で出血が無い事を確認したが, ステント留置後に脳出血を認めた. 薬剤溶出性ステントを計 3 本使用していることや, 脳出血のサイズ, 時間経過などから, 脳出血増大よりステント血栓症のリスクが高いと判断し, 抗血小板薬 2 剤を継続した. 結語 急性心筋梗塞の治療後に, 発見された外傷性脳挫傷を経験した 薬剤溶出性ステント留置後 7 年以上経過した患者の大腿骨頚部骨折術直後に急性冠症候群を発症した一例独立行政法人国立病院機構東広島医療センター循環器内科 新田和宏, 小野裕二郎, 梶原真二, 梶原賢太, 城日加里原幹 症例 74 歳, 女性. 現病歴 67 歳時に急性心不全で当院入院. 冠動脈造影検査でびまん性の 3 枝病変を認めた. 心臓バイパス術 ( 右内胸動脈 - 左冠動脈前下行枝, 左内胸動脈 - 第一対角枝 ) を行い, その後残枝病変である右冠動脈に薬剤溶出性ステント (Cypher ステント ) を 3 本留置した. その後は狭心症症状や心不全増悪なく経過.74 歳時に大腿骨頚部骨折で入院. 整形外科と相談の上, アスピリン 100mg/ 日を継続し手術を行った. 術中の出血は 600ml で, 術前後の Hb 値の変化は g/dl であったが, 術中のバイタルは安定していた. 帰室 2 時間後に気分不良, 血圧低下があり, 心電図の下壁誘導で ST 上昇を認めた. 緊急冠動脈造影検査を行ったところ, 右冠動脈 (seg のステント遠位部に高度狭窄病変を認めた. 考察 薬剤溶出性ステント留置患者の周術期管理に関しては十分なエビデンスのあるプロトコールは確立されていない. 本例が急性冠症候群を発症した原因として高度貧血, 手術に伴う凝固能亢進,neoatherosclerosis などの影響が考えられる. 外科手術を必要とする場合, 血栓リスクと出血リスクを考慮し, 周術期管理を行う必要がある. 58 P 58 競技中に心肺停止をきたし, 薬物負荷下 FFR で有意な狭窄が証明された右冠動脈起始異常の一例慶應義塾大学医学部内科学教室 谷英典, 西山崇比古, 児島秀典, 樫村晋, 西山信大河野隆志, 前川祐一郎, 佐野元昭, 高月誠司, 福田恵一心電図は蘇生後 II,III,aVF 誘導で T 波が陰転化し, 心エコーで一過性に下壁の壁運動異常を認めた. 緊急冠動脈造影を施行し, 右冠動脈は大動脈左冠尖より起始し, 右冠動脈優位であった. 冠動脈 CT 検査, 経胸壁心臓超音波検査で, 右冠動脈は大動脈壁内を一部通過し, 大動脈壁外では大動脈前方, 肺動脈との間を走行し, 同部位の圧迫狭窄が疑われた. 後日 ATP ドブタミン投与下で, 冠血流予備量比 (FFR) を測定したところ, 右冠動脈中間部で 0.75, 大動脈で 0.96 であった. 本例は運動極期に起きた心室細動であるが, イベント後の II,III,aVF 誘導での心電図変化と一過性の下壁の壁運動異常, そして冠動脈の所見から右冠動脈領域の虚血から心室細動が惹起されたと診断した. 考察 冠動脈起始異常に伴う心室細動の報告例はあるが, 一般に心筋虚血の再現は困難である. 本例では薬物負荷下 FFR を用いて有意な狭窄を証明できた. 結語 右冠動脈起始異常により運動中に心肺停止を来した症例を経験した pressure wire による FFR 値と心筋 SPECT の比較 一宮西病院臨床研修医 一宮西病院循環器内科 三澤真 1, 田中伸享 2, 高橋佑弥 2 2, 石原弘貴 2 大野泰良 背景 FFR をルーティンに施行し PCI を行うことは, 遠隔期の死亡, 心筋梗塞, 血行再建を減少させる報告があり, また, 心筋 SPECT による評価では,5% 以上の虚血減少で予後を改善するという報告がある. 目的 心筋 SPECT による虚血 梗塞の評価と FFR 値の整合性の確認を行う. 