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1 矢野による卒試解説解答シリーズ 10-A 救急医学 問題と解答解説 ( 前半 ) 平成 22( 10) 年度問題 ( 前半 ) 症例 1:65 歳男性. 病院内においてあなたの目の前で突然倒れ, 心停止状態となった. 問 1: この時点で行う心肺蘇生法として適切な手技を2つ選べ. A ) 呼吸の確認後, 直ちに意識の確認を行う. B ) 人工呼吸は胸郭が挙上していたら正しく行えていると判断する. C ) 胸骨圧迫心マッサージは 50/ 分の速さで行う. D ) 胸骨圧迫心マッサージは約 4 5cm の深さで行う. E ) 胸骨圧迫心マッサージ : 人工呼吸の比は 5:1 が理想的である. BLS ACLS の知識を問う出題である. 心停止を目撃された, 初期リズムが心室細動 (ventricular fibrillation,vf) または無脈性心室頻拍 (ventricular tachycardia,vt) の心停止であれば適切な処理によって生存を期待することができる.BLS ACLS の普及が重視される理由である. 心停止を発症するのは大部分が成人であり, その成人の心停止は不整脈など心臓が原因であることが多い ( 心原性 ) 1,2. このために人工呼吸よりもより速やかな胸骨圧迫の開始を重視するように AHA の BLS ACLS ガイドラインが改訂されたことは記憶に新しい (2010 年 ). ガイドライン 2005 日本語版 の心停止アルゴリズムをガイドライン 2010 に従って組み替えたものを次ページに示す. 選択肢がこれに合っているかを確認しよう. A ) 適切でない. 意識の確認は一番初めに 大丈夫ですか の声掛けとして行われるものである. 意識があれば心停止はありえない. なお, ガイドライン 2005 では意識がないのを確認して助けを呼んだ後に呼吸確認を行うこととなっていたが, 現行のガイドライン 2010 では呼吸確認は意識確認とまとめて最初に行うこととされている. B ) 適切である. 人工呼吸が正しく行われているかどうかは胸郭の挙上で確認する. ただし, 吹き込む量は胸を同じ高さで見ている救助者に胸郭が上がっていることが分かる程度で十分であり, 練習用人形の胸が傍から見てもわかるほど膨らむような量は吹き込み過ぎである. C ) 適切でない. 胸骨圧迫心マッサージは 100/ 分以上の速さで行うこととされている. 1 一方, 乳児 小児の心肺停止においては気道閉塞 呼吸障害などによる低酸素状態が原因であることが多く ( 呼吸原性 ),8 歳以下の心停止では大半を占める. 2 本症例は放置されたら死に至るケース ( 突然死 ) であり, その原因としては虚血性心疾患や不整脈はすぐに想起される. ところで, 意識消失が一過性であった場合, すなわち失神においてもその原因として多いのは虚血性心疾患, 不整脈, 器質性心疾患と心臓であることに変わりはない. 意識が戻っている と聞くと, 途端に心臓が飛んでしまって原因として頭を考える (TIA( 一過性脳虚血発作 ) などを思い浮かべる ) 癖が蔓延しているが,TIA で失神は稀であり, 初めに心原性の失神を必ず疑いたい. 重篤な不整脈なら短時間の痙攣 ( いかにも頭を疑いたい症状!) をきたすことすらあるのである. 1

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3 D ) 適切でない. ただし, ガイドライン 2005 では 成人の胸骨は約 1.5~2 インチ ( 約 4~5 cm) 押すべきである. とされていたので出題当初は正解選択肢とされていたと考えられる. 現行のガイドライン 2010 では 成人の胸骨は 2 インチ (5cm) 以上押すべきである. とされている. この改訂は, 以前のような範囲での指定では混乱を招く上, 救助者が十分深く押さない事例が見られたために, 最低値のみ記載して深い圧迫を促したものである. E ) 適切でない. 成人の CPR において, 心マッサージと人工呼吸の比は 30:2 である. 過換気を避け, 胸骨圧迫の中断を最小限とするためにも人工呼吸は必要最小限が望ましい. ガイドライン 2010 では, 訓練を受けていない, または訓練は受けているが習熟していない救助者の場合は人工呼吸を省略し, ひたすら胸骨圧迫のみでよいとすらされている. 解答 :B 問 2: その後救急カートが到着し, 胸骨圧迫心マッサージ, バッグによるマスク換気を行いなが らモニターを装着すると, 下に示す波形が得られ, 脈も触知できなかった. 除細動器の到着 にはまだ時間がかかりそうである. 次に行うべき手技に関して適切でないものを 2 つ選べ. A ) 胸骨圧迫心マッサージは 100/ 分の速さで行う. B ) 腹部突き上げ法を行う. C ) 肘静脈より静脈路を確保する. D ) 胸骨圧迫心マッサージ, バッグによるマスク換気は同期で行う. E ) マスク換気が良好に行われていても気管挿管を最優先する. モニターを用いた ( 脈がある場合の ) 不整脈判定の順序 1 脈拍は速いか? 遅いか? 速い 遅い 2 QRS の幅は狭いか? 広いか? 4 P と QRS の関係は? 広い ( 心室性 ) 狭い ( 上室性 ) 心室頻拍 3 RR 感覚は整か? 不整か? 2 度 MobitzⅡ 型房室 ブロック 3 度房室ブロック 不整 心房細動 整 発作性上室性頻拍 / 心房粗動 3

4 問題文には心停止と既に明記されており, 従って脈が触れないことはわかっている. このとき, モニターによって鑑別しなくてはいけないリズムは最低限 4 つであり, さらにそれらは 2 パター ンにまとめられる. 除細動の適応となる心室細動 VF/ 無脈性心室頻拍 VT と, その適応とならな い無脈静電気活動 PEA/ 心静止 asystole エーシストリーである. 脈があっても不安定な不整脈では胸痛呼吸困難, 失神, 血圧低下などをきたすことがあり, 同じく至急の対応が求められる 3.ACLS において心停止アルゴリズム ( 本資料 2 ページ ) が最も重視されるため, 脈があったら困る( 止まっていれば何かできるのに ) というのが ACLS 習いたての人間が一度は陥る心理だが, 当たり前ながら止まった方が予後は悪いわけで, 脈がある場合も最低限の鑑別 ( 前ページ ) はできるようにしておきたい. 話を本問に戻して, 出題図は心室細動を示しており, 本当ならすぐに除細動をかけたい. 本問ではこれがまだ到着しないときに何ができるかが問われている. A ) 適切な処置である. 現行のガイドラインでは心マッサージは 100/ 分以上の速さとされているが, 十分な速さと深さで胸骨圧迫が継続されることが必要である. これは除細動器が到着していてショックが行われた場合でも同じことで, ショック直後の心臓のポンプ機能は仮にショックにより心拍が再開した場合でも非常に弱いものであり, このため, ショック後直ちに CPR を再開し, 心リズムチェックは 2 分後に行うとされている. B ) 適切でない. 腹部突き上げ法は異物による窒息時にそれを解除するために行われる方法である. C ) 適切な処置である. 末梢ルートが確保されていれば薬剤の投与を考慮する場合に速やかに実行することができる. D ) 適切な処置である. 気管挿管やラリンジアルマスクといった器具による高度な気道確保がなされれば, 以降は 6 ~8 秒ごとに 1 回 (8~10 回 / 分 ) の人工呼吸が胸骨圧迫と非同期で行われる. だが, バッグバルブマスク換気はマウストゥーマウスの人工呼吸と同じで 30:2 の比で胸骨圧迫と同期して行われる そうでないと十分な送気ができない. E ) 適切でない. マスク換気が良好になされていれば胸骨圧迫と人工呼吸の CPR サイクルを一時中断してまで気管挿管を行うメリットはない. マスク換気の気管挿管との同等性は救命救急の場合だけでなく手術麻酔のときも同じであり, マスク換気が良好にできていれば筋弛緩をかけて ( つまり人工的に呼吸停止を作って ) 構わない 仮に気管挿管が困難でもマスク換気で肺の酸素化を保つことができる. 解答 :B, E 問 3: その後除細動器が到着したが, モニター波形は問 2 のままで脈拍は触知しなかった. この時点で行うべき手技で適切でないものを2つ選べ. A ) 胸骨を思い切り強打する. B ) 二相性除細動器だが機種の詳細が不明のため,200J で除細動する. 3 極めて大まかな対応整理だが, 頻脈性不整脈では同期下カルジオバージョン ( 脈に同期しての除細動 ), 徐脈性不整脈では経皮ペーシング ( ペースメーカーは植え込んで使うものだが, ひとまずの対処として胸壁経由でペースメーカーを用いると考えよう ) が対処法であることを覚えておこう. 4

5 C ) 気管内にエピネフリン 0.5mg を投与する. D ) 除細動する際には周囲の安全を確認したうえで実施する必要がある. E ) 除細動後直ちに胸骨圧迫心マッサージを再開する. 問題文には 除細動器が到着した とのみあるので, ショック前の段階であり, そこでの適切な処置が問われている. 要するに, 除細動適応ならすぐに除細動 &CPR 再開が答えであるが A ) 適切でない. 除細動器がある場合にはこんなことをしている前に除細動である. ここで言われているのは前胸部叩打法のことで, にぎりこぶしを用いて約 20~30cm の高さから強く速い一撃を胸骨中央部に加え, 叩打で生じる低電圧刺激により除細動を試みるものである. かつてより発作目撃例に直後 ( 発作 30 秒以内 ) に行われるならば効果的な場合があるとされてきたが, ガイドライン 2010 では, 除細動器がただちに使用できない場合に, 目撃され, モニターされている不安定性心室頻拍 ( 無脈性心室頻拍を含む ) の患者に対しては使用を考慮してもかまわないが, それが CPR やショックの実施を遅らせてはならない とあり, 除細動器がない場合にすら決して推奨されていない. 実際にはほとんど効果がないからである. B ) 適切である. 今日多くの除細動器は二相性で, 最適の電圧は 120~200J の間で装置により指定されている. 不明の場合は 200J を用いることとされている. C ) 適切でない. 複数の意味で不適切である. まず, 先の心停止アルゴリズム 2 パターンのいずれにおいても適応になるのがアドレナリン ( ボスミン ) であるが, ボスミン は不整脈を解除するために打っているわけではなく, 投与の狙いは血管収縮作用により脳血流や冠動脈血流を増やすことにある. もちろん打った方が予後がいいので打つのだが, 理屈から言うと まいった心臓に後負荷をかけている 側面を有する処置である. また, 気管内投与は静脈内投与も骨髄内投与もできないときのやむを得ない投与法 4で, 至適量もなお明らかでないような不確実な治療であって, 積極的に行う処置ではない. D ) 適切である. 患者に触れている人がいるとその人に感電の恐れがあるし, 酸素投与口が患者から離れている ( ないし気管挿管の場合は送気スイッチが切られている ) ことを確認しないと火花が散って危険である. 私よし( 自分の体が患者に触れていない ), 酸素よし, 周囲よし ( 他の人も触れていない ) の確認は必須である. E ) 適切である. 胸骨圧迫心マッサージによっては十分なポンプ機能は果たされないので速やかに除細動による心拍の再開を図るのではあるが, 一方でショックがかけられてもすぐにポンプ機能十分な心拍が再開するわけではない. ショック後すぐに CPR を再開し, 心拍再開の確認は 2 分後である. 解答 :A, C 4 それでも投与するときは, 静脈内投与時の 2~2.5 倍の用量を 5~10ml の水または生理食塩水に希釈して投与する. 投与可能な薬剤はナロキソン ( 麻薬 オピオイドの拮抗薬 ), アトロピン, バソプレシン, エピネフリン ( アドレナリン ), リドカインでネイブルある ( 以上の薬剤の頭文字を取ってNAVEL ( へそ の意) と覚える ). 5