方法 2012 年 4 月 ~ 2013 年 3 月までで,FFR 計測と心筋 SPECT を実施した 38 名を対象とした.FFR 計測は,LAD32 枝, CX12 枝,RCA8 枝, 他 1 枝の合計 53 病変を評価した. 結果 平均 FFR 値は,LAD0.75 ± 0.14,CX0.85 ± 0.11,RCA0.86 ± 0.07, 他 0.78 であった.FFR0.80 以下では, 心筋 SPECT の虚血 梗塞検出の感度, 特異度, 陽性的中率, 陰性的中率は 50.0 ~ 56.0%,47.6 ~ 71.4%,46.2 ~ 63.6%,57.1 ~ 66.7% といずれも低値であった. 一方,FFR0.75 以下では, 感度, 特異度, 陽性的中率は,46.7 ~ 60%,53.3 ~ 60%,15.4 ~ 31.8% と低値であったが, 陰性的中率は 74.2 ~ 83.3% と良好な値を示した. 考察 FFR と心筋 SPECT の関係を示した論文は,FFR 値が低く高度狭窄病変を対象としているものが多いが, 当院のデータは比較的軽度な狭窄病変を含んでおり, また, 心筋 SPECT のアーチファクトなどにより, 精度が低くなっている可能性がある. 結論 中程度の狭窄病変では心筋 SPECT と FFR の相関は必ずしも良いとは言えず, 心筋 SPECT,FFR 測定の利点, 欠点を考慮し, 虚血評価のモダリティとして有効活用する必要がある. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 85

18 61 61 第一中隔枝単独の急性心筋梗塞 (AMI) により一過性の左脚ブロックを呈した 1 例公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院心臓センター 木村祐樹, 船迫宴福, 木村昌弘, 加藤貴雄, 中根英策宮本昌一, 和泉俊明, 春名徹也, 猪子森明 症例 59 歳女性 主訴 前胸部圧迫感 現病歴 某年 6 月頃から数分程度の前胸部圧迫感が出現し,7 月某日に前胸部圧迫感が 24 時間持続したため当院受診.12 誘導心電図にて V2,3 で ST 上昇,Tn-I3.03ng/ml と上昇, 心エコーで中隔基部の壁運動低下を認め, 緊急冠動脈造影検査を施行した. 第一中隔枝のみに 90% 狭窄を認め, 左室造影でも Seg6 基部の壁運動低下を認めた. 同部位の AMI と診断したが, 血管径 1mm 程度であり, 血管内治療は行わずアスピリン内服, ヘパリン Na, ニコランジル持続静注による薬物加療を開始した.peak CK,CK-MB はそれぞれ 559U/L,44IU/L であった. 第 2 病日まで前胸部圧迫感は持続し, 一過性の左脚ブロックを認めた. 第 3 病日には前胸部圧迫感, 一過性の左脚ブロック共に消失した. 薬剤負荷心筋シンチでは中隔基部のみ固定性欠損を認め, 改めて第一中隔枝のみの AMI と診断された. 経過良好であり第 7 病日退院となった. 考察 中隔枝のみの AMI の頻度は約 0.3% と報告されており稀である. 経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA) に伴う伝導障害は右脚ブロックを伴うことが多いが, 今回 PTSMA の治療対象血管である第一中隔枝単独の AMI で一過性の左脚ブロックを来した症例を経験したため文献的考察を加え報告する ハチ毒によるアナフィラキシーショックに, 冠攣縮による急性冠症候群を合併した 1 例 岩手県立二戸病院循環器科 岩手医科大学附属病院循環器科 赤坂祐一郎 1, 西山理 1, 田渕剛 1 1, 酒井敏彰 2 伊藤智範 症例 51 歳男性 主訴 呼吸困難 既往歴 卵アレルギー, 陳旧性心筋梗塞 現病歴 平成 25 年 月にスズメバチに刺され, 呼吸困難感, 浮腫が出現し救急搬送された. アナフィラキシーショックと診断しエピネフリン 1A を筋注した. その後, 胸部絞扼感を訴え心電図では ST 上昇を繰り返した. アナフィラキシーショック後に冠攣縮性狭心症を合併したと診断し入院した. 入院経過 発作を誘発する可能性があるカルベジロールを中止した.CK/CK-MB の最大値は 466/78 IU/L であった. 第 5 病日に心臓カテーテル検査を施行し, 冠動脈に有意狭窄病変はなかった. ニフェジピンを追加し退院した. 考察 ハチ刺傷によるアナフィラキシーショックに冠攣縮が合併する原因として, ハチ毒に含まれるアミン類や, 抗原抗体反応が関与する説がある. 一方,β 遮断薬を服用している症例にαβ 作用のあるエピネフリンを使用すると α 作用のみが発揮されて, 冠攣縮を誘発する報告がある. 本症例はβ 遮断薬を内服していたため, エピネフリン筋注後に α 作用が優位となり冠攣縮を誘発したと考えた. 結語 β 遮断薬内服例にエピネフリンを使用する際には, 冠攣縮を誘発する可能性を考慮する必要がある 診断に苦慮した巨大陰性 T 波を伴うびまん性左室収縮能障害を呈した 1 例奈良県立医科大学第 1 内科 川島浩正, 竹田征治, 野木一孝, 川田啓之, 川上利香斎藤能彦症例は 62 歳, 女性. 生来健康で特に異常を指摘されたことはない.2 か月前から, 労作時の呼吸困難を自覚していた. 10 日前から労作時呼吸苦の増悪を認めたが, 仕事が忙しく放置していた. その後, 安静時にも呼吸苦と冷感が出現したので近医を受診した. 受診時は頻脈 (180/ 分 ) と低酸素血症 (SpO2 79%) を認め, 喘鳴, 起座呼吸, および冷感を認めたので, 心房細動とうっ血性心不全の診断で入院した. ジギタリスとベラパミルの使用で頻脈は改善したが (90 ~ 100/ 分 ), 肺うっ血が改善しないために当科に紹介された. 来院時は心エコーでびまん性の左室収縮能障害 (EF 42%) を認め, 心電図では前胸部誘導で巨大陰性 T 波を認めていた. 軽度の左室肥大も認めたが, 明らかな肥大型心筋症の所見は認めなかった. 入院後は利尿薬の投与に加えて, ランジオロールの投与からビソプロロールを導入し, 肺うっ血は改善した. 第 13 病日には原因精査のために心臓カテーテル検査を施行したが冠動脈に異常を認めず, 心筋生検では心筋細胞の軽度の肥大と細胞配列の乱れを認め拡張型心筋症も疑われたが, 過収縮帯を認めタコツボ型心筋症も否定できないとの所見であった. 巨大陰性 T 波はその後, 徐々に改善傾向を認めた. 診断に苦慮した巨大陰性 T 波を伴うびまん性左室収縮能障害を呈した 1 例を経験した 脳梗塞を繰り返した抗凝固療法抵抗性左心耳内血栓を有する家族性拡張相肥大型心筋症の一例慶應義塾大学医学部内科学教室 入江秀次, 西山崇比古, 柳澤亮, 河野隆志, 前川裕一郎佐野元昭, 福田恵一 主訴 労作時呼吸困難 現病歴 48 歳女性.1987 年より閉塞性肥大型心筋症で当院を紹介受診した.1998 年に肥大型心筋症拡張相への移行を指摘され, 薬物療法を順次開始されたが, その後も壁運動低下の進行を認めた.2011 年 1 月脳梗塞 ( 中大脳動脈, 塞栓症疑い ) の診断で血栓溶解療法を施され, 明らかな麻痺は残存せず退院した.2012 年 1 月に心不全急性増悪で入院し, 以後利尿剤治療が開始された. 入院中の経食道心エコーで左心耳内血栓を認め, 計 14 日間ヘパリン持続点滴を行ったが, 血栓は消失せずワルファリンを PT-INR にコントロールして外来経過観察とした.2014 年 5 月脳梗塞 ( 左大脳動脈, 心原性塞栓症 ) の診断で再度 tpa による急性期治療を受け, 軽度後遺症を認めた. 