6 問 4: この患者はその後も心停止状態が続き, 薬剤を静脈投与することになった. まず使用する 薬剤とその投与量について, 適切な組み合わせを選べ. なお体重は 50kg とする. A ) リドカイン 1000mg B ) 硫酸アトロピン 10mg C ) エピネフリン 1mg D ) アミオダロン 1mg E ) ドパミン 1mg ショック後 2 分間 (5 サイクル ) の CPR を行い心リズムチェックを行ったところ, なお心室細動リズムが続いていたということであろう. このとき, 再度のショック &CPR に加えてアドレナリン 1mg 投与が考慮される. A ) リドカイン ( キシロカイン ) は, 難治性の VF/VT に対するアミオダロン ( アンカロン ) 300mg 投与法が日本で認可されるのが遅かったため, その代わりに広く使用されてきた. 初回量 1 1.5mg/kg, 追加投与として mg/kg を 5 10 分おきに投与する. 総投与量は 3mg/kg までである. 問われている まず使用する薬剤 ではないが, 本患者で使用するとすれば初回量は 50 75mg である. B ) 硫酸アトロピンはガイドライン2005 では PEA/ 心静止の場合に考慮される薬剤であったが, 2010 では推奨されなくなった. かつての使用量は 1mg を 3 5 分ごとに繰り返し投与し, 総投与量は 3mg とする とされていたからこの点でも選択肢は誤りである. C ) これが正しい. エピネフリンはアドレナリンのアメリカでの呼称である. 医療現場ではこちらもよく使われるので, アドレナリン=エピネフリン=ボスミン であることを覚えておく. 使用量は 1mg で, 商品が 1 アンプル=1mg/1mL で作られているので, 投与量も含めて指示は ボスミン 1 筒 で通じる. D ) アミオダロン ( アンカロン ) はカリウムチャネルはじめ 5 複数のチャネルに作用する抗不整脈薬で, 抗不整脈作用は強力である. 使用量は初回 300mg,2 回目 150mg である. ただし, 冷暗所保管が必要で手元にないことが多い点, 間質性肺炎や甲状腺機能異常といった副作用を有し決して使いやすい薬ではない点などから本使用法は必ずしも普及していない. E ) ドパミン ( イノバン ) は代表的な昇圧剤かつ強心剤で, 心停止アルゴリズム中でまず考慮すべき薬剤ではないが, 心拍再開後に考慮される薬物の一つではある 6. 解答 :C 5 なので, アミオダロンは抗不整脈薬として第 Ⅲ 群 ( 再分極遅延薬, 多くがカリウムチャネルブロッカー ) に分類される.cf. 抗不整脈薬のヴォーン ウィリアムズ分類 :Ⅰ 群 = ナトリウムチャネル抑制,Ⅱ 群 =β ブロッカー,Ⅳ 群 = カルシウム拮抗薬 6 ドパミンは,2~4 g/kg/ 分で腎 内臓血管が拡張,5~10 g/kg/ 分で 受容体刺激が加わり心拍出量が増加,10 g/kg/ 分以上では 受容体刺激作用が強くなり末梢血管が収縮する, というように用量によって作用が変わる薬剤であり, この点を注意する必要がある. 心臓手術の後にイノバン と Ca 拮抗薬が同時に投与されているのを見て, 昇圧と降圧を同時にかけてどうするのだろう? と疑問に思う機会が必ずあろう. このとき, イノバン は昇圧を狙って入れているのではなく, 強心剤として用いられているのであり, 後負荷の軽減を図る Ca 拮抗薬とともに心臓を助けているのである. 6

7 問 5:1 次救命処置 (BLS) についての記述として適切でないものを選べ. A ) 溺水や外傷による心停止の場合には, 救急コールの前に 2 分間の CPR を行うのがよい. B ) 傷病者が動き出すまで, あるいは AED 到着までは CPR を継続する. C ) 小児や乳児での医療従事者による 2 人法による蘇生では胸骨圧迫と換気の比率は 15:2 である. D ) 救助者が複数の場合, 胸骨圧迫と換気の役割は 2 分毎に交代することが望ましい. E ) フェイスシールド, フェイスマスクなどの感染防御デバイスを持っていない場合, 口対口人工呼吸の実施がもっとも重要である. A ) 適切である. 溺水や外傷では呼吸原性の心停止が疑われるために,2 分間 (5 サイクル ) の胸骨圧迫と人工呼吸を行い, その上で救急コールを行うのが望ましい. ただし, これはあくまで救助者が 1 人であった場合の話で, 複数人いれば救助に当たる人と助けを呼ぶ人とに役割分担すればよい. ガイドライン 2005 では, 救助者が 1 人の場合にまず CPR を行うのか ( いわゆる 急いで通報 パターン ), まず救助を呼ぶのか ( まず通報 パターン) の場合分けを下表のように行っていた. 急いで通報 (CPR 5サイクルの後) まず通報 ( 通報 AED 確保してからCPR 開始 ) 傷病者が思春期前である 傷病者は思春期以降である 年齢を問わず, 傷病者が以下の特 それまで健康であったとしても突然の心停止殊な状況の場合が目撃された場合 水没 心臓に基礎疾患を有する突然倒れた小児 外傷 突然の心停止または不整脈の 確認された 薬物過量リスクのある小児 呼吸停止現行のガイドライン 2010 でも, 傷病者が突然倒れるところを目撃した場合は, 傷病者が原発性心停止を起こし心リズムはショック適応であると仮定して救急要請と AED を優先するが, 溺水など呼吸原性の心肺停止が疑われるときには CPR 開始を優先する方針が継続されている. B ) 適切でない もっとも, ほとんど日本語の揚げ足を取るような間違い判定だが 胸骨圧迫と人工呼吸をいつまで続けるかであるが, 傷病者に明らかな体動が見られれば心肺停止であることはありえないので心拍再開と判断して, 市民救助者 ( 非医療関係者 ) に関して言えば以降は注意深く呼吸含め様子を観察すればよい. 一方,AED 到着で CPR をやめてよいことにはならず, ショック適応と自動判断がなされショックを行った後も速やかに CPR は再開されなくてはならない. ただ,AED が到着したら速やかにリズム解析 ( と場合に応じてショック ) を行うべきで, この CPR 一時中断の意に取れば選択肢文章も明らかな誤りとは言えない. C ) 適切である. 小児や乳児では呼吸原性の心停止, つまり呼吸停止がまずあってそれにより心停止が起こったことが推測される. このため, 頻回な人工呼吸が蘇生の可能性を高めるから救助者が 2 人い 7

8 て可能なときは胸骨圧迫と人工呼吸の比を 15:2 とする. 救助者が 1 人の時は成人同様に 30:2 である. D ) 適切である. 胸骨圧迫は正しく行えば大の大人の男性でもものすごく疲れる手技である. リーダー役がいれば適宜交代を指示すべきであるし, リーダー役のいない少人数下でも相互に疲労に気付いて交代し合いたい. E ) 適切でない. 選択肢 A の内容とは逆に, 多くの目撃された院外心停止は成人の心原性のものであり, 胸骨圧迫の有効性 優先性が特に強調されるところである. 感染防御デバイスを持っていなかったり, 人工呼吸に心理的な抵抗があったりする場合は, ハンズオンリー CPR( 胸骨圧迫のみ ) でも十分効果があり, それで構わないので行うべきであるとの勧告はガイドライン 2010 で特に強調されたことの一つである. 解答 :B, E 問 6: 心停止となった入院中の成人患者に心肺蘇生を 2 分間行い, 到着したモニターを装着した ところ, 下記のような波形が認められた. この場合の対処として適切なものを 2 つ選べ. A ) 家族に了解を得て, 蘇生を中止しなければならない. B ) 心停止に至った原因を検索する. C ) 硫酸アトロピンを 1mg 静注する. D ) 迅速な除細動が救命のために最も重要である. E ) 胸骨圧迫心マッサージと人工呼吸は必要ない. 心静止の波形である. 心静止は専ら ACLS の対象であるわけではなく, 疾患や外傷の末のあらゆる死が最後にとる心リズムである. 特に慢性疾患での入院患者の場合にはこうした場合に積極的な蘇生措置をとるかどうかの方針 7が患者本人や家族との了解の上で決まっていることも多いし, それが望ましい. A ) 適切でない. 現在は CPR を 5 サイクル行ってモニターが到着したところである. そこで心静止が見られたからと言っていきなり蘇生の中止ということにはならない. 蘇生措置を続行しつつ, リードの接続からモニターの設定まで含めてその波形の原因を探索する. B ) 適切である.CPR を継続し, 薬剤投与を考慮すると同時に, 原因を探索する. 目に見える外傷や緊張性気胸は所見で判断可能であるし, 病棟や救急外来であればエコーが 7 積極的な蘇生措置を行わない同意を DNR と呼ぶ. なお, 院内発症例ではありえないが, 搬送例で頭部離断, 死斑 死後硬直, 組織腐敗が認められる場合も社会死と呼んで DNR とみなす. 8

9 すぐに使える環境にあることも多いので, 心タンポナーデも検証可能である. これらは止血や穿刺など即座に物理的な対処が講じられる病態であるから必ずチェックすべきである. C ) 適切でない. ただし, かつてのガイドライン 2005 ではアトロピンは本問の状況で考慮すべき薬剤であった ( よって, 出題当時なら本選択肢は正解である ). 現行のガイドラインではアドレナリン ( ボスミン )( ないしその初回投与の代わりにバソプレシン ( ピトレシン )) のみ適応がある. D ) 適切でない. 除細動は言わば無秩序に震えている心臓をショックにより一度リセットするもので, 震えていない心臓には意味がない ( 電流で傷付けるだけである ). 心静止および無脈静電気活動は除細動の適応ではない. ただし, 一見心静止に見えるリズムに心室細動 ( 除細動適応リズム ) が隠れていることがあるので, モニターの設定を確認し, 波形をより大きく表示する設定変更を行って, 心静止のリズムであることを再確認すべきである. E ) 適切でない. 心静止の心リズム確認後, 速やかな CPR( 胸骨圧迫と人工呼吸 ) の再開と,3 ~5 分ごとのアドレナリン投与が求められる. 解答 :B 問 7: 院外での AED の使用法についての記述として適切でないものを2つ選べ. A ) 自己心拍が再開した場合でも,AED のパッドをそのまま傷病者に貼り付けたままにしておく. B ) AED が除細動の適応でないと判断した場合でも胸骨圧迫心マッサージが必要になることがある. C ) 体が濡れている傷病者に対してそのまま AED を使用しても安全である. D ) 6 歳ぐらいの傷病者には小児用パッドを用いるのがよい. E ) 胸毛が濃い傷病者には AED は使用できない. A ) 適切である. 自己心拍が再開したからといって, それ以降も心リズムの解析が必要なのはもちろん, 再度のショックが必要となる事態もありえる. 救急車に収容し, あるいは医療関係者が到着してその判断で剥がされる場合を除いて AED のパッドはそのままにする. B ) 適切である. 心静止や無脈静電気活動の心リズムは除細動の適応でないが心停止であり, 胸骨圧迫心マッサージを行わなくてはならない. 脈拍が確認できないけれども AED が除細動の適応ではないと判定した場合はこれに当たる. AED では自動判定してくれるけれども, 問 6 選択肢 D で検討したように, 手動式除細動器を用いる場合は, 心停止であるがそれが除細動の適応であるかどうかはモニターの波形で自ら確認しなくてはならない. C ) 適切でない. 水は電気を通すから, 選択肢文章のように, それを介した感電という安全面からも避けるべきであるし,AED の機能の上でも問題である. 胸部が水で濡れていると電気は胸部の水を伝わって皮膚全体に逃げてしまい, 心臓に適切なショックエネルギー量が伝わらない. 患者の胸部の水を拭き取ってから使用する. 9

10 D ) 適切である. 乳児 ~8 歳までは小児用パッドが付属していればそれを使用する 8. ただし,8 歳以上の患者に小児用パッドを使用すると低エネルギーのために効果がないことがあるので使用してはならない. 逆に, 乳児 ~8 歳の患者に成人用パッドを用いることは ( 体が小さいことによるパッド同士の接触さえ貼り方によって避ければ ) 問題ないので, よくわからないときは成人用パッドを用いるとむしろ一つ覚えでよい. E ) 適切でない. しっかりとパッドを貼り付けることに気を付ければ, 日本人の場合問題なく使用できることがほとんどである. 胸毛が挟まっていることが原因でパッドを適切に貼り付けるように AED から指示が出る場合には, パッドに予備があれば, 一組を強く貼り付けた上で勢い良く剥がし除毛用に使い捨てにする. 解答 :C, E 問 8: 急性期の酸素療法についての記述として適切なものを選べ. A ) 酸素投与は PaO2 が 60mmHg 以下の場合にしか行ってはならない. B ) 経鼻カニューレは必ず酸素流量を 8L/ 分以上にして使用する. C ) 高エネルギー外傷の患者の救急搬送の際には高濃度酸素を投与する. D ) 自然気胸の患者に対する高濃度酸素の投与は CO2ナルコーシスをきたす可能性が高い. E ) 一酸化炭素中毒が疑われる場合,SpO2 が 100% なら酸素投与は必要ない. 酸素は低酸素血症の改善, もしくは予防のために投与される. 肺炎, 気管支喘息発作,COPD ( 慢性閉塞性肺疾患 ) による呼吸不全のほか, 心不全, 急性心筋梗塞などの循環器疾患, ショック, 重症外傷, 急性一酸化炭素中毒, 減圧症などが適応となる.SpO2( サチュレーション ) や PaO2 などが低酸素血症の指標となる. A ) 適切でない.60mmHg 以下の場合にしか行ってはならないことはない. 各指標でいうと,pH 7.30~7.40,PaO2 50~65mmHg,PaCO2 40~50mmHg 程度の呼吸不全は中等症とみなされ, 鼻腔カニューレ, フェイスマスクなど 9 による酸素投与が考慮される. B ) 適切でない. 経鼻カニューレは両鼻孔に差し込んで使うもので, 口は塞がっていないので酸素を投与しながら会話や食事も可能であり, 長時間の着用で好んで使用される. 2~5L/ 分の酸素流量で 27~40% の吸入酸素濃度が確保でき ( 下の脚注 9 参照 ), 逆に言えば, それで対処できる程度の呼吸不全に用いる投与法である. C ) 適切である. 交通事故, 墜落, 転落などによる強い外力による外傷を高エネルギー外傷といい, このとき, 目には見えずとも出血があり循環不全の病態が既にあるないし準備されている 8 乳児についてはガイドライン 2005 では AED 使用が肯定も否定もされていなかったが, ガイドライン 2010 では, できれば手動式除細動器を使っての適切なエネルギー設定での除細動が望ましいが, 小児用パッドを用いての AED, なければ成人用パッドでの AED も勧められるようになった. 9 これら投与手段は非侵襲的であるが酸素を含んだ送気が漏れるので, 投与酸素濃度 (FiO2) を一定以上に上げることは難しい. 鼻腔カニューレでは酸素流量 1L/ 分につき酸素濃度をおよそ 3% ずつ空気に上乗せできる (1L/ 分で FiO2 0.24,6L/ 分で 0.40) と考えることができる. 10

11 ことが多いので, 仮に SpO2 が 100% であったとしても高濃度, すなわち 10L/ 分以上の高流量の酸素を投与する. 選択肢 E で SpO2 の弱点を再検討するが, 出血によりヘモグロビンの総量が失われているとき, その色 (SpO2 判定の元 ) だけでは組織の酸素が足りるとは言えないことがわかるだろう. D ) 適切でない. CO2 ナルコーシスは, 平時に二酸化炭素が溜まっており高い PaCO2 に体が慣れてしまっている人 =それが呼吸促進の信号にならない人に対して, 残った唯一の呼吸促進信号である低い PaO2 を安易に酸素投与で解決してしまうと自発呼吸を止めてしまう現象である 10. 典型的には COPD の患者さん (PaCO2 が高いⅡ 型呼吸不全 11の典型 ) で注意が必要である. そこで自然気胸の患者さんにその危険があるかを考えると普通は急性発症で, 慢性的な呼吸不全の病態ではない. 高濃度酸素は気胸に対し必須の治療とはされないが改善に寄与すると言われている ( 気胸については症例 2 問 11, 12 も参照のこと ). E ) 適切でない. SpO2 は拍動のある成分 ( 動脈血 ) の赤色光 赤外光の透過度から動脈血の酸素飽和度を間接的ながらしかし非侵襲的に測定できる, 非常に有用な道具である. が, その間接的測定という原理ゆえに, 低血圧 ( ショック ), 低体温, 血管収縮状態といった末梢血流が減少している場合や, メトヘモグロビン血症, メチレンブルーやインドシアニングリーンなどの色素が血管内にあるとき, また CO 中毒 (CO-Hb は鮮紅色 ) の場合には, 正確な値を示さない. 血ガス測定による動脈血酸素分圧の正確な把握と, 低酸素血症に対する酸素投与が必要である. 解答 :C 問 9: 緊急気管挿管の適応として適切でないものを選べ. A ) アナフィラキシーによる上気道狭窄 B ) 気道熱傷 C ) Glasgow Coma Scale 5 点の頭部外傷 D ) 急性喉頭蓋炎 E ) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 気管挿管は気管内にチューブを挿入 留置して, 気道の確保, 呼吸の維持 酸素化を図るものである. したがって,1 気道の問題 ( 閉塞, 狭窄, 誤嚥など ) か, または2 呼吸の問題 ( 呼吸器障害での低換気 低酸素血症, 循環障害 ( 重症のショック 心停止など ), 中枢神経レベルの異常 ( 切迫する D ) 等 ) がある場合に適応となる. 一方,( 清明な ) 意識下での挿管操作はできないことはないが極めて苦しくあえて行われないように, それなりに侵襲的な措置で, 留置の苦痛も大きい. よって, 特に禁忌はないものの強い必要がなければ行わない処置でもある. 10 逆に見れば, 自発呼吸を止めても問題ない呼吸管理下 ( 気管挿管による調節換気下 ) では問題とならないわけで,CO2 ナルコーシスを恐れて低酸素血症を放置してはならない. 挿管を躊躇するなということである mmHg 以上の高 CO2 血症を伴う呼吸不全が定義で, 伴わないのが Ⅰ 型である. 11

12 A ) 適応がある. アナフィラキシーでは喉頭浮腫によって気道が閉塞し呼吸困難を来たすことが あるので, まずはリザーバーマスクで 10L/ 分の十分な酸素投与を行い, 気道狭窄症状が明ら かであれば気管挿管を行う. 気管挿管困難な場合は輪状甲状靭帯穿刺 切開も考慮する. B ) 適応がある. 気道熱傷は火炎による顔面熱傷, 口腔 鼻粘膜の熱傷や煤の付着, 閉鎖空間で の受傷に伴って生じるが, こうした気道熱傷の疑わしい状況には積極的な気管挿管を考慮する. 気道熱傷では当初気道閉塞を呈していなくても咽頭や喉頭の浮腫が進行して気道閉塞が生じ る. 気道熱傷を伴う熱傷は専門施設で治療すべきであるため初期治療後に移送を試みることも 多いが, この途中で気道閉塞を起こすことは必ず避けなくてはならない. 気道閉塞が生じる際には呼吸困難, 嗄声などの自覚症状や SpO2 PaO2 の低下など徴候は伴 うが, 本格的に気道が閉塞してからでは窒息が切迫しているにもかかわらず挿管困難となるの で, その前にためらわずに挿管する. C ) 適応がある. 上で言った 切迫する D に当たる. Glasgow coma scale;gcs E: 開眼 V: 最良の発語 M: 最良の運動 6 命令に従う 5 見当識あり 疼痛部認識可能 4 自発的に 会話混乱 疼痛刺激から避難 3 呼びかけにより不適正言語 上肢屈曲下肢伸展反応 ( 除皮質硬直姿位 ) 2 疼痛刺激によりうなる, 理解不能の発音四肢伸展反応 ( 除脳硬直姿位 ) 1 開眼せず 発語せず 全く動かず GCS は意識障害の程度を上の表に従って, 意識が清明な場合は 15 点,15 点から 13 点は軽 症,12 点から 9 点は中等症,8 点以下は重症, 最も意識が悪い場合は 3 点と評価するものであ る. よって,GCS 5 点の頭部外傷は重症の意識障害を伴っていることを意味し, 切迫する D GCS8 点以下, 片麻痺, 瞳孔不同,Cushing 徴候 ( 脳圧亢進による徐脈 血圧上昇 呼吸不規 則の 3 徴 ) から成る に当たる. 脳神経外科専門医をコールするとともに気管挿管し, 頭部 CT を施行する. D ) 適応がある. 喉頭蓋炎は, 声門のすぐ上に位置し腫脹すれば気道狭窄から窒息に至る解剖学的構造である 喉頭蓋が, よりによって粘膜上皮と軟骨の間が線維性結合組織と脂肪組織で満たされた炎症が 波及すると浮腫を来し腫脹しやすい組織学的構造であることから生じる 特殊な病態 である. つまり, 気道の一部の炎症に過ぎないはずのものが窒息によって命を左右するのである. 逆に, この点さえ避ければ救命できるから, 気管挿管, それが困難なら気管切開や輪状甲状 膜切開 穿刺を行うことができる態勢で臨む. E ) 適応がない ( 適切でない ). 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 OSAS, obstructive sleep apnea syndrome で生じているのは, 睡 眠状態での筋緊張の低下により舌が重力方向に落ちて上気道が狭くなり, 吸気時に口蓋垂 軟 口蓋などが振動していびきが生じたり, さらに, 狭くなり弛緩した気道に吸気時の陰圧がかか って気道が虚脱 閉塞したりする病態である. つまり, 覚醒によって自己解除可能な可逆的な気道閉塞であって, 気管挿管の適応にはなら 12

13 ない 仮に挿管すれば OSAS の病態は解除されるがデメリットの方がずっと大きい. OSAS で適応となるのは鼻を通して外から圧をかけることで気道の閉塞を防ぎ, 結果として深い睡眠を保障してあげる経鼻持続気道陽圧 (nasal CPAP:nasal continuous positive airway pressure) 療法である. 解答 :E 問 10: 気管挿管後の確認および対応として適切なものを選べ. A ) 心窩部の聴診で胃内への送気音がないことを確認する必要がある. B ) 胸郭の挙上に左右差がある場合, 一旦抜管する必要がある. C ) 気管チューブ内に呼気によるくもりがある場合, 必ず食道挿管である. D ) 左右前胸部 側胸部の聴診で, 左に比べ右の方が大きく聴こえる必要がある. E ) EtCO2 モニターを用いての 2 次確認は手術室でしか行ってはならない. 気管挿管後は換気を行いながら, 視診で両側胸郭の挙上と心窩部へ空気の流入がないことの確認, 聴診器で左右 ( 前側部 ) 胸部のエアー入り音を聴取かつ心窩部で胃泡音がないことを確認, さらに, チューブの曇りの確認を行う. 食道挿管検知器 ( 写真左 ), 二酸化炭素検知器 ( 写真右 ) や EtCO2 モニター ( カプノグラフィ ) 12 を併用するとより確実となる. A ) 適切である. 胃内への送気音が聴こえるということは食道挿管が強く疑われ, 気管挿管時にはこれが聴こえてはいけない. ところで, 胃内容の吸引や経管栄養食の注入に用いる経鼻胃管の場合には逆に胃内への送気音が聞こえないといけない. シリンジから勢い良く空気を押し込んで シュッ という送気音が心窩部で聴こえるのを確認する. B ) 適切でない. 左右差がある場合には, 挿管チューブの押し込み過ぎでこの先端が右主気管支に入ってしまっている場合が多い. が, このとき一度抜管しなくとも, チューブをやや引いて先端の位置を調整することで両肺換気の状態へともっていくことができる. C ) 適切でない. 全く逆で, 呼気には水蒸気が含まれるから正確に気管に挿管されている場合にこそ呼気時にチューブ内が曇るのである. D ) 適切でない. 左右前胸部 側胸部の聴診で, 左に比べ右の方が大きく聴こえ ては右肺片肺換気になっている危険が高く, そしてそれは挿管チューブの入れ過ぎで起きやすいので左の聴診は特に重視されるのであった. 当然, 左右差があってはいけないのである. 12 食道挿管検知器は写真のボールをつぶした状態で挿管チューブの先に付けると気管挿管されていれば呼気によりすぐに膨らむものである. 一方, 食道挿管の時はつぶれたままになる. 二酸化炭素検知器は気管挿管されているときに呼気中の二酸化炭素を色で検出するものである. EtCO2 モニター ( カプノグラフィ ) は終末呼気二酸化炭素濃度を計測するものである. 気管挿管されれば二酸化炭素を含んだ呼気が検出でき, 挿管に成功した瞬間からその波形が現れるので確実な確認ができる. 13

14 E ) 適切でない. ACLS のガイドライン 2010 では気管挿管が正確になされたことの確認と, 心拍再開の確認 13 とにカプノグラフィを使用することを推奨している. これはカプノグラフィの使用がこれまでの手術室での使用にとどまらず蘇生の現場でもっと広く使用されるべきことを訴えるものである. 解答 :A 症例 2:19 歳男性. 昨夜から胸痛を伴う呼吸困難が出現し, 改善しないため来院した. 血圧 118/64mmHg, 脈拍 76/ 分 整,SpO2 97%( 空気吸入下 ). 胸部聴診上, 左肺の呼吸音が減弱している. 心電図は正常範囲内であった. 胸部 X 線写真 ( 立位 ) を別紙 ( 本資料では次ページ ) に示す. 問 11: この胸部 X 線写真の所見として適切なものを選べ. A ) 右肺に大量の胸水が貯留している. B ) 左肺は虚脱している. C ) 上縦隔の拡大が見られる. D ) 心拡大が見られる. E ) 左肺尖部にエアブロンコグラムが見られる. 本来フィルムをシャーカステンで照らして, ないしはディスプレイ上で適宜拡大しながらみるべき胸部 Xp を, 紙に印刷して評価するのは解像度の点から無理がある. が, 救急に限定して言えば, 症状のないものを画像で発見する意図では検査を行っておらず 14, 基本的に 画像は症状の証拠取り であるから, 現病歴から十分診断は付けられる そういう出題であるべきである. 果たして, 若い男性が, 胸痛を伴う呼吸困難を訴えるも, 血圧 脈拍 SpO2 心電図は正常で, 左肺の呼吸音が減弱ときたら, 自然気胸であろうと診断が付く 15. その目で胸部 Xp を見てみると, 次ページにあるのは出題図をさらにスキャンした画像にすぎないが, 左肺野の外側で透過性が高く肺紋理が消失しており, 肺虚脱の所見 ( 選択肢 B) を認める. 自然気胸の診断では, 胸部 Xp による肺虚脱所見の確認とその程度の評価 ( 右図 ) が治療法決定の上でも 13 自己心拍再開 (ROSC, return of spontaneous circulation) 時には, 呼気終末二酸化炭素濃度 ( 分圧 ) は血流量の大幅な改善と一致して急峻に増大する. よって,ROSC の一つの非常にわかりやすい指標になる. 14 逆に, 検診はこういう意図で行う最たるものである. ところで, 自然気胸においては呼吸苦の程度は肺の虚脱の程度に応じてまちまちであり, 片側性の背部痛や肩こりとして発症, というか自覚される場合もある. 自然気胸の痛みは数分から数十分で消失することが多く, 放っておかれてまさにその検診で発見される場合も少なくない. 15 外傷によらない自然気胸であっても, 胸腔内への空気の漏出部位が偶然弁状構造をとって, 吸気時に空気が胸腔内に流入するが呼気時に弁が閉じ逆流しない現象が生じれば緊張性気胸となる. 縦隔の健側への偏位や患側の横隔膜の下方伸展などその徴候がないかは確認しなくてはならない. 14