入院中に心不全増悪を認めたため当院に同年 6 月に転院となった. 家族歴 父:dHCM, 心房細動, 脳梗塞妹 :HCM, 心房細動, 脳梗塞 臨床経過 転院後は利尿剤治療で心不全は改善した. しかし, 抗凝固療法の強化した状態であっても左心耳内血栓は残存し, 脳梗塞再発のリスクは非常に高いと考えられた. 外科的な治療を含め今後, 治療の介入を検討中である. 結語 抗凝固療法抵抗性の左心耳血栓を有する家族性拡張相肥大型心筋症の症例を経験した. 86 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集

19 65 65 Tilt 訓練施行により, 自律神経機能の変化がホルター心電図解析で定量的に認められ, 症状が著明に改善した起立性低血圧の 1 例一宮西病院循環器内科 高橋佑弥, 田中伸享, 石原弘貴, 大野泰良症例は 73 歳女性. 他院定期受診中に起き上がって座ろうとした時に, 意識消失をきたし当院受診. 意識消失の原因として, 心肺疾患, 血管疾患, 神経疾患などは否定的で, shellong test 陽性であったことから起立性低血圧が意識消失の原因と考えられた. Tilt 訓練が開始され, 訓練は毎日 30 分間施行された. 定期的にホルター心電図を施行し, 心拍変動解析を行い,24 時間計測下での項目をそれぞれ評価した. 時間領域分析に関しては,meanNN(742ms,757ms,733ms),SDNN(91ms, 134ms,130ms),pNN50(0.1%,2.3%,3.9%),CVRR(12.3%, 17.8%,17.7%) が,Tilt 訓練前と比較して Tilt 訓練後で値が増加していた. これらの変化は, 平均心拍数が低下し, 心拍のゆらぎの程度が増加したと考えられた. 周波数領域分析に関しては,HF 成分 (19.9ms2,53.0ms2,73.5ms と LF 成分 (104.4ms2,243.8ms2,266.6ms が増加傾向を示し, LF/HF(6.6,5.7,4. とβ(1.33,1.29,1.27) が低下傾向を示した. これらの変化は, 心臓迷走神経活動の上昇が考えられた.Tilt 訓練後は shellong test の血圧変動幅が小さくなり自覚症状は改善した. 起立性低血圧に Tilt 訓練が著効し, Tilt 訓練に伴う自律神経機能の変化に関する興味深いデータが得られたのでここに示す 低体温療法により J 波が顕在化した早期再分極症候群の1 例金沢大学循環器内科 中尾一貴, 高島伸一郎, 黒川佳祐, 北野鉄平, 加藤武史村井久純, 薄井荘一郎, 古荘浩司, 金子周一, 高村雅之 主訴 意識消失, 院外心停止 現病歴 30 歳代の男性. 某日早朝, 起床直後にベッド上で意識を消失し心肺停止状態となった. 救急隊到着時の AED モニターで心室細動が確認され, 電気的除細動により洞調律に復し, 当院に搬送された. 既往歴 特記事項なし 家族歴 父方叔父に突然死 臨床経過 来院時 JCS300 の深昏睡で, 心電図において下壁および左側胸部誘導で J 波を認めた. 致死的不整脈による心肺停止蘇生後であり, 蘇生後脳症予防のため 34 を目標とした低体温療法を施行した. 心室細動の再発は認めなかったが, 低体温療法中に J 波は R 波に匹敵する高さまで増高し, 復温とともに減高した. その後の精査で器質的心疾患は認められず, 早期再分極症候群と診断し, 植込み型除細動器の植込みを行った. 以後外来にて経過観察中である. 考察 早期再分極症候群における心室細動再発のリスク因子として, 下壁誘導での J 波増高が挙げられる. 早期再分極症候群においては低体温療法により心室細動の再発を惹起する可能性があることを示唆する貴重な症例と考えられた. 