15 決定的に重要であり,Ⅰ 度 ( 肺が鎖骨より上まで存在 ) は安静,Ⅱ 度 ( 鎖骨より下で 50% 以下の虚脱 ) は通院ドレナージ,Ⅲ 度 ( 鎖骨より下で 50% 以上の虚脱 ) は入院ドレナージ ( 多くは胸腔鏡手術へ ) というように所見によって各治療へと移ることになる. 上の写真はⅡ 度と評価できよう. 診断は付いたが, 他の各選択肢を検討しておく. A ) 胸水では胸部 Xp で肋骨横隔膜角の鈍化が典型的な所見として見られるが, これは認められない. ただし, 例えば, 肺と横隔膜の間に胸水が溜まる肺下 15

16 胸水と呼ばれる貯留パターンでは横隔膜の挙上のみみられて肋骨横隔膜角は鈍化しない ( 前ページ末尾右写真参照, 右肺に胸水貯留を認める ). 胸水を疑う異常陰影を認めたらエコーや CT などの追加検査で性状や貯留様式, 分布を精査する. C ) 上縦隔は心 大血管損傷時の上縦隔血腫や何か実質臓器の腫大 ( 胸腔内甲状腺腫や胸腺腫 ) により拡大して写ってくるが, ここではそうした所見はない. D ) 心拡大は胸部 Xp の上では心胸比 ( 心臓の横径と胸郭の横径の比 ) が 0.5 以上であることをいうが, ここではその所見はない. もしみられたら心拡張 ( 収縮不全 ) や心嚢液貯留の徴候で心不全を示唆する所見である. E ) エアブロンコグラムは, 肺実質の不透亮陰影の中に空気を含んだ樹枝状の気管支像が認められるものである 16. 肺実質が炎症で埋まってしまったときに気管支が強調されるものである. 胸部 Xp でも CT でもこう呼び, 胸部 Xp では CT でのそれ ( 右写真 ) を正面から透かして見たものと考えればよい. 解答 :B 問 12: この患者への処置として適切なものを選べ. A ) 胸腔ドレナージ B ) 肺動脈造影 C ) 利尿薬の投与 D ) 2 刺激薬の吸入 E ) 抗菌薬の投与 前問で見た通りで, 自然気胸 (Ⅱ 度 ) の診断さえ付いていれば適切な治療法の選択肢を選ぶのは容易であって,A の胸腔ドレナージである. 胸腔ドレーン (8 20F) 留置による持続脱気を行うもので, 局所麻酔下に前 中腋窩線, 第 4 6 肋間, 肋骨上縁から胸腔ドレーンを肺尖に向け挿入する. 水封で緩徐に脱気を行い 17, エアーリークがなくなり, クランプテスト (8 24 時間 ) で肺の虚脱がなければ抜去する. その他の選択肢が典型的には何を疑った場合の対処として設定してあるかと言うと,B の肺動脈造影は肺塞栓症,C の利尿薬投与は心不全による肺水腫,D の 2 刺激薬の吸入は気管支喘息や COPD,E の抗菌薬の投与は細菌性肺炎への対処である. が, それら病態を疑わせる症状や所見は本症例で見られていない. 解答 :A 症例 3:88 歳女性. 数日前から両下腿の浮腫の増悪と息切れを自覚し, 昨夜から呼吸困難が強 くなり, 救急隊を要請し来院した. 来院時血圧 128/76mmHg, 脈拍 116/ 分 整, 呼吸 16 今では抗菌薬による適切な治療の普及で大葉性肺炎自体見られにくくなっているが, 肺炎球菌による大葉性肺炎で見られるものがエアブロンコグラムの典型とされる. 17 急速に肺を膨張させると, 急激に再灌流された部分で血管透過性が亢進し肺水腫 ( 再膨張性肺水腫 ) を来たすことがあるか らである. 16

17 数 28 回 / 分,SpO2 93%(O2 マスクで 6L/ 分 ), 体温 胸部聴診上, 両肺全体 に著しい喘鳴, および一部で crackle も聴取する. 問 13: この患者に対して救急外来で行う検査として, 必要性が最も低いものを選べ. A ) 12 誘導心電図 B ) 白血球数 C ) 動脈血ガス分析 D ) 心臓超音波検査 E ) 肺機能検査 先にも述べたが, 救急外来の検査は症状 ( から疑われる疾患 病態 ) に対して行われるものである. よって, 症状から何が疑われるのかを考えるのが検査に関連する問題の考察の出発点である. 両下腿の浮腫の増悪 ( 右心不全症状 ) と息切れ, 呼吸困難 ( 左心不全症状 ) とくれば心不全の徴候である. 血圧は正常ながら, 頻脈 (100 回 / 分以上 ) であり, 呼吸数も多い ( 安静で 28 回 / 分は有意に多い ). 酸素マスクでは,5 6L/ 分で FiO2=0.40,6 7 で 0.50,7 8 で 0.60 とされ, 構造上これ以上は FiO2 が上げられないとされるが, 現在,40% 酸素投与下でも 93% までしか SpO2 が上がっておらず酸素化を障害する病態の存在がうかがえる. 果たして, 両肺全体での喘鳴と一部での crackle は心原性肺水腫あるいは肺炎が疑われる.38.6 度と高熱もあるので感染が疑われるが, 心臓の弱った高齢者で肺水腫と肺炎のどちらが主たる病態かを鑑別することに意味はない. 肺水腫が肺炎を悪化させ, 肺炎が肺水腫を悪化させるループがあるのでこのいずれもにアプローチしてそれを断ち切らねばならないからである. こうした予想の元, より正確に病態を把握するために検査を行う. 提示された検査選択肢を検討してみよう. A ) 必要性は高い. 心筋梗塞, 心肥大, 伝導障害, 不整脈といった心不全の基礎となっている可能性のある病態を明らかにするのみならず,( 本症例では長い経過がわからないが ) 慢性心不全では致死的不整脈を起こしやすい状態になっておりこの情報を得る上でも,12 誘導心電図は必須である. B ) 必要性は高い. 白血球数だけを調べるというよりは半ばルーチンに行う CBC と血液生化学の一環として行い, 感染や炎症を反映する値として CRP ともども白血球数は必ずチェックすることになる. C ) 必要性は高い. 動脈採血はやや侵襲的な方法だけれども動脈血ガス分析によって動脈血の酸素分圧 (PaO2), 二酸化炭素分圧 (PaCO2) はもちろん,pH, 電解質 (Na,K,Cl,Ca), さらに最近のよい装置なら血糖値, 乳酸値, クレアチニン, ビリルビン, ヘモグロビンもまとめてすぐにわかる. 呼吸不全の指標となる文字通りの血ガス分析結果は必須として, 結果が出るまで時間のかかる血液生化を待たずに大まかな血液検査値を知ることのできるメリットも大きい. D ) 必要性は高い. M モード法あるいは断層法による左室容積計測から 1 回拍出量, 心拍出量, 左室駆出率を測定し左室収縮能が評価できる. また, ドプラ法を用いた左室流入血流速波形および肺静脈血流 17

18 速波形の測定からは左室拡張能が評価できる. 収縮能の低下と拡張末期径の増大はポンプ機能の低下すなわち心不全の重症化を意味するが, 拡張不全によってもポンプ機能は障害されるのであり, 高血圧を有する高齢女性ではこちらの病態も見逃せない. いずれにしても, 心臓超音波検査 ( 心エコー ) は現在の状態を把握する上で欠かせない検査である 18. E ) 必要性は低い. 肺機能検査は一般に, スパイロメーターを用いて 1 回換気量, 肺活量, 努力性肺活量,% 肺活量,1 秒量,1 秒率などのデータを得る検査のことを言う. 仮に本症例の現状でこの検査を行ったとしたらそれは成績が落ちているに決まっているのだが, 肺機能検査はそういう一時の状態を把握するための検査ではなく, 良いにせよ悪いにせよ一定期間継続すると考えられる呼吸機能状態を把握するための検査である. つまり, 普通, 慢性疾患で有用であるような指標を提供する. 18 上のように云々言う前に, 今日び, 心臓絡みの問題が起きて簡便 低侵襲で情報の多い心エコー検査なしなどありえない. 18

19 思い切り息を吐いたり, 息を吐き切ったりという検査の性質上, 被検者の最大努力のもとで の数値に信頼性があり, 逆にそれができない状況で行う検査ではない. 解答 :E ( 症例 3 の続き ) この患者の胸部 X 線写真 ( 臥位 ) を別紙 ( 本資料では前ページ末尾 ) に示す. 問 14: この患者への対応として適切なものを2つ選べ. A ) 頻脈なので大量輸液によって脈拍を下げる必要がある. B ) 抗菌薬を早期に投与開始することで予後が改善する. C ) 利尿薬の投与により酸素化の改善が期待できる. D ) 重症例のため副腎皮質ステロイド静注の適応がある. E ) 酸素化がさらに悪化する場合には人工呼吸を考慮する. 胸部 Xp では心拡大が明らかである. また, 両肺野全体で透過性が低下しており, 呼吸困難, 頻呼吸, 喘鳴と crackle の所見と合わせて肺水腫と診断 19できる. 呼吸器感染症 ( 肺炎 ) を契機にした急性心不全, あるいは慢性心不全の急性増悪と強く推測される. これに対しどういう対応が適切であろうか. A ) 適切でない. 確かに, 循環血漿量減少性ショックの時が典型であるように, 脱水なども含めて循環血漿量が足りなければそれを補おうと頻脈になる. このとき輸液によってそれを補うのは治療方針として正しい. が, それは頻脈の生じるある一つの原因を考えているに過ぎない. 成人の全身性炎症反応症候群 (SIRS) の定義が, 感染症, 外傷, 熱傷, 膵炎, 手術などの生体侵襲があり, 次の診断項目 ( 全身性炎症反応の指標 ) を 2 項目以上満たす場合. 1 体温 >38 または<36, 2 脈拍数 >90/ 分, 3 呼吸数 >20 回 / 分または PaCO2<32Torr, 4 白血球数 >12,000/mm 3 または<4,000/mm 3, あるいは未熟型白血球 >10% とあるように, 頻脈は生体侵襲に対する一般的応答の一つであって, その原因は改めて探索されねばならない. なお, 本症例は上の定義を満たし,SIRS の状態にある. 与えられた情報だけでは疑いの域を出ないが, データから感染症が証明ないし十分疑われれば,SIRS にその上乗せで敗血症 (SIRS + 感染症 20) と診断することができる. 19 肺水腫では中心性の肺うっ血所見を認めることがあり, 胸部 Xp に現れた典型的なその像 ( 上写真 ) は butterfly shadow と呼ばれる. 20 敗血症の定義がこうである通り, 敗血症にとって菌血症 ( 細菌が血液中から証明されること ) は必須ではない. 19

20 さて, 話を戻して, 本症例は今, 両脚の浮腫が増悪するなど右心不全症状が目立ち, 全身に 不当に水が溜まった状態にある. ここへ輸液を行えばさらなる前負荷が心臓に重くのしかかる ことになり不適当で, 全く逆に利尿をつけて水分の排出を促し心臓の負担を軽減してやらなく てはいけない. B ) テスト的には以下のように正答として C,E を選ぶが, 二つという縛りがなければ おそら く適切 と言ってよい対応である. 抗菌薬の投与は, 本問で与えられた情報だけでは根拠が弱いだけで, おそらく行うことにな ろう. 熱発があることからも感染はあり, 高齢者の肺炎からの心不全増悪は強く推測できる ストーリーである. C ) 適切である. 心原性の肺水腫に対しては輸液制限および利尿薬投与などの心不全の治療を 行う 21. これにより 間接的に 肺水腫の軽減すなわち酸素化の改善を図ることができる. 処方例として, 利尿薬フロセミド ( ラシックス ) と, 血管拡張薬 利尿薬である心房性ナ トリウム利尿ペプチド ( カルペリチド, ハンプ ) のいずれか, あるいは利尿のつき過ぎに 注意しつつ両方を投与して前後負荷の軽減を図る. D ) 適切でない. かつてはストレスに応答して分泌されるホルモンであるステロイドを生体ストレス時に入 れてやるという発想から心肺蘇生時にもステロイドが使われたものであったが, 現在の ACLS にその適応はなく, 急性心不全や心原性肺水腫に対してもまたその適応はない 22. E ) 適切である. 肺の間質や肺胞内に水がにじみ溢れた状態に当たる肺水腫の病態では肺の酸 素化能が落ちるからこれを補助して酸素化を保つことが重要である. 近年は心不全 心原性肺水腫ではいきなり気管挿管とはせずに, 気管挿管によらずにマスク シーパップで持続的陽圧換気 (CPAP ) 23を行う NIPPV(non-invasive positive pressure ventilation, 非侵襲的陽圧換気 ) が試みられる. 気管挿管を回避でき, 在院日数の減少, ひいては予後の 改善をもたらすことができる. 気道分泌物が多かったり意識障害があったりする場合を除いてまず NIPPV を行い, それで 酸素化が改善できなければ気管挿管下での呼吸管理となる. 解答 :C, E 症例 4:68 歳男性.6 日前に大動脈解離に対し根治術を施行され, 術後 ICU に入室中である. 呼吸状態が改善傾向のため, 換気条件を調節呼吸から以下の設定条件まで変更してきた. 患者は術中に脳梗塞を発症し, 意識レベルは非沈静下で E3V1( 挿管中 )M5. 右片麻痺と流涎を認める. 現在の換気条件とその条件での動脈血液ガス分析を以下に示す. 21 ゆえに治療方針決定の上でも重要なのは, 肺水腫が心原性であるか非心原性 (ARDS/ALI) であるかの鑑別である.ARDS は肺自身の血管透過性亢進で生じる肺水腫で, それを生ぜしめた何らかの生体侵襲があるからこれに対する治療が必要になる. 血中 BNP( 脳性ナトリウム利尿ペプチド ) はその鑑別に有用で,BNP100pg/mL 未満ではうっ血性心不全は否定的, 逆に 500pg/mL 超では心不全の可能性が大きい. 22 適応と呼べるレベルの信頼性の話ではないが, 上の脚注にある ARDS の病態に対して, ステロイドであるソル コーテフ ( コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム ) の早期投与が有効であったとする報告は存在する. ピープ 23 自発呼吸にPEEP( 息を吐き切ったところ ( あるいは調節換気下での呼気終末 ) でもなお肺胞内が陽圧になるように圧を保つこと ) をかけるものである. 20

21 換気条件 :VC-SIMV+Pressure Support ventilation,fio2=0.4,vt=500ml,rr= 6 回 / 分 ( 全呼吸数 30 回 / 分 ),PS 3cmH2O,PEEP 3cmH2O,PIP 12cmH2O 動脈血液ガス :ph 7.30,PaO2 126mmHg,PaCO2 50mmHg,HCO3-23mEq/L 各問いに入る前に症例の現状を整理しておこう. 患者は術後 6 日, 術中発症の脳梗塞により,E3V1( 挿管中 )M5 と発語の評価ができないが軽 りゅうぜん度から中等度であろう意識障害, 右片麻痺, それによると考えられる流涎がある. 換気条件にある VC-SIMV は, 量規定式 (VC) 同期式間欠的強制換気 (SIMV) のことであり, 設定した回数の調節換気が強制的に行われその間に自発呼吸が可能な人工呼吸器の換気モード (SIMV) で, その強制的な換気の吸気上限が換気量で規定されている (VC) 場合をいう 24. PSV とはプレッシャーサポート換気のことで, 自発呼吸に合わせて一定の気道内圧まで人工呼 吸器が押してくれる機能である. VC-SIMV+PSV で, 自発呼吸が出たときはこれを圧をかけて補助し, 十分な回数出なければ 強制換気がなされて呼吸数や必要な換気量が確保されるようになっていることを意味する ( この 時の気道内圧パターンは右図 ) 25. そのもとで, 本症例の患者さんは SIMV の強制換気 6 回を含めて呼吸数 は全 30 回,PaO2/FiO2=126mmHg /0.4=315 と酸素化の点からは最低ラ インとみなされる 300 をクリアしている 26 が,PaCO2 が 50mmHg とやや溜まっており 27, 呼吸性 アシドーシスによるアシデミアを呈している. ICU での管理のもとで, 呼吸状態の改善によって呼吸条件を変更してきたとあるのだから, 基 本的にはそれを支持し, さらに適切にウィーニング ( 人工呼吸器離脱 ) を進める選択肢が正答と なるような問題が続くであろう. 問 15: 酸塩基平衡の状態として適切なものを選べ. A ) 単純性代謝性アシドーシス B ) 単純性呼吸性アシドーシス C ) 混合性酸塩基平衡異常 ( 代謝性アルカローシス+ 呼吸性アシドーシス ) D ) 混合性酸塩基平衡異常 ( 呼吸性アシドーシス+ 代謝性アシドーシス ) 24 少し前まで VC-SIMV しかできない人工呼吸器が多かったが, 最近は, 強制換気の吸気上限を気道内圧で規定する圧規定式 (PC) での SIMV(PC-SIMV) を行える機種が一般的になっている. 25 そんな便利なモードがあれば呼吸回数, 吸気時間,1 回換気量 (VCV) または換気圧 (PCV) を一方的に機械の側で設定してしまう旧来の調節換気モードはいらないのでは? という発想は正しい. SIMV はかつては自発呼吸の現れる人工呼吸器からの離脱期 ( ウィーニング ) 向けに考えられた換気モードであったが, 現在は SIMV(+PSV) は導入期からウィーニングまで広く使用されている. 26 動脈血酸素分圧を吸入酸素濃度で割った PF 比は酸素化の点からの呼吸不全の指標となる. 健常者は 400~500 を示し,400 を切ると軽症呼吸不全とみなす考えもある.300 を切ると中等症呼吸不全, 急性肺障害 (ALI) の定義ライン,200 を切ると重症呼吸不全, 急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) の定義ラインとみなされる. 27 PaO2 は 50mmHg を下回ることが,PaCO2 は 50mmHg を上回ることが, 気管挿管を伴う積極的な人工呼吸管理の目安とな る. 21

22 E ) 混合性酸塩基平衡異常 混合性酸塩基平衡異常 呼吸性アルカローシス 代謝性アルカローシス アルカローシス 解説 初めに選択肢にある用語につき につき整理しておくと アシドーシスとは血液を酸性 酸性に傾かせるよう な病態 アルカローシスとは血液 血液をアルカリ性に傾かせるような病態である それらの結果 血液が酸性に に傾いた状態 ph<7.35 がアシデミア アルカリ アルカリ性に傾いた状態 ph>7.45 がアルカレミアである がアルカレミアである28 酸塩基平衡を規定する因子には には まず 肺で調節される CO2 があり CO2 は酸性である もう 一つ 主に腎臓で調節される HCO3 があり HCO3 はアルカリ性である 二つの因子は別々の器官で調節 調節されているので 一方の因子の調節がくるってももう がくるってももう一方の調 節器官が正常ならある程度まで まで代償が働く 二つの因子は酸性とアルカリ性なのだから なのだから 一方が 異常により上がったとき もう もう一方も上がるのが正常な代償の方向である29 この方向での変化が予測通りの りの妥当な幅でみられたとき アシドーシス アルカローシス アルカローシス が 単独で存在する単純な病態を想定 想定できる30 一方 もう一方の調節機構も も同時にくるってしまっている場合がある このときは このときは代償として はありえない幅でそちらの因子 因子も動いているか 異常を助長する側 代償とは とは反対側 に動いて いるので これを見破ることができる ることができる 以上を確実に判断するため 酸塩基平衡異常は以下のステップで考える ステップ1 動脈血ガスpH からアシデミ アかアルカレ ミアかを判断 する ステップ3 アニオンギャ ップ AG を 計算する AG が増加してい る場合には補 正HCO3 を計 算する ステップ2 それ それがHCO3 の変化による も の か Pco2 の変化による ものかを判断 する する ステップ4 呼吸性と代謝 性障害の合併 混 合 性 障 害 を 代償 性変化を計算 して判断する では 本症例の場合に沿って って進めよう まず血液 ph は 7.30 でアシデミアであり でアシデミアであり ステップ 1 酸性因子の CO2 が 50mmHg と上が っている一方 アルカリ性因子 性因子の HCO3 は 23mEq/L と低下していないからアシデミアは していないからアシデミアは PCO2 の上昇による 呼吸性アシドーシス アシドーシスはまず確定 ステップ 2 次に アニオンギャップ AG AG を考える AG Na+ Cl HCO3 で定義 定義され 正常値は 12±2mEq/L である 体内 体内に HCO3 で緩衝 28 アシドーシス アルカローシス が単独 単独で存在すればアシデミア アルカレミア になるので そのような そのような単純な場合を前 提にしてアシドーシスとアシデミアとが にしてアシドーシスとアシデミアとが同義に用いられることがあるが いつでもその前提があるわけではない があるわけではない アシドーシスとアルカローシスが合併するような するような複合的な酸塩基平衡異常があるとき アシデミアになる アシデミアになることもあればアルカ レミアになることもあり さらに 正常範囲 正常範囲になることもある よって これら 動き と 結果 は分けて考えねばならず 当然 用語としても別であって同義ではありえない ではありえない 29 本文の繰り返しになるが CO2 と HCO3 両方の数値がともに上がるかともに下がるかしているときに がるかしているときに 血液 ph の現状 ア シデミアやアルカレミア に合う方の変化 変化を主たるアシドーシス アルカローシス と捉え もう一方 一方の変化が代償なのかそれ を逸脱した変化なのかを考えるのが整理 整理の順序である 一方が 異常に 上がりしかし一方が下 下がっているときは アシドーシス アシドーシスか アルカローシス アルカローシス アルカローシ スかであって明らかに複合的な異常である である 30 このとき アシデミア アシドーシス アシドーシス それを補いきるところまではいかなかったアルカリ性方向 性方向への代償 と言える 22

23 しなくてはならないような有機酸 31が蓄積しているときに大きくなる.12mEq より大きくなった分は HCO3 - が一次性に増えたり減ったりした分ではないから HCO3 - の実測値にこれを足してやり ( 補正 HCO3 - ), 正常範囲になるかを確かめる ( 正常なら HCO3 - が一次性に喪失 蓄積 した代謝性アシドーシス アルカローシス ではない ). ただし, 残念ながら本症例ではデータが与えられておらず検証不能である ( ステップ 3). 最後に, 判明した呼吸性アルカローシスに対する代償がなされているかを確かめる. 代謝性の酸塩基平衡異常に対する呼吸性の代償は分単位で進行し 1 日以内に完成するのに対し, 呼吸性の異常を代謝性に代償する変化が生じるには時間がかかり, 完成には数日を要する ( なので, 呼吸性の異常が急性か慢性かで分けて考える ). 一次性変化代償性変化代償性変化の予測範囲代償の限界値代謝性アシドーシス HCO - 3 PaCO 2 PaCO 2 = HCO - 3 1~1.3 PaCO 2 = 15 mmhg 代謝性アルカローシス HCO - 3 PaCO 2 PaCO 2 = HCO ~1 PaCO 2 = 60 mmhg 急性 HCO - 3 = PaCO HCO - 3 = 30 meq/l 呼吸性アシドーシス PaCO 2 HCO - 3 慢性 HCO - 3 = PaCO HCO - 3 = 42 meq/l 急性 HCO - 3 = PaCO HCO - 3 = 18 meq/l 呼吸性アルカローシス PaCO 2 HCO - 3 慢性 HCO - 3 = PaCO HCO - 3 = 12 meq/l は基準値 (ph:7.40,paco 2 :40mmHg,HCO - 3 :24mEq/L) よりの変動を示すその代償の予測範囲と限界値は上の表のようになる. 今,PaCO2 は 50mmHg と正常値に対して 10mmHg 動いているから, この動きがウィーニング過渡期の新しいものとして,HCO3 - は正常値 24±2 に対して+1mEq/L, 術後からの慢性的なものなら+3.5mEq/L の範囲で上がっていてほしい. が, 値は 23mEq/L と目立った上昇はない. CO2 の溜まり具合の変化が追えないのでこれを明らかな逸脱と決められないが, 術後から高 CO2 血症があったとみなすと代償範囲より低く, 代謝性アシドーシスが合併していると考えられる ( ステップ 4). 大動脈解離という大血管疾患とその手術侵襲があったわけなので, 循環不全による腎機能低下, 血圧低下 ショック 心不全など乳酸が上昇するような病態を代謝性アシドーシス合併の背景として想像できる. 解答 :D 問 16: この患者への対応として適切なものを選べ. A ) 麻酔中に使用したフェンタニールを拮抗するためナロキソンを投与する. B ) 人工呼吸器の weaning をすすめ抜管を試みるのは適切ではない. C ) 脳梗塞に対してできるだけ早期に高気圧酸素療法を施行する. D ) 酸塩基平衡異常に対して重炭酸ナトリウムを投与する. E ) 血栓溶解療法の適応である. A ) 適切でない. 31 乳酸アシドーシスのときの乳酸 ピルビン酸, 腎不全のときのリン酸 硫酸が代表的である. 23