結語 蘇生後の低体温療法の施行中に, 心室細動再発の高リスクとされる心電図変化を来した早期再分極症候群の 1 例を経験した 冠攣縮と心房細動の関係 一宮西病院臨床研修医 一宮西病院循環器科 井原亮 1, 大野泰良 2, 田中伸享 2 2, 石原弘貴 2 高橋佑弥 [ 諸言 ] 冠攣縮に伴う無症候性心筋虚血は致死性不整脈を惹起し, その致死性不整脈のエピソードを有する患者に心房細動をもつものが多い. 今回は冠攣縮と心房細動の関係を明らかにすることを目的とし検討を行った. [ 方法 ]2009 年 12 月から 2012 年 5 月までにアセチルコリン負荷またはエルゴノビン負荷により冠攣縮の誘発試験を受けた 320 名の患者のうち高血圧症, 脂質異常症, 糖尿病, 不整脈の治療を受けていない 113 名を対象として,50% 以上の攣縮を冠攣縮と定義し, 冠攣縮のある群とない群とに分けて検討した. 検討項目は, 年齢, 性,BMI, 糖尿病, 高血圧, 脂質異常症, 喫煙, 冠動脈疾患, 心房細動, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 総コレステロール,LDL,HDL,TG,HbA1c, egfr を検討項目とした. [ 結果 ] 冠攣縮が誘発された患者は 42 名で, 年齢が高く ( 冠攣縮なし :55.6 ± 15.4 歳, 冠攣縮あり :62.5 ± 10.4 歳, p=0.005), 心房細動の既往を有する患者が多かった ( 冠攣縮なし :2.8%, 冠攣縮あり :26.2%,p=0.000). 多変量解析でも冠攣縮の関連因子として年齢と心房細動が抽出された ( それぞれ odds1.466 [ ]p=0.002,odds12.06[ ]p=0.00. [ 結論 ] 自律神経活動は心房細動の発作や持続に影響し, 異型狭心症の発症にも関連していることから, 自律神経が冠攣縮と心房細動をつなぐ鍵である可能性が考えられるが, 今後のさらなる研究が必要である 同一な KCNQ1 T587M 変異が同定された QT 延長症候群の発端者 3 症例新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科 岩崎康展, 渡部裕, 八木原伸江, 佐藤光希, 南野徹 背景 QT 延長症候群は心室頻拍による突然死をきたす遺伝性疾患である. 通常遺伝子変異は家系特異的であり, 同一の変異が別の家系で同定されることは稀である. 方法 QT 延長症候群に罹患した失神歴を有する発端者三名 ( 症例 1:16 歳男児, 症例 2:32 歳女性, 症例 3:45 歳女性 ) とその家族において遺伝子検査を行った. 結果 偶然にも発端者三名とも新潟県の同じ地域の出身者であり, 全員に K +チャネル遺伝子である KCNQ1 の T587M 変異を同定した. 遺伝子診断後の問診により, 症例 1 と症例 2 には血縁関係があることが明らかとなった. また家系解析にて, 各々無症状な発端者 1 の父親と発端者 2 の娘にも同じ変異を同定した. 父親は QT 間隔が正常な変異キャリアーであり QT 延長をきたしうる薬剤を避けるよう指導を行った. 娘の心電図を記録すると QT 間隔が延長しており, QT 延長症候群と診断し薬物療法を開始した. 結語 同じ地域出身の QT 延長症候群に罹患した発端者 3 名において同一の KCNQ1 変異を同定した.QT 延長症候群において遺伝子診断は患者に加えてその家族の突然死の予防と治療のために重要である. 医学生 研修医の日本内科学会ことはじめ 2015 京都プログラム 抄録集 87

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