24 選択肢文章を素直に読めば, 術後の鎮痛で使用したのではなく 6 日前の麻酔中に使用したフェ ンタニルに対して, 今も何か副作用を出しているのでこれを拮抗する必要がある, の意に解釈で きる. フェンタニルは血中半減期が 3.6 時間と長いが ( レミフェンタニルは 3 10 分 ), モルヒネの 160 倍高い脂質溶解性を持つため静脈注射後速やかに脳はじめ各組織に移行し, 血漿中からは投 与後 60 分以内に 98% が消失し, 移行した脳において鎮痛効果を表す ( 作用時間 分間 ). よって, ナロキソンがその拮抗薬であることは正しいが, 今さら拮抗を図ることはありえない. B ) 正しい対応である. まだ抜管はできない. 冒頭で症例の整理を行った際に確認したように,CO2 が溜まっているところを見ると呼吸が浅 いと思われる 強制換気以外の PSV のときには呼吸時間 1 回換気量は患者に依存している. ウィーニングの開始 ( 換気モードを PSV+SIMV+PEEP PSV+PEEP CPAP へと変え, ま た, 強制換気回数やサポート圧を減らしていく流れに入ること ) にも抜管にも決められた一律の 基準があるわけではない. が, 全身状態が安定して,FiO2 0.4,PEEP 5cmH2O で PaO2 60mmHg が保たれ, 頻呼 吸がない (35 回 / 分未満 ) ならウィーニングを開始できる. また, ウィーニングを進める中で PaO2 75mmHg,PaCO2 45mmHg が安定して得られ, 呼吸数も 20 回 / 分以下と落ち着けば 抜管を考える. PaCO2 50mmHg の現状に対しては,PS レベルを上げて 1 回換気量を増やすなり,SIMV の強 制換気回数を少し増やすなりして, 分時換気量を増やしてやることで解消を図る 32. 逆に, こう した対応が必要ということはウィーニングを進め抜管を図るにはまだ早いということである. C ) 適切でない. 高気圧酸素療法は, 高圧の酸素タンクの中に入るもので, 組織への酸素運搬量を増やすので, 虚血 再灌流や末梢循環不全, 組織修復の促進, 嫌気性菌感染 ( ガス壊疽 ) の病態が適応になる. 急性一酸化炭素中毒は代表的な適応として知られる. 頭部外傷や脳梗塞に伴う急性脳浮腫も適応症とされ, 発症後 7 日以内なら認められるのではあ るが, 脳梗塞病変の完成したであろう現段階での本症例ではメリットはない. D ) 適切でない. 本症例では今, アシデミアの原因は呼吸性アシドーシスであって,HCO3 - の値そのものは正常 範囲にある. ここに重炭酸ナトリウム ( メイロン ) により大量に HCO3 - を入れてこれにより アシドーシスの補正を試みることは, それに必要な量を入れたらナトリウム負荷が高すぎる点で も全く支持されない. 呼吸性アシドーシスにメイロン の適応はないのである. メイロン によるアシデミア補正はそれが HCO3 - が足りない代謝性アシドーシスによる場合 にのみ適応がある. また, メイロン には末梢での酸素解離抑制やカテコラミンの不活化などの作用もあり, 循環 不全も心配されるこの状況で使いたい薬ではない. E ) 適切でない.t-PA( アルテプラーゼ ) による血栓溶解療法は発症直後ならば著効するケース 32 酸素化は FiO2 と PEEP に依存し, 二酸化炭素排出は換気量に依存するのであった. 24

25 があるが, 発症後 3 時間以内 33の超急性期にのみ可能な治療法である. 本症例のように発症後 6 日の, 完成されてしまった脳梗塞には全く適応がない. では, 手術中という医療現場での脳梗塞発症なのになぜそれを使わなかったのか? というのは, わかっている人には冗談のような問いで, 要するに血が止まらなくなる状態を作るということなので手術含め外傷や出血のある患者では禁忌である. 術中発症でなくとも 14 日以内の大手術は適応から除外されることになっている. 解答 :B 問 17: 血液ガス分析の解釈および換気条件の設定について適切なものを選べ. A ) 正常より PaCO2 が上昇しているので一回換気量を減らす. B ) 換気量を増やすために PEEP を上昇させる. C ) これ以上 FIO2 を低下させることは危険である. D ) 換気モードを CPAP にすることは適切である. E ) 呼吸数の上昇は, 頭蓋内圧上昇の可能性を示唆する. A ) 適切でない. 正反対で, ここでは減らすのではなく増やすのである. CO2 は換気を増やすことにより飛ばしてやらなくてはいけない. 分時換気量を増やすためには 1 回換気量を増やすか, 呼吸数を増やすことが必要である. PSV では吸気時間 ( や呼吸数 ) は患者が決定するからこの点で 1 回換気量は自発呼吸の大きさにより変化するのであるが, 押してやる圧 (PS レベル ) を上げることでその 1 つ 1 つを大きくしてやることができる. B ) 適切でない. PEEP は呼気終末に一定の圧をかけて陽圧を維持し肺胞の虚脱を防ぐものである. が, 息を吐き切ったところでも一定の圧をかけるということは, 吐き切らせずに肺に空気を残すということである. つまり, 送気は肺容量や気道内圧が適正に許す範囲でしか入れられないところに, 高い PEEP をかけるほど息の吐き終わりの肺に空気をより多く残すことになるから,PEEP は換気できる量には制限として働く. 選択肢とは逆に,PEEP を上昇させると換気量は減るのである 34. C ) 危険という言葉が引っかかるが, 現状では FiO2 を積極的に下げない点で本選択肢が適切と考える. 冒頭の症例整理で確認したように,PF 比は 315 であり, 決して高くはない. D ) 適切でない.CPAP は自発呼吸に PEEP のみをかける換気モードで ( 右図 ), 呼吸が浅いためであろう高い PaCO2 が問題となっている現状で, 33 海外の臨床試験において, 発症後 4 時間半までなら有害事象よりも治療の有益性が大きいとの結果が出ており, 日本でも次のガイドライン改訂では 4 時間半になる可能性があると言われている. 34 PEEP をかけた方がしっかり換気できる という誤った思い込みは, 臨床の現場に非常に蔓延している. 今, 正確に理解し ておきたい. 25

26 SIMV+PSV から PSV 単独を飛ばしていきなり CPAP へとウィーニングを進めることはしない. むしろ,PS レベルを少し高めに見直して換気量を増加させ, 高 CO2 血症の解消を図りたいと ころである. クッシング E ) 適切でない. 頭蓋内圧亢進を示すCushing徴候が血圧上昇 徐脈 呼吸数低下の 3 徴である ように, 頭蓋内圧亢進を示唆するのは呼吸数の低下である. 脳幹の変位により小さい穿通枝に循 環障害が生じ呼吸中枢である延髄が乏血状態になることが原因といわれる. 解答 :C 症例 5:68 歳女性. 近医にて糖尿病加療中であった.1 時間程前から胸部圧迫感, この 15 分位で呼吸困難感の増悪が見られたため, 救急隊を要請し来院した. 来院時血圧 136/92mmHg, 心拍数 112/ 分, 脈拍整,SpO2 96%(O2 マスクで 5L/ 分 ). 起座位が楽という. 心電図検査を施行したところ,V1 6 にて ST の上昇が見られた. やはり初めに症例をまとめ把握しておこう. 糖尿病加療中とのこと, 糖尿病は動脈硬化の増悪因子であり, 心血管障害, 脳血管障害のリス クファクターである. そこに 1 時間前から胸部圧迫感 35, この 15 分で呼吸困難感が増悪したとい う. 起座呼吸も見られている. ここから急性心筋梗塞 AMI, これに続発する急性心不全が疑われる. 果たして, 心電図検査で ステミーは V1 6 という心臓の広い領域に当たる誘導で ST 上昇が見られ,ST 上昇型心筋梗塞 STEMI の 病態が明らかとなっている. ST 上昇の見られた範囲や, 急性心不全症状 ( 呼吸困難, 起座呼吸 ) を呈していることからも, LAD( 左前下行枝 ) を責任動脈とする前壁の広範な梗塞が懸念される ( 下表参照 ). このとき, どんな所見が見られるのだろうか ( 次問 18). 急性心筋梗塞の病変局在部位と心電図変化との対応 I II III avr avl avf V1 V2 V3 V4 V5 V6 V3R V4R 責任冠動脈 前壁梗塞 LAD 前壁中隔梗塞 LAD 広範前壁梗塞 LAD 側壁梗塞 LCX(LAD) 下壁梗塞 RCA(LCX) 後壁梗塞 + + LCX 右室梗塞 (+) (+) (+) RCA 心尖部梗塞 LAD 問 18: この時点で見られる可能性が非常に低い検査所見を選べ. A ) 心臓超音波検査での左室壁運動の異常 B ) 胸部単純 X 線写真でのバタフライシャドウ C ) トロポニン T 陽性 D ) 動脈血液ガス分析での PaCO2 の軽度低下 E ) 血糖値の上昇 35 糖尿病患者では神経障害のため心筋梗塞で典型的な胸痛を訴えないことがあるため注意が必 要であるが, ここでは典型的な訴え. 26

27 A ) 見られる可能性が高い. 心エコー検査で見られた局所壁運動異常による AMI の診断感度は 90% 以上におよぶ. 壁運動 異常部位や範囲から責任冠動脈病変の推測および虚血範囲の評価まで可能である. B ) 見られる可能性が高い. V1-6 での ST 上昇という心筋の広い範囲での虚血 ( おそらくは LAD の閉塞による広範前壁梗 塞 ) を示す所見が得られており, これによる左心不全, さらに肺うっ血から心原性の肺水腫をき たしていることが考えられる. その典型的な胸部 Xp 上での所見がバタフライシャドウである. C ) 見られる可能性はま だ 低い. 発症後もう少し時間が経てば見られるであろう所見である. トロポニン T は心筋の構造蛋白で, 心筋壊死を反映して血中レベルが増加するので急性心筋梗 塞のマーカーとなる 36. だが, 上昇を見るのは発症約 3~6 時間後からである ( その後, 発症 8 ~18 時間後に最高値に達し,2~3 週後まで有意な高値が続く ). 糖尿病もあってか典型的な胸痛の訴えを見せていないものの, 胸部圧迫感の出現で発症を自覚 しており, それは 1 時間前とのことなので, まだ現段階では検査陽性とはならない可能性が高 い. 心筋梗塞の血液検査上のマーカー ミオグロビン H-FABP WBC CK-MB (CK) トロポニンT 心筋ミオシン軽鎖 I AST(GOT) CRP 上昇タイミング 1-2 時間 1-2 時間 2-3 時間 3-4 時間 3-4 時間 4-6 時間 6-12 時間 1-3 日 正常化タイミング 2-3 日 24 時間 7 日 3-7 日 日 7-14 日 3-7 日 21 日 D ) 見られる可能性が高い. 呼吸困難感もあって頻呼吸になるので, 過換気となって CO2 排出が進むのである. E ) 見られる可能性が高い. 血糖値はストレス応答性に上がるものである ( ストレス高血糖 37). この急激な血糖上昇は, 虚血プレコンディショニング効果 38の障害や酸化ストレス由来の種々の機序を介して微小循環障害や心筋障害を誘発し,AMI の予後悪化を招くと考えられている. この傾向は特に ( 高血糖に細胞が慣れていない ) 非糖尿病患者で顕著とされ, 入院時高血糖を示した患者は示さなかった患者より明らかに死亡率が高いことが明らかになっている. 現在では糖尿病患者であろうとなかろうと急性期の血糖コントロールが重視され, 心筋梗塞発症後 24~48 時間の急性期に血糖値 180~200mg/dL 以上であれば高血糖是正のためのインスリン持続静注を開始する必要性が強調されている. 解答 :C ( 症例 5 の続き ) 心臓カテーテル検査を施行したところ, 冠動脈の閉塞が認められたため, 経 皮的冠動脈インターベンションを行い, 再開通が得られた. 引き続き Swan-Ganz カテーテル 36 トロポニン T には 15 分で結果が出る簡易測定キットであるトロップ T があってマーカーとして重宝される. けれども, 虚血性心筋傷害ではまず心筋の細胞膜が傷害され, ミオグロビン, ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白 (H-FABP), クレアチンキナーゼ (CK),CK-MB などの細胞質可溶性分画蛋白が血中に遊出した後, さらに心筋の不可逆的な崩壊まで虚血が進行し筋原線維が分解されて初めて, ミオシン軽鎖 1, トロポニン I,T などの構造蛋白の遊出を認める ( 本文表参照 ). つまり, 心筋血清マーカーの中でトロポニンの出現は遅いのである. 37 ストレス高血糖の最も重要な原因は, グルカゴン, アドレナリン, ステロイドを介した肝臓での糖新生による糖放出である. 炎症性サイトカインである TNF- もグルカゴンを介して血糖上昇に働く. 38 先行する短時間の心筋虚血があるとその後に生じる致死的な虚血性心筋障害が抑制される現象をいう. 27

28 を挿入したところ以下のデータが得られた. 中心静脈圧 8mmHg( 平均 ), 肺動脈圧 45/30mmHg, 肺動脈楔入圧 21mmHg, 心係数 2.0 L/min/m 2. この時の血圧は 120/80mmHg, 心拍数 90/ 分であった. 経皮的インターベンション (PCI) は, 冠状動脈の病変に対してカテーテル手技を用いて施行する血管治療の総称で, バルーンによる前拡張後にステントを留置するのが原則となっている 39. STEMI では, いかに早く梗塞責任血管を再疎通させるかが生命予後に強く関連する. PCI が施行可能な病院であれば, 直ちに PCI を考慮すべきであり, 発症 24 時間以内で胸部症状の持続, 血行動態や心電図の変化, 心不全の存在があれば, 来院後 90 分以内に primary PCI を行うことが推奨されている. 本症例はこれに当たり,PCI が行われて再疎通が得られたので次は心不全の評価とその管理が最大の課題である. 問 19: この時の身体所見としてあり得ないものを2つ選べ. なお, 心エコー上弁膜症は見られな かった. A ) 頚静脈の怒張 B ) 乾性ラ音聴取 C ) 湿性ラ音聴取 D ) Ⅲ 音の聴取 E ) Osler 結節の存在 急性心筋梗塞による心不全の重症度の評価には肺う キリップっ血の程度でこれを評価するKillip のクラス分類 ( 右表 ) がよく用いられる. スワンガンツこれに対して,Swan -Ganzカテーテルを用いて肺動 脈楔入圧 (PCWP) 40 と心係数 (CI) 41 を測定して血 行動態を評価し, これに基づいた治療方針を提供する フォレスターのがForrester分類 ( 次ページ冒頭表右 ) である. 本症例でもこの分類が行えるようにデータが与えら れている.PCWP が 21mmHg で,CI が 2.0 L/min/m 2 であるから, 肺うっ血所見と循環不全の両方があるフ ォレスター Ⅳ 群に当たる. 臨床症状による急性心不全の分類 (Killip 分類 ) 分類クラス Ⅰ クラス Ⅱ クラス Ⅲ クラス Ⅳ 臨床症状心不全の徴候なし軽度 ~ 中等度心不全ラ音聴取域 < 全肺野の50% Ⅲ 音 (+) 静脈怒張重症心不全肺水腫ラ音聴取域 全肺野の50% 心原性ショック 血圧 90mmHg 未満, 尿量減少, チアノーゼ, 冷たく湿った皮膚, 意識障害 ノーリア近年, このフォレスター分類に相当する分類を臨床所見から行うNohria のプロフィール ( 次ペ ージ冒頭図左 ) が普及している. 末梢の皮膚が冷たい cold か温かい warm かで低灌流状態を評価 し, 乾いている dry か湿潤 wet かでうっ血状態を診断するものである.warm は末梢の臓器灌流 ポバ 39 従来の, バルーンによる血管拡張のみを行う治療をPOVA (plain old balloon angioplasty) と呼ぶ. 40 楔入圧は けつにゅうあつ あるいは せつにゅうあつ と読む. バルーンを膨らませて肺動脈の枝を閉塞した時に閉塞末端圧として測定される肺静脈圧で, 左房圧を反映し, 左心系の前負荷状態の指標となる. 41 心拍出量 (1 分間に心臓から拍出される血液量 ) を, 体格差を補正するために体表面積で割った値であり, 基準値は 2.2~ 3.5L min -1 m -2 であり,2.2 を切るとポンプ機能低下として対処される. 28

29 がよい状態,cold は低灌流状態を表していると評価し, 四肢冷感のみならずチアノーゼや傾眠, 乏尿も低灌流状態と考え cold と評価する. 一方,dry はうっ血がない状態,wet はうっ血がある 状態を意味し, 起坐呼吸や頸静脈圧の上昇, 浮腫などに加え Ⅲ 音や湿性ラ音といった肺うっ血の 所見も wet の所見と考える. すると, 上図のようにフォレスター分類とノーリアのプロフィールの各群 ( 各象限 ) はほぼ 1 対 1 に対応する. スワン ガンツカテーテルでこういう情報が得られたとき臨床所見としては何が見られると想 像できるかを問う本問はこの対応を問うていると捉えることができるが, 実際の臨床上ではスワ ン ガンツの侵襲や適応の限界からむしろ臨床所見から循環動態データの想像が付くことが求め られると言えよう. 選択肢を検討すると,A の頚静脈怒張はうっ血の徴候,C の湿性ラ音の聴取,D の Ⅲ 音 42 の聴 取は肺うっ血の所見であり, いずれも上述または上図中に登場している. これに対して,B の乾性ラ音は気管支喘息,COPD など気道狭窄を示す疾患で聴取される持続 時間が長い連続的な肺副雑音である. よって, 乾性ラ音は あり得ない 所見なのだが, 実際は 急性心不全の喘鳴が時に気管支喘息と紛らわしいことがある. 今回症例は急性心不全に続発して いるので間違えようがないが, 初診の場合は気管支喘息の既往を確認し, 痰の性状を見る ( 肺水 腫では泡沫性, 血液を混じたピンク色の気管内分泌物を喀出 ) といった鑑別は欠かせない. オスラーまた,E のOsler結節は, 急性に経過した感染性心内膜炎でみられる指先端の疼痛を伴うエンド ウ豆サイズの小結節のことである. 本症例では観察されない. 解答 :B, E 問 20: この患者への対応として適切でないものを選べ. A ) 輸液の負荷 B ) 大動脈内バルーンパンピングの施行 C ) 利尿剤 ( フロセミド ) の投与 D ) 強心剤 ( カテコラミン ) の投与 E ) 血管拡張剤 ( ニトログリセリン ) の投与 42 虚血性心疾患や弁膜疾患による左心機能低下 左心不全では, 左室壁の進展がスムーズに行われないので, 相対的な容量負荷の増大からも Ⅲ 音 ( 急速に血液が流入する拡張早期の心室の振動 ) が亢進する. 29

30 実際の臨床上では乱暴に過ぎる整理になるが, フォレスター分類は治療方針に対応した分類で もあって, 各々の群と治療方針を対応させて挙げることができる. うっ血所見も低灌流所見もともにない Ⅰ 群では ブロッカーなどを用いた不整脈の管理が中心 となる. うっ血所見を伴う Ⅱ 群では, その改善のため利尿薬 ( 循環血漿量を落として前負荷減 ), 血管拡 張薬 ( 血液の末梢への移動を促進 ) を用いる 43. 低心拍出量による循環不全がある Ⅲ 群では, それが循環血漿量減少による場合には輸液を行い, 心機能の低下による場合には強心薬 44 が必要となる. Ⅳ 群はうっ血所見も循環不全も両方ある, 要するに一番危機的な場合で, カテコラミン, 利尿 薬, 血管拡張薬で臨む上, 薬物療法で血行動態維持が困難な場合には IABP(intra-aortic balloon pumping, 大動脈バルーンパンピング ) や PCPS(percutaneous cardio-pulmonary support) 45 による補助循環が必要となる. 本症例では,120/80mmHg と血圧が保たれ, 心拍数 90/ 分と頻脈もない上, 中心静脈圧 CVP は 8mmHg とやや高め ( 正常値は 1~8( 平均 5)mmHg) に保たれており, 循環血漿量減少 ハイポ hypovolemic の所見はない 46. よって,A の輸液によるさらなる前負荷をかけるのではなく, 今, 重度の左心不全によりフォ レスター Ⅳ 群の危険な状態 47 であるので,C の利尿薬で前負荷の軽減,E の血管拡張薬で前負荷 後負荷ともに軽減を図りながら,D の強心薬や場合によっては B の補助循環で心臓をサポートし てやらねばならない. 解答 :A 症例 6:63 歳男性. 潰瘍性大腸炎, 糖尿病, 陳旧性脳梗塞にて近医に通院し, プレドニゾロンとアスピリンの内服, およびインスリン自己注射を行っていた. 潰瘍性大腸炎の増悪により経口摂取が進まないためコントロール目的にて受診となった. 外来待合室にて意識が消失し, 顔面蒼白, 眼球上転したため処置室に運ばれた. 血圧は 65mmHg/ 触診, 脈拍 70/ 分. 心電図 (A) を以下 ( 本資料では次ページ冒頭 ) に示す. 潰瘍性大腸炎にステロイドであるプレドニゾロン ( プレドニン ), 糖尿病にインスリン自己注 43 利尿薬として最も頻繁に用いられるのはループ利尿薬, 特にフロセミド ( ラシックス ) である. 血管拡張薬としては特に硝酸薬 ( ニトログリセリン ( ミリスロール ), 硝酸イソソルビド ( ニトロール )) が用いられるが,K チャネル開口を機序にした血管拡張薬であるニコランジル ( シグマート ) も普及している. また, ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドであるカルペリチド ( ハンプ ) は血管拡張作用と利尿作用を有するのみならず, 心保護作用があることが明らかになっており, 急性心不全においても早期からの投与が勧められる. 44 ドブタミン ( ドブトレックス ), ドパミン ( イノバン ) などのカテコラミン, ミルリノン ( ミルリーラ ) などのホスホジエステラーゼⅢ 阻害薬が用いられる. 45 大腿静脈から血液を抜いて大腿動脈に返す, 言わばミニ人工心肺である. 46 純粋な右室梗塞は少ないがこれを仮定するならば, このとき, 静脈を含め右心系の血液を左心系に返す力が弱まるので, 肺うっ血を伴うことなく循環血漿量減少により灌流が低下する病態 ( フォレスター分類の Ⅲ 群の典型 ) が現出することになる. 47 心不全の予後は ( 当たり前だが ) その重症度と相関し, キリップ分類での 1 年死亡率は,Ⅰ 群で 6%,Ⅱ 群で 17%,Ⅲ 群で 38%,Ⅳ 群で 81% と報告されている. フォレスター分類では,Ⅰ 群は 3%,Ⅱ 群は 9%,Ⅲ 群は 23%,Ⅳ 群は 51% と報告されている. 30

31 射, 陳旧性脳梗塞に再発予防目的でアスピリン, という既往 治療歴を持つ患者さんである. 経口摂取が進まないためにそのコントロール目的で訪れた外来での失神エピソード ( 意識消失, 顔面蒼白, 眼球上転 ) である 正確には失神というためには放っておいても目覚めねばならない ( 失神の定義は一過性の意識消失 ) がそこは院内発症の本件ではわからない. 本資料冒頭の脚注 2 で早くも取り上げているように, 救急でよく見る発症エピソードたる失神で疑うべきは虚血性心疾患, 不整脈, 器質性心疾患と心臓である 48. 潰瘍性大腸炎の増悪で経口摂取が進んでいないというエピソードとインスリン自己注射中であるという糖尿病治療歴を考えると低血糖も当初は考える. 低血糖では中枢神経症状 ( めまい, 錯乱, 認知機能低下, 昏睡など ) に加え, 交感神経刺激症状 ( 振戦, 発汗, 動悸 ) があることが鑑別に役立つが, インスリンで治療を受けている糖尿病患者で頻回に低血糖を繰り返していると交感神経刺激症状を伴わないまま中枢神経症状が現れることがあるので注意が必要である. 問 21: 心電図 (A) の所見として適切なものを 2 つ選べ. A ) Ⅱ 度房室ブロック (MobitzⅡ 型 ) である. B ) Ⅲ 度房室ブロックである. C ) 前壁梗塞が疑われる. D ) 下壁梗塞が疑われる. E ) 徐脈である. 上の症例の解説に引き続き, 著しい低血圧が目立つこともあり, 果たして心電図をとると,Ⅱ,Ⅲ,aVF で ST 上昇を認め, 48 繰り返しになるが, 卒倒のまま意識が戻らない突然死では当然心臓を疑うのに, 意識が戻ったと聞くと途端に脳 (TIA) を疑う癖が蔓延している. くも膜下出血や脳出血はありうるが, 心臓を一番に考えたい. 31

32 さらに,Ⅱ 誘導 ( 向かって左の上から二つ目 ) でわかりやすいように, 心房収縮を示す P 波と心 室収縮を示す R 波の間隔 (PR 間隔 ) がまちまちになっており,Ⅲ 度房室ブロックの所見である. アダムスストークス Adams -Stokes 症候群という言葉がある. 今日では不整脈に基づく脳虚血症状全般を意味するが, 本来, 徐脈性不整脈である完全房室ブロックにより顔面蒼白となって失神, めまい, 痙攣をきた すことを指したのであった. 本症例は The アダムス ストークスである. A ) ( 所見として ) 適切でない. モビッツ Ⅱ 度房室ブロック (Mobitz Ⅱ 型 ) とは, 右図上のように PR 間隔の漸次延長を伴わず に QRS が脱落するタイプの 房室ブロック ( 心房心室間の 興奮伝導障害 ) である これ に対して漸次延長を伴うタ イプの Ⅱ 型房室ブロックを ウェンケバッハ Wenckebach型と呼ぶ ( 右図下 ). 今回は,AMI( 下壁梗塞 ) に合併した房室ブロックであり, 一時的である場合が多いから, ペーシングを行うとしても一時的なものを考える. だが, こうした前提がなく鑑別する場合は QRS 脱落を伴う同じ Ⅱ 型房室ブロックでもその後 の対応が大違いであり, ウェンケバッハ型が迷走神経の過緊張によることが多く症状がなけれ ば経過観察できるのに対して, モビッツ Ⅱ 型はいずれ房室解離である Ⅲ 度房室ブロックに移行 してしまう危険が高く恒久的ペースメーカー埋め込みの対象となる. さて, いずれにしても本症例では P 波に対する QRS 脱落は見られておらず,Ⅱ 度房室ブロッ クではない. B ) 適切である. 症例解説で既に述べた通り,Ⅱ 誘導でわかりやすいように,P 波と QRS 波の 間隔がまちまちで, 一方,P 波同士 (PP 間隔 ),R 波同士 (RR 間隔 ) の間隔は一定であり, 房室解離の所見である. C ) 適切でない. 本資料 26 ページの表で既に見た通り, 左前下行枝に責任病変がある前壁梗塞 であれば V2~4 を中心に胸部誘導で ST 上昇がみられるはずで, 否定的である. また, 前壁梗塞に伴って房室ブロックが生じることは稀 ( 数 %) である もっとも, まれな 合併症があるから原病を否定するという思考は臨床現場ではとらないが. D ) 適切である.Ⅱ,Ⅲ,aVF で ST 上昇を認めていることから右冠動脈に責任病変がある下壁 梗塞が疑われる. この下壁梗塞の約 50% の症例では, 迷走神経緊張状態となるために徐脈 低血圧傾向を示す ことが多く, 悪心 嘔吐もみられる. 迷走神経緊張に加えて, 房室結節は約 90% の症例で右 冠動脈の房室結節枝から灌流を受けているためにその虚血によって, 房室ブロックが生じやす い ( 下壁梗塞の 7~18% に房室ブロックが合併する ) 49. E ) 適切でない. 完全房室ブロックにおいては 60/ 分以下と定義される徐脈となることもある 49 ただし, 一般的に一過性であることが多いのは本文で上述したとおりで, 迷走神経過緊張を抑えるアトロピンと一時的ペー シングで対処する. 32

33 が, 本症例では 70/ 分と定義の上では保たれており,QRS 幅も広がっておらず, 房室結節か ら発する補充収縮であることが示唆される 50. 解答 :B, D 問 22: この時の対応として適切でないものを2つ選べ. A ) 生理食塩水を負荷する. B ) ニトログリセリンを投与する. C ) 経皮的ペーシングを準備する. D ) 高濃度酸素を投与する. E ) モルヒネを投与する. 前問で確認した通り, 下壁梗塞では迷走神経の緊張による徐脈 低血圧傾向が見られる. 本症例では房室ブロックも合併しており, これによる血行動態の破綻が危惧される. 加えて, 下壁または下後壁梗塞の約 20% には右室梗塞が合併しうる.1 持続する低血圧,2 頸静脈怒張,3 胸部 X 線で肺野が明るく肺うっ血を欠く,4 乏尿といった所見を伴っていれば可能性が高い 51. このとき, 左室前負荷減少による左室心拍出量低下も生じるので, 本症例では断定できないが低血圧の背景に右室梗塞の病態があるのかもしれない. この場合, 輸液によりむしろ前負荷をかけることで心拍出量を維持してやらねばならず, 右室梗塞では血管拡張薬 ( 硝酸薬 ) や利尿薬は禁忌とされる. いずれにしても, 対応としては血圧を上昇させ循環を保つ方向性の処置が求められる. A ) 適切である. 細胞外液補充液たる生理食塩水の負荷は循環血漿量を増やし, 血圧を上昇させる. B ) 適切でない. 血管拡張薬であるニトログリセリンはさらなる血圧降下作用を有し, 相対的に循環血漿量を減少させる. よって, 血圧が 90mmHg 未満, 高度な徐脈 / 頻脈, 右室梗塞のあるとき, ニトログリセリンはじめ硝酸薬は用いられない. ただし, 胸痛の持続による過剰な体動や精神的興奮は心筋酸素消費量を増加させ梗塞巣の拡大や不整脈を誘発するので, 硝酸薬の投与により胸痛の軽減を試みることは心筋梗塞の初期治療の一般方針としては重要である. C ) 適切である. 循環動態を障害している房室ブロックに対する治療である. 迷走神経緊張に起因する房室ブロックや洞性徐脈に対してはアトロピンが効果的だが, 虚血により器質的に生じた房室ブロックは無効なので一時的ペーシング 52 で対処する. 50 典型的なⅢ 度房室ブロックでは, 心室興奮は接合部から発生する補充調律 (50/ 分前後で QRS 波形はほぼ正常 ), またはプルキンエ Purkinje線維から発生する補充調律 (40/ 分以下で,QRS 幅が広い ) となる. このとき, 徐脈に伴う多形性心室頻拍 (QT 延長を伴い, torsades de pointes トルサドポワン と呼ばれる ) の出現に注意が必要である. 51 右側胸部誘導心電図 (V3R, V4R) で ST 上昇の有無を検索し,1 断層心エコーによる右室壁運動異常 右室腔拡大,2スワン-ガンツカテーテルにより血行動態的には右房圧 10mmHg 以上かつ肺動脈楔入圧を上回るか低くとも差が 5mmHg 以内, を認めることで確定診断できる. 発症後 7~14 日を経過すれば通常右心機能は改善し, 右室梗塞の予後は良好である. 52 緊急処置としては経皮ペーシング (TCP, transcutaneous pacing), つまり胸壁に貼ったパッドによるペーシングを行うが, 長時間行う方法ではない ( 実際に見ればわかるが, 体表からのペーシング電流で患者さんはビクッビクッと繰り返しており鎮静なしでは辛い ). 中心静脈を穿刺し, 電極カテーテルを右室心尖部まで誘導 留置して行う静脈内ペーシングに切り替える. 33

34 D ) 適切である. すべての急性心筋梗塞症例で, まず酸素投与が推奨される. 本症例では特記されていないが重度な肺うっ血所見を伴うときは気管挿管を行い人工呼吸管理とする. また, 本症例では意識障害を生じているからこれにより呼吸の状態がどうなっているかにも応じて, 呼吸管理法, 酸素投与法が選択される. E ) 適切でない. 心筋梗塞で胸痛に対してモルヒネを使用するのにはその鎮痛作用による苦痛の軽減や安静の確保という狙いももちろんある. だが, 硝酸薬で改善しない持続する胸痛に塩酸モルヒネを投与するのにはその血管拡張作用による胸痛の軽減を狙ってでもある. つまり, 前負荷減少により心拍出量低下を助長する薬剤でもあるわけで, これが問題となっている現状では使用は適切でない. 解答 :B, E ( 症例 6 の続き ) 加療により血圧が回復し, 心電図は以下 (B) のようになった. 意識も回復し会話可能となったが, 程なくコーヒー残渣様の胃内容物の大量嘔吐, 続いて血性嘔吐を認め, 再度意識を失った. その際の血圧は 60mmHg/ 触診で, 心電図は再び最初 ( 前ページ [ 本資料では 31 ページ ] の心電図 A) と同様の所見が見られた. 加療により血圧が回復した際の心電図 B では,Ⅱ,Ⅲ,aVF に ST 上昇は読み取れるものの, P 波と QRS 波の本来の 1 対 1 対応の順次性が戻っている. これにより会話が可能なまでに意識状態, その背景にある循環動態が改善されたということは房室ブロックによる循環不全が意識消失エピソードの原因病態であったことを示唆する. また, 34

35 この後の再発エピソードにより, ペーシングは継続されていないことがわかり, 輸液による前負荷やアトロピン投与などに反応して房室ブロックから回復したと推測される. ところが, コーヒー残渣様の胃内容物の大量嘔吐, 続いて血性嘔吐がみられて, 血圧は 60mmHg, さらに再度の房室ブロックに陥っている. まず, コーヒー残渣様吐物は, 血液が胃酸により塩酸ヘマチンに変化して黒褐色となり, これが胃液や食物残渣と混じってコーヒー色を呈しているものであり, 上部消化管出血を示す. さらに, 新鮮な大量出血がある場合には胃酸との反応が起きず鮮紅色のまま吐血されることになる. ステロイドの長期連続投与は胃潰瘍発生をみることが報告されており ( ステロイド潰瘍 ), さらにアスピリンも胃粘膜保護に働くプロスタグランジンの産生を阻害することで胃潰瘍の原因薬剤となる. 本症例の患者さんではこれら薬剤の投与歴があり, そこに心筋梗塞 房室ブロックによる循環不全というストレスが加わったことで増悪をみた 53 と考えることができる. このストレス潰瘍からの急速大量出血 54により循環血漿量が減少した結果, 再度循環不全をきたし, 房室ブロックが再度発生して一層の循環動態の破綻 ( 血圧 60mmHg) に陥っているのが現状である. 問 23: この時の対応として適切でないものを2つ選べ. A ) 輸血を含む大量輸液を行う. B ) 気管挿管し, 気道を確保する. C ) 上部消化管内視鏡検査を直ちに行う. D ) 経皮的冠動脈インターベンションを前提として心臓カテーテル検査を直ちに行う. E ) ヘパリンを投与する. 上述の現状に対して, 再度循環血漿量を回復するために, 輸血を含んだ大量輸液でそれを補うと同時に, その漏出元となっている出血を止めなくてはならない. これらがおおもとの病態である心筋梗塞の治療に増して その治療ができる状態にするためにも, 今は最優先の処置である. A ) 適切である. 上述の通り, 出血性ショックに準じて輸血と細胞外液補充液の大量輸液で循環血漿量を確保すべきである. B ) 適切である. 循環不全により組織の酸素化が不十分となるので酸素投与を行う必要性があるのはもちろんのこと, 意識障害を伴って嘔吐があったことを考えると誤嚥防止 気道確保の点でも, 気管挿管は適切な処置である. C ) 適切である. 速やかに上部消化管内視鏡検査により出血源を探索し, クリッピングなどの止血処置を講じたい. D ) 適切でない. 53 物理的 身体的ストレスや精神的 心理的ストレスにより惹起された急性の胃 十二指腸病変はストレス潰瘍と呼ばれ, 中クッシング枢神経系の外傷または手術後に起こる消化性潰瘍であるCushing潰瘍と, 広範な火傷後に起こる急性十二指腸潰瘍である カーリング Curling潰瘍とがよく知られている. デュラフォワ 54 例えば, 潰瘍底部の粘膜下層の太い破綻動脈から大量出血を起こす急性出血性胃疾患がDieulafoy潰瘍と呼ばれて特記されるように, 胃潰瘍でも太い動脈を削ってしまうと出血性ショックに陥るほどの出血が生じうる. 35

36 この循環不全の原因が心筋梗塞に続発した急性心不全による心原性ショックであるならば, 補助循環装置 (IABP や PCPS) を使用して血行動態を補助しながらでも, 早期冠動脈造影を 行い, 血行再建が検討される. だが, 加療により一度血圧が回復し意識が回復していることからも, 前負荷による血行動態 の改善に伴って回復する一過性の房室ブロックによる循環不全 あるいは右室梗塞によるフ ォレスター Ⅲ 群の急性心不全による心拍出量減少, 前負荷の不足状態もあるか が病態である と改めて考えられる. よって, 輸液による前負荷によりまずこの状態を改善するのが先であり, 加えて, 選択肢 C にあるようにそれを阻んだ出血源を止めるのが最優先の処置である. なので,PCI を直ちに行うのは適切ではないが,AMI の予後がいかに早く梗塞責任血管の再 疎通を成功させるかにかかっていることには変わりなく, 状態が落ち着いたら速やかに PCI を行うべきである. E ) 適切でない. 本症例では現在, 活動性の出血というヘパリン投与の禁忌があるからである. けれども, 抗凝固薬であるヘパリンを AMI 発症早期に静注することにより, 再灌流療法前に 再疎通が得られる事例もあり, 出血などの禁忌がなければ, 初期治療からヘパリンを利用する ことはよくなされている. 初期治療において投与される抗血栓薬としては抗血小板薬であるアスピリンの方が重要であ る. 単独投与でも死亡率や再梗塞率の低下が報告されており,AMI が疑われた場合には, アス ピリンアレルギーの既往症例を除いて全例に, 速やかにアスピリンを投与 55 するのが標準的と なっている. 解答 :D, E 参考文献山口徹ほか ( 総編集 ) (2010). 今日の治療指針 2010 年版, 医学書院. 同上 (2009). 今日の治療指針 2009 年版, 医学書院. 金澤一郎 永井良三 ( 総編集 ) (2010). 今日の診断指針第 6 版, 医学書院. 高久史麿ほか ( 監修 ) (2009). 新臨床内科学第 9 版, 医学書院. 日本救急医学会 ( 監修 ) (2008). 救急診療指針改訂第 3 版, へるす出版. Paul L. Marino ( 著 ) 稲田英一 ( 監訳 ) (2008).ICU ブック第 3 版, メテ ィカル サイエンス インターナショナル. American Heart Association ( 著 ) (2007).BLS ヘルスケアプロバイダーマニュアル AHA ガイドライン 2005 準拠, シェパード. 同上 (2007).ACLS プロバイダーマニュアル AHA ガイドライン 2005 準拠, シェパード. American Heart Association ( 著 ) (2010). アメリカ心臓協会心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン 2010 のハイライト,[online],<URL:ttp://eccjapan.heart.org/pdf/ECC_ Guidelines_Highlights_2010JP.pdf> 本資料中に引用した図や写真は上掲文献からのものである. 55 早急に効果を得るために, バファリン 81mg 2~4 錠またはバイアスピリン 100mg 2~3 錠を噛み砕いて服用してもらう. 36

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